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1954-11-27 第19回国会 衆議院 労働委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月二十七日(土曜日)     午後零時五十二分開議  出席委員    委員長 赤松  勇君    理事 池田  清君 理事 大橋 武夫君    理事 持永 義夫君 理事 多賀谷真稔君    理事 日野 吉夫君       倉石 忠雄君    篠田 弘作君       田嶋 好文君    田中伊三次君       中川源一郎君    長谷川 峻君       平井 義一君    三浦寅之助君       吉武 惠市君    木村 文男君       島村 一郎君    中村 梅吉君       並木 芳雄君  早稻田柳右エ門君       楯 兼次郎君    柳田 秀一君       春日 一幸君    佐竹 新市君       辻  文雄君    中村 高一君       岡田 春夫君  出席国務大臣         労 働 大 臣 小坂善太郎君  委員外出席者         警察庁長官   斎藤  昇君         労働事務官         (労政局長)  中西  実君         労働事務官         (職業安定局         長)      江下  孝君         日本国有鉄道参         与         (公安本部長) 久留 義泰君         日本国有鉄道参         事         (職員局労働課         長)      中畑 三郎君         参  考  人         (国鉄労働組合         本部中央闘争委         員)      矢上 正直君         参  考  人         (同横浜支部委         員長)     阪間 米造君         参  考  人 歌崎 藤作君         参  考  人         (全国銀行労働         組合連合会副委         員長)     田中 哲雄君         参  考  人         (全国駐留軍労         働組合中央執行         委員長)    市川  誠君         専  門  員 浜口金一郎君 十一月二十七日  委員池田清君、鈴木正文君、佐藤榮作君、篠田  弘作君、田中伊三次君、仲川房次郎君、安藤正  純君、稻葉修君、川崎秀二君、黒澤幸一君、島  上善五郎君及び春日一幸辞任につき、その補  欠として、平井義一君、長谷川峻君、吉武惠市  君、中川源一郎君、高橋等君、田嶋好文君、中  村梅吉君、早稻田柳右エ門君、島村一郎君、楯  兼次郎君、柳田秀一君及び佐竹新市君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員高橋等君、田嶋好文君、中川源一郎君、平  井義一君、長谷川峻君、吉武惠市君、及び佐竹  新市君が辞任につき、その補欠として田中伊三  次君、仲川房次郎君、篠田弘作君、池田清君、  鈴木正文君、佐藤榮作君及び春日一幸君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  失業対策労使関係及び労働基準に関する件     —————————————
  2. 赤松勇

    赤松委員長 これより会議を開きます。  失業対策労使関係及び労働基準に関する件を議題といたします。  年末闘争に対する警察官介入問題について、順次参考人意見を拝聴いたしたいと思います。  暫時休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     午後零時五十四分開議
  3. 赤松勇

    赤松委員長 それでは再開いたします。  最初に参考人国鉄労働組合本部中央闘争委員矢上正直者の御意見をお伺いいたしたいと思います。矢上参考人
  4. 矢上正直

    矢上参考人 本委員会に対しまして、組合運動に対する鉄道公安職員並びに警察官不当介入問題の御検討お願い申し上げました国鉄労働組合中央闘争委員矢上であります。ただいまから年末闘争の現状と、それに関連する鉄道公安職員並びに警察官不当介入実態並びにそれに対する国鉄労働組合考え方について参考人意見を申し述べます。特に本事件は、現場で起つたいろいろな実態について、各委員の御検討お願い申し上げたいと思いますので、私は組合本部中央闘争委員としての立場から、ごく概括的な意見を申し上げ、あと参考人として出席しております地方本部委員長あるいは支部委員長から詳しく申し上げたいと思います。  まず第一には、現段階闘争性格についてでありますが、御承知のように国鉄労働組合は、現在昭和二十九年度の新賃金並びに年末手当等の目標を掲げまして、いわゆる闘争段階に入つております。特に新賃金につきましては、十一月二十四日に中央調停委員会から調停案が提示されました。     〔委員長退席多賀谷委員長代理着席〕この内容は、御承知かと思いますが、調停案前文におきましては、国鉄職員の年齢構成なり、あるいは家族構成勤続年数構成、あるいは作業の特性から来る休職者の数または結核患者の数、さらにさかのぼつては二千九百二十円ベース切りかえ当時における一般公務員とのベースの差、あるいは昇給較差圧縮をされておるために生じておる、あらゆる諸矛盾というものから、考え方としては、調停案前文においては、ベース改訂の必要というものを調停委員会としても認めながら、なおかつそれに対する結論を出す段階に至つていない、こういうことによつて、次の主文の中に含む三つの物事について当事者間で協議をし措置をしろ、こういう調停案になつておるわけであります。申し上げましたように、前文においては給与改訂の必要を認めながらも、主文においては、第一には、給与の体系の中におけるいわゆる職群の調整を昭和二十九年度末までに行うこと、第二には、昇給較差圧縮による矛盾を是正するために当事者間で協議措置すること、第三には、地域給合理化について当事者間で協議をすること、この三つになつておるわけであります。従いまして、公共企業体労働関係法の制度上の調停委員会性格というものが、いわば従来は、ややトンネル的考え方に基いて調停案が出された時期もございますが、今日まさに年末を控え、調停委員会の持つ義務と責任は、そういう中間的な考え方ではいけない、このように私どもは今日もなお考えておるわけですが、申し上げましたような調停案内容によつては、再び問題は国鉄部内に帰り、当事者間の争い、協議によつて問題を処理しなくてはならぬ、こういう段階になつたわけであります。特に、この調停案につきましては、そのままではなかなか問題が解決をしないという立場から、当委員会においても真剣に御討議を願い、そうして調停委員会協力によつて前文趣旨によつて問題の解決をはかれという決議がなされたやに承つておる次第であります。そういう状態でありますので、国鉄労働組合は、そのほかの賃金以外の年末手当あるいは首切り問題その他の諸問題を控えて今日闘争を続けている、こういうのが闘争の現段階であります。  次に、問題になります闘争闘い方につきましては、別紙として委員各位に簡単な状況の御報告を申し上げておりますが、冒頭にお願いを申し上げましたように、地方本部支部参考人の方からもあとで詳しく申し上げたいと考えております。  まず概括的に申しますと、本年の年末の組合闘争に、鉄道公安職員を先頭とする警察権発動が露骨に行われておる、こういうことが一口にして言えると思うのであります。まず第一には、新潟におきまして鉄道公安官組合運動介入をいたしましたが、その場合、組合指令によりまして、設備の欠陥を指摘し、運転関係の諸規則を正確に守り、旅客荷物を安全、正確に、しかも迅速に輸送する運動展開中であります。この運動展開中に、組合は必要によりまして職場大会を開催いたしましたが、組合員中の統制違反者に対して、ピケ隊員を派遣して極力説得に努めておりました。そのときに、鉄道公安職員から不当に逮捕をされた。あるいはまた国鉄業務には取扱う資格が必要でございますが、その無資格者を不法に他の重要作業につかしめようとするその現場の幹部に対しまして、ピケ隊員が厳重に抗議をしているときに、誤つて組合員以外の職員の身体に接触をし、いささかの打撲を行つた、こういう理由によりまして、十一月二十日鉄道公安職員によつて逮捕され、その後所轄警察署に留置をせられております。その他門司、あるいは東京の新鶴見におきましては、二十五、二十六、二十七の三日間に全員が休暇をとるように組合指令をし、その指令において重要なる輸送の業務の正常を確保するために、当日出勤の予定になつて休暇をとつた者は、一応職場付近に集合をし、事態に即応した組合の指示によつて行動すべきことを明らかにしておつたのであります。  この場合のピケツトは、第一には、組合統制を守り、このことによつて無用の混乱が生ずることを防止し、さらに当局は、休暇をとる者がこれだけである、いつもより多い、こういう事態をはつきり認識して、その事態における的確なる判断を行うための一つの基準をつくらしめる、こういうことからも、組合闘争においては厳格に統制をする。しかも先ほど申し上げましたように、あらゆる緊急の事態あるいは重要業務の正常な運営が阻害をせられるという場合においては、ピケ責任において緩急自在の組合指導を行う、このようにやつてつたわけであります。  第二のピケの問題は、私がただいま申し上げましたように、緊急かつ重要な事態に、組合が厳格な統制を保ちつつ指令を運用する、この指令を運用する重要な任務を持つためにピケツト張つてつた、こういうのでございます。  特にこの問題については、労働次官の通達以来、とかくの問題を方々に起しておりますが、その問題は別として、国鉄当局は、問題の性質、すなわち年末闘争性質事態というものを、労働問題としてとらえずに、部内規定末梢的部分であります鉄道構内立入り禁止の条項、こういうものを発動して警察官の出動を要請し、そして警察官をして労働運動介入をさせる。自分職員である組合員、その組合員組合自分たちの間に悶着が起つて、いろいろな紛争が起つておる。そのことを単なる部内規定の構内立入り禁止、こういう末梢的規定発動して停車場内から組合員の集団を退去せしめるために警察官を呼ぶ、こういう形を当局はある局においてはとつているのであります。すなわちこのような旧態依然たる考え方労働対策というものが、あるいは結果を起し、あるいは原因をつくり、事態をますます紛争せしめている大きな原因であろうと思うのございます。  次に公安職員及び警察官介入を不当とする理由についてでありますが、まず第一には労働運動自主性警察権という問題について、当局考え方組合考え方とが非常に違つているようであります。本来労働運動は、労使対立を表現するものでありまして、その事態といふものはなかなかはげしくきびしい。しかも、そのはげしくきびしい事態というものに自主性を持たせるために、労働法というものがあり、それを労働運動として自主性を認めている、私どもはこのように理解をしておりますが、しかしそうは言いましても、私どもがあらゆる闘争を進めます場合に、少くとも労働運動が、たとえば刑法の分野にも及ぶ、この場合には、当然に警察権発動が必要であろう、このようには考えておるわけであります。この意味におきまして、労働運動自主性を極端に狭めようとする警察権力労働運動に対する介入には、私どもは断固として認めない立場、反対する立場を今日とつているわけであります。  第二の重要な問題は、かりに万一今日の国鉄労働組合の具体的な闘い方公労法上その行為正当性が問題となるといたしましても、それは原則として公労法わく内において処置されなくてはならないし、そのために公労法においては十七条による基準を設け、十八条によつて解雇できるところの権限を与えておる。これは公労法上における問題を公労法の中において処置をする、こういう問題に原因を置いておると思うわけであります。国鉄当局警察は、公労法わく内で処理すべき問題を、先ほども申し上げましたように、あたかも刑事的な犯罪人の扱いをして警察権発動し、逮捕をし、留置する。これは一面においては当事者間の紛争をますます発展、激化せしめるということにはなりますが、その目的とするところは労働運動弾圧以外にはない、私どもはこのように考えておるわけであります。  第三には公安職員職権についてでありますが、元来公安職員は、法律によつて列車停車場内における犯罪を捜査することがその職務であります。にもかかわらず、現在の国鉄労使対立の中における組合闘い犯罪とみなして関係者逮捕する、あるいは逮捕して警察に送る、こういうことは、公安職員職権を逸脱するもはなはだしいと考えるわけであります。鉄道公安職員職務に関する法律の制定当時、その議事録の中においても、明らかに当初この問題が懸念をされまして、労働運動に対する介入がないようにということが、非常にこまかく論議をされておることを私どもは知つておるわけであります。しかもこのような問題を総合してどういうことが言えるかと申しますと、現在各地ピケツトの周辺に公安職員が参りますけれども、その公安職員というものは、ピケットの前でがちやがちや手錠を鳴らしてピケット組合員を挑発しておる。こういう挑発的行為各地において発生をしておるのであります。こういう問題は、法律なりあるいは労働運動なり、そういう大きな原則的な考え方の問題とは別に、そのように現在の警察権を持つておる者が指導をされ、成長をして行きつつあるこのことが、私ども労働組合の民主的な発展を大きく阻害する原因だと考えないわけには行かないのであります。  私は最後に、労使協力によつて祖国の復興を念願され、熟慮される本委員会におきまして、今次の年末闘争に対する鉄道公安職員あるいは警察官介入が正当でありやいなやについて、ここに精密に十分なる検討と調査を行われるようにお願いをいたしまして、特にこのような問題を、本委員会で取上げて御検討いただく委員各位に深くお礼を申し上げまして、参考人の陳述を終りたいと思います。
  5. 多賀谷真稔

  6. 阪間米造

    阪間参考人 本委員会参考人として呼ばれました横浜支部の阪間であります。二十五日、二十六日の両日にわたる今次年末闘争の中における運動指導を昨晩おそくまで行つておりましたので、整理がいまだにできておりません。従いまして、これから私が申し上げることについては、前後することもあろうかと存じますが、その点につきまして、さらに聞きずらい点につきましては御了承をまずお願いいたします。  今次年末闘争にあたりまして、本部指令によりまして二十五日から三日間新鶴見車掌区における職員はすべて一日の休暇をとれ、こういう指令を私は受領いたしました。この指令の受領にあたりまして、ただちに行動隊であるところの私は、この実施を十分に準備いたし、計画を立てたわけであります。その中で、私が一番考慮を払いました点は、少くとも前回の闘争経験にかんがみまして、さらには新潟等に起きたところの経験にかんがみまして、官憲との無用紛争を避けなければならぬ、平和のうちに民主的な運動を続けなればいかない、この点につきましては特に私の傘下におるところの組合員諸君に対して、御注意を申し上げておつたわけであります。  二十五日の日に、新鶴見車掌区でこの行動を行わせるために、私は新鶴見車掌区に七時二十分にこの指導のために参りました。     〔多賀谷委員長代理退席委員長着席〕 ところが新鶴見車掌区に私が参りましたとたんに、新鶴見車掌区の詰所といわず、部長室を初め、各部屋に陣取つておりましたところの鉄道公安職員約百名の方たちが一斉に飛び出して来まして、私が構内に……。
  7. 赤松勇

    赤松委員長 ちよつと待つてください。はなはだ失礼ですけれども、緊急に打合せたいことがございますので、発言の途中でございますけれどもちよつと理事会を開きたいと思います。  なお政府の方も、引続き委員会を続行いたしますから、そのままの姿勢でひとつつていただきたい。  暫時休憩します。     午後一時十八分休憩      ————◇—————     午後二時八分開議
  8. 赤松勇

    赤松委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  この際多賀谷真稔君より、左右両派社会党及び労農党三派共同提案の、吉田内閣労働行政に対する警告決議に関する動議が提出されておりますので、まずその趣旨弁明を求めます。多賀谷真稔君。
  9. 多賀谷真稔

    多賀谷委員     吉田内閣労働行政に対する警告決議案   吉田内閣労働行政現下社会情勢に鑑み適切でない。よつて委員会はこれを確認し右宣言する。  趣旨弁明を申し上げます。  吉田内閣労働行政は、憲法規定する労働基本権を無視し、労働組合育成強化労働者福祉向上を期すべきサービス行政たる本質を忘れ、弾圧行政に終始するものであり、本委員会としては絶対に承服できない。よつてここに吉田内閣労働行政に対する警告決議案を提出する次第である。     〔傍聴席拍手する者あり〕
  10. 赤松勇

