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1954-02-02 第19回国会 参議院 運輸委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十九年二月二日(火曜日) 午前十時四十二分開会
—————————————
委員
の異動 一月二十九日
委員片岡文重
君及び
東隆
君辞任につき、その補欠として
天田勝
正君及び
村尾重雄
君を議長において指 名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
前田
穰君 理事 入交 太藏君 重盛
壽治
君 井村 徳二君
委員
植竹 春彦君
岡田
信次君 仁田 竹一君 一松 政二君 加賀山之雄君 森田
義衞
君 大倉 精一君
天田
勝正君
村尾
重雄
君 木島
虎藏
君
—————————————
国務大臣
運 輸 大 臣
石井光次郎
君
政府委員
運輸省海運局長
岡田
修一君
運輸省鉄道監督
局長
植田 純一君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷
善亮
君
常任委員会専門
員 田倉 八郎君
説明員
運輸事務次官
牛島
辰彌君
日本国有鉄道総
裁
長崎惣之助
君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
運輸一般事情
に関する
調査
の件 (
昭和
二十九
年度
運輸省
及び
日本国
有
鉄道関係予算
に関する件) (
運輸行政
に関する件)
—————————————
前田穰
1
○
委員長
(
前田穰
君) これより
運輸委員会
を開会いたします。 先ず
昭和
二十九
年度
運輸省
及び
日本国有鉄道関係
の
予算
に関する件を議題といたします。 この両者につきまして
牛島運輸次官
から御
説明
願います。
牛島辰彌
2
○
説明員
(牛島辰彌君) 最初に
運輸省所管昭和
二十九年度
予算案
の概要を御説明申上げます。 先ず
一般会計
から申上げます。昭和二十九年度
一般会計歳入予算総額
は十一億六千四百四万二千円でありまして、これを前年度
予算額
十三億六百三十八万五千円に比較いたしますと一億四千二百三十四万三千円の減少となります。前年度に比べまして、減少及び増加しておりますもののうち主なものを申上げますと次の通りであります。 先ず
定点観測業務費
の
駐留軍負担金
二億五千五百十一万円及び
船舶動静調査費
の
駐留軍負担金
六千十七万三千円がそれぞれ減額となつておりますが、これは前年度まで
日米行政協定
に基いて実施していたこれらの業務が昨年中に
打切り
となつたことによるものであります。 次に、
モーターボート競走納付金
三千五百六十四万円が減額になつておりますが、これは昭和二十九年度におきましては、
モーターボート競走納付金
の制度を廃止することとしたためであります。 次に、
港湾事業費分担金
におきまして五千五百二十九万円の増加となつておりますが、これは前々年度に比較して前年度の
直轄港湾工事
が増加しておりますため、これに対応して
地方公共団体
よりの
納付金
が増加することとなつたためであります。 次に、手数料におきまして四千五百三十二万七千円の増額となつております。 次に、
航空保安協力業務費
の
駐留軍負担金
及び
マーカス
島
観測業務費
の
米国政府負担金
におきまして二千百二万円の増額となつておりますが、これはこれら業務に要する
歳出予算額
の増加によりまして、当然増加することとなるためであります。 次に、
歳出予算
について御説明いたします。 昭和二十九年度の
予定経費要求総額
は二百三十二億千百七十万三千円でありまして、これを前年度
予算額
二百十四億二千百四十六万四千円に比較いたしますと十七億九千二十三万九千円の増加となります。 以下主なる事項について御説明いたします。 先ず
海運関係
から申上げますと、第一に、
船舶建造
及び
改造資金貸付利子補給
に必要な経費として三十七億五千六百二十三万九千円を計上いたしました。これは
外航船舶建造融資利子補給
及び
損失補償法
に基き、我が
国外航船舶
の
拡充整備
と
海運収支
の改善を促進するため、前年度までに着工いたしました
外航船舶
及び本年度に約二十万トンを目途とする
外航船舶
の建造に要する資金に対する
利子補給金
三十六億二千九百二十九万一千円、
臨時融資改善助成利子補給法
に基き、低
性能船舶
を解撤して、新たに
外航船舶
を建造するために要する資金に対する
利子補給金
一億二千二百九十七万一千円、及び
離島航路整備法
に基きまして、前年度までに着工いたしました
定期航路事業用船舶
並びに本年度に建造一隻、改造二隻を予定しております
定期航路事業用船舶
の
建造改造
に必要な資金に対する
利子補給金
三百九十七万七千円のために必要な経費であります。 第二に、
離島航路補助
に必要な経費として四千百万円を計上いたしましたが、これは公益上必要な
最少限度
の輸送を確保するため、
離島航路整備法
に基き、航路の性質上経営の困難な
離島航路事業
に対して補助するために必要な経費であります。 次に、前年度におきまして予算を計上いたしました
帰還輸送費
につきまして、本年度は経費を計上してありませんが、これは
