運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-04-13 第19回国会 衆議院 予算委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月十三日(火曜日)     午後一時三十四分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 西村 久之君 理事 森 幸太郎君    理事 川崎 秀二君 理事 佐藤觀次郎君       相川 勝六君    尾崎 末吉君       尾関 義一君    小林 絹治君       迫水 久常君    庄司 一郎君       高橋圓三郎君    富田 健治君       中村  清君    灘尾 弘吉君       羽田武嗣郎君    葉梨新五郎君       福田 赳夫君    船越  弘君       本間 俊一君    八木 一郎君       山崎  巖君    山本 勝市君       稻葉  修君    小山倉之助君       河野 金昇君    古井 喜實君       石山 權作君    滝井 義高君       松原喜之次君    三鍋 義三君       横路 節雄君    稲富 稜人君       川島 金次君    河野  密君       小平  忠君    西村 榮一君       中原 健次君    河野 一郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         通商産業大臣  愛知 揆一君         運 輸 大 臣 石井光次郎君         国 務 大 臣 大野 伴睦君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         内閣官房長官  福永 健司君         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君  委員外出席者         専  門  員 小林幾太郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 三月二十二日  委員赤城宗徳君、岡村利右衛門君、北れい吉君、  野田卯一君、臼井莊一君白浜仁吉君及び齋木  重一君辞任につき、その補欠として富田健治  君、羽田武嗣郎君、森幸太郎君、庄司一郎君、  河野金昇君、中曽根康弘君、及び武藤運十郎君  が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員松原喜之次君及び中村梅吉辞任につき、  その補欠として辻原弘市君及び河野一郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月二十六日  委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として松  原喜之次君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員竹山祐太郎辞任につき、その補欠として  岡田勢一君が議長指名委員に選任された。 同月三十一日  委員岡田勢一君辞任につき、その補欠として竹  山祐太郎君が議長指名委員に選任された。 四月十三日  委員三浦一雄君、足鹿覺君、山花秀雄君及び館  俊三君辞任につき、その補欠として稻葉修君、  三鍋義三君、石山權作君及び中原健次君が議長  の指名委員に選任された。 同日  森幸太郎君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 三月十六日  昭和二十九年度予算組替えに関する請願(山花  秀雄君紹介)(第三五一八号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  昭和二十九年度特別会計予算補正(特第1号)     ―――――――――――――
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。委員の異動に伴いまして理事一名が欠員になっておりますが、その補欠は、先例によりまして委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 倉石忠雄

    倉石委員長 御異議なしと認めます。よって森幸太郎君を理事指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 昭和二十九年度特別会計予算補正(特第1号)を議題といたします。質疑を継続いたします。河野金昇君。
  5. 河野金昇

    河野(金)委員 吉田総理は、国会開会中であるにもかかわらず、約一箇月病気国会を欠席されました。国会に出席できないから相当の重病であると私たちは心配をしておつたのでありますが、そのわれわれに伝わつて来る情報は、国会終了を待って外遊される準備が着々進められておるということであります。総理の御病気外遊されるほど健康におなりになつたのでありますか、また大丈夫外遊される御自信がありますかどうか、もし外遊されるとしたら――外遊されることは事実だと思います。準備が進んでおります。アイゼンハウアーなんかともお会いになる日までもうきまつているとか承っておるのでありますが、いつごろ、どういう目的外遊されるか、この際まず承りたいと存じます。
  6. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをいたします。外遊は今ただちにいたすのでないのでありますからして、私のただいまの病気とは関係ありません。病気がなおつて後に外遊すればするのでありますが、その外遊も今まだ決定をいたしておらないのは、相手国都合もあるでありましようししますからして、まだ決定をいたしておりません。しかしながら、する場合における準備はいたさしております。どういう話をするか、どういう問題があるかも調べはさせております。何の目的かといえば、これは終戦後外国との岡にいろいろな関係があつて、その関係の処理に対しての跡始末を考えたいと思いますので、実際がどうなっておるかということを見たくもあります。それから国際関係もずいぶん紛糾というか、錯雑、錯綜いたしておるようにも考えますから、現在における国際関係も見たいと考え、また日本の外交、日本の行き方についての参考にいたしたいと思います。同時に、日本に対する相当誤解があります。また誤解によつてできるものができなかつたり、あるいは貿易の伸張もできなかつたというようなこともありますから、そういう誤解もできれば解きたい。また誤解があれば、それにいかなる処置をとつたらよいかというようなことも実際に知りたいと思いますから、外遊することがよいとは考えますが、しかしながら、今申した通り相手国都合もありますし、私自身の健康もありますから、まだ決定はしておらない。しかし万が一いよいよ外遊ということにきまれば、その場合における準備は今から外務省においてしてもらつております。
  7. 河野金昇

    河野(金)委員 先月の二十八日緒方総理は、病中の総理をたずねられ、首相了解済みとのことで、突如保守新党構想を発表されたのであります。いろいろ世間には伝わつておりますが、久しぶりに登院された総理の口から、なぜ今日新党を早急に結成しなければならないか、その理由並びにその構想を承りたいと思います。
  8. 倉石忠雄

    倉石委員長 副総理ですか。
  9. 河野金昇

    河野(金)委員 いや、まず吉田総理から承つて、それから……。
  10. 吉田茂

    吉田国務大臣 緒方総理がいろいろ政界状況等について心配させられて、そうしてこうもしたらああもしたらという考えを、私に見え、お話がありました。台われわれの希望するところは――われわれと申すのは、私一人ではない、多数の国民が希望することは、政局の安定ということであります。政策がもつと強力に実施せられて、そうしているくな問題について強力な解決方法を見出したいということが国民の要望であろうと思います。またわれわれもそう希望しております。ゆえに志を同じゆうする者が、政党が相集まり、結集することができればけつこうなことである、政界の安定のために、また日本国策遂行のためにけつこうな話だ、と私も賛成いたしたのであります。自由党諸君も大部分賛成いたしておるのであると私は聞いております。
  11. 河野金昇

    河野(金)委員 それでは新党問題の中心緒方さんに承りたいと思います。緒方総理は、総理並びに与党幹部諸君といろいろお打合せの上、自由党解党して新たに新党をつくる、合同というか新党というか、これはときどき言葉がかわつておりますが、いずれにしても自由党解党して、そうして合同なり新党なりをつくる、総裁は民主的に公選にする、こういう御意見を実に大胆率直に発表されたのであります。先ほど総理も言われましたが、いろいろな政策の推進なんかに志を同じゆうする者が一緒になつた方がいいということでありますが、すでに予算は自然成立し、重要法案も逐次衆議院を通過し、参議院に送り込まれつつある今日、何がゆえにこういう重大な構想を発表されるに至つたか、合同論というか、新党というか、その根拠緒方総理から今度は承りたいと思います。
  12. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 私は日本の最近の段階におきまして、政局の安定ということが非常に重要な問題、言葉をかえて申しますならば、国民の要請であると考えております。政局の安定のためには、政府が安定した大きな努力の上に内閣を組織する、また国会の中にも安定した中心勢力があることが望ましいと考えるのであります。こういう考えで、政府及び与党におきましては、昨年の総選挙以後、いわゆる比較多数の上に政府が組織されましたので、できれば同憂の人々の共鳴によりまして、絶対多数を得て政局を安定させたいということを考えて、爾来熱心にその方途を求めつつあつたのでありますが、幸いに昨年の秋に分党派自由党共鳴復帰を得ましたけれども、まだ十分ではない。そこで、これは、その後の国会情勢を見ましても、議事の運営の跡を顧みましても、何とかできれば保守勢力の結髪をはかりたいが、それには、今までのよう自由党比較多数であるからその方の主張に同調してもらいたいという立場でなしに、保守関係政党ができれば一緒解党してそして新しい政党をつくる。そして総裁公選というようなことにして、いわゆるまつたく新しい構想の上に新しい勢力をつくれば、それによつて初めて同憂の諸勢力の同調、共鳴を得るのではないか、そういう考えからああいう構想を持つたのであります。
  13. 河野金昇

    河野(金)委員 政局の安定とか、国会の中における絶対多数を持ちたいとか、こういうことはあたりまえのことでありますが、私は、それだけによつて突如今日緒方氏がああいう構想を発表されたものだとは思わないのであります。昨年の選挙の済んだあとに、自由党は絶対多数じやなかつたけれども、野党が一致できないがために、比較的多数で吉田総理指名を受けられた。政局の安定をはかりたい、国会の中で多数を得て、そして強力な政治をやりたいとお思いになつたなら、指名を受けられたあのときわかつておることでありますから、もつと熱心にあの当時改進党なりあるいは当時の鳩山自由党なりにお働きかけになることが必要でなかつたかと思う。もうほとんど国会も半ばを過ぎ、国会が終りそうになつた今日、突如として一しかも総理大臣も一箇月も国会を休んでおる。いろいろな轟法案なんかが非常に難航をきわめたということは、比較的多数であるということも一つ理由だが、自由党さえ結束しておれば、有田君の条件付逮捕許諾というような無理押しでも通るし、入場税というよう野党全部が反対した問題でも通る、あなた方がやれば通る、それだけの努力もしないで――それは総理は御病気かもしれぬけれども、目黒の公邸まで出て来れるならば国会まで出て来れる。あるいは、議場へ出て来て答弁ができないにしても、総理大臣室におつてさしずぐらいはできるはずなんだ。その努力をすればもつとこの国会はスムーズに行つたと私は思う。その努力をひとつもしないでおいて、そうして国会運営がむずかしいから保守党はみんな解党して一緒になるのだなんて非常に安易な考え方だと思うのであります。しかし、緒方さんのおつしやつたよう世間では触釈しておりません。世間は、自由党や改進党や日自党一緒になつて、多数の力で汚職疑獄に圧力を加えるのだと憤慨しておるのです。この、国民の憤慨している今日、なぜ、あえてそれに反抗するごとく、それに抵抗するがごとく、突如としてこういうよう構想に出られたか、私は、緒方さんの考え方は、今おつしやつたよう表面のことじやなかろうと思う。あなたが芦田さんをたずねられることも自由でしよう池田勇人君が重光総裁をたずねることも自由でしよう、しかしそれはやみ取引です。ほんとう日本の国を憂えるなら、政局の安定をはかりたいなら、なぜ、こういう国会の席上において、みなの見ている前で、堂々と国民の納得するような議論をなさらないのか。緒方さんが先ほどおつしやつたの保守合同論根拠であるか、もつと奥に何かあるのじやないかと私は想像するが、この際率直に緒方さんの御意見を承りたいと存じます。
  14. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 日本政党の歴史を見ましても、おのおの政党解党して新しい政党をつくるということは、決して安易な道ではないのであります。安易な道ではないが、今日の時局にあたつて、内外の緊迫する諸問題を解決して参るには、その安易でない道も選ばざるを得ない、さよう考えているのです。何ゆえに昨年の選挙の直後にそれを言わなかつたか、これは、選挙を争つて参りました直後にそういうことを申しましても、とうていでき得ないことは、河野君も十分御推察ができると考えます。それから後にいろいろの段階を経まして、今日はそろそろ機運が熟したのではないか、さよう考えたのが今回あの構想を持つたいきさつであります。その陰に何かひそまつたものがあるということは全然ございません。
  15. 河野金昇

