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1954-04-24 第19回国会 衆議院 本会議 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月二十四日(土曜日)  議事日程第三十八号     午後一時開議  第一 吉田内閣不信任決議案鈴木茂三郎君外百三十四名提出)(委員会審査省略要求事件)  第二 吉田内閣不信任決議案三木武吉君外七名提出)(委員会審査省略要求事件)  第三 船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 厚生年金保険及び船員保険交渉法案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  議員荒木萬壽夫君の逮捕について許諾を求めるの件  日程第一 吉田内閣不信任決議案鈴木茂三郎君外百三十四名提出)  吉田内閣不信任決議案重光葵君外五十七名提出)  日程第二 吉田内閣不信任決議案三木武吉君外七名提出)     午後四時四十七分開議
  2. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、議員荒木萬壽夫君の逮捕について許諾を求めるの件を議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  4. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  議員荒木萬壽夫君の逮捕について許諾を求めるの件を議題といたします。委員長報告を求めます。議院運営委員長菅家喜六君。     〔菅家喜六登壇
  6. 菅家喜六

    菅家喜六君 ただいま議題となりました議員荒木萬壽夫君の逮捕について許諾を求めるの件について、議院運営委員会審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、議員荒木萬壽夫君の収賄被疑事件について、東京地方検察庁検事河井信太郎からの逮捕状請求に基く東京簡易裁判所判事向井周吉からの要求従つて、去る十六日内閣から同君の逮捕につき本院の許諾を求められたものでありますが、その被疑事実は公報によりすでに御承知のことと存じますので、これを省略いたします。  議院運営委員会は同じく去る十六日本件の付託を受け、翌十七日秘密会を開いて法務大臣及び井本刑事局長より本件説明を聴取し、次いで去る二十二日及び本二十四日、同じく秘密会において法務当局質疑行つたのであります。  その内容につきましては秘密会のことでもあり、また従来の同種事件について述べましたことと重複するところもありますので、詳細な報告を差控えたいと存じますが、特に委員会の了承を得て、以下その質疑応答のおもなるものを申し上げます。  第一に、荒木君に対する逮捕状請求は、さきに行われた關谷岡田両君の場合と同じく、三盃、小山両名よりの収賄に関するものであり、かつ、任意出頭による荒木君の取調べの日時より判断するも、關谷岡田両君に対する逮捕状請求と同時に決定せらるべきであつたにもかかわらず、一人遅れた理由は何であるかとの質問がありました。これに対し、法務当局は、荒木君に対する逮捕状請求は、關谷岡田両君と同時にすべきであつたかもしれぬが、確信を得るためにさらに重要な関係人取調べを行う等慎重な検討を重ねたため遅れたのであり、その間に何らの作為をも加えてないとの答弁がありました。また、検察庁は、国会においては、通常、会期末には重要議案が山積し、多忙をきわめるということについていかなる認識を持つているか、会期あと十数日のみを余す今日、国会における審議の最も重要な時期に、憲法により保障された議員の不逮捕の特権を侵してまで、ことに一党の国会対策委員長重職にある議員逮捕しなければならない理由は何かとの質疑に対しては、国会会期末に多忙なことも、国会対策委員長の職責の重要なことも、法務当局としてはそれなりに承知しており、これらについて十分考慮を加えたが、全般の捜査の関係上急ぐ必要があり、証拠が隠滅されるのをおそれて荒木君の逮捕許諾要求したとの答弁でありました。なお、委員長からは、法務当局に対し、本委員会における質疑要望等内容検事総長に十分に伝えられるよう特に要請いたした次第であります。  委員会は、事案の重大なる性質にかんがみ、その取扱いに慎重を期して参りましたが、本日の委員会において質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由党より、第一に、会期あと二週間を残す今日、会期終了を待たないで議員逮捕許諾を求めることは、憲法精神より見ても穏当ではないではないか、第二に、会期末の国会重要案件が山積し、ことに荒木君は改進党の国会対策委員長重職にあり、国会審議権を尊重するというならば、かかる際にこそ尊重されるべきこと、第三に、特に本月二十日過ぎには内閣不信任案が上程されることは以前より周知のことであつたにもかかわらず、去る十六日にこの許諾を求めて来たことは適当でないのみならず、今日内閣不信任案が上程される日に際して許諾を与えるべきでないとの三点の理由により、許諾を与えるべきでないとの意見が開陳せられました。次いで、両派社会党並びに小会派の委員より、私情としては忍びがたいが、疑獄事件をすみやかに解明して国会の信用を回復するために、(拍手)前三回の同種事件と同様、本件についてもやむなく許諾を与えるべしとの意見が開陳されました。なお改進党より、党議未決定のため、態度の表明は本会議において行う旨の発言がありました。  かくして討論を終り、採決の結果、本件は多数をもつて許諾を与うべきでないと決しました次第でございます。(拍手)  以上御報告申し上げます。
  7. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 採決いたします。この採決記名投票をもつて行います。議員荒木萬壽夫君の逮捕について許諾を求めるの件は委員長報告通り許諾を与えざるに賛成の諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名点呼〕     〔各員投票
  8. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 投票漏れはありませんか。1投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  9. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 四百三   可とする者(白票) 二百十六     〔拍手〕   否とする者(青票) 百八十七     〔拍手
  10. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 右の結果、本件委員長報告通り許諾を与えざるに決しました。(拍手)     —————————————     〔参照〕  議員荒木萬壽夫君の逮捕について許諾を求めるの件は委員長報告通り許諾を与えざるを可とする議員氏名    相川 勝六君  逢澤  寛君    青木  正君  青柳 一郎君    赤城 宗徳君  秋山 利恭君    淺香 忠雄君  麻生太賀吉君    足立 篤郎君  天野 公義君    荒舩清十郎君  有田 二郎君    安藤 正純君  伊藤 郷一君    飯塚 定輔君  生田 宏一君    池田  清君  池田 勇人君    石井光次郎君  石田 博英君    石橋 湛山君  今村 忠助君    岩川 與助君  宇都宮徳馬君    上塚  司君  植木庚子郎君    内田 信也君  内海 安吉君    江藤 夏雄君  遠藤 三郎君    小笠 公韶君 小笠原三九郎君    小川 平二君  小澤佐重喜君    小高 熹郎君  尾崎 末吉君    尾関 義一君  越智  茂君    緒方 竹虎君  大上  司君    大久保武雄君  大西 禎夫君    大野 伴睦君  大橋 武夫君    大橋 忠一君  大平 正芳君    大村 清一君  岡崎 勝男君    岡野 清豪君  岡本 忠雄君   岡村利右衞門君  押谷 富三君    加藤 精三君  加藤 宗平君    加藤常太郎君  鍛冶 良作君    金光 庸夫君  川島正次郎君    川村善八郎君  河原田稼吉君    菅家 喜六君  木村 武雄君    木村 俊夫君  木村 文男君    菊池 義郎君  岸  信介君    岸田 正記君  北 れい吉君    久野 忠治君  熊谷 憲一君    黒金 泰美君  小枝 一雄君    小金 義照君  小坂善太郎君    小平 久雄君  小西 寅松君    小林かなえ君  小林 絹治君    小峯 柳多君  佐々木盛雄君    佐瀬 昌三君  佐藤 榮作君    佐藤善一郎君  佐藤 親弘君    佐藤虎次郎君  佐藤洋之助君    坂田 英一君  坂田 道太君    迫水 久常君  始関 伊平君    塩原時三郎君  篠田 弘作君    島村 一郎君  庄司 一郎君    首藤 新八君  助川 良平君    鈴木 仙八君  鈴木 善幸君    鈴木 正文君  世耕 弘一君    瀬戸山三男君  關内 正一君    田口長治郎君  田子 一民君    田嶋 好文君  田中伊三次君    田中 角榮君  田中  好君    田中 龍夫君  田中 萬逸君    田渕 光一君  高木 松吉君    高田 弥市君  高橋圓三郎君    高橋  等君  竹尾  弌君    武田信之助君  武知 勇記君    玉置 信一君  津雲 國利君    塚田十一郎君  塚原 俊郎君    辻  寛一君  綱島 正興君    坪川 信三君  寺島隆太郎君    徳安 實藏君  苫米地英俊君    富田 健治君  中井 一夫君    中川源一郎君  中川 俊思君    中村  清君  中村 幸八君    中山 マサ君  仲川房次郎君    