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1954-03-26 第19回国会 衆議院 本会議 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十六日(金曜日)  議事日程 第二十四号     午後一時開議  第一 刑法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 執行猶予者保護観察法案内閣提出)  第三 裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案内閣提出)     ――――――――――――― ●本日の会議に付した事件  義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案内閣提出)  教育公務員特例法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後一時四十七分開議
  2. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより会議を開きます。
  3. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案教育公務員特例法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  4. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案教育公務員特例法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。文部委員長辻寛一君。   〔辻寛一登壇
  6. 辻寛一

    辻寛一君 ただいま議題になりました義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案並び教育公務員特例法の一部を改正する法律案の両案につきまして、提案趣旨及び内容の概略と審議経過並びに結果について御報告いたします。  まず初めに、義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案提案趣旨を簡単に申し上げます。  教育上、良識ある公民たるに必要な政治的教養はこれを尊重しなければならぬことは、あらためて申し上げるまでもないことでありまして、これが教育基本法第八条の規定のあるゆえんであります。同時に、本条第二項に「法律に定める学校は、特定政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」と規定してありまして、これが学校教育基本的原則として掲げられてあるのであります。学校教育といつても、大学以下小中学校の段階がありますが、この場合は義務教育学校対象としているのであります。と申しますのは、義務教育国民教育基本であるというきわめて重要な性格上、この規定を設けようとするものであります。すなわち、児童生徒批判力においても思想的にも白紙状態にありまするので、この時代につちかわれた人世観社会観政治観によつて将来の人間像が形成されるのであります。従つて、この時代いかなる教育を受けるかによつて、一歩の差は千里の差を生じ、国家民族の運命を左右するに至るのであります。この観点より、特に義務教育学校における政治観教育は、民主主義に基く議会政治政党政治を標榜する限り、かりそめにも一方的に偏向した教育は許さるべきではないのであります。この点にかんがみまして、義務教育学校政治教育政治上の党派的勢力の不当な影響または支配力から守り、もつて義務教育学校における教育政治的中立性確保しようとするのが本法のねらいであります。  そこで、この目的を達成する具体的な方法といたしまして、何人であろうとも、義務教育学校教職員に対しまして、児童生徒相手として特定政党を支持させまたはこれに反対させる教育を行うように教唆しまたは扇動することを禁止するものであります。しかし、それには次の二つ条件を伴うのであります。その一は、特定政党その他の政治的団体政治的勢力の伸長または減退に役立たせる目的をもつてするとき、その二は、教唆扇動するにあたつては、学校教育法規定する学校教職員を主たる構成員とする団体、またはその団体を主たる構成員とする団体組織または活動を利用するときというのであります。もしこれに違反したときは一年以下の懲役または三万円以下の罰金に処するのでありますが、その違反行為の罪を論ずるにあたつては、それぞれの学校を所轄する行政機関請求にまたなければならぬことになつております。  次に、教育公務員特例法の一部を改正する法律案について申し上げます。  教育公務員に対する政治的行為制限に関する現行法は、国立学校教育公務員国家公務員として国家公務員法に定める制限を受けるのに対し、公立学校教育公務員地方公務員法による制限を受けておりまして、その制限事項及び罰則に差異がある上に、さらにその制限地域においては、国立学校教育公務員全国的に制限されておるのに対し、公立学校教育公務員原則としてその勤務する学校設置者たる地方公共団体の区域内に限られておるのであります。しかるに、義務教育国民全体に直接責任を負うて行われるべきものであり、一地方だけの利害に関するものでないのみか、この任務を担当する教育公務員は、行政面を担当する一般公務員とはその職務の性格が異なつております。従いまして、義務教育を担当する教育公務員政治的中立性を保障して公正な実施を保つには、公立学校国立学校教育公務員との間に政治的行為制限に差別のあることは適当ではないのであります。よつて公立学校教育公務員政治的制限国立学校の場合と同様の取扱いとし、もつて義務教育政治的中立性を保障しようとするものであります。  次に、審議経過と結果について申し上げます。本案は二月二十四日本委員会に付託せられ、二十六日に政府提案理由を聞き、その後ほとんど連日にわたつて審議を重ねて参りましたが、本月三日に文部省から提出されました偏向教育事例に関する資料及び警察官教職員に対する思想調査に関する情報につきまして、その真相を確かめる必要があるということで、八、九、十の三日間にわたりまして、第一班は山口県、第二班は京都市と岐阜県、第三班は青森、岩手両県、以上三班で、各班とも各党五名ずつの調査団現地調査実施いたしました。十二日、その結果を各委員よりそれぞれ独自の見解をもつて詳細に報告し合いまして、審議資料に供したのであります。これを簡単にとりまとめますならば、偏向教育に関する事例は、一部不明確なものを除いては、程度範囲の差こそあれ事実であり、警察官教員に対する思想調査については、その真相をとらえることが困難であつたようであります。  偏向教育事例の一部について申し上げますと、山口県の場合にありましては、小中学生日記問題は県下教育界に異常な波瀾を起しまして、県教組の過激な親ソ反米偏向教育平和教育の美名のもとに指令されたのに対し、これに反発する教職員職員団体連合会を別個に組織して正常な教育を守ろうとして立ち上り、県のPTA連合会は決議をもつて未然にその災いを防止、排撃することに努力しておるということであります。次に、京都班報告は詳細をきわめたものでありますが、その特異な点を取上げて申し上げますと、それは旭ケ丘中学校事例でありますが、この学校教育事情を優秀な実績を持つものとして支持している一般普通の父兄の大多数に対し、恐るべき偏向教育が行われているということで極度に恐怖排撃している父兄がありまして、数の上では少数ではあるが、子弟教育に格別熱心な層であり、直接授業を参観し、絶えずその教育の実態に接しておるいわゆる知識階級や有名人であつて、その教育の核心に触れるほど危険なものであることを知り、その学校子弟をゆだねることを深く憂慮し、その苦悩を訴えるさまはまつたく涙なくしては聞き得なかつたということであります。その詳細については速記録によつて御了承願いたいと存じます。  次いで、翌十三日には公聴会を開きまして、九名の公述人によつて各界代表者意見を聞き、十七日は労働委員会の申入れによつて連合審査を行い、一方政府よりは、文部当局はもちろん、国警長官公安調査庁人事院総裁の出席を求め、あらゆる角度より厳密周到なる検討を加えて参つたのであります。  次に、審議の過程におきまして質疑中心となりました点についてその要点を申し上げます。  まず第一点は、日教組と共産党のグループ活動との関連問題であります。国警本部から提出されました「日教組内のグループ活動について」と、公安調査庁から出されました「教育研究大会における日共グループ活動状況」の二つ資料、及び国警長官の「日教組内における共産党員六百五十九名」という証言等によりまして、日教組内における共産党員グループ活動が、その内部の抵抗にかかわらず、日教組行動方針とその実際的な活動との上に強大な影響力を持つておるという事実が明確に浮き出されております。  次に、第二点といたしましては、日教組の実体に関することであります。すなわち、日教組地方公務員法による地方公共団体教職員団体に基礎を置く全国的な組織任意団体であつて法的根拠は持つていないが、実質的には一般労働団体と選ぶところのない活動を行つており、その組合基本的な運営方針あるいは闘争目標などによつて見るときは政治的色彩がきわめて濃厚であり、日本教職員政治連盟とは表裏一体的関係に立つて活動をいたしており、この点、実質上の一つ政党とみなし得るということであります。  次は法案内容に関連した点でありまするが、第三点として、罰則対象となる教唆扇動概念が、罪刑法定主義根拠に立つならば、その範囲が明確を欠いているために拡大解釈を生じやすく、そのために警察官憲等の権力の濫用となり、一方政治的行為において国家公務員と同様の制限を受けるため、教職員言論思想及び行動が二重の制圧を受けるに至り、その結果教職員言念と熱意とを持つて教壇に立つことができなくなり、ひいては教員の無気力、退嬰を来し、今後の教育活動が萎靡、窒息するに至りはしないかという点であります。この点についての当局の説明は教唆扇動の場合の対象となるのは、教職員自体ではなく、外部から働きかける者であり、しかもこの場合でも官憲のかつて行動はあり得ないのであつて、その学校を管理する教育委員会等請求にまたねばならぬのである、さらに教唆扇動行為は、学校教育法に定める学校教職員中心として構成された団体組織または活動を利用して働きかける者の行為対象とするものであるから、教職員には直接的影響は及ぶものではなく、この点まつたく杞憂にすぎないというのであります。また、国家公務員と同様の政治的行為制限があつても、過去及び現在の国立学校教職員は、その制限のもとにありながら、かつてその不自由が問題化されたこともなく、現に活発な政治的批判が行われておる事実に徴しても明らかなことで、いわんや個人的な言論思想の自由を制約せられることはあり得ない、むしろ、この法律実施によつて日教組の指令や圧力による不当な支配から解放せられ、民主的な自由を回復することになるということであります。(拍手)  次に第四点は、日教組の一部行き過ぎや過激分子があるからといつて、そのために全国五十万余の善良な大部分教職員の自由を制限することは、角をためて牛を殺すの愚を演ずるものではないか、むしろこの際日教組反省自粛にまつべきではないかという見解であります。この点に関しましては、日教組自身反省自粛は最も望ましいことながら、かえつて闘争的態度を強化している傾向にあり、その活動方針の根底をなす意識が改められぬ限り、その反省を期待し得る根拠がないのである、すなわち、本来は職員団体生活条件の改善を目的とするものであるが、それは活動部面の一部にすぎず、もつぱら政治的活動に重点を置き、その闘争方針は、平和教育の名目のもとにわが国の現実を無視した一方的な政治的意識徹底化を意図するものであつて全国五十余万の組合員を擁して強固なる組織と豊富なる資金を動員し、民主的な寛容の態度を捨て、教壇を通して実際的な児童生徒教育を掌握し、一方進歩的学者と称するものの援護を背景とし、PTAないし国民教師尊重の美風に便乗して一方的な宣伝を行い、これが貫徹のためには、国の法律を無視して行政機関の存在をも否定するような行動に出ておることは明白である、(拍手)最近の繰りかえ授業にその事実が明らかに示されておる、その反省自粛は木によつて魚を求めるにひとしいというのであります。  次に第五点としては、平和教育憲法との関連についてであります。すなわち、平和教育を徹底せしめることは憲法及び教育基本法の精神に忠実なるゆえんではないか、従つて、これをはばむべき理由がないという点であります。これにつきましては、憲法憲法通りに説明することに何らの支障もないが、問題は平和を実現するための手段に関する内容の点にある、すなわち、再軍備反対基地化反対等の親ソ反米の一方的な政治的手段を主張することを内容とするならば明らに偏向教育であるというのであります。(拍手)  次に第六点といたしまして、教育政治的中立という観念は、議会政治政党政治のもとにあつては、究極的には守り得べきことではないのである、すなわち、教師教壇に立つて以上、信念と情熱とを持つて臨まねばならない、その際自己信念あるいは政治的信条を偽り得ないではないか、従つて、この概念は無意味にひとしいという点であります。このことにつきましては、かかる考え方にきわめて重要な錯誤を含んでいるというのであります。