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1954-02-17 第19回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十七日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 倉石 忠雄君    理事 小峯 柳多君 理事 西村 直己君    理事 西村 久之君 理事 森 幸太郎君    理事 川崎 秀二君 理事 佐藤觀次郎君    理事 今澄  勇君       相川 勝六君    岡田 五郎君       尾崎 末吉君    尾関 義一君       小林 絹治君    迫水 久常君       庄司 一郎君    高橋圓三郎君       富田 健治君    中村  清君       羽田武嗣郎君    葉梨新五郎君       原 健三郎君    福田 赳夫君       船越  弘君    本間 俊一君       八木 一郎君    山崎  巖君       山本 勝市君    赤澤 正道君       稻葉  修君    小山倉之助君       河野 金昇君    河本 敏夫君       中村三之丞君    伊藤 好道君       滝井 義高君    成田 知巳君       松原喜之次君    武藤運十郎君       山花 秀雄君    横路 節雄君       稲富 稜人君    川島 金次君       河野  密君    小平  忠君       堤 ツルヨ君    黒田 寿男君       安藤  覺君  出席国務大臣         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         法 務 大 臣 犬養  健君        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         文 部 大 臣 大達 茂雄君         厚 生 大 臣 草葉 隆圓君         通商産業大臣  愛知 揆一君         運 輸 大 臣 石井光次郎君         建 設 大 臣 戸塚九一郎君         国 務 大 臣 安藤 正純君         国 務 大 臣 木村篤太郎君         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         内閣官房長官  福永 健司君         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         文部政務次官  福井  勇君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         運 輸 技 官         (海運局長)  岡田 修一君         運 愉 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君  委員以外の出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹  治君     ―――――――――――――  本日の会議に付した事件   昭和二十九年度一般会計予算   昭和二十九年度特別会計予算   昭和二十九年度政府関係機関予算     ―――――――――――――
  2. 倉石忠雄

    倉石委員長 これより会議を開きます。  昭和二十九年度一般会計予算外二案を一括議題といたします。質疑を継続いたします。赤澤正道君。
  3. 赤澤正道

    赤澤委員 本委員会ではもういろいろな問題が論議し尽されたわけでございまして、私がただいまから御質問を申し上げることはあるいは二重になるかもしれませんが、責任上二、三の点について……。   〔発言する者多し〕
  4. 倉石忠雄

    倉石委員長 静粛に願います。
  5. 赤澤正道

    赤澤委員 お尋ねいたしたいと思います。どうも外部でいろいろな問題が起るつて参りまして主要閣僚の方もその方に大分精力をお使いになつておるようでございますが、どうも何だか質問するのもたよりない気がいたしまして、たいへん残念に思う次第でございます。しかしながらやはりだめを押しておかなければならぬ点は押しておきたいと思いますので、御質問申し上げます。  水害復旧の跡始末につきまして今同僚の方から承りましたところ、すでに大蔵大臣言明されたそうでございますが、やはり一応簡単にこれを繰返す意味でもけつこうでございますから、ひとつ決意のお示しをお願いいたしたいと思います。大体予算が一兆円に押えられまして、この一兆円という予算鉄則につきましては、私ども現下国情に照しまして共感をいたしておりますし、あくまでこの線をくずさないように党でも配慮をいたして予算を検討いたしつつあります。しかしこの予算に直接関係のないことにつきましては、累次の前国会大蔵大臣が各種の委員会において言明なさつたことについて、もちろん政治家として責任をおとりになることと存ずるのでございますが、当初災害復旧年次割を三、五、二といたしたのでございますが、過ぐる十七国会においても予算関係上どうしても初年度に三ができかいというので、二割弱、しかしながら予算はそれだけしかつけないけれどもあとの一割の百五十七億ついては、とにもかくにも努力をして融資の道を講ずる。しかし三、五、二の割合でやるということについては自分は深く決意をしておるというように、委員会言明なさつております。しかしこれも予算に制約のあることでございますからいたし方がございませんが、この二十九年度の予算説明を見ますと、そういうことは無視して、大体今年度五割ないし六割は復旧させるのだというふうに書かれてございます。しかしいずれにしてもこの百五十七億融資をなさるお気持にはかわりないと思います。以前にも言明なさつておるようでございますが、なおその際二派協定の線では、次の機会には必ずこの利子を計上しようというふうに言明なさつております。これについて、さらに二重になるかもしれませんけれども一応のお考えを御説明願いたい。
  6. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 災害に対する融資による分百五十七億の件でございますが、そのときにも個々の実情調査した上でその進捗状況に応じて出して行くことは、これは赤澤さん御承知通りであります。それで現在どのくらい出ておるかというと、五十億近いものが出ております。そのうち愛知三重等海岸の方の堤防に関する分は割合多いのでありますが、全国にわたりまして約五十億を出ております。その実情を今調査いたしまして、その上でお出ししようと思つているのでありますが、その節に申し上げたごとくに、実は百工十七億というものは一応の目安であつたのでございますけれども、当時預金部の金はそれだけありませんということを、私は率直に申し上げたことは御承知通りであります。しかしその点からではなくて、実情はその後いろいろな点で進行しかねている点もあるので、今のようになつていると思います。現在取調べておるのが約五十億に近いものがございますので、この分は進歩状況に応じて出す考えを持つておりますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  7. 赤澤正道

    赤澤委員 当時預金部に金がないということは、たびたびおつしやつたわけでございますが、しかしながら、当時村の記憶しております範囲内におきましては、明年度になればどうしても政府資金散布超過になるから、預金の吸収はできるのである、郵政省方面とも連絡をとつて努めて預金部資金を集める、さらに市中銀行のあつせんについても大蔵省で十分配慮する。なおこれは大臣の御説明ではありませんでしたが、当時の発明員も極力そのことを主張されまして、市中銀行とも懇談してもよろしいというふうなことまでおつしやつた記憶があるのでございます。それで今日の段階になつて、この資金がないと言われますことははなはだ困りますので、やはり先ほど大臣が申されましたように、三派協定の線によつて必要に応じて実情調査の上出すべきときには当然出していただきたい。大蔵大臣愛知第四区の御出身で、当時記憶にございますが、実は自分選挙区でも毎日田畑が海水に洗われておるのだ、実情はよくわかつておるというふうに申されましたが、この大蔵大臣地元愛知四区の選挙民は、今日の復旧状態について非常に満足しておりますかどうか、はなはだ恐れ入りますが、ちよつとお漏らし願います。
  8. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 今の金のことは別として、そのとき申し上げたのは御承知通りでありまして、必要に応じてお約束の分を出すことは当然のことであります。それでただいままで申請を受けておる分が約五十億ほどあるということを申し上げたのでありまして、これは今調べておりますから、近くだんだんこの金は調査終了とともに出て来ることと存じております。さらに、今後この金額が出て参りますれば、それに応じて出すことは当然のことであります。また足りない分は――実は当事愛知とか三重とかいうところを頭の中に置いたのでありますが、福岡なども考えて、ここには有力な銀行相当ありますからあつせんもできるだろう、こういう意味で置いたのであります。  なお、今の進捗状況について満足しておるかどうかということですが、これは私帰つて直接実際に見るひまがまだございませんので存じませんが、国としてできるだけのことはしてくれておるというように存じておるものと考えております。
  9. 赤澤正道

    赤澤委員 大蔵大臣のところには陳情団が来ないと見えまして、どちらかと言えばたいへん自分を信頼してがまんしておるというふうに御説明になつておりますが、実はほかの地方では違つておるのでありまして、とにかく進行しておらぬのでございます。これは私は大蔵大臣にもやはり一応責任があると思います。またこれは建設大臣にもお考えを願わなければいけないと思うのであります。北九州の方は案外進行しておるようでありまして、私はその後直接調査には参りませんけれども同僚議員諸君帰つて報告を聞きます場合に、相当進捗して、もうこの資金に行き詰まつておるという現象を呈しております。しかしここに一例を三重愛知海岸にとりましたから、この点について若干お尋ねしたいと思うのでありますが、事業進行そのもの相当ブレーキをかけていらつしやる面があるのじやないか、またやり方がまずくて自然にブレーキがかかつておる面があるのではないかということを、私どもはおそれるのでございます。それで実際問題といたしまして、私どもが聞いております範囲内では、先般中部地建の中に臨時海岸堤防建設部とかいうものができまして、そこでこの設計を全部やつておられるようでありますけれども人手不足のためかどうか知りませんけれども設計が一向はかどらない。現在の制度のもとにあつては、とにもかくにも設計が完了して伺いを立てて、しかも会計法並びに予、決会計令によりまして、これを入札に付して、そうして契約をしなければ着工ができないことになつております。従つて、とにもかくにもここは非常にこわれておるから、ここをまず着手するということはできぬ仕組みになつております。そこであの厖大な工事を何人でやつておられるか知りませんが、あの臨時海岸堤防建設部で全部設計して、しかる後に施工せいということは無理ではないか。実際問題として、設計ができて、契約して、業者渡つたと思えば、すぐ続いて設計変更が行われる。あのあたりの業者はもう迷いきつてしまつておるようでございます。こういう実態ですから工事進行が思うように行かないし、工事進行が思うように行かないから大蔵大臣も責められなくて済む。いろいろな面で政府からブレーキがかけられておる。こういう点についても実情調査なさつたかどうか、これを大蔵大臣建設大臣の両方にお伺いいたしたいと思います。
  10. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 実情につきましては、絶えず財務局の者を派して取調べております。その報告には接しておりますが、詳しいことでしたら、政府委員をして答弁させます。
  11. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 愛知三重海岸復旧進捗状況でありますが、お話のごとく、人手が不十分だという点は、私もさように考えないわけではありません従つて、十分な定員を置くわけに参りませんので、本省の方からもそれぞれ応援に出かけてやつておるようなわけであります。ただいまお話愛知三重海岸の二十八年度中の事業執行見込みは四十五億で、そのうち二十五億がお話臨時海岸堤防建設部の方でやつておる、つまり建設省が両県から委託を受けておる仕事でございます。二十億程度県面接でやつておるものであります。臨時の方の仕事相当進行して参つておりまして、ただいまはそれぞれ請負に付して本復旧工事を行つておるところでございますが、何分災害が大きかつたのでございまして、思うにまかせません。しかし大体軌道に乗つて、ただいまのところ、あるいは比較すれば三重県の方が相当進捗しておると思いますが、三重県の方は大部分が請負に付される程度に参つております。愛知県の方はやや遅れましたが、逐次請負に付して復旧進行をいたしておるので、十七国会当時、私は、五、六十億程度は本年度内にやりたいのだということを申し上げましたが、ただいま申し上げましたように、現在の状況では、その後資材関係やらいろいろで、十分に進まなかつた点もありますが、四十五億程度は本年度内にぜひ仕上げたい、かように考えておる次第であります。なおその四十五億のうち実際に予算のありますのは二十億で、その余の二十五億は、先ほどからお話のあります融資の道を開いて行く。その点でただいま大蔵大臣と折衝を続けておるような次第であります。
  12. 赤澤正道

    赤澤委員 私が今お尋ねいたしましたことは、事業進行上非常に必要なことだと思う。こういう事業というものは、年中いつやつてもいいというわけのものではございませんので、こういう土木事業季節が非常に影響がふることは、これは建設大臣も御承知のことでございます。大蔵大臣海岸でお生れになつたからには、当然御承知のことでありますが、現地業者は、政府はなぜこうサボタージュしておるのだろうと言つている。この海岸堤防の場合は、六月までに一応これを締め切つてしまわなければ、また波に洗われてしまう。また河川の場合は年間に雪解けの洪水、さらに梅雨時の洪水、さらに九月の水害、去年と同じでございますが、あのコースは、日本は毎年たどつておるのでございます。従いまして、とにかく金の都合でとか、あるいは設計ができた都合でということになりますと、天候に左右されまして、また季節に左右されて、ぐんと遅れることになるわけでございます。ところが実際調べてみますと、あの愛知三重方面にも全国の一流の業者並びに地元有力業者約六十社あるようでございますが、とにかく仕事につかまつておるのはそのうち四十社である。あとは、自分たちにも仕事をやらせいやらせいと言つておるのにもかかわらず、一向仕事が出て来ない。こういう事実があるのでございますけれども、これに対してもどういう御判断をお持ちになるか、これをひとつ建設大臣にお伺いいたします。
  13. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 出水期までに間に合せるということは、私どもも常にそれ心配いたしておりまして、ただいまは二十八年度分のことだけを申し上げましたが、二十九年度においても約四十五億、ちようど同じ金額になりますが、約四十五億を投じて、少くとも出水期までに海岸の破れたところだけはまとめるように、でき上らせるように――もつとも、復旧と申しまして本全部ができるわけではありませんで、さしあたりの第一期のやり方としては、従来の堤防の高さまでやりたい、かように考えております。業者がだんだん待ちくたびれておるというお話もありましたが、この工事が私どもの思うにまかせず進まなかつた請負が十分早く行かなかつたということは、あるいは業者の方でいろいろ単価とかその他の問題で研究が不十分であつたとか、あるいは資材の取り方において見込みが立たなかつたというようなことで、非常にこの点遅れておつた点もあるのであります。もちろんお話のように、私も先ほど申し上げましたように、工事が思うようにどんどん進行しているとは思いませんけれども建設省といたしましても、この事業は、委託を受けた建設省の名にかけてもりつぱに早く、なるべく早くやりたいという努力は十分続けておるつもりでございます。それで、もう少し詳しく申し上げますと、出水期までには少くとも破れたところだけの対応策だけは講じたい、そうしてまた、半壊の場所などについてもできるだけ直して、耕地の保護をするという程度まではぜひ弟一期の工事としてやりたい、かように考えております。
  14. 赤澤正道

    赤澤委員 私は、ただいま申し上げたことについては直接現地へ行つたわけではありませんが、実は始終情報を集めているわけでございます。それで、やはりこういう時期の限定されている問題でもありますし、また建設大臣のただいまの御説明で一応了解はいたしましたけれども、やはり手不足のために設計が遅れて、そのために工事の着手が遅延しているという面が大きいようでございます。それは、単価の問題で業者の間にごたごたがあるということも聞いております。ああいうふうにたくさんの業者が一箇所に詰めかけて参りましたならばバランスも、その他の一切の資材も値上りになることは当然であるが、私はこれに対していろいろやり方があると思うのでございます。これは、工事こま切れにして複雑な出し方をなさるからこういうことになると思うのでございますが、こういうことにつきましては、建設委員会でもまた問題になると思いますので、ここで深くお尋ねすることは避けたいと思いますが、とにかく設計を早めまして進行をはかられますならば進むはずでもありまするし、また大蔵大臣におかせられても、とにかく一旦お約束になつて、しかも一兆円の鉄則とは間接のつながりはありますけれども、これをここでかえるわけではないのでございますから、ひとつぜひとも必要に応じて出していただきたい。私ども聞いております範囲内では、建設省にいつでも大蔵省の方がついて歩かれて、建設省の主張に対してこまごまと現地ブレーキをかけられるやに聞くのでございますけれども、まさかそういう事実はないとは存じますが、ひとつ進行にはぜひとも御協力をお願いいたしたいと思います。  それからこの百五十七億でございますが、もちろん新しい予算が令達になりますならば利息のつかない金が出て来るわけでございますから、当座はまたしのげますが、またこの事業進行が二十九年度において早まるということになつた場合には、一体この百五十七億ということを限定するのはおかしいのですが、その範囲内における融資のあつせん、並びに預金部資金から貸し出されるということについては、ただいまとお考えはかわらぬものであろうかどうか、このことをお伺いいたします。
  15. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 あの当時は御承知の二十八年度予算について申したのでございまして、二十九年度予算はこれまた別個に実は考えている次第でございます。私どもはできるだけ災害その他に多くの費用をさくべきであるという赤澤さんのお考えにまつたく同感でございますし、出しておりますが、ただこういつたような予算を組んだ場合でございますから、従つて何かと御支障を忍んでいただく。こういうことになつておりますけれども、今の二十九年度につなぎ資金を同様に出すかというお尋ねでございますれば、これは現状がそういうふうであれば、事情にかわりがなければこのことはぜひとも必要であろうと考えております。但し予算にはつなぎ資金関係では盛つてはございません
  16. 赤澤正道