永田 良吉君  永田 亮一君    長野 長廣君  灘尾 弘吉君    夏堀源三郎君  南條 徳男君    丹羽喬四郎君  西村 英一君    西村 直己君  西村 久之君    根本龍太郎君  羽田武嗣郎君    葉梨新五郎君  馬場 元治君   橋本登美三郎君  橋本 龍伍君    長谷川 峻君  花村 四郎君    濱田 幸雄君  濱地 文平君    林  讓治君  林  信雄君    原 健三郎君  原田  憲君    平井 義一君  平野 三郎君    福井  勇君  福田 赳夫君    福田 篤泰君  福田  一君    福田 喜東君  福永 健司君    藤枝 泉介君  船越  弘君    船田  中君  降旗 徳弥君    保利  茂君  坊  秀男君    星島 二郎君  堀川 恭平君    本多 市郎君  本間 俊一君    前尾繁三郎君  前田 正男君    牧野 寛索君  益谷 秀次君    壇田甲子七君  松井 豊吉君    松岡 俊三君  松崎 朝治君    松田 鐵藏君  松永 佛骨君    松野 頼三君  松山 義雄君    三池  信君  三浦寅之助君    三和 精一君  水田三喜男君    南  好雄君  村上  房君    持永 義夫君  森   清君    森 幸太郎君  八木 一郎君    安井 大吉君 山口喜久一郎君    山口 好一君  山口六郎次君    山崎 岩男君  山崎  巖君    山崎  猛君  山田 彌一君    山中 貞則君  山本 勝市君    山本 正一君  山本 友一君    吉田 重延君  吉武 惠市君    渡邊 良夫君  亘  四郎君  否とする議員氏名    赤澤 正道君  井出一太郎君    伊東 岩男君  今井  耕君    大高  康君  金子與重郎君    吉川 久衛君  河野 金昇君    佐藤 芳男君  櫻内 義雄君    椎熊 三郎君  白浜 仁吉君    須磨彌吉郎君  鈴木 幹雄君    園田  直君  竹山祐太郎君    床次 徳二君  内藤 友明君    中嶋 太郎君  中曽根康弘君    中村三之丞君  並木 芳雄君    長谷川四郎君  福田 繁芳君    古井 喜實君  古屋 菊男君    本名  武君  松浦周太郎君    村瀬 宣親君  粟山  博君    柳原 三郎君  山下 春江君    山手 滿男君 早稻田柳右エ門君    阿部 五郎君  青野 武一君    赤路 友藏君  赤松  勇君    足鹿  覺君  飛鳥田一雄君    淡谷 悠藏君  井手 以誠君    井谷 正吉君  伊藤 好道君    猪俣 浩三君  石村 英雄君    石山 權作君  稻村 順三君    小川 豊明君  加賀田 進君    加藤 清二君  片島  港君    勝間田清一君  上林與市郎君    神近 市子君  木原津與志君    北山 愛郎君  久保田鶴松君    黒澤 幸一君  佐々木更三君    佐藤觀次郎君  齋木 重一君    櫻井 奎夫君  志村 茂治君    柴田 義男君  島上善五郎君    下川儀太郎君  鈴木茂三郎君    田中織之進君  田中 稔男君    多賀谷真稔君  高津 正道君    滝井 義高君  楯 兼次郎君    辻原 弘市君  永井勝次郎君    成田 知巳君  西村 力弥君    野原  覺君  芳賀  貢君    萩元たけ子君  長谷川 保君    原   茂君  福田 昌子君    古屋 貞雄君  帆足  計君    穗積 七郎君  細迫 兼光君    正木  清君  松原喜之次君    三鍋 義三君  武藤運十郎君    森 三樹二君  八百板 正君    八木 一男君  安平 鹿一君    柳田 秀一君  山口丈太郎君    山崎 始男君  山田 長司君    山中日露史君  山花 秀雄君    山本 幸一君  横路 節雄君    和田 博雄君  淺沼稻次郎君    井伊 誠一君  井上 良二君    井堀 繁雄君  伊瀬幸太郎君    伊藤卯四郎君  池田 禎治君    稲富 稜人君  今澄  勇君    受田 新吉君  大石ヨシエ君    大西 正道君  大矢 省三君    岡  良一君  加藤 勘十君    加藤 鐐造君  春日 一幸君    片山  哲君  川島 金次君    川俣 清音君  河上丈太郎君    木下  郁君  菊川 忠雄君    小平  忠君  小林  進君    河野  密君  佐竹 新市君    佐竹 晴記君  杉村沖治郎君    杉山元治郎君  鈴木 義男君    田中幾三郎君  竹谷源太郎君    長  正路君  辻  文雄君    堤 ツルヨ君  戸叶 里子君    土井 直作君  中井徳次郎君    中居英太郎君  中崎  敏君    中澤 茂一君  中村 高一君    中村 時雄君  西尾 末廣君    西村 榮一君  日野 吉夫君    平岡忠次郎君  細野三千雄君    前田榮之助君  松井 政吉君    松平 忠久君  松前 重義君    三宅 正一君  三輪 壽壯君    水谷長三郎君  門司  亮君    矢尾喜三郎君  山口シヅエ君    山下 榮二君  吉川 兼光君    吉田 賢一君  岡田 春夫君    川上 貫一君  久保田 豊君    黒田 寿男君  小林 信一君    只野直三郎君  館  俊三君    辻  政信君  中原 健次君    中村 英男君  安藤  覺君    池田正之輔君  河野 一郎君    中村 梅吉君  松田竹千代君    松永  東君  三木 武吉君    山村新治郎君  有田 八郎君    平野 力三君      ————◇—————
  11. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、日程第一、及び重光葵君外五十七名提出吉田内閣不信任決議案、並びに日程第二の三案は、提出者要求通り委員会審査省略してこの際逐次議題となし、その審議を進められんことを望みます。
  12. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。  まず、日程第一、鈴木茂三郎君外百三十四名提出吉田内閣不信任決議案議題といたします。提出者趣旨弁明を許します。鈴木茂三郎君。     〔鈴木茂三郎登壇
  14. 鈴木茂三郎

    鈴木茂三郎君 私はここに上程された両派日本社会党提案にかかる吉田内閣不信任案に関し、両派日本社会党を代表いたしまして、ここに提案理由説明を行いたいと思います。  決議案の主文はお手元に配付してありますから省略をいたします。  吉田内閣の積年にわたつて累積した失政は、ここに列挙することのできないほど限りなくたくさんありますが、そのうちのどの一つを取上げてみても、その一つだけでも吉田内閣不信任さるべき理由が十分にあるのであります。(拍手)  私は、ここに三つの理由をあげて、吉田内閣国会の名において弾劾せんとするものであります。(拍手吉田内閣に対する不信の声は、全国の津々浦々、農村に、漁村に、都会に、工場に、国民のあらゆる階層の中に満ち満ちて、今や国をあげて憤激のるつぼとなつているのであります。(拍手)私は、国民の名において、ここに吉田内閣の総辞職を要求せんとするものであります。(拍手)  吉田内閣不信任の第一の理由は、吉田内閣は、日本独立と平和を犠牲にして再軍備を強行するために、国家基本法たる憲法を踏みにじり、憲法を空文化して、何ら自省するところがない。私はこれをまず糾明せんとするものであります。わが国憲法がいかなる経過をたどつて成立したにいたしましても、わが憲法は、戦争を放棄した、絶対平和と基本的人権を尊重する民主主義の二つの根本精神によつて貫かれたものであることは申すまでもありません。しかも、この憲法は、国土の四分の一を失い、重要施設、財貨を焼き尽し、三百万同胞の血を犠牲としてあがなわれたものであればこそ、それであればこそ、主権が国民の手に確保されていることが宣言されているのであります。(拍手従つて日本国民は、すでにこの憲法自分自身のものとして信奉しているということを私は確信するものであります。しかるに、吉田内閣によつて締結された安保条約行政協定憲法違反であることは申すまでもないことである。また、警察予備隊保安隊となり、さらに自衛隊たらんとして、おたまじやくしは遂にかえるとなつた。いわゆる戦力なき軍隊なるものは明らかに戦う軍隊であつて、それが恒久の平和を念願して戦争を放棄した憲法の前文と第九条に違反するものであることは、明々白々の事実であると思います。(拍手)しかも、吉田内閣は、やがて予定されているいわゆる太平洋軍事同盟に参加し、海外派兵も可能であるという立場から、着々と陸海空の自衛隊の完成を急ぎつつある状態であります。これがため、アジアの重要な諸国とは無協約状態のまましかも一、二の大国を仮想敵として、吉田内閣は、日本をある一国の前線基地として、軍事態勢をとつております。従つて、原爆や水爆の戦略が行われようとする今日、日本の平和は重大な危機にさらされていると言わなければならないのであります。(拍手)  他方、吉田内閣は、憲法に対しまして、公務員の団結権罷業権あるいは政治活動の自由を抑圧している。石炭、電力におけるスト権を制限している。天下の悪法たる破防法を制定いたしました。その上、この国会に、教育者からすべての政治活動の自由を奪いとつて刑事罰をもつて処罰せんとする教育法案提出しております。人事院の勧告、公共企業体仲裁裁定等を空文化しているのでありまして、これもまた憲法第三章の三十箇条にわたる国民の権利と義務に関する民主主義基本に違反することは明々白々であるのであります。(拍手)こうした吉田内閣態度は、国の最高の法規たる憲法の条規に反する法律命令等はその効力を有しないとなす憲法第九十八条を無視したものであります。特に私が遺憾にたえないところは、吉田内閣のかかる憲法の蹂躙は、ひとり吉田内閣の意思だけによつて行われておるのではなくて、かつてはこの憲法制定に指導的な役割を演じた同じ外国を背景として行われておるということであります。