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1954-03-30 第19回国会 衆議院 法務委員会 第30号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十九年三月三十日(火曜日) 午後二時十九分
開議
出席委員
委員長
小林かなえ
君
理事
鍛冶 良作君
理事
佐瀬 昌三君
理事
田嶋 好文君
理事
高橋 禎一君
理事
井伊 誠一君 押谷 富三君 林 信雄君 牧野
寛索
君
猪俣
浩三
君 神近 市子君
木下
郁君 佐竹
晴記
君
出席政府委員
検 事 (
民事局長
)
村上
朝一君 検 事 (
大臣官房調査
課長) 位
野木益雄
君
委員外
の
出席者
専 門 員 村 教三君 専 門 員 小木 貞一君 ――
―――――――――――
三月二十九日
外国人登録法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出第四三号)(
参議院送付
) 同日
津地方法務局富州原出張所存置
に関する請願(
木下郁
君紹介)(第四〇五七号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 同月二十七日
釧路地方法務局根室支局
の
格下げ反対
の
陳情書
(第 二四八七号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した
事件
参考人招致
の件
裁判所法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第 七九号)
民事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提
出第八〇号)
刑法
の一部を
改正
する
法律案
(
八百板正
君外百 三十四名
提出
、
衆法
第一三号)
法務行政
に関する件 ――
―――――――――――
小林錡
1
○
小林委員長
これより
会議
を開きます。
刑法
の一部を
改正
する
洪律案
を
議題
といたします。
提出者
よりその
趣旨説明
を聴取いたします。
猪俣浩三
君。
猪俣浩三
2
○
猪俣委員
ただいま
議題
となりました
刑法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案理由
を御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
刑法
の一部を
改正
して、新たに涜職ノ罪の章に、
公務員
のあつ
せん
収賄罪
を
処罰
する旨の一条を加えるとともに、あわせあつ
せん
収賄
をした
公務員
に対して
贈賄
をした者をも
処罰
しようとするものであります。御
承知
のように、
現行刑法
に
規定
されておりますところの
贈収賄罪
につきましては種々の
態様
があり、
処罰
をするために必要なさまざまの
要件
が
規定
されておりますけれども、
公務員
がその
地位
を利用して他の
公務員
の
職務
に属する
事項
に関しあつ
せん
をなすことまたはあつ
せん
をなしたことにつき
賄賂
を収受する等の
行為
及びかかる
賄賂
を供与する
行為
につきましては、従来これを
処罰
することができる旨の
規定
を欠いていたのであります。のみならず、いわゆるあつ
せん
贈収賄
を
処罰
すべきであるかいなかにつきましては、沿革的に従来から問題が存していたのであります。すなわち、まず
昭和
十五年に
刑法
並びに
監獄法改正調査委員会
の総会の決議として発表いたされました
改正刑法仮案
におきまして、初めて
公務員
のいわゆるあつ
せん
収賄罪
及びこれに関する
贈賄罪
の
規定
が設けられたのでありました。次いで、翌
昭和
十六年当時開会中の第七十六回
帝国議会
に
政府
から
提出
されました
刑法
中
改正法律案
にも、このあつ
せん
贈収賄罪
について
規定
が置かれたのでありますが、この
法律案
は、
貴族院
においては、
政府提出
の
原案
通り
可決されたのにもかかわらず、衆議院におきましては、種々論議がなされた結果、このあつ
せん
贈収賄罪
に関する
部分
のみは削除されて通過したのであります。その後
昭和
十八年の第八十三回
帝国議会
におきまして
戦時刑事特別法
の一部が
改正
された際に、
官公署
の職員のあつ
せん
収賄
及びこれに関する
贈賄
を
処罰
する旨の
規定
が加えられるに
至つたの
でありますが、同法は
戦時特別立法
でありましたために、終戦とともに廃止されて今日に至りました。すなわち、今日におきましては、
さき
に述べましたように
公務員
のあつ
せん
収賄
及びこれに関する
贈賄
を
処罰
すべき何らの
規定
もないという
状態
なのであります。しかるに、御
承知
のように、最近におきまして
公務員
の汚職問題がしきりに発生いたし、しかもその
汚職行為
の
態様
は、次第に
複雑化
の様相を示し、特に
公務員
がその
地位
を利用して他の
職務
を有する
公務員
にあつ
せん
をなし、これが報酬として金品を受領するがごとき実例がすこぶる多いように思われるのでありますが、たまたまかかる
行為
を
処罰
する
規定
がないために、制裁を免れる者が多くこれによ
つて道義
は地に落ち、
綱紀
は頽廃して、まことに寒心にたえないものがあるのであります。
従つて
この際
公務員
の廉潔を確保し、
綱紀
の粛正をはかるためいわゆるあつ
せん
贈収賄
を
処罰
する必要のありますことを痛感いたしまして、ここに前記のような
趣旨
のこの
法律案
を
提出
いたしました次第であります。 次に、この
法律案
の内容について申し上げます。この
法律
は、
公務員
がその
地位
を利用し、他の
公務員
の
職務
に属する
事項
に関しあつ
せん
をすること、またはあつ
せん
をしたことについて
賄賂
の収受、要求または
約束
をした者に三年以下の
懲役
を科し、及びかかる
賄賂
の供与、申込みまたは
約束
をした者をも三年以下の
懲役
または五千円以下の罰金に処
せん
とするものであります。そして、これらはすべて
公務員
たる身分を有する者に対する
処罰
の
規定
でありますので、他の
公務員
に対する
処罰
に関する
規定
と同じく、
日本国外
における
行為
も
処罰
することといたしました。 以上
提案
の
理由
を申し上げました。何とぞ慎重御
審議
の上、御可決あらんことを切望する次第であります。 なお一言お願いいたしたいことは、
委員長
におかれましては、すみやかに
本案審議
の便宜のために、
本案
に関しまする小
委員会
をおつくりいただきまして、
慎重審議
を進められんことを希望いたします。
小林錡
3
○
小林委員長
いずれ
理事会
を開きまして相談の上善処いたします。 これにて
趣旨説明
は終りました。なお
本案
に対する質疑はこれを後日に譲ることにいたします。 ――
―――――――――――
小林錡
4
○
小林委員長
次に
参考人招致
の件についてお諮りいたします。すなわち現在本
委員会
において
審議
いたしておりまする
交通事件即決裁判手続法案
、
裁判所法
の一部を
改正
する
法律案
、
民事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
利息制限法案
は、いずれも重要な
法律案
でありましてその
影響
するところも各
方面
にわたつて大なるものがあると考えられますので、
学識経験者
あるいは
利害関係者等
に
参考人
として
出席
を求め、逐次その
意見
を聴取いたしたいと存じますが御
異議
はありま
せん
か。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小林錡
