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1954-02-19 第19回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十九日(金曜日)    午後二時六分開会   —————————————   委員の異動 二月十七日委員加賀山之雄君辞任につ き、その補欠として高木正夫君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     前田  穰君    理事            入交 太藏君            重盛 壽治君            井村 徳二君    委員            植竹 春彦君            岡田 信次君            一松 政二君            高木 正夫君            森田 義衞君            大倉 精一君            大和 与一君            天田 勝正君            村尾 重雄君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君    運輸省監督局長 植田 純一君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   法制局側    法 制 局 長 奧野 健一君   説明員    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 細田 吉藏君    中央気象台長  和達 清夫君    中央気象台総務    部長      北村 純一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○運輸一般事情に関する調査の件  (昭和二十九年度運輸省及び中央気  象台関係予算に関する件)  (海運行政に関する件)
  2. 前田穰

    委員長前田穰君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。  昭和二十九年度運輸省及び中央気象台関係予算に関する件を議題といたします。
  3. 高木正夫

    高木正夫君 現在着工しておる建設線全部の件名と、それからどの辺まで遂行しておるかということ、つまり予算額に対してどこまで進んでおるか、従つて残りはどのくらいあるか、それから更に新らしく出て来た建設線、それとその見積りといいますか、その資料を頂戴したいと思います。
  4. 植田純一

    政府委員植田純一君) 承知いたしましたが、一番終りにおつしやいました新らしく出て来た建設線というのはどういう意味でございますか。
  5. 高木正夫

    高木正夫君 請願が出て来て……新聞紙上で見てみますと、五、六線あるようなことを書いておりますが。
  6. 植田純一

    政府委員植田純一君) その点は実は五、六線新たに増設するということは何もきまつておりません。
  7. 高木正夫

    高木正夫君 何か請願か何かあるようですが。
  8. 植田純一

    政府委員植田純一君) 請願で採択になりました線は非常にたくさんありますが、御承知の通り現在着手することになつております線のほかに、建設予定線というような線等もまだたくさんございます。又建設予定線以外におきましても、是非この線はやつて欲しいというふうに請願があつたものもございますが、これは非常にたくさんの数に上るわけでございます。
  9. 高木正夫

    高木正夫君 ああ、そうですか。それでは極限しましようか。現在やつているものだけで結構です。
  10. 植田純一

    政府委員植田純一君) 承知いたしました。
  11. 高木正夫

    高木正夫君 それともう一つ、これは資料でなくてもいいのですけれども、説明の間にこれは加えてもらつていいと思うのですが、過去三年なら三年の国有鉄道の収支、結論だけでいいです。結局国庫からどのくらいの金が出ているか、至極大ざつぱな数字で結構です。それだけ。
  12. 植田純一

    政府委員植田純一君) かしこまりました。
  13. 前田穰

    委員長前田穰君) それでは先ず気象台関係予算について、北村総務部長から御説明を願います。
  14. 北村純一

    説明員北村純一君) 昭和二十九年度気象台関係予算につきまして、概略の御説明を申上げておきたいと思います。  昭和二十九年度におきましては、一般従前と大体同様に、全国気象官署運営に必要な一般業務運営維持に必要な経費といたしまして十七億六千七百五十三万五千円のほかに、新規の事項といたしまして主だつたるものを概略説明申上げます。  第一番に、水理気象業務に必要な経費といたしまして三千四十八万七千円を計上いたしました。これは重要な河川の水源地帯降水観測施設通報施設等整備強化いたしまして、水資源利用高度化水害の防除に貢献しようというものでございますが、昭和二十九年度におきましては、北上川と利根川の両水系につきまして気象通報所六カ所、総合気候観測装置十一カ所、ロボツト雨量計三カ所、超短波無線通信施設七カ所等の施設をやりまして、業務運営を実施いたしたいと思うのであります。  第二番目に、水害緊急対策に必要な経費といたしまして一億七千五百二十三万六千円を要求いたしておりますが、これは前年度補正予算に計上いたしましたものに引続きまして水害予防軽減に資するために観測施設通信施設等整備するに必要な経費でございます。二十九年度におきましては九州、四国、中国、近畿、関東等地方に亘りまして二十三都府県の区域を対象といたしまして、通報所十二カ所、雨量計雪量計等観測施設四百二十六カ所、短波無線通信施設二十一カ所、気象用レーダー二基等の整備を実施しようと思つております。  第三番目には、定点観測業務維持運営に必要な経費といたしまして六百八十一万三千円を計上いたしました。これは前年度まで日米行政協定によりまして土佐沖及び三陸沖の二点の固定点観測をやつておりましたが、この業務が昨年の十一月末を以ちまして一応打切りとなりましたので、本年度では台風梅雨前線等予報精度の確保に必要な、最小限度の必要を満すために海上保安庁の所属船を使用いたしまして、土佐沖固定点たけ五月から十月に至る六カ月間常時観測を実施することにいたしたいと思うのであります。  第四番目に、マーカス島の観測所維持運営に必要な経費として六千八百二十二万二千円、それから気象官署地上観測業務に必要な経費二千百五十五万八千円、航空気象観測業務に必要な経費八百四十六万九千円、上高層気象観測業務に必要な経費一億二千百一万五千円というふうなものをそれぞれ要求申上げておる次第であります。  気象官署運営に必要な予算につきましては、いつも御理解があるところの御鞭撻を頂いておりまして、非常に苦しい運用を続けながらいろいろ努力して参つておるのでございますが、本年度におきまして要求申上げるところの経費も、見方によりましては必ずしも非常に十分とは申上げかねるのでございますが、大体におきまして、今年度におけるところの財政状況その他と睨み合わして、我々といたしましては、この程度を以ちまして気象台の仕事を大体運営して行けるものと見込んでおる次第でございます。過去に遡りまして、この運輸委員会におきまして、昭和二十六年度におきましては、我々の気象業務運営するに最小限度、当時の予算で更にどれくらいプラスすればいいかというふうなことにつきまして御質問でございまして、当時台長から約一億円の内容につきまして、項目を八つほど挙げまして、この程度のものが更に当時の予算に加わるならば、一応気象業務運営できるのではないかというような見通しを御答弁申上げたことがございます。その後もいろいろと予算の折衝を重ねて参りましたが、一気にはその当時の一億円という問題も解決しなかつたのでございますが、今年になりまして、二十九年度予算というものがこのまま成立いたしますものと仮定いたしまして、この六年間の過去を振返つてみますと、その過去を振返りました大体の模様を申上げておきたいと思うのでございますが、当時我々が非常に困難を感じておりました主なる項目は、第一番目に、洪水予報業務整備強化に必要な経費が非常に不足しておるということを申上げまして、その経費といたしまして一千百五十九万七千円ほどの額が更にあれば非常に都合がいいということを申上げておつたのでございますが、先ほど御説明申上げましたように、前年度から引続きまして本年度予算に計上いたしております緊急対策といたしましての水害予報施設の規模は遥かに当時の構想を超えました充実したものでありまして、勿論全国に及んでこの整備を完了しておるわけでもございませんし、二十九年度、更に三十年度と計画を延長して継続実施しなければならん面がありますが、これが全国的に実施されます際には、当時の構想からずつと徹底いたしました程度にまで我々の業務が遂行できるように考える次第でございます。  二番目に、防災気象連絡業務整備強化に必要な経費といたしまして千六百八十九万三千円を更に欲しいということ、この内容県庁所在地測候所のない所に連絡所を置きたいという内容でございましたが、その点につきましても、当時問題になつておりました山口奈良大津千葉浦和のうち、奈良には測候所ができましたし、山口千葉には本年度のこの予算並びに地方庁の協力によりますところの連絡所設置というふうなものが見込まれておりまして、現実に未解決のものは大津浦和ということで、大体大半を終えたような恰好になつております。  それから三番目にレーヴイン受信機最大感度方式を等感度方式に変更のため必要な経費を当時考えておつたのでございますが、これはその後昭和二十六年度以降におきまして、この方式を全部我々の希望しておりました等感度方式に変更することができましたので、今日におきましては問題が残つておりません。  それから四番目には、有線通信施設整備強化に必要な経費として二千七百六十二万九千円を考えておりまして、専用有線施設の回線の増設とか、テレタイプ新設というふうなものを考えておりましたが、それもその後の二十六年度以降航空測候所新設に伴いまして施設されましたテレタイプとかを共用するとかその他の方法によりまして、当時の我々が考えておりました施設は充実されておる次第でございます。  それから五番目に、気象資料整備に必要な経費を要求しておつたのでございますが、我々が必要といたしました戦時中の未整理になりました資料を整理する経費をまともに要求することは、いろいろな事情を調べますと非常に困難でございますが、その後に新らしく取りました統計機械利用その他によりまして、大体内容的にはこの観測資料整備することが着々進行しておりますので、この問題は大体解消したと考えております。  六番目には、測器検定業務に必要な経費といたしまして七百七万四千円を考えておつたのございますが、この点につきましては、その後気象業務法ができまして、更に測器検定につきましては、設備を充実しなければならないわけでございますが、残念ながらこの点だけは未だ十分に予算の成立を見ておりませんので、気象業務法に許されました猶余期間五カ年の範囲内には、何とかしてこの気象測器の検定施設整備は今後に残された問題として整備を完了したいと思つております。  それから七番目には、船舶向け気象放送の独立に必要な経費六百九十九万二千円という問題がございましたが、この問題も航空気象放送が独立開始することになりましたので、この際他の放送の波に時間的余裕が生じましたので、放送スケジユールを編成替えいたしまして、実行上船舶向け放送が大体満足されるような状態で実施されるようになりました。  第八番目には、鹿児島地方気象台設置に必要な経費でございます。これも昭和二十七年度におきまして予算が成立いたしまして、現在ではその目的を達成した次第でございます。  こういうふうに数カ年間の年月を経まして徐々では、ございましたけれども、当時我々が最初最小限度の希望として、皆さんの前にお願い申上げておきました事柄は、一項目、測器検定施設の問題を除きましては大半目的を達成するような事態になりましたことを感謝しております。  なおこの問題につきましては大体完了いたしましたが、なお現在におきまして我々が今年度に成立しました予算が非常に十分であるというのではなくて、国家の財政状況その他から考えましてこの程度で止むを得ないというふうに我慢した点も相当ございますし、又その後に新らしく発生しつつある、例えば航空気象整備強化の問題とか、先ほど申上げました水理気象の問題、或いは水害対策の問題で次年度以降におきまして更に引続き整備を要するような問題が多々残つておるように存じますので、今後におきましても従前に増しましていろいろ御鞭撻をお願いしたいと思います。  これを以ちまして概略の御説明を終えたいと思います。
  15. 前田穰

    委員長前田穰君) 御質問がございましたら順次御発言を願います。
  16. 大倉精一

    大倉精一君 全般の問題についていろいろ質問もあるのですが、差当つて特に定点観測予算について御質問申上げたいと思います。これは最初台長にお伺いするのですが、先般のいろいろなこの委員会におけるところの質問において、気象台長は、定点観測廃止というものは日本気象観測に非常に重大な影響を及ぼすという工合にお答えになつたと思うのですが、今度の予算の六百数十億だけで、南方定点夏季におけるところの巡回観測といいますか、そういうものだけのことを計上しているのですが、これで果して日本気象観測に重大な影響がないとお考えになつておるか、この点についてお話願いたいと思います。
  17. 和達清夫

    説明員和達清夫君) お話のように、定点観測は昨年十一月末を以て一応非常なる縮小をいたしました。定点観測は日々の海上保安に対し又長期予報等に対しましても重要なる資料を提供しておりますが、財政上非常に莫大な費用がかかりますので、本年におきましては他の緊急なるいろいろな整備と睨み合せた結果、多大の関心を払いつも、今年はこの夏季南のほう六カ月だけをいたすの止むなきに至つたのであります。この南方のほうの定点は豪雨、台風等に対しての備えでありますが、北方のほうの定点は、先ほど申上げましたように海上保安或いは長期予報に重要な資料を提供しておりまして、これがありませんとその予報精度或いは実況の精度に低下を多少来たすのでありますが、我々といたしましては、できるだけ海上船舶からの通報の活用とその改善を図りまして、何とかその予報精度最大限にまで上げて御迷惑をかけないように努力いたしたいと思つております。
  18. 大倉精一

    大倉精一君 この問題で先般運輸大臣に私が質問をした時に、こういう不足をしても観測業務上大した間違いはない、こういうことでありました。そしてそれも気象台長さんから大した間違いはないというような御意向があつたようですが、私はこの気象観測に関する限り間違いは依然として間違いであつて、この間違いに大小はないと思う、気象観測に関する限りは。私は、大した間違いはないという考え観測業務に関する限り持つていいのか悪いのか。この間違いの大小、そういうものはないと思うのです。一旦これが間違つた以上は、これは私は非常に大きな何といいますか一つの障害が出て来る。而もこの気象業務というものは、今日復活して明日から直ちに具体的な効果が万人の目に見えるのじやなくて、恐らくこれは相当蓄積されたところの、そういう業務の蓄積によつて、そうしてそういう不時の災害のときに非常に大きな役割を果す。そういう意味から私は大した間違いはないのだというような、気象台長さんは多少の弊害はあるのだと言われますが、この点は非常に重大だと思うのですが、その点はどうなんですか。
  19. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 誠に仰せ通りでありまして、気象観測一つの点も非常に大事でありまして、而もそれが蓄積されるということが非常に大事であります。それで定点観測がなくなりました場所におきましては、お話のように大した影響はないというのは、非常に誤解される言葉でありますが、気象予報一つ作りますのにも非常にたくさんの観測所地上並びに海上観測船舶観測、いろいろな観測があるのでありまして、定点観測はその中の非常に重要な一点をなしておつたわけでございます。でございますから、その精度の低下しないようにできるだけ他のものでいたしまして、作業の困難は我々忍びます。その努力によりまして復活するまで何とかいたして御迷惑をかけないようにと心がけております。
  20. 大倉精一

    大倉精一君 そこでその点を成るべく少くするように努力するというようなお話ですが、私の頂いた二十八年十二月二十四日の気象台資料を見ますというと、その中にこういうことが書いてある。「この業務定点観測の行われる前は商船による海上気象資料のみによつたため、精度において劣り、従つて警報内容も詳しさを欠いておりましたが、」、こういう一文がありますが、従つて私は、定点観測廃止した場合においては、如何に努力をしてもやはり技術上カバーはなかなかできずに、これが昔の通り商船による海上気象資料のみをとるという現象が必然的に出て来ると思いますが、その点はどうですか。
  21. 和達清夫