    赤松委員長 これより討論に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。
  11. 倉石忠雄

    倉石委員 委員長——委員長議事進行——傍聴席は何だ。あの拍手をなぜ取締らないのか。退場を命じてからやりなさい。
  12. 赤松勇

    赤松委員長 倉石委員の御提案もつともです。わかりました。——今守衛に命じました。
  13. 倉石忠雄

    倉石委員 議事進行について発言を求めておるのです。
  14. 赤松勇

    赤松委員長 討論に入つております。
  15. 倉石忠雄

    倉石委員 入りはしない。いやしくも議員の言論を抑圧するようなそういう傍聴席をそのままにしておくことは、委員長、不見識です、退場させたまえ。委員長資格はないじやないか。     〔「進行々々」と呼ぶ者あり〕
  16. 倉石忠雄

    倉石委員 今拍手した者を出したまえ。それまで進行してはだめだ。警告だけでなく、退場せしめるのがあたりまえじやないか。
  17. 赤松勇

    赤松委員長 傍聴者の方は静粛に願います。
  18. 倉石忠雄

    倉石委員 静粛じやない。委員発言を圧迫するような拍手をした者は退場させるべきだ。
  19. 赤松勇

    赤松委員長 だからあなたの御意見従つて今衛視に取調べさせております。
  20. 倉石忠雄

    倉石委員 われわれは、それを確認するまでは、議事進行に入るわけには行かない。そんな議会がどこにある。     〔「わかつた々々」「進行々々」と呼び、その他発言する者あり〕
  21. 赤松勇

    赤松委員長 傍聴席至つて静粛になりましたから、委員長はその都度倉石君の御意見通り議事を進めて行きたいと思います。  持永義夫君。
  22. 持永義夫

    持永委員 私はただいま提案になりました吉田内閣労働行政に対する警告決議案に対しまして、自由党を代表いたしまして、絶対に反対するものであります。  大体この決議案文をここでもう一度読みますと「吉田内閣労働行政現下社会情勢に鑑み適切でない。よつて委員会はこれを確認し右宣言する。」とあります。さらにその趣旨弁明を朗読いたしますと「吉田内閣労働行政は、憲法規定する労働基本権を無視し、労働組合育成強化労働者福祉向上を期すべきサービス行政たる本質を忘れ、弾圧行政に終始するものであり、本委員会としては絶対に承服することはできない。よつてここに吉田内閣労働行政に対する警告決議案を提出する次第である。」こういう案文及び趣旨弁明であります。私はかくのごとき警告決議案が、この休会中における委員会において突如として提出されたということにつきましては、衷心から遺憾の意を表するものであります。ことに最近の政治情勢にかんがみまして、この決議案に、昨日までわれわれが手を握つて来た改進党及び日本自由党が新たにつくりました日本民主党としてこの決議案に同調されたことにつきましては、同じ保守党の立場からいつて、まことに遺憾であつてかくのごときことは、わが国の円満なる政治の進展を非常に阻害するものであると私は確信するものであります。  ことにこの決議案にあります案文は、はなはだ抽象的であります。現下社会情勢にかんがみ、労働行政が適切でないといつておりますが、はたして何が適切でないのか、その具体的の表現が全然ありません。また趣旨弁明を見ましても、抽象的に、労働基本権を無視するとか、あるいは労働組合育成強化をじやまするとか、また労働者福祉向上をはからないというような、まことに雑駁な、まことに抽象的な趣旨弁明でありまして、われわれはこの決議案並びに趣旨弁明を見まして、唖然として言うべきことが言えません。  大体、こういう決議案が出た沿革を私はよく承知しておりますが、この直接の原因は、おそらく最近労働省が労働次官通牒として出しましたあのピケに関する通牒がもとになつたと私は承知しております。ところが、この通牒なるものは、これをよく検討していただくならば、当然の通牒であつて、何らこれによつて労働基本権が阻害されるとか、あるいは労働組合育成強化がじやまされるということは全然ございません。しかもこの内容は、従来各裁判所が判例として決定したものを集約したものにすぎないのでありまして、しかもこの通牒趣旨は、いわば教育的の通牒でございます。これによつて、何ら府県知事を拘束するような法律的効果を持つておる通牒ではございません。単なる教育的あるいは説明的の通牒であつて、これに従う従わぬは一に自由であります。この通牒を、あたかも非常な拘束力を持つておるもののごとく解しまして、これによつて警察官労働組合弾圧するというように解せられることは、非常な誤解であつて、そういうことは全然ございません。またこの通牒に対する世論をよく御検討いただきますならば、大体においてこの通牒が適切であるという意見が多いのであります。私ども労働組合の健全なる発展、また憲法に認められたところの労働者団結権の尊重につきましては、これをあくまでも尊重するということにおいては、社会党諸君に譲らない考えでございますが、この通牒をもつてあたかもこれに反するがごとき解釈をされることは、まことに遺憾である。しかもこの通牒に対しまして、新しくできました日本民主党諸君がこの決議案に賛成されたということにつきましては、衷心から遺憾にたえないのであります。従つて、私どもはこの決議案に対しましては、根本的に反対いたします。  しかも、翻つて政府が実施して参りました労働行政なるものは、昨年の国会以来、あるいは予算措置において、あるいは法律措置において、すべてこれ当時の改進党と手を握つてつて来たのであつて、いまさらこの決議案に改進党の後身である日本民主党が賛成されるということは、非常に矛盾を感ずるのである。われわれはそういう点において、もつ日本政治が正しいことを正しいとし、不正を不正とするようなまじめな政治であつてほしい。そういう点からいつて、私は民主党のこの決議案に対する態度について、衷心から遺憾の意を表するものである。  以上、私のこの決議案に対する反対の意思を表明いたした次第であります、(拍手
  23. 赤松勇

  24. 並木芳雄

    並木委員 私は日本民主党を代表して、ただいま提案になりました決議案に、賛成の討論をいたすものであります。  忘れないうちに申しますが、ただいま自由党持永委員から、かつては改進党として同調して来た労働行政に対して、今日急に態度を改めたのは了解に苦しむという発言がございましたけれども、確かに、かつてはそういうこともあつたことは認めます。しかし、それはかつてなんです。この決議案をごらんになればわかります通り、現政府労働行政現下社会情勢にかんがみ適切でないと特にうたつてあります。ですから、間もなく日ならずして内閣不信任案という大きいのが出るのですから、今日一労働行政に対して不信の声をあげることは必要ではないと思われるけれども、それを待つておられないほど焦眉の急なんです。この国会の外では公労協の闘争が行われておるが、それをうまく処理していない。それは政府責任であるから、われわれ国会議員としてどうしても政府に対して重大な警告を発しておく必要がある、こういう見地から立ち上つたわけであります。  但し、私として非常に討論を進めにくいのは、吉田内閣労働行政を担当しておられるのは、ここにおいでになる小坂労働大臣であります。従つて責任者たる小坂労働大臣に不信の言葉を投げかけなければならないということは、私としては個人的に非常にやりにくいのであります。それはなぜかと申しますと、小坂さんは進歩党時代、修正資本主義の旗を高らかに掲げて、若人よ集まれと言つて——当時労働大臣ではございませんでしたけれども、当時の小坂さんは進歩党のホープであつたのです。実際私なんか、やはりそれに引きつけられた、これが自由党と違うところなんです。小坂さん、覚えていらつしやるでしよう。あなたは苫米地さんと一緒に立川へ来て演説をされたことがございます。あなたは数千の聴衆を前にして、修正資本主義を得得と説かれた。そのときに私の姉が聞いておりました。そうしてお若いのにああ、なんてごりつぱな方でしよう(笑声)、ほんとうに私の姉は随喜の涙を流したのです。お前もいいお導きをいただいて仕合せだと言つてくれた。その小坂さんが今日労働大臣になつて、どうしてこういうような片手落ちの、不手ぎわな労働行政をおやりになるのだろうか、私には正直のところまつたくわからないのです。おそらく小坂労働大臣は、修正資本主義をお捨てになつておられないと思います。おそらくその理想をもつて自由党に入つて閣僚となり、吉田内閣を内部から浄化して行こう、こういう信念はかえておらないと思うのです。しかし残念ながら、これは吉田内閣性格のしからしめるところでございましよう、一小坂をもつてしては、もはや倒れる大木をささえることはできないようでございます。これを言いかえると、小坂さんは、自分の子供がかわいいばかりに、自分の子供のために心ならずも再婚をしたお母さんのようなものではないかと思います。自分の子供はかわいいから、自分としてはこういう内閣と結婚はしたくなかつたけれどもつて行つた。ところが、結婚をした相手の御主人が、ものがわからないで、連れて行つた子供につらく当る、子供としての人権を尊重しない、そういう状態ではないかと思うのです。従つて小坂さんは、ここで理想を捨てず、信念をかえずに相手の主人にも言いづらいことを言うべきなんです。自分の子供によかれと思うなら、警告を発することもいい。この間出した労働次官の通達だつて、私どもとしては、その内容については必ずしも反対じやないのです。ピケの行き過ぎなどというものに対しては、やはりわれわれだつて決し心よからず思つておる。ただ子供だけをしかつて、子供だけをあつちに行けと言つておる。こういうお母さんになつてしまつておる。そして相手の主人に対して、おつかなびつくり何も言うことができないのが今の小坂労働大臣の姿ではなかろうか、こういうふうに感ずるのです。もし、そうでないとおつしやるならば、あとから釈明していただいてもいいのですが、そういう点を考えますと、私としては非常にきようの討論はやりにくいのでありますけれども、何といたしましても現実に出て来ておる状態がうまく行つておらないことだけは事実なんです。労使協調を説き、景気をよくし、失業者をなくすと言つてつた吉田内閣が、今日のような状態をもたらしておる。今年の年末を控えてのこの一日、二日は、まことにそれとは逆であつて、ほんとうにわれわれとしては一刻も猶予のできないところに追い込まれておる。これをもつて小坂労働大臣は安閑としてはおられないと思うのであります。労働三泥改悪の抜くべからざる伝家の宝刀をちらちらほのめかしてみたり、あるいは今度の公共企業体の争議に際しても、いち早く違法だとかいうような言わなくてもよい声明をしてみたり、すべておどかしと弾圧を労働大臣の名において不当にやり過ぎておるということは、私は片手落ちであると断ぜざるを得ないのであります。そういう見地から、私どもはこの決議案に賛成をし、これからやがて出るところの内閣不信任案までもう数目の間ではあるけれども、どうかひとつこの労働争議が円満に解決をするように努力をしてもらいたい、これがわれわれの趣旨のであります。  これは一小坂労働大臣の責任ばかりではなく、先ほど来申しました通り、むしろその背後にある吉田内閣責任である。無理なデフレ政策を強行し、就職難を来し、失業者を道にあふれさせておる、あるいは指揮権を発動して、法を守らなくてもよいという悪例を残しておる、これが吉田内閣なのです。あの指揮権発動なんかは、実に恐ろしい結果を今日の労働階級に与えておると思うのです。あるいは無断で家出をして外遊をして来たということは、許すべからざることである。あげれば、こういうことが積り積つて今日小坂労働大臣を窮地に陥れておる。そういうことも言える。それなればこそ、あなた方のかつての同志であるりつぱな良識ある人は、たもとをわかつて日本民主党に入つておる、これが日本民主党の結成の理由であります。  あまり申してしまいますと、かえつて日本民主党の宣伝と思われてもいやですから、私はこれで終りますが、われわれが真にここに立ち上つてつておることは、小坂労働大臣最後の一瞬までがんばつて、この労働争議が円満に双方友好裡に解決がつくように努力をしてもらいたい、この一語に尽きると思うのであります。これをもつて私の賛成討論を終ります。
  25. 赤松勇

    赤松委員長 日野吉夫君。
  26. 日野吉夫

    ○日野委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程になつて塗ります吉田内閣労働行政に対する警告決議案に、賛成の意を表するものであります。  吉田内閣の施政は、もうここで論議するまでもなく、旬日に迫る不信任案で明らかになると思いますが、私はなかんずく労働行政の面に現われたこの施政の現実、今、日本の全労働者が反撃態勢をとつておる歳末の闘争が、随所に警察官と入り乱れて行われておるこの事態は、決して楽観できる事態ではない。一体こういう事態の現出をだれがさせたか、どうしてこういつた事態が起つたかということが、現実の大きい一つの問題である。これに対してわれわれはしばしば論議をしたのでありますが、七年間の吉田内閣の労働政策というものは、次々に反動逆コースの政策をとつて来ている関係から、労働省の役人が、すでに本来の仕事に熱意を失つておるという事実、監督行政まさに何らの威力を示しておらないという事実が、過般行われておる近江絹糸の争議あるいは東証のスト、これらの問題によく見えておる。感激を失い、正義感を喪失した労働省の役人に、一体何ができるか。正しい労働行政をここに期待することは、われわれはとうていできない。こういう事実が現実に現われている。このもとにおいて、過般出されたところの次官通牒、こうしたものは、さらにこの事態に対して警察権介入せしめて労働者の正当なる労働運動弾圧しようとするところに、今度の問題があるのであります。今持永さんは、教育的な意味だと言うけれども、教育であるならば、吉田内閣の反動、逆コースの教育をされることはごめんこうむる。こういうことで、労働者の教育をすることはとんでもない結果である。今も論議されているが、吉田内閣には労働行政指導するところの感覚がないといわざるを得ないのであります。  デフレ政策遂行には、当然最も大きい問題として労働行政を考えなければならぬが、何の用意もなかつたということは、今並木君の言う通り。デフレ政策を遂行する場合に、厖大なる失業者が出ることはきわめて当然であるが、何らの用意も対策もなかつたじやないか。一千万といわれる失業者をいかにするつもりなのか。ことしの新学校卒業生が一割しか消化されていないという現実を、一体諸君はどう見ているか。こういう現実に対して、何らの新しい感覚を盛つた新しい対策の用意がないということは、まさに労働行政の落第生ではないか。すでに世界の外交は、話合いで戦争の芽を若いうちにつもうというとき、日本労働行政は、何ら話合いでこれを指導するというのじやなく、弾圧政策でもつて次官通牒で、何もいかぬ、かにもいかぬということでこれを押えて、ただ権力でこれを抑圧しようとするが、これほどの愚はないであろう。何が今日の事態を起しているかということを正しく判断するならば、やはり争議の芽をつみ、根本原因を探求して、これに対する適切な対策を立てるべきであるのに、今日何らの施策も見られないということは、いかに今くずれようとするところの大廈を警察権力とこの弾圧政策によつてささえようとしても、これはむだである。しかも、旬日に運命を決するときが来る前に、われわれはこうした小さいことを言いたくはないけれども、とにかく労働者協力なしに日本の再建、自立経済、完全独立があり得ないということを知るならば、労働行政を最も新しい近代感覚を盛るべきであるのに、今の吉田内閣にはそういう期待は断じてできない。かかるゆえをもつてわれわれは吉田内閣労働行政に絶対賛成することができない。  こういう意味において、もつもつと強い警告を発しなければならぬのでありますけれども、この程度の警告でもつて、この警告案に賛成の意を表する次第であります。(拍手
  27. 赤松勇

