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1954-02-27 第19回国会 衆議院 文部委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十七日(土曜日)     午後三時十五分開議  出席委員    委員長 辻  寛一君    理事 相川 勝六君 理事 伊藤 郷一君    理事 坂田 道太君 理事 野原  覺君       岸田 正記君    熊谷 憲一君       竹尾  弌君    長谷川 峻君       原田  憲君    山中 貞則君       中嶋 太郎君    町村 金五君       高津 正道君    小林  進君       前田榮之助君    松平 忠久君       小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 大達 茂雄君  出席政府委員         文部事務官         (会計課長)  内藤譽三郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     緒方 信一君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (社会教育局         長)      寺中 作雄君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君  委員外出席者         専  門  員 石井  勗君        専  門  員 横田重左衛門君     ————————————— 二月二十七日  委員受田新吉君辞任につき、その補欠として松  平忠久君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 同月二十六日  学校給食法制定請願和田博雄紹介)(第  二四四七号)  同外一件(小枝一雄紹介)(第二五七六号)  学校給食法制定等に関する請願外二件(和田博  雄君紹介)(第二四四八号)  同(塚原俊郎紹介)(第二五七七号)  同外一件(中原健次紹介)(第二五七八号)  同外二件(小枝一雄紹介)(第二五七九号)  同外三件(星島二朗君紹介)(第二五八〇号)  へき地島畠教育振興に関する請願尾崎末吉君  紹介)(第二四四九号)  高等学校定時制教育及び通信教育振興法に基  きその経費予算強化に関する請願首藤新八  君紹介)(第二五八一号)  国民道義こう揚宣布に関する請願相川勝六君  外二名紹介)(第二五八二号)  北河内第二小学校学級編成及び職員組織に関  する請願佐々木盛雄紹介)(第二五八三  号)  国旗記念日制定請願今井耕紹介)(第二  五八四号)  王塚古墳壁画模写費国庫補助に関する請願(中  島茂喜紹介)(第二五八五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  文部行政に関する件  委員派遣承認申請の件     —————————————
  2. 辻寛一

    辻委員長 会議を開きます。  この際お諮りいたします。義務教育学校における教育政治的中立の確保に関する法律案及び教育公務員特例法の一部を改正する法律案審査に資するため、当委員会委員を派遣して調査をいたしたいと存じますから、衆議院規則第五十五条により、調査承認要求書議長に提出いたしたいと存じますが、調査承認要求書議長に提出することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認めさように決しました。なお日時は三月七日より十日までとし、派遣する地方は、山口、滋賀、京都、静岡、茨城、岩手、北海道とし、その人選は委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 辻寛一

    辻委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
  5. 辻寛一

    辻委員長 文部行政に関する件を議題とし、前回に引続き質疑を行います。小林進君。
  6. 小林進

    小林(進)委員 先般のこの委員会におきまして、文部省によつて代表される日本国政府と、在東京米国大使館文化交換局によつて代表されるアメリカ合衆国政府間の協定ということについて御質問いたしたのでございますが、その際、当該の事務担当官がおられないからということで、この質問が留保になつておるのでありますが、この点いま一度担当官からまずその内容の具体的な御説明を承りたいと思うのであります。
  7. 寺中作雄

    寺中政府委員 アメリカ政府からナトコ映写機千三万台、その他この映写機に関する資材を譲渡されたのでありますが、その際にアメリカ大使館文化交換局長文書を交換いたしたのでございます。これはいわばアメリカとの譲渡覚書というよう性質のものでございまして、もともとこれは昭和二十四年の三月から、いろいろ社会教育のために利用してもらいたいという意味で、このナトコ映写機千三百台の無償貸与を受けておるわけであります。これを各都道府県教育委員会に配分いたしまして、一般民衆映画上映いたしまして、社会教育に資して参つた次第でございます。大体年間に約七億くらい延人員にしてこれを見ておるというよう関係になつておりまして、これは社会教育の上に非常に貢献したのでありますが、この機械も五年も使つたことでありますし、またナトコの会社が経営が悪くなりまして、この映写機に関する補修部品を従来アメリカから補給されておつたのでありますが、それができないというよう事情にもなつて参りましたので、日本使つてもうえるものなら、むしろ無償貸与形式をやめて、そのまま無償譲渡したいということをアメリカ大使館から言つて参りまして、従来使つておるそのままの状態で、別にそこにかわつた状況はないのでありますが、ただ一応無償貸与形式無償譲渡という形に切りかえるというだけのことでございますので、ごく簡便な方式で向う寄付したい、こちらはぜひ受取りたいということで、ただ口で言うわけにも参りませんので、覚書を交換しようじやないか、その形式については、あまりぎようぎようしい形式を避けまして、譲渡をする向う在京アメリカ大使館文化交換局長立場でやるから、こちらの方も社会教育局長とい形でやればよかろうというようなことで、この覚書を交換したのでございます。
  8. 小林進

    小林(進)委員 この原文の写しは後日そのままの形でお見せ願いたいと思います。これは委員長において責任をもつて配付を願いたいと思います。原文を見せていただいた上で、あらためて質問することがあれば質問いたしまするが、ともかく私どもの得た情報によれば、これは両国政府間の協定ということになつておる。あなたは覚書とおつしやるが、覚書という言葉じやなくて、協定ということになつております。いやしくも独立国独立国から物を無償でもらつたり、あるいは協定を結んだり、条約を結んだりするようなことは、これは文部省責任でありまするか。向う交換局長、こちらは社会局長のお名前で、こういう重大な協定を結ばれているというようなことは、私は重大問題だと思う。あなたは至極簡便に簡便にとおつしやるが、こういうよう独立国独立国と物を贈与したり、貸与したり、やりくりしたりする問題を、簡便にやろうとするところに私は大きな間違いがあると思う。あなたはそういう協定を結ぶよう権限一体日本政府のどこからまかされておるのか。どういう条文の根拠があるのか、それをひとつ承りたいと思います。
  9. 寺中作雄

    寺中政府委員 これは英語の方の文にはアグリーメントという言葉になつておりますが、これは日本語の場合には覚書というようにとつてもいいわけでございます。要するに文部省といたしましては、社会教育のために必要な物品を調達したり、あるいは寄付を受けたりする権能を持つておるわけでありますから、その権限範囲内におきましてこれを受取つたというよう関係になつておるのであります。
  10. 小林進

    小林(進)委員 寄付を受ける権能があるということをおつしやるのでありまするが、これは私この前も繰返して言つたように、単純な寄付じやないと思う。そういうふうに考えるというところが、あなた方がまだ占領治下アメリカというものに心酔をし、あるいはアメリカという権力のもとにおびえていられる一つの植民地的な被占領国家の、自主性のない官僚の姿をそのまま現わしていると私は思うのであります。特に先ほどあなたの御説明の中に、一年間に七億人に及ぶ連中がこのナトコ映写機を通じてこれを見ている。そこに上映せられるものは何か、何が一体社会教育だ。あなたは社会教育上非常に有効であるという御答弁があつたが、一体だれの教育に有効なんだ。アメリカ宣伝のために有効なんだ。アメリカ文化をわれわれが知るためにおいて有効なのか。日本民族独立精神を養う上において一体どう有効なのか。そこをひとつはつきり願いたい。
  11. 寺中作雄

    寺中政府委員 この機械譲渡でありまするが、これに上映をいたしますフイルムは、現在ではほとんど日本のものが根幹になつておりまして、パーセンテージで行きますと、約四分の三は日本フイルム使つておるのでありまして、アメリカ側からは今後ほとんどフイルムの補給がないというよう事情にもなつておりますので、そういう意味で、今後は日本でこれを社会教育の向上のために使つてもらいたいという意味もありまして、譲渡されるというような形になつたのであります。決してアメリカのものだけを上映しておるわけではないのであります。
  12. 小林進