    赤澤委員 つなぎ資金でもいずれでもけつこうでございますけれども、ただいまの百五十七億にこだわるようでございますけれども、とにかく大蔵大臣も三・五・二という基準でやりたいという考えは率直に申されたのであります。来年の下半期に起り得ることをただいまからお約束するということもおかしな話でございますけれども、これについては私ただいまの大蔵大臣のお言葉は、とにもかくもあの三・五・二という比率で復旧事業進行してさしつかえない、事業進行支障が来る場合においては、一応百五十七億という範囲内でさらに融資のあつせんをしてもいいのだ、やるのだというふうに了解してよろしゆうございますか。
  17. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 三・五・二というのは当時それはいかにも申し上げましたが、その後の日本国情から見まして、なかなか三・五・二がやれない。従つてども食糧対策公共事業費治山治水対策と一体として考えてみまして、いろいろなことにいたしましたわけであります。御承知のごとくに二十八年度災害に対しては本年たしか三百七十八億かと記憶しておりますが、それを二十八年度で三百八億ですかやつてございますので、大体においてこれで六割くらいのことをまあ果し得る。従つて重点的にこれをやつてもらいたいということで忍んでいただきたいと実は考えているのであります。ただ工事進行状況で同じことがございますれば、あの御趣旨は私どもは十分尊重する考えでおりますが、金額がそれではまた二十九年度予算でも百五十七億を約束するかと仰せになりますと、これはひとつ別個の問題として考えさしていただきたいと存じております。
  18. 赤澤正道

    赤澤委員 来年の下半期のことを今研究してもいたし方がございませんが、当時の三派協定はただ単に表面の責任のない人たちの話ではなくて、党と党との協定でございます。従いましてこれはあくまで守つていただきたいと思います。それで当時のこの百五十七億にかわりまして、利子補給の問題でございますが、これも本委員会ですでに論究されたあとのようでございます。大蔵大臣はもうもちろん利子補給するというふうに言明されており、ただいまも承つたのでございますが、しかしあのときのお言葉並びに協定の内容並びにその後における委員会での発育で私が記憶いたします範囲内においては、次の機会にこの利子補給すべく利子予算に計上するということをはつきり申されております。私探してみましたけれどもそれが見当りませんので、これはおかしいなと思つたのですが、これは予備金もあることでございますし、また百五十七億というのは一つの限界であつて工事進行上必ず出さなければならぬというわけのものでもありません。八十億に終るか百億に終るかあるいは百五十七億出てしまうのかしりませんけれども大蔵大臣としては次の機会予算措置をやるのだということを言明なさつておるようでございますが、私としては一応良心的に、あくまで予算ですから、これは百億見るとかあるいは一応百五十七億見るという形で計上していただきたかつたのであります。この点はぜひひとつはつきりさしていただきたいと思います。
  19. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 実はこの予算編成当時におきまして、どれくらい金が出るかという予想が全然できなかつたのであります。のみならず、その前に出しました分につきましても工事進捗状況等が、これはいろいろ原因があつたと思いますが、遅れている等の状況から、工事進捗に基いて出すので金額ちよつとわかりませんので予算には計上してないことは赤澤さん御指摘の通りであります。しかしこの問題につきましては、あのときぜひ予算をひとつ考えて善処しますというお答えをしているのであつて従つてこの問題はもしそういうふうにどうしても必要を感じます場合には、予備費等でも措置をとる、こういうように考えております。
  20. 赤澤正道

    赤澤委員 先ほど聞きましたところ、そういうふうに本委員会言明なさつたようでございます。とにかくどこから出さなければならぬというわけのものでもございませんから、そういうことをはつきり大蔵大臣がお約束になつておりますならば、私どもといたしましては了承いたします。ところが単に利子補給だけでなく、これが出ます場合には、今度は地方にとつてみますといわゆる起債わくというものが必要でございます。それで大体百五十七億に見合う起債わくが三十一億と計算されているわけでございますが、こういうことにつきましても配慮が払われていると思うのですが、これは一体どういうことになりますか。
  21. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 この点は赤澤さん御承知のごとく、短期融資のことですから起債わくとは全然関係がございません
  22. 赤澤正道

    赤澤委員 新規事業は全然やらない、全然とはおつしやつておらぬが、原則としてというところにはなはだ微妙な表現が使われているのでございます。各省の意見としてはとにかく新規事は一切やらぬということの方にこれをとれらまして、何かこういう新規事業を持つてつても、これが単年度で終る事業であつてしかも金額もきわめて小さい、しかも経済効率が高い、こういうものであつて大蔵省で一切これを受付けないということを聞いております。原則として新規事業はやらないという非常に微妙な表現について、大蔵大臣のほんとうの気持をここでひとつ御発表をお願いいたしたいと思います。
  23. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私どもはこういう限られた予算のもとにおきましては、どうしてもまず新規の――私は計画と実は申したのでございますが、新規計画を具体化するよりも、これに予算をやるよりも、今までのもので早く効率を上げ早く成績を上げるものに重点的にこれを措置いたしたい、効率的にこれを措置いたしたい、こういう考えで申したのでありますが、原則としては、実は書きましたものは、こういう日進月歩のときでありますので、あるものはどうしてもこれをやらなければ、時代から遅れてしまうというものがありますればこれはやらなければなりませんので、まあ言葉が適切を欠いて悪いかもしれませんが、あるいは治山治水的なものでこれはまあ一年延ばしておいてもいいというものもあります、そういうものは新規計画はやらない、こういう意味なのでございまして、事柄がどうしてもやらなければならぬものについては、これは国としてやらなければなりませんので、原則としてはという実はそういう表現を用いた次第でございます。
  24. 赤澤正道

    赤澤委員 時代に遅れるような事業をほつたらかしておかれるはずはないのでございますけれども、しかし継続の仕事でも、かつて、これは現政府のおやりになつあとでございますけれども、総花的にまた利権的に行われているものが大分ございます。ほとんどこれが大部分といつても、失礼な言葉かもしれませんが、いいのではないかというくらい、広く薄くばらまかれている状態でございますので、こいねがわくはその継続あるいは新規ということをあまり厳密におとりにならぬで、継続分であつても不要不急のものはできるだけ切るということを大きく掲げて、しかも新規であつて経済効率の高いもの、時代に遅れるものなんかはもちろんでございますけれども、そういうものを重点的にと申しますか、そういのうものの方にも相当意を用いてくださいますようにお願いをいたします。
  25. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 数字が出て参りましたから、ちよつと申し上げておきます。新規事業には、さつき赤澤さん単年度完成の分などはやるべきじやないかというお話でございましたが、小規模工事で単年度完成の分は本年計上いたしました。たとえて申しますと、中小橋梁の新規の分百六十七件、道路の災害防除事業が百十七件、件数で申し上げます。港湾の局部改良の分五十件、そのほか耕地整理、客土等の事業あるいは堰堤等の新規工事、道路の鋪装、新設等で、性質上申年度で完成される分については計上いたしております。
  26. 赤澤正道

    赤澤委員 自治庁長見えておりますか。
  27. 倉石忠雄

    倉石委員長 自治庁長官はただいま参議院の本会議に出席中です。
  28. 赤澤正道

    赤澤委員 それでは自治庁長官にはお見えになつてからお尋ねをいたします。質問を保留しておきます。  建設関係が比較的多いのでたいへん恐縮でございますが、先般の国会で道路整備費の財源等に関する臨時措置法という法律をつくつたわけです。これはわが国が非常に道路が悪い。そのために経済の進展に非常に支障を来しております。吉田総理もこのことに意を用いられて、とにかく道路を重点的に取上げて整備するのだというふうにたびたび言われておるようでございます。そこで長い間かかりましてこの整備五箇年計画を立てて、その裏づけになるところの予算措置を法律化いたしたわけでございます。ところがこれがまた一兆円の鉄則にひつかかつて、はなはだもつて奇妙なことに変化しつつあります。しかも補助金を伴うような議員立法がたくさん出て参ります場合には、政府当局としてもたいへんお困りになると思う。予算わく内で、とにかく補助金を伴う法律でも補助を打切つてしまうんだということはわれわれにも理解が行きますけれども、この法律だけは私はちよつと意味が違うと思う。ガソリンを消費する。ガソリンそのものが相当道路をこわすのでもありますし、またこのガソリン税につきましては、国内で反対もあれば賛成もあつたわけでございますが、そこらを見て衆参両院全員一人も欠けることなく賛成をいたしましてこの法律ができたわけでございます。ところが聞くところによりますと、この二月下旬にこの改正案が出る、政府でどういうことを意図なさつておるか知りませんけれども、その三分の一を頭をけつて地方の財政の方面にまわされる、揮発油税譲与税というものが新しくできてその方へ行くということでございます。そうすると、せつかく苦労してつくりましたところの道路整備五箇年計画というものがこわれてしまう。私どもといたしましてははなはだ残念に思う次第でございます。予算政府に提出権がございますが、議員にはまた議員で立法してこれを議決する権利があることは、憲法にも明記してあります。しかしながら、金がなければいくら議決しても、その法律はほごになつてしまうのでありまして、こういう事態が起れば、やはり国会の権威に関するものと思うのでございますが、ここらの調節は今後反省せなければならぬし、また国会法の改正等において、こういうことが相当考慮されておるようでございます。しかし私ども政治家としての責任考えるわけでございます。この臨時措置法の提案に関しては、わずかの提案者の方のうちに各党の重鎮が入つておられる。しかもこれはたつた半年前でございまして、半年前と今日と、かりに一兆円のわくをつくつたからといつて日本の経済状態がぐらりとひつくり返るはずのものでもないと思う。このことは、政府の首脳はまた自由党の首脳でありますから、私はお伺いをいたさなければならないのでございますが、これに名を連ねておられる方で、自由党の重鎮では現幹事長佐藤榮作氏、それから私の党でも松村現幹事長、さらに社会党の方面でも淺沼稻次郎さんであるとかあるいは安平さんであるとか、こういう重鎮がそれぞれ提出者として提案されておる。この法律がまだ施行されないうちに、まだ日の光を見さえしないうちに、もうすでに改正案が用意されておる。こういうことは私どもははなはだまずいと思う。しかも、ほのかに聞くところによれば、七十九億というものについても、やはりこれは道路関係にひもをつけて使わせるのだ、それでできるだけ五箇年計画の線に沿うのだというふうなことを内輪で御相談なさつておるようでございますが、この関係について、大蔵大臣建設大臣との御所見をひとつお伺いいたしたいと思います。
  29. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 このガソリン税の問題は、ちようど今度ガソリン税の引上げをします機会に――これを機会にというとちよつと誤弊がありますが、ちようど地方財政についての処理をいろいろいたすことになつたので、そこでこの七十九億円というのは、赤澤さんも御承知と思いますが、これを地方譲与税譲与金という名目で地方に渡しまして、そのうちの大部分は地方の道路に関係した費用に使われることに確定したのでありますが、この割当については、地方の道路面積に按分して割当てる、こういうことになつております。但しこの法律につきましては、今仰せになつたような趣意もありますので、来年度の予算は、こういう緊縮予算で特別の場合でありますから、一箇年これでやつてもらうということになつておりまして、将来の問題、一箇年先の問題は、あらためてそのときに御相談して御審議を願う、こういうことにいたしておる次第でございます。
  30. 戸塚九一郎

    戸塚国務大臣 お話のごとく道路の重要なことはいまさら申すまでもありません。またこの臨時措置法が両院の全会一致で制定せられたということも、私で分承知しており、これを尊重いたしております。ただ来年度は一兆円というわくに縛られる関係から、もし二百三十七億全部を法律通りいたしますと、地方の負担が非常に増して参ります。この関係から地方の財源あるいは地方の財政ということと考えあわせますと、とうていむずかしい。こういうところからやむを得ずその三分の一を地方に譲与するということに相なつたのでございます。但し地方の負担をそれだけ軽減することができるかといえば、譲与税になつて地方に譲与されたものは、少くとも法律の趣旨を尊重する意味においても、道路に使わなければならない、かように考えておる次第でございます。譲与される七十九億のうち三十一億は増徴分にやや匹敵するものでありますが、これはただいま小笠原さんからお話があつた通り一般道路に使う。四十八億は、かねて建設省において策定中の五節年計画に基き地方の道路に割当てる、かように考えておる次第であります。できれば本年限りにいたしたい、かように考えております。
  31. 赤澤正道

    赤澤委員 私もこれについて非常に心労なさつたことは、よくわかつております。このガソリン税というのが、非常に大蔵省としては楽しみな税金であろうと思う。これは徴税のやつかいもいりませんし、港に船が入つたらちやんと税金がとれる、まるで手をよごさないでとれるという税金でございますから、たいへん大蔵大臣も喜んでおられる税金だと思うのですが、それだけに私どもは、この法律が初年度から何かゆがめられるということに、非常に残念に思うわけでございます。しかし今まで平衡交付金の中にも、道路の補修費が百億円見当見ておられたようでございますが、大体この百億見当の中にこれを入れ込まれるということになりますと、何か私どもはぺてんにかけられたような気持がいたすのでございます。それでとにかくこの中の――私もほのかに聞いておる数字でございますからはつきりいたしませんが、一部はやはり五箇年計画の線に沿えるのである。さらにそれでは今度は地方の道路の、いわゆる在来からありました百億に相当するところの金額が減つて来るから、それについてはまた新しく財源を見つけるんだというようなことを、いろいろ御協議になつておるようでございます。これは自治省の長官にもお伺いいたしたいのでありますけれども、結果は一体どういうことになるのであろうか。大蔵大臣の今日の御所見をちよつとお伺いいたしたいと思いますが、自治庁のことに関連しておるのでわからぬとおつしやれば、それまででございますけれども……。
  32. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 実は私はまだ何も承知いたしておりませんので、あるいは政府委員の方で一応相談をしておるかもしれませんから……。
  33. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 一応大蔵省の方の関係からお答え申し上げたいと思います。七十九億につきましては、ただいま両大臣から御答弁がございましたが、そのうち五分の三見当は五箇年計画の府県道の維持改修に充てる。残りは一般道路費に充てるということになるわけでございます。それに伴いまして、国の財政計画の中にこの四十八億の分を織り込むわけでございます。その場合に地方財政計画では、一応単独事業の財源をもつてこれに充当することにいたしておりますが、先に参りまして不足が生じた場合にそれをどうするかという問題がございまして、それにつきましては目下建設省、自治庁、大蔵省の三省間で鋭意協議中でございます。間もなく結論に達することと存じます。
  34. 赤澤正道

    赤澤委員 この道路問題、あるいは建設関係はあまりしつこくなりますので、これはその方の委員会でまた改めて御質問いたしたいと思います。  時間が迫りますが、私さらに大蔵大臣に、せつかく機会ですからお伺いいたしたいと思うのですが、地方でやみ金融が非常に横行をいたしております。というと保全経済会がすぐに思い起されますけれども、これは氷山の一角である。地方のいわゆる個人でやつておる高利貸し、これが非常に横行いたしまして、今日ああいう保全経済会的なものがクローズ・アップされておりますけれども、私はこれは氷山の一角であるというふうに思うわけでございます。これに関連いたしまして、保全経済会の問題もございまするが、やはりこういうやみ金融というものを徹底的に取締つてもらわなければ困ると私は思う。昔はたしか利息の取締りについては警視庁の暴利取締令というものがあつて、それで取締るんだということを、私どもは学生時代に教えられている。その後この取締りの面に何らか新しい手が加えられておるかというと、どうもそういうことが見受けられないようでございます。しかも月一割という金利が実は市中に横行いたしておるのでございまして、中小企業に携わつておる人たちはこのために泣かされ、また首をくくつている人も実にたくさんある。また法律に無知なために、自分の家を簡単に取上げられておる人さえ、実はたくさんあるわけでございます。こういうことを見ずして放任しているということは、やはり保全経済会などを、あれは法の盲点をくぐつてつたんだといつて、放つたらかしておいて今日の事態を招いたと同じことであると私どもは思うのでございます。それで、一般の金利は私はどこでおきめになるのか、あるいは日銀政策委員会というようなものでおきめになるのかどうか知りませんが、これは財政の問題といたしまして金利をどうきめるかということは重大な問題ではございますけれども、私どもはこれと同じ水準において、少額のこういう高金利の金の動きというものを、はなはだ警戒せざるを得ないのでございます、非常な悲劇がこれに伴つてつてつております。これに対しまして大蔵当局としては、一体どういう措置をおとりになつているのか。もちろんこれは裁判をすれば、また妥当な線までおりて参ります。しかし申し上げておきたいことは、裁判をやるということは、なれた者でなければやれませんので、いなかの者、あるいは戦争未亡人なんかの場合においては、こういう裁判所に訴えて出るというような勇気を持つている人は実は少い。泣寝入りになつている場合が多いのでございます。しかも月一割の金利というものは、私ども自分自身で計算したわけではありませんけれども、とにかく月一割で十万月借りた場合には、三十箇月すると百万円になるそうでございます。こういうようにねずみ算的にふえる。しかも金の計算の魔術にひつかかつて泣いている人が実に多いのでございますが、これに対しまして、今日どういう方法で取締ろうとなさつておるのであるか、大蔵大臣の御見解をお伺いいたします。
  35. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 大蔵省といたしましては、普通の銀行等でなくて預金を預かる者に対しては、これは預金を預かることはできないという建前から取締つております。また貸金業者に対しては、これは届出制度でありますから、これは貸金業法に基いて取締りをいたしております。金利の問題は、これは私どもの方で幾らというふうに、今までのところいたしておりませんが、東京の実例によりますと、裁判の決定ですか、警視庁の判断では、日歩、五十銭までは違法でないとして認められているようであります。しかし過日の保全経済会の問題といい、いろいろありますので、これは私の方でも今回そういう不特定多数の人から金を預かつたりあるいは高率な配当を予約したり、利益を供与することをしたりするような者に対する取締りを厳密にいたしますとともに、金利も、法律的にきめていいかどうかは、御協賛を願わなければなりませんが、私は五十銭は非常に高いように思われますので、あるいはそれを三十銭がいいか――もつとも赤澤さん御承知のように、金利を表面きめても、いろいろな関係で実は払つてしまうので、その点はどうかと思われますけれども、一応少額の金利についてはこれこれというものをきめる方がよくはないかと思つて、私ども今法務省とそういうような案で打合せをいたしております。これに違反する者は処罰する、こういう建前でつくつておりまして、近く本国会に提案して御審議を願えると存じております。
  36. 赤澤正道

