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1954-03-04 第19回国会 参議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月四日(木曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            一松 政二君            高木 正夫君            森田 義衞君            大倉 精一君            大和 与一君            天田 勝正君            村尾 重雄君            木島 虎藏君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸省船員局長 武田  元君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省自動車局    長       中村  豊君    運輸省航空局長 荒木茂久二君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   —————————————   本日の会議に付した事件港域法の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○遠洋かつおまぐろ漁業の用に供す  る船舶についての船舶職員法臨時  特例に関する法律案内関送付) ○運輸一般事情に関する調査の件  (運輸行政に関する件)  (航空事業の現況に関する件)   —————————————
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。港域法の一部を改正する法律案議題に供します、  先ず政府から提案理由の御説明を願います。
  3. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今提案されました港域法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  この法律案は、港湾事情変化に伴い港の区域実情に副わなくなつたものを改める等の必要が生じておりますので、港域法の別表の一部を改正しようとするものであります。  次に改正を必要とする主な事情を述べますと、第一に、水路の浚渫、港湾工事進展等に伴い港湾事情変化し、港域が著しく実情に副わなくなつたため、これを変更する必要のある港が生じたことであります。  第二に、互いに隣接する港の境界がこれらの港を管理する地方公共団体地先水面境界線と一致していないため、特に不都合を生じている港につきまして、港域を調整する必要が生じたことであります。  第三に、運輸船舶交通事情変化に伴い、港則法を施行する等のため、港域を定める必要のある港が生じたことであります。  なお、奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置に関する法律に基き、暫定的に同群島の一部の港についてその区域を決定し、これを港域法による港の区域とみなしていたものを、この際、港域法により規定することといたしたのであります。  以上簡単でありますが、この法律案提案する理由説明を終ります。何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことを希望いたします。
  4. 前田穰

    委員長前田穰君) 本件に関する質問は後日に譲りたいと思います。御異議ございませんか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  6. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、遠洋かつおまぐろ漁業の用に供する船舶について船舶職員法臨時特例に関する法律案議題に供します。  先ず政府から提案理由の御説明を願います。
  7. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今上程されました遠洋かつおまぐろ漁業の用に供する船舶職員法臨時特例に関する法律案提案理由を御説明申上げます。  現行船舶職員法の制定当時は、マ・ラインによる漁区の制限がありまして、南氷洋捕鯨船以外の漁船は、同法の乙区域内で操業しておつたのでありますが、講和条約の発効以来漁業の躍進は著しいものがあり、殊に遠洋かつおまぐろ漁業にありましては、新漁場の開拓に努めました結果、従来予想だにしなかつたインド洋、濠洲海域等に優秀な漁場が発見されましたので、この方面に進出しますために、船型の大型化その他の施策が着々講ぜられつありますが、船舶職員につきましては、関係者の努力にもかかわらず、急速には、新漁場の属する甲区域に行ける法定資格の者が得られず、大半は出漁できない実情にありまして、外貨獲得等に影響するところ大なるものがありますので、これら船舶職員について、その資格を、現在の乙区域甲区域のほぼ中間程度資格とする臨時特例を設け、当面の出漁難を救済すると共に、二年の間に甲区域に行ける法定資格を有する船舶職員の充足を図る方針であります。  以上簡単でありますが、本法案の提案理由説明を終ります。何とぞ十分に御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
  8. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは本件に関する質問もこれを後日に譲りたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  10. 前田穰

    委員長前田穰君) 次に、運輸行政に関する件を議題に供します。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  11. 一松政二

    一松政二君 運輸大臣にお尋ねいたしますが、前から運輸大臣計画造船に対して御説明になつておるところは、大体船会社に非常に戦時中にひどい目に会つたということをかなり強調されておるわけですが、私は余り個々の問題について、そういわゆる何と申しますか、余り聞くことを愉快と思わない方面を取立てて申上げようとは思わないが、少し腑に落ちないことがある。今まではトランパーであつたが、これからはライナーだというので、ライナーを建造して、そして日本航権の拡張に資したいという御趣旨がその主たる目的のようであつたのであります。海運局長が来ておりませんので細かい点には触れませんが、一応常識的に考えまして、戦前におけるライナーと言えば、大体貨客混合船で、純客船は殆んど遠洋にはなかつたわけです。貨客船については郵船会社商船会社、それに三井がバンコツク或いはシアトルの航路を開いておつたぐらいのもので、ほかの海運会社定期航路は余り持つていなかつたのじやないかと思うのです。ところが戦後には、新聞でもいろいろ論評しておりますけれども、郵、商船のほうはむしろ飯野海運その他に凌駕されて、或いは新日本汽船とか、従来全然ライナーをやつていない人のほうに新造船が廻つておる。郵、商船をチヤーターしてそして廻わしておるような現状になつておると思うのです。そうすると今まで掲げておる旗印に多少の相違するところがないか。私は船会社が気の毒であつたということについては多少の疑問を持つておるのです。世界的に見てもNYKとOSKというものは、殆んどこれは船に関係した人で知らない人はない。三井財閥関係ばかりでなく、船でも或いは相当知られておつたのですが、三井のことは私余りよく存じませんが、郵、商船のほかの新らしく建造されたもろもろはむしろアプレゲールと言いたいのですが、そういう建造した船を借りてそうして定期航路を営んでいる。一方建造した人は、国家の保護を受けてそれを貸して、そうしてそれによつて、まあ今は損かも知れませんが、過去においてか、或いは将来は利益を得ようと考えておるわけですが、こういう点に多少私は矛盾を感ずるのですが、運輸大臣は如何にお考えになりますか。
  12. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 海運界が非常に戦前状態から見て気の毒な状態に戦争の結果置かれたと申しますのは、海運界全体の意味でございまして、一個々々をどうという意味ではなかつたのでございますが、それは海運界全体と言えば、自然戦前に力のあつたところが余計打撃を受けておるということにもなり、結論は同じことだと思いますが、私ども日本の船の回復ということを第一に置く。それには一体どういうところに回復させるかということが一つ考え方の重要なポイントであつたと思います。それでまあ郵、商船が、御承知のように戦前は殆んど中心をなしておつたライナーをやつておるものもほかにありましたけれども、郵、商船に比べれば遥かに劣つてつたという実情であります。それでその後におきまして、新造船の場合には、先ず船会社の希望する船の形、それから隻数というようなものが先ず提出される。これには運輸省の指導もあつたと思いまするが、出て来ておりまするのにつきましては、郵、商船自然力もほかのものよりはありますので、計画造船の上の金融する場合にもほかよりは勿論優位に考えられておつたというのが、今日まで郵、商船などが一番多く船を造つて来たゆえんでもあつたのであります。併しほかの方面もだんだん船を造つて、まあ平らく言えば総花的に流れておつたということが一応問題にもなると思うのでありまするが、それは事実まあ銀行から、政府資金にいたしましても、これらを出す場合に、いつも先に問題になるのは、そこに貸していいかという、いわゆる担保力の問題というようなものが出ますものでありまするから、そこいらの線から自然広く、例えば郵船なら郵船商船なら商船の例をとりましても、自分の所だけでたくさんのものを一遍に造れない。それには順次造つて行く。ほかよりも多く造りたいのだが、こういう線で願いも出して、自然多くも造つたのであります。それからこれらの傘下に入つて、そして定期航路なり、その他の航路に使いまする個人オーナー会社オーナーというようなものが、おうずからその郵船商船等傘下にも参ずるものがずつとあつて、そこいらで実際の船を拡げて行つたというのが、今までのやつて来た実情だと思つておりますが、それじやこれから先の問題はどうだろうということで、実は昨日もいろいろ話合いをいろいろな船舶界の先輩としたのでありますが、この前の第九次造船の後期の船舶合理化審議会の、これは議事録に載つておるかどうか、最後の雑談のときでありましたが、よく知りませんが、もう少しこの次あたりから集中的にどこかに中心を置いて、もう少し平たく言いますと、例えば郵船であるとか、商船であるとか、主要な系統のラインに少し集約していいんじやないかというような議論が出た、これはただ話として出たのだが、こういう問題をこの際はもう少し取上げて聞かなければならなんということが昨日の話にも出たのでございます。
  13. 前田穰

    委員長前田穰君) 運輸大臣は衆議院の本会議に参りますので……。  速記とめて。    〔速記中止
  14. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。
  15. 天田勝正

    天田勝正君 過日自動車局長に私質問いたしまして、それは陸運事務所関係の汚職の問題について御質問申上げたのです。一応答弁がありましたので、私はそれは了承いたしまして、今後の出方を見ておつたわけです。そのときの答弁によりますれば、現在新聞等で喧伝されておる事柄は、すでに数年前に退職した者がやつたのであつて、現在の職員等には何も関係がない、大体こういう趣旨で御答弁があつたわけです。ところがその後の新聞等で、これは又新聞が間違いなら間違いで御指摘下さればいいので、新聞等のとにかく伝えるところによれば、なかなかそうでもないし、又巷間伝えられるところでも、これは額というものは一件々々については極く少額だけれども、もう世間周知の事実なんだということが言われておるわけですが、それで確かに、私が質問した後において事件は発展したやに我々は受取つておるわけですけれども、その間の経緯等を、その後御調査になつてどういうことになつておるか、一つお聞かせ願いたいと存じます。
  16. 中村豊

    政府委員中村豊君) 先日御質問のありました件についてはこれは、昭和二十五年当時の、まだ外国自動車が自由に輸入できなかつた時代のことでございまして、従つて非常に値段が高いものだつたので、それを廻つてブローカー暗躍がありまして、それに対して陸運事務所人間が引かかつたわけでございます。その後その問題の進展模様を見ておりましたが、福島の事務所捜査があつたようで、容疑者が出たようでございますが、その後はまだ起訴されていずに、どうやら疑いは晴れるらしいという報告を受けております。その他の地方については、今の二十五年当時の問題については進展をした模様はないようであります。  それからいま一つ、最近の新聞紙上で又別の話が出ておるようじやないかという御質問でございますが、それは確かにその通りでございまして、先日お答えしましたことと又別のグループが、これは昨年頃盛んに動いたのであります。先ほど申しましたのはブローカーが、輸入を禁止されておる外国自動車を不当に手に入れて物にしようとした件でございますが、去年から起つておる問題は、泥棒でございます。泥棒が主として外人なんかの持つている高級車を盗んで、それを正式には到底登録されませんので、不正登録しようとして、それに陸運事務所人間が引かかつておるという問題が昨年から起つておりまして、東京陸運事務所に昨年の暮に手入れがありまして、その問題が進展して各地で起りそうなことなのでございます。その第二番目の問題は、泥棒の問題でございますが、これも元兇及びその一味が捕まりまして、その自供に従つて少しずつ問題が拡がつて来た、こういうことでございます。これについては只今捜査中なのでこちらに報告のあるものが少いですし、内偵中のものはちよつと見当がつかないのでありますが、全国各地に波及して非常に大きな問題になるというほどの範囲の広いものでないと私は信じておりますが、そのような報告になつております。併しこれは不心得の者が或る程度引かかつていやしないかと心配しておる次第であります。そういうことでこれも去年の問題でございまして、その後は深く相戒めておりますので、新らしい犯罪の種はその後は起らないと信じております。又厳重に部下を戒飭しまして、いやしくも疑いのあるものについてはことごとく事務所長の裁断を受けるわけでございます。又疑わしい書類、疑わしい法律規則の解釈については、所長で判断できないものは陸運局長なり、本省に伺うようにということをして、厳重に締めておりますので、今後はそのようなことが発生することは万なかろうと思つておる次第でございますが、なおこれについては更に相戒めて行きたいと思う次第でございます。  なおこの際もう一言言わして頂きたいのは、これもお言葉にありました、非常に不正が行われておることは世間周知の事実というお話でございます。これは私たちもそういうことを耳にして非常に心配し、甚だ遺憾に存じておりますが、その中の幾部分かは陸運事務所人間ではなくて、その外のもう一つ手前ブローカーが非常に多いのでございまして、これがいろいろ幹旋する、或いは登録する、検査するについて陸運事務所に頼むと非常に金がかかるというようなことを名目にして、盛んに途中で手数料を稼いだりしておる、こういうことも相当あろうかと思うのでございまして、これは甚だ残念ではございますけれども、我々としてはちよつとタツチできない範囲外のところでございます。手数料とかいうものは、二百円とかいう僅かの金でございますのが、この間聞いた話でも、車両検査を受けるのは一車について数千円要るというようなことを言つておるというのですが、これは全く我々のあずかり知らないブローカー暗躍の種であると存じます。この点だけは一言お断わりしておきたいと思います。
  17. 天田勝正