    赤松委員長 岡田春夫君。
  28. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ただいまの三党提出の決議案に対して、労農党は賛成をいたします。賛成の理由につきましては、先ほどの右派社会党諸君、あるいは左派社会党趣旨説明によつて明らかになつております。  あらためて申し上げるまでもなく、MSA体制を推し進めるために現在行われている労働行政というものは、先ほどからお話のあつた通りに、これは労働行政ではない、明らかに弾圧行政である。警察庁長官の斎藤氏と小坂労働大臣と日経連とがぐるになつてこのような弾圧行政を行つておる。そのうしろには、アメリカ帝国主義者にあやつられておる三人のピエロたちが、このような形で気違いじみた弾圧を行つおるとわれわれはいわざるを得ない。事実今度の最も顕著に現われました強圧行政の形としては、前面に警察庁長官の率いる警察隊が出て、各地において弾圧の態勢を進めておるが、日鋼の百七十日間の闘争においても、この日鋼の労働者に対して上からこん棒をもつて振りかかるというような形で数十人の犠牲者が出ておる。あるいはまた東京証券においても、あのようなめちやめちやな弾圧が行われておる。しかもこの東京証券の問題については、この労働委員会においてこの間から審議中のところであつたわけでありますが、この審議中、参考人として出頭いたしました東京証券のある労働組合員が、その証言中にいろいろな点に触れたということに対して、さか恨みしたのかどうかは知りませんけれども、今日この参考人をパクつて検挙いたしております。こういうようにして、いろいろな形で弾圧を進め薫る。あるいは国鉄においては、一昨日あるいは昨日の状態を見ても、各地において弾圧が行われておるが、労働組合に対する弾圧ばかりではありません。昨日は新鶴見においては、国会議員の諸君がおつたのでありますが、左右両派社会党労農党三党の国会議員に対してまで、公安官あるいは鉄かぶとをかぶつた警官の諸君がおどりかかつて、左派社会党の某議員はどぶの中にたたき込まれるというような、このような狂態にまで及んでおるのであります。このようにしてあらゆる面において弾圧の態勢を強化しておる。こういう形で労働者の基本的な要求というものを踏みにじりつつあるのが事実であります。  賃金政策の面においても、小坂労働大臣がおりながら、何ら具体的な案を持つておらない。持つておるのは、単に賃金ストップの政策以外にはない。今度の調停委員会内容を見ましても、賃金ストップの政府の基本政策となれ合いで、賃金を上げないという調停案をしか出しておらない。あるいはまた全生保、全金融、全銀連、全損保、これらの金融関係の労働者に対しては、大蔵省を使つて銀行課長の名において賃金を上げてはならないというような通達まで出しておる。こういうようなかつこうで、あらゆる面において賃金ストップの政策を強行しつつある。これが小坂労働大臣の労働政策であります。こういうかつこうで出て来ておるのは、明らかにMSA体制を強化して、先ほどもお話があつたように、首切りと労働強化と低賃金によつて失業者がどんどん出て来れば、これを今度は再軍備の自衛隊に使つて行こうという吉田内閣の魂胆であります。アメリカの雇い兵をつくろうというのが魂胆であります。こういう政策に持ち込もうとしておるのであります。  先ほどから、自由党諸君たちは、盛んに何かつぶやいておりますけれども、一葉落ちて天下の秋を知るということを、しみじみと感じておるらしい。先ほどの持永議員の言われたあの泣言を聞いておつても、この間まで仲よくやつてつた改進党の諸君にまで反対されたことについていまさらそういう泣言を言つても始まらない。この決議案が出されたことは、いよいよ吉田内閣が到れて、そして国会が解散になつて、新しい平和共存の政府ができる第一歩であることを知らなければならない。こういう点から見ても、われわれがこの不信任案を今日ここで提出するということは……(「不信任案ではないぞ」と呼ぶ者あり)不信任案と同じ内容を持つ警告決議案を出すことは、まことに意義のあることであると思います。  私は、小坂労働大臣の個人の問題については、あえて触れません。小坂労働大臣が初めて国会に出られたときには、この人は無所属で出られた。そのときには、先ほど並木君が改進党の修正資本主義というようなことを言われましたけれども、あの当時のことを私は知つておりますが、あの当時の小坂労働大臣は、もつと左翼的であり、もつと進歩的であつた社会党にまで入りたいという意向を漏らしたほどの小坂労働大臣である。ところが、時代がかわればかわるものである。そして十年の月日というものは、右へ行くならば際限もなく行くものであるということをしみじみと感ずる。そして大臣のいすが、まさか惜しいのだとは私は思わないけれども、しかしながら、あなたはこのときに、あの十年前の昔に返つて労働行政の担当者であるあなたは、今こそ良心に立ち返るならば、翻然として、この警告決議案の前に立つて、みずから辞職された方がよろしいだろうと思う。こういう点を私は申し上げまして、決議案趣旨に賛成の討論にかえる次第であります。(拍手
  29. 赤松勇

    赤松委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより本動議の採決に入ります。本動議に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  30. 赤松勇

    赤松委員長 起立多数。それでは多数をもつて本動議は可決せられました。(拍手)     —————————————
  31. 赤松勇

    赤松委員長 それではこれより参考人の供述に移ります。阪間参考人
  32. 阪間米造

    阪間参考人 阪間参考人でございます。先ほどの陳述に引続きまして、これから具体的に二十五日と二十六日の二日間にわたつて国鉄公安職員並びに警察官の、私たち労働者に対する暴力行為について陳述を申し上げます。  先ほど申し上げましたように、私は二十五日の七時二十分に新鶴見車掌区の現場に、当時の闘争指導のために参りました。ところが、すでに新鶴見車掌区の各詰所には多数の公安職員を詰め込んでおき、さらには、その裏に横浜市警を中心とする警察官三百有余の方たちを動員をしておつたわけでありまして私が同地に到着いたしますや、私に対して退去の要求をいたして参つたわけであります。私は、当時中闘指令に基くところの行動指導に参つておるということを申し上げ、一時その場より体をかわしておりました。  この新鶴見車掌区における組合員行動を応援するために、八時三十分ないし四十分ごろになりまして、組合員の仲間の方たちが百数十名到着いたしまして、所定の位置にピケツトラインをしいたのであります。しかしながら、このピケットがしかれますや、公安官を先頭とし、その裏に市警並びに国警の警察官数百がつきまして、ピケットにおどりかかつて参りました。私は、当時現場におりまして、このような事態では私たちの指令に示されたところの所期の行動を行うことができませんので、事態収拾のために、当時当局から派遣をされておりましたところの、東京鉄道管理局の吉田営業部長、大橋公安課長並びに横浜駐在の武藤運輸長、あるいは武車掌区長、これらの当局方たちに対しまして、円満にこの問題を収拾するために話合いをいたしたいと、このような申入れをいたしたわけであります。しかるに、当局はノー・コメントである。私が再三再四にわたつて、円満解決のために、事態収拾のために話合いを求めたにもかかわらず、すべて現地における話合いは無用である、このようなことによつて一蹴をされてしまつたわけであります。  当時横浜市警の警察官の指揮に当つておりましたところの市警の佐野警邏部長に対しまして、私から、市警がただちに手を下すことはやめていただきたい、私の方といたしましては事態を何とか収拾いたしたい、このようなことで申し入れ、一応了承をいただきしたので、私たちもそのことについて再度大橋公安課長に申入れをいたしましたけれども、話合いには絶対に応じない、こういうことでありましたので、遺憾ではありましたけれども、私たちは参加をしたピケツトを撤去いたしまして、二十五日の行動を終止するに至つたのであります。  越えて二十六日でありますが、二十五日のこの事態を聞き及びましたところの同志組合員の方々が、多数応援にはせ参じまして、昨日は、さらには、先ほど御発言の中にもございましたように、各国会議員の先生方にも現地においでを願つて実態をごらん願いました。その中で私たちは、整々と新鶴見車掌区の構内に入ろうといたしたのであります。国会議員の方たちを先頭に、私たちが整々と進行いたしておりますところへ、百数十名からなるところの鉄道公安官が、暴力をもつておどり込んで参りましたので、私たちの整整と並んでおる行進が妨げられたのであります。その中から、不幸にいたしまして、私の仲間であるところの支部の執行委員を初めとして、数名の検束者を出しました。  その公安官の暴力の振い方は、たまたまこの行進が乱れましたので、私は当時の責任者といたしまして、この事態を収拾するために、隊列より横にそれて収拾をいたそうとしておるところを、横から参りまして私のみぞおちをけり上げました。従つて、私は息の根が一時とまつて倒れかかつたところへ、数名の公安官がおどりかかりまして、ばつたをつるし上げるような形で私を拉致いたしまして、一室に監禁されたわけであります。そのために、事態をただちにその場で収拾することができませんでした。  その後、いろいろと努力をいたしまして、私も車掌区の部屋から表に出していただきまして、事後の収拾について努力をいたしました。昨日は、当局から派遣されたのは、大橋公安課長、横浜駐在の武藤運輸長、この二人でございましたので、この二人たちに、さらには昨日おいでをいただいておりました国会議員の方々に御努力をいただきまして、円満に事態収拾のために話合いを持つように申入れをお願いいたしました。私も申入れをいたしました。この場合でも、すベて拒否をされてしまいました。話合いがあるならば、東京へ行つて鉄道局長とお前たちは話し合つて来い、こういうことを言われておるわけであります。従つて、当時おいでになつてつたところの当局責任者は、現地で、構内の列車の運転をしておる中で起きておるこの紛糾状態の収拾の努力をいたすという意欲は皆無であつたと、私は断ぜざるを得ないと思うのであります。  そのような情勢の中で、さらに私たちがピケット張つておりますと、そこへ公安官を先頭にいたしまして、警察官がうしろだてになつて飛び込んで、ピケットを破つて来る、こういうような情勢が各所に起きたわけです。たまたま私が指揮をいたしておつたときでありますが、ピケに参加した組合員方たちが、お互いにスクラムを組んでおりますので、手を振ることができない。その人たちに対して公安官が、構内にあるところの大きな石ころを握つて来て、そのピケに参加しておる組合員の手を石でこづいて来る、このような暴力をする。あるいはけ飛ばして来るこのようなことをして、ピケツト突破をして来たわけであります。あまりにも混乱がはげしいので、私はこのピケットに退去を命じました。退去を命じました瞬間、うしろに控えておりましたところの警察官が、警棒を振り上げまして、なぐり込みの姿勢でピケットに飛び込んで参りました。退去が遅れましたピケツト組合員の中の十数名の者は、この警官隊の包囲の中で、暴力のもとに、ひしめいて逃げ出す、こういう事態が起きたわけであります。これは、私が申し上げるまでのなく、現地においでをいただきましてた佐々木先生を初め代議士の方たちが目撃をいたしておるその眼前で行われた事態であります。このときに私の方も相当の負傷者を出しております。こういう事例が各所に起きております。さらに公安官は、ピケツトに参加した組合員に、バケツで水をくんで来て頭からぶつかける、こういうようなことをしたわけです。  このようなことで、昨日の新鶴見車掌区構内における紛糾は、いやが上にも紛糾を続けました。私どもも、何とかしてこの事態を収拾しよう、こういうことで、話合いを再三再四申し入れ、やつとのことで、十六時ごろになりまして大橋公安課長と話合いをつけまして一応両者が同時に引こう、こういうことになつて、昨日の事態の収拾をつけたわけであります。しかしながら、こういう事態の中で、私たちの同僚であるところの三名の者は、昨晩鶴見警察署に検束をされ、そのまま留置をされておるわけであります。当初、聞くところによりますと、この人たちの罪名は暴行罪であつた、このようにいわれておつたやに私も報告を受けておつたわけでありますが、その後になつて、けさの新聞紙等を見ますと、公務執行妨害、こういうことで、罪名がかわつて検束をされ、そのまま留置をされておる、こういうような事態があつたわけであります。  私たちは、こうした事態を起す前に、先ほど申し上げましたように、これはすべて円満のうちに話合いの中で解決がつくものである、その話合いは、当然現地において起きた事態の現象に応じて話合いをし、収拾をいたしたい、このように努力をいたしましたが、この努力が報いられることなく、こうしたことになつてしまつたわけであります。中闘の指令によりますと、本日までこの行動を続けろということではございましたけれども、私たちは、はなはだ遺憾でありましたが、新鶴見における行動は、これ以上続けることによつてさらに事態を紛糾さすであろうということを憂えましたので、私は、この行動を本日は中止を指令いたして参りました。  こういう形で、私たちの今次闘争に、公安職員並びに警官が暴力をもつて非常に弾圧をして来た事例を申し上げたわけであります。
  33. 赤松勇

    赤松委員長 ちよつと阪間参考人に申し上げますが、このあと、歌崎参考人と、それから全銀連の田中参考人、全駐労の市川参考人がおります。時間も三時になりましたから……。  なお、委員諸君、きようは、労働省の中西労政局長、斎藤警察庁長官国鉄公安本部長の久留義泰君、こういう人たちが出席されておりますから御了承願います。  それで、各参考人に申し上げておきますけれども委員諸君も大分質問が多いようでございますから、できる限りその機会を与えていただきたいということと、それからまた、後ほど委員から参考人に必要なことはお尋ねしますし、あるいはまた、発言したいときには、委員長発言の許可を求めていただきますならばお許しをします。但し、委員諸君政府には質問はできませんから、その点御了承を願います。
  34. 阪間米造

    阪間参考人 では、ただいまの委員長さんの勧告によりまして以上簡単ではありましたが、昨日、一昨日行われた事例につき御報告申し上げ、私の陳述を終りたいと思います。
  35. 赤松勇