中共地区等
よりの邦人の
集団引揚げ
の見通しが不明でありますので、
予算案
としては一応経費を計上せず、
集団引揚げ
が現実に必要となつた際に別途
財政的措置
を講ずることとしたためであります。
船舶動静調査費
につきましても、本年度は経費を計上しておりませんが、これは
日米行政協定
に基いて実施いたしておりました
船舶動静調査業務
が、昨年九月末を
以つて打切り
となつたためであります。 なお、
外航船舶建造融資利子補給
及び
損失補償法
に基き、昭和二十九年度以降国の債務となる
利子補給
及び
損失補償
の
限度額
としてそれぞれ二十億九千五百二十万一千円及び二十八億五千百八十四万八千円、並びに
離島航路整備法
に基き、昭和二十九年度以降国の債務となる
利子補給
の総額として三百九十三万六千円を
国庫債務負担行為
として
予算総則
第十一条及び第十二条において要求いたしております。 次に、
港湾関係
について申上げますと、先ず
港湾事業
に必要な経費として三十八億七千八百二十六万七千円を計上いたしましたが、これは貿易の振興及び
輸送力
の増強を図るため、
出入船舶
並びに
取扱貨物量
の増加に対応して、
横浜港外
四十港について
港湾施設
の整備を国が行うために必要な経費と、
東京港外
百七十二港の整備を
地方公共団体
又は
港湾管理者
が行うに必要な
事業費
を補助するために必要な経費であります。 次に、
港湾災害復旧事業費
として十六億九千九百五十九万円を計上いたしましたが、これは、昭和二十八年以前の災害による
港湾施設
の
復旧事業
に必要な経費でありまして、
港湾事業費
と同じく、国が直接施行する場合と、
地方公共団体等
が施行する場合に補助するために必要な経費であります。 更に以上に申し述べましたような
港湾事業
を実施するために必要な
事務費
として
港湾事業附帯事務費
を六千九百二十三万二千円計上しております。 なお、
北海道関係
の
港湾事業
に必要な経費として、
総理府所管
の
予算案
において六億四千八百九十万円を要求しております。
鉄道関係
といたしましては、先ず
地方鉄道軌道整備補助
に必要な経費として二千五百万円を計上いたしましたが、これは昨年より施行されました
地方鉄道軌道整備法
に基きまして、産業の振興及び民生の安定に必要と認められる
地方鉄道軌道
の新設及び維持に対して補助するために必要な経費でありまして予算といたしましては、
新規事項
でありますが、このうちには、前年度まで実施いたしました
北海道開発鉄道
及び
軌道補助
も含まれております。 次に、昨年度に引続き
北九州地区
における戦時中の
石炭乱掘
による鉄道の鉱害の復旧を促進するため、
鉄道特別鉱害復旧補助
に必要な経費として四千一百四十四万三千円を要求いたしております。 次に、
航空関係
について御説明いたします。 第一に、
航空機乗員養成所
の新設及び運営に必要な経費として一億五千一百三十万七千円を計上いたしました。これは
我が国
の
自主航空
を確立するため、
航空機乗員養成所
を新設して
既経験者
の再教育と
新人操縦士
の養成とを実施しようとするものでありまして、昭和二十九年度に約六十人の乗員の養成を予定しております。なおこれに伴いまして、前年度まで実施いたしました
航空機乗員養成補助
は
打切り
といたすことになつております。 第二に、
我が国
における
自主的航空交通管制
を早急に実施するため、
航空交通管制官
の養成に必要な経費として八百九十三万一千円を、前年度に引続き計上いたしております。 第三に、
東京国際航空通信局
の整備に必要な経費として四千六百五十五万円を計上いたしましたが、これは
国際民間航空機構
の勧告によりまして
東京国際航空通信局
の
対空通信回線
を五周波分増設するために必要な経費であります。 第四に、
東京国際空港
の
維持管理
に必要な経費として三千三百九十一万円、
東京国際航空通信局
の
維持運営
に必要な経費として二千五百八十九万九千円、
航空官署運営
に必要な経費として一億八千八百四十五万三千円を要求しておりますが、これらは
東京国際空港
、
東京国際航空通信局
の
外飛行場
七カ所、
航空燈台
二十九カ所、
航空標識所
十四カ所等を
維持運営
するためのものでありまして、前年度に引続き必要な経費であります。 第五に、
航空保安協力業務
に必要な経費として一億五千百六万八千円を計上いたしましたが、これは
日米行政協定
に基き、
駐留軍
の使用する飛行場及び
航空保安施設
を
維持運営
するため必要な経費であります。 以上のほか
航空関係
といたしましては、前年度と同じく、
国際航空路線
の振興を図るため、
日本航空株式会社
に対して
政府出資
を行うことといたしまして、
大蔵省所管
に十億円を計上いたしております。 次に、
海上保安庁関係
について御説明いたします。 第一に、
巡視船等
の建造に必要な経費として三億六千八百七十四万円を要求いたしておりますが、これは七百トン
型燈台業務用船
一隻のほか、老朽船艇の代替として三百五十トン
型巡視船
一隻、二十三メートル
型内火艇
二隻、六十トン
型水路観測船
及び五十トン型燈台見廻船各一隻を建造いたしまして、
海上保安業務
の
改善強化
を図ろうとするものであります。 第二に、
航路標識