    説明員和達清夫君) ここに書き上げました通りでございます。ただ技術者的に詳しさを欠いておるというような文句は技術者的に非常に良心的に書いてあります。これがないからといつて決して船が一度に危険に陥るわけではございません。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 まあこの点の御答弁がいろいろ非常に私はあいまいだと思うのですが、一度に船が危険に陥る虞れがないというようなお話ですが、或いは一度に陥る場合があるかも知れない。まあこの前も私言つたのですが、天災は忘れた頃に来る。と同時に忘れない頃に続いてやつて来る。こういうことで全く不測の問題である。特に直ちにその弊害がないとおつしやるが、私は東京毎夕新聞にこれは二月の四日ですが、ここに現にこういう事実が報道されております。「定点観測廃止されて以来二カ月余その間に去る十二月二十六日第五幸生丸北方定点付近で低気圧に遭つて行方不明となりあたら四十六名の人命が失なわれた」、こういう事実もあります。又先般の大雪に際しましても、都内の各新聞には、定点観測廃止によるところの気象観測の欠陥が出ておるのだと、こういうふうに言われておる。而も最近においてはこの問題が漸く社会的に非常に大きな関心を持たれて来ておる。各方面意向として十二月十八日には日本船主協会、或いは一月の二十三日には全国漁業協同組合、一月には日本水産会、或いは二月の二日には全国農業委員会、こういうようなものが、更に先般の二月一日の全国農漁民大会によりましても、定点観測復活を要望しております。具体的にこういうような社会的に関心を持たれて来ておるのですが、こういうところに更に若干の財政上の困難を理由にしてこれを廃止するということは、非常に大きな問題だと思います。この点に関して台長はどういうふうにお考えになつておりますか。
  23. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 仰せ通りでございます。私どもは定点観測復活できるように最大努力を払いたいとは思つております。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 聞くところによると、この定点観測復活に関する予算気象台にはできておつたということを聞いておりまするが、その予算は内閣に或いは政府に御要求なさつたかどうか。最近において御要求なさつたかどうか、一つお伺いいたします。
  25. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 経費として業務費四億二千万円、観測船代船建造費三十二億円を要求しておりましたのでございますが、その後いろいろの事情がございまして、緊急水害対策その他いろいろな事情がそれと競合した結果、このほうはいたし方なしとしてあと廻しになりました。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 それじやもう一つお伺いしたいのですが、同じく十二月二十四日の資料によりますというと、この定点観測業務についてこういうようなことが書いてあるのですが、「各国共地球全般にわたる広範囲の気象をは握することが必要となり、そのために各国自国の近海を分担し気象観測を行つている現状にあり、これは国際航空、航海に対しても重要な貢献をいたしておるものでありますので、日本周辺の海洋上の定点観測は、国際的協力のためにも、重要なものと存ぜられます。」こういうように最後に結んであるのですが、こういう見地からいつても、定点観測というものは、是非必要なものであると私どもこう考えておりますが、こういうような国際的な影響のある問題について、どういう工合にお考えになつておりますか。
  27. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 我が国が国際民間航空条約或いは世界気象機関条約、そういうものに加盟いたしましたのは昨年の末のことでございます。まだこういう問題につきまして、会議において正式に検討いたしたことはございません。いずれそういうところの議題について論ぜられるものと思いますが、世界中におきまして、この洋上定点観測費用が相当かかりますために、いろいろな問題が現在あるということを私ども聞いております。その点は我々も国際的にも考えなくちやならず、又日本が特に気象が複雑で定点観測が重要な所でありますから、単なる国際的見地でなくして、自国の問題としても十分考えなくちやいけないと思つております。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 そこで気象台長さんにいろいろお伺いしても、これはあと運輸大臣のほうになると思いますが、ただ一点、この問題について我々非常に重視をして、十二月十四日に緊急運輸委員会を開いて、そうして定点観測復活については、二十九年度予算において特に考慮しろという決議をいたしましたし、衆議院の運輸委員会におきましても同様の決議をらせれておりますし、そうして又台長にもお会いして、台長も積極的にこの問題の復活に対しまして努力をする、こういう工合仰せになつたのですが、その後この定点観測復活についてどういうような努力をなすつたか。その点について、どういう工合にこの定点観測復活について力を尽したかということについてお伺いしたいと思います。
  29. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 仰せのように、予算に関して両院の委員会から決議を頂きました。その前に気象業務整備とそれから水害対策、そういう問題にも御決議を頂いております。その前のほうも同様に重要なものとして何とかそれを実現すべく努力いたしております。その二つを実現するのに、本年度におきましては御覧の通り非常に定点のほうは経費が莫大でございますので、遂にこの両者の兼ね合いから本年度はそれを実行することができなかつた次第であります。なおこれを何とか実行しよう、特に問題は船の問題でございます。それで船を今まであるのを大修理して強化して何とかならないかということを検討いたしましたが、そのほうも修理は結局不可能であるということになり、なお船を得ることにつきましては、私も関係方面にかなり話したりして、努力もして見ましたが、まだその結果は実を結ばぬ、そういうようなことであります。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 この船を得るために、関係方面というのは大体どういう所か。ちよつとお差支なかつたら伺いたい。
  31. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 私は非公式にアメリカ気象隊長にそういうような話が具体化してもらえることができるのだ、そういうようなことも聞きました。まだ別に答は得ておりません。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 アメリカだけであつて、自主的に日本の国でやるという方面に対して、船の問題についてはおやりにならなかつた、こういうことですね。  最後一つお聞きしますが、大体予算としては新造船二千トン級を五隻作るということで、三十一億ぐらいの程度予算でいいのか。そうしてその新造船造つた場合の船に関する経費が約三億くらい、こういうような大体両方合せて三十三、四億という程度予算を計上すればいいのか。それはそれでいいわけなんですか。
  33. 和達清夫

    説明員和達清夫君) ここに書いてございますように、現在といたしますと、船の建造費が三十二億円と、年間の業務費二つの点で四億二千万円でよろしうございます。
  34. 大和与一

    大和与一君 大雪あとにも新聞発表があつて定点観測をやめたからそのせいもある、こういうような書き方をした新聞があつたと思いますが、今もああいう新聞が御紹介があつたのですが、こういうふうに書かれたことは気象台としてお頼みになつたのですか。
  35. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 私の知つている限り誰も頼んだ覚えはございません。
  36. 大和与一

    大和与一君 そうだとすると、消極的な立場から世論がこれほど硬化したというか、よく理解して、どうしても作つてもらわなければ困るのじやないか、こういう一つの声だと思うのです。その声があつたのに対して、具体的に政府なり、当局のあなた方の上司に対して要望或いは措置はどのようになされましたのですか。
  37. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 定点観測の必要なことを述べまして、所管の上司にいろいろ要望いたしました。なお定点観測の必要なことは、ここに書き上げた通りでございますが、御承知のように、気象事業はいろいろな問題を総合して極力やつておるのでございまして、先ほどの予算説明におきましても、既定経費というものは非常に困窮をしておるということは御存じの通りだと思います。なお新規に水害対策、いろいろの問題がありまして、それもいろいろ見て頂かなければならん、そういうような状態におきまして、定点観測というものが別枠であるならばとにかくといたしまして、事実上は気象業務費というようなものを、或る程度財政上においてこれをいたすときには、この莫大な経費というものを割愛せざるを得なくなつたということにつきましても併せて御了承願いたいと思います。
  38. 大和与一

    大和与一君 そういう基本的な主張はすでにおやりになつているのですが、具体的に社会事象として或いは新聞その他の問題が出たときにそれを取上げて、積極的にやつぱりやつて頂くことのほうが要求を少しでも前進させることだと思います。運輸委員会ですら決議してもなかなか政府がそつぽを向いて相手にしない。頼れるのは世論の力だけ。たまたまその世論が新聞に出た。今その内容としてはいろいろの関係の団体がやつてくれているというときに、或いは逆にいつて積極的にこれでは中央気象台としては責任を持てん、こういうように積極的に世論に訴えるほうが、新聞発表その他の機会にお話をされるということが、別に台長さんの首がどうこうじやなくて、世論に訴えるべきなんですから、そういう点をむしろ積極的に利用して頂く、活用する、そういうようなお考えはございませんでしようか。
  39. 和達清夫

    説明員和達清夫君) いろいろ有難うございました。そういうこともよく伺いまして、できるだけの私の職分を尽したいと思います。
  40. 大和与一

    大和与一君 今回の定点観測廃止について、日米行政協定による約束は全然なくなつてあとくされもないわけですし、今度はマーカス島の何とか協定を結んでいる。これも向う様の都合で、おれはいやになつた、そんな金を出したり六十人も抱えておくのはもつたいない、こういうふうに言われた場合に、私としてはしようがありません、こういうことで引下がるのですか。そういうような可能性があると私は思うが。
  41. 和達清夫

    説明員和達清夫君) マーカス島は行政協定ではございませんので、契約においていたしております。予告期間とかそれもございますが、それも十分ではないかも知れませんけれども、その点は契約をできるだけ変えたいと思つております。マーカス島の気象観測は、我が国から相当離れた所にございますが、その観測も我が国にとつては相当重要でありますので、これが米国で不要になりましても、我が国としては続けたいことは万々でありますが、何分にも我が国の現在領土でございませんので、その点につきましては、定点観測とは少し違うかとも存じます。
  42. 大和与一

    大和与一君 そうすると、廃止された定点観測のほうが極めて重要である、こういう御意見ですね。一体定点観測というのが、今度の予算なんかでも気象台としては扱われる問題なのですが、或いはその他いろいろたくさんなことがあるのですが、その優先順位はどの辺に入るのですか。
  43. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 非常に重要ではございますけれども、最優先ではございません。
  44. 大和与一

    大和与一君 そうすると、定点廃止されたことによつて、或いは夏の間は南方を少しやり、或いは北のほうも巡回船を散歩させて、それくらいで大体いい、こういうようなことになると、運輸大臣が今回の廃止によつても必ずしも重大な支障がない、こういうことを肯定されたのか。
  45. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 断定して支障なしとは、私は申せないと思いますが、程度の問題でありますので、そのパーセントの下ることについては、非常に遺憾だと思つております。
  46. 大和与一

    大和与一君 そうすると、飽くまでもパーセントの下り工合であつて、それによつて船が引くり返つても、例えば貧乏人が麦を食つてもしようがない、それで死んでもいいという言い方は、たとえば適切ではないかも知れないが、やつぱり船が一ぱい引くり返つた、何人も怪我をした、そういう事実があつても、これはしようがないので、できたらやりたいけれども、まあ最優先でもない。そうすると、初めに台長さんが運輸大臣に承諾を与えたということは、ただそれによつてそこに使われておつた人が減る、これは困るから、これだけは助けてもらいたい、こういうことに大体話が納まりますかね。
  47. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 私どもは、三陸沖におきまして船が気象の原因のために沈んだ、それが気象台から発表した気象通報が適切でなかつたということを伺えば、胸が締められるように悲しいのであります。併しこの定点観測がなかつたらどうか、あつたらどうか、無論あればよかつたではありましようが、なかつた場合に防げなかつた、あればどうなつたかということは非常に検討を要する問題だと思います。それで大臣がそれほどの迷惑をかけないようにしてやらせようというふうに言われたということは、財政的その他から考えて発言されたと思います。私どもも財政的にいたし方なければ、その趣旨でできるだけの努力をして、そういうような間違いはないように努力を、少くとも定点観測が再開するまでそれに全力を注ぐことを申上げたいのであります。
  48. 大和与一

    大和与一君 おつしやることは大体わかるのですけれども、併し今まで定点観測をしておつた形と、今回巡回船がたまに行つて来るなんということは、むしろやらんというより同じじやないか、やつてもちつとも効果がないじやないか。これはやつぱり或る程度最低線というものがあると思うのですよ。これは限度があつて、それと定点観測はしないけれども、例えば半年に何回ぐらい廻るとか、或いは一カ月に何回廻るとか、こういうようにレギユラーに行けばいいけれども、たまに巡廻船がふらふらと行つて散歩していて、これを定点、今までやつてつたのとそんなに変らない、これは気休めにやつているのじやないか、こういうことならやらんほうがいいという意味ではなくて、もうこれは最低線はあなた方のほうで責任を持つて、ここまでやるという譲れない線があるのじやないかと思いますが、これは如何ですか。
  49. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 例えば北方定点観測につきましてその任務は気象観測と海洋観測二つあるのです。往復の途上で海洋の観測をする、或いはそこにいたときに海洋の観測をするということは、海洋自体の潮調にも関係があるし、全体的な状態というものにも関係がある。併し日々の気象観測をし、上層の観測をするということは、日々の天気の概況、或いは予報に関係し、それが海上保安にも関係する。その巡廻いたすということは、海洋観測だけでは困るので、海洋観測におきましては、そういう限られたときにきまつたルートでやつたり、そこでやるよりも、適当なときに適当に巡廻してやつたほうがいいかも知れない。併し気象観測のほうは巡廻してそう補えるものではございません。
  50. 大和与一

    大和与一君 そうすると気象観測のほうはもう殆んどやらないのですね、北のほうは。
  51. 和達清夫

    説明員和達清夫君) それは船舶からの通報をもらう、専門の観測船にあらず、こちらが委託したのを極度に活用するよりほかない。
  52. 大和与一

    大和与一君 そうすると、もう全然やらないと同じですね。通行の船舶から便宜やつてもらう、それによつて今まで固定した定点観測しておつたものを補えると思わないけれども、それじやあなたのほう、まるで北のほうがないのと同じだから責任が持てない。さつき言つた、何とかなるだろうというお話は、ここで壊れそうな気がしますがね。
  53. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 定点観測というものは戦争の、航空のためにできたものでありまして、その以前は、その海上船舶が唯一の頼りで、長い間この海上観測というものは全部出しておつたのであります。それが戦争のために定点ができまして、各国がそれをやりまして、そしてそれが、航空だけでなく、気象にも相当大きな役割を果すということを発見いたしまして、それが作られたわけであります。そして我々もそれを発見した、こういう次第であります。
  54. 大和与一

