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1954-10-20 第19回国会 衆議院 農林委員会 第76号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月二十日(水曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 福田 喜東君 理事 吉川 久衛君    理事 芳賀  貢君 理事 川俣 清音君       佐藤善一郎君    田子 一民君       松岡 俊三君    松野 頼三君       松山 義雄君    伊東 岩男君       本名  武君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    片島  港君       中澤 茂一君    中村 時雄君       久保田 豊君    安藤  覺君  委員外出席者         議     員 持永 義夫君         土地調整委員会         委員長     我妻  榮君         総理府事務官         (土地調整委員         会事務局長)  豊島  陞君         農林政務次官  羽田武嗣郎君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   中西 一郎君         農林事務官         (林野庁林政部         長)      奧原日出男君         通商産業事務官         (鉱山局鉱政課         長)      磯野 太郎君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      平塚 保明君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君         建設事務官         (河川局次長) 植田 俊雄君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 十月二十日  委員伊東岩男君辞任につき、その補欠として本  名武君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  鉱毒による農作物等被害に関する件  ダム設置による農地被害に関する件  澱粉の買上げ問題に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  鉱毒による農作物等被害に関して調査を進めます。長野八ケ岳地域硫黄等鉱物について、昨年長野県知事より土地調整委員会に対し、農耕地保護等理由をもつて鉱区禁止区域指定の請求がなされているように承つておりますが、まずその後の経緯について土地調整委員会より御説明願つた上で審議に入りたいと思います。土地調整委員会事務局長豊島陞君
  3. 豊島陞

    豊島説明員 ただいまお話のありました八ケ岳地区鉱区禁止地域申請でございますが、これは昨年の十一月三十日に長野県知事から土地調整委員会に対しまして鉱区禁止地域指定申請があつたのでありますが、申請の要旨は、長野県南佐久郡南牧大字海尻字八ケ岳本沢、その地帯におきまして、区域の面積二百五十八ヘクタール、それから鉱物といたしましては硫黄硫化鉄及びこれと同種の鉱床中に存する鉱物、こういうものについて、二百五十八ヘクタールについて鉱区を禁止してもらいたい。その理由といたしましては、ここで硫黄を掘りますと鉱毒水が出て参りますので——現在千曲川は汚毒されておらないのでありますが、この八ケ岳地域硫黄を掘りますと、千曲川の水が侵される、その結果は千曲川沿岸農業、漁業上に大きな影響を与える。これと同時にこの水を飲料水に使つている地元の住民に対して、衛生上にも及ぼす影響が大きい。こういつたような理由からいたしまして、長野県知事から鉱区禁止地域指定申請があつたわけであります。  それで委員会といたしましては、この申請を受けましてから、十二月十七日に申請のありましたことを公示いたしました。それからその後雪で現地に入れませんので、一応公示だけをいたしまして、こちらといたしましてできるだけの調査をいたしたのであります。すなわち三月十五日、八ケ岳硫黄鉱業株式会社を呼びまして、あの地帯におきます鉱業方針、そういつたようなものを審問いたしました。それから五月十一日に、八洲鉱業というのがやはりあの地区試掘権を持つておるのでありますが、これにつきまして一応審問行つたのであります。それから地質調査所に委託いたしまして、六月十日から二十二日にわたりましてあの地帯地質調査を依頼いたしました。それからさらに委員会といたしましては七月一日に聴聞会を開くことを公示いたしました。それから七月一日から十一日にわたりまして、あの地帯農地につきましての土壌調査東大農学部弘法教授にお願いいたしたのであります。それからさらに七月の十二日に、あの千曲川で東京電力が発電をやつておりますので、その関係から、関係者につきまして、現在この水によつてどういう影響を受けているかといつたような点に関しまして審問いたしたのであります。それから委員会といたしましては、七月の二十六日から八月の三日にわたりまして現地調査をいたしました。それからなお現地南牧村におきまして、七月三十日に十八名の方の審問をいたしました。それから八月の二日に、野沢町の桜井支所で二十五名の方について審問をいたしたのであります。それから八月の三日に、長野市におきまして公聴会をいたしまして、十八名の方から御意見伺つたのであります。さらに、その後八月末に東大農学部弘法教授現地調査をなさつていられます。それからさらに、委員会に対しまして資料の提供のありました学者方々のお集まりを願つて、九月の十八日にあの地帯について一応学者の方のざつくばらんなお気持をお聞きする、そういう懇談会をいたしたのであります。それからさらに調査の必要を認めましたので、十月の五日から十日にわたりまして東大青山下村教授現地調査をお願いいたしまして、あそこで鉱害防止の施設が可能であるかどうか、あるいはあそこで掘つた場合に水が出るかどうか、あるいはあそこらの鉱床がどういう状態であるかといつたような点につきましての調査を委託したのであります。なおこの間長野県あるいは鉱山局東京通産局水産試験所農業技術研究所、その他東大先生方、各方面の方々意見を聴取して、現在資料を整備しつつあるところであります。それで、先ほどもお話いたしました東大農学部弘法教授、それから鉱山学科青山下村教授、こういつたような方々調査報告がまだ出て参つておりませんが、こういつたような方々報告が出ましたら、委員会でさらに検討を加える予定になつております。現在進行中の状況は以上であります。
  4. 井出一太郎

    井出委員長 質疑の通告があります。これを許します。川俣清音君。
  5. 川俣清音

    川俣委員 今議題となつておりまする八ケ岳硫黄採掘問題につきまして、長野県知事から土地調整委員会に対していろいろ調査並びにそれに関する問題を提起いたしておるようであります。これに対する御報告を今受けましたが、その中で、九月の何日かにいろいろ学者を集めてざつくばらんな意見交換があつたということでありますが、これが公表できまするならば、この際御説明を受けたいと思います。
  6. 我妻榮

    我妻説明員 御承知通り土地調整委員会は、申請に基きましてそれに一種の決定を与える仕事をいたしておりますので、ある意味で裁判的な意味も持つかと思います。従つて事件が落着いたしまして後はむろん内容を御報告申し上げますけれども審議の過程においてはそういう問題はお答えいたさない方が正当かと思います。  それからまた、これから後御質問なり御意見なりありますのに対して、最初に一言私の希望を申し述べさしていただきたいと思います。今日の議題八ケ岳という当面の問題のように伺いまして、実は私いささか意外に思つたのであります。この問題は土地調整委員会委員会制度調査して、委員合議で決定するのでありますから、その委員合議中の具体的な問題についていろいろ御意見あるいは御質問があつては、率直に申しましていささか迷惑するかと思います。もつと一般的に土地調整委員会というものの方針を御質問なさるとか、あるいは方針に対して御意見をお漏らしくださるならばそれはもちろん承りもいたしますしお答えもいたしますけれども、当該の審議中の具体的問題については、あまり立入つたことをおつしやらないでいただきたいと思いますので、最初に私の意見希望を申し上げたいと思います。
  7. 川俣清音

    川俣委員 これは将来問題になると思いますので、私からも意見だけ申し上げておきます。これは裁判的なものだとはいいながら、やはり行政の一端を受持つているわけです。従つて委員会において具体的にこの内容を検討することは、立法府として当然の権利だと思います。しかしながら、今審査中でいろいろな誤解を受けてはいけないという意味の御答弁でありますならば、私はこれに必ずしも異議をさしはさみません。しかし根本的な問題になるといろいろ意見のあることをまず第一に問題にしておきます。  次に、ざつくばらんに意見交換が行われた、こういう御説明であつたものですから、そこでざつくばらんに意見交換が行われたならば、その部分だけはあえてお尋ねしてもさしつかえないじやないか、ざつくばらんに意見交換が行われたというのであるから、そういう程度のものであるならばここで発表できないことはないだろう、もつと根本的に言うならば、今までの調査内容をここでお尋ねしてもちつともさしつかえないと思います。しかし一応遠慮申し上げまして、ざつくばらんに意見交換が行われたということであるから、その部分だけでも公表できないか、こう私はお尋ねしたのであります。
  8. 豊島陞

    豊島説明員 私、さつき言葉が少し足りなかつたかと思います。懇談会と申しましても、それは各省の方からも、実はこの懇談会に入れてもらいたい、そして自分らの意見も述べさしてもらいたいという話があつたのでありますが、これは委員会内部だけで、さつきざつくばらんと申しましたのは、学者の方の気持を真実に述べてもらいたいということで申しましたので、何と申しますか、公開的な意味懇談会ではありませんでしたので、その点私言葉が足りなかつたのであります。
  9. 川俣清音

    川俣委員 今ここで土地調整委員会行政面を受持つておるか、あるいは司法府並びに立法府とわけた場合に、司法府に所属するかどうかということを委員長と議論しようとは思いません。しかし一応そういうような御見解がありましたが、少くとも私の見解では、土地調整委員会行政面を受持つているものだ、こう解釈いたしますので、質問をすることをあえて遠慮するわけではありませんが、この際は控えておきたいと思います。  そこで、それでは鉱山保安局長にお尋ねいたします。鉱山保安局長は、かつて帝国興発におられまして、実際の鉱業面を受持つておられたはずでありますが、今立場をかえて保安局長をしておられますけれども、日本の鉱業開発の上からいろいろ鉱毒問題が起つて来るのであります。しかも新しい鉱業法成立意味から申しましても、本来でありますならば、採掘に至りまする場合には、採掘権というものについて一定施業計画を持つていなければならぬものと思うのです。従いまして施業計画を続行する意思がなければ、鉱業権譲渡はこれは拒否せられなければならないという私は見解を持つておりますが、これに対する御意見を承りたいと思うのです。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員 議事進行……。川俣委員の御質問に先立つて、ただいま土地調整委員会委員長さんの発言がありましたが、これは非常に重大な発言であるというように考えます。当委員会国政調査の必要上、八ケ岳硫黄採掘問題に関して関係当局出席を求めたわけでありますが、何か今の御発言によると、当委員会土地調整委員会出席を求めて取上げようとした問題に対して、審査中の事案に対して国会がその問題に立ち入るということはさしでがましいというように考える、そういうような表現がありました。これは非常に短い表現であつたので、御意思のほどはよくわかりませんが、もう一度、国会に対してかかる発言をされた真意と基礎的な根拠というものを解明していただきたいと思います。
  11. 我妻榮

    我妻説明員 言葉が短くて私の意味が通じなかつたかもしれませんが、今審議中の問題について審議内容お答えしない方が至当であろう、従つて土地調整委員会というものが過去にやつたことに対する御質問あるいは御批判、あるいは土地調整委員会のとつている一般的な態度についての御質問あるいは御批判もちろんけつこうなことでありまして、お呼び出しを受けることは当然だと思います。また御質問にもお答えいたしますし、また御意見も十分拝聴いたしたいと思います。ただ今審議中の問題について、その内容をあまり具体的に御質問なさると、これはお答えしない方がいいのではないかというふうに考える、あくまでも審議中の具体的な問題については触れないでいただきたいということを申し上げたのであります。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 その場合、抽象的に全体を対象にして、この問題全体に対しては触れてもつては困るということは、あまりにあなたの方のかたくなな、頑迷な解釈だと思うのです。委員会においてもし質問したその中において、審議中であるから今の段階において表明することは避けなければならぬ、いわゆる秘密に類する事項であるというように、その問題に当面したときに、この問題に対しては答えられないど言われることは一向さしつかえありませんが、委員会が取上げている一切の問題に対して、国会がその問題について内容をただそうとするその態度に対して、全面的にこれを拒否する、そういうような見解というものは、いささか土地調整委員会逸脱になるように私は考えるわけでありますが、委員長はあくまでもそういうような態度で、今後とも諸般の問題を処理するお考えでありますか。この八ケ岳硫黄探掘の問題は、特に一年前に当委員会において取上げられたことがあるわけなんです。その後結論がいまだに出ておらぬというような問題なんです。ですから農林委員会としても今まで推移を注目しておつた問題でありますが、今の御発言によると、委員会結論というものは将来いつ出るかわからぬわけなんです。それまでの間地方住民等に対しても非常に不安を与えておるという場合において、当然農林委員会等においても、関連のある事項として調査を進めるということは一向にさしつかえないことであると私は考えるわけです。ですから川俣委員質問の中で、お答えできない点があれば、この点に対してはこれは秘密を要するので答えられぬということは一向さしつかえないわけでありますが、委員会出席されて、かかる具体的な問題を委員会が取上げるということに対しては不満であるというような態度をとられるということは、いささか逸脱であると私は考えるわけでありますが、その点に対して反省意思はありませんか。
  13. 我妻榮

    我妻説明員 私の申し上げ方が悪いかもしれぬですが、結局私もあなたのおつしやつたのと同じ席持であります。ですからその気持と違つたような発言がありましたら、それは訂正いたしてけつこうでございます。  当面の場合にもどりますと、学者懇談したという問題ですが、学者に特にお願いして、一切委員会以外の方の出席をとめて、学者だけの懇談願つた問題でありますから、その点についてはまだ、その場合にだれがどう言つたというようなことまで申し上げない方がいい、その点は秘密にいたしたい、こういうふうに申したのでありまして、私がおそらくそこまで申せばけつこうだつたのだろうと思いますけれども、さらに進んで今後この委員会で、本日このあとでも、それに類したあまり具体的な問題は御質問していただかない方がよかろうと申しましたのが、多分お気にさわつたのだろうと思いますから、その点は取消してけつこうでございます。
  14. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつとこの際私からも申し上げます。委員長から申し上げたいのですが、たしか去年の十月の半ばにこの問題を当委員会が取上げたことがございます。その速記録土地調整委員会あてに、事務局の方から発送をさせておいたと思いますが、これは届いておりますか。
  15. 豊島陞

    豊島説明員 気づきません。
  16. 井出一太郎

    井出委員長 こちらとしてはそれだけの手配をいたしておいたはずで、土調委の方へ当委員会がそれだけの関心を持つておる、こういうことだけお伝えをいたしたはずのように私は心得ております。それで、ただいま芳賀委員から議事進行に関する発言がありましたが、私は先ほど我妻さんの御発言伺つておりまして感じましたことは、なるほどただいま土調委でお取上げになつておる具体的なケースについて、あなた方の価値判断ですね。あなた方はどういう結論を出されるか、その価値判断関連のある部分にわたつては、あるいはお答えしにくいだろう、こういうふうには存じますが、客観的な事実とでも申しましようか、こういう面に対する程度ならばお答えをいただけるのではないか、こんなふうにも私は思うのですが、この点いかがでしよう。
  17. 我妻榮

    我妻説明員 おつしやる通りでございます。従つて最初事務局長から、この事件につきましてやつて参りました事柄を相当詳細にお話いたしたわけであります。それからもう一度弁解さしていただきたいのは、この農林委員会八ケ岳の問題をお取上げになつたこ自体に対しては、私は少しも異議を申し上げたつもりはないのですが、ただその問題について、土地調整委員会に具体的なことを質問されると、お答えできなくなるということを申しましたので、土地調整委員会とは別個の立場で、この委員会がお取上げになり、御審議になることは、これはもとよりさしつかえないことだと考えます。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう点はもう少しすなおにこの委員会に臨まれたらどうなんです。それから川俣委員の場合も、今後具体的にどういうことを質問するかということは、まだあなたの方で予見されておらぬと思うのです。そうした事象に対して、こういう問題に対しては委員会性格上答えられないとか、答えられるとか、そういう態度で臨まれたらいかがですか。ここに臨まれて最初から、何か農林委員会土地調整委員会出席を求めたということ自体が間違つておるのでないかというような態度で、何か挑戦的に出られるということは、これはわれわれの立場から見ると了承に苦しむ点がある。もちろんわれわれとしても土地調整委員会性格であるとか任務というものは一応わきまえておる考えなんです。無頼の徒があなた方をつかまえて苦しめるということではないわけなんです。昨年から一箇年かかつて問題になつておる。現地住民が、この硫黄採掘を行われることがもし実現された場合においてはどうなるかという、生活の上に立つた不安にかられておるわけなんです。ですから、委員会等において国政調査でこういうような事象を取上げるということは、われわれの任務なんです。ですから、こういう問題に関連を持つておる委員会の御出席を求めて、関連事項等に対する質問を行うという場合においても、答えることのできない事象に対しては、明確に立場を鮮明にされて、これを拒否されるということはさしつかえない点でありますが、何かわれわれが土地調整委員会出席を求めたそのことが云々というような態度は、お改め願いたいと思うわけです。先ほどの御発言によつて若干御反省の跡もあつたように見受けられるわけでありますが、どうかそういう謙虚な態度で、今後出席される場合においては臨まれたらいかがかというふうに、私は老婆心ながら御注意を申し上げるわけであります。
  19. 我妻榮

    我妻説明員 承知いたしました。
  20. 井出一太郎

    井出委員長 それでは元へもどりまして、川俣清音君の質疑に対する答弁を求めます。
  21. 平塚保明

    平塚説明員 お答え申し上げます。ただいま川俣委員の御質問は、経済的に力のない者に採掘権を与えるのはどうかというふうに私お聞きいたしたのでありますが、さようでございましようか。
  22. 川俣清音

    川俣委員 そうじやないわけです。私のお尋ねしたのは、試掘権には期限がある、しかも従来の試掘権は更新できたのでありますが、一定の年限をつけて更新をはばんでおるのであります。従つて採掘権につきましても、かつては無期限でありましたのを期限をつけたのでございます。そこでこれらの法律の改正は、やはり採掘というものに主力を置きまして、現に地下にあります資源を国民経験の上に寄与するために、これを採掘して鉱物を有効に使用するというところに本法の目的があるのでありますから、単に鉱業権の上に坐つて、税金を払えばこれに採掘権があるのだという観念はもう放棄されてしかるべきだろう。従つてこの八ケ丘硫黄鉱業採掘権譲渡によるもののようでございますが、前の施業案を継続しておられるかどうか、こういう点をお尋ねしたのです。
  23. 平塚保明

    平塚説明員 ただいまの御質問の件につきましては、これは鉱業法の問題でございまして、ちようど担当磯野鉱政課長が見えておりますから、後ほどその点についてお答え願いたいと思いますが、ただいま御指摘のございました採掘権につきましては、永久権利に現在なつております。従つて正当な手続の譲渡がございますれば、役所としてはそれを認めるという立場をとつておる。さよう解釈いたしております。
  24. 川俣清音

    川俣委員 私ども鉱業法の問題でここで争おうとは思つておりませんが、鉱業権について、それでは採掘権を取消すことはできないのですか、私はそうは理解していないのです。永久絶対権だと思つておりません。
  25. 磯野太郎

    磯野説明員 今の御質問の点につきましては、鉱業法全体といたしまして、たとえば鉱業採掘とそれから一般的な公共の福祉との調整、いろいろそういう考慮はございますけれども、そういうものを比較考慮いたしまして、より高い見地から見て取消す必要のある場合に取消しをやる、そういうようなことに法律の仕組みとしてはなつております。
  26. 川俣清音

    川俣委員 そうすると絶対権だということは、保安局長の通念で答えられた個人的な見解であつて法律上の見解ではない、こういうふうに理解してよろしゆうございますか。
  27. 平塚保明

    平塚説明員 法律の建前上一般には永久権利になつておりまして、その間にいろいろと公利その他の関係から土地調整委員その他で、これは取消すべきだということになりますと取消すというふうに解釈いたしております。
  28. 川俣清音

    川俣委員 その点を伺つて、明らかになりましたので元へもどりまして、土地調整委員会にお尋ねいたしたいのですが、本件で争いになつておりますのはおそらくPHの存在であろうと思うのですが、今までお調べになつた中において、これはもちろん流水と貯水とではPHの違うのは土地調整委員会も御承知だと思いますが、この流水でどのくらいのPHが出ておりますか、これだけは御答弁になつてもさしつかえないことだと思いますので、御答弁願いたい。どういう場所をおとりになつたか。
  29. 豊島陞

    豊島説明員 ただいまPHお話がありましたが、私たちが現地調査いたしました際には、合流点の近くで四・五という数字になつておりまして、それが合流いたしますと六・九、それから東電の現在の取入口に入りますと七・一というふうに完全に中和されておるというふうな状態になつております。従つて湯川自身は今は使いものにならないということを私どもは確認して参つたのでございます。それからなお千曲に合流する直前でございますが、それは私どもが行きましたときは四・五でありましたが、これは時期によりましてあるいは六の場合もあるようであります。大体四・五から六くらいの間を往復しておるといつたような関係にあるようです。と申しますのは、途中で非常にいい水がありまして、これを灌漑期には灌漑用に使つておるという関係で、いい水が入つて来ないというので、そのとき硫酸根がよけいになる。それを灌漑用に使わないときには六になる。しかし四・五ないし六の水が千曲に入れば六ないし七、とにかく絶対中性になるということを認識して参つております。そうしてこれの測定をいろいろな方面にお願いいたしまして、現在いろいろな資料を集めて判定の資料に供しようといたしております。
  30. 川俣清音

    川俣委員 千曲川についてもこれは流水をとられたと思うのですが、貯水しておつた場合にどのような変化があつたか、並びに湯川におきましても、おそらく流水をとられたのじやないか、これがせきへ入つて水がとどまつておる場合のPHはどのように変化しておりますか、この点の調査をされたことがありますかどうか。
  31. 豊島陞

    豊島説明員 大体委員会といたしましては、今の湯川を流れている地点をところどころとつて、特にとまつているといつたような意味調査はいたしておりませんけれども、大体において相当な地点を調査いたしております。それで問題は合流直前のPHが、合流したときどうなるかということが一番問題になるのじやないかということで、その点に一番力を注いでおります。現状ではそういう調査をいたしております。なおそういつたような点につきましては、東大の農学部の弘法教授が相当今詳しい調査をなさつております。それからなお東電に対しましても、あの地帯についての調査をお願いいたしております。
  32. 川俣清音

    川俣委員 私の尋ねておるのは、流水の場合と水がとどまつた場合とPHに大きな変化があると思うのです。このことを御存じですかという意味を聞いたのです。従つて湯川におきましても、千曲川につきましても、流れておる場合とそれからとどまつておる場合と違うのです。というのは流れております場合においては、水の中にPHの変化の部分だけがとられやすい。それから沈澱して参りますると、その沈澱物の中における鉱物が入つて来るわけです。従つてPHに大きな変化がありますことは、これは常識的に御存じでなければならぬはずだが、そういうことを調査の対象にしておられるかどうか、こういうことをお尋ねしておるのです。あなたはいつでもどこでどういう状態のときにとられたかということを質問いたしましたときに、流水とつたというだけの答弁ですから、そこまでお調べになつておりますかどうか、こういう点です。
  33. 豊島陞

    豊島説明員 今の委員会といたしましても、PHだけでなしに、その分析をいたしております。それでその水の分析をいたしまして、硫酸根がどれくらい含んでおるかというような点も調査いたしております。それからなお今のとまつているところではPHが高くなるのじやないかというお話でありましたが、これは山で水のとまつておる所、こういつたような所は、確かに今お話通り高くなつておりますが、川につきましては、大体一応流れておるのではないか、そういう想定で私は先ほどからお答え申しておるのであります。
  34. 川俣清音

    川俣委員 これは尾去沢鉱山並びに小坂鉱山で、流水の場合ととどまつている場合とのHPの変化が、詳しいデータが西ケ原試験場においてあるはずです。それからかつて米丸博士の住友鉱山における鉱毒防止の場合のデータも十分あるはずなんです。そういうものをお使いになつているかどうかということ——そういうものをお使いになつておりますならば、私の申し上げたようなとり方についても細心の注意があつたのじやないか、こういうお尋ねをしているのです。あなたは別にそういうものを、大した研究もしないでおられるのかどうか、あらためて御質問いたします。
  35. 豊島陞

    豊島説明員 今のお話の点は、PHだとか硫酸根の問題は、弘法先生その他に一応調査をお願いしまして、その方々資料によつて最後の判定をしたいと考えておりまするが、今のお話の西ケ原の資料だとか、そういうものを私どもまだ見ておりませんので、なお調べたいと思います。
  36. 川俣清音

    川俣委員 これはかつてなくなられた米丸博士が、当時莫大な金をもちまして、住友鉱山を十箇年にわたつて調査をせられたデータがあるわけであります。これはかつて印刷になりまして、もちろん限定本でありまするけれども、厖大なものができておるわけであります。今でも図書館等におきましてはこれが残つておるはずであります。従いましてそういう過去の十分なデータがあるのです。私はそのデータをそのままお使いになれとは申しません。しかしながら研究にはどういう研究が必要であつたかということは、この中から十分くみとられる性質のものである、そこで同じく有毒分を調査せられます場合におきましては、どのような作物に影響するかということをも、これには明細に記録されておるところであります。そういう観点からこの調査を進められなければならないと私は思うんですが、あなたはお知りにならないということになればこれは別問題ですが、しかしながらここであらためてそういう問題が提起されました以上、それらを参考にする意思があるかどうか、この点をお尋ねしておきたい。
  37. 豊島陞

    豊島説明員 委員会といたしましては、あらゆる資料を参考にしたいと考えておりまするから、今の点もそういう資料をできるだけ整備して行きたいと考えております。
  38. 川俣清音

