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犬養国務大臣 たびたびの御
注意ありがとうございます。大きな声を出したのは私の方でありまして、
古屋さんに
責任がありません。その点は決してあなたにかごつけようとは思
つておりません。私も心外だ
つたので、血の気が沸いて大きな声を出したのであ
つて、ああいうとき声を出すことは人間として当然だと思
つておりますが、しかし相手があることで、相手には御無礼であつたと思
つております。
従つて大きい声を出したのは私が先であることを言明しておきますから、どうぞ御安心を願いたい。
それから私の
行動につきまして――私も
自分の問題はなるべく厳格にしてたいので、当時ここにおります
刑事局長なんかにも、どう思うと言
つて厳密にはかつたことがございます。その点に関していささかも私が
法務大臣として今後の
捜査に資格がなく
なつたと思
つている者は、まことに僭越でございますが、
法務省、
検察庁全員に一人もございません。これはひとつ御安心を願いたいと思います。
それから
法務大臣は党籍を離脱した方がいい、これも確かに
一つの御識見だと思います。私の交が生きておりますときに、衆議院議長についてそういう問題が実は起りました。そのときは私もまだ非常に若く
政治に――今日もそうでありますが、理想を持
つておりましたの、この問題を真剣に
考えたことがありますが、当時の判断も今の結論も同じでありまして、私がたとい党籍を離脱しても、私の心が曲
つておれば同じことでありまして、先ほど
猪俣さんもおつしやいましたように、そういうことで神聖な
法務行政が曲げられるような政党員なり政党なら、もう政党そのものがだめになるのでありまして、私は党籍をあえて離脱するということでなく、党籍を離脱しておるような心持で、毎日の
仕事をして行きたいと思
つております。私が政党員として
発言をし指揮をしておると思
つている者は、今私の役所に幸いに一人もおりません。それは私が偉いためでなくして、あの役所がそういう気分にならないと
一つも毎日の
仕事が動かないところであるからでございまして、決して私の手柄ではございません。また私は役所に帰れば、人が見ていようが、見ていまいが、そういう心持で目の前に来る書類を扱う。それがきのうもお話が出ましてが、人生における
一つの修養の道でありまた務めの道だと
考えております。いろいろこういうときには――
古屋さんのお
気持もわかるのですが、呼び声ほど
捜査が進まない、これは
犬養がや
つているのじやないかというように一応思われ、あるいは
うわさが出ることも無理からぬ点があると思いますが、
捜査は決して停頓はしていないのでございます。なぜそういうふうに見えるかと申しますと、近年における大
事件を扱いました過去の体験によ
つて、検察当局は、ただいきなり手を広げるというよりも、非常に慎重に固めて行かないといけない、もう
一つは力以上のことをしようとすると、必ず
あとで公判のときに、俗な
言葉でいえばしくじる。こういう体験がありますので、このたびの
捜査は非常に周密かつ堅実にや
つております。保全経済会のことにつきましても、予算
委員会で
古屋さんもお聞きに
なつてむられたでありましようが、いろいろ
捜査がどうも鈍かつた、これは
法務大臣に
責任があるのじやないかというお話でありましたが、今にして思えば、あの停頓したがごとくにして非常に固めて行つたやり方は、私は満腔の
気持をも
つて、
東京地検のやり方を支持しておるものでございます。そういうわけで、政党員が
法務大臣に
なつておるというのは、政党員でない人が
法務大臣のときよりもよけいに批判がある。その批判をけしからぬと思わないで、そういう批判にますます報いるようにしなければならぬというすなおな
気持が大切と思いますが、私はそういう心持でや
つて行きたいと思いますから、不審に思われたことは、どうぞ御遠慮なく今後とも御
質問あるいは御
注意を願いたいと思います。