    小林(進)委員 局長はこの問題を非常に安易に考えようと思つていられるようですが、私は今思いつきであなたに質問しているのではないのです。これは左右社会党の党議として、日本独立を脅かす重大問題だというので、私は文部委員会だけの問題じやない、あなたの答弁によつてはどこまでも追究して行く大きな責任を持つているから、ひとつ真実をこめてお話を願いたい。日本内容であろうと、四分一のがアメリカのものであろうとも、巧みな戦術をもつてすれば、十分アメリカ宣伝になる。私はこの前も申し上げたが、大達さんはわが日本帝国主義外国侵略の手先となつて、満州や北京やあるいはシンガポールを治められた。その当時わが日本映写機をそういう被占領下国民無償配付をされて、そうして日本提供する映写機宣伝されたが、占領政策としては、これほど文化に名をかりて巧みに被占領国の民を毒するものはない。それをアメリカがやつている。しかもこのアメリカとの協定と称するものの中には、私はこの前も言つたのだけれども条件が付せられている。この条件が私は重大問題であると思う。一、二の問題は別として、第三の条件は、文部省アメリカ合衆国広報機関からの提供の続く限り、このU・S・I・Sフイルム及び同手引書研究書)をもらつて、これを都道府県教育委員会その他の公共教育機関配付する責任を負うという。ばからしい話だ、こんなことは。第四番目に、文部省ナトコ映写機による映画上映に際しては、必ずU・S・I・Sフイルム上映することを条件としてナトコ映写機配付する。つまり教育委員会やその他の機関アメリカから提供されたフイルム上映することを条件としてこれを配付する。何だ一体。まるでアメリカ映画下請機関じやないか。特に第五番目の条件のごときは、実に国を売る条件である。文部省は在東京米国大使館映画部に対し、U・S・I・Sフイルムに関する上映月報を引続き提供することを承認する。何だ、文部省アメリカへ毎月月報を出して、一々伺いを立てなければならないというような、こういう条件唯々諾々としてのんでいる。これが一体独立国の、物を無償でもらつた国の文部省が契約する条項でありますか。冷静に考えてもらいたい。あなた方は占領中に二十四年からフイルムをもらつたのでしよう。わが国は二十七年から独立国なつた。占領中のそのままの気持でいられるというところに、私は被占領国の、敗戦国の民と、独立後の役人の頭の切りかえがちつともできていないと思う。どうです。まだこれから言いたいのですが、中間でひとつ御答弁を願つておきます。
  13. 寺中作雄

    寺中政府委員 この寄付の際の覚書に、アメリカ側からの希望条件があるのでありますが、これはこの覚書性質からいたしまして、いわばできるだけこの趣旨に従つてつてもらいたいというくらいの意味希望条件でございまして、ただいまのフイルムを配るということにつきましても、これは向う提供の続く限りということで、実際は今後はほとんどアメリカフイルムは来ないのであります。できるだけ向うフイルムを使うということですが、それもこちらで考えまして、ほんとうに教育上有効なものであると認定いたしたものだけを使う、必要のないものは使わない自由を有するということになつておるのでありまして、その点はそう厳重な拘束力を持つたものではないという話合いになつておるのでございます。
  14. 小林進

    小林(進)委員 向うのU・S・I・Sの提供するフイルムの続く限りということで、続かないから将来は大したはことないのだとあなたはおつしやるが、私どもの恐れているのは続く場合、しかも無制限に続いた場合は、この条項に基いて年百年中やつていなければならない。それが続くか続かないかはお互いの将来の見通しの問題だからという、そんな推理で答弁してもらつては困るのでありまして、この条項に基けば、提供される限りはやらなければならない責任義務をわれわれは背負わされておる。同時にいま一つの問題は、この前も大臣が、何こつちの国情から気に食わないフイルムは映さなくてもいいのだとおつしやつたが、今あなたもそういうよう答弁をされておるわけです。一体どこにその文書がありますか、こつちの責任義務だけは書いてあるが、いやなら映さぬでもよろしいという条項一体どこにありますか、あつたらお見せを願いたい。
  15. 寺中作雄

    寺中政府委員 このフイルムを交換するにつきまして、文部省から地方通牒を出しておりますが、その通牒にも、この映画教育文化的にのみ利用するのであつて営利目的あるいは政治目的のためには使用させないということを出しておるのであります。これはアメリカ側にもよく了解してもらつておるのでありまして、事実今までの運営におきましても、これは少しまずいというようなものは使わない。これは地方権限によりまして、自由にやつて来ておるのであります。その点はアメリカ側も十分了解いたしております。
  16. 小林進

    小林(進)委員 この協定を結ばれた年月日を、ひとつ承つておきたいと思います。
  17. 寺中作雄

    寺中政府委員 昭和二十九年二月の十二日でございます。
  18. 小林進

    小林(進)委員 昭和二十九年二月の十二日にこういうよう協定を結んで、あなた方の考え方からしたら、随喜の涙を流して非常にありがたいような御答弁をされておりますが、われわれの立場では、どうもこういう独立国が、われわれを七年間にわたつて支配したアメリカが、その支配中に彼らがわが日本全国に、支配者占領政策一つとしてやつた映写機、それをそのまま今あなた方は非常に感謝をしてもらつて、また占領中と同じような形で配付するという条項協定をされている。いかに言訳をされようとも、こんなことが独立国国民に及ぼす影響が、あなたの考えられるように、そういういい社会教育の面ばかりに出ておるかどうかということは、もう少し広い視野で考えてもらえば事は明らかだ。何も私はアメリカ植民地政策ということまでは断定はしない、それまで私はひがんで断定はいたしませんけれども、決してプラスの面ばかりじやないと思う。どうですか、こんなものはおやめになる決心がありますか承りたい。断りなさい、そんなものは。
  19. 寺中作雄

    寺中政府委員 これはわれわれの社会教育の、いわば手段としての器材をもらつたということでありまして、それに使うフイルムは、ただいま申し上げておりますように、文部省でも年間四本ないし五本のものをつくりますし、また日本側映画製作者が、年間には相当の教育映画地方に配布いたしまして、これを手段として日本側社会教育をやつておるのでありまして、その意味では非常に有利でもありますので、将来使つて行くことについては、私はむしろそうする方がいいと考えておるのであります。
  20. 小林進

    小林(進)委員 どうもここまで来れば質問の減じやないのでありますから、私はこれ以上この席上で論争するのはやめますけれども、ともかくこういような、われわれを支配した国の支配そのままのシステムを残しておくようなこういうもののもらい方、これは私どもはとうてい了承できないのでありまして、これは今あなたがここでそう言われても、われわれは了承できない。われわれはこれに反対する。どうか同じ教育行政に携わるドイツが、どういうことをやつているか研究してもらいたい。あなた方は非常に下部末端の教職員をいじめることにおいては上手でいらつしやる。その点は独立国の意気に燃えておるが、われわれを支配した大きな権力の前には、いつも一つの気概というものがない。自主性がない。依然としてアメリカ権力のもとにふるえておるという形が、くしくもナトコ映写機及びスピーカー千二百七十五、映字幕千九百三十九、レコードプレーヤー四十七台、ヘスラー幻燈機七百十一台をもらつて随喜の涙を流して喜んでいられるその相貌のうちに現われておる。私は国家教育独立のために慨嘆にたえないのでありますが、この問題はこれで打切りたいと思います。
  21. 高津正道

