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1954-09-15 第19回国会 衆議院 農林委員会 第69号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月十五日(水曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 綱島 正興君    理事 金子與重郎君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       小枝 一雄君    田子 一民君       松岡 俊三君    松山 義雄君       加藤 高藏君    足鹿  覺君       齋木 重一君    稲富 稜人君       中澤 茂一君    久保田 豊君       安藤  覺君  出席国務大臣        大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君         通商産業大臣  愛知 揆一君  委員外出席者         議     員 杉山元治郎君         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         農林政務次官  羽田武嗣郎君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  野田哲五郎君         農林事務官         (農地局管理部         農地課長)   小林 誠一君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      桜井 志郎君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      中島 征帆君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  台風による農林被害及び北日本稲作調査のた  めの委員派遣承認申請に関する件  自給肥料増産特別措置法案杉山元治郎君外十  二名提出衆法第二三号)  昭和二十九年産米価及び昭和二十八年産米追加  払に関する件  小作料に関する件及び小規模土地改良事業に関  する件  農事用及び肥料製造用電力料金に関する件  台風第十二号による稲作等被害調査に関する  件     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議開きます。  佐藤洋之助君より過般の茨城地方におけるひよう害に関しまして発言を求められておりますので、これを許します。佐藤洋之助君。
  3. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 私は去る六月の四日に突如茨城筑波郡及び真壁郡を襲いましたひよう害に対しまして、その後の措置がどうなつておるかという問題と、それから県下の稲作作況調査のために、私及び専門員藤井君等とともに調査をいたしましたその概要を、この機会に御報告申し上げたいと思います。  去る第十九国会におきまして私が提案者となり、昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案を提案いたし、委員各位の御賛同を得まして本院を通過いたしましたが、その後参議院におきまして継続審議となりましたことは御承知通りであります。本案内容につきましてもすでに御承知のごとく、六月中に起きました凍霜害及びひよう害の被害農家に対しましても、四月及び五月における被害農家に対しましたると同様低利営農資金融通することといたし、このため政府及び都道府県がそれに対し必要な助成措置を行うことを規定いたしたものであります。しかるに参議院におきまして継続審議となりましたるため、被害農家営農資金融通を受けることができませず、さしあたつての再生産に非常な困難を来すことになりましたので、政府に対し何らか応急の措置を講ずるよう要請いたして参りましたるところ、最近に至りさきに成立を見ました昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法に準じまして、六月におきまする東北地方の凍霜害及び茨城県のひよう害による被害農家に対しましても、営農資金融通行政措置をとることといたし、このため約二億円の資金わくを設定いたし、これら被害農家の要望にこたえるというまことに時宜に適した措置をとられ、被害農民一同非常にこの措置を感謝いたしております。この点御協力をいただいた委員各位並びに政府当局に深く謝意を表したいと存じます。  なお私は先般本案対象となつておりまする茨城県のひよう害被実地域のその後におきまする被害対策実施状況を視察して参りましたので、この点もここにあわせて御報告申し上げたいと存じます。  本地域茨城筑波真壁両部一市一町十箇村でありまして、去る六月四日約二十分間の短時間に猛烈なひよう害によりまして、概算二億五千万円に上る被害をこうむつたのであります。当地方は昨年凍霜害被害地域でありまして、その創痍なお回復いたしませんところへこの激甚な被害をこうむり、被害の甚大さに一時は呆然自失の有様でありましたが、生産に対する不撓不届の農民精神は、県当局の指導と相まつて対策に立ち上り、被害地の代作によまききうり、とうもろこしあるいはほうき草等の転作を行い、また被害作物に対する中耕、追肥、病害虫防除等を行いつつ、国の助成措置決定を待つておりました。しかるところ本法案継続審議決定をいたしたとの報を聞きますると、被害農民は一時は極度に失望落胆、まつたく意気消沈いたしたのでありますが、ただいま申し上げましたごとく、行政的措置による資金融通の方途が明らかにせられるに及び、被害農民は一斉に愁眉を開き、再び明るい希望に燃えて生産に精励いたしているのであります。去る八月十九日には、被害町村中直接助成対象となります六関係町村町村長係主任書記農業協同組合長の参集を求め、営農資金貸付目標願二千万円につき、その配分及び借受け手続につき協議を行い、今月中に貸出しを完了する予定であります。  また麦類に対する保険金につきましても、約四百万円の仮渡しが行われ、その他専売公社よりもタバコ作の収穫皆無の被害農家に対する補償金並び見舞金として三百三十四万余円が支払わておりまして、これら時宜を失しない措置に対し、被害農民はいずれも感動の意を表しておりました。  なお今後の対策といたしましては、あくまでも自主経営をもととし、農協中心協同態勢の徹底をはかること、共済組合につきましては、合理的かつ態率的に運営をはかり、農家の再生産の保障を期すること、及び酪農の振興もはかることを目途といたしております。  以上簡単ながら御報告申し上げます。     —————————————
  4. 井出一太郎

    井出委員長 引続きこれより杉山元治郎君外十二名提出自給肥料増産特別措置法案を議題といたします。ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止
  5. 井出一太郎

    井出委員長 速記を始めて。提案者杉山元治郎君より追加説明がございます。杉山君。
  6. 杉山元治郎

    杉山元治郎君 先般提案いたしましたときに、提案理由いろいろ申し述べましたが、その節にも申し述べましたように、本法案は、緊縮予算建前予算を増加するということを遠慮しまして、現在行われている予算範囲内で法律的な裏づけをする、こういう建前でこの法案をつくりました。それゆえに非常な消極的な、また十分農民諸君には満足を得ないと存じておりますが、一応法律的な裏づけができますならば、農林省が今後におきましてこの種の仕事を拡充して参りますときに強い足がかりにもなると思いまして、一応この法案提出したわけであります。  現在自給肥料増産のために、融資あるいは補助等で約二億五千万円の金が使われておりますが、こういうようなわずかのことでは決してほんとうの土地の保全また改良のためにはなりませんし、特に食糧増産のためには、こうした自給肥料増産こそ最も大切だと存じておりますので、できるならば皆さんの御同意を得て、もつと積極的な、もつと内容の充実したものにしていただきたい、こういう意図があつたのでありますが、先ほど申し述べましたような予算関係考えて、ごく消極的な限度の範囲内においていたしたような次第であります。
  7. 井出一太郎

    井出委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕     —————————————
  8. 井出一太郎

    井出委員長 速記を始めて……。この際野田統計調査部長が見えましたので、このほど来憂慮いたしました台風被害等について、おそらくはまだ最終的な情報というふうなものは到達しておらないと思いますが、現状において統計調査部等における被害の見通しとでも申しましようか、もちろん最終数字を期待するわけにも行きませんけれども、そういう点を少し伺つておきたいと思います。
  9. 野田哲五郎

    野田説明員 このたびの台風につきましては、まだ私の方で詳報を得ていないのでありますが、これは従来の被害の例でありますと、台風被害の発生直後にこちらの方に連絡が参りますは、一週間後及び二週間後に参るわけでございます。大体二週間後あたりの数字調査が完了することになつておりますが、かような事情でありますから、今日ぼつぼつ入つております。電報によりますと、気象台の発表になります気象状況というような程度でありまして、皆様に十分御納得の行く説明ができないことを遺憾に存じます。ただ一般的に考えられますことは、水害のために冠水いたしましたものにつきましては、被害が相当考えられるのでございます。その他の問題につきまして一番恐ろしいのは潮風害でありまして、大体台風進行方向に向いまして東側に海があつて、しかも雨が非常に少いというようなときに起る現象でありますが、これが出て参りますと、昨年の台風十三号におきます静岡、愛知等被害のように、きわめて深刻なる被害を及ぼすようでございます。そのほか考えられますのは、稲が倒伏いたしましたり、あるいは穂がちぎれましたり、あるいは葉がちぎれて飛んだりというようなことでございます。穂が飛びますとそれだけ少くなるのは当然でありますが、倒伏及び葉切れ、葉の折損によります被害につきましては、従来の調査結果によりますと多くて一割五分程度でありまして、それより軽い場合が相当あるようであります。これらの被害が各地方にどういう形で入つておるかということにつきましては、私どもも特に注意を払つておりまして、従来といえども地方の機関から自動的に報告が入るようになつておりますけれども、今度の場合は九月十五日の作況調査と相前後しております関係で、きわめて重要な時期でございますから、特に調査につきまして通達を送りまして、確実完全なる調査を実施したい、かように思つておる次第でございます。
  10. 井出一太郎

    井出委員長 もう一点伺つておきたいのは、今度の台風の通過いたしました地帯稲作の時期といいますか、開花期というようなところがあるかどうか、あるいは晩稲などをつくつておる地帯で、相当な被害を受けた地帯がないかどうかというような心配、こういつた点を多少お聞かせ願いたいと思います。
  11. 野田哲五郎

    野田説明員 このたびの台風の時期は、私の方では出穂前と、かように考えておりますが、ラジオ等の報道によりますと、ちようど晩稲開花期だということが言われておるわけでございます。もし中晩稲開花期ということになりますと、これはやはり被害が少し大きくなつて来るということが考えられると思つております。大体そういう状態であります。
  12. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいま十二号台風関係について中間の被害報告を聞いたわけでありますが、九月十五日現在の報告が正規に中央へ届いて発表になりますのには、まだ二週間以上かかる。これをひとつ繰上げて、でき得る限り期間を短縮してその結果を報告願うということが可能であるかどうか、これが一つ。  それから私ちようど十三日まで国におりました。私の選挙区であります鳥取県も、台風の主流が山陰沖日本海を通つたために相当ひどい状態になつておると心配してるのですが、けさの鳥取県知事よりの被害報告電報によりますと、十二号台風被害は目下七億、人畜は軽徴、水稲陸稲被害七万石程度、その他農作物三億円、計十億円程度ということを、とりあえず電報報告するといつて来ております。その内容が何なのか、まださつぱり見当がつかない。結局開花期のものは、あの強風雨にたたかれて直接的な被害を受けますが、冠水、倒伏に基くものはなかなか被害の判定が困難になりはしないかということを憂えておるわけでありますけれども、それらの点について、何か特別の統計上における措置というようなことをお考えになつておるかどうか、この二つをお示し願いたいと思います。
  13. 野田哲五郎

    野田説明員 第一点の調査結果の発表の時期でございますが、実は九月十五日の第二回作況につきましては、順調に参りまして九月三十日または十月一日を予定してあつたわけでありますけれども、これは大体十日から十五日くらいの間に調査を完了するものでありまして、ちようど一部は調査中にこの台風にあつたというような実情であつたと思つております。従いましてこの数字発表しますことは、今日の状態から見ましてきわめて撹乱された数字でございますので、どうしても追いかけまして被害後一週間ぐらいの状況を詳細に調べまして、それを織り込んで発表したいと思つております。そうなりますと、私の方でぎりぎり詰めまして十月五日見当作況被害状況を合して発表したい、かように思つております。なおその後の被害の判明というような問題もありますので、十月十二日に被害だけについて発表いたしたいと思つております。ただいま御質問もありましたが、大体いろいろな稲の成育状態に応じまして、どのような障害が起きて来れば被害としてはどのくらいになるというような減収尺度というものを私どもつておるわけでありまして、それに応じていろいろ判定いたして参るわけでございます。従つて私ただいま足鹿先生の御質問の点について的確に申し上げる資料をここでは持ち合せておりませんけれども、われわれの部としましては、さようなものを用意いたして、それによつて作業を進める次第でございます。
  14. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、正規の九月十五日現在の作況報告はこれを一応見合せる、そして被害をも含めた作況報告を十月五日ごろに行い、後にさらに被害のみの報告をするということでありますが、その後の被害のみの報告はいつごろになりますか。
  15. 野田哲五郎

    野田説明員 一週間遅れまして、十月十二日ごろを予定しております。
  16. 足鹿覺

    足鹿委員 今のところ私どもも、この十二号台風被害を的確につかむ何らの方法もないわけでありますが、農林委員会としてこれが対策等について、できれば官房長出席方を至急にお願いしていただきたいのですが……。
  17. 井出一太郎

    井出委員長 今その手配をしております。
  18. 足鹿覺

    足鹿委員 それではそのときに御質問いたします。
  19. 川俣清音

    川俣委員 今までの経過をよく存じませんが、おそらく九月十五日現在の定期調査と今度のような災害調査とは、おのずから事務上からいつても今の統計能力から行きましても、一緒に調査するということは不可能ではないか、こう思うのです。しかし絶対不可能かと言えば必ずしもそうではないと思います。それにはやはり予算上の裏づけが必要ではないかと想像いたしますけれども、この点についていかようなお考えを持つておられるか、これが第一点です。  こういう臨時調査については、特別な予算を持つていないのが今の統計部弱みだと思いますが、こういう弱みを持つてつたのでは、世間の信頼を得るような調査はすみやかに遂行できないと思うのです。日本は昔から二百十日、二百二十日という台風の季節を毎年持つわけでありまして、従いまして、予算上これを持つてつてもさしつかえないのが日本気候状態だと思いますので、将来これに対するいかような見解を持つておられるか、この二点です。
  20. 野田哲五郎

    野田説明員 予算の点につきましては、必要であれば私ども大蔵省に十分要求するという考えでおります。前の八月一日の臨時調査の場合におきましては、当委員会の非常な御支援を得まして大蔵省との話を進めておるのでありますが、われわれといたしましても、とにかく調査はすぐ手配をいたしたわけでありまして、これに要します経費見積り等がつきまして、十分従来の経費からまかなえないというような数字が出て参りますならば、これは当然要求いたしたいと思つております。さような考えで進んでおりますので、何分よろしくお願いしたいのでございます。  それから、第二点の御質問臨時調査に要する経常的な予算の設定の問題でありますが、これは私どもも非常に痛感しておるところでありまして、来年度においてはぜひこれを実現したいという気持を持つております。ただいま農林省内部でもんでおる状態でございますけれども、これが実現については今後大いに努力したいと思つております。
  21. 中澤茂一

    中澤委員 きのう北海道農民団体ほか協同組合道議会等が、当委員会陳情されたのです。この前の八月十五日のあれでは八一と言つているのですが、きのうの陳情を聞くと、これはとにかく四分作、五分作だというので、稲の現物を持つて来たのですが、もしあれが事実とすれば、四分作、五分作としか見られない。稲が冷害で完全受精していないのですから、九月十五日の定期調査は、北海道は特に力を入れてやつてもらいたい。その結果きのうの陳情通りだとすると、当委員会から派遣して、現地も視察して何らかの対策も立てなければいかぬ、こう思うので、九月十五日の調査は、北海道は特に力を入れろというふうに、あなたの方から注意してもらいたい。それをお願いしておきます。
  22. 野田哲五郎

    野田説明員 ただいまのことにつきまして、ちよつと説明を加えさせていただきたいと思います。先般発表しました八月十五日の作況につきまして、北海道指数が八一と申しておつたのでありますが、これは、大体北海道地域を私の方では事務所単位にわけておりますが、北見の管内、それから帯広の管内、それから函館の管内、要約いたしますのに太平洋に面した地域と、それからオホーツク海に面した地域とは、実は作況指数が非常に低かつたわけでありますが、あすこの生産地であります上川盆地は、この指数が非常に高かつたものでありますから、それを統計的に見ますと、全体で八一ということになつ状態でございます。それで上川盆地を除いた諸地域が非常に悪い状態であるということは、私どもの方でも十分存じております。なお、さような事情でもございましたので、別の用務で参りました係官に、作況の概況を調べさせたのでありますが、その結果も、大体私どもが日ごろ想像しているような状態でありまして、特にその人から注意をしてもらうようにした次第でありますから、ただいま中澤先生のおつしやつた点は、十分徹底していると思つております。
  23. 川俣清音

    川俣委員 もう二点お尋ねしたいと思います。今の機構、能力では、こうした臨時被害が起つた場合に、調査の完璧を期するような陣容ではないと私どもは見ておりますが、この点について十分だというお考えを持つておられますかどうか、これが一点です。  時間がないので続いてお尋ねしますけれども、この八一%とかあるいは何パーセントとか出しておられます作況指数は、これは平年作に対する指数のようであります。ところが先般いただきました資料によりますと、東北から北海道にかけまして、去年の冷害にこりてだんだん早稲種が多くなつているわけです。そういたしますと、これは野田部長は新しいから、ちよつと答弁しにくいと思いますが、統計課長が来ておればよろしいのですが、平年作でありましても、昨年の品種の平年作と、ことしの絶対量の少い早稲種収量では、作柄が同じであつても、昨年と比べて収量が減ることは、これは稲作の特質でありますが、この点を理解して八一というものを出されておりますかどうか、非常に疑問があると思つております。地方調査状況を見ますと、この早稲種がどのくらいの減収であるかということをやつているようでありまして、この地帯は、今までこういう品種の絶対量から見て、この程度収量であるという調査ではないようであります。従つて中央へ上つて参りました集計は増収の品種と比較的絶対収量の少い早稲種開きというものを表現出来ていないうらみがあるのじやないかと思いますが、この二点についてお尋ねいたします。あとの点で部長答えにくければ、統計課長を呼んでお答え願いたい。
  24. 野田哲五郎

    野田説明員 陣容の点につきましては、これは私どもといたしましても十分とは言えないと思つておりますが、ただいまのような行政整理の思想の非常に強いときに、あえて人間を増すということは、これは避くべきであると思つておりますので、この陣容不足に対しましては、職員の資質を向上し、かつ資材、機具を整備いたしまして、能率をあげて行きたいと思つております。この点につきましては、先般も川俣先生から御指摘がありましたが、私どももそのような気持で、ただいま予算を組んで折衝しております。まだ農林省内部の段階でありますけれども、重点を置いて参りたいと思いますのは、調査機具を整備する、なかんずく自転車及びオートバイ等機動力を増しまして、それによつて幾らかでも人員不足をカバーして行きたいと思つております。なお素質の向上については、適切な講習等方法を用いて向上をはかつて行きたいと思つておる次第であります。  それから第二点の問題につきましては、ただいま川俣先生からも御指摘があつたように、私まだそこまでは承つていないのでありますが、先般の御質問に対して作報課長がお答え申し上げましたように、実は私の方では品種別調査及び面積というものは調査しておるわけでございまして、それらのデータを繰入れまして作況指数というのをつくつているわけであります。大体作業といたしましては、過去四年の平年反収なるものに対してどういうふうな事情指数がかわつて来るかということを見まして、次にそれを昭和元年から昭和二十八年までの反収で操作いたしました平年反収というものにかけて指数を見て行く、こういう二段の操作をやつておるわけでございます。
  25. 安藤覺

    安藤(覺)委員 関連してお伺いします。昨年の冷害のときに北海道を視察いたしました。その場合北海道農民作報に対する疑惑、おそらく作報は現内閣の命令を受けて、政治的な数字をあげているのじやないかという非常な疑惑を持つておりました。そのよつて来る原因を聞きますと、あの地において九十二町歩に一箇所の坪刈りをやつて、その集計を得て数字をとつておる。これは特にことしの北海道における冷害は、あぜ一つで七割のみのりをし、あぜ一つ隔たつて三割のみのりしかないという非常なでこぼこ状態を呈しておつたわけであります。そういつたあぜ一つの大きな開きの中にあつて、九十二町歩も一まとめにして、そこ一箇所だけ坪刈りするということになると、農民の間から不平と不満が起きて来るのはあたりまえであると思います。これは要すれば、先ほど来予算の問題、行政監理による人員不足の問題等々のことがあげられておるわけでございまして、おそらくこういつた結果から九十二町歩にもわたる広大な面積の中からたつた一坪を刈るというようなことになるのだろうと思うのでありますけれども、こういつたあり方である限り、もつとも科学的で冷厳である作報調査結果に対して全国の農民が非常な疑惑を持ち、その結果はひいては農政というものに不審を抱くに至るということは重大なことだと思います。ただいま承りますれば、オートバイあるいはジープその他等をもつて人員不足をカバーするということであられますが、けつこうであります。その結果としては、どうかもう少し範囲を縮小されて、こまかく坪刈り等もなされる方が農民の信用を高める上において最も必要なことじやないか、こんなふうに考えられます。これらの点について部長のお考えをひとつお聞きしたいと存じます。
  26. 野田哲五郎

    野田説明員 ただいま安藤先生の御質問でありますが、水稲につきましては問題が非常にシリアスでありますので、統計上の計算から間違いのない筆数調査するという方針を堅持しておるわけでありまして、九十二町歩一つ坪刈りということを実際にやりましたかどうか、その点につきまして私事情はよくわからないのでありますが、もしこれが統計上から出しました筆数を省略いたしまして、かようなことをやつておるといたしますれば、重大なことでありますし、かつまたわれわれの自殺的行為であるとも思いますので、十分注意して行きたいと思つております。一般的に申しますれば、統計上必要なる筆数を十分調査して行き、それを守り抜いて行く方針でございまして、高くも低くも何ら操作をしないという心構えで進んでおります。もし万一おかしなことがありましたならば、私どもは全力をあげてそれを是正するように努めたいと思つておりますから、何分よろしくお願いいたします。
  27. 川俣清音

    川俣委員 私の質問の第二点に対する御答弁は十分ではないと思うのです。たとえば、ことしの作況を見る場合に、できるだけ昨年との比較をとるために、昨年よりも植付面積は減つてはおるものの、昨年とつた標準品種をなるべく今年もとるというやり方をいたしておるようであります。その限りにおきましては、昨年調査対象なつ品種と、ことし植えつけられた品種との比較をとつておる。その点については誤りがあるとは思いません。また品種の作付面積が移動いたしておりますことの調査をいたしておることについては別に疑義がございません。ところがこの絶対量の少い早生種の植付面積が、ふえた率を出しておるかどうか、ということになると非常に疑問なのであります。むしろ疑問というよりも出していないとみるべきではないか。たとえば草たけであるとか、本数等はできるだけ現状のものをとつておるようでありますから、これは幾分採用されておるかと思います。ところがたとえば早生種になりました場合の粒数などを数える場合、早生種の絶対は何粒だ、それに対してことしは何粒だから、どれだけの収量が上るということで、そこに現象を出しておるようであります。これはことしの率としては確かに出て参りましようか、平年作というものを別に持つてつて、それにことしは八掛の収量だと見る場合は、早生種のものをすぐ平年作へ持つて行けるかどうか、これに非常に大きな疑問があるし、調査がそうではないように私どもは見ておるのでありますが、この点についてちよつと答弁ができないかもしれませんが、もしできなければ、あらためて御答弁を願いたいと思います。
  28. 野田哲五郎