すなわち、教育政治的中立という言葉教育基本法第八条を意味するものである、このことは、いやしくも教師の名をもつて児童生徒相手とする者の最も基本的な態度として堅持しなければならぬことである、なぜならば、われわれが、一市民、一個人の立場においては、いかなる信念を持ち、真理を探求し、理想を抱こうとも、それは自由である、しかし、一たび教師立場に立つときは、国民の一人である児童生徒相手とする立場に立つて相対的関係を持つことになる、すなわち、児童生徒教師私有物にあらず、将来において完成をはかろうとする自由を持つ一人格である、教師自身信念あるいは真理とするところのものは、児童生徒にとつては客観的な素材であり、もしそれ、教師自己の描く信念なればといつて、その主観をそのまま児童生徒にまるのみに押しつけようと試みるならば、児童生徒の自由を奪い、その絶対的な人格完成をはばむ恐るべき罪悪を犯すものとなるであろう、(拍手従つて教師たる場合は、自己思想信念客観的立場に置く謙虚な態度必須条件とし、自分の信念真理に対立すると思われる真理知識も十分に語り、もつて児童生徒批判力と成長とに備えなければならぬのである、教師立場では、右の政治観と同じ重要さをもつて左も説き、その決定は児童生徒の将来の判断にゆだねるべきものである、真理も科学も思想もすべて政治に奉仕すべきものであるという全体主義国家理想とするならばいざ知らず、民主的自由国家を標榜する限り、平和教育の美辞をもつておおう政治上の偏向教育は、わが国の将来を誤り、国民教育を一組合独占私有に帰せしめようとする巧妙な政治思想的な陰謀であるというべきではあるまいかというのであります。(拍手)  さて、昨二十五日質疑を打切り、討論に入るに先だつて自由党、改進党及び日本自由党の三党共同提案にかかる両案に対する次に申し述べる修正案がそれぞれ提出せられ、自由党坂田委員より趣旨弁明があつた後、修正案に関する質疑を重ねまして審査の慎重を期し、これが終了に続いて、本日両案並びにこれに対する修正案を一括して討論に付しましたところ、自由党を代表して長谷川委員、改進党を代表して吉田委員より、及び日本自由党を代表して松田委員より、それぞれ修正案並び修正部分を除く原案について賛成の意を表せられ、日本社会党を代表して野原委員より、及び日本社会党代表前田委員、次いで小会派クラブ代表小林委員より、それぞれ修正案並び原案に対し反対意見を述べられました。  以上で討論を終え、採決に入りましたところ、義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案に関する修正案起立多数をもつて可決、修正部分を除く原案起立多数にて可決せられ、次に、教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては起立多数をもつて可決せられ、修正部分を除く原案起立多数にて可決せられ、よつてこの二法案とも修正議決すべきものと決定した次第であります。  次に、修正案を便宜朗読いたします。   義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案に対する修正案   義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案の一部を次のように修正する。   題名を次のように改める。    義務教育学校における教育政治的中立確保に関する臨時措置法   第三条第一項中「反対させる教育」を「反対させるための教育」に改め、同条第二項を削る。    附則中「施行する」を「起算して十日を経過した日から施行し、当分の間、その効力を有する」に改める。   教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対する修正案教育公務員特例法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第二十一条の三第一項の改正規定中「制限については」の下に「当分の間」を加える   附則第一項中「公布の日から」の下に「起算して十日を経過し日から」を加える。  以上をもつて報告を終りますが、なお、御承知のように、本案はきわめて重要な法案でありますので、特に速記録によりまして詳細御承知を願いたいと存じます。(拍手
  7. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 質疑の通告があります。これを許します。野原覺君。     〔野原覺登壇
  8. 野原覺

    野原覺君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま、義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案並び教育公務員特例法の一部を改正する法律案の二案に関し、辻文部委員長より文部委員会審議経過並びに結果についての報告を受けたのでございますが、この際、私は、左の若干の点につきまして、委員長に対し質問をいたしたいと思うのでございます。(拍手)  まず第一は経過についてでございまするが、委員長報告によりますると、連日にわたり審議を重ねて来たとあるのでございますが、これはまつたくわれわれを、ごまかすもはなはだしいのでございます。(拍手)かかる重大なる、国民の最も大きな関心を寄せておる今回の教育法案に関し、政府与党諸君は、逐条並びに修正案に対する質疑すらも許さないとしたことは事実でございます。(拍手)すなわち、去る本月十九日の文部委員会におきまして理事会を開きまして、審議についての協議をなすべきであると私ども社会党は主張いたしましたにもかかわらず、自由党諸君は、山中委員をして強行に質疑打切り動議を出して来たのであります。このことが遂に文部委員会を紛糾せしめたる原因の一つであると思うのでございまするが、委員長所見はいかがでございまするか、お尋ねいたします。(拍手)  第二点は、本月二十日より、自由党、改進党、日自党保守三党の諸君によつて修正案なるものをめぐつて三者幹事長会談なるものが持たれたことは御承知通りでございますが、そのために改進党の中曽根君の懲罰動議がこれと引きかえにされたこともまた国民の疑惑の大きな的であります。(拍手)一体、文教問題に関しましては、国会における審議機関文部委員会であるにもかかわらず、かかる重大な法案審議が実質的には文部委員会をまつたく素通りしているこの事態に対し、文部委員長としての所見を承りたいのでございます。(拍手)  しかも、共同修正案なるものが委員会に回付されて参つたのは、驚くなかれ昨日の夕刻でございまして、この重大なる三党の共同修正に対しても、自由党理事諸君は、きのう午後四時から持たれた常任委員長室におけるところの理事会において、これまた驚くなかれ、共同修正案に対する一分一秒の質問すらも許さないという挙に出たのである。教育の重大なるこの二つ法案を政争の具に使つたあげく、一分一秒の修正案に対する質問も許さないとは、一体何事でございましようか。(拍手)はたして国会国民の負託にこたえるゆえんのものであると言えるでございましようか。このことに対する文部委員長所見を率直に承りたいのでございます。(拍手)  この二つ法案審議にあたり、大達文部大臣は、この二つ法案を提出いたしました理由として、今日の日本教師片寄つた教育をしておる――そのための資料として偏向教育事例なるものが出されたことは、皆さん御承知通りであります。われわれは一委員長報告にありましたように、三つの班にわかれて現地調査をいたしたのでございますが、その調査の結果に関するただいまの委員長報告は実に一方的でございます。(拍手)すなわち、ただいまの報告によりますと、一部不明確なものを除いては、程度範囲の差こそあれ事実であり、警察官教員に対する思想調査についてその真相をとらえることが困難なようであると述べておるのでございますが、岐阜県恵那郡における調査におきまして、私に同行した自由党伊藤委員は、その事実無根なることを委員会において報告したはずである。(「その通り拍手)なおまた、岩手県一関の事例はどうなつておるのか。われわれの調査の結果によりますと、大達文部大臣より出されましたる二十四の偏向教育事例中の大半がまつたくのでつち上げでございます。(拍手)しこうして、残りのほとんどが誇大に捏造されて、しかもその資料の出所は当該教育委員会すら関知しないのでございまして、まことにその資料は一にかかつて国警秘密資料によつておることは明確でございます。(拍手)なぜ委員長はこの点を正確に報告しないのか、承りたい。(拍手)  なお次に、公聴会を開いたことの報告が、ございましたが、公聴会に集まりました九名の公述人のうち七名は絶対反対で、ございまして、残りの二人は自由党御用人物だけが賛成をした。(拍手)この事実をなぜ委員長報告しないのか、その所見を承りたい。  最後に、昨晩より本朝にかけて開かれました文部委員会におきまして、共同修正提案に当つた諸君答弁は、たとえば教育中立確保法案の第三条第二項を削除して、第一項に「特定政党等を支持させ、又はこれに反対させるための教育」と「ための」を附加した重大な修正箇所についての答弁がまつたくあいまいで、そのために大きな混乱を来したのでございます。(拍手保守三党の皆様に申し上げたいのでありますが、提案者にしてかくのことしでございます。保守三党の方々は、はたして中立確保修正案がいかなるものであるかについて明確に把握されていらつしやるのかどうか疑わしいのでありますが、委員長はこれに対していかなる所見を持つておられるか、承りたいのであります、(拍手)  これを要するに、文部委員会を紛糾混乱せしめたる責任の全部は、一にかかつて政府与党質疑を強引に打切つて採決を強行せんとしたためであります。このことに対して、少くとも委員長にして一片良心があるならば、この事実を認められるかどうか、率直に所信を披瀝してもらいたい。  委員長文部委員会を数日にわたり紛糾せしめた。このことに対するわれわれの責任追究といたしまして、委員長不信任案を出したはずである。委員長不信任案をなぜただいまの報告に載せないのか、このことを承らしていただきたいのであります。(拍手)  われわれは、かかる重大なる法案に対て十二分なる質疑の機会を与えられることなく、保守三党の多数の暴力によつて強引に採決せしめられましたことは、国会としての職責を十分に尽したものとは言えないのでございます。このことを明確に表明いたしまして、委員長に対する質問を終ります。(拍手)    〔辻寛一登壇
  9. 辻寛一

    辻寛一君 野原君の御質問にお答えを申し上げます。  委員長一片良心あらばというお言葉でございますが、一片どころか、満腔の良心をもつてお答えいたします。(拍手)、十二分に審議を尽したかというお尋ねでありまするが、十二分にという形容詞はどうかと存じますが、必要にして十分なる審議は尽したと確信しております。(拍手)  まず、四、五点をおあげになりましたので、順次お答えを申し上げますが、連日にわたりと言つたのはまつたくのうそではないかというお話、これはほとんど連日でございます。しかも、正確に連日やつていただきたいということを主張いたしたのはわが党でありますけれども、これを回避されたのは社会党の諸君であります。従つて、ほとんど連日にしかならなかつたということであります。  なお、逐条審議についての質疑を許さぬというお話でありますが、私は最も円満主義をモツトーとして参つておるのでありまして、できるだけ理事会においてお打合せをして参りたいという考えでおります。そして、この質問につきましても、逐条審議も何も含めて時間の割当をいたした、こういうふうに私どもは解釈いたしております。これは解釈の違いで、そこに理解の差異があろうかと存じますが、私はさように考えておつた次第でございます。従いまして、その約束のお時間だけは厳格に守つて行くということが委員長のとるべき方針であると存じたわけでございます。従いまして、その約束の時間が切れましたときに打切りの動議が出て参つたわけで、これを採決せんといたしたわけでございます。採決は皆様方に御意見を問うわけです。私は決して強引にするのではありません。しかし、それを暴力をもつて阻止されましたために、あの紛糾の事態を生じたのであります。(拍手)これに関するところは私どもにはないのであります。  それから、三党の会談におきましていろいろと修正案について相談がかわされ、その間文部委員会はまるで素通りじやないか、たな上げじやないかというような御意見でございまするが、円満なるところのこの修正案を作成する、その下準備に党のおも立つた方々がお働きいただくのは当然で、これは委員長として関するところではないと存じます。  それから、どうも報告が公平でないというお話でございますが、私はきわめて公平を期しております。不公平なことを報告してみたところで、どうせ会議録に出ておるのでございますから、さようなことは申し上げません。私は、偏向のある、一方に偏したる報告は断じていたしません。両論をよく解説をして申し上げたつもりでございます。なお、この実地調査の件について抜けておる点もございましよう。全部を全部あげることはできませんからして、そのおも立つた分をかいつまんで概括的に申し上げるということをお断りいたしておる次第であります。  なお、公聴会のことは、社会党の御用学者か、何党の御用学者か、そんなことは存じません。各界の代表者をお呼びいたしてお聞きいたした次第でありますが、これも速記録をごらんいただきたいと存じます。一々これを報告する時間はございません心から御容赦を願いたいと存じます。  なお、昨日の共同修正案に対するところの質疑を一秒一分といえども許さないという態度をとつたという仰せでございますが、さようなことは断じてございません。ただ時間の関係上質疑をお差控え願いたいという御相談を持ち上げたのがわが党の人であります。従いまして、その御相談が成り立たなかつたから、これは委員会におきましておきめをいただくよりしようがないという結論になつたわけでありまして、私どもは十分なる審議を時間の許す限りあくまでやりたいという信念にかわりはないのであります。  なお、昨日の混乱につきましては、いかにも委員長の不手ぎわ、ふなれのせいもございます。さればこそ委員長の不信任案も出されたわけでありますが、しかし、少くとも昨晩に関する限りにおきましては、わが党の諸君は一人もあの渦中には入つておりません。すべて社会党の諸君が原因して生じたる混乱であるということを御承知願いたいと存じます。  以上お答え申し上げます。(拍手
