運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-09-24 第19回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月二十四日(金曜日)    午後二時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     高木 正夫君    理事            重盛 壽治君    委員            岡田 信次君            仁田 竹一君            村上 義一君            大倉 精一君            大和 与一君            村尾 重雄君            木島 虎藏君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    運輸大臣官房長 山内 公猷君    運輸省自動車局    長       真田  登君    運輸事務官    (海上保安庁総    務部政務課勤    務)      藤井堯四郎君    中央気象台総務    部長      北村 純一君    中央気象台予報    部長      肥沼 寛一君    海上保安官    (あつみ船長) 山名 寛雄君    運 輸 技 官    (あつみ気象    長)      星  為蔵君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○運輸一般事情に関する調査の件  (昭和三十年度運輸行政基本方針  に関する件)  (気象業務に関する件)  (造船事業に関する件)   —————————————
  2. 高木正夫

    委員長高木正夫君) それではこれより運輸委員会を開催いたします。  運輸一般事情に関する調査中、先ず昭和三十年度運輸行政基本方針に関する件を議題といたします。  御参考までに申上げておきますが、本日政府委員の御出席は、只今真田自動車局長がお見えになつておりますのと、官房長がお見えになつております。なお運輸大臣、それから鉄監局長は、追つて出席になりますから、御参考までに申上げておきます。それからなお後ほどあつみ丸気象長船長を呼んでおりますから、これもお見えになることと思います。  先ず自動車局長がお見えになつておりますから、その問題から進めたいと思います。御質問の方は順次御発言を願います。
  3. 大和与一

    大和与一君 昨日お願いしましたように、局長さんお代りになつて、新たな自動車行政といいますかね、局長さんの自動車行政の主な点について、一応の御見解を、重点的でよろしゆうございますから、お聞かせ頂けたら大変有難いと思いますが、昨日もちよつとお願いしてあるのですが、よろしかつたら先ずそれをお聞かせ願つてそれから質問があつたら質問をさせて頂く、こういうようにできたらさせて頂きたいと思いますが、よろしゆうございますか。
  4. 高木正夫

    委員長高木正夫君) 結構でございます。
  5. 大和与一

    大和与一君 当面の重要な問題がいろいろあると思いますが、これについてはこう、これについてはこうということを、何か御研究に差支えない程度を御発表頂きたい。
  6. 真田登

    説明員真田登君) 私このたび自動車局長を拝命いたしました真田でございます。只今お話ございました自動車行政全般についての私の考え方と申しますかを申上げるわけでございますが、当面の重要問題と申しますか、そういつたものについて、私の考え方を申上げてお答えに代えたいと存じます。  先ず第一は、事故対策の問題でございますが、最近の自動車発達は誠に目ざましいものがございまして、昭和十一年頃に比べますと旅客貨物通運いずれの面を見ましても、その扱い量というものは殆んど倍になつておるわけでございます。このように自動車輸送発達して参りましたことは誠に結構なことでございまするが、その半面、逐年事故が増加して参りまして自動車事故一つの社会不安を醸成するといつたような状態になつて参りまして、このままでは自動車発達却つて害があると、こう考えるわけでございます。従いまして先ずその対策といたしまして、自動車そのもの整備を完全にやる。それと同時に我々のほうでやつております車両検査を厳重に行いまして、自動車整備の面からの事故を先ず防ぐ。次には運転手素質向上を図る。現在では運転免状というものは公安委員会のほうから出ておりますが、我々のほうでも旅客を扱う運転手についてはこうした条件、こういうふうな条件が要るというふうに、多少の制限をつけておりますが、今後もその運転手素質向上を図る意味で或る程度の資格を何かの形でつけて行きたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。そういうふうにいたしましてもなお自動車事故というものが避にられないとすれば、現在自動車事故を起した場合に、被害者が十分に保護されていないのではないか。そういう面から自動車事故賠償責任を保証する制度是非設けたい。この制度趣旨は、自動車を持つている人は必ず保険に入つて頂く。そうして事故の起つた場合に被害者がこれによつて救済される。一方事業者事故によつてその経営基礎を危くするようなことのないようにしたい。両方の面からこの事故事後処理をうまくやつて行きたい、こういう趣旨でございましていろいろと細かい点につきましては関係向き話合い中でございますが、この次の国会あたりには是非これに関する法案を出しまして御審議願いたいと存ずる次第でございます。  事故につきましては、大体その程度でございますが、次に自動車輸送力整備という問題でございますが、これはいろいろの面から考えられるのでございますが、一つ道路の面、一つ車両一つ燃料と、まあ三つの面くらいから考えておるわけでございます。一番現在自動車交通の隘路と考えておりますものは道路状態でございます。これは我々のほうで直接担当しておりませんので側面から推進するということでございますが、現在の国道は幹線中の幹線でございますが、その改良ずみのものは約四〇%くらいにしかすぎませんし、鋪装されておりまするのは二一%といつたような状態でございまして、それ以外の道路というものは推して知るべしということで、元日もこの道路法に基く政令の問題がございまして、私のほうでもバスが通つております道路状態がどうであろうかと調べてみましたところ、非常に厳格な基準で行きますと、七、八〇%までは危険ではないかといつたような考え方ができるほど道路状態がよろしくないのでありまして、最近高速道路その他の問題が出ておりますが、自動車だけの立場から申しますと、先ず幹線道路整備して頂きたい、こういう考え方をしておるわけでございます。  なお道路の問題に関連いたしまして、最近の都市附近における交通が非常に輻湊いたしております。なお路線トラック路線バスが錯綜して動いておるわけでございますが、こうした路線事業と他の交通機関、或いは路線事業同士連絡調整と申しますか、そういつたものが今ではあまりうまく行つておりませんので、これをうまくすることによりまして、都市交通調整に資すると共に、輸送力の増強にも資したい。又最近の都市交通は非常に混雑いたしておりまして、現在のままで放つておきますと、先ほども申上げましたように、非常に交通不安が多い。そのためには或る程度自動車動きを規制するなり或いは自動車休み場所と申しますか、自動車パーキング場所をこしらえて、交通の混雑を緩和すると一緒に必要な燃料を無駄にしないようにしてはどうか、こういう点からターミナルとパーキング是非整備したいと考えておる次第でございます。  次に燃料でございますが、自動車燃料の大部分、九〇%までは輸入に仰いでいるというふうな状況でありますので、この輸入ができるかできないかということは、自動車輸送力を確保し得るかどうかということに大いに関係があるわけでございます。従つて年々増加して参ります燃料輸入を確保するという問題が一つの重要な問題でございますが、これと一緒燃料使用そのものについても、大いに合理化して行かなければいけない、無駄に燃料使つて、貴重な外貨を使うということはよくない、そういつた面から燃料消費節約ということも大いに強調して参りたいと思つております。  次に車の面でございますが、これは我が国の自動車工業もかなり発達いたしましてバストラックの面におきましては、もう別に心配はないと考え状態まで来ておると存ずるのでありますが、ただ乗用車工業の面ではやはり外国車にその性能なり或いは耐久力その他の点で劣つていると考えられておりますし、年々の需給状況を見ましても、多少ずつは輸入したほうがよいというふうに考えて参りましてこれまでは乗用車につきましては、輸入を続けて参りました。今後も需給状況を勘案しながら或る程度輸入を続けたいと思つております。  次に交通調整といいますか、これは自動車局だけの問題でなしに、運輸省全体の問題でございますが、自動車局から考えました交通調整の問題について併せて申上げたいと思います。一つは、先ほどの問題にも関連するのでありますが、都市交通調整の問題でございます。陸上交通事業調整法というものができまして、それが戦時中一つの役割を果したわけでございますが、その当時から見ますと、交通動きと申しますか、そういつたものがかなり変つて参りましたし、その他の情勢も大いに当時とは変りましたので、何か新しい面からこの交通調整というものを考えなくてはいけないだろう、こういうことで、いろいろと関係向き相談をいたしております。  その次は鉄道自動車調整という問題でございますが、この問題につきましても、目下のところでは、ただトラック路線事業が少し多過ぎて荷物を取られたとか、バスが相当長距離を走つているという点しか聞いておりませんが、これは現在の道路状況或いは燃料状況等から見て、さほど重大な問題となつておらないのでございますが、燃料が十分であり、若し道路整備されれば非常に将来大きな問題となるわけでございます。我々といたしましても、今から自動車輸送分野と、鉄道輸送分野というものをどういうふうに考えるかということについて大いに研究して参りたいと、こう思つております。鉄道自動車の問題に関連いたしまして、国鉄自動車というものをどういうふうに考えるかという問題でございますが、バス事業につきましては、この六月に事業者国鉄自動車関係を呼びまして、これに将来徒らに争うことなしに、むしろ内容の充実図つて行つて、若しお互い関係のある路線事業をやりたい場合には、よく事前に連絡してうまくやつてもらいたいということで、申入れをいたしましたところ、両者とも大いに賛成であるということで、過去の古い事案は別といたしましても、最近はそういつた摩擦を生ずるような事案は出て来ないような話合いになつておるわけでございます。  なおトラックにつきましても、最近国鉄トラック鉄道共同輸送という問題を話しておりますために、民間の一部に、民業圧迫ではないかという心配があるようでございますが、現在国鉄考えております共同輸送の線は、別に改めてトラックを殖やしてトラック事業をやりたいということはないのでありまして、鉄道貨物輸送合理化を図るために、或る支線区では貨車をやめて、それだけその代りトラックを入れる、或いは特定の駅に貨物を集約して、その駅間の間はトラックで運びたいというふうな考え方なんでございまして、なお国有鉄道の持つておりますトラックだけでやるのではなくて、民間の業者も大いに協力してもらいたいということになつておりますので、この点は十分話合いの上でうまくやつて行けるのではないかと考えております。  以上がまあ調整の問題でございますが、次に、事業の育成という問題でございますが、一つは、現在の自動車関係の税の問題でございますが、自動車関係は非常にいろいろの税を受けておる。従いまして事業者から何とかこれを軽減してもらいたいという陳情があるわけでございまして、自動車の税を減らすということは、結局安い運賃一般工業によいサービスをすることになるわけでありまして、なお税の名目でなしに、地方におきましてはいろいろの受益者負担的な役務を提供させられている、そういつたような状態でございますが、そういつたものもはつきりとした形にして納得の行くものにしなくてはいけない、こう考えております。又現在自動車が営業をやつておりますその車の車齢その他が非常に古いものが多いのでございまして、これが事業経営の上にもだんだん修理費ばかりかかつて益金が上らないという面もございますし、又事故のもとにもなるわけでございまして新しい車と入れ替えなくてはいけない。そのための資金についてできるだけ低廉なものを斡旋したい、こういうふうに考えております。  それからトラック関係で、最近定額運賃を実施したいということでやつておりますが、一般バス或いはハイヤー、タクシーでございますと、非常に現金取引もはつきりしておりますし、定額ということも楽なんでございますが、トラック事業定額ということは非常にむずかしいことでございます。併しながら最近のように事業が苦しくなつて来た、デフレの影響荷物減つたというふうなときに、お互い運賃のダンピングをやつて共倒れになることのないように是非この定額運賃を守らせて、事業基礎を危うくしないようにして行きたいと思つております。  次は、通運事業複数化についての問題でございますが、通運事業複数化も誠に順調に進みまして、現在では全訳数の一八%くらいまでが複数化されておりまして、大駅については大体完了したと考えられるのでございまして、将来は割合にそれよりも小さな駅に進むわけでありますが、この新たに殖えました新規事業者にも必ずしもいい事業者ばかりでなくて、成績の悪い者もございます。これらの救済をどうするかということが一つの大きな問題になつているわけでございまして、この点につきまして、運輸省といたしましてもいろいろの措置を考えておりますし、又国鉄とも協力の上にこれらの更生策を進めて参りたいと思つております。  なお通運事業に関連いたしまして、又今の更生策にも関連いたしまして鉄道運賃後払を保証する機構を何とか確立したいということで基本政策のほうにも挙げてございますが、これは年年貨物運賃を、鉄道に送りました貨物運賃の後納を保証いたしますのに、現在では銀行で保証して参つているのでございますが、これの保証料は年々相当な額に上つておりますが、そういつたものをお互いの間で作つた機関で保証してもらえばそれだけの金額が又お互い事業のために戻つて来るのではないか、こういつたような考え方で進めているわけでございます。非常に、いろいろな問題をたくさん申上げましたが、大体今問題になつております中で、自動車関係の事柄についてお話を申上げまして御説明に代える次第でございます。
  7. 大和与一

    大和与一君 最後の問題ですが、賠償責任を保証する制度の確立の法律も作りたい、大変結構だと思います。ところがその車両整備ですが、これがなかなか前から十分できなくて、運転手素質向上もやり、いろいろやられても車両をきちんと完全検査といいますか、これができなくちやならん。相当画龍点購を欠くということになるんじやないか。いろいろと説明局長からお聞きした限りでは、なかなか東京都内の全体の車両検査する場所、それに対する人員配置ということが十分でない。十分でないことはわかりますが、それが不十分であるということをまあ言つているのでは困りますので、この点をやはり検査所を作り、人を殖やす。その人も事務員配置転換でかわつて、そういうことを手助けするというのじやなくて、やはり本当の技術者がきちつとこう整備されるということにならなくちやいかんのですが、今度もそういうことは併せてお考えの上で或いは検査所を殖やすとか、それに対して適正な人員配置するかということまでお考えを頂いているのでございましようか。
  8. 真田登