    野田説明員 非常に専門的なことになりますと、あるいは御満足がいただけないかと思いますけれども、やり方といたしましては、たとえば前年度はおくてばかりで百であつた。平年作的な現象で百がとれた。ことしは全部わせばかりにかわつて、平年作的現象が八十になりましたというような場合に、ことしの平年作は何かと申しますと、やはり百に対する八十、こういう形で行かなければならぬと思つております。すなわちわせだけでは百パーセントとれたはずであるけれども、平年に対しましては、収量は八十である、かようなことになろうと思つております。かような見地から調査を進めておりまして、調査圃場についての調査筆につきましては、品種状況も十分見て、この筆の作柄は幾ら、こう見て来るわけであります。それと平年反収と比べると、指数が幾らになる、こういうことになるわけでありまして、繰返して申し上げますと、わせで百パーセントとつておりましても、平年作から持つて行きますと、指数が下るというようなことは、十分計算の中に織り込まれて行くと思つております。
  29. 川俣清音

    川俣委員 もし野田部長説明通り調査ができ上つておりまするならば、私はあえて問題にいたしません。しかしどうも現実における調査は、今の部長説明と異なるのではないか。私はあえて非難をするのではなくして、粒数の計算をして率を出しておるところを見ますると、早生種の粒数の何パーセントというふうに出しておつて、それが全体の面積において是正されておるかというと、その修正の跡がないように思うのです。どうもそのままの報告集計というふうに私どもは見ておるわけです。ただ作付面積調査はおのおの別個にやつておりますから、作付面積については異議はございませんが、その比率をとつて修正を加えておるか、是正をしておるかということになりますと、現実は今御説明のようではないのではないか。もし今御説明通り現実に行われていなかつた場合、部長はどうしますか。あなたの説明通りでなければならぬということになりますと、この間の発表はもう一ぺん修正されなければならないことになると思うのですが、その点いかがですか。
  30. 井出一太郎

    井出委員長 川俣君に申し上げますが、作物報告課長を呼びますか、いいですか。
  31. 川俣清音

    川俣委員 きようは時間がないからけつこうです。
  32. 野田哲五郎

    野田説明員 ただいま御説明しました点について誤りがあれば、あとで御連絡申し上げまして訂正いたします。
  33. 中澤茂一

    中澤委員 ぼくは部長に参考までに申し上げておくけれども作報統計つて確実なものじやないのです。去年さんざん言つたけれども、大体実測面積さえつかんでいないのじやないですか。今盛んにやつておりますけれども、銭と人手がないからできないというが、そこから出す統計だ、これはまつたく統計ですよ。そこでぼくは考えるけれども、去年凶作で共済と作報の食い違いが問題になつた。共済の方は全部立会人が、農民代表が出て一筆調査をやつている。一番ひどい食い違いは、去年私は作報がでたらめだと攻撃したけれども北海道にその現実があるのです。作報事務所から私が持つて来た資料と、あなたの方から出した資料が全然食い違つておる。帳簿において食い違つているし、数量において食い違つている。去年の凶作は農民もほんとうに真剣で、供出があるので一筆調査を厳格にやつているから、あなたの方があの基礎台帳や原簿をとつてあの資料をある程度練り合せれば、あるいは大体正しいじやないかという程度のものは出て来ると思うのです。今のような状態では、正直なことを申し上げれば、作報も全然信用ができません。統計だから、ある程度は信用します。それから共済の方も正直にやつてくれればいいけれども、これは供米があるものだから、共済の一筆調査も相当政治的かけひきがあるのです。しかしこれは厳格には、どこの村に行つても一筆調査農民が立会いの上でやるのだから、この田は何反何畝でどのくらいということを見込んでの供出数量を割当てるのですから、去年の一筆調査は、割合正確な数字が出ているのです。村に実際入つて、うそものを見せないで本物を見せろと言つて出させて見ると、相当正確なものが出ている。ことしはもう米がとれるのですから、共済の方でもあれを隠す必要はないと思います。だからあれをある程度基礎にして、あなたの方の科学的なサンプル調査のものと込み合せれば、今後あるいはわれわれの信用できる正しい数字が出て来るかもしれません。これについて、あなたは共済なんか自分の方は用事がないのだ、自分の方が科学的だというお考えか。それとも、何とかしてこれを基礎にして一筆調査と両方こね合せて、何とかしたいというお考えがあるかどうか。その点を御返事できたら伺いたい。
  34. 野田哲五郎

    野田説明員 作報資料と現地の資料との食い違いの問題につきましては、今の調査の基礎となつております設計が県単位に数字を出す、従つてそれを郡及び町村に持つて行きますと、大体三倍ぐらいの幅で誤差が出て来るわけでございます。従つて特定の村において、この県では一〇〇という作況指数が出たが、この村においても一〇〇かと言われますと、実は非常に参るわけでございまして、県全体としてどうだ、こういうふうに御判定をいただきたいと思つております。ただ実際問題といたしましては、この県単位で推計いたしました数字を、現場のいろいろな要請に基きまして、一つ資料としまして各町村に配分しているわけであります。従つてこれについては、実は統計上十分の責任を持てないわけでありますけれども、従来のまつたく勘でやつておつたものよりも、ある程度正確ではなかろうかというつもりで便宜いたしておるわけでありまして、あくまで統計としまして責任を持つて出しております数字は、県単位の数字であるということでございます。ただ問題は、すべて現地から送つて参りますので、さようなときに県単位であるということを申し上げますと、いかにも逃げるような印象を与えるかもしれませんが、私どもがやつております統計上の設計がさようになつておりますので、特に御了解いただきたいと思つております。なお共済の方の一筆調査との照合の問題でありますが、これはやれば非常にいいことだと思つております。先般こちらの方からの御意見で共済審議会が開かれております。そのあたりの会合におきましても御説明したのでありますが、一筆調査を実際やるということになりますと、相当の陣容を必要とするわけでございます。これはすでに調査されたものとの照合でありますけれども、照合する相手の数字は、私どもの方で持つております町村数筆くらいの周辺と照合いたしましても、非常に意味の少いものになつて参りますので、この点は研究としてはいたしたいと思いますけれども、これを実際にやるということにつきましては御了承を得たいと思つております。従つて農業共済との関係におきましても、統計といたしましてあれに無理なく協力し得ますのは、郡段階の推計まで県段階のものをおろして行く、こういうことはできるかと思つております。そういたしますと町村段階に配分いたしますについても、非常に振れが少くなつて来るわけであります。かような事情でございますので、ひとつ御了解いただきたいと思います。
  35. 中澤茂一

    中澤委員 去年の場合なんかを見てもそれは違うのですよ。共済がここの村の一筆調査をやつて——村の名前は去年の資料ですから片づけてないのですが、去年この委員会で問題にしたのですよ。その村で共済は一筆調査をして、どれだけの収穫だというものを村全体を出しているのです。それに対して作報の方も、この村はどのくらいの指数ということを村ごとに出しているんですよ。それが去年全然食い違つていたんです。私は確実なデータを札幌の方から送らして、ここで実は問題にしたのです。それを実測面積さえ今のあれはつかんでいないのですよ。一体どれだけの稲作面積があるのか、それは数字の上では出ておりますが事実と全然違うのですよ。それはあなたも認めるでしよう。だから共済の一筆調査の基礎資料をとれば、大体の実測面積は出て来ると思うのです。これは農民立会いでみなで見て歩くんですから、たんぼの面積をごまかすことはできませんよ。正確とは言えないが、ある程度正しい実測面積が出ておるのです。そういうものを基礎にすれば、今の統計の一番欠陥であるところの実測面積が、ある程度のものはつかめて来るわけですよ。だからぼくの言わんとするところは、まず実測面積をどうやつてつかむか。それをあなたは作報だけでやられるから、さあ金もいるぞ、人もいるぞ、今じやできないぞ。これは昭和二十三年ですが、あの当時の金で六十億かいるということを聞いたのですが、そんなことはとてもできない。だから共済ともつと有機的な連絡をとるならば、去年のものはある程度実測面積がつかめると私は思う。これは一筆調査を立会いでやつておりますから、そういう面で私は言つているのです。あなたは県段階で責任がどうとかいうことをさつき言いましたが、私はそんなことを言つているのではない。事実は去年は村でもつて作報指数と共済の一筆調査指数というものを合せて供出の数量をきめている。だからそれがあまりに食い違つた北海道の何とか村などは、こんな作報数字では絶対承服できないというのです。それだけ食い違いがあるというなら問題にしようというので、私は作報の支所から私あてにその資料を送らせた。これば極秘にしてくれということでしたから私は極秘にしてだれにも見せません。それから共済のその確実な一筆調査資料を送らせて、去年ここで問題にしたのです。だからそういう面についていま少し実測をつかむことを——自分らだけでやることを考えないで、共済の実測面積というものをある程度つかんで利用したらどうかということを、私は参考に申し上げているのです。  いま一点は、ことし注意してもらわなければならぬことは、大体標高八百メートルを基準にして、それ以上の稲作というものは非常に悪いのです。去年そのために三分五厘の融資を受けた地帯の多くは非常に悪い。だからこれをため込みに数字に入れて来ると——またこの八百以上の地帯冷害ひよう書でもつて分けつが非常に悪かつた。私も長野県の八百以上のところを三箇所ばかり二回見ておりますが、第三次分けつなどは、あんなものは全然しいなにもなりませんし、第二次分けつはおそらくしいなに行くか行かぬかの程度でしよう。だから標高八百メートル以上の地帯を特に注意してくれないと、ただ作報がこれだというので官庁統計式にやられると、この八百以上の非常に悪い所では、供米の問題でトラブルが非常に起きて来ると思う。だからこれを特にあなたに注意してもらいたい。この二点だけ申し上げておきます。
  36. 安藤覺

    安藤(覺)委員 ちようど中澤委員から話が出ましたが、その作報について農民の不信の度合いというものを御参考までにあなたに申し上げておきます。たとえば昨年の北海道のごときは、作報を敵だと言うのです。われわれの敵だ、こう言つておる。そしてある会合においてわれわれが作報の人を呼んだときには、もう農民代表の諸君はそつぽを向いちやつて、全然ものも言わない。ここまで不信の声が高まつておる。豊作のときにはこのことはちつとも起きて来ないでしようけれども、昨年並びに本年もこうした北海道東北、それから西日本台風などによつて凶作という姿が出て来ますと、またしても昨年の例を重ねて行くということになります。そこでいよいよもつて政治に対する不信の声は強まつて行くだろうと思うのです。先ほどおつしやつた県単位のものを郡単位までおろすことが可能だ、あるいはそれに努力すればできないこともないというようなお言葉であり、せめてそこまででもおろされて、もう少し詳密に——なるほどあなたの方は、調査上の基礎は科学的にいろいろと積み上げて行つておられるのでしようが、その範囲が粗雑であつたらこれは根本的にくつがえされる。不信の声が非常に高まつているのですから、その点特に御留意願いたいと思います。
  37. 芳賀貢

    ○芳賀委員 関連して申し上げます。ちようど本日現在の作況の予想が今月末に出るわけですが、これは今年度の供出割当に甚大な影響がある調査になると思います。結局今年は政府は今月の二十一日から都道府県の代表を集めて、供出に対する事前の聴取を行い、それから十月の十日から府県別の割当を早急に行うということになつておるわけですが、そういう場合には、何としても作報の本日現在の調査というものが基磯になるということが言い得るわけなんです。そういう場合において、最近生じたところの台風被害とか、あるいは前回の農林委員会において御指摘いたしました冷害地帯のその後の推移等に対しては、適切なる把握をされておると思うのです。たとえば北海道等に対しては、あの当時は北海道全体の平均指数は八一になつておつたわけでありますが、現在におきましてはその状態が非常にかわつて来ておるのであります。そういうふうな推移に対しては、野田部長におかれても、現地に対して適切な指示を行うということを表明されておつたわけですが、どのような方法でそういう冷害地帯に対する調査が進んでおるかということを御説明願いたい。
  38. 野田哲五郎

    野田説明員 冷害地帯につきましては、私統計調査部に就任いたしまして以来、あらゆる機会につきまして特別の注意を払うように申しておりますが、当委員会の御要求によりまして遂行いたしました八月一日の作況調査というものが、決定的に各地方事務所に冷害調査の重要性を認識せしめたようでありまして、たとえば八月十五日に出て来ました資料等につきましても、非常に慎重な態度が見受けられておるわけでありまして、その点につきましては今後も十分注意して行きたいと思つております。
  39. 芳賀貢

    ○芳賀委員 八月十五日の調査は、結局草たけとか茎数とか穂数とかいうものが中心になつておつたと思います。あの中には、今年度の冷害というようなものの要素が全然入つておらぬわけです。ですから今月十五日の場合は相当具体的に結果が出て来ておるわけです。それで八月十五日現在といつても同時に把握をするわけではないのですが、事前から相当調査の準備等を行つて正確を期しておられると思うのです。たとえば幼穂形成期の低温障害とか減数分裂期における異状障害とか、そういうものが出穂後において不稔の状態になつて現われて来ておるわけです。それから積算温度等にしても、これは毎年の積算温度というものが豊凶には大きな影響を持つておるというふうに考えておる。そういう点を作報調査の場合においては一つの要素として取上げて使つておるかどうか。
  40. 野田哲五郎

    野田説明員 それらの点につきましては、一方におきまして気象感応試験で微細に追究いたしておりまして、また他方におきまして作況調査圃においてできるだけ大数的な観察を続けておりますので、一応統計の立場から言いまして、特に設計上におきましては芳賀先生の御要望の線は十分追究できると思つております。あとはその設計に従いまして職員が忠実にそれを実行して行く、こういうことになると思つておりますので、その点につきましては私ども十分注意をいたしたいと思つております。
  41. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと念を押して野田部長に申し上げておきますが、先ほど九月十五日現在の作況がおよそ十月五日に、それからさらに今回の台風被害だけを別に取出して調査される結果は十二日ということでありますが、それを承れば追つてまた当委員会においてそれに照合して承りたい、こう考えます。
  42. 野田哲五郎

    野田説明員 なお非常にラフなものでありますが、概数につきましては一週間後あたり出て来ると思います。できましたら早速お届けいたしたいと思います。     —————————————
  43. 井出一太郎

    井出委員長 引続き農地問題について調査を進めます。齋木重一君。
  44. 齋木重一

    ○齋木委員 私は農地局に対して一応御質問申したいと思う次第であります。ただいま全国一斉に行われておりますところの適正小作料調査に関する問題であります。これはそのカードを見ますと実に煩雑なものでありまして、農民にとつては無用のようなものも項目をあげて、実に言語に絶したというようなものもカードの中には羅列をいたしてあることを私どもは見のがすことはできないと思うのであります。それを現在改正された農業委員会委員の手を通じて、各全国市町村において調査を開始いたしておることを私どもは見ております。適正小作料調査決定は、ああいうような煩雑なものが基本となるのかどうかということを、まず一点お聞き申したいのであります。  それと同時にもう一点は、ところによりますると、あの調査の結果を見まして、都道府県において適正小作料決定するというようなことをポスターをもつて農村に配付いたしてあるところもあるし、また政府において一方的に決定するというような流説もあるが、これはどこにおいてその適正小作料を明年度等において決定するのか。これははつきり都道府県なり全国の市町村の農業委員会等に明示すべきであると私は思うのであります。これらが区々まちまちになつておることを私どもは見ておるのであります。こういうのはどういうようなぐあいになるのか、御説明を願いたい。  それからまた、予算の面におきまして、大体私どもは適正小作料調査費として、ことしは九千余万円を計上いたしてあると思うのであります。この調査費では不足をいたしておる。場合によりますると、ある県におきましては一箇村三千円か四千円、多いところでは九千円くらいの当てがいぶちで、その市町村の農業委員会に押しつけて、調査をやれということをやつておるのであります。この割当は、その県の当局が市町村に対して頭割りに割当をやつて、無理押しに割りつけるのかどうか。それからまた、その基準は一筆ごとを集計いたして、その一筆の経費が幾らくらいになるかというので、その市町村の一筆の集計によつて費用を支給しておるのかどうか、こういう点も私どもはお聞きいたしたいと思うのであります。  その次は、この調査によりまして、来米穀年度において、米麦の生産者たる農民がいかなる考えを持つておるのかということに対しては、私は生産面における意欲に対しましては重大なる悪影響を及ぼすものと考えておるのであります。これらの点に対しまして、当局はいかなる考えを持つておるのか、その御答弁のいかんにより、また実施のいかんによりましては、いまや農村においては反動、逆コースの土地取上げだとか、やみ小作料だとかいうものの横行が熾烈をきわめておりますので、これらに対処する上において、なお拍車をかけるがごとき情勢が温存されておるとわれわれは感知いたしておるのであります。農地局においてはそういうことはないとおつしやるかも存じませんが、実際の農村においては、そういうことがかもされておることを見のがすことはでき得ない状態に立ち至つておると私は思いますので、こういうような諸点に対して、詳細なる御答弁を願いたいと思う次第であります。
  45. 小林誠一

    ○小林説明員 御説明申し上げます。小作料決定いたしますために土地等級を決定いたさなければなりませんので、その調査を本年度やつているわけでございますが、この様式が非常に煩雑であるというふうなお話でございます。実はこの調査は農地と申しますか、小作地の一筆ごとの地方を科学的に表現するという目的のためにその様式をきめたのでございますが、この決定にあたりましては、農林省はもちろんのこと、気象台その他の専門家を入れまして十分検討を加えたわけでございます。従いまして、この調査によりまして等級をつけますと、割合に客観的な正確な地方を表示できるものと考えておる次第でございます。この調査予算面で非常にきゆうくつでございまして、実は当初は一村当り一万八千円程度要求したのでございますけれども、財政事情その他の事情によりまして、一村平均一万円の二分の一ということに査定をされましたので、経費の面におきまして、県の御当局なりあるいは村の負担となつている現状は率直に認めなければならないと思うのでございます。ただそのような経費が少いにかかわらず、なぜあんな調査をやつたかと申しますと、御存じのように、これまでは土地の等級を表わしておりますのは、いわゆる土地の賃貸価格といわれているものでございますが、これをしさいに検討いたしてみますと、非常にアンバランスがある。むしろ部落ごとにきめられているというような状況でございまして、小作料決定いたしまする際に、これを基準としましてやりますと、非常な不公平が生ずるということがあるわけでございますので、経費が非常に不足するにもかかわらずこの小作料調査を強行いたしたわけでございまして、まことにその点については、県なり村に申訳ない、かように存じておるわけでございます。それから経費の配分につきましては、一村当り平均五千円ということでございますが、これは村の面積なりあるいは調査すべき小作地の面積等が違いますので、そういうものを勘案いたしまして、県に配分いたしたわけでございます。その内容機具費といたしましてボーリング・ステツキとか、あるいは日照をはかる可照時測定器とかいうようなものを買います費用、それからわずかでございますが、村で現地調査をやられる方の手当というものも内容に組んでおるわけでございます。これはいずれも財政事情関係から一万円とされたものを、さらに半額補助ということで二分の一ということになつておりますので、村の負担は相当多くなるわけでございます。  それからその次に、この調査の結果、これが小作料決定の基本となるのかどうかということでございますが、この調査によりまして水田においては四千点以下、それから畑におきましては三千点以下の等級をつけまして、それに応じまして小作料決定いたすわけでございますが、農林省といたしましては、この法律にも書いてございますように、政令で定める基準によつて農業委員会が都道府県知事の許可を得てきめるということになつております。この基準をこの調査が終りましたらあとで出したいと思つております。で、その基準に基きまして、町村の農業委員会がことしやりました小作料の等級にこの金額を当てはめまして、それによつて都道府県知事の認可を得るということになつております。従いまして市町村農業委員会が独自できめるわけでもございません。大きな方針は全部農林省で定めましてそれを公布いたします。それに基きまして市町村から出して来ましたのを、都道府県知事がこれを認可するというような形式になつております。そういうような方式でこの決定をいたしたいと思つているわけでございます。  それから最後の点でございますが、小作料決定のやり方によつては、米麦の生産面において非常に大きな影響を及ぼし、反動、逆コースを助長することになりはしないかという御質問でございますが、農林省といたしましては、小作料決定いたします場合には、法律にも規定がございますように、小作農の経営安定を旨としてきめるということでございますので、経営が不安定になるような高額小作料はきめないということになると思います。以上でございます。
  46. 齋木重一

    ○齋木委員 第一点の一筆ごとの科学調査というのは、専門の科学者を招集して政府において決定するという御答弁のように聞き取れるのでありますが、あのカードを見ますと、調査する農民自体が科学者でなければ書き入れることができないような調査カードを配付してある。私はそう見ているのであります。中央においては科学者がいるかしらぬけれども、末端の農村で一筆調査をやる農民が、科学者でなければ書き入れることができないような調査カードを提示してあることを、私どもは見ているのであります。そうすると政府は、百姓は全部科学者と信じてやつておられるのですか。
  47. 小林誠一

    ○小林説明員 あの調査は村の技術員なり、あるいは場合によつては県の応援を求めて、県の技術者なりが行きまして記入することになつております。判定が非常にむずかしいのではないかというお話でございます。その点相当むずかしい点は多々あろうかと思いますが、この調査をことし実施いたしますために、二十八年度におきまして、四百八十箇町村について大体あれと同じ様式の調査を実施いたしたのでございます。その結果その点数と収量との相関関係を見てみますと、相当高い相関関係が出て来ているということでございまして、昨年四百八十箇町村については大体満足すべき結果が出ましたので、ことしそれを実行いたしたのでございます。昨年の調査の結果、村において、これまで土地の等級について非常に紛争のあつたところが円満に解決したということも——これは農林省で言うんじやございませんが、自治庁の方の係の人も言つておりますので、農林省といたしましては、相当正確に行われれば地方を正確に把握する資料として役立つものだという自信を持つているわけでございます。
  48. 齋木重一