    川俣委員 そこで鉱山保安局長にいま一つお尋ねいたします。日本の鉱山のあり方から見まして、最近鉱毒が頻繁として起つて来ておるわけであります。これは鉱業権に非常に重点を置かれまして、この防止について十分な監督が行き届かないために起つた点が多々あると思う。ところが行政府としては、かつて鉱山行政をやつておつた中に保安局をわざわざ設けまして、この社会的あるいは作物に及ぼす影響、あるいは魚族に及ぼす影響について監督をするために保安局が生れて来ていると思うのです。それにもかかわらず依然として鉱業権の上に眠るものを保護しておることになりますれば、日本の山は荒れ、川は荒れ、結局耕地が荒れて来るということを御検討になつたことがあるのかないのか、その点をお尋ねいたしたい。
  39. 平塚保明

    平塚説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘の点、事実さような問題がたくさんございますれば、私どもといたしましてまことに申訳ないと思つております。全国にたくさんある鉱山のことでございまして、あるいはさようなものが私どもの耳に入らずになおかつあつちこつちにあるというようなことでありますれば、なおさらのこと私どもも今後十分に出先の監督部を督励いたしまして、ただいま御指摘のようなことがまつたくないように心掛けて行きたいと思つておるわけであります。先ほど御指摘のように、鉱山をやりますことによつて、その地方の山林あるいは河川が荒れるというようなことは、私どもも過去において足尾の鉱毒の問題で重々頭にしみ込んでおるわけであります。さようなことがないように極力努力いたすつもりでおりますので、具体的な問題につきましては、常に御指摘をいただきまして私どもを督促をしていただければ幸いだと思います。
  40. 川俣清音

    川俣委員 それだけの注意と監督上の責任を感じておられまするならば、八ケ岳の問題などはあえて土地調整委員会の問題にならないのではないかと私は思う。これを依然として放任されておつたからこそ問題が起きて来るのではないかと思う。私どもの理解するところによりますれば、おそらく採掘権でありますから施業案が出、その施業案に対して許可を与えておると思う。この中には当然鉱害防止の施設がなければならぬはずだと思う。これが試掘権でありますならば別問題でありますが、採掘権という以上は、当然採掘されるに伴うところの除害工事というものが附帯してなければ許可されていないと私は理解するのです。この点どうなんですか。
  41. 平塚保明

    平塚説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘がございました通り、これは鉱業法でございますが、鉱業法の施業案の中に鉱害防止の点につきましては、保安法で取締つております。さような意味におきまして鉱山保安監督部で、鉱害について十分であろうという認定のもとに施業案を許可いたしております。ただいま御指摘の通りでございます。
  42. 川俣清音

    川俣委員 それで本件の八ケ岳採掘権に伴うところの鉱毒防止の設備はどのような状態になつておりますか。またその施業案と現実とが一致いたしておるかどうか。
  43. 平塚保明

    平塚説明員 お答え申し上げます。まだ実は作業をいたしておりませんので、従いまして具体的に採掘によつてどういうふうな影響を来したかという事例は実はまだないわけであります。しかし施業案につきましては、廃水の処理を十分にしろという条件をつけて許可をいたしておるわけであります。
  44. 川俣清音

    川俣委員 それは鉱山局が今までの悪い慣例にとらわれての御答弁だと思うのです。鉱業法並びに保安法によると、私の解釈によりますと、これは試掘権なら別です。採掘権であるからには、採掘権の取得と同時にそれらの設備が並行して整つていなければならぬはずだと思う。そうすれば内容的には試掘権と同じじやないですか。税金の点が違うだけではないと私は思う。それではここであらためて鉱業課長に伺いますが、試掘権採掘権の違いはどこにあるのです。税金だけですか。
  45. 磯野太郎

    磯野説明員 お答え申し上げます。今の鉱業法考え方といたしましては、試掘権の方はあるかないかについてためしに掘つてみるということでございます。採掘権につきましては、これはある一定の構想のもとに採掘して行く、そういうふうな権利として考えられておるわけでございます。法律の建前、それから行政の建前としても、もちろんそういうことで運営しておりますが、ただ現実の問題といたしましては、採掘権を許可されました採掘権者におきましても、特に非鉄金属関係につきましてはいろいろ需給の関係がございますから、現に採掘権者でありながら一時採掘をしないとか、そういうふうないろいろな現象がございますけれども、建前としてはそういうふうに考えております。
  46. 川俣清音

    川俣委員 採掘権を取得するからには一定の効力が明確になり、その採掘方法が具体的に計画せられ、それに伴う防除施設が計画せられ、それらが一体となつておそらく採掘権申請になつて、それに対して許可を与えておると思う。おそらく稼働するという現実があつたことによつて採掘権の許可を与えたものだ、私はそう信ずる。今まであなたの方は、試掘権から採掘権の方に移る場合において、鉱山保安局長によると、絶対権だと言われるほど強い、採掘権を与える場合に無制限に与えておるのですが、稼働しようという場合においては、もちろん資力の面もそうでありましようし、具体的な採掘内容が明らかにならなければならぬと思う。そういう具体的な採掘内容が明らかになれば、当然鉱毒防止施設がこれに附帯して行われていなければならぬはずだと思う。鉱業権があれば採掘に入つていいのだというお考えではないはずだと思う。この点どうですか。
  47. 磯野太郎

    磯野説明員 ただいまの御質問の点につきましては、採掘権申請についてはその可否を論じて許可するわけでございますが、実際にそれが稼働いたします基準といたしましては、御承知の施業案がございまして、この施業案を——採掘権の場合には認可制をとつておりますから、施業案の認可についてそういう点をレビユーして行くということになつております。それから実際施業案によりまして操業を開始いたしまして、爾後今の鉱害の点等を含めた保安の点で欠点がございますれば、これは鉱山保安監督の方から協議いたしまして、施業案の変更命令を出し得るような仕組みになつております。
  48. 川俣清音

    川俣委員 施業案通り実行しなければ鉱業権を取消すことが大体私は日本の鉱業法の原則だと理解しておりますが、この理解は間違いですか。
  49. 磯野太郎

    磯野説明員 お答えいたします。法律の建前といたしましては、鉱業権者は施業案によらなければ鉱業することができないというふうなことになつておりまして、もしそういうことでない場合におきましては、その罰則といたしまして鉱業権の取消しをなし得るというふうな法律の仕組みになつております。
  50. 川俣清音

    川俣委員 この点土地調整委員会はどのような理解をしておられますか。
  51. 豊島陞

    豊島説明員 土地調整委員会といたしましては、直接今の鉱業権の取消しについての主管官庁でありませんのではつきりしたことは申し上げられません。ただ私事務局長としての考えでございますけれども、いろいろな事情がその裏にはあると思いますが、施業案通り実行しなければ当然取消し得るのではないか、こういうふうに考えております。
  52. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、土地調整委員会としては、本件のみならず一般に、鉱業権の重大な内容であります施業案通りつていなければ、これに対しては土地調整委員会として具体的に意見を表示することが、私は可能だと思いますが、この点はいかがでしようか。取消しの権限はもちろん通産省にありますけれども鉱業権通りつていないということを指摘することが私は可能だと思いますが、この点いかがですか。
  53. 豊島陞

    豊島説明員 土地調整委員会といたしましては、一般的に論じまして、鉱区禁止地域指定につきましては現在のところ特定の人の鉱業だけを対象にしては考えていないのであります。そこで鉱業をやることがはたして農業に対して害があるかどうかということを、普通の鉱業人を基礎にして考えておるのでありまして、その人がどうしたからといつたようなことでは勧告をいたさないのじやないかと思います。
  54. 川俣清音

    川俣委員 これは非常に重大なことなんです。と申しますのは、そうすると人やその設備によつてでなくて、いかなる設備をしてもその設備の可能な内容じやないということになりますか。
  55. 豊島陞

    豊島説明員 今の施業案通り実行しなかつたということは、その鉱業権者の義務違反ではないかというふうに私ども考えておるのでありますけれども、私ども委員会といたしましては、その点を理由には取消しの勧告はできないのじやないか、普通の人がやれば可能であるという前提であれば、これは問題なくできる、その個人だけが義務を履行しなかつたということを理由に勧告はできてないのじやないかというふうに考えております。
  56. 川俣清音

    川俣委員 その一つをもつて勧告するとかしないとかということでなくて、これらの防除内容が不完全であるために、完全にしてからあらためて調査をするというようなことをやられるのか、またはこれならば設備の改善によつて影響を与えないで済むという見解というものが出て来なければならないはずだと思うのです。そういうことは一切かかわりなしに決定をせられるのであるかどうかという点です。
  57. 我妻榮

    我妻説明員 土地調整委員会は、御承知通り鉱区禁止地域指定をいたしますが、これは先ほども申しましたように、県知事あるいは所管大臣からの申請があつてから指定をするわけであります。それで御質問の勧告というのが一番問題になりますのは指定をしたときなんでありまして、ある地区指定いたしますと、その地区はその指定を受けましてからあとで、新たに鉱業権を設定することはできなくなりますけれども、前から鉱業権が設定されておりますと、それは当然に効力を失わないわけなんです。失わないけれども、それに向つて土地調整委員会は勧告をすることができるということになります。その勧告のときの問題になりますが、今事務局長から申し上げた通りであります。というのは、つまり当該鉱業権者が、どうも施業案を守らないようだからどうだということの個人的なことは問題にしないと思いますけれども、しかし一般的にいいまして、ここは非常に鉱害の生じやすいところだから監督の上にも監督を非常にやかましくしなければいかぬとか、あるいは特別被災地域として普通以上の監督をしなさい、あるいはまたさらに進んで、これは取消しするよりほかないんじやないかということをいたしますから、一般的に申しましては事務局長が申した通りでありまして、ある個人の施業案を守らなかつたことをとがめるということはいたしませんけれども、しかしそれを十分考慮に入れた上で十分な監督をするような勧告をすることになるだろうと思うのです。
  58. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、これは日本の産業のあり方から申しまして、日本の化学工業の進歩に伴いまして、硫黄分の必要量も増大しておることももちろん認めますが、しかしながら、このために多くの他産業に影響を与えてはならないこともまた必然であろうと思うのです。こういうところからいたしまして、貧鉱を掘るためにいたずらに地表を荒らすということは、鉱業権の忠実なる施行の上から申しましても拒否せられなければならないでありましようし、またより以上他の産業に害毒を流すということは、日本全体の産業の上からこれもまた排除して行かなければならないと思うのです。そこで、いたずらにその鉱業権の上に眠つて、この権利を濫用いたしますことは、土地調整委員会といたしましても十分な配慮がなければならないし、その以前において鉱山局は十分な警告をして参らなければならぬはずだと私は理解しますけれども、この八ケ岳硫黄鉱業会社に対して一度でも警告をしたような事実がありますかどうか、この点をお尋ねいたします。
  59. 平塚保明

    平塚説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘の点はまことにごもつともでございまして、さようなことであるがゆえに、施業案の認可はいたしておりますが、現在のところ作業の中止を勧告いたしておりまして、実際のところ仕事をいたしておりません。従いましてこれによつて今後生じますと考えられます鉱害防止の施設その他につきましては、部としては検討をいたしておりますが、まだ認可はいたしておりません。
  60. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、施業案による稼行を中止しておりますけれども、表面を荒らすことによつて——稼行しなくとも、これは御承知通り表上をとつて参りますと風雨にさらされて分解いたしまして、これが川に注ぐということになると思うのです。これが耕地に影響し、下流の魚族に影響することは私が申し上げるまでもない。しかもPHが四・一ないし四・六というようなことも言われておりますから、これが魚族に影響することはあまりにも明らかであります。ただ千曲川の合流後における問題が残されておりますけれども、それ以前において湯川に注がれる間におきましても、当然これらに対する防止施設が休業中といえども常に行われなければならない義務があると私は理解する。もちろんこれは採掘権を持つて休業しておるときてありましても、鉱毒については当然の防止策を講じなければならぬ義務が負わされておる、あるいは鉱業権を放棄いたしましても、なおこれらの鉱毒についての防止施設を行わなければならないことは、私が説明するまでもないのでありますから、稼行しておらないということで、その鉱害の流れることを放任することは許されないと思いますけれども、これをあえてお許しになつておられるのでありますか。
  61. 平塚保明

    平塚説明員 お答え申し上げます。ただいまのところ鉱業を営んでおりませんので、従いましてこれはまだ鉱害は起つていないというふうに考える次第であります。
  62. 川俣清音

    川俣委員 これはあなた前の鉱業権者から引継いだ鉱業で、前の人が幾らかやつておるのですよ。これをお認めにならないのですか。
  63. 平塚保明

    平塚説明員 私が申し上げました点はあるい十分ではございません。その点は訂正いたします。以前に少し表上をはいだことがあるそうでございまして、かような問題を起したがゆえに今鉱業の作業中止を申しつけておるようでございまして、現在は大体において以前のあり姿のまま残つておるというふうに私どもは解釈いたしております。従いましてただいま御指摘のございたした鉱区を持つておるがゆえに、その鉱区内において自然の変化のために生ずる鉱害を全部防止しろということも、ただいまのお説からいたしますればまことにごもつとものように考えるわけでございますが、現在のところそこまでは要求をいたしておりません。
  64. 川俣清音

    川俣委員 休断しておる採掘権をあ譲り受けた場合には、その鉱害の責務も当然譲渡権者か負うことは鉱業法上明瞭であります。その点論争はないと思います。前の鉱業権者から今度の新しい鉱業権者が譲り受けておるのでありますから、当然これらの義務も遂行しなければならない義務を負つておる、私はそう理解するのです。従いまして稼行していないから、前鉱業権者がはいだ責任はないのだということは、これは通産省としては言えないことだと思います。それからもう一つは、そういうふうに経済的に価値のない山ならば、あえて放棄してもよろしいと思う。放棄しても当然その責任は免れないといたしましても、放棄すれば、その場合は国が初めてこれらの防除施設を公共事業の災害防止施策として行われなければならなくなる。鉱業権者がある間は国がやる余地はないと思う。ここに問題が出て来るけれども、この点はどうですか。
  65. 平塚保明

    平塚説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のございましたように、鉱業権がなくなりましても、五箇年の間は前鉱業権者に鉱害防止をする義務を負わせております。ただいまのところ、私ども見解といたしましては八ケ岳に前権者が若手の手を加えておりますが、その旧鉱からの廃水はほとんどない。従つて直接的にはそれによつて大きな鉱害を生じていないという見解のもとに、特別の施設を今のところ要求はいたしておりません。もちろん今後これは土地調整委員会の御査定に待つてからでございますが、もし鉱業を許すということになりまして仕事をやらす場合には、十分その監督の方で防除旅設をさせて鉱業を営ませるということになると思います。
  66. 川俣清音

    川俣委員 現在事業を進行しておらないにもかかわらず現状のような状態です、従いまして、今試掘権なら別ですが、採掘権を持つておるということは、これらに対する当然の義務を果すという考えでなければ、私は採掘権申請はできなかつたはずだと思う。これはおそらく当然の責任を果すということで、採掘権をあえて取得したものであろうし、その譲渡を受けたものと私は見るのです。この見方は鉱業法の正確な解釈だと私は理解する。従つて稼行していないのであるからその責務を免れるというようなことは、鉱業法上十分あなたの監督の対象にならなければならぬはずだと思うのですが、この点はどうなんですか。
  67. 平塚保明

    平塚説明員 お答え申し上げます。実は私も現地を見ておりませんので、こまかい点については申し上げかねまするが、鉱山監督係で現地調査いたしまして、単にその御指摘の見地のみならずその付近の河川につきまして、十分PH硫黄量その他を調べております。それによりますと、単にその局所だけでなく、これは名前も硫黄山と言つておるように、その付近一帯が火山作用によりまして硫黄化されておる、従つてその局所以外の所もPHが非常に高い。従いまして、ただいま御指摘の、単に過去において手をつけたところだけからその算定のもとが出ておるというふうには解釈いたしておりません。従いまして、これはもし全体的に鉱業を営ますといたしますれば、その付近全体を考えてから、これによる鉱害防除ということ考えて行かなければならぬというふうに私どもは解釈いたしております。
  68. 川俣清音

    川俣委員 もしもそういうあなたの御説明のような合でありまするならば、ここにあえてその責任をとるような採掘権申請をすべきじやないと思うのです。その責任を免れたいというならば、あえて採掘権申請をすべきじやない。もしも採掘権申請しておりますならば、またそれについて施業案を持ちますならば、それから出る間接直接のいかんを問わず、この鉱区についての全体の責任を負わねばならぬものだと思うのです。もしもここに採掘権が設定されていなかつた場合においては、国あるいは府県がこれらの防除施設をしなければならないであろうと思うのです。公共施設あるいは治山施設と同じように、当然国がこれを対象として施設を行うべきものだと私は理解する。その中にあえて責任を負うような採掘権を設定されたからには、自分みずから全体の責任を負うという意思がなければ私は採掘権の設定はできないはずだと理解します。この点保安局の考え方はどうですか。
  69. 平塚保明

    平塚説明員 ただいまの御指摘の点につきましては、私も鉱業権者の立場でございませんので、はつきりしたことは申し上げかねまするが、私個人の見解からいたしますれば、おそらくそこで鉱業を営むということを考えたからには、その鉱区に起りまする鉱害については、鉱業権者は十分防除の施設をして鉱業を営むという考えでおるというふうに、私は想像いたします。
  70. 川俣清音

    川俣委員 もう一点だけ……。そういたしますれば、今稼行しておらないでも、鉱業権を取得したからには、当然それらの防除施設を行う責務を感じておるし、また監督の面から言えば、当然鉱業権者が責任を負つて施設をすべき指示を与えることが必要であろうと思いますので、そのようなすみやかな処置を望むわけであります。なお保安局長自身が行かれないにいたしましても、保安局みずからがこれに乗り出して、相当の指示を与えるような調査を十分なすべきだと思いますので、これは意見として申し上げて、次の質問者に譲りたいと思います。
  71. 井出一太郎

    井出委員長 中澤茂一君。
  72. 中澤茂一

    ○中澤委員 土地調整委員長の我妻さんにお伺いいたします。土地調整委員会性格と申しますか、一体どこまでの権限を持つておるのか。第一点にお伺いするのは、防除施設についての何らかの発言なり警告なりの権限が土地調整委員会にあるのかどうか。  それからもう一つは、当然起るべき補償の問題について土地調査委員会はいかなる権限を持つているか。これを委員長から承りたい。
  73. 我妻榮

    我妻説明員 第一点の防除施設と申しますのは、先ほど申しましたように、既存の鉱業権についてある区域鉱区禁止地域指定いたしましたときに、それより以前に鉱業権がありますと、それは当然には消滅いたしませんので、その当然には消滅しない鉱業権について防除施設に関する勧告することができるということになるわけであります。しかし申請がなければ動きませんので、日本のあちらこちらにある鉱山業が、これが防除施設を十分していないという事件がありましても、その問題を法律的に土地調整委員会が動いて勧告するという権限はないのであります。指定という問題にからんでだけそれがあるわけであります。  それから補償の問題も、従つてその防除施設の補償ということと関連する限りにおいては、やはり土地調整委員会の勧告の中に入ると私たちは考えております。先ほど申しましたように、ある地区鉱区禁止地域指定しまして、そこにある今までの鉱業権つて、最も害が多いと思う場合には取消しの勧告をいたしますけれども、取消しの勧告をしない場合でも、その採掘について特別の監督あるいは特別の方法を講ずるように、従つてまた特別の防除施設をやるようにというような勧告は全部やると思います。しかしさらに進んで、いわゆる鉱害賠償の問題まで行けるかどうかは、法律的には相当疑問だろうと思います。ただ勧告としては、それらの点についてもある補償を与えさせるようなことを勧告することはできる、つまり法律的な権限としてじやなくして、鉱業法十五条二項にいうやかましい意味の勧告でなければ、これはあるいは話合いでいろいろできると思いますが、法律的な権限としての勧告としては、損害賠償をどうするということまでは及ばないのではないかというふうに考えております。
  74. 中澤茂一

    ○中澤委員 一体鉱山局はこれの採掘認可について、鉱毒の問題というものは起らないという考え採掘の認可をしたものでしようが、または、起るが、防除施設を完全にすれば農作物被害はないという観点に立つて認可をしたものでしようか。
  75. 磯野太郎

    磯野説明員 施業案を認可しましたときの考え方といたしましては、防除施設が完全にできれば稼行することは好ましい、そういう意味ではなかつたかというふうに考えております。
  76. 中澤茂一

    ○中澤委員 これは実は地元農民の、専門的じやなく、素朴な意見なんですが、とにかく二千数百メートルの急坂な場所では、防除施設というものは不可能じやないか、こういう地元民の意見が非常に強いのですが、技術的にあなた方が見て、完全にできるという確信をお持ちですか。
  77. 平塚保明

    平塚説明員 お答え申し上げます。ただいまの点につきましては目下検討中でございまして、監督部といたしましては、許可をするからには、十分な見通しがつかなければ許可をいたしません。目下この点については検討中でございます。従つて検討の結果それが困難であるということであれば、これはまた違う方法をとらせるように考えなければならぬと思います。
  78. 中澤茂一

    ○中澤委員 私は文句を言うわけじやないですが、農作物という面について、鉱山局はまつたく思いをいたしていないという言葉を使つてもいいと私は思う。少くともそういうものを認可する前に、やはりいろいろ実際の被害があるだろうという非常な不安に襲われている現地の農民の意見も聞いたりしてやるのが当然じやないか。例の浅間山での採掘の問題も、この前起きている。この問題を考えてみても、どうもそういう点で農民に対する思いやりがないというか、農作物被害というものを非常に軽視して、ただ掘りさえすればいいんだ、硫黄は足りないから、今増産しなければいかぬ。それはもちろんわれわれも否定するのじやない。輸出にも役立つておるのだから、硫黄の増産を大いにやるのはいいけれども、しかしそういう面で片寄つた考え方を持つていないかという感じを、いろいろ鉱毒の問題について受けるのです。そういう点については、簡単な机上プランによるところの施業案じやなく、事前にもつと具体的な、現地調査をするなり意見を聞いてやらなければ、こういう問題は今後も全国至るところに起ると思うが、これについてあなたはどうお考えですか。
  79. 平塚保明

    平塚説明員 ただいま御指摘の点はまことにごもつともでございます。私もさよう考えておる次第であります。これは言い訳になりましてまことに申訳ございません。私も最近かわつて参りまして、前のいきさつのことは十分に存じませんでまことに恐縮でございますが、今後施業案を認可いたしますときには、十分に現地調査をいたしまして、十分納得の行く線で許可するように心がけたいと思います。今後十分に気をつけるつまりであります。
  80. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと私から……。今鉱山保安局長は、最近おかわりになつたということでありますが、あなたの前任者はたしか吉岡さんだつたですね。
  81. 平塚保明

    平塚説明員 森さんです。
  82. 井出一太郎

    井出委員長 森さんだつたですか、この前の委員会に通産省関係方々においでを願つて、当時はたしか資料の要求もいたしたと思うのです。それからそのとき私どもの受取つた感じは、鉱山局まことに不勉強である——それは委員長からそのとき指摘したと思うのですが、きようここに一年の歳月をけみして、あなた方にお会いしてみると、さつぱり前進していないのですね。そういう点、前任者から事務引継ぎとか、何かあなたへ申送りなどはありませんでしたか。
  83. 平塚保明

    平塚説明員 私かわりましたときに十分申継ぎもございましたし、またこの前の十月の委員会の議事録も十分に拝見いたしております。それからその後も現地の方の調査を命じておりまして、監督部からも行つておりますし、それから私どもの方の直接の者も現地を見て研究はいたしております。
  84. 中澤茂一

    ○中澤委員 そこでPHが今四・五だというのですね、この四・五というのは川俣委員が指摘したように、流水の場合と沈澱の場合は大いに違う。沈澱の場合は、御承知のように、稲は水をかけつぱなしに流してはおりませんから、これは必ず沈澱する。沈澱の場合の鉱毒の累積被害というものもわれわれは考えなければならぬ。四・五あるものが——たとえば先ほど発電所の取入口で七だと言つたが、七のものを数年にわたつて稲作にかけておる場合、沈澱した被害は根腐病が出て来るのです。これは現に私が昨年の十月三日の委員会でこの問題を取上げたときに、私の上高井郡、下高井郡の小串鉱山並びに米子鉱山の鉱毒を取上げておる。これはPHは防除施設をやつて今は非常に少くなりましたが、前には多かつたのですが、少くなつても依然として鉱毒たんぼの根腐病による減収は今でも大きいのです。鉱山局ではそういう百姓のことはわからない、金もうけの方はあなた方が専門ですから、そういうことはわからぬだろうが、土地調整委員会結論を出す場合、流水の分析もやるでしようし、PHの問題もやつておるようでありますが、これが累積した場合の稲に対する根腐病に対して、土地調整委員会はどういうように御調査なさつておりますか。
  85. 我妻榮