    説明員真田登君) 只今お話にございましたように、車両整備の件でございますが、整備そのものにつきましては、先ず現在整備士技能検定でありますが、実施いたしております。それによつて年々優秀な技工を作り上げるという方面に努力いたしております。又車両検査の面でございますが、今お話ございましたように、決して車両検査要員が十分ではないのでありまして、戦後の推移だけを見ましても、現在では一人当りの扱い量は七、八〇%以上が当時から殖えていると考えられるのでありますが、逆に定員の面では年々行政整理のためにおつき合いをさせられるという格好になつております。併しながら関係のところでの予算査定、その他につきましては検査が非常に苦しいということについては十分了解願つておりまして、多少ずつの定員増をして頂いております。又来年度は現在のような東京とか大阪というふうな大きな所は自動車を持つて自動車の中に整備機械を積み込んで、機動的に動く、そうすることによつて人手を多少でも減らしたい、こういうことも考えております。又全般的には年々多少ずつ機械整備もいたしております。又検査施設のなかつた所も年々少しずつ殖やしまして、最近ではもう一つもない所はなくなり、今後は現在の検査所から、非常に遠い所へ行つてつてその往復に不便なものは今の機動力によつて防ぐとか、或いは又必要な検査所をそこに設置するとかという問題について大いに考えておるわけであります。
  9. 高木正夫

    委員長高木正夫君) 今大臣がお見えになつておりますが、お忙しいだろうと思うので、大臣質問するほうを先にやつてもらう……。
  10. 大倉精一

    大倉精一君 この際大臣気象業務について若干御質問を申上げたいと思うのですが、この前の第十九国会において本委員会水産委員会農林委員会等、おのおの定点観測の再開についての決議をやつたのであります。たまたま今度の第十二号台風、第十四号台風の来襲によつて定点観測重要性というものが如実に実証されてまた、こういうふうに私ども考えておるのでありますが、来年度におけるところの気象業務強化方策について、具体的に御説明を願いたいと思います。
  11. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 気象問題が昨年の風水害を契機といたしまして強く取上げられまして、皆さん方も又政府のほうでもこれの充実という問題について考慮を払わなければならんという空気が非常に濃厚になつて参りました。気象関係におきまして、いろいろなものが昨年よりは本年と、一段設備等において進歩をいたしたのでありますが、まだまだ私どもといたしましては、これでもうよかろう、これは人事の最高を尽したというところまで至つていないことは勿論の状態でございまして、特に定点観測の問題につきまして、幾たびか論議されまして、大倉君大変御熱心に定点観測の問題を是非取上げて前よりもいい状態にまで持つて行くようにせよという、何度かおつしやつておることもよく覚えておるのであります。又何とかいたして定点観測、これは戦争前にはなかつたことなんでありますが、やつてみまするといろいろな点において非常に有益であり、気象観測是非やりたいというような心持が強くいたしたのであります。御承知のように南方だけは台風時期の半年だけの観測を続けておりますが、北方はやむを得ずやめておるような状態であります。今度来年度の予算には、北方定点観測を何とかして回復さしてもらいたいという希望を持ちまして、予算にも船を組んで相談を始めておるところなんであります、それじやその通りできるかと言われますると、そこはまだわかりませんと申すよりほか仕方がないのでありますが、定点観測が致命的な問題ではないけれども、これがあれば非常に有効なことはもう申すまでもないことでありまするから、私ども予算の全体の枠において許される範囲において是非これを実現するようにという心持でまあいろいろと申上げておりますけれども、この定点観測は、特に気象台関係においては強くお願いをし、皆さん方のお力添えも得て実現するようにいたしたい、こういうふうに只今のところ考えております。
  12. 大倉精一

    大倉精一君 只今の御説明によりますと、若干の予算をとつて北方定点の復活ということについて来年度考慮しているが、併しながらどうなるかわからんという御説明のようですが、これはもうどうなるかわからんという段階じやなくて、私はこの前の国会に、台風を前にしてこの南北定点観測の廃止ということが将来の大きな問題になるということをいろいろ専門的な方面からもお聞きしたし、私も又いろいろ勉強もして、そういう結論の下に繰返し繰返し申上げたのですが、たまたま今度の台風の場合に、肝心の一番大事な台風の進路の予報ということが次々に変つて来た。そうして最後にその予報がはずれたということで、国民一般日本気象業務に対して何か或いは心許ないというような感じが出ているのではないか。これは非常に重大なことなんでありまして、而もその間において、新聞等にも、又先般の委員会において気象台専門家からいろいろお伺いいたしましたが、特に予報のはずれたという一つの大きな原因は、小笠原高気圧動向がつかめないということを肥沼部長も言つておられます。従つてこの小笠原高気圧動向をつかむということで、この南方定点観測というものが決定的なものになつている。かように私は考えるわけでありますけれども専門家北方定点重要性をこの際いろいろ意思表示をされているようです。従つてこの際私は、できれば北方定点の船ばかりでなくして、南方定点使つている船も非常に古ぼけたということを聞いておりますので、そういう点からこの際定点観測だけではありませんが、少なくともこの点について政府としては万全の対策を具体的に立ててもらう必要が出て来たのではないか。而もこの台風というものは毎年々々きまつて日本の本土を侵略して来る自然の敵といいますか、そういうことであります。これは避けることができないという現状におきましては、是非ともこの機会に南北定点の具体的な一つ施策というものについて、更に確定的なるものをここで出してもらいたいと思うのですが、その点もう一度一つお伺いしたいと思います。
  13. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 南方のほうのは、お話のようにあまりいい船でないことも事実でございますが、配船をいたしておりまして、又これでやつて行けることはとにかくやつて行けるのでございます。で、これはもう少し立派な船でそして万全を期するということは勿論望ましいことではありまするが、定点観測北方は今全然なくなつております。これを何とかして回復したいというときに、片一方には、まあとにかく今は使えるけれども、もう少しいい船をというような状態にはまあ日本の経済全体と申しまするか、ほかの予算情勢が非常に貧弱なものでありまするために、仮にこれを両方足しまして、私どもが一応説明をし、それに熱心にそれを主張いたしましても、全体の問題といたしまして、私たちはなかなか通りにくい問題だと思います。それで私ども今度の予算においては、今なくなつている北方定点観測というものを十分了解してもらつて、これに向つて予算をつけてもらうという線に私どもとしては主力を注いで行こうというふうに考えて、一応南方のは今のままで辛抱するということで予算には組んでないのでございます。決してこれを無視しているわけでもありませんし、又この定点観測の船があるだけで気象の完全な報告をとれるというような状態でもないのでありまして、まだまだほかの問題、特に南方の暴風問題になりますと、御承知のように中共の天気の報告というものが得られないということが、予報には非常な現在のところは致命的な大きな影響でございます。これがまあ今後どういうふうに報告を得られるようになりまするか、成るべくこれも一つ努力して、一日も早く気象通報を得られるようにする、同時に船だけでなく、そのほかの観測の方法につきましても、一歩を進めて行くということは是非やるつもりでございます。今予算の面において一番大きく出ておりまするのは、この北方定点観測予算であります。相当難航するでありましようが、是非これはやつてもらいたいという議会の声も私ども反映いたしまして、それを以て折衝を続けて、何とか努力いたしたいと思つております。
  14. 大倉精一

    大倉精一君 重ねてお伺いするのですが、勿論定点観測だけを復活してもこれは万全とは言えませんし、或いは又中共の気象情報を得たとしてもなお且つ完全無欠とは言えないかも知れませんが、少くとも今日本でやり得るところの最大限の準備態勢は整えなければならんと思つているわけですが、そこでこういう気象業務の強化について、更に積極的にやるについては、気象業務そのものに対する政府当局の認識というものと熱意が相当私は大きなウェイトになつて来ると考えられるわけです。そこで十九国会における本委員会において、私がいろいろ御質問申上げた中で、大臣は確かに北方定点がなくても台風時におけるところの気象観測についてはそう大した間違はないというように御答弁になつたと記憶しているんですが、私は今度の台風の体験によりまして、専門家からいろいろ聞いたところによりますと、北方定点の廃止によつて、こちらの方面高気圧動きがつかめなかつたという、ことで、非常に大きな間違いが起つた、大した間違いが起つた。こういう工合に専門家からも承わつているし、又私もそう考えており、従つてこの北方定点の早期完全な回復ということが更に強く要請されているわけですが、やはり今でも大臣北方定点がなくても台風時におけるところの気象観測について大した間違いがないのだ、これで行つて大した支障はないのだという工合にお考えになつておられるのか、この点について一つお伺いしておきたいと思います。
  15. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 確かに何だかそういうふうな意味の表現を私はいたしたと思います。大体において南方定点観測はいつも同じ頃に来る台風に備えての観測北方の定点は、冷害その他それに類するものについての北方方面の気候に影響を及ぼすものの観測というふうに私どもは了承しているわけです。勿論それは台風が来るには高気圧関係等が大きな影響を持つのでありますから、太平洋におきまする気象状況を定点によつて十分観測ができた、定点がなかつたら観測ができないというようなことで分けますと、恐らく船があつたほうがよかつたということは確かに言えるだろうと思うのでありますが、私どもが今まで聞いておりまする報告では、今あなたの言われたようにはつきりと私はそういうふうに、私が開き足りなかつたかわかりませんが、この間の台風北方定点観測があつたならばもつと正確であつたという台風観測が、北方の定点がなかつたために観測不能であつたということまではつきりとは聞いてないのでございます。併し私どもが定点があつたほうがいいということに一応に皆さん方と共に考えていることは、今のような高気圧の問題等も当然含まれるものである。台風に対する影響も当然含まれるのでありまして、そういうふうな意味からいたしまして、私は全然いやそんなものは影響ないのだということは強くは勿論考えておりません。まあ北方のほうはさつき申しましたように、冷害その他の問題の観測には非常に重要であつて、我々が年中接する夏から秋の初めにかけての暴風観測には、大した南方の定点ほど強い力を観測船が持つということではないというふうな程度ぐらいに了承しているわけでありまして、私も全然無用とは思つておりませんし、又現在今お話のようなこと等のお話専門家からあればその点もなお必要があろうと思います。それが重要性に一点の疑念を抱くものではありません。
  16. 大倉精一

    大倉精一君 何か大臣の言葉を聞いているというと、重要であるにはあるだろうが、なかつ も大したことないというようなお気持のように承われるのですが、例えば今のお話の中でも、船があつたほうがよかつた、船があつたほうがよかつたということは、これは気象という現象に関する限り私は非常に大きな問題だと思うのです。あの台風なんというようなものは、これは待つたなしにとにかく正直一方にやつて来るものであつて、船があつたほうがよかつたということになれば、なかつたらばこれは相当大きな影響がある。事実あつたのであります。そこで南方定点の役目は、確かにこれは台風場所なり或いはその進路なんというものを測定をするわけなんですが、併しながら南方定点だけでは、私は現在の場合台風の肝心の進路というものについては、非常にその資料が不足しているんじやないか。これは私も素人でよくわかりません、がこの台風の進路測定についていろいろ学説があるようで、いわゆる高層気流の変化によるんだ、或いは気圧の変化によるんだというようないろいろな学説があるようなんですが、併しながらいずれにしましても、北方定点におけるところの高気圧の変化、動向というもの、そうして又高層気流の動向というもの、こういうものが台風の進路というものについて非常に重大な影響がある。我々は台風というものが発生したかしないか、そうしてその大きさがどれだけであるかということもこれは大事なんです。どこで発生したかということが大事なんですが、問題はその台風がどこへ来るか、どんなに大きな台風が発生しましても、これが太平洋を通過したり、或いは朝鮮のほうへ行つてしまうというならば、日本本土としては別に影響がないのであるけれども、問題は南方に起つた台風日本の本土のどこに上陸するか、これが非常に重要な問題でありまして、この上陸する時期並びにその方向地点というものを知るがために、北方定点の高層気流観測というものが非常に重大なる役割をしているわけである、かように我々は考えているし、又そう聞いている。そうしますと、少くともこの台風の進路の測定、進路の測定ということになれば、これは北方定点観測というものは欠くべからざる一つの要素であるという工合に考えられて、北方定点の再開というものは、これは必須の要件であるという工合に考えているんですが、その点大臣と少し認識が違うようですが、この点についてもう一回お伺いしておきたいと思います。
  17. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 北方定点観測船があつたならば、高気圧等の問題についてナ変有利である、これがあつたならば、さぞこの間の観測にも有益であつた、間違いが少かつたろうということをあなたがお聞きになつたというが、私は直接にはそういうふうな意味のことを聞いておりませんが、成るほどそういうふうなこともあるであろう。そうすればなおさら私ども定点観測船を北方に置こうということを言うておるのに、更に一つの理由を加えたという意味において賛成の意を表したわけでございます。私は技術的の面はよく存じておりません。存じておりませんが、私はさように考えております。
  18. 大倉精一

    大倉精一君 これは私も技術者ではありませんので、大臣と同じように、詳しい学問的なことはわかりませんが、併しながらやはり素人は素人なりに、この問題に対して大きな関心を持つ以上、そういうことについてもいろいろお聞きもし、又調べているつもりなんですが、このことを認識の間違いといいますか、或いは判断の間違いというか、そういうことが日本の本土の非常に大きな災害の、何といいますか、災害に影響するということになつて参りますと、これは素人だからわからんとか何とかということで済ませることができない問題だろうと考えております。幸いにして今度の三十年度の予算の中には、北方定点の船を三隻御予定になつているということを聞いておりますが、これは是非とも一つ三隻最小限度といえどもこれは確保してもらわなければ私はならんと思います。これが又予算関係とか、或いは財政の関係とかということでこれが見送られるということになると、又同じことが来年度起つて来る。又台風の進路が変つた、様子が変つた、これが又北方定点観測船があればよかつたというようなことが又来年繰返される。そういうことが本土の災害に非常に大きな影響があるというようなことになりますので、これはお互い技術者ではございませんが、併しながら政治家という立場において、この北方定点観測船の完成については、この委員会において是非ともやるという一つ言明を頂きたいと思いますが、その点如何ですか。
  19. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) さつきから申しますように、運輸省としては、省の方針として是非これをほしいという心持で出しております。それで、又まだまだ気象の問題についてはたくさん今のあなたのお話のように、南方観測船も、まだ完全とはいえないこともわかつておりながら出さないということは、出したものはできるだけ多く認めてもらいたいという心持で、重点的な意味で出しておるのでございまするから、私どもはできるだけこの問題に取り組んで実現を期したいと思つております。
  20. 大倉精一

