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1954-05-10 第19回国会 衆議院 法務委員会 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十日(月曜日)    午後二時四十二分開議  出席委員    委員長 小林かなえ君    理事 鍛冶 良作君 理事 佐瀬 昌三君    理事 田嶋 好文君 理事 林  信雄君    理事 高橋 禎一君 理事 古屋 貞雄君    理事 井伊 誠一君       吉田  安君    猪俣 浩三君       木原津與志君    木下  郁君       佐竹 晴記君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      山内 隆一君         検     事         (民事局長)  村上 朝一君  委員外出席者         判     事         (最高裁判所事         務総局民事局         長)      関根 小郷君         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 五月十日  委員田嶋好文辞任につき、その補欠として緒  方竹虎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員緒方竹虎辞任につき、その補欠として田  嶋好文君が議長指名委員に選任された。 同日  田嶋好文君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員補欠選任  接収不動産に関する借地借家臨時処理法案(吉  田安君外三名提出、第十六回国会衆法第八二  号)  裁判所法の一部を改正する法律案内閣提出第  七九号)  民事訴訟法等の一部を改正する法律案内閣提  出第八〇号)  民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案(  内閣提出第一一六号)  国際連合軍隊に関する民事特別法適用に関  する法律案内閣提出第一六六号)     ―――――――――――――
  2. 小林錡

    小林委員長 これより会議を開きます。  理事並びに民事訴訟法等の一部を改正する法律案外二件審査小委員補欠選任についてお諮りいたします。すなわち田嶋好文君について、本日議長において委員異動が行われましたので、理事及び当該小委員に欠員を生じたわけであります。  理事並びに小委員補欠選任につきましては、先例に従い委員長において御指名いたしたいと存じますが御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林錡

    小林委員長 御異議はないものと認め、委員長におきましては理事並びに民事訴訟法等の一部を改正する法律案外二件審査小委員の補充には、従前通り田嶋好文君を御指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 小林錡

    小林委員長 次に接収不動産に関する借地借家臨時処理法案議題といたします。  本案並びに田嶋好文君外三名提出本案に対する修正案を一括して質疑を行います。
  5. 小林錡

    小林委員長 質疑通告がありますから、これを許します。木下郁君。
  6. 木下郁

    木下委員 この法案ですが、これは十六国会議員立法として提案されまして、その当時から戦災地疎開地に関する臨時措置立法化がされました。その立法趣旨と同じような意味で、まことに適切なる立法だと考えていたわけであります。ところがそれが継続審議になつて、今日まで足かけ三年、長い間きまらないでやつて来たんですが、その間の事情、どういう理由でこういうふうに継続審議が長くなつて来たかということをこの機会提案者の方に伺つておきたいと思います。
  7. 田嶋好文

    田嶋委員 ごもつともな御質疑だと思うのでございます。その点提案者も恐縮に存じておるわけでございますが、木下委員も御承知くださいますように、この法案は第十三国会――たしか佐瀬委員長当時だつたと思うのでございますが、当法務委員会にこれに対する小委員会が設けられまして、小委員長として私が就任いたして参りました。ちようどこの第十三国会は、会期の終りごろにこれが提案されましたために会期終了になりまして、小委員会は次の国会に持ち越されるようになりました。次の国会で、この小委員会審議中に、たまたま御承知のように抜打ち解散が行われまして、そのために小委員会においては継続審議という形になつたのでございます。第十四国会、これは私が法務委員長になりました関係で、小委員長には当時の松岡松平議員がなられまして、この法案作成の小委員会審議が進められたわけであります。これまた御承知のような国会事情になりまして、突然解散が断行されて、この国会でも通過を見ることができませんでした。続いて十六国会なつてこ法案をいろいろ審議を願いました結果、ようやく十六国会において本委員会会提案なつたわけであります。これも結論を出すために相当会期の切迫を見まして、遂に継続審議ということになりまして、今日の委員会にかかり、きよう御審議を仰いでいるような事情であります。
  8. 木下郁

