○葉梨委員 私は総括
質問に締めくくり
質問としまして、ごく簡単に一、二点
総理並びに
関係閣僚にただしておきたいと思うのであります。
その第一点は、食糧増産対策に対しまして、わが党はかねがね絶大な努力を払
つて参
つたのでありますが、特に緊縮
予算の際における増産対策のあり方というものに対しまして、さらに特段の配慮を払うべき必要があるのではないか、こういう
考えを持
つておるのであります。(「自由党は何もしてないじやないか」と呼ぶ者あり)お聞きなさい。――そこで大体増産対策の行き方といたしまして、私は恒久対策と応急対策との二つにわけて、この緊縮
予算の
趣旨から
考えて行きますときには、でき得る限り早く効果の上るべき性質のものに、
予算をでき得る限り多くまわす。そうして効果をあげるということが特に必要ではないかという
考えをもちまして、今回二十九年度の
予算を
考えてみますると、この点に対してさらにわれわれは特段の考慮を払うべき必要があ
つたのではないか。今後これらにつきまして特に研究を行い、これらの不備を補う食糧増産を一日も早く軌道に乗せて行きたい、かように
考えるのであります。土地改良、開墾、干拓、あるいは品種の向上というような、これらの基本的要件はもちろん必要なものでありまして、これらに対しては、特に
予算の面におきましても特段の考慮を払
つておるのでありますが、これらはいずれもある
程度の恒久的な対策であります。このほかに応急的の対策としましてのわが党がかねがね主張して参りました耕土の培養、自給肥料の対策、あるいは病虫害対策、こういう面につきまして、
予算の面におきましても、なるほど一応増額はされておる。増額はされておりますけれども、これはどうもまだくその軽重の度から行きますと、非常に軽く扱われておるような
感じがいたすのであります。私は一例を耕土の培養の点にと
つて申し上げてみたいのでありますが、
わが国の耕土中、酸性土壌の点について
考えてみましても、畑地におきまして百六万町歩、水田におきまして百六十九万町歩、合計二百七十五万町歩となるのであります。本年の農林省の調査員の基本調査の結果によりますと、これはさらに増しておるような状況であります。あるいはまだ集計ができ上
つておらぬかにも聞くのでありますが、私どもの調査では畑地が百六万町歩にな
つておりますが、基本調査の結果は百三十万町歩になりそうだ。水田におきましても、われわれの調査では百六十九万町歩というふうに、計算するものが、基本調査では二百五万町歩と増加するような傾向にありますけれども、かりにこれを先ほど申し上げました二百七十五万町歩に見ましても、この耕土の培養をやりますためにはどのくらいの
予算がかか
つておるかと
考えてみますると、開拓地の改良資材費――これは石灰と燐酸をおもに改良に使用しておるのでありますが、これは反当二千四百円、一般の既耕地の改良資材費が反当千百二十円、平均反当千八百十円というのが
予算に盛られた計数であります。この計数によ
つて考えてみますると、さつき申し上げました二百七十五万町歩の耕土を改良するために要する費用は四百九十七億、約五百億弱であります。これをも
つてしますれば、全国の
わが国の耕地は、耕土の酸性化しておるところとか、あるいは秋落ち田とかいうように、非常に減収をしておるところのものが改良せられることにな
つて、それらの耕地がすべて増産をし得ることになるのであります。かりにただいまの目下
政府が
予算面に盛
つておりまする経費をも
つて見ましても、これを五百億の金をも
つてしますれば全部改良が行われる、こういうことになるのでありまして、この五百億のうち国の負担に属するものはその半額弱であります。半額弱をも
つてこれをなし得るのでありまして、かりに半額といたしましても、二百五十億あれば足りるということに相なるのであります。しかしてこの二百五十億の経費をかけることによ
つて、畑地及び水田の全耕地がいずれも増産をする。その増産の率はどういうことになるかと申しますと、これは地方地方によ
つての実例はいろいろございますが、わが党の
高橋圓三郎君の主張によりますると、島根県におきましての実例から行きますと、反当一石の増収であるということにな
つております。土地によりまして、ことに開墾地等におきましてはこの土地改良をや
つたとやらずにおいたとでは非常な差があるのでありまして、私どもは、大体反当平均しまして八斗、四斗俵にして二俵というように見て行くのが妥当ではないか、かように見ておるのであります。かように見て参りますると、二百七十五万町歩全耕地の土壌改良が行われました際には、これを生産石数に換算いたしますと、単作といたしましても二千二百万石の増産――計数
通りに行きますればこれだけに行くのであります。
わが国の人口が年々百数十万ずつふえるといたしましても、これだけの増産を一気に仕上げ得るということになります。さしあた
つてはもちろん国際貸借の改善に非常な効果をなすばかりでなく、将来の人口の増加に対しまする対策を立てることは、さようにむずかしくはなくな
つて参るのであります。こういう応急対策がありますにもかかわりませず、その
予算の配分を見てみますると、二十八年度におきましてはこの耕土培養に
関係する経費が六億三千八百万円、二十九年度
予算の、今提案にな
つております
予算を拝見してみますと、六億八千六百万円、ごく軽少なものであります。一方恒久対策としての土地改良、干拓、開拓等に組んでおりまする
予算は、二十八年度におきまして四百三十八億円、二十九年度におきまして三百七十三億円、これでは反当約二万円を見込んでおるようであります。しかるに耕土の培養の行き方によりますれば、平均反当は千八百十円、これは
政府の
予算に現われておる数字であります。かように
予算の組み方におきまして拝見しただけでも、力の入れ方が非常に違
つておりまするが、これは重点の置き力において考慮をなす必要があるのではなかろうか、緊縮
予算の編成は一八〇度の大転換をわが党としましていたしたことは、内外ともに
承知のことであります。われわれもこの実際に即して政策を、重点の置き方に対しまして転換をする必要があるのではなかろうか、かように存ずるのであります。これに対しまして
政府の御所見を伺
つておきたいと思います。