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西村(榮)
委員 私はこれを経過的に見てみますと、単にこの外電だけではありません。二、三箇月以前にこういう記事がある。
吉田さんの渡米というものは、これは大して
意義がないのだ、ただ
総理大臣として将来
保守新党が起きるならばたな上げになるのだから、これは最後のはなむけとして
外遊させてあげるという
ような意味しかないのだということを二月十八日以後ずつと報道しておる。(「わからぬか」と呼ぶ者あり)同時にそれとは別に――今わからかというお話がありましたが、それは
吉田さんのほうだけはわかる。自分は
外遊するならばチャーチル、アイゼンハウアー、
吉田と三者会談を行
つて日英、日米の大問題を片づけるのであるという放送がちらくなされたのであります。私は
吉田さんのその意気や壮といたしますけれども、これだけの国家的任務を達成し
ようとするならば、あなたの胸中抱いておるそれだけの抱負があるならば、私はあなたに対して敬意を表しますけれども、それをかりに実行し
ようといたしましても、
日本の経済の問題について一体どうするのであるかという態勢を整えなければならぬ、同時に
吉田内閣が
国民から
支持されるという内政上の態勢をとらなければならぬ、同時に
政局が安定して行かなければならぬ。しかるに今その反対に民心去り、
政局不安是、経済はにつちもさつちも行かない状態のもとにおいて渡米されて、あなたの当初の
目的、三巨頭会談によ
つて日本の国家的問題を解決するということは不可能ではないかと思うので、結局するところ私は一片のほら――ほらでなくとも、それを遂行するだけの何らの国内的態勢を整えてない。従
つて一片のはかなき七十五歳の老人の夢なりといわざるを得ない。私はか
ように
考えて参りますならば、私は
吉田さんの個人の名誉のために渡米さるという
ようなことは、はなはだも
つて迷惑千万だと思うのであります。この際渡米の
目的がなければない、はつきりおつしや
つて、しかも外国の
誤解を解いて、行くならば行く
ように、こういう
目的とこういう任務をも
つて外遊して、国家の問題を片づけるのだということをここにはつきり明らかにされて、それを
国民が
支持するか、
支持しないか、
国民的背景をも
つて重要なる国家的問題の解決のために
外遊されるのが当然であ
つて、その意図とその目-的がなければ、私は、巷間伝える
ような、行くのだか行かないのだかわけがわからぬ
ようなことは、この際はつきり打消される方がいいと思うのです。が、いかがでし
ようか。