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1954-03-12 第19回国会 衆議院 補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十二日(金曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 葉梨新五郎君   理事 岡村利右衞門君 理事 川村善八郎君    理事 羽田武嗣郎君 理事 松岡 俊三君    理事 吉川 久衛君 理事 井手 以誠君    理事 杉山元治郎君       生田 宏一君    鈴木 善幸君       綱島 正興君    内藤 友明君       山下 春江君    長谷川 保君       川俣 清音君    平岡忠次郎君       川上 貫一君  出席国務大臣        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君  出席政府委員         法制局次長   林  修三君         法制局参事官         (第一部長)  高辻 正巳君         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      佐藤 一郎君         厚生事務官         (児童局長)  太宰 博邦君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君  委員外出席者         厚生事務官         (児童局養護課         長)      竹下 精紀君     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  補助金等臨時特例等に関する法律案内閣提  出第四九号)     —————————————
  2. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 これより会議を開きます。  補助金等臨時特例等に関する法律案を議題といたします。  この際お諮りいたします。明十三日参考人として鈴木安蔵君及び田上穣治君より意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  3. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 御異議なければさよう決しました。  それでは質疑を継続いたします。井手以誠君
  4. 井手以誠

    井手委員 委員長お尋ねしますが、きようはどなたが……。
  5. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 きよう大蔵大臣は零時十分にここへ出席いたします。どうぞ大蔵大臣に関する以外の質疑の継続を願います。
  6. 井手以誠

    井手委員 法制局関係は……。
  7. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 法制局は第一部長高辻君が出席しております。
  8. 井手以誠

    井手委員 補助金等臨時特例等に関する法律案につきまして、原則的な問題をまずお尋ねいたしたいと思うのです。  過日の委員会において憲法との関係がいろいろと論議されたのでありますが、私も、事重大でありまするので、法制局見解を承つておきたいと存じます。  国会は新憲法によつてただ一つ立法機関であり、立法権国会に独占的に与えられておる、こういうふうに私ども考えておるのであります。もちろん例外として条約その他の規程はございますが、これはあくまでも例外であり、むしろ例外規定を設けたことによつても、立法権独占的権限国会に与えられておると私ども考えておるのであります。この点について御見解を承つておきたいと存じます。
  9. 林修三

    林政府委員 憲法によれば、国会国権最高機関、であり立法機関である、これはおつしやつた通りでございます。ただ、そこにおきまして法律を制定なさいますのはもちろんこれは国会でございます。その素材としての法律案を提案いたします。これについてはもちろんいろいろ学説もございますけれども、大多数の学院は、提案権議院にある、議院にあることは問題ございませんが、政府にもあるという解釈をとつておられる方が多いわけでございます。また憲法上から申しましても、七十二条に「議案国会に提出し、」という言葉がございます。これを受けて、内閣法では、その議案ということを「法律案予算その他の議案」というふうに例示いたしまして、法律案もこの七十二条で申します議案の中に当然入る、こういう解釈で第一国会以来参つておるわけであります。そういうその素材を提供するという意味法律案を提案いたします権限は、ただいまのところこの解釈では議院にあることはもちろんでございますが、政府にもある、かよう解釈しておるわけでございます。
  10. 井手以誠

    井手委員 立法権の点については、いろいろ学説もありますし、また現実にはおつしやるようなことで進んでおるのでありまして、私はこの点については深くはお尋ねいたしませんが、ともかく国会立法機関として最高権威であることには間違いないのでございます。  そこで、次に財政のことについてお尋ねいたしますが、財政処理行政府にゆだねてはありますけれども、その権限決定国会にあると存ずるのであります。国会議決によらなくては処理はできないのであります。国費を支出する場合には、収入よりもむしろ支出の場合には、具体的に費目にわかつて国会議決を経なければならぬ、こういうことで、財政についても国会中心であるということが新憲法建前であると考えておるのであります。国会がきめたものを行政府処理して行く。この点については、もちろん御異議はなかろうと思いますが、念のために承つておきます。
  11. 林修三

    林政府委員 おつしやる通りでございまして、憲法第八十三条以下に大体さようなおつしやる意味のことが規定してあるわけでございます。予算については提案権政府に専属させてはおりますけれども、その予算についての御議決を願いますのはもちろん国会で、その国会で御議決願つた予算従つて政府執行する、こういう建前だと考えております。
  12. 井手以誠

    井手委員 そういうふうになつて参りますると、まず国会議決基本でなくてはならぬ。国会議決に反して行政府がいろいろなことを提案し、あるいは執行するわけには参らないのであります。従つて法律をかえる場合、あるいは法律従つて議決された費用を予算に組む場合に、法律に違つたものを組んではならないと私は考える。たとえば、法律によつてきまつた補助率をかえるというならば、まず国今の意思決定して、法律改正行つたあとにそれに従う予算を出すことが正しい行き方ではないかと思うのでありますが、この点についての御見解を承りたい。
  13. 林修三

    林政府委員 予算執行は、もちろん法律に従い、あるいは国会議決に従い、政府が忠実に行うべきことは当然でございますが、その予算内容をどうきめていただくか、あるいは法律案についてこう改正していただきたいということを御提案申し上げる権限は、これまた別のことだと思うわけでございます。今おつしやいました通りに、予算法律関係につきましては、まず法律について国会の御議決をいただき、それに従つて予算を組むということも、これはもちろん一つ方法かもわかりませんが、国会運営から申しましても、あるいは予算編成の時期、あるいはこれに伴う法律案決定の時期等から申しまして、事実上そういうことが行えないような状況でございます。要するに国会の御意思法律についても予算についても同じように並行していただければいいわけでありまして、ある法律案についてこういうふうにかえていただきたいという改正案をお出しいたしますと同時に、そういう内容従つて予算を組みまして、この両方について御議決を願う、こういうことは許されてしかるべきことではなかろうか、また現在、従来も大体事務運営上そういうふうにお願いしておりました、かよう考えておるのであります。
  14. 井手以誠

    井手委員 その点私ども解釈に苦しむのであります。行政府はいわゆる財政処理あるいはまた予算のことについては国会議決に基いてやらねばならぬ、国会がきめたことは忠実に執行しなければならぬというのが建前であります。国会国権最高機関であるならば、まず最高機閣がきめたことを忠実に執行しなければならぬ。従つて法律でこの事業については政府は三分の一の補助をしなければならないという義務支出を規定した場合には、それをあくまでも忠審執行しなければならぬ。先刻おつしやるように、素材を提供する、この点はわかりまするが、もし補助率をかえねばならぬという場合をお考えなつたときには、やはり法律改正案素材を出されて、国会意思がきまつた上で行政府権限に属する予算を提出されることが私は順序であると思う。なるほど今日までそういうようなことをおやりになつているかもしれませんが、今度のように多くの法律を十ぱ一からげにして削つてやる。しかも、予算を先に出して、これに関連した改正法律案あとで出すということは、私は間違つた行き方だと思う。この点について私は実は非常に多くの意見があるのであります。この点は法制局十分納得の行くまで検討して行きたいと思つております。外国の例をとるまでもありませんが、イギリスにおける金銭条項を含む法令を見ましても、根拠法改正しない限り予算をかえることはできないということがはつきり書いてある。私はこれをもつて日本のものをどうしようとは言いませんけれども、まず国会意見がきまつたあとで、行政府としてはそれに従い、その権限に属する予算を組んで提出すべきである。その方が正しい行き方である。そうでなくては国会権威というものがなくなります。行政府の方が優先するというか、上位に立つというか、私どもそういつた感をいたすのであります。あくまで国会意思決定した上で予算を組むべきである、提案すべきである、かよう考えを持つておりますが、重ねてお尋ねをいたします。
  15. 林修三

    林政府委員 結局、先ほど申し上げましたことを繰返すようなことに相なりますが、国会の御意思がある年度予算についてこうきまる、それから予算に関連いたしまして、その予算基礎となるところの法律も、それについて内容が同じようにきまる、こういうことが一緒にできれば実は法律的にはそれでいいのではなかろうか。ただ国会の御運営のあり方から申しまして、まず法律案についての国会意思を固め、それに基いて予算を出す。もちろんこれは一つ方法であろうとは思うのであります。大体今までの事務運営から申しまして、予算決定については実は相当時間を要するわけでございます。法律案をまず国会にお出し申しましてから予算を出すということになりますと、これは、実際上の運営から申しまして、ほとんど不可能のことではなかろうか。従いまして、ただいままで、あるいは便宜方法といたしまして、予算法律について同時に素材を御提供申し上げまして、それについての御決定をお願いする、こういう建前がとられて来ておるわけであります。これが違法だということには必ずしもならないものだと私たち考えておるのであります。その運営がいいか悪いか、御批判はあることだと思いますけれども、これをもつて違法なやり方であるということにはならないのじやなかろうか。要は、ある年度予算がきまりますまでに、同町にその予算基礎となる法律も同じようにきまるということがあればいいのではなかろうか。もちろん、予算がきまり、予算案国会に御提出申し上げると同町法律案を御提出申し上げるのが、あるいは筋かもわかりませんが、実際は、今まで、政府としては恐縮ではございますが、どうも、予算でその年の政策の大綱がきまるようなかつこうで、その予算できまつたところを法律にする。法律案を出す作業は、実際はそういうふうになるものでございますから、大体同時あるいは法律の方が多少遅れるということもございます。しかしこれは年度がわりまでに同時にきめていただければいいじやないか、かよう考えておるわけでございます。
  16. 井手以誠

    井手委員 ただいままでの御答弁によりますと、まず国会意思決定することは一つ方法である、こういうふうにおつしやいましたが、私は一つ方法とかいうことではなくして、どちらが新憲法精神にのつとつた建前であるか、方法であるかということを私はお尋ねしておるのであります。現在の運営の実際からだとか、便宜からだとかおつしやいますが、私は、事務上の都合でいろいろと聞いておるのではなくして、憲法建前からどうあるべきが正しいか、まず国会意思決定して、しかる後に予算を出すというようにするのが正しくはないかという見地から私は申し上げておるのであります。一つ方法だとか便宜上だとかいうことではなくして、憲法制定当時いろいろ論議されており、私それを見てもおりますが、あれから行けばどうすることが正しいか。しかし、この場合にはやむを得なかつたとか、これはまずいけれどもいたし方なかつたというならば、私は考えようもあると思う。一つ方法であるということは、私はどうも了解しにくいのであります。法制局としてどの行き方が正しいと思われるのか、その点を私はお尋ねをいたしたいのであります。
  17. 林修三

    林政府委員 今のやり方が正しくないと申し上げるわけには私ども行かないと思うわけでございます。今仰せになりました方法もあり得るけれども予算についても法律案についても、政府の提案いたしますことは、先ほど申し上げました通り、やはり素材の提供であります。これを、どう御料理なさいますかは、国権最高機関たる国会の御審議によることであります。必ずしもあるものをまず先にきめて、それでなければ予算が組めないということが、今の憲法の唯一の精神であるということまで言うことはできないのではなかろうか、かよう考えておるわけでございます。
  18. 井手以誠

    井手委員 次長にまずただしておきたいことは、すでにこういう事態になつておるという政治的な配慮は別にして、こういう原則論を聞く場合には、いわゆる憲法解釈する上において一番権威あるあなたの見解ですから、そういう意味でひとつお答え願いたい。古由内閣のもとに長官をしておる、次長をしておるという政治的な配慮でなくして、将来これは一つの基準になることでもございますので、特にその点は頭に響いて御答弁をいただきたいと思います。  くどいようですけれども予算を出す、法律案を出す、これはただ素材であるから、いずれに決定されるかは国権最高機関である国会で自由にされてよろしい、それでは憲法解釈上おもしろくないと私は思う。順序はどうあるべきか。きめられた、義務づけられた法律、いわゆる予算作成を義務づけたところの法律改正するときにはいずれを選ぶか、どういう順序でやるかということについては、やはり一つ建前がなくてはならぬと私は考える。順序がなくてはならぬと私は考えております。どれでもいい、ああでもいい、こうでもいいというのではないと思いますが、その点はどうですか。
  19. 林修三

    林政府委員 これはもちろん私ども純粋に法律的に考えてお答え申し上げているつもりでございますが、方法といたしましては、今のよう方法がどうも今の憲法精神に合わないということは、私ども申し上げられないのではなかろうか……。
  20. 井手以誠

    井手委員 そこのところをもう一ぺん……。
  21. 林修三

    林政府委員 今の方法憲法精神に合わないということを言い切ることは、私は今できないわけでございまして今の方法でも今の憲法に決して反していないかよう考えるわけでございます。ただいま仰せられました方法も確かに一つ方法と私ども考えますけれども、しかしこれは、今の憲法精神から申して、必ずそうしなければならぬほどのこととは、私ども申し上げられないことだと思うわけでございます。
  22. 井手以誠