5
○
小林委員長
御
異議
がないものと認め、さよう決定いたします。 なお
参考人
の
選定
並びにその
出席
を求める
日時等
につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
はありま
せん
か。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小林錡
6
○
小林委員長
御
異議
がないものと認め、御一任願うことに決します。 また
外国人
の
出入国
に関する小
委員長
より、
当該小委員会
において
外国人
の
出入国
に関して
参考人
より
意見
を聴取することにいたしたいとの申出があります。この申出を許可するに御
異議
はありま
せん
か。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小林錡
7
○
小林委員長
御
異議
がないものと認め、許可することにいたします。 なお
参考人
の
選定
及びその
出席
を求める
日時等
につきましては、
委員長
及び
当該小委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
はありま
せん
か。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小林錡
8
○
小林委員長
御
異議
がないものと認め、御一任願うことに決定いたします。 ――
―――――――――――
小林錡
9
○
小林委員長
次に
裁判所法
の一部を
改正
する
法律案
、
民事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたしまして、両方
関連
してこの際
政府
より逐次
説明
を聴取することにいたします。
村上政府委員
。
村上朝一
10
○
村上政府委員
まずこの両
法律案
の
立案
の
経過
について簡単に申し上げたいと存じます。
法務省
におきましては、
昭和
二十五年第七国会において
民事上告特例法
が
暫定的措置
として二年の
期限付
で制定されました
趣旨
にかんがみまして、ただちに
民事訴訟法
の
全面改正
の準備に着手し、翌二十六年五月、
法制審議会
に対し
民事訴訟法
の
全面改正
に関して
諮問
をいたしました。同
審議会
は
民事訴訟法部会
を設けて
審議
を始めたのでありますが、
民事訴訟法部会
は爾来二十七年一月に至るまで前後七回にわたる
審議
を続け、多くの問題のうち大
部分
につきましては一応の
結論
に近づくことができたのでありますが、最も重要で
民事訴訟手続全般
に関する
影響
の大きい
上告制度
の
改正
については、
意見
がわかれたまま容易に
結論
を得ることができず、
審議
は事実上停頓するのやむなきに
至つたの
であります。ところで
上告制度
の
改正
に関し特に問題となりますのは、
上告範囲
をどうするかということでありますが、この問題は必然的に
裁判所
の
機構
をどうするかという問題と密接に
関連
しておりますので、
最高裁判所
の
機構
の問題を別にしては
上告
の
範囲
を決定することができない
状態
であ
つたの
であります。ところがこの間
裁判所法施行
以来
漸次増加
の傾向にありました
最高裁判所
の
未済事件
が、
昭和
二十六年、七年にかけまして七千件を越える事態を招来したのであります。従いまして
最高裁判所
の
機構
をどうするかという問題は、
民事訴訟法
の
改正
の問題との
関連
を別にいたしましても、急速にその
検討
をする必要を生じたのであります。
法務省
といたしましては、昨年の二月さらに
法制審議会
に対し、
裁判所
の
機構
の
改革
について
諮問
をいたしました。
民事上告手続
の
改正
の問題も、
最高裁判所
の
機構
をどうするという
違つた角度
からさらに
検討
をされることと
なつ
たわけであります。
法制審議会
におきましては、
民事訴訟法部会
とは別に、新たに
司法制度部会
を設けまして、
裁判所
の
機構
の
改革
の問題について
検討
することといたしまして、昨年二月以降本年の一月に至るまで前後八回にわたる
審議
を重ね、またこの間小
委員会
をも設けて問題を
検討
したのでありますが、この
部会
におきましても、
民事訴訟法部会
におけると同様、
最高裁判所
の
裁判官
を増員するとともに、
現行
の
民事刑事上告
の
範囲
を拡張すべしという案、すなわち
裁判官増員案
、これは主として
在野法曹側
の
委員
から主張されたのであります。これと
現行
の
最高裁判所
の
機構
及び
上告
の
範囲
を維持すべきであるという
現状維持
の
意見
、これは主として
最高裁判所側
の
委員
から主張されたのであります。この
二つ
の両極端の
意見
がはげしく対立しました。またその間に
最高裁判所
の
機構
及び
最高裁判所
に対する
上告
の
範囲
は
現行
のままとするが、
東京高等裁判所
に別に
上告部
を設けて
最高裁判所
の取扱わない一般の
法令違背
を
理由
とする
上告事件
をここで処理すべきであるという
中間
の案も出ました。この三つの
意見
が対立したまま容易に一致を見ることができなか
つたの
であります。そこで
司法制度部会
におきましては、かような事情のために
裁判所
の
機構
の問題については、
事柄
の
重要性
にかんがみ、今後なお
審議
を継続することとしたのでありますが、ただ
民事上告特例法
は本年五月限りで
失効
することに
なつ
ておりまして、この
法律
の
失効
に備えて何らかの
善後措置
を講じない場合は、現在以上に
最高裁判所
の
負担
が増大することは明らかでありますので、本日お
手元
にお配りいたしました
上告制度関係資料
の中の第一ページに載つておりますが、かような
中間報告
をすることに決定いたしました。一月十六日付をもつてその
報告
があ
つたの
であります。この第二項にありますように、「
民事
については、「
最高裁判所
における
民事上告事件
の審判の
特例
に関する
法律
」の
善後措置
を
民事訴訟法部会
において
検討
されたい。なお、当
部会
においては、
判決
に
影響
を及ぼすことが明らかな
法令違反
をも
上告理由
とし、
上告
に関する
適法要件
を
原裁判所
に
審査
させることとする等
上告手続
を
改正
し、
簡易裁判所
の
事物管轄
の
範囲
を拡張する等の方法を考慮し、
最高裁判所
の
負担
を調整することを
相当
と考える。」この
中間報告
につきましては、
司法制度部会
におきましてはほとんど全員の
賛成
のもとに議決された次第であります。
他方民事訴訟法
の
部会
における
審議
は、先に申し上げました
通り上告手続
の
改正
の問題について
結論
を得られないまま中絶の
状態
にありました
司法制度部会
における
裁判所
の
機構
問題に関する何らかの
結論
が得られることを期待していたのであります。その
結論
もついに間に合わないこととなりました
関係
上、
民事訴訟法部会
独自の立場からあらためて
上告手続
を
中心
とする
民事訴訟法
の
改正
に関し態度を決定する必要に迫られることとな
つたの
であります。 これより先、
法務省
の
事務当局
といたしましては
司法制度部会
の
審議
の
状況
にかんがみまして、万一
司法制度部会
の
意見
が時間的に間に合うようにまとまらない場合を考慮いたしまして、この場合における
民事上告特例法失効
後の
善後措置
をどうするかということについてあらためて対策を考えておく必要を感じましたので、
最高裁判所事務当局
とも緊密に連絡いたしまして、昨年の夏ごろから問題の
検討