    ○齋木委員 そうすると水田四千点、畑において三千点、これは各市町村の農業委員会決定で知事がこれを認可する、その基本は本省において提示して、そのわく内において知事が認可することになつておりますと説明したと私は聞き取れるのであります。しかしながら私どもの県におきましても、先ほど来申し上げました通り、こんな形式で手間ひまをとられて、三千円とか四千円の当てがいぶちでやつてもできないといつて放棄している町村もあります。こういうところではそういうような調査表が出ないわけです農業委員会といつても、実際において書き入れる指導員が、講習を受けるとか何とかいつて一時間か二時間やつてつても、すつきり頭へ入つてそれをやれるような農業委員なり何なりがあるかという問題なんです。これが第一の大きな疑問だと私ども考えております。専門の科学者でない限り、瓦礫が幾らで甘土が三寸あるとか四寸あるとか、日射が一箇年間通じて三十日あるとかないとか、雨量が何ミルあるとかはわからぬ。ああいうようなばかげたことを羅列しておいたところで、百姓それ自体、また農業委員と言つたつて、それを研究している農業委員は今度の改選では出ていない。みなボス的な者ばかりしか出ていない。農村ではわが身に都合のいいことばかり考えて、りこうなやつは調査表を書き出さないのもあると思う。それで統計ができたり小作料決定されるということは、実に不安定きわまる調査カードだと思つている。だからもう少し農民のほんとうにわかるようなもの——これは百姓でなければわからない。耕す人でなければ甘土が三寸あつて、その下は瓦礫になつて水持ちが悪いとか、これは一尺甘土があるとかいうようなことに対しては、なかなか一様に機械的に行くものじやない。その一筆々々農民の頭でやつているだけなんだ。何せ農林省あたりに行くと、机の上で仕事をやるものだから、実際にそぐわない問題が出て来る。私どもは適正小作料の改訂という問題に対しては異議はない。実際あらゆる社会的な諸条件から考えて、私どもは異議はありませんけれども、ああいうことではたして適正なる小作料の基本調査ができ、これが生れるかということをわれわれは懸念し、かえつてああいうことをやることによつて反動、逆コースが旺盛になつて来て、農村ボスが跋扈するのに拍車をかけるところの一助にしかならぬと私は考える。だからそういう意味合いにおいて、今までは私どものところにおいても反当六百円が年貢料でありましたが、客観情勢からいたしまして、小作関係を有している旧地主さんのことを考えるならば、六百円では税金にも足りないとかいうような諸情勢になつて来たことについては、われわれは了承いたすものでありますけれども、はたしてどこまでが適正であるかという問題の基礎資料としての調査が、あまりに煩雑であり、あまりに複雑多岐にわたつているように考えるのであります。これはお笑いになるかも存じませんけれども、率直に農民の声として私どもは申し上げるのであります。これを完璧であるというようなお考えでああいうことを押しつけたのであるかどうかということを、私どもは疑わざるを得ない。そうしてそれを放棄いたしたような農村に対しては、どういうような調査を今後やらんとするかということをお聞きいたしたいと思います。
  49. 小林誠一

    ○小林説明員 お答えいたします。先ほどたとえば雨がどれだけ降るか、あるいは霜がどれだけ降るかということでございますが、この件につきましては、むしろ村のもよりの気象観測所の資料を使いまして、その村に一律にそこへ書き込むということでございますので、これらについて全部農民に聞き取り調査をするということではございません。従いましてあの項目の中にはすでに調査をいたす前に相当記入できる欄があるのでございます。  それからもう一つ、もしこの小作料調査をやらないときはどうするかということでございますが、都道府県知事といたしましては、その小作料を適正であるかどうかということを認可いたします場合に、やはりあの調査によつて点数を出して、それを適正と思うということを認可することになりますので、やはり相当村においては完全な調査が行われなかつたという場合もあり得ると予想されますので、来年度予算においてその分を要求しようということで今予算折衝をやつておるのでございます。まだ農林省内部でございますが、そういうつもりでやつておりまして、なるべく全町村がこの調査を正確にしていただくことを期待しておる次第でございます。
  50. 齋木重一

    ○齋木委員 そうすると当局といたしましては、ことし十二月までに調査を完了して、来年は適正小作料決定ということになると私どもは存じておるのですが、さようなお考えであるかどうか。それともう一つ、これを問題といたしまして、旧所有者が土地取上げ、やみ小作料というものが実に横行し、反動、逆コースは特にひどく拍車をかけられておると思うのであります。これらに対するところの適切なる対策があるかどうかということも、念のためお聞かせ願いたいと思います。
  51. 小林誠一

    ○小林説明員 現行の農地法でございますが、ことにこの小作地の統制でございます。これは農地改革によりまして、耕作権というふうに銘を打つておりませんが、賃借権なりあるいは使用貸借権というものを保護しておるというようなことで、この小作地を極力今後発生せしめないように処置しておるわけでございますが、裏からやみで統制がだんだん破られて参りますと、どうしても昔のような既成地主の発生が予想されますので、それが顕著になつて参りますと、非常に憂うべきことである、かように存じておるわけでございます。従いまして現在におきましては、やはりあの農地法を、厳格にこれを運用するということが農林省の方針であろう、かように存じております。それから先ほどもボスの横行ということも言われましたが、従いまして、そのようなボスの横行があることも予想されますので、この調査も、むしろ点数をだれが見てもこうだというように、点数を書き入れることによつて、その土地間のアンバランスをなくそうという趣旨から、非常に煩雑にも見えますような調査をいたす次第でございますので、その点をどうか御了承願いたい、かように存ずるわけでございます。
  52. 齋木重一

    ○齋木委員 もう一点聞きたいのは、基本的なものは各市町村の農業委員会決定をして、それに知事が認可を与える、こういうことになるという御説明のように承つておるのですが、それはほんとうかどうか。それも基本方針は農林省が指示を与えて、その線に沿うようにして知事が認可する、けれども元は市町村の農業委員会が基本をつくつて調査をしてやる、こういうことに解釈いたしていいかとも存じておりますが、それはほんとうですか。
  53. 小林誠一

    ○小林説明員 お答えいたします。農地法第二十一条にこういう規定があるのでございます。「農業委員会は、小作農の経営を安定させることを旨とし、省令で定める基準に基き、都道府県知事の認可を受けて、農地ごとに小作料の最高額を定めなければならない」。という明文がございます。従いまして農業委員会が都道府県知事の認可を受けて定める。しかしその認可を都道府県知事が与える場合は省令で定める基準で認可する。しかしこれは最高額でございますので、その最高額の範囲内で当事者間で契約するということになるわけでございます。
  54. 齋木重一

    ○齋木委員 そうすると今までは大体国一本で決定しておつたのでございますが、公定小作料というものが全国的には何千という段階ができると思うのですが、それは農林当局は——各府県においても何百の段階ができると思います。各市町村農業委員会決定して知事が認可した場合においては、一本や二本じやないと思う。何百種類というものがあると思うのですが、日本全国では幾らぐらいの適正小作料の数ができる予想でありますか。
  55. 小林誠一

    ○小林説明員 お答えいたします。先ほど四千点、三千点と申しましたが、その刻み方は必ずしも四千段階、三千段階になるというのではありませんで、これを適当に区切りまして、それぞれの階層をわけたい。かように思つておるわけでございます。従いまして何万点というような最高小作料農林省がきめるという考えはないのでございます。
  56. 齋木重一

    ○齋木委員 件数ですよ、一本であつたものが何十種類できるということです。各県市町村において一つ一つの町村で農業委員会決定し知事が認可すると、何百、何千という小作料の段階ができて来る。
  57. 小林誠一

    ○小林説明員 お答えいたします。現在小作地は大体一千万筆ぐらいあるということが予想されておりますので、その一筆ごとに知事の認可を得ますので、等級も違いましようし、面積も違いますので、それぞれ全部一千万筆の小作料決定されるということになると思います。
  58. 川俣清音

    川俣委員 関連して二、三お尋ねしたいのですが、根本的に農地の調査を行おうという趣旨については、私はあえて反対ではございません。できるだけ正確を期する、日本の農業政策を立てる上からいいまして、基本調査をやるということは絶対必要であることはこれは認めます。ただ私どもも十分知り得てはおりませんけれども、今問題になりました日照であるとか、あるいは雨量であるとかいうものを個々の農家からとらせるというようなことを考えておられるとすれば、みずからやらなければならないものを他に責任を食わせるというような卑怯な調査というものは望むべきではないと思う。日本の雨量が正確につかめていないということは、一体これは農林省として大いに反省しなければならぬ事態であります。これは農民の責任ではなくして国の責任であると思うのです。現に日照等につきましても、日本中央気象台が予算を十分持ち得ないで、地域的な温度の調査、雨量の調査あるいは湿度の調査あるいは日照の調査というものもできていない。日本全体の国の機構をあげてすら十分把握できないものを、単純な農民調査対象とするというようなことがもしも伝えられるごとくあるとしますれば、これは大きな問題だと思います。こういう点について課長に文句を言うことは当を得ていないと思うので、局長を煩わしたいということを再三申し入れておるのはこの点にあるのです。事務当局、課長からでもよいからお答え願います。
  59. 小林誠一

    ○小林説明員 お答えいたします。日照、雨量の点でございますが、雨量につきましては先ほどもお話いたしましたように、もよりの気象観測所の資料をそのまま調査に行く前から記入するというようなつもりでおるわけでございます。日照の件でございますけれども、これはやはり年間日照はそれぞれそのもよりの観測所にございますが、その土地についてやりますのは、いわゆる遮蔽物等の関係でそれを調査するだけでございまして、この遮蔽物の関係調査するのも個々の農民に聞いても非常にわかりにくいということで、簡単な可照時測定器というのを——発明といつては語弊がありますが、この調査のためにつくりまして調査いたしておりますので、この点は割合に正確に出るのではないか、かように思つております。
  60. 川俣清音

    川俣委員 日照の遮蔽の問題は確かにとるべき資料だと思います。しかしながらもう一つ考えなければならぬことは、青森県の下北半島に農林省のばれいしよの原々種圃がございます。これは日照を要するということで全部木を切つたところが、日照はよくなつたけれども風当りが強くて、もう一ぺん木を植えかえて防風林をつくつているようなわけです。せつかく木を切つて畑にしたのを、もう一度植林をして防風林をつくつているわけです。従いまして日照というようなことも必要ではありましようけれども、それによつて必ずしもその土地の効果が上るのではなくて、わざわざ防風林をつくる方がその土地の価格が生れて来るようなこともあり得ることなんです。そういう判定をする場合における能力というものは、個々の農民あるいは農業団体にやらして適当かどうかという点について疑問があるという点です。もう一つは雨量等につきましても、近くの測候所の資料をとるということになりますなら、これは農民にとらすべきじやないのです。あるいは農業団体にとらすべきじやなくて、国みずからがとるべきだと思います。予算の削減ということから、必要以上の負担を農民あるいは団体に負わせるという考え方、あるいは自治団体に負担させるという考え方が間違つておる、私はそう思うのです。あなたはどうですか。国の予算で別にそういう調査機構があるのです。それをとらないでわざわざ書き込んでとるというような考え方は、正確な資料は得られないと思うのです。聞きそこないもありましようし、個々に間違つて来たらどうなります。それよりも測候所からとるということなら、当然国で責任を持つてとるべきだと思うのです。それなら正確なものが得られます。個々の農民からばらばらに出て来たらどうなります。そういう誤差ができるような調査方法は避けなければなりません。これは調査の原則ですよ。
  61. 小林誠一

    ○小林説明員 お答えいたします。今の気象資料等は、村の方でもよりの観測所でとりまして、そのままそこへ調査に行く前に記入するという考え方でわれわれ指導しておつたのでございまして、個々の農家に気象観測所まで行つて聞いて来いというような指導はしていないつもりでおるわけでございます。それから遮蔽物と防風林との関係でございますけれども、これはやはり調査の中に非常に強風が吹く場合は点数を下げるように、いわゆる防風林を要する場合は点数を下げるというような考え方を組み入れておりますし、現実に表土等が飛ばされて土砂も悪くなつているということが出て参りますし、かれこれ勘案いたしますと、それがすべてうまく円満に現われておるというふうにわれわれは了解しておるのでございます。
  62. 川俣清音

    川俣委員 今の防風林の問題についてまだ議論はありますけれども、これは抜きます。しかし雨量を入れさせるようなカードをつくるということ自体が少しおかしいのじやないですか。もしもそういう作業をするとすれば、国が測候所に対して一定の補助を出しておるのですから、当然国が責任をもつて集計すべきだと思うのです。これはあなたに言つておるのではない。国がその作業をみずからやらないで、末端の負担においてやらせるという、これは金額はわずかだと思いますけれども、そういう統計のやり方をすべきではないというのです。経費の点からいつても、またそういうことになれていない町村役場、あるいは団体等にやらせるべきでなくて、むしろ測候所から国が資料をとり得ない立場ではないのです。直接そういうものを県にとらせることなら別ですけれども、これを一一カードに書き込ませるようなそういう資料のとり方というものが一体農政が貧窮であるということを示してはいないか。これはあなたに聞くのは無理なんです。内容的には無理じやないが、責任を追究する意味から言うと無理なんですけれども、今日は時間がないからこれ以上申し上げませんから、ひとつ御答弁願います。
  63. 小林誠一

    ○小林説明員 実はカードに書き込ますという意味は、あれが一つの点数のフアクターになりますので、農地が何点ということを出すためにカードがどうしても必要だというふうに考えていたわけでございまして、それでその手数を顧みずこれを市町村農業委員会にお願いいたしておるわけでございまして、この作業は農地課の方で主として担当いたしましてこの様式なんかをつくつたのでございますので、責任は私の方にあるのでございまして、非常に煩雑だつた点は、顧みて相当反省しておりますけれども、結果は非常にいいものが出て来るのじやないかということを期待しておるのであります。
  64. 川俣清音

    川俣委員 この際委員長におとりはからい願いたいのですが、農地局長を本委員会に出席するようにたびたび要求しておりますが、常に欠席がちであります。まことに本委員会に対して熱意の足りないことを糾弾すべきだと思いますので、委員長から十分な要請あつてしかるべきじやないかと思います。もしも農地局長が出られない場合は、代理として農林大臣に出席するように要求いたします。
  65. 井出一太郎

    井出委員長 ただいま川俣委員の御要請は厳重に申入れます。  午前中の会議はこの程度にいたし暫時休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時五十六分開議
  66. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き会議開きます。  農地問題についての調査を進めます。まず小規模土地改良事業の問題について質疑を行います。小枝一雄君。
  67. 小枝一雄

    ○小枝委員 きようは官房長並びに農地局長に御出席を求めたのでありますが、農地局長がまだ御出席がありませんが、ひとつ官房長に、小規模土地改良、すなわち小団地の土地改良の問題について質疑を進め、また強く要望いたしたいと思うのであります。  御承知のように、食糧増産計画を政府が立てまして、特に特殊立法によりまして、あるいは積雪寒冷地帯に対し、あるいは湿田対策の問題砂丘地の問題、畑地の灌漑その他特殊土壤等、六つにわたるところの特殊立法がすでに制定をせられまして、農山村の至るところまで食糧増産対策としての土地改良事業が行われておるのであります。しかし現在やつておりますところの土地改良は、二十町歩以上ということに集団地の制約を受けておりまして、土地改良の立場から、また食糧増産対策の立場から申しますしと、必ずしも大規模の集団地でなければ増産の効果が上らないということはないのでありまして、大規模の集団地でなくても、小規模の集団地を改良いたしまして、これによつて食糧増産の計画をすることがむしろ適当な土地もあるのであります。ことにまた農山村における土地改良事業は、二十町歩以上の集団地を限つて行うということには非常に無理がありまして、従来各農村において、各地方において、小団地の土地改良事業が強く要望されて来たのであります。ただ政府としては、予算関係上一応二十町歩以上を済ませて、漸次小団地に及ぼしたいという意向でありましたが、これらの特殊立法が制定せられまして、積雪寒冷地帯のごときはすでに四年の年次を経過いたしております。しかしその事業の実施の跡を顧みますと、わずかに三分の一にも足りない、ほとんど二割程度の仕事しかできておらぬと思うのであります。こういう状態で行きますと、農山村の最も増産対策をやろうとして困つておるところの小集団地の人々は、これらの恩典にあずかる機会を失おうとしておるのであります。これは政治の点から言いましても、まことに不公平な問題でありますし、また食糧増産対策の上から考えましても、はなはだ私どもは遺憾に考えるのであります。かつて審議会等におきまして、政府当局の答弁は、何とかして早く二十町歩以上の大集団地を済ませて小集団地に及ぼそうという考え方であつたようでありますが、しかしそういう点ばかりを考慮してこの問題を計画すべきではないのであります。二十町歩以上の集団地における農民も、二十町歩以下の小集団地における農民も、その土地改良によつて及ぶところの効果が十分発揮できるとするならば、当然これはもつと機会均等を与うべきでなければならぬのであります。それが今日までかくのごとき現状でおるということは、われわれとしてはどうしても納得の行かない問題であります。そういう点から考えまして、農林当局が、はたして三十年度予算編成にあたつてこれを取上げられる意思があるかどうか、私は当然この計画が載せられておらなければならぬと思うのでありますが、この点を官房長はどういうふうにお考えになつておるか。先般各特殊立法における審議会の会長の会合の席上におきましても、この点は強く農林当局に要望いたしておるはずであります。そういう点に考えを及ぼしまして、そういう理論等におきましてはすでに御承知のことだと思うのでありまするが、これらの詳細な点につきましては、書類等によつてまた提出いたすつもりでもありますが、とりあえずどういうお考えをお持ちになつておるか、これを伺つてみたいのであります。
  68. 渡部伍良

    ○渡部説明員 お話の点は私ども平素考えていることで実現できない点でありまして、ぜひ小団地の土地改良についても強力に進めて行きたい、こういうように考えております。今お話がありましたように、結局は予算の額の問題でありまして、小団地だからといつて——むしろ小団地の方が増産効果の方は上るという部面が相当あるのじやないかと思うのです。そこで毎年この問題は議論をして来、現在農林省の中でも、ぜひこれを三十年度の予算に組みたいということで検討を加えておりますが、まだ会計課長のところの最後の査定が済みません。今週の終りかあるいは来週に予算の省議がありますから、そのときにぜひ行くようにしたいと思います。ただその際に、お話になりましたように、小規模のところでは経済効果が非常に上るところがあるのであります。従つて一概に小規模のものといつてもやはり区別をつけて考えたらいいのじやないかと考えます。すなわち地元の要求としては、農林漁業金融公庫の融資でもいいから早くやりたいという希望も相当あります。それで償還能力を計算いたしまして、たとえば暗渠排水をすることによつて五割以上の増産が期待できる、あるいは裏作が可能になるというようなところがありまして、そういうところは融資でもいいという地元の声もあるのであります。そういつた点をそれこそ受益者の負担能力に応じて、融資、補助をわけて行つたらどうかというような考えを持つております。すなわち増産効果の多いところにまわす補助金があるのなら、もつと恵まれない山寄りの土地とかいうものに補助の分をまわすことがいいのじやないかということで、考えをめぐらしております。さらにもう一点の問題は、小団地を取上げることになりますと、金額が少い割に箇所数が多くなる、そうしますと指導というか事業計画の面で、今はそういう制度はないから、相当技術者の指導もやつておるのだけれども、あまり広くなると工事の施行について粗漏というか欠陥が出て来るおそれもありますので、そういう点にそういうことがないようにする手段を講じて行かなければならないと思うのであります。今いろいろな点で検討を加えております。
  69. 小枝一雄

    ○小枝委員 ただいまの官房長の御答弁によつて、大体御方針のあるところを伺つたのでありますが、この小規模土地改良の問題は、当農林委員会におきましてもしばしば全会一致をもつて、少くとも五町歩程度に切下げまして、五町歩以上の小団地については十分な補助をつけると同時に、融資等の方法によつてこれを促進せよというようなことを決議しているような次第であります。原則といたしまして、小規模土地改良は私は補助をもつてやるべきだと考えております。御承知のように農民のやりますところの土地改良の特徴は、何割かの適当な補助を得るならば、あとは自家の労力をもつてやる。そうしてもしもこれが融資である場合におきましては、数年間かかつてこの負担金の徴収をやるという非常に煩雑な問題がありますが、小規模土地改良は短時日の間にこれをなし遂げることができますから、いろいろそういう将来に累を及ぼすような煩瑣な方法を避けて補助金がもらえるならば、それによつて資材だけは購入する、あとの労力等におきましてはほとんど自家労力によつてこれを仕上げ、長い間かかつていろいろな負担であるとかいうようなめんどうな累をあとに残さないようにやろうというのが、これが農民の実際の心情であろうと考えるのであります。そこで私どもとしては、希望のあるところに対して財政投融資によつてこれをやるということもけつこうでありますが、原則としては補助をもつてやるべきものだ、こういうふうに考えているのであります。いろいろ今日の財政事情によりまして、農林省当局としても方法についてはお考えのことと思いますが、私としては、あくまでこの小集団地に対するところの土地改良も、今までの二十町歩以上と同様な方法をもつてひとつやつていただきたいということを強く要望いたす次第であります。
  70. 川俣清音

    川俣委員 今小団地、小規模土地改良について小枝委員から質問が出ておりましたが、きよう農地局長を呼ぶように再三要求してあるのです。農地局長が出れないなら大臣が代理で出て来いと要求してあるのです。今経審長官が来たからあとまわしにしますけれども、農地局長は最近農林委員会への出席がまことに悪い。あまり出て来れないのだつたら、もうだれかにかわつてもらうようなことを考えてもらいたい。これだけ申し上げてあとは後刻に譲ります。
  71. 中澤茂一

    中澤委員 このごろの予算の概算説明にはないのだが、そこで先ごろ特殊立法——積寒を初め急傾斜、湿田、海岸砂地、畑地、特殊土壤、この六団体が集まつて協議した結果、今までの方式では困る。もうどうしても小団地をやらなければ増産効果も上らないし、うまく行かぬということで、一つの要綱、方針を決定しているわけです。もうこれはあなたの方へ書類が行つたろう。そこでやはり山村僻地で特殊土壤地帯の所得均衡策の面から考えても、どうしてもやらなければいけない。これはもうきよう始まつたことじやないのだ。あなたは三年前から承知していることだ。それをちつともやらないのだ。だからおれに言わせればけしからぬのだ。だが今までのことを言つてもしかたがないから、今度の予算請求の中には、小規模土地改良予算を必ず入れなければならない。これについてあなた予算請求をやる、やらないということをはつきり、どつちか一言でいいから言つてほしい。
  72. 渡部伍良

    ○渡部説明員 先ほど御説明申し上げました通り、私としては出したいというので検討しておるのでありますが、なお省議にかけましてとりはからいたいと思います。     —————————————
  73. 井出一太郎