    井手委員 同じようなことになりますが、ちよつとかわつてお尋ねいたします。先刻次長は、予算をきめて政策がきまつて行く、予算政策をきめて行く、従ってそれによつて法律案改正も伴つて来るというお話でございますが、それでは予算を提出する行政府財政処理する行政府が、その上位にあるべき立法府国会を支配するようなことになりはしないかと私は懸念するのであります。国会がきめた法律によつて政府執行して行く、国会議決したものを忠実に行政府執行して行く、こういういわゆる国会がきめたものを行政府執行して行くというものに対して、まず行政府基本をきめて逆に国会に持つて行くというふうな印象を与えるのであります。どうもその辺が逆じやないかと思う。そこで、もしあなたのおつしやるように、一つ方法だ、あの方法もいいのだということで、法律案予算案を…時に出されて、四月一日から出発すればいいということをこの前長官もおつしやつておられましたが、もし、その場合に、予算は通つたけれども法律案の方は通らないということになれば、国会意思行政府考え方とそこに食い違いが出て来る。その場合はやむを得ないとおつしやるかもしれません。幸いに両方が一致すれば大した問題は起らないかもしれませんけれども、もし法律案の方が通らないということになりますれば、国会意思に反して予算が組まれた、こういうことになるのであります。国会意思に基いてやらなければならぬものが、それが逆な結果になつて来ればおかしな事態になりはしないか。だから私は、先刻来申しますように、まず法律改正行つて、そのあと予算案を提案するのが正しい行き方だ、こういうふうな考えを私は持つております。
  23. 林修三

    林政府委員 国会に対しまして予算案法律案素材として御提供申し上げるわけでございます。従いまして大体におきましてその予算案の御議決法律案の御議決が違うことになることは、これはおそらく普通の場合においてはあり得ないことだろうと思うわけであります。しかし万一そういうことが起りました場合には、予算の方を法律に合して行くか、なおさらに法律案について御審議をお願いするか、これは結局、政府といたしましてもあるいは議院といたしましても、どちらかの方法をお願いするより方法がない、かよう考えるわけであります。
  24. 井手以誠

    井手委員 実際問題としては、ただいまおつしやつたように、法律に合うように処置をしなければならぬとか、どうにか上なければならぬことは申すまでもないわけであります。しかし、そのよう事態なつた場合には、立法府行政府関係が新憲法精神と反したようなことになる。国権最高機関がきめたものに反して予算を出した、その基本となる改正案が通らない、こういう場合には、同権の最高機関議決によつて一応権威は保たれたとはいいながら、行政府と同列のような感がいたすのであります。その辺についてどうも私は解釈に苦しみますが、それは見解の相違になりますので、これ以上多くは申しません。しかし、よその国の法律を見てみましても、恒久法、あるいは恒久法でなくて限時法のものにしましても、義務支出を規定した法律については、それを忠実に執行する行政府建前として、まずそれに従わなければならない。もし必要ありとするならば、事前にやるべきがほんとうである。どうにもならないようになつてから一緒に出すということでなくて、前の国会において審議願つてそのあとでやるという方法もある。予算編成がどうにもならないときになつてからということでは、国会権威を軽んじている傾向があると思う。しかも、それぞれいろいろな意義を持つて議員立法が行われ、あるいは政府素材を提供して法律ができているが、今度提案されました整理法案においては、十幾つ法律を一ぺんに切つてしまうという行き方でございますが、その行き方考えてみますと、実際問題として、国会が慎重に検討してきめたものを、大蔵省考えによつて——なるほどそれは政府考えということになりましようけれども大蔵省予算編成都合から、りつぱな法律がありながら、これをかえる予算を組んでやるということは、行政府立法府権限最高権威を侵害するおそれがある、そういうように私は感ずるのであります。最近、法律をきめておいてもなかなか大蔵省執行して行かない、また、こういうことをやるので、よく世間で大蔵フアッシヨだと言われております。自分たち考えでこういう結果をもたらして行くので、これはいたし方なかつたという法制局考え方でありますが、私はどうもこういう行き方はおもしろくない、簡単に申しますれば、国会を軽視した感があることを申し上げておきたいのであります。  そこで、次にお尋ねいたしますが、予算通つて法律案が通らなかつた場合には、どういう措置をすることが建前でございましようか、お尋ねいたします。
  25. 林修三

    林政府委員 ある経費の義務的な支出をきめます法律案について、その改正案が通らなかつた場合でございますが、結局予算といたしましては、その年度考えまして、一年度として予算が組んであるわけでありますから、現実に存在いたします法律との関係を勘案いたしまして、どうしてもその法律がある以上は出さなければならない経費があるわけであります。その経費が出せないということになれば、これは予算の方を修正いたしますか、あるいはまた次の機会におきまして法律改正をお願いいたしますか、方法としてはこの二つがある、大体さよう考えるわけであります。
  26. 井手以誠

    井手委員 予算は大体三月一ぱいに上げるのが建前でございますが、あと法律案が通らなかつた場合には、ただちに予算補正を行わねばなりませんが、その辺の時期的な関係お尋ねいたします。
  27. 林修三

    林政府委員 これは、実は確定的なことは申し上げられないのでございますが、大体予算全体をにらみ合せまして、たとえばこの補助金を例にとりますと、この補助金支出時期ということもございます。その予算が、たとえばそれについて全然ないのか足りないのかという問題と、いろいろケースがわかれるだろうと思います。そのおのおのに従つて、ただちに予算補正しなくちやならないという場合も起りましようし、あるいは、多少年度の経過を見て、さらに国会が開かれます際に法律の方の改正をお願いする方法もあり、あるいはその際に予算補正するという方法もあるだろうと思います。
  28. 井手以誠

    井手委員 たとえば、この法律案の中に、補助執行を停止するものも入つております。これはやはり、改正案が通らないということになりますと、さつそく生かさなくちやならぬと考えるのであります。そういう場合にはもし開会中であれば補正予算を出さねばならぬと考えますが、法制局はいつでもいいというお考えですが。その辺の一時期的な関係お尋ねいたします。
  29. 林修三

    林政府委員 結局これは、やはりその予算支出時期とにらみ合せての問題であろうと考えるわけでございます。
  30. 井手以誠

    井手委員 時期と申しましても、四月一日から多くの事業は始まるわけですから、当然そういう措置をしなくちやならぬと考えます。もし、その措置開会中にせずに、その後国会が容易に召集されないという場合には、どういうふうになりますか。かりに小さな補助金の問題にしても、法律義務支出予算に全然計上されておらないという場合には、国会を召集してでもやらねばならぬとも考えまするが、この点はいかがでございますか。
  31. 林修三

    林政府委員 これはやはり、その補助金費目いかん、あるいは補助金費目予算上はどういう項、どういう目に入つておるかというよう予算のいろいろな技術的な面も関連して参ると思うのであります。建前から申せば、補助金の性質からいつて、それが予算補助であるか決算補助であるか、あるいはその補助金支出時期が年何回になつはおるか、こういうことともにらみ合せて、そういう予算支出すべき時期に予算がないということになりますれば、他に方法がなければ、予算補正をお願いします。あるいは、その費目組み方によりましては、多少とも、一時でも経費流用することも予算執行上できることがあるかもしれません。しかし、建前といたしましては、支出時期に予算がないということになりますれば、これは予算補正するということに相なるだろうと思います。ただ、その内容によりましては、経費費目いかんによりましては、やり方といたしまして、予算組み方の技術的な面と相関連いたしまして、あるいは目、節間の流用というようなことでできる場合もあるのではないかと実は存ずるわけでございます。
  32. 井手以誠

    井手委員 端的に承りますが、補助を停止したものについては、やはり予算流用とかなんとかいうことは困難だと思う。やはり早急に国会予算補正を提案すべきだと思うのでありますが、いかがでございますか。
  33. 林修三

    林政府委員 ここでは抽象的にはちよつとお答えしにくいのでございますが、具体的に申しまして、たとえば予算費目内容が、実は幾つかの補助費目一つの目なり項に組んであるという場合に、その予算費目の名前から申せば、あるいはそういうものにも出し得るという場合もないとは申せないわけでございます。そういう場合もございますが、場合によりましては、財政法の予備費支出の理由が立つ場合には、予備費臨時支出の理由も立ちましようし、今申しましたよう費目組み方によりまして、たとえば幾つかの補助費目一緒に組んであるというような場合には、大きな意味でそういう補助費もこの中に入る場合もあるいはあるのではないか、こういう場合にはその費目の中から出すこともできる。最後に、予算の金額がどうしても不足の場合には、年度の後半に至つてその予算補正する、こういう方法もあり得るのではなかろうかと考えます。
  34. 井手以誠

    井手委員 私いろいろ調べて参りますと、法律義務支出を規定している。たとえばこの事業には何分の一を補助しなくちやならぬという法律がある場合に、その予算を全然計上してない場合にはどういうことになりましようか。
  35. 林修三

    林政府委員 先ほど申しましたように、項の中の目、節等の流用あるいは予備費の支出の理由がない、そういう場合において、しかもなおかつ予算法律上どうしても出さなければならないという場合が起れば、これはやはり最後は予算補正ということに相なると思います。
  36. 井手以誠

    井手委員 たとえば昨年十六国会ででき上りました災害関係の特別立法の中にいろいろ補助規定が入つておるのであります。今度出されました法律案の中にはその点はないのでありまするが、三十四の法律の中に、たとえば堆土事業であるとか、各府県から申請された事業がたくさんある、また全額を国庫が負担しなければならぬという規定がある法律について全然予算が組まれていない、こういう場合には政府の責任はいかがになるのでございましようか。
  37. 林修三

    林政府委員 法律上当然国が何制を負担するということになつてつて、その負担が義務的になつております場合において、それが予算に組まれてないということは、今度のこの改正案に出されていない限りは、実はないものと私どもは心得ておるわけであります。  今の災害関係のことにつきましては、実は私詳細に存じませんが、何ならば大蔵当局からお答えいたすようにいたしたいと思います。
  38. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいま御引例のございました堆土事業につきましては、予算に組んでございます。
  39. 井手以誠

    井手委員 組んであるとおつしやいますが、それは、堆土に関する特別立法ではなくて他の法律によつて、公共土木施設によつてやられておると私どもは聞いておるのであります。その像かに塩害防除に関する法律、そういつたものはほかにもございますが、長くなるから申しませんが、全然予算から離されております。申請があるのに、これは必要ないとたたき切られている事実がある。法律で義務として規定したものに予算を計上しないという場合はどうなるんでございましようか。それで済むのでしようか。
  40. 林修三

    林政府委員 これは今度の補助金等の臨時特例に関する法律案を立案いたします際の心構えといたしまして、法律義務支出になつておりますものにつきましては、それについて実は予算がないというものにつきましては、全部ここで改正いたす方法で実は御提案申し上げているはずでございます。何らかの理由で、たとえば年割額を延ばし得るとか、法律上年割額について多少余裕があるとか、あるいは法律で定める予算の範囲内でこういうことをすることができると書いてある。何分の一以内と書いてある。そういう意味におきまして、多少法律上に余裕のあるものにつきましては、必ずしも法律最高限度まで予算を組まなくても、法律そのものを改正申し上げるようなことはいたしておりませんで、非常に法律がきつちりきまつておりまして、何分の一というものを負担する、あるいは補助するということをはつきりきめておりますものについては、大体追加予算と合わない場合におきましては、ここで改正をいたす、こういう建前を大体とつているはずでございます。今おつしやいましたような例は実は私詳しく存じませんけれども、もしも法律予算が違つているとおつしやいますれば、あるいは法律の方に多少規定の上で余裕が認められている、あるいは別のところにどこか予算が入つているのではなかろうか、かよう考えられるわけであります。
  41. 井手以誠

    井手委員  予算の範囲内であるとかそういうものについて私は多く申しません。それは答弁の場合に逃道はりつぱにありますので申しませんが、全然ない——目節程度でもたとい一円でも計上してあるならば、当局としてこういう事情だと言うこともできるだろう。それが全然ないというものについて私は不可解に存じます。これはいずれあとお尋ねいたしたいと存じますが、そういうふうにきめられたものを減じている。また予算が足らない場合にはあと補正しなくちやならぬ。こういつたことで内閣の責任というものはどうなりますか。法律は忠実に施行しなければならないという大前提がある今日、忠実に施行せずに、法律できめてあつて予算に組まない、減額してこんなことをする、それが火元になるという事態に、内閣の責任というものはどうなりましよう国会もいろいろな事情で開かれぬという場合に、政府はどういう態度をとつたらいいのですか。
  42. 林修三

    林政府委員 これはやはり、内閣といたしましては、予算を御提案申し上げておりますが、それと内容が合うよう法律案改正も実はお願いいたしているわけであります。国会におきましたも、両方が大体合うように、いずれも御議決を願えるもの、かよう考えているわけであります。それをお願いいたしているわけであります。従いまして、予算法律の方がばらばらに、なるという事態は、大体においそ予想は実はしておらないのであります。どちらも大体合うような結果になるだろう、かよう考えているわけでありまます。しかしこれは、純粋に法律的に申せば、そういう食い違いが出たという場合には、先ほど申しましたように、結局予算の方を法律に合せる、法律の方を予算に合わせる、どちらかの措置をとるということになと考えているわけであります。
  43. 井手以誠