を始めまして、本年の初めに至るまでの間数箇月を費しまして、
民事訴訟法等改正要綱案
をつくりました。またこの
要綱案
に基いて一応の
法律案
も準備したのであります。ところが
司法制度部会
におきましてはついに
諮問事項
に対する終局的な
結論
が得られないこととなりましたので、
裁判所
、
弁護士連合会
及び学界から任命されておりました
幹事
の方々とも相談いたしまして、
さき
に
法務省事務当局
において準備しておりました
民事訴訟法等改正要綱案
を、
民事訴訟法部会幹事案
としてその
部会
に
提出
しました。
部会
はこれを
原案
としまして、本年の一月二十一日から三日間にわたつて
審議
いたしました結果、
原案
に多少の修正を加え、
委員大
多数の
賛成
を得て、この
上告制度関係資料
の五ページにありますように、
民事訴訟法等改正要綱
を決議しまして、これを
民事訴訟法部会会長
から
法制審議会長あて中間報告
をいたしたのであります。今回
提案
いたしました
民事訴訟法
及び
裁判所法
の
改正
に関する
二つ
の
法律案
は、以上述べました経緯によりまして、
法制審議会司法制度部会
及び
民事訴訟法部会
の
意見
を
基礎
として
立案
されたものであります。もつともこの
立案
の過程におきまして、
最高裁判所
の
機構
に関する最終的な
結論
が得られない
状態
であるならば、
民事上告特例法
の
有効期間
の
延長
をさらに考えてはどうかという
意見
も出たのでありますが、
最高裁判所
の
機構
の問題は、
事柄自体
きわめて重大であります上に、
民事
の
上告制度
のみならず、
刑事
の
上告制度
とも緊密な
関係
がありますので、この問題の性質及び従来における
法制審議会
の
審議
の
経過
から申しまして、近い将来に各
方面
の満足を得るような
結論
を得ることは、ほとんど期待できないのではないか、このように将来に対する確たる見通しの立たないまま、
民事上告特例法
の
有効期間
の
延長
をお願いすることはいかがというふうに考えまして、
法務省
といたしましては、
民事上告特例法
の
有効期間
の再
延長
をはかるという案は、つとに断念をいたした次第でございます。
現状
のもとにおいて考えられる、言いかえまするならば
最高裁判所
の
機構
を今のままと仮定いたしまして、そのもとにおいて考えられる各種の案のうちでは、最善のものと信じて、これに基いて今回の
法律案
を
立案
したのであります。
最高裁判所
におきましても、今回の
法律案
の成立を希望しておられるように伺つております。 そこでまず
裁判所法
の一部を
改正
する
法律案
の
逐条
について、簡単に御
説明
申し上げます。 まず第三十三条の
改正
であります。これは
二つ
の
事項
を含んでおるのでありまして、その第一は、
簡易裁所
の
事物
の
管轄
を、現在三万円以下の
請求
と
なつ
ておりますのを、二十万円以下ということに
管轄
を拡張するという点、いま
一つ
は、
簡易裁判所
の
事物管轄
から現に除かれております
行政処分
の
取消
または
変更
の
請求
、これを「
行政庁
の違法な
処分
の
取消
又は
変更
に係る
請求
その他
公法
上の
権利関係
に関する
請求
」ということに改めるものであります。
簡易裁判所
の
事物管轄
の
範囲
の拡張について御
説明
申し上げますが、
現行法
のもとにおいて、
簡易裁判所
の
民事訴訟
に関する
権限
が
訴訟物
の
価額
三万円以下の
事件
に限られておりますが、この総額三万円以下という額は、
現状
におきましてはあまりにも低きに過ぎる。そのため近時
簡易裁判所
は
民事訴訟
に関する限り比較的閑散な
状態
であるのに比較いたしまして、
地方裁判所
は莫大な
事件
の量で圧倒されておる
状態
であります。これが
地方裁判所
における
訴訟遅延
の重要な
一つ
の原因と
なつ
ておるのであります。かような
負担
の不均衡を是正いたしますために、
簡易裁判所事件
の
訴訟物
の
価額
の
引上げ
を行う必要があると考えるのであります。最近の物価の
状況
、戦前の
区裁判所
の
事物管轄
の
限度
が千円であ
つた
こと、
民事上告特例法
が近く
失効
するに伴いまして、
最高裁判所
の事務的な
負担
が増大すること等を考え合せまして、この際この
限度額
を二十万円
程度
まで増額することにいたしたのであります。この
訴訟物
の
価額
の
引上げ
につきましては、先ほど申し上げました
法制審議会民事訴訟法部会審議経過中間報告書
にあります
改正要綱
の第五に掲げてある
通り
であります。この点につきましては、各
方面
ほとんど異論がなか
つたの
でありますが、これを十万円にするか二十万円にするかにつきましては、
相当
議論があ
つたの
であります。
日本弁護士連合会等
からも、十万円
程度
の
引上げ
には
賛成
だが、二十万円
程度
への
引上げ
には
賛成
しがたいというような
意見
が出ておるようであります。この点詳細につきましては、他の
機会
に御
説明
を申し上げたいと思います。 もう
一つ
の
改正
の
要点
は、
裁判所法
の後にできました
行政事件訴訟特例法
、これにはその
改正案
にありますような「
行政庁
の違法な
処分
の
取消
又は
変更
に係る
請求
その他
公法
上の
権利関係
に関する
請求
」という言葉が
使つて
ございまして、これが普通に
行政事件
と呼ばれておるわけであります。
裁判所法
第三十三条におきましては、「
行政処分
の
取消
又は
変更
の
請求
」学問上
抗告訴訟
と言われておりますものだけを除外いたしまして、その他の公務上の
権利関係
に関する
請求
は、
訴訟物
の
価額
三万円以下のものは
簡易裁判所
で
管轄
することに
なつ
ておるわけであります。これも
行政事件
の
特殊性
から考えまして、
抗告訴訟
と同様、その他の
公法
上の
権利関係
に関する
請求
も
地方裁判所
の
管轄
に移すことが適当であろう。かように考えた次第であります。 次は六十一条の二の
改正
でありますが、これは
家庭裁判所
に置かれる
家事調査官
と
少年調査官
とを統合して
家庭裁判所調査官
として、
家事調査官補
と
少年調査官補
とを統合して
家庭裁判所調査官補
とするという
趣旨
であります。すなわち
家庭事件
と
少年事件
との間にはきめわて密接な
関連
があり、従来の実績から見ましても、
少年事件
の中に複雑な
家庭関係
の問題を蔵しておる
事案
、あるいは
家庭事件
の中に
少年保護
の問題を伴う
事案
が多数を占めておりますので、両者の
調査事務
の有機的、総合的な運営を可能ならしめる道を開くためにかような
改正
を
立案
した次第でございます。 次に
民事訴訟法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして御
説明
いたしますが、この
法律案
につきましては
逐条説明書
をお
手元
にお配りしてあると存じますので、
改正
の
要点
を
中心
にいたしまして、
関係条文
について御
説明
をいたしたいと思います。 まず
改正
の
要点
の第一は
条文手続
の
合理化
であります。これは
条文
の三百九十四条になります。現在の
民事訴訟法
のこの
条文
によりますと、
判決
が
法令
に
違背
したことが
上告理由
とされているのでありますが、
改正案
はこれを、
判決
に
憲法
の
違背
があること、または
判決
に
影響
を及ぼすことの明らかな
法令
の
違背
があることに改めるものであります。
法令違背
は
判決
の
基礎
と
なつ
た
訴訟手続
に存する場合と、
判決
中の
法律判断
に存する場合とがあるのでありますが、そのいずれにつきましても、
判決
の
結論
に