    木下委員 もう一つ、修正された案につきまして、借家人保護という面が削られてしまつている。察するところ時間的な経過があつたので、借家人のおちつきどころというようなものも相当できたという事相があるからかとも思いますが、元来が、当初からの趣旨は、借家人もくるめて所有者と一緒に見て、貧乏くじを引いた人たち接収解除機会に埋合せをしようというのがこの立法趣旨であるように思つたのですが、借家人部分が――これは人数からいえばその方が多いのじやないかと思う。そういうのが落されてしまうと、その方の保健はなくなるということになりますが、そういう点はどういう理由でありますか、承つておきたい。
  9. 田嶋好文

    田嶋委員 これまた木下委員承知のように、小委員会におきましては、今御質問あられましたような点が重点になりまして議が進められたわけでございます。そうして小委員会会部分意見といたしましては、ぜひとも借家人保護規定を設けて行きたいということになつたのでございますが、これに対しましてはいろいろと借家権保護に対する法律的な面からの反対意見もございますし、また土地所有権侵害という面からの反対意見等も相当出て参つたわけであります。その後社会の推移を見ておりますと、大分建築事情も変つて参りましたし、それに伴いまして住宅事情が好転して来たということにもなりますので、こうした紛糾ある、議論のある借家権保護の立場をいつまでも問題にしておるときは、せつかく重要と考えます借地に対する保護までも時期的に失してしまうというような面から、われわれといたしましてはまことに残念ではございますが、そうした法案をぜひとも成立させたいという面から、涙をのんでこの規定を削除いたしたようなわけであります。
  10. 木下郁

    木下委員 この法案が成立すると施行をするわけでありますが、裁判所仕事となることは当然察せられるわけであります。そうすると予算という費用の面がやはり問題になりはしないかと思う。そういう点はどういうふうにお考えになつておるか、ちよつと伺つておきたいと思うわけであります。
  11. 田嶋好文

    田嶋委員 ただまの御質問に対しましては、裁判所当局が参つておりますのでその方から説明をさしていただきます。
  12. 小林錡

    小林委員長 お諮りいたします。この際最高裁判所当局より発言の申出がありますので、国会法第七十二条第二項によつてこれを承認いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 小林錡

  14. 関根小郷

    関根最高裁判所説明員 この法律がもし通過いたしますると、ある程度事件がふえる。いただきました資料によりますると、一昨年の十二月末現在の接収解除件数が、土地が千三百件、建物が四千件、合せて五千件というように考えられると思います。そういたしましてどのくらいの割に事件が出て来るかと申しますと、多く考えましても大体千件じやないか。これは実際出してみませんとわかりませんので、予算の面におきましても予想で行くほかはございません。しかし今お話を承りますと、建物関係の分が削除されます関係から、千件の見積りが約半数になるのではないか。もし半数といたしますると五百件、実はこの五百件のうちでもむずかしい事件につきましては、御承知通り裁判官だけではなくして、専門家意見を集める鑑定委員会を開かなければならないわけであります。鑑定委員会を開きますと、来ていただきました鑑定委員に対しまして、日当三百四十円ずつをお払いしなくてはならぬ。これらをあわせ考えますると、五百件起きるといたしますと、約五、六十万円の金額に達するのではないか、これが日当の問題でございます。それからそのほかにこういつた法律が通りますると、法律内容を徹底いたさせまする関係から裁判官の会同を開く、それから法律内容を徹底いたさせるために解説書を無料で配付することをやつております。これらの費用が相当いるわけでありますけれども、従来こういつた種類の法律が全然ないかと申しますると、実は罹災都市借地借家臨時処理法がございますので、それを援用することになるかと思います。でありますので先ほど申し上げました約五、六十万円のために、特に予算要求をいたしませんでも、従前罹災都市借地借家臨時処理法に認められました予算の範囲内におきまして何とかやつて行けるのではないか、ただいま私どもの予想ではそういうふうに考えられております。ただ事件が非常にむずかしくて相当予想以上に出て参りますと、あるいはそのときに予備費あるいは補正予算等措置を講ぜざるを得ない事態が来るかも存じませんが、そのときはまたよろしく国会におきましても御援助いただきたいと思います。
  15. 木下郁