(拍手秘密と独善による、特定の一国だけに依存する誤つた吉田内閣外交方針のために、日本独立が侵され、平和が脅かされておることは、国民とともに、われわれの断じて許しがたいところであるのであります。(拍手)  吉田内閣不信任の第二の理由は、その財政経済政策の無方針、無定見による自由放任の結果、国家独立を促進し、産業を起して国民生活の安定を裏づけるために、すみやかに達成しなければならなかつた経済自立をまつたく不可能とし、さらに現在重大な経済危機に直面せしめるに至つておることであります。日本財政確立経済自立の上に、吉田内閣のこうした誤れる外交政策は何をもたらしておるか。国際的には、まず国家独立を保障する経済自立に不可欠な条件である中共やソ連等との通商はほとんど杜絶した状態のままに放置され、東南アジアとの貿易発展は著しく阻害されておる次第であります。政府は、アメリカのいろいろな形における援助をあげて、その誤れる外交を弁護しようとされておる。しかし、これに対し、その反面において、われわれは二十一億ドルの負債を背負おされておることを見のがしてはならないのであります。政府は、また、年々七、八億ドルに達した特需が一時的には日本軍需産業国際収支に寄与したと強弁をされております。これも、その反面において、われわれは、米軍の駐留に年々支払う五百五十六億円の防衛分担金と、七百三十箇所に及ぶ軍事基地挺供の代償をわれわれは背負わされておることを見のがしてはならないのであります。(拍手軍需産業に幾らかの利益をもたらしたといたしましても、これまた、その反面において、多くの平和産業貿易の市場がこれがために犠牲となつて日本経済自立が不可能となつたという事実をわれわれは見のがしてはならないのであります。すなわち、吉田内閣の誤れる外交のために、日本アメリカの軍事的、政治的な支配下に置いただけでなく、こうして国民経済的な貧困と隷属のもとに置いたと言うことができるのであります。  私は、こうしてもたらされた最近の経済に関しまして、特に重大な危機状態国際収支の上に見ることができると思います。貿易の赤字を保有外貨の食いつぶしによつてまかなつて来た国際収支が悪化いたしまして、円為替レートはただいま最大の危機に直面をしておるのであります。こういう事態を招いて参りました国内の対策として、政府自立経済確立の計画と熱意を持たなかつたこと、アジア大陸との平和的貿易犠牲にしたこと、必要な国家産業の復興と開発を放擲したこと、そうして一切の努力を再軍備に集中して来た失政の累績した結果が今日の経済危機をもたらしておることは疑いないのであります。(拍手)現に、吉田内閣は、今期国会において、外国に強要されたにいたしましても、外国となれ合つて保安隊自衛隊に強化し拡大するために、わが産業を危うくし国民生活を窮乏に陥れるような耐乏予算国民に強制しておるではありませんか。こうした政府失政の影響をまつこうに受けてその犠牲となつているものは、経済力のきわめて弱い中小商工業者であることは申し上げるまでもありません。農民はもとより、物価に追いつけない低賃金と失業におびえておる労働者も、こうした一切の政府財政経済政策の失策が働く勤労大衆にしお寄せされておる。これが吉田内閣財政経済政策の特徴であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  吉田内閣不信任の第三の理由は、いわゆる汚職事件に対して、吉田内閣政治的責任を、私は国民とともに、あくまでもここに追究せんとするものであります。(拍手吉田内閣のいわゆる汚職問題は、その深さ、その広さ、すなわちその規模において、またその醜さ、きたなさ、すなわちその内容において、わが国の議会政治始まつて以来初めてのことで、天人ともに許さざる不祥事件であります。(拍手検察当局の手が延び、事件発展に対応して吉田内閣のとつた態度は、ことごとく国民の疑惑を深め不信を高めた結果となつているのでありまして、ことに逮捕許諾請求が党の最高首脳部にまで及ぶにあたつて吉田内閣のとつた検察庁に対する不当な政府的干渉は、国民の良識をもつてしては判断することのできない、まことに言語道断の暴挙と言わなければならぬのであります。(拍手)私がここに追究せんとする点は、刑事上の問題ではありません。吉田内閣の政治上、道義上の汚職事件に対する責任を国民の前に明らかにせんことを要求するものであります。(拍手)  この汚職事件について私が特にここで指摘したいと思う点は、こうした未曽有の汚職事件は、単純なる汚職ではありません。第一は、吉田内閣の政策の行き詰まりの必然的な結果であるということを指摘いたしたいのであります。(拍手)第二は、五箇年間の長期にわたつて政権の座にあつて、これをあたかも玉座のようにふるまつて来た吉田内閣の政治的道義が、その骨の髄まで腐り切つた結果であると言わなければならぬのであります。(拍手)第三は、吉田内閣の構成と政策が、すべて外国の勢力を背景として、近来急速に復活して来た財閥的独占資本との結託の上に運営されて来た結果であるということも指摘しなければなりません。(拍手)第四としてさらに指摘しなければならないことは、国会に絶対多数を有しない吉田内閣が、外には外国の強力な要請と、内には財閥的な独占資本の不当な請託に奉仕するために、自衛隊なる再軍備を強化するためのMSA条約、耐乏軍事予算や、勤労階級を抑圧するための諸法令等、一切の施策を強行せんとして、昨年来不純なる多数派工作を行つて来て、すでに命脈の尽きておるはずの吉田内閣を今日まで延命させて来たその多数派工作によつてこうした汚職疑獄の起つたことを、私はここに指摘しなければならないのであります。(拍手従つて、この汚職は、吉田内閣基本的な政治的基礎と性格、さらに特殊の国際的背景とからみ合つたその間違つた政策から、必然のできごととして起つたものであり、自主性を失つた政府の当然たどるべき運命であると言わなければならないのであります。(拍手)  吉田総理は、一国の総理が外国との約束を履行しないで海外への渡航を中止しなければならぬようなことは国際的信義にもとると言われておるということが伝えられておる。これが事実であれば、吉田総理の心情あわれむべきであつて汚職事件に問われるような人を総理の特使として海外へ派遣して重要なとりきめをさせたり、または汚職内閣の首班と見られているような立場の総理が海外に使いして恥を外国にさらすことこそ、私は国際信義の上から慎むべきであると考えるのであります。  吉田総理は国家国民の利益のために辞職するわけに行かないとも言われておるということが伝えられておる。事実であれば、総理自身の利益や吉田内閣の利益を国家国民の利益とすりかえて国民をたぶらかさんとする驚くべき欺瞞であつて、(拍手)私は、吉田内閣の総辞職することこそが、今や国家のため国民のための利益であり、世論があげてこれを要求していることを、総理は率直に知らなければならないと思うのであります。(拍手)  あるいは、総理は、現下の政局の混迷した状態に対して、重要法案が国会審議の過程にあるとか、自分だけが政局担当の資格があるとかいうような考え方を持たれているようにも伝えられておる。事実であれば、それはとんでもない思い上つた考え方であつて国民吉田総理が一日も早く政治的責任を明らかにして総辞職することが現下の政局の混迷を解決する唯一の道であると期待しておることを総理は知らなければならないのであります。(拍手)  私が憂慮いたしておりますことは、こうして国会に対する国民不信が高まつて参りますと、やがてはそれがテロリズムの風潮を生むおそれのあることであります。わが国の憲政史を振り返つて見ましても、多くの場合、スキヤンダルか、しからずんばテロリストの手で政権の転換が行われているということが忌まわしい事実であります。また、近代の世界史について見ましても、第二次大戦前において、政党政治に対する不信からフアシズムが生れるに至つたことは歴史によつて明らかでありまして、私は、吉田内閣がフアシズムを生み暴力を誘発するというよりは、むしろ吉田内閣それ自体が次第にフアツシヨ化しつつあるのではないかということを深く憂慮いたすものであります。(拍手)  吉田総理は、七十余才の老躯をもつて、複雑な国際情勢の中で、国家建設の困難な政務を担当せられ、今や身も心もともに疲労困憊されておるように見受けられることは、まことに御同情にたえないところであります。私は、吉田総理が、総理自身の晩年を汚さない唯一の道として、潔く国民の前に政治的責任を明らかにし、もつて民主政治への大道を切り開くこと、これ以外には日本を明るくする道はないということを、総理みずから知らるべきであろうと思います。(拍手)最近の地方選挙の結果は、国民のさし示す方向が端的に現われております。自由党を中心とした保守派と両派社会党の結束した革新派の京都知事の選挙の結果をごらんなさい。革新派は保守派をはるかに引離して圧倒的に大勝したではありませんか。(拍手)天下の人心は吉田内閣を去り、国民の支持は革新派にあることがこれによつて明らかにされたとわれわれは見なければならぬのであります。(拍手)  私は、日本独立と平和を守るために、憲法にのつとつて民主主義確立するために、計画と見通しを持つた財政経済の政策を実行し、日本経済自立を達成して、働く人たちの生活を守るために、さらに、汚職によつて汚された議会政治の権威をとりもどし、国民の要望にこたえて民主的なまじめな政治を行うために、総理大臣吉田茂君の退陣を要求し、吉田内閣不信任決議案提案理由説明を終るものであります。(拍手
  15. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより討論に入ります。本多市郎君。     〔本多市郎登壇
  16. 本多市郎