    高津委員 関連して。社会教育の重要であり、またその領域が、きわめて範囲の広いことを私はよく認識して曲るものでありますが、外国日本にどのよう宣伝行つているか、ソ連もいろいろな文章を配布しておりますし、他の国のも見かけるのでありますが、アメリカ行つているU・SI・Sというものを、あらゆる出版機関とか大きな団体へ提供し、われわれにまでアメリカ宣伝文章ををずつと送つてくれるのでありますが、U・S・I・S以外に、どのような対日宣伝をやつているか、そして今のナトコ映写機その他四分の一にわたるアメリカのものが提供されているということは、社会教育を担当される文部省としても、当の責任者である局長としても、大いに考えなければならないことであると私は思いますが、どのくらいな種類のものがどのくらい出ているか、それからアメリカの対日文化的宣伝文化という名を使つておりますが、文化交流文化的宣伝、そのよう機関はどういうふうになつているか、それらの点をこの際承りたいと思います。
  22. 寺中作雄

    寺中政府委員 アメリカから参りますフイルムは、従来ナトコ映写機に関連しまして、そのフイルムが送られたのでありますが、どのくらいの種類どのくらいの本数ということは、これは今資料を持ちませんけれども、現在は少くとも非常に減つて来ております。またアメリカ以外の、ドイツ、イタリアの教育映画も、これに乗せるということもやつております。友好国である限りは、その点は自由にやつて起ります。種類その他については、今のところ資料を持ち合せておりません。なお、アメリカ文化宣伝のやり方、機構というようお話もございましたが、これに関しましても、こまかい内幕は今のところあまり存じておりません。
  23. 高津正道

    高津委員 アメリカ日本社会教育あるいは日本の民心に影響を及ぼす機構はどうなつておるか。私の今聞いたことは、あの文書です。毎日送つて来るU・S・I・Sの文書ナトコ映写機、そのフイルム、そういうものが今明らかになつておるわけです。まだそのほかに出しておるのかどうか、そういうことを聞いたわけです。ソ連もやつておる。だが、経費まであなたにわからないかもしれないが、アメリカからどういうよう種類のものが入つておるか。それから映画、これは大蔵省外国為替関係で、外国から入るものの中で、アメリカから、西部劇ようなつまらないものまで、六割も七割も入つておるわけです。それが非常な大きな問題で、大蔵省に対して文部省が、社会局文部大臣、そういうようなところから発言をして、これは非常に影響があるから、単なる従来のパーセンテージをそのまま維持することはいけないとか、独立なつた以上はそういう態度で——あなた方は独立と言われますが、そういう態度で臨んでもらいたいと思つておるわけです。だから、もう少し知つてつてもらわなければ、心もとないです。もう少し何か知つているところはないのですか。それをまず承りたい。
  24. 寺中作雄

    寺中政府委員 アメリカ映画とその他の国の映画輸入状況等につきましては、これは大蔵省関係でやつております。その非常に大きな部分がアメリカからのものであるということになつておりますが、これは戦前の実績を大体基礎にしてやつて来ておるのでありまして、これを実際の文化的な価値ということで漸次直して参るということにつきましては、相当必要があると考えまして、関係官庁にはそういう話をいたしておることもあるのであります。しかしこれをあまり厳重にやりますと、また文化的に統制するという感じにもなりますので、そこは徐々に直して行く必要があると考えております。
  25. 高津正道

    高津委員 あまり強腰でやると思想統制というようなことになるので、そう強腰ではない、へつぴり腰か弱腰で関係官庁に交渉しておる、これは私は非常に喜ばしいと思う。弱いところが喜ばしいというのではないが、すでに交渉しておるといえば、大蔵省相手の交渉でありますが、それを非常に喜ぶのであります。だがナトコに返つて、四分の一のフイルムが、延べで年間六億なんという若き無心な子供の頭に、アメリカは強い国だ、アメリカは親切な国だという、われわれからいえばとんでもない宣伝をすることは、無心な児童に非常に影響があることであつて、今のよう協定によつて日本国が負う義務を、行政の局にある人が扱われることは、重大な影響があると思いのです。口を開けば山口県の日記がと言う。わずかに現われたそれをとらえて五十万を律しようとされるのだが、アメリカ思想フイルムを通じて、そういうふうにとうとうと流れ込んでおる。なぜそれを排除する点に力を入れられないのか。きのうも受田新吉委員の、あらゆる邪教が猛威をたくましゆうしておる、その弊害は識者の目に余りあるものがあるという質問に対して、文部省信教の自由に干渉してはいけないから、あれは手放しにしておくのがいいんだこういう答弁文部大臣幾たび幾たびも繰返しておるのでありますが、これに対しては霊友会のような、自由党にどんどん献金する、党の有力者木村に……(「党に献金なんかしていないよ」と呼ぶ者あり)、だから木村個人にと言いなおした。木村保安庁官とかあるいは前大臣ような人が行つて、それに対して激励される。そういう関係があるからこそ信教の自由の名のもとに、そういうものにはどんな弊害があつても、あれは自由だという。フイルムの場合がまた同じように、そこにおいてこそまず全力を集中してそれらの問題を解決する、こういうように考えてもらいたいのだが、そういう問題は閑却して、何ゆえにこれから審議にかかつて来る両法案にだけ力を入れて、こういう方面を閑却しておるか。これは文部省の偏見であり、非常なる怠慢である。日本民族の将来に対して嘆かわしいことである。占領治下、そうしてそれが過ぎ去るつた独立後の時代に、官吏は何をなしておつたか。その時代の政権の担当者あるいは国会議員などを、将来また人民が新たに追放の措置をとらねばならないようなことになるかどうかというくらいな、非常に大きな問題を含んでおるの、であります。この問題を軽く扱わないでいただきたい。アメリカ色日本の若きやわらかな、どんな形にでも細工のできる粘土のよう人たちに、そういうアメリカ思想をとうとうとして流入するようなことを、たつたこの間、一週間か二週間前の協定で、また占領治下国民をくぎづけにするようなことをして、得々としておるか、あるいは内心忸怩たるものがあるか、そこのところは相貌だけでは私にはわかりませんけれども、大きい問題をはらんでおるのだということは認識しなければだめだと私は思うのであります。私の今述べた見解に対する所見を寺中社会教育局長に、また締めくくりとして大達文部大臣の御意見を承りたいと思います。問題はきわめて真剣であります。
  26. 寺中作雄

    寺中政府委員 アメリカ占領行政の継続で、非常にへんぱな教育が行われておる、今後も続けるのはよくないという御意見のようでございますが、最近にいわば譲渡覚書を交換したということは、むしろある意味ではアメリカの羈絆から脱しまして、これを日本側教育全体に使つてもいいという自由を得たというふうにも考えられます。なるほどある意味では希望条件はついておりますけれども、将来はアメリカフイルムもそう来なくなるというようなことを考えますと、これによつてほんとうに日本らしい社会教育をやつて行く一つの契機にもなり得るという意味で、今後はひとつそういう自主的な立場からこの映写機の運営をはかつて行きたい、かように考えておる次第でございまして、その点は皆さん方の御協力を得まして、誤解のないようにしつかりした社会教育をやるように今後努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  27. 大達茂雄