    大倉精一君 この問題についてはあとから大和委員のほうからもいろいろ御注文があるそうですから、一応次の問題をちよつと関連してお伺いしておきたいのですが、台風の進路の研究についてはいろいろな学説なり何なりがあつて、確定的なものがないということを聞いておりますが、私は九月二十三日の読売新聞でちよつと拝見したのですが、最近台風進路の数値予報というものを研究をしておる。で、この数値予報というものを研究をしているんだが、今度の場合においてもこの研究が非常に大きな価値があるというようなことが認識をされ出して来た、そこで政府としてもこれに対して若干補助金を出されるというようなお話なんですが、何かその補助金も又予算関係でどうやらこうやら削られる公算が多い、誠に心配だというようなことが書いてありますが、こういう点について政府としてはどのくらいの補助金をお出しになるおつもりであるか、その点についてもちよつとお伺いしたいと思います。
  21. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 只今数値予報に関しての補助金ということをお伺いしましたが、この件に関しましては私承知しておりません。数値予報に関しましては、最近ヨーロツパ、それからアメリカでかなり進んで来ております。で、これをいたしますには、やはりその計算の出発点となる正確な観測が必要だということで、日本のように海で取り囲まれております所では、島とか或いは定点のような、そういう正確な観測を出発点といたしまして、まだはつきりした予想の方法がない台風の経路などについて計算で出したい、そういうようなこと、これは外国の真似になりますけれども、それをやりたいという私ども希望を持つております。併し現在の日本ではまだ研究の段階だというところで、研究所から計算機の予算を本年度に提出をしております。補助金のことにつきましては私承知しておりません。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 これは私も専門家じやありませんので、非常に重要な問題だと思つて質問申上げたのですが、確かにこれは今研究中だということを言われております。従つてこういうような研究は非常に重要な研究だと思いますので、何かこの書いたものによりますというと、東大の学生さんや或いは中央気象台予報課の方々がやつておられるということを聞いておりまするが、いずれにしても台風の進路に対するところの確定的な学説なり何なりというものがない現在において、こういうような研究なり或いは努力なりに対しましては、政府としては重大な関心を持つて、そうして必要であれば資金援助をしてやるというお気持がなければならんと思いますが、この点について一つお伺いいたしておきたいと思います。
  23. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私は実はよく存じておりませんでございましたが、なお、今予報部長から説明したような情勢だと初めてここで承知するわけでありまするが、十分研究いたしまして、そういうことが台風の進路を知る上において力があるという問題でありましたら、私どもとしても取上げて問題にしなければならんと思つております。十分研究いたします。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 これは余り私は深く入りませんが、台風進路に対して非常に価値があるものであればというお話なんですが、価値があるものになるかならんかは研究の結果によるのであつて、こういう新しい方向に向つて研究を進めておるという、こういう一つの学究的な意欲については、これは若し仮にそれが資金的にそういう研究ができないという場合においては、これは政府としても考慮してやつてもらわなければならん問題であろうかと私は考えております。なお、この問題については、まだ大臣お聞きになつておらんようですからこの辺にして、十分一つこういうことについても御関心を持つて頂きたいという工合に考えます。  次に、もう一点お伺いしたいのですが、飛行機観測のことですが、この前の委員会においても私専門的に承わつたのですが、戦後において台風の現在位置等についての飛行機の観測については、非常に大きな価値が出て来た、こういう場合に日本の現在の状況においては、アメリカ軍の飛行機にのみ頼つている現状である。而もこのアメリカ軍の飛行機観測というものは、これは日本気象業務のために観測をするというのでなくて、飽くまでもアメリカの軍の必要のために観測するのである。従つて台風時において日本気象業務からその行動について注文する筋合でもなければ、又それに乗せてもらうこともできないというようなことで、他力本願的な一つ気象予報を以て台風の進路、或いは台風状況というものを知らざるを得ない、という状態にあるということを聞いておりまするが、この日本気象業務につきましても、飛行機によるところの気象観測、独自の飛行機によるところの気象観測というものについて、政府として何らかお考えになつているところがあつたらばお聞かせ願いたい。
  25. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今のところ飛行機による気象観測、特に台風の眠を突きとめるというようなことに気象台、又いずれにしても日本側においてそういうことをやる計画は持ち合してないのでございます。アメリカの飛行機に頼つている、それも不十分ではないかということでございますが、これは飛行機による観測というものが、日本において更に始めるといたしますると、これは私どものところでは、相当な、いろんな飛行機の訓練からしなければならんような問題があつて、なかなかむずかしいので、私ども考えておりまするところは、まだすぐにどうということでなく、今はアメリカの観測に頼つておりまするが、防衛隊等におきまして、国家の飛行機が十分精能を発揮するようになりましたならば、やがてこういう機関の飛行機が我々の観測用にも協力してもらう、その場合においては我々のほうの気象台員もそれに或いは乗り込むことができるというような問題等に進んで行かすべきだと、こういうように私どもは大体今漫然と考えているところでございます。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 これは、飛行機による観測というのは、現在では気象観測にこれは不可欠のものであるというような工合に私は考えているし、専門家もさように言つておられます。ところが今の御説明によりますというと、日本が再軍備をする、再軍備をするという前提の下にいろいろ考えておられると思うのですが、私はいろいろこの問題については国会においても論議があると思うところでありますが、現在の憲法下においては、日本が再軍備ができない、そういう大前提の下にこの気象観測に用いるところの飛行機というものについて、独自にお考えにならなければならんというふうに私は考える。大臣は今のところ再軍備したら、その軍隊の飛行機でやるように考えている、こういうふうに受取つてよろしうございましようか。
  27. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) そういう意味ではないのでございます。現在の防衛隊の中にも飛行機を持つておりまするし、飛行機の操縦もやつておりますので、そういうふうなところの技術に慣れた人が先ずこの観測等に当るということが、まあ日本のような貧乏な国では、どこかあるものを用いて行く、併用できるものは併用するということでやりませんと、これは必要だからといつて、それじや観測には是非飛行機が必要で、そうしてそれには別な独立のものを今持てと言われても、これは私はなかなかできないんじやないか。できないという考えだからできないんだと言われるかもわかりませんが、これはでき得るような、実行のできるような方法として考えると、今のような方法が一番考え得るのじやないかと、まあこういうふうに、これは私どもまだ私見の域を出ないのでありますが、どうも私のほうに飛行隊を持つて観測のためにやるということ、これは平時に飛ぶのと違いまして、あの嵐の中へ飛んで行くのでございますから、相当立派な技術も持たなくちやならんし、これはなかなかむずかしいんじやないか。まあできる方法を何とかして私どもはだんだん考えて行かなくちやならんと、まあそういうふうに思つているわけです。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 これは私は非常に重要なことだと思うのですが、今お話のように、現在の海上保安庁、或いは防衛自衛隊のほうでも飛行機を持つている。その操縦する人もいるというのですが、そういう飛行機じや台風時の観測には間に合わないわけです。従つてこの台風時において観測するという場合には、やはりB二九ですか、そういう級の飛行機を持たなければならんという格好になつて、そこで日本の国が憲法も改正して、そうして軍隊も持つてそこでB二九のような飛行機を持つてということであれば、今の御構想も或いは成り立つかも知れませんが、私どもは飽くまでも現憲法下において再軍備はできない。そういう軍隊は持てない。持てないという場合に、然らばこの大事な気象業務日本の飛行機というものを持てないからといつて、そのままにしておくか。而も日本は御承知のように世界有数な災害国であつて、毎年定期的にある。こういう場合に、軍隊を持たないから飛行機も持つちやならない。軍隊を持つたら飛行機も持つんだ、こういうような論法は私は非常に納得できない論法ではないかと思います。仮にその大型の飛行機を持つてそうして気象観測だけに使うのではなくして、やはり他の輸送面においても平生は使い得るという方法も講じられ得ると私は考えている。例えば観測船にしても海上保安庁あたりとのいろいろな共同使用ということも考えられるかも知れないが、とにかく飛行機を観測だけに用いるからいけないというような私は固定的な考えを持つて、これを考慮の外におくということは非常に重要な問題ではないか。勿論私は今直ちにこれを持てと言つても無理かも知れません。無理かも知れませんが、併しながらいろいろな部面において何々五カ年計画とか、何々三カ年計画とかいう計画がおありになるんですが、この気象業務についてもそういうものを勘案して、これは少くとも何年後には気象効果のために、こういう設備と、こういう機構を持つんだという計画がおありになつても然るべきだと思いますが、そういうものはおありにならんかどうか。
  29. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 防衛隊の名前を挙げましたので何か再軍備と引つかかつたようですが、これは飛行機に慣れているところで、飛行機を飛ばすことに慣れている国家の機関で飛ばしてもらつて観測をしたらという意味でございますから、今お話にもちらと出ましたが、或いは私のほうの海上保安庁もヘリコプターを持つ、或いは飛行機を持つというという計画もあるようでありますから、そういうふうなところで政府の負担において持つ、そこでやつてもらうということができるようなことはかまわないと思います。いずれにしても政府の機関のところでやつたらそうしたほうがしやすいのじやないかという意味で私申上げるわけでございます。今言われましたように、今年の予算観測用の飛行機を含めというようなことのようですが、長い目でこの気象観測の完全を期するために、又アメリカはいつまでも日本にいるわけじやないのですし、いなくなつてそれを利用もできなくなつたときにあわてないように考えておけということは御尤もなことだと思います。これにつきましては測候所、気象台係関ともともとと一つ相談をいたしてみたいと思います。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 そこで今のお言葉の中で私は感じられるのですが、近い将来において自衛隊の中の航空隊の中にB二九程度の飛行機を装備するというお考えがあるように窺えるのですが、そういうお考えがおありになるのですか。
  31. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) それは私は全然関与いたしておりません。存じておりません。ただ私が申しましたのは、観測用に飛ばす飛行機を使うなら政府の機関のものを使つたら、こういうことでございまして、そういうことは承知いたしておりません。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 なお他の委員もいろいろ御質問があるようですから、一応こう一つはつきりした推進というか、うしなくちやならんということを含めて予算を組またくちやいかん、こういうふうな考えを多く持つて頂かなければいかんと思うのですが、非常に消極れで私はやめますが、なおこれに関連した直間を保留しまして、これで終ります。
  33. 大和与一

    大和与一君 大臣にお尋ねしますが、具体的に毎年二千五百億円ぐらいのものが災害の費用にかかつておると思うのですが、人口の四分の一近い二千万ぐらいの人が水害の危険にさらされております。然るに五年前の二十四年度の災害復旧事業がまだ済んでいないという現状でございます。災害のすぐあとで起るのは日用品や食糧、復興資材が暴騰する。災害で一儲けしようというような悪徳商人が横行する。その中で又悪い国会議員がたくさにおつて、地元と結託して被害を誇張して予算の分捕りをやつて選挙運動をやる。そうして災害ぶとりの地方ができて、国民の台所が悲鳴を上げる、こういうふうなことを大体毎年多かれ少かれ繰返しておると思うのです。そこでどうも大臣のお答えを拝聴いたしますと、必要欠くべからざるこの気象予報について、その設備の整備についてまあ少しずつでもいいが、一歩でも進んで行つたらその程度で我慢しようじやないかと、こういう言い方と、ここまではどうしてもしなくちやいかんのだ、今言つたことは金額に換算したら何千億という金になるのですから、そういうことを毎年繰返しておりながら、なお且つ北方定点の問題が解決しないので、やはりそういうことを根本的に考えた場合に、大臣として当然これはもう一つはつきりした推進というか、こうしなくちやならんということを含めて予算を組まなくちやいかん、こういうふうな考えを多く持つて頂かなければいかんと思うのですが、非常に消極的だと思うのです。その点如何でしよう。
  34. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ここで景気のいいお話をすれば今これもやりたい、あれもやりたい、これも主張するのだということだけだと幾らでも言えるようなものですが、実際上にどう動くかということをやつぱり私どもとしては皆さん方と話合うときに、実現し得るような、少くともほかの情勢でやめるにしても、実現し得るような限度で進んで行かなければ、私どもの今一兆円予算というような程度のことでやつておる範囲においては、どれも必要でない予算というものは、その実行に当つて今あなたの言われるような間違つた場合も起つて来ることもあるようでありますが、これをやりたい、あれをやりたいというだけの場合においては、私は大がいみんなやりたいことばかりだと思うのです。私のほうの予算だけでも、昨年の切り詰めて切り詰めて行つてもやはり倍以上のものが出ている。各省恐らくそうでありましようから、そのまま出れば二兆円ぐらいのものが出る。又その切り詰めた予算でもそのくらいになりますが、それじやどうも手ぬるいじやないか、もつとこれほどの問題があるじやないかということになりますと、それはやりたい、やりたいことはやりたい、併し金が要るんだという問題にすぐ引つかかつてしまうのですが、昨年より今年、今年より来年と、今までずつと気象関係におきましても、観測の正確を期し、そしてそれを周知せしめることに敏速を期するというよう問題ではだんだん進んで来ておるのが今日の状態でございます。更にそれをよくしたいという意欲の下に私ども考えおるこれにはいろいろ気象台からの要望もありまして私どもあれをやりたい、これをやりたいという中から特に必要だと、これだけはやりたいというようなものを取上げて、これから折衝するわけでありますが、まあ一応出しておこう、どうでもいいのだというような心持はないのでございまするけれども最後に至りますると思うようにその成果が、結果が出て来ない。そうして何だこんなざまはと言われるようなことも或いは起り得るのでありますが、如何にもこの気象観測の問題は非常に地味でございますが、今言われたような災害が必ず出る、こいつを今よける方法はないのでございまして、それを予知して早く災害を少くする、人命に傷害を及ぼすことを少くするということの方法をできるだけとるという線で考えて私どもいろいろな予算をここに組んでこれから折衝に入ろうというつもりでございまして、まあまあうるさいから少し出しておけというような消極的な気持はなく、是非やりたいというふうなものを取上げてこれから折衝に努力をいたそうと思つているわけでございます。
  35. 大和与一

