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1954-03-22 第19回国会 衆議院 補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員会農林委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十二日(月曜日)     午後二時四十七分開議  出席委員   補助金等臨時特例等に関する法律案特別委   員会    委員長 葉梨新五郎君   理事 岡村利右衞門君 理事 川村善八郎君    理事 羽田武嗣郎君 理事 松岡 俊三君    理事 吉川 久衛君 理事 井手 以誠君       生田 宏一君    小枝 一雄君       鈴木 善幸君    福田 赳夫君       山中日露史君    川俣 清音君   農林委員会   委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 福田 喜東君    理事 吉川 久衛君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐々木盛雄君    松岡 俊三君       今井  耕君    足鹿  覺君       井手 以誠君  出席政府委員         法制局長官   佐藤 達夫君         法制局次長   林  修三君         総理府事務官         (自治庁財務部         長)      後藤  博君         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      佐藤 一郎君         農林政務次官  平野 三郎君         農林事務官         (農業改良局         長)      塩見友之助君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         漁政課長)   家治 清一君         農 林 技 官         (畜産局衛生課         長)      斉藤 弘義君         農林委員会専門         員       難波 理平君         農林委員会専門         員       岩隈  博君         農林委員会専門         員       藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  補助金等臨時特例等に関する法律案内閣提  出第四九号)     —————————————
  2. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 これより開会いたします。  私が法案付託委員会委員長でありますので、慣例によりまして本連合審査会委員長の職務を行います。  補助金等臨時特例等に関する法律案を議題といたします。
  3. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 ただちに本案に対する質疑を行います。質疑通告順にこれを許可いたします。今井耕君。
  4. 今井耕

    今井委員 主として大蔵当局にお伺いするのでありますが、本年度予算編成にあたつて緊縮方針で、その緊縮予算を組むところの必要が起つた根本は、いわゆる国際収支の悪化とか、そういう点から緊縮予算そのものは必要でありますが、しかし日本経済再建という意味から考えるならば、ただ緊縮だけでは経済再建はできぬのであつて、同時に、日本経済再建するために、はつきりしたところの方向というものが示されなければならぬと思います。これは政府一つの大方針として必要であると思うのでありますが、いろいろ各省から予算要求なんかがあり、それに対して大蔵省がいろいろ査定をせられた、そういう際に、ただ緊縮ということじやなしに、日本経済再建という上から考えてどういう方針をとられたか、その点を最初にお伺いしておきたいと思います。
  5. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ただいまお話にございましたように、二十九年度予算編成にあたりましては、いわゆる一兆円を目途といたしましたところの予算編成をいたしましたが、その根本目的といたしますことは、御指摘のように、いわゆる国際収支赤字傾向、これをこの際に改善打開いたしたい、こういう根本方針がございまして、結局そのためには財政規模の膨脹によるいわゆる財政インフレから来るところの国際的な物価の割高というものを防ごう、こういう趣旨に基いておるわけであります。従いまして、財政規模がとかく膨脹しようという傾向を極力抑えようといたしたのが現実であります。いわゆる緊縮という名もそういうところから出て参つたわけでありますが、御承知のように、本年の予算におきましては、前年度に引続きまして当然増加が予想される経費相当ございました。たとえば軍人恩給経費でありますとか、あるいは災害関係経費でありますとか、いろいろ当然増加が予想せられる経費がございます。これらの当然予想せられる経費をそのままに見積りますると、一兆をはるかに越えて一千億近くになりかねない情勢であつたわけであります。しかし、ただいま申し上げたような大きな方針から、これを一兆ぐらいのわくにとどめる。この一兆と申しますのは、前年度予算に比べて、なるほどあの大災害の結果として補正が組まれました、その補正を含めたところの二十八年度予算規模よりは下まわつておりますが、二十八年度の当初の予算規模から見ますれば、なおそれでも相当増加いたしておるわけであります。ここ数年当初予算規模というものは逐年増加の一途をたどつてつたわけでありまして、そうした傾向をこの際ぜひ打ちとどめたい、それによつて先ほど申し上げたような根本的な意味方針を立てたい、こういう気持であつたわけであります。それで、すなおに従来の当然ふえる経費をただ積算いたしますと相当にふえる、こういう情勢にございましたものを、いわゆる一兆円ラインにとどめました結果としまして、軍人恩給等の当然ふえます分を除いて全体を押えました結果、他の経費相当の影響を及ぼしたことは事実でございます。そのために各般の措置を講じたわけであります。  そういう大きな方針の中におきまして、さらに、政府といたしましては、もう一つのこれも相当大きな方針を立てたわけけであります。それは中央地方を通ずる財政調整の問題でございます。御承知のように、地方制度調査会答申案というものがございまして、中央地方財政調整ということが、あわせて相当大きな方針として予算編成方針にうたわれておるわけであります。そのために、従来地方平衡交付金制度にかわるものに、いわゆる交付税制度というものをとりましたし、そのほか入場税の移管であるとか、タバコ消費税創設であるとか、各種の措置がとられたことは御承知通りであります。政府としましては、それらとあわせまして、中央の現在支出いたしております経費のうちで、地方にまわしてしかるべきものは極力これを地方まわしにする、こういう方針を一面に立てておるわけであります。  それらとあわせて、結局補助金整理という一つ方針を立てたわけであります。総体としての財政規模圧縮して、できるだけ不要不急のものはこの際あとまわしにするという大きな方針、もしくは中央地方を通ずるところの財政調整見地から、中央の支出しておる経費で、地方一般財源にまわしてしかるべきものは極力これを地方にまわす、こういうような方針から、やはり補助金整理の問題が起こつて参つたわけであります。  補助金整理の問題につきましては、そのほか、いわゆる一般的な批評といたしましても、わが国の補助金がとかく少額であつて件数が多い、これらの事務費とかこれを補助をいたしますための行政費というものも、ばかにならぬ、これに対してどれほどの効果があるかというような、いわゆる補助金論根本に関する批評相当聞かされておることは、御承知通りであります。それやこれやを勘案いたしまして、政府としては補助金整理を行つたわけであります。その際に、いわゆる補助金整理につきまして、ごく大ざつぱな根本方針といたしまして、地方公共団体に対するものはでぎるだけ支障のない限りは地方にまわす、こういうような方針を立てたわけであります。  話がまたこまかくなりますが、大きな方針といたしましては、ただいま申し上げたようなことであります。
  6. 今井耕

    今井委員 予算規模を縮小する、それから中央地方を通ずる財政調整ということは、これはわれわれもよくわかつておるわけですが、私のお尋ねしたのは、ただそういうふうに予算規模を縮小するということだけであるならば、日本経済はそれによつて再建されにくい。緊縮下においても、日本経済再建する上においてやはり積極的な部面というものが必要である。そういうことを何も考えないで、ただ縮小ばかりやつたならば、日本経済再建はむずかしい。それはむしろ萎縮予算である。従つて緊縮であつても、経済再建に必要な部面については、より一層努力することがなければならぬ。そういう点から考えまして、何か大蔵省としてそういう点を考えられたことがあるか。これは今の補助金の問題について根本問題になる。その点をお聞きしたわけであります。
  7. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 ただいま申し上げましたように、全体として規模圧縮を行つておりますために、巨額なものをある経費についてふやすということは、なかなか事実上困難な状況でございましたが、それでもただいま御説にございましたように、ただ一律に削るというとはいたさなかつたつもりでありまして、できるだけ経費の重点的ということを考えまして、全体としては圧縮いたしましたが、それでもなお、あるものについては極力これの歳出に努力した、こういうものもございます。たとえば治山治水系統経費、これは年々の災害を惹起いたしておる根本原因にかんがみまして、治山治水経費については極力これを確保いたそう、あるいはまた最近の各方面の非常な交通量増加に応ずるために、道路の経費についてもある程度の経費確保しよう、あるいは講和締結がいたされまして、賠償系統経費、これらの経費についてもまず国際的に果さなければならない義務でございますから、これらの系統経費についてもあいさつしなければならない、あるいは安全保障見地から、防衛関係についてもある程度の増額をいたしてあります。それから一般的によく議論の引合いに出されますが、社会保障関係経費、これらについても、いわゆる対象人員が逐年増加いたしておりますために、経費として特に目新しいものでなくとも、経費の総額としては事実上相当ふえざるを得ないということになつておりまして、特にそれらに関連しまして、軍人恩給等のように相当大きく増額を余儀なくされたものもあるわけであります。ただいま申し上げましたように、結局全体として圧縮されております中におきましても、できるだけ重点的にある程度のものはふやさざるを得ない、こういう考え方でおります。住宅の政策経費等についても、これはこの二、三年来特に重点を入れた関係もございまして、苦しい中ではございましたが、できるだけこれの圧縮を避ける、こういうような考え方に立つております。
  8. 今井耕

    今井委員 今いろいろ御意見を伺つてたのですが、直接国際収支赤字をなくすためには、輸出の増進ということと、一方において輸入を何とかして減らして行く、そういうことについて、もう少しはつきりした点がなければならぬと思う。ところがそういう点がきわめてはつきりしないという点をわれわれ非常に遺憾に思つておるのであります。そういう点から考えて行くと、輸入を少くするについては、何としても国内の自給度の向上ということに非常な努力を払う必要がある。そういう点から考えて、輸入の最も大きなものが食糧であるから、輸入食糧増産に必要なこういうものについては、相当深い関心をもつて、重点的な施策を講ずることが必要で、あると思うのであるが、それを今度は農業改良のための補助金なんかを減らして行く、こういうふうに来ておるということは、私は大蔵当局の方があまりにそういう方面について関心がないのじやないか、そういうふうに考えますので、大蔵当局根本的な考えを聞いたわけですが、そういう点はどういうことになつておるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
  9. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 食糧増産が国の経済政策根本であるということについては、私どもももちろん異議がございません。そういう意味において、全体として圧縮されておる中におきまして、できるだけそれが確保されるように努力はいたしたつもりでございます。いわゆる食糧確保というか、自給の確立というものは、単なる補助金政策だけで目的が達せられるものとは私ども必ずしも思つておりません。国の政策全体として考えて打つべき手がもつとたくさんあるのでありまして、中にはいわゆる補助金の中でどうかと思う補助金も、正直に申し上げて、われわれの観点から見れば、ないとは申し上げられないのでありまして、そういうものはできるだけ整理いたす。また食糧増産は、何といつてもこれは地方行政とも非常に密接に連なつておるわけであります。中央各省がただ機械的に補助金県ごとに配分いたしまして、そうして地方の知事がただ機械的に裏づけの財源の捻出に苦慮するということだけでは事足りないと思うのでありまして、その地方の県あるいは市町村ごとにそれぞれの特殊な食糧事情がございましようから、そういう意味で、食糧関係経費については、いわゆる地方自治の原則とも相まつて、ある程度地方経費をまわしてしかるべきものはまわしていいのじやないか。食糧増産につきましては、その重要性ということは従来から認識されつつも、しかもなお零細補助金交付ということが、いわゆる食糧政策の上からいつてどういうものであるかという点についての批評もあることは御存じの通りだと思います。私どもはとかく大蔵省の立場から物事を考えますので、そういう批評には相当耳を傾けておるわけでありますが、そういつたような点を広く勘案いたしまして、できるだけやつたつもりであります。  今回の補助金整理におきましても、食糧関係経費につきましては、財政全体としては、削る一方というよりも、ただいま申し上げましたように、地方にまわした面が相当にあるということを御了承願いたいと思うのであります。またいわゆる個人が受益する補助金につきましては、今般の補助金整理におきまして、できるだけ整理をしたいという考え方が一面にございまして、ある程度削つておることは確かでございます。補助金につきましては、一概に全部がいいとも言えないし、個々的に当つてみて、そうしてできるだけ適当なものを選んで行きたい、こういう気持でやつているわけであります。
  10. 今井耕

