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1954-03-24 第19回国会 衆議院 労働委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十四日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 赤松  勇君    理事 池田  清君 理事 鈴木 正文君    理事 丹羽喬四郎君 理事 持永 義夫君    理事 多賀谷真稔君 理事 井堀 繁雄君       黒澤 幸一君    楯 兼次郎君       大西 正道君    日野 吉夫君       矢尾喜三郎君    中原 健次君  出席政府委員         労働政務次官  安井  謙君         労働事務次官         (労政局長)  中西  實君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      龜井  光君  委員外出席者         議     員 青野 武一君         議     員 島上善五郎君         議     員 山口丈太郎君         議     員 館  俊三君         日本国有鉄道総         裁       長崎惣之助君         日本国有鉄道参         与         (職員局長)  井上 正忠君         日本国有鉄道参         事         (職員局労働課         長)      中畑 三郎君         日本国有鉄道参         事         (職員局給与課         長)      星野守之助君         日本国有鉄道参         与         (厚生局長)  吾孫子 豊君         日本国有鉄道参         与         (広島鉄道管理         局長)     磯崎  叡君         参  考  人 相田 一男君         参  考  人 植木仙次郎君         参  考  人 歌崎 藤作君         参  考  人 出口  昇君         参  考  人 本間 大英君         参  考  人 横手 眞夫君         参  考  人 横山 利秋君         専  門  員 濱口金一郎君     ――――――――――――― 三月十七日  委員楯次郎辞任につき、その補欠として島  上善五郎君が議長指名委員に選任された。 三月十九日  委員松田竹千代辞任につき、その補欠として  山村治郎君が議長指名委員に選任された。 三月二十日  委員山村治郎辞任につき、その補欠として  松田竹千代君が議長指名委員に選任された。 三月二十四日  委員島上善五郎辞任につき、その補欠とし  て楯兼次郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十日  けい肺法制定に関する請願(佐々木更三君紹  介)(第三六四三号)  同(赤松勇紹介)(第三七四四号)  同(佐々木盛雄紹介)(第三七六八号)  労働基準局ならびに労働基準監督署定員確保  等に関する請願赤松勇紹介)(第三七四五  号) 同月二十二日  香川県に四国労災病院設置請願佐竹晴記君  紹介)(第三八三五号)  労働基準法の一部改正に関する請願今村忠助  君紹介)(第三八九八号) の審査を本委員会に付託された。 同月十七日  労働基準行政地方移譲反対陳情書外七件  (第一九七九号)  同  (第一九八〇号)  同  (第一九八一号)  同(第一  九八二号)  労働基準法改正に関する陳情書  (第二〇三七号) 同月十九日  労働基準行政地方移譲反対陳情書  (  第二〇四七号)  同  (第二〇四八  号)  同  (第二〇四九号)  労働基準行政地方移譲並びに人員整理に関す  る陳情書  (第二〇五〇号)  同  (第二〇五一号)  同  (第二〇五一号)  同外五件  (第二〇五三号)  同  (第二〇五四号)  同  (第二〇五五号)  同  (第二〇五六号)  けい肺法制定に関する陳情書  (第二一二三号)  同  (  第二一三四号) 同月二十二日  労働基準行政地方移譲反対陳情書外六件  (第二一三二号)  同外二件  (第二一三三号)  同  (第二十三号)  同  (第二一三五号)  労働基準行政地方移譲並びに人員整理に関す  る陳情書  (第二一三六号)  同外一件  (第二一三七号)  同外一件  (第二一三八号)  同  (第二一三九号)  技術者養成に対する援助の強化に関する陳情書  (第二一八三号)  労働基準行政地方移譲反対陳情書  (第二一九五号)  同  (第二一九六号)  同外一件  (第二一九七号)  同(第二  一九八号) 同月二十三日  けい肺法制定に関する陳情書  (第二二六四号)  同  (第二二六五号)  同  (第二二六六号)  身体障害者強制雇用法制化に関する陳情書  (第二二六七号)  労働基準行政地方移譲並びに人員整理に関す  る陳情書  (第二三  五〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  連合審査会開会申入れの件  仲裁裁定実施に関する外     ―――――――――――――
  2. 赤松勇

    赤松委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。ただいま内閣委員会において審査中の行政機関職員定員法の一部を改正する法律案内閣提出第九一号)は、本委員会所管事項ときわめて関連が深いと思われますので、連合審査会開会を申し入れたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
  4. 赤松勇

    赤松委員長 それでは前会に引続き仲裁裁定実施をめぐる紛争問題について調査を進めます。  本件につきまして、前回委員会に御出席いただきました参考人横山利秋君、歌崎藤作君、横手眞夫君本間大英君、以上四名の方が本日御出席になつております。なお国鉄当局側からは井上職員局長吾孫子厚生局長星野職員局給与課長中畑職員局労働課長の方々が御出席になつております。なお総裁はただちに出席する予定になつております。なお磯崎広島鉄道管理局長は午後出席することになつておりますから、御了承願います。     ―――――――――――――
  5. 赤松勇

    赤松委員長 この際お諮りいたします。本問題につきまして、参考人高田正雄君が本日はお見えになりませんので、その代理として出口昇君に参考人として御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なければ、さよう決します。  なお本問題につきまして植木仙次郎君及び相田一男君にも、参考人として御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 赤松勇

    赤松委員長 御異議なきものと認めてさよう決します。     ―――――――――――――
  8. 赤松勇

    赤松委員長 なお本問題につきまして前会同様委員外吉野武一君、山口立太郎君、館俊三君、島上善五郎君より、それぞれ発言を求められておりますので、これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 赤松勇

    赤松委員長 御異議がなければさよう決します。  それでは質疑を許します。
  10. 楯兼次郎

    楯委員 前回委員会で、大体大阪管理局地方組合職員の解雇問題についての中心をなしておりました第二信号扱所の問題につきましては、大体事情をわれわれ聴取をいたしましたので、次に有力な中心をなしておりますいわゆる月光事件についての当時の模様をお伺いいたしたいと思いますが、ひとつ当局側から、当時の簡単な模様でけつこうでありますから、御説明願いたい。
  11. 井上正忠

    井上説明員 私、当時大阪局長をやつておりましたが、月光事件につきましては、その前後の関係から申し述べたいと思います。  たまたま十一月の下旬から、荷物愛護運動という運動組合運動で始まりまして、結局荷物愛護するという名義のもとに、荷物積込み規制現実には行われたわけであります。それが一番問題になりましたのは、十一月二十六日の月光事件に現われたわけであります。  荷物愛護並びに荷物積込みというものは、われわれ当局側一つ業務規程というものがございます。またその都度に応じまして、通牒その他で繁忙時におきましては適宜の指令を出しているわけです。で、当時の組合側の行われた運動というものは荷物を大事にしろという一応の標傍でありましたが、現実には、荷物車に対する手荷物小荷物積込み制限のような結果で現われたわけでございます。その点で月光事件について申しますと、月光は、御承知のように大阪始発列車でありまして、ホームに入りましてから出発するまでに、十数分しか時間がございません。その間に、一応数百の荷物を積むわけであります。平常状態としましては、大体月光大阪の駅で三百五十個程度を積んでおります。それから、その次に今度は月光京都へ参りまして、京都で七、八十個ないし百個積むのが通常の姿であります。十一月二十六日の月光の発車に際しまして、結局荷物愛護運動と称して、荷物積込み規制その他のかつこうで行われたということなんであります。  当時の荷物積込み満載であるかどうかということの判断の問題でありますが、当時の二十六日のいわゆる月光事件と称しますときには、三百余個、三百五十個にははるかに足らないのでありますが、それしか積んでおりません。これで荷物満載と称して余儀なく発車させられるに至つたわけであります。事実は京都からも六十数個積んでおります。そういうことで、この問題は月光事件中心にいたしましたが、前後数日間にわたる荷物愛護運動と称する全体の闘争のうちで、特にトラブルのありましたのが月光事件ということなんであります。
  12. 楯兼次郎

    楯委員 組合側参考人にも、ひとつ当時の模様を簡単にお聞きしたいと思います。
  13. 横手眞夫

    横手参考人 ただいま当局の方から述べられたわけでありますが、若干その当時の状況につきまして、私たち解釈現場の事実と相反した点がありますので、この際明確にして、おきたいと思います。  まず遵法闘争で私たち荷物愛護する運動をやつた趣旨については、これは十七日に中央書記長からも、言われました。その点については、中央の方からも説明があると思います。今の発言によりますと、荷物積込みをすることを妨害する点に、われわれが終始努力をしておつたということを言われておるのでありますが、そうではなくして、荷物を迅速に送ると同時に、安全に送るということが、現在鉄道輸送の使命であります。しかしながら、従来の運送保全状態から見ても、また現地積込み状態から見ても、荷物は安全に輸送され、荷主に手渡しをされるということが、完全に実施されないというのが現状であります。それは一体何に基因しておるかと言うと、やはり時間とかあるいは数量によつて、過重の荷物を無理をして積載をするというのが、平常の状態の慣行になつておる。であるからこういう問題が起きる。これは考え方によつては、小さいと言われるわもわかりませんが、荷物を受取る荷主に対しての一つの大きなサービス的な問題から考えると、鉄道当局としても、十分に考えられなければならないと思います。そういう意味におきまして、大阪の場合においても、駅の小荷物掛あるいは車掌区の荷扱手から、いろいろ意見を聞いてみても、たとえば、この大阪小荷物にしても、昼休みの食事を食べるいとまもないほど、荷物積み込みにひつぱり出されておるということを言つておるのであります。胃腸障害が非常に多いということも、私たちは聞いておるのであります。食事時間が非常に不規則である、あるいは食事の最中に、それ積み込みだといつてひつぱり出される、そういうような状態だと、駅の小荷物の係員からも私たちは聞いたわけであります。そういうことで、安全に荷物輸送するということに立脚をして、当時の事情を調べてみますと、非常に箇数とか、あるいはいろいろ三百箇がどうのこうのと言われますが、それは荷物を積み込む一つ調査基準であります。そういうことで、私たちは何も荷物を積み込むのに妨害するということではなくして、安全に輸送をする、しかも積載一つ規定がございます。たとえば、貨車一ぱいに、天井まで詰めておつてはいけない、あるいは荷扱い専務担当者が中で現品の対照もしなくちやいけない、あるいは事故があつた場合においては、その荷物のしわけをしなくちやいけない、そういう建前に立つて通路をやはりあけなければいけない。あるいは入口の戸を開く、戸の附近に対してはどの程度あけるというような規定があるわけでございます。そういうことを実は私たちの方では遵法をして、ひとつ荷物愛護運動をやろうじやないかというのが、私たちのやつた趣旨であります。  大体二十六日に月光列車荷物を若干積み残しをして発車したということを言われております。十一月の二十六日に、当日当局側組合側の代表が話合いをいたしまして、その交渉の場において、満載判断については、一応荷扱い専務打合せをしてやらなくてはいけないということは、荷扱い専務満載であるかどうかということを判定を下すということになつておるわけであります。従いまして、われわれは荷物を積み込むのを妨害をするのではない、従つて荷物を安全に積み込みをするということが建前であるので、その点については、組合としても統制をとるという話合いを事前にしておるのでございます。当時の状況といたしましては、担当者以外の当局本局連中が相当現場に入つて来ております。そうして、たとえば小荷物主任が、小荷物掛の前に立つてつて、一々厳重なる監視のもとにある、あるいは車掌区長荷扱い専務のそばについておつて、そうして一々監視のもとにある。平常では全然見られなかつた姿というものが、そこに職制をもつて、あたかも、威圧をする観が現場で現出をされました。そういう中で、もうこれ以上積んでは困るということを、中で整理をしておつた荷扱手言つたのであります。そこで私の方の責任者が、荷扱手がもうこれ以上積めない、これ以上積んでは困るからということを言つておるので、小荷物主任に対して満載かどうかという点について、荷扱い専務と一応打合せてくれ、その間しばらく待つてくれということで、私の方から責任者が、小荷物主任荷扱い専務と話し合いをする、荷扱い専務満載かどうかの制定を待つということを申し入れたわけであります。そのときに、たまたま運輸長付佐藤という一職員でありますが――これは梅田事件のときにも、十七日に私が証言をいたしました通りに、二十数名の連中を引き連れて、ピケ破りをやるのだというので、われわれのピケの中に暴力をもつてつつ込んで来たという人であります。その入がたまたま駅に現われておりまして、そうして手押し車の上にあつた荷物を駅の荷物車の中にぽんぽんと投げつけたのであります。投げつければ当然荷はくずれるようになる。しかも大衆の目の前において、監督すべき人たちが、荷扱手の手でなくて、自分の手によつて荷車の上に荷物を投げつける、あるいは投げつけたものがそこにおつたたち闘争委員の岡という者の顔に当る。岡君は倒れるという状態現地で起きました。そこで責任者も、荷扱い専務にただしたのであります。時間としてはかからない、荷扱手がまだ詰めろと言つたら詰めればいいのだから、ちよつと待つてくれということを声を大にして頼んでも、お前たち妨害をするのかというような暴言を吐いて、どんどん荷物を積み込む。積み込めば、ほうり投げられた荷物は、やはり中においてぶつかつて損傷を来します。どうしてもわれわれの言うことを聞いてくれない。しばらく待つてくれと言つたけれども佐藤氏以下二、三人の者は、全然言うことを聞かないというような状態が起りました。しかも、手押し車に置いてある荷物の上に、その佐藤以下数名が一般大衆の目の前で上り込んで、そうしてじたばたやつておるというようなことが、はたして荷物を安全に輸送をするということになるであろうかということを、私たちは深刻に考えました。何度も、待つてくれ、いましばらくであるから、と言つても待たない。暴力をもつてやる。これ以上は、私たちはどうしても何とか手を打たなければならないので、そこで若干私の方の闘争委員現地に出て参りますし、青年行動隊連中も出て参りまして、そうしてトラブルが起つたのであります。従つて当局が言うように、満載であるから積んではいけないという指示によつて、私たち荷物積み込み妨害をしたと言つておりますが、当日の打合せによつて満載かどうかの判定というものは荷扱い専務がやるのだ、だから荷扱い専務に聞きに行つた。それもわれわれの独断ではなくて、中で荷物操作をやつてつた荷扱手がこれ以上積んでは困るということを言われたので、それで荷扱い専務に一体どうなんだということを聞きに行つておる。その間一分間もたたぬうちに、とにかく積むのだということで、佐藤というこの本局の方から来た人間が、みずから荷物を持つてどんどん投げつけた。投げつければ、その荷物はどんどんくずれて行く、それが大衆の目の前においてやられる。しかも手押し車の上に置いてあつた荷物の上に――私の方では現場の写真も持つて来ております。そうういことで、荷物の上に大の男が乗つて荷物をくずして行くということが、はたして荷物愛護安全輸送ということになるであろうか、こういうことで起つた紛争といいますか、そういうことであります。従つて当局荷物満載だといつて妨害をしたということについては、若干私たちとしては異存があるのであります。そういう点は明確にしておきたいと思います。  なお井上説明員も言われておりますが、当日は私も現地におりまして、この状況については十分現地で見、私も、当日の本部の責任者ではなかつたのですが、あまり佐藤氏のやり方が強引なために、自分も中に入つて、もうしばらく待つたらどうかということを、実は佐藤氏に訴えたのであります。しかもこういう興奮状態に入つてつたので、何を言うかきさま、というような暴言をもつて、私たちに暴行をして来たというような状態から、こういう問題が起つたということを、私たちは申し添えておきたいと思います。
  14. 楯兼次郎

    楯委員 では当局に二点ばかりお伺いしたいと思いますが、井上説明員の言われました当日の積み込み箇数が、あなたのおつしやつた箇数と違わないかというのです。私が大阪へ参りまして担当者からお聞きしましたのは、当日は三百五十箇ぐらいになつたので、三百五十箇ぐらいを積んで次の停車駅に行つたということです。今あなたの御説明では、普通は三百五十箇ぐらい積んでいるんだが、当日は三百余箇と、こういうことをおつしやられた。この点が私は箇数が違つておらないかということをお聞きしたいのであります。  それから、年末に近ついたときでありますので、実際当時連結をしておりまする荷物車は、輸送量に比してきわめてきゆうくつではないか。組合の方で愛護運動はやらなくても、荷物に対する両数としては不足しておるのではないかという感じがいたしますが、その点はどうか。それ以後、組合愛護運動をやらない場合に、積み残しはないのかという点。  それからいま一つお伺いしたいのは、これは組合愛護運動をやつたので問題を起しておりますが、私どもが記憶いたしておりますところでは、当局でも、ときどき無事故月間であるとか、あるいは荷物愛護週間というものをおやりになつたことがあるように記憶いたしておるわけです。そういたしますと、当局がやるのか、あるいは組甘がやるのかということで、その精神においては何らかわりないと思いますが、そういうような催しを現在はやられておらないのか、また過去においてはやつてつたかどうかという点をお聞きしたいと思います。
  15. 井上正忠

    井上説明員 第一点のお尋ねの、当日三百五十個ぐらいしかなかつたのかということでありますが、これに対しましては、あの月光十八列車というのは大体京都あたりからも積むように、大阪の駅では手配いたしております。そういう意味では十一月中の実績は三百五十個が平均であります。それに対しまして、当日十一月二十六日は三百九個――先ほど三百余個と申しましたが、正確なところは三百九個であります。実はもう少し積むはずであつたのですが、事実上積めなかつた。  それから第二点の輸送力関係でありますが、これは年末とかお盆とかいうような荷物の出盛りのときには、特に大阪京都からは、貨物の空車とか小荷物車をくめんいたしまして、上下とも輸送力をつけております。特に京都始発あるいは大阪始発の場合には、絶対に荷物車輸送力をつけませんと、大阪の駅の地下の荷物ホーム、あるいは京都荷物たち場というところに大混乱を起しますので、輸送力当局としては十分つけております。ただ、これは第三点の年末積み残しがあつたのではないかという御質問に対する関連のお答えでありますが、なるほど積み残しは年末一番繁忙期には出ることはございます。しかしこれは大阪とか京都とかいうところの始発駅の積み残しではないのであります。大阪の駅で、たとえば下り列車上り列車、あるいは京都の駅で、上り下り始発列車が出るときには積み残しはございませんが、これが途中の大津の駅だとか、あるいは下りの姫路の方面に向いましたときには、始発のときに一ぱい積んでおりますので、そういう中間の駅では若干積み残しが出て参ることがございます。そういう点は、その次の列車とかなんとかいうことで、便宜とりはからつておるわけでありますが、少くとも大阪駅、京都駅というような始発列車が出る駅では、積み残しというものは出て参りません。  それから今まで、現在、過去ともに荷物愛護運動というものを当局側がしたか、こういう御質問でありますが、これはなるほどいたしております。当局側は過去において、手荷物掛があるいは車から手かぎを使わないで、荷物自分の手で運ぶということをやりましたし、あるいは荷物の損壊その他紛失というようなことを防ぐために、一一現品と対照してチエツケするというような意味では、荷物愛護運動というものをいたしておりますが、荷物積載判定――これが満載であるかないかという判定は、少くとも今の輸送力状況から申しますと、できるだけ荷物のいたまない限度満載する。しかもあの月光列車は、三百個や四百個の荷物では、満載という状況にわれわれは観念いたしておりません。規則からいいますと、荷物車満載限度は、荷物荷重トン数荷物車重量トン数、これで一応は押えられておりまして、これが大体十二トンから十四トンであります。それから言うと、現在の小荷物手荷物平均が十七キロでありますから、三百、四百では十二トン――十四トンということにはならぬと思います。ただ、これは説明がいるのですが、かさが大きくて軽い荷物と、かさが小さくて重い荷物と、いろいろ荷物には種類があります。大体東京―大阪間の荷物車は、六百満載というときには、通路が明いて天井両側がふさかるというのが私たち常識であります。
  16. 楯兼次郎

    楯委員 今井上説明員は、京都だけなら積めてしまうとおつしやいましたが、やはりその列車に積み込もうとして待つておる駅を総合して考えなければ、はたしてそれで両数が適当なのかあるいは不足するのかという見当は出て来ないと思います。そういう観点から私はお伺いしておるのであつて、当然旅客列車には定員だけ乗せるのが正規の輸送であるにもかかわらず、今日では統計を見ますと三倍のお客さんが乗つておる。それは違法であるが、常識として通つておるそういう観念をこの荷物にも当てはめて解釈をしているのではないか、こういうように私どもは予想をされるわけであります。そういう観点から私は質問をしておるのでありまして、私の察知するところでは、この荷物に対する輸送両数が足らない、そういう声が、特に年末あたりには各駅から起つておるのではないか。こういう点を御質問申し上げておるので、こういう点はどうでしようか。それで各関係の駅が満足しておるかどうか、この点も伺いたい。
  17. 井上正忠

    井上説明員 お説の通り、荷物の絶対量は、国鉄全体から見まして、十分過ぎるというお答えにはならないと思います。ただ、今の大阪の局全体で見ますと、少くとも大阪とかいうような局は、貨車の代用でそういう輸送力の補いを受けることもできますけれども、その荷物車をひねり出して、しかも途中駅の積み残しができるのではないかという御質問であります。われわれ普通の荷物なりお客さんの輸送状況から申しますと、たとえば大阪から東京に行く列車にいたしましても、全部の荷物が東京に行くわけではないのでありまして、途中で、岐阜でも名古屋でも荷物は若干おります。こういう点から見ますと、一番荷物繁忙期におきましては、少くとも大阪なり京都なりという始発の駅は、荷物満載するようなかつこうになる。同時に、その荷物満載して発車いたしませんと、荷物のため場所がないために、大阪駅、京都駅あるいは東京駅も同じでありますが、そういうところで今度は外から来る荷物を拒絶しなければならぬ。そういうことで、一応そういう大きな始発駅においては、できるだけそういう方法をとつております。
  18. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 事実問題について、組合側にお尋ねしたい。今井上説明員は、京都の駅では五十個積んだという話でありました。組合側の資料によりますと、京都では、車掌満載の通告をしたので積込みを行わなかつたという資料が出ておりますが、どちらが事実であるか、お尋ねいたしたい。
  19. 横手眞夫

    横手参考人 私の方で闘争委員現地に派遣をしておりまして、その報告によりますと、当時月光については、荷物を積み込むことなく、そのまま発車をしたということになつております。そういう点を御報告したわけであります。
  20. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今当局側組合側からの発言を聞かれたと思いますが、組合の方では、月光には京都では積まなかつた、こういう報告をしておりますが、あなたの方はどういう判断でございますか。
  21. 井上正忠

    井上説明員 京都から積んでおります。
  22. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは事実の違いですから、再度調べてお答え願いたいと思います。  次にお尋ねいたしたいのは、何か今までのお話によりますと、この紛争は、佐藤という人がピケ破りを連れて来て、そして手押車の上に乗つかつて、どんどん荷物をほうり込んだというところに、むしろこの紛争が起つておる。普通の状態で行きますと、荷扱い専務にただしておる、こういう状態でありますから、それが一分ぐらいかかりましても、それはいかぬ、あるいはさらに積み込め、こういうような指示がありますと、おそらく積み込んだと思う。ところが、そういう話合いの中にピケ破りが来て荷物をほうり込んだというところに紛争が起つておる。むしろ当局側が紛争をさせておる。私はこういうように把握するのですが、それに対して当局並びに組合側から意見をお聞きいたしたいと思います。
  23. 井上正忠

    井上説明員 当日は、お昼からずつと四十人ぐらいの常設行動隊がホームにいまして、上り列車に対しましては、荷物積込み愛護運動と称しまして、荷物積込みに対してはいろいろトラブルが起つてつたのであります。月光という列車は、当日の東京方面に参ります最後の列車でございます。先ほど組合側参考人の方からお話がありましたが、月光に始まつて当局側が荷場物を積み出したからかけつけたんだ、こういうことは、私たちはそうは考えておりません。行動隊の方が四十名近くずつとがんばつて、とうとう月光にまで至つた、こういう情勢でございます。それから今御指摘のように、佐藤という男は確かにその場におりました。これは職掌柄全般に対する一つの監督的な立場にありますので、職掌柄おるべきであつたと私は思います。  それから荷物に足をかけたというお話でありますが、結局現実の姿としては、われわれはこの月光に対して所定の荷物を積まなければならぬというときに、荷物の入口に立つて、いろいろ妨害行為が行われたわけであります。当局といたしましては、その妨害を排除して、少くとも荷物を所定の列車に積み込む、これが私たちは正当な行為だと思いましたので、荷物積込みに対しては、ある程度の積込み行つた、こういう姿でございます。
  24. 横山利秋

    横山参考人 中央闘争委員会が、荷物愛護運動をやるということを明確に把握していただくために、どういうことを指令の中に入れたかというお話を、まず私からいたしたいと思います。三つにわかれておりまして、一つは、荷物の積みおろしの場合、投げおろし、投げ積みの禁止でございます。第二番は、荷物積載制限であります。これは規程に一メートル八〇という線が出ておりますから、その通りにやれというのが第二番目であります。第三番目は、荷物の事故防止、荷物の誤着を防ぐために、現品の完全な対照をやるということであります。この三つのことは、先ほど御質問が出ましたように、過去の当局側荷物愛護運動で必ず出ていた項目でございます。従いまして、私どものこういうふうにやりなさいという指令は、形をかえてやれば、何月何日当局の指令した荷物愛護運動の通りにやれと言つても、何ら不思議のない内容でございます。特に荷物積載制限を私どもが二つ目に入れましたのは、去年の春のことでございましたが、高崎線で六〇一列車荷物をたくさん積みまして、車掌さんのところまで荷物満載いたしましたために、荷物車で火事が起きたことを皆さんは新聞で御記憶でございましよう。その際にも、積載制限のことが、東京鉄道局で、ずいぶんやかましく取上げられまして、この火災予防のためにも積載制限は厳重にしなければならぬと言われたものでございます。そういう過程でありますから、私どものこの三つのことは、全国的に当然のこととして、現場長としても受入れられたのであります。組合の三つの項目については、文句の言いようがないという状態であります。ですから、円滑に行われたのであります。  しからば、何がゆえに月光事件が発生したか。ほかの方でも同じように行われておりながら、なぜ大阪だけこの問題が表面に上つてつたのかということについて、私どもふしぎに思わざるを得なかつたのであります。そこで、組合側として実情を調査いたしましたところ、先ほど横手参考人から申し上げましたように、一人の当局側の人が、まつたホームのまん中に立ちふさがつて、堂々たる指揮をしたといいますか、組合側ピケ破りのやり方をしたために、一層不必要な混乱が起つた、こういうふうに私どもとしても判断をいたしておるところであります。
  25. 赤松勇

    赤松委員長 黒澤幸一君。
  26. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 ただいま月光事件荷物積込み状況を聞いてみますと、積込み荷物の数が約三百五十個あつた、そのうち積み込んだのが三百九個。そうしますと、残りが四十一個ということになるのでありますが、この四十一個は、その後どういうふうな積込みの処置をとりましたか、その点をお聞きしたいと思います。
  27. 井上正忠

    井上説明員 それは翌日にまわしました。荷物がわれわれが考えました所定の列車に載せられなかつたので、結局翌日まわしということになりました。
  28. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 この月光の発車時間と、ただいまお答えになりました積残りの荷物を積んだ列車の時刻は何時でございますか。
  29. 井上正忠

    井上説明員 ちよつと御質問意味がよくわからないのですが、あれはおそらく翌日の朝の急行に積んだと思います。
  30. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 朝何時の……。
  31. 井上正忠

    井上説明員 朝急行はたくさんございます。但し、その急行は大阪始発でございませんで、門司の方から参りますので、これは二百も三百も積める列車でございませんので、一ぺんに四十個の荷物を積みましたか、あるいは二つぐらいの急行に積みましたか、とにかく翌日の一番初めに積んだと思います。
  32. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 いずれにいたしましても、月光に積み残つた荷物が積まれたのは翌朝でありますから、その間に大した時間はかからなかつたと思うのでありまして、そのことが正常な運営を阻害したというふうには、われわれにはとれないのでありますが、その点につきまして、それほど正常な運営が阻害されたとお考えになるかどうか。
  33. 井上正忠

    井上説明員 われわれとしまして、正当に積み込むべき荷物を、妨害によりまして積めなかつた、こういうところに一つ問題がございます。それから、先ほど申しましたように、月光では一番トラブルが起つたのでありますが、当日は、そのほかの朝からの列車に、ずつと引続き同じ方法の愛護運動が行われておりましたので、そういう列車の積み残しを計算いたしますと、相当な数になるわけであります。
  34. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 結局私の常識から考えますならば、月光にたくさん荷物を積めば、その後の駅においての積込みができなくなるということでありまして、全体から見れば正常な運営が阻害されていないというふうにわれわれは考えるのであります。ことに公労法の十七条から見ますならば、正常な運営が阻害されたということは、反面におきましていわゆる公共の福祉に反した、そのために重大な迷惑をかけておるということと相対的に考えなければ、ただ国鉄内部においての荷物が若干積込みができなかつたとか、残つたとかいうことによつて、このことをもつて公労法の適用をすることは、われわれは非常に不当ではないかと考えておるのであります。ことにただいまお聞きしますと、佐藤というものが非常に乱暴なやり方をして荷物を積み込んだ、そういうようなことが許されるのであるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  35. 井上正忠

    井上説明員 当日各列車の積残しは、総計において二十五日一日で四百五十三個が、上りにおいて積込み不能になつたわけでありまして、われわれといたしましては、正常な運営が阻害された、こう見ております。  それから、佐藤というものが乱暴なということは、私たちはそう考えておりませんで、佐藤というものは、職名を申しますと駐在運輸長付という職名であります。駐在運輸長付というのは、現場輸送に関する総監督であります考のスタツフであります。この佐藤というものの仕事は、荷物にいたしましても、お客さんにいたしましても、正常な運営を確保する、これの監督的な立場にある者であります。こういうことでありまして、佐藤が行いました行為は、荷物の正常な積載を行うという意図に出た行為であります。
  36. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 その点は当局組合の陳述が違つておるのでありまして、われわれはそれのどちらが真なるかわかりませんけれども当局はそうした報告を、現地のどなたからお聞きになつてそうお考えになつているのか、その点をお伺いしたい。
  37. 井上正忠

    井上説明員 当時は局のその担当の課長も現場で見ております。それから大阪駅の伊藤という首席助役が業務の責任上立ち会つております。それから小術物主任、これも業務監督上立ち会つております。
  38. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員 当局と所属組合側の両方の陳述をお願いいたしたいのでありますが、ただいまの月光の積残りの件に関連しまして、当日は組合側におきましては、遵法闘争が行われておつたのでございます。この積込みに対しまして、最初から妨害的行為があつたのか、ある程度までの積込みに対しましては、両方とも何らトラブルが起らなかつたのかということを、まず一点お伺いしたいと思います。
  39. 横手眞夫

