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1954-03-19 第19回国会 衆議院 予算委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十九日(金曜日)     午後二時二十一分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 西村 久之君 理事 森 幸太郎君    理事 川崎 秀二君 理事 佐藤觀次郎君    理事 今澄  勇君       岡田 五郎君    尾崎 末吉君       尾関 義一君    小林 絹治君       迫水 久常君    高橋圓三郎君       富田 健治君    中村  清君       灘尾 弘吉君    葉梨新五郎君       原 健三郎君    福田 赳夫君       船越  弘君    本間 俊一君       八木 一郎君    山崎  巖君       山本 勝市君    小山倉之助君       中村三之丞君    足鹿  覺君       伊藤 好道君    瀧井 義高君       松原喜之次君    山花 秀雄君       横路 節雄君    稲富 稜人君       川島 金次君    河野  密君       佐竹 晴記君    堤 ツルヨ君       西村 榮一君    館  俊三君       河野 一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         通商産業大臣  愛知 揆一君         運 輸 大 臣 石井光次郎君         労 働 大 臣 小坂善太郎君         国 務 大 臣 木村篤太郎君  出席政府委員         保安庁長官官房         長       上村健太郎君         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君         外務政務次官  小滝  彬君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         文部政務次官  福井  勇君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十八年度一般会計予算補正(第3号)  昭和二十九年度特別会計予算補正(特第一号)     —————————————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長代理 これより会議を開きます。  昭和二十八年度一般会計予算補正(第3号)及び昭和二十九年度特別会計予算補正(特第1号)の両案を一括議題といたします。質疑を継続いたします。佐藤觀次郎君。
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 外務大臣にお尋ねいたします。  昨日アメリカ上下両院原子力委員会コール委員長が、原爆ないし水爆によつて被害を受けた日本漁夫専門的医療援助を与え得るものと確信すると述べられた後、日本人漁夫故意あるいは偶然に同海域にいたのかどうかはわからないが、両方ともあり得ることである、漁夫たち実験スパイしていたということもあり得ることだが、これも原子力委員会が間違いなしに明白にしようとする事柄の一つであると述べたということを、ワシントン電報が言つておりますが、こういうように犠牲者漁夫に対しましてスパイ呼ばわりをするというのはおかしいじやないかと思いますが、外相はどんな考えを持つておりますか、まずお尋ねしたいと思います。
  4. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 その報道は長い話のごく一部をとつたようでありまして、はつきりしたことはわかりませんが、その後引続いて来ました報道を総合して見ますと、趣旨は、日本漁船がその区域の中か外かは別として、その近所にいたということを知らないでいた、そんな状況では、スパイを行うような潜水艦等が同様の位置にいてもわからないじやないか、この点はどういう警戒の措置がとられるのだというような趣旨のように判断されるのであります。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 外務大臣の御回答でありますから、それは了承するといたしまして、この原爆につきましては、将来われわれといたしまして、どうしても秘密を知つておく必要があると思うのであります。少くともこの二十三人の患者の治療につきましては、日本医者が自主的にやるべきじやないか。せめて日本原爆医学を確立して、もつて将来の惨禍を防止し、その万全策を立てるべきでないかと考えます。少くとも三度原爆洗礼を受けて、今度の不幸の究明についてアメリカから協力があるという話はございますけれども、しかしこの恐るべき原爆研究につきましては、全力を尽して日本医者指導権を握つて、世界に貢献するようにしたいと私は考えておりますが、外相の決意を伺いたいと思います。
  6. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 この点は厚生省で主として考えておられることだと思いますが、日本医者が十分なる研究をしてこういうものに対処し得るようになることは当然でありますが、現在ただいま被害を受けておる人たち治療につきましては、もし日本医者研究が至らない部分がありとしますれば、アメリカ医者なり外国医者の助けを借りることは、これは必要だと考えます。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 原子爆弾洗礼を受けたのは日本だけでありまして、日本医学もそういう方面に自主的に働くようにぜひひとつ指導していただきたいと思うのであります。  今度のMSA協定につきまして、軍事顧問団の問題がいろいろわれわれに不安の念を与えているわけでございます。そこで、こういう問題についてはたびたび議論がありましたが、どうも多きに過ぎるのではないかというような考えを持つわけであります。それからもう一つは、一体アメリカ軍隊はいつ撤退するのであるかという問題と、もう一つは、現在、東京などにも接収家屋やその他いろいろな施設がまだ残つておりますが、すでに戦争が終りましてから九年もたつておりますが、こういう問題はいつ解決されるか、これを最後にもう一点外務大臣にお尋ねいたしたいと思うのであります。
  8. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 顧問団の数につきましては、私どももしろうとでありまして、はつきりしたことは自分意見としては言いがたいのでありますが、しろうとして見ますると、どうも多少多いのではないかという気がいたすのであります。   〔小峯委員長代理退席委員長着席〕 そこで、今あげられております数につきましても、大分減らしてあそこまで行つたのでありますけれども、おもに飛行機操縦については、新しい飛行機であつて、その操縦というのは、いわゆるパイロットするという意味よりも、むしろ、レーダー連絡であるとか、その他いろいろな新しい機械い方、及び地上との連絡等については、戦争戦争後非常に進歩したようでありまして、今後しばらくの間は、相当程度の人にこの使用法等の教えを受けることも相当必要であるというふうに了解しております。保安庁側でも、専門的にいろいろ見まして、大体この程度は必要であろうということできめたのでありますが、さらに一応のそういう使用方法等がわかれば、その分の人はいらなくなるわけでありますから、年度末までにはこれを半減するということは大体見通しがついておるようでありますし、またできれば本年中にも、それに近い、半分に近い数字まで落して行けるのではないか。これはやつてみなければわかりませんが、そういう予想をいたしております。できるだけ少くするように努力をするつもりであります。  それから撤収の問題でございますが、これもおそくなつて非常に私どもも恐縮に考えておりますが、実は、都内から都外に移すときにも、場所については地元においていろいろ注文がありましてなかなか決定いたさなかつた。また、決定しましてからも、経費の節約等によりまして規格等が大分かわつたりいたしまして、非常におそくなつておりますので、現在まだこういう状況になつておりますが、この大部分のものは、本年中といいますか、この秋までにはかわりの建物ができますので、都内のものは明けるということになろうかと思つております。但し、まだそれでも一、二のものは残る可能性がありますので、できるだけ急いで代替建物をつくつて都内は明けてしまいたい、こういう方針でございます。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ひとつ、できるだけ早く処置を願うようにお願いしたいと思います。  次に保安庁長官にお尋ねしたいと思いますが、特に防衛機密法につきましてお伺いいたします。  今度のビキニ島の事件は、わが国国民にいろいろの示唆を与えましたが、少くとも広島、長崎の原爆よりも五百倍ないし六百倍以上の水爆アメリカにあるという事実をこの実験が教えました。かかる恐ろしい兵器アメリカにもソ連にもあるということは、日本国民に非常に戦慄を覚えさせております。日本の国は、これが三つも落ちれば全部なくなるのではないか、こういう考えが出て参ります。われわれは、まずこの水爆あるいは原爆の基地を日本の国に持つて来てもらいたくないということが第一点でございます。それと同時にかかる不安なときに、政府MSA援助のために防衛秘密法案というものを近く出しまして、アメリカ兵器ばかりでなく、日本兵器につきましてもこの法律を適用しようとしておるということを承つておるわけでございます。かつて軍機保護法というものがいかに民衆を苦しめたかということは、私たちは経験をしております。しかも木村保安庁長官は、昔は法曽団の先達として民間人として活躍された人でございます。ところが、いろいろ議論があつたようでございますけれども、今度こういうようなやり方を平気でおやりになる意思があるかどうかということを、まずお伺いしたいと思うのであります。
  10. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。お説の通り、旧軍機保護法は非常に言論あるいは出版、これらについて圧迫した事実は、御承知通り当時在野法曽の一員として、私もその苦汁をなめておる一人であります。そこで今般の秘密保護法成案いたすにつきましても、従来のような弊害はまつたく除去いたしたい、こう考えております。そこでどういうことを目標にしてやろかと申しますと、MSA協定に基きまして、日本アメリカから援助を受けまする武器または情報、そういうものを限定いたしまして、まつたくしぼれるだけしぼつて対象といたしておる次第であります。言論あるいは出版の抑圧はもちろんのこと、それらに何ら不便を感ぜしめることのないように注意払つて作成いたしております。近く成案を得まして国会に提出して御審議を願うという段階でございます。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 日本の敗戦はいろいろな悲劇を与えましたけれども、幸いにして平和憲法を得て国民は今日ようやく自由を認められました。しかるにこの秘密法案は、憲法第二十一条に「集会、結社及び言論出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信秘密は、これを侵してはならない。」こういうふうに国民の自由が保障されておるわけでありますが、少くともこういう点について確たる証拠をお示しいただかなければ、私たちはこの恐ろしい法律に対してゆつくりとものを考えることができないわけでございます。一体木村保安庁長官はそういう点についてどういうお考えを持つておりますか、もう一点お伺いしたいと思うのであります。
  12. 木村篤太郎

    木村国務大臣 曲説通りであります。ただいまそれらの規定に抵触しないことに注意払つてつております。一両日のうちに成案を得て御審議を願いたいと考えております。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 予算委員会が大体今週で終りますので、法案が出てからここでは質問ができませんから、その点あらかじめ御承知願つて、大体の腹案があるわけでありますから、御回答願いたいと思うのであります。大臣はいろいろの答弁の中で、自衛隊軍隊でないという意見を唱えておるわけでございます。ところが軍隊でなければ軍機保護法みたいなものはいらぬじやないかという意見が出るわけでございます。アメリカから委譲された兵器はジェット機だとかあるいは原爆というような優秀なものを借りるのではなくて、中古の、間に合わぬような兵器ばかりを借りておる。日本自衛隊兵器につきましてそれ以上そう何も秘密にする必要はないじやないかというような考えを私は持つておるのであります。そこで機密漏泄罪というのは一体どういうことなのか、その他探知とか収集というようなことがありますが、これは一方的に独断できめることでございます。戦争の前に私は中公の編集長をやつておりましたが、検閲制度というものがありまして、一課長のために百万の新聞発売禁止を食つたり、権威ある雑誌が内務省の一官僚のために発売禁止なつた例がたくさんあるわけでございます。こういう点において、木村保安庁長官自分ではそういうことはないと言われますけれども、どういう保障があるか。このごろ新聞も盛んにそういう論拠をついておりますが、結局時代に逆行させて国民を盲にするじやないか、これが将来日本をかつて軍国主義時代のような恐ろしい結果に導くじやないかということを私は非常におそれておるわけでございます。この法律ができますと、結局狂人に刃物を持たせるような結果になりまして、言論の弾圧が盛んになりまして、東条軍閥時代のような時代が再現をするのではないかというような相愛を私は持つておりますが、そういう心配はないものでございますか、お伺いしたいと思います。
  14. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。その秘密にしなければならぬ対象物に  つきましては、みなこれを明らかに標識をつけます。そうしてこれは秘密なものだということを十分にわかるようにしておきますから、普通のものをただちにわれわれが秘密のものだというような認定はしないわけであります。さような御心配はいりません。ことに漏洩罪というのは・そういうものを故意に漏洩して日本の安寧を妨害しようという目的でやつた者を主としてやるのでありますから、普通の人には断じて迷惑をかけるようなことはないわけであ−ります。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大臣はそういう答弁でいいけれども、これを実際行うのは、大臣がやるわけじやなく、末端の官吏がやるわけであります。しかし新聞とか雑誌とかいうようなものや一般の写真というようなものは、これを取締るのに非常にむずかしいことがあるわけであります。そのために戦争前にもいろいろな犠牲者が出まして、これがために国民が非常に迷惑したということは、これは木村さんはかつて法曽界におられた人でございますから、十分に御存じだろうと思うのであります。そこでわれわれがこの法律を制定する前に、日米行政協定があるのだから、今のアメリカ兵器くらいなら、何もこんな法律をつくらなくてもいいのじやないか、こういうように私は考ておるわけでございますが、しかしこれが実施になりまして、あるいは将来特高警察をつくつたり、あるいは尾行をつけたりなどするような、そういう時代に追いやられるじやないか私たちは現在の逆調時代考えまして、だんだん国民の自由をこういうようなことで押えつけるのじやないかということを心配しておるわけでございますが、そういう点がないのか、こういうことについてはつきりした御答弁を承りたいと思います。
  16. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただ大砲とかそんなものとは違いまして、通信機とかレーダー、そういうようなものでごく秘密に取扱わなければならぬものがあります。そういうものが主として対象に入るわけでございまして、しかも今申し上げましたように、対象にすべきものにはこれは秘密だということを明らかにいたしますから、今御懸念のような点は毛頭ないはずであります。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 近く成案が出ますから、私たちはその問題についてもつとつつ込んだ意見を申し上げたいと思いますが、法案が二、三日中に出るというお話でありますから、それまでにいたしまして、今度防衛庁の二法案について木村保安庁長官にお尋ねしたいと思うのです。  自衛力の漸増といいましても、あるいは再軍備をするということになりますと、結局それが自衛のためでありましようとも、侵略のためであつても、統帥権というものが問題になると思うのです。そこで政府はたびたび声明しておりますが、日本防衛隊指揮権総理大臣にあるということになつております。そうすると、総理大臣というのは現在文民の代表をなつておるし、同時に今度は武力代表者ともなりまして、いわゆる征夷大将軍のような地位になると考えられます。これは首相の権限があまり拡大し過ぎはしないかいう疑惑が起りますが、この点はどういうようにお考えになつておるか、これが第一点であります。  それからもう一点は、実際は総理大臣統帥権を持つておるけれども総理大臣がしよつちゆう兵隊を指揮しておるわけではありません。そこで兵隊をふだん訓練しておる制服の軍人が実際は主導権を握ることになつて来ます。しかし日本では御承知のように、現在実際の統帥権というものを持つていないので、結局はアメリカ指揮者の言うことを聞くのではないか、われわれはそういう点で今の防衛隊アメリカの傭兵の制度であるということで反対しておるわけであります。こういう点については、はつきりとした、国民に納得のできるような答弁をひとつ木村長官からお伺いしたいと思います。
  18. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。御承知通り憲法下におきましては、天皇統帥権を持つておつた。内閣国会とまた別個な幕僚機関を持つて、これでやつてつたのであります。国会内閣統帥権については何ら関与できなかつた。そこに大きな欠陥があつたのだろうと思います。それで全度の防衛庁設置法案並びに自衛隊法案によつて規定した趣旨は、さようなことであつてはいけないということで、総理大臣が全部指揮監督をする、総理大臣は御承知通り内閣の首長である。内閣国会に対して責任があります。結局国会というむのが背後にある。その総理大臣指揮監督防衛庁長官が受けて、しこうして幕僚長以下に対して防衛庁長官指揮監督する。すべて防衛計画あるいはこれらの実施、これは全部防衛庁長官のもとにやりまして、それを幕僚長に流して、幕僚長をして実施せしめる。幕僚長はいわゆる制服でありますが、制服の長は何ら単独指揮権を持つていないこに私は民主的なあり方があると考えております。しかも内局におきまして——これは制服部隊ではありません。まつたく制服と異にした内局において、部内の統一をはかるようにすべての計画をして、予算もそこでやるわけでありますから、制服部隊単独で動き得る余地は決してない。それでここで初めて私は民主的な制度ができるものと考えております。
  19. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 机上ではいろいろ都合のいい解釈ができますが、現在の実情われわれが考えまして、当分直接侵略はないといたしまして、かりに国家に大きな内乱か騒擾罪があつたとすると仮定します。その場合にこれを鎮圧するのは自衛隊がやるわけでございます。昔は戒厳令というものがしかれてやつたのでございますが、昔は天皇大権を持つておりますから、天皇大権でこれができたのであります。今度の憲法にはその規定がありません。そこでそういう場合にいかなる方法自衛隊が動くのであるか、また、自衛隊警察というものはどういう関係を持つておるのであるか、この点について私たちはいろいろ疑問が生ずるわけでございます。こういう点について緊急な処置をする場合に、一体どういうようなことでこの処置がとられるのであるか、それをはつきりお示し願いたいと思います。
  20. 木村篤太郎