    今井委員 地方にまかしておいて、それが国の方針に一致するような方向に進むならば、補助金などは全部地方に渡して、地方自由財源にした方がいいことは当然のことであります。しかし、こういうような農業改良に必要なものに対し三分の二の補助をしたというところの最初根本的な考え方は、地方にまかしておいては十分行かない、ほかへ使われてしまう、従つて特に三分の二の補助をして、そうして国の食糧確保の線にだんだんと持つて行こうという考え方補助が出されているものと考える。私は、この問題には、農業改良助長法などができた最初から非常に重大な関心を持つて審議にもあずかつてつたのでありますから、根本的精神は十分わかつているつもりであります。そこで、今こういう補助金を半分にすると、地方では、国の方はもうこれについては半分に減らして非常に関心が薄くなつているのだと、こういうふうにすぐに響いて来るのであります。そこが重大な問題だと思う。そこで、やはり重要なものについてはこれを一層充実する、そういうふうに考えるように持つて行くことがいわゆる政治だと思うのであります。それを、平衡交付金の中へ入れておくからとかなんとか言つてお茶を濁すようなことになつておるけれども、そういうことは、今日食糧確保ということが非常に緊要であるときに、正直に言つてきわめてまずい行き方であると思う。地方財政がもう少しゆたかになつて、そうして地方の方がただ地方のことだけにとらわれないで、日本の国の実情というものをよく認識して、放任しておいてもどんどんその方面地方が進んで行く、そういう時期になつたならばそういうふうにしてもよろしいけれども、そういうふうになるまでには、やはり国がそういうような方途で進んで行くということが最も必要である。そういう点から考えて、まあ農林省あたり関係者はよくわかつておると思うが、大体大蔵省あたり人たちがそういうことが頭にぴんと来ておらぬのではないかと、私はこれを非常に遺憾に思うのでありますが、そういう点はどういうふうにお考えですか。
  11. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 議論になつて恐縮でありますが、従来から農林省予算食糧増産中心でありまして、大蔵省としましても実は非常に敬意を払つておるのであります。ただいまのいわゆる改良普及員などにつきましても、当初これが成立いたす際に非常に国会の御尽力があつたとは私どもも聞いておりますが、この制度創設されますときには大蔵省としても非常に力こぶを入れたのであります。単純に零細な補助金個人交付するというよりは、やはり技術改良根本であるから、そういう点に中心を置いて行くことがいわゆる新しい農業政策方針であろう、こういうことで大蔵省も非常に賛意を表したのであります。実はこの改良普及員制度は、さらに戦争中からさかのぼつたいろいろな制度が基礎になつて今日ここまで来たものだと思われますが、そういう意味においては大蔵省としても年来非常に関心を持つてつたわけであります。一面、国の補助金補助率につきましては、できるだけいわゆる二分の一の補助率というものにいたしたい、いやしくも補助であるからといつてただ金をもらうという考え方でなく、国も半分くれるから自分も苦しい中を半分出し、両方で出し合つて、そうして責任を持つてつて行こう、こういう補助金の元来の姿、適当な姿は、大体二分の一くらいが適当である、出す方も出される方も両方責任を分担し合つてつて行く、こういう姿にしたいというのが実は補助金整理のときの一つ方針になつておりました。あまり高額な補助率をやりますと、特別な場合以外はとかく地方としては今度は安易な気持ちに流れる。でありますから、自分もできるだけ苦しい中を出し合つてやるという補助率がいいのではないか。御承知のように普及改良員制度というものは創設以来六、七年になつております。私ども考え方といたしましては、補助金というものはとかく固定する傾向がございます。当初は、これは新しい事態であつて、これをぜひ普及させたい、促進させたいんだという要求で入れるのでありますが、いつの間にかそれがもうすでに奨励の段階を過ぎまして、そしてほぼ広まつたと思われる後にまで補助金というものは固定する傾向があることも確かでございます。そのために二十五年から例をとつてみましてもわかるように、年々補助金件数金額はふえる一方でございます。ふえることがあつても決して落ちることがない。そういう観点からいわゆるこの制度創設いたされまして、相当府県にも普及された。昔はいわゆる中央の役人だけが普及改良制度について強い関心があつたのが、今では地方の自治体の方々も十分この制度の意義を把握された、ある段階が来たならば、その補助率を適当な姿にもどすということは必ずしも不適当ではないだろう。特にその身がわり財源として地方財政の方にかわりの金額を組み込んだわけでございますから、決していわゆるこの普及制度というものを軽視した気持はさらにない。むしろ徐徐にそういう姿に直して行くべきではないか。もう何年間も同じような姿でいることが必ずしも適当ではない。またそれをそういう形にしたことによつて、必ずしも中央政府がこれを軽視したのではない。地方にもあわせて努力をしてもらいたい。現に食糧増産に非常に熱心な県のごときにおきましては、いわゆる農林省の組合の財源よりもはるかに多額のものを県費から支出している実情であります。やはり地方自治の現在でありますから、そういう傾向はこれを助長する必要もあろう。そういうようないろいろな観点からこういう考え方が出たわけでございます。
  12. 今井耕

    今井委員 補助金中央地方とが二分の一ずつ負担するということがいいということは、これはよくわかるわけです。しかし、大蔵省当局一般論から言うならば、そういうことも言えるのでありますが、しかし今日の実情ではまだそれを減す段階には行つておらぬと思います。事実実際の経費からいうと、本年度普及技術員補助一つをとつて考えてみましても、約十億円くらいになつております。ところが実際必要な経費は二十六億くらい必要なんだ。従つて大蔵省あたりでは二分の一だと思つているけれども、実際においてはこれは三分の一になつております。そういう面もある。従つて、今大蔵当局考えておられるごとくに、なかなか地方はそう行つておらぬ。それが事実なんです。そこで二分の一に減してもそれがどんどんとやつて行けるという段階に今来ているというなれば、私は何もこんな質問はせぬのであります。その段階に来ておらぬがために、こういう質問をしなければならぬ。そこで、農林当局にちよつとお伺いしますが、こういうふうに減した場合においても、地方で今従来のように予算を見てそうしてどんどんとやつて行けるか、むしろ今日の日本経済の事実から考えるなれば、より一層大きな農業改良事業というものを積極的にやる、そういう段階において、二分の一に減しても全然支障がない、そういうふうに確信を持たれているかどうか、その点ひとつお伺いします。
  13. 平野三郎

    平野政府委員 今回の制度改正によりまして、農業改良普及事業が後退するおそれはないか、こういう御趣旨と存じまするが、これは要するに各地方認識の問題でございまして、当初三分の二という高率の補助制度をとりましたことは、やはり中央が力をいたさなければなかなかやらない、こういうことであつたわけでありまするが、相当時日もたちまして、この普及事業重要性地方認識せられましたから、やはり地方相当これに協力してやつてもらう、こういう趣旨で今回制度改正を行うわけであります。従つて要は地方々々の認識いかんにかかつているわけで、ただいま大蔵省の方からお話がありましたような、非常な認識があつて県費を多額に支出してこの普及事業に協力しているというところもあるわけであります。また案外認識の薄いところもあるかもしれないと存ずるわけでありますが、しかしながら、政府といたしましては、もうこの程度のところをもつて、かなり地方認識も浸透したから、地方自治体においてもこれに協力をするという時期に参つた、こういうふうに考えているわけでございまして、この制度改正によりましても、この普及事業が後退するということはないと存ずるわけであります。なお、そういうことのないように、念のために政府といたしましては、各都道府県に対しまして厳重なる通達を発しまして、指導監督努力いたす所存でございます。
  14. 今井耕

    今井委員 農林当局としては、非常に支障があるというような答弁はこの席ではできぬのじやないかと思いますけれども、事実各府県実情を調べると、非常にいろいろ支障を来しているところがもう見えているのです。従つて、今大蔵当局答弁されましたけれども、それはまだ認識が十分じやないということです。われわれが国民の方々様子を聞いて支障がないと思つたら、私もこんな質問をしないでもよろしいし、また大蔵当局の御答弁で納得するわけなんです。しかし、われわれが実情をずつと調べて見ると、非常に支障があるわけなんです。現に国の方でこれだけ減らしたら府県の方ではこれだけしか出さぬ、こんなことを言つている府県方々にある。あるということは、大蔵当局考えておられるようなそんなこととは様子が違うということなんです。これは実際問題です。だから補助を二分の一に減らすのが理想だ、それはその方がいいに違いないけれども最初せつかく三分の二補助をして、そうして今ようやく軌道に乗りかけたところなんです。まだしつかりしていやせぬ。うつかりすると減らしてしまつてほかに経費が行く、そういう憂いがまだ多分にあるのです。ようやく今形ができただけなんです。それをもう数年たつたから大丈夫じや、そんなふうに考えておられるということはきわめてこれは認識不足です。私は農村を歩いて十分実情を知つているのです。そういうところに今回のこういう考えが出て来るということは、これは実に認識不足もはなはだしい。私は農林当局なんかはわかつていると思うが、そういうことではやはり納得ができぬと思うのです。これは農林当局の方で各府県の模様なんかがもう少し具体的にわかりませんか。私はいろいろ各府県から聞いているのですが、何かそういうような様子がもう少し具体的にわからぬか。もしわかつていたらひとつお知らせを願いたい。
  15. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 私の方も、その点につきましてはどういう影響があるかという点について十分心配をいたしまして、各府県の方の実情については話では聞いております。それから地方財政予算の組み方等も検討しておりますが、今までのところはここで確たることをお話できる段階には来ておりません。地方財政全体の規模がどうなるかというようなことをにらみ合せないと、県の財政当局の方もはつきりしたことは言いにくい、こういう状態でありまして、今のところは政府方針にかなりの程度協力してやつてもらえるような状態のようですけれども財政次第である程度の影響は来やしないかということを心配しているわけであります。
  16. 今井耕

    今井委員 それでは局長ちよつとお伺いしますが、現在の制度をそのままやるとして、中央地方を通じて実際にどれくらいの見込みでありますか。
  17. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 平衡交付金の方に繰込まれておるという額が三億ちよつとでございまして、そのほかに約五千万円近くのものが平衡交付金を切つた富裕府県の分として、これは予算に計上しておりません。合せまして大体三億五千万円程度というふうに見ております。
  18. 今井耕

    今井委員 そうすると、平衡交付金の中に入つておるものが約三億、今回の二分の一補助で約十億、合計十三億。今中央地方を通じて実際使つておる金は約二十六、七億円かかつておるというふうに私考えておるのですが、総額そのくらいにならないでしようか。
  19. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 人件費の方で使つております額が大体そのくらいの額になります。政府の方の補助単価の方では、勤勉手当であるとか、あるいは超過勤務手当であるとか、そういうものを計算に入れておりませんので、そういう分は純粋の県費で負担しておるという関係から、それも計上いたしますと、大体そのくらいになります。実質上政府補助が人件費について三分の二と今申しておりますが、超勤手当それから勤勉手当等を含めますれば、大体二分の一くらいという状態になつております。
  20. 今井耕

    今井委員 そうすると、今大蔵当局の説明で二分の一に減らして、あとは平衡交付金の中に入るという御説明でございますが、その分が約三億、そうして二分の一補助で約十億、計十三億、こういうことになるが、実際必要な経費は二十六億、そこで補助金の分と平衡交付金の分と両方入れて、ようやくにして半分、そういうことになるので、実質的にいうと、これは交付金を入れて二分の一にしかならぬ、こういうことになることは、大蔵当局は御了承になりますか。
  21. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 補助金、負担金、いろいろの種類の経費の性質がございます。それで、国が補助いたします際には、もちろん個々の団体の実情のもとに、全部それに応じてやるというわけに行きません。予算においては一定の基準を設けまして、たとえば職員に対する補助金というものは、大体どれくらいの給料のところを一定の目安にして、出すということにどうしてもならざるを得ないのでありまして、これは補助制度の上からいつてある程度やむを得ないことだと思います。この基準から、たとえば国が想定したよりも非常に給料の高い役人を地方が置いた場合、あるいは手当等についてはどうしても地方の負担になるというものが当然あろうかと思います。これはある程度私どもも話を聞いております。それから、先ほど申し上げましたように、逆に国の補助金が出ておるものに見合つた財源を出すか出さないか、かつかつのところもございます。これは県の財政事情によります。またある県は食糧増産に力を入れまして、いわゆる国の補助金を百といたしますと、百五十くらい出しておる県もあるのであります。それで、ある程度その事情事情に応じ、地方財政の状況に応じて出していただく、これはある程度やむを得ないのじやないか、こういうふうに考えております。
  22. 川俣清音

    川俣委員 関連して。私本委員会においてもあらためて質疑をいたしたいと思うのですけれども、この際ちよつとお開きしたい。それは、大蔵省よりも、林法制局次長がおられるのでお聞きしますが、農業改良助長法の二条の一項二号、「農業改良研究員の世知設置につき、都道府県の要する経費について、その三分の二」とありますが、これは三分の二以下であつてもさしつかえないという御解釈ですか。林さんならおそらくそういう解釈をなさるのだろうと思うのですが、それでよいですか。
  23. 林修三

    ○林政府委員 今の川俣先生の御質問は現行法についての御質問でございましようか。現行法では、明らかに、「左の各号に定めるところにより、補助金又は委託金を交付する。」と書いてありまして、二号の農業改良研究員の設置については、「都道府県の要する経費について、その三分の二」と書いてございます。従いまして、これはこの法律から申せば都道府県の要する経費の三分の二で、三分の二以下というふうにはなつておりません。
  24. 川俣清音

    川俣委員 その法文を聞いておるのではない。三分の二とあるけれども、三分の二よりも経費を負担しないでも、この二条一項二号に抵触しないのかどうか、二以下であつてもよろしいという解釈をしておられるかどうか、この点をお尋ねしておるのです。
  25. 林修三

    ○林政府委員 今の御質問は、現在の農業改良助長法の二条の御質問だと思いますが、現行法では予算の範囲内ということは書いてございません。これは三分の二を補助する、あるいは、三分の二を負担するという建前であると私たちは考えるわけであります。
  26. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、都道府県の要する経費という内容はどの範囲まで含むのであるか。要する経費というものについて法制局の見解を聞いておるのです。
  27. 林修三

    ○林政府委員 これは結局、こういう研究員の設置につきまして合理的に都道府県として必要と認められる経費、かようなことであろうと存じます。
  28. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、改良局長にお尋ねしたいのですが、現に支払われておりまするのは五十四、五パーセントではないかと常識的に判断して考えるのです。そういたしますと、経費の三分の二以下を見ておるわけで、この二条一項二号に抵触するというふうにお考えにならなかつたものか、この点を改良局長にお尋ねしたいのです。
  29. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 これは他の面にもおそらくそういうふうな例があるかとも思いまするが、大蔵省の方で予算を組みますときの補助単価の算定について、実際と食い違つておるようなところも見られますので、結果としてそういう面もあるかと思います。これもその例の一つになるかと思います。
  30. 川俣清音