  36. 歌崎藤作

    ○歌崎参考人 国鉄労働組合東京地方本部委員長の歌崎であります。     〔委員長退席、日野委員長代理着席〕  本質的な問題につきましては、矢上中闘委員から、国鉄労働組合が今日当局との間に紛争を起している事態その他の経過につきまして概略を申し上げてありますので、私、東京地方本部委員長として、傘下の三支部が、今次中闘の第九号、第十号の闘争指令に基いて秋季年末闘争を行いました過程におけるところの問題について本委員会で申し上げ、私ども労働運動が、少くとも民主的なルールにのつとつて今日まで労働運動を遂行いたして来ましたが、この第九号と第十号の指令を決行いたす場合におきまする当局組合に対する態度というものが一変をいたし、いわゆる従来のとうとい慣行なり組合運動のルールというものをまつたく否定する態度に出て参つた。これらの点については、国会の先生方におかれましても十分御承知のはずだと思いまするが、これらに対し賢明な御指示をいただき、私ども労働者といたしまして、今後の生存権を維持する上におきましても適切な御処置を仰ぎたい、かように考えるわけであります。  新聞等で、いわゆる二波とか三波とかいうことが報道をされておりますが、十七日から本部指令に基くいわゆる順法闘争を行いました。場所は新鶴見並びに田端、大宮の操車場で、それぞれ順法闘争行つたわけであります。この際に、昨年までもしばしば私どもは法規を守るために順法闘争というものを行つてつたわけであります。本年のこの九号指令を実施いたす場合におきますところの当局態度というものは、いわゆる紛争を平和的に処理をするという意思が皆無であつたということであります。現地におきましていろいろと展開する場合に、事前に話し合う、あるいはその都度話合いをする機会、これすら一切拒否しておつたわけであります。こういうことで、当局側としては当局責任者の所在を常に不明確にいたしておる。それから従来とつて参りましたところの労働慣行というものを全然無視しておる、こういう点であります。  さらには公安職員を配置いたしまして、十七、十八、十九日の三日間にわたる順法闘争のときには、そう積極的には介入をいたさなかつたわけでありますが、しばしば威嚇をいたしおつたわけであります。ところが今次十号の指令によつて行動を開始いたしました際、さきに横浜の支部委員長から、るる御説明があつた通りでありますが、その中で特に私が皆様方にお訴えいたしたい点は、私どもの正常な組合運動に対する弾圧行為というものが、少くとも公安職員であるかどうか、彼らはきわめて低級な態度である。と申しますことは、私どもは組織労働者であり、正々堂々と統制のもとに行動を開始する。それに対して、まつ正面から大上段に振りかぶつてどもにつつ込んで来る。そうしてなぐる、ける。これは私も十年来の組合運動の中から、警察官介入等もしばしばデモ等で遭遇いたしておりますか、新鶴見構内におけるところのあの行動というものは、何としても許すべからざる行為であると考えておるものであります。組合員に対しても、無抵抗主議をとれ、こういうことを、私、最高の責任者として指導いたしております。なぐられても決して手を出すな、こういう指導をしておつたにもかかわらず、公安官の方からける、なぐる。それから三人、四人で検束をする。その検束の場合でも、腕をさかさにひねつてける、こういう事実も昨日あつたわけであります。そこで手錠をただちにかけて、線路の上をごつごつ引きずつて行くという、まつたく人権無視の態度がしばしば行われておつた。  ただ、私がここで申し上げておきたいことは、横浜の市警なり、自治警が昨日は六個中隊、人数にいたしまして大体七百二十名がそうであります。それに私服警官が二百名、公安官が百二十名、これを動員いたしまして、ピケ隊につつ込む場合には公安官が先に参り、背後に武装警察官がついて来る。その間、私の方としては、一応組合員に危害を与えられてはならぬと思いますので、事前に責任者と話合いをするというその場合におきましても、ノーコメントであつて、向うの、当局側の責任者、きのうの場合は大橋課長でありますが、こういう形で口も聞かぬ、こういう態度であつた従つて、そうした紛争を避けるために、事前に私どもといたしましては体をかわす、それが少し遅れた。そうなると、一分ないし二分の間隔をもつて警察官が今度は介入をするという事態である。中には、私どもが解散をして現地に帰る、一定の線路外に退避をする際に、井戸のところに公安官が先にまわつて待ち構え、バケツに水をくんでおつて、解散をして来る組合員に対し頭から水を数はいかけた、こういうような事実がある。どうか本委員会において、徹底的にひとつ鉄道公安職員に対するところの育成にしても、ひとつ結論を出していただきたいことを私は特にお願いを申し上げたいわけであります。  さらに、東京鉄道局におけるところの労働行政に対する、特に東京鉄道局営業部長である吉田営業部長のごときは、まつたくそのセンスを喪失をしておる。現地の指導として参つておりましても、私どもと一つの交渉すらしない。こういうような状態で、先ほど来、自由党の議員の各位から非常に御親切な言葉があつたようでありますが、ほんとうに労働者を教育をしてくれるとするならば、あのような態度が私どもに対する教育であるとは、どう考えても受けとれないわけであります。従つてそれらの問題をも含め、どうか、本委員会において善処されんことを最後にお願いを申し上げ、こまかい問題につきましては、質問の都度十分お答えを申し上げたい、かように考えまして一応の御報告を終りたいと存じます。
  37. 日野吉夫

    ○日野委員長代理 次に全銀連の副委員長田中哲雄君。
  38. 田中哲雄

    田中参考人 私は全国銀行従業員組合連合会、略称全銀連と申します、そこの副委員長田中哲雄であります。  私がここに申し述べますことは労働省の重要な職にある行政官吏が、経営者の集会の席において、一単産組合をことさらに誹謗し、その組織の分裂をねらうことや、あるいは強硬な労務政策をとることや、賃上げの抑制をはかるような発言のありました事実につきまして、参考人としての意見を申し述べる次第であります。このようなことは、労働省設置法第三条による、労働省の任務を大きく逸脱したものである、こう考える次第であります。その当事者はここにも出席しております中西労政局長でございます。  全銀連は、今年の七月から全国的に賃上げ要求をいたして、統一闘争をして参りました。この闘争の中におきまして、銀行の非常に封建性の強いところで、たまたまこの賃金闘争に関連いたしまして、この経営者の封建的な考え方とその行動によつて、ストライキまで発展するような闘争が五、六行起きたのであります。このような段階に対しまして、経営者を初め、あらゆる日本の反動勢力が、新聞や雑誌その他を通じまして、この闘争指導したのは全銀連であり、その全銀連は赤の巣窟である、赤であるということを、非常に悪辣な誹謗に満ちた大量の宣伝を現在いたしておるのであります。それらの情勢の中におきまして、中西労政局長は、去る十一月二十二日、大阪商工会議所において開かれましたところの関西経営者協会主催の銀行経営者との懇談会の席上において、十一月二十三日付の日本経済新聞に記載されておるような、全銀連は極左である、あるいは書記局に共産党員が何名いるとか、全銀連は丹頂のつるである、このような誹謗に満ちた悪意の言動を行い、そうして今まで非常に宣伝されたような、全銀連が赤であるというようなことを裏書きするような発言をなしたのであります。その対策といたしまして、さらに眼行の経営者に対して、労務管理が軟弱である、今まで事なかれ主義で甘やかし過ぎたので再検討する必要がある、あるいはそのような労働政策自体、銀行の労務管理自体について、いま少し労働組合員を弾圧するような必要性を強調しているのであります。  この意図するところは、まず全銀連の組織を分裂させようとすること、組合に対し弾圧的な労務政策をとらせようとすること、さらには現在市中銀行において、まだ賃上げ闘争を継続中でありますが、この賃上げ闘争を抑圧しようとする意図が明らかにあるように考えられるのであります。私たちは、労働者の生活の向上を目ざし、その福祉をはからなければならない任務を帯びております労働省の行政官吏が、その組織を分裂させたり、あるいは組合弾圧させたり賃上げを抑圧させようとする発言に対しては、その職責を逸脱したものではないか、こう考える次第であります。  よつてこの国会の本委員会において、この問題を十分に究明していただきたいと考えまして、各委員に切にお願いする次第であります。
  39. 日野吉夫

    ○日野委員長代理 次に全駐労委員長の市川誠君。
  40. 市川誠

    ○市川参考人 全駐留軍労働組合の執行委員長の市川であります。私は参考人といたしまして、十一月六日に斎藤警察庁長官から極東軍の司令部のテンプル少将に対して発せられました「駐留軍労働者のストに伴うピケツトに対する警察措置」この通牒に関して、若干の意見を陳述いたしたいと存じます。  今月の十九日ごろから最近までに、宮城県、群馬、東京、埼玉、神奈川、福岡と、ほとんど全国的な規模におきまして、各基地におきまして、この斎藤警察庁長官がテンプル参謀次長に出しました文書が、英文と和文に印刷されて、全部の労働者に配付されております。その文書の内容につきまして申し上げますと、「ピケットの限界及びピケットに対する警察措置」というような見出しで、大体八項目ほどにわかれて書かれております。  第一点は、駐留軍の労働者がストライキをした場合に、駐留軍の軍人、軍属及びその家族、これらを施設の中に入れるために、警察官が必要な警戒を行い、あるいは妨害行為の発生せんとするときには、未然に防ぐための措置をとつて、場合によつては実力行使を行う等、機を失せず適切な措置をとる、こういうようなことが書かれてあります。また日本人と間違われやすい二世等の軍人、軍属につきましては、身分証明等を提示させまして、警察官はやはりこれらがピケの出入について妨害されることのないよう適当な措置をとる、こういうように書かれてあります。  第二点としては、外交官その他の政府職員につきまして、第一項と同様に、警察官はこれらの人たちがピケによつて通行を妨害されることがないよう十分な注意を払わなければならない、こういうように書かれてあります。  第三点としては、駐留軍の緊急要員たる身分証明書を警察官に提示した労務者は、ピケツト・ラインの通行を許され、軍人、軍属の場合と同様に、ピケットの妨害を受けないよう警察官の保護を受けるものとする、このように書かれております。  第四点は、第三者につきまして、民間の契約者、出入商人、これらの使用人及び家事使用人に対する説得行為、これらについて、本人が了承しない場合におきまして、警察官がもしそのような申出を受けた場合には、ピケ隊員警告を発して、必要があれば実力行使によつてピケの通行を援助する。警察官はまたこれら第三者が米軍施設より自由に出ることを保護する、そのように書かれてあります。  第五項には、ストライキ中の組合組合員以外の労務者について書かれてありますが、これまた警察官といたしましては、ピケ・ライン通行を妨げられることのないよう措置をとる、このように書かれてあります。本人から申出を受けた警察官は、ピケ隊員警告を発して、そうしてもしピケ隊員がこの警告に従わない場合には、警察官は実力をもつつてピケを排除して通行せしむるものとする、このように書かれてあります。  第六項としては、ストライキ中の組合組合員について書かれておるのであります。警察官は入場を希望するところのストライキ中の組合員の権利を保護して、組合員自身またはその家族が暴行または暴行を加えるとの脅迫を受けないよう措置する。そうしてピケに対しましては、やはり警告を発し、必要ならば実力を用いて組合員の入場を援助するものとする、このように書かれてあります。  第七番目には、ピケの付近に警察の指揮所を設ける。そうしてピケ隊員及び友誼団体等の人たちが集合している地域の秩序の維持に当る。またピケツトによつて阻止されることのない車両が自由に通れるように、車両用の通路及び門がふさがれないようにする。三点としては、説得を受けるべき者の乗つている車両の行動を規制する。歩いて入る入口がふさがれないよう適当な措置をとる。ピケによつて阻止されない者の身分証明の点検を行うとともに、それらの者が施設に入つたり出たりすることに対して適当な保護を与える。暴行または脅迫、威迫を未然に防止するために、ピケ隊員の平和的説得の行為を監視する。七番目は、組合活動の行過ぎを監視するために、その地域のパトロールを行うこと。八番目には、違法行為に出る者がある場合にはただちに逮捕すること、このように警察指揮所の任務を書いてあります。  最後の項には、暴行または脅迫をもつて警察官に抵抗する者は、公務執行妨害として逮捕する。また就労を希望し、職場に入場しつつある者に対して暴行を加える者はただちに逮捕する、このような内容が書かれた文書であります。     〔日野委員長代理退席、委員長着席〕  私どもは、このような通牒がどうして出されたのかという点については、ある方面からの情報によりますれば、これはアメリカ側からの申入れによつて日本政府側とアメリカ側で協議をされた結果出されておる、主としてアメリカの要請に基いて出されておるということを、ほぼ承知をしておるのであります。十月の中旬から十一月の初旬にかけて、大体三回ほどの会議が持たれておつたようであります。その一番の基礎になつたのは、十月の中旬ごろハル大将が緒方副総理に申し入れたことが根拠のように了承しておるのであります。駐留軍の労務者のピケ・ラインに対する警察措置を申し入れて来られたので、それらについて会議が持たれた結果、当初は日本政府側、あるいは外務省、労働省、法務省、調達庁等も出ておつたのですが、日本政府側でも、アメリカ側の要求に対して、かなり強い態度をもつて会議に臨んでおつたかに聞いておつたのでありますが、最終的には向う側の要求をいれて、このような回答がなされた。そうして軍側としては、この通牒を全文印刷いたしまして、先ほど申し上げたように、全部の労働者に配付されたのであります。そういう措置を私どもが見てみますと、明らかにこの文書を配付することによつて組合員に対して、ストライキを行う場合に警察官介入によるところの一つの恐怖感を抱かしめて、組合の組織から脱落せしむるところのねらいをもつて配付されたのではないか、かように考えられるのであります。  もちろん、この通牒文書自体については、いろいろと問題点があるようであります。私どもが若干考えてみましても、たとえばピケツトに対する警察措置が、どういう考え方によるものか。こういうような点についても、われわれの場合には、一点としては、行政協定に基く義務によつて日本政府が行わなければならぬのかどうか、あるいは単なる交通整理等の行政措置であるのか、あるいはまた労働争議を犯罪ないし犯罪の発生源と見て事前の警戒措置をとるというのであるか、これらについても、われわれとしては、この通牒が納得できないいろいろな問題点として考えられるのであります。このような警察措置の実施によりまして、事実上の争議関係を支配することになるおそれがあると思うのであります。そういうような措置をとる権限あるいは法的根拠というものはどこにあるのか、われわれとしては疑わざるを得ないのであります。  特にピケツトについての見解と警察力の行使の問題につきまして少しく申し上げてみますと、ピケツトについての見解は、すでに問題になつております労働次官通牒にもいろいろ書かれておりますが、この斎藤警察庁長官の文書によりましても、大体同様な表現、字句等が使われております。それ自体についても、労働次官通牒自体についても大きな問題があるわけです。判例とか学説の上でも、大きな論争点になつている。そうしてその正当性とかあるいは不当性は確立していないものである、かように考えております。その正当性あるいは不当性が確立していない行為について、ただちに警察力の発動、あるいは警察力を行使するということは、国家権力によるところの争議干渉の著しいものである、かように見られるのであります。特に労働次官通牒でも、単に正当な行為とは解されないとか、解しがたいとか、こういう表現で表わされておる行為が、現場に配置されたところの一警察官の判断によつて、ただちに現行犯として逮捕されるようになつていることは、まさに権力の濫用ではないかと、かように考えられるのであります。ピケツトごとに警察指揮所を設けるということに至りましては、ピケ隊の行動組合活動の行き過ぎを監視するため、警察官の配置やパトロールを行うとか、あるいはピケ・ラインの通行者の識別、点検に当るとか、さらに車両や通行者保護の誘導を行うとか、違法な行為行つたと判断される者はただちに逮捕する等の警察措置発動は、日本の場合について考えてみますと、非常な争議手段となつておるところのピケツト活動というものを、国家権力によつて無力化しよう、そうして事実上労働争議を弾圧して行こう、そういう一つの指揮所になつておるのではないか、こういうようにも考えられます。  以上申し上げてみますと、この斎藤警察庁長官の文書は、いろいろな問題点を含んでおると考えるのであります。私ども労使の一方の当事者としてこれを見た場合に、先ほども言及したのでありますが、明らかに私どもが今当面する問題として、陸軍関係の一万九千の首切りなり、あるいは北海道の陸軍部隊撤退によるところの首切りに対しまして、特別退職手当の要求なり、失業対策を掲げて、ゼネスト態勢をもつてつておるこの態勢の切りくずしを策しておる、そうして組織の破壊工作をこれらの文書によつてねらつておる、かように見られるのであります。  私どもは本年ゼネストを行い、また昨年もゼネストを行つたのでありますが、これらのゼネストを決行する場合におきましては、法律上の雇用主でありますところの日本政府の代表である調達庁と、争議に関するところの協定を結んでおるのであります。争議に関する協定といたしましては、たとえば保安要員の問題にいたしましても、われわれの立場から見まして、労調法の三十六条の関係については、消防とか病院関係とか、上水道とか変電所、ボイラーとか、その他所要の要員を差出すことをきめておるのであります。またピケツト紛争防止に関しましても、いろいろときめておるわけです。そうしてピケツトにおける紛争を防止するために、管理者側がどういうことを守らなければならないか、組合側がどういうことを守らなければならないかというようなこともきめておるのであります。  幾つかの事例を申し上げまするならば、ピケツト紛争防止につきましては、管理者側といたしましては、非組合員と、ストに同調しないで入門就業しようとする者を、軍側が護衛してピケツト・ラインを通過せしめないこと、労務者を軍の車両に乗せたりしてピケツトを通過せしめないようにする。一切の車両はピケ・ラインのおおむね五十メートル前から時速五マイル以下に下げて徐行して、また軍側は挑発的な行為を行つてはならない。軍側はピケツト・ラインにおける日本人同士の間の紛争には干渉しない、こういうようなことをきめたのであります。  また労働組合側として守る事項につきましては、たとえば軍人、軍属またはそれらの者が運転する車両のピケツト・ライン通過を阻止しない。さらにまた、外交使節団の職員が運転する車両のピケ・ライン通過を阻止しない。ピケツトにおいては、平和的な説得を行い、凶器その他の威嚇的な用具を所持して入門を拒否しない、こういうような事柄をきめているわけです。こういうような争議協定が日本政府側と労働組合の間では合意されておるのでありますが、これが実施に移されない点は、極東軍司令部がその争議協定を拒否した点にあるのであります。  ただいま申し上げました中でも、今回斎藤警察庁長官が軍人、軍属、家族等のピケ・ライン通過について所要の措置をとる、あるいはまた外交使節等の通過について所要の措置をとるということは、すでに過去二回のゼネストに対しまして、私ども労働組合側が自主的にピケ・ラインを通過できるように措置しておることであります。労使間において問題のない事柄に対して警察がどのような必要があつて、それに介入する必要があるのか、まつたく了解に苦しまざるを得ないのであります。  こういうように、われわれといたしましては、過去の争議に際しましても、特に駐留軍労働の国際的な慣行等、日米間におけるところの労働法あるいは労働慣行の相違等から来るところの本質的問題以外から起る紛争を防止するために、かなり組合側としては、ストライキ決行にあたつて不利な条件が出て来ることも覚悟の上で、本質的な問題以外の紛争を防止するための措置をとつてつたのであります。  そういう経緯から見ましたときに、今回の警察庁長官の通達については、あまりにも駐留軍労働の実態というものをよく認識していない、その上に立つてなされたものである。そういう点についてきわめて大きな不満を表明せざるを得ないのであります。  私どもは、特にこの際、軍側の態度についても一言触れたいのでありますが、われわれが要求している本質的な問題の交渉には、すでに八月以来四箇月にもなるのに、一回の交渉にも応ぜずして、ストライキに対するピケツト・ラインの対策のみを政府側に要求して、政府もまた本質的な問題の解決についての交渉をたな上げしておいて、ピケ・ラインに対するところの軍との交渉を行い、それに対する措置だけをとつておる、ここにかなり重要な問題があるのではないかと考えるのです。ピケ・ラインの問題について交渉をする時間があるならば、なぜに問題の本質的な解決をはかる交渉をしないのか、私どもは、このような措置をとる以前に、問題になつている事項についても、解決交渉を、政府もつと積極的に強い態度をもつて対軍交渉を行うべきであろう。また軍もそのような措置をとるならば、ストライキというようなことは回避できるということを十分承知して、そして交渉に応ずべきであろう、かように指摘したいのであります。  特に警察官行動につきましては、私ども駐留軍労働者立場から見ますと、独立直後におきましては、比較的中立的な態度をとつてくれておつたと私ども認識をいたしておりました。これが占領下におけるところのアメリカ軍の憲兵と、アメリカ軍の圧迫等に対するところの警察官としての反感もあるいはあつたかもしれませんが、駐留軍労働者のストライキについては、比較的中立的な態度をとつてくれておつたと認識しておつたのであります。しかし、昨年あるいは本年とゼネストあるいは地域的なストライキ等を行う段階に至りまして、警察官態度がかなりわかつて来ておるように思われるのであります。過般国会でも問題になりました、朝霞におきましてアメリカ軍のMPにこん棒でなぐられて負傷しておるその事実を、日本の国民が面子に危害を受けておることを目前に見ながら、警察官は拱手傍観をしておつた、こういうような事実もあるのであります。また本年のゼネストの際、横浜の万国橋においては、ピケツト・ラインを突破しようとする他の特需系の労働者について、ピケツト・ラインの責任者それらの人たちの代表の間で話合いがついて、そして一名ずつ逐次入れようという話合いがついたその直前に、装甲車をもつてピケツト・ラインを突破して、警官が護衛して六十名ほどの特需労働者を入れた、こういうような事例もあるのであります。  そういう事例を見てみますと、今回この通牒が出されて、私どもがゼネストを行つた場合の状態を一応仮想してみますと、私どもの組織は全国二十都道府県にまたがつております。基地としては百数十が数えられるのであります。一つの基地のピケ・ラインを張るところのゲートは、多いところでは七、八箇所もあります。そういうようなゲートにおいて、全部警察官が指揮所を設けて一々出て来るという場合に、どこに紛争が起つて来るかまつたく予想することが困難であります。本質的な問題以外に、派生的な多くの問題が出て来る。あるいは警察官としてはその紛争が起つて来ることを望んでおるのかもしれない。その中において逮捕し検挙し拘留して、そして組合を破壊して行くという意図が、この通牒の中にないというふうに保証される要綱はないのであります。そういうような点を考えてみますと、私ども立場におきましては、この通牒はアメリカ軍の要求によつて日本政府側がアメリカ側に屈伏して出され、またその通牒を利用しようとする軍は、明らかに組合の組織を破壊し、組合弾圧する意図を持つておる、このように指摘せざるを得ないのであります。そういう姿を見てみますと、私ども警察フアツシヨの再現というものを恐れざるを得ないのであります。こういう点から、私どもといたしましては、この斎藤警察庁長官が、十一月六日付で極東軍のテンプル参謀次長に出したこの通牒の撤回取消し措置を行われるよう、国会等においても十分に御検討の上御配慮願いたいと思うのであります。  さらにまた、私どもは、この警察庁長官通牒というものは、警察法の第一条の趣旨違反ではないかというふうに考えております。警察法の第一条には、日本憲法で保障されているところの国民の自由とか、あるいは権利の干渉にわたる等の権能の濫用は、警察法としてもやつてはならないというように書かれておると思います。しかしあの斎藤長官の通牒通り、もしピケツト・ラインにおいて警察行動がとられた場合においては、多くの紛争が出て来る。そういう中には、労働組合運動弾圧して、日本の民主的勢力としての組合を破壊して行く恐るべき一つの根源が、あの通牒の中にひそんでいるのではないかとかように危惧せざるを得ないのであります。  以上、先ほどの警察庁長官通牒に関するところの若干の意見を申し上げまして、十分労働委員会においても御審議の上、適正なる御措置をおとりいただくようお願いしておく次第であります。
  41. 赤松勇