    河野(金)委員 経済の問題も国際情勢ももちろん大切でありますが、素朴な国民はこの汚職疑獄事件に一番大きな憤りを感じておるのであります。だから、新党運動もよろしい、連立工作もよろしい、しかし、この汚職の問題の見通しがつくまで待つわけには行きませんか、この点を承りたい。
  16. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 汚職の問題も汚職の問題でありますが、国一日も政治なかるべからず。この保守合同によりまして政局の安定がもしできれば、一日早ければ一日早いだけいいと考えております。
  17. 河野金昇

    河野(金)委員 きたないものが一緒に数をふやしてみたとて国民支持を受けません。国民支持を受けない政党は、一時は多数を得てもそれは将来性がありません。だからやはり汚職問題を解決する これの見通しをつけてから出発するということが正しい道でないかと私は思うのであります。法務大臣はおられないから汚職の問題の見通しはわかりませんが、大臣に及ぶか及ばないかわかりません、自由党の三役に及ぶか及ばないかわかりません。しかし党の会計責任者が逮捕されたり何かしておることは、これはやはり政府並びに与党諸君が、新党あるいは合同を当てにする一つ理由ではあろうと思いますが、これは表面には言えないことでありましようから私も聞こうとは思いません。  そこで具体的の問題を承りたいと存じます。汚職の問題には割切れないものがありますが、私たちとしても割切れない問題が一つある。それは中曽根君がこの予算委員会において大野国務大臣石井運輸大臣に対して実に失礼なことを申し上げた。百万円ずつとつた、こういうことを言つた。私もこれは事実に反しておつたとしたら実にけしからぬことで、大野さんが実にまつ赤な顔をして憤慨されたことはいまだに覚えておるところであります。中曽根君も懲罰にかかることを覚悟しておつた。われわれ同僚も新たな事実をいろいろそろえて、懲罰にかかつたらそこで徹底的に争うつもりでおつた。しかるにいよいよ本会議にかかるその瞬間、どういうわけか知らぬけれどもひつ込めてしまわれたのであります。ひつ込めたということは、大野さんや石井さんはあるいは法律にはかからないかもしれませんけれども、百万円ずつもらつたということは暗黙のうちに御了承なさつたことに結局なるのです。それならなぜあれほど憤慨されて、告発するとか懲罰にかけるとか――実に怒髪天を突くような憤りをされた大野さん並びに石井さんが、懲罰動議を取下げるのになぜもつと反対をされて――われわれ同僚中曽根君はあるいは議会から除名されるようなことがあるかもしれぬがやむを得ない、事実無根なことを言つたとするならば、実に大臣の名誉を毀損したのでありますから、けしからぬことでありますから、同僚といえどもわれわれはやむを得ないと思つてつたのであります。しかるにひつ込められて、われわれはのれんに腕押しような感じがしておるのでありますが、この際大野さん、石井さん、あらためて一体あの百万円ずつはどうなつておるか承りたいと存じます。
  18. 大野伴睦

    大野国務大臣 お答えいたします。私はこの前怒髪天を突くような、ほんとうに非常な憤りを感じた。事実無根のことである。ところがそれがために党は懲罰委員会に持ち出した。ところが上程直前に、これは私どもも党のこれをひつ込めることについては心から反対いたしました。けれども私は党人でありますから、党の正式機関において大事の前の小事である、これはこの際取下げることがいいという党の役員会態度決定した。こういうわけだからやむを得ぬ、了承せよという。非常に私は憤りを感じましたけれども……(「脱党したらいいじやないか」と呼ぶ者あり)私はさようなことで脱党する、そんな考えは持つておりません。党人として終始する。しかし私にさような嫌疑があるとするなら、ば……(「告発すると言つたじやないか」と呼ぶ者あり)私は告発をするつもりだけれども、告発はできないというのだからしようがない。院内の言論は院外に及ばないということだからやむを得ない。だから懲罰で争おうと思つたところが、大事の前の小事であるというので党の態度決定した。私は党人でありますから党議に服した。しかし私は有田君からさような不浄な金をとつていないということは、私はまだ検察当局から一ぺんの取調べも受けていないから事実無根である、さよう考えております。そういうわけだから私は意には満たなかつたけれども、党議に服した、これだけであります。
  19. 石井光次郎

    石井国務大臣 お答えします。この問題につきまして河野君からどつかの委員会で私の気持を聞かれた。私は私の名誉のために、議会の権威のために、必ずこの懲罰動議が成立して、そうしているくそこ調べをしてもらつて私の身の潔白はもちろんのこと、そういう発言をした人の処分をしてもらいたいということを念願いたしておりました。しかし今大野君が申しましたように、自由党では党の機関にかけて、その決議として動議取下げということになつたのであります。私自分一個の考えとしてはこれに喜んでおりません。しかし自由党の党員といたしまして党の決議従つたというわけでございます。申すまでもなくこの動議撤回というものは何かといえば……。   〔発言する者多し〕
  20. 倉石忠雄

    倉石委員長 静粛に願います。
  21. 石井光次郎

    石井国務大臣 中曽根発言に対する動議撤回でありまして、動議撤回そのものが私がその内容を認めたということにならぬことはもちろんのことであります。それは論理の飛躍であります。私は絶対そういうものをもらつた覚えはございません。これは幾たびも繰返して申したところでありまして、身の潔白を何度でも私は立証するものでございます。
  22. 河野金昇

    河野(金)委員 あえてこの問題で議論しようとは思いませんが、大事の前の小事であるから、自由党がひつ込めたから党議従つたとおつしやる。いかにも恩がましく聞えるのでありますが、われわれは中曽根君の懲罰をひつ込められたことは、決してありがたいとは思つておりません。チャンスを失つたと遺憾に思つておる次第であります。  そこで本論に返りまして、解党による合同ということは重大なことだと思います。自由党は簡単に吉田さんの一声で解党できるかもしれませんが、改進党には党大会等民主的な手続が必要であります。政党人として苦労の足らない緒方さんの勇気には敬意を表しますけれども、幣原さんや、あるいは犬養さんをひつこ抜いて行つたときでも、自由党という旗は一度も自由党諸君はおろされたことがありません。自由党の旗のもとに長く闘つて来られた党人諸君が、そう簡単に解党に賛成されるとは私は思いません。一度解党をしてそうして合同してまた自由党という党名をつけ、また吉田茂という人を総裁に民主的に選挙できめるというつもりであるかもしれませんが、それでは世間は納得をしませんし、また自由党諸君が本気に自由党解党するなんということを考えておられるとしたならば、私はよほど自由党という古屋は朽ち果てておつて、もういかんともすることができないものになつておるものと想像せざるを得ないのであります。そこで緒方さんはほんとうに伝統のある自由党という政党が簡単に解党できる、そういうふうにほんとうにお考えになつていらつしやいますか、また解党して合同して自由党という党名がなくなつても、吉田茂という総裁が消えても、それでいいと忠つていらつしやいますか。私はそうじやなかろうと思う。おそらく二百三十名の自由党諸君には、声としては出さないけれども、改進党や日自党をだまして一緒にして、そして選挙をやりや、二百三十名おるからまた自由党という党名ができるのだ、吉田茂さんがまた総裁になれるのだ、だからまあ黙つておれ、一ぺん解党言つて相手の党を撹乱してやれ、こういうことではなかろうかと思うのでありますが、人のいい緒方さんがそこまで考えていらつしやるとは思いませんが、自由党ほんとう解党できる政党だと思つていらつしやるかどうか承りたいと思います。
  23. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 先ほどは非常に安易な道を選ぶように言われ、今は非常に困難な道を選ぶように言われ、どつちがほんとうかよくわかりませんが、私は決して安易な道であるとは考えていません。それから自由党解党できるかどうかという御質問でありますが、これは自由党におきまして、大体党の意見がそれを認めております。
  24. 河野金昇

    河野(金)委員 緒方さんともあろう人が、言葉のあやをお取上げになつておることはおとなげないと存じますが、緒方さんが簡単に解党するなんということをおつしやつたということを最初には言ったのです。しかしいよいよ解党するというと、こういうむずかしいことがあると言つたのでありまして、私の考えをずつと初めからしまいまで聞いておつていただけばわかることで、あげ足とりは御遠慮願いたいと思います。  改進党は、緒方さんもすでに御承知の通りに、責任政治確立政界粛正ということを叫んでおるのであります。新党なり、合同なりあるいは連立なりの前提には、この問題が解決しない限り、改進党は動くわけには参らないのであります。総理並びに緒方氏は、われわれ改進党が言っておる責任政治確立政界粛正ということに対して、どういうようにおとりになつていらつしやるか、承りたいと存じます。
  25. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 それは額面通りにとつておるのでありますが、さらに保守合同の問題を御相談して、そして御了解を得たいと考えております。
  26. 河野金昇

