○
川俣委員 東北地方調査班の
調査の経過並びに結果の
概要について御
報告を申し上げます。
われわれ
委員は近畿、
中国班の
調査の終了を待ちまして、去る十三日朝
東京を
出発し、岩手、
青森、秋田
県下の
国政調査に当ることにいたしました。
調査の目標は、去る六月の凍
霜害及び最近における
冷害の
状況及び
国有林並びに
開拓地の
概況を知ることでありました。
調査班には
井出、
田子、
佐藤、
松山、
芳賀、
川俣の各
委員に
参加を願い、
岩隈専門員を同行いたしました。十三日途中より車中においでを
願つた錦織東北農業試験場長、
栽培第二
部長等より
東北一帯の今次凍
霜害の
実情を聞きつつ、
夕刻花巻に
到着いたし、ただちに
国分県知事以下
県首脳部の方方に会談し、
管内被害事情を
聴取いたしまするとともに、その
対策について
陳情を受けたのであります。
翌十四日は、ここを
出発して盛岡市に参り、
県立図書館において県で撮影された
被害の
天然色映画を見、引続いて
国道筋を北上し、いわゆる旧
南部領地帯に入りまして、今次凍
霜害を最も激烈に受けました九戸郡の晴山、江刺家、
軽米、小
軽米、
大野等の各村の
既耕地並びに
開拓地の
実情を
視察し、またわざわざ遠方よりかけつけられました戸田、侍浜、
久慈等各村の
代表の方々から
被害状況を
聴取し、また
軽米においては
県立農業試験場九戸
分場において、
場長より今次凍
霜害の
特徴、その
対策について明快な
説明を受けたのであります。
それより金田一にて乗車し、
青森県下に向い、同夜浅虫に
到着いたしました。ただちに
津島県知事以下より
県下の凍
霜害の
状況並びに
冷害の推移について
報告を受け、さらに
青森営林局長、
関係町村長より北部
上北地方開拓問題について、また全
林野労働組合青森営林局支部執行委員長、
関係町村長より
内真部営林署廃止反対の問題について、われわれが当地に来ておることを聞いて、
北海道よりわざわざ来訪せられた
高橋農民同盟理事長より
北海道における稲のひめはも
ぐりばえの被害及び
対策について、それぞれ切実な
陳情を受けたのであります。
翌十五日は、ここより
野辺地を経由して下北半島に向い、まず
横浜村
付近開拓予定地、
上弥栄開拓地、
東北六県の
開拓基地農場として
効果をあげております
上北ばれいしよ原々
種農場、
青森営林局の
横浜総合苗圃等を
視察、それより
田名部町
経由恐山のひばの
原生林を見学し、さらに同夜
田名部町において
付近町村長より凍
霜害の
概況について
説明を受けたのであります。
翌十六日、大湊より汽車にて
野辺地に参り、ここから
自動車で南下して、
上北郡天間林村及び
大深門村開拓地、
青森県
農業総合研究所七戸
実験農場、
三本木農林省開墾建設事務所、
青森県立藤坂試験地等々を次々に訪れ、特に
藤坂ではふ系三十七
号等耐冷性新
品種の
育成試験圃、
冷害予算で
完成した
冷害実験室等を見学し、田中稔氏より本
年度冷害の見通しについて
説明を受ける等、
東北における凍
霜害及び
冷害の実態をきわめることに努めまするとともに、三本木の国営開墾建設
事業の進捗
状況を
視察いたしました。
なお七戸町では、
上北郡町村会より、
冷害救農土木
事業として南部縦貫鉄道株式会社が
計画中の鉄道敷設の土木
事業への日本開発銀行よりの融資について
陳情を受けました。同夜蔦におきまして、
農林省林野庁石谷業務
部長、水野秋田営林局長及び全林野秋田支部労働組合
代表の来訪を受け、秋田営林局管内山瀬営林署の廃止問題にからむ紛争事件について、それぞれの立場より
説明を受け、われわれとしましてもその取扱いについて協議を行つたのであります。
翌十七日は、十
和田湖を横断して秋田県に入つたのでありますが、まず鹿角郡柴平村に至り、りんごの凍
霜害事情及び稲のひめはもぐりばえによる
被害状況を
視察し、さらに山瀬村において同営林署の廃止反対につき、村民約一千名と面会いたしまして反対の
理由を詳細
