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1954-05-20 第19回国会 衆議院 農林委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 小枝 一雄君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 福田 喜東君    理事 金子與重郎君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    足立 篤郎君       佐藤善一郎君    寺島隆太郎君       松岡 俊三君    松山 義雄君       加藤 高藏君    吉川 久衛君       足鹿  覺君    井谷 正吉君       井手 以誠君    中澤 茂一君       中村 時雄君    安藤  覺君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 原  純夫君         農林政務次官  平野 三郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      谷垣 專一君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  農民組合法案足鹿覺君外十二名提出衆法第  二五号)  農業委員会法の一部を改正する法律案(小枝一  雄君外十六名提出衆法第二九号)  農業協同組合法の一部を改正する法律案金子  與重郎君外十六名提出衆法第三〇号)     —————————————
  2. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより会議を開きます。  農民組合法案農業委員会法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。これより質疑を続行いたします。まず主として農民組合法案について綱島君より発言を求められております。綱島正興君。
  3. 綱島正興

    綱島委員 農民組合法案についてお尋ねをいたしたいと思います。実は農民組合というものは、わが国農政発達上において一通り役割を果したものでございますし、国際的に見ても相当役割を遂げて参つたものでございますが、戦後農地改革等がございまして事情が著しく異つて参りましたので、この際農民組合というものの基本理念に対する御意見を伺つておくことが、この法案審議の上に非常に重大な事柄だと存ずるのであります。そこでまず質疑に入るに先立ちまして、私が以下質疑をいたしますことに対する私の質疑の内容を明らかにするために、私の考えております事柄をあらかじめ開陳しておきたいと思うのであります。すでに土地制度改革が行われ、大多数の農民自作農なつたのであります。また自作農でない農民も、また経済上の事情においては、かつて小作農という立場よりはむしろ自作農という経済上の立場を持つ分量が多くなつて参りまして、なべて農民自作農であると見る方が農村の実態に合うと考えますので、こういう観点に立つて自作農民がその大体の数を占めておる農村に対する、農民組合法のただいま提案になつておりますこの法案効果等を伺わねばならぬのであります。それより前に、もう一つどもは、この農民組合法を審議するにあたつて考えなければならぬことは、農民組合運動というものがどういう理念で、どういう歴史でたずねられるかという事柄でございまして、これを国際的に見るならば、御承知通りレーニン等に率いられたるロシヤ農民運動、ここを一つわれわれは考えなければならぬ事情ができて参るのであります。なぜかと言えば、レーニン考えておりましたる農民組合運動というものが、非常にわが国農民運動を支配いたしましたという歴史的事情があるからであります。そうしてレーニン考えておりましたる農民組合運動というものと、日本のただいまの自作農農民の主要なる数字を占めております現在とは、まつた事態が異なるからであります。御承知通りロシヤ帝政の末期において土地解放をいたしたときに、最もこれに、反対した者はレーニンであります。なぜ反対をいたしたかというと、レーニン社会革命思想の上に立つておる。いわゆる唯物史観的考え方から、暴力革命によらざれば正しき社会は来ないという基礎理念の上に立つておるのであります。従つて土地解放によつて農奴がそこばくの土地所有権を獲得し、地主的感覚を幾分でも持つ者は、意識の拡大となつてやがては革命思想離反者となる、こういうことが基礎理念であります。この理念に基きまして、有名なるロシヤ社会民主党のテーゼをレーニン批判いたしております。この批判に対しては、山川均君が有名なる訳書と解説を出しておりますが、この山川均君のレーニンによる農民運動に対する理念が、大体わが国農民組合運動基本形態をなした思想でございます。その中に盛られておる思想は、御承知通りレーニンがとりましたるところの考え方暴力革命でなければ幸福なる社会は生れないという考え方の上に立つのであります。その上に盛られておる、この基礎理念の上に立ちましたる日本農民運動と、民主的法制のもとにあります日本のただいまの実情とが、いかようにマツチするかという問題こそは非常な重大な問題でありまして、少くともその問題を深く考察すべき一端として生れて参りましたと思われるこの農民組合法案、これについては私ども農民という立場に深く立ち入つて、もう一つ言いかえるならば、農民労働者との提携によつて社会革命をなす、暴力革命をなすべきものであるという観点に立つべきものであるか、農民経済活動の主体として、社会民主的改革の上に立つて行くべきものか、はたまた自由主義産業の中において、特殊の保護政策によつて農民というものはその地位保護されて行かなければならないものかという三つの大きな課題が、実は農民問題に対する基礎の重大問題であると考えるのであります。こういう理念の上に立ちまして、私は以下質問を続けて参るつもりでございます。  御提案になりましたる農民組合法案の第一条によりますと、農民団結をいたしまして、自主的に組合を組織する。それから団体交渉及び団体協約の締結を行う。農民経済的地位向上農村民主化を促進する。こう書かれているのでありますが、これであるといたしますると、この法案の骨子は、民主主義的考え方から、この法案基本的にすべての解釈をなすべき意味で立案されておりますかどうか、この点をまず伺つておきます。
  4. 足鹿覺

    足鹿委員 綱島委員の、農民組合基礎理念についての御高見を拝聴いたしたわけでありますが、御指摘になりましたように、一九一七年にロシヤ革命成功いたし、その成功基礎には、労働者農民との提携というものが、レーニンという指導者によつてよき成果をあげた、こういうふうにロシヤ革命史は伝えておるのであります。ロシヤ革命がいいか悪いかというようなことは別といたしまして、少くとも社会変革の大きな力の一面を農民が持つているということは、これは否定できない。ただこのロシヤ革命における農民の果した役割というものをただちに日本へ持つて来て、しかも戦後農地開放の一応完了した日本へ持つて来まして、この基礎理念をただちに適用して、日本一つ基本としての農民組合法をつくるのではないか、こういう御趣旨であつたようでございますが、私どもはそうは考えておりません。すなわちロシヤにおける一九一七年以前における農村状態封建領主農奴との間における非常に苛烈な闘い、あるいはロシヤ帝政との間における農民のいろいろな闘い、そういつたものは、すべて当時のロシヤにおける農民に対する経済的、社会的あらゆる圧迫が加わつて、これに対して農民が、みずからの力でモツブ的な闘争を行つてつたことは御存じ通りであります。これをレーニンが組織して、労働者との提携において帝政ロシヤをくつがえした、こういうことでありまして、もし日本が戦後において農地改革行つておらなかつたならば、あるいは綱島委員指摘されるような事態が、日本にも起きる条件として私はあつたと思う。しかし、戦後において農地改革が一応成果をあげた。いろいろ批判はありますが、少くとも農村民主化と、農民地主からの非常な束縛から脱したということは事実であります。そういう条件の異なつ時代において、ロシヤ革命における当時の成功がただちに日本に適用されるなどということは、基本的に私ども考えておりません。戦後における農民組合運動の一時の膨脹発展というものは、当時の民主的に高揚された戦後の風潮といいますか、マツカーサーの日本占領政策に基いた、ほうはいたる民主化運動に基いた当時の供出問題、税金問題、農地改革途上における土地問題等に起因して、異常な農民運動発達を見たことは御存じ通りでありまして、その後税金の問題や農地の問題やあるいは供出の問題が、一応一つ一つ片づいて参りましたので、農民運動は一時足踏み、沈滞の一途をたどつて今日に至つておるのであります。そこに私ども農地改革そのもの一つ意味があつたというふうにも一面考えられると思います。そこに戦後の農民運動の特殊な状態というものが発見されるのではないか、こういうふうに見ておるのであります。  しからば最近における状況はどうかと申しますと、今申しましたように、一時のほうはいたる農民運動後退を余儀なくされた。それは一つの闘う目標一つ一つ獲得する過程において、自作農意識が誤つた——いわゆる自分地主なつたのだという農民としては宿望を達すると同時に、綱島委員指摘された本来の小ブルジヨア的な気持と結びついて、一面では農民運動後退に拍車を加えておるのではないかというふうに見ておるのであります。  そこで第一条の問題でありますが、自主的に農民組合を組織し、あるいは団体交渉行つて、その結果として団体協約を締結して農民経済的地位向上農村民主化を促進するということをうたつておりますが、提案者一同考え方としては、もう一つ経済的、社会的地位向上ということがうたいたかつたのであります。しかしながらあとでおそらく指摘されるでありましようが、政治活動の問題がありまして、いわゆる政党との混同をわれわれは避けて行かなければならない。農民組合はあくまでも農民の日常の経済的な問題に根ざし、これに関連した社会的あるいは政治的な問題を取扱うのが主たる目的であつて、政治問題に出発して、経済問題を従たる立場に置くものではないのであつて、そういう点から誤解を避けて経済的地位向上農村民主化を促進する、こういうふうに第一条において規定をいたしております。従いまして、戦後における農民組合の健全なる発達を促すためには、法によつて国がこれを保護助長して行く、こういうことによりまして、まだ組織化されておらない農民日本には非常に多いのでありまして、これに対しまして誤つた農民指導が行われずして、健全な日本農村実情を正しく把握し、その上に立つた健全な農民運動が広く農村に組織されまして、そのこと自体によつて大きく国の農政に対する無言の圧力となり、あるいはよき建議者となり、あるいは正しからざる問題については団結の力によつてこれを是正して行く、こういう健全なる全国的農民組合の組織化によつて、少くとも今後予想される独占資本の重圧あるいはそれに起因するもろもろの農村への不利なる状態というものに対して、正当なる権利擁護利益を守つて行く、こういう基本的な考えに立つておることを御了解いただきたいと思います。あるいは質問の御趣旨に沿わない点があろうかと思いますが、以上で私ども農民組合に対する基本的な理念並びに第一条についての私の考え方を申し上げた次第であります。
  5. 綱島正興

    綱島委員 そこで実はお尋ねしておきたかつたのは、社会革命主義によるのか、社会民主化の線によるのかということから、この組合法基本がどちらかということをよく伺つておきたいと思つたのでありますが、大体今の御説明で、これは社会革命主義基礎を置いたものでないということは、大体了承したと存じております。そう承つてよろしゆうございますか。——それから次にお尋ねをいたしておきたいと思うのでありますが、なるほど経済活動を主にするという考え経済的及び社会的地位向上をはかりたいということから、この組合を組織して、団体交渉団体協約をやつて行くという考え方でありますが、実は御承知通り労働組合のごとくその団体団結が必要であり、その団体行動効果がてきめんである階層においてさえも、組合運動のために特殊な立法があり、いろいろの保護があつてさえもこの組合運動というものは、一たびデフレーシヨンになりますと、非常に混乱に陥りがちである。戦後日本が経て参りました事情は、大体において労働組合運動については、非常に都合のいいようなほんとうの日なたに育つような育ち方をいたしたのでありますけれども、一たびこれがデフレーシヨン時代に入ると、実はこの組合というものがどこまで行けるかということは、かつてヨーロツパの第一次大戦直後において、それこそ非常な勢いで発達しました労働組合運動が、その後のデフレーシヨン時代に入りますと、四散分裂いたしまして、その維持さえも非常に困難になつ事情を想起することができるのであります。ただいかなる場合においても小作人運動だけは、クロポトキンのいわゆる収獲全収論等が成り立つ運動でありますので、実は小作人組合だけならば、小作人さえあればいかなる事情にあろうとも、まつた地主小作人というものは、利害関係が相反しておりますので、これはもう絶対にくずれない非常に強固な——それが不況時代に入ろうとも、好況時代に入ろうとも、絶対にこれはくずれない組織でございましようけれども、先ほど申し上げましたような事情から、実は小作人組合というものは、もう実数がほとんどないと申し上げていい。小作人であつてもただいまは自作農と何ら選ばず、ある意味においては、たくさんの地所を耕作し得るような自作農になるよりは、かえつて利益になると思われるほど、小作料規制等から保護されておるわけでございます。そこでただいまの状態自作農組合というものが一体できるかどうか。自作農農民組合、つまり自主的な自作農農民組合というものは、みずから費用を負担し、みずから役員を選出、みずから行動を決定し、みずからの意思において民主的にその組合活動する。すなわち組合員の多数がその行動決議に参加するような組合が、経済的に成り立つ事情があるかどうか。これに対する御意見を伺つておきたい。
  6. 足鹿覺

