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1954-04-15 第19回国会 衆議院 農林委員会林業に関する小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月十五日(木曜日)    午後四時四十七分開議  出席小委員    小委員長 川俣 清音君       秋山 利恭君    足立 篤郎君       小枝 一雄君    佐藤善一郎君       福田 喜東君    松岡 俊三君       井出一太郎君    吉川 久衛君       足鹿  覺君    芳賀  貢君  出席政府委員         林野庁長官   柴田  栄君  小委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    白石 正雄君         農林事務官         (林野庁林政部         林政課長)   臼井 俊郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      藤村 重任君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 四月十四日  小委員佐々木盛雄君が三月十二日委員辞任につ  き、その補欠として遠藤三郎君が委員長指名  で小委員に選任された。 同日  小委員加藤高蔵君が三月十六日委員辞任につき、  その補欠として吉川久衛君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員中村時雄君が同日委員辞任につき、その  補欠として稲富稜人君が委員長指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  保安林整備臨時措置法案内閣提出第一一〇  号)     —————————————
  2. 川俣清音

    川俣委員長 これより会議を開きます。  去る四月九日の農林委員会におきまして、保安林整備臨時措置法案をこの小委員会審査に付されることになりましたので、これより本案を議題といたし審査を進めることにいたします。  質疑の通告がありますので順次これを許します。足鹿委員
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 私は本法案と直接関係はございませんが、日本森林資源維持という面から二、三お尋ねをしてみたいと思います。まず最初北洋材輸入する意思林野庁は持つておるか持つておらないのか。最初は非常に熱心にやつてつたようだが、このごろでは何か腰砕けのようなふうにも聞いております。私は鳥取県ですが、最近日パという最新式のデンマークの方式をとつた年産二万トン以上のパルプ工場ができて、中国五県の森林は立ちどころにして坊主山になるであろうといわれるくらいに、非常に地元では心配をしておる。そういう点から考えて、パルプ資源には一番これから伸びて行く松やその他のもの——私らの方では松が一番多いのですが、どんどん伐採しておる。四十年くらいは持つであろうというようなことを最初言われておつたが、このごろでは二十年持つまい、こういうような話なんです。一体日本パルプ材については、現状で行くことで足れりとしておられるのかどうか、その点について、もつと北洋材でも、南洋材でもよいのであるが、どんどん入れて行くべきではないかということを考えます。ソ連木造船を非常にほしがつておるということも聞いておりますし、これとのバーターなら、向うは喜んで応ずるのではないかという話も仄聞しておりますが、一体この北洋材輸入、特にパルプ材の問題について、一体どういう対策を持つておいでになるのか、私どもはあまり詳しくありませんが、少くとも私どもの方の事情からいいますと、前途憂慮にたえないものがありますが、その点について一つの対策として、北洋材を入れることが喫緊の問題ではないかと思うのですが、その点を伺いたい。
  4. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 わが国の林産物の需給の逼迫の情勢に関しましては御承知の通りでございまして、とりわけ幼齢林伐採をできる限り抑制して成長量確保をはかり、同時に国土保全のために役立てたいということからいたしまして、森林法に基きます森林計画においても、幼齢林伐採を相当抑制いたしておるわけでございますが、パルプ事業化学繊維あるいは製紙等におきまして木材産業としては非常に有利な産業であるということで、相当多くの施設を持つております今日、お説の通りこのままに放置いたしますれば、一応伐採を抑制いたしましても、ただ監督のみではこれを抑制することはなかなかできない。結局必要量を充足させることを考えなければならぬということになるわけでございますが、それには現在入れております南洋材あるいは米材等では、価額の点あるいは材の種類の点からいたしまして、必ずしも適当でないということで、一応輸入可能な資源を検討いたしますと、ソ連領内北洋材資源以外には実はたよるところはないという結論になるわけでございまして、私どもといたしましては、これが輸入促進のためにいろいろつつ込んだ方途を講じて参つておる次第でございますが、今のお話で、何か熱がさめておるのではないかというお話でございますが、私どもは決してさような考え方は持つておりません。ただ相当つつ込んで進めて参りますと、現状におきましては、ソ連とは商取引以外にはむずかしいようでございますが、商取引をいたします場合にも、自由主義国でない関係からいたしまして、一応相手方としては国を対象としなければならないという関係上、こちら側といたしましても一本に統一されるということがぜひとも必要な条件になつて参るのでございます。これがパルプ材に関しましては一応一体化する態勢が確立いたしましたが、ただ単にパルプ材事業ばかりでなく、さらに差迫っております梱包用材、あるいは製材用材等に関しましても、現在の需給情勢からいたしまして、ぜひともソ連材輸入促進を希望いたしておりますし、なお二十九年度の外材輸入情勢を勘案いたしますと、これらと相対しまする米材輸入等が、外貨資金関係で相当程度抑制されるというよううな考え方からいたしますと、この際これらをもあわせてソ連材輸入促進しなければならない。こういう情勢はさらに緊迫しておると申し上げ得るのでございまして、お話通りこれに対する方法としては、今バーター貿易、あるいは私どもの調査しておりますところでは、キヤツシユによる取引向うでは可能であるというようなことも言つておりますが、決済方法が現在のところないというところで、やはりバーター貿易ということになると思われますが、今パルプ材だけといたしましても、二十九年度の需要量に対する供給力等から判断いたしましても、最低限度三百六十万石程度はぜひとも入れたいという要望があるのでございます。それに梱包用材等総額千数百万石を必要とするというような場合に、これに振り向けられるものも相当量になるというので、それらの需要者をこれまた一丸といたしまして、国内における無統制取引申込みを極力排撃いたしまして、一本化してこれを進めていただくという方向に今日まで努力して参つておりますが、ほぼ国内態勢が一本化の方向に確立いたしましたので、さらに国の方針といたしまして、商取引のためのソ連代表者入国許可の問題も一応決定いたしまして、今後一本化とあわせまして相当進展し得るのではないかと存じております。現在の進捗状況はさような状況になつております。