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1954-03-02 第19回国会 衆議院 予算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二日(火曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 西村 久之君 理事 森 幸太郎君    理事 川崎 秀二君 理事 佐藤觀次郎君    理事 今澄  勇君       相川 勝六君    岡田 五郎君       尾崎 末吉君    尾関 義一君       小林 絹治君    迫水 久常君       庄司 一郎君    高橋圓三郎君       富田 健治君    中村  清君       灘尾 弘吉君    羽田武嗣郎君       葉梨新五郎君    原 健三郎君       福田 赳夫君    船越  弘唱       本間 俊一君    八木 一郎君       山崎  巖君    山本 勝市君       稻葉  修君    小山倉之助君       河野 金昇君    河本 敏夫君       櫻内 義雄君    中曽根康弘君       中村三之丞君    古井 喜實君       足鹿  覺君    井手 以誠君       伊藤 好道君    滝井 義高君       長谷川 保君    山花 秀雄君       横路 節雄君    稲富 稜人君       川島 金次君    河野  密君       小平  忠君    堤 ツルヨ君       西村 榮一君    黒田 寿男君       中村 梅吉君  出席国務大臣         内閣総理大臣  吉田  茂君         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         法 務 大 臣 犬養  健君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         文 部 大 臣 大達 茂雄君         農 林 大 臣 保利  茂君         通商産業大臣  愛知 揆一君         運 輸 大 臣 石井光次郎君         労 働 大 臣 小坂善太郎君         国 務 大 臣 安藤 正純君         国 務 大 臣 加藤鐐五郎君         国 務 大 臣 木村篤太郎君         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         保安政務次官  前田 正男君         検     事         (刑事局長)  井本 臺吉君         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 正示啓次郎君         運輸事務官         (海運局長)  岡田 修一君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十九年度一般会計予算  昭和二十九年度特別会計予算  昭和二十九年度政府関係機関予算     ―――――――――――――
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。昭和二十九年度一般会計予算外二案を一括議題といたし、質疑を継続いたしたいと存じますが、この際防衛庁設置法案要綱自衛隊法案要綱につきまして、政府より説明を求めたいと存じます。木村国務大臣
  3. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいま準備を進めております保安庁法改正要綱について御説明いたします。  保安庁法改正は、防衛庁設置法自衛隊法とにわかち、自衛力を増強する方針により保安隊自衛隊に改め、直接侵略に対する防衛をその任務に加えることを企図するものであります。  改正の要点の一つは、現在の保安隊警備隊に相当する陸上自衛隊海上自衛隊のほか、新たに航空自衛隊を設けること、しこうしてこの自衛隊の勢力は、陸上自衛隊自衛官十三万人、海上自衛隊自衛官一万五千八百八人、航空自衛隊自衛官六千二百八十七人とそれぞれ増加することであります。右に伴いまして、自衛隊部隊としては、陸上自衛隊が現在の一方面隊管区隊をさらに二管区隊増加すること、海上自衛隊は現在の四地方隊に新たに一地方隊を加え、船舶の所有を約九万トンとすること航空自衛隊に、航空教育隊その他の直轄部隊を新設することを計画しております。次は、新たに予備自衛官の制度を設けることであります。これは三年の任期を持ち、退職者中の志願者より採用し、わが国防衛上必要な場合においし招集し、自衛官として勤務につかせるほかは、年二回以内招集して訓練する計画でありまして、昭和二十九年度において一万五千人を見込んでおります。  自衛隊の行動といたしましては、前述の趣旨に基き新たに防衛出動なる場合を設けております。これは外部よりの武力攻撃に際し、わが国防衛するため必要ある場合において、内閣総理大臣国会承認を得てその出動を命じ、自衛のため必要なる武力行使を行うなどの処置によりまして、外敵武力攻撃を排除せんとするものであります。なおこの出動につきましては、特に緊急の必要がある場合には、国会承認を得ないで内閣総理大臣出動を命じ得る場合をも認めておりますが、この場合には、内閣総理大臣はただちにこれにつき国会承認を求めることとし、もし衆議院が解散せられているという場合には、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認を求めることといたしております。  次に機構といたしましては、航空自衛隊にかかる幕僚監部のほか、新たに統合幕僚会議を設けております。これは専任の議長のほか陸上海上航空の各自衛隊幕僚長をもつて組織し、統合防衛計画統合後方補給計画統合訓練計画の作成と履行について長官を補佐するものであります。なお、右のほか国防基本方針防衛計画の大網、防御出動可否等国防に関する重要事項を審議する国防会議設置については、目下検討中であります。  以上は特に重要なる改正事項でありまして、その他の事項についてはおおむね現在の保安庁法規定に従いこれに必要なる整備を加える方針であります。所要の法律案はすみやかに国会に提出すべく、目下努力いたしております。これにつきましては、以上申し述べました事項についても、字句等多少修正を要することがあるかもしれませんので、あらかじめ御了承をお願いいたしておきます。
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 この際質疑の通告があります。これを許します。滝井義高君。
  5. 滝井義高

    滝井委員 ただいまいただきました自衛隊法案要綱防衛庁設置法案要綱とも極秘刻印が押されておりますが、現在日本にはまだ防衛機密法もなければ軍機上の機密もないのでございますが、なぜこれに極秘刻印を押さなければならなかつたか、御答弁を願います。
  6. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。これは閣議に提出いたす前に、部内において取扱いを慎重にいたしたいと考えておるのでありまして、部内から往々にしてこれが漏れることはさしつかえを生じます。閣議前の取扱い部内において慎重にするがために極秘の判を押したのであります。
  7. 滝井義高

    滝井委員 閣議にかける前にこの取扱いを慎重にするために極秘を押したのであつて、対社会的に見れば、これは何でもない、こういう意味なのです
  8. 木村篤太郎

    木村国務大臣 対社会的にいう意味ではない。閣議決定する前にこれが部内から漏れることは厳に慎まなければならぬ。さように考えております。
  9. 滝井義高

    滝井委員 三党の防衛折衝については、すでに対外的に、先般この委員会においても、中曽根君は堂々と発表された。しかもその三党防衛折衝の線に沿つて大臣は案をつくると言われておる。従つて大体において、その基本的な精神あるいは要綱になる程度のものは、世間に周知しておるはずなのです。それをなぜ部内だけで極秘でやらなければならぬか。すでに三党防衛折衝については、中曽根君が予算委委員で、公開の席上で発表しておる。今になつてここに麗々しく極秘を押さなければならぬというのは矛盾するではないか。これはどういうわけでございますか。
  10. 木村篤太郎

    木村国務大臣 矛盾でも何でもありません。これは閣議前において部内において取扱いを慎重にするのは当然のことであります。これは三党折衝保安庁においても参考にしてやるのであります。そのままうのみにしてやるのではありません、さようなことが閣議決定前に部分から漏れるということは、私は官紀粛正上よろしくないと考えております。
  11. 滝井義高

    滝井委員 しからば質問に入りますが、現在出されましたこの要綱から見てみましても、今までの保安庁法改正といわんよりか、三つの新しい法律が制定をせられるという感じが非常に濃厚なのでございます。保安庁法改正という名をもつて、こういう重要な法案を出すことは、どうもさぎをからすと言いくるめるような状態だと思うのですが、大臣はこれは保安庁法改正だと思われますか。
  12. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。保安庁法内容を十分に検討いたしまして、それを今度の防衛庁設置法及び自衛隊法に織り込んだわけであります。実質上は改正と申してもいいのでありましようが、これは形式上においては別個の二案を提案いたしたわけであります。
  13. 滝井義高

    滝井委員 別個の二案を提出した、こういうことでございますが、しからばこの二つの要綱から考えまして、自衛隊というものは主として直接侵略に当る、こういう形が非常に強く要綱においても打出されておるようでございますし、大臣の今の御説明でもそういう感じを受けたのでございますが、できる自衛隊治安任務というものを第一義とするのか、それとも防衛任務第一義とするのか、あるいはそれらのものをいわば雑然と並行的に行うのか、どこにこの自衛隊の重点というものが置かれておるのか、これをひとつ説明願いたいと思います。
  14. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。この防衛庁設置法並び自衛隊法において織り込んだ目的並びに任務は、いずれを重くするかということは考えておりません。外部からの侵略に対してこれを防衛することを任務とし、また国内の治安維持に対してもこれを任務とする、並行的にこれをうたつておるわけであります。
  15. 滝井義高

    滝井委員 自衛隊が直接侵略に対抗する、こういう形が出て参りますと、今までの保安庁あるいは保安隊とは、一応形式的には似たところがあるにしても、実質的には非常に違うところがあるわけです。そうしますと、現在の保安庁職員あるいは保安隊員というものは、こういう直接侵略に当るためにみな国契約をして入つたものではありません。従つて保安隊員あるいは保安庁職員の中においては、大臣考えておるのとはいろいろ感情上の食い違いが出て来るのじやないかと思うのです。世間には、現在の保安庁職員あるいは隊員を全員自然退職せしめて、新しくできるところの防衛庁職員あるいは自衛隊隊員というものについては、宣誓をした上で採用するのだ、こういうことが言われておりますが、はたしてそういうことをやるのかどうか。
  16. 木村篤太郎

    木村国務大臣 新たな採用の形式はとらないつもりであります。私は今の保安隊並び警備隊に勤めている人は、かような任務を新たにつけ加えられても、すべての者は了解すると考えております。従いまして引続いてこれを任用して行くつもりであります。ただ目的任務がかわつたから去りたいという者は、あえてこれを私は追いません。その人たちはやめてよろしい。しかし今度この法案が通過いたしましたあかつきにおいては、あらためてこの趣旨隊員に十分徹底せしめまして、宣誓をした上で引続いて任務についてもらうことにしたいと思つております。
  17. 滝井義高

    滝井委員 宣誓をして、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つために、直接あるいは間接の侵略に対抗するところのもの、すなわち国土防衛に当る任務をそれらの隊員は付与せられることになるわけでございますが、そうしますと、今までの保安隊は国の秩序維持を主とする、きわめて警察的な任務が主たるものでありました。ところが今度は、この防衛庁あるいは自衛隊という形になつてみますと、大臣が、それは治安あるいは防衛、両方やるのだ、こう言われたにしても、この比重というものは国土防衛を主眼に置くことは、これはもう明白でございます。そうしますと、非常に警察的な色彩から軍隊的な色彩が濃厚になつて来ることは当然です。三党防衛折衝においても、改進党はこれを戦力のある軍隊と言い、吉田総理戦力なき軍隊と言い、そこにお互いに食い違いが生じておつたわけです。自衛隊軍隊的な色彩が濃厚になつた場合に、大臣は、憲法わくに依然として戦力のない軍隊として納まる、国民がそれで納得をして、その納得の上に立つて宣誓までしてこれにどんどん入つて行くという情勢が、そういうごまかしのもとにおいてできるとお考えになるかどうか、この点をもつと率直に御答弁願いたい。
  18. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。私はごまかしとも何とも考えておりません。戦力なき軍隊、これはどういうことでそういう言葉が出たか、私は了解に苦しむのであります。われわれの言つているのは、戦力に至らざるものと考えております。そこで今度保安隊自衛隊になりましても、われわれはまだ戦力に至らざる程度のものであろうと考えております。従いまして憲法の問題はここに論ずる余地はない、私はこう考えている次第であります。
  19. 滝井義高

    滝井委員 戦力に至らないところのその軍隊に、幕僚会議をつくり、国防会議をつくることになつております。しからばまず国防会議についてお尋ねしなければなりませんが、国防基本政策、あるいは防御出動可否、その他重要事項について、おそらくこれは内閣総理大臣を補佐するのであつて内閣総理大臣が一応昔の統帥権指揮監督権を握るわけですから、補佐することがこの国防会議の役目になるだろうと思いますが、要綱にも書いてございますが、この国防会議は大体どういう目的を持つているものか、しかもその権限はどういうものなのか、その構成はどういう構成になるか、これは総理の単純な諮問機関なのか、それとも現在の機構の改革において総理大臣が警察を握り、あるいはこの自衛隊を握るということになれば、非常な独裁的な権限を握ることになるのであるが、この国防会議は一種の総理に対する牽制機関としてつくるのか、こういう点をひとつ具体的に御説明を願いたいと思います。
  20. 木村篤太郎

    木村国務大臣 この国防会議につきましては、われわれの構想では、この内容等について別の法律規定いたしたい、こう考えております。そこで申し上げたいのは、国防会議の性質であります。これは内閣総理大臣諮問機関といたしたいと考えて、おります。決して決議機関であつてはならぬ。諮問機関といたしたいと考えております。
  21. 滝井義高

    滝井委員 今の答弁ではその目的その他がどうもはつきりしないのです。大体においてその構成人員というものは、どういうもので構成するのか。単に総理諮問機関といつても、この構成が、世間に伝えられるところによれば、三分の二は文官でするが、三分の一は、昔のいわゆる武官、こういうものでもいいのだというようなお話もあるのです。その構成大臣はどういう構成にするつもりであるか。
  22. 木村篤太郎

    木村国務大臣 大体要綱においてお示しをしたような人をもつて構成いたしたいと考えております。要は内閣において特に国家防衛関係のある閣僚を主といたしたい。これに加うるに、統合幕僚会議議長は出席して、その意見を求められたら述べるようにいたしたいと思います。そこでこれに民間の人を参加させていいかどうかということは、大きな問題があるのであります。この点につきましては、別に法律をつくるときに十分慎重に考えて、それらのものを決定いたしたい、ただいまのところそう考えております。
  23. 滝井義高

    滝井委員 御存じのように、最近における兵器の発達というものは、これは軍の作戦に非常に重大な影響を持つております。従つて当然これは経済閣僚あるいは治安担当閣僚総理、その他幾分民間人も考慮したいということでございますが、この中に保安庁のいわゆる昔の軍人、今度は何と言うか、自衛隊首脳部、いわゆる武官ですが、そういうものが当然加わると思いますが、それは加わりますか。
  24. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいま申し上げました通り、それに加わる者は、私の今の構想では統合幕僚会議というものが設けられますが、その議長が出席し得ることになつてつて意見を求められれば意見を申し述べるという建前をとつておるわけであります。
  25. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、いわゆる武官というようなものは統合幕僚会議議長一人であつて、他は武官と名のつく者は出席しない、これには加わらないという意味ですか。
  26. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいまの構想ではその通りであります。
  27. 滝井義高

    滝井委員 次に統合幕僚会議についてでございますが、この統合幕僚会議権限というものは、単なる委員会あるいは会議体程度のものにするのか、それともそれに相当の権限を与えて、そしていわば日本自衛力推進機関とでも申しますか、そういうものにするのか、この新たにできる統合幕僚会議構想をひとつ説明願いたい。
  28. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。統合幕僚会議は、これは長官補佐機関であります。別に長官から独立したものではありません。われわれはどこまでも政治軍事に優先するという建前をとつております。すべて長官を別にしてさようなものに独自の決定権を持たせることは企図いたしません。すべて長官補佐機関としてやるのであります。これらの会議できまつたことは、長官においてこれを取捨選定いたして、最後的の決定をすべきものと考えております。
  29. 滝井義高

    滝井委員 次の質問に入りますが、この自衛隊統帥権と申しますか、あるいは隊員服務紀律あるいは階級制を設ける、あるいは防衛出動の際の武力行使に訴えることができる権限を今度与えられる。さらに志願予備制というものを設ける、こういうことになりますと、現行の保安庁法とはまつたく異なつておることは、さいぜん来の御説明でよくわかつておるのでありますが、外敵侵略、いわゆる直接侵略に対して、国会の事前あるいは事後承認出動することになるわけでありますが、その際国境を越えて海外出動することができないという規定を、今度法律ができるときにこまかくつくるのかどうか、この点をひとつ説明願いたい。
  30. 木村篤太郎

    木村国務大臣 これは日本憲法建前並びに防衛庁設置自衛隊の創設、これらの目的から勘案いたしまして、さような規定は設ける必要は毛頭ないと私は思います。
  31. 滝井義高

    滝井委員 そういう海外出動することのできないという一項を入れる必要がないということになりますと、裏を返せば国土防衛の名のもとに海外出動も不可能ではないということになるわけです。古来兵勢いなりという言葉があります。武力行使を公然と認められたところの防衛出動が、国際的な紛争に巻き込まれないという保証はできないことになるわけです。そこで国際紛争の解決の手段として、私たち武力行使というものを、憲法九条で永久に放棄しておるわけです。そうするとその関係はどうなりますか。いよいよ防衛出動して、海外に出て行かなければならないという事態というものは、兵は勢いでございますから、これは確実に起つて来るといわなければならない、その場合大臣はこれと憲法との関係をどうお考えになつておりますか。
  32. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。さような懸念は毛頭もない。私は先ほど申しました政治軍事に優先する建前をとつております。すべてこの国会が中心になつて働くようになつております。内閣総理大臣が出勤の命令を出す場合においても、原則として国会承認な得なければならぬ。しかも緊急やむを得ぬ場合において出動した場合にしても、国会事後承諾を得なければならぬのであります。これらのことを勘案いたしまして、さような懸念は毛頭もない。日本政治がしつかりしておれば、さような懸念というものは私は起るべきものでない、こう考えます。
  33. 滝井義高

    滝井委員 どうもこれ以上言つても水かけ論になりますが、しからば共同作戦考えられる。われわれがMSAの援助を受ければ、われわれは自衛力漸増を期待されておつたけれども、今後はこれは一つの義務となつて積極的に自衛力漸増をやつて行くことになる。そうすると当然その過程において、現在アメリカにおいても、日本がもし海上自衛隊を持つたならば防御水域というものを設定して日本に持たせるべきだ、たとえばフイリピンとハワイと日本列島の中間を結ぶ、こういう東南アジアの海域を防衛水域として日本に持たせるべきだという論さえ起つております。そうしますと海上自衛隊アメリカ海軍との共同作戦というものが、一定の地域に対して当然行われると思います。   〔委員長退席西村(直)委員長代理着席〕  われわれは日本のこの近海以外には絶対外に出て行かないという保証はできないと思うのですが、こういうアメリカ海軍との共同作戦についてはどうお考えになりますか。
  34. 木村篤太郎