    大和与一君 先ほどの大臣のお言葉にもありましたけれども、例えば今年の夏の長期予報に冷害の再来を予報した、それで稲作の追肥が手控えられた。実際は暑い好天気が続いてこのために稲作が持ち直して国民を安心させたけれども、一面ではあの天気だつたら追肥をやればよかつた、こういうふうに残念がつている農民もある。こういうことを大臣は農林大臣あたりにこの気象の重要なことをどの程度しつかり話がしてあり、又農林大臣或いは大蔵大臣がどの程度よくわかつた上で、なお且つどうしてもやむを得んからこれくらいで運輸大臣勘弁してくれというふうになつているのか、こんなことを本当は知らんのじやないかという気がするのです。又北方定点の問題は冷害予報の見張所ということになるのでしようが、ところがアメリカもソヴィエトも全然それらしき予報をやつていない。そうして今年の北海道或いは東北の冷害なり、北海道沿岸において先般漁船が突風でえらい被害をこうむつた、こういつたようなことは明らかに北方定点観測が中土になつたからだ、これは無関係では決してない、こういうふうに考えるのですが、その辺はどういうふうにお考えになりますか。
  36. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 北海道でこの春ですか、夏の初めに突風が予報よりも早く吹いた、風のほうが早かつた、又その予報通りに風が来ても、知らすのとその知らせを受けて避難する時間と考えると、出漁している地点からはなかなか帰れなかつたのだろうという計算にもなるようでございましてあれはやむを得なかつたというふうに農林省あたりも考えているようでございます。で、農林省におきましても、大蔵省におきましても、定点観測が、予報というものが正確であつてそうしてそれに従つてやつたことが間違いなくいい効果を現わすということを熱望していることは、これはもう勿論のことでございまして、そのいい成績を上げるように気象台が努力してくれることを期待しているわけでございますが、気象台といたしましては、御承知のように一生懸命やつております。併し設備においてまだまだ至らんものもあり、もつと予報、周知両面から見ましても、もつともつとほしいという設備があることも事実でございまして、この点につきましては、昨年ああいう水害がありまして、大蔵省の査定等にも私どもはまだまだ当該責任官庁としてはもつとほしい、こう思い、大蔵省として相当いろいろな新しい面にも力を入れたということは事実でございます。これが満足か不満足かといえば、大体受けるほうの側では皆不満足だ、もつとやるべきじやないかという声はあるのでございまして、だから大蔵省も定点観測というものがいかに重要か、これは私は十分認識してくれていると思いますので、なおこの問題につきまして十分よく話合いをしたい、こう思つております。
  37. 大和与一

    大和与一君 新聞によりますと、陛下からのお尋ねがあつたということが書いてあります。昔であれば編言汗のことしで、陛下が二言言つたらちやんとできてしまう。そういうのがちよつと世の中が変つたけれども、そういうように非常に御心配になつておるようですが、そういうふうなことがあつても、大臣として今回二十九年度の予算に今盛られただけでまあどうしても我慢してもらわなければいかん、こういうふうにお考えなされますか、或いは閣僚会議あたりで、そんな話は出ないかも知れませんけれども、全国民の何とかもつと予報整備したいという気持があるわけですが、その点どのようにお考えになりますか。
  38. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 天子さまの言葉が出ましたから申上げますが、天子さまに農林大臣が農作状況報告いたしましたときに、南方定点観測船の話が出まして、非常に荒海の中を五十度近くも傾いてそこになお働いた、そればかりでなく、そのうちに漁船を一ぱい救い出したという話が出まして、誠に有難いことだという言葉を頂いたというので皆感激をいたしておるのであります。これは気象台と海上保安庁の職員とが職務のために献身的に働いたということに対する言葉であると同時に、大和君の言われましたように、もつとそういうようなひどい目にあわんでもいいような船ができることが望ましいという御心持だと私ども考えます。が、まあそれだからそれじや一つ南方観測船を新しいものに換えて一つよくしよう、或いは北方観測船をもつと大型にしてとかいうような線を、今すぐには考えてはおりませんけれども、思召の心持も私どもの気持と全然同じ方向を示して頂いておるのであります。できるだけ設備をよくして行く、そうして観測を少しでも正確ならしめるという方向に進むように努力をする、これは私ばかりでなく内閣の閣僚も同じことだと思います。
  39. 大和与一

    大和与一君 先ほどから話が出ておつたのですが、この予報一つの非常に大きな問題として、ソヴィエト、中共地区の気象がわからない、情報交換ができてない、こういうことがたびたび言われました。これはまあ前にも気象台長からもお話があつたと思いますが、それについて、政府は今まで気象問題については中共にでもどこにでも遠慮なく話をして、これは一つ話がまとまることが、こういうことならできるのじやないかという気もいたしますが、飽くまでも中共とはもうものも言わん、一切相手にせん、こういう態度で、文化的にも或いは人間的にも或いはこういうふうなことにも交流しない。併し国会では衆参両院満場一致人事の交流とそれから貿易の拡大、こういうことをするようにすでに決議までしているわけです。そういうことを考えると、「先ず隗より始めよ」で、運輸大臣もこのことだけは一つ中共とは少くとも連絡をとつて気象のことを相互交換をやる、これはできるのじやないかと思うのですが、今まで御努力なさつたか、なさつていなければ今からでも遅くないからすぐやる、こういう決意なり具体的な信言を頂けないでしようか。
  40. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 中共地区又その他の地区でも、この気象関係というものは人類相互の幸福と安全のためでございますから、たとえ私どもが共産国家でそうしてそれらの国と国交を回復してないからというような問題だけでお互いの電波を知らしめないようにすることは、これは私は間違いだと思うのであります。我々のほうもどんどんそれで出しておるのであります。向うは聞いておるわけであります。向うも聞かしてくれていいわけであります。併しそういう設備がないのなら仕方がない。どんな方法でやるかという問題になるのであります。今まで私自身はどうということで特別な努力をしたことはございません。併し何とかして今申したようなことの実現はお互いのためであります。人類のためという立場から考えてやつてくれてもいい問題じやないかということも考えますが、今気象台長がローマに行つております。会議に行つた帰りに多分中共に参るだろうと思つております。行くことを許すつもりでおります。そうしてできるだけそういうような施設も見、或いは話ができれば話もして来るということをやりたいと、そういうふうに思つております。こういう気持でおります。
  41. 大和与一

    大和与一君 予報部長にお尋ねしますが、気象台長がローマから中共においでになるということを開いておりますが、大体要点としてどういうことを中共政府気象台として、日本政府として話をしたい、どういうような心がまえでおいでになつているか、わかつたらお伺いしたいと思います。準備をされておるか……。
  42. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 台長御出発のときに、中共のことの事情がわからないので、先般約一年ばかり前向うから引揚げました人を呼んでいろいろの事情をお聞きになつたようでございます。で、要点は、一番我々困つておりますのは気象の資料の交換ができない。恐らく今すぐそういうようなお話を持つて行つても実現はむずかしいだろうけれども、現在中共でどういう気象観測をやり、果して放送をしているのかいないのか、それくらいの事情はわかるだろう、そういうようなことだけでも知ればかなり参考になるだろうというようなお考えで、向うへ行きたいというお考えだつたように聞いております。
  43. 大和与一

    大和与一君 そうすると個人の資格で一応話をしてみようという程度になりますか、或いは、できればやはり気象台長ですから、日本政府の、うまく行けばそれをまとめてしまうということになつてしまつたほうがいいと思いますが、今のところは個人の立場でまあ話をしようということですか。
  44. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) これは今のところは国交も回復しておりませんので、台長は個人の資格で行つていろいろ向うの意見も徴し、自分の意見を申述べて来たい、その程度のお考えだつたように聞いております。    〔委員長退席、現事重盛壽治君着席〕
  45. 大和与一

    大和与一君 もう一つ予報部長にお尋ねしますが、今北方定点南方定点と二つある、それができればもう一つぐらい定点を持ちたい、そういうようなお考えがありますが、まあ常識的に考えて太平洋の洋上に一体幾つくらい観測船があつたらあなた方としては大体当り前だ、控え目に言うのですが、何隻ぐらいあつたらいいか、こういう程度のことをお尋ねしておきたい。
  46. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 一昨日もここで申上げたのでありますが、気象の資料は多いほどいいのはこれは間違いないことでございます。ただどれだけかと言われますと、ちよつと申上げかねるのでありますが、北方定点のその東のほうには米国とカナダと共同で現在三つの定点を実施しております。それに若し北方定点が加わりますと四つございます。それから南のほうはあちこち島がございますので、この島で普通の気象観測、ラジオ・ゾンデの観測をやつております。そういう意味で北方定点は最小限必要だ。それから南方でございますが、南方はこれもこの前簡単にお話したと思いますが、小笠原列島と沖繩列島の間の島がございましてあすこに幾つかの観測所がございます。ただその列島の距離が千キロにもなつておりましてその真ん中を北上して参ります台風については何も観測資料がないので、この南方、定点は台に対しては非常な重要性を持つておる。最小限これは維持したいということでございます。なお話といたしましては、中共の資料がいつ入るかわからないということで東支那海にもほしいという意見が出たこともございますが、併し少し南に寄りますけれども、香港の資料が入つて来ておりますので、これは重要性から言えば二次的だと思います。
  47. 大和与一

    大和与一君 南方の主として洋上の話になると思うのですが、大谷大阪気象台長は、どうしても三十隻くらい観測船がなければだめだと、こういうお話です。そういうことが新聞に出たのでありましたが、これは最大限としても、今のあなたのお話は最少限過ぎて四、五点、五、六点でいい、こういうお話ですが、もう少し気象台として責任を持つてどうしてもこれくらい要るのだ、直ちに予算がすぐ伴うかどうか疑問ですが、そういうような気象上というか、今のなあた方の力を発揮するために、又災害を予防するために最小限これだけは要るんだ、そういうような話を聞かしてもらいたい。そうでないと、いつもマキシマムとミニマムの話になろて、真ん中の焦点かぼやけてしまう。そうでない話もしてもらわないと困る。    〔理事重盛壽治君退席、委員長着席〕
  48. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 大谷大阪台長の話は私も新聞で承知しております。併しこれは陸上のような密度にすればということで、完全なものにしたいという、そういう前提が入つておるのだと存じます。私ども災害に対して考えておりますことは、十日なり半月なり先にどの土地で災害が起るという予想が立てられるほどの技術を私ども持つようになりますれば、これはその災害に対して建設省なり、農林省なり、或いは交通関係運輸省なりで十分の施策が立つはずでございます。それだけの技術を持つような自信がありますれば、私どもこれは国家的に見て気象台が相当の観測船を持つてやればそれだけの経済効果はあるという点て強力に要求をすべきでありますし、私どもそう考えております。併し現在の私どもの技術を以てしましては、台風予報も最大限一昼夜或いは一昼夜半くらいで、対策と申しましても全くの応急対策或いは人命の救助、その辺を目標にする以外ないのであります。そういう点は私どもの学問が進んでいない、非常に残念力点でございますが、そういう現場におきまして厖大な予算を以て船を作つて頂いて果してどうかという点について、私ども消極的と言われるかも知れませんけれども、非常な疑問を持つておるわけです。
  49. 大和与一

    大和与一君 併し厖大な予算どころか極小の予算だと思つておるのです。それからもう一つ三十年度の予算に、新聞で見ますと、一つ北方定点の船を復活する。それは一隻二千トンですが、それで約十八億円。それからもう一つ、長期予報員の拡充のために一億円、それからもう一つは国際地球観測観測参加のため本年度分約五千万円、こんなふうにちよつと書いてありましたのですが、間違いございませんか。
  50. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 細かい数字は知りませんが、大体の計算としては間違いございません。
  51. 大和与一

    大和与一君 それから最後にもう一つ、どうも大臣がこういう方ですからあなた方どんなに本当のことを言つてもちつとも困らないし、むしろ本当のことを言つて頂いて今度は大蔵大臣とかほかのほうと折衝するために、本当に気象台では全員一致としてこういうことをやつて頂きたい、こういうことを強く言つて下さるほうが確信が持てる。ところが今までいろいろと皆さまにお尋ねをしましたが、この大変研究とか何とか、おとなしいというか控え目の話をされて、どうも運輸委員会ばかりが馬力をかけて気張つておるが、御本人のほうは、これでもできんことはない。そういうお話ではなくて、どうしても必要欠くべからざる点はここだと、こういうふうに話して頂くと大臣も楽になるし運輸委員会も楽になる。随分皆さんもお骨折りをされていることは国民も百も承知で、今回の予報はずれも気象台を責めている者は一人もない。私どもは実際もつと政府が目ざめて理解をしてやらなければならん、こういうことを思つているわけなんで、一つここで気象台の総意を代表して、どうしても一つつてもらわなければいかんというところを話してもらいたいと思うのです。いつもこつちからお尋ねすると、まあまあ今でいいとか、まあこれくらいでできんことはない、多いほうが大変よろしい、多々益々弁ずくらいの話ではちよつと弱過ぎていかんので、もつと強い発言をして頂いて、大臣にここでよく肝に銘じて頂いてがんばつてもらう、こういうふうに一つして頂きたいと思います。
  52. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 大変有難いお言葉なんでございますが、私どもの仕事は一般官庁でやつております対社会と申しますか、対人間についての施策と違いまして、何しろ相手が自然であるというようなことで、何と申しましても研究ということが先決でございます。今私ども政府の機関として予報をいたしておりますけれども、これはほかの技術が、その技術を実行する完全なものができて、その技術を実行している、例えば蒸気機関車が発明されて汽車が動いているというのとは違いまして、要求のほうが先になつている。天気のことは、これは技術ができなかつた時代には、神仏にお祈りして雨を降らせる、或いは晴にするというようなそういう経過をとつて来た。で、非常に要求のほうが先になつて来たのでございます。現在もなお要求のほうに追つかけられながらやつております。そのために技術がどうしても要求に伴わないで、非常に残念なことでありますが、併しこの状態は続くのでありまして毎日の予報についても、以前よりはかなり正確になりましたが、そのときにはすでに世間のほうの要求はそれをもつと数量的に時間的の予報を要求しております。そういうことでいつでも我々、何といいますか、劣等感という言葉は当らないと思うのでありますが、いつでも心の中で消極的に、こんなことを言つても果してどうなるかという気持を持ちながら夢つておりますので、私どもの発言が非常に消極的に聞こえるのだとこう存じます。で、いつでも心の中で思うのでありますが、日本のような災害国で予報がもつと正確に行くならば我々もつとく強力な要求ができるのだがということを常々思つておるのであります。その裏付けになる私どもの技術がないということは非常に残念だ、その点が我々の態度を消極的だと外からお感じになつているところだと思います。これでも相当厚かましく要求しているつもりではいるのであります。
  53. 大和与一