影響
を及ぼすもの、すなわちその
法令違背
がなか
つた
ならば
判決
の
結論
が異
なつ
たであろうと考えられるものと、そうでない、すなわちかりにその
法令違背
がなか
つた
としても
判決
の
結論
は異ならなか
つた
であろうと考えられるものとがあるのであります。このあとの方の
法令違背
を
上告理由
として認めることは、実益に乏しいばかりでなく、
事件
の解決をいたずらに遷延させ、
原審
における
勝訴者
の利益を不当に害することになるのであります。
現行
の三百九十四条におきましても、特に
判決
への
影響
については明文をもつて表現されておりま
せん
けれども、その
解釈
といたしましては、
判決
に
影響
を及ぼす
可能性
のない
法令違背
は
上告理由
とならないものとされておるのであります。この
改正案
は右の
趣旨
を明らかにし、かつこれを徹底させまして、
上告理由
は
判決
に
影響
を乃ぼすことの明らかな
法令違背
に限ることとするものであります。言いかえますと、
現行法
のもとでは、
法令違背
が
判決
に
影響
を及ぼす
可能性
さえあれば、これが原
判決破毀
の
理由
となるのでありますが、この
改正案
におきましては、
法令違背
が
判決
に
影響
を及ぼす
可能性
のある場合に限り原
判決破毀
の
理由
となることとなるのであります。ただ
憲法
の
解釈
につきましては、
最終審
の
裁判所
の
判断
がなされる
機会
を十分に保障する意味におきまして、
憲法
の
違背
の場合は
現行法通り
としたのであります。 なおこれに
関係
いたします
条文
としましては、三百九十五条の
改正
でありますが、これは三百九十四条の
改正
に伴う字句の整理でありまして、いわゆる絶対
的上告理由
といわれておりますものは、そのまま
改正案
におきましても維持することに
なつ
ております。
上告手続
の
合理化
に
関連
する
要点
の第二は、
上告
に関する
適法要件
を欠くことが明らかな場合には、
原裁判所
において
上告
を
却下
することができるという点でありますが、それに関する
条文
といたしましては、三百九十七条から三百九十九条の二までの
規定
であります。すなわちこれらの
規定
は、
原裁判所
における
上告
の
適法要件
の
審査
の
制度
を新たに設けようとするものであります。 三百九十七条の第一項は、この
原審
における
審査
のため、
上告状
は
原裁判所
に
提出
すべきこととしております。
現行規定
によりますれば、
原裁判所
または
上告裁判所
のいずれに
提出
してもよいことに
なつ
ております。
本条
の第二項は、
上告状却下
の
権限
を
原裁判所
の
裁判長
に行わしめようとするものであります。
上告状却下
の事由は
現行法通り
でありまして、
上告状
がその
方式
を欠くこと、
相当
の印紙を貼用しないこと、または
上告状
の送達ができないことが
却下
の
理由
となるわけでありますが、この
欠缺
がある場合でもただちに
却下
することなく、
相当
の
猶予期間
を設けて補正を命じ、これに従わないときに初めて
上告状
を
却下
するという点も、
現行法通り
であります。 次に三百九十八条の第一項は、
原裁判所
における
上告
の
適法要件
の
審査
のため、
上告理由書
も
原裁判所
に
提出
すべきことにいたしたのであります。
上告理由書
の
提出期間
は、
現行法
では
上告裁判所
に
訴訟記禄
の到達した旨の通知があ
つた
日から三十日とされておりますが、この
改正案
では、記録が
原裁判所
にある間に
上告理由書
を
提出
することとなりますために、この日を
起算日
とすることができま
せん
ので、実情に適した妥当な定めを
最高裁判所規則
においてすることとし、
法律
中に
規定
することをやめたわけであります。
本条
の第二項は、
上告理由
の
記載
は
最高裁判所
の
規則
で定める
方式
によるべきことを定め、
上告理由
は、
上告状
または
上告理由書
のいずれかに
記載
されるのでありますが、
上告
の審理の
能率化
をはかるためには、その
記載
の
方式
を定めることが望ましいからであります。 三百九十九条は、以上第一ないし第三に掲げる場合に該当することが明らかな場合に限り、
原裁判所
に
上告却下
の
権限
を認めようとするものであります。第一は、
上告
が不
適法
でその欠点を補正することができない場合、たとえば
上告期間経過
後に
上告
の提起があ
つた
ような場合であります。第二は、
上告状
に
上告理由
を
記載
せず、かつ
上告理由書
を
期間
内に
提出
しない場合、または
上告状
に
上告理由
を
記載
し、または
上告理由書
を
提出
したが、
上告理由
の
記載
が
最高裁判所
の
規則
で定める
方式
に
違背
している場合。第三は、
上告理由
として
上告
人の主張するところが
法令違背
の主張に該当しない場合、または
法令違背
の主張ではあるが、かりにその主張するような
法令違背
があ
つた
としても、これが
判決
に
影響
を及ぼす
可能性
のないことが明らかな場合であります。もつぱら
原審
の事実認定の不当を主張するにすぎないようなものは、第三号の前段に該当いたします。また明らかに訓示
規定
と解されております法規の
違背
や、原
判決
の単なる傍論における
法令
の
解釈
の誤りを主張するにすぎないもの等は、この後段に該当するわけであります。 次に三百九十九条の二は、
上告状却下
の命令または
上告却下
の決定があ
つた
場合のほかは、
上告裁判所
の審判を受けしむるために
事件
を
上告裁判所
に送付すべきことを定めたのであります。
改正
要項の第二は、仮差押え、仮
処分
事件
の
上告
の制限であります。これに関しまする
条文
は三百九十三条、仮差押え、仮
処分
に関する
判決
に対しては、通常の
上告
を認めないこととするものであります。
憲法
違反を
理由
とする不服の申立てにつきましては、別に
最高裁判所
に対する特別
上告
を認めることといたしております。これは四百九条の第二項に特別
上告
の
規定
がございます。仮差押え及び仮
処分
は
本案
の
訴訟手続
によつて
事件
の終局的解決がなされるまでの暫定的応急的な仮の措置でありまして、争いと
なつ
ております
権利関係
の確定や権利の終局的実現は、
本案
の終局
判決
またはこれに基く強制執行手続がその任務とするところでありまして、仮差押え、仮
処分
は単に権利保全のための仮の措置たるにとどまり、仮差押え、仮
処分
事件
の
上告
審において審判さるべき問題の大
部分
、ことに
請求
権の存否についての
法律
問題は
本案
訴訟において審判されるのであります。
従つて
仮差押え、仮
処分
事件
についての普通の
上告
を認めないことといたしましても、当事者の権利の保護に支障はないものと考えています。かえつて
本案
訴訟の審理との重複を避け、かつ
事件
の処理をすみやかならしめることによつて保全訴訟
制度
の目的をよりよく実現することができるのではないかと考えるわけであります。
改正
の第三は、仮執行宣言付
判決
に対する
上告
提起等の場合における執行停止の
要件
の加重であります。これに
関連
する
条文
といたしましては、五百十一条と五百十二条であります。仮執行宣言付
判決
に対して
上告
提起がありました場合の原
判決
の執行停止等は、その執行によつて償うことのできない損害の生ずべきことを疎明した場合に限つて許すこととするものであります。
上告
の対象となる
判決
は通常二審級の審判を経た控訴審の
判決
でありまして、かつ
上告
によつて破毀される率もきわめて低いので、その勝訴の当事者の権利の実現をできるだけ遅延せしめないことが望ましいのであります。その執行力の強化は仮執行宣言の