一時停滞しておりましたように見えましたのは、国内需要業界態勢が非常にばらばらであつて、しかもそれぞれに輸入業者を任意に選定して、まつたく無統制に持ち込んで行くために、通商代表部あたりでも、ほとんど話の対象にならないというようなことで、停頓いたしたような形になつて参つたというのが実情であると、私どもは了解しております。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 少し前進しつつあるというお話でありますが、国内でいろいろな森林関係対策をお立てになることはもちろんけつこうでありますが、パルプ用材に使用されるものが厖大な額になり、それが年々盛んになる。例をあげますならば、パルプ会社利益というものは大したもので、私どもの方へ来るパルプ会社の諸君の旅行ぶりを見ておつても、一等車をわざわざ買切つて豪勢な大名旅行をやつておる。北海道へ行くにしてもそうです。東京に行くのでもそうです、そういう非常な利益があるらしい。従つて幼齢林伐採ということにいろいろな制限を設けまして、これをむやみな過伐にしないというようなことは、あなた方がいくら力んでも、実際そういう大きな利益をもうけておるし、地方に来ればどんどんサービスをやるし、そうして手先を使つて競争して、地方における林伐の価格を非常につり上げる。庶民の住宅の建設なんてとんでもない話なんで、用材にして出すよりも、パルプ材中間でどんどん売つて行けばその方がもうかるから、山持ちの方では、あなた方がどんな法律をつくつたつて、そんなことはとんちやくしない。実際はそういうことになつておるのです。特にぼくらの方は、去年からこの会社が操業を開始して、今非常な馬力でやつておる。ぐずぐずしておれば、ちようど二、三寸から四、五寸くらいの一番大事なところの木をどんどん切つておる。そういうことに対して、あなた方はほとんど手を加えないのではないでしようが、われわれの目から見ますと、ほとんど乱暴きわまる事態が地方では出て来ております。私どもは日夜その話を聞いておる。パルプ用材山林家はほくほくだ。そのこと自体をとやかく言うわけではありません。パルプ工業けつこうでありますけれども、それによつてだんだん山がはげて行く、そうして最後には、私どもの方は小さな中国山脈ですから、見る見るうちに全部伐採してしまうだろう。みんなそう言つております。そういうことに対しては、何ら積極的な対策が講じられておらないじやないですか。一体どうするつもりですか。北洋材の問題も、最初林野庁は非常に乗気だつたそうだ。決済方法は、向う木造船を希望しておるのだから、バーターでも何でもかまわない、どんどんやる。この間の新聞を見ますと、六箇月の入国お互いが認めるということになつたようですが、けつこうだと思うんです、別にソ連から木材を入れたからというて、共産主義の黴菌がついて来るわけでもない。これは今さら申し上げるまでもない。これをもつとうんと促進して行く、一体いつごろになつたらこれが実を結ぶんですか。需要者を一本にするということもできた。双方から商取引のために人をお互いに派遣し、また派遣されるということもできた。一体いつになつたらこの目標が達成できるのか、そして本年度中においてはどの程度輸入が具体的になるのか。国内における森林資源維持、培養ということももちろん大事ですが、それが現実は、あなた方の意思とは別にみすみす荒らされておる。資本主義自由経済によつて、利潤を生むところには国土の荒廃も何もあつたものじやないのです。そこに非常に大きな問題があると思うんです。これは放置しておけば、国家百年の大計を誤ると思うんです。今の御答弁程度では、私はまだはつきりわかりません。私はしろうとですから、そう専門的な表現はいたしませんが、これはもう少し真剣に対策を立ててもらいたい。そうして北洋材輸入を、戦前はずいぶん入つて来ておつたわけですから、もう少し熱意を持つてつていただきたいと思うんです。できればこの森林法案の上るときには、委員長この点を取上げて、当局をもつと鞭撻する強い意思表示をひとつしてもらいたい。これは国内対策ばかりをやつてつたのではだめだ、御答弁があればもう少し具体的に聞きたい。
  6. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 この問題は、私どもとしては、まつた先生のお考え通り、非常に重要な問題であると考えまして、われわれの及ぶ限り推進をはかつたつもりでありますが、ただ単に経済問題だけではたく、外交上の問題等の制約のために、たとえば契約のための一人、一人の入国までほとんどこれが不可能な状態にあつた。あるいは当方から代表を出すという場合にも、ビザを得ることができなかつたし、輸入必要性を証明して出す二とも正規に先方に参ることもできないというような状況で、今日まで参つておりますので、実際問題としては、もう実に歯がゆい思いをしたわけで、経済問題だけ考えれば、まつたく妥当なことが行われないで今日まで参つたのであります。こういうことは非常に残念に思つておりますが、ようやくその問題が一応解決できる段階になつて参つたと思われますので、この際それを促進することができるであろうと思われます、それではいつごろどれくらい入るかということは、実はなかなかむずかしい問題でございまして、私どもの関知しておる程度では、輸入年間十万石程度は可能であろうと思つております。ただしかし、現在一応パルプ用材としてパルプ材輸入協会から申し出ております量は三百六十万石であります。ですから少くもこれは最小限度として私ども輸入促進いたしたいと考えております。私どもの調査では、ソ連の保有しております要修理の船舶の修理だけでも十分にバーターの価値を持つておるというように推定されますので、この話が済めば、その程度取引としては容易にできるのではないか。また日本においてもこれを行う能力は十分にあると考えております。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 御尽力になつておるそうでありますから、これ以上は申し上げませんが、もつと元気を出しておやりになるようにお願いいたします。  きようはとつぴな質問ばかりするようですが、今度は林道のことについてお尋ねをしたい。奥地林道開発ということは、開墾開拓の問題ともつと関連してやれば非常にうまく行くと思います。そういうところは林野庁でやるし、開拓の問題は農地局でやつておるので、そういう点で十分な連絡がとれておらないと思います。もつと開拓関係奥地林道開発問題は、密接な連絡をしてやられないといけないのではないかと思う。戦後の皮むき開墾だといつて悪口をついて、ようやくこのごろ百五十万町歩の買収適地だといつて買い上げた土地は、この間も農林委員会に降旗君が来て、開墾適地といつて買つたものも、開墾しないものはみな元の所有者に返してやればよいのではないかというようなことを言い出しておる、農地法の改革だとかなんとかいつてつておる。そういう所は、道路のない所を開墾適地だといつて買収して、そこに入れておいて、あとから道路をつけるなんていうことをやるから、だれだつてそんな所におれないから下山してしまう。そうでしよう。大体官庁のセクシヨナリズムはそういうところに欠陥があると思う。林道をつけるときには、あなた方はもつと開墾地問題開拓の問題を熱心に研究されないと、あなた方だけの林道じやないのです。林道と名がついても、それはやはり一般国民が利用するのですからね、別に山林所有者の利便だけをはからなければならないということはないと思うのです。そういう点で、もつと有機的な連関をもつてやらなければならないと思うのでありますが、現在までに農地局あたり開拓の問題と関連した林道問題については、どういうふうにして調整をとつておりますか、林道の問題については、開拓の問題とあわせでやるならばどれくらい経費が節約になり、そして入植者のために利益になり、ひいては日本国内食糧需給に大きく貢献できるかということをもつと考えて、林野庁だから林野庁のことばかり考えておればいいという狭い考えはいけないのです。そういう点について、今まではどういうふうにしてやつておられますか。