    大和与一君 まさに今のお答、えはいみじくも本音を吐いたと思います。やつぱり本当のことをあなた方が当てるためには、今言つたことをやらなければいかんので、その本当のことを当てるためには皆さんの主張がまだ非常にやさし過ぎる、こういうことを言わざるを得ない。是非とも今後私はその点、正しいことを強く主張して頂きたいと思うのです。  大臣にもう少しお尋ねしたいのですが、この定点観測の危険手当ですね、これは新聞で見て私どもびつくりしましたのですが、一時間に十円だ。一日に二百四十円ですが、これについては一体どういうふうにお考えになつていますか。何とか殖やしてやりたい、殖やさなければいかん、こういうようなお気持なんかはございませんか。
  54. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは私は甚だ迂遠な話ですが、どういうことになつておりますかよく承知いたしておりません。なお一つよく調べましてあまり格好がつかないものでありますれば、格好をつけ得るや否や、その他の方面の仕事の関係もいろいろあると思います。気象台関係或いは海上保安庁だけの関係だけではいかないので、よく吟味いたしておきたいと思います。
  55. 大和与一

    大和与一君 この点は一つ是非御研究を頂いて、人力を絶したあの激しい風との戦いをしておられるわけですから、それが一時間十円というのはあまりに非人間的ですから、是非お願いしたいと思います。  それからもう一つは、観測船が米軍から海上保害庁のほうに籍が移つた、そうして定点観測だけにときどき使われますが、その他の船は一体何をしておるのですか。海上保呼庁はこんなぼろ船は要らないということを、これは速記録じやないと思いますが、そんなことを聞いておるのですが、海難救助にも使えないということそ聞いておるのですが、一体この船は普通は何をしておるのですか。それをお尋ねしたいと思います。
  56. 藤井堯四郎

    説明員藤井堯四郎君) 海上保守庁の政務課のものでございますが、定点観測船を引き継ぎまして、夏期半年間は二隻交替で定点観測に従事いたしております。勿論夏期において定点観測をやるかたわら、海難救助なんかにも使つております。この間のあつみも帰りに一隻漕難漁船の救助に従事いたしました。それから冬期におきましては、定点観測が今休みになつておりますので、その間は全部一般の海難救助或いは密輸入その他の取締り、こういうふうな業務に使つております。
  57. 大和与一

    大和与一君 もう一つ、例えば今度三十年度予算北方定点観測の船を作るというようなお話もありますが、これはあなたの海上保安庁にはこういうことを相談なり連絡が十分にできて、こういう予算の計上がなされておるのですか。或いはそれでいいのかどうか、お伺いします。
  58. 藤井堯四郎

    説明員藤井堯四郎君) 私一補佐官でございまして、最高の政策には十分関知いたさないのでございますが、その点につきましては、いろいろ運輸省部内で御検討はなさつておるものと思います。で、その運用方法なんというような点もいろいろ御検討になつているのじやないかと私は推測いたしております。
  59. 北村純一

    説明員(北村純一君) 只今お話でございますが、海上保安庁等においては十分連絡いたしまして、計画を立てておりまいす。
  60. 大倉精一

    大倉精一君 関連して御質問いたしますが、私は昨日その問題で海上保安新聞を見ておりますというと、その論説のところに、気象台独自で以て船を出すということはこれは不都合だ、そういうことをやつてもらうというと、海上保安庁と気象台とのシステムというものが乱れるもとになつてこれはけしからん、船についても当然海上保安庁がやるべきものであるというようなことをちらつと見たのですが、何かそんなようなことでもあるのですか。
  61. 北村純一

    説明員(北村純一君) 海上保安新聞は残念ながら拝見しておりませんので、どういうことが書いてありましたか存じませんけれども只今気象観測船を新しく作ることにつきましては、こういうふうに打合せをいたしました。海上保安庁で半年だけ警備救難船にお使いになつて、あとの半年を気象観測船に使う、そういうふうな相互に関連する船の運用につきましては、海上保安庁にお願いするけれども、通年気象台においてこれを使用するものは海上保安庁において持つてつて、殆んど海上保安庁が持つておるということの実益が少いように思うから、気象台でお作りになつて気象台で専用されるということに同意するということになつております。
  62. 大倉精一

    大倉精一君 それは部内のことですから私は別にここでどうこう申しませんが、折角船をお作りになつて、その船をめぐつて又部内で所管争いをして、肝心の時期に気象観測の用に立たん、或いは支障を来たすということのないように特に一つ御注意を願いたいと思います。
  63. 大和与一

    大和与一君 最後運輸大臣にお願いしますが、今までお聞きの通りの気象予報状態ですから、どんなに万々一まかり間違つても今計上された予算だけは百パーセント獲得する、こういう一つ確たる確言を得たいのですけれども、これじや足りんというのじや話にならないが、そういう決意を披瀝して頂いて、私の質問を終りたいと思います。
  64. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 残念ながらその通りとは確言できませんが、私どもはさつきも申しましたように、もつといろいろのものをやりたいが、こういうものだけはという心持で出しておることも事実でありますが、これの実現に私どもの力の限りを出そうと思つております。
  65. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 大臣にちよつとお伺いしたいのですが、この三十年度の基本政策に大きな項目が六つばかりございますが、これに重点がございますですか。それとも別にそう重点がないのですか。
  66. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この項目別にいろいろ掲げておりまするように、運輸省といたしましてはどれもやりたい問題でございます。空、海、陸並びにこれに関連するそれぞれの部門においてどれをそれじや軽くするということは考えてないのでございます。全面的に前進して行きたい、こういうふうに思つております。
  67. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 そうすると大臣の御希望のようだと、予算は去年に比べて先ほどおつしやつていたように倍になるわけですか。
  68. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) その通りでございまして、私どものほうだけ言つても昨年の倍であります。ほかの省のものを併せると、多いところも少いところもありましようが、二兆円以上恐らく金がなければこれだけのものは実現し得ないことになります。でありますから、私はこのままみんな全部通るとは、熱意を以て通すつもりでやつても通るというようなことは、私は実際上不可能と考えております。おのずから軽重がそこに自然折衝の上で出て来まして、或いは項目が生きても金額が減るというようなことになると思いますけれども、ここに出した問題はどれ一つもやりたいと思うものでありますから、金額の点において半分、私のほうばかりでも半分になるという傾向にございます。三年くらいでやりたいものが五年になるとか六年になるというようなことで、私どもの案としては進んで行きたい、こういうふうに思つております。
  69. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 今のお話から推測しまして、到底倍の予算がとれようと思えないわけです。大臣も御同感だろうと思いますが、そうするとどうしても重点を考えて頂いて、その倍、少くとも去年よりは一割殖えるとか或いは去年と同じものを出す、こうなりましても、運輸省としてはこの項目の中で何を先に推進するということを一つ、今さつきのお話ではみんなやりたいんだとおつしやつていましたけれども、ここで一つどれが先かということをお聞きすることは、すぐには返事ができないと思いますが、そういうふうに重点的によく考えて折衝なさろうという意図はおありでしようか。
  70. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私どもといたしましては、新規な仕事でありますれば頭だけでも出すというような心持を以てでも全面的に前進したいという、そういう意味でございます。金額の上において今のようなことでありますけれども、どれをとるとか或いはこの問題は今年は辛抱する、来年はやつてもらいたい、今年は辛抱するというような問題もおのずから折衝の面で出て来ると思います。各省とのいろいろの振り合い等もあると思います。
  71. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 これはちよつと希望になりますけれども、私どもの希望から行きますと、最初にあるような外貨獲得に必要なような政策とか、或いはこの今産業の合理化などありますが、輸送費の軽減ですね、こういうことが非常に問題になつておりますから、そういう輸送費の軽減なり、その中に書いてあります産業の合理化、これになるようなこと、そういう点、それからもう一つは、先ほど来議論がございましたが、災害の防止ですね、そういうような点に重点を注いで一つ御折衝を願いたいと、こう考えておりますが、どうでございましようか。
  72. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お言葉を承わつておきます。
  73. 高木正夫

    委員長高木正夫君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止〕
  74. 高木正夫

    委員長高木正夫君) 速記を始めて下さい。
  75. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 一般産業の三十年度の運首相の基本政策についてはいろいろありますが、まだおいでを願う機会もあると思いますからその節お伺いしたいと思います。ただ今他の委員から言われましたように、これだけのものを実施しようというと厖大な予算がかかりますので、政府全体から見る場合は困難な面がたくさんあるが、これは私は当然だと思う。そこでこういうものをお出しになつたのを更に分類していずれに重点を置くか、いわゆる運輸省が重点を置く点はどこであるかと我々が考えて、どこの点であるかという点を調整して考えなければならん機関が必要だと思います。これは至急に作つてお出しを願いたい。これはむしろ質問というより、そういう方法をとつて行くことが運輸行政一般の上から至当じやないかと思いますが、そういうことと、それからもう一つは、直接運輸行政とは関係のあることではないかも知れませんが、或いは又運輸大臣として好ましからざる質問であるかも知れませんが、今度の吉田首相の外遊に関連して、運輸省として何か関連事項か何かないのか。例えば船舶輸出というようなことは相当運輸省として考えなければならないが、こういう問題を今度は首相だけでなく佐藤幹事長が行く、小笠原蔵相が行く、次には岡崎外務大臣が行くと言われておるが、こういう戦後を通じて運輸省として何かそういつた運輸省の船舶問題、或いは飛行場の返還問題というような問題等を相談し合い、或いは委嘱したことがおありかどうか、その点返事ができたら一つ承わつておきたいとこう思います。
  76. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 先日総理外遊につきまして、運輸関係の問題でいろいろ聞きたいと思つて私会いました。総理に対して私の触れた問題は、船の問題だけでございます。それはどういうことかと申しますと、船が今各地において競争が激しいことは御承知り通りでありますが、イギリスに関係のありますところでは、主としてイギリスがイニシアティブをとつておるのは欧州航路、それからインド・パキスタン航路、ここらに問題がある。日本側といたしますとそのほかにニューヨーク航路もあれば南米航路もあり、濠州航路もあり、その他いろいろなところでみな問題があるのでありますが、大部分について、どうも日本人同士の競争が激しかつたように見受けられます。それで船のほうの船主の連盟でイギリスが指導をしております欧州航路、インド・パキスタンの航路等について、或いはイギリス側から何か話があるかもわからんということを私は思うたのであります。というのは、この間シンガポールに駐在しておりますイギリスの東洋方面の海運問題を監督しておると申しましようか、イギリスの運輸省の役人が数日前に私のところにやつて参りました。イギリスの大使館の参事官と二人でやつて参りましたそのときにいろいろな話をいたしまして、日本の今までの船舶の建造計画、それに対する政府政府資金を出して行くとか何とかいうことは、日本がああいうふうなひどい状態で船がなくなる、そうして戦時補償なんかとられたのにそれをやるという、併し実際の運営の競争に航路補助とか何とか、どんどん政府が金を出して、そうして世界の海運国のいろいろな個人の船主と競争するような、政府の援助で競争するようなことになるだろうが、そういうことを我々の国の船主は非常に虞れておるというような意味の話がありました。それは我々考えておるということで、みな今までの話をいたしましたが、今までの政府の行き方には何の異存はないということでありました。ところが欧洲航路の問題や、インド・パキスタン航路の問題は、日本人同士の無駄な競争だということも、特にニューヨーク航路等は、これをやかましく我々が言うて、だんだんみんな合理化の線に沿つてニューヨーク航路なんかは漸く相談して、これを締結するような線まで回復して来たというようなことを考えると、我々がいろいろやらなくちや、自粛しなくちやならんものもあるが、何しろ戦争後非常に遅く立ち上つて、まだ回復の途上にあるのであるから、先進国でありますイギリスとしては、できるだけ日本の船の伸びて行くということについて寛大な、いわゆる後進を導くというような心持で連盟ともやつてもらいたいこと。あなた方は役人だから民間のこと等について言うのではないが、あなたにお願いするのはおかしいけれども、すべてそういう気持でやつてもらいたいということを考えておるという話をこの間したことがあるのです。それで総理が今度行くと、丁度十月の初め頃に、何か新聞で見ると欧州航路同盟の総会か何かあるらしいのですが、その前後になることもあるし、そういうような人たちから、或いは日本の船の問題についての陳情であるとか、或いは意見が出るかも知れん、或いは何かの席上で政府関係者から質問やら希望やら出るかも知れんというようなことを考えましたので、実情を大体説明しまして、そうして総理は個々の問題についていろいろなことを今話を進めないように、大体海運のことは海運業者の間で話を進める建前で行くべきものであるから、総理はいろいろ言われてもただ聞いて、筋としては日本が、さつき申上げましたように、日本は後進国の状態、特にその状態にあるのだから、先進国として好意を示してくれということだけを言うてくれということでした。それからそのほかに、前に鉄道に対する世界銀行から金を出してもろう問題等があつて、長崎君が行つたときには折衝して、こちらへあちらの人が来たときに会つたりしましたが、これはちよつとだんだんランキングが下つて来まして、融資の問題で愛知用水や何かのことが出て来たものですから、その方面は折角いろいろ出して、電化とかヂーゼル化というのは非常に採算も合うし何とかしたいというようなことを言つておられましたが駄目になりまして、これはもう特に総理は勿論、ほかの人にも何も今度はお願いいたしませんでした。そういう状態です。
  77. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうすると、まあ運輸省として一応希望は述べたようなんですが、御承知のように今度の首相の外遊ということに対しては、国民の全体が一体どういう目的で行くのかという目をもつて見、それを知りたがつているわけです。我々も当然首相が行くということなれば、どういう目的で出掛けるかということは知つておらなければならないはずが、遺憾ながらどの委員会にもそういうことの明示をされておらない。従つてどの程度説明できるかは知らんが、関係委員会大臣を通じて我々聞く以外は方法がないので、あなた方が今までお話合いなつた署内で首相の行く目標、成るほど親善使節と一言に言つてしまえばそれだけであるかも知らんが、今もお聞きすれば、運輸問題に対してもできるだけ十分調べをやつて来るという意欲も見えるやに聞こえますので、あなた方がお話合いなつた将内での、首相外遊に対する目的というものは、運輸大臣の知り得る範囲で一つこの際教えておいて頂ければ非常に幸いだと思うのですがどうですか。
  78. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 総理の外遊というのは、まあいろいろなものが含まれているだろうと思いますが、私の関係においては今申したようなことでありますが、これはこの間私が話した内容を申上げたので、かねてから私どもいろいろなことで話しているのは、日本の海運は、手つ取り早いから先に申上げましたが、海運の問題にいたしましても、イギリスと日本の海運というものが一番今後も角突き合せをやるだろう、この問題についてイギリスとできるだけ協調をとつて、そして日本はそこを、イギリスの力の及んでおる範囲の所にも日本の勢力もだんだん回復して行くと、昔は相当船も出ておつたと思います。そういうものに回復させる、特にこの海運の問題につきましては、イギリスが講和会議のとき、御承知のように最後まで日本の進出を遅らかそうとする策動が非常に行われた問題であります。それから又今も日本のこの海運の勃興というものについては非常な関心を持つております。ここいらの問題が何となく不安がられ、そしてそれが土台となつてイギリスと日本とのいろいろな貿易関係等にも気まずいものがあつてはならないということを誰でもが感じている点だと思うのであります。そういうことにつきまして、イギリスの政府といろいろな話合いを、大きな点から日本とイギリスとの関係調整ということに話合つてもらうということは、まあかねてから話をいたしておる問題の一つでございます。そのほかにいろいろな問題があるだろうと思いますが、私が責任を負つてお答えするというところまで行きはしませんが、私の今申しました一つの点を取上げてイギリスと日本との間の貿易の上、或いは貿易外のこういうふうな仕事の上においていい了解ができることは是非つてもらいたいと、望ましいことだと、これはかねてから思つておる問題であります。これは一昨日でありましたか、話したときには改めて言いませんが、かねてからこれは話合つております。
  79. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 ちよつと会員長にお伺いしますが、運輸委員会予算の編成前に、まだこの問題について継続審議する予定がありますか。
  80. 高木正夫