    木村国務大臣 不幸にして国内で叛乱とか擾乱とかが起つた場合にこれをどうするか、これはまだ日本の内地の治安警察が担当するので、これは警察で全き処置をすべきであるのであります。但し警察力をもつてしてはとうていこれに対処することができないような場合に、初めて自衛隊がいわゆる治安出動ということをやるのであります。これは都道府県知事の要請によつて地域的にはやるわけであります。また総理大臣はかような場合にみずから出動命令を出すことができるわけであります。そして出動命令を出した場合には事後において国会承認を求める、こういう形になるわけであります。まず第一番には警察力処置をし、警察力でとうてい及ばない場合において初めて自衛隊出動する。こういう建前をとつております。
  21. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そういう認定の場合にいろいろな問題が起こると思いますし、これは仮定の上に立つておりますが、実際は木村長官の言われるようにそうりくつ通り行かぬということは想像されますので、われわれ非常に不安を持つております。この第七十六条に、外部からの武力攻撃に際して防衛に必要と認める場合は、首相国会承認を経て出動命令を出すことができるようになつております。    〔委員長退席西村(久)委員長代理着席〕 しかし緊急の場合には国会承認を得なくても、自衛隊出動することになつておりますので、そういう場合に濫用されるのではないか。かつて二、二六事件の際連隊の中隊長あたりがかつてに隊を動かしたという例もあります。それから第二に防衛規定がありませんので、やたらに出動する危険ぶあるのではないか、特に第七十六条の防衛出動が、外部からの武力攻撃ばかりでなく、外部から武力攻撃のおそれのある場合まで含んでおりますので、その範囲が無限に広げられる危険があるわけであります。この限界をどのようにきめるのであるか、たとえば満州事変のときには、林銑郎将軍越境将軍というので非常に問題になつたことがありますが、結局これはうやむやになつたわけであります。こういう場合において、日本のような国では権力が濫用されるおそれが非常にあるわけでございまして、こういう点についてのけじめをどこではつきりつけるかということについて、木村長官から、ひとつわれわれにわかるようにお示しを願いたい。
  22. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいまのお話のありましたように、防衛出動をやる場合においては、事前にまず国会承認を得る。国会承認を得ることのできないような緊急やむを得ない場合、これは主として国会の休会中でありまして、国会承認を得ることのできぬような場合、これはあり得ることでありますので、そういう場合にはまず防衛出動命令総理大臣が出して、ただもに事後において国会を召集して、その承認を求める、こういう形になります。主として国会承認のもとに防衛出動をなすべきもの、であるという建前をとつております。「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」これはもう外部から目捷の間に迫つて、緊急どうもしようがないという場合に初めて出動命令を出し得るのでありまして、任弧をしたのはその意味であります。千れとほとんど区別のないような場合をさしておるのでありまして、昔のように自衛のためと称しながら、みだりに他国と戦火を交えるというような心配のないようにということでやつておるわけであります。外部からの現実の武力攻撃に、ほとんど相当するような危険が、目捷の間に迫つておるものをさすものと御了承を願います。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最後にお尋ねしたいのであります。が、自衛隊法は、それが軍隊であるということは、いくらいろいろなことを言われましても、これは明白な事実であります。特に八十八条で、「出動を命ぜられた自衛隊は、わが国防衛するため、必要な武力を行使することができる。」ということを規定しておりますので、当然これは外国との交戦を目的とした部隊であつて、これははつきりした軍隊だと言い切ることができるわけであります。そういう点で、いろいろな口実で総理大臣も副総理木村保安庁長官も逃げておりますけれども軍隊になつておるということは世間だれもが認めておるところであります。われわれはそういう点でこれは現在の平和憲法はつきり抵触するという考えを持つておりますが、政府はこれでもなおかついつまでも憲法を改正せずにやつて行けるということを、なくしずしにずるずるこれを押し切つて行くのじやないかということを心配するわけでございます。昨日の参議院の本会議でもそういうような質問がありましたが、もし再軍備をやるという意思があるならば、一体この憲法を改しておやりになるだけの意思があるのかないのか、そこをはつきりとつ正直に、卑怯なまねをせずに、保安庁長官最後にお尋ねをしておきます。
  24. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたしますが一われわれといたしましては、憲法においては、国際紛争解決の手段としては武力の行使うはできぬ、これは当然なことであります。しかし国際紛争の解決手段じやなしの、いわゆる国家が、個人が正当防衛権を持つと同様に、自衛権を持つておるということは、これはもう国家の成立ち上当然なことであります。自衛権の裏づけである自衛力を持つのは・これまた当然のごとであろうと考えます。そこで外部からの侵略に対して、われわれは手をこまねいて、安閑としておることはできぬわけであります。これはわれわれ法上国民の幸福と生命財産を維持する上の当然の措置であると考えましてわれわれは自衛力をどの範囲において認むべきか、またこれを計画すべきかということに苦慮しておるわけでございます。そこでわれわれは直接侵略に対して対処し得るようにさしあた肥りの自衛力を持ち、自衛力漸増計画によつてわれわれはこれを守つていこうということになつている次第でございます。そのようなわけでありまして、われわれはさしあたりの問題として憲法改正に触れずに、日本外部からの侵略に対処して行きたい、こう考えておる次第であります。憲法改正問題については、これは口では容易に言えますが、なかなか実際問題としてわれわれは軽々にやれるというものじやな−い、国民の輿論がそこまで盛上り、真に再軍備をしなければならぬというときに、初めてわれわれはその問題に対処すべきものであろう、こう考える次第であります。
  25. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 木村保安庁長官は初めから同じような意見で、ただおうむ返しに言われるだけでありまして、これ以上追究しても、自分でわからないのだからやむを得ませんが、二、三点大蔵大臣に質問したいと思います。  造船問題について現在開発銀行が、御承知のように、いろいろ問題になつております。少くとも国策的な銀行の総裁を決定するのに、アメリカあたりでは、これは国会承認をすることになつておりますが、日本ではそれがなされていないというところに疑問があるわけであります。それで私は直接会つていませんけれども小林総裁という人は、かつて帝銀事件で問題を起した人で、現在二十一の会社の重役をやつておるわけであります。こういうよろな利害の錯綜する会社の重役である人が、こういうような重大な国策である開発銀行の総裁であるということについては、いろいろな疑惑が倉出ておりますが、こういう点について大蔵大臣はどんなに考えられておるのか、私は小林総裁をかえられる意思があるかどうか、大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。
  26. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 開発銀行は直後には大蔵大臣の監督に属しておりますが、しかしその業務の運営内容については大体自主的にやらすということで、国策に順応したわくはきめてありますが、その中での資金の貸し方等については、実は自主的にやらしておるのであります。それで今お話の出たような造船お職の問題が、たまたま問題になつておりますが、これは開発銀行の起した問題じやなくて、もう少しまた先の方で起つておる問題でありますので、開発銀行の業務のうちにもし疑惑を持つような点がありますれば、ももちろんわれわれは書類を徴することも、調査することもできます。どういうふうに監督することになつておるかと申しますと、大蔵大臣予算決算面に対する監督権があります。それから会計検査院が開発銀行及びその業務を委託しておる機関を検査する権限があります。さらに内閣総理大臣が役員を解任する——これは内閣総理大臣になつておりますが、解任する権限があります。それから大蔵大臣が報告を徴したり、あるいは検査をする権限がございます。さらに大蔵大臣が監督命令を出す権限がございまして、開発銀行の報告なり検査に基いて必要があるというときに、いろいろ命令を出すこともできますし、また業務上必要があれば業務命令を出し得ることに相なつております。ただいま開発銀行についていろくに聞いておりますが、開発銀行自体に起つておる問題は少いので、従つて今のところ現総裁等をかえるという考え方は持つておりません。
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 開発銀行のことについてはいろいろ疑惑がありますが、時間がありませんからこれ以上言いませんが、ただ開発銀行の融資の基準、方法にいろいろ疑問がある存であります。特にこれは世間に言われておることでありますが、開発銀行では融資基準が政治的に動かされておるのではないかという疑惑があるわけでございます。これは世間で言われておることでございますから、大蔵大臣がどんなにお考えになるか知りませんが、私たちが知つておる範囲では、開発銀行の金を借りられるのは、まずアメリカの必要とする軍事関係の部門に融資するのが第二国家官僚の望むものに融資している、こういうのが第二、第三は小林総裁のグループばかりに金を貸しておる、この三つが通り相場になつておるということを聞いておるのであります。それだから大口の融資は大体吉田首相の側近者ばかりが借りておるという意見があるのであります。これは参議院でも木村禧八郎君が大蔵大臣に対してこの問題について触れておりましたが、私たちは少くともこういうような国策的な会社が、こういうような疑惑に包まれておるという事実を考えたならば・大蔵大臣は何らかの処置をされる必要があるのではないか、かように考えておりますが、これでも大蔵大臣はそういうことは何ら心配ないということをおつしやるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  28. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 そういう風説については、この間参議院でもお話が出ましたが、開発銀行の業務について、ただいまのところ具体的なことを私は聞いていなかつたのであります。しかしさらに一応よく内容について検討してみます。御承知のごとく、あそこの業務は今佐藤さんは一・二・三の順序で言われましたが、そういうことではなく・たとえば電源開発にことし幾ら出す、造船資金は幾ら出す、鉄鋼の改良のために幾ら出す、炭鉱の、何と申しますか、縦坑開発、そういつたものに幾ら出すというふうに、ずつと実は資金を最初きめるのでありまして、今のアメリカの軍事産業云々というものは特に載つておりません。そのなんぼかのうちで残つておるところの資金の幾分かを出す、それは向うの判断にまかされております。しかしお話のようなことを最近いろいろ言われる方もありますので、一応私どもの方も、今言つた通り表その他を取寄せて検査できるのでありますから、そういう表などとつて、また必要があれば検査をし、さらに必要があればそれ以上の処置をも講じたいと考えております。
  29. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 開銀についてもいろいろ非難がありますし、私は材料も持つておりますけれども、時間がありませんから、最後に一点米価のことにつきまして、ちよつとお尋ねしたい。政府は、米価審議会の答申の中で、先日衆参両院の農林委員会で満場一致で議決になつておる凶作加算金一石当り九百三十二円を即時支払うことになつております。大体残額が約八十億ばかりでございますが、この点について支払う意思があるかどうかということが第一点。  それから、これは供出問題に非常に関係がありまして、大体二十八年度産米は一千九百万石しか供出されておりませんが、米の配給基準量の維持がなかなか困難な状態、にあつて政府の重大な責任になつて来るわけであります。そこで政府がこういうような不信行為をやりますと、昭和二十九年度の産米につきましても、供出に重大な問題があるのでありまして、将来これがために食糧の自給自足ということがますます困難になるわけでございますが、こういうような支障が現われております今日、政府はどういう対策をとられるのであるか。農民のために最後にお尋ねをいたします。
  30. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 農村対策の問題は、いずれ農林大臣から機会あるときにお話が出ようと思いますが、供出の豊凶係数に基く分につきましては、いろいろな点を考慮しまして閣議で実は五百五十何円かということに決定をいたして、その措置をとつてある次第で、あります。ただいまのところ、これ以上予算化するという考えはございません。これは佐藤さんもお聞きになつておるだろうが、実は豊凶係数に基く分が凶作者の手に渡らずして豊作の人に渡るというような点で、それこれいろいろな非難もある。  それからまた米価審議会の答申につきましては、できるだけ考慮することになつておりますけれども、そのままを実行することにはなつておりません。あれは要するに諮問機関でございますので、農林大臣の方で適当と認めるところを閣議へ出して相談する、こういうことになります。それで米価等の決定を見ておるような次第でございます。こんなことで、私どもとしては今のところこれ以上予算化する考えを持つておりません。
  31. 西村久之

    西村(久)委員長代理 この際足鹿君より関連、質問を求められておりま。ごく簡潔にお願いいたします。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 関連して。ただいまの昭和二十八年度産米価に対する凶作加算金について、大蔵大臣にお尋ねをいたしたいと思います。大蔵大臣はただいま、米価審議会は諮問機関であつて、この答申をとるかとらぬかは政府考えによる、従つて政府には追払いするということについて考慮の余地がない、こういう趣旨の御答弁でありますが、なるほど米価審議会が答申いたしましても、政府は何らこれに拘束を受けるものではありません。しかしながら、昨年の九月二十一日から三日間開かれました米価審議会において、昨年の凶作状態について当然政府は凶作加算を払うべきであるという答申が行われた。政府はこれに対して、算定方式は別途にひとつきめてもらいたい、それに基いて政府としても検討するというので、とりあえず五百円の概算払いをいたしたわけであります。その後米価審議会は数次にわたつて開かれ、特に小委員会は六回にわたつて会議を開、き、権威ある学者を加えて満場一致の算定方式を決定し、これを政府に答申をし、さらに本年の二月十六日開かれた審議会の懇談会においても、与党から御出席になつておる委員をも含めて満場一致さらに確認をして、政府にこれの追払い方を建議をいたしたことは御存じの通りであります。従つてこの趣旨は、さらに衆議院の農林常任委員会において満場一致の決議になり、政府に進言をし、さらに参議院もその決議をいたしまして、これまた米価審議会の算定方式の趣旨を実現すべきである、こういう決議を行つておるのであります。従いまして、これはただ単に米価審議会の意思のみではなくて、衆参の農林常任委員会の、与野党とも超党派できめた意思であります。ただこれを、政府の諮問機関であるからこの趣旨は必ずしも採択しなくてもよろしいという、簡単なものではないと私は思う。そういう経過をたどつた問題でありますと同時に、第一今大蔵大臣お話によりますと、実際凶作を受けた者がこの凶作加算金の恩恵にあずからないという不公平がある、こういうことを言われました。しからば農業災害補償の面はどうでありましようか。事実農民が掛金をかけてそうして五年間この制度実施されても一文ももらつておらない農民もあるではありませんか。そうして主として今度の去年の大きな災害によつて被害を受けた地帯に対しても、全然この凶作加算金が行かないというわけではありません。その証拠には、東北、北海道、九州等災害を受けた地帯からも、凶作加算金の米価審議会の答申通りの即時支払い方に対する陳情はまことに大きなものがあります。これをごらんになつても必ずしも災害を受けた地帯がこの追払いに対して反対をしておるということにはなりません。現に、佐賀県の方面からは、数百通の陳情書が、現地の農民がたどくしい筆で書いたものが来ております。佐賀県は過般の大水害によつて致命的の打撃を受けた地帯ではありませんか。といたしますと、いわゆる米価審議会の少数意見であつたといわれる地域差の問題を、そういう意見もあつたということを政府がいわゆる好餌として、そうしてこの問題を処理いたしまして、わずか五十五円の追払いでお茶を濁そうとしておられるのではないかと存ずるのであります。そういう点から考えまして、これは首尾一貫をしない。政府は算定方式ができたらその算定方式に基いて追払いをすると言つた建前上、当然これには政治的道義的責任が農民に対してあると私は思う。その点について大蔵大臣は、所管大臣ではございませんが、事実上政府がこういう態度をとつておるということは、大蔵省の意向が強く反映してこういうことになっておるとわれわれは聞いておりますが、なぜこれを出す必要がないのか、そういう点についてもつと具体的に理論的根拠を明らかにせられると同時に、当然この点については反省をいただきたい。追払い金はわずかに総額において九十一億ばかりであります。既払いの追払い五十五円が約十一億弱でありますから、残額は八十億足らずであります。これが国家財政の上に何ほどの支障があるでありましようか。現に先ほど佐藤君が申されたように、二千百万石の供出予想高に対して一千九百六十万石しか現に出ておらないではありませんか。もしこの米が出ないということになりますと、百万石程度の供出未遂ができるということになります。そうなればそれに匹敵する外米を輸入することになるではありませんか。外米を輸入するということになれば、当然それには補給金という国費を支出するではありませんか。外米に補給金を出すならば、内地の農民に対してその財源をもつてしてもお払いになるのが当然ではありませんか。これを拒否される点はどこから見てもございません。なぜこれをお出しになることができないのでございますか。あえて大蔵大臣の御所信を明らかにしていただきたいのであります。
  33. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 足鹿さんは農政通ですから、その事情についてのお話は私もよく伺つている間はわかるが、しかし私どもとしてはあれをどういうふうにして五十五円と出したかというと、あれは余裕金で出したのだが、もう食糧会計にそんな余裕金はありません。また一般予算でそういうものを出すということになると、現在の日本予算でそういう余裕はございません。従いまして今の入れなければならぬ場合はこうじやないかというお話は、また別な話になりますが、そこは私どもとしてはこれはいろいろ議論がありましよう。議論がありましようが、私どは豊凶係数というものも、その地方における分散度各種のことを考えて、五十二、三円というところへ閣議としては決定した次第でありまして、ただいまのところこれを変更する考え方は全然持つておりません。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 いま一つだめを押しておきたいと思いますが、ただいま申し上げまするように、二千百万石の供出期待高に対し、一千九百六十万石程度で供米は頭打ち状態であります。そして強権の発動を茨城県においてはすでにおやりになつているようでありますが、それをもつてしても二千百万石はとうてい供出を完遂することは困難な情勢であります。といたしまするならば、ただいま申しますように外米の輸入をもつてしなければ米による基準配給量十五日分の確保は困難になりますが、もし困難になつた場合は、あげてこれは政府の責任であり、消費者の家計に及ぼす影響はきわめて大きいと考えますが、もしさような事態が出たときには一もうすでに出ておりますが、これに対して配給基準量を削る御意思でありますか。この間の新聞を見ますと、大蔵省は一日分の米の配給基準量を削るということによつて相当国の財政負担が軽減できるという意味において、農林省と内部折衝を考えているという報道が出ておりますが、すでに内地米の配給基準量を削るがごとき重大な事態が招来をし、いま一つその昭和二十九年産米の供出に及ぼす影響、政府の不信行為に基くところの農民の憤激は頂点に達していると思います。これによつてはたして国内の食糧自給という大きな名題の達成ができるでありましようか。私はあえて八十億の追加払いが日本の財政の上から困難だとは思いません。一方においては使用未遂の防衛関係の費用がずいぶんあることは御存じの通りであります。なぜ農民のこのささいな凶作加算金の八十億が出ないか。食管特別会計でなくて、補正に当然組み入ららるべき性質のものであつを、われわれはひそかに今度の補正に期待をしておつた。これは農民の切ない気持であつたと私は思いますが、そういう配給基準量への影響、さらに昭和二十九年産米の供出そのものに及ぼす影響をあえてしても出さない、こういう御決心でありますか、その点を最後にお尋ねいたしたいと思います。
  35. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 食糧問題はきわめて関係が重大でありますから、一大蔵当局のみでここで御返事を申し上げることは差控えたいと思います。但し私はあなたのお話を伺つているのにちよつとわからないのは、五十五円でなくて、これは金さえやれば幾らでも集まるように聞こえる。それならばすぐ二千百万石集まるんだ。(足鹿委員「そういうことは違う」と呼ぶ)そういうことを言われた意味でなければ、それじや二千百万石集まらぬが、その責任をどうするんだというお話が出て来ないと思うので、そこから話が出て来るのがどうも私にはよくわからない。従つてこれについてただいま大蔵省としては予算措置をとる考えがない。この点だけをはつきり申し上げておいて、あとのことはまた食糧の直接の主管省である農林当局から御返事をする。さらに私もまた打合せをいたして国務大臣としての責任は尽します。
  36. 西村久之