    大和与一君 今まで、前に航行の船舶からだけそういうふうな連絡を受けておつたということは当り前なんで、それは未熟だつたのですね。今おつしやつたような定点ということを飛躍的に、或いは気象その他においても非常にこれはいいものだということをみんな確認をして、それでやつたら、これは金のことは都合つかなかつたから、アメリカに手伝つてもらつた、こういうことになるのでしようが、そうなるとなお更これをやめたことは、又航行の船舶から何とかしてもらえばいい程度だということはどうしても納得ができないのですがね。次善の策、或いは三善の策、四善の策ということはないのですが、それくらいのことを考えても、定点がいきなり航行船舶からもらう、こういうことは随分飛躍した話だと思う。そういう点がもう少し台長さんとしても説明をもつと強くして頂く、或いは理論的にもできるのではないかと思うのですが、今まさにあなたのおつしやつたことをつくづく感じているのですが、そうなれば専門的にもつと予算復活する努力ができるのではないかと思うのですが、あなたのほうは船がなくちやいかんけれども、理論が明解であつて、明確ならば大臣に認めさせることになる、責任がちよつと……やる気になればなるのです。大臣を納得させないから、いろいろ言うけれども、金がないから船はできないと言つておられるのですが、今台長さんのお話は、専門的に高邁な意見だと思うのです。それならもう少し、下り過ぎている、もう少しばんとしてやつてもらわんといかん。そういう裏付けをしつかり作つてもらつて委員会にでも出て来て政府鞭撻する、そういうことにならなければ、そうなれば、逆に言えば、今おつしやつたことは、どうも北のほうは責任を持てないということになるのです。北のほうはそんなにぴしやつとした定点があつたら、相当あらゆる面において冷害とか水害とか災害とか相当予防できたのに、これがなくなつた、殆んど零に近くなつたから、それによつて非常に重大な悪い面が起るということがあり得るわけですから、そういう点からもう少し自信と勇気を持つて一つもつとやつてもらえませんか。ちよつとその話は飛躍し過ぎてちよつといかんと思うのです。納得できないと思いますがね。そうなると台長さんの言われることは、運輸大臣がまあまあ何とかなるだろうと言つたことを肯定したことになる。運輸大臣は知らんからそんなことを言つているのです。台長としては、これじや困る。定点観測ができなくて、その辺を通る船に頼むということは。気象台長としての少し責任なりをもうちよつと承わりたいと思うのですが。
  55. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 仰せ通りでありまして、私は大いにその点につきまして努力いたしたいのでありますが、海上気象の問題は、何しろ海は広うございまして、一点の定点があつたからとしても、そこの定点の近所にたくさんの標準になるものがあるということです。又他にも、広い海上にも定点がなくてはならない。併し何といつて定点は相当の費用も要りますし、そう無制限に置くことはできない。そうすると主体は船舶であつて定点は羅針盤の役を持つておるので、一点の定点というものが果して、それはそれだけとして価値があると言うならば何ですが、又広い海のことでありますから、先ほどから何度も言いましたように、それは総合されてでき上つたものの一つであります。先ほど言いましたように、総予算が十七億であるので、それだけの定点に金を入れるということは、単純には私は考えることなく、大いに検討した上でいたしたいと思うのであります。世論は、あなたもおつしやる通り定点については随分私どもも感激をしておりますが、定点のようにわかりやすい問題と違つて、又わかりにくい気象上の困難についても随分たくさんあるのです。そういうことに対して私どもいろいろ苦労をいたしておる次第でございますが、それらを御賢察願いまして、我々は良心を以て最も日本に適当な気象観測をいたそうという気持をどうぞおくみとり下さりまして、この定点についてもよろしく御指導を願いたいと思います。
  56. 大和与一

    大和与一君 曽つてつた定点附近を航行する定期船は月に何ばいでございますか。もう一つは、その附近をうろうろする船、それは中央気象台にどういうふうに、毎日何時に連絡するようになつておるか、それを伺いたいと思います。
  57. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 気象業務法できめられておりまして、或る程度以上の大きさの船では、運輸大臣の指定によつて気象通報をいたさなければならん。外国の船舶も領海においては、日本の範囲内では、日本に報告するようになつております。今まで日本の範囲内では日本に報告するということになりまして、三陸沖あたりでもかなりたくさん、日によつて違いますけれども、十あることもあります。一般のこともありますが、とにかく定点を中心にたくさんその近所に船があるのです。その羅針盤をなすのは定点であります。その打込むのは二度か四度で、普通の気象通報はそこから打込んで来るのであります。
  58. 大和与一

    大和与一君 そうすると、定点の必要性、絶対必要性と航行船舶から受ける連絡、そういうもののウエイトが初めのお話と大分変つて来たのですが、そうするとどつちにしても実質的によければいいのだけれども、さつきのお話では、えらい力説されて定点は実際重要だ、こういうことになるのですが、今のお話では、航行の船みたいに動いてしまつた……がそれも極めて重要だ、こういうお話があつたから、これはこの辺でやめておきますが、これは一つ頑張つてもらつて、あなたのほうで是非やつてもらいたい。  最後にお聞きしたいのは、国際的に日本気象業務定点もその一つですが、こういうものも勿論十分ではない。これは敗戦日本の再建の過程ですから、なお更そうだろうと思いますが、その他の国と比較した場合、実質的にほかの国もこれくらい十分でないのが当り前だ、こういうふうな言い方ができるのか。ほかはさすがにもつと整備されておると言えるのか。これは今お答えになれないならばいいですが、その辺をお聞きしたいのです。
  59. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 定点観測はなかなかに費用がかかりますので、アメリカは大西洋にも相当数を運営しておる。それから太平洋にも、御承知のように日本に補助しておつたほか自国のものとして数地点は持つております。併し例えばイギリスでありますと一カ所と、あともう一カ所は他の国と共同する、或いは一カ所やるのに数カ国が金を出し合つてやるとか、なかなか一点を持つだけでも非常な問題で、これは国際条約でいろいろ検討してやつておるのでありまして、この定点というものは、いつもそういうふうに国際的にいろいろ相談しなければならないものになつておる。私は先ほども申上げましたけれども、国際的観点だけでしたら、或いは日本の現在の財政状態ではなかなか定点もしにくいということも考えられるのであります。併し私は国際的以外に、日本という国が海に囲まれておつて、而も東のほうは太平洋で何もないという所において、特にそこに日本独特の定点の価値を認められて、我が国が他国よりも多くこれについて経費を出して然るべきじやないかと思つておる次第であります。
  60. 大倉精一

    大倉精一君 関連して二、三御質問申上げます。これは重複するようですけれども、私お伺いしたいことは、定点観測に関する限りいろいろ私も研究しました結果、私自身としては、どうしてもこれは復活させなければならんという自信を持つておる。それでこの問題に対する気象台長さんの熱意というもの、それから積極性というものが相当大きな役割を持つて来るので、この点に関しては、先ほどのお話を聞いておりますと、何か初め非常に大事なような、或いはそれほどでもないというようなことに聞えるのですが、そういうことでは私は定点観測或いは気象業務全体についても、又他もそういうようなことがあるのじやないかという気もするのです。私は十七億の枠の範囲でやれとは言つておらないのであつて、この予算定点に必要な枠をとらなければならんという考えを持つて申上げておるので、従つて気象台長さんもそういうつもりで、一つさつき申上げたように、社会的な世論が非常に大きくなつて政府の認識よりも農民、漁民という直接そういう関係の民衆の認識のほうが先走つてしまつておる、そういう中でこういう関係の人たちの気象台長さんに対する期待というものは非常に大きいのですから、私はこの点一つ台長さんに更に積極的にこの点に対しての御努力をせられるように一つ要望しておきたいのであります。  更に、この際ちよつと私御質問申上げたいのですが、「定点観測点X及びTの運営中止に関する日米合同委員会の取極事項」というのがここにあります。この事項は本質的にはアメリカの軍事的要請であつて、決して好ましくないことであるのですが、私はこの中で「日本代表団首席委員は、本計画を日本財政援助の下に継続することが気象学的に望ましき旨を日本政府に納得させるため、あらゆる努力を払うものとする。」、こういう一つの取極があります。こういう本質云々ということは別にしまして、こういう取極に対して代表責任は誰であつたか。それから台長はこれに対してどういう努力をされたかということをお聞きしたい。
  61. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 代表は私でございます。私先ほどからこの点について申上げたのであつて、私自身がその努力が不足だといたしますれば、大いに反省して今後とも努力いたしたいと思います。
  62. 大倉精一

    大倉精一君 そこで更にその協定取極の中で、船舶に関してこういうような取極があるのですが、「定点業務使用のため現在日本政府に貸与中の海防艦5隻(新南丸、竹生丸、鵜来丸、生名丸、志賀丸)は、できる限り速かに日本政府に返還するものとし、且つ、」「これらの船舶は、定点業務遂行の目的を以て中央気象台の使用に供するため、運輸省に引渡すものとし、定点業務に必要としない船舶は、日本海上保安庁の使用に供するため運輸省に引渡すものとする。」こういうことがある。そこでこの五隻の船は、この定点業務に使用するというためであつて海上保安庁に使わせるために日本政府に貸したものじやない。而もこれは「定点業務に必要としない船舶」、必要としない船舶であつて、それに堪えられないということは書いてない。従つてその当時「必要としない船舶」というように書いてある以上は、初めから定点業務というものはやる肚はなくて、もうやらないのだから、必要がないのだかう、必要がないから返す、こういうような解釈に立つてお返しになつたのかどうか、その点気象台長さんから御説明願いたい。
  63. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 船を私は日本に譲り受けたいと思いまして、その点についてあらゆる努力をいたしまして、そうしてその船をもらう際に、そういうふうに書くべきだと私は主張いたしました。それで定点観測と……ここで原案を言う必要もないと思いますが、初めはそういうふうに書かれておりませんでした。それでそこには、定点観測に使うためにその船をとありますけれども、あれが北点に使えないということが、その問題の起りでございまして、アメリカといえども、この船が北点には少くとも使えない、南点においても、若し暴風に堪えてやるには不十分であるということは重々知つておるのです。それで結局運輸省に五隻引渡されまして、それで二隻は確かに夏期半分は定点観測に使うのでございますが、気象台あとの半分を持つておりましても特別に使用することはございませんので、海上保安庁が持つておりますれば、夏期半分には気象台定点観測のためにその船を提供し、そのサービスをする。そうしてあと海上警備に使うというほうが船の能率としてはよろしいと存じまして、海上保安庁にその船を移すことに私は賛成したわけでございます。
  64. 大倉精一

    大倉精一君 どうも今の説明は何か苦しい答弁のように思うのですが、このままで行くというと、「定点業務に必要としない船舶は、」云々ということは、結局その船舶はこれはその当時定点観測には使えないということを認識しておつた。併しながらやはり使えないとすれば、使えるものを使わなければならん。造つた場合に必要としなくなる、そういう場合には海上保安庁のほうに使いなさい、こういう意味により受取れないのですが、そういうことじやないんですか。
  65. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 大体そういうことでございますが、私としましては、船は北方の海面では使えませんけれども、日本として是非とも譲り受けたいと思いまして、そういう条文になるように努力いたしたのであります。なおその船では無理でありますが、一年中気象観測をいたすというような場合には、果して海上保安庁の所属で気象台の職員が乗込むのが観測として適当であるか、或いは気象台自体が船を持つて気象台自体が観測をするということが適当であるかということは、おのおのに意見があると思います。少くとも中央気象台としては、自分で船を持つておることが都合がいいのは事実でございますが、それは改めて運輸省内においてお話合いをいたして行きたいと考えております。
  66. 大倉精一

    大倉精一君 いろいろと言い廻しはあるが、結果においてあなたがこの船を是非とも日本に返してもらいたいということは、海上保安庁の仕事を強化するために譲り受けを希望した、こういうことになるのですか、そうならないのですか。
  67. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 結果においてはとにかく、私はその船は定点観測には危険は多少ありますが、日本では十分何かに使えること、少くとも気象台観測にでも使おうと思えば使える、海上観測に使おうと思えば使えると思います。そういうようなことで私はそこまで、今までいろいろ修理をしたり、装備を施したりした船に対して是非とも日本にこれを譲り渡されることにしたいと思つていたしたのであります。結果については又別問題だと思います。
  68. 大倉精一

    大倉精一君 聞くところによるというと、海上保安庁にこの船を譲渡する際に海上保安庁のほうでは、この船は定点観測業務遂行の目的を以て日本に譲渡されたものであるから、こちらへもらい受ける理由がないからもらい受けないというような意思表示をしたということを聞いておりますが、どうでございましようか。
  69. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 私の知る限りそういうことはございません。
  70. 大倉精一

    大倉精一君 若しそういう事実があつたとしても、台長さんはお知りにならなかつたということですね。こういう工合台長さんにお伺いしたりいろいろするゆえんのものは、結局台長さんの肚の中では、定点観測というものは復活しなければならん、いろいろな民生安定のためにも、或いはいろいろな海上安全のためにもあらゆる観点から、更に又技術者としての観点から、これは復活しなければならない、こういう工合にお考えになつておると思います。我々運輸委員会としましても、これは満場一致を以て復活するようにという強い希望をいたしております。我々としても復活に関して今後とも努力いたしたいと思いますが、肝腎の台長さんが我々と共にこの復活について、極端に言えば首をかけてでも社会のために、国家のために奮闘するということをお誓いできると思いますが、どうでしようか。
  71. 和達清夫