    天田勝正君 まあ同じ刑事問題にいたしましても、今最後局長が言われましたように、純民間だけで不正が行われておる場合は、これは本委員会でとやかく申上げるべき筋でなくて、これは検察、警察、こういう関係の所管になることは当然です。私が先日来このことで質問いたしておりますのは、私が内閣委員当時陸運事務所等も見学さしてもらつたし、当時多分運輸委員会でも御視察になつたと承知しておりますが、その視察の結果によりますと、あすこの事務処理が誠に近代的にできおつて、実にカード等処理、これがいわゆる完備しておつて、いやしくも一点の不正でもあれば直ちに発見ができるように私ども受取つて、それでいろいろな先日来申上げておるような疑点等についてもそのとき質問して、そういうことは万起きない、この中に関する限りは起きようはずがないように完備されておるように説明も受けたし、又私どもが見てもそういうふうに受取れたわけです。ところが事実は外部の不正が更に内部まで伸びて、ああいう完備の中では若干内部の人が承知しておらなれけばそういうことが起きない、こういうところに私が質問する焦点があつて、まあ今言われておるような、この間も実は数年前の問題でだんだんと拡があつて、併しこの点については数年前のことなんだから、それはその範囲でとどまるのであつて、ほかにない、こういう答弁であつた。そうすると又その次になると、先に指摘したようなことが起きて、今答弁に見られるような、やはり今度新らしいケースの不正が行われておる。これに若干内部の人がどうしても関係しておる。この関係がなければとてもあの関門をくぐることができないような事務処理になつておるのでありますから、当然内部の人も、きつく言えば通報ということが行われておるので、而もこれはほかの省にもありますけれども世間周知のことが案外関係者等には知られていない場合が多いのでありまして、私が今このことをしつこく言うのは、この間もそんな程度のことは雲の上におつて知らぬのがこれは常識になつておるのだというようなわけで、こちらがいささか慌てざるを得ない。ですから単に戒飭等では、これは何といつたつて道義が高くなればいいわけですけれども、それだけの素地のない戦後の道義の頽廃といいますか、そういうこともあるので、そこでこれは私どもは完備したと見ておるのですけれども、更にそれを絶対に防ぐというところまでまだいろいろな面で研究して行かなければならない、こういうふうに考えておるわけですけれども、素人ですからさて、それでは代案としてこうやればいいのだというのも持合せていないけれども責任の立場にある局長としては、これらのことも含んで一つ考慮されなければ、やはり今この質問に対しての答えとしては了解するにしても、了解だけでは納まらない、拡大されている、こういうことになつて来るのではないか、この点をまあ心配しているわけです。それで結局私は繰返し言うのですが、やはりあれだけ完備したものにも通報がある、ですから警察関係の手が入る以外にただ報告を待つのでなくして、積極的に局長の手許においてどういう方法でも監察してもらいたいと、私はこう考えておるわけです。そういう処置をとられたでしようか。
  18. 中村豊

    政府委員中村豊君) まあ制度は完備しておると申されて甚だ実は恐縮するのでございますが、実はまだ十分に完備しておるとは申されないような欠陥もあるのでございます。例えば一人の人間がその気になつておれば簡単にパスするようなことになりますと、不心得な者とか、或いは誤つた者が出た場合に過ちが起るわけでございますので、成るべく大勢の人間で目を通すということをしたり、それから一つ書類が非常に重要な価値を持つものがあるのでございます。たとえて見れば、先般申しました廃車証明書、これは最近の法律では新規登録用謄本、こういつておりますが、それを不正に入手したり、変造すればもうこれは正式に堂々と関門をパスできるものでございますので、その新規登録用謄本の出納を厳重にして、これは一人の個人だけで勝手に出し入れできない、いつも最高責任者事務所長がその出し入れを睨んでいて、毎日締切後にはその結末を見届けるというふうな制度を、今内部で習慣を作らせておるわけでございます。まあそういうことで一人仮に不心得者が出ましても、ほかで以てチエツクして防止できるような方法をいろいろと実行さしておりますので、先般申しましたこれからはそういうことは万起るまいということは、仮に一人二人がそういう気持に引かけられましても防ぐ方法を確立して行きたいという意味から申上げたわけでございます。そういうことについて制度を確立すると同時に、その実施状態は絶えず監査しておるのでございまして、これは関係部課長会議をやるたびにそのことを示しております。そして又登録官、検査官というものが問題になるわけなので、その研修も実施しております。これはただ仕事、事務的な訓練のみならず、精神的というか、心構えの訓練も絶えずやつておるわけでございます。まあこれからは決して起るまいと断言したいのでございますが、是非そういうふうな状態に一日も早くいたしまして、御心配をかけないようにいたしたいと念願いたしておる次第でございます。
  19. 天田勝正

    天田勝正君 一応私はこの程度でよろしうございます。
  20. 大倉精一

    大倉精一君 それでは大臣がおいでにならないので、事務的の面について若干御質問申上げます。この前の委員会で、トラツクとか、小運送とか、或いはタクシーですが、そういうものの新規免許に対する当局の方針として、その地方需要供給というようなものを考え不当競争にならないようにするのだ、こういうような御答弁があつたと思うのです。そこで私は現在の状況が、前の委員会でも申上げたと思うのですが、非常に陸運関係がともすれば乱脈な状況を呈しがちである。そこで不当競争というものはどういうような状況であるか、どういう工合状況が起つた場合に不当競争であるというふうにお考えになつているのか、これを一つ具体的に伺いたいと思います。
  21. 中村豊

    政府委員中村豊君) お話のごとく新規免許をする場合には、その地区における交通需要と、交通に対する供給力というものとを睨み合せまして、供給力、まあこれを簡単に言えば、車数が一番めどになりますが、そういうものと乗るお客さんなり貨物数量、或いは通運申込数量というようなものを睨み合せまして、供給力のほうが著しく交通需要に超過する場合には非常な競争が行われて、競争の結果は不当競争に陥るということを心配するわけでございます。従いましてそのような場合には免許はしないという考えを持つております。そこで具体的に考えますと、とにかくこういう時代でございますから、できるだけ独占は避けなければいけませんし、又複数制でありましても、その間に馴れ合いがあつて競争がないのでは、これはサービスが低下して、独占によるサービスの低下というものと余り変らなくなるので、或る程度競争はなければならん。それによつてサービス改善がなければいけないわけでございますので、交通供給力交通需要とがぴつたり合う、百対百というようなことでも、これはそのままで落着いてサービス改善は行われないと思いますので、或る程度交通に対する供給力が超過することは望ましいのじやないかと思うわけでございます。併しそれは超過する限度が或る程度越すと、今度は著しく超過するということになつて、無理にお客さんや貨物を取合うためにダンピングが行われ、或いは相手の営業に対する妨害が行われるということになるわけでございます。その程度はどのくらいが適当かということは、これは数字的には申上げられませんが、それはそこの実情によつて判断して行くよりしようがないと思うのでありますが、例えばバスにおいては乗車効率、一体お客さんの乗り工合がどのくらいか、貨物においてはトラツク出動率がどのくらいあるだろうかということを見たり、通運においてはどのくらい取扱数量があるだろうかということを見たりするわけでございます。不当競争の実例と申しますと、タクシーにおいてよく行われるのは、先ず運賃ダンピング運賃ダンピングは殆んどバスでは行われませんが、相手の車を待つているお客を先に走つて行つてさらつてしまうとか、あとから来た車が競争相手の車の前にわざと追い越してそこでスピード・ダウンして相手の車を運転しにくくさせるというような、現場でつまらない争いが起つたりするわけでございます。又トラツクとかにおいては、これは定額運賃がまだ確立されておりませんから、運賃不当競争が行われる、これらのことがあるだろうと思います。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 そこで今の御説明だというと、不当競争になるというようなものは数字的なり或いは具体的にわからない、ただ判断に待つより仕方がないというお話ですが、そこに非常に問題があると思うのです。そこで現在の状況というものは、私は少くとも不当競争の段階に入つておるという工合考えるのですが、そういう点については当局としては、そういうお考えはないのでしようかどうですか。
  23. 中村豊

    政府委員中村豊君) 免許をして行く際に不当競争を起さない程度のものを免許して行くわけですから、現在各地において各業種とも不当競争まで起つておるとは思われないのでございますが、もうそれに近いところの限界に来てやしないか。だからこれ以上免許をすれば不当競争になる虞れがあるのではないだろうかと思われるような業種、これはタクシーでありますか、或いはバスであるか、トラツクであるか、通運であるかによつて違いますし、その土地によつて違いますが、そういうものがないでもないと思うのでございます。まだ併し現在すでにもう現出しているとまでは言い切れないのじやないかと思います。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 その状況については、これは私は今資料を調査中ですが、できれば又その事実に従つて申上げたいと思うのですが、まあ抽象的にお伺いするのですが、不当競争の起らないという目安の下に免許をして、そうしてその結果において不当競争が起つた、その地方々々において不当競争が起つて、そして公益性なり或いは業者の健全経営なり或いは労働条件なり、いろいろな点において非常な不工合が生じて来ておるという現象が起つたとすれば、これは当局としてどういうような監督なり指導なりをされる御方針でございますか、これを一つお伺いしたい。
  25. 中村豊

    政府委員中村豊君) 不当競争が起つたといたしますと、これはその利用者であるお客さんなり荷主なりにもうサービスする以上のことをしておる、或いは表向き目先サービスをするように見えて実際は不測な損害を与えるようなことにもなるわけでございますから、そこで何とかその調整方法を講じなければいけない、こういうことになるわけであります。その場合に考えられる方法としては、まあ無理な運賃を是正させるとか、或いは無理な回数、時間、運行状況というものを訂正させるようなことをする必要があるわけであります。そういうことは法規に基いて事業の改善命令とか、業務の確保命令であるとか、或いは運送命令とか、運送引受命令とかいうような命令をする権限がございますし、すぐに法律に基いて命令をしなくとも、その一歩前提として事実上の警告を発するということをするわけでございます。そういうふうに警告を発して不当なことが起らないようにする事例は、東京のタクシー界では相当たびたびやつておるわけでございます。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 そこで抽象的になるかも知れませんが、確かに不当競争が起つておると私は思うのですが、その不当競争の起るという原因ですね、原因、理由というようなものについて当局はどういうような考えを持つておるか、その点について伺いたい。不当競争の起る原因、理由ですね、そういうものを抑えておられると思うのですが。
  27. 中村豊

