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1954-05-06 第19回国会 衆議院 郵政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月六日(木曜日)     午前十一時二十七分開議  出席委員    委員長 田中織之進君    理事 小林 絹治君    理事 大高  康君 理事 羽田武嗣郎君    理事 吉田 賢一君 理事 山花 秀雄君       飯塚 賢一君    河原田稼吉君       坂田 英一君    武知 勇記君       三池  信君    佐藤觀次郎君       土井 直作君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         郵政政務次官  飯塚 定輔君         郵政事務官         (貯金局長)  小野 吉郎君         郵政事務官         (経理局長)  八藤 東禧君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     宮本 武夫君         専  門  員 稻田  穣君         専  門  員 山戸 利生君     ————————————— 四月三十日  委員田中久雄君辞任につき、その補欠として松  浦周太郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  軍事郵便貯金等特別処理法案内閣提出第一六  四号)     —————————————
  2. 田中織之進

    田中委員長 これより郵政委員会を開会いたします。  軍事郵便貯金等特別処理法案を議題として、質疑に入ります。  まず委員長から簡単に伺います。事前審査のときに一応概括的にはお伺いをして、断片的にはお答え願つたのでありますが、この法律の実施に伴いまして、軍事郵便貯金、旧外地郵便貯金、及び軍事郵便為替及び旧外地郵便為替の大体三つについて、それぞれ払いもどしが可能になるわけでありますが、現在払いもどしをしなければならないこ郵政省の方で押えてある金額を、その三つにわけて一応明らかにしていただきたい。
  3. 小野吉郎

    小野政府委員 換算をいたしませんで通帳に記入しております金額のみで申しますと、軍事郵便貯金約二十三億でございます。それから旧外地郵便貯金が一億四千万円見当と相なつております。それから為替関係でありますが、軍事郵便為替につきましては一億と推計いたしております。旧外地郵便為替、これは軍人軍属以外の者の利用いたしましたものにつきましては、これは大した金額ではないと思いますか、金額は現在のところ明確にわかつしおりません。そう大した額に上らないと思います。それとこの処理の中じ、さらに旧外地扱いました郵便振替貯金でございますが、これがざつと一億と見込んでおります。
  4. 田中織之進

    田中委員長 次に、この法案が通過した場合に確定して払いもどし可能にばるそれぞれの金額は、ただいま御説明願つた数字のうちどの程度になりますか。
  5. 小野吉郎

    小野政府委員 軍事郵便貯金につきまして、今回の措置支払い所要な金は二億三千八百万円でございます。旧外地郵便貯金につきましては、一億三千三百万円と相なるだろうと思います。それから軍事郵便為替につきましては六千四百万円、こういうような状況に相なるわけであります。
  6. 田中織之進

    田中委員長 さらに、特に北支中南支等関係で換真率が適用になると見込まれる、たとえば軍事郵便貯金等は二十三億のうちどの程度でございますか。
  7. 小野吉郎

    小野政府委員 今回の換算率といたしまして、非常に高い換算を受けますものが主として中国方面北支、中支、南支でございますが、この中国を一体といたしまして口数で百分比をとつてみますと九二・五%になつております。金額百分比で参りますと約九五%と相なつております。従いまして二十三億の九五%、ほとんど全部に近い金額中南支方面、このようになつておりますので、ごういつたところは、北支方面につきましては百分の一、中南支につきましては四百三十二分の一に相なるわけでございます。
  8. 田中織之進

    田中委員長 その場合の一口についての金額は、大体最高どの程度で、平均するとどのくらいになりますか。
  9. 小野吉郎

    小野政府委員 段階別に申しますと、かりに一万円までで切つてみますと、これでほとんど大部分が含まれるのでありまして、累計いたしまして九二%は一万円以下のものに相なつております。そのうち五千円で切つてみますと、五千円までのものが約七〇%でございます。全体の七〇%は五千円、かように相なつております。これが軍事郵便貯金についてでございます。
  10. 田中織之進

    田中委員長 なおその点について伺いたい点があるのでありますが、大臣がお見えになりましたので、大臣の御都合も考えまして、大臣に対する質疑がございましたら、この際先にお願いしたいと思います。それでは委員長より大臣に伺いますが、今度の軍事郵便貯金等特別処理法案によりまして、軍事郵便貯金、旧外地郵便貯金軍事郵便為替及び旧外地郵便為替について、保留されておつた分についての払出し金額が一応確定されることになるわけでありますが、なお元の為替管理法、あるいは金、銀、又ハ白金ノ地金又ハ合金ノ輸入ノ制限又ハ禁止等ニ関スル件等法令関係で、金額が確定したものをいつから現実に払いもどすかということについては、関係法令改正なり何らかの処置を必要とするのではないかと思うのでありますが、この法令だけで金額が確定したらただちに払い出されるようになるのか、また関係法令の改正を必要とするのか、その点についての御方針を伺いたい。
  11. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 大体法律としてはこだけでいいわけなのでございますが、ただ為替管理法に基いて大蔵省が行つております告示をかえるとか、ままた実際的には告示で制限しております部分を削除してもらうことによつて現実支払いができることになつておるそうであります。なお詳細は政府委員からお答え申し上げます。
  12. 田中織之進

    田中委員長 その点についての大蔵省方面との連絡は、法案提出前にすでに十分とれておるかどうか。
  13. 小野吉郎

    小野政府委員 本法案提案につきましては、大蔵省とその都度密接に連絡をとつておりますので、郵便貯金をこの条件に従つて払うごとにつきましては、大蔵省も賛成なのであります。従いまして、この支払いに必要な告示等の改廃につきましては、十分承知の上のことでございます。
  14. 田中織之進

    田中委員長 なお大臣にお伺いしますが、引揚者あるいは復員軍人等がごの法案によつてある程度の払いもどしほ受けられることで非常に期待しておるのでありますが、なお先ほど貯金局長らの御説明によりますと、軍事郵便貯金、旧外地郵便貯金あるいは軍事郵便為替等関係で、大体二十五億円程度預入額で、本法が成立した場合に約一割の二億五千万円程度しか払いもどしにならぬということになるわけであります。爾余の分については、もちろん中南支等換算率適用によつて切り捨てられる部分も出て参るのでありますが、約十年間敗戦という本ただちの責任によらざる不幸な事情によりましてく軍づけされておつたものが、その後の貨幣価値の変動にもかかわらず、大きな部分については、当時の内地外地との貨幣価値換算率に準拠いたしまして、切り捨てられる部分も生ずるような払いもどししか受けられないという点から、今度の払いもどしの率についての引上げを非常に強く希望しているのでありますが、この点については政府の方ですでに考慮余地はないものかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  15. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは御指摘通り、私もいろいろ問題点がたくさんあると思つているのであります。全額払いもどしをいたしましても、貨幣価値下落というものがあるのでありますから、実質的に大きな減価を受けているわけでありまして、それをさらに一部分切るということになつているわけでありますから、当時お預けいただき、もしくは金融機関郵便局為替などの関係で金を入れていただいた貨幣価値というものを考えますと、まつたく数えるに足りない程度貨幣価値のものをお返し申し上げるということになるわけであります。ただこの問題をこういう場合に考えて参りますときには、戦争によりましていろいろな損害を受けられた全体の方とのバランスの問題もありますし、貨幣価値下落による損害というものは、こういう形の郵便貯金だけでなしに、国内郵便貯金をせられた方も同じような形で減価を受けているということになりますと、なかなか全体のバランスの問題もとりにくい。これについても、郵便貯金は幾らかでも返すということになりまして、この前に郵便貯金と同じような性格のものでは、在外公館等における借入金が返つたことは、委員長においても御承知であられると思うのであります。そういうふうに返るようになつたものはまだしもいいのであつて、そうでない、現実財産を失われて、全体が使い得ない部分も非常にたくさん残つておりますので、政府としてはそういう点も十分考慮しなければならず、非常にこれは苦慮いたしている問題点であります。そこでおそらくお預けになられた方々にもそういう事情、しかももつとも事情がありますのでこれ以上何とかしてほしいという御意見があることはもつともに存ぜられますが、今申し上げるように、一つは均衡の点からの考慮、いま一つはこういう金銭債権性格が、貨幣価値下落の際に出て来る必然の結果でありまして、これを当時の価値に応じて払うということにいたしました場合に、その資金をどこから持つて来るかというような現実の財政的な問題もありますので、御希望はごもつともに存ぜられる即は多々あるのでありますけれども、今そういう御希望に応じてこれ以上さらに特段の考慮をすることはおそらくできないのじやないか。またそういうような立場もごしんしやくいただいて、在外財産問題調査会等におきましても、この程度の線でという答申になつた、こういうふうに私も承知いたし、いるわけであります。
  16. 田中織之進