    大達国務大臣 この社会教育に必要な器材を調達するということは、社会教育局としては一つの任務でありまして、寄付を受ける場合もあるし、予算の足らないところにおきましてはこれを考慮する場合もあるのは当然でございます。先ほどから非常に大きな問題のようにかれこれ言われるが、要するに無償寄付を受けた、こういうことでありまして、簡単な問題だと私は思う。その場合に寄付する人がこういうふうな意味でひとつ寄付をしたいということがありますから、そこで文書を交換してその点を明らかにして寄付をもたつた、こういうことでございます。これでアメリカから来る映画ですかフイルムでありますか、そういうものについてわれわれの立場でこれは社会教育上おもしろくない、こう思うものをどうしても上映しなければならないという筋合いのものでないことは自明の理であります。もしそういうことがしばしば押しつけられるということであれば、寄付を断つて返せばいいことでありまして、要するに寄付という言葉の裏に伏せられた寄付者の意見でありますが、それを認めて寄付をもらつた、こういうことに御了承を願いたい。むろんアメリカからこれがために風俗上はなはだおもしろからざる絵やフイルムどんどん送つて来て、それを無理に上映しなければならない、こういうことはありません、これは常識上当然のことであります。それからまた特殊なイデオロギーを盛り込んだような、そういうものを送つて来た場合に——たとえば「ひろしま」という映画がありますが、ああいうような強い片寄つたイデオロギーを含んだ映画ようなものを持つて来た場合、これは社会教育上おもしろくないものでありますから、そういうものを断るのは当然であります。それがもしアメリカ側で不満であれば、その映写機というものを返すだけの話であります。その点が、何か国として非常に大きな義務を負つたのだとか、はなはだしきに至つてはそれがために日本が依然としてアメリカの植民地としての地位を脱却しておらぬのだとか、占領行政がそのまま続いておるのだとかと言われることは、これは常識から考えても無法な言いがかりであります。占領時代にとられた方式が今日別な見地でこれをやられたからといつて、何もおかしくない。日本のあらゆる制度というものはアメリカ占領時代にできたのだ、これがいいか悪いかということは別の問題であります。ただアメリカ占領時代にできたのだから、一切合財廃止をしなければならない、そういう形式のものはかりによくても、そういうことはいけないのだ、こういうことを言われるのは私ははなはだ不可解だと思うのであります。  次には、アメリカから映画フイルムがたくさん入る、そういうものは少しやめたらいい、こういうことでありますが、これはいわゆる出版、言論すべて今日は自由であります。文部省が、アメリカ映画は悪い、思想上、教育上おもしろくないということでこれを制限する立場にはないのであります。御承知の通り昔のような検閲制度というものは今日行われておらぬ。これは国民大衆の良識によつてくだらぬ映画は漸次淘汰される、こういうことになるよりしかたがないのであります。
  28. 高津正道

    高津委員 大事な点の答弁が落ちております。現在日本に吹きまくつておるものは保全旋風であり、また造船旋風でもある。だがまたアメリカ宣伝洪水という旋風があることを忘れてはならない。そうしてこの時代の流れは非常に急速調でありまして、きのうあるいはおとといの新聞はシリアの革命を伝えておりますが、これはエジプトやイランの革命と同じよう性質のものであります。そのように外電は沈み取れるのであります。わが日本もやはり民族はどんどん生長いたして、アメリカ宣伝洪水を批判するようになるに違いないのであります。われわれは洪水に抗してアメリカを現に批判しておるのです。だから終戦後の今の時代アメリカの対日経済政策や対日政治政策、そうして対日文化政策——今は文化政策を論じておりますが、それらの宣伝にひどく協力しておる者は、民族が生長して、世の中がまたかわつて再追放があるということを現代の政治家として考えてみたことがおありですか、どうですか、そういう形にして質問しましよう。そのくらいな反省のない人が政治をやつてつた日本の青年はかわいそうですよ。日本の民族の将来は……。そういうことを考えたことがありますか。
  29. 大達茂雄

    大達国務大臣 アメリカがどういう計画のもとにどういう宣伝をするのか、アメリカの考え方は私どもにはわかりません。しかしアメリカに限らず、文化宣伝その他いろいろの宣伝をするということはむろん考えられるのであります。その場合にこれを私どもでとめて宣伝を押えなければならぬ、こういう立場はないのであります。学校教育におきましては——今は社会教育の問題ですが、つまり一般社会におけるアメリカ宣伝というものがあるとして、これに対する問題でありますが、学校教育の場合はこれはおのずから違うと思います。でありますから、アメリカから来る宣伝あるいはイギリスの宣伝、こういうものをみな押えなければならぬということは、ちよつと私どもはどういう意味かわからぬのであります。それから日々の新聞を見ますと、中共の宣伝ようなものを見受けるし、またアメリカ宣伝と見られるものもある、いろいろある。これは抑えようがない。これをだれかが押えるということになると思想フアツシヨです。  そこで最後にどういう意味かよくわからぬが、世の中がかわるとまたパージがあるかもしれぬということをあらかじめ心得ておるか、こういうようなお尋ねであります。これは私の方からお伺いしないとよくわからないが、あなたは暴力革命か何かを前提にしておつしやるのですか。どういう意味でパージがあるのかよくわかりせん。
  30. 高津正道

    高津委員 暴力革命を最も阻止するのは——大衆の不平不満、生活の窮乏、それらを理解した政治が行われる場合に暴力革命は避けられるのであるが、菅原通濟氏の分類によれば、赤坂の待合にはクラスが四つあるそうであります。その四つの中のいわゆるフアースト・クラス——この中には中川や長谷川などが入るのでありますが、そこで待合政治、待合でいろいろ業者と有力な政治家が会合する、これは予算委員会の論議を繰返すまでもなく、そういう腐敗した政治をやつておれば暴力革命が来るわけなんですよ。これはどこの国の歴史を読んでみても、革命の起る場合は、上層が腐敗し、大衆が苦しんで、専制政治が行われる場合、それに反撥する、これが暴力革命です。だから私は、今のままで推移するならば、われわれの政治勢力が伸びないならば、暴力革命は来ると思います。ただわれわれがこういう方法もつてやれば、これを打開する道は、文明国なるがゆえに、教育が普及しているがゆえに、暴力革命によらずして行く道があるのだという、そういう指導化すれば暴力革命を避け得ることがあるわけであります。しかし暴力革命でなくても、現在の対日経済、政治、文化の諸政策の心酔的な協力者に対しては、再追放をやるという場合は私は考られると思うのであります。そういうことを考えて、日本民族を守るために、アメリカの不当なる影響が児童に及ばないか、社会教育に及ばないか、大きな新聞社に対して外資が導入されるようなことはないか。あるいはマーケット・フアンドというものが今うわさにのぼつておるのでありますが、あの日本が第二次大戦に巻き込まれようとした場合に、スターマーなる辣腕家の外交官が日本にやつて来て、政界から言論界あらゆるところに命をまいて、急速に日本を三国同盟に巻き込んだ事実を私は忘れることができないのであります。それで政治の局に当る者は、横には世界をながめ、縦にはこの時代の流れを見て、そうしてその中間で羅針盤を持つていなければならぬのであつて、このようなやり方では、これはもう一ぺんパージがあれば、自分は第一級の中へはめられるのではないかという、そういう反省などが時として起つて来ることがあるのかないのか。そういう意味ですよ。
  31. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は別にそういうパージが起ると思つたことはありませんが、ただ私は文部大臣として、最もいい文教政治を打立てる、これだけしか考えておりません。またパージであるとか、どうやら変なことになるかもしれぬというようなことを流布するものがあつて、それに脅かされて所信を二、三にするという人もあるかもしれません。私はさようなことはありません。
  32. 小林進

    小林(進)委員 ではこの問題は幾多の疑問を残しながら後日に譲ることにいたしまして、次に私はいろいろの質問を持つておるのでありまするが、時期的に今ただしておかなければならない問題がございますので、私の質問の本論からはややはずれるにおいもありまするが、あえて質問さしていただきます。それは去る二十三日の本会議場でも一応論究せられた問題でございまするが、これはすなわち自由党報に関する問題でございます。自由党報、教職員の政治活動をいかに制限しなければならないか、教員の政治問題特集号という党報を出して、これは巷官伝えるところによれば五百万部といつておるのでありまするが、自由党の院内の事務室へ行けば三百万部と称しておられます。事の真相は知りませんが、三百万部の厖大なものをばらまかれた、政党が政党活動宣伝のための党報をおまきになるのはけつこうでございますが、私のお伺いしたいのは次の点です。すなわち各府県のPTA御中と、こういう名前でPTAあてにこの宣伝党報をお送りになつているのでありまするが、これが一体文部大臣の御見解として、こういうことが正しいか、正しくないか、許されることであるか、許されることでないか、これを私はひとつお尋ねをいたしたいと思うのであります。
  33. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は実情は存じませんが、PTAにあててその文書が送付せられてどこが悪いか、私はわかりません。何もさしつかえないと思つております。
  34. 小林進

