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1954-06-03 第19回国会 衆議院 農林委員会 第57号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月三日(木曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 福田 喜東君    理事 金子與重郎君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐藤善一郎君    松岡 俊三君       松山 義雄君    吉川 久衛君       足鹿  覺君    井谷 正吉君       井手 以誠君    中澤 茂一君       中村 時雄君    安藤  覺君  委員外出席者         検     事         (刑事局刑事課         長)      長戸 寛美君         検     事         (刑事局参事         官)      勝尾 鐐三君         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    松岡  亮君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      新沢  寧君         農林事務官         (食糧庁総務部         監査課長)   岡村 昇三君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部輸入計画課         長)      羽場 光高君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         二部長)    桑原 信雄君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         二部輸入業務課         長)      長尾  正君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 六月三日  委員遠藤三郎君、齋藤憲三君及び井手以誠君辞  任につき、その補欠として佐々木盛雄君、加藤  高藏君及び和田博雄君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員和田博雄君辞任につき、その補欠として井手  以誠君議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  食糧問題に関する件  農林金融に関する件  農業災害補償制度改正問題に関する件     —————————————
  2. 綱島正興

    綱島委員長 代理これより会議を開きます。  昨日に引続き食糧問題について調査を進めます。質疑の通告があるので質疑を許します。川俣清音君。
  3. 川俣清音

    川俣委員 きようは、今まで問題として残されておりました本年度産麦価の問題について食糧当局から御説明を願いたいと思うのです。  食糧庁は、先般麦価を仮決定をいたしまして発表いたしたようでありますが、なぜこんなに急いで発表しなければならなかつたか。この点をまず第一に伺いたい。
  4. 綱島正興

    綱島委員長 代理川俣委員ちよつと申し上げますが、食糧の問題については輸入関係だけにしていただかぬと、総務部長がまだ参つておらないのと、食糧庁長官が参議院に出ておりますので、ちよつと今のところお答えしかねると政府委員は申しております。そこで輸入関係では桑原業務第二部長羽場輸入計画課長長尾輸入業務課長岡村監査課長が見えておりますが、長崎県の食糧関係岡村監査課長が大体御承知ようでございますから、その輸入関係について、ひとつただいまのところは御質問を進めていただきたいと存じます。
  5. 川俣清音

    川俣委員 衆議院の農林委員会が非常に熱心に議案を審議いたしましたために、今農林委員会に残つておる法案は、繭糸価安定法及び議員提出の二法案だけであります。それほどに協力いたしておりますのに、法案がなくなると一体政府委員が出て来ないのは、まことにけしからぬと思うので、委員長からひとつ御催促願いたいと思います。
  6. 綱島正興

    綱島委員長 代理承知いたしました。
  7. 川俣清音

    川俣委員 それでは引続いて質問に移ります。  昨日の委員会におきまして、長崎県の不正事件について食糧庁長官に問いただし、きよう中に御返事があることになつておりましたが、その昨日以来の経過について一応御説明を願いたいと思います。
  8. 岡村昇三

    岡村説明員 昨日の御質問内容を十分承知いたしませんので、あるいはお答えが十分でないかと思いますが、さつそく長崎食糧事務所に電話いたしまして、問いただしました結果を御報告申し上げます。  それによりますと、起訴起訴の問題につきましては、やはり不起訴にたつておるようであります。この分につきましては、長崎食糧事務所長より私の方に文書をもつて報告が参つております。一応その文書を申し上げますと、検察処分通知書といたしまして、長崎地方検察庁検察官高橋泰介さんという方から食糧事務所長あてに書面が参つております。これは、  貴殿から昭和二十九年五月六日付告発のあつた事件については昭和二十九年五月二十一日左記処分にしたので通知する     記  不起訴昭和二十九年五月二十二日   長崎地方検察庁検察官高橋泰介こうなつてつておるのが報告でございます。なおただいま申しましたように電話で確めましたところ、やはり不起訴になつておるそうであります。  次に卸業者でございます者の処分の問題につきましては、目下県当局におきまして検討中であるという旨の回答がございました。  以上御報告申し上げます。
  9. 川俣清音

    川俣委員 昨日も問題になりましたのは、食糧庁出先機関である食糧事務所長告発をいたしておるわけです。こういう官庁が告発をいたしたからには、相当な根拠真実性とがなければならないはずだと思うのです。従つて普通人が臆測して告訴したのとは違うと思う。いやしくも食糧事務所長ということになりますと、食糧庁責任をもつて告訴したものと見なければならない。もしも食糧庁意思でなくして食糧事務所長告発をいたしたとすれば、これは行き過ぎとして当然官紀紊乱のそしりを受けなければならないと思う。しかし私はそうじやないと思うのです。やはり食糧管理責任上公の立場で告発したものだと思うのです。私はそう理解しますよ。監査課長はそう理解しておられないのですかどうか、この点をまず第一にお伺いいたします。
  10. 岡村昇三

    岡村説明員 ただいまのお言葉もつともと存じます。これを告発いたしますにつきましては、事情は御承知だと存じますが、食糧庁指定食庫無断出庫でございますので、御承知ように正規の荷渡し指図書がございませんで寄託物無断で出庫するということに対しましては、一応犯罪だという考え方をもちまして、検察当局公務員としての告発事由に基きましてやつたような次第でございます。その後の結果につきましては、ただいま申し上げましたよう検察庁当局の御処置にまつということでございまして、こういう問題につきましては、一応公務員としての告発事由に基きまして告発するという態度でいたしました次第でございます。
  11. 川俣清音

    川俣委員 不起訴になるようなものをみだりに告発するというようなことは行き過ぎじやないかという非難を受けるのじやないかと思うのです。もしもそういう微罪なものであつて——起訴猶予になれば別ですが、不起訴になるようなものであれば、犯意がなかつた情状酌量余地があつたということになるかもしれません。私は内容はよくわかりませんけれども、そうなるのではないかと思う。そうするとあえて告発しなくてもよかつたのではないか、もつ行政上の他の手で、勧告なり注意なりあるいは行政処分ができたのではないか。それ以上罪が重いということでおそらく告発の手続をとつたのだと思う。それが不起訴なつたということになると、どつちかに責任が出て来ると思う。あまり問題でないものを告発したのか、あるいは告発するだけの十分の理由があつたにかかわらず、検事局が不起訴にしたのか、どちらかになると思うのですが、あなたはどちらだと思いますか。
  12. 岡村昇三

    岡村説明員 告発いたしましたのは、先ほど申し上げましたよう事情公務員といたしましてやつた次第でございますが、検察当局のお考えにつきましては——ただいま詳細の報告をさつそく送るようにいたしておりますので、どういうよう処分内容、あるいはどういうわけで不起訴になりましたかただいまはつきりいたしませんために、お答えができないのでございますが、告発行き過ぎではないかという点につきましては、公務員といたしましては、将来こうした問題が問題になりまして、告発していないために事が不明瞭になつたというようなことがございませんようにいたしたいために、こういう措置とつたものと考えます。
  13. 川俣清音

    川俣委員 不明瞭になると言うが、不起訴になるよう事情であれば別に不明瞭じやないではないですか。それをあえて告発する必要はないじやないか。私は政府倉庫から横流しをされたというもしも告発の事実があるとすれば、これは不起訴になる性質のものではない。現に罪があるのであつて、不起訴になるべき性質のものではないと思う。情状酌量余地があるから起訴猶予になるということはあり得るでしようが、事実があつたとすれば不起訴になる性質のものではない。一俵とか半俵とかの間違いのものじやない。間違つて出たものでありますならば、意思がなかつたということで不起訴になるということもあるが、一俵や二俵や三俵や十俵じやないでしよう。二俵とか三俵の間違いであれば告発するに至らないだろうと思う。注意を促し、今後もしもたびたびやるならば、登録を取消す等の警告を与えてもいいはずだと思う。告発をしてまでこれを明瞭にしなければならないという決意をされてやられたからには、根拠が薄弱なものとは思われない。別に感情的な対立から告発されたものとも思われない。私どもの知る範囲におきましては、別に感情上のいきさつから、あえて感情告発に現わしたとも思われない。やはり国の食糧管理の上から、こういうことがたびたび行われたのでは、将来憂慮にたえないというところから、相当思い切つた告発態度に出たものと了解するのです。この態度食糧庁が擁護しないで、出先食糧事務所が国の管理しておりますところの米穀を今後保全できるとあなたはお考えになりますかどうか。こういうことをたびたびやられて、これが例になりまして方々に起つて来たら、それで管理ができると監査課長はお考えになりますか、この点をお尋ねいたします。
  14. 岡村昇三

    岡村説明員 お言葉もつともでございまして、私ども同感でございますが、不起訴になりました理由がただいま明確でございませんので、いささか見当違いのことになろうかと思うのでございますが、この点につきましてはいま一度調査さしていただきたいと考えます。
  15. 川俣清音

    川俣委員 これは四月に起きたことなんです。もう一月半約二箇月経過しておる。これは食糧管理の上に大きな問題です。こういう事案が起きておることについて、管理上ゆゆしいことだということで、あなた方の方から当然調査に行かなければならぬ。それをここで問題になつたからあらためて調査をしなければならないということで、末端指導監督の任についておられますあなた方の責任が果せるとお思いになりますか。食糧庁のマンネリズムになつてつていかぬと思う。惰性でやる時期じやありませんよ。食糧管理はまさに重大な時期になつて来ている。もしも単に惰性でやるといたしましたならば、食糧管理の能力ないのだからおやめになつたらよい。どうしても管理制度を維持しなければならないという熱意がありますならば、やはり範をたれなければいかぬと思う。どうですか。
  16. 新沢寧

    新沢説明員 お答え申し上げます。いろいろ事情等につきましては監査課長からお答え申し上げておりますが、今川俣先生からいろいろ御注意がありました通り、まことに私どもも申訳ないと思つております。今の事情を重ねて申し上げますと、確かに先生のおつしやるように、事務所長告発しなければならないと感じたほどの大きな無断出庫という事実があつたことは事実だと思います。ただその後告発したにもかかわらず不起訴になりました事情については、その理由の詳細にわたつてまでつまびらかにいたさないのでございますが、若干私どもが忖度いたしますところによりますと、告発いたしました後に、その業者から、現物ではございませんが、金という形で損害賠償政府に支払われております。若干まだ未払い分が残つておりますが、実質的には国庫には実害を与えなかつたということが、検察庁一つの判断の材料になつたのではないだろうかと思つております。検察庁処分に立ち入つてまで食糧庁としてどうというわけには参りませんが、現地食糧事務所長とつ処置としては、私どもは妥当な処置とつたものというふうに考えております。また今後も現地食糧管理上のいろいろな問題につきましては十分留意いたしまして、不詳事の重ねて起らないようにして参りたいと考えております。
  17. 川俣清音

    川俣委員 これは重大な発言ですよ。実質的な損害を与えないからこれでいいんだというよう考え方を全国のあなたの出先が持つたらどうしますか。使い込みしておいてあとで弁償したらいいんだということがもしも許されるといたしましたならば、どうしますか。地方のたとえば卸売業者でも小売業者でも、横流しをして、金で弁済すればいいんだということでありましたならば、重大なことが起きると思うのです。国の損害は二つあると思うのです。一つは物質的な損害であり、もう一つは国の管理権というものが侵されるということである。そのために告発をするというようなことは、公務員としては相当勇敢さがいると思うのです。それを思い切つてつたものをあなた方が擁護されないで、食糧管理が遂行できますか。問題はそこなんですよ。みんなごまかされてふやふやになつたら、食糧管理が保てますか。こういう勇敢に、忠実に国の食糧管理を行つたものを擁護しないで、何で食糧管理ができますか。
  18. 新沢寧

    新沢説明員 今私の答弁が足らなかつたと思いますが、検察庁のやつた措置につきましては、私どもその理由の内部に入つて、またその処分に入つていかんともいたし方ないと思います。ただ食糧庁としては、告発したという措置も妥当だと思いますけれども行政的にみて非常に不都合なことをやつておりますので、食糧庁責任範囲内でできることはやるというふうに考えております。具体的に申しますれば、指定倉庫としての取消しをいたそうと考えております。今若干まだ倉庫に荷物が残つておりますので、全部これの買却が済んで倉庫がからになる時期を選んで倉庫取消しをいたそうと考えておりますので、そういう意味合いにおいて、現地所長とつ措置については、食糧庁としても妥当であるというような裏づけをして参りたいと考えております。
  19. 綱島正興

