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1954-03-04 第19回国会 衆議院 本会議 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月四日(木曜日)  議事日程 第十三号     午後一時開議  第一 昭和二十九年度一般会計予算  第二 昭和二十九年度特別会計予算  第三 昭和二十九年度政府関係機関予算  第四 特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 狂犬病予防法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ●本日の会議に付した事件  日程第一 昭和二十九年度一般会計予算  日程第二 昭和二十九年度特別会計予算  日程第三 昭和二十九年度政府関係機関予算  中村高一君外十九名提出政治資金規正法の一部を改正する法律案公職選挙法改正に関する調査特別委員会に併せ付託するの件(議長発議)     午後一時五十九分開議
  2. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 日程第一、昭和二十九年度一般会計予算日程第二、昭和二十九年度特別会計予算日程第三、昭和二十九年度政府関係機関予算、右三件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。予算委員長倉石忠雄君。   〔倉石忠雄登壇
  4. 倉石忠雄

    倉石忠雄君 ただいま議長より報告を求められました昭和二十九年度一般会計予算、同特別会計予算及び政府関係機関予算につき、その内容及び予算委員会における審議の経過並びにその結果について御報告申し上げます。  本予算案は、二月一日より審議を開始いたしまして以来、一箇月余り熱心に質疑応答が行われ、三月三日討論採決至つた次第であります。以下、その概要につき御報告申し上げます。  まず明年度予算案の特徴とせられる点につき申し上げまするならば、何と申しましても、国費の節約財政規模圧縮をはかつている点であります。すなわち、ここ牧年来膨脹の一途をたどつて参りました予算に対し根本的に検討を加え、財政規模圧縮し、緊縮予算編成いたしているのであります。これがため、政府は、従来至難といわれた行政整理をあえて断行いたし、不要不急経費節約または削減を行うとともに、他方においては奢侈的消費を押えるため税制の改正にも留意いたしたことであります。  顧みますれば、終戦後のわが国経済は、極端な物資の欠乏から激烈なインフレーシヨンの奔流の中にあえぎ、国民経済の破局は必至であると見られておつたのであります。しかるに、ドツジ・ライン以来、財政緊縮がはかられ、また海外貿易も漸次回復に伺いましたため、その先行きを案じられておりましたインフレーシヨンも、その進展をようやくにして阻止されるに至つたのであります。しかるに、情勢はさらに変化をいたしまして、朝鮮動乱の勃発により巨額特需が起り、また輸出貿易増進を見、従つて国際収支も著しく順調に進展いたして参つたのでありまするが、その反面、生活水準の上昇となり、いわゆる消費景気を招来いたし、再び物価をして騰勢に向わしめたのであります。かかる情勢に加うるに、さらにまれに見る風水害と冷害、凍霜害等が相次いで発見いたしまして、ために巨額補正予算を組まざるを得なくなつたことは、諸君すでに御承知通りであります。しかるに、政府は、あくまで健全財政主義を堅持いたし、公債の発行等を極力避けましたので、ここに国庫資金はほとんど余裕をなくし、財政政策弾力性の乏しいものとなつて参つた次第であります。これらの諸事情は、わが国物価騰勢に拍車をかける作用をなし、国際物価と比較いたしまして二、三割の割高となり、ために海外への輸出貿易は極端に困難を加えて参つたことも御承知通りであります。このような情勢のうちに、朝鮮休戦協定成立特需依存を不可能ならしめ、手持ち外貨激減は避くべからざる情勢となつて参りました。国民経済前途きわめて深憂にたえないものがあるに至つた次第であります。御承知のごとく、世界各国とも競つて産業合理化物価引下げを行い、もつて輸出貿易増進に努力いたしておるのであります。従つてわが国においても、この情勢に対応いたし、外は貿易の伸張、国際収支改善に努めるとともに、内は国民生活の安定のために積極的措置を講ずることが絶対に要請される次第であります。それには、まず何よりも物価引下げ消費抑制に力をいたすことが肝要であることは、あらためて申し上げるまでもないことでありまするが、その前提として、まず国家及び地方財政規模圧縮金融の引締め等が断行されなければならないのであります。  今回政府提出にかかる昭和二十九年度予算案は、以上のような一般的条件のもとに編成されたものであります。  さて、明年度一般会計予算総額は、歳出入とも九千九百九十五億円でありまして、これを本年度すなわち昭和二十八年度に比較いたしまするに二百七十六億円の減少となります。昭和二十九年度国民所得推計は五兆九千八百億円でありますから、総予算額はその一割六分七厘に相当いたすのであります。明年度予算を一兆円以内に押えなければならないということは、経済界はもとより、政界におきましても党派を超越した強い要望でありましただけに、九千九百九十五億円の予算を組むにあたりましては、政府苦心並々でなかつたことが察せられるのであります。このようにして、各経費ともおおむね前年度に比し減額となつていることは当然であります。減額のおもなるものは、公共事業及び食糧増産関係経費百四十一億円、国民金融公庫その他への出資及び投資の二百二十八億円、警察経費の六十二億円、平衡交付金全額千三百七十七億円、輸入食糧価格調整補給金の二百十億円等であります。右のうち平衡交付金の減は、新たに地方交付税交付金地方譲与税譲与金の合計一千二百九十五億円が計上されておりますことや、タバコ消費税を創設したこと等により、地方財政へのさほど重大な影響はないものと存ぜられるのであります。  次に、歳出増加いたしましたものを申し上げまするならば、大体次のごとくであります。  第一は、防衛費の増百三十九億円であります。自衛力漸増という政府根本方針に沿い、保安隊増強をはかるため、保安庁経費は百七十四億円増額となりましたが、反面防衛支出金において三十五億円の減少をいたしておることも見のがし得ない点であります。  第二は、文教関係経費の増九十七億円であります。その内容といたしましては、文教施設費において十二億円の減少を計上いたしておりますが、一方育英事業費義務教育費国庫負担金において百十億円を増加いたしておりますので、差引前述金額になる次第であります。  第三には、社会保障経費増加であります。すなわち、生活保護費十五億円、児童保護費四億円、社会保険費三億円、結核対策費六億円、失業保険費一千八百万円、計二十八億円の増加であります。もしこれにその他の失業対策費増加を加えますると三十八億円になります。さらに遺家族援護費留守家族援護費、旧軍人遺族等恩給費及び文官恩給費等を加えまするならば二百二十億円の増加となるわけであります。この意味社会保障費総額は一千六百億円となりまして、歳出総額の一割六分強に当る次第であります。  なお、民生安定のための住宅対策費は百三十四億円でありまして、本年度に比べて三億円ほど減少のごとくにも見えますけれども、減額の原因は、十三億円の公営住宅災害復旧費全額が計上を見なかつたことによるものであります。従つて公営住宅施設費のみについて言えば十二億円の増加となるものと申されるわけであります。  歳出については大要以上の程度にとどめまして、さらに歳入について申し上げます。  歳入は、租税及び印紙収入の七千七百十八億円及び専売納付金の一千三百四億円をもつて大宗といたしまして、この二つで全歳入の九割を占めておりますこと従来と異なるところがございません。ただ、租税及び印紙収入におきましては前年度に比べまして百五十一億円の増加でありますが、専売納付金におきましては二百三億円の減収となつている点が注目されるのであります。この専売納付金減少は、地方税たるタバコ消費税の創設により二百九十二億円の新たな支出が生ずるためのものであります。  歳入面で第二に注意すべき点は、従来租税払戻金はこれを税収内に包含させ、別に歳出面同一額を計上いたしたものでありましたが、二十九年度からはこれを差引いたしたものをもつて租税及び印紙収入といたしておるのであります。  第三には、直接税の比重を軽くし間接税比重を重くいたしておる点であります。すなわち、現行法による直接税の比率五五・五%、間接税四二・二%に対し、明年度は、改正法に基き、直接税五三・七%、間接税四三・三%となつておるわけであります。換言すれば、直接税は減収間接税増収を見込んでおるわけであります。  第四には、中央と地方との収入調整をはかつている点であります。たとえば、新設交付税及び譲与税配付金特別会計に入つた入場税の九〇%を地方に配付し、残り一〇%を国の一般会計の雑収入としたことや、タバコ消費税を創設したことなどはそれであります。これがなければ、専売納付金はピースの値上げを見込み八十八億円の増加と相なつて参るわけであります。  第五は、消費抑制勤労の尊重、最低生活保障等社会政策的考慮をいたしておる点であります。たとえば、高級酒及びビール等に対する酒税引上げ奢侈品高級品等に対する物品税引上げ等を行つたことや、所得税につき基礎控除及び扶養控除引上げたことなどはそれであります。  第六には、資本蓄積の促進を考慮いたしておる点であります。すなわち、所得税において生命保険料控除引上げ預貯金利子税率引上げなど、また法人税に対する各種措置などにおいてこれを見ることができる次第であります。  以上、一般会計歳出入につき御説明申し上げました。  次に、特別会計は、米国対日援助物資等処理及び緊急物資輸入基金二つ特別会計が廃止されまして、新たに交付税及び譲与税配付金特別会計が設置されるため、二十九年度末における特別会計の数は差引三十二となるわけであります。これら特別会計予算総額は、歳入一兆六千九百四十四億円、歳出一兆六千百八億円であります。これを本年度に比べますと、それぞれ二千九十八億円、一千八百五十億円の増加であります。  最後に、政府関係機関予算について申し上げますならば、これら諸機関収入支出予算は、収入八千七百五十四億円、支出七千三百五十四億円でありまして、前年度よりそれぞれ六百九十二億円、八百七十五億円の増加であります。  以上のごとく、明年度予算案政策の大きな変化を包蔵いたしておりますだけに、委員会における質疑は、主としてこの予算性格、またその実施の結果が日本経済に及ぼす影響ともいうべき点に重点が置かれておるわけであります。  次に、それらのおもな点について申し上げますならば、第一に、この予算世上デフレ予算と称されておるが、そう断定してさしつかえないか。この予算執行により、はたして政府の期待するがごとく五分ないし一割の物価引下げが可能であると信じてよいのか。また、原料の大部分を海外からの輸入に仰がなければならない日本経済基本的な条件ないしは産業構造から見て、物価国際物価に近づけることは困難なのではないか。一時的あるいは部分的に投売りの形での価格下落はあつても、根本的なコストの引下げにはならないではないか。ことに、外貨激減輸入を阻止し、物価引下げの困難を予想させるものが多いではないか。  第二に、この予算は、ここ数年来政府が提案し来つた予算とはまつたく異なつ基本方針に基いて作成され、しかもその変更が財政経済政策基本を大転換させるような性質のものであり、日本経済力はこれにより重大な影響をこうむるものであると思うが、それにしてはその出し方があまりに唐突のきらいがあり、国民をしてその前途に多大の危惧の念を抱かしむる懸念なしとしない、少くともこれに対応した経済産業の全般にわたる一定の計画をあらかじめ立て、これを国民の前に示し、その納得を得るだけの用意がなければならなかつたのではないか。大体、この予算外国の指示によつてつくられたものではないのか。さらに執行にあたつては時期的に支払い計画を立てることが必要なのではないか。要するに、緊縮方針緊縮方針なりに、計画性あるいは積極性を持たせなければならないのではないか。  第三に、政府は、予算編成にあたり、いわゆる一兆円のわくにとらわれ過ぎ、自然その編成に無理があつたのではないか。たとえば、歳入面において租税自然増収を全然見込んでいないことや、租税払戻金差引いて計上してあることや、入場税の九割及びタバコ消費税一般会計からはずして新設地方交付税交付金及び譲与税譲与金特別会計または地方への直接納付に移しているなどが指摘せらるべきであるし、さらに、歳出面においては、国民生活に直接至大の関連を有する重要経費に対しきわめて無理な削減を加え、特に財政投融資削減産業活動の沈滞を必然的に招来するものとなりはしないか。しかも、一方防衛費増額させていることは、この予算が再軍備予算性格を持つものだと言われてもしかたがあるまい。これらの点から見て、この予算は必ず近い将来に補正予算を組まざるを得なくなるであろう。  以上が質疑のおもな点でありました。  これに対する政府側答弁は、すなわち、緊縮予算は決して政府国民意思に反し国民に押しつけるものではなく、予算を一兆円のおくに納めよということは、むしろ輿論の一致した要望であつたのである。いわんや、外国の示唆によつて急遽つくり上げたなどという性質のものでは断じてない。この予算のねらいは、日本物価引下げることによつて国際収支の均衡の回復を早めたいという点にあるのであつて、もちろん急激なる物価下落によつてわが国経済に著しい打撃を与えないよう十分に注意する。従つて明年度に実現しなければ翌年度翌々年度と逐次所期の方向に進めたい。しこうして、物価引下げ目途は大体昭和二十七年の物価水準に持つて行くことにある。財政面だけでなく、金融その他の面においても十分効果のあるような施策をとり、もつてこの予算の意図するところのものを達成いたしたいと思う。また、一兆円のわくに納めたことには別段無理があるとは思わない。財政投融資については、最近は過剰投資の傾向が見られるので、財政投資重点的に行いたい方針である。予算実行にあたつては十分慎重に行い、たとえば年度の初めに偏して支出を行うようなことは厳に戒めたい。また、予算わくを拡げ財政規模を膨脹させるような補正予算は絶対に出す意思がない。防衛費増加したのは、自衛力漸増という政府根本方針から当然に出て来る結果であり、その内容保安庁経費増加である。保安隊増強は再軍備意味するものでないことは、総理大臣初め政府が繰返し御説明申し上げたところであり、これをもつて軍備予算という意味におとりになることは政府とまつたく見解を異にするところである。  予算性格その他本質的問題に関しては、大要以上のような質疑応答がかわされました。  その他、租税金融貿易特需MSA援助、為替、農業、地方財政中小企業等予算関係の深い幾多の重要経済問題も熱心に論議せられましたが、これを一々申し上げることは省略させていただきます。  審議の途中公聴会を開きまして、各方面の権威者により忌憚なき意見の開陳を求めました。また分科会を開き、細目にわたり熱心な質疑も行われた次第でありますが、これらも会議録に譲ることといたします。  かくて、質疑は昨三日午前をもつて打切りになりまして、午後の委員会におきまして、社会党両派より予算編成がえを要求する動議提出され、また自由、改進日本自由の三党よりは共同修正案提出されまして、三党を代表して改進党稻葉修君より修正案説明がありました。社会党両派の組みかえ動議については別に御説明があるようでございますから、この三党修正について簡単に御報告をいたしておきます。  この三党共同修正は、まず九千九百九十五億円のわくを絶対にはずさないことを原則とし、金額修正は九十億円として、そのうち五十億円は物件費節約等によつて支出すべきも、当分の間政府予備費よりこれを支出することを認め、さらにこの趣旨沿つて一般会計歳出増加所要額五十億円の財源は、予備費を同額修正減少するも、政府成立後その実行に際し物件費及び施設費等につき節約を行うこととし、その節約額は五十億円を目途とする。なお予算不足または予算外支出の必要が生じた場合は、できる限り節約額の使用によつて対処する。なお、国民金融公庫及び中小企業金融公庫資金増四十億円のうち、十九億円は中小企業金融公庫よりの日本開発銀行への返還資金を延期することにより措置し、二十一億円は別途地方負担増加四億円と合せ二十五億円につき、さしあたり資金運用部資金運用計画を変更し、日本開発銀行に対する貸付金を十五億円、金融債引受十億円をそれぞれ減少することとする。一般会計歳出修正増加に伴う農林漁業金融公庫に対する資金需要の増は、同公庫の既定の資金の範囲内において処理するものとする。さらに、この修正動議に加えまして、代表者稻葉修君よりは、今日この予算を通過するについて三本の支柱を希望する、第一は、投融資計画委員会というようなものの設置を要望する、第二は、第三次資産再評価の立法的措置要望する、第三は、労使協調制度の確立を要望するという点であります。これらに対して、政府から、御趣旨は尊重して十分検討するという答弁があつた次第であります。  なお詳細については会議録を御参照の上参考にせられるようお願いいたしたいのでありますが、右動議及び修正案並びに政府原案一括討論に付したのであります。  採決の結果、編成がえの動議は否決され、一般会計予算及び政府関係機関予算は三党の共同修正案通りいずれも修正議決され、特別会計予算政府原案通り可決された次第であります。  以上をもつて委員長報告といたします。(拍手