    河野(金)委員 それこそ安易な、改進党を甘く見ておる考え方だと思うのです。物にはけじめというものが必要だと思うのです。戦争に完全に負けておるにかかわらず終戦言つてごまかし、占領から独立への区別を立てず、インフレ予算からデフレ予算への責任を明らかにせず、大臣が金をとつたかもわからないが、法に触れるまでは責任をとろうとしない、これでは国民道義の高揚もあり得ないし、新党だとごまかしても国民はついて来ないであろうと思うのであります。もし今日の段階において新党意義がかりにあるとしたならば、経済的の行き詰まり、外交的の行き詰まり、あるいは国内の汚職疑獄問題等、こういうものから考えてみて、今日の段階において保守新党なり、保守合同なりの意義があるとしたならば、保守党のうちの反吉田勢力の結集をはかるというなら一つ意義があります。あるいは汚職疑獄関係のない純真な勢力が集まつてとつ新党をつくつて行くというならば、これも意義があることであろうと思います。しかしそれを緒方さんは考えていらつしやるとは思いません。自由党にも改進党にも確かにきたないのはあります。このきたないやつをそつくり一緒にして数をそろえて、これが新党でございますとおつしやりたいのであろうと思いますが、それでは私はこの保守党の前途というものは、もはや見きわめがついておると思います。社会党の左派が伸びて来ることを恐れて保守党というものは一緒にならなければならぬとおつしやるが、こんなきたないものが一緒になつたならば、吉田総理の最初総理大臣におなりになつたころの言葉じやないが、かえつて社会党を育成するということが現実になつて現われて来るのでありまして、きたないものが数をそろえて大きくなつたならば、かえつて私はあなた方がきらつておられる勢力を大きくするゆえんであろうと思うのであります。もし自由党も改進党も日自党解党して一緒になるとするなら、前提としていろいろなことをやらなければならぬと私は思うのです。自由党でも改進党でも、あるいは社会党は数は少いにしても、社会党の諸君にしても、財界なんかから金をとつておるのは主として選挙のときであります。選挙に金のかかるような制度をこのままにしておき、あいまいな政治資金規正法をこのままにしておいて、保守合同をしたとて、私はとても国民の共感を得るわけには行かないと思うのです。だからもしも保守合同なり、保守連立なり、新党なりをつくりたいとおつしやるなら、自由党諸君も、わが党もでありますが、自由党諸君、特に政府は率先して連座制の強化等の選挙法の改正に熱意を示すべきです。利子補給をやつたような会社なんかから金を受取つてはならない、献金を受取つてはならない、というよう政治資金規正法をここでつくり上げて、今まではいろいろな間違いもあつたが、こういうようなことによつて保守党は出直すのだから国民支持してくれというなら話はわかるが、そういう努力を少しもしないで、一緒になろうという考え方は、私は国民を愚弄したものであると思うのでありますが、緒方総理のお考えを承りたいと存じます。
  27. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 決してきたないものが集まつて世の中をごまかそうなんということは考えておりません。今お述べになりました今回の汚職事件が、政界にも何がしかの波及をしておりますが、こういう汚職事件政界に起るのも、これはやはり選挙に金がいり過ぎるということが一つの大きな原因になつておると考えます。従つて今御指摘になつたように、選挙法の改正、金のいらない選挙法をつくるということは、私はまことに同感であります。個人の意見ではありますが、小選挙区ということも私はぜひ実現したいと考えますが、そういうふうな法案を通過させるにつきましても、やはり十分な多数が衆議院にない限り、なかなか容易でない。これは二年経験した結果、いかに国会運営を円滑にし、その結果として国会の威信を高めるかということにつきましては、やはり安定した十分の多数というものが必要である、そういう意味から、私は御意見には同感でありますが、そのために保守勢力の結集をあとまわしにする必要はないと考えます。
  28. 河野金昇

    河野(金)委員 まだ私は、緒方さんの繰返される御答弁でも、それだから新党に行かなければならぬ、合同しなければならぬという沸き上る熱情が出て来ないのであります。やはり政党には、歴史があります。私たちも今日のこの段階に来ているくなことを考え合せるのです。私たちは講和会議の開催される前に、当時は国民民主党でありましたが、起党派外交ということを唱えておつたのであります。外交の問題は政争の具にしないで、起党派的に行こうじやないかと言いましたが、絶対多数をとつておられた当時の吉田さんは、起党派外交なんということはあり得ないと言つて、一蹴されたのであります。しかるにいよいよ講和会議の日がさまるや、ダレスに注意されたのかどうか知りませんけれども、暮夜ひそかに苫米地委員長をたずねて、そして苫米地さんを連れて講和会議に臨まれたことを思い出さざるを得ません。昨年国会で、保安庁法の改正をしたらどうだ、保安隊を増強しあるいは編成がえして自衛軍をつくつたらどうだというような質問を、われわれの同僚が何度繰返してみても、そんな意思はありませんと言つておられた。しかるにいよいよ池田さんがMSAの下交渉にアメリカへ行くという段階になると、吉田さんは重光総裁のところへたずねて来て、重光総裁と何をお約束になつたか知らぬけれども、重光さんの口実をもつて池田さんへのせんべつとされたことを思い出さざるを得ません。今度は議会を休んでおられたけれども、総理は非常な熱意を持つて外遊したいとおつしやつておることは、側近並びに方々から伝わつて来る、これは空気であります。結局比較的多数で内閣をとつておるその総理大臣が外国に行つても思い切つた話ができないから、吉田総理外遊のせんべつに改進党や日自党解党して来てくれというのが、私はほんとうの腹のうちじやなかろうかと思うのであります。この講和会議なりMSAの交渉なりの経過から見て、緒方氏が今日非常に熱心になられたのは、私は吉田さんへのサービスである、吉田さんへせんべつ集めである、こういうように解釈するのでありますが、もしそうでないとしたならば、汚職の問題が片づき、あるいは大臣にも逮捕されるような人がなかつたなら、吉田内閣はつぶれないでしよう。おやめにならないでしよう。おやめにならないでそうして今の総理大臣のまま外遊なさればいいのです。われわれもいよいよこの疑獄表面化して、総辞職するよう段階にならない限り、あなたが外遊なさるというなら、改進党が主催して壮行会ぐらいは催してやつてもいいと実際思つておるのであります。だからほんとうに未来のある、将来のある、国民がついて来る保守党をつくりたいというならば、私はこの外遊を前にした汚職疑獄のうずの中にある今日、あわててつくる必要はなかろうと思うのであります。いま少し時期をお待ちになることの方が正しい、いいものができるように思うのでありますが、緒方総理のお考えを承りたい。
  29. 緒方竹虎

    緒方国務大臣 いろいろひねくれた御質問をなさいますが、私はそういうようなことは考えておりません。総理外遊後にしたらどうかというお話がありましたが、これは改進党の中にも共鳴者が熱心に保守合同を進められ、その意見がお互いに一致しました。それでこの構想を発表いたした次第であります。
  30. 河野金昇

    河野(金)委員 改進党の同調者があるとおつしやいますが、それは改進党の中の個人の意見であります。改進党の党議は、政界粛正をはかり、政治責任を明らかにしたそのあとの問題であるということに党議が一決しております。芦田さんも党議には服する、脱党するようなことはないと言つておられるのであります。私は緒方さんがどういう質格で芦田さんに話されたかは知りませんけれども、改進党を相手にされるときは、総裁なら総裁同士、幹事長なら幹事長同士という正式の機関を通されることが、公党のとるべき態度であつて、個人的に知つているからといつて、その人が賛成したからといつて、あたかも改進党が緒方さんの構想に全面的に賛成して、解党して今にも合同し、新党をつくるように言いふらされるということは迷惑しごくであります。政界や官界や財界の汚職疑獄のこの責任を明らかにし、行き詰まつて来ているこの経済政策の転換をはかるためには、私は人心を一新する必要があると思うのであります。人心一新の唯一の道は吉田内閣の総辞職以外にないと思うのであります。この際保守合同とか保守新党とかいうことを言う前に、責任を明らかにされたとき、われわれ改進党も国家のために虚心担懐に話には乗るでありましようけれども、吉田総理外遊したいとか、現在の汚職事件をこのままにしておいて、それで今ただちに解党合同ようといつてみられても、それはできるものではなかろうと思います。総辞職をされることが責任を明らかにすることであり、局面展開の唯一の道であると思います。御答弁はいりません。私は総理並びに閣僚諸君並びに自由党諸君の反省を偏して私の質問を終ります。
  31. 倉石忠雄

    倉石委員長 横路節雄君。
  32. 横路節雄

    ○横路委員 吉田総理にお尋ねをいたしますが、去る二月の二十六日吉田総理が本予算委員会に出られまして、各党の代表者から造船汚職に関しての政治的な責任をそれぞれ追求されたのであります。そのとき吉田総理からいろい御答弁がございましたが、あれ以来一月半たちまして、政治情勢はあのときとはまつたく異なり、深刻なる様相を呈して、まさにわが国始まつて以来の汚職疑獄であると私は考えておるのであります。この点は吉田総理は、犬養法務大臣あるいは緒方総理からお聞きだと思うのであります。現にただいま議院町営委員会自由党岡田五郎君、關谷勝利君のいわゆる逮捕許諾について、きようの本会議にかけるかどうかについてやつているわけであります。総理も御承知のように、ただいままで国会で逮捕許諾を与える問題になつている諸君はすべてこれ自由党であります。しかも有田二郎君は自由党の副幹事長、参議院の加藤武徳君も自由党の副幹事長、それから關谷勝利君は元運輸政務次官、岡田五郎君は元保安政務次官。すでに先ほど大野国務大臣からお話がありましたように、当然国務大臣としての疑惑を国民の前に明らかに晴らさなければならないのに、自分としてははなはだ不満であるけれども、党議をもつて決定するならばやむを得ないと大野国務大臣も言い、石井運輸大臣も言つておられる。まさに吉田総理大臣が二月の二十六日おつしやつておるように、自由党吉田内閣というものはまつたく一身同体なんだ。従つて二月二十六日以来のわが国始吏つて以来空前絶後――私は絶対と言いたい。こういうことが再びもしもわが国で繰返されるならば、わが国の議会政治は根本から破壊されてしまう。絶対にあつてはならないと思うから、私は空前絶後だとこう言いたいのであります。吉田総理は昨年の第十六特別国会において総理大臣指名されましたのも、三百一名で過半数ではございませんでしたけれども、第一党の自由党総裁としていわゆる総理大臣指名をされたのであります。従つて私はこの造船汚職に関してすべてこれ自由党のいわゆる四人の諸君がそれぞれ党内における地位の高き、それぞれ政務次官等をしている経歴にかんがみて、当然私はいわゆる総理大臣としてはこの責任をおとりにならなければならないと思うのであります。この点につきまして私は総理大臣の所信をただすのであります。
  33. 吉田茂

    吉田国務大臣 汚職問題についての私の意見あるいは答弁はすでに申し述べた通りであります。(「事態がかわつている」と呼ぶ者あり)かわつてない。汚職事件の全貌がいまだ明らかにならざる間に政府としては責任をとるわけには参りません。しかしながら汚職事件の全貌がわかつたときには適当なる処置をとります。
  34. 横路節雄

    ○横路委員 総理大臣にお尋ねいたしますが、汚職事件の全貌が明らかになれば責任をおとりになると言いますが、私が先ほど申し上げましたように、造船汚職に関して少くとも国会議員として国会における逮捕許諾というのは、これはもういまだかつてないのです。しかも同じ党に所属している方が四人も引続いていわゆる国会に逮捕許諾を求められるなんということはないのであります。従つて二月二十六日、総理大臣が本予算委員会で答弁されましたときよりは事態が深刻に発展をしているのであります。従つて私は総理大臣が全貌が明らかになれば責任をおとりになるというその全貌とは一体総理大臣は何をおつしやるのか、その点についてお尋ねをいたします。
  35. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えいたします。検察当局からして結論が出たときが、すなわち私は全貌が明らかになつたときである。これも一つであります。いずれにしても全貌が明らかになつた場合には、政府としては適当な処置をとります。
  36. 横路節雄

    ○横路委員 これは委員長にですが、実は法務大臣刑事局長に、総理大臣からお答えをいただくのに関連してぜひ私はお尋ねをしなければならないのです。大分まだかかりますか。
  37. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいま議院運営委員会に出席中でありまして、すぐにこちらに来られるという回答がありましたから、今また重ねて連絡をいたしました。
  38. 横路節雄