の整備に必要な経費として三億二千三百十五万一千円を計上いたしました。これは燈台、
電波標識
、燈浮標の新設のほか、
既設燈台
の
光力増大等
の
改良工事等
のために必要なものであります。 第三に、
警備救難費
として、
海上保安庁
に四億六百九十三万八千円、
管区海上保安本部
に三十八億二千四百三十万七千円を計上いたしましたが、これらは
海上保安庁法
に基き、海上における法令の励行、犯罪の
予防鎮圧
、犯人の捜査及び逮捕、
海難救助等海上警備救難業務
を遂行すると共に、これら
業務遂行
のため
巡視船
を改修及び補強して装備を強化し、並びに職員の
教育訓練
を行う等のために必要な経費であります。 第四に、
海上保安費
として
海上保安庁
に四億二千六百八十二万一千円及び
管区海上保安本部
に六億一千四百三十一万円を要求しておりますが、
海上保安庁所掌
の業務のうち、水路の
測量観測
、
航路標識
千八百九十七基の
維持運営等
の
海上保安業務
を遂行すると共に、
水路燈台関係
の職員の
教育訓練
を実施するために必要な経費であります。 以上が
海上保安庁関係
の主なるものであります。 次に、
気象官署関係
について御説明いたします。 第一に、
水理気象業務
に必要な経費として三千四十八万七千円を
新規事項
として計上いたしました。これは重要な河川の
水源地帯
に
降水観測施設
、
通報施設等
を整備強化いたしまして
水資源利用
の高度化と水害の防除に資しようとするものでありまして、昭和二十九年度におきましては、北上川及び利根川の雨水系につきまして、
気象通報所
六カ所、
総合気象観測装置
十一カ所、
ロボット雨量
計三カ所、
短波無線通信施設
七カ所等の施設の整備と業務の運営を実施しようとするものであります。 第二に、
水害緊急対策
に必要な経費として一億七千五百二十三万六千円を要求しておりますが、これは前年度に引続き、水害の
防止軽減
に資するため、
気象観測施設
、
通信施設等
を整備するために必要な経費でありまして、昭和二十九年度におきましては、九州、四国、中国、近畿、
関東等
の地方に亘り、二十三都府県の区域を対象として
通報所
十二カ所、雨量計、
雪量計等
の
観測施設
四百二十六カ所、
短波無線通信施設
二十一カ所、
気象用レーダー
二基等の整備を実施しようとするものであります。 第三に、
定点観測業務維持運営
に必要な経費として六百八十一万三千円を計上いたしております。前年度までは、
日米行政協定
に基き、
土佐沖
及び三陸沖の二カ所の
固定点
におきまして、年間を通じて、常時
気象観測
を実施することとなつていたものでありますが、この業務が昨年十一月末を以て
打切り
となりましたので、本年度におきましては、台風、
梅雨前線等
の
予報精度
の確保を図るための
最少限度
の必要を充たすために、
海上保安庁
の
所属船
を使用して、
土佐沖
の
固定点
のみについて五月より十月に至る六カ月間の常時
気象観測
を実施することといたしたのでありまして、そのために必要な経費であります。 第四に、
マーカス
島
測候所維持運営
に必要な経費として六千八百二十二万二千円を計上しておりますが、これは、
米国政府
の要請によ
つてマーカス
島における
気象観測所
を
中央気象台
が
維持運営
するために必要なものであります。以上のほか
気象官署
といたしましては、
地上観測
に必要な経費二千百五十五万八千円、
航空気象業務
に必要な経費八百四十六万九千円、
上高層気象観測業務
に必要な経費一億二千百一万五千円、
気象官署
の
一般業務維持運営
に必要な経費十七億六千七百五十三万五千円等の経費を要求しておりますが、これらは
中央気象台
、
羽田航空地方気象台
、
高層気象台
、五カ所の
管区気象台
、五カ所の
地方気象台
、四カ所の
海洋気象台
、百三十二カ所の測候所、七カ所の
航空測候所
その他の
気象官署
におきまして、観測、
予報等
の業務を行い、その施設を維持する等のために必要なものであります。 以上御説明申し上げました海運、港湾、鉄道、航空、
海上保安
及び
気象関係
のほか主なるものを申上げますと次の通りであります。 先ず
観光事業補助
に必要な経費として五千五百五十万円を計上いたしました。これは
全日本観光連盟
及び
日本交通公社
をして、
国家的見地
より、外客の誘致、
対外宣伝
、
観光施設
の整備、
観光資源
の
保存等
の
観光事業
を実施させるため
補助金
を交付するに必要な経費であります。 次に、
小型船舶職員養成補助
に必要な経費として三百万円を要求いたしましたが、これは
小型船舶職員
の技能を向上し、その補充を円滑にするため、経済的に運営することの困難な
小型船舶職員
の
養成事業
を行う団体に対して補助を実施しようとするものであります。 次に、
航海訓練所
の
練習船整備
に必要な経費として三億一千四百六十万三千円を計上いたしておりますが、これは、長期の
乗船実習
を必要とする
商船大厚
の学生の増加のため、現有の
練習船
では、不足いたしますので、三千トン型の貨客船一隻を購入し、
練習船
として改装するために必要なものであります。 以上で
一般会計
に関する御説明を終りまして、続いて木船再
保険特別会計
について御説明いたします。 前年度におきまして木船再
保険法
及び木船再
保険特別会計法
に基いて設置されました本会計は、