  5. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 昭和二十九年度一般会計予算外二件に対しては、佐藤觀次郎君外十四名から三件の編成がえを求めるの動議提出されております。この際その趣旨弁明を許します。川島金次君。     〔川島金次登壇
  6. 川島金次

    川島金次君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました昭和二十九年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算案反対をし、なお、やがて説明されるであろうところの自由党改進党、日本自由党の保守三党のいわゆる共同修正案にも、もちろん反対をする。ここに社会党両派共同提案にかかる予算案の全面的な組みかえの動議説明し、各位の賛同を期待いたすものであります。(拍手)  このたびの政府予算案を一言にして言うならば、国民生活をまつたく無視いたしまして、大衆犠牲において再軍備をいよいよ露骨に強行するものと言わなければならないのであります。(拍手)この意味で、国民には耐乏を求めながら、あえて憲法に反する大砲をつくり上げようとする、言語道断、憲法違反の疑い深き予算言つて過言ではないと信ずるのであります。(拍手)  すなわち、政府は、日本経済再建の要件であります国際収支改善、そのための国内物価引下げ目途とし、いうところの緊縮予算編成したのでありますが、これは、不要不急あるいは非生産的支出を減じまして、しかもなお民生の安定を確保することに最大の重点が置かれなければならなかつたにもかかわらず、逆に、かえつてMSA協定締結に伴う防衛庁法並び自衛隊法の両案の制定と、いわゆる警察権力の集中化法案相呼応して、ますます露骨なる再軍備を促進するために、まず保安庁費におきましての百七十五億円の増額を筆頭にいたしまして、平和回復善後処理費の百二十億円、軍人恩給費の百八十八億円の増額をあえていたし、他面、民生安定に真に不可欠の諸経費は文字通り軒並に削減され、経済自立達成という必須の大目標は跡形もなくくずれ去ろうとしておるのでございます。(拍手かくて、目下必死の立場にあります中小企業を初め、農民勤労者等国民大衆はもちろん、かんじん財界の一部からさえも、この軍備予算基本とする政府経済財政方策に限りのない疑問と不安を投げかけておることは、まさにまぎれもない事実であると申さなければなりません。(拍手)  かくして、本年度予算案こそは、国民の全面的な協力を絶対的に必要とするにかかわらず、早くも国民大衆からは反撃を受け、財界からすらも不安と不信を投げかけられておるありさまでは、民生の安定はもちろん、正常なる物価引下げなどまさに思いも寄らぬことになることは必至であると申さなければならぬと思うのであります。(拍手)さればこそ、唯一の力と頼んでおりまする改進党の諸君ですらも、この予算案はまつたく実のない飾り窓の予算だと酷評し、さらに日本自由党すらも、まことにこの予算はたよりのない予算だとさえ正直な批判を加えていることによつても、(拍手政府予算案がいかにごまかし予算であり、この予算がいわゆる羊頭を掲げて狗肉を売るたぐいであるということが、きわめて明白に証拠立てられると信ずるのでございます。  今や、わが国の問題である国際収支は、実に残念ながら悪化の一途をたどつておることは言うまでもございません。しかも、政府外貨手持ちは、去る一月の一箇月だけでも実に一億ドル減じております。しかも、このまま現状をもつて推移いたしますならば、来る八月には政府手持ち外貨は五億台を下まわる重大事態に立ち至るであろうと言われておるのであります。一方、民間企業政府の冷淡きわまる施策犠牲となつて有力商社倒産するもりが今や続出のありさまであり、その数は昨年に比べまして、実に二倍を越えるという実情でございます。たとえば、これを繊維関係の問屋だけに見ましても、本年一月中に四十三社というおびただしい有力商社倒産を見ております。これを昨年の一月の倒産の数十八社に比べて、実に三倍近くの惨状を呈しておるというありさまであるのであります。それかあらぬか、東京だけの不渡り手形は、一日実に千枚はおろか、はなはだしいときには二千枚にも及ぶという実情であり、まさに中小企業の危機は迫つていると申さねばならず、政府の責任また重大だと断言しなければならないのであります。(拍手かくのごとく中小企業の深刻な様相は、勢い賃金支払いの遅延あるいは賃金の不払い、さらに悪化するところ、遂には不当の首切り、無念の辞職を続出させまして、労働不安は一層に増大し、失業者はいよいよ拡大し、社会不安を激化せしめないとは、一体だれが保証できるのでございましようか。  一方、農村に眼を転じまするときには、食糧増産費は実質において減額が強行されております。政府食糧増産政策は那辺にあるかを疑わしめるのみならず、農家直接の土地改良費はほとんど削減され、さらに金融の面では驚くべき羊頭狗肉の策をでつち上げているのであります。すなわち、農林漁業公庫融資総額は、二百六十六億円のところ、二十九年度は二百二十五億円に減額されており、しかも、そのほとんどが五分の利息をつけるという資金運用部融資に求めておるのでございます。農民の票を大きくさらつて、うまうまと天下を取つた自由党農民に与えようとする回答は、かくのごとく冷血無残なものであるということは、この一事によつて明らかであります。(拍手)今や、農村は、政府の誇らかにとなえて参りました農村消費水準は戦前を上まわるに至つておるというにもかかわらず、零細中小耕作農民生活はようやく逼迫と窮乏を加えており、かんじん耕作地を手放す者の数がまたようやく多きを加えようとしており、都会における失業者の帰農と相まちまして、農村様相は今やまさに暗雲におおいとじ込められておると言つて過言ではないと断定する次第であります。  また、さらにこれを勤労者立場から見ますときに、勤労階級に対する何ら積極的な施策を見ることができないのであります。たとえば、かりに政府の言うがごとく明年度物価が若干の引下りを見るといたしましても、勤労者の生計は依然として守られないであろうことは明らかでありますにもかかわらず、そのまま理不尽にも低賃金を押しつけようといたしておるのであります。第一に、今日の地域給を是正し、その均等をはかることは、勤労者生活を守ることにきわめて重要な要件であると申さなければならないのでありますが、それが何ら政府においては積極的に配慮されておらないのであります。また、われわれは、低額所得者の大幅減税を断行し—一すなわち、少くとも月収二万円以下の者に所得税をかけて乏しい月給袋の中から少からぬ手痛い源泉課税を引くなどということは、決して勤労者生活を保障するゆえんでもなければ、勤労者勤労意欲を盛んにする方策でもないにもかかわらず、政府今回の減税政策は、真に勤労大衆生活を守るという積極的な熱意の欠けるのはなはだしいものがあると申さなければならぬのであります。(拍手)  政府は、さきに、大蔵大臣の財政演説におきましても、日本国際収支改善をはかり、しかして日本経済の再建を促進するためには、何はともあれ財政緊縮し、金融を引締めて、国民に耐乏を求めなければならないのであると言明をいたしておるのであります。昔から、寝ていて人を起すなということわざがあります。政府のこの言明にもかかわらず、吉田首相は、一人葉巻をくわえながら、なおかつ勤労国民に対してはタバコのバツトすらも節約せよと強調いたしておるにひとしいものでありまして、(拍手)これこそ寝ていてまさに人を起すたぐいであると断言せざるを得ないのであります。われわれといえども、一日も早く国際収支改善いたし、貿易を振興し、日本経済の再建をはかりまするためには、当面の国際物価高を根本的に是正し、そのためには国内の物価引下げるということの必要であるということは、あえて反対をいたすものでは決してないのであります。問題は、いかにしてこの物価引下げ政策国民の全面的な協力を得て遂行するかにかかつておるものと考えるのでございます。しかるに、政府は、いうところの財政規模におきましても、一兆円以下に押えて圧縮したと誇らかにこれを強調いたしておるのでありますが、まずこの一兆円以下に圧縮したという財政規模においてそもそものごまかしがあることを国民は決して見のがさないであろうと思うのでございます。(拍手)  たとえば、従来の予算でありますれば、諸君も御承知通り租税の還付金というものが予算案には必ず七、八十億ないし百億程度は計上されて来たのが予算計上の習わしであるのであります。国民から税をとり、その税をとつたことに齟齬があり、またその他の事情によつて国民に還付をいたさなければならない金額であるにいたしましても、一ぺんそれは必ず国民から政府の金庫の中に入れべき性質の、完全な納税金の全体であるのであります。従つて、それはことごとくその税額の全体をば予算歳入面に計上しなければならぬということは、これは申し上げるまでもないところでございます。しかるに、この当然に上げべきところの租税納入金の全額を、ことさらに租税還付金に相当する額だけをひそかに削つておいて、その削つた残りの総額だけを予算歳入面に計上するということをいたしたのでございます。これは政府がいかにして一兆円の財政規模内で押えようといたしたかの苦肉の策であつたということは、この一つの事柄をもつていたしましてもきわめて明白でありまして、(拍手)まずこのことをもつていたしましても、財政政策がいかに国民を欺瞞するものであるかといところを重ね重ね明らかに立証するものなりと言わなければならぬのでございます。  さらに一例をあげますならば、今度の予算におきまして、政府は突如として競輪、競馬あるいはオート、・レース等の納付金を歳入に計上することをとりやめたのであります。私どもは、あえて競輪、競馬、オート・レース等の納付金の問題の是非をここで論じようといたそうとするのではございませんが、この三者の納付金を当然従来は計上しておつたものを、ことさらにこれを強行いたしまして予算歳入面から削り取つたということも、納付金をやめたくないというのが本来の腹である。しかるにもかかわらず、いかにして予算規模を一兆円内でとどめようかとした、これまた二重、三重の苦肉の策域外の何ものでもないということを明らかに物語つておるのであります。(拍手)このように、予算編成の上に深くぬぐいがたい国民に対する欺瞞を内包いたしておるのであります。このような欺瞞な方策に対しまして、いかにして国民全体のこの予算遂行に対する協力を得ようとするのか、まことにわれわれの納得の行かざるところであるのでございます。  またさらに、政府は、この一兆円の財政規模は実に思い切つた一つの施策であるかのごとくに言いふらしておりまするけれども、これまた、私たちをして言わしめるならば、まつ赤な偽りであるということをもう一つあげてみなければならぬのでございます。すなわち、なるほど政府一般会計においては、今私が指摘したように、無理算段をした、文字通りの苦肉の策によりまして、辛うじて一兆円をわずかに五億円だけ下まわるという苦心さんたんの予算編成いたしたのでございまするが、これとともに、政府財政緊縮を一貫いたさせようといたしますならば、地方財政においてもその精神が貫かれなければならないのであり、いわんや、政府関係機関特別会計等においても、この基本的な精神は断じて貫かれなければ、その態度が明らかであり確固としたものであるということは断じて言えないのでございます。ところが、これをしさいに検討いたしますときに、あにはからんや、一般会計においては九千九百何がしという、一兆円をわずかに五億円下まわる財政規模でありまするけれども、これを他面特別会計あるいは政府関係機関等の予算を総合いたしまして合計いたしますときには、実に驚くなかれ二兆五千三百億円という厖大な額に達するのであります。この両会計の合計額は、昨年の合計額に比しまして、実にこれまた五百億に近いところの増額を計上いたしておるのでありまして、一体政府緊縮財政というものは奈辺にありやいなやを、この数字をあげただけでも明らかに見取らざるを得ないのであります。さらに地方財政を見ますときに、これまた地方財政の合計額は驚くなかれ九千六百五十億円という巨額に止つておりまして、昨年度の純増額から比較いたしますと、これまた百億円の増額であるのであります。このように申し上げまするときに、いかに政府緊縮財政政策がごまかしであり、首尾一貫していないものであり、しどろもどろであるかということは、ますます明白にならざるを得ないと存ずるのでございます。(拍手)  このような、何らの確信のない、確固たる基本的な方策もない財政政策を押し通して、しからば、いうところの政府物価引下げ政策というものがはたして目的通り実現できるかどうかということも、きわめてまた疑わしいと思うのは、あえてわれわれひとりではなくして、今や財界の一部にさえも、この政府のやり方ではたして物価が引下がるかいなやということに重大な疑いを投げかけておることも、これまたまぎれもない事実であるのであります。(拍手)たとえば、内閣が頼みの力といたしておりまする日銀総裁の一万田氏は、政府財政経済政策の中で、今行つておるような金融一本やりの政策において国内の物価引下げようとすることはそもそもの無理であると言明しておるし、さらにまた、日銀政策委員会の中の多くの有力な人たちの意見を総合するときには、いかに政府金融引締策だけを講じても、政府の目的としておるような、年間を通じて五%ないし一割の物価引下げはまことに困難であると言明しておる人が現われております。