    政府委員中村豊君) 不当競争の起る一番大きな原因は、免許をたくさんし過ぎて、そのために供給力需要を非常に超過し過ぎたために、お客さんなり貨物なり荷主を無理に引張ろうという争奪戦が行われるのが一番主な原因だろうと思います。それからそこまで行かなくても、また需要供給のバランスは合つていても、或る時期に無理にお客さんにサービスをして大いに人気を得ようとするために、採算を割るようなことを一時的に無理にするということはあり得ないわけでもないと思いますが、それはまあ例外的な場合だと思います。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 今のその原因、それは非常に客観的な原因であつて、私は不当競争の起る原因というものは、そもそも免許方針から胚胎しておるという工合考えておる。例えば免許の基準、方針について、当局においてはその企業の従業員の労働条件なり或いは給与というものについては少しも念頭に置いておられない、そこに一つの大きな問題があるのじやないか。こういうような陸上運送の場合には、御承知の通り人件費というものが相当大きなパーセントを持つておる。而もこの人件費という問題がいわゆる免許の基準なり方針なりの中に入つていないということから、営業をしてからいわゆる何といいますか、不当競争のしわ寄せというものを労働者のほうへ転嫁するような、そういうような仕組になつておる。現在ちよつとしたこの資料を見てみますというと、新規業者の給与とそれから旧業者の日通というようなものを見るというと、相当大きな開きがある。例えば男子従業員について、大都市におけるところの新規業者の給与は、一日五百十円に対して日通あたりのは七百九十一円、或いは小都市になりますというと、日通の四百九十五円に対して三百二十九円、これは手当も全部含んだものですが、こういう工合に非常に大きな給与面から見ても開きがある。而も労働時間或いはその他の労働条件からいつても非常に大きな開きがあるのですが、こういうようなものは私は不当競争の温床になつておるという工合考えるのですが、こういう点について、当局においては何らかの措置をされるお考えはないかという点についてお伺いしたい。
  29. 中村豊

    政府委員中村豊君) 免許に当りましては、免許基準というものに従つて判断するわけですが、その中には当該事業の遂行上適切な計画を有するものかどうかというようなことを考えたり、又当該事業をみずから的確に遂行するに足る能力を有するものであるかどうかを調べたりするわけでございまして、このような適切な計画とか的確に遂行する能力という中には、企業の経営の安定性又企業目論見の適正であるかどうかを見るわけでございまして、初めから収支のとれないような計画を以て申請して来てもこれは問題になりませんし、初めから赤字覚悟で出て来るような事業では、必ずそこに無理が起りますから認められませんし、又いろいろと収支目論見を出しておる中に、人件費なんかも十分調べておるわけでございます。不当に低いベースで以て出して来ておれば、これは確実な経営とは言えませんから、そういうものについては十分調べるなり、よく事情を聞いて直してもらうなりして、その上で判断しておるわけでございます。免許に当りましては、最初申しました需要供給関係という客観的な事案を判断すると同時に、他の一面では、その申請人が的確に遂行する能力があるかどうかという適格性という主観的条件も調べるわけで、この両方相待つて初めて一本になるわけてあります。その適格性という主観的条件の中には、企業経営能力、或いは企業目論見、その中における人件費、その他の経費の目論見というものを十分審査するわけでございます。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 非常にまあ抽象的なお考えのようですが、この労働条件というものを免許に当つて一つの条件にするということが、私は不当競争を防止する非常に有力な途であろうという工合考えるわけです。そこで今のお話によると、そういうような人件費等についても綿密に調べる、そうして不当のものは直させるんだというお話なんですが、まあ仮に不当なものを直したと仮定しまして、そうして免許後においてその労働条件等を決定するのは、これは経営者の自由でありますけれども、不当に低い悪い労働条件を適用しておる場合には、当局としてはやはり何か勧告をされるか、或いは訂正を要求されるか、そういうようなことをされるわけなんですか。
  31. 中村豊

    政府委員中村豊君) 運輸省としては、事業経営の監督の立場から、原価計算或いは経費において占める人件費の模様というものを只今申上げたように検討して、場合によつては是正を勧告しているわけですが、それ以上の労働条件というものにつきましては、これは労働基準法違反であるかどうかというようなこと、その他についてはこれは運輸省がいろいろとタツチすべき筋合いでもなければ、又権限でもないのではないだろうか。むしろそれは労働省及びその地方機関の仕事ではないかと思つておる次第であります。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 これは非常に重要な問題で、労働省かタツチするの筋違いのという問題ではなくて、この労働条件如何によつては、いわゆる事故という問題ですね、事故という非常に危険な問題が発生して来る。例えば現在我々よく経験するのですが、東京都内を走るタクシーあたりも誠にはらはらするような危なつかしい運転をする、而も非常に超スピードを以て運転をする。これらの給料あたりを聞いてみますと、組合も何も持つていない所では少しでも余計走らないと、少しでも余計稼がないと、どうやら生活をするだけの給料が取れないということでぐんぐん走らせる。そこに現在たくさんの統計上にあるところの事故が起つて来る。従つてこの問題は貨物輸送でも同じですが、そういうような観点から、やはりこの労働条件は、当局としては非常な大きな関心を持たなければならないという重要な要素だと考えるのですが、まあそのように考えないかどうか。今のお話だと運輸省の担当じやないというお話ですが、少くとも運輸事業を公益事業として監督する上において非常に重大なことだと思いますが、その点はどうでしようか。
  33. 中村豊

    政府委員中村豊君) 繰返すようですが、運輸省としては経営者を相手にして経営に関する問題は問題にするわけでございますが、その内部における労働条件その他は、これはそれを規律する法律が別にあり、官庁が別にあるわけでございますから、そちらにお願いしておるわけでございます。ただ東京都のタクシーのような問題は、お話のようなことも聞きますので、これについてはその担当である労働基準局、基準監督署と十分当該の陸運局と連絡をとらして改善方法についてはいろいろ話合いをしておるということを聞いております。
  34. 大倉精一

    大倉精一君 これは大臣にお伺いしなければならんことかも知れませんが、当局者としての御意見を一応お伺いするのですが、一九五一年の十二月四日から十五日までILOの内陸労働運輸委員会が持たれました。ここにおいてやはりこういう劣悪な労働条件というものが不当競争の原因になつて、それが社会的に非常に害悪があるのだということで、免許等を行う場合においては、労働条件というものをその基準にせよ、少くともその地方におけるところの代表的な企業の労働条件よりも下廻らないような、そういう労働条件というものを免許等の基準にせよ、こういう原則が国際条約としてきめられておるわけなんですが、この点について私はお伺いしたいのですが、この条約を当局として、そういう不当競争等の事態を惹起せしめないように国会が批准をしてそういうような陸運行政を行うというようなお考えは当局においてあるかないかということを、ちよつとこれは大臣にお伺いしなければならんと思うのですが、参考にお伺いしたいと思います。
  35. 中村豊

    政府委員中村豊君) 担当官としては、只今そこまで考えていないわけでございまして、現行法においては、それを確かめるような検討書類その他の書類の提出は規定しておりません。
  36. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は大臣がおいでになりましたら更に具体的に質問をすることとして、保留しまして、次に、事務的の問題としてちよつとお伺いしたいのですが、こういう不当競争なり或いは闇営業或いは非常な事故の続発というようなことに対して、当局としては十分その監督ですね、監督指導の方法、これは主として陸運局が当つておると思うのですが、その状況を、どういうような監督をしておられるかということを一つ具体的に承わりたいと思います。
  37. 中村豊

    政府委員中村豊君) それはお説を承わるまでもなく、非常に熱心に監督しておるのでございまして、具体的にはまあ非常に問題になります名義貸について絶えず調査をし、又その事実が書類審査或いは店頭審査によつて明らかになつた場合には、ひどい場合は免許の取消、軽い場合でも相当長い期間の事業停止を命じておる例が非常にたくさんあります。又そこまで行かなくても、警告を発しまして、名義貸の整理を絶えずやらせておりますし、又経理の杜撰という点については、帳簿の整備、改善を命じております。又運賃違反については、これは厳重に取締つておりますし、車両の整備については、特に特別の道路運送車両法を設けて厳重に励行しております。できるだけの監督というものは相当具体的に立入つてつておるわけでございます。ただこれが徹底できないのは、残念ながら定員が非常に少い上に、更にますます減る一方で、それに対して車は殖える一方で、その正反対の状態が起つておるために十分なことができないのでございます。努力だけはやる覚悟は十分持つておるわけでございます。
  38. 大倉精一

    大倉精一君 努力だけはやる覚悟、これは結構な話で、又当然な話だと思いますけれども、私は陸運局或いは陸運事務所あたりの監督指導というものは、必ずしも十分ではない。むしろ極めて不十分だと私は考えておりますが、そのような事実はないのですか。
  39. 中村豊

    政府委員中村豊君) 陸運局、陸運事務所の仕事で一番追われておるのは免許の事案の調査、それはとにかく放つておくわけに行きませんから、急いで徹底しなければなりませんので、そのために人手と時間をとられるわけであります。そうしてそれが済んでから、或いはその余暇に監査取締をやるので、今のような定員が非常に少いために、第一のほうの仕事に追われておるのが実情でございます。第二のほうの仕事は是非やりたいのですけれども、何といつても手が足りないのでございますので、御了承願いたいと思います。
  40. 大倉精一

    大倉精一君 今の御説明だというと、陸運事務所或いは陸運局あたりの監督という肝心の使命というものは第二義的になつている。いわゆる免許の事案の調査という事務的な面が主になつて、そうして監督という面が殆んど行われていない。これは非常に重要なことだと思いますので、これは私は現在の陸運事情からいつて、むしろ監督指導の方向を具体的に強化しなければならんと思いますが、今の説明によるというと、非常にこれは私は遺憾だと思います。そこで定員が足りない、定員が足りないというところに持つて来て又首を切る、これはどうも私は解せない。これは一つ運輸大臣にお尋ねするより仕方がないのですが、ただここで定員が足りないという理由の下に、地方事務所の仕事をいわゆる業界の者に手伝わせておる。いわゆる業界の人間陸運事務所の中に入れて、そうして陸運事務所の仕事をやらせておる。無論これは陸運事務所の仕事としても業界の仕事としてもやらなければならんようなことをやつておるらしいのですが、そうしてその給料を業界から払つておる。こんなような状況になつておるという事実があるのですが、ここからいろいろな弊害が起つて来ると思うのですが、その点はどうでしよう。
  41. 中村豊

    政府委員中村豊君) 業界の人間を役所の仕事に手伝わせるということは、これは弊害の起るもとなので厳に戒めております。曽つてはそれらの事実はあつたようでありますが、今はできるだけそのようなことはさせず、どうしても手が足りないときに、全くその手足としてただこちらの監督の下に書記的な字句の書込みというようなことに手伝わしているようなことはこれはあるかもわかりませんが、責任は全部官庁側が持つておるわけであります。そういうことをやめさせなければいけないと思つているので、そのような例も殆んどないと思います。又現地の業務の取締りにつきましても、業界或いはその組合が手伝いたい、協力したいと言つてたびたび申出がありまするけれども、それについても厳に戒めて、どうしても足りない場合に、全く雑務的な仕事だけに立会わした、こういう次第でございます。
  42. 大倉精一