    赤松委員長 これより質疑を許します。多賀谷真稔君。
  42. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 まず問題が三点ほどございます。時間の関係もありますので、最初に一応全銀連の問題から取扱つてみたいと思います。  中西労政局長にお尋ねいたしますが、労働省の役目はどういうふうな役目になつておるか、まず御答弁願いたいと思います。
  43. 中西実

    ○中西説明員 労働省の設置法三条は、先ほどあげられましたが、労政局の権限としまして、三条にまず労働省の任務、それから七条に労政局のつかさどる事務が列挙してございます。今の問題に関連すると思われますのは、結局第七条の「労働組合及び労働関係の調整に関する啓もう宣伝を行うこと」最後に「前各号に掲げるものの外、労働組合その他労働に関する団体及び労働関係の調整に関することで、他の所掌に属しない事務に関すること。」なお、さらに労働省全体の仕事としまして、労働者の福祉を確保すること、経済の興隆と国民生活の安定とに寄与するということを使命とし、そのために労働組合に関する事務、労働組合の調整及び労働に関する啓蒙宣伝、これが労政局の仕事だと思います。  この設置法にそういつた規定がございますが、さらに組織令の第十四条労働組合課の事項といたしまして「労働組合の組織及び活動に関する調査に関すること。」以下ずつとございますが、これあたりが今の関係の所掌事項でなかろうかと思います。
  44. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 全銀連の組織、また全銀連の闘争の状態をどういうように考えられているか。
  45. 中西実

    ○中西説明員 全銀連は、今のところ、どこにも上部団体に所属しない一つの全国単産である。しかも、その運動方針その他、大体いわゆる総評系の組合が掲げているその方針を全銀連においても持つておる、大体傾向としてはそういう傾向の組合のように考えております。
  46. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 総評の方針というのは極左ですか。
  47. 中西実

    ○中西説明員 極左とか、あるいは左とか右とかいうことは総体的なことで、結局掲げておりますることはMSA反対、再軍備反対ということを基調としてのいわゆる平和擁護、民主主義擁護、生活保障ということを根本の運動方針の基盤に考えている。これが右とか左かということ、これは一般世間の常識では、いわゆる全労系の組合を右としますれば、一般に総評系は左、こういうように言われているのじやないかと思います。
  48. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私はあなたの言葉じりをとるわけではありませんけれども、先ほど参考人からも指摘がありました新聞記事を見て、いささかびつくりいたしました。「全銀連は総評の中でも最左翼であり、」——私は今全銀連の傾向をこうとは思いませんけれども、あなたの口から最左翼であるという言葉が出ておる。この新聞記事に言つているのです。新聞記事によると、あなたの口から最左翼であると言つている。しかも「書記局の専従者二十二名のうち、七名は確実に共産党員と見られ、賃上げ闘争を再軍備反対闘争につながる問題として、一般組合員に積極的に働きかけている。」こういう記事を見て、われわれは非常にびつくりしたわけであります。  そこで私はお尋ねしたいのですが、あなたはどういう資格で、この関西経営者協会主催の会議に出られて、こういうことをおつしやつたか、その経緯をお聞かせ願いたい。
  49. 中西実

    ○中西説明員 去る二十二日夕方、大阪の労働大学講座の終講式がありましてそれに大臣のかわりで参りました。その機会に、終日いろいろと会合に出たわけでございます。せつかく来たのだからというようなことで、労働省側それから使用者側、さらに新聞記者その他とも会見をしたわけであります。今の新聞の問題は、関西経営者協会の肝いりで、銀行の首脳者、日本銀行の支店長を初め、十人余りの人たちが集まりまして、ひとつ懇談をしようということで、そこに私がぜひ出ろと招かれて行つたのは確かでございまして、従つて、もちろんこの会合は懇談会である。非公開はもちろんのこと、特殊なそういつたグループの集まりだつたわけであります。ところが、新聞にそういうふうな記事が出ておる。それで、実は私も驚いたのであります。だれがどういう経路で新聞に漏らしたかは存じませんけれども、私としてはきわめて意外であるし、またこういつた懇談会の内容が新聞に出されるということは、きわめてエチケットにも反するようなことじやないかと私は考えておるのであります。そういう関係でございますから、会合の内容をこういうところで申し上げる必要もないかと思いますが、かえつて誤解があるといけませんので申し上げますけれども、この新聞記事をごらんになりましても、明らかに客観的事実に反しておる点が相当ございます。たとえば全銀連が総評の傘下のように書いてある。それから今回の賃上げ闘争において、全国平均十三%を確保。こういうことは明らかに事実に相違しております。そういう事実に相違したようなことを言つたはずがない。それだけから見ましても、きわめてこの記事は間違つたものである。  当日の懇談会の趣旨は、これは御承知でもございましようけれども、今年はいろいろと珍しい分野で争議行為が起る。日経連あたりでも言つておりますように、いわゆる盲点ストと言いまして、労務管理にきわめて無関心な、そういう部門にストが起つておる。銀行争議も、まさにこの一つでございます。従つてわれわれも、日ごろ銀行等の部面におきまして、きわめて労務管理が等閉に付されておるという感じを持つてつたわけでありまして、ひとついろいろと労務管理について懇談をしようじやないかというのが、その会の趣旨であつたわけであります。従つて新聞にありますように、そういう間違つた点を私が申したはずはございません。懇談会の趣旨は、そういう趣旨で行われたのであります。結局は、金融機関という特殊な産業部門において、できるだけ労使安定して、不幸な事態が発生しないようにするにはどうしたらいいかということを中心に話し合つたのであります。
  50. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 なるほど総評の傘下でということは、総評の傘下ではない、あるいは十三%という事実は間違つておる、こういう間違つておるところを指摘なさいますが、先ほど私が読み上げましたところは御指摘にならない。やはりあなたは非公開の席ではありましたけれども、そういう共産党員が何名いるとか、あるいは書記局に共産党員が伸びているとか、こういうことをお話になつたわけですか。
  51. 中西実

    ○中西説明員 私どもは使用者側の方から、また労働組合側から招かれれば、事情の許す限り出て参りまして、いろいろと情勢の交換あるいは話合いをするということをやつておりますので、もちろん言つていいこと悪いこと、それからその場のグループの種類によりまして限界がございます。その限界は、もちろん十分に心得て申しておるわけであります。従つてそこに書いてあることを一々言つたか、言わないか、私もあまり記憶いたしておりません。     —————————————
  52. 赤松勇

    赤松委員長 先ほど決議をいただきました吉田内閣労働行政に対する警告決議案というのを、内閣総理大臣及び労働大臣に送付するに御異議ありませんね。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 赤松勇

    赤松委員長 さよう手続をいたします。     —————————————
  54. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、具体的な事実をあなたはおつしやいましたか、こういうことを聞いておる。あなたはそこで言つたけれども、それを公開するのはエチケットに反する、そう考えておるかもしれませんけれども、私はこういう事実をあなたはおつしやいましたか、こういうことを聞いておるのです。
  55. 中西実

    ○中西説明員 実はグループ、グループによつて、私はやはり限度があるだろうと思う。こういつた公開の席で、さらにこういうことを言いましたとか、言いませんとかいうことは、さらに問題を起すことではなかろうかと思いますので、その点は差控えさせていただきたいと思います。
  56. 田中哲雄

    田中参考人 二十三日に私たちはこの記事を見ましてただちに労働省の中西労政局長に抗議に参つたわけであります。そのときのお話の内容では、全銀連は丹頂のつるである、こういうことを言つたということを確認しました。それから書記局にマル共がいるということも言つたということも確認しました。丹頂のつるであるということは、これは組合の観念では大体執行部自体が赤だということが、丹頂のつるだという表現であると思います。さらにその会合の席上で、党の指導による組合が健全な組合とは思わないというような発言もあわせて、そういうものを一貫して考えた場合に、やはり全銀連自体が健全な組合でない、しかも健全でないという確たる理由がどこにあるかということについて何ら明言されなかつたと存じます。一応私たちがその抗議に行つた話合いで、そういうことを確認しておりますので、あわせて御報告いたしておきます。
  57. 赤松勇