しかも、その理論的根拠は、金融引締めだけではその目的が達成しない、進んではその金融的な資金統制も行わなければならないし、また重要な物資面にも計画的なものを付与いたさなければならない、言いかえれば、物資的な重要な面において統制的なものを施さない限りにおいては、いかに金融引締め政策だけを強行いたしても、それはいたずらに中小企業金融難に追い込むだけであり、中小企業をしてさらに一層悪化せしめるだけであつて物価引下げ政策の目的は完全に実現しないであろうという結論をいたしておるのであります。(拍手)  このように、政府が頼みといたしております日銀総裁も明らかに物価引下げに多くの疑惑を投げかけており、政策委員会における有力なる人たちの意見は、あげてこの金融政策だけでは物価引下げが不可能であると結論をいたしておるほどであつて従つて、この政府の今次の財政経済政策というものは、物価引下げ政策を唯一の金看板にいたしておりますけれども、この金看板はやがてこの秋、ころになるとそろそろ内閣の運命と同様にはげて行くのではないかとわれわれは予感をいたしておる次第であります。(拍手)  何と言いましても、日本経済の再建、日本経済の自立達成は、言うまでもなく、物価引下げ政策を強行し、国際収支改善をはからなければなりませんが、いかに国際収支改善物価引下げ政策を断行いたそうと思いましても、結論といたしましては、物をつくる人たち、また物をつくることに間接的に協力をしておりまする経済再建の大きなにない手である労働者を初め農民諸君中小企業諸君、これら広汎な勤労大衆諸君の協力なくいたしましては、断じて日本経済の自立の達成は不可能であるということは言うまでもないのであります。しかるに、政府政策というものは、この勤労大衆の協力を求めようといたしておらないのはもちろん、かえつて逆に勤労大衆から離れようとし、あるいは勤労大衆を弾圧しようとする態度がようやく露骨になつて来ておるということは、われわれの断じて見のがすことのできない一事実であるのであります。(拍手)  すなわち、今回政府は、教職員の政治活動に対する制限法案を制定いたしまして、当然に教職員が持つておりますところの、憲法に保障された自由の権・利、政治活動の自由というものに、この悪法によつて制圧を加えようとたくらんでおるということは、まず政府勤労階級に対していかに理解なきかはもちろん、勤労大衆の自由をいかに剥奪しようとするか、そのたくらみをたくらんでおるということの何よりの証拠であると申さなければならぬのでございます。さらにまた、今般政府は警察法の改正を断行いたしまして、いわゆる警察の権力を内閣総理大臣の一手に掌握いたし、一方においては自衛隊法を制定し、あるいは保安庁法を根本的に改訂いたしまして、外敵の侵入に対しても保安隊が出動できるという、明らかに憲法背反の法律を制定することを強行せんとする態度に出ておるのでございます。このような警察法の権力の集中化、あるいは教員の政治活動の制限、あるいは警察国家の再現をたくらもうとするような、これら一連の陰謀によりまして、まず何はともあれ、ことしここに出して参りました昭和二十九年度の、露骨な再軍備を強行するに最も容易なるところのあらゆる条件をわれわれの目の前において積み重ねて行こうという陰謀以外の何ものでもないということを、われわれは決して見のがすことができないのでございます。(拍手)  以上申し上げましたところによりまして、私どもは、昭和二十九年度政府原案は、ことごとく、日本経済の自立達成どころか、かえつて労働者を初め農民中小企業を一層に窮乏の底に追いやるのみならず、それがやがて失業者の増大となり、社会不安の深刻化となり、あるいは農村社会におけるところの耕作地の放棄となり、ひいては農村の娘までも売り飛ばさなければならないという悲惨なる現実を再現するようなことに相なるのでございまして、勤労大衆の協力を求めることは断じて困難でありまするのみならず、それがひいては日本の生産力の増強をはばみまして、政府の言うところの経済の再建、物価引下げなどはいよいよますますもつて思いも及ばぬものであるということを、われわれはあえて断言せざるを得ないのでございます。(拍手)  以上のような趣旨からいたしまして、私どもは、両派社会党共同作業によりまして、ここに共同組みかえの動議提出いたしました。  その基本方針といたしましては、政府の言うところの物価引下げ政策、この経済政策は断じて不可能であるという建前でありますることはもちろんでありますが、ただ、われわれ日本社会党両派におきましては、物価引下げの必要であるということはもちろん認めることにやぶさかではないのでありますることをまず明らかにいたしておきたいのでございます。その意味におきまして、われわれ両党の立場におきましては、今年中少くとも五%程度あるいは七%程度の物価引下げを如実に実現しなければならないという基本的な立場をとるものでございます。  第一には、それがためには、予算規模政府の案よりもややさらに圧縮しなければその目的は達成できないとの強い立場を持つものであるのであります。そのゆえに、われわれ両党におきましては、政府の原案九千九百九十五億円の財政規模に対しまして九千八百六十三億円とするということでございます。これによりまして物価引下げを促進し、さらに国際収支の一段の改善を促進することを大方針といたしておるのでございます。  第二には、今日の最大のインフレ要因であり、かつ非生産的な経費であるところのMSA受入れのための防衛関係費の削除によりまして、生産的な支出国民生活の安定と治安確保のための経費にこれを充当しようといたす建前であるのでございます。  第三には、国民生活安定のために低額所得者の減税に重点を置いた点であります。すなわち、大衆課税の大幅減税を断行し、また一面、繊維消費税のごとき究極においては大衆負担となるような天下の悪税に対しましては、全国五十万の中小企業者と相携えて、断固として反対の意見を天下に表明いたしたいのでございます。(拍手)さらにまた、社会保険、失業対策等社会保障諸費の増額、義務教育費国庫負担の完全実施を初めといたしまする文教諸費その他の増額をはかりまして、実質給与所得の充実をはかることに大きな力点を置いているということでございます。  第四番目には、国家管理を前提といたしました単独事業法の制定のもとにおいての基礎産業の近代化、及び一万二千円二重米価に基礎を置いた農業経営の安定、並びに中小企業の安定をはかるため財政投融資増額を行うということにあるのであります。  最後に、警察法改正その他の民主主義に逆行する一切の法制改悪に対しましては国民の名において断固反対の闘争を続けて行く立場を明らかにいたすものでございます。(拍手)  以上の観点に立つての詳細な組みかえ動議内容につきましては、お手元にあらかじめ配付をいたしてありますので、その説明は省略いたすものでございますが、要するに、今の吉田内閣の財政経済政策を含めた一切の基本的政治方式というものは——昔から、道はすべてローマに通ずるという言葉がありましたが、今の吉田内閣の政治ルールというものは、道路というものは、一切あげてアメリカのワシントンに通ずる、(拍手)その机の上から一切の政治が行われているということをますます国民の前に露骨に露呈いたしていることを、わが日本民族の立場からきわめて遺憾に感じているのは私一人ではないと断言してはばからないのでございます。(拍手)  日本国民大衆は、一日も早い日本の完全な独立、日本の完全な自由、日本の完全な平和を念願してやまないことは、まぎれもない事実であると確信いたします。しかるに、自由党並びに吉田政府は、今日の時代において一発の水素爆弾がよく四十平方キロの地上の文明と人類と生きとし生ける者を壊滅するであろうという、実に巨大なる驚くベき科学兵器の進歩を目の前にしながら、戦時中においてよく言われましたB二九に対して竹やりをもつて立ち向うより以下の再軍備ならざる軍備をもつて日本の平和がはたして確保できるやいなやの疑いは——あえてわれわれのみならず、あまねく勤労大衆の、この世界の情勢の認識の上に立つて、このような国民耐乏の現実を無視したいわゆる戦力なき軍備を強行することに対しては断じて承服できないという声は、今や全国津々浦々にわたる輿論であると言つても決して過言ではないのでございます。(拍手)いわんや、かくのごとき窮乏の底にある日本でありながら、戦力なき軍隊を持つて、その乏しい財布の中から再軍備を行いまして、それがかえつて日本の平和を防衛することにならないのみならず、かえつてそれがアジアに対する大きなる刺激となり、あるいは世界の一方に対する刺激を挑発して、かえつて逆に日本の、アジアの平和を撹乱する以外の何ものでもないということを、勤労大衆は心から真剣に憂えているのでございます。  さらにまた、いわんや最近における世界情勢は、米ソの接近によつて、ようやく、水素爆弾、いわゆる原子力管理等をめぐりまして、話合いの中で世界の危機を取除こうという熱意と積極的な態度が現われておるということは、これまたまぎれもない事実であります。かくて、世界における戦争の危機は今や遠ざかり、世界の平和の曙光はわれわれの目の前にきざして参つているということも事実であります。何を好んで、このような世界情勢の認識に目をおおつて、戦力なき軍隊をば、しかも今の窮乏の底にある国民の血税の大半をしぼつてまで、あえて強行しなければならぬという理由が那辺にあるかを、国民の大部分は了承しがたいのでございます。いわんや、日本の独立におきまして、あるいは日本国民の念願する自由の獲得におきましては、いよいよもつて勤労国民大衆憲法に保障されました自由が強力な自由党政府によつて次第に剥奪されようといたしております。警察国家の出現はやがて特高警察となつて現われ、すべての国民に対する言論の自由、ひいては結社の自由をすらも奪われないとは、たれが保証できるでございましようか。  われわれは、この吉田内閣の限りなき反動政策に対して、民主主義を守り、日本の自由を寄り、国民の天賦の権利を守り貫くことこそが日本の独立と平和と自由を守るゆえんであるという基本的態度に立ちまして、二十九年度予算はまぎれもない再軍備予算であり、権力集中の予算であり、それが勤労大衆の限りない耐乏の上にのみなされた予算であるということを深く認識いたしまして、この予算案の根底的な爆砕にわれわれは力の限りを尽して努めるということを国民の前に明白にいたしまして、以上、わが日本社会党両派共同提案になります予算の根本的な編成組みかえの動議提出いたしました趣旨弁明といたす次第でございます。(拍手
  7. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これより討論に入ります。小林絹治君。     〔小林絹治君登壇
  8. 小林絹治

    ○小林絹治君 私は、自由党を代表して、ここに上程されております昭和二十九年度一般会計予算外二件に対する委員長報告に賛成し、両派社会党共同提案の編成がえの動議には反対の意を表明せんとするものであります。  今日、わが国の経済は、大蔵大臣もその財政演説において述べられております通り、外観においてはかなり繁栄を示しておるにかかわらず、その実態においては、世界経済に比してインフレ的傾向になつておるのであります。これがため、わが国国際収支は、昭和二十八年において約二億ドルの赤字を示しておる。その趨勢は本年に入つていよいよ強まりつつある状態であります。これに伴いまして、わが国の保有外貨は、昭和二十七年末十一億三千七百万ドルであつたものが、今日ではすでに九億ドルを下まわつていると推測されるのであります。現在のわが国の最も重要な政治の課題は、いかにしてこのインフレ傾向を是正するかということであります。今や、政府国民もあげてこの問題に直面し、この問題の解決に努力すべきであります。  しこうして、インフレ傾向の是正のためには、まず第一に財政規模の縮減をはかることが必要であります。何と申しましても、財政面における投資支出は積極的かつ直接的に購買力として働きます。従つて、これが過大である場合は、インフレーシヨンを推進する要因となることは、例外のない事実でございます。特に昭和二十八年度財政は、前年度に比してその規模が膨脹したのみならず、修正、補正による膨脹の経過から推しはかりまして、財政規模は今後年々増大をして、インフレ経済の是正を不可能ならしめるのではなかろうかとの印象を一般に与えたのであります。従つて昭和二十九年度一般会計予算総額を一兆円以内にとどめ、前年度の一兆二百七十二億円に対して縮減を行い、年々の財政膨脹の傾向に終止符を打つ決意を示すことは、インフレ経済是正のために絶対必要なる第一要件であると思うのであります。  今日、財政支出に対する需要は厖大なものがあり、個々の経費といたしましては、きわめて必要なものの多いことももちろんでありますが、国民経済全体の立場から、予算を一兆円以内に圧縮すべきものと考える点において、おそらく何人も同感であろうと思うのであります。この意味におきまして、一般会計予算額を九千九百九十五億円にとどめ、財政投融資との通計において、昭和二十八年度に比し五百九十億円の減少をはかつたことは、経済健全化に強い筋金を通さんとする政府の固き決意を現わしたものと思うのでありまして、私は双手をあげて賛成するのでございます。  次に、財政面からするインフレの要因を除去するためには、歳入面における財源が問題であります。この点において、政府が、過去の蓄積資本の放出に依存するというような安易な考えを捨てて、また一方は公債の発行は一切しない、いわゆる均衡財政の原則に立ちもどりましたことは、まことに時宜を得たるものと思うのであります。  この予算実行に伴い、日本経済が過度にデフレ的になるとの懸念を持つ向きもあるのでありますが、私の考えといたしましては、中央及び地方を通ずる財政規模からいえば、物価に対する影響はさほどデフレーシヨンにはならない、インフレでもなければデフレでもない、その中間であるところのデイスインフレに向うものであると思われるのでありまして、政府目途するところもここであろうと推察するのでございます。何となれば、財政がインフレ推進の主要因であつた過去の趨勢を脱却した効果は大きい。しかしながら、予算削減のみによつて経済をデフレーシヨンに追い込むおそれは、他の多くの例を見ましても少いと考えられるのであります。インフレ経済是正のためには、財政面のみならず、金融その他の面において総合的なる施策を講ずる必要があると考えるのでありますが、およそわが国の経済の実情を真剣に考えますならば、政府はもちろん、与党にせよ、野党にせよ、予算規模をいかにして縮小するかということを第一の目標にしなければならぬと思うのであります。その中で予算の配分を合理化し、予算の使用をより効率化することに努力をしなければならぬ。この際、個々の事情にとらわれて、緊縮予算という全体の立場を軽視するようなことがもしありましたならば、それは絶対に許されないのであります。  まず、予算の配分の問題について述べたいと存じます。  第一に、防衛費につきましては、世上ややもすれば防衛の問題を抽象的な観念論をもつて律し、はなはだしきは保安隊の廃止を前提とする防衛費の不要を唱える者もあるのでありますが、かようなユートピアの夢のような考えは世界には通用しません。おそらく、世界のどこかでは、肩をすぼめて舌を出して喜んでいる人たちもおりましよう。