    井手委員 考えが大分違いますので、この程度で終りたいと思います。ただ、最後に申し上げたいことは、法律予算と違う場合がある、そんなことはおそらくないだろうということでございますが、あなたはそれは結果論であつて、大体こうなるだろう、政治情勢から見れば間違いないだろうという結果のことだ。私どもは出発から考えているのであります。今の新憲法のもとにあつてはこうあるべきだということを、私は特に質問申し上げているのですけれども法制局答弁は、結果から間違いないだろう、結局最後に一致すればいいじやないか、こういうよう考えが非常に強いようであります。この点に関する違憲のことについてはまたあらためて申し上げる機会もあるかと思いますが、要は立法府を甘く見られていることだけ私は申し上げまして、私の総括質問を終りたいと思います。
  44. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 長谷川保君。
  45. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 ただいま井手委員から義務費予算等の関係が質問されましたが、私もちよつとその点を伺つておきたいのであります、義務費として出すべきもの、たとえば二十八年度支出すべきものがある、それを、二十八年度予算がないために。二十八年度予算の中に組まないで、ずるずるに三十九年度予算によつて支払うということがあります場合には、財政法第十三条の違反にならないか、この点を伺います。
  46. 林修三

    林政府委員 これはちよつとはつきりいたさなかつたのでございますが、義務費とおつしやいますので、はつきりいわゆる法律上の義務費ということに限定して申し上げますが、義務費があれば当然その年度予算に組むべきものだと思います。もしもその義務費が予算に組んだものをもつて足りない場合には、予備費をもつてする方法もございます。あるいは費目流用することもできるわけであります。ただ、義務費でありましても、その年度支出原因が発生しない場合もあるわけであります。そういう場合には翌年度支出にそれがなつて参ります。あるいは過年度支出方法になりますか、あるいは翌年度予算に計上いたしますか、そういうことになろうと思います。財政法十二条の意味は、結構その年度の歳入をもつてその年度経費をまかなうということでございまして、ただいまおつしやいましたことと結びつくかどうか私ちよつとはつきりお答えできないのでございますが、なお御質問がございますればお答えいたします。
  47. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 当然昭和二十八年度に支払うべきものであるにかかわらず、二十八年度予算がない。そういたしますれば、先ほどのお話でもわかりますように、また私どもの常識から申しまして、義務費でありますから二十八年の補正予算を組むべきであると思うのであります。ところが、補正予算を組まないで、ずるずるに二十九年度予算で支払う。これは当然二十八年度予算において支出すべきであるという場合にどうか。
  48. 林修三

    林政府委員 義務費であり、しかも債務が確定して、また支払い請求もあるという場合には、当然その年度において払うべきものだと思います。予算の金額が足りなければ、予備費を使い、あるいは流用を行い、なお足りなければ補正予算を組むということに相なると思います。ただしかし、かりに義務費でありましても、支出原因が発生せず、なおまた請求もないという場合には、予算の定めるところに従いまして、あるいは経理の繰越しという方法もございますし、あるいは過年度支出という方法もあるわけでございます。これはどうも一概には申し上げられないんじやないかと実は思つております。
  49. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 ちよつと今井手委員からその問題が出ましたので、私は関連して、直接法律関係しておらないのでありますが、伺つたのでありますが、ついででありますから、もうちよつと聞かしてもらいたい。たとえば、私が伺つているのは、厚生関係の医療扶助費、生活の保護費であります。それでそれが三十八年度に行われている。そして、たとえば三十八年の十月に行われた医療扶助、その医療扶助の金がないために、十月以後金を払わぬということになつている。私どもの計算だと、どうしても二十九年度のこの予算の中に入つておりますのではとうていまかなえない、絶対まかなえない、こう考えられる。こういう場合に、従つて二十九年度にずるずるに入つて行く、こういうことになる。そういうものを二十九年度でずるずるに払つてよろしいかよろしくないか、その点をお伺いいたします。
  50. 林修三

    林政府委員 そのおのおののケースによることと存じますが、御承知のように、政府が当然確定した債務を払わない場合には、例の政府契約の支払遅延防止等に関する法律というものがございまして、一定の遅延利子を払わなければなりません。もし政府のいろいろの都合予算支出が遅れれば、当然政府は利子をつけて払わなければなりません。普通の場合は大体そのようになります。もつとも、ものによつてはあの法律の適用にならない場合もありますから、一概には申せませんが、そういう場合も起り得るだろうと思います。今の生活扶助の場合はどうなるかは、具体的のあれを存じませんので、はつきりしたお答えもできないのであります。あるいは、関係当局もおりますから、そちらからお答えした方が適切かと思います。
  51. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 その点はそれで一応ほかの機会に伺うことにいたしますから、打切つておきます。  さて、この法律の直接の問題でありますが、ここでちよつとお話があつたと思うのでありますけれども、私は厚生省関係についてちよつと伺いたいのであります。先般の三派修正の予算関係から申しまして、この第三章の第七条は、全部これは削つてよろしいと考えておりますか、従つてまた修正案を政府の方でお出しになるか、われわれの方で出すようなふうの手続をするのでありますか、その点を伺いたい。
  52. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいまの点は、予算国会で御修正願いました関係で、実は私どもの方ではお出ししないで、委員会で御修正願おう、与党の方からでも修正案をお出し願おう、こういう心構えであります。
  53. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 全部削つていいということですね。
  54. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 そうです。
  55. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 厚生省の方にひとつ伺いたいのでありますが、それからあと関連して大蔵省にも伺いたいのでありますが、この法律に出されておりまする児童福祉関係、性病予防関係精神衛生関係、母子福祉関係、私どもで見ますと、どうも金額ではきわめてわずかです。これを削りましても、浮いて来る金というものは言うに足りないほどのわずかの金である。けれども、その一つ一つを見まして、今の時代に、またこれからの時代に、私はきわめて必要な、今後ますます力を入れてやつて行かなければならぬというように思うのであります。まず個々に伺いたいのでありますが、児童福祉関係の母子手帳に関するもの、これを全部削るようになるわけでありますけれども、今日母子手帳関係事業というものは、県によりましては確かにあまり活発に行われておらない点も伺うのでありますけれども、今この母子手帳の関係がどの程度に実際において活発に行われているかどうか、その点を伺つてみたいのであります。
  56. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 母子手帳の制度が最も活発に利用されました時代は、その昔統制経済がありまして特別加配があつたというようなときに非常に活用されたわけであります。最近そういう統制も撤廃されましたために、あるいはどの程度にこれが実施されているかということについて、実は私どもの方でもはつきりしたものをつかんでいなかつたのでありますが、昨年の末にいろいろ調べてみますと、私どもが思つたよりもこれが普及しておる模様であります。全国的にはまだ確かなことは申し上げかねますが、神奈川県で川崎市を中心に調べた例を申し上げますと、妊娠中の指導関係では約五〇%ほどのものが利用されております。それから出産の前後につきましては八〇%ほどのものが利用されている。これは保健婦その他医者などが指導いたします場合に母子手帳に記入いたします。その記入事項があるかないか、そういうことを中心として調べたのであります。さような点からいたしまして、今日においても相当利用せられているというふうに私どもは見ている次第であります。
  57. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 母子福祉資金の貸付の関係、この点においても母子福祉関係の資金は足りない。どこの県へ参りましても、また市町村のようなところに参りましても、これが非常な働きをしておりますが、どうも実際の金額はわずかでありまして、村へ参りましても、村で一人か二人しか母子福祉資金の貸付を受けておりません。結局競争でありまして、場所によりましてはそのために争いが起るというようなことまでも行われる。今後この母子福祉資金の貸付ということは非常に活発にやらなければならないときであります。またこれを有効に使つていただくおそらく——有効に使われるという点で、国の政治の中でこの保健所の運動、あるいは母子福祉資金の仕事などは最もりつぱな仕事の一つだと思います。今これが要望されているものがきわめて大きいときに、その夫亡人たちのほんとうのいい相談相手でありますこの相談員というようなものを、いよいよ活発にしなければならぬときだと思うのでありますけれども、これに水をぶつかけるようなことをすることは、さつぱりわからぬのでありますが、この重要性について当局はどういうよう考えておられるか。今後こういう方面をますますやらなければならぬと思うが、今日の状態ではいらないと考えるのか。これはどうも大蔵省の方で押して来たのであつて、厚生省は非常に心外に思つているのではないかと考えるのであります。私も心外であります。児童局長がおいでのようでありますから、この点どう考えるか伺いたい。
  58. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 この母子相談員の関係は、大体人件費については、他の場合でもそうでございますが、従来平衡交付金——ただいまは交付税交付金と申しておりますが、交付金の方に入れるということに大体政府としてそういう方針になつております。これが本年度補助金から交付金制度に入りましたのも、おそらくそういう趣旨であろうと考える次第であります。
  59. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 だからますますわからない。未亡人母子世帯にとつて、非常に重要な役割をしておるならば、同じ金を出すのに何ゆえに平衡交付金に入れて行かなければならないか。平衡交付金に入れてしまうということによつて、それがこういう方面にうまく使われるか使われないかということは、先般児童の措置費等の問題においてははつきりわかつていることであります。何ゆえに国が同じ金を出すのに平衡交付金に入れて行かなければならないか、補助金行つて悪いのか、これをひとつ大蔵当局に聞いてみたい。
  60. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 これは児童福祉の問題に限らないのですが、ただいま御提案申し上げている整理の対象になつております補助金は、みなそれぞれの理由がございましてこの補助金が設定せられるようなつたのだろうと私ども考えております。ただ、御承知のように、一方において補助金の非常にこまごましたものが無数にある、そうして相当そのための手数がかかる、すべて一切合財中央政府がわずかな補助金を煩瑣な手続を経てやらなければらないだろうかという、いわゆる補助金全体のやり方についても批判があることは御存じの通りだと思います。私どもは別にこの補助金だけを目のかたきにしたつもりはございませんが、ただいま申し上げたような見地から、例の地方制度調査会におきましては、一方において地方自治を確立する、府県知事の権能というものをできるだけ自由に広汎にして行くという見地、それに伴つてできるだけ自由な財源を府県市町村に与えろと、こういう国民の強い要望もあるのであります。それで、地方制度調査会におきましても、あまりこまごました補助金はできるだけ整理して行つた方がいいだろうという意見があるわけです。今回私ども政府の方で、補助金の整理をそういう観点からいたしたいということで、そのうちから幾つかの候補をあげたわけです。そのときに、全然基準なしに整理をするということはできませんので、補助のうちで主として人件費、給与に関係のある補助につきましては、これをできるだけ地方にまわす。事業費については、ものによつてそうも参りませんので、できるだ避けましたけれども、人件費につきましては、もともとその身分は地方の吏員でございますから、それで財源として地方平衡交付金にまわしてしまえば、その吏員の首を切つてしまうという知事がないとは保証ができませんが、しかし、そこはやはり、現在の地方制度の建前からいつて、そういう意味の信頼は地方議会と知事に期待していいんじやないか、こういう気持もございます。そういう意味から、大体人件費的なものは極力まわす、これも全部まわしたのはごくわずかでございまして、補助率を引下げた程度のものが多いのでございます。そういうような見地からこれをやつたわけであります。
  61. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 今のお話も一応の理論であるとは思いますけれども、まだ母子福祉資金の貸付というような仕事は始まつたばかりであります。これから始まつて行くところです。全国の子供をかかえましたお母さんたちが非常な期待をし、この法律ができました昨年、全国の未亡人団体がきわめて貧しいその団体の財政であるにもかかわらず、非常な喜びをもつてわれわれ国会の君たちに対して非常な感謝の会をいたしまして、涙ぐましいような状態であつたのであります。そのような彼らの暗い生活に光を投じましたようなことに対して、これは暗い影を与えることである。なるほどお説のように、人件費関係は、地方の吏員としての身分があるから、そちらでまかなうべきだということも一応りくつはありますけれども、しかしこの小さいこと一つが、この全国の母子に対する影響というものは決して小さくない。この気の毒な、子供をかかえました、主人を失いました未亡人たち、その子供たちに対して国がその責任を持つているんだということ、これが彼らの生活の大きな力になつている。そういうものに、わすかの金をどうする、こうする、しかも実際においては平衡交付金で出すという、こういうような冷水を浴びせるようやり方というものは私はいたすべきでない、あくまで国が皆さんの生活をうしろで見ているぞ、しつかりやりなさいと励まして行くべきであると思う。こういうことが行われたのは、国民の生活をほんとうに守つて行くというあたたかい心のない机上の考え方だと思うのであります。この点について児童局長は一体どうお考えになりますか。   〔葉梨委員長退席、羽田委員長代理着席〕
  62. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 母子の対策につきましては、政府も特に力を入れておる一つでございまして、また非常に母子家庭からも期待されておる施策でございます。この点につきましては、仰せの通りどももさらに一層力を注いで行きたい、こう思つておる次第でございます。しかしながら、人件費の問題、これを補助金から交付金制度にかえるにつきましては、先ほど大蔵省の総務課長から申し上げたよう政府一つの統一した方針でやつておるわけでございます。私どもは、幸いにしてこの法律がもし国会で御決定になりますれば、その範囲内で極力地方当局にも督励を加えて、その母子対策がこれによつて低下することのないように努力して行きたいと思つております。
  63. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 次に、性病予防に関する問題でありますが、性病診療所それから代用診療所に対する補助でございますが、戦後国民の思想が著しくかわつて参りました。ことに性に対しまする考え方が非常にかわつて参りました。従つて私は、今日性病予防に関しまする施策というものは、よほど十分な力をもつて従来よりも努力をいたしまして、この対策を立てるべきだと思うのであります。しかるに、本法律案が出ているわけでございますが、これに対して厚生省当局はどういうふうにお考えになつておりますか。
  64. 楠本正康