    委員長高木正夫君) この次二十七日ですね、もう一度やりたいと思います。
  81. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 ああそうですが、それじや私はこれで……。
  82. 大和与一

    大和与一君 ちよつと関係して。総理がアメリカに行くので、初めはカナダを経由して行くために日本の飛行機に乗らん、こういう話だつたのですが、その後何か聞いてみるところによると専用機で行くそうですが、それならば日本にも立派な飛行機があるそうですが、なぜ日本の飛行機をそんなに嫌つて、やはり専用機になつてもアメリカの飛行機に乗ると、こういう話は出ませんでしたか。
  83. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 飛行機の問題は、この前のときも大分いろいろお話が出ましたが、吉田総理は別に日本の飛行機とかアメリカの飛行機とかということを考えてなかつた。何日に立つと、そのときもパン・アメリカンの飛行機があつたというのできまつたというようなことなんで、私はそのときアメリカンの飛行機に乗るらしいので、日本の飛行機に乗つてくれという話をしたこともあります。そのときもパンの会社は、もう行くだろうかという噂のあるとき、半年くらい前から自分たちの乗るところの線路だけでなく、そのほかの線路の問題までも実にこうしたらこういう飛行機に乗られますと、実は相当よくサービスしたので、まあああまでしてくれたから乗らなければ悪いじやないかという時分に、日本の航空会社の飛行機はやつて来ない。何かおしまい頃やつて来て、やかましく言い出したんで、別にそうではない、僕はそうだつたと思います。日本の飛行機は安全だと思つてないというのは間違いだ。こんな飛行機だ。安全だ。安全でないというのは、安全だ不安全だとかそんなことは考えておらない、サービスの点だと。今度のやつも向うにそこの国に行くなら、そこの飛行機でということで……。
  84. 高木正夫

    委員長高木正夫君) それでは……
  85. 大倉精一

    大倉精一君 ちよつとこの機会にお尋ねしておきたいのですが、九月の二十二日に第十次造船の答申があつたようなんですが、その後におけるところの進行状況、そして大体いつ頃になるかということについて見通しを伺いたい。
  86. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) それは私のほうから申上げます。大変十次造船のことが遅れましたのは、新聞で御承知の通りでありまして私ども民間の資金を少しでも多く出してもらつて、そうして製造する数を多くしなければ、そもそもの財政資金が減つおるのでありまするから、造船所に割当も困難であり、海運界にも船もどんどん殖やして行くという方針ならば、一隻でも多いほうがいいということで、銀行に折衝いたしておりましたが、銀行は何しろ今年のような情勢でございますものですから、どうしても初めは金を出せないというようなことで、まあ何度会つてみてもだめでございましていろいろな方面からいろいろな手でいろいろ話をし、私も何遍か、到頭二カ月余りもかかつて、漸く実質的には一割だけでございますが、市中銀行もそれだけは出すということになりました。それから一方値段をできるだけ下げるべきだと、今まで以上に、無駄は恐らくなかつたと思うのだけれども、少しくこうまでせんでも、貨物船ではいいのではないかというような設備でもあれば、それを節約するというようなことで値段を落してそうしてそれで製造隻数を殖やしたいということで今やつておる最中でございますが、大体今のところ十九隻から或いは二十隻こしらえれるんじやないかというところまでやつて参りました。初めの全額政府で出すようでありましたが、十四はいくらいしかできない。一割出してもらうので十七隻から十八隻ということになりました。値段の点でいろいろやりましたが、十九隻から或いは船の程度から行きますと、二十隻でもかまわんということでやつておりますが、それで開銀のほうでそういうような値段の点なんかもいろいろ折衝をし、事情など聞いておりましたけれども、又今週は、今週といつてもあした一日で調べがつかないと来週二、三日でできるというところでございます。今月中にはきまるだろう、こう思つております。私のほうは航路関係でありますから、大体の調べを依頼して折衝する。そういうふうに考えております。
  87. 大倉精一

    大倉精一君 今度の方針によると、優秀航路或いは優秀業者に対して重点的に割当てをするのだと、こういうようなことで、必然的にいわゆる海運造船界の整理、再編成ということが強く叫ばれておるようなんですが、今の方針の状況をずつと見ておりますというと、今度の運輸省基本方針にもあるのですが、例えば海事公社という構想がある。これはやはり船腹の充実が必要だ。ところが金融機関ではいわゆる債券の発行ということを問題にしておる。こういうことからこういうような概関を作つて行かれるというように聞いておるのですが、これは必然的に昔の三井、三菱というような財閥中心のものが強化されて、そして中小企業はおいてきぼりになつてお手あげの形になつて来ると、こういうような必然的な形になつて来るのですが、運輸省としては、そういう中小企業、中小造船所というようなものについては関心を持たないといいますか、これはつぶれて行くなら行つてもいいのだというようにお考えになつて進めておられるか、それについて。
  88. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 整理統合の線を頭においておることは事実であります。造船合理化審議会の答申にもありましたように、六十数万トンの造船能力を持つておる日本の造船界、これは計画造船、外国からの注文、防衛隊の何がしかの造船等々を考えましても年に四十万トンぐらいしか建造はできないであろう。そうすると二十万トン強、即ち三分の一というものは余剰設備になる。これを今年はどうだ、来年はどうだというその日暮しのような状態で万遍なくやつておると、遂には大きなものも小さいものも両方参つてしまうということが考えられるのであります。それで私がさつき申しましたように、一ぱいでも多くということをやつて参りましたのは、若し全額政府の出資だけで今年やつて、初めの通りに十四はいぐらいしか船ができなかつたならば、小さい造船所は勿論のことでありますが、中位な造船所でも注文の行かんところがたくさん出て来るという虞れがあると思うのでございます。それでそういうところをできるだけ外国の注文も受けておるような中位な造船所等にも船を割当てられれば割当てたいという心持でやつて参つたわけであります。併しこれは造船所に、政府が造船所の力によつて分けるような形ではなくして、海運業者が債務者であつて、海運業者がどこの造船所とどう組んでということで出ておるのでありまするが、その関係からいろいろなケースが出て来るだろうと、こう思うのでありまして、造船所の事情のみによつて、或るものは削られ、或るものが残るということをはつきり出すことはできないという形になつております。併し私どもはできるだけ筋の通ると申しまするか、生き得るものは生きるというようなこと、小さいもので全然行かないようなところは或いは整理しなければならんでありましようが、大きいところだから何でもかでもそこべ集中して存分にやらせる。大きいところでも整理すべきところは整理するところがあると思うのです。例えば大きな会社で造船所が二つある。一つはやつて一つは休むというようなことが起つて来るのはやむを得んと思う。只今折角いろんな点から調べておるところでございます。
  89. 大倉精一

    大倉精一君 この海運問題については、なおこの次に質問を保留するとしまして、なお一点だけ一つ考えを伺つておきたいと思うのですが、今のお話によるというと、六十万トンぐらいの能力が四十万トンぐらいしかできないというようなお話でございますが、それによつて中小企業が没落して行く、非常に大きな犠牲ができる。これは造船業というのは、関連産業、延いてはその地方の地方財政に及ぶ問題にまで発展して行く非常に大きな社会問題だと思います。それで必然的に業者におきましては、船主協会或いは造船協会あたりからも、ソ連貿易或いは中共貿易、そういう声が相当強く起つて来る。殊にソ連地区について、船舶においては、而もそれが三十万トン、四十万トンという需要があるということを聞いておるのですが、こういう造船界の行き詰まりを打開する一つの途の輸出船舶、殊にソ連、中共に対するところの船舶輸出について、運輸省考え方について参考までに伺つておきたいと思います。
  90. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) そういう話もいろいろ進んでおるのでございまして、私たちは造船ができて、そしてこれの又代償として入る品物が日本の産業界にいい影響を及ぼしてくれるようなものでありますならば、私どもはできるだけこれを実現さしたいと思つてその方向へ現在も進んでおります。
  91. 大倉精一

    大倉精一君 これは私の聞き間違いかも知れませんが、造船協会あたりからそういう要望、特にソ連、中共との貿易を政府として便宜を図つてくれるならば造船界の、或いは海運界の再編成とか或いは整理とかいう犠牲は出さなくていいのだということを申請をされておるというふうに聞いておりまするが、これに対して運輸大臣は政治感覚がないやつだというふうにお叱りになつたと聞いておりますが、ソ連、中共への船舶輸出、それを御考慮願いたいというふうな陳情も聞いておるし、それに対して運輸大臣は、そういうことは政治感覚のないやつだということで一蹴されてしまつたというように聞いておるのですが、やはり今でも、最近国際情勢は非常に変つて来ておるのですが、今でもソ連、中共に対するところの船舶輸出については、これは政治感覚のないものだという工合にお考えになつて考慮されないのかどうか。
  92. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 第一そういうことを申出られた覚えはございません。個人的にはそういうようなお話があつたら私は賛成するのです。どんどん話を進めるような方向にやるように御援助をいたしたいと思います。それは何かの間違いです。
  93. 大倉精一

    大倉精一君 この造船問題はもう少しやりたいと思うのですが、今日は一つ保留して……。
  94. 高木正夫

    委員長高木正夫君) それでは運輸大臣質問はこれで一応打切つておきます。    〔委員長退席、理事重盛壽治君着席〕
  95. 大和与一

    大和与一君 それでは誠に恐縮ですけれども、埴田局長の御質問はもうちよつと待つてもらつて船長が又どこかへ行くのですから、あつみ船長にわざわざおいで頂いたので最初質問をやつて頂いて、なお時間があつたら御質問をする、こういうふうなことで如何ですか。
  96. 重盛壽治