この問題については、国際政治情勢わが国の外交関係、世界政局の間に立つわが国の今日の事情、それから経済力等の諸点を実際に考えて行かなければなりません。私は、明年度予算案において政府がこの程度の防衛費増額をはかつたことは、種々の観点から見まして、わが国としてぜひとも必要な限度のものであると確信するのであります。  第二に、経済の正常化に伴う失業等の摩擦に対処するために、また民生安定のために、社会福祉関係経費についても、予算緊縮影響を過大に見る人たちからいたしますと、この費目の増額の要求も強いわけでございますけれども、今日の生産その他の経済規模からいいまして、必ずしも失業者の急激な増大を来すものとは思われません。財政緊縮を眼目とし、軒並に予算削減しておるときに、この種の経費のみを過大に増加計上することは、財政建直しの基本計画から見まして必ずしも適当でないと考えるのであります。  しかしながら、この予算案におきましては、もとよりこの経費の大切なことは申すまでもありませんから、相当の重点を置いて、明年度の分は今年度よりも増額しておりまして、この点は、税制の面におきまして低額所得者の負担の軽減をはかつたこととともに、きわめて妥当な処置をとつたものであると私は信ずるのであります。  第三に、この予算案は、財政投融資については、電源開発、中小企業等重点を置きつつ、全体として約六百億円の削減をはかつているのでありますが財政投融資が民間関連産業に与える影響を考えますと、インフレ是正のためにはこの程度の削減は必要であると思うのでございます。また公共事業費、食糧増産対策費等についても、総花的の傾向を排して重点化をはかつておりますことは、行政整理、各種補助金の整理等とともに、財政緊縮効率化の見地からまことに時宜を得たるものであると考えるのでありまして、私は政府が今後ますますこの方針を強化推進することを切望いたすのでございます。  以上のごとく、この予算案は、その規模及びその配分ともに適当なものとして賛成するのでありますが、私は、この際、この予算案に関連し、今後の経済の健全化のために強く政府要望いたしたい諸点がございまして、今それを申し上げます。  すなわち、第一に、経済健全化に対する政府の確固たる決意を示すべきことであります。今日なお補正予算の可能性を信じておる者があります。結局緊縮財政方針が破れるものと見て、補正予算がまた出て来る余地のあるように誤信をしておる者が相当あると思うのであります。かような観測が、金融引締めの政策緩和の臆測とともに、今日の投機、思惑等の傾向を助長しておるのであります。政府は、予算実行調整をはかる等の措置を講じて、絶対に補正予算は出さないという決意を曲げてはならないと思うのであります。政府は万難を排してこの所信に邁進されるように希望をいたします。  第二は、予算の厳正なる執行であります。インフレを抑制することは、反面から申せば金を大切にすることであります。近年、ややもいたしますと、国民の貯蓄心は減退し、金や物を軽んずる気風が顕著になつて来ているのではないかと思うのであります。政府は、財政支出規模を縮減する反面に、この使用を適正にし、できる限り仕事の量を多くするように、また少い金で大いに効果をあげるように、いろいろ考案を立ててもらわなければならぬと思うのであります。この意味におきまして、今後さらに予算実行節約をはかり、国民に範を示して、また予算使用の監督を強化することを怠つてはなりません。  第三には、金融の強力なる引締めが必要であります。先にも申しました通り、この予算案では、インフレ、デフレへの影響は、むしろ中立的のデイスインフレーシヨンでありまして、今後経済健全化のために金融が果すべき役割はきわめて大きいのであります。この見地から、すでに政府金融引締め強化の方針をとつておられるのでありますが、この点につきましても、あるいは不況の兆が現われて、企業の中では倒産、失業等をするものが出て来るようなことがありましたときには、この方針政府は緩和するであろうというような臆測が、これまた一部にあることは免れないのであります。しかしながら、かかる臆測を完全に克服するため、政府は勇敢に金融引締め強化の具体策を進めてもらいたいと思います。  第四に、外貨の使用については、この際輸入及び貿易外を通じ、不要不急支払いを徹底的に節約し、また貿易政策等の面においても、安易な助成的の、従来ちよいちよいやつておりました措置でなく、さような安易な措置に依存をしないで、堅実にして強力な輸出振興の方途を講ぜられんことを望むのでございます。(拍手)  第五に、地方財政緊縮について国力の輿論を喚起しなければならぬと思います。政府は、この際全国知事会議を招集して、わが国経済実情について率直に十分に話し合い、地方財政緊縮要望するとともに、経済健全化のための地方公共団体の協力を求めなければなりません。国民一致協力して時局打開の決心を持つ態勢をとらなければならぬと思うのであります。  最後に、政府はこの際、官業はもちろん、公共的性格を有する事業の料金その他一般物価影響を及ぼすべき重要物資の価格については、これが引上げを回避するのみならず、むしろ積極的に引下げをするように努力をしてもらいたいのであります。政府物価引下げ、デイスインフレーシヨンを目標とする方針に対して国民が疑念をはさむ余地のないように、国民の信頼を失わざるよう努め、今後国際収支を均衡せしむるため、物価国際物価までさや寄せする目標に向つて、着々とその引下げを実現すべきであると思うのであります。また、一部に行われておる投機、思惑が結局成功しないものであることを現実に知らしめなければならぬと思うのであります。  私は、ここに、この予算案によつて示されたる経済健全化の決心が、以上申しましたような諸般の総合施策によつて裏づけられ、逐次わが国経済の自立態勢が盛り上つて来ることを衷心期待いたすのでございます。耐乏生活何かあらん、日本復興、経済再建のために、われら国民は、前途の光明を目ざして歩調を合せ、力強く進まなければならぬと思うのであります。(拍手)  三党共同修正案につきまして一言申し上げますと、三党共同修正は、要するに原案のわく内で九十億円の歳出修正を行わんとするものであります。すなわち、一般会計歳出で、社会保障費二十五億、食糧増産費十五億、その他十億、合計五十億を追加し、その財源としては、さしあたり予備費を充て、将来予算実行物件費等で節約すること、また開銀及び資金運用部資金の操作によつて中小企業金融公庫国民金融公庫にそれぞれ二十億円といたしまして、合計九十億円を増額するのであります。これを一兆円の予算わく内でのできごととしてみますと、ささたる額であります。また、政局その他の現状、大局から見まして妥当な措置であると思うのであります。  以上をもつて、私は、自由党を代表して、昭和二十九年度一般会計予算外二件に対する委員長報告に賛成するとともに、社会党両派共同提案の一般予算外二件に対する編成がえの動議に対しましては、多くの言を用いるを要せず、ただ簡単に、かくのごときものに賛成をすることはできない。  これをもつて私の討論を終了いたします。(拍手
  9. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 佐藤觀次郎君。     〔佐藤觀次郎登壇
  10. 佐藤觀次郎

    佐藤觀次郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和二十九年度一般会計予算等の三案及び保守三党の修正案反対し、社会党両派共同組みかえ案に賛成をいたすものであります。(拍手)そもそも本予算は、吉田内閣が多年の失政と無方針なる財政を続け、突如として一兆円予算の名のもとに組まれた、珍妙ふかしぎなものであります。少くも一国の財政計画を立てるに際しまして、行き当りばつたり、その日暮しの予算編成は、独立国の予算とはいえません。これこそ、五年間の惰眠をむさぼつて来た吉田政府の無能を端的に表現したものであります。ことに、現内閣は、朝鮮ブームのおかげと占領軍の恩恵によつて、その日暮しの財政でどうにか表面を糊塗して来たのであります。しかるに、朝鮮休戦と相なり、外貨資金激減に驚き、突如として百八十度の転換を行い、ここに緊縮予算編成せざるを得なくなつたのであります。しかも、MSA援助を受けんがために軍事予算編成し、その結果、食糧増産費社会保障費公共事業費等、国民生活の安定となる財源を多く削減し、あまつさへ、政府みずからはこたつの中であたりながら国民に耐久生活を説くに至つては、まつたくこつけいな思いつきだと言わなければなりません。(拍手)すでに世界は平和的な傾向が大きく現われ、各国とも軍事予算を極力押え、国民生活安定のために邁進いたしておりますとき、ひとりわが国のみがこの緊縮財政の中において防衛費のみを増加しておることは了解に苦しむところであります。(拍手)最も不生産的な保安隊費が、一面においてインフレ要因をはらみ、それが国民生活を圧迫しつつ、わが経済自立をますます困難ならしめることは、火を見るよりも明らかであります。されば、わが民族の独立を裏づけるものは大砲よりもバターであり、国民生活の安定をはかることこそ刻下重要なる経済政策の目標であるべきでありますのに、小笠原蔵相のいわゆる悔いを千載に残すことのないよう深く考えねばなりません。  まず、政府のいう低物価政策の矛盾であります。蔵相は、今年度五%から一〇%の物価下落を予想され、これによつて輸出貿易の振興をはかり、もつて国際収支改善を実現せんと構想しておりますが、予算委員会の質問における答弁では、遺憾ながら確たる見通しはございません。まず第一は、輸入削減の困難であること、第二は、国民所得は政府の推定よりももつと上まわつて、少くとも今年度六兆円を越えること、第三には、鉱工業生産も政府推定より上まわつて、それが次第に狂つて来ることでございます。もちろん、生産財生産部門はやや減産になるかもしれませんけれども、消費財生産部門はやや増産になるだろうということがいわれております。しかし、どう考えてみましても、物価は、需給のバランスから、物価が下るような見込みはないのでございます。しかも、政府みずから砂糖、ガソリン、タバコ、酒、ビール等の税率を引上げ関係上、これが物価にはね返り、すでに上昇の過程を今日とつておるのであります。この物価低落の見込みで立てられた予算は、まずそこに財政的な破綻を生ぜしめ、遂に補正予算を組まざるを得ない結果を招来すると思うのであります。架空の上に立てられた物価下落の理論の破綻は次々と政府のデフレ予算の虚をつき、あえなき末路をとることは、しばしばわが財政史の教えるところでありまして、ここに大きな蹉跌のあることを指摘しなければならないのであります。  次に、政府が常に口ぐせに言つております減税政策であります。その大きな掛声にもかかわらず、実際にはその減税方針をとり得ず、直接税においてわずかばかりの引下げをしてお茶を濁し、しかも、それにかわつて繊維消費税のような悪税を創設して、全国民の強い反対にあつております。(拍手)かかる課税をするところに吉田内閣の性格がはつきりするのであります。  さらに解しがたいのは、隠されておる自然増収であります。政府は、先述のごとく、国民所得の見積りを昨年度と同額にし、少くとも五百億円ないし七百億円の財源を隠しておるということであります。これこそ、二十九年度歳入見積りを故意に減じて、MSA受入れのための再軍備に使用することに用意されたのであります。補正予算の含みを持たせるとともに、一つ悪質的なからくりを感ぜざるを得ないのであります。しかし、それまで吉田内閣が持つか持たないかに多大の疑問がありますが、とにかく隠し財源を持つておるということは事実でございます。  さらに、何といつても本予算はMSA受諾の準備であります。今回の保安庁法の改正といい、教育二法案といい、警察法の改正といい、これらは一連の関係を持ち、ここに特定国から示唆されたいわゆる一兆円わく予算の根源が横たわつておるのであります。蔵相が、昨年の末までは二十九年度予算は一兆数百億と言明しておりましたのに、一夜にして方向転換した理由も、ここからそんたくすることができるのであります。  さらに、民主主義の原則に立つた警察が再び戦前と同じような警察国家の方向に移行せんとしておることでございます。一方においてアメリカ一辺倒による一部資本家勢力の強化をはかり、平和産業による国民大衆との間に貧富の差をますます拡大させて行くMSA援助政策は、遂に日本をして対米隷属化のどろ沼に導くのであります。かくして、耐乏予算は、すべての国民に耐乏させずに、平和産業と勤労大衆のみを一方的に圧迫し、資本主義末期の独占資本中心の性格を露骨に示しているのであります。かかる結果は、結局において社会不安を激化せしめ、階級対立のみぞをますます深めるのであります。  わが国の最も必要な食糧増産費削減したのが本予算であります。年々多額の食糧を海外から輸入し、ために莫大な外貨資金犠牲にしていることは周知の事実で、少くとも食糧の自給度の増大が刻下日本の重要要件であるにかかわらず、まつたく考慮が払われていないのであります。全人口の四割五分を占めるわが国特有の農業人口のためには、十年間打捨てられた土地を保護する政策こそ喫緊の必要であるのにかかわらず、これらの施策は打捨てられ、今日なお災害復旧すらできない現状であります。(拍手)しかも、消費者購買力の減少が主食以外の農産物の売れ行きの不振を招きまして、さらきだに困つておる農家をますます苦しめておる現状でございます。その上、不自然なる低米価政策と肥料政策の失敗は、一部農民をして自己の娘を苦界に追いやるの悲劇をさえ今日生んでおることは、この予算が持つ大きな性格であります。(拍手)  これと並行して大きな影響を持つものは、社会保障費削減であります。デフレ予算失業者を生み、ちまたに産業予備軍を放出することは当然であります。しかるに、政府は、その結果を非常に甘く見積つて、適切なる対策を立てていないのであります。少くとも、官公労初め電源開発、公共事業等を合わせれば、まず四十万人を突破する失業者が出るのであります。さらに、不況に弱い中小問屋業、小売商などを考えてみますと、完全失業の増加数だけでも百万ないし百五十万人と見なければならないのであります。これに対する失業対策費生活保護費社会保険費などはあまりに低く見積つておりますので、これだけでも補正予算を組まざるを得ないのであります。  かくて、デフレ予算のしわ寄せは、結局一番弱い中小企業者と平和産業に従事する勤労者の肩にかかつて来るのであります。昨年の秋以来、一般不況の影響を受け、相当痛手を受けました中小企業者は、この一撃で最後のとどめをさされる結果となるのであります。(拍手中小企業金融のために、財政投資が保守三党の協定によりましてその財源をいささか増加いたしましたけれども、これによつて破産寸前にある中小企業者を救うことにはならず、ここに自由党政府の本質である中小企業者を見殺しにする方針を露呈しておるのであります。(拍手)少くとも、急激なる緊縮予算がいかに多くの国民犠牲にし、しかも保守党政府はこれに対して何ら深刻なる考慮を払つていないという事実を、今度ほど端的に表明した機会はないのであります。  さらに、今度の予算地方財政に及ぼす悪影響もまた多大なものがあります。今や、地方財政の苦悩は年々加わり、事業税その他の地方税の限界はすでに頂点に達し、このままにしておきましたならば、地方財政はとうていまかない切れないところに追い込まれておるのであります。政府は、料理飲食税をそのまま地方税にして、入場税のみ国税に移管しましたが、その片手落ちにつきまして世上とかくの批評のあることは、諸君も御承知通りであります。