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1954-02-20 第19回国会 衆議院 農林委員会林業に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十日(土曜日)    午前十一時四十五分開議  出席小委員    小委員長 川俣 清音君        秋山 利恭君   小枝 一雄君        佐藤善一郎君   福田 喜東君        井出一太郎君   井手 以誠君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         林野庁長官   柴田  榮君  小委員外出席者         農林事務官         (林野庁林政         部林政課長)  臼井 俊郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      藤村 重任君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 二月十日  小委員川上貫一昭和二十八年十二月十四日委  員辞任につき、その補欠として久保田豊君が委  員長指名で小委員に選任された。 同月十九日  小委員加藤高藏君同月十二日委員辞任につき、  委員長指名で小委員に補欠選任された。 同 日  小委員芳賀貢君同月十八日委員辞任につき、委  員長指名で小委員に補欠選任された。 同 日  秋山利恭君、足立篤郎君、佐々木盛雄君、井出  一太郎君、井手以誠君及び中澤茂一君が委員長  の指名で小委員に追加選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  保安林整備木材輸入等に関する件     —————————————
  2. 川俣清音

    川俣委員長 これより会議を開きます。  前回審議いたしておりました保安林整備に関する法律案の要綱並びに林業行政一般について議題といたして審議を進めたいと思います。
  3. 井出一太郎

    井出委員 最近における木材輸入現況をごく概略的に伺つておきたいと思うのでございます。  それに付随いたして、アラスカ開発というふうな問題もあり、あるいは最近は沿海州方面からの輸入について、これを何とか打開する道はないものか、あるいはそのために木材関係者ソ連側と接触の機会を持ちたいというふうな要望等も聞いておりますので、これらもあわせて輪郭をお伺いしたいのであります。
  4. 柴田榮