    大倉精一君 その雑務的か或いは事務的かということは又問題は別にしまして、先般確かに衆議院のほうにおいても手の足りないところは業界の協力を得てという御答弁もあつたように記憶をしておるのですが、こういう方法によつて片一方では首を切つて人員の整理をして、そうして民間の出す給料の人間事務所へ入れて、そうして陸運事務所の仕事をやらしておる。こうなるというと、而もそこの事務所の中でその人間たちが自分たちの業界なり或いは企業の仕事を併せてやつておるようなことになつて、これは延いてはいわゆる事務所の貸与というような形式にも発展して来る。従つてこれは今後やらない、或いはやつておることがないというお話なんですが、私事実やつておるところがたくさんあると思うのです。ですからそういうものと非常に矛盾した点があるので、そういう点について早急にこれはやめさせるとか、或いは人員整理じやなくて、もつとその所要の人員を殖やすというような、そういう方針をとられたらどうかと思うのです。そういうお考えはございませんか。
  43. 中村豊

    政府委員中村豊君) 民間人を協力させることについては、若しありとすれば厳重にそれをやめさせたいと思います。ただその前に足りない人間をすぐ補充するなり増員するということは、現在の一般的な財政或いは予算の状況から非常に困難なことは、来年度の予算を見て頂いても御承知だと思うのであります。ただ予算の時期ごとに、その都度絶えず増員ということは折衝しておるのでございまして、これからもできるだけ増員については努力いたしたいと思います。ただ増員だけが唯一の解決方法ではないと思うのでありまして、増員がどうしても認められない場合に、或いは増員が認められる範囲内において、その限られた人間で以てできるだけ能率を上げて、而も的確な事務を遂行するために仕事の仕方を改善しなければいけない。又それに伴つて法規類も改正しなければいけないと思つて、もうすでに寄り寄り研究をしておる次第でございます。そういうふうな両方の方法で事態を解決したいと思つております。
  44. 大倉精一

    大倉精一君 この前の委員会にも私はこの矛盾の点についてお伺いしたのですが、まだどうも釈然としませんが、今監督を強化して闇行為とか或いは不当競争とか、そういうものをなくするのだというお話、片一方では監督するところの人間を減すというお話、これはどうもわからん。そうして合理化なり或いは能率を上げておるというお話なんですが、これはともすれば労働強化を伴つて、労働基準法違反を発生しかねない。そしてそういうことをやつて上げる実績というものは、そんなに飛躍的に監督強化の実績が上がるわけはないと私は思う。これ以上のことは大臣に伺わなければならんと思うのですが、その担当者としての端的なお考えを聞きたいのです。例えば東京で十三万両ある。そして監督業務に携つておる者が十一名、そこで業者のほうからは陸運局は何をやつておるか、事務所は何をやつておるかとどんどん抗議を申込む、こういうような事情と聞いておるのですが、例えば東京都内においてこの十一名だけで陸運事務所或いは陸運局の使命というものを完全とまでは行かなくともおおむね果して行けるかどうか、担当者の御見解を参考のために聞いておきたいと思います。
  45. 中村豊

    政府委員中村豊君) 具体的な話になりましたが、その人数に合わすように、無理なく仕事がやれるように、而も能率が上るように仕事を直さなければいけない段階に来ておるのではないかと実は私は思つておるのでありまして、ただ徒らに増員々々というだけを叫んでも、限度があるわけでございますから、仕事を考え直すということをやらなければいけないと思つております。
  46. 大倉精一

    大倉精一君 それじや一つ、仕事を考え直すというのでしたら、その考えの方向を参考のためにちよつとお聞かせ願えませんか。
  47. 中村豊

    政府委員中村豊君) まだ具体的に成案ができたわけではございませんのではつきりしたことは申上げられませんが、考えの方向として、例えば登録の場合には、先ほども天田委員からいろいろお話がございましたが、少い人間で非常に大げさなことをやるから手不足が起り、調査粗漏が起り、誤りが起るのでありますので、登録の内容を簡素化する、或いは登録すべき車の対象を狭めるということを考えなければいけないじやないかと思います。又検査の場合でも、検査の対象になる車の範囲を狭める、或いは検査の方法を簡素化するというようなふうに、仕事の範囲を狭めるというようなことが一つ考えられる大きなポイントだろうと思います。又次に、段階といいますか、次から次と判を押して上に上つて行く、事務所、局、本省というふうに上つて行くということで、その都度手数が要りますので、できるだけ権限を下のほうに委任するというふうなことで、手数を省略するというようなことも大きなポイントだろうと思います。又がらりと観点を変えまして、検査、登録というような方法を、これはむずかしいことでありますが、それを別の角度から別の方法を編み出すというようなことも、これは一つ考えられると思うわけであります。そういうことをいろいろ考えて、大きく言えば業務の合理化ということをもうすでに研究しておるわけであります。
  48. 大倉精一

    大倉精一君 それでは大体この問題については、私は大臣不当競争或いは監督という面から改めて御質問したいと思いますので、大臣に対する質問を保留しまして、今日はこれで終ります。
  49. 一松政二

    一松政二君 私は大倉委員質問応答を聞きまして、多少別な意見を持つておるので伺いたいと思いますが、今大倉委員が例に引かれた東京のタクシーの話ですが、昨年あたり東京でタクシー免許を相当程度お許しになつたかどうか、その点どうですか。
  50. 中村豊

    政府委員中村豊君) ここに数字を持つておりませんが、昨年だけで業者の数で三十業者、車の数で五、六百ぐらい殖えたかと思います。
  51. 一松政二

    一松政二君 免許するのは新らしい業者でしようが、すでに免許を受けておる者が車を増したり減したりすることは自由なんだろうと思いますが、その点如何ですか。
  52. 中村豊

    政府委員中村豊君) 自由ではございませずに認可で要るわけでございます。車を仮りに倍にすると、一人事業者が殖えたのと輸送力は同じになりますので、免許までは行きませんけれども、認可にしておるわけでございますが、それも相当殖やしております。それで昨年で、東京全部のタクシー、ハイヤーで千両ぐらいは殖えておると思います。すでに一万台を越しております。
  53. 一松政二

    一松政二君 不当競争であるかないかということですね、これは私は一行政官庁が不当競争であると認定するということは大変なことなので、そう簡単に、私は抽象的には言えても、これから先は不当競争だ、ここまでは不当競争でないということは、これは非常にむずかしい問題だろうと思う。それで日本全体が、つまり架空の繁栄に踊らされて一兆円の予算を組まなければならんが、まるで二階から飛び降りなければならんような日本の今の経済状勢にあるわけですから、これは私はその事業界においてかなり生活の程度の引下げという問題が、これは国民全体として当然覚悟しなければならん問題だと思う、若しそれを覚悟しなかつたら、円をただまで持つて行つて、そうして再び元のインフレに振り戻らなければならん状態に直面しておるのが日本の経済の状態だと思う。その中においてする仕事であり、労働条件であるわけです。今の労働基準法と、今までの過去の賃金なり何なりを標準として、それから先は不当競争であるかないかということに至つては、これは国民全体のつまり身分不相応ですが、その全体として、個々人のことを言うのじやない、国全体として身分不相応な生活をして食い詰めて来て、ここへ来てどうにもならなくなつておるというのが実情だと思います。従つて或いはトラツク業者、タクシー業者で、そういう問題が私は今後とも或る程度起り得ると思う。で、東京の場合はまだ不当競争どころじやないが、何だかタクシー業者が、この間も私質問したように馬鹿に早く車が半年そこいらで償却できちやうようなことだから、私はもつともつと競争して、競争するというのももうあれは値段はきめられてあるから、競争というよりほかに競争のしようがないのですが、もつと値段を下げていいんじやないかと私は思つている。それで労働条件は、私はこれはまあ大倉委員とちよつと観点を異にします。これは立場が異るから止むを得ないんだと思いますが、まあ端的な私は例をとつて言えば、今の不当競争の問題がありましたから申上げますが、マル通の今の運賃なり、マル通をすでに出ている、そしてマル通の動くまん前で営業している輸送業者とは非常に開きがあります。運賃でもこれを競争しているでしよう。それでそれは又いろいろな批判をしております。マル通を出るというと今度はもう、余りこういう所で私は言うことを憚りますが、マル通を出てやつている人はマル通の経営についていろいろなことを言つおります。そしてそれもかなり安い運賃でやつております。私は当然物価を引下げると言えばサービスも引下げなければならんし、生活も或る程度切り詰めなければならんだろうし、運賃も下げなければならん。そうして物価が下つて、そうして日本が或る程度輸出し得る立場までお互いに行かなかつたら解決のつく問題でもないわけでありますから、その経過中に、私は不当競争とか或いは労働条件が劣悪であつてどうという言葉は、抽象的には或いは言える言葉ですが、私はこの運輸行政をやつてつて、あなたが今労働条件のことはまあそこまでは恐らく監督しようといつたつて私は立場でもないと思うのですが、できないのは御尤もだと思うので、私はむしろ競争がまだ足りないと思つているくらいです、今では。だからこの点はどうも立場の違いで、大倉委員とはちよつと違いますが、私はまあ前から言つておりますように、そう運輸省が私は今の自動車を増すなり減すことは勝手だが、増すことは一々許可を得なければならんということは、今規則も知らなかつたから、初めて伺つたのですが、そこまで世話を焼いているのですか。今焼いているという話だから、それば私はそこまで大きにお世話様だと思いますが、まあおやりになつている。やつていることは止むを得ぬとして、競争をしているから今の交通上危い、タクシー業者同士の競争というものは、今の何ですか、料金をきめて、料金を割引して、今やつているやつは、夜か、非常にどこか遠い所へ行くやつは別問題だが、日中に交通の邪魔を非常にしておる。これはタクシー業者が一番交通違反をやる。とめるべからざる所へとめたり、お客を取つてはならん所でお客を取つております。これは目撃しておりますが、賃率の競争は私はやつていないと思いますが、どこかそういうところはありますか。
  54. 中村豊