  10. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 再質問があるそうでありますから、簡単に願います。野原覺君。     〔野原覺登壇
  11. 野原覺

    野原覺君 ただいまの私の質問に対する辻文部委員長答弁はまつたくのでたらめでございまするから、その点を指摘いたしまして再質問申し上げます。  私どもが理事会において話合いをいたしました質疑の方法というものは、総括質疑と逐条質疑にわけて行うということでございます。それを総括並びに逐条も含めての質疑であると言うことは、ただいま理事会速記録がないための口実ではありましようが、まつたく了解できないのであります。  第二点に、昨晩の行動は社会党にその責任があるということを申されまするけれども、自由党国会対策委員長の小澤佐重喜氏は、小会派クラブの小林委員質問の際、その胸を突いた事実があるではないか。こういうことをなぜ言わないのか。この二点について、再度、その事実があつたかないか、委員長答弁を要求するものであります。(拍手)     〔辻寛一登壇
  12. 辻寛一

    辻寛一君 これ以上の御答弁は、結局水かけ論になると存じますから差控えますが、質問をこれくらいの時間にしようというお打合せでありまするから、これは一切の質疑を含むというふうに私どもは了解をいたしておる次第でございます。(拍手
  13. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて質疑は終了いたしました。  これより討論に入ります。山崎始男君。     〔「質問に答えぬじやないか」と呼び、その他発言する者多し〕
  14. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 山崎始男君に発言を許しました。     〔山崎始男君登壇
  15. 山崎始男

    ○山崎始男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、今回政府提案になりました、並びに改進党、日本自由党自由党の三派共同の修正案に対しまして、一括して反対討論をいたしたいと存じます。(拍手)  今回の教育公務員特例法の一部を改正する法律案並び義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案でございますが、まず教育公務員特例法の一部を改正する法律案の重要なる点は、地方公務員である教員国家公務員と同様に政治的行為制限を加え、その違反に対する刑罰規定を設けた点でございます。この法律案に対しまして、文部大臣はまことに奇妙な答弁をいたしているのでございます。すなわち、大学の先生が国家公務員であつたからというて、国家公務員法百二条でその政治的自由の制限を受けておつても、いまだかつて何ら政治的な不自由さ、その不平を訴えられたことはない、それどころではない、地方における県立その他の学校の国立に移管をしてくれという陳情がたくさんあるのを見ても、大学の先生が不自由でない証拠だ、こういうふうな、まことに珍無類の答弁をいたしているのでございます。教員基本的の人権を剥奪して、しかも既得の人権を剥奪して平気な顔でこういう答弁ができるとは、その無知、無感覚、まことに驚くのほかございません。(拍手)一体、文部大臣は人事院規則の第七項をおそらく御承知ではないのではないかと思うのでございます。すなわち、人事院規則の第七項は、大学の先生というその特殊的な性格から、その政治的発言に対しまして弾力性を認める特例と称すべきものでございます。この特例の意味を御存じないから、先ほどのような、みそもくそも一緒にしたような答弁をされているのでございます。(拍手)小学校、中学校の先生に、この第七項の大学の先生と同様な政治的発言に対する弾力性が認められるとは、とうてい考えられないのでございます。(拍手)  国家公務員は、現行法におきまして、政治的な制限を受けておりますかわりに、たくさんの恩恵が保障されていることは、申し上げるまでもございません。しかるに、今回の改正では、既得の人権を剥奪された地方公務員である教職員は、何らの恩恵が法の上で保障されておりません。その代償として、保障されない代償として、三年以下の懲役、十万円以下の罰金というものが与えられているのでございます。これは、いわゆる目が近いかわりには耳が遠い、こういうような類のものであります。いわゆる国家公務員の持つ悪い面だけを負担するという、理解することのできない法律上の欠陥を生じておるのでございます。このような片手落ちの結果を生ずるということは、もともと国家公務員法地方公務員法とはその立法の精神において相異なる法律であるにもかかわらず、教員の身分は地方公務員そのままで、何とかして政治的な自由だけはとつてやろうという考えがあまりに強過ぎるものでありますから、国家公務員の例によりと、簡単に百二条をいきなり適用したところにこの矛盾があると言わざるを得ません。(拍手)私は、この改正案は明らかに憲法第十三条に反する違憲立法だと申し上げたいのでございます。(拍手)  次に、この法律案は、教育委員会法、教育基本法あるいは学校教育法、現在の教育三法のその精神とまつたく矛盾することを指摘しなければなりません。昭和二十一年日本を訪れましたアメリカの教育使節団が残して行きましたその報告書の中には、重要なる点が四つございます。第一は極端に中央集権化された教育制度、第二番目は官僚独善の教育制度、第三番目は特権的な教育制度、第四番目は画一的な詰め込み教育。ここにおいて、われわれは、世界的に共通な教育理念に基いて、日本教育目的理想あるいはそのあか方を規定したのがこの教育三法でございます。また使節団は、十年前のわが国の敗戦の原因を教育制度の欠陥だと指摘いたしました。そして、注意しなければならないことは、日本の民主化のためには、日本教育制度を徹底的に地方分権化することと、教育公務員政治的自由は一般公務員以上の自由を与える必要があるという報告を残して行つておるのでございます。(拍手)民主的な自由人をつくるためには、まず学校教師みずからが自由人でなければならない。政治的自由を保障されていないところの先生のもとでは、民主的な国民は生れて来ないという大原則でございます。(拍手地方公務員法五十七条が教育公務員の職務の特殊性に基き政治行為の特例を規定しておつたのも、まつたく右の趣旨によつて、まことに理由あるものと言わなければなりません。しかるに、今回の改正でこの五十七条の特例を取去ることは、人権の侵害ということだけにとどまらず、右申し上げました敗戦の歴史的経過に目をおおい、新教育の理念に逆行するもまつたくはなはだしきものと言わなければなりません。(拍手)  政府は、今回の二つ法律案の提出の根本的理由は、教育基本法第八条の教育の中立性が現在阻害されている、あるいはまた将来阻害ざれるおそれがあるから、この法律は必要だと説明をいたしておるのでございます。文部大臣は、この第八条の字句の表面だけの解釈をされております。教育政治的中立教職員政治的中立とをまつたく同一に考えておるところにその欠陥があるのでございます。教職員は意思決定の能力を持つ人間であります以上、その世界観において、資本主義かあるいは社会主義か、そのいずれかに分類ざれることは当然であります。また、そのいずれかの意思決定を持つことの自由と権利は、これまた当然でございます。(拍手)すなわち、教育の中立性ということは存在をいたしまするが、教職員政治的中立性というものは存在しないのでございます。(拍手教育基本法第八条はこの考え方が基本となつておる。そこで、第一項において政治教育の必要なることを規定いたしまして、第二項において教育の中立性を規定をしておる。すなわち、政治教育の必要上から教職員政治的自由を保障をしようというのが、この第八条の主眼点でございます。(拍手学校すなわち教育政治的中立性を侵してならないという義務を第二項に負わしておるのは、すなわち第一項の裏づけとなつておるのでございます。今回の教育法案提案理由の根本がこの教育基本法の第八条を守るためだと言いながら、自己にかつてのよい表面上の字句だけに目がついて、教職員政治的自由を保障するこの第八条の主眼点を没却しておるのであります。(拍手、「その通り」)いとも簡単に教職員政治的自由を剥奪することは、第八条を守るどころではございません。その矛盾撞着はまことに許しがたく、いわゆる論語読みの論語知らずとはまさにこのことでございます。(拍手)  政治には保守の原理が認められましても、教育には進歩の原理しか認められません。進歩の原理しか認められないのであります。(「その理論はどこから来たのか」と呼び、その他発言する者あり)一切のすぐれた教育者が常に時代の先覚者であつたという世界の教育史を通ずる根本的事実は、教育の機能から出て来た当然の帰結でございます。教育が未来を扱うためには見通しを必要といたしますが、この見通しは、教育者に自由が許され、教育者に自由が保障ざれた場合にのみ可能となるのでございます。すなわち、進歩と自由は教育を動かし、教育を可能ならしむるところの絶対的の条件と言わなければなりません。そうしてまた、教育の進歩と自由を最も強く妨げたものは、時の政治権力や時の政党による教育に対する干渉であつたという事実も、これまた同様に歴史の証明する貴重なる教訓でございます。従つて教育の中立性という原則は、教育者が政治権力や政党の下僕になることを防ぎ、あくまでも教育の自由と進歩を確保ぜんがための根本原則でございます。教育者が警察官の取締りによつて政治に関係するあらゆる言論活動から退却せしめられたはてには、政治的無関心、政治的権力への盲目的服従であります。(拍手)この政治的無関心や権力への盲目的服従は、教育の中立どころではございません。支配政治勢力の下僕となつたところの教育のみじめな残骸にすぎません。(拍手)あしたに平家を迎えタベに源氏を迎えるような教育者は、まつたく教育そのものの自主性を没却したものと言わざるを得ないのでございます。(拍手)明治の初年に偉大なる先覚者の輩出いたしましたのは、当時のインテリゲノチヤが政治に対する恐怖、黙従あるいは無関心から解放され、教育の進歩と自由の条件が実現されておつたからでございます。福沢諭吉、あるいはその他の先覚者はもちろんでございます。森有礼のごとき、おのれの身を殺して教育の進歩と自由を守つたところの文部大臣がおつたからでございます。(拍手)  今回の法案がこの自由を教育者から一切奪おうということは、全国五十余万の教職員諸君を、教育政治的中立性の美名のもとに、みずからが教育基本法八条を蹂躪をして、自由党の政策に盲従させんとし、教育を不当に支配せんとしておるのでございます。(拍手)こういう一大野望であることを国民諸君は十分に知らなければなりません。真に教育の中立性を唱えるならば、法務大臣、文部大臣は政党から離脱するというような法律案をなぜ出されないかと私は言いたいのでございます。(拍手)  次に教唆扇動に関する法律案でございますが、昭和二十七年七月に、自由と平和を愛する人々から憎しみと憤りを一身に浴びて成立いたしましたところの破防法の中核をなしておるこの教唆扇動規定が、ここでもまたそののろわしい姿を現わして来ておるのであります。(拍手教唆というものは、本来刑法上の概念であつて特定の他人に一定の犯罪行為の実行を決意させることを申します。しかし、刑法は教唆そのものを処罰しているのではなくて、被教唆者がこの教唆に基いてその犯罪の実行を決意したこと、さらにその決意に従つて犯罪を実行したことを必要とするのであります。しかるに、今回の法律案では教唆犯の独立性を認めたことは、まつたく無謀きわまることであると言わなければなりません。特にわれわれが最も注意しなければならないことは、教唆行為、特に言論によつてなされるところの教唆行為は、その事実を客観的に立証することはきわめて困難であります。従つて、しいてこれを処罰しようといたしますならば、客観的裏づけのない自白を強要されるおそれが多分に存在することを忘れてはならないのでございます。(拍手扇動については、特定行為を実行させる目的をもつて、その行為を実行する決意を生ぜしめる、またはすでに生じておるところの決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいうものとされておりますが、その範囲教唆の場合よりさらに広く、現実に決意をさせ、または決意を助長させたことは必要としないのでございます。  一体、今回のごとく教唆扇動を独立犯といたしまして、実行の伴わない教唆扇動そのものを処罰の対象としよう、こういうことが人権の保障にとつてまことに危険なものであることは、破防法制定当時すでに世人の批判を買つたところでございます。(拍手)刑法の根本原則たる罪刑法定主義の第一の要件たる犯罪構成の要件の明確さがまつたくないことは、刑法学上の伝統をまつたく破つておるのでございます。(拍手言論そのものを処罰しようとする、かかる威嚇立法は、明らかに憲法二十一条の違反であると言わなければなりません。(拍手)一体、吉田政府は何ゆえにかかる数々の違憲立法を強行せんとするのでありましようか。すなわち、彼らの持つところの政治的権力、階級的支配を守るために、個人の人権の保障というような、まだるこしいことは、もはや言つておれなくなつたところの、吉田政府の断末魔の姿であると申さざるを得ないのであります。(拍手)  次に今回の教育法案審議について私は一言言及したいと思います。  ただいまわが党の野原委員からもございましたし、委員長からの報告にもございましたが、三月一日より文部委員会においてこの法律案審議が始まつたのでございますが、三月十四日までは、ほとんどが自由党委員の発言によつて埋められてしまつたのでございます。