    川俣委員 この法規を基礎にいたしまして改良局は農業改良指導をしておられるはずです。ところが、その三分の二という規定がありながら、それを実施できないのは、これは改良局の責任であるか、大蔵省責任であるというふうにお考えになつておるか、そのいずれであるかを明らかにしていただきたい。
  31. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 それは予算単価の問題として大蔵省の方と折衝してきめるわけですから、両方共同の責任、こういう形になろうかと思います。
  32. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、三分の二と書いてあろうが、五分の四と書いておこうが、二分の一と書いておこうが、法律上の問題ではなくて単価の問題だ、こういうふうに解釈してもよろしい、こういう意味での御発言でありましたかどうか、改良局長にお尋ねいたしたい。あわせて総務課長にもお尋ねいたしたい。
  33. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 これは法律の問題でないとは言えないと思います。ただ実際上そういう結果になつておるということであつて、法律の趣旨を尊重して実行するなれば、それはおつしやる通りに実際と合う方がほんとうであろう、こう考えます。
  34. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 「都道府県の要する経費」というのは、結局何が必要かということになろうかとかと思うのであります。もともと補助金の性質といたしまして、法律の趣旨はもちろん没却しては絶対いけませんが、われわれといたしましては一応の基準というようなものを考えまして、そうして、それに常識的に必要と思われるものを考えて、そういう範囲内でもつて補助をする、それから出張つたものは、県によつて足りないところ補つていただくのはやむを得ない、こういう運用の方法であります。
  35. 川俣清音

    川俣委員 ここで改良局長の意見と総務課長の意見と大分相違がある。総務課長は実際に当つておられるので、法律上はどうであろうと、大蔵省としてはやはりその基準単価を主として考える、こういうことになりますと、五分の四の補助であろうと二分の一の補助であろうと、むしろ単価を引下げて行けば五分の四であつてもよろしい、あるいは単価を上げて行けば二分の一にしなければならない、こういうような処置の仕方であるように受取れるのです。要するに単価が問題だということになる。法律の体裁から行きますと、林次長の説明によりますと、都道府県の要する経費なんですから、これは普通不正な経費でない限りにおいて、妥当な経費な限りにおいて、その三分の二、これが法律解釈だろうと思います。解釈は解釈だし補助金補助金で別だ、こうなれば、政治論として別ですが、政務次官どうでしようか、これはあなた政治的にも考えなければならないのですよ。やはり法律解釈としては、都道府県の要する経費と、このまま解釈すべきじやないか。これは一定の基準があると申しましても、それならば、政府の一定の基準の経費に基いてその三分の二とかいうふうに表現しておれば、それでもよろしいと思います。これは明らかに、頭から「都直府県の要する経費について、その三分の二」と表現をいたしておりますのは、農業改良助長の必要から、都道府県がとかく経費を渋るようなことがあつては相ならぬという考えから、おそらくこういう強い表現になつておると思う。この表現をそのまま遵奉するのが大蔵省の建前でないかと私は思いますが、大蔵政務次官はいかように御解釈になりますか。
  36. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 ただいまの川俣委員の御指摘の農業改良助長法の第二条第一項第二号の問題でありますが、都道府県の要する経費というものの解釈がここで一番問題になると思います。二分の一と書いてあることについては問題がない。結局都道府県の要する経費とはどういうものを言うのかということが議論のわかれる点と思うのであります。そこで、財政当局としてこうしたものを考えます場合には、当該都道府県でどういう経費を必要とするかという問題は、やはり府県実情により、あるいは理事者あるいは議会当局の考え方によつて、これに要する経費府県によつていろいろ違うだろうと思う。これはどんなに違つても常に二分の一見てやれという法律の精神か、あるいは財務的に考えます場合には、おおむね各地方府県実情というものもありましようが、しかしほぼそこに一つの基準を求めて、その基準を当該府県の要する経費と見るがいいか、こういう二つの見解にわかれると思います。私自身といたしましては、財務当局の考え方としては、こういう場合には、府県によつてまちまちにどんなような経費を使つてつても、当該府県の要する経費であるから、その二分の一を必ず見てやるということは適切じやない、むしろ、財政的に見ますと、やはり一定の基準を考えて、その基準でもつてそれぞれの府県が必要としている経費を見てやるということがよいのじやないかと思いますが、しかし、お説のような厳格な法律の解釈をいたしますと、あるいはまずいことが起るのじやないかと思います。従つて、昔は——と申しますとはなはだ失礼でございますが、こういう補助金の規定には、多くの場合、予算の定めるところによつて、しかも二分の一を見てやるとかなんとかというように、常に予算の範囲内においてとか、あるいは補助することを得というような言葉でもつて財政と実際の行政がうまくマツチするように、運用がスムーズに行くようにいたしてあつたのです。ところが、近年の立法を見ますと、予算の範囲内においてとかいう言葉は多くの場合むしろなくなつてしまつている。あるいは、補助することを得ではなくして、補助するということになつている。そういうことのために、お説のような、むずかしい——厳格な解釈をされると、一応法律違反じやないかという疑いを持たれるような条文ができておる、かように私思うのであります。従いまして、私の意見といたしましては、やはりこうした問題のときには、全国を一つの目でもつて全体をながめて、そしてなるべく公平に各府県に配分をする、補助をするということが必要であると思いますから、これはやはり財政見地からそうした精神でできている法律だ、こう読むべきじやないかと私は思うのであります。
  37. 川俣清音

    川俣委員 「都道府県の要する経費」の基準については、いろいろの見解はあろうと思います。しかしながら、そういう見解を大蔵省がお持ちになりますならば、やはりそういう基準を政令または法律において明らかにすべきだと思うのです。その法律の解釈を自分自身で解釈して行くということは立法権の侵害になると思うのです。こういう意味でお尋ねいたしたのです。  そこで問題は、根本にもどりますが、一点だけ触れておきたいと思います。先ほどの総務課長の説明によりますと、もう改良普及事業はある程度普及徹底した、こういうことですが、この認識はひとつ改めていただきたいと思うのです。どういう点かというと、今度の冷害等を見ましても、これをよく防ぎ得ましたのは、何と申しましても改良普及員努力のたまものであると見るべき点が多々あります。もちろん、改良普及員の中には、その素質の十分でない者も多くの地方において散見いたしております。これは改良普及事業の普及員ができましてから年数を経ておりませんので、検査などの足りないことも認めなければならぬと思うのであります。そこで、この改良普及事業の徹底をはかるといたしますならば、人員の増加ももちろん必要でございますが、今日においては質的向上ををはかるということが緊急の要であると私は見ておる。それはなかなか優秀な研究員はおられるのです。なかなか指導力を持つておられた人も私は見て参りました。その一人の努力によつてその村の冷害がある程度防ぎ得た。実績もここにお出しすることができる。相当な成績を上げております。また、名前は研究員でありますけれども、普及員として頼もしい指導をしておるかというと、そうじやない人も確かにおられます。そこで、その実際の効果をあげるということになりますれば、質の向上をはからなければならぬと私は思うのです。質の向上をはかるということになると、今補助金を削減することなくして、質の向上に全力をあげるべきだと思う。地方予算にまわすということになりますと、質の問題でなくて、あるいは補助金を目途にするために単なる人員だけを問題にするということが起つて来る、その方がまずい結果になりはせぬか、農業改良上において大きな汚点を残すのじやないかと思つております。そういう意味でありますから、質の向上をはかられて、質的に一定の基準ができましたならば、あらためて人員の整理を行うとかいうことを考えなければならぬ。あるいは補助の低下というようなことも当然考えられてよろしいと思う。今補助を断ち切るということになりますと——断ち切るわけじやないでしようが、三分の二を二分の一にいたしますと、また二分の一以下になる。三分の二補助で実質は二分の一以下なのだから、二分の一になるともつと下つて参りますが、質の向上が望ましいのに質の低下という問題が起つて来るおそれがある。私は地方財政の上において補助金がほしいとかいうそんなけちな考えじやない。今度冷害で私東北地方をずつとまわつて普及員に一々当つております。その結果から見ると、今補助金を断ち切ることは質の低下になるということをおそれている。質の低下したものであつたら、何ら改良普及事業目的は達成できない。そんな事業はやめてしまつた方がいい。むしろ今では、単なる人の増加よりも、質の向上をはからなければならないと思つておりますが、改良局長はどう考えておりますか。
  38. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 私も仕事をやつて参つて、おつしやる通り質の向上が一番大事だと考えております。ことに、先ほどからしばしばお話がありました改良研究員であるとか専門技術員の場合には、補助単価は非常に低くきめられておりますが、実際上、専門技術員の場合は数も多いので、こちらに提出してあると思いますが、三分の二の補助としても実際は三分の一くらいで、単価が非常に低く定められております。たしか五級の七号くらいであつたと思います。
  39. 川俣清音

    川俣委員 今局長の説明せられたように、補助金は足りないというのに質の低下が来ておる。専門技術員というと試験研究に密接な関係がある。せつかく国が国費をかけまして、あるいは地方費をかけて試験研究したものを、実際に移さなければならない。そのときに質の低下があつたら移し得ないのです。これはまつたくじみな仕事をするのでありまするから、農業技術の上からも、人間的素質の上からも質の向上をはかつておかなければ、まつたく無意味になつてしまう。このくらい国費のむだな使い方はないと私は思う。私は単なる補助金を増せというような意味じやありません。この問題は真剣に取組んでもらわなければ何らの価値がなくなつて来る。改良局なんかつぶれてしまつたつてかまわないけれども、こういう普及事業というものは質の向上をはかるのでなければ、ただ改良普及事業をおれの方でやつておるということでは無意味になつて来る。局長はその点御了承になつておりますか、どうですか。
  40. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 今お話のございました点は、ただいまの地方自治の首脳部といいますか、わが国の自治体全体が、農業県でありながら、農業についてどの程度深い認識と感じを持つておるかということですが、地方財政の困難とあわせて考える問題ではありますけれども、私どもとしてはそういう点についても実は大いに期待を持つておるわけであります。ただいま、実地に御検討の結果によりますと、質が低下するおそれが多分にある、こういうお話でありますが、私どもといたしましては、こういう際でもありますから、農林省方面ともよく連絡をとりまして、この予算の範囲におきまして、ただいま川俣さんのおつしやいました事態のないように、農林省にもお願いしたいと思つております。なお、私どもといたしましても、極力そういうおそれがあるかどうかについても一層勉強をしたいと思つております。
  41. 葉梨新五郎

  42. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、農林委員といたしまして、補助金等整理に関する法律案について若干の質疑をいたしたいと存じます。  大蔵省は、昭和二十九年度予算編成のときに、補助金等整理要綱なるものを起草いたしまして、基本方針整理基準、進んでは国の事務の委託費等の整理財政調整、法令の改廃等、今回提案されました法律の基礎となるべき一連の考え方を述べて来ておるのでありますが、これについて端的にお尋ねをいたしたいのであります。この整理要綱に基づく第五項が法令の改廃ということになつて、今回の法的な措置になつておると思います。憲法論やその他一般的な問題については、当委員会の各位が御研究になつておると思いますから触れませんが、当初よりも相当なつたものにかわつて来ておることは事実であります。大蔵省補助金等整理要綱は、実質上この法律を施行して行く場合の今後の基準になるのではないかというように考えますが、その点について当初の補助金等整理要綱のさらに修正されたものがありますかどうか。あればそれを御提示願いたいのでありますが、いかがでありましようか。
  43. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 当初私ども予算の大綱を閣議にお出しいたします前の事務当局の原案、そういうものをつくる目安といたしまして、ただいまお話がございました補助整理方針というものを私どもとしての考え方としてきめましたが、その後その予算の原案は、種々の段階を経まして、最後に閣議において決定いたしましたものは、それとは全体の姿が違つたものになつて参つております。それで、私どもといたしましては、別にあらためてそういう意味の要綱をつくり直しはいたしませんし、何分にも補助金整理と申します事柄は、各省にわたつておりまして、政府部内においても十分話合いを続けなければできないわけでありますから、一応原案としての要綱はつくりましたけれども、その内容は著しくかわつたものになつております。従いまして、ただいまは、私どもとしてはこのでき上つた補助金の姿によつて考えておるわけであります。もちろん原案の中の基本的な精神というものは、ある程度生きておる点もあると思いますが、具体的な姿は非常にかわつたものになつております。
  44. 足鹿覺

    足鹿委員 それではさらにこの点について伺いますが、特に私は農業の場合を中心に伺いたい。農業の場合、補助金とは農民生活を保護助長するために支出されるものである、この観念を中心として大蔵省はお考えになつて補助金整理要綱をつくるとか、いろいろの折衝を経て補助金整理法案となつて現われたと考えておりますが、大体農業の場合補助金とは一体どういう意味のものでありますか、大蔵省考え方をこの際聞かせておいていただきたい。
  45. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 非常にむずかしい問題でして、私も定義を一概に申し上げる自信があまりありませんが、いわゆる農業全体の問題、あるいは個々の農家経済の問題、相まつて農林経済全体の問題につきまして、結局農業の振興というか、農家経済の向上というか、それらのために有効であるといような経費、そういうようなものについて、そのときの政策に照しまして、農林省と御相談の上でどういう補助金を出すかということをきめておるわけであります。もちろん、補助金でございますから、原則としてはいわゆる奨励的な気持のものを中心にして考えておるわけであります。
  46. 足鹿覺