    柴田政府委員 二十八年度におきまする外材輸入の概要を申し上げますると、現在外材輸入として大体まとまつてつておりまするのは、南洋材ラワン主体にいたしますものと米材とがございまするが、年度当初におきましては、一応計画としては、ラワン材中心といたしまする南洋材で二百三十万石、米材七十万石、合計いたしまして三百万石を予定いたしまして外貨の御相談願つて来たわけでございますが、その後需給緊迫化あるいは需要増強等からいたしまして、わく等をふやしていただきまして、実績並びに三月までの見通しを簡単に申し上げますると、ラワン材におきまして、四月から九月までの上半期に入りましたものが二百五十四万石、それから十月から三月まで、まだこれは実物は入つておりませんが、一応確定いたしましたものまでを合計いたしまして二百二十七万石、合計いたしまして四百八十一万石というのが二十八年度ラワン材輸入量になります。なお前年度よりの越材が八十万石ございまするが、大体二十九年へ同量くらいを越して行くという見込みでございます。  それから米材関係でございますが、四月から九月の上期で、実績四十八万石、それから十月から三月までの下期、確定見込みを入れまして七十二万石、合計いたしまして百二十万石、ストックが一応十五万石程度、これは前年度と大体同じくらい、こういう見込みでございます。今通産省等と来年度見込みを打合せておりまするのは、大体これを基礎といたしましてラワン材で四百五十万石、米材二百万石の輸入計画いたしまして、これに対しまする外貨割当見込みを御相談をいたしておるというのが現在でございます。  なおアラスカ材輸入に関しましては、現在のアメリカ法律によりますれば、素材をもつて輸入するということは許されておらないために、加工して輸出するという条件がついておる結果、一応アメリカ法人として将来パルプ事業を向うに持つて製材と兼ねて加工品輸入する、こういう話合いのもとに昨年末、十二月の初めに一応アメリカ法人の設立が完了いたしたはずでございます。その後事業実行に対しましていろいろ計画をいたしておりますが、現在の情勢といたしましては、アラスカ州におきまして非常にこの仕事を歓迎いたしておる。ただその間に北欧諸国からも同様の計画が入つて参り、多少せり合つているというような点がありますので、あまりこの際急ぐということが不利になるというような場合を見越しまして、着手に対して多少時期をずらしておるというような状況で、事業の進捗としては支障ないという見込みでおります。当初は一応製材事業主体として計画いたしまして、製材品輸入考えつつ、伐採権を確保いたしまして、パルプ工場目標といたしておりますのは、大体年産十万トンという計画でおりますが、これを基礎としての計画を進めようということで、これはあまり外にははつきり出せないかも存じませんが、大体こちらの方の考えとしては、四、五年後にパルプ会社を完成できればいいというような見通しだと聞いております。従いまして需給調整のために有利なアラスカ材を少しでも多く入れるという手段は、私どもとしてもぜひとも急速に運んでいただきたいと思いまするが、さしあたつてはあまり需給に対して大きな役割を期待するということは困難ではないかと思うのでございます。近い将来においてだんだん相当働いていただけるのじやないか。なお価格関係からいいましても、現在の船運賃情勢内地木材価格からいいますと、現在では主体となりますつが材、ヘムロックにいたしましても大体ペイするという予定でおります。  それから沿海州材につきましては、現在世界的に相当余裕のある蓄積を持つておりますのは、何といつて沿海州を除いては針葉樹ではほとんど期待できないという情勢にありますので、いろいろ外交上、思想上等の諸種の問題はありましようが、わが国木材需給の点、将来の林政上の問題を考えますと、取引といたしましてこの際沿海州材を速急に何とか入手できるということは、私たちの立場としては、最も望ましいという考え方で、とりわけ内地木材価格が、最近におきましても、なかなか騰勢をゆるめない、しかも二十九年度見通し考えますると、輸出等見通しまして、化学繊維工業が、依然として相当強調であるという場合に、各種繊維源としての木材需要というものはさらに強化されて来るという見通しがありますが、現在までの傾向を見ましても、産地におきましてパルプ材中心といたしまする小径材の非常な買いあさりという問題が、産地高需要地安というような、まことに逆の傾向を示しておりまするのにさらに拍車をかけるような危険がございますので、この際沿海州材として価格的にもあるいは材質的にも最も適当であると思われまするパルプ材主体として輸入が可能であつたらということで、パルプ材中心といたします需要者の団体が中心となりまして、これらの輸入促進をはかつてつております。その他の梱包用材中心とするもの、建築用材中心とするもの等で、それぞれ輸入を運動いたして参つておりましたが、今日まで進んでおりまするのは、やはりパルプ材中心とするものが、一番強力に進んでおると申し上げ得るのでございますが、これは外交上の建前から、商取引のための双方への入国問題が非常にむずかしい問題になつておりまして、今日までそれが一番大きなネックで停滞いたしておりましたが、最近その見通しも、通産省、外務省、法務省、あわせて農林省でいろいろ相談をいたしまして、原則的に商取引のための入国を認められるというところまで、ほぼ確定いたしたようでございまするので、今夜は妥当な線におきまして、極力競合による価格つり上げ等によつてわが国の損にならないような方法で、業外の努力を要望しようということで、現在通産省農林省とでは話合いを進めておるという現況でございますが、まだ確定までには多少の時間を要する、しかし実現については可能性があるのではないかというふうに考えておるという程度でございます。
  5. 井出一太郎

    井出委員 大体ただいまの御説明でけつこうでございますが、内地林木を今後休養せしめて、できるものならば、用途の向きによつて外材にこれを仰ぐということはぜひ必要だと思うのであります。今度経済政策が大きく転換されようとしておる時期で、特に国際収支の面から外貨節約をはかるという要請か出て参りましようが、その面から、今御発表のような二十九年度計画量支障を来しはしないかというような懸念、内地の山を休めるという要請外貨節約という要請この間にはさまつて、おそらく林野庁は苦慮されておると思いますが、今伺えば、二十八年度計画量をそれぞれラワンにおいても米材においても二倍するようなところまで実績ができようとしておりますので、この趨勢をチエツクすることはなかなか困難であろうと思いますが、外貨の面との関連においての見通しはどうでありましようか。
  6. 柴田榮

    柴田政府委員 ラワンに対しましては、主として輸出ベニヤの原料ということが主体でございますので、現在価格で入るということになりますれば、大体外貨割当をいただけるという見通しでおるわけでございます。米材実績からいいますと、それほど大きな額ではないのでございますから、一応事務的に折衝を進めております範囲は、大体国内の生産もぎりぎり二十八年度程度需要趨勢考えますと、特に増強するということはなかなか困難であるが、一応二十八年度を確保するという方向で行こうというふうに大体了解を得ておる、こういうつもりであります。なおソ連材に対しましては、バーター貿易ということになりますので、可能ならばおそらくその点でお話合いが、願えるであろう、こういうふうに考えております。
  7. 川俣清音