    木下委員 時がたつておるし生活も今から五、六年前に比べればおちつきが出ておるし、戦災罹災地のあの法律で大体間に合うのではないかというふうにもわれわれは推察ができるわけであります。  なお一点最後に伺いますが、今のお話調査書類というようなものが大分詳しくできておるということであります。私まだそれを拝見いたしておりません。そういうものについてこの機会伺つておきたいと思います。
  16. 田嶋好文

    田嶋委員 調査書類その他につきましては、ここにおる村専門員からお答えいたすことにいたします。
  17. 村上朝一

    村専門員 調査書類といたしましては大分たくさんつくつたのでございます。約四冊にわけまして百三十ページ近くございます。  その内容を申し上げますと、第一に連合国軍使用不動産に存した質借権の取扱いについて東京都の意見要望等を書いたものが一冊になつております。それから特別調達庁保護法案というのがございまして、これを一つ資料にまとめました。それから調達庁調達要求書及び契約書につきまして、これは書類の形式でございますが、これを集めたのが部厚なものでございますが一つございます。それから接収不動産の数量、PD件数、これは接収調達要求書というものでございます。PD件数を詳細に取扱つたもの、それから接収解除件数また軍が不法に使用した状況を書いた調査書の追加したものもございます。それから接収不動産賃貸借関係についての訴訟の面も調査いたしまして、その判決を集めた判決集も一冊になつております。  参考書類といたしましてはこの程度でございますが、なおこれらの資料をつくります場合には、相当各方面の意向を聞き合したのでございまして、官庁といたしましては東京都庁特別調達庁、大蔵省、法務省、裁判所民間といたしましては弁護士会地主代表の方、借地人借家人代表の方、貸ビル協会、こうした方面からもたびたび小委員会において意見を承つた次第でございます。  最後に、衆議院法務委員会における立案経過といたしましては、資料の第四に衆議院法務委員会における立案経過概要というものがございまして、約七十ページほど詳細に書いてございます。大体この程度でございます。
  18. 木下郁

    木下委員 今特に聞きたいとも思つていなかつたのですけれども、調達庁の方が見えておるようですから伺いますが、調達庁用事はどんどん減つて来ておると常識的に考えられる。今まで私も調達庁に私用で一、二度行つたことがあるが、能のないような人がたくさんおつて、あまり仕事もなさそうなかつこうになりつつある。仕事がないようになつたならば、こういう人は、例の人員整理とかいうような問題では、あまり問題もなく片づいておるのですか。調達庁用事も少くなりつつあると思うのですが、そういう状況、あまり問題は起つておりませんか、そういう点をついでに伺つておきたい。
  19. 山内隆一

    山内政府委員 調達庁仕事現状人員整理というようなことについてのお尋ねと承知いたしました。調達庁仕事は、講和条約発効を境としまして、前に調達庁仕事のほとんど生命でありました間接調達というものが、全部直接調達に切りかわりまして、従つて調達庁の名前は、特別という文字だつたのが、二字削つて調達庁と申しておりまして、ちよつと似たようなふうに感じますけれども、仕事内容も非常にかわり、性格も若干かわつたように私ども考えております。その後の安保条約あるいは行政協定等から来たかなり新しい、むずかしいかわつた仕事もたくさんありまして、相当仕事が複雑になつております。他の省と比べまして、他の省は国全体のいろいろな仕事縦割りにいたしておりますが、調達庁は結局駐留軍のあらゆる仕事ということになりますために、横割りになつているので、仕事がおのずから複雑である。たとえば調達庁と、国会開会中の各常任委員会関係等を見ますと、他の省ならば、大体その省の仕事をまずまずまとめて扱う委員会がありますが、調達庁はそういう委員会がありません。しかも仕事が横になつておりますので、あらゆる委員会関係して、至るところの委員会でお呼出しを受けるというような状態でございます。しかし何としても、前にやつた仕事がなくなりましたという理由で、調達庁の一番人員の多いときに比べまして、今は三分の一に減つております。今度御承知のように、定員法の一部改正の中の調達庁定員につきましては、三箇年計画で七百一名の減となつております。しかもこの数がこれだけで完全に今後とどまるかどうかということになりますと、いささかまだ予算上の関係から疑問があると思いますが、少くとも七百一名は整理されるというようなことになりまして、そんな関係から、前に調達庁仕事になれた人がほとんどいなくなりまして、そんな関係と、整理します場合には、以前と違つて、どこでも採用してくださるところに出て行つてもらつて、それによつて整理するというようなことになりますために、質が低下するといいますか、少くとも案外いい人が出て行く、そうして病人整理することができないから、病人の率は各官庁のうちでまれに見る高率を占めておる。従つて共済組合における経理関係は非常に赤字を生じているというような関係で、仕事能率からいいまして、遺憾ながらあるいは定員の割合に能率が上らないんじやないかという批評も受けますが、私どもある程度是認せざるを得ない職員現状であります。そういう点からいつて調達庁としては特に定員のことでも考慮していただかないで複雑な仕事が自然に入るということは、職員としては相当負担である。現在のところ、今の整理計画と、仕事の動き、分量からいつて、まず皆共同一致して能率を上げてそれでようやくやつて行けるんじやないかというような程度になつております。私ども、整理をされても、仕事がうまく運ばないということでは申訳ありませんので、極力仕事を迅速にやるというために、いろいろ組織なり、あるいは手続の段階を省くとか、手続規定を簡素化するということに力をいたしているような状態であります。
  20. 木下郁