    説明員和達清夫君) いろいろ御親切に有難うございました。そのように努力いたします。   —————————————
  72. 前田穰

    委員長前田穰君) 他に御質問がなければ、鉄道監督局所管の予算説明植田鉄道監督局長からお伺いいたします。
  73. 植田純一

    政府委員植田純一君) 鉄道監督局関係の御説明を申上げますが、御承知の通り国有鉄道それから民営鉄道、鉄道車両工業に関します事項を所管しておるわけでございまするが、詳細につきましては、お手許に鉄道監督行政の現状という資料を配付してございますから御覧頂きたいと存じます。なお、全部を御説明申上げておりますと相当長くもなりますので、このうち特別に抜出しまして御説明を申上げたいと思います。  先ず鉄道車両工業の現況でございますが、二十一頁でございます。鉄道車両工業につきましては、主な車両メーカーは二十社、二十三工場ございます。これの年間設備能力は、金額に換算いたしまして約六百億円、稼働能力は約四百億円でございます。二十七年度の生産額は約百七十億円でございますので、稼働能力に比較して見ましても五〇%に満たないような状況でございます。二十八年度におきましては、受注額におきまして約二百五億円の予定でございます。この鉄道車両の需給状態は、戦前におきましては国鉄が四、輸出が四、私鉄が二、かような割合であつたのでありますが、終戦後は国内需要が主でございまして、二十七年度におきましては国鉄が七、輸出及び特需が二、私鉄が一、かような割合になつておるのでございます。今後この鉄道車両の輸出という面につきましては、極力これを伸ばして参りたい、かように存じまして、この企業の合理化ということを強く主張いたしておるわけでございます。鉄道車両の輸出の状況は、二十七年度の契約実績は二十四億七千四百万円という状態でございましたが、二十八年度におきましてはいろいろ各方面努力をいたしました結果、非常に伸びて参りまして約二倍以上の五十四億七千六百万円、一月末現在でかような成績を示しております。造船に次ぐ輸出としまして重要な業種になつておりまして、この輸出を今後ますます伸ばして参りたい、このためのいろいろの方策を考えて参りたい、かように存じておるような次第でございます。  次に国鉄の関係でございまするが、国鉄の関係につきましては、先般国鉄の経理局長からも国鉄の現状につきまして詳細に説明がありましたところでありますので、大部分省略させて頂きたいと思いまするが、このうちの国鉄の新線建設につきましてでございまするが、この国鉄の新線建設につきましては、本年度当初は九十億の予算を計上いたしておりました。途中補正で七十一億くらいに削減になりましたが、本年度着工いたしております線が合計で三十線、約八百八十一キロの工事に着手いたしておるわけでございます。本年度中にこのうち六線完成の予定でございます。現在までに四線が完了いたしまして、この三月になお二線が完了いたす、かような予定になつております。従いまして二十九年度に引継きます工事は二十四線になるわけでございまして、この二十四線を経済速度で実施いたしまするといたしますと約百十億の予算が要るわけでございます。実はこの百十億の予算を要求したわけでございまするが、政府財政規模の縮小の方針もございまして、この資金の関係で二十五億ということで現在予算に計上いたしまして御審議を願つておるような次第でございます。ただこの二十五億ということで具体的にどういう建設計画をやるかということを現在検討中でございまするが、実はなかなかその案が立たないような状況であります。と申しまするのは、二十五億でこの二十四線を予定通り遂行できないということは勿論のこと、どうも細々ながらも継続が困難である、即ち年度途中で自然に打切りになつてしまつたり、或いは中には仕事をストツプしなければならんというような線も出て来るような状況でございまして、こういう事態を極力なくしまするように、何とか細々ながらでもこれを継続して参りますように、現在その方策につきまして目下検討いたしておるような次第でございます。なおこの建設費の予算につきましては、実は国鉄財政の現状からみまして、政府出資で是非やるようにして頂きたい、まあかような考えで百十億の政府出資ということを当初要望いたしたわけでありますが、なかなか財政の状態から申しまして到底政府出資ということが受入れられない、まあ止むを得ずこの点につきましては実現ができなかつたわけでありまして、この政府出資ができない場合には、せめてこの建設線の利子の補給という点につきましても協調いたしましたようなわけでございまするが、この点につきましても遺憾ながら実現をみなかつた、かような状況でございます。  次に私鉄の関係でございますが、私鉄の関係のうちにおきまして、昨年の国会で成立いたしました地方鉄道軌道整備法によりますところの補助を二十九年度予算におきまして要求いたしまして、まあ初めて計上になつておるわけでございます。御承知の通り北海道に関しましては、北海道拓殖鉄道補助ニ関スル法律というのがございまして、実はこの法律も今度の地方鉄道軌道整備法に吸収されたわけでございまするが、本年度におきましても約一千万円近くの補助費が実は計上されておるわけでございまするが、地方鉄道軌道整備法といたしましては、北海道の従来からございます分も含めまして相当多くのものを実は要求いたしたのでございまするが、新規補助に対しまするところの非常に厳格なる査定の方針もございまして、二千五百万円ということに相成つております。この二千五百万円の具体的な補助の対象につきましては、現在政府部内におきましてなお実は打合せ中でございます。従来からございますところの北海道の鉄道のほか、新たに地方鉄道軌道整備法の対象として補助の対象になります鉄道は、法の趣旨に沿いまして極めて厳重に審議いたします関係もありまして、極めて少数なものになるのではないか、かような見通しでございまするが、現在具体的に検討中でございます。  次に鉄道鉱害復旧費の補助でございますが、特別鉱害復旧費補助といたしまして、二十六年度以降毎年計上されてございます。これは戦争中の石炭濫掘に基因する鉱害復旧に対しますところの補助でございまして、二十九年度におきまして四千百万円を計上いたしております。なお実はこの鉱害に関しましては、先に申しました戦時中の石炭濫掘に基因する鉱害復旧、いわゆる特別鉱害復旧臨時措置法によります補助のほかに、それ以外の一般鉱害につきまして、臨時石炭鉱害復旧法というものが昭和二十七年に制定されまして、この一般鉱害につきましても、国の補助によりまして復旧を促進するという建前になつておるわけでございまして、鉄道関係におきましても、先の特別鉱害のほかに、この臨時鉱害の復旧につきましても、実は当然その対象となる鉱害がございますので、実は補助を要求いたしておつたわけでございまするが、この一般鉱害に対しましては、実は政府部内におきまして鉄道に対する補助は話がまとまりませんで、その予算の計上に至らなかつたような次第でございます。かような状況になつておるわけでございます。  非常に簡略に申上げまして、或いは重要な問題が抜けましたかと存じまするが、なお御不審の点につきましては、御質問に応じましてお答えすることにいたしまして、一応説明を終りたいと思います。
  74. 前田穰

    委員長前田穰君) 御質問のおありの方は御発言を願います。  ちよつとお伺いしますが、今この中で北海道拓植鉄道補助費一千万円ばかりと言われたのは、この二千五百万円の中に含んでおるのか、その別の金額なのか、ちよつとよくわからなかつたのですが……。
  75. 大倉精一

    大倉精一君 何頁ですか。
  76. 植田純一

    政府委員植田純一君) 三十九頁から四十頁に、地方鉄道軌道整備法による補助がございますが、この北海道拓植鉄道補助法によりまして、実は二十八年度、本年度におきまして一千万円近くの補助費が実は計上されておるわけでございます。二十九年度におきましては、この地方鉄道軌道整備法による補助といたしまして、一本として要求いたしたので、それが二千五百万円計上されておるわけでございます。
  77. 前田穰

    委員長前田穰君) 一本ですね。
  78. 植田純一

    政府委員植田純一君) そうでございます。
  79. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 簡単に一点お伺いしたいのですが、鉄道の新線建設の問題ですが、現在の建設工事の進行状態をこれ以上詳しく何か説明されたものが我我にすでに廻されているのですか、どうですか。何か参考資料が……。
  80. 植田純一

    政府委員植田純一君) 実は当委員会にはまだ提出していないかと思いまするが、先ほど高木委員からそういう点についての資料の提出の要求もございましたので、早速その点につきまして提出いたしたいと思います。
  81. 森田義衞

    ○森田義衞君 この新設線、今年の残りました二十四線を二十五億円でやるといつた結果、小委員会その他で御検討になつているようですが、大体今から見通しはどんな姿になるか、お見込みをちよつと聞かしてもらいたいのですが……。
  82. 植田純一

    政府委員植田純一君) 実は一昨日建設審議会の小委員会を開きまして、二十九年度の新線の実施計画をどうするかということにつきまして、いろいろまあ御意見の交換を願つたのでありますが、実は二十五億では到底細々ながらでも全部を継続することは非常に困難である。従いまして、場合によりましては一部の線は打切らなければならんかも知れない。打切ることの是非は一応別といたしましても、打切るためにはいろいろのマイナスといいますか、プラスにならない経費も投じなければならん、かような状況でございまして、何とかしてそういうことを防止したいと、殊に一般の方針といたしまして、新線建設は何とかして細々ながらでも継続して行きたい、かような御意向が強い関係もございまして、その線に沿いまして更に国鉄におきましても、細々ながらでも継続できるような方法を検討して頂くと、又委員会委員の各位も何らかその財源を、例えば殖やすなら殖やすという点につきましても、実際どういうふうな考え方をして行けばいいかというようなことをお互いに考えまして、更にもう一遍集まつて一つ意見を交換しよう、かような段階になつておりますので、今のところ実は二十五億で行きますると弾力性が非常に少いと申しまするか、そう特別な妙案もないわけですが、何とか無駄のないように、無駄を極力なくするようにもう少しお互いに考えてみよう、かような段階になつているわけでございます。
  83. 森田義衞

    ○森田義衞君 私はこういつた二十五億は慎重審議されて、これが日本の経済再建に必要であろう、こういつた御認定だろうと考えますが、私自身も随分疑問もあるのでございますが、ともかくやる以上は折角の有効投資が、やはり経済速度で完成されて、折角のこの金が生きて来なければ何にもならない。それを細々ながら続けて行くという恰好ではおよそ問題にならない。或いは場合によつては一部のものは打切つても、或る場合は経済速度を以て、或いは何といいますか、速度を高めて早く有効な効果を挙げるといつたような御検討を願うとか、そういつた点が必要じやないか。或いはこれまでの調査線もたくさんありますが、こんなものに全部手を着けたところで、全く調査費をかけたところで問題にならん。そういつた点から本当に国土の再建の上において、産業の開発の上において必要だといつたところに重点的にもつとやつて行かれるように運輸省で再考願えないだろうか。こういつたことはまあ何といいますか、現在の予定線或いはその他の線でも、経済調査をやられますときには、大体において儲かるようなことを御計算なすつている。いざ始めてみると大体営業費がその四百倍とか五百倍で、国鉄のほうじやとてもその分では経営をやり切れないということで、国鉄自身は余り御歓迎になつていない向きも相当多いのじやないか。それよりももつと国鉄自身の金繰りの問題が多いから、既設線の完成からやりたいという御意向もある。そういつた国鉄の、企業体なら止むを得ないが、そういつたことでなく、国策的にやはり作るべきものは作ることが日本の狭い国土の上に、或いは産業開発上必要である。そういつたものは極めて限定して早くやることが必要じやないかと思う。そうするとなかなか現在の国鉄の性格の面ではそういうことがにぶいという感じが私どもはする。そうすると金はやるにしろ、今までのように政府の借入金でやらしてもらいたい、出資でやりたい、いろいろな問題を、鉄道債券でやるとすれば、それは改良でもどちらにでも廻せる。そうすると金は自然改良線に廻つてしまうということもできるが、別の性格、何といいますか、新らしい構想といいますか、鉄道建設公団といいますか、そういつたものが国の大事なものを建設するのだ、そうしてそれが仮に営業する段階になつたときに、国鉄に委託経営をさせる、委託経営させるにそれが非常に負担になれば、運賃を或る程度修正して賄うか、或いはそういつた利子補給をしてやるか、その段階になつて国鉄の経理内容考えながらやるべき問題じやないかというので、もつと抜本的な何といいますか、将来の建設計画の再検討を願いたいといつたことの個人的な考え方を持つているのですが、そういつた点で幾らか将来お考えになるおつもりがありますか、ありませんか。
  84. 植田純一

    政府委員植田純一君) 只今鉄道建設につきまして森田委員から御意見を伺いました。そういう点につきましては常に私ども考えている点であります。実は本年、只今申しましたように六線できますが、実は三十線、全線でまあ四百億要るという計画になつております。実際は或いはそれ以上要るのじやないかと思いまするが、そのうち二十七年度に二十五億、二十八年度に七十一億、合計におきまして百億足らずのものしか手に入れておらない。全部完成するのにはなお三百億以上のものが要る、かような情勢でございます。従いまして今後の新線建設をどうするか、どういう方針をとるかということにつきましては、たまたま二十九年度予算は二十五億ということになりまして、現在非常に問題といたしておりますが、実はこの二十九年度どういう方針をとるかということは、三十年度以降においても一体どの程度建設資金を充当されるものか、或いはすべきものであるかというようなことも併せて考えなければ、二十九年度たまたま二十五億になつたからといつて、それだけのことを考えても二十九年度の計画は実は立たないのではないかと、かように考えるわけであります。只今申しましたように、三十線も完成するとすれば、なお三百億くらいの金以上のものを投資しなければできないわけであります。そういう点を考えまして、今後も基本的な考えをよく議論いたしまして、その線に沿いまして二十九年度の工事計画も立てて参りたい。ただ産業開発その他の点からいいまして、事情が許すならば是非この三十線というものはそれぞれ意義があるものでありますので完成して参りたい、そういう意味におきまして一応は二十九年度もこれをできるだけ打切るということなく、とにかく続けて参りまして、更にこの完成を促進して参りたいと、かような考えで行つているわけであります。  なお、この実際の国鉄に対しますところの例えば補助、補給或いは又、鉄道建設公団なんというふうなお話につきましては、十分今後も検討して参りたい、かように存じておるわけであります。
  85. 森田義衞

    ○森田義衞君 私はともかく今年度といいますか、七十億実際使つたと、九十五億の予算が出されたが二十五億になつてしまつた、一体どこに日本の再建の目標を立ててやつているのだか我我にはわからない。支那あたりでも、今は中共といいますか、相当のスピードを以て、実際開発すべきものは経済的にはなかなか合わないものがあろうと思うけれども、随分おやりになつておるのを見ても、日本の建設のスピードというものはもつと上げて、本当に日本の国土を再建するという見地から総合的にやつてもらいたいということを希望いたします。
  86. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は一点お伺いしておきますが、運輸行政をいろいろ細分いたしまするとむずかしい問題になりまするが、我々素人にはわかりがたい点も多々あるわけですけれども、併しやはり国鉄当局がやられるのではなくして、運輸行政の面でやはり素人にもわかるようなことが行われなければならんと、こういうふうに私どもは考えておるので、そのうちですぐ気付かれます点は、例えば東海道線の関係とその他の関係では著しく待遇等が違い過ぎる。これはもうしばしば発着があるなしだけでも、速度を尊ぶところの仕事というものは、それだけでもサービスが非常に落ちている。利用者の側からいえばそういうことになるのです。仮に貨物のように人間に余り関係がなくても、数多くの貨物列車が動くということになれば早く着くということになつてこの面で非常にサービスがよろしい、逆ならばサービスが悪い、こういうことになる。人間だつたならばなお更以て今日の用事が明日に延びるというような、そういう開きというものが余りあり過ぎる。一方に偏し過ぎはしないかということは、これは素人考えとしてすぐ出て来るわけですが、この面で或いは最高の方針というものがあろうと思つて過日も国鉄総裁にも、運輸大臣にも同じようなことを聞いたのだけれども、やはり要領を得なかつた。あなたのほうはむしろ直接手がけておられるのでありますから、再び質問するわけですけれども、ローカル線は勿論のこと、幹線といわれる中でも、例えば東京を基点として北に走るほうの私のしよつちゆう利用する汽車なんかでも、私は熊谷ですけれども、二等に乗つても恐らく掛けられるほうが先ず少い。私は東海道線もしよつちゆう利用しますが、これでは如何なる時でも掛けられる。細かいことを言えばそういうことになります。例は細かいけれども、要は余りにサービスに差があり過ぎると思います。これらを是正するということに努力が払わなければならんわけですが、その点はどうお考えになつておられますか。
  87. 植田純一