    西村(久)委員長代理 川島金次君。
  37. 川島金次

    ○川島(金)委員 私は最初に総理大臣にお伺いをして、そのあとで引続き関係閣僚にお尋ねするつもりでおつたのであります。副総理は欠席であり、やむを得ませんから、それを了承して後刻出席のときにお尋ねをいたしますことを御承知置き願いたいと思います。  そこでまず大蔵大臣にお尋ねいたしますが、本日のこの委員会に配付されました資料によりますと、ことにわれわれが最も重夫な関心を持つておりまする租税の収入の現状が、きわめて関心を深めなければならない現状を見せているのであります。それは所得税において、昨年の二月末現在では源泉徴収分は実に九八・一%という超好成績をもつて収入を見せております。しかるに本年は、二月末現在で九〇八%という現状であります。ここ両三年の間、租税収入において大蔵大臣も御承知のごとく、源泉分はきわめて圧倒的好成績を示しておつたにかかわらず、俄然本二十八年度においては、昨年度の二月現在に比べて約一割も近いところの徴収不振を示しているということは、きわめて重大な事柄の一つではなかろうかと存じまするが、この成績は一体どこに原因をしているかということについて、大蔵大臣の見解をまず承つておきたい。
  38. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私はまだこまかい、原因を調べておりませんが、主としてやはり事業会社が受入れているものを納めるのが遅れていること、昨今事業会社の一部分に不振がある、そういう点等がこの源泉分が特に悪くなつている理由じやないか、こういうふうに考えているのであります。
  39. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 ちよつと補足して申し上げますが、昭和二十七年一月から減税を実施いたしましたために、一−三月の数字が減つたわけであります。従いまして、前年度に対する十二月までの割合をとります場合には、ことしの方が割合が少くなる、そういう計算上当然のりくつがあるわけでございます。昨年の一年度分は、一月から三月までを減税いたしているわけであります。ことしはそのことがございませんので、同じ一年度に対する十二月までの比較をいたします場合には、減税があるとなしとでは、減税がない場合の方の十二月までの割合より少くなる。そういう点もあづかつて力があるということを御了承いただきたいと思います。
  40. 川島金次

    ○川島(金)委員 なるほど森永さんの説明もその一つの条件であろうかと思いますが、ほんとうの原因は、やはり私は大蔵大臣の見解のごとく、事業会社の不服もしくは事業会社がその不振に基いて、脱税ではないけれども、脱税にひとしいことをやつているという事柄が大部分の原因ではないか。これは吉田内閣の経済施策のもたらすところの一つの現象が、こういうところにもすでに現われて来たということも申さなければならないと思うのであります。  御承知のごとく、先般も私は本会議の席上で討論をした際にも申し上げたのでありますが、昨今における中小企業の不振は、実に言語に絶するものがあるということは、大蔵大臣も定めしお認めのことであろうと思う。最近における東京手形交換所の不渡り手形、しかも小額の不渡り手形が、実に未曽有の多数に上つておることは、大蔵大臣承知通り。しかも最近では一日千枚、二千枚はほとんどざらになつてしまつておる。多いときには三千枚を越える不渡り手形が現出いたしておるというような実情であります。その上に繊維関係を中心として、最近東京、大阪等におけるといわゆる問屋筋の倒産、破産の数もおびただしい数字に上つて来ようとしておる。まさに中小企業にとりましては、文字通りの危機が切迫しておるという感じを深めておるのでございます。大蔵大臣はこの現状にもかかわらず、なおかつ強力なデフレ政策を行い、そのためには実に強引な金融引締政策を強行いたそうとしておりまするが、それではたいしてこの底の浅い日本経済の弱体が保たれて行くと、確固たる自信を持つて国民の前に言明できるのかどうか。その点についての大蔵大臣としての確信と見通しを重ねて尋ねておきたいと思うのであります。
  41. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 決算について見ますと、そう大した差がないのです。前年度に対して九二・五%と、ほとんど源泉所得は大差ない。わずか九二・五%と九〇・八%との差はありますが、これくらいのところでそう大きな差はない。これでただちに吉田内閣の経済政策の無能が出たとしてきめつけられるほどの問題ではないように考えます。  それから今のお話でありますが、繰返して言うようでありますが、日本の物価を引下げて国際収支の均衡をとることが、今日日本の財政経済に課せられた命題であり、この解決のためには、少々のことは忍んでもらわなければならぬ。しかしでき得るだけそのしわ寄せを中小企業者に及ぼしたくないから、そういういろいろ政策をとつておるのでありますし、また一度に国際市価に近づけることも影響が大きいと考えます。それで、この二十九年度の予算及び金融引締めその他諸般の政策は、二十七年の物価のところに持つて参る、おととしの物価のところに持つて参る。それがいわゆる五分ないし一割というのでありまして、私どもはこの政策の根本をかえようとは少しも考えておりません。多少これがために迷惑される方が出て来る、これは非常にお気の毒でありますから、できるだけそういたさないで済むように措置いたしたいと考えておりますけれども、金融については、この間川島さんお聞きになつたと思うのですが、ともかくオーバー・ローンなどが引続き増加して来ておるというような情勢は、私どもはなはだ感心していないのでありまして、金融引締めは、むしろなお一段と強化する必要があるというぐあいに考えておるので、これを緩和しようとか、一歩後退しようというような考え方は全然持つておりません。
  42. 川島金次

    ○川島(金)委員 どうもそれは大蔵大臣の言葉のあやだろうと私は思う。正直に言うと、たとえば今金融の問題が出たが、政府資金の市中銀行への御託の額を見ても、昨年の今ごろは四百億以上まだあつた。今年は幾らです。現に数十億にしかすぎないじやないですか。こういう一点を見ただけでも、今大蔵大臣の、金融引締めはそう強圧にやるのではないのだという言明ではあるけれども、実際問題はそういう事実です。そういうことからして、中小企業が非常な危険に陥れられようとしておる。これはまぎれもない事実である。現在東京、大阪、名古屋方面の商社が続々と倒れておる。これは昨年の一月に比較して、今年の一月は三倍くらいの数字になつております。それでもなおかつ中小企業に対して、大蔵大臣あるいは吉田内閣が施策の万全を期しておると、どこを押したら言えるのか、そこを聞きたいのです。
  43. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 去年は災害その他があり、かつまた中小企業者に対する諸般の政策が整つていなかつたから、そこで預託金を最高のときは六百数十億出したことは御指摘の通りであります。その後だんだんと減らして参りまして、今日のところは百億に足りません。けれどもつているものはみな大体中小企業に関する分だけであります。しかしその間政府はどういう措置をとつたかといいますと、御承知のごとくに、新たに発足したものに中小企業金融公庫があり、資金の増額を見たものに商工中金があり、さらに国民金融公庫がある、そればかりではありません。中小企業金融の最大はどこが占めておるかと申せば、申すまでもなく市中銀行です。いわゆる地方銀行を含めての市中銀行です。これが中小企業に対する金融、これは今でも八千数百億、九千億近いものがありましよう。そのうち政府関係の占める部分は僅少でありまして、大部分はこれらの地方銀行及び都会における銀行であります。これに対しての資金の融通を受けやすくすることが最大の方法であるから、一方政府機関としての三つの金融機関にそれぞれ資金源を増加いたしましたほかに、いわゆる保険もしくは信用の保証制度の拡大をいたしまして、信用保証協会を法制化いたして、これを認めて資金の融通を受けやすくしたことは御承知通りであります。従いまして、今あなたは預託だけの分をごらんになるからでございますが、もし預託の面を見ずに貸出高を見れば、昨年よりも今年の方がずつと増加いたしております。
  44. 川島金次

    ○川島(金)委員 私は一例をあげたのでありますが、大蔵大臣は預託の方は引揚げたけれども、他の方面でふやしておるからというように言つておりますが、これは二階から目薬みたいなものであります。たとえばこれは最近の統計でありますが、地方銀行というお話がありましたか、地方銀行の実情を見ますと、二月現在で地方のおもなる銀行——大部分でありますが、六十六行、その六十六行の地方銀行の預金が二月に入つて急激に五十三億減少しておるという事実も統計上明らかであります。こういう問題を一々取上げると切りがないのでありますが、要するに二十九年度のいわゆるデフレ政策に先だつて、もはやデフレ政策以前であると思うほどのこういう実情というものが随所に現われて来ている。しかもその現われておるところのしわ寄せというものは、大体中小企業へ来ておるということもまぎれもない事実である。  〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕 なるほど一部の兵器産業方面におきましても、大分このデフレ政策によつて狼狽しているものもなきにしもあらずでありますけれども、大部分というものは中小企業へしわが寄つて来た。中小企業へしわが寄つている一つの現象は、地方銀行の預金の激減ということにも現われておる。こういう事柄に対して、政府は物価を国際物価にさや寄せをするという。この低物価政策には私も異論がございません。そうあるべきであろうと思うが、そのために大部分の犠牲というものを中小企業にしわ寄せして、大多数に犠牲を負わせるということき政策は、必ずしも妥当でないと思う。もしもそういうことをしなければならぬとするならば、その反面において相当なるところの社会保障的、あるいはまた他の施策というものを具体的に備えておいてやるべきではないかと思う。ところがその方面については比較的に手薄である。こういう状態では、日本の中小企業というもの、経済再建に大きな役割をになつているところの中小企業というものは、文字通り破滅に追い込まれるというような心配をいたすのでありますが、その点はいかがでしようか。
  45. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今ちよつとお話のありました地方銀行の預金の減少、これは十二月との御比較か、一月との御比較か存じませんが、これはやはり災害地方その他に、政府の方で特別に政府の手持ちの金を預託した等の関係がありまして、それを引揚げたことがしからしめおると思います。五十億や七十億ならおそらくそうでございましよう。そこで預託金が六百数十億あつたものが漸次減つて行くというのは、御承知のように昭和二十八年の予算については、数字的に見ますと、千三百億ほど政府資金散布超過になるということから、インフレ予算だと言つて相当攻撃を受けたのです。従いまして、私が当時財政と金融と一体化してやつて参りますと言つてつたのは、たとえば政府がその今の預託金を引揚げるだけでも六百億からできるのであつて、こういうことは最初から計算のうちに入れていろいろなことをやつてつたでありますから、今日残つておる百億足らずと思いますが、この預託金というものは、ただほんとうの中小企業の関係で、現在その程度は残しておくのがしかるべきだという考えで残しておりますが、その関係から申すと、そういつたことが、今の地方銀行に現われておるのではないかと思います。それで根本方針としては、昭和二十八年度予算そのものは、とにかく過去の蓄積についても少しこれを食つておるし、減税国債その他のものもやつておるし、自然増収等も相当見込んでおるのでありますから、どうしてもこれに対しては私どもは金融について引締め政策をもつて対処しなければ、二十八年度中にも起つて来るインフレ的傾向を阻止することはできません。それではせつかく二十九年度の予算をこういうふうに編成した意義を没却しますので、この間も二月の五日でしたか、閣議決定を経て、二十八年度予算の使用方について、やかましくそれぞれ通牒を出しておるのも、そこから来ておるのであります。しかし仰せのごとくに、中小企業そのものへしわ寄せをするということはよくないので、これに対しては、私は今申した通り、いろいろな施策を講じておるのであります。その点がなお足らぬと仰せになるでありますが、あなた方はその金額をふやしても、なお減つた減ったと言われるが、社会保障費なども、最初は半分地方へ移すと言つて、その移す金は財源を与えておつた。何も最初から金額を減らしておるのではないのに、半分に減らしたとやかましく言われるから、そんな割の悪いことに一つ一つ説明をするのではかなわぬから、元へもどそうかということで、元へもどした。それだけのことです。しかも三十八億ふやしておるのです。三十八億ふやすと、今度はちつともふやさぬじやないかと言う。これは三党協定でさらにふやしましたから、今度はあなたの方でも社会保障費はふやせとおつしやるまいと思つたが、また今もおつしやつておるので、一体どこまでふやせばいいのか、ちよつとこれは困るのです。
  46. 川島金次

    ○川島(金)委員 私はなるべく質問を簡潔にやつていますから、あなたの答弁も簡潔にしてもらいたいと思います。議論をするなら討論のときにやります。社会保障費をふやした、減らしてはいないと言うが、今度の補正予算つて議論するなら減らしておるじやありませんか。そういう議論を私はしようとしているのではない。いろいろとあなたの所信を尋ねている。ですから私は簡潔に質問をいたしますから、簡潔に御答弁願います。議論をするということになれば、私の方でもたくさん材料がある。そこで大蔵大臣予算を編成する責任者であるが、その編成された予算実施いたしまする場合に、私はそれに対する指導というか、監督の責任もあろうかと思いますが、その点はいかがですか。
  47. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 その通りです。
  48. 川島金次

    ○川島(金)委員 そうすると、もしその予算実施面において、各省にわたつて乱脈きわまるような予算実施の事実があつたときには、大蔵大臣はどういう処置をとられようとするのか。
  49. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 さようなものはなしと信じます。
  50. 川島金次

    ○川島(金)委員 絶対にありませんか。
  51. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 神様ではないから、絶対ということは申せません。
  52. 川島金次

    ○川島(金)委員 さようなものはないと大蔵大臣は言われたが、それでは私はこれを事実をあげてみます。一般会計と特別会計の両会計にわたつて、不正または不当な支払いが行われたという、会計検査院の責任において公表をされたものだけでも、昭和二十五年には件数において一千百八件、その額は百四十九億四百万円、二十六年は件数において一千百九十八件、額は三十億五千八百万円、二十七年度は件数において一千八百十三件、額において百二億九千万円、合計二百八十二億五千二百万円が、会計検査院の責任において不当支出あるいは不正支払いをされたものなりと報告されておる事実があります。これをたとえば昭和二十八年度の物価指数に換算いたしますと、驚くなかれ、三箇年で三百七十億円に及ぶところの不当支出、不正支払いがあつたのであります。大蔵大臣は今そういうものはないと言われた。神様でないから絶対でないかもしれないがと言われた。しかし事実ある。こういう問題を大蔵大臣はよもや知らないのではないだろうと私は思うのであります。こういうことがかりにあつたら、どういうことになりますか。
  53. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 決算報告書は見ておりますから、それは承知いたしております。しかしながらその一つ一つついて、罪すべきものは罪し、罰すべきものは罰する、そういう措置はとつております。
  54. 川島金次

    ○川島(金)委員 各省にわたるところの、この不正不当の支払いもしくは支出をした当面の末端の公務員の責任を処断することはもとより、大蔵大臣並びに内閣全体の責任においてやらなければならぬ。しかしその集積するところ、実に三箇年にわたつて驚くなかれ三百億にもなるような巨額に上つた場合において、なおかつそれは当事者がやつたのであつて政府の責任ではない、何人も内閣の中においてはこの責任を負わないという立場をとることが、妥当なものであるかどうか。私はもちろん、国民においては、非常にこの点を疑問とするであろうと思うのであります。こういう点について大蔵大臣はその具体的な問題に対して、政治的、道義的な責任を感ずべきではなかろうかと思う。私は小笠原さん一人を責めようとしておるのではない。少くとも吉田内閣においてこの三箇年にわたつた例をあげただけでもこのような事態にあるということは、私はその最高の責任者として必ずしも満足ではなかつたということは言えるのではないかと思うのであります。その点の見解はいかがでございますか。
  55. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 内容によることでありますのと、道義的な問題は個々の道義にまつほかはございません。
  56. 川島金次

    ○川島(金)委員 大蔵大臣に申し上げますが、あなたの直接の関係のある国税庁のもとにある全国の税務署においては、あめ、魚を商うところの、横町の小さな店先を生命とし、営業して知る者でも、わずか一万円か二万円の滞納があつても、それはたちまちにして滞納処分をされ、中にはもう差押えをされ、あるいはどんなに拝んでも泣いても、差押え処分、競売をするというのが事実である。それで集まつた国の財政資金であります。まことに文字通りの血税であります。国民に苛斂誅求とは申しませんが、苛斂誅求にひとしい立場においてかき集めたところの、この貴重なる血、の出るような財政資金、しかも三箇年にわたつて驚くなかれ三百億以上の不当支出、不正支払いが出た。こういうことについて内閣は何ら責任を感じないということで、はたして国民が了承できるか、納得できるかという問題でありますが、そういつた点についても、なお大蔵大臣としては何らの感じもないとおつしやるのでございますか。その点をもう一ぺん聞いておきます。
  57. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 各自の良識に基く判断によることと存じます。
  58. 川島金次