    我妻説明員 一般的な問題として最も重要な点だと思つておりますが、先ほどから御指摘ように、いろいろ専門の知識を必要としておりますし、それに委員会委員はそれぞれ自然科学の専門だというわけではありませんので、それぞれの問題について専門家の鑑定を求めるという方法をとるわけであります。そこで今御指摘の問題は、一番重要な問題だと思いまして、その方の弘法教授とか、あるいは塩入教授とか、硫酸根が稲にどれだけ影響を及ぼすかということについて、最も権威者と認められておる方に調査をお願いいたしまして、その調査によるという態度をとつておるわけであります。  それからもう一つついでに申し上げますと、土地調整委員会関係行政庁の意見も聞きますし、鉱山の方からもいろいろ聞きます。ただいま御指摘になつたような、監督が不十分ではないかとか、あるいは十分やれるかというような問題もむろん聞きますが、同時に農林当局から、どういうふうに考えておるかということも聞きまして、各関係のそれぞれ担当の行政官庁の意見と、そこから指摘される問題について、専門の学者の鑑定を求める、そういうやり方をしております。従つて農業の問題もそれぞれの専門家の意見を聞きますが、同時に鉱業の方もどのくらいの鉱水が増して来るだろうか、それからそれをどう処理して行けるだろうか、どれくらいの金がかかるか、それから先ほど御指摘のように、はたしてその地形において除害施設ができるだろうかというようなことは、これはまた鉱山あるいは採掘、それぞれの専門家の御意見伺つているわけであります。委員会自身としては、先ほど御指摘のようないろいろな資料を、あるいは不勉強かもしれませんが、これはできるだけ委員自身も自然学科の方の勉強もしようとは心がけをておりますが、同時に、それぞれの権威の先生の判定伺うことによつて万遺洩なきを期しようとしているというのが委員会態度であります。
  86. 中澤茂一

    ○中澤委員 現在において、PH四・五というものは、稲作に対しては累積しなくても、根腐病の原因であるということだけは、これは明らかなんです。ただその限度が、一、二年の間どのくらいの累積をすれば根腐病がどうなるかということは、われわれもまだ実はよくわからないのです。しかし現在そういう含有PHがある以上——これは採掘して完全防除をやつた場合で四・五あるのですよ。絶対に鉱毒水を千曲に流さないという場合で四・五あるのです。これはどうですか。完全防除で四・五以上に絶対にPHを上げないという自信を鉱山保安局はお持ちですか。
  87. 平塚保明

    平塚説明員 鉱山の採掘によつて生じました鉱廃水、これPHを四・五以上といいますか、七が中和でございますが、七にするということは、これはできるというふうに私は信じております。ただいま御指摘の点は、あるいはそれ以外の、採掘現場以外から出て来る水、それまでも全部含めまして七にするということはこれはあるいはむずかしいのではないかというふうに私は解釈しております。
  88. 中澤茂一

    ○中澤委員 あなたの今の御答弁では、それは坑内流水まで合せればむずかしいという御答弁なのかどうか。
  89. 平塚保明

    平塚説明員 採掘によつて出て参ります流水でございますね。従つて鉱業をやるために自然にはある姿と違つた形で出て来る廃水、これを中和すること然私はできると考えております。しかし、それ以外の鉱区全体に出て来る、必ずしも鉱業を営まなくても、自然の流水があるわけであります。天然自然にその地区がやはり火山灰によつて非常に酸性である。そういうものを含めますと、そこで酸性が上るのじやないか、こういうふうに解釈いたしております。
  90. 中澤茂一

    ○中澤委員 そうすると、具体的に採掘を開始した場合、あなたは鉱山保安局立場から、四・五以上に、現在のPH以上に絶対に上げないという自信をお持ちですね。
  91. 平塚保明

    平塚説明員 採掘によつて生じまして鉱水を十分に中和して七にするということはできるというふうに私は信じております。
  92. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 ちよつと関連して、通産省に伺いますが、あなたは先ほど、農作物の問題についても十分考慮していると、にこにこ笑いながらお答えでございましたが、今の問題について、今日本の稲作農業に硫酸アンモニアを使わなければならないという状態なんですね。そうすると、これは非常に土地を酸性化するのですが、それもあなたの今の御自信のあるお答えの中で、考慮に入つているのかどうか。
  93. 平塚保明

    平塚説明員 ただいま御指摘の点は、私どもも過燐酸、あるいは硫安によつて土壌が酸性化するということは十分存じておりますが、私の申し上げましたのは、それは頭に入れておりません。鉱山の廃水について中和ができるということを申し上げたのであります。
  94. 中澤茂一

    ○中澤委員 それは完全中和ができるということですね。あなたは確信を持つて完全中和をやるということですね。
  95. 平塚保明

    平塚説明員 これは観念論でございますから、実際の問題についてどういう設備をすればいいかということについては、これは今後の研究に待たなければならないのですが、私の解釈では、現在の程度の少量の水であれば、これはもちろう採掘によつて出て来た水でございますが、それは石灰を入れてやれば十分に中和ができるというふうに解釈しております。
  96. 中澤茂一

    ○中澤委員 あなたは、石灰を入れてやれば中和ができると言われるけれども、石灰を入れて中和するには貯水槽が必要なはずですよ。その貯水槽をつくる場所がなということを現地の農民は言つているのです。そこで、たとえば貯水槽をつくつても、この前の鉱害問題の委員会で専門家の川俣委員が問題にしたように、尾去沢の貯水ダムの問題の流出がしからば完全中和されているかといえば、されていないですよ。しかもこの八ケ岳は、その完全中和をする貯水槽をつくる場所がないと現地農民は言つているのですよ。その点はどうなんですか。
  97. 平塚保明

    平塚説明員 私が申し上げましたのは、先ほどから実は観念論を申し上げたのであります。先ほど申し上げましたように、これは、そういう完全な中和のできる施設ができて十分に見通しがあるということでなければ許可をいたしません。従いまして、現在それは検討中ということを先ほどちよつと申し上げました。これらにつきましては、先ほど来土地調整委員からもお答えがございましたように、先般東大の名誉教授の方に現地を見ていただいて、そういうことは可能であるかどうかということの判定を願つておりまして、私どもはその判定に従うつもりであります。私の先ほど申し上げましたのは、PHの四のものを中和ができるかということについては、ただいま尾去沢でそういう例があるとおつしやつておりまするが、しかし、たとえば柵原鉱山のごとく、あるいは最近の足尾鉱山のごとく、十分に施設をすれば中和ができるということを私は確信をして申し上げたのであります。
  98. 中澤茂一

    ○中澤委員 あなたは観念論だと言うが、私は学者さんの意見や役人さんの観念論を聞いているのではないのですよ。これは実際農民が問題なんです。農民としてはこれは切実ですよ。PHが三くらいでも、五年つくつたら根腐れが出て来ると思うのです。これは私の学的な経験ではない、上高井の米子鉱山、小串、それからああいうところの被害状況を見て、PHが低くてもどういうふうになるかというと、あなたは知らぬからよく教えておくが、耕土の方はいいですよ、耕土の方はいいが、この下に、客土と下の地盤の間へ赤い層ができてしまうのです。くわで掘つてずつと表土をはいでみると、下へずつと赤い層ができてしまう。この層が稲の呼吸をとめてしまうのです。それが三年なり五年たつと沈澱して、沈澱したものが客土層との間へ層をつくつてしまう。そこで、稲が呼吸できないものだから根がみな腐つて来て、俗にわれわれ百姓が言う根腐病というものができて来る。これは、PHが三くらいでも、五、六年やつていたらこういう根腐病の原因が出て来ると私は思う。あの地帯は、長野県としても、佐久平として非常に食糧増産に大きく寄与しているところです。このごろ農林委員全員視察してもらつたが、一反歩で十俵とれる、日本の食糧増産上非常に重要な地帯ですよ。それが、いまの下高井、上高井の鉱毒たんぼのような根腐病が出て来るとなれば、これはわれわれ農林委員会としてもただではほうつておけないのです。そういう点から考えてみれば、農民の立場からいえばどうしてもこれは認可してもらつては困るのだ。ところが、あなたにさつき私が言つたように、いいかげんに怠慢だというのは、厖大な金をかけさせてしまつている、索道はひつぱらせてしまう、もう何千万と金をつぎ込んでしまう。これは二重投資が悪いというのは、議会で二重投資の問題がほかのあらゆる産業に出ているように、これは鉱山局の怠慢によつて、認可しないということになれば二重投資になる。だからこういうふうに考えて来れば、これだけ一年も前からわれわれが問題にしているんだから、大体局長がかわつたら、こういう重要なところぐらいにはすぐ飛んで行つてみるくらいの誠意があつていいのではないですか。それを委員会が問題にして、まああの野郎どもはうるさいから、何とかごまかして答弁すれば済むんだというような考え方でいるんならば、私はこの問題は今後も保留して、本日は時間がありませんから追究するということだけはつきり申し上げておきまして、私の質問は一応打切ります。
  99. 平塚保明

    平塚説明員 ただいま御指摘の点は、重々まことに過去においてそういうようなことがございましたことは申訳ございません。今後十分に気をつけて、そういうことのないようにいたしたいと思います。また局長がかわつたらすぐ行つて来いという御注意でございますが、これは私の方はそれぞれ専門の者がおりますので、私が見る以上に、専門の者に見てもらわないとわかりません。さようなわけで専門の者に参らしたのでありますが、さようなことでございますれば私も拝見いたしたいと思います。
  100. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 お話伺つておりますと、鉱業と他産業との関係についての考慮が非常に不十分だということです。考慮しているというお話だけれども、御答弁の様子を伺つておりますと、観念論で終始しております。具体的に考慮の様子が私どもにはわかりません。こういう点。それからそういう状態ですからこれは非常な貧鉱です。この貧鉱を許可するということになりますと、通産省には硫黄採掘に対しての生産計画がるのか、生産計画はなくとも何らかの期待量があるのか、そういう期待量がなくてまつたく事業企業にまかしているのか、その辺のことを伺つておきたい。  それからもう一つ、これは菅平の場合にもあつたのでございますが、あのときに委員会で問題にしなければ、菅平のあの問題もおそらく私は鉱業権者の採掘を認めて、今ごろは千七百数十町歩の根腐病の問題で、食糧増産に支障を来すということで大問題になつていると思うのです。しかしこれは幸いにしてとりやめになりましたけれども、あのときの内容を私は回想いたしますと同じような貧鉱なんです。それをある鉱業権者が非常にまことしやかな施設をして、そしてある人に権利を売るのです。そういう目的でやつていたということがわかつたのです。この問題についてもさようなことなきや、前鉱業権者から譲渡を受けたときのその譲渡内容、事由等について、通産省はどの程度承知しておいでになりますか、この点を伺いたい。  それから最後にもう一つ農林省に対して伺いたい点があるのでありますが、それはあとでいたします。
  101. 磯野太郎

    磯野説明員 最初の御質問の、硫黄についての生産計画あるいは期待量があるかどうかということについてお答えいたします。これは現状におきましては御承知のような状況でございますので、一定の生産計画というふうなものがございまして、民間の生産を強力にコントロールして行くということには相なつております。ただ需給関係その他をにらみまして、役所の方で一応の生産見込みと申しますか期待量を、これは毎年硫黄につきましては、二十八年度は十八万九千トン程度、本年度は十九万トン程度と期待しております。ただ硫黄の需給状況につきましては、御承知かと思いますが、最近は特に非常に強調であるというほどではございません。今問題になつております本件につきましては、先ほど作稲の問題とかいろいろそういうようなお話もございましたけれども、二、三年前の朝鮮ブームとそれに続きました硫黄の需給の世界的な状況、それから個々の経営者のそれに対する考え方がございまして、そういう点につきまして若干検討する余地があるということも考えております。  それから第二に御質問ございましたこの会社の譲渡の経緯その他につきましては、たいへん恐縮でございますが、今資料がございませんので、私詳しく存じておりませんのであとから申し上げます。
  102. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 これもまた先ほど伺つていたこととただいまの御答弁とで思い起すのでありますが、どうもこのような貧鉱で、先ほどの局長のお答えのように、観念論を実現するためには非常に困難性のあることを私たちは感ずるのです。私も長野県で八ケ岳は私のひざ元なんです。あの辺の事情はよく知つておりますが、あそこで、中和剤である石灰の入手ということは非常に困難である。しかもこの貧鉱で採算の上から考えて行くと、あそこに石灰を遠いところから運び込んで中和するなんていうことは、容易なわざではない。しかも皆さんの方で監督なさる場合に、絶えずあそこに常駐してこれを監督するということは不可能な問題でございますから、必ず今農村の諸君の懸念されているような問題が出て来るということをよくひとつ考えおきを願いたい。その点は特に期待をしております。  それから農林省にお伺いしたいことは、あそこはたぶん国有林であつたと思います。諏訪、蓼科、霧ケ峰、八ケ岳のこの一環は長野県の県立公園の候補地になつております。たぶん私は近く認可になると思いますが、この候補地に対して、林野庁はああいうところで採掘をすることを、そういう観光地の観点からお認めになるお考えであるのかどうか。菅平の国有林も、私が行つて見ましたときには、林野庁の認可なくして大分荒しまわつているような形跡があつたが、この八ケ岳についてはこのようなことなきや。その点について御踏査をなさつた事実ありや。その点を伺つておきたい。
  103. 奧原日出男

    ○奧原説明員 長野県の県立公園との関係につきましては、申訳ございません、私承知をいたしておりません。しかし現地は国土保安という観点から、非常に周到な国有林の管理経営をし、またそういう意味においての鉱業権者の土砂崩壊防止についての努力を要する地点である、こういうように考えております。従いましてわれわれは、現実に鉱業権者がさらに施業を拡充して実施するということに相なりますれば、国有林の林地の貸付を受けなければできないことになるわけでございますが、その貸付にあたりましては、われわれとしましては、現在土地調整委員会で御検討をいただいておる結論、あるいは地元の現在のこういうふうな動向等、いろいろな点を参酌いたしまして、十分慎重に国土保安ということに遺憾のないようにいたしたい、かように考えております。
  104. 中澤茂一

    ○中澤委員 最後にちよつと土地調整委員会にお尋ねかたがたお願いしておくのですが、第一点は、調整委員会結論を大体いつごろ委員長の方でお出しになる予定でおられるかという一点、それから第二点は、今の防除並びに補償という問題を改正した方がいいんじやないかと考えられる点があるのですが、その点についての委員長の御見解、それから鉱物全般による農作物災害の補償法というようなものが必要な段取に来ているのじやないか。そういうものが考えられるのですが、最初の一点はその期日をいつごろ御決定なさるつもりか。第二点は、補償、要するにあと災害の問題が起きたときの補償について、土地調整委員会は一つの権限を持つた方がいいのではないかという問題と、防除施設に対する一つの権限を法律改正によつてやつた方がいいのじやないか。第三点は、鉱物全般による災害補償法というようなものが必要な段階だと思うのですが、その三点についてお尋ねいたします。
  105. 我妻榮

    我妻説明員 第一のいつごろという見通しは、地元の事情も考えておりまして、非常に急いでおるのでありますけれども、お願いした学者の鑑定書がまだできておりません。ことに最も重要な農業の方と、それから先ほどから御指摘の、あそこの地形のもとに除害設備が十分にでき得るかどうかということをお願いしておる青山教授の両方の鑑定がまだできませんが、それを実は非常に督促してお願いしておるわけなのであります。それがいつ出ますか、どうもはつきりしたことを先生がおつしやいませんので、従つてどもとしても、いつといつてはつきり申し上げかねます。しかし十分督促をし、また私たち自身も急いでおることだけは、はつきり申し上げられるのであります。  それから第二点の所見はどうかというお話でありますが、先ほど申しました指定をいたしますときに、その中に入つておる既存の鉱業権というものについての問題だろうと思うのでありますが、法律ではただその最後のところが、勧告ができるということしか入つておりませんので、最後のことまでできるのだから、その途中のこともいろいろできるだろうという解釈でわれわれ実はやつておるのでありますけれども、その点をもつと明確にした方がいいのじやないかとおつしやれば、まつたく御同感であります。  最後の農業一般の問題になりますと、これは問題が大きくなりますので、鉱業によつて生ずる農業の災害を国家が補償して行くということをもつと考えたらどうかという一般的な点だといたしますと、これも御同感だと申したいのであります。  ついでに先ほど川俣委員から非常に重要な示唆をいただいたように思いますので、御質問はないのですけれども、それに関連して土地調整委員会の一般的な方針を申し上げて、御参考にした方がいいかと思います。それはわかりやすく申し上げますと、日本には赤川とか渋川とかいつて、自然のままで非常に酸性の強い川が至るところにあります。それが農業上非常な害を及ぼしておる。これは川俣委員のお説によりますと、それは国家が補償すべきだ、国家がそれを直すべきだ。もしたまたまそこに鉱業権を取得する者があれば、今度は鉱業権を取得したことによつて自然に生じておるものまで直す、国家が直すべきところをかわつて直すべきじやないかという御意見なのでありまして、私個人としては非常に共鳴するのでありますけれども、しかし今日資本主義の前提をとつております限りは、そこまで鉱業権者に希望することは無理だろうと委員会としては考えております。従つて委員会としては、今日自然に流れている状態を、新たに鉱業権者が来ることによつてより以上悪くしないという保障が立つかということに限界を置きまして、より以上悪くならないという限界を生ずるならば、今日の資本主義のもとでは認めてしかるべきじやないか、それでもけしからぬであろう、それでも百姓さんが困るというならば、それは国家がやるべきじやないか、つまりもつと具体的に申しますと、ある川のPHが四、たまたま鉱業権者がここに来たから自然のままの四を七に直せということは、今日の鉱業権者に希望することは無理であろう、従つて鉱山から流れて来る水を全部押えて、それだけは自分のためには少しも悪くしないというふうにしておけば、川は依然として四でありましよう。しかしそれには国家がやるということにして力を合せてやるべきじやないか、委員会としてはそういう態度をとつておるということをはつきり申し上げます。おそらく根本の意見を異にするとおつしやるかもしれぬと思いますが、それは重要な問題でありますから、委員会がそういう態度をとつておるということだけを申し上げて置こうと思います。
  106. 川俣清音

    川俣委員 委員長は単にそういうように表現されましたけれども、私の言おうとするところは、今ちようど林野庁が見えましたから申し上げますが、一体今日の治山治水をどうしようかという場合には、あるいは硫黄の露出しておる表土をどう押えるかということは、あるときにはコンクリートで押えなければならぬ場合も出て来るだろうと思います。そうすると鉱業権を大きく制限することになるのです。もう鉱業権の価値を無視するような設備もあえてしなければならぬことになる。従つてそういうことをさせることは、一方鉱業権がある以上無理じやないかということになります。全体の施設を鉱業権者が持たねばならぬことになると、これはもつと別な実例をもつて申しますと、あの八ケ岳付近は非常に山が荒れておる所で、林野庁としてはあそこに今後治山治水をもつと強化して行かなきやならぬと思うのです。あるいはこれに治山治水を強化して行く、砂防施設をして行く、あるいは非常に植物の成長の悪い所にあえて犠牲を払つて植林をして行くということになりますと、一本の木でも切られることは非常に惜しいことになります。それが荒廃のもとになつて来ます。従つて鉱業権を許可しないという建前をとらなければ、国が責任を持つてあそこに治山治水の工事を施行することが困難な状態になると思うのです。そこで私は申し上げるのです。それにも増して鉱業権を執行して行くということになりますならば、鉱業権者が一切の責任を持たなければならないんじやないか、こういうことなのですよ。単にあなたとの理論闘争ばかりじやない、実際問題として、あの八ケ岳の全体の山の酸性土の流出を防ぐには、あそこに何とか緑のおおいをしなければならぬ。ところで一方は金をかけておおいはする、鉱業権では掘り出されるようになりますと、一部分の自分の部分は掘り出されても、それが土砂になつて下の方の森林を荒して参ります。しかも成長量の悪い所を荒されることになりますと、いかに国が経費をかけましても、緑でおおうことは困難になつて参ります。そこなんです。あそこに鉱業権が将来許されないということになりますならば、林野庁はもつとあそこに強化する方法はないわけじやない。だからせつかく造林いたしましても、あるいは砂防施設をいたしましても、採掘にじやまだということで一々掘られますならば、これはむだな経費を国がかけるということになる。従つて鉱業権者が全体の山の責任を負わなければならぬのじやないか、こういうことなんです。今林野庁が、どうして酸性土壌の流出を防ぐかということに苦慮している。おそらく林野庁は、土地調整委員会意見を異にしても、あそこに大きな砂防施設なり、あるいは緑であそこの表皮をおおうような工事なりをして行かなければならない義務を負わせられておると思つている。そうして予算上の処置も考えているはずです。それを硫黄を掘るのだということで一方で荒されているということになれば、これは両立しない。この点を私はさつきから指摘しているはずなんです。そこでもしも鉱業権者に採掘権があるということで、どこでも掘れるということになりますならば、これは大きな影響が来るし、これを防がなければならないということで国が配慮しているときに、この配慮を無視するような鉱業権の存在があつてはならないということなんです。私はむしろ逆に、ああいう所で鉱業権を許すべきじやないという考え方なんです。許すからには、全体の責任を負うという考え方でなければ許すべきじやない。こういう意味ですから、私の今まで述べておりますことは、単に抽象的な国の責任論を言つているだけではない。こういう具体的なものを含めた意見の開陳であるというふうに御理解願えると思うのですが、この点どうですか。
  107. 我妻榮

    我妻説明員 私は一般論として申し上げましたので、具体的の場合には、お説のような事情にあるかもしれません。十分承つておきます。
  108. 井出一太郎

    井出委員長 この際平塚保安局長から、川俣委員の先ほどの質問に対する保留答弁があります。
  109. 平塚保明

    平塚説明員 先ほど川俣委員の御質問お答え申し上げた点について、一言補足をさせていただきます。先ほど採掘権を取得したものは、多分その鉱区内に生ずる鉱害について、十分に鉱害を防止する施設をしようと考えておるであろうと私が申し上げましたことは、採掘によつて生ずる鉱害ということでございますので、この点をひとつ補足をさせていただきます。  なお先ほど来、鉱山局は農民のことを考えないと言つておしかりを受けたのでありますが、私は鉱業課長をやつておりましたときに、上高井の用水を引きますこと、それから西吾妻の用水を引くことなどもございました。これにつきましては、私どももできるだけ御一緒に建設省にもお願いして引いていただいたこともございます。今回の問題に関連いたしまして、鉱区が設定されまして、それによつて鉱業権が取得されましても、採掘関係ないすべての流水の酸性を中和するということを、鉱山側のみにやらせるということは、今我妻先生からもお話がございましたが、実際問題としてはなはだ困難であります。従つて、この防止施設につきましては、当農林委員会の皆様はもちろんのこと、農林省、建設省の皆様のお力もかりまして、私たちもできるだけそれと一緒になりまして、国としてこういうものを根本的に改善をするということに、私たちとしてもできるだけの努力をすることをここで申し上げます。さようお含みおきいただきたいと思います。
  110. 川俣清音

    川俣委員 私は先ほどの答弁ならば了承しますが、今のように変更になりますと、これは重大なことです。ですから、単に保安局長だけでなくて、通産大臣にもおいで願わなければならぬと思うのですな。ぜかというと、ああいう八ケ岳で表皮をはがれるということは、非常に重大なことです。上の表土をはがないで採鉱できるなら、これは別ですよ。一体どこで表土をはぐかという問題です。林野庁が一定の計画をして植林したところをはがれて行つたらたいへんなことです。だから、根本的にあすこに採掘権を与えることが大きな問題なんです。日本の治山治水の上に大きな影響を与えるような所に、あえて採掘権を与えたということは、これは責任問題です。どういう情実で与えたかということまで追究しなければならぬ。だから、そういう議論になりますと、もつと責任者を呼んでこの問題を追究しなければならないと私は思いますが、あなたが前の通り答弁であれば、これ以上追究しません。
  111. 平塚保明

    平塚説明員 私がただいま補足申し上げた通りでございます。さようお含み願います。
  112. 中澤茂一

    ○中澤委員 最後に土地調整委員長にお願いをしておきます。学者は専門的ですから、それは学者意見けつこうです。しかしわれわれは今まで、さつき申し上げた鉱毒のことで、実際長い間の闘いもしたし、苦んでいるのですよ。だからそういう農民の経験というものを無視して、ただ学者意見報告書、鑑定書が出たから決裁を下すということは、私はどうも納得が行かないのです。場合によれば御案内しますが、上高井の今までの鉱毒の所を見ていただけば、実際農民がどういうことで苦んでいるかということはわかるのですよ。農民の立場もひとつ理解して、最後の御裁定を下されんことをお願いしておきます。
  113. 我妻榮

    我妻説明員 上高井は私も見ております。あげ足をとるわけではありませんけれども、農民の方を無視して、学者意見が出たから裁定するとおつしやつたことは、ちよと心外でございまして、農民のおつしやることは、十分私自身あそこへ参つて聞いて参りましたし、見ても参りました。ただ学者意見が出ないから、それを待つておるということだけを申し上げたのでございます。
  114. 井出一太郎

    井出委員長 それでは本問題に対する調査は、本日は一応この程度にいたしたいと思います。先ほど川俣委員の御発言もありましたように、一応留保いたして他日また通産省側にもお出をいただこうと思います。  この際委員長から資料を要求しておきますが、それはこの八ケ岳硫黄採掘権の変遷といいますか、これはおそらく戦時中以来のものだろうと思います。いろいろ転々としているように聞きますので、その過程をひとつ列記したものをお出しいただきたい。それから今日の硫黄の需給関係、価格、輸出入等も含めて、戦時中から十数年くらいのものを出していただきたいと思います。  先ほど平塚局長は、前任者が森さんだと言われたのですが、去年の十月三日この委員会をやりました際は、保安局長は吉岡さんだつた。そうすると一年の間に局長は三たびかわられたということです。農民の側にしてみれば、あの祖先伝来の田畑を離れるわけに行かない切実な問題ですから、あなた方の方も、御栄転を急がれるのもけつこうですが、ひとつ十分腰をすえてかかつていただきたいと思います。
  115. 川俣清音