    木村国務大臣 不幸にいたしまして外敵の侵入がありました場合に、御承知通りアメリカ駐留軍日本防衛の任に当るのであります。そこで共同ということが起つて参ります。確かに参ります。しかしその場合においては十分に両者協議の上に、どういう方策をとればいいかということを研究いたしたい、こう考えておるのであります。決してアメリカの言うがままに日本自衛隊が動くものでないということを御了承願いたいと思います。
  35. 滝井義高

    滝井委員 アメリカ共同作戦をとることはあり得るということを言わました。しからばいわゆる海外への防衛出動ということが、共同作戦わく内においては当然予想せられることになるわけなのでございますが、その共同作戦海外出動との関係というものをどういうぐあいに調整しますか。単に国会だけの意向では……。兵は勢いであります。かつて林銑郎大将でありましたか、国境を越えて、そして切腹をするべく腹を開いて刀を上げて上奏した話も聞いておりますが、兵は勢いで、その責任者が腹を切つて申訳をすればそれで済むというわけには参りません。この間のあれをもつとはつきり法律で明記しなければならぬと思いますが、大臣のお考えはどうですか。
  36. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。林銑郎大将北鮮越境の問題も承知いたしておりますが、当時と今とは時勢が全然かわつております。御承知通り、現在においては何としても政治が優先であります。国会議員がしつかりしておつてこれをにらんでおれば、さような憂いは毛頭もありませんと私は考えます。これはつまり政治の大きな力だ、こう私は考えております。
  37. 滝井義高

    滝井委員 最後にお尋ねします。こうして大臣は非常な勢い自衛隊法要綱あるいは防衛庁設置法要綱を出されました。しかし現在こういう場合に、法律は出て参りますけれども、保安隊の実情、あるいは船の建造状態等を見ると、二十九年度の予算には百十三億出ておますが、二十八年度の船の建造さえもできていません。これはまた契約もできていないことは、先日の分科会ではつきりなりました。あるいは現在の保安隊状態を見ても、二万人ふやすというけれども、毎月々々の保安隊の状況を見てみると、五千、六千の欠員なのです。こういう二十八年度の予算を、国会国民の血税の中から認めたにもかかわらず、その十六隻の船は一隻もできていない、しかもなお現実においてできていないばかりでなくして、契約も結んでいない、契約を結んでいないどころか、船の基本設計さえもできていない、こういう状態。しかもその一隻の船が二十四億もかかる、あるいは十六億もかかる警備船、これらのものに今からかかつたにしても、これはできるのはおそらく昭和三十年の中ごろにしかできない、あるいはもつとかかるかもしれない。そういうよようにまだ二十八年の船もできていないのに、二十九年度の予算威たけだかに提出をしておる。あるいは保安庁職員はここに見てみますと、昭和二十八年の四月にはすでに四千九百五人という欠員がおる、あるいは昭和二十八年十二月において七千五百七十人、これをずつと平均してみても四千九百三人の欠員がおるという状態なのです。こういう状態は現在一兆円予算を審議をして、国民に耐乏生活を求めておる、あるいは自衛力漸増というのは、保守党としては至上命令かもしれませんが、しかしこういう苦しい財政の中から、大臣はもつと良心的に建造予算を削減をして国会に出す、あるいは保安庁のこういう五千人以上の人員が余つておるというならば、それをもつと具体的に予算を削減して出すということが、ほんとうの今後の日本自衛力の強化を担当する大臣の態度ではないかと私は思う。こういう点大臣はどうお考えになりますか。こういう厖大な法案を出す前に、もつと予算を検討をして、こういうものを出して出直して来るべきだとわれわれは思う。どうお考えになるか。
  38. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。私は良心的であればこそ建造も多少時日は遅れておるのであります。御承知通り国としてどこにこれを請負いさせるかということが大問題であります。予算案が通過したのは去年の秋であります。その後私は鋭意設計に従事さしております。特にお考えを願いたいのは、この船は日本で終戦後初めてつくる特殊船であります。普通の船をつくるのではありません。この船はやたらに金を使つてつくらせるということは私は良心的にできません。綿密な設計をやらなければならぬ、設計協会の人たちの総力をあげてやつておる、しかもこれは随意契約によるべきであるか、あるいは指名競争入札にすべきであるか、これも考えなければならぬ、かつてにやらせてはいけません。私は常に金が安くてしかもいいものをつくりたい、これは木村の精神であります。安くてもつまらぬものをつくられては困るのであります。いいものをつくつても高くては困るのであります。安くていいものをつくりたいというのが私の精神であります。そこでこの設計な綿密にやれ、あらゆる観点からやれと私は指示しております。これに遅れた一つの原因があるのであります。そしてこの請負者をどこに求めるかということについても慎重にやれ、国民の血税を使うのであるから間違つてはいかぬ、そこで私は決定を遅らしております。近くこれは決定したい、こう私は考えております。
  39. 西村直己

    西村(直)委員長代理 小平忠君。
  40. 小平忠

    ○小平(忠)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま政府から自衛隊法案要綱並びに防衛庁設置法案要綱が提出されたのでありますが、ただいまこの両法案要綱の提出によりまして、時間がないために内容を詳細に検討する余裕はないのでありますが、私が一見この内容を見ましたその感じ方は、これは憲法第九条の規定並びにわが国平和憲法の精神を、根底からゆすぶるところの重要なる問題であると私はまず冒頭に断言せざるを得ない。従いまして時間があまりありませんから、きわめて重要なる点を保安庁長官にお伺いをいたしたいと思うのであります。  まず第一に、政府が今回従来の保安隊自衛隊に切りかえるという案でありますが、わが国の内外の情勢からして、保安隊自衛隊に切りかえてこれを強化、強力にしなければならない、これを増強しなければならないという理由が一体どこにあるのか、まず長官にその理由を承りたいのであります。
  41. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。私は常に考えておるのであります。いずれの国におきましても独立国家たる以上は、外部からの侵略に対して、適当にこれ々防止する手段を講ずるのは当然であります。いずれの国においてもしかりであります。日本も独立国家になつた以上は、日本がみずからの手によつてみずからの国を守るだけの体制はとつて行かなければならぬと考えます。しかも国際情勢はきわめて微妙であります。御承知通り冷戦は一時後退したような感は受けます。しかしながらこの裏を見ますと、決して私は楽観を許さないものがあると確信しております。しかもわが国周辺の軍事情勢を見ますと、われわれも相当の覚悟をもつて日本の国内体制を整えて行かなければならぬと考えております。しかも国内においてもいろいろ危険分子があることは、小平委員も十分御承知のことと考えております。さような観点からいたしまして、われわれは日本の財政力その他の諸点から考慮して、許される範囲内においての防衛体制を整えるべきである、こういう信念を持つておるのであります。従いましてこの防衛庁設置法案並びに自衛隊法案におきまして盛られたものは、私はやはり日本の置かれたる地位、国際情勢、日本の周辺の軍事情勢その他を勘案いたしまして当然な処置であろう、こう考えております。
  42. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの長官の御説明によりましては、私は従来の保安隊自衛隊に切りかえなければならぬその理由の何ものも見出せないのであります。国際情勢がきわめて微妙である、あるいは国内に危険分子がおる、大臣はそのようなことを軽々しくおつしやるけれども、私はもつと根本的にわが国が置かれている立場というものを考えてみたときに、単に保安隊自衛隊に切りかえたからという理由によつて、それらの問題は解決されるものではないと思う。  そこで私はきわめて重要な点をまず最初にお伺いしたいのでありますが、この自衛隊法案要綱によりますと、第六に行動に関する事項として、「内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃に際して、わが国防衛するため必要があると認める場合には国会承認を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる」こう規定されておるのでありますが、この規定によりまして、もし自衛隊出動するというような場合において、従来のいわゆる敵対行為すなわち交戦行為でありますが、その敵対行動におきまして必ず起り得るところの捕虜その他の取扱いは、いかように考えになつておられるのか、これはきわめて重要な点でありますので、この際承つておきたいと思います。
  43. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。これは国際法上の問題でありますが、国際法上の取扱いといたしましては、私は国際法規に基いて取扱いの方法をとられ得るものと確信いたしております。朝鮮事変のようなことを御想像くださればきわめて明瞭であろうと思いす。
  44. 小平忠

    ○小平(忠)委員 国際法上の適用を受ける。そういうことになりますと、かりに軍隊というものと自衛隊というものの区別がどこにあるか。これは非常に政府当局が従来憲法第九条の条章に違反をしてはならないということを念頭に置いて言葉の魔術、言葉の上でのごまかしをやつているのであるが、しからば軍隊自衛隊が国際法上においてどのように違うのか。この点について見解を承りたいと思います。
  45. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。これまで私はしばしば申し上げているのでありますが、一体軍隊とは何ぞやということです。露骨にいえば、鉄砲かついだ兵隊さん、鉄砲をかついでいればそれをすぐ兵隊さん、軍隊と言うが、これなんであります。そこで直接侵略に対処し得るものを軍隊と言うのであるというならば、自衛隊もまた軍隊言つてよかろうと思います。これのみをもつてすれば、これは言葉関係であります。そこで日本憲法におきましては、いわゆる憲法第九条第二項の末項の規定において交戦権を否認しているのであります。  この交戦権はややともすれば非常に間違い――をいくさをする権利を放棄したというが、そうではないのであつて、交戦国として持つている権利を放棄するということであり、これは私は非常に今後の問題になろうと考えております。その点においていわゆる純粋の軍隊でないと言えば言えるであろうと考えております。ここが問題であろうと思います。ただ軍隊というものはどんなものであるかという定義いかんによるのでありまして、自衛隊は直接侵略に当るのだから――軍隊という意味じやないが、私は言つてもいいと思います。これは言葉のあやなんですから。ただ交戦権を否認されている。それだから交戦権を否認されている以上は、いわゆる純粋の本格的の軍隊ということは言えないだろう。こう私は常に言つている。今においても私はその考えはかわつておりません。
  46. 小平忠

    ○小平(忠)委員 長官はただいま軍隊言つてもよろしい、だんだん仮面をはずして来ている。しからば私はきわめてこれは重要な問題でありますから、明確にお答ていただきたいと思います。この自衛隊法案要綱の第七の権限に属する事項の中で「防衛出動を命ぜられた自衛隊は、わが国防衛するため、必要な武力行使をすることができる」とあるのでありますが、憲法第九条の第一項には「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」、第二項に「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」この憲法第九条規定に対して、ただいま政府から提出されました自衛隊法案要綱の第七のわが国防衛するため必要な武力行使をすることができるとあるので、ありますが、これは憲法第九条に違反いたしませんか。
  47. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。違反いたしません。憲法第九条第一項の武力行使武力による威嚇は国際紛争を解決する手段としてはこれを行使しない。保安隊はあるいは自衛隊国際紛争の解決の手段としてこれを使用するわけじやない。いわゆる不法なる外部侵略に対して防衛の任に当ろうというわけであります。この規定をもつて私は決して自衛隊をかくは言えない、とこう考えている。ことに申上げたいのは、この憲法第九条の規定によつて日本の国家は自衛権を否認されているわけではありません。申すまでもなく、平和条約第二条並びに国連憲章第五十一条において、明確に自衛権を日本は持つことを承認されております。自衛権は否定されてない。その自衛権の裏づけは何かというと自衛力なのです。これは国際紛争解決の手段としては行使することはできませんが、不当なる外部侵略に対しては、十分に対処し得る力を発揮することができると思います。
  48. 小平忠

    ○小平(忠)委員 ただいまの大臣答弁は詭弁であります。あなたは提出された法案要綱の第六をごらんになつておりますか。第六項には「内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)に際して、わが国防衛するため必要があると認める場合」、外部からの武力攻撃ということは、これは国際紛争を解決する手段でないと断言することはできない。長官はいかなる理由によりまして、この第六の行動に関する事項と第七の権限に関する事項をお考えになつているか。自衛隊国会承認を得、あるいはこの規定によりますと、緊急の場合には事後承認でも出動できるなら、外部からの武力攻撃に対して出動するという場合に、一体これを国際紛争の解決手段でないという理由がどこにあるか。これはきわめて重要なる問題であると思う。この解釈をいかようにされているのか。これでも一体自衛隊というものが憲法第九条の規定に違反しないのか。さらに明確なる御答弁を願います。
  49. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。申し上げた通り外部からの不法侵略には日本自衛隊を使うことは当然であります。日本が独自に国際紛争解決の手段として自衛隊出動させるということは憲法違反である。そうでない。外部からの不法侵略に対してパツシヴに日本自衛隊を使うことは、何も憲法違反にならぬと確信しております。
  50. 小平忠

    ○小平(忠)委員 それは長官がいかにおつしやられても、憲法第九条第一項は、すなわち「武力による威嚇又は武力行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する。」この事項は、たとい自発的にみずから侵略的に出ようが、あるいは外部からの武力攻撃を受けようが、国際紛争を解決するという手段においてはかわりない。これはもう政府当局は最後のどたんばまで追い詰められている。私は従来の自由党のいわゆる防衛力の漸増計画というものと、改進党の防衛力の考え方というものは、基本的にはかわつてないと思う。ただ改進党の防衛力の問題については、明確に憲法改正して自衛隊を持てという。再軍備をせよという。自由党の考え方は、まさに同じではあるのだけれども、今憲法改正して、はたして国民の輿論が憲法改正するところまで行くか、行かない場合には、どうするかという心配があるから、結局何とか言葉のあやでこの自衛隊をごまかそうとしている。いよいよこの段階において、ごまかしがきかぬと思う。この自衛隊法案要綱なりあるいは防衛庁設置法案要綱によつては、ごまかしがきかない。それも改進党が野党で食い下つて、数が非常に危険な段階においては、様子をうかがいながらなかなかこれを出さない、ところが先般来二党防衛折衝が続けられて、今回ようやく結論に達した、大体改進党の協力を得られそうであるということから、政府はこの要綱を出そうとしたのだ。この要綱そのものは断じて憲法第九条違反である。  木村保安庁長官にさらにお伺いいたしますが、一体国際紛争を解決する手段というものは、みずから侵略的な行為に出る場合のみ規定していると解釈されるのか、あるいは外部から武力攻撃を受けた場合であつても、それは国際紛争を解決する手段として武力行使いたさないのか。   〔西村(直)委員長代理退席、委員長着席〕 これは非常に重要な点でありますから、私はこの問題について木村保安庁長官の、すなわち憲法第九条に規定する国際紛争解決の手段としての武力行使に関し、この自衛隊要綱の第七にあります「必要な武力行使をすることができる」という解釈について、明確なる御答弁をこの際願つておきます。
  51. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。結局憲法第九条題一項の規定は、積極的に日本国際紛争解決の手段として武力行使しない、外国の侵略に対して日本が対処することは、決して積極的に国際紛争を解決しようとする手段でも何でもありません。これははつきり区別すべきであると考えます。これは小平君もこの規定を十分玩味されれば、十分御了解はできると思います。繰返して申し上げます。日本が積極的に国際紛争を解決するためには武力は用いない、それ以外に日本が外国から不当な侵略を受けた、これに対して対処するというこは、この規定において排除しておるわけでも何でもありません。その点を私は繰返して申し上げておきます。
  52. 小平忠

    ○小平(忠)委員 一体政府閣僚、特にわが国治安維持なり防衛等について、その責任を負う最高責任者たる保安庁長官憲法の解釈については、私はただいまの発言は実に恐るべき発言であると思う。一体「国際紛争を解決する手段としては」と憲法規定するこの条項というものは、外部からの攻撃を受けようが受けまいが、これはそういうことを規定しているのではない、この条項を見ますと、明らかに「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とある。しかるにこの要綱によりまして、自衛隊外部からの攻撃があれば出動ができ得るのだ、あるいは武力行使もでき得るのだ、こう規定しております。一体これはいわゆる武力行使でない、憲法第九条に抵触しないのだ。これにおいては何をか言わんやであります。  私は時間がありませんからこれで私の質問は終りますが、最後に申し上げます。すなわち保守三党によるところの防衛折衝が大体の成案を得て、ここに要綱が出されておりますが、私はこの要綱に基いて近くMSAの協定がなされる、さらに具体的なアメリカからの軍事援助を受ける、さらに軍事顧問団の問題、さらに二十九年度の防衛費の内容を検討するときに、またこの防衛庁設置要綱によりますところの防衛庁の定員の問題、これらを考えてみると、わが国の将来を誤るところの重要なる問題であります。従つて政府がこの要綱を出したことについては、もちろん腹をきめてかかつておられるであろうと思いいまけれども、私は今全国民の批判を受ける段階に来ていると思う。従つて私は重要なる問題についてはさらに後刻にその質問を譲りまして、以上重要な点だけを申し上げまして私の質問を終ります。
  53. 倉石忠雄

    倉石委員長 黒田寿男君。
  54. 黒田寿男

    ○黒田委員 このような重大な法案要綱を突然私どもの前にお示しになつたのでありますが、問題が問題でありますだけに、私どもはきようはこの法律内容にわたつて質問申し上げますことはその時期でもないと思いますし、また私にはその時間もないのでございます。そこで予算案との関連におきまして若干形式的な問題だけについて、お確かめ申し上げておきたいと思う。私はきよう突然この要綱なるものを見まして、一体なぜこういうものを突然出されたのか、意味がよく私にわからないのです。昨日当委員会において提起せられた問題は、この要綱の提出によつては答えられていないと私は思うのです。昨日の予算委員会における論点は、保安庁経費というものに対する法律上の根拠がないではないか、それがなければ予算の進み方がないではないかというのが昨日の問題点であつたと思います。そういう観点から見ますと、私はこの法案を突然お出しになつたことは、何ら昨日の問題点に対して答えたことにならぬ、こう私は思う。それを確かめるために私はお尋ね申し上げておるのであります。  第一にお尋ねしますが、本日提起されるものは少くとも閣議決定に基く要綱であるように考えておりました。ところがただいま承るところによりますと、これはそういう決定を経たものではなくて、単なる保安庁の案だ、こういうように承つたのであります。念のためにもう一度。
  55. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。お手元へまわつておる案は閣議決定を経たものであります。
  56. 黒田寿男