  8. 福田喜東

    福田(喜)委員 私はまず昨日に引続きまして最も重要なる問題をお尋ねいたしたいと思いますが、この点は委員長にもお願いし、長官にもひとつ資料提供をお願いいたしたいと思います。それは流域指定の問題であります。長官はこれを非常に軽く考えておられる。適当に委員会で答えて、あとは立消えになるというふうにお考えになるかもしれませんが、私はこれはとことんまで追究したいと思つております。この流域指定につきまして、林野当局がお考えになつておるような方向とは、まつたく違つた状況に民間においては動きつつある。これは閣議決定を見ました治山治水対策の問題と関連しまして、非常に政治的のウエートを持つて来た。これは林野当局が事務的にお考えになつておることとはまつたく違つた様相を呈しておることを、特に御認識を願いたいと思うのであります。そこでまず委員長にお願いしたいのは、この流域指定の問題はいかなる根拠に基きましてああいうものをやつたか、その一切の資料を御提供願いたいのでございます。私か承るところによりますと、過般部課長会議等におきましてこの問題が発表されておりますが、七十七河川につきましてあれをやつて、さらに幾ばくか追加されたということを言つておられます。この問題を取上げるにつきましては、公共性ということか基準になつてつて流域に住む人口であるとか、あるいは農業利水の問題、電源開発上の問題、産業施設等のものを基準としてお考えになつておるようでございます。これはけつこうでございますが、ひつきようするところ、この問題は突き詰めて行きますと、保安林買上げの問題であり、なお上流における土砂扞止の問題であり、水源林造成の問題であるのみならず、それに非常に重要なる政治的のウエートが加わつて来ておる、こういうことを御認識いただきたい。これは委員会としても放置すべからざる問題である。つきましては、今日決定に至りました資料を一切林野当局に御提出を願いたいのであります。この点を委員長にお願いいたしまして、長官の昨日の答弁は私は不満でございますので、御意見を承りたいと思います。
  9. 川俣清音

    川俣委員長 委員長より長官の方にお願いしておきますが、今福田喜東委員の請求になりました資料をひとつお出し願いたいと思います。
  10. 柴田榮

    柴田政府委員 まだ決定はいたしておりません。いろいろ流域指定をいたします客観的な条件に基いて案を審議いたしているという程度でございますが、その案を提供させることにいたします。
  11. 福田喜東

    福田(喜)委員 この点は部課長会議相当内容を御発表なつたのでありますか。
  12. 柴田榮

    柴田政府委員 先日開催いたしました部課長会議に一応案を示してはおりますが、これは研究資料ということでございまして、確定いたしたものでは全然ございません。
  13. 福田喜東

    福田(喜)委員 私たちの承るところによりますと、これは追加の問題等もあつたということですが、そういうことになりますならば、あるいはこれは一応の線は引かれていると見なければならぬかと思いますが、この点に対する長官の御答弁はいかがでございましよう。
  14. 柴田榮

    柴田政府委員 一応客観的な基準に基きまして選定をいたしておりますので、大体その基準客観性があるということになりますならば、資料として提供いたしましたものが基準の線になるということは実質的に言い得ると出えております。
  15. 福田喜東

    福田(喜)委員 私は林野当局からこの資料を御提供になりまして、さらにこの林業小委員会におきまして、この問題はわれわれ林業関係のある委員の共通な問題でありますので、委員会としてこれをお取上げ願つて、ここで慎重審議をしていただきたいと思うのでございます。これを委員長にお願い申し上げておきます。
  16. 川俣清音

    川俣委員長 林業の小委員会は将来出て参ります法律案もありますので、継続して参りますから、その間に御研究願います。
  17. 福田喜東

    福田(喜)委員 つきましては資料が出まして後に、私はこの問題はここで議題としていただきたいと思います。内容の審査はそのときにお願いいたすといたしまして、私は質問を第一点に転じて、長官に御意見を承つてみたいと思うのでございます。  次は保安林買上げの問題でございますが、大体林野当局は、今回の直轄治山事業国有林に限るというふうなお考えのもとに進んで行かれたのでございましようか、その点を伺いたい。
  18. 柴田榮