しかも、その発言の内容たるや、職員団体であるところの日教組の悪口雑言以外の何ものもございません。(拍手)三月十五日から私たち野党議員の質問が初めて行われましたが、とたんに、多数の力をもつて、われわれの審議に対し非常なる時間の制約を加えて来たのでございます。今回の法律案中心的課題は、教育の中立性とは一体何ぞや、この問題、はたしてわが国の現在の教育がその現場の実態においてこの中立性が侵されているやいなやということ、また侵されるおそれがあわやいなやということがこの法律案中心課題でなければなりません。日教組という団体がいかようでありましようとも、それは今回の法律案には関係がございません。この点は文部大臣自身も私への答弁において認められておるのでございます。(拍手)しかるに、終始一貫日教組の悪口で埋められたことは、全国父兄国民大衆に向つてこの二法案の客観的妥当性を印象づけようとする、すなわち顧みて他を言う類にして、まことに国会の品位を傷つける卑劣なる行為だと言わざるを得ません。(拍手)かくのごとく、議場にて日本の将来の教育を滅ぼすようなおそれのある重大なる今回の二法案に対する審議をほとんど許されず、最も関係のある法務委員会との連合審査すら許されていないのでございます。先ほど、委員長は得々として、そういうことはないと申しておられますが、皆さんは議事録を読んでいただけば一目瞭然でございます。私は、この点におきまして、国民諸君に対して申訳がない。この機会を利用いたしまして、私は深くおわび申し上げたのでございます。(拍手)同時に、その責任の全般は吉田政府の反動性にあることもまたこの機会に御報告をいたしておきます。(拍手)  次に、政府より、わが国教育の中立性が侵されているという実例として、文部省内の特高班と自由党が鐘やたいこで探し歩いた末に出した二十四の事例が示されました。この点につきまして、衆議院におきましては三班の調査団を派遣いたし、私もその調査団の一人として山口県へ派遣され、山口日記と同じく、山口県における安下庄の調査の担当に当つたのでございます。先ほど、委員長は、この山口日記を報告されまして、実に誇大なる報告をいたされておりましたが、私は実はこの演壇で今日はそのことを申し上げるつもりでございませんでしたが、ただいま委員長報告を聞きまして、ぜひ申し上げなければならぬと思いますので、一言触れます。  山口県において、岩国と山口市におきまして、各界の代表者数十人に集まつていただきました。そして、いろいろ調べました結果は、あのくらい誇大に宣伝されました山口日記も、山口県全体三十万の児童、学生に対して販売いたしましたのは九千六百冊、その中で、ほんとうに生徒が自分で日記をつけた人間は三千七百人でございます。このような事情によりまして、非常な宣伝にもかかわらず、県内における父兄たちはほとんどその実情を知らなかつたのでございますが、今回の問題が喧伝されて初めて知つたというのが実情でございます。そして、私たちがこの数十人の人に会いましたその結果は、山口県の教育日記が少くとも一つのきつかけとなつて今回の法律案になつたということに対しては、逆に非常な反感を政府に持つておるのでございます。(拍手)すなわち、自分らの県のできごとがきつかけとはいえ、こういう法律案を出したということはあまりにもひどいという県民感情が一点と、同時に、山口県の現場の教育の実態は何ら虫ばまれていない、また虫ばまれるおそれもないということは、各階層の一致した意見でございました。それどころではございません、教育委員会が、もしかりにそういう好ましからざる教員があるとすれば、現行の教育三法によつて十分処罰することもできるのに、その責任を果さずにおいて、かほどまでに大げさに全国的に宣伝をされる原因をむしろ教育委員会がつくつておるという一つの批判が起つておるのでございます。(拍手)いま一点は、こんな法律を出していただかなくとも、民主的に自分らの手によつてこれを解決するという自主的な空気がたくさん県内に出ておるのでございます。これは、今回のような法律案は必要でない。現在の三法でもつて十分教育の中立性は確保できるはずでございます。この点が私は非常に参考になつたのでございます。安下庄の件は、これはまつたく事実無根で、ある政治的な気違いの人が町の中に二枚のビラを張つたという、これを取上げておるのでございます。私は二日かかつてこれを調査いたしましたが、まつたく事実無根でございます。(拍手)  このようにいたしまして、二十四の事例は、針小棒大、事実を歪曲し、中には安下庄のごとき、まつたく事実無根のものすらございました。この点は新聞が伝えておりますから、私が申し上げるまでもないと思います。いわゆる泰山鳴動してねずみ一匹も出ずとはこのことだと私は思います。わが国学校全国におきまして三万五千ございますが、百歩を譲つて、かりにこの二十四事例が全部政府の言うがごとく中立性を侵しておるといたしましても、その率は千四百六十校中ただの一校にしか当りません。わが国教育がこういう現状であるということは、むしろ、この二十四の事例をもつて、決してわが国教育は中立性を侵されていないというりつぱな証拠だということを裏書しておると思います。(拍手)高知県山田の高等学校においてアカハタが配布されたという事例が、この二十四事例の中に載つておりまするが、私の遺憾といたしますことは、全国地方教育委員会を通じて数百万枚の自由党報を各学校に配つておりまするが、この点の報告がございません。(拍手)  顧みるに、わが国の文教政策は、天野文相の退任の前後を契機といたしまして、外交政策と文教政策は、吉田好みの色彩が順次濃化されて参りました。そのために、文教政策は政策文教と化し、あたかもあめのごとく、右にねじられ、左にねじられ、遂には修身の復活、あるいは社会科の解体、地歴の復活、愛国心の涵養、遂に臣茂の復活を見るまでに至つたのでございます。(拍手)目を一歩外に転ずれば、戦力のない警察予備隊、保安隊、自衛隊という、まことに珍しい戦力が存在しております。また、犯罪のない政治献金、選挙資金、陣中見舞という、まことに珍しい犯罪が流行いたしておるのでございます。このような複雑怪奇、われわれ国民にはとうてい現在の世相が理解できません。  この複雑怪奇のさ中にあつて全国五十数万教職員諸君が平和と独立、再軍備反対という看板を掲げておる、特定政党を支持している、教育の偏向だということが、このたびの法案提案理由になつておりますが、日本憲法は平和を守ることをもととして軍備の放棄を宣言をしておることは、一アメリカ人がああ間違いであつたと言うたところで、何ら関係のないことでございます。(拍手憲法九十九条は、政府にも、全国五十数万の教職員諸君にも、憲法を守る義務を負わせておるはずでございます。しかも、平和と独立、再軍備反対というこの看板は、特定政党が主張をする以前におきまして、教え子を再び戦場に送るなという、子供の幸福を守る教育の本質から自然に流れ出た教育者の真情として掲げた看板であつたはずでございます。たとい、この看板が、百歩を譲つて特定政党より遅れて掲げられたといたしましても、教員団体がこれを是認し、そのような政党を支持することが何ゆえに不当でございましようか。(拍手)新憲法に忠実に服従しているわれわれにはとうてい理解することのできない、珍しい、複雑怪奇な現象だと思います。こういう複雑怪奇な現象が起つております反面には、平和だとか自由、人権というような言葉は、赤という一字に還元してしまおうというような単一化運動が起つておることも、また見のがしてはなりません。(拍手)  最後に、私は、何ゆえに吉田政府が、今回のごとき、わけのわからぬ、説明をしようにも説明のしようのないような教育法案を出したのかという疑問に対しまして、重要なることを思い出さざるを得ないのでございます。それはすなわち、昨年の十月二十五日のワシントン特電として、朝日新聞は、MSA援助受入れに関する池田・ロバートソン会談において日本側は保安隊増強に四つの制約があることを強調しております。その中の一つに、敗戦後八年にわたつて日本人はいかなることが起つても武器をとるべきでないという教育を最も強く受けたのは、防衛の任にまずつかねばならない青少年であつたという日本側の言い分に対し、日米両国の間で、教育の問題と、防衛と、そして愛国心の問題が話されております。その結果、日米両国の出しました結論は、会談当事者は、日本国民の防衛に対する責任感を増大させるような日本の空気を助成することが最も重要であることに同意した、日本政府は愛国心と自衛のために自発的精神が成長するような空気を助成することに第一の責任を持つものであるという、結局日本政府は、アメリカからMSA援助を受けるかわりに、愛国心が成長するような空気をつくる責任を負担するという約束でございます。(拍手)日米両国におきまして愛国心をつくるとりきめをするということは、まことに驚くべき、かつ恐ろしいことと言わなければなりません。このような政治的な背景を頭に描いて今回の教育法案を見るならば、ここに初めて政府の意図が明らかになり、再軍備を促進するための愛国心を成長させる空気をつくることが目的であることがうなずけるのでございます。(拍手従つて教育の中立性という言葉などはまつたくの美名でございます。日教組も、山口日記も、国民の目をくらます単なる口実にすぎません。(拍手政府は、すべからく、今回の法律案の名称を輸出用愛国心製造法案という名前にかえられんことを、私は申し上げたいのでございます。(拍手)  全国五十余万教職員諸君は、今日を境といたしまして、格子のない牢獄の囚人として待遇されることになりました。憲法を守り、子供の幸福を守つて、最も忠実に日夜営々として努めて来られましたその代償として今日のような待遇を受けようとは、私たちの最も意外とするところでございます。(拍手)身は薄給であつても、せめて精神的な待遇だけはと思つてつたのが、おらくわれわれ父兄の心情ではないかと思つたのでございましたが、まことに残酷な仕打ちだと思います。このような仕打ちを受けたからというて、全国五十万の教職員諸君が自暴自棄になつたり教育に無関心になつたりしてもらつては、私は困ると思うのでございます。教育理想は永遠でございます。人の心を刀で切つたりカでとるような政治というものは必ず滅びるのであります。(拍手)吉田政府のこの法律案は、いよいよ吉田政府の断末魔のあがきでございますから、どうぞ、私は、教職員諸君が今まで通りに新しい憲法を守つて、自暴自棄にならずにあつてもらいたいことを衷心から念ずる一人でございます。(拍手)  明治五年に、わが国に学制の発布がございました。それから七年後において、時の政府が富国強兵の政策をとつた。その後に二十年ばかりいたしまして戦争が始まつた。それから七十年たつて、今回の日本の敗戦となつたのでございます。こういう過去の歴史を吉田政府は心から考える必要がないだろうか、かように私は思うのでございます。この意味におきまして、今回の政府提案になりまする原案に対し、同時にまた三派共同修正案に対しまして、断々固として反対の意思を表明する次第でございます。(拍手
  16. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 原田憲君。     〔原田憲君登壇
  17. 原田憲

    ○原田憲君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま委員長報告されました改進、日本自由、自由三党による義務教育学校における政治的中立確保に関する法律案に対する修正案、及び教育公務員特例法の一部を改正する法律茶に対する修正案、並びにこれを除く政府原案賛成討論を行わんとするものであります。(拍手)  結論を先に申しますと、先般法案提出に先だつて行われた中央教育審議会の答申にも現われているごとく、わが国の大多数の国民は、教育界における現状から、教育政治的偏向を是正し、また教育に対する不当なる外部からの圧力を排除するために何らかの措置が必要であると考えており、われわれは、本修正案が、これに応じた、きわめて適切なる措置であると判断いたしまして、賛成の意を表明するものであります。(拍手)  さて、まず何ゆえに日本教育界に教育基本法規定を侵すごとき偏向事例が現われて来るのか、その根源をつかなければならないのでありますが、教育界に対して働きかける政党の面から見ますると、最も密接な関係にあるのは社会党であります。特に左派社会党は、その綱領の中にも、政権獲得のあかつきには、一切の大衆組織を党へ結びつけて、その政権を永久化するなどと、対立者を認めざる一回革命の原理を述べ、常に口では平和憲法擁護だと言いながら、憲法を改正して行政、司法の諸機関から新聞、出版、放送、そうして教育までも社会主義の方向に適応させるとうたつているのである。これは実に議会主義政党政治を否定するところの一党専制政治を意図するにほかならないのでありまして、まさに民主主義と逆行するもはなはだしいものであります。(拍手)しかも、党内には日教組の公認する日政連に属する代議士のほとんどを擁しておるのでありますから、日常闘争という社会党のうたい文句からしても、わが国教育界に政治圧力が加えられつつあることは明らかであります。(拍手)これは、何も私が言わなくても、現に右派社会党の機関日本社会新聞の一節にも、日教組が丹頂づるであつて、一部幹部は極左傾向に走つていることは周知の事実であり、われわれもこれを認めている、彼らが、わが国労働運動の民主主義的成長を阻害し、わが国民主主義に無視することのできない害毒を流していることも事実であると述べていることをもつて明らかであります。かくのごとき政党は、政党政治の国家機関としての性格をまつたく失えるものであつて、一特定階級の利益代表としての一徒党にすぎないのである。(拍手)かつて天皇絶対の君主政体下にありましては、天皇に反対する者すべてが偏両者として扱われたが、今や天皇の名にかえるに平和憲法の名をもつてし、都合のよい部分だけを掲げて自己の政略に用い、対立者をすべて反動の烙印により討たんとする独善独裁ぶりこそ、まさに民主主義の敵であります。