    ○黒田委員 それではその点ははつきりしました。  次にこれは三党折衝の完全な一致によつたものであるかどうかという、この点をお聞きいたします。もしそういうものでないとすれば、後日この要綱内容は変更せられる可能性があるのではないかという疑いが起るのです。この要綱案の通り法律案はできるのだというように、はつきりとそこまで断言できるものであるかどうかということについては、私どもは疑いを持つておるのであります。そしてなおこの要綱の中にあります、たとえば国防会議というような重要な一つの機関につきましても、まだ三党の意見は一致していないというように承つておりますので、従つてこの要綱だけでは、それがこの通り法律案になるものということの推論をなし得ないのではないか、まだ疑問をいれ得る余地があるのではないかということを承つておきたいと思います。
  57. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。お手元へまわしておる案は三党において話し合つた大体の筋であります。それに基づいてわれわれは今せつかく法案をつくりつつあります。
  58. 黒田寿男

    ○黒田委員 この要綱がむろん法律案と言い得られないことは、これは形式上から見ても明らかであると思います。自衛隊に関する法律案が提起されておるということは、私は自衛隊予算を審議する根拠になると思うのでありますけれども、そういうような観点からいたしますれば、まだきようこの程度要綱を提出されたのでは、法律案の裏づけが予算に対しなされておると見ることは、厳格に考えましてできないと私は思う。この点をどうお考えになりますか。
  59. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。予算関係のあるものは、これは全部出ておると私は考えております。
  60. 黒田寿男

    ○黒田委員 そういうことをお尋ねしたのではない。自衛隊予算を要求するためには、少くとも自衛隊に関する法律案が提出せられておることが必要だ、こう私どもは考えます。少くとも並行審議の形における程度までは、法律案としての存在が認められていなければ、私どもはその法律に基く経費の審議をしようと思いましてもなし得ないのです。このことが私は昨日の問題点であつたと思いますが、この要綱ではそれにこたえるものではない。依然として経費の根拠となる法律案は欠如しておる、こう私どもは解釈しなければならぬ。それに対してもつとはつきりとお答えを願いたい。
  61. 木村篤太郎

    木村国務大臣 この要綱は大筋を全部掲げておるつもりであります。これに基いて私らは法案をつくつておるのであります。予算の御審議には支障を来さないものと私は考えます。
  62. 黒田寿男

    ○黒田委員 私どもは法律案の存在を必要だといたしますし、ただいまの木村長官のお話では、法律案でなくても、ただそれを予想し得られるような若干の案ができておればそれでいい、こうおつしやるのでありますから、私はこれは非常に重大なる意見の開きであると思います。私はその御意見に承服することができませはん。  最後に一つだけお伺いしたい。それは、これも形式的な問題でありますが、この要綱によりますと、自衛隊は直接侵略に対し、国の防衛に当る制度となるものでありますから、保安庁法と、ただいまお示しになりました自衛隊法案ないし防衛庁設置法案とは、本質的にその内容を異にするものであると私は思うのであります。そこで保安庁法との関連においてこれを研究いたします場合には、この二つの法律案――かりにこれが法律案となつて出て参りました場合におけるこの法律案は、保安庁法改正と見るべきではなくて新たな法律の制定だと考えなければならぬ。私はそう考えるよりほかに考える道はないと思うのであります。これを保安庁法との関係から見て、保安庁法改正案であるか、それとも保安庁法というものをやめて新たにこの二つの法律を制定するものであるか。(「さつき質問したじやないか」と呼ぶ者あり)しかしこれはもう一度確かめておかなければなりません。非常に重要な点であります。最後の問題といたしましてぜひこの点をお答え願いたいのであります。木村長官にお答えを願います。
  63. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 先ほど木村長官からお答えいたしましたように、直接侵略に対抗する権限というのは、この法案によつて明らかに附加されることになるわけであります。
  64. 倉石忠雄

    倉石委員長 黒田君、もう時間が参りましたから……。
  65. 黒田寿男

    ○黒田委員 そこで私がお聞きしたいのは、保安庁法改正であるか、そうでなくて新たな法律の制定であるか、この点をひとつはつきりとお聞きしたい。
  66. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは法律の立法技術の問題でございますけれども、私どもといたしましては、改正の形で行きたいとただいまのところ考えております。
  67. 倉石忠雄

  68. 葉梨新五郎

    ○葉梨委員 私は総括質問に締めくくり質問としまして、ごく簡単に一、二点総理並びに関係閣僚にただしておきたいと思うのであります。  その第一点は、食糧増産対策に対しまして、わが党はかねがね絶大な努力を払つてつたのでありますが、特に緊縮予算の際における増産対策のあり方というものに対しまして、さらに特段の配慮を払うべき必要があるのではないか、こういう考えを持つておるのであります。(「自由党は何もしてないじやないか」と呼ぶ者あり)お聞きなさい。――そこで大体増産対策の行き方といたしまして、私は恒久対策と応急対策との二つにわけて、この緊縮予算趣旨から考えて行きますときには、でき得る限り早く効果の上るべき性質のものに、予算をでき得る限り多くまわす。そうして効果をあげるということが特に必要ではないかという考えをもちまして、今回二十九年度の予算考えてみますると、この点に対してさらにわれわれは特段の考慮を払うべき必要があつたのではないか。今後これらにつきまして特に研究を行い、これらの不備を補う食糧増産を一日も早く軌道に乗せて行きたい、かように考えるのであります。土地改良、開墾、干拓、あるいは品種の向上というような、これらの基本的要件はもちろん必要なものでありまして、これらに対しては、特に予算の面におきましても特段の考慮を払つておるのでありますが、これらはいずれもある程度の恒久的な対策であります。このほかに応急的の対策としましてのわが党がかねがね主張して参りました耕土の培養、自給肥料の対策、あるいは病虫害対策、こういう面につきまして、予算の面におきましても、なるほど一応増額はされておる。増額はされておりますけれども、これはどうもまだくその軽重の度から行きますと、非常に軽く扱われておるような感じがいたすのであります。私は一例を耕土の培養の点にとつて申し上げてみたいのでありますが、わが国の耕土中、酸性土壌の点について考えてみましても、畑地におきまして百六万町歩、水田におきまして百六十九万町歩、合計二百七十五万町歩となるのであります。本年の農林省の調査員の基本調査の結果によりますと、これはさらに増しておるような状況であります。あるいはまだ集計ができ上つておらぬかにも聞くのでありますが、私どもの調査では畑地が百六万町歩になつておりますが、基本調査の結果は百三十万町歩になりそうだ。水田におきましても、われわれの調査では百六十九万町歩というふうに、計算するものが、基本調査では二百五万町歩と増加するような傾向にありますけれども、かりにこれを先ほど申し上げました二百七十五万町歩に見ましても、この耕土の培養をやりますためにはどのくらいの予算がかかつておるかと考えてみますると、開拓地の改良資材費――これは石灰と燐酸をおもに改良に使用しておるのでありますが、これは反当二千四百円、一般の既耕地の改良資材費が反当千百二十円、平均反当千八百十円というのが予算に盛られた計数であります。この計数によつて考えてみますると、さつき申し上げました二百七十五万町歩の耕土を改良するために要する費用は四百九十七億、約五百億弱であります。これをもつてしますれば、全国のわが国の耕地は、耕土の酸性化しておるところとか、あるいは秋落ち田とかいうように、非常に減収をしておるところのものが改良せられることになつて、それらの耕地がすべて増産をし得ることになるのであります。かりにただいまの目下政府予算面に盛つておりまする経費をもつて見ましても、これを五百億の金をもつてしますれば全部改良が行われる、こういうことになるのでありまして、この五百億のうち国の負担に属するものはその半額弱であります。半額弱をもつてこれをなし得るのでありまして、かりに半額といたしましても、二百五十億あれば足りるということに相なるのであります。しかしてこの二百五十億の経費をかけることによつて、畑地及び水田の全耕地がいずれも増産をする。その増産の率はどういうことになるかと申しますと、これは地方地方によつての実例はいろいろございますが、わが党の高橋圓三郎君の主張によりますると、島根県におきましての実例から行きますと、反当一石の増収であるということになつております。土地によりまして、ことに開墾地等におきましてはこの土地改良をやつたとやらずにおいたとでは非常な差があるのでありまして、私どもは、大体反当平均しまして八斗、四斗俵にして二俵というように見て行くのが妥当ではないか、かように見ておるのであります。かように見て参りますると、二百七十五万町歩全耕地の土壌改良が行われました際には、これを生産石数に換算いたしますと、単作といたしましても二千二百万石の増産――計数通りに行きますればこれだけに行くのであります。わが国の人口が年々百数十万ずつふえるといたしましても、これだけの増産を一気に仕上げ得るということになります。さしあたつてはもちろん国際貸借の改善に非常な効果をなすばかりでなく、将来の人口の増加に対しまする対策を立てることは、さようにむずかしくはなくなつて参るのであります。こういう応急対策がありますにもかかわりませず、その予算の配分を見てみますると、二十八年度におきましてはこの耕土培養に関係する経費が六億三千八百万円、二十九年度予算の、今提案になつております予算を拝見してみますと、六億八千六百万円、ごく軽少なものであります。一方恒久対策としての土地改良、干拓、開拓等に組んでおりまする予算は、二十八年度におきまして四百三十八億円、二十九年度におきまして三百七十三億円、これでは反当約二万円を見込んでおるようであります。しかるに耕土の培養の行き方によりますれば、平均反当は千八百十円、これは政府予算に現われておる数字であります。かように予算の組み方におきまして拝見しただけでも、力の入れ方が非常に違つておりまするが、これは重点の置き力において考慮をなす必要があるのではなかろうか、緊縮予算の編成は一八〇度の大転換をわが党としましていたしたことは、内外ともに承知のことであります。われわれもこの実際に即して政策を、重点の置き方に対しまして転換をする必要があるのではなかろうか、かように存ずるのであります。これに対しまして政府の御所見を伺つておきたいと思います。
  69. 保利茂

    ○保利国務大臣 来年度の予算の中におきます食糧増産対策事業の最も重点を置いておりますものは、しばしば申し上げますように、土地改良でございます。この土地改良の経費をむしろ重点的に耕土培養、酸性土壌の改良等に用いた方が効果的である、これはお説の通りだと思います。しかし国営にいたしましても、県営にいたしましても、相当大規模な改良事業に着手をいたしておつて――むろん緊縮方針でございますから、新年度におきましては新規に落手することはできないと考えておりますけれども、今日までやはり相当の財政資金を投じて参つて、そうして工事の半ばにありますものはできるだけ効果の早く上りやすいところに土地改良予算を重点的につぎ込んで行つて完成時期を早めて行こう、こういう趣意でこの予算ができておることは御承知通りであります。お話の食糧増産をいたしますのに、何と申しましても土地条件を改善することが基本的なことであります。それには御指摘のように、わが国の耕土はかなり老廃しておるということは卒直に認めざるを得ないわけです。しかして今日まで農林省としましては、各県の農事試験場に土壌調査を行わして、二十八年度においては二十万町歩の土壌調査、来年度におきましては三十二万町歩に拡大して土壌調査をする、すなわち農地の健康診断をして、そうしてその診断の結果適当な改良策を立てて行く、栽培指導を行つて行くということについては、私どもも特に力を入れて行きたい。これにつきましては、葉梨委員の多年の御主張でもあり、私どもも全然同感に考えております。予算の少いことは非常に遺憾に存じておりますが、ねらつておりますところは、そういうところをねらつておりますことを御了承願いたいと思います。
  70. 葉梨新五郎

    ○葉梨委員 政府の意向のあるところもわが党年来の主張と合致しておるところであることは明らかになつておるのでありますが、さらに私は進みまして、これらの行政が、ただいま農林大臣答弁通りに、本年度でほぼ基本調査ぼ完了するのであるということを聞いておるのでありますが、基本調査が完了いたしましたならば、技術員においての不足はないわけです。技術員は各府県においてそれぞれ十分持つておる。今まで養成せられた技術員がその指導員となり得る。これによりまして私は急速にその仕事に着手すれば――一年で完了ということはもちろんむずかしいかもしれません。しかし二年ないし三年をもつてしますれば、全耕地に対する改良は完了するものであります。資材の面から見ましても、石灰あるいは燐酸等におきまして決して不足はない、こう見られるのでありますからして、この応急対策を至急とりまして、これらの増産をはかつて、すみやかなる増産の実現を見る、その方途がここに明らかになつておるのでありますから、ただちにこれに私は重点を置いて行かれる――もちろんあなたの言われるように、恒久対策におきましても、これを一ぺんにやめろとかどうとかいうようなことは私は毛頭考えておりません。これはもちろん国の百年の大計を立てる上からいつて必要なことであります。もちろんこれは必要なことでありますが、ただちに役に立てるためには、緊縮財政の趣旨にかんがみて、応急対策に重点を置くことを考えることがよろしいのではないか。  さらに私は、この際に、この応急対策として、土壌行政というものに対しまして国家として重点を置いて考えなくてはならぬじやないかと思う。そこで土壌に対しまする検定、基本調査を国の力で今やつております。これは将来何年か後には必ず変化が来るのであります。数年ごとに検定をやらなくちやならぬのでありまするから、これは耕作者の義務として行うことにするか、いわゆる義務化する法制的の措置を講ずる。また土壌行政も一本化して、今日のように農地局も改良局もというように、いろいろわかれておるようなことでは相ならぬのであります。  これはちようど地下資源の開発にあたつて地質調査所が占めております使命より以上に重視しなくてはならぬじやないか。こういう意味におきまして、土壌調査所あるいは土壌調査局を設定するかして、土壌行政の一本化をはかることが緊要ではないか、かように考えるのであります。これに対しましては総理大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  71. 吉田茂

    吉田国務大臣 御趣意はごもつともでありますが、予算関係もありますから、これは主管大臣からお答えいたします。
  72. 葉梨新五郎

    ○葉梨委員 これに関連しまして、ちようど社会党の杉山万治郎君からもしばしば御相談がありまして、われわれはこれを超党派的に考えて行かなくちやならぬということで、自給肥料の充足をはかるために全国の農家に完全堆肥舎を持たせるということが、やはり食糧増産対策として肝要なことだというので、ずつと続いて協議をいたして来ておるのであります。これに対しまして、政府は十年計画というようなもので、約九十八万戸かを目標としてやつておるようでありまするが、現在の状況は、約六百二十万戸のうちの二割、百六十万戸の堆肥舎の所有にすぎない。これは約二割であります。こういうことで自給肥料の面において非常な欠陥がある。これを補うことによりまして、昨年度の凍霜害のごとき際にも十分に対応策が立つのであります。やはり重点をここに置かなければならぬ。予算の面から見ますれば、これは政府の投融資に属するもので、直接一般歳出に属するものではないのでありまして、行つて行い得ないことではない。これを十年計画などというなまぬるいことではなく、少くもその半分の五箇年計画ぐらいをもつて完成さしていただきたい、こう考えておるのであります。化学肥料の助成融資、補給金が年間二百億かと思いますが、これを考えまするならば、年間二百億を自給肥料の堆肥舎の融資に振り向けるだけで、五箇年をもつて全農家が堆肥舎を持つことになります。補給金と違い、これは国家がやり切りになる金じやない、貸すのでありますから、すぐ返つて来る金であります。こういう点につきましては、特に実際問題としての配慮を払つて行かれたい、かように私は考えるのでございますが、農林大臣、大蔵大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  73. 保利茂

    ○保利国務大臣 葉梨さんの御意見は、要するに老廃した土壌を改善して生産力を増強し、再びまた老廃化して行く危険を防ぐためには、どうしても自給肥料の増産にまたなければならぬ。自給肥料の増産対策として、堆肥舎の助成措置について十分考えて行かなければならぬじやないかという点はこれは私は食糧増産のかぎであると実は了解をいたしておるわけであります。私もその通り考えております。ただ来年度の予算におきましても、一応のわくとして、堆肥舎に対する融資措置が二十八年度よりも若干減つてつておりますことは、そういう上からいつて非常に遺憾に存じておりますが、御趣意の点はできるだけ沿うようにひとつ努力をしてみたいと考えております。
  74. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 堆肥舎の問題につきましてはただいま農林大臣の申した通り私も感じております。
  75. 倉石忠雄

  76. 河野金昇

    河野(金)委員 去る二十六年の政局問題の質疑応答において総理は、現在起つておる種々の事件は、すでに検察庁の手にかかつているので、事態の真相が明らかになつたとき善処することに躊躇しないつもりだ、こう言つておられるのであります。善処とは、もしも関係した閣僚があるということがわかつた場合に、その大臣を首切られることであるか、あるいは総辞職をなさることであるかわかりませんが、おそらくそういう事態に直面したら、潔癖を好まれる総理としては、私は総辞職をなさるものであろうと思うのであります。総辞職をなさつた場合には、やはり憲政の常道にのつとりまして、野党第一党の改進党を中心とした選挙管理内閣的のものができることを信じて疑わないのであります。検察庁、司法当局といえども、予算の不成立の責任は負いたくないでありましようから、予算案が衆議院を通過後、あるいは遅くとも三月末、完全に予算案が成立した後において、検察当局は爬羅剔抉の刃を振うであろうことを信じ、その間政府並びに、与党の圧力が検察当局に加わらないことをわれわれは熱望し、監視するものであります。首相の答弁の中に、事態が明らかになつたら善処するとは言つておられるけれども、根本的な――こういうことが再び繰返されないような根本的な対策のないことを私は遺憾に思うものであります。すなわち、政党あるいは政治家が金に動かされるのは、主として選挙の前後であります。このたびの事件にいたしましても、うわさされておる人々は、ともに政党の幹部であり、私腹をこやしたものではなく、党のために使つたものであります。そういう人から金をもらつて当選した人も多いのであります。総理、あなたは第一党の総裁として五たび総理大臣になつておられますが、うわさの人々の努力の上にあなたの内閣はできておるという、この事実を直視しなければなりません。そこでこの政党のあり方、あるいは撰挙に金がいらなくて、政党政治家が金に動かされないようにするためには、たびたびそれにひつかかつた人を処分するだけで私はだめだと思います。根本的に今の政党のあり方、選挙に金のかかる現在の実情に対して、総理はいかなる考えを持つておられまするか承りたいと思うのであります。
  77. 吉田茂