制度
が設けられている
趣旨
にも合致するのでありまして、
上告
の提起があ
つた
ことのみによつて容易に執行停止等の
処分
により原
判決
の執行を阻害することは、単に執行の阻害のみを目的とする
上告
を誘発する原因ともなると考えられるのであります。そこでこの
改正案
におきましては、真に救済の必要あるもののみを救済する半面、勝訴の当事者の権利の執行をすみやかならしめる
趣旨
で、執行により償うことのできない損害の生ずべきことの疎明を執行停止等の
要件
とすることとしたのであります。 五百十二条は、
上告
の提起があ
つた
場合の執行停止等につきましては、五百十一条に別に
規定
することとなりましたこと、及び
現行法
の五百十二条で準用しております五百条の
規定
が
改正
されることと
なつ
た結果、それに伴つて必要な
改正
を加えようとするものであります。その内容は
現行法通り
であります。 次にもう
一つ
の
関係条文
は五百条であります。これは特別
上告
の提起まだは再審の申立てがあ
つた
場合の原
判決
の執行停止等は、その主張する事実について疎明があり、かつこれが
法律
上一応
異議
を
理由
あらしめるものと認められる場合に限つて許すこととするものであります。 特別
上告
または再審の申立ての対象となる
判決
は、すでに確定した
判決
でありますから、本来完全な執行力を有すべきでありまして、特別
上告
または再審の申立てがなされたことのみによつて執行停止等の
処分
により原
判決
の執行を阻止しますことは、勝訴の当事者の権利の実現を不当に侵害することとなり、特別
上告
または再審の申立てが執行を引延ばす目的で濫用されるおそれもあるのであります。
現行規定
のもとにおきましても、この
改正案
と同
趣旨
に
解釈
すべしとする有力な
意見
もあるのであります。疑義を避けるために
請求
異議
の訴えの提起の場合に関する五百四十七条におけると同様、これを明確に
規定
することとしたのであります。
改正
の
要点
の第四は、調書及び
判決
の
方式
等の
合理化
であります。この
関係条文
は百四十三条から百四十五条までが
中心
であります。口頭弁論調書の作成につきましては、基本的な
事項
のみを
法律
で
規定
し、その他は
最高裁判所
の
規則
で定めることとするのであります。調書の
方式
の
合理化
、
能率化
は、
訴訟手続
を適正迅速に進行させるために不可欠の要請であります。これにつきましては
現行
百四十三条、百四十四条に
部分
的な修正を加えることも
一つ
の方法でありますが、調書の形式、内容をどう定めるかは結局調書が
訴訟手続
の記録としての機能を十分に果して、かつその作成が能率的になされるための技術的考慮に基いて決定さるべき
事項
でありますから、対象となる
訴訟手続
の異なるに
従つて
、それに適する定めをし、また常に実務処理の経験にかんがみ随時所要の
改正
をなし得ることが望ましいのであります。
従つて
調書については基本的の
事項
のみを
法律
で
規定
し、細目についてはこれを
法律
で
規定
するよりも、みずから裁判を行い、かつ下級
裁判所
の訴訟事務の実態にも通じておりまする
最高裁判所
においてこれを定めることが適当と考えられるのであります。 次に
判決
の
方式
につきましては、
判決
の内容
方式
につきましての基本的
事項
だけを
法律
で
規定
し、その余は
最高裁判所
の
規則
で定めることとするものであります。従来の
判決
書きの
方式
は
現行法
百九十一条に従いまして長年の慣行によつて成立したのでありますが、非能率的な点がないではないため、
判決
書きの作成自体に費やす
裁判官
の労力というものはきわめて大きいのでありまして、しかもその
相当
な
部分
はま
つた
く形式的な、
判決
の真の内容をなす
判断
以外のことに費やされているうらみがあるのであります。その改善は
現行法
のもとにおきましてもその運用によつてある
程度
達し得るのでありますが、それには
限度
があります。
判決
の基本的内容として主文、事実、争点及び
理由
を備えることを
規定
するにとどめ、その
方式
につきましては
最高裁判所規則
で定めることを適当としたのであります。これによりまして、あるいは調書
判決
の
制度
、訴状その他の準備書面の引用等が可能と相なるであろうと思うのであります。なお
簡易裁判所
の
判決
については三百五十九条、また控訴審の
判決
については三百九十一条に
特例
が
規定
してございますが、
判決
の
方式
については、すべて百九十一条に統一的に
規定
され、この
特例
に類する
事項
はすべてこの
規則
にゆだねられることになるわけであります。その他この
民事訴訟法等
の一部
改正法律案
の中には、この
改正
に伴いまし非訟
事件
手続法、私的独占禁止及び公正取引の確保に関する
法律
及び中小企業等協同組合法の一部
改正
を加えておりますが、これらはいずれも
民事訴訟法
の
改正
に伴い、あるいはこれと歩調を合せた整理でありまして、それらの
条文
に関する
説明
は省略させていただきます。
小林錡
11
○
小林委員長
これにて
逐条
説明
は終りました。 この際お諮りいたします。ただいま
逐条
説明
を聴取いたしました二
法律案
の
審議
中、
最高裁判所
当局より
出席
説明
したいとの要求がある場合には、国会法第七十二条第二項の
規定
によりましてこれを承認することにいたしたいと存じますが、御
異議
はございま
せん
か。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小林錡
12
○
小林委員長
御
異議
なしと認め、さようとりはかろうことにいたします。 ――
―――――――――――
小林錡
13
○
小林委員長
それでは
法務行政
に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますから、これを許します。田嶋好文君。
田嶋好文
14
○田嶋
委員
私先国会以来いろいろ
民事
局にお尋ねをして参り、またその後
民事
局でも非常にお考えを願つておるかのごとく考えられます帰化の問題でありますが、私が先般も申し上げましたように、結局この朝鮮人問題、主として日本が台湾、朝鮮というような土地を植民地として持つてお
つた
当時の
関係
から起る民族的な今日のいろいろの問題、そうしてこれが思想的な問題にまで発展をするというようなことから、帰化というものは非常に重大ではないか、帰化の取扱いというものが非常に重大に
なつ
て来るのじやないか、この帰化の取扱いをうまく考慮することによつてそうした民族的な不満、そうして思想問題等もある
程度
の処理ができるのじやないだろうか、こういうような考えから御質問して来たわけですが、この点については
民事
局当局でもある
程度
御考慮を願い、また同感の意を表せられてくださ
つた
点もあると思います。そこで、朝鮮人の帰化等も
相当
スムーズに、しかも御丁重に取扱つている事実は認められますので、まことに感謝をいたしているわけなんですが、最近私、二、三の台湾人に対する問題を取扱いまして、ひとつこれも朝鮮人問題と同じように御考慮を賜わる必要があるのではないか。こう思つて来たわけなんです。と申しますのは、私この間国会から派遣されて台湾に参りまして、あの台湾の空気を見たときに、一体台湾というのは日本の領土であるのか、中国に返された領土であるのか、台湾をまわつてみてときどき錯覚を起すくらい日本人に対して非常に協力的であるし、そして言葉の上でもほとんど台湾語を使わないで、日本語を
使つて
おりまして、しかも鉄道線路を
中心