    田中委員長 なおこの法律には当然適用外になつているのでありますが、満州国関係は、満州国郵政貯金ということで独立した国の貯金という形にばつておりますけれども、日満議定書によつて満州国ができたときの関係から、満州におりました日本軍人等の場合に、軍事郵便も開設されなかつたというような関係で、満州国貯金になつたような人は、今度の法律では適用外になるわけであります。この点については、満州国日本国内にあつた財産等との関係で、何らか今後においても考慮される余地があるのかどうか、その点はいかがでしよう。
  17. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この点も、今度の措置をいたします場合に非常に問題になつた点の一つなのであります。ただ何にいたしましても今度のこの措置は、日本政府債務として背負つているものを処理するということが、今度の法案の基礎の考え方になつておりますので、満州国貯金になつているものは、満州国債務であつて日本政府債務というわけには参らないものでありますから、実質的に国民外地においてお持ちになつてつた財産がそれだけ減つたという意味においては、何らか措置を考えなければならぬ問題であると思いますけれども、形式的に異なつているものでありますから、考えろといたしますれば、一般在外財産に対する補償をどうするかという問題を考える場合に一緒に考慮すべき問題である、こういうふうに考えて、今度の措置からは除いているわけであります。
  18. 田中織之進

    田中委員長 本法案に直接関連をして、大臣にほかに御質疑ございませんか。
  19. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 前回に提案理由の御説明がありましたときに、その点にお触れになつたかどうかちよつとはつきりしないですけれども、念のために聞いておきたいのですが、この法律によつて特別に処理なさろうとする対象である第一条の各郵便貯金為替振替貯金などを払いもどしなさろうというのは、貯金を預け入れるその際、また為替を振出しの請求をするその際、あるいは振替貯金をするときにあつた、そのおのおのの法律に基くことなるのでしようか。あるいはその特別措置法によつて処理することになるのでしようか。別言しますと、別にそれぞれ根拠法がありまして、処理する処理の仕方、数額のきめ方をこの法律によつてやるというのでしようか。この法律自体によつて払いもどしをする法律が初めて制定されることになるのでしようか。その点はどういうことになるのでしようか。
  20. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 お尋ねのこの支払い法的根拠はどこにあるのかということでございますれば、この法律によるのではございませんで、当初の法律によるわけであります。つまり預かつているものは返さなければならないという、当初の郵便貯金法その他の法律根拠があるものの債務を弁済するという形になるわけであります。ただその郵便貯金法その他の法律によつて行われた当時の取扱いが、あの時分の非常に混乱しておつた、しかも貨幣価値の非常に変動しておつたとき、しかも外地において行われておつたので、本来意図しないような、平たく申し上げますならば、瑕疵のある形において事務が扱われておつたところがあるということで、それをこの法律によつて調整をいたしまして払出しをする、法的にはこういうことになると御理解いただきたいと思います。従つて法的には現法律とこの法律とによつて確定した債権債務の形ができて、そうしてこれによつて支払いをするということになると御了解いただきたいと思います。
  21. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私はこれによつて処理されて、若干でも払いもどしを受けることのできる人が相当多数にあるということを前々回に聞いておりましたので、これの実現することにはもちろん何も反対するのではないのです。ただ間然するところなく、かつ適正に払いもどしをされることを希望する趣旨お尋ねするのでありますが、そうしますると、この第二条の軍事郵便貯金軍事郵便為替ということは、これははなはだ素朴な質問で失礼ですけれども、これの根拠は現在みな生きているのですか。第一条の各貯金とか為替とか振替貯金ですか、これは全部現在なお生きている法律でございましようか。そうしますと、いずれこれにでも載つていると思いますので、その点御指摘いただきたい。
  22. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 御指摘のように、基本法規は全部生きておるのであります。従つてその第一条にもはつきりいたしておりますように、そういうものの「特別処理に関し」というように書いておるわけであります。
  23. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それを御指摘を願つておきましたら、なお法律案の内容、趣旨性格はつきりするのでありますが、この第二条第一項の一号「軍事郵便貯金とは、」二号「軍事郵便為替とは、」以下三ブロックになつておるようでありますが、これはどういう法律なんでしようか。
  24. 小野吉郎

    小野政府委員 これはいずれも郵便金法によつて扱います郵便貯金でごごいます。
  25. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 郵便貯金法第何条ですか。は、郵便貯金法第何条と区わけされまして適用されるのではなく、全般規定がそのまま適用されるわけであります。
  26. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 全般規定適用されるということは、郵便貯金法野戦郵便局というような字句を使つているとは考えられないのですが、ちよつと御指摘願いたい。
  27. 小野吉郎

    小野政府委員 ここに野戦郵便局とか、あるいは海軍軍用郵便所扱いとか、あるいは外地とか、いろいろの表現がしてございますが、これはいわゆる郵便貯金の発生しました由来を一応説明的に書いておるわけでございまして、郵便貯金といたしましては、いずれもそういつた頭のつかない郵便貯金でございます。従つて現在の郵便貯金法の第一条から全条が適用される郵便貯金であることは間違いないわけであります。ただ処理いたします場合に、問題となつております郵便貯金も同じ郵便貯金ではありますが、これを各種別に、旧軍人軍属の使用いたしました郵便貯金もまたそれ以外の一般在外同胞の使用いたしました郵便貯金というように一応区わけしてあるわけでございまして、いずれもこれは郵便貯金法規定によつて預かつた郵便貯金であります。
  28. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは広い意味における在外資産概念の範疇と申しますか、外地における在外資産でないものもありますけれども、在外的な関係におきましては在外資産一種になるのでしようか。そごの兼ね合いはどういうことになるのでしようか。外地におきまして財産権を有しておつた邦人財産処理というものは、まだ終戦後完全に管理されておらぬと私は思うのでありますが、その一種としてこれは扱つておるのだというふうに考えるべきなのでしようか。あるいはそうではないのでしようか。この処理対象になつておるものの性格を、在外財産的な考え方からいたしまして、根本的にはどういうふうに考えるべきか、この点をひとつはつきりしておいていただきたい。
  29. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 この扱い方といたしましては、在外財産問題調査会というものでもつて扱い願つたのでありますけれども、この資産性格在外資産であるか、国内資産であるかということは、なかなかめんどうな問題であります。しかしこの法律建前といたしましては、これは在外資産ではない、つまり国内資産であるという考え方を一応いたしております。従つてその他のいわゆる存外資産処理とは切り離して、これだけの整理をするという考え方になつておるわけであります。在外資産であるかないかという区別をどうするかという問題は、これは国との一種債権債務関係でありまして、現実お預けになつた金も、普通の過程から行きますればお預けになつた金は全部郵政省に集まり、預金部に集まつて国内においてまとまつておるはずのものでありますし、今日の状態では債権者債務者とも国内におられるわけでありますから、どちらにしてもこれは在外資産ではない、こういう概念の方が正しいように考えられておるのであります。
  30. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 しかしまだ内地に帰つておらぬ人も相当ございましよう。たとえば外地ということになりますと、これは法律を詳しく見てみないとわかりませんが、朝鮮、満州、中華なども出ておりますから、預金者権利者が当然まだ多数在留しておる者もあり、また内地に帰つておる者もありというふうに、まだはつきりといずれかにきまつておるわけではないということになりますと、観念的には一種在外資産的性格を持つておるものではないだろうか。要するにこれは法律の実益というよりも、考え方の統一という意味において伺つておるのでありまして、政府といたしましては、こういうふうになお外地に居住しておる者もあり、内地帰つた者もある、いずれの性格とも考え得られるようなはつきりしない場合が現われておるのでありますから、このようなものの一切を整理し、もしくは在外資産の全部を国民が所持しておりました権利をそのまま認めて、処理して行くというような根本方針でも持つておられるのだろうか、どうだろうか。あるいはたまたま従来払いもどしになつておりましたのを換算率をきめるという、何かそういう具体的な事情で、これのみを切り離してお扱いになつておるのか。根本的には在外資産処理に対する政府根本方針がきまつて、その一つ適用としてこれが出て来たわけではないのであるのかどうか、これだけをお確かめ申しておきたいと思います。
  31. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 在外財産問題調査会が扱つております全体のものは、御指摘のように広く在外において国民が持つてつたもの全体をどう処理するかという問題を扱つておるわけなんでありまして、従つて政府方針としてはそういうものに対して全然考慮を払わないという考え方はもちろんないわけであります。何らか措置をすべきではないかという考え方を持つておるわけでありますが、その中から特にこういうものだけがとりあえず取上げられたということには、やはり発生した経路からいたしますと、在外財産という形に非常に似通つたものがあるのでありますけれども、やはり厳密に検討すればむしろ在外財産というよりも、これは国内財産というべき性格のものであるというように概念されますので、かたがた国債務者であるというような関係もあつて、これだけを別途処理するのが適当である、こういう考え方でとりあえずこれが取上げられたわけであります。
  32. 田中織之進

