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1953-12-17 第19回国会 衆議院 法務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月十七日(木曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 小林かなえ君    理事 鍛冶 良作君 理事 佐瀬 昌三君    理事 花村 四郎君 理事 古屋 貞雄君       大橋 武夫君    野田 卯一君       林  信雄君    牧野 寛索君       鈴木 幹雄君    猪俣 浩三君       木下  郁君    佐竹 晴記君  委員外出席者         証     人         (保全経済会理         事証券部長)  牧原 四郎君         証     人         (保全経済会理         事)      安井 禎二君         専  門  員 村  教三君         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 十二月十一日  委員古屋貞雄辞任につき、その補欠として山  本幸一君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員山本幸一辞任につき、その補欠として古  屋貞雄君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  古屋貞雄君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  法務行政に関連する保全経済会等特殊利殖機関  に関する件     ―――――――――――――
  2. 小林錡

    小林委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入るに先立ち理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち理事であつた古屋貞雄君は去る十一日本委員辞任せられ、十二日に再び、本委員に選任せられましたので、その異動により理事が一名欠員となつておるわけでございます。この理事補欠選任につきましては、先例に従いまして委員長において御指名いたすに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林錡

    小林委員長 御異議ないものと認めます。理事補欠には従前通り古屋貞雄君を御指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 小林錡

    小林委員長 法務行政に関連する保全経済会等特殊利殖機関に関する件について調査を進めます。本日は去る十一日の本委員会の決定に従い本件について各証人より証言を求めることにいたします。今出頭されておるのは牧原四郎君、安井禎二君であります。ただいまから保全経済会等について証言を求めることにいたしますが、証言を求める前に証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号、議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならないことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言が、証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者、及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者またはこれらの職にあつた者が、その職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして、証人宣誓を求めます。御起立を願います。  牧原君、代表して宣誓書の御朗読を願います。     〔証人牧原四郎朗読〕    宣誓書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、また何事もつけ加えないことを誓います。   昭和二十八年十二月十七日            牧原四郎            安井禎二
  5. 小林錡

    小林委員長 それでも宣誓書署名捺印してください。     〔証人宣誓書署名捺印
  6. 小林錡

    小林委員長 これより証言を求めることになりますが、証言証言を求められた範囲を越えないこと、また御発言の際には、その都度委員長許可を得てなされるようお願いいたします。なお、こちらから質問をしておるときはおかけになつていてよろしゆうございますが、お答えの際は御起立を願います。  それでは牧原証人からまず証言を求めることにいたしますから、安井証人は控室の方でお待ちを願います。  これより証言を求めます。まず委員長から概括的にお尋ねをいたし、そのあと委員諸君より発言を願うことにいたしますから、さよう御了承願います。  牧原四郎君ですね。
  7. 牧原四郎

    牧原証人 はい。
  8. 小林錡

    小林委員長 住所年齢職業等言つてください。
  9. 牧原四郎

    牧原証人 お答えいたします。住所は、東京都杉並区上荻窪二丁目十五番地。牧原四郎年齢、満四十四歳。職業保全経済会社員理事証券部長を勤めております。
  10. 小林錡

    小林委員長 いつからあなたは保全経済会へ入つて、そうしてどういうような担当の仕事を経て目下の地位になるようになつたのか、その経歴を大略お話願います。
  11. 牧原四郎

    牧原証人 昭和二十五年六月八日に入社いたしました。入社一月後横浜支店長代理を勤めまして、二月後には九州博多に参りました。博多福岡支店長を勤めまして、二年後に九州支店長を任ぜられ、二十七年三月二十八日に東京へ帰任いたしました。帰任後は証券部長としまして勤め、昭和二十八年九月一日付をもちまして理事を命ぜられました。
  12. 小林錡

    小林委員長 保全経済会ができたのは二十二年三月ですかな。あなたは初めから入つておられますか。
  13. 牧原四郎

    牧原証人 いいえ、初めからじやございません。たしか二十四年十一月ごろだと私は思つております。よくわかりません。
  14. 小林錡

    小林委員長 どういう関係で入るようになつたのですか。伊藤君とどうして知合いになつたのですか。
  15. 牧原四郎

    牧原証人 保全経済会の募集を見まして応募いたしました。
  16. 小林錡

    小林委員長 今行つているあなたの仕事範囲は、どういう仕事ですか。証券部長、それから理事というのは、仕事が二いろあるわけですか。証券部長だけの仕事をしているのか、理事名前だけですか。
  17. 牧原四郎

    牧原証人 はつきり申しまして、理事というのは名前だけと言つていいんじやないかと思つております。
  18. 小林錡

    小林委員長 証券部長という仕事は……。
  19. 牧原四郎

    牧原証人 証券部長は、伊藤理事長の命によりまして証券売買保管をやつております。
  20. 小林錡

    小林委員長 保全経済会組織の大体を言つていただきたい。一番上に伊藤斗福理事長としているんですな。
  21. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。
  22. 小林錡

    小林委員長 理事というのは一体幾人あるのですか。
  23. 牧原四郎

    牧原証人 理事は五名でございます。
  24. 小林錡

    小林委員長 五名はだれとだれですか。
  25. 牧原四郎

    牧原証人 本日喚問されております安井禎二、その次が工藤続、匹田桂一郎橋本三郎牧原四郎、この五名でございます。
  26. 小林錡

    小林委員長 これはいつごろからなつているのですか。理事会といつても、初めは伊藤理事長だけで、理事というものはなかつたというんじやないですか。
  27. 牧原四郎

    牧原証人 理事はなかつたように思います。
  28. 小林錡

    小林委員長 初めてできたのはいつごろから……。
  29. 牧原四郎

    牧原証人 私どもが理事を命ぜられましたのが、本年の九月一日付でございます。
  30. 小林錡

    小林委員長 その前には理事というものはなかつたのですな。
  31. 牧原四郎

    牧原証人 宮沢という人が理事であるということを聞いておりましたが、はつきりわれわれはそう紹介されたことはございません。
  32. 小林錡

    小林委員長 それでは伺いますが、この保全経済会というものはどういう建前で投資を募集しておるのですか。その投資対象損益などの計算等について一応述べてもらいたいと思います。
  33. 牧原四郎

    牧原証人 投資対象証券投資不動産投資が主でございます。そのほか、傍系会社を設立いたしまして、その方に投資しております。
  34. 小林錡

    小林委員長 その証券売買したり不動産を買つたりというようなことは、どういう人の権限において買うのですか。伊藤理事長が一々命令をするのか、あるいはそういうことをまかせられておる人がおるのですか。
  35. 牧原四郎

    牧原証人 ほとんど伊藤理事長決裁をまちまして取引いたしております。証券の場合でございますと、大きなものに対しましてはもちろん伊藤理事長決裁を得、それから千株、二千株程度のものでございましたらば、私がいたすこともございます。不動産の場合は一応地方の場合でございますと、地方からこういつた土地がある、幾らだという申請書が参ります。それを本店の不動産部で審議いたしまして、票議書をまわし、伊藤理事長決裁をもつて購入するものは購入するというような組織になつております。
  36. 小林錡

    小林委員長 出資契約締結順序を簡単にひとつ述べていただきたいのですが、どういうふうにして出資者を募集して、どういう経路で契約ができ上つて行くのか、出資はどういうふうになつているのか。
  37. 牧原四郎

    牧原証人 出資契約は各全国の支店、出張所にお客様が広告を見るとか、人の紹介で来られるとかいうことで契約するのと、それから都会は代理店を持つておりまして、代理店を通じて契約いたします。契約順序は大体そういうようなものでございます。
  38. 小林錡

    小林委員長 一々契約をするときに定款を見せるのですか。あるいは定款を見せて匿名組合契約であるという説明を詳しくするのですか。
  39. 牧原四郎

    牧原証人 それはするようにわれわれも教育して参りました。それで匿名組合組合員になるという書類がございまして、それに一々お客様から判をちようだいしております。
  40. 小林錡

    小林委員長 保全経済会損益計算というのは、年に二回するようになつているようですね。六箇月ごとに。
  41. 牧原四郎

    牧原証人 決算が三月、九月でございまして、三月、九月に決算いたしております。
  42. 小林錡

    小林委員長 そこで出資者には――これは期間が三箇月になつているじやないですか。
  43. 牧原四郎

    牧原証人 三箇月であります。
  44. 小林錡

    小林委員長 そこで定款などによると、三箇月には必ず一定の、約束をしてきめた利益配当をするということになつているようですね。そうですか。
  45. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。
  46. 小林錡

    小林委員長 そうすると、六箇月ごと計算をして損益決算をしないで、一人々々の出資者から三箇月の期間でもつて契約をして、そうして毎月きまつた利益配当をするということになると、もし損害があつた場合はどうすることになるのですか。六箇月と三箇月とまるで期間が違うようだが、そうすると損益計算関係なく利益配当するのですか。
  47. 牧原四郎

    牧原証人 前もつて現金の場合でございますと二分、これは損得にかかわらず払うというように思つております。
  48. 小林錡

    小林委員長 そうすると六箇月の期間決算をやつてみて、損害があつても別に出資者から損害負担をしてもらうということではないのですね。
  49. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。
  50. 小林錡

    小林委員長 そうすると六箇月の損益計算というものは、別に意味はないのですね。ただ経営者自分の都合上そういつた計算をそのくらいの範囲でしたらよかろうということで、出資者の方に影響はないわけですね。
  51. 牧原四郎

    牧原証人 いまだ出資者の方にそれをお見せしたというような事実は私も覚えておりません。
  52. 小林錡

    小林委員長 一ぺんもないとすると、匿名組合契約というのはどこを言うのでしようか、あなたの解釈では……。
  53. 牧原四郎

    牧原証人 この点につきましては、私は法律の方はほとんどしろうとなものでございますからよくわかりませんが、伊藤理事長の言によりますと、決算のときに払う、だが大衆の方に喜んでいただくためには、前もつて二分なら二分と、きめた範囲で一向さしつかえないじやないかというようなお話でございました。
  54. 小林錡

    小林委員長 そうすると、三月という期間ですから、元本はやはり最後は返すのでしようね、
  55. 牧原四郎

    牧原証人 三月ごとにお客さんがおいでになります。そのときに解約するとおつしやつた方には、今まではただちにお返ししておりました。それからお客様の御希望によりまして、また継続というお話でございますと、またあらためて三月の契約を更新するわけでございます。
  56. 小林錡

    小林委員長 そうすると証券売買やあるいは不動産売買で非常にもうかる場合はいいが、それがぐあいよく行かぬ場合には、必ずきまつた利益配当をして行くといえば、結局前に入つた出資者利益配当をするために、あとの人の出資をだんだん食つて行くほかないということになるのじやないですか。
  57. 牧原四郎

    牧原証人 これは業務が不振の場合ですと、そういつた事実も起つて来るとも考えられます。
  58. 小林錡

    小林委員長 匿名組合契約というと、出資した人が商法の規定で、財産目録とか貸借対照表などの閲覧権とか、あるいは業務財産状況検査ということができるようになつていると思うが、そういうことを請求して来た人はありますか。
  59. 牧原四郎

    牧原証人 私の知つております範囲では、そういつた事実はございませんでした。
  60. 小林錡

    小林委員長 今まではね。この間出資者が裁判所の許可を得て実態の調査をしようとした場合に、伊藤理事長が拒んだようですね。あなた、相談を受けましたか。
  61. 牧原四郎

    牧原証人 その拒んだ席上に私もおりまして、伊藤理事長が拒んだ理由を言いましたことを聞いております。
  62. 小林錡

    小林委員長 どういう理由で拒んだのですか。
  63. 牧原四郎

    牧原証人 その理由は、来ました方が弁護士で、その方は、一部の投資家のために、ためにするような行動が見えた。そのためうちの十五万人の投資家のために、一部の人の要求でそれを見せるわけに行かぬということを理事長が言われたように覚えております。
  64. 小林錡

    小林委員長 先ほどのお話で行くというと、最後どん詰まり行つて決算がかり赤字が出ても、元本は返さなければならぬような契約のように思われますか、どうですか、あなたのお考えは。
  65. 牧原四郎

    牧原証人 この点につきましては匿名組合ですと、解釈次第によつては損は損といつて元本を返さないでいいんじやないかというようなお話もございますが、伊藤理事長の気持といたしましては、絶対に御投資家に迷惑はかけぬ、そのためにはどんなことをしても払うというような信念でいまだにおられると思いますから、これは必ず返さなければいかぬじやないか、またわれわれもそのつもりでこの仕事に邁進しております。
  66. 小林錡

    小林委員長 すると、匿名組合契約というものは、出資者が金を出してその寄託を受けた人が忠実に仕事をして、損益計算によつて利益配当をしたり、損失負担をさせるというのが匿名組合契約だが、あなたや伊藤君の考えてるところは、かりに赤字が出ても最後には元本を返す義務がある、こういうところを見ると、匿名組合契約とは違うようですね。あなたも東京大学を出てるのでしよう。
  67. 牧原四郎

    牧原証人 立教でございます。
  68. 小林錡

    小林委員長 何科ですか。
  69. 牧原四郎

    牧原証人 商科でございます。
  70. 小林錡

    小林委員長 それならおわかりだろうが、すると匿名組合契約はちよつと違うようですね。必ず元本をできるだけ返して行く、こういうわけですか。
  71. 牧原四郎

    牧原証人 これは返さなければならぬというような信念でわれわれ進んでおりまして……。
  72. 小林錡

    小林委員長 それじや、出資者は必ず三箇月の契約をしておつて、続ける人もあるが、三箇月たてば元本を返してもらえる、その間月二分配当をもらうこういうように信じて入つてるわけですね。
  73. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。
  74. 小林錡

    小林委員長 十月二十四日ですか、業務を停止されたようですね、こんなことはむろんないと思つてつていますね。何か三月くらい前から大分危険で、とてもやつて行けないような状態があつたというじやありませんか。
  75. 牧原四郎

    牧原証人 私の知つております範囲では、三月前にとうていやつて行けないという状態でもなかつたと思います。ただ受入高が非常に低下して参りました。それに反比例いたしまして解約率が非常に多くなつて参りました。そのために流動資産の不足を来した事実はございます。
  76. 小林錡

    小林委員長 二十六年春ごろから二十六年度内の出資額というのはどのくらいの増加分かわかりますか。
  77. 牧原四郎

    牧原証人 その当時私は地方におりまして、そういつた総括的なものの記憶はほとんどございません。
  78. 小林錡

    小林委員長 二十七年度内の増加分はどうですか。
  79. 牧原四郎

    牧原証人 契約高は二十七年度で、これははつきりした責任ある数字じやありませんけれども、大体十二、三億くらいふえたのじやないかと思つております。この点は私所管外なものでございますから、責任を持つたお答えとしてはちよつと数字は出ないと思います。
  80. 小林錡

    小林委員長 二十八年度はどうですか。
  81. 牧原四郎

    牧原証人 二十八年度、二十七年度は大体同じ程度じやないかと思うのでございます。
  82. 小林錡

    小林委員長 やはり十二億くらいの程度ですか。
  83. 牧原四郎

    牧原証人 二十八年は前半でそのくらいふえまして、後半になつてから減つて来たのじやないかと記憶しております。
  84. 小林錡

    小林委員長 減つて来たというのは、急ですか、二十八年度になつてだんだん減つて来たのですか。
  85. 牧原四郎

    牧原証人 いえ、大体急といつていいんじやないかと思つております。急に減つたような感じでおります。
  86. 小林錡

    小林委員長 二十八年度に……。
  87. 牧原四郎

    牧原証人 はあ。
  88. 小林錡

    小林委員長 何月ごろから……。
  89. 牧原四郎

    牧原証人 八月ごろからでございます。
  90. 小林錡

    小林委員長 一番状態のよかつたのはいつごろですか、増加額の多い時分は。
  91. 牧原四郎

    牧原証人 大体二十七年の六月から二十八年度の二月くらいまでが一番よかつたのでないかと思つております。この点につきましては、数字の方は書面をもつて御回答申し上げてもけつこうでございます。
  92. 小林錡

    小林委員長 ことしの十月二十四日に突然業務を停止しましたね。その前の日までもやはりずつと投資を受けておつたようですな。
  93. 牧原四郎

    牧原証人 受けておりました。
  94. 小林錡

    小林委員長 これは大分危険な状態が来たことはわかつておるでしような。毎日だんだん迫つて来て、遂にやむなくそこへ行つたんだろうが、それまでに地方支店などに多少警戒せよというようなことを言つてつたですか。
  95. 牧原四郎

    牧原証人 この休業につきましては、私たちも全然知りませんでした。二十四日に伊藤理事長報道関係の方方を呼ばれまして発表されたときにわれわれも知つたくらいでございますから。当然地方の方々も知らないはずでございます。
  96. 小林錡

    小林委員長 そうすると、伊藤自身はわかつておるわけですね。
  97. 牧原四郎

    牧原証人 休業するということですか。
  98. 小林錡

    小林委員長 休業しようか、どうしようかということは、だれかに相談していますか。
  99. 牧原四郎

    牧原証人 その点のことは、残念ながらわれわれには全然わかりません。
  100. 小林錡

    小林委員長 そういうことを相談するのは大体だれです。この理事のうちでだれが特にそういう相談にあずかるのですか。
  101. 牧原四郎

    牧原証人 理事五名は全部知らないはずでございます。
  102. 小林錡

    小林委員長 それじやもうまつたくワン・マンでやつて来ておるわけですね。ほとんど伊藤理事長一人の腹ですべてのものが大体動いておると見ていいんですか。
  103. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。
  104. 小林錡

    小林委員長 あなたは証券売買の係をやつてつたというのだが、この間出資者などここで調べてみると、まるで役に立たぬような株ばかり売買しておるようなことを言つておるが、どうですか。相当くろうと式にやつておるわけですか。
  105. 牧原四郎

    牧原証人 役に立たないものを売買したといいますのは、現在残つております証券上場株でもほとんど役に立たないようなものでございまして、以前はそんなことは絶対ございませんです。
  106. 小林錡

    小林委員長 今度は証券売買の方でも大分失敗したでしようね。
  107. 牧原四郎

    牧原証人 証券売買の方は、本年の大暴落のときの損害以外は損失はございませんです。
  108. 小林錡

    小林委員長 本年の大暴落でどのくらいの損失を受けたですか。
  109. 牧原四郎

    牧原証人 大略の数字でよろしゆうございましようか。
  110. 小林錡

    小林委員長 大略でいいです。
  111. 牧原四郎

    牧原証人 約二億五、六千万円でございます。そのほかに、新聞紙上にも出て御承知と思いますが、入丸証券の債権がございます。この辺が結局損害とみなしますと、あと約一億一千万円ふえております。その一億一千万円の中には、現在入丸のビルその他を破産管財人が整理しておりまして、その方で約五千万円くらいは返つて来るじやないかと思つておりますから、実害は大体六千万円程度でございます。
  112. 小林錡

    小林委員長 この間こちらへ何か目下の財産の調べを出したようですね。
  113. 牧原四郎

    牧原証人 はい。
  114. 小林錡

    小林委員長 あれは間違いありませんか。
  115. 牧原四郎

    牧原証人 間違いございません。
  116. 小林錡

    小林委員長 不動産がおもなようですが、不動産の価格の見積りはずいぶん過大なものじやないですか。あなた一々見ていますか。
  117. 牧原四郎

    牧原証人 見ました。詳細は見ておりませんが、その評価その他については聞いております。
  118. 小林錡

    小林委員長 仏教保全経済会というものとこの保全経済会とはどういう関係があるのですか。ただトンネル式に置いただけで、金を集める道具に使つただけですか。
  119. 牧原四郎

    牧原証人 最初のお話合いその他についてはわれわれ全然関知しておりませんからここで何とも申し上げられませんが、事実は仏保契約されたものは保全経済会に来る、来た資金保全経済会資金と一緒にいたしまして運営しておりました。
  120. 小林錡

    小林委員長 そしてその利益配当はどうなるのですか、同じ割合ですか。
  121. 牧原四郎

    牧原証人 投資家に対する配当は同じだと思つておりますが、私はその方はよく知らないのであります。
  122. 小林錡

    小林委員長 投資家の受けた配当の一部を何か仏教保全経済会の方へまわすというのですか、あるいは月二分のところを二分五厘とかよけい仏教保全経済会に入つている会員には出すのですか。
  123. 牧原四郎

    牧原証人 御投資家に対する配当以外に何らかのものを出しておりますかどうか、私わかりませんが、仏教保全経済会の経費その他は保全経済会が毎月送金しておるのではないかと思つております。
  124. 小林錡

    小林委員長 今後これは一体どうやつて行くつもりですか。相当大きな損害投資者に及んでおりますが、あなたの目算でどんなふうにやつて行けますか。
  125. 牧原四郎

    牧原証人 保全経済会の今後ですか。
  126. 小林錡

    小林委員長 ええ。
  127. 牧原四郎

    牧原証人 私は長年衷心から信頼しておりました伊藤理事長の言を信じて今も考えておりますが、伊藤理事長の言では、法制化によつて絶対にこの難局を切り抜けると言つていられます。
  128. 小林錡

    小林委員長 法制化というのは、どういうふうに法制化するのですか。
  129. 牧原四郎

    牧原証人 その法制化の具体的なものは実際の話私もわからないのでございますが、ただ理事長の、これは法制化によつて必ず切り抜けられるから絶対大丈夫というお話を私は信じて現在もおる次第です。
  130. 小林錡

    小林委員長 法制化して行けば、何か政府からでもこの際融資でも受けて、その欠損の分でも補填して行くということができるとでも思つているのですか。あるいは今の損害をそのままにしておいて、新しい法制化によつて救う道があるというのか。その点何かあなたは調べたことがありますか。伊藤理事長自身に聞いてみたことはありませんか。
  131. 牧原四郎

    牧原証人 伊藤理事長に聞いたことはもちろんございます。
  132. 小林錡

    小林委員長 何と言つておる。
  133. 牧原四郎

    牧原証人 伊藤理事長は、法制化がいかなる形であるかは、これは自分がきめることではないからそれはわからぬ。ただ法制化がされれば、たといそれが禁止立法が立てられたとしても、多数投資家の擁護のために何らかの行政措置を講ぜられるというお話を伺つたわけでございます。
  134. 小林錡

    小林委員長 それでは委員長質問はこれで一応終ります。委員諸君より発言の通告がありますから、順次これを許します。猪俣浩三君。
  135. 猪俣浩三

    猪俣委員 今、委員長質問に対して、あなたの答弁は私どもふに落ちないのだが、あなたはこの保全経済会理事なつた。一体理事というのはどういう役をやるのですか。
  136. 牧原四郎

    牧原証人 ただいま御質問理事は、はつきり申しまして普通一般理事と当会の理事はちよつと違いまして、そこには理事会を招集してどうのこうのということはほとんどございませんので、ただ単なる名前理事と御解釈願いたいのでございます。
  137. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると単なる名前をくつつけたにすぎないもんだというが、今までなかつたものを急に単なる理事という名前をくつつけたのはどういうわけですか。
  138. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては私もわかりません。
  139. 猪俣浩三

    猪俣委員 するとそれもただ伊藤が言うがままに理事という肩書を頂戴したにすぎない、こういうわけですか。
  140. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。
  141. 猪俣浩三

    猪俣委員 しかしあなたもここの相当の地位にあり、しかも伊藤が任命したにしろ、伊藤の輩下の五天王の一人になつておる。そうしてみれば伊藤があれくらい真剣に法制化ということを叫び、これは全国の債権者に再三にわたつてさようなあいさつ状を出し、全国の債権者、預金者も、この伊藤法制化なるものが何ものであるかよくわからぬが、非常に自信を持つてつておるために、一時安心しておるという形もある。そういうあいさつ状を出したことをあなたは知つておりますか。
  142. 牧原四郎

    牧原証人 知つております。
  143. 猪俣浩三

    猪俣委員 そのあいさつ状を出すについてはあなたは関係しましたか。
  144. 牧原四郎

    牧原証人 出すことについて、その文、草案とか、そういつた意味でございましようか。
  145. 猪俣浩三

    猪俣委員 第一は出すことについて相談を受けたか。その文面の内容について相談を受けたか。その文面を発送することについて相談受けたか。そのまた文面の発送することについて、どことどこへ送るかということについて相談を受けたか。こういうことです。
  146. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては文面、発送その他につきましては聞いております。それから中の文案につきましては、私は関係しておりませんでした。ただこういつたあいさつ状を出すということは聞いております。
  147. 猪俣浩三

    猪俣委員 するとその文案については相談を受けなかつたが、それを見せられて、こういうものを出すということは承知しておる、こう承つてよろしいか。
  148. 牧原四郎

    牧原証人 けつこうでございます。
  149. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうするとその文案の中に今言つた法制化ということが非常に力説せられているのであるが、それについてあなたは、今委員長の質疑には、何もわからぬような答弁であるが、おかしいと思うのだ。そういう文面を出すことについて相談を受け、文面の内容を見せられている。しかも法制化ということに徹底的に保全経済会は重点を置いて、死活の道をそこに置いているということは文面に溢れている。それをあなたは五天王の一人であり、理事でありながら、それがどういうことかわからぬということですか。そんなことは通りはせぬでしよう。
  150. 牧原四郎

    牧原証人 法制化につきましては再三私どもは理事長に聞いたことがございます。ただ現在それを発表すること、またどういうところへそういつたことをお願いしておるかどうかということは、今君たちに言うとさしさわりがあるからというお話でございますので、その点についてはただ伊藤理事長の言を依頼しておるだけであります。
  151. 猪俣浩三

    猪俣委員 重要な点であるからもう一度お尋ねするが、その法制化ということについては、あなたは質問したんだね確かに……。
  152. 牧原四郎

    牧原証人 いたしました。
  153. 猪俣浩三

    猪俣委員 すると伊藤が言うには、それは今ちよつとさしさわりがあるから君らにも発表できない、こういうのですか。
  154. 牧原四郎

    牧原証人 そうです。
  155. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうするとどういうことがさしさわりになるかということを尋ねなかつたのですか。
  156. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては、どういうところがさしさわりがあるかどうかということは尋ねたことはございません。
  157. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお聞きます。その立法化ということがさしさわりがあるということはさつぱり私はわからない。公の国会で立法化をはかる。しかも伊藤はアメリカの投資銀行から何かのことを考えてしきりにそういうことを主張しておつたのであるが、それがさしさわりがあるというのはあなたはどういうように考えておるか。何のためにさしさわりがあるか。そういう法律をつくるということを五天王の一人である理事である諸君に話をするに何らさしさわりがある道理がない。こういう法律をつくつて大いに保全経済会をかためるのであるから、諸君も大いにやつてくれと激励するのが当然で、さしさわりがあるから発表できないというのはどういう意味か、あなたはどう考えておるか。
  158. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては深く考えたことがございません。
  159. 猪俣浩三

    猪俣委員 それじやお尋ねいたしますが、伊藤理事長の大蔵委員会における証言によれば、少しおかしくなつて来たというのは休業の四箇月前からである。どうにもこうにもならなくなつて来たのは一箇月前である。こういうふうな証言をしておるように見えるのだが、これはあなたも知つてつたかどうか。
  160. 牧原四郎

    牧原証人 大体その点は感じておりました。
  161. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると四箇月前、少くとも一箇月からはもう動きがとれぬということがわかつておりながら、新規の投資者を募集しておりましたね。それは一体諸君はどういうふうに考えるか。その価値判断について聞きたい。そういう行為はいいことだと考えるかどうか。
  162. 牧原四郎

    牧原証人 私も大蔵委員会には出席しておりましたが、伊藤理事長が一月前にどうにもならなくなつたとは言われたような記憶がないのでございます。ただ一箇月前から非常に苦しくなつたということを聞いております。何とかして立ち直らなければならぬというお話で、どうにもならなくなつたとは、私は解釈しておりません。
  163. 猪俣浩三

    猪俣委員 それではお尋ねするが、私どもは経済のやりくりについてはしろうとでよくわからぬが、今あなたの方の資産表というものを見ると、不動産投資が非常に多い。われわれの聞くところによれば、不動産投資というものは非常に長期を要するものだ。この長期を要する不動産投資が非常に多いという経営形態、それと三箇月たてば元利とも完納するという契約、これはどう調和するのですか。
  164. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきまして、当会では、最初の予定が不動産に三分の一、証券に三分の一、あとの三分の一を準備金として持つというようなことを私は聞いておりまして、証券も、ここにリストは持つておりますが、相当保有しておりました。これが本年の三月の大暴落によりまして、ある程度損害を受け、それによりまして現在の資産としては、不動産が主体となつてつている次第であります。
  165. 猪俣浩三

    猪俣委員 しかし今保全経済会資産内容明細書というものを見ているが、不動産が非常に大部分である。あるいは過大評価しているのかもしれぬが、こういうように三月ごとに元利金を返す……、多数の応募者があつた理由は、三月ごとに元利金を返すというやつに非常にひつかかつたところが多々ある。一年とか二年とかいうのではない。三月ごとに元利金を返すということに非常に安心した。そこに保全経済会の非常なからくりがある。ぼくはそれが非常に重大問題だと思う。短日月の間にかかる四十億と称し六十億と称する金を集め得たものは、まさにかかつて三月ごとに必ず元利金を返すというこのことなんだ。ところが経営の状態というものは非常にそれにふさわしくない。そしてこれはおいおい明らかになろうが、一体あなたは保全経済会の経営費というものの内容をよく知つていますか。たとえば新聞広告にどのくらい金を使つたかわかりますか。
  166. 牧原四郎

    牧原証人 大体わかつております。
  167. 猪俣浩三

    猪俣委員 どのくらい金を使つたか。
  168. 牧原四郎

    牧原証人 毎月の経費が配当を入れますと約一億二千万くらいじやないかと思つております。そのうちの大部分は配当でございます。宣伝費は約一千万円のように聞いております。
  169. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたは自分で実際あれしないのならばわからないが、どうもそんなものじやないと思うのだが……。
  170. 牧原四郎

    牧原証人 そのほかに臨時の宣伝費というものは、たとえて言いますと、相撲の放送とか、そういつたものはまた臨時じやないかと思つております。
  171. 猪俣浩三

    猪俣委員 そういうものは一体どのくらいか。
  172. 牧原四郎

    牧原証人 私も数字はよく覚えていないのでありますが……。
  173. 猪俣浩三

    猪俣委員 だれが一体そういうことをよく知つているんだ。
  174. 牧原四郎

    牧原証人 これはうちの、以前は総務部と申しまして、今は庶務部となつております。そこが宣伝の方をやつております。
  175. 猪俣浩三

    猪俣委員 庶務部のだれかね。
  176. 牧原四郎

    牧原証人 ただいま庶務部の次長の高田英雄と申します。
  177. 猪俣浩三

    猪俣委員 それに聞けばはつきりわかるのだね。
  178. 牧原四郎

    牧原証人 この点につきましては、もう一人、証人として今呼ばれております安井禎二君がわかつております。
  179. 猪俣浩三

    猪俣委員 それではその点安井君に聞きますが、こういう多額の広告費が出ておる。仏教保全経済会にも経費を配当金のほかに出しておる。その他たとえば自由党へ二百万円献金したというような金が出ておる。一体そういう尨大もない金が、人の金を預かつてつて、こんなこげつきになるような不動産に多額に融資しておいて、そうして毎月そういう多額な資金が出る。実にぼくらは不可解なんです。まるでキリシタン・バテレンの法みたいなんだな。結局あなたはざつくばらんに答えた方がいいのだが、一体仏教保全経済会なんというもので、坊主をだまくらかして、新しい投資者をどんどん募集して、そうしてつまりその新しい投資者の預金を、こういうたこ配をやつてつたわけじやないのか、実態は……。
  180. 牧原四郎

