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1954-02-23 第19回国会 衆議院 文部委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十三日(火曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 辻  寛一君    理事 相川 勝六君 理事 伊藤 郷一君    理事 田中 久雄君 理事 松平 忠久君       熊谷 憲一君    世耕 弘一君       竹尾  弌君    根本龍太郎君       山中 貞則君    亘  四郎君       町村 金五君    高津 正道君       辻原 弘市君    山崎 始男君       小林  進君    前田榮之助君       松田竹千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 大達 茂雄君  出席政府委員         文部事務官         (初等中学教育         局長)     緒方 信一君         文部事務官         (大学学術局         長)      稲田 清助君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君  委員外出席者         専  門  員 石井  勗君        専  門  員 横田重左衛門君     ――――――――――――― 二月二十日  私学恩給財団国庫補助金増額に関する請願(  塚原敏郎紹介)(第一九四四号)  同(江藤夏雄紹介)(第一九四五号)  同(大西禎男紹介)(第一九四六号)  同(高橋等紹介)(第一九四七号)  学校給食法制定等に関する請願大橋武夫君紹  介)(第一九四八号)  公立学校建物及び校地災害復旧に関する請願(  大石ヨシエ紹介)(第一九四九号)  公立施設費国庫補助に関する請願只野直三郎  君紹介)(第一九五〇号)  幼稚園教育振興に関する請願野原覺君外七十  一名紹介)(第一九五一号) 同月二十二日  教育委員会制度廃止に関する請願(片島港君紹  介)(第二一三〇号)  花岡町所在小学校増築費国庫補助増学に関する  請願石田博英紹介)(第二一三一号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十日  義務教育費国庫負担法完全実施に関する陳情書  (第八九三  号)  同(第  八九四号)  同(第八九  五号)  同(第八九六  号)  同  (第八九七号)  教職員給与引上げ等に関する陳情書外四件  (  第八九八号)  同  (第八九九号)  同  (第九〇〇号)  同外二件  (第九〇一号)  同外二件  (第九〇二号)  町村教育委員会廃止に関する陳情書  (第九〇三号)  六・三制教育施設拡充改善に関する陳情書  (第九  〇四号)  校舎増築の財源として都市に対する特別国庫補  助等に関する陳情書  (第九〇五号)  小学校教育振興等に関する陳情書外十九件  (第九〇  六号)  岐阜県冷害り災児童生徒救済に関する陳情書  (第九〇七号)  青年学級に対する国庫補助増額陳情書  (第  九〇八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  文部行政に関する件
  2. 辻寛一

    辻委員長 これより会議を開きます。  文部行政に関する件を議題とし、前会に引続き文部大臣に対する質疑を行います。町村金五君。
  3. 町村金五

    町村委員 数日前の新聞によりますると、北海道中小学校の約四千余校全部、それから一部の高等学校が去る十八日に一斎に休校をいたしまして、教育防衛職員会議というものを開いたと伝えておるのであります。これは、北海道教職員組合教員定員増加を要求しておつたのでありますが、知事並びに道教育委委員会がこれをいれなかつた結果であるといわれておるのであります。いずれにいたしましても教職員組合の一本の指令によりまして、約三万人有余の教職員が職場を捨て、九十三万人に上ります児童授業が事実上不可能になつたということは、まことににゆゆしい問題であると思うのでありす。文部省はこれらの事態につきまして、どういう状態であつたか、またその原因がはたして新聞の伝えておるがごときものであるかどうか、さような点について御承知になつておりますればお伺いをいたしたいと思うのであります。  いずれにいたしましても、私はこの休校措置は明らかに違法の行動であつたと思いまするが、文部省はこれに対して今後いかなる措置を講ぜられるおつもりであるか伺いたいのであります。  なおまた、今後かよう事態の頻発することが、今日の場合むしろ予想せられるのであります。文部省は一斎休校というよう不祥事を防遏するために今後どういうよう対策をもつてこれにお臨みになるのですか、この点も伺いたいと思うのであります。
  4. 大達茂雄

    大達国務大臣 北海道小中学校休校問題、これは新聞に出ておりますが、文部省としても今実情調査しております。しかしその詳細についてはまだ不明であります。従つてこの具体的な問題に対する確定的な見解を申し述べることは早きに失すると思うであります。しかし新聞報道するところによりまして、かりにこれを事実としてそれについて文部省考えを申し上げたいと思います。  まず新聞報道を総合しますと、北海道教職員組合は、教員定員増加要求がいれられなかつたことを不服として、十八日に北海道教育委員会に対し、再び知事と交渉を行うように申入れをすると同時に、組合員に対し教育防衛職員会を開くよう指令をしております。この指令に基いて十八日に全道小中学校一斎に教育防衛委員会議を開いた、それがために事実上休校をすることになつた、こういうふうに報道されておると思います。この報道を基礎としての私ども考え方を申し上げますと、第一に、職員会議を開くことによつて事実上学校休校することになるということを承知の上で職員会議を催したこの教職員法律上の責任の問題であります。この行為は、地方公務員法第三十七条に規定しておる怠業的行為に該当するおそれのあるものと考えるのであります。もちろん実情をつぶさに調べなければ断定的のことは申し上げられぬと思いますけれども、少くともそのおそれがあるものと解釈されるのであります。従いまして、もしこれが地方公務員法第二十九条の懲戒事由に該当する場合には、当該市町村教育委員会懲戒事由に該当する職員を免職または懲戒処分することができると思います。それからこれらの違法争議行為を企てたり、あるいはまたその遂行を共謀したり、そそのかし、もしくはあおつたりした者の法的責任は、これまた地方公務法第三十七条及び六十一条四号の規定によりまして、三年以下の懲役または十万円以下の罰金の刑に処することができることになつておるのであります。それからなおまた、ある新聞によりますと、地区ごと連合校長会議を開きまして、休校の方針を決定したというようなことが報道されておりますが、はたしてその通りの事実であるとすれば、校長はかような違法の休校を決定する権限は持つていないと思つております。すなわち学校教育法によれば、校長臨時休校のできるのは、大火、洪水等非常変災の場合であります。今度のような場合に臨時休校をすることはできないというのが、通常私ども考えておるところであります。もつとも委員会規則で特別な規定があればこれは別であります。これがそういう事実に該当しておるとすれば、校長地方公務員法によつて懲戒処分に付せられるべき事由に相当する、かよう考えております。  なお、文部省としましては、ただいま申し上げますように、事態についての調査をしております。その調査の結果確実な実情が把握できますれば、それについて文部省としてのこの場合に関する指導と申しますか、教育委員会方面文部省の意向の中入れをしたい、こう思つております。
  5. 町村金五