(拍手法案反対のために、昨日の文部委員会において、あなた方が乱暴の限りを尽したあの姿が、諸君民主主義の姿であります。  西ドイツの復興ぶりを説く人は、常にその労働組合の健全ぶりをたたえるのでありますが、ドイツ労働組合総同盟の前委員長フエツテ氏は何ゆえにそのいすを追われたか。彼は、政治問題であるドイツ再軍備問題を労働運動に結びつけんとして、組合員によつて追われたのであります。また西ドイツの教職員組合は、官吏法により忠誠の義務を課され、教育の中立性を守る厳格な規制を受けております。しかも、戦後一度も政治活動をしたことはなく、自主的にみずから教育政治的中立性教員組合政治的中立性を守つております。その上、組合は経済再建によく協力いたしまして、今日のドイツ再建に貢献したことが高く評価されておるのであります。しかして、復興目ざましい今日、本年初めて声明書を出しまして、われわれは西エオイツの経済復興に協力し、われわれの要求をがまんして来た、今こそ自分たちの要求を取上げてもらつてもよいではないかと、初めて経済的要求をいたしたのであります。これらの健全な組合員の意思がドイツを復興させておるのであります。  しかるに、わが国においてはどうか。賃上げ要求などは年中行事であります。政治につながらざる問題はないとして、徳田球一氏が姿を隠すと、今度は鈴木茂三郎君がみずからスクラムの先頭に立つておる状態であります。政治につながらざる問題はないと言うけれども、国を思う一念からという口実、愛国心の発露の名によつて議会政治破壊、亡国への端緒であつた五・一五事件も、二・二六事件も引起されたのであります。目的のために手段を選ばぬ左派社会党の新綱領は、自他ともに許す独裁共産党を欣喜雀躍せしめて、平和攻勢戦術をとつた昨年来の選挙におきましても、共産党は、われわれに入れない人は左派社会党に投ぜよと、諸君がいくら一線を画すと言つても、向うでは離れようとしないのであります。(拍手)自由を口にする者は、みずから自由を尊重せねばなりません。自由に傍聴できたアメリカ国会に、傍聴券を発行させて傍聴を制限せしめたのはプエルトリコ人のピストルであり、日本に治安維持力を増加せしめたのは、火炎びん、共産党軍事委員会の秘密行動であり、教育法案を提出に至らしめたものは偏向独善政党の不当なる教育への侵略からであると言つても過言ではないのであります。(拍手)  戦後、日本教育は、政治教育とは分離され、かつて文部省によつて掌握されておつた権限は、公選制による教育委員会に付与されております。しかしながら、はたしてこの教育委員会がよくその機能を発揮しているか。現在においては、残念ながらいまだしと言わなければなりません。しからば、今日、日本教育界、特に義務教育学校における教育支配しておるものは一体だれか。それは、日本教職員組合、通称日教組であります。日教組は単なる任意団体にすぎないのでありますが、その傘下に各県教組を通じて五十四万の教職員を擁し、中央委員が五十四万を支配しておるのであります。今日、日本義務教育支配するものは、実にこの日教組の頂点、世に言う丹頂づるの丹頂部に属する人たちであります。その支配力は、先般行われました振替授業に名をかりた一斉賜暇が中央の指令下に全国一斉に強制されて、中には学校長、教育委員会の勧告をさえ押し切つて行われた事実をもつて明らかであります。かつて、後白河法皇が、自分のままにならないものは、加茂の流れと、さいの目と、比叡山の荒法師であると言つたという。絶対君主さえ流れ行く水をとめることはできない、時の流れはとめようがないというのに、日教組の指令は、月曜日を日曜日とすることも可能なのであります。(拍手)驚くべき権力の持主と言わなければなりません。ゆえに、日教組幹部が偏向すれば五十四万教職員また偏向を来し、五十四万の教職員が偏向を来せば児童生徒また偏向を来す。現在日本教育界に現われている政治偏向教育事例は実にこのルートをたどつて現われているところに、このたびの法案の必要性があると思うものでございます。(拍手)  しからば、日教組を通じていかなる運動がなされておるか。先般公述人として出席した日教組委員長の小林武君は、私の質問に答えまして、日教組第十回大会、すなわち一九五三年の運動方針書の中の一般情勢の分析、アメリカを中心とする国際独占資本は世界の至るところで戦争の計画を仕組んで来たということをはつきりと肯定しておる。これは教職員組合としては一方的分析であり、一方的な判断と言わなければなりません。(拍手)しかも、この判断から、基本方針として、向米一辺倒の政治体制を打破して、勤労大衆と平和を守り抜く政権の樹立のために闘うと決定しております。これは政権を終局の目的とする政党と何らかわりないのであります。また、日教組闘争目標として、平和と独立を守る闘いを最高方針に決定し、再軍備反対憲法改正反対、講和条約、安保条約廃棄等を運動方針といたしまして、あらゆる選挙を通じて勤労階級の利益のだめに闘い、平和と教育を守る政権の樹立をはかると、まつたく政治闘争を教員組合の闘争として実行いたしておるのであります。(拍手)  これらの情勢分析、基本方針を具体的に現わすものは、選挙においては、総選挙の票は、再軍備反対賛成か、憲法改正賛成反対か、これによつてきめよと教えておる。この運動方針を生徒に先生が教える。すると学校教育にこういうことが現われて来る。自由党は豚で、改進党は熊、右派社会党はこうもりというような旭丘中学校の学生新聞記事になるのであります。また、平和の教育は単に口先の説教的なものでなく、子供の生活、行動を通じた中に浸透すること、教育課程、教科課程、学校行事に具体的な平和教材を組み入れて、子供の行動の中で消化され、子供の生活を通じて宣伝され浸透されて行くように配慮することと実行を迫り、運動会、体育祭、子供の作品募集、平和論文の募集等に、積極的にはなばなしい教育活動を展開しておるのであります。すなわち、山口日記のごときは、この一貫する筋道をたどつて現われた一例にすぎないのであります。  この法案反対する人たちは、山口日記の偏向は認めるが、これは偶発的なものだ、五十万の中の微々たるものである、それをもつて法律で縛るのは反対であると言うが、一これは戦前の教育勅語にも比すべき日教組運動方針書によつてまかれた種が芽を吹いた一例である。これを見のがすときは、この芽はやがて全国各所に現われ、いたいけな、純白なる児童生徒は、独裁国に行われておるいわゆる洗脳教育の犠牲者になることは明らかであります。(拍手)  これらの偏向事例が偶発的でなことを認めざるを得ない社会党の諸君は、それは実害が少い、教育委員会PTA等の自主性をもつて是正できると言うのであります。はたしてできるでしようか。先般の公聴会に出席した、社会党推薦の金久保氏、群馬県下某小学校長の斎藤氏は、皮肉にも、現在の教員は自主性がないと陳述しております。しかも、斎藤氏は、オルガンを買いたい、給食をやりたいと言つても縛られると、日教組宣伝のビラのごとく述べたのに対して、この法律のどこにそのようなことがあるか、そんなことはないと不勉強ぶりを指摘されるや、安心しました、しかし不安ですと、まつたく国会公述人らしからぬ自主性のなさを暴露しております。自主性のない者に、どうして自主的に是正する力がありますか。  今度の法案が提出されて、たくさんあれあれのところに手紙が参ります。法案反対の手紙もたくさん参りますが、この反対の輿論が国民大多数の輿論だと言われる社会党の諸君、ここに調べ上げられたこの陳情書の中には、驚くなかれ、田辺市の内越保、五才、内越富子、二才、驚くべきは、生れたての赤ん坊の名前を書いて判を押しているじやないか。(拍手自由党本部に寄せられた数多くの陳情の中で、先生たちが寄せて来る手紙は多いのでありますが、その中に、この法案を通すことによつて日教組の桎梏からわれわれがのがれることができるとはつきり書いている。  また、私が特に言いたいことは、先生たちのほとんどが、自分の名前を明らかにすると組合からにらまれるから、自分の名前を隠しておきますが、自由党報を送つてもらつて、いろいろ教えられるところがあつた、(笑声、拍手)社会党の諸君は、社会党新聞を毎月送つて来ますから、よく知つておられると思いますが、今度は実物をお送りしますと書いてございます。この名前を書けない先生たちの力で、どうして宿主的に改革することができますか。  また地教委、PTAには、現在とても中央から指令する日教組の丹頂に対抗する力はないのであります。薄給だという先生方の給料から月千三百円、千円というような闘争費を出させ、日教組の予算にもあるごとく、年間数百万円を国会闘争費として、二十二名――これは日政連の代議士数と、偶然か事実か、一致しております。すでに予算委員会でもこれは問題になつたのでありますが、もしこの二十二名が国会議員であつたならば、これは明らかに、社会党差派諸君がいつも攻撃している――とつながりがあるということになるのであります。(拍手)選挙に際してね、一人多きは百四十五万円の岡三郎君を初めとして、総額におて数千万円、裁判の費用まで補助するという丸がかえ方法で国会にまで根を張つた彼らの彪太な資金と組織による活動を見るときに、国の法律なくしてこれらの偏向教育の根源を断ち切ることは絶対に困難であることは明らかであります。(拍手)  京都市旭丘中学校における偏向教育に対する父兄の闘いは、如実にこれを現わした最適例であります。京都府の教組は、日教組内に巣くう統一派に属するといわれる委員長によつて牛耳られており、その傘下にある旭丘中学校においては、教師教壇でアカハタを用い、インターを歌わしめ、学童は遂に赤とは正義なりと言うに至つた。ために、父兄の中の有識者は遂に立ち上つて学校当局へ抗議を申し入れましたが、数を頼むリーダーのきわめて巧妙な作戦に陥れられたPTAのために目的を果さず、京都市教委に訴えるに及んで、今や洛陽の地に大なる波紋を描いておるのでありますが、その中には、京大教授、放送局長夫人を初めとして、今まで一度も自由党を支持したことがないという市川房枝女史の弟子、知識階級が多く、何としても国の法律によつて偏向是正をしてほしいと訴えているのであります。(拍手)かかる現実を地元においてながめて知つている京都大学教授陣には法案支持者が多いことも、理論上これに反対している東大矢内原学長の態度と比較して、理論と実際の違いをよく物語つておるのであります。(拍手)  しかも、日教組内部は、今や共産党統一委員会の乗つ取り工作に、危機に瀕しております。昨年十月方向転換を伝えられた日教組は、十二月の山梨県中央委員会では、決して方針に間違いはないと方向転換を否定し、しかも統一グループは、自分たちの主張がこれほど受入れられた会合はなかつた、組合の新しい出発が始まつたと述べているのでございます。共産グループの活躍ぶりは、すでに本院で、また委員会で、国警長官あるいは公安調査庁長官の答弁によつて明らかであります。彼らの終局の目的日本政治のソビエト化であり、そのサンプルとして、このたびの法案反対教育防衛大会を国民教育会議への準備会たらしめると言つております。国民教育会議とは何ぞや。国民教育会議、すなわち教育ソビエトの確立をねらつておるのであります。(拍手教育革命への実践を現にやりつつあるのであります。左社偏向から共産偏向への日教組の危機、そして、それによつてもたらされる児童生徒の危険を考慮するとき、真に自由を愛し、平和を求め、正義に生き抜こうとする者は、勇気を振つて、毀誉褒貶を顧みず、時流におもねることなく、この法案賛成すべきであると確信するのであります。(拍手)  この二法案は、個々の教員対象とぜず、偏向教育扇動者を罰することにより教育を守らんとするものであり、しかも警官の直接タツチを避けて、地方教育委員会請求権を与えて、事実上警官の教壇に立ち入る危険性のないことは、公述人滝川博士の陳述にも判然としておるのであります。一は教職員が当然規制さるべき行為に対する行き過ぎが教育に及ぼす影響を考慮したもので、現在国家公務員である小中学校教職員の実際を見ても、教員を圧迫するものでないことは明白であります。  これを要するに、われわれは、善良なる五十四万の教職員政治的権力から、また日教組幹部の桎梏から解放し、もつて児童生徒教職員を守り、日本教育を守らんとするものであります。(拍手)この二法案をもつて旧治安維持法であると攻撃する者は、いまだに日本の国が主権在民の国家となつていることを自覚しない被害妄想狂以外の何ものでもないのであります。(拍手)破防法の成立後の状況を見ても、火焔びんの消滅、暴力行為の減少は判然としており、国民大多数の人権は少しも侵害されてはおらないではないか。  何と言つても、この法案反対する諸君に言いたい。教員の自由、教育の自由に名をかりて、あくまでこの法案反対する諸君の真意は一体どこにあるのか。先覚者の名をかりて言うならば、諸君平和教育の名を掲げて錦の御旗となし、教壇をもつて障壁となし、純白いたいけなる児童生徒をもつて弾丸となして、諸君の政敵であるわれわれを討とうとしておるのであります。何といろ卑怯なる行動であるか。  私は、この二法案の成立によりまして、全国五十余万の教職員が堅実なる組合活動教職員としての本務の大道を闊歩されることを望み、全国教育委員会PTA国民すべての力で教育が権力から守られることを望み、一日も早く法律によらずして自己の力で正しきを歩む日の早からんことを願つて、私の賛成討論を終るものであります。(拍手
  18. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) ただいまの原田君の発言中、不穏当の言辞がありましたならば、速記録を取調べの上、適当な措置をとることといたします。松平忠久君。     〔松平忠久君登壇
  19. 松平忠久