  8. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 いささかどうも、私どもが全然総合的にものを考えないというようなお話派残念に存じますが、林道開発いたします際には、もちろん一般道路あるいは開拓道路、他の産業道路等々を総合いたしまして、林道計画を立てておる次第でございまして、開拓問題等に関しましては、主として関連のありますのは奥地林道ではなく、一般林道と称しておりますが、里山に近いところの林道が主体となつておりまして、これらは開拓林道と総合いたしましてこの仕事を進めておる次第であります。ただ開拓の当初におきまして、開拓道路を全然お話なく進んで、それが生きて参らなかつたというようなことがありまして、非常に残念に思いまして、こちらからも話かけをしておるというようなことで、現状におきましては先生の御懸念のような点は、少くとも私ども計画においてしていないということを、はつきり申し上げ得ると存じますが、開拓問題に関しまして、何か林野が非協力的であるというふうなお考えがあるとすると、これも非常に残念に存じます。林野が七割近い厖大な面積を持つておりまして、これが人的に集約に使われるということであるならば、これを十分に活用していただくべきものであると考えておるのでありますが、従来の開拓計画が、はたして生活環境を確立してお進めになつておるかどうかということを考えます際に、私どもは、これをまず総合的に確立すべきであるという考え方を持つて、いろいろ部内の指導もいたしておる次第でございますので、もし具体的にさような点で協力が不十分であるというような点がありましたら、どしどしひとつお示しを願いたい、かように考えております。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 今の長官お話で、非常に熱意を持つてつておられるということはわかりました。しかし過去においては必ずしもあなたがおつしやるようなふうには行つておらなかつた。少くとも現在においてはそういうお気持でやつておられるということはわかりましたが、今後さらに有機的に、同じ農林省のもとにあるわけですから、もつと国土総合開発の面からやつていただきたい。私は今までのことを取上げてとやかくあなた方を攻撃するわけではないのです。最近森林資源確保ということに重点を置き過ぎて、何か開拓問題は大した経済効果がないし、これはいいかげんでいいだろうというような風潮が、だんだんみなぎつていはせぬかと思うのです。これは森林資源の擁護ということに少し比重が傾き過ぎて、外米や外麦が幾らでも入るから、そつちに向けて行けばいいじやないか。別に大した経費使つて開拓をやらなくても、それより木を植えて行けば国土保全にもなるし、治山治水にもなるじやないか、こういうふうに、のど元過ぐれば熱さを忘れるとかいますが、開拓問題が国政の面でやや粗略になりがちになつてやせぬか。それとは逆に林業問題が、かくのごとく小委員会を設けられて、終日熱心に審議されるようになつた。これは大体そういうふうな印象ですよ。きようは小委員会だから、あまり四角張つた話じやなしに、私はざつくばらんに懇談会のつもりで申し上げますから、その点は別にあなた方の責任を追究してどうこうということじやないのですから、あまり四角張らないでやつてもらいたいと思います。  そこで林道問題について具体的に私は伺いますが、林道予算は今年は少し減つたが、減りぐあいはほかの農林予算よりも大したことはない。ところが林道関係予算について、必ずしもうまく行つていない話をぼくらは聞く。さる方面に運動をすれば——かりに三十億の予算があるとすると、その一割というものはちやんとどこかで持つてつて、そこへ運動をすればとにかく出してもらえる。これはあなた方がしらばくれれば、私は材料がありますから申し上げますが、糾弾じやございませんからそこまでは言いませんが、とにかくそういう話があるのです。私は林業問題はまつたくのしろうとでしたが、このごろ熱心にこの林業問題を勉強するのも、そういつた話をちよいちよい聞くからです。とにかく農林委員会でこの林業問題をあまり深く掘下げなかつた年間三千何百億の特別会計を持つてつても、特別会計の検討も十分にしなかつたというところに、林野庁のワン・マン振りが相当あるのじやなかろうか。林野庁のとらの威をかるきつねがどこかにおつて、その連中中間に立つていろいろやつておるというような話もあるのです。これは別に全森連に当てて言つておるわけでもなく、小委員長に当るわけでも何でもありませんが、そういう話があるのです。とにかく林道予算については奇々怪々たる話を私は聞くのです。ほんとうに大事なところがオミツトされて、これは世の中の常ですが、先にうまいことをやる連中が、保留分から一割くらいの献金をしたりいろいろなことをやると、うまいこと行くというふうに地方民は思つております。それは小さな林道じやなくて、一つつければ何千万円という大きなやつです。そういう話があるのです。ぼくはあまり暴露したり何かすることはすきじやございませんから、糾弾するわけじやないが、もつとそういう非難や疑惑のないように、林道関係というものは公正にやつてもらいたいと私は思います。現在予算がないとかいろいろな事情で、官選林道にでもなり、しかしそれは民有林道でもなるというものについて、詳細な資料がもらえたらもらいたい。私はあまり林業関係に詳しくないから、何か的はずれの質問をしておるかもしれませんが、その点はそうであつたら御了承を願いたいのですが、そういうことはありませんか。
  10. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 さような誤解を受けますことは非常に残念に存じますが、林道予算は、林道計画に基きます年次計画に対応して要望いたします量と比較いたしまして、たとえば造林あるいは治山事業と比較いたしますと、毎年非常に削減が大きいということのために、地方要望に最もこたえにくいのが林道予算でございます。そのためにあるいは要望に沿えないという場合に、他の方が一応実現するということのために、いろいろな御批判があるということもあり得ると存じますが、これには十分実は資料を持ちまして審査をして決定をいたしておりますので、具体的に特に奥地林道につきましては線別資料を提供いたしますので、十分御審査を願いたい、かように考えております。ただ一般林道に関しましては、非常に短期の小規模のものでございまして、場合によりますと当初に決定いたしましたものをさらに地方事情によりまして変更されるというような場合もございますし、非常に数が多いので速急に資料を整備することは困難かと存じますが、一まず奥地林道に関しましては全部一線ごとに具体的に資料を提供いたしたいと存じます。いずれにいたしましても、さような誤解を生ずるということはきわめて遺憾に存じますが、現在進めております審査基準等につきましても、必要がありますれば資料として提供いたすことにいたしたいと存じます。なお今後はさような誤解の生じないように、ざらに十分努力はいたしたいと思つておりますが、問題は要望に対しましてきわめて予算が少いということが非常に大きな原因をなしておるのじやないか、こう思われます。二十九年度予算におきましても、造林予算は前年度と比較いたしますと、多少増加いたしております。さらに治山事業につきましても、国有林におきます保安林整備臨時措置によつて買い上げるという問題が確定いたしますれば、それに伴いまして国有林野事業としての治山事業は相当増強され、総体としては前年度よりも事業量が増加するということになつておりますが、林道経費だけは総額において一億七千万円程度も減少いたしておりまして、これが総合的な利用のために非常に苦慮いたしておるということも御了承願いたいのでございます。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、その林道予算のわくのある部分をだれかが保留しておいて、そうしてその分について調整をとるということはありませんか。