    足鹿委員 今言われたような補助金に対する定義であれば、そうあまり大きな問題はないと思いますが、補助金等整理要綱をおつくりになつた当初のあなた方の考えはそういう考え方ではなかつたでしよう。農業は私企業である、こういう一貫した大蔵省の基本的な観念を中心につくり上げられ、さらに幾多の議員立法が農業関係においてたくさん成立をしたが、そういう点について議員立法は国の財政をあまり考えておらないというふうに御解釈になつて、そしてこれに対する抑制策として、特に当初やり玉に上りかけておつたのが、議員立法関係が非常に多かつたので——これはわれわれの邪推かもしれませんが、確かにそのものを見ますとそういう傾向はあるのです。政務次官がおいでになつておりますが、今総務課長のお述べになつたような考え方は、補助金に対する大蔵省のほんとうの考え方として御確認になりますか。
  47. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 おおむね佐藤政府委員の申し上げた通りでありまして、農業関係補助金の性質というものは、やはり国の政策として、食糧増産ののために必要として出す場合もございましようし、あるいは農民の生活改善、経済改善というような意味で出す場合もございましようし、あるいは農村の一般的な施設の改善というような意味で出す場合もあろうと思います。それぞれその事項によつて若干趣が違いましようが、いずれにいたしましても農業関係の国の助成を必要とするもの、こういうものについて補助金あるいは負担金、分担金というものを出して行く、また今後もそうなつて行くだろうということにおいてはかわりがないと存じます。
  48. 足鹿覺

    足鹿委員 そのお考えで進んで行かれるならば、あまり大きな問題は起きぬはずでありますが、ところが実際はそうではないようであります。現に補助金等整理要綱をおつくりになつた際は、大蔵省は非常に重大決意をもつて臨まれたようでありますが、なかなか輿論はそう簡単にこれを通さないというので、いろいろな折衡経て今日に至つたものであろうと思います。農林関係としては、農業改良助長法に対するところの改正中心になつているようでありますが、事実最近の政府政策を最も端的に現わしております昭和二十九年度予算を見ますと、食糧輸入補給金の三百億を九十億にお削りになつた、米を少くし麦に依存をする、さらにMSAによつてアメリカの過剰小麦を輸入して粉食に国民生活を切りかえる、なお米の配給基準を削つて国庫の負担を少なめにして行く、こういう一連の方針によつて貫かれておるようでありまして、その一つの関連した問題として、補助金整理法案というものが農業の場合には重視されて来ると思います。今大蔵省のお考えになつておることは、国内の食糧依存を外国食糧に切りかえて行く、国内でつくつたもので足らないその不足分を外国から求めると一応言つております。大蔵大臣は始終そういうことを繰返しておりますが、政府のとつておる施策を見ますと、実際上においては、外国食糧に依存をして行く傾向が大きく出て来ておる。しかも安いものでさえあれば外国から買つたらいいじやないか、高い米はやめて麦にする、——麦もMSA小麦が実際に到着してみなければわかりませんし、コマーシヤル・ベースのものよりも安いか高いかわかりませんが、これまたMSA小麦によつてアメリカから購入する、こういうふうに漸次国内食糧依存政策をおやめになつて、外国食糧に依存をして行く方向に方策を大きく転換しておいでになるように私どもは見受けるのであります。これは大きな間違いだと思いますが、事実大蔵省考え方はそういう考え方にかわつておる。昨年吉田内閣ができた後において、緒方さんはそういう意味の重大な発言をやつておりますが、そういうことはともかくとして、これに対する基本認識の問題です。いま一つは、私が先刻述べましたように、農業は私企業である、その者の生産費に補助することはおもしろくないというので、農薬の補助の打切りや、その他直接生産費に関連のあるものについては思い切つてつておられる。たとえば、補助金整理の結果、うんかに対する農薬の補助を打切るとか、麦に対する農薬の補助を打切るとか、米の増産の基礎であるところの温床紙の補助を打切るとかいうふうに、ここに一連の関連が出て来ておるのではないかと私どもは思うのであります。  そういうような点で、私ども農業改良助長法改正ということについて非常に重視するわけであります。何となれば、議論めいて恐縮でありますが、お聞き取り願いたいのは、ことしの予算で優遇を受けたものが一、二あります。一つは試験研究費が相当ふえておる、いま一つ農業機械化で、他の補助金がまくらを並べて討死にしておる際に、農業機械化だけが一つ取上げられておる。これは大蔵省の趣味といいますか、また御研究の結果、そういうことに対して科学性と合理性を追求され、農業生産力をそういう面から発展させようというお考えかもしれませんが、とにかく特殊な事例が二、三あることは事実であります。そういう試験研究機関を重視されることは私どもももちろんけつこうだと思いますが、そういうところで研究をされたものを一体だれが実際において普及するのでありますか。その研究の結果が温床紙の実際問題となり、あるいはうんかの薬剤防除の指導になり、あるいは麦に対するところの薬剤の散布によつて減収の防除になるのではありませんか。やはりそこに一連の関連というものが出て来ると私は思うのでありますが、そういう点について、金額は少いようでありますが、特にうんかに対するところの補助を全額削る、あるいはまた麦の薬剤の補助を全部切つておられる。これは法案と直接関係はありませんが、結果として出て来ておる。そういうような点で、一面においては研究あるいは農業機械化に対しては補助増額し、あるいは国の施策の予算措置をふやしておいて、それが末端に浸透して行く重大な点についてはこれを切つて行く、そういう相矛盾した政策をおとりになるということは、日本農業の実態というものをはたしてよく御認識になつておるのであるかどうか。私どもはそういう点で非常に疑問に考えておるものであります。  一度下つた生産態勢というものを今度立て直すということはなかなかできませんよ。一ぺんくずれた制度を今度再び盛り上げて行くということはできません。特に農業改良普及員制度は、旧農会の制度があつたからよく御研究になつておると思いますが、農会の技術員が国庫補助の問題でさんざん苦しんだ前例がある。続いて農業会になりました。そうして今度は戦後においてはモデル農家の指導員となつて採用された。そして今度改良普及員制度なつた。そしてこれがまた地方職員に切りかえられ、その若干の経費府県に移譲をされている。こういう形で私どもは覚えている。ここ十五、六年の間に制度の変改を受けること四回であります。そうして、一人前の勉強をし、相当の学校を終えまして、そして経験を持つて、百姓に接すれば接するほど地位が下つて行く。一方普通の行政官になつた者は、同じ中学校、同じ高等学校を出て、一方は農科へ行き一方は法科を出た、ただその瞬間だけで、一方は国の政治を左右するようになり、一方は自分で雑巾がけをし、自分で茶をくまなければならないような試験場で一生涯を暮して行くような運命をたどつておる。そういう人たちを気の毒だと思いませんか。こういうことをいつまでもやつておりましたならば、ほんとうに行政があまりにも優位過ぎる。もつと技術というものに対して大蔵省はあたたかい認識を持たるべきだと私は思う。そういう点をよくお考えなつたならば、これくらい気の毒な農業技術に尽しておる人々が、また今度その地位や身分が不安定になるような財政的な措置を講ぜられて行くということは、私は非常に遺憾に思う。そういう点はもつとこの際よくお考えにならなければならない問題だと思う。そういう点についてはあえて私はこれ以上申し上げませんが、技術というものがもつと尊重されるような政治、そういう行政が行われて行かない限りは、ほんとうの生産力の増強も、それに基くところの食糧の国内自給ということも、私は言うべくしてなかなか実行困難だと思う。じみな仕事をやつておる連中というものは政治力がない。陳情一つするすべもよく知つておりません。そういう点もよく考えてもらいたい。弱いところへ水がたまるような補助金整理であつてはならないということを特に御反省を願いたい。  そこで、私どもはそういう考え方を常に持つておるものでありますから、特に今後の農業改良普及事業というものの心配をいたすのでございますが、先般農林委員会におきまして自治庁当局に来ていただきまして、昭和二十九年度から地方財政計画に組み入れられる、譲与税に繰入れられて行く金額なり種目は何であるかということをお尋ねをし、その資料を要求いたしましたところが、私精読してみましたけれども、これではわけがわかりません。一月二十五日付で私はもらつておりますが、——委員長、自治庁の人はいますか。
  49. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 参議院の予算員会の方へ今呼ばれておりまして、もう少ししたらこつちへ出席するという連絡になつております。
  50. 足鹿覺

    足鹿委員 では自治庁に対するお尋ねはそのときに譲りまして、大蔵省に伺いますが、地方財政計画に織り込まれておるところの種目別の金額、譲与税に織り込まれておるものは資料としてすぐいただけますか。その保証がないと非常に心配なんですが、いただけたらいただきたい。また説明があればこの際承つておきたい。
  51. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 先日その関係の資料をお配りいたしまして、自治庁からこの委員会に説明がございました。
  52. 足鹿覺

    足鹿委員 ここにあるこれと違うのですか。これならば意味をなしませんが……。
  53. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 それでなく、これです。
  54. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 ちよつと速記をやめて。     〔速記中止〕
  55. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 速記を始めて。  足鹿君に御相談いたしますが、御意見の陳述等よりも、なるべく質疑に重点を置いて願います。
  56. 足鹿覺

    足鹿委員 直截にやります。  資料をただいま拝見いたしましたが、われわれ農林委員にもその資料をひとつおまわしいただきたい。お願いいたしておきます。  そこで、その資料と対照してみなければわかりませんが、農林省が二月二十六日付で詳細な資料を特にくれておりますが、その資料によりますと、十二億三千百七十一万円ということに一応なつておるようでありますが、はつきり農林省もわからない。これは二月のことでありまして、今から二十日ばかり前のことでございますが、その当時農林省もなかなかはつきりしない。農林省から、今度大蔵省と打合せをして、それが自治庁に行き、自治庁からまた府県というように参りますと、非常に錯綜して参りまして、その間に非常な行き違いが出る可能性もあると思いますが、その点については十分注意して、そういう行き違いやあやまちのないようにしていただきたい。一応そういう点を申し上げておきますが、ただここで総務課長に一言申し上げてお尋ねしておきたいことは、私は鳥取県なんですが、鳥取県は全国で第一番の貧弱県なんでありまして、この地方財政計画に入つておりますが、補助金ももらい、さらに譲与税ももらいましても、非常に税財源が乏しく、しかも財政需要が非常に多く、一県を張つて行く上には非常にアンバランスになつている県なんであります。私どもの県に似たり寄つたりの県が非常に多いと思いますが、そういうところに勤めている改良普及員というものは、その結果非常にしわを寄せられて来る可能性が出て来ると思います。これはこの前も申し上げましたが、先年同和事業で大体一県二百万円程度出たことがあります。ところがこれは、平衡交付金の基準の算定には入つておりますけれども、ひもつきではない。従つてこれが府県によつては横へ流れたりいたしまして、貧弱県はほとんどこれが使われていないという生きた証拠もありますので、的確にこれらのものに対してひもをくつつけるということについて、大蔵省は何か対策がありますか。そういう保証がないと、それでなくとも全体としてわれわれはこの法律案には反対なんでありますけれども、百歩を譲つて、かりに最悪の事態を考えてみた場合に、これは改良普及員の一身上の非常に大きな問題あるいは生活上の大きな問題になろうと思いますが、そういう点はいかがでしようか。
  57. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 今非常に各方面観点からお話があつたのでございますが、私どもといたしましても、補助金整理という一つ方針を貫くためには、あるいはいろいろな問題が関連して起ることと思つておりました。ただいまは地方財政が全体に非常に困窮いたしておりまして、しかもその地方財政の困窮の度合いというものは所によつてはげしく差がある。比較的ゆとりのあるいわゆる富裕府県から、ただいまお話のあつたような貧弱県に至るまで非常な差があるわけであります。それでこういう補助金等整理をいたしますと、その受け方というものは、おのずからある程度響きが違つて来ることも予想されるのであります。しかしながら、逆に申しますと、私どもは、むしろ、そういう点からも、こういう補助金整理ということを一つ考えさせられたのであります。御承知のように、補助金等でもつて国が経費を出しますときには、東京、大阪のようないわゆる富裕府県にも一律に補助金が行くわけでございます。基準財政需要が基準財政収入より下まわつておるというようなところにも、ただ一律に機械的に補助金が参る。むしろそういう機械的な補助金が参りますよりも、これを一般財源として、いわゆる交付税といたしまして、そうして交付税におきましては、各府県財政状況というものを極力にらみ合せまして、そして財政調整をやる、貧弱県の方によけい財源がまわるようにするという考え方に立つて配分をする、こういうことであります。機械的に補助金をやりますれば、富裕府県に行くばかりでなく、貧弱県においては、その県の県知事がどうしても必要であると思うものでなくても、それに見合つた財源を苦しい中から出さなければならない、いわば半強制的に見合いの財源自分のふところから出さなければならないという状況も一面あるわけであります。従いまして、ただ補助金でもつてひもつきでやるということが適当かどうかということは、一概に言えないと思うのであります。これは補助金全体を通じましてよく考えなければならない、こう思うわけであります。それでただいまお話のあつた点でございますが、農業改良普及員の場合には、なるほど三分の二が二分の一に下りまして、府県の負担分がふえたわけでございます。しかしながら、農林省がこの補助金を出されます際には、もちろん厳密な補助条件というものをお出しになるわけでありまして、この法律の精神から言いましても、当然見合いの財源府県、市町村が確保するということが、ある程度前提に予想せられるものに補助をするということになろうかと思います。また農林省の一般的ないわゆる行政指導力の問題かもしれませんが、行政指導によつてもできるだけ確保していただけることと思うのであります。私どもといたしましては、見合いの財源地方財政計画に織り込んである、こういうことに尽きるわけでありますが、これが全然なくなつてしまう場合と、二分の一でも残つておる場合では多少趣が違うと思いますが、農林省の御指導によつてその点は極力確保していただきたい、こう思つております。
  58. 足鹿覺