にして東西南北にいたしまして、南の方は中国人とはつきりしておるが、北の方は日本語でなければ通らないし、日本人の生活様式、日本人の言葉、日本語というものを使わなければ通らないというようにまで台湾の
状況
がわかれておるわけであります。
従つて
この取扱いを
相当
慎重にやる必要があるのではないか。今後日本が独立を維持し、平和を守り、そうして特に共同圏の平和を守るという意味において大切であると思う。そういうことから二、三の例も
検討
したわけですが、台湾人で日本におつて、もうこれは日本人と何ら区別がつかない、しかも日本のために非常に協力しておる、こういうような人がたくさんおられる。しかしこの人たちが一旦日本人になろうという場合にも非常にむずかしい制約がついておるわけでありまして、なかなかそれができない。私の承
つた
一つ
の事例は、御
承知
だろうと思うのですが、北海道の居住の台湾の人が科学的な面から日本に非常に協力をし、日本にとつても最も必要な人である。この人が帰化申請をいたしましたところが、たまたまその人が中国人としての登録をしてお
つた
というところから、登録がある以上は向うの国籍離脱の手続がないと、二重国籍を取得できないということから、手続上できないということで
却下
されているという事例があります。これはどう見ても日本人にしてやらなければならない、しかも生活様式もすつかり日本人である、また日本に今までも協力していたということで、まことに手続上何とか緩和してや
つた
らいいのじやないかというように感じるのですが、これらの点に対してどういうようにお考えに
なつ
ていられましようか。またこうしたことの御対策等御研究なさ
つた
ことがございましようか。ひとつ承つておきたいと思います。
村上朝一
15
○
村上政府委員
台湾人につきましても、朝鮮人と同様過去における日本と台湾、朝鮮との特殊の
関係
の考慮をいたしまして、善良な元台湾人でありまして、日本の国民の一人として取入れてはずかしくないような、日本人に同化しているような人々は喜んで帰化を許すべきではないか、かように考えております。国籍法の第四条第五号でございますが、帰化を許すための前提といたしましては、「国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。」これが
要件
とされておるのであります。従いまして帰化によりまして日本の国籍を取得するためには、現在持つておりまする国籍を失うことが必要なのであります。ところが一九二九年に公布されました中華民国の国籍法、これが現在台湾で施行されております。この中華民国における国籍法の中に、みずから志望して外国の国籍を取得する者は内政部の許可を得て中華民国の国籍を喪失することができる。但し二十年以上であつて、中華民国の
法律
により能力を有する者に限るという
規定
があるのであります。従いまして現に中国の国籍を持つておる人が日本に帰化するためには、国民
政府
の内政部から国籍喪失の許可を得て日本に帰化するか、少くとも日本の国籍を取得すればただちに中華民国の国籍を失うということが同国官憲の証明書によつて明らかにされている場合でないと、日本の国籍法上帰化け許されないのであります。従いましてこの喪失許可が与えられない限り、わが国に帰化を希望し、また帰化を許してしかるべき場合でありましても、帰化を許すことがきわめて困難な
状態
でございます。ことに中華民国の国籍法には、別の
条文
といたしまして、兵役の義務を有する者は国籍喪失の許可をすることができないという
条文
がございます。その結果満二十年以上の壮年の男子、これはきわめて許可を求めることが困難である。過去におきまして内政部の許可を得て帰化した例もございますけれども、これらは女子がほとんどでございます。男子で許可の得られました者は六十歳以上の者について例があるのみであります。ただいま田嶋
委員
のお示しになりましたような例も多々聞いておるのでありますけれども、かような事情で、これまでのところ帰化を許すことがきわめてむずかしいというわけでございます。ただその対策として、国籍法の
規定
があります以上、行政的にこれを無視するわけには行かない。そうかといいましてこれは二重国籍防止のための
規定
でありまして、みだりにこの
法律
に
改正
を加えるということもどうかと思われますので、過去における両国の特殊の
関係
に顧みまして、外交手段等によりまして、かような特殊なケースについては容易に許可が得られますように、中華民国
政府
の了解を得るように努めることが適当な手段ではないか、かように考えております。また現実に外務省を通じてそういう折衝をしてもら
つた
ということはございま
せん
けれども、私どもとしてはそういうことを感じております。
田嶋好文
16
○田嶋
委員
よくわかりましたが、そこでこういう場合がちよつと想像されるわけであります。それは日本で生れてずつと日本で生活していた
関係
から中国の国籍は実際は取得されていないが、たまたま台湾人であるというところから、中国人の登録だけは日本でしたが、登録だけであつて、向うに国籍があるのかないのかはつきりしていないというような事例が生れるわけでありますが、登録だけあつて、そうして国籍が中華民国人であるかどうか不明な者、これもやはり中国人としての登録があるからというので、今の国籍法によつて帰化を許さないというようなことになると、国籍を失うことになると思うが、この場合もう少し外交折衝でなくて、行政的な措置によつて救う方法がありはしないかという点を伺いたいと思います。
村上朝一
17
○
村上政府委員
中国の国籍を持つているということが明らかでない場合には、これは無国籍として扱う以外にないのであります。現に占領中いわゆる第三国人としての特権を振りまわした人たちが華僑登録をしたにもかかわらず、自分はもう日本人だというつもりで華僑登録をせず、また第三国人らしい行いもしなか
つた
という人が多数あるのであります。この人たちにつきましては中国
政府
の方で中華民国人としての取扱いをしておらぬ。かような場合は国籍法の要求しております本国法によつて能力を有する旨の本国官憲の証明書等もむろんとる方法がないわけであります。かような場合におきましては、実際の取扱いというものは無国籍ということで承認した事例は
相当
数あります。中華民国の駐日代表団、ただいまは領事館でやつておりますが、華僑登録をした者につきましては、あらゆる意味におきましてこれは中華民国人として取扱わざるを得ない。これらのものにつきましては先ほど申し上げましたような手段をとることは、ちよつと困難ではないか、かように考えております。
田嶋好文
18
○田嶋
委員
まだ法務大臣がお見えになりま
せん
から、ちよつと局長にお尋ねいたしますが、国籍法をかえないで二重国籍を与えるというようなことになりますと、これは相手国に対する道義以外にどういうさしさわりが起きるのでありますか、その点を伺いたい。
村上朝一
19
○
村上政府委員
相手国に対する道義という点もむろんあろうと思いますが、それぞれ国家は、自国民に対してはこれを保護する権利を持つておるわけです。二重国籍、いわゆる二国以上の国籍を持つておりますと、国家間の国民に対する保護権というようなものの衝突を来すおそれがあるということから、二重国籍がなるべく生じないように各国は国籍法を
規定
しようということが国際法の通念と
なつ
ております。だから反対に、二重国籍人が生じないように外国の国籍法はその点も考えなければならぬということも、同様主として人道的立場からかと存じますが、国際法の通念に
なつ
ております。
小林錡
20
○
小林委員長
林信雄君。
林信雄
21
○林(信)
委員
この
機会
に
民事局長
にお尋ねしておきたい点が二点ございます。 その
一つ
は
簡易裁判所
の問題でございます。
簡易裁判所
の新設あるいは廃置分合とい
つた
ようなもの――
簡易裁判所