    ○楠本政府委員 ただいま御指摘のように、一国の性病対策はきわめて重要な仕事と考えまして努力をして参つておるわけでございますが、ただ、これを根本的に解決いたしますには、何分にも人間の弱点につけ込んでおる問題等の関係もございまして、なかなか困難な問題でありますが、しかしながら今回法律改正等によりまして若干補助率の低下を来しましても、私どもといたしましては、先日山下先生にお答えを申し上げましたように、たとい補助率がなくなりましても、これによつて確かに不便な点も出るかと存じまするが、これらの点は私どもの努力によて補つて、より一層りつぱな成績を上げたい所存でございます。なお、性病対策のごときものは、単に予算執行するだけではなかなか効果が上りませんので、根本的には国民の全体の性病対策に対する意欲をもり立てるというような点に力を尽さなければなりませんので、これを機会に一顧努力をいたしまして、少くとも補助率が下つたことによつて支障がない、むしろこれを機会により一層国民の力を盛り上げて、対策の徹底を期したい所存でございます。
  65. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 私、実は知識が十分でないので、わからないのですが、この性病診療所関係に使いまする費用というものは、これはどういうことを具体的にはやつている費用でありますか。
  66. 楠本正康

    ○楠本政府委員 これは主として人件費の一部、及びこの性病の診療をいたします場合に、低額所得者あるいは生活困窮者に対する治療費の減免であります。
  67. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 部長は、予算が減つて来るけれども、一生懸命努力してより以上の効果を上げるということでありますが、そうすると、今まではなまけておりました、ろくでもない金を使つておつたということになるのだけれども、今までも多分有能なる部長のもとにありまする全国の性病診療所は、予算最高度に利用して働いておつたと信ずるのであります。どうも答弁がお上手で困るのでありますけれども、今お話のようにことに、困窮者の方々のための減免の費用というようなことでありますと、事はいよいよ重大だと思うのであります。むしろデフレの政策が行われ、相当生活困窮者が増して来るという事態におきまして今まで出しておりました困窮者の性病の治療費を減免をしておつた費用を減らすということになりますと、これはとんでもないことだと思うのでありますが、ほかの予算でもつてそれをやつて行けるような点があるのでしようか。
  68. 楠本正康

    ○楠本政府委員 つまり、国の負担分が減つた半面、平衡交付金等で地方に財源を裏づけとして見ておりますので、事業の実際量から見ますと、減らぬことに相なります。なお、二言申し上げたい点は、困窮者と申しましても生活保護に該当するような対象に対しましては当然保護費の方で見られるわけでありますが、ただ、性病の予防の必要上、生活保護は受けない、しかしそのボーダー・ラインのような国民もかなりあるのでありまして、かような点に対しましては従来あまり対策が立てられておりません。   〔羽田委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、かような対象に対しまして減免の措置を講じたい、かような所存でございます。
  69. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 性病は最起の傾向はどうですか。ふえておりますか。
  70. 楠本正康

    ○楠本政府委員 性病の蔓延状況をはつきりつかむことはきわめて困難な状況でありますが、ただ、薬品の進歩等によりまして、比較的長時日を要する患者は減つておるようであります。しかしながら、一面全体的の数はむしろ増しておるのではなかろうかと存じます。と申しますのは、数に大差がない、しかも治療日数が減つておるというところから、数はふえて、治療日数が減つておる、かような状況ではなかろうかと考えております。
  71. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 それでは、大蔵大臣が見えましたから、この際大臣に対して留保せられておりました質疑について許可することにいたします。綱島正興君。
  72. 綱島正興

    ○綱島委員 大蔵大臣がお見えになりましたので、お伺いをいたします。どうも私ども委員にはわからぬことが多いのでありますが、私の計算いたしたところによると、この法案によつて財政上国家の支出が実際上節約せられるものは、特にモーター・ボートの問題だとか、あるいはオート三輪の問題だとかいうものを、当然納まつて来るものを納めさせないようにする、こういう考え方、しかも、それについては、あるいは十億円を産振業興に使おうとか、あるいは十億円だけ交付金を返してやろうというような、いろいろな御意見があるように漏れ承つておりますが、この処置によつて実際に国家の財政支出が軽減されるというのは、十一億三千万円ばかりのように計算いたしておりますが、間違いございませんか。
  73. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 差引の数字で申しますれば、綱島さんのお話の通りでございます。
  74. 綱島正興

    ○綱島委員 そういうことになりますと、私ども考えてけげんに思いますことは、この際差引かれるすべての種目を見てみますと、実にただいま世界がとつておる社会保障に関する考え、この考え方に対する補助金が、この法案に出て来ておるものは、ほとんどみなゼロになる。文部省関係補助金、公民館の問題、国立図書館の問題、産業教育教科書発行に関する問題、公立博物館の問題、社会教育費に関する問題、義務教育教科書配付に関する問題等、これは全部わずかな予算であつたものが、全部実はゼロになる、五億余りのものがゼロになつてしまうようなことに相成つておりますし、厚生省で切られるものも、母子福祉のためにする手帳の問題であるとか、あるいは性病の問題であるとか、精神衛生相談所とか、母子相談所というようなものが、みな切られております。農林関係でも、農業改良普及に関する補助、また生活改良に関する問題、また漁業調整費に関するものであるとか、家畜伝染病の予防費に関するものであるとかいうものがみな切られておる。これらはいずれもこの前の二つの文部省及び厚生省に関するものは、近代の国家が大体こういうことにだんだん世話をやくようになつて参りまして、特に近代思潮に基く予算というものがだんだん出て参つたのでありますが、この際、そのうちのわずかに五億円、厚生省に至つては一億八千万か二億円に足らざるもの、農林省もわずか四億円ばかりのものでございますが、これらはいずれも必要なもので、農林に関するものは、特に改良普及員の問題とかあるいは農民生活の改善に関する問題とかいうものは最近考えて来たことで、これが非常に必要になつて来たために、この問題がもしないということになると、町村が自己負担でやる村も出て参ります。こういうようなものを切られるというのは、どういう御趣旨か、私はこの問題がどうしてもわからない。これはどう考えてもわからぬのですよ。世にいわゆる大蔵官僚の面目を立てるために議員立法とかいうものにおきゆうをすえようというよう考えで、もし、国家の財政をお扱いになるお方が、御自身はそうじやないかもしれぬが、そういうことに乗せられてなさつたとすれば、これは大きな社会問題になる。大きな国家の問題になるのです。そういうことをされて、一体その影響がどうなるか。国民がつないでおる自由主義に関する重大なる希望を断ち切る結果になりはしないか、こういうことが私は二重の意味で大切であると思うのです。これは実は非常に重大な意味があります。何のためにこういう方の予算をお切りになるか。特に一面、現在しいて高金利を維持して、そのために利子補給をいたしたり、いろいろな疑獄が起きたりして、党も国家も社会も非常に混乱をいたしておるこのさ中に、特にこういうことをなさることは一体どういう御意思であろうか。これは、綱島一人でなく、日本の国民にわかるように御説明を願いたい。ただ単に財政が足らぬということでは、十一億の数字ではお話になりません。これは初めから申し上げておる。そういうことは理由になりません。国家の何千億という支出の中で、十一億という数字はそういうことの申訳には相なりません。これは虚偽と同じ理由でしかない。それ以外の理由で、なるほどと納得するような御説明をいただきたいのです。
  75. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私どもは、地方制度調査会の答申等の意見も参酌いたしまして、地方自治を確立するために地方の財源にまわす、つまりその意味から地方の平衡交付金等にまわしておるのでありまして、たとえば人件費等はみなそういうふうに地方へまわしておるのであります。なお、補助金整理の要望が各方面を通じて非常に多かつたことは、私が申し上げるまでもございません。従つてどもは、この要望及び世論にもこれを聞き、また補助金整理というものは、今たまたま綱島さんが仰せになりましたけれども、実は私どもは全部では約六十億の補助金をこれで整理いたしておるのでありまして、件数で申しますと百件にわたつておるのおります。たまたま、この国会でのいわゆる議員立法と称されるものが、そのうち十三件だけ含まれておるのでありまして、補助金を整理いたしておるのは百件に上つており、金額は六十億円に上つておるのであります。従いまして、私どもとしては、地方制度調査会等で検討された地方自治の精神をよく生かす意味でこれをやつたのでありまして、この点は、いわゆる小さな補助金等があるために地方でもいろいろとやらなければならぬというので、いろいろの訴えをわれわれの方へたくさんされておる方もあります。そういうようなこと等から見ても、また地方自治を確立する上から見ても、非常に地方に適応するようにやつて行くということは、きわめて適切な措置である、かよう考えておるのであります。もつとも、これをやりますためには、法律改正の必要もございますので、こういつた御提案を申し上げて御意見を伺い、これによつて審議をお願いしておる次第でございます。
  76. 綱島正興

    ○綱島委員 百件と仰せられますけれども、当委員会に出ておるものは大十億じやない。計算いたしまして確かに十一億三千三百三十一万一千円の数字に相なります。そこで、そのほかの競輪とかなんとかを収入に入れないようになさつたのは別にいたしまして、これは二十億余りあるようでございます。ただ、財政支出を減らされた分は、どう計算いたしましても本委員会に出ておるものはそれだけでございますが、そういうお話であると、私つつ込んで伺わねばならぬ問題が出て参ります。それは、昨年災害立法をいたしましたその中に、予算一つも盛られないものがたくさんございます。法律を停止しないのに予算を組まない。なるほど予算の範囲においてという箇条はございますけれども、そういうものがたくさんございまして、たとえば農業災害でも、一箇所十万円だつたのを三万円に下げたのでありますが、私の調べたところでは、今日まで十万円以下のものには一厘も予算が載つておらないのであります。そういうような、大蔵省でただ申に法律によらずして手かげんでなすつたものを言うならば、あるいは百件になつておるかもしれません。しかしながら、この国会の承認を得てお出しになつたものは、決してただいまの御説明のようではない、私が申し上げました数字に符合すると存じておりますが、それともこれからまた別の法案をお出しになるのでありましようか。
  77. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 補助金は、御承知のごとく、お出ししておる法律のみに基いてはおりませんので、それで、法律改正を要せずとも行い得る補助金の整理についてこれを行つたものまで合せて百件、六十億に達するのでございまして、法律改正の必要のある分はお出しいたしておる二十三件、約三十億であります。従いまして、この点は誤解のないようにお願いいたします。法律は私ども遵守しなければなりませんから、法律に基いてこれをやらなければならない分について今度御審議願つておる次第であります。  なお先ほど、綱島さんは、災害予算については法律にきめてあるのに一向やつていないじやないかというように仰せになりましたが、私どもは、災害予算につきましても、全部法律通り実行いたしておる、こういうことでございます。
  78. 綱島正興

    ○綱島委員 私を調べたところによれば、三万円より十万円に及ぶ小災害については、農地及び農業施設費あるいは漁業施設費に対する予算は一厘もないと存じておりますが、確かにございますか。
  79. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 まだ個々のものを一つも調べておりませんから、私の手元では明らかにされておりませんが、法律に基いて出す義務は私ども明らかに背負つておるのでありますから、これに基いて出すことを確信いたしております。ただ、いかにも件数その他が多かつたために、あるいは大きいものから順次及んでおるのではないか、かように私は想像いたすわけでありますが、まず大きいところから始めておるのじやないか、つまり俗に言う重点主義にその点がなつておるのじやないかと思うのであります。
  80. 綱島正興