    横手参考人 当日いろいろ交渉もいたしましたし、そのときの話合いによつて統制をわれわれが行つてやる。従つてホームにみだりに組合員が上つたりなにかすることは避けるということは、委員長がちやんと申しておるのであります。従つて当日は青年部の行動隊が出ておりましたが、現地を見ていただけばわかりますが、荷物をあげるエレベーターのすみに隠す――隠すというか、ホームの正面には出ないように退去せしめておつたのであります。それから先ほど言われました荷物車の入口に立つて妨害をやつた佐藤という人間が強引にやつたということを言われておりますが、当初からこういう人たち荷物車の前に立つてつたのではなくて、われわれが佐藤という人間に、こうこうこうだからしばらく待つてくれ、荷物を投げればけがをする、荷物がくずれるからということを、われわれの方でお願いしても聞かない、強引にやり出した。しかも私たちの方の岡闘争委員というのは、顔に荷物をぶつけられて倒れたという事態が起つたので、青年行動隊の者が出て強引にやるというのをとめたというのが、現地の姿であります。井上説明員も、報告に基いてやられたと言われておりますが、これも、梅田信号所の問題についても、報告に基いて的確に間違いないということで報告された。ところが、現地を労働委員会人たち調査して現地の人に聞いてみると、現場長は何も知らないという事情が、その間に明らかになりました。月光事件についても、井上説明員自身は全然現地にもおらないし、あるいは労務担当の責任者もおらぬというので、現地事情が非常に歪曲をされて報告されておる。私は実際大阪鉄道局長がどういう報告をもらつたか、あるいはその報告に基いて中央にどういう報告をなされたかということを、私の方としては実際つまびらかに見たいということまでも考えておるのであります。  それからいま一つは、初めからそういう妨害行為をしたのではなくて、しかも私たちの主張としては、満載だから積んではけしからぬというてやつたのではなくて、満載かどうかということは、シヤツ一枚になつて汗みどろになつている荷扱手が、これ以上積まれては困るということを私たちに言うた。従つて、それでは専務に聞いてみようというので、小荷物主任にも立ち会せようとした。その間一分か二分を待たずに、佐藤というのが機を逸せずして荷物のあるものをとつて投げつけたというのが実際の姿です。それから先ほど私が写真を見せましたが、それはそのあとです。そのあと、今度は自分荷物車の上に事実上つてしまつて、そうして投げつけたわけです。しかもその間に職制の力をもつて、駅の小荷物掛荷扱手、これに対して佐藤は威嚇的に、積むのだ積むのだということをやつた。ところが、荷扱手は積まない。積まないので、遂に自分の手で荷物を持つて投げつけたというのが現地の姿であります。私は現地におりましたし、現地事情は十分知つております。従つて満載であるから積んではけしからぬ、満載だからこれ以上積むべからずというので、満載のみでやつたのではなくて、私たちは、専務がまだ満載ではない、積めるというならば、荷物積込みを続行するという意図であつたわけであります。その前に藤佐というのが、強引にやろうとして荷物を投げつけて、荷物の繩がくずれたりする。しかも、この中にもいろいろ書いてありますが、荷物の上に大の男が二、三人上れば、木で荷造りした小箱がこわれるのはあたりまえだ。大衆の前で当局責任者がそういう姿を見せることが、はたして荷物愛護しておるか、安全に輸送しておるかということは非常に私は問題だと思います。そういう点を私たちは申し上げておるわけであります。
  40. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 佐藤は非常に乱暴な積み込みをしたのではないかということをお尋ねしたのでありますが、それに対して当局側は乱暴な積込みはしないという御答弁でありました。ただいま組合参考人のお話を聞きますと、非常な乱暴なやり方をした。ことにただいま写真を持つておいでになるということでありますが、その写真には、佐藤荷物の上に乗つてがんばつている。こういうやり方に対しては、はたして乱暴ではない、正しい荷物積込みであるとお考えになるのかどうか、はつきり御答弁願いたいと思います。
  41. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員 当局にお尋ねしますが、大阪その他始発の大きな駅におきまして、いつも荷物を積むときに相当多量の荷物を積まれまして、その中で仕事をしている荷扱手であるとか、荷扱い専務車掌が中を通れないほど、天井一ぱいにまで荷物積載されているのでございます。そういう点につきまして、当局は、これは無理のないことである、当然のことであるとお考えになつているのかということを、まずお尋ねしたいと思います。
  42. 井上正忠

    井上説明員 始発駅におきまして数百個の荷物積み込みますときには、列車の時間がございませんので、一応ばら積みにいたします。それでありますから、皆さんがごらんになりますと、荷物はさも乱暴に積んであるようにごらんになるかもしれぬ。しかし列車に一応積み込みまして、今度は三人なり四人の荷扱い専務車掌あるいは荷扱手という専門家にゆだねまして、途中走つている間に整理いたすわけであります。これはたとえ話を申しますと、積木細工は一応きちんと箱の中に入つておりますが、積木細工をそのままばらに入れましたら、おそらくおもちや屋に包装してあるようにきちんと入らない。あれを並べまして初めて箱に入るわけであります。そういう点から、一応は三百なり四百個という荷物をあの狭い荷物車に入れますと、ばら積みで非常に乱雑に見えますが、整理いたしますと、まん中の通路があき、荷物の受入れの出入品がきちんと整理されるわけでございます。これは国鉄といたしまして従来とつて来たやり方でありまして、そのために荷物車の中に三人、四人という専門家を付しているわけであります。  それから先ほどの佐藤なる人物でございます。私の方もここに写真を持つて来ておりますが、結局手押車を荷物車のそばにくつつけたけれども、手押車と荷物車の出入口の間に人が立ちふさがりましたので、やむを得ず手押車の上に乗つて荷物の受渡しを車の中にしたということで、その本人の姿が車の上に乗つて、ず抜けて高く出ているようなかつこうに写真が写つております。荷物を損傷しようという意図で行つたのではございませんで、あくまで職掌柄、正常に荷物を積まないとあしたに持ち越すという一念から、この荷物を積み込んだことだと思います。
  43. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員 今の御説明によりますと、荷物は乱暴に積まれても、中に乗つている者が整理をするから通路もあいて来るというお話でございましたが、当日の月光荷扱い専務車掌が、これ以上積んでもらつては困るということを申し入れたという事実がございます。今日まで、中に乗つております荷扱手とかその他が相当苦心をして、積木を重ねたようにきちつとするということは考えられるのでございますが、当日の専務車掌の見解においては、これ以上品物を積めば、整理に困るという立場から申し出たものであると考えているのでございます。そういたしますと、常ならば荷物が乱雑に積まれて、無理はあつても無理を忍んで整理はされていると考えるのでございますが、争議その他の場合において、特に遵法闘争をやつている場合におきましては、無理な積載をするということにおいて、そこに無理が起つて来るのではないかと思うのです。そういうことで、組合側がこれを阻止したからといつて、解雇をするという理由にはならぬと思うのです。たとえば、通常の工場においても、違反をやつていることを従業員が知つていて黙つている。しかしながら何か問題が起つてそれを明らかにした、正直にそのまま言うたことによつて解雇せられたということと同じ結果だと考えているのでございます。少くとも列車の責任は車掌が持つている。客扱いにおいては客扱い専務、荷扱いにおいては荷扱い専務列車運行に対しては車掌が持つていると私は考えているのでございます。この列車荷物積載責任者である専務車掌が、これ以上荷物を積んでは整理上困ると言うことに応じて、組合側の者が荷物を積まれることを阻止したということを理由として当局が解雇せられることは、法治国家の国民として忍びがたいところであつて組合の諸君がこれを強く主張されるのは、当然であると考えているのでありますが、当局としては、どういう見解を持つておられますか。
  44. 井上正忠

    井上説明員 先ほどから荷扱いの専務車掌荷物の責任を持つているんだ、こういうお話であります。なるほど輸送中の責任は、荷扱い専務車掌が持つております。但し、積込み満載であるかどうかという判定になりますと、荷扱い専務車掌だけにまかせている姿ではないのでありまして、その点で当局側としましては、いろいろ規定をこしらえております。また通牒を常時出しているわけであります。しかも通例におきましては、車掌側から言わしめますれば、もうこれで満載だ、積めないと言いますし、駅側から申しますれば、ぜひともこれを積んでもらわないと、あしたに積み残しになるというので、とにかく悶着の起りやすい性質のものでありますので、荷物積込みにつきましては、その列車荷扱い専務車掌と駅の小荷物主任との大体納得といいますか、そこに一つの姿を求めているわけであります。当時の状況といたしましては、大阪駅としましては、ふだんの荷物の積み方からすれば、まだ積めるという判定を下しておりますし、車掌の方は――そう言つたか言わないか、私の方ははつきりいたしませんが、組合側車掌がもう満載だと言つたと称しますが、私は実はそれを肯定できないのでありますけれども、たとい車掌がこれを満載だと言いましても、駅側の方が通常のかつこうからまだ積めるじやないかと言うことに対して、駅側の方の主張もいれなければいけないと思います。これが争点でありますが、事実上京都の駅で積み込んでおりますので、そういう問題が一つあると思います。  それからこの問題で公労法十七条というお話でありますが、この問題は、先ほども申しましたように、正常なわれわれの業務運営の妨害でありますし、同時にいろいろトラブルもその点で起つたわけでありますが、われわれとしましては、この問題もあわせてと、こういうふうに考えているわけであります。
  45. 赤松勇

    赤松委員長 参考人は何か意見がありませんか。
  46. 横手眞夫

    横手参考人 今の荷物車掌が判定満載だということを言つても、駅側の荷物主任の方では、当時の状況としては、ふだんの状況からしてまだ積めるという主張が出たと言つておられますが、確かに私は出ると思います。それはなぜ出るかというと、列車積込み通路もとれないような形で積み込んでいるのがふだんの積込みだという判定を、実は小荷物主任がしておるわけです。だから、私はそういうものが出ると思う。厳格に満載の制限によつて一メートル八十という形で通路もあけて、現品対照も荷物のさばきもできるという防止対策が確実にとられる積載の姿としては、やはり運行中の荷物の責任は専務にあるわけです。小荷物主任というのは、とにかく残さないように積めばいいのです。ここに問題がある。従来の積込み状態からすれば、まだ積めるというわけです。小荷物主任は、とにかく輸送中における危険、荷主に渡るまでの事故、こういうことは抜きにして、残さずによけい積めば、その小荷物並任の業務実績は非常にプラスになるということをわれわれは聞いている。そういう指導方針を、いみじくも今の局長発言によつて私は知ることができた。たとい荷物を踏みつぶそうが、残さずに積むことが一番大切なことだということを言われている。これは私はサービスをする運輸上の問題として、非常に大きな問題だとわれわれは考える。そういう点において、ふだんの積込みはこういう状態だから積めるという主張で、これはふだんから何ぼでも天井に行くまで積んでおる、こういう姿です。月光事件までに四百何ぼも積み残しがあつたのじやないか。あたかも私たち暴力でやつたかのごとくに言つておりますが、荷扱い専務の、これ以上満載で積めないという主張によつて小荷物主任がみずから入口を締めて発車させている。月光でもそうです、小荷物主任がみずから発車をさせている。こういう点において、私たち現場の主張と当局側説明員の主張との間に、非常に大きな食い違いがあるわけです。ここで一つ明らかにしておきたいと思いますのは、私の先ほどの証言の中にもありましたが、荷扱い専務が、満載だということを実は言つておりません。これは中で荷物をさばく荷扱い者が――これは現実に中でシヤツ一枚になつてやるのです。この人が汗だくの中から、これ以上積んではならないということを言つたのであります。従つて、私たちは当時の話合いによつて荷扱い専務小荷物主任満載判定を下す、だからちよつと打合せをして来る、一分で済むじやないかということでやつている間に、強引に、何を言うかということで投げつけた、それで問題が起きたわけであります。
  47. 楯兼次郎

    楯委員 先ほどこの問題をとらえて、正常なる運営を阻害した、こういうようなことを言つているのでありますが、非常にけしからぬので、この問題は、この委員会で論議をしなくても、井上説明員がじきじき大阪に行つて、二、三日現場の実態を見れば、すぐ解決することだ。この前運輸委員会において、自由党の鈴木仙八君が、現在、国鉄は非常に込む線路には定員の二倍も三倍もお客さんを乗せている、あれは営業法違反だと言われた。営業法には定員を越えて乗車せしめた場合には、罰金云々ということが、現在でもうたわれているわけです。このことが問題になつて大笑いになつたわけでありますが、ちようどその問題をあなたの方から逆にわれわれの方に提起していると同じことであるというように、私は聞いておつたわけです。これは大阪の場合以外について見た場合ですが、職員が汗水たらして荷物やお客さんを詰め込んでおる。しかも、それをむずかしく言えば、あなた方の管理、運営の不手ぎわになりますが、なかなか文句も言えない。荷物積載の両数もふえていない。あなた方自身が正常なる運営を阻害しておる。だから、こんな論議で正常な運営云々ということを言われれば、私は幾らでも材料がある。あなた方に対して、正常なる運営を常に阻害している、こういうことを申し上げたい。私はこんなことで、正常な運営を阻害したがために公労法云々という根拠は、絶対に生れて来ない、こういうふうに考えるのであります。
  48. 島上善五郎

    島上善五郎君 先ほど組合書記長の言葉の中に、組合本部が指令した三項――投げ積み投げおろしをしないように、それから積載制限については規程に基いてやるように、荷物の事故防止をするようにというこの三点は、従来当局がやつて荷物愛護運動の内容とまつたく同一のものである。そしてこれについては文句の言いようのないもので現場長も受入れた、こういう証言がございましたが、この点に対しては、従来当局愛護運動でも、そういう三つあげられた内容を強調されておつたかどうかということを承りたい。
  49. 井上正忠

    井上説明員 荷物満載満載でないかということは、先ほどから再三申しましたように、規程並びに通牒の根拠、それから異例なときには、その当時の局の責任者の指示ということでやるのが当然とわれわれは考えおります。当時の状況としましては、荷物はまだ積める、こういう業務命令なり業務指示をわれわれとしては出したわけであります。それから今までの荷物愛護運動というものは、なるべくたくさんの荷物をていねいに早く正確に送る、こういう趣旨でやりましたので、荷物積載をなるべく少くして愛護しようということよりも、重点はできるだけ車を有効に使いまして、荷物もできるだけたくさん積む、同時に傷をつけないようにていねいに早く正確に送る、この趣旨でわれわれといたしましては数次にわたつて、しかも現場長の了解と申しますか、現場長とみな一体となりまして、仕事とその運動をやつてつたわけであります。
  50. 赤松勇

    赤松委員長 楯者に対する御答弁がありませんが、楯君はちよつと席をはずしておりますからあとで願います。
  51. 島上善五郎

    島上善五郎君 私がはつきり知りたいのは、組合が指令した三項目――荷物の投げ込み、投げおろしをしないように、積載制限については規程に基いてやるように、荷物の事故防止をするように、それからもう一つ積載制限の問題ですが、なるべくたくさん正確に迅速に運びたいということは当然であろうけれども、おのずから積載制限については規定があるはずです。ですから組合がその規定の通りにやるようにと、そういう意味の指令だつたと思います。つまり先ほど組合側から証言がございました本部の指令した三項――この三項については、私は当然であろうと思うが、当局においても文句の言いようのない内容のものであると認められるかどうか。従来当局行つた愛護運動の内容と同一のものである、こういうことを言われたので、そうであるかどうか伺いたい。
  52. 井上正忠

    井上説明員 荷物の投げおろしをしないようにとかいう点につきましては、われわれも同感であります。但し、三項の中に一つございますところの、一メートル八十を越えて云々ということが、結局荷物積載満載であるかどうかという判定基準だというふうに組合の方では一メートル八十の項目を出されたときに言われておるのであります。一メートル八十というのは、私の方で荷物満載限度だというふうには規定上考えておりません。荷物満載は別の規程で出て来るのでありまして、一応車掌列車の運行中に荷物の報告をいたします、そのときに全部通路をあけまして、出入口も積みおろしができるようあけて、きちんと整理して一メートル八十という高さの荷物が一応報告上満載、報告上一〇〇%、こういう一応の数字の標準にとつておるわけであります。満載というよりも、荷物車に容積として百パーセント積んでいるのだという標準として一メートル八十という数字を使つている規定がありますが、われわれの方で申します満載というものにつきましては、この一メートル八十というものには拘束されておりません。そういう報告の一つのめどというものに、一メートル八十という数字を使つているのにすぎないのです。
  53. 赤松勇

    赤松委員長 参考人の方で、何か意見がありますか。
  54. 横山利秋

    横山参考人 組合側としては、まことに困惑いたす御答弁なんです。私どもは、事情は一応よくわかつておりますからなんですけれども、初めてお聞きになりました先生方でも、井上説明員の今のお話は、けげんにお考えになるだろうと思う。ことに先ほど私が申しました高崎線の荷物車から火災が出ました。これは車掌のおるところにも荷物を積んでしまいまして、そして車掌の携帯用のコンロから、そばの荷物に引火したという事件であります。これは裁判にかかつておりますが、裁判の過程におきましても、この積載制限というものが、実に問題になつて来るわけです。かりに井上説明員のおつしやつたことを了といたしましたところで、報告が一メートル八十、これが百パーセントである。そうして荷物愛護しろということになれば、従業員としては一メートル八十という規定を考えてやるのは当然でありまして、一メートル八十は百パーセントである。しかしもつと積んでもよろしいということは、労働するわれわれにとつては、まことに奇怪な御答弁だと思わざるを得ません。
  55. 島上善五郎

    島上善五郎君 それから満載であつたか、なかつたかという判断が、非常に問題だと思いますが、先ほど組合側の証言の中に、事件の起つた月光満載判断については、事前に当局話合いがついておつた。私がさつき聞いたところでは、満載判断については、荷扱い主任と荷扱い専務とが打合せして、これが満載である、いや満載でないという判断をする、そういう扱いをすることを事前に組合当局において話合いがついておつた、こういうふうに聞きましたが、その通りであるかどうかということを、組合側当局側から承ります。
  56. 井上正忠

    井上説明員 専務車掌小荷物主任との間では、満載である判断はいたしておりません。それから、たとい満載であるという判断にいたしましても、あの異例な場合におきましては、局の指示を出すべき人がその場におりまして、その局の指示というものに一応従わなければならない、こういうことであります。
  57. 横手眞夫

    横手参考人 十一月二十六日の午後だつたと思います。団体交渉を持ちまして、満載判断については、組合が出すということもおかしいという当局の意思表示もありました。それはそのときの話合いでありますが、結論としては、荷扱い専務とそれから小荷物主任が、満載のことについて話合いをして判断を下すということになつたわけでございます。それは二十六日の午後、団体交渉で私の方の委員長出席して、当局責任者も出てそういうとりきめをしたのであります。従いまして、当時月光事件では、私は何度も申し上げておりますが、組合満載判断を下して拒否をしたということではないのであります。これはその当時、荷扱い専務車掌室におりまして伝票の整理をいたしておりまして、積込みをされておるときには現地におらなかつた。おもに荷扱手三名がシヤツ一枚になつて汗みどろになつて働いておつた。それで荷扱手は、これ以上積んではかないまへんわと言われた。それで闘争委員が、小荷物主任荷扱い専務話合いをして適当に判断してくれということを言つた。その間に、そういう話合いをしておりながら、この団体交渉に出ておらない佐藤という男が、突然荷物をぽんとやり出した。今の局長の話のように、そういう話合いはしておつても、そのときの責任者現地におりながら、その当時の特殊事情として、話合いを越えて別の指示をやることができるということであれば、円満に解求したいための団体交渉の権威はどこにあるか。少くとも交渉に出られた方は、局長の代理として交渉に出ておる。それが一運輸長付の業務担当官が出て来てやつた。それは異例の措置としてよろしいということになれば、これは非常に問題だと思う。
  58. 島上善五郎

    島上善五郎君 今の当局側の証言は、私の質問の焦点からはずれている。今組合側が言われたように、団体交渉によつて満載であるかないかという判断をすることが事前に話合いがついておつたということが、組合側から明らかに証明されたわけです。団体交渉によつてそういう話合いがついておれば、その通りやれば問題が起らなかつたはずですが、その事実を私は聞いている。小荷物主任と専務車掌打合せて納得の行く際に、これが満載である、あるいは満載でないという判断をすることを、団体交渉によつて組合当局が事前にすでに話合いがついておつたということが、組合側から明らかにされておりますから、それが事実であるかどうかということを、私はさつきから聞いておるの、です。
  59. 井上正忠

    井上説明員 あくまで満載判断当局側判断であります。そういう意味で、前もつての団体交渉はありましても、組合当局側が、その団体交渉の席上で納得ずくの満載の定義を下すはずはないと思いますし、またそれをしてはおりません。
  60. 島上善五郎

    島上善五郎君 団体交渉で満載判断をするのではなくて、団体交渉で、満載判断をするにはこういうふうにしよう、こういう扱いをしようということをきめられたらどうか。今組合では、きめられたと言つておるのですから、もしそうだとすれば、現場においても、団体交渉できめられた扱い方によつて判断をすれば、何ら問題は起らなかつた。すなわち、先ほど言つておるように、小荷物主任と専務車掌打合せをする間に一分もかからない。打合せをする間ちよつと待つてくれということを組合が申し入れた。そのことは、つまり団体交渉によつて事前にそういう取扱いをしようということを、当局側との間に話合いがついておつた。ついておつた方法によつてやろう、だから小荷物主任と専務車掌打合せする間ちよつと待つてくれ、一分もかからないと言つておる間に、佐藤という男が出て来て乱暴を働いた。そこに問題があるからそれを私は聞いておる。
  61. 井上正忠

    井上説明員 今のようなお話は、当局としては考えられません。
  62. 島上善五郎

    島上善五郎君 考えられませんじやないのです。そういう事実があつたかどうかということなんです。――それでは組合側にもう一ぺん伺いますが、その事実を立証する記録的なものがあるかどうか。
  63. 横手眞夫

    横手参考人 私の方では時の団体交渉の速記録を実はとつてあります。明らかにその点は、問題を来さないように、むしろ当局の方からそういう話合いを持つて来られた。しかも当局が言われるのは、組合満載判定を下してやるということについては異議があるということから出て来て、それでは当時の列車責任者としては荷扱い専務小荷物主任ということは、先ほど井上説明員説明の中にもあります。駅の方としては、荷物をたくさん積み込みたいという主張、それから荷扱い専務としては運行上の問題で、つまり制限を一ぱいにしたいという点で、当事者としては、荷扱い専務とか荷物主任が満載判定をするということのとりきめを実はやつておるわけであります。これはいつ何どきでも明らかにする証拠を、私どもは持つております。
  64. 赤松勇

    赤松委員長 その事実認定について質問されておると思うのですが、今組合側から団交の議事録があるということですから、おそらく当局側にも団交の議事録があると思いますが、両者からそれを提出してもらうように要求なさいますか――では両者の方から、そのときの団交の議事録をひとつ御提出願います。  楯兼次郎君。
  65. 楯兼次郎

    楯委員 先ほどから黒澤委員とあなたの質疑応答を聞いておりますと、それなるがゆえに正常な運営を阻害した、こういうことを言われるわけですが、それは間違つてはおりませんかということを、私は質問をしたわけです。といいますのは、これは笑い話になつたのでありますが、過日鉄道会館が問題になりましたときに、国鉄には鉄道営業法というものが現存しておる。しかも定員を越えて旅客を乗せた場合には、当然営業法によつて管理者に罰則の適用があるわけです。それを、今度はあなた方が逆に利用して、今組合にぶつけておるという状態である。もつと簡単に言いますると、線区によつて違いますが、ところによつて荷物積載といい、旅客の輸送といい、これは正常ならざる状態であるということです。この荷物の取扱いについて正常なる運営を阻害したというならば、日本全国の相当な箇所に起きておるところの正常ならざる状態の責任は、当然あなた方にあるのではないか、こういうことを私が質問したわけです。この点について、どうですか。
  66. 井上正忠

    井上説明員 少くとも荷物愛護運動のあの当時の状況といたしまして、正常な輸送方法で持つて参りますれば、あの荷物の積み残しというものは、十一月の中旬の実績から見ましても、いろいろな点から見ましても、起り得なかつたわけであります。そういう点から、あの積み残しの起つた結果は、まさしく組合側のあの闘争手段がなければ起り得なかつたということから、正常なる運営が妨害せられたわけであります。
  67. 楯兼次郎

    楯委員 大阪以外の、たとえば東京の都市の周辺の状態はどうなんですか、私はそういうことを聞いておるんです。  いま一つ大阪々々と言われますが、大阪で積み込めば、やはり途中の停車駅では、これは調べてみなければどのくらい残るかということことはわかりませんが、それだけよその駅で積み残しが出て来なければならない。だから、総体的に月光列車全体から見れば、そういう理論は成り立たぬじやないか、こういうことを私は言うのです。
  68. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 公労法第十七条がきめておるのは、職員に対して争議行為を禁止しておるというところに問題があるわけでありまして、正常な業務運営阻害というものも、争議行為として行われるからいかぬということなのであります。それで先ほど組合側参考人発言中にもありましたが、荷物愛護運動で取上げておる三つの項目というものは、確かに当局側もこれこそ正常な業務の運営方法として、いろいろな指示をする場合にも言つておる項目であることは間違いございませんが、そういう二、三の項目を取上げて、それを争議行為の手段として、正当な指揮命令の権限のある者のさしずというようなものを排除して、争議行為としてそういうことが行われるというところに問題があるわけでございまして、類似の状態というものは、それは国鉄全体の輸送状況というものを見れば、いろいろ季節的にも、輸送繁忙なときもあれば閑散なときもあるということは、よく御存じの通りでございまして、問題の要点は、職員は争議行為をやつてはならぬということになつておるのに、二、三の題目を取上げて、いかにもそれが合法であり、いかにも正しいことであるかのごとく装うて、実際は正当な指揮命令の系統というものを無視したり、黙殺したりして、そうして結集において、本来であれは当然運ばるべき荷物を積めないように残したり、あるいはきまつた時間に出られるはずの列車を出られないようにしたり、そういうところに私はいかぬ点があるのだというふうに考えております。
  69. 楯兼次郎

    楯委員 話は元へもどるわけでありますが、そういうことをさせたのは、先ほどからの組合とあなたの方の応答を聞いておれば、あなた方の方の佐藤という人が中心となつてつておる、こういうふうにしか、いくら好意的に解釈しても私たちには受取れない。この問題については、今島上委員とあなたの方の質疑応答で、当時の交渉記録が提示されますので、そのときになつてからまた振出しにもどすことととして、保留をいたしておきますが、あなたの今の回答では、私どもは納得が行かない。しかも私の質問の焦点をはずしてそこへ持つて行かれるという点についても、どうも私は不可解であります。
  70. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 この際動議を提出いたします。月光事件につきましては、先ほど多賀谷委員が指摘いたしましたように、佐藤という人が飛び出して来たのが、非常なトラブルが起きて来た大きな原因ではないかと思われるのであります。それで佐藤治郎君及び青山義で君を参考人として招致いたしまして、事情を聞きたいと思うのでありますが、適当に委員長の方でおとりはからい願いたいと思います。
  71. 赤松勇

    赤松委員長 ただいまの黒澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 赤松勇

    赤松委員長 それではさよう決します。  井堀繁雄君。
  73. 井堀繁雄

    ○井堀委員 ただいまの事実問題に対する質疑応答の中で、やや明らかになつて来たと思うのでありますが、荷物愛護もしくは運転の保全といつたような日常業務に関する問題で、それぞれ見解が異なつたり、あるいは扱い方に対する見方の相違から問題があることはやむを得ぬことだと、われわれも日ごろから国鉄の事業の実態からそう判断をいたしておつたのであります。たまたま問題は、仲裁裁定をめぐつて、労働組合と国鉄当局の間に十分な了解が遂げられていないところに、この種の問題が取上げられておると思うのであります。そこで、このいきさつについて明確にいたしておきたいと思いますのは、荷物愛護するといえども、今もたまたま論議されておりますように、国鉄一本で統制をし、その指揮命令のもとにきちようめんに処理できる事業でないことは当然であると思う。従つてよその仕事を担任いたします職員自身の自由裁量なり良識というものが、業務運営の上にきわめて重大な事柄になることは明らかであります。そこで、それが良識の範囲内である、あるいはその自由裁量というものが、社会全体から考えて正しい行為であつたかどうかという問題が、もし紛争の中に持ち込まれるというようなことになりますと、これは非常に難解なものになつて来ると思う。そこでこの機会に、この核心について当局の明確な見解を伺つておきたいと思うのでありますが、今吾孫子局長の答弁によりますと、争議行為であると前提したようであります。総裁に前の委員会で私がお尋ねいたしました際には、同盟罷業、怠業のほかにそれに類似する行為という三つに法律が規定している中で、最後のものをさしたようであります。このことを私がお尋ねいたしましたのは、すなわちここで明らかにいたしたいと思う理由の一つであります。今まで事実問題として――それは私は労働組合側の見解と当局の見解が、一致するものもあるかもしれませんが、大部分は一致困難な問題であるとわれわれは判断することができると思う。そこで公労法の十七条の解釈上の問題になつて来るわけであります。もし当局が日常の業務に関係して、当局とその当事者である――この場合は組合員になりますが、職員自分の良識で正しいと思つたことが、ここに紛争が起きているからということ、あるいは労働組合が指令をいたしているからということの理由を求めて、十七条にひつかけて首を切るということになりますと、言うまでもなく、労働争議の定義からいたしますならば、当局がストライキを買つて出たことになる。いまさらストライキの説明をするまでもありませんが、争議というものは、一方的に発生するものではないのであります。鐘と撞木の間が鳴るという言葉がありますように、ストライキというものは、鐘がみずから音を発するものでもなく、撞木が鳴ろうはずがないのであります。撞木と鐘がぶつついた刹那に発生するものであります。労働争議もこれと同様に、雇い主と労働組合の間に意見の調整がとれない際に、公企労法の建前から行きますならば、苦情処理委員会にかけ、あるいは団体交渉に持ち込み、あるいは調停や仲裁という制度が設けられておりますのは、そういうストライキの発生をこの機関で防止しようというところにあることは、いまさら説明するまでもないのであります。しかるにこの四つの機関のうち、苦情処理委員会にかけられたかどうか、あるいは団体交渉においてこの問題が妥結できなかつたというならば、その交渉がまつたく見込みがないのかどうか。見込みがあるとするならば、あくまで交渉に努力され、どちら側からも交渉によつてこの問題が解決つかぬというならば、仲裁、調停の機関は、必ずしも経済上の問題だけではなくて、この種の問題についても、その委員会の意思を聞くということがあつてしかるべきだと思う。こういう点について、私ははつきりこの際総裁の見解を伺つておきたいと思います。まず第一に事実問題については、苦情処理、委員会におかけになつたかならぬか、またかけるべきことを命じたか命じないか。次に、団体交渉に総裁は臨まれて、この種の問題に対する解決に努力されたかどうか。あるいは仲裁委員会、調停委員会にこの種のことについて相談をかけられたかどうか、この四つの点について明快なる見解を、さらに行為の事実についてお答え願いたいと思います。
  74. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 この十八条による解雇は、十八条にございますように、一切の権利を失い解雇されるということになつております。それから苦情処理その他の問題につきましては、これは日本国有鉄道法三十一条だつたかと思いますが、懲戒につきましては、団体交渉によつて異議の申立て、弁明等の機会を与えるというようなことになつている次第であります。
  75. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私のお尋ねしておりますのは、苦情処理委員会についてはこう規定してあります。第十九条に「日常の作業条件から起る職員の苦情を適当に解決しなければならない。」と規定してあるわけでありますから、今討議されております内容の中で、事実問題に対して食い違いがあるならば、その原因がどこにあるかということを、一方的に判断しないで、一応苦情処理委員会にかけて、これはここで扱うべきものじやないということがきまつたら、あるいはそれを団体交渉に移すなり、あるいはその他の方法に移すなりするのが、この公労法の命ずる精神である。苦情処理委員会にそのことをかけたことがあるかないか、かけるべく命じたか命じないかということをまず伺いましよう。
  76. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 前の職員局長から答弁させます。
  77. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまお尋ねの点でございますが、実はこの間行われましたような行為が、争議行為として行われなかつた、争議行為と関係なかつたことといたしますれば、当然懲戒免職もしくは懲戒処分の対象になるべき事実であつたろうと思いますが、その場合には、実は公労法に基きまして、懲戒の手続に関する労働協約というのを締結いたしておるわけでございます。従いまして、懲戒の処分ということで、もし処分を行うものといたしますれば、労働協約に従いまして、当然その異議の申立ても認めますし、弁護の措置も認めるというような建前になつております。ただ今回の処分は、公労法の争議行為禁止の条里に違反して行われた行動であるということは、組合側参考人説明の中にも、中闘の指令に基いてこういうようなことを行つたのだ。その指令というのは、申すまでもなく年末の闘争の指令でありまして、争議行為であることは明らかであると思います。そこにこういう事実が発生した。その事実の発生については、当局としては十分な確信を持つているようなわけでございまして、そういう事実があれば、先ほど総裁も申し上げましたように、一切の権利を失つて、かつ解雇されるものとするというふうに書いてございまして、いわゆる懲戒とは違いますので、苦情処理手続というようなものにかけるというようなことは、いたしておらなかつたわけでございます。
  78. 井堀繁雄