    足鹿委員 地主小作の当時においては、綱島委員の申されるように、はつきりとした農民団結の現実における目標があつた。ところが今日においては小作農地は五十万町歩程度に減りまして、ほとんど日本農村自作農、あるいは自作小作、こういう形態にかわつて来ておる関係上、昔のような対地主目標とした農民団結ということとは、実際的にはよほど事情が変化しておることは、私どもよくこれを認めるところでありますが、しからば個人である地主というものがまつたくなくなつたかといいますと、農村においてもなくなつておらない。特に最近においては農地の取上げ、またそれに基く農地移動等がひんぴんとして行われ、かつまた国なり、あるいはいろいろな企業体が行う、たとえば電源開発の問題、あるいは演習地の設定の問題、軍事基地の問題というふうに、国あるいは企業が企画いたしまするために起きる農地壊廃、それに対する正当な補償が支払われておるかどうかということについては、全国各地においていろいろ紛争なり、物議をかもしておるのであります。そういうところにおきまして、農民がまつた結束するすべを知らない。そうして正当なる自分たち農地壊廃に対する補償すらも得ないというような地帯と、農民結束いたしましたために正当な補償を得、あるいは離農後における生活の保障上に、きわめて有利な条件をかち得たというような事例を比較してみますると、団結して正当なる主張で相手方と闘つた地域と、そうでない地域農民との間に大きな差のあることは事実として現われておるのであります。従つて一つ農地問題にとれば、ただ単なる農地改革前における地主小作という関係は著しく変化して来ておりますが、形のかわつた面において、農地をめぐる紛争は最近特に激化して来ておるのであります。これに対しまして農業委員会あるいは協同組合が本来の農民利益機関、あるいは農民経済的擁護機関の使命に立つて、それらの農民の希望を受入れて闘つておるかというと、協同組合農業委員会は必ずしもそういう立場に立つておらないのであります。従つて最近全国において、それらの特殊な条件を持つ地域においては、農民結束農民団結しなければならないという声が相当強く現われて来ておるのでありますが、これらの現地における農民結束が一たび方向を誤りますと、綱島委員の最初の御質問にありましたように、暴力的あるいは破壊思想的なものに利用され、あるいはその宣伝に迷つて、健全な農村建設という面と逸脱した方向へ走る危険もまたなしとしないのであります。これを国が法律にあいて正当な保護助長の施策を講ずることによつて、きわめて健全に、しかも正当な農民立場を守つて行くことが私どもはできるのではないかと思う。そういう意味から、かつて地主小作考え方に基く農地問題の紛争というものはきわめて少くなりましたが、今申しましたような意味においての団体交渉あるいはそれに基く団体協約対象というものは明らかに現存しておる、こういうふうに考えておるわけであります。  第二点は、自作農なつ農民としてそういう土地問題等のない農民は、何を対象にして農民組合活動を行うのか、これは御指摘通りきわめて漠然としておると思います。第四条の点をごらんいただきますと、二項に農業用資材または農産物の価格及びその他の取引条件を適正ならしめるために、当該資材製造業者販売業者もしくは運送業者あるいは集荷業者、こういうものとの間における団体交渉及び団体協約という点で一つ目標を明らかにいたしておるのでありますが、これはすなわち肥料にいたしましてもあるいは農機具にいたしましても、またこれを輸送する運送業者あるいは集荷業者との間における農民の自主的な団体交渉及び団体協約対象たり得ると私ども考えておるのであります。すなわち独占禁止法が緩和をされました最近における肥料問題が、いかに深刻に農村に及んでおるか。しかも過般本委員会で成立した肥料需給安定法にしてみましても、その成果をあげせしめるためには、背後に農民が大きく団結し、結束して法の運用を為政者をして正しく運用せしめるところにその法律の力を正当に発揮せしめる得ると思うのであります。ただその法律が出ることによつて現在の独占資本が著しく制約を受けて行くかと申しますと、これは力関係でありまして、必ずしも法律をつくつたからただちに肥料価格が下り、農民の期待に沿い得る、こういつたことは——少くとも今の日本独占資本のものの考え方私益追求利潤追求一辺倒でありまして、真に自分たちの顧客である農民立場あるいは国家的要請である食糧の自給に肥料業者として貢献して行かなければならない、そういうような国家的な認識に欠くる点を私どもは随所に発見せざるを得ません。それらのものは、やはり企業の自由を持つておるのでありまして、これを不当に抑圧することも、現在の日本においては不可能であろうと存じます。従つて農民が自主的に団結をし、正当にその法律効果をあげせしめるがごとき健全なる圧力を加えることによつて所期成果を収め得るのではないか。私どもはそういうふうに考えているわけであります。なおこの際申し上げておきますが、この立案に当りまして私どもが一番遺憾に思いましたことは、農民は国がきめた米価あるいは麦価によつて自分の生産したものを政府に売り渡さなければならない立場に置かれております。従つてこれは労働者雇用者との間における雇用に準ずべき性質のものではないか。すなわち国家との間に米麦の買上げという一つの行為を通じて、雇用関係に準ずべき性格を持つているのではないか。少くとも国との間に団体協約を認めることをこの法律に書きたかつたのであります。しかしこれは重大な憲法上の解釈あるいはいろいろな点かございまして、残念ながら、この点については本法律案の中にはうたつておりませんが、少くともこれらの問題をさらによく研究し、真摯な態度でもつてこの法律りつぱなものに将来仕上げて行きたい、こういう気持を持つているようなわけであります。
  7. 綱島正興

    綱島委員 ただいまの御趣旨はよくわかりましたが、私が先ほど申し上げましたように、この立法による効果、特に考えておられる経済効果がどれほど上るか。これを維持するに足る農民の熱意と環境がどれほどあるかということが非常に問題になると思うのであります。  そこで私が特にふしぎに考えることは、なるほど政党とわかつための御規定ではあろうと思いますが、第二条但書の欠格条項であります。この欠格条項の第三項の中に、主として政治運動目的とするものは農民組合じやないと特に規定しておられる。これに対する質疑でありますが、一体日本農村が、政治的活動によらずして保護されるかということが基本問題で、おそらくはそれは政党があるから必要がない、その残りの分だけをやるんだというお考えかもしれぬと思いますけれども、特にこれを規制して立法するとしたら、何のためにこれを除くかという理由が疑問になるのであります。その理由を申し上げる。私ども長い間農民運動をやつて、一時は法制違反のような運動までやりました。裁判所から差押えに来ても、米も競売できないようにする。判決がいくら出ようとも、その執行力がほとんどないというところまで運動したことがございます。そうしてつくつたものはみんな小作人がとつてしまつた。けれども一向小作人は楽にならなかつたのであります。多少はなつたが、実は基本的の問題ではならなかつた。そこで私ども解答として得ましたことは、農村の中で地主小作人の間で解決し得る農民問題には限界があるのであつて、むしろ他の商工業者農民の間において解決すべき問題が基本問題ではないか、こういう問題にぶつかりまして、当時の農林省に農家の全国生計統計をとつてくれと頼みましたが、全国ではとてもかなわぬというので、長野県だけの統計をとつたのであります。ただいま持ち合せませんが、その統計によりますと、地主小作自小作も全部部赤字でございます。地主繁栄いたしておりますが、地主たるゆえの繁栄でなくて、株を持つたりいろいろして、むしろ商工業者的の立場を持ち得ることによつて繁栄である。地主そのものとしての繁栄ではない。特に小作自作自小作は、全部これは赤字でございます。御承知通り自小作農赤字になれば農村は全部赤字でございます。当時から申し上げますと、家でつくるだけの地所を持つてつて、次三男が耕作適齢年齢になりまして、労力が余つたところから、多少の小作をするという階層が、農村で一番耕作者としての富裕な階層であります。これがやはり赤字です。そこで問題は解決されたのである。これは農村内における関係だけでは解答は得られない。従つて他業者との関係においてという問題でありますが、その点についてこの協約の範囲を御決定になりましたことは、妥当であると思います。決して異議はございません。しかしそのことを遂ぐるための手段方法として、政治活動によるのか経済活動によるのかというところに、実は基本的の疑念が置かれるわけであります。主として政治活動をするものを除外する農民組合というものが、はたして効果ある農民組合であるか。これは単に政党と区別するだけのことであるならば、また別に異論がございます。  そこで私どもどういうわけで一体農村は立ち行かないものであるかということについて、特にわれわれ農政に携わるものが深くかんがみなければならぬことは、私当時いろいろ取り調べた中で答えを得ましたものは、一番大きなものは、産業革命による機械力の利用の効率化が、農民の労働については非常に進んでいないということである。なるほど脱穀機一つをとつてみれば六千倍になつたとかいうようなこともございますけれども、気気象風土によつて耕作をいたしますために、農民の労働力の効率化は、北米合衆国においてもまだ二十倍に及んでいない。日本のごときは天正検地から今日の農民の労働力の効率化は三倍に足らないのであります。ところが重工業の部面においては、労働の効率化は十万倍を越えたと言われる。スイツチ一つを入れれば、鉱石が自動車の車体になつて生れて来るというように、今の時代の労働の効率化は、重工業は十万倍を越え、軽工業も一万倍を越えたと言われているのに、農民においては、実は北米合衆国においても二十倍を越えない、日本においては三倍に及ばない、こういうことが農業が非常に不利益産業である基本的の事情であります。  いま一つの問題は、農産物価の問題でございます。不可欠産業であるにかかわらず、多少でも飽和状態に近くなりますと、農産物価というものは非常な下落をたどるのであります。そうしてこれは貯蔵が不可能に近いものであるという不利益を有するのであります。  第三の問題は、農産物は、さようなときの需要適正性の選択ができない。たとえば工業生産でございますと、モーターでも毎年その回転量がよくなつて行くというようなことで、一々その需要適性度が変化して参りますのに、米や麦やあずきはそれこそ天照大神の時代から今まで同じものだ。これは農業生産というものが、他の日進月歩の産業革命以後の効率増進の線に沿わないという事情でございます。この三つの大きな事情から、農業というものは基本的に引合わない産業である。そこで農業というものは法制度をとるよりほかにない。何となれば人は食糧なくして生きて行かれないものである。そこで基本的な問題は政治問題に入るのであります。これは単なる経済的の闘争等によつてつて行くことは不可能であります。ごらんなさい。アメリカ合衆国でアイゼンハウワーが当選いたしましたのは、南部の農民の票が入つたからだと言われておる。それが例の価格維持法の適用が遅れて、一ブツシエル二ドル四十五セントに買いとることが非常に遅れたために、農民が一ドル七十五セントで庭先売りを始めたことから、共和党に対しては一切投票をしないという決議をいたしたために、中間投票においては、共和党は全部落選いたしておる。それでしかたがないから農務長官を首にして、政府の方針ではなくて、農務長官の怠慢であるという虚偽の発表をいたして、ただいまではやはり共和党が当選をいたすようであります。農村の問題は政治的解決でなければ絶対に解決せられない事情があるだけではなく、ヨーロツパにおいてもアメリカにおいても、さような事情があるのでございまして、これはひとり農民組合法において——ひとりではございますまいけれども、特にやろうといつたところで、むしろ私は費用多く、労多くして効果は上らないものではないかと思います。しいてこれを維持することになれば、ある意味においては、農村の一体化したる政治活動を阻害するおそれなきにしもあらずという考えを持つておるのであります。これに対する考え方をひとつつておきたい。
  8. 足鹿覺