    田中委員長 その点で委員長からもう一点伺いますが、外地郵便貯金あるいは外地振替貯金等関係で受入れて、特に終戦後受入れた分は内地送金現実にはできていないと思いますしかし今大臣お答えになつたような形で、すでに国内に帰つて来ている人を当然対象として今回処置されるということはわかるのでありますが、今度金額が確定して払いもどししますと、残余の部分については結局永久にと申しますか、切捨てになつて考慮されないという建前になるように思うのでありますが、全体にいわゆる外地で持つていた在外資産というものの処理、これは講和条約等関係で返つて来ない部分もありますけれども、何らか国の方においてこれを補償するというような場合に、内地送金されなかつたものに相当する部分がかりに返還を受けられるというような形になつた場合には、今回の処置で一応切り捨てられる部分についても、在外資産全般的な国の補償とか、そういうようなときには、あらためて考慮される余地があるのかどうか。
  33. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 お尋ねのこの特別処理法案によつて支払いを行われて、そうしてそれによつて切られてしまつたというものは、今後在外財産全般について処理するというような場合がかりに起りましても考慮されない、こういうことになると思います。と申しますのは、今度のこの支払いにつきましては、本人がお預けになつた原資が国内に送られておるか、送られておらないかということは考慮せずに、むしろ普通の場合ならばお預けになつた方は国内へ送られておる。従つて国内で払いもどしを受けられるのだという考え方お預けになつておりますから、その期待というものを頭に置いて、こういう特別処置をいたすわけでありますから、この法律で超過した部分として払いもどすべきでないというように決定いたしましたものは、今後もこれは考慮されることはない、こういう考え方であります。
  34. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そうなつて来ますと、またさかのぼつて聞かなければならぬのですが、内地に送付、送金されておる、おらぬにかかわらず支払うということになり、それからたとえば別表によりますると、華中及び華南は、円は一円に対して四百三十二円、マライ及びビルマは一円に対して四百三十二円、ボルネオ等東印度諸島は六円、華北は百円等々、大分率が大きくなつておるわけでありますが、そういたしますと現実政府送金を受けておらぬので金はない。それから貨幣価値が変動しておりますので、それを理由換算率がずつと大きくなつており、こういうことになつておりますと、現実政府の手元といたしましては、ないところを払うという結果も見るわけでございましようが、そういたしますとこの法律は公布の日から施行するごとになつておりますので、かりに本国会中にこれが成立いたしますると、ただちに支払いを行わなければならぬのではないかと思うのですが、そうするとそれの予算関係はどうなつて来るのでしようか。
  35. 小野吉郎

    小野政府委員 御説の通りこの支払い所要資金は、この貯金なり為替がほとんど終戦後の扱いにかかるものでありますので、資金外地から日本国内に返つておりません。ただ郵便貯金建前といたしましては、正常に参つておりますと、これが銀行等におきましては、外地銀行はそのまま資金日本に回送されませんでその土地で運用され、とどまつておるものでありますが、郵便貯金としましては全部これは内地に返つて参りまして、資金運用部資金の中に入るわけであります。そういう一団の関係になつておりますが、現実には終戦後の扱いになつておりますので、資金を回送する道がありませんので、現地にとどまつております。支払い資金の問題につきましては、その点に問題はあつたのでありますが、いずれその点の処理につきましては、最終的に一般会計で負担をいたしますかどうか、その辺のけじめをつけなければならぬわけであります。ただ今回この措置と同時に、それを割切つて措置できればこれは非常にすつきりするのでありますけれどもこの資金の大半を形成しております軍事郵便貯金関係で申しますと、これは一旦臨時軍事費の今計に入つております。そごから郵便貯金の方へ資金が返りまして、資金運用部預託に相なるわけでありますが、今日まだ臨時軍事費特別会計の最終の処理ができておりません。まだ相当時日を要する模様であります。従つてこの所要資金につきましても、最終的な処理一般会計で全部負担するかどうか、こういつた問題についつてはまだ時日を要するわけであります。従いまして当座の問題といたしましては、各種資金のやりくりによつて措置するわけでありまして、厳格に申しますとこれが単なる引揚者の救済措置でありますならば、救済資金としてはつきり予算の歳出に計上しなければならぬものでございますけれども、郵便貯金支払いとして考えますと、現在内地郵便貯金につきましても一々、その年度支払いを見込まれる金額につきましては、これを歳出に計上いたしておりません。予算の歳入歳出外の現金の扱いとして処理しておりますので、全然予算に所要原資を計上する必要もないわけでございます。
  36. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと所要資金は大体二億五千万円とか聞いたのですが、そうなんですか。
  37. 小野吉郎

    小野政府委員 全体を通じまして約四億二千万円計算いたしております。
  38. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そういたしますと現実送金の有無にかかわらず、例を郵便貯金にとつてみれば、原資が現実にあれば、これらの払いもどしも、郵政省において自由にできることになつておるのですか。それは元来預かつたもので、よしんば預かつた金を預かつた会計に振り込んで、それを払いもどすということになつておらなくても、ただ名目上政府が預かつたという関係が認められる限りは、支払いをしても違法ではない、こういうことになるのでございましようか。その点、法律の解釈だけでありますので……。
  39. 小野吉郎