    ○松平忠久君 ただいま文部委員長から報告がありました教育公務員特例法の一部を改正する法律案に対する保守三党の修正案義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案に対する保守三党の修正案並びにこの修正部分を除いた政府原案に対して、日本社会党を代表いたしまして反対討論を展開せんとするものであります。(拍手)  ただいま自由党の代表の討論を聞いておりますと、あたかも頭にちよんまげを乗せて、足にわらじをはいて、日教組の大会に行つて所信を述べておるような感じを受けたのであります。(拍手)近来わが国における立法例を検討するに、憲法並びに一般的な基本的な法律によつて国民に保障されたところの自由並びに基本的人権が、種々のいわゆる特別立法によつて逐次剥奪され、その限度において憲法が骨抜きになり、また政府みずからの一方的な、独善的な憲法解釈によつて憲法自体の空文化を行い、その結果、憲法の権威を失墜すると同時に、国民の遵法精神を滅却せしめる傾向にあることは、民主主義下の法治国においてまことに遺憾とするところであります。(拍手)今般教育の中立性を維持する美名のもとに提案されましたこの法案も、まつたくこの種類の特別立法でありまして、ナチス・ドイツが国民を全体主義の方向に向つて偏向せしめんとした際に好んで使つたところの立法であり、わが国教育史上に一大汚辱を加えるとともに、新憲法下における立法の建前からいつても、立法府の責任者たる国会議員として深く反省を要すべき立法と存ずるのであります。(拍手)すなわち、本法案は、公立学校教職員政治的行為に重大なる制限を倣え、警察権力をもつて教育の中立性を維持せんとするものであつて、明治、大正、昭和を通じて、いまだその前例がなく、諸外国の例を徴しても、ソビエト以外の、ソビエトを除いてまつたくその類例を見ないところの教育に対する恐るべき弾圧法規であります。(拍手)われわれとして本法案反対し、その撤回を要求せざるを得ないゆえんのものは、この法案内容そのものの違法性とあいまい性にあることはもとよりでありますが、さらに大達文部大臣不信任の理由にも明らかなるごとく、本法案提出の理由たる教育の偏向に関し、政府の認識が軽率かつ一方的であつて、真にその実情を把握してないこと、また文相以下その局におる者が、新教育の根本精神を理解せず、国会において廃棄を決議した教育勅語のこの精神をもつて今日の教育に臨んでおるその態度、その考え方に対して多大の不安を感ずるからであります。(拍手)  特に私がここに指摘したい点は、原案修正の過程についてであります。すなわち、政府原案の非常識きわまるものであることは、いまさら申すまでもありませんが、われわれは、去る二十日……。     〔「文部大臣はどうした」「休憩々々」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕
  20. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) ただいま文部大臣の御出席がありましたから、演説をお続け願います。
  21. 松平忠久

    ○松平忠久君(続) 特に私がここに諸君に指摘したい点は、原案修正に対するその過程についてであります。すなわち、政府原案の非常識きわまるものであることは、いまさら申し上げるまでもないところであつて、われわれは、去る二十日、大達文相の過去の経歴、救うべからざる思想の停滞、(拍手)権力にこび、弱きをくじかんとする陰険なる官僚的性格を指摘しまして、この原案とともに文部大臣の不信任を本院において表明したのでありますが、今回の修正は、政府原案に対して在野保守党より種々修正意見が提出され、難航に難航を重ねたこの数日間の経過を見ましても、改進党及び日本自由党諸君も、大達茂雄君に対してかなりの不満を感じ、消極かつ間接的ながらも、修正の形式において不信任の意向を表明したものと見るものであります。(拍手)このことは、過日の両派社会党の不信任とあわせ考えますると、今日でんとして、このひな壇に傲岸不遜の姿をさらしている文相も、常識の持主であるならば、深く反省をして善処の道を講じなければならないと存ずるものであります。(拍手)以下、数項目にわたつて反対理由を解明したいと存じます。  まず第一に指摘したいことは、教育公務員特例法の一部を改正する法律案、この修正は、当分の間という字句を使いまして、暫定法規としているということであります。この暫定法規にした理由は、提案者の説明によりますと、輿論の動向にかんがみて、ということであります。輿論の動向にかんがみて当分の間という字句を入れたのであるけれどもこの当分の間という字句を入れた実質的な効果というものに対しては、昨晩の委員会において、何人も十分なる答弁を与えることができなかつたのであります。(拍手政府の説明によれば、義務教育は重要なる国家の公務であつて、この教育に従事する教員は、その立場において国立学校教育公務員と何らかわるところがないので、教育の中立性を維持するためにこの政治的行為制限についても国家公務員並に扱い、地方公務員として今まで受けておつたところの市町村内における政治活動制限を、一足飛びに全国的全地域にわたつてその制限を広げて、人事院の規則に掲げている広汎な政治的行為制限を課するというのであります。  そもそも公立学校教育公務員は、地方公務員として地方自治法及び地方公務員法の適用を受けておるものであります。小中学校教員政治活動制限区域が、地方公務員法第三十六条第二項の但書の規定によつて市町村に限定され、都道府県所属の他の公務員よりも政治的活動が緩和されているのは、教育の本質に関係があるからであります。すなわち、都道府県一般公務員の職務は、法律、条例の執行であります。普通官吏は法律、条例を忠実に執行して誤りなからんことを任務としておるのでありますが、教員は法の執行を任務としているものではなく、憲法理想を実現するために、教育基本法の命ずるところによつて、平和的国家並びに社会の形成者としてりつぱな国民を養成する任務を持つておるのであります。(拍手)しかし、この教育者は、同じく教育基本法によつて、良識ある国民の必要とするところの政治的教養生徒に授げる義務を持つている。教員は、かかる政治的教養を教える義務を持つている立場として、地の一般公務員よりもまずみずからの政治的教養を高める必要があり、そのために他の公務員よりも広汎な政治的活動の自由が認められなければならないのであります。(拍手)今回の政府原案及び修正案は、ともにこの教育の本質をわきまえず、教育基本法及び地方公務員法の精神を蹂躪するものであつて、われわれは断じて承服しがたいところであります。(拍手)  次に、本法案について指摘したい点は、本来国家公務員に適用するために制定された人事院規則を、全然法域を異にするところの地方公務員に適用せんとずるところから生ずるところの違法性並びにその幾多の矛盾についてであります。教育は国の重要な公務であるから、国立学校教師並びに政治活動制限するといつておる。しからば、同じ国の公務として、ほとんど全部が地方に委任されておるところの、たとえば統計事務であるとか、労働関係の保険事務であるとか、厚生年金関係の事務、その他広汎な国の委任事務に従事しておる地方公務員と区別する理由は、一体どこにあるか。(拍手)もし区別するとすれば、むしろ教育公務員に対してこそ政治的な活動制限を緩和することは、前述の理由によつて明らかであります。従つて政府の説明は理論的根拠に一貫性を欠いておるということを指摘しなければなりません。(拍手)また、人事院規則の地方公務員への適用は、先ほど申すごとく、法域を異にし、法体系の紛清を生ずるのであります。  今日の議会制度は、その二大支柱は警察制度と教育制度でありますが、いずれもこの制度は地方分権をとつております。ことに教育については、これが、文部省設置法を初め、教育委員会法、その他文教関係の諸法律の根本精神であるとともに、わが国地方自治法及び地方公務員法の根本精神も、実にこの教育地方分権にあるのであります。(拍手従つて、今日、地方公務員は、地方住民の一人として、地方自治法によつて地方公共団体の条例の制定、改廃について要望し、また監査委員に対して事務監査の請求をする権利が認められ、また同法によつて法律に基く公務員の解職を請求する権利が認められております。このほか、さらに重要なことは、地方公務員は、別に地方公務員法第五十二条ないし第五十五条によつて職員団体として勤務条件、その他待遇の改善についての交渉権、要求権が認められておるのであります。しかるに、本法の適用によりますと、人事院規則第五項第七号、第八号及び第六項の規定によつて地方公共団体の給与条例等に不満があつた場合においても、一般地方公務員はいかなる運動もできるのであるが、教員だけは、これが改正を要望する場合において、署名運動に積極的に参加したり、またはその運動のために寄付金を出すとか、あるいはPTAで演説をするとかした場合には、三年以下の懲役、十万円以下の罰金刑に処せられるというのであります。また教育委員会の経理に不正があつた場合において、教員がその事務監査を要求せんとして署名運動に参加し、またはその運動のために応分の賦課金を出したりするという場合においても、同じく体刑を受けるのであります。  諸君、一体かくのごとき法律がどこにありますか。(拍手)文部大臣は、給与の改善、勤務条件の改善等は、教員組合がしても決してさしつかえないということを委員会答弁しております。しかし、これを要求する場合において、署名運動に積極的に参加をしたり、または寄付金を出したり、公衆の会合で演説をしたりした場合においては、三年以下の懲役、十万円以下の罰金に処せられる。その体刑たるや、賭博常習犯と同じ重罪を科しておる。こういう法律が一体世界のどこにあるか。(拍手地方公共団体の給与条例の改正要求や事務監査の要求が、何で一体教育の中立性やあるいは教育の偏向に関係があるか。中立性維持に名をかりて、明らかに法によつて保護されておるところの教員地方住民としての要求権、教員一般地方公務員として確保されておるところの待遇改善の要求権も、ともに剥奪されると同様なことになるのであります。かくのごとき悪例が今日まであつたかどうか。政府並びに自由党の猛省を促すとともに、われわれが断固これは反対しなければならない理由一つであります。  かくのごとく人事院規則を解明するときは、各項各号に矛盾撞着が出て来るのであります。これを十分解明するところの時間を与えない。過般、保守三党におきまして、荏苒数日を要してこの法案の修正を試みたのでありますが、かくのごとき時間があるならば、何ゆえ十分審議することの時間を与えないか。(拍手)この時間を与えて、われわれの不満とするところ、われわれの聞かんとするところをなぜ解明しようという試みをしないか。おそらく答弁に窮して混乱に陥ることをおそれたのではないかと思うのであります。  次に、中立性確保に関する法律案についてであります。これはさらにひどい。公述人九名のうち七人までがあきれておるのであります。本案は、要するに、警察権力をもつて教育の中立性を維持せんとする法案であります。何人も教育政治的中立性に反するがごとき教育を行うことを、教員団体を利用して、義務教育に従事する教職員に対して教唆扇動した場合には、一年以下の懲役または三万円以下の罰金に処する恐るべき反動立法である。一体、教育について刑罰法規をもつて取締るということ自体が、根本的に罪刑法定主義の精神に反することを指摘しなければなりません。教育基本法生徒政治的教養を授けることを要求しており、教師は学生に政治的教養を教えなければならない義務がある。にもかかわらず、教員団体を利用して教師にこれを勧めた場合において、若干の行き過ぎがあつたという場合において罰せられるというがごときは、許容と禁止の範囲が明確ではありません。しかも、困難なことは、この判定をするものは学校教職員ではなくして、警察官、司法官であるというところにこの教育に対する一大侮辱があり、不安を生ずることをあえて指摘しなければならないのであります。本案によれば、教唆扇動者の罪は教育委員会等請求によつて論ずることを規定しておりますが、罪を論ずる前に、いわゆる事前の手続たる捜査、逮捕、拘置等は、刑事訴訟法の規定からいえば、警察によつて独自の立場によつて行われるのでありまして、警察権力の教育への干渉の道を開き、警察権の濫用が予想される恐るべき法律として、日本における知識人、文化人はもちろんのこと、全国有力なる新聞紙のこぞつて反対しておるところであります。(拍手)次に、この法律案憲法との関係についてであります。新教育は、民主的、文化的国家を建設し、世界の平和と人類の福祉に貢献せんとするわが国憲法理想を実現するために行われなければならないことは、教育基本法の明示するところであります。今日、教育者は、この趣旨を体して、個性を尊重し、真理と正義を愛し、平和的な国家並びに社会の形成者たらしめんとして子供の教育に当つておるのであります。すなわち、憲法教育基本法との趣旨を忠実に具現せんとしている。この教育者の教育がたまたまある政党の政策と一致することがあつても、これは教育者の罪ではなく、また政党の罪でもありません。しかるに、今回の法律案は、たまたまある政党が平和憲法擁護、再軍備反対の政策を掲げて、これを党勢拡張の目的をもつて教員団体を利用して、教師に対してこの趣旨教育を勧めた場合においては、その政党が罪に問われるという、とほうもない結果になるのであります。すなわち、政党政治的活動制限となるのであります。憲法は、先ほども山崎議員の指摘するがごとく、九十九条において憲法遵守の義務を規定しておるにもかかわらず、他方において、だれかが党勢拡張の目的のために憲法擁護の教育教員に勧めた場合においては罪になるという、まことに奇怪なる結果になるわけでありまして、(拍手憲法規定政党の政策とが一致する場合においては、教員はその教え方に対して迷わざるを得ない。その判定はきわめてあいまいであつて教師教育態度に対して過当なる任務を負わせるものと言わなければなりません。この点に関して、われわれは教師の萎縮することをおそれ、われわれの反対する理由一つもここにあるのであります。  