    木下委員 今伺つて大体わかつたのです。主のないような机がたくさんあつたり、気合の入つていないのも無理もないと思う。よそよりもうんとやめる人もできるし、仕事自身も少くなる。けれども、それは本人の罪でも何でもない。貧乏くじを引いただけである。そういう点は弊害がよけい出ないように、世話をやく地位にある人は十分注意していただきたいということを、よけいなことのようでありますが、注文しまして、私の質疑は終ることにいたします。
  21. 林信雄

    ○林(信)委員 この際調達庁の方に伺つておきますが、御承知のように、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う民事特別法が実施せられてすでに二箇年に及んでおるのであります。そこでこの間における実例として、ただいま審議いたしておりますのは動産関係ですから、動産関係について伺うのですが、そういう事件がどの程度調達庁に持ち込まれて、うまく結論が得られて、国民の間においては満足されているというか、あるいは事は解決しておるけれども、内容的に不満を感ずるといつたような面があるかないか。これはこの法案についてもですが、他の法案についても参考になることでありますから、この際承つておきたいと思う。
  22. 山内隆一

    山内政府委員 施設区域は、講和条約発効後若干返還になりまして、ことに民間の方は相当返還されまして、今は国有の土地が大部分を占めております。しかし民有の土地もありまして、賃貸料といたしますれば、年額約一千万円ばかりになつておるのであります。そこで今まで未協定状態にありました間に、一体どうしていたかというと、所有者も非常に御迷惑をしたろうと思いますし、軍としても協定のない状態であるから、何となしに使つてつたということは、争われない事実だと思います。そんな関係で一昨年の暮れごろから話し合いまして、昨年の春、あるいはごく早い時分と思いますが、土地建物につきまして公民有のものについては、全然このままでほうつておきますと、所有者利害関係人が非常に迷惑をするということで、大体駐留軍の場合に似たような算出方法で質貸料等も予定して、そして条約はできませんけれども、調達庁国連軍首脳部との間で話をして、ある約束をし、それに基いてとにかく契約をして、立てかえ払いをして、いずれ協定がきまつたならば、もちろん全領国連軍が負担することになりましたならば、全部いただくという約束のもとに、そういう方法で実行いたしておりますので、土地建物につきましてはまず問題なく、かりにありましても、それは国連軍地区であるからということだけじやなしに、他の地区においてもありそうな問題ではないではありませんが、まず大体円満に行つておると思います。従つて他の面についても、こんな方法で進めたいと思つたのでありますが、いずれ国連軍協定が近いからというので、話がつかないで今日に至つておるのでございます。
  23. 小林錡

  24. 猪俣浩三

    猪俣委員 この法案は第十六国会あたりから提案になつたのでありますが、たびたびの解散で今日までこれが通過しないで参つたただ元原案と申しますか、第十六国会当時出ました案と、ただいまの案とを比較しますと、元出ました案のうち、第十二条は接収建物賃借権者土地優先賃借権、それから第十三条といたしまして、接収建物賃借権者借地権優先譲受権、それから第十五条、接収建物賃借権者建物優先賃借権、この三つが今度の案では削除された残りの案として出ておるのでありますが、これを削除せられましたる理由を、この当時から小委員長をやつておられた田嶋提案者にお尋ねいたします。
  25. 田嶋好文

