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1954-03-01 第19回国会 衆議院 文部委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月一日(月曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 辻 寛一君    理事 相川 勝六君 理事 伊藤 郷一君    理事 坂田 道太君 理事 野原  覺君       岸田 正記君    熊谷 憲一君       庄司 一郎君    世耕 弘一君       竹尾  弌君    長谷川 峻君       原田  憲君    山中 貞則君       喜多壯一郎君    中嶋 太郎君       町村 金五君    高津 正道君       山崎 始男君    前田榮之助君       松平 忠久君    小林 信一君       松田竹千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 大達 茂雄君  出席政府委員         文部政務次官  福井  勇君         文部事務官         (大臣会計課         長)      内藤誉三郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君         文部事務官         (大学学術局         長)      稲田 清助君         文部事務官         (社会教育局         長)      寺中 作雄君         文部事務官         (調査局長)  小林 行雄君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君  委員外出席者         専  門  員 石井  勗君        専  門  員 横田重左衛門君     ――――――――――――― 三月一日  委員亘四郎君辞任につき、その補欠として庄司  一郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月二十七日  町村教育委員会廃止に関する陳情書外三件  (第一二四三号)  地方教育委員会廃止反対等に関する陳情書  (第一二四四号)  義務教有費国庫負担特例法案反対に関する陳  情書(第一二  四五号)  文教施設費財源措置に関する陳情書  (第一二四六  号)  文教施設整備に関する陳情書  (第一二四七号) 老朽危険校舎早期解消に関する陳情書  (第一二四八  号)  義務教育施設基準引上げに関する陳情書  (第一二四九号)  西宮市における昭和二十九年度学齢児童生徒  の激増に伴う緊急対策に関する陳情書  (第一二五〇号)  公民館運営費国庫補助増額等に関する陳情  書  (第一二五一号)  へき地教育振興に関する陳情書  (第一二五二号)  へき地教育振興法制定に関する陳情書  (第一  二五三号)  盲ろう児就学奨励法制定に関する陳情書  (第一二五四号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  義務教育学校における教育政治的中立の  確保に関する法律案内閣提出第四〇号)  教育公務員特例法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四一号)     ―――――――――――――
  2. 辻寛一

    辻委員長 これより会議を開きます。  義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案教育公務員特例法の一部を改正する法律案学校教育法の一部を改正する法律案田立学校設置法の一部を改正する法律案公立学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案、以上五案を一括して議題といたします。これより各案の審査に入るのでありますが、質疑は前もつて委員長まで質疑をなさる法案名とともに御通告を願います。通告順に御質疑を許可いたします。世耕弘一君。
  3. 世耕弘一

    世耕委員 私は文部当局に、数点にわたつて簡単に要点をお尋ねいたしたいと思うのであります。私の質問は簡単でありますからお答えも簡単にしていただいてけつこうであります。そのおつもりでお答えを願いたいと思います。  まず第一にお尋ねいたしたいことは、教育中立性という問題が世間にやかましく唱えられておるのであります。私は、教育中立性ということは間違つた言葉だ、かように考えております。教育は元来白か黒かの問題を教えるのであつて、白か黒かどつちかわからぬというような教育は、私はあるものじやないと考えておる。むしろ教育の中正、公平であるというべき立場が、すなわち教育の本来のあり方だと思う。ところが世間では、新聞にも書いていると思いますが、教育中立性なんという言葉を使つて論議されているようでありますが、これは文字の言う意味ではなくて、精神問題だと思いますから、この際大臣から明確なお答えをいただくこととがいいのではないか、かように考えますので、この点をまず最初に伺つておきます。
  4. 大達茂雄

    大達国務大臣 私どもの方で教育政治的中立と言つておりますのは、むろん政治教育におきましては良識ある公民として必要な政治的教養が与えられなければならぬのでありますから、その限りにおいていろいろ政治的な主張あるいは政治的な考え方が教育対象になることは当然であります。ただ基本法八条の一項に、特定政党を支持し、又はこれに反対するための教育というような言葉を用いております。つまり政治的良識ある公民たるに必要な政治的教養を与える、このことを阻害し、もしくはその限度を越えて特定政党片寄つた教育、これをしてはならぬということがありますので、その意味において政治的中立という言葉を使つておるのであります。要するに八条二項というものを内容とする意味において政治的中立、こういう言葉を使つております。
  5. 世耕弘一

    世耕委員 それだとやや明瞭になるのでありますが、世間では教育中立性という俗語もつて、それを本論のごとく唱えておるのであります。これはたいへんな誤解でありますから、特に政府としては今大臣から御説明のあつた基本法の八条を徹底するようにおとりはからいを願いたいと思うのであります。  次に申し上げたいのは、これは少し露骨になるかもわからぬが、本問題と深い関係をもつていますから一応申し上げてみますが、現在の日本教員組合実態であります。世間では日本教職員組合なるものを私設文部省なりと言うております。実際は私設文部省の役割を果すかのごとき実情各所においてわれわれは発見するのでありますが、私設文部省であろうが、公設であろうが、われわれはかまわぬ、真理を探究されるのであり、真理教育面に表わすのであるならば、名目のいかんにかかわらず賛成でありますが、世間ではかなりの非難が起つておる。文部省私設文部省といわれる日教組内容を御調査なさつたことがあるかどうか、これをひとつ聞かしておいていただきたいと思うのでおります。
  6. 大達茂雄

    大達国務大臣 日教組が俗に、私設文部省というようなこと言われておるということでありますが、それはともかくとしまして、今日日教組がきわめて強い影響力日本学校教育の面に持つておる、またその影響を及ぼしつつあるということは、これはおそらく何人も否定し得ない事実であろうと思います。文部省におきまして日教組実態について調査したことがあるかどうかということでありますが、教育の問題につきましては非常に大きな問題でありまして、私どもはきわめて重大な関心を持つておるのでありますが、日教組に対してその実情ことにその内情を調査するということは非常に困難であります。また私どもとしては、一般の人が持つている以上の調査方法は持たないのであります。ことに日教組は、その内部の事情につきましては非常に秘密を守つておるようであります。決してこの団体内部のことその他についてこれを世間に発表しておらぬのであります。従つてその調査は非常に困難でありますけれども、しかし至大な関心を持つておりますから、ただ世間のうわさとかというようなことでなしに、日教組自身書類等で入手できるものにつきましては、今日までできるだけの調査をして、日教組がどういうようなことをしているかということについては関心払つて参つております。
  7. 世耕弘一

    世耕委員 日教組教育中心とした団体であるということについて、世間の批判も一致するところだと私は思う。その教育中心とした団体が、外部に対して秘密を守るということは、はなはだけしからぬではないか。そんな団体があり得るか。教育純正公平たものだ。しかも純情無垢な普通教育先生が担当している、その組合秘密主義を守るということ自体が、すでに世間の疑惑を持つものではないか。これはむしろ組合自体が、天下に、おれたちはこういう組織のもとにかような仕事をしているのだということを、公明に発表するのが本来の使命ではないかと思う。文部省から調査を受けるまでもなく、調査資料をばむしろ提供して、こういう仕事をしているのだが、どうか文部省は協力してくれぬかというくらいの大きい気持でもつて、初めて日教組本来の使命が達成されるものだと私は思う。この点について、もし日教組関係のある方がここにおられるならば、ひとつ反省していただきたい。私は注文する。  それからもう一つは、私の調べた範囲を御参考までに申し上げますが、そもそも日本教職員組合結成当時の歴史を見ますと、多分共産党幹部が侵入しておつたという事実がここにある。今なおその共産党分子がこの日教組の中に存在しておるのであるかどうか。こういうことは非常に大切な問題であり、当然調査しておかなくちやならぬ事柄であると思うが、文部省はこの点に関してどういうふうな考えを持つておるかということを、まずお伺いしておきたいのであります。文部省がお調べになる便宜のために、私から材料を二、三提供しておきます。日教組組織幹部の中に、共産党岩間君が委員長として存在していた事実があるのであります。こういうような最高幹部日教組組織の中にあるということは、日本教育の上にはたして中正公平ないわゆる政治的中立が堅持できるかどうか、私は事実問題としてまず取上げてみたいと思うのでありますが、この点はいかがですか。それで今の共産党岩間君が日教組組織委員長であつたということは、岩間君の参議院の選挙、公報の自分の履歴の中に乗つておるのでありますから、まさか間違いはなかろう、かように思います。念のため申し上げておきます。
  8. 大達茂雄

    大達国務大臣 御承知の通り共産党はいわゆる合法政党であります。しかしながらその党員動きというものは、きわめて表面に現われない形で動いておるようであります。従つて共産党がどういう動きをし、また党員がどういうふうに配置されておるかということについては、私どもは知りませんし、また私ども調査すべき限りでもありません。この点につきましては、過日の参議院の本会議におきまして、公安調査庁の長官から質問に対して答弁がありました。それによつてどももその一端を捕捉し得たのでありますが、そのときの答弁――これは私の記憶によるのでありますが、当初の日教組内においては相当の共産党分子が入り込んでおつた。これが一時はレッド・パージによつて相当減つたのであります。しかしその後残存分子と追放された共産党分子が一緒になつて統一委員会というようなものを内部に侵入さして行つて、今日では正式党員としても、大体レツド・パージ当時のところまでは回復しているようであります。こういう答弁を聞いたのであります。その後参議院文部委員会社会党委員の方から要求がありまして、国警本部から、こういう日教組内のグループ活動についてという資料が、参議院文部委員会の方に配付せられております。これは私どもの方にももらいまして、実はこれによつて得るところが非常に多かつたのであります。これは私ども調査したわけではありませんが、これによりますと、日教組内における共産党グループ組織は、北海道地方教組グループ指導、それから東北地方都教連関東地区教組、それから北陸地方教組グループ指導東海地方教組関西地方教組四国地方教組九州地方教組、それらのグループ指導部ができているようであります。実は私これは一体どういう事実に基いて調査せられたのかという点を聞いてみたのでありますが、日教組内部における共産党の間において、教育労働者とそれから教育戦線、こういう機関紙が出ているのでありますが、その機関紙の記載に基いて調査されたもののようであります。そういうように全国にわたつて日教組内における共産党組織ができ上つておりまして、その下部として、たとえば山形県には山形教組統一委員会、滋賀県にも統一委員会、島根県にも統一委員会、こういうようなものができているようであります。それ以上のことは、個々の点は何でありますか、わかりかねます。
  9. 世耕弘一

    世耕委員 そうすると、日教組の中には今の資料から判じますと、共産党分子と言うと語弊があるが、共産党の方々が人つているということを認定してよろしゆうございますか。あなたはそう認定なさいますか。
  10. 大達茂雄

    大達国務大臣 これは公安調査庁ないし国警本部調査の結末であります。私はこの調査に基いてさように私としては認定しております。
  11. 世耕弘一

    世耕委員 今の資料によつて判断いたしますと、日教組の中に共産分子多分に存在しているということが説明納得できると私は思うのでありますが、さような共産分子尖鋭分子が侵入している日教組が、はたして教育的に純正公平、政治的に見て中立性が維持できるかどうかということが、噛た第二段に考えられる。さようなものを私は一歩下つて考えてみるのに、日教組の中にまじめな教員が、私の推定するところでは少なくても八割あるだろう、あとの二割が不良分子だ。二割の不良分子が結局八割の善良な純真な教育者を冒涜しているということになりますと、これは文部省としても、知らぬ存ぜぬで高見の見物は許されないのではないか、文部行政のつかみどころはここにあるのではないか、あとでまた説明もいたしますが、思想的に自分のイデオロギーに従わなかつた教員をなぐる、ける、あるいはつるし上げをする、しまいには転任、休職あるいは辞職勧告というようなことが全国各所に行われておつたという事実が報告されております。今世間で盛んに教育中立性、いわゆる政治中立性が叫ばれるときに、かくのごとき実態をそのままにして、法律をいくらつくつたつて何にもならぬ。問題はそこにある。まずこの問題をいかに認識して行くかということが大事なことではないかと私は思う。これは文部省文部委員との議論ではなくして、実際にこれをどう扱つて行くべきかということは、真剣に考えなければならぬのではないかと思う。もし私のお尋ねしたことが行き過ぎであつたならばいつでも改めます。ただ教育をいかに厳正公平に取扱おうかという神聖な建前で発言させていただくつもりでありますから、どうぞその点は御了承願つておきたいと思うのであります。
  12. 大達茂雄

    大達国務大臣 共産党合法政党である以上、日教組組合あるいは幹部の中に共産党員があるということ、それ自体はただちに問題になる筋合いのものではないと、こういうふうに私は思います。それは自由党員もあろうし、改進党員も、あるいは社会党員もあろうと思う、しかし共産党員は、私は共産党のことはよく存じませんが、またここに共産党の方は一人もおいでにならぬのでありますから、その点ははつきりしないのでありますが、共産党というものは、そこへ一ぺん入り込んだら、実はただ党員であるということでなしに、そこに入つて仕事について、共産党の方に持つて行こうとする、こういうことをしておるように私は思います。そこで私どもの問題とするのは、共産党員がそこにおる、こういうことが直接には理論上は問題にならぬ。ただ共産党日本学校教育の上に、日教組というものを通じて共産党片寄つた教育なするように持つて行こうとするようなことがありはしないか。そしてまた日教組がその影響を受けて、知つておる場合もあろうし、あるいは知らない場合もあろうけれども、その線でやはり日本教育というものに中立を破るような影響を与えることがありはしないか。並びにそれによつて日本教育というものの現状がどうなつておるか、こういうことに関心を持つておるわけであります。これにつきましては、私どもとしては、できるだけその真相をつまびらかにしたい、こういうふうに考えております。昨年の一二月二十六日付の実情調査に関する文部省の通達、これも何か教員思想調査をするのだといつて非常にやかましく論議されておりますが、これはそういう意味学校における教育実情を知りたい、こういうことから出しておる。その点については特に関心を怠らぬのであります。しかし何分先ほども申しますように、日教組大会を開く場合に、文部省からその状況を見るために出席させてもらいたいといつても、日教組の方では断るのであります。さように文部省の耳目をふさいで行われておるのでありますから、その実情は容易にわかりません。
  13. 世耕弘一

    世耕委員 いよいよもつて日教組の本体というものが私にはわからなくなつて来た。なぜかというと、公の会合であるべき日教組大会に、文部省から人を派遣するのを拒否するというようなこと自体、もうこれは教員組合ではなくて、むしろ秘密団体ではないかという誤解世間に与えることであります。なおもう一つ調査事項について申してみたいと思うことは、調査されてなぜ悪いんだ。これがおかしい。教育はあくまでもガラス張りなんだ。天下共通なんだ。世界に知れてもかまわない。それを秘密にしなくちやならぬという理由がどこにある。これはまつたく意外の感を覚える。第一大学警察が来たらこわいのか。思想調査されたら困るというのはどういうわけだ。調査してみなくちやわからない。いいか悪いかわからないじやないか。私はこういう意味から、むしろ文部省は積極的に調査なされるよう要求する。思想調査をしてなぜ悪い。あなたはどんな考えをもつて教育されておりますかと聞いてなぜ悪い。そういうことを聞いて悪いという連中は、ややつこしい根性を持つておるからです。こういうことはものの道理ではございませんか。共産党であろうがあるいは社会党の左派の諸計であろうが、自由党の諸君であろうが、教育面に携わる場合には、純正公教育者としての立場に立つ。党の所属はいずれにあろうとも、それは自由です。ここに教育本来の使命があると思う。この点は文部大臣の御意見に共鳴します。あなたはどんな考えを持つて教育に携わつておりますか、小学校はどういうふうに、中学校はどういうふうにお教えになつていらつしやいますかと聞くことがけしからぬという。そのけしからぬという連中がよほどけしからぬ。これはもう少し徹底的に勇敢にひとつ御調査願いたい。それはあたかもどろぽうが不審尋問された場合に、警察はおれを不審尋問するとはけしからぬというのと同じことである、これは比較対照することは適当でないかもしれないが、常識的に平たく申しまするならば、私はこの言葉は適当ではないかと思う。大きな大学になるとどろぼうが入つて来ることがある。そのときどろぼうをつかまえて説得をして、教育本来の使命を達成することが、また大学使命である。小学校でも同様です。むしろどろぼうが逃げ込んで来たら迎えて、どろぼうの不可なること、倫理を教えることが教育本来の使命です。もし警察官が来て、その警察官に不都合な行為がかりにあり、濳越な越権ざたがあるならば、その警察官をつかまえて、警察官はかくあるべしと教えるのが学校あり方だと思う、それがなぜ悪い。お寺にどろぼうが入つてきたからけしからぬというのと同じことである。お寺の坊さんがどろぼうをつかまえてじゆんじゆんと説教をして、善良な者に導くのが宗教家使命であるとするならば、教育者はあらゆる人間に門戸を開放、大道無問、あらゆる者、出て来る者をつかまえて、善良に教育することが教育本来の使命である。それが教育基本法のどこにそむくか。それを妙な議論をして、警察はいやだ。そうじやない、警察がこわい。文部省が来るといつたら、調べられるのがこわい、あるいは文部省がこわい。そんなばかなことはない。そこに秘密性がある。さようなところには、教育中立性なんということはあくびにしたくともなかろうと思う。これは極端な言葉かもし机たいけれども、私は率直に私の考えておることを申し上げておきます。しかし、文部大臣は責任の地位におられる方でありますから、私は具体的にその反証を得たいとは申しませんが、文部大臣のお心構えがあれば、これは国民に答える意味で適当に御判断の上お答えくださればけつこうであります。
  14. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は世耕委員の言われることは大体その通り同感であります。思想調査をするということ自体愚法に抵触するとか、いろいろなことを言われますが、思想調査をする場合に、その調査方法が人権を蹂躙するとか、そういうことがあつてはこれはいけないだろうと思う。しかしながらある人の書いた本を集めて、そうしてその人がどういう思想を持つておるか。これは本を読むだけでわかる。だから思想調査をするということ自体がいけないんだ、こうきめつける理由一つもないと思うのであります。それは方法によることであります。そこでただ警察官思想調査をするというようなことは、これは警察官という特殊の立場から、何となしに一種の威圧を相手に与える。りくつではありませんけれども警察が立ちまわつて思想調査をするというと、何か相手を威圧するとか、脅かすとか、下安を与えるとか、こういうことがありますので、私は警察が大した意味もないのに、教職員対象にして思想調査をするといいことはやめてもらいたい、こう思つております。しかし文部省教育上必要な見地に立つて思想調査というか何か知りませんが、必要な調査をするということが、それまでも不当である、はなはだしきに至つては、これは憲法違反だなんてとんでもない議論をしておるものがある。こういうことは何のことか私にはわからないのであります。ただいまもお話になりましたように、警察官が悪いものであるときめつける必要はたい。犯罪というものは、家の中で行われる場合もあれば、往来で行われる場合もあれば、公園で行われる場合もあれば、学校で行われる場合もあるかもしれない。犯罪捜査の必要があつて警察官が必要な場所に立ちまわる、これは当然のことでありまして、その場合に学校であるから、一切立ち入ることはたらぬ、こういうことはあり得ないと私は思う。いわんや警察官が、ただちよつと用事があつて学校行つた自分の娘を入学させる手続を聞きに行つたとか、先生隣同士であるから、そこへ私用があつて行つたとか、そんなことまでみな取上げて、思想調査警察官学校に入つた、こういうふうな大げさな宣伝が行われておるやに聞いております。これは国警調査によつて私は聞いた。私は国警の方でこういう際にやたらと思想調査のようなものがほんとうにあるとするならば、やめてもらいたい、こういう意味で言うたところが、聞いてみると、国警本部の言うところによれば、ほとんど思想調査なんというものは何もしておらぬ、みんなでつち上げである、こういうことであります。今日この教員政治活動制限というものが行われるというと、のべつまくなしに警察官学校を見まわつて、おびえて何もすることはできぬ、こういう宣伝が盛んに行われておりますことは、きわめて不当であり、むちやくちやな宣伝であると思う。今日の法律案はた国家公務員と同じようにするというだけです。どこに付属学校やらあるいは役所に、因家公務員並政治活動制限がされたからといつて、それならば今日各役所たり各国立学校なりに、のべつに警察が立ちまわつておるかといえば、そのことは一つもたい。それをさもそういうふうな誇大というか、虚構の宣伝をして、そうして教職員に対して不安と動揺を与えておる、これはまことに私は遺憾に考えておるのであります。
  15. 世耕弘一