    赤澤委員 大体金利というものは、社会経済生活をいたします上において、非常な負担になつて参ります。日歩五十銭なんという金利は許されるわけでもございません大蔵大臣はただいま日歩五十銭という金利は、向いと思うとおつしやつたけれども、高いと思うどころではない。私どもが平生ひたいに汗して小さい営業を営みます場合においても、実は日歩三銭の金利というものが非常にこたえるわけでございます。計算をしてみます場合には、結局ひたいに汗して働いたその利益の大部分を銀行に持ち込んでおるというような印象を受けるのでございます。日歩三銭ですらそうであるものを、日歩五十銭までよろしいというのは一体どういうことを意味するか。大蔵大臣が高いとおつしやるが、これは途方もなく高いというふうな感じを受けておられるに相違ないのでありますが、こういうことについて早急に何らか法務省と打合せをなさるか何かいたしまして、とにもかくにも引下げる。またこれに対しては罰則をつけてもいいと思うのでございます。どうもたいへん役人の方には悪いのでございますけれども、こういう点について実際私どもは、こうして市井にあつて小さい事業を営みます場合に、金利というものは非常にこたえるわけでございます。いわんや高利貸あたりから金を借りるようになつたら、その事業は見る見るつぶれることは事実でございます。ところがそういうことが閑却されておるから保全経済会等の場合においても、借りた人は結局損はなかつたわけでございますけれども預金する人が大体預金の利息に二分とか三分とか、あるいはひどいのになると月一割くらいの配当をするからというので預金者をつつておるようでございますが、これで正当な営業というものが成立つはずがない。私たちにもたびたびこういつた府県の業者から名前を貸せと言つて来たことがあつたのでございまするけれども、私どもの日ごろ営業しております面からいたしまして、こういうことは成立つはずはない。とにかく一両年の間につぶれることはわかりきつておるのでございます。ですから私どもは周囲の人にもこういうものに預金しちやいかぬぞということを常々言つてつた。ところがあにはからんや世情の表裏に通じておられます政治家の諸兄が、今日表面に出ておりますところを見ると、これに対して相当関係をお持ちになつておる。これは私善意に解釈いたしまして、とにかく比較的こういう財政金融にうとい人が、これも正当な金融機関であると思つて、何か政治献金的な面でタッチされたのかもしれませんけれども、私はかつて国の財政経済の中心におられた人がこれと何らかの交渉があるということを聞いてはなはだ残念に思つた。こういう立場におられる人、おそらく小笠原大蔵大臣であつたらそういうことはなさらないと思うのでございますが、こういうばかげた金融機関というものは見る間につぶれるということはわかりきつておる。しかもそういう金融機関と何らかの交渉があつたかのごとく今日言われておつて、しかも行監委等において何かその当時釈明をせいと言われるのに、出るとか出ぬとか言つていることは、私ははなはだ残念だと思う。とにかくこれは日本の財政の中心におられた人であるがゆえに私は非常に残念に思うのでございます。  ちよつと横道にそれましたが、大体こういう不健全な金融機関いうものがあるということが原因いたしまして、やはり政治の腐敗の一因ともなつておるのでございます。これはただいま申しました高利貸しの問題とは直接関係はございません。ございませんけれども、やはりこういつた不合理なく金融機関という点については私は一致すると思うのでございます。それでこれにつきましても、実際例をあげればまことに気の毒な事態を幾らもあげ得るのでございますけれども、早急にこの解決のためにひとつ御尽力をお願いいたしたいと思います。
  37. 倉石忠雄

    倉石委員長 赤津さん、厚生大臣が、出席されておりますが……。
  38. 赤澤正道

    赤澤委員 次は、木村大臣にひとつ簡単に、これもたびたび同じ質問で同じような御回答をなさつて迷惑に感じておられるかもしれませんけれども、いま少し明らかにしておきたい。私どもの政党は何かといえば再軍備政党であるというように世間からいわれておるのですが、弁解するわけではないのですが、これは誤解だと思うのであります。とにかく先般私の党の幹事長も言明しておりますように、経済自立五箇年計画というのを私の一見で立てましたが、これが先決であつて、再軍備などはこれに伴うものであるということを言いましても、なかなか世間の耳に通らない。しかしながらとにかく米ソ二大勢力の対立のもとに世界の平和が保たれるという残念な事態に今日なつておるのでございます。しかし、ただいま国防計画をおそらくは自主的に立てようとは一応は努力なさつておるのでありましようが、アメリカから相当の圧迫もあるであろうと思う。それで将来こういう武装平和の一環に立つて行きます上においては、日本の国防計についても何らか自由諸国側ととりきめがあると思うのでございます。私ども平和条約並びにそれに伴う安保条約あるいはMSAの内容等の表面を幾ら読んでみましても、実はそれでもつて一本の国防ができるという一つのポイントを見つけにくいのでございますけれども、何かここで御発表になつてさしつかえないような問題があるならば、木村大臣からひとつ教えていただきたいと思います。
  39. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 的から私が申し上げておるごとく、独立国家として自主的に国家を計画して行くについては、ぜひとも防衛計画は必要であろうと考えております。私もその意味において目下研究中であります。今アメリカから圧迫されておるというお言葉がありましたが、断じてさようなことはありません。私、長官といたしまして、アメリカからさような圧迫は受けておりません。また圧迫を受けてやるという考えは、われわれ毛頭ございませんから御了承願いたいと思います。そこで防衛計画を立てるにつきましては、これは実にむずかしいのであります。あらゆる事情を総合いたしまして、この前にも申し上げました通りに、財政的の面から、あるいは実需生産の面から、あるいは輸送の血、あるいは備蓄の面あらゆる点から総合して計画すべきである。それがただいまのところは立ちません。おそらく私は正確なものは当分の間立ち得ないと考えております。ことに国際情勢がきわめて微妙であると同時に、兵器の進歩というものには著しいものがある。アメリカにおいても、ただいま新国防計画というものを研究しておるということは御承知通りであります。これもいろいろかわつて来ております。そこで確定的な防衛計画というものは、現段階においては容易に立ち得ないものであるということを御了承願いたいと思います。そこでわれわれはいかにすべきかということについては、年次的に日本の自衛力の漸増方針をどこに置くかということをわれわれは研究中であります。さしあたり二十九年度はどうあるべきであるか、どういうぐあいにしてこれを増強すべきであるかということを各方面から研究いたしまして、予算委員会で御審議願つておるわけであります。三十年度につきましてもただいま大体の構想は立つておるのでありますが、これも確定的なものではありません従いまして年次的の五箇年先になつたらどうすべきかということについては、今確定した案を持つておりません。ただせつかく三党ににおいて今折衝いたされておるようであります。あるいは結論が出るのではないかと思います。それを拝見いたしまして、われわれ十分検討いたしたいと考えております。
  40. 赤澤正道

    赤澤委員 時間がございませんから、いろいろこまかく伺いたいと思うのでございますけれども、ひつくるめてお尋ねいたしたいと思う。なるほど国防計画を立てるのはむずかしい。しかも自主的に立てるのはむずかしいとおつしやいますが、私もお説の通りだと思います。また私自身も戦争中二回も赤紙で引張り出されて、下級将校として非常に苦心をいたしました。また連隊本部におりまして、いろんな動員計画に携わつたわけでございますが、大体兵家の常識といたしまして、守ることは非常に困難である。攻めることはやさしい。日本でもああいう真珠湾の奇襲攻撃のようなばかなことが一応成功したというのもやはり攻める方がやさしいからであります。それを今度この海岸線の長い国で国防計画を立てようとしたら、これが三十万や、五十万、八十万の陸上兵力でもつて守りきれるものではございません。十三万の陸上自衛隊をばらつと配備なさるのか、あるいは重点的に配備なさるのか。ふるいは何かアメリカとの密約があつて、半箇月打ちこたえればアメリカの方から応援をすると、かりに直接侵略があつた場合を何か御構想になつておるのか存じませんけれども、しかしながら私ども考えますことは、こういう失業救済的な意味でたくさんの若い者をかり集め、しかも現在私の町にも保安隊がおりますが、その諸君が何を考えておるかというと、戦争がありそうだつた自分たちは出てしまおうというふうなことを言つておる。こういう若い人たちをたくさんお集めになつて国費をお使いになるということはまずいのじやないか。やはりこういうことには、まず国防思想の普及徹底、啓蒙ということが先行しなければならぬと思う。いわゆる平和運動ということで、無防備中立的な運動が活発に行われつつある一画において、片一方ではこの国防ということについて何ら啓蒙が行われておらぬのが実態じやないか。私は国民があげて祖国を守ろうという熱情が燃え上つたときにこそ国防全きものであると考えるのでございます。雇い兵的なものを十万や十五万こしらえて、しかも守勢の立場に立つこの海岸線の長いところへばらつと配備するということは、一体何を意味するのだ。やはり国防思想が徹底して参り、動員計画というものが伴わなければこの国防というものはできぬ。私は長い経験ではありませんけれども、実際に赤紙をもらつた立場といたしましての体験から、そういうふうに感じておるわけでございます。十三万人というものの素質というものをよく御検討になりまして、せつかくこの国防の基幹とするなら、これをあげて将来の有事の際における幹部とするというところまで御訓練なさるのが望ましいというふうに私は考えております。時間が移りますので、いろいろこのことについて御教示願いたい点もございまするけれども、私の意見だけを申し述べた次第であります。  次に文部大臣に一つ簡単にお尋ねいたします。これは厚生省にも関係があることでございますが、就学適齢の問題でございます。これは明治十年か何年か知りませんけれども、満八歳を適齢というふうにきめられまして以来、今日までそれで一貫して参つておるのでございます。昔私どもが子供の時代にあつては実に無知であつて、何かつまらぬ遊び事をして満足しておつたのでございますけれども、ところが近ごろの子供はませておつて、六つ、七つになれば新聞も読むし、ただならざる遊び事をするという状態になつてつております。私はこれにつきまして非常に心配をいたすのでございまするが、親として放つておけないからいろいろな施設を要求する。もう保育所に至りましては、全国市町村から補助をしてくれといつて来られ、厚生省でも困つておられるはずだ。また文部省でもちよつぴり公立幼稚園に補助を出しておられるようでございますけれども、私は今日八歳ということに限定してしまつて、それから学校に行かせるのだということはまずいのじやないかと思う。時代が違つて来ておるのだと私は思うのでございますが、文部大臣にこの御見解をお伺いいたしたいと思います。
  41. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 義務教育学校に入る学齢をどこできめるかということは、これはなかなか事実上むずかしい問題であろうと思います。今赤澤さんのお話は満八歳ということでありましたが、これは何か思い違いで満六歳というのが現在であります。だからこれをいかに下げるか、その辺はよほど慎重に研究しないと簡単には参らないと思います。
  42. 赤澤正道

    赤澤委員 六つから小学校へ行けるのですか、これは私はたいへん認識不足でございました。(「それでいいのだ、数え年で八つだ」と呼ぶ者あり)私どもの子供のときと違つて、満と数え年との間に何か大分計算違いがあつて、お嫁入りの前のお嬢さんなんかたいへん得をしておられるようであります。しかしこれが私どもの時代と同じであつた場合には実に困つたことであると思う。これをもう一年くらい早められるいう、また無理にこれを全部早めなくても、とにかく親が希望する場合には一年でも二年でも早くこれを小学校に入れられるという措置をおとりになるのが妥当ではないかと思われる面もたくさんあるわけであります。こういう点についてひとつ御意見をお伺いいたします。
  43. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 前にあつたのと今と同じであります。つまり満六歳ですから早生れの子ならば数え年で七つで入ります、四月以後に生れた子は数え年八つ、こういうことになりますから……。
  44. 赤澤正道

    赤澤委員 それをもう一年繰下げられないかといいう意味であります。
  45. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 それを繰下げることがよいかどうか、これはむずかしい、りくつではきまらぬ問題で、ただいま申しましたように、簡単にはかえられないと思いますが、なおよく研究してみたいと思います。
  46. 赤澤正道