    政府委員中村豊君) いろいろ御質問ありましたので、順次お答えいたしますと、先ず増車については認可が要ると同時に減車、車を減らすことについてもやはり認可が要るのであります。それはそれだけサービスが低下するわけでありますから、或る地区において百台なら百台必要であると認めてあるのに、それが三十台勝手に減らされちやそれはお客さんが困ります。それはタクシーに限らずバスでも何でも同じでありますが、その意味で、サービス低下を避けるために減車も認可事項にしているわけであります。  それからこの前御質問のとき私申上げたことに誤解をお持ちになつたか、或いは私の言葉が足らなかつたかもわかりませんが、東京のタクシーは儲かつているか損をしているかという問題ですが、これは非常に見方がいろいろであり、又説をなす人はみんな違うのでありますが、見方によつては、お話のごとく頭金だけで営業を開始して、あとは月賦金なり毎月の利益で以て償却して行くから、一年或いはそれに近いもので償却して、あとはまるまる利益になるという見方もあるのでありますけれども、最近は非常にそういうことで事業に乗出しはあるけれども、実際は競争の結果収入が非常に少いために、もう償却もできず不渡りが非常に出て、東京のタクシーの三分の二はもう近く倒れるであろうというようなことを言う人もあるのでございます。これは両方相当極端な議論なので、この点についてはまだ実情がはつきり握れないのでありますけれども、車が殖え、業者が殖えたために、経営が苦しくなつて来つあることは、これは明らかなことだろうと思います。この点ちよつと先般申上げましたことを補足しておきたいと思います。  それから運賃競争の問題でございますが、これはお話のごとく、メーターで一定額がきちんときまつておりますから、それについての競争はないわけであります。違反でない限り。ただ問題は、事業を維持するために、一日に収入、水揚げといいますが、それが八千円とか一万円とかいうものを稼ぎ申すことか目標になつておりまして、それを経営者が、事業主がやかましく運転者に要求するようであります。そうすると運転者は、一定の運転でそれだけの水揚げをするには、それだけのお客さんを取らなければならん。ところがそのお客さんが奪い合いになるために、できるだけ車の回転を早くして、次のお客さんをいつでもすぐ拾えるような状態になつて来なければいかん、こういうことで非常に運転を急ぐのがあの乱暴な運転の原因だ、こういうふうに聞いているわけであります。車が殖えたためにお客さんを取るチヤンスがずつと減つてしまつた、このために競争が行われる、こういうふうに考えます。なお一定額できまつておりますけれども、これは違反しないだけの話でありまして、最近の実情をいろいろ調べましたところ、メーターで定額に違反しないように見せかけながら、実は割引をし出して来たという例があるようであります。ということは、お客さんと合意の上でメーターを倒して途中まで行く、そして約束した運賃額までメーターが上ると、メーターを起してしまつて、あとはただでお客さんを運んでしまう、そうするとただで運んでメーターを起した区間は無料サービスとなる、こういうことがだんだん行われて来ているように聞いておりまして、それを見ても非常に競争が激しいので、これ以上は車を殖やしてくれるな、営業者を免許してくれるなというような陳情が盛んに来ておるようでありますけれども、これはそう簡単にその声を聞くわけにはいかんというように思つております。
  55. 一松政二

    一松政二君 私は今の、車が殖えたにかかわらずお客さんのほうはそう殖えていない。従つてその間にいろいろなことが起るのでしようが、その見通しをつけるということは私は至難のわざだと思う。それが私の持論なんですが、そういう需要供給、これは去年の十月頃までと、暮から年が明けてからというものは世の中が大分変つておる。又変るのが当然であるし、変らせようと思つて一兆円の予算も組んだし、それから声を大にして金融引締めとかいろいろなことを経済再建のために言つておるわけですから、これは人間が殖えているのだけれども、幾らかふところがお互いに締まつて来たのだと思う。その影響のほうが私は一番大きいだろうと思う。車の殖えた数よりはみんなの気分が或る程度つて来ているのが非常に大きな原因だと思うのです。私は今の不当競争という問題に関連して質問をしたいと思つたのですが、不当競争というものもそう簡単に認定できない。それから労働条件というものが世の中との相対的な問題になつて来るから、過去においてよかつた労働条件がその次まで必ずしも維持できるものではない。世の中の変ると共にそういうものも自然変るだろう。その過渡期には或いは多少の食い違いも起つて来るであろうと思つて、そういう問題は簡単になかなか論断し得ないものでなかろうかということを私は実は質問がてら申上げたいと思つたわけなんです。ただ今、私もうこれで切り上げますが、そういう情勢であるところへ閣議の決定が、甚だけしからんと言つてはおかしいけれども、閣議の決定はそういう見通しと反対になつておるのです。タクシーだけを下半期に千五百台、自家用車は五百台おろす、そういう余つておる情勢があると考えられるところへ、更にタクシーを殖やすというのは、これは矛盾じやございませんか。タクシーだけを輸入させるというのはそれは矛盾じやありませんか。
  56. 中村豊

    政府委員中村豊君) 成るほど御説の通りでございますが、それでタクシーを殖やすために使うのではなく、四〇年以前の古い車がタクシーだけでも数万台ございますので、それの廃車補充用、取替用という目的にしておるわけでございます。内容改善という意味に使おうというわけでございます。
  57. 一松政二

    一松政二君 その千五百台は全国に車をばら撒かれるというのでしようが、併し大部分は東京じやございませんか。
  58. 中村豊

    政府委員中村豊君) そうではございませんで、全国に、大体各地に配置分配されている車の数に殆んど按分して分けておるわけでございます。ただ併しこれは実際販売、購売は政府の統制はございませんので、これは自由な取引でございますから、結果がどうなるかは存じませんけれども、我々の希望及び例の希望投票をしたことについては、各地の分配状況に比例さしておるわけでございます。
  59. 一松政二

    一松政二君 いろいろ問題はありますけれども、高木さんも御質問があるようでございますから、私は今のタクシーの値段と自家用車の値段が、運輸省が変えようと思つて変えておるわけではございますまいが、自然輸入するものはタクシーのために輸入するのだ、自家用車は二の次なんだというようなことを言う、そういうことを運輸省は触れ廻すわけではございますまいが、そういうことが結局閣議の決定になつた従つてタクシーのために輸入するのだからということで、タクシーだけは原価に殆んどいうに足らざる額を加えた値段で、自家用車は高くする。これはどうも行政上甚だ当を得ていないやり方だと思うのです。これは又是正することもかなりむずかしいと思うのですが、その点に対して、もう一遍御意見伺つておきたいと思います。
  60. 中村豊

    政府委員中村豊君) タクシーは是非必要で、自家用は不急といいますか、賛沢だと言われますのは、運輸省ではなくしてよその官庁のほうからのお話でございまして、結局話のまとまつたのがそういうことになつたわけでございます。又その結果タクシーは割合に安い値段で販売するしわよせが自家用に高く来る虞れがある、こういう御心配でございますが、これの販売価格について、これは統制はしておりませんので、役所の権限ではどうともできませんけれども、実際にそのようなことがあつてはこれは甚だ不均衡なことでございますので、十分事業者の方にも申上げまするし、又販売業者の方も徳義上、一方では特に安く売つて他にはしわ寄せさせるということも、これはそう簡単にはできないのじやないか、まあその善処を期待しなければいけないと思います。
  61. 一松政二

    一松政二君 今申上げていることはもう噂じやなくて、これは事実なんです。そういうことがあつてはというのじやなくて、現にもうあるわけなんです。まるつきり条件が違うわけです。それはもうあなたも御承知だと思うのですから繰返す必要はない、それは二割も三割も違う。そうして支払条件も違つておる。サービスも又違うわけです。デイーラーがそういう現に行き方をしているわけです。希望者があるところへ輸入が非常に少いのですから、恐らく私はそういう結果を当然生むであろうと思います。併しこれは何といつても、タクシーに行く車と自家用に行く車とに二様の値段があるということは、これはおかしな話で、そういうことがそのまま白昼公然と行われておるということはおもしろい結果ではないと思う。何とかこれは一日も早くそういうことのないように、特にタクシーがどつちかと言えば溢れているというのであるならば、むしろタクシーに行く車のほうを制して、そうして一般に廻したらどうか、そうすれば自然にお互いの間で車はやり取りして流れて行くのじやないかと思う。何とかこれに対して一つ考慮を煩わして頂きたい。私は今日はこの程度で打切つておきます。
  62. 天田勝正

    天田勝正君 ちよつと関連して伺つておきますが、さつき仕事の量を考え直さなければならない。これは勿論仕事のやり方も考え直さなければなりませんでしようし、又その仕事の内容についてもなくてもいいようなものは省いて、現有の人員で間に合せる、こういう努力は当然なされなければならないと思います。ところが又別の質問に対しては、私どもから見るというと余計なお節介と見えるような事柄があるので、それとも関連してどうお考えになつておるかを聞くのですが、それは例えば増車する、減車する、すべてそれを認可制度にしておつて、そうして減車するほうは、それだけ減ればサービスが低下するのだからそれは認可してなにするのだと、これは実に大きなお世話だと私は思うのです。それじやサービスが低下するとかしないとか、そこまで世話をやるのならば、田舎のほうに行つた場合、タクシーを是非必要とする場合であつても、必要とするのだから需要がある、あるのだからといつたつて、そこヘタクシー業者を許可するというわけはないので、ないから仕方がないからこちらは歩くなり自転車のけつに乗るなり何かそこを処置するのであつて、現在タクシー業者が許可されておる地域だけそんなことを、サービスが低下するとか何とか考えるべきことじやない。これは国全般で若し考えるなら考えなければならん。そういたしますというと、サービスが低下するからお前ら廃車したり減車したりしちやいかんというような余計な指図をするということになれば、それじや営業がやり切れないから政府でその面倒を見てくれと、どうしたつてこういう問題にまで私は発展して来ると思う。それでまあ一松委員も言われた、それじや不正競争というのは何だと、我々から見るというと、近頃漸く、例えば委員会に出席のために新橋から雨の日に車に乗つたつて、曽つては雨が降るからさつぱり規定の料金じや動いてくれないので、倍増しとか何とかしなければとても動いちやくれない。それが漸く規定料金で、高過ぎるけれどもそれで動いてくれるということになつたのであつて、これで不正競争が余計過ぎるとか、又、更にそれが今度減る場合には、そのサービスが低下するからお前らは減らしちやいかん。まああれやこれや両方の面で私はそういうふうな余計なお世話をしなくても、余計な世話をすれば金融の措置もしなければならんし、損をした場合には利子補給みたいなことを、仮に例があるのだからといつて要求されたら一体弁解の余地は私はなかろうと思うのですが、その点局長はどうお考えになつておられるでしようか。
  63. 中村豊

    政府委員中村豊君) 初めの御質問の田舎のほうには車がないのは、営業者もないのに、それをそのまま放つて置いていろいろと余計なお世話をするというお話ですが、田舎のほうにもだんだんとハイヤー、タクシーが普及することは望ましいのでありますが、そのような田舎で事業をやろうとする者が出て来ませんので、こちらでは免許しようがないのであります。免許申請が出て参れば、そういう地区には最近はどんどんと免許しておるのでありますが、如何せんすべて受身の行政でありますので、田舎町にまで事業者を出さすような方策はできないのであります。但し、例えば東京で新橋附近にはまだどんどんと営業をやらしてくれという希望がたくさん出て来ておりますが、そういうような場合に、我々が考えますことは、今お説もありましたが、相当車もまとまつて集まつて来ましたので、今後やるのは一つ周辺地区の蒲田とか中野から先とか、そういうふうな周辺地区に事業をやつたらどうかということを実際としてはお奨めして、そうしてそういう所に営業者ができることを希望しておるわけであります。併しそれでも免許申請書類を出さないという以上は、これは仕方がないことであります。決してそれを望んではいないわけであります。その点は御了承願いたいと存じます。  又、減車については余計なお節介と言われますけれども、これは特に供給力車数の少い地方において急に車が減つたならば、これはもう全くたちどころにお客さんが困つてしまう。これはタクシーのみならず、バスでも同様であります。そういうことを防ぐためにこれだけの台数で営業をやる、それならば適当だからお許しをしようということでおいたのに、免許を取つて事業をやり出すとすぐ約束を反故にして車を減らしてお客さんを困らすということは、これはもう全くサービスとして最も困ることでありますので、減車については特にやかましく言つているのであります。これは利用するお客さんのためにできるだけ利益を保護しようという頭からであります。
  64. 天田勝正

