○綱島
委員 実は昨ほどから
委員方と
政府当局の
お話を伺つておつて、私はどうもちよつとわからぬように
なつたことがあるのであります。実は
パリテイシステムのことであります。
政府の
お話によると、
パリテイ・システムというものが
——実際
政府の
お話でなくとも、
考えなければならぬことは、
パリテイというものがある以上は、
特別加算なんていうものがあろうはずのものではない。
特別加算をしなければ実情は沿わぬというような
パリテイが間違つておるに違いないのです。ここで実は議論が出て参る。というのは、
日本の一番基本になるものは、最初
パリテイをきめる時分に基本年次のとり方に非常に間違いがあ
つた。御
承知の通りアメリカがきめましたときには、一九〇三年から七年を
基準年度とした。その
意味はどういうことであるかというと、大体アメリカが工業化しましたのは第一次戦争の半ばからであります。少くとも一九一四、五年ごろから大体工業国化して参
つた。その前の一九〇九年や七年ごろは、いわゆる西部劇時代である。いわゆる
農民の時代の国であります。その当時の年代にしなければならぬということで、一九三〇年に思いついて、
基準年度を一九〇七年から九年にきめたのは、
農民の生活状態がすなわち都会の生活状態を支配する時代、
日本で言うなら米一升の値段が労働賃金をすべて
決定した時代ならば実はこれでよろしいのです。そのために実は一九〇七年、九年というものを特にきめて
基準年度にした。
農村の労働者の労働力、それから都会の労働者の労働力を均等にする、いわゆる
パリテイとは労働力を均等にする、労働力の均等性を期するシステムであります。その労働力の値を、貨幣価値を均等にするというためにつく
つた。
パリテイでございますけれ
ども、やはり今でも七分の一くらいの差がアメリカにおいてさえもあるといわれておる。御
承知の通りアメリカではどういうことをしておるかというと、剰余
農産物資がございます。大体おもなものは二年分くらいできております。小麦でもとうもろこしでも二年分くらいできておりますので、これで行きますると、どうして
農村が立ち行かぬでありますから、
パリテイ・システムというものをこしらえて、御
承知の通り小麦協定で一ブツシエル一ドルで売る小麦をば、
政府は昨年は二ドル四十五セントで買い上げた。こういうことは、全部そうしなければ
農業労働力というものが社会的に見て低下しなければならぬ実情に実は
経済上あるのであります。これを実は捕捉するために
パリテイ・システムというものをこしらえた。黙つておけば
農民労働力というものは半分以下に落ちてしまうから、これを捕捉するために
パリテイ・システムというものをアメリカは初年度、いわゆる
農民労働力がすべての労働力の
価格の大体
基準であ
つた時代の年代をもつていたした。しかるに
日本は、最初この
パリテイをきむるときに、何ぞ間違
つたことは、
昭和五年、六年という年度を
基準年度にいたしたのであります。これは実は御
承知の通り
農村が全面的に倒れまして、満州国に分村をいたした年でありまして、これは
日本の記録の上でも
農村没落の年であります。そのときを
とつて来て基本年度にいたした。これでは実際
農村を
考えて
パリテイをこしらえたということはまつかなうそである。
従つて日本の
パリテイは科学性があるという
考え方は非科学的です。これはお
考えにならなければならない。これは
大蔵省の方がお
つたらよく
お話しようと思
つたのですが、帰られたので、いつかのときによく
お話しようと思います。とにかく基本に間違いがある。とりあえずこんにやくの値段が幾らであるとか、さらし木綿が幾らであるとか、そういうものをこしらえていろいろいたしましたけれ
ども、
パリテイの基本は
農民の労働力の貨幣価値と都会の労働者の労働力の貨幣価値とを均等であらしむるということが実は
パリテイ・シスムの基本
目的である。これがなければ、いわゆる
パリテイといつてもうそ
パリテイです。
パリテイというのは均等
価格ということであります。ただいま行われておる
パリテイは均等