地方平衡交付金の問題につきましても、根本的な解決なしに、そのままに打捨てられ、多くの不満を蔵しておるのでおります。さらに、保守三党修正になる三十七億の財源をどこから穴埋めするのか、いかなる処置をとつて行くのか、まつたくつじつまの合わないことばかりであります。  また、例の造船利子補給の三十七億の問題であります。これは、周知の通り、汚職問題によつて国民の憤激を買つたものであり、これをそのままうのみにした鉄面皮は、まさに驚くべきトーチカ心臓といわなければなりません。いかなる理由にせよ、国民のとうとき血税を一部独占資本家に融資して、十分なる監督をしなかつたことがどんな結果を生んだであろうかということを、われわれは考えなければならないのであります。しかも、かかる補給金を、性懲りもなくこの予算に計上して、そのまま生かしたことは、まことにまゆをひそめざるを得ないところであります。かくして、汚職は汚職を生み、疑獄は疑獄を生んで、あらゆる醜悪をきわめ、正直な国民勤労意欲を失わしめ、ひいては納税意欲、貯蓄精神を麻痺させ、国民の政治に対する不信はまことにはかり知れないものがあります。(拍手)今や断末魔にある吉田内閣でありますからやむを得ないにしても、その最後のあがきによつて、吉田内閣の汚名は長く後世に批判を受け、国民的指弾を招くであろうことを、われわれは考えなければならないのであります。  要するに、本予算は世界情勢や経済の推移を正確に見通した上に立てられたものでありません。ただ一時しのぎのものであり、日本ひとりが世界に逆行した時代錯誤のものである点において、多くの矛盾を持つております。しかも、国民大衆は、これによつてさらに苦しい情勢に追い込まれる。本予算は、きわめてその意味においては反民主主義的な予算であり、言いかえるならば、軍事予算であると同時に対米一辺倒の予算であると言わなければなりません。(拍手)  かくて、わが国の独立への希望は失われ、アメリカの隷属国として、その解放は望めず、さらに日日の経済自立は空中楼閣化するでありましよう。ベルリン四国会談を初め世界の平和への傾向の増大の中で、日本だけが貧弱なる財政貿易の赤字だらけで再軍備を本格化して行かなければならぬことは、まつたくばかげたことであります。かかる無計画なる軍事的、インフレ的予算をもつてすれば、本年の下半期からアメリカの景気後退が訪れ、世界経済の不況にあつた場合に、その深刻なる打撃を受けるのは日本ばかりであります。政府はこれに対していかなる確信を持つてこの事態に当るのか。  過去における積極財政からデフレ政策への転換の歴史は、われわれにいろいろなことを教えております。かつて松方蔵相のときには、絶対権の勅命によつてこれを行い、井上準之助蔵相の時代には、財閥の強い支持があつて行いました。池田蔵相のときは、占領という至上命令で、ドツジの力でようやくなし遂げました。さて小笠原蔵相の今日では、このデフレ政策とささえるものは一体何でありましようか。それには国民的な協力が絶対必要であります。(拍手)すなわち、国民の信頼と協力と援助が必要であります。しかしながら、汚職と疑獄に包まれたこの内閣に、国民からその協力を求めることは、もはや木によつて魚を求めるたぐいであり、ここに本予算の破綻があることを国民とともに悲しまざるを得ないのであります。(拍手)  しかも、かりにもせよ、これだけの危険を冒し、国民耐乏の犠牲をしいながら、これによつてインフレ要因を根本的に除去することが一体できるのであるか。これによつて国際物価に対し割高であるところのわが国物価引下げ、輸出振興が達成されるのならばまだしも、そのための何らの具体的な計画もなく、政府みずからもそれだけ強い決意を持つていないのに、他党とのかけひきの妥協で、実質的に一兆円のわくをすでに割つて来た経緯を見ても、その自信のなさをうかがうことができるのであります。さらに、今後の情勢いかんでは、防衛費増額を初め、インフレ要因となるべき材料が潜在しているのでありまして、MSA援助下の再軍備残燭内閣のもとでは、結局インフレを誘発して、せつかく政府の言う緊縮予算は遂に空中分解するのが関の山でありましよう。(拍手)  それに引きかえ、わが両派社会党の組みかえ予算は、政府原案まりも予算規模を百三十二億円縮小し、総額九千八百六十三億にいたしました。これによつて物価引下げを七%まで促進し、国際収支改善に資することにいたしたのであります。しかも、インフレ要因となる、最も不生産的な、無用な保安庁費及び防衛分担金を削除いたしました。これによつて、生産的な支出、たとえば社会保障費千百七十七億、公共事業費及び食糧増産費千九百四十二億、文教施設費及び住宅対策費にそれぞれ百三十四億、二百三十億の経費を計上して、まず国民生活の安定に使用しているのであります。また、中小企業のために出資及び投資を百四十五億といたしまして、その上に、公務員の実質所得の充実及び地域給の是正にまで使用することにいたしております。また、歳入面では、重税にあえぐ国民のために、源泉、申告両税から七百二十億円の大減税を実行いたしております。大衆課税となる繊維税は全部これを廃止し、砂糖、酒、物品税等の引上げに対しましては、間接税とともにこれの引上げをしないことに編成しております。また、そのかわり、高額所得者あるいは法人などには富裕税、累進課税をかけまして、このかわり財源といたしております。かく国民大衆生活擁護のためにあらゆる努力を捧げておりますところのわが両派社会党にして初めてできる組みかえ予算であります。(拍手)われわれは、平和的にして文化的な生活のできる予算案として、国民から最も期待される確信を持つております。(拍手)  すでに、政府原案につきましては、衆参両院の公聴会におきまして、ごく一部少数の人だけを除いて痛烈なる批判を加えられ、強い反対意見に終始されて、満身創痍の予算案でございます。これが多数を頼んで通過いたしましても、ここに幾多の矛盾を持つている以上、一部の階級には賛成をされるかもしれませんけれども、国民大衆にとりましては何ら救われない予算であります。(拍手)その意味において、政府原案並びに修正案につきましてはわれわれは強く反対し、両派社会党の組みかえ動議に心から賛成をいたすものであります。  これをもつて政府原案並びに修正案反対し、わが両派社会党の動議に心から賛成をいたしまして、私の討論を終ります。(拍手
  11. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 小山倉之助君。     〔小山倉之助君登壇
  12. 小山倉之助

    ○小山倉之助君 私は、改進党を代表して、昭和二十九年度予算各案に対し、三党協定になる修正案並びに修正部分を除く政府原案に賛成の意を表し、社会党の予算組みかえ案に反対するものであります。(拍手)  本予算は、編成の途上において、わが党の自立経済五箇年計画に基く財政緊縮の構想をも十分考慮に入れたインフレ是正の予算であります。だが、これを強行するためには、それ相応の用意が必要であります。たとえば、この際緊縮予算の実施によつて最も影響を受けるものは中小企業生活困窮者でありますが、これら階層に対する被害の予防措置が予算面に適正に現われていません。また、当面外貨の流出防止のために必要な食糧自給増進費の計上も不十分でありまするがゆえに、われわれはこれに修正を加えたのであります。さらにまた、世界は今や原子力活用による第三次産業革命時代の初頭に立つているのでありますが、この予算には、敗戦直後の萎靡した国情の惰性から、これら産業競争に伍して遅れないために、その気魄と用意が足りなかつたようでありますから、この点について、われわれは交渉をいたしたのであります。わが党は、過般来、日本自由党とともに、予算上の不備の改訂方を自由党に申し入れましたるところ、数次の交渉の結果、与党もこれを了承せられまして、ここに一部の修正が実現された次第でありまして、わが改進党は、本予算修正案及び修正部分を除く政府原案に賛意を表するとともに、政府は十分なる勇気をもつて、従来の行きがかりを捨てて、本予算実行によりインフレの収束という目的を達成するよう、かたい信念を持つて邁進せられんことを希望してやみません。(拍手)  同時に、留意しなければならないことは、インフレ収束のためには、単に国家予算緊縮だけでは不十分であります。ましてや、強固なるわが国自立経済体制を達成するためには、予算緊縮と並行して、幾多の積極的なる総合施策実行しなければなりません。その代表的なものといたしましては、わが党は、資金の量的、質的是正のための投融資計画委員会の設置、資本蓄積増進目的のための第三次資産再評価法の実施、及び労使協力体制確立のための生産協力会議と労働委員会等の仲裁基準の設定等をすみやかに政府実行すべきことを提唱し、自由党は三派修正予算の附帯条項としてこれら三点を了解されましたことは欣幸にたえないのであります。(拍手従つて、われわれは、政府が今後において、これら諸問題の実現に対し、いかなる誠意を持つて、あるいは熱意を持つてこれを実行するかを監視して、この予算実行と相まつて祖国復興のために邁進せんことを期するものであります。(拍手)  本予算実行にあたつては総合計画を伴わなければなりませんが、そのまず第一にとるべきものとして、金融政策について申し上げますと、従来のごとく、市中銀行が日銀から資金を安く借り入れて、これを民間に貸し付け、いわばさやとり金融をやつて来たことから、通貨の膨脹と、ひいては物価高を招来して来たのであります。そのオーバー・ローンの原因となつたのは、かような政策であつたのでありますから、これを解消する手段を講じなければならぬと思うのであります。ただ、オーバー・ローンを解消するに急にして長期計画を怠りましたならば、政府の意図する目的を達成することはできないのみでなく、いたずらに財政経済を破滅に導く結果をおそれまするから、特にこの点に留意せられんことを要望いたしたいのであります。(拍手)  オーバー・ローンの解消といたしましては、何としても根本の政策としては資本の蓄積をはかることであります。これを実行するには、総合計画は、英、独のとつたような政策が参考となると存ずるのであります。自由党内閣は、米国の援助を受けておる間に、朝鮮ブームによつて巨額外貨を得ておつたときでも、多くの打つべき手を打たなかつた。この点につきましては、外国の記者もみな遺憾とするところでありまして、最近、ニューズ・ウイークの記者も、日本は絶好の機会を失つたと称しております。(「ヒヤヒヤ」拍手)すなわち、西独におきましては、経済相エルハルトの努力によりまして、まずドイツ産業の基礎を固め、輸出貿易伸展の地固めを完了いたしました。これがために経済的余裕ができまして、東独から来るところの逃亡者あるいは追放者実に一千万人を受入れて、これを救うの態勢をつくり上げ、欧州支払い銀行に対しても巨額の預金をなし、今やドイツのマルクは世界のいかなる硬貨とも自由に交換できるようになつたのであります。総理大臣は英国に学べと言われましたが、その英国では、英蘭銀行の公定日歩を二・五%から四%に引上げ、民間投資削減し、金融を量的に規制して金融界を固めました。  しかるに、日本においては、わずかに高率適用を行つた程度で、日銀の通貨を市中銀行に貸し付けて量的抑制を糊塗したのみでありまして、信用規制をも行わない。いわんや、金融の質的規制に対しても緩慢な態度をとりましたことは、今日のオーバー・ローンを馴致した原因であります。その間、企業の合理化も徹底しない。朝鮮ブームや、米国軍の日本国内で消費するかげろうのような取得に酔うて、来るべき運命をもさとることなく、その日暮しの政策を行つて来たことに基因するのでありまして、事ここに至つては、まず法人、個人を通じて資本蓄積施策に邁進することが必要であると思うのであります。(拍手)わが党が、法人にあつては第三次再評価の強制を断行し、これを無税とすること、長期預金の優遇などを主張しておりますゆえんも、ここにあるのであります。幸いに三派修正案にてわが党の主張がいれられたことは多とするものであります。  この際特に政府の見のがしてはならぬ重要政策があります。それは外貨の使用の点についてであつて、この点に特に深甚なる用意を欠いてはならぬと思うのであります。すなわち、現在わが国は、重要物資をほとんど外国に依存しており、輸入にまつのであります。従つて外貨日本経済を左右しておると言つて過言ではないと思うのであります。特に物価に直接影響するところが多いのであります。外貨の使用を誤れば、期待する低物価を招来するどころか、通貨価値の安定さえも困難となることをおそれるのであります。また、外貨の割当にあたつて、特殊の企業に対して独占の利益を与うるような結果を防止しておかなければならぬと思うのであります。ゆえに、私どもは、内地金融とあわせて、外貨を含む権威ある投融資計画委員会の設立を提唱するものでありますが、幸いに三派修正の協議会において承認されたのでありますから、その運用に関しては万遺憾なきを期せられたいのであります。(拍手)  第二には、国際収支改善をはかることは重要なる施策のポイントであると存ずるのであります。わが国が、さきには領土を拡張し、管理紙幣でもつて朝鮮、満州、樺太、台湾等から必要な原料を取入れた時代は永久に去つたのであります。外国貿易は唯一の原料入手の手段であります。これは金貨すなわち現なまをもつて取得するのであります。その金貨をかせぎ出すことは、輸出を盛んにする以外にはありません。一方においてはインヴイジブルのインカムを増加しなければなりません。  御承知のごとく、わが国は、かつて海外移民の送金によつて国際収支を補つた時代があります。また、わが国の船舶が世界の七つの海を航海して大いに外貨をかせいだ時代もあります。また、わが国海外商社が外国の商品を他の外国に売つて巨額の利益をあげた時代もあつた。この輝かしい時代はすでに去つて、今日は、当時世界をまたにかけて活動された、すぐれた経験を持つた偉才はほとんど内地に引揚げて、その手腕を振う余地がなくなり、脾肉の嘆にたえざる者がたくさんあります。当時を回想して、うたた断腸の念を禁じ得ないのであります。(拍手)また、世界中に数十箇所の支店を持つて世界の金融界に雄飛した正金銀行は、当時日本海外発展にいかに役立つたか。今や普通銀行に変貌して、海外活動の機能を喪失しているような哀れな姿であります。  敗戦の結果、日本海外に対する進路はとざされ、明治の初期に返つたと同様であります。その当時、われわれの先輩は、治外法権の撤廃を断行し、貿易事業を外人の手から日本人の手に奪回した。当時の日本人は深い経験を持たなかつたのでありますが、しかもなお大いなる成果を収めたことは事実であります。現在では、経験を有する多くの第一線に活動した練達堪能の士を雲のごとく持つておる。また、西独の実例、英国人の努力は、われわれにりつぱな亀鑑を示しておるのであります。これを学んで、われわれが現に有するところの尊い経験と偉才を活用するならば、国力の伸張期して待つべきものがあると信ずるのでありまして、全国民がこの信念を持つてこの難局に対処せんことを要望せざるを得ないのであります。(拍手)  第三は、労使協同態勢の確立の問題であります。現在わが国労働界に見られるような政治的目的からする年中行事的な賃上げ要求と、これを裏づける全国的なストライキが頻発するような状態では、とうてい、物価引下げも、国際的抵抗力の培養も、インフレの収束もできるものではありません。西ドイツが一九五三年度の労働評議会において発表いたしました三つのスローガンがあります。