    ○井堀委員 それではこの機会に参考人にお尋ねをいたしたいのでありますが、今御答弁がありましたように、ストライキの指令をなさつたことがあるかないか。それと、指令という内容はストライキに該当する指令であつたかどうかを伺います。
  79. 横山利秋

    横山参考人 毛頭ございません。
  80. 井堀繁雄

    ○井堀委員 ただいま参考人から明確な御答弁がありましたように、その指令は、ここにあります十七条の争議行為の指令でないと主張されておりますが、当局はどういう根拠に基いて、それが争議行為の指令であると判定されたかについて、明確にされたい。
  81. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 中闘の指令は、全然争議行為でもなんでもない指令だという参考人のお話でございますが、昨年末行われましたいわゆる闘争が、これが仲裁裁定の完全実施あるいは年末手当の支給という要求を貫徹するための手段として、全官公労を横に連ねてスケジユールを立てて、闘争方針に基いて行われたのでありまして、行われたことによつて非常に業務の運営が阻害された事実が発生したということは、前にも申し上げた通りでございます。しかし、こういうようにただ抽象的に申し上げても、十分なお答えにならないかと思いますから、例を休暇闘争にとつて申し上げたいと思いますが、休暇闘争ということも、説明の仕方によつては、職員はめいめい休暇を要求する権利を持つておる、その休暇を要求する権利をたまたま大勢の人が、同じ時期に要求しただけなんだ。こういう説明をすれば、それはなるほど争議行為でもなんでもないという弁明もできるかもしれません。しかし、実際に行われた休暇闘争は、闘争指令を見てもわかるのでありますが、単に職員が個個に持つている休暇を要求して休むというのではないのであつて、三割休暇なら三割休暇という看板をあげたときには三割の物が出動できないようにさせようという出勤阻止の指令であります。そして出勤阻止のために、その指令を実施する方法としては、厳重なピケツトを張るという方法をとつておるわけであります。その結果大勢の者が出勤できない――もちろん場所によつては、どろまみれになつてでもピケを突破して、勤務場所に出勤したところもありますが、全体として見た場合には、数百本の列車が運休になつたり、遅延をしたりしたという結果を発生しておるのであります。そのことが要求貫徹の手段として行われたということから考えましても、もしこれが争議行為でないというということが成り立つといたしますれば、それは手分に常識と違つた判断ということになるのではなかろうかと考えております。
  82. 井堀繁雄

    ○井堀委員 吾孫子局長からストライキの定義を伺つて驚いた。十七条の争議行為の定義は、今の御説明では、もちろんわれわれの見解とはなはだ相違することは言うまでもありませんが、そのことを今ここで争おうとは思いません、ただ事実問題を明らかにいたしたいのであります。今指摘されましたように、労働組合の方では、十七条の規定に抵触するような指令をしたことはないという御答弁がございました。それが相違があれば、あとでお答えを願いますが、その必要はないのじやないかと思うので、質問を続けます。  組合側は争議行為を指令していないというが、当局では、その指令は争議行為であると断定されておるわけです。これは非常に重大な事柄だと思う。しかも、それが私企業ではありません。国家の大きな予算を背景にし、国民全体の公益に奉仕しなければならぬ事業の責任者が――局長の見解と、総裁の見解とは、同一であると私い思いますが、総裁はそういう指令一本を見て、それが争議行為だと判定したとしても、その場合に、いきなり十八条によつて解雇を考えるという考え方が、その当時にあつたかどうかをこの際伺つておきたい。その指令を見たときに、そういう決意をされておつたかどうか。重大なことですから、総裁自身から見解を明らかにしていただきたい。
  83. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 年末におきまして闘争に入るけはいがあつた際、また闘争指令を出して実行に着手する以前におきましても、私はそれが争議行為になるおそれが十分であるから、そういうことのないようにしてくれという警告をしばしば発しており、お話もしたわけでございます。
  84. 井堀繁雄

    ○井堀委員 大事なことですから、もう少しはつきりしておきたい。その闘争指令が出たのをあなたは御存じでしたか御存じでなかつたかを、まずお聞きしたい。
  85. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 これは秘密闘争指令でありますから、内容についての十分なる認識は私にはございません。しかしそういうけはいがありまして、賜暇闘争をやるとか、遵法闘争をやるとか、いろいろな風説の他は入つて参りますので、そういうことになると十七条に違反することになるおそれがあると思うから、そういうことをしないようにしてもらいたい、何とかここで円満な平和な話合いで行けないものかということは、たびたび警告をいたしております。
  86. 井堀繁雄

    ○井堀委員 その闘争指令を、あなたはいつ承知いたしましたか、期日に配慮はありませんか。
  87. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 その時期は、私今はつきりここでは記憶いたしておりません。
  88. 井堀繁雄

    ○井堀委員 時期がはつきりいたさない。それでは解雇を通知されたのは、それを承知してからなさつたのですか。
  89. 長崎惣之助

    ○長崎説明員 解雇は、ずつとあとでございます。
  90. 井堀繁雄

    ○井堀委員 時日が明らかでないそうでありますが、その問題は本問題の扱い方の上に重大だと思います。ただいまは問題にいたしませんが、当面問題になつております事実問題で、組合側当局の間で今後正常な事業を維持して行く上にも重大な関係がありますから、もう一回ここのところを確認いたしておきたいと思います。運転の保安の問題もしくは荷物の扱い方についてであります。これは先ほど来事実問題について、まだ十分調査が済んでおらぬようでありますが、調査を進められることによつて、だんだん明らかになると思います。たとえば荷物の扱いもしくは運転の保安について、法規に触れるようなことがありますれば、これはおのずから別であります。それが法規に触れるか触れぬかということについては、事実問題によつて明らかになると思います。しかし今の当局の答弁は、もつぱら争議行為が戦術に用いられたというとこに、解雇の理由が明らかにされておりますが、それが違法行為であろうとなかろうと、たとえば賜暇にいたしましても、基準法その他の法規に基いて、労働者が当然自由に休日をとることができるわけであります。それを一人でとろうが、大勢がそろつてとろうが、このことについては、拘束する何ものもないわけであります。その場合には、公企労法を適用するかしないかということについては、まつたく別個の問題であることも明らかであります。ただ、それが争議行為であるかどうかという問題に帰するわけでありますが、先ほど争議行為であると局長が断定されて、一切の答弁をなさつておられたのであります。そこで争議行為であるかどうかということについて、われわれ労働委員会としては、事実をここで承知しなければならぬわけでありますから、この点について明確な見解をただしておこうと思うのであります。そういう趣旨でお尋ねをいたしますから、答弁もつぽをはずさないでお答えを願いたい。  そこで、総裁は指令を問題にしておりますが、その指令がストライキの指令であると判断を下しておるようであります。それは秘密であつたから、いつ出たのかわからなかつた、しかし結果からいつて、その指令が争議行為の因をなしたというので処分をする、こういうわけでありますから、その点はだんだん明らかになつて来たと思います。そうすると、その闘争指令が賜暇、もしくは遵法といわれておりまする法律を守る指令をしておる。それがいかに合法的であつても、集団的な行為は争議だというような意味で争議行為を認定したのであるか、あるいは争議というものに対する――闘争指令の内容は御存じだろうと思いますが、その内容のどこを争議行為と判定されるか、具体的にひとつ御答弁を願つておきたいと思います。
  91. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 争議行為ということについて、先ほど申し上げたのでありますが、公労法の十七条は「争議行為の禁止」という見出しがついております。そこで禁止する争議行為というのはどういうことかというのが、その中の文句にあるわけでありまして「同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為」こういうようなものがここで禁止されておる争議行為であるわけでございまして、今回行われました事実は、ここに書かれておりますような業務の正常な運営を阻害する行為に該当するものであり、あるいはそれらの行為を共謀したり、そそのかしたり、あおつたりする、そういうこともこの条項に該当するものであるという判断を私どもはいたしておるわけでございます。それでそのもう一つの運転保安規整運動にいたしましても、荷物愛護運動にいたしましても、そういうものが集団的に行われるからいけないのかというお言葉が、ちよつとあつたように思いましたが、それは決して単に集団的に行われるからいけないという考え方ではもちろんございませんで、問題は、たとえば荷物を大事にしろという場合に、その荷物を大事にしろということは、これはいつも申しておることでありますが、そのことのみを取上げて、それは荷物を大事にするなら、全然どこにも運ばなければ一番いたまないかもしれませんけれども、そうは行かない、やはりきまつた列車に載せて迅速にかつ正確に配達しなければいけない。そういう場合に、ある一つのフアクターだけを取上げて、鉄道の業務の正常な運営のされ方を無視するようなことが行われるというところに、遵法闘争とかあるいはそのほかの運転保安規整運動荷物愛護運動というようなことが問題にされることが出て来るわけでございまして、噂に集団的に行われるからというようなことではございません。
  92. 赤松勇

    赤松委員長 先ほど理事会で申し合せました通り、一時より、特に特需関係の労働組合の諸君の非常に強い御要求で、先ほどの理事会で、一時間程度懇談をする、こういうことになつておりまして、特調の方ももう参つておりますので、政務次官の方も出るという約束をしておりましてただいま待つております。それで一から正二時まで一時間をこの方へ振り向けまして、それで委員の諸君には、はなはだお気の毒ですけれども、ひとつ昼食を三十分でしていただいて、二時半から再び仲裁裁定をめぐる紛争の問題につきまして、調査を進めて行く。それで、今大阪中心にやつておるわけですけれども大阪の方は、先ほど御要求のでございました議事録を当局組合双方が次の委員会に必ずこれを出してもらう。なお参考人の要求もございまして、これは委員会で決定いたし、委員長において適当にとりはからいますが、なお午後は南近畿それから広島、新潟、東京というような順序で事実調査中心に進めて行きたい。それで東京の方は非常にあとまわしにしてあれですけれども、南近畿、広島及び新潟の方は遠いので、この点はひとつ御了解を願いまして、それで南近畿、広島、新潟、こういう順序で進めたい。先ほど申しましたように、広島の管理局長は飛行機でこつちへやつて参りまして、午後には必ず出席するということだそうでございますから、さようひとつ御了承を願いたいと思うのでございます。
  93. 中原健次

    ○中原委員 一点だけ、先日ほどからしばしば触れておいでになりましたが、それがあいまいになつておりますので伺つておきます。それは荷物積載量の認定の問題です。その認定の問題について、当局側と荷扱いの車掌あるいは荷扱い専務、その当事者の間で積載量が適当であるかどうかということについての話合い談合をしてくれという申入れがあつて、その申入れに対して談合することなしに佐藤何がし君が積載を強行した、こういう事実が報告されておるわけです。ところがその場合、遂にその談合の申入れを受諾せなかつたということになつていると思うのですが、そのことについて大阪のその当時の責任者としての鉄道管理局長の方で、それをどういうふうに御判断になるか、御判断事情をひとつ……。
  94. 井上正忠

    井上説明員 組合とこういう方法でおやりになることについて、いろいろな点でわれわれとしては困るという言い方の話はあつたのでありますが、団交という性質のものでありまして、この法規の解釈、そういうものに対して、組合に一応確認するという立場をとつたのであります。その結論を組合に出しております。少くとも団交的な話合いというような方法で行われた寄合いではないというわけでございます。それから後ほどその経過につきましては、提出いたすことになつておりますので、提出いたしたいと思います。
  95. 中原健次

    ○中原委員 ちよつと御答弁の的が違つているのですが、そういうことではなしに、現地でその積載の量がこれまでとか、あるいは多い少いという、いわば言い争いのような事情が起つたかと想像されるのです。その場合に、その可否を決定するのに、その場に立ち会つている関係者の中のそれぞれの責任者が、主任が一応話合いをして、これでよいか悪いか、もう少し積み得るかいなか、こういうことを決定をするために話合いをしろ、こういう答えがあつたにかかわらず、それを当局側は受諾しないでどんどん強行をしたというのが、現在の報告の中で出て来た実情なんです。そのときに、なぜしからばその話合いに応じなかつたか、応じなかつたことの可否を承つておるのです。その現場の問題です。しかもその裏づけとしては、団交の場合に、そういう取扱い上については、関係両者が話合いをして推進する、こういうことになつていたということは、ただ一つの背景にすぎないのであつて、私が問題にしているのは――団交の効果のことは、あとで問題になりましようから、そういうことはあとにまわしまして、そういうことが起つているにかかわらず、これを正常に運営しようと思えば、わずかな時間ですからこれをさいて話合いに応ずべきだ、こういうように私どもは考える。ところが当局ではそのように考えていない。佐藤某君のその当時の行動を御承認になつておるようであるが、それはどうかということです。
  96. 井上正忠

    井上説明員 結局最後に小荷物主任が、まだ積めるじやないか、こう言いまして、列車責任者荷扱い専務車掌を呼んだわけでございます。その最後の手押し車について、荷扱い専務車掌は一方の列車責任者でありますが、これだけは積んでもらおうと、こう言つたのでありますが、もう満載であるという片一方の労働組合側の声がかかりまして、そこでもんちやくが起きた。そこで結局佐藤なる人物が積込みの督励をした、こういう実情であります。
  97. 中原健次

    ○中原委員 そうなると、話合いをしてその可否をきめようということを受諾しなかつたことは当然である、こういうわけですね。当局側がそのように一方的に認定したことを強行することをもつてよしとする、こういうふうに受取つてよろしいのですか。
  98. 井上正忠

    井上説明員 駅側がまだ積めると、こう言いまして、列車責任者荷扱い専務車掌が、最後の手押し車をこれだけは積んでもらおうと言いましたので、結局荷物積載については、責任者の当時の話合にはできたものと私は思います。
  99. 中原健次

    ○中原委員 どうもその点がはつきりつかみがたいのですが、荷扱いの専務と業務を担当しておる人たちの見解と違つておるのです。その場では、違つているから話合いをしようじやないかということが起つたのだろうと思います。ぼくは全然しろうとだからわかりませんけれども、おそらくそう思える。しろうとの頭でそう判断されるような事情があつたにかかわらず、その判断にこたえるような行動が当局側に一ぺんもなかつたように思います。今のあなたのお話から考えると、それはどういう認定が起ろうとも当局側の言つた言葉が最後の命令である、その最後の命令をその条件の中で下したことは妥当であると、こういうふうに主張しておるように思えるわけです。私どもは、それはとんでもない。そういう場合にこそ、正常な運営を進めようとすれば、なおさらのこと意見の違つた方の側と話合いを行うことは非常に適当である。しかも、それは長くかかつては困るけれども、一分もかからずにできるといつた前提もあるとすれば、それに応じて円満に仕事を進めて行く方が、正常な運営を念とする当局側の立場としては当然だ、そう思うのです。これについてもう一度伺いたい。どうもはつきりわからない。なおその点に関連して、組合側の御見解を伺いたい。
  100. 井上正忠

    井上説明員 当時の状況としましては、最後の積込み手押し車でありまして、列車も発車間際で非常に時間も切迫いたしておりました。同時に、まわりの方で数十名の組合員が満載満載だと言つておりますし、相当騒然たる状況であつたわけです。そのときに、最後に小荷物主任列車責任者である荷扱い専務との間に話のやりとりがあつて、この車だけは最後に積んでもらおうということで合議が整いまして、当局側としましても積込みの応援をした、こういうことであります。
  101. 横手眞夫

    横手参考人 話合いの結果、専務、車掌が余裕のあることを通告したので、従つて佐藤というのが荷物を強引に積んだということでありますが、先ほど私が申し上げたことと全然逆なんです。この点だけははつきりしておきたいと思いますが、当時話合いをしてくれということで、小荷物主任に申し入れた、その間隙をさくひまもなく佐藤というのが強引に荷物を投げつけて混乱を起したというところに原因がある。切めから組合員が押し寄せて、満載満載だと言うてこれを妨害をしたと言われておるようでありますが、そうじやなくて、初め組合員はエレベーターの荷物を下から押し上げるところの奥の方にいて、全然ホームの前にいなかつたということを先ほども申し上げております。ただ、あまりにもわれわれの要請に対して聞き入れずに、強引に職制と力をもつてみずからが荷物を持つてたたき入れるという状態を私たちは見るに見かねて、そういう行為はやめてくれといつて、そのとき初めて組合員が出て来て交渉したということなんです。専務車掌が積んでくれということを言つたと言われますが、組合責任者に、まだ積めますからということは全然言われておりません。どこかの陰で責任者小荷物主任とあるいは当局側と――あるいは悪くとれば職制の力によつて強引に言わしめたのかということも実はわかりませんが、専務車掌組合責任者と今話合いをした、まだ積めるからひとつ積んでくれということを、正式に私たちの方にも言つて来ておりませんので、われわれとしてはまだ話合いが済んでおらない、その間に当局側が強引に荷物を投げ入れて積込みをやつたという考え方に立つておるのであります。
  102. 中原健次

    ○中原委員 第二信号扱所事件関連しても、当局側の事実の認定が間違つておる場合がたくさんある。従つて、間違つた事実の認定を基礎として判断されたのでは、妥当適切な処置が、相手はもちろんのこと、第三者も納得の行くようなことにならないということが考えられる。しかし時間の関係がありますから、ただ一言そのことをつけ加えておきまして、質問はあとに留保いたします。
  103. 赤松勇

    赤松委員長 それでは二時三十分まで休憩いたします。     午後一時九分休憩      ――――◇―――――     午後三時六分開議
  104. 赤松勇

    赤松委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。楯兼次郎君。
  105. 楯兼次郎

    楯委員 実は先日からのいろいろな質疑応答の都度出て参ります列車の遅延並びに運休につきまして、私どもがこの席で聞いておりますと、これらの列車の遅延あるいは運休というものが、組合当局と締結をいたしておりますいわゆる超過勤務の、基準法三十六条の無協定によつて起きて来るという点が等閑視されておるような傾向に見受けますので、私はこの点について、三十六条の無協定によるところのこれが列車の運休並びに遅延に及ぼす影響等についても、あとで十分ひとつ御当局の方にお伺いをしたいと思いますが、さしあたり私、疑義がございますので、三十六条協定について、この場合は二、三だけひとつお伺いをしておきたいと思います。  三十六条の協定というものは、いわゆる労働者を代表する代表者といいますか、組合がこれの締結をしないということは違法であるかどうか、まず第一にこの点をお伺いしたいと思います。
  106. 龜井光

    龜井政府委員 三十六条協定を結ばないことが違法であるかどうかという御質問であります。三十六条協定は、御承知のように三十二条の八時間労働制に対します例外規定として認められておるものでございます。従いまして、八時洲労働制が原則であります以上、その例外につきまして協定を結ばなくても、違法であるとは言い得ないのであります。
  107. 楯兼次郎

    楯委員 次にお伺いいたしたいと思いますのは、それでは三十六条の協定がなかつたならば――今問題になつておりますのは国有鉄道の場合でありますが、全然超過勤務をしなくていいかどうか、この点についてお伺いいたします。
  108. 龜井光

    龜井政府委員 法律の解釈は、今申し上げましたように三十二条の八時間労働制が維持されております以上、三十六条の協定がなければ、時間外の労働をしなくても済むわけであります。
  109. 楯兼次郎

    楯委員 ただいま監督官の方からの御説明でございますと、三十六条協定がなければ超過勤務はする必要はない、こういうようなお話でございます。国鉄の当局にお伺いいたしたいと思いますが、こういう解釈をあなた方も持つておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  110. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 基準局長のおつしやる通りであると思います。ただ国鉄法三十三条という例外の場合があるということはございます。
  111. 楯兼次郎

    楯委員 三十三条の例外の場合の取扱い方でございますが、先ほどの基準局長の御説明だと、われわれあまり深く研究をしておらない者にとつては、ちよつと意外な感に打たれるわけでございますが、日鉄法の三十三条――基準法でも例外規定があると思いますし、大体それと同じような内容であろうと考えておりますが、その辺の関連について、ひとつお伺いいたします。
  112. 龜井光

    龜井政府委員 基準法は一般的な法律でございまして、特別法によりましてその例外が認められておる場合におきましては、その法律の適用におきましては、その特別法の適用が優先することになつております。
  113. 楯兼次郎

    楯委員 そういたしますと、国鉄側の言われます特別の場合というのは、私もはつきりとは覚えておりませんが、今ここであなたにその具体的な条文をお示し願つて、ひとつ見解を一致させていただきたいと思います。
  114. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 日本国有鉄道法三十三条というのがございまして、勤務時間の延長、時間外及び休日勤務について規定をいたしております。日本国有鉄道法三十三条によりますと、「左の各号の一に該当する場合においては、労働基準法第三十二条、第三十五条又は第四十条の規定にかかわらず、その職員をして、勤務時間をこえ、又は勤務時間外若しくは休日に勤務させることができる。」ということになつておりまして、その一は「災害その他により事故が発生したとき」、二は「災害の発生が予想される場合において、警戒を必要とするとき」、三は「列車(自動車、船舶を含む。)が遅延したとき」、こういうふうになつております。
  115. 楯兼次郎

    楯委員 そういたしますと、こういう場合は、無条件に超過勤務をさせることができるのか、あるいは超過勤務は原則としてさせないという法の建前からいつて、これに対する何らかの拘束があるのか、この点についてお伺いしたい。
  116. 龜井光

    龜井政府委員 三十六条協定の例外をなしておりますのは、基準法の三十三条でございます。三十三条は一般的な規定でございまして「災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において前条若しくは第四十条の労働応問を延長し、又は第三十五条の休日に労働させることができる。」というふうに規定をされておるわけでございます。従つて基準法の上から行きますと、そこに行政官庁の許可という条件が一つかかつて来ております。事後でございますと、同但書にありますように「事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。」ということで、一応の縛りをかけておるわけであります。
  117. 楯兼次郎

    楯委員 そこで、その点についてひとつお伺いしたいと思いますが、そういたしますと、超過勤務を最小限度にとどめなくてはならない、こういうことが私ども察知されるわけです。それからいとまのない場合には「事後に遅滞なく」とおつしやいましたが、この「遅滞なくの」大体の時間的な観念といいますか期限といいますかは、どの程度のことをこの法の精神はうたつおるものであるか、この点の見解を承りたい。
  118. 龜井光

    龜井政府委員 「遅滞なく」が何時間後であるか、何日後であるかということは、個々の具体的な場合々々によりまして、結局社会通念が解決して行く問題じやないかと私は考えております。従いまして、一般的に何時間後であるとか、何日後であるということは言いかねる問題であると思います。
  119. 楯兼次郎

    楯委員 なるほど個々の場合に当てはめて質問をしなければ、ちよつと御回答ができないようでありますが、少くともその手続のでき得る余裕というか、それがあるのにほつておくということはあり得ないとは思いますが、五日なり六日なりというようなあとをさしてはおらないということは考えられるわけですが、この点はどうでありましよう。
  120. 龜井光

    龜井政府委員 その事態急迫の度合い、あるいはそういう許可を受けるいとまのなかつたほど大きな災害の状況、こういうふうなものでいろいろ違つて来るかと思つております。たとえば、災害を受けて、その復旧のために非常な日数を要して、それが山間僻地であつたために届出をすることができなかつたという場合もありましようし、これはそれぞれそのときどきでないと、ここで何日くらいが適当であるかということは申し上げかねると思います。
  121. 楯兼次郎

    楯委員 それでは事前に届け出て許可を受けることがで、きず、事後に届け出た場合に、あなたの方でその内容を検討されて、許可をしない場合があるかどうか。
  122. 龜井光

    龜井政府委員 この問題につきましては、三十三条の二項にございますが、その届出のありました労働時間の延長または休日の労働が不適当と認められます場合には、その後にその時間に相当する休憩または休日――そのかわりの休憩または代休を与えることを命ずることができるわけであります。この点については、行政処分としてそういう処置が講ぜられるわけでございます。
  123. 楯兼次郎

    楯委員 それでは参考のために、一つの例をあげてお伺いしておきたいのは、国鉄は、御承知のように、職員は一昼夜勤務をする。一定の勤務だけでも、疲労困憊の極に達していると言つて私はさしつかえないと思います。その者をさらに超過勤務を長くさせるということで、届出のあつた場合に、あなたが担当官でありました場合には、どういう取扱いをするか、ちよつとお伺いしたい。
  124. 龜井光

    龜井政府委員 これも事故の範囲あるいはその事故の程度あるいはそれに従事する業務の内容、その時間、こういういろいろな舞をかみ合わせて考えて参りませんと、一概にはお答えができないと思います。
  125. 楯兼次郎

    楯委員 日本国有鉄道法の三十三条に三項目ございますが、それ以外の場合、国鉄の職員が超過勤務を拒否した場合には、やらなくともいい、こういうふうに解釈してさしつかえないでしようか。
  126. 龜井光

    龜井政府委員 労働基準法の三十三条と国鉄法の三十三条の、一般の法的な根拠、国鉄法の特別法の法的な根拠以外のものにつきましては、時間外労働を拒否してさしつかえない。
  127. 楯兼次郎

    楯委員 一般的には三十三条以外には、超過勤務を職員が拒否した場合には、やらなくともいい、こういうふうに解釈し、それでいいと私は受取つたわけであります。ところが国鉄の場合、一つの問題がございます。それは駐留軍については、超過勤務は三十三条と同じようにやらなくてはいけない、こういうようなことを国鉄当局としてはほのめかしておるようでありますが、この点について違法であるかどうか。
  128. 龜井光

    龜井政府委員 駐留軍の要請によつてやむを得ずする協定しない場合における時間外労働につきましては、従来われわれの解釈としましては、三十三条条の「避けることのできない事由」の中に含めて解釈をいたしております。
  129. 楯兼次郎

    楯委員 そういたしますと、日本は独立国になつて、そういう関係には拘束をされないと私は思います。駐留軍ですよ。占領軍ではない。駐留軍になぜそういう特権を与えなくてはならないか、その根拠はどこから来ておるのですか。
  130. 龜井光

    龜井政府委員 行政協定から来るものと私は解釈しております。ただ、占領時代と違いますことは、それが従来の解釈よりも狭くなつてつておりますことは当然なことでございますが、その範囲内のものでありますれば、一応そういう解釈はつけられるものと考えております。
  131. 楯兼次郎

    楯委員 どうも私は了解できないわけです。あなたがそういうように解釈をされておるところの法規というものは、占領中からの延長解釈ではないかと思うのでありますが、一体どういう条文でありますか、今あなたのおつしやる根拠規定は。
  132. 龜井光

    龜井政府委員 今思い当りませんので、答弁を留保させていただきまして、この次にお答えさせていただきたいと思います。
  133. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 条文はないはずです。労働三法の適用外の問題は、例の特需とか駐留軍の基地に関する問題、それから施設の管理権等の問題に関連する問題以外にはないはずです。それから労働基準法からは適用除外として認められておらないはずですが、どうですか。
  134. 赤松勇

    赤松委員長 そういうことを答弁を留保させてもらいたいということでしよう。
  135. 龜井光

    龜井政府委員 答弁を留保させていただきたいと思います。
  136. 楯兼次郎

    楯委員 それではあなたの方でよく研究して間違いないように御答弁を願いたいと思います。  そこで、国鉄当局にお伺いいたしたいのは、組合といろいろな問題が起きました場合に、常に三十六条の協定の無協約時代ですか、無協約ということが出て来るわけでありますが、その場合に、今私が質問を申し上げておりますようなことをあなたの方で主張されるわけです。三十三条以外にも駐留軍の場合は云々と、こういうことを言つておられるらしいのでありますが、こちらの方でまだはつきりしないという事柄を、あなたの方でそういうことを言われるのは、どういう根拠から言われのですか。
  137. 中畑三郎

    中畑説明員 従来私どもつておりました解釈では、ただいま労働基準局長がお話なさいましたような解釈の仕方で、超過労働を命ずことができるものと了解しておつたわけでございます。
  138. 楯兼次郎

    楯委員 それは今基準局長がそう言われたから、あなたはそれに便乗してそういうことを言つただけであつて、あなたの方がやるとすると、はつきりした根拠がなければならぬと思うのです。今局長の話を聞かれたからそうおつしやるので、ひとつ根拠をはつきりしていただきたい。
  139. 中畑三郎

    中畑説明員 私どもの方で関係方面の御意向も伺いまして、超過労働を命じてもさしつかえないような御解釈も伺つておりましたので、その御解釈従つて超過労働をさせておつたような次第であります。
  140. 楯兼次郎

    楯委員 そうしますと、超過勤務の最高権威者は基準局長だろうと思いますが、関係方面とは、どこの方をさしておられますか。基準局以外の関係者ですか。
  141. 中畑三郎

    中畑説明員 労働基準局のことでございます。
  142. 楯兼次郎

    楯委員 それでは基準局長があとでお調べになつて誤りということになれば、あなたの方としても今までの取扱いは当然間違いだ、こういうことをいさぎよく御発表になるわけですね。
  143. 中畑三郎

    中畑説明員 労働基準局の方の御解釈がかわりましたら、それに従いたいと思います。
  144. 赤松勇

    赤松委員長 おかしいですね。関係方面が基準局であつて、それで今基準局長はよくわからないから留保させてもらいたい、こういう御答弁であつた。それでまだ見解は明確になつていないのに、関係方面の意向が伝わつたとすれば、これは事が重大です。  それから基準局長に希望しておきますけれども、行政協定と不用意に言われたと思いますが、おそらくあの三条をさしておられると思いますけれども、これは私全然根拠がないと思うのです。それから駐留軍の要請という場合は、よく、たとえば今度の国鉄のいわゆる争議行為にわたらざる諸行為、これを避けることのできない場合というところに持つて行こうというような考え方は非常に無理がある。それでこういう点を次の機会に発言される場合に十分御考慮の上発言していただきたいと思います。  それでは大分苦しいようでありますから、この程度にしておきまして、続いて事実調査に入りたいと思います。  まず南近畿天王寺管理局関係の方の調査を進めたいと思います。  それでは一応参考人意見を聞きますが、当局から先に御説明願います。
  145. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 南近畿天王寺管理局の責任者処分の問題でございます、天王寺の鉄道管理局で吉田茂夫、平田増一の両氏を解雇いたしたわけでございますが、これらの両氏が当時行いましたおもな行為と、業務に受けた影響について御説明申し上げますと、大体次のようなことでございます。  まず吉田茂夫氏の方は、一つは十一月の二十日に鳳の電車区において、阪和線の第六二三〇及び条六二三一電車の乗務員の常務を妨害いたしまして、同電車を当直助役によつて運転するのやむなきに至らしめ、また同じ日に第六二三二及び第六二三三電車の乗務員を威嚇して、その乗務を妨害し、同電車を運転休止するのやむなきに至らしめた事実がございます。  さらに十一月の二十五日に、阪和線の第四〇〇三電車を運転中、踏切り及び線路通行人に対する危険防止と称して、所定速度よりも著しく低速度の運転を行つて、電車運行を混乱に陥れました。  また十二月八日に、山田の客貨車区において、多数の組合員を率いて集団的な暴行を行い、同客貨車区のはめ板、窓ガラス等を損壊しております。そういうような行為が行われておるわけであります。  それから平田増一氏の方は、十一月の二十五日に鳳の電車区において、久米田駅脱線事故の救援列車発車に際して、救護要員の派遣を妨害し、また同列車の発車を妨害して延発のやむなきに至らしめております。また十一月の二十五日、遵法闘争の影響によりまして、阪和線のダイヤが混乱した際に、第五〇〇九電車に乗務員を乗務せしめようとしたところ、係員に対して業務の妨害をして、その電車を遅発せしめております。また十二月八日には、山田の客貨車区において、多数の組合員を率いて集団的暴行を行つて、同客貨車区の建物のはめ板とか窓ガラスを損壊する等の行為を行つておるわけでございます。  これらの行為は、いずれも仲裁裁定の完全実施と年末手当に関する要求貫徹のための争議行為として、行われておりますので、公労方十七条に該当するというふうに考えられましたので、解雇の処分をした、こういうことでございます。
  146. 赤松勇