    牧原証人 私はそういうようには絶対に……。
  181. 猪俣浩三

    猪俣委員 どこからそういう多額の宣伝費や政党献金や、そういう経費が出るのだ。
  182. 牧原四郎

    牧原証人 政党献金その他につきましては、世上ではいわれておりますが、理事長は絶対にそういつた事実はないと言つております。また私もそういつた事実は知りません。
  183. 猪俣浩三

    猪俣委員 それはいい。それはあとで明らかになるからいいが、巨大なる宣伝費、この宣伝費というものはたいへんなものだと思うのだ。この宣伝費や、あなたは政党献金を否認するけれども、絶対ないといつたつて、二百万円ちやんと出ておることは、自治庁長官が証言しておるじやないか。絶対ないというのはどういうことだ。
  184. 牧原四郎

    牧原証人 私はそういうことは知りません。
  185. 猪俣浩三

    猪俣委員 君が知らぬというのはいいけれども……。
  186. 牧原四郎

    牧原証人 私は絶対ないと信じております。
  187. 猪俣浩三

    猪俣委員 絶対ないと信じておる……。自治庁長官が言うても信じておるか。自治庁長官がちやんと国会で証言しておるのだ。それでも絶対ないと君は信ずるのか。
  188. 牧原四郎

    牧原証人 私は残念でございましたが、そういつた事実を知らなかつたものでございますから……。
  189. 猪俣浩三

    猪俣委員 だから、絶対ないなんということを君が言うのは、伊藤理事長の言うことを信じたのだと、こういう意味かね。
  190. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。
  191. 猪俣浩三

    猪俣委員 すると、伊藤の言うことを信じただけで、君自身としては、あるのかないのかわからぬということになるわけだな。
  192. 牧原四郎

    牧原証人 もしか今おつしやいましたようなことがあれば、私としてもわかりませんが、少くとも現在伊藤理事長から聞きましたときは、そういつたことはないのだ、先日の大蔵委員会でも、伊藤理事長はそう言われたはずです。
  193. 猪俣浩三

    猪俣委員 だからあなたに平静に聞くが、あなたは一体あるのかないのかを知らぬのが実相だと思うのだ。ただ自分の最も信ずる伊藤理事長がないと言うから、ないのだろうと思つておると、こういう意味じやないのか。
  194. 牧原四郎

    牧原証人 そうであります。
  195. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうだろう。あるかないか、よくわからぬわけだろう。
  196. 牧原四郎

    牧原証人 私はないと思います。
  197. 猪俣浩三

    猪俣委員 ないと思うだけだろう。だからそれを聞いておるのだ。何もそんなにこだわらなくたつていいではないか。ないという根拠は伊藤理事長が言うから、とこういうことだろう。
  198. 牧原四郎

    牧原証人 そうです。
  199. 猪俣浩三

    猪俣委員 伊藤理事長が言うことがうそであるならば、君だつて間違つておることになるね。
  200. 牧原四郎

    牧原証人 もちろん伊藤理事長がうそを言つたらば、私も……。
  201. 猪俣浩三

    猪俣委員 君の信ずる根拠を聞いておるのだ。君自身が客観的にないという根拠があるかどうか聞いておるのだが、結局それはあるのかないのかわからぬが、伊藤理事長がないと言うからないと思うのだ、こういうことになるのだね。
  202. 牧原四郎

    牧原証人 そうです。
  203. 猪俣浩三

    猪俣委員 それから証券投資の一覧表を見ると、新夕刊というのに投資しているね。一体こういう新聞なんというものの投資は、確実な投資かね。
  204. 牧原四郎

    牧原証人 私が証券部を担当しておりまして、私どもの台帳にも載つております。株券が来ておるはずでございます。株券もしくは払込み領収書が……。
  205. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたに聞くのは、新聞事業や雑誌事業というものは、非常に困難なものだと聞いておる。こういう新夕刊なんというものは大した新聞じやないようだが……、朝日だとか毎日だとか、読売みたいな新聞ではないわけでしよう。こういう新夕刊というようなものに投資するについて、確実な投資としてやつたかどうかということです。
  206. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては、私たちとしてはわかりませんです。ただ私たちは新夕刊の株券もしくは払込み領収書が来る、それを保管しておるのでありまして、これに投資した意図は、伊藤理事長でなければわからないのであります。
  207. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、この証券投資の決定も、伊藤理事長が決定するわけですね。
  208. 牧原四郎

    牧原証人 お言葉でございますけれども、ただいまの証券投資と申しますと、大体私の方は一流上場株対象にして……。
  209. 猪俣浩三

    猪俣委員 それにいいが、たとえば新夕刊に投資するという決定は伊藤が独断でやるのかね。
  210. 牧原四郎

    牧原証人 独断でございます。
  211. 猪俣浩三

    猪俣委員 新夕刊の社長はだれですか。
  212. 牧原四郎

    牧原証人 山崎一芳と申します。
  213. 猪俣浩三

    猪俣委員 児玉誉志夫という人は関係ないか。
  214. 牧原四郎

    牧原証人 理事長と個人的に関係があるのではないかと思います。
  215. 猪俣浩三

    猪俣委員 いや、新夕刊と……。
  216. 牧原四郎

    牧原証人 それはわかりません。
  217. 猪俣浩三

    猪俣委員 三浦という人は。
  218. 牧原四郎

    牧原証人 私どもわかりません。
  219. 猪俣浩三

    猪俣委員 山崎一芳という人と伊藤さんは懇意かね。
  220. 牧原四郎

    牧原証人 懇意じやないかと思つておりますが、私たちはほとんど知りません。
  221. 猪俣浩三

    猪俣委員 保全経済会は、昨年の七月警視庁から捜査を受けたことがあるだろう。
  222. 牧原四郎

    牧原証人 いや、ございません。ただこういう評判を聞いております。兜町のうちの取引の証券会社に、保全経済会はいつ何の株を幾らで買つたか、またいつ何の株を幾らで売つたかというような調査をされているということは聞いております。
  223. 猪俣浩三

    猪俣委員 どこで。
  224. 牧原四郎

    牧原証人 うちの関係しておりました証券会社全部に行かれたように聞いております。
  225. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、あなたの関係している証券会社はどことどこですか。
  226. 牧原四郎

    牧原証人 その当時は四大証券でございます。山一、野村、日興、大和、この中で野村証券はほとんど取引が少くて、山一、日興が主でございました。
  227. 猪俣浩三

    猪俣委員 山一の社長は何と言いますか。
  228. 牧原四郎

    牧原証人 小池さんでございます。
  229. 猪俣浩三

    猪俣委員 これと伊藤とは懇意ですか。
  230. 牧原四郎

    牧原証人 そういつた事実はないと思います。
  231. 猪俣浩三

    猪俣委員 野村の社長は。
  232. 牧原四郎

    牧原証人 野村は奥村さんでございます。
  233. 猪俣浩三

    猪俣委員 これと伊藤関係は。
  234. 牧原四郎

    牧原証人 大体四大証券の社長と別に懇意ということはないと思つております。
  235. 猪俣浩三

    猪俣委員 まつた業務上やつた……。
  236. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。
  237. 猪俣浩三

    猪俣委員 ここを警視庁が調べたわけだね。
  238. 牧原四郎

    牧原証人 そのほかにまだ三つ、四つほかの証券会社がございますが……。
  239. 猪俣浩三

    猪俣委員 どういうことを調べたのでしよう。
  240. 牧原四郎

    牧原証人 これは証券会社から聞いたのでございますが、大体保全経済会が何の株をいつ幾らで買つたか、そういつたことの調べだつたように聞いております。
  241. 猪俣浩三

    猪俣委員 それはいつごろからですか。
  242. 牧原四郎

    牧原証人 私はそれを去年の七月ごろ聞きました。私たちに対しましては警視庁から直接の調べはございません。
  243. 猪俣浩三

    猪俣委員 帳簿なんかの提出を命ぜられたことはないかね。
  244. 牧原四郎

    牧原証人 全然ございません。
  245. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、昨年の七月ごろ四大証券会社その他について、保全経済会とどういう取引をしているかを調べられたことはあるけれども、保全経済会そのものは帳簿や何かの調べを受けたことはない、こういうことでありますか。
  246. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。証券会社の調べも、私は証券会社の人から聞いたのでありまして、これは事実かどうかわかりませんが、大体事実のようであります。
  247. 猪俣浩三

    猪俣委員 なおお尋ねいたしますが、駒井重次という人は知つていますか。
  248. 牧原四郎

    牧原証人 私は直接お目にかかつてお話したというようなことはございません。ただお名前はよく聞いていまして、理事長とは非常に親交が深いように聞いております。
  249. 猪俣浩三

    猪俣委員 この人は保全会へ出入りしておつたかね。
  250. 牧原四郎

    牧原証人 私の知つておる範囲では、店にはあまり来られたことはないように存じます。
  251. 猪俣浩三

    猪俣委員 店にはあまり来たことはないが、伊藤理事長と非常に懇意だということは聞いておるのだね。
  252. 牧原四郎

    牧原証人 理事長は相当懇意にしておられたのではないかと思います。
  253. 猪俣浩三

    猪俣委員 これは経済会の顧問とか参与とかいう役をやつておらなかつたかね。
  254. 牧原四郎

    牧原証人 表向きそういつた役は――顧問の名前で一昨年で顧問をしておいでになつたと思います。
  255. 猪俣浩三

    猪俣委員 山本粂吉という人は知つておりますか。
  256. 牧原四郎

    牧原証人 知りません。
  257. 猪俣浩三

    猪俣委員 水田三喜男という人を知つておりますか。
  258. 牧原四郎

    牧原証人 知りません。
  259. 猪俣浩三

    猪俣委員 松本信次という人は知つておりますか。
  260. 牧原四郎

    牧原証人 存じております。これは当会の顧問をやつております。
  261. 猪俣浩三

    猪俣委員 山口六郎次という人は知つておりますか。
  262. 牧原四郎

    牧原証人 私は存じません。
  263. 猪俣浩三

    猪俣委員 福田篤泰という人は。
  264. 牧原四郎

    牧原証人 一、二回お目にかかつたことはございます。
  265. 猪俣浩三

    猪俣委員 どこで。
  266. 牧原四郎

    牧原証人 日本橋でお目にかかりました。
  267. 猪俣浩三

    猪俣委員 場所は。
  268. 牧原四郎

    牧原証人 場所ははつきりわかりませんが、お目にかかつた動機は、福田先生のアジア興産という会社をつくつたことがございまして、そのときにお目にかかつたことがございます。
  269. 猪俣浩三

    猪俣委員 アジア興産という会社に伊藤出資したのかね。
  270. 牧原四郎

    牧原証人 さようでございます。
  271. 猪俣浩三

    猪俣委員 これは福田君が中心になつた会社かね。
  272. 牧原四郎

    牧原証人 たしか福田先生が中心だと思います。
  273. 猪俣浩三

    猪俣委員 それに伊藤出資するために、あなたが福田に二、三回会つた、こういうのですね。
  274. 牧原四郎

    牧原証人 出資された後です。たしか役員会か何かございましたときにお目にかかつたことがございます。
  275. 猪俣浩三

    猪俣委員 伊藤は小石川に相当大きな家を持つておるというのだが、どのくらいの家を持つておるのかね。
  276. 牧原四郎

    牧原証人 坪数ははつきりわかりませんが、大きな建物といえば確かに大きな建物です。
  277. 猪俣浩三

    猪俣委員 これは伊藤個人のものかね。
  278. 牧原四郎

    牧原証人 不動産登記は会の所有になつております。
  279. 猪俣浩三

    猪俣委員 保全会の所有で、そこに伊藤が入つておる。伊藤は保全会に借賃でも払つておるのかね。
  280. 牧原四郎

    牧原証人 おそらく払つておると思います。私自身が社宅に入つておりましてやはり家賃を入れております。
  281. 猪俣浩三

    猪俣委員 だがあなたはよくわからぬわけだね。伊藤はここにいつごろから入つておるのですか。
  282. 牧原四郎

    牧原証人 たしか昭和二十六年のように思つております。
  283. 猪俣浩三

    猪俣委員 家賃は払つておるかと思うが、そこはわからぬというのだが、それはだれに聞けばわかるのかね。
  284. 牧原四郎

    牧原証人 それは経理部長ならわかると思います。
  285. 猪俣浩三

    猪俣委員 経理部長は何というか。
  286. 牧原四郎

    牧原証人 大野といいます。
  287. 小林錡

    小林委員長 大野何というのですか。
  288. 牧原四郎

    牧原証人 大野友治郎――治か次か、ちよつと失念いたしました。
  289. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお一点お聞きしますが、あなたは証券部をやつていたから、保全会の伊藤が最も懇意な証券会社というものがありますか。
  290. 牧原四郎

    牧原証人 懇意というのは……。
  291. 猪俣浩三

    猪俣委員 特別にだね。
  292. 牧原四郎

    牧原証人 それは私はないと思います。
  293. 猪俣浩三

    猪俣委員 大体四大証券会社なんかを中心として証券投資のことをやつてつたということになるわけですか。
  294. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。そのほかにまだ三つ四つございますが……。
  295. 猪俣浩三

    猪俣委員 何というのですか。
  296. 牧原四郎

    牧原証人 大阪商事でございます。
  297. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは大阪ですか。
  298. 牧原四郎

    牧原証人 本店は大阪でございますが、支店はこちらにございます。それから大福証券、勧業証券、大体その三店と四大証券、そのほかに一、二回取引はしたところがございますが、大体その三店でございます。
  299. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、これらの大阪商事、大福証券、勧業証券なんかも、昨年の七月警視庁では調べたわけですか。
  300. 牧原四郎

    牧原証人 ええ、調べたと思います。そのほかに、先ほど申しました入丸証券というのがございましたが、これは破産になりまして店がなくなりました。
  301. 猪俣浩三

    猪俣委員 もう一つ念のために聞きますが、先ほど申したように、今この保全経済会が休業後も重点を置いているのは法制化ということであるが、その具体的のことについてはあなたは何も知らぬ、こういうことになるのですか。
  302. 牧原四郎

    牧原証人 そうであります。
  303. 猪俣浩三

    猪俣委員 しかし、大体どういうことをいうのであろうかというぐらいは、伊藤から聞かぬでもあなた想像できそうだと思いますが、それもわかりませんか。
  304. 牧原四郎

    牧原証人 その立法化されますのが禁止立法であるか保護立法であるか、それも私はわかりませんから、何ともお答えできないのでありますが……。
  305. 猪俣浩三

    猪俣委員 しかしわれわれから見ると、伊藤にみんな責任を負わしてしまつて非常に無責任だと思う。あなたもいやしくも理事という名前証券部長としてやつておるのに、この保全経済会が生命をかけて債権者に訴えておる法制化ということについては何もわけがわからぬ、こんなことが通るのかね。
  306. 牧原四郎

    牧原証人 いや、この点につきまして私は責任回避とか、そういつた気持は毛頭ございません。ただ、私たちは数年来伊藤理事長を信頼し、理事長が右と言えば、われわれも全部右向くという気持でやつております関係上、理事長の言を信用している次第です。責任を伊藤理事長一人になすりつけるとか、そういつた気持は毛頭ございません。
  307. 猪俣浩三

    猪俣委員 いま一つ。これは世間では自転車営業だと言うのだ。いつかは倒れるにきまつている。そうでしよう。新しい投資者投資金をもつてたこ配をやつている。そう思わぬかね。あなたが関係しておつた当時は思わなかつたにしても、今日静かに反省してみて、これが普通の経営として成り立つものであるかどうか。これは三月に元利金を返すという約束である。それをほんとうに実行するならば、たこ配になるということは必然であると考えませんか。三月に元利金を返す、必ずそれを実行するという決意の上に立つて反省してごらんなさい。たこ配的な、新しい投資金を食うという形でなければそれが実行できないというふうにあなたは思いませんか。
  308. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては、私の考えは、配当を払えなくなつたのは今年の十月からでありまして、それまでは配当及び元本も必ず返済しておりました。これはなぜできるかと申しますと、出資額と経費のパーセンテージが約三分弱になつております。つまり常識的に考えましても、普通商売で月三分もうけるのは決して不可能ではないと私は信じておりますから、今おつしやいましたような自転車営業ではないと思つておりました。
  309. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、それがこういうふうに休業するに至つた原因はどこにあるのですか。
  310. 牧原四郎

    牧原証人 これは先ほど委員長にもお答えしました通り、本年の七月ごろから受入れが非常に少くなりました。と同時に、解約が非常に多くなつたのであります。そのために流動資金の不足を来した次第でありまして、そのために、たとえば不動産を処分するということになりますと、捨値で売ることになります。それを売らなければどうなるかというと――営業資金の不足によりまして休業のやむなきに至つた、と私は解釈しております。
  311. 猪俣浩三

    猪俣委員 だから、自転車営業だというのはそこを言うのです。私どもは経営にはしろうとだけれども、常識でわかる。不軌産に多額の投資をしているということ、それと、三月に元利金を必ず返すという約束は矛盾するのではないかということを私は劈頭に聞いた。伊藤の大蔵委員会における答弁においても、銀行が不動産に融資してくれなかつたからということを店じまいの原因の一つにしている。こんなことは初めからわかり切つたことである。不動産への融資のできぬということは初めからわかり切つたことである。だから伊藤の言う法制化ということは、そういう不動産への融資の道を開くということをいうんじやないかと思つてあなたに聞いているが、あなたはわからぬと言つている。そうすると、ぼくが最初からあなたに聞いたことに陥つて来ている。さあいよいよ金が足りなくなつた、不動産を処分するといつても二束三文であることは当然のことです。そんなことは不動産投資するときからわからなければならぬことである。三月に元利金を払うということがこの保全経済会の最大の魅力である。いなかのばかどもはみんなこれにつられてしまつた。これと不動産融資ということは矛盾するとあなたは考えませんか。こういう金を集めておいて三月に必ず元利金を返すということを言われながら、不動産にどんどん投資すると、たこ配で自転車営業になるということがわからぬかね。専門家にわからぬことはあるまい。われわれのようにずぶのしろうとでもわかる。――答弁がなければよい。
  312. 小林錡

    小林委員長 大橋武夫君。
  313. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 最初にお伺いしたいのは、あなたが株の売買のために預かつておられた総資金額は平均どのくらいの金額に上つておりますか。
  314. 牧原四郎

    牧原証人 大体、一番多いときで十三、四億でございました。
  315. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 その十三、四億に対するあなたのところの手取りの利回りは大体幾らくらいに見積られておりましたか。
  316. 牧原四郎

    牧原証人 私は、昨年の四月本店に参りましたので四月以降のことでございますとここに詳しく数字が出ております。パーセンテージにいたしますと、昨年の四月から本年の四月までで、上場株の方でございますと、大体三割くらいに該当いたします。
  317. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 月三割ですか。
  318. 牧原四郎

    牧原証人 年三割でございます。
  319. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 証券部の扱い利回りは、ことしの十月までに平均どのくらいになりますか。
  320. 牧原四郎

    牧原証人 この点は証券部の方で今残つております傍系の出資株、それから銘柄の非常に悪い株、こういつたものを入れますと、一割程度になるんじやないかと思いますが、詳しい数字が御必要でございますれば、後刻計算いたしまして委員長のもとまで提出いたします。
  321. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 できればそうしていただきたい。そこで、不動産関係の利回り率といいますか、利益率といいますか、そういうものについてもある程度お聞及びになつておられたならばお聞きしたい。
  322. 牧原四郎

    牧原証人 不動産の方は総体的にどのくらいになつたかと言うことはできませんが、非常に取得価格が安いのもございまして、そういうのは年に十割、三年で三十割くらいになつたのもあります。それからいなかの店舗なんかになりますと、そのままのようなのもございます。
  323. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それで今の常業所は不動産が大体多いと思うのですが、それはやはり値上りを実現するようなぐあいに始終買いかえ、買いかえして行つているものですか。
  324. 牧原四郎

    牧原証人 大体うちの店舗にいたしましても、地価の値上りその他を見越しまして、どこの都市でも、ほとんど一等地の角地をねらつてつております。その点で相当値上りを来しておると思います。
  325. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 しかしそれが大体値上り通り売れればいいですが、売れましようか。また売つて営業を継続するのに支障はないのでしようか。
  326. 牧原四郎

    牧原証人 現在でございましようか。
  327. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 必要な場合ですよ。たとえば今度のような場合に、今売れば十分に二分配当をカバーするだけの利益を上げていたことになりますけれども、お話のようになると、今売るのでは二束三文だ、そこで売れない、こういうのですが、それについての大体会の幹部たちのお考えは、いつでも売れると思つてつたら、今度売ろうとしたら売れないというようになつたのか。それともやはり実際は不動産の性質上売りにくいものだということを知りながら不動産投資に三分の一をやつておられた、その点……。
  328. 牧原四郎

    牧原証人 伊藤理事長の方針といたしましては、現在まで不動産をほとんど売つたことがないのであります。持つていれば必ず上るという建前で今まで経営しておつたの、でありまして、現在の休業までは売るということは考えておりませんでした。
  329. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうしますと、今の不動産の方にまわつておる資金というものは、これは遠い将来において上るだろうという漠然たるものであつて、大体その不動産の方で年に何割の利廻りをとるというような、具体的な計画に基いたものではないと考えていいですか。
  330. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては、昨年からこういう話もあつたのであります。不動産売買は組合に入らなければできないのでございますから、一応不動産部として組合に入つて、今後の売買は一応老年期に入つたものはとりあえず処分できる。また新しい値上りのものを買うという話はありました。但しまだ組合に入つておりません。
  331. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうすると今のところ経済会でやつておられまする不動産事業というものは、さしあたり業務上必要な土地をどうせどこかに買わなければならぬ。ついてはできるだけ将来値上りしそうなところを必要なときには買えという程度であつて、これでただちに利潤を現実に上げて行くという考えではないのですか。
  332. 牧原四郎

    牧原証人 結局買つたものを売つて初めて利潤と言われれば確かにそういうことになりますが、一応買つたものが値上りをして来れば当然利潤として見ていいのじやないかと私は思います。
  333. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうすると不動産投資された金額というものは、大体総清算のときの予備金のような役目をするのであつて、常時それで利潤をかせいで行くという仕組みにはなつておらなかつたのですね。
  334. 牧原四郎

    牧原証人 先ほど申しました通り、いずれはそうせなければならぬということには意見は一致しておりましたが、今まで売つたという事実はないのであります。
  335. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうするとあなたが先ほど言われました、会の方針として、三分の一は支払い資金として手元に置く。三分の一は不動産投資する。三分の一は証券投資する。こういうことだそうですけれども、不動産投資されているというのは、それはむしろ固定資産になつておるというふうに見るべきものじやないでしようか。
  336. 牧原四郎

    牧原証人 確かにお説の通り固定資産として見るべきものだと思つております。
  337. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうすれば固定資産としては、これはむしろ償却すべきものであつて、それで営業上の運転資産とは違いますから、その方で常時の支払いの準備金をかせぎ出して行くということは無理なんであるから、この会の全体の経営をうまく運んで行きますためには、それだけ証券部門においてほとんど全支出をカバーするだけの利益を上げなければこの会というものは成り立たないというふうに考えていいわけですか。
  338. 牧原四郎

    牧原証人 流動資金の点におきましてはそのほかに準備金を持つてつたのでございますから、証券によつて利益、それからたとい準備金がある程度減りましても、不動産が値上りして、そこに利益があればいいじやないかと私は思います。
  339. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 あなたの言われるように、全体の資産として経費をカバーするだけの利益をいつでも上げておればこれはいつでもいいわけですけれでも、しかし今のように営業用の固定資産になつてしまいますと、それが帳簿上は利益があるにしても、利益を実現する方法がないということになると、経営はどうしても行き詰まらざるを得ないわけです。ですからこれを円滑に運転して行くということになると、むしろ証券の面において不動産のかせぐべき部分をもかせいで行かなければ当然今度のようなはめになることはわかつておると思うのですが、そういうことについて会では大体証券投資においては月に何制の利回りになるように運転すべきものだというような方針もあつたろうと思うのですが、その責任利益というものは大体どのくらいの率になつておりますか。あなたの責任として会から要求されているものは……。
  340. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきまして責任額とか、そういつたようなものはございませんでした。
  341. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それでは目標はどういうことになつておりましたか。
  342. 牧原四郎

    牧原証人 私自体は少くとも証券におきましては年一割でございます。自分の方で投資を受けておつたものの一割は何とかして生み出さなければならぬと思つておりましたが、現実の面におきましては残念ながら一割になつておりません。
  343. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 しかし一割にもならないようでは、月二分というと、これは二割四分の配当をしなければならぬ。
  344. 牧原四郎

    牧原証人 ただいま私が申しましたのは月でございます。
  345. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 先ほどおつしやつたのは平均して月にどのくらいとおつしやいました。
  346. 牧原四郎

    牧原証人 年に約三割でございます。
  347. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 年に三割では月にしますと二割五分ですね。しかし全体のものを合せた場合には一割くらいにしかなつておらぬとさつきおつしやいましたね。そうすると証券全体としては月に一割ではどうしても二分の利子は払えようがないわけですね。
  348. 牧原四郎

    牧原証人 その一割と申しましたのは最近の情勢でございます。最近本年の六月ごろからでございます。ほとんど証券が動かなくなつたようでございます。これは先ほども申しましたような流動資金の欠乏から交流ができなくなつたよう状態でございます。
  349. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうすると上場株売買並びに出資株の配当、こういうものを平均して六月以前の一年間はどうなつておりますか。利回りはどうなつておりますか。
  350. 牧原四郎

    牧原証人 六月以前で、大体一箇年で……。
  351. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 四月から四月でけつこうです。
  352. 牧原四郎

    牧原証人 一箇年で大体一割八分であります。
  353. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 一箇年で一割八分にしましても、最も有利であるべき証券投資部門において、すでに経費をカバーできないような状態になつておる。そうすれば事業全体として二分配当ができないというとこは、これはもうだれが見ても明瞭であるわけですね。
  354. 牧原四郎

    牧原証人 その点はあとのカバーでございますね、不動産によつて利潤を得ればいいんじやないでございましようか。不動産は先ほどおつしやいましたように、固定資産としてみなすというお話もありましたし、確かにそうでございますが、不動産の中にも、投資的な不動産と店舗に現在使つております不動産と二つございます。それで投資向きの不動産の利潤がこれに加われば、決して不可能ではないと思います。
  355. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 不動産の現実の投資総額は幾らですか。
  356. 牧原四郎

    牧原証人 現実の投資はつきりした数字は、関係しておりませんのでわかりませんが、大体取得価格十億くらいじやないかと思つております。
  357. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 その不動産の十億で、それではどのくらいもうかればいいのですか。とにかく準備金として動かない金が十億くらい毎月あるわけですね。働いていない金が。そうして証券の方は、これは損になつているわけです。カバーできないわけです。そうすると、それを合わすと二十五、六億あるわけですね。その二十五、六億分の二分配当をも不動産の方でもうけ出さなければならぬわけですね。それでなければ、つじつまが合わない。そうした計算についての計画というものは、不動産の方にもあるわけですか。
  358. 牧原四郎

    牧原証人 それはたしかあるはずでございます。大体この土地はこれだけになつたらば一応処分するとか何とかいう計画はあるわけであります。
  359. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 しかし、これだけになつたらば処分するいやだめなんで、何年までにこれだけの値段で処分するということでなければ、利回りにならないわけです。一定の利まわりが確保されないわけですね。そうした調査は、責任者はだれで、どれだけの機構があつて、あなたの方では不動産売買をやつておられたのですか。
  360. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては、相当部門でないものですから不動産の方はわかりません。
  361. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 不動産は大体何人くらいでやつておられましたか。
  362. 牧原四郎

    牧原証人 不動産は大体十五、六名……。
  363. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それに不動産の専門家がおるわけですか。
  364. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。建築課と不動産課とわかれております。建築課を入れて十五、六人近くとなつております。
  365. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 あなたの方は、証券の方はやはり証券の罫線とか何とかいうことについての専門家なんかがおられるわけですか。
  366. 牧原四郎

    牧原証人 さようでございます。
  367. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 始終銘柄の選定や……。
  368. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。証券部門は調査課と証券課とわかれておりまして、調査課の方で始終調査しております。
  369. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 あなたの方は大体平均すると一年間一割八分ですが、それじやあなた方の月給の出るところはないわけですね。証券部門の方からあなた方の月給を出してしまえば、配当ができない、配当を出せば、月給が出せない、そういう状態なんですが、それについて不動産関係者は、皆さん責任を感じておられなかつたわけですか。一割八分にまわつてたいへんよかつたという感じを持つておられたのですか。
  370. 牧原四郎

    牧原証人 不動産部門の方でございますか。
  371. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 いや証券部として……。
  372. 牧原四郎

    牧原証人 われわれは結局、幾らもうけたからよかつたという意味ではなく、結局ここに来まして、現在痛手をこうむつておりますから、いいとか悪いとかいうような感じは……。
  373. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 しかし大体幾らくらいか自分の部としては責任上利益をあげて行かなければ、月二分の高利の資金であなた方商売なさつているのですから、できないわけですが、それはそうすると成績はよくなかつたというわけですね。少くとも期待されただけはできなかつたというわけですね、証券部としては。
  374. 牧原四郎

    牧原証人 少くとも本年の暴落以後はそうであります。
  375. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 暴落以後においては、一年に一割八分では二割の配当はできないわけですね。だから経費だけがまる損ということになるわけだ。
  376. 牧原四郎

    牧原証人 私も先ほど申し上げました通り、はつきり計算しませんとちよつとこのリストじやわかりません、何分何厘ということは。
  377. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 何分何厘まで出さなくても、二割より下だつたということは確かなんでしよう。去年の四月からことしの四月までの証券売買は、全体の利益が二割以下であつた、そうすれば二分の利子は払えない、いわんや人件費まではとうてい出せない程度利益しかあげられなかつた。そうすると結局欠損ですね。
  378. 牧原四郎

    牧原証人 私もう一ぺん御説明させていただきたいのですけれども、先ほど大体十億くらいということを申しましたが、結局売つた、買つたをやりますから、常時十億というものが固定されているわけじやないのです。それですから何割かとおつしやられまして、私はここで大きなところ、小さいところやつたわけですが、不動産と違いまして、十億なら十億が一年間そこに置いてある、これによつて一億六千万もうかれば一割六分になりますが、そこの計算は相当綿密にやりませんと、これが何割にまわつているかということはちよつとお答えできないと思うのですが……。
  379. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 すると、大体論として私の承つた感じを申し上げますと、不動産売買についてはもちろん。一番簡単な証券売買についても、具体的に出資者に対する配当だけでも月二分いる。それから全体の使用人が千人くらいいるんでしよう。
  380. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。
  381. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 その給料まで考えれば、大体資金のコストというものは幾らだということはあるわけなんだから、そういうことはお構いなしにできるだけもうけましようというので一生懸命働いておられたのですか。
  382. 牧原四郎