    政府委員植田純一君) 只今のお尋ねの点につきましては、前々から実はそういうお話を承わつておるわけでありまして、支線におきましてのサービスの向上ということにつきましても、勿論関心を持たないわけではないのでありまして、絶えず何と申しますか、均衡のとれたサービスということは、これは国鉄運営におきまして私ども十分考えて行かなければならん点であろうと考えております。ただ現実の姿は、只今御指摘のように非常に差があるということは事実でございまして、こういう現状で決して満足しておるわけではございませんので、極力幹線は幹線、支線は支線なりに均衡のとれたサービスを提供するように努力するということが目標であり、又勤めであろうと考えております。
  88. 天田勝正

    ○天田勝正君 そこのところは過日もあいまいであり今もあいまいである。努力する目標だとかおつしやるけれども、そういう答弁がこの委員会でいつも繰返されておるわけです。別に改善の跡は見られない。交通機関が発達するというのは、何といつても速度の問題です。同じキロを走るならば短時間で走るということが一つのサービスだと思う。もう一つは、一つの列車が出て次の列車の出る時間を極めて短くする。要するに一日に何本も出るということが、時間を待たないで済むのが一つのサービスだと思う。もう一つは、客席などの、そうした内容的なものだと思います。多くサービスというと、皆第三のことを言つておるが、私は総合的なものでなければならんと思う。ところが東海道線と、東京を基点として北に走るものは全部落ちておるから私には了解が行かない。北に走るのはせめて二等ならば、南に走るところのものの三等程度内容になつておるとか、或いはせめて列車の数は少いけれども、列車と列車の間の時間を短くするとか何かあればいいが、いいほうはことごとくいい、悪いほうはことごとく悪い。三要素とも悪い。私は改善しようと思えばできると思う。そう言うと、あなたのほうは北のほうは列車に乗る人が少いと、こういうお答えが出るかも知れませんけれども、我々の見る目ではそうでないから、こういう質問を繰返して言うのです。バランスをとろうとすれば南を減して北に廻すこともできると思う。内容の改善はできない、或いは間隔を縮めることができないとしても、列車を余計繋ぐということはよその線から持つて来ればすぐできる。こういうふうに素人考えにはなるけれども、そうした努力の跡が見られないのはどうしたことか、こういうことなんです。
  89. 植田純一

    政府委員植田純一君) 只今御指摘の点につきましても、極力改善すべくしておるわけでございまするが、どうも何と申しまするか、東海道線におきましても一朝一夕によくなつたわけではございませんので、なかなか目に見えて急速によくするということが非常にまあむずかしいような状況で、手が廻つておらないということにつきましては、甚だ申訳なく思つております。この速度それから車両、これはまあ速度の点につきましては、いろいろの施設の改善ということにも関係いたしますので、これもなかなか急速には参らないと思います。又客車の点につきましても、まあ非常に実は寿命の来ておる客車、或いは耐用年数の来ておる客車が相当あるような状況でございます。これにつきましても極力改善を図つておるようなわけでございまするが、なかなかいわゆる東海道本線とその他の幹線又は幹線と支線ということの差が現在あることは実は事実でございます。まあ列車の度数と申しまするか、間隔につきましては、これは或る程度いわゆる輸送量その他によりまして合理的に、かなり合理的に実は作られておるはずでございまするが、速度の向上、或いは又車両の改善ということにつきましては、今後とも一層努力すべき余地が多分に残されておる、かように存じまして、今後とも一層努力したい、かように考えております。
  90. 大倉精一

    大倉精一君 一つ関連質問ですが、東北線、常磐線については、これは国土の有効利用と産業資源の開発、或いは文化の後進性というようなものから、この北方線の強化ということは非常に焦眉の急であつて、大事な問題であると思うのです。例えば北方線を複線にするというような問題は、非常に大きな問題だと思うのですが、そういうような計画は今お持ち合せがないのですか。
  91. 植田純一

    政府委員植田純一君) 国鉄の電化につきましては、只今お話がございました東北本線、或いは常磐線につきましても非常な熾烈な御要望がございますし、又国鉄の運営の点から申しましても、経営の合理化の見地からも是非電化をやりたい、かような意向を持つておるわけでございまして、ただ現在御承知の通り、東海道線の電化を進めておりますので、極力この東海道線の電化を早く完成したい、まあかような心づもりでおるわけでございまして、従いましてまあこれは予算の関係もございまして、東北線、常磐線につきましては、今直ちに本格的に着手をするという段階には実は至つておらないわけであります。できるだけ早い機会にこの線の電化に手を着けたい、まあかようなつもりで考えておるような次第であります。
  92. 大倉精一

    大倉精一君 私の聞いているのは、東北本線並びに常磐線の北方線の輸送力を強化しなければならんということから、この北方線の複線計画ですね、こういうものはおありになるか、ないか。
  93. 植田純一

    政府委員植田純一君) 確かに終戦後の状況は、北海道を結ぶこの東北地方の輸送力の強化という必要に迫られております。それでこの東北線の複線化ということにつきましても、実は計画いたしておるわけでありますが、最もこの輸送力の点において緊要を感じておりますのは仙台以北でございます。仙台以北につきまして、この複線化の計画を立てておりまして、現在品井沼、石越間の複線計画を引続き二十九年度も続行する、かようなつもりであります。
  94. 前田穰

    委員長前田穰君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  95. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記を始めて。
  96. 岡田信次

    岡田信次君 大倉委員のに関連なんですが、東北線の輸送力を或る程度つけなければならんということは、これは確かだと思うのですが、複線にするということは、これは最後の手段なんだな結局、今までの輸送力の少くとも倍以上になるのですから、複線にすることは。結局最後の手段で、私はむしろ仙台以北を電化すれば、今の急勾配区間は相当輸送力がつくし、又他の区間でも電化すればスピードも輸送力もつくので、二割乃至三割は殖えるのですから、先ず電化をやつて、それで足りなくなつたら複線をするというお考えのほうが正当ではないか。複線に要する費用と、電化に要する費用とどつちがかかるかということを御検討になつたか。更に、東北線を電化しなければならんということは、大北海道との物資の交流にあるのですが、結局現在の海運というのが正常な状態にないので、将来東北線の輸送力を倍以上にしなければならんというのは、アブノーマルじやないかというようにも考えられるので、その辺についてお考えなつたことがあるか。
  97. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 只今の岡田先生のお尋ね非常に御尤もでございます。東北本線の複線化につきましては、これを青森まで只今全線複線ということは実は遺憾ながらまだ考えておりません。この旅客列車、貨物列車の数が非常に殖えまして、単線ではどうにもならないという所を、最も線路の容量と申しますか、線路のキヤパシテイの詰つた所につきまして逐次始めて参りたい、かように考えております。ただ複線の前に有効長の延伸でございますとか、或いは信号所の設置でございますとかいうような方法につきましては、東北本線の相当キヤパシテイの詰つた所につきましては極力やつている次第でございます。電化との比較というようなことになりますと、相当区間をとりまして、複線化することがいいか、或いは電化することがいいかということは非常に議論の対象になると思います。ただ電化は非常に短い区間を電化すればそれで直ちに解決をするということにはなりませんと思います。電化いたしますとしますれば、相当長区間の或る程度まとまつた距離について電化せざるを得ないのじやないか、かように考えているわけでございまして、東北本線の電化につきましては、むしろ東京から近いほうの側について一応只今のところではいろいろ考えているような状況でございますので、恐らく国有鉄道といたしましては、比較をいたしたことはあるかと思うのでございますが、そういつた事情と今日の予算状況を考えますると、東北本線の相当長区間に亘る先のほうの電化ということは、只今のところは考えられないのではないか。非常に姑息な手段のようでございますが、部分的にいたしましても複線化をいたしますれば、それによりまして現在非常に行詰つております単線区間の列車を入れる容量が膨れるわけでございますので、そういつた方法をとつておるような次第でございます。
  98. 岡田信次

    岡田信次君 それは短距離の電化は極めて非能率であるということは私も承知しているのです。ですから将来計画としては、先ほどの説明にも東北本線を百何十キロ電化するということが言われておるのだが、これを仙台、青森まで一挙にやつてしまう。差当つてつているのは、花巻、黒沢尻や石越附近で、すでに複線をやつているのですから、今日は白河、上野というよりも、向うを一挙にやつたほうが輸送量の見地からいいのではないかと、かように考えて言つたのですがね。
  99. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) その点につきましては、専門家の岡田先生のお説の通りでございまして、予算がどの程度かかり、それがどの程度の年限でやれるかという問題になるかと思うのでありまして、十分研究さして頂きたいと思うのであります。
  100. 岡田信次

    岡田信次君 そこでさつき言つたように、電化するのと複線にするのとはどういう差があるのか、複線をぼつぼつやるより電化をやつたほうがいいのではないかと思うので、その点の調査を是非やつて頂きたいと思います。
  101. 天田勝正

    ○天田勝正君 限られた予算で要するにやつて行かなければならないので、困難はあろうかと思うのでありますが、私は予算の効率使用ということも考えれば、余り土地価格等が高くないうちにぼつぼつやると、今度はおれのほうだというので、必ずこれは高くなるのです。それですから、若干レールを敷いたり貨事を入れたりするという面の建設のほうが遅れても、それは値段は変りはしないのですから、そしてぼつぼつやつて行くと値段どんどん見越して上るような土地については、一遍に買収して行くと、こういうような措置がとられれば、そこに予算の効率的な使用ができると、私はこう思うのだけれども、そういうことをやられないのが、どうも高くなるのを待つては少しずつ買収して行くというのが、こういうことは素人である我々には納得できないと、こういうことになるのですが、その点はどうなんですか。
  102. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 全く只今おつしやる通りのように御覧になるのに御尤もだと思うのでございまして、こういつた意味から実は前国会でも、国鉄総裁からもたしか当委員会でも言明をいたしておると思いますが、まあ五カ年がよいか、三カ年がよいか、或いは七カ年がよいか、とにかくもう少し長期の見通しを立てて、長期の計画の下に年々の予算の有効な使用というものを考えなければならんのではないかと、こういつたことで、実は只今のところ国有鉄道といたしましては、五ケ年計画というものを立てておりまして、まあ大分輪廓は固まりつつあるのでございますが、まだ最終的に決定いたしておりませんけれども、これにつきまして、いずれ草案でも国鉄総裁から衆参両院の委員会にお諮りして御意見も承わりたいというふうに申しておりますし、私どももその草案については見ておるわけでございます。やはり計画がないところをただ買うというわけにも参りませんので、前提といたしまして、長期の計画を樹立して、それに基いて予算を編成し予算を使つて行くということでなければならんのではないかと、かように考えておるわけでございます。これは余談になりますが、用地を買つた例といたしまして、戦争中に新幹線を作ろうというので、これは用地を随分買収しております。これは只今これをどういうふうに処分するかということで、農地の開放その他との関連でむしろ問題になつておる所もございます。いずれにいたしましても、只今おつしやいましたようなぽつぽつ行き当りばつたりで、出たとこ勝負でやるということにつきましては、これはもう予算の使い方としても非常に不経済でございますから、何とかしつかりした方向で考えて行かなければならないと、かように考えておるところでございます。いずれ長期計画について御意見を拝聴する機会が参るのではないかと思つております。
  103. 一松政二

    ○一松政二君 大臣が来るまで関連して……。東北本線や北海道方面の輸送力についての話が出ておるが、これは余り地方的で私は論ずることを欲しないのだけれども、併し一応これは申上げておかなければならんが、日豊本線の、殊に門司、柳ケ浦、或いは別府、大分までのあの輸送力の満員状況で、列車を入れることもできなければ、乗せることもできない。そうして、待避駅を作つてみたけれども、それも思うように行かない。殊に行橋、門司間のごときは論外である。大分東京を離れて三百里の向うであるから、国会で論議がない。私が一番近いのだけれども、私は余り地方問題を主として論じようとは思わないのだけれども、ついでですから申上げますが、あの状態を何と御覧になつて、どういう計画を考えておられるか、ちよつと承わりたい。
  104. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 日豊線の入口の所は、これはもう日本有数の混雑状況であり、列車回数であることにつきましては、幾ら東京から遠くなつておりましても、国有鉄道の関係者ひとしく承知しておるところでありまして、非常な窮屈な状態になつておるのでございます。全体的に申しまして、東北本線の一部、それから北陸線の一部、それから日豊線の入口、これは日本国有鉄道といたしまして最も行詰つておる所でございます。この日豊線の最小限度入口の門司に近いほう、小倉に近いほうにつきましては、五カ年計画の中でいろいろ計画をいたしおるようなわけでございます。具体的には、私ちよつと今日資料を持つてつておりませんので、よく承知をいたしておりません。
  105. 一松政二

    ○一松政二君 私はこの間、いわゆる黒字線と赤字線の中で日豊本線で赤字線と出ておつたから、これは大分から先の都城から鹿児島、あの先のほうならば赤字であつても了承するが、少くとも別府、門司、或いは特に柳ケ浦、門司のごときは殺人列車でどうにもならん。あの状態で赤字とは、あれが赤字なら、如何に国有鉄道が経営がヘマであるかということになるので、あの距離の所は絶対に赤字でないのだろうと思いますが、その点に対してはどうですか。
  106. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 国有鉄道の経済線、不経済線についての表がございますが、あれにつきましては、いろいろな統計をとりますような関係がございまして、国有鉄道の線路名称にもございます線別の営業係数を見ておるわけでございますので、個々の線区を更に細かく分けてどうであるかということにつきましては、あの表とはおのずから若干変るのではないかというふうに考えております。日豊線のどこまでなら黒字で、どこまでなら赤字ということにつきましては、そういう計算を実はいたしておりませんので、日豊本線は日豊本線として一本で見ておるような関係があろうかと存じておるような次第であります。
  107. 大和与一

    大和与一君 その話が出ましたから申上げますが、東北本線の複線化という問題も、簡単には行かんと思います。併しこれは輸送力を殖やすために、全体の複線よりも、例えば白河までの勾配を電化すると、これだけやれば殆んど主たる目的を達して、輸送量はうんと殖えるのではないか、それが一つ。それから、例えば秋田からの木材なんか全部上信越を通つて来るのだろうと思いますが、これのキヤパシテイはまだ余裕があるのか、これをちよつと伺いたいと思います。
  108. 細田吉藏