    ○本多市郎君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました吉田内閣不信任案に対し反対の討論を行わんとするものであります。(拍手)  そもそも内閣不信任案は、その内閣に政策上の失政があつたとき、または歴然たる汚職の事実が明らかになつたとき、あるいは与党が分裂などを起して政策の遂行が困難になつたとき、みずから政権担当の能力ある野党が提案することが憲政の常道であります。(拍手)今回提案された不信任案はこの憲政の常道に反し、ただいま鈴木君の弁明を聞いてみましても、政策の相違から来るまつたく根拠なきおざなりのりくつを並べて、しかもみずから政権担当の能力なき政党が提案したものであります。今や、内外の情勢は、重要国策遂行の前提要件として、保守勢力の結集による政局の安定が強く要望せられているのであつて、政局の安定なくして国民生活の安定はないのである。(拍手)今回の社会党の不信任案は、この国民的要望を無視し、保守合同を妨害し、あわよくばその間隙に乗じて政権を奪取せんとする謀略にすぎないのであります。(拍手)よつて、これより私は、不信任案の理由、根拠なきゆえんを逐次申し述べてみたいと思うのであります。  不信任の理由として政策の失敗や行き詰まりなどをよくあげられるのでありますが、これは吉田内閣の施政の偉大なる成果を無視するもはなはだしいものであります。(拍手)すなわち、社会党の諸君が一枚看板のように宣伝する国民生活の向上でありますが、社会党内閣当時、国民の消費水準は戦前のわずかに六三%であつたものが、昭和二十八年には一〇八%、二十九年には一一一%にも達する見通しであります。(拍手)また、社会保障費について見ましても、社会党内閣当時の百六十三億円に対し、本年度は実に千九百十六億円に上り、十倍にも達しているのであります。経済のバロメーターとなる国際収支について見ましても、輸出貿易の規模は実に当時の約六倍に達し、当時三億九千万ドルの赤字を出していたのに対し、二十八年は、食糧の緊急輸入等のために一億九千万ドルの赤字を出したとはいえ、蓄積外貨はなお八億ドル以上も保有しているのであります。この事実は、社会党の諸君がいかに歪曲しようとも、動かすことのできないところであります。  一体、このような大きな成果はいかにして達成されたか。それは、自由主義経済と、米国を初め自由主義諸国との協力提携を基調とするわが党政策の成功によつて初めてもたらされたものであります。(拍手)社会党の主張する統制経済と、国家管理を骨幹とする社会主義経済や親ソ反米の外交政策では絶対に不可能なことと確信するのであります。(拍手)また、自由主義経済が汚職を生んだ原因のようれ言われるのでありますが、真に自由主義経済を徹底せしめたならば、実力競争の性の中となつて、汚職の余地なからしむることができるのであります。これに反して、社会党内閣時代、あの官治権力主義の統制経済が、いかに国民総やみ、総犯罪、官公吏汚職の温床となつていたかは、想起するだに戦慄を覚える次第であります。(拍手)  次に、内閣不信任案理由として汚職をあげておるのでありますが、いやしくも汚職を理由として内閣の退陣を迫る場合、それは、臆測や風評や独断的観測によつてなすべきものでなく、明確なる事実に基かなければならないことは、責任ある公党として当然の態度でなければなりません。     〔発言する者多し〕
  17. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 静粛に願います。
  18. 本多市郎

    ○本多市郎君(続) かつて、社会党内閣当時、副総理の地位にあつた西尾末廣君に対し疑獄事件によつて不信任案が上程されたとき、社会党代表の矢尾喜三郎君は何と言つたか。社会党の諸君はよもやこの言葉をお忘れはないことと思うのであります。(拍手)当日の速記録によれば、矢尾君が、西尾君に関し、それがまだ起訴にもなつていない、不起訴にもなつておらない、私たちは、こういう未定なものをもつてして、いやしくも国会において不信任案を上程するがごときは、日本国会を汚毒し、日本の政界を汚毒するものであると考えざるを得ない、矢尾君はさらに続けて、今日提案された不信任案は、りつぱなりくつは並べておるけれども、その目標は、今日の時代において正攻法によつて日本の政権を獲得するところの手段を知らない一連の政権亡者が考えたことであると申されて反対されたのであります。(拍手)私は、ただいまの社会党代表の言葉をそのまま社会党の諸君にお返しする次第であります。すなわち、社会党代表の言葉をもつてすれば、今回のこの不信任案こそ、正攻法たる総選挙によつては政権獲得のできない政権亡者の謀略にほかならないと断言してはばからないのであります。(拍手)申すまでもなく、政権は総選挙によつて国民より与えられたものであります。この国民より付託せられた政権は、民主政治の本義にのつとり、解散、総選挙によつて移動するのが原則でありまして、断じて謀略によつて移動すべきものではありません。  また、野党諸君は、今回の疑獄事件に関し、政府検察当局に対し政治的圧迫を加えたるがごとく宣伝されるのでありますが、何らその事実は認められないのであつて、犬養法務大臣が、検察行政の責任者として、みずからの職責において慎重に検討を加え、国会会期も切迫した今日、国政の審議に支障ありとして、大政党運営の中枢たる幹事長の地位にある議員に関し逮捕許諾請求延期を指示したことは、検察庁法十四条に規定する法務大臣の権限に基く公平なる行政措置である、合法妥当なる措置と確信して疑わないのであります。これを検察行政に対する政治的圧迫あるいは職権の濫用などと言うがごときは、国会みずからがその権威と重要性を忘れ、法務大臣の法律上の責任と権限を空文化せんとする危険きわまる暴論と言わなければなりません。(拍手)わが自由党は、この国家の難局に処し、議会政治をあくまでも擁護する意味において、政界の自粛刷新を期するとともに、真相の明らかでない、捜査中の、しかも閣外の刑事事件によつて軽々に内閣が進退を決すべきでないことを、かたく信じて疑わないのであります。(拍手)  また、社会党の諸君は、口を開けば、再軍備反対、平和憲法擁護と言う、しかしてMSA協定や自衛隊憲法違反とか再軍備とか言つて攻撃し、これをもつて吉田内閣不信任理由一つとしているのであります。一体、独立国として自衛力を持たない国がどこにあるか。わが国憲法は、戦力の保持は禁止しているが、自衛のための武力を否定するものでないことは、独立国として当然のことでありまして、何ら憲法に抵触するものではありません。わが党はつとに、自衛力の漸増ということを最大の公約として、国民の圧倒的支持を受けているのであります。(拍手)  また、MSA援助の受入れがわが国独立を束縛するというこの議論も、社会党の諸君が好んで吹聴するところであります。今日、世界の自由主義諸国のほとんどすべてが、この援助によつて防衛の増強をはかりながら、何ら独立を侵された事実はなく、民主主義国の団結と防衛力の増強が世界平和の維持に大きく貢献している事実を見るとき、わが国だけが独立を束縛されるなどという議論は、まつたく国際常識を知らざる書生論と言うほかはありません。(拍手)  いま一つ、社会党の諸君が言うことは、民生の犠牲における再軍備というのでありますが、この言葉ほど事実を歪曲し国民を欺瞞するに都合のよい言葉はありません。わが党内閣が常に民生の安定充実を第一義とし、そのために国民の生活水準が年々著しく向上したことは、すでに述べたところでありますが、二十九年度の予算におきましても、自衛力の増強よりも民生の安定に重きを置いていることは、数字が明らかに示しているところであります。(拍手わが国の国防関係費は総予算の一四%にすぎません。諸外国の例を見ても、社会党の諸君が中立勢力として最も尊敬するインドが国家予算の五割近くを、また永世中立国といわれるスイスが四割近くを国防費に支出している事実を見ても、わが国の防衛費がいかに僅少なるものかがわかることと思います。(拍手)この厳然たる事実にはことさらに目をおおい、民生を犠牲にする再軍備予算などと、虚構の逆宣伝にこれ努める社会党諸君の良心を疑わざるを得ません。(拍手)  この際私が特に強調したいことは、自衛力の否定といい、MSA援助の拒否といい、社会党の政策は、究極において、わが国をまる裸にしておいて、内外の共産帝国主義者がいつでも欲するときに無血侵略をなし得る状態に置くということにほかならないということであります。(拍手)  次に、社会党の諸君吉田内閣の政策の行き詰まりなどと言うのでありますが、わが党は、過失における吉田内閣の輝かしい功績の上に、さらに現在の情勢に応じた政策の発展をはかりつつあり、しかもその効果は、物価面においても、貿易の面においても、すでに着々として現われつつあるのであります。変転せる国際情勢の中において、国際貿易その価国内の経済事情がときにより消長変遷のあることは自然の現象でありまして、将来の見通しを誤らず、情勢の推移に応じ適宜の政策を講ずることが、経済財政政策の要諦と信ずるのであります。(拍手)わが党が今回従来の政策を転換し、緊縮財政と物価引下げ政策を強力に推進せんとするのも、この理にほかならないのであります。(拍手)これをしも政策の行き詰まりと言うならば、それは政治の要諦を解せざる議論と言うほかはありません。(拍手)  最初にも申し上げた通り、内閣不信任案はみずから政権を担当し得る能力のある政党が提案してこそ意義があるのであるが、その能力なき小政党が年中行事的に提案することは不信任案をもてあそぶものであります。(拍手)政権担当の能力なき野党の不信任案が、いかに国家国民に損害と迷惑を及ぼし、無意義なものに終つたかは、前回の不信任議決の結果がいかなるものであつたかということを反省したならば、その害悪は何人にも明白なところであります。(拍手)  一体、両派社会党は、はたしてみずから政局を担当し時局を収拾し得る自信ありやいなや。一方は容共親ソの労働組合の——であり、共産党と本質において——ずる左派社会党と、(拍手)一方は、再軍備をも辞せない、右翼をも含む右派社会党とが、かりに共同して政権を担当するとしても、氷炭相いれざる主義主張が相衝突して、何らなすところなく、たちまちにして崩壊し去ることは、明らかに予想されるところであります。