    牧原証人 そういつた意味じやございません。大体出資金を入れまして、約三分弱でございます。
  383. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そこらを目標にして働こうとしていたわけですか。
  384. 牧原四郎

    牧原証人 もちろんそれ以上やればけつこうですが、少くとも三分、年に三割六分は是が非でもやらなければならない……。
  385. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それだけ年に出た年がありますか、証券部で。
  386. 牧原四郎

    牧原証人 証券部の方でございますか……。
  387. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 年三割五、六分にまわつた年がありますか。
  388. 牧原四郎

    牧原証人 これは今詳しく計算いたしますと、それくらいになるんじやないかと思います。四月から四月まででございます。
  389. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 だつて、詳しく計算してそれくらいなら、十億も十五億も帳簿上の欠損の出て来るはずがない。
  390. 牧原四郎

    牧原証人 欠損は最近の欠損でありますから。株の暴落によりまして、証券の方の欠損は先ほど申し上げました数字でございますし、それから証券が買えなくなりました。証券部としての動きがほとんど活発でなくなつて参りました。次第に経費としてのものが欠損になつたのであります。
  391. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それでは今経費は月幾らくらいでございますか。
  392. 牧原四郎

    牧原証人 現在――休業中でございますか。
  393. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 休業中です。
  394. 牧原四郎

    牧原証人 人件費が約千四百万円。
  395. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 事務費は。
  396. 牧原四郎

    牧原証人 ほかの経常費が大体四、五百万円じやないかと思います。
  397. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 すると、少くとも二千万円かかるわけですね。
  398. 牧原四郎

    牧原証人 はあ。
  399. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 営業中は。
  400. 牧原四郎

    牧原証人 営業中はそのほかに結局宣伝費といつたものだけじやないかと思います。
  401. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それが大体どのくらいありますか。
  402. 牧原四郎

    牧原証人 宣伝費は数字は詳しくわかりませんが、通常臨時ものを抜かしますと、一千万くらいじやないかと思います。
  403. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうすると、それを含めて大体三分弱というものが経費ですね。
  404. 牧原四郎

    牧原証人 そうであります。
  405. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 ですけれど、それだけあなたのところでかせいだことは、あなたの記憶のうちにはないわけですな。証券部の一年間として。それ以前にあつたのですか。出発の当初にインフレの波に乗つて証券の値段がどんどん上つて行きましたね。
  406. 牧原四郎

    牧原証人 それ以前は私は地方におりましてよく知らないのでございますが、私のおりましてからの四月から四月はもう少しパーセントは入るのではないかと思つております。
  407. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 ですけれど、月に三分にはまわつておりませんね。
  408. 牧原四郎

    牧原証人 三分でございますね。まわつた月もありますが、まわらない月もあります。
  409. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 まわらない月が多いんですね。  そうすると、今のあなたのお話を伺いますと、現在の経済状態においては保全経済会の経営ということは無理が多いという感じがしますが、どうでしようか。つまり二分配当をして行くということは、少くとも証券部としては重荷だ、むずかしいという状態ではないでしようか。
  410. 牧原四郎

    牧原証人 これは、現在は資金もございませんから、とても骨でございます。全然流動資金というものはないのでございますから。
  411. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 しかし資金というものは大体無利子の資金じやないのであつて二分の利のかかる資金なのである。だから資金があつてもやはり実際問題として二分配当を続けるということは、終戦直後のインフレ時代ならいざ知らず、今日のように一応財界が安定しかかつて、株価も安定して来るということになると、証券事業としても、あなた方が全知全能を傾けてもなかなかむずかしいという感じはいたしませんか。どうも私はそういう感じがしますね。
  412. 牧原四郎

    牧原証人 現在の相場月でございますと、大体御承知のようにほとんど大きな値上りも、また大きな値下りもございませんから、現在は必ず三分なら三分もうかるということは申し上げられないと思います。
  413. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうすると、現在の経済会を建て直すということになりますと、いまさら応募者はないでしようけれども、かりに応募者が続いておつても、もうだめなわけでしような。
  414. 牧原四郎

    牧原証人 その点についてはだめと一概に私は断言できないと思います。またうちが証券なら証券一本で、再建いたしましたときに進むかどうか、それも……。
  415. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうすると、あなたは証券で、相当な資本を貸してくれれば月に二分や三分の利子でまわせるという自信があるのでしようか。
  416. 牧原四郎

    牧原証人 御承知のように証券というものは巨大な資金さえございますれば……。
  417. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 じや、幾らあれば、それだけやれますか。
  418. 牧原四郎

    牧原証人 現在ですか。それは私は責任を持つて……。
  419. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 責任を持たなくてもいいが、感じだけでいい。
  420. 牧原四郎

    牧原証人 感じで申しますれば、現在約十億の資金がございますれば、或る程度……。
  421. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 ある程度というのは、三分ですよ。
  422. 牧原四郎

    牧原証人 三分と申しますと、約三千万でございますね。三千万は大体可能じやないかと思います。
  423. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 あなたがやれるというのですか。
  424. 牧原四郎

    牧原証人 まあやれるというと――証券でございますから、厳密に……。
  425. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 一年間の実績では二割になるかならぬかで、それが急に今年になつて三割五、六分までやれるというには根拠がなくてはならぬ、どういう根拠があるのですか。
  426. 牧原四郎

    牧原証人 これは完全に三分と申しますと、ある程度の危険をふむような形になりまして、今相当押目になつておりますものをここで一応仕入れてやれば、三分に行くのではないかと思います。これはまだ研究をいたしておりませんけれども……。
  427. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 しかしあなたは十億からの金を預かつて証券にまわしておられて、そうして少くとも三分は最小限度です。これは今の準備金として、いつも銀行にあるか、どこにあるか知らぬが、現金になつている。それに対しても三分の配当をしなければならぬ。不動産は今言つたように右から左に換金はできないということになりますと、三分どころか、ほかの三分の二の分の配当をもこの証券事業でかせいで行かなければ、この事業というものは円滑に動いて行かないわけですね。だからこの経済会が立つて行くか行かないかということは、証券投資が一番根本になつているわけですから、あなたが経営面においては中心人物であるわけです。その人が自分のところの資金の三分すらかせげないようでは、ほかの三分の二の遊んでいる金の経費の三分、それをもこの三分の一でかせぐには結局月に九分かせがなければならない。
  428. 牧原四郎

    牧原証人 その三分と申しますのは、全体の出資金の配当を入れまして三分でございます。数字で申し上げますと、現在の全出資額か四十四億ございます。それから……。
  429. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それの三分ですから一億何ぼでしよう。
  430. 牧原四郎

    牧原証人 そうであります。
  431. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 だからその一億何ぼをあなたがかせがなくては、ほかに一億何ぼかせいでくれる人はいない。遊んでいる金は一銭もかせがないし、事務所を買つたところで、これは右から左に金にならぬから、これもあなたが一人でかせがなくちやならぬ。
  432. 牧原四郎

    牧原証人 その点で結局不動産部を今後フルにまわして……。
  433. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 フルにまわしたつて事務所を売るわけには行かない。
  434. 牧原四郎

    牧原証人 事務所以外に……。
  435. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 事務所以外に何がありますか。
  436. 牧原四郎

    牧原証人 大きなものは北浜に土地がございます。これが四百坪ございます。
  437. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 一億にもならぬじやないですか。
  438. 牧原四郎

    牧原証人 あの辺は御承知と思いますが、相場が大体三十万、大きいところで五十万、普通に見積りまして三十万にはもちろん売れるところでございます。
  439. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それは一億程度ですね。
  440. 牧原四郎

    牧原証人 それから横浜とか……。
  441. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そういう投資用とか、売買用のために所有している不動産の総額が十億からあるのですか、幾らあるのです。
  442. 牧原四郎

    牧原証人 私もはつきり覚えておりませんが……。
  443. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 ここに帳面があるから、これをごらんになればわかるんじやないかな――それではあとでもけつこうです。  最後にこれは猪俣君からも、委員長からも御質問がありましたが、法制化をしてもらえば何とか再建がやつて行けるのではないかということを理事長言つておる。だからそうしてもらえばやつて行けるだろう、そういうお感じですか。法制化はどうなるか知らぬが、とにかくこれは金がなくてつぶれたのですから、これをうまくやつて行くためには、何か金が入つて来なくちやだめだという感じはだれでも持つているのですが、あなたはそう思われませんか。
  444. 牧原四郎

    牧原証人 もちろん金がなくちややつて行けないと思います。その点でうちとしては現金はございませんが、いわゆる資産がございますから、これが現金化されればやつて行けるのではないかと思つております。
  445. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 その資産を処分して全部金にして、そうして運用すればやつて行ける、こういうわけですか。
  446. 牧原四郎

    牧原証人 そういうわけであります。今までとはもちろん違つた形態になるとは思いますが、何らかそこに合理的な形態で行けば必ず立ち直るのではないかと思います。
  447. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうすると、不動産を処分して得た流動資金でもつて有利な投資をするということになりますか。有利な投資というと、証券投資ですか。
  448. 牧原四郎

    牧原証人 これは私もよくわかりません。証券投資になりますか、そのほかのものになりますか、それは私としてももちろんわからないのであります。
  449. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 ほかのものというと、どういうことが想像されますか。たとえば料理屋とかダンス・ホールでもやろうというのですか。
  450. 牧原四郎

    牧原証人 どういうかつこうになるかわかりませんが、結局金融機関として認められた場合は、いわゆる証券金融とか、一般金融とか、こういつたものにも切りかえが可能じやないかと思います。
  451. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 証券金融で幾らの利回りになるのですか。
  452. 牧原四郎

    牧原証人 証券金融は通常一流株で大体日歩十五銭でございます。
  453. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 月にしては……。
  454. 牧原四郎

    牧原証人 月にしますと四分五厘でございます。一流株を大体七掛でとつて十五銭、これが普通の相場じやないかと思つております。
  455. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それをあなのところで今までどうしてやらなかつたのですか。
  456. 牧原四郎

    牧原証人 現在うちは金融業者でないのでございますから、融資はできない立場でございまました。
  457. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうすると、法制化というのはそういう仕事もできるようにしてもらおうという考え方ですね。
  458. 牧原四郎

    牧原証人 それが真実かどうかわかりませんが、証券金融とかそういつたものに入つて行けば、相当の利潤も上げられるのではないかと思つております。
  459. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それでそのためにはどのくらいをそつちにまわせばいいのですか、どのくらいの金額……。また実際需要に応じて貸し出す。総額はどのくらいの程度まで可能なんですか。
  460. 牧原四郎

    牧原証人 可能とは法規上でございますか。
  461. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 現実の経済市場として……。
  462. 牧原四郎

    牧原証人 それだけのお客さんがあるかどうかということですか。
  463. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうです。
  464. 牧原四郎

    牧原証人 それはそのときの状態によつて違うように思つております。その点は私も専門家でありませんけれども、大体株が非常に上つて来るとお客様が非常にふえて来る、そういうときには金が幾らあつても足りないという状態になるというふうに聞いております。
  465. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 それで現在の市場の状況でどの程度までそういう資金が働き得るのですか。ほかと競争しながら……。すでにほかの金融機関から出ておる。そこへあなたの方で入り込んで行つて……。
  466. 牧原四郎

    牧原証人 現在では御承知の通り出来高が三百万とか、四百万でございますから、今はあまり忙しくないかと思つております。ただ今は、どのくらいまでお客さんがあるか、こうおつしやられましても、私もどのくらいということは申し上げられません。
  467. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 そうすると、法制化によつて何とか立て直るだろうというのも、はつきりした具体的な計画があつて、こういうふうなことを自分らは考えている、これについては法律上今こういう点が困るので、ここをこう直して行けばやつて行けるということで、はつきりめどがあるわけではなく、ただ漠然とうまく行けばやつて行けるのだということをお考えになつているのじやないかというふうな気がわれわれしますが、それ以上何か具体的な御計画がございますか。
  468. 牧原四郎

    牧原証人 法制化によりましてこういうふうにやるとかいうことは、私個人としては持つておらないのでございます。
  469. 大橋武夫

    ○大橋(武)委員 わかりました。――ではあとで今の計算をお願いいたします。
  470. 牧原四郎

    牧原証人 かしこまりました。
  471. 小林錡

  472. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私は具体的に承りたい。一応実務の金の授受の関係について承りたいと思う。  最初に機構についてお尋ねいたしますが、保全経済会の機構は本社と、それから総支店、その下に支店、その下に出張所、こういうような機構になつておりますか。
  473. 牧原四郎

    牧原証人 さようでございます。そのほかに店舗ごと代理店を持つております。
  474. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それから保全経済会という名前は、会という名前になつておりますけれども、その営業は伊藤斗福個人の営業であることも間違いがありませんか。
  475. 牧原四郎

    牧原証人 伊藤斗福個人の営業だと思つております。
  476. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこでまず第一にお尋ねしたいのは勧誘でございます。証人は横浜におられて一線の仕事をやつておるし、承りますと、その後には九州に行かれて総支店の主宰者であるそうでありますが、そこで勧誘する場合には、現在巷間に流れております保全経済会のパンフレツト、かようなものを中心として勧誘し、契約をなさつておるのかどうか。
  477. 牧原四郎

    牧原証人 もちろんパンフレツトに書いてあるようなことを説明いたしまして勧誘をいたしますが……。
  478. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 もう一つは仏教保全経済会でございますが、仏教保全経済会保全経済会関係は、具体的にどんな関係になつておりましようか。
  479. 牧原四郎

    牧原証人 結局仏教保全経済会契約をとりますのも保全経済会の店舗を使つております。
  480. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこで私承りたいのは、保全経済会契約をとります実務は仏教保全経済会の実務も兼ねてやつておる。そこで仏教保全経済会契約についてはマル仏という判を押して区別して計算されておるそうでございますが、さような取扱いであるかどうか。
  481. 牧原四郎

    牧原証人 伝票類その他全部にマル仏の判を押しまして仏教保全経済会契約は幾ら、保全経済会契約は幾らということは区別してやつてつたと思います。
  482. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこで保全経済会で取扱いますけれども、仏教保全経済会契約の相手方はどなたになるでしようか。もつと具体的に申しますと、仏教保全経済会出資をする方との契約は、実際の取扱いは保全経済会の事務所でやつておりますけれども、仏教保全経済会理事長伊藤斗福ということでやつておるのか、それとも単に保全経済会理事長の伊藤斗福という人の名前でやつておるのか、この契約の相手になる具体的な事実はどうなつておりましようか。
  483. 牧原四郎

    牧原証人 この点につきましては、私も詳しくは存じませんけれども、仏教保全経済会で集めた金は、保全経済会投資するという約束になつておるのではないかと思つております。
  484. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その点はその通りだと思いますけれども、契約の相手方はだれかということなんです。私が承りたいのは仏教保全経済会組合員になる方が投資した場合の相手方になる契約を受ける方、出資を受ける方はどなたになつておるのかということです。
  485. 牧原四郎

    牧原証人 それは仏教保全経済会だと思います。投資家契約をされる場合は仏教保全経済会投資する、仏教保全経済会はその受入れた金を保全経済会にまた投資するという形でないかと思います。
  486. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると便宜上一応保全経済会で現金を取扱つておりますけれども、金を受取る方は仏教保全経済会理事長伊藤斗福ということになつて、それが保全経済会出資したということの順序になるわけですね。
  487. 牧原四郎

    牧原証人 結局、保全経済会理事長が最高責任者になつております、仏教保全経済会には会長、副会長というものがおりまして、結局仏教保全経済会理事長契約したのではないのじやないかと思つております。
  488. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこのところはどうです。仏教保全経済会の方には会長もありといいますが、仏教保全経済会を代表するものは会長である。そうすると、会長と出資する組合員との間に契約が行われる、こうおつしやるのですか。
  489. 牧原四郎

    牧原証人 そうでないかと思うのでございますが、お待ちください、仏教保全経済会定款を持つて来ておりますから……。
  490. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それはわかつております。事実をどう扱つておりますか。
  491. 牧原四郎

    牧原証人 私は仏教保全経済会の方の契約とか、そういつたものには全然タツチしておりませんから、事実がどうなつておるかということについてはお答えできません。
  492. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それはよろしい。そこで各出張所並びに支店に現金が入つて参りました場合には、証人九州で総支店長をやられたのですが、九州のことを承りますが、九州の総支店において出資者契約され、現金を受入れた場合には現金をどういう処置をして、そうして本店でその金が現実に利用できるには、どういう方法、経過を経て、どのくらいの期間を必要とするか、その点はいかがでしよう。
  493. 牧原四郎

    牧原証人 私が九州に在任当時は、仏教保全経済会契約はほとんどございませんでした。たまにございまして、一件か二件ございましたが、その当時は、結局たとえていいますと、保全経済会契約が五万であり、そこに仏保の金がかりに一万入つたとしますと、それを営業日報に区わけして書きます。現金そのものは五万円と一万円、六万円を合せて一本にして送ります。そういつたことは今でもそうでないかと思つております。
  494. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこで承りたいのは、仏教保全経済会並びに保全経済会の現金は一本になつて送られる、その送られる方法、順序はどうなるのでしよう。たとえば出張所、代理店、それから支店に集金され、支店から総支店に集金され、総支店から本店に送るのですか、その点の事実上の取扱いの方法はいかがでしよう。
  495. 牧原四郎

    牧原証人 うちの組織は、送金日は毎月六回にわけて送金しております。五日目々々々には送ります。その送金は本店と、支店、出張所、みな直通になつております。出張所で受入れた金は支店を通さないで本店へ直接であります。支店ももちろんそう、総支店もそう、全部本店と直通であります。
  496. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこでもう一つお尋ねしたいのは、パンフレツトを見ますと、社会事業に使う、あるいは金に困つておりまする子弟の奨学資金を出すというようなことが、パンフレツトに書かれておるのですが、証人の知つております範囲においては、さような金を保全経済会なり仏教保全経済会が現実に出した事実があつたかなかつたか、あつたとすれば、どういう場合にどのくらい出したか、お尋ねしたいのです。
  497. 牧原四郎

    牧原証人 私の知つておりました事実といたしましては、奨学金でございます。これは三年、前からやつております。その高につきましては、今ここで幾らということがはつきりわかりませんが、すぐ調べましてお答えできると思います。
  498. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その点はお出しを願えればけつこうだと思います。お出しを願いたいと思います。  そこで先刻来大橋委員からもお尋ねしておりましたが、証人証券部長をやられておるそうですが、証券部長としての――非常にくどいようですが、目安、先刻からも詳しくお話がございましたが、あなたたちが三分くらいの利益ということを目安にしたとおつしやつておりましたが、それは何か統計にでも基くのか、あるいはその他の何か科学的な日本の経済事情の解剖の結果、大体このくらいのものは目安が持てるという御確信でやられたのか、それともただ自分たちがさようにしなければならぬという目安をつくつたのか、その点はいかがでございましようか。
  499. 牧原四郎

    牧原証人 この点につきましては、うちの調査課というものがございまして、相当綿密な統計資料をとつております。
  500. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そういうように結論を出された資料がございますか。
  501. 牧原四郎

    牧原証人 店の方にはございます。
  502. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ございましたら当委員会にお出しを願えませんか。
  503. 牧原四郎

    牧原証人 かしこまりました。
  504. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それから先刻猪俣委員からもお尋ねしたのでございますが、この休業を発表なされますときに、証人相談を受けたようなお話を承りましたが、最後に休業を発表するというような決定がなされたのは証人は御存じでしようか、存じておりませんか。
  505. 牧原四郎

    牧原証人 それは先ほど御答弁申し上げました通り、私たち全部といつていいくらい二十四日までは知らなかつたわけであります。今前もつて相談があつたようなことをおつしやいましたが、先ほど相談はなかつたと申し上げたはずでございます。
  506. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうしますと、保全経済会が休業を発表するにつきましては、証人はあずかり知らないことであつた、こう承つていいのでしようか。
  507. 牧原四郎

    牧原証人 休業に関しましては、二十四日までは私どもは存じませんでした。
  508. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 二十四日付で「出資者各位へ謹んで御挨拶申上げます」という書類が保全経済会から出ておるのですが、かようなことも全然御存じなかつたのでしようか。
  509. 牧原四郎

    牧原証人 それはたしか二十四日付でございますが、二十四日以後に刷つたものだと私は記憶しております。
  510. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうしますと、二十四日以後に刷つたという事実について何かあなたは具体的な御記憶がありますか。
  511. 牧原四郎

    牧原証人 刷つたのは私は現場に立ち会つておりませんから、その点の記憶はございません。
  512. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ただ私承りたいのは、理事というお立場にいらつしやるので、いかに形式的な理事でございましても理事でございますし、証券部長で重大なお仕事をやられておるのでございますから、いかにワン・マンな伊藤さんでありましても、休業という重要な事業に対する発表をする場合には、証人にも全然相談もない、全然関知できなかつたということは、われわれとしては考えられないのでございますが、現実にさようなことでございましようか。これは宣誓されておりますから、ほかの理事にも承りたいと思いますが、その点を明確に御答弁願いたいと思います。
  513. 牧原四郎

    牧原証人 私もここに立つておりまして、毛頭うそ偽りは言つておりません。おそらくほかの理事も全然知らなかつたことと思います。
  514. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 ほかの理事の知らないということは、あなたの想像と思いますが、それはまたやむを得ません。あなたはそう想像するのでしよう。
  515. 牧原四郎

    牧原証人 これは、結局二十四日にみんな驚いた次第なんでございますから、知つていてあれだけの驚きはなかつたはずだと思います。
  516. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 はずだということですね。  そこでなお一つ私の承りたいことは、あなたが本社に就任される当時か、あるいは本社詰めになりまする前後に、望月京一という人が経理部長をされておつたということは御存じでしようか。
  517. 牧原四郎

    牧原証人 よく存じております。
  518. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その望月京一という経理部長は、現在保全経済会をおやめになつておるというようなことを承つておりまするが、さような事実があるかどうか。あるとすれば、どういうことによつておやめになつたか、証人御存じですか。
  519. 牧原四郎

    牧原証人 望月京一がやめたことは事実であります。やめました時期は昨年の夏ごろだと記憶しております。そのやめた事実につきましては、私はよく知りません。
  520. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 伊藤理事長が政界その他の方面に活躍されて、保全経済会の金を経理部長から出させた事実を知つておる。それを望月京一が他に漏らした。そういうような関係伊藤の忌諱に触れてやめさせられた、かように私どもは承つておりますが、そんなことを証人は耳にしたことはございませんか。
  521. 牧原四郎

    牧原証人 私はそういつた事実につきまして耳にしたことはございません。ただそういつたことが事実かどうかと申しますと、おそらくそういつた事実はないと思います。ということは、うちの伊藤理事長は、失敗したから首にするとかいうことを全然しない人であります。おそらくこれは望月君自体から自発的にやめたのではないかと思つております。
  522. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 証人は、先刻猪俣委員からもお尋ねしたのですが、児玉誉士夫という方を御存じでしようか。
  523. 牧原四郎

    牧原証人 名前も伺つておりますし、一、二回お顔は見たことがございます。直接お目にかかつてお話したというようなことはございません。
  524. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 児玉さんの方にお世話になつて望月京一さんがいらつしやる、このような事実を私どもは承つておりますが、証人は存じておりませんか。
  525. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては、児玉さんのところに行つていることは私も聞いております。望月氏がやめましてから私も会いませんから、その間のいきさつは知りませんが、児玉さんの方に行つているということは聞いております。
  526. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 どういうことを児玉さんのところに行つてやられておるのか。またどういう関係でそういうことになつたか。その点は存じておりませんか。
  527. 牧原四郎

    牧原証人 詳しくは私は知りません。
  528. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それでは別に質問いたしますが、数日前のいなかの新聞で、十二月二十五日には保全経済会は一億の金を出資者に支払うというような、伊藤さんの一問一答のような形において拝見したのですが、来るべき十二月二十五日には、一億の金を出資者に支払うというような計画がただいまございますかどうか。証人はそれを承知しておるかどうか。
  529. 牧原四郎

    牧原証人 この点につきましては、伊藤理事長が、たしか先月の三十日だと覚えておりますが、三十日に出資者の代表が集まつた席上で、それを言いました。そのときまで私たちは全然知りませんでした。そのときの話に、伊藤がこれを何とかして自分がつくるのだということを言われた次第でありまして、どういう方法でつくるかということは、私たちも全然聞いておりません。
  530. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 現在そんな準備をされておるような模様がございますか、ございませんか。
  531. 牧原四郎

    牧原証人 これは伊藤理事長が準備はしておるような話でございまして、どういう方の準備をしておるか、どういうところにどうしているかということは、私たちも全然存じておりません。絶対に払うということは言つておられます。
  532. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると証人などは、理事という名目であつても、それはただ単なるロボツトで、そういうことについては、資金の面についても、運用の面についても、ほとんど伊藤個人が独断でやられて、あなた方証人などは、そういうものに全然関与させないし、相談も受けないということに承つてもいいでしようか。言いかえますと、理事という名目は、世の中に発表するための形であつて、実際は何にもしていない、何にも理事の権限もないし、相談も受けていない、こういうように承つておいてよろしゆうございますか。
  533. 牧原四郎

    牧原証人 われわれが理事になりましたのは九月一日付でございます。それから二月足らずで休業になりまして、まあ確かに、理事になつてもあまり日が浅いものですから、社会で言われておるような、いわゆる理事のような働きをしておらないことは、私だけは認めます。
  534. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私ども社会通念から考えますと、理事というような要職でございますならば、理事会に諮つて営業政策をきめるという定款を見ましても、相当の重要な役割を持つておる。従いまして今回のような保全経済会が営業を休止する、十七万の契約者に対して非常に迷惑をかける、どうするかという重要な場合には、こういうときにこそ理事会に諮つて相談をするというのが社会通念でございますが、さような重要なときでも相談しなかつたとすれば、ただいま私が申し上げたように、単なる社会に対する名目だけのものであつて、実質は何にも相談も受けぬし、何にも協議したこともないと、これはくどいようですが、承つてよろしゆうございますか。
  535. 牧原四郎

    牧原証人 十月十日ころでございましたか、理事会を招集せられまして、その席上で伊藤理事長は、今非常に苦しくなつたのだ、但しこの切抜策には、自分はある筋に対して融資の相談をしている、これさえできればここは乗り切れるからということを言われたことがございます。ただ休業をするというようなことは言われたことはございません。
  536. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると、ただいま証人のおつしやられることは、十月十日ころに理事会を開かれて、自分の営業は非常に苦しくなつておる、他に融資を自分は心配しておる、こういう話をして皆さんに諮つた、その点は間違いございませんか。
  537. 牧原四郎

    牧原証人 間違いございません。
  538. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうしますと、その席上理事会において、何かのこれに対する具体的な方法についての御相談は、ほかにございませんでしたか。ただ承つただけですか。
  539. 牧原四郎

    牧原証人 融資先とかそういつた意味の具体的なことでございますか。
  540. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうです。
  541. 牧原四郎

    牧原証人 それから先は言われませんでした。まあ話を総合いたしますと、結局銀行かどこかじやないかというような気持は持つておりましたけれども、あそこにこういうようなものを頼んだといつたような具体的な話はございませんでした。
  542. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 なおこれは大橋委員からもお尋ねしたようでございますが、私も承りたいことは、証人からただいま、不動産を買い入れてこれを転買することを一つの営業目標としておやりになつているように承つておるのですが、この点について、どこそこの土地を幾らで買つて、どこそこの土地を幾らで転売したというような具体的な事実を、証人が御存じであれば、ここでひとつお述べを願いたいと思います。
  543. 牧原四郎

    牧原証人 先ほど申し上げました通り、開業中は不動産を買つてばかりおりまして、売つた事実はございません。ただ休業になりましてから一部の不動産を処分いたしまして、それを人件費などに充てた事実がございます。
  544. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうしますと、不動産売買を実際に営業をした事実はないという結論と承つてよろしゆうございますか。
  545. 牧原四郎

    牧原証人 結局この点は、営業といいますと営業そのもののことになりますが、ある程度今後の値上りを見越しまして、今が仕入れ時期だという意味で、土地を買つて売らなかつたことでも営業になるのではないでしようか。その点詳しいことはわからないのでありますが……。
  546. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私どもの営業という通念は、商売ということですから、買つたり売つたりいたすということなのですね。このあなたらがお出しになつ財産目録を拝見すると、ほとんどこれはあなたの方の支店並びに出張所の不動産、事務所、ただその中に先刻御指摘の大阪、横浜のやつが一、二箇所あるだけで、あとはないのですが、どうもこれは私は営業とは認められないように思うのですが、それでもやはり不動産売買を営業とする一つの業務と心得て皆様方は今日まで来られたのですか。
  547. 牧原四郎

    牧原証人 この点につきましては、たとい店舗でございましても、そこが値が上つた、またほかに安いところがある、そこを売つてほかに移るということも考えられるのではないかと思つております。
  548. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 どうも私には証人のおつしやることがぴんと来ないのですが、一定の営業場所を買つて事務所をやつておりますところを、値上りがしたから他に移るというようなことは考えられぬと私思うのですが、確かにさような気持で不動産を買われたということを、一体証人自身が明確におつしやられるかどうか。
  549. 牧原四郎

    牧原証人 その点は、伊藤理事長も、店舗を建て、また土地を買う、これ自体がこの先高の不動産に対して一つの投資ではないかということは、しよつちゆう口ぐせに言つておられました。たとえて言いますと、三十坪しかいらないところでも、百坪買つてあとの七十坪は残しておくというような行き方もやつております。
  550. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それでは承りますが、さようにおつしやられるので、私どもどうしても理解ができないのですが、それではこんなに行き詰まるまで、資金のなくなるまで、お持ちになつておる不動産も処分してない、営業所も縮小しない、かような結果から見ましても、この営業所、事務所の不動産を転売してもうける目的でやられたとは考えられないのですが、現在のようになりまするまで、いかに無知でございましても、さような不動産売買をもつて営業目的とするならば、これを転売して、その資金を得て、今の十七万の出資者に対する責任を果すという努力をするのが、普通考えている道義心だと思うのですが、この点どうなのですか。
  551. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては、不動産を担保で融資を頼んだのではないかと思つておりました。それから資金繰りが苦しくなつた。そこである程度手放すとなりましたときは、非常にたたかれまして、売り急げばたたかれる、また急げばたたかれるという状態で、やむを得ず売れなかつたというような状態でありまして、決してこれを売らずにとつておいたというようなことでもないと思います。
  552. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこであなたは証券部長ですから承りますが、これは大橋委員からもしきりにお尋ねしたことですが、たとい伊藤さんの営業とは称しながらあなた方も重要な地位におり、相当な祿をはんで参りましたから組合員に対する責任はお感じになつておると思う。あなた方もこれに対して伊藤さんに進言をしてあるいは理事会の招集をしていただいて、これを解決して、組合員損害を与えないようにするという真心から出る一つの計画、かようなことはございませんか、あつたとすれば具体的な事実があつたかどうか、その点をお伺いしたい。
  553. 牧原四郎