  20. 中澤茂一

    中澤委員 きのう食糧長官に対して、きようの夕方五時までに長崎県のものを調査して当委員会報告するよう言つておりますが、手配をしておるのですか。
  21. 新沢寧

    新沢説明員 各方面から調べられるだけの資料はいろいろ手配して、実情を取調べてそろえております。
  22. 中澤茂一

    中澤委員 今あなたは倉庫取消しをされるとおつしやいましたが、当然業務停止をやるだけのことをやつておる。この事件が不起訴になること自体がおかしい。きのうも言つたように、長崎県の出納長中央食糧株式会社の会長をやつておるというが、こんなべらぼうなことができるのか。これは県の知事出納長との間のやりくりがあると見ておる。六百袋、三百万円に上るものを、県の係主任が知らない間に農林部長名でやつておる。これは証拠が上つて来ておる。倉庫取消しくらいではなくて、業務停止なり何なりやらなかつたならばみせしめがつきませんよ。さもなくても、至るところの配給機構は弛緩しておつてどうにもならない。これについて食糧庁は大なたを振わなければならぬ。さつきの答弁ように、実質的な損害を与えなかつたからよいのだという考え方なら、とんでもない間違いだ。それならほかの会社横流しをして弁償した、損害を与えなかつたからそれでよいという例が出てごらんなさい。処置のしようがない。これは検察庁に対して大きな政治的圧力があつたと見ておる。長崎県の北村久という検察官の書いた起訴状の写しが来ておる。それによれば六百袋、金額にして三百万円のものを横流ししておる。これを不起訴にしたことは、必ず知事出納長との大きな政治的バツクによるところの圧力検察庁に加わつたと思う。まさか中央まで政治的圧力が加わつたとは考えませんが、断固としてやらなければ日本の食糧配給機構めちやめちやになつてしまう。それをおそれる。しかも片方では、農民犠牲価格で血の出るような米を供出しておるのに、片方配給機構がこんなでたらめなことをやつておるなら、われわれ供米ストを全農民団体を動員してやりますよ。だからそういう反面において、農民が血の出るような米を出しておるものを皆さんが買い上げて、場合によれば強権発動までして買い上げて集めたものを、末端の方では一つ会社が六百袋、三百万円にわたるものを横流しして、これを営業停止なり業務取消しができないというなら、配給店は何をやつてもかまわないということですよ。その点をきのうから問題にしているのです。ただ損害さえなければいいというのは、あなた方役人としてあまりにも責任のがれ過ぎる。これはあなたに言つてもしようがない。きのう食糧長官によく言つておいたのだが、そういう考え長官がおるならば、もう食糧庁なんかいらないのではないか。少くともそういうふうにして買い上げたものなら、配給に一粒でも不正があつた場合には、農民強権発動までしてやつておるのだから、断固として当然やるべきなんだ。それが不起訴なつたということを今川俣委員から聞いたが、これは非常に大きな政治問題がからんでおると思う。これは場合によれば九州の出張班として行つたときに、私は調査して来なければならぬと思う。少くともそういう点について、不正があつたもつ断固たる処置をとらなければだめですよ。ただ倉庫の、取消しくらいでは私は満足しません。この会社の完全な業務停止なり営業取消しをやりなさい。それから地方では、どうしても政治的な力が大きくてできないのです。それで現地長崎の人が、こういう不正事実があるのに食糧庁はどうしてやらないのだと、五人も上京して来ているじやないですか。六百袋、三百万にわたるこんな不正をやつておるものを、営業停止業務取消し食糧庁ができないくらいなら、われわれ農民団体を動員して供米ストをやりますよ。これだけは食糧長官言つておきましたが、これはどう考えますか。
  23. 新沢寧

    新沢説明員 食糧庁といたしまして、実害がないからそれでいいという考えは持つておりません。実際行政上不都合な行為をやつておりますれば、権限に基きましてそれぞれ妥当な処置をとつて参りたい、こう考えております。それで問題となりました業者は、倉庫業者配給業者と同一人が二つの会社をやつておるわけであります。今回問題になりました倉庫無断出庫の件につきましては、たとい損害賠償をいたされましても、実害がなくても、そういう行為をやつたということ自体指定倉庫として不適当でありますので、これは食糧庁といたしまして指定取消しをやつて行きたいと考えております。  もう一つの業態であります方の配給業務の方は、確かに不都合な行為がかつてつたわけでありますが、権限といたしましては、直接食糧庁取消しができるという形には現在の法制の建前はなつておりません。県知事権限でございます。従来とも県知事の方には、現地所長から警告を出しておるわけでありますが、今回も重ねて県知事に妥当な措置をとるよう厳重に督促いたしたいと思つております。
  24. 中澤茂一

    中澤委員 それではどういう不正をやつても、県知事さえその不正を見のがしておれば、食糧庁はこれに対してただ警告以外の何らの措置もとることはできないのですか。
  25. 新沢寧

    新沢説明員 配給業務に関しましては県知事権限は全部行つておりますので、直接食糧庁配給業者業務停止をやることはできないのであります。一応県知事警告を発しまして、県知事が手を下さなければならないというふうになつております。
  26. 中澤茂一

    中澤委員 知事に対する委任事項になつておるのなら、そういうでたらめな不正をやつて警告以外に何らかの手段は食糧庁としては何もない、法的に何もないのですか。
  27. 新沢寧

    新沢説明員 現在の建前では、県知事処分を促す以外にはちよつと方法がございません。
  28. 綱島正興

    綱島委員長代理 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止
  29. 綱島正興

    綱島委員長代理 速記を始めて。それではこれから麦価に対する質疑を進めることにいたします。川俣委員
  30. 川俣清音

    川俣委員 今年度の麦価決定にあたりまして、食糧庁は三十一日の日付で、二十九年産麦政府買入れ暫定価格を発表いたしております。かなり取急いで発表せられたようですが、どういうわけでこんなに急いで発表されたのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  31. 新沢寧

    新沢説明員 本来ならば二十九年産の麦の価格をきめますのは、法律上六月きめるということになつておるのであります。ところが実際の麦の出荷は、早いところでは五月末、六月早々に出まわつて参るわけであります。価格決定の時期と出まわり時期との関係がございますので、政府に売渡しの希望のあります際には、とりあえず暫定価格で買い得るよう措置をとらなければならぬということで、暫定価格を発表したようなわけであります。これは価格決定の時期と出まわり時期との関係がありまして、本年限りの措置ではございませんで、例年やつておりますので、ことしもその例にならつたわけでございます。
  32. 川俣清音

    川俣委員 そろそろ出まわり期になつて参りましたので、価格決定をしなければならないということは事情認めざるを得ない、その通りだと思います。それではなぜ米価審議会があるのに開催をしないで、暫定措置だと言いながら価格をきめたのですか。一度発表いたしますと、これは相当責任が重いわけです。米価審議会を無視してこういうことをやられることを、一体妥当だとお考えになつておりますか。
  33. 新沢寧

    新沢説明員 暫定価格は文字通り暫定価格でございまして、出まわり時期と価格決定時期の間の穴を埋めるためにやつた措置でございます。二十九年産価格の正式の決定をいたします際には、もちろん米価審議会を開いて決定しなければならないわけでありますが、米価審議会は、どうしても六月ごろになりませんと価格決定するに足るだけの資料がそろいませんので、時期はそういうことになるわけであります。この暫定価格は、これで二十九年産価格をきめてしまつたという意味の価格でございませんで、正式な価格決定いたします間の応急措置としてとつたわけでございまして、この点は御了承いただきたいと思います。
  34. 川俣清音

    川俣委員 暫定措置を必要といたすからには、買上げ事情が切迫しておるということなんですね。そういたしますれば、たとい暫定措置といいながら、大体方向決定したのですね。これはおそらく盲めつぽうで価格をきめたんではないと思う。一定の方式により一定方向をとつてきめられたと思うのです。ただ資料が十分でないから最後の決定は得られないということは言えると思うが、やはり一定方向をとつて一定基準をもつてやられたと思うのです。その基準のとり方がいいか悪いかということが基本的な問題なんです。暫定措置だからいいのだというようなことは許しがたいと思うのです。すみやかに米価審議会を開けないことはないのです。あえて開かないということは、軽視したということのそしりを免れないと思うけれども、この点についてはどうですか。
  35. 新沢寧

    新沢説明員 暫定価格をきめました理由につきましては、先ほど申し上げました通りでありますが、暫定価格価格そのものは毎年そういう例でやつておりますが、前年きまりました価格の一番低い線をとりあえずそのまま踏襲しておるわけでございまして、暫定価格の中に、二十九年産価格をきめますについての何らの方針も織り込まれていないわけでございます。毎年新しい年の価格がきまりますまでの間は、その前の年の価格の一番低い価格をそのまま適用いたしまして、それでもし政府の買上げの希望者がございますれば、それをとりあえず買つておきまして、後に新しくきまりました価格に基いて精算をするという建前で従来来ておりまして、本年もその従来の例に従つてつておるわけでございます。
  36. 川俣清音

    川俣委員 昨年の米価審議会においても、麦価決定に際しては暫定措置等をとらないで、すみやかに米価審議会を開いて一定の方式のもとにきめるべきだという意見が圧倒的に多く、たしかその決議がなされておつたと思うのです。それらの意思決定があるにかかわらず、これは予算上いろいろな制約を受けるでしようけれども方向というものを米価審議会を開いて決定すべきであるということを打出しておるにかかわらず、これらを無視されたことは、やはり軽視しておるということになると思う。米価審議会をそう軽視するなら、これはやめられた方がいいと思つているくらいだ。食糧庁だけで大蔵省と折衝したつて、なかなかうまく行かぬことは、多年経験を積んでおられるのです。けれども今日の食糧庁は、一つ惰性でもつてつておるという形になつておるが、今後惰性ではやりきれない事態が来ておるのですよ。農政上、国家財政の上から、多くの審議会の意見を聞いて運行しなければならない状態になつて来ておるのです。食糧庁だけでうまくやるという時代は過ぎておるのです。その意味で米価審議会を活用され、大いにその意見を尊重せられて運行しなければならぬと私は思つておる。食糧庁だけの事務的なことだけでは解決できない段階に来ておるでしよう。たびたび大蔵省とも折衝されて、相当困難なところにぶつかつて来ておるのじやないか。ぶつかつてから米価審議会の援助を借りるというようなやり方は、私は好ましくないと思う。やはり米価審議会方向、その中には自由党の人もあり、各党の人もおられるのです。また各財界の人もおられます。おのおの相当な権威者がおられるのでありますから、日本の総合的な判断の上にいかようにすべきかということがおそらく打出されて来ると思う。その前には食糧庁も大蔵省もそれらの意見を当然聞かなければならない。そういう立場に立つて初めて麦価というものが決定さるべきじやないかと思うのです。私はそう理解いたしますけれども総務部長はどうお考えですか。
  37. 新沢寧

    新沢説明員 新しい麦価をきめます際には、その方針等について十分米価審議会を開きまして委員の皆様の御意見を聞いて決定いたしたい、こういう考えで参りたいと思つておりますが、先ほども申し上げました通り暫定価格につきましては、まつたく機械的に従来の例を踏襲しただけでございまして、これで二十九年産の麦の価格決定についてのいろいろな方針がこの中に現われておる、また盛り込んだというものではないわけでございまして、新しい価格をきめますための米価審議会はできるだけ早く開きたいというつもりで、いろいろ資料の整備等を現在取進めておるところであります。
  38. 川俣清音

    川俣委員 それでは米価審議会はいつごろお開きになる予定ですか。
  39. 新沢寧

    新沢説明員 今のところの予定では、本月中旬ごろになろうかと存じております。
  40. 川俣清音

    川俣委員 そこで時間がありませんから、あとの点は米価審議会で問題にすることにいたしますが、ここで一点お聞きしたいことは、暫定価格をきめておられますが、等級差はどのくらいついておりますか。
  41. 新沢寧

    新沢説明員 先ほど申し上げましたよう暫定価格でございますので、一応最低価格一本できめておりまして、とりあえずそれで買つておきまして、新しくきまりました価格に基きましてそれぞれの等級に応じた価格で精算をするということになります。とりあえず一番低い価格で全部仮りの支払いをいたすという建前であります。
  42. 川俣清音

    川俣委員 そうすると今のは仮払いということで等級差はないと了解してよろしいのでございますか。
  43. 新沢寧

    新沢説明員 その通りであります。
  44. 川俣清音

    川俣委員 ここで等級のことをちよつと問題にしたいと思うのですが、麦価決定にあたりまして一等、二等という等級をつけておりますが、これはおそらく精搗率、歩減りといいますか、製粉の場合の歩減りを中心として、あるいは重量等を中心として等級差がついておることと思うのであります。そうですが。
  45. 新沢寧