    井出委員長 引続きこれより農事用電力の問題について調査を進めます。通産大臣が見えておりますので、通告に従つて質疑を願います。芳賀貢君。
  74. 芳賀貢

    ○芳賀委員 通産大臣にお尋ねいたします。最近電力料金の改訂の問題が非常に世上やかましくなつておるわけでありますが、冬期の料金を一本化することによつて実質的には電力料金の値上げになるということは、これは否定される根拠というものはないと思うのです。問題は、電力料金の値上げによつて一般産業等に及ぼす影響、あるいは農産物の生産に対する影響というものは、これは不可避的なものになつて来ると思うのでありますが、そういうことになりますと、今日政府考えておられるところのいわゆるデフレ政策を推進するという面から見ると、非常に背反したようなことになるのではないかということが言い得るわけです。それでそういう基本的な問題に対しては、通産大臣としてどういうような見解を現在堅持されておるかということを、まずお尋ねしたいわけなのであります。  次に、当面の問題といたしましては、二十九年度産米の価格の決定を控えております。もう一つはまた肥料価格の決定等に対しても当面しておるわけでありますが、その場合に、電力料金の実質的値上げに伴うこれらの影響というものを、どういうふうにお考えになつて対処されようとしておるか。まずその点をお伺いしたいと思います。
  75. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまのお尋ねの点に対しましてお答えいたしたいのであります。つきましてはちよつとこの電力料金改訂についての根本的な考え方と、それから過般とりました措置につきましてまず概略御説明申し上げたいと思います。  実は御案内のように、本年の一月から電力料金の値上げの申請が九電力会社からされております。爾来八箇月たつておるわけであります。この電力料金の値上げの問題は現在の公共事業令、これはその後法律になつたのでありますが、この現行法令の建前から申しますると、電源開発等に伴つて電力会社の資本費がどうしても増高いたすわけでございますが、この資本費が増高いたしまする分は料金に割かけるというのが現行制度の建前になつておるのであります。従いまして会社側がそれぞれの立場から申請をいたしましたことは、これはもつともなことだと思うのであります。しかしながらただいまも御指摘のように、政府といたしましては低物価政策、緊縮政策を遂行の途上でございまして、ある程度その効果も上りつつある段階でありますから、この処理につきましては非常に慎重な態度で臨んだわけであります。たとえば第十九国会中におきましても、この資本費の増高のごく一部でございましたが、食いとめるための税制上の措置、あるいは開発銀行の金利の一部引下げというようなこともとりましたし、また政府といたしましては、別途電力会社に対しましてでき得る限りの合理化を要請いたしまして、その間にいろいろの工作をやつてつたのであります。  そこで結論といたしましては、この際年度を通じて、ずつと将来にまで改訂をするということは不適当であると考えましたので、まず来年三月まで、すなわちこれから半年の間は現行料金ベースはすえ置くことにいたしました。しかしながらあとで申しますように、従来不合理であると指摘されておりましたような割当制度を廃止する、従つて料金制度に合理的な調整を加えるということにいたしましたので、来年の三月までにおきましても、現在の料率から申しますると、若干上るものも出て参りましたし、中には下るものも出て参るような結果になつた次第でございます。全国九社の総体の料金収入といたしましては、来年三月まではすえ置きでございます。従いましてその観点から総体的に申しますならば、政府の現在抱懐いたしております基本方針とは矛盾がないというところに結論を導くことができたと思うのであります。  それからその次に来年四月以降の問題でございますが、これは先般通産委員会でも明瞭に政府の態度をお答えいたしたのでございますが、さらに一層電力会社に対して企業努力を求めることはもちろんでございますが、資本費の増高をできるだけ食いとめて、料金を値上げしないで済むように、税なり、金利負担の軽減の措置をその間できるだけ講じまして、来年四月以降におきましては、できるだけ現行の、今度きめましたこれから六箇月分の料率よりも下げるように努力いたしたい。その際に再改訂をいたすということにいたしたわけでございまして、明年の四月以降につきましては、従つて未定ということに相なるわけでございます。  大体の考え方は以上の通りでございますが、さらに詳細の点につきましては、来年三月までの六箇月間における料金制度の合理的な改正について考えるべき点が十余りあるわけでございます。たとえばその中には、一般庶民生活に最も密接な関係のありまする電燈料金等については、東電などの場合におきましてはかえつて下げるというようなくふうもできるだけ凝らすということもその一つでありますが、同時に先般当委員会の御決議もございましたので、その御趣旨にできるだけ沿いますように、たとえば一般並の取扱いをいたしますると、硫安工業用の電力等につきましては比較的影響が大きく現われるのでありますが、これにつきましては負荷調整を内容とする特約制度を実施するというようなことで、その実施の影響を最小限度に食いとめるという措置をとつたわけでございます。それから農事用電力につきましても、この全体の改訂の影響を軽微ならしめるため特別の措置を講じまして、これらは九電力会社の地区により若干の違いはございまするが、いずれにいたしましても、この調整の結果値上げが起りますものにつきましても、できるだけその余波を最小限度に食いとめるような措置を講じたわけでございます。
  76. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの大臣の御説明によりますと、爾今六箇月の全体の料率というものは、平均的に見て決して上昇しない、ただそのわく内においての部分的な差異はあるというような御説明でありましたが、その通りですね。
  77. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは御承知のように、料金制度が全国各社を通じまして一本になつていないものでありまするから、この全体を申し上げることはいささか説明がむずかしいのでありますが、九電力会社全体の料金の収入を今後六箇月の間に比較いたしまする場合は、完全なすえ置きなのであります。ところが各社によりまして、その電力会社個々の事情によりまして、この六箇月の間におきましても料金収入がふえるところがある。そういう部分は、具体的な料金制度に表われる場合におきましてもやはり上ることに相なりますから、一概に簡単に申し上げることはできない複雑な関係になつておるわけでありますが、ただ今二、三の例を申し上げましたようなものにつきましては、上る地域、上る会社におきましても、最大限度の考慮を加えて、上る率をできるだけ軽微にとどめよう、こういうことにいたしたわけであります。
  78. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大体わかりましたが、改訂によつて九社の会社別には今後相当の差異が出るということになると、現在の九位のバランスが改訂によつてむしろアン・バランスになる傾向も生ずるわけですね。
  79. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は二つの点からお考えいただきたいのでありまして、その一つの点は、申すまでもございませんが、過去において電源開発に非常な負担をして、その面において成績を上げたというような地区におきましては、高くなる可能性が多いわけでございますから、その点については御指摘のようなことがいえると思います。しかし第二にお考え願いたいと思いまする点は、偶然の結果とは思いまするけれども、さような地域におきましては、従来の料率が、実額としては他地域に比べて非常に低かつたわけであります。従いましてパーセンテージだけで申しますとアン・バランスが出て来たように見えますが、実額で申しますると、従来の差が詰まつた、こういう点ではむしろアン・バランスがなくなつたということもいえるのでございます。
  80. 芳賀貢

    ○芳賀委員 電源開発の結果が及ぼす影響というものが、その地域の住民あるいは産業の面に結局はね返るという傾向は、電力の開発の公益的な性格から見ると、逆な傾向のように私たちは考えるわけなのです。電源開発のねらいは、やはり豊富な電力を提供する、経済面においては低廉な電力が提供できるというところに帰納しなければならぬというふうに考えられるのですが、今度のその会社ごとに一つの採算の上に立つてやるのだというようなことは、むしろ逆な傾向であるということがいい得ると思うわけですが、そういう場合においては、たとえば具体的に農事用の料金あるいは硫安の一つのコスト要素になるところの電力料が、地域別にかわつて来るということがいい得ると思いますが、その点は先ほど言われたごとく、硫安産業の合理化等の措置としては、現行より上げない、あるいは農事用の電力においては、かつて委員会指摘通り、そういう心配はないということが各社別にもいい得るわけですか。
  81. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点はごもつともでございます。先ほど冒頭にも申しましたが、現行制度でやりますと豊富低廉とはいえないのでありまして、ある建設の途上の期間におきましては、どうしてもそれに対しての資本費がかかりますから、開発をすれば、現行制度のままで行きますと、これは料金にはね返つて参ります。それでこの不合理をできるだけ早く調整いたしたいというので、先ほど申しましたように、さらに税制なり金利の面なりから、公共的の性格のものでございますから、調整措置を講じたいということをあらためて考えておるようなわけであります。  それから硫安のコストの問題、農事用電力の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり地域によつて多少の違いはございますが、なべてできるだけこれを押えつけたということに相なりますから、この面におきましては、各社別のコストに及ぼす影響は比較的なくなつたというような姿にいたしたいと思つております。  なおつけ加えて申しますが、硫安の価格等につきましては、肥料審議会等においても御審議をいただいておりますが、そこに提案した政府の諮問の原案というものは、実は電力料金の方がきまらない前でございました関係もありまして、織り込んでないのであります。しかしこのためにその価格が上るようでは困ると思いましたし、たまたま当委員会の御決議もございましたので、これは今出しております政府の諮問案の中で、かりに上げても吸収ができる程度のものに押し込めたい、こういうふうに考えておりますから、今回の改訂に伴つて政府の原案をかえる意図はないのであります。
  82. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま大臣は、肥料審議会に対する問題に若干触れられましたが、あの場合の昭和二十八会計年度における生産費一覧表、それから二十九肥料年度の生産費一覧表等のコスト要素等を見ると、二十九年度は電気関係の原単位が若干上つておるように考えられるわけであります。肥料二法案を審議した場合の大臣の御言明によつても、硫安の合理化の線に沿うためには、そのコストの主要部分を占めるところの電力料等の問題に対しては、最善の配慮をするということを言われておるわけなのです。それと同時に電気産業の場合においても、生産性が上昇しておることを考えた場合、それによつて原単位が結局改善されるということは理論的に言い得るわけでありますが、それにもかかわらず、若干ではあるけれども電気の料率が上つておるということになると、結局料金改訂の上昇率をその中にもうすでに見てあるのではないかというようにも察知できるわけです。これは今継続されておる肥料審議会等においても、結論を出す場合においては重要な点になると思いますので、もう一度この点を明確にしていただきたいと思うわけであります。  それからもう一つ農事用の電力の場合におきましては、今までの傾向としても、基本料金と、それに従量制を合せたような形で徴収されておるわけです。ここに小口需用の重圧が非常に感ぜられるわけなんです。やはり電気料金の改訂をやるような場合においては、かかる修正すべき点は同時に修正された方がよろしいのではないかというふうに考えるわけですが、この二点をあわせて御解明を願いたいと思います。
  83. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その前段につきましては、私は電力料金のコストを上げて計算はいたしてないつもりなのであります。ただ、これはもう少し御疑念の点をこまかく伺いますとおわかりいただけるかと思うのでありますが、今そういう御意見が起るゆえんのものは、あるいはこういうことではないかと私思うのです。二十八年度は御承知のように非常な豊水でありました。従つて電気の原単位は安かつたのでございます。その関係だけを比較すると、二十九年度は普通の平水ベースでやりました関係で、あるいはそこに若干の高騰があつたのかと思いますが、料金の方を上げるということは、私はいたさなかつたわけであります。その点は前国会以来私の申し上げておりますことを、できるだけ誠実にその線に沿うように納めたつもりでございますから、御了承願いたいと思います。  それから農事用電力についてはごもつともでございまして、今回の制度の改訂にあたりましても、各方面からの要望もございましたし、国会のいろいろの御意見も十分尊重いたしまして、特別料金という制度にいたしまして、しかもその制度をできるだけ簡素化して、できるだけわかりやすくするようにして需用家の負担の増加を極力来さないようにするとともに、制度上も簡明な制度にするということにつきましても努力をいたしたつもりでございまして、従来のような複雑な関係で、値段がどういうふうになつておるのか明確を欠くようなことは避けた方がよろしい、こういうふうな趣旨で改訂率をきめたような次第でございます。
  84. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの御説明によりますと、二十八年度は異例であるということがいえるわけですね。特に豊水年次であつたからこれは特殊に考えなければならぬというような御説明でありますが、ちようど大臣は経審長官も兼ねられておるので、たとえば白書の内容を見ても、二十五年以来の電力の生産性というものは一定の方向に向つて上昇しておるわけなんです。ですからそういう傾向から見ると、二十八年度だけが特殊であるということもあながちいえないのではないかというふうに考えるわけですから、問題の中心点は、今年の硫安のコストをきめる場合においても料金の改訂によるところの値上り分というものは、絶対織り込まぬ、原則としてもそうであるし、実施面においてもそうであるということの御確認を願えばそれでいいわけであります。  それから農業関係の場合は、電気料金が上るということになると結局パリテイ指数にもはね返りが来るわけです。昨日の農林当局の説明によると、八月のパリテイは一二〇・四になつてつて若干下つて来ておるわけですね。これが真実であるとすれば、ある程度低物価政策というものが徐々に一つの実効を現わして来ているというふうにも考えられるかもしれませんが、それが今後また電気料金の実質的な農業生産の面におけるコスト高ということになつて来ると、またパリテイが上るということになるので、今年度の米価をきめる場合においても、結局八月パリテイが基本になるということはいえるわけです。ですからそういう面から来る影響というものを、これはやはり政治的にも政策の面においても十分慎重を期してやつてもらわなければならぬというふうに考える。特に大臣は、今年の政府の米価決定に対する傾向というものを、低米価を明確に、数字も何も抜きにして打出すという意図がはつきりしておる。そういう中において、逆に電力料金を農事用の面において上げるというような傾向は厳に戒めてもらわなければならぬと考えるわけですが、今の御答弁によると、そういうことはまつたく危惧である、各九社の地域内においてもそういう状態は起さないということを当委員会において確言していただけるとすれば、幸いであると考えます。
  85. 愛知揆一

    愛知国務大臣 率直に申し上げまして、前段のお尋ねしに対しましては完全に確認申し上げます。それから後段の点につきましては、先ほど申しましたように、できるだけ最小限度にするべく努力をいたしたわけであります。特約の認可等によりましてできるだけ少くいたしますが、一分一厘も影響がないというようにはちよつとできないと思います。そういう趣旨で御了承願いたいと思います。
  86. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣の良心というものは私は前から認めておるわけなんですが、結局政府は明確な根拠がなくて米価を下げようとしておられる、そういう場合において、低減される米価の中において、結局一分でも生産費の方にコスト高になるような傾向が生ずるということは、これは政府の責任において避けてもらわなければならぬということは御了承願えると思うのです。ですから米価を下げるという方針を政府が堅持しておられるという場合においては、政策の面においてもかかる傾向はまつたく排除するということが、確約せられない限り、ただ弱い者に圧迫が来て、ただデフレを強引に進めるために米の値段さえ下げればいいんだということでは、これは論理が成り立たぬと思うので、その点をさらに愛知通産大臣から明確にしていただきたいと思うわけなんです。
  87. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この農事用電力の料金の問題は、ただいままでお答えいたしました通りなのでありまして、ざつくばらんに申し上げておるわけでございますが、同時に、ちようど大蔵大臣もお見えになりましたけれども、やみくもに米価を下げようというのが政府の意図ではないと私は思うのであります。これは具体的に、たとえばパリテイならパリテイの下つたものは下つたものとして、また中に要素として上つたものがかりにあるとすれば、これも計算の際十分取入れるべきである。やみくもにただ米価だけ下げればいいというふうに政府として考えておるわけではないと私は考えるわけでございます。それからただいまのいろいろの御意見あるいは御要諸等につきましては、この上とも十分誠意をもつてお答えいたしたいと思います。
  88. 佐藤洋之助

    佐藤(洋)委員 愛知大臣が見えておりますから……。実はこの電力の問題は、三月二十一日に初めて当委員会で取上げまして、そうして決議をいたしたわけです。その当時は御承知の一割四分四厘、ちようど九社の赤字が二百四十三億で、それが一割四分四厘ににらみ合せるというのですが、今お話の資本費が六五から七〇くらいになつておりますから、やむを得ずそういう赤字が出て来るということで、それに対する方針として、あなたの方でできるだけ合理化する、開銀の利息も一分下げましたね、それから税金措置もする、それから経営の合理化ということで、六分八厘まで第二回は落ちたわけです。御承知のように第一回の電力料金の計算の場合においては、一割四分四厘というものは、ちようど灌漑排水など関東では平均が八割二分になる。それは使用料、超過料、それから契約電力料、この三つに計算して行きますから、その結果非常に高率になつて来るのです。それで安いところでも四割五分になるという驚くべきことなのです。日本全体で電力料金は、灌漑排水として約七億ばかり上つておるわけです。そういう非常に大きな問題で、これがすぐ、今芳賀君も言われたようにパリテイになつて米価に影響して来るわけです。それに対してできるだけ省の方で処置をしてくださつて、今日の段階までしてくださつていることは、私は御労苦に対して非常に感謝するものであります。御承知の電力料金というもの、ことに農村の電力は季節的のものですから、そういう点を多分にお考えつて、ひとつこれはできるだけ防除して、上げないような方向に持つてつていただくということは、私は過去の三月二十一日の決議をやりましたものですから、そういうようないきさつから一段とお願いしたいと思う。ことにあなたは経済審議庁長官をなさつていらつしやる。私は実はこの間利根川の水系を見て参つたのです。昨年見まして今年また水系を見て参りました。それで今年利根川の奥の須田貝の発電所を見て参りましたところが、鈴木という所長の説明にいわく、この発電力は一キロワツト十五万幾らかかるのです。あの手前の幸知という所の発電所は、去年行きましたが、一キロワツトの発電力が十三万円で済むのです。それが須田貝のは十五万円かかる。十五万円かかるといわゆる所要の資本費というものがかさんで参ります。過去においては二十五、六パーセントで済んだものが——それは一キロワツト三百円から四百円のときで、今日の段階になるとおそらく六五%の電力資本費では追いつかないのではないか、そうするとこれはもうほんとうに合理化するかあるいは政府が強力なる救済の手をのべてこれをやるか、さもなければそういう高率なる開発計画は、一応見合せるかということによるよりほかないと思う。実はこのたび三日ばかりわらじばきで歩いて来ました。昨年も五日ばかり尾瀬ケ原へ行きまして、いわゆる多目的ダムを視察して参りました結果、どうもそういう多額な開発費をかけることは考えものじやないかとも考えますので、特に審議庁の長官であるあなたにこの点も御考慮願つて、そしてすぐ米価に及ばないように、あるいは硫安に及ばないように適当なる処置をお願いしたいと思いまして、この機会にこれだけを申し上げておきたいと思います。
  89. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いろいろとありがたいお言葉をいただきまして恐縮にたえないところでございますが、先ほど来申しておりますように、この上とも、こういう方向ではね返りができるだけ少くなるということにつきましては、誠実にあらゆる努力をいたしたいと思います。
  90. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま、パリテイが上つた場合には当然それは米価の中に認めなければならぬというお話がありましたが、たとえば昭和二十八年産米の場合も、パリテイが上昇して二百三十二円の追加払いをしなければならぬわけです。これは閣議決定生産農民に約束しておる。それさえも今日まだ支払いをしておらぬということになると、これは現在の政府の意図と実践が非常に食い違つておるように考えますが、こういう矛盾に対しては、通産大臣はどう考えておりますか。
  91. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私はこれからきまる米価につきましての心構えを申したつもりでございます。その点につきましては、ただいま農林、大蔵両省が中心になりまして、できるだけのデータを集めて、もう近く結論が出ることになつておりますが、そういう方向で結論か出るものと私は考えております。
  92. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この機会ですから、ちよつとお尋ねしておきます。肥料の価格をきめる場合、法の十三条の二項と思いましたが、生産費が基準になるのはもちろんでありますが、それにたとえば国際価格であるとか経済事情であるとか、そういうものを一つの参酌要素として加味することになつておりますが、現在審議しておるこの二十九肥料年度の販売価格の内容に、この参酌要素が入つておるかおらぬかということを、一応農林委員会の席上において大臣から伺つておきたいと思います。
  93. 愛知揆一

    愛知国務大臣 参酌要素は、これは今まで御質疑のありましたような点と違いまして、数字できちつと表わすことがなかなかできないのであります。申すまでもございませんが、私どもあの案をつくります場合においては、国際情勢、価格等も相当考えてつくつたつもりでございます。法律の第十三条二項をそのままできるだけ誠実に、かつすなおに数字に表わすように努力をしたつもりでございますが、どの要素が何パーセントか、何円になつておるかということについては、事柄の性質上ちよつと私も申し上げかねますし、また実際作業をした経過から申しましても何でございますが、これは文字通り十分参酌をいたしたつもりでございます。
  94. 井出一太郎

    井出委員長 長川俣君。ちよつと申し上げますが、大蔵大臣も続いて見えておりますので、動力用電力の問題はなるべく簡潔に願います。
  95. 川俣清音

    川俣委員 簡潔にしたいために続いて三点ばかり申し上げます。電力料金の問題について問題になります点として、日本の電力会社の発電能力、稼働率が十分でないという点がだんだん出て来た。これは水源地の荒廃が稼働能力を低下させている、それで電力も高くついておる、こういうふうに見られるのでございます。どうもつくられるときに稼働能率がどの程度になるかという水源地の調査なり、将来の荒廃の程度についての研究の足りないために、結局やつたしくじりを消費者にかぶせるというような結果になつているということが明瞭になつて来たと思うのです。計画当時の能力と実際の能力が非常に違つて来たということは、発電所建設工事自体のミスでなくして、むしろ水源地自体から起つて来るところの低下のようであります。そういうことになりますと、水源地の培養といいますか、その点について十分認識が足りないのではないか、その認識の足りないのを消費者側にかぶせなければならないということについては、これは通産省の指導が悪いのじやないか、これが一点です。  第二点は、大体法律に基いてコスト主義をとるというのだから、原則的にはこのコスト主義を認めて行かなければならないというお立場のようでございますが、それでは、他の、電力以外の場合において法律上コスト主義をとつている場合におきましては、やはり同様にお考えにならなければならないのじやないかと思いますが、この点については経審長官としての御答弁を願いたい。  第三は、今度の硫安の価格につきましては、電力の値上げをコストの中に見ていないけれども、今度政府案として出しました八百二十八円で値上り分を十分吸収できるというお考えだということでございますが、その通り了解してよろしいかどうか。この三点です。
  96. 愛知揆一

    愛知国務大臣 第一点のこの稼働能力の問題、それから水源地の調査の問題、これはいろいろ御懸念もあり、あるいはいろいろ現在論議があるようでございますが、通産省といたしましても、こういつたような御批評に対してはそのまま誠実に取上げて、大いに対策を練らなければならぬと考えております。その一つといたしまして、水源の状況調査のために通産省としても水力調査に関する予算的な措置ども考えなければなるまいと思つておりますし、電源開発会社を初め九電力会社等の事前の調査ということについては、できるだけの力を注がせようということで、先般来あらためて指導いたしておる次第でございます。  それから第二のコスト主義の問題でありますが、これは先ほど申しましたように、この現行法令のもとにおける電力料金に対してのコスト主義というものは現在守らなければならない。しかし同時に経審の立場といたしましても、これはできるだけ下げなければならぬ、あるいは多少これは言い過ぎかもしれませんけれども、このデフレ政策進行途上においては、コスト主義の名において許される範囲内ぎりぎりのところで多少政策的なきめ方も必要であろう、こういう考え方であのような結論を出した次第でございます。  それから第三番目の点は、実はこれも率直に申しますが、非常に微妙な点なのであります。われわれは——これはメーカーの方から怒られると思いますけれども、軽微なる値上げにとどめたいと思います。この程度なら何としても無理押しをして吸収をしてもらいたい、こういう態度で貫徹いたしたいと私は考えております。
  97. 川俣清音