    牧原証人 現在私の心境は、保全経済会の者であるとか伊藤理事長に使われておるとかいう気持よりも、もちろん投資家に対する相済まぬという気持で一ぱいでございます。はつきりここで申し上げますのは、万一伊藤理事長そのものが不信な人間でございましたならば私はあくまでも伊藤理事長に……。これは私だけでなく。一般職員全部がそのつもりでおります。ただ現在は伊藤理事長を信用しておりますから、その方針で進んでおるのでございまして、もしかあの人の言うことがでたらめであるということがはつきりしましたときは、もちろんわれわれは投資家のために一身を賭しても努力してわれわれの責任をとるつもりでおります。
  554. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 今まで保全経済会が最初は月五分の利益配当するという契約をしたという事実、次に三分五厘、次に二分、こういうような過程を経て現在は二分、しかも三箇月以内に利益の有無にかかわらず、契約の金を支払う、かような契約をしたことは間違いございませんか。
  555. 牧原四郎

    牧原証人 最初が五分でございまして、それから三分でございます。三分五厘にはなつておりません、それから二分でございます。
  556. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこで一体今までおやりになられた保全経済会の営業方針によつて確実に組合員に御迷惑をかけないというような経済的、科学的な資料でもお持ちになつてつてこれを主張しておつたのかどうか、この点はいかがでございますか。
  557. 牧原四郎

    牧原証人 以前私が第一線におりましたときは、ともかくもう満期前になると通知すれば必ず金を送つて参りまして、そういつた点については絶対にお客さんに迷惑をかけた事実もございませんし、それからまた満期になりましてもそれを遅らせた事実も一つもなかつたのです、それだけにこれは絶対のものだと私は確信しておりました。
  558. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その確信が科学的、経済的基礎に基くものであるかどうかを私は承つておる、ただ今までなわをなうように、片方に払うためには片方から入つて来たから問題はないが、一番最後に壁にぶつつかる、必ずこれは破綻するということは私どもは信じておる、私どもの信じておることが間違つておるというあなたの議論を聞かせていただきたい。あなた方の議論が正しいのだということを経済的、科学的に御説明を願おうじやありませんか。あなたの信念の一つの基礎になつた経済的事実をここでお聞かせ願えませんか。伊藤さんを信用した、だからということであればこれは別です。あなたも大学の商科を卒業されておるから、少くもこの仕事が必ず成功して行く――、われわれは心ず壁にぶつかつて、どこか新しい出資者がなくなれば、これでおしまいなんだ、必ずこれは破綻が来るとわれわれの経済通念では考えておる。ところがあなたはそうではないという信念らしいから、それはどういう根拠によるかということを御説明願いたい。
  559. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては、確かに私たちは伊藤理事長の言を信用してあくまでも行動しておりました。
  560. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると伊藤理事長を信用したということが理由でありますね。
  561. 牧原四郎

    牧原証人 私が第一線におりましたときは、少くともそれによつて動いておりました。
  562. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 現在はどうでしようか。
  563. 牧原四郎

    牧原証人 現在でも信頼する気持においてはいまだかわつておりません。
  564. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 どうも私どもと違いますから……。  そこで最後に私は承りたいのですが、こういうようなことをいたしたかどうか、これは私どもが承つておるうわさなんですが、保全経済会が休業をされてから後に、保全経済会の帳簿を、全部ではないが一部をよそへ持ち出して、これを焼いてしまつた、そういうようなことを承つておるのですが、帳簿を移動したというような事実はございませんか。
  565. 牧原四郎

    牧原証人 私の知つておる範囲においては絶対にございません。
  566. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 もつと具体的に申し上げますと、自動車で帳簿を運び出して、あるところの屋上で焼いてしまつた、こういうことを承つておるのですが、そういうことはありませんか。これはデマですか。
  567. 牧原四郎

    牧原証人 私はデマと信じております。
  568. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 伊藤理事長が大蔵委員会で、保全経済会はもう自力では立ち上れない、政府の融資か、しからざれば立法か、どちらかによらなければやつていけないのだ、こういうことを、私傍聴に行つておりましたら言われておるのですが、証人もその当時お聞きになつたと思うが、それについて何かあなた方が、融資とはこういうことであるとか、立法とはこういうことであるとか、具体的に思い当るようなことがありませんか、あなたは伊藤理事長を絶対信頼して、今でも契約者に迷惑をかけないという確信をお持ちになつておられるようですが、それについてあなたの確信された具体的な一つか二つ、こういうのだから理事長を信じている、こういうのだから大丈夫だ、こういう点を具体的に御説明願えませんか。
  569. 牧原四郎

    牧原証人 残念ながら伊藤理事長から、今まですべてそうなんでございますが、これについて具体的なものは聞いておりません。ただ自分が信頼しておる人が、大丈夫だ、絶対に間違いなくやると言い切つていることを信頼しておるのでありまして、具体的な事実はまだ聞いておりません。
  570. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それから経済会では顧問を委嘱されておるそうですが、税務顧問というような、税務に関して詳しい人、こういうような方たちを顧問としてお願いしたというような事実がございますか。
  571. 牧原四郎

    牧原証人 現在の顧問は税務関係にお詳しい人はおらないと思います。ただ以前の駒井先生は相当税務関係に明るい方じやないかと思つております。
  572. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 現在の現役の顧問さんはどなたであつて証人の知つておる範囲では顧問料を毎月どのくらいお払いになつているか、おわかりになりませんか。
  573. 牧原四郎

    牧原証人 お名前は平野力三先生、それから早稲田柳右衛門先生、松本信次先生、この三名の方が顧問でございまして、顧問料については私は知りません。
  574. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうしますと、ただいま証人は、もしも伊藤さんの言うていることにうそがあるという場合には、あえて自分たちは組合の人たちの利益を守るために反旗を翻して、最善の努力をされるという決心だ、これはお間違いございませんか。
  575. 牧原四郎

    牧原証人 ただいまのお言葉の、反旗と言いますとちよつと語弊がございますけれども、もちろん投資者のためにわれわれ職員は全部身命をなげうつというところまでのかたい決意を持つております。この席をお借りいたしましてお誓いいたします。
  576. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 本月九日の日本経済新聞を拝見いたしますと、何か伊藤さんのおやりになつているお仕事のような同業者が、あるところに多数集まつて会議をされたらしい。そのあと伊藤さんが、政治に関係することについてはあまり詳しく述べられぬけれども、必ず政府は立法化して自分たちを救つてもらえるのだという確信のあるような言葉が新聞に出ているのですが、さようなことに対する具体的な話を伊藤さんから理事のあなた方にお話なつた事実はございませんか。
  577. 牧原四郎

    牧原証人 聞いておりません。
  578. 小林錡

    小林委員長 鍛冶良作君。
  579. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私はさつき遅れて来たのですが、聞けばあなたは立教の商科を出ておられるということでしたな。
  580. 牧原四郎

    牧原証人 専門部です。
  581. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それからそのやつておられました仕事はどういうことですか。大まかでいいです。
  582. 牧原四郎

    牧原証人 私は海外通商株式会社に勤めておりました。それから自分仕事をいたしまして、建築材料をやつておりました。
  583. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、商科で法律を学んでおられるし、また会社もやつておられたから、匿名組合とはどういうものだということは御承知でしようね。
  584. 牧原四郎

    牧原証人 大体保全経済会に入りましてから――はつきり申しまして、それまではよくわかつておりませんでございましたが、保全経済会に入りまして、匿名組合というものは大体こういうものだということを知つたのでございます。
  585. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 保全経済会伊藤斗福匿名組合といつて資金を集めておつた、これは間違いありませんな。
  586. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。
  587. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これについていろいろ聞きたいのだが、第一番に聞きたいのは、先ほどから出ましたが、仏教保全経済会保全経済会と独立の一つの営業体ですね。
  588. 牧原四郎

    牧原証人 はあ。
  589. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 間違いないですね、その点は。
  590. 牧原四郎

    牧原証人 ええ。
  591. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 つまり仏教保全経済会匿名組合ですね。
  592. 牧原四郎

    牧原証人 仏教保全経済会匿名組合でないと思いますけれども。
  593. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それははつきりしてもらわなければ……。
  594. 牧原四郎

    牧原証人 そういうところは私も研究が足りませんで……。
  595. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 匿名組合であるかないか、あなたはいやしくも責任者でおるのだから、その点をはつきりしなければ議論にならない。
  596. 牧原四郎

    牧原証人 私はその方はあまり詳しくないものですから……。
  597. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それじやもう一ぺん聞きましよう。保全経済会匿名組合なりとして出資と称して一般から金を集めていましたね。
  598. 牧原四郎

    牧原証人 そうでございます。
  599. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 仏教保全経済会仏教保全経済会として独立の名前で一般から金を集めておつた、これも間違いないですね。
  600. 牧原四郎

    牧原証人 間違いありません。
  601. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それじや匿名組合でなかつたら、何によつて仏教保全経済会は金を集めたのですか。同一の匿名組合として金を集めた、間違いないと思うが、どうですか。
  602. 牧原四郎

    牧原証人 仏教保全経済会匿名組合ではないと解釈いたします。
  603. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いかなる名義で人の金を預かりましたか。
  604. 牧原四郎

    牧原証人 名義は出資金として預かつております。
  605. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 何の出資金だ、匿名組合でなかつたら。
  606. 牧原四郎

    牧原証人 仏教保全経済会は集まつた金を保全経済会投資するわけでございます。
  607. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 仏教保全経済会保全経済会との関係はそうだろうが、私の言うのは、仏教保全経済会保全経済会に独立して金を集めておる。金をどう使おうと別です。ことに相手方は仏教信者です。その信者から金を集めるときに、仏教保全経済会という独立した名前で集めているのだが、それは匿名組合といつて集めたのじやないか。そうでなかつたら、ただ集めたのか。それじやどういう契約か。
  608. 牧原四郎

    牧原証人 結局月二分配当を払うという契約だと思います。仏教保全経済会匿名組合として契約したのではないと思つております。私もこの点担当外なものではつきりわかりませんが、仏教保全経済会匿名組合だといつて契約しているのではないと思つております。
  609. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたのところから、万才で「ヘソクリ鞄」というものが出ておりますね。万才にして、そこらをやらしておる、「ヘソクリ鞄」という宣伝のちやんとパンフレツトのようにして……。
  610. 牧原四郎

    牧原証人 ちよつと失礼して見せていただきます。私、聞いたことがないのですが……。
  611. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 「ヘソクリ鞄」「ゆきずりの恋」「飲み友達」「走れ走れ」、保全経済会近畿総支店というのがある。知らないですか。
  612. 牧原四郎

    牧原証人 お答えいたします。その点については私全然知りませんが、たしか近畿総支店では、大阪に博覧会がありましたとき何か宣伝したことは聞いております。そのときに万才か何かを頼んだというようなことも聞いたことはございます。それがどういうものをやつたかよく存じておりません。
  613. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それにはこういうことが書いてある。「これはさつきも言つたように一万円以上でないと利用出けへんのやけど」、これはアメリカの何かのことを言つている。「五千円以上でもええ方法あるぞ」「ホンマかいな」「この、会の兄弟会に仏教保全経済会ちゆうて加入者に配当を出す外に、利益金を各宗派に寄附してんねん、この会がそれや」「それに保全経済会では中学生の奨学資金を出してるちゆやないか」こういうことを言つている。兄弟会だというている。あなたはただ仏教保全会といつて、何か人の金を集めるというわけにいかぬ、もしそうだつたとしたらたいへんです。
  614. 牧原四郎

    牧原証人 結局私が現地におりましたときに、お客様に説明申し上げておりましたときは、仏教保全経済会の金はどうなるか、これはもちろん保全経済会の方にこの金が行つて保全経済会でこの資金の運用をするということを私は説明しておりました。
  615. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それだから私はあなたに初め聞いた。仏教保全経済会というものは保全経済会と別個のものだろうということを聞いておるのです。だから預かつた主は仏教保全会でしよう。経済保全会じやないでしよう。
  616. 牧原四郎

    牧原証人 お客様がでございますね。そうでございます。
  617. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 仏教保全会とどういう契約をしたのですか。預り主とどういう契約をしたか。
  618. 牧原四郎

    牧原証人 もちろん、月二分配当をもらうという契約にかわりないと思います。お客様としては、保全経済会契約するのも、仏教保全経済会契約するのも、実質においては同じはずなんです。
  619. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 同じわけがないじやないか。相手方は仏教保全経済会だ、会長大谷瑩潤という人なんです。その人と契約しておるのです。
  620. 牧原四郎

    牧原証人 そうです。しかし、私の言つたのは配当の点でございますね。ですからお客様がこれは仏教保全経済会の方へやつてくれとおつしやれば、うちの出先の店としは、いわゆるマル仏として、判を押して、仏教保全経済会の方と契約するという形になつております。
  621. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私は、それだからあなたに法律は知つておるねということを言つたのだ。もしあなたが言うように、仏教保全経済会が預かり主として金を預つて二分の利息をつけてやるだけの目的のものであれば、こういうことをすれば、りつぱな銀行業法違反である。あなたはそう思わぬかね。
  622. 牧原四郎

    牧原証人 それはそうなるのでございましようか。
  623. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 だつて利息だけをつけることを目的として、金を預かつておるのですから、それほどりつぱな銀行業法違反はないではないか。月二分の利息をやるといつて金を預かつておる。
  624. 牧原四郎

    牧原証人 いえ、預かるのじやない、仏教保全会に対する投資でございますから、お客様はその投資によつて出資ですね。出資ですから、その仏教保全経済会お客様から受けた出資を、あらためて保全経済会投資するわけですから、預金行為ではないと思います。
  625. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 仏教保全経済会が事業をやるのなら私は言わないのだよ。事業をやるのじやないのだよ。どこへまわすかしらぬが、経済保全会であろうが、経済勧業会であろうが、そんなことはかまわぬ。とにかくどこかへまわして、二分の利息をやるといつて預かつたと、こういうのだろう。
  626. 牧原四郎

    牧原証人 ただ結局、私が仏教保全経済会の方にある程度関連しましたときの約束は、その当時二分のほかに幾らかのものをいわゆる手数料として、保全経済会仏教保全経済会に支払うのです。おそらく、今もそうだと思います。それですから、結局ただ素通しで行つただけでなく、うちにその金を投資して、そのお客さんに対しましても、出資金のほかに、仏教保全経済会としては、手数料をとつておるはずでございますが、最近の状態は私はよく知りません。
  627. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 仏教保全経済会保全経済会との間を私は聞いているのじない。金を出す人との関係を聞いておるのだ。だれが預かるのだ、預つて何をするのだ、これなんです。
  628. 牧原四郎

    牧原証人 ですから、仏教保全経済会お客様出資するわけですね。その出資金を、仏教保全経済会保全経済会投資するのですから、私はそういうように解釈しております。
  629. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういうことを、みな一一言うておりますか。仏教保全経済会が事業をするものだと思つて、みな預けておるのだぜ。
  630. 牧原四郎

    牧原証人 少くとも私が現地におりましたとき、この関係をよく聞かれるのです。するといわゆるお寺さんの関係から来られる方は、どうせ預けるのなら、そういうものより仏教の方に預ける。こちらにも書いてございますが、ここにある通り、仏教興隆のために何らかの金を使うというような話もありまして、仏教関係、お寺さんの関係の方は、一応その仏教保全経済会投資をされておるというような状態でございます。
  631. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もうそれじや私聞かないから、あなた考えて見たまえ。ぼくの言うことが間違つてつたら、あとで言いたまえ。いいかね。保全経済会はどうして預かろのだという法律の根拠を聞かれると匿名組合だという、従つて銀行業法違反にあらずと、こういつておる。ところが仏教保全経済会はどうだとこういわれると、私は匿名組合だと思うというと、匿名組合でないという。そうすれば事業をやらぬで人の金を月二分の利息を上げますといつて預かつたと、こういうことになる。そうすれば、りつぱな銀行業法違反者だ。わかりますか。もしまた経済保全会と同様に仏教経済保全会も匿名組合である。そういうので預かつたとすれば、仏教経済保全会はいかなる事業をやつてつたか。これを私は聞きたい。何もないでしよう。
  632. 牧原四郎

    牧原証人 私の知つている範囲では、何をやつてつたかよくわかりません。
  633. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすれば、事業をやるといつて匿名組合だといつて、とつたとすれば、事業をやらないのに、そういうことを言つてつたら、これはその点において詐欺である。また事業をやりもせないのに、保全経済会にまわすかどこへまわすかわからぬが、どこかへまわして、月二分の利子を必ず上げますと言つて、一般の者から金をとつたとすれば、りつぱなる銀行業法違反であると私はかように断定いたします。あなたはそれについて、しからずと言うならば、これからこの次にもう一ぺん法律を調べて来て、ここで答弁してくれたまえ。
  634. 牧原四郎

    牧原証人 この点につきましては、私の認識不足でございますから、よく調べまして、また何分かの御回答を差上げたいと思います。
  635. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そのかわり、調べてみた結果、その通りだということになつたら、法律上の責任のあることも、君考えてみたまえ。それだけよく言つておきます。その次に私は聞きたい。あなたはやはり相かわらず、保全経済会匿名組合なりと信じておられますか。
  636. 牧原四郎

    牧原証人 信じております。
  637. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 信じておる。これを読んでみますと、「匿名組合契約ハ当事者ノ一方カ相手方ノ営業ノ為メニ出資ヲ為シ其営業ヨリ生スル利益ヲ分配スヘキコトヲ約スルニ因リテ其効果ヲ生ス」こう書いてある。そこで営業だがね、あなた方はこういう営業をするから投資せよと言つて出たことがありますか。
  638. 牧原四郎

    牧原証人 私が現地におりましたときは、営業は証券投資不動産投資によつて利潤をあげるといつて勧業しておりました。
  639. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 何によつて一般投資者にそういうことを示しましたか。口だけですか。
  640. 牧原四郎

    牧原証人 私がおつた時分には、今と違いまして、そう大きなパンフレツトもございませんで、まだ店舗数も少い時でございまして、口でそれを説明しておりました。
  641. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それはあなたは何に基礎を置いてそういうことを言うておられたか。
  642. 牧原四郎

    牧原証人 それは入社いたしましたとき伊藤理事長の話がそうでしたから……。それから現地に参りまして、その通り説明しておつたわけです。
  643. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 定款を見ますと、第四章事業と書いてあつて、第十条「本会は左の事業を行う。一、証券への投資二、理事会に於て定める諸事業」と書いてある。何でもできる。この点は間違いありますか。何でもできる。うそも隠しもしない。定款に書いてあるのだから間違いないでしよう。
  644. 牧原四郎

    牧原証人 定款の十条でございますね。事業のところでございますね。ここには、一が証券投資、二が不動産投資、三がその他必要と認めたる諸事業となつております。
  645. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ここに書いてあるのと違うな。
  646. 牧原四郎

    牧原証人 これがそうでございますが、ご参考まで……。
  647. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いろいろな定款があるらしいな。――これは間違いないですか。
  648. 牧原四郎

    牧原証人 それは店から持つて参りましたから、間違いないはずでございます。
  649. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それじやそれでよろしい。一は証券投資、二は不動産投資、三はその他必要と認めたる事業となつておる。このその他必要と認めたる事業、こつちには理事会において定める諸事業となつておるが、これが重大なんです。第一に聞きたいのは、一体どつちがほんとうか知らぬが……。
  650. 牧原四郎

    牧原証人 それは私の方がほんとうと思つていただいてさしつかえございません。
  651. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは九月に初めて理事なつたというのだが、それまで理事会というものはなかつたのだね。
  652. 牧原四郎

    牧原証人 理事会というものはないと思います。
  653. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 定款では理事会において定める事業と書いてある。
  654. 牧原四郎

    牧原証人 それはあとからの定款では、ないはずでございます。そう定款をかえるわけはないと思つております。
  655. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私はこの点は、調べる人があつてこういうことを調べないのをふしぎに思つておる。理事会というものはないのに理事会ということが書いてある。これが大問題である。  その次に、かりにあなたの言われるこれがほんとうにしても、理事会がなくて、理事長がきめる、ここにいうその他必要と認める諸事業ということになつて来ると、伊藤斗福という男が必要と認めたものは何でもやれる、こういう結論にならざるを得ないが、あなたはどう思うか。
  656. 牧原四郎

    牧原証人 今の先生の御解釈、私もそう考えます。
  657. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで問題が起る。匿名組合というものは、何でもやれるから、金を持つて来い、何でもやつてやるというものではないと私は思う。一定の事業がなくては、人は投資するものではありません。その証拠に第五百四十条を見ると、解散の事由に「組合ノ目的タル事業ノ成功又ハ其成功ノ不能」というのが入つておる。一定の事業が確定しておる。それで投資をしてもらう。しこうしてその事業が成り立たぬということがわかれば、解散する。法定の解散事由になつておる。事業がきまらぬで金を出せるものではない。しかるに伊藤斗福はかつてに何にでも使えるというものをこしらえて、あなた方は匿名組合なりといつて人から金をとつてそれで正しいと思うか。
  658. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては、いわゆる事業を広げるという意味でやつたのでありまして、それを悪用してほかのものをやつた事実はないのでございます。
  659. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 君らはそういうことを言われるが、われわれから見れば、一体事業があるのかね。そのときそのときの気ままほうだいのことをやつているのだ。私はそれを言うのだ。こういうことを書いて、これで匿名組合である。これを法制化して援助しないとはけしからぬなどと、それを一体あなたはどう思うか。だからあなたは法律を知つておるかと初めに聞いたのだ。
  660. 牧原四郎

    牧原証人 ほかの会社の定款を見ましても、結局でき得る範囲に事業の内容というものは広くするのだと思うのです。ただそこにありますように、必要と認めたる事業となつておりますから、今おつしやつたよう解釈もできますが、決してその点は悪意でそうしたわけではないのです。
  661. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いずれにしても、二つ違つた定款があるから、これがどつちがほんうであるか、これは調べる人に調べてもらわなければならぬ。ここに書いてある定款がほんとうだとするならば理事会において定める諸事業――ところが理事会というものはない。あなたの先ほどからの証言を聞いておると、かりに理事会が初めにあつても、私は理事という名前はいただいておりますが、一向相談にあずかつておりません、ロボツトであるというのです。理事会がないにかかわらず、定款理事会で定める諸事業ということを書いて人から金を集める、これはりつぱな詐欺だ。これが一つ。  それからその次は、そうでなくて伊藤斗福のかつてにきめるものだ、こういうことであるとすれば、ここに書いてある理事長が必要と認める事業は何でもいい。しからば匿名組合にあらざるものである。それを匿名組合なりとして金を集めたとすれば、その点においても詐欺なりと私は断定いたします。あなたはどう思いますか。――答えられないならよろしい。  その次は、私は投資する相手のことについて聞きたい。これは不特定多数人ですね。
  662. 牧原四郎

    牧原証人 さようでございます。
  663. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうなると、少しむずかしくなろうが、あなたは、匿名組合というものは、そんなそこら中のもの、世界中のもの、だれでも相手にするものだと思いますか。事業者を直接知つておるものとやるものだと思いますか、その点はどうですか。
  664. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきましては、法律では匿名組合はそんな十何万人のものを対象にするようなものではなかつたはずだと思います。
  665. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこまで気がつけばはなはだ感心だ。そうすれば、何というか、そういう商法の精神に反しておることを、匿名組合という名前でやつてつたということをあなた自身が肯定せられるのですね。
  666. 牧原四郎

    牧原証人 私どもこういう意味で言つたのです。その匿名組合は、法律ができた当時は、ごく少数の人のためのものじやなかつたかと私は思つておるというのです。それが結局うちの場合は、それをつくつて、そうしてこれだけ大きくなつたというのが現状じやないかと思います。
  667. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 当時というが、その当時と社会事情が何かかわつたのかね。
  668. 牧原四郎

    牧原証人 それは、この法律がつくられたときは、おそらく法律そのものは十何万人を対象とする組合というようなものは考えていなかつたのじやなかつたかと思うのです。
  669. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると法の精神に反したることを匿名組合名前を使つてやられた、こういうことになるのですか。
  670. 牧原四郎

    牧原証人 その点はそうおつしやられると私は困るのですが、おそらく理事長としても、そういつた意味で匿名組合法を使つていわゆる法を悪用したというようなことはないと思います。
  671. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなた自身も立法の精神はそういうものじやなかつたと言うのだが、その立法の精神にあらざることを、法の盲点をつかんだというか、抜け穴をつかんだというか、やつておる。そして定款には、匿名組合と違つた何でもできるものをこさえてやつた。これは一体法律上許せると思うのですか。これは私があなたに反省してもらわなければならぬ第二点です。  その次は、私先ほどからずいぶん聞いたが、あなた方は金を集めたときからすぐ月五分の配当をやると言う。あなた方の言われるように証券売買と、証券投資と、不動産投資、そういう事業をやつて、今月人から金を預かつてその金で来月すぐ五分の配当がやられるものと、あなた思いますか。
  672. 牧原四郎

    牧原証人 五分といいますのは、初めほんの短時日じやなかつたかと思います。これは何の商売でもそうですが、最初は一応宣伝費何割というふうにしてお客さんをつくる、その手段じやなかつたかと思います。これは決して詐欺とか何とかいうのじやなくて、最初のうちはそういつた意味も含まれていたんじやないかと思います。その点で理事長もすぐ利率を下げたのであります。
  673. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 なお悪いじやないか。不可能のことを可能なりとしてそういうことをやつたということをあなたも肯定できるだろう。
  674. 牧原四郎

    牧原証人 それは結局最初の出発――私創立当時からおりませんから知りませんが、これは私個人の解釈として、ある程度伊藤理事長がこれに対する準備金を持つて、一応何箇月分は宣伝費だと思つて、その分の金は用意してあつたように私は聞いております。
  675. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたがそう言うならば、その点は私はどこどこまでも調べてもらわなければならぬ。準備金を幾ら持つてつたか。それはなるほど自分が金を持つてつて人にまいてやるなら、これは別だ。けれども、そんなことは一ぺんや二へんはまかれるかしらぬが……。あとで下げたからと言われる、下げたからなお悪いんだよ。下げなければならぬものを最初に五分だといつてつたことは、人をつつたんだ。明らかに人をだまして金をつつたんだ。
  676. 牧原四郎

    牧原証人 これは私個人の考えでありまして、また伊藤理事長としては月五分が支払い可能と思つてつたのか、それは知りません。ただ私の解釈として、そういうことも考えられるのではないかと思います。
  677. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私あなたの考えを聞いておるのです。いやしくも事業に経験のある人、常識を持つておる人は、人から金を預かつて――何を買うか知らないよ、金の埋まつたものでも掘るなら別だが、事業と名のつくものをやるときに、今月預かつた金で来月五分の利益をやるとは、常識として考え得べきことでない。それをいかにも利益あるがごとく上手に宣伝して人から金を集めたとすれば、それはまつたく相手方をだまして金をつつたものであることわれわれは断定せざるを得ないのだが、これは私の考えが無理ですか、いかがです。  それからまたここへ来るのだが、これにはどうもたいへんなことが書いてある。この「ヘソクリ鞄」という中に、「「ほう誰にも知らんと」「銀行などよりズーツト利廻りが良うて……」「利廻りようて」「然も預けとく期間が短こうて……」「期間が短かく……」「先方の確実な保全経済会の現金投資を利用した方が賢こいチユウて……」」こういう宣伝で金を集めておる。
  678. 牧原四郎

    牧原証人 その雑誌は、失礼でございますが、何の雑誌でございますか。(「パンフレツトが出ておるよ。」と呼ぶ者あり)
  679. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 こういうものが出ておる。     〔鍛冶委員雑誌を牧原証人に示す〕 覚えがないというなら別ですよ。いずれにしてもかような精神で金を集めたということだけは間違いがない。成り立たないことを成り立つごと言つておる。ただ一つ成り立つことは、先ほど猪俣君も言われたように、自転車営業だよ。向うから入つて来るから、利益もないのに利益のようにして車をまわしてやる。片一方入らぬようになればぶつ倒れることはあたりまえである。そうすれば、私が解釈すれば、なお悪い。利益がないにもかかわらず、あつたようにして金をやる。やつてまた次のものを引出す。からくりの上にからくりをやつておる。からくりというのは相手方をだますことである。
  680. 牧原四郎

    牧原証人 その点は私はその方に参与してありませんから、はたしてからくりであつたかどうかわかりませんが、今言われたように、最初から計画的にこういつた事態を引起すとは私自身は毛頭思つておりません。
  681. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 つぶれることを言つておるのではない。今月金を預かつて来月すぐその金で月五分の利益を支払う、そういう事業が世の中にあり得るか、絶対に世の中にあり得ないとわれわれ考える。それをいかにもあるごとくしてとつたというのはどういうのかということを聞いておる。そのゆえにつぶれたが、つぶれたことを聞いておるのではない、集めたことを聞いておる。これより明確な詐欺はないと思うのでありますが、これも私法律上間違いがあるならば、いつでももう一ぺん出て、証人に立つて答えてください。答えられないならば、その責任のあることを君みずからさとりたまえ。もう一つ最後に、先ほどから出ておるが、このような状態であるにもかかわらず、今日法制化して必ずこれを建て直せる、心配するな、こういうことを言つておる。今私からこれだけ質問を受けてもまだそれをあなたは確信を持つて言われますか。
  682. 牧原四郎

    牧原証人 法制化の点につきましては、私の心持はさいぜん申し上げました通り、いまだ伊藤理事長を信頼しておりますから、伊藤理事長がかぶとを脱いだときは私自体も考えを翻すつもりであります。
  683. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは信頼する信頼すると言つたつて、あなたは理事という名前をもらつておる。理事というのは業務執行社員だよ。何を執行するのだ。信頼するなら、先ほどからあなたに大橋君も、私も、そういう事業をやつて月五分が三分でも、三分が二分でもよろしいが、必ず利益をあげてやるという自信があるかと聞いたら、あなたは自信があると言われないじやないか。
  684. 牧原四郎

    牧原証人 それは今後のことでございますか、今後のことでございますれば、もちろん自信がないということは私申し上げたこともないのであります。
  685. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 自信がありますか、あつたら計画を言つてみたまえ、先ほどから聞いておると、証券投資に三分の一、証券売買に三分の一、その次は不動産、これはもう聞いても聞かぬでも、不動産というものはみな寝ておる。主として固定資産は。これはすぐ利益を生むということはない、あなたの言われるように、資産はふえるかもしれないが、それも私は疑問だと思う。かりにそれを肯定しても、利益が生れぬ。利益を生まなければ配当対象にならぬもの。そこでぴたつととまつて、売るとすれば二束三文です。資産がふえるということは肯定してもよいが、配当対象にならない。証券投資と言われるが、ここに残つておるものを見ると、時間があれば一々関係者に聞きたいが、時間をとつてもいけないから……。ほとんどつまみどころのない株ばかりである。これで利益があがるとは思わぬ。証券売買では利益があるかないかということは、先ほどあなた自身が肯定しておる。去年やおととしのように、財界の変期があつて、上り下りのあるときはもうかるが、今日のように上り下りがなかつたら、とてもどうも年二割何分なりという利息があがろうとは思えませんと自分でも言つておる。それにもかかわらず、この四十何億という人の金を預かつて、それに月二分の利息を払うとすればどれだけなんだ。四十五億で年幾らだ。
  686. 牧原四郎

    牧原証人 年にしまして約九億六千万になります。
  687. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 四十五億であれば、そんなものできないよ。二分にしたつて九億だ。四分じやないか。たいへんな、十何億の金である。これであなた、一体この世帯をもつて、十何億の金を上げられると思うのかね。
  688. 牧原四郎