    ○川島(金)委員 私は政治は道義であると思う。道義のないところに政治がない。そして政治のあるところは絶対の責任というものがなければならぬ。しかしこういつた問題にあつても、なおかつ内閣には何ら重大な責任がないと考えるに至りましては何をかいわんやでありますが、これ以上議論をしようとは思いません。  そこで次にお伺いいたしますが、最近財界方面におきましても、吉田内閣のいわゆるデフレ政策に対し相当狼狽をし、あるいは深憂をしている向きがあります。またこのデフレ政策に対して支持をいたします立場を持つ財界におきましても、このままでは、いうところの野放し政策では、低物価政策の完遂は不可能である。そこでこの低物価政策をほんとうに貫こうとするためには、資金の面においてはもちろん、砂糖とかあるいは石油とか、あるいは繊維といつた重要な消費物資については、せめて何らかの規制をしなければ、この低物価政策の完遂は不可能であろうという意見が、政府の政策に若干好意を持つ経済界、財界の立場の人たちからでも台頭して来ておるのであります。そしてまたそれかあらぬか、通産省あるいは経済審議庁方面で、それらの事柄について具体的に検討中だと、二、三日来の新聞報道しておりますが、それに対して大蔵大臣の立場をお伺いしたいと思う。
  59. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私どもは物価を引下げて、国際競争力を力づける諸般の政策をとつておるのであつて、この間もどなたかからお尋ねもあつたのでありますが、デフレ政策と名づくべきものかどうかわからぬ。むしろ私はそういうことを一言うならスタビリゼーシヨン政策と言つた方が適切だろうと思う。そういうふうな考えで臨んでおるのであります。今お話なつたような点について、あなた方、川島さんあたりは何でも統制してしまつて、何でも国営、官営に持つて行きたがるのですから、ちよつと考えが、持つて行き方が違うのであります。私ども考え方は、できるだけ個人の創意、くふうを生かして行きたい。戦時中に行われたようなあんな統制は懲り懲りしておるから、あんな統制をやつてもらいたくないというのが私ども考え方であります。しかしものによつては、これは川島さん御承知のごとく統制的な統制と私はあえて言いませんが、そういうことについて考えるときはある。これはちよつと話が長くなりますのでこれでやめますが、物が余るか、物が足りないか、この二つの場合に起るのであります。そのやり方が、物が余つてやむを得ず統制しなければならぬときと、それから足りなくて配分の公平を期するために統制しなければならぬときと、また価格その他の点を考えて統制しなければならぬときと、個々の場合が違いますので、これは今から相当いろいろのことをくふうしておく必要はあろうかと存じております。
  60. 川島金次

    ○川島(金)委員 今の重要な消費物資あるいは材料についての規制の問題が、具体的に当面の省において論議をさせれておることは、新聞に最近しばしば伝えられておるところであります。そこで今の問題について、通産大臣審議庁長官がおりますが、審議庁長官からその点の問題について見解なり見通しなりを承つておきたい。
  61. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 御承知通り一兆円予算を先行といたします総合的な経済政策の立案並びにこれらの実施につきまして、たとえば輸入外貨の割当をどういうふうにつくつて行つたらいいかということにつきましては、現在慎重に検討いたしております。大体の見当を申し上げますと、ある程度それぞれの物資について輸入を削減しなければならぬと思いますが、しかしその程度は、一部に伝えられておるような非常に大きな、ドラスティックな削減とまでは行かないはずであります。具体的な物資別の数字はただいま検討中でございますから申し上げられませんが、大体のところは二十七年度中、あるいは二十七年の初期における程度の輸入計画になろうかと考えております。そこで、そうなりました場合に国内の措置が何らかの方法で必要であろうかどうか。正常な需給関係の見通しを立てまして、大体これならばやつて行けるであろうというふうに思つておりますけれども、万全の考え方をいろいろと考究いたしますことが必要かと思いますので、それぞれの物資別あるいは企業別等につきまして、いろいろの対案というものを考えておりますことは事実でございますが、結論はまだ得ておりません。
  62. 川島金次

    ○川島(金)委員 大蔵大臣は強いことを言つているのですが、現実の面がそれを許しません。私どもはもはや確定的に言えるのですが、必然的に何らかの形の規制というものがなければ、あなたが何と強いことを言つてもこの予算は遂行できません。そして低物価政策は完遂できません。そのときになつてもう一ぺんまみえるということにいたしましよう。  そこで今外貨の問題が出ましたが、今日政府の保有外貨というものはだんだん減つて来ている現状でありますが、この外貨の運用はどういう実情になつているのか。たとえば預け先とかているか、そこに資料をお持ちでありましたらこの際お聞きしておきたいと思う。
  63. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 はつきりしたものは十二月三十一日現在でありますが一二月三十一日現在の外貨保有高が九億七千六百九十九万五千ドルであります。このうちオープン・アカウントの債権とか証券運用とか、こういつたような銀行の預託に関係のないものを除きますと、八億八千三百三万七千ドルであります。このうち外国銀行に預託しているものが七億八千四百四十八万五千ドルありまして、日本の為替銀行名義のものが九千八百五十五万二千ドルございます。それから外国銀行へ預けているものは米ドルのみでありまして、大体十二月三十一日現在で五億五千万ドルございます。利息は九十日定期で一分七厘五毛であります。昨今一分五厘程度でありますが、十二月末では一分七厘五毛のものが多いのであります。この運用の利益をついでに申し上げますと、二十六年度に約四億円、二十七年度は二十二億円、二十八年度は大体十二月末までで約三十五億円となつております。証券はどういうものをやつているかと申しますと、これはアメリカの外務省の証券と世界銀行債を持つているのであります。外務省の証券の方は期間三箇月で年利一分六厘八毛、世界銀行債の方はこれは十九箇年ものでありまして長いのでありますが、年利三分五厘、こういうふうに相なつております。
  64. 川島金次

    ○川島(金)委員 この外貨運用の中で、まつたく無利息で預託しているものが相当あると思うのですが、それはどのくらいありますか。
  65. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 定期預金とそれから何を除きました分は無利息でありまして、その後川島さん御承知のように当座で置かないと為替決済その他に必要な分がありますから、大体その勘定で——アメリカ・ドルの方でオープン・アカウントというのが、御承知のように焦げつきになつた分でちよつと言えませんが一あるいは朝鮮の関係などもつておりますから……。そういうものにおきまして大体一億ドル見当、いつも余裕を持つようにいたしております。
  66. 川島金次

    ○川島(金)委員 この銀行預金の外貨の利率が非常に低いように思うのであります。たとえば日本が火力借款で世界銀行から借りた場合に相当の金利を払う。わが国政府が外貨を持つてつて、その外貨を預金する預金とそれとはおのずから性質は違うのでありますけれども、どうも日本の外貨運用の方法について私どもはちよつと納得ができない。   〔委員長退席小峯委員長代理着席〕 今のような利息などの点につきましても非常に低いという感じ——これは国際的に見てこれが標準であるというならば別なんでありますが、国際的に見てもこれは低い率ではないかと私は推定をいたしておるのですが、その点はいかがですか。
  67. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これは国際的な金利水準によつておるものでありまして、今お話もありましたが、たとえば世界銀行債のごときは、これは長いものですから三分五厘というふうになつております。それから世界銀行から借りておる火力借款というものは五分になつておりますが、これは二十年くらいのものですからそのくらいの差があるのは私はあたりまえだと思います。
  68. 川島金次

    ○川島(金)委員 私の承知しておりまするところでは、必ずしも世界標準のものではないように記憶いたしておるのでありますが、大蔵大臣もさらに検討されましてこの問題の運用に遺憾なきを期することが必要ではなかろうかと思うのであります。  そこで外貨の問題が出ましたからついでにもう一つ、これは通産大臣に伺うのでございますけれども、外貨の見通しというものはいよいよ意外な状態になつて来ておるように新聞などは伝えております。しかもこのままに推移いたしまするならば、先月当初あたりに予想いたしたものよりももつと悪化するであろうということが伝えられておりまして、国際収支の面におきましても、日本経済の立場におきましても、きわめて憂うべき現実が一層大きく生れて来ようとしておりまするが、一体その原因、そうしてまたこの国際収支について、二十九年度の予算あるいは財政計画についても、かなり具体的な見通しを政府は言明しておるのですが、このような状態ではたして二十九年度の財政計画あるいは経済計画の上において考えられた国際収支が一体予定通りに進んで行けるという自信があるかどうか、その点についてのいきさつあるいは見通し等をこの際聞いておきたいと思います。
  69. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 お答えいたします。外貨の問題につきましては、この国会の当初におきまして、御承知のような国際収支の計画をつくりましてお示しいたしたわけでございます。その後の変化といたしましては、輸入外貨の予算をつくります場合に、これは最初の計画は手固くやりたいということで、輸出の見込は当初御説明いたしましたものは十三億ドルを越えておつたのでありますが、これを十二億六、七千万ドルということに想定をいたしました。それから特需の収入も当初七億六一千万ドル程度と御説明いたしましたが、これを七億一千万ドル程度というように、これは輸入外貨の積算と申しますか、それを基礎として削減をしたのでありまして、現在でもこの輸出努力並びに特需につきましては当初御説明いたしましたものをあくまで目標としてやつて参りたいと思つております。従つて外貨収支のしりは、一月に御説明申しました通り、来年三月におきまして九千万ドルないし一億ドルの赤を出すことはやむを得ない、その点はかわつておりません。従つて今後の情勢の推移にかんがみまして、輸出が当初の予定通り出るようであり、あるいは特需が予定通り出るようであれば、その分は輸入外貨の割当の方に充当して参りたい。  それからいま一つお尋ねの全体の産業計画がこれで動くかということでございますが、現在私ども考えておりまするところでは、先ほど申し上げましたような輸入計画について、二十七年度よりもある程度上まわつた原材料の輸入計画を立てますると、大体二十八年度間を通じてたとえば生産指数が鉱工業で一五二であります。二十九年度においてもその程度の規模は維持できる、こういう考えでおります。
  70. 川島金次

    ○川島(金)委員 政府は面子上でもあろうけれども、なかなか自信のあるようなことを言つておりますが、日がたつに従つてなかなか容易ならない事態が現実の上に出て来るのではないかと私ども心配をいたしておるのです。それが杞憂に終れば別でありますが、そうでないことになるのじやないかと国民心配をいたしております。  次に福井政務次官が見えておりますので、ちよつと副総理にお伺いをいたします関連の事項としてこの際伺つておきたいと思うのです。本日の午後のラジオ・ニュースによりますれば、政府——福井政務次官を加えての話だと思いますが、アメリカ大使館における原子関係の委員と某所において長時間にわたつて、今度のビキニ島における原子力問題についてかなり具体的な話合いをしたと伝えておりますが、もしあなたがその席に連なつたといたしますならば、さだめし具体的なことを御承知のことと思いますので、この機会に参考のためにまずお示しを願いたいと思います。
  71. 福井勇

    ○福井(勇)政府委員 お答えいたします。私ラジオ・ニュースは聞きませんでしたが、御指摘のように、米国の議会原子力委員のパストア氏と会談いたしましたことは事実であります。しかしこれは国会代表とかあるいは政府代表とかいう立場では全然ございません。私がかねてからいろいろ原子力問題についてアメリカの各当路者と連絡もいたしたりした関係からその懇談の機会を得たのでありますが、たまたまその内容については、私は、御指摘のように、ビキニ環礁における今回の問題にはまつたく触れませんでした。他のいろいろの原子核、原子力問題について懇談したことは事実でございます。これは今申しましたように、私の個人的な立場というふうに御了解を願いたいと思います。
  72. 川島金次

    ○川島(金)委員 その個人的な立場においても何か具体的な話を公表できるものがあつたとすれば、この際公表してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  73. 福井勇

    ○福井(勇)政府委員 浅学でございますので、この原子力の問題について御質問の要点に御満足が行くようなお答えができないのが私は残念でございますが、いずれにしても日本がポツダム宣言受諾に伴つてウラニウムを基礎とした原子力の研究を禁止されております間に、世界各国が非常な飛躍を、特に原子核研究については遂げておる。このままほうつておいてはたいへんなことになるということは、私たち技術者の立場においてはかねて心痛しておつたのでありますが、そういう観点について私の意見はパストア氏とまつたく一致しておりまして、特に石油とか石炭とかの資源が諸外国と比べて非常に少い日本においては、産業利用に関する動力源としての原子力、医学、農業化学、こういう方面においての研究は遂げられるべきだ、飛躍させるべきだ、こういうような話合いをしたのでありますが、今回この国会予算にも、原子核の研究並びに通産省所管でありまする原子炉築造に関する調査等云々の項目をもつて計上されて来ましたのは、まことに遅れておつたところに不幸中の幸いでありました。同原子力委員会委員は、平和産業に利用すべきいろいろの研究資料とか、あるいはまた学者を派遣するとか、あるいはこれらの関係者を連絡によこすというようなことについては便宜供与をするというような話合いをいたしまして、特に御指摘のようなビキニ環礁における戦力に関するような話は全然触れておらないのでございます。
  74. 川島金次

    ○川島(金)委員 急いでやりますが、これは学界の権威ある筋の定説のように今日なつておるのでありますが、たとえば日本の国が毎年輸入いたしておりまするところの肥料原料の燐鉱石、この燐鉱石は約百万トンでありますが、この燐鉱石には万分の二くらいのウラニウムを含んでおる。この計算から行くと、その百万トンの燐鉱石から二百トンのウラニウムがとれる、これをエネルギーに転換をすると、実に二十トン分の原子力が得られるという説が、今日は定説のようであります。しかもこの二十トンの原子力というものは、これを平和産業の動力に換算いたしますと、石炭に換算すると実に六千万トンくらいに相当するであろうということもいわれておりまするが、そういう問題について、文部省では何か学問的に研究された成果が報告されておるのかどうか、その点を伺つておきたい。
  75. 福井勇

    ○福井(勇)政府委員 この原子力の動力源となるべきものは、現在の段階におきましてはウラニウム二三五でありまするが、その他二三八にニュートロンを爆撃せしめてプラトニウムをつくる新たなる元素が、やはり可裂性物質として扱われておることは御存じの通りであります。御指摘のように日本の国内にある資源として燐鉱石とかあるいは他のピツチブレンドとかいろいろな形をもつて、この内容を含んで産出するウラニウムの二三五というものは、まだ数十種類のいろいろな鉱石の中に含まれておりまして、地球の表面の百万分の一くらいはこういうものに変換ができるであろうということを、フランスのペランもイギリスのバイアールス等も言明しておるようなわけであります。昨年の秋の国際理論物理学会のときにも、あるいはまたアメリカにおきまして昨年十月末に行われましたところのナシヨナル・インダストリアル・コンフアレンス・ボードの会議の席上でもそういうことが説明されておりますので、今御指摘のような燐鉱石だけにたよらなくても、将来はこの研究を遂げて行けば、ちようどフランスが悩んでおると同じように解決が見込まれるという状況であります。
  76. 川島金次

    ○川島(金)委員 私は副総理に対する質問を留保いたしまして、一時……。
  77. 小峯柳多

    小峯委員長代理 館俊三君。
  78. 館俊三

    ○館委員 ビキニの原爆問題について少し吟味をしたいと思つておりましたが、ここで関係省がほとんどどなたもと申し上げていいほどいらしやらぬ。外務省は政務次官が来ておるが……。けれどもまあ吟味の点が残るのでありますから、あとで御返事を願いたいと思つております。まずこのビキニの原爆の問題についてはたいへんなことになつたのでありますが、その点で一番吟味をしたいと思いますことは、こういう爆発の実験があるということについての警戒措置についてお聞きしたいと思つておるのであります。これは初めから何か期日その他がきまつておつたことでありましようから、私の聞きたいことは、爆発前にアメリカ側から、いつごろどのようなアメリカの機関を通して、だれから日本側に通知があつたか、という吟味なんです。日本側として、この通知をどの機関のだれが受取つてアメリカからどういう通告があつたか、これを明らかにしてもらいたいと思うのであります。  時間の関係もありますから、ずつと質問の要綱を並べますが、その次に、このアメリカからの通告を受けた日本政府としては、この通告を受けて、いつ、どの機関のどの人が、どういう通知を被災日本人たちに出しておつたか。またこの通知の徹底方について、どのような努力と措置がなされたか、これを明らかにしたいと思つておるのであります。この点については非常に吟味をしなければならない問題であると私は思いますために、このような職務を現実に執行しておる人を国会に喚問したい。同時に問題の根本を確かにつかむために、被災した本人たち国会に来てもらわねばならぬと私は考えるのであります。なぜこのようなことを言うかというと、国民は今度の事件には大きな疑惑を持つておるからであると私は信ずるのであります。それは世界でただ一つ原爆受難の国民であるところの日本国民が、日本政府から正当に通知されたとするならば十分承知しておるはずの危険海域に、何の考慮もなく近接して行つたということは、だれが考えてもちよつと受取れないことなんであります。アメリカ側から正当に通告があつたものとすれば、政府がこれを周知徹底させることを怠つたのではないかということです。私は原爆実験地の原住民の被災についても耳にしておりますし、人間の生命がモルモットのように扱われておるという事実も考えられます。広島、長崎の犠牲者の生きた例も現実に深刻な形になつておるのであります。言いかえてみますと、今度のビキニの被爆の事件は、それが集約された形が二十三名の漁夫の犠牲でありますが、裏返して言うと、爆撃の効果がどのような範囲に、どのような効果を現わすか、それを見るために好適な実験材料にされてしまつたようなかつこうになつちまつた。せんじ詰めて考えますと、日本アメリカ政府間もしくは日本政府と漁船間における通告や通知について徹底を欠いておつたということは、何かそこにあいまいさがあつたのではないかというような疑いをさえ起しかねないのであります。おかしなものの言い方かもしれませんけれども、きようの朝日新聞の横山泰三の戯画には——ごらんになつたでありましようか、「どうせモルモットでしようよ」という戯画をきようの朝日新聞紙に載せておる。深刻な国民の気持がこの戯画に十分に現われておる。私はけさもいわゆる町の庶民階級の人からそういう話を偶然にも二、三人から聞いております。政府国民に納得の行く形で問題をはつきりさせる義務があると思つておるのでありますが、こういう点についてこれに関連する各大臣の御答弁を願いたいと思つておりますが、総理その他が見えない、運輸大臣も見えない、農林大臣がいらつしやらないから、外務省の関係からまず御返事をいただきたい。
  79. 小滝彬