    川俣委員 最初にできた採掘権取得の場合の施業案と現在の施業案の内容、この間の変遷を、詳しく資料としてお示しいただきたいと思います。
  116. 井出一太郎

    井出委員長 暫時休憩いたします。     午後一時一分休憩      ————◇—————     午後二時十九分開議
  117. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。食糧問題に関連して澱粉買上げの問題について質疑の思出がありますのでこれを許します。芳賀貢君。
  118. 芳賀貢

    芳賀委員 農産物価格安定法に関連しまして、本年度のばれいしよ澱粉並びにかんしよ澱粉、切りぼしいも等の買上げ価格並びにその発表の時期等について、食糧庁の見解をただしたいと思います。長官は割当会議等で出席ができないようでありますが、企画課長の中西さんが見えておられて、大体責任のある御答弁ができるものとみなしまして御質問いたします。  当委員会において再三澱粉の買上げの場合において、かんしよ澱粉とばれいしよ澱粉の買上げ時期あるいは価格の発表等が、同一時期であるということは非常に不合理があるということを指摘しておいたわけです。御承知のようにばれいしよ澱粉の場合においては、澱粉の生産の時期が九月初旬から始まつて十月の下旬にはすでに終るわけであります。その場合原料ばれいしよの生産者は、原料いもを工場に売り渡す前に政府の買上げ価格の発表等があることを非常に望んでおるわけでありますが、昨年の場合におきましても、農産物価格安定法の定めるところによりまして、十月三十日までに価格の公示を行うということになつておる関係上、昨年は十月三十日になつて、ようやくばれいしよ澱粉並びにかんしよ澱粉の買上げ価格が指示されたわけであります。今年度の場合においては、できるだけその時期を切り離して、少くともばれいしよ澱粉の場合においては九月末までに発表することが時期としては妥当ではないかということを指摘しておいたわけであります。これに対しましては食糧庁長官並びに新澤総務部長も、そのことの妥当性を認め、今年度は善処するということを確約しておるわけであります。しかるに今日に至つてもまだその確約というものは実現を見ないでおるわけでありますが、これはただ単なる委員会答弁としてのゼスチユアであつたということを疑うわけであります。どのような経緯をたどつておるか、まずその点に対しての御説明をお願いいたします。
  119. 中西一郎

    ○中西説明員 ただいま御質問の価格決定の時期でございますが、かねがね当委員会及び参議院の農林委員会でも同様に、九月末できめてほしい、特にばれいしよ澱粉についてその時期は厳守してもらいたいという申入れをたびたびいただいておりましたが、残念ながら現在まで延びておるわけでございます。その一つの理由といたしましては、ばれいしよの収量を把握いたしたい。と申しますのは農産物価格安定法に基きましてきまつております価格算定方式の中で、収量のいかんによつてパリテイ価格を修正しなければならないというふうになつております。その点にかんがみて収量の把握をいたしたいという点で、実は九月十日現在の統計調査部の調査をわれわれ待つていたわけでございます。ところがそのあとで台風があり、統計調査部の方では、実は稲作の方の作付報告も非常に混乱をいたしまして、できるだけ急いでもらつたのでありますが、ごく最近に収量などがわれわれの手元に明らかになつたわけでございます。それが一つの遅れた理由でございます。もう一つは、やはり歩どまりを把握したい。これは澱粉にいたします場合も、いもの歩どまりを加工費計算の基礎にとつておりますので、その点についての調査をやつておつたところが、やはり統計の組織なり末端の台風による混乱というようなことによつて、これも残念ながら遅れて来た。現在では完全に資料が整備しております。ただ過去の基準年次による価格を算定するわけでございますが、その面で統計上の疑義も若干残つておるために、非常に微細な点で、まだ決定しかねておる状態であります。今明日中にはわれわれとしても確定した数字を把握したい、そういうふうに取急いで作業を進めておる状態でございます。
  120. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの御説明によりますと、遅延しておる理由の一つには、統計調査部の調査報告が非常に遅れておつたというようなことでありましたが、食糧庁の場合には、食糧庁自身の調査機関も末端機構まで持つておられるわけであります。こういうような場合においては、食糧庁自身の持つておる調査機関、こういうものを動員するということも一つの賢明な策ではないかというふうに考えますし、統計調査部等の場合においても、九月十日現在の作況の現況等は、これは通例の調査として当然一定の期日までに提出ができる可能性は確かにあつたと考えますし、特に北海道に一例をとりますと、北見、帯広等の統計事務所においては、水田の耕作面積は両事務所を合せてもわずかに二万町歩に足らぬわけであります。だから全体の八割程度はほとんどが畑作面積であるという場合において、水稲等の作況調査というものは、それほど事業量の面においては大きな影響を持つておらぬ地区でありますが、ただ単にそういうことだけが重大な理由になるということにはならぬと私は考えておりますが、特に食糧庁の持つておる調査機関等の動員の形は、どのような活用をされたか、その点を伺いたい。
  121. 中西一郎

    ○中西説明員 食糧庁の調査機構、これは北海道におきましても調査担当の課もございまして、毎年やつておるわけでありますが、価格安定法ができて、それ以来価格と供給力との弾力性係数を出します算出上の約束として、統計調査部の数字を用いるということで、食糧庁の方の数字は実は傍証になつておるわけです。そういう関係で統計調査部の方の事務の輻湊のために若干遅れたので、たいへんやむを得なかつたと思うのでありますが、その場合に食糧庁の数字だけでやり切るということは、去年との計算の約束上の差異を来しますので、採用し得なかつたのであります。
  122. 芳賀貢

    芳賀委員 調査の問題でありますが、統計調査部は比較的米麦だけに重点を置いたような調査を行つておる。これは統計調査部独特の、米麦の場合には粒数調査ができるわけでありますが、遺憾ながらかんしよ、ばれいしよの場合においては、独特の粒数計算ということはなかなかできぬわけであります。それともう一点は、米価をきめる場合においては、統計調査部の作況把握の時期を非常に前にとつておるわけですね。たとえば九月十五日現在とか、十月十五日現在の、比較的確率の高い時期のものを把握しなくても、米価の決定等は早期に行つておるという事例があるわけであります。だから同じ国家の行政機構の中で、一番大事な米価の決定をするような場合の本年度の作況等は、比較的確率の低い時期にもうきめておる。ばれいしよ、あるいはかんしよ澱粉のような場合においては、最終的の実収がわからなければやれないということは、これは非常に大きな矛盾があるというふうに考えておるし、これはウエートの上からいつて軽視しておるということは免れぬと思うのでありますが、そういうような調査というものが時期を限つて必要であるとする場合には、同じ農林省内にあるのですから、統計調査部にその旨を伝えて、所定の時期にこの作況等の数字を把握するような努力というものは可能であつたと思いますが、その点はいかがですか。
  123. 中西一郎

    ○中西説明員 われわれといたしましてもできるだけ急ぎ、かつ統計調査部にも協力していただいたわけであります。事実上遅れたのは非常に遺憾なことでありますが、米麦の場合にやつております例の凶作加算というものは、やはり凶作が明らかになつた時期——昨年度は特に春以来から凶作がはつきりし、凶作加算もしなければならぬということがあまりにも歴然としていたという関係もあつて、御承知の五百円の概算の凶作加算というのを初めに決定されましたが、最終的にはやはり収穫高を着実に把握した後において、あとの五十五円の分も追加して凶作加算の分も総額をきめた、こういうふうな状況でございます。ばれいしよにつきましてもできるだけ早くという意味で、実は十月一日現在の調査もあるわけでございますが、それを待つておるわけにも行きませんので、九月十日現在のものでともかく急いでやろうということで取進めて参つたわけでございます。
  124. 芳賀貢

    芳賀委員 この点に対しては後刻統計調査部からも実情を徴したいと思いますが、ただ問題は、澱粉等の場合は、これは米と違いまして、必ずしも国が管理制度を設けて全量を買い上げるというような措置ではないのであります。ただその需給関係というものはもちろん大事でありますが、一つの価格支持的な政策の意味においてこれを用いるということになつておるので、作況等の問題も必然的に需給関係の見通しを把握するというところにその目的があるのではないかというふうに考え得られますし、問題は何としても耕作者の生産した原料いもを手放す時期に、今年度の価格がおおむね指示されるということが一番望ましい事態であるというふうに考えておるわけでありますが、それでただいま御説明によりますと、ごく一両日中のうちに決定されるということでありますが、聞くところによりますと、食糧庁が正確な一つの価格算定をやつた場合においても、これは当然大蔵省との間の折衝問題等も出て来ると思いますが、こういう場合においても、結局価格安定法の法律の持つ精神というものは蹂躪しないで、その基本線だけは通す形において最終的な決定が行われると思いますが、それに対する見通しはいかがでございますか。
  125. 中西一郎

    ○中西説明員 先ほど申し上げましたように、われわれの方で実は若干微細な点なのですが、基準年次の価格を出します際に、一貫当りにしますと何十何銭という金額なんですが、統計上の疑義が若干残つております。しかしそれを詰めた上で大蔵省と折衝するということになりますと、また日が延びるという心配がございますので、われわれの方の数字は固まつておりませんままで、ある程度幅を持つた形で大蔵省と事務折衝をすでに始めております。われわれと大蔵省で、そう大きな見解の相違も現在のところはないので、われわれの方の数字が固まり次第六蔵当局の了承もすぐに得られるのじやないか、そういうふうに見通しを立てております。
  126. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで具体的な見通しの問題でありますが、奇異なことには、毎年のようにばれいしよ澱粉の価格というものは、これは下つておりますね。昨年の場合においては、価格安定法に基いてお組みになつわたけでありますが、それ以前においても政府は価格調整意味において、食管会計において一部の買上げを行つておるわけでありますが、漸次下つておる。その反面同じ農産物の場合においても、米麦の場合においては、若干ずつではあるけれども、パリテイ指数の上昇等がおもなる理由となつてつておる。こういうことはわが国の農産物の価格構成の上からいつてもなかなか了承できがたいことであると考えているわけでありますが、本年度の趨勢が同じような方向をたどるということは断じて考えられませんが、これがどの程度に正常な形に是正された姿をとるかという点に対しては、いかがでありますか。
  127. 中西一郎

    ○中西説明員 実は計算が確定しておりませんので、何とも申し上げかねるのですが、農産物価格安定法の趣旨がやはり一定の支指価格という建前をとつておりますので、われわれの計算も政令に基く計算方式を忠実にあとづけてやつて行くという以外にないわけでありますが、現在いろいろな計算をやつてみましたところ、それほど下るという傾向も出ませんし、それほど大きく上るという傾向も出ない、そういうふうに感じがいたしているわけです。ただ市場相格そのものは、他の農産物との関係とか、あるいは輸入の砂糖の関係とか、あめの需要状況とかいうことによつて市場価格そのものは現在でも相当高いところにある。その市場価格まで現在の計算方式ではとうてい追いついて行くような計算にはならないだろうと思います。
  128. 芳賀貢

    芳賀委員 この際大事な点は、政府当局は、これらの買上げによつて食管会計から出血することを極端に恐れておる。そこに問題があるわけです。正しい算式の上から出た数字が基礎になつて基準価格がきめられたということであれば、これは了承できるわけでありますが、極端に食管の赤字を恐れる、回避するという意味において、その場合の安全度というものは、できるだけ安い値段できめておけばいいということになるわけでありますが、そういう傾向が非常に強いと考えられるわけでございますが、そういうことでなく、価格支持の目的というものは那辺にあるかということは言うまでもないことですからして、その点あくまでも基本的な考えを貫くという考え方でぜひおやりになる必要があるのではないかというふうに考えるのです。それから大蔵当局との見解においてはそう大きな差異はないだろうというお話でありますが、私の仄聞するところによると、ばれいしよの原料価格の場合においては、昨年は一貫目二十二円でありますが、約二円くらい上まわることになるであろうというようなことでありますが、見通しとしては大体それらの数字が一応実現するというような見通しでありますか。
  129. 中西一郎

    ○中西説明員 実は原料価格も計算中の重要な点の一つでございます。今までの計算の過程で、いろいろな議論を各方面と実は行つているわけであります。と申しますのは、農産物価格安定法で価格をきめたり、あるいは生産数量等を確定するというようなときには、生備者団体の意見も聞いて行えというような規定もございますので、でき上つたところで聞くのも変だしという意味で、計算の未確定のまま現金全体の構想の相談を始めております。その中の数字の一つとして、芳賀委員の方でお聞き取引になつたのではないかと思いますが、実はこれは基本価格の方でわれわれの計算の仕方に一つ疑義があるのです。その疑義をどういうふうに整理するかということによつて、若干の相違は出ますが、去年の原料価格よりはそう大幅ではないですが、上るという傾向はどの場合でも指摘できる、そういうことに考えております。
  130. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお伺いしたい点は、この価格発表をやる前に、おそらく重要農産物の価格審議会というような形の委員会があるわけでございますが、これに一応諮つて意見を徴して発表になることに今年度もなるか、この点はいかがですか。
  131. 中西一郎

    ○中西説明員 実は制度としてきまつた審議会とか委員会があつて、それにお諮りするということでなしに、学識経験者の御意見伺つて参考にしてやるということがわれわれに課せられた義務になつております。各方面いろいろ聞かなければいかぬわけですが、その下相談の程度で現在取進め中であります。
  132. 芳賀貢

    芳賀委員 中西さんにこれ以上のことをお尋ねするのはちよつと無理だと思いますから、この程度でとどめておきますが、先ほど言われたように、一両日中に発表のできる段階にあるということをわれわれは期待しております。ぜひきよう言われたようなその時期に、これは当委員会に対する長官の一つの確約事項になつておりますから、必ずその通りお願いしたいと思います。
  133. 井出一太郎

    井出委員長 井谷君。
  134. 井谷正吉

    ○井谷委員 今芳賀委員お答えになりました中で、私は大体ばれいしよ澱粉が中心だと思つて聞いたのですが、私はかんしよ、かんしよ切干し、かんしよ澱粉、こういう面についてお尋ねをしたいのです。今のお答えの中にありましたように、去年よりも大幅に引上げられるものだというふうな概念を持つてよろしいかどうか、一番最初にお尋ねしたい。
  135. 中西一郎

    ○中西説明員 ばれいしよの場合にもかんしよの場合にもそれほど大きくは上らない。下ることもないであろうが上ることもないんじやないか。若干の高低はありましても、価格水準として市価が大きく変動するというような影響力を持つかわり方は、計算上出て来ないんじやないかと思つております。
  136. 井谷正吉

    ○井谷委員 昨年の場合と比べて、本年は今御調査中で詳しい点はわからぬといたしましても、大体において収量は増加しておるかあるいは減つておるか、さらに今度の台風関係で、減収はどういうふうなことになるか、これをちよつと伺いたい。
  137. 中西一郎

    ○中西説明員 われわれの計算は九月十日現在、先ほど申し上げた通りですが、その作柄概況で計算しております。かんしよの生産量は十四億二千七百万貫、精密に申しますと、十四億二千六百八十六万四千貫というふうに計算しております。この供給力そのものは、過去三箇年に比べますと、二十九年の供給力は若干多いんじやないか。と申しますのは、二十七年産の澱粉を相当量買い上げて政府が去年以来持ち越して来ておりますそれが、ことし市場に出て行くということも考え合せて、供給力は去年よりも、以前三箇年間の基準年次に比べると、若干増加するんじやないか、そういうふうに考えております。
  138. 井谷正吉

    ○井谷委員 私はきようあす何かきまるそうですから、そのときまで保留しておきます。
  139. 川俣清音

    川俣委員 食糧庁長官にお尋ねしたいのですけれども、きようお見えになりませんから、近い機会に委員長お呼び寄せ願いたいと思うのです。それにしましても一、二点伺つておきたいと思います。  第一は、米麦以外の生産量の統計の実際上の責任は食糧庁が持つのか、あるいは統計が持つのか。この点農作物全体について、何種類は食糧庁で調査し、何種類は統計でやるという点がありましたならば、その限界を明確にお示しを願いたい。
  140. 中西一郎

    ○中西説明員 農産物関係の統計のための調査及びそれを対外的に公表します場合の農林省としての責任ある数字を申しますのは、統計調査部に全部集中されております。ただ食糧庁として若干の調査をいたししますが、それはただいまの供出時期のごとく、県なりあるいは統計なりの数字が食い違うというときに、自分の心証を固める、勉強をするという意味で、食糧庁も食糧庁自身に関係ある作物については、調査を別途いたしております。そういう関係になつております。属つて菜種につきましても、かんしよにつきましても、ばれいしよにつきましても、統計調査部の数字をわれわれとしては採用し、尊重するという建前をとつておるわけであります。
  141. 川俣清音

    川俣委員 菜種、かんしよ、ばれいしよについては、統計調査部である程度調査対象にして調査しておるようですが、これについは重点的な調査方針が立つていないと私どもは見ております。北海道を調査したところによりますと、これは私の方よりもむしろ食糧事務所の方が正確に把握しておるかもしれないという言葉すら出たくらいでありまして、その点についてさらに別な機会に質問いたしますが、そうすると、あなた方の方は菜種、ばれいしよ、かんしよ以外のものについては、どういう農作物を生産調査いたしておりますか。
  142. 中西一郎

    ○中西説明員 食糧庁といたしましては、農作物関係では、現在のところ菜種は食糧庁自身としては調べておりません。これは統計調査部とまた別個の形式として、米の場合も、食糧庁と申しますか、改良局の特産課などが改良局として別途の調査をしております。そのほか農林省では畜産局、蚕糸局がそれぞれ同様な立場で、統計調査部と別個の観点から調査をやつておるかと思いますが、食糧庁としては今申し上げたほかに調査しておるものはございません。
  143. 川俣清音

    川俣委員 そうすると、あなたの方では全然調査機構を充実しておらないし、またこれらに対する人員の配置もしていない、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。それが一点。ところが農産物価格安定法によりまして、行政上の責任を食糧庁は相当負つておるはずです。負つておる手前上生産量を統計的に確保しなければならないと思うのです。これはどこでやろうと、結果的にはこれを把握しなければ対策が立たないと思うのです。あるいは農作物の中にも、もつと広い意味におけるあなた方の対象になつておりまする、たとえば砂糖の原料にしておる砂糖きび、または北海道の甜菜、これもまた価格問題をきめる責任を持つておられるわけです。生産から申しましてもそうです。今度価格支持の面から申しまして、米価の事務は食糧庁が持つております。この米価あるいは麦価を決定する場合において、一体独自で計算した方がよいのか、あるいは他の雑穀ばれいしよあるいは澱粉等をにらみ合せまして、米価あるいは麦価をきめるべきかという問題も根本的にあるわけです。対米比率、対麦比率で雑穀の値段をきむべきなのか、あるいは北海道のようなところになりますと、むしろ逆に対重要農作物、対米価、対麦価という問題が起ると思うのです。ことに今年の冷害地帯、と申しますと、岩手県北部あるいは青森のいわゆる太平洋岸側の南部等におきましては、おもに畑作地帯、北海道も畑作地帯でありまして、農民からいいますとこれらの価格の動向を見きわめながら作付を行うというのが農民の自然的な作付方法だと思うのです。従いまして対米比率で見るのか対麦比率で見るのか、あるいは雑穀対比で米価を決定するのか、あるいは麦価を決定するのか、または対ばれいしよで他の農作物の価格を決定するのかという重要な根本問題があるわけです。そういう点からいいましても、今日までの農作物価格の変動あるいは動向というものを見きわめなければならないが食糧庁の任務だと私は思いますけれども、このことに関する所見を承りたいのです。
  144. 中西一郎

    ○中西説明員 ただいま御指摘の通り、そそれぞれの価格決定のためには、それぞれの品目の個別の需給事情なり、それをとりまくいろいろな条件ということで考えなければならない点と、同種の代替品なりあるいは代替作物なりとの価格差ということも十分考慮に入れなければならない場合があろうかと思います。それぞれの品目別にすでに御案内のような価格算定方式というものを採用してやつておりますが、当面の問題として例をあげますと、かんしよの澱粉なりばれいしよの澱粉なり、これはいずれもバリテイ方式で原料を出し、また加工賃、一般経費などを勘案して澱粉という製品の価格を出すわけでございますが、それだけではなしに、たとえばその作付された土地に陸稲を植えた場合にはどうだろうかとか、あるいは大豆とかあずきの場合はどうだろうか、いろいろ比較勘案もいたしてみることになつております。もう一つさかのぼるわけでございますが、お話の中にありましたビートの点ですが、ビートもやはり食糧庁でビート等の買上げ値段をきめるという関係になつているわけで、この場合におきましても、道内のビートの生産量というものを把握いたさなければならぬわけです。これも最終的な数字としてはやはり統計調査部の数字、道でも別個の組織でやつておられますが、道の数字なりあるいは食糧事務所の聞取り数字というようなものをわれわれとしては傍証として扱つて行く方針でおるわけです。
  145. 川俣清音

    川俣委員 私は麦または米の需給状態から見ましても、他の代替食物としての重要な、たとえば岩手県の南部ではあわ、ひえが相当重要な代替食物として使用されておるわけです、これが米価また需給と非常な関連の深いものであります、北海道においては、かつて米よりもばれいしよに主食の重点が相当高かつた時代もあつたわけでありまして、これらと無関係に価格を決定するわけには行かないと思うのです。そこでどんな価格決定の法文を見ましても、パリテイ方式をとる場合でありましても、その他の方式をとる場合でありましても、その他の経済事情を参酌してということが必ず加わつておると思うのです。この点は一つも抜けていないと思う。他の経済事情を参酌してということは、関連するところの農作物の状況を意味しておるものと私は思う。そこで収量の正確な把握をどこでやるのだという責任を今後明らかにしなければならないのではないか、これは私がどこでやれということではなくして、この収量を把握するのはどこだという責任を明らかにすべきじやないかと思う。これが第一点です。  二点は、米価及び麦価、主要農産物の価格決定については、今の行政機構においては食糧庁が持つておられる、従いまして他し価格の変動というものを重要視しなければならないと思うのです。たとえば北海道のあずきの不作のために、今あずきが非常に高くなつている。これに引きずられて大豆も高くなる。そういう場合に一体米の需給というものがどの方向に行くのだという点が相当考えられなければならないと思うのです。今割当会議を開いておるようですが、あずきあるいは大豆と米との交換によるところの消費というようなものを相当多量に見なければならないのじやないか、また現在の法律上の力をもつてして、なかなか割当が困難な状態にあるときに、他の作理の不作、凶作ということが非常に割当に影響することも考慮なしには、割当が行えないと思うのです。そういう意味で北海道の畑作の収量または東北一部のあわ、のえ等の作況状態また日本全体から申しますと、かんしよのいわゆる生産状態はどうなつているということを把握しないで、日本の食糧行政はまかなえないと思うのです。それはあたかも、そういうものについては私の方でやつておらないのだからというような無関心な態度であるからこそ、今日の割当会議において非常に困難を示しておるのじやないかと思うのです。この点どうなのです。
  146. 中西一郎

    ○中西説明員 非常にむずかしい御質問なのですが、現在の農林省全体としての作物統計というのは、局としては農林経済局でその中の統計調査部がやるということで、これは組織上そうなつておるので、食糧庁がそれと対立的な関係にあるわけじやなくて、協力関係にあるわけでございます。従つて食糧庁自身も、具体的な供出割当というような非常にむずかしい取引的な場における数字を用意するという意味で、心証を固める意味調査はいたしておりますが、その数字を価格の形成の根拠にするという価格形成ということになりますと、やはり非常に微細な点が問題になりますし、全体として組織なり能力なりの集中されておる統計調査部の数字を尊重いたすというこにと組織上なつておる、そういうふうに御了解願いたいと思います。
  147. 川俣清音

    川俣委員 生産量についてはこれ以上お尋ねをいたしませんが、価格の問題については近くきまるということであります、全体の対米比、対麦比からわれわれはまた検討しなければならぬでありましようし、今日の農村の状態から見て、ばれいしよまたはかんしよの価格のあり方、あるいは澱粉の加工から来るところの澱粉の価格のあり方等について、あらためて検討する機会を得たいと思います。  この際お尋ねしておきたいのですが、新聞紙上の報ずるところによりますと、食糧庁の外米の払下げをめぐつて、いろいろ不正または汚職のうわさが出て、検察庁の取調べにあつておるようであります。また先般指摘いたしましたような倉庫の横流しが行われたりいたしまして、独立会計の上に対きな欠陥を出しておるのじやないかと思いますが、これらの不正行為による欠陥は、一体どこが財政上の責任を負うというお考えでございますか。どうも独立会計である以上、独立会計の中でこれをまかなつておるやに見られるのであります。これらの不正事件から生じたところの金額は、相当の金額かといえば、もちろん微々たるものでありましようけれども、いやしくもこういう不正事件から生じたところの欠損を何で補つておりますか、この際明らかにしていただきたい。
  148. 中西一郎