    天田勝正君 そこが私らと考え方がおよそ違うので、片方においては現に免許を、田舎においては免許申請がないから、受身の役所だから、これはやらんというものに強制的にやれと言うわけには行かんのだ、それはその限りではその通り。これは都会のほうで今まであつたものだつて、これだけ減らしてよすのだということだからそれは同じことなのですよ。よすのだと言つているものを、あえてそれを持続しろ、こう言う。言つてみれば、認可をしないということは、実は意思に反して強制するのですよ。営業の方針に反しても強制するのです。強制するからそれじややりきれない、こう持つて来られれば、他の例もあるのだから利子補給でもしてくれ、或いは損失補償でもしてくれと言われたら一体どうなるのだ、こういうわかり切つた話の質問をしているのは、さつきお答えになつた役所の仕事の量、これに関連するからさつき申上げた。これは私が仮に営業した場合において、自分がこの営業はどうも少々縮小する段階だ、こう考えて縮小しようと思つても、持つて行けば、それはお前飽くまでやつておけ、こういう意思に反したり、営業状態等に反してやれと言われれば、誰がそれなら補償してくれますと開き直るのは当然ですよ。若しそうでなければ、仮にそれが潰れるような場所、こういう段階に立至つて、そのために縮小すれば潰れずに済むのに、縮小させないで認可しないから潰れた場合どうするのですか。それは無茶な話ですよ。だからさつきから言つているのはそこを申上げている。その点どうお考えになつているか。
  65. 中村豊

    政府委員中村豊君) 認可でございますから、これは絶対に禁止ではございませんから、実状が尤もな場合にはこれは勿論認可いたしますが、自由に、勝手にさつさと引上げて行く、減らしてしまうわけには行かないということでございます。それでそれに対する根本的な考え方は、こう思うのでございます。タクシーといえどもバスなんかもなおそうでありますが、地方鉄道、軌道ならなおそうでございますが、こういう事業は公益性の強い公共事業として全部免許制度の下に置いてあるわけでございます。免許制度をとつた理由は、公益性の強いそのような事業では自由営業ではない。誰でもやれない。従つて免許を受けた者だけしかやれないということになりますと、これは国家が、まあやかましい言葉で言えば、特権を賦与したことで、非常に権利を与えられて擁護されておるということになります。併しその半面には、又法律に基く厳重な監督取締に服する。一方で権利を賦与されて非常に保護されて自由競争の危険にさらされない代りに、他面公益に対し旅客、荷主の需要者に対して十分にサービスを尽すという厳重な義務を持つておる。こういう両面が相待つて初めて公益事業の使命を果すことができるのでありますので、そのような点から減車という一つの例を捉えましたけれどもサービスを低下さして利用者に迷惑を掛けることは自由にはできないんだという考えを持つておるわけであります。まあ余計なお節介になるような事柄がほかにいろいろと認可、認可事項にありますれば、それは先ほどの事務の簡素化、業務の合理化の意味から整理するにやぶさかでないので、今までも相当認可事項を減らしておるわけでありますが、減車という問題につきましては、そのような関連から認可事項にしておくのがいいのじやないかと思つております。
  66. 天田勝正

    天田勝正君 それは私のまあ本来質問は、仕事の量の整理を実はお聞きしたいのですが、ちよつと枝葉で、それを減らすには余計なお節介に見えるようなことはやめたほうがいいということからこういう話になつたんで、その一つの例が今の減車ということを捉えたんです。私は世間で言われている増車にしても何にしても、そういう認可を受ける場合に、今ブローカー暗躍するんだとさつきからお答えがありましたが、とにかくそういう暗躍の隙を与えたりいろいろなことをするのは、そうした一方においては、それは確かに実情を見て減車も増車も考慮するんだから一向心配ないと言われればそれまでですけれども、世間の常識ではもう増車なんかの場合に、大抵汚職がつきまとつているというふうに理解されておる。そこで減車する場合でも、営業が立ち行かないというような場合に許可をされませんというとこれは一大事になりますから、片方は資産等を命がけでやつておるのに、それをよさせてもくれないということになると破産という重大事態に立ち至るから、又そこに汚職の隙がどうしても生じて来る、こういうことになる。だからこういうこともさつきの汚職等を防ぐ意味からいたしましても、これは考え直してもらつたほうが私はいいんだというふうに考えます。但し、まあその点は今の質問の本来本旨じやないんですから、それだけ申上げておいて、問題はその例にあるように、私は簡素化したり、今の人員で何とか十分にやり得るようにというのならば、私から言わせれば、これも一つの例ですけれども、外貨を使うというなんにしても、日本の現在の財政状態からしますると一番の重大問題はここにあるのであつて、ですから外車を輸入する場合について、かなり制限を設けたりそういうことは必要だけれども、あと国内へ入つていれば、あんな高いものを必要もないのにやたら買う理窟がないのであつて、あとはどこでどう使われようとも差支えない。又そいつが金持に集中するというのなら、その面を防ぐためには、これも又一つの案ですけれども、そうしたものには特別高い税金をかけるというような措置をとればそれは平になるので、あとどなたが使おうと一行差支えない。ただ外貨が無駄に使われるという点だけを防げば、そこらの仕事もさつときれいになるんではないか、私はこういうふうにその点は考えるのですが、それをどうしてもあなたのおつしやるように、そういうところまで立ち至れば、それじや営業ができないんだから面倒を見てくれ、利子補給やつてくれ、損失補償やつてくれ、どうしてもこうなるのですよ。そこで私は、じや現在の陸運事務所の仕事をどこへ力を入れてもらいたいかと言えば、何にしたつて交通機関ですから、もうさつきから大倉委員等もいろいろスピードなんかの問題での危険等も指摘されましたけれども、スピードばつかしじやない。これは危険は付きまとうのです。この間も私の友人の代議士が、これは自動車事故じやない別のことで死んだのですけれども、その人が自家用を持つてつて、たまたま東京駅の前へ行つたところが、がたんととまつてしまつて、降りて見たところが車輪がどこかへ行つちやつて大騒ぎをして探してどこにもないというような有様になつて、それで飛んでもないところから発見して来て漸く付けたけれども、やつぱりそういうことになるというと、もう直ちに人命に関するようなことになつて来て、乗つている車の車輌がどこかへなくなつてしまうなんていうことになつたのではこれは大変ですから、タクシー業者とかそういう業者に自動車の整備についての監督、こういうものは大いに念には念を入れ過ぎるほどにやつぱり私はやつてもらう必要がある。そういうさつき言う、事務には違いありませんけれども、省けるところの仕事のほうはやめてもらいたい。今はそれはあなたの答えが、そいつはすぐやめますという答えができないのは私も承知しております。だけれどもそういう方向に持つて行つて頂きたいと私としては希望しておるのですけれども局長はそういう点についてはどう考えておられましようか。
  67. 中村豊

    政府委員中村豊君) 業務の監督という方面が割合に精密で、車両の整備という方面に対する行政が比較的遅れておるということは、私も平素から痛感しておることでございます。そこで道路運送車両法というものを作りまして、これはまあ二、三年前ですが、できるだけ整備、運転、保安ということについて、これはまあ自主的な努力を自動車業者にしてもらうようになつて来たわけで、その面の効果は着々と上つておると信じておりますが、まだアンバランスな点もありますので、そういう点については両方相待つて立派な自動車になるようにと努力するつもりでございます。業務関係の認可事項、許可事項の整理簡素化ということについては、申されるまでもなくいろいろ研究しておるわけでございまして、先ほどの登録検査の問題に限らずに、こういう点についても努力いたしたいと思つております。
  68. 高木正夫

    ○高木正夫君 先ほど大倉委員からお話ありましたがその初めのほうの部分に関連したことでお聞きしたいと思いますが、この不当競争という問題は業種別によつて多少趣きが違うと思うのです。特に私はここで質問を申上げたいと思うのは、トラツクの自家用の営業行為ですね、これが非常に大きな問題だと思うですね。あの当時道路運送法を制定したときに、私はその点を質問したいと思いますが、私の希望通りには行かなかつたわけなんですが、今日実際的に調べてみると、もう殆んど全部というくらいですね、相当のところまで行つておるようなんです。これは地方陸運事務所に聞いてもそう言つておる。これを併し何とかしなきや既存の営業業者が悲鳴を上げるのじやないか。現に上つておるわけなんです。これに対して対策か何かお考えつておるかどうか、それを一つ承わりたいと思います。
  69. 中村豊

    政府委員中村豊君) 自家用のトラツクの営業行為というものは全く困つておる問題であります。一昨年からもこの問題を主にして輸送秩序確立という運動を展開しておりまして、各現地の陸運事務所でも非常に努力しておりますし、先ほどお話もありましたけれども、こういう点については、それこそ末端の雑務については事業者の協力も得まして大いに頑張つておるのでありますけれども、次から次へとあとを絶たないのであります。違反の顕著なものについては、車両の使用停止、ナンバーの取上げというようなこともやつておりますし、軽微なものについては戒告もやつておりますけれども、それがおさまると、その次に又新らしいのが出て来るというわけで困つております。根本的にこれを抑えるためにいろいろと提案がされております。中には自家用自動車を持つのは今自由なんだけれども、そういうのを自由に放任しておくと、初めから営業をやる意思で自家用車を持つから、所有を許可制にすべきであるという議論まで起つておるのでありますけれども、これは所有権の自由を侵害するというようなことにもなりますので、よほど大きな必要性が認められない限りはそういうこともできませんし、又そういう方法が仮に許されてとれても、これは人手を非常に要することなので非常に困難であろうと思います。そうすると自家用車はどんどんと発生して、それの中でもぐりをやる者がまぎれ込んでおるというわけなので、まあ追いかけるほうに忙しい状態でございます。併しこれを放任して行くことは決していいことではございませんので、限られた予算と定員の範囲内で輸送秩序の確立は依然として努力しておる次第でございます。
  70. 高木正夫

    ○高木正夫君 一応その御苦心の跡はわかるのですけれども、だんだんそれが殖えて来て、もう澎湃として起つておるのです。百人ばかりではどうにもならんというところに来ておるわけですね。これは新規免許だとか何とかいう問題よりももつと現実的にはこれは大きい問題だと思う。これを何とか一つ考えを願つて措置して頂くことが必要ではないかと思います。これはまあ併しただそういうことの御希望を申上げておくだけの程度のことなんです。  それからいま一つ、今日は私は根本的な問題についていろいろ意見があるのですが、大臣がお見えにならんから、先ほどの応答から推して、これはここで思い付いたことを御質問申上げるわけなんですが、大阪でタクシー、ハイヤー、これはもう約一年近く新らしい免許は下さないし、それから増車も許可しないわけなんです。だからあのくらいの状態需要供給にはいいのだという結論になつていると思うのです。だんだん聞いて見ると警視庁のほうで非常にやかましく事故を言つて、これ以上車を殖やしてもらつたら困る。だからどうしても抑えてくれということになつておるらしいのです。ちよつとおかしい話だと思うのですね。これは一般の需要が旺盛で、国民の利便のためにやるべきものが、事故が多いからというのは、事故の取締は警視庁なり府なり又あなたのほうにもあるだろうと思うのですが、そういうことを免がれるために、一般の国民の不便を図るということは私は筋が通らぬじやないか、こう思うのですが、新規免許の問題は、或いは東京のように極端にやれば起るかも知れませんけれども、少くとも増車ぐらいは今はいいと思うのですが、東京はこれだけ車があるにもかかわらず、どんどん許しておる。然るに大阪は一年ほど停止しておる。地方事情とはいいながら根本観念が間違つておると思う、私理由を聞いてですね。これは全国的には行かんかも知れませんが、これらについてあなたのお考えをお聞きしたいと思うわけです。
  71. 中村豊

