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岡委員 しかし私は、そうあなたが自画自讃されるほど効果をあげた運営じやない
ような気がするわけなんです。元来
厚生省が相当なエキスパートを集めて、そして
国民の
栄養の実態については
専門的な調査を進めておる。その調査に基いて、
国民の
栄養はそれぞれの生活環境なり年齢層において
考えらるべきだ、それには何をも
つて補給すべきだという結論さえも出しておる。
厚生省がそういうことをや
つておるかと思えば、一方文部省の方ではこれをあまり重要視しないで、
学校給食法。ここでは、どちらかというとあまり
専門的でない諸君が、いろいろ
意見を総合してやろうとする。農林省にもまた生活
改善課というものがあ
つて、
予算を持
つて、農村の生活
改善並びに
食生活の
改善をうた
つておる。
国民の
栄養行政などというものは、これこそほんとうに一本にしなければならぬのじやないか。せつかく
国民の税金で相当な
予算を持
つて厚生省が調査をし、
一つの
基準を出しておるのだから、この
基準を
実施させる責任をやはり
厚生省が持つ
ような体系に持
つて行かなくては、ほんとうの
意味での
国民の
栄養の向上はあり得ないし、
食生活の
改善もあり得ないのじやないか。せつかく
学校給食法ができて、結局この
法律に基いて今後は新しいスタートをするのである以上、
栄養基準についてはもつと総合的に、六百カロリーなどという機械的な水準を
考えないで、カロリーは、
ビタミンは何で供給するのだ、カルシウムは何で供給するのだ、それぞれの地域の立地条件に応じてこういう手があるのだという
ようなこと、またそれの加工についても、先ほど申しました
ように、
ビタミンなんて日がたてばすぐ飛んで行く——
日本人の体質上、脚気という各国にない病気があるが、これにしても最近の
研究によれば、何も年ごろになるから脚気になるのじやない。もう小さいときからの
ビタミン不足が積り積
つてな
つておる。とい
つて、それでは小麦紛の中に多少そういうものを入れておるから、それで
ビタミンBが確保されるなどということは、これは古い学問なんです。そんなことをした
つて、それで
ビタミンBは尽されるものではない。玄米でも、一年放置しておけば、
ビタミンBは八〇%出てしまう。だからそういう具体的な、
栄養に関する
専門的な知見を
中心として、せつかく
子供たちの
栄養を高めてやろうというならば、やはりこれを総合的に、ほんとうに
子供たちの
栄養を高めてやる
ように具体的にやる。それにはどうも現在の機構がばらばらなんです。そういう点では、この
法律にうたわれた目的の一半もなかなか達し得ないのではないかということを私は非常に心配するのです。
いま
一つは、ロスがある。非常に大きなロスがある。これは費用に換算して出してみたら何百億に達するものであろう。その資料もあるが、相当なロスです。それは単にしろうとが加工する、あるいは一片の通牒でも
つてその
ようにやるという形だけのものであるから、実際問題としてやはりその地域の実情に応じた取扱いができないというところから、大きなロスが出て来る。せつかくの資源の活用という観点からも、
子供たちの
栄養のためにも、やはりこういうものもちやんとロスのない
ようにや
つて行く。こういうことについては、何も一
学校に一人の
栄養士がおるという
ようなことでなくて、やはり
保健所なり、あるいは
教育委員会なり、また数校に一人の
栄養士なりを置いて、
栄養士の
指導のもとにロスのない
ように、しかもわずかのものをより活用しながら、総合的に
子供たちに
栄養を補給してやる、こういう手段が講じられなくてはなるまいと思うわけです。そういう点については
当局へお願いするだけでなくて、
文部委員の皆さんにもお願いをしたいと思う。ぜひともそうしていただかないと、ほんとうの
意味の
学校給食の実があがらないのではないかと思うのです。これまでの経験から見てわれわれはその点が心配になるので、こういう点を十分御勘案願いたいと思うのであります。
それからもう
一つお伺いいたしたいのは、私
ども多少人間の体を取扱
つておる
立場の者から
考えてみますと、何とい
つてもこの学齢
児童よりも大切なのは、もつとそれ以下の、零才から六才くらいまでの
子供たちである。これは脳の重量をはか
つてみても、体重のふえ方を見ても、この時代が一番カロリーを必要とする。この時代が一番合理的なカロリーなり、
栄養素を必要とする発育年齢なんです。そういうことから、
保育所の方でも、
学校給食になぞら
つたような
給食がこれまで
実施されてお
つた。今度の
予算を見ましても、やはり脱脂粉乳なり、あるいはまた小麦粉等についても、
予算面では一括してそういう措置がとられておる。ところが一方
学校給食は、今度の
学校給食法案によ
つて新しくスタートする。言
つてみれば、これまで二人三脚で歩んでお
つたものが、一方何かしら切り離された
学校給食法というスタート・ラインに立
つて来るという
ようなかつこうになるわけであります。これはやはり
国民の
栄養という観点から見ると、
保育所に収容し得る子供の時代に十分な
栄養を供給しなければならぬ。またここに収容されておる
子供たちが、学齢
児童よりももつと
栄養を要求する実情に生理的にあるわけです。ここで補給をし、さらに
学校給食で今度はそれをコンクリートするという
ような形に持
つて行くのが、この
法案の目的にうたわれた
趣旨にほんとうにかなうゆえんではないかと思う。先ほどの
松永さんの御
質問に対する御
答弁を聞いておると、何か
法律の体裁上、ちよつと
保育所に関しての
規定を入れることがどうかと思うという御
答弁であったかの
ように思いますが、問題は何も
法律の体系を形式的に
整備するということではない。実質的にこの
給食法案にうたわれておる目的を大きく果し、充実させるということからすれば、やはり
保育所の
子供たちに対してもこの程度の措置は一括とる。
法律をも
つて国が責任を持
つてやるという体制に持
つて行くのがほんとうではないかと思うのです。そういう点で、これはいずれまた
文部委員の
方々にもいろいろお願いいたしたいと思いますが、これまでせつかく二人三脚で来て、
予算の中でも本年度は込みにな
つておる。これを一方だけ
学校給食のわくの中に入れて、ここで新しいスタート・ラインを引いて出発をするということになると、何もびつこを引くわけではありませんが、やはりそこで何となく
保育所の
子供たちがバスに乗り遅れるという心配を私
ども感じるわけで、しかも実質上の問題しては、今繰返して申します
ように、
保育所の
子供たちこそ個々人の健康の一番の根本がここにある。あらゆる
栄養を要求しつつある生理的
状況に置かれておる。これが何かしら除外をされる
ような取扱いを受けるということは、これは実質上
国民の
栄養の起点としての学齢
児童というならば、ここまで範囲を広めて行くのが当然のことだと思うので、この点は十分お
考えおきを願いたいと思う。私はこのことを心から
希望いたしまして、
あと関係の方がお見えにならない
ようでありますから、一応私の
質問はこの程度で打切
つておきます。