    ○中西説明員 食糧管理特別会計には御承知のように、いろいろな要素で赤字、欠陥が発生しております。その中の一つに、ただいま御指摘のような不正行為による損失というものもあるわけです。項目は確かでないかもわかりませんが、おそらく雑損というような形で経理上は出て来るのじやないかと思います。そういうふうな赤字の各発生原因別に、赤字を一般会計が負担するとか、あるいは特別会計の中でそれをやりくりするというようなことについての原則は、ただいまのところ長期にわたつての原則というものはないわけでございます。従つて食糧管理特別会計の中にいろいろな発生原因で生じました赤字を全体としてどう処理するかということが起りました場合に、ある時期には一般会計から繰入れてそれを補填するということもございましたし、ある時期には特定の赤字発生要因だけを一般会計の負担にしたという経緯もございます。また消費者価格に負担をする計算をやるというような場合に、計算上の合計計算になりますから、的確なことは申し上げかねますが、損失として消費者価格に転嫁された場合も今までにあつたのではないか、そういうふうに考える次第であります。
  149. 川俣清音

    川俣委員 今までの経過はそれでよくわかりましたが、一体そういう雑損の中に含まれておりますような不正行為から生じた欠損について、独立会計が負うべきものという考え方で今後とも進まれるのか。こうした不正行為から生じたところの損失は、一般会計が負うべきものではないかと思いますが、今後どのように処置されるつもりであるか。これは企画課長から答弁が困難であれば、政務次官から御答弁願いたいと思います。
  150. 中西一郎

    ○中西説明員 将来一般会計で負担すべきではないかという御意見ですが、実は申し落したわけですが、不正行為で赤字か出たというような場合には、やはり賠償金の受入れということもあわせて措置しなければならぬ。賠償金の受入れによつてそれがカバーされてしまいますれば、それ自体としては不正行為の赤字に関する限りはそれで済むわけで、一般会計まで持つて行かなくてもいい、そういうふうな仕組みになつております。
  151. 川俣清音

    川俣委員 こういう不正事件によつて賠償をとる、あるいは損害賠償によつてこれが補填できた場合と、できない場合とある。私の尋ねておるのは、できなかつた場合には一体どうするのか。今の説明によりますと、かつてやはり雑損として消費者に負担さしたということもある、あるいは一般会計から繰入れたこともある、こういうことですが、これは将来の人心に及ぼす影響が非常に大きいので、この際明確にしておいていただきたいと思うのです。
  152. 中西一郎

    ○中西説明員 ただいまの御質問で気がついたのでありますが、不正事件があつて赤字が起つたといいます場合に、政府の払下げした価格なり、そのときの契約そのものが不正であるとかいうことであると、お話のようなことが起り得るかと思いますが、現在までわれわれ関知しておる限りでは、そういうことの不正というよりも、その間における汚職事件という属人的な不正によつて問題が起つておる。その属人的な不正によつて赤字が起つたということでなしに、赤字そのものが、いろいろこまかい計算もして、合理化された適正な価格ということで、やむを得ない赤字として政府は処理する。その間にそれを担当しておつたところに不幸な事件があつた、そういうことだと思うわけです。従つて言葉通りの御質問に対してお答えを抽象的にしておつたわけですが、具体的な事例として、不正な行為のために赤字が出たというようなことはないのじやないか、そういうふうに考えます。価格決定なりあるいは販売なり、そういう過程において、その行為をすることが不正であつて赤字が出した、そういうことはあり得ないのじやないかと思います。
  153. 川俣清音

    川俣委員 そういう議論をすると、私はもつと一々問題を提起して、ここで摘発みたいなことをやらなければならないと思いますので、私はそういう論争をここで展開しようとは思わない。ただ世間で往々にして、食糧庁の不正による赤字補填を消費者に転嫁しておるのじやないか。これは大きな問題でもありますので、こういう問題が起きた場合においては、一般会計から負担をするならする、あるいは消費者に負担させるなら負担させるということを明瞭にしてもらいたい。かつてそういうことがなかつたということであれば別ですが、私は必ずしもそうでないと思うのです。現に会計検査院から指摘されておる。たとえば外米の中で何等として扱うべきものをそれ以下で処分をしたことは、不当だというような指摘も、かつてはあつたわけです。結局不当不正な処分も加えて、世間で言う不正な処分をした結果、財政の上に欠損が出た場合におけるこの補填の方法です。政務次官からでもけつこうです。
  154. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 会計問題でございますので、よくまた研究をいたしまして、それをお答えいたしたいと思います。
  155. 川俣清音

    川俣委員 これは研究の問題ではない。不正や不当な処分をしたために、独立会計に欠損ができた。その欠損を今まで雑損として消費者に転嫁しておる。負担をさしておる。あるいは総額の金額から言えば微量なものであろうと、そういう食糧庁自身における汚職または不正不当な行為によつて欠損したものを、一般の善良な国民が負担をしなければならないということは、耐え得られないという声があるのです。結局政府の責任じやないか。政府の責任だとすれば、何の罪もないところの消費者が、これを負担するということはおかしいじやないか。かりに一銭であろうと一厘であろうと、了解しがたい。こういう問題が起つておる。そこで責任を明らかにする意味において、こういう不正、不当な行為の結果生じた欠損は、国が責任をもつて一般会計からこれを補填するということが、一般の国民の了解するところではないか、こういう点を聞いているのです。具体的にどういう場合においてはどうだという意味ではない、抽象的でいいから、政務次官から答弁願いたいと思います。
  156. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 先ほどお答えしたように、とにかく私もそういうことは初めてでありますから、十分研究をいたして申し上げます。
  157. 井出一太郎

    井出委員長 久保田豊君。
  158. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 先ほどの農産物価格安定法の運用について、二、三点お尋ねをいたしたいと思います。第一はばれいしよにしろ、かんしようにしろ、他の農産物しろ、これに対して安定価格を決定する場合は、この法律が経済法規である以上は、その場合におきまする全国的な比較から、当然の成行きとしてこれは地域的に非常に差があることと思うのですが、市況といいますか、需給関係というか、そういうものを相当に調べてかからなければ、とんでもないことになると思うので。先ほどお答えの中に、ばれいしよについてのかんしよについても、近く結論を出す、決定をするが、それについては、前年度よりわずか上るくらいの見込みであるというふうなお答えがあつたように思う。特に私はここでお聞きしておきたいのは、そういう大体の構想ができ上る以前において、今特にかんしよの全国的な市況というものは、どんなふうになつているか、これらをお調べになつておれば、大体でよろしゆうございますから、お知らせいただきたいと思います。
  159. 中西一郎

    ○中西説明員 かんしよの現在の市況がどうなつておるかというお話でございますが、価格の動向としましては、昨年の一月から最近の七、八、九月までの動向に比べてみまして、価格は二十九年に入つてからの方が少し高いような傾向で参つております。ごく最近の情勢をいろいろ聞いておるわけですが、この点についてはまだつまびらかでない点もあるのですけれども、少し掘り方が遅れておるのではないかという話も実は承つております。実際上の市価そのものは相当強気で推移しておるが、流通しておるいもの数量は相当少いような現状のようであります。ただ天候の関係もあり、その間地域的には霜が降つたりして、もう成育がとまつたというふうなところもありますが、まだ全体の遅れを取返し得るところでは、土の中に入れてもう少し太らせようというような気構えのところもあるようです。また米の供出時期、特に早場米時期でもあつたわけで、この二期に該当します十月一日から十五日ぐらいまでのところは、そのせいだけでもないでしようが、かんしよの出まわりは全国的に少かつたというふうに聞いております。
  160. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私ども多少かんしよに関係ある地帯におるわけですが、確かに今お話のように、ことしは全体として作付も非常に少いし、収量も昨年ほどは上つておらないようであります。従つて市況は相当詰まつておるということが事実であります。従つて相当強気です。特に価格面から言いますと、昨年の今ごろは、現地で農民が得る場合においても、大体において三百円前後、あるいはそれを下まわつておる。ところが今は、原料いもでも大体最低が四百円、少し高いのは四百四、五十円しております。特に生食用ということになると、昨年は五百円前後であつたのが、今日は少くとも大阪近辺で近物についても七百円を越しております。そういう状況です。私どもは全国的な市況はわかりませんが、それらを通じて見られるところは、多少掘りがおそくなつて従つて市場の出まわりがおそくなつたといつても前年のようなことはないというふうに、農家も扱う人たちも大体見ておるのが実情であります。こういう実情を、要するに今度の価格決定にどのように織り込まれるつもりであるか。この安定法のでき上りましたときの大体の趣旨は、農産物価格が大体において生産費を割つて非常に安くなつて来る、従つて農民の経済をささえるという意味において、いわゆる製品の支持価格制度をしいて、間接的にではあるけれども原料の価格安定をさせるつまり下るやつを食いとめて生産の維持をはかろうということにあつたと思うのです。そういう点から見ると、たとえば今年の価格について、昨年のようなかんしよ二十六円とかあるいはばれいしよが二十二円で、農民が生産費がつぐない得るかどうかというと、これもひとつ問題です。同時に他の作物と比べた場合に、かんしよやばれいしよをつくつてはたしてそろばんが引合うかということになると、相当問題だと思う。そういう点から見て第一にお伺いいたしたいのは、こういう価格の変化、現実の市況の変化をどのように織り込まれるつもりか、あるいは全然織り込まないでやるということになれば、今年あたりの市況から見ると、へたにまごつくと価格安定のために政府がいわゆる公定価格、支持価格を決定することが、むしろそういう農産物の原料なりあるいは生食用の農産物の価格の引下げの大きな原因になる。これでは価格安定法ではなくて引下げ法律になつてしまう。従つてその年々によつて、また地域によつて、時期によつて、運用については相当にむずかしい点があろうと思いますが、これが非常にむずかしいところだと思います。そこで農林省として、特に食糧庁としては、現在の価格安定法の運用の場合、法文は法文として、運用の場合にそういう点をどんなふうに考えられておるか。特に今年のかんしよの価格については、そういつたいろいろの事情はどのように判断された上で——さつきお話のように、前年度からわずかばかり上るという程度で、これでもつてはたして今年の市況に対してどのような影響を及ぼすかというような点も、どんなふうに理解をされ、あるいはこれを考えられて作業を進められておるか、お伺いしたい。
  161. 中西一郎

    ○中西説明員 現在の市況が非常に強い実情をどう考えて農産物価格安定法の価格をきめて行くのかという御質問でございますが、われわれとしましては、原則として考慮する点が二点ございます。それは一つは基準年次すなわち前三箇年間のいも年度の平均価格が、その後のパリテイの変遷によつてどうなつておるかというのが第一点であります。第二点は、これは若干見解が違うのですが、作付が少い、生産量が少い、こういうお話でございますが、供給力が少ければ何ですが、多いときは価格引下げの要因となります。と申しますのは、これは非常に精密な資料なのですが、大正十年から、何年までか忘れましたが、ずつと最近時までの供給力と価格との弾力性係数を出しまして、過去三箇年に対して本年度がどういうふうに供給力がかわるか。その弾力性係数はプラス〇・九くらいですが、それでパリテイ価格を修正する。その場合に、これは麦の場合と同じですが、パリテイ価格より下まわるような結果が出る場合にはパリテイ価格にすえ置くことにしております。そういう二つの点を考慮いたしまして原料代の基本価格をきめて参るわけでございます。ただ副次的にその価格がはたしてどうなるかということを、そのほかの要件から見て行くわけですが、その場合には、先ほど若干触れましたが、競合作物の粗収入を、たとえば陸稲とかあるいは大豆とかあるいはあずきによる粗収入を、ばれいしよなりかんしよで得させる場合には、ばれいしよ、かんしよの値段はどうあるべきであるというような計算もいたします。これはまだそれほど約束がはつきりしていないので不安定な計算ではありますが、一応かんしよあるいはばれいしよの生産費の試算をしてみましてそれとも比べてみる、また競争商品という意味で、輸入されます糖蜜の値段から逆算をしてみましたり、これはアルコール原料なり酒原料としての価値から計算するわけですが、また砂糖そのものの値段とも比べろみる、そういうふうないろいろ計算をやつております。従つてこれらの考慮事項の中には、現在のかんしよそのものの市況といいますか、生産者価格は入つていないわけです。それはなぜ入れないかということが御疑問になるかと思いますが、いろいろな経済環境の中で農産物の価格安定という場合に、やはり一定の線以下に下ることを防止する。その一定の線というのは、やはり原則的な考え方のもとでの最低線を破らないようにする、そういうふうな構想であるわけであります。現実の市況が高いからその下値、底までというような趣旨——何といいますか高ければ高きにつけるというふうな思想ではなくて、やはり適正価格で、それ以上に上まわつたときには、頭は押えないけれども、それ以下に下るときは政府の買上げで支持する、こういう制度になつておりますので、以上申し上げたようなことが基本になつて価格算定をいたすわけでございます。
  162. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今お話なつたことは私ども大体承知しているわけです。ところが農産物価格安定法の基本趣旨というものは、私どもの理解をしている範囲では、農産物が、少くとも規定された農産物が、大勢としてだんだん下つて来る、これでは農家の経済が立たぬというところに、農林委員会等が農産物価格安定法で、何とかして一定の線で食いとめたいというのがこの法律の根本の趣旨だと思う、そういうことになれば、今のような計算方法——これもパリテイその他の取方についてもいろいろ問題があると思いますけれども、その議論は別としまして、現実の市況が、この法律に基き今お話のような方式によつてはじき出したものよりずつと上まわつておるというふうな場合、特に全国的に加減的に多少の差はありましようけれども、上まわつておるような場合に、価格安定法に基く支持価格の決定なり、あるいはこれの発表なり運用なりについて、市況とのある程度のにらみ合せをしないと、価格安定が実際は価格安定じやなくて、現実にはむしろ価格の引下げになる。なるほど今の御説明にもありました通り、政府のきめた価格でいやならば売らなければいいのだということですが、そうは行かない。実際には政府の支持価格が出るということになりますと、買う方の側、特に今年あたりの状況では、買う方の立場は、いわゆる需要者の方は、できるだけこれに近づけようとして買いたたくのは当然です。そういうことに必ずなると思う。その場合に、農家の方は、今の不況の実情から行くと、団結力がないから、買いたたかれる危険性が非常に多い。そういう場合にも、一応法制でしやくし定規にきめた一定の時期に一定のものを決定をして発表すればいいというような運用では、うまく行くまいと思う。今年あたりのかんしよ市況等についてはどんなふうに運用されるつもりか、そういう点は全然考慮しないということになると、現実の問題としては、価格安定法に基く支持価格を政府が決定発表することが、実際には市況を落す一つの大きな要因になると思う。これらに対するお考えとお見通しはどうかという点をお聞きしているわけです。
  163. 中西一郎

    ○中西説明員 先ほど来お話がございました特定の地域では、食用などでは五百円しておつた去年の値段が、今年は六百円にも七百円にもなる、こういうお話でございますが、実はここに全国販売農業協同組合の調べですが、原料いもで、最近の十月中旬までの各府県の産地の貨車載せの価格が出ております。大体三十三円で、これは茨城、愛知、香川、山口、長崎、鹿児島等の主産県が入つておるわけですが、三十四円、三十五円、三十六円、特に鹿児島である時期には四十何円というふうなものもございますが、これは貨車載せでございますので、おそらく、一貫当り三円か四円の運賃を差引いて考えますと、昨年の基準価格がかんしよで一貫二十八円でございましたから、そう大きくは開いてないように考えられます。ところによつては確かにそういう飛躍的な値上りのところもあるとは聞いておりますが、全国平均して考えますと、やはり支持価格にやや近いところで強気でとまつておる。これから、これは私の個人的な考えですが、おそらく早場米の供出なりあるいは天候なり、今まで掘り出すのを阻害しておつた要因のなくなるにつれて相当量出まわつて来るのではないか、その場合には、やはり供給力との関係になりますが、それほど飛び離れた価格には全体として行かないのではないかというふうに考えられるわけでございます。
  164. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 これ以上は、結局市況の見方の違いということになりますから、議論をしてもしようがないと思いますけれども、願わくばそういつた市況も十分に考えられて運用をやつていただきたいということを要望しておきます。なお基本的には、そういう点で多少価格の立て方等についても研究をする余地があると思いますが、それをこの際申し上げてみたところでしようがありませんから、これは別の機会に譲りたいと思いますが、ぜひひとつ市況とのにらみ合せということを十分に考えて、決定、発表、運用等について、格別の御配慮をいただきたいと思います。
  165. 中西一郎

    ○中西説明員 ただいまの御要望、よくその趣旨もわかります。なるべく御趣旨に沿つてやりたいと思うのですが、パリテイ方式そのものが、非常に若いのでございまして、かんしよ、ばれいしよの場合は、二十六年からの計算になります。従つて蔬菜の関係にいたしましても、あるいはあめにしても、酒にしましても、アルコールにしましても、砂糖にしましても、それほど大きな需給上の変動は、おそらく起つてないのじやないか。本年は特別に二級酒が足りないということになつて、これはまた酒米の供給力を少しふやさなければならぬというような突発的な問題もありますけれども、全体の経済情勢としては、原料、製品の関係が比較的短かい期間でのパリテイで計算されておりますので、結果としては市況からそれほど飛び離れたパリテイ計算というものは出て来ないのじやないか。パリテイ計算というものは、まつたく別の観点でつくられて、市況というものはまつたく別の変動をするというような事態でありますならば、これはたいへんな問題になると思うのですが、現在の四年間動いている経済を把握する場合に、パリテイ方式をとりましても、市況とはそれほどの大きな差は本来出て来ないのじやないか、そういう感じがいたします。これは個人の所見ですが、御参考までに申し上げます。
  166. 井谷正吉

    ○井谷委員 先ほどのお話では、大体きよう、あすに農林省の数字が出るらしい。そうすると大体農林省としての支持価格についての基本の腹構えができるのじやないかと思います。それを大蔵省へ交渉して、その後きまつたものをわれわれ知りましても、ちよつと手遅れになる。きよう、あすのうちにきまれば、御交渉の前に御内示ができるかどうか伺いたい。
  167. 中西一郎

    ○中西説明員 それははなはだ困難だと思うのですが、実は学識経験者に御相談申し上げるという建前をとつておりますので、懇談会でならばけつこうでございます。     —————————————
  168. 井出一太郎

    井出委員長 引続きこれよりダムの設置に伴う農作物、農地等の被害に関して調査を進めます。  大雨や台風の際に、発電用ダムの設置により農耕地に水が氾濫して、農作物に甚大な被害を与えますることは、食糧増産の強調されておりまする折から、軽視できないと思います。先般当委員会から委員派遣をしました際の報告にも、宮崎県における大淀川の問題が取上げられておりました。これは先日の委員会において伊東委員あるいは足立委員等よりも取上げられまして、農林、通産両当局へとりあえずの調査を煩わしたはずでございます。本件について羽田農林政務次官より発言の申出がありますので、まずそれを伺うことにいたします。
  169. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 十四日の当委員会において、現地を御視察になりました足立委員それから井手委員並びに地元の伊東委員より、宮崎県の発電用轟堰堤が農業に相当の被害を与えておるので、至急調査し、次の委員会報告せよという御要望がありましたので、宮崎県より資料を取寄せまして調査をいたしましたところによりますと、被害区域は都城市ほか四箇町村に及んでおり、昭和十八年から今日まで毎年湛水しておりまして、全町歩に湛水した回数だけでも十数回に上り、その被害総額は本年の米価に換算いたしてみますと十一億円余に達しておるのでございます。これを平均してみますと、年々おおよそ八千五百万円となつておるのでございます。本年の被害は特に大きいのでございまして、二億数千万円に及んでおるように存じておるのでございます。  以上申し述べましたように、この堰堤の上流部に毎年湛水があること、なおまだ将来にわたつて相当の被害が予想されておることは明らかでございます。この補償については、堰堤による直接被害がどれだけあるかという問題が基礎となりますので、さらに詳細に調査いたし、通産省とも十分協議いたしまして、適正なる補償ができますように努力をいたしたいと存ずる次第でございます。またこの恒久的対策といたしましては、上流部河川改修の問題がありますので、この点につきましては現在建設省が工事を進めておりますので、これを急速に進めるように建設省ともよく協議して、被害がなくなるように計画を進めてもらうように努力をいたしたいと考えておる次第であります。
  170. 井出一太郎

    井出委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。まず伊東岩男
  171. 伊東岩男

    伊東委員 さきの委員会において質問がありました大淀川第一発電所の堰堤の撤去及び堰堤に基因する災害の完全補償については、先ほど御答弁がありましたように、私ほか三名の委員からそれぞれ質問をいたしたのでございますが、その質問が保留となつておりまして、ただいま羽田政務次官から御答弁がありましたけれども、私はさらに疑問がありますので、この点を質疑いたしまして、内容を解明したいと思うのであります。大体この問題は、農林省だけでなくて、建設省、通産省に関連するものでありますけれども、先ほど御報告のあつたように、農産物に莫大なる災害がありますので、この災害対策の立場から農林委員会で取上げたもので、農林省がこんな重大問題を、今日まで一地方の問題として軽視されたところに農政上の欠陥があると私は信じておるのであります。大体この轟ダムの影響として、霧島盆地の耕地七千町歩のうち、本年度損害を受けたのは一市四箇町村約三千五百町歩の耕地農作物で、お話の数字より以上の損害を毎年受けておるのでありまして、そればかりでなくて、ほんとうに農民か勤労意欲を向上いたしますならば、その増産分もまた合せて相当の数字になるのであります。特にことしは第五号、第十二号、第十三号の台風のために受けた損害というものは莫大でありまして、公共施設と合せると、同地方の損害は約十億と称せられておるのであります。この計算以外にダムの影響で河川が上昇いたしますので、ダムの上流地帯は排水が不良になりまして、年々湿田化して参るのであります。従いまして湿田になつた結果として麦作、うんだい作がまつたく不能になるたんぼが増加いたしまして、ただいまでは数百町歩に達した湿田となつているのであります。さらに氾濫防止のためにただいま建設省が約十五億の継続事業の堤防建設をやつておりますが、このために要するつぶれ地が少くとも三百町歩以上あるのであります。かような見地から言いますと、この被害は政府の意図しております開田、開拓、主地改良等とはまつたく矛盾をいたすのであります。     〔委員長退席、福田(喜)委員長代理着席〕 さらにこれらの農作物の被害による——今度は農林省から言いますと、共済金の支出負担が相当多額に上るのであります。これらの点等を考えて、いま少しく農林省は、熱心にこの対策を講ずべきではないかと信じているのであります。もし被害地をこのままに放任しておくと、別にいくら開田、開拓をやつてもだめであると思うのでありますが、これに対して農林省はいかようの御見解でありますか。
  172. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 今度の轟ダムの問題については、すでに十八年から浸水があつたのを、農林省が今日まで捨てておいたことについておしかりはごもつともでございます。その点は恐縮に存じます。同時にまた地元の方も、今までこういう問題を農林省に御指摘にならなくて、今度の台風の視察で井出委員長ほか皆さんがおいでになつて、当委員会で実は初めて問題になりましたので、農林省もびつくりして、即座には御答弁資料を持たない状態であつたことは、この間の経過に徴しても明らかでございます。なお今日参議院の農林委員会に午前中出席いたしまして、やはり台風の被害地の御報告の中で、宮本委員からこの問題を取上げてお話がありまして、事の重大をわれわれもますます痛感いたしておるのであります。参議院の宮本さんは、御承知のようにああいう土建屋さんでございますので、その御報告によりますと、何でも轟ダムの下の方にもう一つダムができて、それまではいつも排砂門をあけていたので被害は割合に少かつた。しかるに下の方にもう一つ発電のダムをつくつたために結局その竣工後は排砂門から砂を出さないというような状態になつているので、この被害が最近特にひどくなつているというような御指摘がありまして、私どもが知つている以上、そういつたもう一つのものが後にあるという問題があります。  もう一つの点は、この間御指摘がありましたように、この下流地方には宮崎市がございます。今の轟ダムのもう一つのダムが宮崎市の一種の防砂的な、防災ダムみたいな機能を発揮しているようにも聞いておりますが、こういうように非常に複雑な条件になつておりますので、今回の皆様の御指摘によりまして、農林省としましても十分この重大性を認識いたしまして、先ほど申しましたように通産省に対し、あるいはまた建設省に対しまして、本格的に検討いたし、また農民の被害をなくして行くという方向に努力して行こう、こういう考え方であります。
  173. 伊東岩男