その一つは、より多い資本を産業へ、第二は、闘争より平和へ、第三は、賃金値上げより良品廉価の増産であります。これは単なるスローガンではなくして、これをドイツ国民実行しておりますことは、西ドイツの経済復興の実情から見ても明らかでありますが、わが国の企業家のごとく、国家の要請に基いて、国民の血税をもつて融資すれば、そのたつとい資金を横流しされたというようなことは、実に悲しむべきことであります。(拍手)  また、わが国の労働界は、闘争より平和へのスローガンと逆なコースをたどつておるのが現状であります。最近におけるストのごときは実に悪質であつて、革命戦術とも申ずべきものであり、同じく悲しむべき事例であると言わなければなりません。また、賃金値上げより良品廉価の増産も、わが国はその裏を行つておる現状であります。輸出で生きるところの日本が、海外市場では外国品に比して必ずしも良品ではないものを高価で販売することができないで、生産費を割つて廉売しておるということは事実であります。しこうして、これを内地においては高価で売る。すなわち、外国で売つた損を内地の消費者にぶつ加えて、それだけの差損を補つておるという、いわゆる二重価格制度が蔓延しておるということが今日の実情であります。この二重価格制度が行われておる品目は二十余種に上つておる。しこうして、なおこれが増加する傾向であります。  わが国労働階級の意識を、もしドイツの労働組合の程度に引上げることができますならば、わが国の自立経済体制を立てますことは容易でありまして、これがために、現在の資本家並びに経営階級とも従来の態度を反省して、労資双方がいたずらなる対立闘争的関係を払拭し、協同調和的関係に置きかえることが絶対に必要であります。かかる関係を促進するために、公共事業及び財政投資を試みております基幹産業に対して、生産協力会議とも申すべき機関を設置して、経営の合理化、労働の能率化、生産力の引上げなどを目的として、資本家、経営者、労働者、中立者及び消費者の代表諸君を加えて、この会議の構成によつてストライキを防止する態度をとるべきではなかろうかと存ずるのであります。  近来の企業家は、労働組合に対する認識がようやく深まつて来たとはいえ、反省すべき点のあることは見のがすべからざるところでありまして、いわゆる社用族的存在は経理を労働組合に示さず、相次いで起る不渡り手形倒産の跡を見ると、不正、濫費、横領などがその真相を暴露しておるのであります。労働組合の憤激を買い、自暴自棄のストライキに追い込む事例もないではありませんが、もし経理を明らかにし、精励恪勤、誠意をもつて労働組合に臨めば、ある程度の争議闘争を未然に防ぐことは可能ではないかと思うのであります。(拍手)また一方、労働者、勤労者の人々は、産業を守ることは国を守り自己の生活を守るゆえんであるということを自覚して、扇動に迷わされず、政治ストに参加することなく、かような態度をとりましたならば、わが国産業の復興は期して待つべきものがあると存ずるのであります。(拍手)  西ドイツでは、労働組合に政治資金を出すことを禁止しておるのでありまするが、かかる立法は、悪質なる政治ストを未然に防止する一方法であるかもしれません。近時、職業的闘争の跡は絶えません。いわんや、政治の混乱を惹起することを目的として某国より巨額資金が供給されているというようなうわさが事実でありといたしますれば、まことに容易ならざることでありまして、日教組の赤化運動とともに、政府は最も有効適切なる方法を強力に推進することを要求してやみません。(拍手わが国のごとく経済の弱い国柄においては、対労働政策を誤らんか、まつたく取返しのつかない破滅を来すことをおそるるものであります。  第四は国防計画についてでありますが、政府は、日本の経済力に順応して漸増すると言うばかりであつて、依然消極的態度に出ております。従つて保安隊は自衛隊と改名いたしましても、依然として日陰者の存在であるということは免れません。国民は自衛隊に対する愛敬の念薄く、かつまた彼らに栄誉を与える態度に出ておりません。従つて、彼らは国民の信頼を受けているということを意識しないのであります。信頼なき、栄誉なき存在は公の存在とはならぬのでありまして、彼らがその責任を自覚せず、従つて、士気の上らないことは当然であると言わなければなりません。ゆえに、国民は、保安隊を腐敗堕落の温床であるかのごとく、むしろその増強に対して恐怖の念を抱く者さえあることを認めなければなりません。国会においてもしばしば論議の中心となつたのであります。  しかるに、米国は、日本の国防の前線ともいうべき朝鮮からは二箇師団の撤退を断行し、大統領のメツセージにおいては、友邦に対して新兵器の使用法を教える必要があると声明しておるのであります。私、寡聞にして、いまだ新兵器の発達の全貌を知る由もありませんが、近代兵器の発達はまつたく目まぐるしいものでありまして、これが使用には相当進んだ知識が必要であると思います。現在の日本の学問の程度でこれを理解することは容易なことではなく、青少年時代より科学教育が必要であつて日本の教育に対する画期的変革を余儀なくさせるのではないかと思うのであります。この新兵器の使用にあたつては、りつぱな訓練を積まなくてはならぬと信ずるのでありますが、政府の態度はこの点においてもはなはだ明白を欠いておるのは、まことに遺憾とするところであります。また、MSAの援助に対して、米国の旧式な兵器を貸与されることを避けるがためにも、新兵器や、現在製造の過程にある原子兵器をも理解し、またはこれを使用する能力を持つことが先決問題であると思うのであります。私は、現在の兵器でさえも日本が学ばなければならぬ多くの点があると信じます。  元来、軍需工業は、科学並びに化学の粋を集めたものでありまして、平和産業に利用する部分も相当あると存じます。第二次世界大戦では、日本の軍人は世界の科学の進歩の程度に盲目であつて日本人同士が他の日本人よりすぐれておるというばかりで優越感を覚え、驕慢にして他に学ぶの謙虚な精神の欠乏から大敗を招いたことは、われわれの親しく経験したところであります。MSA援助の中にも大いに学ぶところがあり、学ばなければならぬと思います。これはわが国再興の要諦であると信じます。  わが党は、原子爐製造のために原子力関係の基礎調査研究費として二億三千五百万円、ウラニウム、チタニウム、ゲルマニウムの探鉱費、製錬費として千五百万円を要求し、三派のいれるところとなつたのでありますが、米国の期待する原子力の平和的使用を目ざして、その熱心に推進しておる方針従つて世界の四十箇国が加盟しておるのでありまして、これは第三次産業革命に備えんとするものでありまするから、この現状にかんがみ、これまで無関係であつた日本として、将来原子力発電に参加する意図をもつて、優秀な若い学者を動員して研究調査せしめ、国家の大計を立てんとする趣旨に出たものであります。(拍手)  第五は、国土開発であります。日本の未開発資源を開発することは、日本の自給性を高めるゆえんでありまして、わが国喫緊の要務であると言わなければなりません。多くの人々がその必要を認めていながら、国費が足りないという理由から顧みないでいたのは、御承知のごとく河川の改修事業であります。この事業は、幾十年間荒廃のまま放擲されて参りました。これは、永年の土砂が堆積して河底が高くなり、洪水に侵されて良田が埋没されて参りますると、ますます堤防を高くするのでありますから、河底は平地より高く、あたかもアフリカの土人が水がめを頭上に乗せて運んでおるような状態でありまして、わが国民全体は一大水がめを背負つて生活をしておるような状態であります。年々歳々風水害に見舞われて、平時においてさえ毎年千八百余億円の経費を災害復旧のために投じております。河底をそのままにして堤防主義を推進するのでありますから、真の復旧ではなく、復旧を糊塗するものであります。その結果、災害をますます増大するばかりであつて、その復旧の費用はいやが上にも増加するばかりであります。今や、河川改修の事業は、この上放棄することはできない実情にあります。いわゆる堤防主義を廃棄して根本的対策を講ずべき時期であると信ずるのであります。これがためには、地方民を中核として自衛軍の協力を求め、漸次主要なる河川より全国大小河川に及ぼすならば、日本の自衛隊は、スイスの民兵のごとく、平時は国土の開発、経済力増進の平和産業に従事し、事あるときは銃剣をとつて国を守ることができるのであります。また一方においては、ブルドーザー、ドレツジヤー等のごとき近代的土木機械製造工業の発達に貢献し、他方東南アジアにおいては、ポイント・フォア、未開発地開発計画の米国の偉大なる計画に参加する機会をつかむこともできるのではないかと思うのであります。この計画は長期にわたつて推し進めらるべきでありまして、電源開発と砂防計画、造林計画を総合すれば、ドイツのシユワルツ・ワルトを実現するがごとき河川の舟運を増すばかりでなく、良田、牧野の拡張となり、米麦の増産をはかることができるばかりでなく、また粉食にちなむ酪農事業の発展にも貢献することができるのではなやかと思うのであります。  御承知のごとく、時局はすこぶる重大であります。一日もゆるがせにすることを許さない解決を急ぐ問題は山積しています。このよつて来るところは、自由国家群と共産主義国家群の対立から起つておるのでありまして、ドイツ国民は、この際にあたつて、自由を守り、国家再建を目的として異常な決意を持つておるのでありますが、その指導者は御承知のごとくアデナウアーでありまして、今や一九五三年の世界の人として世界の脚光を浴びておるのであります。朝鮮の李大統領もまた世界の人物として舞台に登場しております。比島の新大統領マグサイサイも同様であります。御承知のごとく、マグサイサイは、国民はひとしく正常なる基盤に立つて政治の解決を行わなければならぬとして、クリーン・ガヴアメントを標榜し、みずからの潔白を国民に示すがために、一万三千数百ドルの金を——これだけの財産があるということを示したのでありますが、今やわれわれ日本人もまたクリーン・ガヴアメントを樹立して、国民の信頼を再び政府並びに議会にとりもどすときであると思うのであります。しからざれば、国民の念怒はあるいは爆発することなきやをおそるるのであります。  幾多の変遷を経て、今や日本としては政治も経済もわが国民自身の手でやらなければならぬときにあたつて、二十九年度緊縮財政編成せられ、これを契機として日本は再起するやいなやの力をためさんとするのであります。この予算を基礎として国家再建の実をあげられんことを要望し、三派共同による修正案並びにこれを除く原案に賛意を表するものでありまするが、社会党両派組みかえ案のごときは、わが国を無防備のままに外国の侵略にまかせんとするものでありまして、その道はクレムリンに通ずる道であると思いますから、断じてこれに反対の意を表して予算討論を終了いたします。(拍手
  13. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 小平忠君。     〔小平忠君登壇
  14. 小平忠

    ○小平忠君 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和二十九年度政府予算三案に対しまして、保守三党による共同修正案並びにその修正案を除く政府原案反対し、両派社会党による共同組みかえ案に対しまして賛成の討論を行うものであります。(拍手)  昭和二十九年度予算案は、これを三つの面より批判することができるのであります。第一に予算編成の過程についてであり、第二は予算歳入面であり、第三は歳出についてであります。  まず第一に、本予算編成の経過を見ますると、われわれ政府のとつた処置に対し多大の疑惑と憤懣とを禁じ得ないのであります。政府は、昨年末までは国民所得の規模を六兆二、三千億円と推定し、明年度予算を一兆七百億円程度にとどめると述べておきながら、昨年末に至りまして、突如として一兆円のわく内に予算規模をしぼる決定を行つたのであります。この出し抜けの変化については、昨年の暮れ新木前駐米大使が帰任に際しまして持参いたしましたダレス伝言が決定的な影響力を持つといわれておるのであります。これは、世界銀行からの外資導入に失敗し、MSA交渉の過程において経済援助の妄想に破れた政府が、頼みの綱とするMSA援助を受けるために、生産増強並びに民生安定の諸経費圧縮しても防衛関係費を増大し、しかもアメリカ側に対する考慮から形式的にインフレを抑制するために、無理やりに一兆円の線を引いたことを意味するものでありまして、まことに吉田内閣は本予算案編成において完全にその自主性を喪失しているものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)われわれが本予算案反対する理由の第一点はここに存するのであります。  次に問題となるのは本予算案歳入面でありますが、この中でわれわれは二つの重要な点を指摘いたしたいと思うのであります。第一に、政府は、本予算案の基礎として、国民所得を前年に比してわずかに三百億円程度の増加と見積り、鉱工業生産は横ばいないしは若干下向きであると見込み、物価が年間を通じて五ないし一〇%程度低落すると算定し、かくすることによつて予算を一兆円のわく内にしぼるための合理的根拠を与えようとしておるのであります。物価が低落して、しかも国民所得が横ばいであるということは、国民総生産が増加することを意味するわけであります。従つて、それに伴つて国民所得の中においていずれかの部分は増加し他の部分は減少するというでこぼこを生じ、租税収入もこれに応じて不均衡な増加を来すことになります。ところが、今回の政府の税制改革案では、所得税など減税三百二十一億円に対しまして、繊維消費税の創設とピース値上げのごとき大衆負担の増加で補つておるにすぎないのでありますから、このような税制改革案では国民所得の不均衡を是正するのに何らの役にも立たないことは、火を見るよりも明らかであります。これが本予算案反対する第二の理由であります。  次に、二十八年度より繰越されております未使用残金は、わが党の推算によれば、防衛関係費だけでも八百十二億円に上る厖大なものであります。かかる巨額の未使用金を残しながら、なお昨年度に上まわる防衛費を計上する必要は一体那辺にあるのか。しかも、新聞の報ずるところによれば、海上警備隊の船舶発注をめぐつて官庁側と業者との間に不正取引があつたことが明らかになつておるのであります。また、全国各地において保安隊の汚職事件が頻発し、これに加えて造船疑獄、保全問題等によつて、その腐敗し切つた実態を余すところなく暴露した吉田内閣が、戦前の歴史にも明らかなごとく、不正と腐敗との根源をなしたところの巨額な軍事費を計上する資格をまつたく有しないことは、何人の目にも明らかなところであります。(拍手)これが反対の第三の理由であります。  次に、歳出の面でありますが、ここにもわれわれは多くの問題点を指摘することができるのであります。第一に、物価引下げの具体的方策として本予算案に現われている唯一のものは、単なる投融資抑制による財政金融面でのデフレ策にしかすぎません。朝鮮動乱以来のインフレ景気で、産業界、金融界は独占化の方向に再編成されましたが、本年は、世界的な景気後退を前にして、動乱景気でためた外貨蓄積も相当食いつぶしたので、これらの独占企業を救うためには、結局勤労大衆生活水準を切り下げ、弱小企業を倒壊させても、もつぱら独占企業への一層の集中独占化を進めるよりほかはないとしてとつた政策が、この予算案に端的に現われているのであります。