    足鹿委員 欠格条項の第三、主として政治運動目的とするものは、本法の欠格条項に該当するということは、むしろ妥当ではないじやないか、農民経済的要求を政治的に解決する段階において、政治運動を行わない農民組合というものは効果が期待できないではないか、こういう御趣旨の点が第一点であつたと思いますが、ここに掲げております、主として政治運動目的とするもの、特に主としてという言葉を入れておまりすことをよく御翫味願いたいと思うのであります。先刻も申し上げましたように、農民組合農民経済社会的地位向上を最終的に目標にするものでありまして、政治団体の行う政治運動と、農民組合が自己の経済的主張を達成して行くために必要な政治活動とは、本質的に区別されていいものだと私は思うのであります。すなわち政党あるいはその他の政治運動をすることを主たる目的としてできた政治団体は、政治運動それ自体が目的なのであります。そして政党の場合には、最終的に政権を獲得し、その政権を獲得した上において自己の政策を実行することに、その政党あるいは政治団体目標があるのであります。しかしながら、経済団体である農民組合の行う政治活動というものは、すなわち協同組合においても同様であります。協同組合が自己の業務に関連する農政活動というものまでしぼりますと、これは協同組合の正当な任務を達成し得ない立場に置かれる。これと同様に広い意味における農民経済利益を守つて行く、そういうことに必要な政治活動というものまで禁圧行しようというのではないのでありまして、すなわち政権をとつた上において諸政策を実施して行くというがごとき政治団体あるいは政党との間における区別をはつきりしておくことは妥当ではないかと思います。そしてこの組合政党との関係について、この際私ども考え方を申し上げておきますならば、政党組合というものは全然異つた性格を持つものであり、組合がいかように強くなつて、その組合がかなりに一国の政治を左右するような力を議会なら議会に持つたといたしましても、これは世界史の示すところによりましてギルド社会主義、一種のギルド・ソーシヤリズムという形でイタリアにおいても失敗しておることは、きわめて蘊蓄の深い綱島委員も先刻御存じであろうと思います。組合はあくまでも組合であつて、政権を掌握して政治を行うものではない、従いまして保守党の政権下にあつてもあるいは社会主義政権下にあつても、常に組合は存在をいたし、自己の関連する範囲内において常に自己の経済利益を中心にして守つて行く職能を果して行かなければならないと思うのであります。そういう意味におきまして、主として政治運動目的とするものを欠格条項に一応盛り上げておることを御了解願いたい。そして政党組合との関係というものは、農民組合たると労働組合たるとを問わず、常に非公明な関係において結ばれるのではなくして、組合の総会あるいは適当なる機関において何人の考え方が正しいか、どの政治集団の農村政策が正しいか、あるいはどの政党の農業政策が真に農民のために利益するのであるかということを判断し、その判断に基いて自分たちの主張を達成するために最も熱心であり、忠実な政治団体に協力をする、こういうことは公然と行わなければならないと思うのであります。今のように何か幹部と幹部との間に個人的なつながり合い、あるいは特定な関係においてずるずるべつたりに組合政党との関係規定するというようなことは、日本における政党の健全な発達を阻害するのみならず、組合運動自体を非常に危険な方向へ導いて行くものではないかと常に私は考えておるのでありまして、そういう関係において綱島委員が非常にまじめに、農村の将来をお考えになりますご御杞憂につきましては、十分ではないかもしれませんが、私ども将来そういう方向でこのむずかしい問題を処理して行くべきではないか、かように考えておるわけであります。  そこで質問の第二点の、日本における農業生産力の停滞あるいは農産物価格の非常な浮動性、それに基く農村の貧困ということは、日本における農民経済活動によつてはとうてい目的が達成できないではないか、こういう御趣旨であつたように思いますが、ここでお互いが考えなければならないことは、日本における農業生産力の停滞の根因はどこにあるのか。日本の零細なしかも最も遅れた古代的な農業生産様式を余義なくせしめているその根因はどこにあるのかということを考えてみますと、現在における資本主義と農村との関係に見出さざるを得ないのであります。従つて日本における農業生産力の停滞は、日本の資本主義がすでに独占資本の段階に達しておる。従つてこの独占資本の段階に達しておる日本の資本主義そのものが農業生産力の停滞に拍車を加えておるのでありまして、これに対するところの闘いなくして、農民経済的主張を達成することはできないと私は思います。私ども意見をしいて申し上げますならば、日本の農業生産力の停滞は、日本農村の持つ宿命的な過小農経営にもその一端を見出すにやぶさかではございませんが、その過小農経営を依然として維持して、その上に農業生産力の高楊を求めんとするがごとき誤まれる農業政策の累積の結果が、今日のごとき日本の農業生産力の停滞を来しておるのではないか、こういうふうに私ども考えざるを得ないのであります。そういう点から私どもとしましては、この農民組合活動が、独占資本農村収奪というものに大きな力を今後傾けて行かなければならない、こういう点であえて私どもは、経済活動にこの効果を疑うという悲観的な立場ではなくして、それなるがゆえにこの問題を大きく本法においても規定し、その活動を正当に擁護して行くことを第四条において掲げておることを御了解願いたいのであります。同時に日本の農家経済が、長野県の事例によつて非常な赤字であるという御指摘をなさいましたが、昭和二十五年朝鮮動乱勃発以来における日本の農家経済は、急速に戦後における若干の蓄積を使い果たして、しばしば私は申し上げておるのでありますが、単作地帯においては、東北農民の経営調査によりますと、一町未満の農家で兼業による収入が、農家現金所得の六五%を占める、これが漸次関東を経て東海、九州、四国と南下するに従つて、その度合いが少くなつておることを農林統計は示しておることは、綱島委員もすでに御存じのことであろうと存じます。従つて日本の農業政策というものが、農業政策自体において農民の生活を打開し、進んでその経済的、社会的地位を確立することが困難な段階に達しておる。しかも過剰人口を控えて非常に行き詰まつた大きな壁に直面したような場面に現在直面しておる。すなわち全体を通じて見るならば、日本の産業構造全体をどうかえて行くか、そこに人口配置をどういうふうにかえて行くかということを考えなければ、日本農村の人口問題はもちろん、農家自体の経営の安定、ひいては生活の向上ということは期待できない段階がすでに来ておる。こういう問題は、農民組合が正当に指摘し、農民組合全国的組織を確立することによつて、真にゆがめられない率直な農民意見がそこに表われ、これが国の政策に大きく反映するために、政党との関係が民主的に確立され、農民組合の主張が政治を担当しておる政党に反映することによつて国の施策に大きく動いて来る、こういう形を私どもは一応考えざるを得ないのでありまして、生産力が大きく停滞しておるから、経済活動に期待することは困難である、一応そのことはわかりますが、であるから今後における資本の農村支配、また資本そのものが現在においては日本の政治を左右しておるという意味からも、私どもは、独占資本に対する農民組合活動というものは、きわめて大きく取上げて行かなければならないのではないか。その点において若干綱島委員と所見を異にしておるのでありますが、私の言わんとするところと綱島委員のお考えとは大きく食い違つておるとは思いません。究極において綱島委員は、だから政治的に解決しなければならぬのではないか、にもかかわらず政治活動を主として行うものを欠格条項にあげておることは妥当性がないのではないかというふうにただいま指摘されましたが、ただいままで申し上げました趣旨においてひとつ御了解を願いたい。  なお日本における農業生産力の停滞また価格の変動による農家経営の浮動性といつたような点につきましては、別の機会に詳しく申し上げることといたしまして、あまり長くなりますから、意見にわたる点は省略しておきたい、かように存じます。
  9. 井出一太郎

    ○井出委員長 足立篤郎君。
  10. 足立篤郎

    ○足立委員 ただいま綱島委員から御質問のありました点に関連して、提案者の御見解を伺いたいと思います。     〔委員長退席、芳賀委員長代理着席〕 文字に書きますれば、農民経済的地位向上あるいは社会的地位向上ということになりますが、ただいま綱島委員指摘されました通り、自由産業を行つておる農民また民主的政治のもとにおける農民が、みずから団結して、みずからの経済的地位向上をはからんとすれば、その活動はすべて政治活動による以外はないのだという綱島委員の御見解に対しましては、私はまつたくその通り考えるものであります。かかる観点に立つてただいま提案者の御答弁を拝聴しておりますと、どうも私にはすつきり割切れない。ことに農民組合法案におきまして、欠格条項として主として政治活動を行うものを除外しておるということは、そこに矛盾があるのではないかということを痛切に感ずるのであります。ただいまの御答弁を伺つておりますと、提案者はこれを次のように割切つておるように私は拝聴したのでありますが、あるいは誤りでありますかどうか。提案者の御見解をまず第一点として伺いますが、提案者は、綱島委員指摘される政治活動によつて社会的地位向上をはかるのであるということについては、ある程度お認めになつておる。しかし主として政治活動を行う農民組合を除外しておる趣旨は、政党であつてはならない、政党というものは政権奪取を目的として政治活動を常に行うものであつて農民組合目的はおのずから異るのであるから、政党であつてはならないのである。しかし農民組合がみずからの経済的地位向上あるいは社会的地位向上のために、一定の政党を支持することは公然かつ積極的に行うべきものであるという御見解を表明なすつていらつしやる。そこで私が伺いたいのは、これは提案者がそういうお気持であるならば、主として政治活動を行うことを禁止するというような、まつたく曖昧模湖とした表現を用いないで、むしろ政治団体と申しますか、今提案者みずからもおつしやつたような政党的なものであつてはならないということを明確に御規定なさるべきではないか。提案者と私は見解が違いますが、広く全国農民経済的地位並びに社会的地位向上をはからんとするならば、これは絶対に一党一派に偏する政治団体であつてはならないので、この点を明確にして、一党一派を支持する政治団体であつてはならないということを欠格条項規定するならば、むしろその点が割り切れるのではないかというふうに私は考えますが、提案者の御見解を伺いたいと思うのであります。  次にただいま綱島委員が第二点として指摘されました点につきましても、提案者の御答弁に私は満足いたしませんので、重ねてお伺いいたしますが、綱島委員の御質問は、提案者が今御答弁になりましたような、何と申しますかえてして一党一派に偏するような、非常に政治的、イデオロギー的な農民組合というものが各個ばらばらにできました場合、たといこの法案によつて一定の監督は受け、一定の基礎を持つた、組織を持つたものができたにしても、これがかえつて農民大衆を割る結果になりはしないか。政治的活動をこれによつて各個ばらばらにして、全国農民団結せる、偉大なる力を発揮するにかえつて障害になりはしないかという点であります。これをつつ込んで申し上げれば、今日農業委員会農政活動の中心として全国的に組織を持ち、一町村の漏れなく活動をいたしておる。この農業委員会活動がにぶいかどうかというようなことは別問題といたしまして、これは一党一派に偏せずに、単純に農民経済的地位向上並びに社会的地位向上ということを目ざして組織されておる。また努力しつつある。これを強化することこそ、今提案者自身がこの農民組合法提案されんとする趣旨にむしろ合致するものではないかという点に私は疑問を持つのでありまして、提案者はこの点をどのように割切られておるのか。もしこの提案者が出されておる農民組合法案が通過して、全国的にこの農民組合が組織されるとするならば、当然に農業委員会との関係が熾烈な摩擦を起して来ることは申すまでもない。これをいかにして解消せんとするか。また提案者は農業委員会というものはいらなくなるであろうという御見解であるか、その点のはつきりとした御答弁を伺いたいと存じます。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 第一の点につきましては、先刻の綱島委員にお答えいたしました点を若干敷衍して御答弁にかえたい。すなわち今日政治によつて解決されない問題は何一つないではないか、特に農民の場合はそうではないか、こういう綱島委員の御質問趣旨と同様の御意見であつたと思いますが、その通りであります。だからといつて経済的な問題が閑却されていいのではない。すべてを政治的に解決しなければならないということ自体、農民意識しておらない。いかに自分たちの農業経営やあるいはその基盤である農業生産力の基礎条件が、他の産業に比べてきわめて貧弱であるにもかかわらず、なぜ国の施策に正しく取上げられないかということについて、それが政治につながつておるということを漠然と知つておりながら、事実は知つておらない。また肥料なり電気料の問題なりあるいは農産物価格の問題にしてみても、経済的な面から農民は自覚を起すのでありまして、いきなりこれに政治的な目標を与えて行くということは、そのこと自体私は農村民主化農村の健全な組織化ということとほど遠い、いわゆる政党の走狗になる危険性を持つものであると思う。正当な経済的な問題については、保守政党であろうと革新政党であろうと、真剣に農村の問題を考える人であるならば、農民組織を割るような考え方は持たないであろう。ただそれがいきなり政治的に走つて行こうとするところに組合の分裂が起き、組織の混乱が起きて、ひいては農民の組織力の分散となり、経済力の弱体となつて、今日の状態に拍車を加えておるのでありまして、ただ単に農民の問題に限らず、中小企業者の問題あるいは労働者の問題あるいは漁民の問題にしましても、まず自分たちの生活の周囲にあり、自分たちの職場の周囲にある経済的な問題にその当事者が目をさますことである。そこから出発して行く。すなわち高度の政治目標を与えて、一定の政治的イデオロギーに引きずろうとするところに、今日の日本農村の非常な不幸があると私は思います。真に農民が大同団結して行くためには、経済的な面を重視して行く、その間にあつていろいろ運動の過程を通じて、真に政治に対する眼が開けて来る、批判力が生れて来る、こういうふうに私どもは見ておるのであります。そういう点については、綱島委員なり足立委員とも、表現の方法は違つておりますが、そう大きな食い違いはなかろうと思います。これはもうわれわれ日常一挙手一投足がすべて政治につながりを持つておるのでありまして、そういう議論から行きまして、経済活動よりも政治的にはつきりした方がいいではないかという議論も一応成り立ちますが、そこに今までの農村の組織化が停滞した大きな原因があるのではないか、そこを反省しておるつもりでありますので、この点は御了解を願いたいと思います。  一党一派に偏する傾向があるが、そういうことのないように規定すべきではないか、こういう御趣旨の御質問であつたと思いますが、私は先刻、組合と政治団体との関係について申し上げましたが、どの党を支持するということ、とどの党の政策を支持するというということとは、私は違うと思います。党を農民組合が総会において支持するということになりますと、これは非常な弊害がただちに出て来る。どの党のどの農業政策が農村にいいのか悪いのかということを、組合の民主的な機関に諮つて決定すべきものである、こういうふうに私は見るのであります。それがまず第一段階である。そうしてそういう段階を経て、組合を組織しておる個々の農民の政治的自覚、政治的理論の発展によつて、あるいは保守党の好きな者は保守党に行く、革新政党の好きな者は革新政党に、個々の意思によつて進んで行くでありましよう。従つて一党一派に偏してはならないということは、民主主義の原則をそれによつて曲げることにもなりますし、そのこと自体は農村の発展に寄与しない。むしろそれは自主的にどの政党を支持するということよりも、私は日本の現状においては、農民組合であろうと労働組合であろうと、まず政党政治に対する判別の第一着手は、政党の持つ農業政策とその政策を実現するところの情熱あるいは実行力を持つておるかいないかということから、農民の判断を自主的に決定せしむべきではないか、それ以上、政党を支持する、支持しない、どの政党がいいか悪いかということは、農民でなくても、国民の一人として当然判断するのでありまして、この経済活動を行う農民組合について一つの政治団体との関係規定する場合には、飛躍があつてはならない。今申しましたように、特定の政党が掲げたその農業政策を見て、それが農村のためにいいか悪いかという考え方が判断の出発であり、そしてそれは民主的な組合機関において支持がきめられることになるのが、私は現段階ではなかろうかと思う。しかしこれは地方の実情によつていろいろ違いますから、必ずしもそれによつて強制して行く考え方もありませんし、また本農民組合法案を通覧していただきますればわかりますように、この法案がかりに成立して実施になつたといたしましても、いやならばこの法律の適用を受けなければいい、今のままでやつてもいいのでありまして、そういう点においてこの法案は何ら農民一つの強制を行わんとするものではなくして、農民の意思によつて組織がつくられ、そうしてそのつくられたものが、この組合法の適用によつて保護を受けようと思えば、これによる承認をとればいいのでありまして、その必要ないものについては、現在あるような農民組織でそのまま農民活動行つてよろしい、こういうことになろうかと思います。その点はそういう意味において御了解を願いたい。  第三点の農業委員会との関係いかんということであります。これは一昨日の公聴会において中央農業会議の中村事務局長が正しく指摘されました。農業委員会そのものは自主的な農民の組織であるのか、あるいは国の行政機構の末端であるのかという点になりますと、両者の性格を持つておるような複雑な現在の機構であります。すなわち市町村農業委員会が現在行つておる農地行政については、農地法に基きまして国の農地行政を担当しておる、それに国は必要な経費を支出いたしておることは、足立委員も先刻御存じ通りであろうと思います。これをつかまえて農民の民主的な組織であるということは、その面に関する限りにおいては、民主的な形態をとつておることは事実でありましても、これが農民の自主的、民主的な組織だ、従つてこれが農民利益代表機関であるという断定を下すことは、これはいかようの立場に立つ者といえども困難ではないか、私はかように思うのであります。しかも今度のこの複雑な内容を有する農業委員会法の一部改正案は、これを農民利益代表機関規定し、そして中央官庁に対する建議あるいはその諮問に応ずる、こういう一つ農民利益代表機関的なものを与えんとするところに、今度の農業委員会法の改正の非常に根本的な矛盾と申しますか、問題点があるのではないか。しかもこれには国が相当額の補助を与えておる。国の補助を受けたものが、時の権力者に対して正当な意見を述べ得るかどうか、すなわち国の経済的、財政的保護を受けておる団体が、真の農民の声の時の権力者に向つて、あるいは社会に向つて発表し得るような気魂が現在の農業委員会に求めることが可能であるかどうか、また改正されたこの法案が通過したあかつきにおいて、そういうふうになり得るかどうかということについては、私どもは残念ながらノーと言わざるを得ない。先日の中村事務局長の陳述の点を私まつたく同感に思うのであります。     〔芳賀委員長代理退席、委員長着席〕  そこで私はこの際、私ども農業委員会の改組についての基本的な考え方を申し上げておきますならば、まず農業委員会の持つている農業技術、農地問題の処理、米の供出の事務、この三つの農業委員会の持つている任務を、これは仮称でありますが、農地委員会等の、農地を専門に取扱う、いわゆる行政庁的な機能を十分に発揮し得るように、この際政府農地法を改正して、元の農地委員会の姿を基本法である農地法に織り込んで、そうして農業委員会の職員のこれによる吸収によつて、一元的に農地法に基いて農地問題が処理されるような、進んだ構想を政府はむしろやるべきではなかつたか。これを怠つて、議員立法に依存をして当面を糊塗するがごとき態度は、おそらく政府の怠慢であつたと私は思う。もつとこの点については、日本農地問題の現状を直視し、いかに各地における紛争がたくさんあるかということを、政府みずからも知つておきながら、これに対して抜本的な対策を怠つたというところに、私どもはこの農業委員会法に対する基本的な問題点として考えざるを得ないのであります。そのことによつて、末端における農業委員会農地担当の書記の身分の保障等もできますし、進んで従来の長い経験を生かして使つて行くことができるのではないか。こういう点をまず第一点として考え、第二点の農業技術の問題については、今度の農業委員会法改正案が非常に問題をはらんでいる。それは経営指導員として当初政府考えたものを、提案者によつては職員というあいまいな言葉を使つて、そうしてこの二つのものを残そうとしておられる。これは農業技術のあり方に対して、すつきりとした考え方を当面糊塗して、これをお茶をにごそうという意図があるのではないかとすらわれわれは考えざるを得ない。むしろ先日の公聴会において、京大の大槻博士がこの席から述べられたように、私はブロツク程度までは改良普及員、高度の専門技術普及員が国の財政支出によつて設置せられ、この専門技術員の技術を受入れる体系として、いわゆる村の農業技術員の制度が確立をされ、その確立された農業技術員の身分は、私は生産から販売までという立場から、農業協同組合にこれは一元化すべきものである。これはあくまでもその村の世話やきであり、ただ単なる高度の農業技術員ではなくして、夫婦げんかの仲裁までやる、ほんとうの村人の選んだ村人の技術員、そういう意味で、世話やき活動を含めた広い意味における農村の専門的な世話やきと、これに技術、経営を持たせたならば、さらに鬼に金棒でありますが、そういつた者を村に配置し、高度の専門普及員、技術員の指導を、これを村の情勢に咀嚼して現地に実施して行く、そういう形を私は打出すべき性格のものじやないか。そのことによつて農業委員会を否定するのではなくして、農業委員会の機能をさらに高度にあげながら、しかも現在農業委員会がねらつている一つ目的を十分に達成し、伸張して行くことができるのではないか。米の供出に関する事務の問題につきましては、もともと農業委員会のないときには、食糧調整委員会の機構において、十分これは食糧管理法の一環としてなされた実績もございます。従つてこれは町村の行政の一環とし、食糧管理法との関係においてこれを明らかにいたしますならば、いわゆる現在の農業委員会が担当しております食糧供出、農地事務、農業技術、こう三つがそれぞれところを得て解決ができるのであります。こういう考え方自体が、農業団体の再編成の私ども基本的な考え方であり、そこに農民組合法案が成立することによつて、これと相まつて農民利益機関としては農民組合が単一に当つて行く、こういう形が真の農業団体の再編成の一つのあり方ではなかろうか。考え方ではなかろうか。そういうふうに考えておるのでありまして、われわれが形式的に農業委員会をぶつつぶせとか、あるいは農業委員会に対して非常におもしろからぬ考え方を持つておるというふうに宣伝する人がありますが、私どもは真摯な立場から考えて、農業委員会の機能を、当面を糊塗することではなくて、これを正当に伸ばして行くことを真剣に考えましたがゆえに、ここにあえて農民組合法提出いたしましてこの間を調整しようということにいたしたような次第でございます。
  12. 足立篤郎