    吉田国務大臣 しばしば申し上げるようでありますが、事態の真相がわがつた場合に政府は善処いたしたい。その善処をいかにするかということは、これは事態の真相がわかつたときに初めて決定いたすべきものであつて、今日こうであろうというような仮定のもとに善処いたすことはできません。また検察当局に対して干渉もしくはその行動の一部を妨げるようなことは、政府としては断じていたしません。
  78. 河野金昇

    河野(金)委員 最近総理の口からは聞けなくなりましたが、最初総理内閣を組織されたころ、ときどき社会党育成論を唱えておられたのであります。すなわち二大政党の建前から、社会党を育成するという親切なことを前におつしやつておりましたが、最近はそういう言葉が聞けなくなつたのでありまするが、この二大政党論に対して、今どういう考えを持つておられますか、私は二大政党は一つの政党が政権をとり、それが失敗したときには、笑つて他の政党に渡せるような政党でなければならないと思うのであります。今保守党を代表するのは吉田さんの率いられる自由党であり、革新陣営と称する方を代表するのは社会党左派であるのであります。自由党と社会党左派のこの二大勢力によつては、私は政権の交替はむずかしいと思うのであります。保守党といえどももしもその中心があるとしたならば、総合的な経済計画を持つたり、社会保障制度を徹底したり、もう少し大衆の生活に親切なあたたかみを持つような政党に保守党全体が進歩して行かなければならぬと私は思う。同時に、社会主義を唱えるところの政党も、保安隊をなくしてしまえとかなんとかいうような、そういうことを言つておるだけでなしに、政権を担当したときには安心してまかせられるように、社会党自体もおとなになつて来なければ、私は二大政党というものはなかなかうまく行かないと思うのでありまするが、総理は前から二大政党論を唱えておられましたが、現在はどういう考え方を持つておられまするか、承りたいと思います。
  79. 吉田茂

    吉田国務大臣 私は日本の政党政治の発達のためには、二大政党対立論が一番いいと考えるのであります。さてそれを具体的に現在の状態でどうするか、これは私の答弁の限りではありません。
  80. 河野金昇

    河野(金)委員 結局政党が選挙に金がかかるということが大きな悪のものであると私は思うのであります。そこで英国の選挙なんかを見てみましても、昔はやはり買収、饗応が行われたようです。(「今でもやつているじやないか」と呼ぶ者あり)歴史を調べてみましても、一七三六年にはイギリスで選挙区の貸借をしたことがあるのであります。一七六七年には選挙区の買却広告まで出したのであります。すなわち買収、饗応、脅迫等百鬼夜行の観があつたのでありますが、一七九六年に饗応法制定、一八八三年に腐敗並びに不正行為防止法という法律をつくつて、主として買収、饗応を徹底的に取締り、それを犯した候補者は十年の立候補禁止を命じ、また選挙事務長等がそういうことを犯した場合には、候補者は五年間立候補をやめさせるというようなきびしい制度を取上げたのであります。この打続く今日の疑獄の中に立つて、議会政治を守り、政党政治を守るという考え方であるならば、少くとも私はこの議会に連座制なんかを強化し、公営を徹底するような選挙法の改正というものが成立しなければならないものであると思うのでありまするが、総理はこれに対していかなる考えを持つておられますか。選挙に金のかかるというこの事態を取除かない限り、不祥な事件は、内閣がかわつても、政党がかわつても繰返されるのです。芦田、片山内閣のときしかり、今日きれいなことを言つておられる社会党の農林大臣でもひつかかつたこともあるわけなのでありまして、これは選挙法なんかを徹底的にかえることによつて、この悪を除いて行かなければならぬと思うのでありまするが、総理、あるいはイギリスの議会政治を研究しておられる緒方副総理から、こういう点に対するお考えが聞ければ仕合せだと思います。
  81. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 私の肩書はそのままお返ししますが、選挙に金のいらぬようにすることが今日のいろいろな弊害をなくす一つの根源であるということは、私河野君とまつたく同意見であります。どういうふうにすれば、選挙ご金がいらぬようになるかということは、いろいろな方法があると思いまするが、これは党議でも何でもなく私個人の意見でありますが、やはり私らといたしましては、小選挙区――一選挙区一人の小選挙区は、何と申しても今の選挙区制度よりは金がかからぬ。(「買収がうんときくよ」と呼ぶ者あり)買収をやる前提のもとにはいかなる制度も金がかかる。イギリスの選挙がだんだん粛正されて参りました一番大きな原因はそこにあると考えております。私はこれはやはり研究をいたして、その方向に持つて行きたい、私個人としてはさように考えております。    〔発言する者あり〕
  82. 倉石忠雄

    倉石委員長 この際申し上げますが、委員外の方の雑音はかたく御遠慮願います。
  83. 河野金昇

    河野(金)委員 総理はまた二十六日の別の答弁において、御批判は自由だが、予算に盛られた政策を断々固として政府は実施する、こう述べておられるのであります。二十九年度予算は緊縮予算であり、国民に耐乏生活を要求するものでありますが、政府の決意が乏しいと私は思う。汚職、疑獄の雰囲気に包まれた現内閣の言うことを国民は信用しないのであります。予算面にも政府の決意がにじみ出ておらないと思うのです。すなわち一例をあげまするならば、大蔵大臣や経審長官は、この予算を実行すれば、年間を通して物価は五分ないし一割下ると言つておられるのであります。それならば予算面になぜ物件費なんかをせめて五分でも下げたところの予算をお組みにならないのか。自分では緊縮予算、耐乏生活を要望しながら、五分、一割下るといいながら、それが現実に予算面の上に一つも現われておらないというこの事実から見ましても、政府の決意を私は疑うのでありまするが、どなたでも自信のある方の御答弁を願いたいと思う。
  84. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私は今の緊縮政策及び一連の諸政策を遂行するにおいては、五分ないし一割の物価引下げ可能なりと確信いたしております。また一連の諸政策の実行についてはあくまでこれを貫徹する考えであります。但し予算をつくるときは、いつからどうこうということを見ることはむずかしいから、そのときの情勢において予算を組むことは、あなたもよく御承知通りであります。そのときの物価においてやつておる、それで物価が上るじやないかといつて騰貴を見込んだ予算は組めません。予算というものは予算編成の当時の物価によるべきものであることは、予算をおやりになつておる方はよくおわかりのことと存じます。
  85. 河野金昇

    河野(金)委員 中央地方を通じて緊縮財政をやり、行政改革と人員整理を断行すると言つておられるが、この点なんかもかけ声に終つておる傾向があるのであります。すなわち国の予算は一応緊縮予算をお組みになつたが、地方財政は逆に膨脹をしておるのであります。大蔵大臣は緊縮予算、緊縮予算、一兆円予算だと言われるのでありますが、ほんとうはそれほど大したものじやない。二十六年には七千九百三十七億の予算を組んでおる。三十七年には九千三百二十五億円組んでおる。二十八年の当初予算は九千六百五十四億円である。今度の当初予算は九千九百九十五億円である。しかもこの九千九百九十五億という無理に一兆円以内にとめるために非常な無理をしておられます。連合国の財産補償費とかあるいは入場税等の取扱いにおいて、ほんとうは一ぺんこの本予算を上げなければならぬものを、ずつと――いわば悪い言葉でいえばやみで表に現わさない、こういうような御苦心をなさつて、この一兆円予算というものを組んでおられるだけでありまして、本質から行きまして、当初予算から見て、私はこれは大した緊縮予算であるとは思いません。しいて言えば、去年の暮れにあなたは、十五箇月予算だと言つて年末の予算をお出しになりながら、ベース・アツプや消費者米価を上げられた。従つてこの今年度の予算防衛費と給与関係費がぐんとふえて、その分だけを他の方に圧縮を加えた、そちらの方が非常にきゆうくつだということ以外の何ものでもないと思いますが、大蔵大臣の御答弁を願いたい。
  86. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ベース・アツプ等の問題は当時の世論に聞き、また人事院の勧告等によつて国会で御承認を得た次第でございますから、これについてかれこれ申す必要はございません。なお今度の予算についていろいろお話がありますが、これはもう繰返し入場税というものはその九割をもどすものであるから、こういう交付税及び譲与税等の特別会計をつくつて、はつきりしておる。予算には一切やみはございません。予算は明々白々でありまして、これをしもやみと言うなら、天下やみになつてしまいますよ。
  87. 河野金昇

    河野(金)委員 時間の関係で議論はいたしません。行政改革と人員整理という吉田総理の最もお得意な問題が、実は陳情運動によつて有名無実になつておると思うのでありますが、総理はどういうふうに考えておられますか。陳情政治の一番最たるものは、私は織物消費税だと思うのです。製造業者にかけようとして反対きれ、あるいは紡績にかけようとして反対され、小売にかけようとして反対をされて 一番陳情の少かつた問屋段階に今のところちよつとかけようとしておるのでありますが、これは陳情政治の最悪のものであると思うのでありますが、吉田総理は陳情はいけないいけないと言つておられるにもかかわらず、陳情によつて今日、すべてのことというと語弊があるかもしれませんが、大部分のことが陳情によつて動かされておるのであります。私は総理のお気に召さないことでありますけれども、一言お耳に入れておきたいと思うのですが、あなたの閣僚の中のある人が昨年愛知県へ来られて、愛知県の連中は物を頼むだけでお礼を持つて来ないからけしからないということを、公の場所でおつしやつておるのであります。私たちは非常にこれを残念に思うのです。小牧という大きな飛行場があるが、最近そこの道路が完全鋪装されることになつたのでありますが、六千万円か七千万円防衛費から出たはずだと思います。それに努力をした人も、一生懸命努力してやつたのに、あいさつに来ないじやないかと催促をされた事実があるのであります。私は一々名前を出すようなことはいたしませんけれども、大臣あるいは委員長あるいはその他の人で、愛知県へ行つて、そういうようなことを口にされた方は、良心に銘じて反省をしていただき、今後こういうような不謹慎なことを、閣僚並びに与党の幹部が言わないように、総理から厳に戒めておいていただきたいと思うのであります。この陳情政治によつていろいろなことが動かされておるこの事実に対して、総理はいかに考えておられ、いかに処置されるつもりでありますが。
  88. 吉田茂

    吉田国務大臣 行政整理についてお答えをいたしますが、これは現に塚田大臣のもとに相当の成績を上げております。また陳情については御同感であります。陳情については断じて政府と出しては受付けない考えであります。少くとも書面の陳情はとにかくとして、人による陳情を受付ないということを申しておるのであります。しかしながら地方から押し寄せて来る陳情者に対して、ことごく拒絶することもできない場合もありましようが、しかし政府としての真意はここにございます。従つてまた今お話のように、政府としては、ある措置をいたした、これに対してお礼は決して予期いたしておりませんから、もしお話のような事実がございましたら、その地方県民にお知らせを願いたいと思います。政府としては謝礼とかもしくは礼などは断じて期待いたしておらないということを、はつきりおつしやつていただきたい。
  89. 河野金昇

    河野(金)委員 吉田総理は、本会議の施政方針の演説に対する質問あるいは本委員会における同僚川崎君の質問等において、この物のない、人口の多い日本では、単なる手放しの自由経済じやだめだ、長期の総合的経済計画を立てなければならない、こういうことを言つておるのに対して、総理計画経済はソビエトのやるごとだといわんばかりの答弁をしておられるのであります。改進党のわれわれの同僚が、ソ連のような計画経済を考えていないくらいのことは、常識のある総理はおわかりのはずでありまして、総理大臣がああいう御答弁をなさつたあとで、かえつて心配しておられるのは閣僚諸君であり、自由党の諸君であつたのでありますが、やはり今の日本では、私は経済には計画性を持たせなければいかぬと思いますが、総理が公の席上で、そういうことを考える者は、まるで共産党ソ連のようなものだというようなことを言われたことは、はなはだ遺憾に思うのでありますが、今日でもそういう考えを持つておられるかどうか承つておきたいと存じます。
  90. 吉田茂

    吉田国務大臣 私は長期計画を立てることは、共産党であるというようなことを申したつもりはありません。少くとも私としてはありません。私の言わんと欲するところは、長期経済計画とかよく計画を立てたがるものでありますが、多くは計画流れになるのが従来の実績であります。そうして国民、あるいは当業者等は、そのいわゆる長期計画を土台にして、事業計画を立てるというようなことが万一ありましたならば、その弊害はずいぶんあると思います。で私はあまり長期計画とか、計画にとらわれない方がいいという考えを持つておるのであります。   〔委員長退席西村(久)委員長代理着席
  91. 河野金昇

    河野(金)委員 日本が米国の援助と朝鮮特需の上に居眠りしており、自立経済計画を忘れていた間に世界各国、特に西独等はアメリカの援助を重点的に使つて石炭鉱業の機械化に手をつけ、あるいは電力をふやし、鉄、化学の旧式機械設備を全部近代化し、鉄道のようなものは、停車場はそのままにしておいても、まずレールと機関車の近代化に努める、そういうふうに、わき目もふらず基礎的産業の改善に突進をいたしました。だから工場は戦前よりもよくなり、安くてよい機械を中東諸国、東南アジア、南米、アフリカ等へどしどし輸出し、これに伴つて優秀な青年技術者がついて行き、未開発国の指導にあたり、物と知識とを売つて外貨を獲得し、原料を買いつけておるのであります。すなわちドイツとそれらの国々との経済関係は、共存共栄の上に立つておるのであります。従つて経済自立はうまく行き、外貨はふえつつあるのであります。日本政府の無計画方針のために、朝鮮に平和が来、特需が少くなるや国際収支が急に悪化したことに驚き、輸出を増進するための緊縮財政、耐乏予算が組まれるに至つたのであります。昨年末にはベース・アツプや消費者米価の値上げをやつたばかりであるのに、その同じ政府が百八十度の大転換を行つた。だから国民は茫然としておる。政府は汚職と疑獄で自信を失つておる。総理が出て来られない病気のうちの閣僚諸君の狼狽ぶりというものは、目に余るものがあつたのであります。この政策がうまく実行さるるとは私はどうしても考えられないのであります。この面からも政府は責任を感じなければならぬと思います。おそらく上半期の終りころには物価は下らず、貿易は逆調をはげしくし、産業は破産続出し、社会不安は増大して、汚職でたとい免れても、私は第二の危機に吉田内閣が直面するであろうことを、警告をしておきたいと思うのであります。  そこで今度は大蔵大臣にお伺いいたしますが、大蔵大臣政府の政策をうまく説明しておられます。財政面からは緊縮予算の線を貫き、金融面からは引締め政策をとり、貿易面からは輸入の抑制、輸出の増加をはかり、産業面からは近代化、合理化によるコストの引下げをはかり、国際収支、外貨の面等からは、その輸出入の均衡をはかると言つておられるのであります。実に絵に描いたもちのようで、一応よくまとまつておるのでありますが、その一つ一つを解剖してみると、とても額面通りには受取ることができないと思うのであります。たとえば緊縮予算とは言うけれども、実際上は先ほど申しましたように防衛費と給与関係費を増大して、他の面を圧縮しただけの予算であると思うのであります。金融面からの引締めはすでに予想以上に進められており、これをさらに強化すれば産業の萎靡沈滞、破産続出の惨状が到来するであろうと思います。そのため投げ売りの部分的物価の下落は見るかもしれませんが、コストの切下げには役立たず、かえつて金融引締めによつてやみ金利、やみ金融等の横行の温床となり、物価引下げには逆の効果の現われて来る面も多いと思いますが、蔵相のお考えはいかがでありますか。
  92. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 財政の緊縮については、すでにたびたび申し上げた通り、つまりあのままで自然に盛られておる財政に比べると、今度の予算は徹底的なむしろ緊縮と言つてよいことは、これは少しくおわかりの方は皆御理解を願つておることと思うのであります。従つて私どもはその財政の緊縮の方針は、あくまでこれを貫いて参る。金融については、これは河野さんも知つておられる通り、昨年末等あるいは先月の末でもそうですが、政府資金の問題と比較してみると、まだ金融引締めの点が足らないので、従つてそういう点からやはり通貨の収縮が思うように行つていない点もあるのであります。従いまして私どもは金融引締めの強化をやるのでありますが、しかしその金融引き締めの強化は、これは常道的に金融を引締めようとするものではなくて、今のような思惑的な金融、思惑的な輸入に対する外貨の割当、そういつたことに対する各種の引締め強化策を講じておる次第であります。もしそれやみ金利、やみ金融が横行するじやないかということでございますれば、これは本日閣議決定をしましたから、このやみ金融、やみ金利を取締る法規が、明日あるいは本日にも本院の御協賛を得ることと考えておるのであります。しかし、そういつても、法ができても実際幾らでもやみがあるじやないか、こういうことでありますれば、いかなる場合でもそういつた法を免れる者があるのは、これはいたし方ないといつてあきらめるわけには行かぬが、出て来るのは遺憾でありますが、私どもとしてはでき得るだけのそれに対する措置をとつておる、言いかえますと、金融の引締めの強化はいま一層私どもはこれを徹底してやりたい、特に輸入についての措置は十分これをやりたい、思惑に対する金融の引締めは十分これをやりたい、あるいは滞貨金融に対する措置等は十分にやりたい、かように考えておる次第であります。
  93. 河野金昇