    赤澤委員 私が申しましたのは、一律に下げるということではなくして、実は地方で保育所、幼稚園の実態を調べてみますと、子供の知恵が相当発達して、親が手がつけられない。しかもこれがよいことを覚えればよいけれども、ろくなことを覚えないから、幼稚園、幼稚園といつて騒いでおる実例があるのであります。とにかく画一的ということではなくして、英才教育というのもおかしいのでございますが、子供のことでございますから、そういつたことを願い出れば何か特別のことをやるというような措置考えられないものかというふうに考えたわけであります。  それからまた文部大臣にお尋ねいたしますが、今教員の政治活動の問題でなかなか御苦労をして、しかも強気でつつぱつておられるようであります。私ども社会科の教育ということにつきまして相当疑問を持つておるのでございます。と申しますのは、昔の詰込み主義の教育と違いまして、ただいまの場合は子供が伸びるままに、それを間違つた方へ行かせないように教師の方で補導しておるという教育がやられておるようであります。ところがこの社会科という科目の中には厳密にどことどこまでを含むのか研究いたしておりませんけれども、歴史だとかあるいはかつての修身、いわゆる道徳的な意味の教育だとか、いろいろこういう人間の魂を教育する部分がここに集められておるというふうに私ども考えておるのでございます。私どももかつて学校に学びましたときに、やはり当時は人格の完成が人生の目的であるというふうなことを誓われまして、とにもかくにも知育、体育、徳育のうちで、徳育がまず第一であるということで、今日の社会に匹敵するような教科にあつては、校長さんかあるいはその学校の中で年とつた教頭がその衝に当られたものでございます。そうして今もその記憶は新しいのでございますが、今日の社会科を担当しておられる教員諸君は、非常に未熟な若い人が多いようでございます。それは資格はあるかもしれない。あるいはその方面の教員になる筋の学校を出ていらつしやる方がたくさんあるようでございます。資格はあるかもわかりませんけれども、私はそういう教育方針がとられておるということ自体に、非常に疑問に感ずる面が多々あるのでございます。やはり野ちにしておきますことは困るので、われわれPTA側といたしましてもいつもこれを問題にする。もちろんここで先般天野文部大臣も私案を出してたいへんめんどうなことになつたようでございます。また教育勅語党もかつてはあつたわけでございますが、やはり東洋倫理というものを強調いたしまして、忠君憂国という、憂国はともかく、忠君といつたような、天皇陛下がこういうおさとしをなされるという形そのものはまずいけれども、やはり「父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ」という、そういうことはいつまでたつても私は真理でもあると思うし、またこういう教育が十分なされてこそ日本国内の平和が保たれて行くというふうに私は考えるのでございます。こういつた面につきまして文部大臣に構想がございましたならば、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  47. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 御承知通り、社会科というものは戦後の、特に義務教育におきまして新しく教科の上で取入れられた考え方でありまして、いわば戦前には今日いわゆる社会科のような教科内容というものはなかつたのであります。その関係もありますか、それに教育に従事する先生方が、自分たちがいわゆる今日の社会科的な教育を受けていない人が多いのでありますから、そこで社会科というものを相当――これは言葉が悪いかもしれませんが、先生方の方でもてあましておる。一体どういうふうに教えたいいいのかという点で混乱が起つておるというようなことが言えると思うのであります。そこで比較的思い思いにいろいろなやり方をする、そこでこれが問題にもなつて来る場合がある、こう思うのでありまして、これは私どもとしてはできるだけこの社会科というもののあり方を漸次確立して行きますとともに、現在の事情に即応して社会科というものの教科内容について実情に合うように改訂を加えて参りたい、こういう考え方を一般的に持つておるわけでございます。それで昨年この社会科の改訂という問題につきまして、学校の教育課程審議会に諮問をいたしまして、小学校及び中学校おける社会科の内容についての改訂の答申を出してもらいました。それに基きまして文部省としましては一応の改定の方針をきめたわけであります。これに所要の教科書あるいはそれに伴う学習指導要領というものを作成いたしまして、それを急いでおります。そうしてそれに伴いまして教科書の検定基準というものも改訂して行かなければなりませんから、まあかれこれ現実にそういう線に沿うての社会科というものが本式に行われるのが、来年、昭和三十年の新学期からだということに考えております。そこで私どもといたしましては、これは一応の改訂でありますが、はたしてこれで十分なものであるかどうかということにつきましても、これは学校におきましてはもちろん、施設その他教育環境というものを整備することは、これは重大でありますけれども、しかしそれよりもさらに学校教育の内容である教科それ自身、これは中身でありますから、これについては不断の注意を払つて、改善すべきところは改善し、改訂すべきものは改訂する、これは常に注意と検討を怠つてはならぬ、かように考えておりますので、今後ともなお研究を続けまして、もし改訂を必要とするものであれば改訂して参りたい。去年の改訂の目標になつておりましたものは、これはあるいは前大臣当時からも諮問されたのでありますが、いわゆる道義の高揚という見地から道徳的か教育をもう少し徹底して行きたい。それから民族の自意識というものを立てる上から、歴史とか地理とか、そういうものについてもう少し系統的な、基本的な正確な知識を習得させるようにしたい、こういうのが大体の眼目でございます。しからばどういうふうにやつた方がよろしいかという技術的な方法について、教育課程審議会に諮問をいたしまして、それに基いて改訂が行われたのであります。ただいまお触れになりました道徳教育の面におきましては、昨年の改訂の大体の要領を申し上げますと、まだ義務教育学校におきましては子供が非常に小さいのでありますから、あまりりくつの上でいろいろ道徳的な観念を吹き込むというよりも、低学年においてはできるだけ日常の動作、実践、そういう面で、いわゆるしつけと申しますか、そういうことに重点を置いて行く、そうして特に修身科というようなものでなしに、それぞれ、あるいは社会科でもあるいはその他の教科の場合でも、しつけとか行儀をよくするとか、そういういろいろ点から漸次、主として実践的な面から道徳的な訓練をして参る、それでだんだん知識が向上するというか、発育の段階に従いましてだんだんと倫理的な観念というものも教えて参りたい、こういうことでありまして、中学校にはいわゆる倫理とか修身とかいう特別な科目は置かない、こういうことに結論としてなりました。ただ最後の中学校の三年生、これは義務教育の仕上げでありますから、その辺でひとつまとめて、そうして倫理的な知識といいますか、知見を進めるような教育をする。私もしろうとでよくわかりませんが、中学の三年生が倫理的な単元を設けてまとめる、そういう教え方を仕上げとしてする。それから高等学校の方の教科内容につきましては、今やはりその審議会で審議を進めておりますが、これは倫理的な科目をつくりたい。さらに哲学とかそういう方面に関連したものにつきましても、選択して学習のできるようにしたい、こういう考え方で検討しております。
  48. 赤澤正道

    赤澤委員 懇切な御説明であつて、大体私も了承いたしたのでございますけれども、やはり社会科というのは非常に大事な科目であると思うのです。その社会科の教官が中学校の自分の教え子と桃色事件を起すような、こういう素質の人であつて、こういう人に徳育るやらせろといつたつて、これはできるはずではないと思う。やはりそういう若い人がこういつた衝い当るということは、私は非常に危険であると思うのでございます。こういう点について文部当局としても何らかの考慮を払つていただきたい。  さらに、学校の先生たちの中には、何か教組ということで左翼的な活動をやつておるというふうに十把からげにとられておるようでありますけれども、実態はそうではございません。それは共産教育を受けた人も若干あるかもしれませんけれども、大部分はごく穏健な考え方を持つておる人たちが引きずられておるという状態でございまして、教組自身が、大部分の人はこのやり方について反省をいたしておるのでございます。こういつた点で文部当局が対立をするということでなくして、教員諸君と手を握つて、とにかくこういう倫理的な問題にしても道徳的な問題にしても、あるいは単に唯物主義的な観点から割出したいわゆる平和主義という点からではなくして、理想主義の立場に立つて国防という思想を普及するとか、こういうことについてももつと真剣な努力をしていただきたいと思います。  そこで私はきようは木村国務大臣にいろいろ希望も申し上げ、お願いもいたしたい点もあつたのでありますけれども、時間も十二時半になりますので、残念ではございますけれども――今日のようなこういう時代で放置いたしておきました場合には、世相が刻々悪くなつて参ります。今日のようなこういう政治のあり方であつた場合においては、教員の政治活動を禁止するとか、せぬとかいうようなことは、まことにこけのさたであつて、禁止しようという国会そのものから、もうくずれ去ろうとしておるような事態でございますから、私はなおかつこういつた問題については、時期といたしましても、よけい御注意をいただきたいと思う。実際の問題として、こういつた個々の教員諸君が政治活動をする――政治というものは日常生活に結びついておりますから、これを自分の教え子を通じて、この社会状態のいろいろなまずい面を見て、ああもしたい、こうもしたいという意見を発表する自由さえも奪われたら、これは教員としても一箇の人格を無視された形になると思う。やはり実際のところは何か一つの唯物的な観点から政治運動をするということがいやだというふうなお考えであろうと思うのでありますけれども、やはりこういつた点においては、政府の、しかも文部当局の今までのやり方というものが不十分であつたとも、私は感じられるのでございます。こういつた点につきましても十分御配慮され、三つ子の魂百までというようなことにならないように、慎重にこの徳育という面に考慮をお払いくださいますようにお願いいたします。また教員にいたしましても、決して左傾している人ばかりではない。右とか左とか申しましても、私ども今日の唯物主義的な立場から日本を解剖され、またその思想のもとに日本の組みかえをやられるということについて不安を感じておるのでございますが、そうでない場合にはよほど自由にやつていただいてけつこうではないか、これは私個人の考えでございます。ただ教え子を通じて、何々の党に投票しないと戦争が起るからお母さんに一言つておけこういうようなことをやつておる実例もありまするけれども、これはそういつたただいまの問題教育基本法やその他の政治活動の問題とは別であつて、このこと自体は今日の選挙法に解れる問題でもありまするし、いろいろの点でまた別に選挙違反に問われる道もあると思うのでございます。そういつた点にも十分御配慮をいただきますようにお願いいたします。  自治庁長官はおいでにならぬわけですね。
  49. 倉石忠雄

    倉石委員長 自治庁長官はただいま参議院の本会議に出席中なんです。
  50. 赤澤正道

    赤澤委員 それでは自治庁長官にお伺いいたしたい点は、結局小災害のことにつきまして――この前の水害のことについて私は重大な責任を実は負わされておる。ここにいらつしやる方々からも――みな笑つておられますが、私はこれが下手なことになつたら腹切れとまで、実は小委員長をやつておりましたときに言われておるわけであります。この小災害について、当初は被害総額の五%ということであつたのでありますけれども、一応十五、六億円が計上されておるようでございます。この問題について配分を一体どういうふうになされるのかということを主体にして御質問申し上げたいと思つてつたのでございますが、それでは自治庁長官に対する質問は留保させていただきまして、これで私の質問を終りたいと思います。
  51. 倉石忠雄

    倉石委員長 先ほどの赤澤君の御発言につきまして、文部大臣からちよつとお答え申し上げたいことがあるそうであります。大達国務大臣
  52. 大達茂雄

    ○大達国務大臣 お言葉の、今度提出します法律案についてのことでありますが、これは御承知のように、きのう閣議決定になりまして、不日提案されることになつております。これにつきましては世間でよく論議もしておりますし、重大なことでありますから、十分に御審議いただきたいと思つております。  今おつしやいましたことのうちで、ちよつと私から一言だけ申し上げたいのは、政治活動の制限というのは一切合財政治的の行動をしてはならないとか、どんな政治的意見も発表してはならぬとか、そういう今日世間で非常に心配をしておられるようなものではないのでありますから、今のお話にもそういう気持でのお言葉があつたと思いますが、これは案が出ましてからよく御審議をいただきます。ごく限られた行為に限定されておりまして、これは一般の公務員が受けていると同じ程度の政治活動の禁止ということでありますから、決してこれが出たからといつて、ただいまちよつとおつしやいましたような、もう一切合財言うことはならぬ、何にも言えないなんというような心配は万々ないのであります。その点だけを申し上げておきます。
  53. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは午後二時より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ――――◇―――――    午後二時四十六分開議
  54. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。  この際、去る十五日の横路節雄君の質疑に関して、法務大臣より発言を求められております。これを許します。犬養法務大臣
  55. 犬養健

    犬養国務大臣 横路さんの先日の御質問にお答え申し上げます。  御質問の趣旨は、船主または造船業者が、衆議院の選挙または参議院の選挙に際して政党に寄付をした場合、これは公職選挙法第百九十九条第二号あるいは政治資金規正法第二十二条に禁止されていることに触れるのではないか、こういう御質問でございます、私一応答弁を申し上げますが、もしもつと法律的に詳細にわたつて答弁を御要求でありましたならば、刑事局長より答弁をさせたいと思います。  この場合船主または造船業者が政党に寄付をいたした場合、まず弟一に、その寄付行為が選挙に際してであるかどうかを明らかに調査いたす必要がございます。第二に、かりに選挙に際するものということが明瞭になりましたならば、その次は、国と利子補給その他の直接契約当事者が何人か、こういうことを考える必要がございます。そこでこの場合、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法、並びに臨時船質等改革助成利子補給法、こういう場合の契約は、直接の契約当事者は開銀その他の融資機関でありまして、直接これらの造船業者または船主ではございませんので、この限りにおいて、ただちに違法にはならないと解釈いたしております。但し、かりにこれらの融資機関と船主または造船業者が共謀していることが明らかであります場合は違法になりますが、これを要するに、個々の事案に徴して一々研究いたしたいと考えております。
  56. 横路節雄

    ○横路委員 ただいま法務大臣から、国と直接の契約者、あるいは国と特別の利益を伴う契約者の当事者で、いわゆる造船会社あるいは海運会社は当事者でないから、従つてこの該当はしない、いわゆる共犯関係等の事例があれば別だというお話でございますが、この外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法によりますと、御承知のように第十二条に「第二条の規定による利子補給金を支給する旨の契約に係る融資を受けている会社は、その決算において計上した利益の額が当該会社の資本に政令で定める率を乗じて算出した金額をこえるときは、当該利益に係る決算期に属する期間について金融機関が支給を受ける利子補給金の額に相当する金額を国庫に納付しなければならない。」第十三条「第二条の規定による利子補給金を支給する旨の契約に係る融資を受けた会社は、」云々となつて、最後に「国庫に納付しなければならない。」第十四条、会社に対する勧告「運輸大臣は、第二条の規定による契約に係る融資を受けた会社に対し、六の各号に掲げる勧告又は監査をすることができる。」第十五条「運輸大臣は、」「国庫に納付することを命ずることができる。」中間は省留します。第十六条、強制徴収「運輸大臣は、第十二条、第十三条又は前条の規定による納付金を納付しない者があるときは、期限を指定して、その納付を督促しなければならない。」第二項「運輸大臣は、前項の規定により督促するときは、督促状を発する。」第三項「運輸大臣は、」「国税滞納処分の例により、これを処分する。」第十七条、延滞金「運輸大臣は、」云々となつて「延滞金を徴収する。」第十八条、監査の実施「運輸大臣は、第十四条第一項第三号の規定による監査を行うため必要があると認めるときは、当該会社からその業務若しくは経理の状況に出する報告を徴し、又はその職員に、当該会社の営業所若しくは事務所に立ち入り、」「検査させることができる。」私はこのことをもちまして、明らかにあなたのおつしやる通り、国との直接の契約はなるほど金融機関でございましよう。しかし第十二条から弟十八条までの間に明記いたしてありますように、運輸大臣の監督権、国の責任において、この融資を受けた会社に対してそれぞれ監査、その他国庫に対する納付金その他をしなければならないということは、明らかにその海運会社が国に対して直接の利益を伴ういわゆる契約者と見ればこそ、こういう厳重な監査機関があるものと私は思うのであります。従つてそういう観点から見まして、やはり原則的には、この海運会社から政党がそれぞれの献金を受けることは、公職選挙法の第百九十九条、第二百条、同様にそれの罰則規定等の点もあわせまして、私は公職選挙法第二百四十八条の違反、第二百四十九条の違反によつて、それぞれ処罰されなければならないと思うのでございます。この点重ねて法務大臣から御答弁を願います。
  57. 犬養健

    犬養国務大臣 事専門にかかわりますから、刑事局長より答弁させます。
  58. 横路節雄

    ○横路委員 時間がありませんから、簡潔にやつてください。
  59. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 簡潔に御答弁願います。
  60. 井本台吉

    ○井本政府委員 政治資金規正法並びに公職選挙法の規定は、ごく狭く「請負その他特別の利益を伴う契約の当事者」となつておるのでございまして、ただいまのようなお話の点は、いろいろ検討いたしましたが、やはり私どもの見解といたしましては、融資機関だけが契約の当事者という解釈をとつております。
  61. 横路節雄

    ○横路委員 では私は刑事局長にお尋ねしますが、あなたのおつしやる通り、直接の契約者は、なるほど国とそれぞれの市中銀行、あるいは信託会社、あるいは保険会社等との関係でございますが、そうすると、もしも国と直接の利益を伴う会社――銀行ですよ。この銀行は損失補償を国がするのですから、この銀行、信託会社、保険会社がもしも政党に献金していれば、明らかに百九十九条、二百条の違反になるということを、あなたはお認めになつたわけですね。その点はつきりしてもらいたい。
  62. 井本台吉

    ○井本政府委員 公職選挙法百九十九条の「請負その他特別の利益を伴う契約の当事者」であるというような場合になりますれば、当然この規定の適用があると思います。
  63. 横路節雄

    ○横路委員 私は、金融機関が国と利子補給に関する契約の当事者なんだから、もしも金融機関が政党に対して献金しておれば、そうですねと聞いておる。具体的に御答弁を願いたい。
  64. 井本台吉

    ○井本政府委員 仮定の御質問でございまして、具体的に当該の事案を詳細に検討いたしませんと……。   〔「具体的だ」「そんなことはない」と呼ぶ者あり〕
  65. 横路節雄

    ○横路委員 それでは具体的にやりますよ。
  66. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 横路君、簡潔に願います。
  67. 横路節雄