    ○足立委員 提案者の御熱心な御答弁を拝聴いたしました。提案者がこの農民組合法案において、農民組合のあり方について非常に良心的にお考えになつておることについては私もこれを認めます。私はここにちよつと例をあげて申し上げてみたいと思いますが、私がアメリカのグレーンジという農民団体に参りましたときに、その政治活動状態質問いたしました。ところがグレーンジの会長は、たしか共和党員、副会長は民主党員、私は実ははとが豆鉄砲を食つたように驚きまして、それで一体政治活動がうまく行きますかと言つて質問したところが、その会長が答えて言うのには、私は共和党員で、私の家内は民主党員だが、家庭はちつとも困らない、家庭の生活には何ら関係はないのだ、こういうふうに割切つたお答えがありまして、私どもも驚いたり感心いたしましたりしたのでございますが、この例をもつてしてもおわかり願えると思います通りに、提案者自身もお考えになつていらつしやいますけれども農民経済的地位向上並びに社会的地位向上につきましては、政党的なイデオロギーにこだわらずに、これを排除して純粋に農民経済的地位向上並びに社会的地位向上という一点から集約して参りますれば、おのずから帰するところはまとまり得ると思うのであります。で、むしろこういう農民団体は、政党を使うというと、語弊がありますが、政党を動かして、みずから民主的にきめた政策を、各種の政党に食い込んで、政党をしてこれを実現せしめるという方向に少くともアメリカでは動いておる実情を見て参りました。私は民主政治下における農民団体政治活動のあり方が、かくのごとくあることが一つのモデルではないかと思つてつたのでございます。ただいまの提案者のお答えも、今私が申し上げた経済的地位向上並びに社会的地位向上を重点に置いて、政治活動は表面に出さないといいますか、二の次にして、一党一派に偏する政治活動農民組合が行うことはいろいろな弊害があるから、これを排除して行くのであるという良心的なお考え、また法案に盛られております趣旨につきましてはこれを了とするものでございますが、提案者の御答弁の中に、政党が立てた農業政策を取捨選択して農民組合がどの政党を支持するかということを決定するのであるというお考えが、私が今申し上げた例にかんがみまして、若干提案者のお気持が、私とはその点が食い違つておるのではないかという点を憂慮いたすのであります。私がかようなことを申し上げたのは、提案者がおつしやつておるように、政治活動を主とするものは排除する、この農民組合法によつて農民組合を設立し、あるいはできたものが承認を受けようとするものは、受ければよい、受けたくないものは受けずに、従来通り一党一派に偏してもつぱら政党的な政治活動を行う、これは自由であるというお考え、これは非常にまじめなお考えでございますが、私が非常にもの足りないのは、さつき申し上げたような農民の一般的な、共通的な利益を守るために政治的に活動を行わんとする、こういう農民団体が、今提案者が御説明になつたような自由であるというお考えで、はたしてこの農民組合法が実現されたとした場合に、全国農民を打つて一丸とする強い政治力がここに生まれて来るかどうか、これなくして農民地位向上はあり得ないと考えますがゆえに、そこに失礼ながら提案者自身の気魂と、それだけの用意と覚悟が足りないのではないかと私は感じたのであります。この点を重ねて簡潔に御答弁を願いたいと思います。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 少し気魂が欠けておるのではないかという意味でありますが、大いに激励を受けて、足立委員も賛成をしていただく前提として大いに御注意をいただいたと思いまして、そういう趣旨において大いに了解をいたしたわけであります。現在の農民組織が一党一派に偏しておるものはそのままにしておいて、新しく入るものは入れ、入らないものは入らなくてもよろしい、こういうことは十分ではない、私どももそれは足立委員の御指摘通り考えます。しかしながら、今日この困難なもとにあつて現存する農民組合というものは、一朝一夕にしてできたものではありません。三十年ないしは四十年、綱島委員等もよほど以前には熱心にこの農民組合の撫育、育成に身を挺しておられたことのあることも私は存じておりますが、そういう長い日本歴史の上に立ち、伝統の上に立つて、人間と人間とのつながりにおいて、辛うじて現在農民組織は生きております。これをもつてただちに一党一派である、特定の政党にひものついた農民組合であるというふうに論じ去ることは、血のにじむ農民運動の所産によつて現在までささえて来ておる農民組合指導者や、あるいはその指導者の傘下にある農民に対するあたたかい言葉ではないと私は思います。これをただ単に政党支配である、政党の下請機関であるというふうにけなし去ることではなくして、そういうことにならざるを得なかつた今までの歩んで来た道——現在の政党におきましても、国民の顰蹙を買うようなおもしろくない動きも一部には起つておることは国民もよく知つておりますが、しかもそれが一挙にして改善できないところに日本全体としての民主主義の段階がある。従つて農民の場合においても、農村の現段階がそこにあろうと私は思うのであります。そういう趣旨において、その伝統と経過を尊重しながら、そして未組織の農民に、この組合法によつて保護助長して組織をつくり、その結果自然の形において農村の大同団結が行われて行く。その大同団結の中心になり得るものは、——政治的野心やあるいは自己の利害によつて今まで戦後の農民運動を指導した人々がずいぶんありましたが、この困難な情勢下にあつてはほとんどそれらの者たちは雲散霧消して参りました。真に農村を愛し、農民を理解し、ほんとうに農民に対するあたたかいヒユーマニズム的なものを持つ指導者や、あるいは社会主義的な考え方を持つ者や、あるいは農本主義的な考え方を持つ者、考え方にはいろいろありますが、現在残つておる農民組合及びその指導者たちは、いろいろな角度から見てあるいは批判する余地はあろうといたしましても、りつぱな指導者であろうと私は思います。それらの人々を、一党一派の農民組合であるとして否定されるのではなくして、これを勇気づけ、大きく角度はかわつてもこれを全国的に盛り上げて行く。そこに大きな農村与論が構成され、時の政府といえども政党といえども農民組合の出処、その態度を無視しては国の農政が行えない、こういうところに盛り上つて行くことによつて、真に農村民主化日本農民の福祉の増進と権利の伸張があり得るのではないか、そういうふうに私ども考えておることを御了解願いまして、御答弁にかえたいと思います。
  14. 綱島正興

    綱島委員 ただいままで総論的なことを伺いましたが、次に条文についてお伺いしたいと思います。  第四条の規定でございますがこの四条の規定を拝見しますと、団体交渉団体協約の範囲でございますが、その二のところに「又農産物の価格」、こういう規定がございます。そうしてその二の末尾のところに「購買者であつて経済的に独占的地位を占める者」、こういう規定があるのでありますが、これは農産物のうちの主として問題となつて参りますものは米でございますが、この米を国に売り渡す場合、これに対して農民組合団体交渉権、団体協約権を獲得しようという御意思で立法されておるか。もしそうだとすれば、食糧管理法との関連はどうお考えになるか。それから組合員以外の者の売り渡す米穀と、組合員の持つ米穀との関係についてどういう規制をお考えになるか、その点をお伺いいたしたい。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 第四条の二号でございますが、私どもは先刻綱島委員の御質問に対しお答えしましたように、米の場合もこの法律に盛りたかつたのであります。すなわち国が一定の価格をもつて強制的に買い上げる、すなわちそこに一種の売買関係を生ずる。一定の価格で、——自由なる価格の構成ではなくして、政府の一方的意思によつて決定された米の価格で買い上げるのでありますから、特殊な、変形された一つの流通過程ではありましても、明らかに一つの売買関係にある。これは食糧管理法においても、その思想がはつきり条文の上においてもありますので、そこでこれは、国との間に当然団体交渉は行い得るものだと私ども考えております。但し団体協約を締結するという場合になりますと、ここに憲法上のいろいろな問題、国会審議権との問題等いろいろな問題が出て参りますので、残念ながらこの点については法文の上には載せておらないのでありますが、団体交渉は私どもはでき得るものだ、こういうふうに考えております。また麦の場合は政府一つの特定価格で買上げを行う、その価格が市場の価格構成の一つの標準をなす、それによつて市況が大きく変動する。従つてこの麦の場合は統制が撤廃されておるのでありますから、特に米の場合と異なつ事情にあると思います。そういつた点で、この点については先刻お断りをいたしましたように、十分なる検討を行つたのでありますが、これを法分化する上において非常に問題が残りましたので、残念ながらこれを割愛しておりますが、この点等につきましては、本法案を幸いにして成立せしめていただきますならば、よりよきものに皆様方の御協力によつて仕上げて行きたい、こういうふうに考えておるようなわけであります。
  16. 綱島正興