聴取いたしました。それより七座営林署天神貯木場に至り、ここより森林軌道により同署管内のみごとな秋田杉
原生林の林相及び伐木作業を見学いたしました。同夜さらに
付近町村長より再度にわたり山瀬営林署廃止反対
陳情を受け、また村民約五百名からときならぬちようちん行列によ
つて反対の意思表示を受けることと
なつたのであります。
翌十八日は、能代市に参り、秋田木材能代
事業所、瀬川樽丸工場、
東北木材工場等を見学し、引続いて八郎潟に至り、三倉鼻及び船越水道よりこの潟の
干拓事業計画の
説明を受け、その全貌について見学を行つたのであります。
それより秋田
県庁に参りまして、池田県知事以下所管部課長より
県下農林業
事情、なかんずく
農業災害等について詳細なる
説明を
聴取いたしたのであります。
以上をも
つて今回
東北地方における
国政調査の全日程を終了いたしたのであります。同夜急行にて帰京いたした次第でありますが、本
調査により明らかにされました
現地の直面いたしておる諸問題中特に重要なる問題に関し、この際
説明をいたし、審議の御
参考に供したいと存じます。
まず過般の凍
霜害の
状況であります。第十九国会の末期、すなわち六月の九日より十日にかけて凍
霜害が
東北地方一帯を襲いましたことは御
承知のごとくでありますが、当時情報も不確実でありましたために、この
対策につきましてはきわめて不十分でありましたが、今回の
調査によりほぼその
概要を把握することができ、
農家に与えつつある影響の意外に深刻であることを知り得たのであります。
そもそも六月十日に至
つてのいわゆる晩凍霜は一般に稀有の現象とされておりますが、当時の気象
状況に関する記録を見ますると、六月初めからオホーツク海に停滞していた高気圧から寒冷な空気が南下しまして、
青森、岩手、秋田の旧
南部領地帯をおおい、おおむね冷涼にして低温な気象の状態にありましたところ、六月の七日の深更に至
つてこの高気圧は岩手県の中部以北にまで強力に張り出して参り、このために気温は八日の十九時より一時間ごとに摂氏一度くらいずつ降下し始め、高冷地では八日昼ごろまで降り続いた雨で湿
つていた地面に降霜、霜柱、結氷等の現象を出現したのでありますが、この状態は、九日の晩より十日の早朝にかけて、地帯によ
つてはさらに低温を示し、
被害は一層拡大されて、遂に今回の
災害に立ち至つたものと思われるのであります。従いまして、一般に岩手、
青森、秋田各県の旧南部領及び津軽領一帯は零下三度前後に気温が低下いたしまして、岩手県におきましては、九戸、二戸の両郡下を最も激烈な
被害地帯とし、岩手、上閉伊、下閉伊の諸郡はそれに次ぐ
被害を受け、
青森県下におきましては八戸、
上北、下北、東津軽各郡の畑作に、また津軽一帯、八戸市、三戸郡のりんご等の果樹園に著しい損害を与え、また秋田県においては、鹿角郡下のりんご等の果樹その他に激甚なる
被害をもたらしたのであります。
被害の
状況を簡単に申し述べまするならば、まず冬作である麦及びばれいしよでありますが、御
承知のごとく、麦は開花後におきましては、きわめて霜に弱いとされておりまするように、開花期を過ぎておりましたものはほとんど結実をいたしておりません。地形的にいいまするならば、平坦地においてはやませが吹き抜けた
関係上
被害は少く、複雑な地形を持つた
地域がかえ
つて大きな
被害を受けておるようであります。
小麦は肉眼では
被害状況は明らかでありませんが、手にと
つて粒数計算をいたしますと、不稔粒のきわめて多いことが判明いたしました。われわれもまた所々の麦畑に車よりおり立
つて点検しましたところ、
被害の意外に甚大なることに一驚を喫したのであります。岩手県九戸郡の
軽米試験地においては、実に三分作という結果が出ております。大麦は
小麦より熟期が早い
関係もあ
つて、やや良好の成績を示しておるようでありますが、それでも岩手県の南部領では大体五分作
程度と見られております。ばれいしよは在来種の山円は比較的強靱で、男爵等に
被害を多く見受けたのでありますが、これらは商品価値の少い小粒のいもと
なつて
被害も少くないと見られます。