    ○横路委員 すぐでございましようか。これは前々から通告してあつて、特に総理はわずかな時間しかおいでにならないようですから……。
  39. 倉石忠雄

    倉石委員長 今また連絡に行きましたから……。
  40. 横路節雄

    ○横路委員 それでは保安庁長官は通告してあつたのですが、おいでにならぬようでありますが、この点はきようの特別会計に重大な関係があるので……。
  41. 倉石忠雄

    倉石委員長 保安庁長官は法務委員会で答弁中で、すぐ参りますが、呼んでおります。保安庁長官が来られるまでちよつとお待ちください。   〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕
  42. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 保安庁長官が見えました。横路節雄君。
  43. 横路節雄

    ○横路委員 保安庁長官にお融ねしますが、保安庁が二十八年度予算に計上をしました艦艇は、甲型の警備艦千六百トンが二隻、乙型の警備艦千トンが三隻となつておりまして、合計百二十四億のいわゆる艦艇の発注が先般の昭和三十九年度予算審議の際にもこれは非常に問題になつたのであります。なぜ問題になつたかというと、自由党の政調会長の池田氏に日立造船から艦艇の発注を依頼されたといつて参議院の西郷氏が五百万を持つて来たとか、持つて来ないとかいうことがその問いろいろ問題になりまして、この艦艇の発注が遅れているのではないかと思うのですが、これはもうすでにそれぞれの造船所に発注をされたかどうか、発注をされているとすれば、どの造船所に何型のものが発注されているか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  44. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。ただいま御質疑の船につきましてはいまだ発注をいたしておりません。しこうしていまだ発注していない理由といたしましては、御承知の通りこの船はいわゆる昔の艦艇であります。普通の船舶ではありません。非常に構造上むずかしい点があるのであります。しかもこれに載せるところの機関は非常にむずかしい、かたそがたこれをつくるについて設計を何度も何度もやりかえております。かような次第でいまだ基本的の設計を急がせておるのでありますが、ただ概算設計だけはできておるようであります。そういう関係からして、この発注は遅れておるようでありますが、近く設計もでき上るような次第でありまして、発注をいたしたいと考えております。
  45. 横路節雄

    ○横路委員 この問題につきましては、すでに本委員会でただいま保安庁長官から御答弁になつたような点につきましては、もう一月半ほど前に御答弁をいただいておるわけであります。すでに二十九年度に入つたわけで、これが遅れているというのはどういうわけでしよう。これは、今お話のように概算設計のままで発注を急ぐことはいたずらに疑惑を招く。造船疑獄が進展しているさ中でもあり、さらに万が一、日立造船などに行つたのでは、あの五百万と関係があるのではないだろうかなどと言われるおそれがあるので遅れているのか、一体いつこの発注をなされるというのか、それからどこへ発注なされるというのか、その点をはつきりしていただきたいと思います。
  46. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 発注の遅れておるのは今申し上げたような次第でありますが、なお念のために申し上げたいのは、要するにこれは駆逐艦と称していい特殊船であります。これに武器を搭載しなければならぬ、これに載せる武器はアメリカからも持つて来なければならぬ、あるいはソーナーあるいは通信機、それらの点は確定いたしておりません。これらの点は十分確定いたして、そうして設計をいろいろ組みかえて行くわけでありまして、さような事情で遅れておるわけであります。  しこうしてこの船の注文をどの会社にするか、これについてはわれわれ慎重審議しておるのでありまして、要するに船の注文をするについては1特殊船でありまして戦後初めてつくるものであります。モデル・シップなので、将来に禍根を残してはいかぬ、りつぱなものをつくりたい、従つて船の構造をしつかりしたりつぱなものをつくることと、しかも安くつくり上げたい、この二点においてわれわれは苦心しておるのであります。従つてわれわれの考えでは、今これを随意契約にいたしたいと孝、えておるのでありますが、随意契約にすればどの会社が適当であるか、各種の材料を集めて間違いのないようにただいま検討中であります。
  47. 横路節雄

    ○横路委員 保安庁長官にお尋ねしますが、非常に大事な点は、今各造船所では、御承知のよう相当重要な大きい造船所の責任者がリベートその他の問題で逮捕になつておる。保安庁で艦艇発注をする場合には、この計画造船の割当で造船汚職の疑惑を招いたような造船所には当然おやりにならないだろうと私は思う。ことに今のあなたのお話で大事な点は随意契約だ。指名入札ではない。特にもう一つその点で、日立造船に万一あなたの方で割当てたならば、日立造船の松原社長から西郷氏に五百万渡つたということが、それとは関係がなくとも、結果的には成功したことになる。保安庁長官としてはいやしくも艦艇発注に対しては、造船所でリベートその他でそれぞれの責任者が逮捕されておるような造船所には随意契約ですから発注なさらないと思うが、この点はどうでございましようか。
  48. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。私はあらゆる点から検討いたしまして、最も適当なる会社にこれを発注いたしたいと考えております。
  49. 横路節雄

    ○横路委員 私が木村さんに聞いておるのは、造船汚職関係しておるような疑惑を持たれておるような造船所はあなたの計画の中に入つておるのか、それともこれを除外するというのか、その点を明らかにしていただきたい。汚職が何ぼあつたつてかまわないというのか、その点はどうなのですか。
  50. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。まだ発注すべき会社は確定いたしておりません。今御説のリベートその他の関係があつた会社はどうかということでありますが、リベートとこの船の発注とは全然別個の問題であります。われわれは各方面から検討して、最も適当だと考えるところにこれを発注して、間違いのないようにいたしたいと思います。
  51. 横路節雄

    ○横路委員 木村さんに電ねてまたお尋ねしますが、この間の三十九年度予算の中にはアメリカから千五百トン以上の駆逐艦あるいはまた千五百トン以下それぞれの艦艇についていわゆる貸与を受ける、しかもこれについての予算は、アメリカ側から受取るための旅費等も組んですでに予算も通過しておる。それで政務次官の話を聞くと千五百トン以下についてはMSA協定でやれるが、千五百トン以上のものについては別途の協定をしなければならぬと言つておる。新聞等によると、あなたの方ではその協定ができたように伝えられておるが、アメリカ側において、相互安全保障法の中では千五百トン以上のものについては渡すわけに行かぬ、アメリカの国会の議決を経なければ渡せない、従つてそういうことになれば非常に遅れて来るわけでございますが、この点は予算との関係がありますのでどうなつておりますか。
  52. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 今お話の千五百トン以上はMSA協定以外のものであります。これをわれわれが貸与されるについては、アメリカとの間に別個の協定を結ばなければならぬ。そこでわれわれの希望する船につきましては、アメリカの出先官憲と事務的に折衝中であります。この折衝が近く解決に至るだろうと私は考えます。従いまして近い時期においてアメリカから正式にそれについての回答があり、協定が締結できるものと私は確信しております。
  53. 横路節雄

    ○横路委員 外務大臣にお尋ねしますが、今の千五百トン以上のいわゆる艦艇のアメリカから貸与を受ける分についての協定であります。これは相互安-全保障法の中には、この千五再トン以上のものについては貸与できないという規定がある。従つてアメリカとしては国会の議決を経なければならぬ、こういうふうになつておるように私は承つておるのですが、そういたしますと、協定の内容、それからこれの締結の趣旨、こういうものはいつになりましようか。
  54. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 ただいま話合いを進めつつありますか、これは非公式な話合いで、ここではつきりいつということはお答えできません。しかしアメリカの国会の開会期日もわかつておるのでありますから、できるならばその期限内にもいたしたいと考えております。大体前のフリゲート艦の例もありますから、その例にならつて行きたいと考えております。
  55. 横路節雄

    ○横路委員 重ねて委員長にお尋ねしますが、法務大臣はどうですか。
  56. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 今委員長が直接行つて交渉しておりますから、ちよつと待つてください。
  57. 横路節雄

    ○横路委員 私は刑事局長にお尋ねをしますが、十日の午後に自由党本部の会計責任者の橋本明男氏が逮捕されております。私ども新聞で見ますと、この逮捕は、同じ日に逮捕せられました造船工業会の会長であり、三菱造船所の社長である丹羽氏、それから船主協会の理事であり、船主協会の政策推進委員長であり、三井船舶社長の一井保造氏との関係があつて、王氏の逮捕状には自由党幹事長佐藤榮作氏に造船工業会、船主協会から多額の金を贈られ、橋本氏が仲立ちしたといわれているのであります。私が刑事局長にお尋ねをしたいのは、自由党本部の会計責任者の橋本氏並びに造船工業会会長である丹羽氏、船主協会の理事であり、三井船舶の社長である一井氏との王氏の関係において今私が申し上げましたような、自由党幹事長佐藤榮作氏に造船工業会、船主協会から多額の金が賠られ、橋本氏が仲立ちをしたというのが、逮捕せられた容疑事実なのか、その点についてお尋ねいたします。
  58. 井本台吉

    ○井本政府委員 お答えいたします。四月十日に丹羽氏、一井氏、橋本氏、王氏が逮捕せられましたことは今お話の通りでございます。王氏の関係はいずれも贈収賄の関係の容疑事実でございますが、その関係者の以外にたれが名前をあげられておるかということは、これは目下捜査中のことで、捜査の秘密でございますから、お答えを申し上げるわけに行きません。
  59. 横路節雄

    ○横路委員 刑事局長にお尋ねしたいのは、けさの毎日新聞によりますと、自由党の幹事長の佐藤榮作氏の談話として、こういうことが出ておるのです。「昨年秋ごろ船主協会から一千万たしかに受取つた。その際領収書も書き、正式に届出たつもりだつたがその手続がしてなかつたとみえ、それが問題になつているようだ。」どうも私はこの佐藤榮作氏の談話によりますと、この船主協会から一千万円を昨年の秋受取つたということは、お認めのようです。記事ではないので、談話として出ておるわけなんですが、この点については井本刑事局長はどうお考えになりますか。
  60. 井本台吉

    ○井本政府委員 ただいま申し上げましたように、新聞紙にはいろいろ伝えられておりますが、私は刑事局長として公の立場から、これがどういう内容であるということは、ただいま発表いたしかねるので、御了承願います。
  61. 横路節雄

    ○横路委員 それでは私は刑事局長にさらにお尋ねをしますが、この点につきましては、これが記事でなしに、御本人の談話として出ておるわけです。船主協会から一千万円受取つたということになると、あなたの方で十日の夜に逮捕なすつた船主協会の理事であり、政策推進委員長であり、三井船舶の社長の一井氏との関係があるのではないかと思う。そこで私はあなたにお尋ねしたいのは、正式に届けたつもりだつたが、その手続がしてなかつた、こうなりますと、向うから金をいただいた、ところがそれは一月十日までに届出をしてなかつたということになると、これは政治資金規正法の第二十四条、第二十五条に違反する行為であると私は思いますが、その点はどうでございますか。
  62. 井本台吉