(拍手)これが政府のお説教する耐乏生活の実体であり、緊縮予算の中身であります。物価引下げの根本策は、生産設備の高度化、経営の合理化による生産コストの引下げと、労働生産性の向上に存することは言をまたないところであります。(拍手)ところが、このために必要な施策は、緊縮政策の美名のもとに中小企業にしわ寄せとなり、従つて事業の極度の縮小を余儀なくされることは必至と言わなければなりません。これが反対の第四の理由であります。  次に、この予算案によれば、われわれの見通しとするところでは、物価は低落するどころか、むしろ物価体系は根本的に崩壊し、ために国民生活は不安に陥り、社会不安を激成するおそれすらあると思われるのであります。現に電力料金の大幅値上げ、さらに鉄道運賃の引上げをも行おうとしております。さらに消費者米価も、本年一月一日より従来の十キロ当り六百八十円を七百六十五円に大幅値上げなど、物価上昇の要因はさらに増大するばかりで、下落する見通しは断じてありません。(拍手物価引下げようとするには、積極的に海外市場を開拓し、国内生産を高めると同時に、生産コストを引下げるための計画経済を断行しなければなりません。(拍手)しかるに、政府は、さきにも述べたごとく、単に財政金融の引締めによつて国内需要を人為的に減少させるというだけでは、物価体系は混乱するのみで、低落する原因はどこにも見当らないのであります。これが反対の第五点であります。  第三は、本予算案において、防衛関係費は約百七十五億円の増加を見ておりますが、他方公共事業費、食糧増産対策費、財政投融資などは削減のうき目にあつております。この厳然たる事実は、アメリカからの軍事援助受入れのために日本国民生活の安定が犠牲に供されたことを物語るものであります。また、政府は、さきの大蔵省の原案において、社会保障関係費に無慈悲なる削減のなたを振つたのでありますが、世論の猛烈な反撃にあわを食つて、やつと昨年度並の費用を計上いたしているのであります。しかるに、旧軍人恩給費は、本予算案においては、昨年のそれが三・四半期分を計上されていたのを平年度化いたしまして、百八十八億円増加いたし、六百三十八億円を計上いたしているのであります。これは、本来は全般的な社会保障制度拡充の一環として支出さるべき性格のものであります。それを特に旧軍人恩給費として支給される理由は、ほかでもありません。憲法を踏みにじつて軍備を強行し、MSA受入れのために軍国主義を鼓吹することがそのねらいであります。(拍手)平和な文化国家という言葉は今や一片の空文と化してしまいました。われわれは、国民の総意を踏みにじつたかかる反動的施策に対しましては、その全力をあげて反対をしなければならないのであります。(拍手)  次に、国民生活の安定を期する上に最も重要な食糧関係予算であります。政府予算案によれば、食糧増産対策費は前年度より若干増額をしたことになつておりますが、これは、従来計上されていた費目を新たに分類したり、明年度からの新規の費目を加えたりして、机の上でかつてにでつち上げた数字でありまして、事実上は三十億円以上の減額であります。しかも、かくして打出されました食糧増産対策費も、政府の既定五箇年計画による所要額の六割に満たない現状でありまして、不足量を依然として輸入食糧に依存しておりますが、これは政府が食糧増産に対する熱意を完全に失つた証拠であり、国民の期待を裏切るものと言わなければならないのであります。  特にこの際政府並びに与党たる自由党諸君に申し上げたいことは、昨年十二月十五日の本院において、食糧増産並びに国民生活改善に関する決議案が、自由党降旗徳弥君による提案理由の説明がありまして、全会一致をもつて可決されているのであります。私は、あの当時のあの決意をよもや忘れてはおらないと思うのであります。その決議案の可決に引続きまして、緒方副総理が政府を代表いたしまして、きわめて適切なる答弁をされておるのであります。その答弁内容は、速記録によりますれば、「ただいま御説明になりました通り、佐藤榮作君外二百名の超党派的に提出されました食糧増産並びに国民生活改善に関する決議案に盛られました趣旨は、たまたま前臨時国会の劈頭、総理大臣から国会を通して国民に訴えた趣旨にも合致いたしますし、政府といたしましては決議の趣旨を十分に尊重いたしまして善処いたします。」と、明確に緒方副総理は答弁されておられるのであります。およそ良識ある国民の代表ならば、かくも公約を根底から裏切つたこの本予算案に、与党の諸君たりといえども賛成でき得るはずはないのであります。(拍手)  さらにまた、昨年は全国的に未曽有の災害をこうむり、その復旧は遅々として進まず、いまなおその惨状をまのあたりに見ることができる地帯もあるのであります。すなわち、災害復旧に関しましては、政府本年度から三年間に三・五・二の比率をもつて支出するという保守三党協定を確認し、天下に公約したにもかかわらず、来年度予算は、本年度の査定額を減らした上に、当然支出すべき経費のわずか三分の一を計上するという、驚くべきこの公約違反をあえて行つているのであります。(拍手)  さらに、政府は、土地改良、開拓、耕種改善、技術普及、畜産振興あるいは養蚕振興等、広汎にわたる補助金の整理及び補助率の引下げを行わんといたしております。また、農林漁業金融公庫に対する政府資金は、二百六億円から九十五億円に大幅に削減いたされております。これは、単なる営利的な企業とみなすことのできないわが国農業の特質と、低米価政策のもとに義務供出を余儀なくされている農家経済の現状を無視した、まつたく暴挙と言わなければならないのであります。一部の造船資本家のために数十億の国費と数百億の投融資を行い、それが今日底知れない醜悪なる疑獄事件となつて現われておるとき、資力のない農民に対する零細な補助金まで片つぱしから打切ろうとする政府方針に対し、今や全国農民は心から憤激していることを見のがしてはならないのであります。(拍手)  最後に、今般保守三党の協同修正案の中に突如として原子炉建造のための費用として二億六千万円が計上されておるのでありますが、原子炉といえば原子力研究につながり、原子力研究そのものは現情勢では戦力と結びつく危険性がありまして、反対論が非常に多いのであります。現に、今朝の各新聞紙上を通じて、学界の権威者はあげて反対しております。特に日本学術会議茅誠司会長の談話によれば、「科研に委託して原子炉をつくらせるという修正予算の新聞記事を見てびつくりした。現在日本で原子炉をすぐつくるべきだと考えている学者は一人もいないと思う。」云々と述べておられるのであります。諸君、われわれは、原子力の平和的利用の前提としては、原子力の国際管理が絶対に必要である。かかる前提なしに原子炉建造のために十分な研究もなさず、学界の猛烈な反対の中に一部政党の要求による思いつき的予算を計上するようなことに対しましては断固として反対であり、すみやかにこれを削除することを要求するものであります。  以上、反対の理由を具体的に申し述べたのでありますが、これを総合いたしまして、政府予算及び三派修正案はまさにMSA軍事予算であり、緊縮政策の美名のもとに、国民勤労大衆にその負担をしわ寄せして、一部独占資本家を擁護し、物価は低落するどころか、むしろ物価体系は根本的に崩壊し、ために国民生活は不安定に陥り、社会不安を激化することは火を見るよりも明らかであります。かかる反動的本予算案に対しては断固として反対をしなければならないのであります。(拍手)  そこで、両派社会党が、この政府案を返上いたしまして、現下のわが国の国情に適応した経済自立と民生の安定を実現し得る根本的な組みかえを要求いたしたのであります。すなわち、組みかえ案の骨子とするところは、第一に、予算規模を一兆円内にとどめてインフレヘの防止をはかつたこと、第二は、防衛費を大幅に削減して、これを民生安定、産業振興の費用に充当したこと、第三は、月収二万円以下の免税を中心とする所得税の大幅軽減をはかつたこと、第四番目は、二重米価制を採用いたしまして、物価の安定と、農民に再生産を保証する農業経営の基礎を確立せしめるとともに、消費者の生活安定をはかつたこと、第五番目は、公務員に対しまして最小必要限のベース・アツプを認め、その生活安定をはかつたこと、第六番目は、公共事業費、食糧増産対策費を増額いたしたこと、第七番目は、社会保障費失業対策費増額したこと、最後に第八番目は、財政投融資増額をはかりまして、これをてことして物価引下げを可能とする政策を明示するとともに、国家資金の使用に関しましては厳重な国家の監査を主張したことなどであります。この組みかえ案こそ、真にインフレを防止し、経済の再建と民生の安定をはかり得る唯一の具体的内容を持つものであることを確信するものであります。(拍手)この確信のもとに、わが国の内外の情勢を考えるときに、政府原案並びに保守三派による修正案わが国百年の運命を誤るところの重大なる予算でありまして、かかる予算案はこの際すみやかに返上し、われわれ両派社会党の共同組みかえ案に諸君の賛同を特にお願いをいたしまして、私は、以上を申し上げ、昭和二十九年度の保守三派による共同修正案並びにその修正を除く政府原案反対し、両派社会党の共同組みかえ案に賛成の討論を終るものであります。(拍手
  15. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 安藤覺君。     〔安藤覺君登壇
  16. 安藤覺

    ○安藤覺君 私は、日本自由党を代表いたしまして、ただいま議題となつておりまする予算各案に対し、自由党改進党、日本自由党三党の共同提案にかかります修正案及び修正部分を除く予算各案の政府原案に賛成し、同時に、日本社会党両派提案にかかります予算各案について組織がえを求むる組みかえ動議反対の意見を申し述べんとするものであります。(拍手)しかしながら、時間をきわめて制約せられておりまするので、大要のみ申し述べますることをあらかじめ御了承いただきたく存ずるのであります。  まず、その前提といたしまして、特にここに申し述べておきたく存じますることは、わが日本自由党昭和二十九年度予算に対する根本的認識と申しますか、要すれば態度の問題であります。すなわち、わが日本自由党といたしましては、現下日本内外の諸情勢、しんしんとして革命達成に成功を収め、急速なる工業発展を示しつつある隣邦中共、わが日本を敵視することが唯一の政権維持と考えているのではないかと疑われる韓国李承晩大統領の対日施策、その他東南アの現状、遠くはアデナウアー大統領の治政下における西ドイツの驚くべき急速なる、かつ底力強きその復興と貿易の伸展、また小山倉之助議員も御指摘に相なりましたごとく、米英の原子力によるところの第二産業革命への出発等々、これらに比しまして、遺憾ながら、わが国の内外におきましては、掛声のみいたずらに大きく、外面の装いはなやかであつて、実は底のきわめて浅い経済、産業力、霜にあうならばたちまち青草のごとくしぼみ行くであろう海外貿易、しかも、政府及び国会は、昨今この忌まわしき問題の暗雲にとざされております。心ある国民をして真に痛嘆せしめておるところでありまして、この当面せる政治、経済、産業のよつて来る責任がはたして那辺にあるかは、これをしばらくおくといたしまして、まことに重大であるという事実を肯定いたさないわけには参りません。このときにあたりまして、不幸予算の不成立を見るが、ごときことがあるといたしまするならば、これはまさに栄養失調の人に対してさらに断食をしいるがごとき結果と相なり、国家、公共事業の停頓はもとより、これによつて生ずる国民の困惑、ひいては一般産業の萎廃沈滞と相なり、国力伸展は阻止せられ、真に容易ならぬ事態を出現するであろうことは火を見るよりも明らかであります。(拍手)しこうして、このことは、昨年三月の国会におきまして、内閣不信任案の通過とともに、われに抗する者はことごとく切れとするがごとき解散が行われ、遂に予算成立と相なりましたる結果、暫定予算に次ぐに暫定予算をもつてし、国家国民のこうむりましたるところの困難、損失はまことに重大なものがあつたことは、皆様方御承知通りであります。しかも、重ねてまた二十九年度におきまして予算の不成立を見るがごときことがありといたしますれば、天下民衆の嘆き、国家の不幸また言うべくもありません。この認識の根底に立ちまして、わが日本自由党は、混迷せるこの政局下におきましても、予算成立第一義の方針において今国会に臨んだ次第であります。  しかして、いよいよ政府提出いたしました予算案を検討いたしますると、昨日もわが党同志中村梅吉氏が、本予算案を前年度予算案に比較して、人件費において約五百億、防衛庁費において二百億余、これを支出増加いたしました分を、食糧増産費社会保障費、産業資金等の大幅削減によつて帳消しといたしたところのきわめて消極予算であり、いかにも現内閣の政治的貧困を暴露したおそまつなる予算であり、われらは多大の不満を持つたと、端的に申し述べておる通りであります。すなわち、食糧増産の予算においては、今冬の暖冬異変によつて麦作の不作予想がすでに十分であります。また、長期予報によりましてもすでに警戒せられておりまするところの今夏の冷温と今秋の稲作不況、この不安を眼前にいたしまして、なおこの食糧増産予算をあれまで圧縮を加えるというがごときは、まさに耳をおおうて鈴を盗むの児戯にひとしいものと言おなければなりません。これすなわち、わが党が、予算はあくまで成立せしむベしとの前提のもと、このたびの九十億の修正に格段の努力をささげ、自由、改進両党の間にありまして、あつせん、双方を互譲せしめ、遂にこの成果を見たゆえんであります。(拍手)  もとより、われら同志の心境をありていに申しますれば、なお本修正予算によりましても満足いたすものではありません。もしそれ、現下の情勢に真にマツチした予算を組むべくんば、まず行財政の徹底的整理計画を立て、これと見合つたところの積極的な産業政策を樹立して、相並行して出発した上に立たねばならぬと存じます。さりながら、すでに料理人によつて、調理はもとより、盛りつけ、配膳まで終つておる今日であります。しかも、食べなければならない現実、すなわち予算成立ということを前提といたしましては、この程度の手直しをもつて、はしをとらざるを得ない次第であります。もちろん、本修正予算に対しまして一半の責任をわが党において負うことは、あえて辞するものではありません。かかるがゆえに、わが党といたしましては、この場合、政府に対しまして、この責任をわが党が分担すべき反面、二、三の強き要望をいたさねば相ならぬと存ずるのであります。すなわち、われわれがここに強き要望を申し述べて、政府予算施行にあたつての万全を期せしめるということは、われわれの当然の義務であるのであります。  まずその第一点におきましては、本予算はきわめて圧縮せられましたる予算であります。政府みずからも言われるがごとく、国民に対し耐乏生活をしいることと相なりまするので、このときにあたつて私が思い起しますことは、その本治まらずしてその末治まるものはあらじという言葉であります。この予算成立せしめるには、実にこの言葉に思いをいたさなければ相ならぬと存じます。しかも、この予算成立せしめまするものは、われわれみずからであります。しかりといたしますならば、われわれみずからがまずもつて率先、この予算によつて生ずるところの耐乏生活に耐えて行くべきことは言うまでもありません。いわんや、この予算基本編成し、かつその施行に当る政府においておやであります。私はあえて吉田総理大臣以下各閣僚の私生活に立ち入つてとやかく云為いたそうとは思わないのであります。