  147. 出口昇

    出口参考人 ただいま当局側から、あのような理由があげられましたが、私たち当時おりましたときにおける状況を申し上げて、全然異なつた事象を単に年末におけるところの仲裁裁定の事項として取上げられておるということは、はなはだ遺憾なところであります。  まず第一点の問題になりました吉田君が十一月二十日に電車を運休に至らしめたという問題でありますが、この問題は仲裁裁定の紛争と全然異なつた事象から起つてつた問題であります。と申しますのは、昨年の十一月十一日に当局は全面的なダイヤ改正行つたのであります。そのときに、それより先の十一月一日ごろに当局から新しい交番による乗務員の仕事の交番を地方本部に持つて参りました。当時組合といたしましては、従来の労働条件より悪くならないという確認の上に立つてこの問題を処理してもらいたいという確認のもとに新交番を認めたのであります。しかしながら、鳳電車区の場合におけるところの新交番によりますと、先ほど指摘されましたところの六二三〇から六二三三列車というのは、昨年の七月から臨時電車として運行されておつたものであります。これが十一月十一日のダイヤ改正によつて定期電車として運行することにきまつたわけであります。従つてこの定期運行ということになりますと、新しい定員をこのために配置しなければならない、こういうようなことが起つて参るわけであります。われわれが当局資料によつて、この問題についてなぜ新定員を配置しないのかと申し上げたところ、〇・四人分がふえるだけであるから、これも内達一号の中において当然処理されるべきものである、こういう理由で定員を配置しなかつたのであります。たまたまその当時地方本部といたしましては、〇・四というものについて、当時分会あるいは鳳の区長である糸数氏との間において、この問題を合理的に処理するために新ダイヤのこの交番に伴う専門委員会というものを労使双方対等機関として持つということが、電車区の中においてきまつておりまして、この二つの相異なつた立場からこのダイヤ改正で新交番をどのようにして組むかという交渉をいたしておつたやさきのものであります。これが十一月二十日に至りまして、当時三十六条協定が廃棄となりましたので、この廃棄に伴つてこの新交番によるところの〇・四人の新定員を配置せよという要求とひつくるめて、この問題が運休という事態に立ち至つたのであります。当時地方本部といたしましても、総務部長の石井登氏と話合つたところ、石井氏もこの問題については年末闘争と切り離して当局は考えるということを、はつきり十一月二十三日に私たちに申しておつたのであります。たまたまこの問題を一月二十三日の解雇理由の中の年末紛争という中に数えて、これを公労法十七条において馘首をするという暴挙をあえていたして来たのであります。たまたまその問題で――十一月十一日のダイヤ改正から昨年の十一月二十八日まで古い交番で、しかもこの問題の電車については、臨時電車として毎日予備勤務者によつて処理をしなければならぬということで、十一月の二十三日の日、私が立ち会いまして、当時運転部長並びに運転の総務課長等と運転部長室で分会の人人が交渉した際に、〇・四人のかわりに一名の増員を認めているわけであります。従つてもしかりにこの問題を未然に当局の手によつて防ぐとするならば、十一月の十一日にここに一人の定員をふやしておけばこういう事態は起らなかつた、むしろこの責任は当局にあるものであると私たちは考えているところであります。  それから二つ目の十一月二十五日の問題であります。この四〇〇三列車と五〇〇八列車でありますが、これは当時天王寺発の六町五十五分と七時二十分の列車であります。当時私たちは、この鳳の問題が起る前に、同線区に対して見切り発車を完全に行うよう、同時に安全規整運動を行うという指令を出しておりましたが、たまたまこの三つの電車が運行した際において、天王寺駅の構内の放送においては、電圧降下のために電車が遅れておりますということを、再三旅客大衆に訴えておつたのであります。当時私たち書記長ホームに参りまして、この事態は電圧降下にあるということでやつたので、吉田君のこの二つの問題については、一つは電圧降下であり、一つはこの安全規整運動という運動のためである。故意に電車を遅らしたというふうに利用されているのでありますが、一月二十三日の馘首の通告の際におきましても、私たちこの問題について、将来に非常に大きな問題が起りますので、総務部長とも非常に論争いたしましたが、最終的には従以通りにやつてもらえばそれでいいのだ、こういう回答で終つたわけであります。  その中において、特に組合といたしまして、働く者の立場から申し上げなければならないことは、規程なりあるいは達なり、こういうもので、現場の、特に運転士の場合におきましては、その電車を運転する間においては、すべてがその運転士にゆだねられているわけであります。従つて運転士自体が危険だ、あるいは障害を防止するという立場から適宜の措置をとれるということもきめられているわけであります。従つて、当然この場合において遅れたという現象ができたのに、これらに与えられているところの大きな委任権というものを無視して、そうして現象にとらわれて、公労法十七条という問題だけででつち上げるということは、はなはだ不都合千万な話である、かように考えているわけであります。  次に、もう一つこの安全保安運動の場合おきまして、たまたま久米田の駅に事故があつたわけであります。この事故のときの問題でありますが、当時糸数区長――私たちの電車区長でありますが、三十三条だ、だからこれに対して保安要員なりあるいは救援に必要な人間は全部乗つてくれ、こういう話だけであつたのであります。そこで、そこの電車区に勤務をしておりますところの組合員――職員でありますが、この人たちが何でかわからない。そこで当時平田副分会長でありますが、これが代表となり三十三条の何号で、しかもどこへ行くのだということを糸数区長に聞きただしておつたわけであります。その聞きただす寸前に、当時私が本部におりましたから、私に電話がかかつて参りまして、三十三条で行けというのだがどうしたらよろしいか、こういう話がありましたので、私、糸数区長に電話をいたしまして、この場合緊急を要することであろうから、日鉄法三十三条なら三十三条で、しかもどこへ行くのだというくらいのことは言つたらどうだ、こういう電話をいたしたわけであります。しかしながら、その問題についてもはつきりいたさないままに――この鳳の駅に田中労働主席というのが駐在をいたしております。また木村闘争委員という私たち組合の地方本部の闘争委員も駐在をいたしておつたわけであります。そこで平田分会長は、この問題についてはつきりしないので、鳳の駅まで三百メートル程度離れておりますが、ここまで自転車で行つて、木村闘争委員に対して、区長は日鉄法三十三条であるというだけであつて、しかも当時一昼夜交代勤務をしておる職員を乗せたのだ、だからこの問題についてはつきりしてもらいたい、こういう話をして参つたわけであります。そこで糸数区長はあわてふためきまして、その後田中労働主席のところに参りまして、実はこうこうだという事情を話しておつた。しかしながら、御承知のように電車区間で非常に列車回数が多い、こういう事態の中にありましたので、その間に普通列車を運行するために、一時その救援列車を側線に入れかえをし、そうして木村闘争委員に対して糸数区長が、実は久米田駅の救援に行くから、そのために日鉄法三十三条を適用する。それでは乗つてください、早く行つてください。こういう問答をしておつたときに、たまたまこの救援列車が遅れたというのが実際の真相であります。従つて、私たちとしては故意ではなく、あるいはその手続の間違いから、あるいは区長の労働問題に対する無知からこういう問題を惹起いたしましたので、とにかく今度の場合において、すべてを組合役員なり組合の個人に問題を押しつけて、日鉄法だということについては、はなはだ矛盾があろうと思うのであります。  最後に、山田の客貨車区の問題でありますが、山田の客貨車区の問題については、十割休暇の闘争のさ中であつたのであります。当時ちようど十四時三十分ごろでありましたが、中央闘争委員会から指令の来る寸前でありまして、私が線路のわきに全部集めまして、従来までの交渉経過を報告いたしておつた。この集団暴行事件というのは、集団暴行ではなくて、庫をとりまいてピケを張つてつた人が、ピケを解く寸前に、そこにおいてぐるぐるまわつてデモをやつた、これだけにすぎないのであります。この鳳の二人だけを問題にするということは、さつき申し上げましたように、一つ、二つ、三つというように、首を切るために積重ね式にこれを利用したにすぎないのではないか。なぜならば、当時この山田の客貨車区には、千二百名の組合員が集まつておりました。この周辺に対しては、午前中から和歌山あるいは奈良を中心として、あるいはまた一部の三重を中心としてぐるぐるデモを行つてつたわけであります。最終的に鳳を中心とする吉田君、平田君、あるいは地方本部が制止をしておつたわけでありますが、このときにやつた。そのときたまたま最後の引揚げの際のどさくさと、山田客貨車区の場合におきましては事務室の前が二メートル足らずの非常に狭い通路であつたために、当時地方本部をしてこういつたような不祥事が起らないようにというので、全部壁の方にピケを整然と行うように指令をしておつたやさきに、ガラス三枚かないし四枚が割れ、しかも床板が一部破損をした。これを集団暴行事件という名のもとにでつち上げられておるわけであります。その後において山田の市警において告発をされたそうでありますが、これも証拠不十分というかつこうで取下げをされたということも聞いております。またこれに参加した人々については、公安が呼出しをして一人々々取調べたという事実もあるわけであります。こういうふうにしてこの問題が起つたので、決して集団暴行事件じやなくて、デモをやつて過失であつたと、私たち判断をいたしたのであります。そこで当日そちらにおりましたところの運転部長、労働課長等と会いまして、実はこの問題については、デモ中におけるところの附帯的な事故であるので、まつたくの過失である、地方本部を代表いたしまして、この件については過失であるから陳謝をいたしますといつて、山田の駅において陳謝いたしたのであります。しかしながら、この問題は組合の行為とは別だという名のもとにおいて、集団暴行事件というふうになされておるのが、この事件の本質であるわけであります。  年末ないし年始にかけて問題になつたのは、大体この通りでありますけれども、一番初めの問題については、特に天王寺鉄道管理局においても問題にしておりましたのは、組合指令というもののあり方なり、あるいは組合指令が出たための現象として取扱わないで、ただ単に個人として、しかも年末闘争の中にひつくるめてやるということについては、私たちが今まで労使双方においてこの問題について相当論争もし、この内容について聞きに参つたのですが、いまだに内容についてはつきりしておらないというのが、現在に至る経過であります。
  148. 赤松勇

    赤松委員長 これより質疑を許します。楯兼次郎君。
  149. 楯兼次郎

    楯委員 ただいま両方から概要をお聞きいたしましたが、山田の暴行破壊事故でありますか、これは損害は、今組合の方の説明を聞きますと、ガラスが三、四枚、それから床板が少し破損するという程度だそうでありますが、当局の方はそれを確認なさいますか。
  150. 中畑三郎

    中畑説明員 当時の損害の額と申しますか、程度と申しますか、資料を手元に持つておりませんので、ちよつとお答えいたしかねるのであります。
  151. 楯兼次郎

    楯委員 それでは聞いてもわからぬわけですが、それが事実とすれば、これは組合側が言うように、あまりおとなげないと思うのです。これはガラスの二、三枚割つたのを、麗々しく馘首の理由にうたうなんということは、ちよつと非常識だ。まあそれはそれとして、山田市警へ告発をしたということを組合側が言われますが、これもわかりませんか。
  152. 中畑三郎

    中畑説明員 告発をいたしましたように聞きましたが、その告発いたしました結果がどういうことに相なりましたかは、聞いておりま七ん、
  153. 楯兼次郎

    楯委員 私のお聞きしたいことがわからないのですから困つたものですな。このダイヤ改正に伴う運転休止の内容はわかりますか。
  154. 中畑三郎

    中畑説明員 実はただいま申し上げたいと思つておりましたが、本日天王寺管理局の解雇の問題について、お話が出るように伺つておりませんでしたものですから、解雇当時の責任者を呼んでおりません。ただいまいろいろ南近畿地方本部の方のお話を伺いますと、大分こまかい話がいろいろ出ておるようでありまして、その際のいろいろなやりとりといつたような事実の問題になりますと、とうてい私の方で説明もいたしかねますので、次回に私の方の現地責任者を呼びましてお答えを申し上げることにいたしたいと思います。
  155. 赤松勇

    赤松委員長 当局側に警告しますけれども前回当局の資料は大阪の資料だけしか出ていない。従つて、問題の起きている特に南近畿あるいは広島の資料を私から要求したのです。資料というものは、ただ公労法第何条で解雇したということなら、資料はいりません。われわれの案ずる資料は、少くとも解雇の理由になつた、たとえば器物破毀等の事実が起きて、この集団暴行に対して、いわゆる業務の運行を阻害したのだというような事実認定があつて、あなたの方は公労法違反だと言う。だから、こういう資料をお出しになるときには、少くとも今楯委員質問のように、この器物の破毀について、組合はこう言つているけれども、これを確認するか、いや、そうじやありません、その損害はかくかくに大きいのだ、こういうように甚大であるがために、これは明らかに業務の正常な運行を阻害するものである、こういうように私どもは認定しましたと、こういう答弁があつてしかるべきである。それにもかかわらず、何を質問しても、いや、わかりません、わかりませんでは、結局解雇の理由もわからないということになるので、それで私は、これは委員長として資料を要求した責任もございますので、私は次回の委員会にこの南近畿の当時の責任者を本委員会に呼びます。――呼ぶことに御異議ありませんね。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 楯兼次郎

    楯委員 それは当然そうしていただくことに私は賛成であります。しかしこの第一日の委員会において、この処分をした人は、これは最終的には総裁であるということを、あなたの方ではつきりと発表されているのです。総裁が最終的決定をした。何がゆえにこれを処分をするのか、今私がお聞きしても全然わかつておらない。わかつておらないのに、いいかげんに処分をするという手は私はないと思う。だから、最終的に国鉄の本庁で処分をされたのならば、これは人一人首を切るのですから、これがよつてつた原因なり経過というものはわかつておらなくてはならぬ。もちろん、詳細な面については、この管理局の担当者が来なければわからないにしても、私が今お聞きしようとする程度のことは、当然あなた方は知つておらなければ、人一人首切るということは、私はできぬと思う。この点について私は非常に不満です。
  157. 中原健次

    ○中原委員 私の委員長に対する要望は、この会議が始まつてから最初にお願いしておきたかつたのです、けれども、今委員長から私の考えのような発言がありましたので、それでけつこうだと思います。それを再確認しまして、今楯兼次郎君が言つたように、総裁が最終の決定をされたのであつて、最終の決定をされる場合には、各鉄道局から、具体的な事実について詳細に報告をされているものだと思う。その詳細な報告を基準にして、当局では十分な研究の上、十七条違反であるという決定をされたものであると思うのであります。今委員長が言われたように、その決定される基準になつた鉄道局の報告を全部この委員会に出していただきたいと私は思う。それを委員が全部検討いたしまして、なお論議すべき点があつたら論議すべきだと思う。それらのことについては、各責任者の地方局等から説明はなさつておられますけれども、非常に不十分であるし、また私たちの受取り方も不確実な点もあると考えますので、その点をできるならば二十七鉄道局――首の対象にならなかつた鉄道局も多いのですが、それをも勘案しなければならない必要がありますので、全部中央に報告なさつているはずだから、これをひとつそのままこの委員会に提出されるよう委員長にお手配を願いたいと思います。
  158. 赤松勇

    赤松委員長 自由党の方々もおられるのですが、私もなるべく早く事実調査をやつて、そうして本委員会で結論を出したい、こういうふうに考えまして、調査を進めて来たわけです。今お聞きになつてもおわかりのように、人一人を首切るということは容易ならざることで、これは労働者にとりましては死刑に当ることである。従つて、人の生活権を奪う問題であるから、それにはちやんとした正当な理由、法律的な根拠をお示しにならなければならない。それにもかかわらず、当局はそういう資料は持たない。現地の者を呼ばなければ馘首の理由を明らかにすることができないということは、これは明らかに怠慢である。従つてこの点につきましては、次回委員会にぜひ現地当局者に出席を願つて、徹底的に調査しまして、そうして適当な処置を講じたいのですけれども当局の方もこういう問題は厳粛に扱つてもらいたいと思うのです。  それでは南近畿の問題はこれで留保いたしまして、次に進んで御異議ありませんか。
  159. 中原健次

    ○中原委員 今の提案ですが、当局が地方のそういう遵法闘争あるいは休暇闘争状況について報告なさつてつて、その報告が基礎になつて総裁が最後の決断を下された、その基礎資料をここに提出してもらいたいというのが私の提案の趣旨であります。採用してくださるかどうか。
  160. 赤松勇

    赤松委員長 中原君の要求の資料を出してください。
  161. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 一点だけお尋ねしたいと思います。天王寺管理局におきましては、指令を発した責任者は一名も処分の対象になつていないようであります。これは十八名の解雇をされました所属の管理局組合の地方本部におきましては、非常に不統一でありますけれども闘争委員長あるいは副委員長書記長というような人が二名ないし三名解雇の対象になつておるのであります。しかるに天王寺管理局におきましては闘争委員長、副委員長書記長、企画部長、そうした人たちが解雇の対象になつていないのでありますが、これはどういう事情でありますか。
  162. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 その点につきましては、実は前回委員会の際に、私としては申し上げたつもりでおつたのでございますが、私どもの考え方は、再々申し上げますように、公共企業体の職員である者は、このような争議行為はやつてはならないということでございますから、従つて公労法十七条に触れる者の数は非常に多かつたのでありまして、この法律をもしリテラリーに適用すれば、相当多数の責任者も出さなければならないということであつたと思うのでございますけれども、それらの関係者の中で、この行動に最も積極的に参加したという証左の確実な者だけに責任を持つてもらう、こういうことでありまして、もちろん天王寺の地方本部の委員長なり、あるいはその他の幹部の諸君が、公労法十七条違反の事実がなかつたのだというふうには毛頭考えておりません。ただこの吉田君とか平田君とかいう方たちが最も積極的に行動されたということは、これらの事実によつて非常に明白である。そういう明白な法律違反の行為がある以上、その責任は明らかにしなければならぬ、そういう考えで処分をした、こういうことでございます。
  163. 黒澤幸一

    ○黒澤委員 解雇言い渡しを受けました吉田さん、平田さん、この人たちの活動は、やはり上からの指令によつて当然行われたのじやないかと思うのでありますが、当局においてはそういうようにお考えになつておるかどうか。あるいはまたこの両君の行動というものが、指令に基かない。この人たちの自由な意思によつてやられたものであるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  164. 中畑三郎

    中畑説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもの方の判断では、多分地方本部の方の指令がございまして、この御両氏が行為をやつたのじやないか、こういうように推察をいたしております。
  165. 赤松勇

  166. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は扱い方についてお尋ねいたしたいのですが、いやしくも長崎総裁の責任において切つたということになれば、この集約の問題は当然本庁でしたと思うのです。そこで私はいろいろ各所に該当者が出たか出ないかかわかりませんが、それを当然本庁としてはアンバランスにならないように、同じような該当事項があれば同じような処置がされる、これは本庁としては当然であろうと思う。いやしくも公労法の十七条をたてにとつて解雇されるのですから、これは中央から指令が出て、こういうことに基いてあなたの方は解雇に該当すると、こう言われるのですから、当然本庁で扱われておると思う。ところが、今お聞きしますと、事実もよくわからない、しかもこの事実はあなたの方から出しておられる資料だけでも、刑事犯が成立するようなことも書いてある。しかもその刑事犯については、告発と言われましたが、あるいは告訴かもしれません。とにかくいずれにしてもそれがはつきりしていない。こういうことは私は本庁としてあり得ないことと思う。どこの会社でも、民間では、三井の鉱山でもやはり本社で扱つておる。本社が均一に各鉱業所をにらみ合せてやつておる。本社においては、各鉱業所のだれか首を切られた場合には、こういう事実があるということを、一々明確に、各労働委員会なんかに呼びましても、本社の労働部長が答えておる。しかるにあなたの方は、本庁においてどうも現場をひとつ呼んで来なければ、ずつと細部にわたつてそのときの問答なんかはわかりませんでしようけれども、起つた事実は当然把握されてしかるべきである。もしも把握されておらなければ、労務担当の方々はいらないと思う。私はこの点非常に不満にたえません。一体だれが当時の責任者であつたか知りませんが、どういう取扱いをなさつておられるのかお尋ねいたしたい。
  167. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 本庁といたしましてこれらの処分をいたしましたのは、いやしくも明白な法律の蹂躙が行われている以上、責任を明らかにしなければならないという気持で処分したわけでありますが、それにつきまして、全国に関係者の数が非常に多うございましたので、それらの事実については、各関係の管理局長から報告をもちろん聞いております。ただ事実の認定ということにつきましては、一々私どもが出かけて行つて現認するということはできませんので、所属の管理局長の認定を信頼しておるわけであります。それによつて先ほど申し上げましたような解雇の理由に該当する事実があつたということは、私どもとしては確信しておりますので、こういうような事実があれば、積極的な立場で行動しておるということは明らかである、従つてその責任を問うた、こういう考えでおるわけでございます。
  168. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 解雇された人は、われわれから言えばきわめて厖大ですけれども、人数から言いますと、そう調査ができないほどの人数ではない。学校の落第あるいは及第を審議する場合にも、一々この人間はどうだというので、みんな検討しておるのです。少くとも私たちしろうとがここで質問するぐらいのことは、当然あなたの方では当該の管理局長並びにその責任者質問をされているはずなんです。ここに書いてあるような集団暴行を行つて損壊をしておるということになれば、これが事実とすれば刑事的なものである。その刑事的なものがどういうようにされておるか、こういうことがわからぬようではどうも話にならない。あなた方、一体事実問題の検討をどういうようになさつておるのか。なるほど事実の認定については現場にまかせておるだろう、しかし現場の報告をどういうように検討されているのか、お尋ねいたしたい。
  169. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 お話のように、刑事責任の追究ということも問題にはなるというふうに、いろいろ事実を聞いております間、相談しております間に、そういうことも考えました。また単なる公労法上の問題のみにとどまらない責任の追究の方法というようなことも、考えなかつたわけでもございません。しかしながら、いろいろ考えました結果、はなはだ言葉は適当を欠くかもしれませんけれども、これらの方々のお気持といいましようか、名誉といいましようか、そういうようなことも頭に入れまして、公労法の処分をするということにいたしたわけであります。
  170. 赤松勇

    赤松委員長 楯兼次郎君。
  171. 楯兼次郎

    楯委員 どうも私は聞いておりますと、不可解でならない。総裁が最終決定をしたという問題については、もう繰返しませんが、たとえば、今南近畿で問題になつております運転休止の問題であります。この問題あたりを一つ取上げても、今あなた方の説明を聞いておりますと、運転休止をした、そういう報告だけあなたの方へ行つて、運転休止をさしたのは、たとえばだれでありましたか、この男だ、これを首切つちまえ、こういうようにしか報告を受けておらない、そういうふうにしか私たちにはとれません。なぜ運転休止になつたのであるかという点を、少しも検討しておらないように受取れるわけです。たとえば十一月の十一日にダイヤが改正になつた。ところがよその区では新しい交番制をしいておるのに、ここの問題になつた区では古い交番でやつておる。当然〇、幾つか知りませんけれども組合説明によれば人が不足になつて来た。そこへ十一月の二十日の闘争でいわゆる超過勤務はやらないということになれば、ますます人員の繰配で困ることはあたりまえです。それで十二月の二十四日でありましたか、何か月日は遅れておりますが、やはり人が足りないということを認めて一名人をふやしておる。その間に起つた闘争の場合に、運転休止になつたからけしからぬから首を切る、処分をする、そんなばかなりくつはないと思う。あなた方、おかしいですよ。説明を聞いておりますと、運転休止のところだけ――いわゆる一番うまいところだけ食つてあとは知らぬ、こういうやり方をやつておる。だから、あなた方当局として事実をもう一回よく調べて、根拠のなかつた場合には、これはやはり撤回してもらわなくちや困ると思う。この点どうですか。
  172. 赤松勇

    赤松委員長 関連質問を許します。館俊三君。
  173. 館俊三

    館俊三君 私速記録を、ただいまの速記録だから調べてみたいと思いますが、さつき吾孫子さんのお話の中に――必ずしもこういう表現じやなかつたですが、私の受取つたことは、必ずしもこの十七条違反でない場合の人も加味したし、それからその次に出た言葉は、人柄や名誉も考えながらというお話があつたのです。それは重大な発言だと私は思うのです。何かそういうことをおつしやつておる――表現の仕方は違つておりますけれども、速記録を見れば確かにそれを言つておられる。私の耳にぴんと来た。あとに人柄とか名誉とかいう言葉を言われたはずです。その先にそういうお話があつた。私は非常に解せないと思う。そうしていよいよ解せなくなつて来ることは、この首切りの並べられたリストを見ますと、とにもかくにも国鉄が大会を開いて、この闘争方針を国鉄の大方針として最高決議機関の大会が決定した。その決定をその通りにやるのが中闘の責任なんだ。四十五万の人に対する責任の地位にある人がやるのだ。その責任ある中闘が指令を地方本部へ流して、その指令によつて下部末端が闘争方針を実行して行くというのが、単一組合の当然の務めなんだ。その務めによつてあのことが起きたのであります。従つて中闘が全部責任を持つと同時に、下部の地方本部の執行委員もまた責任を持たねばならない。当局も首を切つたときに、首を切つた理由をいろいろ簡単に並べておりますが、やはり指令によつてということを認めておるのである。それならば、地方本部の各三役も当然その企画にあずかつたものである。もちろん中間もそうですが、それがあなた方の気にさわつたならば一様に首にならねばならぬのに、そういうようになつておらぬ。東京の本部では副委員長書記長、企画部長が首になつておりません。大阪地方本部では企画部長が首になつておらない。南近畿天王寺管区では全然首になつておらない。広島でも書記長が首になつておらない。こういう事実を見ると、当局がそういう指令を出したのが違法であるという建前で、その指令をやつた者が悪いということで首を切るならば、当然これらがみんな企画に参加しておるのでありますから、全部やられなければならないのに、残されておるということである。そうしてそれ以外の人が首になつておる。そこに何か人間のすききらいがあるか、考え方のすききらいでもあつて、ねらい撃ちをやつて首を切つたのではないかという気持がしているのです。そう考えますと、当局のこの問題の処理の方針が、きわめて不明確であり、不明朗であるというふうに感ぜざるを得ないのです。私は大きくそこに疑問を持つのですが、そういう点がありますかと聞いたつて、ありませんという返事をもらうに違いないと私は思うのですが、そういう意味において、さつきお話のあつた各地方の管理局長が、その経過報告その他について詳細に報告をしておられる内容をもう一ぺん十分に吟味してみたいと思う。あなた方はそれを吟味なさつたでしようが、当局組合の両当事者以外のわれわれの立場から十分に吟味したいと思うのであります。今ここで聞いても、そうでありません、こうでありませんという返事をもらつておるのでありますが、こういうねらい撃ちをしておるのじやないかというような気分を、さつきの吾孫子さんの何か人柄を考えるとか何を考えとかいう言葉が付言されたことと、その先に何か十七条違反のほか、あるいはこの争議以外の何かもあるということを言われた。速記録を調べればわかりますが、それを思い合せて、非常に私は不愉快な気がするのです。争議はお互いに両当事者であるから、堂々と闘うべきものでなければならぬ。この機会を利用して何かやろうというふうに感ぜられるということは、きわめて不愉快だ。そういう気持がいたしませんかということをお聞きしたつてしようがないが、一応お聞きします。
  174. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 先ほどの私が御説明申し上げましたことに関連しまして、館先生から、聞いたつてしようがないかということでお尋ねになりましたが、この点は、実は常に私どもは労使間の問題が警察ざたになるとか、あるいは刑事上の事件にするとかいうようなことは、その方がどういう方であるにせよ、できるだけそういうことは避けたい、そういう意味で、たとえば刑事犯として告発するというようなことは、やはりその方の名誉ということもございますし、これはいろいろ御批判はあると思いますが、公労法による処分ということであれば、これはほんとうに労使間の紛争に伴つて、たまたまその方の行為が法律に禁止しておるところを逸脱した、その逸脱したことに対しての責任が問われたということであつて、やはり刑事犯の何とか罪というのとは、よほど気持ちが違うのではないだろうか。その辺のところは、これはお前がかつてに考えたのだということになると思いますが、そういうような気持で、なるべく問題を警察ざたに、刑事事件ざたにしたくないという考え方で来ておるわけであります。  それから、えり好み云々ということでございますが、この点はしばしば申し上げておりますように、確かに全国にわたつて中闘の指令で争議行為が行われたのでありますけれども、その実施の行われ方というものは、やはり場所によつてつておるというのが事実でありまして、同じピケを張るにいたしましても、非常に厳重なピケを張つたところもあれば、実際には別に通れるようになつてつたり、あるいはピケの時間が短かかつたり、その関係で業務に支障を及ぼした程度が場所によつて非常に違つてつたところがあつたことは事実でございます。またそういうふうに闘争の実行方法が場所によつてつておりますから、それによつて生じた結果も、これまた場所によつて非常に違つておるわけでございます。それらの全体を見まして、それらの中で特に顕著な動かしがたい事実があつたということの明らかなものについて執行部の責任を問うたということでございましてえり好みというような考え方ではもちろんございません。もつぱら事実に即して、最も責任の重いと考えられた方たちを処分した、こういうことでございますと
  175. 赤松勇

    赤松委員長 楯君、あの答弁でよろしゆうございますか。あなたの質問とは少し違つてつたと思いますが……。
  176. 楯兼次郎

    楯委員 私は水かけ論になつて問題にならないから、現地から出て来る人が来てからやりたいと思うのですが、あなた方は何を言つておるかわからない。おそらくあなたが集約をして、内容を検討をして処分をされたと、だれしも思つておる。ところがあなたは内容を聞いても何もわかつていない。そう軽々に人の首を切つてもらつては困る。ばかくさくて質問もできない。この問題は後日に保留しておきます。
  177. 赤松勇

