○館
委員 この際私はあとの質問にも関連しまして動議を提出しておきたい。この
被害漁夫の
国会喚問——もちろん二人の重傷で動けないのはありますけれ
ども、
被害漁夫の
国会喚問をしていただきたいということと、通知をした実際の各省のその職務にいた人、これも現実の執行者を
国会喚問をしていただきたいということ、もう
一つは東大の都築博士と科学
研究所の専門家をここへ喚問をして、このビキニの問題について徹底的な吟味をしたいと思いますので、これを動議として提出いたしますから、あとで御詮議をお願いしたいと思うのであります。
いろいろの質問もありますけれ
ども、各省の方がそろ
つておられませんから、非常に残念ですが次の質問に移ります。
日本の専門学者は、問題の灰は初めての経験で
処置する
方法がわからない。放射物質の内容がわからなければ
治療対策が立たないと言
つていることは、きようの読売
新聞に書かれている
通りであります。しかもその話をしている人は都築博士でしたが、この放射物質の内容がいかなるものであるかということを私
たちは知りたが
つているのに、
政府がちつともこれに協力しないと書いているのであります。
政府は
アメリカ政府にこれを明らかにすることを要求しなければならぬと私は
考えますが、もし
アメリカ政府がこれを拒否する場合があつたら、これをどうするかということも、また私はお尋ねしたいのであります。しかしこれも、
総理がいない、
外務大臣がいないので記録にだけ残しておいていただきます。
次に被災船の第五福竜丸の船長は船の位置を、いわゆる禁止区域の東方四十マイルと明言したはずであります。しかるにその後清水海上保安部からの海上保安庁への報告によりますと、報告は禁止区域の東北東わずか十四マイルしか離れていなかつたと書かれているようでありますが、これはどれが正しいのか、明らかにする義務があろうと
考えるのです。私はどうもこのごろ
国民としては、この船の位置について四十マイルであつたり、十四マイルであつたり、ときどき変更になるということについて非常に疑惑を持つ、何か占領当時のごとく、
アメリカの圧力が入
つて来るというような不信の念を抱いておると私は
考えております。
もう
一つ、一昨日、
アメリカのアリソン大使が、
治療と消毒に全力を尽すということを外務省に申し入れられたと
新聞に書いてありますして、これは一面当然のことと
考えられるのでありますが、裏を返せば
日本国民に野蕃な
被害を加えておいて、その上
原爆の
秘密を知らない
日本の学界を協力させ、自国の
秘密を保ちながら、自国の研研調査活動をする結果になるのではないか。広島と長崎の
犠牲者たちの場合にも、彼らはこれによ
つて十分なるいい
研究をしてお
つたのである。こういうことも聞き捨てならないことでありますが、
アメリカ側がもしそういうことの結果、被災者をまた
アメリカへ連れて行
つて、
アメリカで
研究するというようなことも言い出しかねないのではないかと私は
考える。この点現在の
日本政府は、
アメリカ側から見れば去勢された
政府のように私は
考えざるを得ない。
国民はそういうたよりない
政府だという
考え方から、いろいろの点に疑惑を持
つておるのであります。向うの方では、原住民も災害にあ
つているということが
新聞に出ております。
日本の科学者は、
アメリカ側の協力を決して拒むものではありませんけれ
ども、
治療や調査の主体は、やはり
日本側でなければならぬと決意を固めているようである。これはきようの読売
新聞を見ればわかる
通りであります。この爆発
事件が
アメリカの誤りであつたとしても、下手な言い方をするようですが、片手落ちの
アメリカの今度の
治療と消毒の表明に対して、
政府にはたして
日本国民を守り
日本科学の威信と利益を守る用意があるかということを、資料があつたら私は聞きたかつた。
アメリカは今度の問題を利用していわゆる危険海域を現在の数倍に拡大するかもしれないと私は
考える。また同じ箇所を今後も利用し続けるとすれば実にたいへんなことであります。そのときのあらしの関係、あるいは自然現象がこれに加わると、原子灰の影響範囲は広範囲なものになり、
日本の地理的位置からしてもわれわれの不安はますく大きくならざるを得いのであります。
政府は
わが国水産と平和な同民生活への脅威に対して、どのような対策を持
つておるのかお聞きしたがつた。これは
日本だけの問題ではなく、世界人類の運命に関する問題であろうと思う。
最初の
原爆被害者である
わが国は、率先して
原爆の試験の中止を
アメリカに向
つて要求すべきじやないかと私は思う。
アメリカに向
つて要求すべきが、最初に
原爆を受けた
日本国民の立場として当然であろうと思う。広島の
原爆記念碑の表には、安らかにお休みください、あやまちは再びいたしませんと書いてあるということを私は聞いております。少くとも
原爆の
実験はこれ以上やらないように、自信を持
つてアメリカに向
つて言うべきであろうと思う。ことに今度の爆発は試験的なものであ
つて、ほんとうの爆発は、四月か五月に
飛行機の上からやるということである。今よりももつと規模の大きな強力なものをも
つてやるということであるが、この際
政府は勇気を振
つて、この試験の中止を要求するのが妥当であろう、やるべきことであると私は
考えます。ソビエト同盟は終始一貫して原子
兵器の禁止を主張し、提議し続けておりますが、
アメリカ政府はいわゆるニュールックとかい
つて、原子
兵器の拡大をもつばらはか
つているようである。原子
兵器の禁止こそは、
日本国民いな世界の人民の要求であると思うが、
政府はどう思
つておるのか。
来る四月のジュネーヴの四
国会議、これには中国も呼ばれたそうでありますが、こういう
意味において、この四
国会議についても
日本政府として、
首相として注目を
払つておられるだろうと思うが、これはどう
考えておられるかということも
首相に聞きたか
つたのである。
先日読売
新聞にも掲載されましたが、こういうこともあるのでございます。旭化成株式会社の延岡工場で、重水をつく
つておるということである、これは原子力における原子核の分裂の速度を緩和する必要材料である、
昭和電工の川崎工場初め、水電解によ
つてこの重水をつくり得る工場は、十指に及ぶと私は聞いておる、この十工場でやれば、年産一トンできるということである、そうしてこの重水は純度一〇〇%の場合には、
アメリカの時価で、一グラム五千円ぐらいする、従
つて一トンで五十億円の計算になるのであるが、硫安会社がもうけになるから、どんどんこれをつくるかもしれないのである、ところで
日本の
研究機関その他では、こんな重水などは必要でないのであるから、今のやり方で重水をつくることにな
つて来ますと、当然
アメリカの需要に応ずるようになるかもしれない、なろうと私は
考えます。軍需生産者というものは、利益を追うて走る、二十七、八年の
戦争だか三十九年の
戦争だかで、お金もうけをした者が、軍需品であるカン詰に石ころを詰め込んだという話がある、そういうことになると、
アメリカの
原爆戦略に結局
日本が協力させられるのであります。
原爆の灰をかぶ
つて平時に
日本国民がむごい犠牲を受けるのである、こうした重水製造に対して、
政府は注目を
払つておるのか、どうお
考えにな
つておるか、これは通産
大臣がいますから、御返事を願いたいと思います。