    小林(進)委員 どうも大臣は教職員やほかのことに対しては非常によくお知りになつておるが、自分の所属しておる政党の足元のことはよくわからない、こういうようなことは実に言語道断であります。いま少し足元からよく事情調査して、確実な御返答を願いたいと思うのでありますが、それにいたしましても、結論的にPTAに出しても一向さしつかえがないとおつしやるのでありますけれども、このPTAは御承知のように父兄だけではないのであります。教職員が入つておる、これは今日われわれが論ずる問題ではない、やがて来週を期してあらためて御見参申し上げる問題でありますが、教職員の政治活動禁止の重大なる法案をあなたは用意しておられて、教師を政党や政治のそういう一方的な片寄つた教育からこれを守るんだということを言つておりながら、そのあなたの教師あなたの教員へ、あなたの所属する政党が、こういうおそるべき偏狭に満ちた党報を配布しておることを許してよいとおつしやる根拠は一体どこにあるか、私はこれをひとつお伺いしたいのであります。
  35. 大達茂雄

    大達国務大臣 小林さんはそれがどうして悪いかという根拠をお示しください。それでなければ御返事ができないのであります。
  36. 小林進

    小林(進)委員 私を席をかえて大臣にしていただきますならば、私はいつでも御答弁申し上げる、私が文部大臣立場でございますれば——もし何でございましたら、きようにでも大臣をおやめになつて、そうして私をかわりにさしていただくなら、私は喜んで御答弁申し上げます。今日は私は答弁をする立場ではない、質問する立場でありますから、どうぞいま少し御親切に……。
  37. 大達茂雄

    大達国務大臣 教職員に対して政治的な意見を伝える、これは何もさしつかえないことであります。どこにもさようなことを禁止した規定はありません。
  38. 小林進

    小林(進)委員 これは将来とも重大な証言になると思いますから、特に速記者諸君は漏れなく速記願います。そこで次にお伺いしたいことは、今の党報の問題でありますが、地方教育委員会を通じてこれを扱わせておるという問題であります。地方教育委員会の事務機構を通じてこの党報を配布せしめて、一体地方教育委員会の事務局が、こうした政党の連絡機関となることが妥当であるかどうか、これをお伺いいたしたいと思うのであります。
  39. 大達茂雄

    大達国務大臣 どういう形式でその文書が発送せられたか、それは私は存じません。まさか地方教育委員会にこれを配布せよ、こう命じたことではないだろうと思います。かりにそういうことを頼んで参りましても、これは頼んだのでありますから、それをいやならしなければよろしい、よく手紙に何とか気付とか、文部省気付とか、それからあて名のところへお届けを願いますとか、これは世間普通にあることであります。これは私は知りませんよ、教育委員会にどういうふうに手紙を出されたのか知りませんが、今お話の限りにおいては、別にこれも世間普通のことであります。何も目を怒らして言うほどのことではないと思います。
  40. 小林進

    小林(進)委員 実に大臣は不見識きわまる答弁をされておるのであります。こういうふうな一つの政党の宣伝文章教育委員会の事務局を通じて配布せられておるのを、調査もせられないで答弁をされておるということは、実に不見識きわまる、特にきようの新聞あたりによれば——これを読み上げましよう。二月二十六日朝日新聞「自由党報の回収始む、各地の教委や教組で、自由党報の学校あての配布について各地の教組では配布先など、調査、抗議しているが、一部では党報の回収をはじめている。新潟市教委事務局では二十四日、同事務局から各校に配つた党報を回収、党から各校に直送された分については党本部へ返送するよう通知した。」次は、「八王子市教育長は、二十五日同市教組に対し「機関紙を配布したことは明らかに誤りだつた」と陳謝、同事務局が同日各校から党報を回収した。」「福島県教組では県下各支部を通じて同党報を回収するとともに、法案の資料を配つて対抗措置に、乗り出した。」以下まだ二・三件の情報が載せられておるのでありますが、これで少くとも党報が教育長なり教育委員会の事務局を通じて、配布せられていることは明らかだ。どういう形で配布を命じたか、どういう指令が飛んだか、大臣がわからなければその係の担当官にひとつお伺いをいたしたい。
  41. 大達茂雄

    大達国務大臣 こういう問題についての係の担当官というものはありません。これは党のことでありますから、私は実情をよく知りませんが、その新聞記事は私も見ました。個々の場合における実情は全然存じませんが、私の想像では、県教組あたりが非常にやかましくこれを違法であるかのごとくにどなり込んで来たから、めんどうだから回収したのだろう、こういうふうに思つて私は読んだのであります。なおしきりにそれをおつしやるが、現に日教組あるいは県教組は、非常にたくさんの反対ビラをつくつて、これを教員諸君のとこへどんどん送つております。政治的な意見を教員の方にまわしております。だから教員に向つて政治的意見を述べたからといつて、これが悪いということにはならない。ことにPTA方面については、子供にみなそのビラを持たして父兄なり近所に配らせいるということも、しばしば聞いていることであります。
  42. 小林進

    小林(進)委員 大達さんの頭が非常に固定退化して時代ずれをしていることを、今の御答弁が明らかに証明いたしておると私は思うのでございまして、日教組の諸君がその内容がいい悪いは別でありますが、悪いものは教育立場から大いに指弾しなければならない場合があるだろうと思うけれども、教組の教員が、自分の組合として組合員に組合のビラを配布し、宣伝ポスターを配布することが、なぜ悪いのでありますか。たとえば農民組合では、その組合の組合員から組合費をとつております。とつているから、資料その他を配布するのはあたりまえだ。組合費をとりながら、資料も何も配布しなければ不当な組合費のとり方であるといつて非難されてもしかたがない。各人が負担する組合費に基いて資料を整え、ポスターを整えて末端に配布するのに何が悪いか。その問題とこの問題は違う。自由党という党が、自分の支配下でもなければ組合でもない、自分の統制機関でもない、教育委員会という中立機関、すなわち自由党とは何らの関係もない、真に中立なるべき民衆から選び出されて構成しているこの教育委員会に、一党の宣伝ポスター・宣伝ビラを持ち込んで、それを配布せしめるということと、日教組がその組織に流すものとは大いに違いがあるのであります。一体これがほんとうに不当じやない、将来ともやつてよろしいという御見解であるのかどうか、いま一度明確に私は伺いたいのであります。
  43. 大達茂雄

    大達国務大臣 自由党が県の教育委員会に対してこれを配布せよという権限はありません。命ずる力もないのであります。これは当然なことであります。
  44. 小林進

    小林(進)委員 まだこの問題は幾多の疑問が残つておるのでありますが、その点について私はいま一応お伺いしたい。今度は配られた党報の内容の問題であります。この内容はいろいろあります。実に子供だましのような、どうも頭の悪いやつが書いたとみえて、なつておらぬ文章でありますが、その一節をとりましても、「これでは全く現在の中、小学校の教員というのは共産党の宣伝隊であり、職員室は共産党の出張所だ」こういうことを書いておるのでありますが、文部大臣はこれをどう考えるか。文部大臣、ひとつあなたの所属する政党などという考えを忘れて、教育者の立場から私はお答えを願いたいと思う。こういうことを書いて各委員会にまわしてよろしゆうございますか。この文章は穏当な文章だと一体お考えになりますか、伺いたいと思います。
  45. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は反対の意見、賛成の意見——この法律案をめぐつての意見の内容がいいとか悪いとか、あるいは違つておるとか何とかいうことは言いません。私はそれについていい悪いを言う立場じやありません。しかし正常の意見を人に伝えるということは、これはあたりまえであります。ですから、もしその点がいけないとか、抗議でも申し込うというのならば、これは自由党の方にやつていただきたい。
  46. 小林進