  12. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 さようなことは絶対にございません。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 ないんですね。——ないとおつしやつたから、私は柴田長官の人格を今までよく見ておつて非常に尊敬しておりますし、これ以上申し上げませんが、あなたの目の届くところではないかもしれませんか、これは私は相当確実な筋から聞いておるのです。ですからこれはまた別にあなたに直接話しましよう。とにかく林野問題については、国有林の払下げの問題をめぐつて地方へ帰ればこのごろよくいろいろな話を聞きます。これは綱紀が紊乱しておるとは私は申し上げませんが、ほんとうにこういう重大な林野三法か、少くともこの保守党政権下にあつて、元来は保安林整備法なんという自由党の性格に反するものでもやはり出されなければならないほど、焦眉の急に迫つた重大な問題であるだけに、私どもは熱心な審議を続けておるので、その点は特に今後長官におかせられてはよく監督をされて、最も公正な林野行政をやつてもらいたいと私は思います。この具体的なことについては、私は一ぺんあなたと直接話す機会を持つて、さらにこの問題については申し上げます。
  14. 川俣清音

    川俣委員長 委員長からも当局にお願いいたしますが、足鹿委員資料の請求ですが、誤解があるといけませんから、奥地林道と民間林道にわけて、奥地林道については線ごとに、民間林道については各府県ごとに、昨二十八年度並びに二十九年度の予定をお示し願えばそういう誤解がなくなるのじやないかと思いますから……。
  15. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 承知いたしました。ただいまの足鹿委員お話は非常に私どもありがたく存じておりまするが、私どものキヤツチしかねておる面もあるかと存じますので、何らかの機会に具体的にお聞かせを願いたいと存じております、ぜひお願いします。
  16. 松岡俊三

    ○松岡委員 ただいま足鹿委員より開拓林道お話がありましたりで、私は自分の体験よりひとつ申し上げたい。東北の奥地開発が雪の中でもはたしてできるかどうか、だれが見てもそこは危険であつてできないう、に思われておつたのでありますが、私は東北の冬に十メートルも積る雪の中に、まる五年開拓者として入つた。前の中尾長官時代に、国有林を開放するということは、結局木を切つてしまつてほんとうの趣旨に沿わないようなことをやるからというようなことでおりましたが、私が朝鮮において植林に関係したことをよく知つておる上から、遂にこれを許すようになつて、そして七百町歩のあの山形県人高根村の奥の葉山の北の中腹を開発した。私は松岡開拓団を組織して、町の観音郷という新しい村をつくつた。その一冬に十メートル積る雪の中ではとても百姓はできないというたのを、私は完全に模範的なものを仕上げた。また微力ですけれども、私は自分の資産も相当に注ぎ込んだ。そして当時とてもなし得ないということまでも遂になした。これは道路が一番の問題なのです。幸い今日はあの通りに道を私はこしらえました。私のつくつた道はもう今度は、すぐ裏はみんな国有林ですから、あの国有林に私のつくつた道が生きるのです。ところが国有林を移管、転換してわれわれの方になつてしまうと、林野庁の方は関係は全然ないのじやありませんか。あの通りに……。そして今お話のように、全国的に開拓道路はたくさんあるものですから、その順番が来ないので容易なことじやないのです。ようやくそこができますと、そのあとの利用は全部国有林地帯ですから、あの国有林に今度あれを生かすについては、私のつくつた道を使うよりほかにない。そういう点から行くというと、開拓道路の問題などは、当然林野庁と密接なる連絡つてしかるべきだつたと思うのですけれども、これは足鹿さんの御指摘になつたところと全然別個の問題になつておるから、林野庁長官としてはあたたかい心持で、かわいそうだと思つておるようなことはあるのですけれども、組織が全然別箇になつておるからどうもすることができないのじやないかと私は思うのです。私の体験から言つて、今足鹿委員お話の点に、現在の組織があんなふうになつておるから、林野庁としては手が出せないのじやないかと思つておるのです。これは何とか考えて行かなければ、この先はすべて国有林地帯ですから、利用するのは非常にたくさんある。その中からようやくこしらえて行つたあの道路を利用して、今度の林野開発をするのです。ところが今度林道の問題は、東北のようなところは索道を用いるようなことにして、林道をつくらないようなつもりがあるんじやないかと思うのです。ああいう密接に連絡あるところでは、特別に林道として国有林の経営の上から考慮されて行つたならば、開拓者も国有林も相ともに得するわけだと思う。こういう点には特別にこれからお考えくださるのかどうか。私の問題ではなく東北全体の問題である。あの雪の中の奥地開発、食糧増産がはたしてできるかできないか、ほとんどできないというようなぐあいに考えておつたのを、私は身をもつて体験して、これを立証して、必ずなし得るものだという実績を示したのですから、国有林を持つておる林野庁としては、林道問題については相当考えていただかなければならぬものだと私は思う。ところが現在の組織は、開拓方面は全然林野庁国有林の地帯を離れているものですから、一向さわることができないようなぐあいになつているんじやないかと思うのですが、今後これらの点について御考慮をくださつて、省内においても統一するように、何らかお考えをもつてお進めくださるかどうか。林野庁国有林が一番これから得をする、今までは何も関係しておらなかつたのですが、これから得をするものは林野庁です。すぐあの上ですから、ああいうところには林道をできるだけつつて、そうして開拓者を生かすというよりも国有林を生かす、そうして山村その他における開拓者の貧弱な生活をゆたかにせしむることが相当にあるんじやないかと思う。東北はあのようにたくさんな国有林を持ち、そして開拓者が最も多く入つているのですから、こういう関係を私の体験から申し上げて、御考慮をいただける余地があるかどうかということを、特にお尋ねする次第であります。