    赤松委員長 それでは次に広島管理局の方に移ります。当局から一応御説明を願います。
  178. 磯崎叡

    磯崎説明員 私の方は昨年末におきまして、植木仙次郎、枝村要作、本間大英の三人を公労法第十八条によつて解雇いたしました。それについての理由並びに当事の事情について御説明申し上げます。  お手元に御配付いたしました私どもの方の資料の別紙の第一――うしろから二枚目でございますが、そこに解雇の理由が簡単に書いてございます。一応御説明の糸口といたしまして、この解雇理由から御説明いたしたいと思います。  昨年末におきまする国鉄の賃金問題をめぐる闘争に際しまして、当広島管理局、――私の所管区域は大体山口県全部と広島県の半分ばかりでございますが、その地域におきまして、十一月下旬のいわゆる遵法闘争並びに十二月上旬のいわゆる休暇闘争、それから、それらの実施を確保するためのピケツト・ラインということなどによりまして、私の管内におきましても列車の運転休止、遅延その他私の方の仕事の正常な運営が阻害せられる事実が数多く発生したわけでございます。これらの事実は、後ほど日を追つて申し上げますが、その都度国鉄労働組合の広島地方本部の責任者が私のところに参りまして、明日からこういうことをするからというふうな通告がございますのが慣例になつております。これらの事実は、そこに書いてございます通り、いずれも国鉄労働組合広島地方本部の責任に基くものであるということは、組合側がしばしば言明しておるところでございまして、この三君は、私の方の広島地方本部の役員でございますから、このたびの闘争指令に関する主たる責任者というふうに考えられる次第であります。従つて公労法第十七条第一項の規定に該当いたしますので、同法第十八条の規定によつて解雇いたしたのでございますが、その大体の内容については、その次の別紙第二項目に書いてございますので、これの御説明を申し上げたいと思います。  別紙第三を第一、第二とわけまして、おもな闘争行為、それの私どもの方の仕事に与えました影響というふうに書いてありますが、このうちでおもな闘争行為は、第一の運転保安規整運動荷物愛護運動闘争であります。これらは、よその鉄道管理局の事態とおおむね同じでございまして、特に私から具体的に御説明申し上げるほどのこともないと存じますので、これは後ほど御質問によりましてお答えいたしたいと思います。次の三割休暇闘争でございますが、これは私の管内といたしましては影響が甚大でございました。これは後ほど日を追うて大体の経過を御説明いたしたいと思います。  その次の十二月八日の十割休暇闘争。私の方の幡生貨車区で実施いたしましたことについても、おおむねよその鉄道管理局の事態と同様でございますので、これも御質問によりまして後ほどお答えいたしたいというふうに思つております。従いましてそのうちの第二の、十二月一日、二日、三日の三日間の、広島駅及び広島車掌区で行いましたところのいわゆる三割休暇闘争というものの経過を、日を追つてなるべく簡単に御説明いたしたいと思います。     〔委員長退席、多賀谷委員長代理着席〕  十一月の二十九日、ちようどこれは日曜日でございましたが、その午後、広島地方本部の闘争委員長の植木君並びに今日ここに見えておる本間君、いま一人書記長でありますが、この三人が中央闘争委員を代表いたしまして私に面会を申込んで来られました。明後十二月一日以降三日間にわたりまして広島の駅――広島の駅は貨車の操車場と旅客の駅と一緒になつておりまして、この辺の東京駅、大阪駅といつたような旅客だけの扱いでなくて、貨車の操車場というものも含んでおります。その広島駅と広島車掌区――私の管内は山陽本線の列車の業務をおもに担当している車掌区でございますが、この二箇所に対しまして、いわゆる三割の休暇戦術を実施するということを通告して参りました。これに対しまして、私はその席上、そういう闘争戦術は、国鉄の正常な業務の運営を阻害するから、絶対にしてもらつては困るということを強く申入れいたしました。あくる十一月三十日、これは月曜日でございますが、組合闘争の指示によりまして、山陽本線及び呉線の出札の窓口及び待合室へ、「列車を利用される県民の皆様へ」というビラを貼付いたしました。そのビラを念のため読んでみますと、「私共は政府当局の法律無視の態度に反省をうながすため、明日から徹底的な闘争に入ります。列車利用の皆さんには多大の御不便をおかけしますが、何とぞ吾々の闘争に御協力下さい。係員の大多数が闘争に入りますので、運賃は車内又は着駅でお払い下さい。十一月三十日、国鉄労働組合広島地方本部」こういうビラを山陽本線並びに呉線の広島付近の駅へ掲げました。またこのころから組合側の招集によります約千名を越す動員部隊が、各地から続々と広島地方本部の付近に集まつて参りました。  私どもといたしましては、組合のこのいわゆる三割休暇戦術に対する対策といたしまして、この前の十七日の委員会で申し上げたので御記憶くださつていると思いますが、組合の休暇戦術について、こういうふうに対策を講じろという通牒を出しました。また先ほど申しました組合のビラは、運賃の収受その他につきまして、業務面にわたる点がございますので、これは業務的な行為であるという意味から、これらのビラの撤去、それからそれの掲示の禁止ということを、組合並びに各現場の方に通達した次第でございます。  十一月三十日の夕刻、広島地方本部の委員長は、広島駅長並びに広島車掌区長に対しまして、それぞれ私に十一月二十九日に申入れを行つたと同趣旨の申入れを行いました。明日以降一日三割の休暇戦術を行うからという申入れをいたしましたが、駅長並びに車掌区長は、いずれもこれを拒否いたしました。この点につきましては、前回委員会で御質問がございましてお答えいたしましたので、御記憶くださつていると思います。  組合は、広島駅及び車掌区の十二月一日の出勤予定者に対しまして、組合で計画いたしました休暇人員を除いた残りの出番の者に対しまして入門証――ちようど定期券のようなものでございますが、入門証を交付いたしました。また広島車掌区におきましても、広島第二支部というのが車掌区のそばにございますが、それが正門の前に検問所を設けまして、十二月一日以降出入りする職員がどういう勤務であるかという事情聴取をいたしまして、それを記録いたし、十二月一日以降出勤する場合は必ず組合を経由するよう指導いたしたということになつております。  十二月一日、これは火曜日でございますが、この日の午前零時からいわゆる休暇闘争が始まつたのでございますが、御承知の通り駅の方の勤務は午前八時半に交代になつておりますので、八時半までは、ただピケ隊が集まつたというだけで、大したことはありませんでした。車掌区の方は、真夜中でも乗務いたしますので、車掌区の闘争戦術は午前零時から開始されたわけでございます。すなわち午前零時を期しまして行動を開始いたしまして、広島駅、広島車掌区に対しまして、たくさん詰所がございますが、この詰所の出入口にピケと申しますか、腕章をはめた組合員の諸君が腕を組みまして、その出入品に立ちふさがり、出入りを阻止する――ピケという言葉で表現いたした方がよいと思いますが、ピケを張つて夜を明かしました。また広島駅の本駅のお客さんの出入りされる場所あるいは手小荷物を受付する場所等につきましても、午前零時ごろからピケを張つたわけであります。その当時の人員は、私の方は概数でございますが、約手四、五百人と推定いたします。ピケによりまする組合闘争の大体の要領は以下申し上げるような事情でございます。  まず広島駅におきましては、本駅、すなわちお客さんの出入りされる駅並びに貨物を扱う広島操車場の両方とも、当日の出勤者を一応ピケによつて食いとめまして、組合の発行いたしました入門許可証のない者は一切職場に入れない、従つて、入門許可証を組合から前日にもらつていない者は、一切自分の職場に入れないというような状態にあつたわけでございます。また広島の車掌区の方におきましても、ほぼ同様でございますが、車掌区と申しますところは、普通の車掌の勤務は、一応車掌区というところに参りまして、区長の点呼を受けまして、それから実際に列車に乗ります場所まで車掌区から歩いて参るわけであります。すなわち、広島操車場までは、やはり徒歩で参つたり、ホームから列車へ乗つたりいたしますが、その両方に対しまして、ピケラインによりまして、職員の出入りごとに、入門の許可証及び就労証という二つのものを発行いたしまして、以下に申し上げるような非常に厳重な検問を行いました。  まず入門の許可証でございますが、車掌区に出て来るにあたりましては、先ほど申しました広島の第二支部というところへ参りまして、入門許可証を受けますが、この場合組合がきめました勤務指定票によつてこれを交付したわけでございます。すなわち、組合が休暇に指定いたした者にはこれを交付しない。従つて車掌区には入れないというような実情でございました。また入口におきましては、ピケ隊が入門許可証を検問いたしまして、各個人についてて組合側の持つております名簿と対照いたしまして、そうして組合の認印を押しまして本人に返す、本人はそれを持つて車掌区に入る、こういうような手続になつておりました。  次の就労の証明書と申しますのは、先ほどのようにして車掌区に入りました職員は、助役のところで勤務指定を受けました後に、また組合の支部へ参りまして、そこで就労証明書を受けます。その就労証明書を持たない者は列車には乗務させない。すなわち、先ほど申しましたように、車掌列車に乗る場所は、車掌区とは少し離れておりますが、たとえば広島操車場の貨物列車の出発いたします線の車掌の乗る付近にピケを張りまして、そこで就労証明書を検査するというような手段をとつたように認められます。また就労証明書は、入門許可証のカードに指定列車を記入したものを用いまして、何列車というような列車名のよいものは乗務を拒否したわけであります。それらによりまして、広島駅並びに広島車掌区とも、十一月三十日、前日に組合側が入門許可証を発行した者以外は、実際には勤務できないというような態勢に陥つたわけでございます。それらの数につきましては、後ほどまとめて申し上げたいと思います。  これが私どもの仕事にどういうふうな影響があつたかという点については、その次に御説明申し上げますが、組合の出勤の許可状況、いわゆる入門の許可証の発行状況を見ますと、いわゆる踏切りの関係、あるいは信号扱所関係等は大体普通でございましたが、その他につきましては、大体出勤すべき人員の五割以下の人員しか入門許可証をもらつておりません。いわゆる営業関係、すなわちお客さんに対する切符を売ること、あるいは改札をすること、あるいは小荷物の受付ということにつきましては、やむを得ず人夫を使用いたしましたり、大口の発送の小荷物を、やむを得ずよその駅に持つてつて受付けてもらいましたり、あるいはやむを得ず無札の証明書を発行いたしましたり、あるいは非組合員とか庶務掛を補助に用いたりしました。また操車場の方におきましては、各持場をなるべくまとめて作業させるとともに、旅客列車は完全に運転いたしましたが、操車掛、連結手等が非常に出づらが少くなりまして、入れかえ作業、私どもの言葉で解結作業と申しておりますが、貨物列車を分解し、それをつくり直すという貨物列車の分解組成の作業が、ほとんど不可能になつたわけでございます。また当日広島車掌区におきましては、十一月三十日に約百七十名の休暇願が出て参りました。これは拒否いたしましたが、先ほど申しました通り、組合側が強硬にこの戦術を実施したために、現実に勤務ができない。車掌なしでは列車を走らせるわけには参りませんので、運転の休止が続出するということに相なつたわけでございます。これに対しまして、私どもといたしましても、もちろん拱手傍観ということではなく、また職員の中には何とかして列車に乗りたいという職員もおりまして、乗継駅をかえましたり、いろいろな手段をとりまして、職員の出勤も多少はございましたが、大体は組合側のやつたことが功を奏しまして、後ほど申しますような、相当大きな列車の運転休止等が発生したわけでございます。  また十二月一日の夕刻ごろからは、組合側はさらに糸崎―岩国間の広島を中心といたします約百キロの両方の各駅に、何と申しますか、ピケの派遣隊をつくりまして、それを各駅に派遣いたしました。そして各駅に参ります列車の乗務員をつかまえまして、休暇あるいは公休等で乗つています乗務員の乗務を阻止する、あるいはよその受持ちの人間を阻止するというような手段をとつたようでございます。十二月一日の当日午後、廿日市という駅で組合車掌が、おりろ、おりないということでごたごたしております間に、助役が列車の発車の合図をいたしまして、遂に一区間列車乗務員なしで運転したという運転事故を惹起いたしました。これは私の責任でありまして、非常に申訳ないと思つています。そういう派生的な事故もございまして、私といたしましても非常に心痛いたしておつた次第でございます。  当日の午後七時ごろになりますと、広島操車場がほとんど満線の状態になりました。すなわち、先ほど申しました通り、列車の分解組成ができない。また出発する列車車掌が乗れない。従つて出発する列車が出ないというようなことで、広島の操車場が、ほとんど各線に全部貨車が詰まつてしまいました。そのために、中間駅の側線等にも列車のやむを得ない運転休止等もできまして、上りの方は幡生の操車場どめ、下りは糸崎でとめるというような緊急な手配を講じまして、残念ながら、十二月一日の十九時四十分現在におきましては、山陽本線の上下の貨物列車は、広島操車場を中心といたしまして、全部一時運転を休止いたす事態を生じたわけであります。  十二月二日になりましてから、午前中多少列車が動いて参りましたが、先ほど申しました中間駅の監視、すなわち糸崎―岩国間に派遣いたしました組合のいわゆる派遣の動員は非常に強化されまして、約百六十名程度の人間が行つてつたというふうに私は聞いております。広島駅の方も、大体十二月一日と大差なく、操車場並びに旅客関係、貨物関係とも、業務に大きな支障を来しておつたのでございます。車掌区も、車掌の不足に対処する手配を講じまして、たとえば、よその車掌区の車掌列車に乗つてもらう、あるいは普通の客扱いをいたします車掌、運転車掌を兼務させる等いろいろな方法を講じましたが、十二月二日も、後ほど申します通り、相当大幅な列車運転休止を余儀なくされたわけでございます。  十二月三日になりましてからも、やはり大体同じような状況でございまして、広島駅におきましても、またことに広島操車場の方は、人員の不足から貨物列車の運休がやはり続出いたしました。そのために、数字的に申し上げますと、広島鉄道局管内で、輸送面に対しまして約三割近い遅延を生じたわけでございます。広島車掌区におきましても、やはり休暇の申出が前日にございまして、いろいろ手配をいたしましたが、やはり初列車から、第一日と同じような大体の状況でございます。入門許可証、あるいは就労証明書等を使いまして、列車の運転休止続出を余儀なくするに至つたのであります。午後四時ごろ広島駅の主席助役が、組合員のために――これは組合活動ということではないと私は存じておりますが、若干の障害を受けました。その前後になりましてから、十六時にピケが解かれました。そして十二月三日の午後、十六時半ごろに一応大体平静に復したというようなことでございます。  これによりますところの影響はきわめて甚大でございまして、毎日々々の使用車の面その他数字の面を後ほど申し上げますが、輸送状況が平常に帰るまでに約四、五日ないし一週間近い間手間取つたわけでございます。三日間におきまして、列車を運転休止いたしました本数を申しますと、第一日が四十三本、第二日が六十七本、第三日が四十本、合計百五十本という数字でございます。大体私の管内では毎日――これも日によつて若干の移動はございますが、約百本近い列車が動いております。そのうちの三日間で百五十本の列車の運転休止が出たということになつております。  非常に長くいろいろこまかいことを申し上げましたが、以上のような概略の状態でございまして、これらの状態は、先ほど申しました通り、いずれも組合側闘争指令その他組合指令に基くものというふうに私は認めましたので、組合側責任者である三君に対して、公労法十七条によりまして十八条の責任をとつてもらつた次等でございます。  簡単ですが御説明を終ります。
  179. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長代理 次に組合側植木参考人
  180. 植木仙次郎

    ○植木参考人 広島地方本部の植木であります。闘争委員長をいたしております。私どもの立場から御説明申し上げたいと思います。  まず第一番に、別に私は首を切られておるから感情的になるというわけではありませんが、こういう場合におきましては、やはり労使ともに国会という権威を尊重いたしまして、その人たちがとりましたことを詳しく申し上げることを、私どもも考えなくちやならぬ。ことに、これは組合のみならず、当局においてもしかりであろうと、かように思うのであります。ただいま磯崎局長の方からお話がありましたが、大切なところが漏れております。実はこのことは、御報告になつておるであろうと思うのでありますが、それらのことがどうであろうかと思いますので、このことにつきましては長崎総裁も御出席の上で私は聞いてもらいたいところでございます。  私が申し上げたいことは、私どもは、私どもの年末の闘争につきましては、仲裁の裁定完全実施ということを願としてやつたのでありまして、私は本年五十三才になりますが、普通の状態でありますなら当局的立場に立つのであります。二年半ばかり前そういう話もあつたのでありますが、今日なお組合にとどまつておりますゆえんは、仲裁裁定が完全に履行せられるという姿ができるならば、国鉄労働組合組合運動はまさに正常となるであろう、このことはひいて日本の労働運動に影響を及ぼすものであるという信念に基いて私ども組合運動をやつたので、私はそういう信念でのみ――昨年の年末の場合には、御承知のように昨年の夏ごろから仲裁裁定については全然了承しがたいというような国会方面の空気もあつたということでございまして、私どもも、参加組合員二万三千人のものは一致結束いたしまして、これではという気持の上に立つて広島地方本部が行動したということを御承知いただきたいと思うのであります。  特にいろいろお話がつたようでありますが、私どもは中開指令に基いてやつたのでありまして、これらの点については、いろいろ見解があろうかと存じますが、組合運動をいたしております者といたしまして、業務指令に対して従わないという結果が現われますと、これは組合幹部としての責めを果さないことになりますので、先ほど諸先生方からお話のように私どもは忠実に中闘指令を行つたのでありまして、地本におきまして具体的にわれわれに対して課せられることが何であるかということを局長に話しましたところ、磯崎局長は、自分は事実を中央に報告した、しかもその決定は中央においてなされることであつて自分は任命権者としての発令をしたまでであるということでありますが、先ほどのお話でありますと、局長がみずからいけないと思つてつたというような言葉がにおえるようでございますが、そういう過程を経ました。  本論に入ります。特に私も局長が申されましたように遵法闘争なり、休暇闘争なりというようなこと、また同じ休暇闘争でも、後に行われました十割休暇闘争は、途中で簡単にやめたのでありますから、これらについては問題はないと思うますので、私も十二月一日、二日、三日にわたつて行いました三割休暇について申し述べたいと存じます。  御承知のように、休暇は十二月一日、二日、三日にわたつて行つたのであります。広島地方本部といたしましては、この戦術を行使いたしますのに先だつて、十一月二十九日午後三時、磯崎広鉄局長に対しまして事前通告を行つたのであります。このこのことにつきましては――これは弁解がましくなりますが、広島が一日早く通告したために、当局者に裏をかかれるという面もあつてつたというような非難も、他の地方本部から受けましたけれども、私どもといたしましては、すでに当局にも申し伝えておりましたように、事態がきわめて重要ということを思いまして、下部の組合員が一体としてきわめて固い決意を持つておりますだけに、相なるべくは当局者に十分に考慮を払つてもらつて、もしできることなら戦術を発信する前にこれを解決したいという気持があつたことも事実であります。ともかく私どもは、私以下大崎書記長、ここにおります本間企画部長三名が局長に面接いたしました。その際に磯崎局長はできることならとりやめてほしい。しかし組合中央闘争委員長の指令であるからこれを行われるであろう。従つて以下は聞いてもらえないかもしれないが、局長のひとり言として聞いてほしい。すなわち、一、広島駅については、交通保安の見地から踏切警手及び運転保安の見地から信号掛の休暇はとりやめてほしい。二、広島車掌区については、第一に旅客列車、次に主要貨物列車の運行を確保してほしい、こう申されたのであります。このことは、地本で団体交渉をいたしました場合に、何回も局長に――私は意図は知らなかつた。しかしながら戦術を行使する上において、局長は理解を与えておられるはずである。そのことを結果が大きいから非難するということは当らぬということを申し上げ、広島の団体交渉では、しばしば局長が大きくうなずいておられましたから、このことは御否定にはならないはずであります。従つて、この見地に立つ限り、私は休暇をとることについて、この戦術を通じて、一応当局は十分に御了解を願いたい。しかも十一月二十九日に、先ほど申しましたように通告をしておるというような事態もありまして、ひとりその現われた結果のみについて責められるということについて、われわれはどうも納得できがたいと思うのであります。  しかし、このことはともかくといたしまして、局長のさような御意図に対しまして、広島地方本部といたしましては、偶然にも局長の意向のように闘争委員会で決定をいたしております。その理由は、広島駅につきましては、申されたように山陽線の主要駅であります。かつまた踏切り等については、市内交通もはげしゆうございますので、それらのことを考えた結果でございますし、さらにまた広島車掌区につきましては、旅客列車の受持ちが、これは車掌区々々々でいろいろ違いますが、広島の旅客列車の毎日動いております列車の割合を申しますと、旅客列車が六の割合であり、貨物列車が四の割合でございます。従いまして、局長の意図として旅客列車、主要貨物列車ということであつたのであります。第一番に旅客列車ということでありますが、そこで、もし私ども中央闘争委員会の闘争指令そのままに実施いたしましたならば、旅客列車がばたばた倒れるということが予想されたからであります。この点につきまして、去る日交通新聞によりますと、十七日に吾孫子職員局長は、当委員会で、三割を出動させないようにしておるところがあるということを申され、今日もそのようなことの御発言がありましたが、もしこのお考えの中に広島のことを含めておつしやつたのであるといたしましたならば、とんでもない見当違いであるというふうに私どもは思うのであります。私どもといたしましては、局長の意向をもくみまして、旅客列車と主要貨物列車の運転を確保するためにとりましたところの、苦心の戦術であつたということを申し上げたいと思います。  かようにいたしまして戦術に入つたのでありますが、当局側にも従つて用意があるはずであると思つており、はなはだしい列車運行上の乱れは起らなかつたはずでありますのに、十二月一日以降どうして広島にはあのようにたくさんのダイヤの乱れが起つたか、ただいま局長のお話になつたような事態が起つたかということであります。このことについては私どもの方はお手元に別に記録として今日出しておりますので、後ほど企画部長の方からその問題について補足して説明を申し上げたいと思います。  そこで十二月一日午前零時から戦術行使に入りました後に、午前の六時ごろまでは、戦術がわれわれの意図の通りに比較的スムーズに行われておつたのでありますが、午前八時ごろから、休暇をさせて多少列車に影響があるのだがと思つておりましたが、朝間から列車はぐんぐん動いておりました。どうしたのだろうというて調べてみましたところが、広島の車掌区長組合戦術の裏をかいて、次のようなことをやつておりました。すなわち当日私どもが休暇を命じました車掌の取扱いの問題でありますが、当日出務いたしました勤務車掌のうちの二、三名の者を、広島を中心に短距離の区間を廻転乗務をさせておりました。そうして一方私どもが休めと言つた者を区長が呼びつけまして、どういう指令を発しましたか知りませんが、とにかく所定の駅に行つてつておれと言われた。広島を中心にしてぐるぐるまわして、ここまでおいでおいでで乗らしておるのであります。そこで、組合が指令した休暇をとらないそれらの者は、ある部分については当局もやむを得ないものと認められておりながら、どうも休暇の実態が上つておらぬということでありました。そこでそういうようなことが行われておりました。このことをやりますために、車掌にはジヤンパーを着せるとか、あるいは合図燈はふろしき包みに包むとかいうような用心深いカムフラージユをしておる、こういうようなことでありまして、組合は当然のことといたしまして対策を講じませねばならぬので、中間駅に対して所要の行動隊を配置して、この結果当局は完全にというか、相当参られたような状態であります。  私はここで申し上げておきますが、初め私どもの戦術行使の中には、先ほど局長の言われたように、糸崎以西について行動隊を配置したということの御非難でありますが、私は戦術の初めに、こんなことは広島地方本部としても、また委員長の私としても、夢にも考えていなかつたことであります。広島の車掌区長に、あるいは当局が授けたかどうかは知りませんが、とにかく組合にはああやつてつておけばいい、戦術の裏をかけばこういう方法があるということが如実に現われておつた、邪推かもしれませんが、私はそういうふうに思います。その結果として、組合としては、こういうふうに中間駅にまで行動隊を出さざるを得なかつたというわけであります。  しかも、この過程におきまして、特に御認識をいただきたいことは、車掌には七つ道具ということを、運転取扱心得の中なり付属規程において明示いたしておるのでありますが、場合によりますれば、車掌の資格でありますところの運転考査試験を通つた者とか通らない者とか、あるいは持物でありますところの信号用の雷管とか笛とか七つ道具がありますが、これらを省略して乗つてもよいということがあります。恐しいのは、復線区間でありますので、いつ何時不時に列車が停止するやらわかりません。そういうのに、うしろから来る列車に対しまして、鉄道規定として雷管という煙と音を発するものをもつてうしろの汽車をとめるのでありますが、後方防護のためにするそういう雷管を持たせない。よく調べてみるとそういうような状態があつた。  ここでちよつとはさみますが、先ほど残念なことながら廿日市という駅へ列車が機外停車をして、そうして車掌が欠乗したまま一区間走つたという御報告がありましたが、この列車は五一列車と申します。これは主要貨物列車でありますが、これに対して当局はどういうことをいたしたかと申しますと、広島の駅から四駅隔つたところに瀬野という駅がございますが、その列車は広島までは岡山の車掌が乗つて参ります。ところが組合が戦術を使つておるからというので、当局もそういう戦術を使われたのでしようが、瀬野の駅へ持つてつて広島の車掌を置きまして、臨時停車をさせて、瀬野の駅で広島の車掌に乗り継ぎをさせました。そして広島の付近ではどうも組合の目が多いからというので、己斐と横川というのは、広島の地方産業としてハムやら、かまぼこやらを出すのでありますが、当局列車が動いておるのに、組合の目が多いというので、とめるべき横川、己斐というような駅をわざわざ通過させまして、そのために急いで汽車が行つたものですから、廿日市の駅で、運の尽きと申しますか、前の列車がつかえてとまつてつた。そこへピケ隊が行つてつたから、君はどうしたのかと言つたら、所定のわれわれの意図の通りの戦術が行われておらぬから、そこで車掌が欠乗かということになつた。この点につきましては、実は広島の福島町とか草津というところは、ハムなりかまぼこの産地でありますが、そこから苦情を申し込まれました。局長に直接電話がありましたが、組合の戦術のためなら、私らも批判されなければならぬ。しかし停車する列車を通過させたために、ハム、かまぼこが腐つたのだから、組合が責任を負わなければならぬ理由はない。動いておる列車をとめないで荷主に迷惑をかけたのだから、われわれの責任ではない。私も了解を求めに行くが、あなたもおいでなさいと言うて、あいさつに行きました。局長に電話がありましたから、御記憶でありましようが、そういうようなあわてぶりで、正常な乗務ぶりをやつておりません。  そこで、私も三十年に余る鉄道に勤めた者でありまして、鉄道愛については、あえてここにすわつておられる方々の人後に落ちない考えを持つておりますが、これではいかぬということで、この列車運行の不自然さを是正いたしますために、私どもは何とかしなければならぬということで、十二月一日の正午でありますが、組合から申入れをいたしまして、午後六時まで、当局の営業部長と総務部長――営業部長は小林さん、総務部長は道下さんと申しますが、その方々にわざわざ営業部長の部屋に集まつていただきまして、何とかせねばならぬ、あまり当局もあわてぶりがひどいじやないか。こういう千名に余る動員をかけて、組合は目が多いのだ、そういうところで組合の裏をかこうというようなことが、もともとあわてぶりなんだ、だからひとつこれを直しましようじやないかということで――これはいろいろの御意見ありましたので、六時間かかりましたが、結局こういうことに妥結をいたしました。  当局は、広島車掌区長の裏切り行為を即時やめて、平常通りの乗務開始を――広島駅から乗りますので、広島駅から乗務さすこと、二番目は、組合としては局長の意図の通りに旅客列車並びに主要貨物列車の運転を確保すること、こういうことに妥結がまとまりまして、かくして十二月一日の夜から逐次列車の正常運転の方向にきまつたのでありまして、まことに手前みそのようでありますが、組合といたしましては、こうした争議行為の途中におきましても、公益事業である鉄道職員としての立場、その良識は失わなかつたつもりであります。  しかるに、広島におきまして特に三名の馘首が行われたということは、私は端的に申しますが、初めは局長がある意味で去年のことも考え合せ、まあ相当大きい腹を見せられたようでありますが、現われた結果が大きかつたので、はなはだ失礼であります。実は局長さんの面子をお立てになるために、中央幹部と呼応せられて、広島については他局に見ない峻厳な処置をとられたのだろうというように思います。あまり弁解がましくなりますが、私がこれを申し上げるのは、実は十二月一日、二日、三日以降について、列車が申されたように倒れておりますが、このことは、実は第一日に、広島の車掌区長がわれわれの戦術の裏をかいてジヤンパーを着たり合図燈を包んだのもこの目で見ました。そういうことをしさえしなければ、確かに休暇をとつただけ影響はあつても、ある程度の列車の運行をして、他局にはなはだ大きいような事故や列車運休はなかつたと思うのでありますが、問題は限られた地域のことでありますので、従つて第一日に列車が倒れた結果、第二日、第三日に列車をどういうように運休せねばならぬ、しかも二十本、三十本運休しましたのは、実は当局の業務命令で列車を運休したのでありますが、これらのことにつきましては、私は私どもの立場としては、あまりに組合だけにいけなかつたということの責任を負わせられるのは、どうかというふうに思うのであります。特に中開指令の問題を十分に実施いたしました私どもに、吾孫子局長のお話によりますと、アクテイヴを切つたというお話でありますが、こういうようなことは、私どもは今もつて中闘指令を狭めてこそ実施すれ、拡張して実施したというようにも思つておりませんので、単一体であります国鉄労組に対して、団結権の否定であるように思うのであります。  さらに補足して申し上げたいことは、公労法十八条は、私ども広島の学者等に聞いているのでありますが、これは刑罰的な適用をすべきでないという考え方であります。しかるに、当局はこれを懲罰刑罰的に臨みまして、恩給権を続奪する、共済組合年金の減額処分を行う、さらに多年勤めておつて規定として功績賞等を与えております者に対して、それらの待遇一切を剥奪するというようなことは、実に遺憾のきわみであると思うのであります。公労法十八条は、労使間の紛争に関連するものであります以上、きわめて悪意に満ちた解雇権の濫用であるというふうに私は結論づけるのであります。  以上申し上げましたように、いろいろございます。特に局長が先ほど言われました中で、一、二の点を申し上げておかなくてはなりません。組合員を拘束したということでございます。私どもは全員から、組合員に休暇の意思表示をしてもらいました。但し、やはり労働組合の中には、この休暇について、いろいろ職制の圧迫によつて自分は年末闘争ということを思つてつても、やはりさしさわりがあるということもございます。中闘の指令もございますので、私どもは一切下部の不安をなくするために、中央本部がその責任をとる。ということは、中央闘争指令につながつての責任をとる意味合いでありまして、あえて広島中闘が本部の責任をとるということを言明したので、そういうことを言つたんだから、広島の三役あるいは二役が、広島の者に対してそういうことをみずから認めているじやないかと言うことは、あまりおつかぶせた言い方であろう、かように思うのであります。  休暇闘争の問題については、以上申し上げた通りでございまして、どうぞひとつ、諸般の問題が、今まで解明されました他の地方本部の場合にもございますけれども、こうしたお互いに労使紛争の間の感情が非常に激しておりますときに、とんでもない小手先を弄するというようなことが、皆様方に対して非常に御配慮を煩わす結果になつたということを申し上げまして、以上私の陳述を終ることにいたします。
  181. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長代理 本間参考人、補足されますか。
  182. 本間大英

    本間参考人 後ほど当然質問が出て来ると思いますから、そのときに……。
  183. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員長代理 質疑を許します。中原君。
  184. 中原健次

    ○中原委員 いろいろと詳細な説明をいただいたのでありますが、そこに一つ疑問を感じます点を、お尋ねしてみたい。第一番に、休暇の申請に関して、これをどのように当局側が処理されたか。申請の休暇を、ただ全部そのまま拒否されたのか、それとも適当の数量はこれを許可する扱いにせられたのか。その点についての、まず取扱い上の事実を御解明願いたい、これは局長にお願いしたい。
  185. 磯崎叡

    磯崎説明員 休暇の請求につきましては、前回委員会でも御質問がございましたが、先ほど申しました通り、たとえば広島駅について申しますと、十二月一日分の休暇を、十一月三十日の午後百十五枚一括して持つてつた。二日の分はその前の日の十二月一日に百六十九枚、また十二月三日の分は前の日の十二月二日に二百八十九枚。これは委員長のお話にもございましたように、組合側の休暇請求の白紙委任状のようなものをとりまして、それに基いて請求して来たものだというように、私どもは見ておりますが、私どもの中の休暇の請求につきます今までの慣行、そのやり方としては、こういう集団的な休暇の申込みというものは、これは許可できないということになつておりまして、十一月三十日に、集団的な休暇を許可してはいけないという通牒を出しておりまして、各個人からの請求につきましては、私の方の正常な業務の運営に影響を与えない範囲の休暇付与はさしつかえない、こういう通牒を出しました結果、広島駅におきましては十二月一日年休として五十一名、十二月二日年休として三十名、十二月三日年休として十三名、また広島車操区におきましては十二月一日二十一名、十二月二日二十名、十二月三日十七名、それぞれ正式の休暇を付与いたしております。
  186. 本間大英