    ○綱島委員 これは、ただ間に合せでなく、ほんとうに申し上げるのです。単に一吉田内閣のために言うのでもなく、また一自由党のために言うのでもない。実に日本の民族の将来をおもんぱかつて申し上げるのですから、重大な意味でお聞き取りを願いたいのです。たとえば、法律予算の範囲内でというような文句がありさえすればもうかまわない、こういうふうになつて参りますと、非常に考えなければならないことになつて参りますし、議員立法というものを擯斥するよう考え方は、特殊な人の考え方で、それが輿論であるとお考えになつては非常に則るのです。これは、特殊の大産業であるとか、あるいは具体的に言えば、たとえば工業倶楽部とか経団連なんかの人たちが新聞を通じて発表する特殊の意見である。国民全体から申しますならば、教育問題でございますとか、母子福祉の問題でございますとか、あるいは農業改良普及員の問題でございますとか、そういうものに対する津々浦々の意見でございます。もしもこれを国家でお切りになれば、町村はこれを町村費で負担して行かなければならぬ。たとえば現に養蚕の技師のごときも、公務員にならずに実際は村でかかえておるのが相当ございます。農業普及員等も、御承知の通りに、日本は土地が狭隘でございますために、できるだけりつぱな作物を得なければならぬ、でありますから、それにはただいままでの事情ではいかぬから、科学を導入いたして来なくちやならぬというところから、普及員の農村における重要さが非常に重く見られて参つた。これは日本の農村にとつて重大な事柄でございます。これらは全国民の七、八割を占める人々の希望であると思う。一、二の特別な人たちが集まつて出した輿論が輿論か、声なき人の真心をくみとることが輿論かということをお考えいただかなければならぬ。これにほんとうの精神がないならば、私は政治は必ず悪政治に落ちて参ると思うのであります。どうぞこの点をよくお考え賜わりたい。私は与党でもございますから、皆さんに苦いことを申し上げたくはないのですが、与党であるがゆえに責任の重大なるを痛感して申し上げておるわけでございます。この点をもつと本質的にお考えいただかなければならぬ。これは重大な問題でございます。十一億ばかりの金を節約するために、どうしてこういうことをされるか。五千億も六千億もの予算の中で、実際にいえば税金だけでも六千億近くでしよう。これを十一億ばかりのものを切つて一体何ほどのことでございますか。支出の総額にいたしますと九千九百九十億というような金の中でありますが、一体どういう意味でこういうことをなさるのか。私はこのことをもつと伺いたいのです。輿論に従つたとおつしやるならば、これが三千億とか、二千億とか、百五十億とかいうならば別であります。六十億とおつしやるのは、これは大蔵省の手元であんばいなすつたのかもしれません。かりに六十億であつたといたしましても、これが一体それほど重大な、すべてのものを儀性にして国民の希望を破らなければならぬほどの問題であるか。これはひとつ考えていただかなければ、私は政治がほんとうの軌道に乗らないと思う。なるほど交付金でそうするとおつしやるけれども、寡聞にして平衡交付金がそんなにふえたように存じないのであります。そうして、これら農業技術員の改善とか、母子福祉に関するものとか、あるいは教科書の配布とかいうものが一体交付金で行われるだろうか。立案せられた予算はいずれも非常な不利益条件で生活しておる人のための予算でございます。これはひとつよくお考えになつて答弁を賜わりたいと思います。
  81. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 綱島さんの御趣意、いわゆる声なき声を開けということについては十分傾聴いたします。但し、先ほどちよつと誤解があつたかと思いますが十一億々々々と仰せになりますけれども、実は補助金整理は六十億であり、そして法律上直すものも、先ほど申しましたごとくに二十三件ですか、三十億になるのであります。競輪その他のものを引いたから……。これは、今日の日本のこういう異常な場合に、国が競輪とかそういうものから俗にいうテラ銭などをとるのじやない、こういう考え方から実は私ども国としてはそういうことをやめたのであります。これは人によつていろいろ考え方は違いましようが、今日、日本は真に経済再建をするときであるから、私どもは経済自立のためにそういうことをやめたのであります。すなわち、補助金としては、こういうわけで、この法案の改正による分も二十三件、三十億でございますので、この点どうか誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  なお、仰せになりますことについては、これは私どももよく考えてみましよう
  82. 綱島正興

    ○綱島委員 実はそこでありますが、競輪等をやることはいかぬ、御説の通りであります。政治は、なるべく競輪などに向わないように仕向けることが根本でございます。ただいまのように高金利をやつておいでになりますれば、これはどんなことを言つたつて健全なる建設産業には資金が流れない。何となれば、健全なる建設産業というものは、利回りが少くて回収期間が長いのでございます。ところが、消費経済というものはすぐ回収ができるのでございます。そこで、ただいまのような高金利を維持しておいでになれば、いやでも回収の早い競輪であるとか、パチンコであるとか、高級料理屋であるとか、あいまい屋であるとか、劇場であるとか、アパートであるとかいうのに資金が流れますことは、そういうものでなければ高金利を負担する適格性がございませんから、銀行の投資はその面に向けられてしまうのであります。そこで、この高金利を維持しておいでになりながら、そういうことはやつておられぬというお話は、私は話に科学性がないと考えるのであります。そこで、あなたがほんとうに低金利を維持されて非常な高金利をとるようなものには十分な罰則も設ける。これは民族の違反者であります。ただいまの日本をつぶすものはそういう高金利です。これをやつてはいかぬ。あなた方が十一億や二十億の節約をなされても何にもなりません。こんなことは意味がございません。問題は、低金利をして、それを高金利をやるものがあつたら罰するような立法をなさつたらよろしい。これは民族が倒れるか生きるかの境であります。これは民族に対する一種の反逆罪とも考えらるべきものです。ところが、ごらんなさい。ただいま日本銀行の立場でも……。
  83. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 綱島さん、大蔵大臣の持ち時間が参議院予算委員会とも関連しておりますから、簡潔に願います。
  84. 綱島正興

    ○綱島委員 そこで、この高金利をやつておかれて、パチンコや競輪、オート・レースだけを切られた。ところが、私の承知するところでは、オート・レースや何かは、国家の収入にはせぬでもそれ自身はやつて行くんでしよう。そうすると、ちつともつじつまが合わぬように思う。財源は捨てるけれどもその事柄だけはやつて行くということになれば、ちつともつじつまが合わぬように思います。これは国民経済から見て政治にならぬではないですか。
  85. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 競輪等については地方財源に入れてあるのです。それだけ地方の交付金を減らしたことは御承知の通りであります。  なお、綱島さんの低金利論はよく伺うのでありますが、私どもも低金利論はすべて実情に即さなければならぬと思う。今日まで資本の蓄積の行われていない日本で、そういう高金利でも借りようという人があるときに、低金利を叫んでもそれをやれるものではないので、私どもとしては低金利の方角に持つて行きたい。持つて行きたいから、今度の国会でも、たとえば日歩三十銭以上の貸出金を取締る。——今警視庁では日歩五十銭というところは認めておるのでありますが、そこまでの法案を今度出すのであります。そこまではいたしておりますが、根本方針としては、何といいましても、今のような日本におきまして、たとえば輸入をできるだけ少くして輸出を促進するために、輸入その他についての金利を高めることは当然の政策である。それからまた、これもよくお考えになればわかることであるが、日本銀行のオーバー・ローンが従来三千数百億といわれておつたものが、現在四千億を越えるといつたような時分には、どうしてもこれを阿山する意味で、いわゆる金融の健全化をさせる意味で、金利を高めるということは当然のやり方であります。これはどの国でもやつておるのです。資本の蓄積が十分に行われるように、たとえば租税措置その他の点についていろいろな措置をとつておることも御承知の通りで、これはまた与党各位の御賛成くださつておるもとなんです。だれしも高金利を望む者は一人もございません。しかし、今日の日本においては、日本経済を健全化させるためにはある程度金利を高めることはやむを得ない。これは当然のことなんです。
  86. 綱島正興

    ○綱島委員 これで打切りますけれども、私が非常に遺憾に思うことは、どこの国でも資本蓄積が少いときは高金利をやるという御説でありますが、英国もチャーチルになつて三分五厘を一時やつたがだめになつてやめてしまつた。また、このインフレーシヨンに近いときの処理といたしましてなるほど成功した一人だと考えられるものにヒトラーがあります。そのときも一九二四年のシヤ・ハトのあとで非常に高金利が発達して来てどうにもならぬようになつて、金利統制を十分にやつてから初めてドイツの生産というものが軌道に乗つて来たのである。これらの点もお考えください。一体高金利で資本蓄積をすれば、不労利得の蓄積で、生産資本の消滅ですよ。それをお考えにならず、銀行に預金の数がふえればそれでいいというようなあなた方のお考え方は夢のような話である。いま一つは、こういうことをお考えください。金利が高ければ引合わないから、事業量をふやすよりほかには経営資金が出ないのです。そうすれば事業量をふやせばどうしても必然的にオーバー・ローンが出て来なければ会社はつぶれるのです。あなた、これはよくお考ください。そういう冒険的な大きな夢物語りのようなことでなく、具体的に経営者の立場に立ち、労働者の立場に立つてそこはお考えを願わねばならぬ。金利が高ければ、これは引合わないからどうしても事業量をふやさなければならぬ、事業量がふえて来れば必然的にオーバー・ローンがふえて参ります。これをふやさなければ窒息するのです。窒息させておいて手術をなさろうという御議論は、ぼくはちよつと賛成いたしかねますが、このことは直接この法案にあまり関係がございませんから、後日に譲ることにいたしておきます。
  87. 山下春江

    ○山下(春)委員 ちよつと一点だけ。先ほど、大蔵大臣は、綱島委員の御質問に対しまして、いろいろな案件が地方自治の確立のために云々と言われましたが、私はそれではとうてい解釈がつかないからお尋ねするのでありますが、たとえばいろいろあげられた中の母子相談委員の費用が削られておりますが、この母子相談所というところへ相談に行きます人間は、大体戦争によつて夫を失つた母と子でございます。従つて、これは、地方財政などに責任を持たす性格のものではございませんで、国がこの戦争犠牲者に対して財政上厚くとは行かないまでも、心あたたかい手を差延べてこれを救済するという本旨でなければならないのであつて、母子福祉資金貸付法は政府がこういう意味をおくみとりになつてお出しになつた法案でございます。その法案を遂行して行くのに非常に費用が足りませんために、地方の母子相談所は大体福祉事務所の次長などが当つておりまして、実際はここに相談に来る人は男の相手では困るので、この法案は、なるべく母と子で住んでおる中の婦人から選んでこの相談委員にしようということになつておりましたが、まだこれは予算関係で実行されていなかつたのであります。今回これがやや実行されそうな予算考えられておりましたところを削られましたので、またそのままになるのでありますが、おそらく大蔵省とはよほど縁の遠いこういう役所のことだから、精細な資料が来ていないと思いますけれども、実際にこの窓口には非常な悲惨事が起つておるのであります。相手が弱い未亡人でございますので、その窓口にいる男どもは、これを役得のように心得まして、非常な忌まわしい事件がたくさん起つておりますが、それをある程度まで甘受しなければ何にもやつてもらえないというような——私は実例を幾らでも知つておりますが、そういう問題が起つておりましてこれは、地方財政に押しつけてそれで事足れりというよう予算ではないのでございます。そういう点で、いろいろな問題の中にそういう問題がございますけれども、特にこの問題を一つ取上げてみましても、これから政府行つて行かれようとする諸般の政策を一円満に遂行する意味においても、かようなお考え方ではとても円満な遂行は困難であろうと思いますので、これをぜひとも御反省願つて、こういう問題だけは本委員会の法案から削除されることが必要なことだと考えますが、それに対して大蔵大臣のお考え、及び政府全体としての一種の国民に対する戦争犠牲者に厚く報いるという気持ち、観点に立つての御答弁をお願いいたします。
  88. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 山下委員の御発言、たいへん私も傾聴したところがありますが、実は、地方で見ますと母子手帳作成費の補助、母子相談所設置の補助金のごときものは、両方合せて九千九百七十八万一千円ですか、これだけのものはやはり交付税の方に算入いたして実は出しておるのでありますが、人件費は原則として地方まわしにいたしておるのでございます。なお、この事業の実体をなしておる貸付金の方につきましては、これはちつとも手を触れておりません。それから、厚生省の方におきましても。いろいろ予算節約のときでございまして、打合せをしたのでございますが、この程度でやつて行こうというふうなことでございましたので、それで実は忍んでいただいた次第でございます。
  89. 川俣清音

    ○川俣委員 今綱島委員への御答弁の中に、いわゆる競輪等によるテラ銭をとるようなことは考えない、その方が整理の正道であるというお考え、これは私も認めるのですが、競馬の方についてはどのよう見解を持つておられますかこの点をお伺いしたい。
  90. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これは、川俣さん率直に言つておきますが、競馬というものは、どこの国にもあるのであつて、世界各国ともこれをやつておる。こういう文明国のどこの国にもあるものは認めてよかろうというのが私の考えであります。ただ、競輪というものは、日本で独自に発達して来て、どうも弊害が非常に多い。私どもの目から見ても、家庭争議その地目に余るものがあるのであります。こういうものは、国として、古い言葉で言えば、国民の気分々非常に転換しなければならないときですから、国がそれを扱うことはやめたがよかろう、むしろそれは、法律関係があるから地方にやつてもよいという考え方が私の根本の考え方であります。
  91. 川俣清音

    ○川俣委員 それでは今の国営競馬を今後も当分継続せられるというお考え方ようですが、それと了承してよろしゆうございますか。
  92. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 この競馬の方は、従来のいきさつから見まして国の歳入に見込まれております。しかし、競輪の方は、大体が地方競馬と同じようなものでありますから、地方競馬同様にした、一口に言えばそういうことでございます。
  93. 川俣清音

    ○川俣委員 そうしますと、競馬は現在の国営競馬をそのまま持続するというふうに了解いたします。  それでは、次に本論に入りますが、この補助金等の臨時特例でございますが、大体今までの各省大臣の答弁を聞いておりますと、臨時的な措置である、一年か三年の臨時的の措置であるからがまんしてくれというような説明になつております。大臣によりましては、あたかも時限的な立法であるとまで表明いたしておる人もあるようであります。これは速記録を十分調べなければなりませんが、大体そういう答弁をしておるようであります。そうすると、本来からいえば、臨時措置法でありますから、当然時限立法であるというふうに理解してよろしいのですか、どうですか。
  94. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 先ほどの言葉の中で、私は国営競馬を続けて行くということは何も申しておりません。ただ、沿革的に見てこれを国の収入にする。競馬を国営にするかしないかというような、また続けるかどうかということは、私の所管でもなく、また話も聞いておりませんので、これについての答弁ではない。これは国の歳入の面だけの答弁と御了承願いたいと思います。  それから、その次でありますが、これは厳密に申せば臨時立法でありまして、これは各種の補助金についてのいろいろなものがございますが、これもまたいろいろな法律に関連するので、やはりもう少し適当の措置をとることも研究の上必要であろう、こういうところから臨時的な措置として扱つた次第でございまして、時限立法ではなくして臨時立法である、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  95. 川俣清音