  17. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 過去におきまして、開拓計画の進度等が必ずしも私どもあるいは地元の国有林等でもつかめなかったような場合がありまして、実際問題として、開拓道路林道とが開発の時期が食い違つたためにばらばらになつておるというような例があつたことは、私どもも十分承知いたしておりますが、さようなことではとうてい十分な総合的な効果は発揮しない。開拓道路等を見ましても、非常な山の奥に一部分りつぱな道ができて上下の連絡がないというような道路のできた例がございますので、これらを総合いたしまして、一貫して下部まで連絡するように林道と結合することについては、目下十分な連絡をもつて進めておりますので、今後は先生お話のように開拓ができたらわれわれの方は御相談に乗らないのだというような考え方は全然いたしておらぬということを、ひとつ御了承願いたいのであります。なお国有林林道に関しましても、従来は軌道によります運搬施設を主体といたしておりましたが、それでは、特に東北地方のごとく季節的に活用の期間の非常に短かいうらみがありますのと、一般の利用に非常に支障があるという問題がありますので、既設のものにつきましても極力トラツク道路に切りかえまして、一貫して一般道路との連絡もできるように変更いたしておるような部面もございますし、今後の開設につきましては、もつと用途の広いトラツク道路を主体として進めて行く、こういう考え方でおりますので、できるだけ連絡を密にいたしまして、総合的な計画を進めさせるということで大体支障なく行くのではないか、かように考えておるのでございます。
  18. 松岡俊三

    ○松岡委員 ただいまの御説明を承つて開拓者はこれから曙光を認めるというようなぐあいに私は感じた。今までは開拓方面は、国有林関係から離れるとそれきりになつておるわけなんです。これをただいまのようなぐあいに、あそこはこういうぐあいに国有林には関係があるんだからというぐあいに、総合的にお考えくださることになりますれば、開拓者から希望が続々出るものと思います。今までは全然離れて、ほんとうは手放したくないようなところを国有林をとつたものですから、何だか背中合せのようなぐあいになって——今まではちよつとそんな感じのところもありました。それでどうも林野庁の方にはあまりたよるわけに行かないかのような気持を開拓者が持つてつたと思います。ただいまのお話が、東北の全開拓若ばかりでなく、その他の開拓者にもわかりますれば、これから非常な大きな希望を持つことと思います。私はこの点全開拓者のために喜ばしいことであると思う。ひとつそういう意味において開拓者の生活を——奥地まで、一番遅れたところまで進んで行つた開拓者ですから、その開拓者の生活をゆたかならしめるようにするためには、国有林に手伝つてもらうことが一番いいことたと思つております。どうぞ特にお願い申し上げます。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 さつきの林道の問題とは直接関係はございませんが、森林土木協会ですか森林協会ですか、ぼくは森林土木協会と記憶をしておりますが、とにかくそういう林野庁の外郭団体のようなものが各県にある。ところがこれがいろいろな予算の天引きというか、何か予算がつくとその協会が若干吸い上げてやつておるというように聞きますが、これはどういう法律に基いてできたものですか。全国的にはどういう分布になつており、どういうふうにしてこれを統轄指導しておりますか。その概要について承りたい。とにかく相当大きな金を使うらしい。一会長が小さい県でも百万円や百五十万円の交際費を使うということを開いておりますが、一体そういうお金はどこから出るのですか。私は国の補助金の上前をはねるのはもつてのほかだと思う。上前というと語弊がありますが、何かの形で吸い上げているに相違ない。そういうのが各府県にありますが、それは法律的にどういう根拠によつてできておるものでありますか、分布はどういうふうになつておるか、監督はどうしておられますか、その点に関して御答弁を願いたいし、またそれに関する資料があつたらいただきたい。どうですか。
  20. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 いろいろ林道協会とか森林土木協会とか、県によりまして名称ももちろん統一をされておりませんし、地方の団体はおそらくほとんど全部任意の団体だと思つております。もちろん法律に基いて結成されておる団体ではございません、中央には社団法人の林道協会というものがございまして、これは主として林道必要性の宣伝であるとか、あるいは技術の普及であるとか、指導であるとかというようなことを主体的に実行いたしておりますか、私どもといたしましては、特に結成を要望したものでもございませんし、これを機関として活用するという筋のものでもなく、地方の任意団体がメンバーとなられて、中央に林道協会というものを結成されまして、林道必要性の宣伝普及なり、あるいは林道設計に対する技術の普及であるとかいうような点を主体といたしておられるようでございます。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 林野庁はその団体とは直接関係はないでしようが、もし指導、監督をされるとするならば、林野庁のどの部局がそれに当りますか。
  22. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 直接的に指導いたしまするのは、森林組合課が一つの団体として指導いたしておりまするが、内容に関しましては林道が主体でございますので、指導部が指導いたしております。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 その各県に分布しておる内容はほとんど同じようなものでしようか。その協会の名称、その予算、決算というようなものを資料としてひとつ御提示願いたい。いただけますか。
  24. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 中央の林道協会に関しましては、すぐ調査可能だと存しておりまするが、地方の団体に関しましては、一応調査をいたしませんと、現在のところ実は資料林野庁には全然持ち合せておりませんので、しばらく時間をおかしいただかなければならぬ、かように考えます。
  25. 足鹿覺

    足鹿委員 とりあえず中央の分をいただくとして、林野庁としてそういう予算、決算もわからない、その名称もわからぬというようなことは、とんでもない話じやないですか。事実上この団体は地方における林政を左右しておりますよ。いろいろな林道に関することについて、ある部分的な問題かもしれませんが、私どもはそういうふうに見ておる。そういうものを知らないなどというのは、長官ちよつとおかしいじやないですか。志藤部長はおいでになつておりますか。だれか関係ある人から、この問題について、もう少し詳しく説明してもらいたい。知らぬなんてそんなばかな話はない。多くの交際費を使つてどんどんたつているじやないですか。林野庁あたりに対する陳情なんかも、これがほとんど先頭に立つてつているじやないですか。県庁の林務課とうらはらの関係にあるんじやないですか。これを知らないなんということはもつてのほかです。この点どうですか。
  26. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 おしかりを受けまして非常に恐縮でございますが、地方の団体に関しましては、中央において一切監督も指導もいたしておりませんので、内容を十分キヤツチいたしておりませんことを率直に申し上げざるを得ないのでございます。ただこの団体がさように世の疑惑をこうむるような行動がおるといたしますれば、中央の林道協会を通じまして、十分にこれが反省を求め、かつ場合によりましては改組をお願いしなければならぬというようなことになるかと存じまするが、一応調査をいたしまして、資料を提供させていただきたいと思います。