木船事業経営
の健全化と
木船船主経済
の安定に資することを目的とするものでありまして昭和二十九年度においては、
歳入歳出
とも六千八百十万三千円を計上いたしました。その主な内訳は、再保険料六千六百十八万八千円を以て木船再
保険収入
を計上いたし、これと同額の木船再
保険費
を計上して、再
保険金
及び
賠償償還払戻金
に充てると共に、
一般会計
よりの繰入金百五十九万一千円を以て木船再
保険業務費
を賄うものであります。 以上を以ちまして、簡単でありますが、
運輸省所管昭和
二十九年度
予算案
の概要を御説明申上げました。何とぞ十分御審議の上御賛同あらんことをお願い申上げます。 引続きまして昭和二十九年度
日本国有鉄道予算
の概要についてご説明申上げ御審議の資といたしたいと存じます。 最初に、
予算編成
の基本についてでありますが、前国会に於て承認されました職員の
給与改訂
のため、多額の資金を必要といたし、これがため運賃の改訂を
国有鉄道
としては希望いたしたのでありますが、政府といたしましては
財政規模
の圧縮、物価の安定に資することを方針といたしまして、
運賃料金等
の値上げは極力これを行わないこととし、
貨物運賃
については全然触れることなく、ただ
旅客運賃
のうち一、二等についてのみ
通行税相当額
を値上げするにとどめました。 次に、昭和二十九年度
日本国有鉄道収入支出予算
について損益、資本及び工事の各
勘定別
に御説明申し上げます。
損益勘定
昭和二十九年度
損益勘定
の予算は、
給与改訂
、
輸送力増加等
を織り込んだ前年度
補正予算
を基礎としまして編成いたしました。 先ず収入について申し上げますと、鉄道による
旅客輸送人員
は、対前年度増二・六%、三十六億五百万人、人キロでは八百四十五億人キロと策定いたし、
旅客収入
一千二百九十二億を見込み、鉄道による
貨物輸送トン数
は、対前年度増二・一%、一億六千万トン、トンキロでは四百十四億トンキロと策定いたし、
貨物収入
一千二百十億円を見込んでおります。これら旅客、
貨物輸送
に要する
列車キロ
は三億三千六百万キロで、対前年度三・三%の増加となつております。以上の
旅客貨物収入
のほか
雑収入等
を合せて二千五百八十九億の収入を見込んでおります。 次に、
経営費
についてみますと、
人件費関係
については一万五千三百七十円ベースに昭和二十九年度の昇給を見込んで算出いたしておりますが、この他に
期末手当
一・二五カ月分、
奨励手当
半カ月分、
休職者給与等
を見込んであり、給与の額として合計九百四十八億円となつております。又
物件費関係
については、
動力費
の大宗である
石炭費
として三百三十六億円、
修繕費
五百七十七億円、その他業務費等合せて
経常費総額
二千百四十九億円であります。以上の
経営費
のほかに
資本勘定
へ繰入れ三百三十五億円、利子八十五億円、
予備費
二十億円を合せまして
支出合計
二千五百八十九億円となつております。 次に、
資本勘定
について申上げます。前述の
損益勘定
より受入れる三百三十五億円、
資金運用部
よりの借入金七十億円、
鉄道債券
の発行による百三十億円、
不用施設等売却
による七億円、合計五百四十二億円を収入として計上し、五百四十億円を
工事勘定
に繰入れることとしております。このほか出資としての九千六百万円は
帝都高速度交通営団
の投資に伴うものであり、
借入金等償還
としての一億円は昭和二十八年度に公募した
鉄道債券
の一部の償還に充てられるものであります。 三、
工事勘定
次に、
工事勘定
について申上げます。昭和二十九年度
工事勘定
の予算は、工事の重点を施設の維持及び取替補充に置くことといたし、
新規工事等
は
必要最少限度
にとどめ、
財政規模
の圧縮の方針の下に編成いたしました。その内容について申上げますと、先ず新
線建設費
についてでありますが、新線の建設は前年度
工事着手線
の継続にとどめ、二十五億円を計上いたしました。次に、
電化設備費
でありますが、電化につきましては、現在施行中の浜松、
姫路間電化
を引続き施行することといたしており、昭和三十年には米原まで開通する予定であり、七十八億円を計上いたしました。次に、
車両費
でありますが、
電気機関車
、
内燃動車
、客車、電車及び
貨車等
の新造のほか、客貨車の
改造等
でありまして、二十九年度の
輸送力確保
に協力しております。
内燃動車
につきましては、
地方交通
の便益に供するため前年度に引続き百両の新造を計画しております。これらの計画に要します
車両費
として百五十六億円を見込んでおります。以上のほかに諸
設備費
二百三十七億円を計上いたしており、改良総係費を含めまして支出の合計は五百四十億円となつております。これらに要する財源としては、前に
資本勘定
の御説明の際申上げました通り、
資本勘定
より五百四十億円を受入れてこれに充てることとしております。 なお、以上の諸計画の実施に要する職員数は四十四万七千七百二十五人でありまして、これは昭和二十八年度に比較いたしますと、四百七十六人の増加であり、これは
業務量
の増加に伴うものでありますが、要員の
合理化
に努め、その増加は最少限にとどめました。給与の総額としては
休職者給与
を含め、合計一千百四十二億円を計上しております。 最後に、
日本国有鉄道