    牧原証人 今全部ボロつ株じやないかということをおつしやいましたが、これは現実に残つておりますのは、上場株はボロつ株しかございません。
  689. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたはそれはどれだけ言われたつて、常識あるものはそんなものは考えられやしません。それよりも私が言うたように、あなた方そういうことを言つて、債権者に対して法律化するんだとか、それからもうけがありますとか、出まかせのことを言う。問題はこれにくつついておることだ。先ほど聞いておると、月二千万円の金を食つておると言う。これからあなた方は何年かかつてそれを食つちまおうというのだ。私はそれを聞きたい。先ほどの計算で行くと、月二千万円の債権者の資金を食つちやうことは明瞭だ。まだこれからあとどれだけ食おうというのだ。あなたは債権者のためならやると言うが、われわれは債権者のためだと思うからこれだけのことを言うのだ。私の考えと君の考えと考えが違うとすればどつちがほんとうだ。われわれが見ておると君らはうまいことを言つて、毎月二千万円の金を食おうという計画だということを私は断定する。しからずと言うならば言うてください。
  690. 牧原四郎

    牧原証人 私自体、今お話のありました通り毎月二千万ずつ食つて何年も何年もいるということは毛頭考えておりません。伊藤理事長の言われる法制化にしろ何にしろ、必ずこれが白いか黒いかきまるのはもう短日月の問題だと思つております。また二千万の費用の大半はこれは人件費でございます。それでいわゆるこの人件費の削減その他のことも急速にやるべく今相談中でございまして、この点は毎月今後二千万ずついるという問題ではございません。
  691. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなた、これだけ言うて聞かしてもまだそういうことを言つておる。法制化がなると思つておるか。そういうことはみんな詐欺だ。詐欺したものを法制化してどうするのだ。これはただ新しい法律で詐欺だと言つてあなた方をひつぱつて行く法律なら、これは法制化になる。それ以外には法制化ということは考えられない。法制化というのはどういうことだ。少し考えてみたまえ。私は債権者のために犠牲になつて大いにやりますと言うから、言うのです。さもなければ相手にしない。考えてみたまえ。もしさとるところがあるならやりたまえ。みずから申訳ないかというので出るところへ出たまえ。私はこの株について一つ一つどういうわけでこういうことをやつたか聞いてみたらおもしろいと思うのだが、時間がないからきようはこの程度にしておく。もしあなたは、私が先ほどから言うたことがはなはだ過激であつて、それが違うというなら、いつでも私はあなたから質問を受けたい。
  692. 小林錡

    小林委員長 木下君。
  693. 木下郁

    ○木下委員 重複しないように二、三点聞きますが、証人証券部長しているが、あなた自身はこの匿名組合出資したことがありますか。
  694. 牧原四郎

    牧原証人 私個人はありませんが、親戚、知人関係を勧誘して入れさしております。
  695. 木下郁

    ○木下委員 家族はしませんでしたか。
  696. 牧原四郎

    牧原証人 いわゆる妹とか何とかで、自分の家族はいたしておりません。
  697. 木下郁

    ○木下委員 親戚の人なんか今あなたにやかましく言うておりますか、どんなふうにやつておりますか。
  698. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきまして、休業を私が知つていながらなぜ親戚知己に知らせなかつたかということで最初非常に言われまして、この点は私どもも事実知らないのだからということでかんべんしてもらいました。現在はまあそれほどうるさくなく、一応待つてくれております。
  699. 木下郁

    ○木下委員 それからさつきあなたは、伊藤理事長が戸をたてると言うまで自分たちはまつたく知らぬで、寝耳に水であつたというふうに言われたんですが、支店、出張所から、戸をとじた日までずつと従来通り送金して来ておりましたが、その点を伺いたい。
  700. 牧原四郎

    牧原証人 支店、出張所からは大体していたと思います。ただ一、二の店舗が、こちらから金が行かないで、満期の金がないというところは、それを使つたというところがあるようにも、聞いております。これは私は経理担当でないものでございますから、その点のこまかいことはよくお答えできません。
  701. 木下郁

    ○木下委員 戸をとじるその日まで、あなた方は一つも知らなかつたと言うのだが、本社の方から送つて行く金が来ないで、支店のおも立つた者というか、ことにあなた方証券部長という重要な地位の人、理事というような人は、相当内輪でごてごてしておつたのではありませんか。先ほど、何でもないように思つてつたのに、だしぬけに伊藤から言われてびつくりしましたというふうに言つておりましたが、現に各地の支店では支店長東京の本部の方にかけつけて来て、やかましく言つてつたという事実はあつたんじやありませんか。
  702. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきまして、先ほど何でもないのに急に休業されてびつくりした、そういう意味で私は申し上げたんじやないと思つております。もちろん金繰りが苦しくなりましたことはよく私はわかつております。ただ先ほど申し上げました通り、伊藤理事長がある方面これは私らにもどこと言われませんでしたが、ある方面に融資を頼んで、これさえできれば大丈夫だということを言われておつたやさきでありましたから、それを期待しておつたのであつて、休業自体を知らなかつたという意味ではございませんから……。
  703. 木下郁

    ○木下委員 ただ、これは繰返すことになりますけれども、仏教保全経済会保全経済会関係について、今まで出て来た人はみんな仏教保全経済会匿名組合だ、それから保全経済会匿名組合だ。また現にあなたの取扱つた出資証券というやつには、この出資証券の両方で違うところは、仏教保全経済会出資証券にはマル仏というマークが出ているというだけの違いであるということが今までにはつきりしている。きよう初めてあなたが、この保全経済会匿名組合である。しかし仏教保全経済会匿名組合でないのだというふうに言つておる。そして先ほど鍛冶委員の質疑のときに、仏教保全経済会出資を受ける人、匿名組合でいう営業者、保全経済会伊藤斗福に当る人なんですが、それは仏教保全経済会ではそういう人はないと思つておるのですか。それとも出資を受け入れる人はあると思つておるのですか。法律的な最高の教育を受けておるあなた、保全経済会理事証券部長という重要な幹部であるあなたが、そういうところは、はつきりしておると思うのですが、どうですか。
  704. 牧原四郎

    牧原証人 先ほどから仏教保全経済会のことについて御質問があつたのでありますが、実際上私はこの方はほとんど関係しておりませんので、仏教保全経済会匿名組合であるかないか、これもまことにおはずかしい次第ですが、はつきりいたしておらないのです。ただいまこの定款を見ますと、匿名組合のような字句がなかつたのでございますから、ないんじやないかと申し上げた次第であります。
  705. 木下郁

    ○木下委員 それでは出資を受ける人は受けた出資保全経済会投資するとかせぬとかいうことは別問題だが、仏教保全経済会出資者から出資を受ける人は、あなたは仏教保全経済会の会長大谷瑩潤あるいはその副会長と思つておりますか。それとも受ける人は仏教保全経済会理事長伊藤思つておりますか。そういう点までうわの空で、人からは仏教保全経済会出資者としてあなたは出資させて金を受取つて来たというわけになりますか、その点を伺いたい。
  706. 牧原四郎

    牧原証人 私が現地におりましたときは、今のように仏教保全経済会はほとんど私の現地にはなかつた次第であります。その当時ただ仏教保全経済会について説明を求められた場合は、いわゆる大谷瑩潤先生が会長であると説明しておりました。
  707. 木下郁

    ○木下委員 表から行けば大谷瑩潤が出資を受ける、保全経済会伊藤斗福にあたる立場のようになるし、またそれであなたは先ほどいうように保全経済会の方にこれはされるというような、そこをきわめてあいまいなことを言つておりますが、匿名組合であれば、そこはあなた御承知でしようが、大谷瑩潤が会長として名を出した以上は、実質的には営業主であろうとどうであろうと、営業主が伊藤斗福としても、やはり伊藤斗福と連帯して責任があるということは承知なんですね。
  708. 牧原四郎

    牧原証人 その点はもちろん大谷先生でも会長として名を出された以上仏教保全経済会に対しては責任をお感じになると解釈いたしております。
  709. 木下郁

    ○木下委員 大谷氏が責任を感じていると思うかどうかということを聞いているのではない。あなた自身は仏教保全経済会出資金を前に受取つて、これを伊藤斗福の方に送つておるという人なんだ。やはりその問題については、そのときはつきり考えなくても、今こういう問題が起つたときには、当然重要な地位にあるあなたとしては、そういう問題について検討を加えておると思う。またそういうことは何も考えないで、無責任にほつたらかして今日まで来たんだというようなそんなことはなかろうと思うが、現在は仏教保全会の問題については、出資者に対しては、伊藤斗福理事長として保全経済会における地位とおなじようなことで、大谷が直接の営業者でないにしても、やはり大谷が名を出した以上は、匿名組合法律に基いて営業主である伊藤と連帯して、仏教保全経済会出資者に対しては責任があるというようなことは、研究してお考えになつておるか、この点を伺いたい。
  710. 牧原四郎

    牧原証人 もちろんその点は、伊藤理事長にしろ保全経済会にしろ十分責任は感じております。それで仏教保全経済界だけの出資金を返還するという話も休業当時出たことがございました。但しこの問題は、それをやつた場合に保全経済会出資者がどう思うかということになりまして、またこれは当然できないものでありますから、一応それは中止いたしましたが、当然仏教保全経済会に対する責任というものは重々痛感しております。
  711. 木下郁

    ○木下委員 保全経済会の営業者は伊藤斗福だ。あなたはその理事理事といつてもほんの形式的だという話ですが、少くともあなたは証券部長として本部の重要な地位にあつて不動産売買したり、証券投資をしたりしておる。そうして一年間に六十億近くの資金を集めて、それに対して三割近くの配当をしておるというのですが、この伊藤斗福の大きな事業について、税金の関係は何という人が取扱つておりましたか。
  712. 牧原四郎

    牧原証人 それは私の方に理事長室というのがありまして、理事長室の管轄になつております。
  713. 木下郁

    ○木下委員 理事長室の連中が申告しておるということですが、どういう申告をしておるか、理事として、あなた方は検討したことがありますか。理事会が一ぺん開かれたということですが……。
  714. 牧原四郎

    牧原証人 そのときは税金問題については何も出ませんでしたし、今までそれについて検討したことはございません。税金といたしましては、源泉課税は別でございますけれども営業税その他の税金は、私の方は所管でございますから、それについての検討はしたことはございません。
  715. 木下郁

    ○木下委員 この伊藤の年間六十億からの資金をもつてつてつたという大事業について、税務署の方からは、帳簿なんか詳細に調べたりして税金を課して来ておりましたか、それとも税務署の方は理事長室で申告しただけでやつて来ておりましたか、そういう点は、この大きな事業の責任の地位にある一人としてのあなたは、よくご承知であろうと思うのですが、どういうふうでしたか。
  716. 牧原四郎

    牧原証人 本年国税庁から、うちの帳簿を調べに来たということは、私は聞いております。
  717. 木下郁

    ○木下委員 それから戸をとざしてから後の話ですが、法制化によつて何とかするから待つてくれという手紙を出した。その手紙の法制化の内容は知りませんけれども、こういう手紙を出すということについては、理事長から相談を受けて、承知の上でそれを出すことに賛成して出したというのですが、こういうことが世間に伝えられておる。伊藤の方で直接自分名前ではないけれども、人の手を通じて、焦げついて相場が下つておる出資証券出資者の方から年末の金融に困つておるこの機会に安く買い集めておるということが伝えられておる。これは世間によくあることです。銀行をつぶしておきながら、銀行の預金を安くたたいて、それでまた二重のもうけをするということがよくある。そういうことはよもやなかろうと思うのですが、何かそういううわさが出るような根拠でもあるのですか。
  718. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきまして、私も一投資家から、そういうことを質問されてびつくりしたような次第であります。うちで出資証券を安くたたいて買うとか、そういう事実は絶対にありませんと申してさしつかえないと思います。
  719. 木下郁

    ○木下委員 それから法制化で必ず何とかなるから待つてくれという通知を出して、わけもなしに保全経済会伊藤――あなたも関係しているかと思うのですが、保全経済会の前からの出資者に対して、衆議院議員とか、参議院議員その他に対して出資者保護のために法制化してくれという陳情をするようというようなさしずを、あなた方が迷惑をかけた十五万人の連中に、また自分たちのために――自分たちというのは困つている出資者の救済のために何とか立法化してもらいたいというような陳情をお前たちの方からもするようにというような働きかけをしたことはありませんか。
  720. 牧原四郎

    牧原証人 これはあくまでも出資者の方からのお話だと思うのでありますか、うちの方からこれをやつてくださいと頼んだことはないと私は思います。
  721. 木下郁

    ○木下委員 頼んだというのはどういう程度のことかわかりませんかね。出資者がたくさん来たり、出資者代表が集つたときに、あなた方出資者代表に相談したこともあるでしよう。
  722. 牧原四郎

    牧原証人 ございます。
  723. 木下郁

    ○木下委員 そういうときに出資者代表の方に、あるいは出資者に、ひとつ出資者の声としてこういうふうな運動を起してくれというようなことを頼むというのは、金をやつて頼むこともあるし、ただ口頭で頼むこともあり、手紙で頼むこともある。そういうことをしてもらいたいということを呼びかけるようなことをしたことは全然ないのですか、あるのですか。
  724. 牧原四郎

    牧原証人 うちの方から具体的に呼びかける方法は、本店としてはいたしてないはずでございます。ただ地方の出先ではお客様が来ると、まああなた方からもひとつ運動してくれたら非常に都合がいいんじやないかというような話はあつたんじやないかと思つておりますが、本店としてはこういうことを希望するという事実はないと私は思つております。
  725. 木下郁

    ○木下委員 そうするとあなた自身はそういうことをする気持がありますか。それともそういうことはしないがいいというふうに思つておりますか、どつちに思つておりますか。相当の責任の地位の人だからそういう点については検討されて、腹の中には態度はきまつておると思います。どういうふうに思つております。
  726. 牧原四郎

    牧原証人 もちろん今私が伊藤理事長と同じ線で進んでおるのでございますから、その点には法制化ということも期待しております。その点投資家の声というものがあれば、それはもちろんわれわれとしても望むところであります。
  727. 木下郁

    ○木下委員 それでお聞きしたいのです。あなたは法制化するから、そうすれば助かるから、待つてくれという手紙を出すことにも賛成しておる。それは出資者の方からそういう声が起ることも――あなた方のから積極的に金でもやつて頼んだか頼まないか別として、とにかくそういうことを支援する気持のあることも考えられる。あなたとしては、その法制化の内容について、第一条何々というような、非常にはつきりした条文的なことまで考えてなくても、その法制化という中には、この事業自体が初めから持つておるでたらめな性質のために、これだけの人に迷惑をかけておる。それに国家から救済手を、ただでぜにをくれるか、あるいは融資で助けるか、何かそこに国家から救済の手を伸ばしてもらうという趣旨のことを考えておるのですか。それとも先ほどの質問には、そういう問題については、少しも自分には考えはない。私はただ伊藤法制化というから、伊藤大明神の言う通りにそれを信用しておるのだというような、きわめて無責任な答弁なんですが、その点はあなたは、そういうふうに法制化してこの出資者の災難を救う。そしてそれは自分も希望しておるし、出資者にもそれをやつてもらうことを望んでおるというのか、その法制化の内容には国から不始末のしりぬぐいをしてもらう。金を直接出すか、資金の融通をしてもらうとか、何かそういうことを考えているのですか。それとも何もそういうことは考えないで、ただ伊藤法制化という言葉を使うから、そのお守りだけを、伊藤の言葉であるというだけで信用して今日までおるのですか、その点をはつきりしてもらいたい。
  728. 牧原四郎

    牧原証人 その点私は先ほど申し上げました通り伊藤理事長の言葉を全幅的に信頼しているのであります。またどういつたような形になりますか、これはいろいろに考えられまして、たとえてみますと、この法制化によりましてうちの不動産なら不動産、資産を引当てにある程度融資を受ける。それでまた今後の債権についてはいろいろな細則をきめてやつて行くという形もあるのではないかと思いますし、この点ははつきりした具体的なものは、私自体はこういうふうな方法で進むのだということは、はつきりいたしておりません。ただ立法化によりまして政府もしくは銀行融資が受けられたならば、今持つている資産を引当てにして融資を受けられるのではないか、そういうことも考えております。
  729. 木下郁

    ○木下委員 そうすると国家から援助を受けるというようなことについてこのでたらめな事業で――月に何分というような、ふところ手で高利をかせごうとした出資者にも重大な過失があつた、虫のいいところがあつた。その営業主の伊藤、それから重役陣というか、伊藤を取巻く側近の人たち、そういうでたらめな自転車金融のやり方、それにひつかかつた人を救済するために善良な国民の税金の中からそういう救済資金を出すというようなことが、やはり妥当だと本気に思つているのですか。それともそれは自分たちが苦しいからそういうことを苦しまぎれに言つておるのだとしか世間でも思わないし、私自身も感じておるが、あなた自身はその渦中の人だからそういうふうに思つているかどうか知らぬが、本気に善良な国民の血のにじむような税金の中から、こういうふしだらなことをしでかしたものの救済資金を出すべきだとまじめに考えているのかどうか。困つているからそういうことを言うのですか、はつきり虚心に答えてもらいたい。
  730. 牧原四郎

    牧原証人 今のお話の国民の血税をも所望するのかというお話がありましたが、この点につきましては伊藤理事長も再々言つておりますように、決して政府から国民の血税を貸してくれというようなことは毛頭ありません。ただここで法制化され、一応一つの業種として認められれば、市中銀行からの借受けも可能じやないかということを言つているわけであります。私自体も決して国民の血税によつてこれを助けたいとか何とかいうことは考えておりません。
  731. 木下郁

    ○木下委員 あなた方は法律上認められている匿名組合としてちやんとした営業だと思つてつて来たのではありませんか。また現にそうだと思つているのではありませんか。これまで法律的に禁止されていると思うのです。
  732. 牧原四郎

    牧原証人 私の言つたのはそういう意味ではないのであります。金融機関として法律的に認められることがわれわれの希望でございまして、それを申し上げておるのであります。
  733. 木下郁

    ○木下委員 金融機関としてというのは銀行業務と同じに不特定多数人から預金を受けるようなものにしてくれ、そうすれば月二分とかいうような高利の宣伝もせぬで済むし、さつき言つた漫才のようなパンフレツトを出してやるようなこともしないで済んで、そこは助かつて、預金がまたたくさん伊藤のところに集まるから、それでその集まつた金でしのいで行こうというよう虫のいいことを考えても、もうこれだけ信用を失墜した保全経済会に融資をしてやろうという人があるというようなことは、良識ある者の期待できないことです。それをやはり今でも本気になつて考えているというのは、あなた方の頭を疑う以外にないです。それから先ほど裁判所の許可を得て帳簿の検査をさせてくれといつて弁護士の人が来た、それを断つた、それは一部の出資者利益のためだと思つたから断つたんだというお話でした。帳簿を見せることが、一部の出資者利益になるというのはどういう意味ですか。それがちよつと納得が行かない。それよりも平たく帳簿を見られたら困る、極秘にしておきたいというような気持からだと思う方が世間的な見方です。何もやましいことがなければ法律でちやんと見ることができるようにしてあるし匿名組合の性質上その点は重要なことだ。それを、ことにこういう問題が起つてつているときに、裁判所の許可まで得て見せてくれという者に対して、困る、しかも見せてくれといつて来た人たちに、一部の人たちの利益になるからと言つて見せない、それはどういう意味か。口先で利益になる。と、言うだけなのか、どういう点が一部の人たちの利益になるのか、その点を伺つておきたい。
  734. 牧原四郎

    牧原証人 そのときは、一部の人々の利益ではなく、一部の人々のために十五万もの投資家の方々の不利益になることだから困る、こういうふうに申し上げたように思つております。
  735. 木下郁

    ○木下委員 表現の方法が今ちよつとかわつたようですが、先ほどは……。十五万人の人たちの不利益になるというが、法律上当然見せるということにきまつておるし、何のやましいこともなければ――一部の人が見に来て、その人たちが帳簿をどこかへ持つて行つてしまつて焼いてしまうとか、隠すとか、帳簿がないようなことになつてしまうとたいへんだというようなことを考えているとしか考えられない。帳簿を見せることが一部の人の利益ではなくて、ほかの多数の人の不利益になるというので、表現の仕方は違うが、見られることが、どういう点が不利益になるのですか。
  736. 牧原四郎

    牧原証人 その点は、理事長の言われますところによると、帳簿の検査に来た人たちはその前からいろいろなうわさがあつた人たちなので、ともかくすぐにでも解散して金を返せというような人たちのように解釈していたのでないかと思う。そういう一部の人たちにこの実態をここですぐさらけ出しては、その人たちのお手伝いをするようなものではないかというような見解でお断りしたのだと私は思つております。
  737. 木下郁

    ○木下委員 伊藤は、断つたときの考えはそうかもしれませんが、あなたは理事として今その点については、見せるべきものだとお考えになつているか、それともあなた自身はやはり伊藤と同じに、一部の人に見せるとその人たちが利用して何か悪いことをして、ほかの人に迷惑のかかるようなことをする危険が多分にあるから見せぬ方がよいとお考えになつているか、その点を聞いておきたいと思います。
  738. 牧原四郎

    牧原証人 私は、この間検査に来た方々に見せる見せないでなく、全般的にいいまして、ここまで保全経済会のことが問題になつておるのでございますから、もうここでは、私自体としては当然みな公開して明らかにするのが本筋だと思つております。
  739. 木下郁

    ○木下委員 それから最後に一つだけ聞きます。あなたはこの不始末の問題についてどんなことをしても払うという自分の覚悟を持つている、生命を賭してもというふうな雄壮な言葉も出ました。だから責任の地位にあるあなたとして、もし履行ができないで――伊藤が、言いのがれで言つていることと私は思いますけれども、約束の利息をつけて元本が払えないときには、あなたは、個人としては十分それに連帯して責任をとりますか。早い話が、出資者が今あなたのところに来て、それではひとつ個人として補償してれと言われれば、十分個人補償するだけの御覚悟を持つておりますか、どうですか。
  740. 牧原四郎

    牧原証人 私も九州地区に長年おりまして、直接現在でも、投資されている方々のお顔も大分知つているわけであります。その意味から行きましても、私はもういかなることがあつても責任を全うするをいう覚悟は、休業を発表されましたときからすでにできております。
  741. 木下郁

    ○木下委員 そういう抽象的な言葉ではないのです。出資者で今焦げついて迷惑している人が――どうもあなたは伊藤の言葉を信用してすぐ片づくと思つているらしい。だが私は思いませんと出資者が言う。それでもし伊藤の言うところがはずれ、あなた方の言うところがはずれて焦げついて払えないときには、あなた個人が補償するということの一札をもらいたい、そこをはつきりさしてもらいたいという要求者があれば、欣然としてそれに応ずるだけの覚惜をしておりますかということです。
  742. 牧原四郎

    牧原証人 もちろん、私は微力ではございますが、自分のでき得る範囲のことは何でもやるつもりです。補償をしろとおつしやられれば、自分のでき得る限りの補償でございますれば、何ものもすることをいといません。
  743. 木下郁

    ○木下委員 これは繰返すことになりますが、あなたは二、三年前から九州の総本店かの御大になり、また中央に来て証券部長というようなものになつて伊藤の営業の内部は相当わかつているので、いわゆる自転車金融で、あとから集まるやつで配当しているけれども、これは早晩行き詰まるではないかということを、やつぱり腹のうちでは思つてつたのがほんとうではありませんか。やはりきようは証人として立たれておるのですから、そういう点は、伊藤から言わるる日までそんなことはないと思つてつた、あるいは伊藤がこの前大蔵委員会で、言うたことを少し訂正するような言葉も出ておるようですが、そういう点あなた自身あの営業の枢機に参画しておつて、世間で言う自転車金融だ、何とかしなければならぬくらいのことを考えて来ておつたではありませんか。その点を伺つて私は終ります。
  744. 牧原四郎

    牧原証人 その点につきまして、本年の大暴落で当会の証券の方も大分痛手を受けました。そのときから、確かに今おつしやつた通り、これは何らかの方法で生きて行かなければならぬ、それにはどうしたらよいか、それは私自体も日夜悩んでおりました。これは事実でございます。
  745. 小林錡

    小林委員長 ちよつと伺います。そこに資産表の明細が出ておりますが、その有価証券明細というところをちよつと見てください。そこに今手持ちの証券が出ておりますね。どうもこうやつて見ると、そう有名な株はないようですが……。
  746. 牧原四郎

    牧原証人 現在この中にはほとんど有名な株はございません。
  747. 小林錡

    小林委員長 どうしてこういうつまらぬ株を――つまらぬと言つたら悪いが、少くとも人の金を預かつて、有効に働かせる、もうかるように使わなければならぬと思われるが、一々言うと悪いかしらぬが、新聞などが大分あるでしよう。新夕刊が金額にして一千七百万円。それから日本テレビは別でしようが、三宅商事七千八百万円。大日商業五千万円。亜細亜興業が一千万円。ほまれ商事が二千万円。上野工業が一千四百万円。――これは何か関係がある会社と見えますね。こういうふうに大きな金がもうかりそうもないような株に投資されておるが、一体これはどうしてこういうことになつたのか、簡単でけつこうでございますから……。
  748. 牧原四郎

    牧原証人 この点大きな金額のものはうちの傍系会社になつておるのでございます。
  749. 小林錡

    小林委員長 どれとどれが傍系会社ですか。
  750. 牧原四郎

    牧原証人 大半が傍系会会社です。
  751. 小林錡

    小林委員長 ほとんど全部ですか。
  752. 牧原四郎

    牧原証人 日本テレビなんかはもちろん傍系でございません。一応おもな傍系は三宅商事であります。それから大日商業、亜細亜興業、上野工業、ほまれ商事。
  753. 小林錡

    小林委員長 中外日報は……。
  754. 牧原四郎

    牧原証人 中外日報も傍系になつております。それから富士航空も傍系でございます。
  755. 小林錡

    小林委員長 日本和紡というのは何ですか。ガラ紡ですか。
  756. 牧原四郎

    牧原証人 これはたしか工場は長浜にありまして、ビロードがおもじやないかと思います。
  757. 小林錡

    小林委員長 これは傍系ですか。
  758. 牧原四郎

    牧原証人 これも傍系でございます。それから不二林業、その程度はみな傍系であります。
  759. 小林錡

    小林委員長 川南工業なんというのはこれは破産したのじやないですか。
  760. 牧原四郎

    牧原証人 まだ破産の決定にはなつておりません。
  761. 小林錡

    小林委員長 不動産証券売買というのだけれども、これはほんとうは証券売買にあらずして、こういう会社の経営を大分やつているのですね。
  762. 牧原四郎

    牧原証人 そのほかにもございますが、いわゆる市場で売れる株はこの休業までに売つたわけでございます。それでないわけでございます。たとえていいますと日立製作所の株とか、芝浦電気の株というものがございましたが、それは換金をしてしまつて、これは残りでございます。
  763. 小林錡

    小林委員長 そうするとこの株に換金したのですか。
  764. 牧原四郎

    牧原証人 いやそのほかにあつたわけでございます。
  765. 小林錡

    小林委員長 これなどは金額が書いてあるけれども、こんなに価値のあるものじやないでしよう。三億六千幾らと書いてありますけれども、売るとなつたら幾らでもないものでしよう。
  766. 牧原四郎

    牧原証人 はつきり言いまして、これを売るとなりましたら確かにこれは額面では売れないと思います。
  767. 小林錡

    小林委員長 新夕刊なんという新聞に千七百万円、どうしてこんな金を投じたのです。
  768. 牧原四郎

    牧原証人 この点につきましては私もよく知りませんから御説明できないのでございますけれども……。
  769. 小林錡

    小林委員長 社長はだれですか。
  770. 牧原四郎

    牧原証人 山崎一芳という人でございます。
  771. 小林錡

    小林委員長 それではひとつ各会社の重役の名前調査して、書類でいいですから出してくれませんか。それから資本金と……。それから先ほど古屋委員から、言われた調査資料を出すということでしたね。それもひとつ出していただきます。
  772. 牧原四郎

    牧原証人 かしこまりました。資本金と重役と、それだけでよろしゆうございますか。
  773. 小林錡

    小林委員長 まだほかに政治家などがありますか、重役とか顧問までの中に……。
  774. 牧原四郎

    牧原証人 顧問の方はこれに加わつておるのは私はないと思つております。
  775. 小林錡

    小林委員長 亜細亜興業とか言いましたね。これはこの中には入つておりませんね。
  776. 牧原四郎

    牧原証人 これは福田先生が入つておるかもしれません。私は重役として入られたかどうか知りません。関係はされておりました。
  777. 小林錡

    小林委員長 そういうふうに関係のある、ことに政治家など顧問でも何でもいいから出していただきます。  それでも午後三時から再開することにし、これにて休憩いたします。     午後二時三十六分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十五分開議
  778. 小林錡

    小林委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  法務行政に関連する保全経済会等特殊利殖機関に関する件について、安井証人より証言を求めることといたします。  まず委員長から概括的にお尋ねいたし、その後委員諸君に御発言を願うことにいたします。  安井禎二君ですか。
  779. 安井禎二

    安井証人 はい。
  780. 小林錡

    小林委員長 住所、年令、職業をおつしやつてください。
  781. 安井禎二

    安井証人 文京区駒込千駄木町五十七番地、安井禎二、四十六歳、保全経済会理事をしております。
  782. 小林錡

    小林委員長 あなたは生れはどこですか、朝鮮ですか。
  783. 安井禎二

    安井証人 東京であります。
  784. 小林錡

    小林委員長 前は朝鮮人じやなかつたですか。
  785. 安井禎二

    安井証人 巷間いろいろとそういうふうなことを言われておりますが、純粋な日本人でございます。
  786. 小林錡

    小林委員長 親がどうというわけでもないですか。
  787. 安井禎二

    安井証人 私の父は金沢で、母は四谷で生れました。親戚か多数ございます。
  788. 小林錡

    小林委員長 朝鮮に全然関係ないですか。
  789. 安井禎二

    安井証人 朝鮮には全然関係はございません。
  790. 小林錡

    小林委員長 いつから保全経済会仕事するようになりましたか。
  791. 安井禎二

    安井証人 昭和二十五年の四月だと思います。
  792. 小林錡

    小林委員長 そうすると、保全経済会ができてからですね。
  793. 安井禎二

    安井証人 はい。
  794. 小林錡

    小林委員長 保全経済会をつくるとき相談には乗つておりませんか。
  795. 安井禎二

    安井証人 はい。
  796. 小林錡

    小林委員長 ちつとも……。
  797. 安井禎二

    安井証人 はい。
  798. 小林錡

    小林委員長 どういう関係で入るようになりましたか。
  799. 安井禎二

    安井証人 新聞を見まして参りました。
  800. 小林錡

    小林委員長 新聞に何か募集でも。
  801. 安井禎二

    安井証人 はい。
  802. 小林錡

    小林委員長 どういう募集ですか。勤め人募集ですか。
  803. 安井禎二

    安井証人 そうです。
  804. 小林錡

    小林委員長 何か保証金でも出して行くんですか。
  805. 安井禎二

    安井証人 いいえ、そうじやございません。
  806. 小林錡

    小林委員長 あなたはどういうふうにして通つたんですか。試験でもやつたんですか。
  807. 安井禎二

    安井証人 試験というほどでもないですが、大体面接をいたしまして……。
  808. 小林錡

    小林委員長 だれに。
  809. 安井禎二

    安井証人 あの当時は伊藤理事長に面接いたしました。
  810. 小林錡

    小林委員長 理事長自分でやつたんですか。
  811. 安井禎二

    安井証人 はい。それでそのときいろいろお話をお伺いいたしましたが、とにかく現存の日本として中小企業をりつぱにせにやならぬ、中小企業を指導育成するために、証券投資による中小企業の指導育成をし、大企業に盛り立てるということ、それからある利潤はできるだけ公平に分配して、個々の台所の経済の確立ということが大事じやないか、あまりにも上と下が離れ過ぎていて、中産階級というものがまことに少い、少しでも中産階級を多くして、個々の台所の経済を、自立してこそ初めて日本経済の自立になるのだ、そういつたようお話をいろいろお伺いいたしまして、まことに同感いたしまして、この仕事に夢中になつて……。
  812. 小林錡