    世耕委員 調査されてびくびくするような近ごろの日教組組合員ではないと私は思う。むしろ進んで自分調査して、その自分思想の善良なること、公平なることを発表する機会があることを喜ぶのが私は教員本来の使命だと思う。それを調査されることがいかぬ、警察はいかぬ、それでは裁判官が来たらどうたんだ。裁判官であろうが文部省であろうが警察であろうが、来てもらつて、それを調べてもらうことが望ましいのではないかっそれはちようど疑獄にひつかかつた連中がびくびくするのと同じだと思うのだ、びくびくする反面に何かあるのじやないか、そういう態度自体が私は教育者としてまことに遺憾千万だと思う。これは文部省がひとつ教育してやつていただきたい。そういう点を注意してやつていただきたい。  それからさらに進んで申し上げたいのは、社会党関係諸君には申訳ないことがときどき話題に上るので恐縮でございますが、私は悪意で申し上げるわけではありません。ただ教育という面の大切な問題をとらえる意味において、たまたまその名前が出て来ることをお許し願いたいのであります。日教組実態調査文部省はできていない。同時に他の機関を通じて資料を得たということを文部大臣は今発表されたようでありますが、まだ不十分であります。この機会に私は、本委員会日教組実態調査に乗り出して、国民の疑惑を一掃するように御努力願いたい。かくすることがすなわち教育本来のあり方を天下に知らせることだと私は思う。これはぜひお願いいたしたいと思います。  それからこれは少し趣のかわつたことでありますが、文部省の小にも共産党員が存在するやに私は聞いておる。近ごろはありませんが、あつたという記録がここにある。それは北海道の武佐中学の教頭で、経歴は、昭和二十二年文部省事務官、学校教育局専門教育課勤務杉原というのがあつたということが記録に残つております。これは北海道の中学で、教育にあるまじき暴力行為をやつて、入きな学校問題を起したという実録がここに出ておるのであります。かような人物が文部省にいたことはなかつたかどうか、念のため聞いておきます。
  16. 大達茂雄

    大達国務大臣 これは私の方の調査いたしました中にも、北海道の中標津の武佐中学の杉原春男、こういう先生がかつて文部省に奉職して、学校教育局専門教育課に勤務しておつた。こういうことはあります。この杉原春男というのは共産党員であるかどうかはよく知りませんが、これはその学校内において結局懲戒免職になつて、今日まだ紛争を続けておるのでおりますが、その学校における教育並びにその行動というものは、明らかに共産党でなければ言うはずのないこと、するはずのたいことをしております。それは野坂氏や徳田氏でなければ今日の日本は救済ができないとか、共産党でなければ国民の味方にはならぬとか、その他お前のおやじは共産党に入らぬかといつて子供をなぐる、けるというような乱暴狼藉なことを働いた男であります。まだ詳しく言えばいろいろありますが、とにかくこの男はむちやくちやな男であります。従つて過去において文部省内に共産党員がおつたということは大体認めていいと思います。今日はそういう人がおるかどうか、これはわかりません。しかし文部省仕事は、共産党員がいても――これはかれこれ言うべき筋合いではないが、文部省仕事共産党にひつかきまわされるようなことは絶対にありません。
  17. 世耕弘一

    世耕委員 了承いたしました。その処分された、文部省に元いた事務官は武佐中学の教頭をやつておられる。そうして教育委員会、父兄から退任を要求されて辞職したにもかかわらず、なおその宿舎にがんばつててこでも動かぬというのが今日の状況であるということが報告されております。御参考までに申し上げておきます。共産党関係は、どなたかからまたこの関係でお話が出るかと思いますが、一応これで片づいたと思います。  次に申し上げたいのは、日教組社会党左派の関係であります。これはぜひ聞いておいていただかなければならぬことがあります。それは何かと申しますと、日教組社会党の左派へ相当多額な金をみついでおる。過般の四月の選挙だけでも一千万円が公にされておるのであります。まだほかの党にも川してないかよく調べてみたところ、どうもほかの党には不幸にして見当らない。左派一辺倒であつたのです。私の調査の不行届きであるかもしれぬが、はなはだ遺憾ながらほかには出ていないのであります。そうすると、まさに日教組社会党左派一辺倒という結論が出て来る。しかも金額において一千万円といえば、相当大きな金である。表に現われたものだけでもこれだけです。さような一辺倒の党派の人が、日本教員を一丸として教育に当らしめるということは少し行き過ぎじやないか。私は大いに反省をする必要があるのではないかと思います。この意味において、世間では盛んに私設文部省と言つている。文部省の指令は遺憾ながら徹底しないけれども日教組の指令なら至るところに活動を開始している。現に今日の教育に関する法律案に関するところの反対運動というものは、もう津々浦々至らざるところなしという活発な活動状態を呈しておるのであります。場合によつては、かわいい教え子をうつちやらかして飛び歩いている、家庭訪問をやる、まさにその熱心の度合いにおいては現文部省以上だということは、私は敬意を払わざるを得たい。これはどういうわけだ。そういうことも文部大臣として、文部省として認識しておく必要があるかないか、これをお尋ねいたします。
  18. 大達茂雄

    大達国務大臣 私としては、先ほど申し上げましたように、日教組実態についてはそのはつきりしたところ――これは少くとも日本義務教育公立学校の職員全部を組合員としておる組合でありますから、従つてそれがどういうふうな動向であるということについては非常な関心を持つて、できるだけその実情をきわめたい、かように思つております。ただいま世耕さんのお話では、日教組社会党左派一辺倒でおるというふうに申されましたが、なるほどそう言えばそう思われる。また見ようによつては、日教組の書類によると、社会党左派というよりは、日教組自身が日政連という政治団体をつくつておる。つくつておるけれども、ほとんど異名同体であると私は断定する。日教組自身であります。日教組自身が候補者を公認しておるのであります。その公認で出て国会に議席を得られた諸君が、ほとんど全部社会党左派に入つておる。けれども無所属におられる人もある。そうであるとこれは左派一辺倒ということにも見られるし、無所属なる人もむろん大体社会党左派と行動を一緒にしておられる。これは左派一辺倒という考え方も成り立つし、あるいは日教組という特殊な一種の政党である。そうしてそれが表向きは左派というひさしを借りておる、あるいは無所属が都合がよければ無所属で出る、こういうふうにも見られると私は思います。これは日教組日教組自身仕事の経過報告として――これは国会議員だけじやありません、日教組の書類によると、日教組教育委員の選挙にあたつても六十数名を公認して、五十八名の当選をかち得たということを報告しております。従つてこれが社会党左派一辺倒であるかどうであるか、この辺は人によつて判断が違いますが、大体はその似た辺だろうと思います。
  19. 世耕弘一

    世耕委員 文部大臣の御調査になつた内容の一部をいただきましたが、なお文部大臣説明の足りないところで私の材料のあるのをここで読み上げてみます、私のところに参りました資料によりますと、岡三郎――君は抜きますが、岡三郎、社会党左派参議院百四十五万円、牧枝元文、左派社会党参議院百万円、宮原定光、左派社会党参議院八十五万円、野原覺、社会党左派衆議院七十五万円、辻原弘市、社会党左派衆議院六十五万円、川村継義、これは無所属であるが四十五万円、それから豊瀬禎一、参議院左派で四十五万用、野呂者が四十五万円社会党左派衆議院、大西利雄、社会党左派参議院四十五万円、加藤清二、社会党左派衆議院五十五万円、北山愛郎、社会党左派衆議院三十万、梅津錦市、社会党左派参議院四十五万、大貫英明、社会党左派衆議院四十五万、上野富市、社会党左派参議院四十五万、奥五一、社会党左派衆議院四十五万、小松幹、社会党左派衆議院四十五万、高橋富士夫、社会党左派参議院四十五万、藤木勘治、社会党左派衆議院四十五万、田岸長太郎、社会党左派衆議院四十五万、西村力弥、社会党左派衆議院四十五万、三鍋義三、社会党左派衆議院四十五万、笠原利雄、同様社会党左派衆議院五十五万、横路節雄、社会党左派衆議院四十五万、秋山長造、社会党左派参議院三十五万、湯山勇、社会党左派参議院四十五万、坂口三郎、社会党左派衆議院.一十万、無所属で小林信一君が衆議院で四十五万、以下省略という名称が出て来る。この無所属という中にも、小林信一君のようなほんとうに教育について公明な態度をとつておられるそういう方々に四十五万円を出されるということは、これは当然のことで、怪しいと思わない。そこで牧枝君や岡君に百四十五万円、百万円出すなら、小林信一君や無所属の方に百万円以上出しても、非常に教育のためになると思います。だからこの資料は案外公平であるということを私は考える。  なお文部大臣が話しましたいわゆる日政連に対する寄付金の内訳は、日教組が千四百七十万円、鹿児島教組が九十万円、福岡が三百二万円、岡山教組が百五万円、秋田十五万円、神奈川百六十二万円、福島教組九十万円、大阪府の教組四十四万円、岩手三十万円、山口教組二十八万円、愛知教組二百四十二万円、北海道教組十一万円、群馬教組百十万円、和歌川教組八十万円、山梨教組五十一万円、千葉教組九万円、日政連福岡支部が三万、熊本教組が五十三万で、兵庫教組の二十万円、加瀬完という人が三十三万円、三鍋義三氏が五万円というふうになつている。まだ読めばきりがないでしようが、この程度にとどめておきます。こういう状態で非常にお金がゆたかであるということが言えるのであります。  そこでもう一つ、念のために、この問題が出たから申し上げますが、この資金はどういう方法によつて調達されておるか。貧乏とみずから任じ、赤貧をみずから甘んじて受ける日本の純情な教育者のふところから、かくのごとき資金が出たとすならば、これは慎まなくちやならぬことではないか。思想的に彼らを虫ばむばかりじやなしに、むしろ経済的にまでもかような搾取行為を行うということは、ゆゆしき大問題じやないか、文部省が調べに行くと、門で断わられるから、私は調査に行かぬというて簡単に引下るようでは、はたして文部行政が確立できるか。国民の教育を守り抜けるかということを実は不安に思うのですが、この点、もしお聞き及びの筋がありましたならば御説明を願いたい。
  20. 大達茂雄

    大達国務大臣 私ども日教組の予算書というものを見たことはありません。従つてこういう多額の金が、財源としてどういうところから出ておるのか、この点は明瞭でありません。しかし全国教職員、これは非常たたくさんの数でありますから、その人々の中から一定の組合費として醵出される金は、相当な金額に上ることと思います。またそのほかにも、いろいろそのときくに、あるいは資金カンパでおるとか、あるいはまた特別の決議によって、組合費といいますか、臨時の費用のために、いろいろ徴収が行われておるように見受けております。私としては、これは組合のことでありますから、りくつの上でかれこれ言うべき筋合いではありませんが、日本教職員の諸君が、私どもこの点について日常苦慮しておりますが、十分な給与を受けておられないときに、いろいろな名目なりで多額の金をこれらの教職員日教組に醵出されるということは、教職員諸君の生活の上からいつても、決して望まいこととは文部省としては考えておりません。組合費として、できるだけ組合員に金銭上、経済的な迷惑のかからないようにやつて行つていただきたい、こういう希望を持つております。
  21. 世耕弘一

    世耕委員 今文部大臣から、日教組の予算がどういうふうにたつているか知らぬとおつしやつたのは、ごもつともだろうと思います。もちろん出てないでしよう。これも私のところにおります。また都合によつてお目にかけてもよろしいのです。これは教育中立性、いわゆる政治への中立性教員は純正、公平な立場になければならぬという見解をわれわれは固持する以上、基本法の八条を基本として主張する以上、ぜひ日教組の予算書を委員長の手においてお取寄せを願いたい。そうして私は審議の資料にしたい。もし世間でいうように日教組は小評判のものでなくして、りつばな日本教育を担当しているという事実がわかつたら、この蛇足の法律など出さなくてもいいと思う。むしろ日教組自体の反省と粛正によつて教育の神聖が保てるとするならば、この資料をぜひ出さなければならないし、また日教組としても躊躇なく、私の演説を聞いて即座にも資料を出すだけの心構えがあるだろうと思う。ことに文部省との相談にあたつてかれこれ遁辞を弄するなどということは、むしろ教育本来を冒涜するものであるということをつけ加えて申し上げておきます。  それと同時に、経済的に恵まれざる教職員に、たからない方法を今後われわれが講じてやらないと、教職員が脅迫あるいは組合の圧迫によつて生活を脅かされ、教育の自由性、いわゆる学問の自由すら冒涜される、このことをわれわれは守らなければならぬ。かように思いますから付け加えて申し上げます。  それから日教組幹部の選挙違反事件で、北海道において逮捕されたものが百三名、任意出頭七有名というのが表に載つております。全国を通じてはたいへんのものです、こういう教職員が罪にならたかつたというて、依然として教職につくということは、感情的にも思わしくないと思いますが、そういう面に対して文部省はどういう態度をとつておるかということと、時間を省略する意味においてついでに申し上げますが、この間のここの会議でも問題になつたが、文部大臣に面会強要をした事例があります。これはあなたじやなく前の文部大臣であります。今度の文部大臣もあつたそうですが、いわゆる面会強要、ある意味においては押売りです、文部大臣室へ乗り込んで来て、すわつて動かぬというのは。これはまさに招かれざる客だ、迷惑至極のお客だと思う、特に極端の言葉を使えば、どろぼうの行為だ、こんなのを教育中心に置くというのはどういうことだ、それを逮捕しろということを要求したが、その後どうなりました。もし警察の手で負えなかつたら、他の方法が幾らでもあるだろう。教育という大事な仕事を守る意味においては、場合によつては私は命がけでなくてはならぬと思う。今日は非常に重大な時期だと思う、これは私はむし返す意味ではなかつたのですが、おととい面会の問題が出て、水を向けられたから、私は結論を出しておかなければならぬと思うので申し上げるのだが、その跡始末はどうなつておりますか。ただ言い切り、法律をつくりつばなしでは何にもならぬ、結論を出すことがわれわれは目的なのです。
  22. 大達茂雄

    大達国務大臣 選挙にあたつて教職員の間に多数の選挙違反容疑の問題がありました。これは詳しいことは私としては存じませんが、しかし選挙のときに教員が選挙運動に狂奔するのみならず、選挙違反までもするというようなことがあることは、私は非常に遺憾に存じます。そういうことがあればこそ、政治行為の制限をして、教員自身があまり極端に政争に没頭するというような態度を自然に改めて、教員として自重した態度によって公正な教育に専念してもらいたい、こういうふうに思いますから、このたびの特例法の…部改正の法律を提出したわけであります。  それからすわり込みについては、これは両三日前にもひどく御質問を受けたのでありますが、前々から、すわり込んで面会を強要するというような事例かあつたということは、私も聞いております。私が文部大臣に就任をいたしまして間もなく、非常な猛烈なすわり込みがありました。三日も四日も文部省へとまり込んで、事務室に入り込み、あげくのはてには文部大臣の部屋.までなだれ込んで入つて来た。これは普通のすわり込みとか、面会強要の範囲を逸脱しておるものであつて、正確に言えば公務の執行妨害です。また当時深更に及んで私の宅に押しかけて来た、こういう事実もあります。その後はそれに類したことは一、二ありましたけれども、そういう極端たことはなくなりました。おそらくはその当時世間で相当批判を受けまして、いわば評判が悪くなつて、これはマイナスになると思つてとりやめたらしい。今日ではあまりそういうことはありません。
  23. 世耕弘一

    世耕委員 全国教職員が選挙違反に間われた数を文部省でお調べにたつたのがあつたら、あとで発表していただきたいと思います。  それからこういうことが言われませんか。そういうふうにすわり込んだり、あるいは夜中に人の家のへいを乗り越えたりなんかするのも、やつぱりこれは社会教育の一端を体験するのだというようなりくつを聞いたことはございませんか。社会教育と関連してすり込み戦術を教える意味において、一応先生が体験する、先生がそれを見せる、あるいはまた深夜に大臣の官邸に乗り込んで行つて脅かすことが、交渉の方法一つの秘決だなんということも、社会教育と結びつけて、これは当然教育の一端である、こういうようなりくつを述べる者があるのです。文部省はそういう説明に対して、これまでどういうお答えをしておつたか、そういうことを聞かれたことはないか。私がこの妙なことをお尋ねするのは、大体教育というものは三つにわけることができる。いわゆる家庭教育学校教育と社会教育、もし今のようなすわり込みとか、そういう暴力ざたが先生によつてなされておつたとするならば、それを新聞なりあるいは雑誌なりで見て、生徒が先生に聞いたとき、何と先生は答えるか。あれは社会教育を体験するものだ、お前らもよく見ておけ、こういうことがえてして言われはせぬか。これは非常に微妙なことであり、非常に大切なことです。教育に携わる者はもつと神経質でなければならないと私は思う。教育は、家庭教育の面、学校教育の面、及び社会教育の面、この三つが一体となつて、円満な情操の発達と知識の向上を得なければならないのに、この社会教育に当るべき筋の者が、しかも法律に融れるような、常識に反するような、公序良俗を乱すようなことがかりにあつたとして、それを文部省がそのままほつておいたら、日本教育はめちやめちやだということになる。この点しつかり腹をきめて、法律をつくつていただいたり、法律を適用していただかないと、善良なる教員が蹂躙され、そうして悪質な教員が天下を横行して、まさに純正公平た教育が蹂躙されるという憂いがあるから、これはしつこい、きたない質問というおしかりがあるかもしれぬけれども、実は掘り下げてお尋ねするような次第であります。
  24. 大達茂雄

    大達国務大臣 文部省のすわり込み事件を、あれは社会教育として実地に行つたものだというようなことを言つたというようなことは、私は聞いておりません。しかし今日の学校教育の面では、つるし上げとか、すわり込みとか、あるいは示威運動をやるとか、そういう一連の左翼的な闘争方式というものは、ややもすれば先生が子供にそれを仕込んでいるかのごときふうに見えるものもあるようであります。この間のすわり込みを、あれは社会教育の一環として、これに見ならえというようなことを言うたかどうか、その辺は存じません。
  25. 世耕弘一

    世耕委員 次にお尋ねいたしたいのは、いわゆる教育中立性という言葉が非常に大切であることは、論ずるまでもないのでありますが、今の日教組の行き方を資料によつて調べてみますと、中立性というものはすでに喪失されている。その証拠には、電産、炭鉱のストの応援に学生を連れて出かけて行つて大騒ぎをし、警察問題までしでかして、けが人まで出している、この事実。さらにスト応援の資金に三百万円を融通し、陣中見舞として百万円出している。ここに至つては、もう中立性の論議必要なし、かように考える。むしろ日教組解放命令をいつの時期にやるべきかというところまで飛躍しはせぬか。これは解消して、もう一ぺん新たなる婆で日教組の現われることがむしろ必要である。その方が教育界あるいは父兄から愛されるんじやないか、かように考えます。この点について、大事なところだから、今所信をすぐ承るというわけではありません。おとでお考えがあつたら示していただいたらよいと思うが、大事な問題だから、今ただちにお聞きすることは差控えておきます。  次にストライキ一齊休暇、この処置をどうするか。これは研究するところによりますと、かりに法的に正当に休暇をとつた場合でも、文部大臣は業務命令で教育上指導助言を発することができると私は考えておるのであります。また公共事業の争議行為として検事が警官の出動を要請するのと同じ理由のもとにできるのではないか、こういう手当をどういうふうにしておられるか、これは一応お聞きしておきたいと思うのであります。
  26. 大達茂雄

    大達国務大臣 日教組は今日、かりにいい悪いは別といたしましても、非常に強い政治的偏向を示しているということは、これば争うべからざる事実であると私は思います。それは日教組自身資料によつても、はつきり立証し得ることであると思つております。私は日教組が職員団体として、その勤務条件の向上改善、こういうことを目ざして、組合員の経済的な向上をはかられることは、まことにけつこうである。また教育社の団体として、日本教育を向上するためにいろいろ教育についての研究を進められて、そうして真に教育者団体としての立場を持つて社会の発達に寄与せられる、これは一番果ましいことであると思うのであります。一日も早くこの極端な政治的偏向という態度が改まつて、そうして日教組がわが国の全教職員を網羅する団体として、また日本の将来の社会の発展に非常に大きな関係を有するその立場の責任を自覚せられて、真に教職員組合としてあるべき姿に立つて健全なる発達を遂げられんことを――これは日教組の方から、いらぬ世話をやくなと言われるかもしれぬが、私は日本教育関係する文教の責任者として、常に切に念願をしている次第であります。これを解散するとかなんとかいうような問題は、これはまつたく別な問題であります。  それから一齊休校でありますが、これが法律の規定に触れるということにつきましては、これは触れる場合もあるし、触れない場合もあろうかと思います。私どもとしては、一齊休校というようなことが、特別にやむを得ざるものと自他ともに認めざるを得ないような事由なしに行われるということであれば、これは非常に遺憾なことと思います。これが法律に触れる触れぬは別といたしましても、非常に遺憾なことと存ずるのでありまして、ことにこれが教職員団体であるところの日教組あるいは県教組等の指令に基いて行われろということであれば、これははなはだもつて穏やかならざることであると思うのであります。今日この法案に反対するために、日教組の力においては、実力手段に出ることもあり得るかもしれない、あえていとわぬということを言つておられるように聞くのであります。一体実力行動とはどういうことを意味するのか、私はよくわからぬのでありますが、これがもし全国教職員に指令を発して、子供の教育をほつたらかして、一齊休校をするというような内容のものであるとすれば、はなはだけしからぬことであると私は思うのであります。この点はもしそうであるとすれば、強く日教組の反省を促したい、こう思つております。
  27. 世耕弘一