    河野(金)委員 貿易の面から輸入の抑制、輸出の増加をはかると言つておられますが、国際収支の関係は非常に政府があわてておられるような状況になりつつあると思います。去年の年末には一億九千万ドルの赤字だと言つておられましたが、そのほかに国際通貨基金からのポンド買入れのものが五千万ドル、それから綿花借款の五千万ドル、それだけを入れても二億九千万ドルになるのに、一月の輸入超過は非常におびただしいものであると思うのであります。しかも現在日本が持つておるドルの中には、インドネシアとか朝鮮との関係において、これは形には出ておるけれども、実質上こげつきになつておるようなものがあるわけであります。従つてわれわれは、今のままの状態で行くと、年度末、三月末は非常な悪い状態になつて来ると思うのです。きよう新聞を拝見いたしますれば、輸入抑制等にいろいろ努力をなさつておることは私もよくわかりますけれども、業者は思惑輸入で一生懸命やつておる。特に砂糖業者なんかは、原糖を入れればそれが倍ぐらいになるということで、通産省ですか、大蔵省ですか、外貨を獲得するために非常な猛運動をしている。社会党の諸君に言わせると、ここにも一つの疑獄が伏在しておるなんということを言つております。そういう事実は知りませんけれども、私はこの思惑輸入によつて非常に外貨の状況は悪くなつておると思うのでありますが、三月末まで一体大蔵大臣は前予算委員会の最初に説明されたような状況で行けるという御自信がおありであるかどうか、承りたいと思うのであります。
  94. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 外貨が今お話のごとくに減りつつあることについては、私ども非常に憂えておるものであります。従つて外貨予算関係等について、このごろは閣僚審議会を頻繁に開く等、この対策を訓講じておる次第であります。すすなわちお話になりました一月十日には九億五千五百万ドルあつたものが、三月十日に八億六千二百万ドル、こういうふうに減じております。従つて今お話になつたけれども、なるほど一月の契約はドルの自動承認制の分だけで、一億八百万ドルばかりになりましたが、しかしこれは現実の輸入がいつになつてくるかということにわかれて来るのであります。この点がただちに外貨の減少を来すわけではありませんけれども、そういう問題があり、また御指摘のようにオープン・アカウント地域、ことにインドネシアその他にはこげつきというのはどうかと思うが、帳簿上の貸し、こういうふうになつてドルの決済を得られぬ分がありますので、従つて外貨予算につきまして、私どもは今日非常に苦慮して十分な手当をいたしたい、かように考えておる。従つて今までのごとくにその自動承認制は自由に認めておつたのでありますが、自動承認制についてもそれぞれ内容いかんによつて、これを詮議するというようなことにいたしておる次第であります。
  95. 河野金昇

    河野(金)委員 外貨の話が出ましたから、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、この二月十八日のこの委員会において、同僚川崎君が朝鮮事変前後において、日本の船をアメリカが使つて、グアム島から朝鮮、朝鮮からフイリツピンあるいは沖繩等に荷物を運ばせた。その金は日本の方は終戦処理費か何かで処理をしておられることだろうと思いますが、これは日本の占領目的のために使つたものではないのであります。アメリカの朝鮮戦争のために使つたのでありまして、日本がこれを支払うべき性質のものではない。日本はこれをとる立場になつておると思うのであります。この間の川崎君の質問に対しては、外務大臣は知らぬと言つておられたが、大蔵省はその後御調査なさつておることであろうと思いますが、幾らくらいの金額になつておるか。それから日本が独立のときにこれは債権として確認しておかなければならなかつたものである。河野一郎君が提議したやつは債権として確認をされておるにもかかわらず、これすらうまく行つておらないのに、これは債権が確認されておらないやに承つておるのでありますが、その後の調査がわかつておりましたら承りたいと存じます。
  96. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 この間ちよつと川崎さんから話があつたので調べさせておりますが、まだ実は結果を得ておりません。従いまして、結果を得ましたら御報告を申し上げて、この善後処置を講じたいと思つております。
  97. 河野金昇

    河野(金)委員 それは全部はわからないにいたしましても、日本の方は終戦処理費で処理しているはずでありますから、これは払つておる。日本の船会社には払つておるのでありますから、わからないというはずはないと思う。これは金額に差があることはやむを得ませんけれども、そういう事実があり、大体どのくらいのことだということぐらいは、予算の執行過程からいつてみたつて、当然わかつておらなければならぬことでありまして、わからないとおつしやるなら、これは決算委員会か何かで徹底的にやらなければならぬ問題になつて来ますが、わかつておる方がおつたら承りたいと思います。
  98. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今ちよつと政府委員がおりませんから、政府委員会が参り次第お答えいたさせます。
  99. 河野金昇

    河野(金)委員 この予算が衆議院で最後に討論される前に、これは御報告を願えますか。今すぐにできればそれに越したことはありません。そのこまかい数字はいりませんが、そういう事実があり、大体どのくらいということぐらいは、大蔵大臣わかつておるでしよう。
  100. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 それではこれはその前に出します。今のようにこまかい数字はちよつとめんどうでございますから何ですが、大数はお出しいたします。
  101. 河野金昇

    河野(金)委員 それではそれは御報告を得てからまたお伺いすることにいたします。  政府の政策はたとえば緊縮予算を組み、あるいは金融の引締めをやり、消費の規正をやる、そちらの方面からは私は相当進行して行くであろうと思うのでありますが、日本の輸出が振わないのは、日本の品物が高いからで、日本の品物の原価の中には、金利だとかあるいは税金だとか、賃金とか原料とか燃料動力費等があるのでありますが、この一つ一つを取上げてみましても、むしろ商品の原価を下げるような見通しはつかないじやないか、たとえば金利にいたしましても、金融の引締めをやりますから金利が安くなるというようなことはありません。あなたはやみ金利とか、やみ金融という言葉を使つたら、非常におおこりになりましたけれども、銀行は普通の金利で貸しますよ。けれども裏日歩といつてあとから業者にある程度のものを出さしているということは、銀行をやつておられたあなたは御承知のはずです。だから金利が下るような見通しは私にはなかなかつきません。税金も、これは大蔵大臣のお手のものでありますが、申告税を見てみましても、法人税を見てみましても、二十八年と二十九年を比べると税金は減つておりません。源泉の面が幾らか減つておりますけれども、物の値段に影響して来るところの申告税とか、法人税等においては、予算の数字の面から減つておらないのであります。賃金も暮れにベース・アツプなんかをおやりになりましたし、今年はまたいろいろな政治的の意味等も含まれて、むしろ賃金を引下げるというような方向には絶対に行けないのであります。現状維持ができれば最上だといわなければならぬような状態であります。原料なんかにいたしましても、政府のお手元にも材料はあることであろうと思いますが、日本の品物はみんな高い。たとえば石炭なんかは外国のものに比べれば一トンについて七百円も高い、コークスは二千円も高い。あるいは重油なんかは一千円、あるいは電気銅なんかは七万円、アルミニユームなんかは五万六千円というように、日本の原料はみな高いわけなんであります。それだから原料の面からも物価引下げの方向には、私はどうしても行けないのではないかと思います。燃料動力費でありますけれども、アメリカといいますか、世界銀行から日本の電力会社が外資の導入をした。それの条件ではないでありましようけれども、電力料金の値上げということがくすぶつていることも事実でありまして、この電力料金その他の燃料なんかも現状維持ができればいいというだけであつて、私はおそらくこれを下げることは今日の情勢においてむずかしかろうと思うのであります。このコスト高であるところの内容を解剖してみると、少しもこれを引下げる方向には行けないと思うのでありますが、そうすると政府の政策は金融の引締めや耐乏生活を要求したりするだけであつて、決して輸出が盛んにはならない。すなわち行けども行けども光明見ることのできないような暗黒の耐乏生活である。頂上なき山に登れというようなことを国民にしいているもののように、私には思われてなりませんが、大蔵大臣は一体このコストを下げることが現実にできるかどうか、これが私はこの予算が実行されるかされないか、輸出が増大するかしないかということの根本になろうと思うのでありますが、大蔵大臣の御所見を承りたい。
  102. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 原料についてのお話がありまして、原料というものはどうもあまり下らぬじやないかというようなことでありましたが、原料につきましても、たとえば石炭が相当下つて来、また鉄も過日発表したごとく値下げをしている。重要産業についてももう相当下つて来るものもありますし、またこれを引下げることが、今度の緊締予算その他のねらいでありまして、もしこれが下らぬということでありますれば、これは日本が国際的に落伍をしなければならぬから、そこで今度の緊縮予算を実行する次第であります。従つてわれわれは物価引下げの目的はあくまで達し得るという考えでありまして、これには設備の近代化、合理化等は相当大きな作用を、しております。御承知のごとくに製鉄は三箇年計画でやりまして、今年の三月末でちようど三箇年計画が終るのですが、はたして鉄は下つて参りました。石炭等もまだ世界よりも高いところがありますが、当時から比べれば相当下つて来ていることは事実であります。それから動力費の問題についてのお話がありましたが、これも動力が満たされて来れば、十分になれば自然安くなるということは、これは私ども当然のことと思うのでありますし、また金利についてもお話がありましたが、実は金利の引上げということは、これはお話のごとくに、あたりまえの状況にありますと、金利の部分が商品の価値の中に相当含まれておりますから、金利が高くなれば物価が高くなるということでありますが、事実物価引下げには、どこでも金利引上げ等の非常措置をとること等からごらんくださつてもわかります通りに、金利というものは、やはり金融の引締めによつてつて参れるのであります。大体物価は一つの方角のもとに諸般の政策を進めて参れば、そういうふうになつて参るものなのです。私はそれを確信いたしております。それと、物というものは、平常の場合ですとお話のように河野さんの言われる通りでありますが、このごろのようなときは、何といつても物価を支配する最大の要素は需要供給であります。従いましてその需給の面等から見まして、今度の奢侈の抑制その他のことで、いろいろの方法をとつて参りますれば、私は物価は必ず漸落して行くもの、かように確信をいたしておる次第であります。   〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  103. 河野金昇

    河野(金)委員 今の日本は総合的計画を欠くために、資金と資材がむだに使われておると思うのであります。領土が狭く、資源が乏しく、人間のみの多い日本で、資金と資材のむだを排し、自立経済の達成のために、法的根拠を持たせたところの投資計画委員会をつくつて政府資金あるいは財政投融資、民間の設備資金その他に対して、総合的な計画を立てる必要があると私たちは思うのでありますが、こういうものに対して大蔵大臣はいかなる所見を持つておられますか。
  104. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 資金については、お話のように、たとえばあまりわれわれが望ましくないと思うような各種のものに金が使われておつたり、また資材の面についても、相当浪費があつてみたり、あるいはまた投資の面でも二重投資とわれわれがいわざるを得ないようなことが行われておる、これは河野さんの御指摘の通りであります。しからば私どもどうしておるかというと、業者なり金融業者に向つては、特に自主的にひとつ国策に沿うようにやつてもらいたいということで、数回呼びかけておるのでありますが、いつぞや申しました通り、どうしても政府の意図するところに沿つてくれないというような場合におきましては、それでは別のことをひとつ考えなければならない。あるいは律年の資金調整法のようなものでも考えなければならないかもしれませんが、まだその段階ではないと実は私ども考えておるのであります。それから今のような投資計画委員会ですか、この種のものをつくつたらどうか。たとえば通産省にも約二十五名くらい顧問がおりまして、絶えずそういうことについての意見を聞いております。また合理化審議会というものがありまして、そういうことをやつております。また経済審議会というものが経済審議庁にありまして、これも知名の士を集めていろいろやつてあるのであります。こういうことは、お話の点総合的にやりますと、実はこういうものになりますけれども、まだ今のところそういうものには遺憾の点があります。しかし既設の機関を十分使つてつて参れば、お話のような点の目的は達し得るのではないか、こう考えておるのであります。
  105. 倉石忠雄

    倉石委員長 河野君、お持合せの時間ですが……。
  106. 河野金昇

    河野(金)委員 もうこれだけです。大蔵大臣がこの予算の通過に御熱心になつておることは、あたりまえでありますが、この予算の修正にあたつて三党の間で申合せしたことがあるのであります、了解事項になつておることがあるのでありますが、どうぞひとつそれをお含みの上で、御答弁が願いたいと思うのであります。  日本の産業を復興させ、また輸出を増大させたり何かするのには、私は労働と資本あるいは経営と申しますか、こういうようなものが対立の状態では効果を現わすことはできなかろうと思うのであります。ドイツの労働組合が敗戦の中に立つて、賃金よりもまずドイツの復興というスローガンを掲げて闘つたことは、やはり労働組合の成長を私たちは思うのでありますが、日本においてはなかなかそれを今日望むことはできません。労働組合もまだ幼稚であれば、経営者や資本家も頑迷であつて、なかなかうまく行つておらぬのであります。そこで私が大蔵大臣にお聞きしたいのは、せめて公益事業あるいは公共企業体あるいは政府資金、すなわち国家の財政投融資を多く受けておる企業に、まず法に基いた生産協力会談というようなものを持たせる、企業の合理化、能率の増進、社会奉仕性の向上等に寄与せしめる目的で、生産協力会議というようなものを設けたいとわれわれは思うのでありますが、大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  107. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これはお話のごとくに、このごろまだ労働組合と資本家との間がしつくり行つてないという点は、私どもまことに遺憾に思います。お話のごとくに、公益事業とか公共事業体にそういう協力会議を設けて、それが能率の増進となり生産の増加になるということであれば、非常に望ましいことのように考えますが、しかし内容いかんによつては、いわゆる経営参加等の各種の問題も起つて参りますので、この点はいろいろお考えも伺いますが、私の方もひとつ十分考えさせていただきたいと思つております。
  108. 河野金昇

    河野(金)委員 企業の基礎を健全かつ合理的にするためには、資産の再評価を強制した方がいいと私たちは思うのであります。蔵相は強制はしないが促進したいということを、ここで何度も言つておられるのであります。今日の現状を見ればそれでは目的は達せられないのではないかと思うのであります。たこがみずすからの足を食つているようなもので、帳特上の利益のために、社用族が生れたり、賃金値上げに反対する理由が見つからなくなつて来たり、あるいは形だけもうかつておるのでありますから、そういうところから政治献金というようなものの対象にもなつて来るのであります。だから評価益を免税して企業の基礎を固め、経理を公開して、労使一体となつて進むために、われわれはこの際第三次の資産再評価をむしろ強制した方がいいと思うのでありますが、大蔵大臣の御所見を重ねて伺います。
  109. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 第三次資産再評価の問題は、きわめて重要でありまして、私どもも大体今河野さんがおつしやつた方角に案をきめております。従いまして近く御提案申し上げて御審議を願うことにいたします。
  110. 倉石忠雄

    倉石委員長 伊藤好道君。
  111. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 私は総理大臣に最初にお尋ねいたしたいと思います。  過日私どもは日本の新聞に載りました外電によつて承知したのでありますが、総理は外国の新聞記者にお会いになつて、その席上において、私どもから見ると注目すべき二つの内容のお話をされているようであります。正確なことはむろんわかりませんが、その一つの点は、日本軍事力の問題について、陸軍と同様に海軍、空軍にも重点を置いてやるのだ、こういうお話であります。海軍、空軍、陸軍という言葉をおそらく使われたことと私思うのでございますが、この総理のお話の内容について承りたいと思う。  第二点は、これは貿易の振興にとつてきわめて重要な問題であると思うのでありますが、中国との貿易に関して、国連の精神と目的を守るという限りにおいて、中共との貿易を行う、こういうふうなお話のようであります。このお話の内容について承りたいと思います。
  112. 吉田茂

    吉田国務大臣 お尋ねでありますが私が外国の新聞記者に話したのは、どの新聞の記者でございますか。
  113. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 APの記者で、名前はレルマン・モリンというふうに片かなで出ております。
  114. 吉田茂

    吉田国務大臣 私はちよつと記憶がございません。しじゆう来るものですから、どの記者にどういう話をしたか一々記憶しておりませんが、しかし全体として、そういう記者に話したか話さなかつたかは、確実な記憶はありませんが、私の常に考えている意見としては、たとえば陸上部隊といいますか、グラウンド・フオースを非常に増大いたしたところが、もし国内が戦場になつて外国の敵軍と言うのはおかしいですが、外国の兵が日本に上陸して日本が戦場になつたという場合、勝つても負けても、戦場になつた場合には相当被害が大であるから、これは陸上部隊のみによることはできないとということは、かねて考えておるところであります。  中共貿易はどういうのですか。
  115. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 国連の精神と目的を守る限りにおいてやるんだ、こういうお話でした。
  116. 吉田茂

    吉田国務大臣 そう申したかどうか、いつの場合に申したか記憶はありませんが、しかし大体論として、貿易は中国といえども、――いえどもというとおかしいが、日本の貿易が発展することは好ましいことでありますから、できるだけいたしたい。日本として、国連等に対して持つておる義務に反しない限りにおいては、なるべく貿易は発展させたいと思つております。
  117. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 私が一つ申し上げたい点は、今さらわれわれがここで陸軍、海軍、空軍というような言葉を中心にして、憲法との関係その他を論じようとは思いません。但し私は、外国の記者に対して総理がこういう表現をされたと実は想像するのでございまして、そういう総理の心構えのうちに、われわれは重大なる政治的意義を認めざるを得ないのであります。従つてこの問題はそういう意味において、私は一言指摘するにとどめます。  それから第二に中共貿易の問題でありますが、われわれは以下に質問をいたしますが、今日の日本の貿易の改善はスピードを要するのであります。非常に早くやらなければ、意味がないのであります。従つてその早い場合には、新しい市場を獲得するということが、一番これは私は重要な意味を持つて来ると思う。この際日本がそういう意味において、新市場を開拓するという意味で、やはり中共の貿易は大きな役割を果すわけであります。そういう際に、総理が国連の精神云々というような限度を、いつの場合においても非常に明白にうたつて、そしてそのもとでやるんだというような心構えでは、とうてい私は今日の日本の貿易を打開することはできないと思う。そういう意味で、総理がこの貿易の問題は、新市場獲得に対して、もつと積極的な大胆な態度をおとりになる必要がある。これは日本の国の経済、国民生活のために必要であると思うのでございますが、総理はいつの場合でも、それに条件を付しておられる。そういう点で私は、むしろその条件をかえて行く、要するにその条件を日本の国に有利に変革して行つて、そうして一番短い期間に最大の効果を上げるような、貿易上の成果をかち得なければいけないのだと思うのでございますが、この点についていかがでございましようか。
  118. 吉田茂