の財政につき今後の見通しを申上げたいと存じます。経済界の今後の動静を勘案いたしますと、予定した収入を挙げますには、格段の努力が必要と考えられ、又
工事計画
もより一層の
サービス
の改善のためには十分とは申しがたいのでありますが、
日本経済
の安定に資するため
公共企業体
としてより一層の
能率向上
を図り、
サービス
の改善に努めますと共に、経営の
合理化
を行い
経費節減
に努力いたすよう指導監督いたしたい所存でございます。 以上、昭和二十九年度
日本国有鉄道予算
の大綱につき御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことをお願いいたします。
前田穰
3
○
委員長
(
前田穰
君) 只今の御
説明
に対していろいろ御質問もあろうと思いますが、これはあとに譲りまして、
運輸大臣
から、
運輸行政一般
につきまして基本的の御
説明
を伺いたいと思います。
石井光次郎
4
○
国務大臣
(
石井光次郎
君) 第十九
国会
の再開に当りまして、
運輸委員各位
に最近の
運輸事情
につきまして御
説明
申上げる機会を与えられましたことを感謝いたします。
委員
の中には新たに選任せられた方もございますので、何とぞよろしくお願い申上げます。 今
国会
に提出されました
予算
の詳細につきましては、
事務次官
より御
説明
いたさせましたが、
緊縮予算
の枠内において
国際収支
の
改善
、
産業
の
振興
、
民生
の安定を図るべく
運輸行政
を推進して参るには、幾多の困難があることを覚悟しなければなりません。今後とも一層の御指導御鞭撻を望む次第でございます。
法律案
につきましては、
運輸省
として
差当り
九件を
予定
しておりますが、成案を得次第提出いたしますので、御
審議
を煩わしたいと存じます。
外航船舶
につきましては、先に樹立しました
船腹拡充
四カ年
計画
を引続き推進して参る
所存
でありまするが、
昭和
二十九
年度
におきましては、
予定
されておりまする
日本開発銀行資金
百八十五億円を以てできる限りの
外航船
の
建造
を図る意向でありますが、二十万総
トン程度
を
確保
し得るかと考えております。又
船舶
の
建造コスト
を低減するために、昨年八月以降、
造船コスト引下げ
に関する
暫定措置
によりまして、
造船用鋼材価格トン当り
約一万円の
引下げ
を
目途
といたしまして、
製鉄業者
に対する
日本開発銀行
からの
融資並び
に
日銀別口外貨貸し
によりまする
融資
の金利がそれぞれ
引下げ
られましたのに伴いまして、
企業努力
と相待つて大幅な
船価
の低減を見たのでございます。即ち
貨物船
につきましては一六%以上の
引下げ
が達成されまして、
我が国海運
の
国際競争力
の
強化
に役立ちましたほか、
輸出船舶
の獲得につきましても、本
措置
の
実施
以来
受注量
は増大し、
最初
の
輸出目標
十万総
トン
の
年度内達成
も確実と見られる情勢でございます。なお
外航船
による
外貨収入
も如上の諸施策の
実施
によりまして顕著な
増加
を示し、
昭和
二十五年の九千万
トン程度
に比し、
昭和
二十八年には二億二千万
トン
を超えてほぼ
戦前
の
取扱量
まで回復するものと推定されます。然るに各
港湾
の
施設
の現況は、
駐留軍
による
接収並び
に打続く
災害等
によ
つて戦前
の
整備
された姿にはほど遠く、これらの
整備復旧
は緊急の要事でありますので、戦後の
船舶
の
大型化等
も勘案して、これらに対応できるように急速に
整備
いたしたいと考えております、 次に、
鉄道関係
について申上げます。本
年度
の
国有鉄道
の
輸送量
は、昨
年度
に比して
旅客
、
貨物共
に約四%の上昇を示しており、この
増加
の趨勢は来
年度
におきましても継続するものと思われます。なかんずく
東京
初め大都市の
旅客輸送要請量
は激増の一途を辿りつつある現状でありますので、この打開策として、国鉄における設備の
改善
はもとより、地下高速度
鉄道
の拡充等を推進し、
輸送力
の増強を図るほか、他の交通機関との
輸送力
調整を図り、これに対応したいと考えております。 二十九
年度
における国鉄
財政
の
見通し
といたしましては、
施設
の
整備
を促進し、且つ前
国会
において承認されました
職員
の
給与改訂
を
実施
するため、多額の
資金
を必要といたしまするが、来
年度
一般
予算編成
の
方針
等を考慮いたしまして、一、二等
旅客運賃
、料金のみを
改訂
し、値上率も通行税を外枠にすることにより、おおむね二割
程度
にとどめることの結論を得ましたので、今
国会
に
国有鉄道
運賃
法の改正法案を提出しますると共に、これに基いて国鉄
予算
を作成して御
審議
をお願いすることと
なつ
ております。国鉄の
新線
建設
は重要な意義を有するものであり、且つその実現を要望する声も強いのでありまして、本
年度
は三十線、八百八十一
キロ
の
工事
を進めて参りましたが、現在までに四千五十四
キロ
余が完成いたしまして営業を開始し、又一部開業したものが一線で三十八
キロ
余でございます。併しながら二十九
年度
の国家
財政
並びに国鉄
財政
の事情から
予算
の大幅の削減の余儀なきに至りましたので、極めて困難ではありまするが、従来
工事
中のものにつきましては、何らか