    小野政府委員 通常の状態で申しますと、資金の回送が完全についておりますれば、これはもうはつきり裏づけのある貯金でございますので、法律上から申しましても事実上から申しましても、はつきり支払いに応じ得る態勢にあるわけでございます。ただ本案の問題につきまして最も問題であります点は、支払うことができるかできないかの問題ではなくて、どのような条件で支払うか、すなわちごの換算の問題が、この法案を御審議願わなければならない主たる、ほとんど全部の必要であると申し上げてもさしつかえないのではないかと思います。この換算の問題につきましては、先ほどから大臣に御弁答を願つたのでございますが、建前といたしましては、郵便貯金法上成立した債権であり、債務であることには間違いない、かような立場をとつております。ただその当時、日本の行政権自体がほんとうに正常な、完全な状態になかつたの至りまして、いろいろな連絡の道も絶たれておりましたし、郵便貯金を管理する管理者の意思が出先まで十分に届き得ない状況で、従つてそういう状況下におきまして、現地といたしましては従来——と申しましても日本との連絡のつきました時期におきましての最終の時期において維持せられておりましたレートによつて、それをその後長くそのまま適用して扱つてつたわけであります。その点に問題があるのでありまして、いわばそういう点できずを持つた債権債務であるということはできるわけであります。今それを為替関係のレートの変更、また貨幣価値の非常な変動によりまして、終戦当時維持しましたレートそのままではいけない、これを修正しなければいけないということで、いわゆる支払い換算を用いなければならないというような結論に相なつたわけであります。
  40. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 その為替レートの関係でありますが、三百六十円の単一レートになりますまでは、いろいろな物資によりまして、また取引の国々によりまして、ずいぶんとそこはむらになつて、いわゆる複数レートということになつてつたようですが、特に華中、華南及びマライ、ビルマなど、この率が高いようになつておるのでありますが、それは最終というのですか、一体いつのどこの基準でごうきめられるごとになつたのでしようか、それをひとつ聞いておきたい。
  41. 小野吉郎

    小野政府委員 換算率適用の問題につきましては、郵政省といたしましては、大臣がごういつた率を決定する権限は持つておりません。一応、一般の類似のものに適用されるレートを援用するほかにないわけでございますが、すでにこのレートはここ二年ばかり前に在外公館等借入金の返済をいたしたわけでありますが、その際に日本円と朝鮮、台湾、関東州、樺太、また北中支、南支等との関係におきまして——南方も含まれておりますが、その貨幣価値の変動をいろいろある時期に測定いたしまして、日本円との換算はごのくらいの率が妥当だということで実はぎまつてつたわけでございます。それを今回在外銀行預金等の支払い処理につきましても、そのまま援用いたしております。これは大蔵省側でそういうことにいたしております。われわれといたしましても、貨幣価値の状況によつて採用し得るレートとしましては、これによる以外に道がありませんので、それを援用しようということになつておるわけであります。従いまして各地域いろいろレートは違いますが、これは一般の権衡を考えないで郵便貯金独自に採用したものでなく、他の類似のものにすべて共通に使われておるレートであるわけであります。
  42. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつとその前に伺つておきますが、現地の受入れました、また扱いました金額は総計何ぼになりますか。
  43. 小野吉郎

    小野政府委員 現地で扱いました、いわゆる通帳に記入してあります金額は、軍事郵便貯金で申しますと二十三億ということになつております。また外地郵便貯金は一億四千万円余に相なつておるわけであります。
  44. 田中織之進

    田中委員長 ちよつと、この換算率の問題ですが、なるほど二年前に在外公館借入金の返済の場合にとられた基準であることはわかりますけれども、それはやはり預け入れた当時の日本円とあるいは中南支、マライ等における現地通貨との換算比率というものがたまたまとられたのではないでしようか、その点いかがですか。
  45. 小野吉郎

    小野政府委員 その通りでございます。預入当時の両者の貨幣価値を比較いたしますとこのような率になるというような想定で、このレートはすべてできておるわけでございます。
  46. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さきの問題でありますが、支払うべき原資はともかくもあるけれども、しかしその後内地で預金があつた場合に、その総計は一定額を記入されておる。それから外地で預金されたものがそれに何ほどかプラスになつておる。総計の数字というものはそこに違いがあるわけであります。支払いの場合に内地のものをかりに利息をつけて全額を支払うことになれば、外地で預けたものは全然内地送金しておらぬのだから、それだけ不足があるというふうに一応仮定的に考えられるのであります。現に内地のその後の預金者は出入がはげしいから、金額の払いもどし請求ということは現実にはありませんから、手元のものを払つても事実上そごに何の支障も来さない。しかし観念的には内地で受入れしたものは、内地に受入れてある原資を払いもどすべきである。外地から全然内地に入つて来ておらぬものを内地の受入れたものから払つて行くということはやはり筋が通らないのではないか。むしろこれは何らかの方法で、郵便貯金貯金会計を正確に処理して行く上におきましては、足をはみ出しております。外地の預金は別途財源をもつて処理すべきではないだろうか。たとえば一般会計をもつて繰入れるとか、何かの方法を同時に講じておくべきじやないか。この点は最終的にはそういうふうにすべきだというふうな御説明でありますけれども、最終的にというべきじやなしに、最始に別途に並行的にそういう措置を講じつつ処理して行くということが、やはり経理を正確にして行く上においては筋が通るのじやないだろうか。足らなくなる、余るというようなことではなしに、ともかく来ていないのだから、一般会計をもつてこれは充てるべきだということを、当初から方針を立てて臨むべき筋じやないか、こう思いますが、いかがでしようか。
  47. 小野吉郎

    小野政府委員 問題は吉田委員指摘通りでございます。この措置を講じます際にはつきりその辺を割切れば、これは予算で出るものは出、問題は明確になるわけでございますが、先ほどお答え申し上げましたように、最終処理といたしましては相当時日を要する。ではその前の事前措置といたしまして一応一般会計で持つかということになれば、予算を追加しなければならない、予算の修正を必要とするわけでございます。これも今の事情上非常に困難な状況でございますので、やむを得ず資金の流用をいたしておりますが、この資金の流用は実を申し上げますと、郵便貯金の金として扱つたもののみを流用しているわけではないのでありまして、郵政省で各種の金を扱つておりますが、そういつたつた金を流用いたしまして、実はそういう面から申し上げますと郵便貯金より吸収いたしました金以外に、資金運用部には支払うに必要なだけの金はすでに入つておるわけでございます。これは昭和二十三年の閣議決定でそういう流用措置を認められまして、これを流用いたしておるわけでございますが、これは一応かりの措置でございます。これを最終的にはつきり一般会計で持つ、こう行きますと、事情許します近き将来におきまして、そういう面がはつきりして来るわけであります。片方におきましてはこの外地関係郵便貯金自体につきましても、終戦当時非常に混乱があつたわけでございますので、国が債務を負いました額自体につきましても、その貯金終戦前のレートから行きましてもパーで考えていい事態につきましても、まだ十年たつておりませんが、満十年たちますと、その間にいろいろな事情によりまして権利者がないとか、あるいは権利を放棄されるとかいうようなことで、いわゆる時効益による原資もどのくらいありますか、明確になるわけであります。そういうものとにらみ合せまして、最終処理をつけなければならない問題であろうと思います。現在の段階ではまことに御指摘通りもやもやしておりまして、その点明確でないのでありますが、現在の段階では万やむを得ない処置である、われわれはさように考えております。
  48. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この点は局長もしくは政務次官は大臣と御協議になつて、問題に対処する方針をお立てになつておかねばいけない問題だと私は考えます。といいますのは、やはり流用をすることが可能でもあり、もしくは何か資金が入れられておつたとすれば閣議決定があつたとか、そういう御説明はありますけれども、やはりないところに支払い方針を立てて、流用すべき原資がほかにあるのだからこれをまかなつて行く、あるいはまた時効によつて国家の所得になつたところの流れ込みのものがあるので、またそれも最終的にはあれこれバランスをとつて支払いに充てるというようなこともいいと思いますけれども、やはり国家財政の建前といたしましては、国民に対して、かりに四億円も、——これは金利がつくのかどうかはつきりしませんが、かりに四億円でも、四億円支払うという方針法律によつてきめて出す以上は、それに該当すべき本来の筋が通つた財源を用意するのが私は当然であると思います。やはり緊縮予算は一兆円を越えてはいかぬというので、今補正をすることはどうかという御意見もありますけれども、そういうようなことはごまかしになるおそれがあります。これは四億円だからいいけれども、四百億ぐらいになつたらどういたします。またあなたの方だけではなくして、この種の問題は、あるいは他の省にもあるかもわかりません。他の各省いずれの省におきましても、今流用すべきものがあるのだから、それでまかなつでおいて、最終のときにバランスをとつて、しりを結んだらいいではないかという考え方は、財政の方針としましては、まことに不堅実でもあるし、そういうことはごまかしに堕す危険があります。やはり国が隠れた負債を、引当て財源を明確にしないで処理をして行くということになりますので、従つてそういう面からいたしまして、このたび郵政当局はやはり国家財政とのにらみ合せもありますけれども、そういうことにかかわらず法律を打ち出して、支払い特別処理をする以上は、引当てるべき財源はやはり筋を通して当初から用意してかかるということが、私は堅実な国家財政のありかであると考えます。でありますので、今御用意はないようでありますけれども、もやもやしたままで経過すべざではありません。また最終の処理のこきに一般会計からどうするこうするというのでなしに、やはり当初からそういう方針は立てておかねぱならぬと思いますから、この点についてはひとつ政務次官から答弁を願つてそうして省自体として計画を立てていただいて、四億円を小さしとせず、こういうことはきちんとしておいてほしいと思います。その点いかがでしようか。
  49. 飯塚定輔

