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1954-03-18 第19回国会 参議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十八日(木曜日)    午後二時十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            仁田 竹一君            一松 政二君            高木 正夫君            森田 義衞君            大和 与一君            村尾 重雄君            木島 虎藏君   政府委員    運輸政務次官  西村 英一君    運輸省航空局長 荒木茂久二君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○航空法の一部を改正する法律案(内  閣送付)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。  航空法の一部を改正する法律案を議題に供します。  先ず政府から提案理由の御説明を願います。
  3. 西村英一

    政府委員西村英一君) 只今上程されました航空法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  航空法は、戦後七年有余空白期間を経て、一昨年七月に制定公布された法律でありますが、その後一年有半の間における同法運用実績に徴し、航空機耐空証明航空従事者飛行場外国人国際航空運送事業等に関する規定につき、それぞれ実体に適合するよう所要改正をする必要が生じたのであります。なかんずく外国人国際航空運送事業につきましては、各国との航空協定内容が明らかとなつた今日、相互主義原則に従い、これに対し、適当且つ十分な規則を加える必要が痛感されるに至つたのであります。  以上が、この法律案提案いたす理由でありますが、主要な改正点につきまして御説明いたします。  第一は、運輸省令で定める資格及び経験を有することについて運輸大臣の認定を受けた者は、運輸省令で定める滑空機について、耐空証明及び修理改造検査を行うことができることとして、滑室機検査簡易化を図つたことであります。  第二は、耐空検査修理改造検査等検査の結果、航空機安全性確保されないと認めるときには、当該航空機又は当該型式航空機全般耐空証明効力停止し、又は有効期間短縮することができることとして、航空事故事前に防止する措置を講じたのであります。  第三は、公衆利便を増進するため必要があると認めるときは、保安庁設置する飛行場について、その着陸帯その他の施設公共の用に供すべき施設として指定することができることとして、これを民間航空機が使用し得る措置を講じたのであります。  第四は、航空機は、計器飛行状態のみならず、有視界飛行状態において飛行する場合にも、運輸大臣飛行計画を通報することとし、航空安全性確保を期した次第であります。  第五は、外国人国際航空運送事業者運賃又は事業計画は、運輸大臣認可を受けなければならないこととしたことであります。  第六は、運輸大臣は、必要があると認める場合には、外国人国際航空運送事業者に対して、運賃又は事業計画変更を命じ、又、所定の場合には、事業停止を命じ、又は許可を取り消すことができることとして、公共の利益を保護することとしたことであります。  第七は、外国航空機本邦外から本邦内に到着し、又は本邦内から本邦外に発する旅客又は貨物有償運送を行う場合には、特に事業許可を受けている外国人国際航空運送事業者航空機を除き、運輸大臣許可を必要とすることといたしたことであります。  以上、この法案提案理由及び主要な改正点について御説明いたしました。  何とぞ、慎重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願い申上げます。
  4. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、航空局長から本法案内容を詳細に御説明願いたいと思います。
  5. 大和与一

    大和与一君 ちよつと一つ。今次官が言われた第三の二行目の自衛隊とあるのを、保安庁と言われましたが、これはどつちが正当ですか。それだけおつしやつて頂きたい。
  6. 前田穰

    委員長前田穰君) これは保安隊らしいな。
  7. 大和与一

    大和与一君 ミス・プリントですか。