    世耕委員 一口に休校、授業を休むということは簡単に考えられるが、実際児童にとつては一日の食を奪われるのと同じであります。これは教育上非常に重大な問題であります。この点はこまかい言葉で申し上げると長くなりますから省略いたしますが、特にこの点は重要にお取扱いを願いたい。ただ工場のように、一日休んだらあした一日徹夜でやればいいというものではない。そこに教育の非常にむずかしいところがある。この点は特に御留意を願いたい。  なお先ほど私は日教組の先輩に共産党党員があつたということを申し上げたが、証拠がここに参りましたから読み上げます。これは前回の選挙公報で、本人の履歴がここに書いてありますが、中の方を読みます。「戦後東京都教員組合委員長として首切反対、学校給食の実施を斗いとり、その後全日本教員組合委員長として二.一ストの先頭に立ち、昭和廿二年、第一回参議院全国区に当選、廿四年、日本共産党入党、国会では」云々といりようなことを書いております。参議院全国区の日本共産党岩間正男、この人が日教組の、全日本教員組合委員長であるから、今の日教組と少しは関係があるのじやたいかと思つたので申し上げたのであります、あと数点簡単にお尋ねして他の方にお譲りしたいと思いますい問題になつております「夏の友」とか「冬の友」とかいり学習図書がありますが、この図書以外の図書、その他の教材で、有益適切なものはこれを使用することができるということが書いてあるんです、近ごろいかがわしき教材が出て問題になつているのですが、この監督の方法文部省はどうしておられますか。
  28. 大達茂雄

    大達国務大臣 いかがわしいという意味教育政治的中立という見地からおもしろくない、こういう趣旨と考えましてお答え申し上げます。御承知のように山口県で小学生日記というものが出まして、その当時こういう教材を使つて子供の教育をするということは不適当である、こういう意味におきまして、なおそういう片寄つた教育が行われないように十分注意されたらよろしかろう、こういう意味の通達を出しましたことは御承知の通りであります。また新聞等においてもしばしばそういうことが伝えられますので、その点についてあらためて実惰を調査するために、昨年の十二月に通牒を出した。これまたどういうわけか問題になつたのでありますが、それも御承知の通りであります。私どもとしてはできるだけ、学校教育においてそういう片寄つた教材に基いて教育が行われることは非常に好ましくない。好ましくないというよりは、教育基本法の第八条二項に抵触する場合が非常に多いのでおりますから、そういうことは厳重に慎んでもらいたい、こういうふうに考えております。今おあげになりました滋賀県の「冬の友」ですか、これは大津の市の教育委員会でこれを問題にしたようでありますが、これもその一例であると思います。他にもあるかもしれませんけれども、何分にも実情がよくわかりません。昨年の通牒に対しましても、私どもがなるほどと思うような満足な回答はほとんど一つもないのでありまして、遺憾ながら実情がはつきりいたさないことをまことに残念に思つておるのであります。
  29. 世耕弘一

    世耕委員 最近の普通教育の行き方を見ますと、ほとんど教員の自主性というものがなくなつておる。組合の統制下にある、組合のさしずにのみ動く、これではいわゆる中立性とか、学問の自由とか、教育の尊厳というものは維持できないはずである。これに対して文部省はいかなる対策をとつたか。あるいはかようなことは大したことではないと思われるのか。私の調査した範囲によりますと、専従職員はいわゆる組合幹部である。そうして教員はこれに盲従する。こういうふうにしか考えられないのであります。それでは教育の神聖が保たれないのであります、しかもそれが極端な例を探つてみますと、中共から金が来ておる人がある、個人的にもらつたという人がおるという文書が来ておる。中共と連絡ある日教組がかりに存在したらどうたるか。しかも中共のよいところをとればよいが、妙なところをとろて来て日本の善良なる教員に押しつけるに至つては、単なる文教問題でなく、大きな政治問題として取上げなければならぬ、われ関せず焉では済まないのではないか。また同時に教育それ自体はそれぞれ個人の完成にあるという建前にするならば、りつばな子供をつくる、りつばな人間をつくるということがわれわれの目的であるとするならば、父兄の信頼を裏切つておるではないか。私はいつも申し上げるように、学校は家庭の延長であり、先生は父兄の延長であると、こう考えておる。それを根根的に裏切つておるのではないか。この点について文部省はどう考えられるか、これに対する態度等をお聞かせ願いたいと思います。
  30. 大達茂雄

    大達国務大臣 今日学校先生方が、組合の決議あるいは指令というようなものに非常に強く影響を受けておつて自分が真に自分の思う通り教育ができかねておるというような、いわゆる教員教育上の自主性というものが保たれていない。これは観察の問題でありますが、私も世耕委員と同様に考えておるのであります。であればこそこの法律案を出したのでおりまして、その第一条におきましても、この法律の目的として教員の自主性を擁護する、教員の外から来る不当な圧迫、不当た影響というものを排除することによつて教員が真に自分の良心に従い、良識に訴えてする教育、その教育を横からまぜ返すようなことのないようにしたい。それによつて教育の自主性を保ちたい。こういうふうに考えてこの法律案を提出するに至つたのであります。もし真実教員がその自生性に訴え、そうして基本法の八条の精神をよくわきまえて、そのわくの中で潤達なる教育が行われておるという実情であれば、何もかような法律を提出する必要はないのであります。今日御承知の通り教育行政は教育委員会の手によつて運営をされておるのでありますが、文部大臣がこれに干渉、関与することは許されないのであります。また文部大臣がさようなことをする――とは、逆に一方に偏した教育が行われる危険を免がれるという保障はたいのであります。でありますから、私どもとして、今日の学校教育において片寄つた教育が行われることに対する対策としては、現状がこうである以上は立法手段に訴えるのほかはないのであります。立法手段に訴えるということは、結局国民を代表するところの国会の意思によつてその点を認識してもらい、その点についての御決議をいただいて、日本教育を適正な姿にもどしたい、かように念願をしてこの法律案を提出したわけであります。お言葉通りに、子供をりつぱに育て上げる、一口に言つてそれが教育の目的であることは申すまでもないのであります。それを教員が、あるいは教員に対して不当の影響を与えんとする何人かが、この教職員団体というような強い影響力を利用して、純白な子供をゆがめる、そうして将来の政治的方向を決定づける、これはまことに痛ましい限りでありまして、私はどうしてもその子供が成人して、自分自分の判断に基いてその政治的方向をきめる、その人生のかき方をきめるというような、そういう政治教育確保しなければならぬと思う。先生立場先生の主観でもつて小さい子供をゆがめて、ちようど植木屋が盆栽をいじくるように、苗木のうちにこれをゆがめて方向づけるような、自分の思うままの、先生の思うままの子供をつくり上げることは、これは人道上からも許すべからざることである、かように考えます。
  31. 世耕弘一

    世耕委員 変なことをお尋ねするようでありますけれども、実際問題として世間で論じられておるから、一応お尋ねしておくのでありますが、教員は労働者である、こういうことを言うているのです。大体われわれの学問からいうと、労働者というものには必ず資本家が出て来る。そうすると、教員が労働者であれば、資本家にまわるものはだれか、これは生徒、すぐ頭に浮んで来る。ある子供のごとき、聞いてみると、むぞうさにあの先生はわれわれ月謝を納めているから飯を食つているんだという。このような労働者と資本家との対立だという観念で教育していいものか、われわれに彼らは奉仕すればいいのだ、何をなまいきなことを言う、こちらが月謝を納めてやらなかつたら立往生してたちまち干上つてしまう、こんな観念が教育面に現われて来たときどうなるか。だから教員は労働者だという定義ははたして妥当であるかどうか、ここに大きな疑問が出て来る。これを何とか打開してやらなければならぬ。もし生徒が資本家でなかつたならば、父兄が資本家であるということになるわけで、こういう矛盾が無意識のうちに子供の中に発達して来るということは、教育の神聖を害しはせぬか、純心さをなくしはせぬかということをひとつ考え置きを願いたいということと、もう一つはこれは言うまでもないことですが、教育教員組合の独占であつてはならない。絶えず父兄との連絡をとること、もちろん教育委員との連絡ばかりでなしに、監督官庁といいますか、ある意味において財政的な権能を持つている文部省とは緊密な連絡をとらなくちやならぬと思う。この点日教組教育問題について、文部大臣にどうしたら日本教育はよくなるかということの相談を受けたことがございますか。むろん大会文部省の役人が来ることを反対するというくらいだから、相談に来るなんということはないだろうが、あればまことにけつこうだ、またあるべきだと思う。相談に来るのが当然たと思うが、あつたかどうか。またあることを望むかどうか、この点を聞きたい。
  32. 大達茂雄

    大達国務大臣 教員が労働者だということは、教員自身、これは全部の人が言つておるかどうか知らぬが、言つておるのであります。これは労働者であるかないかは人によつて見方がありましよう。私は、それは労働者であつてもかまわぬかもしらぬが、とにかく教育という特殊の仕事に携わつておる、そういう点について教職員の諸岩は責任と誇りを持つていただきたい、こういうふうに思つております。  それから日教組が相談に来たかどうかというお尋ねですが、これは相談といえば相談でありますが、すわり込みの場合に、多くの場合要求書というものを持つて来ます。最近にもそういうことがありました。これは大体要求書でありまして、給料を上げてもらいたい、あるいは教育予算を増額してもらいたいというようなことで、日教組の相談というより、日教組側の主張をこちらに申し伝える、そうしてそれを要求する、こういうことはしばしばあります。これは相談といえば相談になりましよう。私の方はこれを要求といつておりますが。御承知のように日教組というものは任意の団体でありまして、いわゆる労働者団体としてのわくに入つていないのでありますから、要求書という形でありますけれども、私の方はこれは陳情であり、またただ意見の開陳であるというふうに始終そのたび断つて、その点は念を押して私はお話合いに応じております。
  33. 世耕弘一

    世耕委員 簡単にあと二、三点だけで終りたいと思いますが、教育と宗教というものは政争の圏外に置きたい、これを私の理想といたします。ところが今逆なコースをたどりつつあることははなはだ遺憾であります。そこでさらにつつ込んでもう二点ばかりお尋ねいたしたいと思うのでありますが、結局教師は父兄の延長であり、学校は家庭の延長だ。そうして実社会は真理追求の場であるというような見地から、私は教育に熱心に進まなくちやならぬと思うのであります。  最後の一点でありますが、「小林調査局長を告訴」「日教組で決定」「文部広報配付は違法」こういうようなことが新聞に出て来ましたが、この内容の、告訴されるということは容易ならぬ問題だと思うが、この点大臣以外に小林局長おいででしたら小林局長自身からお答えを願いたいということと、それから今度この法案をめぐつて、架空の事実で茨城県に問題が起つておるようであります。こういうことも御存じであるかどうか。結局ラジオの放送とかいろいろな新聞、雑誌あるいは大学教授だとか何とかいう連中が、実情調査せずしてかなり放言をなしたきらいがあるように思う。できたら文部省をしてこの法案を立案するに至らしめた経緯、実情を徹底するようにさけることが、まず法案以上に重大じやないか、かように考えます.それと関連した問題として、この調査局長告訴という問題が出ておるのかどうか、お聞きしたい。
  34. 大達茂雄

    大達国務大臣 調査局長あるいは文部大臣を告訴するということにきめたという新聞記者は私もそれを読みました。告訴になつておるかどうかは知りません。新聞に伝えられるところによりますると、文部広報を教育委員会に送付した、それが何か違法であるとかなんとかいうことらしいのです。これは私どもから言えば、何のことかわからぬのでおりまして、文部広報というのは昔から教育委員会つております。それを今ごろこれは違法である、こういうことは、これはどうも私どもとしては言いがかりかいやがらせか、どつちかだろうと思うのです。しかしいやしくも国権の発動にまつて、そうして違法であるかどうかをただそう、こういう態度をとつたとすれば、それは真に違法でおると思つておられるのかもしれない。しかし私どもとしては、こんなことは違法とも何とも思つておりません、今後どんどんやらなければならぬ。来年度の予算におきましては、地方教育委員会の方にまで文部広報は出したい、そういう意味で予算を計上しておりますことは、過日この席で答弁をしたことにも入つております。そういうわけでありますから、これが違法であるということであれば、告訴してもらえれば非常にありがたいので、はたして違法であるかどうかということも、この際きめてもらえばまことにぐあいがいい、こう思つております。
  35. 世耕弘一

    世耕委員 最後に一点だけ、これは申し上げるまでもないと思いますが、教員が教壇に立つて生徒に向う態度は、私はらようど裁判所の裁判官が法廷に立つような厳粛な気持でなければならぬと思う。それでその判官がある事案の善悪の判断を下す必要があると同様に、先生もやはりその事案に対していい上か悪いとかの判断を下す必要があると思う。但しその判断を下す上において、生徒の年齢、性別、いろいろなことを勘案して、常識的に扱うことが、いわゆる教育者のむずかしいところであります。これが非常に欠けて偏しておるということが、今日大きな災いとなり、それが立法化される一つの原因になったと、私から見れば思うのだが、これについては文部省にも私は責任があると思う。それは文部省の意見とかあるいは研究発表が、どうも府県なり委員会に徹底していないような気がする。この際予算を余分にそういう方面にも活用されることが――まじめな教職員が教材に不足の結果、共産系の材料ばかり届くものだから、それを材料にする。ほかの方は金がかかつて手が届かぬ。あるいは社会党の左派の材料ばかり集めて教材にするものだから、勢いそういうことになる、こういうことも考えられるのでありますが、こういう点について文部省は今後積極的にいろいろな教材となるべき、あるいは教員資料となるべき文書を発行する用意があるかどうか、そういう熱意があるかどうかを最後にお尋ねいたしまして、私の質問を一応打切りたいと思います。
  36. 大達茂雄

    大達国務大臣 ごもつともでありまして、文部省としては常にその必要を痛感しておるのであります。来年度の予算におきましても、その見地から特に予算の増額を実は大蔵省にお願いしたのでありますが、それがただいま申し上げたように、従来県教育委員会程度に出ておつたものが、市町村教育委員会の方までも、文部省の意向なり意見の通達なり、その他文部省考え方を通報する程度に予算が認められておるだけで、きわめて貧弱な程度にしか要求がいれられなかつたのは残念であります。今後そういう方向には努力して参りたい。  実は先ほど答弁を忘れたのでありますが、茨城県で問題になつたとか言われるのは、多分私の推察するところによれば、「子供を守る話」という日教組から出た小さい本があります。それに書いてある事実は架空の事実である。こういうふうなことから問題になつたと思います。それが架空であるのか実際の事実であるのか、これはわかりませんが、あそこに書いてあるいろいろな事柄は、結論として、こういうこともやつて来たが、これも今度の法律が出ればできなくなる、こういう結論で結んであるのですが、これはまつたくこの法律には関係のないことです。私はこれを全部読んでみましたが、一例も残らずこの法律関係のないことを書き立てて、そして教職員なりあるいはPTAの人に、この法案反対の気持を起させるための文書であることは、きわめて瞭然であります。なおまたそのほか、日教組、都教組あるいはその他の県教組等において、いろいろなビラを出しております。これに書いてあることも、まつたく虚構の事実ないしはこの法律には何の関係もないことを宵うて、そうしてこの法律が出れば、いかにも手も足も動かないようになる、うつかりものを言えばすぐ懲役にたるのだ、こういうような記事を満載しておるのでありまして、この点はまことに私は遺憾に思つておるのであります。ただ茨城県云々の事実があつたかなかつたか、それは私にはわかりません。ただ結論に出ておることは、全部うその皮であります。
  37. 世耕弘一

    世耕委員 よくわかりました。さような虚構の事実を宣伝して、まじめな父兄、教職員を惑わしておることは、はなはだ不都合であると同時に、私はこの際教育委員会の完全な活動を文部省が積極的に指導し、なおまた教育審議会とかなんとかいうものがあると思うのでありますが、最近こういう問題がある際に、どうも活発な活動を開始していないで、傍観的態度のように感ぜられるのでありますが、この点はいかかでございますか。
  38. 大達茂雄

    大達国務大臣 教育審議会の方はどうも活発な運動というわけには行かないと思います。これは文部省内における審議機関でありますから、それは各個の委員の方々が自分でおやりになるのは別でありますが、審議会として外に出ていろいろの宣伝あるいは解説というようなことをする立場でない。
  39. 世耕弘一

    世耕委員 私の申し上げるのは、外へ行つて演説したり走りまわるという意味ではない。文部大臣に助言をして、この文教のあり方をスムーズに行くように、もう少し積極的に動く必要があるのではないか、この点が十分であるかどうかということをお聞きしておるのであります。
  40. 大達茂雄

    大達国務大臣 中央教育審議会の審議につきましては、これは見る人によつて批判もあり、意見もあるかもしれません。しかし発足後まだ一年そこそこのものでありまして、そうして中央教育審議会として、文教関係の重要施策について審議をして、文部大臣に意見を、あれは答申と言いますけれども、実際は進言というものが当つておるように思います。というのは、これは発足当初から、当時は前大臣でありますが、重要な問題について審議をしてもらいたい、こういうことを言われたようでありまして、従つて今度の教育中立性の問題につきましても、これは私の方から諮問をしたのではないのであります。中央教育審議会の方でこの問題を取上げて、そうして答申という形で、中央教育審議会の意見を私の方に申し出られたわけであります。これはやはりこの問題について、わが国文教に関する重要な問題としてこれを取上げて、それに関して熱心な討議をして、その意見を進言された、こういうふうに私どもとしては中央教育審議会のなされておることに対しては、これを多としておる次第であります。
  41. 辻寛一

    辻委員長 関連質問の申出がありましたから、これを許しますが、きわめて簡単に願います。高津正道君。
  42. 高津正道

    ○高津委員 世耕弘一委員から一時間四十分にわたる日教組攻撃のお話を承つたのでありますが、その中には間違つたことがあまりにも多い。しかもこれに対して文部大臣は、それは達うということは言わないで、受けて自分の見解をずつと述べておられるのでありますが、それらは速記が一々明白に記録しておることであります。  あらためて質問をいたしますが、第一点は日教組秘密主義団体である。そうして文部大臣は、だから内情の調査はむずかしい。たとえば大会の場合に文部省の役人がこれに出席したいと言つても、これを拒んでおる。これは秘密主義の証拠である。こういうようにお話でありますが、どこかの団体から出席を求められて、それを拒んだ場合に、それは秘密主義団体であるというようなそういう乱暴な話はないのであります。(「それだけじやない」と呼ぶ者あり)いや、あげた実例はただそれ一つである。そうして日教組秘密団体のようにきめて議論を進めておるのであります。   〔「予算書を出せ」と呼び、その他発言する者多し〕
  43. 辻寛一

    辻委員長 御静粛に願います。
  44. 高津正道

    ○高津委員 日教組は五十万の組合員の選挙によつて中央の幹部がきまつておるのであり、そうして予算書も大会に必ず出して、大会の審議に付せられて通過しておるのであつて、会計にも秘密はありません。私は日教組からちつとももらつても何もいないが、(笑声)どの労働組合でもそれは常識であつて、そういう大きな五十万、七十万というような労働組合秘密団体である。秘密主義である。最後に世耕君の話を聞いておれば、ゆえに日教組は解散すべきものであると、その長い長いく質問を結んでおるのであるが、これを秘密団体だなどと文部大臣はお考えであるのかどうか。そのような御発言を貫き通すお気持であるかどうか。明らかにこれを速記にとどめておきたい。
  45. 大達茂雄

    大達国務大臣 これは先ほどの答弁の速記録でごらんくださればおそらくわかりましよう。私は秘密主義だとか秘密団体だとかいうことは言つたことはありません。ただ非常に秘密にされておるようだから、なかなか調査するにしてもその実態をきわめることが非常に困難である、こういうことを申し上げただけであります。そういうことでありまして秘密主義だとか、会の方針として秘密にするのだとか、そういうことをきめられておるかどうか、実態がわからぬから私にはわからない。もちろんそういうことでなかなか探しにくい。実情をきわめがたいが、秘密団体だとか秘密主義と言つた覚えはありません。(「言葉じりの問題だ」と呼ぶ者あり)
  46. 高津正道

    ○高津委員 言葉じりどころではなくて、きわめて判断の基礎になる重要な数字であるが、世耕委員教育組合の中には二割の不良分子があり、八割の善良分子がある。そうしてその二割が八割を指導しておる。こういうような数字があげられておるのでありますが、われわれは断じてそのようなでたらめな数字を信ずることはできない。文部大臣日教組全部が悪いのではないが、中に悪いものがあるというような意味を常に繰返されておるのであるが、その数字はどのくらいなものであるとつかんで発一言をしておられるのであるか。
  47. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は日教組のうちに少数の悪い者があるなんて言つたことはありません。悪いとか、いいとか、悪いなんていう言葉を使つたことはありません。先ほどもつたように、かりに共産党の諸君が入つておられても、それは何も私としてかれこれ言うべき筋合のものではない。合法政党であれば、共産党であろうが何であろうが、そんなことはりくつの上では何も関係はない、ということを言つたので、悪い者がおるとか、いいものがおるとか、そういつたことを言つた覚えはないのであります。私は、世耕さんが二用くらいは何か共産党で、八割くらいはおとなしいのだ、こういうことを言われましたと思うということを言つた。これは世耕さんの観測であつて、私がそれに賛成したわけでもなく、反対したわけでもない。共産党なら共産党として、どのくらいの人数がおると思うかと言われれば、先ほど申し上げたような実情で私にはわかりません。しかし公安調査庁長官が先日の参議院の本会議において説明せられたところによれば、これも先ほど言つたはずです。レッド・パージになつた当時は一時一掃されておつたかの感があつた共産党が、最近では大体その当時の勢力を回復したと認められるということを言われたことを紹介しただけでありまして、私自身がなんぼとかかんぼとかいうことがわかるはずはないのです。またそれを正確に突きとめようもないのです。
  48. 高津正道