(拍手)  また、単独で政権担当の力なき保守政党の改進党が今次社会党の不信任案に同調するといたしましたならば、今後両派社会党と協力して政局を担当せんとする考え方に基くものと思うのであるが、かつて主義主張の異なる社会党と連立内閣をつくつたとき、あの二次にわたる連立内閣のために、しかも終戦後の重要な時期に、政局はいたずらに空転空白、無為無策、国運の進展をいかばかり阻害したかは、両党の諸君に一片の良心があるならば、慚愧にたえないものがあるはずである。しかるに、またまた、改進党の諸君は、政権欲のために、あの憲法改正、再軍備、MSA協定等、重大なる党の基本政策を投げ捨てて、かくのごとき愚を繰返さんとするのか。しからずんば、昨年あの無謀なる不信任の議決、総選挙の結果、みずから政権担当の能力なく、左右両派との取引に醜を天下にさらした失態を再び繰返そうというのか。国家国民の災いこれよりはなはだしきはないのであつて、強くその反省を要望する次第であります。(拍手)  今回われわれが最も奇怪とするところは、日ごろ主義主張を異にする左右社会党の諸君が、政権欲のために、その主張を捨てて政策の協定を行い、共同で政権担当の用意ありなどと声明している点であります。由来、革新政党というものは、その主義主張に最も忠実であることがその生命でなくてはならないはずであります。それが、一たび政権の幻想にとらおれるや、たちまち主義主張を捨てて政策の妥協をはかることは、まことにもつて奇怪であると言わざるを得ません。(拍手)これをさらに掘り下げて推測するならば、左派の諸君は、右派を利用し得るだけ利用し、それを踏台にして、やがては容共極左政権の確立を夢み、右派の諸君は逆に左派の換骨奪胎を期待しているのではないかと思うのでありまして、世の中に同床異夢とはまさにこのことと言うべきであります。(拍手)もしも真に社会党の諸君が共同して政権担当を欲するならば、何ゆえに堂々と左右両派が合同して出直さないのか。それができずして政権担当の用意ありなどと広言することは、まことにもつて笑止千万と言わなければなりません。(拍手)まず、わが党の新党構想を誹謗する前に、諸君みずからえりを正して反省せよと言いたいのであります。(拍手)  さらに、社会党が政権担当の適格性を欠く最大の理由は、その少数党たる点にあるのではなく、実はその政策そのものに存するのであります。左右両派の思想には粗いれざる根本的な相違があるのであるが、かりに両者の共通する政策をとつてみましても、日米安全保障条約に基く防衛支出金の廃止、保安隊の廃止、MSA協定の廃棄という明瞭な反米政策や、公務員給与の大幅引上げ、民間賃金の引上げ、生産者米価の引上げ等のインフレ政策や、重要産業の国営または国家管理、民間経済活動の統制等、経済革命的な政策が掲げられておるのであります。万が一にも、もしこのような政策を思案に実行するとしたならば、日本経済国民生活は一体どんなになることでありましようか。(拍手)反米政策は、わが国の自由諸国間における国際信用を失墜するだけにとどまらず、協調協力は破綻を生じ、国際信用は失墜し、ひいては、無防備日本独立は共産帝国主義の脅威にさらされるのみならず、年間八億ドルに上る特需や六千万ドルの綿花借款等が停止され、わが国国際収支はたちまちにして均衡を失い、国民経済は困窮、全国的に企業の破産、失業群の続出、インフレ、混乱のどん底に陥らざるを得ないことは、火を見るよりも明らかであります。それに加えて、賃金、米価の引上げ、非能率的な統制経済や重要産業国有化等の施策を実施するということになつたならば、一体わが国はどういうことになるか。それは必ずや、極度の経済混乱と社会不安とによつて、革命前夜のごとき様相を呈するに相違ないということであります。(拍手)社会党の諸君は、はたしてこのような結果を予想してみたことがあるかいなか、あるいは、容共左派の諸君は、むしろこのような情勢を積極的に醸成せんとする意図ではないのか、真意をお伺いいたしたいものであります。私はここではつきり社会党の諸君に申し上げる。それは、諸君らがいま少しく現実に即した政策を掲げて、国民の信頼を得て出直さない限り、永久に政権担当の適格性がないということであります。(拍手)  現下内外の情勢を見まするに、最も痛感せられることは、わが国の政治経済の安定ということである。今万一にも政局の大混乱を来しますならば、国政は渋滞し、経済は混乱し、社会不安は高まり、国民生活は脅かされ、国運の衰頽を見ることは明瞭であります。わが党は、時局の重大なるにかんがみ、志を同じゆうする同憂の士を結集して政局を安定させ、日本再建上緊要な政策を強力に推進するため、保守新党の結成を決意したのであります。この保守新党の結成による政局の安定こそ国政の発展充実を保障する唯一の道であることを確信するものであります。(拍手)これを要するに、今回両派社会党より提案された内閣不信任案は、両党がわずかに自己満足を満たす以外に何らの意義も理由もないものであります。(拍手)  五次にわたる吉田内閣が、終戦後の難局を収拾し、ことに社会党内閣失政混乱のあとを受けてよく経済を安定し、財政を立て直し、国民生活を向上し、国家独立を達成せしめ、今日の国際的地位を築きたる偉大なる功績は、国民のひとしく銘記するところであります。(拍手)今や国際関係の改善と経済自立の達成に着々としてその政策を進めつつある今日、国民大多数の信頼はわが党吉田内閣にあることを確信するものでありまして、わが党はかかる不信任案に対し断固反対するものであります。(拍手
  19. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 正式に申出がありますので、ただいまの本多君の発言中もし不穏当な言辞がありますれば、速記録を取調べの上適当な措置をとることといたします。  三木武夫君。     〔三木武夫君登壇
  20. 三木武夫

    三木武夫君 改進党を代表いたしまして、吉田内閣不信任案に対する改進党の立場を明らかにいたしたいと思うのであります。  今回の不信任案につきましては、改進党は独自の不信決議案提出いたしておきましたが、議院運営委員会において、自由党と社会両党の同調によつて、改進党の不信任案でなくして、社会党の不信任案が先議になりましたけれども、改進党は社会党とは吉田内閣に対する不信任の理由を異にいたしておりますので、この点について、念のために改進党の決議案に対する理由を朗読いたしたいと思うのでございます。(拍手)   吉田内閣積年の秕政極まるところ、綱紀は紊乱し、道義は頽廃し、国政は渋滞して社会不安は深刻となり、我が国は未曽有の危局に直面するに至つた。而も、自ら、汚職疑獄の渦中に巻き込まれ、その閣僚及び党最高幹部の身辺にまで司直の手が加えられんとするに際し、法務大臣の権限を悪用して司法検察権の公正なる執行を抑える等あらゆる醜策を弄して飽くまで、政権居座りを強行せんとしている。   かくて時局を茲に至らしめた重大なる責任を何等感ぜず、神聖なる国家権力を私慾党略の為に濫用しつつある吉田内閣態度は今や、全国民の周く憤怒するところとなるに至つた。   よつて、本院は、国民輿論に従い、積弊を一掃して人心を新にし、政界を刷新して、責任政治を確立し、民生を安定して民主主義を守るため、吉田内閣の即時退陣を要求する。     〔拍手〕  これは、社会党と不信任案の内容について違いまするところは、改進党は自衛軍の創設の必要を認めておる政党であり、社会党のごとく外国軍隊に日本の防衛をまかして無防備でよろしいという立場を改進党はとつていないのであります。従つて、そういう点から、吉田内閣を信任せずという主文は社会党と同じでございますが、その理由とするところは社会党と異なることを明らかにいたす次第でございます。(拍手)  改進党が吉田内閣の退陣を要求しまする理由は幾つもあるのであります。本多市郎君は自由党の経済政策の効能をるるお述べになりましたけれども、公平に見まして、現在経済危機の中に日本国民生活というものが追い込まれておる事実は、何人も無視することができないのであります。(拍手中小商工業者あるいは一般の市民にしても、この先日本経済がどういう状態になるかということに対する深刻な国民の不安を否定することはできないのであります。(拍手日本のこの経済上の不安というものは、せんじ詰めてみれば、国際収支の不均衡から来ておるのであります。そのために、日本経済自立の基礎というものはまさに崩壊せんとしておる。本多君は国民の生活水準がこう上つたと言われますけれども、敗戦国においては必ずしも国民の生活水準が非常に急激に上つて行くということだけが望ましいのではなくして、日本産業が海外の競争力をつけて、日本経済自立の基礎を確立してここれ内閣国民に対する責任を果していると言えるのである。(拍手)そういう点から、朝鮮の特需、アメリカの援助、この多額な日本の海外収入を漫然と食いつぶして日本経済危機を招いた吉田内閣の責任はきわめて重大なものがあることを知らなければなりません。(拍手)  また、疑獄、汚職の問題についてでございますが、吉田内閣が成立をしたときには、綱組の粛正ということが一枚看板であつたのであります。吉田首相に対するそういう道義的な信頼を背景にして綱紀の粛正をやる、これが吉田内閣の出発点であつたのでございます。今本多君の言われましたことく、いろいろ同僚が疑惑を受けましても、それは、裁判所の判決が下されるまでは、その同僚に対して断定的な批評を下すことはできないということはその通りでございます。これは各党とも疑惑を受けておつて、一面から議会全体がこの事態に対して厳粛な反省をしなければならぬとは思いますけれども、自由党に対する世の疑惑が非常に広汎であり深刻であることは事実でございます。ことに、最近、吉田内閣が、検察庁法の十四条を発動して、検察庁逮捕許諾要求に対してこれを拒否いたしましたことについては、国民の疑惑は非常に深刻なものがございます。(拍手)重要法案通過のためにそういうことが必要だとは申しますけれども、しかしながら、民主政治というものは国民の高い道義につながつておるのでございまして、重要法案が大事だからという、目的のために手段は選ばなくてもよろしいということは、これは民主政治の原則に反するものである。