    赤松委員長 この際私から労政局長にお尋ねしますが、先ほど本委員会におきまして、吉田政府労働行政に対する警告決議案が多数をもつて可決されたわけでございます。これにつきまして、小坂労働大臣の発言を求めようと思いましたけれども、本日は適当でないと思いましたので、私これを次回に譲つたわけであります。労政局長としましては、本委員会において多政をもつて可決されたこの決議案に対して、どのようにお考えになつておりますか。これを尊重して、どのように労働行政を行おうとしておるか、あなたの所信をこの際披瀝していただきたいと思います。
  58. 中西実

    ○中西説明員 決議につきましては、これは多分に事務の問題とも関連するのでございましようけれども、若干離れた点もございますので、それに対する所信は、これはひとつ大臣からお聞きいただいた方がよくはなかろうかと思います。  ただ、私ども事務を担当いたしておりまして、ことに労政行政をいたしております上において、根本に考えておりますことは、結局労働者には、憲法二十八条におきまして団結権、団体行動の自由が認められております。保障されております。従つて、この保障のもとに健全なる労働組合発展がなされるということは、われわれ心から希求いたしておりまして、微力ながらそれが実現されまするように努力しておるつもりでございます。私どもが健全なと申しておりますのは、結局自主的な民主的な、しかも責任を持つ、そういつた組合で、その育成強化ということを念願として日々職務に当つておるということを申し上げておきます。
  59. 赤松勇

    赤松委員長 それでは続いてお尋ねいたしますが、十一月二十三日の日本経済新聞によりますと「銀行関係の労働争議を強制的に絶滅することは穏当でない」こういう御発言があつたかのごとく報道されておりますが、その真偽は別といたしまして、そのようなお考えを持つておられるかどうか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  60. 中西実

    ○中西説明員 お尋ねは、立法措置でということでございましようか。
  61. 赤松勇

    赤松委員長 そうじやありません。銀行関係の労働争議を強制的に絶滅することは——強制的というのは、行政上あるいは法制上いろいろあると思うのですが、強制的に絶滅することは穏当でないということ。
  62. 中西実

    ○中西説明員 それは結局立法によつてということが、一番の的確なやり方かと思いますが、私ども、ことに労使関係におきましては、法律でこれをどうこうするということは、最も策の下のものであるというふうに考えております。従つて、できるだけ労使間の健全なる慣行にまつというのが、私ども事務の方の基本的な気持であります。従つて、銀行争議につきましても、今ただちにこれを立法によつてどうこうするということは、現在のところ考えておりません。
  63. 赤松勇

    赤松委員長 それではお尋ねしますが、「第三に労働協約や就業規則は事なかれ主義で甘すぎる」というような御発言があつたように思います。むろん私は、これは間違いであると思うのでございますが、その点はいかがでございましよう。
  64. 中西実

    ○中西説明員 それは何のことかさつぱりわからない記事になつておりますが……。
  65. 赤松勇

    赤松委員長 つまり、銀行経営者と従業員との間に結ばれておる労働協約や就業規則は、事なかれ主義で甘過ぎる…。
  66. 中西実

    ○中西説明員 私どもは、労使間はできるだけ日ごろにおいて詳細に労働協約によつていろいろととりきめておく、そうしてそれが遵奉されて行く、そうしますれば大体争議というものはほとんど起らないで済むのじやないか、従つて労働協約はやはり内容的にも整備したものを双方で結んで、これを尊重して行く、さらにまたでき得れば、この協約の中に平和条項を持つ、そうして事を穏便に民主的に片づけて行くというのが望ましい。このことは、常日ごろ世間にも申し、機会あるごとにその方針をもつて指導するというふうに考えております。
  67. 赤松勇

    赤松委員長 それでは私から確認をしておきますが、先ほど本委員会において決議をされました決議は尊重する。むろん国会の決議ですから、事務当局といえども、やはり行政府の一つですから、尊重することは当然だと思いますが、尊重するという御発言をされました。続いて……。
  68. 中西実

    ○中西説明員 あの決議と今申しましたことは、直接関係はないと思います。従つて決議の問題は、ひとつ大臣におただしをいただきたい、かように思います。
  69. 赤松勇

    赤松委員長 それでは銀行関係の労働争議のみならず、一般労働争議につきましては、これを法律をもつて強制的に絶滅するとか抑圧するとかいうことは適当ではない、これは労使双方の民主的な折衝、たとえば団交等、そういう双方の平等な立場に立つた民主的な折衝によつてそういう慣行を築き上げる、そうして自主的に解決するということが望ましいことだ、これはその通りでございますね、
  70. 中西実

    ○中西説明員 それはまつたくその通りでございます。ただ公益事業その他におきまして、健全なる慣行が若干期待されなくて、そのためにいわゆる公共の福祉に非常な迷惑が及ぶというような場合には、またその方からある程度の規制を受けるというような事態もあり得る。しかしわれわれとしましては、できるだけそういうことが少い、できれば、ないのが望ましいというふうに考えております。
  71. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 さらに質問いたしたいと思います。そうすると、私が指摘いたしました事実関係については否定されませんので、この通りである、かように承つてよろしいわけですか。先ほども、全銀連の方々があなたにお会いしたときに、丹頂のつるだということを言つた、こういうことですが、それと思い合せるときに、どうもあなたもそういう新聞記事のようなことをおつしやつたのではなかろうか、かように推測するわけですが、それでよろしいでしようか。
  72. 中西実

    ○中西説明員 私らの部屋に来られて、いろいろと雑談的に話をする場合と、こういう席で申し上げるのとは、やはり違うと思うのであります。従つて、そのことは御自由に御判断願います。
  73. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 懇談会でも、労政局長という名で行かれている、その前の労働大学のときには、労働大臣のかわりで行かれておりますが、とにかく労使いずれに会われるにいたしましても、労政局長という資格で会われている。ですから、それが非公開でありましても、行くところによつて発言が違うようでは、きわめて不見識であろうと私は思う。それで一体労働省の局長、しかも最も労使に関係のある労政局長が勤まりますか。
  74. 中西実

    ○中西説明員 私はやはりそのときどきのグループによりましてあるいは懇談なり、あるいはその席の人たちの種類によりまして話す内容の違うことは、やむを得ないかと思います。たとえば、官庁同士の連絡会ということになりますれば、いろいろつつ込んだ話をすることもありましよう。やはりわれわれとしては、その相手によりまして話すことも違うかと思います。外部に話します場合には、結局私どもは健全なる労使関係の確立のための啓蒙宣伝のためということに限定されるかというふうに考えております。
  75. 赤松勇

    赤松委員長 なお、念のためにお伺いしておきますが、日本経済新聞に発表されたのは、どなたかよくわかりませんけれども、少くとも日本経済新聞という権威ある新聞に、あなたの談話なるものが載つておる。従つて、これが委員会の問題となり、あるいは全銀連の問題となり、私の手元にまで正式に陳情書が参つております。従いまして、私といたしましては、これは単なる新聞のデマ記事だ、あるいは事実が間違つておるんだ、こう御答弁されましても、ああそうですがとお受けするわけには参りません。もしデマ記事を日本経済新聞が載せたということになりまするならば、これは日本経済新聞として、非常な権威に関する問題でございまして、この点につきましては、後日、私は日本経済新聞社に対しまして、労働委員長という立場から、かような答弁があつた従つての取材は全部でたらめだ、こういうような発言のようだが、その点はどうかということを問いただしたいと思いまするので、私はこの点につきまして自分意見は留保しておきます。
  76. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 関連して——。今の委員長の、日本経済新聞に対して問い合せるということは、私はきわめて重要だと思うので、その点については、ぜひやつていただきたい。やつていただく前に、今労政局長の言つていることは、デマであるとも言つておらない。デマであるか何であるか、私は見のがし得ない問題だと思う。先ほど、場所によつては違う、こういうことを言つておる。場所によつては違うというのだが、具体的な問題でわれわれは聞いている。役所の打合せの問題とか、そういう問題をわれわれは聞いているのではない。具体的な問題、全銀連の問題として、この問題についてはどうだ。例をあげて言うならば、先ほど多賀谷君が言つたように、七人の共産党員がいるとかなんとかいうことについては、全銀連の幹部の諸君に対しては、それは言つたということを認めておる。これは参考人がはつきり今言つたじやないか。ところが、場所によつては違うので、国会においては、そういう点については忘れました、こういうことを言つておるということになると、全銀連の場合においては真実を言つて、国会においては忘れましたと言つてほおかむりで行く。これはあなた、はつきり国会を軽視していることじやないですか。国会ではいいかげんに忘れましたと言つて、ごまかしておけはいいのだ。場所によてては違いますと言つて、こういうことでごまかそうたつてわれわれはごまかされませんよ。この点、忘れたなら忘れた、真実なら真実——参考人が全銀連の代表として言つたという事実があるのに、あなたは国会では忘れましたということを言つておるのだが、こういう点もつとはつきりしていただきたい。何か一般的な問題として、あいまいな話をしてもらいたくない。
  77. 中西実

    ○中西説明員 ごく内々の懇談会、あるいは場合によつてはさしの話合いという内容を、公の席で申さなければならないかどうか、これは私は疑問に思うのでございます。しかしながら、今の全銀連の人たちが私のところに来ましたときに申したということは事実でございます。書記局に共産党員がおる、一体何人おるか、これは私もはつきり存じません。しかしながら、方々でそういうことを聞いておるということで、そういうふうに申したことは確かでございます。
  78. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは伺います。もつとはつきりしておかなければならないのだけれども、全銀連の人に会つてつたのが事実だということばかりじやない。ここで聞きたいのは、大阪においてあなたがそういうことを言つたかどうかということを、多賀谷君はさつきから聞いておる。こういう事実があるのかないのか、この点をはつきりしてもらいたい。
  79. 中西実

    ○中西説明員 先ほども申しましたように、そういつたきわめて内々の話というものを、全部申し上げる必要があるかどうか、私非常に疑問に思うのでありますが、ただお尋ねでございますので、その点だけにつきましては、ただいま申しましたように、書記局に何人おるかわからぬけれども、とにかく共産党員の方がおられるということを言つたことは事実でございます。
  80. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 あなたは先ほどその問題について、こういうことを答弁されておる。うわさによると、何かあちこちで全銀連の書記局内に共産党員がいるということを聞いているので、そういうようなことから、実は言つたというのが、あなた、労政局長ともあろう者が、どこかのうわさを聞いてそういうことを言つていいのですか。労務管理の役所として責任立場にある者が、うわさを聞いて、そんなことを言い振りまわして、しかも相手方の財界の者にそういうことを言つておる。これはいわゆるサービス省たる労働省としての役割を果すどころか、さつきここで決議したように、明らかにあなた方は労働行政の逆行の役割の手先になつてつているじやないですか。こんないいかげんな、どこからか聞いて来たようなことを財界の前で言つて、その手先になつてつているようなことはやめてもらいたい、そんなことを言うなら、局長の資格はないから、やめた方がいい。
  81. 中西実

    ○中西説明員 労働組合の活動の調査ということが、一応のわれわれの使命にもなつております。従つて、その組合がどういう性格であり、どういう方針で動いておるかということを知つておりませんければ、私どもの仕事は勤まりません。従つて、その指導者にどういつた政党に属しておる人が多いかということも、これまた当然私どもの知つてつていいことでなかろうかと思うのであります。その意味におきまして、組合性格なりあるいは運動方針等を考えます場合に、そういうことも必要である。従つて、そういうことがあれば、労使いずれにも必要に応じて申すことは、さしつかえないのではなかろうか、私はこういうように思つております。
  82. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 あなたは大体客観的な問題として見てもらいたいのです。特に労使関係のことは自主的に解決させるということが、労働省の基本的な態度であるということを言いながら、一つの組合の中に共産党員が何人いるとか、組合員の中で、あるいはその他の国民の中でどの政党に所属しておる、そういうことは問題じやないではないか。あなたはその場合に、共産党員が何人いる、社会党員が何人いる、労農党員が何人いる、ついでに自由党員が何人いるまで言いましたか、そんなことは言つていないでしよう。言つていないというところに問題がある。自由党員が何人いるかまで言つていないで、共産党員はこれだけいるということを言つたということは、客観的にこの組合は左翼的である、極左的であるという印象を与えるために、資本家の前で追随しておべんちやらを言つたんだ、そういうことにしかわれわれは考えられない。大体大阪において財界に会うという必要はないはずだ。そんなことを言つて、共産党員はこれだけおりますというようなことをあなたが言つたということは、明らかにあなたは労働行政を担当する局長としての資格がないと思う。そういう者をどうして労働階級が信用しますか、考えてごらんなさい。そういうあなたが、こういう問題に対して調整をしようたつて労働組合があなたの言うことに対し、信用なんかしませんよ。局長なら局長で、もつとしつかりとしてもらいたい。小坂労働大臣の方針がどうあろうと、ともかくそんな首のつながるようなことで、そのときどきの政府がうまくかつこうだけつけるようなことは、やめてもらいたい。
  83. 中西実

    ○中西説明員 先ほども申しましたごとく、労働組合の健全なる発展ということが、私どもの念願とするところでありまして——健全なといいますのは、真に民主的な労働組合を言うのであります。従つてそのために必要な資料を調査し、さらにまたその健全な観念を持つてもらうために、いろいろと頼まれればお話するということもあつていいじやなかろうか。私は、何も大阪で財界に会いたくて会つたのではございません、向うからぜひにということで参つたわけでありまして、労働組合側からお招きがあれば、これまた私は喜んで参るつもりでございます。決してそういつた気持はございません。ただ、憲法の精神に基き、民主的なる労働組合発展ということを根本の目標としてやつておるというだけでございまして、そのときどきの力におもねるとかいう気持は毛頭ございません。その点申し上げておきます。
  84. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 時間がありませんから、私は委員長に要望をしておきます。  それは、この全銀連の問題に関して労政局長がいろいろ懇談した内容と申しますのは、政府の中立的立場にある労働行政のあり方から見て、これはきわめて不穏当であると考えるわけであります。それで、争議をすれば極左である、あるいは共産党ということによつて組合弾圧しよう、こういう点が明らかにあるわけです。私たちは今度の東証ストでも、いろいろ研究して調査してみますと、むしろ今まで労働省が放置しておつたこと自体がおかしい。就業規則は基準法にちやんと規定して周知してあるにかかわらず、就業規則のあることを知らないという従業員がおり、また就業規則自体がない、こういうような状態で、これは近江絹糸以上である。また銀行関係においても、やはり封建的な労使関係にあつて、長い間呻吟して来た労働者諸君がストライキをやる、そうとすると、その労使関係実態は調査しないで、これは極左である、共産党員が多い、こういうことで弾圧しようとする。これは銀行関係や証券関係がストライキをすることは、国民は不便でありますけれども、私は民主主義の面からいえば、むしろ敬服すべき事態だと思う。そういう点の認識が全然欠けておる。すなわち、大蔵省や通産省が言うなら、話は少しはわかると思いますけれども、労働省がそういうことを言つてまわるということは、政府労使関係の中立の原則が全然破られておるものと思います。この件は、委員長におかれても、労政局長のこの会談並びに談話の内容について、十分調査されんことを希望します。
  85. 赤松勇