    ○小滝政府委員 いつどういう形で米国側から通知を受けたかという点が私に対する質問の要点だろうと存じます。今度の原子力実験に関しまして、個々のケースとしての通知は受けておりません。これが行われた際にもこういう通知は受けておらないのであります。但し御承知のように、一九四七年にアメリカは太平洋上における信託統治協定というものの十三条の規定によりまして、閉鎖区域というものを設けたのであります。これは戦略区域として米国が安保理事会の承認を受けて設定したもであります。ところでこの閉鎖区域の設定に伴いまして、アメリカ側は今日本で重大なる問題になつているところの危険区域というものを設定いたしました。そしてこの危険区域につきましては、通告はその都度一九四七年及び五三年に安保理事会の方へいたしております。この危険区域は昨年拡大されまして、ビキニの付近もこれに加わるようになりましたけれども、最初の危険区域の設定は一九四七年でありまして、これが世界各国に対する通告の方法といたしまして、米国の水路局から国際水路会議規定に基きまして、各国の水路部へ通達をするという方式をとつたのであります。このアメリカの水路局の告示におきましては、百その危険区域内にある人命及び財産に対する損傷の事故に対する補償のためにあらゆる可能な予防手段がとられるであろうという趣旨、及び危険区域内の行動によつて危険区域外にその危険が及ぶおそれがある場合には、その旨の警告は行う意向であるという趣旨が述べられているのであります。そこでこの危険区域の通達ということによつて、常時この方面には危険があるから警戒をするようにという趣旨を通報して来ておりまするので、それに従つて、今関係官庁からお話があるかもしれませんが、日本でも告示を出してその周知方をとりはからつたというのが、これまでの経過でございます。
  80. 館俊三

    ○館委員 そういうことは大体新聞で見ているのですが、日本の触角である外務省が、そのアメリカのそういう措置を何によつて見て、見た結果をどう処理したとかいうことを私は聞いている。正式にアメリカから通知は受けておらぬ、こういうのですか。
  81. 小滝彬

    ○小滝政府委員 ただいま申しましたように、向うの水路部の告示で世界各国へ通知しておりますが、ただ私たち外交のチャンネルを通じて申して来たことがあります。それは昭和二十七年九月十八日に在米新木大使に対しまして、最近日本の漁船が一そう危険区域の中に入つた事実があるが、これは危険であるから十分周知方をとりはからうようにということを言つて参りましたので、これは海上保安庁、水産庁等国内関係省に通達いたしまして、それによつて海上保安庁の方は十一月にあらためて注意を喚起する措置をとつたのであります。
  82. 館俊三

    ○館委員 この際私はあとの質問にも関連しまして動議を提出しておきたい。この被害漁夫国会喚問——もちろん二人の重傷で動けないのはありますけれども被害漁夫国会喚問をしていただきたいということと、通知をした実際の各省のその職務にいた人、これも現実の執行者を国会喚問をしていただきたいということ、もう一つは東大の都築博士と科学研究所の専門家をここへ喚問をして、このビキニの問題について徹底的な吟味をしたいと思いますので、これを動議として提出いたしますから、あとで御詮議をお願いしたいと思うのであります。  いろいろの質問もありますけれども、各省の方がそろつておられませんから、非常に残念ですが次の質問に移ります。日本の専門学者は、問題の灰は初めての経験で処置する方法がわからない。放射物質の内容がわからなければ治療対策が立たないと言つていることは、きようの読売新聞に書かれている通りであります。しかもその話をしている人は都築博士でしたが、この放射物質の内容がいかなるものであるかということを私たちは知りたがつているのに、政府がちつともこれに協力しないと書いているのであります。政府アメリカ政府にこれを明らかにすることを要求しなければならぬと私は考えますが、もしアメリカ政府がこれを拒否する場合があつたら、これをどうするかということも、また私はお尋ねしたいのであります。しかしこれも、総理がいない、外務大臣がいないので記録にだけ残しておいていただきます。  次に被災船の第五福竜丸の船長は船の位置を、いわゆる禁止区域の東方四十マイルと明言したはずであります。しかるにその後清水海上保安部からの海上保安庁への報告によりますと、報告は禁止区域の東北東わずか十四マイルしか離れていなかつたと書かれているようでありますが、これはどれが正しいのか、明らかにする義務があろうと考えるのです。私はどうもこのごろ国民としては、この船の位置について四十マイルであつたり、十四マイルであつたり、ときどき変更になるということについて非常に疑惑を持つ、何か占領当時のごとく、アメリカの圧力が入つて来るというような不信の念を抱いておると私は考えております。  もう一つ、一昨日、アメリカのアリソン大使が、治療と消毒に全力を尽すということを外務省に申し入れられたと新聞に書いてありますして、これは一面当然のことと考えられるのでありますが、裏を返せば日本国民に野蕃な被害を加えておいて、その上原爆秘密を知らない日本の学界を協力させ、自国の秘密を保ちながら、自国の研研調査活動をする結果になるのではないか。広島と長崎の犠牲者たちの場合にも、彼らはこれによつて十分なるいい研究をしておつたのである。こういうことも聞き捨てならないことでありますが、アメリカ側がもしそういうことの結果、被災者をまたアメリカへ連れて行つてアメリカ研究するというようなことも言い出しかねないのではないかと私は考える。この点現在の日本政府は、アメリカ側から見れば去勢された政府のように私は考えざるを得ない。国民はそういうたよりない政府だという考え方から、いろいろの点に疑惑を持つておるのであります。向うの方では、原住民も災害にあつているということが新聞に出ております。日本の科学者は、アメリカ側の協力を決して拒むものではありませんけれども治療や調査の主体は、やはり日本側でなければならぬと決意を固めているようである。これはきようの読売新聞を見ればわかる通りであります。この爆発事件アメリカの誤りであつたとしても、下手な言い方をするようですが、片手落ちのアメリカの今度の治療と消毒の表明に対して、政府にはたして日本国民を守り日本科学の威信と利益を守る用意があるかということを、資料があつたら私は聞きたかつた。アメリカは今度の問題を利用していわゆる危険海域を現在の数倍に拡大するかもしれないと私は考える。また同じ箇所を今後も利用し続けるとすれば実にたいへんなことであります。そのときのあらしの関係、あるいは自然現象がこれに加わると、原子灰の影響範囲は広範囲なものになり、日本の地理的位置からしてもわれわれの不安はますく大きくならざるを得いのであります。政府わが国水産と平和な同民生活への脅威に対して、どのような対策を持つておるのかお聞きしたがつた。これは日本だけの問題ではなく、世界人類の運命に関する問題であろうと思う。  最初の原爆被害者であるわが国は、率先して原爆の試験の中止をアメリカに向つて要求すべきじやないかと私は思う。アメリカに向つて要求すべきが、最初に原爆を受けた日本国民の立場として当然であろうと思う。広島の原爆記念碑の表には、安らかにお休みください、あやまちは再びいたしませんと書いてあるということを私は聞いております。少くとも原爆実験はこれ以上やらないように、自信を持つてアメリカに向つて言うべきであろうと思う。ことに今度の爆発は試験的なものであつて、ほんとうの爆発は、四月か五月に飛行機の上からやるということである。今よりももつと規模の大きな強力なものをもつてやるということであるが、この際政府は勇気を振つて、この試験の中止を要求するのが妥当であろう、やるべきことであると私は考えます。ソビエト同盟は終始一貫して原子兵器の禁止を主張し、提議し続けておりますが、アメリカ政府はいわゆるニュールックとかいつて、原子兵器の拡大をもつばらはかつているようである。原子兵器の禁止こそは、日本国民いな世界の人民の要求であると思うが、政府はどう思つておるのか。  来る四月のジュネーヴの四国会議、これには中国も呼ばれたそうでありますが、こういう意味において、この四国会議についても日本政府として、首相として注目を払つておられるだろうと思うが、これはどう考えておられるかということも首相に聞きたかつたのである。  先日読売新聞にも掲載されましたが、こういうこともあるのでございます。旭化成株式会社の延岡工場で、重水をつくつておるということである、これは原子力における原子核の分裂の速度を緩和する必要材料である、昭和電工の川崎工場初め、水電解によつてこの重水をつくり得る工場は、十指に及ぶと私は聞いておる、この十工場でやれば、年産一トンできるということである、そうしてこの重水は純度一〇〇%の場合には、アメリカの時価で、一グラム五千円ぐらいする、従つて一トンで五十億円の計算になるのであるが、硫安会社がもうけになるから、どんどんこれをつくるかもしれないのである、ところで日本研究機関その他では、こんな重水などは必要でないのであるから、今のやり方で重水をつくることになつて来ますと、当然アメリカの需要に応ずるようになるかもしれない、なろうと私は考えます。軍需生産者というものは、利益を追うて走る、二十七、八年の戦争だか三十九年の戦争だかで、お金もうけをした者が、軍需品であるカン詰に石ころを詰め込んだという話がある、そういうことになると、アメリカ原爆戦略に結局日本が協力させられるのであります。原爆の灰をかぶつて平時に日本国民がむごい犠牲を受けるのである、こうした重水製造に対して、政府は注目を払つておるのか、どうお考えになつておるか、これは通産大臣がいますから、御返事を願いたいと思います。
  83. 小峯柳多

    小峯委員長代理 館君、時間が大分迫つておりますから、要領よく質問を願います。  それからあなたの御発言の中に、参考人の喚問のお話がありましたが、今審議しております議題との関連性が比較的薄いのと、理事会で申し合せたいろいろの進行上の都合もありますので、他の委員会等でお諮り願うことが適当であると思いますので、御了承願います。
  84. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまお話の重水でございますが、ただいま私の承知いたしておりますところは次の通りであります。旭化成延岡工場におきまして、二%の重水、昭和二十八年の年間の実績が七十六リットルでございます。この全量を都立大学の理学部の化学教室におきまして必要濃度のものをつくりまして、化学反能の試験に使用しております。従いましてかような試験用以外に、重水を生産し、あるいは輸出しておるという事実は、私はただいまのところは承知しておりません。なおただいまお話がございましたから、この点についてはとくと調査いたします。
  85. 館俊三

    ○館委員 きようは関係省がおりませんので、私は一人でしやべつてつたのでありますが、これで私の質問は終りといたします。しかしさつきの提案に対しては、あとで理事会を開いて、その上で御詮議をしていただくことを重ねてお願いをするのであります。
  86. 小峯柳多

    小峯委員長代理 適当な機会に、速記録に載りましようから、御返事するようにとりはからいたいと思います。  河野一郎君。
  87. 河野一郎

    河野(一)委員 私は最初に保安庁の長官にお尋ねいたしておきます。保安庁長官は保安庁の外郭団体として保安協会というもののあることは御承知だと思います。現にあなたはこの協会の顧問をしておられるのでありますから、御存じのないはずはないでしようし、また保安隊員等とも密接な関係を持つ団体のことでありますから、十分御承知のことと考えてお尋ねをいたしたいのであります。なおまた先般私はこの保安協会について、政府に材料の要求をいたしまして、適当な材料の配付を受けたのでありますから、この配付を受けた材料等についても相当の知識をお持ちだと思いますので、これについてお尋ねをいたしたいのであります。  第一にお尋ねをいたしたいのは、この保安協会の昨年九月から本年の一月に至りまする、決算ではございませんけれども、金銭の使途の内容をこの調査資料によつて拝見いたしますと、約二百五十万円ほど、年に直せば一千万円くらいになりますか、計算になつております。そのうちで約二百万円ほどが保険会社からの借受金ということになつておりますが、これはどういう関係か、御承知でございましたら御答弁を願いたいと思います。
  88. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。実は保安協会というのは、私は就任前に何か衛和会というものがあつて、衛和会で事業をやておりましたところが、これが結局失敗に終つた。そこでこの関係者の有力者が、これではいかぬというので、新たに保安協会というものを設立しようという動きがあつたのであります。もちろんこれはわれわれが直接関係すべきじやない、いわゆる外部からの援助団体であるのであります。その機構、組織ということは、ことごとく外部の保安協会設立者がやつたわけでありまして、私らはその設立には関与いたしません。ただこの保安協会が設立して、ひろう会をやつたことがあり、私も出席いたしました。従いまして内容の金銭的の問題については、一切保安庁においてはタッチしていないのであります。従いましてもとより私は金がどれだけ集まつてつて、どれだけ使つたということは承知しておりません。ただ私は一箇月ほど前に、その会合が丸ビルの精養軒でありまして、もう散会直前に遅ればせに行つて、一応のよろしく頼むというあいさつはいたしました。そのときに帰りに、新しい事務局長の何とかいう人で、名前は忘れましたが、あいさつに来られましたから、仕事をするのはいいが、いたずらに手を広げてやつて何もできぬようじや困る、重点的によろしくやつてもらいたいということだけは言いました。内容については一切私はタッチしておりません。もとより保安庁内部の者も、この問題については直接関与しておらぬはずであります。
  89. 河野一郎

    河野(一)委員 時間がありませんから、率直に端的にお尋ねをします。そういうふうに責任を回避されるような態度は、私ははなはだとらざるところであります。木村長官は態度といい、日ごろのあなたの言動といい、いやしくも責任を回避するような人とは、私は思わぬ。思わなかつたんだが、今の答弁はことごく責任を回避して、知らないんだ、責任はないんだという態度でありますが、それならばなぜ内閣総理大臣の官邸を使って、昨年の十一月会合をやつたんだ。それじや一体こういうことは総理が責任をおとりになるのか。保安庁長官が責任をおとりになるのか。だれが一体責任をおとりになるのですか。財界の有力者を首相官邸に集めて、こういう会合をやつて、こういう団体をつくるんだという店開きをして、そうしてできたものに対しては、保安庁としてはなるべくどうとか、こうとかいうような今の御答弁で、一体責任はだれがおとりになるのですか。  次に今私が申し上げた二百万円の金、どうしてこんな金をとつて来たのか、と申し上げますと、これは直接保安隊の隊員に関係があるじやありませんか。保安隊の隊員を保険に入れて、その保険のリベートを二百万円とつておるじやありませんか。そんなことをして頭をはねてよいのですか。保安隊員の月給の中からはねておる。こういうことをあなたの隊員がされておつても、あなたはそれで知らぬで済みますか。しかも事務所は越中島のあなたの隊の中にあるじやありませんか。隊長であるあなたが、おれはそんなものは知らないのだ、関係がないのだ、なるべくやるなと言つておりました、それであなたの責任が済みますか。御答弁ください。
  90. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。もとより私はこの団体を主宰した者でも何でもありません。ただ外部から援助してやろうという好意的な話であるから場、これを受入れようという次第であります。この会の成立ちについても私は関与しておりません。ただ首相官邸を使わせたのは、これは便宜上使わせてくれということで使わせたのであります。そこでこの二百万円の問題、実は私は知らないのであります。これも保安庁では、直接関係を持つておりません。今官房長から詳細は話がありましようが、私はすべて知らない。ただあとで官房長から聞くところによると、さようなことを聞いたから、将来あつては困るからというので、官房長の方で断つたという事実は私は報告を受けておるわけであります。私は実際においで、こういう内容については一切関与しておりません。
  91. 河野一郎

    河野(一)委員 一体首相官邸は頼むといつたから貸したのだ、そんなことで世間が承知しますか。世間の何も関係のない人が、首相官邸を貸してくれ、ひろう宴に貸してやろうと言えますか。保安協会は保安隊の外郭団体だ、だから首相官邸を使わせろ。お使いになつたら、だれでも国民はそう思います。しかもあなたは丸ビルに行つたときは、出ただけだ、何しただけだ、しかもこの問題は材料を要求したら、あわてて、リベートのようなものはやめた方がよろしかろう、やかましいからおやめになつたのでしよう。現に今でもやつておるじやありませんか、きよう聞いた話でも、年間四十億の傷害保険を契約したのだ、これが四十億でもって、五千万円の掛金になる、その二割をとるから一千万円のリベートがもどつて来るのだ、という説明じやありませんか。それを今この場へ出て来て、そんなものは断らしてあるのだ、やめにすることにしておるのだ。やかましいからやめるのでしよう。将来はやめるがよろしい。いけないから質問しておる。過去における責任をとらぬということでは卑怯だ。
  92. 木村篤太郎