    小林委員長 入つたとき月給幾らくれたですか。
  813. 安井禎二

    安井証人 八十円だと思いました。
  814. 小林錡

    小林委員長 それで、初めはどういう仕事をしましたか。
  815. 安井禎二

    安井証人 本店には大体半月ほどおりましたですが、それから……。
  816. 小林錡

    小林委員長 本店で半月くらい何をしておつたですか。
  817. 安井禎二

    安井証人 その間こういつたよう業務だということをいろいろとよく聞きまして、そのまますぐ四国へ参りました。
  818. 小林錡

    小林委員長 四国へ行つたのはいつですか。
  819. 安井禎二

    安井証人 昭和二十五年の五月だつたと思います。
  820. 小林錡

    小林委員長 間もないですね。
  821. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  822. 小林錡

    小林委員長 ちよつと承りますが、学校はどういう学校を出ましたか。
  823. 安井禎二

    安井証人 中学。
  824. 小林錡

    小林委員長 どこの中学。
  825. 安井禎二

    安井証人 赤坂中学。
  826. 小林錡

    小林委員長 その上は行かなかつたのですか。
  827. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  828. 小林錡

    小林委員長 それからどういうことをしておつたの、ですか。
  829. 安井禎二

    安井証人 大体戦前は貿易関係に従事しておりました。
  830. 小林錡

    小林委員長 銀行みたいな仕事はちつともやつておらなかつたのですか。
  831. 安井禎二

    安井証人 おもに貿易関係の方へ関係しておりました。
  832. 小林錡

    小林委員長 会社へ勤めておつたのですか。
  833. 安井禎二

    安井証人 会社へは別に勤めておりません。
  834. 小林錡

    小林委員長 自分でやつていた。
  835. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  836. 小林錡

    小林委員長 それから四国へ行つた。四国ではどういう仕事をしたのですか。四国のどこへ行つたのです。
  837. 安井禎二

    安井証人 四国の高松へ参りました。その当時小沢さんという方がおいでになりまして、その小沢さんが四国へ参りまして、兵庫町に事務所を借りて……。
  838. 小林錡

    小林委員長 小沢という人は東京の方ですか。
  839. 安井禎二

    安井証人 小沢さんは東京の人だと存じております。
  840. 小林錡

    小林委員長 一緒に行つたのですか。高松へ店をつくるのですか。
  841. 安井禎二

    安井証人 ええ。まず先にその方が高松に行かれて事務所をつくつたわけです。
  842. 小林錡

    小林委員長 そこで小沢の下へ行つて働いたわけですか。
  843. 安井禎二

    安井証人 小沢さんの下に約半月ほどおつたと思います。
  844. 小林錡

    小林委員長 それから。
  845. 安井禎二

    安井証人 それから小沢さんが各事務員なり何なりを選定してくれたものですから、そのまま仕事を継続するようになりました。
  846. 小林錡

    小林委員長 高松市へ行つて、小沢の下で支店仕事をやつたわけですか。
  847. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  848. 小林錡

    小林委員長 それからずつと……。
  849. 安井禎二

    安井証人 高松にずつとそのままおりました。
  850. 小林錡

    小林委員長 四国の全部の統轄者ですか。
  851. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  852. 小林錡

    小林委員長 それでいつ東京へ帰つたのですか。高松からどこかほかへ行きましたか。
  853. 安井禎二

    安井証人 ほかへは参りません。
  854. 小林錡

    小林委員長 東京へはいつ帰つたのですか。
  855. 安井禎二

    安井証人 二十七年の十月だつたと思います。
  856. 小林錡

    小林委員長 帰つてからどういう仕事をしたのですか。
  857. 安井禎二

    安井証人 二十七年の十月に帰りまして、総務部長を命ぜられました。
  858. 小林錡

    小林委員長 それからずつと総務部長をやつておるわけですか。
  859. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  860. 小林錡

    小林委員長 理事なつたのはいつです。
  861. 安井禎二

    安井証人 昭和二十八年の九月に理事を命ぜられまして、それと同時に三宅証券の方ヘ、まだ正式には向うにはなつておりませんが、監査役として転出を命ぜられました。
  862. 小林錡

    小林委員長 三宅商事ですか。
  863. 安井禎二

    安井証人 三宅証券金融。
  864. 小林錡

    小林委員長 この傍系会社と違うのですか。
  865. 安井禎二

    安井証人 傍系会社であります。
  866. 小林錡

    小林委員長 三宅商事となつておるが、これとは違うのですか。
  867. 安井禎二

    安井証人 三宅証券金融。
  868. 小林錡

    小林委員長 十五万から株を持つておりますが、これですか。
  869. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  870. 小林錡

    小林委員長 三宅商事としてあるが、三宅証券ですか。
  871. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  872. 小林錡

    小林委員長 保全経済会理事をやり、総務部長をやると同時に、三宅証券の……。
  873. 安井禎二

    安井証人 いいえ、総務部長は免ぜられました。
  874. 小林錡

    小林委員長 いつ。
  875. 安井禎二

    安井証人 八月に免ぜられました。
  876. 小林錡

    小林委員長 ことしの。
  877. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  878. 小林錡

    小林委員長 今は総務部長ではないのですか。
  879. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  880. 小林錡

    小林委員長 理事はしておるのですね。
  881. 安井禎二

    安井証人 はあ。理事で三宅証券の監査役に転出を命ぜられました。まだ正式に向うには登録をしてございませんが……。
  882. 小林錡

    小林委員長 どういう関係ですか、これは何か悪くて左遷になつたのですか、栄転ですか。
  883. 安井禎二

    安井証人 今まで理事がございませんでしたから、八月に私を初め合計五名の者が――私にそれから工藤、橋本、牧原、それから疋田、この五名が八月に理事を命ぜられました。
  884. 小林錡

    小林委員長 どうして理事を置くようになつたのですか。前から理事会というのがあつたのですが一向理事会がなかつたのですが、何かこれを置く原因があるのですか。
  885. 安井禎二

    安井証人 実は伊藤理事長からいろいろ話がありまして、今後各傍系会社の強化と申しますか、傍系会社を強化しなければならぬ、そういつたような意味合いと、それから今まですべて伊藤理事長がやつておりましたが、今後理事会なるものを開催して、運営面でいわば伊藤理事長の補佐役になつて、運営面の方もいろいろ相談をしたいから、そういつたような機関をつくりたいというので、理事を……。
  886. 小林錡

    小林委員長 これは三宅商事株式会社か、三宅証券株式会社か、どつちです。
  887. 安井禎二

    安井証人 三宅証券商事株式会社です。
  888. 小林錡

    小林委員長 資本金は幾らですか。
  889. 安井禎二

    安井証人 五千万円。
  890. 小林錡

    小林委員長 証券の取扱いですか。
  891. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  892. 小林錡

    小林委員長 株だけで七千八百万円も持つておるじやないですか。
  893. 安井禎二

    安井証人 大体一億円の会社にする予定でやつておりましたらしいのですが……。
  894. 小林錡

    小林委員長 今この方と両方やつておるわけですね。総務部長の仕事は大体でいいから……。
  895. 安井禎二

    安井証人 総務部長の仕事は、管轄といたしまして広告、宣伝に対する企画でございます。それから用度、それから庶務、それから約五箇月ほど予算の方をやりました。
  896. 小林錡

    小林委員長 予算の作成なんか……。
  897. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  898. 小林錡

    小林委員長 人事は。
  899. 安井禎二

    安井証人 人事は人事部がほかにございますから……。
  900. 小林錡

    小林委員長 それで四国にあなたがおつた当時には、四国内には支店は幾つくらいあつたのですか。これは四国本店というのですか。
  901. 安井禎二

    安井証人 総支店と申しておりました。
  902. 小林錡

    小林委員長 高松におつたのは、そうするとどのくらいの期間になりますか。二十五年の五月方二十七年の十月、それでおつたわけですね。
  903. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  904. 小林錡

    小林委員長 二年ちよつと余ですね。
  905. 安井禎二

    安井証人 さようでございます。
  906. 小林錡

    小林委員長 ここで相当腕を振つたのですか。
  907. 安井禎二

    安井証人 無我夢中でやりました。
  908. 小林錡

    小林委員長 どんなふうにして金を集めたのですか。無我夢中でどんどんしまいには入るようになつて来たのですね。
  909. 安井禎二

    安井証人 営業案内をごらんに入れまして、いろいろ先ほど申し上げたようなことを御説明申し上げて、賛同をちようだいいたしました。
  910. 小林錡

    小林委員長 この保全経済会というのはどういう組織で、どういう出資の性質であるのか、あなたのやつたことをひとつ……。
  911. 安井禎二

    安井証人 組織匿名組合組織でやつておりまして、大体において証券投資不動産投資によつて利潤を上げる、それと同時に先ほど申し上げたように中小企業の指導育成、と同時に私どもの個々の家庭経済を少しでもゆたかにする私ども実際問題として皆さんに喜んでいただくと同時に、日本が少しでもよくなればという気持で積極的にやつて参りました。
  912. 小林錡

  913. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  914. 小林錡

    小林委員長 それから中小企業の育成というのはやはり仕事になるのですか。
  915. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  916. 小林錡

    小林委員長 えらい勢いだな、中小企業の育成というのはどういうことをやるのですか。
  917. 安井禎二

    安井証人 証券投資によつて……。
  918. 小林錡

    小林委員長 何か金でも貸してやるのなら育成ができるかもしれないが、どういう点で育成をやるのですか。
  919. 安井禎二

    安井証人 言いかえれば資金の面なんかでも、増資のような場合は増資を引受けて、事業の遂行にさしつかえないように……。
  920. 小林錡

    小林委員長 増資を引受けるというと、資本投じてやるわけですか。
  921. 安井禎二

    安井証人 さようでございます。
  922. 小林錡

    小林委員長 それはどういうふうにして投ずるのですか、金を貸してやるのですか。
  923. 安井禎二

    安井証人 たとえば、ある会社が今度は二千万円なら二千万円増資をする、そういう場合には二千万円なら二千万円の株式を引受けて、いわば工場の施設ですとか、そういつたものに対して、企業の完全な遂行をするために積極的に協力するのです。
  924. 小林錡

    小林委員長 そうすると増資のような場合に新しい株を持つてやるというようなことによつて加わつて行くというわけですか。
  925. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  926. 小林錡

    小林委員長 そういうことも相当やつたんですね。大体今まで聞くところによると、保全経済会仕事証券売買不動産売買、こういつているんだが、中小企業の育成ということも一つの仕事になるのですか。
  927. 安井禎二

    安井証人 そういうことは私初めから伊藤理事長から聞いておりました。
  928. 小林錡

    小林委員長 それはあなたも相当やつたわけだな。
  929. 安井禎二

    安井証人 私自体は全然そういう方面にはタツチしませんで……。
  930. 小林錡

    小林委員長 それじやこれは伊藤自分でやるのですか。
  931. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  932. 小林錡

    小林委員長 それから会員の投資ですね、これはどういう契約の内容でやるのですか。
  933. 安井禎二

    安井証人 三箇月の契約になつておりまして、二部の配当です。
  934. 小林錡

    小林委員長 初めから二分つたのですか。
  935. 安井禎二

    安井証人 最初は五分だつたと思います。それから三分になり……。
  936. 小林錡

    小林委員長 三分になつたのはいつごろかわかりますか――五分が三分になり、それから二分なつたのですね。
  937. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  938. 小林錡

    小林委員長 二分なつたのはいつごろからですか。
  939. 安井禎二

    安井証人 昨年の夏ごろだつたと思いますが、今ちよつと正確に記憶がございません。
  940. 小林錡

    小林委員長 そうすると利益を約束通りに配当するのが困難になつてそれで下げて行つたわけですか。
  941. 安井禎二

    安井証人 そういうわけではないと私は思つております。
  942. 小林錡

    小林委員長 それではどういうわけですか。
  943. 安井禎二

    安井証人 その当時会社自体のいろいろな資本の蓄積というようなことを考えて、そういうようなこと、また利益率が低くなつたということも当然言えますか、大体において会社の資本の蓄積に努力する……。
  944. 小林錡

    小林委員長 努力する、つまり蓄積しておくというわけですか。
  945. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  946. 小林錡

    小林委員長 そうでもないようじやないか、だんだん困難になつて来たというようなことを伊藤理事長にしても大蔵委員会言つておるじやないですか。
  947. 安井禎二

    安井証人 それは困難になつて来たということも先ほど申し上げましたように、多少理由があると思いますが……。
  948. 小林錡

    小林委員長 多少理由があるといつてもそれが大きな理由ではないですか。第一、三箇月の期間でこれだけの利益配当をするということになつて損害は別に会員には負担させるわけではないですね。
  949. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  950. 小林錡

    小林委員長 保全経済会損失があつた場合にも会員にはその損失負担させぬというのですね。必ず利益配当をして行くのだから、三箇月が期限になつて、もし元金を返せと言われれば、返すわけですね。
  951. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  952. 小林錡

    小林委員長 そうすると損害のときの契約はちつともないようですね、そういうつもりはないですか、大体ずつと利益配当できるという予定ですか。
  953. 安井禎二

    安井証人 私実はこういうことを申し上げては何ですが、私一人でなく、全体がそうだと思いますが、私どもほんとうに伊藤理事長を信頼いたしまして、運営の面は全部伊藤理事長が責任を持つてつておられましたものですから……。
  954. 小林錡

    小林委員長 伊藤理事長が責任を持つ、伊藤理事長を信用するということはよいが、あなた自身が考えてみたらどうですか、三箇月の期待で投資者には必ず利益配当して行く、こういうことが一体ずつといつまでも続けて行かれるものかどうか、あなた常識として……。
  955. 安井禎二

    安井証人 私はできると信じておりました。
  956. 小林錡

    小林委員長 けれども金を預かるとすぐに翌月から五分あるいは三分、二分という利息を必ず配当することができるものか、非常なとつぴなもうけ方でもしないことには二分ずつとしたつて年に二割四分でしよう、たくさんの人を使つて宣伝をやつてそんな利益が上つて行くものか。
  957. 安井禎二

    安井証人 しかし私の考えでは、運営が齟齬を来して一応休業の状態に入つておりますが、あくまでもそれは私でき得るのじやないかと思つて確信しておつたようなわけでございます。
  958. 小林錡

    小林委員長 その点はまた委員諸君から聞いてもらいますが、保全経済会決算期というものは三月と九月ですか。
  959. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  960. 小林錡

    小林委員長 そうすると、六箇月ごとですね。そのときに損害があつたならばどうしますか。前に利益配当した人にも損を負担してもらつて払い返ししてもらいますか。そういうことはしないですか。
  961. 安井禎二

    安井証人 私会社の組織をちよつと申し上げたいと思いますが……。
  962. 小林錡

    小林委員長 私の質問に答えてください。そういう損害のあつた場合にはどうしますか。損害負担させてとつた例がありますか。
  963. 安井禎二

    安井証人 ございません。
  964. 小林錡

    小林委員長 それでは損害は払わせるつもりは初めからなかつたのでしよう。
  965. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  966. 小林錡

    小林委員長 一体そんな匿名組合契約というのがあるのですか。匿名組合契約というものは、出資をして、損害はちつとも負担しないで、利益ばかりもらうというものではないでしよう。法律の本を読んでみたのですか。
  967. 安井禎二

    安井証人 法律の方は詳しくありませんが、あくまでも私は最初の匿名組合、こういつたよう組織でやつているということを申し上げておりますが……。
  968. 小林錡

    小林委員長 やつていると言つても、匿名組合契約というものはそんなものではない。いつでも利益配当をもらえるというのが匿名組合契約じやない。けれども実際はそういうふうであつたのですね。
  969. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  970. 小林錡

    小林委員長 匿名組合契約出資者はときどき財産目録貸借対照表の閣覧ができるとか、あるいは業務財産の状況を調べることができるのですが、そういうことをさしたんですか。
  971. 安井禎二

    安井証人 今までそういつたことはございません。
  972. 小林錡

    小林委員長 言つて来たことはないですね。
  973. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  974. 小林錡

    小林委員長 それからまた、したこともないんですね。
  975. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  976. 小林錡

    小林委員長 損益計算を発表したことはあるのですか。
  977. 安井禎二

    安井証人 ないと思います。
  978. 小林錡

    小林委員長 仏教保全経済会というのはどういうものですか。これはいつごろできたものですか。
  979. 安井禎二

    安井証人 昭和二十六年ごろだと思つております。
  980. 小林錡

    小林委員長 二十六年の四月ごろですか。これができるときはあなた相談に乗りましたか。
  981. 安井禎二

    安井証人 全然相談に乗つておりません。
  982. 小林錡

    小林委員長 乗つておらぬが、あなたは仏教保全経済会の何かになつているんじやないですか。理事になつていますね。
  983. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  984. 小林錡

    小林委員長 京都の本部へ行つたことはあるんですか。
  985. 安井禎二

    安井証人 あります。
  986. 小林錡

    小林委員長 どういうときに……。
  987. 安井禎二

    安井証人 仏保ができましたときに、仏教保全経済会というものができたというので、理事になつてもらうという話で、あの当時発会式でございましたか、全部そろつて各総支店長が……。
  988. 小林錡

    小林委員長 総支店長がみな理事になつているのですか。
  989. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  990. 小林錡

    小林委員長 この仏教保全経済会というものはどういう組織になつていますか。これは保全経済会とどういう関係にあるか。保全経済会とは別なものでしよう。
  991. 安井禎二

    安井証人 私の考えとしては、せんだつてもちよつと伺うの仏保の方が言われましたように、代理店の大きなのというぐあいに解釈して……。
  992. 小林錡

  993. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  994. 小林錡

    小林委員長 仏教保全経済会は、会長は大谷瑩潤ですね。
  995. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  996. 小林錡

    小林委員長 理事長伊藤斗福でしよう。
  997. 安井禎二

    安井証人 はあ。事務的には全部各支店、出張所へ受入れをいたしまして……。
  998. 小林錡

    小林委員長 保全経済会支店で受入れをして、仏教保全経済会になる人と、ならぬ人とわけるわけですね。
  999. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1000. 小林錡

    小林委員長 それから……。
  1001. 安井禎二

    安井証人 そのままやはり同じような形式で本店の方へ送金しておりました。
  1002. 小林錡

    小林委員長 それじや利益配当はどうなんですか。両方同じですか。
  1003. 安井禎二

    安井証人 さようでございます。
  1004. 小林錡

    小林委員長 同じ二分ですか。あるいは五分なら五分。
  1005. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1006. 小林錡

    小林委員長 そうすると、仏教保全経済会はどういう利益があるわけですか。
  1007. 安井禎二

    安井証人 その辺の契約なり詳しい点は全然存じておりません。
  1008. 小林錡

    小林委員長 普通の会員と同じような二分利益配当を受けたほかに、一人について幾らという配当があつて、その金が集まつて仏教保全経済会に入るんですか。
  1009. 安井禎二

    安井証人 そういうことはちよつとわかりません。
  1010. 小林錡

    小林委員長 けれども、総務部長までしておるのだから、わかるでしよう。
  1011. 安井禎二

    安井証人 その点で申し上げますが、私こちらへ参りましたときに、ちようど十二月の賞与のときになりまして、実は部に働いている方々の賞与の金額が私わかりません。知らしてくれませんでしたものですから、これではとても部の方の掌握が非常にむずかしい。せめて自分の使つている部内の方方の賞与の額くらいは知らしてほしいということをいろいろ厳重に申し上げまして、この次からは知らしていただくようになりましたが、大体そういつた状況で、そういつたすべての総合的なものは、理事長室という室がございまして、そこで全部包括して……。
  1012. 小林錡

    小林委員長 理事長室で大分機密的な仕事をするわけで、そのほかの者にはわからぬのですか。
  1013. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1014. 小林錡

    小林委員長 理事長室というのは一体どういう組織になつているのですか……。
  1015. 安井禎二

    安井証人 理事長室というのは、部屋長が……。
  1016. 小林錡

    小林委員長 部屋長はだれです。
  1017. 安井禎二

    安井証人 ただいま松本でございます。
  1018. 小林錡

    小林委員長 名前は何という。
  1019. 安井禎二

    安井証人 ……。
  1020. 小林錡

    小林委員長 わからなければ、室長のほかは。
  1021. 安井禎二

    安井証人 そのほかに……。
  1022. 小林錡

    小林委員長 秘書みたいなものですか。
  1023. 安井禎二

    安井証人 秘書課はまた別にあるのです。
  1024. 小林錡

    小林委員長 そうすると、まつたく枢機に参与するんですな。参謀みたいなもの。
  1025. 安井禎二

    安井証人 いわゆる理事長室で全部が統轄される。
  1026. 小林錡

    小林委員長 室長は松本某。それからどんな人がいますか。
  1027. 安井禎二

    安井証人 そのほかに四人ほどおります。
  1028. 小林錡

    小林委員長 それは伊藤とどういう関係のある人ですか。何か特殊の関係のある……。
  1029. 安井禎二

    安井証人 別にありません。
  1030. 小林錡

    小林委員長 絶えずかわるのですか。
  1031. 安井禎二

    安井証人 一番前には望月という方が部屋長をやられまして、松本部屋長が来られたのは……。
  1032. 小林錡

    小林委員長 松本が望月のあとなつたのですか。
  1033. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1034. 小林錡

    小林委員長 今まで続いているわけですね。
  1035. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1036. 小林錡

    小林委員長 仏教保全経済合会から入つた金はどれくらいですか。
  1037. 安井禎二

    安井証人 せんだつてちよつと数字を見させていただいたのですが、二億何十万円でしたか……。
  1038. 小林錡

    小林委員長 どうもはつきりせぬな、あなたは。
  1039. 安井禎二

    安井証人 二億ちよつとでございます。
  1040. 小林錡

    小林委員長 もう少しまじめに答えたらどうです。総務部長までしている人が……。
  1041. 安井禎二

    安井証人 そう言われるとまことに申訳ないのですが……。
  1042. 小林錡

    小林委員長 あなたも日本人だから、もう少しものを回避しないで、人の金をたくさん預かつているのであるから、日本人としてもう少し責任を感じて、逃げることばかり考えないで……。
  1043. 安井禎二

    安井証人 決してそういうような……。
  1044. 小林錡

    小林委員長 処罰がありますよ、つまらぬ供述をしますと。
  1045. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1046. 小林錡

    小林委員長 仏教保全経済会から入つて来た二億幾らという金が大分出資者利益配当にまわされているんでしよう。今まで月二分あるいは三割五分とかいうところに、これはずつとまわつて行つているんでしよう、別になつていないでしよう。
  1047. 安井禎二

    安井証人 そういつたことは……。私の所管の事項でしたら大体……。
  1048. 小林錡

    小林委員長 所管の事項でなくても、大体総務部長なら想像がつきそうなものだ。
  1049. 安井禎二

    安井証人 ですから先ほど申し上げたように、部下の……。
  1050. 小林錡

    小林委員長 経理部長がそういうことはよくわかるのですか、だれがわかるのですか。
  1051. 安井禎二

    安井証人 やはり理事長室が一番よくわかつております。
  1052. 小林錡

    小林委員長 理事長室の松本がよくわかるのですか。
  1053. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1054. 小林錡

    小林委員長 松本何という人です。総務部長で理事長室の室長の名前がわからないようなことでは……。
  1055. 安井禎二

    安井証人 人事の方は全然私はタツチしておりませんので……。
  1056. 小林錡

    小林委員長 タツチしていなくても、同じオフイスでやつているんじやないか。
  1057. 安井禎二

    安井証人 名前はちよつと……。知つていることは正直に申し上げますが、知らないことはどうも……。
  1058. 小林錡

    小林委員長 ことしの十月二十四日に業務停止をやりましたね。
  1059. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1060. 小林錡

    小林委員長 その前にあなたには話はなかつたですか。
  1061. 安井禎二

    安井証人 九月の十日でありましたか、九月の初旬でございます、九日か十日だと思いました、初めて理事会を開きまして、それで、資金的に非常に今詰まつておる、しかし自分が何とか金融の道を講じるから、そういう話がございました。
  1062. 小林錡

    小林委員長 それでどうしようという相談はなかつた、営業を停止しようという相談はなかつた……。
  1063. 安井禎二

    安井証人 そういう話は全然――そのときは、絶対的に自分が金融をつけるから――やめるとか休業するとかいう話は全然なかつたのです。
  1064. 小林錡

    小林委員長 それだけですか。その後も。十月二十四日になるまで……。
  1065. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1066. 小林錡

    小林委員長 何かあいさつ状が出たんじやないですか。出資者各位にごあいさつするとかなんとかいうのが出たね。これにあなたは相談に乗つていないのですか。保全経済会理事長伊藤斗福……。
  1067. 安井禎二

    安井証人 ちよつと拝見します――存じておりません。
  1068. 小林錡

    小林委員長 知らない……。きようまで見たことがない。
  1069. 安井禎二

    安井証人 はあ。私は八月になりまして、全然――八月以降は私は、保全経済会理事はしておりましたが、三宅証券商事の方へ転出を命ぜられまして、総支店長会議にも何にも出ておりません。
  1070. 小林錡

    小林委員長 この十月になつてからも大分新しい出資者を募つて出資金を受取つていますね。日本全国では、十月に入つてからどのくらい受取つていますか。
  1071. 安井禎二

    安井証人 まことに申訳ありませんが、わかりませんのでございます。
  1072. 小林錡

    小林委員長 みなわからぬな。ちつともわからぬ。あなたは。あなたは一向責任を感じないですか。
  1073. 安井禎二

    安井証人 十二分に責任は感じております。
  1074. 小林錡

    小林委員長 責任を十二分に感ずるのなら、もつとものを調査して……。それではこの三宅証券商事株式会社ですか、これはいつできたんですか。
  1075. 安井禎二

    安井証人 昨年の四月ごろに……。
  1076. 小林錡

    小林委員長 これは新しくつくつたんですか。
  1077. 安井禎二

    安井証人 前はうちの資本が入つていなかつたんじやないかと思つております。
  1078. 小林錡

    小林委員長 やはりこういう名前の会社があつたのですか。
  1079. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1080. 小林錡

    小林委員長 あなたの方から今度出た財産調べですね、現在あるという。これを見ると、証券の部類では、もうろくな株はない。ただと言つては悪いかもしれぬが、総計算三億六千三百何万円となつておる。けれども破産になつた会社や、まるでもうけのない会社、そんなものにばかりあなたの方の金が投資されていますね。そうじやありませんか。これをごらんなさい。日本テレビだけはまあこれから先のものだが、わかるけれども、あとは大体世の中で有望な会社なんていわれるのはないじやないですか。新夕刊なんていう新聞に千七百万円出しているでしよう。そうでしよう。この新聞はもうかるのですか。あなたは証券をやつておられてどうです。
  1081. 安井禎二

    安井証人 私、証券は全然やつておりません。
  1082. 小林錡

    小林委員長 だつて証券商事株式会社にいるんだから、株というものはわかるでしよう。こんなものは値打はないでしよう。一つ一つあげてみても、この計算書にあげてあるような実際の値打はないでしよう。どうしてこう株を持たなければならぬようになつたのですか。大いにもうかると思つてつたものですか。
  1083. 安井禎二

    安井証人 その点は私全然タツチしておりませんし、これはどの部長に聞いてもおそらくわからないのじやないかと思つております。
  1084. 小林錡

    小林委員長 どうしてわからないんですか。伊藤斗福が一人でやるからわからぬというのですか。
  1085. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1086. 小林錡

    小林委員長 とにかく匿名組合契約なら、人から預かつた金をかつてに使つちやいけないものじやないか。いくら伊藤斗福のものにかりに法律上なるとしてみても、これを有利に使つて、善良なる管理者の注意で仕事をやつて、もうけをあげて分配するようにするのが匿名組合契約なんですから、いくら匿名組合契約だからといつて、こういうまるでくず材みたいな株を買うということは、明らかに任務にそむいた行為じやありませんか。背任だとか横領だとかと同じじやありませんか。みんな一生懸命で、仏教保全経済会の人などは本願寺の坊さんを仏さんのように思つて、仏さんに寄捨するようなつもりで投資しておる。それをまじめに証券の商売をやり、まじめに不動産投資するならいい。ところがこうしてぴたつと休業してみると、まるで役に立たぬような株を持つておるということは、どう見たつて背任罪になると思うが、あなたはならぬと思いますか。みな伊藤斗福がやつたことで、自分は知らぬというのですか。
  1087. 安井禎二

    安井証人 伊藤理事長も相当考えがあつてそういうものに投資をなさつたんじやないかと思います。
  1088. 小林錡

    小林委員長 それじや伊藤がやれば大いにもうかる株になるというんですか。そういう意味ですね。――私の質問は大体この程度にとどめて、委員諸君の御発言を願うことにいたします。  委員諸君より発言の通告がありますから、順次これを許します。なお委員諸君に申し上げておきますが、時間の関係もありますので発言は簡潔に重複を避けるようにお願いいたしたいと思います。鍛冶良作君。
  1089. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほどから聞いておると、理事であるが一向わからぬという御答弁だが、あなたはどういう意味で理事になりましたか。
  1090. 安井禎二

    安井証人 私どもは伊藤理事長から、今度査問機関と申しますか、そういつたものをつくりたいということで、このたび五名の者を理事に任命するということで命ぜられまして、私どももその気持でそのとき拝命いたしました。と同時に、そういつたよう関係で私三宅証券商事の方に参りまして、先ほど申しましたように、九日か十日に初めて理事会を開きました。理事としての責任は十二分に感じております。
  1091. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 感じておるというのは、その点は明瞭に言われないが、理事の務めをしましたか。感じただけではいかぬ。理事なつた以上は、理事の務めをしなければ、人に対して申訳ないと思うが、あなたはそれをやつておるか、やつておればどういうことをやつたか、聞かせてもらいたい。
  1092. 安井禎二

    安井証人 私に課せられたことは、三宅証券商事を少しでもよくするようにということがその当時のあれでありましたが、こういうような事態になりまして、ただいま本店にもどつておりまして、伊藤理事長のもとで、今後いかによくするかということで一生懸命やつております。
  1093. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなたは査問と言うが、査問というのは何のことか知らぬけれども、仕事相談相手になつているということだと思うのだが……。
  1094. 安井禎二