工事
を継続できるよう目下その具体的方策を検討いたしておるのでございます。 国鉄の
電化
につきましても、極力これを推進いたしたいと考えておりますが、今
年度
におきましては、東海道線浜松、名古屋間の
工事
を完成いたしましたので、二十九
年度
は引続き米原までの
工事
を進捗せしめ、三十
年度
には完成いたす
予定
でございます。いわゆる
鉄道
会館問題に端を発し、
国会
において昨年以来論議されました国鉄並びに国鉄監督行政のあり方につきましては、衆議院運輸、決算両
委員
会の結論もございましたので、その後慎重
審議
検討いたし、すでに行政指導により必要な処置をとつたものもありまするが、監督
強化
の法的
措置
としまして、
日本国有鉄道
法の改正法案を今
国会
に提出すべく只今準備をいたしておるのでございます。なお、
公共企業体
のあり方についての基本的な問題につきましては、先般閣議決定により、
公共企業体
合理化
審議
会が設置されて
審議
を進めることに
なつ
ておりますので、これが結論を待つて根本的な施策を講ずる考えであります。
地方鉄道軌道
につきましては、第十六
国会
において制定された
地方鉄道軌道整備法
により助成
措置
を講じ、以て重要な
鉄道
の
維持
、
整備
を図りたいと考えております。
鉄道
車両は機械工業中で造船に次ぐプラント輸出であり、年々二十億
程度
の実績でございましたが、本
年度
はすでに約五十五億円の実績を示しております。併しながら輸出納期等における有利な条件にもかかわらず、材料価格の割高のためかなり苦境にあることは事実でありますので、この点を打開すれば、更に明るい
見通し
を持ち得るものと考えております。 バス事業及び路線トラック事業の路線
キロ
は、昨年末それぞれ十万
キロ
及び八万八千
キロ
に達しておりまするが、これらの事業の公共的
運営
如何は直ちに国
民生
活に重要な影響を持つのでありますので、今後の
方針
といたしましては、長距離路線網の
整備
充実、運転系統の
合理化
、運行回数の充実、国策的開発路線の運行等を図りますると共に、事業の基盤を強固にするための対策を推持いたしたいと存じております。最近における自動車の
増加
はますます著しく、今日ではすでに百万両を突破し、なお毎月三万両にも及ぶ増勢を示している実情でありまするが、これに伴い自動—車事故も
増加
しておりますので、これが対策として車両検査
施設
の
整備
拡充を促進し、検査の能率化を図り、事故の防止に努めますると共に、事故が発生した際における救済策として、自動車事故に上る損害賠償を補償する制度を確立する必要を認め、目下関係各省と鋭意折衝中であります。 かねてからの懸案でありました
国際航空路線
の開設は、昨年十月
日本航空株式会社
の設立によつて漸くその緒についたのでありまするが、去る一月十四日
米国政府
から正式許可を得まして、本月本日
東京
、サンフランシスコ線の
業務
開始の運びと
なつ
ております。更に二月五日
東京
、沖縄線の
業務
を開始することに
なつ
たのであります。今後更に日本
航空
の
業務
を充実拡張すべく、十億円の
政府出資
につき来
年度
予算
に計上いたしております。 なお、
航空
保安の
確保
について万全を期すると共に、今後も引続き
乗員
、
航空交通管制官
の
養成
に必要な
措置
を講ずる等、
自主航空
の再建に努めたいと考えております。
我が国
の
観光事業
は、戦後逐年目覚ましい進展を遂げ、特に昨年は朝鮮休戦の成立、外客受入れ
施設
の
整備
の促進、更には海外観光宣伝の
強化
等により大きな発展を示したのでありまして、来訪外客数は約八万、その推定消費額は百億円を若干上廻る成果を挙げたのであります。而も本年は海外からの相次ぐ観光団の来訪等から推して、来訪外客数は九万を超え、その消費額も約三千六百万ドル、即ち百三十億円に達するものと予想されます。なおこの数字は
戦前
の最盛期たる
昭和
十一年の観光
収入
三千百万ドルを大きく突破するものであります。
国際収支
の逆調に悩んでおりまするこの際、
観光事業
の
振興
を図り、見えざる輸出としての観光
収入
の
増加
を期することは、まさに時局の
要請
に即応するものでありまして、明
年度
の
予算
緊縮のため対外観光宣伝の
実施
機関たる
日本交通公社
及び外客受入態勢の
整備
促進に当つている
全日本観光連盟
に対する国庫
補助金
は、それぞれ本
年度
に比し約三割の
減少
を見ることに
なつ
ておりますが、会費、宣伝繰入金の
増額
その他あらゆる有効なる方途を講じまして、
対外宣伝
の浸透を図りますると共に、他方受入態勢の面におきましても、ホテルを初め
施設
及び接遇の
整備
充実を図り、本事業の
振興
を通じて
国際収支
の改革に寄与いたしたいと存じております。
海上保安庁関係
について御
説明
申上げますと、警備救難事業の主力となる
巡視船
九十七隻の約半数は老朽木造船でありまするために著しく手不足であり、更に北方海域、朝鮮海域及び東支那海方面の日本漁船の操業秩序を
維持
し、併せてこれらの漁船に対する不法拿捕事件の発生を防止するため、常時
巡視船
を行動せしめておりますので、沿岸水域における一般警備救難活動に空白を生ぜざるよう
努力
を尽しております。
昭和
二十九
年度
においては老朽木造船の代替として三百五十