    ○井本政府委員 仮定の論議に対してはお答えいたしかねるのでございますが、これは政治資金規正法をごらんになればわかります通り選挙関係いたしまして、政党が寄付を受けておつて、それを届出をしてなければ、それぞれ政治資金規正法に規定がございますから、その罰則に触れるということになります。ただ具体的な事案では、ございませんから、仮定の事案については、その結論がただちにどうであるということは、私としてはお答えいたしかねる次第でございます。
  63. 横路節雄

    ○横路委員 刑事局長に私が申し上げたいのは、仮定の事実と言いますけれども、新聞に御本人の談話として出ておりますので、お尋ねをしているわけなのです。昨年の秋は別に選挙があつたわけではないのであります。従つてこれは公職選挙法との関係ではないのでありまして、政治資金規正法との関係の届出です。そこでもう一つ、これはあとで吉田総理にもお尋ねをするのですが、吉田総理が二月二十六日ここで御答弁なすつているように、政党であるから、政党の同志の者から献金を受けることはさしつかえないが、それが疑獄関係あるかどうかが問題なのだ、こうおつしやつておるのであります。この点は非常に重大なのです。井本刑事局長にお尋ねしたいのは、相手方から一千万円を受取つたと御本人は言つておるのですが、届出をしなかつた。そうすると、これは収入に一千万円つけるべきものをつけないで――それからこれは政治資金規正法では、一月十日に収支決算表をつけて、明細書を出しておるわけです。収入で一千万円落ちていれば、支出で一千万円落ちているわけです。受取つて領収書を書いたが、正式届出をしなかつた。収入でも落ちているし、支出でも落ちているというと、私はこの点は、あなたから仮定だと言われるかもしれませんが、そういう順序を押せば、いわゆるリベートを受取つて、帳面に記入して、正しくそれが会社の経理に運用されておれば何でもなかつたものが、運用されていないために、全部リベートを受取つたものは商法上の特別背任罪として起訴されているわけです。そういうことになると、私はこのケースは明らかに横領罪が成立するのではないかと思うのです。受取つたが収入としては届けていない、支出にもそれがなかつたということになれば、これは横領罪である。リベートの場合における商法上の特別背任罪と同じことになると思いますが、あなたのこれに対する見解はどうでございましようか。
  64. 井本台吉

    ○井本政府委員 具体的なデータを詳細に検討いたしませんと、明確なことは申し上げかねるということになります。ただいまの程度では、私といたしましては、あまりにも仮定でございますので、明確な結論が出しかねる次第でございます。
  65. 横路節雄

    ○横路委員 それでは私はあなたに具体的な事実でお聞きします。山下汽船の横田社長はすでに起訴されております。この点につきましては、山下汽船がそれぞれの造船所に発注した第五次以降の船については、明確に単価がきまつておるわけです。この山下汽船の横田社長が、いわゆる進船所からリベートを受取つて、そうしていわゆる商法上の特別背任罪として起訴されておる。そのリベートの額は幾らになつておりますか、その点をひとつお尋ねします。これは事実なのです。起訴事実はどうなつておりますか。
  66. 井本台吉

    ○井本政府委員 ちよつと資料を見ますが、いいですか。
  67. 横路節雄

    ○横路委員 それではどうぞ-…・。今刑事局長から御答弁のある間、吉田総理にお尋ねをいたします。吉田総理にお尋ねをしたいのは、総理もただいまお聞きの通り刑事局長から、これは仮定の問題だから、何ともお答えができないと言われておりますが、しかしけさの毎日新聞では、自由党幹事長の佐藤榮作氏の談話として出ておるわけです。総理も御承知の通り自由党会計責任者である橋本氏は逮捕されております。この点は佐藤榮作氏は、本人は受取つたと言つておる。この受取つたことは、これは明らかに昨年七月十七日、本国会を通過いたしました利子補給法にからんで、それぞれの謝礼の意味だと思うのですが、総理も二月二十六日のわが党の勝間田氏に対する答弁には、政党の献金は問題ではない、政党支持する者からの献金はさしつかえないが、それが疑獄関係があるかどうかが問題だとおつしやつておるわけです。もしもこの問題が-佐藤氏はこう言つておる。私は御本人が言つておるのだから、そう信ずるわけですが、このことが事実であるとすれば、今日問題になつておる造船汚職関係者から、一千万円の金を自由党は受取つたということになるのでございますが、この点は自由党総裁としての総理は、二月二十六日の総理の御答弁から考えて、当然この点については責任をおとりになるべきだと私は思いますが、いかがでございましようか。
  68. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えいたします。絶えず申しておりますが、事態の全貌がわからぬ限りは、政府としては何らの責任はとれません。
  69. 横路節雄

    ○横路委員 それで私は総理にお尋ねしますが、事態の全貌と今お話がございましたが、自由党総裁としては、私は佐藤幹事長の立場は非常に重大だと思います。   〔小峯委員長代理退席、委員長着席〕 そうすると、ただいまの全貌というのは、佐藤幹事長が船主協会から一千万円受取つたということが事実である一ということになれば、総理の今までの綱紀粛正、いわゆる政党献金というものは、疑獄との関係では受けるべきではないという立場から、当然責任をおとりになると思いますが、いかがで、ございますか。
  70. 吉田茂

    吉田国務大臣 これはしばしば申しますが、新聞にこうあつたとか、あるいはだれがこう言つたというだけでは、政府責任はとれません。
  71. 横路節雄

    ○横路委員 新聞にこう書いてあつたからというだけで、総理大臣としては責任がとれないという点は私はうなずけます。しかし少くとも新聞社においても本人の談話として載せてあつたものについては、われわれはやはり籍を置くべきものだと思うのです。私は今佐藤幹事長の言につきまして申し上げましたが、刑事局長からなお自由党のそれぞれの責任者について本件に関するいろいろな関係をお尋ねして、さらに総理にお尋ねします。  刑事局長に二つお尋ねしますが、先ほどの山下汽船の横田社長の起訴内容をなしているリベートの額が幾らあるのか、もう一つは飯野海運の副社長であり、タンカー協会の協会長である三盃氏の起訴内容であるリベートの額は幾らであるか、この点についてもお尋ねします。
  72. 井本台吉

    ○井本政府委員 横田氏の分はここに資料がございますので申し上げますが、千三百万円と九千万円、合計一億三百万円でございます。玉盃氏の分は、四月六日に起訴になつておるのでございますが、これはまだ資料が手元に参つておりませんので、至急に取寄せて御答弁申し上げます。
  73. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると今の刑事局長のお話で、横田社長のリぺートは、商法上の特別背任罪としての起訴内容は一億三百万円、それから三盃氏の件については、これは一億二千万ないし三千万円になつておりませんか。大体のところはどうですか。
  74. 井本台吉

    ○井本政府委員 ちよつと調べて正確な数字を御答弁申し上げます。
  75. 横路節雄

    ○横路委員 次に私は石井運輸大臣にお尋ねしたいのですが、昭和三十七年の五月一日のいわゆる第八次のタンカーをきめる場合には、全額自己資金ということできめたのであります。そうして四隻の割当のうち公募をいたしまして三隻をきめたのであります。三隻は飯野海運、それから三菱海運、日東海運であつたかと思いますが、三隻をきめて、残りの一隻を残したまま二十七年秋の選挙を終えたのであります。二十七年秋の選挙を終えて二十七年の十月十日の閣議で――石井さんは当時運輸大臣でなしに池田さんが大蔵大臣であり、村上さんが運輸大臣であつた。その十月十日の閣議でどういう理由か二十七年の五月一日には全額自己資金ときめておいたのに選挙が終つたとたんにこれに対してはまず一隻残つた分に対して四隻割当をしておる。そうして七隻とも全部二割のいわゆる開銀の肩がわりをしている。肩がわりをしているについてはあなたも御承知のように、市中銀行は全部年一割一分三厘の三年間の短期である。開銀に肩がわりをすると年七分五厘の三年すえ置きの十年払い、十三年払いになる。こういうことをおやりになつているのですが、どうしてそういうようなことをおやりになつたのか。その間のいきさつについては運輸大臣御承知だと思うのであります。なぜ私がこれをお聞きするかと申しますと、今日今議運で問題になつておる關谷、岡田両君のいわゆる議長に対する逮捕許諾の請求の内容は、この飯野海運が中心となりましたタンカー協会が全額自己資金であつたものを開銀に肩がわりをしてくれというその依頼を受けての金を二十万ないし三十万利子補給とからんで受けたということが理由になつておるのです。どうしてこういうことを二十七年の十月十日の閣議でおやりになつたのであるか。これは当時の村上運輸大臣にも疑惑があるし、池田大蔵大臣にも疑惑を持つのでありまして、この点はぜひこの機会に明らかにしてもらいたいと思うのであります。
  76. 石井光次郎

    石井国務大臣 私、ただいまお話のような筋合いだけしか承知いたしておりません。ちようど運輸局長が来ておりますから、その方から詳しく申し上げさせます。
  77. 倉石忠雄

    倉石委員長 御答弁は簡潔に願います。
  78. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 第八次のタンカー建造でございますが、大分間違つた臆測並びに誤解があるようでございますから、少し詳細に答弁させていただきます。  第八次のタンカーは当初四隻つくる計画でございました。これは全部市中銀行でございます。従つてタンカーの建造船主を決定いたしますのは市中銀行に主としてきめてもらう。こういうことで市中銀行にお願いしたわけであります。ところが市中銀行の方で四隻に対して九社の申込みがあつた。そのうち三社は完全に意見が一致した。あとの一社はどうしても意見が一致しないというので当初三隻、これは二十七年五月だつたと思いますが決定された。あとの一隻は時間がたつてきめようということになつた。そのうち国会が解散になつた。市中銀行は選挙の前にこれをきめることはいろいろの誤解を招くおそれがある。選挙が済んでしてもらいたいという要望があつた。そこで私どもは選挙が済むのを待つてつた。ところが選挙が済みまして、私ども事務当局としては、その一隻をきめるのに選挙の後に内閣改造があつて大臣が新たになるといろいろまた時間がかかる。従つて村上大臣の在任中にきめていただきたいということを申し上げた。同時に市中銀行にその申入れをしたわけであります。ところがその一隻に対しまして市中銀行としては、六社のうち四社につきましては甲乙がきめがたいということだつた。一方において二十七年度におきましては外資で四隻をつくるというのが……。   〔「簡単に」と呼び、その他発言する者あり〕
  79. 倉石忠雄

    倉石委員長 静粛に願います。
  80. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 外資導入によるタンカー建造は一隻だけしかきめられなかつた。あとの三隻の見通しがつかない。こういういきさつもありまして、もし市中銀行が承諾をするならば、ぜひ一隻のところを四隻に増してもらいたいということを希望したわけです。ところが市中銀行でつくります場合におきましても、当初市中銀行の金を幾ら使うかという計画を立てまして、日本銀行並びに市中銀行の了解を得ております。従つて一隻を四隻にふやします場合は、市中銀行の負担が非常にふえる、こういう反対があつた。そこで私は市中銀行に話をして、そのふえる分については政府部内で話合いをしまして、財政資金から出すように骨折りましよう、こういう話をして村上大臣に報告し、村上大臣はこれを閣議で諮つて決定された。いきさつはこの遜りでございます。
  81. 横路節雄