    赤松委員長 わかりました。それでは次回に引続き継続調査にしたいと思います。
  86. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今のに関連して。その点は今多賀谷君の言つたことに、私はきわめて同感なんです。ですから、委員長の名において、今言つた不穏当な言辞について、労政局長が取消す意思がないかどうか、この点だけを確かめていただきたい。
  87. 赤松勇

    赤松委員長 それはちよつと待つてください。簡単に労政局長がどうだと言つて意思表示しても、片づく問題ではありません。なるべくじつくり時間をかけて、次回に調査して……。こういう問題はあまり簡単に片づけない方がよろしい。  それでは続いて国鉄及び駐留軍の問題に移ります。楯兼次郎君。
  88. 楯兼次郎

    ○楯委員 国鉄の問題について二、三お尋ねをいたします。時間がございませんから、簡単にひとつお答えを願いたいと思います。鉄道の公安職員でありますが、ただいままで参考人のお話を聞きますと、国鉄の年末闘争でやつておりまする争議について、必要以上に介入して来ておる、ところによつてはすぐ暴力行為に訴えておるというようなお話でございます。国鉄当局者にお尋ねをいたしたいと思いますが、鉄道の公安職員というのは、私ども全部を勉強はいたしておりませんけれども、そういう労働運動介入をするためにあるのではない、こういうふうに私考えるわけでありますが、この点についてお答えを願いたいと思います。
  89. 久留義泰

    ○久留説明員 国鉄公安本部長の久留でございます。  ただいま御質問のあつたのは、鉄道公安職員が、労働問題あるいは労働争議というものに対して介入的に見えるような行動をとることができるかどうかというような御質問だと思いますが、昨今におきまする組合の行つております行為——特にわれわれとして、労働行為立場というような、鉄道公安職員といたしまして、日本国有鉄道の公共的使命、具体的には輸送の確保というような点を阻害される行為に対しまして、業務上の指示に基き、公安職員には特別司法警察職員としての権限がございますので、場合によりましては、その捜査権というものを使う場合がある、こういうことでございます。
  90. 楯兼次郎

    ○楯委員 今のお答えでは、鉄道の輸送を確保するためその他云々の場合にはやつてもいい、こういうようなお答えです。そういたしますと、あなたのお答えの中には、いわゆる組合組合法に基いて行うところの行為というものは、全然入つておらない、こういうふうに私にはとれるわけです。いかなる理由があるにしろ、とにかくそういう現象が起きた場合には、これは取締らなくてはいけない、そういうふうに受取れるわけでありますが、組合のいわゆる公労法の関係上から、そういうお答えになつておるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  91. 久留義泰

    ○久留説明員 ただいまの御質問でございますが、組合が争議行為を行うことは、公共企業体等労働関係法十七条によつて、行つてはならないということになつております。従いましてこの組合行為が、特に争議行為として正当か不当かというのではなく、争議行為はしてはならない、こういう点にお冒して、われわれは今回の組合側の企図されました争議的行為というものにつきましては、正常な労働行為ではない、こういうふうに見ておるのであります。
  92. 楯兼次郎

    ○楯委員 そういたしますと、さらにお尋ねいたしますが、ただいままで公安官が出動いたしました場合において、国鉄職員のとりました態度は、公労法違反であると、あなたはこういうふうに断定をされておるわけですね。
  93. 久留義泰

    ○久留説明員 私どもの見解といたしましては、公労法上許されない行為である、こういうふうに見ておるのでございます。しかし、もし争議的な行為であるといたしましても、これが当面の輸送の確保に何らの支障がない、たとえばピケツトいたしましても、全然輸送使命というものに関係のないような場合におきましては、もちろん公労法違反でありましても、公安職員が出動いたしまして当面の妨害を排除するというようなことに立ち至らない場合もあり得るかと思うのでありますが、今回の各地におきまする組合側の行動につきましては、たとえばピケツテイングいたしましても——もちろん組合側の感覚におきましては、きわめて平静な平和的な説得を本意としておられるというようなかつこうをとつておられるといたしましても、事実上は、当局によつて組合員による代行乗務と、車掌がかわりまして乗るというようなことが実際上阻止されて、そうして緊急な所定の列車を出発せしめ得ない、かようなピケツティングということによりまして、代務要員の乗車が阻まれるという場合には、緊急やむを得ませんので、その間通路を開いて代務乗務員の乗車の可能になるようにする。われわれとして、乗務の可能なようなこういう最低限度の措置は、今回実施いたしたのであります。
  94. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は今組合の関係以外のことをお聞きしておるわけではないのであります。今次の国鉄労組が行いました行動に対してのあなたのお答えを聞いておりますと、いわゆる公労法違反であるから公安職員がこれにタッチしたということなんです。あなたはどういう資格で今日行いました国鉄労組の行動というものが公労法違反であるという断定をなさるのか、あなたが断定なさつていいのかどうか、それをひとつお答え願いたい。
  95. 久留義泰

    ○久留説明員 私は先ほどの言い方がちよつとまずかつたと思いますが、この鉄道の健全な輸送、確実な輸送の確保ということを阻害する行為は、何であつても可能な権限に基いて緊急必要な程度においてそういう阻害を防止する、こういう措置をとつたのであります。公労法十七条違反という、公共企業体等労働関係法の違反で、それを名目にあたかも刑事犯罪のごとく処理したというのではなくて、国有鉄道の使命といたします輸送の阻害という現実の現象に対して、公安職員職務として必要な最低限度の阻害を除去する、こういうことであります。
  96. 楯兼次郎

    ○楯委員 公安本部長の回答は、いわゆる労働運動のセンスといいますか、感覚が全然ない。あなたは、ただ正常なる運行がどうこうと、こういうことを言われているのですが、労働運動に対する理解をもう少し深めていただかなければ、私の質問に対して正当な回答はいただけない、こういうふうに思うわけです。それからあなたはピケ張つて云々ということをおつしやいますが、私が見て参りました新鶴見の操車場においては、何ら組合員は暴力的な行為をやつておらないはずです。あなたは、実際に現地においでになつて視察をしておられないから、何の根拠によつてそういうことを言われるのかわかりませんけれども、実情ときわめて相違をしておる、こういう点を申し上げなくてはならないと思います。  次にお聞きをいたしたいと思いますが、この公安職員の設置が問題になりましたときに、先ほど国鉄の中闘の委員が言つておりましたように、労働運動にはタッチをしない、そういうことが再三再四念を押されて公安職員というものができた。これは前の速記録を調べてみますれば、私ははつきりしておると思います。現実にわが党の議員立法として出されました提案者から、私は聞いて来ております。一体何の条項によつて労働運動公安職員がタッチをしたか、この根拠を明らかにしてもらいたいと思います。
  97. 久留義泰

    ○久留説明員 ただいまの御質問は、公安職員に列車、停車場その他輸送に必要な施設内における犯罪並びに運輸に対する犯罪について捜査の権限を与えたという昭和二十五年法律二百四十一号の法律の制定趣旨について、いろいろの議事録における質疑、その他というような点をお話になり、公安職員は労働問題についてはどういう権限があるのかということだと思うのでございますが、この公安職員につきましては、今の二百四十一号といつた法律以前に、国有鉄道内におきまする一つの職員の分業として、三年前すなわち二十二年に設置されたのであります。それで公安職員の任務は国有鉄道総裁達によりまする基本規程に書いてあるのでございますが、一言にして申しますと、鉄道地内におきまする秩序維持、設備の特殊施設の警備であるとか、あるいは荷物事故の防止とか、旅客防犯であるとか、このような鉄道地内におきまする管理者として必要な警備的な防衛的な任務が総裁達できめられておるのでございます。この意味におきまして、公安職員の任務というものは、鉄道職員といたしまして、主としてまた専任者の形をとりまして、地内の秩序維持に当る、こういうことが言えると思うのでございます。従つて、その意味では、あたかも工場の守衛あるいは警備係というものと同様であります。そういうことで発足をいたしましたが、昭和二十五年に至りまして、このような主として部内で地域内における公安維持を任務といたします専従職員に対しまして、特別司法警察権が先ほどの二百四十一号で与えられたのでございます。従つて、先ほどの労働問題につきましては、当局としては、公労法上やつてはいけないことになつておるという点はもとよりでありますが、実際にやつておる現象としては、列車の正常な運行を阻害する、その他輸送の確保を阻害するというような面に対処いたしまして、先ほど申しました固有の任務としての鉄道公安職員基本規程というものによりまする鉄道の分業としての公安維持の職権により、さらには地域内の犯罪あるいは運輸に対する犯罪性のある場合には、特別司法警察職員として、法律二百四十一号によつて権限を行使するという、こういう二つの場合があるのでございます。
  98. 楯兼次郎

    ○楯委員 どうも長いお答えを聞いたわけですが、私はわからないのであります。といいますのは、先ほども申し上げましたように、昭和二十五年の八月制定をされました法律二百四十一号には、そういうことは書いてない。これは読み上げてもよろしいのでありますが、労働運動介入するということは全然書いてありません。どう拡張解釈しても、これは考えられない。それから立案者が、このときに再三そういうことをやつてはいけないと念を押しておるわけです。ところが、あなたはそれを言いながら、鉄道公安職員の基本規程というものからそういう取扱いをするんだ、こういうことをおつしやつておりますが、法律にきめてないことを、その範囲内において規定をする国鉄の規程によつてこれをきめられるということが事実ふしぎなんです。法律でできないことならば、これは当然できない、そういうふうに解釈をして行かなければ、あなたの御答弁というものは私はつじつまが合わないと思いますが、その点はどうですか。
  99. 久留義泰

    ○久留説明員 少し上りまして、たいへん御理解しにくかつたと思うのでありますが、できるだけ間違いのないように、もう一回繰返させていただきたいと思います。  私、先ほど申しましたのは、公安職員が、たとえば今度のような争議的な紛擾といいますか紛争があつた場合に対処する根拠としては、二つの場合がある。一つは、国鉄職員基本規程により総裁から命ぜられました任務——これはもとより法律ではございませんが、一般的に管理地域内において、相手方が特別の義務なりあるいは特別な職権行為というのでない限り、管理者といたしまして警備的な保安的な任務を与えることは当然であろうと思うのでありますが、基本規程はそのような意味におきまして、公共企業体の使命でありまする輸送の確保という目的のもとにおいて、総裁から一つの職種としまして地域内において公安を維持するということを規定しておるのでございます。それによりまして阻害行為というようなものにつきましては、事実上管理権に基いて不要なものの退去を求めるとかあるいは説得する、あるいはある程度力を用いて阻害を排除するという場合が一つと、それから昭和二十五年以降におきましては法律二百四十一号によりまして、施設内の犯罪なり運輸に対する犯罪に対しては捜査権を与えられておる。従つて、労働行為だからやるというのじやなくて、掻擾、阻害行為というものに対しまして、特別司法警察職員としての職務からして、現に犯罪が行われたりするような場合には、その法律二百四十一号によつて捜査なり犯人の逮捕を行うことがあるという、こういう二つの場合があるということを申し上げたのであります。  それでもう一つ、二百四十一号につきましては、ただいまの御質問の中に、あの法律には別に労働行為介入していいとかいうことはもちろん書いてないというのでありますが、それはもとよりその通りでございまして、また制定にあたりましての論議には、いろいろそのような論議のあることを聞き及んでおりますが、二百四十一号という法律は、鉄道の地域内におきまする犯罪についての捜査並びに犯人の逮捕ができる権限を付与したのでありまして、その紛憂争議が、労働争議であるから云々というのではなくて、地域内における犯罪なり、あるいは運輸に対する犯罪性があるという場合には、これは二百四十一号の法律によつて司法警察権を行使することになるのであります。今回のような場合には、労働行為であると言つているのでございましようが、しかしそれはわれわれ当局としましては、刑法上の免責を受ける正当なる争議行為というふうに見ていないのでありますが、単にそれだけでなく、事実上現象として現われます行為は、具体的な列車の運行を阻害して業務の妨害をする、かような目先の現象につきまして、先ほど申しました管理権に基くところの総裁達たる基本規程によつて、ある程度実力をもちまして排除する場合があることと、それから二百四十一号におきまして、それが障害になるとか、あるいは公務執行妨害罪になるということで、刑事法令に基きまして逮捕する、あるいは捜査をするという場合と、二種類あるのでございます。
  100. 楯兼次郎

    ○楯委員 どうも私の質問しているいわゆる労働運動との関連性を、よくのみ込んでいただいておらないと思います。ひとつあなたは、二百四十一号を御承知でありますので、これと基本規程との関連を研究をしていただきたいと思います。
  101. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 今のに関連して、公安部長にお尋ねいたしたいのですが、今度の組合員が、ピケというかそういう団体行動をやつている、それを突破して行くという今度の公安官の行つた行為は、何に基いてやつたのですか。あなたは、先ほど区別しておつしやいましたが、どちらの任務でおやりになつたのですか。
  102. 久留義泰

    ○久留説明員 全国数十箇所で行われておりまして、またその目的もいろいろあるようで、態様もいろいろ違いますので、全部一本のものでやつているというわけではございません。先ほど申しましたいわば管理者として特に公共企業の……。
  103. 赤松勇

    赤松委員長 ちよつと待つてください。そうなると一般論になるから、要点だけを……。
  104. 楯兼次郎

    ○楯委員 それでは、二十五、二十六日、新鶴見に公安官が集結をしましたが、これは一体だれの指示によつてやられたのですか。まず最初にお伺いいたしたい。
  105. 久留義泰

    ○久留説明員 新鶴見操車場におきまして、必ずしも部内者だけでなく部外者も入るし、また部内者にいたしましても、その日その時の鉄道輸送を確保するための所要人員以外の人が入つて来る。この点では、営業法におきましても、入ることを許しておりませんが、また管理者といたしましても……。
  106. 赤松勇

    赤松委員長 何度御注意申し上げてもおわかりがないようですが、聞かれた要点だけについて答弁をなさつてください。
  107. 楯兼次郎

    ○楯委員 だから二十五日、二十六日の公安官の出動については、だれの命令によつてやられたか、その点だけお答え願いたい。
  108. 久留義泰

    ○久留説明員 管理局長の命令によつて出ました。
  109. 楯兼次郎

    ○楯委員 先ほど、組合側の参考人のお話を聞きますと、二十五日に組合員新鶴見の駅に行くと、すでに公安官あるいは警察官が相当多数逆にピケ張つてつた、しかたがないから、構内に入れないので、よその方に退避した、こういうお話があつたわけですが、この事柄は、あなたが先ほどるる長々と御説明になつております犯罪云々の必要によつて出動したということに該当するかどうか、お答え願いたい。
  110. 久留義泰

    ○久留説明員 あらかじめ阻害されることに対処しまして緊要なる箇所を守りますことは、管理者側の指示により、管理権に基き基本規程により行うことは当然であります。
  111. 楯兼次郎

    ○楯委員 どういうことなんですか、どうも私とあなたの……。二十五日に、組合の方は何もしない。何もしない無風状態のところに、あなたの方は公安官を集結し、警察官——あなたが要請されたかどうかは知りませんけれども、これに参加をして、あなたの方でピケ張つておられた。これはあなたの先ほどの説明を聞いておりますと非常に矛盾している。なるほど犯罪が起つたならば、それは公安官の出動も必要でしよう。ところが、何もそういう事実がないのに、そういう態勢をとつておられた。あなたの御説明と、相当私は矛盾をして来ると思います。そういうことに公安官をお使いになるのですか。
  112. 久留義泰