    町村委員 文部省としてはまだ詳細な報告が来ていないので、的確なことが言えないというお話でありますが、実はこれも私は新聞承知をいたしておることでありますから、あるいは的確な情報でないかもしれません。一月か二月ほど前であつたかと思うのでありますが、岩手県におきましてもほぼ同様な事態があつたかのように実は承知をいたしておるのであります。こういうようないわば教職員が全県一斉に教場を捨てて参るということは、まことに残念なことであります。もちろんかようなことが起りますのには、いろいろそういうふうに至りますまでの事情もございましようし、また教職員にしてみれば、やむにやまれざるものがあつてつたということは、もちろんわれわれも深くこれを了承いたさなければならぬと思いますけれども、しかしながらいかに事情がございましようとも、何ら責任のない子供に対して教育機会を与えないということは、何といたしましても教職員の態度としては、私どもには納得いたしがたい問題なのであります。しかもかよう事態がすでにしばしば起つておるのに対しまして、はたして今日まで文部省はどういうよう措置をお講じになつて来たのか。どうもはなはだ失礼であるけれども文部省は今日まで、こういう事態を二度と繰越さないというようなことについて、十分な御指導の力が地方に及んでいないのじやないかということを私は深く感ぜざるを得ないのであります。かよう事態は、あるいは教職員組合その他に対しましても十分に積極的に懇談をせられ、さようなことのないような積極的な指導文部省においてもつと真剣に行われておるならば、私は必ずしもこういう事態が常に起るとばかりは思えないのであります。さような点について文部省指導の欠如と申しましようか、指導がはなはだ不十分であつたために、そういうよう事態が起り、そうしてあとでこれを取締りをしなければならぬということは、極端な言葉を申しますれば、むしろ教員を罔するようなことにもなるというよう感じもいたすのであつて、実ははなはだ遺憾にたえないのであります。今回起つたことはいたし方ないのでありますが、どうかこういうような問題が再び起らないようなことについて、文部省としてはひとつ積極的に、そうして彼らの納得のもとに、さよう事態の起らないよう措置をぜひひとつ講じていただきたいと思うのであります。かような点についていかがお考えになりますか。
  6. 大達茂雄

    大達国務大臣 御指摘通り、少し前に岩手県で大体同様な事態が起つております。当時は岩手県の関係教育委員会の方から、それに関する文部省見解をただして来たのであります。文部省といたましては、それに対して文部省の意見を回答いたしますと同時に、全国にわたつてよう事態が起らないようにしたい、こういう意味において通達を出したのであります。しかるに幾ばくもなくして、北海道においてまたかくのごとき事態が起つたことは、非常に遺憾に考えるのであります。ただいま町村委員の言われましたように、これは法律上のどこに牴触するのだとか、あるいはこれが懲戒事由になるとかいうことはしばらく別といたしましても、学校子供がそういう先生側の都合でもつてしばしば授業を休ませられるということは、常識的に考えましてもはなはだ好ましからざることであります。文部省としましては、かようなことがしばしば起るということがあつてはまことに困るので、指導の十分を期して参りたいという考えであります。ただ従来、御指摘がありました文部省一般地方学校教育委員会方面に対して指導を怠つてつたとは私は思いませんけれども、要するにこの指導が非常に不徹底であつたという事実はこれはいなみがたい事実であると私は思う。一口にいうと、すなおに文部省の通達なり、指導というものを受入れられないというよう実情にもあつたかと思うのであります。その意味におきまして、今日地方学校教育に強い影響を与えておる教職員団体というものが、文部省考え方——むろん文部省が何から何まで強く事実上地方教員組合教育委員会を拘束するような程度の強さをもつて指導するということは、これは現在の教育制度の上から見て私は行き過ぎであろうと思うのでありますが、しかしそうでなしに、教育委員会の方でもすなおに文部省考え方受取つて、そうして十分考慮の中に入れて運営に当つてもらいたいということを常に私ども希望しておるのでありますが、現状は遺憾ながらそういう事態になつておらぬということは、これは認めざるを得ないのでありまして、今後十分改善をして参りたい、かように思います。
  7. 町村金五

    町村委員 いずれにしてもこの種の不祥事が将来何とか防遏されるように、文部省の格別な御尽力、御努力を実は期待してやまないのであります。  ちよつとこれに関連して初中局長に伺つておきたいと思うのでありますが、私新聞で拝見いたしますと、この不祥の問題が起つた原因は、北海道教員数が非常に足りないということが理由になっておるようであります。私も実は詳細なことを研究いたしておりませんので、あるいは質問をいたしますることが的をはずれるかもしれませんが、私の見るところでは、御承知通り北海道というのは非常に僻地が多いところである。非常に小さな学校がたくさんあるのであります。内地ように多数の生徒を収容しておる大きな学校が大体並んでおるというような場所とは違うのではないか、従つてそういうような地域に対しまして、内地並に同じ基準をもつて義務教育国庫負担法に基きまする給与負担政府がやることになりますると、おのずから私はそこに無理が来るのではないか、北海道だけにおいてこの問題が特に大きく取上げられておるというのには、そういう点について文部省に御再考を願わなければならぬ点が多々あるのではないかというよう感じがいたすのであります。この点あるいは私の研究が不十分な結果違つておれば御訂正を願いたいと思うのであります。もしそういうような、私がただいま御指摘申し上げましたよう事情があるといたしますれば、今後のこの予算の配分につきましては、ひとつその特殊事情のありますことについて格別な御配慮をいただきたいということをこの際特に御希望申し上げ、御回答をいただきたいと思います。
  8. 緒方信一