    ○理事(重盛壽治君) 今のようなことに扱つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 重盛壽治

    ○理事(重盛壽治君) それじやあつみの気象長さんと船長さんがお見えになつておりますので、それに関連しての御質疑をお願いいたします。
  98. 大和与一

    大和与一君 本日はわざわざ船長さんと、気象長さんとおいで頂きましたので、先ず第一に、今回の台風の最中に非常な御苦労をなすつたことについては、国民すべて私は感謝をしておると思うのです。私たちも新聞で拝見しまして、誠にその御労苦に対しては、幾らお礼を申上げても言葉がないと、こういう気持でおります。船長さん、まあ昔は兵隊さんであつたのですが、兵隊さんがあまりお好きでないから今船長さんにおなりになつたと思うのです。で、いろいろとまあ新聞に出たことを話題にしてお尋ねをするわけで、一つ軽い気持でお答えを頂きたいと思うのですが、船が出るときに、もう何か底へ穴があいた、こんなことが盛んに出ておりますが、これは一体どの程度ですか。私は今日御質問するのは、皆さんにそんな御苦労をかけたことは、国会としても、運輸委員会としても、そんなことのないように全力を挙げて何とかして船は新しいものを作りたい、もつと気象に万全を尽したい、そうして国家の災害をなくしたい、こういうことで一路進んで来たのが、なかなか思うように行かんために、あなた方に非常に御苦労をかけておる、こういう前提なんです。この点は一つ御理解を頂いた上で……。  それでまかり間違つたらどんなことがあつたかわからんわけで、そういうことを考えながらお答えを願いたい。  それで船底に穴があいて、それを応急修理して、手当をして出られた、そういう程度のことで台風が明らかにぶつかるのに、これでよかつたのか、こういう点を併せてお尋ねしたい。
  99. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) 船底に穴があきましたのは、これは偶然あいたのでありまして、あいた個所は、ドックへ入りまして、全部鉄板を替えまして、不安のないように修理をしてありましたから、不安はございませんでした。その穴があいたための不安というものはございませんでした。
  100. 大和与一

    大和与一君 大体今の船は相当台風に今までもおあいになつており、経験もおありでしようが、絶対に心配はないと、こういうふうなことを確信を持つておられるわけですか。
  101. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) 船長として確信を持たなければ、出られませんから、出ておるわけであります。
  102. 大和与一

    大和与一君 船員の方が遺書を書いて台風に向つたと、ちよつと大げさかも知れませんが、新聞にちよつと書いてありましたけれども、昔と違うのですから、そういうふうな気持でおつた人を船長は御存じであつたのか。あつたとすると、普通の場合に死んだら困ると思つて、そんな悲壮な考え方で乗るような人を無理に引張つて行くことがいいか悪いか。そんな程度のことは、若しそういうことがおわかりにでしたら、船長としてどういうふうなお考えをお持ちになりますか。
  103. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) そういう噂は聞きましたが、乗つて行くのがいやで、無理やりに引張つて行つたという感じはいたしておりません。
  104. 大和与一

    大和与一君 船の復原力の問題ですが、随分ローリング、ピッチングがあるので大変なことだと思いますが、一体復原力というのはどんな程度のものか、少し説明をして頂きたい。
  105. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) わかりやすく申しますと、本船では傾斜した最大の傾斜は片舷六十三度であります。こういう経験を持つておりますから、これ以内ならば安全と思つております。実際経験いたしました。
  106. 大和与一

    大和与一君 それから、そうすると、操艦技術というようなことは、これは人によつて違いますでしようが、あなたから、今度はうまく乗切つてお帰りになつたと思うし、又非常に最大限の状態にまで頑張つておいでになつたと思うのですが、例えばこの前北海道で漁船が難破したあのときに自衛隊の船か何か行つた、ところが途中で帰つてしまつた、こういうようなことが記事に載つておつたのですが、操艦技術というのは一体どの程度考えたらいいのですか。
  107. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) 今回の台風は、あつみは暴風圏内には入りませんでした。従つて操艦をどうするか、操艦をどうするかというふうなことを考えるにはまだ至りませんでした。    〔理事重盛壽治君退席、委員長着席〕
  108. 大和与一

    大和与一君 本当の暴風圏内に入らないということは、入つたら非常に危険が多くなるし、又入らない程度で判断されて、大体それで気象観測のお務めも果しながら、併せて何とかやつて来ると、こういうことになりますか。
  109. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) 皆と相談して操船をいたしません。船長独断でやります。勿論気象関係につきましては、気象長相談いたしまして操作いたします。
  110. 大和与一

    大和与一君 危険手当は一時間十円というのですが、これについては、船長さんも随分御不満だと思うのですが、そういうことを何か上司にお話なつたり、或いは船員、或いは気象員の方から、そういうお話があつて、何とか具体的にもう少しこれは殖やしてもらいたい、こういうふうなお話をされたとか、経過がございますか。
  111. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) 気象台にありましたとき、そういうことが出まして実際に本庁の係の方にお願いしたことはあります。
  112. 大和与一

    大和与一君 この点は大臣にもちやんとはつきり話をして、これは一つ研究をして十分考えようと、こういうふうな話が直接ありましたから、これはもう一度上司にお話をされて、是非とも適正な危険手当をもらうようにお骨折りを頂きたいと思うのです。  それから次は南方定点は、北方定点より楽だと思う。これはその船のほうの航海の話と、それから気象の話と両方あるのですが、この聞き方も不十分ですけれども、これについて御両所からお話を頂きたい。そういうふうな区別があるかないか。又あるとしたら、どの方向がいいとか、楽であるとかないとか、又気象上は楽であるとかないとか、こういうふうなお話を聞きたいのですが。
  113. 星為蔵

    説明員(星為蔵君) 私の北方定点南方定点をやつておりました時分の経験によりますと、台風というのは割合暴風雨にあう時間が短いのであります。六時間乃至七時間、せいぜい長くても半日というようなところで、通常三十メートル乃至四十メートルくらいの風のところまでは堪えるのじやないか、今までの何回かの台風にあいました経験からそういう考えを持つております。ところが、北方定点に参りますと、殆んど台風と同じくらいの低気圧が通ります。気圧のレコードからいいますと、今まで台風にぶつかつたその台風よりももつと気圧の低いものにぶつかつております。それでその低気圧が通りました後に北風、北西風が吹きますが、これが四日、五日、長いときは一週間も吹くような状態になります。そうしますと、我々としては、台風に半日がぶられるよりは、北方定点の低気圧の、又季節風のほうがこわいと、こういうふうに考えております。
  114. 大和与一

    大和与一君 今の気象技術といいますか、予報技術といいますか、そういう点には別に変りはございませんか。何かその航海、船のほうでなくて、気象観測の上でそれは同じですか。
  115. 星為蔵

    説明員(星為蔵君) 観測の立場からいいますと、できることなら定点と名がついておりますだけに、動かないでおりますと、長年の統計もとれますし、成るべくなら動かぬほうがいいのですけれども、あまりひどくなると、やはり定点を離れて多少暴風の弱い所に行く、こういうふうなことになります。
  116. 大和与一

    大和与一君 これはちよつとまあ正確な言い方でないが、台風で一番苦労されたときに、船長気象長の勘といいますか、これは追風に乗つて西の鹿児島沖へ待避することがどうも危険に思われてならなかつた、それでいろいろと考えたけれども東へ舵を向けて行つた、いわゆる常識から言うと逆の方法をとつたと、こういうふうな考え方があるというふうに聞いておるのですが、それでその鹿児島を襲つた十二号の行方を考えると、結果からいつて西へ待避しておつたらもつと大変な危険があつたと、こういうような考えがあると聞いておりますが、正確でないですが、その辺のお話がございましたらお話下さい。
  117. 星為蔵

    説明員(星為蔵君) 今度の場合、台風の進路の東側に逃げたわけですが、普通の考えから言いますと、台風進路の右側は危険半円ということになつております。我々五年乃至六年の経験によりますと、台風、低気圧にぶつかりましたけれども、根本的な考え方は成るべく台風から遠ざかつたほうがいい。危険半円であろうが可航半円であろうが、そういう区別なしに、成るべく遠ざかつたほうがいい。そういう考えでおりまして、今度の場合ももつと接近するようだつたら、もつと台風の今まで進んで来た経路と反対の方向に進めば多少楽になるのじやないか、そういうふうな考えを持つておりまして、初めから西に行くということは考えておりません。
  118. 大和与一

    大和与一君 今まで皆さんが責任を果されて無事にお帰りになつたわけですが、併しやつぱりこの老朽船といいますか、こういう船ではなかなか十分な観測が、或いは十分な暴風雨に耐える力が足りない、こういうことで大きいほうがいい、或いは新らしいほうがいい、こういう考え方もあるのですが、そういうことをいろいろ御体験されて国会或いは中央気象台といいますか、そういうところに対して何か御注文といいますか、御意見があつたら聞かせて頂きたいと思います。
  119. 星為蔵

    説明員(星為蔵君) まだ去年の十一月前、定点がやめにならない前でしたけれども、今まで定点観測をやつている間にいろいろな事故が起きております。例えば船体の梁が曲つたとか、それから肋骨が曲つたとか、それから支柱、スタンシヨンが曲つたとか、それから台風じやなかつたのですけれども、ビルジのキールが落ちたとか、そういうことがありました。それでもともと聞けば戦争末期にできた船だそうで、危険だからもつといい船を作つてもらいたいということは、我々又船長からも気象台長なり部長なりのほうにお願いしておりました。併し突然やめになりまして、我々としてもやむを得ない。こういう状態で今年の夏半年だけ南方定点をやることになつて、今までの船を使つておりますが、今までの経験から行けば、あまり無理をしなければまだ耐えられるのじやないか、こういうようなつもりでやつて来ております。
  120. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) 今お話のあつたように、これから又北点でも開くということになれば、新しい船を作る必要があると思います。
  121. 大倉精一

    大倉精一君 ちよつと関連して一つ伺いたいと思います。これは変な質問かも知れませんが、船長さんは今は海上保安庁の所属になつておるのですか。
  122. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) そうです。
  123. 大倉精一

    大倉精一君 そうすると定点観測観測業務に従事する間はどちらの命令系統になるのですか。中央気象台の命令、指示によつて船を動かして行くのか、或いは海上保安庁の命令に従つてやるのですか。
  124. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) 船関係は全部海上保安庁です。
  125. 大倉精一

    大倉精一君 そこで私ちよつと疑問に思うところがあるのですが、この前も船長さん非常に海難救助にも御活躍されたということが新聞に出ております。我々も感激しておるわけですが、そこで観測業務に従事されておる場合に、中央気象台のほうでもう少しこちらへ進んでやつてくれ、あちらへ進んでやつてくれということもあると思うのですが、そういうことはやはり海上保安庁を通じて命令になるのですか。
  126. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) そうでございます。
  127. 大倉精一

    大倉精一君 これは海上保安庁の方に聞かなければわからんかも知れませんが、そういう場合に海上保安庁としては、観測業務と併せて海難救助の任務を与えておるのか、その点についてお伺いします。
  128. 藤井堯四郎

    説明員藤井堯四郎君) その点については、海上保安庁の本庁と、それから中央気象台が常に密接な連絡をとりまして、例えばこの前のあつみが漁船を救助いたしますときにも、それから避退いたしますときにも、中央気象台と海上保安庁の完全な了解の下に指令を出しております。
  129. 大倉精一

    大倉精一君 そこが問題だと思うのですが、完全な了解を得た場合はこれはいいとして、片方のほうでは台風のあの時期に気象観測ということが非常に重点に考えられて船の行動を要求されるであろうし、保安庁のほうでは海難救助ということに重点を置いて船の行動を考慮される。ここに場合によつて台風時の非常な激浪の中で、船長に対してどういうふうに動けということについて、東京の真中でその意見が合わないとか何とかいうような場合にはどうしますか。
  130. 藤井堯四郎

    説明員藤井堯四郎君) そういう場合、まだ例がないのでありますが、海難救助と、それから気象測観との間につきまして、海上保安庁といたしましても勿論その気象観測のために行つておる船であるということは十分考慮いたしておりますし、又気象台のほうでも人命救助に何をおいてもやらなければいかんという御了解はなつておりますので、実際問題としてはうまく行くのではないかと思つております。
  131. 大倉精一

    大倉精一君 そんなことがたびたびあつたのでは大変なことで、暴風の真中で船長さんが迷われるので、大変なことだと思います。私はそういうことが盲点になるのではないかということを懸念するわけですが、船長は前には北方定点の場合、これは気象台に所属しておられたのですか。
  132. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) そうでございます。
  133. 大倉精一

    大倉精一君 その時分には気象観測と併せて海難救助の任務を持つておられたのですか。
  134. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) 持つておりません。
  135. 大倉精一

    大倉精一君 これは非常に重大な問題だと思うのですが、これ以上ここでお伺いしても仕方がないと思うのですが、これはやはり船長としては、やはりお伺いしておきたいと思うのですが、海難救助なら海難救助、或いは気象観測なら気象観測という一本の任務を以て行動をする、これが好ましいことであると思うのですが、一つ考えを伺つてみたいと思います。
  136. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) アメリカのような金持の国ならそれが一番いいと思います。日本のような金のない貧乏国ではそう分けると、例えば観測船と巡視船を別々に作らなければならないということで、ちよつと不経済になると思いますから、現在のままでいいと思います。
  137. 大倉精一