(拍手)民主政治というものは、やはり手段を選ばなければなりません。国民からすれば、非常な深刻な疑惑が吉田内閣にかけられていることは事実でございます。こうなつて参りますると、議会政治というものが国民の信頼につながらず、吉田内閣がこのような国民の深い疑惑に包まれて、しかも日本経済的にもこの難局である。この非常な難局を内閣が突破して行こうといたしましても、それは政治にはならないということを明らかにいたしておきたいのでございます。(拍手)  ことに、民主政治は責任政治であります。責任を感じないとするならば、民主政治の基礎は確立するものではないのである。民主政治の根底には責任を感ずるということがなければ、議会政治は育つて行くわけはないのであります。吉田内閣が最近検察庁法の発動をいたしましたときにも、犬養法務大臣は責任を感じて辞職したじやありませんか。吉田内閣自身として堂々たることをやつたとすれば、何も辞職さす必要はない。責任を感ずる必要はない。(拍手吉田首相が老躯をひつさげて国政のためにおやりになつておることはわかりますけれども、しかし、どうしても、この段階に参りましたならば、日本の新しい視野から、日本を再建するためには、吉田内閣の退陣が絶対に必要だと思うのでございます。(拍手)  あるいは本日の不信任案は多数の力によつて葬られるかもしれませんが、政治は数ばかりではない。この国会の外における世論、国民の輿論というものに耳を傾けなければならぬと私は思うのでございます。(拍手日本自由党の諸君も、改進党とほとんど同じ理由のもとに、社会党と異なる提案理由のもとに、吉田内閣を信任せずという決議にわれわれと一致の意見であることを附加いたしまして、どうか、吉田首相が、個人の趣味にとらわれることなく、活眼を開いて、新しい日本の建設のために、大局を誤ることなく——この際退陣を要望いたしまして、改進党の賛成意見を申し述べた次第でございます。(拍手
  21. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 加藤勘十君。     〔加藤勘十君登壇
  22. 加藤勘十

    加藤勘十君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする吉田内閣不信任案に対して賛成の意を表せんとするものであります。(拍手)  われわれが吉田内閣を新任し得ない理由は枚挙にいとまございませんが、そのおもなるものをあげれば、第一に、このたびの疑獄に処してとつた吉田内閣態度が、議会政治の権威を失墜し、国民の議会政治に対する信頼を喪失せしめた責任についてであり、第二には、吉田内閣が事ごとに憲法を軽視もしくは無視した事実を表明して来たことであり、第三に、秘密独善の外交に終始し、日本を完全にアメリカの隷属国の地位に陥れたことであり、第四に、その財政経済政策がことごとく適正を失つて経済破綻を招来せしむるに至つたことであります。第五に、吉田内閣の一貫した方針が、時代錯誤のはなはだしき反動政策によつて民主主義を危殆に瀕せしめたことについてであります。私は、順次理由を解明し、所信を明らかにせんとするものであります。(拍手)  政府と反対党との争いは、政党と政党との争いは、政策と政策を対置せしめ、政策上の失政を責め、施政を糾弾する、堂々の戦いこそ望ましき姿でなければならないのであります。しかるに、このたびの不信任案は、その理由の大半が道義の頽廃を責め、綱紀の粛正を眼目とした道徳上の責任を問わんとする点にあることは、ひとしく国民代表として議席をともにする立場から、まことに遺憾を禁じ得ない点であります。(拍手従つて、この点に関しましては、私は単に政府のみを責めるをもつて決して潔しとするものではありません。議員みずからもまた顧みて大いに戒めるところがあり、国会の権威を高め、議会政治への信頼を回復することに努めなければならないと思うのであります。(拍手)それだけに、国会の権威と国会に対する国民の信頼を失墜せしめたこのたびの疑獄事件に処した吉田内閣態度、すなわち不当なる権力の濫用によつて検察当局の独自性を蹂躙し、政界の浄化のために国民が最後のよりどころとした検察当局の行動に一抹の不安を感ぜしめ、三権分立の大精神にあたかも行政権が優先するがごとき錯覚を抱かしむるに至つた責任と、道義を無視し、自己の権勢欲の前には一切を顧みない無節操きわまる反道徳的行為は断固として糾弾されなければならないのであります。(拍手)  このたびの疑獄事件、なかんずく造船疑獄は、直接国民の血税による政府の補助金を中心として引起されたものでありまして、その罪は一層大であります。しかして、この発生の根源は吉田内閣の多年にわたる悪政の累積にある以上、政府はただちにその責任をとり、国民をして道義なお衰えずの感を抱かしめなければならないはずであります。(拍手)しかるに、吉田総理は、事件が最後の法律的決定を見るまでは責任をとらないと言つておる。実に驚くべき厚顔無塩であり、民主主義の破壊者であると言わなければならないのであります(拍手)ことに、検察当局が自由党幹事長佐藤榮作氏の逮捕許諾請求の手続を求めるや、犬養法務大臣は、吉田総理大臣の政治的策謀を代弁して、巧みに職権を濫用してこれを拒否したのである。これがために、検察当局の捜査は一大暗礁に乗り上げ、疑獄の進展は中断せざるを得ないこととなり、司直の公正に信頼をつないでいた国民大衆を失望せしめ、わが国の政治史の上に一大汚点を印するに至つたのである。犬養法相は、みずから良心の呵責にたえず、遂に辞表を提出するに至つたのでありますが、たとい法務大臣が辞職をしたにしましても、吉田内閣が法をもてあそび、民主主義の大鉄則である三権分立の精神に不安を抱かしめるに至つた政治的責任は、永久にぬぐい去ることはできないのであります。(拍手)われわれは、検察当局の自由にして公正なる職能を発揮せしめ、政界汚濁を浄化せしめんと期待した立場から、この吉田内閣の理不尽なる処置に対しては限りなき憤激を覚えるものであります。国民大衆また必ずわれらの態度に共鳴、共感を与えるであろうことを信じて疑わないのであります。(拍手)  元来、吉田内閣は、終戦以来六年有余の長きにわたつて政権の地位につき、この間道義的には幾多の前科を犯しておるのであります。(拍手)戦後の国民生活は敗戦によつて道義のよりどころを失い、人心は廃頽し、ことに青年子女の多くはせつなの享楽に走り、国家の将来にとつて憂うべき風習が常態化せんとするに至つたのであります。かかる風潮に対し、政府は率先して道義の高揚に努めなければならないにもかかわらず、逆に、かえつて道義の廃頽に拍車を加えるがごとき反道徳的行為をなしておるのであります。すなわち、吉田総理大臣は、その政権六箇年の間に、閣僚をとりかえること延人員にして実に百四十数人、自己の権力的欲望を満たすためには閣僚を弊履のごとくに投げ捨てている。かくのごときは、たとい総理に任命権があるとはいえ、内閣連帯性を規定した憲法の明文に反する、不道徳きわまる政治的罪悪と言わなければならないのであります。(拍手)のみならず、これらの大臣の中には、世間だれから見ても、明らかに巨額の献金によつて大臣をかち得たとしか思われないような疑わしき大臣さえ任命しておるのであります。(拍手)このことは、一般の人々には金によつて大臣を買つたつたという印象を与えるものであり、民主政治の権威と信頼感を傷つけることはなはだしきものであると言わなければならないのであます。(拍手)思うに、吉田総理大臣は、国家がどうなろうと、国民がどう思おうと、自己の権力さえ持続できれば他は一切顧みないという、権力的欲望の鬼と化しているのではないかとさえ感じられるのであります。(拍手)私は、できることならば、道義メスをもつて吉田茂氏の心理を解剖し、この異常性格を分析してみたいとさえ思うのであります。(拍手)私は、このような厚顔無恥、無責任きわまる内閣の存在をこれ以上許すことはできないのであります。これ私が本決議案に賛成する第一の理由であります。  第二に、吉田内閣は事ごとに憲法を軽視もしくは無視していることであります。吉田総理大臣は、ときたま臣茂などと口をすべらして、新聞紙上で笑われておりまするが、これは単に一片の笑い話ではなく、吉田総理が新憲法を理解せず、旧憲法の観念で政治の衝に当つていることを暴露するものではないかと思われるのであります。(拍手)言うまでもなく、憲法は、国家の性格を象徴した根幹であり、国政の最高絶対の拠点であります。その憲法に対して十分な理解なく、自己の独断によつて政治が行われるとしましたならば、これくらい国家にとつて危険なことはなく、国民にとつて不安であり迷惑なことはないのであります。吉田内閣執政の跡を見るに、どこを取上げてみましても、国民への公の奉仕者としての態度はみじんも見られないのであります。まるで旧憲法時代の天皇制の制約から解き放たれた天皇以上の独裁者の恣意だけがきわ立つて目に立つのであります。(拍手吉田総理大臣は、旧憲法時代のいわゆる朝憲紊乱を合法的に行つているのではないかとさえ疑わしくなるのであります。(拍手吉田総理大臣は口に遵法を唱えながら、みずからは憲法精神を蹂躙し、てんとして恥じないのであります。われわれは、道義と人格を基調とせる民主主義を育て上げるために、厳粛に憲法を守らなければなりません。憲法の背反者吉田内閣の存続は許されない。これが私の本決議案に賛成の第二の理由とするものであります。(拍手)  第三に、吉田内閣秘密独善の外交が、国民を侮辱し、国家の平和的発展を著しく阻害しておる点をあげなければなりません。日本独立を回復したという——真実の意味における独立ではないが、平和条約発効後における外交について見るならば、おせじにも独立国の外交とは言えたものではないのであります。たとえば、日米安保条約から始まつて、最近のMSA援助協定に至るまで、どこに一体独立国の面目がありましようか。どこに一体、国民とともに国民の意思に基いて交渉するという国民外交的要素があるか。これらの条約の背後には、日米行政協定、刑荘特例、秘密保護法というように、必ず憲法に保障された国民の権利と自由を拘束する屈辱的条件が随伴しておる。