  27. 足鹿覺

    足鹿委員 私は別にそれが疑惑を受けておるようなことをしておるとか、どうとかということは別問題で、とにかくこれか林野行政に対して大きな発言権を持つておるということだけは少くとも事実です。それをあなた方が御存じないというようなことは、少しこれはぬかつた話じやないかと思う。おそらくここへたくさん林野庁のお役人で、関係外の部課長がおいでになつておるでしようが、この中にも、そういつた人が地方から出て来たときの会合あたりに出られた人もたくさんおいででしよう。またそういう人たちが、いろいろな名刺を持つてあなた方のところへ陳情に来ることもお聞きになつているでしよう。そういうことがわからないなどという話はおかしい。私はその内容がいかがわしいとかどうとかいうことは言つていませんよ。とにかくそういう機関があつて林野行政というものを相当実質的に動かしておる。林野庁あたりもそのことを知られないはずはない。各担当なり関係の局部課長というものが知らないはずはない。そういうことについてややもすれば、私が先ほどから申しまするように、あなた方の出先機関といろいろな実質上におけるところの関係というようなものも、これは官庁でしばしばありがちなことで、林野庁の息のかかつているそうした団体が便宜に動く、またその大幹部等の言うことは、出先も相当尊重するというようなことになろうと思う。そうしてそこに払下げの問題あるいは林道の設置の問題等を通じていろいろな問題が起きて来はしないか。私はそういうふうにも推察するんです。別にこの問題を具体的にどうこうということではありませんが、そうしたことについては、もう少し関心をお持ちになつてしかるべきだと思う。予算も相当な金頭ですから私は申し上げるのです。専任の職員もちやんと置いておるし、県庁の中あたりにも事務所も置いておるし、大方おるのだろうと思う。そういつた点から、県庁あたりの林務課とはうらはらの関係にあるものだと私は思う。それからこれに関連して、林野関係で、県庁の林野行政にタツチする者で、国が補助をしておられる職員はありますか、ありませんか。補助、助成、とにかく名義の何たるとを問わず、どうですか。
  28. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 国の補助によりまして地方職員の設置をいたしておりまするものは相当ございます。改良普及のための技術普及員、それから森林組合関係指導のための検査員、さらに森林計画の調査あるいは監督をいたしまする経営指導員等は、それぞれ半額の職員補助をいたしております。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 そういう職員だけではないでしょうが、いろいろな場合に政治合動をやる、しかも正式の出張命令を合法的にとつて、そして選挙運動なんかにタツチをする、しかも特定な者に対してやるというようなことはありませんか、なければけこうですが、そういう方は官吏の身分を持つておると私は思います。これが公正の意味において公正選挙の宣伝をやる、あるいは公明選挙の運動をするということは、私は大いに歓迎すべきことで、啓発宣伝をやることはけつこうであると思いますが、たまたまその林野関係については大きな利害関係つたり、その対象となる人たちが山間僻地の者で、いろいろとお役人さんを尊重するというようなことから、特に地方におきましてそういつたことがありはしないかと懸念されます。これは民主的労働組合とは別個です。民主的労働組合が、自分たちが組織できめて、そしてその組織の線に沿つて、服務に支障のない限りやることは、あえて私どもは何らとやかく言うわけではありませんが、実際上において、この森林協会だとかあるいは県の林務課に勤務しておる者とか、そうしたような者が特殊な立場から内密に公務出張をやつて、そして非公明な政治活動をやるというようなことはありませんか、監督は十分に徹底しておりますか、その点は林野庁長官にひとつ責任のある御答弁を承りたい。
  30. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 私といたしましては、公務員としての政治活動の範囲を越えたさような非公明な活動は絶対に禁止いたしておりますし、先般の選挙の際にも特に注意を発しておるという次第でございますので、私はさようなことはないと存じます。なおさような県庁職員等の場合におきましても、地方公務員の公職選挙法に関する活動の制限がございますので、それらに関しましては間違いないようにということは、それぞれ連絡をいたしておりますが、それが絶無ではなかつたような疑いもあるということは非常に遺憾でございまして、今後につきましては、一層厳重に連絡をいたしまして、さような間違いのないようにいたさなければならぬ、かように考えております。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 御努力になるということでありますから、また別の機会に私はこの問題についてもいろいろ申し上げてみたい。具体的な事実等についてはまた申し上げます。  その次に、今日はとつぴな質問ばかりするようで恐縮でありますが別に他意はありません。特に私はあまり様子がわかりませんので、的をはずれておつたり、あなた方から見れば噴飯に価するようなことであるかもしれませんが、地方では私どもは、あなた方が地方へ行かれて、自動車に乗つてしゆうつとやるというようなわけでなしに、ほんとうに歩くのです。そういつた関係から、特に最近林野関係についての批判が非常に強いから私は申し上げる。そういう点をよく御了解を願つて、それぞれ善処される点は善処していただきたい。  最後に法案に関連して一つだけお尋ねをいたします。法案関係は芳賀委員なりその他がおやりになつておりまして、私は重複を避けたいのですが、国有林野法等の一部を改正する法律案をなぜ一年間延長されるのですか。もつとこういうことは計画的におやりになるためには、五年なら五年と区切つて延長をして、そうして、私が指摘したようなことにも関連したいろいろな計画的な森林行政をおやりになるのが、私は本旨じやないかと思うのですが、どうも計画々々ということはいろいろおつしやいますけれども、具体的に出て来るものを見ると非常に計画性に欠けておりはしないか。その都度その都度延長して行く。現地の声をお聞きになればわかりますが、国有林野整備法あたりができたときには、地方民は非常に喜んだ。ところが実際ふたを明けて見たところが大したことはなかつた、こういう声をずいぶん聞くのです。それをまた一年々々延長して行くというようなことは、一体どういうことなのでしようか。  それと市町村合併促進法という法律が去年実施に名つて、現在は十五里も二十里もあるようなところの山奥が市制の傘下に入るなんというようなことになつておる。ところが例の合併促進法の十三条から十九条だつたと思いますが、国有財産並びに国有林野の払い下げについて規定しております。ところがその条項の適用が事実上あまり効果を発揮しておらないのではないかというふうにも聞くのです。市町村合併促進法にうたわれた国有林の合併町村に対する優先払下げといいますが、国有財産といつても、ほかには特殊なものはあるでしようが、一番共通したものは国有林の問題だと私は思う。これは松岡先生が年来言つておられる里山経済林の問題にも関連して来ると思うのですが、この点について、どうも合併はしたものの、合併する前に地元ではいろいろ林野庁と折衝して、合併したときにはもう払い下げの対象になるようなものがなかつたというようなことはないでしようか。どうも地方を歩いてみますと、合併促進法にうたわれた国有財産または国有林野についての優先の規定があまり効果を発揮しておらない。それは運営の面もあるが、林野庁が惜みなく与えるという気持ではなしに、やはり確保しておきたいというような気持があるんじやないかと思うのですが、これは私が事実上の認識を誤まつておるのかもしれませんが、この辺いかがでしよう。この二点だけ伺います。