    政府委員中村豊君) タクシー、ハイヤーの問題は、お話のごとく地方的な事情がいろいろありますので、その権限は挙げて陸運局長に委任しておるものでございます。それは行政簡素化の趣旨からも、最初からそういう方法をとつております。それで根本的な問題しか本省は関係しておりませんので、具体的に大阪は足りないのか余つておるのか、東京はどうかということは的確には把握できないのでありますけれども、いつも車が多いか少ないかという問題は、特にタクシー、ハイヤーについては問題になりますので、昨年の国会において道路運送法を改正して頂いた際にも、道路運送審議会を廃止する代りに、新らしく自動車運送協議会というものを各陸運局に設けまして、その審議事項の最も重要なものは、或る地区における、まあタクシー、ハイヤーが主ですが、その供給力需要との調整を図ること、その項目を挙げておるわけであります。それは最も端的に言うと、或る大都市においてはタクシー、ハイヤーは一体車が現在でいいのか、足りないのか余つておるのかをはつきり検討して、それによつて増車をするなり免許をするなり、ストツプをかけるなりしたい、こういうことを考えておるわけであります。而もその構成につきましては、これは役人だけが独断的に判断してはいけませんので、民間の人に入つて頂いて意見を聞く、而もそれも事業者だけでは恐らくストツブに全部きまつてしまうのでしようから、それではいけないので、利用者代表として全く事業に関係のないタクシー、ハイヤーを利用する人にも入つてもらつておりますし、又学識経験者とか、関係官庁のいわば第三者に当る人にも入つてもらう、その構成は三・三・三という恰好にしまして、そこでデイスカツシヨンをしてもらえば、まあまあその地区に適当した結論が出るだろうという方法をとつたわけであります。現に各地ですでにその審議を各陸運局で全部やつておりまして、東京、大阪も勿論でありますが、その結果を待つて新らしく事案を解決して行こうということで、各陸運局ともその答申を待つておるという恰好でございます。今暫らくお待ち願えれば、何らかの形で進むことと思つております。
  72. 高木正夫

    ○高木正夫君 地方に任しておくからおれのほうは直接には関知しないのだと言われますけれども、陸運行政については、あなたが全体に監督されておるわけなんで、大都市間にそういう不均衡なことのあるべきものでないと私は考えるわけです。まあ民間の人も入つてつておるかも知れませんが、特に大阪のごときは、そういう方面の圧力が加えられておるということも聞くわけなんです。まあ併しもう少し時間を待てということでありますから、そのほうは又聞きたいと思うわけです。  それからもう一つ考えを聞きたいと思いますのは、先ほどお話がありましたので私も安心しておるわけなんですが、根本問題として陸運行政に対して今まで従来、現政府でない従来の政府が鉄道偏重になつておる、こういうことは根本的に考えるわけです。ここらでもう国情等から考えて、全般を考えたときに相当転換をする時期になつて来ておるのじやないかと思うのです。そういう点についてはあなたに御答えを願うよりも大臣一つ考えを聞きたいと思うのです。この間建設線の資料を頂戴したのもそれなんです。それで又大臣がおいでになつてから改めてお考えを聞きたいと思うのですが、ただ自動車が贅沢だと、不急不要の品物だということが現政府の頭にこびりついていると思うのです。これを是正するのは、先ほど私の所管じやないのだと、よその官庁だとこう言われましたが、併しその頭を切換えて頂く原動力になつて頂くのはあなたよりほかにないと私は思うのです。これは大臣にも無論そうですけれども、直接のなにとしては、これは諸外国の例を見ても、今日識者の声を聞いてもこれはもう問題にならん話じやないかと思うのです。然るに不要不急の品物だということですね。テレビだとか、洗濯機だとか何とかというそういうものと一緒にされているというのですね、これは根本観念が間違つておるのじやないか。自動車というものはこれは一つの生産の手段に匹敵するものです。直接に機械に殆んど相通ずるところの一つの生産手段じやないか。これはだからその面の行政が根本的に間違つておると思うのです。これは私のみならず相当の識者がこの頃大分これをやかましく言つておるわけなんですが、先ほどまああなたは贅沢品じやないということを言われたので非常にまあ安心したわけなんですが、この政府部内の誤まつた観念を是正して頂くのはあなたよりほかにないと思います。運輸省、即ち特にこれの担当のあなたにやつて頂くのが一番いいと思うわけなんですが、まあそれに対する御所感というのもおかしな話ですが、どうぞお考えがありましたら一つお聞かせ願いたいと思います。
  73. 中村豊

    政府委員中村豊君) お示しにあずかるまでもなく、自動車は決して贅沢品でないと思つております。必需品だと思つております。従つてもつともつと自動車を殖やさなければいけませんし、又その性能を改善し、更に欲を言えば価格を下げるというところに持つて行つて、もつと普及させなければ、これは世界各国の、まあ文明国に比べて比較にも何もならないのでございます。私は自分の立場としてのみならず、信念としてもつと自動車を殖やさなければいけないと思つております。決して賛沢品ではなく、必需品と信じております。
  74. 高木正夫

    ○高木正夫君 そのお考え大臣もお持ちでしようか。これは大臣に今度聞きますが……。
  75. 中村豊

    政府委員中村豊君) 大臣からお答えを願うのがいいんですが、私が大臣に御説明申上げている限りで大臣の御意向をお察しいたしますと、必要品だとお認め願つておるようでございます。決して間違いではございません。ただその特殊な高級車はもういいんじやないかというふうに、つまり範囲の問題ですね、というようなことについてはいろいろと御意見もあると思いますけれども、一般論としては、何ら疑いを持つておられないと私は拝察しております。
  76. 高木正夫

    ○高木正夫君 まあそれで大分安心しましたが、併しこの輸入問題だけじやなしに、自動車行政について全般的から言うと、そういう観念が私はこびりついているのじやないかと思うのです。ということは、例えば税金の問題にしても、自動車に過重な負担をかけている。今度のこの車両税にいたしましても、そのほかのいろいろ自動車に過重な負担を二重三重にかけている。これらを、大蔵省とかそういう方面ではそういう観念を持つておられるのも止むを得ないと思うのですが、これらに対しては運輸省としては最善の一つ御努力を払われたい。この点は又詳しくは後日質問したいと思いますが、そこらの点は十分お考えになつて根本観念を変えさすということに一つ局長の御努力を願いたいと思います。今日はこれだけのことをお願いいたしておきます。   —————————————
  77. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは、自動車に関する質問は本日はこの程度にとどめまして、航空局長から航空事業に関する一般の説明を聞きたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 前田穰

    委員長前田穰君) 御異議ないと認めます。  それでは航空局長から御説明を願います。
  79. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 来年度の航空に関する計画の概要を御説明申上げたいと思います。  運輸省としましては、一昨年本年度予算を要求いたしまして昨年来考えておりますことは、航空路網の拡充と、それから空の交通航空管制を日本側において行う、即ち室を日本の支配下に置くということ、それからもう一つは、乗員を養成して日本人のパイロツトを作り上げるというこの三つを中心として努力して参つたわけでございます。  第一番目の航空路網の拡充でございますが、これは国際線と国内線と二つに分れるわけでございます。国際線のほうにつきましては、諸般の準備が整いまして、御承知のように二月の初めからサンフランシスコと沖繩までの航路を週二回開設いたしたわけであります。ところが御存じのように現在東京に乗入れて来ております外国航空会社は十一社あるわけでございます。ところがこの十一社がパン・アメリカンは週六回、一番少いのがエア・フランスの週一回でありますが、これがいろいろと回数を増すという希望を持つているのでありますし、或るものはすでに正式に増便の申請書を提出して来ているものもあります。そのほかに新たに日本に乗入れて来ようということを希望して条約の締結を申入れて来ているもの、或いは条約締結前にもう航空局の許可を得て乗入れたいというようなものが相当にあるわけでございます。相当具体的な話となつておりますものについて申上げましても、イタリア、パキスタン、インドというところでございます。そのほかベルギーからも強い要望があるわけであります。これは又非常に意外なところでありますが、アイスランドからも申入が来ているような次第でありまして、ますます羽田に乗入れて来るものが多くなつて来る状態であります。かくして次第に地盤ができまして、日本が伸びて行くのに、一年たてば一年だけ不利な状態になつて来るわけでございますので、できるだけ早く一応国際航空路網を整備したいと考えているわけでございますが、相当の資金を必要といたしますので、遺憾ながら一挙に進むわけには参りません。二十九年度におきましては、サンフランシスコまで伸びました路線をブラジルのサンパウロまで伸ばし、それから西のほうはパキスタン程度まで行きたいと考えておりましたけれども、現地の実情では、先ずバンコツクというところまでにとどめざるを得ないだろうかと考えております。再来年度におきましては、できればこれをロンドンまで伸ばしたい。又折角条約ができております。これに従いましてシンガポール、ジヤカルタの方面にも伸ばしたい、こう考えておりますが、これは将来の計画でございまして、来年度におきましては、先ほど申上げました二線を開設したいと考えているわけでございます。  国内線につきましては、現在日航が飛んでおります路線以外に大阪・高松・別府・福岡、福岡・熊本・鹿児島、東京・新潟、小松・大阪、千歳・釧路、千歳・稚内、こういう路線を開設したいと考えましてそれに必要な予算の要求をいたしたのでございますが、これにつきましては御存じのように緊縮予算の年でもあるので、一年待てないわけはないというわけで遺憾ながらこの予算は認められなかつたわけでございますから、国内航空につきましては来年度は遺憾ながら新たな路線を開設するということができないわけでございます。  次に空の何といいますか、日本の空は日本人の手によつてコントロールするという体制を作りたいという問題であります。これは御存じのかたもあると思いますが、現在飛行機が飛びますのはどこまでも飛ぶというわけでございませんで、十五マイルの幅のところを航空路を指定しておきまして、そこを飛ぶことになつております。従つてその路線の下にはビーコンを付けまして飛ぶという建前になつております。従つてそれを出て行きます前には一々フライト・プランを出しまして高度は幾らというふうに指定しまして、出て行く時間も指定いたしまして空中の衝突を避けるという体制をとつておるわけであります。空に道ができておるわけであります。その道の管理というものが目下駐留軍によつて行われておるわけであります。従つてそのコントロールは全部英語によつて行われておりますために、日本のパイロツトでは飛ぶのに非常な困難をするという状態であります。そこで向うと話合いをいたしまして、日本側が空の航空交通管理を完全にやり得るという体制を整えたと両当事者間において認定したときにこれを日本側に移す、こういう約束になつておりますので、一昨年度十八名、本年度百五名の増員を頂きましてその訓練をいたしておるわけでございます。なお相当数を要するわけでございますので、今年度は六十名の増員を認められましてこの訓練をいたすわけであります。これだけのものが約一年を要しますが、一人前になりますというと日本語で飛ぶことが、それでもまだ完全に我がほうの手にコントロールの力が移るというわけではございませんけれども日本語で飛ぶことは相当楽になると、こう考えるわけであります。  次は乗員養成の問題でございますが、申上げるまでもなく日本人がパイロツトとして或いはナヴイゲーターとして、フライ・エンジニアとして優秀な素質を持つているということはすでに太平洋戦争中の実績その他から十分立証されておるわけでありますが、七年余のブランクがあります関係上、航空法が非常に進み、特に航法、飛ぶほうの体制がすつかり違つて来た、飛行機も大型になつて来たというようなことからして直ちに現代的航空に間に合いませんので、これを訓練するということが必要なわけでございます。そこで昨年度三千万円、本年度当初五千万円でありましたが、節約を受けまして四千五百万円の補助金を受けましてパイロツトの養成補助をいたしておるわけであります。これでは足りませんので、来年度は乗員養成所を作るということになりまして、僅かに一億五千万円の予算を認められまして宮崎の飛行場で開始することになつたわけであります。その内容は、何千時間か飛んでおります既経験者に三カ月の再訓練をいたしまして、一応上級事業用の免状を与える、即ち定期航空のパイロツトになれるまでの訓練をする、こういう計画であります。その数が僅かに三十人でございます。それから終戦以来今日まで新らしいフレツシユマンの養成をいたしておりません。従つてそこに年齢的断層ができておりまして、相当金をかけて新たに訓練いたしましても、もうすでに三十を過ぎた人ばかりでございまして、寿命も短い、その年齢的断層を補うという意味において新人を十名でございますが採りましてこれを訓練して、二カ年間で上級事業用のパイロツトにまで行くという計画であります。以上が航空局としまして多年といいますか、この数年来考えておりました項目を逐次実現して参つて来たいきさつを申上げましたが、同時に来年度予算において認められたことを申上げたわけであります。  なお日航の予算は、日航の資本金は官民おのおの十億円で、二十億円でございますが、来年度におきまして更に倍額を増資して、その半分の十億を政府出資にするという予算が提出されておりますが、政府出資でございますので、大蔵省から直接に日航のほうに出資されますから、運輸省所管の予算には計上してございませんが、そういうことになつておる次第でございます。
  80. 一松政二