    川俣委員 三点のうちで、二点については時間がないから他の機会に譲りますが、第一の点については、建設費というものは非常に莫大な費用についておる、これが値上げのおもなる理由になつておる。ところが土木事業が今日のように衰退しておりますと、日本の全体の土木業界が建設の大きいことを望む点もありますし、また会社といたしましても、最大能力をとりたいというところから、実際の水源地を検討しないで、あるいはしましても、それを過大に評価いたしまして、過大な建設をいたしておるという実情である。これはあなた方の方で、最初に発電能力を計算いたしまして申請しました場合と、実際の能力との間に非常な開きのあることは現に御存じの通りである。その過大な建設をしたものを会社自体において十分検討をしないで、過大に資本を投じて、建設費用あるいはその金利を全部消費者が負担をしなければならないということは、こういう公益事業だけに十分これは監督しなければならないと思うのです。ところが大蔵省も経審も、他の小さい事業については、かなりやかましく検討しますけれども、こういう事業につきましては、実はやや粗略であると申しますか、検討が足りない点があるのじやないか、このために一般物価に及ぼして来る影響についてのみやかましく言いますけれども、最初の建設計画自体について、非常に粗略でないか、ここにもう一度はつきりしたことを伺いたい。
  98. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点はまことにごもつともな御意見と思いますが、従来、当初の計画よりも非常に過大な工事を施行して、そのために一般大衆に迷惑をかけたというようなことはないと私は思いますけれども、電力開発は、今後なお大いにまだ進捗しなければならない途上にあることでもございますから、先ほど申しましたように、水源の調査あるいは工事施行前における調査等について、徹底的に念を入れてやるようにいたしたい。  またその事後の監査等につきましても——私は電力会社だけに甘くしておるつもりは毛頭ございませんが、なおお話のような点もございますから、監査等につきましても徹底的にやりたいと思つております。実は、ちようど一月ほど前になるかと思いますが、通産省の省議といたしましても、監査について、ひとつ徹底的にやろうじやないかという申合せを省内でもいたしたような次第でありまして、具体的に実行を進めて参つております。
  99. 川俣清音

    川俣委員 時間がございませんから、この問題については別の機会に両大臣に——小笠原さんは外遊されるようでありますけれども、留守ではありましても、この点については別な角度から、資料を持つて意見を闘わしたいと思いますから、十分他の機会を与えられるようお願いいたしたいと思います。     —————————————
  100. 井出一太郎

    井出委員長 引続きこれより米価問題について議事を進めます。  本委員会は本年産米の価格問題について、先般来種々調査を進めて参りましたが、本日は大蔵大臣の出席がありますので、財政当局に対して本問題に対する考え方について質疑を行うことにいたしたいと思います。  ついては、大蔵大臣より今日の段階では懇談会の形式にしてほしい、こういう申出がありますので、さようとりはかろうに御異議ありませんか。     〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  101. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと速記をやめて。     〔速記中止
  102. 井出一太郎

    井出委員長 速記を始めてください。  質疑の通告があります。逐次これを許します。金子與重郎君。
  103. 金子與重郎

    ○金子委員 あしたの懇談もあり、いろいろ数字的な問題に対しては、そういう関係もあるということでありますので、大臣に食糧管理、ことに米の監理に対する大蔵省の見解に属するような面だけ、二、三お聞きしたいと思うのであります。  第一番には、近く大臣は外遊に出られるように承つておりますが、まだ主管である農林省の側と大蔵省の御意見とが、大したことはないようでございますが、基本的な考え方に対しては相当大きい開きがあると私ども見ております。あなたが外地に立たれる前に、それをおきめになるおつもりでありますかどうか。
  104. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私のは外遊でなくて、世界復興開発銀行及び国際通貨基金の年次総会へ加盟各国が出て行くので、私も大蔵大臣として出席する次第で、一日もどこかで遊ぶという時日はございません。会議へのみ出席する次第でございます。それから今のお話でございまするが、だんだん日も接近して参つておりますので、もちろんこの両三日中に話はまとまるものと私は考えておるような次第でございます。
  105. 金子與重郎

    ○金子委員 そのまとまるというのは、大蔵省の案の方へ近くなる意味でまとまるという意味ですか。あなたの方も大分手がたいようでありますが、だんだん両方から持ち寄つて行くという意味なんですか。金額は触れなくてもけつこうですが、そのお考えはどうなんですか。
  106. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 もちろん私どもは、私どもが主張していることの貫徹を期しておりますけれども、もののまとまるときには双方不満足なうちにまとまるのじやないかと実は考えております。
  107. 金子與重郎

    ○金子委員 これは若干私の主観もまじつているかと思いますけれども、今までの大蔵省の米の管理のあり方あるいは米価のきめ方等を、いろいろの角度から見ますと、あくまで財政ということ——これは重要な問題ですから、それにとらわれることはもちろんでありますけれども、むしろ米の生産に対する政治的考慮あるいは経済全般ということよりも、財政というものだけが非常に強く出ているような感じがいたしますが、ことしの政府の米の確保、ひいては現在都市における配給量は、国家管理していることの名目にそぐわないようなわずかな配給しかしておらないのであります。これは将来どの程度まで持つて行こうとする意図でありますか。
  108. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私どもが衷心からこいねがつていることは、食糧のことでありますし、それが多く増産されて、今の不自由な配給でなく、できるだけ配給量を増加することでございますけれども、私どもはいかなる場合でも全般の経済情勢、また日本の置かれている財政状態について、十分な考慮を加えなければならぬと考えております。
  109. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいまの質問のしまいの方にありましたように、具体的に考えたとき、二十八年度の供出量と配給実績、一方においてやみが非常に多く流れている。これは二十九年度の計画としてどの方向へ持つて行こうとしているか。
  110. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 大蔵省といたしましては、収量は多いことを希望しておりますが、しかし集荷量が価格のみで多くなるかということについては、まだ多少の検討を要する問題が残つていると考えております。
  111. 金子與重郎

    ○金子委員 その次の問題になりますと、現実に大蔵省の出している価格の原案のとり方一つ一つに対して検討しないと、私どもにはそれに対する理解がつかないのですが、要するに大蔵省としても、統制している以上はできるだけ多くの供出を要望するし、同時にできるだけ大きい配給量を持ちたい、こういうお話で、あなたのお考えがそうであるとすれば、そういう意味において後ほど数字の問題で検討させてもらいたいと思つております。  次に食管会計のあり方ですが、今の食管会計は外麦の全部を国家管理いたしておりまして、内麦も最低価格を指示して買入れている。従つて消費者あるいは生産者の方から考えたときに、麦の方は一応直接統制は解いた形になつて、米だけに限つております。しかし一方米の統制というものは強権のもとに管理しているはずでありますけれども、実質的にはほとんどやみが公然のような形になつて、直接統制しておらない麦の方が、内地生産に対して、結果としての国家に管理されるパーセンテージが非常に多い実績が上つている。そして直接管理している米の方が低いという結果が出ているのであります。そこで問題になるのは、外麦の方が最近内麦よりも非常に割安になつておりまして、米はまだ遺憾ながら外米の方が高い。こういうふうに両者に矛盾した問題があるのであります。そこで会計の考え方といたしまして、外麦の配給から来る、ことに食管会計の中で生れて参ります利潤を、外米の方が高いために補給金を要する、そういう点を一本のものとして流通さして行つて、一方の利益を一方にカバーして行く。そうして米価政策にできるだけスムーズな結果が現われるようにすべきではないか、こういう考えもあるのでありますが、その食管会計の運用の仕方に対して、どういう方針をとろうとしておりますか、私が今例に指摘した点を御説明願いたいと思います。
  112. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 多少所管外のことでありますから、あまり批判的なことはいかがかと実は考えますが、しかし大体は外麦の益というものが外米の損と相殺する建前になつていることは御承知通りであります。しかしなおかりに外麦の方の利益がよけいありますれば、やはりそういつたものについては麦の価格を安くすべきがほんとうじやないかと私は考えております。
  113. 足鹿覺

    足鹿委員 関連して。通産大臣は経審長官も御兼務になつているわけであります。この際米価問題に関連をして、ごく簡単にお尋ねをいたしたいと思います。国民所得の上において占める農業所得がきわめて微々たるものであることはよく御存じの通りでありますが、単に人口構成においては四六%を占めている農村が、所得の面においてはわずかに一七%余りしかないというのが現状で、個々の農家をとつてみれば、貧富の差もありましようし、いろいろ事情はあろうと思いますが、全体としての農村の事情は今申した通りであろうと思います。これはいろいろな原因があると思うのですが、たとえば一番端的な農村の産業である米の価格の決定については、経済審議庁は今大蔵、農林当局がいろいろ折衝しているものを拱手傍観して、広い見地に立つた今私が述べたような国民経済の上における農民の地位というような見地から、大きくこれを把握して解決に対処される御意思があるのかないのか、これが第一。  そういう点から考えてみますと、先刻同僚芳賀委員から、電力料金の値上げが肥料その他に及ぼす影響等について御質問があり、これに関連して、最近の傾向は、鉄道運賃の値上げがまた問題になつている。また東京都においては都バスの料金引上げがすでに考えられている。これに次いで水道、ガス等も一斉に値上げが具体的に進められつつあるというふうに私どもは聞いているのでありますが、特に本年産の米価の決定にあたつて、一般情勢の、こういう基本産業なり独占産業について値上げの傾向を不問に付しておき、しかもその値上げの根拠はすべてコスト主義である。ひとり米価のみについてはパリテイに政治的腰だめを加えて、現在各種の奨励加算金の織り込みの問題、あるいは早期供出の問題、いろいろな問題をも含めて、今激しい農林、大蔵両省間の折衝になつておる。どう考えてみても私どもは納得が行かない。私どもは別に農林委員会だから農民の味方をするというような、そういう狭い量見ではない、時間のお許しを得ればもつと申し上げたいのですが、りくつになりますから……。一体こういう米価論争、しかも農民だけがデフレの圏外にあるというような大蔵省は見解を持つておるらしい。そういうときに、経済審議庁は黙つておられるということは、まつたく資料がないのか、所見がないのか、あるいは通産大臣としては、電力料金等の値上げをほぼこれを肯定し、進んで突破口を開かれれば鉄道運賃、都バスその他の独占産業の値上げも続いて行われようというときに、米価問題に対しては一体どのようにお考えになつておるのか、この際経済審議庁の長官として、かつ通産大臣として、所管の各独占産業の値上げ傾向というものに対して、いかような御所見を持つておられるか。前者と後者二点についてこの際伺つておきます。
  114. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一の、これだけ大事な米価問題に当面しておるのに、経済審議庁は手をこまねいておるようだがというお話でございますが、決して手をこまねいておるわけではございませんで、経済審議庁としてどう考えるべきかということについては、もちろん腹案も用意いたしております。ただこれは率直に申しますると、相なるべくんば、農林省大蔵省との間で話がまとまれば一番よろしい、しかもそのまとまり方は現在私どもが見ておりますところでは、経済審議庁がひそかに考えておるような立場に両方とも歩み寄りつつあるように見受けておる次第でございます。先般の麦の価格の問題等につきましても、両省からいろいろ意見を求められ、またいよいよという場合の裁定というようなことも求められておつたのでありますが、円満に妥結ができたわけでございます。今回の米の価格につきましては、昨年等の経験に聴しましても、今年は円滑に早急に私はきまると見ておるわけてございます。  それから第二点のお話はまことにごもつともでありますが、私はこういうふうに考えております。たとえば電力料金の値上げにいたしましても、先ほど申し上げましたように、コスト主義の原則からだけ言つて、それだけを固執して参りますならば、ここ数年間の一つのコスト主義から割出した料金というものをきめるべきであつたかもしれません。しかしこれは先ほど申しましたような事情で、とりあえず来年三月までは全体としてはすえ置きという線を出しましたし、それからただいま御指摘がございましたが、たとえば東京都電の問題のごときは、御承知の料金制度が改正になると、自動的に電気税というものが廃止になるのでございます。その両者を合せまして、東京都電には電力料金の改訂は何らこれを値上げの理由とすることにはならないのでありまして、むしろ数字の上からだけ言えば値下げしてもいいような様子になるのであります。もちろんこれは経営の内容その他から申しまして、値下げということはできないでありましようが、少くとも今回の電力料金の改訂は、都電の料金値上げの口実には絶対にならない、むしろ逆になるように相なつておるわけであります。同様のことが上下水道についても言えるわけでございまして、これらの点につきましては、たまたま私個人が経済審議庁を担当いたしておりまする関係で、できるだけ総合的な立場から物価政策というものについての配慮をいたしてきめたつもりでおります。そういうふうな気持から米価の問題につきましても、私といたしましての意見は、十分に用意は別途いたしておりますけれども、まだ申し上げる段階ではないようであります。こういうふうな状況でございます。
  115. 足鹿覺

    足鹿委員 ひそかに考えておつたところに今両者の話合いがだんだんついて行くという御答弁でありましたが、どういうことでしよう。ひそかに考えておつたということは、もし万一のときには調停にでも乗り出そうとこういう腹であつたが、だんだんそこへ来たからまあ内心胸を休めておる、こういうことでございますか。そうした場合に、あなたがひそかに考えられておつたということは、具体的に言いますとどういうことでございますか、それが今私が前段に述べたような、いわゆる人口構成において四六%、国民所得の面における農業所得がわずかに一七%というものなんです。それは昭和二十七年度における実情ですが、二十八年度もそう大差はない、ところが現在妥結を見ようとしておるのは、昨年産の農家手取りよりも相当額これを切り落して話を妥結せしめようとしておる、それは要するに農家がデフレの圏外にある、従来農家の生活水準は戦前に比べて一〇%も上つたんだ、こうようなきわめて恣意的な考え方に基いて、いわゆる農業所得の削減論というものが大蔵省を中心にあることはこれは周知の通りです。そういうものから出発して、経済審議庁も農民の所得をデフレ政策にのつとつて昨年よりも何パーセントか減ずべきであるという考え方に立つて、とにかく現状維持も増加もいけないのだ、現状以下にこれを抑えるべきであるということで、ひそかにお考えになつてつたのかどうか、私どもはそれを聞いて意外千万に思う。経済審議庁たるものはそういうことを考えるものなんでしようか。第一農民がデフレの圏外にあるという前提に立つて考えになつておるということは、これは大蔵省考え方とほとんど同様な考え方であつて、正当な考え方ではないのではないか。何をお考えになつており現在どの方向に妥結してあるか私どもは一向わかりませんが、そう長官がお考えなつた場合に、一体どの程度昨年に比して米価に基く農業所得が増し、従つてデフレの進行を阻止するんだと、こういうことになるのでありますか、問題は差迫つておりますので、ひとつその点の御見解を承りたい。
  116. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申しましたように、また大蔵大臣からも先ほど言われましたように、非常に差迫つてはおりますけれども、まだ私どもの端的な考え方を申し上げる時期ではないと思いますので、具体的に数字についてお答えすることはできないのであります。  それから農民の所得の問題でございますが、これは確かに御指摘のように、人口の構成と国民所得におけるいわゆる農家の所得との関係は、いわば全体として相当なアンバランスであるということは私もかねがね承知をいたしておるところでありますし、この問題は恒久的ないろいろの考え方が必要かと思います。  それからデフレの圏外にあるやいなやということについての私の見方は、率直に申しまして都会の中小商工業あるいはそれらに従事しておる人々よりも、一般的に申しまして農家に対する影響度は少いと考えます。きようは十分の時間がございませんが、資料によりまして御説明申し上げることができるのでありまして、少くとも当面のところは、総体的に言つてデフレの影響度を受けることが少いと言えると思うのであります。しかしながらきわめて最近の状況、たとえば先月から今月へかけての状況等から見ますると、その幅が漸次多少縮小する傾向にあるということは、裏から言えば農家にもある程度にデフレの影響が及んで来ておる、そういうことは最近になりまして多少現われて来ておる現象のようでございます。私の申し上げたいと思いまするのは、先ほども四六%と一七%というようなことを今回の米価の決定に際して漸次この差を詰めて行こう、農家の所得もどんどん大きくして行こう、そういう観点からだけでは私は当面の米価というものを見るべきではない、こういうふうに考えますが、ただこの点は、遺憾ながら具体的な数字としてはまだ大蔵省の方かうも御説明ができないような状況でございますから、私の方もその点につきましては、的確な御回答が本日のところはできませんことを御了承願いたいと思います。
  117. 足鹿覺

    足鹿委員 何しろ時間がございませんし、また経審長官にあまりしつこくお尋ねするのもこれは筋違いかと思いますが、元は米価はあなたの所管でおやりになつてつたので、そういう趣旨から御関心があろうかと思つて今申し上げたのですが、米の価格の決定並びに算定方式について、先刻も申しましたように、独占産業においては、その産業の形態なり業者がきわめて少数であります。あなたが今一番力こぶを入れておられる肥料にしても、十四メーカーの十七工場というきわめて限られた数ですから、コスト主義で行けば——コストが正確か否かは別として、これは一応すぐわかる。その他にしてみましたところでコスト主義によらざるところはない。ひとり農業の問題、特に農産物の大宗である米の価格をきめるときにあたつては、われわれが従来長いこと主張しても、パリテイが一番いいのだ、なるほどこれは、利害損得は別として、インフレ期において物価の上昇傾向をたどるときには、あるいはパリテイというものも若干その欠点が補われるときもありましよう。しかしデフレ化の段階をたどつて物価が下降線をたどる場合においては、資本の回転率もおそい、春仕込んで秋あるいは冬に収穫するというような原始産業の農業が、どのような影響を受けるかということは、これは明白である。もともとパリテイ自体は、生産力にも豊凶にも気象条件にも何らの関係のない、これはきわめて均衡方式にのつとつたものでありまして、問題にならないのです。私どもはやはり他の産業並に生産費方式をとるべきだ、こういうことを言つてつたのだが、業者が多くてそれはできないのだという政府の今までの一貫した考え方なのです。しかし業者が多い少いは別として、国の基幹産業であるということには間違いありませんが、他産業についてはあくまでもコスト主義を貫き、農産物についてはあくまでもパリテイを基礎としたところの若干のおまけ政策をくつつけたパリテイ方式で、政治的米価で今後も貫いて行くことが、経審長官としては妥当であるとお考えになつておるかどうか。これは他の産業並にコスト主義によつて貫かるべきであると考えられるかどうか、この点をお伺いいたしまして、お急ぎのようですから、これで終ります。
  118. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私は米価については、先ほどもちよつと申しましたが、現在におきましては、やはりパリテイというものが相当重視されて考えられなければならないのじやなかろうかと思います。ただいまも御指摘がございましたが、他の工場の数が少く、会社の企業形態なども少い場合におきましては、生産費というものも相当入念に調べることができると思いますけれども、この点については諸般の条件も違いますし、これはなかなか困難なことで、どうしてもこれはある程度恣意的にならざるを得ないのではなかろうか、こういうふうに私は私見としては考えております。
  119. 中澤茂一

    中澤委員 経審長官にお尋ねしますが、今足鹿委員も言われたように、五兆八千億の国民総所得の中で、人口が四〇%、しかもその所得率は一七%、約九千五百億前後、これが農業所得の全体です。農業所得の全体がこうありながら、不均衡を認めながら、どうして一体生産費原価方式がとれないのか。ただデフレ政策に藉口して——そういうことはわれわれ農民の立場から言えば絶対許せないのであります。本日も重大な決定農民団体がやつておるのを御承知と思います。もし今のような米価算定方式をとるならば、本年度の供米はストライキをやるということを、本日農民十数団体が、協同組合がその決議を先ほどやつております。事実今度は農民はストライキをやりますよ。これはしつかり考えておいてください。じようだんにやつておるのではないのですから……。一体そういう責任はだれがとるのか。大蔵大臣はこれに対してどう考えるか。  それから、これについて経審長官は、あなたのところで出した統計で、農民の生活水準が都市に比べて一二〇%上つておるということですが、総合所得の少い中から一体どうして生活水準が一二〇%上つたか、その根拠を明らかにしていただきたい。
  120. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一に、デフレ政策だから、その点からいつて米価をしやにむに押えるという考え方は私はとるべきでないと思います。これはただいままで申しましたが、たとえばできるならば生産費というものを尊重すべきだと思うのでありますが、これは少くとも現在の日本状態におきましてはやはり恣意的にならざるを得ない。客観的な基準というものは事実上なかなか発見できないのではなかろうか。そうすれば私どもとしましては、パリテイというような相当長く慣熟した制度がありますし、また最近におきましては、麦においてもこれを中心としてきめたわけでありますので、私はこれを尊重して参りたいと考えております。  それから一二〇%所得水準が上つておるということは、これは非常に苦心をいたしましてこまかく検討して積み上げた結論でございまして、きようは時間がございませんので何でございますが、別途詳細に積算の基礎を御説明することができると思います。
  121. 中澤茂一

    中澤委員 それは経審長官、私に言わせれば政治的積上げ数字です。実際は農家の生活水準が都市に比べて一二〇%上つたという統計の基礎がでたらめなんです。そのでたらめの基礎は、一つはパリテイの基礎になつておるところの昭和九年から十一年というものは、あの農業恐慌によるパニツクによつて農村が一大不況に巻き込まれた年なんです。まだそれが回復しない年なんです。だからパリテイ計算の基礎の深川の精米相場の二十七円十六銭という非常に安い価格を基礎にしておる。パリテイに三つのインチキがある。パリテイ論争をやればこれは議論になりますからよしますが、大体そういうところに一つ問題があるということを大蔵大臣によく考えておいてもらいたい。とにかく大蔵省は、農民の生活水準が上つたのだから米価を押えるのは当然だという考え方で、今盛んに米価を押えようとしておる。われわれも別にデフレ政策に反対するわけではない、賛成なんだが、その社会的均衡が問題なんです。生産者の農民にだけしわ寄せして、あとはデフレだからということに藉口して逃げるということは、われわれは承知できない。それで経審長官に一二〇%の基礎のどこに問題があるかということを私は一応解明しておくから、いま一度ああいうでたらめな統計数字大蔵省に藉口させるようなことをしてもらいたくない。それは第一点にどういうところに問題があるかというと、あの統計の取方は基準年度の自作と小作をとつておる。ところが現在は自作をとつておる。そこに問題がある。要するに自小作と自作をとるということは——農地開放によるところのものは要するに小作地が自分の所有地になつたから地代が減じただけであつて、別に農業所得の形成において多くなつたとか、税負担において軽くなつたとかいうことの所得じや決してないのです。このあなた方の取方がまず第一点問題なのです。それから実際一九五二年の東京都の勤労者のそれと比較してみると、生活水準は七七%ですよ。これはいま一度よく計算させてみてください。これは大蔵大臣によく聞いてもらいたいが、そういうものを根拠にして、米価をやろうとするから、私は大蔵大臣に一応よく覚えておいてもらいたい。それと同時にいま一つ問題があるのは、この基準年度の兼業農家というものは、大体五分の一しかないのですよ。月給取りをやるとか、店をやるとか、ほかに収入がある兼業農家は五分の一しかない。ところが今はその兼業農家の分析をやると、大体三分の一が兼業農家にになつて来ておる。それだけ要するに農村が慢性恐慌で没落傾向に入つて来ておる。だからこれらの条件が問題になつて、そうして今事実上のシエーレ、要するに買うものは生産原価で全部やられるから高い。売るものはかつて政府が政治米価をきめてしまうから安い。そのシエーレによるところの慢性恐慌が農村を襲つておることは常識だ。だれが考えつてこれは明らかである。だからあなたの方がそういうでたらめな統計基準を出して、農家の生活水準は一二〇%上つたからということを基礎にして、大蔵省は農業の所得はちつとは押えつけてもいいだろうというような考え方で、本年度の米価をきめれば、これは重大な問題になつて来るのです。たからその点について、いま一度正直な統計のはじき方を経審長官はやつてください。今までの統計というものは、しさいに調べれば、これはずさんなものである。非常に政治的なにおいさえ私はすると思う。だからその点私の言つた五二年度の東京都の平均を出してごらんなさい。生活水準は七七%程度しか出ませんから……。  そのほか私は申し上げたいことは一ぱいあるのですが、時間がないと言われますから申し上げませんが、そういうあなたの方の基準をもつて米価決定をやるということは、われわれはどうしても承知できない。これについてひとつ経審長官のお考えを伺いたいのと、それから今農民大会実行委員会でもつて、もしこのようなかつてな米価のきめ方を、米価審議会の答申も経ずに政治的なきめ方をするならば、われわれは今度は実力行使をもつて応ずる。ストライキを今日決定しておるのです。これは農民団体全部集まつておるのだから、指令一本流せば米は出ませんよ。それに対して大蔵大臣は責任をとるお考えがあるかどうか。その二点をひとつはつきりしてもらいたい。
  122. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いろいろお話を承りまして参考になることが多いのでありますが、ただ先ほど申しましたように、この統計のとり方等については別に御説明申し上げる機会もあると思いますが、何と申しましても、この所得の計算もさることでありますが、根拠といたしておりまするいろいろのデータのとり方等によつてはかなり違つた結論が出る場合もございますし、私も経審の調査が完璧なものだとはもちろん考えておりませんが、今後の作成等についても十分考慮はいたしたいと思います。私どもの従来の良心的な検討として、決して政治的な要素を用いない結果が経審の調査として出ておることだけをお答え申し上げておきます。
  123. 川俣清音