    大倉精一君 誠に御謙遜なお話で恐縮なんですけれども、そういう心配をあなたがなされる必要はないと思うのです。これはやはり今までのですね、アメリカの予算何千万円あつたので、気象観測の任務を立派にやつておられたのですから、日本が貧乏国だと言つてきめてかかる必要はない。気象観測という今の気象長お話のように、非常に短かい、短かいと言つては変だけれども、大事な時期に大事なことをやるのですから、こういう場合に貧乏とか予算がないとか言つておられない。この気象観測がうまく行くか行かないかによつては、日本の国民の八千万の安危にかかわる重大問題です。従つて、これは今後のことでありますけれども、これは船長並びに気象長、それから中央気象台の皆さんも皆それぞれ御謙遜のお答えをしておるのでありますが、私は少しも遠慮することはない。予算があるとかないとか、これは政府の言うことであつて、又国会のきめることであつて、あなた方はそれは一つも遠慮なさらないで、こうしてもらわなければいけないのだということを一つ自信を持つてつて頂きたいと思います。我々も前の国会以来、素人ながら気象業務の重大なことについて、いわゆる認識して、たびたびの御足労を願つておるのです。国会においても、つつかい棒をかつておるという、こういう事情でございますので、少しも日本は貧乏だということを前提において考えられる必要はない。この貧乏な国が数千万円を費して軍隊を作つておるということもやつております。軍隊というものはソ連が侵略して来るか、中国が侵略して来るか知りませんけれども、これはいつ来るかわからない。台風は毎年きまつて侵略して来る。これに対して措置を万全にしなければならないと思いますが、私はこの際、船長さんも中央気象台の方々も、その衝に当る方が、その職務に一つの自信を持つてつて頂きたい。それで大臣にお伺いしても、或いは運輸省の方にお伺いしても、気象台に聞けばこう言つておるから、或いは専門家に聞けばこれでいいと言つておるから、或いは北方定点を廃止しても、専門家は大して間違いないと言つておるから、これでいいのだと、こう来る。従つて、あなた方の意思表示というものは、この気象業務の評価について最も中心的なものになるのですから、どうか一つ今後遠慮なくそういう気象上の要求なりをして頂きたいと思います。今質問の過程に非常に重要な事項がわかりましたので、或いは海上保安庁と中央気象台、この二つの、二本建の指令によつて動かなければならないということは、非常にこれは重要な問題だと思うので、あなた方のほうもそれは一つ不便である、不便であるということであれば一本にすべきだと思うのですが、いろいろな時期に、あらゆる機会に気象観測をやらなければならないと思うのですから、信念を述べて頂きたい。
  138. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 簡単に私からお尋ねしたいのですが、先ほど同僚大和議員からもいろいろとお話があつたようですが、今度の台風予報について、現在の南方定点観測なりについて、何かまだまだ改良しなければならない点があるんじやないかということでお尋ねがあつたと思います。その点で船長なり気象台の方々が、日本の今日の耐乏生活の状態を非常にまあ御理解になつた上に立つて御返事になつて又その非常に予算の少い気象関係の、役所のことも御考慮になつておるからかも知れませんが、現状のままで自分たちはやり得ればやれるんだというお考え方からお話があつたように思いますけれども、実はこの予報を今少しでも正確な予報でありたいということは、特に私は大阪なんですが、今度のことなんか近畿地方は特に感じた。又御承知のように九州の人も非常に多いのですが、殊に故郷の宮崎県なり、鹿児島なり、大分なりの毎年台風による、又暴風雨による被害者は、南方から来るものを予知することについて非常な気を使つておられます。その点であなた方の南方定点という定点観測で、やはり台長なり又予報課長なり運輸省の当局の方々に聞けば、実は船をもつと五艘も新造して二千トン以上のものを持ちたい、予算を要求しましてこうもああもと改良したいという要求があつて、話があつて、これが政府のいろいろなあれで予算が削られて実現しないというお話なんです。そこでそういうあなた方のお話を聞くと、今のままでやればやれるのだと、こういうそのお気持はよくわかるのですけれども政府それ自体においても、又あなた方の上司のほうにおいても、これについては相当設備を改善しなければならん、それに従事している人たちのやはり待遇ということについても相当考慮しなければならんというお考えに立つて、いろいろお話があるのです。ところがそれが実現しないものですから、我々はその実現方を督促しているわけです。こういう点から、まだまだ現状、あなた方が従事されている点について、船の点においても又気象、いろいろその定点観測に従事されている人々においても、まだまだ御希望があると思うのです。その点まあ本日あまり固くなり過ぎて、そう御意見がなければ、御遠慮なく文書においても、何も賛沢を言えというのじやない、仕事をよりよくやはり能率を上げるために、又予報というものは少しでも予報らしく、できるだけ九州なり又近畿なり、又この日本全体にやはり十分なそれに対する予報をキャッチして、十分な備えができるように、やはり効果ある予報をしてもらわなければならん、こう思いますから、遠慮なく今船をもう何艘あればいいとか、個々に見られるのじやなしに、全体のまあ定点観測の立場から、もう少しあなた方自身の希望というものはあろうと思つているのですが、今のままで十分でなければ、これは一つ文書でもいいのですから、どんどん出してもらいたい。これは決して政府を攻撃しようとか何とかいうのじやないのです。よりよくしたいという考え方から、一つ現状をお聞きしたいと思つてあなた方においで願つた。だから私、あなた方にお話聞けると思つていたのだけれども、さつきから伺つていると、今のままで十分だというふうに伺つていたのですが、十分じやないでしよう。まだまだ余地あるでしよう。余地あるというか、もつともつと設備や何か改善して、やはり現状においてもこうもああもと改善して、現場における人の声というものはあると思うのですが、どうなんですか。若し今日お聞きすることができなかつたら、遠慮なしに文書で一つ知らしてもらいたいと思うのですが、どうなんですか。
  139. 星為蔵

    説明員(星為蔵君) 簡単に、私個人としての意見を申上げますけれども、今まで定点観測船が六はいありましてそのうち元の海防艦が五はい、気象台の凌風丸という一千トンの船が一ぱい、これでやつておりましたが、今までの台風が接近したような場合、鹿児島に逃げる、鹿児島又は志布志へ逃げたという例が二回乃至三回あります。それで私たちの仲間でも、こういう船じや危ないかち、台風のような場合には早目に逃げると、こういう考え方もあつたのであります。まあ私ども出ておりますからには、少しでも台風の位置をきめるなり、又予報を出す上に役に立ちたいと思つて多少無理をしていたかも知れません。併し前も申上げましたように、もつといい船をもらいたいということを何度も言つておりましたし、それについて、定点観測なり、中央気象台が、日米合同委員会とかああいうところに働きかけておりましたから、希望を持つて、もつといい船ができるだろう、そういう希望を持つてつていた途端に定点観測がなくなつた、こういうふうな状態にあります。
  140. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) 船側も現在の定点観測船で十分だと、これで満足だとは思つておりません。従つて気象台におりましたときも、今お話のあつたように、ちやんと意見書を出しまして、アメリカから船を借りるというような算段までも交渉中でありました。又海上保安庁に参りましても、来年度あたりは予算を組むというお話でございます。
  141. 大倉精一

    大倉精一君 ちよつと私疑問に思うことが出て来たのですが、定点観測船が今の船では、台風に接着をしてずつと行動をして、そうして台風の逐次の位置を知らせるなり、或いはその内容を通報するということはできないようなことになるんじやないですか。つまり台風が来ればこれは危いということで待避するということになれば、接着をして来るということはできないことになつて、そこに技術問題として気象観測定点観測という任務を果せないことになるのではないかという疑問が湧いたのですが、その点どうですか。
  142. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) 台風について動くということは、実際の場合あり得ないことでありまして、もう台風が近付くと、今度の場合も三百哩離れても二十メーター以上の風が吹きまして速力も出ませんし、とても台風について船が動くということはできないのです。
  143. 大倉精一

    大倉精一君 素人でわかりませんけれども、この台風に接着をするといつたことが、ちよつと語弊があるかも知れませんが、併しながら三百メーター離れているか、或いは二百メーター離れるかそいつはわかりませんけれども、これはやはり船の性能によつて台風圏に近く行動することができるのではないか。今の船では台風圏に近く行動することはできない。従つて優秀な性能を持つ船で台風に近く行動する場合と比較して、定点観測業務というものは非常にそこに効果が落ちるのではないかというふうに素人考え考えるのですがどうです。
  144. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) その通りです。
  145. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと今大臣も御説明、御言葉あつたのですが、官房長も聞いておられたと思うのですが、南方定点観測船は現在の船で差支えないというお話がありましたですね、確かに……。台風が来て安全な所へ逃げてしまつたらこれは安全な所へ行つちやうんだから差支えない。今の専門家お話によると、やはり更に優秀な船を以て台風圏に成るべく近付いて、そうして成るべく台風圏に近い所で以て行動をして観測するということが、これはもう定点観測一つの原則である。従つて待避してしまえば、非常にその観測上の効果は削減される。併しながら今の船では、今の南方定点あつみ丸程度の、あの程度の低性能の船では、台風が来れば待避せざるを得ないということになれば、必然的にあれは万全を期している、どうやら間に合つているということは言えないと思うのです。この点はどうですか。
  146. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) 実際の場合は待避すると言いましても、台風の進路がはつきりいたしませんので、若し観測船の近くを台風が通るということになれば、自然その中に巻込まれる。従つて今の船でも台風の中心に入ることもある、そういう現状であります。
  147. 大倉精一

    大倉精一君 それはむしろ待避するよりも中心に入つてしまつたほうが安全かも知れないという場合もあり得ると思うのですが、さつきのお言葉で私はわかつたのです、そういうこと……、つまり船の性能に比例してあなた方の任務の完遂ということが比例されて行く。従つて船の性能が無ければ待避の度合が多くなつて、それだけやはり定忘観測業務の効果は削減される。これだけでいいと思うのですがね。それが事実とすれば、今のあつみ船では南方定点観測には十分とは言えない。少くとも不十分と言わざるを得ない。従つてもう少し二千トンなり或いは二千五百トン級くらいの船を南方定点配置して、そうして台風が来襲した場合に、十分にやはり観測し得る性能の船を第一に配置させなければならんと、こう考えるのです。それで間違いありませんか。
  148. 山名寛雄

    説明員(山名寛雄君) いい船を作つて頂ければ多々ますます弁ずで、これはもう……。
  149. 大倉精一

    大倉精一君 わかりました。それで官房長一つお尋ねしたいのですが、お引きとめして相すみませんが、こういうふうな御証言を聞きますと、私も今までの質問の中でいろいろ疑問を持つお尋ねしておるうちにだんだんわかつて来たが、結論としては南方定点観測船は、定点観測業務を完遂させるためには不十分だということ、不十分である。そこでああいう不十分な船に乗せて、船長さん初め、その任務を与えた場合に、この船長さん以下の乗組員というものは完全に任務を遂行することができない。世間はそういうボロ船だということを知らないから。あの船は台風が来るとすぐ逃げてしまうということになつていささかまずい結果になりかねない。これは一つ官房長から大臣によくお伝え願つて、そうして南方定点の船は完全でない、あれで十分間に合つたということは言えないということを伝えてもらいたい。  もう一つは、さつき話しましたように、定点観測の船に関する命令系統はやつぱり一本にすべきだ。これは気象台と海上保安庁と、その都度相談して行動を決定するということは非常に私は不安定であると思うんで、これは一本にすべきである。この二点を十分一つ考えになつて一つ御所見を伺いたいと思う。
  150. 山内公猷

    説明員(山内公猷君) 昨年来申上げましたように、我々といたしましても、現在南方定点使つてある船が完全であるということは考えていないわけでございまして、それは前の国会におきましても、南北両定点を置く場合には三十億要るというふうに申上げておつたわけでございますが、今回予算を獲得するということを基本に考えましたときに、やはり進んで三十億というような話を、今まで財政当局に交渉いたしますと、その額だけで非常に驚いてしまつて、なかなか乗つて来ない。で、やはり一日も早く南北両定点の船を完全な船にいたしまして、御所見のように完全な気象観測の仕事を遂行できるということは、私たちも大倉委員の縷々お話になつているのと一つも変つていないわけでございますが、これをどうして実現するかということにつきまして省内でいろいろ相談いたしましたときに、或いはこの点が少し違うかも知れませんが、現在完全ではないけれども、一応南方定点については、あの船でも代用してできる。北方定点においては全然ない。而も海上保安庁に移籍いたしました船を以てしてはちよつと北方定点には使いにくいという事情で、北方定点はやめたといういきさつがございますので、何としても先ず第一に北方定点を再開をすることが急務であるということで、重点をはつきりさせて財政当局に交渉したほうが実現の可能性があるのではないかという見解の下に、今回は南北定点の必要は認めながらも、先ず北方定点の全然ないところに交渉の重点を集中しようという意味におきまして、北方定点予算を目下折衝しておるわけでございます。御意見のように一応定点観測船におきましては、世界でも大体二千トン級の船を以てこれに充てておるわけでございまして、そういう船で以て定点観測するのが完全にできるということは我々も十分認めておるわけでございますが、今申上げましたように、一応来年度予算といたしましては、北方定点を集中的に交渉しようということにいたしておるわけでございます。  命令系統が二途になつておりまして、その間不都合はないかという問題、これは我々も海上保安庁に気象台気象観測船を移籍いたします場合に一応考えたわけでございますが、同一省内でございますし、又気象観測船として出動いたしますときには、一応人命救助その他の救難の業務についての任務がありますが、これは主として気象観測のために行くわけでございます。海難救助はいわゆる副次的な任務になつているわけでありまして、その点におきましては、却つて気象台の意見によつて動いて頂くということになると考えておりまして、従来もそういう点につきまして気象台及び海上保安庁の意見には齟齬はなかつたように先ほど申上げましたように思いますが、その点において任務の従たるものと主たるものとがはつきりしておりますので、而も同一省内でありますので、その間命令が二途に出て、現地で働いていられる気象観測船の方々が去就に迷うということは万々ないと考えておりますが、御意見ございますので、一応省内におきましても、この点について検討いたしたい、かように考えております。
  151. 大倉精一

    大倉精一君 ちよつと誤解があるようですが、今命令系統ですが、これは船長さんは恐らく二本の命令をもらうことはないと思う。これは一本の命令をもらうと思うが、ただ一本の命令が出るまでの経過が重安だと思う。ですからそれが重点と副次的ということがありますけれども、これは将来或いはそういう工合に、今日の前に起つておる海難、これも大事だということがあり得るかも知れない。その場合に命令が出るまでの海上保安庁と中央気象台との調整関係が非常にむずかしい。これは研究事項と思いますが、一つ十分御留意になつて、将来そういうことのないようにお願いいたしたい。
  152. 高木正夫

    委員長高木正夫君) ほかに御質問はございませんか。  それでは本日はこれをもつて散会いたします。    午後五時十二分散会