次に夏作でありますが、まず水稲は
霜害を受けることは比較的少いのでありますが、本田移植直後のもの、水の少かつたものなどは
相当にやられ、
冷害と合併して
被害を拡大しているようでありますが、この点についてはあとで申し上げることにいたします。
大豆は畑作地帯の主作物でありますために、
農家にと
つての影響は深刻であります。麦の間作は割に
被害軽微ですが、単作にしていたものは三割以上の
被害を受けているようであります。あずきは六月下旬まではまき直し可能のために
農家はほとんど再播をいたしております。ひえは耐寒、耐冷の植物であるにもかかわらず、やられておりますのを見ても、今次凍
霜害の
程度がわかるわけであります。しかして分蘖力が旺盛でありますために、盛んに分蘖しておりますが、穂ぞろいが悪いので、作業時に生ずる損害は
相当大きいと見られます。あわ、とうもろこし、そばは岩手ではほとんど全滅であります。再播をいたしておりますが、六割以上の損害は免れないと思います。
次に果樹でありますが、りんごは九戸郡では原型質が黒変しましてほとんど全滅、秋田県の鹿角郡も平年の六分作ないし七分作といわれ、損害一億五千万といわれております。ぶどう、なしについても甚大なる損害が予想され、秋田県を通じ、果樹の損害は約三億円と見込まれております。但し、
本県におきましては四月二十九日、五月九日の風害及び雹害とその原因が重なり合
つておるようであります。
次に林業に対する影響であります。
東北地方は一帯に山への依存度の高いことは御
承知のごとくでありますが、から松、すぎの三年生以下の苗であ
つて、枯死しました数はおびただしい数に上り、
青森県のみをとりましても民間の苗畑において三百数十万本、造林地において二十数万本が枯れておるようなありさまであります。またくりのごときはほとんど全滅に近いと伝えられるのであります。
次に養蚕
農家に与えた影響でありますが、岩手県南部領におきましては、最初に出た桑葉はほとんど
被害を受け、九戸地方では掃立て
農家は現在皆無に近いといわれております。
以上申し述べましたように、
各種の作物、果樹を通じまして、その
被害額を総計いたしまするならば、岩手県におきましては、県側の数字によりますと、
被害面積三万二千
町歩、
被害金額十四億五千万円と算定いたしております。但し七月五日現在をもちまして、統計
調査事務所が本省に
報告しております
被害面積は約二万四千
町歩程度と計算されます。
青森県におきましては、
被害面積四万
町歩、
被害金額は、りんご十三億円、畑作十五億、合計二十八億円と伝えられ、これに対して統計
調査事務所の
報告数字は大体二万三千
町歩程度と相
なつております。
被害の
概況は以上ごく簡単に申し上げました通りでございますが、これに対して
現地側において希望を表明せられておる
対策事項としては、まず、
利子補給、損失補償を伴う営農
資金については、
昭和二十九年四月及び五月における凍
霜害等の
被害農家に対する
資金の融通に関する特別措置法を改正して、
資金額については、岩手県五億円、
青森県八億円、秋田県八千万円
程度を計上せられたいというのであります。なお
被害農家に対しましては、二十八年
冷害、有畜
農家創設、開拓者
資金等
各種資金の返済の延期措置を講ぜられたいという
要望があわせ表明せられております。
次に農作物及び蚕繭共済金の精算払いの即時
実施方が希望せられ、その金額については、岩手県では麦七千万円、蚕繭四千万円といわれております。
次に再播用及び代作用種子購入費、次期作付用麦種子購入費、追肥用肥料購入費、病虫害防除用薬剤購入費等に対する国よりの
助成が強く
要望せられました。飯米
対策として、政府手持ち米麦の安売り及び二十八年
冷害分の延納措置の速急な
実施を望まれております。
次に
国有林野事業、救農土木
事業、臨時救農施設
事業に対する
現地の
要望はまことに熱烈なものがあります。国有林よりの薪炭原木の払下げは結局その市価を低落させる等の逆
効果も認められますので、この際
土地改良、造林、林道等の公共