    川俣委員 ちよつと関連して一点だけ……。愛知さんの答弁の中に、電力の料金は法律的に基本的にコスト主義をとつておるけれども、それに対していくらか政治的配慮を加えなければならない、こういうことだつた。ところが米価につきましても、あなたは今パリテイー方式がいいというお話をされましたが、これも法律的にはやはりコスト主義をとつておる。一方において、法律上電力もコスト主義をとつておる、米価もコスト主義をとつておる、これをただやりにくいということで、とりにくいということでのがれておるだけなんだ。法律の前には内閣は、法律の命ずるところに従つて誠実に法律を執行して行かなければならないのでありますから、原則的にはどちらも同じに取扱わなければならない。それがこの建前をくずしておられるということになると、これは重大なことだと思うのです。よく食糧管理法を御存じなくて御答弁になつたとすれば、お取消しになればけつこうだと思います。経審長官から、あれは米価だけはパリテイが本則だというようなことを申されると、すこぶる影響するところが甚大ですから、法律の前には内閣は責任を持つて同一な立場をとらなければならないと思う。この点だけは明らかにしたいのです。
  124. 愛知揆一

    愛知国務大臣 御注意をいただいてまことにありがとうございましたが、ただ電力料金の場合でも申し上げましたように、その建前とそれから実情に合うように、またできるだけ政府として責任のある計算をしたいということで、現在のところにおきましてはと先ほど申し上げたつもりなんでありますが、私見としてはパリテイ方式に行かざるを得ないのではないか、これが私の申し上げた趣旨でございまして、決して法律の建前を云々したつもりではございませんから、そういう解釈がございますればその点は取消します。
  125. 川俣清音

    川俣委員 私はあえて今電力問題をむし返そうとは思わない。コスト主義が何といつても基本になつておる。この基本を政治的にいろいろ配慮しなければならないので、いろいろ苦心しておられるというお話は了承するのです。それと同じように、やはり米価においてもコストが基本にならなければならぬ。それをどうして配慮するかということは、これはいろいろ政府が配慮されていい。ところが片一方は計算できる、片一方は計算できないということでのがれることは法律上許されない。この点はお認めになるかどうか。認められなかつたらお取消しを願いたい。もうあまり議論しませんから……。
  126. 愛知揆一

    愛知国務大臣 要するに建前は法律で規定されておる通りであつて、それを現在の実情に即して計算をいたします場合のことを申し上げたつもりでありますから、御了承を願います。
  127. 井出一太郎

    井出委員長 小笠原大蔵大臣、先ほどの中澤委員の御質問にお答え願います。
  128. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 中澤委員にお答えいたしますが、実は私どもの持つておる数字について申しますと、年々農家の実収をふやすように持つてつておるのでありまして、従つて農村の不利益をはかるというようなことは毛頭ございません。従いまして私どもとしては農村各位が、これは今の日本の置かれている地位と政府の意向のあるところはよく御了承くださいまして、かような国内の混乱を来すような処置に出でられないことはかたくこれを信ずるものであります。私どもが持つております数字によりますと、これはあとからでも御参考にいつでも差上げますが、かりに農民の供出による石当り平均の手取額を、二十五年、二十六年を平均一〇〇といたしますれば、二十六年はこの手取額によると一〇八・〇五になる。今の二十五年、二十六年を一〇〇にいたしまして二十七年は一二四・八九になる。さらに二十八年は一五一・一四、こういうふうに上つておるのであります。さらにまたパリテイ指数で申しますと、今の二十五年、二十六年の平均を一〇〇といたしますれば、二十七年は一〇八・三六、二十八年は一一〇・五八になつております。さらにまた農作物について、一般の米以外の農産物の手取実効価格の指数をやはり二十五年、二十六年を一〇〇といたしますれば、二十七年については一一一・八〇となり、二十八年は一二八・五五となつておるのでありまして、私どもの手元にある数字で確かめました価格から割出した数字はかようになつております。すなわち相当価格が上つておるのでございます。なお本年産米はただいま双方協議中でありますから、この段階では申し上げることを差控えたいと存じます。そういうように増加しておるのでございまして、大蔵省が年々不利益をはかつておるのではないかというお小言に対しましては、事実に反するものであるとお答え申し上げるよりほかないと思います。
  129. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいま質問の途中でいろいろ関連質問があつたのですが、大蔵大臣が得々と二十八年に対しては米の原案をこう示したと言われるが、あなたの原案は幾らだつたのですか。予算修正をして、めちやくちやな争いをして八百円加算されたような形から出て来たのであつて、あれは大蔵省の意見じやなかつたのであります。結果から行けば二十八年度の米価は上つたようになつておりますけれども、あれはむしろあなたの方の原案でやつたらえらいことになつた。あなたが今得々と御説明なすつたから、それはそういうことではない、国会であれだけ問題になつてようやくなつたのだ、あなたの手柄ではないのですから、それだけはひとつお断りしておきます。  それはそれとしまして、米の管理問題に対して政府にはたまたま統制を撤廃するとかなんとかいうふうな御意見があるようでありますけれども、今の八千七、八百万の人口に対して六千万石以上の米はない。そういうふうに絶対量が足らぬことは確かなのでありまして、しかもその米の価格が一人当り一万円を投ずれば一年中、その秋凶作であろうが何であろうが安心して食つて行かれるというような価格である以上は、もしこれを自由にすれば、少し経済力がある人ならばだれでも一箇年分だけ用意する。そういう自由経済の悪い点も想像したときに、私どもはこれは社会政策の面から見たときに、今の管理は続けるべきだという見解でおるわけであります。その見解の相違は別といたしまして、あなたからぜひ教えてもらわなければならぬことは、私どもは米の管理がよりよく行くか行かぬかということに対して、何と申しましても価格という問題を非常に大きく考える。もちろん価格だけではないということを言われるけれども、価格の問題が一番重点だというふうに私ども考えております。先ほどあなたの答弁によりますると、大蔵省としてはできるだけ多くの供出確保量をもつて配給の万全を期したい、しかしながら供出の管理は価格問題だけじやないというふうな話なのですが、価格を安くしても農民が喜んで集めてくれるようなえらい名案が政府にありましたら、どういうふうなことであなたはそれをさしておるのか、それを具体的に、こういりふうにすれば価格を安くしても集まるのだという方法を教えていただきたいと思います。
  130. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 先ほど申し上げたことは金子さんの言われた通りでありまして、これは皆さんの御意思もありましてさようなことになつたのでありますから、何も私が手柄顔にそれを申し上げたのではございません。但し御同意を申し上げて決定したわけでありますが、それはどちらでもけつこうであります。  今のお話になりますが、これは私が申し上げました通り価格がのみでないという意味でございまして、適当な価格であることは必要であると存じます。すなわちその適当な価格ということについての私と金子さんとの意見がおそらく少し別れておるのではないかと思います。それで私どもは適当な価格であればそれで集荷ができるものであると考えておるのでありまして、先ほど申し上げましたのは、値段を下げたら集まるものだという意味ではない、こういうふうにおとりくださるようにお願いいたします。
  131. 金子與重郎

    ○金子委員 そこでその価格以外に集める方法は、どういうことをやればよく集まりますか。
  132. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 それは大蔵省が集めるわけでございませんので、私自身が衝に当つておるのではございませんから、ここでその方法について申し上げることではないと思いまするが、やはり人間は誠意をもつて集めればおのずから集まるのではないかと思います。
  133. 金子與重郎

    ○金子委員 それではその問題はあなたの主管でないし、これは農林省の主管でありまして、しかも大蔵省農林省より低い価格を常に出している。そうすると大蔵省の低い価格よりも農林省の要求の方がいつも高い、それを折合つているのであります。でありますからこれは今の政府の、農林省を初めその方を主管する連中に誠意がない、こういうことになるのでありまして、それはそれとしておきます。そういう誠意のない集荷の仕方をすることに対しては、今度別な立場で検討してみなければならないと思う。  それからその次の問題で、あなたがお話になりました外麦の利益は、それは米にも使えないこともないが、外麦を輸入してそれを配給して利潤が出たならば、それは麦の値下げに使うべきだ、こういうことを今お聞きしたのでありますが、それはかねてから大蔵省の役人さんはそういうふうな考え方を強く持たれていると私ども聞いておりました。たまたまきよう大蔵大臣、最高の責任者からそういうお話も重ねて承つたのでありますが、ただそういうことになりますと将来麦類つにきましてはとにかく世界的に過剰状態になつております。ことにアメリカのごときも莫大な価格支持政策をとつている、こういうような状態から、今言うようなお話で行きますと、世界の麦の価格に内地分を寄せて行くという結果になるのであります。あなたがそういうような考え方でいらつしやいますと、この夏に麦の価格をきめたように、非常にどういう麦を自給してどういう麦を入れべきかということに対して、まるつきり反対の麦価が今度政府できめられた、ああいうこともそういう考え方から来ると矛盾でなくなるのでありますが、私どもは矛盾が多いと思う。一方米の場合は内地の米が犠牲になつてつて外米の方が高いというふうに、米の生産と消費に対する要素と麦類に対する世界的の情勢というものと、麦類日本内地における増産ということに私どもは非常に期待しておるのであります。そこで私どもはどうしても関連性からいうならば、安い外麦を輸入いたしまして、一方には麦類生産に保護価格をつける。保護価格をつけるためには消費者に対して非常に影響のない限り、影響を最小限にとどめる範囲において、内地麦の価格をある程度維持する。と同時に、そうなれば外麦の輸入配給の過程における利潤というものは、内地の米が外麦よりもまた生産費方式によつたものよりも安い価格で今ずつときめられておるのでありますから、それに対して一つの弾力を与えるために、食管の会計を運用すべきだ、こういうふうに考えているわけなのであります。それを今のお話のように外麦——麦の利益は麦を安くする方へ使うというようなことになりますと、麦の増産もまた頭打ちをするということであり、また外米に対しては補給金はその利益金の中から米補給金を出すのだということになると、ますます麦、米ともに価格の問題に対しては、非常な生産意欲を強調するのと逆な方向へ行くと思うのでありますが、もう一度その問題についてお尋ねをしたいと思います。
  134. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今私が誠意と言つたのは、日本の置かれておる食糧事情なりあるいは経済事情なりあるいは財政事情なり等を真心を持つて国民に徹底せしめれば集荷に応ずるということでありまして、私の言い現わしたところが足らなかつたとすれば、そういう意味で申し上げたのでありますから御了承願います。なおただいま申し上げました外麦の利益は、これは外米から損が出ておれば外米の損と相殺する建前になつて、そういうことにきまつておりますから、損があればこれと相殺をいたします。しかしもう外米の損がないという場合、利益があるものならば、やはりそれは外麦の安いのを消費者に配給するということが私は穏当だと思う。またそれによつて、よく国民は米のみで生きるものではない、やはり麦というものもできるだけだんだんと食べる、粉食奨励等の意見も出ておるのでありますから、さようにしてできるだけこれらの普及をはかることも一つ方法じやないかと考えておる次第であります。
  135. 金子與重郎

    ○金子委員 その問題に対して非常に意見の食い違いがあります。ところが外地米の補給金は麦の利益で埋めて、余つたものを内地麦、日本の配給するものを安くする。いわゆる日本麦類の価格を下げるということであるならば、私どもは、国家が外麦を全面的に国家管理しているという意味も、そういうふうにばかりは私はとつておらないのでありますが、これは見解の相違でありますからここで論議しても始まらないことで、あとに質問者もたくさんありますから、これはこれで宿題としておきます。  それから次に、先ほど各委員からパリテイと生産費問題でいろいろ質問があつたのでありますが、こういうふうな討議のときには、大蔵省は農業を何か特殊なもの扱いして、一般産業と農業とは違うというふうな見解をいつでも披瀝されるが、われわれが農業に関するいろいろの助成策なり補助政策というものを問題にあげたときには、今度は立場をかえて農業も企業なんだ、だから企業である農業にそういうふうなこまかい点まで助成なり援助なりするということになれば、どこの事業にも援助しなければならぬ、だからそれはだめだ、こういうようにいつもあなた方は、ばかの一つ覚えみたいに私どもにお答えになるのです。都合のいいときは農業は企業だという。農業は企業だという見解をとるならば、なぜ企業採算の上にとる生産方式を基礎にして行かないか。あなた方の方は、御都合のいいときは農業は企業だからと言う。それで今度は米価をきめるときには何かどうもその点がはつきりしない。こういうところにあなたの方の非常な矛盾があるのでありますが、これに対して大蔵大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  136. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 さつきちよつと話が出ました例の外麦の利益、本年の分を言いますと、本年は内麦で損をしておりますので、実は外麦で得た利益と内麦の損と埋め合して余剰はないそうでございます。これは事実を申し上げておきます。  それから今のお尋ねでありますが、実は私どもは現在の食糧管理制度のもとにおいては、現在とつておる方式を認める、こういうことが政府建前でございまして、特に企業であるとかパリテイであるとか生産主義であるとか、あまり文字にこだわつてのことではなく、法律に基いてやつておる、こういうふうに私は考えております。
  137. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最初にお伺いしたい点は、十九国会の予算委員会で小笠原さんは、日自の河野一郎氏の質問に答えて、御記憶と思いますけれども、食管法に対する批判を行つております。食管法というものはあまりに農民本位につくられたものであつて、今日の段階においては当然これは改正しなければならぬ、是正する要があるということを明確に言われておるわけですが、その根拠を一応解明してもらいたいと思うのです。
  138. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 どうもはつきり記憶はございませんけれども、多分私が当時申した意味は、ずつと以前において日本の食糧に対する各種の統制法規は、みな食糧が余る、米がよけいできて困つたので、どうしてこの生産者を保護するかということのためにできた法律が多かつたことは——御承知のようにその当時私は統制委員会委員をしておりましたが——よく御承知のことと思います。ところがその後戦時中にできたものはどうかと申しますと、食糧が不足して参りましたから、いかにして消費者を保護するか、こういうことに急で、従つて生産者に対する保護が足りなかつたのではないか、つまり消費者にどうしてこの乏しいものを配給してやるかということで、消費者の立場が保護されるに急であつたのではないか、今日は、自分の考え方を率直に申すと、この両方を突き合せて、生産者の立場も考えるが消費者の立場も考える、こういうのが食糧管理法の本旨ではあるまいか、つまり最初に生産者保護のために各種の米穀統制法というものが生まれたのはその関係です。これはあなたがよく御承知通りです。ところがその後できた各種の統制法規は、今度は消費者の保護のみになつておつた。そこで私はこれは生産者も消費者も両方保護するような統制にかわるべきではあるまいか、こういう意味を申したつもりであります。
  139. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこでお伺いしたいのは、現在の食管法のどの点が農民本位であるかということ、これを先にわきまえませんと、これが農民本位であるからもう少し消費者の面も考えるところにウエイトを置きかえなければならぬという論拠が出て来ない。だから大蔵大臣のお考えは、現在の食管法のどの部面があまりにも農民本位的であるというのか、そこを先に御説明願いたいのです。
  140. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 実は私はここに法律も持つておりませんし、こまかくどの点と言うのではございませんが、ただいま申し上げた通り、大筋から見て消費者のみに保護の置かれた今の段階というものは——これはだんだん生産もかわつて来た、またものが不足するのでやむを得ぬことであるから、この両方のために改正さるべきであろう、もちろんそれが正しく行つておれば改正する必要はないのであります。しからばどの点についてどう考えたか、これは少し研究した上で申し上げることにして、ただ私の感じを求められたから自分の感じを述べたのであります。
  141. 芳賀貢

    ○芳賀委員 かりそめにも予算委員会において主管大臣が答弁する場合において、そういうただ単に漫然たる私見を述べるということは今後慎んでいただきたいと思うわけです。今日の食管法は農民の利益をこれで守るという節はないわけです。たとい若干あつたとしても、現在の政府はそこを取上げてその責任を果そうとする熱意というものはまつたくないわけです。現在の食管法のねらいは、何とかして有権的に国家権力で一定量の食糧の確保をしなければならぬ、そこに重点があるのであつて、むしろ国の政策の面から言つて米価がコストに合おうが合うまいが、とにかく一定の国の食糧政策の面から米を出させるのだというところに食管法のねらいがあるので、あまりにも農民本位であるということをもし大臣が言うとすれば、これはたとえば政令等にはつきり譲つてありますが、権力をもつて農民に無理やり米を出させることができるというような点を、これがもし農民本位に考えられているとすれば、その点はどう考えておりますか、強権発動で米を出させるというようなことが農民本位だから、これは是正しなければならぬというようなお考えですか。
  142. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私はさように考えておりません。私は権力をもつてそんなことができると思つて……。今日は農民各位にこういうふうに出してもらいたいということで、相談ずくでやつているのではないかと思うのですが……。(「法律はそうではない」と呼ぶ者あり)それは私ははなはだ不案内でありますが、その点は……。それだから私は、時々に国の情勢はかわつて来るのだから、その情勢の変化に基いて、そのときの要求するように法律を改正して行くことは望ましいことだと思います。
  143. 芳賀貢

    ○芳賀委員 むしろ大臣の当時の発言というものは農民本位だという考えでなくて、たまたま消費者本位とか、国家本位ということを言つたつもりが言葉の間違いで農民本位というようになつたのではないかと考える。今の御答弁を聞くと、そういうふうな意図で言われたとすれば、これは表現が間違つてつて、心理的には今日の情勢の中において、農民だけに対して権力的に米を無理やりに出せというようなことは、これはあまりにも非農民的であるから、この点は是正しなければならぬという意図を率直に言われればよいのを、たまたま間違つて農民本位というような誤りから出発したように私は善意に理解したいわけですが、大臣のお考えはそういうことであるというふうに了解してさしつかえありませんか。
  144. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 そのときの実情に最も合うような法の改正を行うべきであるという意味で申したのであります。
  145. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これはそれ以上追究はしませんが、ただ問題は、ただいま大蔵大臣の言葉の節にもありましたが、今日農民に権力をもつて米を出させるというようなことは妥当でないということを今言われたわけでありますが、そういう思想的な根拠から出発した場合においては、あまりにも安い米を無理に供出させる必要はないというようなことが一つの理論構成の中から出て来ると思いますが、それを根拠にして今年度の大蔵省の最初の集荷に対する態度というものは、一応供出によるところの産米の確保は二千万石もあれば十分だ、それ以上無理に集めるということはむしろ財政負担が過重になるから、最高限二千万も集めればけつこうではないかということは偽らない考えであると思いますが、その点はいかがですか。
  146. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 米の集荷をいかにすべきかということは、これは実は農林省のことでありまして、私どもとしては、米価をきめる場合その他に予算措置を伴うものもございまするので、また食管会計予算等に関連がありますので、これについて御相談を受けておるのでありまして、また私どもの意見を述べておるのでありますが、今のように一体どの程度がしかるべきものかということは、これは当該省でないとはつきりいたさないと思います。御承知通り昨年はたしか千八百万石は義務供出をさせますということをいつて、その当時閣議でも決定しておつたのですが、最後には千四百万石になつてしまつたということもありましたので、ここで抽象的な議論もしにくいと思いますので、この点ば、農林省の方からよく話を受けまして御相談いたしたいと考えております。
  147. 足鹿覺

    足鹿委員 その点は大臣非常に重要なんです。大臣の今言つておられることは、専門家でないからやむを得ないと思うのですが、大蔵省の米価決定の基本的なものの中に、集荷数量について大蔵省農林省との間に相当開きがある。大蔵省は二千百万石内外を常に固持しておられる。農林省においては二千六百万石ないし七百万石を目途としておる。これは当初からその食い違いが明らかになつておる。大蔵省が超過も、早期も、基本割当も一切含めて二千百万石でよろしいということは、その計算から行くならば、その程度で国民食糧の確保には遺憾はない、不足分は外米でも外麦でも何でもとにかくやれる、こういう確信に立つておやりになつておるとしか思われない。なるほど今までは大蔵省の、あなた方の考え方によつてある程度無理が通つたかもしれない。しかしことしはそうは参りません。別に私どもはこういう席上においてあなたを威嚇したり、強い言葉で威圧するというようなことは考えておりませんが、農民つてあるいはその指導者だつて、いつまでもそう政府の言うなりに甘んじておるわけはありません。御存じのようにジープ供出、駐留軍の威力によつて食糧管理を確保した時代と、その後駐留軍の撤退後とではおのずから違つて来ておる。それで何でこれを支えるかと言えば、極言して行けば、食管制度は権力でささえるか、それとも価格でこれをささえるかの二つしかございません。そのいずれをとられるのか。価格も十分徹底をさせない。しかし権力発動については少しも当局は触れておられませんが、去年も末期において相当強権供出を主務省である農林省はやつておつたと思いますが、もし大蔵省が期待しておられる二千百万石の食糧が確保できないというような重大な事態が出て来たときに、大蔵当局はその責任を一身に背負つて立たれるのか、あるいは目標額に達しないときは、権力にものを言わせて、価格はどうあろうと、きめたものはきめたものとして遂行して行くという基本的なお考えに立つておられるかどうか、大蔵大臣のこの点の御所見を承りたい。要するに具体的にいうと、昭和二十九年産米の集荷数量については、何ほどをもつて農林省大蔵省との意見の一致を見たか。その数量において国民食糧確保に遺憾なきを期し得るかいなやというのが第二点。第三点は、もし一致した意見に基く確保数量が、確保できなかつた場合における処置いかん。この基本的な構想について、大蔵省は早期供出奨励金の資金なり金額のわずかのものにまで干渉される、包装代のわずかのものについてまでも干渉され、事実上農林省大蔵省の農政局的な性格に最近その性格がゆがめられて来ておる。でありますから、私はしろうとであるから主務省に聞いてくださいということは、私は大臣、通らないと思う。あなたの部下はそこまでやつておる、実に微に入り細をうがち、顕微鏡でものを判断するくらいやつておるのですから、その最高責任者である大臣としては、私はしろうとで、そういうこまかいことはわからないというふうにお考えになるかもしれませんが、少くとも実質的の責任は、大臣の双肩にかかつておると私は考えざるを得ぬ。そういう趣旨から私が今お尋ねいたしました三つの点について、御意見を承りたい。
  148. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 お話の点はよくわかりましたが、数量についても、いろいろ価格の関係等がありまして、目下交渉中でございます。従つてこれについても、ここで申し上げる段階に行つておりません。いずれにいたしましても、大蔵省のみの意見で結論が出るのじやないことは、足鹿さんがよく御存じの通りでございます。これは先ほど申した通り、双方一致するというときは、正直に申し上げてどちらも多少の不満足があると思います。しかし双方一致した上で、初めてこれが実行されるのでありますから、何も大蔵省の意見を無理に押しつけるというふうにおとりくださらなくても、さような事実はあるはずはございません。大蔵省がきめるのではございません。双方の一致を見て価格がきまることは御承知通りであります。しからばそうした一致した意見のもとに集荷ができなかつたならばどうするか。これは一致した意見をいれられた以上、集荷の責任を持つておられる農林省の方面におきまして、これはやつていただけるものとかたく信ずるほかはございません。
  149. 井出一太郎

