○高橋(禎)
委員 法務大臣に二、三質問をいたしたいと思います。ただいまの
佐竹委員の質問にも若干関連をいたすわけでありますが、法務大臣も御存じのように、
最高裁判所においては、昭和二十八年末の未済
事件が五千数百件あるわけです。これだけお聞きにな
つてもお驚きになるはずだと思うのです。
最高裁判所に五千数百件の未済
事件があ
つても、何ら特別心配することもない、平気だというようなことではいかぬと思うのですが、法務大臣に特に注意していただきたいのは、今度の
民事訴訟法等の
改正案が出ましたが、それは御存じのように
上告事件に関する
特例法が失効するので、それが失効して
民事訴訟法がそのままでは、これこそまた
事件が
最高裁判所に殺到して、さらに未済
事件が増加する心配があるので、これを何とかしなければならぬというところが、この
民事訴訟法の
改正案の大きなねらいであると思うのです。しかし
政府が提出された原案は、なかなか通過する見込みがないのです。そこで私どもはこれに若干修正を加えてでも、これらの要請にこたえなければならぬと考えておるわけですけれども、しかしそれでも相当
事件が多くなるのじやないかと私は思う。だからこのままでは国民の
権利を守らなければならない立場にある
裁判所として、ほんとうにその職責を尽し得ないということになるわけです。そこで法務大臣はこの
最高裁判所の機構についてお考えにならなければならない、責任を持
つてこれを解決しなければならないということは、
佐竹委員も指摘された
通りであります。ところが先ほどの御答弁を伺いますと、どうも法制
審議会に諮問しておるのだけれども、その結論なかなか得られない、それを待
つておる、こういうふうな御
意見のようでありますが、そんなことじやと
つても法務大臣の責任を果すゆえんではないと思うのです。法制
審議会の機構も今のままにしておいて今日までの
経過は参よくお聞きにな
つておると思うのですが、なかなか結論が出ないし、出る見込みがおそらくおありにならないのじやないかと思う。結論がいつ出るかわからないものを、法制
審議会の機構についても考えない、その構成の
委員等についての問題も考えないで、ただ手をこまねいて、見込みのない法制
審議会の結論の出るのをじつと待
つておるというのでは、とてもわれわれ黙
つておれないとという気持がいたすのであります。そこでまず法制
審議会の問題ですが、今のままではとにかく結論が出る見込みがない。ところが法務大臣としては法制
審議会の
意見を徴されて、その結論を得てからというお気持のあることもこれは当然のことだと思います。それでは結論が得られるように法制
審議会というものをこういうふうにしよう、たとえば今までの
委員の構成等を見ますと、
最高裁判所の裁判官なり、あるいは学界の人なり、あるいはまたこういう前歴を持
つた方々が多数おられますが、私の感じますことは、どうも庶民といいますか、国民の立場に立
つて、それを代表するというような
意見が、この法制
審議会において十分収入れられないような構成じやないかと思うのです。もちろん在野法曹等も若干おられますけれども、全体の数からいたしまして、国民の意思がそこに十分取入れらるべき構成にな
つておらないように思う。法務大臣はお医者さんの
経験がありますから申しますが、一体こういうものは
法律をつくるとき、あるいはまた機構を考えますときには病人本位でやらなければいかぬと思うのです。法務大臣は病人をお取扱いにな
つても、お医者本位でや
つたらとても病人は満足するものではない。病人本位でやらなければならない。
法律をつくり、機構を考えるときには、国民本位でやらなければならない。
裁判所は
裁判所本位、法務省は法務省本位にや
つてお
つたのでは解決がつかない。だから法制
審議会にもつと在野法曹なりあるいは庶民意識をもつとそこに取入れらるべき一般有識者というものを入れなければ解決がつかないのじやないか。
裁判所は
裁判所の立場、法務省は法務省の立場、学者は学問的な立場だけ考えて、ほんとうに国民の立場を考える人が少いというところにこの結論が出ないのじやないかと考えるのですが、こういうことについて法務大臣はどうお考えになるか。すなわち法制
審議会をこのままにしておいたのでは、重大な
最高裁判所の機構問題を解決する結論はとても出ないが、自分はこうしようというお考えがあれば、それをこの際伺
つておきたいと思います。