しかしながら、この予算を組んで成立せしめ、なおかつ施行の地位に立ち続けようとする以上、まずもつてこの覚悟を持つべきことはもとより当然であると信ずるのであります。  このゆえをもちまして、政府は、本予算案成立いたしましたあかつきにおいては、まずその施行に先んじて耐乏生活モデル地区の設定をいたし、そのモデル地区を吉田総理大臣及び各官僚の官公私邸と指定すべきことを真剣にまじめに要望するものであります。(拍手)この要望は私のあくまで真剣にしてまじめなる要求であります。私は、この私のとつぴのごとく思えるであろうところの要求の理由を説明いたしまするかわりに、ここに先哲の残しましたる治国平天下、修身斉家、すなわちその意直うしてその身修まる、その身修まつてその家斉う、その家斉つてその国治まる、その国治まつて天下平らかなりとするところのこの言葉、この政治家倫理の規範を私みずからが心肝に銘じますとともに、吉田総理大臣以下各閣僚諸公につつしんで呈するものであります。(拍手)  次いで、要望の第二であります。あらためて申し述べるまでもなく、今や政府並びに国会はきわめて恥ずべき汚職の疑雲に包まれておるのであります。(拍手国民大衆の憤懣はまさに爆発寸前にあることは、吉田総理大臣初め政府の閣僚諸公もこれを十分に認知しておられることと存ずるのであります。これに対し、吉田総理大臣は、従来しばしば事態の判明をまつて善処せらるべき旨の心境を明らかにいたしておられました。いやしくも国家最高の責任者としての地位に立たれます以上、軽々にその進退をせらるべきでないことは言うまでもありません。また、世上伝えらるるがごとき、吉田総理大臣が眼前の事態に対し、ただこれ目をおおい、耳をふさぎ、胸中政権への我執我欲のみあつて一片の道義的責任をも解せずとするがごとき流説を信ずるものではございません。いな、逆に、泣かぬほたるが身を焦がすの俗歌こそが、吉田総理大臣の胸中をいみじくも道破したものであり、吉田総理大臣こそ何人にも譲らざるところの憂国の至誠に燃えておられるところの士にあらずやと推察いたしておる次第であります。しかして、伝えられますところによりますれば、本予算案が衆議院を通過いたし、参議院へ送付せられるを待つて、司直の手は急速に政府要路及びあるいは再度国会に伸ばされるのではないかとの流説もあるのであります。真疑のほどはあえて問うところではありません。この事態に対し、この世上の疑雲に対し、まさに内閣をおおうて一大事の時至る。この時、この際、吉田総理大臣、心にみじんのけい礙があつてはなりません。けい礙なければ恐怖するところもありません。道元いわく、心身脱落、脱落心身と。切に、この境地に立たれて政治燮理の衝に立たれることを、本予算を賛成するにあたつて要求するものであります。(拍手)  最後に、社会党両派提出によりますところの、かおり高い泰西名画のごとき組みかえ予算案に対しましては、心からなる——忠実に観賞はさせていただきますが、残念ながら賛成いたしかねることを明らかにいたす次第であります。(拍手
  17. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。まず、佐藤觀次郎君外十四名提出昭和二十九年度一般会計予算外二件の編成がえを求めるの動議につき採決いたします、佐藤觀次郎君外十四名提出動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  18. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 起立少数。よつて佐藤觀次郎君外十四名提出動議は否決されました。  次に、昭和二十九年度一般会計予算外二件を一括して採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。三件中、昭和二十九年度特別会計予算委員長報告は可決でありまして、その他の二件の委員長報告修正であります。三件を委員長報告通り決するに賛成の諸君は白票、反対諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  19. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  20. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長朗読〕  投票総数 四百四十六   可とする者(白票)   三百三     〔拍手〕   否とする者(青票)  百四十三     〔拍手
  21. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 右の結果、昭和二十九年度一般会計予算昭和二十九年度特別会計予算及び昭和二十九年度政府関係機関予算はいずれも委員長報告通り決しました。(拍手)     —————————————     〔参照〕  昭和二十九年度一般会計予算外二件を委員長報告通り決するを可とする議員の氏名    相川 勝六君  逢澤  寛君    青木  正君  青柳 一郎君    赤城 宗徳君  秋山 利恭君    淺香 忠雄君  麻生太賀吉君    足立 篤郎君  天野 公義君    荒舩清十郎君  安藤 正純君    伊藤 郷一君  飯塚 定輔君    生田 宏一君  池田  清君    池田 勇人君  石井光次郎君    石田 博英君  石橋 湛山君    犬養  健君  今村 忠助君    岩川 與助君  宇都宮徳馬君    上塚  司君  植木庚子郎君    内田 信也君  内海 安吉君    江藤 夏雄君  遠藤 三郎君    小笠 公韶君 小笠原三九郎君    小川 平二君  小澤佐重喜君    小高 熹郎君  尾崎 末吉君    尾関 義一君  越智  茂君    緒方 竹虎君  大上  司君    大久保武雄君  大西 禎夫君    大野 伴睦君  大橋 忠一君    大平 正芳君  大村 清一君    岡崎 勝男君  岡田 五郎君    岡野 清豪君  岡本 忠雄君   岡村利右衞門君  押谷 富三君    加藤 精三君  加藤 宗平君    加藤常太郎君  加藤鐐五郎君    鍛冶 良作君  川島正次郎君    川村善八郎君  河原田稼吉君    菅家 喜六君  木村 武雄君    木村 俊夫君  木村 文男君    菊池 義郎君  岸  信介君    岸田 正記君  北 れい吉君    久野 忠治君  熊谷 憲一君    倉石 忠雄君  黒金 泰美君    小枝 一雄君  小金 義照君    小坂善太郎君  小平 久雄君    小西 寅松君  小林かなえ君    小林 絹治君  小峯 柳多君    佐々木盛雄君  佐瀬 昌三君    佐藤 榮作君  佐藤善一郎君    佐藤 親弘君  佐藤虎次郎君    佐藤洋之助君  坂田 英一君    坂田 道太君  迫水 久常君    始関 伊平君  塩原時三郎君    篠田 弘作君  島村 一郎君    庄司 一郎君  首藤 新八君    助川 良平君  鈴木 仙八君    鈴木 善幸君  鈴木 正文君    世耕 弘一君  瀬戸山三男君    關内 正一君  關谷 勝利君    田口長治郎君  田子 一民君    田嶋 好文君  田中 角榮君    田中  好君  田中 彰治君    田中 龍夫君  田中 萬逸君    田渕 光一君  高木 松吉君    高田 弥市君  高橋 英吉君    高橋圓三郎君  高橋  等君    竹尾  弌君  武田信之助君    武知 勇記君  玉置 信一君    津雲 國利君  塚田十一郎君    塚原 俊郎君  辻  寛一君    土倉 宗明君  綱島 正興君    坪川 信三君  寺島隆太郎君    戸塚九一郎君  徳安 實藏君    苫米地英俊君  富田 健治君    中井 一夫君  中川 俊思君    中村  清君  中村 幸八君    中山 マサ君  仲川房次郎君    永田 良吉君  永田 亮一君    長野 長廣君  灘尾 弘吉君    夏堀源三郎君  南條 徳男君    丹羽喬四郎君  西村 英一君    西村 直己君  西村 久之君    根本龍太郎君  野田 卯一君    羽田武嗣郎君  葉梨新五郎君    馬場 元治君 橋本登美三郎君    橋本 龍伍君  長谷川 峻君    鳩山 一郎君  花村 四郎君    濱田 幸雄君  濱地 文平君    林  讓治君  林  信雄君    原 健三郎君  原田  憲君    平井 義一君  平野 三郎君    福井  勇君  福田 赳夫君    福田 篤泰君  福田  一君    福田 喜東君  福永 健司君    藤枝 泉介君  船越  弘君    船田  中君  降旗 徳弥君    保利  茂君  坊  秀男君    星島 二郎君  堀川 恭平君    本多 市郎君  本間 俊一君    前尾繁三郎君  前田 正男君    牧野 寛索君  益谷 秀次君    増田甲子七君  松井 豊吉君    松岡 俊三君  松崎 朝治君    松田 鐵藏君  松永 佛骨君    松野 頼三君  松山 義雄君    三池  信君  三浦寅之助君    水田三喜男君  南  好雄君    村上  勇君  持永 義夫君    森   清君  森 幸太郎君    八木 一郎君  安井 大吉君   山口喜久一郎君  山口 好一君    山口六郎次君  山崎 岩男君    山崎  巖君  山田 彌一君    山中 貞則君  山本 勝市君    山本 正一君  山本 友一君    吉田  茂君  吉田 重延君    吉武 惠市君  渡邊 良夫君    亘  四郎君  赤澤 正道君    芦田  均君  荒木萬壽夫君    有田 喜一君  五十嵐吉藏君    井出一太郎君  伊東 岩男君    池田 清志君  稻葉  修君    今井  耕君  臼井 莊一君    小山倉之助君  大麻 唯男君    大高  康君  岡田 勢一君    岡部 得三君  加藤 高藏君    神戸  眞君  川崎 秀二君    喜多壯一郎君  吉川 久衛君    楠美 省吾君  栗田 英男君    小泉 純也君  小島 徹三君    河野 金昇君  河本 敏夫君    佐藤 芳男君  佐伯 宗義君    齋藤 憲三君  櫻内 義雄君    笹本 一雄君  志賀健次郎君    椎熊 三郎君  重光  葵君    白浜 仁吉君  須磨彌吉郎君    鈴木 幹雄君  園田  直君    田中 久雄君  高瀬  傳君    高橋 禎一君  竹山祐太郎君    舘林三喜男君  千葉 三郎君    床次 徳二君  内藤 友明君    中島 茂喜君  中嶋 太郎君    中曽根康弘君  中野 四郎君    中村三之丞君  中村庸一郎君    並木 芳雄君  橋本 清吉君    長谷川四郎君  廣瀬 正雄君    藤田 義光君  古井 喜實君    古屋 菊男君  町村 金五君    松浦周太郎君  松村 謙三君    三浦 一雄君  三木 武夫君    村瀬 宣親君  粟山  博君    柳原 三郎君  山下 春江君    山手 滿男君  吉田  安君  早稻田柳右エ門君  只野直三郎君    辻  政信君  安藤  覺君    池田正之輔君  河野 一郎君    中村 梅吉君  松田竹千代君    松永  東君  三木 武吉君    山村新治郎君 否とする議員の氏名    阿部 五郎君  青野 武一君    赤路 友藏君  赤松  勇君    足鹿  覺君  飛鳥田一雄君    淡谷 悠藏君  井手 以誠君    井谷 正吉君  伊藤 好道君    猪俣 浩三君  石村 英雄君    石山 權作君  稻村 順三君    小川 豊明君  加賀田 進君    加藤 清二君  片島  港君    勝間田清一君  上林與市郎君    神近 市子君  木原津與志君    北山 愛郎君  久保田鶴松君    黒澤 幸一君  佐々木更三君    佐藤觀次郎君  齋木 重一君    櫻井 奎夫君  志村 茂治君    柴田 義男君  島上善五郎君    下川儀太郎君  鈴木茂三郎君    田中織之進君  田中 稔男君    多賀谷真稔君  高津 正道君    滝井 義高君  楯 兼次郎君    辻原 弘市君  永井勝次郎君    成田 知巳君  西村 力弥君    野原  覺君  芳賀  貢君    萩元たけ子君  長谷川 保君    原   茂君  古屋 貞雄君    帆足  計君  穗積 七郎君    細迫 兼光君  正木  清君    松原喜之次君  三鍋 義三君    武藤運十郎君  森 三樹二君    八百板 正君  安平 鹿一君    柳田 秀一君  山口丈太郎君    山崎 始男君  山田 長司君    山中日露史君  山花 秀雄君    山本 幸一君  横路 節雄君    和田 博雄君  淺沼稻次郎君    井伊 誠一君  井上 良二君    井堀 繁雄君  伊瀬幸太郎君    伊藤卯四郎君  池田 禎治君    稲富 稜人君  今澄  勇君    受田 新吉君  大石ヨシエ君    大西 正道君  大矢 省三君    岡  良一君  加藤 勘十君    加藤 鐐造君  甲斐 政治君    春日 一幸君  片山  哲君    川島 金次君  川俣 清音君    河上丈太郎君  木下  郁君    菊川 忠雄君  小平  忠君    小林  進君  河野  密君    佐竹 新市君  佐竹 晴記君    杉村沖治郎君  杉山元治郎君    鈴木 義男君  田中幾三郎君    竹谷源太郎君  長  正路君    辻  文雄君  堤 ツルヨ君    戸叶 里子君  土井 直作君    冨吉 榮二君  中井徳次郎君    中居英太郎君  中崎  敏君    中澤 茂一君  中村 高一君    中村 時雄君  西尾 末廣君    西村 榮一君  日野 吉夫君    平岡忠次郎君  細野三千雄君    前田榮之助君  松井 政吉君    松平 忠久君  松前 重義君    三宅 正一君  三輪 壽壯君    水谷長三郎君  門司  亮君    矢尾喜三郎君  山口シヅエ君    山下 榮二君  吉川 兼光君    吉田 賢一君  岡田 春夫君    川上 貫一君  久保田 豊君    黒田 寿男君  館  俊三君    中原 健次君  中村 英男君    有田 八郎君  原   彪君    平野 力三君       ————◇—————
  22. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) お諮りいたします。中村高一君外十九名提出政治資金規正法の一部を改正する法律案は、公職選挙法改正に関する調査特別委員会にあわせ付託いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。
  24. 荒舩清十郎

    ○荒舩清十郎君 残余の日程は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  25. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  26. 堤康次郎

    議長堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。   本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十七分散会