    本間参考人 本間でありますが、ただいま局長から言われましたように、当局は、この間も申し上げましたように、十一月の三十日に関係各区長に対しまして、組合の休暇戦術について、こういう通達を流しているのであります。その内容は、お手元に配付してありますので、御検討いただいたことと存じておりますが、形式的に見ますと、なるほど各個人の請求に対して、正常な業務の運営を阻害しない限りにおいて休暇を付与してさしつかえない、こういうようなことを言つておりますが、実際は、私たちが十一月三十日に広島車掌区並びに広島の駅に持つて参りました休暇に対して、駅長並びに区長は、全面的にこれを拒否いたしているのであります。従つて、当日私たち請求した者に対して個々に認定をして、いわゆる基準法上に定められた取扱いの手続に基いて個々に申請し、あなたはきよう休んでは業務の運営に支障があるから、たとえば三日後にしてくれとか、こういういわゆる基準法上の取扱いがなされておらぬということは、これは事実であります。ただ、ただいま駅については五十一名あるいは三十名、十三名というようなことを言つておられますが、それはその後の勤務の認証の結果として、当局一つの申開き的な措置として、駅長並びに区長がそういう措置をとつたということも、われわれは聞いているのでありまして、少くともわれわれが一日あるいはその後に出した休暇請求に対しましては、そういうような措置は当局はいたしておらない。このことは私のみならず相当多数の人が現場についてその現状を見ておりますので、この点については間違いのないところであります。
  187. 中原健次

    ○中原委員 当局として、この取扱いに対する一応の考えをとりきめる根拠として、集団的な休暇申請はこれを許さないという方針をきめ、かつこれを指令した、こういうのでありますが、この申請者の手続そのものが、基準法に準拠して当然なさるべきものをなしたにすぎないのであつてみれば、やはりその個々の申請に対する審査と、そしてこれを許可する、せぬの決定等について、このような一律的な取扱いをもつてよしとするという態度は、もうすでにそのことが、労働者の基本的な権益を考慮することに政府自身が心を用いていなかつた、こういうことになるかと思うのであります。ことに休暇の申請等に関しては、本来ならば当然その申請を許可すべきはずのものである。しかるにそのことを許可しないことを前提としてこれに対決して行くというこのものごしというものは、やはりこの点だけから考えましても、仲裁裁定の問題に対する当局の、心からこのことに対して理解をし、同時にこのことに対して苦しんでいるという誠実がそこにうかがわれない、こういうふうに私は思うのであります。こういうことについて、局長はやはり仲裁裁定の実施をなし得ないであろう状況に対して、この問題との関連において、どのようにお考えになられたか、そういう点についての御見解を承りたい。
  188. 磯崎叡

    磯崎説明員 今の御質問でございますが、私、地方局長でございまして、多少私の責任の範囲外になるかと存じますが、私のお答えできる限りのことをお答えいたします。仲裁裁定の実施につきましては、これは公労法できめてございます通り、私どもといたしましても、また国鉄全般といたしましても、仲裁裁定が出ました以上、これは公労法によつて国鉄当局はこれに拘束されるということは明らかなことでございます。従いまして、私は仲裁裁定の実施に必要な予算措置ということも、当然国鉄当局としてはこれをとつているのだというふうに信じております。従つて、私どもも、その下部機関といたしましては、仲裁裁定は完全に実施してもらいたいという希望を持つております。しかしながら、その問題と、現在先ほどお話の休暇のとり方の問題でございますが、労働争議の手段として休暇を使う、しかも平常やつていないような、平常の請求の仕方でないような集団的な休暇の請求をして、明らかにあした仕事ができなくなるということがわかつているのにそういう休暇の請求をするということは、私どもとしては承認できなかつたわけであります。従いまして、労働基準法の第三十九条の第三項に、休暇を拒否する場合には、他の時季に与えなくてはいかぬというふうに書いてございますが、しかしながら、たとえば先ほど申しました通り、広島車掌区におきましては、前の日の夜十時半近くに休暇請求が出て来たのは、実際問題といたしまして、それに対して一々それを判断するという時間的な余裕がはたしてあるかどうかということなども、決して正常なやり方ではないというふうに私は脅えたのでございます。従いまして、今の御質問に多少私の答えがはずれておるかとも思いますが、仲裁裁定というものは、私ども国鉄の一員といたしましては、公労法の建前からいつて、実施してほしいという強い念願を持つておりますが、しかしながらそれとは別の問題といたしまして、休暇を闘争の手段として使う、しかも前日の夜おそく多数の休暇を同時に請求するということは、それの処理が不可能なことは明白なる事実でございます。従つてこういうことに対しては許可できないというふうな考え方を持つておるわけでございます。
  189. 中原健次

    ○中原委員 その場合に国鉄当局としては、処理することに非常な苦慮をされたであろうということは、想像できないではありません。しかしながら局長の言われるように、やはり何と申しましても、このでき事というのは仲裁裁定の実施の問題に関連することであるということだけはわかる。そうであつてみれば、やはりそういう立場に立つ組合側の考え方が、このような立場の中で当然作用して行くということは、少くとも法そのものの建前から申しますと、これは法に対する善意な解釈ということが言えるはずであります。と申しますのは、仲裁裁定の実施そのもの、そのことにつきましては、もはや仲裁裁定が出たあとで、その実施をなすべきか、なすべからざるかなどの論争が起ること自体が、すでにこれは間違いであります。本来ならば、当然三十五条の拘束に従つて、これにこたえるような態勢が、当局側から進んでなされなければならぬはずのものであります。しかるに、御存じのように、数次にわたる経験から考えまして、仲裁裁定は拒否することが可能であるし、何とかして拒否すべきである、こういう態度を政府が大体今まで堅持して来た。こういうことは、公平な見地から考えても、あの仲裁裁定の前後の関係から考えまして、少くともこのことに心を用うる者のすべてが感ずるところなのであります。そういうふうな事情を反映してできたこのでき事に対しては、やはりできるだけ何とかそこに手を尽して、それぞれの国鉄当局があらゆる努力を傾ける、こういう態度が当然あるべき事柄ではないか。これに対して、あらゆる努力を傾けるという努力がうかがわれるところに――問題は、先ほど植木委員長からも御説明がありましたように、できるだけ問題を未然に処理したいという熱意を持つて、この実態におのずから入つて来たというようなことがうかがわれるような実情になつておることを思いますならば、やはりこの休暇申請に対しては、何とかそこに組合当事者の代表たちに対して一応話合いをしてみる、そうしてできることならば、何とかこの処理についても協力をいたす、こういう態度が私はあるべきものだと思う。ことに、これはいわば非常事態ですから、そういつた非常事態の瞬間においてなされる手続というものは、やはり最大限の努力を傾けるという以外には方法はないと思つております。もしそれがなされておれば、この問題はもつと違つた形で結論が導き出されたのではあるまいか。こういうふうに第三者的な見解から考えますと、それに対して、局長はそのときにとつた処置というのはやはり妥当であり適当であつた、こういうふうに今でも思い続けておられるのかどうか、もう一度伺つておきたいと思います。
  190. 磯崎叡

    磯崎説明員 一地方局長のお答えすべきことかどうかよくわかりませんが、私といたしましては、先ほど申しました通り、やはり仲裁裁定は実施してほしい、しかしながら国鉄の正常な業務はぜひ運営しなければいけない、これは公労法第一条の精神だというふうに私は考えております。お言葉を返すようになつて非常に恐縮でございますが、時期的に考えてみますと、仲裁裁定が衆議院を通過したのはたしか十二月五日というふうに私は記憶しておりますが、この問題になつております十二月一日、二日、三日の闘争は、裁定に対する国会のお扱い方の決定前のことでございます。従つて、一方仲裁裁定を実施してくれということは、公労法を守つてほしい、これは組合員の要求としても、私どもうなずけるところでございます。私自身も、先ほど申し上げました通り、賛成と申しますか、そうあるべきだというふうに考えておりますが、一方そういうふうに公労法の精神を生かせ、公労法を安全に実施しろということを旗じるしに立てながら、その実施前に、十二月五日前に、一日、二日、三日の間に公労法を一方で破るということは、私としては容認できない事実だというふうな考え方をとつております。お言葉を返すようで非常に恐縮でございますが、私はそういうふうに考えております。
  191. 中原健次

    ○中原委員 実はそこに問題があると思うのであります。事の決する前のことであるから、いわば仲裁裁定は、完全にこれが実施されるかもしれないというようなことも考えられるような時期であつたという意味であろうと思いますが、しかし今までの仲裁裁定の取扱いの経過から考えまして、またこれは今回初めての経験ではないわけでありまして、その数次にわたる経験から見ても、組合指導者としては、この状況で、このままで手を組んで結論を待つことができるかできないかということは、実はもうわかつておるわけであります。従つて、おそらく関係労働者諸君が、どこまでもこれを完全実施せしむべく決意を持たなければ、完全実施に近づくことはむずかしい。近づくどころか、少くともこれならばやむを得まいとうなずけるところへこの問題を処理せしめることも困難であろうということは、大体予想されるところなのであります。従つてそういう状況の中で、それに対する組合側の合理的な、合法的な手段が最大限度において行使されようとするのは、当然なことだというふうに私どもは考えております。従つて、やはりそこに当局としての立場と組合側の立場の相違点があるといえば、あるだろうと思いますが、しかしながら先ほど申し上げましたように、大体公共企業体等労働関係法のこの規定というものは、御存じのような事情でできた法律でありますだけに、本来労働者の三権は当然保障されなければならないにもかかわらず、その当時の占領政策の関係もありまして、妙に歪曲されたこういう法律ができたのでありまして、それだけにこの法律の解釈というものは、いまだに実は一致しておらぬ、ただ政府は政府の都合のいい立場で解釈をしているだけであります。だから、今回のこの年末の問題の場合においても、各方面の専門家を御苦労を願つて公聴会をやりましたが、やはり少くとも労働法規に心を用いる学者あるいは識者、こういう人たち意見が一致しておつたという事実、その一致した意見とは何かといいますと、仲裁裁定はこれを完全に実施すべきだ、またなすべきではないか、またなさなければならぬではないかというような見解が、ほとんど申し合せたように一致見解として述べられておるのであります。そうなつてみると、私はこの法律に対する解釈の少くとも基準をきめなければならない。関係学者あるいは相当高い教養を持つ識者諸君が、そこまでの見解を持つとすれば、やはりこの法に対する政府の解釈というものは、ちよつと無理があるということが、どうしても出て来るはずだと思います。しかし今その議論をしようと思うのではありません、その議論はまたあとにしなければならぬ時間があると思いますので、それに譲りますけれども、少くともこの法律そのものに対する解釈が、いまだなおかつ明確な一致点に到達しておらないという段階のこれはでき事なのであります。だから、これはやがて次の日に、あの仲裁裁定を完全に実施しなかつたのは大きな間違いである、これはとんでもない法の歪曲解釈から来たあやまちだつたというようなことが、おそらく私はあると思います。そのときに、今当局がされた画期的なといいますか、大胆不敵といいますか、こういう大きな処置をされて、あとでしまつた、申訳ないことをしてしまつたというたときには、実はもう取返しがつかないのであります。そういう関係から、私は今度の紛争問題に関する諸事情というものは、やはり今の含みも絶えず心の中に用いながら、すべてのことが行われて行かなければならなかつたのではなかろうか、こういうふうに、はなはだ遺憾にすべての姿を見ておるわけであります。ただいまも植木委員長の御説明がございましたように、地方の闘争指令が出たそのわくを、できるだけ縮めて闘争をしよう、こういう考え方で非常に苦心されていられるようにうかがわれます。そうなると、それだけすべての動作の中に、当局としてもその気持をくみとることが不可能でなかつたというふうに思われますだけに、大量の賜暇という状態に対しましても、当局者はそのことを心の中に入れられて、この許可をどのように取扱うべきかについての御相談なり御懇談なりが当然あつた方がよかつた、このことだけはどのような見地から考えてもうなずける事柄ではないかと思うのであります。当局としては、やはりこういう処断をしたのだから、何とかその処断を完全なものとし、その処断を合理、合法なものであるという解釈論にすべてをくぎづけしようという努力を払われることは、やむを得ざることであろうとは思いますけれども、やはり第三者が絶えずこの問題を批判しておるということだけはお忘れないように願いたい。これは公社の当局とされても、この点に対しては私はあくまでそうであつてもらいたいと思う。従つて、そういう観点から考えますと、休暇申請の取扱いの方法については、これはまことに遺憾な手落ちがあつたというように、私は少くとも結論をいたすのであります。従つて、かような結果から出て参りましたこの運転の休止あるいは遅延等のでき事でありますが、これに対しましても、私はそれと同時に、もう一つ別の原因があるのではなかろうかというふうに思うのであります。ただ、その組合側のとつたすべての行動、これに対する方針そのものが、あれだけの大量の運転の休止あるいは遅延を容易ならしめた、そういう現象を可能ならしめたというようにだけ、れの原因のいわば所在を、組合側の行動の中に全部をゆだねてこの運休状態説明されるのはどうか。もつとそのほかに、このような結果の出た原因がこの中に介在しはしまいか、こういうこともまたあわせて思われるわけであります。その点に関しまして、今度のこの結果でき上つた運転の休止あるいは遅延等の問題について、その原因の所在がはたしてどのような面にあつたかということについて、一応当局としての御見解を承つて、続いて組合側の御見解も承つておきたいと思うのでございます。
  192. 磯崎叡

    磯崎説明員 中原先生の初めの方のお話は、私はお話としてはよくわかるのでございます。これ以上申し上げると議論になりますので、御説明いたしません。  後の方は列車の運転休止その他遅延の責任が全部組合側にあるか、こういう御質問だと思いますが――実は私ども、その御質問趣旨もはつきりつかめないのでございますが、どういう趣旨の御質問か。私どもといたしましては、組合側ピケツト・ラインによる職員の出勤不能、それによる列車の運転不能あるいは駅の人員の不足による操車場の混乱、それによる列車の取消し、そういつたふうに見ておりますので、私どもとしましては、原因は組合側にあるというふうに考えております。
  193. 本間大英

    本間参考人 本間であります。実は私たち馘首の通告をされる団体交渉の席上におきまして、委員長、副委員長、さらに私の馘首の理由についてお聞きをいたしたのでありますが、そのとき、絶えずわれわれの主張いたしましたことは、われわれ三名が具体的にいわゆる十七条のどの項に該当するのかという質問をいろいろいたしたのであります。それは前回委員会でも明らかになりしまたように、いわゆる正常な業務の運営を阻害をした、こういうことを言われているのであります。しかしそれでは一般的な問題であつて、なかんずく広島地方本部において組織の責任者として――実は私はいわゆる平執行員という立場にあります。別に組織責任者の首を切つてくれという意味ではないのでありますが、私の方には書記長という三役の一人がおるのでありますが、この方が今回の馘首から除外されている。こういうことになりますと、いよいよ特に私の場合なんかは、十七条の具体的ないわゆる該当している事実をあげてもらいたいと、この説明を要求いたしたのであります。しかしながら、それに対して、当局側からわれわれの要求に対し具体的な納得の行く事実を何ら示されなく、交渉が決裂という状態に終り、今日に至つても、なおかつわれわれはその理由を明確に知ることはできないのであります。こういう前提に基きまして、ただいま三割休暇のことが問題になつておりますので、その具体的な列車の運休状態について御説明申し上げたいと思うのでありますが、今までの当局説明の内容を聞いておりますと、たとえば三日間で列車が百五十本とまつた。これがあたかも全部われわれがピケツト・ラインで百五十本の列車の乗務員を一々引きおろし、ないしは妨害したような――そういう表現はありませんが、少くともそういう印象を与えて、一切われわれにその責任があるというふうなことをほのめかされておるのでありますが、これはよく内容を検討してみますと、広島鉄道管理当局が本庁に報告しておりますその内容等について申し上げましても、実はその内容にわれわれの見解との不一致が非常にあるのであります。たとえば十二月一日におきまして、四十三件に上るところの列車が運休をいたしております。その第一の理由には、ピケ隊に阻止されて現地に出頭せざるため、これが六件であります、これがいわゆる私たちが体暇を請求をして、御本人の納得ずくでお家に帰つてもらつた方々であります。二つ目の理由といたしましては、列車乗務員が現地ピケ隊に阻止されたため、この理由が七件であります。この内容は、委員長も先ほど御説明いたしましたように、特にこれは本委員会においてもそうでありますが、われわれ鉄道職員にいたしましても二百種類ほどの職種がございます。列車乗務員が、いわゆる信号雷管あるいは発煙信号あるいは手振りあるいは時刻表、こういうものを持つて乗らない、それによるところの危険さというものは、鉄道職員自体も、たとえば運転なり運輸に関係しておられる以外の者は、あまりぴんと来ないのでありますが、しかしながら、少くとも運転関係に従事しているところのわれわれが、自動信号区間を携帯品なしで走るということは、人命、財産を安全に、正確に、迅速に輸送する至上命令を課せられておるわれわれとしては、戦慄すべききわめて重大な問題であるのでありあす。これをわれわれが駅において、いうところの七つ道具を全部そろえて乗りなさい、こういうことをしておつたのが実態でありまして、乗つておる者を片つぱしから引きずりおろしたというような事実は一つもないのであります。たまたま駅において、そういう携帯品が具備されておらぬ、あるいは機関車においてもほとんどそういう携帯品がない、こういう実情から、遺憾ながらわれわれは鉄道職員に負わされているところの至上命令を確保するための結果として、乗務員が乗務することができなかつた。これは部内の規程あるいは国有鉄道職員に負わされた使命を守り、あるいは事故を未然に防止するところの、むしろわれわれが当然の義務として果した行為である、まさに正当なる行為であるということができると思うのであります。  第三番の広島操車場満線のため、これが十二月一日に十三件ございます。さらに第四番目として、作業員不足のため、これが十七件あるのであります。  このトータルを見ましても、ピケ隊に阻止され現地に出頭せざるため、あるいは列車乗務員が現地ピケ隊に阻止されたということを除外いたしたといたしましても、三十件というものはわれわれ行動隊による直接の責任でないということは、当局の報告によつても明らかな事実であります。これを三日間集計いたしますならば、前二者に対する関係は四十一件、後者に属するものは百九件に及んでおるのであります。こういうような具体的な内容は、当局自身が認められておるところであり、列車の運休あるいは遅延という現像のみをとらえて、しかも私たち三名の者がこれらの具体的な行動をした事実があるのかどうかということに対して、一言の明快な回答も与えられず、ただ単に組織の主たる責任者である、こういうことで馘首されたということにつきましては、今日われわれは非常に不可解なものを感ずると同時に、むしろわれわれが十二月一日から三日間行いました行動こそ、基準法に照して、あるいは部内の規程に照して適法でおり、そのことがまた鉄道職員の義務を完全に果した行為であるというふうに、いまだもつて確信を持つておる次第であります。
  194. 中原健次

    ○中原委員 ただいまの組合代表の御見解で、私も疑問を解明したような気がするのですが、これは日常重ねて参りました労働強化が、たまたま相当数の休暇を要請するということに伴つて、その結果が出て来たということも、一面立証しておるように思うのであります。     〔多賀谷委員長代理退席、委員長着席〕 なおそのことは、私がそのように感じた認識なのでありますが、ただいまの御説明にもあつた百五十件に及ぶこの事故についても、当然局側で責任を負うべき原因によつてつたものが百九件も数えられるおるということになつてみれば、これは当局の経営に対する方針の中に、相当程度その無理が今までそのままに放置されておつたことを遺憾なく立証しておると思います。従つてこの百九件の今指摘されたものは、公社側、局側の責めに帰すべきものだとするその認定に対して、局側はどのような御回答ができますか、一応その点を承つておきたい。
  195. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、百五十本のうち百伺本が局側の責任であるというのは、私としては、そういうふうな見方をいたしておりません。これは、今申し上げた一つ一つ列車について御説明申してもよろしゆうございますが、一つ列車の例をとりますと、ある列車に当日乗務すべき乗務員が、組合側としては一応全部休暇なんだということを申しましたために、車掌一名ほか全部四名を、他の人間を乗務させようといたしましたところが、先ほど申しました通り、車掌区の前に非常に厳重なピケツトラインが張つてございまして、入門証がない限り、その車掌区に出頭できないわけでございます。従いまして、やむを得ずほかの列車の入門証を持つておる者を使つて車掌区に入れましたところが、それが現地でもつて、いや、この列車に乗る車掌の入門証でなければいかぬということで拒否されたというのが、今言つた話の中に入つておるわけであります。  また広操が満線のため運休したと申しますのは、これは明らかに広島操車場の人員不足並びに列車の出発不可能ということに基いて広島操車場が満線になつたのであります。従いまして、広島操車場に向つておる列車をとめない限り、その次の後続列車をさらに運転休止しなければいけない。こういうような事情のために運転休止をしたのでありますから、これも明らかに組合側のやつたことが原因であるというふうに考えられます。
  196. 植木仙次郎

    ○植木参考人 一言私の方から、ただまの局長の御見解に対して申し述べておきたいと思います。各先生方のよく御承知をいただいておることであると思いますが、三割休暇戦術を行使して、その休暇をとりました場合に、第一日目はなるほど局長の言われるような状態が起ります。しかし第二日、第三日は、前の日に休んだ三割という人員がそのまま出務いたします。これについては一切広島地方本部としても拘束をいたしておりませんので、第二日、第三日については、おおむね平常の勤務人員に近いものが出務をいたしております。このことは組合としても、三割休暇戦術というものは、第一日は効果があつても、あとはあまり効果がないというふうにも考えられるのでありますが、とにもかくにも今度の中闘の指令は、そういう形で三日間に平均三割ずつということでありますので、三日間を通じて、みなで一日休暇ということになりますと、ただいま局長がおつしやいましたけれども、第二日以降に平常の勤務を阻害する実態は、大体において起つておらないのであります。ただ、申されたように、第二日何十線、第三日何十線ということが起つたのは、これは組合が戦術をつかつたから、それだからと一口に言つてしまえばそれまででありますが、実際問題として、第一日に広島の構内が満線状態になり、途中の主要駅の構内に貨物列車がばたばた倒れておるという状態は、先ほど私が総括説明のときに申しましたように、広島車掌区長が、組合が思いもそめなかつたような裏をかく戦術をやつた、その結果で満線状態になり、このあと運転について支障を来したと言いましたが、これは十一月二十九日に私ども通達したときに、旅客列車と主要貨物列車を確保してほしいという考え方の通りに行つた戦術に、車掌区長が裏をかいた結果であります。従つて、これは労使間の戦術行使上のトラブルであつて、そういう点については私どもに責任を課せられるものではなくて、第一日の原因についてとかく言われるならば、今の磯崎局長の言われたことは、まつたく詭弁にひとしいというぐあいに私は考えます。
  197. 中原健次

    ○中原委員 要するにこの問題は、でき上つた結果の姿を見て、これを組合の賜暇闘争戦術として、指導的な立場に立つ若干の人に対して、いわば死刑的の措置を行つたということも、問題の取扱いに、経営側の独断なりあるいは歪曲なりがどうもまざりやすい感じが、すべての点からうかがわれるわけであります。もちろんその当局の責任を負う一つとしては、御自身の責任を十二分に果し得ておることを立証しなければならないところに、いわばその立場があるであろうとは思われますものの、しかし公平に考えてみると、この取扱いの根拠になつた、いわば非常の諸事故に対して、当局側にはまつたく責任がない。従つて当局側としては、常に正しい方針を行使して来たのであるが、組合側がたまたまこのような方針をとつたからかくのごとくになつたのである、こういうふうにりくつづけ、かつそれがいろいろな機関を通して宣伝されるという結果に陥つているということが、大体全貌の当局側説明等を通して、やはり私は看取されるわけであります。従つて私の願いたいことは、少くとも国の機関としての労働集会がいろいろお尋ねをしておるわけでありますが、その場合に、公の立場で当局側の当然負うべき責めの部分については、大胆にこれを認められてしかるべきではないか。そういうような態度がここに持ち込まれて来ない限りは、ほんとうに公正な結論を導き出すことはむづかしくなる。従つて、それぞれの立場々々で独断的な結論をつくり上げて行くというような結果に陥つて行くのじやないか。そういうことでは、やはり経営の正常な運営を推進するためにも、マイナスであるし、あるいは国の政治政策を行う点から言うても、やはり私はそのことは大きな阻害になるというふうにさえも気づかうわけであります。従つて、ただいまの列車事故の問題に関しましても、組合側の御説明を聞くと、やはり確かにそこに経営側の方において、この事故に対する責めを感ずべき部分があるように思えるわけでありますが、局長として、一応これだけのでき事に対しての全面の責めが組合側にあると決定されるためには、やはりわれわれが拝聴してもなるほどと思えるような、そういう具体的な説明がそれにつけ加えられないことには、その説明の裏づけができておるということにならないというふうに思うのであります。従つてこの点について、あえて論争を繰返してみても意味がないことになるかもしれませんけれども、やはり私はその点に関しては、もう少し局長側からうなづけるような具体的な実証を通しての御説明が聞きたいものだというふうに思うのであります。  なお、先ほどから車掌人たちが持たれる当然のいわゆる七つ道具の所持の問題等につきましても、やはりこれは当然国民の立場から考えましても、どうしても持つべき七つのものは持つてもらいたいし、それをあやまちなく行使するような態勢を備えながら乗車してもらいたいということを思いまするし、それであつてみると、ピケツト・ラインが敷かれて、ピケを通してあるいはその他を通して、持物について心配がないかどうかということを気づかうことは、これは当然乗務者の職務に対する責任の立場から、必ずこれは起らなければならぬ事情であつたというふうに思います。従つて、その七つ道具その他の条件がそろつておるかどうかについて危惧を持たしめるような、そういう事情がやはり当局に、いわば何らのおそれるところもなく、行われておつたという現状を想像するわけでありますが、そういうことになつて来るとするならば、やはり運輸の業務を担当する当局として、もつと深刻なその間における悩み、あるいは従つてその悩みを通しての具体的な努力というものが、このような条件の中で、なるほどと思われるようなその実行の姿が説明されなければ、局長の立場が、やはりなるほどという了解のできる結果に到達しないのではないかというふうに私は思うのであります。従つて組合側がその車掌諸君の当然所持すべきものについて心配したという、そういう実態の起つて来た原因との関連において、その当時における状況、これがもう少し明確な説明によつてここで語られたいということを期待するわけであります。はなはだめんどうなことをお尋ねするようでありますけれども、その点について、もう一度御解明を願つて、私の質問を終りたいと思います。
  198. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもといたしましては、こういう思いもかけない列車運転に対する大きな支障を及ぼすという事態が発生いたしまして、何と申しましてもやはり運転の安全を確保する、それから旅客公衆に対する迷惑をできるだけ少くする、それによつて業務の正常な運営が阻害されておる程度を少しでも減らすというのが、私の任務だというふうに私は考えております。従いまして、私の命令あるいは私の意図をくみました等の事由によりまして、乗務員の諸君あるいは乗務員以外の諸君がピケ隊を突破しても、その日に自分に与えられた仕事はぜひやりたいという気持でもつて、あるいは先ほどのお話でありますが、制服の上にジヤンパーを着ていた、あるいは合図燈をふろしきの中に持つていた、これは私は職員としての賞讃すべき行為だというふうに考えております。従いまして私どもとしては、業務があくまでも正常に運営されるということを第一に念願して、三日の問事態の収拾に最善の努力を尽したというふうに考えております。
  199. 中原健次

    ○中原委員 そうなりますと、ただいま私が指摘してお尋ねいたしましたいわゆる七つの道具といいますか、そういうもの、その他運転者としての資格の考査といいますか、そういう諸事項に該当するだけの用意と条件というものを、これらの乗務員たちは持つておられたのかどうか、この点をひとつ伺います。
  200. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほどの車掌の所持すべき道具等の連絡につきましては、本省から正式の通牒等をもらいまして、ある程度省略できるものは省略した場合もございます。また常時旅客扱いをいたしておりまするいわゆる皆さん方列車に乗られたときに客扱い専務と申す車掌がおりますが、あの中でも正式に運転者としての考査を通つた経歴を持つておる者がございます。それらは運転、車掌を兼掌いたさせました。従つてそれらにつきましては、私たちの方としては何ら御指摘のような点はないというふうに思つております。
  201. 中原健次

    ○中原委員 ただいまのお言葉で大体想像されることは、何ぼかやはりその条件を具備していなかつたということが言われると思います。従つて、そういうような無理な事情でなおこれを強引に押し切つて、いわば闘争態勢でどこまでも対立した姿で事を進めて行くというものごしが、当時の当局にあつたことが想像されるのであります。私どもから考えると、そういつたことも、もしそういう事情がほんとうに不可避的な事情であるならば、そういう危険なところへ追い込まないようにこれに対処する方法でやるならば、やはりもつと他の方法で出て来たのではないか。ということは、一応組合側としては、何といいましても地方本部の責任機関もありますし、責任者自身もあるわけでありますから、事の結果として責任者は隔離するという、そういう決定をなさる前に、責任者とその問題についての懇談をし、いろいろ協力を求めるような、そういう努力はなさることが可能ではなかつたのか、またなさるべきではだかつたかというふうにさえ私どもは思うのでありますが、そういう点について、やるならやつてみろ、局は局の力でやつてみせるというようなものごしでやつておられたことは、私は当局の正常な事業の運営の態度とはうなづきがたいのであります。このことについて、組合側の方の御見解もわあせて伺つてみたい。
  202. 植木仙次郎

    ○植木参考人 一々局長に反対するようでありますが、私どもが戦術行使をいたしました場合に、これに対して、なるほど普通の状態でありますならば、当局が意図しておりますように、百パーセントの運行が確保されることは望ましいでありましよう。しかしながら、よその地方本部におきましても、何がしかの列車運休等の問題があるのでありまして、先ほどの吾孫子局長の言をもつてすれば、情状においてしんやくする部面もあつたということでありますが、そういうような意味合いからいいますならば、広島の場合において、多少部分的には列車の運休があつてもやむを得ない、先ほど私が申し上げましたように、十一月の二十九日午後三時、局長からこれこれのことは、ということは、その中には賛成はできなくても、組合はこういう戦術をとるであろうということでありました。従つて、そのことはあらかじめわかつてつた。それに対してことさらにジヤンパーを着せ、合図灯をふろしきに包み、七つ道具を少し減して、そういうことであえて無理をしたということの結果が、私から言わせれば、こういう労使干才相まじえるうちに小手先を弄したがゆえに、結果が大きくなつたということでありまして、そのことは今磯崎局長が言われたように、賞讃すべき行為であるというふうに考えるのは、ちよつとどうかと思うのでありまして、諸先生方には御理解をいただいておると思います。でありますから、こういう場合に良識をもつて臨むならば、確かに列車は休暇によつて、ある部分はやむを得ないことであつても、それがより以上に拡大されることなく済んだのであるということを私は申し上げておりますので、あえてそういうようなことをやつたのが、なお今日においてよかつたというふうに思われておるならば、これは考え違いであつて、局みずからが――あの当時に、広島の車掌区長があられもない組合の裏切り行為をしさえしなければ、広島があんなことにならなかつたであろう。申すまでもなく年末休暇におきましては、全国的に六百数十本の列車が倒れたということが当局によつて発表されております。従つて広島では百五十本の列車が倒れた、そういう形において全国一律に組合が全部休暇をとるということをやつておるその戦術の中に、広島だけが特別に組合に対して裏をかいた、そういうことがあつた結果、広島をしてあえてこのような事態に立ち至らしめたということについては、もちろん広言せられるよりは、むしろ逆に反省せられてしかるべき問題であろう、かように考えるのであります。
  203. 館俊三