    安井証人 はい。
  1095. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それから定款を見ますると、第四章の事業の第十条に、本会は左の事業を行う。一、証券との投資、二、理事会に於て定める諸事業七人の大事の金を預かつて、あなた方の言葉をかりて言えば、利殖を得るための事業を決定する機関になつておる理事、そういうことを天下に公表して保全経済会はこういうりつぱな仕事になつているのだ。こう言つてあなた方は出しておられるものと思う。しかるに先ほどから聞いておると、何も全然知らない、伊藤斗福にまかしてあると言う。あなた自身がその任務を果さないことは、これはしかたがないかもしれぬが、世間の者に対して、理事というものがあつて事業の重大なる決定は理事会でやるのだ、こういうことを言いふらしていながら、おれは何もやつていない、伊藤理事長一人でやつているのだと言つて、それで世間に対して申訳が立ちますか。
  1096. 安井禎二

    安井証人 理事としての責任は私十二分に感じております。そういう点はまことに申訳がないと思つておりますが、私はつい最近理事の職責を汚しましたのでございますが、しかし理事としてのそういつた責任は十二分に感じております。
  1097. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 口先だけの責任じやしようがない。それからもう一つ、理事長から言われただけでわからぬというが、わからぬでは済まないと思う。仏教保全経済会とあなたの関係をもう一ぺんはつきり言つてください。
  1098. 安井禎二

    安井証人 仏教保全経済会ができましたときに全然相談も受けておりませんしいたしますが、こういつたようなものができた、それで各支店、出張所で仏教の方の契約を扱うことになつたと言われて京都へ参りました。私はこれは代理店の大きな代理店というふうに解釈しておりました。
  1099. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 仏教保全経済会には会長、副会長、理事長、たいへんりつぱな名前が並んでおりまして、保全経済会と別個の団体であることはわかりますね。そうして金を受取るときには会長の名前で受取つておるのでしよう、その点はどうですか。
  1100. 安井禎二

    安井証人 証書の名前保全経済会伊藤理事長名前になつております。
  1101. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それは間違いないですか。仏教保全経済会という名前でやつておりながら、保全経済会伊藤理事長が金を受取つておるのかね。
  1102. 安井禎二

    安井証人 そこにマル仏という判こを押しまして、それでわけて処理しておるのでございます。
  1103. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 マル仏と押すのはどういうわけなんだ。保全経済会と違う仏教保全経済会投資金である、こういう意味であるのか。どういう意味だね。
  1104. 安井禎二

    安井証人 仏教保全経済会投資金ということになります。
  1105. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 仏教保全経済会は、その投資された金をどう使つておりますか。
  1106. 安井禎二

    安井証人 さらに保全経済会投資をするというかつこうに一応なるのではないかと思います。
  1107. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それじやその程度にしておいて、経済会は匿名組合だと先ほどもおつしやいましたね。匿名組合というものはどういうことをするものか知つておりますか。
  1108. 安井禎二

    安井証人 一定の出資を受けまして、その出資を、組合の場合は理事長が、その出資したものを運営して利益を分配するというぐあいに承知しております。
  1109. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると今あなたの言われる仏教保全経済会は、仏教保全経済会名前出資をしてもらつて、そして事業をやるという匿名組合であるが、その間に一つも仕事はしないで、トンネルにしてよそへ金をやつて、それでいいものかどうか。
  1110. 安井禎二

    安井証人 その点は私共同事業のように思つております。
  1111. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 共同事業というと、仏教保全経済会は何をやつているんだ。
  1112. 安井禎二

    安井証人 そういうことになりますと、仏保に対する出資は、さらに保全経済会に対する出資のかつこうになりまして、そこで伊藤理事長が運営しているというかつこうじやないかと思つております。
  1113. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 実際仏教保全経済会は何もしておりませんね。仕事を何もしておらないのに、仏教保全経済会で事業をやるからといつて、しかも相手は信者だ。信仰を利用して、事業をやらないのに事業をやると称して金を集めたといえば、それはだましてとつたんじやないかね、どう思う。
  1114. 安井禎二

    安井証人 私の考えでは、いわゆる仏教保全経済会からさらに保全経済会出資をいたしまして、仏保保全経済会に運営を委任しているというように承知いたしております。
  1115. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 だから先ほどあんたに前もつて聞いたんだ。仏教保全経済会が事業するといつて投資者から金をとつたんだろう、こういつておるのだ。そう言いながら仕事をやらぬのだから投資じやない、トンネルなんだ。要するに信者から集めるトンネル組合をつくつた。あなた方、それで信者をだましたとは思わぬかな。一体どうだね。それから、もし仕事をやらないで人の金を集めて、それで配当をあげますといつたら、それは仕事をしないのに、ただ配当をえさにして人から金をとつたんだから、金融で金を集める銀行か信託会社のまねをしたことになる。そうは思いませんか。私それ以上はあんたになにせぬが……。  その次は、匿名組合つたと言われるが、先ほどあんたの言われた匿名組合というものは一定の事業がなければならぬ。保全経済会の事業は何と何です。先ほどちよつと言われたが、もう一ぺんあらためて聞きたい。
  1116. 安井禎二

    安井証人 証券投資並びに不動産投資、さらに証券投資の中に含まれると思いますが、傍系会社のいわゆる資本を株券によつて提供して育成をする、そういつたことが仕事の内容だと思つております。
  1117. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さつきあんたが言われたのと、今度は大分かわつて来たな。さつきは中小企業の育成だと言われた、今度は傍系会社への投資だと言う、たいへんな違いだ。中小企業の育成といえばなかなかりつぱなものだ。われわれも予算の上においてその点を何とかしたいと思つて一生懸命やつておるが、まだ足らぬ足らぬと言われておる。それをあんたの方でやると言われた。それはうそだつたのか、ほんとうなのか。
  1118. 安井禎二

    安井証人 中小企業の中には亜細亜興業ですとか、そういつたものも含まれておりますが、大体そういつた趣旨のもとに伊藤理事長もやつておられるのじやないかと思つております。また現在傍系会社は、伊藤理事長としても相当成算があつて、ああいつたものにも投資をしておられると私思つております。
  1119. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 傍系会社投資するということと、中小企業を育成するということとは天と地の違いだ。どつちがほんとうか。
  1120. 安井禎二

    安井証人 あの中にはそういつた部門も入つておるのじやないかと思つております。ただ本筋に行かなかつたことも確かに現在は思われます。それは運営の不手際だと思つておりますが、大体そういつたような気持で私たちも承知いたしております。
  1121. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もう一つほかに、ここに書いてないけれども育英事業ということを言い触らしており、宣伝しております。それもいたしましたか。
  1122. 安井禎二

    安井証人 はい。
  1123. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこであんた方は投資者に、そういうりつぱな仕事をするのであるから、投資しなさい、そうして月五分利益配当して、三箇月以内にいつでも元金を返してあげます、こう言つたのですね。間違いないのですね。
  1124. 安井禎二

    安井証人 そういうことは、伊藤理事長もこれは前から申しておることですが、社会事業的なことをぜひしなければいかぬ、その手始めとして育英資金を出す……。
  1125. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の言うのは伊藤理事長ではなく、あんた方は投資者に対してそういうことを言われたろうと、こういうのです。
  1126. 安井禎二

    安井証人 育英事業もしておりますと申し上げました。
  1127. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その通りやりましたか。やつておりますか。
  1128. 安井禎二

    安井証人 やつております。
  1129. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 保全経済会が……。
  1130. 安井禎二

    安井証人 やつております。
  1131. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ほう。それはどの程度育英事業をやりましたか。
  1132. 安井禎二

    安井証人 今奨学金を約百五十人くらいの方に差上げております。
  1133. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 間違いないな――。私はさつきなににも言つたのだが、今度数字を持つて来て示してください。  それはそれでよいが匿名組合は、あなた自身一定の事業と言われる。ところがこの保全経済会を見ると、ここには理事会において定める諸事業とある。理事会できめれば何でもできる。さつきもう一つこれと違うという定款をだれかが出したのであるが、あれを見ると、必要と認める諸事業だれが認めるのかといつたら、伊藤理事長なる者が認める。あなたのいう一定の事業ではありませんね。何でも好きなものをやる、そうしてもうけてやるから、こう言つておるわけだね。それはどうか。
  1134. 安井禎二

    安井証人 私の一定の事業と申しますのは、ただ一つの――言葉の使い方がちよつと悪うございましたが、たとえば先ほど申し上げましたように、証券投資不動産、そういう一定の事業というようなつもりで申し上げました。
  1135. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ところが実際は、あんたはそう言はれるけれども、これを見れば諸事業なんだ。必要と認めるとか、理事会で定めるとか、何でもできるのですね。さような匿名組合が世の中にあると思いますか。それであんたは匿名組合だといつて、そういうことで人から金をとつてさしつかえないものだと思つておられますか。
  1136. 安井禎二

    安井証人 私はまあ法律のことは、先ほど申し上げましたように、詳しくは存じませんが、匿名組合なりと私思つて現在までやつておりました。
  1137. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 人にも匿名組合だと言つたわけです。ところが匿名組合の規定を見ますと、商法第五百四十条には組合の終了原因というのがあつて、その中の第一号に「組合ノ目的タル事業ノ成功又ハ其成功ノ不能」。一定の仕事はきまつてつて、それができ上つてしまうが、または絶対でき上らぬということがわかれば当然解散することになつている。だから事業というものはきまらなければならぬもんだ。それを何でも必要と認める諸事業をやると言つて、人から金をとつて、それであなたは匿名組合だとこう言う。天下をごまかすにもほどのあるものとわれわれは考えるが、あなたはどう思います。どう思つてつてつたのか。
  1138. 安井禎二

    安井証人 私は伊藤理事長を信頼しまして、りつぱな仕事なりと確信を持つて今までやつておりました。
  1139. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それじや伊藤理事長の言うことがほんとうか、今おれのこう言うことはうそだと思つていますか。どつちですか。
  1140. 安井禎二

    安井証人 そういうことを申し上げているのじやございませんで、私自体の気分を申し上げておりますので……。
  1141. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私は時間がないから……。まだもつと聞きたい点がある。匿名組合というものは、そんな不特定多数人から、だれでもいいから金を集めるというものじやないのです。その事業の性質を知つている事業家とか特別に関係のある者からよこすものなんです。それを不特定多数人から持つて来て、それを匿名組合だということはとんでもない。事業の内容においても匿名組合にあらざるものなんです。そういうもので匿名組合だと言つてつておられる。これはそれならあなたは伊藤からだまされたと言われるならしかたがない。これは匿名組合にあらざる不法なものをやつてつた。  その次に私は申しまするが、証券投資不動産投資その他中小企業ということを先ほど言われたが、こういう傍系会社投資するのはとんでもない中小企業育成だが、それと育英事業、まことにたいへんなことなんです。育英事業というものはけつこうなものだが、利益が上つて来ないものなんです。かりに貸したにしたところが五年や三年でもどつて来ない。さようなものをやつて、預かつた金で月五分ずつの利益配当ができ得るというあなた方は、自信がありましたか。どうです。
  1142. 安井禎二

    安井証人 ……。
  1143. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どうだね。
  1144. 安井禎二

    安井証人 私としましては先ほどもちよつと申し上げましたように、運営いかんによつて二分配当は、二分、三分……、あの情勢のときの五分、運営いかんによつてはでき得ると私信じておりますので……。
  1145. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 君はえらいことを言うな。あなた方ね、金を預かつて、預かつた次の月から五分の利益を上げますと言つてつたんだよ。そして三箇月たつたら元金いつでもお返ししますと言つたんだよ。証券投資不動産投資、ことにこの不動産なんかこれはみんな寝ておる。これはあなた方は利益があると言うが、現実に利益がなければ配当が配られない。そうしておまけにこの傍系会社投資、こんなものには利益が入るどころの騒ぎでない。入れた金はみんなほうり込んだと私は思つておる。そこへ持つて来て育英事業、これはまことにけつこうだ。どうして月五分なんか金払えるか。しかも今月入つた金に来月から利益配当しますと言うのだよ。そういうことがあなた方はできると思いますか。
  1146. 安井禎二

    安井証人 運営いかんによつては私は必ずしも不可能ではないのじやないかと思つております。
  1147. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 君は事業手段として言うならいいが、ほんとうに断言するならば確かめるところで確かめてから言え。社会の常識上、今月預かつていかなる仕事をしたところが、すぐ来月に五分の利息をつけて通せる道理がない。金塊でも掘り探すならこれはあるかしらぬが、事業だぜ。しかも傍系会社投資不動産投資、育英事業。一体どこから利益が上るか。あなた一体本気でそういうことが言えるかい。言えますか、ほんとうに。
  1148. 安井禎二

    安井証人 伊藤理事長としましても相当確信を持つてつた事業でもあるし、私どもも確かに運営の不手ぎわということもこれは完全に感じますが、たとえば証券信託の場合なんか相当な利潤をあげられます。
  1149. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私の言つているのはあとの経営じやない。人から金を預かるときに私は最初のことが、一番大事だ。今月預かつて来月その金に五分の利息をつけて支払いできる。三月たつたらいつでも元金を返してやれるという確信があつたかということを聞くので、それが一番大事だ。さような確信は私は人間ではあり得ないと思うのだが、君があると言われるなら答えてください。
  1150. 安井禎二

    安井証人 ……。
  1151. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 さような不可能なことを可能のようにして金を集めたとすれば、これはまことにどうも恐るべきことだ。さようなことを君が法律上さしつかえないと思つておられるに至つては、われわれは君らの常識を疑わざるを得ない。りつぱな詐欺だ。あとから金が入つて来るから払われるのです。あとから入つて来なければ払われるものでない。それを利益もないのに利益があるように言つてつてやるというので人がひつかかつて来る。それを見越してやつているのだ。それから匿名組合利益がなかつたら払つちやいかぬと書いてある。商法の五百三十八条に、損失を補填したる後にあらざれば出資者利益配当してはいかぬと書いてある。これもどうも匿名組合だと言つて人をだましてやつている。えらいことだ。君は法律を知らぬということならしかたがないが、法律を知らざるのゆえをもつて罪を犯す意なしということはできないのだ。
  1152. 安井禎二

    安井証人 ……。
  1153. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それからあんたの中小企業育成ということを一つ一つ聞いてみたい。三宅証券商事と言われたが、これはどうも驚くべきものなんだが、先ほどあなたの話を聞いておると五千万円の資本だというが、五千万円の資本で何をやるのだ。
  1154. 安井禎二

    安井証人 証券の金融をやつております。証券金融であります。
  1155. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 ところが一億にする予定だつたんだつて……。
  1156. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1157. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういう、予定があつたんですか。
  1158. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1159. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これを見ますと五千万円の資本で、十五万六千株持つて、五十円株として七千八百万円の投資をする、こういうのだろうと思う。五千万円の資本金の会社で七千八百万円の投資というのは一体どういうことだい。
  1160. 安井禎二

    安井証人 一億の予定でやつておりましたらしいのですが、結局五千万円に減資の手続をとつておると思います。
  1161. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると減資をするんだつたのですか。
  1162. 安井禎二

    安井証人 はあ。それも私向うへ参りまして、いろいろ今事情を聞いておりますが、最初一億の予定であつた。そがいろいろな都合で五千万円に減資をするという手続を今とつております。
  1163. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると入つたときは一億だつたが、五千万円に今減資になつたというのですか、どつちなんですか。
  1164. 安井禎二

    安井証人 減資の手続を今とつております。
  1165. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 資本金一億というのがほんとうか。
  1166. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1167. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そこで私聞くのですが、あなた方どういう関係でここへ入つたのか。ほんとうに現実あなたの会社から金を出したのは幾らなんです。
  1168. 安井禎二

    安井証人 現実にというのは、五千万円ではないかと思つております。
  1169. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 どういう関係からこういうところに入るようになつたんですか。
  1170. 安井禎二

    安井証人 私ですか。
  1171. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いや、保全経済会投資することになつたのですか。その真意はどういうことなんですか。
  1172. 安井禎二

    安井証人 その事情は、私あちらへ参りますときに聞きましたが、伊藤理事長と三宅商事の社長とは、義理の兄弟になつておられるそうです。その関係証券の金融部門としてそれを利用するといつたようなことで、三宅商事の方に投資をするようになつたのだと私聞いております。その関係証券の金融も非常に順調な成績をあげておるように存じております。今後そういつたような部門もぜひ必要であると私も思つております。
  1173. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすると、一億の資本金の会社へ、たれかの株を五千万円だけ引受けたということになるのですか。
  1174. 安井禎二

    安井証人 そういうことになるのではないかと思つております。
  1175. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 いつ引受けたのですか、五千万円を。
  1176. 安井禎二

    安井証人 五千万円を引受けたのは、昨年の四月ではなかつたかと思つております。
  1177. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 減資しなければならないというが、損がいつてしようがないからだろうね。いつからそういう損をしたか。半額減資しなければならないような大損は、いついつたのか。
  1178. 安井禎二

    安井証人 その間の事情は、私、詳細調べまして御報告申し上げます。
  1179. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 君は重役をやつておるのではないですか。しかも保全経済会を代表して入つておるのではないか。いよいよめんどうになると、それは知らぬと言うが、それで済むと思つておるのか。あなたはそこで宣誓をしておるではないか。あなたの話を聞くと、結論は一億というボロ会社へ五千万円出して、どれだけ株をとつたかしらぬが、七千八百万円の投資をしたといつて資産帳簿へ載せておる。そして今日は五千万円。ところが千万円にも当らないだろう。一億のものを半分にしなけれなばらないというなら、また半分減資したつて足らないと思つておる。先ほど言つた投資者に対して面目があるでしようか、そういうものに金を出して……。
  1180. 小林錡

    小林委員長 その次を聞いてください。
  1181. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 その次は大日商事ですが、これはどういう関係でどういうことなんですか。
  1182. 安井禎二

    安井証人 六日商事はやはり金融をやつておりますが、私はそちらの方へ関係しておりませんので……。
  1183. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 これは今日利益が上つていますか。
  1184. 安井禎二

    安井証人 まだそう上つていないと存じております。
  1185. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そういうところへ五千万円からの金を出して、それであなた方の言う中小企業育成とどういう関係があるんですか。保全経済会と、保全経済会で悪ければ伊藤とどういう関係なんですか。
  1186. 安井禎二

    安井証人 それは別に関係がないんじやないかと私思います。
  1187. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 別に関係もないそういう会社へ五千万円も出して、今日利益が上つていますか。
  1188. 安井禎二

    安井証人 はなはだ責任がないように聞えまして、まことに申訳ないと思つておりますが、実際問題として当然理事としてそういうものも十二分に調べるのがあたりまえですが、そういう詳細なことはまだ私承知いたしておりませんものですから……。
  1189. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 われわれ考えるのに、あなたの関係しておる三宅商事一つ見ても、何というかまつたくあぶく銭を投げてやるように見えるんだ。そういうことで人の大事な金を預かつて、それで責任を果しておると思いますか。責任を果されずにそういうことをさしたとなると、刑法上背任罪になるのだが、それをどう思う。これは一つ一つ拾つて聞きたいのだが、あなたは知らぬというからしようがないが、が拾つて行けば、おそらくそうだろうと思います。そうでないものは日本テレビなどほんのわずかなものだと思うが、それはどう思いますか。
  1190. 安井禎二

    安井証人 伊藤理事長としても相当成算があつてそうしたことをやつておられるのではないかと思つておりますが、お話を伺いますればなんですが、私としましてはやるからには伊藤理事長としても相当責任を持つてつておられるのではないか、また成算も十二分つてつておられるのではないかと感じているよりほかにしようがないと思います。
  1191. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私はあなたとこれ以上議論してもしようがない。先ほどから私があれほどいつてもあなたはそういうことを言われるのだが、自分財産ならば、おそらくかようなところに金を出さなかつたろう。人の金を君そう言つて何十億などと預かるものだから、そういう式でやつたろうと思うが、これはどうだね。そして今日金融はできなくなつた、店は締めた、このあとどうして投資者というか、債権者に返すつもりでおるね。あなた方、方法立ちますか。
  1192. 安井禎二

    安井証人 伊藤理事長としましても、十二分に今そういつたような案を立ててもおりますし、私どもも伊藤理事長に期待しておりますので、要は、私ども立法していただくということを、伊藤理事長も念願しておると思つておるわけです。
  1193. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 あなた、人の前で何とか必ずやれると言うときには、こういうものでやると言わなければならぬ。何かそういう成算があるのかな。天下に保全経済会理事として言うのだよ。どういうことを言うのかね。まことにどうも無責任きわまることと私は断定する。法制化、何の法制化なのか。先ほどから言うように、まつたくりつぱな詐欺ではないか。詐欺を法制化して犯罪を正常化するのか。あなた方、そこらのいなかの何もわからぬ人から今まで集めた同じようなつもりで言うなら知らぬけれども、ここへ来てそんなことが言えるかね。あなたがほんとに責任を感じて債権者に一文でもいいから損の行かぬように返してやろうと思えば、そんなことはできぬはずだ。こうこうしてやると言うならいざ知らず、しからずしてそういうことを言うなら、ただそこにくつついて月給をもらつているだけで、先ほど聞くと月二千万円いるそうだ。人から集めた金が月々二千万ずつ減つて行くのだ。それであなた申訳立つと思いますか。――これ以上言つたつてしようがないのですから、やめます。
  1194. 小林錡

    小林委員長 林信雄君。
  1195. 林信雄

    ○林(信)委員 だれが聞いておつても聞きたい点は、たくさんあるのだけれども、まず今までのあなたの答弁を聞いておると、その肩書きにふさわしいような、また経歴にふさわしいような責任のある地位の人としてそれだけの答弁は出て来ておらないようであります。むしろそれが実態であればやむを得ないわけなんですが、じつと私が聞いておつて結論づけて考えてみると、何と言つて保全経済会には相当な人材が集まつておるかもしらないが、実際の運営というものは、理事長すなわち伊藤斗福一個の頭で運営して行くものである。理事といえば幹部である。理事長に対して重要なる補佐する立場にある諸君の声は、理事長の前に一顧の価値もないのではないか。これが実際じやないかと思う。つけ加えて聞いておくが、過去において理事長の意見にさからい、あるいは異なつたる行き方をしようといつたようなものは、保全経済会より追われたのではないか。どうもこれが実態じやないか。そうであるとあなたが考えられるならば、過去においてどういう諸君がいて、どういうことがあつたか赤裸々に述べてもらうことが保全経済会の姿を如実に示すものではないかと思うので、これに関連する説明を願いたい。
  1196. 安井禎二

    安井証人 伊藤理事長は先ほどおつしやられたように、とにかく自分がこうだと思いますと、なかなか人の意見を聞かぬという性格を持つておられます。しかしあくまでも納得させて勤めてもらうというのが伊藤理事長の性格でございまして、気に食わぬからやめさせるとかいうようなことは、私の知つている限りではあまりないように思います。
  1197. 林信雄

    ○林(信)委員 そうだとすると、かえつてつた意見を持つて、かりにけんかにならぬまでも、何となく対立関係になつたようなものは逆に優遇するような風でもあるのじやないですか、そんなことはないですか。
  1198. 安井禎二

    安井証人 そういうことは私の知つている範囲内ではないように存じます。
  1199. 林信雄

    ○林(信)委員 そうすると、言葉は悪いが、最初からねこのごとく従順に、あるいは盲従する、あるいはでくのぼう扱いされても、あまりさからわないような者が採用される標準みたいなものになつて、少しおとなしく言えば、おとなしい人物がよく採用されたのじやないですか。その辺についてのあなたの感想を伺いたい。
  1200. 安井禎二

    安井証人 私の考えを申し上げますと、伊藤理事長のことをいろいろお話申し上げておりますが、あの方の、何と申しますか、人格にほれ込んでしまう――同じ話をしておりましても、魅力を持つているということもいえるんじやないか。要は、あの方の人格にほれ込んで、とにかく万全の信頼を伊藤理事長に置いて仕事をしているというのが、現在の保全経済会の従業員の姿ではないかと思つております。
  1201. 林信雄

    ○林(信)委員 それはまあそういうこともありましよう。ドン・キホーテのように、普通の人間とは考えられない者でも一代の英傑としてヒーロー扱いした物語りもあるのだから、そういうこともあるかもしらないが、みながみなそういう気持でおるのですか。
  1202. 安井禎二

    安井証人 私の知つている限りはそういう気持で、ことにまたこういつた休業になりましてあと、一層そういつた気分が強まつているんじやないかと思つております。
  1203. 林信雄

    ○林(信)委員 そうすると、その意味に解すればわかる点もあるのだが、そういうところからも、理事長のやる仕事については、まあ唯々諾々として、言われる通り――賃借対照表あるいは今後の事業の運営方針といつたようなものについても、理事会に示さなくても、ただ言われるままに仕事をして来た、今日に至つて自分たちも幹部として責任を感ずる、というだけで、やつている間は自分たちがあるところの位置、立場については全然考えずに言われる通りやつて来た、こういうことになるのですか、あなたちの立場は。
  1204. 安井禎二

    安井証人 大体そういつたことになります。
  1205. 林信雄

    ○林(信)委員 保全経済会は会員から集めたもの以外に特段の資本というものがあるのですか、あるいは当初あつたんでしようか。
  1206. 安井禎二

    安井証人 当初は多少私あつたんじやないかと思つておりますが、創業当初からのことはよく存じませんけれども、私が参りましたときは上野に店がございまして……。
  1207. 林信雄

    ○林(信)委員 当初のことはよくわからない。
  1208. 安井禎二

    安井証人 はい。
  1209. 林信雄

    ○林(信)委員 従つてこの会の性格あるいは運営をどうするかといつたようなこと、またこれが法律的にどう考えられるかといつたようなことの、当初の事情があなたはわからない。
  1210. 安井禎二

    安井証人 私匿名組合だということをお伺いしただけで、法律的にも、私まことに何ですが詳しくございませんで……。
  1211. 林信雄

    ○林(信)委員 その意味をもつて、さような点は論議すると大分むずかしくなるのでオミツトしまして、いよいよ結着の最近のことを聞きます。新聞で見ると、理事長は一億円ばかり金をつくり、この年末に一部、利息の全部ですかあるいは元金になるかしれませんが、一億円ばかりの金を会員に支払う、こういう言明をされておるようですが、御存じであろうと思います。それはいつごろどういうふうに実現しそうなんですか。これに関連してあなたの御存じの範囲を。
  1212. 安井禎二

    安井証人 これは先月二十八日でございましたか、投資家の代表会議がございまして、その席上で、困窮者を何とかしなければまことに申訳ないというので、その議が出ましたときに、投資家の代表の方々は、困窮者にはまことに気の毒であるけれども、出資をしている側から見れば同じあれなんだからがまんしてもらつて、ひとつ平等に出してもらいたいという話がございまして、そのときに伊藤理事長が、二十五日に支払う、それは私どもそのときそこで初めて聞いたようなわけで、前もつてそのお話は全然ございませんでした。伊藤理事長に、どういう方法で資金をつくられるのですか、どういうような当てがあるのですか、私ども委員会といたしまして――立法促進委員会というものがございますので、委員会全体としまして申し上げましたところが、自分が必ずつくる確信があるから一応まかしてくれというお話で、私ども二十五日を注目して待つておるようなわけであります。
  1213. 林信雄

    ○林(信)委員 どうしてつくるのですかと聞いてもらつたところは大層よかつたのですが、結局おれが考えているのだ、おれにまかしてくれ、そこまでしか行けないわけですね。
  1214. 安井禎二

    安井証人 さようでございます。
  1215. 林信雄

    ○林(信)委員 そこで、話の内容をちよつと聞いておりますと、貧困者のみに年末一部支払いをする、こういうことなんですか。これは理事長はどう言つているのですか。貧困者の区別は会の方でやるのですか、それとも何かあなたの言つた立法促進委員会といつたようなものがやるのか、あるいは支部長がやるのか、そのけじめはたれがつけるのですか。
  1216. 安井禎二

    安井証人 それは各支店、出張所へ調査を出しましたのですが、実際問題としましてこの調査は非常にむずかしいのであります。その限界と申しますか、これはなかなか困難なことでございますししますものですから、私の方も一応各支店、出張所に調査を依頼しまして、配当で生活をしておられるような方ですとかそういつたような方方を一応ピツクアツプして報告してもらいたいというようなことでございましたのですが、結局そういうことは非常に困難だし。また投資者代表の方々も、まことにそういう方には申訳ないけれども、やはり全体にやらぬとこれはまた大きな問題になるのではないかというので、全体に配分するというような結論を得たわけであります。
  1217. 林信雄

    ○林(信)委員 先刻貧困者を対象にするというような話があつたけれども、それは関係の諸君の話等によつてそういう区別をせずに全預金者に一律にやろう、こういうことになつて来た、それはわかるのだが、どうです。今あなたたちが内輪にいて見ていて、理事長胸をたたいて引受けてはいるのだが、二十五日といえばもうここ数日なのだが、どういう見通しですか。たとえばこういう株のうちなんかでも、見込みがあつて、売ればすぐにでも金になりそうなものを売りかかつているとか、あるいは不動産を前々からほしがつているものがあつたからそれを売りかかつているとか、何かそういう金策の具体的な形がもう出て来ておるのですか。単に聞いたつて理事長これはなかなか言うまいが、あなたたちが見、あるいはみんなで話しておるところによつて、具体的にそれの実現性は大いにあるのですか。
  1218. 安井禎二

    安井証人 これは伊藤理事長も非常に確信を持つておりまして、この金は自分が責任をもつてつくるからということ以外に、委員会一同も、こういつたまことに責任のない話のようで申訳ないと思うのでありますが、それで私どもは一応伊藤理事長のあれを信頼いたしまして、二十五日を注目しているようなわけであります。
  1219. 林信雄

    ○林(信)委員 投資者の諸君も非常に注目している、関心を持つている問題だろうと思うのですけれども、あなたにそれ以上聞いたつてわからぬといえばこれは責めてもしかたがないことです。それはその程度にしましてもう一つ聞きますが、今ここに来て戸を締めて、いわゆる休業状態に入つて、いわゆる立法化というものを――あなたも促進委員の一人だと言われるが、そういう点に非常に努力されておるらしい。これはしかし見るものによつては、どうなるか知らないが、どうなつたところで現在の投資者諸君が満足に投資を返還してもらうということについてその立法化がどのくらい価値があるか、そういうことや、いろいろ見方があり意見があるのだけれども、これは今あなたといろいろと質問の形式で議論をしようとは思わないのですが、そういう立法の問題も、理事長に言わしてもまだ時期的に確定時期を言う時期ではないのはもちろん、見通しとして、およその時期もおそらく言つたこともなければ言えないだろうと思う。そうすると、相当長期にわたつてこれが休業されておりますると、言うまでもなく、今まで上げておつたよう利益があつたとしても、それは半減じやない、ほとんどなくなつてしまう。にかかわらず社員の諸君は、幹部初め一切のものがあり、物的な設備もそれぞれ経費を食つておれば、一箇月だけでも相当な金額がいる。先刻二千万円というのが出ておつたが、それがそれであるかどうか。そういうものがどんどん経費として出て行くということになりますと、これはあるものを売つて食わなければしかたがないというのが普通の見通しだろうと思うのです。これはそう考えるほかはないでしよう。それとも相当な利益が上つていて、まあ配当までは行かないけれども、経費くらいまかなつて行くという大体の資産状態なのでしようか、そこのところをひとつ……。
  1220. 安井禎二