    吉田国務大臣 国連協力ということは、日本としては負わされた条約上の義務でありますから、その条約上の義務を無視するわけには行かないのであります。また新市場獲得については御同感でございますが、さてどこが新市場であるか、あるいは中国が御期待のような新市場になるかならないか、これも問題でありますが、いずれにしても新市場を開拓することにおいては、政府はできるだけの努力をいたしたいと思つております。
  119. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 これはあとから出ますから、私は次の問題に入りたいと思う。今日造船関係から、いわゆる汚職事件が起きております。これは申し上げるまでもありません。この重大な疑獄のもとにおいて、政府は造船に対する利子補給、その他融資の問題を、あくまでも政府の原案通り実行されようとする御意思であるかどうか、お伺いいたします。
  120. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 現在も法がございますので、そうしてまた事件の真相がよくわかりませんから、私どもは法の命ずる通りこれをやつて参りたい。のみならず、日本の船は相当大きな外貨獲得の役割をしておることは御承知通りでありまして、そうして日本の船舶というものは戦前に比べて半ばにも達しないような現状にありますので、やはり引続き同じ方法をとつて参りたいと考えております。
  121. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 私は造船汚職についての詳しいことは、すでに本委員会でいろいろ論議されておりますから申し上げません。しかしこういう事態のもとで、それに対する確たる改善の方策を伴わないで、予算だけを原案のように通す、こういう政府方針をはたして国民納得するでしようか。私はもし政府が造船に対する援助政策を引続いてやるなら、今日の汚職について少くとも私は何らかの重大なる改善を施した上でやらなければならぬと思います。また大蔵大臣は今の御意見では、戦前に比べて日本の船舶が少い云々の理由をあげておられますが、われわれがいろいろ情報を聞くところによれば、一般財界方面においても、今日の日本の貿易の実情からいえば、問題の起きている時期に、何もこのような莫大な財政上の支出をする必要はない、こういう意見もあるようであります。あるいは造船事業の整理統合問題もあるようであります。また融資の方式を造船会社とあるいは船会社との間のコンビネーシヨンを、どういうふうにするかということもあるのであります。従いましていろいろの意見も出ているこの際、私どもは政府が早急にこれに対する対策を立てないで、そうして漠然と、依然としてやるのだということでは、納得が行かないのでございますが、これについてどうお考えでありますか。
  122. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 御承知のように、戦前に比べて群小船会社がたくさんできたことも事実であります。従つて私どもは船会社の統合によつてこれを強化する。また各造船所等が、これもやはり濫立して、戦前のようでないことも事実でございますので、そういつた点についての改善方法については、目下それぞれ歩を進めている向きがあるのであります。たとえば日銀等でもそういう考えをもつて、それぞれあつせんの労をとつている、こういうように思います。ただ金の出し方についての問題でございますれば、これは十分ひとつ私どもも、そういつた目的外に使わないようにこれを措置したい、かように考えております。
  123. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 私は造船疑獄のこの際、政府のこういう放漫な融資に対しては反対せざるを得ぬのであります。大蔵大臣は至急輿論の納得するような形において行われるように要望いたします。  それからこれは総理にお伺いいたしますが、MSAの協定が、私どもの外務大臣その他から聞いておりましたところによれば、大体二月の末ごろにはできそうな話で、できればそれを委員会に経過並びに結果について御報告をいただいて、その上で予算の審議にも資しよう、こういう話でございましたが、遅れているようでございます。その遅れている理由はどういう点でありますか。
  124. 吉田茂

    吉田国務大臣 これはしばしば説明をいたした通り――今遅れた理由については私ちよつと知りませんから、外務大臣からお答えいたしますが、予算はMSAに関係なく、日本政府の立場から予算を組みましたわけであります。この日本の自主的に考えた編成に対してMSAがどう考えるか、これはいわゆる協定の内容をなすものであります。そのMSAの協定か遅れている次第については、ちよつと私はお答えができませんから、外務大臣からお答えいたします。
  125. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 MSAについてのそういう大ざつぱなことは、総理にお聞きしようと思つたのですが、それが全部総理からお答えがないというと、私のお聞きしたいことが非常にあれですが、外務大臣は出席されることができませんか。
  126. 倉石忠雄

    倉石委員長 外務大臣は御要求がありませんでしたので、役所で外国使臣と会見をいたしておるそうであります。
  127. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 まだ済みませんか。
  128. 倉石忠雄

    倉石委員長 はあ。
  129. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 総理は外務大臣に答えさせようというお話ですが……。
  130. 倉石忠雄

    倉石委員長 なるべく早く登院してもらうようにいたします。
  131. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 私は保安庁予算について少しくお聞きいたしたいと思います。大体保安庁予算というのは、私どもがいただいておるものでは三ページでございます。きわめて茫漠としたものでございまして、これで七百八十八億円の予算案ができておるわけであります。これでは実際、保安庁の経費の実体、どういうふうなことが企画され、どういうふうな運営が行われているかということについて、十分審議するのに非常に困るわけでありまして、その点で私はこの予算の組み方はずさんであるというふうに見ざるを得ません。そこで一つ、二つ、それに関連してお尋ねしたいのでございますが、大体ことしの保安庁予算によりますと、人員は三割三分方ふえておるようであります。予算は、途中から人をとつて参りますから、少し少くして前年度に比べて二十八、九パーセント程度の増加のようでございます。いずれにいたしましても、もしこのスピードで参りましても、来年は一千億に上る保安庁の経費が新しい名称のもとに私は計上されると思うであります。従いましてこういう厖大な予算の編成の仕方が詳細にわたらないために、われわれ理解するに、十分に突き詰めるのに非常に困難であり、非常にずさんであつて、一千億からの金がどんどんここで使われて行くということは、われわれとして非常に納得しがたいのであります。保安庁予算の組み方ないしはことしの増加の模様、さらにそれに関連してきよう定員制などの数字が出たようでありますが、来年度に対する財政上の一つの見通し、こういう点を承りたい。
  132. 木村篤太郎

    木村国務大臣 来年度の見通しでありますが、三十年度におきましては、大体において制服二万人くらい増加いたしたい予定であります。それに関する経費というものは、ただいま正確な数字がわかつておりません。わかつておりませんが、ことしの予算におきましてもできるだけ前年度のストツクの利用、それから物件費の削減、それと同時にアメリカ駐留軍の演習場の共同使用、そういうような点から勘案いたしまして、よほど節約して参つておるのであります。来年度すなわち三十年度におきましても、二十九年度とはあまり多くの増加を見ないで済ませるようにくふういたしたい、こう考えております。
  133. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 非常に漠然としたお話で、さつぱり要領を得ません。これは保安庁予算書自体が茫漠としたものである当然の結果かもしれませんが、いまさらこれで追究してもしかたがありませんから、私はこれで打切ります。  そこで一つ、二つ中身を承りたいと思います。それはことしの保安庁経費の中に、船舶の受取りの外国旅費という項目かあるようであります。これは前年度はなかつた。そこでこれは、われわれが分科会などで承つたところでは、アメリカから船を借りて来るので、千五百トン以上はMSAよる借入れであるが、千五百トン以下は別途の協定によつて云々というようなお話であつたように承りましたが、別途の協定というのはどういう協定をやられるつもりであるか、それを承りたい。
  134. 木村篤太郎

    木村国務大臣 MSA援助に基くものと、それ以外のものとの区別であります。
  135. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 そのMSA以外の協定というものは、どういう協定でやられるのかというのです。
  136. 木村篤太郎

    木村国務大臣 それはアメリカの方でもおそらく一つアクトをつくらなければならぬと思います。それに基きましてあらためて日本の方と協定をいたす。こうなると思います。
  137. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 私の聞いておるのは、どういう協定を保安庁長官としては考えておられるかということです。
  138. 木村篤太郎

    木村国務大臣 ただいまいろいろ話し中でありますから、どういう内容、どういう方式で行くかということはまだわかつておりません。
  139. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 今年の予算書には二億五千万円計上されております。しかも千五百トン以上はMSA、それ以下は別途というのでございますから、別途のやり方についてどういう心構え、方式でやられるのかということを保安庁長官にお尋ねいたしたい。
  140. 木村篤太郎

    木村国務大臣 これはいわゆる方式は贈与協定に基いてやろうと考えております。
  141. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 贈与協定というと、小麦のあのような一千万ドルになりますか。
  142. 木村篤太郎

    木村国務大臣 それは小麦とは別に何したいと思います。
  143. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 その贈与協定の成立する見込みは確実でございますか。
  144. 木村篤太郎

    木村国務大臣 確実と思つております。    〔「いつやるか」と呼ぶ者あり〕
  145. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 いつおやりになるかということも聞かなければいけないが……。それから私はもう一つ予算書の最後に船舶建造費が出ておるようでありますが、これは前年度は三十六億、今年は百十三億円のようであります。この前年度の分もたしかまだ契約ができておらぬということを聞いておりますが、さらに本年度乏しい予算の中から百十三億さかれておる。こういうように全然まだ使われておらないのに、さらに二倍も三倍もするような経費をここでおつかぶせておる。そういうやり方が、おそらく保安庁のいろいろな経費をもつと追究して行けば、相当各方面にあるのではないか。それは私ども多年の間、日本では触れることのできない軍事費の累増によつて悩まされて来た。保安庁経費は、要するに使わないものの上にまたおつかぶせて来る。その金額は相当巨額に上つておる。その理由は慎重に考えるというお話のようでございますが、どうもわれわれとしては予算の審議について実質的に非常な障害、制約を受けておるような感じを抱かざるを得ません。この船舶建造費だけについてでもよいのですが、保安庁長官からこれをどうするのか、御説明を願いたい。
  146. 木村篤太郎

    木村国務大臣 お答えいたします。けさ小平委員の御質問に対してお答えいたしましたが、二十八年度の造船計画が着手していないのは事実であります。そこで申し上げたいのは、二十八年度におきましては予算が非常に遅れておるということが一つ。それで予算が成立いたしましてからただちに造船計画にとりかかつたのであります。御承知通り、ことに伊藤君はよく御承知でありましようが、船というものは、普通の船舶ならばいざ知らず、終戦後初めてつくりまする特殊船であります。これはなかなか容易じやありません。この基本計画というものは、なかなかなまやさしいものではありません。これは造船設計者において衆知を集めてこれをやらせておるのであります。これが一つ、手間どつておる理由であります。それからいずれの会社にこれを注文すべきかという点であります。御承知通り、随意契約方式で行くか、あるいは指名入札形式で行くか、これは非常に勘案しなければならぬ。一長一短があります。随意契約やれば、また御承知通りいろいろな問題が発生するということの疑問が起る。かりに正当にやつても疑問が起る。また指名競争入札にいたしまして一番心配することは、やたらな価格で落されては困るこれはよほど考えなければならぬ。私はけさほども申し上げたように、品物がりつぱで安いものがいい。安くても品物がりつぱでなければならぬ。ここでわれわれは慎重にこれを考慮いたさなければならぬ。基本的計画、それに基いてさらに詳細な設計をいたさなければならぬ。しかもそれについては普通の船じやなしに、御承知のように三インチの大砲も積まなければならぬ。あるいは四十ミリ機関砲も積まなければならない。それはMSA援助によつてアメリカから持つて来て、それを載せなければならない。それらをどうするか、あるいは装備をどうするか、通信機をどうするか、こういうことになりますと、普通の商船をつくるようなぐあいに行きません。あなた方が早くつくれというなら、私はつくつてみせますけれども、いやしくも国民の血税からなつておる予算の中から、かりそめにも不正があつてはならぬ、安くていいのをつくりたい、こういう精神から私はやつておるのであります。しかしながら大体結論は出ましたから、近くこれを発注したい、こう考えております。
  147. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 遅れる理由だけはるる承りました。しかしそれならば私どもから言えば、血の出るような財政からあらためて百十三億、去年の四倍もするような経費を計上する必要があるかという問題になります。しかしこの点は指摘するにとどめます。  財政関係に関連いたしまして、二、三質問したいのでございます。これは新聞の記事でありますが、小林開発銀行総裁が、三十六億円の例の小麦の日本に対する贈与の問題に関連して、これで特別会計をつくられるのかどうか、こういう問題になりましようが、それに関連して結局いろいろ経費が出て来るが、開銀からは出せない、そこで兵器産業などに対するいろいろの金融上の障害を除去するというような問題に関連して、予算措置の問題が起るかもしれぬということを言つておられます。またアメリカのスレザツク陸軍次官が二十四日の日に横浜におきまして、やはりそういう金融上の障害除去について近く行われるだろう。いかにも日本政府予算措置を講ずるか、あるいはまたその他何らかの措置を講じて、兵器産業に対する金融の障害を除くというような印象を、内外に相当の要人から伝えられるのでございますが、これについて大蔵大臣の御所見を承りたい。
  148. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 失礼しました。私への質問でないと思つて、ほかの書類を見ておりましたので……。
  149. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 アメリカの陸軍次官が、横浜で日本の兵器関係人たちと会い、あるいはまた日本小林開発銀行総裁が、兵器産業の融資の円滑化というような問題に関連しまして、補正予算の問題が起きるかもしれないが、いずれにしろこういう金融上、財政上の措置をとられるだろうというような説が、内外の相当の人から伝えられております。その真相をお聞きしたい。
  150. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私は何も承知いたしておりません。ただ今の一千万ドルの小麦がグラントとして参ります場合は、これは特別会計をつくる。その約三十六億円を主として向うと打合せた上でやることになりますので、兵器産業が主になるとは考えております。しかし小林氏からは何も聞いておりません。またほかからも何も聞いておりません。
  151. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 それから実は保守三党の予算の修正に伴いまして、繊維品消費税は課さないようになつたように承るのでございますが、もしそういう事実がありますならば、歳入面で八十数億円の欠陥を生ずることになるのではなかろうかと思います。これについての大蔵大臣の御所見を承りたい。
  152. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私はさようなことは全然聞いておりません。また御承知のごとく、それがかりに通らぬことになれば、それは八十五億円の歳入は、現在の日本の財政ではほとんど不可能に近いと思います。
  153. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 それでは義務教育費の国庫負担の特例が政府の予期に反して、続いております。それで去年の十二月、今年の一月、二月、三月と四箇月にわたつて、この財政措置をどうするかという問題がございます。これは第三次の二十八年度の補正としておやりになるのか、何らかの特別の方策をおとりになるのか。
  154. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 二十八年度の第三次補正として近く出したいと思つております。但し財源を昨年の予算の歳入総額をふやさないという考えでございますから、従つてどういうものを財源に充てるかということで、できるだけ先に行つたら見通しがはつきりいたしますので、この方は不要と見ていいというふうなことがはつきりいたしますので、今その点を検討いたしております。その検討が終り次第三次補正を出すことにいたします。
  155. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 そうすると、一応法律的にきまつておるものをさらに再検討して削減することがある、こういうことですか。
  156. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 予算ですから、実行予算で削減し得るものもあろう。また不要に立つものも相当ございます。そういうもの等を見込んで、なるべく不要に立つものを見たい、今こう考えております。
  157. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 減税国債の売れ行きの実情についてお伺いいたします。どうもわれわれの見たところでは、個人に対する売れ行きが非常に不振のようであります。その結果政府の資金計画に響くというようなことがあるか、ないか。
  158. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 減税国債は大体百三十六億売れておりまして、あとまだ六十四億ばかり残つておるわけであります。ところが十一月等は一月で五十四億も売れておるのでありまして、主としてはお話のごとく金融機関でございます。三月という月はそういうものが割合に売れやすい月でございますから、ひとつ大いに全力を尽してこれを売ろうと努めておる次第でございます。
  159. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 厚生省の予算に関連して一つお尋ねいたします。厚生省予算の中で医療関係の扶助費が、二十八年十月よりずつと引続いて東京都においては月額十億円というものが政府の方から入つておらないようであります。こういう未払いはおそらく通算いたしますと、日本全国を通じて相当の額に上るのではなかろうかと思うのであります。従つて政府はこれについて一体どうするか、特に財政法十二条との関係でどうするか、この点を伺いたいのであります。またさらに今度の予算においては政府は多少の金額をこれに計上しておるようでございますが、しかしそれも実際の経費よりは相当少いようであります。従つてこういう点について財政法十二条との関係において、政府はどういう御措置をとるのでございますか。
  160. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 政府委員より答弁いたします。
  161. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えを申し上げます。医療扶助費が最近非常にふえまして、昨年、二十八年度の予算におきまして、ある程度の不足が出るということは御指摘の通りでございます。そこで先般予備費からある程度支出をいたしました。なお医療扶助費につきましては、伊藤委員も御承知のように、相当生活扶助とは違いまして、世帯別に生活扶助をもらつておる者で医療扶助をもらう者と、いわゆる単給と申しまして医療扶助だけをもらつておる者とがあるわけでございます。そういう場合におきましては、とかくいわゆる福祉事務所の見方等につきましてもむずかしい問題があるのであります。これらの点につきましては、厚生省当局とも力を合せまして、先ほど来お話のような、血税の使用につきましては慎重を期さなければなりませんので、十分監査もいたしておるような次第でございます。しかし監査をいたしまして、なお必要な分につきましては、予備金の支出、あるいは来年度におきましてその不足分に対する補填の措置を講じておる次第でございます。
  162. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 オーバー・ローンのことを一点お伺いしておきます。政府は、オーバー・ローン解消について、今度の国会に何らかの法案なり、そういうようなものをお出しになる予定であるかどうか。
  163. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 この問題は相当影響するところがあり、また一刻を急ぐという問題ではございませんので、まだ今慎重検討中でございます。
  164. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 その案の重要な骨子は、たとえば今日日銀券が五千数百億になつておる。貸出しが三千数百億になつておる。それでオーバー・ローンの解消ということで二千億なら二千億を解消する、そしてそれが外貨の保証準備になる、こういうような御構想でございますかどうか。
  165. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 大蔵省の原案として考えておりましたのは、今手持ちに持つております外貨のうち所要額を差引いて、大体二千億円に相当するものを売却いたします。日本銀行がそのかわり金を出しますから、そのかわり金を受取つて、それを開発銀行あるいは輸出入銀行、長期信用銀行等に預託する。預託を受けた開発銀行等は、これをまたオーバー・ローンを受けておる銀行に預託をいたします。但し預託には担保を――この点が市中銀行に少し難色がある点だと思いますが、担保を、入れる。同時に預託期限も一応三年と限られておりますから、返済期限等をいつどういうふうにして預託を返す、こういうふうに約束をしなければならぬことに相なつておるのであります。こういうのが大体の原案でございます。
  166. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 そこで日銀券の発行の問題に関して言いますと、もし今のような方式がとられるとすれば、日銀の所有の外貨が増減すればやはり日本の通貨も増減する。それについては何らかの予防措置なり、若干の方策を講ずれば、またそれだけいろいろ緩和されて来るわけでございますが、いずれにしましても外貨というものと日銀券というものとの間に現在よりは密接な何らかの関係が出て来る。従つてそういう意味で言うと、通貨発行の制度それ自体にも幾分の色合いが――方策のいかんによつては非常に少いとは思いますが、何らかそういうふうな意味で通貨発行の制度自体にまで、幾らかの影響があるのではないかと思うのでありますが、これはどうです。
  167. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これは以前と違いまして、今は最高発行制度でやつておりまして、これを準備その他に充てておるわけではございません。従いまして通貨の点には、また日本銀行の発行の点については何ら直接の関係を持たない次第でございます。
  168. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 オーバー・ローンをして解消する必要はどうもないようでありますが、これは意見にわたりますし、時間がございませんから省略いたします。  ただ財政について私は最後に申し上げておく。政府は一兆円予算というふうに言つておられる。しかしこれは私は過日本会議で簡単に申し上げましたが、政府が去年と同じような財政の組み方をしておれば、四百億円以上一兆円をオーバーする金額になると私は思う。たとえて言えば、今の入場税をどうしたとか、あるいは課税の払いもどし金等とかから、だれも常識的に知つております。ただそれの組み方の形式をおかえになつて一兆円以上にされたというにすぎないと思うのですが、この点はいかがですか。
  169. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 この点はたびたび申しましたごとく、地方税である入場税を国税に移管し、そのときに九割までもどすのであるから、これは交付税及び譲与税特別会計をつくつて出すだけでありますし、また税金というものはもともと入つて来るものでやるものではないのであつて、これはむしろ一つにした方がよいので、今度の特別基金ですか何ですか、ちよつと名前は忘れましたが、その制度にして、法案を出して御承認を得ることになつております。これはもどすものでありますから、もどす税はそうする方が税の本質から見て穏当である、かように考えたので、私どもはむしろ改善であるというように考えております。
  170. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 これは政策のよい悪いではないのであります。去年と同じ予算の組み方をすれば、金額は一兆円を越えておる。それをただ形式をかえたために一兆円以内にとどまつたというにすぎないのではないか。ただ実体の問題であります。
  171. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 異体の問題であれば、見方によることであります。
  172. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 最後に国際収支の改善について一言お尋ねいたします。私は非常に事態が重大でございますから、国際収支の改善について政府の特段の措置を要望していたわけでありますが、ただ一兆円予算で金融引締めその他の問題以外に何らのお話がございません。最近、新聞によるともう少し進んだようであります。問題の砂糖について、あるいは高級建築その他の問題について、要するに総合的に従来の措置を政府にも相当進めつつあるような印象を受けるのでございますが、これについて、この重大な事態に対する最近の政府の方策を、簡単でけつこうでありますから、ひとつお漏らし願いたい。
  173. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまの御質問は、最近における新聞の報道等によつてのお尋ねと思うのでありますが、政府におきましては、ただいま新聞に一部伝えられておるような、さようなものを成案として持ちつつあるわけではありませんが、国際収支の改善につきましては、本委員会におきましてもるる申し上げましたように、各般の措置にわたりまして総合的な対策を現に検討中であります。また近く措置したいと思うものもございます。
  174. 倉石忠雄