    足鹿委員 あまり一般論ばかりやつてつても恐縮でありますから、法案自体の重要な点についてこの際お尋ねを申し上げます。  この法律によりますと、暫定措置のようにも思われますが、その点はいかがでありましようか、大体こういう重大な問題をおやりになる際には、大蔵省だけで補助金等整理要綱というこの恐るべき要綱をおつくりになつて、そしてこれを他省へお示しになる、そこで関係省側はあわてふためいて大蔵省へ日参をする、そういうようなかつこうでは、行政の形としても私はまずいではないかと思う。これはその関係省によつていろいろ高低、軽重があろうと思います。また緊急性のある場合、あるいはそうでない場合もあるでありましようし、いろいろの事情があろうと思う。今後こういうことをおやりになるならば、補助金というものに対するところの基本的な定義、またこれの運用とか、いろいろな点を、もつと権威のある各省間、あるいは学者とかいろいろな人たちを加えて、ほんとうに国の根本施策として金の効率的な使用方法について研究されておやりになるのが私は妥当であると思う。ことしのやり方は、少くとも大蔵省は誤つておられた、独善の傾向が非常に強かつた、特に議員立法に対してきばを立てられたという点等についてはけしからぬと思う。そういつた点で、当然恒久策でおやりになるならば、真に効果のある補助金等が事業庁を通じて流れて行く——東畑博士の言葉で言うならば、農林省は半分が補助金だ、農林省はその補助金の分配機関だと東畑精一氏はある著書で言つております。それくらい事業庁的な性格を農林省は強く持つている。なぜそうであつたかといえば、明治以来の非常に長い伝統の上に、一夜づけではなしに、長い長い伝統を経て補助金制度というものはこういうかつこうになつて来ているのでありまして、これを、いかに国家の必要があるからといつて、強力にことしのような形でおやりになると、そこに矛盾が起きる。必要もないような陳情に使つた金と労力というものは、おそらく計算はできないでしよう。わずかなことにでも、みなあわてふためいて、農林省から、自治庁からあなた方の方へ日参をする。こういうロスは再び繰返してはならないと私は思います。ここに当分の間という言葉が使つてあるが、これは暫定措置だ、臨時措置である、あるいはことし一年限りだ、そういうふうに解釈すべきものでありますか、その点を明確にしていただきたい。もしそうでないならば、そうでないとこの際はつきりしていただきたい。
  59. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 これはお言葉にございますように臨時措置でございます。一年、二年というふうに年限の確定したものではございませんが、政府といたしましては、先ほどから申し上げましたような方針に基きまして予算編成いたしたわけであります。先ほどもお話がございましたが、ただいまのお話予算編成全般のやり方の問題に関連して来るわけでありますが、予算編成につきまして各省と話合いをいたしまして、そして予算において、たとえばこの補助金はこれから見てこつちの方を整理したらどうかというような話合いができます。そのときには、もしそれが法律に関係があることであるならば、当然そのときにあわせて話題に上りますから、予算を組みまするとともに、法律の問題というものはあわせてわれわれの考慮に上つて来るわけであります。そういうわけで、その結果といたしまして、補助金の中で特に法律の改正を要するものだけがここに現われて参る。その中にたまたま議員立法があつたわけなんであります。しばしばお言葉でございましたから、この際御了解を得ておきたいことは、議員立法であるからという気持でもつて、それをより出して整理したことは一度もございませんので、全体の方針として予算編成をいたしました結果たまたまそういうことに相なつた、こういうことでございますから、その点は御了解願いたいと思うのでございます。これは各方面に影響のある補助金でございます。ですから、これをやつてはたしてどういうことになるかという意味におきまして、やはりその実績を注視し、そしてその結果を検討いたしまして、さらに恒久的にどういうふうに処理するかという見当をつけたいという意味において暫定的なものにいたしまして、われわれとしては、そのしばらくの実績を見て、その上で、恒久的にこれをまた復活させるか、あるいはこれをさらに別な形のものに改変するか、あるいは廃止するか、そういうようなことを検討する余裕を得たい、こういうのがこの臨時立法の趣旨であります。
  60. 井手以誠

    井手委員 議事進行について。ただいま大蔵省の総務課長からこの法律は暫定的のものであると答弁があり、提案の説明にもさように書いてある。ところが原局の農林省ではのんきな態度をしておりまして、もうすでに普及事業は大分徹底しておる、従来のように手厚い国家の保護はいらない段階に達しておる、その認識によつては、すでに農業県においては十分府県の費用でやつておる、こういうふうな説明で、この補助金の削減はもうその時期に達したので恒久的に減らすんだという意味の御答弁があつたのであります。どちらが正しいのですか。原局の方は逆の考え方——むしろこの場合の答弁は逆ではないかと思うのですが、原局農林省ではもうその必要がなくなつたから減らすのであるという答弁があり、大蔵省ではこれは暫定措置であるとおつしやつておる。これは明らかに矛盾でございます。いずれが正しいのですか、ちよつと念のためお尋ねしておきたい。答弁が一致しなくてはぐあいが悪いので、議事進行上この際お聞きしておきたいと思います。
  61. 平野三郎

    平野政府委員 先ほど申し上げましたのは、この農業改良普及事業については国が手厚い保護を加える必要がなくなつた、こういう意味ではないのでありまして、今度の改正によりましても、国が助成する実質内容は何らかわりないわけでございます。ただ、予算的に申し上げまするならば、富裕府県の分が約四千万円ほど減少するというだけの話でありまして、地方の負相がふえまする分については地方財政計画で見て行くわけでありますから、本質的にはまつたく同様のことでございます。従いまして、どこまでも国の保護助成政策農業改良普及事業に加えるということにつきましては、何らかわりはないのでございます。ただ形式が、地方もやはりこの普及事業重要性認識して、そうしてこれに協力する面をふやして行こう、こういう趣旨でございますから、その点誤解のないようにお聞取りを願いたいと存ずるのであります。  なお、この法律が暫定措置であるということは、別にこれは限時法ではございませんが、当分の間というわけであつて、今後これをさらに非常に減額して行くというような趣旨のものではまつたくないわけでございますから、この点もあわせて誤解のないように御了承願いたいと思います。
  62. 井手以誠

    井手委員 私はこの問題を取上げてとやかく言おうとは思いませんが、どうも先刻から聞きますとちぐはぐな御答弁なので、お聞きしておるわけであります。政務次官、ひとつあなたはきようは農林省の最高責任者としてお臨みになつておりますので、慎重に御答弁を願いたいと存じます。ただいまも地方の負担がふえる分については地方財政計画で組んでおるというお話がございましたが、自治庁からいただいておりまする地方財政計画には、交付金に振りかえる金額は一銭もございません。私は速記録となれば速記者を呼んで調べてもいいのですが、先刻は確かにもう大分この事業は普及したので削減してもいいという意味の御答弁をなさつたことは、はつきり記憶いたしております。私はこの問題についてとやかく追究しようとは考えません。ときどき言葉の言い違いもあるかもしれませんが、農林省責任者としてはもう少し慎重な態度をもつて答弁願いたい。いいかげんなことで私どもは聞きのがすことはできません。あなた方はこの補助金の問題を簡単に考えておるのかもしれませんけれども、非常に私どもは重大に考えております。これは、立法機関としての国会の立場と、それから補助金交付しなくちやならないその立法の精神からいたしまして、非常に慎重に考えておりますので、特に注意を申し上げて、私は議事進行の発言を終りたいと思います。
  63. 足鹿覺

    足鹿委員 具体的な問題をついてお尋ねをいたしますが……。
  64. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 足鹿君、御承知のように自治庁の財政部長が見えております。
  65. 足鹿覺

    足鹿委員 今の総務課長の答弁に関連して私が質問を申し上げた点について、課長の御答弁では困難であろうと思う点が一つあります。今お聞きのように、この当分の間というのは、きわめて暫定的な臨時的な措置だという趣旨の御答弁がございましたが、刑法の場合を考えてみますと、旧刑法の二百三十四条は明治四十一年にできた、そして五十年近くも当分の間ということでその効力を持続した一つの事例もあるわけであります。それでこれは総務課長の答弁を疑うわけでも何でもありませんが、あくまでも当分の間、臨時、きわめて短期間なものである。根本的な事業場に対するところの予算の効率的な使用はもちろんのこと、またその他事務上の点についても、予算の効率使用の点についてほんとうに権威ある機関等を設けられて検討をし、国の合理的な予算の使用をおはかりになる御意思があるかどうか。これは重要なことであろうと思います。この補助金等整理要綱を見ますと、今改良助長法が問題になつているから私ども申し上げるのでありますけれども改良助長法一つだけの問題ではありません。当初大蔵省が手をつけかけたものは実に広汎なものであります。現に、先ほど申し上げましたように、農林省関係においても、薬剤の補助を初め、あらゆる補助事業が今打切りあるいは削減にあつておるのであります。従つて、どうも言つておられることと実際とはその点において食い違いがあるようでありますので、ひとつ植木さん、政府を代表して特に大蔵省の見解を明らかにしていただきたい。     〔委員長退席、川村委員長代理着席〕
  66. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 この補助金等整理に関する法律案が時限法になつておりますその当分の間の意味の問題でありますが、当分の間は、読んで字のごとく当分の間でございます。従つて政府といたしまして、これが一体当分の間で次の整理すべき段階に入り得るか、あるいは二年かかるか、三年かかるかという問題については、ただいまのところ十分なる見通しを持つておりません。しかしながら、政府といたしましては、今回のこの補助金等整理の基本的な理由はどこにあるかと申しますと、いわゆる二十九年度予算緊縮方針、この方針にまず基本が発生しておるのでありまして、これは、言いかえれば、今日の日本財政経済実情にかんがみて、こうした予算を組まなければならぬ、そうした際にどういう点ででき得る限り予算圧縮ができるかということを考えました結果の一つの所産であろうと思います。そこで、一番いい、理想的な姿を考えますれば、それは、この一年間に日本財政経済が非常に繁栄におもむいて、そうしてこうした臨時的な制限規定をでき得る限り緩和して、そして本来の趣旨に帰ることが一番望ましいと思います。しかしながら、もしこれがなかなか思うように参らぬ、財政経済の自立がなかなか困難であるということがなお今後続きますと、その場合にもまたもう一度この当分の間という法律をそのまま運用させていただいて、今年通りの実行になるかと考えます。しかし、いずれにいたしましても、この助長法にはそれぞれまた一つの大きな長所も持つておりますから、こういう点も常に念頭に置きまして、財政との関係をにらみ合せてでき得る限り善処いたして参りたい、かように考える次第でございます。
  67. 足鹿覺

    足鹿委員 どうもわかつたようなわからないような、まことにうまい答弁をやるものだと思つて聞いておるわけですが、とにかく短期間なものであるけれどもという考え方だけは一応わかつておるが、政府緊縮一兆円予算を組んで、特に最近における財政状況にかんがみてこの法律をつくつた、すなわち国の財政と対外収支との関係等をいろいろ考えて——特に再軍備を一番よく考えてであろうと私は思いますが、そういつた点でMSAを受入れて、だんだんと日本の再軍備を強行して行くならば、この財政需要はふえるばかりだ、しかし国民所得は一向ふえない、国の生産力も対外収支もよくならないということになれば、今よりも財政事情はよくならない。これは私どもの見解でありますが、だから心配するのでありますが、そういう点では相当長い期間続かざるを得ないような客観情勢が漸次切迫しつつある、こういうふうに思うのであります。そういう議論は別といたしまして、補助金等の臨時特例——臨時と当分の間との関係はどういうことになりますか。
  68. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 むずかしい御質問でございますが、当分の間というような、そうした暫定的な考え方の法律でございますから、臨時の法律だ、臨時の特例だというような意味に御解釈願つていいと思います。
  69. 足鹿覺

    足鹿委員 私はこの法案には反対でありますけれども、従来の臨時特例というような法律はほとんど時限法でありまして、昭和何十何年には失効するものとするというふうに、年限が切つてつたわけであります。もし大蔵省がほんとうに率直に言われるならば、期限を切つて、それまでにできなければまた延長するという手もあるわけでありますが、ことさらに内容を臨時特例としてみたり、あるいは今申しましたように当分の間というようなあいまいな言葉を使われるから、疑心暗鬼で、さて何を考えておるのか、こういうことになつて来ると思うのです、こういう点は、先ほど申し上げましたように、一つの権威あるものをおつくりになつて、そしてその間における臨時だということが明らかになれば、一般の者でこれが成立して打撃を受ける者がたくさんありますが、その者たちも、それが一つの踏台になつて国の新たなるところの効率予算の使用ということが出て来るならば、せめてもの慰みにもなるでしよう。何かしらん、非常に憲法上の疑義があり、あるいは国会の審議権にも非常に影響が大きいようなこういうことを大蔵省がおやりになるから、われわれとしても非常に言いにくいことでも言わなければならぬ、こういうことになろうと思うのです。この点は、大臣もおいでにならぬことでありますから、これ以上申し上げませんが、とくとお考えになつてしかるべきものだと思います。農林政務次官もそういう点についてはよくお考えになつておると思いますけれども、これはほんとうに真剣な問題として御検討願いたい。これだけ言つて、この問題については一応打切ります。  次に、新しい言葉が出ております。協同農業普及事業という言葉が出ておりますが、これは一体どういうことですか。
  70. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 第三章の農業に関する普及事業の助長、これの第十四条の標題として、それから本文の方にも協同農業普及事業というのがあります。これは現行法では大体政府府県が協同して農業を普及するようにな趣旨に書かれていると思います。
  71. 足鹿覺