最後に、私はこの二法案の持つ価値について論じたいと存じます。そもそも政府がこの法案を用意した理由は何であるか。おそらく、先ほど原田君の説明にもありましたごとく、日教組政府のけんかであるがごとくであります。(拍手日教組の行き過ぎ、その偏向を是正し、日教組の不当なる支配から教育を守り、教育の中立性を守るということにある、かように政府は説明をいたしておりまするが、中立性維持については、これは何人も異論はありません。また日教組の行き過ぎを是正すべきであることも、われわれも認めておる。しかしながら、政府の把握しておる日教組偏向教育事例なるものは、先ほど数氏から指摘されたごとく、はなはだしく一方的であつて、かつその調査根拠がわからない。調査根拠を明示しません。事実無根のもの、あるいは無理やりのでつち上げのもの、これを麗々しく偏向教育として掲げて、この国会に提出している。国会を侮辱するものである。(拍手)われわれの調査によれば、その過半数はでたらめの、官僚独善の一方的な判断に基くものであります。これらのことは、これらの事例が発生した地元住民をして、文部省のこの態度に対して不安を抱かしめ、憤激をせしめておる事実に徴しても明らかなところであります。(拍手)しかも、この調査の結果は、偏向教育と見られるものも、ほとんどまつたく教育委員会あるいはPTA、地元住民の手によつてすでに解決済みであります。この実情より見ても、屋上屋を重ねるごとき新たなる法律の制定は不必要である。またもし政府が真に日教組を取締らんというのならば、ほかに方法がある。なぜ文部大臣はみずから身を挺して日教組に当らないか。また法律的にこれを直すならば、別に法律ができる。何ゆえに日教組組合活動の根源であるところの地方公務員法、これを改正しないか。地方公務員法職員団体の規制を改正すれば、これによつて日教組を取締ることができるのである。何ゆえにそういうことをしないで、あえて多数を犠牲にするような、こういう無用なる法律をつくるのであるか。頭の悪さというか、あるいは頑迷固陣というか、その精神の判断に苦しむのであります。(拍手)  由来、思想には思想をもつてしなければならぬ。これは申すまでもありません。全国大学教授連合会の二月二十七日付の声明によつても、この法案を有害無益なりと断じております。教育の中立性確保に対して刑罰法規をもつて臨むというがごときは、教育の本質よりしてまつたく無意味であり、無価値である。無価値であるということは、この全国の教授連合会の声明を初めとして、おそらく全国知識人、文化人の一致したところの見解であります。(拍手)しかのみならず、この法案教育破壊の恐るべき放射能を潜在しておる。警察権力の教育への干与、その濫用が予想される。これは往時の治安維持法の例に徴するも想像にかたくありません。しかも、これに対する所管外であるところの文部大臣の説明とか保証のごときは三文の価値もありません。(拍手)許容と禁止の限界の不明確、憲法教育の中立性の不明確、重罪規定の適用、これらの条項から必然的に教員を萎縮沈滞せしめまして、良識ある公民としての政治的教養の育成を消極的ならしめ、判断力あり、かつ個性のゆたかな子弟を育成する現行の教育を、権力に追随し、盲従し、曲学阿世の徒をはびこらしめるところの往時の教育に逆行せしめる、(拍手)かくの、ごときわが国教育を破壊せしめる恐るべき要素を包含しておるのであります。  要するに、本案は、新教育の芽を踏みにじり、力をもつてこれを昔の教育に逆転せしめ、軍国主義的な、全体主義的な教育へ一歩踏み出さんとする画期的な悪法であります。(拍手)われわれは断固として反対を表明し、私の討論を終るものであります。(拍手
  22. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 町村金五君。     〔町村金五君登壇
  23. 町村金五

    ○町村金五君 私は、改進党を代表いたしまして、教育公務員特例法の一部を改正する法律案並び義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案につき、三党協定にたる修正案並び修正部分を除く政府頂案に賛成の意を表明いたしたいと存じます。(拍手)  そもそも教育政治的中立確保に関しましては教育基本法第八条に明記しておるところであり、教員が一党一派に偏した政治教育政治的活動を行うことは厳に禁ぜられておるのでありますが、最近わが国の諸学校、特に義務教育学校教員党派的勢力の不当な影響支配を受けるに至り、教育基本法の崇高なる要請と厳正な規定が随所に無視せられ踏みにじられております事実は、本来国民全体に責任を負つて行わるべき教育の重大性にかんがみ、かつ国家、民族の将来を思うとき、まことに深憂にたえないのであります。(拍手)この意味におきまして、政府が今回公立学校教育公務員政治的行為を、その全体の奉仕者たる職務と責任の特殊性から、国立学校教育公務員の例にならつて規制し、また義務教育学校における教育党派的勢力の不当な影響支配から守り、かつそれに従事する教職員の自主性を擁護することを目的として、本二法案を提出せられました動機に対しましては、今日の場合事情やむを得ざるものとして賛意を表せざるを得ないのであります。(拍手)  すでに多くの人々によつて指摘せられておりまする通り、今日の教職員の行き過ぎた政治的活動と憂慮すべき偏向教育の真因は、日教組一部の幹部の一方に偏した階級的世界観に基く政治理念と教育指針によりますることは、もはや何人も疑いをいれないところであります。(拍手)彼らは、常に、公職の選挙に際しましては、特定政党ないしは特定政治的傾向を持つ候補者のみを推薦し、しかもその推薦者を支持することを傘下組合員に強く要求をいたしておるのであります。また、平和教育の美名のもとに、一方的な国際情勢の分析に基く偏向教育を行うことを指示いたしておるのであります。これらの事実が、ここに論議されておる二つ法案政府提案せしめるに至つた最大の原因であると存じます。(拍手)  しかるに、日教組の幹部諸君は、彼らに対する重大なる警告とも見るべき本法案の上程に対しまして、何らの反省を行わないのみか、むしろ、みずからの理念と行為を正当化せんとして、本法案について各種の歪曲いたした、あるいは誇張した宣伝を行つておる状態であります。(拍手日教組が従来の政治的偏向を自己批判し、彼らがその組合規約に明記しておりまするように、組合員の経済的地位の向上をはかることを第一義とする職員組合としての本来の姿に立ちもどるとともに、中正公平なる立場に立つて、次代の日本人を育成することに専念いたしてくれるのであるならば、このような法律はもとより必要がないことは明瞭であります。しかしながら、現在のごとく、彼らの自己批判が一向に認められず、従つて本質的な方向転換が期待できない現在におきましては、教育の公正な運営を確保して、全国数千万の父兄の悲願にこたえるためにも、また内心では日教組の指導方針を批判しながらも、その強固な規律のゆえに、やむを得ずこれに従つておる全国大多数の教職員の自主性を回復せしめるためにも、遺憾ながらこれらの二法案賛成せざるを得ないのであります。(拍手)  しかしながら、教育本来の目的は、真理と正義を愛する国民、創造的精神に満ちた次代のわが国の形成者を養成することにあります。従つて、この崇高な使命を身をもつて実践する教員には、自律的精神に基く活発なる研究と教育の自由が保障されなければなりません。この意味におきまして、政治的中立性確保に関する法律のごときは元来きわめて好ましからざるものであり、これを今日国会において審議せねばならぬということ自体が非常な痛恨事であり不祥事であることは、いまさら申し上げるまでもないのであります。わが改進党が主唱して、これを臨時措置法とするよう三派で修正を行い、今後日教組の動向を注視し、その方向転換を熱望せんとする態度を定めましたのは、そこに深くかんがみるところがあつたためであります。(拍手)すなわち、日教組の幹部諸君が、この修正の趣旨が那辺にあるかについて深く思いをいたされ、徹底した反省自己批判を行い、これを日常の活動において積極的に実践し、しこうして教員諸君が全国民の希望するがごとき教育者としての正道に立ち返ることに努力し、国会が進んでこの中立法の廃棄を提案する日が一日もすみやかに来らんことを衷心から祈念いたすものであります。(拍手)  なお、私は、この機会に、さらに政府に対して警告を発し、その強い反省を促したいと存じます。すなわち、日教組政治的偏向を是正するため今回のような立法措置をとらざるを得なくなつた責任の一半は、これを提案した政府みずからが負うべきであるということであります。(拍手)今日のごとき日教組の偏向的情勢は、すでに数年前から顕著となり、世人の批判をこうむつて来たにもかかわりませず、従来、文部省は、教育三法により文教行政の権限の一切が教育委員会に所管されておるということに藉口して、姑息かつおざなりな方策に終始して、何ら積極的な施策をとつて来なかつたことが、事態を今日のごとく悪化せしめた最大の原因であると考えます。(拍手)しかるに、歴代の文部大臣は、この事実を熟知しながらもこれを放置し、今日に至つて卒然としてこれを矯正するための立法措置を講じたことは、まさにみずからの怠慢の責めをあげて日教組に転嫁せんとするものであると申しても、決して過言でないと存じます。(拍手政府は、この事実を率直に認識し、今回この法案が本国会を通過した場合には、今日の憂うべき事態を招来するに至つたみずからの無策と怠慢を虚心坦懐に反省せられ、日教組の非違を糾弾する前に、まず文部省自体が教育基本法の精神を確保し貫徹するために、万遺漏なき施策を講ずべきであります。(拍手)同時にまた、このたびの中立法施行に際しましても、本法はもとよりみだりに抜くべき刀ではなく、いわば伝家の宝刀であることを肝に銘じ、これを抜かずして本法の目的が達成せられるよう肝胆を砕くべきであります。他面、日教組の幹部に対しましても、進んでひざを交えて懇談し、彼らの要望の聞くべきは聞き、彼らに対して反省を求むべきはこれを忌揮なく批判し、全国教職員が一日もすみやかにその本来の職責を全うし、中立法存在の必要をながらしむるよう最善の努力を払うべきであることを、強く文部大臣に要望いたす次第であります。  最後に、今回のこの法案によれば、教壇上の偏向教育については、それを教唆扇動した者のみを規制するにとどめ、偏向教育者自身は取締りの対象になつておらず、教唆扇動者の処罰といえども教育委員会等請求をまつて論ぜられることとなつております。これは、教員思想の自由を圧迫したり、教室に警察力が直接介入することを避けようとする配慮から出たものと信じ、私も心から賛意を表するものでありますが、全国民が危惧し、最大の関心を持つておるのは、実はこの教壇上の偏向教育なのであります。政府は、今回の法律によつて規制されないこの重大問題については、今後立法措置にゆだねるというがごとき安易な道を選ぶことを絶対に避け、政府みずからがすみやかに適切な方針を確立し、教育委員会学校長に対して積極的に指導を行うはもちろん、教職員自身に対しても徹底した自重自戒を要請し、もつて全国父兄をして安んじて子弟学校に送らしめるよう、万全の方策をとられんことを強く要望するものであります。(拍手)  以上をもちまして本案賛成いたしまして、私の討論を終ります。(拍手
  24. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 中村梅吉君。     〔中村梅吉君登壇
  25. 中村梅吉

    ○中村梅吉君 すでに各党代表諸君によりまして、いろいろな角度から論議が尽されておりますので、私は、日本自由党を代表いたしまして、でき得るだけ簡潔に、わが党の立場において申し述べておきたい骨子を大体述べまして、本案委員長報告賛成の意を表明いたしたいと思うのでございます。(拍手)  教育政治的中立性確保ということは、何人も異論のないところであると思います。偏向教育はあくまでも避けなければならない。かつて日本が軍国主義に陥つて失敗をいたしましたのも、これは、振り返つて見れば、一種の偏向教育の弊害の結果であつたのではないかと思うのでございます。従いまして、いかなる時代においても、教員の中立性確保偏向教育の排除ということは絶対に守らなければならない要点であると考えるのでございます。  まず、私は教育公務員特例法の一部を改正する法律案について考えてみたいと思いますが、本法案は、公立学校教育公務員政治的活動制限について、公立学校教育公務員を国立諸学校教育公務員と同等の並列に置こうとする点にあるのでございます。すでに教育基本法におきましては、その第八条において、「法律に定める学校は、特定政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」旨を厳格に定めておるのでございます。従いまして、この法律趣旨教育関係者全部が厳守をせられるならば、何ら問題は起らないはずでございます。ところが、実際は、この教育基本法規定は処罰を伴わない訓示規定でございます。罰則の定めが設けられていないのでございます。これは、要するに、相手教育者であるという観点から、訓示規定のみによつて十分にその目的を達成し得るであろうという配慮に基くものであると思うのでございます。ところが、残念なことには、この教育基本法に定められておりまする精神が完全に守られていない。政治的活動禁止の制限規定があるにもかかわらず、教育関係者の中には、この制限規定を無視しておる少数の行き過ぎた者があるということはいなみがたい事実であると私は思うのでございます。かような事実はまことに遺憾にたえないのでございまするが、かかる少数の脱線者のために純良なる多数の教職員がその余波をこうむることは、まつたく忍びがたいところであると言わなければなりません。(拍手従つて、この状態が安定するまでの間、暫定的の措置として、教育基本法の精神に背反する者に対してはこれを処罰する方途を講じて、一部の脱線者を排除して、立法措置によつてこれを是正するということは、これまたやむを得ない締結であると思うのでございます。