    木村国務大臣 やめさしたのはこんな問題の起らぬ前です 私の聞いたのは去年のことです。さようなことはやめたらよかよう——やめたという官房長から報告を受けておつたのであります。
  93. 河野一郎

    河野(一)委員 私は現にきよう午前中にあなたの下僚からここで説明を受けた、こまかいことを言つてつては、私の与えられた時間が少いから先にあらかじめあなたの下僚から説明を聞いているのです。あなたの官房長が何と答弁するか知らぬが、実際実務をやつている者から説明を聞いたのだからわかつている。説明を聞いて、それをちやんとここに書き込んである。このうちあなたの方からいただいた資料には、二百五十五万円受入れとしてある。この二百五十五万円の内容はどうだと聞いたら、五十五万円は日経連からもらつているのだ、二百万円は保険金社からもらつているのだ、こういう説明を聞いたんだ。この内容はどうなるかという説明をだんだん聞いて、こういうばかなことはいかぬじやないか——これはこういうふうなことになつておるが、首相官邸へ財界の有力者を集めて、今せつかく金を集めているのだいう。現にあなたも顧問になつているのではないか。顧問になつて、財界から金を集めているじやないか。こんな金を集めてこういうつまらぬことをやつて、一体何をしようというのです。しかもこの前書きに書いてある文章は、一体だれがこんなものを書いたのですか。私がこの文章で気に入らぬことは、自分たちだけが保安隊の強化団体だ——これはわれわれ社会党の諸君とは立場が違いますから、保安隊もしくは自衛隊に対する主張が違うことはあります。しかし国民を二分するような態度でこういうものを刷つて配るということはよろしくない。のみならず一部財閥だけが集まつて、財閥が金を集める。しかもその財閥の名前を読んでごらんなさい。保安隊が発注するような重工業もしくはそういう会社の社長だけじやありませんか。なぜ農村団体のような、金は一文も出さぬけれども農村の相当の指導力を持つているものをこの中へ入れないのか。金のないものは一人も入れないで、金持ちだけ入れているじやないか。なぜこういうばかなことをするか、これを私は一言いたい。
  94. 木村篤太郎

    木村国務大臣 はつきり申し上げます。この団体については私は関与しておりません。ただ顧問になつてくれと言うから、顧問になつておるのであります。(笑声)従いまして実務については何ら関与しておりません。二百万円云々の問題がありまするが、保安庁には直接関係ない。これは保安協会の関係であります。保安協会とどいうふうに結びつくかということは今後の問題である。われわれ金銭問題ついては全然関与しておりません。はつきり申し上げます。この趣意書も、われわれが書いたのではありません。保安協会で書いたものであります。
  95. 河野一郎

    河野(一)委員 一体今のあなたのような答弁で、人が納得しますか。関係ありません、知りませんで……。二百万円の金は、保安庁は関係ないでしよう。私は保安庁が関係があるとは言わない。保安庁の保安隊の関係があるじやないか。保安隊員が四万人とか加盟している、その月給から頭をはねてその契約をして、契約から二百万円リベートをとつたことは間違いない。あなたはその隊長じやないか。あなたの部下が傷害保険の契約をして、その契約のあつせんをしたのは保安協会なんだ。そういうことをやるなら、なぜ保険の掛金をもつと安くさせないか。リベートをとるような団体に、なぜ越中島の、あなたの役所の中に事務所を持たせておくか。これで一体、その隊長たるあなたの責任が済みますか。それで責任があるとかないとか——責任とはそんなものですか。あなたの長年の弁護士生活で、責任とは一体どういうことを言つたのですか。あなたは今保安隊の隊長だ、長官だ。敬礼だけはさせておいて、そしてその部下が高い保険料で保険に入れられて、その間にボス的なものが入つて、これがリベートをとつて、そのリベートでもつてあなたもごちそうになつた。それで責任がないと言えますか。あなたはこの保安協会のごちそうになつたではないか。今丸ビルでめしを食つたと言つたではありませんか。(笑声)
  96. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。つまらぬことでありますが、私はめしは食いません。はつきり申し上げます。そうしてこのリベートの問題も、私は報告を受けたのだが、これは私の方の関係ではない。保安協会の関係であるけれども、保安協会にしてもさようなことがあつてはいかぬからというので、官房長をしてそのことを断らしめておる。私らの関係においては保安協会の金は一銭もタッチしておりません。
  97. 河野一郎

    河野(一)委員 それは何とあなたが御答弁になつても、あなたの部下の保安隊の隊員が保険に入つて、その保険のあつせんをしたのは保安協会だ。その保安協会が保険会社からリベートをとつた。これは現にとつて二百万円使ってしまつたのだから間違いないでしよう。
  98. 上村健太郎

    ○上村政府委員 お答え申し上げます。協栄生命と保安庁におきまする共済組合との団体保険契約は、一昨年昭和二十七年五月に成立しておりまして、大蔵省の許可になつております動労団体保険普通保険約款というのに基いて引続き今日まで契約をいたしております。先ほど長官からも御説明がありましたが、たまたま衛和会という団体が財政難に陥りまして、その際に民間の有志の方々から、これを再建しようという話が出て参りました。そのときに、この生命保険会社が、そういう団体の代理店になるということでその手数料を寄付したいという関係であつたろうと思うのであります。従いまして新しい団体の財政的基礎が固まりますれば、この手数料は契約の条項に応じまして清算をして行くというふうになつておるようでございます。但しこの一月からはこの手数料を受けておらないようであります。
  99. 河野一郎

    河野(一)委員 一月から受けておらぬはずであります。一月から受けるはずがない。まだ手数料を計算する時期に入つていないから、それまでの借受金として二百万円とつた。おわかりになるでしよう。まだ計算する時期でないから、一月からの分は入つていない。去年の分は二百万円とつた。はつきりしておる。こういうことでしよう。
  100. 上村健太郎

    ○上村政府委員 先ほどお尋ねのときにリベートというお話がありましたが、契約の成立しておるのは二年前でありまして、団体契約の代理店業務に当つておりますのは、たしか昨年の六月か五月からだつたと思つております。
  101. 河野一郎

    河野(一)委員 それであるから、それからあとのものを計算して、そうしてこの二百万円をここへ入れたのではないですか。私の言つておることと少しも違つていない。あなたが何度説明したつて、代理店という名前をつけないでとるとおかしいから代理店という名前をつけようじやないか、とにかくこの団体が仲介をして、この契約をさせて、その報酬で受入れようじやないかというので受入れた。私の説明はあなたの部下から説明を聞いたその通りのことをここで言うておるだけなんです。それはよくないじやないかと言つておるだけなんだ。それならばもつと大蔵省に交渉するなり、どこに交渉するなりして——これはほかの一般の傷害保険と違うのだから、いやしくも国家のために働いてくれておる、しかも危険なことをやる保安隊の隊員諸君のことなんだから、飛行機に乗つたり何したりしてあぶないから団体で契約しよう。こういつて月給の中から払い込んでおる、一年に大体五千万円かかる。その代理店の業務をこういうものがやるからといつて、代理店の費用だといつてつて来てこれを使う。これが保安協会だ。これで世間が納得するかどうかということなんだ。しかもその会長が小林中だ。何で小林中がこんなところに出て来る必要があるか。(笑声)そして理事の顔ぶれを見てみれば、今皆さんに配付になりましたような、こういうものが理事になつて、今隊長の木村さんのお話によれば、民間の人たちが集まつて何とかしようということででき上つたらしいとかいうことだけれども、どこの苦労人が——警察予備隊時代の借金が五百万円未払いになつておるのがあるそうだが、五百万円の穴があいてしまつておる。何して使つたか知らぬけれども、その穴埋めもしなければならぬし——この趣意書にはうまいことが書いてある。あの五百万円の穴埋めをするから金を出してくれとは書いてない。しかし事実は五百万円の穴埋めをしなければならぬし、これからいろいろしなければならぬから金を集めるのだ、こういつて金を集めてやつておるということだ。こういうことで、真剣になつて保安隊を自衛隊に改組してこの国防の第一線に立つてつてもらうのだという人たちの外郭団体に、こういう不純なものがあつていいか悪いかということなんです、ぼくの言うのは。しかもこの役員たるや財界の顔役のような名前が並んでおるが、これをごらんなさい。みな保安庁が品物を発注するような会社ばかりではないか。この品物は……。そういうものを集めて、そうしてそういうものに寄付金を仰せつけて寄付金をとる。そうしてこれが国家のために働く団体でございます。保安隊の外郭団体でございますといつておる。汚職のもとはこういうところから起つて来るから、その芽ばえからつまんでやろうというので私は言うているのだ。木村さんのように、でき上つておるものさえ、私は責任がありませんと言われるが、そういうことは悪いのですよ。ここで堂々と責任をとつて、それは気がつきませんでした、私の責任でございますから、私は断固としてやめますということをあなたがおつしやればいい。それを言わないで、ただ私は知らない、責任はないということばかり言つておる。そんなばかなことはない。私はこれはよろしくないと思うから解散しますから御了承願いたいとおつしやい。そうすれば私はこんな質問はやめます。
  102. 木村篤太郎

    木村国務大臣 御親切なことでありますが、私はこの問題の内容については全然関知していない。これははつきり申し上げます。ただこういう団体は外郭団体と言つていいか、いわゆる援助団体であります。これは指示したわけでもない。これは就職あつせんとか、あるいはその他娯楽についての問題だとか、あるいは募集の援助については、これはいいことだから援助として受けているのであります。ただこの団体の理事をしておる者について御意見があつたようでありますが、私も実は先ほど見たのでありますが、ただいまのお話によると、保安庁と発注関係のあるような会社が多い。こう仰せになつたようでありますが、今私はこれを見ますとさほどでもありません、日本セメント、作家、これは林房雄君、住友化学、三和銀行、それから医学博士の竹内茂代君、講談社の社長……。
  103. 河野一郎

    河野(一)委員 船会社を言いなさい。
  104. 木村篤太郎

    木村国務大臣 船会社で入つておるのはごくわずかです。あとはみなそういう関係のない会社で、私もこれで安心した。それであなたのお説のように、こういうことでいやしくも疑惑を招くということであれば、これは私はやめろという権限もありませんし、何ら私は関係はないがしかし勧告はできます。世間の疑惑を招くようなむのであつてはいかぬというのであれば、私はこれはやめたらよかろうという話はできる。但し私は実質上の関係でやめろということができぬことは御了承願いたいと思います。
  105. 河野一郎

    河野(一)委員 これは単なる任意団体ではないのでありまして、財団法人でおつくりになつております。一体財団法人の認可はだれがなさるのですか。これは任意団体ではありません。財団法人でありますよ。
  106. 上村健太郎

    ○上村政府委員 内閣総理大臣であります。
  107. 河野一郎

    河野(一)委員 内閣総理大臣が認可をして、こういう団体が必要だ。しかもあなたがおつしやるほどではない。こういう目的だ、こういう目的だときれいなことやうまい内容を並べて書いておつても、やつておることは何をしているか。そんなことは知らない、そういう無責任な態度をあなたがたとられるから、保安庁内に汚職があちこちにあるということを言われることになるのです。もつとこういうことから厳重に監督しないから、そのためにいろいろな忌まわしい問題が起つて来ると思う。だれが考えても何の必要があつて一これを読んでごらんなさい。小林中君が何の必要があつて保安協会の会長にならなければならなのか。この団体に入つておけば、何か得がありそうだなと思える顔ばかりではありませんか。しかもほんとうに国民を指導するという学識経験者であるとか、評論家であるとかいうような金のなさそうなのは一人もこれに入つていない。金持だけ入れている。こういうばかなものをおつくりになつて、外郭団体というものはどんなものかというような、とぼけたふまじめなことを言われることはよくない。保安協会が保安隊とどういう関係があるか、保安庁とどういう関係を持つてこの団体は行くべきものか。外郭団体ならほんとうにこれをかわいがつて育成して行かなければならなぬものだ。そういうものは関心を持ちませんということでは、保安庁長官は完全に勤まらぬと私は思う。悪いものはつぶしてしまつて、改組するなら改組して、りつぱなものにすればよいでしよう。しかも今申し上げるように、これは五百万円の借金を残して困つておる。あなたのところの保安庁はそういう前科者なんです。各省にも外郭団体はいろいろありますけれども、保安庁のようなそういう外郭団体はありませんよ。五百万円の借金までできてしまつて、これで解散をしたそのしりぬぐいに財界の顔役を集めて来て、内閣総理大臣官邸で発会式をやつて、金持から金を集めて五百万円のしりぬぐいをしよう、そういう考えをさせるということがいいか悪いかということをあなたはよくお考えない。だから一部には造船所の方から金が出ていはしないか、造船疑獄に関係はないかというようなことまでうわさがある。だから今申し上げるように、こういうものはよろしくない。なるほど言われてみればもつともだから解散いたします。保安庁とて必要はありません、この権限があるなしではない、この財団法人を取消しすればよろしい、もう一ぺん御答弁を願います。
  108. 木村篤太郎

    木村国務大臣 もとよりこの団体の趣旨は私はけつこうだろうと思います。ただ構成が悪いと言われれば私は再検討する必要があると思う。この趣旨は、要するに将来保安隊が除隊すの者の就職あつせん、これを私は非常に、心配しておる。それから募集の際においての宣伝、これをわれわれはどうすべきかということ、その趣旨でこれをやつておるのですから、これは大いにやつてもらいたい、こう言つておるのであります。しこうしてこの団体の構成分子が今のような御批判があれば、私は率直に構成分子をどう改造すべきかということについては私には指導権がありませんが、この首脳者について私は十分その点を考慮させるように尽力したい、こう考えております。これをやめるかどうかということについては私には何の権限がありませんから、何とも申し上げることはできません。
  109. 河野一郎

    河野(一)委員 それで最後にひとつ、保険の代理店をやつて保安隊の隊員の保険料のうちから年額約一千万円のリベートをとるということはいいことか悪いことか、悪いことだと思うならばそれをやめて、保険の代理店というようなことをやめて、公正な金でこの団体を運営するということにすべきものだと思う。きよう私がこれを発言して、これを言つただけでも保安隊の隊員は非常に憤慨しますよ。自分たちが契約しておる保険のリベートでもつてあの保安協会は去年の九月から今年の一月までに二百万円とりやがつたんだから、今年一年で一千万円とる気だなという気になりますよ。
  110. 上村健太郎

    ○上村政府委員 お答え申し上げます。昨年保安協会が発足いたしますときに、協栄生命からとりあえずの財源が確立するまでの資金が必要であるというところから半年ないしは十箇月間寄付をいたしましようというような申出があつたようでございまして、先ほどお述べになりましたようなリベート云々ということで継続的に支援をしていただくというような計画は、当初からなかつたように存じます。
  111. 河野一郎

    河野(一)委員 それではうまくないからこれを代理店ということにして、代理店のもどりということでとろうということになつたんじやありませんか。今まではまだ代理店になつていないから、そこで創立の当初において二百万円の寄付を受けた、これはあなたからくれた参考資料に二百万円くれたと書いてある。これから行けば年間に千万円くらいになるでしょう、それは保険の代理店をやるから代理店の費用として向うからもどつて来る、こういうことなんです。そういうことがいいか悪いかということなんです。今言うようにここに書いてあるのには、この代理店をやつて資金を集めますと書いてない。趣意書の中にはうまいことばかり書いてある。それは財閥と金持が寄付をしてこういうことをやつてあげますという趣意書なんです。ところが財閥が出した金は今までに五十五万円だ、あとは保険のリベートだ、こういうのだ、リベートは何だといえば隊員が出した保険料の頭をはねたものじやないか。そういうことで納得ができるかということだ。そんなことはいらざることじやないか、なぜそういうことをするのだ。特殊の国家のものだから保険料を下げてやつてくれ、もしくはその保険料の一部分は保安庁で持とうということになれば、もどるのじやないか、こういうふうになれば大いに納得する。これはけしからぬ。
  112. 木村篤太郎

    木村国務大臣 まことにその通りです。私は初めて実は知りました、リベート云々ということは……。ただああいう金は保険会社から何した、これは私が関係しておるのではないけれども、私は聞いたからやめておるつもりでおる。やめていなければさつそくその点は警告します。最もそれはわれわれは注意しなくちやならぬ点であります。保険会社が隊員から保険料をとつてそのうちの一部をもどすのであれば、隊員にもとしてやらなければならぬ、被保険者にもとしてやらなければならぬ。それがほかの団体に行くということは私はよろしくないと思う。その点がはつきりすれば私は相当の勧告をいたします。
  113. 河野一郎

    河野(一)委員 運輸大臣にお尋ねしたいのですが、先般材料の配付を願つたのですが、この材料をちようだいいたしましたうちでABCD云々と書いてありますが、これは運輸省の係の人から説明は一応聞きました。聞きまして、これはABCと書くのでなければぐあいが悪いのだということでございますが、その係の人に私からABCじやいかぬ、納得できぬと議論してもしかたがありませんから、そこで私はやめました。この際運輸大臣からABCと書くのはこういうわけで書いたということをこの席で御説明願つて——われわれはそれでは納得ができぬ、会社名をちやんと知らしてほしいということを私から申し上げてお願いしたいと思うのであります。ひとつ御指示を願います。
  114. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 それはABCDと名前を出してないのは、これは営業の機密で出してはぐあいが悪いということで、そういうことにいたしたのであります。
  115. 河野一郎