  32. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 国有林野整備法の一部改正において、六月末までの期間を三十年三月三十一日まで延ばしていただきたいということで御審議願つておりますのは、計画性がないじやないかというお話は、実はさようではないのでございまして、一応この法律の規定期限内に完了する予定で進めておりまして、ほぼ進んで参りましたが、その間におきまして、特にこの対象になりまするものが、北海道、東北地方に多いという関係と、昨年の冷害にあるいは九州地方等のごとく水害等のために、地元の御準備が資金的に遅れておるというようなところができまして、具体的な手続が遅れた。実際には調査も大体予定のように進んでおりまして、五月一ぱいには一応、完了する見込みでありますが、ただ手続上この際特に急ぐということは、林野整備で買い受けていただく対象町村に不便であるという問題と、あわせて非常に重なつて参りましたので、国有林側としましても、事務的に非常に重なつて追い込まれて来ておるという実情からいたしまして、事務処理のために多少の安全を見まして、二十九年度一ぱいということでお認めを願うということでお願いをいたしておる次第でございます。この点は計画的ではないじやないかということとは、多少違うと私ども考えておりますので、御了承を願いたいのでございます。ただこれと関連いたしまして、町村合併促進法においでも国有林の売払いを十七条に規定いたしておりますが、この問題に関しましては、実はもつといろいろ御要望が出るだろうという考え方も持つておりました。そこでこれの処理に関しましては、それぞれ十七条に関連いたしまする売払い後の処理等に関しましても方針を決定して地方庁にも通牒しておりますと同時に、各営林局に通達をいたしておる次第でございますが、具体的に、町村合併後に林野の払下げを希望するよりも、合併前の希望の方がかえつてよけい出ておるということで、この点は実は私どもは予期に反しておるということで、弱つておるわけでざいます。本来市町村の基本財産を造成していただくという意味で町村合併促進法にも規定されておるわけでございますし、今までの林野整備の払下げに関しましても、できる限りこれを基本財産の造成に役立ててもらうということで、計画的に扱つていただく契約をいたしておるのでございすが、ただいまもお話のように、非常に町村合併が促進いたしますと、山村から海岸までも続くような町村が出て参る。さような際に合併後の町村に売り払うということになりますと、ほんとうの狭義の、地元の人たちはかえつて不便になる、あるいは一部の利益は下流のものに利用されるというような考え方が、多く働くのではないかと思うのでございますが、合併前に払下げを受けて財産区の設定をしたいとか、あるいは処分をして、その利益を旧町村で利用したいというような考えが強いのではないかと思いますが、現在まで実際に申出のありました件数が非常に少いということで、実は私どもも意外に存じておるような情勢でありまして、これに対しましてもさらに啓蒙いたしまして、必要によりましては積極的に御相談を進めて参る、かようにいたしたいと考えております。
  33. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先ほどの足鹿委員質問に関連して申し上げますが、林業総合研究協会があるというふうに聞いておりますが、これらの目的とするところだとか、あるいは運用の内容等に対しで、長官も知つておられると思いますが、一応お伺いしたいと思います。
  34. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 林総協と称しておるものでございましようか、これは昭和二十七年かちよつと忘れましたが、社団法人として結成されまして、東京都に事務所を持つて活動いたしております。
  35. 芳賀貢

    ○芳賀委員 このいわゆる林総協でありますが、これは聞くところによると、この経営というのは、パルプ業界が費用を出しておるように承知しておるわけです。この人的構成の中におきましては、林野庁の中堅職員の人たちがそこへ参加して、大体二箇年くらいの年月そこに勤めておるというか、そこへ出先として行つておるのか、それはわかりませんけれども、とにかく林総協の中に参加しておるということは事実であると思います、そうして二箇年くらいたてばまた林野庁へもどつて来て、そうして林野庁の運営の全体の面において、相当枢要な地位を占めておる。こういうような形にたつておると思いますけれども、これらの点に対して、もう少し具体的に説明を願いたいと思います。
  36. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 この協会は、ただ単にパルプ会社だけでなく、木材あるいは林産物を使用いたしまする面の、それぞれの業界が全部参加いたしている次第でざいますが、資金的には、やはり最も財力の多いパルプ会社が、一番多い部分を分担しておられるということになつていると思います。しかしながら石炭関係の業界も、坑木需要等を主体として、林総務に参加しておられます。木材関係も、製材業等の関係が林総協に参加いたしております。これは需要の面からいたしまして、森林資源を総合的に維持培養しなければならない、その民間推進母体としてという目的をもつて生れた次第でございまして、これは需要の面を主体といたしまして、通産省関係とも十分な関連を持つて活動しなければならないということで、通産関係連絡のいい人も入つております。あるいは林業関係との十分な関連の持てるようにということで、林野庁出身の者も数名参つております、特に常務陣に林野庁から一人、元営林局長をいたしたのが現在も入つております。ただそれ以下の者で、二箇年ぐらい向うへ参りまして、また帰つて林野庁の枢要な仕事をするというような原則は、全然ないのであります。たまたま非常に有能な人であり、林総協として用事がなくなつて、こちらで必要があるという場合に、もどつた例はあるということでございますが、何もそれによつて、定期的にこちらから人を出して、それが運用するという形では全然ないのでございますが、ややもすると、最も多く資金的なバックをいたしておりますパルプ業界の出先になるということでは、森林資源総合開発協会と申しましたですか、これ自体が全体目的の違つたものになつてしまう。それでは真の目的を達し得たいということで、その協会自体の要望によつて人を出している、こういうことになつております。