    ○横路委員 それでは外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の第二条には、「日本開発銀行以外の金融機関で政令で定める範囲のものがその資金を融通するときは、政令で定めるところにより、当該融資につき利子補給金を支給し、又は当該融資によつて受けた損失を補償する旨の契約を当該金融機関と結ぶことができる。」そうしてこの点につきましては、昭和二十七年十二月十六日、当時利率は七分五厘でございまして、市中銀行においては八分五厘、それで、三分八厘五毛の利子補給に関する提案説明がありました場合に、岡田海運局長政府委員としてこういうことを目つておるのであります。「この政令で定める範囲の金融機関としては、銀行法に基きまする銀行あるいは信託業法に基く信託会社、それから保険業法に基く保険会社、こういうものがその対象になると考えております。」こう言い、さらにこの点に関しましては、御承知のように、昭和二十八年三月二十八日、政令第四十九号をもちまして、多航船舶建造融資利子補給法施行令によりまして、金融機関の範囲は、第一条の中に、「外航船舶建造融資利子補給法第二条の金融機関は、日本の法令により設立された銀行、信託会社及び保険会社とする。」となつておりまして、私はきのう現実に運輸省の海運局の者を呼んで聞いた。第六次から第八次、第九次までの一体対象になつておる金融機関は何かと聞いたら、この政令で定めてある銀行法に基くもの、信託業法に基くもの、保険業法に基くものによつて、この政令に定められ、この提案に定められて六十九の信託会社、保険会社、銀行等がその中にございますと答弁があつた。そこで私はあなたにお尋ねする。あなたは具体的に言えと言うから、具体的に言います。この点につきまして、もしもこれらの保険会社、信託会社、銀行等から、この法律が施行された後において、政党に献金されておれば、百九十九条の違反であり、受取つた場合の政党は二百条の違反であり、従つてその点については、した方の側は二日四十八条の違反に問われて、三年以下の徴役、並びに五千円以上五万円以下の罰金、受けた側の政党は、公職選挙法二百四十九条の適用によつて、これまた同様、その団体の代表者というと政党の幹事長、この者が三年以下の徴役、さらに、五千円以上五万円以下の罰金になる。そういう例があるから、私はおなたにお示しする。この外航船舶利子補給法はいつ施行になつたかというと、二十八年の一月五日に法律第二号をもつてつておる。ところが二十八年の四月一日に自由党に七百万円献金されておる。私は調べた。自治庁から出された政治資金規正法によつて出されておる。これは二十八年の四月一日といえば、明らかに昨年の四月総選挙に出されたものである。この七百万円の内訳は、都市銀行地方銀行、信証銀行有志代表として、水田直昌氏より寄附を受けると書いてある。私は都市銀行についても、地方銀行についても全部調査してある。信託銀行についても全部やつてある。従つて七百万円の政治献金を受けた自由党は、明らかに昨年の四月総選挙にからんで受けたのであるから、やつた方は百九十九条で処罰、受けた方は二百条で処罰。さらに改進党については、昭和二十八年四月十九日に同じく三百五十万円を都市銀行地方銀行、信託銀行有志代表として、水田直昌氏より寄付を受けておる。この点は昭和二十八年の一月五日に、当一利子補給の建前は、市中銀行に対しては三分八厘五毛であるけれども、明かにこの法律が施行になつてから受けている。どうですあなたは、刑事局長……。
  68. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 答弁しますが、その前に横路君、法務大臣に対する質問をあなたの方で成田君がやりたいと言うのですが……。
  69. 横路節雄

    ○横路委員 もう一つ法務大臣が私に答弁していないのです。
  70. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 また引返して来ます。ですから保留しましよう。
  71. 井本台吉

    ○井本政府委員 具体的に検討して御答弁申し上げます。
  72. 横路節雄

    ○横路委員 検討すると言うが、私は具体的に話をしたのだから、もしも事実がそうであるならば、何とか言つたらどうですか。   〔発言する者多し〕
  73. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 私語を禁じます。――静粛に願います。
  74. 井本台吉

    ○井本政府委員 先ほど大臣が申し上げました通り、第一に選挙に関しなければなりません。第二にお話の事例が、請負その他特別の利益をもたらす契約の当事者ということになるかどうかということは慎重に検討いたしませんと、明確な答弁がちよつとできませんので、検討して御答弁を申し上げたいと思います。
  75. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 刑事局長はおりますから、ひとつ質問を保留して、成田君に譲つたらどうですか。
  76. 横路節雄

    ○横路委員 それでは成田君にかわつて、またあとで継続してやりますから……。
  77. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 成田知巳君。
  78. 成田知巳

    ○成田委員 緒方副総理――犬養さんは……。
  79. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 続けるつもりだつたのですか。
  80. 成田知巳

    ○成田委員 続けることになつていた。(「帰つたよ」と呼ぶ者あり)約束が違うじやないか。そのために横路君に譲つたのだから、委員長が了承しているはずだ。
  81. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 帰つて来られるようですから、帰つて来てからにしましよう。
  82. 成田知巳

    ○成田委員 それでは副総理にお尋ねいたします。吉田総理大臣は、今度の施政方針演説で、自由党の一枚看板である綱紀粛正というものを取上げなかつた。国民の間には、ただちにこれは臭いという感じがあつたのです。その間何か割切れないものを感じたわけなんですが、これに対する野党の質問に対して、総理はたとい施政方針演説でうたわなくても、不正なことがあれば断固取締る、こういう答弁をしていらつしやるのですが、総理が綱紀粛正をうたわれなかつたことは、現在の自由党吉田内閣が完全に綱紀粛正をされておるというからでなかつたことはもちろんです。実は綱紀粛正を施政方針で言えないほど、自由党内部が腐敗堕落しておつたということは、今度の保全経済会問題、あるいは造船利子補給の問題で明るみに出たわけであります。自由党の有田代議士が昨日造船疑獄に関する贈賄容疑で検察当局から家宅捜索まで受けまして、聞くところによりますと、国会に対する逮捕要求書が正式に政府まで提出されたと聞いておるのですが、事実その通りか、まず承りたい。
  83. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 その通りでございます。
  84. 成田知巳

    ○成田委員 逮捕要求書が正式に出ておるというお話ですが、では国会にいつこの承諾をお求めになる手続をおとりになる考えか承りたい。
  85. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 私午前中参議院にずつと入つておりまして、今どうしておるか知らぬのですが、官房長官からお答えする方が今の即刻のことはわかると思います。
  86. 成田知巳

    ○成田委員 これほど重要な問題を副総理がまだ御承知ないということは、私おかしいと思うのです。ただちにお調べになつて、いつ国会に正式承認をお求めになるか答弁していただきたいと存じます。委員長ようございますね、きよう私の質問中にできますね。
  87. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 さようにとりはからいます。
  88. 成田知巳

    ○成田委員 今度の有田君の事件は、新聞紙上その他の報道を見ましても、実は造船疑獄のはしりなんです。この造船疑獄という問題は非常に根が深い、非常に幅広く根を張つておるということは、世間の常識であります。現にきようの毎日新聞を見ましても、「有田旋風政府与党に衝撃」「有田議員の逮捕」こう書いて、さらに某大物も逮捕されるのじやないか、こういわれておる。有田君が小物だとは私思わない。有田君も委員長をやつておりますし、副はついておりますが、副幹事長です。決して小物だとは思わないが、この有田君よりもさらに大物が近く引かれるのじやないか。大物とよく似た名前の人もあげられております。こうなりますと、総理の言われるように、たとい施政方針演説で綱紀粛正をうたわなかつたといたしましても、断固これを摘発して粛正をやる、こういう用意を政府はお持ちになつておると思いますが、まずその点を承りたい。
  89. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 不正の摘発につきましては検察当局において十分にやつておると思います。政府はそれに対して何ら干渉がましいことはしておりませんし、意見も申しておりません
  90. 成田知巳

    ○成田委員 検察当局が十分やつている、それに対して政府は干渉がましいことも考えていない、こういう答弁なんですが、大物の関係しておる汚職事件というのは、日本ではうやむやになるというのが一般の常識なんです。これは川柳か何か知りませんが、大物は忘れたころに無罪なり、これは大衆の日本裁判に対する不満を率直に表明した言葉だと思うのです。その独立が保障されております裁判でさえ、大物は忘れたころに無罪なりといわれる、ましてや検察当局は御承知のように上下の命令系統がある。その独立は保障されておりません従つて検察当局に対する国民の疑惑はぬぐい切れないものがあると思うのです。これはまた過去の事実からいつても当然だと思うのです。政府はこの造船疑獄に関しまして、今回がこの国民の裁判並びに検察当局に対する疑惑を一掃する絶好の機会だと私は考えるのです。これは徹底的にやるべきでありますが、そのためにまずお伺いしたいことは、犬養法務大臣は――犬養法務大臣がおいでになつたら犬養法務大臣にお聞きしようと思つておるのですが、御承知のように自由党の議員なんです。ただでさえ検察当局に対する疑惑を国民が持つておる今日、自由党内部にこの問題が発生しておる。当然自由党議員である犬養法務大臣は党籍を離脱するか、あるいは辞職して、公平な立場で事務がとれるような法務大臣がこの際出現するのが当然だと思うのです。緒方副総理は犬養法務大臣にかわつてもらつて、だれか厳正中立な立場の人を法務大臣にする用意があるかどうか、これを承りたい。
  91. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 検察の独立威信について、何か疑いがあるようなお話がありましたが、そういうことは考えたくありません。大物がうやむやにならなかつた例もあります。今回の事件におきましては、検察当局は、必ず厳正なる態度をもつて臨んで参ると信じます。  それから犬養法務大臣についてお話になりましたが、私は、党籍を持つてつても厳正公平な立場をとり得る、それをとり得ないようでしたら、私は政党政治は成り立たない、さように考えておりまするので、今大喪法務大序に対して、党籍を離脱せよというような勧告を、公的にも私的にもしようとは考えておりません
  92. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 成田君、官房長官が見えました。先ほど成田委員から、有田議員の逮捕許諾の手続を政府国会にいつ行う予定かというふうな意味の御質問がありましたから、それについて……。
  93. 福永健司

    ○福永政府委員 議員有田二郎君の逮捕につきまして、東京の簡易裁判所から院の許諾を求めるための手続を提出して参りました。ただいま内閣におきましては、本日は閣議等もございませんので、便宜持ちまわりによりまする方法によりまして、順次閣僚の決裁等をとりつつございます。従いまして、これらが終りますれば、できるだけすみやかに手続を進捗させまして、衆議院の方へ所定の手続をとりたいと思います。
  94. 成田知巳

    ○成田委員 閣議がないから、持ちまわり閣議で順次手続をおとりになつているという話なんですが、その持ちまわり閣議の案件の内容なんですが、いつ国会に付議するという内容で持ちまわり閣議の手続をおとりになつているか、これを承りたい。
  95. 福永健司

    ○福永政府委員 いつ国会に付議する等のことは、国会に出しまして、国会の方でいかが取扱うかということをおきめになることでございますから、私どもといたしましては、ただいま申し上げました、裁判所から出て参りました国会へ出すための案件を、今申しました手続によりまして、書類として完備したものとして国会に出す手続をいたしております。
  96. 成田知巳

    ○成田委員 私のお尋ねしているのは、そうじやないのでして、いつ国会で許諾を与えるかどうかということを決定する、これは国会の問題だと思うのです。政府の方から国会にこの問題を付議される日はいつか、そういうことを具体的に書いて持ちまわり閣議でやつておられるかどうか、これを承つておるのです。
  97. 福永健司

    ○福永政府委員 ただいま御指摘の点は、従来の慣例等からいたしましても、いつこれを国会に出すという等の文字は、もちろん入つておりません。できるだけすみやかに手続を了しまして、国会にお出しいたしたい、こう思つております。
  98. 成田知巳

    ○成田委員 従来の慣例で、いつ出すかということは案件になつてないと言われるのですが、大体いつ持ちまわり閣議は終るか、終ればただちに手続をされると思うのですが、大体いつごろ終るか承りたい。
  99. 福永健司

    ○福永政府委員 正確にはちよつと申し上げがたいと思いますが、私は、今日中ぐらいにはそれらの手続は終るものと思つております。従いまして、ただちに国会の方へ書類を提出いたしたいと存じております。
  100. 成田知巳

    ○成田委員 今日中に手続が終り、ただちに国会に提出する手続をおとりになるというのですが、ではきようかあすか、こう考えてよろしゆうございますか。
  101. 福永健司

    ○福永政府委員 大体におきまして、さようであろうと考えております。
  102. 成田知巳

    ○成田委員 次に、副総理に続いてお尋ねしたいと思います。今度の問題で、検察当局が独自の立場でやつておる、政府は干渉がましいことは一向考えていない、こういう御答弁であつたのですが、巷聞伝えるところによりますと昭和二十九年度の予算はぜひとも通したい、あるいは警察法の改正だとか、教員の政治活動の禁止法、自由党に都合のいい法案だけはぜひ通したいというので、検察当局に、こういう重要法案が通過するまでは、この造船疑獄の摘発について手心を加えてくれというような働きかけがあるやに聞いておるのであります。そういう事実があるかどうか、副総理の御答弁を承りたい。
  103. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 私は、その巷間のうわさを知りませんが、私の観測によれば、そういうことはないと信じます。
  104. 成田知巳

    ○成田委員 ないと信ずると言われるのですが、さらにまたお伺いをしたいのは、こういう問題について、干渉がましいことはやりたくないと言われるのですが、綱紀粛正を徹底的にやるという吉田自由党内閣なのですから、この際総理あるいは副総理から検察当局に対しまして、断固外部からの圧力に屈することなく、この問題の徹底的な摘発をやれ、こういうような訓令と申しますか、こういうものをお出しになる意思があるかどうか、当然、世人の疑惑を一掃するためにも、その必要があると思うのですが、副総理の御意見を承りたい。
  105. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 そういうことも私は干渉だと思うのです。そういうことを申し入れることは、現在の検察庁がそうでないかのごとき感じを与えると思います。政府はそういう点を考えておりません
  106. 成田知巳

    ○成田委員 今度の造船疑獄によつて、吉田内閣はぶつ倒れる、これが世間の常識になつて、自由党内部の諸君でも、これをお認めになつておる方が相当いるわけなのです。日本の歴代内閣が、ほとんど大部分疑獄でぶつ倒れておる。まことに遺憾なことなのですが、もしこの事件が、新聞紙の報ずるごとく、政界の上層部に波及した場合に、吉田内閣はいかなる責任をとろうとしていらつしやるか、これを承りたい。
  107. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 まだ事件の内容がわかりませんし、今仮定のことに対して、吉田内閣がいかなる態度をとるかということをお答えすることはできません
  108. 成田知巳

    ○成田委員 仮定の議論だから答弁できないと言われるのですが、そういう条件があつたときはどうするかということを聞いておるのですから、お答えも条件付でいいのです。すなわち、上層部に波及した場合にいかなる責任をとるか、条件付の御答弁でけつこうなのですから、明確にお答え願いたい。
  109. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 条件付の答弁はいたしません。明確に申し上げておきます。
  110. 成田知巳

    ○成田委員 条件付の答弁をしないと言われるのですが、私の申し上げるのは、仮定の議論だから答弁をしないというのですから、仮定の議論に対して答弁をされた場合には、それは条件付になる。もしそういう事件が起きたときにどうするかということは、答弁できないはずはないのです。よく吉田内閣の人は、仮定の議論だから答弁できないと言うのですが、仮定の議論だから答弁できないのじやなしに、非常に苦しいから答弁できない。そこで私はそう言われるならお伺いしますが、もしこれが吉田内閣の上層部に波及したとすれば、これは当然内閣総辞職が常識だと思うのですが、緒方副総理はいかがお考えになるか。
  111. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 先ほど申し上げた通り、それは仮定のことでありますから、今答弁いたしません
  112. 成田知巳

    ○成田委員 先ほど申し上げた通り、仮定のことだから答弁できないというのは、苦しいから答弁できないのです。そこで、緒方さんは新聞社に長くいらつしやつて、主筆、論説委員もやつておられるのですが、副総理という立場を離れまして、朝日新聞の論説にこういうことを書く場合、こういう事件が起きた、上層部に波及した、総辞職しなくてもいい、こういう論説をお書きになりますか、承りたい。
  113. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 私がそういうお答えをすることが予算委員会進行に益があるかどうか知りませんが、そういう波及したという事実があれば、政治責任は明らかにしろということは書くだろうと思います。
  114. 成田知巳

    ○成田委員 波及したという事実があれば、政治責任を明らかにする、こう言われたのですが、その政治責任を明らかにするというのは、これまた世間の常識からいつて当然汚職でぶつ倒れた以上、汚職問題が起きて内閣が崩壊に瀕した以上、総辞職するのが当然だと思いますが、その点を承りたい。
  115. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 その事件の程度であります。何か汚職の多少のとばつちりがあつて、すぐ辞職するということはないだろうと思います。そのときの実際の汚職の程度を見なければ、私はここではつきり申し上げることはできません
  116. 成田知巳

    ○成田委員 汚職の程度によつて態度がきまると言われるのですが、もし閣僚にこの問題波及した場合には、その程度は総辞職する程度であるかどうかこれを承りたい。
  117. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 閣僚が汚職に関係して、それがはつきり法のさばきを受けたときですか。どういう場合ですか。
  118. 成田知巳

    ○成田委員 そこで、汚職の程度によつては内閣総辞職ということも考えられるという御答弁ですが、そういたしますと判決ということになりますと、先ほど申し上げましたように、大物は知らぬ間に無罪ということになる。そこで起訴された、そうして政治的に見て、常識的にいつて、これは当然に犯罪関係があるという濃厚な事実が常識的に判断された場合に、いかなる政治責任をおとりになるか。起訴された場合ですね、大臣が起訴された場合に、政治責任をおとりになるかどうか。
  119. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 架空の抽象的な意見としては、いろいろ申し上げ方がありますが、この内閣がどうするかということは、私一人でここで申し上げることはできません
  120. 成田知巳