価格でないのであつて、うそ
パリテイであつて、学問的価値は何もないと思う。
従つて農民の間に
生産者
価格というものが唱えられて参りますことも、実は科学的の妥当性を持つておると私はひそかに思つております。
米価審議会でも
特別加算額をしなければならないという必然的事情が生れて来ることは、
パリテイが実は非科学的であるからであります。そこで
パリテイ一本でお
考えくださることは、
日本の
農村が倒れることだと思うのであります。実はアメリカで、たとえば余剰
農産物の処理をいたしておりますのは、アメリカで大体一ポンド二百二十円くらいかかるバターでも、一ポンド五円くらいで輸出をいたしておるのである。現にエレサレムに対しては一千万ポンドをポンド一セントで輸出いたしております。というのは、要するに
農産物の
価格補償のために
政府は昨年度年額六十億ドルを支出しておる。
政府の余剰
農産物処理に使いました予算は六十億ドルであります。これはアメリカ
政府が対外のために使いました、たとえば未開発地域の開発補助
資金でございますとか、あるいは軍事援助
資金等の総額七十億ドルとわずかに十億ドルしか差はございません。それほどの額を国家で計上いたしまして、
農村の
生産を保障いたさなければ立つて行かない。アメリカの
農村というものは、立地条件がいかなるものであるかは御
承知の通りであります。アメリカの
農村と
日本の
農村とを立地条件からいえば、アメリカと比較になりません。立地条件からいうとアメリカの何分の一という不利益な条件にある。
従つてアメリカのシステムほどのな
パリテイ・システムを用いては
日本は立ち行かないのでございますが、そのアメリカのシステムにも及ばない。まず第一
基準年度が変更されて来て、だんだん
農村が没落しつつある時代に
基準年度を
とつて来つつある。そういうようなことからあらゆる点で不利益が出ておる。
パリテイで最も注意をしていただかなければならないことは、労働力の
数字の
計算であります。由来
農村省は、富農が持つておる
統計というものを持つておる。それを
基準にして、実は石当り
生産に要する労働力の時間を日にちで
計算しておるのでありますが、実は
農民が農繁期に消費する労働力の時間当りの
数字というものは、日にちで
計算しては工業労働者との間の
パリテイは必ずしも出て参らないのであります。何となれば、
農民は農繁期においてはほとんど十八時間くらい働く、こういうことで非常にこれは違うのであるから、この点も
考え直していただかなければならぬので、実は
パリテイというものは根本的に間違つておるのだから、ほんとうに実態に合うような
パリテイをこしらうか、しからざればその他の
方法によるのでなければ、
農産物の
価格の保障ということには絶対にならない。この点は重大な問題でありますから、
農林省においては、これは即答願わんでもいいが、とくと御研究
願つて考えていただかなければならぬ。単に
パリテイというこういうシステムがきまつておるから、それでいいのだというようなお
考え方では、農政の実態に合わないと私は思いますので、この点は特にお
考えおきを願いたいと思います。
そこで、これは必ずしも今お答え願わぬでもよろしいが、今お答えを願いたいことをお尋ねいたします。
昨年の超過供出の
数字を見ますると、今年は早期供出というものを非常に
価格を上げて二千円にされた、これはなるほど黄変米等の問題がございますのでやむを得ぬかと存ずるのでございますが、このしわ寄せをみんな期限の遅れたものにやつておいでになりまして、最後の第四期分は昨年四百円であ
つたやつを二百円に減じられておる。しかも昨年十二月十日のやつを十一月三十日に打切られておる。これらのために特に暖国地九州地方は非常に不利益で、私が目の予算をいたしますと、約二十億円の不利益があろうと
考えております。従来なるほど終戦後、畑作が非常に高くて、単作地帯の単作物が非常に安か
つた時代はやむを得ないが、今のように
なつてからこういうシステムをとられることはどうだろうか、この点に対する御
説明をひ
とつ聞さたい、これは
食糧庁長官でけつこうです。