    新沢説明員 おつしやる通りでございます。
  46. 川俣清音

    川俣委員 そこで国内麦価の問題をあとまわしにいたしまして、MSAで入つて参りました小麦を買いつけまするについて、国内で入札する場合に、二等麦以上という入札の仕方をしたそうですが、東畑次官はそのようなことは聞いておらない、わざわざ悪いものを入れる必要がなかつたのであろう、こういうような御答弁であつたのですが、どういうわけで二等、一等を含めて二等以上というよう価格決定されたのか、この点をお伺いしたい。
  47. 桑原信雄

    桑原説明員  今MSAによつてこちらへ送つて参ります小麦のアメリカの方の処置が、いわゆる二等と一等というものの区別をいたしておりません。従いまして私の方では、いわゆる三等以下のものは買わないという建前をとつておりまして、二等以上のものをほしいということで出発いたしておりますので、国内の入札におきましては、二等を標準といたしまして入札いたしておりますが、国内に入つて来ますものを見ますと、二等以上のもの、いわゆる一等品も入つて来ておりますが、一等品につきまして二等と一等の差額を増払いするということはいたしておりません。
  48. 川俣清音

    川俣委員 今の説明では不十分だと思うのです。輸入取扱い業者に聞いてみますと、あなたとの契約は二等以上ということになつておる。従つて二等価格で入札になつておりまするから、一等は入れると損だから入れて来ない、こういうことなのです。説明によりますと契約がそうなつております。この点だけちよつとお尋ねしておきます。
  49. 桑原信雄

    桑原説明員  現在までMSAによりますものといたしまして入つておりますものは、四月十六日が第一回で、それから始まつておるわけです。今まで四十数万トン入つておりますが、現実に一等と二等との量等を見ますと、大体半々あるいは一等がいくらか多いという形になつております。輸入商社が、一等を入れても別に増払いがないというのでどうということは、私の方では存じておりませんが、事実は増払いいたしませんでとつておるわけであります。
  50. 川俣清音

    川俣委員 これは重大なことです。というのは、製粉業者に聞いてみますと、一等の製粉歩減りと二等の製粉歩減りでは非常な違いがある。これは十分あなたも御承知のはずでしよう。先日日綿が入れました二等麦は異種物が一〇%、夾雑物が四%、それから麦としての欠陥を持つておる夾雑物でもない一般の雑物が四%、くずとか病麦とかそういうものが二%というものまで規定で入れておるということなんです。船賃は非常に高いものを払つて、なぜ夾雑物や石や砂を運ばなければならないのです。なぜ一等麦を入れることに力を入れないのです。非常に高い運賃を払つて来ているのですよ。夾雑物や異種物の中にはいい麦も入つているらしいですから問題は一応抜きにいたします。とにかく夾雑物やその他の災害物と申しますか、被害物と申しますか、そういうものが六%ある。日本で六%の開きがありますとこれは一等、二等の差じやないですよ。あなた方検査部に聞いてごらんなさい。そういう夾雑物や被害物をわざわざ運んで来なければならない理由がどこにあるのですか。向うの様子を聞いてみますと、一等麦が買えなわいけでもないそうです。証券会社に聞いてみますと、一等麦と二等麦の製粉歩減りは非常な開きがある。それだけの開きがあるものをわざわざなぜ二等麦を買つて来なければならないのですか。どこにその根拠があるのですか。国の大切な食糧を買つて来られるときに、わざわざむだな夾雑物の多いものを運ばなければならないという理由がどこにあるのですか。
  51. 桑原信雄

    桑原説明員 アメリカでも一般の市場品はございます。従いまして一般の市中品につきましては、今おつしやいました通りに一等品、二等品の差は明確についておるわけであります。そのアメリカの商品として出て参りますものにつきましては、私たちも尊重していいような検査結果を現わしておるようであります。ただ日本で買いますときには、アメリカの一般の市中品は相当高値でありますが、MSAによつてつておりますものはCCCの手を経たものをわれわれ買つておるわけでありまして、CCCの特別輸出価格を適用されたものをもつてこれを受取ることができることになつておりますから、従つてCCCの手を経たものを向うのコストに応じましてわれわれ買つておるわけであります。これは今の輸出特別価格でありまして、輸出につきましての補給金がついておるので安くなつておるわけであります。もしアメリカの国内の一般市場にありますものをCCCの手を経ないで買うことになりますれば、一等と二等の差は明確についておるわけでありまして、一等品を買うこともできるわけでございます。しかしそういたしますと非常に高値になりますので、われわれといたしましては、二等以上のものであればとにかくよかろうということにしております。一等、二等の区別のついております一般市中品を買うよりも、輸出補給金のついております安いものを買つたらよかろうじやないかということで出発しております。このCCCの扱いの方で、いわゆる輸出価格として出しておりますものは、二等価格で出しておりまして、これを買います場合に一等が来る場合もありますけれども、これについては増し払いをいたさないという建前でいたしておりますので、現在入つておりますものについて、二等品のものと一等品のものの差は、おつしやいますように実際についております。しかしながら私どもの方で、国内で入札いたしておりますものは、二等以上ということでやつておるわけでありまして、一等が入つた場合にはいわばそれだけプラスになつたというよう考え方を持つております。     〔綱島委員長代理退席、福田(喜)委員長代理着席〕
  52. 川俣清音

    川俣委員 一等が入つた場合にはプラスになつたというような漠然とした輸入の仕方をしておるのですが、私が初めから指摘しておる通り、夾雑物が多い、あるいは被害物の入つておるものを輸送費をかけて持つて来なければならないことはないじやないか。相当高い輸送費でしよう。普通の国内品の取引でありましても、四等品が非常に格安だ、あるいは一等と三等との開きが非常に多いということは、生産地においてはそれほどの開きがないのです。消費地に来るたびに非常に大きな開きが出て来る。これは何かというと、そういう四等品とか三等品は、一等品に比較して非常に運貨が高上りになつておりましたために、それで開きをつけておるというのが、今までの国内品の取引における食糧庁のやり方なんです。現地においては一等品と二等品の開きはそんなにない。ところが消費地になつて参りますと、非常な開きをつけなければならないので、現に内地産の米にいたしましても麦にいたしましても、非常な開きをつけておるわけであります。あなたは御存じのことだと思います。それは製粉をいたしたりあるいは精麦をいたしたときに、非常な歩減りがある、そればかりでなくむだな運賃までかけなければならないから、それだけの開きをつけなければならないという大体の御主張なんです。内地麦ですらそれだけの輸送費——遠いところから運ぶのでないから高い輸送費ではないですけれども、それでもそうです。ことにアメリカから持つて来るというような場合においては、多額の運賃をかけなければならない。なぜ砂利や砂まで買つて来なければならないのですか。その理由を御説明願いたい。
  53. 桑原信雄

    桑原説明員 先ほど申し上げましたような建前で、向うの扱いが一等、二等の区別がなされておらぬということを最初から申し上げておるわけであります。従いまして私どもの方といたしましては、同じ値段であるならば、初めから一等を輸入するということが一番いいということになるかもしれませんけれども、従来から行きまして一等、二等を買つておるということもございますし、二等以上のものであれば持つて来ましてもあまり支障がなかろうということでいたしております。それからただいま申されました被害量の問題その他いろいろありますけれども、なるほど一等と二等との差異はございます。ございますけれども、アメリカの二等の被害量あるいは異常物その他の名柄の混入という問題はありますけれども、これは一応やはりそういうものが入つておりますが、それでいわゆるアメリカの二等小麦であるということで世界的に通用いたしておるものでありますし、従来から日本で入れておりますものにつきましても、さような点をのんで商品としての取扱いが行われておるわけでございます。私たちといたしましては、この規格に合う二等の商品価値を持つておるものでありますれば、従来のものと関連さして行きましても、さしつかえなかろうということでいたしておるわけであります。
  54. 川俣清音

    川俣委員 あなたはアメリカで商品価値が認められておる、こう言いますけれども、それで取引できるのですか、アメリカだからやむを得ないという考え方ですか。あなたの考え方をもつてしますれば、地元における麦にいたしましても米にいたしましても、一等と二等との開きはそんなにないのです。あなたの主張になつているところですと、内地米も内地麦もその通りでよろしいということになるのですか。今のあなたのお考えだと、それで取引されるということになれば、それでよろしいということになるが、それでよろしいですか。
  55. 桑原信雄

    桑原説明員 私の申し方が悪いかもしれませんが、一等、二等の差のついておりますものを、その姿で入れようといたしますと——向うの今のCCCで扱つておりますルートを通じて買うということになると、一等、二等を向うで差をつけておりませんので、いわゆる二等の価格で買つておるということでありますが、これを一等、二等の差をはつきりいたしましたものとして、必要な量だけ一等を入れる、必要な量だけ二等を入れるというような差別をつけて参りますと、一般市場買付になると思うのでありますが、そういたしますと、CCCの輸出価格は一ブツシエル五十二セントの輸出補給金がついている。それに比べますと総合的に見て割高になるから、それでは困るんじやないかというよう考えております。
  56. 川俣清音

    川俣委員 CCCで買つて来ると非常に有利だというあなたのお考え方が基本になつているから、私は議論をしているのですよ。また外務省も非常に有利だと言う、日本に選択権があるのかないのかと聞くと、選択権があるのだというのが外務委員会での説明なんです。それでもう選択権がないのだ、非常に不利だけれども買うのだというならば、これは別問題です。たとえば外米のように、内地で米が非常に不足しておる場合においては、少しぐらい悪い外米でも買わなければならないということで、責つて来ている場合は別問題なんです。協定を結ぶ前までは、日本に選択権があるので非常に有利なんだという宣伝をしておるのに、結んでしまつたら非常に不利なものを買わなければならないというのでは、話がおかしいのじやないか。私の議論はこの点から出発しておるのです。
  57. 桑原信雄

    桑原説明員 五月の二十八日に、最近の買付をいたしたのでありますが、その当時私どもの方で調べてみたところによりますと、今回買い付けましたCCCの輸出払下げ価格によりましてわれわれが入手いたしましたものは、トン当り大体六十七ドルないし六十八ドルの範囲内でございます。それを、あちらの一般市場のものを買い付けるという形でとつてみますと、八十六ドルないし八十七ドルになりまして、約二十ドル程度の開きがあるということになつておりますので、さように申し上げまておるわけであります。
  58. 川俣清音

    川俣委員 今アメリカの一般市場価格というようなことを申されましたが、この市場価格のとり方にもいろいろあると思うのです。CCCを含めた市場価格、これも国際的には国際市場価格というものと判断しなければならぬのです。アメリカだけから買わなければならないとあなたは考えて、無理にアメリカの市場価格の高いものをもつて比較されるから、これで有利だと言う。国際価格を問題にしたらどうですか、そんなに開きがありませんよ。これは十分あなた方御存じの通りです。私今資料を持つて来ておりませんから申し上げかねますけれども、そんなに違いがありません。何本CCCで買つて来るから非常に有利だということにはならない。しかも一等麦も二等麦も区別なく買つて来なければならないということになると、たくさんの輸送賃をかけて買わなければならないというのは実にもつたいないことですよ。それも向うがまつたく余剰物資として——向う側のあれによると、日本はわざわざ悪いものを買つて来ているという非難が起つておるくらいです。そういうことをあなた方御存じないのですか。
  59. 羽場光高

    羽場説明員 一応御説明をいたします。大体小麦の年間の輸入量が百九十六万トンぐらいでございますが、そのうち各国別に何万トンずつ買うかという計画は、実ははつきりしたものはないわけでございます。しかし今までの実績等に徴しまして、百九十万トン以上買います場合には、アメリカから百万トン以上はどうしても買わなければいけないと思つております。そこでこれは外貨の問題もございますし、安いからと申しましても、CCCの値段とカナダの値段とを比べました場合に、カナダの方が安いか、あるいは同じくらいでございますが、そればかりを買うわけには行かない。それから品質の点から申しましても、ハード系とソフト系と両方がございます。カナダの方は大体ハード系でございます。アメリカからはソフト系を買わなければならない。そうしますとどうしてもアメリカから相当買わなければいけないのであります。そうなりますと、今度は価格の問題になるわけでありますが、国際小麦協定のわくの範囲内で買いますと、これは補助金がつきますから、市場相場が二ドル三十五セントでありましても一ドル八十五セントぐらいで買えるわけであります。しかしすでに国際小麦協定のわくは使い果しております。それでこれは毎年百万トンずつでございますが、ことしの分はすでに済んでおります。それでもし今アメリカからソフト系を買おうということになりますと、ポートランド相場が二ドル三十五セントのものを買うか、あるいはCCCが手持ちいたしておるものを買うか、この二つしかないわけでございます。それでMSAが始まる前にも、これは早く到着させる関係からアメリカのものを買つておりますが、IWA以外のものを買いました場合には、普通CCCのものをドル払いで買つてございます。それと同じよう考え方で実はCCCのものを買つているわけでございます。それで買つて一応ドルを払うわけでございます。これは外務省が前から説明しておると申し上げましたが、その通りでございまして、われわれとしましては商売人を通じまして普通の買い方で一ぺん買いまして、外貨も一ぺん払つてしまうわけでございます。それで払つた分について後ほどアメリカの対外活動本部からドルをもらう。従いましてわれわれとしましては、アメリカから相当量のソフトを買いますが、その分を普通に買いまして、MSAのわくの金額まではあとからドルを返してもらう。こういう方法で買つているわけでございます。
  60. 川俣清音

