○綱島
委員 この点は大分久しい日にちがかか
つておりますので、私は均一にしていただかないと――米麦双方の配給
関係等も多少は
関係があるかもしれませんが、これはそうしていただかなければならぬ。今の漸進的にこれをやろうというお考え方には全面的に反対も申しませんが、なるべく急速に均一化していただきたいと思います。こういう希望を申し上げておきます。
さらに、今の外米の買付、ことに今度黄変米の入
つて来た
地域の買付については、これはいま少しやはり考慮されなければいかぬのじやないか。そうして今まで大体ABCの米の階級のうちの、Aの優秀米のワンツー、普通米のワンツー、Bの優秀米のワンツー、普通米のワンツーというものを除いたほかのものを買いつけておられるので、Cのワンツーだ
つたと私は思う。ここに
ちよつといろいろ困る問題が起
つて来る原因があるように思う。そこでこれは少しかえて、やはり優秀米を買われる方がいいのじやないか。それから買付方も、今のような内地であらかじめ入札をしておかれるというようなやり方では、やはりどうも、役所自身は買付については賄賂をと
つたのでも何でもないんだ、この
通りだということには都合がいいかもしれぬけれ
ども、国民経済から言えば、これはもうこれくらいばからしいことはない。こつちで入札されればその電報は向うに入
つている。しかもタイにしましても、ビルマにしましても、大体米穀は国家管理に
なつておりますし、特にタイのごときは、聞けば多くは陸軍の機密費捻出の米を日本は買
つておるのだから、そこにはいろいろな政策が行われると思うので、この負担を全部国民がするということは耐え得ざるところである。役所から言えば、この
通り自分はきれいにや
つておるのだというりくつになるけれ
ども、損にはなるので、その点自信ある官庁の態度と公正な態度で、やはり有利になるような線で買付をするようにやらなければならぬ。この点については先ほど中澤
委員からの希望等がございましたが、私もこれはやはり
委員会からも出て行
つて、一応調べて来なくちやいけないのじやないかという考えもしております。従
つて血の通
つた調査というか、もう少し内実に深い
調査をしなければいかぬ。第一目的が、おれの方は賄賂をとるのではないということを立証する
範囲の
調査ではどうも心もとない。いわゆる役人商売の一番の欠点、いい欠点のようでもあるけれ
ども、
自分が傷つかざるためというようなことでは、どうもいかぬのではないか。この点はもつと長官は太つ腹に、不正は絶対にやらないが、しかしながらもう少し有効な方法で買付をする、こういうことでや
つてもらわなければいかぬと思うのです。実は
食糧問題というものは、これは非常に重要な問題で、今名前は
ちよつとわすれましたが、享保の飢饉のときにお
つた老中が、あれは四年も続いてどうにもならない、そこで
幾らかでも剰余米があ
つた藩はのろしを打ち継ぎをして江戸に知らせろということを言明してお
つた。ところが九州
地方が初めて豊作に
なつた。それで江戸にのろしが上
つて、一体それはどこから上
つて来たかということで、老中が早かごを飛ばして大阪まで
行つたら、米がたくさんある。それを見て、もうこんなに米が集ま
つたのかと言
つたら、いや、これは悪商人が今まで買いだめをして売り惜しみをしてお
つたのですよということを聞いて、実はこれは
自分の政治力が弱くて、日本の内地にある米を食わせずに餓死者を出したことは申訳ないということで、その日から職をやめた。職をやめたばかりではない、殿様も老中もやめて、そうして剃髪をして坊主に
なつたのです。あの当時老中が坊主に
なつたということは、今ならばたいしたことはないと考えるが、昔はああいう大名などが坊主に
なつたということは、親子の対面もできないし、夫婦の対面もできない。これは自殺に次ぐものです。今あなたは
ちようど享保年間の老中みたような職にあると思
つてや
つてもらわなければいかぬ。
食糧というものについては本気で――あなたはうそ気ではないと思いますが、
自分たちがなるべく非難の出ないような、どうしても非難を受けぬでいいような方法で、多少損に
なつてもかまわないということではなしに、多少の非難と誤解はあ