    足鹿委員 まことにおもしろい解釈であります。多分そういうことに御答弁があろうと思いましたが、農業普及事業と協同農業普及事業との差異はそういう点ですか。
  72. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 第十一三条にその解釈的な意味と理解できるようなことが書いてあるようでございますが、十三条の中ほどに、「都道府県農林省と協同して行う農業に関する普及事業を助長するため、」というふうに書いてあります。大体こういう趣旨だと思われます。
  73. 足鹿覺

    足鹿委員 どうも私ばかりやつてつても恐縮でありますから、これ以上くどくは申し上げませんが、そこで問題は自治庁にも関連して来るのですが、このままの姿で行きますと、農業改良普及員といものは府県実情によつて非常なベースのアンバランスが出て来る。これはそうでないと言われても、府県が一応自治体の立場をとつており、民選知事である現段階においては、出て来ることは明らかであろうと思います。いわんや、府県によつては、期末手当、勤勉手当あるいは超過勤務手当、こういうものが明らかに府県負担になつておりますから、そこにまた待遇上の大きな問題が出て来る、ほかの公務員との点において非常に大きな問題が出て来ると思いますが、自治庁は、大蔵省とどういうふうに連絡をとられて、これらの待遇が悪平等にならないように、富裕県と貧弱県と、あるいはその中間の県等にアンバランスが起きないような措置をおとりになつておるか。そういう点は実際上非常に重要な問題であろうと思う。先ほどもどなたからか御意見がありしたように、農業改良普及事業は戦後ようやくできた事業であつて、ようやくこれから能率が上り、軌道に乗ろうとしておるときに、またこういう事態に出つくわして能率上非常に支障のあるようなことがあつてはならないと思う。そういう点で、他の官公吏等との関係もにらみ合せて、そういう遺憾な事態が出ないような万全な措置ということについては、どういうふうにお考えになりますか。
  74. 後藤博

    ○後藤政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、私ども財政計画を組みます場合には、職員の給与は大体国の職員の給与と同じだけのものを見ようというので、そういう考え方でおります。ただ、財政計画上はそういう見方をしておりますけれども、現実の人の給与は府県知事がきめるものでありまして、これは府県財政とのにらみ合せできめていただきたい。しかし財政計画そのものは国の職員と同じ程度のものを見て行こう、補助職員については補助の基本額がありますが、補助基本額を中心にして考えるのがよろしいでしよう、この程度の指導をいたしております。この補助基本額をはずして適当にやれということもいかぬと思います。補助基本額を中心にして予算をつくるのでありますから、従つてそれを見て適当につくつたらよろしい、この程度の指導しか現在いたしておりません。
  75. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に一つお尋ねをいたしますが、今度平衡交付金制度がかわつて譲与税制度になる。きようもそこら辺に一ぱい陳情団が来ております。また入場税の国税移管の反対の運動が熾烈に起きておる。いろいろそれぞれの立場から運動が起きて来ますが、そういう点で、政府はまた態度をかえられるようなことはないと思いますが、とにもかくにも今まで平衡交付金制度をやめて、譲与税をつくり、ガソリン消費税と入場税タバコ消費税を若干ずつ地方へ譲与して行く。この形において、従来の平衡山交付金とこの合算額を比較してみますと、百二十六億くらい去年の平衡交付金額よりも減ります。さつき大蔵省の総務課長は、だから平衡交付金制度をやめて譲与税制度にして、富裕県と貧弱県のアンバランスを直す、こういうことを言つておりましたけれども、私は、逆に、今までの平衡交付金制度は、府県の税収入と財政需要との差において一定率で平衡交付金を流す、そこに特殊事情を盛るのは、特別平衡交付金によつて調整をとるという点で、弾力性のある運用がそこにも一応講ぜられたと思う。私どもは貧弱県の最たる鳥取県においてその悩みを十分知つておる。ところが今度は、譲与税一本で行きますと、はかり飯のようなもので、あとの弾力性がない。大蔵省なり、自治庁なりでおやりになつ通りにちやんときまつて、あとは弾力性がない。そうすると、いわゆる財政需要と地方の税収入との上において、うまくバランスのとれた県でない貧弱県においては、必ずどこかにしわが寄つて来ると思う。そうして改良普及員のこと等が問題になつて来ると思います。そういう県は一般の公務員の期末手当も低い、だからそれと肩を並べればいいのじやないか、こういうことにもなろうかと思いますが、それでは済みません。やはり国家が一定率の補助をされる。またそれに対して自治庁は相当指導監督をしておる立場上、やはり一つの水準、レベルに合して行かなければならないと私は思います。今度地方財政計画というものをいただきましたが、譲与税の中に、今度の補助金等整理に基いて不足する分、地方財政計画の中の譲与税を除いた分で不足する分については、何ほど、どの費目にどういうふうに金を出しておられますか。ここに説明資料をもらつておりますが、これは国庫の補助金等に関する調べであつて、私の要求しておるものは——この前いただいたものもまた同様のもので、あまり参考にならない。一応の参考にはなりますが、今言いましたように貧弱県の場合です。それはどういうふうにしてその穴をカバーして行くようになつておりますか。
  76. 後藤博

    ○後藤政府委員 農業改良の問題でありますので、農業改良を例にとつて申しますと、財政計画の上では、三分の二の補助が二分の一に減つて参りますが、逆に地方財政需要がふえて参ります。そのために四億ちよつとだつたと思いますが、四億を財政計画の中に全部入れております。つまり歳出の方に上げておりまして、財政計画の全体の収支、それから交付税を除いたものとの差額を交付税というもので求めております。現実に地方団体がその財政需要をどうして測定するかと申しますと、御承知通り今までは平衡交付金でやつておるわけでありますが、今度はそれが交付税になります。譲与税とおつしやいましたが、譲与税は違います。交付税の単位費用というのがございます。農業関係の単位費用は、単位費用の中にすでに現在三分の二の国庫補助という計算で入つておるわけでございます。それが三分の二から二分の一になりますと、単位費用を増額しなければならぬということになりしますその増額分も見ております。ですから、私ども財政計画から言うと、補助率の減少によつてすぐに影響があるということは出て来ないのであります。その分だけは財政計画上見ております。  ただ、お話伺つておりますと、二つの問題があるだろうと思います。鳥取県のような地方団体からいたしますと、補助の基本額が低くて、現実に置いておる人との差が非常に大きいという問題があります。もう一つは、鳥取県に五十人の農業改良普及員を置いたらよろしいというのに、現実の問題は八十人置いておるという問題があろうと思いますが、これは農業改良普及員が非常に多いわけであります。実際の予算と現実の人の設置とが合つてない。これが財政負担になつております。ただしかし財源の余裕のある団体になりますと、そういう場合に継ぎ足しの単独事業のかつこうでもつて負担ができるのであります。そういう金も、各府県で二億や、三億の金はありますから、その中から出しまして何とかかんとかやつておると思います。しかし、お話の鳥取県のような県は余裕財源が非常に少い。少ないというのは、鳥取県は全然ないとは私は思つておりません。それはなぜないかと申しますと、教育費の方に非常に食われております。教育費の方は全国的の平均から見れば非常に少いのであります。そちらを中心にすれば農業改良の方にたくさんまわつてない。どこにポイントを置いて県政をやるかという問題になつて来るのであります。鳥取県の例をすぐ全国に当てはめてお考えになるのは、ちよつと問題がありはしないか、かように考えます。
  77. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に、これで終りますが、鳥取県の事例は一つの例として申し上げたのでありまして、一番貧乏県だからわかりいいだろうと思つたのでありますが、鳥取県だけではないのです。全国の府県の過半数が貧弱県なのであります。富裕県と称せられるものは東京、京都、大阪、福岡、愛知くらいのものでしよう。あとはみなそれ以下のものだろうと思います。そういつた点で、国の立場からいうと、完全にまかなえる補助金を出して財政計画にも見込んである、こういうふうになつておりましても、俗にいうと一升のもちをついても五合の粉がいる。一斗のもちをついてもやはり五合で足りる。同じように、一つの県の立場を維持して行くということになりますと、あなた方が机上で計画された以上の経費がいる。それを存続して行くために、何らかの方法で生み出して行かなければならない。そこにいろいろむずかしい問題が出て来ると思う。今教育の問題一つを取上げましたけれども、それは地域上あるいは長い伝統の上に立つてやむを得ない場合もありましよう。これは一つの事例でありますが、必ずこのしわは農業改良普及員のような弱い立場の者に寄つて、普及員が農業事務員になつてしまう。つまり予算が少いから県庁あるいは地方の各地区の者にいろいろな仕事を押しつけられて、薬の販売あつせんをやらされたり、あるいは検査の仕事をやらされたり、いろいろなことにだんだんとかわつてつて、本来の専門の技術普及というようなことでなしに、県の農務課なり経済課の仕事を手伝つて行くようなことになつて、今のような比較的権威のある執務態勢ができない。その結果は能率の低下とか生産の障害となつて現われるのではないか。そういう点について、補助を二分の一に切下げられたが、今申しましたような地方が実質的に負担して行かなければならない旅費、超勤手当その他の特殊手当等の実額の半分、こういうふうな運営は実際問題としてできないのでありますか。これは塩見さんもおいでになりますので、最後にこの点の御答弁を承まして私の質問を終りたいと思います。とにかく、農業問題だけに私は限定いたしましたが、植木政務次官は暫定だとおつしやいますが、真に能率的な予算の使用、効率的な国費の使用ということは国民ひとしく念願するところでありまして、こういう形で出て来ることがはたしてよいか悪いかは検討の余地が十分にあると思う。大蔵省はその所管省といたして、補助金等整理に関する要綱は、各官省に向つて厖大な、干渉がましい独善的なものを最初考えになつて、折衡の過程において一応これをひつこめて今の法律になつたのでありますが、真に予算の効率使用、国費の支出の軽減、ひいては国民負担の軽減ということについて今後どういうふうにお考えになるか。権威ある対策をどういう形でお立てになるか。それがない限りは、この法律一本やりで、またときによつて情勢が悪くなれば、それに輪をかけてやつて行くということになりますので、その点を、実額の半分にするか、またこの算定の趣旨にかんがみて、権威ある予算の効率使用についてどういうことを考えておるか、この二点をお尋ねいたしまして、私の質疑を一応終ることにいたします。
  78. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 大蔵当局への御質問に対してお答え申し上げます。補助金等整理に関します今回の法律案の審議に際しましては、いろいろ有益な御意見も拝聴いたしましたし、またゆるがせに左右すべきものでないということも十二分に了得いたしました。従いまして、今後この法律の取扱いにつきましては十分慎重なる態度をもつて考究して参りたい。たとえば特別なる何らかの機関でも設けて、専門家に御一緒になつてご研究を願うとか、いろいろなことも一つの方法かと考えます。従いまして、どういう方法によるかを今後十分考究し善処して参りたい、かように存ずる次第であります。
  79. 平野三郎

    平野政府委員 たいへん恐縮でございますが、先ほどの国庫補助金の減額する部分につきましては、地方財政計画で見てあるという御説明を申し上げたところ、井手委員から、地方自治庁から配付された資料によればそういうものは一銭もないというお話でございます。そういうはずはないと思つて今資料を調べますと、お手元へ行つていると思いますが、国費の方は確かに十二億七千七百七十九万一千円から九億五千八百三十四万三千円に減つておりますが、地方につきましては、六億三千八百八十九万六千円が九億五千八百三十四万三千円と三億以上増加しているので、この点誤解のないように御了承をお願いしたいと思います。     〔川村委員長代理退席、委員長着席〕
  80. 井手以誠

    井手委員 議事進行について。今政務次官から、私のびた一文も計上されていないということに対して、あるという御答弁でございましたが、自治庁の考えておられる地方財政計画、これはあくまでも財政需要を策定する場合の基礎でありまして、その分だけを、たとえば普及事業に対してその差額をやるという明確なものではないのであります。一応基礎にされてはおりますけれども地方にやられる場合にはひもつきではありません。ひもつきになつて普及事業なら普及事業へやるといういわゆる振りかえのものは、先般自治庁から配られました資料に五項載つておるのであります。これは文部省関係と厚生省関係の五件だけであります。これがもしおつしやるように組んであるとするならば、交付金に盛られてあるとするならば、交付税に振りかえられるものとして明確にされておらねばならぬと思う。なるほど需要額については若干増額されているかもしれませんけれども、そのものがひもつきで普及事業に行くものではないから、私は決して交付税に盛られておるとは解釈いたしません。地方財政の需要の基礎にそのものが組まれているというだけであつて、その金そのものが行くということでない以上、私は盛られてあるとは考えません。いつも当局は交付税に盛られておる、盛られておると言う。なるほど算定の基礎にはいろいろな数字を盛られておるでしようけれども、その金が行かない以上は、真に裏づけになるような、補助金のかわりになるようなものではないと考えております。平野政務次官から御答弁がありましたので、あえて私の考えを述べておきたいと存じます。
  81. 平野三郎