    川俣委員 その通り明瞭なんです。おつしやる通りと思うのです。私はそれは別に異存はありません。それを非常に有利だというよう説明せられるから問題にしておるだけなんです。そこでおつしやる通りだといたしますれば、国内麦価をきめる上においても、非常に国際価格が安いんだというようなことをあえて言われることがおかしいのだ。そのときは入らないものまで入れた国際物価なんです。あなたの言う通りだとすれば、それが入つて来る麦価で見なければならぬわけです。今買い付けるとすればどうだろうか。どうも国際麦価が安いからということで、国内麦価の値段をきめ、それが非常に有利なんだということで説明せられておるからわからなくなつて来るのです。一体大蔵省と折衝する場合に、大蔵省では国際物価という場合には、あなたが今説明せられたようなことを基準にして国際物価を論じていないようなんです。問題はそこにあるのです。私はあなたの説明は決して間違いでないと思うのです。それを基準にして国内麦価をきめなければならないと私は思うのです。一体入つて来ないものまで基準にしていいかどうかという問題です。CCCは一般市場というものと特別なものでありますから、別でありますが、その他の形で買う場合のその麦価というものを、どこに見定めて国内麦価をきめるかという問題が出て来ると思うのです。その点を聞いているのです。なおMSA協定に基いて入つて来るのに選択権があるのだという外務省の答弁でございまするから、なるべくならば一等麦を買い付けられるように、外務省を通じてアメリカに折衝する必要があるのじやないか、私はそう思いますが、そういう手を食糧庁が積極的に打たれたことがあるかないか、また交渉いたしましても不可能だというお考えなのかどうか、この点第二部長並びに総務部長両方からお聞きしておきたいと思います。
  61. 羽場光高

    羽場説明員 最後の御質問でございますが、われわれとしましては、MSAの援助を受けて買う、CCCの手持ち小麦を買う場合でも、品質の点でもウエートの点でも一応注文をつけて買えるというふうに考えていたわけであります。そしてまた、これを商業ベースで買うということにしたのはそういう考え方からしたわけです。現に今でもハード系のものは若干高いわけでございますが、東海岸から買つております。そういう意味では注文をつけて買うことができるということが言えると思うのであります。それから今一等、二等CCCのソフトを買う場合に、一等、二等が一緒になつておるという点でございますが、これは実は私あまり十分にまだ研究しておらないのでございますが、食糧庁のアメリカの小麦を普通に買う買い方は、二等以上ということで買つているわけであります。これはCCC手持ちに限らず二等以上でなければ買わないということを公示いたしております。それから実際に契約いたしますときには、二等ということで契約しているはずでございます。それから向うの建値が大体ポートランド相場にしましても、CCCの売値にしましても、ウエスタンホワイトの二等品で建値が来ております。取引として最も多いのは二等品であろうと思います。われわれが今まで買いました例から言いましても、これは小麦協定の関係で買いましたときでも、一等品を買つたこともございますが、主として二等品を買つている方が多いかと存じております。それで普通の取引としましては、やはり二等品が出やすいのじやないかというふうに考えられます。それで基準も二等品の値段で買つておりますし、二等品以上を買うということにはいたしておりますが、実際の買付けの契約は二等品で契約いたしておりますのは普通のやり方でございます。
  62. 川俣清音

    川俣委員 建値が二等品であることは私どもも了承しております。従つて建値が二等品だから二等品を買わなければならないということにはならないと思うのです。非常に長距離の輸送費の高いものを持つておるのですから、こつちへ持つて来て、やはり製粉度の高いものを持つて来るということは合理的じやないかと思うのです。そこで取扱い業者に聞いてみますと、もしも一等、二等をわけて入札にでもなりますならば、一等品を運ぶことはさほど困難ではない、買い付けることも決して困難ではない。ただ入札が二等ということになつておるので、一等を持つて来ると割損になるので持つて来ないのだ、こういう説明をしております。そこで入札の仕方が悪いのじやないかと思うのであります。一等を六割持つて来る、二等を四割持つて来るというような入札の仕方も実際はできないことはないと思うのです。建値が確かに二等でありますことは課長のおつしやる通りです。だから一等の建値がないわけではない、一等は二等と比べてみると、むしろアメリカでは比較的製粉歩合から見ると割安な形になつておる。こんな不利なものを持つて来るよりも、むしろ割安な一等品を持つて来たらどうだ、製粉歩合からいつてわざわざ製粉歩合の悪いものを運んで来る必要はないじやないか、これは大きな日本のロスになるのですから、入札の方法をかえればよいのです。国内食糧が不足のためにやつておるのですから、そんな夾雑物などの入つたものを持つて来る必要はない、ことにアメリカのような耕作状況から見ますと、日本のような精密農業ではないために、夾雑物が入ることもやむを得ない事情もあるでしよう。だからといつて一等は買えないかというと買えるというのですから、相当精別した一等麦を買えるというのに、わざわざ二等麦を入れなければならないという理由はないじやないか、精麦歩合があまり違わないならば問題はありません。非常に大きな精麦歩合の開きがあるということなんですから、あなたはお調べになつたらよろしいでしよう。お調べにならないのですか、私は製粉会社に聞いてみたところが、相当な開きがあるというのです。またそれは食糧庁でも認めていただいておりますということです。製粉歩合の悪いことを認めておきながら、わざわざ二等品以上というような入札の仕方をするから、二等麦が入つて来る、その欠陥をみずからお認めにならないかどうか、これは総務部長もひとつ御返事願いたい。
  63. 新沢寧

    新沢説明員 確かにおつしやる通り、建前といたしましては、まじり物の多いものを運賃をかけて持つて参りますよりは、異種物のまじり物の小いものを持つて来た方が有利なわけでございますが、総合的に価格の問題と、運賃の問題、製粉歩どまりの問題を全部総合的に考えて、有利な方法をとらなければならぬじやないかというふうに考えます。仰せられました点につきましては、十分研究いたしたいと存ずるわけでございますが、現実の例を見て参りますと、最近買いましたものにつきましては、先ほど二部長から申し上げました通り、二等品の価格で一等品に近いものを相当量買つておるような実情もございますので、それらの点も考えまして、はたして一等、二等を区別した方が国として有利な買い方になりますのか、あるいは今のままに置いた方がかえつて総合的に有利な結果になるのか、その点は確かに研究を要するのではないかと思つております。二等の価格で契約をしているから、商社の方でもうけの点を考え、悪いものばかり持つて来ておるという現実がすべてそういう現実でありますと、私の方も考えなくちやならぬと思うのでありますが、先ほども申しましたような実績でございますので、あるいは今のような買い方が有利ではないだろうかということも考えております。なお十分実態につきまして研究をいたしたいと思つております。
  64. 桑原信雄

    桑原説明員 私たちの現在まで調べあるいは承知いたしておりますところから行きますと、商社の取扱いはナンバー・ワンからナンバー・フアイブまでございますが、CCCの取扱いの方でナンバー・ワンからナンバー・フアイブまでの区別はいたしておらないということをわれわれ承知いたしておりまして、従いまして、先ほど申し上げましたようなことになつておるわけでありますが、商社の方でナンバー・ワンをほしいと思えば買えるということは、CCCを通じてさようなことができるのだというふうに、実は了解してはおらないのであります。なお取調べてみたいとは思いますが、われわれは一応そういうふうに承知いたしております。変な言いまわしでございますけれども、現に入つておりますものが、ナンバー・ツーということで、ナンバー・ツーでやつておりますけれども、半分以上はナンバー・ワンのものが入つているという事実からいたしまして、あるいはさようなことではないかと思つておりますが、われわれはさよう承知しておつて、今までやつてつております。
  65. 川俣清音

    川俣委員 先般入つたのに対する非難にこたえるに、少しぐらい悪いのが入つてきてもナンバー・ワンも入れているのであるから、少しぐらい悪いのはがまんしてもらわなければならぬというのが出て来るということが一つと、それから向うの検査が国営検査であるから、これを信用しなければならないという二つの理由を持つておるわけであります。従つて、そういうことから見ますると、ナンバー・ワンを買えないかということについては、建値が少し高いだけで、大した開きはないのであります。入札の方がそういうふうになるのでありますが、われわれはそれに応じて買い得ないわけではありません。これは一面の答弁であります。私はこの答弁を基礎にしてお尋ねをしております。これが誤つておれば別問題であります。おそらくこんなことでうその陳述をしておるわけでもないと思います。従つて、一等麦ばかりを買えというと、なかなか適当な時期に買い得ない場合が起きて来るということは言つておられましたけれども、買い得ないわけではない。そうすると、あなたの考えと大分違つておるのです。現に商社がそういう説明をしておるのに、そこまで検討をしておられない。輸入については十分な検討をしなければならない。食糧庁はどうも輸入などと言うと、おれの方でやるのだというので、これは一つ惰性でやつておられるのです。これは少し頭を切りかえて行かなければ、食糧庁のやり方に対して、もつと非難が起つて来ます。私はできるだけ非難をかばおうという考え方言つているのです。単に非難だけしようという気じやないのです。国民からいろいろな非難を受けないように、食糧庁がみずから率先して説明のできるようにしなければならないであろう。その考えからお尋ねしておるのです。決して私に対する言いのがれをしただけで満足しはせぬ。私は輸入業者でもなければ何でもないから、個人から言えば利害得失なんか何にもないのですが、それをなお声を大にして叫ぶものは、今日決算委員会等におきましても、いろいろな非難が起つている。私は聞くにたえない。従つて農林委員会におきましても、最もあなた方に親切な意味においてお尋ねしておるのです。少しも検討されないで、何らの理由も示されないで、こうだと思うというようなことでやつておられることは、反省しなければならないと思いますが、この点いかがですか。
  66. 桑原信雄

    桑原説明員 御趣旨の点は私どもよくわかりますが、私が先ほどからかように思いますと申し上げておりますことは、私たちのありのままのことを申し上げておるわけでありまして、ナンバー・ワンとナンバー・ツーの区別のないということも、区別があれば好ましいけれども、向うがないということであつて、やむを得ないからかようにいたしておると申し上げておるわけであります。そこで、あるいは私たちのさよう承知しておる——もちろん、まだ調査不十分という意味の点も、私の言葉にももちろんあつたと思います。ただ私は、もし商社の言うことがほんとうに正しいことであつて、私たちがかりに間違いであると申訳ないと思いましたから、さよう言葉を使つたわけでございます。MSAの小麦が入つて来ることになりましても、従来、われわれの経験のあります商取引のようなことで行つた方が間違いなかろうということで参つておりますのも、その一つの点でありますけれども、さらに一層の注意をいたしまして、御注意の点は、十分体してやつて参るつもりでございます。さような覚悟でございます。
  67. 川俣清音

    川俣委員 それで私も了承します。決して非難するばかりが問題じやないのです。よそから非難があることは、まことに聞くにたえないので、みずから問題にしておつたわけです。なお外務省に対しても、国内事情をよく訴えまして、製粉の歩合等をよく示しまして、実情を訴えて外交交渉に移すようにお願いしたいと思います。
  68. 中澤茂一

    中澤委員 関連してお尋ねいたします。買入れについて私よくわからないのですが、この前一度この委員会で黄変米のことが問題になりました。ところが決算委員の話を聞くと、また大量の黄変米が入つて来ておるそうです。それについてこの前の当委員会の席で、一体この責任の所在がどうなるのだということを聞きましたが、ただ大量に買い入れたものが黄変米でみな使えなくて、国家の損害になるのだというようなことでは、今後まだ何年か継続的に輸入しなければならぬのに、責任の所在がちつともはつきりしていない。その買入れの方式からいつて、一体どこまで商社に責任があるのか、どこからがどうなのか、その経過をはつきりさせてもらいたい。このごろ大久丸が横浜に着いたときに見に行つて来ましたが、買付は日綿実業がやつたのだそうですが、日綿実業は一人も来ていない。日清製粉に聞いて見ると、日綿さんは全然来ないのだと言つておる。荷揚げするときの責任は全然日綿にはないのか、私は非常に疑問に思う。商社にどこまで責任が所在するのか、たとえば横浜に揚げたときに政府に引渡しをするのだというならば、その引渡しに不良品があれば、会社にキヤンセルすることができると思う。このごろ聞くと、五万幾らの黄変米が入つておるということを決算委員言つておるが、そこの責任をわれわれ国民の税金の上におつかぶせて来るというようなばかなことはないと思う。買付、船積み、輸送、荷揚げのどこから政府責任になるのかということを、ひとつ明確にしておいてもらいたい。
  69. 桑原信雄