    緒方政府委員 北海道のこのたびの問題につきましては、ただいま大臣から御答弁がありましたように、文部省といたしましてもその原因、あるいは事態内容等につきましてまだ的確な資料を得ておりませんので、断定的には申しかねますけれども、聞くところによりますと、原因は、ただいまお話ように、教員の増員に対しまする対策がうまく立つていなかつたのでこの事態が起つた、かようになつておるようであります。今お話ように、これは各府県の実情によりまして、都会におきましては一学級相当多数の生徒を収容いたしておりますが、今の僻地の多いところはさように参りませんので、おのずから学級の構成には差別が生ずるわけであります。それに対しまする教員の数につきまして、おのおのただいまお述べになりましたよう事情があると思います。北海道につきましては、私も的確に存じません。ここに資料を持ちませんけれども、ただいまお話よう事情を勘案いたしまして、このたび地方財政計画におきまする教育に対しまする給与費関係につきまして、地方自治庁とも十分に打合せをいたしまして、従来とられましたような、五十分の一・五とか五十分の一・八というような画一的な基準をやめまして、実績に基く計数を出しまして、それを地方財政計画に載せるように折衝いたしまして、そういうふうな話合いがついておる次第でございます。国庫負担金に関しまする文部省関係予算の計上方につきましては、先般来大臣からも御説明がありましたように、二十八年度の教員数実績の上に、二十九年度の児童数増加に応じまする実学級数を推計いたしまして、それに対しまして一定の率と申しますか、予参といたしましては、政令方式にのつとりまする六分の七、六分の九を準用いたしまして、それで教員数を出しております。実際の児童数増加に応じまする実学級数を推計いたしまして、それに対する教員数を出して計上している次第であります。その同じ方式地方財政計画の面におきましても採用してもらいまして、それを地方に流してもらう。そしてこれを文部省自治庁共同通牒の形で地方に流すように、ただいま話を進めて、大体話がついております。従いまして地方財務当局も、財政面お話よう一定の率で、五十分の幾つといつたような、従来地方財政計画基準としてとられましたよう算定方式地方財政を縛らないように、配慮をいたしておるような次第であります。  北海道につきましても、これはいろいろ北海道自体財政事情があると思いますけれども教員数につきましては、その児童増加数あるいは学級数増加数実情に応ずるような推定に基きまして、予算を計上するよう指導いたしておるような次第でございます。これは地方財政関係もございますので、一概には申し上げかねますけれども、さよう指導をいたしておりますことを申し上げておきます。
  9. 町村金五

    町村委員 この点新しい地方財政計画のこういう措置がとられることになりますれば、あるいはただいま問題になつておりまする北海道の問題のごときも、ある程度問題の解決点がそこから生れて来るのではないか、こう思うのであります。それらの事情を知らないということから、今度の事態が起つたのではなかろうか、かように思うのであります。今後それらの点について、ひとつ御措置を万全を期してやつていただきたいと存ずるのであります。  なお委員長に申し上げますが、私は文部大臣に他の案件につきまして、二、三御質問網申し上げたいこともありましたが、それは緊急質問ということで続けて参ることは、他の方に対しまして失礼でありまするから、これで打切りまするが、もし機会がございましたならば、さらに他の文部行政一般についても機会をお与えいただきたいと思います。
  10. 山崎始男

    山崎(始)委員 ちよつと関連して……。ただいま町村委員から、北海道教組の三万数千人の先生方が、一斉に休学をしたという事柄に関しましてお尋ねがありましたが、先ほど文部大臣の御答弁を、聞いておりますると、なおこの問題につきましては、ちようど休学をいたしました翌日でありましたか、緒方局長新聞談話を私も拝見いたしたのでありますが、ただいまの文部大臣の御答弁といい、私はいささかあまりにも文部省考え方愛情がなさ過ぎるという気がするのであります。と申しますことは、私はこの文部委員会一般質問最初の日から、この教員定数の問題は世間に非常に不安を与えておる、一刻も早くこの不安を取除かなければならないということを、私申し上げたことがあるのであります。爾来機会あるごとに、自治庁との関係がありますので、私の質問こま切れになつておりますが、実はこういう事態が起りはしないかと思つたから、最初文部委員会から私は聞いたのであります。今日まで委員会を通じまして、私たちがこうやつて文部委員会に身を置いて、大臣並びに自治庁の御見解を聞いておつても、ほんとうの安心はし切つておりません。従つて地方都道府県知事はもとより、教育委員会教職員、あるいはその他のPTAが、いまだに不安を持つておるということは、これはあたりまえのことである。先ほどから大臣の御答弁を聞いておりますと、罰則規定というものを非常に得々としてお読みになつていらつしやる。休んだこと自体に対するこの罰則規定云々ということは、これは休まなければならないよう原因がどこにあるかという問題と、——休んだこと自体は悪いかもしれませんが、何がゆえに休まなければならなくなつたかということは、他の省ならともかく、文部行政をあずかる文部大臣並びに局長十分愛情をもつてこの問題を考えていただかなければいけない、このように私は思うのであります。この間の自治庁財政部長の御答弁によりましても、小学校は一・三八九、中学校は一・七、はつきり答弁されておるのであります。それが一・八が一・七になり、一・五が一・三八五になる以上は、いかなる理由がありましても、それだけのしわ寄せというものは必ず来る、結論的に言いますれば、私はそうなるのだと思うのであります。しかも自治庁の御答弁の中には、東北六県は頭を切つておる、すなわち来年度児童生徒増加いたしまするその増加数に対する教員の数を、県の予算が組んでいないということなのであります。こういう事態がもうすでに出ておるのです。しかも北海道先ほどからお話がありますよう僻地が非常に多い。もとより北海道は非常に僻地があるはずでございます。従つてそういうことが元になって、おそらく北海並委員会北海道知事も不安を持つておるのだと、およそ想像がつきます。しかも東北六県のごときは、昨年度からの冷害その他の県財政の逼迫によつて最初この問題が発表されましたときから、世間に非常な不安が伝わつた。そういう不安に基いて、県当局がさなきだに県財政が困つておるのでありますから、これ幸いとばかりに、児童生徒の数に対する先生定員というものを県財政から削つておるということが、大体想像できるのであります。この事態において、しかも東北六県は御承知ように、北海道に劣らざる僻地が多いはずでございますが、そういうところにおける教員の不安あるいは教育関係者の不安というものは、私は想像することができるのであります。従つて私はこの文部委員会最初に、この不安を早く除かなければいけない、どういうことが起るかわからないと申し上げて質問したはずであります。案の定北海道で起つた。この問題はおそらく東北六県で順次起らないとは予測できない。ひとりこれは東北六県ばかりじやありません。各地において——現地に行つて見てごらんなさいませ、ずいぶんこの問題で騒いでおるのであります。そういうさ中に、いわゆる事の本質というものをお考えにならずに、ただいまのようにいきなり罰則規定を件々としてお読みになる。私は見ておつて、これが文教を預かつていらつしやるところの文部大臣の御答弁かと、非常に心外の念に打たれたのであります。ただ、ものの表面を平面的にお考えになるという考え方、これでは私はほんとうの国民のための教育というものはできないと思うのであります。いま少し愛情を持つた考え方になつていただきたい、こう思うのであります。私はこの問題で自治庁の方の出席をきようも要求したのでありますけれども、お見えにならないのでありまするが、ただいま町村議員からお話が出ましたので、最後に私はこの問題は文部大臣お尋ねしたかつたのであります。こういう点に対して、いま少し愛情のあるものの見方、愛情のある文教行政というものを、やつていだきたいのであります。この点に関しまして、大臣並びに局長の御所見をお伺いしたいのであります。
  11. 大達茂雄