    平野政府委員 こういう財政計画になつております以上は、地方がそういう計画を立てまして組んで参りますならば、国は当然これに見合う地方財源を支出するということになるわけでありますから、地方が組まないような場合におきましては、ひもつきにはならぬかもしれませんけれども地方が計画を立てますならば、当然国に支出の義務が生じて参るわけでありますから、実質的にはひもつきと同様でございます。この点御了承いただきたいと思います。
  82. 井手以誠

    井手委員 この点についてはもう少し意見がありますが、せつかくほかの方が質問を待つておりますので……。
  83. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 あなたの順番の時間も十分ありますから……。それでは芳賀貢君。
  84. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は、農林委員の立場から、主として農林関係の問題に限定して質問をいたしたいと思います。この補助金等整理の対象に今まで論議された農業改良助長法が上つておるわけでありますが、新年度の一兆億予算編成方針で、原則といたしましては新規事業は行わない、継続事業に対しても、経済効率の低い分はこれを打切る、補助金を積極的に圧縮するというこの三つの基本の上に立つておることは、一応われわれも承知しておるわけであります。ただ問題は、この農業改良助長法という法律を補助金整理の対象にする場合、現行の法律を大蔵当局も十分御検討になつてこの補助率三分の一を引下げるべきであるという結論が出たと思うのであります。御承知通り、この改良助長法は昭和二十三年の七月十五日から施行されておるわけであります。そういたしますと、五箇年間に農業改良普及事業のあげた成果というものは一応御検討になつておられるわけでありますが、これらの成果に対して、特に経済効果等を一番神経質に取上げておられる大蔵当局においては、この効果をどのように評価されておるかということをまずお伺いいたします。
  85. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 農業改良普及事業の効果がどの程度上つたかということは、私今数的に御説明する資料がございませんが、私ども農林省方々と常々接して御意見等を伺つておりまする観点から、その事業そのものは相当な効果をあげておるというふうに考えております。
  86. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう少し具体的に承知したいのであります。たとえばこの五箇年間に改良普及事業に対して国が三分の二の補助を出しておる。その国の財政支出に応じてわが国の農業生産の高まつた状態、あるいは食糧増産のこれによつて期待された効果というものが、国の財政支出に比べてどのくらいあつたかという点です。
  87. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 私ども考えといたしましては、もちろん農業の生産条件というものはきわめて複雑多岐でありまして、ただ財政支出があつたから一概にそのままふえるというようなものでもないと思います。もちろん、食糧増産については、一方にたとえば減産を防止するための消極的な補助金もございます。それから奨励、助長という積極的な補助金もございまして、この計算というものは実際上なかなかできないと思います。また大蔵省考えといたしましても、先ほども足鹿さんからお話がございましたが、いわゆるコマーシヤル・ベースで農業考えるという考えは毛頭ないつもりでございます。これだけの金を投じたならばすぐにこれだけの利益が上るから、それでこれだけの補助金を出すという考えではなくして、やはり諸外国の農業とは違う特殊な事情にある日本農業であることを多少なりとも農林省その他と接触して認識した上で、できるだけ日本農業に適した補助金を出す。現実には、本年の予算にも、一般のコマーシヤルな考えでは理解できない補助金もずいぶん残つておるわけでありますが、概に農林補助金整理するという気持はさらさらございませんので、その点はひとつ御了解願いたいと思うのであります。そういう意味におきまして、私どもとしましても、農業普及改良制度というものは、単に数字の上の増産ということばかりでなく、全体の農家経済あるいは農村において非常に有益な事業になつておることを確信しております。
  88. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もちろん、農業改良普及事業というものは、厳密に検討してみると、生産に対する指導的な要素が多分にありますし、一方農家の生活様式に対する改善の促進というような有機的な目的を持つておるので、ただちに評価をすることが至難であるということは私も知つておるわけでありますが、それだけにこれらの改良助長法の持つ一つの使命と言いますか——第一条には、「この法律は、能率的な農法の発達、農業生産の増大及び農民生活の改善のために、農民が農業に関する諸問題につき有益、適切且つ実用的な知識を得、これを普及交換して公共の福祉を増進することを目的とする。」こういうことが明確にうたわれてあるわけでありますが、このことを表明してある法律の持つ一つの精神というものは、農業生産に対するこれらの指導的な任務の主体的な責任は国がになうべきものであるということを前提として表明してあると、私は考えておるわけであります。単に土地改良専業とかなんとかに対して、一定率の補助を出すのとは違つて、今総務課長も言われたように、わが国の農業の形態というものは、世界的な水準から見ると非常な低位に置かれておる、しかも宿命的にそこから脱却できないような要素を持つておるという認識の上に立つて、この水準を世界的な規模においてできるだけ引上げるという場合においては、当然国の主体的な責任においてこれらの事業が行われてしかるべきだと思うのであります。むしろ経済面においては全額国が負担してやるのが当然であるような性格のものであるというふうに考えられるわけであります。従つて補助金整理の対象にする場合において、農林、大蔵両当局においてはこの改良助長法という法律を内容的にも十分検討されたと思うわけでありますが、その結論としてこれは補助金を引下げた方がいいということになつたかどうかという点をお伺いいたします。
  89. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 先ほども申し上げたと思いますが、効果があがるから補助率は必ず高くなければならぬというふうには私ども考えておりません。ある一定の効果を相当あげて、そうして一般にもその制度の重要さ、効率性というものが認識される段階になつて来れば、徐々に補助率を引下げて行く段階に到達するということも考えられるわけであります。なるほど法律の趣旨ということもございます。しかし、この法律の趣旨も、先ほど協同という言葉が問題になりましたが、やはり農業というものは国の仕事であると同時に地方の仕事である、しかも地方の重要な仕事であることもおわかり願えると思うのでありまして、現場の府県は大して責任を持たぬ、国だけがやる、こういう態勢ではもちろん農業は成り立ち得ないわけであります。これはやはり国と地方の協同の事業として徐々に推進すべきものである、しかし新しい普及制度創設いたす際には、まだ地方においても認識が足りないであろうから補助率を高める必要がある、しかしもうそろそろ一般にもわかつて来た、効果があることはわれわれも十分認識しておる、しかし、いかなる県の当事者でも、いやしくも農業県であり農業を重視する自治体の首脳部であるならば、この経費を削るようなばかなことはすまい、そんな地方自治は一般的に言つて考えられないという一種の気持があるわけです。地方制度改正ということが今回行われました。その際に、補助金もわれわれとしては地方にまかせていいものはできるだけまかせたい、この関係におきましても職員の給与が中心でありますが、こういうものは元来身分がすでに地方の職員でありますから、こういうものについてまで高率の補助をする必要はない、これは一応一般財源として地方に出し、地方から出してもらえばいいのではないか、こういう考え方でやつたわけでありますが、しかしながら、これについては、先ほどからも議論がありますように、そういうことによつてせつかく効果をあげ始めた制度全体を危うくするのではないか、こういうおそれがあるのではないかという御議論もあつたわけでありまして、そこいらについてはこの法律において一応停止いたしまして、よく実績も見きわめた上ではつきりさせるべき問題だと思います。
  90. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の観察によると、この一年の間に、現在の政府農業政策に対する考え方が非常に大きく転換しておるということが言えると思うのであります。それは、前の十五国会において農業改良助長法の一部を改正しておるわけであります。これは試験機関等をもつと強化して、これに対して国が責任を持つて負担をするということが明確に改正されて、これは二十八年度においてはその通り実施されておると思うわけでありますが、そのように、昨年までは、農業改良助長法の内容を充実して、そしてこれがわが国の農業に非常に寄与することになるという一つ考え方の上において推進されたのが、この一年の間にまた急に転換を示したことに対しては、なかなか承服できないというように考えるわけであります。この一年間の変化というものはどこにその原因があるかということであります。現在の食糧増産段階は、国内において食糧自給が可能であるというところまでは決して到達しておるのではないのであります。今年度食糧増産関係の費用を検討しましても、わずかに三百六十数億しかないのであります。この程度では昭和三十年度に期待する増産効果はおそらく百万石程度しかないと思います。そういう場合においては、一面においてどうしてもわが国の農業の生産性を高めるという強力なる技術面における、あるいは品種の改善であるとか、農家の生活内容の改善であるとか、そういう有機的な面に対してこそ国が積極的に努力をするということが必然になつて来ると思うのでありますが、そういうような一つの必然的なものをお認めになつてはおらないのでしようか、これは平野次官にもあわせてお伺いしたいのであります。
  91. 平野三郎

    平野政府委員 ここ一年の間に政府農業に対する助成政策が後退したのではないかという御趣旨と存じますが、そういうことは絶対にないのであります。政府といたしましては、食糧増産重要性にかんがみまして、あとう限りの努力をいたし、特にお話趣旨についてはまつたく同感でございますので、農業改良普及事業の一層の助長、発達をはかるということに努力をしておるわけでございます。今回改正いたしましたのは、ただ単にこういう事業が中央集権的に国ばかりでやるということは適当でない、従つて地方にもそれぞれ御協力をいただき、中央地方を通ずる農業改良普及事業の発達をはかつて行くことが適当である、こういう観点からこの改正を行うわけであります。本質的にはむしろ一層この事業の推進をはかりたい、こういう熱意が現われておるわけでございまして、この点御了承いただきたいと思います。
  92. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最近平野政務次官の御答弁を聞くと、非常に表面を糊塗するような巧みな御答弁でありますが、私はそういうことは非常に遺憾であると思います。おそらく政務次官も、このような農業改良助長法に対して国のになうべき責任がずつと減つておる、軽くするというような逆行した行き方に対しては、多分に不満を持つておるということを私は信じておるわけであります。このことは、さらに、昨年の十六国会において例の農業団体再編成、つまり農業員会法の一部改正法律案、それから農業協同組合法の改正法律案が上程されたときに、保利農林大臣は、その趣旨弁明の中に、わが国の農業面に対する一つの基本的な方針として、いわゆる農業技術面の指導、それから農政面における活動、経済面における活動というような三本建の機構を截然と整えてやつて行かなければならぬということを明らかに表明しておるわけであります。そのことは、農業員会の運営の中においてこの農業改良普及事業というものと十分タイアツプする形の上に立つて、しかも国が農業生産増強のかかる面に対しては重大なる責任をになうという立場に立つて、この団体の再編成を行うのであるということを明確に言われておるわけでありますが、これらの根拠と現在の政府考えておる態度というものは、いかなる理由によつてかわつておるかという点をお伺いします。
  93. 平野三郎

    平野政府委員 農業団体の再編成に関する法案を提出いたしましたときには、ただいま申された通りのことを政府としては表明いたしておりますが、今日もその基本的な考え方につきましては何らかわかつておらないわけでありまして、どこまでも農業技術の指導につきましては国が中心となつて進めて行きたい、こういうことでございます。従つて、先ほど申し上げましたように、今回の改正によりましてもその基本方針をくずす、国としてこの助長政策の後退をする、こういう趣旨ではまつたくないわけであつて、あくまでも国の責任において、地方の協力を得て、中央地方を通ずるところの事業の推進をはかりたい、こういうことでありますから、よろしく御了承いただきたいと思います。
  94. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほど、大蔵当局答弁の中にも、補助的な性格を持つた事業に対しては、いつまでもそれを持続すると、地方が非常に安易な気持になつて中央に依存するという悪弊が出て来るので、適当の機会にこれを打切るとか圧縮する必要があるということを言われておるわけでありますが、先ほど改良局長も言われた通り、現在まででもこの改良普及事業に対しては実質的に国が三分の二の費用を出しておるということにはならぬのであります。おそらく、この事業総体に対しては、二分の一以内くらいしか政府が支出しておらぬというようなことが実情であつたわけであります。しかもまたその率が三分の一減るということになりますと、逆にこれは国が実質的に三分の一程度、あと地方府県であるとか町村が、残余の三分の二を負担して、その改良事業を行うということになつて行くと考えるわけでありますが、そのようなことに変化をして来るということは、日本農業の生産性を高めなければならぬという非常に重大なる段階に立ち至つておる今日、むしろ大きなる弊害があるのではないかというふうに考えられますが、その点はどうでありますか。
  95. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 地方一般財源としてやります場合において、ただちに従来の効果がそのために下るかどうかということについては、今までも御議論がございまして、非常に不安をお持ちになつている向きが多いのでございます。先ほど御説明がありましたが、一面五割になりましても、それに応じて補助条件としては見合いの財源の捻出を当然農林省は要請されることでもありますし、それからこれはまた経費の性質にもよることでございます。現にある県のごときは、県独自において三分の二の見合いの三分の一以上に出しておる。本来ならば三分の一でありますから国の半分でありますが、国の出す経費以上に出しておる県さえあるのでありまして、それらはやはりその県の特質あるいはその県における農業認識の普及のいかんによつて多少違つて来るだろうと思います。私どもといたしましては、一方に地方自治の建前からいつて、この給与の費用までそうむやみにひもつきにまでしなくてもいいのではないか、そういう議論が近ごろあるのであります。地方制度調査会はやはり自治の見地から議論を立てて来ておられます。それからやはり、ただいま議論のございましたように、個々の事業をおとりになつて御心配になる向きは、補助率が高ければ高いほどいいということになるのも当然と思いますが、しかし事業費というのでなくして給与の費用でありまして、せつかく従来その身分を持つておる連中をかかえておることでございますから、しかもその事柄が、どの県におきましても農業事業というものは重要なものでありますから、農林省の指示をまつまでもなく、できるだけの力を置くべきものと考えますし、農林省においても特に力を注いでいただけるものと考えております。でありますから、一概にはそう結論を下すことはできないのではないか、こういうふうに考えております。非常に両方の立場がございますからむずかしい問題とは思いますが、一応そういう考え方によつてつたわけであります。
  96. 芳賀貢