    ○高津委員 文部大臣日教組の中に自分らの目から見て好ましからぬというか、あるいは共産党関係者がどのくらいおるかの実態は知らない、公安調査庁の報告を信ずるのだ、こういう意味答弁でありましたが、この両法案が出て来る根拠は、非常に統計に関係があるのでありまして、山口県の小学生日記、中学生日記というものが現われたので、じや、日教組が悪い、この教員の活動は統制しなければならないということになつて、この法案が出て来ておる。(「統制じやない」と呼ぶ者あり)批判家の言葉は、こういう場合は統制というのです。教育統制です。話はもとにもどりまして、少しの事例をもつて全部を律しようとしておる。もちろん質問は法案の逐条審議に入つてからいたしますけれども自分の勤めておるところでは政治活動はできない。ただ住居地や自分の任地以外では全部政治活動は自由であるというその政治活動の自由を全部剥奪してしまう、こういうだいそれた大きなことを少数の統計の材料によつて企て、それを数で押し切ろうとしておるのでありますが、私はこの統計については、ここにお話をしておかなければならないことがある。今はどうかしりませんが、天理教においては、お水をいただいて飲めば病気が治るといつて、信者がそれをもらつてつて飲む。およそ病気の場合は、悪化して死に至るか、あるいは横ばい状態で一進一退をたどるか、あるいは病気が治るかの三つであります。従いまして数多くの信者の中からは病気が治つたという感謝状が二十通や三十通は来るはずでおります。その場合、この水を飲めば病気が直るではないか、これこの通りまだあるあると見せるならば、お水さえ飲めば病気が直るものだと愚かなる大衆は信ずるだろう。だが識者はそういう統計によつて事をきめるわけにはいかない。   〔「人民に対して何だ」「大衆を侮辱するな」と呼び、その他発言する者多し〕
  49. 辻寛一

    辻委員長 御静粛に願います。
  50. 高津正道

    ○高津委員 言葉に誤りがあつたならば取り消します。今度の法案の一番大きな問題点は、少しばかりの個後の事例を世耕委員のように誇張して、無理やりに広げて、それでもつて五十万を統制しよう。五十万を取締ろう。そこに問題点があるのでありまして、これは非常に重大な問題だと思います。これはあとで十分私は質問しようと思う。  それからすわり込みなどをやつて社会教育上、非常に害がある、ああいうようなものであつてはならぬということを、そう聞けばそう思えるような表現でしやべつて逃げられたのでありますが、しかし現在の政治家のやつておることは、社会教育上一体どういうことになるのであろうか。山口県の日記の百倍、千倍になつて害を教育に及ぼしておると私は思う。これは本日の信用ある新聞でありますが、その中のほんの少部分だけを読み上げることをお許し願いたい。「だいたい待合というところは非常に金がかかる。赤坂あたりで一晩五、七人で芸者をあげて遊ぶと十万円はふつとぶ。一人ぼつちでみみつちくあそんでも二万円はかかろう。その上、泊りこんで芸者をものにするには目が飛び出るほど財布をはたかねばならん。愛人なんかつくると大変だ。たとえば、日平産業の宮嶋社長は中川の秀駒を妾にしたため、月々卅万円女にやつていたという。一時は秀駒を箱根の旅僻に一カ月余りもカンズメにして宮嶋はそこから会社へ通つたくらいだ、」少し飛びまして、「問題の中川は会社組織になつている。そこの大オカミと若オカミが重役でおさまつているのは当然として、なんと自由党の代議士三好英之、同じく綾部健太郎、何じく南條徳男の三人も重役だつたんだ。私はトーホンをとつてしらべたからまちがいない。」これは名だたる評論家である大宅壮一君と森脇将光君との対談でありますが、また大宅君はこの問題をこのように批判しております。「昭電のときは日野原というような野心家が一部の連中をとり入れてやつた。こんどはちがう。財界、政界というように全体と全体が結びつく。汚職のマスゲームだネ。誰が逮捕されるかという問題じやないんだ。捕つた人間は可愛そうだという見方もできるほどだよ。全部がそうなんだからね。チームのキヤプテンは吉田だ。このキヤプテンという奴は今度の場合もそうだが絶対傷つかん。吉田は収益の上にアグラをかいているんだ。外遊中にクサイ奴は全部しばらし、残つた連中を引きつれて政権――という説すらある。キヤプテンは買出しには行かんよ。かつぎ屋は広川や池田になるわけで、この連中はつかまる可能性が正常な限り大きい。それをおかして一生懸命御馳走を集めてくる。吉田はそれをヌクヌク食つているんだ。」と、とても名文で真相を突いて書いてあるのでおります。教員組合から多くの組合費を徴収することは、それは一人の教員について言えば、一日の食を奪われるにひとしいという言葉があつたが、本年三十七億円というような利子補給金を国民の血の出るような税金から与えるために、まだ法廷の判決は出ていたいが、この中川などで取引をされたということで問題が大きくなつているのであります、このようなことこそ政治家は一番気をつけるべきであつて組合費を教員が納得の上で月に二百円あるいは三百円出していることを、それは一日の食を奪われるにひとしいといつて攻め立てて、このような大きな社会教育上絶大なる害悪というか悪影響を起しているまつ最中の政党が、教員の悪いことをとらえ来つて教員を統制しよう、教員政治的権利を剥奪しよということは、これを後世の歴史家が書いたならばどのように書くであろうかと私は想像するのであります。驚き入つた話というのはまつたくこのことであると思う。盗人たけだけしいという言葉も今こそ使うべきではないかと思う。自分は何であるか。(「相手がどろぼうすれば自分もどろぼうしてよいのか」と呼ぶ者あり)大きなどろぼうが小どろぼうを……(「小どろぼうと認めたな」と呼ぶ者あり、笑声)たとえだよ。大きなどろぼうが小どろぼうをしかるということも変な話であり、いわんや教組はちつとも小どろぼうでないということをわれわれは考えなければならぬ。日教組が何か悪いことをしたといつて、それをここで一時間半も宣伝すれば、聞いたことのない者はそれはそうかと思うかもしれない。政治において科学性を持たねばならない以上は、こういう不完全な統計による質問や応答によつて、われわれの批評眼、われわれの審議を誤つてはならぬということを感ずるものであります。選挙違反が非常に多いというが、内閣にも官房長官の福永さん、外務大臣の岡崎さんのような、御当人にかかわりそうなものが、選挙法のおかげで助かつたけれども、ああいう選挙違反に問われた人があるのです。日教組の候補者が違反にかかつたのではなく、警察がひつぱろうと思って無理にひつぱるから人数がふえるのであつて、与党の方はなかなかひつぱらないが、野党の方はひつぱろうと思えばいくらでも人数がふえるので、そこでまた統計が狂つて来る。そのような問題をあげて、教員政治関係してはならないという材料にすれば、教員の少しの違反でもひつぱつてもつとたくさん材料を製造することができると思います。その場合は警察官の方がまだいくらか公平で、あなた方に、選挙違反が多いという材料を北海道だけからあげられたにすぎないのであります。(「高津君、もういいだろうしと呼ぶ者おり)
  51. 辻寛一

    辻委員長 端的に御質問を願います。
  52. 高津正道

    ○高津委員 それでは、喜多君からあまり長くやるなと言うから簡単に質問をしますが、教育者が労働者であるかないかという問題について、ここに私は専門家の資料を持つて来ているのであります。これは短いからちよつと読んでみれば、「教員はその身分が公務員であろうとあるまいと、まず食わずには働けない教育労働者である。私は大ていの私学が夜昼校舎をフルに使つて儲けて(或は儲かつて)いることを知つている。そこでは教員教育資本を太らせる生産的労働者そのものだ。教育公務員の場合は少し違う。その俸給は税金で賄われ、税金は強制的にとりあげられた国長所得の一部だ。だから彼は国民に寄生する不生産的労働者である。しかし労働者――しかも多くの場合生活のために働かざるを得ない労働者であることは、ちつとも変らない。生活のためにはべースアツプも要求するだろう。この全く正当で経済的な闘争も、相手が直接権力の座にある政府であるという唯それだけのために、政治活動でもあるかのような外見を呈する。」ここが大事ですよ。「従来しばしばあつたように、この外見を逆用してかかることは権力を笠にきた悪意という外はない。」私はこの法案のもたらす最大の欠点は、教員組合を弱らせ、そのために教員の待遇やあるいは社会的地位というか、そのものを今後運動する力を弱めて、待遇改善の点、この一点から見ても非常に多く影響があるものだと思うのであります。組合の運動がなくなれば待遇改善については上からのお情を待つ以外はない、資本家というものは――最近の状態は資本家の命を受けて動く政府でもあるが、およそ資本家というものあるいは雇主というものは、向うが言わないのに給料を上げるということはなかなかするものでないので、この法律政治的の権利を剥奪するばかりでなく、経済上待遇改善の道をふさぐものであるというように私は考えますが、大臣の所見を本日伺つておきます。あとでもこの問題を大いに論じます。
  53. 大達茂雄

    大達国務大臣 初めにこの五十万教職員というものが全部片寄つた教育をしているかのごとくに言つて、そうしてこの教育中立性確保法律案を出した、こういうふうにおつしやいますが、私は五十万教員が全部そんなことをしているとは毛頭思つておりません。またそこまで行つたらこれはもう手がつけられたい、法律案の二つや三つ出したつて問題にはなりません。そこまで行かせたいために、そういうことにならないために、今においてこの法律案が成立することが必要である、かように考えておるのであります。それからこの法律案は、世の中にもつと悪いことがたくさん行われておる、そういう際に一体出す必要はないじやないかと言われましたが、これは世の中には悪いことはありましよう。また社会教育上から見てもおもしろくないことも、日々人殺しがあることも、どろぼうのあることも、その他社会悪というものが非常にある、だからといつてそれがあるからこの中立性維持に関する法律案を出す必要がない、こういうことは何のことか私にはまつたく論理がわからない。  その次は教員は労働者であるということで、だれの意見か知らぬが、専門家の意見として権威を持つて申し述べられましたから、その点はつつしんで拝聴いたします。ただ一面待遇改善ということについて、教員がその点を主張することをこの法律で禁止するかのごとくお話になりました。これはさようなことはないのであります。これは日教組がそういうことをいつておる。待遇改善をしてもらいたいとか、そういう主張をするということをこの法律のどこでとめておりますか、どこにもそんなことはとめていない。それを先ほども申し上げたように、日教組の方ではビラとか小さいパンフレツトを出して、そういうありもしないことを言つてこの法律案の反対をあおつておるのであります。高津さんのようなりつぱな政治家がこの宣伝ビラをほんとうにしておられるのじやないか、私は繰返して言う。これはうそだと言つておるのですから、その点はひとつ御安心になつていただきたい。
  54. 辻寛一

    辻委員長 その程度でいかがでございます。
  55. 高津正道

    ○高津委員 質問権を保留してそれではやめます。
  56. 小林信一

    小林(信)委員 まず委員長にお尋ねいたしますが、そこにおいでにたる行政官が、議員に対して個人的な侮辱を与えたような場合、委員長としてはこれに対してどういうふうな御処置をなさいますか。
  57. 辻寛一

    辻委員長 もしそういうような場合がありますればしかるべく処置いたします。
  58. 小林信一

    小林(信)委員 今の文部大臣のいろいろな御答弁の中に、私個人に対していささか侮辱を与えるようなものを感じたわけです。これは単に私個人はとにかくとしまして、国会の権威にもかかわるわけなのですから、この点私は強く感じておるのですが、委員長としては何らお考えにならなかつたか、お伺いいたします。
  59. 辻寛一

    辻委員長 私は毛頭感じておりません。
  60. 小林信一

    小林(信)委員 それではお伺いいたしますが、文部大臣は私に日教組のひもつきであるということを断言されました。さらに無所属の中におりましても――これは無所属は私一人なのです。これは社会党左派の立場をとつておるということを言明したわけです。大臣自身が代議士の思想調査をすることはこれは自由なのです。しかしこういうところに公表することは、非常に影響するところが大きいと思うのです。しかもそれが正しいものならいいのですが、問違つておる場合におきましては非常に問題だと思う。大臣は今のところ、この法案に対しては非常に世間から批判が起きておる、自身としましても日教組を、あるいは共産党をというようなことで言いのがれを盛んにやつているわけなのですが、そういう自分の苦しいことを転嫁して、代議士個人の問題にかかわるようなことをそこで公言することは、私は行政官として行き過ぎじやたいかと思うのです。そういう点を取締るのが委員長としての責任だと思うのですが、今のようた言動に対して委員長としては何ら問題ないとお考えになりますかどうか。
  61. 辻寛一

    辻委員長 確かに私も、無所属におつて社会党左派と同じような傾向のという意味のことは聞取りましたが、それ以外に何かありますれば速記録を調べていたします。しかし今私の聞きました程度のこと、あなたの仰せになつた程度のことであれば、特定の人をさしておることではありません、無所属にはほかにもいるかと思います。これはわかりません。   〔喜多委員「関連質問を許し過ぎるよ、まずいんじやないか」と呼ぶ〕
  62. 小林信一

    小林(信)委員 喜多さんこれは実に重大な問題なんですよ。これは個人の問題で重大な問題があるんですから、かかる言動はたかつたか。しかし私の今の説明委員長がそういうことをお認めにたるとするならば、何らかの措置をとつていただきたい。私はこの点については大臣とは対決をするつもりなんです。
  63. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 私は文部大臣お尋ねいたしますが、この法律案二件、特に教育政治的中立確保に関する法律案ですが、第一条に「教育基本法の精神に基き、」という言葉がありますが、教育当局の解釈する教育基本法の精神とは一体どういうことかお答え願いたい。
  64. 大達茂雄

    大達国務大臣 これは簡単に教有基本法の精神といつておりますが、教育基本法に掲げられておるすべての精神ということではないのでありまして、教育基本法の八条に掲げられておる政治教育に関する精神、つまり良識ある公民たるに必要な政治的教養を与えねばならぬ、しかし特定政党を支持しまたは反対するようた教育をしてはならない、こういう基本法政治教育に関する精神を確保するためにこの法律案を提出した、こういう意味であります。
  65. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 今の御答弁ですと、基本法の第八条第二項の精神ということのようですが、それたらそれでいいじやないですか。こういう罰則をつけなければ、基本法の第八条第二項が確保できないということについては、さつき世耕委員も突かれたが、大体文部当局文部行政なるものが弛緩しておつて、それが全体からくずれて来たことのために、特に第二項のためにこういうものを出すという、精神ということになると、第八条第二項の「法律に定める学校は、特定政党を支持し、」云々のこの倫理的な規定で私は十分だろうと思う。その倫理的な規定を越えてつかまえなければならぬ罰則を置くということは、言いかえればこの法律を犯した者は犯人だということです。義務教育上における政治的の中立性確保するためと、教職員の自主性を擁護するために、刑罰的な法規まで定めなければならないという今日の文部行政というものは、一体日本のためにほんとうのことをしているのかどうか、ここに私は大きな疑問を持つのです。
  66. 大達茂雄

    大達国務大臣 ごもつともでありますが、この基本法の精神が現実に学校において守られておる、この精神がこわされていないという現状であれば、お話の通りかような法律をつくる必要はないのであります。ただ現状かF言うと、先ほど来しばしばお話がありましたように、教育中立性というものは、破壊されておるとまで言わぬでも、少くとも破壊される危険にさらされておる、こういうことだけは言い得ると私どもは思う。しかるにこの八条の二項では、これは倫理規定でありますから、これによつてそれを防ぐ道はたいのであります。そこで私ども考えてみて、今日この教育中立性を危殆に瀕せしめるようなことは何によつて生じたか、こういう問題であります。その場合に考えられることは、先生に対して非常に強い影響力を持つておる、いわゆる教職員団体というものが、その団体の力、団体組織、または活動という形をもつて教職員に対して不当な影響を及ぼしている。そして教育中立性をこわすような一つの原因をなしておる。その教職員団体の活動、組織を通して来る外部からの不当な影響というものがその一つの大きな原因である。さような見地から、その不当な働きかけというものを阻止したい、これが学校における現実の教育中立性を維持するために必要な考え方である。かように考えたのであります。ですから、そういう事態が現実にないのだ、そうして学校においても何も教育中立性は心配することはたく維持されておるのだ、こういう現実であれば、むろんこの基本法の精神が守られておるのでありますから、かような法律を提出する必要はないのであります。結局は事実の認識の問題であろうと思います。
  67. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 事実の客観的認識によつて出たとおつしやるようですが、そうすると、先ほどからの世耕委員質疑にも関連するのですが、外部からの不当な勢力というものを加えているのはだれですか。
  68. 大達茂雄

    大達国務大臣 これは必ずしもどこという法律の規定にはなつておりません。現実の問題といたしましては、日教組並びにその下部組織である県教組、そういう団体が最も強く影響を及ぼしておる。私はかように考えます。
  69. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 むろん法案の条文には、外部からの不当な勢力というものは現実に名前はノミネートしてありませんが、今の御答弁では、不当なる勢力を持つておる、いわゆる犯人に該当すべきものは、この法律案がもし法律になれば日教組であると言う。ところがの日教組実態については、私は文部大臣及び文部省答弁は非常に不満なんです。世耕委員からの質問で、義務教育におけるいわゆる政治的中立性の問題に関連して伺つた、ところがあなたの答弁は、大体国警長官の報告にまつとか、もつとひどいのにたると、実情をきわめたいがきわめることもできないと言う。実情をきわめないでこういうものをぽかつと出すということは――今日世の中で反動的ということをいつておるが、こういうことに恐れをたして、あなた方の答弁の中にも態度の中にもそういうことが出て来るので、せつかくのよい法案の目的そのものが失れて来る。大体不当なる勢力ということを今現実にお使いになつておりながら、その不当なる勢力の実態はどうかと聞くと、実はきわめたいと思うがきわめることができない、国警長官の報告にまつというようなことですが、虎穴に入らずんば虎児を得ずということは、あなたシンガポールまで行かれたのだから私よりよく知つておるはずです。(笑声)どうもその点、そこのところに来ると煙幕を張つてしまう。私は文部大臣文部当局に、国警長官のまねをやれとか、スパイを放つてやれとか、そんな乱暴な非常識のことは中しませんが、こういう法案を出して来るからには、一体この法案に該当するものは何だ、いやそれは言えませんというのなら私は問い詰めなかつた。あなたは現に外部からの不当の勢力は日教組だと言つたが、文部当局には日教組実態なんかわかつていない。御答弁ではわかつたとは言つていない。どうですかわかつておるのですか、わからないのですか、わからないままでこのまま通そうとたさるのか、そこをもつと男らしくはつきりと言わなければいけませんよ。
  70. 大達茂雄

    大達国務大臣 問題をみな一緒にして喜多さんの方で言つておられますが、問題は、学校教育の場において、八条の二項に抵触するようた教育が行われておる事例があるかどうか、あるいはそれが一箇所にとどまらずにあつちこつちにもあるかどうか、こういうことが一つ実態であります。そうしてそれが何によつてそうなつたか、つまり外部からの教唆扇動ということに原因してそういう教育が行われておるかどうか、これが一番の実態であります。これにつきましては、その実態の認識の上に立てばこそこの法律案を出しておるのでおります。先ほどのお寸ねは、さらに進んで日教組実態はいかん、つまり日教組の働きかけとか、学校教育の場における実情から離れて、日教組という団体そのものの実態はどうか、こういうふうにお尋ねになつたから、われわれの方も、これは教職員団体であるからできるだけその実態について承知をしたいけれども、いわゆる隔靴掻痒といいますか、ある程度はわかるけれども十分に実態をきめることはなかなか困難である、こういうことを申し上げておるわけであります。さらに進んで、この実態の中で共産党というものは一体どういうふうに日教組内にその手を広げておるか、こういう実態についてはわれわれではわからない。これの実際は、斎藤国警長官から参議院文部委員の方に資料として提出せられたもの、それからこの間の参議院の本会議における公安調査庁の方の話、そういうものによりましてなるほどこういうものか、というふうに承知したのであります。こう申し上げたわけで、決して共産党がいるから、あるいは日教組実態において政治活動をやつておる、政治団体のような実態を持つておる、だからこの法律を出したというのではない。この法律を出した基礎は学校における教育というものがこわされている実情、並びにそれがどういうことに原因してそうなつているか、この実情に基いてこの法律案を出したので、それとちよつと離れて日教組そのものの実態あるいは日教組内における共産党実情、こう言うものについてはなかなか捕捉しがたい、こういうことを申し上げたのであります。
  71. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 あなたの今の答弁は、答弁になつていない。私はこう聞いた。今あなたのなさつた答弁から聞いた――外部からの不当な勢力という言葉を使われた。その不当なる勢力を持つのはだれだと聞いたら、日教組だとおつしやつた。そうすると、結局は、この法案の対象になるのは犯人ですよ。その犯人の実態は何かと聞いておる。するとあなたは、外部からの不当な勢力を持つ日教組と言われた。ところが今の私の答弁には、今度はつけ加えて来て――調べる前にちよつとお聞きください。喜多に対する答弁は、教室の中における実態だ、こういうのでしよう。教室の中における実態というのは、義務教育政治的中立性を失つた、言いかえれば教職員の自主性を失つた、おびえているというか、おだてられているというか、扇動されているというか、それはいろいろ言葉でいいが、ともかくも義務教育の神聖性を失つて、ある勢力を教えているという実態である。つまりあなたの二段目の答弁である。よろしい、私はその言葉じりをつかまえるのではないが、その二段目の答弁、御答弁のうちの教室の中で特定政党を支持したり、宣伝したり、扇動したり、教唆したりするということを対象にするのだという答弁、前の外部からの不当な勢力という日教組と、自主性を失つた教員活動というものとの間には、一体何らの因果関係なしと認められるか、あるとお考えになるか。
  72. 大達茂雄