    柴田政府委員 民有林直轄治山を全部やめるという考えはございません。今後といえども民有林直轄治山国有林事業と併行いたすという考えでおりますし、国有林野事業によるものは特に重要水源流域保安林だけを対象として考えますので、一般地区に対します直轄治山は、依然として将来も続いて参る、かように考えております。
  19. 福田喜東

    福田(喜)委員 大体お話の模様はわかりますが、しからばこの五万町歩十五億円というものは、大体中心はほとんど全部が国有林と見てよろしゆうございましようか。結局国有林にして直轄治山事業をやる、こういうふうに考えてよろしゆうございましようか。
  20. 柴田榮

    柴田政府委員 事業費の十五億予定いたしておりますのは、買い上げました保安林対象とするという考え方でございまして、直轄治山ではなく、国有林野事業というふうに考えております。
  21. 福田喜東

    福田(喜)委員 そういたしますと、現在民有保安林となつているもの、将来なるもの等も考えまして、現在民有保安林買上げ国有地として、それに直轄事業をやつて行く、こういうお考えのようでございます。それでは民有林保安林買上げが完了して、直轄事業をいよいよそこに行うまで、どのくらいの期間がかかるのでございましようか。
  22. 柴田榮

    柴田政府委員 今目標にいたしておりますのは、一部は当年度買上げ箇所についても国有林野事業実行可能である、かように考えておりますが、ただ二十九年度になりまして、本年度買つて、直接その買つた場所だけではたして十分に事業計画が可能であるかどうかという問題は、相当実際問題として審議いたしております。そこで大蔵省との話合いで、一応買上げ促進できれば、事業費買上げにまわして、五万町歩以上でも買い進むということで、来年度以降において事業調整して考える、こういうことも実行に応じて調整をするという了解済みで進行いたすということになつております。
  23. 福田喜東

    福田(喜)委員 この予算案等に盛られている内容につきましてお尋ねするのでございますが、民有保安林買上げが完了して、いよいよ直轄事業買上げたところについてやるというのは、やはり半年ぐらいのずれがあるのではないかと思います。この点について長官のお考え方を承りたい。
  24. 柴田榮

    柴田政府委員 買上げはおそらく年度一ぱい続くと思いますが、特に現在国有林と隣接いたしまして民有林直轄事業をやつておりますような地域は、年度当初に買上げ促進いたしまして、並行して国有林野事業として可能な見込み相当ございますので、ただちに着手できる所、あるいは前半買上げ計画等に要する所等が出て参る、かようには考えますが、一応前半買上げを完了いたしました程度が二十九年度事業計画対象になることにはかわりはないんじやないかと考えます。
  25. 福田喜東

    福田(喜)委員 私の質問申し上げるのは、つまりその間におきまして、買い上げて直轄事業を行う場合におきまして、少くとも三、四箇月のずれがある。その間には一体予算の執行上あるいは直轄事業上、どういうふうな御措置を講ぜられるおつもりであろうか、こういうことであります。三、四箇月ずれがあるのではないでございましようか。
  26. 柴田榮

    柴田政府委員 実際問題として当然さようなずれは出て参ると思うのでありますが、計画を進めて着手いたします場合には、現在におきましても、年度当初からただちに着手するのは継続事業だけでございまして、新規に新しい場所に企画いたしますのは、準備期間として相当時間を費しております。地方によりまして、年度内実行期間相当いろいろな場合もありますが、可能でございますので、その点はそれほど大きな心配はないんじやないかと考えております。
  27. 福田喜東

    福田(喜)委員 可能であると長官は言われるのでありますが、これは昨日もお尋ねいたしました買上げについて、強制措置を講ずるかどうか。それから買上げ基準とか、価格算定方法とか、これに伴つて一連国有林野に関する法律を改めて行くとかいう措置を今から手を打つておられることだと思います。かかる各般の法的措置を講ずるについての御準備ができているかどうか。これは先ほどもお話を承りましたが、着々御準備をなさつておられるようでございます。その準備とそれから実行手段ということについて、大体のお話を承りたいと思うのであります。
  28. 柴田榮