トン
型巡視船
一隻、二十二メートル
型内火艇
二隻を
建造
し、又先に認められましたヘリコプター六機のうち、五機の引渡しを受け、各地に配属することとなりますので、今後は海空一体による迅速且つ機動的な
海上保安業務
の
運営
が期待されるのであります。 なお、日本海方面の浮流機雷の状況はその後漸減の傾向を辿つております。
航路標識
の
整備
は、昨年の
予算
削減によりまして、当初の
計画
を相当割愛するの余儀なきに至りましたが、国際的重要
航路
に当る潮岬及び大王崎両
電波標識
局の
新設
を初め、
燈台
三十三基、浮標三十五基を
新設
する等、重点的に日本近海における航行の安全を図つております。
昭和
二十九
年度
においては、五十
トン
型
燈台
見廻船一隻を
建造
し、
燈台
四十八基、灯浮標十五基、
電波標識
機三基を
新設
すると共に、
既設燈台
の
光力増大等
の
改良
工事
をも併せて
実施
する
予定
でありますが、
我が国
の現状を列国と比較すると、なお数段の隔りがあるのでありまして、今後一層の拡充を努めなければならんと考えております。
中央気象台
の
業務
につきましては、昨年の北九州及び近畿
地方
の
水害
に鑑みまして、明
年度
は特に
水害
対策
施設
の
整備
拡充に努めたいと存じております。即ち
昭和
二十八
年度
補正予算
により、西日本の鹿児島県ほか九県の山岳地帯における雨量
観測
の
整備
と、近代的設備としての
気象用レーダー
を一カ所
整備
を行いましたが、二十九
年度
におきましては、引続いて山口県ほか十県の山岳地帯に雨量
観測施設
の
整備
を行うと共に、
気象用レーダー
ニカ所の設備をするのに要します
経費
といたしまして、それぞれ一億三千九百万円及び三千六百万円の
予算
を計上いたしております。又
水害
対策と水資源の利用に当る
水理気象業務
の
整備
につきましては、
昭和
二十九
年度
におきまして北上川及び利根川流域の一部に対しまして
実施
する意向であり、これに要します
経費
といたしまして約三千万円の
予算
計上をいたしております。 最後に、
職員
が検察当局の取調べを受けております事件につきましては、世間の疑惑を招くがごとき事態となりましたことは極めて遺憾なことでありまして、今後とも十分監視いたしますると共に、真相の明らかになることを待つて、然るべき処置をいたすことと考えておる次第でございます。
前田穰
5
○
委員長
(
前田穰
君) 御質問がありましようが、これもあとに廻しまして、引続き
日本国有鉄道
の
運営
その他に関しまして、
国有鉄道
総裁から御
説明
を願いたいと思います。
長崎惣之助
6
○
説明員
(
長崎惣之助
君)
日本国有鉄道
の
運営
状況その他につきましては、前
国会
におきましても申上げました。その後当時におきましては
輸送
の情勢、特に貨物の情勢におきましては、やや停頓の気味でございましたが、だだん出貨が旺盛になりまして十、十一、十二月、今月とずつとやはり相当な在貨を控えて、
輸送力
のむしろ不足に悩むというような有様であります。
旅客
につきましても、又比較的好調を続けております。今後も相当の
増加
が予想され、
年度
末までには相当な、
予算
よりも
増加
するのではないかと考えております。 二十九
年度
の動向につきましては、これは非常に私どもが二十九
年度
の当初の
予算
を編成いたしました当時としては、御承知のように
一般会計
その他の
政府
予算
等、今
国会
に提出されておる
予算
というものの編成の
方針
が根本的に変つて来ておるというような点からいたしまして、私どもは今後の、来
年度
における
旅客
、貨物の趨勢がどういうふうになるかということはなかなか予測が困難でございます。併しながら恐らくは二十七
年度
に対する二十八
年度
の増収とは同じようには行かんではないかと思われますが、ともかく今日このような
予算
を一応編成いたしましてやつて見るという状況でございます。二十九
年度
の
予算
を仔細に御覧願いますとよくわかるのでありますが、
損益勘定
におきまして
業務
費その他に相当な無理を与えております。果してこの
業務
費で以て所期の
収入
が挙げられるか。例えて申しますと、
建設
費のごときはむしろ二十八
年度
より減つておるというようなことでありまして、列車の増発等にも相当の困難が予想されます。併しながら、何分私どもは大蔵省、或いは運輸当局に対しまして申上げておるのでありますが、我々の
予算
というものは一般行政費の
予算
とは異なりまして、企業の
予算
でございますから、事情の変化に応じまして著しい
旅客
、貨物の増進のあります場合においては、それに応じてやはり列車の増発その他ができるようにして頂きたい。ただここで一番むずかしい問題は、先ほど来の運輸当局からの御
説明
にもございましたが、
工事
費の関係におきまして、車両の
新造
ということがむしろゼロに近い。ただ取替
補充
という面においては不十分ながらやつているつもりでございますけれども、新規に
整備
をするという点においては、殆んど
電化
その他に伴うものを除きましてはゼロに近い。車両の
整備
なしに増収ができるのかという大きな疑問がございます。これについても今後の趨勢に応じまとて、適当なる
措置
を講じなければなりませんが、その事前に我々は飽くまでも