私どもが、政府原案に対しまして、本法は当分の間施行する臨時立法であるということに修正をいたしましたのも、この点に立脚をいたしておるのでございます。(拍手)  次に、教育政治的中立確保に関する法律案について一言いたしたいと思います。本法は、あたかも個々の教職員の神聖なる教育授業そのものについて制限をするものであるがごとくに世上誤解をしておる向きがたいへんあるようでございます。しかしながら、本法の骨子でありまする第三条を精読してみまするならば一目瞭然でありまするがごとくに、特定政党その他の政治団体政治的勢力の伸長または減退に資する目的をもつて教職員を主たる構成員とする団体組織または活動を利用して、教職員に対し、これらの者が、児童または生徒に対して、特定政党を支持させまたは反対させるための教育を行うことを教唆扇動してはならない、こう明記しておるのでございます。従いまして、個々の教職員の行う教育そのものを対象にいたしておるのではございません。これを要するに、第一には、特定政党その他政治的団体政治的勢力の伸長または減退に資するという特定目的があるということが、本法による違法性構成の前提要件をなしておるのでございます。わらに第二には、教育団体組織または活動を利用する、これが犯罪構成の要件をなすのでございます。第三には、教職員義務教育学校児童または生徒に対して、特定政党を支持させ、または反対させるための教育を行うことを教唆扇動してはならない。この教唆扇動ということが犯罪構成の要件をなしておるのでございます。従いまして、個々の教職員の行うところの教育内容そのものを制限しようとするものではないのであります。背後にあつて教職員教唆扇動することを、前述のような三つの要件に該当した場合においてのみ、これを制限し、かつこれを処罰しようとするものでありまして、以上の三つの要素が合体しなければ、本法の犯罪は構成をいたさないのであります。要するに、個々の教職員人格と良識を信頼し尊重するために、むしろ当然必要なことを背後勢力が侵そうとするものを排除しようとする点にあると思うのでございます。  なお、本法は、たとい法律に定める要件を具備した場合におきましても、ただちに司法権の発動ということを行のではございませんので、教育を管理する教育委員会の告発をまつ親告罪としておるという点はわれわれの了解することのできる点であると思うのであります。政府原案の第三条の二項は、私どもといたしましては、解説的な不必要な規定のごとくに考えましたので、修正に際してこれを削除することにいたした次第でございます。  以上の観点に立ちまして、教育の中立性確保は、司法権、警察権の中立性よりもさらに重要な問題である、こういう考えのもとに、教育の中立性の確保励行をはかろうとする本案に対しては、わが党といたしましては、委員長報告賛成の意を表したいと思うのでございます。  ただ最後に一言いたしたいと思いますことは、教育はあくまでも良心的なものでなければならない。神聖でなければならない。かようなことが望ましいのでありますから、法律をもつて制限を行い、あるいはわくを定めるというようなことは、努めてこれを回避すべきものであると思います。従いまして、政府は、最善を尽して、法律を要せずして偏向教育が排除され、教育政治的中立性確保できるような措置を講じまして、一日も早く、できるだけすみやかに本法律の廃止を実現するように、私どもとしては強く要望をいたしまして、本案賛成をする次第であります。(拍手
  26. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  両案を一括して採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。両案の委員長報告はいずれも修正であります。両案を委員長報告通り決するに賛成諸君は白票、反対諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  27. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖、開匣。閉鎖。   投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  28. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 三百九十三   可とする者(白票) 二百五十六     〔拍手〕   否とする者(青票)  百三十七     〔拍手
  29. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 右の結果、両案はいずれも委員長報告通り修正議決いたしました。(拍手)     ―――――――――――――     〔参照〕  義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案外一件を委員長報告通り決するを可とする議員の氏名    相川勝六君   逢澤  寛君    青木  正君  青柳 一郎君    赤城 宗徳君  秋山 利恭君    麻生太賀吉君  足立 篤郎君    天野 公義君  有田 二郎君    安藤 正純君  伊藤 郷一君    飯塚 定輔君  生田 宏一君    池田  清君  池田 勇人君    石井光次郎君  石橋 湛山君    犬養  健君  今村 忠助君    岩川 與助君  宇都宮徳馬君    上塚  司君  植木庚子郎君    内田 信也君  内海 安吉君    江藤 夏雄君  遠藤 三郎君    小川 平二君  小澤佐重喜君    小高 熹郎君  尾崎 末吉君    尾関 義一君  越智  茂君    緒方 竹虎君  大土  司君    大久保武雄君  大西 禎夫君    大野 伴睦君  大橋 武夫君    大平 正芳君  大村 清一君    岡崎 勝男君  岡田 五郎君    岡野 靖豪君  岡本 忠雄君   岡村利右衞門君  押谷 富三君    加藤 精三君  加藤 宗李君    加藤常太郎君  鍛冶 良作君    金光 庸夫君  川村善八郎君    河原田稼吉君  菅家 喜六君    木村 武雄君  木村 俊夫君    木村 文男君  菊池 義郎君    岸  信介君  岸田 正記君    北 れい吉君  久野 忠治君    熊谷 憲一君  倉石 忠雄君    黒金 泰美君  小枝 一雄君    小金 義照君  小坂善太郎君    小平 久雄君  小西 寅松君    小林かなえ君  小林 絹治君    小峯 柳多君  佐々木盛雄君    佐瀬 昌三君  佐藤 榮作君    佐藤善一郎君  佐藤 親弘君    佐藤虎次郎君  佐藤洋之助君    坂田 英一君  坂田 道太君    迫水 久常君  始関 伊平君    塩原時三郎君  篠田 弘作君    島村 一郎君  庄司 一郎君    助川 良平君  鈴木 仙八君    鈴木 善幸君  鈴木 正文君    世耕 弘一君  瀬戸山三男君    關内 正一君  關谷 勝利君    田口長治郎君  田子 一民君    田嶋 好文君  田中伊三次君    田中  好君  田中 龍夫君    田中 萬逸君  田渕 光一君    高木 松吉君  高田 弥市君    高橋 英吉君  高橋圓三郎君    高橋  等君  竹尾  弌君    武田信之助君  武知 勇記君    玉置 信一君  津雲 國利君    塚田十一郎君  塚原 俊郎君    辻  寛一君  土倉 宗明君    綱島 正興君  坪川 信三君    寺島隆太郎君  徳安 實藏君    苫米地英俊君  富田 健治君    中井 一夫君  中川 俊思君    中村  清君  中村 幸八君    中山 マサ君  仲川房次郎君    永田 良吉君  永田 亮一君    灘尾 弘吉君  夏堀源三郎君    南條 徳男君  丹羽喬四郎君    西村 英一君  西村 直己君    西村 久之君  根本龍太郎君    羽田武嗣郎君  葉梨新五郎君    馬場 元治君 橋本登美三郎君    橋本 龍伍君  長谷川 峻君    濱田 幸雄君  林  讓治君    林  信雄君  原田  憲君    車井 義一君  平野 三郎君    福井  勇君  福田 赳夫君    福田 篤泰君  福田  一君    福田 喜東君  藤枝 泉介君    船田  中君  降旗 徳弥君    保利  茂君  坊  秀男君    堀川 恭平君  本多 市郎君    本間 俊一君  前尾繁三郎君    牧野 寛索君  益谷 秀次君    増田甲子七君  松井 豊吉君    松岡 俊三君  松永 佛骨君    松野 頼三君  松山 義雄君    三池  信君  三浦寅之助君    水田三喜男君  南好  雄君    村上  勇君  持永 義夫君    森   清君  森 幸太郎君    八木 一郎君  安井 大吉君   山口喜久一郎君  山口 好一君    山口六郎次君  山崎 岩男君    山崎  巖君  山田 彌一君    山中 貞則君  山本 勝市君    山本 正一君  山本 友一君    吉田 重延君  吉武 惠市君    渡邊 良夫君  亘  四郎君    赤澤 正道君  荒木萬壽夫君    有田 喜一君  五十嵐吉藏君    池田 清志君  今井  耕君    臼井 莊一君  小山倉之助君    大麻 唯男君  大高  康君    岡田 勢一君  岡部 得三君    神戸  眞君  喜多壯一郎君    楠美 省吾君  栗田 英男君    小泉 純也君  小島 徹三君    佐藤 芳男君  齋藤 憲三君    櫻丙 義雄君  笹本 一雄君    志賀健次郎君  椎熊 三郎君    重光  葵君  須磨彌吉郎君    鈴木 幹雄君  田中 久雄君    高瀬  傳君  竹山祐太郎君    舘林三喜男君  千葉 三郎君    床次 徳二君  内藤 友明君    中曽根康弘君  橋本 清吉君    長谷川四郎君  廣瀬 正雄君    福田 繁芳君  古井 喜實君    町村 金五君  松浦周太郎君    松村 謙三君  三浦 一雄君    村瀬 宣親君  粟山  博君    山下 春江君  山手 滿男君   吉田  安君 早稻田柳右エ門君    只野直三郎君  辻  政信君    河野 一郎君  中村 梅吉君    松永  東君  三木 武吉君  否とする議員の氏名    阿部 五郎君  青野 武一君    赤路 友藏君  赤松  勇君    足鹿  覺君  飛鳥田一雄君    淡谷 悠藏君  井手 以誠君    井谷 正吉君  伊藤 好道君    猪俣 浩三君  石村 英雄君    石山 權作君  稻村 順三君    小川 豊明君  加賀田 進君    加藤 清二君  片島  港君    勝間田清一君  上林與市郎君    神近 市子君  木原津與志君    北山 愛郎君  久保田鶴松君    黒澤 幸一君  佐々木更三君    佐藤觀次郎君  齋木 重一君    櫻井 奎夫君  志村 茂治君    柴田 義男君  島上善五郎君    下川儀太郎君  鈴木茂三郎君    田中織之進君  多賀谷真稔君    高津 正道君  滝井 義高君    楯 兼次郎君  辻原 弘市君    永井勝次郎君  成田 知巳君    西村 力弥君  野原  覺君    芳賀  貢君  萩元たけ子君    長谷川 保君  原   茂君    福田 昌子君  古屋 貞雄君    帆足  計君  穗積 七郎君    細迫 兼光君  正木  清君    松原喜之次君  三鍋 義三君    武藤運十郎君  森 三樹二君    八百板 正君  安平 鹿一君    柳田 秀一君  山口丈太郎君    山崎 始男君  山田 長司君    山中日露史君  山花 秀雄君    山本 幸一君  横路 節雄君    和田 博雄君  淺沼稻次郎君    井伊 誠一君  井上 良二君    井堀 繁雄君  伊瀬幸太郎君    伊藤卯四郎君  池田 禎治君    稲富 稜人君  今澄  勇君    受田 新吉君  大石ヨシエ君    大西 正道君  大矢 省三君    岡  良一君  加藤 勘十君    加藤 鐐造君  甲斐 政治君    春日 一幸君  片山  哲君    川俣 清音君  河上丈太郎君    木下  郁君  菊川 忠雄君    小平  忠君  小林  進君    河野  密君  佐竹 新市君    佐竹 晴記君  杉村沖治郎君    杉山元治郎君  田中幾三郎君    竹谷源太郎君  長  正路君    辻  文雄君  堤 ツルヨ君    戸叶 里子君  土井 直作君    中井徳次郎君  中居英太郎君    中澤 茂一君  中村 高一君    中村 時雄君  西尾 末廣君    西村 榮一君  細野三千雄君    前田榮之助君  松井 政吉君    松平 忠久君  松前 重義君    三宅 正一君  三輪 壽壯君    水谷長三郎君  門司  亮君    矢尾喜三郎君  山下 榮二君    吉川 兼光君  吉田 賢一君    岡田 春夫君  風見  章君    川上 貫一君  久保田 豊君    黒田 寿男君  小林 信一君    館  俊三君  中原 健次君    中村 英男君  有田 八郎君    原   彪君      ――――◇―――――
  30. 今村忠助

    ○今村忠助君 議事日程はこれを延期し、明二十七日定刻より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  31. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 今村君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十九分散会