    綱島委員 大体これでわかりました。よろしゆうございます。
  17. 井出一太郎

    ○井出委員長 農民組合法案に関しては、他に御質疑はございませんか。——それでは一応午前中の会議はこの程度にいたしまして、暫時休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後三時二分開議
  18. 井出一太郎

    ○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。芳賀貢君。
  19. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は農協法の一部改正に対する昨日の質疑に続いて、金子委員に質問をしたいと思います。きようの質問の要点は、主として農業協同組合中央会に関する件に問題を移したいと思うわけであります。まず中央会の性格でありますが、これは今までの農業協同組合法に基く都道府県段階の連合会あるいは、全国連合会などにおきましても、主として非営利的な協同組合の陣営の中における経営の指導、あるいは教育、啓蒙、そういう点は全指連あるいは地方の指導連等において行つて来たわけでありますが、今度の改正案によりますと、全国中央会並びに都道府県中央会がこれらの事業を行うということになるわけでありますが、そういうことになりますと、既存の全国指導連合会あるいは都道府県にあるところの指導連合会等は、この法律の改正によつてどのような影響を受けるかということを、まずお伺いしたいのであります。
  20. 金子與重郎

    金子委員 中央会ができることによつて、現在あるところの都道府県の農業協同組合指導連合会という姿はどうなるかということでありますが、これは今の、全部とは申しませんが、全国の農協指導連のあり方が、その定款にきめた通り間口の非常に広い事業分量というか、方向を持つ。しかも全国の指導連にいたしましても、各県の指導連にしましても、指導事業の性格から行きまして、どうしてもその負担金の納入に相当の困難を来している。従つて財政的にも、全国を通しますと非常な赤字を生んでおり、しかも経済団体でないから、この赤字をいつどういう形で埋めるかということも困難になつておる。いわゆる指導連の行き詰まりの一つの打開策のような形においても中央会に移行するような考え方考えられるのであります。従つて中央会ができることによつて、今の指導連の大部分のものが指導連から中央会に移行するという形がとられると予想しておるのであります。しかしながらその指導連を命令をもつて解散するとかいうようなことは、現在持つておる指導連の赤字政府が何らかの形において援助できるならば別として、その目安が立つまでは解散を命ずることはできませんので、形だけはその直後においてもある。しかしながら機を見て財産整理と同時においおい解散して行く、そうして中央会に移行して行く。もう一つ条件は、この法律にありますように、この中央会ができてから後は、その中央会と同じような性格を持ち、同じような仕事をする協同組合連合会というものは許可しない。こういう消極的な形に置いてあるわけであります。従つて結論を申しますと、大部分のものは中央会に移行することを予想しております。予想いたしますが、移行しないものに対しても強権をもつて解散させるということにはもちろんいたしてはおりません。自然に自発的にそれが整理されることを希望しておるわけであります。
  21. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの御説明によりますと、現在あるところの全国指導連あるいは地方の指導連等においても、もうすでにその本来性を失つておるということは、固有の性格、有機的な力を十分発揮することができないような段階まで来ておる。そういう点に対しては私も同様な判断をしておるわけでありますが、そういたしますと、この中央会をつくるという一つのねらいは、現在の全指連あるいは地方の指導連等をある意味においては救済する。存在意義をもうすでに消滅しようとするような微弱な今の連合会の形を、中央会という形態に切りかえることによつて、そうして余命を保たすというようなねらいが多分にあるように考えられておるわけでありますが、聞くところによると、全指連並びに都道府県の指導連の赤字というものは大よそ二十数億にも及ぶということでありますが、これらの非経済事業を行う連合会が、なぜ今日までそのような赤字を累積せざるを得なかつたかというような原因については、十分これを究明する必要があるのではないかと思いますが、その点はむしろ政府当局から御説明を願いたいと思うのであります。
  22. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 指導連の赤字が二十五億というお話が今ございましたけれども、私たちの調べでは、実際はそれほどになつておりません。今までのところ赤字県連が二十一、二ございます。大体一億少しぐらいの赤字であろうかと思つております。赤字理由は、御存じのように各県の事情によつて非常にまちまちでございます。と申しますのは、いわゆる指導連と申しましても、いわば中央会の事業と重複いたしまして、純粋な指導権を持つている以外に、相当幅の広い仕事をやつている県がかなりございまして、そういうような事情が相当ございますので、たとえば病院をやつているようなものも中にはございますし、農村工業的なものをやつているものもございますし、相当性格が各県によつてつております。そんな状況で、一概に赤字の原因を申すわけにはちよつと行きかねるかと思います。     〔委員長退席、福田(喜)委員長代理着席〕 非常に大きな赤字を持つております連合会、たとえば三千万程度を持つものが一番大きいのでありますが、それらの内容は、今言いましたような特殊な事業等に基くものも中に入つております。
  23. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう少し具体的にお伺いしておきたいと思いますが、たとえば全指連の場合においては、いまだに二十九年度の予算等の編成ができないということを聞いております。その一つの大きな理由は、中金が指導連に対する負担金の支出をがえんぜざるがごとき態度をとつていることもその原因であつたように聞いているわけでありますか、どういうわけで全指連は同じ協同組合の陣営の中において不振を招いているかというところにも問題点があると思うのであります。これらの点について当局はどのような見解を持つておられるか。
  24. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 全指連の二十九年度の予算につきましては、編成をいたしているわけであります。ただ御存じのように総合指導組織というか、いわゆる中央会というような組織になるかと思いますが、その問題が昨年十月の全国協同組合の大会、あるいはそれ以前にいろいろやられた各種の農協の集まり等でいろいろ議論がありまして、それで法律に基く中央会、つまり協同組合の中央会に関する法律が累次の御審議を経ましたにかかわらず、審議未了になつているような状況でありますので、そういうものにのみ期待することなく、協同組合の内部で自治的に総合指導組織をつくつて行こう、こういう動きが昨年の暮以来協同組合の内部で議論されていたわけであります。そういう動きが片面にありまして、はたしてそういう動きによる全国の指導組織がいつの時期にどのような形ででき上るかということは、各県の段階等でいろいろと議論はあつたようでありますが、いわば活動中であつたというような状況でございます。片面そういう事情がございますので、時期的に二十九年度の予算を立てます場合、それぞれの関係者あるいは全指連当局にもそういうことがあつたかと思いますが、そういうものがいつできるであろうか。七月にでき上るのか、九月にでき上るか、そういうようないろいろな事情がございましたので、二十九年度の予算を編成いたします場合に、その面から来る顧慮がいろいろあつたように存じております。ただしかし、それだからといいまして、全指連そのものの二十九年度予算が成り立つていないというわけではないのでありまして、二十九年度予算は成り立つているのでありますが、今申しました自主的な指導組織を編成したらどうかといつた片つ方の動きが、ちようど予算を立てる時期に符合して参つておりましたので、それらの関係を顧慮いたしまして、いろいろと議論があつたのを、今芳賀さんのおつしやいましたようなふうに伝えられているのではないか、そういうふうに想像いたします。
  25. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまもお話の中にありましたけれども、この中央会に関する法律ができなくとも、全指連の動きの中からは、自主的にかかる形態の組織への発展を試みなければならぬというような動きが強く出ておつたことは、自分たちもこれを認めているわけでありますが、そういうふうに団体自身、組織自体の中からそのような強い意欲が出て来るというような場合においては、むしろこの情勢を助長するというような立場で守つてやることの方が大事でないかとも考えられるわけでありますが、この法律によりますと、ただ単に一つの救済的な意味においてこの法律の成立を急がれていると考えられるわけでありますが、この中央会ができた場合においては、しからば現在までの全指連並びに都道府県の指導連の赤字はどのような形で滅消して行くのか。その点に対しましては、提案者のお考えもあると思うので、金子さんはどのように処理されるつもりであるか。
  26. 金子與重郎

    金子委員 現在持つている指導連の赤字をどういうふうに解消するかということにつきましては、政府がさいぜん申し上げたように、この赤字のしりぬぐいをしてやるとか、助成するとかいうようなことについて、提案者として具体的な確信を持つておりません。それならばなぜこうやるかというと、このまま推移して行きますと、より以上赤字はふえて行く、決して減らない。だからこの際一つのピリオツドを打つた方が、まだそのあとの解決がどういうふうにするにしてもしやすいという考え方を持つているわけであります。それから自発的にできているのに、なぜこの際それを法的なものにして救済するかということでありますが、私は中央会のあり方に対して救済という考えだけに全部を置いていないのであります。提案者自体の考え方を率直に申し上げますと、提案者としてこの法律を出しておきながら、別な考え方を持つていることは非常に矛盾のようでありますけれども、しかしながら、ほかのものとのかね合い、あるいは一つのよりベターという立場から提案したのであります。中央会のあり方に対しては、過去の経験から行きましても、あるいは現段階の指導連のあり方を検討いたしましても、どちらの面から見ても、全国各町村には、経済行為としては社会的にはそれほど重きをおいておりませんけれども、購買、販売、利用のほかに、信用事業まで四種の兼営をやるということは、経理の上にも、経営の上にも、その複雑性から行きましても、単なる農業経営だけに邁進した農家の人たちが選挙によつて組合長なり専務になりましても、その一切の経営を切り盛りして行くことは容易なことでない。従つて、計数の整理であるとか、あるいはそのあとを振りかえつてみる決算に対する事務とか、あるいは監査に関する事務とかいうようなものは、もつと指導的な立場にある者が、指導というか、むしろ援助すべきだ。銀行のようなものに対しても、銀行局が一つの局をもつて監督をしておる。それなのに、協同組合の部面におきましては、監督指導の面が非常に薄い。しかもこれだけ厖大な協同組合の組織に対して、現在の中央あるいは地方庁における協同組合の監督指導の機関が非常に貧弱だ。そこでこれを達成させるためには、一面には政府なりあるいは地方自治体が、協同組合の育成に対して指導監督をするというよりか、むしろ援助をする、経済的ではもちろんありませんが、経理面、経営面の援助をする機関として、中央会というものを持つたわけであります。従つて、中央会の性格というものは、民主的な協同組合という立場をもう一歩前進した、少くともこの協同組合の監査指導という面においては、指導機関の援助機関というような別の性格を持つた、言いかえれば協同組合法の外に中央会というものを持つことが正しいのじやないかという感じさえ、私個人としては持つております。しかしながらそういうような構想を実現するためには、時間的に間に合いませんし、それから、たまたまこの協同組合の中に置くということは、率直に申し上げまして大体において前年度政府の出したものを、ほとんどまるのみのような形で、焼直しのような形で出しておるのでありますが、それでも現在の指導連をこのまま置くよりはましだという、率直な考え方を申し上げまして、答弁にかえる次第であります。
  27. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの提案者のお気持というのは、ある程度理解できるわけでありますが、ここでお尋ねしたい点は、都道府県中央会の場合においても、他の購買事業、販売事業等を行う連合会の場合においても、この組織構成は、結局市町村の協同組合であるということになるわけであります。その場合、結局は末端の協同組合が健全化されて、それが真に組合員であるところの農民利益になるということが、究極の目的であると考えるわけでありますが、わが国協同組合形態というものは、いわゆる占領政策によりまして、全国あるいは都道府県段階における協同組合の組織形態というものは、非常に細分化されたとわれわれは感じておるのであります。今の段階におきましても、相当緩和されましたが、たとえば指導事業を行うものと経済事業を行うものと、信用事業を行うものと、また共済事業を行う団体は、他の事業を兼営してはならぬという規定も、この法律の中に出て来ておるわけであります。そういたしますと、都道府県段階はどうしても大体四本建くらいになるわけであります。かかる指導形態の連合会あるいは中央会等は別といたしましても、あるいは金融、経済、生産等の事業というものは、循環して一つの構想のもとに、一つの組織体の中において総合的に営まれるということが必要なことではないかと考えておるわけでありますが、この点に対しまして、提案者はいかようにお考えになつておりますか。
  28. 金子與重郎