    ○成田委員 この内閣がどうするかということは、私はお聞きしようとは思わないのです。いわゆる抽象論でけつこうなんですが、こういう汚職事件が起きて、大臣がそれに関係した、そうして起訴された。こういう場合に、緒方さんのお考えになつている政治責任をおとりになるかどうか。吉田内閣でなくてけつこうです。抽象論でけつこうですから、御答弁願いたい。
  121. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 そういう仮定のことについては、先ほどから申し上げておりまするが、この際お答えをいたしません
  122. 成田知巳

    ○成田委員 話が元へもどりましたが、最初は、程度によつては政治責任をとると言われた。その程度というものを私は具体的に申し上げているのです。大臣が汚職に関係して起訴された、その程度においては、政治責任をおとりになるかどうか、こう言つているのです。議論を元に返さないで、ここまで発展して来たのですから、その程度によつてはということですから、御答弁願いたい。
  123. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 成田君の御質問そのものが仮定でありますから、私はお答えいたしません
  124. 成田知巳

    ○成田委員 とうとう話を元にもどして――最近逆コースといいますが、だんだん話を元へもどす。最初はそう言われておつたのですが、私の質問に対して、その事件の程度によつては、政治責任をおとりになると言つた。その程度を具体的に私は申し上げております。それでは、大臣関係した場合は政治責任をとる程度であるかどうか、こういうことを聞いているのですから、答弁できないはずはないのです。もう一度御答弁願います。
  125. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 それは私だけで申し上げられません
  126. 成田知巳

    ○成田委員 緒方副総理だけで御答弁できないというのは、どういう意味ですか。吉田総理大臣と御相談して答弁されるというのですか。
  127. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 閣議の決定をまたなければ申し上げることはできません
  128. 成田知巳

    ○成田委員 副総理は、総理大臣のいわゆる副総理なので、かわりに総理大臣の務めをされるかと思いましたが、そういう政治的な――これは常識的な見解を聞いておるのです。何もそれで閣議を開いてやらなければいかぬとか、そういう問題ではないのです。こういう事実に対してどうするかということは、たとい副総理でなくても答弁できると思う。まして副総理なんですから、閣議を開かなければこういうことは答弁できないというのは、不見識きわまる。もう一度伺いたい。
  129. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 御答弁がないようでございます。
  130. 成田知巳

    ○成田委員 おかしいじやないですか。そうでしよう。緒方副総理は、自分の判断で、程度いかんによつては政治責任をとると言われた。その程度を聞いておるのだから、緒方副総理としても、それが政治責任をとる程度であるかどうかということは、御答弁できないはずはないのです。委員長の方からひとつ催促していただきたい。
  131. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 緒方国務大臣、お聞き及びの通りでございますが、御答弁がありますか――御答弁はありません
  132. 成田知巳

    ○成田委員 答弁できないということは、先ほど申しましたように、苦しいから御答弁ができないのだ、こう解釈いたしまして、次に移りたいと思うのであります。  続いて副総理にお尋ねしたいのですが、吉田総理大臣は、その真意がどこにあるのか知りませんが、繰返して、憲法改正はやらないと言つております。ところが最近逆コースの風潮を受けまして、副総理も御承知のように、憲法改正論が相当台頭して参つております。この憲法改正論の根拠を考えますと、大体二つあると思います。その一つは、事情変更の原則と申しましようか、大分事情がかわつて来た、占領当時から、憲法ができた当時から大分日がたつて、事情がかわつて来たから憲法を改正しなければいかぬ、これが第一の根拠。他の一つは、占領下アメリカから与えられた憲法だから改正すべしということ、この二つの憲法改正論があると思います。現にこれは、事情変更の原則と申しますか、それに関連しておる問題でありますが、緒方副総理は、先日参議院におけるわが党の湯山君の質問に答えて、同じような趣旨のことを言つていらつしやる。すなわち湯山君は、こう言つておるのです。吉田総理は憲法制定議会において、自衛権の発動たる不戦権も放棄すると言い、一切の交戦権を不認するのが新憲法の精神と言つたではないか、こういう質問に対して、緒方さんは、世界の現実が終戦直後と今日と八年間にかわつて来たので、自衛権を裏づける防衛力を持つのは当然だ、こういう注目すべき発言をしていらつしやる。右の発言は、直接憲法改正とは関係はございません。しかし緒方さん式の考え方が、現在憲法改正の一つの根拠となつている。副総理は、はたして憲法改正をしなければいけないような事情が今日あるか、あるいはまた近い将来にそういう事情が起きる、こういうようにお考えになつておるかどうか、承りたい。
  133. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 現在憲法を改正しなければならない事情は起つていないと思います。近い将来というのは、これはまた限度の問題でありますが、総理もその点はあまりこだわつておられないので、ここで防御力をさらに増強し、戦力に達した場合には、憲法を改正するというふうな意味のことを言われておると思いますが、将来のことは、今ここで改正しないと、少くとも否定の言葉はつきり言うことはできないと思います。
  134. 成田知巳

    ○成田委員 次に憲法改正の論拠でありますが、占領下、アメリカから与えられた憲法だから改正しなければいかぬという素朴な国民感情に訴えるような憲法改正論があるのです。現に某政党が最近の党大会で、憲法問題に関する決議案で、憲法制定の経緯にかんがみ、根本的再検討を要す、こう決定しておるのです。これはその一つの現われだと思うのですが、さらに右翼だとかフアシストたちは、この与えられた憲法だから改正しなければいかぬという論拠をたてにとつて、憲法改正論を唱えておるのでありますが、副総理は日本の憲法はアメリカから与えられた憲法だとはたしてお考えになつておるのかどうか、これをまず承りたい。
  135. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 アメリカから与えられた憲法とは思つておりません。それは、日本の当時の帝国議会が審議して決定した憲法だろうと考えております。
  136. 成田知巳

    ○成田委員 さすがに副総理で、一部の政党とは違つて、与えられた憲法とはお考えになつていない。まことにその通りだと思うのです。従つてそういう副総理のお立場ならば、与えられた憲法だから改正しなければいかぬというような、一部政党の素朴な議論というものは、一顧にも値しないのだ、こうお考えになつておると解釈してよろしゆうございましようか。当然論理的にもそうなると思いますが……。
  137. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 そういう論拠に立つて唱えられた意見、だんだんに輿論を形づくつて参れば、一顧に値しないということは言えないと思います。
  138. 成田知巳

    ○成田委員 理論を形づくる形づくらぬは別なんで、そういう与えられた憲法ではない、こうお考えになつておる。それはマス・コミユニケーシヨンを利用してどんどん輿論を――これはほんとうの輿論か、どうか知りませんが、形成することはできると思う。そういうものができたからいいというわけではないのです。一顧にも値しないというのは、私はそういう意味で言つたのではなしに、そういう議論は正しい議論ではない、警戒をしなければならないという意味なんです。むしろ警戒しなければならない議論で、正しい議論ではない、こういうように副総理はお考えになつておると解釈していいと思いますが、いかがでしようか。
  139. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 私はそういう論拠をとり出せんけれども、ほんとうの輿論であるか、うその輿論であるかということは、これは軽々に言い得ないのでありまして、それが一つの輿論の形をとつて参りました場合には、やはり社会的な一つの力である。それを無視するわけには参らぬと思います。
  140. 成田知巳

    ○成田委員 その社会的な力というものが正しいか、あるいは正しくないかという価値判断とは別なんです。副総理のお考えになつておる与えられた憲法じやない、そういう考え方に立つてものを考えましたならば、与えられた憲法だと言つておるこのデマゴーグ、このデマゴーグに基いてつくられた憲法というものは、たとい輿論が大きな力になつたとしても、それは単なる力なんで、正しい力じやないと思うのですが、いかがでしよう。
  141. 緒方竹虎

    ○緒方国務大臣 その一つの意見が輿論を形成するまでには、その意見に共鳴する者がどこにかあつた。そのためにそれが輿論になつたのであつて、その出発点において、私は全然同感いたしかねまするけれども、現われたものはデマゴーグとは言えないと思います。
  142. 成田知巳

    ○成田委員 どうもそういう考え方は、戦争中の、大東亜戦争は聖戦だといつたような議論と同じだと思うのですが、時間がありませんので、次の問題に移りたいと思います。木村保安庁長官にお伺いしたいのですが、その前に大蔵大臣ちよつとお伺いしたい。この委員会で二十八年度予算のうちの保安庁経費、防衛支出金、平和回復後処理費、連合国財産補償費、いわゆる防御関係費ですが、その十二月末現在の未使用残は御発表になつたと思いますが、大体三月末にどれだけの残が出るとお見通しになつておるか承りたい。
  143. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 ちよつと事務的な問題ですから、数字を主計局長から答弁いたさせます。
  144. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 防御支出金につきましては、ほとんど繰越額がない見込みでございます。保安庁経費でございますが、本年度は比較的経費の支払いが進捗いたしておりますが、しかしなお百六、七十億円ぐらいの繰越しは出るのではないか、大体そのような予測をいたしております。平和回復後処理費につきましては、本年度の予算並びに前年度の予算を通じまして支払い計画を立てておりまして、補正予算の際に相当不用額を落しましたので、これまたそう大した不用額は出ないと存じます。全然絶無ではございませんが、十億前後の金額にとどまるのではないか。今後の事態にもよることでございますが、大体その程度の見立ではないかと思います。それから連合国財産補償費でございますが、これは本年度並びに前年度を通じまして、約七十五億円くらいの繰越しがある予定でございまして、その分に二十九年度予算に計上しております二十五億を加えまして、ちようど百億になるように予算措置を講じておるわけでございます。七十五億くらいの繰越しを前提としております。それから安全保障費でございますか、これまた今後の支出状況にもよるわけでありますが、契約済みで現金の支出が来年度に繰越されるものが百七、八十億くらいはあるのではないか、大体そのような見当を立てております。もちろん今後約一月半あるわけでございまして、その間の支払い状況のいかんによりまして、ただいま申し上げました数字は移動があることを御了承願いたいと思います。
  145. 成田知巳

    ○成田委員 そこで木村保安庁長官にお尋ねしたいのですが、MSA協定による援助が、政府の鳴りもの入りの宣伝にもかかわらず、実は経済援助じやなくして、完成兵器の援助だということはわかつたわけでありますが、今まで保安隊が使つておりましたアメリカ製の兵器、これは今までこの国会でもいろいろ問題にしたのですが、どうも答弁がはつきりしなかつた。アメリカの出先官憲の持つておる兵器を借りているんだ、保管しているんだ、こういう御答弁だつたと思いますが、もしMSA援助を受けまして、武器援助がある場合に、その武器援助というのは、現在保安隊が使つておる武器の肩がわりをする、こういうことはないと思うのですが、いかがでしようか。
  146. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お管えいたします。まさにその通りであります。現在アメリカから借り受けておりまする武器は、これは別個の取扱いをいたしております。おそらくアメリカでアクトをつくつて、MSA援助とは別個の取扱いでわれわれにこれを贈与されることと考えております。
  147. 成田知巳

    ○成田委員 これは、本委員会でわが党の武藤委員が質問した点なんですが、保安隊の予備役制度の問題であります。この質問に対して木村長官は、強制すべきではないが、ぜひともある程度のことをやりたい、まことに不得要領な答弁をされておる。いつも男らしくといわれる木村長官ですが、、どういう予備役制度というものをお考えになつておるか、その構想をはつきりお示し願いたい。
  148. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。予備役制度と申しましようか、現在の保安隊員が退職いたしまして、その者のうちから、志願によつて約一年に一万五十人を獲得いたしたいと考えております。要は退職者から、その自由意思によつて一旦一定の時期に訓練をして、そうして非常時には召集に応じて、普通一般の現役に働いておる人と同様の行動をし得るものをつくりたいと考えて、今構想を練つております。
  149. 成田知巳

    ○成田委員 そういたしますと、退職者のうちから志願によつておとりになるというのですね。強制という要素は全然入つていない、こう考えてよろしゆうございますか。
  150. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 まさにその通りです。強制すべきものではないと思います。
  151. 成田知巳

    ○成田委員 それから、これは私が本会議で木村さんに御質問申し上げた問題なのですが、自衛隊が海外へ出動する場合があるかないかという本会議の私の質問に対して、木村長官は、断じて出動はしない、こう言われた。ただその断じてしないというだけなんです。木村さんは男らしくとか、断じてとか、絶対にとか、こういうことをよく言われるのですが、私が御質問申し上げる趣旨は、今度の保安庁法の改正で、保安隊は外敵の直接侵略に対して対抗するために出動する、こういう任務が与えられるわけなんです。そうしました場合、もし不幸にして外敵の侵略があつた場合、近代戦争というのは、源平の戦争のように、波打ちぎわに敵が来るのを持つてつたのでは戦いにならない、自衛にならない。当然先制攻撃を加えなければいかぬ。たとえば敵の空軍根拠地だとか、あるいは海軍根拠地に対して攻撃を加えたければいかぬようになる。これをやらなければ、敵の飛行機が上空へ来て、また敵の艦隊が領海近くへ来て艦砲射撃をやり出してから保安隊が出動したのでは、これはもう自衛の措置は講じられないということは明らかなんです。近代戦争の性格からいつて、もし外敵の侵略に対して対抗するというのなら、海外に出るということは当然考えられる。こういう自衛上やむを得ない海外出兵も、事実、海外兵であるから絶対にやらない、こういう御趣旨なのか、それともそういう自衛上のやむを得ない出兵は海外出兵とみなさない、こういうものはやつてもいいのだ、こういう御趣旨なのか、その点をはつきりしていたたきたいと思います。
  152. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答いたします。私は日本の保安隊を海外に派遣したり、出動したりさせるべきものでないと考えております。それで今お説の、敵が日本に侵入して来たときにどうなるか。これは、むろんわれわれは総力をあげておつぱらわなくちやならぬ。それから日本海岸線にも飛行機が出、あるいは船が出て、これをおつぱらうのが当然であると思う。ただその際に、これを逆に日本から外へ向けて日本の保安隊を出動して、上陸させるということは、なすべきでない、将来のことは知りません。今の程度においてそう考えております。
  153. 成田知巳

    ○成田委員 将来の場合はわからないと言われたのですが、その将来の場合というのは、具体的に申しますとどういうことを言つていらつしやるのですか、承りたい。
  154. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 憲法でも改正したそのあかつきのことです。
  155. 成田知巳

    ○成田委員 憲法を改正しない以上は、先ほど私が申し上げたいわゆる自衛のための海外出兵もおやりにならない、こういう御答弁たつたのですが、保安庁法を改正して、自衛のために自衛隊をつくる、こういう御構想をとつても、敵の飛行機が上空へ来るのを待つてそれで出動するようでは、まつたく無意味な兵隊になると思うのですが、それではたして保安庁法改正のいう自衛のための軍隊の目的が達せられるかどうか、有効適切な自衛措置ができるかどうか、これを承りたい。
  156. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。私の申し上げるのは、日本の保安隊員を外国あたりへ上陸させてこれを出動するようなことはさせないということであります。今お説の飛行機が来て、日本の上空だけでこれを食いとめるということは不可能であると思う。もちろん日本海岸線の中から出て行つて、これを食いとめるということは当然の義務である。私の申し上げるのは保安隊というのは、外国へ向けて上陸出動するというようなことはさせない、こういうことであります。
  157. 成田知巳

    ○成田委員 海岸線から出て外国の侵略を食いとめるのは、当然だと言われたのはですが、海岸線から出る程度の問題です。大体どの程度まで出そうとお考えであるか。
  158. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは常識のことであつて、くれぐれも申し上げます。日本の保安隊を外地へ向けて上陸さして、これを使用するようなことはさせぬという建前をとつておるのであります。
  159. 成田知巳

    ○成田委員 木村長官に最後にもう一つ承りたいのですが、保安庁費は今度の予算では七百八十八億なのです。昨年の六百十三億に比較しまして、約百七十五億増加しております。ところが二十九年度において、これも当委員会で問題になつた点でありますが、長官の御答弁によりますと、保安隊、警備隊、航空自衛隊を合わせて、約四万二千三百十六人の増加をやる、こう言われた。保安隊の維持費が大体一人当り一年間幾らかかるか知りませんが、内閣委員会その他で御答弁になつたところを見ますと、百万円から百二十万円かかると言われたのですが、四万人増加するといたしましたならば、それだけで約五百億の増になるのです。そういたしますと、二十八年度の繰越しも先ほどの主計局長の御答弁ではそうたくさんない、これではたして四万人の増ができるかどうか。というのは、裏からいえば、やはり補正予算をお組みになる予定があるのじやないか、こういうことを疑わざるを得ないのですが、この点についての御答弁をお願いしたい。
  160. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 お答えいたします。保安隊の制服を着ているものに対しての創設費が約一億、二十九年度においては制服を四万ふやすわけではありません。制服は約二万であります。約一万に足らないものが私服と申しすまか平服であります。そう金はかからぬのであります。そうでありますから、二十九年度において、さように五一億もかかるわけはないのであります。
  161. 成田知巳