合理化
という線で一つ
努力
をして参りたい、今日の国家全体の
財政
の情勢、経済の情勢等から考えまして、非常に我々は無理だとは存じながらも、これを何とかしてやつて行きたい。又そういう
努力
を続けて行こうというふうに考えておるのであります。
新線
建設
につきましては、先ほど来これまた
運輸大臣
その他の方々から申述べられた
通り
、非常な大削減を受けまして、実は二十九
年度
当初の
計画
から申しますと、百十億の
予算
が欲しいのでありましたものが、僅かに二十五億という殆んど四分の一
程度
のものに減つたということは、何といつても大きな打撃でございます。これを如何に収拾して行くか。又これを如何に継続して行くか。この趨勢というものは果して三十年以降においても続くのか続かんのかという
見通し
についての御意見も、私どもにおいても恐らくやはり経済の情勢その他の変化に応じて、日本の国力発展のために
鉄道
新線
建設
は今後相当期間継続されるべきものであろうと推測されますが、これらについの皆さんの御意見等も十分参酌いたしまして、この対策を立てて参りたい、かように存じております。
電化
の点につきましては、
電化
は非常に国鉄
経営
の
合理化
上有利なことであることはたびたび申上げている
通り
でございまして、これらに関しましては、既定
計画
の
通り
名古屋より米原、更には大阪、姫路に向つて一先ず進んで行くが、同時に私はできるならば、早くもつと早急な時期に他の路線、殊に東北常磐という方面の
電化
についても、北方幹線の
強化
と相並んで十分に考慮を払い、早い時期に起工なり、着工なりをして行きたいという考えでおります。 そのほかローカル線の
改善
に関しまするディーゼル・カーが、これは本
年度
の
予算
には
予算
上百両しか計上してございませんが、客車の取替もございますから、それらとの振替によつてできるだけ両数を殖やして、早い時期にローカル線の
改善
を実現して参りたい、かように考えております。 又、先ほど
運輸大臣
からも申上げたようでございましたが、大都市附近、殊に
東京
附近の通勤
旅客
の
輸送
緩和という問題が非常に大きな問題でございますので、これについては或る
程度
の
予算
を見込みまして、その
工事
に着手し、この問題を解決して行く
所存
でございます。殊に重要な問題として、これもしばしば申上げましたが、北方幹線と申しますか、東北本線、或いは奥羽線、或いは羽越線、北陸線というようなものは、北海道方面、北方の経済的ウエイトは非常に今日の日本において大きいのでございまするために、これらの線路を早急に増強しなければならんという問題がございますので、これにも相当の
予算
が計上されております。 以上が来
年度
に関しまして、私どもが考えておりまする大きな諸点でございます。 なお、過般先
国会
において御
審議
を願い、
実施
になりました仲裁裁定をめぐりまして、いろいろ我々の
職員
が全国の各所におきまして、やや行過ぎの行為があつた。いわゆる非合法の争議行為があつたという問題でございます。この点につきましては、いろいろ取調べました結果、やはり相当にこれは処断をしなくてはならないというようなことに相成りました。例えて申しますると、休暇闘争ということをやつたのでありますが、それに対してピケツト・ラインを張つた。このピケツト・ラインは休暇闘争でありますから、仮に許容されるといたしましても、出勤を阻止するというところにとどまるべきものではないかと思います。然るに出勤阻止ではなくて列車の出発を阻止するというふうなピケツト・ラインの張り方がございます。かくのごときは明らかに私は看過すべからざるものであると存じます。もとより私どもは自分の愛する従業員であり、又共に協力して
日本国有鉄道
の
運営
に携つておるのであります。そうして国民皆様の負託に応えなければならんという地位にあるのでございまするから、これらの人々を解雇するというような非常の処断に出ることは情において忍びざるものがあるのでありますけれども、一方において
国有鉄道
の国民経済並びに国民の生活全体に及ぼす影響というものを考えますとき、並びに部内の規律の
確保
という点からいたしますると、かくのごとき行為をいたしました者に対して、これを看過することは到底できないのであります。その結果といたしまして新聞紙等においても御覧と存じますが、十八名の解雇者を出すに至りました。これは一方においては誠に遺憾でございますと同時に、かくのごとき処断をしなければならない行為に出まして、国民皆様に大変な御迷惑をお掛けしたことについては、ここに改めて国民各位に対しまして、本
国会
を通じて私は深甚なる遺憾の意を表する次第であります。
前田穰
7
○
委員長
(
前田穰
君) これから総括質問に入つて頂きたいと思いますけれども、時間も余りないので、
運輸大臣
もほかの
委員
会に出席をいたしたのであります。まだ少し時間もございますから国鉄総裁に御質問があれば、少しやつたらどうかと思いますが。 ちよつと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
前田穰
8
○
委員長
(
前田穰
君) 速記を始めて。 それでは本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十一分散会