    桑原説明員 大久丸の問題がございましたが、これは日清製粉で、日綿が立ち会つておらないといいますか、従来立ち会うという例がないと申されたかもしれませんけれども、船が着きまして、現地食糧庁の検査官が検査に参ります。そのときに、食糧庁に対して納入する日綿の社員が立ち会つておらぬということはないはずでございます。それから黄変米の問題がございましたが、きよう新聞にも出ておりましたが、昨年十一月からことしの三月までに米で到着いたしましたのは八十二万七千トンあるわけでございます。それに対して厚生省の方で不適格のものといたしまして指定されたものが約五万七千トンになつております。これを積んで来ました船の総量は九万五千五百トンという数字になつておりまして、厚生省で不適格と申しましたけれども食糧庁の方で現にただちに判定いたしましたものは、実は二百二十六トン程度しかないわけであります。厚生省で不適格といたしました約五万七千トンのものにつきましても、さらにまた調べて参りたいと考えております。  それから黄変米のどこからどうなるかという問題であります。これは昨年の七月ごろまでは、主としてビルマが問題になつておりましたけれども現地において積み込みますときに、色の変じておるものが主体でありますが、五%程度まではやむを得ないだろう——というのは、従来買うのに苦労しておつた時代からのいきさつになつてつたわけでありますけれども、だんだん市場の姿もかわつて参りましたので、昨年の九月から一%ということで押えて来ておるわけであります。しかし現地の積地におきましても、ことに最近におきましては、いろいろ培養して試験をするというようなことも一、二やつておる例もございますけれども、今申し上げましたような一%を限界としてやつてつておりますが、現地で積むときに相当目立つものがありますれば、明らかにこれをはねておるわけであります。しかし暑いところを通つて相当日数かかつて来る間に増殖するというような問題もございましようし、どの限界からどういうふうに責任の所在を明らかにするかということは、非常に困難な点があるわけであります。私たちといたしましては、積地の方面についてももつと力を入れなければなりますまいし、あるいはその辺の原因についてももつと探究しなければならぬでしようけれども、いつ、どこからどうだという点が、はつきりした点が出て参りませんので、非常に難渋いたしておるわけであります。
  70. 新沢寧

    新沢説明員 ただいまの黄変米の点につきまして若干補足させていただきたいと思います。今二部長から申し上げました数字で、厚生省の認定によりますと約五万六千トンくらいが不適格と認定されております。食糧庁では現在はつきり不適格として処理しているのが二百数十トンということを申し述べたわけでございますが、この間の経緯について若干申し上げますと、従来黄変米につきましては、肉眼検定で、肉眼ではつきり検出を認めたものが一%以上まじつておりますと、これは不適格処分をすることになつておりますが、厚生省におきましては、肉眼では全然異常が認められておりませんものを、菌の培養をいたしまして顕微鏡検査をやりまして発見できたものまでも不適格というふうに広めて来ておるわけです。ただこの点につきましては、まだ黄変米の毒性の問題につきまして研究過程でございまして、これは農林省といたしましても研究しておりますし、厚生省といたしましても研究いたしておるわけでございますが、研究過程でまだはつきりした結果が現われておりませんので、私たちといたしましては、目で見えるものは従来通りの取扱いとして不適格として処理しなければならないと存じておりますが、肉眼でははつきりわからないもので、顕微鏡検査で初めてわかるようなものも、はたして毒性についてどれくらいの評価をすべきかということに関しては、まだはつきりした結論が出ておりませんので、厚生省とも今その点専門的な観点からいろいろ話合いをしておるわけでございまして、五万六千トンのものがすべて今後全部配給できないということになるのではないと存じております。毒性の度合い等に応じて処理いたしたいというふうに考えております。これは肉眼でほとんどわかりませんので、積地におきまして、肉眼検定の場合には十分規格に合致したものとして送られて来たものを、精密検査をした結果そういう結果が出て来たという取扱いの仕方につきましては、なおまだ厚生省とお話合いをして、できるだけ国損を及ぼさないような立場で処置して行きたい、こういうふうに考えております。
  71. 中澤茂一

    中澤委員 お宅の方では二百何十トンだ、厚生省の方では五万何千トンだ。それで厚生省の五万何千トンというものをあれしたものの処理は、そのまま厚生省の意見を入れて酒にまわすとかして払い下げているのですか。それともお宅の方で二百二十トンしかない、その二百二十トンさえ配給にまわせばいいというので配給にまわしているのですか。
  72. 新沢寧

    新沢説明員 御承知通り食品衛生法という法律がございまして、それに基く食品の処理につきましての権限が厚生省にあるわけでございますので、その厚生省の権限を無視して食糧庁限りで処理することができませんので、現在は処分を保留した形になつております。先ほど申し上げました通り、はたして目に見えなくて顕微鏡検査で初めて菌の繁殖していることがわかるようなものを、目に見えるものと同じ毒性のものと考え処置すべきものかどうかという点に関しては、もう少し深く立ち入つた研究をし、それに基いて結論を出すべきではないかということで、今厚生省ともお話合いをしておるわけでありまして、現在のところは処分保留ということでやつておりますが、今後十分研究を進めて、毒性のはつきりした認定をまちまして処理して行きたい、こう考えております。
  73. 中澤茂一

    中澤委員 責任の問題ですが、商社が買付をしてこつちへ来るまでの、商社と政府との間における責任の所在をはつきりしてもらわなければ困りますよ。これはある程度慣例を認めた契約もいいと思うのです。その一%以内はしかたがないということもいいでしよう。いいが、責任は一体どこにあるか。積込みのときはそんなものはなかつたが、船の中に来てからそれは出たのだろう。そうするとその辺までが政府責任になるのか。黄変米の欠損は大きいと思うのです。そればかりではない。今度のMSA小麦の問題にしても、どこまでが商社の責任か、契約上はつきりしておかなければならぬと思うのです。たとえば今度の大久丸でも、あらしにあつて来たというのですが、あらしにあつてハツチから浸水して、食糧にならないという場合の責任は、一体商社の日綿実業にあるのか、これも政府がかぶらなければならないのか、どうですか。
  74. 桑原信雄

    桑原説明員 黄変米の積地におきまして、そういうものを積んだかどうかということがまず問題になるのですが、その場合に積地において、厚生省でやつておるように十分検査をして、それに合格したものを積むというところまでまだ操作が十分にできかねております。いわゆる色のかわつた非常にわかりやすいものにつきましては、やれるわけでありますが、白い色をしておつて普通のものと何らかわらない、しかし菌を培養して試験した結果出て来るという場合には、積地の検査についてもまだ十分なこともできておらないというふうに考えております。従いましてちよつとその辺どこでといつても、御指摘のように明確にならない点もあるわけであります。  それから日綿の扱いますものについて、途中で海難があつてどうこうという問題でありますが、これは保険事故にかかるような問題が起つて来れば、保険の処置ということになりまして、保険にはかからないもので商社のミスだということになれば、契約上では賠償をとるということに相なつておるわけであります。
  75. 中澤茂一

    中澤委員 そこに問題がある。要するに商社の責任を、政府との契約において、横浜なら横浜、神戸なら神戸に上つたときから日本政府責任であるという契約にすれば、商社だつて、輸送から保管から買付から非常に慎重にやる。自分の会社が損をしてはいかぬからね。ところが黄変米を買つて来て、内心は、これは政府が買い取つてくれる、損が出れば政府だということを言つておる。きのう大久丸の検査を見て来まして、検査の結果はいいことになつておりますが、ぼくらが船員に聞いてみると、これはMSA小麦だからしかたがないんですよ、このくらいのごみのまざつたものは。大久丸はしよつちゆう小麦を積んで来ておるが、普通の小麦よりはMSA小麦は夾雑物が多いし、これはMSAでもらうのだからしかたがないと言つておる。横浜の所長にも来てもらいましたが、検査の結果は非常にいいことになつている。そこでMSA小麦を買いつけるにしても、政府と買付商社との責任を明確にすることをやつていなければだめですよ。結局会社は、日綿でもどこでももうかりさえすればいいので、その責任の所在がはつきりしてないから、へんな物を買つて来たり、黄変米を積み込んで来たりする。だからはつきりと、横浜なら横浜、神戸から神戸の埠頭に上つたとき、政府との契約に違反したものは政府はキヤンセルして商社の責任にするということを明確にしてもらわなければ困る。そうでなくて、どこからでも政府責任になるということになれば、商社は買付にも力を入れなければ、夾雑物があろうが、ごみがあろうが、そんなことはかまわない。自分がもうかれば、日本の国民なんかどうでもかまわないということになる。会社というものはもうかればいい。そういう責任の所在を買付商社と政府との間にはつきり入れるべきだと思う。そうして横浜の波止場で、買いつけて不良品があれば商社の責任であるといえば、連中は真剣になるのです。買付するにしても……。その点が明確ではない。あなたのおつしやるように、大久丸は浸水しなかつたから全然被害はなかつたけれども、あれが来てやつたときに、保険でもらうから損はない、こういいますが、それにしてもその責任が一体横浜の埠頭からあるのか、買付のときからあるのかということがはつきりしなければ困る、その点はどうなんですか、政府と商社との買付契約は……。
  76. 桑原信雄

    桑原説明員 ずつと自由時代のときでありますれば、貿易商社が海外から食糧を買つて日本へ持つて来た米をさばく場合に、買つてくれる人の希望に満たないようなものを持つて来ても商売になりませんから、これはその辺に問題があると思います。それから今の話で、これは今おつしやいましたように、私たちとしても買いますのに、いわゆる到着しまして、これを倉庫に入れて、われわれが検査いたしまして合格したものを買う、しからざるものは買わないのだということに行くのが、一番割切つた本筋だという気もいたします。しかし今までの従来の沿革から行きまして、非常に急いで買わなければならない場合があり、あるいはまた少いものをあちらこちら探しまわつてつて来たという経過もありますし、それからまた発地の方の慣行もあります。たとえばタイにしましても日本と一緒になつての輸出検査機構をつくろうじやないかというような話も出ておるような点もありますけれども、私たちといたしましては、できるだけかような被害を少くするためにはどういう処置とつたらいいかという問題は、前からずつと——今後も続くだろうと思いますが、重大問題であります。おつしやいますように、その辺の出方をきちつと行けば、より以上注意して買つてくれるだろうということにもなろうかと思いますが、発地の状況あるいは今の扱い要領というようなものから行きまして、どうかわつて行くかという問題が非常に大きな問題でありまして、われわれといたしましては、今検討しているというような実情であります。アメリカの方につきましては、従来の例から行きましてアメリカ、カナダのもので、いわゆるその国の検査を受けまして来たものについて、クレームが起つてどうこうしたという例は、日本だけでなくて、あまりよそのところでもないように聞いておりますけれども、特に一番問題の多いのはいわゆる南方の米、暑いところから相当期間を経て参りますものの状態で、これが黄変米の問題にしましても、従来仏印から入れておつた米に虫はなかつたけれども、最近は出ておる、その原料のもみがどういう姿であるかというような点に影響しておるのではないかと思われますので、大きな研究問題といたしまして、私たちも苦心いたしている点でございます。
  77. 中澤茂一