    大達国務大臣 先ほど私から町村委員にお答えを申し上げましたのは、町村委員がこの問題に関する実情並びにそれについての法的な見解お尋ねなつた、かように了解いたしましたので、それを申し上げたというだけでありまして、こういうふうにやらなければいかぬとか、いわんやそれを得々として申し述べたのではありません。  それから北海道の、教員の問題でありますが、これに先ど局長から詳しく申し上げました。また過日私からも申し上げたつもりでありますが、御指摘通りに、非常に僻地の多いよう地方に対しましては、従来の理論学級といいますか、児童数五十人ということで計算した基準地方教育費財政計画自治庁が見積るということは、これは実情に合わないものが非常に多いので、これをできるだけ実情に合うようにして財政計画を立てたい。従つて地方に交付せらるべき平衡交付金といいますか、交付税といいますか、そういう関係でその金額をきめて配付することにして、そうして地方実情に即応するようにしたい、こういうことを私どもとしては考えておるのであります。これは先ほど答弁でも、また過日来私の申し上げましたことで御了承いただいていると思うのであります。それならば早く地方へそれを流せということも確かにその通り伺つたのでありますが、しかしこの仕事というものが本来文部省でなく、形式的に申しますと自治庁仕事でありますから——一般平衡交付金関係財政計画を立てるということは自治庁仕事になつておるものですから、どうしても自治庁との話合いがつかないとその点が流せない。繭来鋭意自治庁と相談をしまして、そうして今年からは実情に合うよう財政計画を立て、実情に即応してこの教育費の交付する金額というものがきまるよりに話合いが大体できまして、ただいま申し上げますよりに、自治庁文部省との合同の通達を出して、それで地方にその点を明らかにして行きたい、かよう考えております。ただ今のよう自治庁との話合いがありますので遅れておる実情でありますが、これは話合いが大体ついたのでありますから、できるだけ取急いでその通達を出しまして、地方もそれによつて安心が行くように、なるべく実情に沿うような金額が交付せられるようにしたい、こういうふうに考えますので、その点はご了承いただきたいと思うのであります。  ただここで申し上げたいのは、今年の緊縮予算というようなことからして、地方学校先生給与というものが予算として減らされておる、もしくは増額されていないというような思い違いがあつたかと思うのでありますが、そういうことが盛んに世間でとりざたされたことは事実であります。それであるいは財政の困難な府県では減らさぬまでも少くも増員はできないというようなふうに知事あたりが考られたのではないか。それで北海道にそういう問題が起つたと思うのでありますが、これは通達が参りますれば、増員もむろん見込んであるし、それから従来の分についても、ただいま申し上げるように、実情に応じて、実情に即応するようにに、つまり五十人に幾らというような全国的な形式的な基準によらないで、実情に合うような方法でやりたい、こういうことでありますから、地方におけるそういう心配は解消するものと思つております。ただ私遺憾におもうのは、これは最近いろいろビラを出したりなんかしておりますが、教職員の大量首切りが行われるとか、そういうよう意味の宣伝が盛んに行われておることは、山崎生生も御存じだろうと思いますが、これがただ教職員に不安を与えているのみならず、勢いのおもむくところ、あるいは地方知事さんとか、そういう人々までも、これを真に受けるほどはげしい宣伝が行われておる。これは私の方ははなはだ困る。これによつて至るところにそういう不安が起こつたということは、きわめて私の遺憾とするところであります。これは通達が出れば少くとも関係方面においてはよくわかることであろうと思います。またこの政府予算の内容が国民に周知されれば、あるいは先生方にそれがよくわかれば、これまた当然解消するはずの不安でありますが、この内容に反した、つまり事実に根拠を持たない宣伝が盛んに行われておることに対して、きわめて私は遺憾に存じておるのであります。
  12. 松平忠久

    ○松平委員 最近大蔵省において補助金等の整理に関する法律案というものを出したいというので、一両日中に提案するというようなことを聞いておるのですが、これは本委員会に非常に重大な関係があるのではないか、こういうふうに思うのであります。というのは、この法律案の内容を見ると、第一章から第六章までありまして二十三箇条であります。そのうちの第一章が文部省関係というわけでありまして、第一条から第六条まであるのであります。これによりますと、文部章関係においては、第一条において、公立高等学校定時課程職員国庫補助法は廃止するとか、あるいは第六条においては、いわゆる義務教育無償のことでこの委員会で問題になりました、例の新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律はこれを廃止するとか、あるいは改正するものとしては、社会教育法弟三十五条を「国は、公民館を設置する市町村に対し、予算の範囲内において、左に掲げる経費についてその一部を補助することができる。一、公民館の施設に要する経費、一、公民館に備え付ける図書その他の設備に要する経費」というように改めるとか、いろいろ改正または削除、廃止というようなことが載つておるのでありますが、これは事は御助金に関する規定でありましようけれども文部委員会としてやはり審議を必要とする案件ではないかと思うのであります。何ゆえにこういうようなものが大蔵省でまとめて法律案として出され、そうしてこの委員会はつんぼさじきにおるというようなことになつておるのか。文部委員会の権限と、この法律を出すに至つたいききさつ、これに対する大臣の所見というようなものをお伺いしたいと思います。
  13. 大達茂雄