    大達国務大臣 もちろん私は因果関係があると考えております。少くともこの法律は、ごらんになりますように、教唆、扇動ということを独立罪として取上げておるのでありまして、その教唆、扇動が先生の方に到達すれば犯罪が成立するのです。それによつて先生が取上げて動くか動かぬかということは別なんです。そこで日教組の書類によつて見ると、日教組はそういうことを決議のうちにおいて決定しておるのであります。たとえば、教師として平和教育――平和教育というものの内容についてはまた別でありますが、平和教育を進め、父兄、大衆の中に平和運動のオルグとなるとか、あるいは平和教育を日常教育活動のうちで具体的に展開する、こういうふうなことが至るところに見受けられるのであります。これは日教組自身の方針であります。そうしてこの方針に基くということになれば、先生の具体的な教育活動の中にこれを展開する、こういうことを言つておるのであります。たとえば、また第十回定期大会では、平和と独立を守るために平和教育の具体的推進を決定したが、この決定に基き、各県教組及び職場では、地方の特色と行事を生かして、地方色ゆたかな平和教育カリキュラムを編成し云々、こういう実践要領をつくつて平和教育の徹底をはかつている。これに対して反動陣営は、平和運動弾圧の一環として山口、青森などの小学生、中学生日記を問題にして、赤い日記である、あるいは特定政党を支持する教育であると一方的に騒ぎ立て云々、これは日教組の書類にあるのです。この書類に基いてやれば、山口県なり青森県のような-これは赤い日記であるかどうかは別として、この種のものがやはり日教組の計画的な、組織的な教育闘争といいますか、その一環として収上げられておる。これは私は断定してさしつかえないと思う。そういう働きかけをしておるということが言い得ると思うのであります。
  73. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 もう時間がないですから――あなたは私の質問がわかつていらつしやつてそらしていらつしやる、ふてぶてしいのか、あるいはわからないのだつたらお教えをするのだが……。あなたは外部からの不当なる勢力とは日教組だとおつしやつた。私もそう思う。それから今の教室の中で、そういうテーゼとか指令が来てがんぜない子供に教えるということ。それはともあれ、そうすると、計画性を持つている日教組というものは、これではつかまらぬですよ。そうでしよ)。むしろ教室の中で教える人を罰するでしよう。そう解釈したらこれはどうしますか。
  74. 大達茂雄

    大達国務大臣 喜多さん、それはちよつと思い違いなんです。かりにそういうへんな教育をした先生がおる。そういう場合に、その先生を罰するということはしないのです。
  75. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 たれを罰するのですか。
  76. 大達茂雄

    大達国務大臣 先生にそういう教育をせよと言うて、教唆扇動したものを罰する。先生を罰するということになると、そこは非常に行き過ぎの場合が考えられる。それこそ警察官とか検察官が横から見ておつて、この先生のしたことは片寄つておるとかおらぬとか判断をする。それは、先生は罰しないのですよ。そこは間違えないでください。先生は行政処分の対象になるかもしれぬが、罰則は行かないのです。
  77. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 わかりました。そうすると、外部からの不当な勢力を押えるのに、今までの御答弁のような――一体文部当局でこういうふうに、いろいろ第五条にありますね。この現実の問題、これはあとにしましよう。少しはずれたのだが……。そこでもう一つ伺います。一体義務教育政治的中立性の確保というのは――これは世耕委員も言つてつたですね。一体義務教育上における政治的中立性ということはどういうことですか。
  78. 大達茂雄

    大達国務大臣 そういう言葉を使つたのでありますから、それは人によつて疑問を持たれたりあるいはその解釈を違えるかもしれません。しかし内容は今申し上げるように、基本法八条の二項にあるような方針が守られることを政治的中立性、こういうことに考えておるのであります。それで具体的にどういうことかということは、法律内容できまることでありまして、その表現にそう長い字を書くわけに行かぬから政治的中立、とこういうふうに書いたので、その辺はそういうふうに御了承いただきたいと思います。
  79. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 その法律内容はどこにありますか。
  80. 大達茂雄

    大達国務大臣 それは法律の第三条に規定してありますように、「特定政党等を支持させ、又はこれに反対させる教育」、それから二項の「教育には良識ある公民たるに必要な政治的教養を与える」、これです。「必要な限度をこえて」云々、これがつまり具体的内容を示すものであります。
  81. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 そうすると、伺いますが――一課からもどりますが、「特定政党その他の政治団体」、これは現実に言つて何に当りますか。
  82. 大達茂雄

    大達国務大臣 これは現存する政党、こういうことであります。
  83. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 「政治団体」とは。
  84. 大達茂雄

    大達国務大臣 「政治団体」というのは、政治資金規正法ですか……。
  85. 緒方信一

    ○緒方政府委員 本法に申します「政党その他の政治団体」とは、政治資金規正法の三条の定義をこの法律におきましてもとつたのであります。「政党とは、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを本来の目的とする団体」であります。それから「その他の政治団体」というのは、政治資金規正法にいわゆる協会その他の団体でございまして、「政党以外の団体政治上の主義若しくは施策を支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対する目的を有するもの」とこの政治資金規正法に定義をいたしておりまする団体を、ここでもとつております。
  86. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 もう一つそのあとの「学校教育法に規定する学校の職員を主たる構成員とする団体」、これは日教組と解釈してよろしいか。
  87. 緒方信一

    ○緒方政府委員 これは日教組もこの中に入りますが、学校教育法に規定いたしまする学校の職員を主たる構成員といたします団体でございますから、その団体員の二分の一以上をここに規定する学校の職員が占める場合をさしておる次第であります。
  88. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 そうすると結局これで来ると、大体外部からの不当の勢力というので、この法案の奥の奥にある奥の宮といいますか、奥御所というか、大御所というか、隠れたるものは結局日教組と解釈してよろしいか、これは文部大臣のお考えを聞きたい。
  89. 大達茂雄

    大達国務大臣 先ほども日教組のことをちよつと申し上げましたが、現実の問題としてそういうことをしておるものがあるかないか、あるとすればだれか、こういうふうにおつしやつたから、日教組あるいは日政連である、こういうふうに申し上げた。この法律の解釈としましては、必ずしも日教組あるいはそれの傘下の団体というものだけではないのでありまして、教育者を主たる構成員とする団体であれば、つまり会員の過半数が教育者によつて占められる団体であれば、すべてこれはその中に入る。しかし現実の問題としては、そういう団体でこの法律に触れるようなことをしているものはちよつと見当りませんから、日教組、日政連というものがさしあたり問題になる、こういうふうに申し上げたのであります。
  90. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 どうです、そこでもう一つ解脱して、これは共産党だというふうに、あなたは言う勇気はございませんか。
  91. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は先ほど申し上げたように、日教組共産党だとは思つておりませんし、またそういうふうに断定する資料もございません。けれどもこれは共産党と限つて――これはこの法律でもそうですが、日教組なら日教組と限つて、その特定団体だけを目標にした法律をつくるということは許されないことである。だれでも客観的に見て反社会性のある行為をする場合には、それはことごとく取締まりの対象になるべきだ、こういうふうに思います。
  92. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 義務教育政治的中立ということは言葉づかいだとおつしやつたが、結局これで行くと、義務教育に従事する教職員の非政治化と解釈してよろしいか。政治活動一切を封ずる一つの標準と解釈してよろしいか。
  93. 大達茂雄

    大達国務大臣 これは私どもそういうふうな解釈ではないのです。ただその先生がたとえば共産党員であるとか、あるいは何党の党員であるとか、こういうことはこれに関係のないことで、ただ教室の場で子供にそれを植え込むというものを対象にしておるわけであります。そこで公立学校教職員政治行為の制限に関するもう一つの特例法の方で、これはある程度教員自身がその政治的中立立場をとるということをその対象考えておるわけであります。もちろん政治行為を制限すると申しましても、その制限せられる行為ははつきり限定せられておりますから、先ほど来話がありますように、教育費を増してもらいたいとか、あるいは給与の予算をもう少し上げてもらいたいとか、給食費を増額するような法律を出してもらいたいとか、そういうようなことを言つたつて、これはむろん入りません。それは政治行為ということで一切合財のあらゆる政治行為をこれで規制して行く、こういうことにはなつておりませんから、特定の極限せられた行為に限つて、つまり非常に政治に深入りをする、たとえば選挙活動をするとか、あるいはまた政治団体政党の役員をするとか、その運営に参加するとか、そういう特定の行為だけに限つてこれをひとつ遠慮してもらつて、そのことによつて教員が比較的政治中立考え方を持つてもらう、これはもう一つの特例法の方の考え方です。
  94. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 まあ議論になりますから、もう少し質疑が出てから申し上げることにして、私は保留しておきますが、そこでむずかしいと思うのですがね。中立性確保する、自主性を確保するように擁護するのだ、こういうのですが、一体その限界をどうするか。この三条の二項でも、読んでみると文章にはなつているが、私は実際問題としてずいぶんむずかしいと思うのは、さつきも世耕君がいい言葉を使つているのですが、中立性というが、一体黒白を明らかにするのだ――今日資本主義政党と社会主義政党とがある。その資本主義政党と社会主義政党が合法的に認められている国で、一体中立というのは私にはわからないのですよ。ねこという強いやつとねずみ、これは窮鼠かえつてねこをかむという、強いとんでもない不遇なるねずみもいますよ。いますけれども、大体ねこはねずみを食うというのが常識とされているのです。狂犬は人間に食らいつくが、中にはその狂犬のけつに食らいつくような人間もいますけれども、普通私の常識から行くと、ねことねずみとけんかしているときに、おれは人間だと黙つて見ているのは、それはねこに加担するゆえんだ。中立じやない、ニュートラルじやないのです。今日現実に人民戦線と資本主義の戦線とが政治的な争いをしている。というのは、政党政治であつて、国会が最高の機関になつて来ているというところまで政治というものが最高のところに行つているときに、義務教育だけは中立性確保するということが――この文句はいいのでよ。ちよつとほれぼれしくなるのだが、少しめくつてみると、とんでもない考えがあるというふうにも解釈できるのですが、あなたはどうです。あなたは政党じやずいぶん苦労をして、首を切られたこともあるし、浮び上つたこともあるのです。一体現状において義務教育中立性ということがありますか。共産主義国家には義務教育中立性はありますか。同時に資本主義国家において、一体義務教育政治的中立なんていうきれいなのれんだけあげて、実際これが行えるかどうか。私は実はさつき関連質問をとめられておりますから、この辺で人道的にやめますけれども、私の質問の第一課だけでよしておきますから、その点ひとつ十分あなたのお考えを聞かせていただきたい。
  95. 大達茂雄

    大達国務大臣 中立性ということは、学校教育の場において、資本主義とはどういうものか、社会主義とはどういうものかということを、説明をし解釈をし、それで子供に教える、これはさしつかえないのです。どつちも言うてはならぬ、何にも言わずにまん中に立つておれ、こういう意味ではないのです。八条の一項にありますように、良識ある公民たるに必要な政治的教養は、これを尊重しなければならぬ。これは政治教育でありますから、子供が大きくなつて良識ある公民として政治的な判断をするに必要な教育は与えられなければならぬ。政治教育を一切してはならぬというようなものではない。ただその場合に、ある特定政党だけに片寄つたり、特定政党を支持したり反対する、こういう非常に片寄つたへんぱな教育をすることはいけない、こういうのが八条の二項の趣旨であります。従つて子供が成人をして政治的な方向をきめる場合に、各党各派の主張を判断をし批判をする、そういう能力を子供に与えることはもとより非常に必要なことであります。それを一方だけに片寄つて、偏して、そうして子供の頭では、たとえば社会主義なら社会主義、共産主義なら共産主義以外の知識を与えられないで、もう特定政党――共産党なら共産党というものに行くよりほかにないような教育をする、これがいけないというのでありまして、決してそういう、どつちも言わずにまん中へ立つておるという意味中立じやないのであります。
  96. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 たいへん巧妙なる御答弁なんですが、共産主義はこういうものだ、社会主義はこういうものだ、資本主義はこういうものだということを、自主性を持つて公平に教育することは私らも考えられます。しかしそこで実に巧妙なものになつている。何ものろしをあげないで――あげやしませんよ、これが出れば必ず下へ入りますよ。そこでまた上へ出て来ると、今のあなたの御答弁の範囲や深さでは、むしろ私は悪化すると思う。同時に今の資本主義、社会主義、あるいは進んで共産主議の説明はいいんだという場合、それがどこまで公正であつたかという尺度は一体どこへ置きます。一々現場に検察官かだれかがおつて、税関で品物を調べるようなぐあいにはインスペクトできますまい。一体どこで、だれが、どうしてその良識を守るか。この法律だけで守れますか。
  97. 大達茂雄

    大達国務大臣 私どもの方でこの法律案をつくりました場合に、できることならば八条の二項に書いてある、「支持し、または反対するための」教育――これはとにかく教育基本法にきめられておるわくです。そしてこの限界を越えてはたらない。その限界の内部でならば十分政治教育を与えることはできる。しかしその限界を越えてはならぬ。その限界は、今の「するための」教育という字で言い表わしておりますが、これは罰則をもつて臨むのでありますから、その限界を越える教育というものをできるだけ的確に把握する書き方をして、そしてそういう教育の行われることを期したい、こう思つたわけであります。ところが今あなたのおつしやるように、どこで限界を越えるかということは、基本法の精神にもうたつておりますけれども、現実の取締り法規としては、あまりあいまいなことを言つたのでは行き過ぎになる場合があり得る。行き過ぎになつては逆に非常な弊害も考えられますから、従つてこの法律対象としている行為は八条の二項の行為よりは範囲が狭まつておりまして、その八条の二項のうちで明らかに把握し得る、つまり典型的な場合だけをこの法律の三条に書いてある、こういう考え方で私も進んでおります。
  98. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 八条の第二項のうちの典型的なことを第三条に盛つたというのは、二項でしよう。どこに典型的という……。
  99. 大達茂雄

    大達国務大臣 私ども考えでは、基本法八条の二項の規定の、「特定政党を支持し、又はこれに反対するための」教育という、その「ための」という字が問題なんであります。「ための」ということは、政府の解釈するところで、支持しまたは反対させるための、つまり予備的な素地を与え、先入観を与える。八条の二項としては、こういう予備的な教育までも包含しておるのであります。しかし予備的ということになるとどの程度までか、こういう問題が起りますから、そこで八条の二項よりもわくを縮めまして、それで三条の一項には「特定政党等を支持させ、又はこれに反対させる教育」、反対させるための教育というのではなしに、反対させる教育、そこをこういうふうにはつきりさせたのであります。それから、それでも特定の政労をはつきり言うて、共産党を支持したければいかぬ、こういうことを言うだけの場合に、そうたるとこれは限定されるおそれがあります。ところが学校教育の場でそこまではつきり言う場合はおそらくないはずだ。また公職選挙法とか、そういう見地に立つ規定ではなくて、教育法規でありますから、そこまではつきり言わぬでも事実そう言つたと同じようになる場合がある。それをこの三条の二項にその言葉で書いたのであります。
  100. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 もう一つだけ許していただきたい。また順がまわつて来たら大いに御意見を伺いたいのですが……。私はあなたのおつしやるようなまともな形で出て来ないと思う。だれも共産党とか、自由党とか、あるいは改進党と使わないで、今度一つ一つスローガンをとつて来たらどうでしようか。平和精神の高揚ということは私らも言うが、共産党はなお言う。社会党左派はたお言う。けれどもその表は、実をいうと平和憲法擁護ということは、どの政党を支持するわけでもない。特に教育基本法の冒頭文を言つておるのですと言うと、これは自由党立場から見ると、あの言いぐさはおかしいのだ、ああ言つてつて実は共産党が天下をとつたらすぐ軍備をやるあれなんだ、こういうふうにも解釈できるでしよう。それからまた今度共産主義者が天下をとつたときになると、反対党のスローガンを宣伝しておるのだと言う。党の名前なんか出しませんよ、上手だから。それはどうして海千山千で、われわれよりはうまいのですから。それは第三条の一項でも二項でも抑えられないことになつて来ると思う。言いかえれば、この法律の構想、方途をかえて来ると思う。間違える。そこでどうです。むしろレツド・パージのあの行き方で、共産党は非合法なりとした方が、ほんとうの教育の中性というものが保てると思うのですが、それはどうですか。私は特別に時間をいただくことをお願いしたのですから、それだけお聞きして質問を留保しておきます。
  101. 大達茂雄

    大達国務大臣 この法律はただいま申し上げましたように、対象になる行為を非常にしぼつております。その意味で役に立たぬのではないかという御心配があり得ると思います。ただこういうふうにたりましたのは、ただいま申し上げたような関係から来ておりますが、教員がこの法律とは別に八条の二項に抵触するような教育行つた場合、これは教員としての職務上の問題でありますから、懲戒処分の対象にもなるし、罷免の理由にもなるのであります。ただこの場合はこうしなければ的確に捕捉し得ないからこうしたのです。そこで今の平和を守る、平和でなければならぬ、これはそれだけ言つて悪いということはどこにもないのです。しかしながら一連の教育の中に、たとえばソ連というものを非常にほめ立てる、それから平和教育ということで共産党の掲げておるような政策をそれのみに限つて子供につぎ込む、こういうことがかりにあるといたします。そういう教育が行われたとすれば、それは言わないでも共産党を支持するに至らしめる教育である、こういうふうに私ども考えておるのです。だからそういう教育が行われれば、これはやはりこの法律対象になる、こういうふうに思います。
  102. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 それではとにかくこれで打切ります。あとで順番の来たときお尋ねいたします。
  103. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 先ほどから文部当局委員質疑応答を聞いておる間に、参議院文部委員会に対して社会党委員の方から調査要求をしたその資料が整つておるやに聞いております。先ほど来の質疑応答の重大な要素になつておるようですから、この文部委員会においても提出されるように、委員長の方でおとりはからい願えればけつこうだと思います。
  104. 辻寛一

    辻委員長 承知いたしました。御異存なかろうと思いますから、私から国警へ要求をいたします。  なお先ほど世耕委員から要求されました日教組の予算書でございますが、これは私から要求する権利とてはありますまいけれども、この法案審議の上の貴重な資料と思いますから、提出方をお願いしようと思いますが、断わられればやむを得ません。どうか御了承をお願いいたします。
  105. 野原覺

    ○野原委員 私は、世耕委員と喜多委員から質問されました事柄に対する関連事項だけを、実は今後の審議上必要でございますので、大臣に御質問いたしたいと思います。簡単に申し上げます。大臣は、先般本会議におきまして、私が教員思想調査について質問いたしました際に、その質問はでつち上げであるというような御発言もございましたし、なお本日のこの委員会におきましても、でつち上げであると国警が申した、こういうことを言われておるのでございますが、警官が教員思想調査したとか、あるいは教員に不当な圧迫を加えたという事実は毛頭ないという意味の御発言でございますか、承りたいと思います。
  106. 大達茂雄

    大達国務大臣 私が、先般の本会議の際、また今日、でつち上げという字を使つたかもしれませんが、それは、はたして教職員対象にして思想調査が行われるとするたらば、これが警官の手で行われることは穏当でたい、だからそういう事実があるのかないのか、あるのならやめてもらいたい、こういうことを国警長官の方に申し入れたのであります。それに対する長官の返事では、自分の調べたところでは、大部分はでつち上げである、それから教職員対象にして思想調査をしたというような事実は、少くとも国警としてはそういうさしずをしたことはたい、またその必要もない、こういう回答を得たのでありまして、そのことを申し上げたのであります。でつち上げであるとかないとか、警官が調査をした事実があるとかたいとか、これを私が断定したのではない、その意味で申したのであります。これは答弁の速記をごらんくださればおわかりになることと思います。
  107. 野原覺

    ○野原委員 ただいまの警官の思想調査のことに対しましては、先般の速記録並びにただいまの大庫の速記録を素材といたしまして、後日私は質問をいたします。  次に簡単に承りたいのでございますが、大臣は、世耕委員質問に対しまして、文部省教員思想調査をすることは当然なことである、文部省教員思想調査をやるということは、これは当然過ぎるくらい当然のことであつて、何ら憲法に抵触しないということを申されましたが、この点について、以上私のような受取り方がよろしいかどうか、もう一度はつきりおつしやつていただきたい。
  108. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は、文部省が云々というふうにお答えをした記憶はありません。思想調査というものが一般的に非常によろしくないということを言われておるけれども、しかし、その方法が憲法の規定に抵触するとか、不当に人間の自由に対して圧迫を加えるとかいうことがあれば、これはよろしくないけれども、そういう方法によらずして思想調査が行われること自体が、憲法の違反であるとかなんとかいうことは問題はないと思うと言つたので、文部省がと言つたわけではありません。そうしてさらに、同帳たりくつになるけれども警察官がやる場合においては、これは一種の圧迫感を和手に与えるから穏当でない、こういうふうに言うたつもりであります。
  109. 野原覺