    安井証人 やはり現在あるものを処分して最低の資金を与えるくらいのものじやないかと思います。しかしこれは私個人の考えなんですが、先ほどもおつしやられるように、そう三月も半年も先ということはとうてい考えられないことではないかと思つておりますので、伊藤理事長もおそらくその辺の腹案も十分にあるのではないか、私これは常識的に考えても、とても三箇月、半年先ということはとうてい投資家自体も承認でき得ないところでございますし、何かそこに法制化を推進すると同時に、そういつたようなときの腹案も当然伊藤理事長として持つているのではないかと私は思つております。
  1221. 林信雄

    ○林(信)委員 どうもその辺を聞いていると、さつきから悪口を言うたけれども、ドン・キホーテ様のおつしやることだから家来の皆さんはただそれで安心しておるだけのようで、あなたたちはそう考えておるかもしれぬが、世間はとてもそう簡単に行かぬと見ているのです。これは長々やつていると、先刻の一箇月二千万円くらいかかるというのはそうですが、そんな数字ですか。もつと少いのですかあるいは多いのですか、そこも聞きたいのですが、一箇月どのくらいですか。
  1222. 安井禎二

    安井証人 一箇月休業中でございますか。
  1223. 林信雄

    ○林(信)委員 今でいいですが……。
  1224. 安井禎二

    安井証人 大体二千万円はどうしてもかかると思つております。
  1225. 林信雄

    ○林(信)委員 そうするとそういう経費だけでも一箇年にすると、いうまでもなく二億四、五千万円、三億のものがかかる。そこに持つて行つて一種の育成的に扱つている事業ならば伸びても行くんだが、ほつぽり出して行くと、暖かいものが冷えるように皆つぶれてしまう。無価値になつてしまう。こんなものでも三億何千万円ということになると、今の評価で四十何億が会の方では三十億と言つてみたり何かしているようだが、世間では二十億でもとても――十億あるかしらんと言つておる。ああだこうだするとこれは一年すれば消えてなくなつてしまいはせぬか、まつたくこれは心細い状況にあるのだが、ただ休業をして立法だけに会の方ではたよつておる、こういうことなんですか。それを最後に聞いておきましよう。どうもそれではなくなつてしまいそうです。
  1226. 安井禎二

    安井証人 私現在のところでは立法化一本やりで行つておりますが、おそらくそう長く三箇月も六箇月も待つということはとうていできるものではありませんと思います。これは当然何か伊藤理事長としてもそこまで来ない前にも腹案を持つておるものと私は存じております。
  1227. 小林錡

  1228. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 時間がありませんから重複しない点でお尋ねいたしますが、さつき鍛冶委員からもお尋ねがあつたのですが、出資者の金を預かつて来月から月二分利益を必ず払う、大体確信が持てる、こういうお話がございましたが、あなたが保全経済会にお勤めになつてから後の保全経済会の経理のデータはごらんになつたことはございますか。
  1229. 安井禎二

    安井証人 ございません。
  1230. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 データを見たことがないのですか。
  1231. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1232. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それでは承りますが、あなたは四国に参られて実務をとられたんですな。いろいろ前の委員質問に対してのお答えでは、保全経済会が出されておパンフレツト、さようなものを目標にして、説明をして勧誘されたとおつしやつておりまするけれども、いかなる場合でも必ずきめられた月二分利益というものは払うということを、あなたが勧誘した場合には、お約束をしたのか、また払えるという確信を持つてお約束をしたのかどうか、この点を承りたいと思います。
  1233. 安井禎二

    安井証人 確信を持つて、お支払い申し上げられると申し上げておりました。
  1234. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それから出資をする、金を出される方は、保全経済会の経理がどうあろうとも、出資された金額に対する定められた利益というものは必ずもらえる、三箇月後には元利皆済してもらえるという気持で契約をされたと、あなたが勧誘しておる当時の気持で、思われますか。
  1235. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1236. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこで私承りたいのだが、あなたは保全経済会理事をされており、保全経済会から法務委員会に出されましたデータを拝見しますと、二十五年以来ほんど赤字のデータがここに出ておるわけであります。二十五、二十六、二十七年、黒字ということは一つもないのです。こういうような経理の結論については、少くともあなたは総務部長をやつておる、それから理事をやられておる。全然これを存じ知らないということで、あなたいいのでしようか。それとも存じておるのでしようか。
  1237. 安井禎二

    安井証人 まことに私、十二分に責任は痛感いたします。実際問題としまして、先ほども申し上げましたように、まことに私順調に行つているものなりと承知しておりまして、理事並びに部長としても、まことに怠慢でございますが、組織としまして、そういうものは私ども一応見られないような組織になつておりますものですから。
  1238. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると、めくらめつぽうで、確信がないのに勧誘をして、契約をしたということに承つてよろしゆうございますか。
  1239. 安井禎二

    安井証人 めくらめつぽうでなく、私はあくまでも順調に行つているものなりと信じまして、勧誘しておりましたわけでございます。
  1240. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その点でございますが、あなたの気持をすなおにお答え願いたいのですが、全然、この保全経済会の経理は寸分も、少しも知らないとおつしやるのですか。それとも、知つているのだけれども、言えないとおつしやるのですか。どちらでしようか、はつきり言つてください。
  1241. 安井禎二

    安井証人 経理内容は私存じません。
  1242. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると、経理内容がわからないのにかかわらず、利益配当いたしますと言うて、勧誘して契約したということに承るのですが、その点間違いございませんね。
  1243. 安井禎二

    安井証人 それは私としましては、伊藤理事長を心服し、また順調に行つているものなりと信じておりましたわけでございます。
  1244. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 この経理を見ますと、毎年損をしておる。そうすると、あなた方は伊藤理事長からだまされておつたと、こういうお考えですか。あなたのところから今現実に出ているのだ。そして今十億円も足らないと、伊藤理事長が大蔵委員会に来ておつしやつておる、この現実の事実をあなた方は御存じのはずなんです。営業を休業してしまつたのだから……。それでもあなたは、まだ確信を持つて、ただいま承つておると、必ず二分利益を払える確信があります、信じておりますとおつしやるから、私は承るのですが、すなおにお答え願いたい。まだ今でも確信があるのですか、今はだめだとおつしやるのですか。その点どうなんです。
  1245. 安井禎二

    安井証人 それを拝見しまして、何と申しますか、まことに遺憾な点と私思つております。
  1246. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 遺憾でなくして、結局みんなをだまして、自分の心にもないことを言うて、金を集めたと、こうお考えになりませんか。私はそう思うのですよ。今まではかたく伊藤理事長を信じておつた。経理がうまく行つておると信じておつた。しかし今現在休業になつてうまくやつて行けない、立法化にたよらなければ、自分保全経済会は営業が続けられない、出資者に対して金は返されない、伊藤理事長が大蔵委員会に来てどうにもならない、今やつて行けないということもおつしやつておる。少くともただいまあなたの証言によると、出資者に対して気の毒なんだ、自分はどこまでも責任を負いますと、こうおつしやつておる。そのあなたのお考えが間違いないとするならば、一挙手一投足、この大蔵委員会における問題あなたのところに押しかけて来ておる契約者、出資者の問題と、当法務委員会で今まで証人として調べた人たちの証言の問題は、あなた方は少くとも全部知つていなければならぬはずだ。一人といえども、はつきり科学的、経済的に、これが回収できます、損をさせぬようにいたしますということは、言つておらない。ただ伊藤理事長を信じておるとおつしやつておるだけだ。ところが伊藤理事長が法務委員会に出したデータを見ると、毎年損をしておる。しかも私ふしぎに思うのは、昨二十七年度から今年一年の間に十億からの金がなくなつておる、こういう現実がはつきりデータとして出ておる。こういうものをあなたごらんになつたでしよう。なられても、それでもまだ伊藤さんは、あなた方が信ずるように、伊藤さんのやつていることは正しいのだ、今も承ると、まだ幾らかの金をしたくすると信じておりますということだが、あなたはほんとうに真心からそういうことを考えられるかどうか。私どもは考えられぬと思うから承つておるのですが、真実にあなたそう考えられておるのでしようか、いかがでしよう。
  1247. 安井禎二

    安井証人 私もそのあれをお伺いしまして、まことに遺憾に感ずる点でありますが、私どもとしましては、二十五日の資金の件、それから現在の私としては、少くもだまされたとは考えたくないと思うのです。言いかえれば、商売しまして、いいときもあるし、悪いときもある。これはわかり切つた話ですが、資産の運営を間違つたということは、これは私非常に伊藤理事長にも真剣に申したことでありますが、少くも善意で資産の運営を誤つたというぐあいに私信じたいと思つております。
  1248. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その資産の運営を誤つたということをお気づきになつたのは、いつでございましようか。
  1249. 安井禎二

    安井証人 それはこの十日ごろでございますか、初めての理事会を開きましたときに、こうこうこうだ、非常に苦しいのだという、しかし私どもはそういうことは全然知らなかつたので、私もちようど三宅商事の方へ行つておりまして、電話があつて、すぐすつ飛んで参りました。そのときには、自分の運営の不手ぎわでこうなつたことはまことに申しわけない。しかし必ず金融はつけるからという話がございましたが、私としましては、ほんとうに寝耳に水のようなかつこうでございました。
  1250. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 その点はいかに私どもが押問答してもだめなのですが、私も前の林委員のように、あなたがまじめな普通の頭の持ち主だとは考えられない、私はそう思つているということを一応申し上げておきます。  それからあなたがお金を第一線において四国でお集めになつたときに、その金の取扱い方を具体的にどういうようにやられておつたのでしようか。
  1251. 安井禎二

    安井証人 各支店、出張所で集めました金は、毎月五日ごとに本店へ送金いたします。それから本店からは、毎月月初めと月中と月末と大体三回くらいにわけまして、送金を受けておるわけであります。
  1252. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうしますと、一応契約をいたして入つた金は、各支店、出張所、代理店から直接本社に送られて……。
  1253. 安井禎二

    安井証人 代理店からは送つておりません。代理店支店なり出張所に所属しておるものでございますから、代理店はその支店なり出張所へ持つて参りまして、その支店、出張所が代理店扱いとして、同時に東京の方へ送金しております。
  1254. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 十月二十四日に休業をすると発表されたのですが、二十四日に集められた金は、本社に日本中の各支店から送金された事実があるでしようか、どうでしようか。
  1255. 安井禎二

    安井証人 送金はされておりません。
  1256. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私が代理して支店に参りましたところが、十月二十一日に三箇月の期限が切れて元利支払うべき金を準備はしておつたけれども、本店で払つていけないと言うから払わないということを、交渉の結果現実に知つたのですが、そういう詳しいことを証人は御存じでしようか。
  1257. 安井禎二

    安井証人 私は存じておりません。
  1258. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると、ただいまの二十四日現在支店に集まつた金の送金があつたかなかつたか存じないということになるのですが、あなたはさつき送金していないとおつしやるから、私は念を押しておるのです。
  1259. 安井禎二

    安井証人 その当時、とにかく各地区が一部送金をとだえたので、私ども本店としましても、その当時は経理部の方も非常に金融的にも困つておるということがはつきりわかるので、各地区から送つてもらいたいというのは当然なのですが、各地区でも送金がないために、おそらくその金は本店へは送つていないと私は思つております。
  1260. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 現実には知らないが送つていないと思うということでございますね。
  1261. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1262. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それから二十六年の四月に仏教保全経済会が生れて、証人はその理事になられておるそうですが、他の委員からいろいろと御質問がございましたが、理事会をお開きになつたり、仏教保全経済会の会長さんなり副会長さんなり、これらの方たちが寄つて、この経理に対する関係、あるいは仏教保全経済会の事業に対する関係で、証人がお立会いになつて協議し決定したような事実はございませんか。
  1263. 安井禎二

    安井証人 ございません。
  1264. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そういたしますと、仏教保全経済会は、かような形は出ておるけれども、実際は保全経済会が一切の取扱いをし、そこに一切の入金があり、保全経済会理事長伊藤さんの意思によつて仏教保全経済会に金を出す計画をしたりするということに承つてつてよろしいのでしようか。
  1265. 安井禎二

    安井証人 私の考えでは、おそらく伊藤理事長と仏教の会長なり副会長なりと、いろいろその間のとりきめがあるんじやないか――これも私そう思うだけですが、当然何らかのとりきめがあるものなりと私想像しております。
  1266. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私は大蔵委員会伊藤さんの参考人意見を承りましたが、伊藤さんは、結論を申し上げると、仏教保全経済会はコミツシヨンをもらう機関であつて、その他何らの権限もないのだ、かようにお答えなつたのを承つておりますが、さように伺つていいのでしようか。
  1267. 安井禎二

    安井証人 コミツシヨンを――まことに恐縮ですが、もう一回おつしやつてください。
  1268. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 大蔵委員会伊藤さんのおつしやられたことは、結論から言えば、仏教保全経済会はコミツシヨンをもらう一つの機関である、いわゆるマル仏という伝票に判の押された金額のうちから、幾らかのコミツシヨンを出すようになつているのだ、それも明確に何分とか何割とかきまつていないのだ。それからなお本委員会におきまして、大谷さんもそれと同じ趣旨のことをおつしやつておりますから、それが間違いないと私思うのですが、証人はいかがに思つておいでになりましようか。
  1269. 安井禎二

    安井証人 私はそういつた契約の場合とか話合いの場合に立ち会つておりませんで、そうだということは断言できませんが、私としてはそうじやないかと存じております。
  1270. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうではないかと存じておるということは、具体的にはどういうことですか。
  1271. 安井禎二

    安井証人 コミツシヨンを出すという……。
  1272. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 あなたもそうお考えになるのですか。
  1273. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1274. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それからもう一つ承りたいのは、先刻、理事長室の係があつて、望月京一という方がここにおられたが、その方がおやめになつたのは御存じでしようか。
  1275. 安井禎二

    安井証人 存じております。
  1276. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 どういうような理由でおやめになつたか、御存じありませんか。
  1277. 安井禎二

    安井証人 私その理由は存じておりませんが、実はこれは私九州へ参つておりましたときなので、ちようど疋田氏が人事部長をやつておりまして、電話がありまして、望月さんがやめたよというようなことを私初めて九州で聞きました。それから帰つて参りまして、私としても重要な席におられる方ですから、伊藤理事長にお伺い申し上げました。どういうわけでやめたのですか、いや、ちよつと都合でやめてもらつたからというお話をお伺いいたしました。
  1278. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 先刻証人は、伊藤理事長は感情などで人をやめさせるような方ではない、非常にりつぱな方で、私たちは信頼されておるというお話つたのですが、何か相当理由がなければやめさせるはずはないと思うのですが、ただいまお話のように室長という重要な地位に置かれた望月京一さんですから、何か伊藤理事長との間に利害が反したとか、あるいは保全経済会の秘密を外部に漏らしたとか、あるいは保全経済会の権力の奪い合いをやつたとか、さようなことについて何かあなたはうわさになり、他人からそういう関係でお聞きになつたような事実はございませんか。
  1279. 安井禎二

    安井証人 その点で、実は伊藤理事長にもいろいろ話しました。とにかく望月さんと言えば当時の保全経済会としましては一番重要な地位におられたので、一体どういうわけでやめたのですか、やめさせるからにはよほどの理由があつたのではないでしようかと私も真剣に問いただしました。そうしたら、ちよつと都合でやめたが、今は発表できぬ、いずれ話をする機会もあるだろうというので、そのままになつてしまつたのであります。
  1280. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうすると、証人も相当重要な事故があつたということのお感じは持たれておるわけですか。
  1281. 安井禎二

    安井証人 結局私が先ほど申し上げましたように、室長自体が保全経済会としましてはいわば専務的な役割をやつておりますものでございますから、一番重要な地位だと望月室長の場合も痛感しておりましたし、現在でも室長は非常に重大な地位だということを私感じております。
  1282. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 証人保全経済会に入つた二十五年ごろから望月京一さんは室長としてやめられるまで勤められておられたのでしようか。この点御存じでしようか。
  1283. 安井禎二

    安井証人 望月室長は私が入りましたときにはまだ入社しておりませんでした。二十六年に入社されたと思つております。
  1284. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それから望月京一さんが経理部長もなされておつたということも御存じありませんか。
  1285. 安井禎二

    安井証人 存じております。
  1286. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 経理部長並びに理事長室長をやられて、伊藤理事長の陰になりひなたになり、ほとんど二人は行動をともにされておられたというようなことは御存じでしようか。
  1287. 安井禎二

    安井証人 私その当時四国にずつと駐在しておりまして、一月に三日くらい東京に連絡に帰つてつておりましたので、毎日の行動は存じておりませんが、非常に重大な役目、いわば専務的な役目をやつておられるものだと私思つております。
  1288. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そこで、この間伊藤理事長は大蔵委員会に出席されまして、国の融資の問題並びに立法化によらざれば保全経済会の建直りはできないとおつしやられて、当時の委員から、しからば立法化についてどういうような行動をとられたか、こう質問いたしましたらば、各政党にお願いをいたしております。こういうようなことをおつしやられておりましたが、この各政党にお願いをいたしまする場合に、あなたの存じている範囲においては、望月さんが理事長と一緒に行動されたかどうか、この点は御存じありませんか。
  1289. 安井禎二

    安井証人 それは私ちよつと存じませんです。
  1290. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それは御無理ないと思うのですが、ただ伊藤理事長と政界方面に非常に活躍をされたということは、あなた方の部内ではうわさあるいは話から聞かれておりませんか。
  1291. 安井禎二

    安井証人 別に一緒になつてということは聞いておりませんでございます。
  1292. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 望月さんだけで飛び歩いたというようなこと、あるいは伊藤さんだけで飛び歩いたというようなこと、どちらかそんなことについて承つておりませんか。私がそれを聞きます理由は、ついこの間の十二月七日に伊藤さんが同じような御商売をやつている方たちとあるところへ会合されて、その後に新聞記者の諸君に、自分は確信をもつて政府に立法化してもらえるのだというようなことを述べられた記事があるものですから、伊藤さんが立法化に対して相当自信を持たれているということから考えまして、いろいろの方面に強い運動をなされて、手が打たれておつた、こういうように考えられるのですが、そんなことにつきましてあなたの耳にお入りになつたこと、あるいは、だから伊藤理事長言つていることは大体信用ができるというような、合点の行くような、そういう具体的事実をお耳にしたようなことはございませんか。
  1293. 安井禎二

    安井証人 そういつたような政治的な話は私ども一切聞いておりませんで、ただ産法制化の方をいろいろと運動しているというだけしか承知しておりません。
  1294. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それが、証人が今日法制化の道が認められるという伊藤さんの言を信じているという具体的な一つの信用の根拠でございましようか。
  1295. 安井禎二

    安井証人 あくまでも伊藤理事長はそういつた非常な確信を持つてつておられますし、私どももその確信を承知いたしまして協力しているようなわけでございます。
  1296. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 大蔵省の金融政策に直接関係を持たれる河野銀行局長は一銭一厘もこれについて融資はできない。それから日本の各経済団体の会合の発表によりましても、保全経済会などを禁ずるような法律はこしらえてもらいたいけれども、融資をし、運営を続けてやらせるような気持はないというようなことを新聞やラジオで見聞しているわけであります。大体世間の輿論から考えましても私どもさように考えているのですが、やはり証人はただいま申し上げたような根拠で伊藤さんを信用され、必ず何らかの処置によつて直接損害のかからぬようなことが実現し得られると今でもお考えになつておられるでしようか、これは念のためですが……。
  1297. 安井禎二

    安井証人 はい、そういうぐあいに考えております。
  1298. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 最後にお尋ねしたいのですが、最初に保全経済会は月五分の利益を差上げるという契約をされ、途中から三分に引下げ、さらに二分に引下げて来たのでございますが、二分としますと年二割四分なんです。前に委員からもしばしばお尋ねになりましたが、証券売買において、承りますと、現在の証券部長さんもしろうとらしい、伊藤さんもしろうとらしい、そういうしろうとの方たちが証券売買をされて、はたしてかような利益が得られると確信を持たれたのかどうか、持たれたといたしますならば、単に観念的に持たれたというのでなくして、日本の経済事情はこうなんだ、証券界はこういう事情に動いておる、だから自分たちはかように利益が得られるという、私ども一般の人々が納得の行くような根拠ある御説明が願えませんか。
  1299. 安井禎二

    安井証人 非常にそれはむずかしい専門的な話になりますので、ここでかようかようと御説明申し上げるだけの今資料の持合せもございませんので……。
  1300. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そうしますと、非常に確信の持たれる経済的根拠、そういうものをお持ちにならなくて、出資者に対して勧誘をされるということになるわけですね。そういうようにならざるを得ないことですね。これはさように承つよろしゆうございますか。
  1301. 安井禎二

    安井証人 私はあくまでも伊藤理事長の手腕なり人格なりを絶対に信任しておりまして、現在まで五年間なり六年間一応一回の事故も起さず遂行して参りましたものですから、十二分にその点利潤を上げ得られるものとあくまで確信してやつていたようなわけでございまして……。
  1302. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 証人の先刻お述べになりました証言によると、二十五年以前は存じない方だつた。二十五年に初めて行つてお会いして就職するに至つた、こういうことでございますがさような簡単なことで、ただいまあなたが証言されるようなことがお考えできるかどうか、これが一つ。それから五年間と申しまするが、二十五年から今日まで保全経済会がやられた伊藤さんのお仕事は全部赤字になつて来ておる。昨年、一昨年ごろから私ども関係のない者ですら、保全経済会はまゆつばものである、いまに破綻が来る、かように私ども内容は存じませんが、聞かされておつた。はたしてその通りになつて来た。そういう過程を経て今日に至りまして、相当たくさんの赤字がここに出て参りまして、休業を余儀なくせられておる。しかも立法化、政府の融資にまたなければやつて行けないということを伊藤さん自身がここでお述べになつておる。そうしますと、伊藤さんをあなたが信用されることはあなたの御自由なんですが、今でもまだ御信用になつておるので、私非常にふしぎに思うのですが、どういうような伊藤さんの、具体的に申し上げれば、行動、人格、陣容、手腕、いずれに対してあなたはただいま申していますようなかたい信念を持つて信用なさるか、これを聞かしてもらいたい。ということは、私ただいま承つていますことは、単に私一個の質問ではございません。十数万の出資者を代表した気持で私は承りたいと思つています。あなたが勧誘された方たちもその中にはいらつしやるでしよう。そういうことにあなたが従事されて、契約された方たちに対して、あなたがなおかつ伊藤さんを信じておらなければならない根拠をお示し願いたい。
  1303. 安井禎二

    安井証人 伊藤理事長の人となりと申しますか、実はこういうことがありました。まだ二十五年の年でございましたか四国の高松の会社の者が四国から連絡に神戸に参りました。そのときに伊藤理事長がおられまして、ちようど朝着きまして、すぐ連絡ついて四国へすぐ帰れ、そのときに伊藤理事長が、当時三等で各社をまわつておりましたが、その職員に、まことに疲れるだろうから、ぼくは三等でいいんだ、君は二等でぜひ帰つて疲れぬようにしてもらいたいといつたようなことで、会社の人間も四国へ帰りまして非常に感激しておりました。それからあの方の生活態度と申しますか、非常に質素な生活態度を拝見しております。今はどうか知りませんが、相当なときになるまでくつ下を継いではいておられる。御家庭の生活なんかも非常に質素な生活をしておられるように承つておりますし、そういつた人格的なところからも伊藤理事長を信頼しておるという一端を申し上げるわけでございます。
  1304. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 手腕の点はどうでしよう。現在は手腕の点にかかつておるわけですね。金がなければこれは何ともできない。こういうような具体的な手腕を持つておる、経済界にかような力を持つておる、従つて自分は必ず金策ができる、この事業が復活できるんだという一つの根拠をお示し願いたい。
  1305. 安井禎二

    安井証人 手腕と申しますか、これは具体的に私どうこう申し上げることは……。こういつたようなことになりましたが、とにかく二百の支店、出張所を持ち、これだけに育て上げたということ自体私非常にえらいことだ。しかし不幸にしてこういう最悪な休業状態に入りまして、私理事といたしまして、深刻な責任を十二分に感じております。伊藤理事長のここまでして来られた手腕と申しますか、力量と申しますか、そういうぐあいに私解釈したいと存じております。
  1306. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 なるほど私どもも伊藤さんがここまで持つて来たことについては並たいていではないと思うのですが、拝見しますと事実に沿わない宣伝をされておる、相当な金を使つて来た。そうして今日まで築き上げたものでありますから、私そうあなたが御信用になるほど信じられないのです。あなたは人格とおつしやるが、今回のような社会的変動のいろいろございます場合に、少くとも十五万人からの出資者との契約をしておる以上、しかもそれが大体零細な金を集めておられるのであるから、普通の経済人であり、普通の責任感を持ち、真実にあなた方や伊藤さんが証言され現在御主張になつおるようなお気持ならば、すでに今日あることのために第一段、第二段、第三段の準備をしておくべきだつたと私は思う。ただ出たとこ勝負ででたらめな宣伝をし、日本中の経済的無知な人間に金を出さして今日の結果を引起した、こう私どもは見るのです。むしろ人格を尊重するよりも、一体この人間的な責任をどうするかということ、このことについて私どもは痛烈に義憤を感じておるわけです。あなた日本人としてそういうお考えを持たぬでしようか。
  1307. 安井禎二

    安井証人 私理事の一名としまして、先ほども申し上げましたように、こういう休業状態に入つたということ、これはもう運営の不手ぎわのいたすところで、深刻な責任を感じておる次第でございます。
  1308. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 私は証人のお気持を承つておるのではない、伊藤さんに対するあなたの気持を聞きたい。必ず仕事には蹉跌でございます、その蹉跌に対して備えておかなければならない、しかも非常に零細な金を集めた十数万の同胞でございます。私どもの知つておる金を出した方たちの中にも、一家心中しなければならぬ方がある。もう明日からも困つておる。現にこの法務委員会に参りまして、自分は胸の病を持つてつて入院したいんだけれども、あのために入院する金がなくなつたという悲痛なことを承つた。そういうことを考えますときに、伊藤さんの今までやられたことについて、あなたのおつしやるように神様でも信ずるような気持になられるかどうか、かような不時のできごと、かような蹉跌に対し準備をされておくのが、責任ある人のやり方でなかつたかと私は思うのですが、あなたはどうお考えですか。
  1309. 安井禎二

    安井証人 私もそう思います。
  1310. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 最後に……。あなた方が御信用になられている伊藤さんは年末までに幾分かの金を支払われるそうでございますけれども、もしあなた方の考えておるような満足する金が支払われなかつた場合には、結局伊藤さんからあなた方がだまされたということになると思うのですが、さようなお考えを持ちませんか。
  1311. 安井禎二

    安井証人 私そういうような――おそらくそのときになりましたら、その気持になると思つておりますが、いまだに私はできるものなりと思つております。しかし先ほどおつしやられるようにもしかできなければ、私としてもまことに不明のいたすところで遺憾にたえない次第であります。
  1312. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 そういうことになれば、結局あなたが伊藤さんからだまされ、あなた自身が多数の勧誘されて出資された方をだましたということになるわけですね、それに対する責任を負おう、こういうことですね。
  1313. 安井禎二

    安井証人 しかし――もちろんそうですが、私現在も伊藤理事長にだまされているとはとうてい考えられません。もしかこの二十五日に支払うという公約ができませんことには、私としてもまことに遺憾な点が多々あると同時に、当然そういつたような気持になると思つております。
  1314. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 二十五日の支払いでなくて、出資をされた方たちに損害が行かないようなことにならなければならぬのじやないでしようか。
  1315. 安井禎二

    安井証人 そういうことであります。
  1316. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 それをやらなかつた伊藤さんだとするならば、あなた方が伊藤さんからだまされ、おどらされた、おどらされた結果勧誘をして出資者をだましたという結論になるそれに対する責任を痛感するということなんでしよう。
  1317. 安井禎二

    安井証人 はあ。
  1318. 古屋貞雄

    古屋(貞)委員 終りました。
  1319. 小林錡

    小林委員長 あなたの保全経済会で持つておる持株の説明をさつき聞いたが、どうも見るところ価値のあるような株が非常に少いようです。特に新聞事業なんというものはそうもうかるものじやないんだが、そういうところへ一千七百万円、一千万円という大きな金がつぎ込んである。これは、これらの経営者との間における特別の知合い関係か何かで金を出したのですか、もうけるということが主でなくして、だれか友人を助けるとかなんとかいうつもりで出しているのではないですか。たとえば中外日報が一千万円でしよう、これはどこにある新聞ですか。
  1320. 安井禎二

    安井証人 これは京都にあります。
  1321. 小林錡

    小林委員長 これはよほど大きい新聞ですか。
  1322. 安井禎二

    安井証人 仏教関係仕事をしております。
  1323. 小林錡

    小林委員長 これは本願寺に関係のある新聞ですか。
  1324. 安井禎二

    安井証人 本願寺でなく、宗教界を一つに限定しませんで、超越した……。
  1325. 小林錡

    小林委員長 夕刊岡山というのはどうですか。これは大した金ではないが、これは知合いか何かの関係ですか。
  1326. 安井禎二

    安井証人 やはり岡山の何か知合いだと私よく存じませんが……。
  1327. 小林錡

    小林委員長 それから新トリビユン社というのはこれは何ですか。
  1328. 安井禎二

    安井証人 存じません。
  1329. 小林錡

    小林委員長 ほまれ商事は証券ですか。
  1330. 安井禎二

    安井証人 ほまれ商事はこれは金融会社だと思います。
  1331. 小林錡

    小林委員長 どうも伊藤理事長が何か個人関係で特に金を出して株を引受けて助けたというような関係じやないでしようか。それでなければもうけることを目的として持つておるような株じやないですね、あなた方常識でどう思いますか。
  1332. 安井禎二

    安井証人 まあそういうぐあいに考えられないこともありませんが、しかし私ども一応相当成算があつて投資じやないかと思つておりますが……。
  1333. 小林錡

    小林委員長 しかしそんなえらいもうけのある性質の会社じやない、とにかく人から金を集めてその金を有利にまわして利益配当してやらなければならぬ、そういうものを個人関係投資したとすれば明らかにそれは任務にそむいておると思う。重役の名前、顧問の名前を調べて書いて来てください、こちらでも調べますから……。間違いがあると私の方でも調べるからわかります。それから資本金の総額と、場合によればどういうわけでこれの株を持つことになつたかということ、それからいつごろ金を払つてその株を持つたものかというようなこともわかつたら……。十月二十四日に出したあいさい状は……。
  1334. 安井禎二

    安井証人 これは存じません。――先ほどのあれを拝見させていただきたい。     〔証人に書類を示す〕
  1335. 安井禎二

    安井証人 この「挨拶」の方は存じております。下の「謹告」と「各位」の方は存じておりません。
  1336. 小林錡

    小林委員長 前もつて相談を受けたのですか。
  1337. 安井禎二

    安井証人 これは爾後でございます。
  1338. 小林錡

    小林委員長 爾後といつて、幾日くらいたつて……。
  1339. 安井禎二

    安井証人 これは二十八日ごろじやないかと思つております。
  1340. 小林錡

    小林委員長 本日はこの程度にとどめておきます。  次会の開会日時は公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時三十二分散会