    小林(進)委員 私は大臣とけんかしているのじやないのであります。こういうようなポスターが今あなたの所属している政党から、教育委員会という中立機関を通じて教職員に配付せられていることが、日本教育行政をつかさどつておるその責任行政官の長として、一体どういう見解をお持ちになつておるかということを私は聞いておるのであります。
  47. 大達茂雄

    大達国務大臣 文部大臣としては、配付せられた、政治的な意見を述べた文書がいいか悪いかを判断をして、そういう文書配付してはならぬとか、こういう文書ならばよろしいとか言う、そういう立場は全然ないのであります。そこで私はなるほど自由党に所属はしております。しかし党の執行機間でありませんから、それがどういうかつこうでどこへ送り届られて、その内容についてどうであるとかいうならば、これは党の方にお聞きください、こう申し上げたのであります。
  48. 小林進

    小林(進)委員 これはきよう私が論ずる問題ではないのであります。私はあなたのおつくりになつたあの教職員の政治活動禁止法に基いて来週大いに論陣を張るつもりであつたのでありますけれども、今のそのお言葉を聞いておると、どうも私は了承できないからちよびつとだけ出してお尋ねをするのであります。あなたが教員の政治活動禁止法をつくる最大の理由とするところは、教職員のすわり込みと山口県の日記帳の問題でございましよう。その日記に盛られておる内容と、ここに明確に示されたこの文章一体どつちが偏狭でありへんぱであるかという比較対照を私はお尋ねしておるのです。いま一回申し上げますけれども、「これでは全く現在の中、小学校の教員というのは共産党の宣伝隊であり、職員は共産党の出張所だ」ということを言つておる。五十万の教職員が全部共産党の宣伝隊であり、五十万の教職員がおりますこの職員室は全部共産党の出張所だというような、こういう文書は、これくらいデマゴギーに満ちた、これくらい悪質な、これくらいへんぱな主張が一体どこにあるか。それに対して文部大臣はそんなことは干与する立場じやない、私の意見はない、意見があつたら党へ行つて言えと言う。それならばなぜ山口県の日記なり、あるいは「冬の友」の問題に対して、あなたはそういう主張をなさらないのか。自分が一方的に取締るような方面に対しては、これほど熾烈なる悪罵悪評を無視し、文部大臣の地位を忘れて、内務大臣か特高の隊長にでもなつような気持で人を縛るようなことばかり考えて、自分の所属する政党の問題になつたら、そして五十万の教職員が全部共産党の宣伝隊であると言われても、またそういう文書があつても、それに対して一言も意見がないということは、一体公正なる文部大臣立場であるかどうか、これを伺いたい。
  49. 大達茂雄

    大達国務大臣 小学生日記は子供を教育するための教材としてつくられたものであります。自由党報というものが教材として学校で使用される、こういうことになればそれは問題です。けれども私はかねてからはつきり言つておるように、個々の教職員が共産党員であろうとも、それに対してかれこれ言う筋はない。ただ子供にやられるのは困る、こういつておるのです。今の小学生日記は子供を相手にする教材としての問題であります。つまり教育内容に関するものであります。自由党報は何も教育関係ないじやありませんか。
  50. 小林信一

    小林(信)委員 委員長は私のきよう質問をあとへまわせというお話なんですが、あとへまわすことを確約していただけますか。
  51. 辻寛一

    辻委員長 また適当な機会がありますればということです。
  52. 小林信一

    小林(信)委員 適当な機会がなければだめですか。
  53. 辻寛一

    辻委員長 そういうふうに御了承願いたいと思います。なるべく適当な機会をつくろうと思つております。
  54. 小林信一

    小林(信)委員 そうすると、私を承諾させる場合に、それをもつとはつきりしてくれなければ、私としては簡単に承諾できないわけです。お使いの方は必ず次の機会をみつけてやつてくれるというから私は承諾したのですが……。
  55. 辻寛一

    辻委員長 その点ちよつと行き違いがあります。
  56. 小林信一

    小林(信)委員 それじやもう一ぺん交渉してください。  関連の点だけ質問いたしますが、これは私たちが大臣に申し上げるようなことじやないと思うのです。しかし今お聞きしておりますと、私のようなものが大臣に申し上げなければならぬような気持に迫られてお話申し上げるのですが、今回の法律は、悪いところがあるから取締るのだといえばそれまでなんですが、一般の人にもそれから教職員にも、もちろん与える影響は非常に大きいと私は思うのです。これは政治の特別な力で押えつけるとか、あるいは便宜的に措置するというふうな印象を決して与えてはいけないと思うのです。いずれその内容については今から審議するのですが、その手始めとして、一番責任を持つておられるのは大臣だと思うのです。それは行政官としての文部大臣でもあり、あるいは人間大達さんという立場も、やはり世間は注目すると思うのです。大臣の素行はごりつぱなものだと思いますが、もし大臣の素行に少しの欠点でもあれば、ほかの法律はとにかくとして、この問題に限つては、それが法律の尊厳性を欠くくらいに私は心配しておるのです。ましてあなたは政党人でもある。従つて政党人としての責任も十分考えて、この法律の取扱いに対処していただかなければならぬと思つておりますが、ほんとうに私見でございますが、大臣はいかがお考えになりますか。こういう気持で私たちも取り扱つて行きたいし、大臣にもそういうことを願うわけなんですが、今のお話を聞いておりますと、何かもうすでに挑戦的にかかつて来るような気持がして非常に遺憾なんですが、明後日から始められる審議にあたつて、非常に心配を感ずるものです。  今のお話の二、三を申し上げれば、小林君が、自由党の党としてやつておる事柄に対して遺憾の点があるんじやないかという御質問に対しまして、日教組がやつているじやないかという。日教組と大自由党とを同等に見られるのは、政党人として非常に遺憾な点があるんじないか、こういうふうな感を持つものでございます。やはりもつと超越した、ほんとうに政治を担当する立場に立つて言動を慎しんだらどうかと私は思うのです。  それから大臣は政党人であるかもしれませんけれども、この法律に対しましてはとかく批判があります。教育の中立性を言うのだ、しかし一つの政党がかかることが中立性であるという場合に、それがその党の色彩を持つた中立性になるおそれがないかということすら言われることがあるのですから、そういう点は大臣としてもほんとうに中立的な立場に立つて行かなければいけないと思うのですが、今のような御答弁を聞いておりますと、そういう点が非常に残念なような気持がするわけです。それで今小林君がお伺いしました、自由党報が教育委員会の協議会を通して配られたことに対しまして、大臣としてはいささかもこれは問題でないというふうなお考えですが、法的に考えて理は通りましても、実際に受ける感じというものは、私はそうではないと思うのですが、大臣はこれに対しては、ただいま御答弁なさつたように何ら問題はないとお考えになりますか。そういうことはしない方がいいとお考えになるのか。もう一ぺん私にも御答弁願いたいと思います。
  57. 大達茂雄