    大達国務大臣 これは御承知通り二十九年度の予算におきましては、相当に今まで法律できまつておりました補助というものを、あるいは一時やめる、あるいはその補助率を下げる、そういうようなことが国の予算の全般にわたつて検討されたわけであります。その関係で、これはひとり文部省だけではありませんが、各省にわたつてよう——これは法律に基礎があるものですから、法律の改正を必要とするわけであります。しかしこれは各省にわたつて非常にたくさんな数に上りますので、それでことにこの予算の緊縮という必要の、時間を限つてするいわゆる暫定的な立法でありまするので、これを一つにまとめて大蔵省で出す、こういうことに手続がとられたわけであります。そこでこれが提出されて国会がそれをどういうふうにお扱いになるか、これは私どもから申し上げてはどうかと思います。
  14. 松平忠久

    ○松平委員 ただいま大臣お話によると、暫定的というようなことを言われたわけでありますけれども、この中に必ずしも暫定的でないものもあるというふうに拝見するわけであります。従つてこれは委員長お尋ねしたいと思うのですが、一体委員長にこういう法律案が出るということを御承知であるかどうか。
  15. 辻寛一

    辻委員長 出るということは聞いておりまするが、いずれ出ますれば、理事会にもお諮りいたしまして、必要ありと認めますれば、委員会にお諮りして、合同審査でも申し入れたいと考えております。
  16. 松平忠久

    ○松平委員 これは各委員会関係がある法律案が盛つてあるわけであります。厚生委員会その他におきましても相当問題になつた。というのは、近時大蔵省の考え方が、予算というものを握つておるせいか、各省の上にあるような気持が若干あるのではないか。従つて各省で当然やるべきものを大蔵省がやつてしまう。便宜上必要なのかもしれませんけれども、きわめてこれは好ましからざる前例になるのではないかと思うのであります。従つてかかるものは当然文部省が立案をされて、そうして文部省がこの提案をされるということが筋合いではないか、ことに一条から六条、六項目にわけてあるわけあります。従つて一括ないしは別々に文部省が立案をされて来るのが当然ではないか。おそらくこのもとになる法律を提出したときは文部省が提出したのではないかと思います。大蔵省が提出したのではない。従つてそれを廃止するとか、あるいは停止するというようなことも、当然文部省の権限に属することではないか。予算関係あることは事実でありましよう。しかしながら予算案と法律案とは違う。これは法律案としては当然そのもとの法律を、つくつた提案者がこれを停止なりあるいは改正なりあるいは廃止なりということを提案して来べきである、こういうふうに思うのでありますけれども、その点については文部大臣はどういうふうにお考えになつておるのか。あまりにどうも予算というものに縛られて、本筋を誤つた提出の仕方ではないか、こういうふうに思うのであります。
  17. 大達茂雄

    大達国務大臣 この法律案の成立した当時のことは私調べておりませんが、文部省で提案したものもありましようし、議員立法で成立したものも相当あるのじやないかと思います。そこで文部省でこれらの各個の法律について改正案を提出するということも一つの方法でありましよう。厚生省で関係する部分もありましよう。これもそうだろうと思いますが、しかし政府としましては、非常にたくさんの数に上つて、しかもそれが、法律の趣旨そのものをこうかえた方がいい、こういう考え方ではないので、財政の関係で、緊縮財政として、しばらくの間こういうふうに、一時停止するとか、あるいはまた率を下げるとかいう、財政的な見地から立法でありますから、そこで数が非常に多くなつても非常に煩わしいし、ことに本来の法律を大体において根本的にかえるということでもありませんので、そこでこれをまとめて提案する、こういうことになつたと承知しております。これはどちらの方が適当であるかということにつきましては、  これは御意見については拝聴するということにして、政府としてはそういう見地でまとめて法律案を出したと、こういうことであります。
  18. 松平忠久

    ○松平委員 ただいまの御答弁は事務的な意見として承つたのでありますけれども、この法律廃止するとか停止するということはきわめて重大な問題だと思うのです。金があるないということがもとになるのかもしれぬけれども、しかし法律をやめてしまうとか、あるいは一時停止してしまうということは非常に重大だと思うのです。そういう重大なことを大蔵省に全部まかせるなら、こんなものはやめてしまつて、すべての法律案を大蔵省から提出してもらえばいい。金に関係があるというなら、われわれ委員会はここでこんなものを審議する必要はない、こういうことになるのですが、どうも少し文部省は腰が弱いのか何か知らぬけれども、そこらの点については事前に十分なる打合せを遂げたわけですか。
  19. 大達茂雄

    大達国務大臣 むろんこの内容については、文部省関係する点については、文部省は十分関係しております。結局平たく申し上げると、予算折衝のときに、大蔵省の方で減額したいというものが相当あつたわけです。それについて、文部省としてどうしても復活してもらわなければならぬものについては復活をして計上された。それから大蔵省との折衡で、その程度譲るものは譲つたのであります。それがこの法律に基礎を置いた支出の場合には、法律を直さないでそのまま予算を減らすということはできませんから、そこでこういう法律が提案された、こういうわけでありまして、大蔵省でこの立案に面接当りましても、内容についてはむろん私ども十分に承知しておることであり、また相談もしたことでありまして、大蔵省がかつてにこれを出した、文部省は知らない、そういうことはないのであります。
  20. 松平忠久

    ○松平委員 本筋として当然これは文部省から提案されて、そして文部省がイニシアチーヴをとつて、こういうわけでこういう法律を出すことに至つたのだという、その提案理由は当然文部大臣から説明さるべき筋合いのものではないかというふうに思うのであります。従つてこれはまだ提出されていないということであるならば、委員長からこれはあらためて文部省から提案してくれということにお話し願えないものかどうか。
  21. 辻寛一