    倉石委員長 伊藤君、お持ちの時間ですが……。
  175. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 もう一つ。外務大臣が来られましたから、私は全部一括して御質問を申し上げます。  MSA協定による過剰農産物の日本に対する贈与の問題は、特別会計をつくつてお受入れになるのだろうと思います。その特別会計の設置に関する問題は、いつごろ本院に出るのであるかということが一つであります。  第二は、われわれの承知しておるところによると、アメリカでは、政府の余剰小麦を外国に売る場合には補助金を出すというような制度がとられておるように承りますが、日本への余剰農産物の場合には、その法律が適用されるのかどうかということであります。  第三は、スタツセン対外援助本部長の話による域外買付一億ドルというものは、余剰農産物の中で一千万ドルのグラントを除いて四千万ドルを要するにその一億ドルに含んでおるかどうか、そういうスタツセン氏の談話が新聞などに出ましたので、その談話によつて、域外買付の内容について御質問するわけであります。もちろんこれらのことは間もなく正式に協定の上政府からいろいろ発表なり御説明があると思いますが、その前に予算の審議の過程で二つ三つとりあえず質問をしておく次第であります。  それから農産物買付の円資金の使途を狭い意味の兵器産業に限定するのか。たとえば電力、石炭というような基幹産業をも関連産業として含まれるのかどうかということであります。  それから五千万ドルの農産物買入れの資金のうちで一千万ドル以外、贈与以外のものの預託先はどういうことになるか。それから買付価格であるアメリカの市場価格というふうに伝えられておるが、この市場価格とは一体どんなものであるか、これらの点についてひとつ要約的に御説明願いたいと思います。
  176. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 第一の点は大蔵大臣、通産大臣等と協議をいたしまして、何らか特別の会計をつくることになろうかと考えております。  第二の点は、補助金は日本の場合にもアメリカは、適用するのであります。  第三の問題はスタツセン氏の直接説明を聞きませんから、確かなことは申し上げられませんが、われわれの承知しているところでは四千万ドルを含めて一億ドルの域外買付はある、こういうふうに考えております。  それから第四の問題ですが、つまり関連産業に出すか出さないか。これは理論的には関連産業でも出せるのであります。ただ額が約三十六億ということになりますから、そういたしますと実際上それほどの資金がないということになろうかと思います。従いまして直接の関係だけにとどまりはしないかと思いますが、この点はまだ決定はいたしておりません。  それから、四千万ドルに当る分についてどういう取扱い方をするか、これも外務省としてきめるのではなくして、大蔵大臣等において正確にとりきめられることと思います。
  177. 伊藤好道

    ○伊藤(好)委員 もう一点だけお伺いたいします。軍事顧問団というものが設けられるようであります。その結果、今までは保安顧問団ですか、そういうものもあつたようでありますが、その経費その他の関係から財政上何らかの措置を必要としないかどうか。この点をひとつ……。
  178. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 経費の問題はただいま最終的には決定いたしておりませんが、数億円のものは必要と考えております。これは予算の範囲内においてあんばいして、出せるものを出そうと考えておりまして、予算を変更する考えは持つておりません。
  179. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ただいまの問題は、防衛支出金その他既定の費目のうちから弁ずる考えでおります。
  180. 倉石忠雄

    倉石委員長 西村榮一君。
  181. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は現下の重要問題は、何と申しましても政局の不安と緊縮財政から来る経済の不安と混乱、同時に日本自衛力のあり方の三点に尽きると思います。以下この三点につきまして総理大臣質問したいと存ずるのであります。私は一国の総理大臣の権威を尊重をしつつ本日は質問いたします。一年前のように総理大臣も興奮なさらずに、この重要問題について慎重にして良心的な御答弁を煩わしたいと思うのであります。  まず第一に経済問題につきまして伺いたいと思います。現在緊縮財政をもつて予算案を構成されておりますが、緊縮財政は申すまでもなく中央財政と地方財政と金融政策の三者一体になつて、総合的な施策がなければその実効があがらないのであります。しかるに本年度の予算は、中央財政は緊縮したけれども、地方財政は非常な膨脹を来しております。総計いたしまして昨年度よりも二十四億円の膨脹であります。従つて私がこの際総理大臣にお伺いしたいことは、これらの中央財政、地方財政、金融政策並びに財政転換に際して、一貫せる計画性がなければならないと思うのでありますが、総理大臣はこれに対してどういうお考えを持つておられますか、お伺いいたします。
  182. 吉田茂

    吉田国務大臣 地方財政に対しても千分の圧縮なり、また耐乏の財政をいたすように指導いたすつもりであります。金融問題については日本銀行総裁との間に十分連絡をとつております。
  183. 西村榮一

    西村(榮)委員 十分に指導されるというのでありますが、すでに地方財政においては計画性ができておる。私はしかしその問題については時間がありませんから深く追究いたしません。  ただいま日本銀行総裁と協議の上金融政策の一貫性を期するというお話でございましたが、私は今日本において円の国際価格をどう防衛するかということが、日本国土防衛の問題とともにきわめて大切であろうと思うのであります。しかるに最近の傾向は円の国際的投機が旺盛になつておるのでありまして、この円を売つてドルを買うという国際的投機の傾向に対して、これを援助するがごとき金融政策が今日とられておるのであります。率直に申しますと、ドルを買つた外国の物資に対して日本銀行は金融的措置をとつておる。従つてそのことは間接的にはドル買いを援助するような傾向を生じて来ておるのであります。これを是正される御意思はないか、その点について承りたいと思います。
  184. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 西村さんのお話の点は私どもまことに重大と考えておるのであります。従つて昨年日本の通貨価値の維持をもつて内閣の政策の中核とすることをきめまして、爾来その方針のもとにやつてつておるのであります。そこで先般も日銀総裁と私は数回会いまして――たとえば昨年の一月から六月の上半期の契約高とAAの自動承認制のドルの分でありますが、一月だけでもそれを凌駕するということではたいへん困る。従つて輸入金融についての措置をとつてもらいたいということで、この点が大分やかましくなりましたので、この輸入金融については、あるいは保証金その他の制度をも今考えておるのであります。さらに三月一日から実行いたしますが、各銀行の金利を市中銀行の二厘高ということに日本銀行はこれを改めたのであります。そのほかいろいろ輸入についての助長になるようなこと、その思惑の助けになるようなこと、そういうことについては銀行の指導よろしきを得てもらいたいということを特に注文しておいた次第でありまして、いかにもお話になれば、もう少し早くやつておけばというおしかりがあるかもしれませんが、ちようど一月ごろあまりに殺到して参つた情勢から、応急的にそういう処置をとつておりますが、なお今後とも十分この点についての措置は講じたいと考えております。
  185. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は本日は総理大臣質問のみに重点を置きたいと存じておりますので、大蔵大臣の財政問題に関する御所見はいずれ後日承りたいと思います。  私が総理大臣政治的感覚としてお尋ねしておきたいことは、耐乏生活というものは万人ひとしくこれを行い、万人ひとしくこの犠牲を負うのが常識の建前だと思うのです。しかるに財政計画に一貫性を欠いた結果、デフレ政策の犠牲を一方のみで負うようなことがあれば、これはたいへんなことだと思うのであります。総理大臣に要望したいのは、それらの計画性を早く樹立して、デフレ財政の犠牲を一部の人が食わないように考慮を払われたいということで、私は財政論は打切ります。  ただ問題は、緊縮財政をとるにあたつて最も私が必要だと思うのは、不急不要にして、かつ法律的な根拠を持たざる費目というものは削減の第一の対象になるべきだ、こう思うのでありますが、総理大臣の御見解はいかがですか。――あんまり居眠りしないて聞いてください。私は真剣に聞いているのだから……。
  186. 吉田茂

    吉田国務大臣 不急不要の費目はないそうであります。
  187. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は真剣で聞いておるのでありますから、私が総理大臣にお尋ねしたら、横ちよを向いてないで、まつすぐに私の顔を見て、耳を傾けて聞いてください。私が問わんとしたところは、不急不要にして、不生出産的なものであり、かつ法律的な根拠に基かざるものは、これがまず緊縮財政の対象になるべきではないかという原則論を聞いておる。あなたのお考えはどうですか。
  188. 吉田茂

    吉田国務大臣 政府としては、お話の通りにやつておる考えであります。
  189. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は本日はなるべく総理大臣と穏やかに、先ほど読み上げました三点について、朝野両党の代表として虚心担懐に討論をいたしまして、国政の向うべき道を明らかにしたいと存じておるのでありまして、あまり答弁をぶつきらぼうにされたり、うそを言われたり、詭弁を弄されると、私も気の弱い者でありまするので、つい持前が起きて参りますから、これはひとつ御親切な御答弁を煩わしたいと思います。  そこで私は総理大臣にお尋ねいたしまするけれども、まず第一に、不急不要の費目にして、不生産的なものであるとするならば、今日本の大きな財政的な比重を占めておる防衛支出金は、当然削減してしかるべきだと私は存ずるのでありますが、総理大臣の御見解はいかかですか。
  190. 吉田茂

    吉田国務大臣 防衛予算は、日本の現在置かれた必要のもとに編成いたしたるものであります。これは不急不要とは考えません。
  191. 西村榮一

    西村(榮)委員 防衛支出金は減額の余地はございませんか。
  192. 吉田茂

    吉田国務大臣 これは必要と考えるだけの費目を計上いたしたのであります。
  193. 西村榮一

    西村(榮)委員 それならば私は総理大臣にお尋ねいたしますが、防衛支出金というものを当初六百五十億円と算定された基準は一体どこからお持ちになつたのであるか。しかしてそれを将来削減することができないとするならば、そのできないない根拠を総理大臣から明らかにしていただきたい。
  194. 吉田茂

    吉田国務大臣 所管大臣からお答えをいたします。
  195. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 防衛分担金は、先方と打合せましてその金額をきめておる次第で、本年は昨年に比べて三十億を減じております。
  196. 西村榮一

    西村(榮)委員 私の問わんとしていることは、そうではない。本年度五百八十億円に減額された根拠、将来減額の余地はないのかどうか、ないとするならば、ない理由を明らかにしてもらいたい。五百八十億円というものを算定したならした、どういう基準でそれを算定せざるを得なかつたのかということを総理大臣から承りたい。
  197. 吉田茂

    吉田国務大臣 所管大臣からお答えいたします。
  198. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 算定の基礎は、先方と打合せの上でございまして的確なものは政府委員から答弁いたしますが、私どもといたしましては、日本自衛力漸増に伴いまして漸次これは減つて行くもの、また減らし得るものと考えておりまして、これはこの通り固定したものとは考えておりません。漸次減つて行くものと考えております。
  199. 西村榮一

    西村(榮)委員 それならば、今の問題はあまりしつこくお尋ねいたしませんが、総理大臣にお尋ねしておきたいことは、本防衛支出金がきまりましたときに、行政協定の合同会議公式議事録によると岡崎・ラスクの会談においてこういうことがとりきめられております。「日本国が漸増的に「自国の防衛のため自ら責任を負う」ことあるべきに応じ、そのような防衛のための経費が増加するということにかんがみて」、合衆国の軍隊維持のための費用は減額してもらいたいという岡崎君の要請に対して、ラスク氏はこれに応諾いたしているのであります。しかりといたしますならば、当初二百九十八億の警察予備隊とアメリカ駐留軍の兵力との間のバランスによつて日本防衛力というものが策定されたのにかかわらず、今日アメリカの兵力が減少するから日本自衛力をふやせということであれば、その自衛力漸増の費用は、当然防衛支出金を食つて自衛力漸増の経費に充てるべきであつて、これを日本の産業資金並びに社会保障費を削つてやるべきではない。私の言わんとするところは、この岡崎・ラスク会談によつてとりきめられた条項に従つて日本自衛力漸増計画の費用の財源を捻出する場合には、合衆国に払つている防衛支出金を減額して行くべきである、私はそう思うのですが、総理大臣の御見解はいかがですか。
  200. 岡崎勝男

    ○岡崎国務大臣 その会談の議事録はお持ち合せでしようから、よくごらん願えば、それはとりきめというわけにはなつておらないのでありまして、ただそういう場合にはアメリカ側としても十分考慮してもらう必要があるということを私が申しまして、それについては考慮するということは言つておりますが、日本自衛力増強のための費用がふえれば、それに見合つて減るという協定にはなつておらないのであります。またわれわれの考えといたしましては、自衛力漸増は、アメリカのためにするわけではないので、日本の必要でするわけでありますから、日本として経費を捻出するけれども、財源が困難な場合には、その方面にも考慮を加える、こういう趣旨であります。
  201. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は岡崎君と討論する必要はない。今あなたはそういうことをおつしやるが、当時の説明では、行政協定はそうなつておりますけれども、岡崎・ラスク会談においてはこういうことをとりきめて、おります。従つて日本自衛力をふやす場合には、アメリカは防御支出金は減らしてくれるのだ、こういうことをこの議事録に従つてあなたはここで説明している。三年たつて今それを変更されているのですが、しかし私は、そういうことについてはあなたと御議論をしているいとまがございません。  日本総理大臣にお伺いしてみたいのです。それはほかでもありませんが、別の観点からお尋ねすると、昭和二十七年二月二十三日の当予算委員会において、政府防衛支出金に対してこういう御答弁をなさつておられる、これは日米両国折半によつて六百五十億円を支出するのである、こういう御答弁でありますが、この昭和二十七年の予算委員会における答弁を、今日の状況から行つて総理大臣は変更する必要が生じたかいなや、このままこの御答弁を御継続なさるかどうか、これを一応承りたい。   〔「総理、なぜ答弁しないのか」と呼び、その他発言する者多し〕
  202. 吉田茂