    ○横路委員 刑事局長にお尋ねいたしますが、これは三月二十七日の法務委員会でも問題になつておるのですが、自由党の政調会長の池田氏に対して、日立造船は艦艇の発注をお願いしたいというので、参議院の西郷氏に池田さんにぜひ五百万円渡してくれと言つて渡された。これは日立造船の金子東京支社長が某所である者を立会いにして渡した。そこまでははつきりしておる。その点、そういう事実があつたかどうか明らかにしてもらいたい。  もう一つは、先ほどあなたがお話になつた山下汽船の横田社長の一億三言万円のリベートの中に、これも池田勇人氏に対して、いわゆる計画造船の割当の謝礼というか、見返資金の謝礼というか、二百万円を関東電気工事株式会社の所専務に対して池田さんに渡してくれと言つて渡した。ところがその関係者に聞いてみると、池田さんの秘書に百万円まで行つたが、あとの百万円は返したとか、池田さんは全部返したとか、まちまちなのですが、私のお尋ねしたいのは、この横田社長から池田さんに渡してくれと言つて関東電気工事株式会社の所専務に二百万円を渡したというところまでは事実なのかどうか。この点あなたの方で一取調べなさつたのですから、その点だけをはつきりさせていただきたいと思います。
  82. 井本台吉

    ○井本政府委員 池田勇人氏の関係かどうかわかりませんが、要するに西郷吉之助氏の関係は何回か在宅で取調べをいたしまして、西郷隆秀氏も二十日ほどかかつて調べました。それから所敬之氏の関係相当期間とめて調べたのでございます。これらの関係はいずれも目下捜査中でありまして、なお引続き捜査を継続しております。ただいま私から、新聞紙の、伝うるところがはたして真実であつたかどうかということを申し上げる段階でもございませんし、いましばらく捜査の結果をお待ちを願つてそのうちに御発表申し上げる機会もあるかと考えておりますが、ただいまでは御発表申し上げる段階ではないということを申し上げる次第でございます。
  83. 横路節雄

    ○横路委員 刑事局長にお尋ねしますが、昨年の四月の選挙において、だれ天としてそれぞれの海運会社、それぞれの造船所からいわゆる献金を受けたと届出をしている人はございません。従つてこの点につきましては、これから将来にわたつて利子補給法との関係等において、昨年の選挙にこれが政治資金として渡されたのである、選挙資金として、陣中見舞として渡されたのであるから、これは何ら関係がないのだと言われている向きもありますが、昨年の四月選挙にはだれ一人、いわゆる造船関係、海運関係かち金を選挙資金としていただいたとして届けている方がないのであります。この点は私ははなはだどうもおかしいと思うのですが、金が渡つたという事実が明らかになれば、これは公職選挙法違反並びに政治資金規正法違反としてあなたの方は起訴をなさるのかどうか。だれ一人として届けてありませんから、その点お尋ねをしておきます。
  84. 井本台吉

    ○井本政府委員 選挙の際に金が寄付されておるということで、それが公職選挙法なりあるいは政治資金規正法なりに当れば、それは一応犯罪容疑が生ずるのでございますが、私その具体的なこまかいデータを存じておりませんので、仮定の御質問にはただいまお答えしかねる次第でございます。なお先ほどの三盃氏のリベート関係の起訴の金額は一億八百万円でございます。
  85. 横路節雄

    ○横路委員 私は時間もありませんから総理大臣にお尋ねをいたします。実は第三次吉田内閣の通産大臣でありました播磨造船所の取締役会長である横尾龍氏が造船汚職にからんで逮捕されておるのであります。横尾氏が通産大臣時代に播摩造船所で注文を受けましたものは、六次並びに六次の追加、七次で総額四十三億六千五百万円、大臣就任前の五次では大野さんの方の新日本海迎やタンカー協会等の関係で十九億三千二百九十万円、辞任の七次以降で主として油送船の注文を受けた百十九億円、合計百八十一億九千七百九十万円の注文を受けて、相当額のリベートを受取つた容疑で逮捕されているのであります。これは第三次吉田内閣のときの閣僚でございます。それから山縣厚生大臣が取締役社長でありました新日本汽船の常務の柏尾という人も逮捕されているのであります。大野国務大臣が先般まで取締役をされておりました新日本海運の取締役会長、それから社長も、同様逮捕されているのであります。私は先ほど総理大臣から、造船汚職についての全貌が明らかにされなければ、どうしても政治的な責任について明確にできないというお話でございますが、重ねて私は総理大臣に伺います。私は政党における党の副幹事長の立場というものは非常に重要だと思うのであります。ちよう内閣において緒方総理が重要と同様に、政党においても副幹事長の立場は重要なのであります。有田二郎君の党内における副幹事長の地位、加藤武徳君の党内における副幹事長の地位、それから關谷君につきましては運輸政務次官、岡田五郎君については保安政務次官という地位にあつた。一体総理大臣はこの造船汚職がどこまで拡大されて行つたならば政治的な責任をおとりになるというのでしよう。今日、もはやすでに国民はこの造船汚職については非常な疑惑を持ち、すでに国民政府に対して信頼をしておりません。国民政府に対して信頼をしない一つ理由は、先ほど大野さんや石井さんが言つたように、いやしくも国務大臣として百万円もらつたではないかなどと言われるような疑惑について、これを釈明する機会をいわゆる自由党総裁として党議でおかけになるべきであつたにかかわらず、これを教育二法案との関係で取引の具に供して、総裁みずからがこの取下げに同意されたという、この大野国務大臣石井運輸大臣に対して釈明の機会を与えなかつたということが、より一層私は国民の疑惑の念を深めていると思うのであります。(「その通り」)この点私は当然総理大臣であると同時に自由党総裁としての責任をおとりにならなければならぬと思う。従つて国民はすでに政府を信頼しておりません。同時にいわゆる今日の議会政治にも大きな疑惑を持ち、政党政治にも疑惑を持つておるのであります。従つて議会政治責任政治であり、いわゆる議会政治政党政治であるならば、このような副幹事長が二人、次官が二人も逮捕されているような事態に至つては、私は当然吉田内閣は早急に辞職をすべきだと思うのであるが、一体その全貌が明らかにされるということは、閣僚のだれかが逮捕されなければ全貌が明らかにならないというのか。それとも党内における幹事長とか政調会長とかいう人々に造船汚職の累が及ばなければ、これが責任をおとりにならないというのか。まさか自由党の方がみんなこの造船汚職関係があるなどとは毛頭考えていないのであります。従つてその及ぶ限界の範囲というものは当然あると私は思うのでありますが、その点について一体総理大臣はどういうようにお考えになつているか、私はこの機会にやはり総理大臣として国民の前に、先般の懲罰取下げなどは最も大きな疑惑でございますから、これを明確にして政治責任を明らかにしてもらいたいと思うのであります。
  86. 吉田茂

    吉田国務大臣 自由党の幹事長、副幹事長その他が重要なる職責を持つておることは私は認めますが、しかしながら新聞にこうあつたとか、あるいは何々議員がこういうことをしたとかいううわさを聞いて、これを土台として議論をして、それによつてただちにその人々の責任をいいますか、その刑事上の責任を私は信ずるわけに行きません。従つて検察当局による捜査の結果こういう事実がある、こういう責任があるという事実が明らかになつて、これが政府責任をとるべきところまでの証拠が明らかになつた場合には、しばしば申す通り政府としては断然たる処置をいたします。あなたは単に国民の信用を失したとかなんとか言われるけれども、私はいまだこの政府国民の信用を失墜しているとは考えません。ゆえに総辞職の、こときはまつたく予想もいたしておりません。
  87. 倉石忠雄

    倉石委員長 西村榮一君。
  88. 西村榮一

    西村(榮)委員 私はただいま提案されております特別会計設置の問題に関連して吉田総理大臣にお尋ねをするのでありますが、これは三十六億円をアメリカから経済援助を受けるために特別会計を設置する、こういうことであるのであります。私はこの援助に関連して思い起しますのは、一九五一年の六月にアメリカとインドとの問に大体これに似たような協定が結ばれておるのであります。その金額は大体において一億九千万ドル、償還の期間は三十五箇年間であります。当初アメリカは、この金は返してもらわなくてもいいのだという主張をされたのでありますが、インドは少くとも独立国としてただでもらう必要はない、必ずこれはお返しします。しかし期限は三十五箇年間にしてもらいたい、七年簡すえ置いてあとは二分五億の利息を払いましようというので、独立国家の権威を保持するとともに、その支払いの方法につきましてはインドの経済が再建された後に支払うというように、なかなか巧妙になつておるのであります。私は今回設置されたわずか一千万ドルの日本の特別会計と、わずか三年前の一九五一年のインドとアメリカとの小麦借款とを相対照してみましての総理大臣の御感想を承りたいと思うのであります。
  89. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 ただいまのお話は、今度の小麦協定の問題とは関係が少し違うように思います。一般にそういう点は、たとえば対日援助資金のような問題がだんだん具体化する場合には、お話のような趣旨でけつこうかと思いますが、今度のは買い上げる品物であり、またその中の一部はグランドされる、贈与されるのでありますから、贈与として受けてさしつかえないと思います。
  90. 西村榮一