  8. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) その点は、現在におきましては保安庁でございます。自衛隊法が施行になりますと、自衛隊に置き替わるということで、法律附則のほうへ……。現在は保安庁であります。  それでは航空法の一部を改正する法律案の概要につきまして御説明を申上げます。  航空法は、昭和二十七年七月に制定公布されました航空に関する基本法でありまして、航空機安全性確保し、航空事業の秩序を確立することによつて航空の発達を図ることを目的とする法律であります。何分この法律が制定されました当時は、戦後七年有余に亘る空白期間の直後でありまして、我が国の航空界は殆んど活動らしい活動はいたしておらず、又世界各国航空事情の調査が未だ十分ではなかつたのでありますが、その後過去一カ年有半の間における航空法運用実績に鑑み、又情勢の推移に応じてそれぞれ実体に適合するよう所要改正をいたす必要が生じたのでありまして、ここにその一部を改正する法律案を提出した次第であります。  先ず、第十条の二は、このたび新たに追加した規定であり、運輸大臣が行う航空機耐空証明を、運輸省令で定める滑空機限つて耐空検査員こも行わせることといたしたのでありまして、この滑空機は、運輸省令におきまして、プライマリーと定めたいと考えております。三月一日現在登録された航空機は、飛行機九十六機、ヘリコプター二十四機、滑空機八十四機、計二百四機でありまして、滑空機八十四機のうち七十三機は初級滑空機即ちプライマリーであります。これらの航空機検査事務は、相当な事務量なつておりますので、このうち初級滑空機耐空検査及び後に述べます修理改造検査耐空検査員にも行わせることにより、検査事務簡素化を図ることといたしました。  次に、第十四条の改正は、現行では、一律に一年間とされている耐空証明有効期間を、航空運送事業の用に供する航空機限つて運輸大臣がその都度定める期間といたしたのであります。これと同様のことは、国際民間航空条約附属書におきましても採択され、又、アメリカ、イギリスその他の諸外国におきましては、すでに実施されているのでありまして、その理由は一定の連続整備方式によつて整備される航空機につきましては、必ずしも年一度の耐空証明を行わなくても十分に安全性確保できると考えられるからであります。この連続整備方式によつて整備される航空機とは、航空法におきましては、航空運送事業の用に供する航空機ということになるのであります。  と申しますのは、航空運送事業の用に供する航空機につきましては、第百四条及び第百二十二条の規定によりまして、運輸大臣認可を受けた整備規定従つてこれを整備しなければならず、この整備規程の中には、当該航空機連続整備方式が定められることとなつているからであります。従つて、かかる航空機耐空証明有効期間は、通常の場合におきましては、当該連続整備方式により整備される期間ということになるかと思いますが、これは個々の航空機について、新旧の差、使用方法等を考慮して、その都度運輸大臣が定めることといたしたのであります。  次に、第十四条の二の規定でありますが、これは現行第十四条第二項に規定いたしております耐空証明有効期間短縮だけでは、航空の安全の見地から必ずしも十分とは申せませんので、新たに一条を起し、耐空検査のみならず、修理改造検査又は立入検査の結果におきましても、当該航空機が第十条第四項の耐空検査技術上の基準に適合しなくなる虞れがあるとき、その他航空機安全性確保されないと認めるときには、当該航空機だけでなく、当該型式航空機全部について耐空証明有効期間短縮のほか、効力停止指定事項変更措置をとり得ることといたしまして、航空機安全性確保に万全を期することといたしたのであります。先般、英国海外航空会社(B・〇・A・C)のコメツト機が再三事故を惹起いたしましたが、あのような場合にも、この規定によりまして、当該型式全部の航空機耐空証明効力停止することになるものと存じます。  次に、第十六条の改正について申上げますと、すでに御説明した通り耐空検査員初級滑空機耐空証明を行うことができるものといたしましたので、その修理改造検査も当然行い得るようにする必要があるわけでありまして、この点についての改正をいたしたものであります。  次に、第二十八条第二項の改正は、次の第二十九条の二の追加規程と密接な関連があるので、御説明の都合上第二十九条の二について先に申し上げたいと存じます。  第二十九条の二は、航空従事者技能証明限定変更に関する規定であります。技能証明限定と申しますのは、第二十五条第一項から第三項までに規定されております通り定期運送用操縦士一等航空整備士等航空従事者資格別に行う技能証明につきまして、航空機種類、等級、型式或は従事することができる業務種類について限定をすることでありまして、航空機種類については必ず限定し、その他については限定をすることができるものとされているのであります。