    田嶋委員 この点は先ほど同趣旨質問木下委員からありましたのでお答えをいたしておいたのでございますが、ごもつともな質問だと思うのでございます。先ほどもちよつと木下委員に小委員会経過を御報告申し上げましたが、猪俣委員も御承知のように、この法案のねらいというのは、借地借家両方にあつたのでございまして、特に数の多い借家というものに対しましては、小委員会では非常な重点を置いて、しかも熱心たる論議がとりかわされたわけであります。委員会空気全体といたしましては、借家に対する土地使用権というものは、社会秩序法秩序維持の上からぜひ存置すべきものである、これを法制化しなければならぬという意見が多かつたのでございます。そこで一応小委員会結論といたしましては、多数の意見をもちましてこれにおちついたわけでございますが、御承知のように委員会法案がかかりますと、また小委員会当時からもそうでございましたが、結局借家に対してはあまり保護をし過ぎるんじやないかという議論が起り、また一方におきまして、土地所有者侵害というような憲法上の問題もあるのだというような議論も起りまして、相当この法案が成立に難航を続ける結果になつたのでございます。そこでいろいろ考えましたところ、今日の建築事情大分緩和されて参りまして、従つて借家事情等も加味し、住宅事情が緩和された形がとられておる。また将来ともこれらの面は緩和されて行くのじやないか、こういうようなことも考え合せました結果、借家権を法制化することによつて、この議論の結果、この法案の先がどうなるのだというような不安で、しかも審議未了になるのじやないかというようなことを考えますとき、借家権もさることながら、借地権保護という重大な面が死んでしまうおそれがあるので、この場合住宅事情の緩和による将来の見通し等を加味いたしまして、まず借地権を確保する、これを法制化することに即応するという意味だけでも生かすことによつてこの面の法的の社会秩序をひとつ維持しようという気持になり、今回の修正案として出したわけでございまして、小委員会空気といたしまして、また小委員諸君気持といたしましてはまことに残念なことではございますが、涙をのんで削るという結果になつたということを御承知願いたいと思います。
  26. 小林錡

    小林委員長 他に御質疑はありませんか――他に御質疑がなければ本案に対する質疑はこれにて終局いたします。  この際お諮りいたします。本案及び修正案はこれを討論に付すべきでありますが、討論はこれを省略し、ただちに採決を行うことにいたして御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 小林錡

    小林委員長 御異議ないものと認め、討論はこれを省略し、ただちに採決を行うことといたします。  まず田嶋好文君外三名提出修正案について決採いたします。本修正案賛成諸君の御起立を求めます。   〔総員起立
  28. 小林錡

    小林委員長 起立総員。よつて修正案は可決すべきものと決しました。  次にただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成諸君の御起立を求めます。   〔総員起立
  29. 小林錡

    小林委員長 起立総員。よつて修正部分を除く原案は可決すべきものと決しました。従いまして接収不動産に関する借地借家臨時処理法案は修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  30. 小林錡

    小林委員長 国際連合軍隊に関する民事特別法適用に関する法律案議題といたします。  本件につきましては別に質疑通告もございませんので、本案に対する質疑はこれをもつて終局することといたします。  この際お諮りいたします。本案討論に付すべきでありますが、討論はこれを省略し、ただちに採決を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 小林錡

    小林委員長 御異議ないものと認めまして、討論はこれを省略し、ただちに採決を行うことといたします。国際連合軍隊に関する民事特別法適用に関する法律案賛成諸君の御起立を求めます。   〔総員起立
  32. 小林錡

    小林委員長 起立総員。よつて本案原案通り可決すべきものと決しました。  なおこの際お諮りいたします。本日議決いたしました各法律案に関する委員会報告書作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 小林錡