    飯塚政府委員 ただいまの御注意に対しては、私もよくわかりますが、おそらく一億なら一億の貯金があつて、それが本国に送金された、あるいは現地において一億なら一億残つた、それに見合う原資をつくつて、それで支払うようにという御注意だと存じますから、その点は、たとえば現在四億の支払いに予定しておる金があつても、それは現実貯金に関したものでない、ほかの部分も流用されておるのじやないか、そういう御注意だと思いますから、この点は事務当局、さらに大臣もただいまの御注意をよく申し上げて、協議をいたします。
  50. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私の申し上げました趣旨はそういう趣旨ではなくして貯金局長の御説明によりますと、終戦後全然送金されておらない。大臣はさつき送金したものがある、送金されないものもあるということであつたが、最後に送金しておらないということでありますが、送金しておらぬということになりますと、本来の原資はないわけであります。送金しておらぬけれども、ほかに原資があるからそれを流用すこともあるという。あるいはほかに流用されるものが流れ込んで来るものが生じて来るかもしれない。あれごれ雑原資もあるからというようなことで、最終処理としては一般会計等の援助を求めなければならぬが、今では処理可能だ、こういうような御説明でありますので、処理可能であるから、それで新たに原資を用意するということをせぬでもよいというような考え方はいかがか、こういう点なのです。ですから今政務次官のおつしやつたような趣旨を私は申し上げておるのではないのです。でありますからこれに見合すべき財源は、ないとなれば一般会計以外にないと思いますので、一般会計において処理するならいつ処理するのか。今の財政方針から見て、すぐにできぬというのであればいつなすべきか。私はやはり当初から法律をつくつて処理方針をきめる以上は、裏づけになる財政方針というものをきちんと立てておくというのでなければ、財政混乱に陥ると思います。そういう意味でありますから、そこはひとつ誤解のないようにしていただきまして、その方針は必ず立ててもらわなければならぬ。貯金局長はこれの専門屋さんなんですから、その方からはつきりさせて、そうして省議として方針をきめておいてもらわなければならぬと思います。
  51. 小野吉郎

    小野政府委員 御指摘通りであります。問題を明確に割切つておりませんことは、先ほどからるるお答え申し上げた通りでありまして、私どもこの措置をいたします場合に最も理想といたしました点は、一般会計でそれを持つということ、こういうことで割切るごとでありますが、従来とも、この資金一般会計で早く持つてくれということで折衝はいたしておるわけであります。問題は、その一般会計負担の大部分の分野に属します軍事郵便貯金資金につきましては、臨軍会計の処理全般が、これは郵便貯金だけではなくして、臨軍会計処理として全体の整備がまだつきかねている状態でありまして、大蔵省といたしましてもごの処理にはなお時日を要するような現状であります。そういつたような面で、問題を現在はつきり割切り得ないので、やむを得ずそういつた資金の流用措置をいたしておるわけでありますが、今回の場合につきましても、これは大蔵省ともいろいろ折衝いたしたのでありますが、いずれそういつた最終処理はつけなければならない。一般会計でどのくらい負担するか、その額の確定等もつけなければならぬ問題でありますが、現在それをつけるのには計数がまだ整つておりません。この資金自体につきましても四億二千万円といつておりますが、実は内地にその原簿を何ら持たないわけであります。郵便貯金通帳も、引揚者が帰りましてその提示を受けて、その通帳のもとに原簿をつくり上げたわけでありますし、まだ通帳自体を差出しておらない人もあろうかと思いますが、一応その面からは大した額の相違はないと思いますが、四億二千万円は大体の推定の数字にすぎないわけでございますので、そこで一般会計で持つ持たないのけじめをつけ乙数字的な根拠としては、この面からも十分ではございませんし、一方そういつた臨軍会計の内容自体が、このほかにまだまだ解決を要する問題がたくさんございまして、現在そういつた見通しをつけ得る段階に来ておりません。早急にこれは解決しなければならない問題でありますが、そういつた状況にありますので、ひとまず資金の流用で行きまして、その資金の流用は、先ほど申し上げました昭和二十三年五月に閣議決定を受けましたその資金を流用して、ひとまずやつておく。と同時に将来の処理につきましては大蔵省と協議をいたしまして、できるだけ早くそういつた最終処理をしよう。こういうことは大蔵省も納得の上でありまして、今回のこの法案提出にあたりましても、今のそういつた資金関係、将来の一般会計負担額を確定するに必要な折衝等の関係につきましても、裏づけとして閣議決定を受けておるようなわけでございます。ただ今日それをはつきりこれだけはどの会計になるということが確定できなかつたのは、先ほど申しましたように、現在までそういつた正確な資料、その他の準備が進んでおらないからでございますので、いずれ近い将来にそういつた処理をつけなければならぬと思います。私どもといたしましては、かわり金は全然入つておりませんので、一般会計負担を強く要望しておるような次第でございます。
  52. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 私は、やはりあなたの方は大蔵省に対してもつと強く、要求なり交渉する、その態度を堅持してもらわなければいかぬと思います。臨軍会計のしりがとうなるかこうなるか、これは別の問題でありますけれども、いずれにしましても、やはり閣議でこの法律をきめた以上は、これの裏づけになるものは明確に言質をとつて、将来これが郵政特別会計へ何かと圧力をかけ、また一つのマイナスの種になつて、いずれ予算関係などで、ないものをあちこちとしぼり上げるという経理面の問題が出て来るときには、やはりこういうものは一つのマイナスになるものであります。でありますから、ここは漫然と将来を約束するのじやなしに、もつと大蔵省との間にはつきりとした方針を立てて、郵政特別会計に将来またマイナスの負担が来ないように防禦をして、かつ財政に筋を通して、財源は他の面より繰入れしてもらうという方針はつきりと約束するところまで、あなたの方は強く交渉しなければいかぬと思います。いいかげんにしてやつておきましたならば、おそらくは将来財源なんかで問題の起つたときに、これを利用されるだろうと思います。どうも大蔵省は——前にも簡易保険の限度の引上げのときにも、大蔵省の態度は何かしら銀行屋さんの味方をしたような答弁ばかりしておられて、大蔵省に対しましてはとかく問題が控え目に出され、圧力が向こうからかかつて来ておるように私ども委員として感じます。そういうことはないか知りませんが、こういう問題につきましては、この機会に相当こちらから畳みかけるようにして、ひとつ明確にこれの財源的措置を講ずるようにせられんことを希望しておきます。これはぜひとも省議できめてもらわなければいかぬと思います。
  53. 土井直作

    ○土井委員 ただいままでの吉田委員の質問によりまして、われわれとしてちよつとふに落ちない点があるのであります。先ほど貯金局長の方からもお話がありましたように、この事柄につきましては財源的処置も全然ないし、それから実質的には最終的に数字の面も明確でない、こういうふうにも言われておる。それからさらにたとえば十年間経過すれば時効になつて、時効益が入つて来るというようなことも考えられる、そういうふうにわずかあと一年かそこらでそういう現象が出て来るのにかかわらず、なぜこれを急いでやらなければならなくなつたかということ、その点につきましてはおそらく政務次官は御存じだと思いますが、どういうわけでこをれそれほど急いでやらなければならないようになつたのかということを、一応お聞きしておきたいと思います。
  54. 小野吉郎