    ○川俣委員 競馬法の問題についてちよつと疑義が出て参りましたから、ちよつとお尋ねしておきますが、予算に組んでありますので、今年はこれを持続するというお考えでないか、こうお尋ねしたのです。この点一点です。  それから、臨時立法というものは、多くの学者から言うと、当然時限立法であるという解釈なんです。多くの学説は臨時立法は時限立法だという解釈なんです。ところが、あなたは臨時立法だと言うから、やはり時限立法という考え方でよろしいかどうか。
  96. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 まあいわゆる時限立法というわけで、ここ何年間ということならいいと思いますが、時限立法というと、何年何月幾日までという厳格な意味での時限立法でない、こういう意味で申したのであります。  それから、今の競馬法の問題でございますが、これは川俣さんは競馬会ができるかどうかという問題になつておるのではないかと思つておるのではないかと思つておるのたが、これは歳入の面に直接の関係を持ちませんので、この問題は私どもは国営競馬としての歳入としておるのでありますが、しかし、競馬会にそれがなつてそれを納付いたしましても、歳入そのものには響きはないと思いますの、予算の面からはまだこの問題について話合つた次第ではございません。
  97. 川俣清音

    ○川俣委員 大臣、だんだん答弁がかわつて来るので、私は簡単に競馬法の問題を聞いたのです。あなたが、綱島委員の質問に対しては、競輪のようなものは好ましくない、従つてこれをまわした、こういう御答弁であつた。それでは競馬はどうかというと、競馬は在来からのいきさつがあるからこのまま続けられるのだ、こういう御答弁で、私はそれはそれでいいのです。それを変にあいまいにされると、また質問が長くなりますので、そういうふうに了解いたしておきます。  そこで、時限立法の問題ですが、臨時立法というものは当然ある程度期限があるということが予想せられて臨時立法なんです。期限がないものでありますならば、これは臨時と言う必要はないのです。臨時立法というものはこれは当然期限があるべきものなんです。期限がない臨時立法というものはおよそ考えられない。そういう考え方は非常に非常識な考え方だ、法理論を離れても非常識な考え方たというふうにお考えになりませんか。今大臣と法理論をする時間はないから、常識で臨時というものはある程度の期間ということです。期間がないものであれは臨時ではないのです。
  98. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私が答えておるのは、厳格な意味での時限立法でないということをはつきり申し上げておきます。これは今もそう思います、しかし、いろいろな法律に、過去にも現在あるものにも当分の間という法律幾つもあります。しかしこれはあなたの言う広い意味の時限立法でありましよう、当分の間ですから。しかしこれは、臨時立法と言つておいて、別に時限立法と特に言わないから、厳格な意味での時限立法ではない。しかし当分の間と言つているのだからこれは臨時立法である。これは幾つもある。ここに法制局の方がおられますから、もつと専門家に聞いていただけばなおよくわかる。
  99. 川俣清音

    ○川俣委員 大臣の所見をお尋ねしておる。
  100. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私の所見は以上の通りです。
  101. 川俣清音

    ○川俣委員 法理論は別にあなたにお尋ねようとは思わない。どうせわからぬことを聞いたつてようがありませんから、私はお尋ねようとは思わない。常識で、臨時というからには、ある期限があるということは当然な考え方なんです。臨時というのは当然な期限がある。何年かということは別にいたしまして、当然期限があるということが常識的な考え方なんです。これは何といつても否定できない。  そこで、それではさらにお尋ねいたしますが、この補助金というものの考え方の中に、一つは社会福祉の進展のために必要な補助と、生産コストを下げるために必要な補助と二つ考えられておるのです。その物の価格を、何らかの補助によつて、甘辛の生産費の上まわつて行く、あるいは重なつて行くことを防ぐために補助をして行こうという考え方一つ。もう一つは、今山下委員から御説明になりましたように、社会福祉事業を国家の手において進展させるための必要から生れて来る補助と、二つ考えられると思うのです。そこで、政府が低物価政策を掲げておられますると、補助金で物価を引下げて行こうという考え方が出て来なければならないのではないかと思うのです。と言いますのは、今まで農産物の中で最も統制を受けておりまする米価の決定等におきまして、その他の補助を出しておるから、あるいは補助政策によつて米価を押えて行くのであるという説明をたびたびなされおる。この根本の考え方を今後是正せられて行くつもりで補助金の削除を考えておられるかどうか、この点をお尋ねしたい。
  102. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 補助金については、私どもはいわゆる竹馬の足といわれたそういう補助金制度をとつて物価引下げを考えておるのではありません。これは、そういう安易な考え方でなくて、やはり物価引下げというものには、それ自身の合理化とか各種のことによりまして物価引下げをはかりたい、こう考えておるのであります。  なお、先ほど当分の間ということについて、当分の間にはいろいろそのときの事情がありますから、このことはしろうとだから、しろうと同士の話としてお聞きを願えば、当分の間にも二、三年……。
  103. 川俣清音

    ○川俣委員 こつちはしろうとではない。
  104. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 あなたはくろうとだ。ぼくはしろうとだと言うから、だから専門のことは専門家に聞いてもらう、もちはもち屋に聞いてもらうが、ただ常識的にいえば、当分の間には一、二年の場合もある、二、三年の場合もある、四、五年の場合もありましよう。しかし、それが当分の間で、ぼくらは、ことに情勢に変化なき限りは、当分の間、こういうふうに考えておるので、このことを申し上げておる。
  105. 葉梨新五郎

  106. 井手以誠

    井手委員 大臣にはいろいろお尋ねしたいことがありますが、時間が何ですから、ただ一分間……。今当分の間とおつしやいましたが、それでは大体どのくらいの期間の見込みであるか。(「当分の間」と呼ぶ者あり)当分は当分だろうけれども、自衛力漸増という基本方針がございますので、大臣はどのくらいお考えになつておるか、また何年後にはこれを復元するお見込みが現在の情勢ではあるのか。
  107. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今ちようど川俣委員にもお答えしておるので、実は当分の間というのも、この法律についての当分の間と、いろいろ事情が違うと思いまするが、周囲の情勢に変化がなければ、私どもは、日本の今の各種の法律等を検討して、そうして根本的に実は案を出したいと思つておるので、こういう臨時勘な法律ではなくして、この法律はこういうふうにして行くというふうに、各省にわたつて法律にわたつて根本的な立法をいたしたいと考えております。
  108. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 それでは午後は三時より再開することといたします。  休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ————◇—————    午後三時七分開議
  109. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 これより会議を再開いたします。  質疑を継続いたします。長谷川保君。
  110. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 環境衛生部長お尋ねするのでありますが、先ほどの性病予防法の補助の打切りでありますが先ほどのお話では、結局おもな使途はボーダー・ラインの困窮者の性病の治療ということでございましたが、しかも性病がふえている。どうもこういうものはいよいよ必要だと私どもは思うのでありますが、こういうものがなくては時代の思潮から申しましても憂うべき状態になると思う。金額といたしましては大したものではありませんけれども、やはりこういうものを削ることによりまする、何と申しますか、政策の方向に対する打撃というものは決してばかにならない。これは大きく考えなければならないと思います。従つて政策的に申しましても、実際の面から申しましても、こういうものは絶対に削つてはならぬと思う。こういうものは減つても、効果が上るようにやるという、たいへん謙遜したお話でございましたけれども、今までも足らないのではないか。不足しているんじやないか。これからいよいよ活動しなければならぬときに、逆の方向に行つてはならぬと思う。先ほどたいへん謙遜されたお話で、一生懸命にやつて、もつと効果を上げますいうことでありましたがそういう御自信があられるかどうか、たいへん失礼な言い分ですが、私には納得できないので、お伺いいたしたいと思います。
  111. 楠本正康

    ○楠本政府委員 困窮者に対しましては生活保護を適用いたしますし、一方逐次社会保険の加入者がふえて参ります。かようなものは、生活程度のいかんにかかわらず、社会保険の方で処理いたすことに相なります。従いまして、そのボーダー・ラインに流れております対象というものは比較的が少いものでありまして、しかも一方、他の社会政策が進むにつれまして、これらのものは逐次減少さるべき性質のものでございます。しかし、医療体制全体から申しまして、これらの取扱いに関する問題は従来ともいろいろ議論があるところでありますが、私どもといたしましては、一方有料診療もしております関係で、著しく支障のあるような結果にはなるまいと考えております。はなはだはつきりいたしたことを申し上げなくて失礼でございますが、さよう意味考えておるのであります。もともと予算の趣旨が赤字で補填——つまり赤字がなぜ出るかというと、減免診療をするために出る。その補填でございますので、かようなものはある程度幅を狭めることも可能でありますので、支障なかろうと考えております。
  112. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 ただいま一方社会保険が普及して行くというようなお話がございました。しかし、現実の問題は、たとえば健康保険に入つておりまする人々は、相当な、いわば中小企業でありまして、零細企業におきましては入つていないのが多い。ほとんど全部です。従いまして、そういう人人は、社会保険の影響というものは——一方国民健康保険というものがありますけれども、そういうものの影響はほとんど少い。従いまして、どうも大蔵省に非常に御遠慮なさつて政策をお立てになつておるようだけれども、こういう民族の現在及び将来を決しまするような問題は、ことにしろうとの売薬治療にともすればなりやすい、そうして病根を、病膏肓に入らしめるようなことが相当考えられますような問題につきましては、私は遠慮してはいけないと思う。どうも、厚生省は紳士であつて大蔵省に対して遠慮し過ぎていけない。こういう方面については、私はもつと勇敢におとりにならなければいけないと思うのでありますが、これはまた大蔵大臣が出席したときに私は自分の考えを質問するつもりでおります。  次に精神衛生法に基く精神衛生相談所の運営等に要する経費でございますが、精神衛生の関係は、精神病ばかりではありませんが、文明社会におきまする一つの特徴であります文明病の一つであります。今日そういう方面の患者が非常にふえて来ておる、あるいはその他いろいろな精神衛生関係の仕事がふえて来ておると思うのでありまするが、この精神衛生法に基く補助の特例、精神衛生相談所の運営に要する経費、この経費が使われておりまするおもなる仕事はどういうものでありましようか。おもなる仕事をひとつ伺いたい。
  113. 楠本正康

    ○楠本政府委員 精神衛生相談所は全部無料で相談は応ずることに相なつております。その経費はもつぱら人件費その他の経営費でございます。
  114. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 それは多分、先ほどの、今回の補助金の整理の基本考え方でありますところの、人件費は削除して行く、補助打切りという考え方に沿つておるものだと思います。けれども、しかし、こういう方面も、こういうじみな仕事というものは、私はいつも言うことでありますけれども、地方へ参りましても、橋をかけるとか道を直すとかあるいは学校を建てるとかいうようなことは、地方の議会の議員諸君も熱心にやつてくれますけれども、こういうじみな仕事というものは、よほど努力をいたしませんと、実際には非常に必要な仕事でありながら、今日の民主主義の政治の一つの弊害がそういうような面に出て参りまして、残念なことでありますけれども、つい県は金を出さない、仕事をしない、従つて仕業だんだん縮こんでしまうということになるのであります。従いまして、こういうような今日精神衛生が非常に尊重せられなければならないというときに、こういう面を減らすということは、私は現実問題として仕事にさしつかえる部面が出て来ると思うのだけれども部長はどういうふうにお考えになりますか。
  115. 楠本正康

    ○楠本政府委員 これはまた同じことを繰返しますが、地方負担の裏づけ財源につきましては国としても勘定に入れて処置してございます。従いまして、私どもといたしましては、これまた地方を督励いたしまして仕事の支障ないようにいたしたいと存じますが、ただ、精神衛生というような問題は、ただいま御指摘のように今後の問題でございます。従いまして、必ずしも地方に同化された段階に至つておりませんので、私どもといたしましては、さようなものについてはやはりかなりの困難が手伝うものとは存じますが、これまた大いに勉強いたしまして実施に当りたいと存じます。ことに、これらの問題は医療社会事業あるいは保健婦活動等とも関連して実施をして行く、つまり総合的な相談対策を立てて参りますれば、その辺は案外努力によつて効果が上るものと期待いたしておるのであります。
  116. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 精神衛生相談所は精神薄弱児などの相談にもあずかるのであろうと思いますが、さようでありますか。
  117. 楠本正康

    ○楠本政府委員 精神薄弱児につきましては、児童相談所の方が担当いたすことになつております。従つて、一部さはようなものにも応じますけれども、主としてこれは児童以外の精神障害、かようにひとつ御理解願いたいと思います。
  118. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 精神病患者は常識として非常にふえて来ておるだろうとわれわれは思っておるのでありますが、最近の傾向はどんなふうになつておりましようか。今すぐ数字が出せなければ、今すぐでなくてもよろしゆうございますが、御説明願いたい。
  119. 楠本正康