    西村(榮)委員 インドが権威を持つて、しかも一億九千万ドルという金額を借り、日本は一千万ドルの金を借りるのにかような大げさなことをしておる。これはインドの政治的力が強かつたのか、あるいはインドの外交が巧妙であつたのか、あるいはインドの国力が充実しておつたのか、私は日本とインドとを彼我対照してみてその隔差があまりにも大なるがゆえに、総理大臣の心境を承つたのであります。片々たる官僚の答弁は必要としない。(笑声)これに対する御答弁がございませんから、私はあえて再度の答弁は要求いたしません。  次にお尋ねしたいと思いますことは、現在の緊縮財政におきましては、何と申しましても国民の協力を求めなければその目的は達せられません。国民に協力を求めようとするならば、まず第一に政府が行うところの政策を明らかにし、緊縮財政から来る混乱を安定化する方策についての一応の方針を持たなければならぬ。しかるに現内閣政策においては、その方針はどこにもありません。人称して自由党経済政策の分裂症的、重症的現象であると育つておるのでありますが、タバコ、酒の値上げをしつつ物価の引下げを要求している。時間もございませんから、私はここに結論だけ申します。政府は物価の一割引下げを目的とされて、将来の国際競争に対抗しようとされたのでありますが、下つたのは現内閣の相場だけであります。(笑声)物価は依然として下つておりません。吉田さんは一体いかにして日本の中間安定諸政策を講じ、同時にそれを通じて国民の協力を求めようとされるのであるか。これに対して御答弁を願いたい。国民協力の問題について総理大臣から御答弁願いたい。
  91. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 相場の問題が出ましたので、私から一応答弁いたします。ただいま物価の問題についてお話がありましたが、物価は西村さんが統計で御承知のごとく、すでに三%以上下つておることは、もうちやんと数字が示しておるのであります。特に食料品、繊維品等が下つておることはなお明瞭であります。従いまして私どもは、本年度内を通じて物価が五分ないし一割下ることについては何らの疑いを持ちませず、またそれがために諸般の施策をやつて参る所存であります。国民の協力を求むることについては、政府といたしましても努力して、あらゆる機会に政府の意のあるところをよく徹底せしめて、国民各位の心からなる協力のもとにこの京業をやり遂げたい、かよう考えておる次第であります。
  92. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は大蔵大臣の御所見を承ることは別の機会にいたします。あなたのおつしやつた、物価が下つておるということは、きのうか、けさの新聞の論説に出ております。しかしその中に注釈がついておる。卸売物価、小売物価は漸次下つておる。しかし生産コストは下つていない。緊縮財政のねらうところは、生産コストを引下げて国際貿易に対抗できるための日本の経済を立て直すにある。卸売物価、小売物価が下つたのは、緊縮財政による金融の引締めによつて、気の毒な中小工業その他がダンピングをした結果、不自然的に下つたのであつて、いずれそのことについては、あなたの御所見を承ります。だから経済の問題はあとにしましよう。  次に吉田さんに、どうしても御答弁いただきたいと思いますことは、近時新聞においてしばしば報道され、現政界中心課題になつております保守新党の樹立についてであります。現在は何と申しましても政局の安定というものを第一義的に考えなければならぬのでありますが、吉田さんは政局安定の方策についていかなる方針をお持ちになつておるか、これはひとつ吉田さんから御答弁願いたいと思います。
  93. 吉田茂

    吉田国務大臣 これはしばしば緒方総理その他からして御答弁をいたしましたが、政局の安定は最も大事なことでありますから、志を同じゆうし、政策を同じゆうする政党ともし一致行動ができるならばけつこうなことである。自由党としてはその線に向つて進んで参るつもりでおります。
  94. 西村榮一

    西村(榮)委員 結局せんじ詰めてみると、従来自由党単独でやつて来たが、この難局については自由党単独ではやりきれないから、志を同じゆうする者の協力を求める、こういうふうに解釈していいのでありますか。
  95. 吉田茂

    吉田国務大臣 御解釈は御自由であります。(笑声)
  96. 西村榮一

    西村(榮)委員 いや私は解釈を言うておるのではない。保守新党構想の生れたゆえんのもの、あるいは保守連立の生れたゆえんのもの――これは自由党総裁として、一国の総理大臣として政局の安定を集まれるならば、これらの問題についていかなる構想を持ち、いかなる理由によつてこれが発生したか。私は総理大臣の解釈をお尋ねしておる。私の解釈を言うておるのではないのです。
  97. 吉田茂

    吉田国務大臣 そのことは先ほどお答えをいたした通りであります。
  98. 西村榮一

    西村(榮)委員 何も説明を承つていない。(「副総理から答弁したじやないか」と呼ぶ者あり)私は副総理の答弁を要求していない。  それならばさらに進めてお尋ねいたしますが、自由党中心になつて保守新党をつくる、あるいは保守連立をするということは、従来の自由党政策がここに行き詰まつて、国家内外の威信を失墜し、これ以上やれないということの一つの反面の立証ではないか、そうでなければ、従来自由党単独内閣ということをあなたが主張されておつたのでありますから、今後においてもその主張をされるのは当然なのです。しかるにもかかわらず、なぜ保守新党が生れて来たか、なぜ緒方さんがそういう構想をなさるか、なぜ保守連立構想が生れて来たか、これによつて一体何を目的とされるのか、私はこの際現政界中心課題になつておる保守新党構想並びにその目的とするところを総理大臣として明らかにされる責任があるのじやないか、こういうのでお尋ねしておるのであります。
  99. 吉田茂

    吉田国務大臣 ただいま私がお答えした通り政局安定のために志を同じゆうする政党あるいは政治家と一緒に行こう、そうして安定を求める、この極意はしばしば申した通りであります。
  100. 西村榮一

    西村(榮)委員 志を同じゆうする政治家と保守新党を結成して政局を安定して行きたいというただいまの御答弁でありました。私はそれがいいか悪いかということの批判は差控えましよう。それで志を同じゆうする者がこの政局の不安定を乗り切つて安定政権をつくるというあなたの御趣旨から申しますならば、従来吉田さんが議会をサボル、民主主義を理解しない、同時に吉田内閣の従来の政策疑獄発生の温床になつておる、すなわち総理大臣としての吉田さんにおいてもこれは不適当であり、個人吉田茂考え方においても保守新党を結成する障害になるという結論に達するならば、あなたは総辞職されて、虚心坦懐に保守新党の結成に協力されますか。
  101. 吉田茂

    吉田国務大臣 ちよつとお尋ねの趣意がわかりませんが、内閣が辞職しなければ保守新党ができないから辞職しろということでありますか。
  102. 西村榮一

    西村(榮)委員 そう別にけんか腰に私に質問しなくてもよろしい。あなたが先ほどお話なすつたように、保存新党は志を同じゆうする者を中心として国家のために安定政権をつくるのだという御答弁でありますならば、その保守新党の結成の途上において、吉田さんの存在が一つの大なる障害になるということの結論に透するならば、あなたは大乗的見地に立つて総辞職されますか、そのことをお尋ねしております。
  103. 吉田茂

    吉田国務大臣 仮定の問題については一切お答えしない。
  104. 西村榮一

    西村(榮)委員 これは仮定の問題ではない。今政局中心課題であり、しかも一面においては吉田さんの存在というものが、保存新党の結成に阻害になるということは、これは一部のあなたの側近を除いては何人も否定し得ない。そこであなたがそれによつて安定政権を求められるということであるならば、私は虚心坦懐、大政治家の矜恃を示すべきだ、こう思うのですが、あなたはそう興奮しないで、そのところを一ぺん率直に言つてください。
  105. 吉田茂

    吉田国務大臣 仮定の問題についてはお答えいたしません。
  106. 西村榮一

    西村(榮)委員 これは社会党には大きな関係がある。   〔「社会党には関係がない」と呼び、その他発言する者あり〕
  107. 倉石忠雄

    倉石委員長 静粛に願います。
  108. 西村榮一

    西村(榮)委員 社会党は何人よりも政局粛正と安定政権を望んでおるがゆえに、私はこのことを吉田さんにお尋ねしておるのです。しかしこれはあるいは緒方さんと二人並べて質問することは皮肉に聞えますから、そのことは差控えましよう。  そこで私はさらにお尋ねいたしたいのでありますが、かりに保守新党緒方さんの構想のごとくでき上つたといたしましても、自由党中心とする保守政権の過去五箇年間にわたる政策というものは、今日経済的に行き詰まつているのです。外交は行き詰まつて国際的信用は失墜いたしております。同時に最も寒心にたえないことは、従来自由党によつて行われた諸政策から現在の疑獄が発生して来ている。従つて保守新党をつくつて吉田内閣の延命か、場合によつて吉田さんが詰腹を切らされておやめになるという場合がありましても、その本質にはかわりがない。従つて真にあなたが日本政界粛正と国際信用を高め、今日の行き詰まつた内政を打開しようとするならば、保守党よりも、むしろ私は率直に申しますならば、社会党に政権をお渡しになることが……(笑声)これは笑い事ではありません、憲政の常道なりと考えるのでありますが、吉田さんはそれに対していかなるお考えであるか。私はこれをなぜ主張するかと申しますならば、以上三点において現内閣は行き詰まつておる。先ほど自由党の席から吉田さんの辞職云々、保守新党は社会党に関係がないというお話がございましたが、社会党は最もこれに関係がある。というのは私どもは一日も今日の国民経済の苦悶を見のがすわけには参りません。失墜せる国際信用をこのままにしておくことは日本の防衛、外交上の行き詰まりである。私は今日の政界の廃敗堕落をこのままほうつておきますならば、国民の信用を失墜するものはなはだしいということを痛感いたしますがゆえに、私ども内閣を担任いたしますならば、社会主義、資本主義のイデオロギーを別にいたしまして、現在の経済の苦悶と国民のこの苦しみを解決するために、私は国家の病根の解決のために立ち上らねばならぬと思うのでありまして、私は吉田さんは保守新党だとか保守連立だとか未練たらしいことをなさらずに、いさぎよく社会党に政権をお譲りになることが当然だと思うのでありますが、あなたの御感想はいかがでありますか。
  109. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをいたします。私一身の進退については御干渉はごめんこうむります。また今日社会党に政権を渡すことがいいか悪いか、これは静かに国民の判断を待ちます。
  110. 西村榮一

    西村(榮)委員 私はあなたの進退に干渉する意思は少しもありません。けれども総理大臣国会指名したのでありますから、その見地に立つて政治に携わる者は、総理大臣の進退というものは、個人的な進退じやなしに、一国の運命を左右するがゆえに、重大なる関心を持つことを申し上げた。先ほど自由党諸君にお笑いになりましたが、少数なりといえども社会党はイデオロギ、を超越して、今日の経済苦悶と国際的信用の失墜に向つて、これの権威を回復するために努力しております。こういう見地から私どもは保守新党が行き詰まるならば、社会党に向つて政権をお譲りになるのが当然だ、こう思う。その意味において私はあなたがおやめになつたならば、あなたが主宰される自由党は社会党に対して首班指名に投票される御意思はないか、これをお尋ねして、御質問を求めようと思いません。しかしながら立憲政治はそれまでおのれを捨てて虚心坦懐に行くべきであるということを申し上げます。  次に質問の要点を申し上げますと、私は保守新党ができるにせよ、保守連立ができるにせよ、現内閣において総選挙をする資格はないとこう思うのであります。吉田さんのお考えはいかがでございましよう。ということは、私は過去三回における選挙において、吉田さんの選挙スローガンというものは綱紀粛正、経済の再建並びに政局安定の三つが大きなスローガンであつたと思うのであります。憲法第七条によつて解散することの可否というものは憲法上の疑義としてあとに残りましようけれども過去二回の前例は憲法七条によつて解散され、その選挙目的は綱紀粛正、経済再建、政局安定、ところが三回その目的でもつて選挙してみたけれども、今日依然として政局は混迷している。あなた自身が保守新党保守連立によらなければ政局が安定しないということを先ほど答弁においてお述べになつた。しからば従来の選挙スローガンというものは完全にここに三回失敗している。私はそこで先ほど社会党に対して政権をお渡しになる御意思はないかどうかということをお尋ねしたのでありますが、そのことは現内閣において解散するということよりも、むしろ憲政の常道に従つて、今日少数党であろうといえどもその反対党に政権を渡して選挙をするということが、私は民主主義政治の常道であろう、こう考えるのであるが、平素筋を通せということを口やかましく言われる吉田さんの筋を通した御答弁を承りたい。
  111. 吉田茂