    小野政府委員 この法案を会期もあまり余すところのない時期に、御審議を願わなければなりませんことは、かねがねこの問題は長い間懸案になつておりまして、今日まで郵便貯金の預入者の立場から言いますと、非常に陳情がはげしいわけでございます。と同時にここ二年ばかりの間に在外公館借入金の返済がございましたが、このときも郵便貯金の最終処理のつかないことにつきまして、郵便貯金としては実は困つた立場に相なつたわけでございます。と同時に最近におきましては、内容は多少違いますが、これと類似の問題が現在法案として国会で審議中でございます。これは閉鎖機関に指定されました銀行の預金に対する——外地の預金でございますが、これの最終処理並びに閉鎖機関以外の一般外地に店舗を持つております銀行の預金の支払いにつきまして、関係処理法案が審議中でございます。これがこの国会を通過いたしますと、銀行方面につきましては、そういつた預金の支払いが開始されるわけでございます。郵便貯金としては一層苦境に陥らなければならないことに相なるわけでございますし、一面郵便貯金預金者の心理からいたしますと、あの終戦の状態からいたしまして、銀行のそれよりも郵便貯金政府事業であるので、より安全だ、こういう信頼を持つて預金いたしますことは間違いないわけでございます。そういつた面から、今回のこの国会でこういつた処理を御審議願えませんと銀行預金は支払われる。郵便貯金はまだ懸案として先まで処理を保留されるということになりますと、郵便貯金預金者といたしましては、大体大部分が零細な金の預金者でございますが、非常に不利な立場に陥るわけでざごいます。そういう点を考えまして、会期末まことに恐縮ではあつたのでありますが、関係の方面との話合いもつけまして、御審議を願うことにいたしたわけでありますが、御指摘資金面につきましては、非常に曖昧模糊としておるようなお話でございますけれども、実は流用の関係につきましてははつきりいたしておるのでございます。ただそれをいつどのような形で処理するかということが、現在といたしましてはまだ機が熟しておらない、諸般の準備ができておりませんので、できるだけ早い将来にこれをまたなければならないわけでありますが、現在といたしましては、応資金の流用で処弁できる。実はこのことは十分大蔵省も知つておりますし、先ほど申し上げました通りこの流用先、資金自体は郵政省固有の金ではございませんし、そういうような関係もありますので、郵政関係の会計には実際は腹が痛まないわけであります。ただそれをはつきり郵政会計以外の金で処弁できないものがあれば、それをはつきり色をつけて一般会計だと言つてしまえば、問題は割切れるのでありますが、そうしますまでには、計数その他についてもまだ確定を要するということで、将来の措置に待とうということに相なつておるようなわけであります。
  55. 土井直作

    ○土井委員 大体了解はつくわけでありますが、要するに明確な総額的金額が出て来ておらないわけです。それから時効になつて参りますれば、時効になつた結果においての数字がまた明確になつて来ると思うのです。そうなつて参りますると、たとえば今吉田君が言われているように、これを支払うべき財源を求めるということになれば、当然一般会計からこれを引当てるということになれば筋が通つて来るわけです。それをするということのためにも、やはり数字を明確にして行つた方がいいのじやないか、数字が明確にならないうちに、これを処理するということについては、ただいまお話のように一般預金者から非常に熱心な要求があるからということと、それから銀行関係支払いがある、そのために圧迫されるというような、いろいろな政治的な考慮というものもこれは考えられるとは思いまするが、しかしここ一年かそごらで時効の関係はつきりして来るのでしよう、そうなつて来れば数字も明確になるわけです。それからでも、今まで待つていたのだからそれほど急ぐ必要もないのじやないか、むしろその時期を待つてはつきりして、それから政府は、本年度予算は一兆円のわくできめましたから、予算の増額ということはなかなか困頁であろうけれども、適当な機会にやはり予算増額はしなければならぬのじやないか、補正予算なり何なりでやらなければならぬ、そのときにやはり大蔵省と十分協議して、そうして予算をはつきり打出してやるべきじやないか、今郵政省の方で融通することのできる金があるからそれでやるのだ、しかも対象となるべき数字が明確でない、大体概算約四億二千万円ですが、それを標準にしてやる、こういうお説だけれども、しかしむしろそれよりも筋を通して、一般会計から出すようにするためには、全体の輪郭がはつきりわかつてから出してもよいじやないか、われわれはそう考える。ここに長くやつてつたんだから、あわててやらなければならないということはないじやないか、ことに零細預金でありますから、実質的にはそれほど影響力がないのじやないかと思うのですが、念のためにお聞きしておきたいと思いますことは、一体対象となるべき人々の数は、どういう形になつてどういう種類の人、分類的には何か基礎になるべきものがおありだつたら、今説明ができなければ資料なり何なりでひとつ出していただけば非常にけつこうだと思います。
  56. 小野吉郎

    小野政府委員 件数で申し上げますと大体全国を通じまして七十五万ございます。一口口座は大体一人と考えておりますので、七十五万名ばかりがこの対象になるわけでございます。と同時に金額は零細とはいえ、預金者の立案誓うと、いろいろ陳情その他の文面から見ましても、この問題の処理に非常に早急熱望いたしておるような状況でございますので、お説のような息は残るわけでございますが、これは近い将来に解決いたすようにいたしたいつもりでございます。それからまた大蔵省もそのようなつもりでおります。そういつた関係がありますので、ての時期を待つてその問題の処理をするということは、それよりも先に資金の見通しもついておりますので、この処理をいたしましてあとの事後処理になりますが、一般会計の負担確定等につきましては努力を続けて行きたい、かように考えておるわけであります。
  57. 土井直作

    ○土井委員 一品当りの金額はどれくらいになつておりますか。
  58. 小野吉郎

    小野政府委員 大体平均で申しますと、金は出ますが、大体預金金額が五千円以下のものが全体の七〇%を占めております。
  59. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつと一点だけ伺つて終りますが、そうしますとこの支払いにつきましては、今は郵政特別会計の上に何の変動も生じないのでございますね。またこの中には格別にこれに関連したものは計上されておらぬのでございますか、その点ひとつ……。
  60. 小野吉郎

    小野政府委員 全然予算の面には出ておりません。
  61. 田中織之進

    田中委員長 ほかに質疑はありませんか。——なお委員長からもう一、二点伺つておきたいのですが、この金額がこの法案で確定するわけでありますが、法案によりますと前の貯金通帳なり証書で窓口で即時払いを受けられるのではなくて、通常の貯金通帳に一旦一記入がえをして払いもどしを受けるということになるのですが、そうした手続は相当事務は煩雑になると思います。ことに戦死者等の貯金通帳は遺品としてもどつておりますけれども、印鑑等がないというような場合が出て来ると思いますが、そういうような事務の取扱いとか、金額が確定するわけでありますから、できるだけ迅速に処理下るような配慮がなされなければならぬと思うのでありますが、その点どういうようにお考えになつておるかということが一点。  ついでにお伺いをしますが、これは先ほど土井委員の質問の中にもございましたが、貯金の払いもどし証書、あるいは為替証書及び振替貯金の払いもどし証書には、それぞれ有効期間が十年過ぎると時効になるというような関係もありますが、これは敗戦という事実で、時効中断の事情が働いておるわけだと思う。そういうような関係考慮して、この法律の施行の日に、それぞれ払いもどし証書等が発行されたものとみなして権利の存続をはかるということが、この法律の中に出ておるわけでありますが、そうしますと貯金あるいは為替証書等の公布の日からの有効期間ということが、それぞれきまると思うのですが、それは大体何日になりますか。通常の期間であれば——この法律ができたということが徹底するまでの間に、相当の時間を見てやらなければならぬと思うのです。そういう関係で、通常の為替証書の払いもどし期間の九十日ですか、そういうような期間であれば、せつかく法律ができても、結局知らない間にもう権利存続期間が経過しておるというような不幸な事実も出て来ると思うのですが、その点の配慮はどうなつておるか、この二点をお答え願います。
  62. 小野吉郎