    伊東委員 この問題は、被害住民と会社の間で、できるだけ解決すべく今日まで相当の努力をいたしたのであますけれども、この発電所は九州電力で、いかにその地方から言いましても、がんとして応ぜないのであります。また地方としても、戦争前までは被害があまりなかつたので——大体これを建設したのは今から三十年前でありますが、終戦後だんだん台風も参りますし、非常な洪水が出まして、最近特にひどく相なつたのでございますので、地方としてもどうしても黙視することはできないのでありますから、これを国会の問題として取上げてもらう以外には生きる道なしという悲壮な考えから、地方もまさに百姓一揆を起して、非常事態まで起ろうというところまで発展しております。今お話のように、実際は第一発電所と第二発電所と二つあるのでございまして、第一発電所はちようど七千町歩の霧島盆地の首を締めたようなところにあるのでございます。だから七千町歩にわたる降雨量が全部わずかな狭いところに入るのでありますから、どうにもならぬのであります。その第二発電所というのは、日本でも最も安くできたりつぱな発電でありますが、ただいまのところではお話しのようなこともだんだんございますけれども、この問題の根本的解決については、今日ではただ補償の問題ばかりでなくて、根本的の問題はこのダムを撤去してもらう以外には道はないのであります。そこで次官のお話のように、この防除のために約十五億をかけて堤防建設もやつておりますけれども、これも遅々として振わない。即時やるとおつしやいますけれども、これは建設省の関係でありまして、即時竣工いたしません。またかりにこれをやりましても、堤防だけでとうてい災害を根本的に防ぐことはできないのでありまして、今後この七千町歩にわたる大盆地が、ほんとうに沼海の中に沈むのではないかと考えているのであります。そこで大体は、このダムを許可したところに、地理的あるいは技術的から考えまして重大な欠点があると私は信じております。すなわち地方産業、住民の不利、損害を何ら顧慮することがなく、ただこの場所が建設費も軽少で済むし、またその当時は適当な場所でありましたので、会社の立場のみ考えて、当時住民の猛烈なる反対を押し切つてここに建設したことにすでに矛盾があるのであります。これを撤去することになりますと、日本の水力資源開発の上に多少支障もありますけれども、先ほどからお話のあるように、第二発電所を活用いたしますならば、第一発電所を撤去しても発電力はより以上出ますし、会社としてもさしつかえはないと思うのでありますから、地方のただいまの輿論としては、もう撤去してもらう。撤去するということになれば、河川法の第二十条で、地方行政庁の監督権の発動をやりますならば、この工作物の撤去を命ずることはできると考えるのであります。この非常措置に対する建設省の見解をただしておきたいと思います。
  174. 植田俊雄

    ○植田説明員 ただいまお話になりました点につきまして、最後の河川法の運用の問題でございますが、河川法の法規の上から申しますならば、ただいま仰せになりましたようなこともできないことはないと解釈いたしております。ただお話のような措置をこの法文によつてやるかどうかという問題につまきしては、先ほど農林省の政務次官がお話になりましたような諸点、及び私ども河川を所管している建設省の立場からいたしましても、現在の被害がダムによる被害のほか、あるいは降雨が異常に多かつたことであるとか、そのための内水の問題でありますとか、あるいは河川改修がまだ十分でなかつたこととか、いろいろな原因もあろうかと思いますので、そういつた問題につきまして、今後相当の時日をかけまして十分研究いたしました後でなければ、ただいまお話になりましたような撤去命令という結論は出て参らぬのではないかと、現在のところは考えている次第であります。
  175. 伊東岩男

    伊東委員 この被害は、ダムの影響による農作物の被害がほんとうに多いのでありまするけれども、しかしこれはやはり公平に考えると、自然現象による関係もあると考えております。そこで同地方は火山灰地帯でございまするから、もしこのダムを撤去するということに相なりまするならば、すべて自然の土砂類をうまく疏水することができるのであります。大体このダム建設前にこんな水害は見ようといつてもなかつたのであります。特にことしは、あの地帯が降雨量が千ミリもあつた。しかも非常に長期にわたつた降雨でありましたために滞水したことも原因でありましようけれどす、私は会社に欠点があると思つております。これはゲートの操作に欠点があるのじやなかろうかと考えるのであります。そこで氾濫開始前にゲートの操作、全開をやるとか、あるいは増水初期に厖大なる貯水をすみやかに放流するとかいうようなことに相なりまするならば、若干これを防ぐことができますけれども、会社はかようなところにはまつたく誠意がないのでありまするが、この点を御承知でありますか。
  176. 中島征帆

    ○中島説明員 ただいまのゲートの操作の問題でございますが、これはこの前この委員会で御調査を命ぜられまして、さしあたり通産局の方から現地に係官を派遣して調査をいたしておりますので、詳細はそのあとで判明すると思いますが、ただいまこちらでわかりました程度によりますと、当初日発当時から引継ぎました契約上、どういうふうな操作をするという水門操作の協定があるわけでございます。それに従つて今度も操作をしておりまして、そのカーブも一応見ましたが、大体洪水の前に門を開いて水位を下げておる。だんだん水がひいてからまた締めるというような趣旨に沿つておりまして、大体水位のカーブもそういうようになつておりますし、また実際の上げ下げの時期等におきましても、この協定の趣旨に合わせてやつておりますので、その点につきましては会社側に落度はないと思つております。
  177. 伊東岩男

    伊東委員 ことしの非常なる災害にあたつて、地方の被害農民たちは非常に憤慨をいたしまして、遂に轟ダムを撤去する爆弾でもかかえて飛び込むといつたような勇気を振つてデモンストレーシヨンをやつたので、そこで多数の農民たちが押しかけて行つてゲートの開放を迫つても、会社はこれに応じない。そこで農民たちがみずからゲートを開こうとしても、腐りついておつて開けない事実があるのでありますから、このような事実から申しましても、会社が実行しておらないということは明瞭であると思うのであります。いま一つは、会社と地方の対策委員会と契約しておるのでありまするが、この契約によりますと、昭和二十三年度出水までに左の事項を実施するというので、一、土砂吐門を安全に開閉するために必要なる工事、二、可動堰の巻上設備の改造によつて門扉の開度を増大する工事、三、右岸堰堤下流側の岩盤の掘鑿によつて完全なる溢流をはかる工事、こういう約束がありまするけれども、これは一つも会社は実行しておりません。この実行でもあれば大体これはうまく水が流れると思うけれども、こういうふうな実行もいたさぬと思うのでありますが、これは大体御承知でありますか。
  178. 植田俊雄

    ○植田説明員 水門の開度を上げる、そういう工事はいたしたと思つております。それから岩盤掘鑿につきましては、前々からそういうお話がありまして、会社の方で工事をしておるようでありますが、今度の被害から考えまして、至急われわれの方も工事を進めるように言つておるわけであります。     〔福田(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  179. 伊東岩男

    伊東委員 この問題についてはよく御承知のはずでありまするが、これらの問題について、会社に対して何か警告でもされた事実がありますか。
  180. 中島征帆

    ○中島説明員 これは先般この委員会での御注意もございましたが、会社に対しましては、一応十分実情を調べろということと、それから現地におきましては、誠意をもつて事に当れ、対策につきましても十分考慮して持つて来い、それから契約の条項については違背のないようにということは注意してございます。それからさらにこういう問題が始終起りますので、これが会社の責任に属する範囲につきましては、これは契約の内容いかんを問わず、すべて賠償の責めに任ずるわけでありますが、どの程度が会社の責任の範囲であるかどうかという点につきましては、常に議論が起きますので、場合によつては、第三者あるいは学識経験者等を入れました特別の委員会でもつくりまして、そこで公平な判断をして、責任の帰属をきめてもらつたらどうかということも示唆したわけであります。
  181. 伊東岩男

    伊東委員 そうしますと、先般委員会で問題になつたから、そういつたような警告みたようなことも、あるいは調査をやるというお気持におなりになつたので、今日までは何にも知らなかつた、こういうわけですか。
  182. 中島征帆

    ○中島説明員 以前はこういう問題があるということを十分承知しておりませんでした。
  183. 伊東岩男

    伊東委員 そういたしますと、損害賠償の責めには応ずべきだというお話でありますが、今日まで三十年の間折衝した結果、会社が払つた金、補償したもの、それを見舞金と称して、たつた一千万円強を支払つておるというような、実に地方をばかにした話だと、われわれは最近この問題を解明して驚いておるのであります。一体こういう例がほかにも多数あると思いますが、こういうふうなばかげたことがほかのところにもありましようか。大分ダムの問題は方々に起つておるようでありますが、いかがでありますか。
  184. 中島征帆

    ○中島説明員 これは責任者の側と、それから被害者の側との見解の問題になるのでありますが、要するにダムのためにどれだけ被害がふえたか。一般の洪水だけであつた場合にはこの程度であり、それが先にダムがあつたためにどの程度ふえたかという認定が非常にむずかしい問題でございます。契約面におきましては、大体ダムによるバツク・ウオー夕ーの一番先は、ダムから七キロまでで、それが責任の範囲だ。それ以上はダムの直接の影響はないけれども、ある程度見舞金のような責任は持とうという趣旨の協定になつております。つまり理論的に言いまして、洪水時のバツク・ウオーターというものは、そう広い範囲には及ばないという見解でできておると思います。それがはたして正しいかどうか、またそれ以外の原因でもつてダムのために被害が広がつておるかということは、十分第三者も入れまして調査しなければ、単に会社側の見解、あるいは現地被害者側の気持だけで論結を出すということは、少し早計ではないかと思います。
  185. 伊東岩男

    伊東委員 ただいまの地方の状況では、そう簡単に黙過することはできないので、地方で腹をきめておるのは、知事をして河川法第二十条を発動せしめる、これは法律の精神は撤去せしむることができると思います。しかし先ほどの御答弁では、相当調査の上で条件がそろわなければいけないような御意向でありましたが、私ども見解では、知事として当然、地方庁の監督権の発動というものはこういう場合に発動すべきものだ。ただいままで知事も相当責められておるにもかかわらずあなたたちの方にも御相談を申し上げないということは、これまたどうも誠意があまりあるとは見えません。しかしここまで事が進んで来るならば、必ず知事も腹をきめてこの問題については突進するだろうと思いまするが、その場合におけるあなたたち、建設省の見解をもう一ぺんお聞きしたいと思うのであります。
  186. 植田俊雄

    ○植田説明員 御承知通り河川法の命令は、河川管理者が出すことになつておりまして、河川管理者はただいまお話のありましたような事知でございまして、知事が第一次の責任者でございます。ただまだ十分の研究をいたしておりませんけれども、こういつた性格のダムにつきまして撤去命令を出すということになりますると、建設大臣の認可を要することになるのじやないかと考える次第であります。私どもとしましては、ただいままでの法規の解釈の問題もございますが、知事だけでおやりになることはない、必ず本省に相談あるべきものと考えておるわけでございます。それから建設省がそれに対してどういう結論をつけるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろなフアクターもございますので、その点も十分調査研究してみないと結論をつけることはできない、こういう立場でございます。
  187. 伊東岩男

    伊東委員 たいへんむずかしい問題でございまするからこれ以上は申し上げませんが、必ず知事は決意をして、この問題解明のためにそこまで行くだろうと信じております。どうか建設省ではそのお覚悟でおつていただきたいと思います。  さらに先ほど政務次官は、上流地帯の堤防工事によつて少くともこの災害を防止する、こうおつしやつたのであります。そこで建設省にお尋ねしたいことは、ただいま約十五億前後の継続事業をやつております。ところでこれは遅々して進まぬのであります。進めてくれないのであります。問題が予算関係になると政府の責任でありまするが、そこで少くともこういつたようなことが促進されれば地方としていいと思います。しかしまた一面から言うと、地方では十五億に対する一割、約一億五千万円の地方負担がいるのであります。だから会社に、こんなものは当然会社として負担していいのじやないかと言うけれども、まつたくてんとして問題にしないのであります。そんなことはもう自分たちの責任でないというようなことであります。しかし地方から言うならば、ダムのために起る水害、水害を防止するための堤防、こうなつておるのであります。ところで地方では一億五千万円なんという負担力はないのでありまするが、この工事の進行についてはどういうお考えでありますかということと、もう一つは、あそこの下流の天神橋というところで今打切られておりまするから、その下流に今度は河川改修の必要が起るのであります。これは多分調査済みだと思つております。もしこれをやるとするならばどれくらいの金がいりまするか、この点をお伺いしたいと思います。
  188. 植田俊雄

    ○植田説明員 大淀川の上流につきましては、かねてより工事事務所を設けまして調査もいたし、工事もいたしております。ただ国家財政の関係で遅々として工事が進まなかつたこと、まことに遺憾に存ずるわけでございます。ただ直轄工事にも御承知通り三分の一の分担金が県にかかるわけです。あるいは宮崎県におきましても、その三分の一の分担金のある一部を地元に負担せしめることがあるかと存じますが、この問題は建設省としても従来承知していなかつた問題であります。最近に至りましてそういう問題もあるかのような話も聞いておる実情でございます。ただ建設省の立場から申し上げますと、直轄工事の分担金は県が一応負担するわけでございます。その後のその負担の県内における割合の問題につきましては、本省としましてタツチいたしておりません。その点にましては、これは県内の問題として処理願うよりしかたがないのではないかと考えております。  なお天神橋下流の問題でございますが、私ただいま資料を持ち合せておりませんので、調査がどの程度できておりますか、また工事費はどの程度かをお答え申し上げることはできませんので、まことに申訳ございません。建設省としましても、今次の災害にかんがみまして、先ほど農林省の政務次官からお話がありましたように、堤防によつてどういう措置をするかというような問題についても、またはたして今までの計画がそのままでいいかどうかというような問題についても、今後考えなければならぬ問題があろうかと思うのであります。また直轄改修区域の今の延長の問題につきましても、これはただいままでの経過がどういうことでありましたか、ただいま存じませんが、またあらためて検討し直す問題もあろうかと思います。ただいま九州地建の督励いたしまして、今度の十二号台風当時における実情について人員を相当派遣いたしまして研究をいたしておりますので、そういつた調査結果が参りますれば、もう少しはつきりしたことがわかつて参るのではないかと思つております。ただいまのところでは、この程度しかはつきりいたしておりません。まことに申訳ございません。
  189. 伊東岩男

    伊東委員 この天神橋下流の堤防でも、少くとも数億を要すると考えております。そこでその上流のものと合せると、少くとも二十億かかるのであります。もしかりにこのダムを撤去するということにいたしますならば、この堤防というものは低くて小さくてよろしいのでありまするから、私は二十億のものは十億もかからぬのではないか、それぐらいの堤防で防止することができると思いますこの点はひとつよく御考慮を願つておきたいと思います。  そこで政務次官にお尋ねしまするが、これは午前中も中澤委員から、鉱毒による農作物被害の補償法制定の問題の御意見があつたのであります。私ども非常にけつこうなことだと考えております。また全国にはただいま申し上げるような発電堰堤による被害が、この轟ダムばかりでなくて、相当ほかにも多いと考えておるのでありまするから、この鉱毒を含めた立法化によつて、そうして被害農民を救済する意思はないのか。この立法化についてはどういうふうにお考えになつておりますか。いずれにいたしましてもその損害補償の調停機関という問題が、今後どうしても起つて来るのであります。現に今の轟ダムにいたしましても、三十年かかつてもだれも調停してくれる者がおらないといつたような状況でありまするから、私はぜひ、こういつたような調停機関を法制化することが必要だと考えるのであります。これには別に予算はいりません。大した予算の裏づけもいりませんので、この調停機関をつくる立法化の問題に対しまして、林農省はどういうふうにお考えになつておりますか伺いたい。
  190. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 これもまた初耳でございまして、まだあれでございますけれども、とにかく鉱毒問題も——私はきようの午前中は参議院に参りましたのですから参りませんでしたが、鉱毒の問題あるいはこういつた発電所のダムの建造物による農村の被害という問題は、今後もあちこちで起つて来る重大な問題ではないかと思いますので、確かに伊東さんの御指摘のようなものは、政治的な感覚から申しますれば、やはり調停的な何らかの機関があつて、公正妥当な答案で両者の納得の行くようなものをつくつて行くというような機構は、必要ではないかというふうに私個人としては考えますが、そういうような調停の立法が行われるというようなことについては、私も賛意を表するのでありまして、こういう点についてはよく役所でも研究をいたしまして、また法律を出すという方向に、できるだけ私は推進いたしたい、こう思います。
  191. 伊東岩男

    伊東委員 ぜひこの鉱毒及びダムの影響による農作物の被害補償の問題については、十分御研究くださいまして、農林省が中心になつてこの立法化におはかり願いたいと思います。もし政府の方でできないということであれば、これは議員立法という道もありますので、そういうことになると思います。  そこで時間もありませんので、私は結論として一つ提議をいたします。どうもただいままでの説明を聞いておりましても、今までの成り行き、真相が、農林省にも建設省にも通産省にもよくわかつておらないといううらみがあるのであります。従いまして、われわれが納得するような御答弁ができないのである。そこでどうか直接関係のある九州電力の責任者を、もう一ぺん当委員会に呼んでもらいたいと思います。これと同時に、ダムを許可したのは知事でありますから、今監督権を持つておる知事及び関係被害民の代表者を当委員会に招致されて、そうしてこれに関連する真相調査をやつてもらいたい、こう思います。  もう一つは、委員会の問題として取上げてもらうならば、ぜひ詳細な現地調査をやつてもらいたい、こう思うのであります。  もう一つは、この種の被害地は全国各地にあると私は信じております。そこでこれらの問題も調査研究して対策を講ずるための農林委員会、あるいは建設委員会と共同でもよろしゆうございますから、小委員会の設置を要望いたしまして、この問題の解明、救済のために特段の御配慮を願いたいと思いまするが、委員長はいかようにお考えになつておりますか、かような手続をしていただけますか、お尋ねいたします。
  192. 井出一太郎

    井出委員長 お答えいたします。伊東さんのお話の他の委員会と共管になる小委員会というものは大体前例がないと思うのです。そういうわけで、御要望の点は私も含んでおりまして、理事会等において御相談をいたしてみることにいたします。
  193. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 その問題でございますが、この問題の内容それ自身は、伊東さんのおつしやるのもごもつともな点も多々あると思いますが、これの運び方につきましてどういうことをやるかということは、委員長が決定する前に理事会にかけて御審議願いたいと思います。
  194. 井出一太郎

    井出委員長 これを取扱うことは理事会で諮りまして議題に供したわけです。それであなたの今おつしやるのは、これからどういう線を出すかという場合は……。
  195. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そうじやないのです。この問題の取扱い方です。
  196. 井出一太郎

    井出委員長 私に関する限りはお答えしたはずです。——わかりました。  片島港君。
  197. 片島港

    ○片島委員 河川法の第二十条によれば、いろいろな項目を並べて、公益のために必要あるときという場合には、明らかに知事はこの河川使用の許可を取消すことができるようになつておるのでありますが、最初に許可をするときも、建設省、その当時は内務省でありますが、その認可をとらないで知事が許可をした。この法律には主務大臣の了解を得てというようなことが何ら書いてないのであります。現在県内において非常に重大な政治問題となつているこの問題は、来年度の知事選挙なども控えて、県内においては非常に大きな問題となるであろうと思います。その場合、知事がこの認可を取消した場合は、これは違法でありますか。建設大臣の承認を得なければならぬということは何を根拠にそういうふうにお考えでございますか。
  198. 植田俊雄

    ○植田説明員 河川法は実は古い法律でございまして、立法としましては、河川管理者であります知事中心に立法されておりますが、別に監督令がございまして、その中におきまして、発電水利権でも相当電力量がありますものにつきましては、主務大臣の認可を受けるようにいたしております。そういう点におきまして、これはまだ書類を確かめてはおりませんけれども、この轟ダムにつきましても、当時の知事は当時の内務大臣の認可を受けて発電水利権を下付しているものだ、かように考えております。こういつた種類のものにつきまして撤去命令を出すような場合におきましても、建設大臣の認可を受けるように法律できまつている、かように考えております。
  199. 片島港

    ○片島委員 この轟ダムは、建設当時においても非常に地元民の熾烈な反対を受けたので、その当時の知事も一時は工事の中止命令まで下したほどであります。しかしその当時の農民の政治力というのが非常に弱かつたために、一営利会社に負けて、ついにダムが建設せられたわけでありますが、非常に緩漫な流れでありまして、それに狭いところに安上りのダムをつくつたために、非常な大きな災害を受けているのであります。十分に御調査をされた結果、これが公益に反するという場合には、建設省としてはこの撤去を命ずるというお考えがありますかどうか。
  200. 植田俊雄

    ○植田説明員 大淀川のこのダムは、御承知通りに大正七年に認可になつたものであります。現在発電水利権を認可いたします場合、あるいは知事が許可をいたします場合には、地元諮問の手続をいたしまして、地元の意向を十分反映することにいたしております。おそらく当時としてもその手続を踏んだことと存じますが、大分古いことでございますので、建設省をいたしましても、その間のいきさつを承知いたしておりません。あるいはただいまお話があつたようなことがあつたかもしれないと存じております。なおこれが今後研究しました結果どういう結論が出ますかということにつきましては、ただいまのところまだ見通しはつきませんので、ただいまお話のありました撤去命令を出すかどうかということにつきましては、私の立場といたしましても、まだ出せるということもはつきり申し上げることはできかねる事情でございます。
  201. 片島港

    ○片島委員 その調査の結果、公益のために必要だと思う場合には撤去命令を出されるかどうか。それからいま一つは、これは通産省の関係でありますから、このような例があつて、全国で撤去した例があるかどうか、そういう前例がございますかどうか。
  202. 植田俊雄

    ○植田説明員 ただいま御質問の趣旨のことはよくわかつております。よくわかつておりますが、私の立場から申しまして、そういう事実があれば必ず撤去する、撤去させるということまでは今言明することができないという意味で申し上げたのであります。前例の点はまだ詳細には研究したことはございませんが、まだ前例はないようでございます。これもまだ研究は十分でございませんので、確実なことを申し上げられませんが、私どもの記憶する範囲ではそういう前例はないと心得ております。
  203. 片島港

    ○片島委員 明らかにこのダムのための農作物の災害、農地災害という場合に、現在の法令上ではこれを救済する方法がないのであります。農民は、ただダムのためであるということが明らかにわかつてつても救済の方法がない、泣寝入りをしなければならぬ。もしこのようなことを行政措置によつて許可を与え、あるいは認可を取消さないために、何の罪とがもない農民が、そのダムのために明らかに損害を受けているということが明確な場合には、全額国庫が補償すべきものであると思うのでありますが、農林省当局なりあるいは建設省は、その点はどうお考えになりますか。
  204. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 ダムは九州電力がやつておりますから、従つて国家が補償するという筋でなく、受益者である会社が補償すべき筋合いであろうと私は思つております。
  205. 片島港

    ○片島委員 現在の法令においては、会社がその補償をしなければならぬという法律はありませんか。
  206. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 それは私もわかりませんけれども、そういう筋合だ。もしなかつたならば、立法をいたしてもそういうふうにすべきだろう、こう思つております。
  207. 井出一太郎

    井出委員長 これは中島公益事業局長からお答え願います。
  208. 中島征帆

    ○中島説明員 法律上そういう賠償規定は何もございません。ただ条理といたしまして、明確にダムに原因するような被害に対しましては、会社側としては当然賠償すべきものであります。
  209. 片島港

    ○片島委員 監督官庁がこれを黙認——というよりも、農民に非常に大きな災害を与えるということが明らかにわかつておるのにかかわらず、それに対してやはり許可をし、または許可したものを取消さない、こういう場合には、やはり政府の行為によつて何の罪とがもない農民が非常な災害を受けておるわけです。そうすれば私は何らかこの問題については、当然政府が補償すべきであると思う。現在何らの救済規定がないのでありますが、それに対する見解を私は聞いておる。ただ会社が受益者だから、その方に立法してでもやらすべきだというのでなく、政府の方においてもしこのような被害を未然に防ごうと思えば、現在でも防げる方法があるのでありますが、それをやらないでおいて農民の方にしわ寄せするということは、合点が行かない。その点の見解を私は聞いておる。
  210. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 とにかく今のところでは政府が補償する法律もありませんし、会社が補償する法律もないような状態でありますが、とにかく農民は年年こうした被害を受けておるということがここに明らかになつたのでございますから、われわれとしては、まず第一に受益者である会社に補償をさせる方法をとりたいということで、先ほども答弁申し上げた次第でございます。
  211. 片島港

    ○片島委員 まだこの問題については、政府当局においても内容調査が十分に行き届いておらないようであります。特に通産省あたりでは、係官が行つて調べておつてまだ報告を受けていない、かような状態でありますが、非常に重要な問題であり、さらに私は宮崎県のことばかり言うのもちよつとおかしいのでありますが、宮崎県は非常にたくさん発電所を持つておりまして、ほかにもこのような事態がたくさんあります。全国至るところにこういう問題があろうと思うのでありますが、この問題については、関係当局において十分調査を進めていただきまして、本日の質問なり私たちの意向を十分くみ入れて、善処せられんことを希望いたしまして、本日の私の質問を終ります。
  212. 伊東岩男

    伊東委員 先ほどからだんだん片島委員お話答弁があつたのでありまするが、これは農作物の被害ばかりでなくて、このダムの被害が社会問題化しているということであります。それは流域百数十戸の住民が、ただいま移転のやむなきに至つておるのでありますが、そのうちでも都城市内の池島、広瀬、中向部落のごときは、洪水による浸水害がはなはだしくて、代々長い間住みなれた故郷を離れて行かなければならぬという悲惨なるところに追い込まれておるのであります。そういうようなことが原因になつて、今地方民はまつたく殺気立つて、百姓一揆でも起そうといつたような非常事態に当面しておるのでありますけれども、私はこれらに対して当然会社が補償すべきものであると信じておりますが、それを補償するような考えは毛頭ないのであります。いわんや、この発電所は非常に古い発電所でありますけれども、発電原価は非常に低廉でありますから、従つて会社はもうかつておるのであります。こんな社会問題を起して会社が知らぬ顔をしているといつたようなことは、あまりにもひどいと思いますので、この分をつけ加えておいて御了承願いたいと思います。
  213. 井出一太郎

    井出委員長 この際持永義夫君より委員外発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  214. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。それでは持永義夫君。
  215. 持永義夫