    説明員(細田吉藏君) 白河までの電化で東北本線の輸送力が緩和するかというお話でございまするが、これは専門的に見まして、さようには考えないのでございます。東北本線の行詰りというのは、実は仙台以北というのがむしろ問題になつておるのでございまして、こちらにつきましてはまだ線路容量その他も若干はゆとりがあるということは、岩沼からこちらになりますと常磐線と東北本線と両方ございまして、特に貨物列車につきましては、現在常磐線のほうを余計に出しておるわけでありまして、常磐線は平からこちらは複線になつておるというような状況でございますので、単線になりました先のほうが問題になつているというふうに私は考えている次第でありますが、電化が必要あるなしという問題はこれは又別問題でありまして、電化につきましては、先ほど監督局長がお答えを申上げた通りであります。それから羽越、上信越というものが、北海道から東京に対する相当大きなルートになつております。現在は東北本線、常磐線、それから羽越、上越線というものと、これが非常に大きな貨物列車のルートになつております。上越線につきましては、電化後輸送コストの関係その他からかなりここを通す貨車を殖やしておるわけでございますが、大分線路容量としては詰つて参りましたけれども、まだ若干のゆとりがあると申しますか、どうにもならん状態までに参つておらんというふうに考えております。   —————————————
  109. 前田穰

    委員長前田穰君) なお御質問もあるかも知れませんが、本問題は本日はこの程度にとどめまして、次に、海運行政に関する件を議題にいたします。
  110. 一松政二

    ○一松政二君 私は先の国会で通過しましたが、私はその当時は反対であつた臨時船舶建造調整法に関連して、運輸行政のあり方について、主として海運局長と、恐らく船舶局長になると思いますが、答弁は両局長からでよろしうございますが、私は終始時間が許されれば大臣に聞いておつて頂きたいと考えます。  先ず、私はこの臨時船舶建造調整法のいわゆる造船の許可をしなければならない、許可する相手方は造船業者である。あの法律によれば、船会社に許可するのではなくして造船会社に、造船所に許可するようになつておりますが、この点は如何ですか。
  111. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) お話通り建造許可は、造船所に建造許可をいたします。
  112. 一松政二

    ○一松政二君 なおお尋ねしておきますが、当時私が一番問題にいたしました許可の基準というものの、いわゆる第三条の一項でございますが、ここに許可の基準を「当該船舶の建造によつてわが国の国際海運の健全な発展に支障を及ぼすおそれのないこと。」という基準を示してあります。基準というものが私は二つつていいはずはないと思う。ところがどういうわけですか、昭和二十八年の九月十五日に同じ法律から出た基準がここに一つ九月十六日付で示されてあります。それから十月二日付で又同じ法律の同じ条項を基準にして判断の基礎となる事項というものを告示されておりますが、その理由を承わりたい。
  113. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 今お話の九月十六日に出ております告示のほうは、これは特に財政資金を使つてやる外航船の許可の基準を示したものでありますし、それからあとに出ました十月の二日に出たものは外航船その他一般も含めて一般の船の許可の基準になるものを掲げたものでありますから、従つて後者のほうは非常に全般的の範囲の広い、或いは内容も相当抽象的と申しますか、そういうふうに書いてありますが、前者のほうはそういう特殊の財政資金を使つてやるものですから、非常に基準も具体的の基準を書いてありますので、これは両方全く同じものではありませんし、そういう意味で常識的には違つた告示でありますので、両方出しても差支えない、こういうふうに考えております。
  114. 一松政二

    ○一松政二君 それは常識論ですか法律論ですか、承わりたい。
  115. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) これは対象になる船が違うのですから、おのおの異なつた基準を書いても別段法律的に差支えないというふうに考えております。
  116. 一松政二

    ○一松政二君 それは臨時船舶建造調整法の第三条の第一項のどこからそういう考え方が出て来るのですか。
  117. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 今お話しましたように、個々の基準の内容が違うものですから、海運の発展に支障を及ぼす虞れのないといつた場合にも、対象が違うのですから、私は違つた基準が出ても別段差支えないと思います。
  118. 一松政二

    ○一松政二君 私はこの法律を審議するに際して、政府資金とか融資とか或いは開発銀行の資金がどうとかいうことはこの案文のどこにも出ていないのです。出ていないから私は当時問題にしたのです。どこにそういう文句が出ているのですか。法律にないことをなぜ法律以下のことで行政官庁が勝手にそういう解釈を下しておやりになるのですか。
  119. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 海運の発展に支障を及ぼさない資産信用力が……。
  120. 一松政二

    ○一松政二君 それは法律のどこに書いてありますか。
  121. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 別段これには直接は書いてありませんが、併し今の告示の資産信用力のない者は建造許可をしない、優先させるということしか書いてございません。
  122. 一松政二

    ○一松政二君 どこに優先をさせるとか、優先をさせるようなことを法律のどこに示してありますか。そういうことを勝手に運輸省がやるところに今日の造船汚職とかいろいろな問題が起つて来るのです。運輸省が何でも勝手にやれるような考え方を持つておるところに、先の戦時中の法律においても、ただ戦時の法律においては造船の順位の変更を命ずることができると法律案にあるのを、今度はその規則によつて許可べ運輸省が持つてつた。それが戦争がやまつた結果無効になつた。そうして日本が独立したから効力がなくなつたからと言つて、あなた方は臨時船舶建造調整法というものを出した。その当時の速記録で私とあなたの答弁を見ればわかるのです。どこに資金とか、信用とかいうもの、それを常識的に言うならそれでいいのです。なぜそれならそのようにそういう法律案を出さないのかというのです。私は運輸大臣に特に聞いておつて頂きたいということはここなんです。法律にないことを規則で以てやる、なぜそれならば法律にそういうことを明確に書いてないかというのです。その点について私は船舶局長の返答を承わりたいのです。
  123. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 資産信用力のない者が実際船を造つた場合に、或いは建造の途中においてその船が実際でき上らんそのまま放置される、或いはその船が外国に売渡されるというようなことは、間接的には日本の海運の発展に支障を及ぼすというようなことは言えると思うのです。ただ運輸省として選考基準に所管事項として資産信用力というようなことを直接にそこに表現するというのは、余りうちの所管事項としてもどうかと思いますので、所管事項としてこういう国際海運の発展に支障を及ぼさないというようなことを書いてありますが、その裏を返せば、やはり資産信用のない者が船を造りかければ、当然途中において放棄するとか、そういう事例が起りまして、やはり間接的には日本海運の発展に支障を及ぼすのじやないかというふうに考えております。
  124. 一松政二

    ○一松政二君 そういう考え方自身が、私は運輸省考え方に対して、まるで日本の海運を運輸省が自分で掌握して、自分が何か船を動かすような観点に立つて物を考えているからそういうことが起つて来ると思うのです。造船所に資産信用があつても、この世の中というものは変転極まりないということは、総理大臣が国際関係で言つておりますが、経済関係でも言つておるのです。計画しても計画通りに行かないから計画が嫌いだと、そのくせ計画をどんどんやつているのに計画は嫌いだと言つている。そういうことをやつてつても途中で売船しなければならん羽目に陥る半面が過去においてもたくさんあるし、その代り他にそれは適当な買手があります、立派な船は。そういうものを一々船を建造するのです。あなたはこの調整法によつて船を許可することは、船会社を許可の対象にしてやしない、この法律では。船は誰が注文したつていいわけです。又船というものは需要と供給が非常とアンバランスになることが激しいのだ、これは。従つて戦争前においても郵商船、或いは三井その他の船会社においても自己が運営する船を一〇〇%自分で持つなんということは、あの強大な郵船会社、商船会社もあえてしなかつた。ライナーだけは持つたけれども、トランパーにおいては非常にチヤーターでやつているのです。それが健全なる船会社の経営なんです。それを今のあなたの考えでは、船会社が一〇〇%全部自分の船を造つてそれをやろうとする。そして今あなた方が需給のことを考えているようだが、今のニユーヨーク航路を御覧なさい。一航海二千万円も損する船を造つている。而もその上塗りをする、船は。これで需要供給のことはどうお考えになるのです。これはまだ足らんとお考えになるのですか。今のニユーヨーク航路ならニユーヨーク航路、それから船というものはニユーヨーク航路に使うものを太平洋航路に使つても別段差支えない。或いはヨーロツパ航路に使おうと、一万トン級以上の船なら世界のどの航路に出しても差支えない。何かあなた方はこの航路別に船を特殊の建造のように考えて、そしてそれをあなた方の考え一つで許可するとか許可せんというところにいろんな問題が起つて来る。殊に今の資産信用力があるとかないとかということは、信用がない者は船会社が船を注文するわけはないし、そういうものを造船所で受取るものはございませんよ、そんな注文を。そんな世話まで運輸省が焼こうとお考えになつているところに、私がこの前この法案を審議するときに、そういうことはよしたらいいと、そういうものは委しておけばいいんだ。政府資金を斡旋し、それから政府資金を七割もやつて、そしてその損失補償をし、利息も補給するような、そういう船については建造許可を指令することはよろしい。それならなぜそういうふうにはつきりとそれを法文の中に謳い出さないかと私があなたに言つて、そしてこれをこの法案審議のときに、資金とか信用とかいうものは、この法案の対象にならんと私はあなたに言質を取つてある、そういうことを。だから基準というものが二つつていいはずはありませんよ。そうすれば法律を如何ようにでも解釈することができることになる。物の焦点というものは二つあるはずはないのですよ。一つは、広い範囲の焦点であり、一つは、政府資金を使う船のほうだ。そうすれば焦点が二つあることになる。法律に二つの焦点があるような法律というものは未だ曾つて聞いたことはない。その点如何ですか。焦点が二つつていいのですか。写真は焦点が二つつたらピンぼけになるし、二重写しになりますよ。
  125. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 私は飽くまでも対象が違えば二つ告示を出してもいいと思います。例えば先ほどの告示の中で、九月十六日に出ております外航船舶建造利子補給並びに損失補償法を適用する外航船の場合に、四ですか、「海運業を専業とする者の建造希望船舶は、海運業を兼業する者のそれに原則として優先させること。」或いは「建造船価低減のための船主及び造船所の努力の度合を考慮すること。」、こういうふうなことは一般船については書くべきじやなくて、むしろこれは外航船舶建造利子補給及び損失補償法を使う場合に書くべきなんで、内容も違つておりますから、私は告示する場合に、相手のと申しますか、対象となるものが違う場合に二つの告示が出ても差支えない、こういうふうに考えております。
  126. 一松政二

    ○一松政二君 甘利局長は法律と常識とをとり間違えている。法律は、二つあるなら二つ法律を出せばいいんです。なぜ二つ法律を出さんで一つでやつてあるかということです。なぜそれだつた二つ法律を出さないのです。法律は何ぼあつてもいいはずなんです。一つの法律で二つのことを縛るということはできないのですよ。いわんや臨時船舶建造調整法を審議する場合に、そのことは念を押してある、私は。そうしてこれは而も造船所に船の注文が、船の注文主のことにあなたの考え方に間違つた点がある。船と経営者と同一に考えている。船は立派な船の、安い船価の船があればそれは誰が持つてつたつていいのですよ。私が一ぱい持つてつて、それをチヤーター・レージでチヤーターして貸しさえすればいいのですよ。それを山下汽船で持つてなければならん、三井で持つてなければいかんなんてあなた方が考えるからそこにいろいろなことが起つて来る。船の持主は誰だつていいのです。いい船であるならば、コストの安い船でどこべ持つてつても競争のできる船で、それは船にあるので、それは経営者も或る程度ありますけれども、オペレーターはオペレーター、今ライナーをやつているのは全部オペレーターじやないのです。今の国際汽船は船を持たんで委託で以てやつておる。あれはオペレーターです。あなた方は三井、郵船、商船に比べたら資産信用かないというのでしよう。併し資産信用のある者があに図らんや資産信用のないと考えられる国際汽船に委託してやつておるじやありませんか。何と考えるのです、それは。国際汽船はそういうことをやる能力がないと今御判断になるのですか。今のあなたのお考えなり御答弁を承わりたい。船と船会社と一緒にしなさるなということを私は言うのですよ。この前も、だから船会社の救済と日本の国際海運を健全にするというのは別問題なんだと。船の持主が変つたつて何にも差支えない、造船所に注文しておるのに、船の持主が甲から乙に変つたという事件の起つたときは枚挙にいとまないほどあります。船が上つたから変り、又次に変り、造船所が新造に着手してから進水し、それが航海するまで二つも三つも変つた例が過去において幾らでもありますよ。あなた方はそういう古い経験も知らず、それからその実態を把握せずして、そうして自分が、国際海運の健全なる発達を運輸省がやるんだと、あなた方がそういう思い上つた考え方をしているところにいろんな問題が起る。私はそういう考え方が気に食わない。それで私は大臣に聞いておつて頂きたいというのはそれなんです。(「答弁答弁」と呼ぶ者あり)答弁して下さい。今の国際汽船の問題と……。国際汽船の資産信用はあなた方どういうようにお考えになつているのですか。
  127. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 私どもは国際汽船に船を造らしてはいませんで、国際汽船を構成しております飯野海運、東邦海運、三菱海運、国際……
  128. 一松政二

    ○一松政二君 それは株主ですよ。
  129. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 株主じやございません。船の所有者がそういう船会社でございます。そうしてそういう船会社がそれを以て国際汽船に委託をして、国際海運が動かしておる……。
  130. 一松政二

    ○一松政二君 いや、だから国際海運ですか、国際汽船ですか、ともかく運航だけを目的としてやつているのがあるでしよう。
  131. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 国際海運はその委託を受けて動かしております。
  132. 一松政二

    ○一松政二君 そうですよ。委託を受けて動く。併しそれを動かしているのは、それが飯野海運であろうと一ぱい船主であろうと、国際海運が動かしている。たしか溝口君が社長だと思いますが、やつている。併し国際海運は船を一艘も持つていないのですよ。
  133. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 国際海運は船は持つておりません。それで私どもが建造許可をいたしましたのは、その飯野海運の発注している造船所で造つております。まあ裏を返して言いますと飯野海運の船に許可をしている、こういうのであります。
  134. 一松政二

