○辻(文)
委員 総括的なことは
林委員がおつしや
つたし、個々のことも大分出て参りましたので、私が
お尋ねしてみたいと思うことはほぼ相済んだように思いますけれども、今日は
大臣が初めて
委員会においでいただきまして、
大臣の基本的な、また人道的なお
考えを大体伺
つて私は非常に心強く思いました。ぜひそのことはおかえいただかなくて、現実のお気持を進めるくらいに人道上から御思考願いたいと存じます。というのは、五十条の三号に
法務大臣の
在留特別
許可の
方針というのがございます。この場合に、私どもが知ります知識においては何らの
基準もはつきり出ておりません。極端に申し上げれば、
大臣がこれはいいと思えばよろしいのじやないかということになります。むろんそれまでになります間において私どもが重視しなければならぬのは、現行の審判
制度なんでございます。審判
制度がどうやられておるかということも、すでに
鈴木局長の
時代から各
委員が気にされておいでになり、ことに大村なんかをみなで視察いたしましたその後に私どもがいろいろな要望をいたしました過程において、どんな
基準で審判をしておるかというようなことをつつ込んで、現
内田局長におなりにな
つてからも、狭義の
意味合いで、速記をやりませんで忌憚ない
お話を承
つたこともございますけれども、遺憾ながらその点は、おそらく出席しておりました各
委員が心から納得できる御答弁ではなか
つたように私は感じております。かような点から、
法務大臣の
在留特別
許可というようなものも、新
大臣は新しくあられるという
意味ばかりでなく、常に
基準として最後の断定をお下しになることと存じますので、この審判
制度というものはむろんいろいろ思想的その他外交上の問題もございまして、全部を公開するというようなことは不可能だとも存じますけれども、せめて
委員の少数の
人たちだけにでも、その
意味での国民の代表といたしましても納得の行くような段階になされないものかというようなことをつくづく
考えておりますので、かようなことも要望になりますけれども、さらにぜひ
大臣のお心に置かれて御勘考いただきたい、かように存じます。
それから事実先ほどから
花村小
委員長、
林委員からいろいろと御
質問、御要望があ
つたようでありますが、そのことは私どもが現実に大村を視察いたしました場合も
——たとえば具体的に申し上げれば一人の費用というものが一箇月に最低一万二千円くらいの費用を要するようにな
つております。六百人収容してお
つても多額になりますが、
内田局長の御答弁のように、それが逐次月に二百名からあるいは二百五十名からの増員をして行くというようなことになりますと、それがただいままでの
質疑応答の過程において承
つておりますように、
中共あるいは北鮮あたりでは受入れ態勢さえもできていないという現段階では、何年間そこに収容しておかなければならぬかということになりますと、多額な金額になることはもろ三歳の児童でもわかることだと思う。かようなことですから、われわれがよく
考えなければならぬことは、一方には
神近委員からもいろいろ
お尋ねにな
つたように、その
趣旨の中にも帰る者は帰して
——現実の食糧
事情から申しましても、
日本の
諸般の国情から申しましても帰したい、これはもうお互いに
考えなければならぬことでございます。また思想的にも言
つても、私
自体に言わせるならば、水準の高い人であればたといどういう思想がありましても
——実際に私どもの若いとき、これは
神近さんよく御体験であろうと思いますが、アナーキストであられた方もボルシエヴイーキであられた人もありましよう。しかしどんな思想であろうとも、
日本の春夏秋冬における、いわゆる自然に育てられた国民性といかなる相違があるか。あるいはマルキシズムにしても敗戦後の
日本の経済の自立に対してどんな
考えを持
つたか、そんなこまかいことまで
考えていないはずであります。ですからかような体験と学究と歴史をからだに負
つて、そうして身に消化しておりますならば、現実の
日本としてはいかなる思想で行くべきかということがはつきり身についておるはずなんです。言いかえればいわゆる血にな
つておると私は存じます。そういう水準の
人たちはソ連に参りましようとも、
中共に参りましようとも、決して他の思想に侵されて来るということはないと私は思う。いいところは取入れましよう、注入して
時代感覚のずれが来ないように盛り立てて、自分みずからを育成して行くような段階になりましようけれども、悪いと思うならば絶対に取入れない。活字の収め方というものとそれが消化されて教養にな
つておるものとは非常な隔たりがある。私はかように存じますので、その点は私は水準の低い人までにどうということは申し上げられませんけれども、指導者
自体がよろしければ、たとえばあつちにや
つたりこちらに来たりしても、そうまで恐ろしいということをお
考えにならなくてもいいのではないかということを私個人で
考えております。さようなことを総合いたしましてとるべき道は、小さく分析いたしますと二つあるのではないかと思います。というのは小
委員長の