    河野(一)委員 これは営業の機密と言われますけれども計画造船でありまして、しかもこれが、契約をして幾らでも契約をしたということもちやんと政府から、もしくはその割当の際に資金はちやんときまつておる。それを一割ないし二割の値上りをして、それだけのものを払つたと申しますれば、ここで御承知願いたいと思いますことは、会社の貸借対照表にはこれは隠すわけには行きません。営業上の機密とおつしやいますけれども、会社の貸借対照表をちやんと調べて押して行けば、すぐわかるのです。これは生産費が幾らになつておるかということじやない。アメリカへ一航路行つて来たらこの船では幾ら損が行くということじやない。会社の固定資産の中に、この船は一体幾らでつくつたということなんですから、それを発表してぐあいの悪いというりくつは納得できないのです。無理に私は財界に混乱を起すような種を出せということは申さない。調べればわかることだから、こういうふうなABCはおやめなさい、やめていただきたい、こう申し上げる。
  116. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 どの程度まで私どもが守らなくちやならぬ機密であるか、私はつきりいたしませんが、まずそういうふうに了解いたしておつたわけでございます。なお相談いたしまして、この程度いいということになりましたらあらためて出すということにいたしたいと思います。
  117. 河野一郎

    河野(一)委員 これは私が運輸省の係の人から伺いますと、全然納得ができない資料なんであります。なぜ納得ができぬかと申しますと、ここにちようだいいたしました資料は、国家資金でもなければ、市中の協調融資の金でもないのだ。手持ち資金でやつたのだ、手持ち資金で出した金がこれだけあつて、その総計は三十五億からのを出したんだ、一体そういうことが船会社の実情から見て納得ができるかどうか。さらにまたそれだけのものを出したというなら、これは非常にいい材料です。これが秘密になるわけはないじやないか。さらに申せば、そういうふうに計画造船の際に資金の割当をしたものでもなし、手持ち資金でもつて出したのだというようなものは、どうして一体運輸省でそういうことはわかつたのだというような点をだんだんお尋ねいたしますと、説明は納得できない。これは大臣からでなくてもいいです。係の人からでもいい。この場で説明してもらつて、一体皆さんに納得が行くか行かないか、聞いていただきたい。
  118. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 海運局長からお答えいたさせます。
  119. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 この値増しをつけましたのは、六次並びに七次の船でございます。その時分はまだ海運市場がかなりよかつたのであります。で、なぜ値増しをつけたかと申しますと、契約当時の鋼材価格なんかがその後において相当上る見込みがあつた。たとえば六次のときには、契約したときの鋼材価格がその後において五割程度上つた。そういう事情からして、その後において当時の契約船価でそのまま実行したのでは造船所に非常に赤字が出る。そこで造船所と船主の間で話合いをしてその値増しをした。従つて政府の方はその値増し分に対しましては財政資金は一文も出しておらぬし、それからまた今度利子補給をするという場合も利子補給の対象にはいたしておりません。
  120. 河野一郎

    河野(一)委員 今のお話のような内容のものがどうして一体発表ができないのか。そういうお話のようなものならすこぶる明瞭なものであつて、少しも秘密にしなければならぬものでもない、隠すからおかしくなつて来る。それをABCでなければいかぬ、これを発表するとぐあいが悪いのだということはちつとも納得が行かない。私がこの材料をちようだいしたゆえんは別にあるのですが、あなたの方で書いて来たものはこれはちつとも納得できない。納得できないが、今のお話ならば話してもいいじやないかと皆さんがそうおつしやると思う。なぜ一体これを隠されるかというところに疑問が起つて来ると思う。
  121. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 船会社から言いますと、どこの造船所に幾ら支払いが滞つておるということが一般に知れ渡ることは営業上非常にさしつかえがあると考えます。
  122. 河野一郎

    河野(一)委員 船会社がどこへ滞つているのを言えと言うんじやないんですよ。船会社がどこの工場に幾ら借金が滞つているのを書いて出してくれという要求は私はしやしませんよ。そんなことを要求したのではありませんよ。そんなことはちつとも書いてないじやありませんか。それはその内容がどこが未払いになつておるということは書いてない。それは別なんです。未払いを聞いているのではない。一体増金をしたのはどういうことなのだ、こういうことを聞いている。それを発表できないということはおかしいでしよう。
  123. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 先生がお尋ねの趣旨は、この値増しをした額をお聞きになつたのですか。
  124. 河野一郎

    河野(一)委員 そうです。
  125. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 私どもの承りましたのは、値増しをした、そのうち未払いとして残つているものを船主、造船所別に出したもの、こういうふうな御要求かと存じておつたのであります。従いましてこれは営業上の実情に関するものと存じまして……。
  126. 河野一郎

    河野(一)委員 それならば私も申さなければならない。私がこの材料を要求したゆえんのものは、そういうことで値増しをした、その値増しをした金がリベート同様に相手方に行かずにふところに入つているとか、もしくは別に流用されているとかいう疑惑が世間にある。だから私はこの材料を要求したのだ。だからどうしてもこれはおつしやい、こう言つているのです。だんだんそこへ行くつもりなんです。それをあなた方が隠されることがおかしい。今や天下の疑惑の焦点になつている問題で、一船会社の信用にかかわるとかかわらぬとかいう問題じやないのです。はつきり説明しなさい。
  127. 岡田修一

    岡田(修)政府委員 その値増し分につきましては、各船ごとに一応洗いまして、そうしてお出しするようにしておきます。研究いたします。
  128. 河野一郎

    河野(一)委員 それでは私は何とか御了解を得て、今の材料をあしたはちようだいできると思いますから、材料ができたときに続けて質問をさせていただきたいと思います。どうぞひとつさようおはからい願います。
  129. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 それでは十分間休憩いたします。    午後五時十四分休憩      ————◇—————    午後五時四十三分開議
  130. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 休憩前に引継いて会議を開きます。  質疑を継続いたします。この際、昨日の佐竹晴記君の質疑に関しまして、刑事局長より発言を求められております。これを許します。井本政府委員
  131. 井本台吉

    ○井本政府委員 昨日佐竹さんから御質問の際に、メモをして法務大臣に伝え、その答弁を求めるようとの御要望がございましたので、御質問の趣旨をメモしまして法務大臣にお伝えし、その結果次の通り答弁の要旨を得ましたので、これを朗読させていただきます。  一、本年一月十三日、法務大臣は料亭中川で山下汽船の会長山下太郎氏と遊興しているが、これは山下汽船の吉田、菅両重役が逮捕された一月七日のあとで、一月十日ころにも山下太郎と会つているし、ことにその三、三日後である一月十五日には山下汽船の横田社長が逮捕されているが、法務大臣としてかような遊興の責任をどうとられるのであるかという御質問でありますが、山下汽船は山下亀三郎氏の時代から懇親にしていて、山下太郎氏とは自分は同年輩なので、時折宴席を同じくする程度の交際をしています。山下太郎氏は世間周知の通り事実上社務をとつていなかつたが、本年一月十日前ごろ法務大臣室に来訪せられて、私に会社の一部重役が浮貸しをやつて財源がこげつき、二、三日前検挙されたというので、あなたが関係ないならそのままにせよと申したことがありました。当時吉田、菅両氏の事件は、一会社の重役の浮貸しのこげつき事件で、簡単な普通事件であるという程度の認識であり、事実その通りであつたのであります。一月十三日午後八時ころ、鯉風会という踊りの会の切符と松の屋のまんじゆうを入手したかつたため、西川流と縁のある中川方に寄つたところ、中川の玄関先で帰きにつこうとしている山下太郎氏と会いました。玄関先ではあいさつもできかねると言われ、招かれるままに部屋に入つて冷たいものをとつて飲み、山下とは新年の乾杯をしてわかれ、事件の話などはしておりません。芸者は二、三人来たが、それも山下氏が正月の祝儀をやるために呼んだので、自分たちが一緒に酒を飲んで遊興したのではありません。当時二、三日後に横田社長が検挙され、さらに事件が発展して後に、世に喧伝されたような疑獄の事件になろうとは、まつたく予想もつかなかつた次第です。  二、次に浦賀ドックの多賀社長とは中川でたびたび会つているが、単なる社交上の会合とは思えないとのお尋ねでありますが、浦賀ドックの多賀社長とは私の先代以来同郷の関係で懇親にしております。同氏は昨年中もアルゼンチンとイギリス、フランス、スイスなどに旅行し、一年の半分くらいは海外に旅行しています。多賀社長の海外渡航については、出発の前後にはたいてい会食しています。また多賀氏はアルゼンチンのペロン大統領の顧問の婿ワーナー・ケネキーと懇親でありました。同氏は親日家で視察団長として来日をしたので、多賀氏と一緒にこれを歓待いたしました。中川の会合はこれらの打合せその他の会合に当るので、これ以外に意味は全然ございません。  三、三月五日付毎日新聞疑獄横丁欄の某大臣は犬養法務大臣であると日清国際会館のボーイが言うているが、飯野海運の股野社長と法務大臣がひそかに会合するのはいかなるわけかとのお尋ねでありますが、全然事実無根であります。第一私は飯野海運の股野社長とまつたく面識がありません。従つて同氏と日活国際会館で会合したなどということは断じてありません。  四、三月五日付「日本週報」または四月号「真相」に、法務大臣の長女がローマ法皇から高い位をもらつて多額の献金をしたこと、そのやみドルは四谷教会から手に入れたものではないかとのお尋ねでありますが、私の長女はオランダのグレールという宗教団体に入つていて、受洗したことはあるが、尼僧になつたことはありません。従つて高い位などもらつたことはありません。高い位をもらうのに多額の献金をローマ法皇にしたなどということはまつたくありません。やみドルを四谷教会から入手したなどということはもつてのほかであります。これらの記事については事実とまつたく相違するので、事実を調査の上、場合によつては名誉毀損の告訴をしたいとも考えている次第であります。  以上の通りであります。
  132. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 一日十三日の会合においては、玄関で帰ろうとするのを、まあまあと言われて上に上つて、お茶は飲まずに冷たいものを飲んで帰つたと、先日ここで答弁をいたしました。しかるにただいまの書面には、今度は上に上つて、冷たいのではない、私の質問いたしました通り、上おみきをお召し上りになつておる。そうして芸者もはべつておるということをはつきりと御答弁なさいました。ここのあたりは、これは御正直でまことにいいでしよう。ところが多賀社長の分については、これはただいまのような答弁ではとうてい満足いたしません。いずれ法務委員会においてゆつくりひとつお尋ねをいたしましよう。私はどの席で、どういう芸者が出て、どれほどの遊興をしたかということも大体調査が済んでおりますので、じつくりとお尋ね申し上げまするならば、なるほどそうであつたくらいの御記憶を喚起せらるるであろうと存じます。また三月五日の日活会館の記事については、私は単なるあの新聞の記事だけならば、昨日あのような質問を発しなかつたのであります。ところがこれについては、私の信ずべき筋より十分その事実を確めておりますので、あえてお尋ねをいたしたわけであります。従つて、これについてなお絶対に事実無根であるということなれば、他日適当な機会において法務大臣御自身とひとつ問答を重ねてみたいと考えます。さらに、その余の四谷教会を通じてのやみドルの問題については、なおあとで私申し上げたい点がありますが、時間も多く要しますので、この程度にいたします。  しかしこの際これに関連をいたしましてお尋ねをいたしておきたいことがございます。刑事局長と緒方副総理に承つておきたい。  外電に報ぜられるところによれば、日平産業の宮島社長から、犬養法務大臣、緒方副総理、有田二郎氏に対し、合せて二千万円程度献金をし、これを受取つたという領収書が今回の汚職事件捜査の途上に押収書類の中から発見せられたということでありますが、はたしてさようなことがありましようか。ことに犬養氏の受領書については、自筆の受領書を出しておるということでありますがいかがでございましようか。本日法務大臣がお見えになりませんのはまことに残念でありまして、これは他日適当な機会に法務委員会なりでさらにお尋ねを申し上げることにいたしまして、ともあれ、捜査途上においてこういう書類が発見せられたということであれば、刑事局長もこの間の事情には通じておられることと存じますので、刑事局長よりその事実の有無を伺いたいと同時に、副総理においても弁解のあることと存じますから、この際承つておきたいと存じます。
  133. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 たいへん迷惑な話ですが、外国の電報でございますか。
  134. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 こつちからどんどん向うへ入れておるようでずが、向うではそれが報ぜられて、それが信じられておるようであります。
  135. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 向うとはどこですか。
  136. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 外国へこれが報ぜられておる。こつちから報ぜられておるのであります。
  137. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 どこの外国ですか。
  138. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 米国の方へ送られておるようであります。
  139. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 何に出たのですか。
  140. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 出たというのじやない、こちらから送つたということを私は聞いておる。なければないでいい。
  141. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 どこでお聞きになつたのですか。
  142. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 国内で聞きました。これは捜査途上においてこういう事実が出たということを聞くが、はたしてそういう事実があるかどうかというのです。これを答えていただけばいい。あなたはなければないとお答えになつたらいい。   〔発言する者多し〕
  143. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 そういう人の名誉を毀損することは……。   〔発言する者多く、議場騒然、聴   取不能〕
  144. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 静粛に願います。
  145. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 そういう事実があると私どもは聞いておるがどうかというのであります。なければないでいいのです。
  146. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 人の名誉に関するそういうことをいいかげんな根拠で言われることははなはだ迷惑であります。
  147. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 あなたは根拠を示して御答弁なさればいい。
  148. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 もちろんそういうことは絶対ございませんが、そういうことをこういう公開の席上で、委員会で言われるのはどういう根拠があるのですか。
  149. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 あなたは、なければないでけつこうですから、そう御答弁なさつたらよい。
  150. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 そんなばかなことを……。   〔「発言を求めて答えろ」「私語を禁じろ」と呼び、その他発言する   者多く、議場騒然、聴取不能〕
  151. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 静粛に願います。——静粛に願います。
  152. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 はなはだ迷惑なことで、私はそういう事実は絶対ございません。ございませんが、私から今度はお尋ねいたしますが、そういう根拠がどこにありますか。
  153. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 私はあなたに尋ねておって、あなたから尋ねられてはいないのです。
  154. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 私の尋ねるのは、私の答弁の根幹とする意味において必要です。
  155. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 もし私が、何らかの機会においてそれを証言なり何かしなければならぬ場合においては、その責任においてこれをいたしましよう。
  156. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 そういう無責任なことで……。   〔発言する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  157. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 静粛に願います。  ただいま委員長はここに拝聴いたしておりまして、どうも騒音がはげしくてわからなかったのでありますが、緒方国務大臣に対する佐竹君の御質疑に対して、その出所はどこにあるかということを国務大臣からお尋ねになったわけでありますが、それについて、佐竹さん、お答えになりますか。
  158. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 私は、出所をここで言う必要はございません。およそこういったことは、人間の単なる想像によって出て来るものではない。何事か根拠のあることはもちろんであります。たとえば新聞報道をする、報道の根拠を問われたときに、新聞記者はそれを言う必要はない。それと同様であって、もし言うべき場合においてはこれは申しましよう。しかしこの問題は、捜査途上においてこれを明らかにせられたことが私ども国内においても聞知いたしておりますので、先ほど刑事局長答弁を求めているから、刑事局長からこれを承りたい。   〔発言する者多く、議場騒然〕
  159. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 静粛に願います。
  160. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 私お伺いいたしますが、その根拠にされました電報の写しを見せていただきたい。
  161. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 それは必要がございません。こちらであなたから尋ねられてはおらない。
  162. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 佐竹君に委員長からお尋ねいたしますが、ただいま緒方国務大臣は、ただいまの佐竹君の御発言について、外電の報ずるところだというが、その外電というのはどこの外電であるかということを知りたいということでありますが、それは御説明になりませんか。
  163. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 私はこれはここでは申し上げません。   〔西村(直)委員「議事進行」と呼ぶ〕
  164. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 ちよつとお待ちください。井本政府委員に発言を許します。
  165. 井本台吉

    ○井本政府委員 お答えいたします。私が関知している限り、ただいま佐竹さんからお尋ねのような、献金があったとか、あるいは領収書が出たというようなことは全然存じておりません。
  166. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 ただいまの刑事局長のお答えは、こういったことには一切直接関係がないから御存じないというのでありましようか。とにかく、調査をいたしましたら、捜査途上においてそういうことがあったかなかったか、そういうことについてお確かめを願えませんでしょうか。
  167. 井本台吉

    ○井本政府委員 私、刑事局長といたしまして、捜査に関係する事項については事大小となく報告を受けておりますが、さような報告はいまだ受けておりません。
  168. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 佐竹君、何か御発言はありますか。
  169. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)委員 質問はあるが、しかし議事進行は何ですか。
  170. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 議事進行、よろしゅうございますか。——ただいま西村直己君より議事進行について発言を求められております。これを許します。
  171. 西村直己

    西村(直)委員 私は佐竹議員は古くから存じ上げておって、人格高潔の士であると存じておりますけれども、本日のこの席における発言につきましては、非常に遺憾に思います。先般来、いかにして国会審議の権威というものを保つかということは、再々各党派を越えて論議された問題であります。しかるに今日、事実何ら根拠のない、また根拠をお示しできないような状態において、国務大臣しかも副総理という要職を占めておる人に対して献金があったといって、一方的に言いつばなすということは、いわゆる国会の権威を失墜するところの非常な暴言であると思う。従いましてこれはみずから佐竹議員をして取消しをなさしめるように、委員長に御要求を申し上げます。
  172. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 ただいま議事進行についての西村直己君の御発言は、お間き及びの通りでありますが、お取消しふ希望されておるようでありますが。……佐竹晴君記。
  173. 佐竹晴記