    ○一松政二君 私はその許可の関連を言つているのじやないのです。持主は資産信用がある関係で、あなた方、持主に資産信用があるから建造許可をすると言う。でも持主が必ずしもそれで動かすのじやない。激烈なる……、それには、動かすには別な能力がいるのですから、だから資産信用があるから船を許可すると申しますが、今度は運営に当るのは別な人間でも運営に当る。そうすればむしろ飯野海運よりは、運営能力は国際海運にあるのですよ。飯野汽船は、戦争以来あれはタンカーで大きくなつただけの話なんです。前は瀬戸内海では曳船をやつていたのが飯野汽船なんです。タンカーで大きくなりまして、急に外航船に移つて来たんです。そうしてそういう船を国際的に動かした経験はないのです。今の国際海運の連中は、前の川崎汽船或いは国際汽船のあの前の、欧州第一次戦争の後に松方さんがいわゆる造つた船を国際汽船として動かした。世界中のトランパーを動かした経験の持主がまだ幾らか残つてつてつている。資産信用というものはあなた方から見ればないわけです。ところが結構それが船を動かしているのです。だからあなた方が法律にきめてもない問題を基準に考えて船を許可したり許可しなかつたりするからいろいろな請託が行われて来ているのです。なぜ私は法律にもつと明確にそういうことをしないかと言つてこの前は論議しているのです。今はそれをしないからこういう結果を現に生んでいるのです。生んでいる結果から言えば、これを明確にして改めて法律案を私は出すべきじやないかと思うわけです。
  135. 甘利昂一

    政府委員(甘利昂一君) 今御指摘の事項ですが、これはその標題にありますように、許可の判断の基礎となるべき事項でございまして、まあ許可基準は、おつしやるように国際海運の健全な発展に支障を及ぼすかどうか、こういうのであります。従いまして、一般的にはこの前のほうのものが判断の基礎となるわけです。ところがその次のほうには、一般的な判断のほかに、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の適用を受ける外航船舶の建造だから……。
  136. 一松政二

    ○一松政二君 中途ですが、それは船舶建造調整法には何にもございませんよ。外航船舶建造融資利子補給法には許可のことは一言半句も触れてはいないですよ。許可するかしないかというのは、この臨時船舶建造調整法だけによつているわけですよ。そんなほかの法律を持つて来て、その法律じやないその隣の法律に基準を求めるというのはどういうわけなんです。その理由を承わりたい。
  137. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) この海運造船合理化審議会ではまあ一般的なもの、先ほど船舶局長が申しましたように、一般的なものについては、先の基準で、但しそういうものの造船許可の中でも、こういう……(「質問を取違えているよ」と呼ぶ者あり)
  138. 一松政二

    ○一松政二君 私は常識的なそんな答弁を求めているのじやないですよ。法律上の答弁を求めているのです。岡田さんにしても、甘利さんにしても、あなた方の心の中を私は推察はできている。そんならなぜそういう明白な法律を作らんで、こういうぼんやりした法律を作つたのであるかというのであつて、それだから大体一般的な法律、十月二日に出したこんなものは要らないのだ。こんなものの許可権をあなた方が取ろうとしておるところに私は甚だ今日でも不満がある、一般的にですよ……。一般的に世話を焼き過ぎるのだ。それを取つて除けてそうして九月十六日に出した基準だけなら、基準だけのものをはつきり法律に謳つてなぜ出さないかというのが私のこの前の議論なんです。だから見事にあなた方はここで二つの基準を出さなければならん羽目に陥つて、違つた種類のものを、一つの法律の焦点を二つにどうして分けるのです。私はこの問題については参議院の法制局長がここに見えておりますから、法制局長に質問します。  法制局長にちよつと伺いますが、この前あなたに伺つているからこれも御承知だろうと思うのですが、この臨時船舶建造調整法の三条の第一項にはつきりと許可の基準を、これに適合するものは許可しなければならないとあるが、私はこれの基準に合わないで建造を申請する者はないと思う。だから結局申請すれば皆許可しなければならんのだ。そういうことになるということは、そういうものが必要でないということだから、私はその建造許可などは以てのほかじやないか。むしろ政府融資によつたり、或いはいろいろな保護を国家が加える場合には、その面についてのみ一応許可権を持つておればよろしいというのが、この前でも、今度でも私の持論なんです。ところがこの前資産とか信用とか或いは資金とかいうような面は一言半句もこの法律のどこにも現われていないのです。ところがこの同じ法律を楯にとつて二つの告示が出ておる。許可の基準というものを二様に出しておる。こういうことは、私は常識論を聞きませんよ。法制局長に、法律的に物を考えて、こういうことは許し得ることであるかどうかと言うのです。
  139. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 只今の臨時船舶建造調整法第三条によりまして、いやしくも一号、二号の基準に適合すると認める以上は、運輸大臣造船の許可をしなければならないというので、ただ例えば一号の場合を例にとつてみますと、「当該船舶の建造によつてわが国の国際海運の健全な発展に支障を及ぼすおそれのないこと。」、即ち虞れがある場合に限つて許可をしないことができるというふうに解せざるを得ないと思います。そうして、第三条第二項によりまして、その第一号に掲げる基準の適用について、その判断の基礎となる事項について、運輸大臣が海運造船合理化審議会に諮つて、決定をして、その決定に従つて許可の基準、許可するか否かをきめなければならんというふうになつておるのでありまして、そうしてこの第三条第二項に基きまして、昭和二十八年の運輸省告示第四百三十二号と、それから昭和二十八年の運輸省告示第四百十五号という二つの告示が出ておると考えます。この両方の告示が、同じくこの調整法第三条第一号の基準を定める、その判断の基礎となる事項に関することでありますから、同一の判断をするための基礎事項でありますので、若しその船が非常にものが違うものであれば格別でありますが、同じく外航船といつたようなことで同じものであれば、その船を造る資金が利子補給を伴う融資に基くものであるのか、或いは自己資金でやるものであるのかということによつて、その基準の判断になる基礎たる事項が違つて来るということは、まあ法律的に申しますと如何なものであるかというふうに疑問を持つております。若しその目的が、融資を受くる船と自己資金による船とが非常に構造とか、或いは大きさとかというものが違つて参るならば、それは二つの基準を設けてもいいかと思いますが、同じものである場合に限つては、それが融資による場合と自己資金による場合によつて、その造船の許可するかどうかの基準が違つて来るというべきものではないかと思います。
  140. 一松政二

    ○一松政二君 只今の問題、法制局長に重ねて聞きますけれども、船の種類が変つたつて、これは五百トン以上の船ですよ。この臨時船舶建造調整法の許可を要する船というものは五百トン以上の船なんです。五百トン以上の船ですから、それは極端な言葉で言えば、千差万別なんです。五百トンもあろうし、六百トンもあろうし、七百トンもあろうし、或いは千トンもあろうし、千五百トンもあろうし、或いは二千トンもあるならば、その船の一々について許可の基準をこしらえなければ当てはまらんでしよう。今のあなたの御答弁では、船というものは五百トンであろうと、千トンであろうと、二千トンであろうと、船自身が、今船を造ろうという者が、それが日本の海運に支障になるとか、国際海運の健全なる発達に資せないような考え方の船を造る者は一人もございません。だから同じ法律に、ここに第三条の第一項に明示してある、明示してあるものを今のその合理化審議会にかけて基準を定めるなどというのは、それは一つの遁辞です。何か法律の欠陥であるところの抜け穴を持つて来て、それに基いてそれを瞞着しようとするところが問題であつて、私は法律論から言つたらそんなことは許されるべきじやないと思います。私は常識論ではわかつているのだ。だから私は海運局長だの、船舶局長だのの答弁を私は甚だ不愉快に思つている。法律なんですから、法律に基く規則或いは基準なんですから、それが二つあるはずがない。それだつたら十色の船を造れば十の基準を造らなければならない。千五百トン型はどうだ、二千トン型はどうだと、まるで戦時標準型の船の考えみたようなことにしかならんじやないか、そういう御答弁は……。自由競争であつて、古い言葉だが日本橋の水はロンドンのテイムズ河に通ずる、その上に浮んで仕事する船なんだ。
  141. 奧野健一

    ○法制局長(奧野健一君) 端的に申しますと、一応外航船ということにいたしましても、外航船を造るのにその建造の許可をするかどうかという基準をきめる場合に、それが自分の資金による場合であると、或いは利子補給による融資を受けて造る場合と基準が違うということはおかしいと思います。
  142. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは政府当局は一松君の質問していることがまるつきり私はわかつておらんと思うのです。僕らはよくわかる。それは臨時船舶建造調整法の許可の基準はこれこれである。それから利子補給及び損失補償法に基く許可基準はこれこれであるというふうな告示が出るならばすぐわかる。ところがそうでなしに、何も許可のほうは利子補給のほうにはないにかかわらず、ここへそれの基準をよその法律を持つて来てそれでこれを適用するのだというところに、一松君がわからない。そんなけしからんことはないということを言つているのであつて、これはもう我々がさつきから聞いてわかつているのに、そこのところを理解しておつても理解したと言うと苦しくなるために無理に理解せんようにしているのか。とにかくそこなんだ。
  143. 一松政二

    ○一松政二君 そうだ。
  144. 天田勝正

    ○天田勝正君 こんなべらぼうなことは我々聞いておれないから、そこを理解しないふうにたつて肚の中ではしていると思うから、しているとして御答弁してもらいたい。そうでないといつまでたつてもこちらに質問の番が廻つて来ないで被害甚大だ。こんなわかり切つたことは。……(笑声)
  145. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) これは今の御質問がありましたのは、私先ほど途中で説明しかけておつて中断した考えと一致しているのです。ここに掲げております事項は、外航船舶建造融資利子補給法及び損失補給法の対象となるべき外航船を選ぶ基準なんです。それが臨時船舶建造調整法のその基準に該当すれば、同時に臨時船舶建造調整法で許可しますよ、こういうことを言つているわけです。それが一方に告示が出たものですから、非常に誤解を与えている。
  146. 一松政二

    ○一松政二君 それは又ごまかしの答弁だ。それだつたらなぜその融資利子補給法にちやんとそういう許可のことを謳つていないのですか。許可するのはこの法律だけしかないのです。(「そういうことなんだ」と呼ぶ者あり)この法律だけしかないのだ。而もこの第三条第一項だけにしかない基準が、これはあなたもよく知つているはずだ。この前の国会で私は質問した。二時間に亘つて最終回にやつているのです。あなた方は重々知つているはずだ。而も五百トン何という……ありもしないことを外務省と打合せをして何かあつたようなことを辻褄を合わして答弁して最後はごまかしておりますが、私はもうそんなことは下僚をいじめたつてしようがないから、答弁の食い違つたのあとで訂正して、それじやいかんということをするほどのことでもないから聞き流しをしていたけれども、ああいうことはみつともないことですよ。だからもつと純真であつてもらいたいのですよ。法律を出したり、国家の仕事をするのですから、あなた方に行政をやつてもらうのですから、法律はすつきりした形において出し、それからすつきりした形の上で委任を受けた政令なり、告示なりをされることが、新憲法下或いは民主政治の上に求められておるのであつて、昔と同じような考え方でないかというところに、私は運輸省に非常な不満があるのです。すべて自分の所へ糸を引張つておいて、そうしてお辞儀をしに来る人間ばかりを求めておるような気がすると、私はそう申上げてあるのです。お辞儀をしなければ何事も許さんぞという建前なんです。そんなに国民は今日は馬鹿じやないですよ。何億何千万円、何十億という金を使うのに、船が国際海運に役に立つとか立たんとか、あなた方がそんなことを考えたり、言うたりすることが私は越権の沙汰だと思う。国民を馬鹿にすることも甚だしいと思う。そんなことはいやしくも船を注文しようと思う者は生命がけで物を考えておるのです。それからそれを適用するとか適用しないとか、それからあなた方のこの基準になることを考えて御覧なさい。どこの配船をするとか、どこの航路であり余つているとか足らんとか、私はこの経済行為の変転極まりない……、あなた方はニユーヨーク航路が足らんと思つてお許しになつたのでしよう。今日の日本のニユーヨーク航路の惨状はどうです。日本船だけが血みどろのお互いの競争をやつているじやありませんか。それが同盟の反感を買つて、そうして同盟をむちやくちやに今日しているじやありませんか。そういう不明朗な考え方が今日の世の指弾を招いている原因である。私はこの前法律を審議するときに、そういう請託があつたら、これを許可申請をしたらどうなるかと言つたのです。だから私はむしろそういう余地のないような方向に物を考えるべきじやないかということを私は常に言つているのです。それで私は先ほど船舶局長でしたか、海運局長でしたかが優先するということを得々と述べられましたが、これは運輸大臣に承わりたい。いやしくも物事を申請して、それを或る者に優先させるとか優先しないとかいうことは、これは法律に明確に謳つてなければ非常に問題を起しますよ。手加減、匙加減、請託の仕方で、そういう優先するとか優先しないということは重大事項です。それが資産信用があるとかないとか言つたつて、船をいやしくも建造しよう、そうして向う鉢巻でやろうとする者は、相当の資産信用がなければできない。銀行が相手にしないとか造船所が何だとかいう気遣いはありませんよ。そんなことをただ頭の中で言葉の上ででつち上げて、そうしてそれを一つの楯に答弁されるから私の語気が荒くなる。それほど今日の国民を馬鹿にした考えで行政をやられていたのでは、行政をやつている頭と実際の世の中とが食い違いが起つて来る。それだから業者が運輸省に向つて何ら意見を吐く人はない。運輸省様々で、いやしくも御機嫌を損ずるような言動は、速記録を取ろうと取るまいと、誰かの耳に聞えてあなた方の逆鱗に触れたらとんでもない仕返しを受けるということで、蔭で言つていることも表の所では絶対に発言しませんよ。そういうことで国際海運の健全なる発展ということは思いも寄りませんよ。ただみんな国家依存の税金を何とかして自分の所に引張りこんで、そして自分の、悪い言葉で言えば、私腹を肥やし、私企業を国家の税金によつて肥やして行く。だから役人の御機嫌のいいように、いろいろな形で御機嫌取りをして、そしていやしくもあなた方の御機嫌を損じないように汲々としておると言つてもいい。そういう優先するというようなことを、なぜ私は許可の判断の基礎とするのか。それならそれで私は法律にもつとはつきり盛り込んでやるべきじやなかつたろうか、こういう告示を……。そうしてそれは運輸省だけが考え運輸省の而も恐らく、失礼な話だけれども、事務局だけで考えたことだろうと思う。船は御承知の通り、先ほど申上げましたように何も飯野海運なら飯野海運、これは郵、商船だけが一〇〇%自分の船だけを動かそうというようなことは、昔からそんな大それたことは考えない。今は船の金を貸したり、利子補給をしてくれたりするから一〇〇%動かそうとする。自分の危険だけでやるとすれば六〇%、或いは七〇%を自分でやつておいて、あとの三〇%をチヤーターでやるのです。これはチヤーターでやるのは、一ぱい船主とか二はい船主が自分の資金や信用を応用して船を持つて、それによつて飯野海運や或いは郵、商船に、或いはほかのライナー、トランパーにそれを委せるというのが海運のあり方なんです。そこに優先させるというようなことは、これは私は重大な基準だと思うのです。どうしてこの第三条の第一項からこういう優先させるとか優先させないとかいう基準が立てられて来たかを伺いたい。
  147. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) これは結果的に申上げますと、あなたのおつしやる通り、信用力或いは資産がある者に優先させると書かなくても、事実銀行が融資しようとすれば、融資をしなければ船はできないのですから、そんな者は出て来ない。従つて又事実において、そういう問題が強い基準になつて決定されたものでもないと私は思います。事実上これを満たされておるものが出ておるということになつておると承知いたしております。外航船の利子補給を受ける者に、その法規的のよしあしは別といたしまして、それをやるには、このくらいは基準をここへ出しておいたほうが出す者もはつきり自分はこのくらいは力がある、これに当てはまりそうだという者だけ出て来るといことで、当然のことであるが、この一項目も入れたんだという意味に私は思うておるわけでございますが、実際上はこれはそんなものがなくて出て来るはずはない。実際上はありませんよ。
  148. 一松政二