    柴田政府委員 法的な措置に関しましては、ただいま準備を急いでおりますが、なるべく早い期間に法案の御審議を願うように進めたいと考えておりますので、ぜひとも新年度までには問に合うように進める準備をしていると申し上げる次第でございます。それと並行いたしまして、具体的に買上げあるいは計画等を進める現実の対象の調査を早く促進しなければならぬということで、先般も関係地方庁の部課長並びに当該所管営林局長の合同を催しまして、これらの相談を進めておりますので、端的に申しますと、準備は本年度内に大体済みまして、新年度早早から着手できるということで出発する準備をいたしているので、御了承を願いたいと思います。
  29. 福田喜東

    福田(喜)委員 この点につきましては、さらに次の機会にまだお伺いしたいこともありますが、あまり長く一つの問題だけにこだわつてもどうかと思いますから、ひとまずこれで打切ります。  次に町村合併に伴います町村合併促進法第十七条の規定に基きまして、基本財産造成規定がありますが、あれと関連いたしまして、町村合併に伴う村有林公有林措置ということが非常に地方において問題になつていることと思います。現にわれわれの知つている限り、九州地区におきましても、こういう問題が頻々として起つて来ているわけであります。すなわち村有林というものは、合併後におきましは、合併後の大きな町村の中に併呑されて行く。そこで旧町村におきましては、どうせ大きな村のものになるならば、今のうちに切つちまつて換価処分してしまえというので、これが山林荒廃一つの大きな原因になつております。そこで林野庁は、国有林の払下げのことばかり着目されておりますが、われわれが郷里に帰つてみますと、町村合併に伴いまして公有林がこういう悲惨な状況に陥つているのでございます。Aの村とBの村とCの村と合併する。Aの村が村有林がある。A、B、Cが一緒になつてDというものになつたときには、これはどうせほかのものになつちまうから、今のうちに切つてわけちまえというので、切らなくてもいいものを換価処分してしまう。これがいろいろな荒廃原因をつくつているわけであります。この点につきましては、林野当局といたしましては、何らかこういう山林荒廃のもとをなすものに対して手を考えられているかどうか、お尋ねしておきます。
  30. 柴田榮

    柴田政府委員 その点は御指摘の売り、せつかく町村合併促進によりまして、さらに進展のための基本財産造成にしようというにもかかわらず、実情から申しますと、逆に既存公有林が早期に伐採促進されているという事実に対しましては、私ども非常に苦盧いたしまして、現在のところ実は県に監督権がないために、自治庁に連絡いたしまして、これが対策を指導していただくようにいたしておりますが、さような程度では実際問題としてほとんど効果がないということで、ちようど十七条二項に林野に対する施業計画の国の承認の問題がございますので、これを地方長官監督をまかせるということにいたしまして、近く政令の決定、発布を見る予定になつておりますが、既存公有林野とあわせて施業の監督をさせる、こういうことで、現在非常に意図に反して進みつつあります公有林野の無計画伐採を押えて行くという措置を講じたい、かように考えております。
  31. 福田喜東

    福田(喜)委員 長官のお考え、私は必ずしも悪くないと思います。しかしながら、この問題は知事にそういうものに対する監督権と申しますか、指導権をまかせただけで片づく問題では決してございません。これは現在の自治法と申しますか、自治に関する一連の法規を改めまして、たとえば合併町村につきまして特別財産区というものを設けるとか、あるいは入会の問題について法的の措置を講ずるとか、いろいろな措置を講じなければならぬ。これはお役所式の、知事監督権を与えるということで能事終れりという考え方は、私どものとらないところであります。それは知事の性格が昔と違つて参りまして、選挙を母体としております現在におきましては、こういう監督権知事に与えただけでは決して片ずく問題ではないのでありまして、この点に関して私は林野庁長官の一段の御研究を煩わしたいと思います。  さらに第二の問題は、またこれに関連いたしまして、干拓地あたりに関して農林省で盛んに監督の問題がやかましく論議されておりますが、私は九州あたり干拓地をずつと見渡して参りますと、こういう干拓のうちの護岸等保安林を設定して強制的に植林させるというような考え方林野庁で取上げていただけないものだろうかと思うのでありますが、ひとつ御研究を煩わしたいと思います。
  32. 柴田榮