  37. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの長官の御答弁でありますが、このような現象というものは、決して推奨すべきことじやないと思う。林総協の経営の実態というものは、その主流をなすものはあくまでもパルプ資本で、しかも国有林等が払下げを行う場合の、約五〇%ぐらいはパルプ用材として、一つの特売の形でそれがが流れて行くというようなことになつているわけであります。そうして今の説明によりましても、林総協というものは、単に需給関係の面におけるというような御説明でありますけれども、ある意味においては、わが国の林政に対して強い影響力を持つているということは、否定できないと思うのであります。しかもかかる機関の中に、林野庁の中堅職員が参加する。それは身分は、退職後にその林総協の職員になつているかどうか知りませんけれども、一つの慣例としてか、たまたまもどつて来るというような場合においては、それはどちらかの要請に基いてそこへ出かけて行くということになるのでありますか、林野庁から勉強あるいは修養のために林総協へ行くのか、そういう点も不明であるし、ややもすれば、これは疑惑を持つて見られる場合もナイトも限らぬわけであります。何かうらはらの関係の中において、林野の行政が行われるのじやないかというような点も、必ずしもないとも言えないわけでありますが、ほんとうに国の立場において、林業資源の培養であるとかあるいは需要の高度の調整であるとか、そういうものが必要であるとするならば、当然林野行政の中において、しかも国の経費においてかかる研究とか調査というものが行われてしかるべきであるというふうに考えるわけでありますが、これらの機関に依存しなければならぬというような理由というものは考えられないわけであります。これに対する長官の御見解はいかがでございましよう。
  38. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 林総協に依存するために林総協に協力いたしておるというような点は全然ございません。ただ民間の森林資源の増強のためにいろいろな具体的なお仕事をなさるというような問題につきましては、たとえば現在あそこで取上げておりますのは、ユーカリ等の問題が非常に盛んになつて参りました際に、林総協から金を支出いたしましてこれが調査をいたしております。この問題は林野庁への協力という考え方ではなく、この森林資源の非常に欠乏いたしております際に、自分の仕事としても、成長量の非常に大きな樹種を導入することが非常に急務である これの実行をしようというために、それぞれの関係の人を委員としてこれを主宰して参るというような動き方をいたしておるのでございます。あるいは大体の樹種の研究をいたす、さらには利用の合理化を進めて、林業行政への協力をして資源確保をはかるというようなことをいたしておりますが、この問題自体も林業合理化に関しましては、林野庁もそれぞれ行政もいたしておりますし、調査もいたしております。あるいは通産省と連絡をいたしまして企画をいたしております。ただこれを実施に移すという面において、林総協がいろいろ活動しておられる。このことは決して私どもマイナスではないと思つておりますが、私どもがこれに依存しておるという問題では全然ないということを、はつきり申し上げざるを得ないのでございます。
  39. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この問題は、国有林とパルプ産業というものを対象として考えた場合に、やはりパルプ産業というものはそのほとんどを国有林の立木に依存しているわけでありますが、そういう考えにおいで、多分に企業の上においても経済面における利吉関係が非常に強いということは否定できないのであります。その考え方によれば、林野庁としてはかかるパルプ業界を顧客として考えているとすれば、これは別でありますけれども、先般の委員会で私もちよつと申し上げた通り林野事業の中において三十数億の利益が上つておるわけでありますが、しかしその特売等によつてパルプ産業が国の財産を払下げを受けて、その企業の中から生ずるところの利潤というものは相当厖大なものであるというふうに考えるわけであります。そういうよりな利潤を上げながら、一面においてパルプの持ち山、いわゆる社有林寺を育成しておるというようなゆとりを彼らは持つておるわけでありまして、それはゆとりを与えておるということも言い得るわけであります。従つてかかる観点のもとにおかれた場合は、なるたけそこに、——人事の交流とまでは行かぬと思いますけれども林野庁の職員がその機関に参加したり、またこちらへもどつて来て枢要な地位につくというような、こういう一つの環流した行き方というものは、これはやはり反省される必要があるのではないかと考えますが、やはりそういうことは今後も行つた方がプラスになるというお考えでやられるつもりかどうか、その点をさらにお伺いしておきたいと思います。
  40. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 林総協がただいま申し上げましたような目的で、これは私どもが慫慂したことでも指導したことでも全然ないのでありまして、農林通産行政への協力ということよりも、自分たちの将来末長く業界の繁栄の基礎として森林資源維持培養を大いにはかりたい、こういう見地から生まれておりますので、従来資金が主としてパルプ業界から出ておつたから、やめるべきだということは、ちよつと筋にはならないのではないかと存じますが、これはパルプ業界の資金で出ているから、ややもすればパルプ業界のために悪用されるのだというような誤解が出るような動きがかりにもあるといたしますれば、これは厳重に注意を促すと同時に、これは協力はいろいろな意味においても一切できないというようなことに相なると存じますが、現在までの林総協の動向といたしましては、私ども不当な、あるいは間違つた方向ではないと考えております。将来にわたつてさような問題が少しでもきざすようならば、当然関連は一切断つて参るということにいたさなければならぬ、かように考えております。
  41. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は林総協の存在をとやかく言うのではなくて、林野庁の職員が林総協へ参加して、一定の年月がたつてからまたもどつて来るという形はよくないのではないかと考えるのです。退職されて林総協等の機関の職員になることは一向さしつかえないわけでありますが、それがまたもどつて来るという形は、これはやはり批判されるのではないかと思います。特に一つの企業体が経済面をまかなつておる、かかる組織の中におつた場合は、やはりある意味の影響を受けるわけです。影響を受けて帰つて来て、そして全国の林野局長であるとかあるいは営林署長というような立場になつて、その地位によつて現地の仕事をやるということになれば、現地においてまかせられた仕事とか任務というものは、相当大きな裁量権を持つておると思います。そういうような形はやはり是正される必要があるのではないかということで、お伺いしたわけですが、その点はどうですか。
  42. 柴田栄

    柴田(栄)政府委員 その問題は先ほども申し上げました通り、従来さような一度林総協に入つておりました者が、たまたま向うをやめて、さらに林野庁の職員として非常に有能で、適当であるということでもどした例はあるのでございますが、これは決してまたもどすという意味において人を送つておるというのではないのでございまして、さような方針は、今後においても当然とるべきではない、かように考えております。
  43. 川俣清音

    川俣委員長 ちよつとお諮りいたしたいと思いますが、保安林整備臨時措置法案に対する修正の要望もございますので、小委員長においてこれをまとめまして、本日各委員に配付いたしておりますから、これを御研究になられまして、明日の本委員会においてできるだけおまとめの上、御意見を本委員会において御発表願いたいと思います。  本日はこの程度で散会いたします。    午後六時二十分散会