    ○野原委員 思想調査をすること自体は憲法上問題ではない、このように再度申されましたが、このことは実は非常に重要な内容か持つておりますので、私はこの問題につきましては、いずれあらためて緊急質問の形なり何なりで大臣にお伺いしたいと思うのです。以上で終ります。
  110. 辻寛一

    辻委員長 休憩をいたしまして、午後二時半より再開いたします。    午後一時二十五分休憩      ――――◇―――――    午後三時四分開議
  111. 辻寛一

    辻委員長 休憩前に引続き会議を開ききます。小林信一君より緊急質問の申出がおりますので、これを許します。小林信一君。
  112. 小林信一

    小林(信)委員 先ほど私は関連質問の中で、大臣答弁が単に個人の問題でなくて、委員会の運営に形影響するような問題がありましたので、その点委員長に適当な措置をとつてくれるかどうかお尋ねしたのですが、そのことについてはとる必要はないというような見解からして、今ここに委員長の絶大な御配慮によつて緊急貿問をすることにたつたわけでございますが、委員長としても委員長の見解もあるでしようが、往々にして与党的な立場から黒を白というようなことも私あるのじやないかと心配するものです。もしそういうふうた結果からして、この法案がどういう結末をつけようが、それに国民としての批判が起るようなことがあつてはたらないという思いやりから、私はただいま質問したわけでございますが、大臣がそうでない、あるいは委員長がそうでないというならば、今ここで大臣の御意見を承りたいと思うのであります。  先ほど大臣世耕委員質問に対しまして、日教組がいかに左派一辺倒であるかということを立証するために、日教組関係のある議員は全部社会党の左派である。中に無所属議員もあるけれども、これも社会党左派的なものであるということを言われたわけです。これはたとい無所属にある者がそうであつても、そういう思想的な動向に対して批判がましいことを言うことは、これは非常に問題が起きやすいのではないかと私思うわけです。たといそうであつても言うべきことじやない、ましてそうでない場合はこれは大きな影響を及ぼす場合もあるわけです。大臣としては委員質問に対して最も適切な答弁をするということはこれは大事かもしれませんけれども、だからといつて個々の議員の問題にもわたるようたことがあつては私はいけないと思うのですが、この点について大臣はどうお考えになりますか、お伺いいたします。
  113. 大達茂雄

    大達国務大臣 午前中の世耕委員の御質問は、ただいま小林委員が言われた事柄について、左社一返倒であるというふうに思うが、大臣はどう思うかというような意味の御質問であつたのです。それで私は、左社一辺倒のようにも見えるし、またそうでなしに、日教組というものをむしろ主体にしたもののようにも見えるという、どう思うかということに対しまして私の見るところを申し上げたのです。私はこうだとかああだとかいう断定的な意味ではないので、私の見るところを申し上げた。その場合にたるほど大部分の人が左社に入つており、また無所属で出られた方も大体その方向でおられるように思う、そういうふうに私は見ておる、こういうことを申し上げたので、この場合だれかれという特定の人をさして言つたという意味ではありませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  114. 小林信一

    小林(信)委員 もちろんだれかれを特別にさして言つたことでないにしても、無所属の者をそういう思想傾向にあるということをあなたが――先ほど申しましたように思想調査することはこれは自由なのです。しかしそれをこういう場合に公表するということは非常に独断じやないかと思うのですが、大臣はそれはさしつかえない、こういうふうにお考えになるようです。大臣は非常に信念を持つておいでになるから、めつたに人の意見というものをいれるところがないと思うのですが、先ほどの私との話合いの中にもこういう言葉があつたのです。あなたはもし社会党左派でないならばこの法案に賛成しなさい、そうすれば立証されるじやたいか、これはとんでもない言い分なのですよ。大臣自分の発言したことが誤解を招いておるわけなのです。その誤解というものを議員自身が持つておる。それにはこの法案に賛成すればよい。こういうことは行き過ぎではないですかどうですか。   〔「じようだんで言つたんだ」と呼ぶ者あり〕
  115. 大達茂雄

    大達国務大臣 これはあなたとの個人的な話の際に、あなたとの懇意づくでじようだん半分に言つたので、それを一々たてにとられたのではうつかり話もできぬということになります。私は決してそういう意味で言つたのではありません。
  116. 小林信一

    小林(信)委員 私は少くとも個人でたくて、委員会の問題と考えるからこそ、委員長にも、たまたまそこにおられた大臣にも真剣に話をしたのです。従つてあなたの言つたことも私はやはり真剣な気持で受けたわけですが、今ここでは、それはじようだん半分で、これに向つて一々真に受けられてはたまらぬ、それではじようだんにも話ができぬというようなお話ですが、しかし私はとにかく真剣にあの問題を委員.長に交渉しておつたときなんです。たといそれがじようだんであつても、議員というものを無視していることは、その中に十分現われているわけなんだ。おれの言つたことが悪かつたら君自身がこの法案に賛成したらいいじやないか。何というそれは暴言だ。私は実に恐しいものを感じた。それが大臣の性格であり、それがひいては議員に及ぼすところの影響というものが多分に出ておる。おそらく大臣としてはこの法案を通すということの裏には、要するにわれわれのような存在というものは、なるべくなくそうという考え多分にあるのじやたいか。従つてこれは、大臣がいかに答弁しようが、委員長がどういうふうにお考えになろうが、無所属の中で日教組関係のあるのはぼく一人なんだ。これに対して無所属はたくさんある。あつたてぼく一人なんだ。さつきからの話合いから出て来るものは、私も特別にちやんと世耕委員から名前を呼ばれた。世耕さんは非常に私の立場を正しく理解してくれたのだ。そういうことからすれば、当然私を誹謗しておるのです。私は自分個人の問謗でないと思う。もし委員長がこういうことを許し、委員会が許すならば、大臣のその発言によつて、この法律が最も有効適切に行われるように、議員をある場合にはこの次の選挙に大きな障害があるような言葉を言うことができる。あるいはいろいろな暗示を与えることができるわけなんだ。それこそ大臣が、教育的な政治的な中立性確保するという名目のもとに、自由党的な偏向を持つたものをつくる結果にもなるわけです。私は先般の委員会におきましても、この法案こそ、大臣政治的にはますます中立的な立場で扱つていただきたいということを特にお願いしたわけです。だから私は先ほどそういう点から真剣にお話をしたのです。これに対しても大臣は何ら改める必要がない、そういう言動をしてもさしつかえない、こういうようにお考えになるのかお伺いいたします。
  117. 大達茂雄

    大達国務大臣 先ほど言いましたのは、これは午前中の委員会は一応済んで、そうして、委員会を離れて、あなたが私におつしやつたから、懇意づくでそういうじようだんというか、まあじようだんを申上げた。それを委員長がこれを許すとか許さぬとか、そういうことをもし委員長が許して、そういう発言が行われれば、審議の公正は期せられない。だからそういう発言を慎んで、政治的中立立場でこの審議を進めるようにしてくれと言われますが、これは委員会で言つたのではないのですから、それはあなたに対して失礼になれば、たいへん悪いことをしましたというので、あやまります。(小林(信)委員あと言葉あとですが、前の言葉を言つておる」と呼ぶ)それでこれはもうあなたとはうつかり話はできぬということになります。これはこの委員会の席上で言つたのではないのですよ。私が言つたのは、あなたは自分一人をさす、自分しか無所属はおらぬのだ、 こういうふうにおつしやつて、非常にきげんを悪くされたのですが、しかし私はあれは決してあなたのことをさして言っておつたのではないのです。これは私は前に公認された人を一々覚えておりません。その中には無所属もおられたという記憶があつて、それで非常にあなたはやかましく言うから、(小林(信)委員「やかましくとは何だ」と呼ぶ)実は帰つて調べてみたのです。調べてみると、当時教職員政治連盟で、この公認候補は無所属の人が相当入つております。あなただけではないのです。(小林(信)委員「だれがいるか」と呼ぶ)川村継義、これは落選しました。落選しましたけれども、無所属で公認された。(小林(信)委員「いない人がいかなる思想傾向におるか……」と呼ぶ)いいえ、思想傾向なんて言わない。それから鈴木一君、これも無所属で出ております。これは現に参議院に議席を持つておる。これも無所属で公認された人です。それから加瀬完君も公認で当時は無所属です。湯山勇君も選挙に出られたときは無所属で、その後左派に入党せられたということに私の調べではなつておる。私は決してあなただけを目ざして何も言つたわけではありません。ただ私は一々覚えておりませんから、それで大部分が左社であつて、一部は無所属である。こういうふうに言つたので、それを特に自分のことを言つたのだというふうにあまりやかましく言われるのは、私はそういうつもりでないのですから、もしそういう誤解があつたら、そういうつもりでなかつたということをひとつ御了承願いたい。
  118. 小林信一

    小林(信)委員 その速記に載りますから、私も一言言いますが、じようだんのときにというじようだんのときは、はからずも裏書きするようなときであつて、私が問題にしておるのは、あなたがこの委員会の席上でもつて発言をしたことを取上げておるのだ。そうしてあなたはここに来るまでにいろいろな材料を集めさして出して来ておりますが、それは弁解の材料なんで、そのときは現在ここに出ておるもので、だれは社会党の左派に行つておる、そうして中には無所属にいる者もあるというふうにちやんと言つて、しかも私は、私自身の問題でこの問題を取上げておるのではない。そういう発言が許されると、いよいよ自由党の野望であり、政府の野心であるところのこの法律が、単に法律的の効果ばかりでなくて、議員を誹謗して、そうしてその立場をなくさせるようたことまで出て来るのだ、こういう警戒を私はしておるわけであります。大臣はいろいろなことで非常にごまかしますが、最後に言われた、もしそういう誤解を持つならば今後気をつけるというならば私は何をか言わんやでありまして、これは大臣といえども人間でございますから、失言があるかもしれませんが、しかし何と申しましても個人にわたることは非常に重大な問題です。先ほどのような自由党から非常な気勢がかかつたときには、いかに洗練された大臣であつても思わずその気勢に左右されて、そうして言うところまで言つてしまうということがあるかもしれませんが、今後十分気をつけていただきたい。これだけお願いして私は終ります。
  119. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は繰返して申しますが、個人のことを言ったつもりはありませんし、いやしくもこの席にいる者だけについて限定しての話は――世耕さんもそんな意味で話をされたのではない、世耕さんの読み上げられたものも何もこの席にいる人だけを読み上げたのではない。だからそういうふうにおつしやつても、私は決してあなたのことを言つておるのじやない。あなたは自分のことを言われたと思い込んでおられるようだが、(小林(信)委員「ぼくのことじやない、議員全体なんだ」と呼ぶ)そういうようなことでありますから御了承願いたいというのであつて、あれは私はあなたに対して特に名ざして言うたようで悪いから気をつけると言つたのではないのですよ。あなたのことを言つたのではないから、その点は誤解のないようにしていただきたい、こういうことを言つたのであります。
  120. 辻寛一

    辻委員長 小林君、もういいじゃありませんか。
  121. 小林信一

    小林(信)委員 ぼくにそういうふうなことを言つたつて、ぼくは何とも思わないのですよ。しかしそういうことは大きく言えば吉田さんが大分国会軽視をやつて非難を受けておる。そういうことはやはり閣僚の中にもだんだん浸潤して来て、そうしてそれが委員長あたりのずさんな運営からますます機会を与えて、そうして委員会というようなものが法案審議より、もうとんでもない方に問題を持つて来るようになつたら、やはり国会というものはまとまらない。私自身ではない。先ほど申上げましたように現に旧会にある者の中にも、社会党左派に属する者が大部分だけれども、無所属の中にもある、それがどうだというような、こういう議員の思想動向に対して推定したものをここでもつて言うということはまことにけしからぬ。もしこういうことを言うならば、自由党の各位あるいは改進党の各位の思想動向についても一応一言わなければ公平を欠くわけなのです。一人だけ摘出されるとこれは非常に迷惑だから、大臣今後気をつけていただきたいと思います。     ―――――――――――――
  122. 辻寛一

    辻委員長 それでは次に教育委員会法の一部を改正する法律案教育委員会法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案、市町村学校職員給与負担法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。質疑を許します。――委員各位に申し上げます。提案者より今申出がありまして、ただいま三案を一括して議題に供し、質疑をやろうと思いましたが、実は前の二法案につきましては、辻原君がその答弁に当ることになつておるそうでございます。それで市町村学校職員給与負担法の一部を改正する法律案にのみとどめてもらいたいという申出でありまするから、その点お含みの上この法案につきまして御質疑をいただきたいと思います。  市町村学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして御質疑はございませんか。一御質疑がなければ議題を変更いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 辻寛一

    辻委員長 それでは議題を変更いたします。  なお先日の理事会において申し合せまして、本日の午後は議員提案五件を議題にすることになつておりまするが、残余の二法案につきましても提案者でありまする前田榮之助君がまだ来られません。従いまして議題をかえまして、義務教育学校における教育政治的中立確保に関する法律案外五案の政府提出案を議題とし、審議を行います。ちよつと速記をとめてください。   〔速記中止〕     ―――――――――――――
  124. 辻寛一

    辻委員長 速記を始めて。竹尾弌君。
  125. 竹尾弌

    ○竹尾委員 午前中に日教組の問題で、いろいろ質問お答えがありましたが、私も日教組の件につきまして、若干大臣その他文部当局にお尋ねをいたします。  まず第一に、教職員団体は地方公務員法の第五十二条を受けまして、教育公務員特例法の二十五条の六項で、その連合体の組織が規定されております。そこでこの職員団体は、私の記憶で誤りがなかつたならば、一昨年の五月十日にこの交渉団体としての資格を喪失したように私は思いますが、その点についての御答弁をお願いいたします。
  126. 緒方信一

    ○緒方政府委員 ただいま御指摘の通り教育公務員特例法の附則の第五項によりまして、教職員の都道府県の団体は、昭和二十七年五月十日まで存続することができるという規定がございまして、この日をもちまして一応存続することができなくなりまして、その後二十五条の六によりまして、特に都道府県の当局と交渉するために、当分の間都道府県の範囲内で連合体を組織することができるように相なつたわけでございます。それで都道府県の単位団体としての性格は、二十七年五月十日までで、その後は連合体として切りかわるという建前に相なつておるわけでございます。
  127. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そこが非常に重大な点でありまして、今局長の御説明を私は了承いたしますが、そういたしますと、県単位の組合というものは、これは法的には認められない、こういうことになる。そこで教育公務員特例法の二十五条の六で連合体の組織は認めている、こういうことですね。ところがここでお尋ね申したいのですが、連合体と申しますれば、地方教育委員会が設置されて、その各市町村の地教委に適応したところの職員団体ができ、それが集まつて連合体というものがつくられる、こういうことになると思います。そこでそういうような市町村単位の職員団体があつて、それが連合体をつくられているという府県は非常に少数だと私は思いますが、どのくらい全国にできているか、そのことをちよつとお答えを願いたい。
  128. 緒方信一

    ○緒方政府委員 ただいま御指摘のように、市町村の単位団体ができまして、その単位団体の連合体として都道府県の範囲においてできることに相なつております。そして都道府県の連合体は府県の人事委員会に登録いたすことに相なつております。ただ、今お話のように市町村の単位団体ができまして、それがさらに連合体をつくつておるところは何府県かという御質問でございますが、それにつきましては、文部省といたしましても的確な調査が今ありませんので、何府県ということはちよつと申上げかねますが、いずれにいたしましても、都道府県の人事委員会に登録いたしまして初めて適法な交渉ができる、かように相なつておる次第であります。
  129. 竹尾弌

    ○竹尾委員 当局でおわかりにたらぬという、それだけこの連合体というものはつくられておらぬ、こういうぐあいに解釈してよろしいと思う。そういたしますと、現在各府県にあります日教組団体というのは、これはただ単に黙認されているところの団体にすぎないと思うのだけれども、その点の御見解はいかがでございましようか。
  130. 緒方信一

    ○緒方政府委員 各府県におきまして、人事委員会へ登録をいたしまして、それが登録を受付けられておりますれば、これは適法に交渉ができるわけでございまして、大体各府県の連合体としては人事.委員会へ登録いたしておるように聞いております。都道府県の人事委員会に登録をいたさなければ、適法な交渉はできないわけであります。大体登録をいたしてやつておるというふうに見ております。
  131. 竹尾弌

    ○竹尾委員 登録をしなかつたならば交渉ができない。交渉と申しても、御承知のように、これは給与、勤務時間その他そういう経済的な条件だけなんだから、それをやつておるところを見れば、登録をしているであろう、こうおつしやるのですか。それはつまり現在ある日教組の各府県の団体というのは、全部適法的に認められておるところの職員団体である、こういうふうに御解釈されるのですか。
  132. 緒方信一

    ○緒方政府委員 その点でございますが、各府県の人事委員会が登録を受付けておりますならば、これは適法な団体でございます。大体受付ておるように存じておる次第でございます。ただ詳細な点につきましては、文部省といたしましてもよくわからない点がございます。
  133. 竹尾弌

    ○竹尾委員 どうも当局の御答弁は私承服できないのです。人事委員会に登録しておる団体の方がきわめて少数だと私は思うのだけれども、それは調査が行き届いておらないから答弁ができない、こういうことはどうも当局としていかぬと思う。一番大事なところだ。これはきわめて少数だと私は思うのだけれども、どうですか。
  134. 緒方信一

    ○緒方政府委員 お答え申し上げます。今の点は的確な数をここに資料として持ちませんので、調査いたしまして後刻御返事申し上げます。
  135. 竹尾弌

    ○竹尾委員 的確な数がない、こうおつしやいますけれども、これは非常に重大だ。こういうところに文部当局の怠慢があるとすればあるのであつて、一番大事なところである。  そこでこれから以上は仮定の問題にたりますが、やむを得ないのだ。あなたの方で資料がたくて、大体人事委員会に登録されているであろう、こうおつしやるから、あとは私の仮定の問題になります。ついでにお尋ねいたしますが、いつごろわかりますか、大至急やつていただきたい。そこでもしも登録しておらないとすれば、現実にはそういう職員団体がたくさんあつて、その人たちが非常に活発な運動をしておるわけなんだから、これはやみ専従という言葉を使つておりますが、そこに働いている先生はつまり合法的に認められないところの存在である、こう解釈してよろしいですか。
  136. 緒方信一

    ○緒方政府委員 お答え申し上げます。もしも登録をいたしておりません場合には、当局と適法に交渉することができないのでありまするから、そのための専従職員というものは適法でないと思います。
  137. 竹尾弌

    ○竹尾委員 今の日教組団体というものは登録されておらないように私は聞いているんです。そういたしますと、御承知の通り、そこに勤めている専従者は、直接地方委員会の任命権者の専従許可をもらつてやらなければ合法ではない。そういうことを考えますと、今の専従職員というものは、よく言われるやみ専従が大部分である、こう解釈されるわけです。そうした人たちが文部大臣あるいは文部当局なりに面会するとか、こうしてくれ、ああしてくれというようなことに対して、大臣はこれに対して一々面会しなければならぬようた義務は全然ないと私は思うんですが、その点御答弁願いたい。
  138. 大達茂雄

    大達国務大臣 県教組の問題は別といたしまして、日教組法律的な根拠を持つた団体ではないように私は承知しております。いわゆる契約による任意団体にすぎません。従つて団体交渉というような権限があるべき筋合いのものではありません。私は、日教組の代表者の諸君に面会をするときには、そのつもりで会つておるのでありまして、その都度要求書が出ますから、これは団体交渉では決してない、われわれの方ではただ陳情という以上には考えておらぬからどいうことは、実はその都度念を押して参つておるのであります。これに対して日教紀の側の人も何らの異議はさしはさんでいないのでありますから、日教組側でもその点は了解していることと思つております。
  139. 竹尾弌

    ○竹尾委員 これがいわれるところのやみ専従でありましたたらば、無断の欠勤をして、府県の本部に詰めかけて勤務している、こうとれるんですが、その点の解釈はどうですか。
  140. 緒方信一

    ○緒方政府委員 専従職員は、先ほどお話の通り、任命権者から専従許可をもらつて活動するのでございますが、もしもその許可がなくて、かつて組合の事務に専従すれば、これはもちろん不適法でございます。また専従職員は給与を受けてはいけないことになつておりまするが、給与を受けて、いわゆるやみでそういう行為があるとすれば、これまた不適法だと思います。今御指摘の登録を受けない団体で、その団体が適法な交渉ができない場合には、この専従者もまた適法ではありません。
  141. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そういう点の調査局長としてまだできておらないということですが、適法でなく勤務しているという一、二の例はないですか。
  142. 緒方信一

    ○緒方政府委員 これは和歌山県で、今のやみ専従の問題が問題になつたことがございました。適法な専従許可をとらないで給与を受けて組合運動に専従しておつたというような例がございました。これは問題にたつたのでございますが、今までありました票例といたしましては、そういう事例がわれわれの手元に入つておるものでございます。
  143. 竹尾弌

    ○竹尾委員 今の御答弁によりますと、こういう方面の調査が行き届いておらないという感じがいたしますので、この法案を審議する場合にこれは非常に重大なるポイントになりますから、至急ひとつできるだけ正確なる御調査をお願いいたしまして、この点についての質問はいずれ後日に譲る二とにいたします。  そこでもう一つ、これに関連するお尋ねですが、御承知のように日教組は、相当高額の組合費と申しましようか、そういう金を毎月徴収しておるようであります。それでこれば人事院規則でありましようか、月給をもらう前にこれを天引きするということは許されないはずなんですけれども、この辺が非常にあいまいで、おそらく天引きされているのじやないかと思いますが、その点についてひとつお答えを願います。
  144. 緒方信一