    小林委員長 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  34. 小林錡

    小林委員長 この際民事訴訟法の一部を改正する法律案外二件を議題とし、質疑を進めます。質疑通告がありますから、これを許します。林信雄君。
  35. 林信雄

    ○林(信)委員 お尋ねしたいと思います。点は、法案のうちいわゆる調書及び判決方式等合理化といつたような点の改正案であります。これは憲法七十七条に基く改正案であると思われる。従いまして憲法第七十七条との重要な関連を持つわけであります。この最高裁判所のルール制定権というものの範囲、これは非常な問題である。すでに各方面において、かなり論議せられた問題ではありますが、この際この憲法第七十七条の最高裁判所の規則制定権の範囲はおのずから限度があると、率直に申しましてわれわれは考えておる。一部の少数なる意見とは存じますけれども、かなり強いかつ広い範囲の規則制定権を主張せられる向きもあるのであります。この点に関しまして、特に法務省及び最高裁判所の当局におかれまして、どのような御意見をお持ちでありますか、その根本的なものについて、一応御見解を承りたい、かように存じます。
  36. 村上朝一

    ○村上政府委員 憲法七十七条におきましては、訴訟手続に関する事項について、最高裁判所の規則制定権を認めておりますが、まず訴訟当事者の実体法上の権利義務に直接関係ありますものは、たとい同時に訴訟手続に関するものでございましても、本来法律をもつて規定すべき事項でありまして、規則をもつて制定すべき範囲に属しないと考えるのであります。元来憲法訴訟手続に関する事項について規則制定権を認めておりますのは、訴訟手続に関する事項は裁判所がみずから処理する事項で、その実際に最もよく通じておりますので、最高裁判所の規則で定めさせることが合理的であろうという考慮に基くものと考えられます。訴訟手続に関する限り、規則制定権をもつて裁判所の司法権固有の傾城に属するものであり、法律をもつても侵すべからざる領域であるというふうな考え方も一部にあるのでありますけれども、わが憲法の解釈といたしましては、さような国会立法権を制限する趣旨ではないと考えている次第であります。従いましてただいま申し上げましたような、実体法上の権利義務に面接関係あるような、法律規定すべき事項は別といたしまして、その他の訴訟手続に関する事項のうち、どういう範囲のものを法律で定め、また最高裁判所規則で定めるかということは、どちらがより実際に適するかという立法政策上の妥当性の問題ではないか。一定の限界を設けて、これ以上は法律をもつて規定すべき範囲でないというような、規則の制定権固有の限界というものはない、かように考えているのであります。また法律で定めました事項につきましては、規則をもつてこれに牴触する定めをすることができないのは申すまでもないのであります。要するに訴訟手続に関する法規は、国会がみずから法律をもつて制定するのが妥当であるとお考えになりました範囲内においては、法律をもつて規定せられる。規則にゆだねるのが適当とお考えになります点におきましては、法律をもつて規定せずに、規則の定めるところにゆだねるという関係になる、かように考にるのであります。
  37. 林信雄

    ○林(信)委員 答弁の結論は、法律をつくる者が法律でやらねばならぬということでつくれば法律になるのだから、これを侵すような規則はつくらるべきでない、これはお答えの前段の趣旨から当然そうなつて来ると思うのです。これは正しいと思うのでありますが、実は今尋ねておりますことは、さような結論を出します場合に、政府において、いわば立法者の立場に立つて考える場合の考え方、これを承つて参考にしたいと思うのですが、あなたまかせの活でなくて、自分がその立場に立つたならばという見地に立つて意見伺つておきたい、こう思うのです。たとえばわれわれの考えから参りますれば、民事訴訟法――刑事訴訟法の場合においてもそうでありますが、手続法というものは自然手続はこまかくなつて行くのであります。どこへ線を引くかということはまことに明瞭でないので、実際問題となつて来るのでありますが、少くとも抽象的な意見としては、訴訟手続法の手続法たる趣旨に沿うものはなるべく手続法にこれを定め、規則はどこまでもその補助的な細目的なものであらねばならぬ、こういう抽象的な考えだけは根幹になるのではないかと思うのですが、その考え方です。形式論で法律がつくられればその法律は侵しませんといつたことではなくて、どの点に基準を置いて考えるのが正しいのだとお考えになつておるかの意見です。これをお伺いしておるわけなんです。重ねて伺います。
  38. 村上朝一