    金子委員 今度のこの法律によつて、共済に関する連合会を単独連合会にいたしまして、現行法による信用事業と、他の経済事業を、県段階において一緒にしてはならない、こういうことになりますと、資金関係団体が二つ、それから事業関係と指導関係という四本建になるわけであります。しかし今度できます中央会の姿は、並列された事業団体というか、その上というと語弊がありますが、上のような立場に立つて、全体の立場に立つて総合化して行く。そこで今この法律が改正されたとして問題になりますのは、共済組合連合会と信用組合連合会が、他の経済事業機関と一緒に行くべきか、行かないことが適当かということが論点になつて来ると思うのであります。ただいまの芳賀委員の御質問の問題は、今後非常に重要な問題だと思いますが、むしろ提案者としての私の考え方は、今、経済連という名前が一番多く使われておると思いますが、いわゆる一切の経済行為をやるものを、かりに総合的に一本化したとする場合に、将来県段階においてただ一つ残るものは信用組合連合会、いわゆる信連が残るわけであります。この県段階における信連というものが健全化されたならば、事業連合会が総合的に地域協同体的な性格を強く持つて一つのふところの中で運営することが最も高度の機能を現わすと思います。ただこの問題をそうするためには、その経済団体の実態と、それから信用事業、経済事業を一緒にしたための間違いをどうして未然に防ぎ得るかということに対して一つの考慮を払わなくてはならぬことはもちろんでありますが、理想としては信用事業は経済事業と一緒にしてもよろしいという見解を私は持つておるわけであります。しかしそれは私の理想でありまして、現段階においてすぐそれをやるということは、まだ申し上げられないのでありますが、もしそうでないとするならば、今の各信連の信用事業が——きのう川俣委員が大分それを指摘したようでありますが、現在の農村金融というものに農林中金があり、農林中金の出張所があり、県の段階に連合会があり、その連合会の出張所があり、その下に単位組合がある、こういう五段階の金融の系統機関があるということはもちろんばかげたことでありまして、もし県の段階において統合化することが矛盾だというならば、県の段階における信連というのはいらないことになつてしまうのであります。提案者の考え方としては、これはこの法案に直接の関係のある問題じやありませんけれども、将来の考え方としては、健全化されたあかつきには、県の信用事業は経済事業と総合的に運営さるべきものである、こういう考え方を持つておるわけでございます。
  29. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私がお伺いしておる点は、この改正案によりますと、全国段階、都道府県段階においても、協同組合の連合会というこの系列の中において特に中央会なるものが優位性を持つておるということになつておるわけでありますが、そういうような優位性を与えた場合においても、ただいま提案者も言われたように、同じ事業連あるいは金融連においても、——これは端的に言えば経営主義的な考え方から出発した点であると考えますが、全国的にこれをながめても、金融事業を持つておる連合会というものはどうしても一つの優位性を持つておる。それはただ金融資本的なところから出発した優位性であつて、それらは他の事業連あるいは指導連等もある意味における権力的な支配さえも行つておるというふうに感ぜられるわけであります。そういうことになりますと、全国あるいは都道府県段階に中央会ができて、系列の上においては優位性を持つておるといたしましても、結局その組織の内面において、有機的に活動できる効果なり経済的な基礎というものが確立せられない場合においては、所期の目的を達成することができないのではないかと私は考えるわけでありますが、その点に対しましては金子委員はどのようにお考えになつておりますか。
  30. 金子與重郎

    金子委員 今の指導連が非常に間口の広いものを掲げて、そして組合の経営内容あるいは指導というものに欠陥がありますから、そこでむしろ私はその点につきましては、今芳賀委員のおつしやる通りの問題が出つつある。というのはどういうことかというと、一体今のような指導連で行きますと、経済連も信連に対しては頭が上らぬ。単位組合も信連から借入金を多くしておるところは、一切御無理ごもつともで行くということになると、一般資本主義社会における金融面が一つの王国をなしたと同じように、協同組合の陣営においても、信用事業を持つ人たちが一つの法皇のような形になつて来る。しかも各県の事情を私は見ておりますが、信用事業を持つ人自体が単位組合の監督機関になつて、経営の中に手を入れて、そして経営がよろしいとか悪いとか、それによつて金を貸すとか貸さぬとか、いわゆる金を貸すという一つの恩典を持つておるために、その人自体が単位組合の相手方の経営の監査、あるいは指導にまで入るというところに一歩踏み込んでおるのであります。これは実例がたくさんあります。そうなりますと金融的な立場からのみ融資なりあるいは経営の指導をいたしますと、それは協同組合の持つ、多分に社会主義的な一つの感覚の上に立つて経営を運営しなければならぬものがまつたく営利会社の経営と同じように、もうからないことはやめなさいというような指導に移りかわつておることと、非常に困つたことだと私は思つておるのであります。そこでそれを防ぐためにも、そういうふうな組合の経営に対する指導なり監査というものを、その金融資本というふうなものの中でやろうとする意図が今出ておりますので、そういうことをやめて、別な指導機関なり監査連合会のような形のものをこの際一日も早くつくる必要がある、そう考えております。それがよりベターでも中央会というものをこの際組織化した方が全国協同組合のためにもなる、こういうふうに提案者は信じておるわけであります。
  31. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点につきましては、今の経済社会の中において独占金融資本が支配的な猛威をたくましゆうしていると同じように、協同組合の陣営の中においても、金融事業を行う連合会がそれと同じような悪弊を発揮しておるということが言えるわけであつて、これを排除するというところに、たとえば中央会等の運営がかかつてあるのではないかと私は考えるわけでありますが、その場合に、この悪弊を除去するだけの力を中央会が持ち得るかどうかというのが問題点になつて来ると思うのであります。たとえばどの程度か知りませんけれども、この中央会ができることによつて、国の助成金等が流されるというくらいの程度のもので、はたして今提案者の心配されたようなその悪弊というものが除去されるかという点に対しては、どのくらいの期待を持てるかということをお聞かせ願いたいと思うのであります。
  32. 金子與重郎

    金子委員 どのくらいの期待を持てるかという問題でありますが、やつてみないことでありますので、私は断言するわけに参りませんが、少くとも私の期待といたしましては、政府から助成助成といいますけれども提案者の考え方は、この中央会の全体の仕事そのものに政府から助成をもらつてあげるという考え方はしておらぬのでありまして、まず中央会の仕事のうち協同組合の経営なり指導、監査という部面に当たる、いわゆる政府なり地方自治体がやるべき仕事を県の中央会なり国の中央会がやる、それに対して政府は補助を出すのだ、こういう見解を持ちたいと思います。従つてこれができたあかつきの一つの過程といたしましては、内地で言いますならば、大体助成職員を各郡に一名くらいの専門の主任を置ける範囲まで持つて行きたい。それから各部で平均十ないし十五くらいの組合がかりにあつたといたしましたときに、これはこれができた後における指導の考え方でありますが、かつてありました産業組合時代の郡部会というような姿のところに行政職員として一名くらいの駐在を置けるのではないか。そしてその末端において、今度はその郡部会の数組合が金を出し合いまして、三人なり四人なり負担力に応ずるだけの補助員を出す。そういうことになりますと、組合の経理、経営の指導専任者が、一人で四つないし五つくらいの組合を受持つということになるならば、月々資産表の出ない組合というものはおそらくなくなるだろう。そうして元帳とくつつき合いというような現在の未整理の帳簿も、今のものから見ればはるかに改善できる、そういうふうな具体的な計画も頭には画いておるわけであります。
  33. 足鹿覺

    足鹿委員 この際、ただいまの芳賀委員の質疑に関連して、政府に一点伺つておきたいのであります。それは第七十三条の九、「中央会は、その目的を達成するため、左の事業を行う。」と述べて、六項目にわたつて記載をいたしております。そこで過日の公聴会の際にも、大槻参考人がるる意見を開陳しておりました。すなわちこの中央会の行う政策活動、たとえば農林関係の諸立法あるいは諸般の施策というようなものに対する政策活動の限界点をどこに置くか、これは非常に重要な問題である旨を指摘し、これが過ぎると大きな弊害をかもし、他団体とのいろいろな摩擦、紛議を起すのみならず、このこと自体が農村のためには逆効果を来す場合もあり得る、こういう点を非常に、心配をしておりまして、私もまつたく同感に思うのでありますが、今中央会の一番問題になるのは、できたあかつきにおける運営いかんということであります。この点について第三号ないし五号がこの政策活動に関連して来る問題であろうと思います。すなわち五号の「組合に関する調査及び研究」この範囲というものは、協同組合の事業運営あるいは協同組合の組織運営、そういつた面に関する調査及び研究になつておりますが、勢い中央会を構成しておる団体は、各事業連を網羅しておりまして、各事業連そのものは業務に関連した政策活動、あるいはそれに必要な農政活動というようなものをおのおのやるでありましようが、しかしそれをさらに総合した形において、この中央会はそのような政策活動に手を出すのか出さないのか。出すとすればどの程度の限界をもつてこれに対するのか。提案者は金子委員外同僚委員になつておりますが、かりに法案が成立した後においては、運営は行政庁が当るのであります。従つてこの点は事将来に関連する重大なことであろうと存じますので、責任のある立場から、経済局長あるいは農協部長から、それぞれ御答弁を願いたいと思います。
  34. 小倉武一

    ○小倉政府委員 中央会の農政等に関する活動につきましての限界ないし分野についてのお尋ねだと思います。これは御指摘通り、法文の書き方は非常に簡素でございまして、実際問題として、中央会がどのように活動するかということにかかる問題が非常に多うございます。私たちといたしまして、中央会の活動分野をどのように考えるかということは、これまでないし今後の委員会等におかれまして御議論のあるところを参照して、その上でいろいろ検討したいと思いますが、概略今法案を拝見いたしまして、それからまたなおこの前政府提案として提出いたしましたときの気持などを織りまぜて申し上げますと、一つは、中央会と他の協同組合連合会との関係、もう一つは、中央会と他の農業諸団体との関係があろうかと思います。御指摘のようにこの各事業団体は、それぞれの事業、たとえば米の統制といつたようなことにつきましては全販連が関係する、肥料問題といつたようなことになりますと全購連が非常に関心を持つ。各々独自の仕事に関連いたしまして調査をし、またそれについていろいろ意見を出し、また必要ないわば農政活動をする、こういつたことがあると思います。もちろんそういう各種の事業に当然伴うことで特に重要なこと、協同組合全体として特に重要なことは、やはり中央会が他の事業連と協同して担当すべきではないかと思います。それからいま一つは、他の事業体だけでは必ずしもピンと来ない問題があります。というのは、御承知通り協同組合全般に通ずる問題、特にどの方面の仕事をやる協同組合のということでない問題があります。協同組合全般の制度の問題でありますとか、あるいは協同組合に関する税制の問題でありますとか、その他諸般の問題がございますが、そういう点についてはむしろ中央会が主となつて調査をし、または意見の発表をし、要望するということになろうかと思います。  それから次は他の団体との関係でありますが、農業に関するいろいろの政治的な発言あるいは農政活動をするということは、何も法制上に基く団体に限りませんで、各般のものがあろうかと思いますが、法制上の団体として中央会ができますからには、やはりそこに一種のわくがありまして、何でも自由にできるといういうものではなかろうと思いますけれども、この法文から察しますと、やはり協同組合に直接間接関連する分野が主として中央会によつて担当される。もちろん日本協同組合は農業の各般の仕事を担当しておる。生産、金融、販売、購買、ほとんど農業の各般に関連いたしておりますから、農業についての政策的な意見の発表はほとんどすべて中央会によつてされ、また調査されるということになろうかと思いますけれども、その仕事はあくまで協同組合によつて担当されておるものでありますので、中心はやはり協同組合が担当しておる仕事がおのずから決定をするということになろうかと思うのであります。調査、研究あるいは意見の発表といつたようなことは、必ずしも法律あるいは新しくできます中央会の定款等によつて明確には限定できないと思いますけれども、これは中央会を担当する当事者あるいは私どもがよく法案の意のあるところを体しまして、おそらく今申し上げましたような線で行くのではないか、かように思います。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 意見の発表あるいは要望、調査研究、こういつたきわめて抽象的な点のみ御答弁になりましたが、おそらく今の段階ではそうでありましよう。少し具体的にお尋ねをしますが、このでき上つた中央会というものは、組合の健全な発達をはかることをもつて目的としておるのであるが、これは中央にあつては、政府あるいは政府機関に対して意見の発表あるいは要望を行い得る場合があり得るか、また都道府県中央会が都道府県の政治に対して、組合の健全なる発達をはかるためにという名儀において、意見の発表、要望を行い得る場合があり得るか。それは定款等できめられなくして、日常活動の事業面とも関連をするのでありますが、ただ単に、組合の健全なる発達をはかることを目的とするというこの七十三条の二に限定された場合は、一般農民利益を阻害すると思われる問題については直接はタツチできないような解釈も成り立つと思います。その限界につきましては非常に微妙な問題があろうと思います。その点について相当誤解を生んでおる面もありますし、私どももあるいは行き過ぎた考え方を持つてつた場合もあるのでありますが、この際もう少し明確に、当局のこれに対する見解を伺つておきたい。他の全国段階の農業協同組合との関係あるいは他の農業団体との関係を主としてやるのである、こういうことでございましたが、これはできた中央会の事業を担当する人の構想なり事業計画に基いて行われる今後の予想される問題でありますが、もしでき上つた中央会を運営する人々が政府に向つて、あるいは地の自治体の長あるいはその議会に向つて、あるいは中央においては国会に向つて、いろいろな意見の発表、陳情、要請といつたようなことを行い得るのか得ないのか。またかりに行い得ないにしても、必要な限度においては、何ら中央会の任務を逸脱したものであるという解釈にはならないのか。要するに政府並びに国会あるいは地方自治体の当局並びにその議会に対してどのような運動をやつても、無制限であるのかないのか。そういう点を、実際面でありますし、他の団体との関連において非常に重要であろうと思いますから、もう少し具体的にお聞かせ願いたい。  それから関連でありますから、ついでにいま一つ申し上げ、そうして御意見を伺いたいのでありますが、九の三号の組合に関する教育及び情報の提供ということについてであります。現在協同組合法に基いて新聞連合会なるものができ、その機関紙も発行されております。同時に農協系統の昔からの長い伝統を持つ「家の光」なる雑誌も発行され、その協会の傍系機関として活躍いたしておることは御存じ通りであります。この新聞連や「家の光」の行つておる教育活動あるいは情報の提供活動あるいは宣伝啓蒙活動というようなもののほかに、組合に関する教育及び情報の提供というものは、どういうことをするのでありますか。こういう機会にこそこれは現在の農協の自主性にまたなければならぬ問題ではありますが、新聞連のごときは、すでにたびたび議論もあつたように、新たなるこのような機関にむしろ吸収をして、そして経済力の分散を避け、少くとも日刊新聞程度の農民の意思を代表する新聞として出すくらいの勇気がなければ、ほとんど今の状態では、真の啓蒙宣伝ということはできていないと思う。そういつた面から、今度の案はきわめて消極的ではありますが、新聞連、「家の光」との関連においてこの教育及び情報の提供というような点、調査及び研究の結果を下へ向つて啓蒙、宣伝して行く、そういうようなことについて、もう少しこの中央会には新たなる構想があつてしかるべきではなかつたか、私はそういうふうに考えます。ただ中央会をつくつて、全指連なり府県の指導連あるいはこれに類するものをこれに改組するという当面の目標に汲汲として、真に農業協同組合農村とのために画期的な一つの構想を進めるような、何らそういう意欲が見られないということは、政府の責任でありません。これは協同組合陣営全体の責任であつて、あえて政府質問するのもどうかと思いますけれども政府自体がこの案については事実上いろいろと提案者に協力をしておられ、今後運営の衝に当られるのでありますから、この点について政府から、並びに今申しました後段の分については特に提案者の金子委員からも、この際御所見を表明願いたい。以上であります。
  36. 小倉武一