    小野政府委員 お答え申し上げます。まず第一点の処理の状況につきましては、本法案が通過いたしますと、早急に処理をいたしたいと思います。なるほど処理といたしましては、普通の郵便貯金の取扱いよりも換算率を採用いたします関係で、やや込み入つた処理にはなまますが、そういつた関係から通常の貯金と同様にこの貯金通帳をもつて、ただちにその後預入、支払いをする通帳としてはかつごうでございませんし、ひとまずこれはこれとして処理をいたしたいと思います。大部分は新通帳を発行いたしますとはいうものの、これは継続して預入をしたい、また払いもどしをしたい、全部を一ぺんにおろしたくない人がそういう措置をするのでありますが、今までいろいろ陳情等を受けております実情から申しますと、この通帳は、ほとんどひとまず全払いするものと考えられます。全払いの場合には、一応換算いたしまして、支払い額の確定をいたさなければなりませんので、郵便局の窓口でそのまますぐやりますと、非常に間違いも生じます。また原簿自体も、一応正式の原簿ではありませんが、通帳によつてつくりました原簿等も関係地方貯金局にありますので、それを対照いたしまして全払い証書を発行して、支払いをするという関係になろうと思います。そういう関係につきましては、全部手抜かりなく配慮いたしまして、処理の促進方をはかつて参りたいと思います。  第二点の有効期間の問題につきましては、お説の通りでありまして、本法案の第九条にその点は触れておりますが、法律解釈の点から申しましても、ああいつた時効の中新の自由を奪われた時期におきましては、当然それは普通の時効の計算ではいかないわけでありますから、この法案におきましても、その点は明確にいたしまして、本法律施行の目に権利が発生したものとみなすわけでございます。従いまして郵便貯金で申しますと、この法律が発効しました日から十年間が、時効期間の起算点に相なるわけでございますし、為替証書等につきましては、有効期間は三年間になつておりますので、その目から三年先までは効力があるわけでございます。ただ同じ為替証書で支払いを受けますためには、その証書自体としては、実は三箇月でだめになりますが、同時にこれは権利がなくなつたのではございませんので、証書の書きかえをやればいいわけでございます。たで問題は、現在すでにそういつた証書を持つておるわけでございませんし、これから要求によりまして証書は持つておりますが、その呈示につきましては、三箇月以内でなければ、その証書ではいけないということに、厳重に申せばなろうと思いますが、この法律趣旨から申しまして、そういつた面につきましても、第一に発行された元の古い為替証書でもございます、し、そういつた面については、実行上利用者の便利になるような配慮は加えて参る、かように考えております。
  63. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは郵政特別会計の数字に何も変動を生じない。変動と言うと少し正確ではないと思うのでありますが、それにもかかわらず払出しの流用が認められるという御説明でありますが、そうしますと、この四億というのは、郵政特別会計における昭和二十九年の予算を超過する部類に属するのですか。
  64. 小野吉郎

    小野政府委員 郵便貯金あるいは為替支払いの金は、歳出のどの項目にも出ておりません。現在内地に三千五百億円ばかりの郵便貯金がありますが、これは出し入れが毎日ありました、昨年で申しますと、大体一年間に八百三億の純増を上げておりますけれども、これは受入れたものもございますし、支払いをいたしましたものもありまして、その差額が八百三億になるわけでありまして、そういつた実際の個々の支払いの金は、歳出に計上を実はいたしておらないわけでございます。郵便貯金として入りますものは、予算上にいう歳入外の現金といたして受取つております。支払いの金は歳出以外の現金として支払つておるわけであります。そこで受入れ超過で残が出ますと、これは昨年で申しまして八百三億の残があつたわけでございますが、これはそのまま資金運用部の二十八年度の預託金として入りまして、これが結局予算に影響を持ちます郵便貯金特別会計の支出を生む基礎になるわけでございます。その金の六分三厘が実は郵便貯金資金運用部からもらう歳入として入つております。そのほかで歳出をまかなえないものは、前回御審議をいただきました本年度予算にございます通り資金運用部からの正常な郵便貯金特別会計の収入と同時に、その不足分は資金運用部の全会計の剰余金を郵便貯金特別会計に繰入れてもらつてそれで支出をする。その支出の内訳は、預金者に、対する利子の支払い所要な金と、郵便貯金を運営いたしますために必要な人件費、物件費等の事務費、この二項にわかれておりまして、郵便貯金そのものの払出しの金は、予算には全然頭を出しておりません。今回もそれが予算に全然影響がないと申しますと、非常に奇怪にも聞えると思うのでありますが、これは郵便貯金の金として内地で現在受けつつありますその中からの流用ではないのでありまして、それ以外の資金を流用いたしておりますので、その面から見ますと、実は流用いたしました限度におきましては一応郵政省債務であるかのようになつておるのでありますけれども、われわれといたしましては、それは将来一般会計で負担を受けよう、こういう希望を持つものでございます。その点から申しますと、すでに四億二千万円程度の今回の所要資金は、昭和二十三年度に軍事郵便貯金につきまして所要資金三十二億を見込みまして、すでに流用をいたしております。ところが実際にはその当時それだけの資金がいらなかつたので、多少余つておりまして、その限度から行けば変な話でありますが、今まで郵便貯金会計といたしましては、利用可能の限度におきまして、そのものの生む預託利子を得をしておつたということに結果としては相なるわけであります。
  65. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 ちよつとわからぬのですが、この法律によつて四百三十二倍も支払いすることになる。現実に預かつたものをそのまま返すのではないのであります。でありますからあなたがおつしやるように、この法律によつて一円のものを四百三十二円返してあげるのですから、予算に関係なしに預かつたものを返すのとは違うと思うのです。
  66. 小野吉郎

    小野政府委員 それはそうじやないのです。四百三十二分の一にするわけであります。と申しますのは、それは主として中南支方面が主たる対象になつておりますが、その当時これは終戦後最もおそくまで扱いました野戦郵便局を例にとりますと、昭和二十二年の初めごろまで扱つております。ところがその当時の儲備券の価値は非常に下落いたしておつたのでありますが、昭和二十年の八月十五日までにおきましては非常な無理がありながら、儲備券と日本円との関係は、儲備券百円に対して日本円十八円、このように換算をいたしておつたのであります。これも随時終戦を迎えるまでにいろいろ問題になつた率でありますが、政府といたしましては大陸政策その他の関係から、レートが非常に合理的なものではありませんが、これを堅持しておつたわけであります。そのレートが昭和二十一年になり二十二年になりましても、取扱いの最後の最後まで、終戦当時のそのレートを適用したわけであります。吉田(賢)委員 私の方で誤解をしておりましたので失礼いたしました。そこで少くなつたのだから数字が少くなるのでいいのですが、やはり本質的には預かつたものを返すのではないということであれば、それは一種の予算の性質をどうしても持つて来なければならぬもののように思うのであります。二十三年に終戦処理費の三十二億円ですか、それの余剰がまだあるとおつしやるのだが、それならばその余剰が使われるべきであれば、やはりそういうときは総則に規定するのか、それともこの中に余剰金というのは何か出ておるのでありますが、これがそのことなんですか。その点はどうなるのでしようね。これは事務的にまことに失礼な問い方で、私の研究が足らぬのですが、その点はどうなんでしようね。
  67. 田中織之進