    辻委員長 提案をいずれからということをこちらから請求するということは、委員長の権限ではないと存じます。従いまして御希望に沿うことはできないと思います。
  22. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 関連して……。文部大原の松平君に対する答弁は、どうもわれわれが納得行かないものがあるのであります。たとえば教科書の無償配付を今年はかりにただ一年だけ停止する、そういう予算編成が行われたために、臨時処置として大蔵省が一括してこの法案を今御答弁なつような形をとつた、これは事務簡捷の上からしても非常によろしいじやないかと、こういうよう意味の御答弁に拝聴いたしたのであります。しかしながら、いずれにいたしましても立法措置を必要とするものであります。立法措置は、国会が国権の最高機関として、提案はいろいろな形で出ますが、立法府が行うのが当然なのであります。この立法府が、文部行政文部委員会で取扱うことになつておる。これは百も御承知だろうと思う。厚生関係は厚生委員会で取扱うのであります。ところがただいま政府でもくろまれたようなことになりますと、この案は大蔵委員会にかかるのではないか。あるいはその他の委員会にかかるかもわかりませんが、一括して一つの委員会にかかるのであります。それを、委員長が申されたような合同審査ということで、まあまあ文部委員会の意見も道連れについでに聞いてやろうくらいの程度に終るのであります。このことは、国会の事情については百も御承知なのであります。すなわち行政府であるところの政府の都合かつてによつて、立法機関であるところの建前を尊重しないでかようなことをするのか、これは今日の立法府のわれわれ国会の委員会としては承服ができないのであります。こういうことが、今日の国会運営、憲法政治の進展のために正しいとお考えになつておるか。こういうことで手を省いて、事務が簡潔でよろしいとお考えになつておるか。あなたは文部関係の行政庁の長官であるばかりではありません。国務大臣として国務に責任を持たれておるはずであります。ただ大蔵省の大臣の顔色を見てなければ仕事ができぬことではないはずであります。そういうことをあなたは責任を持つて——こんな小さいことはどうでもいいじやないか、ただ一年の臨時処置、あるいは二年の臨時処置だ、こんなことで文句を言うなというよう考えでよろしいかどうか、その点を明確にしてもらいたいと思う。
  23. 大達茂雄

    大達国務大臣 私は別にこの中にあることはどうでもいいというようなつもりはたいということは、先ほど来申し上げておるところであります。これは文部関係だけではなしに、ごらんの通り、厚生省、農林省、通産省、運輸省、建設省、こういうふうに全般にわたりましてそういう臨時特例の処置になつておる、こういう臨時特例であるということ、そうしてこれは臨時に補助金に関してある程度の整理と申しますか、整理ということが語弊があれば、一時的な処置をとる、こういう見地から出たものでありまして、政府といたしましては、こういったような立法形式が臨時のものである点から見ても一番はつきりする、こういうことで出たのであります。そうして、この国会の方に提案されまして、国会の方でどういう形でどの委員会で御審議になるか、これは私どもが直接関係するところではないのでありまして、これは国会の方でおきめになるべき筋合いのものだ、こう思うのです。
  24. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 そういうことをおつしやれば、われわれの方でもなおさらこれは黙つておれないということになるのであります。この法律案が国会に出されれば、にて食うてなりと焼いて食うてなりと国会がかつてにするのだから私の関するところではないというばかりのお話なんであります。あなたも国会の議員であります。そんなことのわからぬ人ではないはずであります。この案がどの委員会へかかつても、これを三つにも四つにも切つて文部行政文部委員会、厚生行政は厚生委員会、通産行政は通産委員会にと自主的な立場で審議をしろということは絶対に言えない。そんなことはわかつておられるはずである。この案がもし大蔵委員会へかかつたといたしますならば、合同審査を申し込みます。そうして合同審査を申し込む際において、われわれがこの案の内容等にも十分知識を求めて審議をしなければならぬということになつた際に、ここでいろいろ協議をいたしまして、そうして委員長の名のもとに要求をするか、あるいは合同審査で審議をするかいたしましても、それは審議に終るだけであつて、審議は大蔵委員会委員二十五名によつてこれは決定されるのである。決定権というものはわれわれの方にはこの場合においてはないのであります。それを、この文部行政というものを他の委員会に追随させて審議をせしめるようなことを、国会議員としての任務を持ち、資格があるところの今の政党内閣の閣僚諸君のその中で、あなたは参議院議員をしておられて、国会の事情をそんなことを私は知らぬとは言えないはずである。それを知つてつて、この文部行政の自主的な審議をする方法を誤らしめるようなことをあなたがするということは、大体において古い官僚的な頭が支配しておるのか、それとも新しい国会の構成についての熱意がないのか、これはあなたばかりではないと私は思う。古田さんを初めとして国会軽視の傾向が随所に現われておるのでありますが、このことは私は小さいことだといつても筋道を立てなければならぬと思う。この筋道を立てなければ、今日の三権分立の建前からいたしましても、筋道の立たないところの政治が行われているところに国民の幸福はあり得ない、国家の発展はあり得ないと思う。そういう問題について、あなたは国会がかつてにこれを御審議なさることは知らぬということではなしに、それはどうしなければならぬという法理論的な明確なお答えがあるべきはずだと思うのであります。その点をもう少し明確にいたしていただきたいと思うのであります。
  25. 大達茂雄

    大達国務大臣 こういう形の法律をこしらえることはいいか悪いかといいことを最後に決定するものが国会であることは、これは言うまでもないのであります。ただ今申し上げますように、これが出た場合に、大蔵委員会であずかることになるのか、あるいは特別委員会というものを——何かそんな話もちよつと聞いて、真偽のほどは私はわかりませんが、特別委員会をつくつて、各省関係するからそこで審議するとか、そういうような点は私どもどうしたらいいということは差控えたい、私の意見を今申し上ぐべき筋合いのものではない、こう思つて先ほどそういうことを申し上げたのであります。先ほど来申し上げるように、これは要するに臨時の立法であり、ことにこういう法律はいわゆる財政立法である、国の財政の見地からこういう臨時特例を出す、こういう意味でありまして、その関係においてはむろん文部省を初め、各省に関係しますけれども、同時にまた財政的な見地からの立案の趣旨でありますから、それで一まとめにして法律案ができた。この形は適当であるか、適当でないかということについては、結局これは国会で御決定になるというふうな筋合いのものじやないか、こう思うのであります。
  26. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 もう過ぎ去つたようなことをこれ以上私は大臣にしつつこく食い下ろうということはやめます。それでこの問題については今の立法府の立場を十分お考えくださいまして、ことに文部行政については与党の諸君ともに、非常に無心な方がいらつしやるのでありますが……   〔「今初めてある問題じやないじやないか。」「黙つておれ。」と呼び、その他発言する者多し〕
  27. 辻寛一