    ○芳賀委員 少し見解が違うようです。私は決してわずかな補助率の問題だけにこだわつておるのではないのです。ただこういうような事業はやはり食糧増産というような一つの国の要請にこたえるために寄与しなければならぬ、このような国家的なあるいは公益的な性格を多分に持つておるのであるから、これは国家的に一貫した農業改良普及事業というものが行われる必要がある、地方的にこれが分断されるということは、決して全体の農業の水準を高めるということにはならないと考えるのであります。特にこれが地方にまかされた場合においては、当然地方財政の強弱によつて大きな差が出て来るわけです。そういうアンバランスをどうして是正するかということも問題になつて来るわけであります。  もう一つ具体的な問題として取上げたいことは、大蔵当局は、世界的に麦価もだんだん引下つて来ておるので、二十九年度の麦の買入れ価格は当然引下げるべきであるというような意見を強く持つておられるように聞いておるわけでありますが、この点にも関連があるのでお伺いします。
  97. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 麦価の引下げにつきましては、まだただいまお話のございましたような結論は出しておりません。
  98. 芳賀貢

    ○芳賀委員 とにかくそういうような考え方大蔵当局の中にあるということは、これは否定できないと思います。もちろん国内におけるところの食糧価格はなるたけ低廉であつて、それが安い価格で消費者に提供されることは望ましいことでありますが、そのような情勢をつくるためには、結局農業の生産性というものを高めて、これらの事業の推進によつて、今まで一反から五俵とれておつたものが六俵とれるということになれば、またコストが引下るということになるわけであります。これらの当然行わなければならないような重要な仕事を放棄して、そうして農業の生産性は高まつて行かない、ただ国際的に見て国内の麦の値段が現在では高過ぎるから、これを引下げなければならないということでは、これは理論的に見ても承服することができないのでありますが、問題は、とにかく国内において食糧の絶対量が足らないのだから、どうしたら自給度が高まるかということにもう少し責任のある態度がとられてしかるべきであると考えるのであります。そういう気持だけはあるといつても、現実に財政面においてそういう気持が反映しておらぬことにおいては、どうしても効果が期待されないと私は思うわけであります。一方においては土地改良事業費その他の補助金を削つてしまつて、このような有機的な事業に対しても、もう今の段階では国がそれだけ背負う必要はない、これは地方にまかすべきであるというような見解をとつておられますが、この点は、先ほど足鹿委員も指摘されましたように、結局、国内における食糧増産よりも、むしろMSAにたよつて、アメリカで余つてつておるところの小麦を、義理があるから買い入れなければならない、食糧増産の面の経費というものは削減してもさしつかえない、むしろ削減することの方がアメリカに義理を立てることになるというような考え方が底流をなしておるように、私には感じられるのであります。この点を端的にお伺いします。
  99. 平野三郎

    平野政府委員 政府は、外国食糧輸入に依存して、それがために国内の食糧増産を軽視する、そういう考え方は毛頭持つておりません。政府は、あくまでも食糧自給態勢を確立することを理想として、一挙にそれができませんために、できるだけそれに近づけさせるよう食糧自給度の向上に努めておるわけであります。ただ、現在におきましては、国民食糧確保するために、やむを得ないところの最小限度の輸入をするということでありまして、今回のMSAによりますところの農産物の購入も、必要とするところの輸入計画の範囲においてやるわけでございまして、将来は努めて輸入食糧に依存しないでやつて参りたい、こういうことで食糧増産努力いたしておるわけでございます。
  100. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ではお伺いしますが、かかる状態に置かれた場合において、今後どのようにして食糧増産に大きな期待を持つことができると思うのですか。結局農家を貧窮に陥れる条件をつくれば、農民は自分が生きて行かなければならないから、自己の労働強化をやる以外に方法はないのであります。そういうような状態の中に置くことが一つ食糧増産を実現させる唯一の方法だというふうに考え方がかわつて、そういうことを言われるのですか。
  101. 平野三郎

    平野政府委員 今回の農業改良普及員に対しますところの国庫補助金を一部地方負担にまわすと申しましても、大体本質的にはやはり地方財政計画を見て行くわけでございますから、何ら実質的には変化がないわけでありまして、こういう制度をとつたから食糧増産の効果が減殺されるということは毛頭ないと考えておるわけでございます。
  102. 芳賀貢

    ○芳賀委員 このことは、今議論するよりも、その効果があがるかあがらぬかということは、将来はつきり現われて来ると思いますが、実質的には出すのだという場合においては、何も遠まわしに地方財政の方に譲与税のような形でやる必要はない。すなおに出せば、それによつてこの使命に基いたところの経費は最も効果的に使用されるのであつて、迂遠な方法を講じて地方にやつた場合においては、改良普及事業にその譲与税の分を使わなくてもやむを得ぬ。ほんとうにやる気があるならば、この改良助長法に示される通り支出するのが当然だと思うのであります。それからまた、すでに段階として国が三分の二も負担する必要がなくなつている、そこまで進度が高まつているという場合においては、むしろ助長法の内容を改めて、国が二分の一を負担するというふうに、むしろ率直に、端的に是正された方がよかつたのではないか。当分の間というのは、これは近い将来というのかもしれませんけれども、おそらく現内閣の存命中は当分の間続けて行くというようなお考えであるということははつきりしておるわけでありますが、なぜ直截に改良助長法そのものを改正するという明確な意思を持たなかつたかという点をお伺いします。
  103. 平野三郎

    平野政府委員 どつちみち国が負担するのならば、そういうまわりくどい方法をとらずして、現行法通り国が三分の二持つたらよいじやないかという御議論につきましては、そういう見解もあると存じます。しかしながら、政府といたしましては、やはり憲法によつて地方自治制度が認められておるわけでありますので、地方自治にある程度まかせて行くということが憲法の趣旨にも合致するわけでありますから、やはり中央地方がそれぞれ共同の責任をもつてこの重大なる事業を進めて行くことが適当である、かような考えのもとにこの制度改正を御審議願つておる次第であります。
  104. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農業改良助長法の問題に対して、これはどこまで議論しても見解の相違で結論は出て来ないと思いますけれども、結局、今まで指摘した通り、この農業改良助長法一つだけを取上げて論及するわけではありませんけれども、この一つの現象というものは、法律の中ではつきり国はどれだけの負担をする義務を持つておるということが規定づけられておるわけであります。この法律に対する一つの抑圧があなた方の考え通りに実現した場合においては、それがやはり一つの突破口になつて、今後あらゆる面に対する農業関係の支出は今まで以上にきゆうくつになつて行くというふうに考えられるわけであります。そのような御意図を持つておるというふうに私ども考えておるわけでありますが、その点いかがですか。
  105. 平野三郎

    平野政府委員 政府といたしましては、日本農業に対してはあくまでも保護助長政策を進めて参らなければならぬ、こういう基本方針を堅持いたしておりますので、将来に関しまして御心配のようなことは毛頭ないと確信いたす次第であります。
  106. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 大蔵当局といたしましても、こうした問題につきまして、ただいま農林政務次官お話になりましたように、今後ともわが国の農業の助長発送について十分意を用いて参りたい、かように考えておるわけであります。
  107. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際参考にお伺いしておきますが、補助金等整理法律案というものは、改良助長法の中の二つの条項に対して規制を加える意図を持つておるわけでありますが、もしあくまでも農業改良事業を国の主体的責任において進めて行かなければならぬという建前の勢力——勢力というのはおかしいのでありますが、そういう建前の上に立つたこの対象がもし失われた場合——補助金整理の法律の中で対象になる条項がもし失われるような事態が生じたらどうなりますか。
  108. 平野三郎

    平野政府委員 今の御質問の御趣旨がはつきりいたしませんので、補助金の対象になるかということでありますか。
  109. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 御質問意味がとりにくくておるようですが、もう少しわかるように御質疑が願えませんか。
  110. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その程度でいいです。
  111. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 よろしゆうございますか。——それでは井手以誠君
  112. 井手以誠

    井手委員 ただいま補助金地方自治に関して平野政務次官から御所信の披瀝がありましたので、簡単に一、二点お伺いしておきたいと思います。この補助金整理地方自治とはいささか私は間が遠いものではないかと考えておるのでありまして、地方自治のために補助金整理するというような理由はあまりないのではないかと考えております。この食糧増産の基礎である普及事業は、食糧増産という至上命令のため、国家的規模においてやらなければならぬ、こういう趣旨でこの法律ができておると信じております。ただいまも当時の会議録、提案理由などを調査して参りますと、そういう趣旨が盛られておるのであります。従つて、この普及事業に対しては、そのほとんどの費用を国家が負担しなくちやならない。おおむね大部分国家がこれを負担する建前であると私は思う。官庁間に伝えられておるおおむねとか大部分という意味は、三分の二であるとか、七割であるとか、相当額を国家が負担するということが常識となつておると私は思うのであります。そのためにこそ、この法律の目的に公共の福祉ということが言われておるのであります。先刻総務課長は私企業云々というようなことも言われましたけれども、この普及事業は、私企業云々のものではなくて、国家的規模においてやらなければならぬということがはつきり提案の理由に確立されておるのであります。そういう意味から、その半額だけしか国家が負担しないという補助金削減は、立法の趣旨と私は大分離れておると考えるのであります。それについて、いわゆる普及事業の半額しか負担しないという今回の行き方についての考え方を、大蔵省農林省の双方にお尋ねいたしたいと存じます。
  113. 平野三郎

    平野政府委員 お話趣旨につきましては、まことに同感でございまして、農業改良助長法によりまして、明らかに国が中心となつてこの制度の推進に努力すべきであるということは、重々了承いたしておる次第でございます。しかしながら、もしその議論を発展いたしますならば、全額国が持つて国家公務員としてこれをやるということになろうかと存じまするが、しかしながら、先ほど来申し上げますように、これは、国の責任であると同時に、やはり中央地方を通ずるところの推進が適当である、かように考えるわけで、従つてその意味で今回補助率の一部を地方に転嫁する、こういうふうにいたしたわけで、本質的には御意見とまつたく同じ気持を持つておるわけでございます。
  114. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 おおむねただいま平野政務次官の答弁された通りでございます。法律の精神が全部を一体国の負担にしなければならぬか、あるいはおおむねお話のように三分の二なら三分の二を負担しなければならぬかという点が那辺に存するかは、その法律の立法当時の情勢にもよることだと思いますし、財政その他の事情から、また地方財政中央財政調整をはかります今日の機会に、中央地方がそれぞれ等分に力を尽し合おうということも一つの行き方であつて、決してこの事業を軽視しようというような点に目的があるのではないことは、ぜひ御了承願いたいと思うのであります。
  115. 井手以誠

    井手委員 当局も認めておりますように、普及事業についてはそのほとんどを国家が見なくてはならぬ、こういうふうになりますと、地方との財政調整であるとか折半で見ようとかいう論議は、私は出て来ないと思います。しかし、この論議については、もう何回も繰返されてもおりますし、根本的な意見の違いでもございますので、これ以上は申し上げません。  ただ一言最後に申し上げておきたいことは、平野政務次官は先刻来三分の二と二分の一との差額は交付税に盛られてあるとおつしやいました。この点については、後刻自治庁から財政需要測定に関する数字的資料をいただかなくては、私ども何とも申し上げられないのであります。しかし、いずれにいたしましても、それはあくまでも交付税を交付する基礎資料でございましてそのままその差額が農業普及改良事業に振り向けられるものではないのであります。ひもつきでない以上は、そういう目的に使用されるとは限らないのであります。その証拠といたしましては、もしそうであるならば、どれもこれも交付税に盛つておるものであるというならば、二十九年度交付税は二十八年度平衡交付金よりもずつと高額でなくてはならぬのであります。しかるに、国会に出されました金額交付税の方がずつと少い。あるいはこれについて地方税の自然増収があるという御答弁もあるかもしれませんけれども、少くともあらゆる方面において地方交付税に盛つているということであるならば、私は増額されて行くことが正しい行き方ではないかと考えているのであります。いつも交付税に盛つている、平衡交付金に盛つているという当局の答弁に対しまして、私はいささか不満の意をこの際表しておく次第でございます。私はこれについてほかにいろいろと意見も持つておりますが、この際はこれ以上申し上げません。
  116. 平野三郎

    平野政府委員 御心配の点、よくお気持はわかるわけでございまして、農林省といたしましても、そういうことのないように、各都道府県に十分厳重な指令を発して監督すると同時に、地方の必要といたしまするところの財源につきましては、大蔵省と十分折衝いたしまして、遺憾のないように処置いたしたいと存じます。
  117. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 他に御質疑がなければ、本連合審査会はこれにて散会いたします。     午後五時三十八分散会