    ○成田委員 制服が二万ということは知つておるのです。そうすると、二万といたしましても二百億になる。そのほかに、保安隊の制服よりもさらにたくさんかかるであろうと思われる航空自衛隊、これは相当見込みになつておる。だからやはり四百億から五百億近くの金がいると思う。といたしますと、やはり予算が足りないのじやないか、絶対に補正予算をお組みにならないというのでしたら、この保安隊の増強というのは、たとえば年度半ばだとか、あるいは年度末に増強なさる、こういう意味にしか解釈できないのですが、いかがでしようか。   〔小峯委員長代理退席、西村(久)委員長代理着席〕
  162. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 これは繰越金のストツクなんかを利用いたしたい、こう考えております。われわれの気持ちといたしましては、補正予算なんか組む必要なし、こうはつきり申し上げておきます。
  163. 成田知巳

    ○成田委員 補正手脚を組む必要はないと言われたのですが、初年度から、二十九年度の最初から、今御計画になつている約四万人、これをおとりになる、しかも補正予算は組む必要はない、こうお考えになつておるのかどうか。
  164. 木村篤太郎

    ○木村国務大臣 二十九年度になつてすぐ隊員を入隊させるという気持はないのであります、これは一定の期間を置いて募集しなければなりません。その間に時間のずれがある。一回、二回というように募集して行きたいと思います。と申すのは、現在入つておる保安隊員で、来年度で退職する者が相当出て来るのじやないかと思います。それらのものをにらみ合せてこれを募集いたしたい。二十九年度に入つて、すぐそれだけのものが入つて来るというわけではありません
  165. 成田知巳

    ○成田委員 次に大蔵大臣にお尋ねいたしておきたい。最近大蔵当局は、当面の政策的要求といいますか、面子を飾るために、予算編成の根本法規であります財政法あるいは会計法、こういうものを無視したり、これに違反するような措置をとる傾向があるのです。当委員会でも問題になつたと思いますが、特に二十九年度予算においては、いわゆる一兆円予算という名前にこだわるために相当無理をして、小細工を弄して、そうして財政法違反をやつておる。こういう事実がたくさんあるわけなんです。以下一つずつ例をあげまして大蔵大臣の御答弁をお願いしたいと思うのです。  まず入場税の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、その前に一言お尋ねしたいのは、最初の政府案によりますと、入場税も遊興飲食税も国税に移管する、こういう御方針であつたと思うのです。ところがいつの間にやら入場税は国税移管、遊興飲食税は現行のまま地方税で存置する、こうなつた。大体同じような性格のものなんですね。なぜ入場税だけを国税移管にして遊興飲食税はそのままにされたか、この点をひとつ最初に承りたい。
  166. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 当初入場税と遊興飲食税の両方を国税に移管したいと思いましたが、いろいろな場合もありまして、とりあえず本年度は入場税のみ々移管して行く、こういうことにいたした次第であります。
  167. 成田知巳

    ○成田委員 何だか答弁にならぬ。いろいろな事情があつたというのですが、何か特殊な事情がおありになつたのか。筋から行きまして、これはどちらか国税に移管するなら他の一方も移管するのが当然なのである。また一方移管しないのなら他のやつもそのまま残すのが当然なんで、何か事情がおありになつたということでありますが、どういう事情がおありになつたか承りたい。
  168. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 政府の判断によつて、本年は入場税を移管するのを適当と認めたわけであります。
  169. 成田知巳

    ○成田委員 何か政府の判断というのですから、非常に根拠ある判断がおありになると思うのですが、なぜ入場税を国税に移管し、遊興飲食税をそのままにしたか、その判断の根拠をお示し願いたい。
  170. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 この判断は各自いろいろわかれるところがありましよう。私どもの判断としては、入場税をこの際国税に移管するのが適当と認めたから移管したのであります。
  171. 成田知巳

    ○成田委員 それも答弁にならぬです。私は判断の基準を聞いているのです。なぜ入場税を国税に移管して、遊興飲食税をそのままにしたか。いろいろ考え方はあるでしようが、大蔵大臣がそうされた判断の基礎はどこにあるか。これを明確に言われないと、やれまた陳情政治があつたとか、政党献金があつたからとかいうような無用の誤解を招くおそれがありますから、はつきりその基準を御答弁はなつた方がかえつていいんじやないかと思いますので、御答弁願いたい。
  172. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 政党献金とか、陳情とか、そういうものに動かされたものではありません。但し物は漸を期してやる方がよかろう、こういうので本年は入場税をやつた次第であります。
  173. 成田知巳

    ○成田委員 といたしますと、今年は入場税をおやりになつた。来年は遊興飲食税、こういうふうに物事順を追うておやりになる、こう了承しておきます。  次に、ちよつと入場税の問題についてお尋ねしたいのですが、入場税を一般会計の歳入に立てないで、交付税及び譲与税配付金特別会計に直接繰入れてあることは蔵相御承知通りだと思うのですが、今同こういう措置をやつた結果、国民が税金に幾らとられているかということは、一般会計を見ただけではわからない。特別会計も見て、特別会計と一般会計を合算して初めて税金の総額がわかるような結果になつていて、まことに不都合だと思うのですが、国税たる入場税を、何を好んで他の国税とわざわざ区別して、一般会計の歳入からはずして特別会計に繰り入れられたか、その根拠を承りたい。   〔西村(久)委員長代理退席、委員長着席〕
  174. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 もともと地方税である入場税を国税に移管するときに、この地方交付税の関係として、その九割を地方にもどす、人口の割合に応じて還元する、こういうのでありますので、その税の性質から見て、これを九割もどすものであるからはつきりと特別会計とする方がよい、こう考えて特別会計で処置することにした次第であります。
  175. 成田知巳

    ○成田委員 もともと地方税と申されますが、今度は国税にされるでしよう。だから国税なんです。国税特別会計に入れて――一般会計の歳入の中に立てないで特別会計に入れて、それをそのまま地方へ配付される、こういう例が今まであつたかどうか、これを受けたまわりたい。
  176. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 事務当局に実例はあとで調べさせますが、私は過去の実例は記憶しておりません。しかしながら、こういう九割も地方へ還元するという地方税的性質濃厚なるものは、これを特別会計でもつて処理するを適当と忍めた次第であります。
  177. 成田知巳

    ○成田委員 前例について政府委員にお尋ねしたいと思いますが、その前に、九割まで地方に返すから特別会計で処理するのが便宜であるというお話ですが、これは便宜の問題ではないと思うのです。これは大蔵大臣も御承知と思いますが、財政法弟十三条には「国の会計を分つて一般会計及び特別会計とする。」こうあるのです。そうして特別会計の場合を規定しまして「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする。」この三つの場合なんです。この三つの場合に該当するか。特別会計をつくる場合はこの三つに限定されていると思います。
  178. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 特別会計をつくりました理由は、先ほど大臣からもお話がございましたが、ただいまお読み上げの三つの場合のどれに該当するかと申しますと、特定の歳入を以て特定の歳出に充て、一般会計と区分して経理した方がよい場合に該当するものでございます。なお国税を特別会計に繰入れた前例があるかというお尋ねでございますが、昭利十五、六年ごろでございましたか、分与税分与金という制度がございまして、地租、家屋税等を地方に分与いたしましたわけでございますが、これは分与税分与金特別会計に受入れまして、一定の基準に従つて地方にそれを配付しておつた。そういう実例がございまして、今年の場合はむしろ特別会計による方が適当である、さように考えた次第でございます。
  179. 成田知巳

    ○成田委員 前例として地方、分与税のお話があつたのですが、地方分年税の場へ口はもちろんなんですが、地方還付税のときでも、それは御記憶が迷うじやないかと思います。その財源たる税収は一度一般会計に入れて、それから地方へ流して行つたのです。一般会計に入つていたと思うのですが、いかがでしようか。
  180. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 当時の制度等今般確な資料を持ち合せておりませんですが、配付税と還付税と両方ございまして、還付税の方は地租、家庭税等であつたと存じますが、その分は直接特別会計に受入れまして地方に配付しておつた記憶いたしております。配付税の方は、これは所得税等の一定割合を一般会計で徴収しまして特別会計に入れて、一定の基準でそれを地方にわける。そういうようになつておつと思います。二つの種類がございまして、この一方の方は特別会計にいきなり入れておつた記憶しております。
  181. 成田知巳

    ○成田委員 はつきりした記憶がないと言われましたが、地方配付税というのは地方分与税のことだと思います。地方分与税も地方還付税も――地方還付税は地租、家屋税、営業税なんですが、このときでも、財源たる税収は、一度は一般会計の歳入に入れて、その後一般会計の歳出として地方へ流したはずなんですが、その御記憶はありませんか。
  182. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 一貫して同じ制度であつたかどうか、この点につきましては取調べを要すると存じますが、確かに、地租家屋税につきましては、直接特別会計で徴収しておつたことがあると存じます。なお特別会計に徴収いたしました他の一例といたしましては、戦後に財産税を特別会計にとりまして特定の用途に充てたという例もございます。
  183. 成田知巳

    ○成田委員 最初のやつは御記憶の間違いだと思うのですが、例は実際一つあるのです。その一つというのは、昭和利十二年の八月、質屋蔵相時代にやつた例です。北支事変の勃発によりまして、戦費の調達をやるために北支事変特別税というのをつくつた。この北支事変特別税は、その増収額は、他の国税と異なつて、すぐ臨時軍事費の特別会計に繰入れられたのです。この一例は確かにあるのです。しかしながら、そのときでも、これは非常な悪例であるから一年限りであるのだという条件がついておつて昭和十二年でとりやめになつた。それで昭和十三年からは、いわゆる支那事変特別税法で、これによる増収額は全部一般会計の歳入に立つている。そういう例は一つあるのですが、それは戦争中でも一年でやめているのですよ。なぜこういう悪例を先例として、これに学んでおやりになる必要があるか。当然一般会計に歳入として立てるというのが財政法の精神じやないか。今、主計局長は、特定の歳入をもつて特定の支出云々と言われたが、この特定の歳入、特定の支出というのは、いわゆる目的税だとか賦課金的な性質なんです。道路を使つて、その使用料を近路の修復に返すというような、賦課金的な、目的税的なものを特定の収入云々とうたつているのです。国税が目的税でないということは大蔵当局が一貫してとつて来た方針なんです。国税たる入場税を特別会計に持つて行くということは、まつこうから財政法に違反しておると思うのですが、いかがでしようか。この点については大蔵大臣にお説明をお願いいたします。
  184. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 ただいまの特定の歳入、特定の支出の解釈につきましては、特定の賦課金だけに限る理由はないと存じます。今度の場合は地方財政の財源調整という目的で入場税を国に移管して、その九割とかいう大部分のものは国を素通りして、財源調整のために地方に再配分されるわけでございまして、これはまさに特定の歳入をもつて特定の歳出目的に充てる場合に該当するものと存じます。特別会計をもつて一般会計と区分して経理する方が適正であると存ずる次第であります。
  185. 成田知巳

    ○成田委員 この特定の収入というものを目的税だとか配付税に限る必要はないと言われたが、これは大蔵官僚の御都合主義というか、便宜主義です。特別会計というものはこの三つに限つているとすれば、あくまでも厳格に解釈しなければいけないのです。国税というものは目的税になり得ないというのが大蔵当局が一貫して――主計局長も御存じだと思いますが、とつて来た方針なんです。この国税を目的税的なものにして、しかもこの十三条の解釈を広げて特別会計に持つて行く、こういうことがはたして妥当であるかどうか。先ほど申しましたように、一般会と特別会計と両方見なければ税金の総額わからない。こういうことは、あの戦争中の内閣でさえも一年限りでおやめになつたのですから、賢明な小笠原大蔵大臣は、当然これをおとりやめになるのがほんとうだと思うが、将来もこれを続ける御方針なのかどうか、これを承りたい。
  186. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 将来のことについては考えていますが、私は今度の入場税のごとくに、その九割を地方へもどし、わずか十九億しか一般会計に入らぬというようなものであつたならば、事柄ははつきりしておるのですから、むしろ特別会計の方がいいのじやないかと思つて提案した次第であります。
  187. 成田知巳

    ○成田委員 それはちようど逆でありまして、十九億しか一般会計に入らない。それから百七十三億は地方へ行くのだから当然だと言われたが、そうではない。ごく少数が地方へ行つて大部分が一般会計に入るならば、これは財政の建前からいつてそう問題は起きないと思うのです。大部分のものが一般会計を通り抜けしてしまつて、わからないうちに地方へ行つたのでは、これは問題である。大体、国民が税金を幾らとらたているかわからない。将来のことを考えると言われたのですが、将来どういうお考えを持つて行くか承りたい。
  188. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 将来のことをここですぐ御返事するなら考える必要はありません。将来のことは将来に至つて考えますが、しかし今の入場税というものが、地方税であつたものを今度移管するにあたつて、しかもそのうちの百七十三億という九割が地方へもどすものであるならば、これは非常に事柄がはつきりしているのであつて、たとえば税があいまいなものであるとかなんとか言われるならば、それは成田さんの言われる理論もありましようが、これほどはつきりしているものはないのですから、十九億一般会計へ計上し、百七十三億を地方譲与税として特別会計へ持つて行く、私は、これは何も不都合はない、むしろこの方がはつきりすると思います。
  189. 倉石忠雄

    倉石委員長 成田君、お持合せの時間がなくなりますが……。
  190. 成田知巳

    ○成田委員 これは相当疑問があると思うのです。私たちから言わせましたならば、これは財政法違反だと考えて勝りますが、時間々々と言われますから、結論を急ぎたいと思いますけれども、こういうような例はたくさんあるのです。もう時間がありませんから読み上げるだけにいたしますが、租税の払いもどし金約九十億円を一般会計の歳出に計上していない、これもその一つ。それから国有林野特別会計ですが、三十二億円の譲与金を民有林の買改に充てて、これでたとえば保安林だとか荒廃地の林野の設定をやろうとしている。これなどもやはり財政法違反である。それから、郵便貯金の特別会計に対する四十億の利子補給資金運用部資金から持つて行く、これはもう当然一般会からやるべきだ。その他たくさんございます。大蔵大臣は、はつきりしているからいいと言われるのですが、何も特別会計に持つて行かなくても、一般会計の歳入に立つて、そうして百七十二億を一般会計の歳出として特別会計に持つて行けばよろしい、これもはつきしりている。しかも税金が幾らとられるかということは一目瞭然である。特別会計に持つて行くことが事実をあいまいならしめているのです。こういうわけで、当然これは御再考をお願いしなければいかぬ問題だと考えます。  それから、時間がないので端折つて申し上げますが、これは、本会議で私が御質問申し上げましたエロア、ガリオアの支払いの問題ですが、MSA協定が締結されてから、そのあと引続きこの対日援助物資の支払い協定がなされる、こういうことはロバートソン、池田会談においても大体明らかになつておると思うのでありますが、いつごろこの協定を結ぶ交渉をおやりになるお考えであるかこれをまず承りたいと思います。
  191. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 MSAの協定は大体本月中くらいに結ばれるのではないかと思いますが、その後それはどういう人がどういうふうに交渉するか、これはいずれ外務省の方でやるでございましようから、ただいまその点についてのおよその日取りは用いておりません。予定の何月やるかというようなことについてはまだ聞いておりません
  192. 成田知巳