このような国民の自由と権利を拘束する重大な条約を締結するにあたつて、事前に国会に諮ることなく、秘密に交渉して署名調印した後に、既成事実として国民に押しつけるという、まつたく専制的な、独断的なやり方をしておるのであります。(拍手)この点から、われわれは、吉田内閣外交を屈辱的、隷属的外交であり、憲法無視の外交であり、秘密独善の外交であると糾弾するゆえんであります。(拍手)  ことにMSAのごときは、その協定条文の中に、憲法の規定の範囲内でと断らなければならないほど、それほど反憲法的であります。この第八条に規定した軍事的義務の強制は、たとい憲法の範囲内と断り書きがしてありましても、国民を納得せしめ、国民を安心せしむることができないのであります。将来アメリカの太平洋政策が進展するにつれて、太平洋防衛同盟の結成を見るような場合に、日本は必然的にその渦中に巻き込まれ、海外派兵を約束させられるに至るであろうということは、実に現行憲法に違反するのみならず、国家の将来にとつてゆゆしき一大事であると言わなければならないのであります。(拍手)このようなMSA協定の当然の結果として、防衛庁設置法、自衛隊法、秘密保護法等、一連の軍事立法が生れ、日本を再び軍国主義時代の旧態に還元せしむるに至つたのであります。  また、吉田内閣は、韓国政府の設定したいわゆる李ラインに対しては公海侵犯として抗議しながら、同じく公海侵犯であるアメリカの太平洋上における原爆実験に伴う危険区域の設定に対しては、ただに抗議しないばかりか、衆参両院における原子力問題に関する決議の趣旨に反し、これへの協力をさえ提唱しておるのであります。この醜態は見るに忍びない媚態外交の著しきものであると言わなければなりません。(拍手)われわれは、たとい相手がどこの国であろうと、正当なる道理のあるところ、あくまでも独立国の権威を保ち、堂々と五分と五分との対等の見識をもつて折衝すべきであつて、相手のいかんによつて卑屈に陥つたり、媚態を呈したりするがごときは、断じて独立国の外交としては許されないのであります。(拍手)現在、わが国は、中ソ両国との正常なる国交の回復、東南アジア諸国との賠償交渉並びにその正常なる国交の回復、貿易と文化の交流を通じての平和的、経済的海外発展等、幾多の重要なる外交案件を持つておるのでありますが、吉田内閣のごとくアメリカに対してのみ卑屈、媚態の隷属外交を行うようでは、とうてい国民の負託にこたえることはできないのであります。これわれわれが一日も早く吉田内閣の退陣を求めんとする第三の理由であります。(拍手)  第四に、吉田内閣財政経済政策がことごとく無計画、無軌道であつて経済破綻を不可避とするに至つた点であります。終戦以来、経済自立の声を聞くこと久しいのでありますが、今日依然としてこの送りおおかみに似た外国の援助を受けなければならぬということは、吉田内閣の政策の無計画性に原因するとはいえ、まことに心寒しき限りであります。吉田内閣経済政策には一貫した総合的計画性がなく、今日は鉄鋼に力を入れたかと思えば、あすは石炭に乗りかえ、今日は輸出に重点を置いたかと思えば、あすは生産の抑制をはかるというように、まつたくのその日暮しの継ぎはぎ政策にすぎないのであります。また財政政策においても、時に放漫政策をとるかと思えば、急転して極端な金融引締め政策を行い、国民をして帰趨に迷わしめておる実情であります。このようなその日暮しの政策の結果は、必然的に中小歪業者、労働者、農民、一般勤労者を犠牲にして大資本家を太らせ、戦前の財閥を復活せしめる機縁をなしておるのであります。(拍手)しかして、その半面においては、生産の萎縮、失業者の増大、不渡り手形の激増、貿易の逆調、滞貨の著増等、経済危機の様相を深刻ならしめておるのであります。わずかに防衛費の増大によつて一部の軍需産業を潤しておるとはいえ、軍需産業、防衛費の増大は社会保障費の減少となり、減税を不可能とした上に、苛斂誅求によつて国民生活を圧迫して捻出されたものであつて経済危機は一層深刻を加えるのみであります。  かくのごとき危機に直面して、何ゆえに適切なる対策がとられないかといえば、吉田内閣の考え方が根本から間違つておるからであります。すなわち、大の虫を助けるためには小の虫を殺してもよいという、弱肉強食的の前世紀的な自由放任経済の観念から一歩も出ていないからであります。その時代錯誤の政策が、かえつて経済界を一層の混迷に追い込んでおるのであります。(拍手)このような時氏錯誤の観念にとらわれた吉田内閣は、はずかしげもなく国民に耐乏生活をしいておりますが、国民にとつては、うつろにしか響かないのであります。しかしながら、大資本家は、この政府の呼びかけに応じ、賃金ベースをストツプし、労働者犠牲を強要しながら、彼らは疑獄に見られるように飽食暖衣をほしいままにし、わがままかつての限りを尽しております。もしこのような一部軍需産業、大資本家に偏重した政策が続けられるならば、経済破綻は必然でありましよう。(拍手)この経済破綻を阻止するのには、吉田内閣の錯覚を断ち切り、自立経済を目ざして確固たる計画性を持たせなければならないのでありますが、このことは政治的に不感症である吉田内閣のとうていなし得るところではない。これわれわれが吉田内閣を弾劾する第四の理由であります。(拍手)  第五に、吉田内閣は、戦争前の軍国主義的官僚時代の郷愁にとらおれて、そのなすところことごとく反動的であつて民主主義を危殆に瀕せしめる点をあげなければならないのであります。吉田内閣は、占領時代の行き過ぎを是正するという口実をもつて、敗戦という国民最大の悲劇を犠牲にしてかち得た民主主義の諸制度、国民基本的人権確立を基礎とした新憲法精神を蹂躙し、ひた向きに戦争前の軍事的、半封建的制度に返らしめんと、あらゆる努力を払つているのであります。まさに民主主義の賊と言うべきであります。(拍手)  さきに述べましたMSAの援助協定も、吉田内閣のこうした野望を満さんとする一つの方便にすぎなかつたのであります。防衛庁とか自衛隊とかは、形式的に名前をごまかしておるだけでありまして、実質的にはりつぱな軍隊組織であり、軍国主義の復活であつて、まつこうから憲法に挑戦するものであります。(拍手)たとえば、MSA協定下の秘密保護法と、軍国主義時代の機密保護法と、どこに一体舟の相違がありましよう。(拍手)また警察法の改正のごときは、せつかく自治体警察、すなわち国民の自主的治安力として成熟せんとして来た警察制度を、再び国家権力として国民の手から奪い取り、国民支配の道具に供せんとするもので、そのねらうところは官僚時代の復活をはからんとするもので、時代錯誤もはなはだしきものと言わなければならないのであります。(拍手)  さらに、政府は、基本的人権の源泉たる家族平等の原則を破り、家長制度を再現せんと、憲法改正の先がけとして民法の改正をねらつております。また、教員の人権を抹殺する悪法として指弾されておりまする教育関係二法案のごときは、名を教育の中立性にかりた恐るべき反動立法の一つでありまして、当面的には、中立の名によつて、実は教育を反動的勢力のもとに縛りつけ、将来は、児童の自由なる発育を妨げ、権力の前には羊のごとく従順に、人形のごとく盲従する国民をつくり上げんとする画一主義への還元を内包せる恐るべき野望が潜在していることを見のがすことができないのであります。気違いに刃物を持たして走らせるくらい危険なことはございません。それとこれと同じと言うのではありませんが、権力の鬼と化した吉田内閣に、これ以上野放図なわがままを許すことは、国家にとつて国民にとつても、これくらい危険なことはないのであります。戦前への還元をねらつて、あらゆる努力を集中して猪突猛進せんとする吉田内閣の姿は、眼中国家もなく国民もなく、自己の妄執に陶酔した悪鬼羅刹の姿であり、死の狂宴に乱舞する断末の姿であります。吉田内閣は断末のスリルを味わつて愉快かもしれませんが、国民はたまつたものではありません。国民は……。(「結論にしてください」「無理しないでください、趣旨はわかりました」と呼ぶ者あり、拍手)われわれは、静かに冷やかに吉田内閣のありのままの姿を批判して、今こそ国民の公憤を代表して吉田内閣を倒さなければならないという確信の上に立ち上つたものであります。     〔「やめてください」「趣旨は徹底しました」と呼び、その他発言する者あり〕
  23. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 申合せの時間が参りましたから、簡単に結論を願います。
  24. 加藤勘十

    加藤勘十君(続) それでは、私は、以上をもつて吉田内閣不信任の賛成の理由といたすものであります。(拍手)  なお、残余については速記録にとどめることを議長に御承認願うことにいたします。(拍手)     —————————————
  25. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  本案につき採決いたします。この採決記名投票をもつて行います。鈴木茂三郎君外百三十四名提出吉田内閣不信任決議案に賛成の諸君白票、反対の諸君青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名点呼〕     〔各員投票
  26. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  27. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 四百三十六   可とする者(白票) 二百八     〔拍手〕   否とする者(青票) 二百二十八     〔拍手