    大達国務大臣 私はどういうふうにしてこれが配られたものであるかということは、先ほど申し上げますように実はほんとうに承知しないのです。協議会というものに自由党が何か話をされて、そして配付の便宜を頼まれたということも知らない。今あなたが言われたので、なるほど協議会にも頼んだかということがわかつたのでありまして、知らないのであります。しかしそれは普通の場合でも、役所に行つても、これをひとつ配つてもらいたいということはありますから、そのこと自体をそう悪いというふうにきめつけることはできないと思います。それでなるほど法案に反対する立場の人から見ると、非常にけしからぬ文書というふうにお考えになるかもしれません。しかしこの文書が非常に不届きなものであると思う程度は、その立場によつて非常に違うだろうと私は思う。ですから、この文書は悪い文書だ、だから協議会を通して頼んだのは不都合だというふうに割切つては話ができないのではないかと思います。いずれにしましても、こういうことはよくないことだということを文部大臣立場において断定するということはできないと思うのです。  それから私の態度を非常に不謹慎だということを言われますが、その点は非常に失礼にわたつてつたかもしれません。ただこういうことを言うとはなはだ申訳ないのでありますが、私どもから見ると、言いがかりのようなことで非常にしつこく言われる、その点はお互いにあまり無理なことのないようにして行きたいと思います。それからこの法律案関係して私の素行がどうとかこうとか言われますが、私の素行と何も関係ないことであります。
  58. 小林信一

    小林(信)委員 一番最後の素行問題ですが、大臣に悪い印象を与えてはいけないからもう一ぺん言い直しますが、大臣には決してそういうことはないと思います。でなければ文部大臣という職をいくら吉田さんが何ぼ何でも与えなかつたと思います。だがもし素行が世間から批判されるようなことが多少でもあれば、この法律というものはすぐ誤解を受けるもとになるという懸念も持つから、そういうところまで用心して慎重にやつていただきたい。ですから私がお願いしたのは、素行のことよりも今のよう言葉の問題なんです。  そこで大臣は私の質問にはお答えにならない。内容をいいとか悪いとかを今ここで言つておるのではない。たとい自由党の主張されることが国民に十分納得が行く正しいものであつたとしても、教育委員会というものが将来これに対してどういう立場に立つかということを考え、そうして将来の教育はこの教育委員会と教員との間にどんな問題が起るかということを考えたときに、教育委員会を通して一つの党がああいうものを配るということは、大臣としてはやはり何とも言えないというのか、好ましくないとお考えになるか、私はそこをお聞きしたのです。というのは、これは私、別に作為的に言いがかりをつけるとかなんとかいうことでなくて、昨晩都下の教育委員会委員長さんをしておる人が、たまたま話がこのことにわたつたときに、おれのところでは実は自由党の方から頼まれたけれども、どうもはたして配つていいかどうかわからなかつたから配らなかつた、ところが八王子では配つて失敗したという話を聞いたのです。別に私は言いがかりをつくろうとして考えたことではないのです。事実そういうことを聞いたわけです。それからこの問題の事前にお互いにいろいろな戦闘が開始されているけれども、かえつてあまり冷静さを一般に欠かせるようなことがあつちやいけない、こういうことを私はしよつちゆう考えておつたのですから、これは少し行き過ぎではないか、そういう場合に私は先ほど申しましたように、文部大臣という行政官であるかもしれぬけれども、また自由党の党員でもある、こういう点からこの際大臣にはそういうことはよくないのだというお考えがあつたなら、それを私は聞きたい、こういう言うに申し上げたのであります。言いがかりをつけようなんということは毛頭ないわけであります。そこでその点で御答弁をもう一ぺんお願いいたします。
  59. 大達茂雄

    大達国務大臣 言いがかりということは言葉のあや、はずみでありますが、あなたの言いがかりと言われることを言いがかりで育つたわけではないのです。あなたに対してはさつき答弁したのが初めてですから。他の場合の委員のお方の質問に対する私の答弁について批判されたものだと思うのです。でありますからあなたについて言つたわけではありませんから、それはひとつ誤解のないようにお願いしたいと思います。  そこで教育委員会を通じてすることがいいか悪いかという……(小林(信)委員「いいとか悪いとかいうよりも好ましいか好ましくないかということです」と呼ぶ)同じことでありますが、これが法律に違反しているとかなんとかいう問題でないことは明瞭です。ただどういう事情でそういうことになつたか、その間の事情は私は知らないのです。知らないのですが、しかしそれはそう問題になるようならほかの方法をとつた方がよかつたのではないかと思うのです。
  60. 小林信一

    小林(信)委員 そういう大臣の気持は、大体わかりました。私の言うよう答弁をすることは何か恥辱と考えておるかのような考えです。そこに大臣はどうも最近何かこの法案を通すのに根性が小さくなつているような気がするのです。だから今のようなお気持でありながら、大自由党と日教組という小さなその団体を比較して、日教組がやつているから自由党がやつてもいいじやないかというような……(発言する者多く、議場騒然)私は今のような御態度であるならば、先ほど申しましたように、あなたは政党人でもある、先ほど政党の幹部に行つて話して来いと言つたのですが、文部大臣をしておるあなたが、こういうふうな問題を重要視するならば、なぜあなたが行つて自由党に交渉しないのか、この事態重大なときに、いたずらに誤解を招くことはいけない、こういう態度が私はほしいのでございますが、やはり先ほど小林君が尋ねたように、そのことは自由党に行つて話してくれという態度で終始しますか。
  61. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は別に自由党と日教組と対照して言つたという意味ではないのです。この問題について自由党から賛成の意見が地方配付された、それに先だつて日教組からも反対の意見が配付された、こういう関係で、いずれの場合でもさしつかえないのだ、教職員に対して配付せられた、これを子供に教えるということになれば別ですが、さしつかえない、こういうことを言つたわけであります。何もそれを引合いに出していや味を言つたというわけではありません、そこは誤解のないようにしていただきたいと思います。(小林(信)委員「最近大臣にそれが多いですよ」。と呼ぶ)それはそつちの方でいや味を言うから……。それで今のような点も、私は今文部大臣として答弁しておりますから、自由党の立場文部大臣立場を紛淆したくないのです。なるほどそれは教育委員会に頼んだということが好ましいことであるかないか、これは人によつて判断がありましよう。また学校の先生たちがPTAにその宣伝ビラを配るのに、子供に持たして家庭に配付するということにも批判の余地がある。人において意見があろうと思う。しかし私はそれを一々けしからぬ、こういつて文句を言つて行くべき立場ではない、こう思います。
  62. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 今両小林君の質問について文部大臣はきわめて御親切な御答弁がありました。今の自由党の党報の配付はもちろん法律違反ではない。それから今のいろいろな行政上の処置については違反でもない。従つてそれをとめることはできない、文句があれば自由党の本部に行け、これはちよつとりくつが通つたように思われる。それを今度逆に共産党がアカハタを、それには吉田内閣の汚職事件等をでかでかと書いた、日本の革命らしい——これも法規が許す範囲内のことが書いてあつて、それを毎たび毎たび配られて、それを読んだ、そのものだけではただちにどうこうと思われないが、たびたびそれを繰返すときには、日本国民思想はどうなるかということは思いあたるところがあろうと思う。それを今大達文部大臣はどういうことがあつても、それは言論出版物の配付等の法規に反していないから当然なことだと、お見のがしになるつもりなのかどうか、これがまた教育上よろしいとお考えになるかどうか、これをまず第一にお聞かせ願いたい。
  63. 大達茂雄