    吉田国務大臣 解散が御希望ならば解散をいたしてもよろしゆうございますが、しかしながら今ただちに解散をするという考えは毛頭ありません。またいろいろな政策について行詰まりと言われるが、私は行き詰まり考えておりません。行き詰まりということは、問題に対して何らの処置をする方法がないという場合に行き詰まりでありますが、内閣としては政局の問題にいたしても、疑獄の問題にいたしても、また経済問題にしても、それぞれ適当な処置をとる考えております。
  112. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は総理大臣のただいまの御答弁とも受取れません。ただ私はあなたが神経痛ですわつて答弁されておりますからきようは遠慮しているのです。しかしあなたが、先ほどの志を同じゆうする人々と保守新党をつくつて政局を安定するのだ、こういうことでありますならば、自由党諸君一つ選挙スローガンで闘われたでしようけれども、党を別にしておるものは、別な政策をもつて国民の投薬を得ている。従つて保守新党をつくるならば、私はその前に議会を解散いたしまして民意に問うて初めて新党をつくるべきであつて、この選挙における国民の総意を無視して、かつてにごぼう抜きであるとかあるいは時夜のやみ取引であるとか、あるいは全然秘密の取引において国民の意思を無視してはならぬと思う。従つて保守新党をつくる前に国会を解散して民意に問うべきである。しかしながら今自由党内閣は以上の三つの問題で行き詰つておるのだから、これは国民責任ではありません。反対党の責任ではありません。自由党責任です。従つて自由党がその政策において行き詰まつて保守新党をつくらなければならぬという窮状に立ち至つたならば、よろしく反対党に政権を渡す、その反対党は少数でありますから、議会を解散して民意に問うということは立憲的だと私は思うのですが、重ねて御答弁を承りたい。
  113. 吉田茂

    吉田国務大臣 行き詰まつたと言われるが、ただいま申しました通り、わが党は行き詰まつたとは考えておりません。従つて解散はいたしません。また政権は社会党に譲る考えは毛頭ありません。
  114. 西村榮一

    西村(榮)委員 あなたに社会党に政権を譲つていただきたいということを私は畜つておるのではない。憲政の常道に従って反対党の権威を認むべきであるということを言つておる。やがてわれわれは選挙においてあなたの政権をとるつもりでありますからそういう御心配は御無用であります。  そこで私は時間がございませんから、ほかのことをお尋ねしたいのでありますが、最後にお尋ねしておきます。あなたはアメリカヘあるいはイギリスへ行かれるというのでありますが、渡米の任務と目的というものをここにひとつ明らかにしていただきたい。
  115. 吉田茂

    吉田国務大臣 まだ決定をいたしておりませんから、従つてこの問題にはお答えいたしません。
  116. 西村榮一

    西村(榮)委員 きようの夕刊ではあなたの今の答弁と違いますよ。出発は五月十八日にしてある。御存じありませんか。
  117. 吉田茂

    吉田国務大臣 新聞についてはお答えはいたしません。責任は持ちません。
  118. 西村榮一

    西村(榮)委員 それならば私はあえてあなたに渡米の目的と任務を明らかにせよという質問をいたしません。しかし一国の総理大臣外遊されることにおいては重大なる国家的任務と目的がなければならない。従つてはつきりしないならばはつきりしないということをここに明確にされねばならぬのでありますが、そのことは時間がないからいずれ別の機会に譲ります。  ただ私はあなたにお尋ねしおてきたいことは、十二日のワシントン電報によつてこういうことが報ぜられております。アイゼンハウアー大統領から吉田首相へ招待状を手渡したことは全然ない。同時に吉田さんが五月の中旬においでになるという話であるが、そのときにはダレス国務長官はジユネーヴの会議へ行つて留守である。同時に重要なことは、吉田さんはしばしば内政を有利に導くために外遊を利用されるけれども、それは占領時代の悪いくせであるとともに、アメリカとしては日本汚職問題に米国まで引きずり込まれることは迷惑千万だとワシントン特電は報じておる。これに対して本日の新聞は、吉田さんは五月十八日出発される、こういうふうな誤解のあるところに行つて、一体あなたが今胸中に抱いておられる国家的目的というものは達せられるかどうか、この外電について、新聞のことだからこれは責任ないというお答えが多分あるだろうと思いますけれども、これに対するあなたの御心境を承りたい。
  119. 吉田茂

    吉田国務大臣 あなたの御想像の通り、外電に対して私は責任を持ちません。
  120. 西村榮一

    西村(榮)委員 私はこれを経過的に見てみますと、単にこの外電だけではありません。二、三箇月以前にこういう記事がある。吉田さんの渡米というものは、これは大して意義がないのだ、ただ総理大臣として将来保守新党が起きるならばたな上げになるのだから、これは最後のはなむけとして外遊させてあげるというような意味しかないのだということを二月十八日以後ずつと報道しておる。(「わからぬか」と呼ぶ者あり)同時にそれとは別に――今わからかというお話がありましたが、それは吉田さんのほうだけはわかる。自分は外遊するならばチャーチル、アイゼンハウアー、吉田と三者会談を行つて日英、日米の大問題を片づけるのであるという放送がちらくなされたのであります。私は吉田さんのその意気や壮といたしますけれども、これだけの国家的任務を達成しようとするならば、あなたの胸中抱いておるそれだけの抱負があるならば、私はあなたに対して敬意を表しますけれども、それをかりに実行しようといたしましても、日本の経済の問題について一体どうするのであるかという態勢を整えなければならぬ、同時に吉田内閣国民から支持されるという内政上の態勢をとらなければならぬ、同時に政局が安定して行かなければならぬ。しかるに今その反対に民心去り、政局不安是、経済はにつちもさつちも行かない状態のもとにおいて渡米されて、あなたの当初の目的、三巨頭会談によつて日本の国家的問題を解決するということは不可能ではないかと思うので、結局するところ私は一片のほら――ほらでなくとも、それを遂行するだけの何らの国内的態勢を整えてない。従つて一片のはかなき七十五歳の老人の夢なりといわざるを得ない。私はかよう考えて参りますならば、私は吉田さんの個人の名誉のために渡米さるというようなことは、はなはだもつて迷惑千万だと思うのであります。この際渡米の目的がなければない、はつきりおつしやつて、しかも外国の誤解を解いて、行くならば行くように、こういう目的とこういう任務をもつて外遊して、国家の問題を片づけるのだということをここにはつきり明らかにされて、それを国民支持するか、支持しないか、国民的背景をもつて重要なる国家的問題の解決のために外遊されるのが当然であつて、その意図とその目-的がなければ、私は、巷間伝えるような、行くのだか行かないのだかわけがわからぬようなことは、この際はつきり打消される方がいいと思うのです。が、いかがでしようか。
  121. 吉田茂

    吉田国務大臣 私の外遊はまだ決定しておりませんから、いずれ決定したら、御希望の通りはつきりいたします。
  122. 西村榮一

    西村(榮)委員 それでは最後にお尋ねいたしますが、先ほど総理大臣は横路君の質問に対して、疑獄は法律的に黒白が明らかになつたときに処理すると言明されたのでありますが、しからば法律的に黒白が明らかになる時期は一体いつごろでございましようか、法務大臣とあなたは打合せをされましたかどうか、その点を承りたい。
  123. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをいたしますが、私は事件の全貌が明らかになつた場合において、適当な処置をすると申したのでありまして、法律的ということを申したことはありません。また法務大臣とこの問題について打合せたことはありません。
  124. 西村榮一

    西村(榮)委員 私が一国の総理大臣に向つてこういうことを申し上げるのは僣越でありますが、私は、政治というものは数学や法律の解釈で割切れるものではない、こう思つておる。政治というものはやつぱり民心の協力です。民心の協力を得ようとすると、政治みずからが道義を高め、同時に責任の所在を明らかにせねばならぬのでありますが、今私は新聞を見まして、はなはだ悲痛の感じを抱いたのであります。石川島の宮島という重役が首をつつて死んでおります。これでこの汚職事件で自殺した人が二人出ておる。私は悲痛の思いでこれを見ざるを得ないのですが、これらの原因が現内閣の諸政策から発生したということであるならば、吉田さんはこれらの問題について、民主主義の原理である責任の所在と道義の所在というものを一体いかに確立されるのであるか、この点をお尋ねいたしたい。
  125. 吉田茂

    吉田国務大臣 汚職問題の全貌が明らかにならない間に、政府としては軽々しく処置はとりたくありません。
  126. 西村榮一

    西村(榮)委員 それならば、私はあなたの、岳父の御関係になつておる事件に一例をとつてお尋ねいたしたい。シーメンス事件は、牧野さんが外務大臣で、山本権兵衛氏が総理大臣でありました。その当時疑獄に連座した者は課長、局長だけでありまして、次官並びに大臣は連座いたしません。けれどもそのときの山本内閣全体は疑獄の疑惑に包まれた。そこでこれに対しまして時の元老、重臣は、すでに民心をつなぎ得ずとして、山本内閣に向つて辞職を勧告いたしまして、山本内閣はすみやかに辞職をいたしました。現内閣において今あなたに辞職を勧告する人がない。私は吉田さんと造船疑獄とは妙な因縁があるとつくづく感心しておるのであります。しかしながら私のお尋ねしたい要点は、われわれは終戦とともに旧憲法は非民主主義なりとしてこれを排除いたしまして、道義と責任の基礎に立つて今の民主主義憲法を制定したのであります。非民主主義なりとして排撃した旧憲法下においてでさえも、それだけの道義を明らかにした。しかるに厚顔無恥、これだけの疑惑に包まれつつもなおかつ、ほおかぶりでそのいすに安座して行こうということが吉田さんの心境であるといたしますならば、世人は責任の所在を明らかにした旧憲法の方が、よほどましで疑うということを考えようになる。そうなれば、私は現在の民主主義政治の大きな危機である、こう考えるのでありますが、吉田さんのこれに対する御心境は一体いかがですか。
  127. 吉田茂

    吉田国務大臣 しばしば申す通り事件の全貌が明らかになった場合に、政府としては適当な処置をとる、ほおかぶりで行くとは申しておりません。
  128. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は、ただいま理事から御忠告がございましたから、これで失礼いたします。しかしながら私が先ほど申し上げましたことは、保守新党をつくるよりも、そういう小手先のことをするよりも、むしろ憲政の常道に従つて進退を決していただきたいということを重ねて申し上げまして、私の質問を終ります。
  129. 倉石忠雄

    倉石委員長 本日はこの程度にいたしまして、次会は明十四日午前十一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会