    辻委員長 御静粛に願います。
  28. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 それでそういう文部行政について、立法府としての立場を十分に御理解いただいて、今後とも御善処をこういう場合においてはお願いいたしておきます。  ついでに私は委員長にお願いを申し上げておきますが、追つてこの法律案が出ることになろうと思うのであります。その際における取扱い等については、後刻理事会等において十分各党の意見をまとめて善処されるように御希望を申し上げておきます。
  29. 辻寛一

    辻委員長 承知いたしました。
  30. 竹尾弌

    ○竹尾委員 私は結論的に申し上げますと、今前田委員のおつしやられるようなお説は十分拝聴に値するところがあると思うのであります。この法案が云々されておりますときに、大体同じようなものを大蔵省で一本にするということはけしからぬので、われわれもこの非を是正するために努力をいたしたいと考えて、大臣もこの点は——大臣のお言葉を少し誤解されているように思われますが、決して大臣は誠意がないとかそんなことで育つたのではないと思う。私どもも大蔵省があまりひどいことは十分わかつておるので、これは大蔵省の政府ではないのだから、予算の折衝のときに十分大蔵省の非を改めさせて、われわれの意思が十分通るように努力しなくちやならぬと思います。今大臣に対していろいろ官僚であるとかなんとかおつしやいましたが、そういう点はどうも誤つておるので、私も文部大臣に三代ばかり折衝を続けましたが、今の大臣が一番進歩的だ、一番りつぱな大臣だと私は心から思つている。(笑声)それはほんとうなんだ。そこでもう一度大臣の御意見を承つてもいいのですが、私どもといたしましては、こういう法案が上程された場合には、やはり全会一致でそういう悪いところを直すように努力をすることは、私は前田委員と同感です。そういうことについて十分委員長さんも御努力を願いたいということを、質問じやなく意見になりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
  31. 辻寛一

    辻委員長 心得ました。
  32. 世耕弘一

    世耕委員 今のお話いろいろ重要だと思いますが、私は政治的、根本的な考えを改めなくちやならぬと思うことは、大体大蔵大臣を重く見ることが間違つておる。ただ銭勘定するだけのことだ。ほんとうを言うと、直接文教なりあるいは産業、経済にあずかるものが案を立てて、さて金をどうするかと持ちかけられたときに銭勘定をする。ところが日本の今日の政治の行き方は、銭勘定を先にして、そうして大蔵大臣がさもいつぱしの政治家のような建前でするのが間違いだ。この点は特に文部大臣もその観点から、力強く今日の文教の重大時局に当つているという建前でひとつ臨んでいただきたい。この希望を申し上げておきます。
  33. 竹尾弌

    ○竹尾委員 ちよつと簡単にお伺いいたしますが、私のお尋ねいたしたいことは、今解消されましたけれども、旧私学恩給財団の年金受給者の取扱いについての事務的な質問で、これは主として近藤管理局長にお願いいたしますが、都合によつて大臣に御答弁を願っても一向さしつかえございません。この私立学校教職員、大学も含めて現在教職員は御承知ように約二百万に上つております。ところが私立学校先生を退職したあとの生活というものは、これは教育一般についてもそうでございますが、非常に悲惨をきわめておりまして、養老院にまで老後を託さなくちやならぬというよう先生方もありますし、非常にお気の毒な生活をしていることは御承知通りであります。このために今から三十年前に私学恩給財団というものができ上りまして、教職員の諸君が積立てをして平等に年金をいただくという仕組みになつてつた。発足当時は教職員の月給は平均六十円であつて、年金が約三百円、それで幸うじて最低生活が保障できた、こういうことでありましたが、諸式暴騰いたしまして、特に昭和二十七年十月以後に恩給の額が非常に大幅に増額されましたときから受給者に差等がついて、新しく昭和二十七年十月以後に退職して年金をもらう者は年額六万円という資格を持つようになりましたが、その前の旧年金の受給者は一年に一万二千円というようなごくわずかな年金を現在受取つているという実情は、近藤管理局長よく御存じのはずであつて、その点について御尋ねもし、また当局の御尽力もお願いしたいのでありますが、この新受給者と旧年金の受給者というものに非常に差がある。こういう点については非常に不合耳であることをお認めになられているかどうか、まずその点からお尋ねをいたします。
  34. 近藤直人

    ○近藤政府委員 ただいま御質問の点でございますが、問題は私立学校恩給財団から年金をすでに受けておる方々の問題でございます。これはただいまお話がございましたように、私立学校恩給財団は発足から今日まで約三十年経過いたしまして、本年の一月一日に発足いたしました私立学校職員共済組合がすでに権利義務を承継して参つております。従いましてただいまの問題は、その承継的の私立学校恩給財団から年金を受けている方々の年金額の問題でございまして、お話ように私立学校恩給財団から年金を受けている方は、ただいま年額一万二千円を受けているわけでございます。それに対しまして私立学校職員共済組合から年金を受ける方は、公立学校教職員共済組合と同様の条件で、標準月額の四箇月分を受けておるわけでございす。確かにお話ように、ただいま一万二千円を受けておるということはその間非常に差等がございまして、私どもも十分御同情を申し上げております。
  35. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そこで、そういうことはお認めになるということなのですから、このでこぼこを何とかひとつ是正してやらなければならぬ、こう私ども考えるので、この是正の方法でございます。それには大蔵省から補給金と申しましようか、補助金ですか、そういうものをもらえれば現状から見て一番いいのであつて、おつしやられる通り千百人程度、千二百人に足りない人たちなのですから、これを新しい私立学校教職員共済組合からもらえると同じ率にするとしても、わずかにこれが三千六百万円程度で事足りると思うのです。そこでこれは文教政策上からも非常に重大な問題であるから、しかもわずか三千六百万円の金を出せばそこにでこぼこが調整され非常に影響もよろしいと思うので、これは大蔵省からぜひ補給金なり、また補助金なりの形において支出すべきが当然だと私は思うのだけれども、その点について御意見等を伺います。
  36. 近藤直人