    柴田政府委員 護岸林と申しますとちよつとはつきりいたしませんが、海岸の防潮、防風林は、小範囲のものについても現在も相当考えておりますが、ただ予算関係でなかなか御希望のように参らないという点はございますが、これはできるだけ増強して参るという方法相談をいたしておりますし、また先般の十三号台風実績等から考えますと、非常に狭い範囲に小量にあります海岸林も、非常に大きな効果を現わしておるという実績がございますので、地元においてもそれらの要望はかなり強いのでございますから、その計画に対しては、私どもも全面的に促進いたすという考えかわりはございません。
  33. 福田喜東

    福田(喜)委員 保安林の問題が出ましたからついでにもう一つお尋ねいたしますが、保安林買上げの場合、五万町歩で十五億も特別会計予算に組み入れる問題がございますが、買い上げるということであるから召し上げではないのですが、買つたからこれでもつて済んだということでなくして、保安林国有林に編入して買い上げたという場合に、山の持主からすれば、反対給付の山を、買上げとは別にどこかやるというような措置を何かお考えでございましようか、その点についての御考慮を何か御研究中でございましようか、その点をひとつ伺いたい。
  34. 柴田榮

    柴田政府委員 この問題は、取扱いによりましてなかなか複雑になつて参ると存じますが、適当な箇所がございまして、一方においてこれを売り払うということも、当面の経営上さしつかえない。しかも大きな目的を達成するために保安林を買い上げることが可能な場合には、さような交換に相当するような事例も取上げ得ると私ども考えておりますが、ただ、常に交換を条件とするという危険は当然防止しなければならないと考えておりますので、常に交換をするという考えではちよつと出発し切れないということで、現在この問題をいろいろ検討しておりますが、実際問題としてさような場合もあり得る、かように考えておることを御了承願いたいと思います。
  35. 福田喜東

    福田(喜)委員 最後に一点お伺いいたします。問題は小さい問題でございますので、林政課長さんがお見えでございますから、これは林政課長さんからでもけつこうですが、普通財産の管理処分につき随意契約によることができる場合の包括協議事項中、所管大臣の適当と認める企業者についてという通達がございます。この点に関しては、一般的の問題でございますが、御承知のごとく、森林組合並びにその系統団体というものは、二十六年の森林法の制定に基きまして新たに基礎が確立されたような状況でございまして、農協とか漁連等と比べますと、あらゆる面において財産の取得、管理処分等につきまして非常に遅れておる。この点について特にお願い申し上げておきたいのでございますが、適当と認める企業者云々に該当するものといたしまして農業協同組合、農業協同組合連合会、塩業に関する中小企業協同組合、塩業に関する中小企業協同組合連合会、漁業協同組合、漁連、水産加工業協同組合あるいは水産加工業協同組合連合会等、一連のものが羅列されておりまして、こういうものが国有財産の処分について、随意契約等の場合においては特別の扱いを受けておりますが、この中に森林組合並びにその系統機関が抜けております。これは大蔵省と御協議いただきまして、少くともわれわれとしては水平運動を起して、漁連とか農協、その連合会と同じような待遇をして、この財産上の扱いについて大蔵省に発言権を持つてもらうようにお願いしたいのでございます。この点はあまり問題はなかろうと思いますから、ひとつお骨折りをいただきたいと思うのでございますが、いかがでございましようか。
  36. 臼井俊郎

    ○臼井説明員 お話の通りでございまして、現在森林組合は入つておらないように私も承知しております。その点につきましては、今後大蔵省とも協議いたしまして、特に森林組合だけを排除しておかなければならないという理由もございませんので、協議して参りたいと思つております。さよう御承知を願います。
  37. 福田喜東

    福田(喜)委員 この点は、現在各県の県森連において、この条文かないために非常に不利をこうむつておるところがあるのであります。国有財産の払下げを受ける場合におきまして、ことに県森連あたりは、再建整備の途上において非常に損をしておるわけでありますから、特にお骨折りをいただきたいのであります。それにこれは通達で済むことですからお願い申し上げておきます。これで私の質問は打切ります。
  38. 川俣清音

    川俣委員長 それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後零時二十九分散会