    ○持永義夫君 私はただいま委員長お話のように委員ではございませんが、本件はちようど私の町も関係しておりますし、また事が非常に重大な問題でありますので、特にお許しを得まして一、二質疑を申し上げたいと思います。実はこういう重大問題は、これは建設大臣あるいは農林大臣、通産大臣、政府の責任者に来ていただいてやつていただきたい。また私は他の機会においてぜひそういう責任者に来てもらつて、この問題を真剣に検討して、そうして解決してもらいたいと思いますが、本日は幸いにこの問題の糸口を与えていただきましたので、そういう意味において私から一、二質疑をいたしたいと思います。  この問題は、先ほど両委員からお話がありました通りに、実は建設省の問題であります。河川法に関する問題でありますが、当初知事が二の河川の使用認可をいたしました。もちろん建設大臣が監督官庁でありますが、そこに行政処分としてやつたときに十分な調査がなかつた。またあの地方の気候あるいは風土の状況を調べずに、地元の反対があつたにかかわらず、簡単に、時の知事——杉山知事でありますが、この人が有権的に許可したというところに今日の根本的な誤りがあろうと私は思う。ところが、あの地方は御承知のように火山灰地帯でありますし、それに毎年風雨が非常に激甚でありますので、あの川底にだんだんいわゆるシラス、ボラがたまりまして、今日おそらく二メートル以上でありましよう。これが今日この被害を来した大きな原因であります。これは建設省もおそらくある程度調べられていると思いますが、この調査について、知事の方から建設省に対して何か申出をしたはずでありますが、建設省とされてどういう調査をされましたか。次長は最近来られましたのであるいは詳細御承知ないかもしれません、そのいきさつを御存じならばひとつお答え願いたい。
  216. 植田俊雄

    ○植田説明員 ただいま持永議員のお話になりました点、堆砂の問題でありますが、堆砂の問題であるいは知事からそういう申入れがあつたかとも存じますけれども、この両三日この問題で私ども係者ともいろいろ打合せしました際におきましては、そういうことについての話はございません。その辺のところはただいまのところ正確なことはお答え申し上げかねます。ただこういつたダムによりますダム上流地の被害の問題については、ダムのゲートの天端に基くところのバツク・ウオーターの問題と同時に、ダムの堆砂によつて水がせき上げられることにまる被害ということもいつも論じられるのでございます。調査の結果によつては、あるいはそういうこともあろうかと想像されるわけでございます。ただ他のダムと違いまして、あの地方はシラス地帯でありまして、堆砂のあり方につきましてもあるいは若干違つたところもあろうかと思うわけでございます。また現在までのところ建設省がどの程度まで堆砂によつて川底が隆起しておるかということについての正確な資料を持つておるわけでもございません。しかしこの堆砂の状況というものは、上流河川の改修計画を立てますためにも必要なものでございます。幸い都城には上流に事務所もございまして、ここの技術官及び九州地建の本局からも人を派遣いたしまして研究しておりますので、堆砂の状況につきましても調査の結果が出て来のじやないかということを期待しておるわでございます。
  217. 持永義夫

    ○持永義夫君 そこで私はこれは次長に対して申し上げてはなはだ済まぬのでありますが、特に宮崎県は電源開発のために渡川あるいは綾南川の問題について、非常に御協力を願つていますから、私情といたしましてはたいへん言いにくいことであります。けれども、しかし私はそういう私情を離れまして率直に申し上げたいと思います。というのは、この問題については、数年前から県の方から建設省にも調査方を特に依頼してあるはずであります。ところがどういうわけか、建設省の方で速急なる、また決定的なる調査をされてない。あるいは九州地建の方に対しましても厳重な指令が出ておりません。そこで被害の問題が起りましても、一体どこに原因があるのか、建設省とされてはその原因をはつきりつかまなければ、先ほどもお話のありました撤去の問題もおそらく簡単に結論が出ますまい。そこでわれわれといたしましては、一刻も早く徹底した調査をしていただきたい。私どもしろうとの見るところによりますると、これは結局あのダムは撤去しなければならない、こういう私は結論を持つております。しかしこの撤去ということは、これは省とされましても、政府とされましても大きな問題でありますから、もとより簡単にやりますまい。それには相当なる調査の結果によつて判断されることは必要でありましようか、われわれといたしましては、先ほど各委員からも話がありました通りに、これはもうどんどん土砂が堆積するのですから、結局あのダムを撤去しなければ、いくら堤防をつくつてもだめなんです。堤防をつくりましても、もしかりに上の方の堤防が切れた場合には、今度は中の方に水が入つて今度はその水がなかなか引きません。だから結局帰するところは撤去にあると私は信じておりますが、しかし一刻も早くこれを科学的に調査していただいて、早く結論を出してもらいたい。これがわれわれの念願とするところでありますが、どうも建設省や九建あたりは、その熱意が足りない。そうしてだらだらと、この調査の結果の出ないということについては、非常にわれわれは不満を持つております。その点についてこの際、どういう方法でいつごろまでに御答弁するということを、ここで次長にはつきり言明していただきたい。もしお示しできなければ、あるいは責任者に御相談なさつて、あとでもよろしゆうございますが、その点をお聞きしておきます。
  218. 植田俊雄

    ○植田説明員 先ほど農林省及び通産省から、この問題を初めて知つたというお話がございました。建設省はそういうことを申し上げるわけには参りません。それはただいま持永さんのお話になりました通り、この問題を建設省がただいま初めて知つたとお答えできる性格のものではございません。この問題が、私直接は関係いたしませんけれども、問題であるということをかねてから承知いたしております。ただこの調査の問題につきましても、どの程度調査を行つたかということにつきまして、ただいま資料もございませんし、また明確な情報も承知しておりませんのでお答えするわけにも参りませんが、今回の災害が起りましたにつきましては、建設省といたしましては、農林委員会でこの問題をお取上げになる以前におきまして、すでにこの問題の調査を九州地建に命じております。実は私もこの間あの地帯を拝見いたしまして、被害の大きいのに驚いたわけでございます。そうしてその際におきましても、地元の事務所長も調査するということを申しておりますし、また九州地建局長も調査することを約し、聞くところによりますと、数人の係官を都城に派遣しておるということを承知しておるわけでございます。建設省は直轄工事河川でございませんと、なかなか十分な調査ができにくい。もちろん直轄工事河川でありませんでも人を派遣すればいいわけでございますが、この大淀川の上流につきましては事務所もございますので、根拠があるわけで調査がやりやすいわけであります。今回の災害にかんがみまして各種のデータも集め得るかと思うのでございます。できるだけ早くやらせるように督励いたしたいと考えておるわけでございます。ただ私ども事務屋といたしまして、技術のことにつきまして十分の知識もございませんが、常識的に考えましても、河道の変遷また堆砂の深浅等の問題につきましては、相当古くからのデータがありませんと結論がつきかねる状況でございますので、これの結論をつける、またダムによる堆砂の影響というような結論をつけるまでには、いろいろ困難な事情があり得るのではないかと考えております。こういつた問題を知つておりますけれども、この問題の調査は一日もゆるがせにできない問題でございます。出先機関を督励し、あるいは本省からも係官を派遣する等の方法を講じまして、できるだけ早く結果が得られますように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  219. 持永義夫

    ○持永義夫君 一日も早おこの根本的な調査をしていただいて、これの適切なる解決策をきめていただきたい、これを私ども念願いたしておりますが、先ほどお話にありました通り現地の事情はそうのんべんだらりとこれを許すような状態ではございません。ことに今年の被害にあたりましては、莫大なる損害を受けておりますから、農民は非常なる不安を抱き、憤激をしておりまして、いついわゆる実力によつて最悪の事態に陥らぬとも限らぬような状態であります。どうか建設省とされては、知事と一緒になつて、もし知事がいろいろなことで積極的に熱がなければ、建設省でこれを指揮監督をしていただいて、一刻も早く適切なる対策をしていただくようにお願い申し上げたい。  それから現在やつておる護岸の問題でありますが、これは予算関係もありまして、なかなか急速に行かぬと思いますが、先ほどお話がありましたように、最近年に五千万円くらいの予算しかございません。これは十三億か十五億でございますから、これで行きますと、何十年かかるかわからない。その間にまたどれだけの被害を受けるやらわかりません。御承知のように宮崎県は、過去六十年の間において台風が通過しておることが百二十何回、年に二回以上は大台風が来ております。今年もここに書いてありますように、宮崎県は四回ほど大台風が通過しておるのであります。この何十年間という間農民が、今まで言つたように解決されずにわずかの見舞金でいつまでもおるということは、とうてい農民の生活として許されない。どうかひとつ建設省がこれは責任のある問題でありますから、中心になられまして、通産省あるいは会社を督励されて、ひとつ思い切つた解決策をとつていただきたい。これを特にお願い申し上げておきます。  それから羽田農林次官にお尋ねしますが、今度の災害で宮崎県の受けた被害は非常に莫大なものであります。ところがわれわれが特に遺憾に思いましたのは、農林省から責任の地位にある方が宮崎県には来ておられません。保利大臣は佐賀県まで帰られて、何でも話を聞きますと二、三日おられたということでありますが、宮崎県には見えてない。また羽田政務次官も来ておられません。今度の災害で一番被害を受けた宮崎県、しかもこの大きなダムの問題について羽田政務次官も今度ひまを見てぜひ来ていただきたい。そうして被害がいかに大であるか、農民がどんな苦境に立つておるかということを、農林省の立場から建設省並びに通産省に大いに御督励願いたい。政務次官の覚悟のほどをお伺いしておきたいと思います。
  220. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 宮崎は今回は四回もやられまして、非常に同情申し上げておるのであります。宮崎県の代議士の皆様方さつそくおいでになりましたので、特に技術官を、われわれしろうとが見るよりも技術者が必要であろうというので、もう一日もたたないうちに宮崎に派遣をいたしたような次第でありまして、私としては宮崎の皆様に対して誠意をもつて処置した、こう考えております。但し今の大淀川轟ダムの問題については、この委員会において初めて知つたような次第でありまして、恐縮に存じておりますが、お話の次第もございますので、一度親しく見て参つて、親しく見て参りたい、こう存じております。
  221. 持永義夫

    ○持永義夫君 それから建設省にお願いします。先ほど河川法によつてはこの損害補償の道がないということでありましたが、河川法第四十一条によりますと、補償をしなければならぬ場合があるわけです。それは「法律、命令若ハ許可認可ノ条件二違背シタル工事、設備、使用、占用若ハ工作物ノ管理ニ因リ損害ヲ受ケシメタル者ハ其ノ損害ヲ賠償スヘシ」という規定があり、第六十一条には「第四十一条第一項ニ依リ損害賠償ヲ請求スル私人若ハ公共団体ハ損害ヲ受ケタル日ヨリ三箇月以内ニ民事訴訟ヲ提起スルコトヲ得」とあります。この問題です。というのはわれわれが承知しておるところによりますと、今度の災害にあたりまして、轟ダムはなかなかゲートを開かなかつたということを聞いております。先ほどちよつと農林政務次官からも話がありましたが、下の方のダムに砂をためることがいやだということが一つあるでしよう、もう一つは、その下に宮崎市という大きな町があります、これが、一時に開くと水害を受ける、この二つの関係でゲートを約束の通り開かなかつたのだろう、地元の人はそう言つています。ところが御承知通り、約束ではゲートを開くことになつておる。そういう約束を守らぬ場合においては、当然この規定によつて損害賠償の請求ができる、こう思うのですが、河川局の植田さんのお考えはいかがですか。
  222. 植田俊雄

    ○植田説明員 ただいま持永さんの御指摘になりましたのは、確かにそういうようになろうかと思うのであります。ただゲートを操作規定通り開いたかどうかという問題につきましては、先ほど公益事業局長からお話がありましたけれども、私の方もただいままで承知しておるところによりますと、十一門のゲートを相当早く全開してということになつておるわけであります。それが正確かどうかということにつきましては、持永さんからお話がありましたように、地元にゲートをあけるのがおそかつたのだという話のあることも存じております。ただ私どもがただいま聞いておるところでは全開したということでありますが、それを結論的に申し上げるわけではありませんので、そういつた事情も今後の調査によりまして明確にあると存ずるわけであります。
  223. 持永義夫

    ○持永義夫君 地元ではそういうふうに言つております。事実のほどは私う保証はできませんが、どうかひとつ徹底的に御調査願いたい。  結局損害補償の問題でございますが、これについては先ほど伊東さんからもお話がございました通りに、今日まではわずかな見舞金しかもらつていません。しかも損害額は、今年の被害額を加えますと実に十二億三千四百万円、十一箇年でこれだけでありますから、毎年米だけの損害が実に一億円、これは、特に私の方は貧乏県でありますが、この貧乏な地方に対しましては非常なる損害であります。これに人命あるいは道路橋梁その他物的の損害を加えますと、おそらくこの倍になるでしよう。こういう被害を毎年与えられる。これが今日まであまり問題にされなかつたということは、もちろんわれわれの責任でもございます、その点はまことに申訳ないのでありますが、今度こそはこの台風を機会に何とか根本的な解決をしたい、こういう熱意を持つています。だからどうか政府当局におかれましては、よく大臣にもお話願つて、何とかひとつこの際根本的の解決をお願い申し上げたい。私は、またあらためて委員会があるでありましようから、その節にもさらに詳しく申し上げたいと思いますが、本日は委員外発言でありまして、たいへん時間も過ぎましたから、この程度でとどめます。
  224. 川俣清音

    川俣委員 これは重大な問題だと思いますので、公益事業局に二、三点お尋ねいたしておきます。大淀の上流はシラス地帯が多いようでございます。特にこの轟ダムの上流の土砂流出量は年間どのくらいになつておるか、並びに貯水地中の土砂の堆積量はどの程度になつておるか、この調査ができておるはずだと思いますので、お知らせ願いたいと思います。
  225. 中島征帆

    ○中島説明員 おそらくそういう資料はあると思いますが、私手元に持つておりません。いずれ調査が完了いたしましたらそういう数字も出て参ると思いますので、その上でお答えいたします。
  226. 川俣清音

    川俣委員 これは基本の問題でありますが、発電所をつくつて貯水池をつくる場合におきましては、結局出力に影響するものでありますから、上流の土砂流出量並びに貯水池内の堆積量というものは計画がなければならぬと思います。その計画を上まわつておる流出量であるか堆積量であるか、このお調べがなければならぬと思います。私は計画の出力量を割つておるのじやないかと思うのです。こういうものは計画の中にどのように見込んでありましたか、今おわかりでしたら、この際明らかにしていただきたい。
  227. 中島征帆

    ○中島説明員 その点もわかつておりませんから、いずれまとめて御報告いたします。
  228. 川俣清音

    川俣委員 これがわかつていないということは言えないと思う。あなた方が今電力料金の査定をする場合に、この出力量がどの程度になつておるかということをお調べにならなければ電力料金は出て来ないじやないですか。そういう基礎なしに電力料金を出していますか、これが基礎にならなければならないですよ。
  229. 中島征帆

    ○中島説明員 むろんそれは数字はわかつておるはずでありますけれども、ただ私がここに手元に持つておらないということを申し上げたのであります。
  230. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、公益事業局では上流の土砂の流出量をつかんでおる、また堆積量もつかんでおるけれども、この川を管理しておるところの河川局はこれを理解していないし、資料も持つてない、こういうことになりますか。
  231. 植田俊雄

    ○植田説明員 土砂の流出量の問題は、私も先ほど申しましたように技術の方面は暗うございますので、十分なお答えは申し上げることができないかと思います。土砂の流出の問題は、これは専門家においても非常にむずかしい問題のようでございます。またこの土砂がどういうふうにはけますかという問題につきましても、そのときの雨量と流速の関係もございますので、非常にむずかしい計算を要すようでございます。水理学につきましては相当な学問が進んでおりますが、土砂の水理学と申しますか、土砂を含めた泥上の流れ方につきましては、あまり十分な研究も私の知つておる範囲ではないようでございます。毎年どの程度この轟ダムに土砂が堆積したかという問題につきましては、私まだ調査があるかどうかを存じませんので、私も帰りましてその点専門家に聞きましてございますればまた別の機会にお答え申し上げたいと存じます。ただ轟ダムにつきましては、御承知通りダム高が非常に低いダムでございます。土砂の堆積、また流れ方につきましても若干違つたところがあるんじやないか、またこういうような意見もございますので、これは一つの参考意見として今後検討するつもりでおります。
  232. 川俣清音

    川俣委員 どうも河川を管理しておる方の答弁とは理解しがたいのです。結局河川は、建設省全体にもしもそういう考え方があるといたしますれば、私は大きな疑義がある。上流の水源地がどのようになつておるか。水源地が一体荒れておるのか荒れてないのか、これに関係して来るわけです。あなた方はいつも下流の堤防だけに力を入れている。河床がどの程度高くなるのかということは水源地のあり方によるのです。水源地が荒廃して行く状態にあるのか、保護されて行く状態にあるのか。荒れて行く場合であれば、これを維持し、保護し、培養して行くという考え方をしなければならないはずです。公益事業局では出力だけは考えるけれども、この出力がどの程度減耗して行くかということについての考えがない。いかにして水源地を培養して行くか、保護して行くかという観念なしに河川を考えて行くということがそもそも誤りである。土砂の流出量が現在はどの程度だ。年々ふえて行くのか減つて行くのか、山が荒廃の状態かどうかということを考えなしに電力を起すということは間違いであるし、河川を管理することも私は誤りだと思う。やはり根本的な治山治水対策というものを急速に樹立しなければならないと思う。こういう根本的な水源地の培養、保護を考え考え、育成を考えてその後にどういう対策を講ずべきかということができて来る。水源地が荒廃のまま放任されておるようでありますならば、今持永君あるいは伊東委員から指摘されたように、このダムは撤去しなければならなくなるであろうし、何年かの間にそういう土砂の堆積がなくなるような傾向にありますならば、その期間の対策を講じたのかどうかということも考えなければならぬと思う。今まで各委員からお尋ねになつておりますけれども、水源地の水利の考慮が払われていない。従つてこれはおそらく堆積土があるとおつしやいますけれども、これらの地勢についても私は十分な調査ができていないんじやないかと疑います。おそらくあなた方は水源地を見ておられないと思うのです。これらの問頭について十分な考慮があつて、しかるべき上に対策を立てられるべきだと思うのですが、これに対する意見を両局長から承りたいと思います。
  233. 植田俊雄

    ○植田説明員 ただいま川俣先生から御指摘になりましたこと、私どもとしては十分な御答弁を申し上げられないことをまことに遺憾に存ずる次第でございます。私の知つておる範囲におきましては、大淀川はまだ治まつていない川と承知いたしております。従いまして上流山地の崩壊も相当あろうかと存じます。またこれにつきまして建設省といたしましても農林省としても、砂防の対策も十分今後の考究すべき余地があろうかと存ずるわけでございます。今の霧島盆地の被害にいたしましても、治山治水の一環として考えなければならぬこともこれもお話通りでございます。今後ダムに関する対策の一部といたしまして、ただいまのお話の点は十分考慮して善処して参りたいと考えておる次第でございます。
  234. 中島征帆

    ○中島説明員 ダムの埋没の問題につきましては、非常に長い目で見た場合に重大な問題でございますので、かねてそういうものについての調査は十分いたしております。ただ轟ダムは御承知のように四メートル五十程度の河床からの高さでございまして、ダムとしての大きさはそう大きくない、しかし上流地帯がああいう地質でございますから、やはり土砂の流出ということにつきましては相当慎重に計算をしなければならぬ。それが従来の契約上どういうふうに計算されておつたかということは、まだつまびらかにしておりませんけれども、今度の被害調査をやる場合には、その点も十分きわめまして、補償問題なり将来の対策を考えて参りたいと存じます。
  235. 中澤茂一

    ○中澤委員 関連して。ダムの問題については、このダムが今緊急な社会問題にまでなつておるばかりでなく、全国的にこの問題は大問題です。たとえば私ども長野県においては、御承知のように泰阜ダムという川路村一村が水の中に埋まつてしまう大問題が一つある。それから私の方の長野市のそばの水内ダムというダムが、これも大問題になつておる。それから今度は逆にこういう滞流するダムでなくして逆な場合が長野県の小谷にある。このダムヘあなた方行つてごらんなさい、架橋工事をやつていくら鉄道のレールを持ち上げても上から大きな石が流れて来る。ダムがあるために全部それから上流に大きな石が滞流してしまう。そのために上の交通網とか、もちろん農地の氾濫もあるのです。これが問題になつておる。それから信濃川第一発電所の問題も大問題です。あれは建設省が復活工事で堰堤をやつておるが、私はあれを見てあんな不合理なものはないと思う。一営利会社がやつておるものに対して、国の血税の中からあの堰堤を築いてやらなければならぬという理由はどこにあるのか。当然東京電力会社がやるべきことで、われわれの血税の中からこんなことをやる必要はない。農作物被害に対する堰堤は電力会社が急速にやるべき筋合いのものだと思う。こういう矛盾したものを大体許可することの自体が問題なんです。そういう点について河川局というものは、今川俣委員言つたように、正確に許可するというために、上からの土砂流出量、並びにこれは滞流するダムであるか、または上に石ころを置いて行くダムであるか、それから水源の問題、そういうものをまず第一に検討して、しかるのちに認可するのが私は当然だと思う。それを今発電ブームでもつて、あつちこつちダムをうんとつつておりますが、これは将来みんな問題になると思う。そういうことをちつとも計画に入れていない。ただ政府が音頭をとつて、アメリカから金を借りてダムをつくる、あそこもよろしい、ここもよろしい、そんなべらぼうなことはない。とてもだめなんです。そこで結論としてこのダムの問題は、この前公益事業局にも言つたのですが、ダムによるところの農作物災害補償法というものはどうしても必要だと思う。実はこの前の乱闘議会中に、私は何とか議員立法でもつくろうと思つて、立法調査局に頼んでおいたのです。ところが断つてしまつた。今度は公益事業局、建設省、農林省が話合つて、これを出さないというなら、議員立法でこの次の機会にやりますから……。許可するときにいいかげんな許可をしてしまうから、あとに問題がみんな残つて来るのですよ。だから河川局は、許可するときにもつと慎重に検討しなければいけない。あの只見川の問題でも、一つ問題点が残るそうです。今からその話が出ているそうですよ。ほかにも一ぱいあると思う。百姓なんかどうなつてもかまわない、ただ電力を起して電気会社がもうかればいいという考え方は、百姓の立場としてはどうしても納得できない。この問題は実際大問題になつている。特攻隊をつくつて堰堤に飛び込もうという計画さえあるそうです。ダイナマイトの千本もぶち込めば大問題になる。笑い事でなくて、こいつは真剣に、早急にやつてもらわぬと困る。さつきからの質問答弁を聞いていると、何だかぬるま湯に入つているような、目下調査中でございますとか、これから係官を派遣してとか、そんなごまかしはやめましよう。そうですがといつて、あなたが早急に飛んで行くくらいの熱意がなければならぬ。あなた方も国家の俸給をもらつて生きているのですから、いざというときには国家のために死ぬくらいの熱意を持つて、やつてください。次の議会においては、私はどうしてもダム並びに鉱毒による災害補償法を、政府が出さなければ、議員立法でやります。それについて公益事業局と建設省、農林省も——もちろん農林省はわれわれがしりをたたいて音頭をとらせますが、農作物災害補償法、これは予算措置はいらない。ただ人件費だけでいいんだ。調停委員会をつくつて現地調査をし、査定をした場合、この補償額を電力会社が払う、そういう一つの補償立法をしなければいかぬ。それについてこの前公益事業局には申し上げておいた。申し上げてから二週間も三週間もたつから、大分お考えもまとまつたと思う。いよいよ法律が出せるようにお考えですか。それから建設省はこれに対してどうお考えですか。これはあなた方に聞くのはちよつと無理な問題ですが、事務局がやると言わぬと、大臣なんてものは何にもわからないんだから、少くともあなた方がやる気かやらない気か、はつきり聞かせてもらいたい。
  236. 中島征帆

    ○中島説明員 補償法の問題でございますが、今われわれの方で立案しておりますのは、ダムその他を建設する場合の補償問題でございます。ダムの構築後起るそういつた経常的な問題におきましては、特別な立法は考えておりません。それは大体民法の原則で行くわけでありまして、たとえばダムに基因する損害であれば、当然ダムの所有者が賠償しなければならぬ。これは明瞭でございます。ただその間、はたしてダムに原因するかどうかということを見きわめるのが非常にむずかしい問題でございますから、そのために何か委員会的なものをつくる、あるいは査定委員会をつくるのは必要だと思いますが、自分の責任によつて生じた損害を賠償することは、特別の法律をまたず、民法の原則からいつて当然だと思います。
  237. 中澤茂一

    ○中澤委員 そのあなたの考え自体が間違つている。私は現に水内ダムの問題で、東京電力の高井社長のところヘけんかをしに行つた。最初は村長さんや県会議員が行つたが、けんもほろろの態度でてんで相手にしない。鼻であしらわれた。そこで私は、当委員会の電柱敷地料の問題で高井社長を呼びつけて問題にして、それから行つたら、これからぼつぼつ堰堤でもつくろうかというようなばかなことを言つている。事実片方は巨大資本であり、片方は村長や県会議員なんだ、そんなのを相手にしますかというんだ。だからそういう事が起きたとき村や何かが騒がなくても、ただちに調停委員会現地調査をしてきめる、そういう態勢をつくらなければならぬ。あなたの言う民法上の補償にしても、訴訟を起して結審するまで何年もかかる。おそらく最低五年くらいかかる。裁判所も数回調査を要します。その間五年間も水をあびながら、けつこうでございますといつて現地の農民は黙つていられませんよ。そういう民法上の損害賠償の要求があることは、あなたが言わなくたつてたれでも知つているのですよ。そういう甘つたるい考えを持つているから、問題が頻発して来るのです。もつとそれを的確迅速にやるにはどうしたらいいかということを考え公益事業局の義務があるんじやないか。あなたないと思うのですか。私はあると思う。
  238. 中島征帆