    ○近藤政府委員 そこでこのアンバランスをどういうふうにして是正するかということでございますが、ただいま一万二千円の年金を受けておりまする既年金受給者につきまして、それを国家公務員の恩給のベースに引直しました場合にどのくらいの年金になるかという計算を一応いたしますると、国家公務員につきましては昭和二十三年の七月以降今日まで四回のベース・アツプがございまして、基本給が上つております。従つてその基本給に相当する恩給額も上つておるわけでございます。ただいまの一万二千円の年金を受けておる方の基本給を計算いたしますと約七万八百円になります。それを国家の恩給に引直しますと、約二万三千円程度の年金を受けるのが適当の金額になります。従いましてこの二万三千円からただいまの一万二千円を引きました差額分だけこれを増額することが適当ではないかと考えまして、実はその予算要求をいたしてございます。しかしながらこれに対しよして財政当局の考え方といたしましては、私立学校教職員共済組合に対しまして、その長期給付年金補助額がわずか十分の一でございます。これは法律に明記してございますが、十分の一であります関係上、これにならいましてその差額全部を国が補助金として交付いたしませんので、その差額の十分の一、金額で申しまして約二百八十万でありますがその程度の額は予算で認めてございます。これはただいまの私立学校教職員共済組合の年金受給者とバランスをとる意味におきましてはやむを得ない額ではないかと考えますが、しかしながらこの一割程度の額ではもちろんただいまの差額を埋めるわけには参りませんので、その残りの九割分に相当する額につきましては、何とかほかの方法でこれを充足する必要がある、かよう考えております。  その充足する方法でございますが、これにつきましての意見といたしましては私立校学教職員共済組合は全職員員の福利厚生のための施設であるから、その組合員がこれを負担するということが一つの方法であろうかと思います。それからもう一つは、その差額分につきましてさらに国庫の補助を要請するということも一つの方法であります。第三の方法といたしましては、これは御承知と思いますが、私立学校振興会の剰余金をもつてこれに充当するという方法があろうかと思います。  そこでまず第一番の私立学校教職員共済組合の組合員がこれを負担するという問題でございますが、これにつきましてはただいま発足したばかりで、私立学校教職員共済組合の掛金率は、御承知と思いますが、長期短期を合せまして千分の百三六でございます。その百三十六が非常に高い率であるということで、本年の三月までは千分の百二十になつておるようなわけでありまして、この百三十六の率をさらに引上げまして既年金受給者の分までもこれが負担をするということはなかなか困難ではないか、かよう考えます。それから私立学校振興会からの剰余金をもつてこれに充当するという考え方でございますが、これにつきましても、ただいまの私立学校教職員共済組合の掛金の率の方にまずこれを充てて、掛金の率を下げるということが第一の問題でありますので、これを金額との既年金者のために充当するということは、これも困難な問題ではないかと私は考えます。従いまして最後の手段といたしましては、やはりこれは国の補助をいただくということが最後の方法ではないかと私は思います。しかしながら本年はわずか一割にとどまつておりますので、これは将来国の補助をさらにふやしてもらう方向に向つて努力する以外に道がないのではないか、かよに考えております。
  37. 竹尾弌

    ○竹尾委員 今のお説を拝聴いたしますと、どれもこれも相当むずかしいむずかしいのは当然かもしれぬけれども、しかしこのむずかしい中でこういうことに支出するということの影響が非常に大きいことを御考慮願いまして、何とかひとつ善処していただきたい、こういう結論になろうかと考えます。この受給者は御承知ように非常に少いのであります。少いけれども非常に生活が窮乏しておるので、社会的な通念と申しましようか、常識的な考え方からいたしましても、こういうものを放置しておくということは悪いことなのですし、わずかな金なのですから、これは何とか将来十分御考慮をお願いしたいということで、きようは私は質問を終りたいと思います。これは各党各派の人たちが一致して請願を出しておる問題ですから、どうぞその点を十分御考慮くださいまして善処方をお願いしておきます。
  38. 近藤直人

    ○近藤政府委員 私はただいま見通しを申し上げたのでございますが、現状につきましては、お話がございましたようにただいま既年金受給者は昭和二十八年八月現在で千八十六名でございます。大体五十歳以上の高齢者が多いのでございまして、御事情はまことに御同情に値するものと考えております。そこで先ほど申し上げましたようにこの差額につきましては政府から補助金をもらう計算をいたしまして、一応計算上に二十九年度が千二百五十七万、それから年々年金者が死亡等によりまして多少減つて参りますので、この額がだんだん減つて参ると思いますが、当初といたしましては千二百五十七万、次年度は約千万というふうに年年だんだん減つてこの補助が必要なわけであります。この点今後ともこの助成につきましては努力を続けたいと考えております。
  39. 竹尾弌

    ○竹尾委員 そこで最後の案としてこういうことが考えられるのです。これは局長よく御存じでしようが、今の昭和二十七年以降に退職した人で、五十五歳以下の人も現在もらつているのもある。そこでこの受給の資格を五十五歳以下は削りまして、五十五歳以上だけでもせめてこの六万円の受給資格者にしていただきたい、こういう要望が非常に強いのですが、こういうことはどうですか。この点は何とかできませんか。
  40. 近藤直人

    ○近藤政府委員 そういうお話も実は私承つたのでございますが、この問題につきましてなお私立学校教職員共済組合の理事者ともよく相談いたしまして、組合の方で何とか方法がつくかどうか協議を申し上げまして、できるだけ便宜の方法が考えられますれば、それによつて善処して行きたい、かよう考えております。なお今後研究いたします。
  41. 辻寛一

    辻委員長 小林進君。
  42. 小林進

    ○小林(進)委員 私は一般質問文部大臣に、相当時間をいただいて質問さしていただくつもりでおつたのでございまするが、時計を見ますると、まさに零時四十分、委員長においてあるいは文部大臣においておさしつかえがないとおつしやるならば、私はこのまま質問を続行さしていただきたいと思うのでございまするが、大臣もあるいは空腹でお前の答弁には立たれぬというような御事情があれば、このたびは一応休憩に入つて、午後からでもひとつ御答弁をしていただくよう委員長においておとりはからい願います。
  43. 辻寛一

    辻委員長 それでは委員長に御一任をいただきまして、午後の都合を見ましてしかるべくとりはからいたいと思います。  休憩をいたします。    午後零時四十三分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に居らなかつた