つても、国民に健全な米を当てがい、安い米を当てが
つて、場合によ
つては職をなげう
つてもいいというくらいの――そういう役目を引受けたのは因果なんだから、
ちようど戦時中の歩哨に立
つたようなものだから、ひとつそういう考え方で、これは
食糧買付方法の――麦に対するものはそれほど問題はないようでありますけれ
ども、米に関する限りは買付方法の大改革をやられなければいかぬのではないか、こういう考えをしておるのです。ここらで
食糧庁は考え方をかえてやられなければならぬし、ことに川俣
委員が先ほど言われた大麦、裸麦のいわゆる
食糧麦の生産増強をはかるための用意をする、こういうことが非常に必要なことです。私実は去るほどの米価審議会に出て来ることができずに、八丈島で交通を持たなく
なつて、あそこでとうとう延留しまして、帰ることができなか
つたことを非常に遺憾としておるのですが、裸麦、大麦の対小麦比率というものを加算することができなか
つたということは、実は昨
年度の政策の結果、裸麦、大麦の生産増強、植付
面積拡大に
なつた事情等を顧みない、実にこのたびの麦価
決定に対しては、失当なる
処置であ
つたと思
つている、ほんとうに遺憾なことと思
つております。実は私は池田氏にやかましく言
つて、大体あれはあなたががんば
つて政調会の方を整えてくれるならば
自分は異議はないと言
つたものを、私がとうとうあつちから帰
つて来ることができずに、非常に残念なことと思
つているのでありますが、どうも
大蔵省もこの麦価
決定等について、ほんとうの実態を握り得ずに、ただ変なことばかりや
つておられるようですが、やはり
食糧長官が熱意がないとかなんとかいうのではありませんが、しかし今後はその非難とかなんとかいうことを、なるべくよけようというような考え方で事に当たらずに、やはり
自分が日本の
食糧問題を解決するのだ、そうしてどうしてもこれはこの際やらなければいけない。ことにただいまございますような、日本の
食糧輸入を拡大することによ
つて国際経済バランスの破綻を来しつつある事情等にかんがみて、特に
食糧増産については至大なる考え方を持たなければならないし、増産の政策については、米麦価の
決定というものがこの線とマツチして行かない限りは、決して
食糧増産というものはできるものではない。これは当然この価格
決定と関連しておるのでございますから、この点については特に私は
食糧庁長官の一層の御努力を願いたい。あるいは一応
決定した麦価の改訂とか、あるいはさらに来るべき本
年度の米価
決定等についても、一段の御努力を願わなければならない。これはひとり黄変米の
処置だけでなく、十分にこの
食糧事情を総括して、そうして水も漏らさぬような考え方と、それこそ堅忍不抜な努力と、国民の
食糧に対する責任の遂行、これは上代以来今日に至るまで、諸般の政治はございますけれ
ども、
食糧確保こそは実は庶政の根本をなすものである。これはだれが何と言おうが、あなたのお役目が、実は人類的に見ると一番重要でありますから、決して属僚であるとかなんとかいうことを考えないで、これはやりそこなえば坊主になるというよう
なつもりで、このことに当
つていただかなければならぬ。先ほどからの御説明を伺
つておりますると、なかなかいろいろ御説明に
なつてますけれ
ども、問題は、国民が腹の中で聞いてみて、ほんとうに納得する線を答えるという決心をされる、そうして政策もそういう線から出してこられるということが第一番の必要事と思うのです。これは政党の
関係とかあるいは朝野の
関係とかいうようなことで律するには、あまりに重大な
食糧問題でございまして、それこそ一家は主人より主婦に至るまで、
地方は消費者より生産者に至るまで連なる、実に国民経済の基本をなす問題でございます。わけても今日では、日本の赤字輸入の根源をなし、輸出入バランスの破壊の根源をなす問題にまで発展しておりますので、この点についても、そういう意味で実は日本の置かれている非常な重大問題たることを自覚されて処理いたされんことを、希望するわけであります。特にこの際ほんとうに長官の腹にすえられておるところの御説明を、そういう点について願えればまことにけつこうだと思うわけであります。