    ○緒方政府委員 御指摘のように、天引きで組合費をとられておるということは、実情のように思つております。
  145. 竹尾弌

    ○竹尾委員 今、日教組の問題が非常に問題になつておりますのは、 いろいろの点がありましようが、非常に厖大な組合費が日教組に集まつて、その組合費によつて非常に積極猛烈な運動が行われておる、こういう点にいろいろ批判があると思いますけれども、私はこういう会費はやはり教職員の手元に納まつてから支払うべきものであると思いますので、そういう点について当局は考慮を払つたことがございますか。
  146. 緒方信一

    ○緒方政府委員 この問題につきましては、御承知のように、地方公務員に対しまして労働基準法の適用が――これは一部はございませんが、この適用のある条文もございまして、そのうちに、賃金の支払いに関しましては、地方公務員に対しましても労働基準法の適用を受けておるわけであります。第一一十四条に「賃金は、通貨で、直接労働者に、その金額を支払わなければならない。」という規定がございます。しかし但書におきまして、もしもその事業場におきまして労働者の過半数で組織する労働組合があるとき、または労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者と使用者との間におきまして、書面による協定があります場合には、賃金の一部を控除して支払うことができるという規定があるのでございます。一面地方公務員法におきましても、職員団体は当局に対して団体交渉はできませんけれども、書面による協定はできることになつております。従いまして.、当局と書面によりまして、賃金の一部を控除して支払うという協定があります場合には、これは一部控除して支払うことも可能であると考えております。
  147. 竹尾弌

    ○竹尾委員 これは日教組が、昭和二十二年ですか、労働組合法によつてつくられたときの規定だと思いますけれども、その後御承知のようにこれは労働組合法でつくられておりませんから、そういう関係でこれを天引きをするということは、公務員法の規定を準用するか何か知りませんけれども、そういうことはいかぬと私は思うのであります。そういう点を私は法律的にどうのこうのということをお尋ねするよりも、そういうことに対して適法は何分の処置をとつたのか、それからそういうお考えがあるかどうか、そういう点について聞きたいのです。
  148. 緒方信一

    ○緒方政府委員 ただいま私は法律の解釈を申し上げましたが、現実にこういう協定があるかどうかということは、これはよくわかりませんが、協定なくしてかようなことがあれば明らかに違法でございますし、労働基準法並びに地方公務員法の精神から申しますと、直接支払うことが原則だと思いますす。よく調査いたしまして善処いたしたいと思います。
  149. 竹尾弌

    ○竹尾委員 この組合費を直接支払うか、一度手元に渡つてから支払うかということは、非常に事務的なようですが、非常に大きな問題をここに包蔵しておるわけであつて、現行法によつてそういうことができないとすれば、準独立法なり何なりしてこういう点をはつきりさせなければならぬと思う。その点について大臣、何かお考えございませんか。
  150. 大達茂雄

    大達国務大臣 これは一般の労働組合等についても全体として考えなければならぬ問題じやないか、私はさように思つております。ただ教員組合の会費の徴収について――その協定があるかないか、従つて法律に違反をしているかどうかという点はしばらく別といたしまして、ただ現実の問題として、組合員の側から特にそれは困るという異議があつた、こういう場合に、それを天引きでとるということは不当であることは、これは申すまでもないと思います。ごく平たく言いまして、これは労働団体とかいうものだけでなしに、クラブのようなものでも、便宜上さような扱いをする事例が世の中には往々あることでありますから、特にこの場合だけについて何か特別の措置、特に立法措置をとるというようなことは、これはよほど検討してみないと、簡単には行かない問題である、こう思つております。ただ組合員の中に、その天引きされては困るという異議を申し立てる場合に、これを無理無体に天引きしてしまう、こういう事態が起ればこれは放置すべきものではたい、かように考えます。
  151. 竹尾弌

    ○竹尾委員 いずれこの問題につきましては、また後日質問をいたしたいと思います。  そこで少しく方向をかえましてお尋ねいたしますが、高津委員はしばしばこの委員会の席上で一問題は山口県の事件ですが、こういう例はきわめて異例であつて、少いのだ、こういうことを申されております。実は山口県の日記事件が問題になりました岩国の教育委員会の方々から――ここに傍聴に見えられているかもしれませんが、直接私はつい先刻承つたのですが、これにはいろく議論があつて、いろいろのことを申されております。その点はここで申し上げませんが、私のお尋ねしたいのは、こうした事例は、ただ単に山口県にのみ起つている、こういうぐあいには私は考えられたい。非常に組織的、計画的なものであるとも考えられる節がございます。これは一例でありますが、この法案に対する反対運動の要旨を見てみますと、私方々で質問を受けますが、その反対の要旨はほとんどきまつておる。政治的自由を奪うものであるとか、基本的人権を阻害するものであるとか、それから三猿主義であるとか、どこでも同じような紋切型の質問を受けます。ということは、そうした質問に対してすらも一つ組織的な何かがありまして、そうして一箇所から流れているんだという印象を私は非常に強くいたしますが、この事例はあの欄外の文章を見ても、ただ単に偶然に思いついて吉かれたものとは私はどうしても考えられない。京都の事件、群馬県の事件等々を考えても、そこに一つの関連した、一脈の指導方針がある。こういうぐあいにしかとれないと思うのです、その点についてこれはきわめて異例であるとおつしやいますが、しかしこうした例はわれわれが知らたいのであつて、どこにもかしこにも相当たくさんある。こういうぐあいに見ても私はさしつかえないと思うのですが、こういう事例は計画的なものであるかないかということについて、大臣の御所見をひとつお聞かせ願いたい。
  152. 大達茂雄

    大達国務大臣 山口県の日記の場合は最も典型的な場合であると思います。御承知の通りこれは私どもから見ますと、竹尾委員のいわれるように偶然たまたま起つたというものではないと思います。これは県教組が編纂をしたのでありまして、それが岩国の教育委員の間に問題となつて、ある程度の紛争を生じた場合に、日教組がたまたま宇治山田市において大会を開いておつたので、決議をもつてこれに厳重なる抗議を申し込んでおるのであります。なおまた日教組の書類について見ましても、山口県のような場合を特にあげて、下部に対してそういう指導をしておる点が見受けられるのであります。また世界の教員連盟ですか、これは日本教員の代表者ということで何人かの人が出席をされておるのでありますが、そこで日教組を代表しておられる人々から、この山口県の日記というものを取上げて、日本政府の不当な弾圧を受けておるんだ、こういうようなことが報告をされております。これら一連の事実によつて考えますと、決してこれは偶然に起つたものとは私は思いません。やはり一定の組織的、計画的な意図のもとにかような方針がとられておるのである。その最も典型的なものとして山口県の「小学生日記」が現われて来た。こういうふうに思います。
  153. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そこでこの日記も関連するのでありますが、この「小学生日記」というのは、山川版されたところが山口県の県教組で為つたと思います。そこでこういう団体は、文部省から見れば任意団体である、任意団体であるかないかはこれからの調査によつてわかるんだけれども、任意団体であるということを前提といたしまして、それを文部省は一応黙認しておるのでございましようか。こういう団体で「小学生日記」とか、「冬の友」とか、あるいはその他たくさんの出版物を出されておる。これはもうかるときもあるし、損をするときもある。山口県の日記は、ついさつき私は承つたのですが、最初出版したときにはほとんど売れたくて困つた。ところがこれが問題にたると俄然売れ行きが非常によくなつた。残本が全部はけてしまつた。こういうことであります。春秋の筆法をもつていたしますれば、これはむしろわれわれ反対したような者のために売れ行きがよくなつたということにもなりましようが、これは営利事業である。そういう日教組が営利事業を行つて、大体において莫大たる――莫大か、相当か、とにかく利益を上げておるということは事実なのでありまして、こういう点についていやしくも私は教育関係する団体が出版業をやるというようなことは、決して好ましくないと思いますが、その点について文部当局はどういうふうなお考えを持つておるか、お尋ね申し上げたい。
  154. 緒方信一

    ○緒方政府委員 県の連合体が、これが適法で、交渉団体であるかどうかという点は別といたしましても、かりにこれが適法で交渉団体であるといたしましても、その法律に保護されております権限としては、先ほどお話のように、勤務条件の改善につきまして当局と交渉することでございます。そのほかの行為をやつてはいけないということではないのでありますが、しかしながらただいま御指摘のようた教育上、特に基本法第八条二項に抵触いたすような教材を出版するというようなことは、これは好ましくないことでございまして、厳に慎まなければならぬことだと存じます。文部省としましては基本法第八条二項に抵触いたすということになりますれば、十分監督いたさなければなりませんし、その措置は所轄地方教育委員会が講じて行くことになると思います。  それから営利事業につきましては、これはお話のように、教育関係団体教員団体でありますし、目下この勤務条件について当局と交渉するために静止しておるものでございますから、そのらちを越えてやられることは、これは好ましくないことと存じます。
  155. 竹尾弌

    ○竹尾委員 いろいろありますが、まだ文部省調査ができておらぬそうでありますから、調査ができ上つてからまたお尋ねいたしたいと思いますので、きようはこの辺でやめておきます。
  156. 野原覺

    ○野原委員 竹尾委員質問に関連いたしまして二、三文部大臣並びに緒方月黄に対してお尋ねしたい。まず第一点は、緒方初等中等教育局長は、竹尾委員日教組組合費に関する質問に対して、組合費は大体日常は天引きでなされておるという御答弁をいたしました。これは御確認願えると思います。そこで一体何によつてあなたはそのような御答弁をいたしたのか、承りたい。何を根拠にして、日教組組合員諸君は組合費を出しておるのでありますが、その組合費は天引きでなされておるとこの委員会において断定されるのか、はつきり根拠を出してもらいたい。
  157. 緒方信一

    ○緒方政府委員 お答え申し上げます。私は天引きという言葉を使いましたのでありますが、これは給料をもらいますときに、その給料の袋の中から差引かれて本人が受けるということを申したのでございまして、それはいろいろの場合があると思います。先ほど申しましたように、もし書面の協定によつて当局で俸給の一部を差引いて支払うということになつておりますれば、まさにこれは天引きであると存じます。あるいはそのほかの協定によりまして事実上天引きと申しますが、組合費を差引かれて払われておる場合が多いだろう、こう考える次第であります。
  158. 野原覺

    ○野原委員 竹尾委員組合費は天引きでなされておるのではないか、こういう質問をした場合の天引きという意味は、実は単に給料袋から本人の事前の了解のもとに組合費が差引かれておるということではなくて、実は何かしらそこに強制的な一つの圧力が加わつて、本人が出したくないにもかかわらず、その組合費が天引きされておるのではないかという意味質問であることは、これは間違いない。もしそれでないならば、竹尾委員質問というものは何ら意味のない質問なんだ。この文部委員会において意味のたい質問をされておるのだ、そこであなたは何を根拠にして天引きがなされておると言うのか、たとえば給料袋から事実上引かれておることを、かりに天引きと解釈してもよろしゆうございますが、そういうような断言をなされたあなたのその根拠、それをひとつはつきりおつしやつていただきたい。
  159. 緒方信一

    ○緒方政府委員 これは私ただいまも申し上げましたよりに、少くとも事実上給料から差引かれて組合費が払われておる、こういうことを申し上げたわけでありまして、天引きの場合ももちろんあるかもわからない。その何を根拠ということでございますが、これは大体組合費等につきましてはさようなことに相なつておりまするし、私も地力等におりまして、大体実情を存じておりますので申し上げました。
  160. 野原覺

    ○野原委員 およそ根拠というものはあなた自身の想像であるというような意味答弁だと私は思う。組合費というものは、たいていの場合そのようになされておるから、なおまたあなたは地方におって、そいうようなことを見聞しでおるから、こうただいま申されたのでございますが、あたなの先ほどの御答弁をもり一ぺん繰返しますと、組合費は大体実情は天引きでなされておるとはつきり断言された。これは大体ということは、ほとんど組合費に関してはそのようなことがなされておるという一つの断定なんです.少くともこういう断定を文部委員会で、ともかく初等中等教育局長の、文部省の責任者のあなたが下す以上は、単に組合費というまのけそういうふうになされることが常識なんだとか、私は地方におつてそういうようなことを見聞して来たというようなあいまいなことで断定されることは困る。従つてはつきり根拠があるのかないのか、客観的な私どもを納得させる根拠があるのかないのか、もう一度承りたい。ないならないと言ってください。
  161. 緒方信一

    ○緒方政府委員 私の存じております、あるいは見聞しております限りにおきましては、大体そういうふうな実情になつておると思います。
  162. 野原覺

    ○野原委員 そこでこの点はいずれ速記録を見て、あらためてまた問題にいたしたいと思います。  大臣質問いたします。日教組は任意団体として認められておる、このようなことを大臣答弁されたわけでございますが、任意団体というものはどれだけの権限を持つておるとあなたは解釈されるのか、法的根拠並びにその権限の内容等について承りたい。
  163. 大達茂雄

    大達国務大臣 私が了解しておるところでは任意団体であると承知しておる、こういうふうに申し上げたので、任意団体として認められておる、法律か何かでそういうものが認められておるというような意味ではありません。これは普通に十日会とか、二十日会とかいうような、単にそれぞれの契約によるところの任意団体である、こういうふうに承知しております。従つて法律上特に権限を持つておるとか何とかということはないのであります。
  164. 竹尾弌

    ○竹尾委員 関連して――給与その他勤務時間等々の経済的な交渉資格を持つた県単位の団体は、一昨年の五月十日でその資格を失つた、これは明らかなんです。そこでこれは文部省の非常な怠慢だと思うが、地教委が出発したときに、市町村単位の職員団体をつくらせるようないわゆる指導助言をしなければならなかつたと思う。そういうことをしておらない実情だと私は思いますけれども、ほとんど市町村単位の、村単位の職員組合などのできてるところは、長野県にはあるらしいですが、ほかのところにはほとんどないと言ってもいい。こういうことを指導助言しないのが私は文部省の怠慢だと思う。そこでこういう問題が起つて来るので、大部分は任意団体である、そういうところにこの問題が惹起する一つの点があるのです。でありますから、そういう点をはつきりさせて出発しなければならぬと思うのですが、その点についてどういうお考えを持つておるか、もう一度お尋ねしたい。
  165. 緒方信一

    ○緒方政府委員 先ほど申しましたように、府県の連合体がはたして人事委員会の承認を受けているかどうかということにつきましては、これは全体としてはまた調べましてお答え申し上げますが、各市町村の単位団体が結成されましてその連合体ができることは、お話の通りに法規の定めるところでございますから、われわれといたしましてはこれからもそういう指導助言を地方に対して行つて、適法な運営が行われるようにして行きたいと存じます。
  166. 高津正道

    ○高津委員 私今大臣答弁を聞いておると、山口県の日記は組織的な計画的なものであるかどうかという竹尾委員質問に対して、計画的なものであるという答弁をされたが、その理由説明は、山口県であの日記事件が起きたときに、その後に宇治山田市での日教組大会があつて、その大会でこれに抗議を申し込んでおり、また世界の教職員組合の会合へ日教組から出て行つて、そこでもこれを問題にしておる、こういうことを理由にして、そうしてそれだから計画的だ、こういうことを言われておるが、そういう論理というものはまつたく通用しない。一つの事件が起きて、それに対して必ず問題になるわけだ、それから問題になるわけだ、次から次に問題が起つて来る、その問題に関連して抗議運動でも何でも起つて来る。それは初めの分と計画性があるわけじやたいですよ。それを言わないで、そういう理論づけで、この委員会でそういう答弁は聞かれたものではない。計画性があるという理由をあらためて説明を願いたい、それを皆黙つて喜んで聞いておる……。
  167. 大達茂雄

    大達国務大臣 その点は先ほど私説明したように思うのですが、第一回定期大会の三十九ページに、闘争の組立て方とその方法というものを説明した中で、平和教育はどのようにして実践するか、こういうことについての記述があります。たとえば山口教組の平和教育カリキユラムのごとく、地方の特色と地方の行事を生かして地方色ゆたかな中に明るく親しみやすい平和教育の実践要綱をつくり、モデル学級、モデル・スクールを通じて、広く支部、県と、縦の学に子供にとどまらず、母親学級、成人学級と横にも広げられる。これは日教組がはたして計画的にまた組織的にこういうことをやつたものであるかどうかということを断定することは、日教組に聞いてみなければわかりません。しかし私はこれらの資料によつて、また先ほどの世界教員連盟ですか、そこへ出て行つた代表の方々の報告等に基いて、さような計画的、組織的なものであると私は思う、こういうことを申し上げたのであります。
  168. 高津正道

    ○高津委員 日教組の方針などを書いたものの中に、平和教育を横にも広げ、いろいろな場においてこれをやるべしと書いてあるから、そこから出たものであるから、これは計画的なものだ、その分の説明ならば論理は一応わかります。そこでお尋ねしますが、平利教育というものは、日本の現在の公務員に守るべし、擁護すべしと言つておるこの憲法の示すところが、平和教育なのである。従つてその平和教育を横にも広げ、あらゆる場においてこれを推進しよう、ただ学校教育だけにとどまらずこれを広げようというのは、私は何ら責むべきことではない。それは自由党の色めがねで見る場合そうなつて来るのであつて、現行憲法を大衆に周知せしめより、社会教育の場にも持ち出そう、これは私は何ら責むべきところではないと思う。この法案はここにかかつているのですよ。そこで平和教育をやるのが何が悪いか。
  169. 大達茂雄

    大達国務大臣 山口県の県教組が、ただたまたまそういう編纂をしたというのではなしに、一定の意図をもつて編纂した事実、これは明らかであります。この点は高津さんも御同意であろうと思います。それから平和教育でおりますが、平和教育という名前がついておって、平和教育をするのがなぜ悪いか、あるいは独立教育をするのが何が悪いかということだけでは、問題にならぬのであります。要するに教育内容の問題でありますから、平和教育といつてみたところで、経済教育といつてみたところで、あるいは理科教育といつてみたところで、その内容特定政党を支持し、あるいは反対するための教育でおる内容を持つ場合においては、名前が平和教育だからそれで免除されるというものではない、これは内容によつてきまることでありまして、ただ平和教育がどうして悪いかということでは、これはお答えのしようもない。平和教育というものは、教える内容が問題であろうと思う。
  170. 高津正道

    ○高津委員 これは問題があまりに大きいから、こういう文章でこう吉かれてあるが、これをやつていいかどうかというようなことばはつきりきめておかぬと問題があとで起きますから、他日あらためて質問いたします。  もう一点伺いますが、書面協定があれば、その事業場において、給料袋から天引きをしてもいいことになつておる、こういう緒方局長からの答弁があつたのでありますが、それに関連してさらに話が進んで、特定組合員がこれを非常に不利とするような申出があつた場合はどうたるか。そういう場合はまたあらためて考えるというような意味のお言葉があつたが、世界で一番発達しておる英国の労働運動史を見ると、組合費の徴収の根元を押えようということを資本家は一番考えるので、す。それでさすがに自由党の代議士だけあつて、その組合費を納められたいように、何とかその財源を断つ方法はないかという意味から、そういう動機から、質問が出ておるのであるが、何人かの流行かぶれの人がどこかにあつて、訴訟を提起することができるのだが、きようの委員会のこの発言がヒントを与えることによつて、そういうはずかしい、もう解決済みの問題が、また日本に起るであろうということを私は憂えるものであります。もり二十世紀も五四年のまん中まで来ているのです。そういうことは十九世紀の問題なんです。あまりにも労働運動に対して理解がなさ過ぎる議論が、ここで行われ過ぎておると思う。いろいろ問いたいことはありますが、私はそれだけの希望を述べて、きようは関連質問を終ります。
  171. 竹尾弌

    ○竹尾委員 ただいま高津委員は平和教育、平和運動ですか、こういうことに対して発言をされたわけです。私は高津者とは個人的には非常に長い知合いでございまして、その社会主義運動に大いに挺身されたところの過去及び現在に照らしても、いわゆる平和教育というものはその内容は何であるかということは、あなた御自身が一番よく御存じのはずであつて、あなたのおつしやるところの平和運動、平和教育というものは、高津さん御自身ではそういう気持はあるいは現在は持つておられないかもしれませんが、いわゆる平和教育なるものは、われわれ反対側の人たちの言う平和教育というのは、それは一つの革命を成就しなければ達成し得ないところのプロレタリア・デモクラシーの確立に基く平和である、こういうぐあいに私は解釈するので、私はその点を非常に心配しておる。高津委員は現在は共産主義者でもなければ、共産党員でもないと私は思います。従いましてソ連の今主張しておるプロレタリア・デモクラシー、暴力革命あるいは労働者独裁ということについては、高津君自身は反対の立場をとつておられると思うけれども、言われることは、その平和教育内容というものは、今の革命成就の後に招来されるであろうところの平和を言つておられると思う。それでそういうことであれば、私は非常に心配ですから、そういう平和運動、平和教育に対しては、私ども立場としてこれは断“として押えなければならぬ、こう私ども考えておりますが、その点についての御所見をお伺いしたい。
  172. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は竹尾君の御説明を伺いまして、非常に啓発されたのであります。私はそこまでは研究しておりません。しかしそれはともかくといたしまして、山口県日記等に現われたいわゆる平和教育内容というものは、日本教育基本法八条の二項ですか、それに抵触する点が非常に多い。これに抵触するものである、こういうふうに私は考えます。
  173. 辻寛一