    ○楠本政府委員 数年前に、私ども、各学者その他の協力を得まして、サンプリングによつて調査いたしたことがございますが、そのときは、明らかに精神異常と診断のつく者が三百五十万人という推定が出ております。しかしながら、その後の推移でありますが、これは学者によつて若干意見もわかれますが、精神病そのものは必ずしも社会的な環境によつて増加するものでない。ただ、きわめて精神病と関連の深い、またこれと似通つた神経障害というものは、これは都市の発達あるいは社会の混乱その他によつてかなりふえて行く傾向にある、しかし精神病そのものは大体固定した数字である、かように言われております。
  120. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 今お話のようでも、神経障害と言おうとあるいは精神病者と言おうと、いずれにしても、これは世界各国の例が文明の進むに従つて相当急速に増加して行く傾向にあることは、お互いよく承知しておるところであります。こういうような場合に、こういう方面の力が少しでもそがれるような——先ほどのお話で、どうも厚生省のお役人は大蔵省に甘く見られてしまつて、言いわけばかりして、おつてたいへん不満でありますけれども、裏づけに平衡交付金で行くのなんのと言つたつて、そんなことはできるはずはないのでありまして、どこに入つておるかわけがわからぬ。従つて、地方へ行けば、はでな仕事にだけ使つて、こういうようなじみな仕事には使わない、こういうよう行き方で、こういうような仕事が充足されるものではないと思うのであります。一応私の質問を打切つて、後に大蔵大臣でもいらつしやつたときにまた伺いたいと思います。
  121. 葉梨新五郎

  122. 杉山元治郎

    ○杉山委員 先般来から、綱島委員あるいは川俣委員、けさは井手委員から、憲法論、原則論についていろいろ質疑がございましたが、聞けば聞くほど一層私どもの頭に納得の行かないものがございます。しかし、きようは、そういう論議をいたしましても同じむし返しになりまするので、私はおもに厚生省関係の問題について少しお伺いをいたしたいのです。  その前に、大蔵省の方も見えておるようでありますから、この法案関係によつて補助が打切られまするものが、いただいた資料によりますと約十一億円くらいになるようであります。一方私は、けさもちよつと用事があつて大蔵大臣の話を伺わなかつたのですが、それに関係するものが約六十億円くらいある、そうして財政関係のものが三十億円余り、こういうことになつておるが、実際数字の上に現われて来ておるのは先ほど申した十一億円だ、こういうことでありますが、この十一億円が節約されることによりましてそれだけやはり地方に負担がふえるということになるのでございませんでしようか。
  123. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 御説明申し上げます。  実は私どものこの資料の出し方が非常にまずかつたと思うことを発見いたしたのでございますが、歳出と歳入の差引をここに計上するということは、実は意味がなかつたのでございます。と申しますのは、この歳入方でもつて二十一億減りましたのは、御承知のように競輪、オート・レースというよう関係でもつて減りましたのですが、この減りました分は、御承知のように、そのままこの法律を廃止いたします結果として当然地方の財源にまわることになります。それで地方の財源計算にそれだけプラスされて参るわけであります。本来でありますれば、平衡交付金あるいは交付税をそれだけふやす分が、それだけこの分でもつて助かることに相なるわけであります。それで、一方歳入といたしましては、従つて中央から地方へ一十一億参りますが、別に五十三億、但し修正によりまして保健所の約四億を除きますと、三十億足らずのものが結局やはり補助金としてはこの法律関係として整理される、こういうことになるのであります。  それから、なお、一番初めに総括的な補足説明を申し上げました通りに、政府は、今度の二十九年の一兆予算を組みます際に、その一つの方針といたしまして、いわゆる補助金整理という項目を掲げてございます。それは、中央地方の財政調整という見地と、それから一方、先ほど大臣からも説明がありましたように、あまりこまごました補助金を煩雑な手数をかけてやるということは、行政の能率の上からいつても困るから、各省のさしつかえる非常に問題のものはもちろん別であるけれども、そうでない、あまり本質的にそういう問題を傷つけないようなものは、できるだけ整理して行きたい、零細な補助金等はまとめて行きたい、こういう大きな方針を実は立てまして、その一貫した方針としてこういうふうにやつたわけであります。先ほど大臣が申し上げましたのは、それらの補助金全体で約六十億円、件数にして百件、これは大体百万円以上のものが百件でありまして、数から言いますと百万円以下のものが農林省関係に非常に多うございましてこれを入れますと、ただいまちよつとはつきりした件数を申し上げられませんが、相当の件数になるわけであります。但し、補助金には、御承知のように、法律に規定のあるものと、それからいわゆる予算だけで計上いたしております、私たち予算補助と申しておりますが、それと二種類ございます。それで、それらの百件、一件百万円以上にわたる約六十億円の中で、この法律の負担率、補助率をかえました関係で、法律改正をどうしても必要といたします分が、ここにお示しいたしました約三十億円、二十三本の法律、こういうことになるのであります。
  124. 杉山元治郎

    ○杉山委員 それでいろいろ今お話のような競輪の地方への払いもどし、そういうことによつて多少裏づけられますが、結局はやはり地方の負担になるというものがあるのでございますか。その額は一体どれくらいですか。
  125. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ちよつと大事な点を申し落しまして恐縮しましたが、最初の御質問にございましたように、原則といたしまして、この法律の中には、いわゆる地方団体に対する補助金とそれから民間に対する補助金と二種類ございます。それで、民間に対する補助金は、ここにございますうちわずかでございますが、これは切りつぱなしでございます。それから、地方団体に対する補助金は、今までも御説明申し上げましたように、一方で補助率なり負担率なりを下げれば、それだけの分を今回の地方財政の計画の中に別に財源として織り込みましてございます。今私が競輪を申し上げましたのは、それとは別に総体として競輪等の収入がプラスになるということでございまして、この法律によりまして廃止または停止もしくは軽減せられましたものは、その減つた分だけちようど同額を地方団体に計算上は入れてございます。
  126. 杉山元治郎

    ○杉山委員 それでは、この法律が施行されましても、現在行き詰まつている地方財政にそう大した影響はない、こういう見通しのもとにこの法律が出されたというふうに解釈してよろしいですか。
  127. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 地方財政の問題は、全体として非常にむずかしい問題でございます。一面において財源の下足を補わなければならないという問題と、もう一つは、その地方知事のやかましい一つの要求となつておりますのは、何んでもかんでも中央からのひもがついておるからして、結局それをまとまつて知事の行政的な観点から自由に使うことが困難である。こういう要望もございます。結局そういうようないろいろな観点を通じて、地方制度調査会でも補助金を相当整理するという考えをお持ちになつたわけだと思いますが、もちろんこれは金額にいたしましては全体としましてもそう大きなものでございませんからして、このために地方財政の財源が特に補足されるという関係ではございません。むしろ補助金一般の整理の方針に従つてこれが現われて来た、その補助金整理の方針を政府が立てました理由は、先ほど申し上げましたように、補助金行政についてのある種の批判もあるし、またそういう地方にまわすことによつて仕事のやりよい点もあるだろう、こういうような観点も含まれておるわけでございます。
  128. 杉山元治郎

    ○杉山委員 かりに地方財政に大した影響がないといたしましても、先ほど長谷川委員もお話になつておりましたように、ここに現われておりまするいろいろの補助費と申しますものは、些少であるが、それらを受ける人たちを非常に勇気づけ、またそれによつて非常な生活の力づけになつて行く、こういう点が多いと思いますので私自身も、補助等の問題については、ある部分は整理したらよいと考えております。御承知のように、ある補助金のごときは、いなかにおいて、もらいに参ります足代にもならぬ、こういうもののあることもよく存じておりますので、こういうものは一応整理して、そうしてやはり有用なものに固めて与えて行く、こういう態度をとらなければならないのではないかという考えを持つておりますので、補助金の整理については私は別段不服を唱えるものではございませんが、しかし、今申しますようにお話を伺いますると、そのうちのここに出たものは省いてもよさそうなのを省いた、こういうお話でありますけれども、私どもの目から見ますると、むしろこれは非常に有用な、また今申したように、これによつて受ける人の力づけになるようなものが省かれている。こういう点についての考えが違うのでありますから、今その議論は申しませんが、どうか、政府の方においては、補助金の整理をするのはいいが、やはり物の軽重また重要性などをよく御考慮いただいて、省けるものは省いてけつこうでありますけれども、これを少しでも与えることによつて、むしろ元気づけ力づける、それによつて仕事が発展する、こういう方面にぜひ力を入れていただきたいということだけを一応申し述べまして、この補助金問題については私の質問を終つておきます。ぜひそういう点を御考慮願いたいということを申し上げておきたいのであります。  そこで、おもに厚生省関係について伺いたいのであります。先ほど長谷川委員がお尋ねになりましたので、あるいは多分重複するかわかりませんが、私が不在にしておつたので、そういう点がございましたらばそうおつしやつていただいてもけつこうであります。保健所に関する問題は、先ほど長谷川委員の話によつてもわかりましたが、三派の合同修正でもうこの法案が不要になつた、これを修正する、こういうことを伺いまするので、私は別段その費用の問題などについては質問いたさないのでありますが、保健所は、御承知のように、公衆衛生の発展向上、のために非常に大切な役割をいたしますことは申すまでもないことだと思うのであります、こういう大切な役割を持つておりまする保健所を、この法律通りに、もし修正されないで原案が通つたといたしますると、さしづめ保健所に働いている人の人員整理などの問題も当然起つて来るだろうと思いますが、この法律案が通つたときに、修正されないところの原案をつくつたときの考え方からいたしまして、一体どれくらいの保健所の人が人員整理される予定であるか、この点をわかればひとつ知らせていただきたいと思うのであります。
  129. 楠本正康

    ○楠本政府委員 現在まだ地方自治庁からの地方に対しまする人員整理等の基本方針も流れていないように聞いております。そんな関係で、はたしてどの程度の整理が加わるかということは、全体として見通されないのであります。少くともこの法律がかりに成立したとしますれば、おそらく増員というようなことはきわめて困難になるだろう、なお、その場合、他に商い補助率補助職員があつたとすれば、勢いさようなものに重点が移行いたしまして、やはり補助率の低いものに、補助率の高いものに比べると整理率が強く来るのじやなかろうかという心配はございます。しかし、この件に関しましては、先ほど大蔵省御当局からも御答弁がありましたように、大体現状維持のように伺つておりますので、さような心配はなく、現状通りということはできるだろうと存じます。
  130. 杉山元治郎

    ○杉山委員 三派の修正によつて現状はようやく維持されるわけでございましようが、この法案の原案をつくつたときから考えますと、相当の人員整理が予定されておつたと私どもは思う。また、この法案の趣旨から行きますと当然そうあるべきだと思うのですが、私ども自身にも、うつかりすると整理されるかもわからない、こういうことを保健所の人たちからもいろいろ聞いたことがあるのであります。もしそういうような予定されておつた数がわかつておるなら、この際伺つておけばまた後日のためにいろいろ便宜にもなる、こう思いますから、その点を伺つたわけであります。
  131. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 それでは、私の方からちよつと御説明申し上げます。この原案は予算との関係で後刻修正を受けるはずでございますが、もし原案通りといたしましても、これは保健所に限りませんが、そのほかのあとに出て参りまする精神衛生その他一連の問題がございますが、先ほど申し上げましたように、保健所の例で申しますと、大体四億円から五億円の金が、もしも原案が通るといたしますると補助金としては落ちるわけでございます。その補助金として落ちた四億ないし五億の金を地方平衡交付金の方にまわしまして、自治庁の方から全体の財源補足として地方にまわすわけでございます。でありますから、自治庁の方からは、多少財源調整をいたしますので、補助金とまつたく同じ額が、以前通りに同じ団体に完全に行くとは言い切れませんが、全国全体といたしましては、四億なり五億が補助金のかわりに平衡交付金の形で地方に流れるわけでございまして、そういう意味におきましては、人員整理ということは理論上は起らないわけでございます。
  132. 杉山元治郎

    ○杉山委員 今御説明のように、理論上はあるいはプラス・マイナスなしかもわかりませんが、地方に参りましたときに、はたして中央から平衡交付金として、保健所のためにということで、ちやんとひもがついてくるかどうか、このことを考えますと、地方に参りましたときには、地方の有用な方面にこの費用を使われて、保健所の費用がおそらく低減される、こういう危険性は多分にあると思いますので、今まだ人員がわからぬということなら、あらためて御説明を聞く必要はないので開きませんが、そういうことに相なろうと思うのであります。  なお、幼稚な質問ですが、今度はABC級の保健所の、C級を引上げてA級にする、C級を十箇所新設する、昨年より十箇所新しく保健所ができるということになつておりまして、この予算書にありますが、八百幾つかできますが、この級の類別はどういうところでわかれておるのですか。
  133. 楠本正康

    ○楠本政府委員 これは保健所の一つの規格を示しておるのでありまして、おおむねAは建物で三百坪、職員が六十二名、Cはその半分の百五十坪の三十一名というよう一つの規格を示したものでございます。ただ、どこをAにするか、どこをBにするかということは、それぞれ地方の実情に応じまして、その必要量、重要性を考えまして配分をいたしておるわけでございます。
  134. 杉山元治郎

    ○杉山委員 そういたしますと、今度。級からへ紋に昇格したという保健所は、どことどことでございましよう
  135. 楠本正康

    ○楠本政府委員 いまだ具体的に場所は決定いたしておりませんが、方針といたしましては、現在C級保健所では業務に支障のある程度、たとえば人口がふえるとか、地域が非常に広大であるとかいうようなところを選びまして、A級に昇格さしてこの処置をとりたいと思います。
  136. 杉山元治郎

    ○杉山委員 それでは、まだそういう予定だけで、どこをAにするという確定はいたしておらない、こういうことですか。
  137. 楠本正康

    ○楠本政府委員 その通りでございます。
  138. 杉山元治郎

    ○杉山委員 それから、保健所は、先ほど申しましたように、いろいろな重要な役割を打つておりますが、その中でも、許可権と申しますか、そういうものをいろいろ持つておるように思う。たとえば料飲食業だとかあるいは湯屋業だとか、こういうものの許可権を持つておるように思いますが、いただいた資料には検査とか調査とか書いていますけれども、許可権の問題は書いてないようですが、やはり許可権を持つておりますか。
  139. 楠本正康