事業を興して、現金収入の道を講ずることがむしろ望ましいように感ぜられましたことを付言しておきます。また二十八年産米に対するバツク・ペイの
実施、自作農創設維持
資金の
増額が
要望せられております。蚕糸
対策としましては、樹勢回復用肥料代補助、桑樹病虫害防除薬剤補助、夏秋蚕種代補助、稚蚕共同飼育施設補助、技術指導強化補助等があげられております。
以上を要しまするに、凍
霜害対策としては、今日まで国としては、ほとんどまつたく的確な措置をと
つておらぬわけでありますが、
被害を受けた
東北農民、ことに開拓
農家に対して容易ならぬ実害を与えていることは確実であり、しかも昨年の
冷害を受けたあとでありますだけに、その影響はきわめて深刻であります。しかして、これから申し上げまするように、本年の
冷害もまた軽視できぬ
程度に進行しておりまする事実を考え合せまするならば、
東北農業の持つ一種の宿命をも感じられ、真に同情にたえないところであります。
農林当局としては年々歳々繰返すところの
農業災害に直面して、その根本
対策に真剣であらねばならぬことを痛感するものであります。今回の凍
霜害にあた
つて、チモシー、クローバー、燕麦等の牧草ないしは飼料作物は、ほとんど
被害を受けておらぬ事実に徴しまするならば、従来の穀菽
農業に偏した作物体系は、この際再
検討を加え、家畜を導入していわゆる草地
農業ないしは酪農経営の方向へ向うべきことの必要性は、もはや多言を要しないところであると思うのであります。
次に
冷害の
概況について私
どもの見て参りましたところを御
報告いたしたいと存じます。われわれが
青森県北部に滞在中、夕刻ともなれば冷涼なやませが吹いて参り、丹前を着て火鉢をかかえ込んだほどでありましたが、今年は過去において最も劣悪な気象条件を示しました大正二年と比較されておることは、新聞等によりすでに報ぜられております通りであります。御
承知のごとく、六月はずつと低温が続きましたために、五月の三、四日ごろまでに本田に移植した水稲は、著しく成育が悪いようであります。大体において津軽地方で七日、南部地方で十日、最も悪いところで二十日の遅延を示しており、われわれも至るところで移植当時そのままの姿の水稲を見受け、また水口田はこれを犠牲田として放棄したようなところも多数見受けたのであります。技術の進歩によ
つてある
程度冷害の克服はできるわけでありますが、七月中に示したような昨今の冷温が続き、さらに開花期ないしは幼穂形成期の八月上旬を迎えまして、二十度以下の低温が訪れまするならば、現在の耐冷、耐寒性
品種をも
つてしてもとうていこれに耐えることはできず、大凶作は必至であると見られ、残念ながら
東北地方はあげて深い憂色に包まれておると
報告せざるを得ないのであります。
藤坂試験地において陸羽百三十二号につきて、七月十日現在で生育
状況を
調査しましたところによれば、
昭和二十年と比較し、草丈はほぼ同様の二十五センチメートル、しかるに茎数は十三本に対して五本であ
つて、明らかに凶作型であり、八月の天候回復に多少の望みをかけるとしましても、五月、六月の気象より見まして、気象学的には本年もまた
冷害型であることは、ほとんど明白かつ決定的であると見られるのであります。従いまして
現地におきましては、県
試験場は一体と
なつて、今日ではもはや多収穫を望まず、
冷害防止、病虫害防止のために、もつぱら安全第一主義の方針をと
つて必死の努力を続けておるのであります。
あまつさえ
冷害型低温性害虫である稲ひめはもぐりばえが大
発生し、
北海道十万
町歩、秋田一化期三万
町歩、二化期七千
町歩と言われ、水稲の成育をさらに遅延せしめております。また
北海道の
陳情によれば、各地に旱害が起
つているといわれます。また今後の日照り、温度のいかんにより、穂首いもちの大
発生も予想され、本
年度稲作は容易ならぬ前途を控えておりますことを認識し、今後の措置に万全を期せなければならぬことを痛感する次第であります。この段階における
対策としまして、少くとも
農業改良普及組織の活動に対する国の