花村さんがおつしやいましたように、むだな経費をこのない金から使うよりも総合的に、そんなことをあるいは赤十字社の手を通ずるのもよろしゆうございましようし、いろいろ民間団体の手を通ずることもございましよう。現実に李徳全女史が参りましたこの現われから申し上げても、私は決して空想じやないという確信を持てるのでございます。と同時に一方にはいかにして阻止するかというようなことも
局長からいろいろ御答弁がありましたが、科学の進歩した今日では、
ちようど
委員長が言われるように私はある
程度はできると思います。それはここで詳しいことはお時間をとりますからよしますけれども、長崎県あたりに
——ちようど
神近委員のお生れにな
つた平戸なんかの辺に上りますところとか、いろいろの現実を私は知
つております。その現実から申し上げますると、
局長がおつしや
つたようなことも非常にございますが、事実これをいかに防止しなければならぬかというこの本質の置きどころを防止する担当の官吏が
考えたらできる。私はかように思いますが、かようなことはまたいつかの機会に申し上げることにして、その阻止する方法の法律の画然たる立法と、同時にそれに当る
人々が涼しい気持でまじめにやるということをいかにやるか。機構上の問題と責任上の問題ですが、これをやらせるようにやるということが
一つと、それからもう
一つは、犬養
法務大臣のころと加藤
大臣におなりにな
つてから加藤
大臣のおやめになる直前に
——これは
中共も
朝鮮も同じことだと思いますが、大量に収容されたことがございます。というのは、それまでは保証金をそれぞれ積みまして一定のわくと申し上げると私どもが
ちようど
決議で
——先ほど
大臣に
林委員から御
質問がございました、この文書を差上げるまでの過程のときでございますが、その直前まではそれぞれ
日本にじやまにならぬ、むしろ
考え方によりますと経済的にも
日本にプラスをしておる。思想的にもあるいはその他の犯罪的にもこれは許し得るという範囲を置いてあ
つたように存じます。また家庭的の
事情から申し上げると、これは
考え方によると許すべきじやないかもしれませんが、こちらに参りましてから
日本の女性と結婚をした、子供もある。こういう範囲の者もこの中に含ま
つておりますが、さような
人たちを広汎に許して保証金をと
つて出してあります。それを一時に収容されのでありまするが、そのときにどういう
基準でどんなことでそれが大幅に収容されたかということを私の浅い知識かもしれませんが、一応研究してみましたら、これは当然法律の本質に帰
つてと言うが
——これも私が註釈を入れるようですけれども、人道的な気持とあるいは活字的に一応われわれが守るべきものだということでつく
つたものとの差異が、私
自体には少々
考えられるところがございますけれども、一応法律の本質的なものとして収容しなければならぬから、収容所が大分あいて来たのでその
人たちを軌道に乗るように収容したという以外には、これがどんな
理由だ
つたかということが私にはふに落ちなか
つたのであります。そういうことで収容された後に、先ほどのようにだんだん二百五十人からたとえば大村一箇所でもふえて来ておるということについては、さようなお見通しがなか
つたのかというようなことも
考えられますので、これを
一つの方法だと申し上げたのは、そういう
人たちを受入れ態勢ができるまで、
日本にじやまにならぬなら、それはむろん審議をしなければならぬ、
調査もしなければならぬと思いますが、おそらくさようなことは
入国管理局において古い
人たちのことについてはおわかりにな
つているはずだと思いますので、さようなものを保証金をと
つて出す。こういうことをいたしますと、少しでも
緩和されて来ていい、物質的にも助か
つて来るようなことがあるのじやないか、また気持の上から申しますと、今後の外交政策としても、これは外務省がやることでありますけれども、関連して
日本の
国交回復の上にも非常にいい影響を与えるのではないか、いわゆるアメリカ一辺倒と言われるようなこともなくなるのではないか、かように思いますので、かような二つの方法に
基準を置かれて
大臣もどうぞ御善処いただきたいと存じます。
それから派生的のことでありますけれども、私どももこれを
調査し、小
委員長もおやりのようであります収容所の問題であります。これは私どもが逆に御加勢しなければならぬと思
つておりますのは、何か刑務所に入れたらというようなことも一応
考えられておるということでしたが、これも必要に応じてはそうかもしれませんが、もし国に帰れた場合にも、
日本はこうして互恵の精精があ
つたのだと言われなければなりません。この
趣旨から申し上げても、
大臣は御存じかどうか知りませんが、あの川崎の問題がございます。これに予算が八千万円だとかいるようでありますし、それから下関なんかも一億五千万ばかりいるようにな
つておりますので、
委員長にもお願いして私どもは大蔵省にも当るつもりでありますが、この点について
内田局長その他によく
お尋ねいただいて、
大臣からも大蔵
大臣にも閣議のときその他で御努力願
つて、かようなものも
日本の経済が許す範囲においては設備をしなければならぬだろうと思います。要望にな
つてまことに相済みませんが、私の申し上げたことについて
大臣のお気持だけを御答弁いただければけつこうだと思います。