    ○楠本政府委員 現在、たとえば今御指摘の飲食店、浴場その他の許認可権は、知事または大きな市の市長というものに与えてあります。ただ、実際の方法といたしましては、保健所が現場で調べまして、その結果を知事に報告し、そして許可をするというようなかつこうになりますので、かような場合には、やはり保健所の権限と申しましようか、発言権はかなり大きくなるわけでございます。また一方、東京のようなところは、一々知事まで行くのは煩瑣であるということから、場所によりますと許可権を保健所長だまかしてあるところもございます。しかし、多くは、知事の名において、知事の補佐機関として働いておるのでございます。しかし、いずれにいたしましても、最近は保健所のかような許認可に関する力というものは、かなり大きくなつておるものと考えております。
  140. 杉山元治郎

    ○杉山委員 そういうよう関係で、許可権は知事あるいは市長が持つておるのかもしれませんが、その委託を受けておるという関係から、保健所が許可権を持つておるかのごとく大衆は感じておる。そういう関係からいたしまして、いろいろと問題があると思いますが、保健所の監督権はどこにあるのでしようか。
  141. 楠本正康

    ○楠本政府委員 保健所の監督権は、現在設置主体でありますところの知事または市長が監督をいたしておるわけであります。
  142. 杉山元治郎

    ○杉山委員 それでは厚生省は別にこれに関係はない、こういうわけですか。
  143. 楠本正康

    ○楠本政府委員 法律的に申しますと直接の監督権はございませんけれども、ただ、行政指導といたしまして私どもが全般的に府県を監督いたしております関係で、さような間接的な意味の監督はあると考えております。
  144. 杉山元治郎

    ○杉山委員 それでは、厚生省は間接的な監督だというのではやむを得ませんが、このごろ実際地方に参つて保健所の実態をよく調査いたしますと、所員が、いわゆる汚職といいますか、そういうことをやつておる点が多々あるのです。その例はなんぼでもあげることができますが、しかし、大きな汚職のあるとき、こんな小さな汚職など問題になりますまい。しかし、小さくても大きくても非常な汚職の問題になると思います。こういう点が、もし知事に監督権があるならばよく監督をして、国民と一番接触しておる厚生行政の先端であるのだから、この先端の人たちがほんとうに保健所としての使命と目的を果すようにしなければならぬのに、かえつていろいろと破壊しておる点が多々あるということを私どもは見受けておりますので、実はその点を伺つたわけであります。  それから、先ほどお話の三派の修正で四億円保健所に入りますと、これはまつたく従来通りで別に増減ない、こういうよう解釈してよろしゆうございますか。
  145. 楠本正康

    ○楠本政府委員 さようです。
  146. 杉山元治郎

    ○杉山委員 それでは、その次の問題をお伺いいたしたいのですが、長谷川委員もお尋ねになつておつたようですが、母子手帳が今度は全部廃止される、こういうことになるようですが、これは、先ほどお話のように、戦時中に物資が非常に不足のときに、母子に対して物資を上げるというような必要から手帳があつた、こういうようなわけで、今回はもういろいろな物資が不自由がない、自由に買い取ることができる、こういうよう意味で、そういう手帳を打切ろう、こういうことになつたのでありますか。打切ります政府方の意図はどういうところにあるのか、まだまだ私多くの人たちの中には、こういう手帳でもあつて、また物資などもいろいろと供給を要望しておる人たちも多数あるのではないかと思うのですが、今申し上げました母子手帳をやめるという政府の方の理由はどこにあるか、お聞かせ願いたいと思います。
  147. 竹下精紀

    ○竹下説明員 母子手帳の問題につきましては、児童局としてはこれを廃止するというよう考えは持つておりませんで、今回の母子手帳の問題は、補助金から平衡交付金へ財源措置として振りかわつたというだけの点でございまして、法律上の義務になつております。従いまして、都道府県の方では、従来通りこれが実施をするものと予想いたしております。
  148. 杉山元治郎

    ○杉山委員 それでは財政上では打切りのようになつておるけれども、事実上は従来通り行う、こう解釈してよろしうございますか。
  149. 竹下精紀

    ○竹下説明員 さようです。
  150. 杉山元治郎

    ○杉山委員 その次には、先ほど長谷川委員からお話になつておりました性病予防の問題について、少しばかり伺つておきたいと思うのですが、従前は御承知のように徴兵検査があつて、それで壮丁の性病の罹病率というようなものがはつきりとつかむことができたと思うのでありますが、今日はそういうようなものはございませんので、性病の罹病率というようなものがはつきりとつかまれておりますか。あるいは推定でも、どういうような推移になつているか、もしわかれば聞かしていただきたいと思います。
  151. 楠本正康

    ○楠本政府委員 性病蔓延の推移はきわめて現在におきましては調査しにくい、実態をつかみにくいのでありますが、全体から見ますると、性病は、たとえば病院の診療件数その他を通じて見ますると、実数は逐次ふえておりますが、ただ治療期間が薬品の発達等のために非常に短かくなつておりますので、常在数といたしましてはあまり差がない、かよう考えをいたしております。
  152. 杉山元治郎

    ○杉山委員 その性病のうちでも、御承のように梅毒なり淋病なりございますが、性病のふえておる種類はどういう方向でしよう
  153. 楠本正康

    ○楠本政府委員 ふえておるのは淋がふえて参つております。
  154. 杉山元治郎

    ○杉山委員 今のただ傾向だけでありませんで、こういうような罹病者が全国に大体どのくらいあるという予想でもおわかりになりましようか。
  155. 楠本正康

    ○楠本政府委員 まだこれは具体的な推計をしておりませんので、後ほど手元の資料その他をとりまとめまして、あらためて御報告いたすことにいたしたいと存じます。
  156. 杉山元治郎

    ○杉山委員 今公娼制、度がなくなりましたから、かえつて私娼窟と申しますか、公娼に類似するような場所が非常にふえて参つたが、公娼と私娼の問題で性病の問題がいろいろ論議されて行かなければならぬと思うのであります。以前公娼があつたときに、公娼を置かなかつた群馬とかその他の県では、かえつて壮丁の罹病率は低かつた、こういうことを私どもは聞いておつたのであります。そういうよう意味合いにおいて、できるだけ公娼を廃止しなければならない、こういうような病気の上からも公娼廃止の議論もありました。人権問題からももちろんこんなものは置くべきではございません。幸い、いろいろの人権問題からして、終戦後公娼というものは形はなく、なりました。しかし、形だけで、いわゆる言葉の上ではなくなつたが、実は実態は非常にふえて来た。ここで実態がふえて来て検査が不十分だというようなことからして、先ほどお話のような非常に性病の増加の傾向になつて来たのではないか、こういうよう考えられるのでありますが、これに対して厚生省は適当なる取締りなりまた何かする考え方を持つておるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  157. 楠本正康

    ○楠本政府委員 ただいま御指摘の点はきわめて重大な問題でありまして、また一方人権問題等人に触れて考えなければなりませんので、きわめてむずかしい問題でありますが、現在ではなるほど公娼というものは認めておりません。しかし、業態上大体三つにわかれておりまして、ただいま御指摘のようにまとまつた集団をなしておる、つまり集娼と、散らばつておる散娼とにわかれております。そこで、性病予病上葉娼と散娼とは一体どちらがいいか、こういうことになるのでありますが、私どもが集娼あるいは散娼を調査いたしました結果は、むしろ集娼の方が現在は衛生状態が悪いようであります。ただ、以前群馬県等におきまして公娼制度のあつた時代に公娼を廃止しておりました県も、もつぱらこれは集娼であつたのでありまして、ただ、たまたま自発的な意図という名目において、健康診断その他の保護を加えておりました。これはきわめてむずかしい点でありますが、かりに集娼というものを認めつつ、半ば公認しつつ対策を根本的に立てるとするならば、これは一番徹底した方法ができると存じます。しかしながら、これはまた人権問題にも触れて参りますし、また現在の公娼廃止の建前からもきわめて困難な点が出て参ます。一方では散娼の対策を考えなければならぬのでありますが、これらになりますときわめて因雑な問題でありまして、今のところは、私どもといたしましては、散娼並びに一般国民に対する思想の啓発、自衛手段の励行というような思想の普及によつてこれをやる以外に方法はない。一方なお散娼というようなものにつきましては、これはまたきわめて不適当な存在でもありますので、逐次かようなもののないような方向に持つて行く。といつて、そうなりますと、今度は逆にそんなら集娼婦は見のがすかというようなことになりまして、問題はきわめてデリケートになりますが、やはり集娼対策、散娼対策をわけて現在考えているという状況でございます。
  158. 杉山元治郎

    ○杉山委員 本会議が近く開かれるということですから、私は質問をある程度で打切りたいと思います。あとでまた続けていたしますが、まだ時間が少しある間お伺いいたしたいと思います。  御承知のように婦人議員から売春禁止法が出されようとしておりますが、この法律ができて施行されると性病予防の上に効果があると認めるか、認めないかという問題、この点一応御意見を伺つておきたい。
  159. 楠本正康

    ○楠本政府委員 これまたきわめて困難な御質問でありますが、私は、率直に申しますと、必ずしも大きな期待はできないのじやなかろうかという感じがいたします。
  160. 杉山元治郎

    ○杉山委員 政府がほんとうに相当の力をもつてこれをやるというならこれは効果がある。しかし、ただ法律だけできても、これの監督なりいろいろな問題について見過しにするということであつたならば、やはりお話のようにあまり効果が上らぬ、こういうことになるのではないかとい思ます。いろいろこれについてもまだ申し上げたいと思いますが、時間もございませんからこの程度で申しませんけれども、先ほどお話のように、だんだん性病が増加して来る。しかし上流階級のある特殊な階級は、これは自分自身で人にわからないようにでも治療して参ります。しかし、先ほどからお話のように、この法律にかかる人たちはいわゆる生活の低い人たち関係にある。やはり、どちらかといえば、そういう人たちが非常にふえて行くのではないか。上流階級は悪いことをしても上手に悪いことをして行くし、また自分で処理して行く。しかし、それを自分自身で処理のできぬという人たちが相当ふえて行くのではないか。こういう見通しがつくときに、この費用を削減するということの意図がわからないのですが、そういう点について政府の方はどういうふうな考え方を持つておりますか。
  161. 楠本正康

    ○楠本政府委員 これは、性病予防という点から行きましても、また社会政策の観点から申しましても、性病の早期完全治療というものはきわめて大事でありますので、従つてその早期完全治療がだれしも容易に受けられるようにするのがきわめて大事であります。さような趣旨から、性病診療所を各所に開設いたしており、しかも減免措置等を講じておるのであります。先ほどから同じことを繰返すようでありますが、これらのものは地方財源の裏付もしてございます。ただ補助率が減つたことがただちに事業量のそれだけの縮小ということにはならぬのでありまして、この点は私どもの今後の効力によつてひとつ解決したい。決して補助率の減が事業量の減を意味しておらないのであります。
  162. 杉山元治郎

    ○杉山委員 さつきの長谷川委員の言葉でないが、あまり厚生省がおとなしくて大蔵省に遠慮ばかりして行くところに、今のような言葉が出て来るので、事実は今申すようにふえて来、しかしそのふえて来る人たちがボーダー・ラインの人たちであるという事実を見ておつて、本来から言うならば、もつとこれに対する費用が増加されて行かなければならないにかかわらず、減つて行くということに対しては、私どもは、不満を持つておるのであります。  なお、精神病及び母子福祉のことについていろいろお伺いをいたしたいと思いますけれども、本会議が近づくという通知でありまして、かえつて中途半端になりますので、一応これで打切つてあとでまた時間のあるときにあとの問題について伺わしていただきたいと思います。
  163. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 一言だけ関連して……。先ほど杉山委員のお話の中に飲食営業等の許可のことが出ました。食品衛生法第二十六条によりますと、食料や玩具の検査、収去の費用、あるいは食品衛生監視員の設置に要する費用、死体解剖に要する費用、その他のものは三分の一国庫負担ということになつて、都道府県及び保健所を持つておる市に与えられるようになつておりますが、どうも私どもが厚生省からいただいた予算要求書の明細書にはそういうものがちつとも載つていない。午前中の大蔵省の総務課長と各委員とのお話を聞いておりますと、法律によつてきまつておりますものはみな予算に組んであるということである。ことに義務費でありますから、予算に組んでなければならぬと思いますが、それが全然組んでない。私の見違いでなければ、どうもないと思いますが……。
  164. 楠本正康

    ○楠本政府委員 後刻調べて申し上げます。
  165. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 午前もお話がありまして、杉山委員からもちよつとお話がありましたが、この食品衛生法に関しまする補助が全然出ていない。どういうわけい前から変に思つておりましたが、大蔵省のお考えはどうでありますか。
  166. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 この次に調べまして申し上げます。
  167. 葉梨新五郎

    葉梨委員長 それでは明日は午前十時より開会いたしまして、本案に関しまして参考人鈴木安蔵君及び田上穣治君より意見を聴取することを最初に行います。その後時間の都合によりまして質問を続行いたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会