    中澤委員 刑事課長が来たようですから、これでやめますが、食糧庁は一体どういう契約によつてつておるか、これを知りたいと思いますから、資料として、おもに責任条項を一体どう契約してあるか知りたいですから、各商社別にどういう契約を政府と買付商社がやつているか、それを当委員会資料として提出していただきたいと思います。  刑事課長にお尋ねするのですが、実は食糧配給問題で非常に大きな不正事件長崎県にあるのです。内容はお知りと思いますが、私のところへ起訴状が来ておるのです。これは四月十三日に長崎地方検察庁、検事北村久という人が、長崎地方裁判所へ起訴状を提起しておる。この事件の概要はお知りかどうかしりませんが、食管法違反で昭和二十八年の四月二日から八月三十一日までの間に、やみ米を合計二百七十一袋を金額百三十五万一千七百三十九円で売つておる。これがまず起訴の第一点。それから今度は、これから引続いて九月一日から十一月の十一日までの間に八十七回にわたつて、これは合計三百二十二袋、金額にして百八十二万三千八百五十四円というものを売り渡しておる。この二点に基いて四月十三日に起訴状が出されておる。当委員会として問題になるのは、今食糧管理末端配給機関が非常にルーズになつておるのです。そこで食糧庁断固としてこういうものは業務停止させるよう昨日から要求を出しておるわけです。わずか五升か三升未亡人が背負つておるのを汽車の中でつかまえて、食管法違反だといつてばたばたやつておいて、片方においてはこういう中央食糧株式会社という大きな会社が、約五百袋、金額にして三百万にわたるものを横流ししておる。これはうわさに聞くと不起訴にしておるということである。四月十三日に長崎地方裁判所に提出されておるその写しが私のところに来ておる。これについて御報告が入つていないようでありますが、もし何らかこの事件について概要でもお知りでしたら、ひとつお話を願いたい。
  78. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 お尋ねの事件につきましては法務省の方にまだ報告が来ておりませんので、こちらへ出かける前に、至急電信で事案の概要並びにその後の状況について回答を求めておりますので、おそらく今夕までには回答が来るかと思つております。  なお食糧関係の取締りの点につきましては、農林省の食糧関係の局課並びに各現地におきましては、それぞれ各地方検察庁が県庁と連絡をとりまして、検察庁といたしましては、この種の事案については厳重な方針をもつて臨んでおる次第であります。このことは、一般に経済統制事犯が多く扱われた当時よりも、経済事犯がかなり減少するのではないかということも考えられたのでありますが、その後の実施状況は、経済事犯の処理件数と申しますか、これは決して減少しておらないのであります。その減少しておらない原因はいろいろありますが、食糧管理法違反事件起訴件数というものは、普通の一般の刑事事件に比べて、むしろ厳重な処理方針をもつて臨むということが統計上も大体明らかになつておるところなのでございます。ことに私の方では年に二、三回それぞれ各高検単位くらいに、経済関係の検事の会合を開きまして、その際に悪質なもの、ただいま申されたような事案については、厳重な方針をとつておる次第であります。お尋ねの件につきましては、回答が参り次第お答えいたしたいと思います。
  79. 川俣清音

    川俣委員 ちよつと関連して。これは説明を求めるよりも補足説明をしたいのですが、本件は長崎食糧事務所長告発した事件、しかも長崎中央食糧株式会社が自分の倉庫指定を受けまして、政府の保管米を預つておるわけです。それから小売業者横流しをした。普通の経済事犯の範囲を越えておるわけです。そこで、こういう事犯については、食糧事務所長がみずから告発するというような例はあまりないのであります。おもに倉庫に起つて来る事犯は、ちよつとトラツクで一俵二俵計算違いをしたというようなことは今までもあり得ましたが、指定倉庫からこんなに大量に持ち出したというような事犯はあまり例がないわけです。また普通の経済事犯は、消費者の、あるいはやみあきんどが横行するというような経済事犯は非常に多いと思いますけれども、こういう指定倉庫のものを持ち出して小売業者にやみ売りするというような事犯は、全国にあまり例がないと思います。そこでおそらく勇断をもつて食糧事務所長告発の手続をとつたのだと思うのです。これに対して検事は起訴されているとも言われております。今食糧庁からのお話によりますと、不起訴なつた、こういう話もあるのです。一体国の米穀を管理しておるところの責任者である食糧事務所長告発したものを、検事が不起訴にするということは、私はあり得ないんじやないかと思う。もしも不起訴にするような事犯でありますならば、食糧庁地方事務所長感情的な意味で告発をしたのかというと、そうでもなさそうなんです。まつた実害があつたために告発をせざるを得なくて告発をしたらしいんです。そうすると、公の機関が告発の手続をしたものを、起訴猶予にするというなら別ですが、不起訴にするというようなことは常識上考えられないのです。しかも問題は、この長崎県の中央食糧株式会社の取締役会長は県の出納長なんですが、そういうところからどうももみ消しをしたのではないかということなんです。それから一体検事の取扱い方が至当であつたのか、あるいは食糧事務所長の越権行為といいますか、行き過ぎ告発をしたのかどうかということが問題になる。当然、食糧管理行政官が、不起訴になるようなものをみだりに告発をするというようなことは許されないじやないか。もし不起訴にすると行政出先機関責任を負わねばならぬ問題じやないか。どうも調べてみるとそうでもなさそうだ。そうするとどうもこの公の行政機関が告発したものを軽率に取扱つておる、あるいは運動によつてこれを不起訴にしたのではないかというそしりが出て来るんじやないか。私真偽いずれかは存じません。問題は、今後食糧が枯渇して参りますと、経済事犯が非常に起るであろうことが予想されます。そこでこういう点については、厳格な一定の方針を立てておられなければ、食生活の問題でありますために、情実にかられて許されるというようなことになりますと、食糧管理というものはまつたく行き詰まつて来るということになる。こういう大きな事犯を見のがすことになりますと、小さい事犯もとうてい取締れないことになる。一方において、今年度の供出事情はまことに悪いのです。この秋におけるところの供出がどのようになるかということが非常に憂慮されておる。農民が非常に供出意欲に欠けて来ておるときに、これから出て来たものの管理がまた悪いということになると、実に供出が困難になる事情が生じて来るであろうことが予想せられるのです。私どもは、この事犯について何らの因縁はございませんが、いずれが悪いかということを明白にしなければならぬということで、お呼び願つたのですが、これに対して御回答を願いたい。
  80. 勝尾鐐三

    ○勝尾説明員 ただいまの仰せは、私の方といたしましてもまつたく同感に思つております。特に食糧関係につきましては、国民の基本的な生活に結びつく問題でありますだけに、現地の方としても事案の処理については、あらゆる点を十分考慮して処理しておると思います。特に今の場合は、公の機関が告発しております事案でありますので、検察庁としては当然軽々な処理をすることはできないと私どもの方も思つております。特に告発事件につきましては、検察庁の方で起訴あるいは起訴猶予というよう処分が判明いたしました場合には、告発人の方へその結果を通知することになつております。さらに起訴猶予事件につきましては、なぜ起訴猶予にしたかという点につきまして、その理由を詳細書面にして上司の決裁を仰ぐことになつております。なお余談でございますが、検察官処分が不当であると思われる場合には、最近の全国の状況を見ておりますと、検察審査会の方でもその事案を審査して、検察庁の方へ意見を申し述べて来ているという事情もありますので、お尋ねの点につきましては、十分事情調査することを申し上げておきたいと思います。
  81. 中澤茂一

    中澤委員 本件について、一応その裏の事情を含んでおいてもらいたい。それは先ほど川俣委員言つたように、この中央食糧株式会社の取締役会長は、長崎出納長の池松林一という人がやつておる。今食糧庁に聞けば、これは特別職だからこういう営利会社の取締後会長もできると言うが、私らはそれに疑問を持つておる。それから社長は渡辺久という人がやつておる。この人は長崎県知事の股肱の臣をもつて自他ともに許しておる。それから専務は塚元周三という人がやつていて、これは日本共産党の県の元委員長をやつてつた男である。こういうかね合いで、この会社は非常な政治的な力を持つておるわけです。そこで今も食糧庁に、業務停止か何か行政措置ができないかと言うと、これは県知事に全部権限を委譲しているからできないと言うのです。そうすると、県知事が全部の権限を持つておるとすれば、県知事がいいと言えばどんな悪いことをしても、今のところは中央から食糧庁業務停止なり行政措置をやることができないんですね。そういう法制上の欠陥がここにあるわけなんです。ここに起訴状にこまかに名前が、だれが何袋というふうにあるんですが、農林部長が、食糧課長の知らない間に、その不正をやつた小売業者の登録転換をやつておるんです。こういう事実を見ると、これは明らかに知事をバツクにしたところの出納長と、知事の子分をもつて任じている社長の渡辺久の政治工作が、相当この事件に動いておるということが十分考えられる。私はまさかこの北村久という検事が政治的圧力に屈したとは思いません。思いませんが、この裏を見ると、検察庁にも相当政治的圧力が加わつたという可能性があるのですね。そこで、この起訴状は参考にお貸ししますが、明らかに四月十三日と起訴状に書いていながら、さつきの話によるとこれは不起訴にしているというようなことを聞いておる。そうなると問題は非常に重大になつて来ると思うんです。片方においては、供出が川俣委員の言われたように非常に停滞して、食糧配給も外米をふやして削ろうというような段階にあり、そしてまた片方では、検察庁が汽車の中で未亡人が、子供を養うために五升や一斗かついでいるのをびしびしとやつておる。片方では、こういう政治的圧力があれば、五百袋、三百万円にわたるものを横流ししても、これは何らの処置をしないということになれば、重大だと思う。そういう裏があるということをひとつお含みの上、本件を現地から調査報告を求めまして、本委員会にその結果を御報告願いたいと思います。
  82. 福田喜東

    ○福田(喜)委員長代理 それでは暫時休憩いたします。     午後一時二十二分休憩      ————◇—————     午後五時六分開議
  83. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  午前中に引続き食糧問題について調査を進めます。川俣清音君。
  84. 川俣清音

    川俣委員 麦価並びに米価のバツク・ペイの問題について二、三点お尋ねしたいと思います。  食糧庁はすでに二月、三月のパリテイをつかんでおられると思うのでありますが、昨年の麦価決定当時と比較いたしまして、相当の上昇をいたしておるのであります。すでに御承知ように二月におきましては一二〇・二四、三月には一二〇・六四といわれております。また五四ともいわれておりますが、上つております。四月は一二〇・七八か七九になるのではないかと予想せられておるようであります。五月はさらに一二〇台を突破いたしまして、一二一になるのではないかと見られております。政府は低物価政策をとつておりまして、相当物価の値下りが来る予想のもとに、今年度、秋の米価につきましてもそういう見込みで、予算米価を決定いたしておりますが、昨年の暮に決定いたしました米価から見まして、当然バツク・ペイをしなければならないと思うのでありますが、これについて総務部長の見解をお尋ねいたします。
  85. 新沢寧

    新沢説明員 お話の通り、昨年以来今日までパリテイ指数は上昇をしております。従いまして米価のバツク・ペイにつきましては、当時のパリテイ指数に応ずる価格でする。それからパリテイ価格の建前から申しまして、これは当然計算上、昨年以来指数が上つておりますれば、バツク・ペイするのが建前であろう、こういうふうに考えております。ただ米価の問題につきましては、決定の時期が若干先でございますので、具体的な問題につきましては、食糧庁といたしましてはまだ作業を開始しておりません。従いまして、もちろん大蔵省とも折衝を開始しておらないのでございますが、建前としては、お話の通り処置するのが建前であろうというふうな考えでおります。
  86. 川俣清音

    川俣委員 大体了承できました。昨年の米価決定にあたりましては、パリテイ指数に基いて米価を決定しておるのでありますから、そのうらはらといたしまして、当然パリテイ指数の上昇によりまして、これを補償しなければならない義務を負つておるという点を明らかにしておられますので、この点私は了承するのであります。将来パリテイ指数を使わない米価の決定の仕方がありますれば、バツク・ペイの問題も起らないと思いまするけれども、従来通りパリテイ指数をもつて米価を決定しておりまする以上、当然パリテイ指数の上昇によるところの補償が行われる条件で、米が政府に引取られておると見なければならぬ。農民から言うならば、そういう条件付で買却せられておるものと見なければなりませんし、政府もまたそういう条件を了承して買い取つたものと見るべきものだと思うのであります。従いましてその場合にバツク・ペイをするということについては、当然食糧庁において義務を負つておるという点についての認識を一つにいたしますがゆえに、この問題については、これ以上追究いたしません。次に麦価でございますが、麦価もまたパリテイを活用いたしてきめておるわけでございます。そうなつて参りますると、今年度の麦価は相当値上りを来さなければならないような状態であります。しかしながら先ほどから問題になつておりますように、国際価格が非常に低下の方向をたどつておるときに、はたして日本の小麦を基準にしてみるならば、上げ得られるかどうかということが問題だと思います。しかしながらこれは従来から、作付以前からパリテイ指数に基いて買うのだという了解が暗黙の間にされて作付されておるわけです。従つてこのパリテイ指数による買入れ方をかえるならば、来年度からならこれは別問題です。作付以前においてやはり従来通りの方法で買うということが暗黙の間に了解せられてつくられておるのでありまするから、パリテイ指数によるいわゆる米価から見た麦価というものを推定する場合におきましては、当然値上りが予想せられておりますが、これらについて確信のほどを伺いたい。
  87. 新沢寧

