○吉川(久)
委員 私は
委員長、
委員会の御了解をいただきまして、去る二十日から四日間にわた
つて、非公式ではございますが、青森、岩手の凍
霜害の
状況を調査いたしましたので、時間の関係もありますから、私は概要を申し上げ、
政府においてもこの対策について格段のお考えを願うとともに、本
委員会においてもひとつお取上げをいただいて、現地調査等について御配慮をお願い申し上げたいということを、あらかじめここに申し上げておく次第でございます。
私が参りましたのは、すでに凍
霜害の
被害を受けましてから十二、十三日に
なつたときではございますが、現地について見ましたところ、オホーツク海より移動せる寒冷高気圧の侵入によ
つて、岩手県の県北、青森県の三戸、上北、下北の三郡に異常な低温が六月の六日、十日の二日間にわた
つて襲来をいたしまして、時ならぬときに降霜と結氷を来した。これは数十年来のできごとであるといわれておりました。私は特に農作物の
被害状況について申し上げるのでございますが、この地帯を襲いまして
被害を受けました農作物は、大麦、小麦、大豆、あずき、ひえ、あわ、とうもろこし、ばれいしよ、タバコ、りんご、桑、蔬菜等でございますが、あわ、大豆、とうもろこし、あずき、ばれいしよ、りんごは特に減収率がはなはだしいのでございます。ことにこの地域の開拓地は、標高がきわめて高い地帯でございまして、これはほとんど全般的に致命的な
状況であると私は見て参
つたのでございます。岩手県と青森県の県境の地方のごときは、私は特にここに二日間を要したのでございますが、秋の紅葉した時期とま
つたく同じような
状況でございます。岩手県庁では、天然色映画に収めまして、来る臨時
国会等に
国会へ持
つて来て、議員各位に
ごらんに供すると言
つておられましたけれども、実にさんたんたる
状況でございました。私の見ましたところ、大体岩手県が二万一千百七十四町歩、その損害は十四億三千万円、また青森県においては、三万五百七十七町歩、損害金額にいたしまして十五億一千二百万円と申されておりましたが、私はこの
数字は
相当信用してさしつかえないのじやないかというようなことを、つぶさにながめて痛感をして参
つたものでございます。これの対策には、県は
相当に
——ことに岩手県のごときは、積極的にいろいろの施策を考慮いたしておりましたけれども、この地方
はちようど昨年のあの冷害凶作に見舞われた地方でございまして、打続く凶作のために、民心は非常に意気消沈をいたしております。私が青森県の県立の農場へ参りましたときに、その翌日農林省からも調査に見えるというようなことを伺
つたのでございますけれども、その後農林省の調査はどういうようにな
つておりますか。この地帯が水田地帯ではなくて、ほとんど畑作地帯であるというところに今回の
被害が最も激甚であるということを見て参
つたのでございます。
これが対策といたしましては、営農
資金の問題等については、前回六月災害は継続
審議にな
つておりますので、この
法案の実現までは、一体
政府はこれに対してどういうような
措置をとられるのか、私はこれはきわめて重大な問題であろうと思います。すみやかなる対策をとらない限り、この地区からの収穫は皆無の面積が
相当出て来るのではないかと思います。ことに昨年の営農
資金の延納等の問題、これらもひとつすみやかなる指示をされなければならないと思
つております。共済金の仮払いあるいは精算払い等の問題についても、適切な手が打たれていることとは思いますが、特にこの地帯は畑作地帯でございまして、農業災害補償法の
対象外の作物が大部分でございます。こういうものに対して、今日までわが国には何ら講ずべき
措置がないように思うのでございますが、こういう場合に、農林
当局はどういうような
措置をとられるのか。これは
国会自体においても、次の機会には農業災害補償
制度について、特に私は考慮を要する点であると思うのでございますけれども、それを待てない
現状において、農林省は何らかのすみやかなる
措置を講じなければならない、かように見て来た次第でございます。病虫害防除はもう私は緊急の対策として取上げなければならないと思います。非常な寒冷のために、私が行
つております四日間のごとき、私は東京のような気分でレイン・コートも持たずに参りましたが、自動車の外へ出て歩くのに、かぜでも引きはしないかというくらいに、身ぶるいを感ずるくらいに非常に寒いのです。そのために植えつけた水稲のごときも全然活着を見ないという
状態で、これでは水田についても、私は
相当な病虫害が発生するというような
状況を見て来たのでございます。これは冷害と関係があるかどうかは存じませんが、弘前
方面に参りますと、モリニヤ病という実腐病あるいは株腐病というようなものが非常に発生を見ておりまして、有名な青森リンゴの本年度の収穫は、
相当に憂慮されておるような
状況でございます。麦のごときは、私ここに見本を持
つて参りましたけれども、開花期に零下五度という寒さに見舞われたために、全然結実を見ておりません。これがもう見渡す限りの、三本木を中心とするあの広大な、満州の平原を思わせるような広い畑作地全帯全部こういう
状況であります。寒さに強い菜種のごときも、この頭の方は
ごらんの
通り結実しておりませんが、これ
はちようど開花期に寒さに見舞われたから、この寒さに強い植物がかくのごとき
状況にあるというわけです。ここにもう
一つ大豆ととうもろこしの見本がございますけれども、御存じの
通りチモシーといいますか、あるいはその他の非常に寒さに強い牧草、その中へ落ちてはえたとうもろこしは正常に伸びております。ところが畑にまかれたところの、何らの寒さを防ぐ施設のないとうもろこしは、このように全部枯死しておる、こういう
状況にあります。大豆のごときは、これが六月二十二日に正常であれば
——この見本の一番左にあるのでございますけれども、その他のものは全部やられている、こういう
状況でございまして、これは見るもさんたんたる
状況でございますから、すみやかに農林省はこれに対する
措置をと
つていただきたい。
それから、本農林
委員会においても、
委員長、
委員各位は、どうぞこの実情をできるだけ早い機会に御踏査をいただきまして、この恵まれない広大な地域に対する農民の生活に、格段の御配慮を賜わるように切望するものでございます。
委員長におかれてもそのようにおとりはからいをお願い申し上げる次第であります。