限定の効果といたしましては、例えて申しますと、飛行機ついて限定された事業用操縦士技能証明を有する者は、ヘリコプター操縦をすることは許されないのであります。而してこの限定は、技能証明書所定の欄に記入されることになつておりますので、限定変更を認めない限り、理論的には、同一資格技能証明書航空機種類型式等の変るごとに幾冊も持たねばならぬこととなり、取扱上非常な不便を感ずることとなつていたわけであります。これをこのたび限定変更規定を新たに設けることによりまして、実体に即応せしめることとした次第であります。  第二十八条の改正は、限定変更に対して、当初の限定と同じ効力を与えるために、規定表現を改めたのであります。  次に、第三十四条第二項は、操縦教育証明航空機種類別に行うことに改正したものであります。  第三十八条に第四項を追加いたしましたのは、運輸大臣飛行場設置許可するに際して、飛行場管理運営上の種々の条件を附する必要があるからでありまして、又第三十九条第一項に第五号を追加いたしましたのは、飛行場設置申請を審査するに当りまして、申請者当該飛行場敷地について使用権を有するか否かということは審査の重要な基準と考えられるからであります。なお第三十八条の改正に伴いまして、第四十三条第二項を改正いたしました。  次に、第四十八条の改正は、例えば飛行場施設の一部の管理が第四十七条の技術上の基準従つて行われていないような場合には、当該一部の施設のみについての供用停止を命じることとして、飛行場の機能の保持と航空安全性確保図つたのであります。なお許可取消又は供用停止命令をなし得る場合として、現行の四号の外に新たに二号を追加いたしました。  次に、第五十四条の改正は、飛行場使用料金についての従来の届出制認可制に改めて、使用料金適正化を図ることとしたものであり、第五十六条第一項の改正は、第三十九条の改正に伴い、準用規定を整理いたしたのであります。  次に、第五十六条第二項の改正は、運輸大臣飛行場設置する場合において、当該飛行場敷地が従前、適法に航空機の離陸又は着陸の用に供せられており、且つ当該飛行場進入表面又は転移表面の上に出る高さの建造物植物その他の物件がないときは、公聴会を開催しなくてもよいこととして、飛行場設置手続簡易化を図ることにいたしたものであります。  次に、第五十六条の二の規定は、運輸大臣は、公衆利便を増進するため必要があるときは、自衛隊設置する飛行場について、着陸帯その他の施設公共の用に供すべき施設として指定することができることとしたのであります。現在、民間航空にとつて飛行場確保は、最大の眼目となつておりますが、国家財政の現状におきましては、民間航空専用飛行場を十分に設置することは極めて困難な事情にありますので、将来自衛隊設置する飛行場につきまして、着陸帯、エプロン、誘導路等施設公共の用に供すべき施設として指定し、一般民間航空機がこれを利用できる途を開いたのであります。  次に、第五十七条と第五十八条の改正は、同一趣旨によるものでありまして、航空機国籍等の表示の義務及び航空日誌の備え付け、或いは記載の義務は、第十一条但書試験飛行等許可を受けた場合にはこれを必要としないことにいたしました。  次に、第九十二条に後段を追加することにいたしましたのは、技能証明について規定されている航空機種類以外の種類航空機操縦練習をする場合には、操縦教育証明を有する者の監督の下に練習をしなければならないことといたしまして、第三十四条第二項の改正と相待つて操縦練習の安全を期することにいたしたのであります。  次に、第九十七条の改正について御説明いたします。改正文はいささか面倒な表現をいたしておりますが、これは要するに航空機飛行計画運輸大臣に通報しなければならない場合を拡めたのでありまして、現行規定におきましては、航空機は、計器飛行状態において、航空交通管制区乃至は航空交通管制圏飛行する場合には、運輸大臣飛行計画を通報し、その承認を受けなければならないものとされているのでありますが、これを場周経路飛行その他特定の空域における飛行以外につきましては、有視界飛行状態における飛行の場合にも、すべて飛行計画を通報するように改めまして、航空機事故を未然に防止し、万一事故が起きた場合におきましても、その捜索救難が容易になるようにいたしたのであります。なお国際民間航空条約附属書におきましても、飛行計画の通報につきましては、当初は現在の第九十七条と同様な限定をいたしておりましたが、昨秋右と同趣旨に改められました。  第九十八条は、飛行計画で定めた飛行終了後の運輸大臣に対する通知義務を定めたものでありまして、これは第九十七条の改正に伴う当然の改正であります。  次に、第百二十二条及び第百二十四条の改正について申し上げます。