助成並びに農薬に対する国の
助成をすみやかに計上して、も
つてこの異常
災害に対処しなければならぬと存ずる次第であります。
なおひめはもぐりばえは指定病害虫に入らず、また従
つて共済事故と
なつておらぬようでありますが、政府はこの点すみやかに是正せられたいのであります。
次に
青森県
上北郡
野辺地町、
横浜村、六ヶ所村、甲地村を含む六万七千
町歩に関する北部
上北地域開発
計画について御
報告いたします。この
地域はか
つて旧御料林、陸軍
放牧地に該当し、かつ交通不便の僻地であるばかりでなく、やませの吹きまくる自然
耕作不適地として開発の手が伸びず、放任状態に置かれておるのでありまして、施策よろしきを得れば
開拓地として有望なる
地域であります。しかし開拓
計画はいまだに決定を見ず、
農林省においても
農地局は一万
町歩の開拓
計画を有し、林野庁においては七千
町歩以下の国有林解放を主張しておるようであります。
この地帯は、先にも述べましたように、常習
冷害地帯でありまするので、全面開墾としては不適といわねばなりませんが、海岸防災林、基幹防風林の徹底的な保続及び
設定を行う等
耕地保全方策を樹立しなければ、開墾は危険はまぬかれませんので、すみやかにその
対策を立て、結論に到達せられんことを切に望む次第であります。
次に八郎潟の
干拓計画でありますが、目下、過般来朝しましたオランダのヤンセン氏の案に基いて、
昭和三十
年度より
着工し得るよう折衝中であることは各位の御
承知の通りであります。この
計画は、潟の総
面積二万二千
町歩に対して、調節池四千四百五
町歩、承水路千三百七十六
町歩、
地区内導水路三千百三
町歩を設け、
干拓田一万三千
町歩、畑二百八十九
町歩を
造成しようとするものでありまして、畑を除き田地反当二石六斗としても、毎年三十三万石、三十三億円の
増産を期待するものであります。総
経費約百億円でありますが、反当
経費は十万円以内とみられ、経済効率高く、
工事もきわめて容易であり、
完成後の経済的条件もすこぶる有利でありまして、そのすみやかなる
着工と
完成とを望んでやみません。
資金については、世界銀行よりの借款に依存するか、あるいは余剰農産物の見返り円の使用を希望しておるのでありまして、これらの導入外資による開発
資金の調達に失敗するならば、けだし県民に与える反動ははかり知るべからざるものがあろうかと思われる次第であります。
最後に営林署の廃止問題について触れておきたいと思いますが、新たに
北海道に営林署を
設置する必要があり、そのために内地において
青森営林局管内で内真部、秋田で山瀬、前橋で木戸、
東京で小田原、大阪で大阪、
熊本で種子島、徳之島七営林署をそれぞれ廃止することになり、七月五日付
農林大臣の告示をも
つてこれを行われたのであります。先ほど申し述べましたように、今回のわれわれの
調査にまつたく予期していなかつたのでありますが、
現地において数次にわたり
関係町村及び全林野管下の労働組合よりの反対
陳情及び示威を受け、問題がすこぶる重大な段階にあることを
承知いたしたのであります。
今回の林野庁の処分は、定員の
関係あるいは
国有林野行政全般の合理化の見地から行われたものといわれておりますが、その趣旨が徹底を欠いているようであります。これに対し林野首脳部は、組合及び村民に対して、解雇者は出さぬこと、配置転換は本人の承諾を得て行うこと、今後は組合側と十分協議の上行うこと、現在国有林が与えている利益はすべて継続して
現地に与えること、営林署の建物等は
現地の希望を聞いて行うこと等の条件を提示して説得に当
つているようでありますが、組合及び
現地村民側は相提携して廃止反対運動を起し、事態をいつまでもこのままに放任するわけには参らぬと存じますので、政府におきましても事態のすみやかなる収拾のため万遺憾ない措置をとるよう善処せられたいのであります。
その他
農林行政上幾多の問題について
報告すべき事項があるのでありますが、時間の都合もありますので、これをも
つて私の
報告を終りたいと思います。