    館俊三君 私はほんとうの両当事者外の人として質問をいたしたい。とにかく組合側から事前に三割休暇に入るという申入れがあつた、これが先に正正堂々としたやり方でやつてくれということなのです。これに対して当局は、正々堂々とその対策を講じなければいけないと思う。  そこでまず聞きたいのですが、三割休暇に入つたということになりますと、入るという申入れを正式にされたのですが、またそれ以前からも、当局としてはすでにそういう事態になることは知つていららつしやつても、とにかく正式に前日に申入れがあつた際に、そういうことをやつたら今言つたような事態が生ずるということをお考えになつたのでありましようか。そのときに、広島がこういう事態になつて来たことを本庁に報告して、これでよいのかどうかという最後のだめを押されたのかどうか。あなたは、先ほどのお話から、公労法の建前からねがわくばこの仲裁裁定が実施せられるとを望んでいらつしやるという気持であつた人なのです。しかも広島鉄道局の責任者として、いよいよ事態があしたからこれに入るということになつたら、最後の報告を局長としては局長の責任として本庁に報告して、これで何とかならぬかというだめを押されたかどうかということを一応お聞きしたい。
  204. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもといたしましては、十一月の三十日に組合側からのそういう申入れを受けまして、それに対しては十分考えていたつもりでございますり本庁との連絡につきましても、こういう申入れがあつたこと、これに対して大体予見し得る事態、並びにそれとまた別の問題として、あるいは関連した大きな問題として、仲裁裁定の成行き等については、大きな関心を持ち、常に私は本庁の関係局長と連絡はとつておりました。
  205. 館俊三

    館俊三君 そういうだめを押された場合に、そういう事態になつてもやむを得ない、本庁としてはどうもしようがないという返事があつたのですか、なかつたのですか。あなたの立場としてはきわめて重大だ、あなたは広島鉄道局管内の運輸運転の全責任を持つていらつしやる。しかも労務管理の方においても、全責任を持つていらつしやる立場だから、本省から一本とらなければならない責任の立場にいらつしやるはずなのです。私、なぜこういうことを言うかというと、本庁と中闘間に団体交渉がしきりに行われている。最後にこの団体交渉が決裂するという時分に、長崎総裁に面談をした。この団体交渉の時々刻々の経過については、運輸大臣なりあるいは政府当局に時々刻々報告していらつしやるかどうか聞いたところが、それは今電話で時々刻刻報告をされた、こういうことであつて、今これから開かれようとする団体交渉は最後の団体交渉であつて、決裂した場合にはどうするかというだめを押した。御返事はなかつた際に、私は言つた、あなたは板ばさみになつていたのだから時々刻々報告さえしておれば責任はそれでいいのであるが、しかしながら団体交渉が決裂したときは、身みずから閣僚のところに行つて報告されぬというと、あなたの責任は免れないぞ、そういう決裂のような状態であつた場合に、なぜ飛んで来ないかと言われる、今までの交渉の途中で、せつかく一生懸命に当局としてやられたことが――電話でやるだけではいけないぞということを、言いつぱなしに言つて来たのですが、長崎総裁はそのとき何も返事がなかつたが、とにかく出かけて行つたことは見ておる。あなたとしても、長崎総裁が出かけておれば、ある意味において政府の責任であつて、それで長崎は手を尽したという一本をとることができた。あなたとして、その前にあしたからこういう事態に入る、たいへんな事態である、あなたの責任なのか本庁の責任なのかというだめを一本とつたかとらなかつたかということなのです。これはあなたの責任として、重大な問題だと私は思う、何とも言われませんでしたか。
  206. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問の御趣旨は、私自身の責任か責任じやないかということかと存ずるのでございますが、これは広島鉄道管理局に関する限り、私自身が責任を持つてその運営の任に当つておるわけであります。従いまして、私どもといたしましては、十分本庁とも連絡しつつ、また仲裁裁定の実施も懸念しつつ、業務の正常な運営の阻害されることを最小限度にとどめるということに全精力を集中したわけでございます。
  207. 館俊三

    館俊三君 この問題はいわゆる仲裁裁定に関する問題でありまして、いかに広島鉄道管理局長の責任におられても、自分の力ではとめることのできない問題なんです。それはさつきのお話の通り、よくわかる。そこでどうすることもできないのであるから、当事者外の私としては、三割の休暇をやるということを申し出されておることでありますし、また事前におわかりのことであるから、運転を確保するためには、いかなる方法をとらねばならぬかという点について、十分な計画がおありでなければならない。たとえば旅客列車全部は運転させる、やむを得ない場合はこうするという事前の計画があつて、その計画をまつすぐに遂行したならば、今言うた広島駅全線で貨車が停滞してしまつて、動きがとれないという状態になるのが、ある程度まで動くことができるという、そういう事前計画というものを広島運輸当局としては立てておらないはずはないと私は思う。たとえば、どこかで震災が起きた、どこかで水害が起きたときには、時々刻々運転指令を通じて列車を運休させたり、あるいはまたどこかで停車をさせたり、その指令がどんどん行くはずである。ことに、この問題は早くからわかつておる問題であるから、十分なる対策措置が、列車運転の面についても、その他の面についても、立つていなければならなかつたと私は思う。もしそれが立つていないということになれば、これは重大なるあたなの責任問題だ。どういう計画をお立てになつてつたのか、従業員が三割賜暇する場合に、三割減の建前において運転の確保の計画が十分になされておらなければならなかつた。こういうことは鉄道の七十年の歴史において、突発事故の場合でも、指令一本で十分なる対策ができる、あるいは時々刻々変化する列車の運転の状況に伴つて、十分にやつておる経験を持つておる。その計画が緻密になされておつたのかどうか。しかも正々堂々と三割賜暇をとる、これから入りますということを言つておる。しかもその前にすでにわかつておる。普通の水害だとか、あるいは火災とか地震とかいう突発事故じやない。三割休んだならば、あとの七割で十分に確保できる、列車の種類あるいは本数、荷物の受付け方、切符の売り方、こういうものについての十分なる御計画を立てておらなければ、運輸をあずかる責任者といわれない、その点がどうであつたか。はつきり立てておつたら、その計画について述べていただきたい、なかつたらたいへんであります。
  208. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、二十九日に通知を受けまして、私といたしましても、もちろんいろいろその対案を考えたわけであります。ただ館先生がおつしやつておりますように、むしろ災害のようにはつきりしてしまいますれば、災害の事態がはつきりするわけであります。たとえば関門隧道が水没したということになりますれば、それ以上にひどくなることはない。従つて、その明確な事態を前提として、輸送対策を立てるわけであります。しかしながら、労働組合というものは生きたものでありまして、三割をやるといつて、一体その三割がどれだけの三割なのかということ、それが実際のところはその日の朝にならなければわからない。先ほども申しました休暇請求が前の晩の十時二十分過ぎに出て来る。そういうことならば、三割の計画を具体的に立てろと言われても、実際に無理なことで、むしろ逆に災害などのない方が、よほど仕事がしやすいわけであります。従いましてまた私といたしましては、全部が出て来るという一番いい場合、非常に悪かつた場合、いろいろな場合を想定しまして、それに対するいろいろな対案を立てておつたのではございますが、結局はそのときそのときの列車の活殺ということにあるわけでございます。
  209. 館俊三

    館俊三君 災害のときならばはつきりするし、組合の場合には人の動き方であるからはつきりしないという逃げ方をなさつたのでありますけれども、広島の委員長植木仙次郎氏のさつきの最初のお話を聞いてみますと、実に正々堂々と、しかも順序正しく罷業をやつておるはずであります。そういうことがわからないとまず仮定いたしましても、三割休暇なら、あらゆる部面について三割休暇をするのであり、最悪の事態を考慮してでもその対策の、列車の運転あるいは休止その他ができるはずである。聞くところによりますと、ABCというような対策を立てられて、旅客列車は全部運転するのだ、あるいは貨物列車は一部とめるのだ、というような計画を立てていらつしやつたようでありますけれども、その計画がきわめて粗漏であり、きわめてあやふやであるということと、もう一つは今中原委員が言われたように、冷静にこの問題に処さなければならない当局自体が、闘争心理にかられておつたと見るよりほかない。しかも、あとで聞いてみますと、組合当局の間で、いろいろ運転の確保その他について話合いもし、打合せもしておるということであります。これほどしつかりした組合当局との、極端に言うとなれ合い闘争みたいな形でやつておるにもかかわりませず、話合いでこの仕事を遂行しておるにもかかわりませず、どうしてそういうちぐはぐなことができたか。ただ単に組合の裏をかくために、覆面をした車掌を乗せたり、七つ道具を持たせない者でも無理にあわを食つて連れ出すというようなやり方をやつてつたのでは、今後のいろいろな事態が起る場合における運転の責任者としては、実に私は物足らない感じがするのであります。さつきのお話を聞いておりましても、五一列車の問題について、本間君であつたかあるいは委員長であつたか、詳しい話があつたのでありますが、これに対する当局の反駁がなかつた。もう一度当局から、組合の言うたことについて反駁をされる筋合がありましたら、ひとつここでお聞きしたいと思う。
  210. 磯崎叡

    磯崎説明員 五一列車のことについて申し上げます。十二月一日、五一列車の乗務員、乗務すべき交番に当つていた者は、組合側から申しますと、それは全部休暇の人間なんだ、こういうようなことになつております。従いまして、五一列車に要しますところの三名の車掌あるいは荷物を扱う人間は、ほかの人間を乗せるように手配いたしました。五一列車と申しますのは、急行小口列車でございまして、昼間走るいわゆるワキ列車という列車でございます。その代理の手配をいたしましたが、それに対する先ほど申しました入門証というものを、どうしても組合側が出してくれない。従つて広島操車場からの乗務ができないということがはつきりいたしました。従いまして四名を瀬野というところにやりまして、そこから乗務さしたわけでございます。しかもそのときには、先ほど申しました岩国、糸崎間の各駅に、いわゆる組合派遣のピケ隊が行つておりまして、各列車とも、そういう入門証のない車掌はみなおろすというようなことを言つておりました。現にそういうことをやつておりました。従いまして私といたしましては、これを広操―広島操車場、横川、己斐―組合ピケの行つている、また先ほど申しました通り組合側としましては当日動かせないという列車従つて入門証を出していない列車、しかしどうしてもこの列車を動かさなければいかぬと私は考えましたので、私はこういう三駅を通過の扱いをいたしまして、そうして大竹という駅から責任の運転車掌を乗務さすことにいたしました。そういうことであります。
  211. 植木仙次郎

    ○植木参考人 どうもここまで来て磯崎さんの不明を暴路するようでありますが、どうも下の方の事情がよくわかつていないらしいのであります。今の五一列車の場合には、行動隊は瀬野の駅に配置しておらぬのであります。かるがゆえに瀬野の駅から乗つたのであります。そういうことをするということがわかつたものだから、特に五一列車を、――これは先ほど申しましたように、横川なり己斐なりで停車すべき列車で、ハムやかまぼこを積む予定になつておるものを、あえて当局は通過させた。とめぬから、列車がそれだけ早く行つて、廿日市で前の列車のけつを突いたから、そこでとまつたということなんで、従つて今の磯崎さんのお話は、少し事実が違います。五一列車のときには、行動隊を配置しておつたのじやない。そういうあられもない裏をかくから、私どもが糸崎、岩国に持つてつて行動隊を配置したのでありまして、私はこれらの問題がどうも真に触れない話であつて、恐れ入ると思うのでありますが、今の問題について、五一列車に対する乗務車掌について、指定をして休暇をとらせておつたから人がなかつたのだということをおつしやいます。これは先生方には、あるいは乗務の内容、交番の内容でありますから、おわかりにならぬかもしれませんが、車掌区というところは、何百人の人たちがおるのでありますから、従つて所定の勤務員車掌のほかに、予備員というものがおるのであります。従つて三割休暇をやらせましても、局長が言つたように、局長の命令が下達されておつて、第一番目は旅客列車、次には主要貨物列車を確保したいのだということがはつきりと区長にまで行つておれば、普通の乗務車掌を休ませる形のもとに、朝からずつと予備員がいるのでありますから、この予備員をここに持つて来て配置すればよかつたのであります。ところが、なぜそれでは五一列車に乗る車掌がおらぬようになつたか。普通はこの予備員がおらなければならぬし、乗るようにならなければならぬのでありますけれども、それを私から言わせれば、組合の裏をかいて、あらゆる面の列車を運転させるようなことをやつた組合としては局長の意図に従つて旅客列車、主要貨物列車を動かすだけの人を確保して、ちやんと勤務させ得たにもかかわらず、どの列車も全部動かすのだということで、御承知のように相当たくさんの予備員が朝から出て来ておりますが、その予備員を次から次に、今申し上げたようなことのために車掌にカモフラージユさせて、賞讃すべき行為としてそれをやつたのであります。つまり組合としては、局長の意図に十分沿い得たわけだけれども、その組合の計画に対して裏をかくような逆な戦術をとつて来た。それが全部の列車を最大限に動かすのだということで、予備員を繰上げてしまつたものでありますから、五一列車に乗務する車掌が全然おらぬようになつたということでありまして、これは、私は館先生、さすがに鉄道の専門家だけありまして、たいへんいいところをついていただいたと思つております。実はこういうことは、組合が全国にわたつて指令を発し、年末にあたつてあれだけの決意を盛り上げておいて、そうして十二月一日から三割休暇をやるぞということを内外に発表しておる事態の中において、まさかあういうことはやらぬだろうなどと考えることは、これほど組合をみくびつたことはなかろうと思うのでありまして、そのときに、これだけの列車を全部動かすのだといつてこういうことをするものだから――列車の運行使用度において緩急よろしきを得た処置をとつておれば、そういうことはなかつた。それをあえてこういうことをやつたところに、私は当局の大きなミスがあつた。かように思うのでありまして、これらの観点から、私どもは責められなくてはならぬと思うのであります。重ねて申し上げますけれども、二日、三日にああいう事態が起つたということは、今申し上げたような車掌区長のとつたあられもない戦術というものが、大きな原因をなしておるということであります。そこで私は、今申し上げましたように、このあられもない戦術というものが行われたことに対しまして、これははつきり時間を覚えておりますけれども、十二月一日の正午から午後六時まで、営業部長の部屋で押し問答をしたのであります。これらのことがどうやら局長には、ここまで来てもあからさまにわかつていないらしいのでありますけれども、一体そういうことはいかぬ。そういつたようなあられもないことをやつて、広島の駅から車掌が乗るのに、ああいうような中間駅から回転乗務をさせておいて、乗さすということは、これは組合の考え方に対してまるきり裏をかくものだが、一体あなたはどう考えるかと言つたところが、営業部長は最後に、これこれの列車はどうしても運転させたいということを表示した。それならばわれわれもその意向に沿うて動くから、それでは車掌区長のやつておるあられもない、組合の裏をかくような戦術をやめさせなさい。それではそうしましようということで妥結したのが、十二月一日の午後六時であります。従つて私は局長の言われるように、組合がああいうことをしていたからということについては、私から言わせれば実に心外な話で、初めの目的だつて局長の意図した線に沿つて――これはあるいは局長は、そうではなかつたとおつしやるかもしれぬけれども、われわれの方ではよその地方本部に先がけて、十一月二十九日に、一日早く予備知識を与えて通告しておるのであります。それから先ほど局長は勤務割にのいては前の晩の十時二十分ごろに持つて来たとおつしやいましたけれども、これははつきりと、あの冬の日に電気もつけずに話合いをしたのでありますから、私は明確に午後三時だつたと記憶いたしております。そういう時間の点の相違というようなことについても、これは局長の記憶違いか、あるいは報告がそういう報告であつたのかもしれません。そういうことをわれわれはいたしておるのでありまして、組合側としては、できる限り一切のことに手を尽したわけであります。この中にもやはり社会公衆にこたえるべき国鉄労働者の態度というものは何かということを十分考えた上で、事がなされていると思うのであります。これはあの日の六時になつて、ではそうしようということで営業部長の小林さんに、それではさつそく広島の駅から乗せますということを申し入れたことによつても明らかなところであります。  あとの問題は、翌日、翌々日のピケ・ライン云々の問題でありますけれども、これは、十二月一日午後六時以後は、ある意味では組合の戦術を非常に緩和したというくらいなのでありまして、しかも十二月一日、二日、三日については、前にも申し上げましたように、三割休んでも、平常勤務になるのであります。しかも三日目に三割休んでも、これはまつたくの平常勤務であつたのでありまして、それを二日、三日の問題をたてにとりまして、これでもつて百五十本の汽車が倒れたのは全部組合の責任だとおつしやいますのは、これはいささかみずからとつた戦術の卑劣さというものについて、あまりに反省がなさ過ぎるものでありまして、私は十分御反省を加えてしかるべきだと思います。今日この委員会に参りまして、局長からあんな証言があろうなどとは、私どもとしては実に意外きわまる感じであります。
  212. 館俊三

    館俊三君 今、お話を両方から聞いたのですが、やはり広島局長と植木委員長の間に食い違いがある。もう一度、植木委員長の話に対して反駁なさることがありましたら、お聞きしたいと思います。私たちは局外者として、どちらが正しいかを判断する必要がありますから、もう一度あなたが植木さんのことについて意に沿わないところ、あるいは違つてつたところがあつたかなかつたかをお話を願いたい。
  213. 磯崎叡

    磯崎説明員 初めに五一列車のことを申し上げますが、これは私の申しましたことを聞き間違われたと思います。五一列車の該当乗務員が一応組合側の計画から申しますと全部休暇になつていたわけです。従いまして、それに対する乗務員の代務の手配を講じたわけです。しかし、それに対して入門証というものはくれなかつた従つて、これは広島操車場から乗る人間でございましたが、広島操車場からの乗務が困難だということがはつきりしたわけでございます。そこでもつて、五一列車は瀬野に約三十分間とまりますので――私は灘野にピケ隊がおつたとは申しておりません、横川、己斐、広島の三駅に並んでおつたわけであります。従つてこの三駅を通過扱いにして、瀬野で列車を確保した、こういうふうに申し上げたわけであります。ですから、先ほどの私の話のお聞き違いであるというふうに私は存じております。  もう一つの問題でございますが、十二月一日の午後の云々の話でございますけれども、先ほども申し上げました通り、十二月一日の午前零時から組合側ピケが始まりまして、そうしてその実力行使というものによつて車掌が乗務不能となり、列車の運転休止等の事態が徐々に発生して参りました。手元にダイヤも持つておりますので、何時から何時までどういうふうに列車が運転休止をしたかということを詳しく御説明申し上げる準備を持つております。これにかてて加えまして、午前八時半より広島操車場において、先ほど申しました通り十二月一日の新しい勤務者の休暇闘争が始まつたわけであります。従つてあとになつて出づら人員が不足しまして、列車の作業がきわめて困難な事態に逢着したわけであります。車掌区の出勤不能、広島操車場の操車不能、この両方の事実が両々相まちまして、山陽本線におけるところの貨物輸送が極度の危機に瀕したわけであります。そのときに組合側から会見の申入れがございましたので、私の方の部長が会見いたしまして、まずつぶさにこの実情を説明いたしました。と申しますことは、御承知の通り国鉄の輸送というものは非常に複雑でございまして、組合側の幹部の諸君には、国鉄に多年の経験を持つておる方がたくさんおられますが、必ずしもその面に対する経験が多分にあるということではございません。従いまして、知識の非常に足りない点、あるいは認識の薄い点等につきましては、十分この実情を説明いたしまして、この操車場の状況車掌区の状況、この二つがこのままで行つた場合には、とんだことになるということをつぶさに説明いたしました。そうしてその反省を促したわけでございます。しかしながら、不幸にして午後七時四十分に至りまして、広島操車場を中心とする全貨物列車の運転休止をいたしましたのは、先ほど申し上げた通りでございます。
  214. 館俊三

    館俊三君 両方の話をよく聞きましたが、さらにさつき委員長の言つた通り、現地からの報告をよく吟味してもう一ぺんやりたいと思うのであります。列車闘争態勢といいますか、そういうしつかりした闘争態勢を立てながらも、しかも紳士的に堂々と話合いをし、あるいは予備通告をしてやつておられるのに、広島車掌区というものが問題になつておる。これは外部から見ておると、やり方が非常にあぶなつかしく感ずるわけです。広島の車掌区長は、いわゆる七つ道具を持たさないまま乗せておつたということなんですが、こういうことをやられたのでは今――あなたのお話になつておるような運行状態のところに、さらに車掌の考査試験に合格していない者を乗せたり、七つ道具を不備にしている者を乗せたりする心根が私にはどうも納得できないのです。そういう状態局長が命ぜられたのか、あるいはまた車掌区長自身がおやりになつたのか、その点お尋ねいたしたい。
  215. 磯崎叡

    磯崎説明員 私どもといたしましては、天災地変でございましようとも、あるいは労働問題でございましようとも、あらゆる力を尽しまして国有鉄道輸送の最大能力を発揮するのが、私どもの使命であると考えております。もちろんその裏には、ただ起るだけではいかぬ、安全に走らなければならぬ、また旅客公衆に対する御迷惑をなるべく少くしなければならぬということは当然でございます。従いまして、私以下、たとい組合員でございましても、広島鉄道管理局におきましては、一本でもよけいに列車を動かして国民の負託にこたえるという熱意に全員燃えているということだけを申し上げます。
  216. 館俊三

    館俊三君 お話を聞くまでもなく、もちろんそういう立場で局長がいらつしやらなければならぬのですが、そういう立場に反した車掌諸君がおつて、それが組合に発見されて、列車の安全を確保しなければならぬといつて組合ピケに押えられておつた。そういう車掌車掌区長が乗せていることは歴然としているのですが、この点について、車掌区長を取調べられたことがあるのか、ないのか。
  217. 磯崎叡

    磯崎説明員 車掌区長は当日の夜私のところに参りましたし、十二月二日、三日も毎日私のところに呼んでおります。
  218. 館俊三

    館俊三君 お呼びになつたでありましようが、その時分に、やむを得ず合図燈あるいは発煙信号を持つて乗せなかつたということについて、車掌区長から報告はあつたのですか、なかつたのですか。
  219. 磯崎叡

    磯崎説明員 規定に違反した事実はございません。
  220. 館俊三

    館俊三君 規定に違反した事実はなかつたということですが、組合に言わせるならば、動いている列車の安全と正確を確保しなければならないという立場で見張つていたところが、そういうのがあつたので、とつて来るまで車に乗せなかつたということを陳述しております。これは歴然たる証拠があるわけです。いかに混乱しても、そういう車掌が乗られたのでは非常に迷惑をすることになるのだが、しかしまたあなたのお話の中に組合員であろうと従業員であろうと、全部の国鉄職員は、安全確保のためにそれを持つて行かなければならぬ、あるいはそういうものを全部備えつけて行かなければならぬということは見張つていたということであつたのですが、車掌区長の報告では、そういうものは全然なかつたということであります。組合はちやんとそれを調べているのか、そういうことについて確かめているのか、組合のお話を承りたい。
  221. 本間大英

    本間参考人 今五一列車のことについて御説明がありましたが、五一列車は貨物列車の中でも一番重要な列車であります。従つて、その内容について先ほど言われましたが、第一番に運転車掌を瀬野駅に派遣していないのであります。その運転車掌を兼掌されたのは荷扱い専務車掌であります。よく顔は知つていますけれども、名前はちよつと忘れましたが、携帯品は全然持つておりません。現在運転考査は年に一回運転に従事するいわゆる普通車掌が受けているので、荷扱い専務並びに客扱い事務車掌は、往年においては受けておつたかもしれませんが、現在は受けていないのであります。そういう事実が五一列車の具体的内容であります。今局長が安全で正確に、迅速に映る使命があるということを言われましたが、それはその通りだと思います。しかしながら広島操車場あるいは己斐駅、横川駅のような旅客公衆に直接重要な利害関係のある駅を通過させるということは、旅客公衆の利益に反した行為といわざるを得ないと思うのであります。ただ列車さえ走らせればいいということは、安全に関するところの規程においてもないのでありまして、いわゆる安全に関する規程には安全を一番重要なものとうたつているのでありますと安全と同時に、迅速あるいは正確ということが付加をされて、われわれ国鉄職員に命じているのであります。従つて、そういうことは主張としては言い得ても、現実に五一列車を取扱つた具体的な事実行為の中からは、そういうことは完全に事実として否認をされている、こういうことは明らかに言える事実ではないかと思うわけであります。
  222. 館俊三

    館俊三君 今局長のお話では、車掌区長はそういうことをさせておらないということであるし、組合現実にその人間を確かめている、これは本人もいることでありますから、車掌区長組合がもう一ぺん対決をする必要がある。もしもそういうことが事実であつた場合には、いかに混乱状態であつても、安全と正確は確保しなければならない立場から、局長は少くとも車掌区長を処断する気持があるかどうか。もしそうであつたら、処断しなければならないと私は思うのです。処断するのが正当であると思うのでありますが、管理局長はどうお考になりますか。
  223. 磯崎叡

    磯崎説明員 車掌区長は、今の荷扱い専務車掌は運転車掌としての資格があるものと認定をしております。  それから途中駅を通過したことについて、いろいろお話があつたようでありますが、現実を申しますと、十一月一日平均の私どもの方の貨物の輸送力は一万八千トンぐらいでありました。それが十二月一日、二日、三日と急激に落ちて参つたわけでございます。すなわち十二月一日以降それが一万一千トン台に下つて来ました。その影響がまだ二、三日続いたわけでございますが、その全体の輸送を生かすためには、やむを得ず一、二の駅を貨物列車を通過をさすことは、輸送手配上とる当然の措置だと私は考えまして、その通過駅を選定いたしたわけであります。これによつてほかの列車を生かし、それによつて全体の輸送力が上るということで、私ども管内全部の輸送力を上げるために一、二の通過駅をつくつたわけでございます。
  224. 館俊三

    館俊三君 また各列車が詰まつてしまつたという話に逆もどりしたのですが、植木委員長から事前通告があつたときに、すでに局長の立場としては、そういう列車はどこを通過させるか、どの列車は運休させるかという万全の手配をとつておかなかつたということについて、局長は非常に重大な責任を持つと私は考える。事のいかんを問わず、組合がいいとか悪いとか、事のいかんにかかわらず、局長は事前に運転計画をはつきり立て、これをやらなかつた責任は私は免れ得ないと思うのであります。そういう責任を深く考えなくてはいけないと思うのであります。また車掌区長の責任については、荷扱い車掌が運転車掌としての資格があるんだというお話でしたけれども、これは組合の納得しない点だと私は見ている。後日の問題に残して質問を打切ります。
  225. 楯兼次郎

    楯委員 今館さんと関係者の応答を聞いておりまして、一つふに落ちないことがあるのですが、車掌は乗務するに必要な、たとえば雷管であるとかその他の携帯品を持たずに常務をさしたと組合言つている。ところが当局は、必要な携帯品を持たずに人のみを乗せて、これは当然であるというような御説明があつた。これは、私は非常に重大なことであると思う。特に複線区間において、途中で事故があつて停止をした場合等の列車の防護の関係から、事故の起きた場合には重大な結果を来す、こういうふうに考えますので、その事実をひとつはつきりしていただきたい。どうも今の問答では、あると言い、ないと言い、どちらが真実であるかわかりませんので、もう一回くどいようでありますが、組合側当局にひとつお聞きしたいと思います。
  226. 植木仙次郎

    ○植木参考人 私は一つも違わぬことを申しますが、そのことについては、組合はそれあるがゆえに、行動隊を張つてはいけないという意思表示をしたのであります。先ほど局長は、いろいろお話がありましたけれども、このことについて当局にお伺いしましたところ、車掌はなるほど雷管は持つておらぬ、しかしこれは機関車に積んでいるから、機関士が持つているから大丈夫だとこういうことであります。私どもの見解では、車掌を必要があるからというので運転車掌を乗せているのでありますから、汽車がとまつたら、うしろから汽車が来るかもわからぬ、従つて雷管を持つて間髪を入れずに措置しなければならないのに、雷管をとりに機関車まで走らなければいけないというような、そういうような平素の勤務の状態で、普通それをやつたら、当局組合ないし職員に対して譴責処分をしなければならぬような状態であるのに、こういうことだからと口実を構えまして――またもつともらしい口実はできるのですが、今の真相は、広島の運転担当者から、機関車に持つてつているから大丈夫だと言うたことを申し上げておきます。
  227. 磯崎叡

    磯崎説明員 今の御質問でもつて、私の方で先ほども申し上げました通り、車掌の携帯品どころではなしに、車掌なしに乗せた列車がございます。それは先ほども申し上げました通りの五一列車というものを廿日市の駅でもつて、車上に乗つておる諸君が、ピケ隊の諸君とおりろ、おりないでもつてごたごたしたわけでございます。そのときに担務の助役が車掌は乗つたものと誤認いたしまして、発車合図をして発車してしまつた従つて一駅の区間だけその列車車掌なしで走つてしまつたわけであります。従つてその列車は廿日市の駅の事故として、私自身の行政的な責任として、すでに処置が済んでおります。そのほかにはそういう事態はございません。
  228. 本間大英

    本間参考人 本間でございますが、ひとつ具体的なことを申し上げておきたいと思います。これは証言をとるということになれば、これは百人や二百人の証言は、広島へ参りますればすぐとれるのでありますが、先ほど局長が一般の説明の折に申し上げました内田首席助役の負傷したそのこと自体は、全然別の問題でありますので、除くといたしまして、あの列車の問題の起つた原因は、昔は駐留軍の専用列車でありましたが、運転車掌が休暇でおらなかつた。ところがそれに対して下関の列車乗務員で乗客専務とそれから通訳の二人が乗つておるのであります。これに対して車掌区長から指導車掌が、――本庁達の六号、これは兼掌してもよいという通達だそうでありますが、それを下、関の乗客専務に伝えた、そこで初めて下関の乗客専務はそういう事実を知つてそれで発車させようとした、ところが組合は――それは三日のことでございます。一日、二日にそういう事態がありましたので、あなたは運転考査を受けておられますか、いや運転考査は受けておらぬ、携帯品は持つておりますか、いや擁帯品は前部の機関車にある。こういうことを言つて、前部の機関車にその車掌と一緒について行つたわけです。ところが前部の機関車から出て来ましたのは――ほんとうのことをもつと具体的に言えば、その積載の箇所もわからないような状態であつたのですが、それは一応おくといたしましても、機関車から出て参りましたのは、これははつきりわかりませんが、雷管が二箇ないし三管だつたと思います。それが機関車の中から出て来た。こういうのが一つの具体的な実例でありますが、そういう事実があつたのであります。  もつと専門的に申し上げますと、山陽線は御承知のように複線区間であります。複線区関でありますので、列車が脱線転覆をする、そして上下線がともに故障するということなりますと、前方から来る列車もやはりとめなければならぬ、あるいは後方から来る列車もとめなくちやならぬ、こういうことは当然の措置としてするように、これは規程でなつております。百歩譲つて、そのこと自体があるいは許されたとしても、両線を使用した場合には、後続列車が来る場合、一体どういう手段でその列車の危険を防止するかということは、私はここで当局と応酬するという立場でありませんので、そのことはさしおきたいのでありますが、そういつたことが事実あつた。それがたまたまいろいろな問題で――内田助役の問題が原因ではありませんが、ピケ隊の行動によつて派生的に起きたということであります。一番印象的に残る列車でありますので、そのことをつけ加えておきます。
  229. 楯兼次郎

    楯委員 私はほかのことは聞きませんけれども、そういう無資格の人が運転車掌として乗り、かつ当然携帯すべき危険防止の携帯品なくして乗るということは、私ははつきり記憶はございませんけれども、それはいけない、そういうことはできないということがはつきりと運転規程か、あるいは運転取扱規程か何かに載つておらなくてはならないと思います。この点は局長は真認をされますか。そういう列車は運転できないということは、あなたは確認をされますか。
  230. 磯崎叡