    田中委員長 委員長からもあわせて伺いますが、二十三年の三十二億は終戦処理費から郵便貯金の会計へ繰入れたもの、そういう処置をとつたものかどうか。それから郵便貯金は毎年決算をするわけではないし、かりに今全部郵便貯金の払いもどしを受けるということになれば、それだけの分の赤が出るのだ。それは結局最終的に処理するということになれば、一般会計からその赤を補填するように処理することになるのじやないかと思うのですが、そういうような点をあわせて答えていただけば明確になるのではないか。
  68. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 ただいまの委員長の御質問の二点につきまして、また吉田委員の質問に対し、貯金局長の答弁に補足して御説明いたしま。  おつしやる通り今度の支払いにつきまして、確かに戦地におきまして、外地におきまして、日本政府機関が貯金として預かつたもの、それが通帳によつて明確に証明されておりますので、国がその預金者に対してはつきり債務を負うことになるわけであります。第一点といたしましては、その預け入れた金がほとんどというか、一文もというか、海を渡つて日本に返つて来ていないという事案、従いまして終戦後におきまして為替管理会その他におきまして、かようなものに対する支払いの限度その他が、大蔵省から当時の資金緊急措置令に基きましたか、あるいは為替管理法に基きましたか、それによつて限度をきめて一応支払えという事案に即応いたしまして、郵政省におきましても債務は通帳で承認する、しかし資金は来ていない、しかしながらやはり支払うべきだというので、芦田内閣のときでございましたか、昭和二十三年に三十二億を限つて郵政省では一応金は来ていないけれども、こういう法令に該当するものは支払つてよろしい。郵政省にはいろいろな金が入つて来ております。貯金ばかりでなく、税金も入つて来ております。その中から三十二億の限度においては、こういう外地関係は払つてやれという閣議決定がございました。そこで郵政省といたしましては、さような外地関係、軍事貯金関係の合法的な支払元といたしまして、閣議の承認を得ました三十二億を、郵便局に集まつておりますいろいろな金の中から大蔵省預金部に預託いたしましてその預託した中から合法的な外地関係及び軍事貯金を支払つて行くということをやつてつた次第でございます。ところがやはり限度以上のものは残つたり、その後続々復員して来たりして、いろいろ残つたのがただいま御審議を願つておるこの問題でございます。その三十二億という金は何かといいますと、いわゆる海を渡つて復員して来た金ではない。国の中において郵便局の中に集まつた金の中から、閣議決定によつて一応立てかえる、しかしそれは将来臨軍費の整理が確定したら、そのときにおいて穴埋めを考えるぞというので、一般に入つて来た金を一応流用しておる。しかしそれも三十二億と限つて一応預金部に預託いたしまして、それを引当てに支払つてつたという事情であります。従つて委員長の第一点の質問の最終の支払いについては、これは明らかに臨軍からもらつたのではありません。一般会計から正式にもらつたのではありません。一応繰替払いをしていいという閣議決定をしたものであります。  それから第二点はおつしやる通りでございまして、一般の税金その他の金を押えて預金部に預けておる。そうして法律通り払いもどしに応じて払つてつたけれども、最終的には一文なしになる。三十二億の預託した支払元がなくなる。従つてこれは当然全部支払いを済ませて、預金部の預託元が一文もなくなると穴が明く。そうするとどこに持つて行くかというと、これは臨軍関係一般会計から私どもとしては頂戴するのが筋合いだ、またこれが閣議決定の御趣旨である、こう了解いたします。そこで吉田委員のお手元にあります特別会計予算説明書でありますが、三百四十五ページでありますか、郵政省の財務諸表がありますが、その中に二十七年度貸借対照表並びに二十七年度の財産目録があります。それから二十八年、二十九年、二十八年はただいま決算中でありますので予定計算書であります。二十九年度ももちろん予定計算書であります。その対借対照表の借方の方に、未整理預託金というのがあります。そごに五十一億という未整理預託金があります。それがただいま申し上げた閣議決定によつて、一応いろいろの種類の入つて来ておる金を引当てとして預金部に入れたという金に当るのでありまして、それが二十八年三月三十一日現在において五十一億であります。そのうち三十一億と閣議決定になりましたものの、実績にかんがみて三十八億に事務的に修正されておりますが、それがそこに残つておる。その借方に見合うものとして、貸方の方に保管金というのがあります。これはたとえば税金を郵便局で受入れまして国庫に納める間に、期間的に事務的に経過がありますので保管しておる金であります。それから電電に支払う金があります。それら全部支払いが決定するまでの間保管しておる保管金、それが百五十五億ありますが、借方の方の未整理預託金の五十億に見合うものは貸方の方の保管金の中に含まれておる。それは貸借対照表で三月三十一日現在ではそうなつておる。財産目録上におきましても、当然それはただいま申しましたところの未整理預託金、これは郵政会計の資産といたしまして同額があげてございますし、それから財産目録上の負債といたしましては、今申し上げました百五十何億の保管金、これは当然負債であります。その負債の中に三十八億に見合うものが三十八億円として含まれておる。財産目録においても貸借対照表においても、はつきりしております数字でございます。ほかの会計と一緒になつておりますから金額は多くなつておりますが、その内訳はそれぞれ私どもの手元にこまかく載つております。また貯金の方におきましても原簿、現在高もはつきり持つておりますし、それに見合うところの債権証書と申しますか、通帳もはつきり確認して確定いたしております。それで要するに問題は、換算率のために今度は四億何ぼで済む。そうするとそごに預けた三十八億はいらぬじやないかという問題になつて来る。いる、いらぬよりもむしろ支払つて余りあるならば、当然海を渡つてつて来た金でなく、一時立てかえたお金でありますから、それは立てかえた元へそれぞれ返して参りますし、全部支払いが済めが、未整理預託金もゼロになる。保管金の方もそれだけ落ちて行く、決済になる。決済になるときに私どもの方としては一般会計の方から立てかえた分だけは頂戴いたしたい。それが二十三年の芦田内閣のときの閣議決定の趣旨であり、また今般この法律に基きました閣議決定の趣旨である、かように承知しております。
  69. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 これは国の財政の根本に触れますので、もう一ぺんお伺いしておかなければならないと思いますが、今の御説明によりますと、二十三年の閣議決定で、三十二億というものを臨時軍事費特別会計から抜いて、郵政省の今問題になつておりますこの種の案件の処理費に流用してよろしいということで、閣議は許しておる、こういう御説明なんですね。
  70. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 臨軍費は当然その当時ストップされておる、しかしこれは将来必ず清算されるであろう、その際にそれを一般会計においてどういうふうに清算するか、それが確定したときに郵政省が立てかえている金をあわせてすつかり決済をつけよう、こういう趣旨の閣議決定でございます。御承知置きと存じますが、二十三年の閣議決定の文書はごうなつておるのでございます。資金の負担といたしまして、臨時軍事費特別会計の整理の状況等をにらみ合せ、将来適当な機会に一般会計において負担する、これが当時の閣議決定でございます。
  71. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 わかりました。しかしながら私が最初に申し上げました一般会計で負担するということを、すみやかに明確にするということで筋を通して行く、やはりそごにおちつくと思いますから、私はこれで終ります。
  72. 田中織之進

    田中委員長 ほかに御質疑がなければ、軍事郵便貯金等特別処理法案質疑は一応これにて終了いたすごとにいたします。もし各党の態度決定等に伴つて、どうしても質疑をしなければならないような事態がございますれば、あらためて皆さんにお諮りするごとにいたします。  なお郵政行政一般につきまして、特に郵便貯金の最近の増加傾向に対する大蔵省からの文書による申出等の問題、あるいは従来御審議願つて参りました一般職のいわゆる管理職の職員の給与是正に関する特例法案の問題等についても質疑がございますが、特例法案については、人事委員会が明日の委員会で大体質疑を終了して採決をされる模様でございますので、当初本委員会は、事前審査のときには連合審査等の要請もあつたわけでございますが、それぞれ各党で人事委員会において十分その点を御連絡願うということで——当委員会の要望に基いて訂正されたような法案でありますので、別に皆さん方からの要請がなければ、当委員会としては連合審査はとりやめたいと実は思つておるのであります。  なお明日午後一時から、会期末でございますので、請願等も日程に上しまして委員会を開きたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十八分散会