    ○村上政府委員 先ほど立法政策上の妥当性の問題であると申し上げたのでありますが、法律案立案するにあたりまして、これを規則にゆだねるという内容法律案立案いたします際におきましては、いかなるものを規則にゆだねるのが妥当であるかということを私どもとしても考えるわけであります。先ほど申し上げましたように、当事者の実体上の権利義務に直接関係のあるものはもとよりでありまするが、その他基本的な手続につきましては法律規定されることが妥当であると考えますけれども、細目にわたりましては、むしろ訴訟の実際に通じておられます最高裁判所において、単なる裁判所の事務能率の点ばかりでなく、国民の権利の伸張、擁護という立場から見て、最も合理的な規則をお考えになるという信頼を基礎といたしまして、最高裁判所の規則制定権にまかせる方が妥当ではないか、かように考えておる次第であります。
  39. 林信雄

    ○林(信)委員 そこで今回御提案になつておりまする調書及び判決の方式などに関しまする部分の現行法削除関係は、そういう見地に立つて提案になつておるという趣旨に帰着して来ると思うのであります。しかしこの点については率直に申しまして当委員会において非常な問題としておるのであります。なかんずく小委員会においても重要な問題の一つとして審議を続けておるのでありますが、そのうちに、その結論といたしまして、削除いたしまするもの全部が今度は最高裁判所の規則としてかわつて現われて来る、こういうことになるのでありましようか。あるいはそのうちの特殊なものにつきましては、法文を削除いたしますけれども、それは削除しつぱなしだということで、あらためて規則を設定する必要のないものもあるのでありますか。もしありといたしますれば、それはどのような条文になるのでありましようか。その点を明らかにしていただきたい。
  40. 村上朝一

    ○村上政府委員 調書及び判決の方式に関する規定は、このたびの原案におきましては、きわめて基本的なものを除きましてこれを規則にゆだねるという内容になつておるのでありますが、現行法にあります内容がそのまま規則に収入れられるか、あるいは規則においては別な形を持つて来てやるか、あるいは規則においてそれに相当する規定を設けないかというような点につきましては、最高裁判所におかれまして規則制定諮問委員会等にも諮問しまして、慎重に最も合理的な内容の規則をおつくりになるということを政府といたしましては信頼しておるわけであります。最高裁判所事務当局におかれて準備されました一応の案はあるのであります。もしお求めがあれば最高裁判所事務当局から御説明いたすのが適当かと考えております。
  41. 林信雄

    ○林(信)委員 私的にはこの中の百十四条、二百二条、三百八十三条のそれぞれ第二項のようですが、これらのものはもう削りぱなしというようなことも承つたように思いますが、それを明らかにしていただきたいと思う。
  42. 村上朝一

    ○村上政府委員 東京弁護士会から出ました改正案に対する意見の中で、削除を主張されております規定のうち、第百十四条第二項、第二百二条第二項、第三百八十三条第二項、この規定は調書または判決の方式を規則に委任するということとは関係のない規定でありまして、規則に委任することに反対であるからこれらの規定を削除せよということは、やや見当がはずれておるように思うのであります。百十四条第二項に担保を供すべき者が担保を供さなかつた場合の訴えの却下、二百二条第二項は不適法な訴えで欠缺補正できない場合における訴えの却下、三百八十三条第二項は不適法な控訴の却下につきましてそれぞれ当事者を審訊すべき旨の規定でありますが、これらの規定制定の経過及びその後の実績から申しまして、存置の必要がない、かように考えて、このたびの改正案におきまして削除することを内定しておるのであります。
  43. 林信雄

    ○林(信)委員 この際いま少しく重要な問題についてお尋ねしようと存じましたが、本会議関係がありますから一応これを打切ることにいたしますが、ただ一点ただいまの点に関連いたしまして、すでに政府より民事訴訟法の記録のサンプルといつたようなものを個人的にはいただいておるのであります。あるいはルールの要綱といつたような書面も参つております。これは正式に委員長の方に御提出くださるように最高裁判所の方にお願いをしておきます。私の質問は一応これくらいで打切つておきます。
  44. 小林錡

    小林委員長 それでは本日はこの程度にとどめておきます。明日は午前十時より民事訴訟法等の小委員会、午前十時三十分より参員会を開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十一分散会      ――――◇―――――