    磯崎説明員 そういう列車を運転いたしましたので、廿日市駅の五一列車を事故としたのであります。ですから、今日そういうことがあつてはいけないのであります。しかしながら、その当日はそういうことが実際に起きてしまつた現実車掌なしで列車が走つてしまつたという事態が起きたのであります。それは廿日市とその次の一駅の区間だけそういうことがあつたのであります。もちろんそういうことは運転取扱規程に記述されているかどうかわかりませんが、しかし所持品につきましては、私もちよつと今運転取扱規程を持つておりませんので、正確なことは記憶しませんが、雷管がない場合にはあらゆる手段を講じて防護するようになつております。この点記憶に間違いがございましたら後ほど訂正いたします。
  231. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 時間がきわめておそくなりましたので、ごく簡単に二、三の点についてお尋ねいたしたいと思います。広島鉄道管理局管内に起りました今度の解雇の問題につきましては、組織上の責任者を対象にされておるようでありますが、その中で書記長が脱けておるのはどういう理由であるのか。われわれは普通三役と言つておるのは委員長、副委員長書記長常識的に考えておるわけですが、この中で書記長が脱けて一執行委員が入つておるのはどういうわけであるか、まずお尋ねいたしたい。
  232. 磯崎叡

    磯崎説明員 私から御返事申し上げました中に、私がきめたとか、本庁がきめたとかという話が出るといけませんから、その点は一応あとに譲るといたしまして、一応私が認定したというような言い方をいたしますが、その点国鉄労働組合の広島地方本部の主たる責任者といたしまして、植木君、枝村君、本間君、この三人の責任を追究いたしましたのは、植木君は執行委員長かつ闘争委員長の地位にあります。枝村君は副執行委員長かつ副闘争委員長でありまして、さらに戦術委員長という地位にあります。また本間君は闘争委員及び闘争委員会の企画部長でありますと同時に戦術委員でございまして、戦術委員会の企画の担当の地位にあつたということがはつきりいたしております。昨年末におきますところの、広島地方に有るいろいろな国鉄業務の正常な運営が阻害されました事実は、いずれも国鉄労働組合の広島地方本部の責任によるものであるということは、たびたびの言明によつて明らかな点でございます。従いまして、私といたしましては、闘争指令の企画執行にあたつての右三君の地位が最も重要な地位にあるものというふうに考えたわけでございます。
  233. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それでは、書記長はどういうような組合上の地位であり、どういう仕事をすべき任務のものであるかということを、当局ではどういうように御判断になつておるか、お尋ねいたします。
  234. 磯崎叡

    磯崎説明員 最近の広島地方本部のあれを、きよう持つて来ておりませんが、書記長委員長を助け――たしか業務をつかさどると書いてございましたが、執行委員は業務をつかさどる、業務を分掌するというふうな規定になつてつたと記憶いたしております。
  235. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今度の場合は、事実上の問題でなくて組織上の責任者として行われておるということは、先ほどの局長の言でもはつきりしておるようですが、そういたしますと、書記長ではなくて企画部長を対象にされた。この点につきましては、どうも常識とはいささか異なるのですが、この点をもう少し明確にお答え願いたいと思います。
  236. 磯崎叡

    磯崎説明員 委員長、副委員長並びに企画部長が主たる責任の地位にある者というふうに判定いたしました。また記書長は、私の方では戦術委員会委員になつておりません。そういう点から考えまして、書記長の責任を軽く見たと申しますか、そういう結果になつたのでございます。
  237. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では書記長は戦術委員会委員ではなかつたということで除外した、こう一応お答え願えたものと考えてよろしゆうございますか。
  238. 磯崎叡

    磯崎説明員 戦術委員会委員でなかつたということが、その原因でございます。
  239. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これはきわめて重大な問題でありますし、他の地方本部とも関連がありますが、一応それを了承いたしまして次の質問に移りたいと思います。  先ほども言われましたし、またこの解雇理由書にも書いてありますが、広島地方本部の解雇者につきましては、本部の指令を遵守したということでなくて、むしろ国鉄労働組合広島地方本部の責任に基くものである、これは組合側がたびたび言明したところである、こういうことを言われておる。でありますから、今度の行為というものは、全部広島の地方本部の責任であるというように解雇理由に書いておるわけであります。私はこれは他の地方本部に起つた問題と、きわめて異なると思うのであります。そこでお尋ねいたしたいと思いますが、今度の指令は、広島地方本部が自主的に行つたものであるかどうか、さらに本部の指令以外の行為を行つておるかどうか、これをお尋ねいたしたいと思います。
  240. 磯崎叡

    磯崎説明員 私といたしましては、再々のいろいろな闘争の通告を受けます際に、これは広島地方本部の責任であるかということを尋ねましたが、広島地方本部の責任であるというふうに答えました。中央指令と申しますのは、私どもは地方におりまして、ことにこういう当局側の立場におりまして、一々どういう中央指令が出ておるかということは、私どもの手に入ると申しますか、全部入手できるものではございませんし、聞くところによりますと、電話等による中央指令もあるやに聞いております。そういうような関係からいたしまして、私といたしましては、その行為が、たとえば私の方に通告に参ります際にも、こういうような中央指令が来ましたからこういうことをしますというような通告は、一ぺんもございません。これは広島中央本部の責任だということで、中央指令だというものを私の方に正式に提示し、あるいは正式に私の方に提供された例は一回もございません。従いまして、それが中央指令の厳格な範囲内であるかないかということは、私としては明確にお答えする限りではございません。
  241. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これはきわめて重大な発言であると思います。私は本日は国鉄本庁の方にはお尋ねいたしません。しかし、今広島鉄道管理局長がお話になつたことは、当然他の鉄道管理局にも考えられる。そういうことになりますと、本部の中央執行委員等には責任はない、こういうことにも考えられるのでありますが、一応私は事実問題についてその認識をお尋ねいたしておりますので、本日は意見は申しません。  次にお尋ねいたしたいのは、今度起りました事態につきましては、むしろ結果が非常に大きかつた、こういうことにどうも基因するようであります。その行為の意思よりも、むしろ結果を考えられておるように思われるわけですが、他の地方本部に比べて非常に結果が大きかつた、こういうことは先ほども参考人からお話になりましたが、どうも当局の積極的な挑戦的な行為があつたからではなかつたかというように認識するのでありますが、中央本部においては、広島地方本部に対して、特に行為の結果が大きくなるような指令を出しておるかどうか、これは横山さんにお尋ねいたしたい。
  242. 横山利秋

    横山参考人 そのような事実並びに内容を含んだ指令は毛頭ございません。中央闘争委員会としては、常に全国的な統制をするという任務がございます。従いまして、広島地方本部に起りました問題並びにその指令の内容は、他の地方本部に対して意図した中央闘争委員会の指令と何らかわるものではございません。
  243. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 吾孫子局長にお尋ねいたしますが、あなたの方では、総括的に今度の責任を問われた場合に、起りました行為の事実について、何といいますか、比例をしてといえば誤弊がありますが、それに基いて地方本部の責任者を処分されたかどうか、これをお尋ねいたしたい。
  244. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 公労法十七条で禁止されておりますような行為を共謀し、あおり、そそのかしてもいけないということになつておりますから、意思があつてもそれは問題になると思います。しかしながら、全国の状態を見まして、その指令の実行されたやり方が、再々申し上げますように場所によつて非常に違つておりますし、またそれによつて生じた結果も非常に違つておりますことは、先日来皆様がここでお聞きになつた通りでございます。そういう指令の仕方、実行の方法、またそれによつて現われた結果、そういうすべてを見まして、最も重大であると思われるようなものを責任を問うた、こういうことでございます。
  245. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 総括的には、最後に御質問いたしたいと思いますが、今、共謀し、そそのかし、あおるというお言葉をお使になりましたが、こういうような処分を行う場合には、やはり一つ一つの条項によつて行われておると思うのです。総括的に十七条違反ということでなくて、これは行為をやつたもの、これはそそのかしたもの、こういうふうに御判断になつておると思うのですが、どうでしようか。
  246. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 それは全体の中には両方に触れておる事実の方もありますれば、その中の一つという人もあると思います。
  247. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それにつきましては、後日お聞きいたしたいと思います。  そこで、私は再度広島の局長並びに広島の参考人にお尋ねいたしたいと思いますが、今参考人からお話になりましたのは、どうも二日、三日の結果は、組合側が生じさせたのではなくて、むしろ第一日目に当局者が行いましたことによつて二日、三日の結果が生じた、こういう発言であつたと思うのです。どうも私は納得が行かないのですが、組合の方では、平常通りの運行がおそらく大体できたであろう、こういうお話であります。一方はこれだけ事実問題として運休した、こういうことですが、それをひとつ組合並びに当局側からお話願いたい。
  248. 植木仙次郎

    ○植木参考人 この問題につきましては、私はあくまでこの点を主張いたしたいのであります。とにかく休暇戦術を行つたということについては了承はしてないのだという当局の主張でありますけれども、私は先ほど局長がおつしやつたことにも触れますが、地方本部の責任でということを言いますが、いつの場合でも数箇所において戦術交渉をいたしておりますから、どの箇所長を呼んでいただいても、植木はどういうことを言つたかということを聞いてもらえばわかる。局長についても同じで、私はいつの通告いたします場合でも、たいへんにお気の毒に思いますが、中央闘争委員長の指令に基いていつ何日休暇を行いますということを育つておるのでありまして、しかもそのことについては広島地方本部として行う。それで局長が言われるところの広島地方本部の責任でということは、後段のみをとつて言われたのだと思います。これらのことについては、私はこの間もその通りに通告したのでありますが、問題は、局長はその際に、三割の限度において業務運営ができるという考え方に立つたことは私は事実だと思う。ところがそのとき大橋という広島の車掌区長でありますが、その車掌区長が、申し上げたようなあられもない、組合の裏をかくような行為をやつたので、予備員が実際にひつばられて使えないために、出て来る車掌、出て来る車掌を片つぱしからのべつ幕なしに列車に使つて行つたということが影響を及ぼしたという結果もありますし、それから組合の裏をかいて運転の管理権を確保しながらこれを動かすとともに、組合はいけないと言つたということもあつて、それらのことが第一日に組合も予想しなかつた当局ももちろん予想しなかつたであろう事態を起し、限られた設備の中で広島操車場はもちろんのこと、中間駅の操車場において貨物列車の機関車がもげてしまつて、貨車がみな中間駅に停留しなければならぬことになつたということが第一日の現象であります。従いまして、申し上げておりますように、十二月一日の正午から六時まで協議いたしました結果、これらのことを直そうとする組合の誠意の現われであつたということを申し上げまして、あとの問題は、第一日の結果がそういうふうに及ぼしたのだということをはつきり申し上げます。
  249. 磯崎叡

    磯崎説明員 私の局の管内の広島駅と広島車掌区におきまして、出づらに対して総人員の三割休んでも仕事がフルにできるというようなことを、毛頭考えたことはございませんし、またそう思つたことを口に出したことは一切ございません。またそれほど――たとえば広島駅で申しますれば、約八百人余の人員がございますが、そのうちの出づらが二百五、六十人から三百人――八百人余りの三分の一、出づらに対するほとんど七割くらいの人間が休んで、平常通りの仕事ができるということは考え得られないことでございます。また私の方といたしましても、三割の人間が休んで平常通りの仕事ができるというような余分の人間は、かかえておらないつもりであります。二日、三日の事態におきましても、なるほど植木君の言つた通り、組合としても私どもの警告に対して、多少の反省があつたかもしれません。しかしながら、実態はあくまでも車掌の乗務不能、駅側の操車不能によりまして、二日、三日の事態が発生したでございます。現実ピケの数あるいは派遣したピケの数等においてもほとんどかわつておりません。
  250. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それから国鉄の労働組合の本部にお尋ねいたします。ちよつと話がもどりますけれども、あなたのところは、地方本部に独自の権限、たとえば闘争の実行行為に対する独自の権限を与えたかどうか、これをお尋ねいたしたい。
  251. 横山利秋

    横山参考人 独自の権限は与えません。ただこの三割賜暇のときに一部任務の委譲といいますか、そういうものをもし生じたならば、地区の箇所の選定、駅とか、機関区とか、車掌区の中で一つを選べる、こういうふうな選定はいたしましたけれども、その選定を実施する方法として、私、戦術委員長でありますが、細目にわたつて指示をいたしておりますから、地方本部が独自の権限でやるという余地はほとんどないとお考え願いたいのであります。なお、磯崎さんに地方本部の委員長の責任でというお話を、植木さんがかりに言つたにしても、本省内で長らく勤めておられた磯崎局長が、そのまま御信用されたということは夢にも考えられないと思う。広島地方本部強しといえども、植木さんを前にして失礼でありますけれども、あれだけのことを中央闘争委員会の指令なくして植木さんがおやりになることはない、と思います。この点は重ねて申し上げますけれども中央闘争委員会の指令によつてなされたものである、こう御理解を願います。
  252. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 あなたの方で、もしそういう指令を出されないで、広島地方本部がそういう行為を行つたと仮定いたしますと、国鉄本部としては、組織上どういうような行為に出られますか。
  253. 横山利秋

    横山参考人 この点は御質問趣旨に直接関連があるわけではございませんが、昨年の夏でございましたか、大阪におきましてこういう指令をぜひやりたいという希望がございました。そこで大阪ヘオルグを派適いたしまして、じつくり相談をいたしまして、中央闘争委員会の希望するように努力をし御了解を願う、こういう指令は今日までいたしましたけれども、その指令に反して行われたという最近の例はございません。
  254. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは当然組織上の責任を追究されると思うわけですが、それで私は事実問題についてはまだ聞きたいところもありますけれども、一応質問を打ち切りまして、今度総括的に質問をいたします場合に、ぜひひとつ広島の管理局長はおいでを願いたい。これは他の管理局の場合と非常に異なつたケースを持つておると思いますので、ぜひひとつお願いをいたしたい。かように希望いたしまして質問を打ち切ります。
  255. 館俊三

    館俊三君 吾孫子さんにお伺いしたいのですが、本庁で中闘を全部集めて餓首の言い渡しをなさつた時分に、中闘の四人の人については、解雇の理由について説明はするけれども、地方の解雇者に対しては地方局長説明をするのであるから何も言えないという話であつた。これについて大分押し問答をやつておりましたが、とうとう地方局傘下の者については説明をなさらなかつた。この説明なさらなかつた理由についてお尋ねしたいのでありますが、地方局長は解雇者を集めて、たとえば広島の管理局長として解雇の理由を本人たち説明なさつたかどうか。さつきの組合の陳述によりますと、そういう説明を聞くことができなかつたというお話でありますが、この点の食い違いをただしておきたいと私は思います。
  256. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 中闘の責任者の処分を発表いたします際には、その四人の方に対しては解雇の理由を申し上げました。ただ地方の責任者の処分につきまして、地方の発令権者が、われわれの組織上それぞれの管理局長あるいは工事事務所長というような人になつておりますから、発令権者から発令をしてもらう際に、解雇の理由は申渡しをしてもらう、こういう考えで、中央でやりました際には申さなかつたわけであります。それで各地方の発令権者であります管理局長や事務所長が発令をいたします際には、本人に対してその理由をお話いたしております。また本人の代理ということで来られた組合の代表の方、そういう方にも、それぞれ発令権者である所属の管理局長から解雇の理由を御説明申し上げております。
  257. 館俊三

    館俊三君 局長自分の範囲の従業員に対する免職あるいはその他の権能を持つていらつしやるから、そこで吾孫子さんは地方の局長が発令権者であるというお話であるが、発令権者である局長は、その管内における十七条違反の者に対して解雇の辞令を出されたのであるかどうか、その辺はどういうことになつておりますか。
  258. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 解雇の辞令はそれぞれ所属の局長からお渡ししております。
  259. 館俊三

    館俊三君 地方局長が免職をするということになりますと、局長が仕事をする場合に与えられておる規則があるそうでありますが、公労法の十八条をもつて地方局長が解雇をするという権限は、事務処理規程では与えられておらないのではないかという疑問があるのですが、この点はどうですか。
  260. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 公労法十七条違反の行為が行われた場合には、各所属長は十八条によつて解雇する権限を持つております。ただ今回の場合は、特によく本庁にも事情説明し、相談をするようにということを申しておきましたので、特に異例と申しましようか、重大な案件として取扱つたわけでございます。
  261. 館俊三

    館俊三君 この十八人の首切りの件については、中央も地方も総裁が責任を持つてこれを処断したというお話でした。公共企業体等労働関係法十七条に違反したから、十八条によつて免職するという辞令を出されたそうでありますが、この辞令の執行者は総裁であるのか、それとも局においては地方局長であるのか、はつきりしておきたいと思いますが、どつちなんですか。
  262. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 発令権者は、局においては各管理局長でございます。それははつきりいたしております。ただ実際問題として、今回の事件は大きな事件であると考えましたので、よく相談談をして結論を出して、総裁の決裁を受けておるわけでございます。
  263. 館俊三

    館俊三君 そういう立場から本庁で中闘と折衝した際に、地方局長をして説明せしめるということでらちが明かなかつたようですが、総裁がとにかくまとめて決定をされた実際の人なんである。その総裁の指令で、かりに局長が十七条違反の辞令を出したと思うのです。しかし、いずれにいたしましても管理局長が馘首になつた人に対して、正当な首切りの理由を発表しておらないということを広島の本間君から聞いておるのですが、その辺の事情について組合からひとつ説明をしていただきたいと思うのであります。
  264. 本間大英

    本間参考人 この問題につきまして、一体だれがわれわれの任命権者か、こういう質問に対して、局長も今ここにおられますが、それの任命権者は私であるということになりますと、管理局長に与えられた職務権限としては日本国有鉄道法に規定する以外にはないのではないか、こういう質問をその後の団交において行つたのであります。私、公労法についてはしろうとでありますけれども、十八条については潜在的な解雇権があるのだ、こういう表現を用いられておる。その潜在的な解雇権は、どういうことで発生するのかという点を私が申し上げましたら、これは当局の業務命令で総裁達というような形において潜在的な解雇権が効力を発生するのだ。こういうやりとりがあつたことは事実でありまして、この問題についても、私たちが納得行くような答えはありませんでした。その団交の過程において、今の問題と関連いたしまして、局長は、事実は報告したが、具体的にだれを切るということは私は知らない、こういうことになりますと、本庁においては、それは地方の管理局長にあるということと非常に食い違いを生じて、遂にその問題については明確な議論を今日までわれわれ自身も知らされておらない、そういうままで馘首の交渉が今日に至つております。それが現状であります。
  265. 横手眞夫

    横手参考人 仰せの問題についても、やはり同じ問題であります。年末闘争の十割賜暇闘争について処分者を出すのかどうかということを委員長は、局長に確認を迫つたのであります。ところが局長は、ここにもおられますが、いろいろと事情については報告してる、しかし処分については今何とも言えないと言われるので、何とも言えないという意味はどういうことかと言うと、やはり地方においてこの問題を決定するということを言われております。新聞記者がこの問題を非常に重視いたしまして、私の方にもいろいろ聞きに参りました。そのとき一体どういうぐあいに当局としてやつておるかというと、地方でやる問題であるから、局長として現在私は何も言えないといつて、新聞記者にそういう回答をしておる。新聞記者も、大阪でだれだれが切られるかということについては、全然今のところ五里霧中でわからない。局長自身もそういうことを言つておるということで、実は当時の団交においても井上局長自身がそういうことを言つておる。広島の本間君が今証言したように、従来、現在とも、私たちは一体だれが発動して首を切つたかわからない。吾孫子局長の話によると、解雇権は、十八条によつてやる場合においては、地方の局長が発令権者であるというぐあいに言われておるし、当時の状況としては、報告はしたけれども、最終の決定は中央でなさるので、今の段階においてはだれだれを処分するということは言えないというのが実際の姿であります。
  266. 植木仙次郎

    ○植木参考人 ただいまの問題につきまして申し上げます。これは局長に対して、私責任者としてしばしば申したのであります。第一は、広島は他の地方本部に比して積極的に首を切る意思はない、もちろん憎んで首を切るというようなことはしないということを、しばしばの機会に繰り返されております。現にこちらに参ります前日に、道下という総務部長に対して、はなはだ広島はけしからぬじやないかという話を、たまたま座談の際についでに申しましたところが、じようだん言つてもらつては困る、広島はそういうことはしない、今度の首切りのことは、前日の夕刻になるまで広島はだれが首になるかということは知らなかつたのだ。特に総務部長あたりが中央に行つて、広島の実情を報告する場合には、中央の幹部に、広島は腰抜けだと言われるまでやつておるのであります。この会議の内容を君たちは知つているかどうか知らないが、広島の事態を知つてほしいというようなお話でありました。別の機会で――こういう場で申し上げることじやないかもしれませんが、ある地方管理局の上部に位するところの立場の人に、西部地方協議会の五人の委員長が話を聞きましたが、そのとき、地方局として首切りの最後決定についてどういうことをするかということの話し合いがあつた。いろいろな報告が行われ、地方局長二名が発言したが、その局長のうちで、首を切ろうとして発言報告する局長と、首を切るまいとして発言報告する局長とはニユアンスが違うということを、私ども五人の委員長がはつきり聞いておるのでありまして、それらの人の中に広島の局長がおられて、よもやなされた言ではあるまいと思うが、しかし結果的に見まして、たとえば西部地方あたりを考えます場合に、五つの地方本部がありますが、広島だけ三名が切られているという実情の中には、何かしら先ほど諸先生方がおつしやつた。この年末闘争に対して、いたずらに当局闘争意識をあおつて闘争意識を持つて組合と闘うのだ、組合何するものだというなめた気持、あるいは組合に対して非常に用意を持つて臨んだというようなことも、われわれは邪推かもしれませんが、持たざるを得ません。以上のことは、私どもが今日なお持つている不満であるし、いつの機会にも、われわれが納得するような解雇理由をお話していただいておりません。  それから次に、終るようでありますので、多賀谷先生の話の中で申し上げておきたい点が四点ほどございます。書記長の任務についてお尋ねがありまして、これについて磯崎さんの方からお答えがありましたが、実は書記長闘争委員会の中の副闘争委員長という職能であります。従いまして闘争委員長がおりません場合には、一切副闘争委員長が処理いたします。これは執行副委員長で、首になつております枝村君についても、そういう闘争委員会の職能については同一のウエートを持つております。戦術委員でなかつたというお話がございますが、これは私も戦術委員でなかつたのでありますし、さらに戦術委員であるということで本間君と同列の人を考えれば、他にやはり執行委員の中に二名の者が戦術委員としております。これらのことは、当局から言われなかつたことでありますので、この点補足しておきます。  さらに、通告の方式につきましては、これは繰返して先ほども申しておきましたが、いつの場合でも、私は中央闘争委員長の指令に基いてこれこれするということを、先ほどの通り申し上げております。さらに広島地方本部として、中央闘争指令を拡張解釈し、あるいは幅広く行つたのではないかということの考えに対しましては、広島地方本部としては、いかなる指令といえども、その指令を具体的に行使いたします場合に、委員長の私として、年配の者でもありますし、特にそういうことをいたしますと、指令の実行ではありませんから、下部の何万の組合員がやはり事柄の重大だけにこれを承知いたしません。大衆運動の常として、中央闘争委員会の指令を拡大解釈するということがあつてはなりません。そのことについては、常に批判があることであります。従いまして、私はみずからいたしますし、さらに執行委員の中によく話をいたしまして、これは中闘が書いてよこしたところの指令に違反するのではないかという事実については、その都度電話等をもちまして十分に連絡の上で、中闘の企画部長あるいは委員長のはつきりした解明がありました上で実施いたしているということを申し上げておきます。  さらに広島地方本部といたしましては、事柄が重大でありますし、ことに今日の組合運動であります。従いまして私は組合の団結の姿にひびが入つてはいけないということでありますので、ただいまの広島中央本部の執行委員会を昨年の夏結成以来、私はいまだ一回もこれを採決によつてきめたことはないのであります。従いましていつの場合でも――これは内部の話でありますけれども、満場一致の形をとつているということの中にも、組織上の問題として、本間君が指摘いたしましたように、企画部長が言つて書記長言つておらぬというようなこと、先生方から御指摘いただいている点については、これもまた私は今度の責任追究の上に、ふに落ちない点であります。  最後に、磯崎局長は、十二月一日夕方以来、多少組合は反省したろう、反省を求めたろう、反省を促したということでありますが、もし局長がそういうことであつたならば、十二月一日の朝早く以来、少くとも局長、あるいはみずから、でなくとも係の部長をしてでも、私どもを呼んでお話があつたのならば、反省を求めたということであります。しかしながら、ここに本間君がおりますけれども、十二月一日午前中におきまして、この裏をかきました戦術を広島の区長がやる。そのために行動隊としての青年組合員等は、非常に遺憾なことになつた。そういうことになつたら、委員長、この点をどうしましようかというので、企画部長として私に訴えました。これ以上当局に対抗する措置として、もう少し強い戦術をかけなくちやいけないでしようか、私は苦しいと言いましたときに、本間君、来いと言つて当局へ呼ばれないのに、私の方から求めて小林営業部長に会つて、総務部長にも来てもらつて、これはどうなんだ、今日これだけダイヤが混乱していけぬと言うけれども、その責めは大橋車掌区長の裏切り行為によるものではないか、この裏をかくことはやめろということで、いろいろ話したけれども、言を左右にしてなかなか応じられないために、結局同日の話が正午から六時までかかつたのであります。私どもが、当局の言うことに対して、実際いろいろな点を見、運転車掌が所持すべきものを持たないで、列車妨害の危険等を冒してまでこういうことをやるのは、はたしていいかどうか、この点をついて、ようやく私どもの意思を貫いて、最後にあなたの方から、運転さしたいという列車を出しなさい、局長も困つているじやないか、旅客列車と主要貨物列車を動かしたいと言うので、われわれが、大橋車掌区長に徹底しないじやないかということを申しまして、最後にこうしましようということであつたのであります。決して当局からわれわれに反省を求められる姿の中に、十二月一日の正午から午後六時までも話があつたものでないということを、私の証言の最後に申し上げておきます。
  267. 横手眞夫

    横手参考人 最後になると思いますので、重要な点だけ二つばかり証言しておきたいと思います。  今広島の委員長が述べられた点と関連するわけでありますが、組合内部の役員の職名によつて、いろいろ地方的にかわつた通告の形が出ていると思います。たとえば大阪の例にいたしましても、戦術委員長を過去やつてつたという新玉副闘争委員長が一人馘首通告からのがれております。私の方は副闘争委員長が二人おります。規約に基きまして執行副委員長が、闘争態勢に入つて闘争委員長になつた場合には、これが常時外部を担当するということになるのであります。従つて内部の闘争委員長代理は書記官であり、闘争態勢に入つた闘争委員長であるものが代理するということになるので由、ります。私は年末闘争からそういう責任者であつたために、戦術委員にも入ることができませんでした。そして総評の副議長大阪の官公労の議長をやり、しかも総評と大阪官公労の戦術委員長の任務をやつてつたのであります。従つて大阪地方本部の戦術委員ではないし、また大阪地方本部の闘争委員会にも参加をするいとまがなかつた状態なのであります。そういう状態の中において、これが組織責任者として首を切るということが、どうも私は理解できない。局長が私に通告したときも、組織責任者というのは一体どういう意味であるか、――じようだんの中において話されたのでありますが、総評の組織責任者ということで切つたんじやないだろうかということをうちの組合では盛んに言つておるわけであります。そういう非常に矛盾した一貫性のない形で馘首通告がされている。何度も申し上げますが、私は今次の闘争においては、闘争委員会にも参加することはできなかつた。すなわち総評と官公労の常駐責任者として闘争委員のメンバーからはずされている実情であつたわけであります。そうして組織責任者、しかも戦術委員長をかつてつてつたところの、副闘争委員長である新玉という人間は、これは全然度外視されている。度外視されているからけしからぬというわけじやありません、矛盾を追究する一つの理由として私は申し上げておるのであります。  それから、いま一つ大事な点でありますが、梅田の駅でピケを張つたわけであります。そのときに当局が、職制の力をもつて二両の貨車に職員を全部入れまして、強引にピケの中を突破しようとしたのであります。たまたま情報が入りまして、トンネルの中にとまつてつた貨車に私が行つて、トンネルの中でありますから暗いので、職員の人は入つていないかと私が言うた。そうすると、無言で何も聞えないので、戸をあけて中を手探りをすると、息をすると発見されるというので、息をせずにじつとがまんしておる。そこに職員が密閉されておる事実を、私はつかまえたのであります。これは貨車の車両を入れかえて、貨車の中へ職員を入れて密閉をして、そうして中へ入れようとした。空気の流通性のない密閉した貨車の中に、職制の力をもつて入れるということが、営業法として許されるかどうか。牛を輸送する場合においても、貨車の一角の戸をあけなくてはならぬということになつておるのに、こういうことが闘争手段の強圧行為としてなされておる。これは私は人権問題としても許されない行為であるというように考えます。  いま一つは、大阪駅の小荷物掛のたまりのところに、黒板に、三十六条協定無締結閲は休暇を中止をするということが出されておるのであります。これも私は写真を持つております。そうすると、逆論から言えば、超過勤務三十六条を認めさせて、常時超過勤務をさせることが平常の業務状態であるということになると思うのであります。さらに一方考えますと、三十九条による休暇請求権というものは、三十六条は無協定であるから休暇まかりならぬということがもし一方的に成立するならば、私は非常に問題があろうと考えます。  いま一つは、十一月の三十日に神戸の車掌区において、区長の命令によつて掲示が出されました。それには当分の間一切の集会を禁止をするということである。区長の命令によつて、区長の独断で、職員を恐喝し、拘束するというがごとき行為は、非常に問題があると思う。  いま一つは、一月十四日に、これも新聞にでかでかと出ました公安官が読売新聞社のバツジをつけて組合員の行動を尾行したということです。これがはたして鉄道公安官の任務であろうかどうか。この大阪鉄道局の不当な労働組合に対する干渉、あるいは新聞記者のバツジをつけて労働組合の行動を監視する、尾行をするという行動がはたして許されるかどうかという点は、私はきわめて大事だと思うのであります。  いろいろ申し上げまして、今後の審議の参考にしていただきたいと思います。
  268. 赤松勇

    赤松委員長 ちよつと申し上げますが、大阪の問題がまだ残つておりますし、この発言権の問題は非常に重要な問題なので、当然これは本委員会におきましては最後の議論の中心になると思います。むろん政府も出席つてやらなければならないと思います。そのために井堀君なども、特にこの問題について長崎総裁等に対する質問も留保されておるわけであります。あまり触れられて行きますと、この論議の必要がないじやないかというような意見も出ますから、きようは主として事実調査中心に運営して行きたいと思つておりますからひとつ御協力を願いたいと思うのであります。なお館さんは委員ではありませんけれども委員外発言として、やはり国鉄出身でもありますし、今後本委員会において造詣の深い御意見を吐いていただき、大いに国鉄発展のために協力していただきたいと思いますので、どうぞひとつきようだけではありませんから随時御出席くださいまして、委員会の了解を得て活発に御意見を出していただきたいと思います。  それでは本問題につきましては、引続き調査を進める必要がありますので、本日御出席横山参考人歌崎参考人、出品参考人相田参考人横手参考人の各位におかれましては、御足労ながら次回の委員会に御出席願いたいと存じますから御了承願いたいと思います。また広島の植木参考人及び本間参考人には、必要に応じて随時来ていただくようになりますので、その際はよろしくお願いいたします。  次会は来る三十一日午前十時より開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後七時二十八分散会