    井出委員長 ちよつと申し上げますが、大蔵大臣は少し発熱されておりますので、なるべくピツチを上げてお願いいたします。
  150. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長からの御指摘でありますが、大蔵大臣は金曜日に外遊することになつておるが、委員会におけるわずか一時間、二時間の質疑の中において、微熱、発熱のようなことになると、外遊中止というような事態も生じないとも限らぬと思います。このくらいのがまんはしていただかぬと、なかなか出発はされないと思いますが、もう少し緊張をしてやつてもらいたいと思います。  今の問題ですが、国内における米の需給関係の面からいうと、常識で考えても、国内の確保量が少い場合、どうしてもあと全部MSAの麦を食わすというわけに行かぬ。ですから今日においても百万トン余の外米というものを、しかも有毒の黄変米をも含めた百万トン以上の外米を、しかも国内産米より非常に高コストの米を、国民の寿命を縮めてまでも入れておるのです。ですからそういう需給関係考えた場合において、財政負担が一兆円の中でかさむから、二千六百万石確保することができるものを、二千万石ぐらいで十分であるという考え方は、どうも私たちとしては了承に苦しむわけです。そういうことになればなるほど、消費有に対する内地米の配給日数というものは、生産県においても消費県においても、現在の水準を維持できるかどうかわからぬということになるわけです。そういうことになると、結局デフレ政策を進めて行く場合において大蔵当局の考えというものは、まず何はさておいても農産物価を引下げねばならぬ。それからデフレ政策というものが始まるのだというような考えを持つておると思うわけでありますが、国内における産米の確保ができないという場合において、あとの不足分というものは、大蔵当局の見解によると、やみ米がそれだけ今度過剰になつて来るから、それを買つて食えるだろうというような推定をもつて今年度の米価をきめる場合においては、この供出させたところの米価とやみ米とを平均化して、それで農家の手取り米価はどれだけになるというような算定をやつているやに私は推測しておるわけでありますが、はたしてそういうような算定を行うかということ。  もう一つは、国内におけるところの産米の確保が少くなつた場合において、これはやはり外米あるいは外麦に依存する度合というものが高まつて来るというこの傾向をいかにするかという点。  その次は、これは農業政策全体の大きな問題になるわけでありますが、小笠原さんも一昨年は、わずかの日子ではあつたけれども、当時農林大臣をやられたこともあるわけです。ですから、農業政策に対してまつたくのしろうとであるということも言えないと思いますが、現在考えておられるように、低物価に名をかりて不当に米価の引下げを行うというような場合において、それが今後のわが国の農業の生産性の上にいかなる影響を持つかということは、お考えなつたことがあるかどうか。この三点に対する見解いかがですか。
  151. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今のお話だと、何かデフレ政策の中心を農産物の引下げに置いておるようなお話でございますが、私どもはさように全然考えておりません。もちろん農産物が安く多量にできることは望ましいことでありますけれども、しかしそういうことを何ら政策の中心にして考えておりません。政策は、私はたびたび申し上げました通り日本の置かれている国際収支が均衡を破つているので、言いかえますと、日本の輸出物資が多少の値下りを見て、その当時申し上げましたのも、五分ないし一割と申し上げましたが、それによつて日本の輸出が増加して、できるだけ早く国際収支の均衡を得ることにしたい、かようなことでございまして、米のごときは国内の消費のもので、こういう関係は強く持つておるものでないことは、申すまでもありません。  なお御参考にちよつと申し上げておきますと、一月と六月とで、この政策が行われた結果、輸出は昨年同期に比べて三割増加いたしております。なお七月、八月等はますます好調でありますことは、新聞等で御承知通りでありまして、年初十二億七千万くらいに見たものも、おそらくは十四億を越すであろうと私は今日見ているような次第でございます。そこで政策については、決してそういう農村の方面になるべく下げさえすればいいという考えを持たぬことは、はつきり申し上げておきます。  それから今のやみの問題でございますが、やみというものがこういう法治国にあるということがまことにふしぎな話であつて、なかるべきことが本体でございます。但しあることが現実でございますから、そろばんを出すときに、皆さんがいつでもそういうことではじき出されておるので、そうすると、収穫がこれだけあつて、これだけが供出される、あるいは集荷されるとすれば、こういうふうになるというようなそろばんも出て来ようか、かように考えるのであります。なお低物価につきましての根本方針は、先ほど申した通り、私どもはできるだけ輸出品の低物価を望んでおるのでありまして、同時にこの輸出品のコストの下ることを希望しておるのでございますから、従つて安い物が多量に供給されることはすべての物について望ましいのでありますが、現在必ずしもさように行きかねる事情にあるので、この点は苦心をいたしておる次第でございます。
  152. 芳賀貢

    ○芳賀委員 非常に平面的な答弁で、理解に苦しむわけですが、今のお言葉によると、デフレ政策の一つの前段において、米価を下げなければならぬという理由は、今の大蔵大臣の所見からは出て来ておらぬわけです。そうなると、強引に不合理性の中において米価を下げようとする理由というものは、この低物価政策の中からは現われておらぬということがはつきり言えるわけです。ですから、そういう場合において、結局常識的に考えても、米価を不合理に下げれば下げるほど——強権は用いない方がいいとあなたは言つているが、納得できない米価に下げる場合には、これは出て来ないというのはあたりまえなんです。その場合においては、一応やはりやみによるところの消費量というものを容認するということにしかならぬわけです。そうすると、政府が集めた米を配給面にまわす場合においても、現行を維持できるかもしれぬけれども、そのやみによつて消費者はよけいまた買わなければならぬということになると、これはエンゲル係数の場合においても、農民を押えて米価を下げても、実質的にはそれは少しも効力を生じないということになることにお気づきになつておらぬのです。その点はどうなんですか。もう一つ、先ほど説明がなかつたけれども、こういうふうに低米価政策をやることによつて、今後におけるわが国の農業の生産性に与える影響というものはどうなるのだという点の御見解はいかがですか。
  153. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 先ほども申しておる通り、これは先に行つたら大蔵省のわれわれの力とおつしやつた。その通りですが、ずつと年々上つて来ておるこのものが、今諸物価が下つて——低米価政策を何もとつたわけでないので、適正な米価政策をとつているのですから、私はこの点が何も生産を少くしたり何かするとは毛頭考えておりません。  なおやみを買わなければならぬようになれば、従つてエンゲル係数等がふえるじやないか、こういうお話でございますが、私どもはやみというようなものが存在することは最も望ましくないのでありまして、できるだけ配給で行くことが望ましいのでありますけれども、現実に昨年は一体幾ら配給したかと言うと、実情等から見ますれば、十日間の配給を受けて三十日皆が生活しているのであるから、やみがないということは何人も言い得ることではないのでありまして、この点から私は別にこういう点が特にエンゲル係数に大きく影響するなどとは考えておりません。  なお納得のできぬような価格の引下げをやつても集荷はできぬ、もちろんそうでありまして、私どもは価格の引下げのみを考えておるのではないのであります。先ほども申し上げた通り、いろいろな観点から日本の米価を適正なところに置きたいという面で、いろいろ交渉している次第でありますから、私どもは仰せのような納得のできぬところに物価を下げるとは考えておりません。
  154. 芳賀貢

    ○芳賀委員 まだあと質疑をやる同僚議員もあるので簡単に打切つておきたいと思いますが、結局大蔵大臣の考え方の中にはこういう思想があるんじやないですか。デフレ政策をやる場合の一つの口実としては、賃金政策の面においても、米価はこれだけ下げたから賃金を今後上げる必要はないとかいう、米価と賃金との一つの相関性の中において今までも問題は残されて来ているし、今後もこの問題はいつまでも残されて行くと私は考えているわけでありますが、そういう場合において低米価をやるということは、端的に言えば、結局現在の農民の生活水準を実質的に引下げるということになる。結局は農民が、中澤君がさつき言つたように、昭和初年におけるがごとき、人間的でない水準における生活を昔やつたじやないか、そのくらいまでは生活水準を下げても、農民は動物的に生きられるだろう、そういう見通しをあなたは持つているということ。もう一つは、生活が苦しくなるということは、生活水準が実質的に下るということは論をまたないわけでありますが、苦しくなればなるほど、わが国の農業の中においては、農業の経営はほとんどが自家労働によつて構成されておる。そうなりますと、自家労働によるところの労働の強化というものは自然に行われるということになる。一日十一時間働いておつたのが、今度は十三時間働くとか、あるいはか弱い女房とか、あるいは学校へ行つているような子供達も野らへ動員して、そうして労働強化をやる、こういう現象しか生じて来ないわけです。そういうことを一応賢明なる大臣は頭の中に入れて、結局生きるには生きるだろう、動物的に生きられる。昔昭和初年におけるそういう経験がある。だからその線まではまだ落せるのだという考え方の上に立つて、本年度の米価決定をあえて強引にやろうとしているように私には考えられる。そのことは結局、農民に対決してもやつて見せるという無謀な勇気を喚起されておるように私は考えるわけでありますが、その思想的な根拠をこの際明確にしておいてもらいたいと思うわけです。
  155. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 お言葉でありますが、たいへん私の考えと違います。食糧の価格と賃金との間に相関性があることは、これはだれしも認めざるを得ません。従つて食糧のできるだけ安いことはけつこうでありますけれども、しかし今日の農村の生活水準を下げなければならぬなどとは私は毛頭考えておりません。これは日本国民の中堅であり、また多数を占めておるものであり、あなたのお話のように、大蔵省は動物的な暮しでもいい、かように考えておるのか、さような考えは毛頭持つておりません。やはりだんだんと文化が進んで行くに従つて、いろいろな面で進んでいただきたいことは当然でありまして、私も衷心からそれをこいねがつております。但し昨年の凶作に比ベますと、これはまだ米価が決定しませんから、数字的に申し上げることはできませんけれども、いずれにいたしましても、所得としては農家の所得は増加するということをかたく信じておるものであります。また農家の所得が著しく減ずるようなことを私ども考えろのじやない、私の頭の中では、農家の所得がふえる、こういうふうに考えておるのであります。  なお先ほどどなたかのときに、どうも税金などをちつとも下げぬ——今日の農村をごらんくださればよくおわかりのように、税金が農村とほかのものと比べて著しく違つておるほど、農村方面が安くなつておることは、ほんの三、五年前と比べてくださればよくわかるのでありまして、実質においてやはり農村の生活の向上、これを私どもは心から期待しておる。この点については、お話になつたような言葉と全然違う考えを持つております。従つて農村収入の増加はやはり心から期待しております。しかしそれでは米の値段のみと、こういうふうには考えておりませんので、この点について私ども本年のごとき比較的作柄のよい年には、農村全体としては、昨年に比べれば相当増収になるんだろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  156. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは平清盛がよろいの上に衣を着ているようなもので、詭弁もはなはだしいと思うのです。われわれはそういう答弁を期待し、またそういう答弁で了承しようというような考えはまつたくない。大蔵大臣は二言目には農家の所得が上つていると言う。あなた方の言う所得の中に占める農家の自給所得というものは、どの程度のパーセンテージを持つておるか、それをしさいに考えてもらわぬとはつきりした答えはできないと思いますが、その点はどうなんですか。
  157. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 芳賀委員の言われるような、私がよろいの上に法衣をまとつておる、さようなことはございません。心から法衣をまとつております。
  158. 芳賀貢

    ○芳賀委員 まだ足らぬですよ。それは表現だけですから……。農業所得の中における自給所得というものをどう考えておるか。
  159. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これは自給所得の出し方がいろいろございましようが、私どもは今まで二十五年ぐらいずつと見まするときに、自給所得は年々増加しておると考えております。
  160. 川俣清音

    川俣委員 病気で非常に帰りをお急ぎになつておるようですが、これは外遊の予定がなければ、私も今日遠慮をいたしたいのです。しかし外遊を前にいたしまして、やはり米価の問題は国民食生活の上に非常に大きな影響がありますので、あえてお尋ねしなければならないと思うのです。私はあまり議論をしませんから、そのつもりで御答弁を願います。御答弁いかんによつてはまた議論をしなければなりませんけれども、できるだけ議論を差控えて、箇条書きに質問しますから、御答弁願いたい。  第一に、大蔵省の今日まで堅持しておられますいわゆるデフレ政策、低物価政策の遂行上から米の統制を緩和した方がよろしいと考えておられますか、または強化すべきだとお考えになつておりますか。この点一点。  第二点は、米の集荷量を何ほど必要とせられておるか、これはデフレ政策上一体どの程度確保しなければならないと考えておられるか。これによつてもしもやみルートが拡大して参りますと、デフレ政策遂行の上に悪い影響を与えるのではないかという心配がありますが、この点に関する所見をお述べ願いたい。  それから第三は、国際収支の均衡がデフレ政策の基本になつておるのだということはたびたび表明されております。これにはいわゆる輸出の増進と輸入の制限と二つあると思いますが、生産資材でないようなものはできるだけ輸入を制限して、国際収支の均衡をはかろうといたしておられるようでありますが、外米、外麦をあえて輸入しなければならないという根拠をお示し願いたい。まずこの三点をお伺いいたしまして、あと質問を続行いたします。
  161. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私どもはデフレ政策を考えておらぬことはこの前川俣さんに申し上げた通りで、私どもは健全化政策なりと考えておるのでありますが、その遂行上から米の統制を緩和すべきか、強化すべきか、これはいろいろ議論があるのでありまして、自由党の中におきましては、党議としてはだんだん撤廃に持つて行くのだというような考えだと言つておりますが、ただちに今廃止すべき時期でないことは、私はかたく信じておるのでありまして、そういう点からこれは現在のままでよかろう、かように考えております。  米の集荷量を幾ばくと考えるかという問題でありますが、米の集荷量はこれは多いに越したことはございせまん。多いに越したことはございませんが、少くとも昨年を下つてはならぬと考えております。  なおやみルートの問題でありますが、やみルートへ流れて行くことは望ましくないことは申すまでもございません。それから国際収支の均衡が政府のいわゆる健全化政策の中心となつておる、その通りでございます。従いまして輸入をできるだけ少くし、国内自給度を高める、こういう意味から、外米や外麦等にできるだけ依存せざるよう、またできるだけその数量を少くすることは必要であると考えております。
  162. 川俣清音

    川俣委員 大臣、答弁されるときできるだけ質問の要点を御答弁願いたい。ほかのことを言うことは時間を空費しますよ。私はやみルートが必要であるとか必要でないとか議論しておるのじやないのです。やみルートの拡大することは、あなたが遂行されようとするデフレ政策の上に悪い影響を与えるのじやないかという心配があるが、その点はいかがかとこう聞いておるのです。そんなやみルートの道徳論を聞いておるのじやない。さらにできるだけ国際収支の均衡の上から一体外米に依存しない、こういう考えですか。これを今堅持されておる米価に対するような毅然たる態度をとられるならば、一俵も入れないでもいいのじやないか、ここまで考えられるのですが、どうしてそこまで考えられないか、考えられない理由をここで表明してほしい、こういうのです。
  163. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 やみルートの拡大は望ましくありません。外米、外麦等は現在の食糧政策のもとにある程度入れざるを得ません。
  164. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、食糧確保ということがやはり念頭にあつて考えられておる。外米であろうと国内米であろうと、やはり配給量を堅持しなければならないためにやむなく、外米をできるだけ一俵も入れないことが本来であるけれども、配給食糧確保の上から、大きな犠牲を払つて、外貨収支の上に悪影響があるのだけれども、無理にもそういう点を突破して食糧確保をしておる、こういう意味ですね。それでよろしゆうございますか。
  165. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 配給食糧確保の問題でありますが、特に外麦等の問題については、配給等の問題ではなくて、これは昨年多量に入れておるので申し上げるのであるが、こういう問題は国民の食糧全体の安全感から入れております。
  166. 川俣清音

    川俣委員 国民食糧の安全感から、内地米が確保できない場合においては外米もあえて買わねばならない、犠牲を今忍んでおるのだ、こうなりますと、内地米の確保が十分であれば外米を入れなくてもいい、やはり集荷量については重大な関心を持つておると、こういうふうに理解してよろしゆうございますか。
  167. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 集荷量の問題は、どの程度配給すべきかという問題になりまするので、国にどれだけ食糧があるかということは国民の安全感の問題であります。しかし幾ら配給するかということは、これは農林当局とよく相談した上で、配給量の確保は考えられるわけであります。
  168. 川俣清音

    川俣委員 配給量の確保のことを考えなければ、外米の輸入を考えないでもいいのです。でき得るだけ輸入を押えたいというのでしよう。なぜ入れるのだと言つたら、食糧を確保しなければならぬからだと、こう言うから、それでは内地米だつて確保できるのではないか、こう思つたのです。あなたは集まつただけの米で配給するという考え方であれば、外米を輸入しないでもいいんじやないですか。あまり議論しないで簡単にお願いします。
  169. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 簡単にお答えします。私は昨年度行つておるところの配給量は確保すべきだと考えております。
  170. 川俣清音

    川俣委員 それは内地米によつて配給が確保できれば一番好ましい、こう理解いたしまして、次に質問を進めます。  大蔵省が極力今まで主張されました、旧パリテイ方式でなくて新パリテイ方式は、当時専門委員会決定のごとく、旧来の価格パリテイ方式を所得パリテイ方式に置きかえなければならないという必要から生れて来たものでありまして、政府は今日までこれを認めて来たのでありますが、その点については誤りないと思いますが、この点いかがですか。
  171. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 大体さように考えております。
  172. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますると、いわゆる世間で称せられておりまかる、大蔵省もときどき表現いたしまする特別加算なるものは、これは専門委員によつて改正が必要であるというところから処置せられたるものでありまして、世間に伝えられておるような恩恵的加算でないということをお認めになつておられるわけですか。多分そうだと思いますけれども、念のためにお尋ねいたします。
  173. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これは必要より生じたものであつて、恩恵的なものとは考えておりません。
  174. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますると、必要から生れて来たものであるという認識の上に立ちますると、次にお尋ねしなければならないのは、さき金子委員からも触れられましたが、資本財の投下量の増大または労働力、機械力の投下量の増大というものを当然認めてかからなければならないと思うのです。この際私数字に触れますことは時間の省略上まことに遺憾でありますが、昭和二十五年の「現金農業支出とその内訳」を農林省の農業経済調査報告によつて見ますると、全国平均一戸当り三万三千七百七十五円となつておりますのが、二十八年は六万六千百五十二円となつております。肥料のごときは一万三千二百六十六円が二万四千六十円となつております。飼料のごときも、三千二百九十七円が一万八百九十六円と非常な増加率を示しております。そのほか農薬も同様です。農薬のごときは二十五年はわずか八百六十四円であつたものか、二千三百三十五円と拡大いたしております。しかもこれは農家一戸当りのものでありまして、これを供出農家に割当てますると、さらに大きな率を示しております。たとえばこの肥料を経営階層別にわけて見ますると、五反歩未満は硫安は十九貫二百、二町歩以上になりますと百二十八貫五百と非常に拡大いたしておるわけであります。このような物量の増大、労働力、機械力の投入の増大が、昨年のいわゆる政治凶作を克服した大きな原因だと思うのです。日本統計から見ましてあの異常な災害に対して、あの異常な冷害を克服し得たものは、これらの労働力、これらの機械力、これらの物量の投下が政治的な貧窮を克服して、やや愁眉を開かしたものだと思いまするし、今年の凶作につきましても、これらの物量の投下量が幸いに病虫害を防いで来ておるものと思うのでありまして、これなの物量を当然価格の上に見なければならないのは原則だと思いまするけれども、この原則を否定されますか、肯定されますか。イエスかノーか御答弁願いたい。
  175. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 これは目下研究中で、イエスともノーとも答えられません。
  176. 川俣清音

    川俣委員 これらの物量を見ることが妥当と考えるか考えないか、こう言うのです。幾ら入れるかということを聞いているのじやないのです。あなたの考えで、入れるべきだと思うか入れるべきでないと思うか、どつちかと言うのです。
  177. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 肥料その他をよけいに投入すれば、収穫もまた増加すると考えられまするので、その点についていろいろ問題があるから、十分研究した上でないと、それが大きくイエスと言えるか、小さくノーと言わなければならぬか、よくわかりません。
  178. 川俣清音

    川俣委員 さつき水力電気の問題が起きたですね。必要でない、能力以上のものを投下した場合であつても、これをコストとして見るというのがあなたの建前だつたでしよう。これはあなたはあえて否定はしていない。水力電気のときには、これらの物量を全部投下資本として見る、ところが農村の場合には投下資本として見ない、それは計算してみなければわからない、こういうのですか。全部見るというのが建前じやないですか。幾ら見るかということになると、いろいろ計算の必要があるというならこれは話はわかりますけれども、見るというのが原則じやないですか、この原則を否定されることは大きな問題です。あなたの病気を押しても議論しなければならない。
  179. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 もし言葉が悪くてもよろしいというなら、若干見ることは当然だと思いますが、これを全部見るかどうかということになると、これは私は収穫その他の問題があるので、ここに簡単にお答えがしにくい。その点に従来から問題のあることは、川俣さん御承知通りであります。
  180. 川俣清音