    ○成田委員 対日援助物資、私たちはこれを債務と考えておりませんが、大体政府は債務とお考えになつて全額お払いになる必要はないと思いますが、ある程度お払いになる考えもあるようであります。これを払う場合、私の本会議の質問に対しては、まだ債務ときまつたわけではないから、その支払い方法も考えていないと言われたのですが、支払い方法にはおのずから限度があるのです。もしこれを、国民の税金で一般会計から債務の支払い費用を出せば、本会議でも申し上げましたように、国民は対日援助物資をただでもらつたのではない、適正な価格で買つているのですから、もし一般会計からお払いになるということになれば、国民は二軍の支払いをさせられる結果になる。多分政府はそういうお考えでやるのじやないかと思うのです。なぜならば、昭和二十九年度と二十八年度の予算で、平和回復善後処理費のうちに対日援助物資支払い引当てと書いてあ。る平和回復善後処理費というのは、御承知のように、百億とか百五十億一般会計から出している。すべてに対日援助物資支払い引当てとして一般会計から、国民の税金から何がしかの引当金がとられておるわけです。こういう考え方からすれば、やはり国民に二重負担をしているような支払い方法をおとりになるのではないかと思うのですが、そういうやり方は絶対にしない、こう御言明願えるかどうか、承りたい。
  193. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 この点については本会議でも御答弁申し上げておきましたが、この平和回復善後処理費のうちから支出するという一応の建前で、この予算にはそういうことが書いてございますけれども、しかしこのことは、債務も、また支払い条件も、何もまだきまつておりません従つて国会の御承認を得てから、処理する事柄であります。   この場合について、少しこの点成田さんの意見と違うところがあるから、申し上げておきますが、御承知通り、あの見返り資金その他で来ました時分の金は、ああいう時分の特別会計の分は向うではドルでつけておつた分で、こちらではつきりいたしおてりませんが、大体においてこれがどういうふうに、どういうものに使われていたかと言えば、あの時分は主として、御承知のように、輸入品については、公定価格で売るものですから、高い輸入品を安く売つた、また日本から輸出するものについては、公定価格で買つてつて、――向うの市場で売れるように持つて行きますから、安いものを高く買つて、向うへ持つてつた、こういうふうなことで、いわば両方の価格差補給金に使われている分が大きいと思います。このことにはおそらく全部御同意だろうと思います。それからそのあとの、いわゆる見返資金特別会計というものができてからはつきりとして来た分でございますが、これは三百六十円レートができましたから、その記帳もはつきりしておりますし、金銭授受ことごとく明瞭であります。このことについて見ますると、御承知のように、国鉄や電通や住宅公庫などへ融通しておるものもありまするし、電力、海運等へ融通しておる分もございます。そういう面に金を使つておりまするし、そのほか債務の償還とか、学校の給食などに振り向けてあることは、年々予算を御協賛願つておるのだから、御承知通りであります。  そういうようなぐあいでありまして、これは受益者からとつたらいいのじやないかというお考えではないかと思うから申し上げるのですが、現在かりに受益者からとろうとすると、たとえば今の産業投資特別会計の分を、利益があつた、それを残しておくということになれば、産業投資特別会計の活動が鈍るのでありますから、やはり産業投資特別会計は、その年のうちに償還を受けるもの、利息の収益等として入つて来るもの。こういうもので一つの計画を立てて、みな財政投融資に使つておる次第であります。従つて、もしそれをこの方から払うことになりますれば、やはり一般会計の方から金を持つてつて、これに足さなければいかぬことになる。そうすると、その一般会計から持つて行くものは、やはり税であるから、その点も私は大きなかわりはないように思う。けれども、ただいま申し上げた通り、この債務が確定しておるわけではございません。また債務が確定する場合も、日本は西ドイツと多少事情が違うと私は思う。従つて西ドイツは大体当初予定されたものの三分の一強を払つておるものと思いますが、日本はもつと少くしてもらうべきであると私は考えます。私は交渉者ではないからわかりませんが、そうなると思います。条件等についても、西ドイツが受けた恩恵等に比較してみて、よほど日本に有利に行くのじやないかと思います。しかしいずれにいたしましても、債務と心得てはおりますが、債務に確定するのには債務額、支払い条件等確定して、この国会の承認を得なければ決定しないことでありますから、さよう御了承願いたいと存じます。
  194. 成田知巳

    ○成田委員 国会の承認を得なければ決定しないのは当然でございますが、政府の心構えを私は聞いている。ところがただいま大蔵大臣の御答弁では、学校給食もやつたじやないかと言われますが、学校給食ももちろんただではなかつた。しかもこれは九牛の一毛であります。大蔵大臣もお認めのように、銀行の持つている公債の早期償還をやつている。また電力とか造船とか、こういうものに融資をしている。しかも低利で融資している。当然これによつて恩恵を受けた人が、減債基金的なやり方でもいいでしようが、年賦償還という形で返還するのが当然であつて、蔵相のようなお考えつたら、国民は、先ほど申し上げましたように、二重支払いになる。二重支払いは明らかである。たとい期間はかわつても、年賦償還でもいい。そういう形で利益を受けた人が支払うのが当然ではないかと思うが、蔵相のお考え方はどうか。こう聞いている。
  195. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 私の考え方は成田さんと違うかもしれぬが、財政投融資を行つている、いわゆる産業投資特別会計に入つて来る金を、あなたのように、収益の上つた者からとつた金をその方に振り向けようということでありますが、まだどれだけの債務額かきまつてない、どう払うかきまつてないものに、入つて来る金を遊ばしておくということはない。日本の国が入り用としている重要産業その他のものに投資して、これを動かしておるのである。従つて中小企業からその利息が入つて来た、その分をこつちにもどせ、こういうことをやつて行けば、その結果どうなるかと言えば、今の財政投融資の面に穴が明く。この穴はやはり一般会計で補うことになると思う。これは私の意見である。従つてそういうふうになれば、やはり平和回復善後処理費から払うのと同じことになると思う。従つて私は、そこが少し成田さんの意見と違う、こう申した次第であります。
  196. 成田知巳

    ○成田委員 これは方法と時期の問題があると思う。財政投融資をやつて、利益を受けている。これを一半に取返そうとすれば、穴が明く。一般会計から補填しなければならないと思いますが、そこは吉田内閣の外交折衝で、たとえば十年賦償還あるいは二十年償還ということにして、徐々に上つて来た産業投融資による利益で払うのが筋が立つているのじやないか。穴が明くがもしれないから、一般会計で、国民の負担でやらすということは、正しいやり方ではないと思う。いかがでしようか。
  197. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 一応私の考え方を申し上げたのでありますが、今後現実に債務がどういうふうな額できめられるか。今ちよつとお話が出ましたが、ドイツあたりでは二十年以上ですから、きめられる場合は、相当長いものであろうと思います。従つてその支払う方法等につきましては、どういう方法によるべきかは、これはいずれにしても国会の御協賛を求める次第ですから、そのときまでひとついい方法を、私ども考えておきますが、あなたの方もお考え願います。
  198. 成田知巳

    ○成田委員 いい方法というのは、国民一般の利益を考えた場合に、私の考えている方法以外にないと思いますから、ぜひ国民の立場に立つていい方法をお考え願いたい。  時間がございませんので、最後に大蔵大臣に申し上げたいのでありますが、財政法違反が、先ほど申し上げましたように、たやさんあつたが、財政法違反の予算編成を今度大分やつていると思う。たとえば厚生関係では、児童福祉法の母子手帳の費用、これは弟五十三条の規定によると、「地方公共団体の支弁する費用に対しては、政令の定めるところにより、その十分の八を負担する。」とある。二十九年度予算にはこれが全然削除されている。それから漁船損害補償法の一部改正法律、この法律は議員提案で成立したのでありますが、義務加入の場合の純保険料半額国庫負担となる対象を、従来二十トンにしておつたのを、百トンに引上げておる。ところが二十九年度の予算では、この法律を無視して、旧法の通り二十トンで押えている。これも法律違反だと思う。それからガソリン税の間いろいろな法律で規定している、当然国家が出さなければいけない費用を今度の予算で出していない。改正案を出すというようなことを言つておりますが、議員みずからがつくつたものを、まだ半年も一年もたたないうちに改正案を出してやるということは、議員みずからみずからを侮辱しておる。こういう法律違反の点についてどうお考えになりますか、最後に承りたい。
  199. 小笠原三九郎

    小笠原国務大臣 最初に、大蔵省は財政法規に違反しておるじやないかというお話でありましたが、私は一件も違反しておると考えておりません。  それからその次にただいまの件でございますが、これは補助金等整理に関する法律というものを出しまして、近く御審議を願うことになつております。それは法律をもつて法律を改める。しかも事情に基いての変化ですから、これはまつたくむしろ国民の輿論によつたものだ、こう申し上げた方がいいのじやないかと思います。
  200. 倉石忠雄

    倉石委員長 この際先刻の横路節雄君の質疑について補足質問を許します。簡単に願います。
  201. 横路節雄

    ○横路委員 私は最初に委員長に申し上げておきますが、法務大臣は大体三時四十分まで来るからというので、私の質問の途中で中断されたわけであります。なおこれでまる二日間法務省におきましては公職選挙法百九十九条について御研究を願つたはずでありまして、従つてぜひきようは法務省から的確なこれに対する御回答をいただきたいと思うのであります。そこで私も委員長からお話がございましたから一つ一つ具体的に聞きます。刑事局長に前の方に出ていただきたい。時間がかかるからお願いします。前に出てください。なお刑事局長に申し上げておきますが、法務大臣から公職選挙法の百九十九条、二百条その他の適用については自分は政党に所属している大臣であるので、いかにも政党を弁護していると思われると困るから、刑事局長から答弁させたい、こういう趣旨もあるのでございますから、ひとつこの点につきましては、法的な解釈を私から一つずつ尋ねますから、それに的確にお答えをいただきたいのであります。  そこで第九十九条の二号の「衆議院議員及び参議院議員の選挙に関しては国と、」「請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者」、これは禁止されているわけでございますが、この点につきましては先ほど私が申し上げましたように、昭和二十八年三月二十八日政令弟四十九号、それから運輸省令弟十五号をもつて明確にいわゆる金融機関はこの外航船の利子補給に関しましては国と特別の利益を伴う、いわゆる契約の当事者であるということは明らかでございます。この点につきましては刑事局長はどうお考えになつておりますか、具体的なお話ですから、具体的に答弁してもらいたい。
  202. 井本台吉

    ○井本政府委員 先ほど申し上げました通り公職選挙法弟百九十九条は刑罰法規でございまして、これは厳格に解釈しなければならない法規でございます。何回も申し上げました通り公職選挙法の選挙関係があるかどうかということが一番問題になるのでございまして、選挙関係がないということになれば、当然この法律じや問題にならなくなるわけでございます。なお今のお話の「請負その他行別の利益を伴う契約の当事者」、これも選挙関係しての事案でございますので、選挙に直接関係があるかどうかということを検討いたしませんと、抽象的に今すぐにお話のような事案が百九十九条に当るということは申し上げかねます。
  203. 横路節雄

    ○横路委員 刑事局長、私はこう聞いているのですよ。国と請負その他利益を伴う契約の当事者であることに、外航船利子補給法に言われている政令で指定された金融機関は当るのだ、国とその他利益を伴う契約の当事者であることにはかわりはない、前の選挙のことばかり言うが、そのことについてはどうかと聞いているのですから、そのことについて答弁してもらいたい。
  204. 井本台吉

    ○井本政府委員 その金融機関が国とどういう契約をしておるかという契約の内容を見ないとわかりません
  205. 横路節雄

    ○横路委員 私が今言いましたいわゆる運輸省令弟十五号、昭和二十八年三月二十八日の運輸大臣石井光次郎氏の名前をもつて外航船舶建造融資利子補給に関する省令の中に契約書がちやんとあるのです。あなたはごらんになつたことがないのですか。私は現にきのう運輸省の海運局の者を呼んで聞いたのです。ちやんと省令にもあるのです。契約申込書「外航船舶建造融資利子補給契約約款を承認の上、下記の通り外航船舶建造融資利子補給契約を締結したいので申し込みます。」運輸大臣石井光次郎、何々銀行、何々となつている。さらに申込書の二、「運輸大臣は」とちやんとなつている。私はここにちやんと持つて来ている。この点について見なければわからぬと言うならば、あなたここに来て省令を見なさい。こういうことで時間がかかつて、そして時間がない、時間がないといつて催促されたのではかなわぬ。こういうことをあなたは知らぬという、そんな抽象的な話では困る。ここに契約書が現にあるじやないですか、ちやんと読んでごらんなさい。あなたは私の点が間違いだと思つたら、私は名前をあげていいんですよ。運輸省の海運局の者に現に私は委員部を通して資料要求をした。しかも本委員会で運輸大臣に資料要求をしたら、この点について出しますと言つてきのう私に出した。出した中に今言つたように契約申込書が年月日からちやんと出ている。この点はその後先般の十六特別国会においては三党修正で、さらに時日その他が違つた。運輸大臣はこの前約千六百件にわたる計算だからもう少し時間がかかると言つておる。現に私はちやんと見た。弟六次の何々船、何々会社、六十何ぼの銀行、信託会社、保険会社から何ぼ金額を受けておるかということを見せてもらつた。私はその資料をもつてつた。それならば、あなたはこれをごらんになつたら、その他特別の利益を伴う契約の当事者であることに金融機関は間違いないでございましよう、その点どうなんですか。
  206. 井本台吉

    ○井本政府委員 お話の点はちようど外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の第二条の「開発銀行以外の金融機関で政令で定める範囲のものがその資金を融通するときは、政令で定めるところにより、当該融資につき利子補給金を支給し、又は当該融資によつて受けた損失を補償する旨の契約を当該金融機関と結ぶことができる。」これに該当するものではないかと思うので、さよう御答弁申し上げます。
  207. 横路節雄

    ○横路委員 それでは該当するんですね。その点もう一ぺん、該当するなら該当すると言つて下さい。該当すると思うではなく、該当するんですね。その点を聞いてる。ここにあるのをあなたに見せたんだから……。どうなんです、あなたは。
  208. 井本台吉

    ○井本政府委員 この条文に該当すれば百九十九条に当る、こう申し上げた次第です。   〔発言する者多し〕
  209. 倉石忠雄

    倉石委員長 静粛に願います。
  210. 横路節雄

    ○横路委員 刑事局長、正直なところあなたは資料に対する調査が不十分だと思う。あなたは外航船舶建造融資利子補給法の第二条だけをごらんになつて、政令の四十九号、しかも昭和二十八年三月二十八日、さらに運輸省令弟十五号昭和二十八年三月二十八日、これをごらんにならないでお述べになつた。私は現に政令を見、契約書も見、さらに全体のトータルの計算をしてあるのを見た。そこでこの点は委員長どうしますか、まる一日かかつて全然調べてないのだ。刑事局長、どうなさいますか、あなたは非常に不確定で、実際勉強してないことはよくわかる。だからここで休憩してもらつて、あなたに読んでもらおうか、どうなのか、これは。
  211. 井本台吉

    ○井本政府委員 資料をもう少し検討させていただきたいと思いますが……。
  212. 横路節雄

    ○横路委員 この点は私としてははなはだ遺憾にたえないのです。これは現におととい私が質問を終りましたのは午後三時なんです。午後三時にこの点について再三答弁を求めましたのですが、答弁が成り立たないわけなのです。この点はどうなるのです。これでもう二日かかつて、なおその弟二条だけで、こういう点について調査をしてないという点はまことに遺憾だ。委員長、これはどうしますか。休憩して外事会でもやつてもらおうか……。
  213. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは政府委員から資料に基いてさらに研究するという話でありますから、この程度にいたしまして、次の質疑に移りたいと思います。
  214. 横路節雄

    ○横路委員 それでは私は刑事局長にお願いしますが、あなたはもう少し詳細にお調べになつたらいい。さらに運輸省の海運局に聞いてごらんなさい。この弟六次から弟九次までのこれに適用されるものについて、何々銀行、何何信託銀行、何々海上火災がどの程度つているか、全部一覧表がある。ただトータルをやつてないというだけだ。そこで私はあなたに申し上げておきますが、この点につきましては、四月一日に自由党は七百万円を都市銀行地方銀行、信託銀行有志代表として水田直昌氏から寄付を受けている。四月十九日には改進党は三百、五十万円を都市銀行地方銀行、信託銀行有志代表として水田直昌氏から寄付を受けている。この点は三月二十四日に先般の選挙については告示になつた。この点は都市銀行地方銀行、信託銀行は明らかに三月二十八日の政令で入つておる。この点は非常に重大なんです。だからこれは私が先ほど言つたように、寄付した方は百九十九条違反であり、受けた方は二百条違反である。寄付をした方は二百四十八条の寄附の制限違反で、三年以下の禁錮に処せられ、受けた方の政党は寄付の勧誘、要求等の制限違反に関して筋二百四十九条で、この政党の代表者は三年以下の禁錮並びに五千円以上五万円以下の罰金となつている。だから外航船の船舶利子補給法にからんであるのだというこの点は非常に大事なんです。私の質問をここで切られても困る。法務大臣は三時四十分に来るというのに、一時間にもなる。これは一体どうしたのですか、委員長、法務大臣をぜひ出してもらいたい。
  215. 倉石忠雄

    倉石委員長 政府側からただいまの資料に基いて、さらに研究して御答弁いたしたいということでありますから、さようにいたしたいと存じます。
  216. 横路節雄

    ○横路委員 この点は重大です。もう二日たつているのに答弁できない。   〔「休憩しろ」「次に移れ」と呼び、その他発言する者、離席する者多し〕
  217. 倉石忠雄

    倉石委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、明日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十五分散会