  28. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 右の結果、鈴木茂三郎君外百三十四名提出吉田内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)     —————————————     〔参照〕  鈴木茂三郎君外百三十四名提出吉田内閣不信任決議案を可とする議員氏名    赤澤 正道君  芦田  均君    有田 喜一君  井出一太郎君    伊東 岩男君  稻葉  修君    今井  耕君  小山倉之助君    大麻 唯男君  大高  康君    岡田 勢一君  加藤 高藏君    金子與重郎君  川崎 秀二君    喜多壯一郎君  吉川 久衛君    楠美 省吾君  河野 金昇君    河本 敏夫君  佐藤 芳男君    齋藤 憲三君  櫻内 義雄君    椎熊 三郎君  重光  葵君    白浜 仁吉君  須磨彌吉郎君    園田  直君  高瀬  傳君    高橋 禎一君  竹山祐太郎君    千葉 三郎君  床次 徳二君    内藤 友明君  中嶋 太郎君    中曽根康弘君  中村三之丞君    中村一郎君  並木 芳雄君    廣瀬 正雄君  藤田 義光君    古井 喜實君  古屋 菊男君    本名  武君  松浦周太郎君    松村 謙三君  三浦 一雄君    三木 武夫君  村瀬 宣親君    粟山  博君  柳原 三郎君    山下 春江君  山手 滿男君    吉田  安君 早稻田柳右エ門君    阿部 五郎君  青野 武一君    赤路 友藏君  赤松  勇君    足鹿  覺君  飛鳥田一雄君    淡谷 悠藏君  井手 以誠君    井谷 正吉君  伊藤 好道君    猪俣 浩三君  石村 英雄君    石山 權作君  稻村 順三君    小川 豊明君  加賀田 進君    加藤 清二君  片島  港君    勝間田清一君  上林與市郎君    神近 市子君  木原津與志君    北山 愛郎君  久保田鶴松君    黒澤 幸一君  佐々木更三君    佐藤觀次郎君  齋木 重一君    櫻井 奎夫君  志村 茂治君    柴田 義男君  島上善五郎君    下川儀太郎君  鈴木茂三郎君    田中織之進君  田中 稔男君    多賀谷真稔君  高津 正道君    滝井 義高君  楯 兼次郎君    辻原 弘市君  永井勝次郎君    成田 知巳君  西村 力弥君    野原  覺君  芳賀  貢君    萩元たけ子君  長谷川 保君    原   茂君  福田 昌子君    古屋 貞雄君  帆足  計君    穗積 七郎君  細迫 兼光君    正木  清君  松原喜之次君    三鍋 義三君  武藤運十郎君    森 三樹二君  八百板 正君    八木 一男君  安平 鹿一君    柳田 秀一君  山口丈太郎君    山崎 始男君  山田 長司君    山中日露史君  山花 秀雄君    山本 幸一君  横路 節雄君    和田 博雄君  淺沼稻次郎君    井伊 誠一君  井上 良二君    井堀 繁雄君  伊瀬幸太郎君    伊藤卯四郎君  池田 禎治君    稲富 稜人君  今澄  勇君    受田 新吉君  大石ヨシエ君    大西 正道君  大矢 省三君    岡  良一君  加藤 勘十君    加藤 鐐造君  春日 一幸君    片山  哲君  川島 金次君    川俣 清音君  河上丈太郎君    木下  郁君  菊川 忠雄君    小平  忠君  小林  進君    河野  密君  佐竹 新市君    佐竹 晴記君  杉村沖治郎君    杉山元治郎君  鈴木 義男君    田中幾三郎君  竹谷源太郎君    長  正路君  辻  文雄君    堤 ツルヨ君  戸叶 里子君    土井 直作君  中井徳次郎君    中居英太郎君  中崎  敏君    中澤 茂一君  中村 高一君    中村 時雄君  西尾 末廣君    西村 榮一君  日野 吉夫君    平岡忠次郎君  細野三千雄君    前田榮之助君  松井 政吉君    松平 忠久君  松前 重義君    三宅 正一君  三輪 壽壯君    水谷長三郎君  門司  亮君    矢尾喜三郎君  山口シヅエ君    山下 榮二君  吉川 兼光君    吉田 賢一君  岡田 春夫君    風見  章君  川上 貫一君    久保田 豊君  黒田 寿男君    小林 信一君  館  俊三君    辻  政信君  中原 健次君    中村 英男君  安藤  覺君    池田正之輔君  河野 一郎君    中村 梅吉君  松田竹千代君    松永  東君  三木 武吉君    山村新治郎君  有田 八郎君    原   彪君  平野 力三君  否とする議員氏名    相川 勝六君  逢澤  寛君    青木  正君  青柳 一郎君    赤城 宗徳君  秋山 利恭君    淺香 忠雄君  麻生太賀吉君    足立 篤郎君  天野 公義君    荒舩清十郎君  有田 二郎君    安藤 正純君  伊藤 郷一君    飯塚 定輔君  生田 宏一君    池田  清君  池田 勇人君    石井光次郎君  石田 博英君    石橋 湛山君  犬養  健君    今村 忠助君  岩川 與助君    宇都宮徳馬君  上塚  司君    植木庚子郎君  内田 信也君    内海 安吉君  江藤 夏雄君    遠藤 三郎君  小笠 公韶君   小笠原三九郎君  小川 平二君    小澤佐重喜君  小高 熹郎君    尾崎 末吉君  尾関 義一君    越智  茂君  緒方 竹虎君    大上  司君  大久保武雄君    大西 禎夫君  大野 伴睦君    大橋 武夫君  大橋 忠一君    大平 正芳君  大村 清一君    岡崎 勝男君  岡野 清豪君    岡本 忠雄君 岡村利右衞門君    押谷 富三君  加藤 精三君    加藤 宗平君  加藤常太郎君    加藤五郎君  鍛冶 良作君    金光 庸夫君  川島正次郎君    川村善八郎君  河原田稼吉君    菅家 喜六君  木村 武雄君    木村 俊夫君  木村 文男君    菊池 義郎君  岸  信介君    岸田 正記君  北 れい吉君    久野 忠治君  熊谷 憲一君    倉石 忠雄君  黒金 泰美君    小枝 一雄君  小金 義照君    小坂善太郎君  小平 久雄君    小西 寅松君  小林かなえ君    小林 絹治君  小峯 柳多君    佐々木盛雄君  佐瀬 昌三君    佐藤 榮件君  佐藤善一郎君    佐藤 親弘君  佐藤虎次郎君    佐藤洋之助君  坂田 英一君    坂田 道太君  迫水 久常君    始関 伊平君  塩原時三郎君    篠田 弘作君  島村 一郎君    庄司 一郎君  首藤 新八君    助川 良平君  鈴木 仙八君    鈴木 善幸君  鈴木 正文君    世耕 弘一君  瀬戸山三男君    關内 正一君  田口長治郎君    田子 一民君  田嶋 好文君    田中伊三次君  田中 角榮君    田中  好君  田中 彰治君    田中 龍夫君  田中 萬逸君    田渕 光一君  高木 松吉君    高田 弥市君  高橋 英吉君    高橋圓三郎君  高橋  等君    竹尾  弌君  武田信之助君    武知 勇記君  玉置 信一君    津雲 國利君  塚田十一郎君    塚原 俊郎君  辻  寛一君    土倉 宗明君  綱島 正興君    坪川 信三君  寺鳥隆太郎君    徳安 實藏君  苫米地英俊君    富田 健治君  中井 一夫君    中川源一郎君  中川 俊思君    中村  清君  中村 幸八君    中山 マサ君  仲川房次郎君    永田 良吉君  永田 亮一君    長野 長廣君  灘尾 弘吉君    夏堀源三郎君  南條 徳男君    丹羽喬四郎君  西村 英一君    西村 直己君  西村 久之君    根本龍太郎君  野田 卯一君    羽田武嗣郎君  葉梨新五郎君    馬場 元治君 橋本登美三郎君    橋本 龍伍君  長谷川 峻君    鳩山 一郎君  花村 四郎君    濱田 幸雄君  濱地 文平君    林  讓治君  林  信雄君    原 健三郎君  原田  憲君    平井 義一君  平野 三郎君    福井  勇君  福田 赳夫君    福田 篤泰君  福田  一君    福田 喜東君  福永 健司君    藤枝 泉介君  船越  弘君    船田  中君  降旗 徳弥君    保利  茂君  坊  秀男君    星島 二郎君  堀川 恭平君    本多 市郎君  本間 俊一君    前尾繁三郎君  前田 正男君    牧野 寛索君  益谷 秀次君    増田甲子七君  松井 豊吉君    松岡 俊三君  松崎 朝治君    松田 鐵藏君  松永 佛骨君    松野 頼三君  松山 義雄君    三池  信君  三浦寅之助君    三和 精一君  水田三喜男君    南  好雄君  宮原幸三郎君    村上  勇君  持永 義夫君    森   清君  森 幸太郎君    八木 一郎君  安井 大吉君   山口喜久一郎君  山口 好一君    山口六郎次君  山崎 岩男君    山崎  巖君  山崎  猛君    山田 彌一君  山中 貞則君    山本 勝市君  山本 正一君    山本 友一君  吉田  茂君    吉田 重延君  吉武 惠市君    渡邊 良夫君  亘  四郎君    長谷川四郎君  只野直三郎君      ————◇—————
  29. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 次に、重光葵君外五十七名提出吉田内閣不信任決議案、及び日程第二、三木武吉君外七名提出吉田内閣不信任決議案を逐次議題とするのでありますが、ただいま鈴木茂三郎君外百三十四名提出決議案議決の結果、審議を要しないものといたします。      ————◇—————
  30. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 残余の日程は延期。し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  31. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後七時六分散会