    辻委員長 坂田君。
  174. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 ちよつと簡単にお尋ねしたいのですが、ただいまの平和教育内容の問題でありますが、日教組がその最高方針として定めておる中で、安保条約を廃棄しなければ、われわれの言う平和教育は達成しない、こういう一つ考え方から、やはり山口県日記におきましても、親ソ反米というような教材になつて現われて来ておると私は思うのでございますが、その平和教育内容というものが、安保条約を破棄しなければ平和は達成せられないのだ。それを教えなければならないという平和教育というものは、明らかに教育基本法第八条第二項に抵触するものだと考えるのでありますが、はつきりした御答弁をお願いしたい。
  175. 大達茂雄

    大達国務大臣 私もこれは一つの事柄だけで抵触するせぬということを認定するということは危険な場合もあろうと思いますが、ただいまのお話のような場合は、私は少くとも八条の二項にいうところの政治教育中立性には抵触するものであると思います。
  176. 坂田道太

    ○坂田(道)委員 日教組がそういう最高方針をきめて平和教育全国津々浦浦に、あの厖大な組織を通じ、そうして先ほど大臣が御答弁になりましたようにきわめて巧妙に計画的に組織的にやつた場合は、たとい一つ山口県の日記のようたことが起りましても、今後さらにそういつた一つの片寄つた特定政党を支持する素地を与えるような教材というものが、全国に蔓延するおそれがあると思いますが、そういう意味から大臣は今度の法案を出されたと思いますが、その点を明確に御答弁願います。
  177. 大達茂雄

    大達国務大臣 ただいま御質問になつた通りでありまして、これは前にも御説明を申し上げたつもりでございますが、現在においては山口県の日記だけではありません。いろいろな地域における学校教育の面において政治的の中立性が破壊される。少くともこれが非常におびやかされておる。こういう事実の認識に立つて、そうして中立確保するためにこの法律案の御審議を願つておる次第であります。
  178. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 午前中からいろいろ私聞いておつたのでありますが、教育中立性確保に関する二法案の審議にあたつて自由党の皆さん方から出て来ます発言の内容というものが、しよつばなから日教組を攻撃するところへ重点を持つて来ていらつしやるように実は思うのであります。日教組すなわち赤だ。そうしで、山口県の日記事件その他、こういうような中立性の維持を阻害するようなことがあるのだから、この法律案を出すのだというふうに、いわば日教組自体が赤だ。赤という印象を国民大衆へ持つて行つて植えつける、こういうような気持から一貫した論戦を展開されでおるように実は思うのであります。ところが私たちはこれからこの法律案の本格的な審議に入りたいのでありますが、午前中の喜多委員のお話のごとく、私たちが本格的な審議に入ります上においで、教育中立性に対する一つの定義と申しまするか、こういう問題は徹底的に究明されなければたらない問題なのであります。ところが最初私が申し上げましたように、今朝からの論戦、また大臣答弁を聞いておりますると、この法案を出す理論的な根拠というものは、教育中立性をかくかくしかじかに阻害をしておるという山口県その他いろいろの実例をお持ちだから、私は出されておるのじやないかと思う。あるいはまたこういうふうな事例から見て、今日の義務教育中立性が侵されつつある。あるいは侵されるおそれがあるというお考え方から私は出されておるのじやないかと思うのであります。ところが朝から聞いておりますると、喜多委員もお話になつたのでありますが、一体文部大臣はこの法律案を、日教組を押えるために出すのか、赤を抑えるために出すのか、それともまたその他の選挙運動、いわゆる今のままに放任しておくと、社会党の左派やその他の社会主義の政党ばかりが太るから、ひつくるめてこの法律案を出すという御意思なのか、こういう点がさつぱり私にはわからないのであります。そうして午前中からの自由党の皆さん方の発言を聞いておりますと、文部大臣となかなかよく三味線が合う。八百長質問と見れば見える。結局国民全体に、ごく一部の日教組は赤なら赤だという印象を植えつけて、もつてこの法律案を正当化さそうという理論、思想である、こういう印象を実は受けるのであります。まじめな議員また良識のある者が聞いておりますと、こういう一つの論理というものは、論理学上でいういわゆる論旨仮託の誤謬という実にくだらないことを言つておるとしか思えない。そういう点から、私はあなたがこの両法案を出される以上は、先ほど申しましたように、かくかくしかじかの教育中立性を阻害しておる実例があるのだ。先ほど来聞いておりますと、まだとつてあるのだというような言葉自由党の諸君から出ておりますが、爾後のこの審議を進める上において、もしまだおありならば、この法案を提案なさる理論的根拠としての山口県の周題あるいは滋賀県の問題、そのほか聞くところによると、自由党の政調会あるいは文部省が鐘やたいこで探されて二十から三十ほどデーターがあるということを聞いておりますので、それをはつきりと出していただきたい。そして出して、かくくしかじかでもつて教育中立性を阻害しておるじやないかと言われなければ、まじめに審議しようと思つておるわれわれにはわからない。同時に国民全体もわからないのであります。先ほどから論議を聞いておりますと、作文のように愚にもつかないことをもつて日教組自体は赤だとは言わないが、赤であるかのごとき印象を与えて、この法律案の本旨をごまかそう、こういうふうな論戦を展開されておるように思うのでありますが、私たちは明後日からの本格的な審議には、ぜひ隠すところなく、まだとつてあるのだという資料をぜひ出していただかなければ、本格的な審議に入れないのではないか。教育中立性の維持という問題に関連して、ぜひ要求しておきたいと思うのであります。
  179. 大達茂雄

    大達国務大臣 この法律案を提出するのが、教育中立性を維持するという目的のためであるのか、あるいは日教組共産党であるということを言いふらすためであるのか、あるいは日教組対象として、これを抑えるというためであるのか、どれが本旨であるかわからないという御趣旨でありましたが、これはつい先ほどの坂田委員の御質問に対して、今日日本の各地にわたつて教育中立性が侵されておるという事実は認められる。もしくは少くともそれの危険にさらされておる事実を認める。かくのごとき認識の上にこの教育中立性確保をしたい、こういう意味でこの法律案を提出したのであると、たつた今坂田君に答えたばかりでありまして、私は何も日教組共産党であると断定はしておりません。またさようなことをここで答弁した覚えもありません。またそういうことを世間に印象づけるつもりもありません。また日教組というものを対象として、日教組を抑えるためにこの法律案を出したという意味ではありません。これは今、立つて答弁したばかりでありますから、それで御了承願いたいと思います。
  180. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 私は文部大臣日教組は赤だと言つたというのではございませんよ。朝からの喜多委員に対する答弁を聞いておりましても、喜多委員から、この法律案に対してもつと解説して、いわゆる共産教育、共産主義というものは非合法だという趣旨の法律案をつくる意思はないか、こういう意味のお尋ねをされても、あなたは答弁できなかつた。でありますから、この法律案というものは共産主義を抑えるための法律案なのか、いわゆるほんとうの教育中立性というものが阻害されておるということの法律案なのか、日教組を抑えるための法律案なのか、それがわれわれにははつきりわからない、今後それを究明するに必要だから、この法律案を提出されました以上は、必ず教育中立性はかくかくにおいて阻害されているのだという実例がある、しかもそれはとつてある、とつてあると言われるから、できるだけ早く出してくださらなければ、次の本格的な審議には非常にさしさわりがあると私は言うのであります、私はあなたが日教組は共産主議だと言つたと申し上げておるのではありません。聞いておりましても、わからないということなんです。
  181. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は午前中も、教職員共産党であろうとも、それからそれらの諸君が共産活動をされようとも、それをただちにどうこうというものではない。ただ学校教育の場にこれを持つて来ることをこの法律でとめたいのだ、こういうことをはつきり申し上げたのです。それはあなたはよく聞いておられないと……。私が共産党を押えるためだとかなんとかいうことでない意味は、それだけできわめて明瞭であると思います。これは午前中も両三度にわたつてそういう意味答弁をしたつもりであります。  それから、しからば事例があるかというお話でありますが、それは私どもとしては事例を持つております。決してこれをとつてある、とつてあるなどと言つて出さなかつたのではありません。いかなる事例があるかという御質問がないから、その返事をしなかつただけのことでありまして、決してこれを隠すとかなんとかいう意思は毛頭ありません。これは私どもが無理やりに探さなくとも、御承知のように各地にわたつて県の教育委員学校との間、もしくはPTAと学校との間、それから生徒と学校との間等々において、」の教育中立性の問題をめぐつて、現に紛争を生じておるのであります、ところによつては、こういう学校にはもはや自分たちの子供を預けるわけに行かないから、ぜひとも他の学校に転校させてもらいたい、こういうことを教育委員会に申出をしておつて、それが今片がつきましたかどうですか、おそらく今日まだ解決しておらぬと思いますか、こういう表に現われた事例があるのであります。またそれを新聞紙が伝えておるのであります。決してこれをとつておきにしておくとかなんとかいう意味ではありません。
  182. 山崎始男

    ○山崎(始)委員 でありますから文部大臣は、政府、並びに与党の方からこういう法律案を出されたが、中立性確保に関する法律案だから、必ず中立性確保されていないという事実があるに違いないから、それをできるだけ早くわれわれに資料として示していただきたい。委員長にこの点はお願いしておきたいと思います。そうでなければ、ただ、山口県だけが断片的にでて来る、あるいは京都府だけが出て来るが、知らない国民というのが大多数です。われわれ自身も知らないのです。でありますから、こういう実例がおるからこそ、この法律案を出すのだと言わなければ結論が合わないのです。実際そうでしよう。それを要求しているのです。だから聞いておりますと、今言う日教組をひつつかまえるために出しておる法律案なのか、あるいはほんとうに教育のことを思つて出された法律案なのか、共産主義を押えるための法律案なのか、聞いている者はわからないのです。その点をお願いいたします。
  183. 喜多壯一郎

    ○喜多委員 たびたび山崎委員から、喜多委員と私の名前が出ておりますので、私は一身上の弁明を……。長谷川委員が、喜多さんが迷惑していると言うけれども、私はちつとも迷惑しておりません。これは山崎委員の言う通りで私はさつき非常に時間を急いだから遠慮して大臣に追い討ちをしたかつたのですが、あなたの御答弁の中に、中立性を犯すようなものがあるかと私が聞いたら、外部の不当な勢力とおつしやつた、それじや外部の不当な勢力は何ですかと聞いたら、日教組だ、こう出た、そこで日教組はそれほど不当なのかとだんだん持つて行きたかつたが、遠慮したのです。昼でもありますし、昼飯を食わないでやるということも非人道的でおると思つて、非常にゼントルマン・ライフに向うの方に質問を上げたのです、これは私も書いておいたが、文部大臣、あなたも速記録をお調べになつていただきたい。山崎委員の指摘した通りに、あなたは日教組を出して来て、それでは実例はどうだと言うと山口日記……。これはもう再々聞きあきました。それでは進展しませんよ。では日教組がはたして赤いか赤くたいかと言えば、これは共産党……と言うが、本能寺を攻めに行つたのではない、光秀というやつは信長をやりに行つたんです。そこで一挙に飛躍して、レッド・パージをやると同様に、ないしは共産党日本の憲法のもとにおいて非合法化するだけの一体決意がありますか。(「憲法を改正して」と呼ぶ者あり)憲法改正です。そこまで行つてあと教育基本法の精神を……こういうのです。あまり私の名前が出されているのでおやおやと思うのですが、外部からの不当な勢力、これについて次の機会に、速記録を調べた上でも一ぺんあなたに明らかにしてもらいたい。この点は山崎委員の説に同感です、あなたの方でもあるものなら早く出してほしい。これは委員諸君、委員長にも申し上げたいが、それを土台にして審議しなければ、いつまでたつて日教組の実体は……で、こんなふうに群盲象を評するようなことをしておると、今日の国会がいかに国民から批判されるか、これは私は最も大きな遺憾事だと思います。よつて私は山崎委員のしり馬に乗つて、あなたの心境をあらためて確かめたい。外部からの不当な勢力の不当とはいかなることを意味するか、外部とはどこかについてもう一ぺん聞こうと思う。この法案のほんとうの審議に入るために、委員長、私は私の名前が出ましたから、議事進行にかりてこれだけ注文をつけておきます。
  184. 大達茂雄

    大達国務大臣 教育中立性が犯されている実例、私どもの方で調べました実例につきましてはそれを示すように、資料として出すようにということであれば、まとめましてお手元の方に出すようにいたします。(「いつまでに」と呼ぶ者あり)なるべく早く出します。(「何曜日に」と呼ぶ者あり)これについては日教組の方にも、おありになると思います、これは問題の中心でおりましよう。私の方でこれを隠しておいてこの法律を通そうという気は毛頭ないのです。決して資料を出ししぶつたとかなんとかということはない。きよう初めて本格的な委員会ということで、資料の要求があれば決してそれをいなむものでありません。その点決して資料を出さないというつもりはないのですから、この点誤解のないように……。
  185. 原田憲

    ○原田委員 今資料を出せというお話がありますけれども、喜多さんのお話を聞いておつて、なるほどりくつが通つているようで私は通つておらぬと思います。山口県一個の問題でこんな法律を出す必要はないのです。この山口県の事件がどこから出て来たかということを突き詰めて行つたらそれだけでいいのだ。この山口県の日記の問題で社会党の左派の諸君と私は一緒に立会演説をして、これは悪いと言うのだ。この悪いというものを、宇治山田の日教組大会でいいと言つているじやないか。そうして抗議文を出しているのですよ。何が資料だ、これだけではつきりしているじやないか、これだけでけつこうです。
  186. 竹尾弌

    ○竹尾委員 山崎委員質問に関連することになりましようが、われわれはなぜこういう法案を出さなければならなかつたかというその一点は、何と申してもわれわれが当然排撃したければたらない非合法的な活動が、日教組を通じて行われておる。こういう点を私は非常に心配するのです。昨年の十二月の某日に日教組の本部から出された実力行使指導方針書というものがありますが、その中を見ましても、われわれのこの行動は合法的でない、遵法的ではないとはつきりうたわれておる。それにもかかわらず闘わなくちやならぬというような文句がありますけれども、こういうことが組合内部で行われているということについて、私どもは非常に憂えておる。ここにおられる高津君は――また問題に出しますが、こういうかつての輝やかしき共産党の運動者ですらも、非合法を排撃しておる。ソーシヤル・デモクラットとして十分活躍をしており、暴力を否定しております。(高津委員「三十年前のことだよ」と呼ぶ)何年前のことだつて、あなたはソーシヤル・デモクラツトなんだ、暴力を否定し、議会主義を肯定しております。そういうような方々がおられるにかかわらず、その日教の方針書な石ものを見ると、まつた共産党に指導されておるところの非合法運動がここで行われておる。繰返すようですが、こういう点を私どもは心配しておるのである。しかもこの方針書の中には、非合法運動をやつても制裁は大したことはないのだ、地公法の第三十七条の一項で、争義、怠業行為の禁止条項がありますが、第二十九条には懲戒規定がある。懲戒規定くらいのものであるから心配しないでやれ、こういうように、これこそ教唆、扇動、激励しておるのです。そういうことがけしからぬのであつて、これは地公法の第三十七条と六十一条によれば、相当重い刑罰を加えなければならぬ。それを言つてたくて、大したことはないからやれと言う。そういうところがわが国の教育界のために非常に心配であるから、こういう法案を出さなくちやならぬという一つの結論に到達したのだと思う。それで大臣もいろいろおつしやられますが、はつきりした調査を要求されておりますから、これこれが悪いのだということをはつきりおつしやられてもさしつかえないと私は思うのだけれども、もう一度御所見を伺つてけつこうで、ございます。
  187. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は別に特にあいまいなことを申し上げておるつもりではないのであります。ただ私どものところにある資料と申しましても、これは非常にたくさんあります。でありますからこれを一々ここで読み上げてもどうかと思つてつたのでありまして、決してそこをいいかげんにはつきりさせないでおくというつもりではないのであります。たとえば山口県の――また山口県かとおつしやるかもしれぬが、山口県の日記を見ましても、「ソ連というのは、これは会議によつてきめるということであります。社会主義というのは労働者と農民の幸福を第一とする主義なのです。工場を持つている資本家が安いお金で労働者を使つて自分のふところを肥やしたり、安い米の値段にして農民を苦しめたりしている資本主義とは反対です。」こういう文句を書いてある。まだあと先ありますが、アメリカや日本の資本主義国とどこが逢うか、つまりソ連のような国とどつちがよいかを調べてみてください、こういうようなことがある。これは一つであります。これだけではありませんよ。この場合ソ連という国を説明して、子供の頭に、ソ連はよい国だという印象をまず植えつけて、そうして一方的な立場から社会主義は労働者と農民の幸福を第一とする主義であり、それから資本主義は、資本家が労働者を使つて自分のふところを肥やし、米の値段を安くして農民を苦しめたりする主義だ、こういうふうに、その論即のよしあしは別として、一方的な立場からこれを言うて、そうしてこういう資本主義の日本やアメリカとソ連とはどつちがいいか調べてみてくださいと言つておる。こういうことは私は著しく一方に偏したものと思います。これはまだほかにたくさんあります。しかも他の学校におきましても、こういうことはたくさんありますからここで一々申し上げるわけには行きませんから、これは資料として大体のものをお手元に出すようにいたします。午前中にも話が出ましたが、北海道のような場合にしましても、共産党でなければ国民の味方にはならないのである、あるいは徳田氏、野坂氏でなければ日本を救済することはできないのだ、お前の父親は共産党でりつぱなものだが、お前は共産党でないと言うてなぐりつけた、こういうようなものは幾らでもあります。決してこれを隠してとつておきにして、いいかげんなことを言うという気持はございません。
  188. 高津正道

    ○高津委員 それらの資料は一日も早く出されんことを要求いたします。それから北海道の一人の教員が、野坂や徳田でなければ日本は救われないとかいうようなことを言ったとか、それは五十万人の中のたつた一人なんです。(「日教組大会でやつておるじゃないか」と呼ぶ者あり)なぐつたりしたことはないですよ。それでその詳細な資料をいただきたい。山口県の日記は、あれは教材として教えたものではなしに、参考資料として与えたものである。(「ノーノー」「注意して読んでくださいと書いてある」と呼び、その他発言する者多し)これは日記の端の方に書いてあることであつて、これらの問題はまたいずれあらためて十分論議します。だから詳細な資料を一日も早く出してもらいたい、それに、よってわれわれは議論を進めます。
  189. 辻寛一

  190. 小林信一

    小林(信)委員 私に発言を許すのはどういうのか知りませんが、これは関連の関係ですか。
  191. 辻寛一

    辻委員長 御通告質問でございます。
  192. 小林信一

    小林(信)委員 それでは一つだけ質問いたしますが、今のように非常に紛糾する原因は、これは提案の仕方とかなんとかいうことではなくて、文部省の方でも問題をはつきりわきまえておらぬからじやないかと思います。ましてこれを応援する自由党諸君も思想統一がされておらないから、いろいろ委員の方から質問をするのに疑惑が生じて来るのです。というのは、政治的中立性を確保する法律とそれから公務員の特例法とこの二つがいつでもこつちやになるんですよ。何ゆえに教員政治活動を禁止するかと言うと、日教組を持つて来る。これはいわゆる政治的中立性を確保する方に問題がある。そうして個々の教員政治活動を何ゆえに禁止するかと聞くと、こういう事例があるとかなんとか言つておるが、特例法を一部改正をして国家公務員の形にするということが問題なんです。こういう点をやはり大臣区別して答弁しておるのかどうか疑わしいのですが、いかがですか。
  193. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は提案者でありますから、その点ははつきり区別してやつておるつもりであります。
  194. 小林信一

    小林(信)委員 であれば、これは喜多委員の言われるのは、ごもつともなんで、ただもう日教組々々々だけに問題が集中するのですが、何ゆえ教員政治活動を禁止するかという場合に、特例法の……(発言する者多く、聴取不能)そういう点でもつて大臣の方でも十分気をつけなければいかぬと思うのです。時間がないししますから、私はきようはこれで終ります。
  195. 辻寛一

    辻委員長 角度をかえて御質問を願つた方が、審議の公平を期せると思いますからどうぞ。
  196. 小林信一

    小林(信)委員 けつこうです。
  197. 辻寛一

    辻委員長 やはり慎重に審議をしなければなりませんから、もう少し御勉強をいただきたいと思います。――小林君に申し上げますが、あなたの御質問はいつも押し詰まりまして……。   〔発言する者多し〕
  198. 辻寛一

    辻委員長 お静かに願います。――静粛に願います。小林君。   〔発言する者多し〕
  199. 辻寛一

    辻委員長 お静かに願います。小林君、あなたはいつもあとまわしになりまして、発言の機会がないと思い、お気の毒に存じましたから、本日はぜひおやり願いたいと思つて……。
  200. 小林信一

    小林(信)委員 混乱しておりますから……。
  201. 辻寛一

    辻委員長 静粛にいたします。お静かに願います。あなたは私の方から発言の機会をお与えいたしましたがおやりにならない……。
  202. 小林信一

    小林(信)委員 はあ。
  203. 辻寛一

    辻委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時三分散会