○木下
委員 今初めて
伺つたのです。刀剣所持は届出をしなければならぬまた
日本の文化的信用を増す意味において、国宝的美術品として刀剣を海外に出すという場合において、一国の国務大臣というような地位の人が、海外を欺き、また
国内の刀剣の届出という
法律的な
義務の履行にあた
つて、これをほかの人の名前でやる。よく高利貸なんかが公正証書をつくるときにかれこれのことがあ
つて、公文書の不実記載というようなことで刑事責任まで問われておる事例もたくさんあることであります。さような意味もありますのでちよつとそういう点を伺いますると、私の
考えでは、あの邪教と
言つてもよさそうな霊友会の小谷それがし今刑事被告人としてさばきの廷に立
つておる人のすることを信ずべきか、また責任ある高い地位に立
つている人の言うことを信ずべきかどうかということは公正にものを
考える人としては、その間に非常に釈然たらざるものがたくさん残るわけであります。さような点等についてもいろいろの疑問の余地がありまするが、この栗田君の告発の取下げ、これが伝え聞くところによりますと、栗田君は島田それがし等の霊友会
関係の人たちから頼まれて、そして
自分が君たちのために骨折
つてやるということで、栗田君の名義で告発をした、それが昨年の十月二十日であります。しかるに一週間と一日た
つた二十八日にはその告発を栗田君が取下げた。島田なんかのようないわゆる実質的な依頼者、その連中が大方毎日のように栗田君に対してその
事件のことを問い合せに行き材料を提供しつつあ
つたのに、そのことを取下げたことも何も貰わない、そのままに捨ておいて、そして世間にそれが発表される前の日あたりに初めてそういううわさを聞いたものだから、びつくりして栗田君のところに行
つて尋ねたところが、まあそういうことにな
つている。その告訴の取下げに対しましても、世間ではいろいろのことが伝えられておることも御承知と思う。その告訴の取下げの不明朗ないきさつ等については、検察側で何かここに捜査をしてもよろしい、またすべきものだというふうにお
考えになりましたかどうか。先ほどのお話で虚偽ということを知
つてお
つてや
つたのなら誣告罪になる、私は誣告罪の成否をかれこれ言
つたのではありません。誣告罪の成立には厳格な犯罪の成立要件がありますが、栗田君が善意でや
つたとしても、一国の国務大臣を告発する、また国務大臣たるものは国家の法規を保つ意味でて少くとも誣告の責任を問うか、そうでなか
つたならば、その軽率なるやり方に対する民事的な責任くらいを問うて天下の疑惑を晴らすべきものだというふうに
考えるのであります。そのことをなしたか。このような意味で世間はこの
事件の経過を常識的に観察して、その間にちよつと割切れなく感じておる者がたくさんある。それはほんの公正な
立場から常識的に見ただけでありますが、なおその後に出て来ておる事実、言いかえれば小名それがしという栗田君のところにしよつちゆう出入りしてお
つた新聞記者、あるいはまた栗田君の秘書をしてお
つた――公の秘書であるか、あるいに個人的な秘書であるかは知りませんが、とにかく栗田君の身辺に親しく勤めてお
つた男、その一人の人が栗田君のやり方にあまりに綱紀を乱る点がある、
自分たちとしては憤慨にたえないというような意味で、親しい人を敵にまわすということは忍びないけれ
ども、そんなことにかかわつちやおられないということで、世間にいろいろな発表をして、職を賭してもこの栗田君の告訴を取下げにからむ暗影を明らかにするということを
言つております。さようなことも、検察
当局には当然耳に入
つておることと思いまするが、これだけのことがあれば、検察
当局としては捜査権の発動を当然や
つてしかるべきものだというふうに私は
考えるのであります。その告発の内容については何かお調べにな
つたことを今伺いましたが、その栗田君の告発の取下げについて天下の疑雲を晴らすために何かの御捜査等をなさいましたか、この点を伺いたいと思います。