    吉田国務大臣 どの政府委員を指名いたしても、総理大臣答弁とお考え願いたい。
  203. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 その当時においては折半という考え方ではございましたが、しかしその当時におきましても、向うの実際の負担額は相当大きかつたのであります。現在におきましても、向うの負担額の方が相当多うございます。
  204. 西村榮一

    西村(榮)委員 それはあなたが当時大臣でなかつたからあなたを追究しませんが、総理大臣は当時の総理大臣です。当時の兵力量と今日のアメリカ軍の日本においての兵力量は雲泥の相違があります。向うが経費がふえたということは、アメリカ極東軍司令部の極東軍の兵力としての費用がふえたのである。日本防衛費に対する費用は少しもふえていない。しかし総理答弁なさらぬのでありますし、当時関係のない小笠原君がひよこひよこ出て来ても、これは気の毒ですから、私は追究しません。  それならば私は総理大臣にお尋ねしておきたいことは、これは当時の二月二十八日の行政協定が締結される前の政府当局の答弁は、日米両国において日本防衛のための費用は折半するのである、こういうふうな説明を行われた。当然そこには、これは日本防衛のために使われておるということを常識上解釈するのでありますが、一体アメリカはこれに対してどういうふうな予算取扱いをされておるのであるか、総理大臣はこれをごらんになつたことがありますかどうか、お尋ねしたい。
  205. 吉田茂

    吉田国務大臣 質問趣旨はどういうのですか。
  206. 西村榮一

    西村(榮)委員 これは、日米両国が日本防衛のためにその費用を折半して負担するのだという当時の説明であつた日本はこの御説明従つて予算委員会は六百五十億円というものの支出を認めておる。しからばアメリカはそれの受入れ態勢は一体どうしておるか。同時に日本防衛のために六百五十億円というものが使われておるという明確な根拠を政府がお調べになつたかどうか、この点について……。
  207. 吉田茂

    吉田国務大臣 これは主管省で調べた上でお答えをいたしますが、当時は、日本防衛費は折半以上のものをアメリカは出しておるのであります。今後も必要に応じてアメリカ政府が支出することにおいて、決して異議はないと私は確信いたします。
  208. 西村榮一

    西村(榮)委員 日本防衛のためにアメリカがその半額あるいは半額以上を負担しておるとあなたはお考えになつておる。あるいはそうじやなく、アメリカ極東軍の費用として使つておるのかどうか、この点お調べになつたことがありますか。
  209. 吉田茂

    吉田国務大臣 これだけが日本防衛のために必要なる費用である、これ以上はそうでないというようなことは調べたことはありませんが、話合いとして、日本防衛を含めた太平洋防衛についてアメリカ計画を立て、また日本に協力を求めておつたのであります。
  210. 西村榮一

    西村(榮)委員 少くとも一億五千五百万ドルの大金を国会が支出しておるのに、日本の金でありまするならば決算委員会、あるいは会計法に従つてその金の行力を監査し、十分に使われておるかどうかということを探求するのでありますが、三年間にわたつて、この金の使い道が当初の契約通りできておるかできとてないかということをお調べになつてないというのは、一体どういうことなんてす。――政府委員の答弁はいりません。総理大臣……。
  211. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府委員が答弁をいたします。(発言する者あり)政府委員に発言を許しました。森永政府委員。〔西村(榮)委員「総理大臣答弁を要求しておる」と呼び、その他発言する者多し〕
  212. 倉石忠雄

    倉石委員長 静粛に願います。森永君、御発言を願います。
  213. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 一応私からお答え申し上げます。ただいまの米軍交付金は、行政協定の規定によりまして、大体折半の原則で、一億五千五百万ドル相当額を負担して参つておるのでありますが、二十九年度におきましては、これを二十五億円だけ減額いたしております。しかしてこの金は、行政協定の規定に基きまして、四半期ごとに米軍に交付いたしておるわけでございまして、米軍におきましては、その支出いたしましたものは日本側に毎四半期ごとに報告をいたしておりますので、いかなる費途にそれが充当せられておるかどうかということは、日本政府にもよくわかつております。
  214. 西村榮一

    西村(榮)委員 それならばお尋ねいたしますが、一億五千五百万ドルという日がか支出した金額は、一体アメリカのどの機関が受取つておるのか、総理大臣はこれをお調べになりましたか。国防省が受取つておるのか、財務省が受取つておるのか、どの機関が受取つておるのかお尋ねいたしたい。日本一の経理の状態は、私は森永君よりよく知つておる、大蔵大臣より知つておる。ただこれが日本の手から離れて行つたときに、アメリカがどの機関で受取つておるかということを私は聞いておる。
  215. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 駐軍軍の日本にある勘定に入つております。
  216. 西村榮一

    西村(榮)委員 それならば総理大臣にお尋ねいたしますが、あなたはアメリカの昨年度の予算の討論をごらんになつたことがありますか。そこには……。   〔「つまらね質問だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  217. 倉石忠雄

    倉石委員長 静粛に願います。西村君、御進行を願います。
  218. 西村榮一

    西村(榮)委員 選挙違反や疑獄を起す連中にはつまらぬが、これは国家の大事だ。  私は総理大臣にお尋ねするのであるが、この金は、アメリカにおいて日本防衛費として何らの処理をしていないのでありまして、アメリカ予算局はこれを雑収入として取扱つておる。しかもこれは、アメリカ上院の歳出委員長質問に対して国防省は、これは従来日本が終戦処理費としてアメリカに提供して来たその継続でありますと、一九五三年七月十日陳述しておる。総理大臣の従来の御答弁とここに重大な食い違いがあるんだが、これをごらんになつたかどうか、総理大臣にお尋ねする。
  219. 吉田茂

    吉田国務大臣 そういう報告は私は見たことがありません。
  220. 西村榮一

    西村(榮)委員 総理大臣われわれ陣笠と違つてお忙しいから、目を通すひまがなければ、ここにアメリカ予算の議事録がございます。ごらんになつたらいかがですか。この一九五三年七月十日の議事録の二千四十二ページに、アメリカ国防省の代表が上院において、この防衛分担金は終戦処理費の継続として日本から受取つておるんだ、こう証言しておる。しからば、日本のこの六百五十億円の金額は防衛分担金として半額負担しておるんだという従来の政府答弁を、アメリカはこれを裏切つて反対の答弁をしておるじやないか、これがうそだと思えば、これをごらんなさい。ここにある。総理大臣、御答弁願いたい。
  221. 吉田茂

    吉田国務大臣 お答えをします。政府としては、アメリカ政府の正当機関に約束によつて金額を渡して、そしてこれに対して相当の証拠書類をもらえば、政府の手続としては尽しておるのであります。議事録は拝見いたしません。
  222. 西村榮一

    西村(榮)委員 私はなぜこの問題を総理にお尋ねしておるかといえば、日米安全保障条約によつて日本防衛するという義務条項が、どこにも条約の上には書いてない。極東の安寧と防衛のためにアメリカ軍が日本に駐留しておるということは書いてあります。日本防御のためにということはどこにも書いてない。しかるに日本防衛のために六百五十億円という貴重な金額を支出するということは不当である。かりに自衛力漸増するならば、その費用を削減して、そこから出すべきである、こういうふうに私は主張する根拠がある。そこでそれをあなたがごらんになつていなかつたら、あえて私は追究いたしませんが、これは申し上げると、終戦処理費の継続として、雑収入としてアメリカはこれを受領しておる。同時に当初一年間は、国防省の予算が編成された後において、この一億五千五百方ドルという予算がよけいに日本から人つて来たのであります。アメリカ予算の中でも、この使い道がわからなかつた。そこでおかしいというので、一九五三年において法律改正いたしまして、アメリカ予算書の中に、これは雑収入として取入れた。そこに問題がある。そこでその問題をあなたがごらんにならないというならば、私の時間もだんだん切迫して参りますから、私は深く追究いたしませんが、この予算案は、ドイツと日本と二つの国だけが雑収入として処理されている。そうするとアメリカの上院で論議されたように、これは終戦処理費の継続である。同時にドイツと日本がこの負担金を出しておるのだということに符牒が一致するのであります。  そこで私はあなたにお尋ねするのでありますが、平凡なお尋ねです。日本はほんとうに独立国であると思われましようか。あるいは形式的には独立を与えられておるが、ほんとうの独立ではないということになるのであるか、この問題について簡単ですからお答え願いたい。
  223. 吉田茂

    吉田国務大臣 日本は完全なる独立と確信いたします。
  224. 西村榮一

    西村(榮)委員 しからばお尋ねいたしますが、世界広しといえども、独立国にして防衛分担金を支出している国は、総理大臣、どこにもないのです。日本だけなのです。日本だけがそういうことになつておる。NATO条約その他において、イギリス、フランス、イタリア等十九箇国が相互援助同盟を結んでおりますけれども、この相互援助同盟を結んだ十九箇国は行政費として、全体で五百万ドル負担しておるだけなのです。防衛支出金というものではない。従つて防衛支出金というものを負担しておるものは、アメリカ予算の費目から申しますならば、これは日本とドイツだけが雑収入の項目の中に入つておるのですが、この事実を見て、あなたは日本が独立国だと言えますか。
  225. 吉田茂

    吉田国務大臣 アメリカ政府がいかに経理をいたすか、われわれ責任を持ちません。日本は日米安全保障条約によつて支出しておる条約上の義務から、義務として出しておるのであります。それから外国にどういう例があるかはわれわれ関知するところではありません。日本の必要に応じて、日本独自の考えから、あるいは必要な費目を設けることもありましようが、一々他国の例にならつて、他国の例があるからこうだということは考えておりません。
  226. 西村榮一

    西村(榮)委員 それならばあなたにお尋ねするのだが、他国の例にならつて日本はこうだああだということはやらないとおつしやるが、それならば他国の一番悪い例、しかも独立していない、占領されておるドイツの例と日本が同様の取扱いをされておる。この事実を見ても、あなたはそれで少しもさしつかえないとおつしやるのですか。
  227. 吉田茂

    吉田国務大臣 ドイツがどうであろうが、日本が独立国である以上は、日本独自の処置をいたします。
  228. 西村榮一

    西村(榮)委員 それでは十九箇国のうちでイギリス、フランスのみならず、インドシナ、タイ国、チリー、コロンビア、キユーバ等も防衛支出金は負担していない。一体これらの国よりも日本がもつと差別待遇を受けておるということについて、あなたは、他の国はともかく、日本は独自でやるのだとおつしやいますが、この貧乏国の日本が屈辱的な態度だけは別でやるのだ、それで一国の総理大臣として済まして行かれますか、しかも従来の速記録をごらんになつたらわかるが、あなたは独立国だから日本が負担すべきものは負担するのだ、こういう建前をとつて来られたのでありますが、独立国にして、かような防衛支出金を負担している国は一つもない。しかもアメリカがこの費目を占領国ドイツと同様なる取扱いをして、しかも、これは占領当時の終戦処理費と同様なる金額であるということで受取つている。これをもつて、なおかつあなたは独立国であるから独自にやるのだということであるならば、かりにあなたがそのことを承認しても、過去五箇年のあなたの答弁は、この現実の前に全部うそだつたということにはなりませんか。あなたは五箇年間うそをついていたということになる。うそでなかつたら速記をごらんなさい。
  229. 吉田茂

    吉田国務大臣 繰返し申し上げる通りアメリカがいかに経理をいたすかはわれわれ責任をとらないところであります。
  230. 西村榮一

    西村(榮)委員 この問題は対日援助費とともにきわめて重要であります。特に対日援助費は日本の債務にあらずということを、私は法理的な根拠において、現内閣に反省を促して参りました。従つてこの防衛支出金も、条約の問題においても、そのアメリカ取扱いにおいても、あるいは国際慣例においても支出すべき責任はないと自分は確信して来たのであります。なお時間があれば、私はこの問題について詳細に総理大臣の御意見をお聞かせ願いたいと思いますが、しかし時間がございませんから、最後に簡単にお尋ねいたします。  先般の本委員会において、政治不安の疑獄が閣僚に及ばないということを確信するとお述べになりましたが、率直に申しますならば、閣僚がひつぱられたときには、一体総理大臣はどういうふうな責任をおとりになりますか、この点お尋ねしておきたい。
  231. 吉田茂

    吉田国務大臣 閣僚の中にそういうような問題があることはないと考えておりますから、従つてそのお答えは私はいたしません。
  232. 西村榮一

    西村(榮)委員 現在は政党政治の時代であります。従つて官僚政治の時代と違つて、政党がなした行為は政党全体が責任を負うべきである。自由党総裁としての総理大臣は、政党自由党が犯したこの問題については責任をおとりになりますか、どうですか。    〔発言する者あり〕
  233. 吉田茂

    吉田国務大臣 先ほど申した通り閣僚にそういう人はないと確信をいたします。
  234. 倉石忠雄

    倉石委員長 ただいま西村君の御発言中、委員長において速記録を取調べた上、不穏当な箇所がありと認めましたならば、適当な措置をいたします。
  235. 西村榮一

    西村(榮)委員 私はこの際明確にお尋ねしておきたいと存ずるのでありますけれども、今日の政治の不安は、これは汚職や疑獄ではございません。政策の行き詰まりと道義の頽廃であります。従つて政治家みずからが高い矜恃をもつて道義の作興にかからなければ、一体だれが道義の高揚をはかりましようか。そこで私はそういう抽象論を別として、かつて大正二年に起きたシーメンス事件においては、当時の海軍大臣総理大臣も刑事の上責任はなかつたのでありますけれども、軍務局長並びにその他の属僚が犯したこの事件でさえも、時の山本権兵衛内閣は道義的な責任を負うて総辞職したのでありますが、総理大臣は、この道義的な政治の進退と今日とを対照して、一体いかなる御心境にありますか。
  236. 吉田茂

    吉田国務大臣 重ねて申し上げますが、真相をまつて政府は善処いたしますから、御安心ください。
  237. 西村榮一

    西村(榮)委員 真相をまつて進退を決するということでありまするが、その真相ということは、法律上真相が明らかになるのは、これが判決によつて四、五年間かかる。その四、五年間はあなた居すわるつもりですか。はなはだ失礼でありまするけれども、過去の内閣において一つの汚職、疑獄事件が起きて、それが議会において不信任案において内閣が退陣した例はない。    〔発言する者多し〕
  238. 倉石忠雄

    倉石委員長 静粛に願います。
  239. 西村榮一

    西村(榮)委員 旧明治憲法においては、かりに議会において絶対多数を有しておるとはいいながらも、形式的な信任があるとはいいながらも、その道義と政治的な信頼感が国民にないと天皇側近の政治家が考えたときに、元老並びに枢密院は内閣に対して辞職を勧告して、議会の不信任案をまたないうちに、この内閣は道義的責任を明らかにして辞職をいたしておる。しかりといたしまするならば、今日において私はあなたに問おうとしておるのは、古い、非民主的憲法なりとして排撃した明治憲法でさえも、道義と責任感を感じて、内閣はその憲法の条章に従つて責任をとつたのでありまするが、しからば今日において、裁判の黒白が明らかになるまでこれは居すわるんだということになるならば、民主主義の原理である道義と責任の問題というものは、一体どこに確立することができましよう。民主院主義の基礎というものは、道義と責任感の上に立たなければならない。しからば裁判所の黒白がつくまで居すわるのだということで道義と責任の所在というものが不明確になりますならば、今日の民主主義の基礎は一体どこに確立することができるか。総理大臣の見解を承りたい。(拍手)
  240. 吉田茂

    吉田国務大臣 私はしばしば申します通り政府としては重大な責任を持つておる以上は、たとえば西村君があるものがどうしたという町のうわさを信じられて、そうしていろいろどろをかぶされても、軽々に政府は進退することはすべからざることが民主政治の本義であると考えるから、軽々には辞職いたしません。また従つて御注文の通り、政変などはいたすことはありませんから、御安心ください。(笑声、拍手)
  241. 倉石忠雄

    倉石委員長 西村榮一君、お持合せの時間が来ております。
  242. 西村榮一

    西村(榮)委員 私の持つておる時間が切れたそうでありますから……。   〔発言する者多し〕
  243. 倉石忠雄

    倉石委員長 静粛に願います。
  244. 西村榮一

    西村(榮)委員 私はこれ以上具体論に入ることを差控えましよう。しかしながら重ねて総理大臣に要望しておきたいことは、民主主義の基礎は、私はあなたの年齢からいつて釈迦に説法だと思いますが、道義と責任性である。この責任を明らかにしてもらいたい。シーメンス事件においても、一局長が嫌疑をこうむつたというだけで内閣は総辞職をしておる。ここにやはり道義と責任性が明らかになつて国民政治への信頼感が赴きて来たと思う。しかるに今私は、総理大臣の御答弁を聞いてはなはだ失望を禁じ得ざるものがあるのであります。おそらく全国民は憤激禁じ得ないでありましよう。けれども、私は一国の総理大臣に対してこれ以上追究することは今日差控えましよう。いずれ予算委員会を通過いたしました後において問題は明らかになる。従つて一定期間総理大臣は――大分きようは興奮を押えつつも、なおかつ興奮をされておるようでありますから、(笑声)私はここに冷静なる冷却期間を置いて、民主主義というものは道義と責任の上に立たなければならぬということを静かにお考えを願い、しかもその一定期間の後において、なおかつ今のような総理大臣が御答弁をなさるならば、私は某特殊銀行の問題、某重要基幹産業の問題、あるいはやみドル事件の問題等をひつさげまして、今度は具体的な事実をひつさげて現内閣にまみえんとするものでありまして、こいねがわくば、総理大臣が議会政治の本義にのつとつて道義と責任を明らかにされんことを最後に望みまして、私の質問を終る次第であります。(拍手)
  245. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは次会は明三日午前十時より開会し、質疑を行い、討論採決に入ることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十七分散会