    ○中島説明員 民法に根拠があるということは、何も民法上の訴訟を裁判所に提起せよという意味でなくして、そういう原則によつて処理すべきものだ。ですから要するにその損害に対する責任の範囲がどうであるかという認定が非常にむずかしいので、それを裁判所にかけるともつと長くかかる。そこで先ほど申しましたように、第三者の調停委員会なり裁定委員会みたいなものをつくつて、そこで迅速に、今度の災害についてはダムによる損害がどの程度あるかということを厳密に調査することが必要であると思うのです。
  239. 中澤茂一

    ○中澤委員 だからそれを言つているのです。民法上の訴訟原則があることはだれでも知つている。それじや日がかかつて、そんなことをやつていたら、特攻隊がダイナマイトを抱いて飛び込むかもしれない。民事訴訟を起してやりなさいというようなことで、間に合いますか。それを的確迅速に、公益のためにやるということが、あなた方公益事業局任務じやないか。公益事業局が、もしそんなことは民法の問題だと言うなら、公益事業局廃止論を出しますよ。どうですか。
  240. 中島征帆

    ○中島説明員 われわれとしましても、こういう問題については、できるだけ円満に調停するような方向に努力すべきだと思いますけれども、しかし本来はこれは民事上の問題だと思うのであります。しかしこういう大きな問題になつた場合に、そのまま放置できませんから、何か第三者的な機関をつくる必要があるだろうということは考えます。ただこういう場合におきましては、ややもすれば一般の天然の災害の全部が、ダムがあつたからこういうふうになつたんだというように、被害者としてはそう考えがちでありますけれども、結局科学的に言つてこのダムのためにどれだけ災害がふえたか、これを厳密に認定することが一番必要であろうと思いますので、それについては専門家の十分な調査が必要であろうと思います。
  241. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 ただいま轟ダムの問題が出ているが、これは皆さんから御指摘になつたように至るところで出る問題です。程度が小さいからみな黙つている。あるいは大きな会社を相手にして少数の者がやつても、たれかしつかりやる人がなければ、けんかをしてもしようがないから泣寝入りをしているというのが実態です。そこで私は一つ申し上げたいのですが、既設の電力に関係するダムについては、特に問題のありそうな点は、通産省なり建設省なりが根本的に調査すべきだ。そうしてその資料を明確に当委員会なり何なりに出すべきだ。河川局は当然それくらいのことをやらなければならぬはずであります。できたあとでいいかげんに提防をつくつてみたところが、今のように自由党が堤防の金をどんどん切つているときにはできるはずがない。百年たつてもできないような提防を待つたつてしようがない。そこで基本的にどうするかという問題です。これを既設のダムについては、早急に両省でもつて——特に電力に関係のある公益事業局なり何なり、当然両方で調査すべきだ。  特にもう一つ申し上げておきたいのは、これから今どんどんつくつているダム——既設のダムについてもあるのですが、あなたの考える以上に農業上の災害は大きい。たとえばあなた方の言ういわゆる水害だとかなんとかいうときばかりじやないのです。上流については水没地帯ができるのはもちろんの話、河道がかわつて来て、あるいは河床が上つて来て、大きな災害をこうむるのはもちろんの話、それだけではない。上流のところでは、吉岡金市博士その他が調べたところによると、多くのところで霧か非常に多くなる。これは要するにダムの大きさにもよりますけれども、非常に多くなるために、作物なり森林なりの成長度が非常に阻害されて来る。そういう目に見えない、小さいながらそういう年々の災害が非常に恒久的にわたる。これは直接それにぶつかる人たちの災害ばかりでなく、大きな国家的な損害である。下流についてはどうかというと、少し大きなダムなら、水温が十度違う。水温が十度違うということは、その下の稲作等については非常に大きな損害である。そのほか河床がかわつたり、あるいはそれによつて用水排水施設の変更をせなければならぬというところが至るところに出ている。ところが今やつている電源開発は、そういう点については十分に検討せずに設計そのものができている。ですから私は、できた災害をどうして補償するとか、あるいはそれを防止するとかいうことも大事だが、もつと大事なことは、計画する以前からこういう諸問題を、特に農業関係は一番忘れられる点ですから、こういう点を十分に研究して、これに合うような設計をされることが当然だと思う。しかもこれは一企業会社にまかしておいて、さつきからの話では、あと国家の方で補償の措置はない、こういうことになつてくれば、事業会社にしても、年々出て来る災害なり何なりに対して、実際に補償するということは非常に困難であると思う。また特別な委員会ができたにしましても、災害の程度、範囲、こういうものを実際に認定するということは、技術的に見てもなかなかなまやさしいことはできないと思う。ですから一番根本は、こういう災害、あるいは農業災害なり何なりの農業損失のできないような十分な設計を立てることが一番根本です。大切です。こういう点について皆さんは、両者とも今後どうやつて行くか、あるいは現在どの程度にやつているか。形式的な打合せを農林省なり何なり各関係機関でやつていることくらいはわかつておりますが、その程度のものでは何にもならない。もつとつつ込んだものをやらなければならぬ。電力の必要なことは言うまでもない。しかしながらその災害が主として上流、下流の農民なり農業におつかぶさつて来る。これをこうして委員会あたりで跡始末をするためにいろいろやつて皆さんをいじめたところで、ざつくばらんに言つて大きな問題の解決にはならぬ。そこで今までできたものについては、こういう点について徹底的な調査をして、そうして何らかの技術的な対策を、立つものならば早急に立つべきだ。もし技術的な対策のないものについては、今申しましたような補償なり何なりの措置をとられるよう、明確に法律的につくるべきだ、今後なおつくるものについてはそういうことの起らないように、そもそもの設計のときに慎重を期すべきだと思う。この二つについてどう考えておられるか、またどうやられるつもりか、お二人に聞いても無理かもしれないけれども、お考えがありましたら聞きたいと思います。
  242. 中島征帆

    ○中島説明員 ただいまの点ははなはだごもつともでありまして、たとえばダムをつくりましたために、それがいろいろな方面にどういうふうな影響を及ぼすかということは、必ずしもまだ科学的に完全な調べはできておらぬと思います。しかしすでにわかつておりますものも、水温の問題その他ございますから、それにつきましては、もし設計のときに水温が上るようなくふうができれば、そういう措置もいたしております。またできない場合には、それによつて生じた損害を賠償する措置を講じております。また私どもは、霧の問題は今初めて伺いましたが、そういつた問題はいろいろ今後出て来ると思います。出て来ました場合には、十分科学的に研究しまして、その予防ができますればそれの予防をいたします。それが予防できないという場合におきましては、その損害を賠償させるということは当然いたすべきことだと考えております。
  243. 植田俊雄

    ○植田説明員 建設省といたしましては、河川におけるダムの認可の最後の決定権を持つておるわけでございます。最近の各府県からの申請の実情といたしますと、地元の知事といたしましても、各般の考慮をいたしまして、他の産業に対する影響等も相当考えて、私どもの方に提出いたしておる事情にございます。河川法の建前から申しますと、建設大臣限りで認可できる建前でございますけれども、私どもとしましては、特に最近は慎重を期しまして、農林省等、関係省ではございませんが必ず連絡いたしまして、農林省の意見も聞き、その間の調整をはかつてから認可をいたすという方法でいたしております。ただ轟ダムのように、過去のダムで問題もございますし、あるいはそれ以外のダムについてもあるかと存じますけれども、また今後のダムにおいても、このダムの影響というものは即座には現われませんが、相当後年になつてから現われる場合もございます。また事業そのものの国家経済上の見地ということも、建設省の立場として考えなければならぬ問題でございます。いろいろな点を考慮し、また各省の意見を参酌しながら進めて参ります。先ほどお話になりましたように、災害が起つてからその跡始末をつけるよりも、災害の起らぬようなものを初めにつくるということにつきましては、私どもとしましても今後特段の注意をして参りたいと考えておる次第でございます。
  244. 中澤茂一

    ○中澤委員 さつきの補償の答弁についてあんたの方はどうお考えになつておるか。  それからいま一つこの機会に申し上げておきますが、役所間の連絡がセクト主義で実にだめだ。それはたとえばこういう問題が私の方にあるのです。水内ダムのすぐ下流の問題ですが、ここは第三紀層の地すべり地帯です。ここは犀川が下を流れて土台をかつさらうものだから、くずれて来て地すべりしておるわけだ。この上に林野があり、その上が農地になつている。その農地が昨年は二十町歩も大崩壊して地すべりしておる。そこで農地局の方では、あれだけのつぶれ地を出してはたいへんだから何とか直そうというのだが、問題はその下の林野砂防をやらなければこの農地の安全はない。その林野砂防の前に何をやらなければならぬかというと、河川事業を完全にして、地すべりしないようにとめなければならぬ。ところが農地局でも作業をやる、林野庁でも林野砂防で何とかしなければならないということになつておるが、問題は、建設省が下の川の地どめをやらなければどうにもならない。こういう連絡が全然とれていない。こんなことで一体いいのかと思うのです。何か横の連絡の機関を設けたという話ですけれども、それも効用をなしていない。これは国会考えるべきことかもしらぬが、あんた方役所間の緊密な連絡をしてくれなければだめだ。今の問題は公益事業局の問題ではない。陳情の方々が来て問題になつておるのに、公益事業局調査中だ、おたくの方は現地へこれから派遣いたしましよう、農林省はようやく一昨日出発しました、こんなばかな話はないと思うのです。総合的に連絡して、ただちに係官を現地に派遣して、三者総合の結論をここで出すべきだと思うのです。そういう点はあんた方がもつと真剣に考えてもらわなければだめだと思う。私の方の泰阜ダムの問題もこのダムの問題と同じです。これは私らも一度むしろ旗をかついで来ますから承知していてください。その他水内、ダム、信濃川第一発電所のダム、小谷ダム、この四つは長野県でもまさに火を吹くような問題になつておるのですから、御承知置き願います。
  245. 植田俊雄

    ○植田説明員 ただいまの補償の問題でございますが、建設省は大体河川法の改正をいたす準備をいたしておりますので、その中におきましても、こういつたダムの工作物ができました後における各種の損害の問題を研究いたしまして、相当準備を進めておるわけでございます。ただ先ほど公益事業局長の話にありましたように、どこまでを法文化すべきか、どこまでは民法の原則にゆだねておくのが妥当かという問題につきましては、まだ結論を得ておりません。ただ御承知通り建設省としましては、一つの産業に対する関心を持つておる省ではございません。全般と申しますか、一つの産業に偏しない建前をとることを従来からもやつておりましたし、今後も努めて参りたいということでございます。河川の利用を通じまして各産業の間にアンバランスな事態が生じますことは、これを事前に防止しますとともに、事後においての補償も当然河川法の体系の中に織り込むべきであると考えておる次第でございます。ただいまお話のありました点は、今後十分研究して参りたいと考えます。ただ先ほども申しましたように、どこまで詳しく書くか、ある程度までは、これは民法の建前なり条理にまかすべき分野があるのじやないか。あまりぴつたりと書き切れない問題もありますので、そのようなところは今後の研究にまかしていただきたいと存じておる次第でございます。  長野県の河川と山腹砂防及び農地災害の問題で、御指摘のようなことがあり得ることでございますから、私もそういうことはないというように否定申し上げません。おそらくこれは、農林省でも農地局と林野庁の二つございますが、所管が異なつておりますればありがちでございますが、ありがちの上に私どもとしましては、これがもしも補助事業でありますならば、なぜ県庁内における調整ができなかつたのであろうかということも考えられるのでございます。しかし県庁内の調整ができておりましても、それぞれの補助官庁であります本省間の予算のバランスがとれておりませんと、ただいま御指摘のようなことも起り得るわけでございます。最近私ども農林省との連絡も十分やつておりますが、ただいまお話のような事態が起りましたことはまことに申訳ないことでございます。その点につきましても、川の関係、砂防の関係、林野の関係等とも連絡いたしまして、善処いたしたいと考えております。
  246. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 突然飛び入つて、もう終りに近づいたところに来て御迷惑だと思いますから、私は委員長にお尋ねをしたいのですが、この問題はこの程度では終らないのではないかと思うのです。それで近く特別に委員会を招集されておやりになるのかどうか。もしそうでなかつたら私ちよつと伺いたいのですが……。
  247. 井出一太郎

    井出委員長 委員長としては、一応委員各位からの質問はきようで大方完了していただきたいと思つております。
  248. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 それではあとに何か会合を控えているようでございますから、私実は農林省その他関係の、しかも大臣をまじえてお尋ねしたい重大な問題があるのであります。  それは公益事業の美名のもとに、土地収用に対してもつと強力な制度を考えているということを仄聞するのです。そこで通産省では、ただいま轟ダムのような問題が出て来てうるさくてしようがない、こういうことを一刀両断にさばけるような、そういう非常に強力なる措置をとれるようにしようということで、開発工事促進臨時措置法案というものを考えているやに私は承知するのです。それからまた建設省の方では、ダム用地など公共工事用地取得方法改善要綱なるものを御用意なさつておいでになるようであります。それぞれれの立場から、その内容ちよつとお聞かせを願いたい。
  249. 中島征帆

    ○中島説明員 先ほど申しましたが、法の名称等はまだ存じませんけれども、開発工事等をいたします場合に、最近において非常に問題になりますのは補償問題であります。補償問題もひつかかりましてなかなか開発の工事が緒につかないというケースが方々にありますので、それをできるだけ円滑に解決したい。それには何か特別な立法が必要であるという声も工事方面で高くなつておりますので、それにつきましてどういうふうに立法したらいいかということを、農林省、建設省、通産省それぞれ三省で別々に研究いたしております。その内容は、まだ省といたしましても固まつておりませんし、私ども局としても十分な検討をいたしておりませんから、詳細に存じませんけれども、それぞれの案を今度は経済審議庁に持ち寄りまして、審議庁で三案十分検討の上で調整をして立法化したい、こういうふうなつもりで、各省それぞれ準備いたしております。内容につきましては、具体的なことはまだきまつておりませんけれども、大体たとえばダム等の建設の場合に、土地収用法がございますが、それと買い入れるときの手段、方法あるいはその裁定方法等につきまして、できるだけ円滑に進むような内容を盛つた法案をそれぞれ各省が研究しております。
  250. 植田俊雄

    ○植田説明員 建設省が現在この問題につきましてとつておるところを、所管局ではございませんが、知つております点を申し上げたいと思います。  公共事業を実施いたします場合に、昔から用地の問題などは、問題ではございましたが、特に最近は用地の解決をつければ事業がほとんどできたと同じように考えてもよいというほど、用地取得が問題になつて来ておるわけです。各種の、特に発電のダムにつきましてはこの点が非常な話題となりまして、新聞をにぎわしたことも御承知通りでございます。私ども立場といたしましては、建設省が工事官庁でありますので、できるだけ用地が早く、安く手に入ればいいという考え方をとつておるわけでもございませんで、一方から申しますと、土地収用法というものも所管いたしております。用地というものができるだけ公益的な価格で、しかもできるだけ迅速に事業者に渡るような措置も講じなければならぬ立場にあるわけでございます。先ほどもちよつと申した問題でございますが、一つの事業者の立場だけに偏するような考え方を持つところではございません。農民の要求も十分反映させるような形におきまして、用地問題を解決したいと考えておるわけでございます。先ほどお話になりましたようなダム用地等の取得の問題につきまして、一応の要綱のようなものをつくつたのでございますが、これもまだ省としてはつきりきまつたようなものではございませんけれども、要するに現在の土地収用法の建前を若干改正したのでありますが、その第一点は、従来土地収用というものは地方の収用委員会が中心になりまして、中央におけるこれの発言というものは全然なかつたのであります。御承知通り用地の価格というものは、一県の価格はそのままその県だけにとどまるのではなくて、全国的に波及いたします。これについての中央的な統制の問題もございまして、また地方では処理し切れないものは中央にまで持つて来た方がいいような場合もありますので、中央の収用委員会を設ける。その他手続におきまして若干の改正をいたしまして、従来土地収用法によることを躊躇しておりました事業者が、土地収用法の手続をとりやすいように持つて参りたい、こういうような考え方が第一点であります。  第二点といたしましては、これは法文上は出て参らないかと思うのでございますが、従来は土地収用法というものは伝家の宝刀的な考え方でございました。土地収用法では十分な対価を払うわけでございますけれども、いかにも取上げられるというような印象がございまして、とかくこれを利用することを躊躇する傾向があつたかと思います。今後は、土地収用法の各種の改正措置によりまして、もつと利用しやすいものにいたしまして、土地収用法は土地取得についての公正なあつせん機関を提供するものであるという考え方に持つて参りたい。こういうふうな点からいたしまして、ただいま建設省内の所管局において準備いたしておるわけでございます。この問題は、先ほど公益事業局長からお話がございました通産省案もございます。あるいは農林省でも案を考えているかのように聞いております。いずれ経済審議庁あたりで調整せられまして、政府として一本の案が出て参ると思います。ただ私ども、こういつた案ができます際においては、国民経済上重要な事業がすみやかにできますことを念頭いたしますと同時に、これによつて水没その他によつて被害をこうむります農民その他の利益も十分補償したい。ちよつと考えますと非常に矛盾したような考え方でございますが、その辺の公益的な判断を十分取り得る組織をつくることに持つて参るべきであろう、こういうような考え方で準備しておる次第でございます。
  251. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 そうすると、大体そういつたようなことをお考えのようでございますが、お話程度では内容がつまびらかになりませんし、まだそこで説明をしていただくだけ内容がコンクリートされていないかもしれませんが、大体通産省の考え方で参りますと、地元民と企業者との契約にまで干渉するような形になるのではないかと私は想像している。それから建設省の方の物の考え方は、補償額をなるべく引下げて、そうして、しかも問題を早期に解決しようというところにねらいがあるように私は想像している。もし私の想像の通りだとするならばこれは重大な問題でございますので、ひとつ皆さんのお手元でできた法案なり要綱案なり、できるだけ早い機会に——私の懇意な人も皆さんの役所の中におりますから、できてからとんでもない時期に今できたんだというようなことだと——これはみんなスパイを入れているわけではないけれども、わかりますから、ひとつまとまり次第資料として委員長の手元に提出願いたい。  それからもう一つ非常に心配することは、建設省の考え方です。土地収用法というものがあるのです。建設省が土地収用法というものを行使する場合にでさえもいろいろな問題があつた。なかなか名答弁で、いろいろの立場を御理解くださつて、勘案して、実に公正におやりになつているとはいいながら、今までずいぶん幾多の問題があつたのです。その土地収用法を強化するような傾向にあるやに私は想像をしている。私の想像が単なる想像で終れば幸いでございますが、その点を私は非常に懸念をしておりますので、ひとつそういう心配を私にさせないというだけではなくて、私の背後にある国民に心配をかけさせないように、安心のできるような措置をとつていただきたいと思つておりますから、ひとつできるだけ早く資料を出していただきたい。  それからもう一つ、九電力会社のそれぞれの地区において問題になつた場合に、補償金が出ているはずでございます。それをどの程度に出しているかの調べを、ひとつ委員長の手元へ御提出を願いたい、委員全員でなくてけつこうであります。それだけをお願いしておきます。
  252. 井出一太郎

    井出委員長 今吉川委員から要求の資料はよろしゆうございますか。
  253. 中島征帆

    ○中島説明員 今の補償の実績をというお話でございますが、過去にダムをつくりました際に、それぞれの地点にどれだけ出したか、こういうことでございますか。
  254. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 問題の起きた場合の補償です。
  255. 中澤茂一

    ○中澤委員 最後にちよつと……。今の答弁を聞いていると、あなたの考え方がぼくは気に食わないのだけれども、片方でつくるときだけは土地収用法を強化したり、都合のいいようなことを言つておきやがつて、つくつたあと被害の起きたときのものはつくる考えがない、そんなでたらめな考え方である。そういうのが公益事業局長の考え方だというのです。つくるときにそれだけの熱意を持つてやるならば、災害が起きたときに、こういうものを補償してやるのだという立法をすべきだ。そういうあなた方の考え方がぼくはしやくにさわるというのです。あなた方につくる気がなければわれわれ議員立法でつくつてやるということになる。あなた方はそういう一方的なことをやつている。それは今の政治勢力でしようが、ないといえばそれまでですが、もつと公平にやつてもらいたい。つくるときに土地収用法を強化したならば、災害が起きたときにはこれを補償してやるぞという立法をなぜ両立してやらないのですか。それについて私は文句を言いたいのです。公益事業局長はこれを公平と思うか思わないか。弱い農民に、つくるときは強権発動までやつておいて、つくつたあとの補償はおれは知らないというのは、公益事業局長として公平と考えるかどうか御答弁をいただきたい。
  256. 中島征帆

    ○中島説明員 損害に対しまして補償をしないというわけではございません。補償するわけでございます。ただつくるときにどうしてそういつたことが必要かと申しますと、かりに話合いがつかなければ、国家的に必要だと考えたダムもなかなか工事が進まない。そこでそれを早く進めますために特別の立法をもつて円滑に進めよう、これが一つの理由でございます。  それからでき上つたあとの損害につきましては、毎年起ることもありましようし、その都度起ることもありますから、それの賠償価格等につきましては実情に応じてきめるということで、とにかく賠償する責任のあることは明白でありますから、できるだけそれを早く解決することを考えることは必要でありますけれども、そのために特別の立法をしなければならぬという必要はないじやないかというふうに考えているのです。
  257. 中澤茂一

    ○中澤委員 そんなばかなことがあるかというのです。じようだんじやないです。それじやつくつたあとは知つちやあいけないという考え方なんです、端的に言えば。そんなことは民法上の補償があるじやないか。つくるときは早くつくらしてやらなければならぬから土地収用法を強化しよう。こんな法律をつくつて農民から安く土地を巻き上げる。そうしてつくつたあとは現実にこういう問題が出て来るのです。そんなことはわかつているのです。土地収用法を強化して、安い値段で土地を取上げるのもよいだろう。しかしそのあとに、残留した農民に被害が起きたときはどうするかということを考えるのが公平じやありませんか。つくりさえすればよい、あとは知らぬという考え方は公平ですか。あなたはそういう考え方ですか。補償を何とか考えてやらなければいかぬというこの問題にしろ、さつき長野県の例で言つた四つのダム、これをどうするかということも、つくるのを急ぐならば急ぐのが当然じやありませんか。三歳の児童に聞かしても、私の考えることは公平だと思うのです。あなたはどう考えますか。つくつてしまえばあとはかまわない、そういうことは不公平とは思いませんか。
  258. 中島征帆

    ○中島説明員 あとの災害につきましては放つておくというわけではございません。先ほども繰返して申し上げておりますように、ただそれはどういうふうな損害がダムならダムのために起きたかということを正確に認定する方法さえあればよい。その手段を講ずる必要はあるだろうと思いますけれども、そのために特別の立法が必要であるかどうかということにつきましては、まだ必要であるというところにまでわれわれの気持ちはきまつておらぬわけであります。
  259. 中澤茂一

    ○中澤委員 立法が必要であるということはきまつておるのです。ダムの災害地の現地を五、六箇所、長野県でもよいから案内しますので来てごらんなさい。川路村というのは、天龍川の水が出るたびに被害を受けてやり直しをやつている。水内にしろ、信濃川第一発電にしろ、現地住民は悲痛に悩んでいる。それを電力会社に当つても、木で鼻をくくつたような顔で、話にならぬあいさつをしている。われわれは電力会社へこんな問題を一々やりたくない。あなた方がもつと公平に考えて、あなた方の仕事に精励していれば、こんな問題は起きない。それをあなた方がやらないし、われわれは現地で農民の切実な声を聞いているから、議会へこういう問題を出して来るのです。だから、つくる方を急くならば補償の方も急ぎなさい。さもなければこういう法律を出しても承服しませんよ。つくる方を考えるなら、両立して補償立法を出しなさい。収用さえすればよいという考え方は公益事業局として信用の置けない、不公正な考え方だと思う。それでもなおあなたは補償立法を考えるのが当然だというお考えになりませんか。これは三歳の童子に聞かしても、私の考えの方が正しいと言いますよ。つくる方も急ぐ、そのかわり今後起きる災害に対しては、こういう補償を農民にしてやるのだというふうに考えるのがほんとうじやありませんか。どうなんですか。それは。
  260. 中島征帆

    ○中島説明員 その点もう少し私に研究させていただきたい、こう申し上げる以外にございません。
  261. 中澤茂一

    ○中澤委員 この問題は局長などを相手に話したつてとてもだめだと思う。これは一度通産大臣、建設大臣、農林大臣の三者をそこへ並べておいてこの問題をやるまでは、これ以上幾ら追究してもむだだから保留しておきます。
  262. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 私の先ほどの資料の要求は、今中澤委員の言う通り、次会に大臣を呼んでやるための資料を要求したのですから、お含みの上でひとつ次会はぜひ委員会に取上げていただくように委員長に要請いたします。
  263. 井出一太郎

    井出委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十一分散会