    ○久留説明員 私どもといたしましては、当然その詰所に来て、業務が妨害されるというおそれがありますので、業務確保のために、事前にその辺に逆ピケと申しますか、そういうかつこうになるのであります。これは緊要な業務箇所を確保するというのは、管理者として当然であろうと思います。
  113. 阪間米造

    阪間参考人 ただいまの楯委員の質問に対します公安本部長の回答が、きわめて当時の実情と相違をし、当時の実情を認識せざるままの公安本部長の回答でありますので、私の方で特に付言をさせていただきたいと思います。  私たちは、先ほどもちよつと申し上げましたように、今次行動を実施するにあたりまして、特に組合員諸君に注意をいたしました。その注意は、建物の中には絶対に入つてはならぬ、無抵抗主義で行かなければいかぬ。器物の破損をさせるようなことがあつてはならぬ、このようなことを特に文書をもつて注意を行い、その中からこの行動に入つたわけでありますので、先ほど公安部長が説明をいたしておりますように、私たちには犯罪の捜査に公安職員が当つたものとは考えられない行為を行われたのであります。その行為は、先ほどから申し上げましたように、私たちが構内に入ろうといたしますのを暴力をもつて排除さす、このような行為を、犯罪が起きておらぬにもかかわらず、公安官がいわゆる逆ピケによつて先制攻撃をかけて来た、このような行為が行われておつた事実を私はさらに付言をいたしまして、御参考にいたしたいと思います。
  114. 楯兼次郎

    ○楯委員 ほかの委員も、この点について御質問があると思いますので、関連して簡潔にお聞きしたいと思います。一体新鶴見駅に、公安官は何名おられるのですか。
  115. 久留義泰

    ○久留説明員 新鶴見公安分室には、三十名くらいでございます。しかし、公安官の配置は、場所的に設備の関係その他で、機動的に運用することにいたしております。
  116. 楯兼次郎

    ○楯委員 私が現場へ行つて見、あるいは先ほどの組合委員の説明によりましても、百名以上の公安職員があそこに集結しておつた。それから鉄道公安職員の管区域外職務施行令というのを見ますと、第三条に、列車の運転もしくは保安に対する危険が発生した場合において、運輸大臣の許可を得てそこに勤務することができる、こういうことになつておるわけです。この条文から行きますと、危険が発生した場合において、こういう字句が使つてあるわけですが、先ほどの逆ピケと同じように、何もないところになぜこのように多数の公安職員を集結したか。これはあなたの方の職務規律違反じやないかと思うのですが、この点はどうですか。
  117. 久留義泰

    ○久留説明員 公安職員は、たとえば今の法律的な司法警察職員として行動する場合の活動範囲につきましての事務所というのは、もつと広い公安部という単位、あるいは鉄道局という単位でございまして、各室ごと、たとえば上野公安室はどこどこまで、東京公安室はどこどこまでと、こういうことではございませんので、管理局全般、こういうことでございます。  それから司法警察官としての活動範囲でございますが、先ほど行動する場合の第一の点で申しました局長の業務命令で基本規程による行動の場合につきましては、この点も同様でございます。
  118. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 鉄道公安職員職務に関する法律というのが、先ほど御指摘のありました昭和二十五年の法律第二百四十一号で出ておる。この際法務委員会において、公安職員職務についていろいろ審議があつてなるほど今公安部長の言われるように、労働運動にはタッチしない、労働運動を抑圧してはならない、こういうことは書いてない。書いてないのがあたりまえなので、書くこと自体がおかしい。普通の条文でも、労働争議にタッチしはしないかというので、刑法上の免責の規定があり、その他民事上の免責の規定があつて、あらゆる公安委員に注意しておる、これは過去のあらゆる労働運動弾圧された歴史を持つておるから、そういう状態なのである。そこでこの法律ができますときに、法務委員会においては、公安職員というものについては、労働運動にタッチさせてはならない、労使紛争の中に入れてはならないのだ、こういうふうになつておるわけであります。ところが、今あなたのお話によると、逆ピケをしくという、これこそまさに労使紛争の中に介入する姿である。私は法務委員会が、いわゆる司法職員としてだけの検討をしたのではなかろうと思う。公安職員としてはかくあるべきだということを検討したと思うわけであります。そこで私は委員長に希望を申し上げるわけですが、この点は速記録でもはつきりしておりますし、当時の委員もほとんどみな在任中でございますので、至急法務委員長あてに、この件の経緯について照会をし、回答を求めていただきたい、かように要望します。
  119. 赤松勇

    赤松委員長 その点につきましては、非常に重要だと思いますので、多賀谷君の御希望の通り取扱い、なお、さらに必要ならば、法務委員との合同調査などもしてみたいと思いますので、さらに御希望をできる限り拡大して、こういうことの起らないように、いろいろ手配をしてみたいと思います。  なお、この問題は重要でございますし、ことに新潟、門司等にも起きておりますから、さらに継続調査をしたい、かように考えておるわけでございます。  斎藤警察庁長官もお見えになつておりますので、全然質問しないということもあまりに失礼だと思いますので、この際斎藤長官に対しましても、先ほど駐留軍算の例もございますから御質問を願う、さようとりはからいたいと思いますが、よろしゆうございましようか。     〔「異議なし」呼ぶ者あり]
  120. 楯兼次郎

    ○楯委員 非常におそくなりましたので、あとに質問を留保いたしまして、承諾をしたいと思います。  警察長長官にお伺いをいたしますが、今度の国鉄新鶴見その他の現場におきまして、多数の警察官が出動いたしております。これは国鉄の方から要請があつて出動されたのか、自発的にあなたの方が出動されたのか、お聞きしたいと思います。
  121. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 新鶴見の場合は、鉄道当局からの要請によつて出動した、かように報告を受けております。
  122. 楯兼次郎

    ○楯委員 それから、これは前に聞くべきでしたが、公安官の出動について、けさの新聞でありましたかに出ておりましたが、ひとつ具体的な例を申し上げましよう。わが党から、この問題について総裁のところに抗議に参りました。ところが天坊副総裁は、公安官は車内を取締るもので、争議にタッチさせたくはないが、何しろ警察の方から指示があつたのでと、こういう。わが党の代表に対して、警察の方からやれやれというからしかたがない、こういう回答をしておるわけです。それではいけないというわけで、また代表が今度は警察庁に参つた。ところが斎藤長官を詰問すると、これは警察からそんな指示をした覚えはありませんとの返事があつたわけです。この辺の関係を、はつきりとひとつ委員会で言明していただきたいと思います。
  123. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 警察が公安官、あるいは鉄道当局に指示するというようなことは、あり得ないことでございまして、天坊副総裁がどうおつしやつたか、私知りませんが、私どもの聞いておりますのは、天坊副総裁も、この新聞記事に出ておるようには言わなかつたというように聞いております。私が昨日お見えになりました方々に対しまして申し上げましたのは、新聞記事の通りであります。
  124. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 斎藤さんに昨日私も会つたのだからあれだけれども、天坊副総裁に関する今のあなたの答弁は、ちよつと意識的に避けたと思うのです。今、楯君の言われたのは、こういうのです。警察の出動を要請したのは一体どこなんだ、それから公安官の問題についてはどうなんだということに関連して、天坊副総裁は、警察の方から公安官を出せということを言つているから出すようになつたのだということを言つておる。そういう点があつたかなかつたかということを聞いておる。  それからもう一つは、それに関連して、こういう事実があるのです。これは約一週間ばかり前——昨日私はあなたにも申し上げたが、警視庁の公安二課長が、東鉄の公安課長に対して、なぜ警察に出動しろという要請をしないのだ、おれらの方はいつでも待機しておるのに、国鉄の方はさつぱり警察に出てくれということを言つて来ないじやないか、ぼやぼやするな、こういうことを言つておる。こういう事実があるからこそ、天坊副総裁の今の答弁というのは真実性があるわけなんです。あなたは笑うけれども、昨日も私はあなたに言つたのだが、まだ調べてないでしよう。そういう真実性があるわけなんだ。そういう点を、ひとつはつきりしてくれということを言つておるのです。
  125. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 昨日さようなお話がございましたから、事務当局について、天坊副総裁がさようなことを言われたのかということを聞いたところが、そんなことは言つていない、こういうことでございましたから、私は昨日申し上げておつた通りであつたということを確認したわけであります。警視庁の点は、私はまだ調査をいたしておりません。昨日も申し上げましたように、鉄道構内における公安の維持といいますか、そういうことは、できるだけ鉄道当局でやつていただきたい。警察は先走つて出たくない、鉄道当局でできないというときに原則として出るということが望ましいということは、かねがね申しておりますし、先般来からも話し合つてつたと思います。
  126. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 この天坊副総裁の問題は、私ばかりでなくて左派、右派の諸君も出ているわけですから、ここで、聞きました、言いました、言いませんと水かけ論をやつていてもしかたがないから、これは事実の問題として、そこにおつた者が事実いるんだから、そういう点を明らかにして今後進めてもらいたい。私も、もう少し本筋に立つて斎藤さんにとつくり伺いたいことはたくさんあるけれども、きようは関連質問だから、これだけしか言えないけれども、実は徹底的に調査してもらいたい。
  127. 楯兼次郎

    ○楯委員 それで鉄道の要請によつて警察官が出動をした——昨日私が新鶴見現場を見ておりますと、公安官と職員とやつております。そこへ、だれも要請はないと思うのですが、いきなりこつちにおつた警察官がだつと入つておるわけです、介入をしておる。いわゆる職員を散らしておるわけです。こういうことはどうですか。
  128. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 事前に包括的な要請があつたのだろうと思いますが、今の具体的な点は、私も調査をいたしておりませんから、十分調査をしまして責任のある答弁をいたしたいと思います。
  129. 楯兼次郎

    ○楯委員 それでは、私並びにわが党の佐々木更三君も新鶴見現場を見たのですから、ひとつ調査をして、この次の委員会に回答をいただきたいと思います。
  130. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 実は警察庁長官が見えおりますので、まだたびたび御足労願わなければなりませんけれども、駐留軍のピケに関する行政措置についてといつて、極東陸軍のテンプル少将あてに出されました文書について、一点だけお伺いしておきたいと思います。  先ほども全駐労の市川参考人からお話がありましたように、全駐労においては、組合指令として、軍人、軍属、外交官その他の政府職員は拒否しない、こういうことを今までも指令に流し、さらにそれを遵守して来た。しかるに、こういうような労働次官通牒と軌を一にした書簡を出されておる。私たちは、現在遵守しておるにもかかわらず、こういう書簡を出されるということは、むしろ警察官介入を要請するような気持でお出しになつておるのではなかろうかと考えるわけですが、その点について、一言答弁願いたいと思います。
  131. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 私がテンプル少将あてに出しました書簡が、駐留軍労務者に印刷をして渡されておるということを聞きまして、私は実は、こういうところでもあるいは御質問があるだろうと思つてつたのです。と申しますのは、実は私は駐留軍労務者の争議の場合における駐留軍とのトラブルを避けるために、駐留軍と毛よく話合いをしたいという感じをもつて、憲兵司令官を通じて参謀次長に申入れをしておりました。その前から駐留軍の方からは、自分たちの正当な業務までも妨げられる、これは困る、一体どういうことなんだということが参つております。朝霞その他におきましても、われわれから見れば、向うの憲兵の出過ぎ行為によつてつた場合がある。その場合に警察は適当な措置をとつておらなかつたという場合もありました。いろいろな点がありましたので、できるだけ米軍と日本警察あるいは駐留軍労務者との間の無用なトラブルを避けたい、かように考えておりまして、その解決の一半がこの書簡であります。  そこでこの私の書簡を実際に移しまするためには、駐留軍労務者の方々にも、こういう経過でこういうわけでこういうことにした、向うの方からはこういう言質を得ておる、従つて、できるだけこれを守つてもらいたいという説明をいたしたいと思つてつたのであります。ちようどその機会が、はからずもこういう委員会で与えられまして、私は非常にありがたいと思います。  動機は今申しましたような動機でありまして、先ほど全駐労の委員長のお話がありましたので、私はなおさらよかつたと思つておるのでありますが、たとえば、全駐労においては、アメリカの軍人、軍属、外交官、そういう者はピケ・ラインでは阻止しない、こういう指令を出しておられるにもかかわらず、現場ではひんぴんと起つておる。あるいは郵便車をとめる、あるいは外交官の車をとめるということが起つて、そうしてトラブルが現実に起つておるわけなのです。また一面、米軍の方からスト中に労務者をトラックなんかに乗せて入れない、こういうように契約ができておるというお話でありますが、これがときどき向うによつて破られておる。そこでそういうことが全駐労の方々から見れば、こうありたいと思われておることがその通り行われるようにというのが、この趣旨でありまして、私の方から、こういうようにわれわれは見解持ち、そうしてこういうようにするということを申し上げますると同時に、米軍の方からも、今全駐労の方が言われたような、たとえば米軍軍人軍属は、ストに対しては厳正中立の態度を堅持をする、軍はスト前たるとスト中たるとを問わず、軍用車にスト当日の就労希望の労務者を乗せて施設に入らない。これなどのごときは、ストの日ならば当然だけれども、ストをやる前の日に軍用車に乗せて入れるのは、これな争議と関係がないから正当じやないかという見解を、相当強く向うは持つておりました。しかし、それは違う、それは翌日のストに関係を持つた労務者をあらかじめ入れるということは、これはやはり一種のスト破りの行為であるから、これは厳重に慎んでもらいたい。次には、争議中は軍用車はもちろん、私用車にも日本人運転手は使わない。米軍軍人軍属は、自動車で人垣を突き破つたり、生命に危害を加えるおそれのあるようなスピードで自動車を運転してはならない。コントロール・ポストには、警察の通訳がいないときには軍から通訳を派遣する。これは言葉の不自由のためにトラブルを起さないための協定であります。それからアメリカの憲兵隊、いわゆるMPをピケラインに出動させて違法ピケの排除等の実力行使を行わせないという確約もとつておるのでありまして、これによりますると、全駐労が企図しておられる通りの条件で、スムーズに労働争議が行えるものだ、かように私は考えております。  さような趣旨で私がテンプル少将に書面を送り、またテンプル少将の方からも、私が今読み上げましたような事柄については、駐留軍当局下部に徹底させた、こういう文書をもらつております。
  132. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 現実の問題として、いろいろトラブルが起つており、また争議協定を米軍自体も遵守していない、こういう問題につきましては、さらに調査を進めたいと、かように考える次第でありますが、一言この書簡についてお尋ねいたしますと、緊急要員と称するものが書いてございます。緊急要員ということになりますと、これは幾らでも拡大解釈ができるのですが、一体どういうようなお考えですか。
  133. 斎藤昇

    ○斎藤説明員 ここで緊急要員と申しますのは、保安要員のことでありまして、警察官の方には保安要員とはつきり言つております。それは法律及び協約で認められた範囲の正当な保安要員ということが、はつきりいたしております。
  134. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それでは、これは後ほどさらに継続調査されんことを希望いたします。
  135. 赤松勇

    赤松委員長 参考人の方々には御苦労さまでした。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時一分散会