これは不定期航空運送事業或は航空機使用事業免許を受けた者が、正当な理由がないのに、当該免許にかかる事業をいつまでも実施しない場合には、その免許を取り消すことができるものといたしたのでありまして、現在、すでにこの種の事例も一、二発生しております。なお、定期航空運送事業につきましては、現行の第百十九条第一号の規定によりまして免許を取り消し得るものとされております。  次の第百三十六条以下の「外国航空機」の章に関する規定改正は、この法案における最も重要な改正点であります。航空法制定当時におきましては何分戦後七年有余空白時代の直後でもあり、世界航空事情適確に把握し得なかつたために外国人国際航空運送事業に対する法規制が十分でないうらみがあるのでありますが、米、英その他主要国とも航空協定を締結し、且つ世界航空事情が明確になつた今日、相互主義原則従つてこれに対し、適正且つ十分な規制をする必要があるのであります。この趣旨に基いて、外国航空機に関する規定を相当大幅に改正いたしたのでありまして、先ず第百二十六条につきましては、第一に規制対象となる外国航空機を、当該航空機使用者国籍によらず、当該航空機登録国によつて国際民間航空条約締約国、非締約国区別をすることに改め、第二に、外国航空機は、天候その他止むを得ない事由がある場合以外は、所定飛行場において離着陸しなければならない旨を新たに追加いたしたのであります。その理由といたしましては先ず第一点は、現行第百二十六条の根拠となつている国際民間航空条約第五条の規定についてICAO理事会公定解釈が明らかとなつたので、これに従つて締約国航空機と非締約国航空機との区別当該航空機国籍によつてすることに改めたものであり、第二点は、同じく国際民間航空条約に、空港の指定についての規定がありますので、これに従つて、新たに規定を設けることにいたしたのであります。  次に、第百二十七条の改正も、第百二十六条の改正と同様、条約第五条の公定解釈従つて規定対象外国人の使用する航空機から外国国籍を有する航空機に改めたものであります。  次に、第百二十九条の改正は、外国人国際航空事業に対し、必要な範囲で、国内航空運送事業に対すると同様な規制をするという建前から、第百条第二項、第三項に相当する許可申請手続法律規定することにしたのでありまして、これと同様の趣旨からこの規定の次に新らしく四条を追加いたしました。即ち、第百二十九条の二から第百二十九条の五までがそれでありまして、これによつて外国人国際航空運送事業者運賃料金及び事業計画変更は、国内航空運送事業の場合と同様、運輸大臣認可を受けなければならないことにすると共に、運輸大臣は、必要な場合には外国人国際航空事業者に対して、運賃料金又は事業計画変更すべきことを命じ、或いは、所定の場合において事業停止又は許可取消をすることができるものといたしたのであります。  次に、第百三十条は、同条の次に第百三十条の二を加えたためにこれに伴う所要改正をしたものであります。この第百三十条の二について申上げますと、現行航空法におきましては、外国航空機が、旅客或いは貨物有償運送して、本邦へ出入する場合も、これが反復継続して運送事業とみなされない限り、先ほど御説明した第百二十六条の適用があるだけで、他のプライベイトの航空機の出入と同一に取扱うほかはないのであります。この種の運送行為を無統制に認めるときは、定期航空運送業務が撹乱される危険がありますので、国際民間航空条約におきましても、その第五条第二項但書で、締約国が、この種の飛行に対して適当な規制を加えることを是認いたしておりますので、この種の運送行為につきましては、事前許可制を採用することにいたしたのであります。  なお、以上の外国航空機に関する規定につきましては、諸外国におきましても、それぞれ類似の規定をいたしております。  次に、第百三十一条の二は、第八章外国航空機中の各規定による許可又は認可には条件、期限を付け、或いはこれを変更し、更に、許可又は認可のあとに新たにこれを付けることができる旨を定めたものであります。  最後に、第百三十五条の改正は、技能証明限定変更申請する場合の手数料を規定いたしたものであり、又第百四十三条以下の改正は、以上の改正に伴いまして、罰則の規定を整備いたしたものであります。  なお、附則において、この法律は、公布の日から施行することといたしております。  以上航空法の一部を改正する法律案内容につきまして、逐条御説明いたしました。何とぞよろしくお願いいたします。
  9. 前田穰

    委員長前田穰君) 本法案に対する質疑は、例によりまして次回に譲りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十八分散会