    川俣委員 これは大きな問題です。たとえば肥料会社は、去年よりもことし肥料が多く使われ、来年はより多く使われるということであなたの方にも金融を受けたりいろいろしておる。そこでこれだけの物量を、あなた方は生産の方では硫安会社に認めておるのです。従つて消費も、これは国内消費は必ず農家が使う。もちろん園芸等に一部使われますが、それは計算上からいえば問題外です。これだけの物量が入つておる。これを認めないというのはおかしいじやないですか。価格の上にどのくらい認めるかということは別ですけれども、人づておるという現実を認めないということになると、それはむちやくちやな議論です。
  181. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 いや、私の申す意味は、川俣さんの言つてることは、こういうものを入れておるが、それと収穫との関係はどうか、これじや価格が安いじやないか、そういうところから来てると思うからで、それは入れないなんということは私が言うはずはありません。お入れになつたものは物量を投下されただけお入れになつたことは事実であります。
  182. 川俣清音

    川俣委員 この事実の認定の上に立つということでありますから、きようは議論はいたしません、あらためて米価審議会等において、当然これは議論の対象になりますことを十分頭の中に入れておいていただきたい。  次に一体早場米奨励金などは必要はないのじやないかと思うけれども大蔵省はどういうふうに考えておりますか。こんなものを無理に出す必要はないじやないか。なぜ出すんですか。財政的に出したくないのだつたら、こんなものは切つたらどうですか、大蔵大臣の所見を伺いたい。
  183. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 早場米の分についても、出さずに済むことならそれがいいのでありますが、それが今日の食糧需給関係に大きな役立ちをしておるということであるから、その意向を入れまして早場米奨励金を出しておるのであります。
  184. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、この早場米奨励金というものは、農家のために出すのではなくして、国内食糧の需給のバランスをとるために、いわゆる端境期に食糧不安を起してはならないという配慮から出すんだ、消費者のためにこれは大いに出さなければならぬ、こういう考え方ですね。それでよろしゆうございますか。
  185. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 食糧問題は消費者、生産者のみのものではないので、やはり国全体としてのものだと考えます。従つて早場米奨励金はだれが受取るかといえば生産者が受取るのであります。
  186. 川俣清音

    川俣委員 それはとんだ間違いです。これは月給と同じことで、身分について当然起つて来るのでありまして、その身分をやめれば来ないのであります。早場米を出した者に来るということは、これはあなたの説明をまつまでもない。しかし何のために、どういう意味から財政上非常に困難だ困難だというのにそれを出すのか、こういつたら、あなたは今日の食糧を確保しなければならないという国の要請から、消費者のためでもなし、生産者のためでもなし、国の政治上の必要から政府が出すのだ、こういうことなのでしよう。そういう意味でしよう。
  187. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 食糧政策全般の見地より出すのであります。
  188. 川俣清音

    川俣委員 そういたしますと、あえて生産農民のために出すのではない、国の全体の政策上出すのだということになると、治安のために警察官に出すのは国費で負担する、あるいは刑務所の経費も、これは囚人のために負担するのではなくて、国民全体の治安のために出す、こういうことになりますと、この経費というのもは一般会計から出すのだというふうに了解いたしまして、次に論を進めます。
  189. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 お答えはいらないかもしれませんが、私はさような意味で申し上げておらぬということを申し上げます。
  190. 川俣清音

    川俣委員 そうだとすると大分違います。さつきの答弁を取消されているのなら別ですが、それでは何のために出すのか、もう一ぺんお聞きします。
  191. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 日本の食糧政策全般のために出すのであります。
  192. 川俣清音

    川俣委員 食糧政策全般というと、国の施策全般のために出す、こういうことですから、全般に出すものは一般会計から出すというのが本則である、こういうようにたびたび説明されますからその通り了解して次に進みます。これだけの話です。  次に価格の連続性についてであります。価格というものは、ことに農業生産につきましては、年々あまり浮動するということは好ましくない、それがパリテイ方式をとつておる一つの理由になつておるわけです。十年間の平均をしてみると、割合に妥当なものが出るということが価格パリテイ方式あるいは所得パリテイ方式の長所であるわけであります。生産方式によりますと、年々非常な差があるということが必ずしもいいことではないじやないかという抗弁が行われているわけでありまして、幾分でも所得パリテイ方式の長所があればその点なのです。そこでこの方式をとつている以上は、年々定められた価格から、前年の分と比較して、今年もあまり大差ないということが望ましいということであろうと思うのです。そこで特に農業生産生産量の確保安定のために重要な要素となつておるのが価格の連続性だと、私はそう信じるのですが、そういう点からいいまして、今年は昨年度と比較してあまりかえないというのが大蔵省建前だと私は了解する。あまり価格に変動を与えないというのがこのパリテイ方式の一番の長所でありますが、長所を捨てて価格パリテイ方式をとるというのではなさそうでありますから、やはりあまりかえないというお考え方だと、こう理解しまするけれども、この理解は正しいか間違つておりますか、どちらか御返事願います。
  193. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 価格連続性に対する御意見はまさにその通りだと存じます。但し実情において多少のかげんがあることは、これは当然連続性そのものが物語つておると思います。
  194. 川俣清音

    川俣委員 多少という表現は、これは一般われわれの通念上の多少でありますか。大蔵大臣の言う多少というのは非常にかけ引きの多い多少でありますか、その点をあらためて御答弁願つて、私の期待通りの御答弁であればこれで質問を打切りたいと思いますが、意見が違いますとまだ続けなければならないと思います。
  195. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 今用いておる多少という言葉は、川俣さんと私と差はないと思います。
  196. 川俣清音

    川俣委員 それでは私の質問は大体この程度にしておきます。
  197. 井出一太郎

    井出委員長 中澤茂一君。
  198. 中澤茂一

    中澤委員 三点お伺いします。食糧管理法の第三条は、先ほど大蔵大臣が言つた通り、総動員法によるところの物統令からつくられたもので、これは新憲法に違反するものである。食糧管理法第三条の強制買上げ条項は憲法に違反するものである、私はこう断定しているが、あなたは決して憲法には違反いたしませんとお考えですかどうでしようか。
  199. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 違反せずと考えます。
  200. 中澤茂一

    中澤委員 違反せずと考えておるならば、憲法二十九条との関連を大蔵大臣はどう考えます。
  201. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 憲法問題は重要でありまするから、法制局長官からお答え願うことといたします。
  202. 中澤茂一

    中澤委員 法理論はやめますが、これは非常に重要な問題なのです。そこで私は、おどかしで言つているのでも何でもなく、先ほど申したように、本日午後三時、全国の農民団体実行委員会を開かれまして、もしさような農民を蹂躪するような米価を決定するならば、供米のストライキをやるという決議をやつておる。おそらくまだあなたのところには持つて行かれないが、明日の朝は各大臣全部に手渡されると思うのであります。そこでそうなつた場合、この第三条の強制買上げの問題は一体どうなるのか。
  203. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私は農民各位の良識上さようなことはないと確信いたします。従いまして仮定の問題にはお答えができません。
  204. 中澤茂一

    中澤委員 しからば問題は、そういうふうに農民が激昂して来たということは、第三条の一項における強制買上げという問題があるから、そこで第二項においては御承知のように再生産を確保するを旨として価格を定めるという規定がある。これは規定は御承知のように、第三条があまりにも憲法違反の条項であるから、これを第二項で緩和しようというねらいです。そうすると再生産を確保するということになれば、これは今の三つの問題を、インチキを含んでおるパリテイ計算じやなくして、生産費原価をとるのは当然であるという結論になるのですが、その結論も吉田総理のむちやくちやと同じことで、そんなばかなことはないとお考えですか。
  205. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 米価決定には第二項の趣旨は十分考慮を加えられた後に決定せられると思います。
  206. 中澤茂一

    中澤委員 十分考慮をされると言われますが、再生産を確保するという言葉は考慮の問題ではないと思います。再生産を確保するということは、生産費原価を出すということと言葉は違いますが、これは考慮の問題ではないと思いますが、やはり依然として考慮の問題でしようか。
  207. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 それは私の申すのは米価を決定するということが考慮の問題でありますから、そのときにいろいろなことが全部満されるべきであると考えます。
  208. 中澤茂一

    中澤委員 あなたは農民の良識に期待すると言いますが、三菱の価格決定問題にしろ、あまりに今まで農民が犠牲を払つているのを無視しているもので、農民はもはやがまんができないと皆言つております。そこであなた自体が再生産を確保するということを、すなわち生産者原価をとるということを第二項でうたつておるということと、第一項の強制買上げの間に何ら矛盾をお考えになりませんか。同時にこれが実際行われた場合は、おそらく早場米の供出がもう困難になつて来るでしよう。その場合に、一体混乱した食糧配給の責任は農林省だけにとらせるつもりでしようか。原因はやはり一項と二項の生産費原価、すなわち農民の満足しない米価決定にあると思うが、その配給混乱が起きた場合の責任は、あなたも少しはお感じになるかどうか。
  209. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 法律は厳に守らるべきであると思います。従つて米価決定は法律を守つた上できめられることと存じます。
  210. 中澤茂一

    中澤委員 法律は確実に守らるべきであると言われますならば、もしストライキが現実に全国に指令されて起つた場合、あなたは警察権の発動をもつてこの第三条の強制巻上げをやろうということをお考えになつておりますか。
  211. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 私は先ほども申した通り、さようなことは農民の良識上あり得ないことと存じますので、お答えはいたしません。
  212. 中澤茂一

    中澤委員 農民の良識とあなたはおつしやいますが、事実きようの決定は、あすの早場米地帯へ指令で流されるのです。そのあとの全国の供米ストが起るのですよ。そういう段階に来て、わずか三十億か三十五億の銭をあなたが出さないために、そういう事態が起る責任だけはあなたにあるということを、私ははつきり申し上げておきます。
  213. 井出一太郎

    井出委員長 安藤覺君。簡潔に願います。
  214. 安藤覺

    安藤(覺)委員 微熱の出ておるところまことに恐縮でございますが、しばらく時間をお貸し願いたいと思います。  先ほど来米価問題を中心としての同僚委員に対する大蔵大臣のお答えを承り、かつまた前十九国会における農林予算に対する態度、昨年以来発生いたしておりますもろもろの災害対策予算等に対する態度等を拝見いたしておりますと、まことに残念ながら、率直に申し上げれば、大蔵当局の態度は、財政的見地のみに多く偏向しておられるのではないかという憂いが生ずるわけであります。しこうして私は、ここで大臣に思いを二十数年前に返していただきたい、かように考えます。あなたのまことに若くてはなやかなりし、あの眉目秀麗なる青年代議士時代、ちようどきようは奇しくもあなたの右に腰かけておられる羽田農林政務次官がこれを証明する。あなたが昭和二、三年ごろに政友会内におけるところの農政会に立てこもられて、木暮武太夫、北勝太郎、高橋熊次郎、あるいはきようはここにお見えになつておられませんが、松岡俊三等の同志諸君とともに、日本の農村政策と言わんよりは、日本の食糧政策についてはなばなしい闘いを続けられ、当時の第一次若槻内閣、浜口内閣あるいは第二次若槻内閣等に向けられたあなたの闘志というものは、まことに鋭いものがあつたのであります。しかもあなたのひつさげて立たれたところの日本の食糧問題に対しては、まことに高邁なる見識と見通しを持つておられた。あの当時における世界の平和なる姿は、どこに戦争が起きようかというようなありさまでありました。それにもかかわらずあなた方は熱心に、一朝事ある場合における日本の食糧問題について御心配をなさり、時の内閣を鞭撻しておられたのである。しこうして今日日本の置かれておりまする姿というものは、私が申し上げるまでもなく、その絶対量において非常なる食糧不足を来しておるわけであります。しかも世界の情勢はと申しますれば、一触即発というような言葉をもつてしても決して過ぎてはいないと思われる状況であります。このときにおいて、あなたのあの当時論じられましたる言葉をもつてするならば、着るものはがまんするであろう、住むところはがまんするであろう、しかし食わせないでおいて何人ががまんするか。百姓はむしろ旗を立て、食糧の不足している市民は暴動を起すだろう。現に大正八年にもこういうことがあつたではないかという御演説をなさつておられたのです。この演説を私はからずも先ほど来ここに回想いたしました。もちろんその当時から財政通としてあなたが優秀なる人材であられたこともよく存じております。その財政通としての立場からなおかつこの食糧問題を論ぜられるや、まことに切々たるものがあつたのであります。しこうして今日のこの国情を考えますときに、財政的立場ということも大事でございますが、しかし日本の置かれた食糧問題について、いま少しくあなたの若かりしころに思いをいたされ、この農林予算あるいは食糧対策予算、米価問題等に対処せられるということは、ぜひともあなたにしてなくてはならないことじやないか。この意味においてわれわれは——あなたから国情が違うとか、諸般の客観情勢が違うとかいうお言葉をいただくかもしれませんけれども、しかしもし根本において違うとすれば、窮迫状態、緊迫状態が、あの当時よりはるかに数倍しているのだ。一朝事あつた場合において、あるいはアメリカの援助によつて外米を入れ外麦を入れる、だから心配がないというお言葉があるかもしれませんけれども、無数の太平洋上に跳梁するところの潜水艦、あるいは原爆一発持つて来たらそれきりになるじやありませんか。このときにまず起るものは食糧暴動である。これを考えますときに、いま少しくこの日本の食糧政策というものに財政当局の比重を多くかけられていただくわけには参らぬのか。単に農民を救済するとか、農民の生活水準を上げるとかいうような問題でなくして、あなたのお考えをここにお持ちくださることが必要じやないか、かように考える。二十数年前から御成長なさつておられるあなたのお姿を見ている私は、今日のお話を聞いて、たいへん悪い言葉になるかもしれませんけれども、少し衰えられたのじやないか。同時にあの当時の広大な気宇というものがかすめられて、残念ながら属僚化されたのじやないかというような感じがいたすのであります。この辺の格段なる御覚悟と、ことにあなたの久しきにわたる抱負と、また後輩であるところの羽田政務次官が晴着を着てそこにすわつている。これを助ける意味においても、この際思い切つて踏み切つていただきたい。かようにお願いして、微熱もあられることだそうですから、もう多くを申し上げません。
  215. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 安藤君の御激励、御鞭撻をいただき、まことにありがたく思いますと同時に、実は内心恐縮いたしている次第であります。そこで、全体としての日本の食糧政策につきましては、特に食糧の増産につきましては、私どもも今後全力を尽したいと考えております。そして、いわゆる自給度の向上によりまして、できるだけ外米、外麦等を少くしたい、こういうふうな考え方を持つております。従つて、先ごろからデフリーズ氏が来ておりまして、私は明朝も会見することになつておりますが、過日来たびたび私も会見いたしております。御参考に申し上げますと、食糧について二千万ドルくらいを出すという用意があるということを、向うも言つて来ておりますので、この二千万ドルを一日も早く出してもらうことによりまして、食糧増産の方も軌道に乗せたい。さらにまた、昨年度の分もございますが、余剰農産物の分についても、これを多少食糧増産のために使わしてもらいたいという考えを持つておりますので、今度たまたま私が日本代表として向うへ参りますから、その節は、デフリーズ氏も大体来月の初めには帰つておりますので、従つてこういう問題につきましても、十分それらの銀行その他と話し合いまして、いささかなりともそういつた食糧増産に対する財政的な処置及び外資導入等ができますように、努力いたしたいと考えております。なお、るるお示しのことは、私も厚く心に銘じまして全力を尽す考えでおります。
  216. 安藤覺

    安藤(覺)委員 御答弁いただきまして私満足いたしますが、ただ一言さらに御注意申し上げておきたいと思いますことは、私は幼いころに非常に貧窮の家庭に生れました。よく母が本家へ行きまして、一升、二升の米を借りたことがございます。二度、三度これを重ねておりますうちに、本家の子供が私をたいへん侮辱するようになつて参りました。そこで私は、幼な心にも非常な憤りを感じまして、本家の子供をなぐりつけますとともに、おれの家だつて独立しているんだぞということを言つたことがあります。そのときに本家の子供の返しました言葉に、年中おれのところへ一升、二升の米を借りに来ておつて、人のところの台所で養われておつて独立があるかということを浴せられて、私は返す言葉がなかつたことがございます。ただいまの借款もけつこうであります。ただ人の家に台所を預けておいて独立々々といつても、ほんとうの独立はできませんぞ。この点だけはお含みおきを願いたい。それから米価も近く決定するそうでありますが、あなたの師匠さんという立場に立たれました高橋是清先生は、往々にして最後のときに大きな腹をぽかりとお見せになつたことによつて高橋さんが名蔵相として、また名財政家としての名声が今日に至るまであるのであります。どうかあなた様におかれましても、十分に年期を入れられて、事を見るにおいて高橋蔵相式に大きな腹をお見せるすることをお願いいたします。
  217. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 ありがとうございました。なお申し上げでおきますが、実はアメリカの資本を入れてどうこうという点はございませんので、これは世界銀行、すなわち世界五十三箇国が加入しており、日本もまた加入しておる、いわば自分の銀行の金を借りてやるという次第でございまして、何も日本をかれこれ悪口言われるように、アメリカ資本を入れてどうこう——あなたのお言葉の通り、本家とかなんとかでなく、これは自分の銀行ですから、どうかその点誤解のないようにお願いいたします。どうもありがとうございました。
  218. 井出一太郎

    井出委員長 この際足鹿覺君より発言を求められております。足鹿君。
  219. 足鹿覺

    足鹿委員 私は昭和二十九年産米価及び昭和二十八年産米追加払いに関する件につきまして動議を提出いたしたいと存じます。  本委員会は去る八月十一日、食糧管理制度の改正に関する件なる厖大な食糧管理制度全般にわたつての意見をとりまとめ、これを満場一致決議をいたしまして、政府並びに関係方面にその趣旨を伝え、今日までいろいろと努力をいたして来ておる次第でありますが、本日並びに昨日来、当面の問題であります本年産米価並びに昨年産の米追加払いの件につきまして種々論議をいたしました点と、八月十一日の食糧管理制度改正に関する件の決議案との両者をよく検討いたしまして、八月十一日の決議中の特に価格問題とバツク・ペイの点並びに価格算定並びに決定方式等の点について、さらにこれを具体的にとりまとめ、本日の決議といたし、近く開かれる米価審議会あるいはそれに至る大蔵、農林両省当局に対して強く本委員会の意見を伝えて最大限の善処を求めんとするものでございます。詳細は省略いたしますが案文を朗読いたします。   昭和二十九年産米価及び昭和二十八年産米追加払いに関する件   本委員会は去る八月十一日付をもつて二十九年産米価並びに二十八年産米バツク・ペイの問題を含む食管制度の改正問題に関して満場一致の決議を行い、政府注意を喚起したのであるが、本件に関する政府部内における折衝の推移をみるに著しく財政的見地に偏向し、本委員会決定した方向をはなはだしく逸脱しておることをきわめて遺憾とするものである。よつて政府は首題の件に関し、国民食生活の安定に寄与するとともに、国内食糧の増産を確保せしめるために、米の再生産を償う適正米価で農民の協力する最大限の集荷を行い、もつて生産、消費両面の安定を実現することを目的とし、左記のごとく措置すべきものと認める。    記  一、本年産米の集荷目標数量は、内地米により、少くも生産県、消費県おのおの十五日を下らない数量を配給することを目途とし、二千八百万石程度決定すること。  二、二十九年産米価格は、生産者の供出意欲を高揚して前項の集荷目標数量を達成するため、次のごとく定めること。   (一) 北海道東北冷害及び第十二号並びに第十三号台風等を含む、農業災害状況を織り込んだ九月の作況に基き、減収加算等必要な措置を講ずること。   (二) 生産者価格の算定方式は生産費方式を基本とし、この際その重要要素である労賃については、工業労賃との均衡を得せしめるものとすること。   (三) 現行生産者価格のうち、早期供出奨励金以外は一本化することとし、超過供出奨励金及び供出完遂奨励金は基本米価に織込むこと。   (四) 早期供出奨励金については、次のごとく改善すること。    イ、買上げ数量は無制限とすること。    ロ、供出期限は次の通りとすること。      第一期九月三十日まで、二千円以上      第二期十月十五日まで、一千三百円以上      第三期十二月十五日まで、八百円以上   (五) 米穀の検査規格は、最近の傾向にかんがみ、一等級ずつ繰下げること。  三、消費者価格の決定に当つては、金利、倉敷料、運賃、事務費等、政府経費の一部を一般会計負担として極力その上昇を押えること。  四、二十八年産米の追加払いは、従来の方式により速急に決定してこれを支払うこと。  五、二十八年産米に対する減収加算支払い額百十億円は昨年九月二十九日閣議における決定方針のごとく消費者負担とすることなく、一般会計の負担とし、それによつて生ずる食管特別会計の財源をもつて不足する分については輸入価格差補給金及び食管特別会計の資産をもつて本年産米及び二十八年産米のバツク・ペイの支払い財源に充当すること。  六、米価の決定機構について、この際米価審議会の答申を実質的に尊重し得る制度に切りかえること。    右決議する   昭和二十九年九月十五日         衆議院農林委員会  以上であります。なお本案につきましては、十分各位の御了解を得たつもりでありますが、お諮りの上決定の際は、委員長より大蔵大臣並びに農林大臣について本委員会決定に対する所信等についてもよろしく御聴取を願いまして、御善処あらんことを希望いたします。
  220. 井出一太郎

    井出委員長 ただいまの足鹿君の御発言に対し、他に御意見はありませんか。——別に御異議もないようでありまするから、ただいま足鹿君提案にかかりまする二十九年産米価及び二十八年産米追加払いに関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  この際政府の御所信を承りたいと思います。
  222. 小笠原三九郎

    ○小笠原国務大臣 足鹿委員の御決議の趣旨よく承りました。政府といたしましても、とくと検討善処いたしたいと思います。
  223. 羽田武嗣郎

    ○羽田説明員 農林省といたしましては、御決議の御趣旨を尊重いたしまして、最善を尽して努力をいたすということを申し上げます。     —————————————
  224. 井出一太郎

    井出委員長 この際委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。本年の稲作の成育状況については、その後の天候の順調な推移によりましておおむね平年作を確保するに至りましたことは、まことに喜ぶべきことでありますが、一方北海道東北地方水稲作況は、本年当初の寒冷気温や旱害、病虫害等によりまして相当な不作が伝えられておるのであります。また一昨日来の台風第十二号による九州、四国、中国の農産物被害、特に出穂、開花期に当つておりました中、晩稲被害は甚大なるものがあると思います。従いましてこの際これらの両地方に対し、委員を派遣し、その被害の実情を調査し、早急にこれが対策を樹立する必要があると思いますので、議長に対して委員派遣の承認を求めたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。  なお派遣委員の選定、派遣地名、期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時十三分散会