    新沢説明員 食管法上麦の生産者価格をきめます場合には、昭和二十五、六年を基準といたしまして、パリテイ指数によつて算出いたしました価格を下らないということが法律上はつきりいたしておりますので、これは法律の建前を厳に執行いたします限りにおいては、当然そういうことになろうかと思います。ただ問題といたしまして、いろいろおつしやるような条件がございますので、昨年はパリテイ価格にさらにいろいろ操作を加えまして、パリテイ価格以上にいたしておりますが、これらの点につきましては、いろいろ諸情勢とにらみ合せて考えなければならぬ点が出て来ようかと思いますが、パリテイ価格をくだらないという線は、法律にはつきり規定があります以上は、これはやむを得ないものじやないかというふうに考えております。
  88. 川俣清音

    川俣委員 去年は特別加算をしたが、あるいは特別加算から見ると別であるが、当然パリテイ指数をもつて計算する約束になつておるのであるから、それを下まわることは許されない、これが食糧庁の見解であると了解してよろしゆうございますか。
  89. 新沢寧

    新沢説明員 法律が改正されない限りは、そうならざるを得ないと思います。
  90. 川俣清音

    川俣委員 これについてはすでに大蔵省と折衝を開始しておらなければならないと思いますが、折衝経過について御報告願いたいと思います。
  91. 新沢寧

    新沢説明員 大蔵省との折衝でございますが、いろいろの問題で大蔵省と行き来しておりますので、その間において本年度の麦価の問題も話に出ておりますけれども、まだ数字につきまして、本年度の麦価を幾らにするかというような点まで触れて、具体的な問題としてのいわゆる折衝というものには入つておりません。
  92. 川俣清音

    川俣委員 大蔵当局も、法律に従つて麦価決定しなければならない、少くともそれを下ることができないということは十分了解しておると思つておりますが、食糧庁はその点について了解を求めておるかどうか。
  93. 新沢寧

    新沢説明員 先ほど申し上げました通り、まだ正式な意味合いで、麦価について大蔵省と折衝に入つておりません。従いまして大蔵省が具体的に麦価についてどういう態度を示すか、どういう意見であるかというふうな意味合いにおいて、御質問にありましたような点に触れての話にはまだ入つておらないわけでございます。
  94. 川俣清音

    川俣委員 いや私はそういう意味よりも、食糧管理規定から計算した麦価を下ることができないのだということを、大蔵省によく認識させておるかどうか、この点をお尋ねしておる。さらに上まわつた場合の予算的措置については、まだ具体策に入つていないということはよくわかりますが、基本方針だけは下ることができないのだ、いろいろな財政上の都合があつても、法律の建前上できないのだということだけはよくのみ込ましてあるかないか、この点を……。
  95. 新沢寧

    新沢説明員 もちろん法律の建前ははつきり書いてありますので、一応抽象的な話合いの席上でも、その点はもちろん農林省の考えは伝えてあるわけでございます。
  96. 川俣清音

    川俣委員 今年度はMSA協定に基いてアメリカ小麦が相当入つて参るのでありますが、この等級差が日本の小麦の等級差と非常な開きがあるということを午前中指摘いたしたわけでありますが、今年の小麦の等級差は変更せられる予定でありますか、または従来通りの検査をせられる予定でありますか、この点を伺いたい。そこでこれは日本の従来の方式が必ずしも間違つておるとは私は思いません。しかしながら外国から入つて来るときに、開きがあまりにないんです。そうすると日本のやつもまた開きがない方がいいのじやないかという議論が私は起るのじやないかと思う。どつちかを是正して参らなければならないのじやないか。日本の方を是正するか、向うの方を是正するか、どつちかをとらねばならぬだろうと思う。または午前中に申し上げたように、私から計算すると、あれほど一六%というような夾雑物があるといたしますれば、日本だと非常な開きが出て来るわけなんです。御承知ように日本のは、大体その差と申しますか、六%くらいの夾雑物、被害物または他の異種物があるというような場合でありますると、価格の面では五割増しの九%くらい、あるいは一〇%の価格の低落になつておるのが、日本の取扱い方だと思うんです。一六%ということになりますると、五割増しというと二四%くらいの価格の開きが一等と二等との間になければならぬ。実はそれだけの開きがないんです。こういうことが国際的に認められておるということになりますると、内麦の決定にあたりましても、もう一度考慮しなければならぬ事態が起きて来るのじやないかと思われますが、これらの点について御検討になつておりますかどうか、その点をお伺いしておきます。
  97. 新沢寧

    新沢説明員 アメリカ側における規格と日本における麦の規格との間に差があるというお話でありますが、その国その国にそれぞれの規格があるわけでありますが、国内産の麦の規格の点につきましては、現在のところ従来通りの規格で参りたいというふうに考えております。内地産の麦の等級をきめます場合の規格につきましては、これは今のところかえる考えは持つておりません。それに基いてきめます価格につきましては、これは昨年度も単に歩どまりだけではございませんで、いろいろ経済条件も考えまして、等級については歩どまりの率よりも若干有利な取扱いをするというような、格差の点においての取扱いについては別途の考慮をいたしておりますが、それらの点についてはまた本年の作柄等を見まして措置して参りたい。等級をきめます規格につきましては、従来の規格をそのまま踏襲して行きたい、こういうふうに考えております。     〔吉川(久)委員長代理退席、芳賀委員長代理着席〕
  98. 川俣清音

    川俣委員 これはアメリカの品種基準が国際的に認められておるという考え方なんですね。そうすると日本の麦価をきめるときに、国際価格を参照するのだということをときどき大蔵省から言われているようなことが新聞紙上に伝わつておる。麦価は国際基準をとるのだということになりますと、品質も国際的な基準に合してみなければならないのじやないか。品質と麦価というものは切り離すことはできない。アメリカの小麦と日本の小麦を比較するときに、向うの何等と比較してみるかということが出て来なければならぬ。麦と申しましても、これは等級によつて非常に開きがあるのです。従つて世界的な水準にあるといわれるアメリカの査定検査基準と日本とがあまりに開きがあるということは、将来どうであろうかということが問題になるということが一つと、ただ国際的基準から見て日本の麦価が安いんだ、高いんだといつてみましても、品質基準が非常に高かつた場合においては、やはり国際基準を上まわるものでなければならないと思うのです。基準度が高ければ、品質度が高ければ、それだけ高くなければならぬはずだと思うのです。そこでもしも内麦を今MSAに基いてCCCによつてつて来る二等麦を基準にしてみると、内麦の等外にも当らない。等外の下の下くらい、そういう点から品質を勘案して麦価をきめて行かなければならないと思いますけれども、これに対する総務部長の見解を承りたい。
  99. 新沢寧

    新沢説明員 規格だけを比較いたしますと、確かにお話の通り、アメリカの規格は日本の規格よりも大分甘くなつておるということは事実でございます。ただ規格は一応向うに通用しておる規格で、買う場合には買うほかはないわけでありますが、その買いましたものを国内で売ります場合におきましては、国内産の三等のものを標準といたしまして、国内産のものについても歩どまり等で格差を持たして行く。またそれを同じく基準といたしまして外国産の麦の格差を出して、それによつて価格をきめて行くということでございまして、規格は規格でそれぞれ国できまつておりますので、これをこちらで変更することはできないわけでございますが、実際の品質の差に基く値段の差というものは、今申し上げました日本の三等品を中心といたしまして、それに基いて、実際的に試験の結果出て参ります品質差に基いて価格決定する。価格の方はそういうような建前になつて、内麦間の不均衡のないよう措置をとつておるわけでございます。
  100. 川俣清音

    川俣委員 もう一点だけ。MSA協定に基くCCCで入つて参ります二等麦は、もしも内地麦に直すといたしますれば、国内の品種基準から行くと何等くらいに当るとお考えですか。
  101. 新沢寧

    新沢説明員 私専門家じやありませんし、規格の内容は日本の規格の建前と若干違つておる点がございますので、しろうとの私が何等くらいと正確には申し上げかねますが、しろうと見では、日本の四等前後に当るんじやないだろうかというふうな感じがいたします。これは私しろうとでございますので、感じだけで申し上げるのであります。
  102. 川俣清音

    川俣委員 しろうとだと言われると攻め手がなくなるのですが、今入つて来るものに対する横浜の検査によりますると、麦に似たような異種物が一〇%、夾雑物が四%、被害物が二%、合せて一六%が二等の基準になつておるそうです。ところが一六%の夾雑物、異種物、または被害物が入つておると、日本では四等格にもならないと思われます。そういうものでありますれば普通は等外という取扱いを受けるんじやないかと思うのです。ただ小麦の粒からいうと、日本の小麦とアメリカの小麦と比較いたしまして、その上等の粒そのものからいうと日本の方が劣るのではないか。これは言われると思いますけれども、一六%の夾雑物が入つておるということになりますと、その面からいうことても等外品にも当らない。検査規格には合わないということになるんじやないかと思うのです。これは日本の農林規格からいいましても、規格には当てはまらないと思うのですが、そこにお調べがありましたらおわかりでしようが、日本農林規格には当てはまらない、等外品になると思うのですがいかがですか。
  103. 新沢寧

    新沢説明員 私の今持つております資料によりますと、向うの二等の規格では、被害粒が四%、それから砕けた粒が七%、日本の規格で行けば合せて被害粒と見なければならないと思いますが、それが合せて一一%になります。日本の四等の場合にはこれが一〇%でございます。それよりもアメリカの規格の方がこの点は甘くできております。それから異物その他が十何パーセントというお話でございましたが、私の持つておりますのでは、異物というのは二%、それから銘柄の異なつた麦の混入が一〇%ということになつております。異物につきましては、日本農林規格では同じ比率かどうか知りませんが、大体五%くらいと認めていることになつているんじやないかと思います。ほかの品種の銘柄の一〇%混入、この点は日本の規格にはございまんで、確かにこの点を見ますと、規格外という取扱いをしなければならないかと存じます。大体の見当としては四等規格のように感じております。
  104. 川俣清音

    川俣委員 今規格の論争をしようと思いません。先日日綿の輸入業者を呼んで聞いたところが、計一六%ということなんです。それによると、異種物——麦であつて他の種類の麦が入つているのが一〇%、それから夾雑物が四%、被害物が二%、これで計一六%、こういう説明であつたのです。この説明がほんとうかどうか、輸入業者説明だから、そんなことにごまかしがあろうとは思いませんので、それを信用したのですが、別にあなたの方に規格がありますならば、それを信用してもよろしいと思う。いずれにしても、日本の規格と比較にならないほどいろいろな夾雑物があることだけは確かなようであります。しかし私は今価格の問題を問題にしているのであつて、大蔵省あたりが、アメリカの小麦と日本の小麦を比較して見る場合に、どつちが高い安いということを簡単に言い切る。農林省から見ると、簡単に言い切られては困る。いわゆる検査基準が異なるのであるから、単に向うの二等と日本の二等と比べて見て高い安いと決定されたのでは、日本の農業事情から言うて当てはまらないということだけは強調しなければならない。この強調の仕方が食糧庁は足りないじやないか、こういう意味で今お話申し上げたのであります。近く麦価決定しなければならないときになつておりますので、十分それらの点についての検討をしておいていただきたいということを希望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  105. 芳賀貢

    ○芳賀委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕     〔芳賀委員長代理退席、川俣委員代理着席〕
  106. 川俣清音

    川俣委員 長代理速記を始めてください。  それではこれより引続き農業災害補償制度改正問題について調査を進めます。  昨年末本件につきましては、数十回にわたり小委員会の慎重な調査研究の結果に基きまして、本委員会としては先般一応結論を得たことは、各位の御承知通りであります。しかしながら、昨年七月の農業災害補償法の一部を改正する法律案の両院協議会の申合せに基き、参議院農林委員会においても並行して検討を加えられつつあつたことは、これまた御承知のことと存じますが、先般本件につき意見がまとまつたように仄聞いたしております。つきましては、ただいま参議院の松浦議員が御出席になつておりますので、この際、参考のため、参議院側の改正方針について御説明を承り、懇談致したいと思います。それでは懇談の形で議事を進めます。     〔午後五時五十二分懇談会に入る〕     〔午後六時十四分懇談会を終る〕     〔川俣委員代理退席、吉川(久)委員長代理着席〕
  107. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員長代理 懇談会はこの程度で終ります。  それでは先ほどの食糧問題の続きをいたします。芳賀委員から発言を求められております。これを許します。芳賀委員
  108. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は農産物価格安定法に関係のある問題について質問したいと思います。実は前谷長官が御出席のことを予想して質問したかつたのでありますが、見えていないので、新沢総務部長に聞きたい。  農産物価格安定法に基いて、澱粉等の買上げを行うわけであります。前の委員会において、政府が行う買上げの基準価格等の基礎算定をどういう方針でやつておられるかという資料を要求していたが、いまだにその御提示がないのであります。  もう一点は価格決定を行う場合に、国会議員あるいは学識経験者等を審議委員という名前で意見を徴しているわけでありますが、昨年度においてはどういうお考えかわかりませんけれども、国会議員の関係においては自由党、改進党、緑風会、これらの保守政党に限界を置いて、社会党の方には一名も委員としての委嘱を受けていないわけであります。これらの問題の処理に対しましては、保守党である、革新政党であることによつてのけじめをつけられることは、いささか承服できないわけでありますが、今年もそのようなお考えで、最も生産者の立場を代弁できるという自信の上に立つている社会党関係等は、依然として審議委員としての委嘱を行わない考えであるかどうか。これは総務部長としてはお答えに窮するかもしれませんが、所信のほどを示してもらいたいと思うわけであります。
  109. 新沢寧