    ○佐竹委員 私は取消しはいたしません。先ほど申し上げた通り、こういうふうに日本から外国へ電報を発せられておるという事実があるが、もしそういう事実があるならばこれを聞きたいと聞いたのであります。これは必ず数日時間を経ましたときに、それは印刷になってこちらへもどって来るでありましようから、必ず現物をお目にかけることがありましよう。従いましてこの際において私は、別に私が質問を受ける必要はございません。他日私が証言その他必要な場合において、証言をしなければならぬときには、はっきり証言もいたしましようし、責任をとれということならば、責任をとるべき事態においてはっきりと私は責任を負います。断じて責任をのがれるものではない。と同時にこの発言は絶対に取消しはいたしません。この程度にいたします。
  174. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 ただいま西村直己君の御発言についてのお答えは、佐竹君からあった通りでありますが、この際委員長から佐竹君にお尋ねいたしたいと思いますが、ただいまお述べになりましたような事柄を外電で打つたということが伝えられておるが、その外電が打たれたという事実を知っておるかというのでありますか。あるいはその外電に盛られた内容について覚えがあるかということをお尋ねになったのでありますか、どちらでありますか。
  175. 佐竹晴記

    ○佐竹委員 外電で打たれたということをその関係の機関の人より聞いたが、はたしてそういう事実があるかということをお尋ねいたしたのであります。
  176. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 内容の事実でありますか。
  177. 佐竹晴記

    ○佐竹委員 そういう内容の事実が外電で打たれたということを私は聞いておる。
  178. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 そこでそういうものを外電で打たれたといわれておるが、その外電が打たれたということを知っておるかというお尋ねでありますか。
  179. 佐竹晴記

    ○佐竹委員 そうではありません。外電を打たれたということを聞くが、そういう内容の事実があるであろうかということを聞いておる。
  180. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 それではもう一度お尋ねいたしますが、そういたしますと、その外電が打たれたということはあなたは確認しておられるわけですか。
  181. 佐竹晴記

    ○佐竹委員 私は打たれたと信用いたしております。
  182. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 ただいま川崎秀二君より、議事進行について発言を求められております。これを許します。川崎秀二君。
  183. 川崎秀二

    ○川崎委員 ただいまの西村直己君の御発言もきわめてごもっともなところもあります。また佐竹委員が一番早いニュースとして、そういうものをつかんで御質問になったというならば、私は今日造船疑獄の問題に関連して、日平産業というものが兵器増産並びに新警備船の注文等に関連して、造船疑獄とも深い関連に立っておる会社であるということも承知をしておる。そうしてそれには相当な疑惑がある。しかも日平産業触るものの、昨年以来の会社の動き方というものをしさいに知る者としては、当然これに対して疑惑がかけられるのは必然の勢いであります。従ってもしその間にそれほど多額の金が動いた、しかもそれが造船疑獄と関連しての問題であるとするならば、当然予算委員会においても質疑をなさつてもしかるべきものであり、決して他人の名誉の毀損にはならない。そこで問題はその外電が打たれた後に佐竹質問がされたものかということが重大な問題であろうと思うので、今後その問題がもし外電として打たれて、それについて非常な疑惑があるということが明らかになれば、佐竹議員は新しいニユースとして出すのが当然だと思うのであります。従つてそのときに佐竹さんはその出所を言われるだろう。また外電の名前もその際には御明示願わなければ非常な困難になるのではないか、かように考えるのでありまして、その意味においてこの取扱いというものは慎重に考慮をしていただきたい、かように存ずる次第であります。
  184. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 それではこの問題については後刻また理事会を開きまして御協議をいたすことにいたしたいと存じます。  この際川島金次君より、先ほど緒方副総理に対する質疑が留保されておりますので、この際これを許します。川島金次君。
  185. 川島金次

    ○川島(金)委員 私は時間もございませんからできるだけ簡単に二、三緒方副総理並びにたまたまおられまする刑事局長にも関連がありますのでお伺いをしておきたいと思う。  ただいま本委員会で国会の品位という言葉が出て参りましたが、まことに国会の権威と品位を高める、あるいは守るということにおいてはわれわれもいささかも異議がございませんし、むしろその守ることに全力の協力を惜しまないものでございます。また政府には政府の権威もあろうかと思います。政府は権威を保ち、国会は品位を保つことによつてのみ初めて私は明朗強力な政治が推し進められるものとかように愚考をいたしておるのであります。そういつた立場におきまして、国会の品位と政府の権威のために、まことに私は残念に感ずる問題が今朝来伝えられておりますので、その事柄についていささかお伺いをしておきたいと思うのでございます。  まず第一に本日の読売新聞報道いたしますところと、同じく毎日新聞報道いたしまするところによりますと、造船疑獄がさらに拡大をいたしまして、場合によりますと現閣僚の三名の方々がこの問題について事情を聴取されるのではなかろうかという記事であります。それからさらに造船界から多数の与野党を通じましての献金があつたという事柄について、きわめて具体的に報道されておる事柄でございます。おそらく緒方さんにおかれましては、政府の最高の責任者の代理者でありますし、また刑事局長におかれましては、法務省におけるところのこの問題に関するところの、大臣のもとにおける有力な責任者でございますので、この読売、毎日紙上に今朝具体的に報道せられた事柄について、これらのことがあり得るのかどうか、またそういうことについて何らか緒方副総理におかれましては情報を入手されておるかどうか、またおらないとすれば、こういうような事柄はまつたくなくして、われわれも安心していい、という立場をとつてさしつかえないのであるかどうか、その点についてまことに恐縮ではございますがお尋ねをしておきたいと思います。
  186. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 ただいまお話になりました新聞を私十分によく読んでおりませんが、今お話の中にありました閣僚の中に汚職の関係者があるということは今までは全然聞いておりません。検察庁の取調べにつきましては、まだ私正式の報告を受けておりません。
  187. 井本台吉

    ○井本政府委員 お答えいたします。大新聞の報ずることでありますから相当の根拠があることとは思いますけれども、私職務上本日の新聞に書かれておるようなことを報告を受けておりませんので、ただいまここでお答えをいたしかねます。
  188. 川島金次

    ○川島(金)委員 同じ省内におけるその監督下におけるところの事柄でございますので、まことに刑事局長には恐縮でございますが、公私何らかの形で、こうした情報を入手されておるか、またこういうことはおそらくないであろうということを確信ができますかどうか、まことに恐縮ですが、更に重ねてお伺ひしておきたいと思ひます。
  189. 井本台吉

    ○井本政府委員 ただいま申し上げました通り、私職務上お答えするわけでございますから、職務上の報告を受けておりませんので、お答えいたしかねる次第でございます。
  190. 川島金次

    ○川島(金)委員 それではこの際、私も法律家ではないので、よくわからないところがありますので、念のために局長に伺つておきたいのですが、これは仮定の問題であり、しかも法律上の問題でありますが、かりに衆議院あるいは国会全体を通じまして立候補をいたします場合、他から献金を受け、あるいは寄附を受けた場合に、その人がそのまま政治資金規正法に基かずして、届出をしない、こういう場合がありました場合には、その立候補者は、いかなる処分を受けなければならないか。これは違法ではないのか。それとも、他から受けた金であつても、自分のふところに一ぺん入つたものであるから、自分の名でそれを選挙費に使つたのだと届けていてもさしつかえないのであるか。もしそうでなかつたとすれば、何らか選挙違反に問われるのか、あるいはまた所得税法の何らかの違反にならないかどうか。その点はいかがでございましよう。
  191. 井本台吉

    ○井本政府委員 公職選挙法の百八十五条以下と思いますが、その条文に当てはまる場合には、それぞれ罰則がありますので、その罰則の適用があると思います。具体的な事例でございますから、一々しさいに検討いたしませんと確定的なお答えは申し上げかねます。
  192. 川島金次

    ○川島(金)委員 もう一つ、これは緒方副総理にお伺いしますが、私は犬養さんを個人の立場においては、かつては非常に尊敬をしておつたものでございます。ことに犬養氏が文壇におりますときのあのはなやかな犬養流の健筆に対しまして、また犬養氏の持つセンス、あるいは思想に対しましても、いささかの共鳴を持つて来たものでございます。ことに犬養さんの父木堂翁に対しましては、私も若い時代に数度接触をいたしております関係の者でございまして、犬養氏には、いろいろのことを言われるようなことは断じてないとは私は思うのでございますが、かりそめにも今日犬養氏は法務大臣でございます。法務大臣というものは、こうした事件が起るまでもなく、最も高い立場に立つていなければねらないと私ども考えておるのでございます。しかるに犬養さんは、いろいろ伝えられるところ、並びにただいまの佐竹君に対する回答によりましても、時折料亭などに出入りをし、また造船等の関係の疑惑を受けるような立場において出入りをされておることも明瞭になりました。この造船疑獄こ関係があるとは、私も信じたくないのでございますけれども、かりそめにも法務大臣という立場にあり、従つて人を調べる検事総長の監督者にあるというこの重要な責任から申し上げますれば、そのような巷に軽率に出入りをすることは、犬養さんにとつては、最も慎しまなければならないのではないかということが一つ、もう一つは、法務大臣という人に、かりそめにもこういうような疑惑がかかるようなことがあつては、法務大臣としては、他の閣僚に比較いたしまして、きわめて責任が重大ではないかと考えるのでございますけれども、その点についての緒方さんの御見解を、恐縮でございますが、お示しを願いたいと思うのでございます。
  193. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 その場の事情は、今犬養法務大臣からの答弁が書面でありましただけしか存じておりませんが、私は犬養法務大臣の人格を深く信じております。法務大臣でありましても、多少の社交はやむを得ないのではないか、さように考えております。
  194. 川島金次

    ○川島(金)委員 これ以上この問題にかかわりますることは、議論にわたるおそれがありますので申し上げませんが、最後に一言、今回の原爆試験に伴いまするところの問題について、副総理のお考えを承つておきたいと思うのでございます。  このたびビキニ環礁におけるアメリカ原爆実験は、実に広大なる海面を禁止区域として、歴史的な実験が行われたことは申し上げるまでもございまん。ところが、その後行われました歴史的実験の及ぼした影響というものは、全世界的なものではなかろうかとさえ私どもは痛感をいたした次第でございます。ことにわが国における第五福竜丸の乗組員二十三名の単なる生命の問題ではなくして、これは実に平和時における世界人類の脅威の問題でもなかろうかと私は痛切に感じたものでございます。そこで、まず、お伺いをいたしますことは、今度の第五福竜丸の乗組員の二十三名に対しまするところの治療は今東大等でいたしておりまして、伝えられるところによりますと、非常に早くなおるのではなかろうかということが言われておりますけれども、また学界における権威ある筋から伝えられるところによりますと、この原子爆弾によりますところのいわゆる元素のいかんによりましては、瞬間においてその元素が人体から取除かれることもあるけれども、また逆にその元素が人体に惨透いたしまする場合には、一千年を越ゆる間なおかつそれがとり切れない場合がある。これは物体の話でありますが、人間にとりますれば、その人にとつて一生涯その元素がつきまとつて来る、従つて根本的の治療というものは、今の日本の学界ではないかのごとくに、権威ある学者は昨日来心配をしながら発表いたしております。そこで、これらの二十三名の治療に対しまして、表面はなおつたであろうと見られても、その本質はほんとうに回復していない、いついかなる場合においてその人たちに生命の危険を及ぼすようなことがないとも保証のできないようなことだそうでございます。そこで、これらの問題に対しましては、国が絶対の責任を持ちまして、この二十三名の治療、並びに今後二十三名を中心として、あらゆる学界の知脳を動因いたしまして、総合的に研究、検討せられまして、その治療に対する根本的な対策、あるいは被害を受けてから発病に至るまでの経過、そういつたことから、そしてまた今申し上げました根本的な治療の問題について徹底的に全力を上げて政府は調査研究をおしまないという立場を、とる必要があるのではなかろうかと私は考えているのでありますが、副総理のお考えはいかがでございましようか。
  195. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 まつたく私も同感でございます。今回の原子爆弾の威力は、アメリカ自身すら驚いているほどの大きな威力であつたようであります。従いまして、今まで予期しなかつたいろいろな現象が現れているじやないかと思います。それに対して、今お述べになりましたような研究は、日本でも手の及ぶ限りは十分にすべきであると考えます。ただ原子力によつてこうむつた被害治療につきましては、アメリカ側の方がよほど進んでいる状況でございまして、今度はアメリカ側におきましても自発的にいち早く専門  の科学者あるいは医者というものを、たまたま日本国内におつた者以外に本国からも呼び寄せて、あらゆる研究と手当をしているようでございます。御質問の趣旨はまつたく同感であります。
  196. 川島金次

    ○川島(金)委員 そこで、さらにこの問題に対しまして、昨日の外務委員会でわが党の松前委員その他与党の方々からも発言があつて、下田条約局長から意見が述べられているのであります。その意見というのは、一つは、わが方が徹底的に、強力にアメリカに対してこのたびの問題に対する損害賠償の請求をすべきであるという意見、それから原子兵器、原子力の国際的管理を実施するように、わが国から進んで積極的に国連あるいはアメリカ当事国に強く要求する必要があるのでないかということ、それから今緒方さんが言われましたアメリカ治療法——アメリカはこの問題について根本的な治療対策を具体的に持つておるようでありますから、その治療法についてアメリカから日本に公開をして、その公開に基いて日本の医師が主体となつて二十三名の船員の治療に当ることが好ましいのじやないかということに対して、下田条約局長並びに外務大臣に至るまでその趣旨にはきわめて賛成だとの意見を述べられておりますが、この種の問題につきまして、閣議なりあるいはまた緒方さんの総理大臣の代理者としてのお考えをこの際重ねてわれわれは念のために聞いておきたいと思うのでございます。
  197. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 今御発言の趣旨のようなことは、アメリカ側と連絡をして逐次進めております。
  198. 川島金次

    ○川島(金)委員 去る七日のニューヨーク・タイムズによりますと、わが国が終戦直前に広島に落されましたいわゆる原爆の威力は約二万トンに値するものであつて、この被害地域は一マイル四方であつたそうであります。ところが一九五二年になりますと、アメリカの原子力研究が高度に進んで参りまして、一九五二年の春には十万トンの威力を発揮することのできる原爆を発見し、その被害地域というものは三マイル四方に及ぶということになつたそうであります。ところが最近におけるところの水爆の力は、実に二千万トンに値して、その直接被害地域は十マイル四方に及ぶ驚くべき威力を持つたものであるということが、ニューヨーク・タイムズに詳しく報道されておる。このような十マイル四方にわたるところの地域がこの水爆一発によつて受けまする災害は、この地上の文明とあらゆる生物が一瞬にして死滅に至るであろうという実に驚くべき世紀の威力であり、脅威でもあると申さなければならぬのであります。今後またアメリカもこの種の実験をしないとも限らぬ。わが方はまず長崎においてあるいは広島において、そして今度は三度目の爆撃の——間接ではございますが、大きな脅威となるべき被害を受けた国柄であります。そういう立場におきまして、今後アメリカがこのような実験をいたします場合に、こういうことに対する補償なり、あるいはまた日本の立場において何らかの意見を具体的に表示いたしまして、アメリカに今後いろいろな問題について交渉する過程の中で、この問題についても具体的にアメリカに申し入れておく必要があるのではないかということが一つ。  それからついでに申し上げておきますが、第三には、今日のところソ連とは直接の交通がありませんから、不明であるといえばそれまででございますが、もしかりにソ連においてもこの十マイル四方にわたるところの一瞬にして生物を死滅せしめるような原子力が発明されておつたと仮定いたします場合において、このような原子力の実験日本海に近いシベリア等の方面で万一行われるようなことになりますと、その影響の及ぶところは日本海にあり、これまたわれわれ民族の生命の上にも危険なしとしないことは、今度のビキニ環礁の実験の問題で明瞭でございます。そういうような立場を考えて参りましたときに、政府としては日本国民の生命の上に非常に重大な事格でございますので、何らかの形においてソ連に対してこの種の実験をするようなときには、日本は第三の爆弾をこうむつた立場でありますから言い得ると私は思うのであります。その立場でソ連にこの種の問題についても、直接の方法でできますれば別でありますが、直接、間接の方法を問わず、何らか具体的の申入れをするなり何らかの事柄をしておく必要があるように私には考えられるのでございますが、その点についてひとつ総理から内閣考え方を承つて私の質問を終りたいと思います。
  199. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 今お述べになりましたことはまことに重大なことであります。これは今回の事件だけの問題でなく、また日本アメリカとの問題だけでなく、ソ連と日本との間の問題だけでなく、これは人類全体としての大きな問題だと考えます。今国交のないソ連と日本との間にいかなる交渉ができるかわかりませんが、これはもつと大きなスケールにおいて、取上げて、国際的に管理いたしますように解決すべき問題、少くともその方向に進むべきものじやないかと思います。
  200. 倉石忠雄

    ○倉石委員長 これにて補正予算両案のうち、昭和二十八年度一般会計予算補正(第3号)に対する質疑は終局いたしました。次会は明二十日午前十一時より開会いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十八分散会