が新しく設けられましてやや年月を
経過
しておりますが、たいへん効率的である
簡易裁判所
があることも存じております。しかしながら
事件
の件数等よりいたしまして、比較的閑散なものがあるやに聞いております。従いまして国家的にながめましてその経費の問題から考えますと、これをそのまま存置いたしますことは不経済である
簡易裁判所
もあるというように存じます。もつともその存在いたしますことは、その周辺の
関係
者におきましてはもちろん利便があると存じます。要は国家財政とのにらみ合せからいたしまして、早く申しますれば、どちらをとるかと考えられる面もある。その
関係
者におきましても交通の
関係
よりいたしまして、本庁あるいは支部の所在地の
簡易裁判所
に参りましても大した不便はない。利不便から言いますればそれは出て行くだけ不便はありますけれども、実際問題といたしましても大した不便でない場所の
簡易裁判所
について考えさせられるものがあるように存じております。
関係
者といいましても訴訟当事者だけではなくて、弁護人
関係
になりますと、むしろ
簡易裁判所
の所在地に在住いたしまする弁護士は少くて支部の所存地に多いのでありますが、これらの
関係
者は、やや離れました
簡易裁判所
に出かけて行く不便がこの方ではある。事務の実態から見ておりますと、必ずしも一人の
裁判官
で過重に
なつ
ておるよりでもない、
裁判所
はいずれも忙しくやつておられますが、幾らかの余裕があるでありましよう。支部所存地の
簡易裁判所
あるいは支部に対しましてテンポラリーに出かける。こういう
裁判所
にもやはりテンポラリーに出かけるようになるということも不便であります。こういうような姿をながめて参りますると、今日適当に整理すべき
簡易裁判所
が出て来ておるのではないか。これは同様な
関係
から、府県の
関係
においても考えられるようであります。弁護士の
関係
は、先刻申したときに申し落しましたが、官選の弁護人を付しまする場合にその土地に在住いたします弁護士が少か
つた
り、なか
つた
り、あるいはさしつかえ等で支部所在地から招請を受けて行く――言葉は適当でないかもしれま
せん
が、という実情にある。と言いましても、また一面地方によりますると、
簡易裁判所
の設置がないために非常な不便を来しておる。訴訟
関係
で出て参りましても、一日で用が足りなくて遂に二日にわたるというような不自由なところで、その設置を要望しておるところもあるようであります。従いましてこれらの点についてどういう御調査がありますか。実はできますれば、一まとめにいたしましたような資料でもいただければ仕合せだと思います。 第二点について簡単に申し上げますが、
地方裁判所
というものを今日以上に増設することができるか。新たに
地方裁判所
を設けるということは、実際問題としては支部の昇格という問題であります。従来司法省とい
つた
時代のころの話なんですけれども、
地方裁判所
は一県一
地方裁判所
主義というようなことを言うて――というよりは、むしろ確立されてお
つた
やに聞いております。しかし最近の動向によりますると、私が申し上げるまでもなく、高等
裁判所
は支部が一箇所あるいは二箇所というものができておる。もちろんこれは一県ではありま
せん
。
地方裁判所
の場合において一県一
地方裁判所
というのも、これは何ら
法律
その他
規定
のよりどころはない。従来の慣行に従
つた
ものである。慣例的な
管轄
をそのまま保持するという考え方である。そうであるといたしますれば、高等裁判研につきましても従来からの慣行的な
管轄
区域というものはあ
つた
、にもかかわりませず今日支部が設けられておるようなわけであります。これは独立したものではないという相違はありますけれども、ひとしくこうした慣行を
変更
可能であるという面から考えますると、必ずしも一県一
地方裁判所
主義というものを確立すべきほどのものではないのではないか。時代は移り、地方的な実情においても、はなはだしい変化を来して参つておる最近の実情であります。具体的な例を私はここに申し上げま
せん
が、実際上その実務の重から参りまして、本庁の
事件
数を凌駕することはなはだしいものがある。もしかようなところにある支部を昇格いたしまして
地方裁判所
にいたすことができますならば、それ自体の実務上非常に利便がありますとともに、訴訟
関係
者におきましては、控訴
事件
を取扱つていただける面があるかと思います。いずれにいたしましても、
権限
の拡張いたしますことによりまして、利便のあることはもちろんであります。さらに経費の面から考えますれば、おそらく人員の数においてはかわるところがない、せいぜい名称の相違くらいでありまして、自動車の一台くらいはそういうところにはあるのであります。だから経費においてはほとんどかわらない。幾らかの増はあるかと存じますけれども、地方の実情に応じてこれらの昇格をお考えになるべきではないか、もちろん地方の要望等のこともあわせて考えなければならぬと存じます。従来の考え方がそのまま踏襲されておりますものか、あるいはさようなことでないのでありましようか、これを伺いたいと同時に、全国的にながめまして支部の昇格をすでに要望して、書面なりあるいは人によつて陳情なりなされておりますところがどこであるか、そういう実例についてさしつかえない
範囲
内で資料をいだけますれば、これも仕合せに存じます。以上二点であります。
村上朝一
22
○
村上政府委員
ただいまのお尋ねの
簡易裁判所
の配置分合の問題、
地方裁判所
支部の昇格の問題につきましては、所管の調査課長が来ておりますから、調査課長からお答え申し上げます。
位野木益雄
23
○位野木
政府
委員
初めに
簡易裁判所
の統合の問題についてお答えします。御指摘のように、
簡易裁判所
が地方において
事件
が比較的少いというような事情があるわけであります。のみならず最近は人員整理というようなことがありまして、人手あるいは経費が不足しておるというような
状態
になりましたので、配置については十分
検討
をいたしたわけであります。実は昨年来そういう
方面
について一応の調査を進めて参つておるわけでありますが、御
承知
のように、
簡易裁判所
はやはり各地方の住民の便宜をはかるという
趣旨
が、設置の
一つ
の
理由
に
なつ
ております。そういう点を考えて参りますと、たとえば
民事
について考えますと、弁護士のついておる
事件
は、一方だけについておる
事件
を入れましても半分くらいしかない、あとの半分は当事者訴訟です。そういう人にとつてはやはり近くの方がいいということが考えられるわけであります。そのほか
刑事
につきましても、これは令状の
関係
あるいは警察との連絡というような
関係
もありますので、そういうような
関係
を見ますと、やはりこれは近いところが
相当
利便を増すわけであります。地元の方の要望なんか聞いてみますと、やはり事情がいろいろあるわけであります。しかしながら一々
検討
いたしますと、このところならば、あるいはそう大した不便を来さずにやつて行けるというところも全然ないとは断言いたしかねるのでありますが、一方
簡易裁判所
の性格というものが、今問題に
なつ
ておるのであります。これをどういうふうな性質のものにして行くかということは、説がわかれておりますので、そういう点も考察いたしました上で、さらに整理について
検討
いたしたいというふうに考えております。 それから
地方裁判所
の設置の点でありますが、仰せのように今まで一県に一庁ということで行つておるのであります。この主義を将来も厳重に守つて行かなければならないということは、これは事情に応じまして必ずしもそういう主義を守らなければいけないということもないかと思いますが、やはり支部がありまして、一応その支部によつて
事件