    大達国務大臣 私の申し上げたのは、共産党の場合でも同じことでございます。これは合法政党である限り、その党の主張する政治上の意見を国民としての教職員に演説をしても、あるいは文書を配つても、それはさしつかえないのであります。私はこれをことに文部大臣立場でけしからぬとか、いかぬとかいうことは、明らかに言論の自由に対する干渉であります。私が言うのは、子供に教えるのは困る、こういうことを言つておる、これを言つておるのでありまして、この場合において共産党の考え方を子供に教え込むのは困るし、また自由党なら自由党というものだけを子供に教え込むのも困る、こう言つておるのであります。
  64. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 私は子供に教えるとか、教えぬとかいうことを聞いているのではない。その答弁は私には不必要なんです。ただこういうことで教育界の風潮がよくなつて行くかどうかということです。今の党報は私は精細に読んでおりませんから、どのくらいの弊害のあるものかわかりませんが、そう大して弊害のない時代は私も見のがしてもいいと思うのです。だんだんそれが高じて参りますると、見のがせぬことにならう思うのであります。ところが自由党には寛大な手続等の処置をとり、また批判等もきわめて好意ある批判をなさつたのが、共産党へは竣烈な批判を行つたというのでは、文部大臣は済まないと思う。これが合法政党であるという限りは……。それで教育界にはあまり政党の機関紙等は入らぬ方がいいのじやないかと私は思うのです。ほかの啓蒙運動、文化運動等においてならば、それはいろいろなごまかしものがあるかもわからぬけれども、そういう形で、自由党がこういうパンフレツトのようなものを出したとかいうようなことであればいいが、堂々と党の機関紙等を、ことに教育委員会あるいは学校の校長というような、一種の教育関係の公職を持つ者の手を通じて配付するということになりますると、これは悪いと思う。それがその人の手元に行くだけなら、また内容弊害にならぬ時代のおいてはいいのでありますが、それはものの見方でありまして、主観的な人世観の上に立つ問題は、いいと思われる時代はいいが、そうではないと思うのであります。私は自由党の機関紙についてはいろいろ主観的な批判はいたしませんが、一党一派のことをやれば、やはり共産党もやるということになつて、それを見のがすということになろうと思う。これは合法政党とは言いながら、壁際において今の教育界のためにいいことではない。むしろ自由党畑の出身の大臣としては、できるだけそういうことはやめてもらいたい、そういうことは望ましくない、自分の味方である党の君らがそういうことをやれば、ほかのものに批判を加えられないようになるから、どちらかというと、あまり出しや張つたようなことはやらぬようにしてもらいたいということくらいは、むしろ公平な態度で言うことが、今度の法案等を出すような場合、大臣にとつていいのではないかと思うが、御所見をお伺いしたい。
  65. 大達茂雄

    大達国務大臣 いろいろ勧告をいただきましたけれども、私の考え方は、先ほど申し上げた通りであります。
  66. 小林進

    小林(進)委員 今の質問を通じて、さつきの小林信一君への回答に、大臣は何かいやがらせをやつている。私は小林信一君への御答弁だと思つたら、はからざりき私の方に向つている。質問している人に答えないで、他に答えるということは、文部大臣としてははなはだ不謹慎きわまる答弁の仕方だと思う。しかも私どもがここで質問をしていることを、単なるいやがらせでやつているというふうにお考えになることは、ここにも文部大臣時代がかつた古い考え方がある。これは文部大臣は、戦争中いわゆる勤労者と無産階級の代表者は十五名か二十名ちよぼちよぼといたきりで、民政党と政友会と同じ資本主義の基盤に立つた連中が、いわば論理とりくつをもてあそんでおつたような、しかも天皇制が強い、官僚が強い、国会議員なんかの宮中席次は、そこにおられる課長あたりと同列できめられていた、あなたはそういう国会しか知らぬから、そんなばかなことをおつしやる。しかし今日の国会はもはやその勢力は半々なんである。当時雑草のように置き去られた勤労大衆の代表の一人として私はここに来ている。いやがらせなんか言つてつたら、われわれは当選できませんよ。少くともわれわれのうしろには大衆がついている。大衆の承認しないよう質問を、いやがらせをやつていたら、あなたに批判を受ける前に、国民から批判を受ける、私ども国民の声を、働く大衆の声をここで叫んでおるのだから単なるいやがらせだというふうに考えることは時代がかつた大臣の考え方であり、民主政治に対する大臣の常識を疑わざるを得ない。そういうような感覚はやめてもらわなければならない。私に批判する前に、私が批判する。その御答弁は私の方で返上申し上げる。お取消し願いたい。  次に私は今の問題に関連して質問したい。これは教育一般行政の問題であります。自由党報の問題が出ましたが、現にあなたが所属しておられる現内閣、それがひな壇に並んでおられる。このひな壇の大臣の中で、これは文部大臣にお聞きするが、石井運輸大臣、大野国務大臣が、予算委員会における中曽根氏の質問によると、造船疑獄にからんで百万円ずつもらつている。中曽根康弘君は、政治家の生命をかけて大臣質問申し上げるということで、両大臣はその言い訳に立たなければならぬというような形が現われているんです。そのわきにすわつている福永官房長官はどうだ。私が言うまでもなく、選挙違反を犯している。その事務長は刑務所で首をくくり、舌をかんで死んだ。そういう方たが……〔「いやがらせは、よせ」と呼ぶ者あり〕いやがらせではない。官房長官はしている。また外務大臣はどうか。選挙違反をやつている。〔「それは質問か」と呼ぶ者あり〕質問であります。   〔「それが質問か」「いやがらせはよせ」と呼び、その他発言する者多し〕
  67. 辻寛一

    辻委員長 静粛に願います。
  68. 小林進

    小林(進)委員 外務大臣は選挙違反をした。六百名から八百名の連中を買収、饗応したとかしないとか、民主政治の根底をくつがえすような大きな選挙違反で、国民の疑義を受けているのだ。その隣におられる保安庁長官の木村さんはどうか。きのうもこの席でしばしば答えたように、霊友会などというインチキ宗教団体と関係して、日比谷公会堂まで出かけて行つて木村長官が霊友会のちようちん持ちの演説をぶつた。しかも弁護料に該当しない政治献金のようなものをもらつて、脱税している。そういう方である。また犬養国務大臣はどうか。一月十五日には山下汽船の横田氏がああやつて特捜部に出頭を命ぜられている。その二日前の十三日、疑惑を生んでいる料亭中川へ造船疑獄に関係ある横田氏と一緒に行つている。何で行つたかと言つたら、中川へまんじゆうを買いに行つた。時の法務大臣が料亭にまんじゆうを買いに行つた。そして造船疑獄の中心にいる横田何がしと一緒の部屋にいるという。大臣、いいですか、こういう具体的な非違や事実、民主政治の根底をつくがえすような恐るべきこういう連中が、一人ならず、二人ならず、三人ならず、四人ならず五人も六人も含まれているこの内閣の文部大臣として、これがはたして国民教育影響がないかどうか、文部大臣の御所見を承りたいのであります。
  69. 大達茂雄

    大達国務大臣 いやがらせという言葉は、法律上の言葉でありませんから、はつきりした定義がありません。人によつてそれを解釈する意味が違いましよう。私は、いやがらせというのは、ただいまあなたのおつしやつたようなことがいやがらせだと思います。
  70. 辻寛一

    辻委員長 小林君、文部行政に関する件が議題になつているのですから、どうぞはずれないように……。   〔「国会議員としてそんながらの悪い質問を黙つて聞いておれるか、やめろ」と呼び、その他発言する者多し〕
  71. 小林進

    小林(進)委員 何を言うか。——委員長、静粛にさせなさい。
  72. 辻寛一

    辻委員長 静粛に願います。
  73. 小林進

    小林(進)委員 これは二月の十九日参議院の文部委員会で一応質問が繰返された問題であります。二月二十四日にはこの文部委員会でわれわれの同僚野原委員によつて質問された問題でありまするが、被疑の点がまだ明らかになつておりませんので、高津議員、野原委員質問と重復しない程度で承りたいと思うのであります。それは教育の中立性が保持されていない事前の調査についてという、文部省でいわば親展づきで調査された問題についてお伺いいたしたいのであります。
  74. 辻寛一

    辻委員長 小林君、速記をとめて御相談したいのですが……。ちよつと速記をとめて。   〔速記中止〕
  75. 辻寛一

    辻委員長 速記を始めてください。  本日はこの程度で散会いたします。    午後五時六分散会