    ○一松政二君 速記をとめてくれませんか。
  149. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  150. 前田穰

    委員長前田穰君) 速記をつけて下さい。
  151. 天田勝正

    ○天田勝正君 私はたくさん質問があるんですが、大臣の御都合が五時半までということでございますから、私は今日のところはここに出ておりますこれだけに限定して質問しておきます。  そこで先の問題は解決いたしませんけれども、これは二つの告示が出た既成事実は事実としてこの内容で私は質問申し上げる。例えば四百三十二号のほうの四の所を見ますというと、「適確に遂行するに足る能力を有するものであること。」、こういうようなことが書いてある。ところがこの判断は要するに運輸当局、まあ当然に海運局長や船舶局長が判断する、こういうことなんでしよう。ところが、その前のほうは「船舶の建造を注文しようとする者が、その経理的基礎が確実であり、」云々、こういうわけで、まあその他挙げれば限りありませんが、皆これらは世間的にはもうこんなことを書かなくてもわかり切つていることを、何か自分の許可権限をえらそうにそこに見せなければ工合が悪いというようなことから、わかり切つていることを何か自分が判断して一つお前らに臨むんだ、こういうようなことが随所に見られる一つの例がこれなんです、私に言わせると。そこで今度はすぐその次の五に、「我が国商船隊の公正なる海外活動に著しく不利な影響を与える虞れ」、ところがさつきも一松委員が指摘されましたから内容は言いませんけれども、我が国の船舶だけで競争して、実にその海外活動に著しく不利な影響を与えているんだ。そういうことの鬼面人を驚かせるような文句をここに持つて来て、おれが許可してやるんだと、ただえらそうにしてそれを許可して、その内容に至つては著しく不利である、まる切り逆の許可をしておる、こういうことである。そこで時間がないからずつと羅列するんですけれども、その次には、次の四百十五号のほうを見まするというと、定期船についても適当量の建造を考慮する。これ又誰が考慮するか。こんなことをしてその考慮はおれがやるんだ、お前らの判断よりもおれの判断は格段神格化してえらいんだ、まあこういうふうに、皮肉に言うわけではないけれども、どうもとかくそういうふうに官僚がそんなものを作つては、何かわかり切つているようなことをえらそうにやる。私はどうしてもそうとしか思えないわけですけれども、一体こういうことについて、大臣はどうお考えになつておられますか。
  152. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 船舶をこしらえて行く場合に、許可をするせんは別問題で、自由にするせんの問題は、かかつてこの問題だけだといたしますと、一般的な場合において、こういうふうな基準によつて調べて、その調べによつてこれに当てはめるというようなものであれば、この文句だけに当てはめますれば、私はこういうふうなものは一つの基準にはなると思うのであります。そういうことを許可する許可せん、制度をとるとらんは別としましてこれは現在の制度としましては一つの基準になるものだと私は思います。それからこちらのほうの外航船の建造の融資や利子補給の第一番目でありますが、「緊急に整備を必要とする定期航路に最も適する船舶を優先的に」云々というのは、定期航路から先ず満たして行こう、それが今一番大事なことじやないかという一つの判断でございます。それから不定期船も全然こしらえないというわけには行かない、両方相待つて日本の海運というものは、戦争前優秀な発達をしておつたんだが、不定期航路も何がしか入れるというのは、その年の予算その他と睨み合せまして、実際の需給の様子等もできるだけ調査いたしまして、どれだけの数を入れるというのでありますから、これは少し適当量の建造を考慮するというのは、判断は運輸省でやるのでございますが、出て来たものをこれを片つ端からどういうふうな、抽籤か何かできめるということも私はいかんと思う。こういういろいろな問題が起りますから、こういうのが議論の種になりますが、定期船をどういうふうな方面にどう従事して、不定期船をどのくらいやつて行くということは、一応の目安を立てなければやれんのじやないかと、こういうふうに思つております。
  153. 天田勝正

    ○天田勝正君 今大臣のお答えは、これは常識的にこういうことでいいのだという御答弁なんです。常識ならばそれでいいというのは、さつきの一松委員お話に帰るわけですけれども、これが法律に基いてこういうことが行われますために、一体その判断をしたり、考慮したりするのは誰かというと、お答えの通り運輸省である。これが行政の実際からいたしますると、それを扱うところの局長なり、課長なりが、若し大臣の所へ、運輸省と言えば大臣でしよう。ところが大臣の所に持つて来る場合に、仮にそこで幾らでも資料などは按配ができるのです。現実にそういうところだから、何かこんなことがあるために按配の資料を持つて行くのでも、適当に自分がまあいろいろお世辞を使われたり、局長や何かの言うことを拳々服膺したりするほうを上に上げて持つて行けばそれが通る。これがそこにやつぱり一つの問題があるのであつて、やはり基準ができたらそういう考慮の余地を与えないというふうに、特にこういう財政資金を要するような問題については、そういう措置をとらなければならん問題である。それならばもう今この四百十五号の第一号の点についても、もう優先的にと書いてある。その基準のものすらもまあ十分にはできないということである。だから金を貸さなければならないのだというのが、別の機会における運輸当局のお答えなんです。そうして見れば、ほかのことなんかはもう言う必要は私はないと思つておるのだけれども、ここにあつて、そつちのほうでもいわば、悪い言葉ですけれども、お世辞次第でそれも許可ができる、こういうところに不明朗なものが生じて来るのです。それはそれといたしまして、それじや第二号のこと、これは私はしつこく実は聞こうと思つたのですが、一松委員が該博な知識で申されましたから長くは述べませんけれども、さつきの国際海運、これができたときに、どういうことであれができたかと言いますれば、国際的には曾つて国際汽船が、国際海運というものがあつて、そこでその信用が海外に通じておるために、飯野海運だとか山下汽船だといつて見たところで、それが外国になかなか通用せない、こういうような事情から元の名前をここに一つの看板として持込んで、それへ全部船を集中してあの航路を作つた。これがあの会社ができたところの結果です。だから国際的にはむしろあの国際汽船のほうがよほど信用があるのです。ところがさつきもお答えになつておられるように、飯野海運や何かには許可するけれども、国際汽船には許可しない、こういうわけです。従来の経過はそれはそれとして、今度はじや一体国際汽船のほうが許可を求めて来たらどういうことになるか。それでも許可しないというのか。許可しないということになれば、国際的には信用のあるほうを、日本運輸省では信用がないと認める、こういうことになるわけで、誠に辻褄が合わないと思うのですが、その点は業界出身の大臣は一体どう考えられますか。不思議千万だと思うのです。
  154. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) 前のほうのことからお答えいたしますが、こういうふうに適当量の建造を不定期船なら不定期船を考慮ずる。定期船はこうだという。そうすると何でもかんでもいい加減な資料を出してこのほうが優秀でありますということできめられるようにちよつと聞えましたが、そんなものじやないのでございまして、いろいろ会社の調べる事項をきめまして、それにずつと当てはめましてそれを持寄つてその中のどれが適当かというようなことは一、二の人だけでなく、船舶局、海運局揃つていろいろ議して、そうしてそれが両次官の所でおよその基準が出るのでございますから、そう今言われたように非常に得手勝手なことが一部の人によつてやれるようなことはないと私は信じております。  それから信用の問題で、国際汽船ですかのお話がございましたが、若し国際汽船が一つの今委託を受けてのオペレーターでございますが、これが船を持とうということになりまして、ちやんと所定の手続でほかのものと一緒に出て来ますれば、それを今のようなスクリーンにかけまして、適当であれば勿論これは許されるわけであります。国際汽船だけが許されないということは絶対にございません。
  155. 天田勝正

    ○天田勝正君 今日はこの問題についてはこのくらいにしておきます。
  156. 一松政二

    ○一松政二君 最後に一点だけちよつと申上げておきます。船というものは、大臣御承知の通り、九天に昇つて奈落の底に沈むのだから、それで十年に一遍かそこらにはもうとても良い目に会う。その他はおおむね悪いというのがこれは常識なんです。それほど変転極まりないものの需給を、何か運輸省で調整するようなお考えがある。私はこれは一つ是非お考え直しを願いたい。物の需給は、運輸省には自動車にしろ何にしろすべてそこに許可するのに、そこは許可が一ぱいだからどうとか言う。これは今日瀬戸内海でもいろいろの問題はあると思う。例えば或る航路は関西汽船だけが独占しておる。他に競争者が現われると、それをとやかく難癖つけるか何か知りませんが、なかなか許可しない。それはもうこれで一ぱいだ。そうすると、結局既設業者のみに利益を与えて、新らしい人間はそこに進出ができない。それを今のように運輸省が許可権を持つてつて、いや、その航路は満員だ、これ以上は非常な競争をして、それじや健全な発達を阻害するというような理窟ですから、理窟はどうにでもつけられます。だから私はむやみな競争は避くべきであるけれども、健全な競争はなければならん。今日の瀬戸内海に、大臣も御承知の通り、関西汽船だけが殆んど独占の形になつてつて、一番の私の出身の大分県の別府航路のごときも一つも、一つもと私は言いたい、一つも改善の跡は見られませんよ、この四、五年来。それでいてやはり他の船がそれに臨時船でも、例えば春秋の旅行シーズンに例えば団体客を持つて行こうという連中をも、自分の波止場に着けさせないとか何とかいつて邪魔をしておるのですよ。であるから私はこの需給のバランスを、殊にこの外航船のようなものの需給のバランスをお考えになるということは、私はこれはよほど考え直して頂かなければならん。物は余らなければ足らん、足らなければ余るにきまつておる。物が余つてそうして仕方ない、一番余つておるときが一番安いのですから、船を建造するときはその潮時を見なければならん。このビジネス・マンが物をやるときは最低のところでやる。その最低が捉えにくいだけの話だけれども、一番余つて一番安いときが一番新船を建造しなければならんときなんですから、そういうときに運輸省の役人の考え方から言えば、今余つておるからとんでもない話だということになつてしまつて、みすみすその機会を逸する虞れが、今後何か事変か、少し海運界が活気でも呈しようものなら、必ずそういうときにぶつかります。船がトランパーに行こうとライナーに行こうとそれを私は仕分けして考えるということもどうかと思う。今ライナーというものは殆んど貨物船です。これはもう戦前には今のようにニユーヨーク航路に日本船がひしめいたことは未だ曾つてないでしよう。私はこのライナーだけを強化するということに対しても、どうしてもう一度も二度も再検討の要がある。余り運輸省が船の種類を、需給を考慮してやるというところはこれはもう一遍お考え直しを願いたい。私は先ほども言いましたけれども、余りにも国民を愚弄した考え方なんだ。で、甘い汁という言葉は余り用いるべきでないかも知れませんが、海運業者は今のようなことをやつていれば自立心、自分でやるという精神はもう麻痺してしまいますよ。それはもうすべて運輸省の御機嫌取りになつてしまう。何ぼ口でおつしやつても事実が物を言うのであつて、実物教訓が一番いいのです。だからこの需給のバランスという一番経済行為の微妙な問題、殊に変転激しい船について需給のバランスを常に運輸省考えられるということは、これはもう一応そういう点をとつくりとお考えにならないと悔を千載に残す場合があり得る。たくさんあれば余る、余らなければ足らんのですから、物というものは丁度いいなんというときはありはしませんよ。世の中ではそれを何か杓子定規に物差を以て行つてそれでこれでいいということを頭の中でお考えになるだけでは、これは非常に危険です。私は特に大臣の答弁を求めませんが、私の意見として聞いておいて頂けば結構であるが、若し御意見があれば承わつておきたい。もう長くなりますから今日はこれで打切つております。
  157. 石井光次郎

    ○国務大臣(石井光次郎君) お答えというよりちよつと私のほうから多少お聞きしたいことも加えて申上げたいのですが、今例えば九次の前期、後期をきめまする場合に、私の記憶に残つておりますのは今ニユーヨーク航路のお話が出ましたが、これも戦前の一番盛んな時分よりは少し少いのではないでしようか。それは別としましてまだ戦前の定期航路のときのように貨物船が廻つてつた配船の状況と比べて、私はこの前のときに表を見せてもらつたのでありますが、それによりますと、今度の造船が仮にでき上りましても、まだ中南米方面などに対する貨物の配船は殆んど行つていない所もあつて、不完全だと思う。一番いいような船をこしらえ、それが入れ変わつて今まで二級ぐらいの船は三級になるというふうにだんだんなると、これ船会社が自由にやられると思いますが、そういうふうになればもう少し定期船というものが必要になつて来るのではないかと思います。  それから私はよく役所でなしに、海運業者というか、海運界の昔の丁度あなたのような立場にある人からこの頃よく聞いておつたことは、不定期船を日本はもう少し造つたらどうか、これは非常に面白い問題だということを何人かから聞きました。私はこの問題も頭に入れていろいろ質問もして見たわけであります。そろばん玉から申しまして、まだ定期のほうが運賃がいい、ノミナルな運賃がいい。それから不定期船は安ければ安いほど安い船ができて、どちらが儲かるという問題は又おのずから別の問題が出て来るでありましようが、そういう問題も併せていろいろな声を聞きながらどこにどれだけときめないが、定期船を戦前通りには行かんでも、一応どこにでも配船できるようにしたいというのが昨年あたりまで持つてつた考え方であります。今度は二十万トンをどういうふうにしたらいいかということ等につきましては、又皆様方の御意見もお聞きして私どもやつて行きたいと思つております。
  158. 前田穰

    委員長前田穰君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十八分散会