    ○小倉政府委員 初めの点でございますが、中央会が地方庁あるいは中央官庁あるいは地方議会、国会等に建議あるいは意見を具申するということは、当然できるのであります。法文にもその点には触れておりますが、ただどの範囲できるかということでございます。これは法文によりますと、組合に関する事項、こうなつております。従いまして組合に関する事項であるかどうかということが一つの問題でございます。組合に関する事項ということになりますと、結局協同組合がどういうことをやつておるか、また法律上どういうことをやる任務を持つておるかということになるのでありますが、現在の協同組合の実際の活動を見ましても、また法律を見ましても、その活動の範囲が非常に広汎でございまして、単に狭い意味の農業ばかりでなくて、広く農村生活、農村社会に及ぶのでございますので、そういうことに直接、間接協同組合関係している範囲においては、当然行政庁に意見を具申できると思います。また中央会といたしまして、この法案によつて意見の申出ができるというのは、これは法律上当然できるということのかたわら、協同組合に関する事項という制限がございますが、なおそのほかに事実上の問題として、この中央会に関する法律を離れていろいろ意見を申し述べることは、この組合目的におそらく反しないだろう、こう思います。と申しますのは、中央会の目的達成のために必要な事業ということがその他ということで大きくくくつてございますので、そういうことで当然いろいろな問題について意見を言うことができはしないか、私はかように存ずるのであります。また行政庁に建議できる、こういう法文に基くものについては、組合に関する事項という一つの形式的な制限がございますが、これも先ほど申し上げましたように、協同組合が非常に広範な仕事をやつております関係上、非常に広く理解ができるのではないと存じております。  第二点は、組合に関する教育あるいは情報の問題でありまして、この点に関連して新聞関係あるいは雑誌の関係について具体的なお尋ねでございますが、これは沿革から見ましても、そういつた仕事は、おそらく中央会が営むに適当な仕事であろうと存じますし、またそういう仕事を除いて、特にこれから新しくそれに類する仕事を行うということは、これは必ずしも当を得ていないというふうにも感ぜられませんので、御指摘のような点はごもつともだと私は思います。ただ法律上そういう方向に向うのだということが必ずしも明確になつておりませんけれども、これは新しい中央会なりあるいは関係協同組合の諸機関の間で円滑な話合いの上で、漸次中央会の仕事になつて行つてしかるべきではないか、かように私は思います。
  37. 金子與重郎

    金子委員 ただいまの足鹿委員の御質問は、私まつたく同感でありまして、協同組合の将来の発展を考えたときに、この組合に関する教育、情報の提供ということは、非常に重要な問題であつて、まず教育上一番必要な問題は、さしあたり手近なところでは職員の教育をやる。すなわち中央会が主体になつて、そうして中央と各都道府県——都道府県には現在であるところがありますが、協同組合学校のようなものをまずやつて、そうしてこれを中心にして行くことと、それから次の情報問題では、私も常々足鹿君と考え方をまつたく同じゆうしているのでありますが、同じ協同組合の陣営でありながら、購連は購連、販連は販連で、新聞連合会というようなものができておつて、非常に紙を乱費している。もしこれが協同組合だけでも一体になれば、十分に機関紙が出せる。そうして販売、購買の事業面があるとするならば、そのわくどりを別にすればいいので、十分日刊紙が出せる、こういう具体的な考え方を持つているのであります。従つて、今後の運営を自主性にまつというものの、政府自体がそれに対して慫慂する意欲がないから、放任状態になつているから、よけいこういうことになつているが、私はこの法案が通つたあかつきには、この点に対して組合自体の自覚にまつと同時に、政府自体の心構えとしても、その方向に向けて行くようにさせたい、こういう考え方でいるわけであります。  それから、ついでに申し上げておきますが、先ほど小倉君から答弁のありました問題ですけれども、これに対して提案者の今回の提案に対する考え方は、それは政府に対していろいろの意見を具申することもできる、あるいはこういうこともできるとはいうけれども、この大きな力の方向というものは他へ向けて行く、いわゆる政府なりほかの社会に向けて行くということよりも、協同組合陣営自体の育成と強化ということに、その主力を持つて行きたい。そうしてほかの政治力ならば、ほかの農村団体なりほかの機関というものも一緒にあるのだから、それと共同戦線を張ることはよろしいが、この協同組合の中央会というものが、今度農政活動ができるということによつて、セクシヨンを持つて運動するようなあるいは意見の開陳に力を入れるようなことは、なるべく避けたい。そうしてこの中央会のあり方というものは、将来はとにかく、ここ当分の間というものは、自己育成というものにその大部分の力を尽させたい、こういう個人の意見を持つているわけであります。
  38. 足鹿覺

    足鹿委員 今の意見の発表あるいは要望、調査研究、すなわち政策活動の問題でありますが、この点小倉局長と金子委員の御答弁は、大きな食い違いはないようでありますけれども、少し私どもとして聞いておつてよく了解しがたい点があるように思います。金子委員の御答弁の趣旨は、やはり対外的な問題よりも協同組合の体制を整備して行くところに重点を置くべきである、従つて政策活動はきわめて従たる立場のものである、こういう趣旨に当局もおそらく異論はなかつたと思うのでありますが、私どもよくわかりませんが、議員提案の形で出て来たものが、提案者を代表して議員の質疑に答え、あるいは意見に答えられたこと自体は、将来政府の行政の面にどういう形でこれは取扱われるものでありますか。この点ちよつと私よくわからぬのですが、金子委員が提案の代表となつてここで説明を加えておる、答弁をしておる。これは法運営の基本に関するような大きな問題も今出て来ておる。ところがたまたま意見が一致すればよろしいが、必ずしも意見が一致しない場合においては、政府の今後の行政指導は政府独自の見解に基いて行われるのであるか、それとも提案者代表の答弁を尊重し、その範囲内においてその趣旨を実現すべく運営をされるものでありますか。その点はどういうふうになるのですか。議員立法といいましても、そのときだけの暫定的なものであれば、私はそう突き詰めて神経質に考える必要はないと思います。しかし事いやしくも日本農政の重大な一環、あるいは農業活動の一環、農民経済への深い重大な一環としてここに農業協同組合中央会なるものが発足しようとしておる。これは長きにわたつて戦後における日本の農業団体史の上に大きく出て来る問題であります。いい悪いは別として出て来る問題であります。こういう政策の基調になるような問題については、少くとも提案者と政府は、委員の質疑に答えるには統一ある所見をちやんとつつて、それに基いて答弁をされる責任があろうと思う。政府はこれに対して、政府提案のときには、いつも平野政務次官は、二寸か三寸くらいの答弁要領なるものを事務当局からおもらいになつて、それを操つて御答弁になる。これは問答想定集とやらいうものだそうでありますが、私もそれはいいと思う。言論に責任を持つことでいいことでありますから、けつこうでありますが、今までの小倉局長の答弁を聞いておりますと、微妙な点になると必ずしも提案者の意思と完全に一致した答弁がなかつた。違つた点もあるように思う。すでに昨日の芳賀委員の質疑に対して食い違いのあつた点もあつた。あえてまたその点について芳賀委員は問題にしておりませんが、問題はきわめて大きい法案であります。農政の背骨をつくつて行く、農業団体の背骨に該当する大きな内容を持つ法案だと思う。これに対して政府は、議員立法の陰に隠れて少し安易な考えになつておるのじやないか。答弁を聞いていてもどうもそういう傾向がある。こういう点について今後どういうふうに処理せられますか。平野政務次官がおいでになつたようでありますから、そこに答弁集があれば、今度はそれに基いて権威ある、統一ある所見を述べてもらいたい。その点、提案者の意思とあなた方の意思と必ずしも一致しない場合、あるいはあなた方が全然気づかなかつたことを金子委員が述べる、そうした場合に、金子委員の意思を今後行政の上にどういうふうに尊重してやろうとするか。たとえば経済連と信連を将来一本にすべきものであるという、金子委員はただいま重大な見解を述べておる。ところが従来しばしば農林当局あるいは関係方面の意見を徴すると、この点についてきわめて消極的であり、一部には極論として反響して、われわれと議論を闘わした場合もあるのであります。そういう重大な発言がこの法案審議の上においてはずいぶん出て来ております。これに対して政府はどういう責任を負うのか、また提案者も政府に対して、今後行政運営にどのような責任を持たれるのか、これはこの中央会問題に限らず、議員提案におけるここの質疑というものが行政にいかように今後作用し、これが取上げられるか、基本的な問題でありますので、この点についてしつかりした御答弁をこの際承つておきたい。
  39. 平野三郎

    ○平野政府委員 政府提出であろうと議員提出であろうといずれによらず、法律として成立いたします以上は、まつたく同一の権威を持つわけでありますので、政府といたしましては、本法案が成立いたしますならば、その法の命ずる通り、忠実にこれを行うという以外にないわけであります。従いましてこの法の解釈等につきましては、提案者の方々の御意見というものが、すなわち法律の精神でございますから、今後政府といたしましては、提案者の御意見を速記録等をよく調べまして、それを忠実に施行するように努めたいと思つております。
  40. 足鹿覺

    足鹿委員 くどいようですが、これは重要な点だろうと思うのです。解釈がかりに食い違つた——こまかい場合は問題でありませんが、先刻も芳賀委員の質疑に対して、金子委員が答弁をされた経済連と信連との統合の問題におきましては、きわめて重要な問題です。私も金子委員とまつたく同一意見を持つておるのでありますが、従来の政府はそういうことに対しては反対しておつたのです。しかしここに新たに農協法の一部改正法が出、中央会の成立を見ようとするときにあつて、これに関連する重大なる見解を提案者は述べております。そこで具体的に伺いますが、経済連と信連との統合の問題については、政府金子委員のただいまの答弁を尊重して、その精神で今後行政指導をやり、諸般の施策を講ずる意思があるかどうか、現在経済連の場合は、ほとんど人件費と金利に追われて、何ら見るべき経済活動協同組合で行われない実情である。その金利は一体だれがとつておるかといえば、地方の信連がとつておるのであります。信連の金利をかせぐために経済連は人を雇つておる。人件費と金利をかせぐのに経済連は汲々たる実情である。従つてこれは経済連の運営の立場からは、金利の軽減の問題が出て来るが、信連はむしろ頑として、ときによれば地方銀行よりもきびしい立場に立つてこれに対して対策をやつておる。そういう実情政府当局で知られないはずはなかろうと思う。これに対して一体どういうふうに善処いたしますか。これはほかの問題と違つて、農業協同組合の指導体系、組織体系の上に大きな問題であります。信連と経済連との統合について、将来そういう方向に向つて進むという御答弁がここでできますか。ただ今平野さんは、提案者の答弁が優先する、その趣旨に沿うて行う、こういうことを言われたので、具体的な一例として私は伺つておきたい。ほかの小さい問題はよろしゆうございますが、その問題はいかがでありますか。
  41. 平野三郎

    ○平野政府委員 政府といたしましては、本法案が成立いたしますならば、この法の示すところに従つて忠実に実行する以外にないわけでございます。金子委員の御意見につきましても十分尊重をいたすつもりでございます。
  42. 足鹿覺

    足鹿委員 それは平野さんちよつと話が違う。この法律の問題に関連して中央会というものが、全部の協同組合全国にわたつてその経営の健全化をはかるために、この中央会というものができる。従つて中央会についてこの法律に出ておるのはきわめて小部分であつて、将来行わんとする事業内容というものは、先ほど経済局長が述べられたごとく、きわめて広汎かつ多岐であります。すべての点についてこの指導がよく行われなければ、これは設立の目的に沿わないのであります。従つて今の次官の御答弁はきわめて冷淡な態度であり、きわめて事務的である。少くとも政務次官としては、今までの金子委員の答弁を聞かれておつて、今のようなことで逃げるなんということは少しおかしい。ひとつ答弁要綱を見て御答弁願いたい。どういうふうに善処されますか。これは今後の一つの例をなすのでありますから、そのつもりで慎重な御答弁をいま一応お聞きしたい。
  43. 小倉武一