    新沢説明員 御要求の資料がまだ出ておりませんことにつきましては、たいへん申訳なく存じます。私もよくその報告を受けておりませんので、どうなつているかちよつとこの席でお答えできないのでありますが、さつそく帰つて連絡いたしまして、すぐ提出できるようにいたしたいと思います。  それから価格決定にあたりまして、学識経験者の方々の御意見を承つているわけでありますが、その人選についてのお問いでございます。もとより人選につきましては、それぞれ澱粉なら澱粉、菜種なら菜種の価格をきめるについて、最も適切な方にお願いするのか至当であるというふうな考えでいるわけでございます。昨年の人選について、あるいは御指摘を受けるような点かあつたかと存じますが、今後はよく諸般の事情を勘案いたしまして、できるだけ広い観点からお願いするようにいたしたいと思います。
  110. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、今年度の場合においては、角度を改めて新たなる観点の上に立つて委員の委嘱等、あるいは意見を徴する場合においてはそうするお考えですか。
  111. 新沢寧

    新沢説明員 御承知通り価格安定法関係につきましては、特に審議会という組織の設けがございませんで、価格決定をいたします都度、御関係の方にお寄り願つて御相談をいたしているわけであります。従いまして現在のところ方針として、国会議員の方々を何名、その他の方々を何名というふうに定まつた方針は持つていないわけでございます。価格決定の時期になりまして、それぞれの品種に応じまして、最も適当な方にお願いするということになろうかと存じております。ただいまのところまだそういう委員の人選について具体的な考えを持つておりませんので、どういう方々にお願いいたしますか、ちよつとお答えができかねるわけでありますが、ただいまお述べになりました点は、十分私どもとして念頭に置いて考えなければならぬと存じております。
  112. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農産物価格安定法の規定に基いて審議委員等が設けられることは、私も承知しているわけでありますが、ただ学識経験者の中に国会議員等を加える場合においては、当然の措置として広く各党の関係を十分考慮に入れて、偏向しないよう考え方の上に立つて処理される方が妥当でないかということなんで、この見解は新沢部長においても同一であると私も期待を持つているので、前谷長官にもその旨をひとつ伝えられて、本年の場合においてはもう少し明快な態度で臨まれたいということをつけ加えておきます。  それから本年度の澱粉の買上げは、現在どういう状態に置かれておりますか、その点を参考までにお聞きしたいと思います。
  113. 新沢寧

    新沢説明員 本年度は、今までは御承知通り澱粉等の価格水準が政府で定めました価格水準よりも上まわつておりますために、現在まで買上げの事態は起つておりません。当然価格水準が政府で定められた水準より一般市価が下つて参りますれば、これは安定法の建前上買わなければならないわけでございますが、それは価格の水準と見合せまして、また生産者の方々の御要望を伺つた上で、買上げ数量、買上げ時期等を決定して参りたいと思います。現在のところはまだ買上げの計画は具体化されておりません。
  114. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらに一点お尋ねいたしますが、今年度の新しい生産品の出まわり期における国内の需給関係等は、どういうような見通しになつておりますか、その点……。
  115. 新沢寧

    新沢説明員 今までの生産者の手持ちの売却状況を見ておりますと、かんしよ澱粉につきましては、生産者団体が自主的な調整をやつておりました分は、ほとんど売り尽しておるような状態でございますし、これから需要期に向いますので、かんしよ澱粉につきましては、少くとも需給の関係におきましては、需要に対して供給があり余つておるという状態ではなくて、むしろ若干供給が需要に対して不足ぎみな状態ではなかろうかというふうに判断をしております。ばれいしよ澱粉につきましては、現在までの荷の昨年産のものの売行きは、かんしよ澱粉ほどはかばかしく行つておらないように見ておりますが、しかしこれも従来の例で行きますと、これからが売れる時期になろうと思いますので、これは見通しの問題ではございますが、ひどく来年までばれいしよ澱粉が売れ残つて持越すことはないのじやなかろうかというよう考えを持つております。     〔吉川(久)委員長代理退席、綱島委員長代理着席〕
  116. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 私は農林金融の問題について大蔵省の銀行局長にお尋ねしようと思つたのでありますが、銀行局長は何と考え違いをしておいでなのか、出て来てくれません。かわりの者にと申しましていろいろ手配をいたしましたけれども、きようは夏期手当の問題か何かで定時退庁をいたしておりますので、ついだれひとり出て来てくれませんから、会期も延長にならない限り今日限りでございますので、農林省の金融課長にお尋ねをし、その結果によつて委員長にお願いしたい問題がございます。  まず第一に農林省の金融課長にお尋ねをいたしたいことは、この凍霜害の関係等で、私が今回国会のひまを見て二、三箇所まわつてみたのでございますが、昨年の凶作の影響を受けまして、昨年の凶作のほんとうのうずきがただいまになつて出て来ているような感じを痛切に受けたのでございます。このままで参りますならば、昨年の金融の実績等から考えましても、私は八月のピーク時には相当な資金の需要が起きて来ると思うのでございます。今までの経験等から、いろいろの資料によつて見ますと、四百五十億くらいの用意をする必要があると思うのでございますが、この点について農林省はどういうようにお考えでございますか。
  117. 松岡亮

    松岡説明員 ただいま御指摘になりましたように、それでなくても例年五月ごろから秋の初めにかけまして、農協の系統金融は資金的には窮迫して参る時期でありますが、昨年以来たびたび立法をお願いいたしました災害融資がこれに加わりまして、本年のこの時期におきまして相当の不足が見込まれるのであります。これに加えまして農村自体におきましても、昨年の冷害等の結果としていろいろな新しい資金需要が起きることは当然でございまして、大体農林中央金庫の段階におきまして、この六月の末において、ただいままで提出されました資料によつて考えますると、これは見込みでございますが、実際は若干これを下まわることがあるかとも思うのでありますけれども、大体三百億近くの不足が出るのではないか、さらにこれが七月、八月となりますと、これが加わつて参りまして、それ以上の不足が出て参る、このように見通しを立てておるのでございます。
  118. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 これは農林省に伺うことはどうかと思いますが、金融課長は、大蔵省との今日までの折衝の過程において御承知であろうと思いますので伺いますが、私はどんなに切り詰めても、三百五十億くらいは必要と思いますが、政府から中金に預託をするようなお考え方を持つておるようでございましようか、その点はどうでしよう
  119. 松岡亮

    松岡説明員 ただいまの点につきましては、昨年冷害のための特別融通に関する法律を議決されました際に、この委員会におきまして附帯決議をいただいたのであります。また参議院におきましても同様の決議をいただいたわけであります。農林省といたしましては、附帯決議の御趣旨に沿いまして、大蔵省ともすでに三月ごろから数次にわたりまして、特に最近におきまして、新たな凍霜害の法律案を提案するに当りまして、農林省としましては、経済局及び関係方面から大蔵省に対しまして、強く政府資金の預託を要望いたしたのでございます。ところが大蔵省といたしましては、一方全体の金融政策の立場から見まして、政府と日本銀行との両方の面から、信用調節を行うことは非常にまずい結果になる、その他一般的な引締めの方針等も考えまして、昨年の秋以来政府資金の預託ということを実際上やめて参つております。すでにそれまでに預託されたところの引揚げのみを現在行つておるようでありますが、そういつた事情で非常に政府資金の預託等につきましては、国会の御決議がありますので、相当苦慮したようでありますが、できるだけ避けて参りたいという、難色を示しておるのであります。もちろん農林中央金庫の資金不足に対しましては、例年行われておりますように、日本銀行からの借入れという方法がございます。そこで大蔵省といたしましては日本銀行と十分話し合いまして、日本銀行からの借入れをできるように持つて行きたい、その結果として農林中央金庫に、これからの季節におきまして不測の事態の起らないように、遺憾のないようにして参りたい、こういうような話合いに現在なつておるのであります。
  120. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 日本銀行から融資を受けるということになりますと、これは菜種その他の農産物の出まわり期におけるところの資金の需要期にそういうものを制限され、あるいは引揚げ等にあいまして、結局一般の農業関係に引締めが行われる、そういうことでプラス、マイナスで非常に不利益な結果が出て参りますので、こういう農業金融については、日銀からの融資ということは、私は常道ではないと考えます。これはあくまでも財政資金でまかなうべきが本筋であると思うのでありますが、それを大蔵省はそういう無責任措置をとろうとしていることについては、私たちは強く大蔵省の反省を求めなければならないと思つております。ことに今回中小企業については、その貸付資金の回収時期を九月まで延ばすというならまだわかりますが、十一月までも延ばすというような非常に寛大な措置をとつております。今日金融引締めのために中小企業は非常な苦境に追い込まれておりますので、そういう配慮は中小企業者に対して私は妥当であると見ているものではございますけれども、それよりは農林関係の金融であるならば、これは十月、十一月には完全に回収できるのです。少くともほとんど回収が可能な性質を持つたところの資金でありますので、こういう農林関係の短期融資に対して、政府が預託して財政資金をもつてまかなうという行き方をしなければならない、こう私は思つておりますけれども、これは農林省にお尋ねをしても、あるいは要求をしても無理なことでございますので、私のただいま政府に要望いたしておるところの事項に対して、委員長から大蔵省、政府に対して、この点を財政資金でまかなうべきである——少くともこの農林金融についての三百五十億の資金の用意をするということについて、ひとつ強い申入れを行つていただきたいということを、委員長に要望する次第であります。委員長の御意見を伺いたいと思います。
  121. 綱島正興

    綱島委員長代理 私は代理ですが、よろしゆうございますか。——それは委員長としてしかるべくとりはかろうべきものと存じますので、さようにいたすことに決定いたします。  なお委員長から金融課長ちよつとお尋ねをいたしますが、大蔵省でなく、日本銀行から資金の融通を受ける際の資金原の利息は幾らでございますか。
  122. 松岡亮

    松岡説明員 日本銀行からの普通の貸出しは、有価証券担保で借り入れますときは日歩一銭八厘でございます。
  123. 綱島正興

    綱島委員長代理 というと大分高い金利ですね。年何分になりますか。それからもう一つお尋ねいたしますが、その借り入れられた金の運営について、中金において要します経費はおよそ何分に当つておりますか。
  124. 松岡亮

    松岡説明員 正確なことはただいま手元に資料がございませんが、諸経費をプラスいたしますと大体短期で貸します場合は、系統に対しましては日歩二銭四厘ぐらいになります。中長期で貸します場合は、大体年一割一分五厘くらいではないかと記憶いたしております。
  125. 綱島正興

    綱島委員長代理 委員長よりお尋ねいたしますが、私が承知しておるところによると、戦前は総預金額の一分三厘くらいが銀行の経営費であつたように思つておりますが、このごろは金融経費があまりにも高くなつておるので、これは日本の経済上非常に憂うべき事柄だと思つておるのですが、これに対して何らかの御処置をなさるようなお考えはありませんか。
  126. 松岡亮

    松岡説明員 ただいまのお話、まことにその通りかと存じますが、ただ日本銀行から借入れの場合におきましては、比較的低利に借り入れられるのでございます。ところが系統金融を通じまして、つまり信連から預金を預かり、あるいは農林債券で一般の市場から資金を調達いたします場合はずつと高いものになるわけであります。農林債券の例で申し上げますと、正確な数字はちよつと手元にございませんが、大体年八分九厘くらいの利まわりになるかと存じております。これに経費を加えますと、やはり一割以上で貸さなければならぬという状況でございます。もちろん今後とも資金量がふえ、さらに合理化をいたしますならば、若干これを引下げる余地も出て来るかと存じますが、しかし農林中金の場合をほかの金融機関に比較いたしますと、これでもまだ安い方でございます。その点でわれわれといたしましては、できるだけ下げるように、また必要によつては、政府の利子補給ができますように、法律等もお願いいたしておるわけでございます。
  127. 綱島正興

    綱島委員長代理 これで休憩いたします。     午後六時三十九分休憩     〔休憩後は開会に至らなかつた