    一松政二君 最近の新聞紙上におきまして、二月、日本航空が国際線に乗出して以来の成績についていろいろ論評がましく、或いは三面記事らしく、非常に赤字が出て、一カ月一億にもなるんだということで、実情を知らない者はこのまま行つたらもう日本航空は取止めにでもなるんじやなかろうかというような気分に私は素人が考えたらなるんじやなかろうかというほどに何か大げさに書いておるのでございますが、その一カ月ぐらいのところで、而も最初一週二回なんですから、始めたばかりの成績で今後を律するということも、余り断定して悲観するのも程があると私は考えますが、それに対して一応どういうふうな状態になつておるのかを、まあ新聞記事で大よそは見当しておりますが、一応航空局長から御説明を承わりたいと思います。
  81. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) お手許に資料を配付申上げておきましたが、二月一ぱいの数字を申上げますと、一枚目のほうが東京からサンフランシスコへ行く分でございますが、これが僅かに五十七人でございます。貨物は千八百九十五キロ、郵便が四千八十二キロでございます。この貨物についてはそう期待をかけておりませんが、郵便につきましては先ず予定、或いは予定を上廻つておるくらいじやなかろうかと思つております。お客さんの面につきましては座席数は三十八あるわけでございますが、これに対しましてここにお示し申上げておりますような実績で座席効率から申しますと非常に低率であるわけであります。併し一般的に申しまして、運輸事業一般もそうでございますが、特に航空につきましてはその初期におきましてはなかなかお客がつかないものである、従つて日航も相当の覚悟をしておることは勿論でありますし、我々のほうにおきましても勿論覚悟をいたしておるわけであります。特にこのことについて若干弁解がましくなるかも知れませんけれども説明をいたしますと、本来アメリカ政府の許可が下りますのが大体諸般の情勢から考えて十二月十五日頃になるという予定で、日航は二月二日から一便をする、正式な許可が下りてからブツキングを始め、宣伝を始めるという、こういう建前でやつておりました。ところが逐次遅れまして一月の十二日だと記憶いたしますが、それまで許可が下りるのが遅れたわけであります。そこで本当を申しますと、ブツキングとかいろいろなお客を集めることから申しますと、一月ばかり遅れるのが当然でありますが、諸般の準備も整つておりますので始めたということで、そこに時間的なギヤツプはあつたということは一つつたと思います。それから又現在は非常にお客の少い時期でありますると同時に、今度四月一日からツーリスト・フエアーという贅沢でない座席の多い恰好にしまして、例えて申しますならば、日航に今三十八座席ございますが、これを四月一日からツーリスト・フエアーの分を四十七座席、それから従来の賛沢なデラツクスのものを十二座席座席数を殖やすわけでございますが、そうしまして運賃は各社を通じまして四百八十八ドルに値下りをすることに、現在六百五十ドルが四百八十八ドルに下るということで、いわゆる急がないお客さん、見物人というようなかたがたはそれを見越して旅行を控えておるというふうな点があるのではないかと考えております。そういつた言い訳がましいことは別にいたしましても、この当初におきましてはこの運航の確実性その他信頼性が少いというような点から、お客も少いということはこれは当然のことであります。例えばフイリピン・エアーラインが営業を開始しました当初二カ年間というものは、非常な赤字に悩みまして惨澹たるものがあつたわけでございますが、それが三年目からは相当の黒字を出しました。こういうような状態でございましたので、日航は更にお客さんを吸収するということ、宣伝をするということに努力をして、お客の数を増すことに努めておりますので、この数字が逐次改善することと思います。  なお現在の状態で四月、五月は向うからのお客が非常に多いわけであります。このお手許に配付いたしました数字を御覧になりましても、こちらから行くよりも向うから来るほうにお客が多いわけでございますので、ホノルルから参りますお客の団体申込が非常にたくさんございまして、飛行機は三機しかございませんので、なかなかやりくりが困難だろうと思いますが、四月には臨時便を出さなければいけないのじやないかというようなブツキングの状態でございます。
  82. 一松政二

    一松政二君 この頂きました表を見ますというと、日本人で日航を利用しておる方と、それからパンやノースを利用しておる方とこの数の割合で見ますというと、非常に日航の利用者が格段に少い。先ほど局長も言われたように、多少信頼性という問題もあるかも知らんけれども日本航空というのがいわゆる国策会社で国が半分資本金を持ち国が投資して国際航空界に乗出した場合でありますから、この日本人が日本の国策会社である航空会社に乗らずに、そうしてパンやノースにたくさん乗つておるということは、我々日本航空会社法案を審議した当事者として、如何にもこれは心外至極であるわけであります。それで恐らく前はこれは日本航空でなければビザーをやらないとか、或いはパスポートを出さないとかということは絶対に言われもしなければ、できることではないのでありますけれども、何らか政府で、以心伝心でわかれば一番いいのだし、何かこう特に国際的に考慮をめぐらしつ日本人に日本の航空機に乗つてもらうような方途について何かお考えをしておられるかどうか、ちよつとその辺承わりたいと存じます。
  83. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 私も日本人の一人として考えますと、誠に同感に堪えない次第であります。併し建前といたしましては、パスポートの面或いは外貨の面というようなものにおきまして平等に取扱う、デイスクリミネイトしないという建前でなければならないと考えます。ところが聞くところによりますと、某国におきましては某国の飛行機以外には乗せない。某国の飛行機が飛んでおる区間においては某国の飛行機以外には乗せないというような国内法があるというような噂が飛んでおるところもございます。それから又某国では少くとも役人は自国の飛行機の飛んでおる区間は自国の飛行機でなければ乗つちやいけないというようなレギユレーシヨンがあるというようないろいろなことを聞くわけであります。そこでそういうことが国際的に許されるものであるならばまだ考えようがあるのではないかと調べて見たのでございますが、できるだけ自国の飛行機に乗せるという気持に非常に各国とも強いわけでございまして、社会的にそういつた機運が非常に強くなつてそうしてそういう結果になつておる。某国のごときは比較的後進国でございますけれども、非常に国民感情が強くて、某国の飛行機が飛んでおる区域においては必ず某国の飛行機に集るというようなことがあり、それに乗らない場合にはとかく社会的に非難を受けるというようなことになつて、自国の飛行機に乗つておるというようなことで、法律的に或いは規則でそういうふうなことをしておるのではないか、こういうようなことでございます。併し日本は世界に進出いたします限りにおいてはできるだけ日本人はこれを利用して頂きたいということは、私も日本人の一人として痛切に考えておるわけでございますが、それを法律的と言いますか、何かそういつた国のコントロールで以てそういうふうにするということはいろいろな問題があるのではなかろうかと考えております。
  84. 一松政二

    一松政二君 それは表向きにそういうことを口にしたり或いは規則でどうということをすると又報復的な問題も起つて来て厄介な問題でございますけれども、いやしくも今外貨の節約に汲汲として必需物資でも制限しなければならんという日本の経済情勢であり、それから又日本航空株式会社を創立したのも外貨の獲得ということが目的でやつたわけでありますから、ほかの国の飛行機に乗れば結局外貨を支払うわけであります。その分を支払わないということも消極的に外貨を獲得する意味になるのでありますから、これは何らか日本人同士の国民感情に訴えて我我一日も早くそういう機運の起るように、これは渡航するには一々外務省のパスポートが要るわけですから、そういうオフイシヤルなところでなくとも、オフイシヤルなところでもいろいろな又障害もありましようからオフイシヤルでなくて、そうして而も効果的な何らかの方法日本人にできるだけ国策会社の飛行機に乗るように努力しておるのであろうと思いますけれども、これもこういう状態では実に情ない話であるし、日本人みずから自分の飛行機を見捨てるような恰好になつておる。外国人が乗つて来ればそのうち日本人が乗るようなことでは日本人も甚だそういう面に対しては考慮が欠けることになりますから、どうか航空行政の一端として最初会社設立の目的に副うように一段の努力を希望いたしまして私の質問を終りたいと思います。
  85. 岡田信次

    ○岡田信次君 私少し遅く来て前にもお尋ねがあつたかとも思うのであります。ここに頂いた日航に乗る数字と企業目論見なり、その前に或る程度予定された数字との開きと言いますか、実績と予想との関係はどうなつておりますか。
  86. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 年間を通じての一応の予定を立てていたわけでございまして、それは勿論当初二、三カ月間においては相当の何と言いますか、利用率が少いだろうということは考えておりました。併しそれを二、三カ月分は幾らということでなしに全体的に考えていたわけでございますが、この数字を見まして私たちが考えていたよりは少いので意外に思つておる点がないわけじやございません。
  87. 岡田信次

    ○岡田信次君 これを盛立てて行く上において一松委員が言われたようないろいろな方法があると思うのですが、実は昨年秋私サンフランシスコ、ロスアンゼルスに行つたとき日航の職員が二人おつたのですが、非常に宣伝費が足りない、とにかく向うの大きなパンアメリカン、ノースウエスト等を相手にやつて行くのにはよほど宣伝しなければならん。ところが日航は一向宣伝費を出してくれないという苦情が非常に多かつたのですが、私も成るほどそれは尤もなことだ、こういう方面に使う宣伝費は相当有効だと考えるのですが、その方面にはどの程度の力を入れておられますか。
  88. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) お説の通りでありまして、岡田委員も世界一周をして来られまして各航空会社が如何に宣伝をやつておるかということはよく御存じだろうと思います。少くとも日本航空のごとく遅く出たものはそれと同等以上、それ以上の宣伝をやらなければならんと、こう考えております。併しながら初期の段階におきましては勿論外貨申請をいたさなければなりませんが、その申請の際に、だんだん外貨事情がよくなくなつておりますので、相当に圧縮を受けまして、岡田委員が行かれたときと大分情勢は変つて来ておりますけれども、まだ十分の外貨的措置は遺憾ながらできていないと申上げざるを得ないと思います。
  89. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十五分散会