が処理され得るわけであります。支部ではどうしても困るという事情でありますれば、これは具体的に
検討
いたしたいと思いますが、現在のところは支部でどうしても困るというまでに至つておるもの――まだそういうふうな事情があるということは聞いておらないのであります。しかしながら具体的の事情がもしありますれば、これを承りまして
検討
いたしたい、そういうように考えております。
林信雄
24
○林(信)
委員
簡易裁判所
の問題で
民事訴訟
の代理人のお話が出ておりましたが、なるほど統計的にはそうであろうと思いますが、そうであることが便利だからその
通り
に
なつ
ておるのか、やむを得ずそういうふうに
なつ
ておるかという点は、もう少し研究しなければならぬと思います。先刻から申しております
簡易裁判所
の所在地に弁護士がいないですから、守部の所在地まで頼みに行くかといえば、そんなところまで行かれるものかというので、やむを得ず自分でやらなければならぬという面が、どの
程度
まであるかという問題です。
刑事
事件
につきましても、逮捕状の要求なんかはいいんですけれども、これと付随して、そういうところには拘置所の設備がございま
せん
から、例の代用監獄に
なつ
てしまう。代用監獄必ずしも悪くはないかもしれま
せん
けれども、いやしくも拘置所と名のつく収容所とは、その取扱い等についてはかなり開きがあるのであります。間々代用監獄で思わざる事故が起つて、この
委員会
でも問題に
なつ
たことは御
承知
の
通り
であります。そういう点とも、その他の設備ともかね合せてやはり考えなければならぬ問題もあるのじやないかと思います。そう急を要するような問題でもないかもしれまけんが、やはりこれは御
検討
願うだけの価値はある。それと
地方裁判所
昇格の問題は、支部で困る困らぬといつても、困る度合いの問題であろうと思います。それは裁判の上については何もお困りに
なつ
ていないと思いますが、私の言わんといたしますのは、
裁判所
の行政事務といいますか、なかんずく人事の
関係
あるいは施設の
関係
等で、支部ですとどうしても本庁に行つて相談しなければならない。昇格いたしますれば、もとよりそこで済む問題であります。いやしくも支部を本庁に昇格しようというくらいですから、
相当
の人員を擁し、
相当
の建物その他の施設を持つておるのですから、これらの点が実際上事務的にやはり不便を感ずる、あなたの言われる必要があるという大きな
理由
であろうと思うのです。必ずしも土地の誇りとかあるいは面子の問題からというかけでなくて、
裁判所
自体の必要があるかと存じますが、今ここで
結論
を得ようとは存じま
せん
が、必ずしも従来のような方針を固守せられないということを承りまして、私もこの問題についてなお
検討
いたしたいと思います。先刻から申しておりますように、
簡易裁判所
の廃止方を言つて来ているところは少いかもしれま
せん
が、新設についてすでに要望があるところが幾らでもあるのじやないかと思うのですが、その実情のわかるような資料及び地方最判所支部の
地方裁判所
への昇格、一県一
地方裁判所
といいましても――北海道は別なんですが、北海道を含みまして、この実数を教えていただければ仕合せであります。私からの質問はこれで終ります。
位野木益雄
25
○位野木
政府
委員
御
趣旨
ごもつともでございますので、将来なお研究させていただきたいと思います。資料についても御希望に沿うようにいたしたいと思います。
田嶋好文
26
○田嶋
委員
ちようど林君の質問に
関連
するのですが、私の
委員長
当時から問題に
なつ
ておる九州の高等
裁判所
の件、これはとにかく九州の福岡高等
裁判所
の支部が宮崎県の宮崎市にあるというところから、これは地域的に不当であるというのでよく問題になり、鹿児島に支部を置く問題が起つていることは御
承知
の
通り
であります。これは今度の奄美大島の復帰によりまして、ますますこの問題も
重要性
が出て参つております。この奄美大島復帰によつて、この問題を少し具体的に
検討
されておるかどうか、これをひとつ伺いたい。
位野木益雄
27
○位野木
政府
委員
支部の問題は
裁判所
の方でやることに
なつ
ておりますが、今度の奄美の復帰に伴いまして鹿児島県の
管轄
の方が件数もふえるということは事実であります。それから、それを契機といたしまして鹿児島の方へ支部を移す、あるいは新しく置いてもらいたいというような
意見
が、またさらにあらためて起つておるということも聞いております。
裁判所
の方でも
検討
されておるようでありますが、われわれとしても一応の
検討
はいたしておるわけであります。しかしながらただ
事件
数の増加あるいは人口の
関係
等を見ましても、それほど今度の復帰によつてただちに事情が非常にかわつて来るというところまでは行かないようでありますし、それから現実の問題といたしまして、一旦置かれました以上は鹿児島県に移転することも、あるいは新設ということも、いろいろな点で容易には決定いたしかねるというような事情にあるように
承知
いたしております。
田嶋好文
28
○田嶋
委員
御
趣旨
はよくわかりますが、高等
裁判所
の支部と
地方裁判所
の支部とは、設置の趣を多少異にするのじやないか、結局高等
裁判所
というのは
一つ
の地域を区切つて
一つ
しかないので、どうしても交通の便利、それから当事者の便宜ということが
中心
に
なつ
て高等
裁判所
が置かれておる。それから審理の促進ということがそこから起つて来る。これが高等
裁判所
支部設置の大きな
理由
じやないか。その意味から言うと、奄美大島の復帰ということは、人口問題も対象になりますが、人口問題よりも、
裁判所
においてよりよく便宜をはかつてそれを利用せしめるということになると、交通
関係
で非常にマイナスが出て来るのです。小さな船が通つておるだけですし、その点で今までよりも事情が異
なつ
て来たのじやないか。二十万の人口復帰ということは、人口を単位に考えないで、交通距離の点から言つて非常に情勢がかわつて来たのじやないかと思います。これらの点もひとつしんしやくされて、非常に政治問題に
なつ
ておりますので、どうかよい
結論
をお出し願いたいと思います。
佐竹晴記
29
○佐竹(晴)
委員
今のに
関連
して。鹿児島県から猛烈な陳情があるようでありますが、宮崎の方からも猛烈な陳情があることを
承知
しておるます。あれは前に鹿児島の方に置こうとしたときに、事実は
最高裁判所
の方で宮崎の方に持つて行
つた
、なぜ宮崎に持つて行
つた
かというと、あのときでも件数その他を比較して、どうしても鹿児島にしなければならぬという
意見
と猛烈な争いがあ
つた
後に、宮崎に持つてい
つた
、そうして庁舎を提供しよう、何をしよう、かにをしようということでやつておいて、今度奄美大島が出て来たつて一体どれだけ件数がふえるのですか。それでまた鹿児島に持つていつて前の庁舎を提供したり、返還されたりした日には、将来
裁判所
の言うことを地元は聞かなくなるのじやないかと思いますが、その点どうお考えになりますか。
位野木益雄
30
○位野木
政府
委員
初め宮崎に持つて行くことになりました当時の事情は、今申されましたように、やはりいろいろいきさつがあ
つた
わけであります。そういうふうな
関係
もございますので、これは慎重に決定いたすべきものじやないかというふうに考えておるのであります。
裁判所
の方でも慎重に
検討
いたしておる模様であります。
小林錡
31
○
小林委員長
それでは明日は午前十時より
委員会
を開会し、
利息制限法案
について
参考人
より
意見
を聴取することにいたしますから、さよう御
承知
を願います。ひとつ定刻より御
出席
を願います。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十九分散会