    ○小倉政府委員 提案者のいろいろなお答えないし御意見、これは今後中央会その他の一部改正法案が成立しました場合、私どもが行政をやつて行きます場合に、この法案趣旨がどの辺にあつたのかということについての指針になるわけでございます。そういう意味において提案者の御意見を最大に尊重いたしますけれども、それによる責任はわれわれにありまして、提案者にはもちろんございません。それからこの法案に触れましていろいろな問題につきましての御意見が出ますが、中には提案者自身の御意見の部分と、それから法案の直接の運営についての御意見と、いろいろあろうかと思います。一概に提案者の御意見全部についてどうこうというわけに参りませんので、法案の運営上指針となるような御意見については、先ほど申し上げました通りのことを考えております。この法律解釈なり、法律を運営して行く場合に当然参照しなければならぬようなことは、提案者のここでのお答えがわれわれの最高の指針になるということであります。
  44. 足鹿覺

    足鹿委員 法案自体については、今後の運営によつて提案者の趣旨を十分尊重する、しかし提案者が個人として持たれるような意見については別である、こういう御答弁でありました。しかし金子委員が先刻の芳賀委員の質疑に対して答えたことは、個人の意見なんだというようなことで逃げられる筋合いのものではない。協同組合中央会の今後行う事業の重要な問題について所見を述べておるのである。すなわちこの法案には直接盛られておらないが、組合の健全なる発達をはかるためには、提案者はそういう趣旨で法の立案に当り、法制を行い、この委員会において答弁をしておるのである。それを政府は都合の悪いようなことは個人の意見であつて法案自体とは関係がないというように逃げるようなことで、真にこの法案目的が達成できますか。今のようなそういうへつぴり腰で、かんじんかなめの点になるとこれは個人の意見だという、そういうようなことでこの中央会設立の目標が達成できると思いますか。今私が一つの事例をあげた信連と経済連との統合の問題は、時間的にただちにやれとは金子委員も言つておらない。そうあるべきであるということを言つておる。そのあるべきであるということ自体について、政府は同意なのか反対なのか。こういうことについて所見を述べられないはずはないと思う、もつと具体的な問題を述べておるのであるから、当然それについての所見を明らかにしていただきたい。
  45. 平野三郎

    ○平野政府委員 政府といたしましては、法律で定めるところに忠実に従うということに尽きるわけであります。ただ提案者の方の御意見というものは、法律を施行するに当つての将来の一つ方向をさしておるわけでありまして、政府といたしましてはそれを尊重して進む、こういう考えであります。
  46. 足鹿覺

    足鹿委員 将来の問題ではないのです。私は平野さんがそういう御答弁をなさると、この問題についてはそう簡単には引下れない。第一協同組合中央会をつくつて、監査と経営指導をやれば、立ちどころに協同組合がりつぱになるとお考えですか。現にこういうものをつくるとつくらないとを問わず、協同組合は瀕死の立場にあるのじやないですか。これに対して施策のほんの一環としてこの問題が出て来ておるにすぎない。しかも組合の健全な発達をはかるということは、現状が不健全になつておるのが多いからである。これに対していわゆる健全な発達をはかるために中央会をつくるならば、当然これに関連した施策を政府は行政府として考えてこの案の提出に同意しておるはずであると思う。将来の問題だということはない。現に不健全な運営に置かれている協同組合がたくさんある。だからその健全化をはかるために、中央会の設立を、政府も同意してもくろんでおるのでしよう。将来の問題じやないのです。現実の問題じやないですか。そういうことを言つて逃げることは、いたずらに答弁を回避されることであつて、私は良心的な答弁ではないと思う。現実に協同組合はそういう点で行き詰まつておるのですよ。ただ単に中央会というものをつくつて——組合の監査機能や、経営指導を徹底すればよくなるような効果をわれわれは期待するものでありますが、これがただちに起死回生の妙薬になるとは思わない。長い時間ととうとい努力が凝集し、また組合がこれを受けて立つ態勢とが相マツチして所期の目的が達成されるのであります。現実にそういつた単協なりあるいは経済連、府県段階のその他の事業連はそういう立場に置かれておるのです。現に本委員会にかかつておる整備促進法の一部改正の問題にしましても、私が今指摘した問題等がやはり原因になつておる。すなわち経済連の事業不振というものは、運営そのものが適正を欠いておる場合もありましよう。しかし占領政策による組織の分断政策を金科玉条のように守つて、いわゆる預金者の保護を建前とするアメリカの占領政策に乗ぜられて、そうして現在信連と経済連というものを区別しておる。芳賀委員が先ほどからも指摘したように、地方の信連においてあるいは中央の中金の場合においても、整備、促進する場合にどのような越権行為をやつておりますか。ほとんど地方の事業連というものは、自主性のある経済活動をする余地がない。  現に信連において、預金の全部について事業別の口座を設けさせるような強制をいたしたり、あるいは信連の意思に沿わないような役員が出るときには、あらゆる表面、裏面の工作によつてこれのひつ込め戦術が行われてみたり、実に目に余るものがある。しかも農協自体の努力によつて吸い上つた金を預かる身分において、何らそういう特権はないはずであります。現在の農協法の出発当時における占領政策の示すところに従つて、組織の分断、経済力の分散を行つた。いわゆる農業会当時におけるところの過去の実績から見て、占領政策がこれの分断政策をとつた政府は、常に占領政府の行き過ぎをあらゆる機会に言つておる。しかしこういう重大な問題については、何ら反省の様子がない。しかもこの中央会の審議にあたつて、具体的にその所見を述べよといつてもそれは述べられない。そういうことでどうして協同組合の健全な発達が期せられますか。現在における危機をどうして脱却して行きますか。この点についてはもつと具体的に、責任のある御答弁を願いたい。
  47. 平野三郎

    ○平野政府委員 将来と申し上げたのは、遠い将来のことにして逃げるという意思は毛頭ない、明日といえども将来でありますから、その方向をもつて提案者の御意見を尊重する、こういう意味でありますから、御了承願いたいのであります。
  48. 足鹿覺

    足鹿委員 次官はそれ以上は御答弁がどうもむずかしいようですから、この程度でよろしい。こういう重大な問題について、御所見を持つてつても発表されない立場にあるのか、あるいは事情もあろうと思いますから、これ以上申し上げませんが、純粋の事務的な立場に立つて、小倉経済局長、谷垣農協部長は、今私が提起した問題を、今後どう処理されようとするか、信連と経済連との統合の問題は、具体的で答弁ができなければ後段でよろしいが、農協の組織形態について現状でよろしいと考えておるか。単協が不況の中にあり、運営を誤つてもどうにかやつておるのは総合体であるからであつて、県の各事業連は、もうほとんどどのような手を加えてもやれないような事態が出て来ておる。しかも農村の情勢は、今年秋以後においては恐慌の状態を示すであろう、今後長きにわたつてこの事態がさらに深刻になつて行くであろう、こういうときに、事業連が真にその経済活動に面目を発揮しないでおいて、信連の貯金の吸収はむろんのこと、これを受けて立つ中金あたりにしましても、米の統制撤廃の暴挙があえてなされるならば、事業連はほとんど壊滅になるでしよう。そういう現実の事態が起きておる中に、なお現状の組織体系で是なりと当局は考えておるのか、これに対して占領中における農協法の制定の趣旨を、占領後においてあなた方はさらに再検討して、今後に処する方針を持つておるのかどうか、この点については、事務当局として政治的な考慮を一切抜きにして、純粋の御所見を御開陳願いたい。
  49. 小倉武一

    ○小倉政府委員 信連と経済連との統合の問題に関連いたしまして、協同組合法の改正全体について、現状で満足しておるのかといつた意味の御質問でございますが、最近特に感じますことは、協同組合全般といたしまして再建整備が必要であり、あるいはさらに整備促進が必要である、こういう段階になつております。これは経済全体の影響によることもちろん多いのでございますが、中には御指摘協同組合の制度、態勢に起因するものが私もあるのではないか、かように痛切に感じておつたのであります。そういう意味合いにおきまして、御指摘のような具体的な問題も含めまして、制度全般についての改善のためのいろいろの点等をもちろん検討もいたしておりますし、今後もいたさなければならぬと思つておりますが、特に御指摘のような問題は、長い過去の歴史も持ち、そしていろいろ論議を重ねられてもまだ結論がつきかねておるようなむずかしい問題が出ておりまして、全般的な具体案は実はまだ持つておらぬのでございますけれども、今日御審議願つております法案の中にも、若干でございますが、一部にはやはり制度の問題に触れて改善の方向に向つておる部分もあるのではないかと思つておりますが、かようにして漸次整備をして行きたい、かように存じております。
  50. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま同僚足鹿委員から、問題点に対して掘り下げた御発言がありましたが、結局私が提案者にお尋ねしておつた点も、占領政策による農村民主化といいますか、一つ農地改革一つは農業協同組合の健全なる組織化というのがバツク・ボーンであつたわけでありますが、かかる美名のもとに隠れて農村における経済組織団体を分断するという作戦に占領政策は出ておつたことは、先ほど金子委員もお認めになつたのであります。かかる農村における経済力を分断する方途をそのまま温存することはいけないことであるということが、すでに認識される段階まで来ておるのであつて、ただこれを時間的にいつ適切に解決するかということだけが残されておるというふうに考えるわけであります。  次にお伺いいたしたい点は、今度の中央会の場合においては、その活動の限界を非常に圧縮して、その限界の範囲内において集中的に活動するということになつておるように考えるわけであります。ただここでお伺いしたい点は、たとえば協同組合の行うべき農業経営の面に対する生産協同体としての中央会から見た活動の面は、いささかも表現しておりませんけれども、かかる生産協同体としての今までの環境あるいは都道府県段階においてまつたく放置されたかかる生産面における指導活動というようなものは、今後どのような場面でこれを取上げてやつて行くことになるかという点に対して、お伺いしたいのであります。
  51. 金子與重郎

    金子委員 協同組合の行う生産指導の問題で、生産指導をやることが中央会の事業面の中に直接書いてない、こういう御指摘だと思いますが、これに対してはこういう見解を持つておるわけであります。現行法によつて単位組合は生産の指導を行うことがはつきりと打出してある。従つていわゆる生産指導というものと経済行為というものを一体にした生産協同体の育成ということについては、単位組合の事業としてはつきりしておるわけであります。従つて協同組合の中央会は、単協の事業を指導するということでありまして、その単協の事業の中には生産指導というのが当然入つておるのだから、そこでこの単協を教育なり指導するという形においてその面も一緒に持てる、こういう見解をとつたわけであります。そのためにここに特に事業の指導ということを入れてありますけれども、生産指導という字句をここに入れなかつたのはそういう意味なのであります。  それからもう一つは、ついでですから申し上げておきますが、これは私自身の考え方が強く働いておるのでありますが、私の考え方といたしましては、かりに中央会で生産面の指導をやる職員があつたといたしましても、それがエージエントにかわるべき陣容をもつて、そして協同組合の生産指導をするというようなことでなしに、あくまで技術指導政策というような基本的なものの若干の職員を置きまして、そして今の協同組合陣容の中にある生産指導職員の活動のあり方、あるいはエージエントとの結びつきのあり方というようなものを技術政策的に持つて行く、こういうような職員が中央会においては必要なんじやないか、これは私の私見であります。  とにもかくにも、そういうふうな一例といたしましても、中央会の中に特にそれを書かなかつたということは、単位組合自体に生産指導は行えるのだ、そして単位組合の事業を指導するのが中央会であるから、中央会にそれらを特に書かなくとも、その仕事は当然やり得るのだ、こういう見解であります。
  52. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの金子委員のそのような御答弁を聞くとわかるわけでありますが、話を聞かなければわからないのであります。先ほど足鹿委員からも質問があつたように、そういう点が明確にこの法律なら法律に表示されていないと、政府当局は、そういうものはどこにも載つておらぬのだということで、これをまつたく抹殺するというようなおそれは多分にある。もちろん単協において生産面における事業は行つておるから、おればおるほどに、この中央会は一つ形態の上に立つて、そういう面に対しても、やはりあり方等については具体的な指導が行えるということを掲げて、事業の中に織り込まれてもよかつたのじやないかということを私は申し上げたかつたわけであります。  次に、この法律案によりますと、中央会に対しまして国が毎年予算の範囲内において経費の一部を補助するということになつておるわけでありますが、この国が経費を補助するという意味は、中央会の事業全体に対して補助するという意味であるか、特にこの事業の中における、たとえば現在まで行政庁が行つてつた仕事を一部委託するというような意味も含めての補助の支出であるか、そういうような点に対しても、ここで具体的にお尋ねしておきたいと思います。
  53. 金子與重郎

    金子委員 協同組合中央会が完全な自主性を持つた、盛り上つた組合というか、むしろ一つの官の立場から、組合の指導なり監督をするというような補佐的役目も果すという性格を持つておることを、さいぜん御説明申し上げたのでありますが、さればといつて中央会自体というものが、まつたく官のまるがかえのような形をとることは、協同組合で組織している機関でありまするから、まつたく自主性を喪失するということは、私どもははなはだ望むところでないのであります。従つて協同組合自体に対する漫然とした助成というあり方は、提案者としては望まない。本来ならば協同組合の育成に対して、もつとたくさんの陣容と国費をもつて全国農村の何方の協同組合でありまするから、親切な育成をすべきであるのにもかかわらず、それがなし得ておらない。それの仕事の一部を——自主的な立上りとして協同組合自体で組織した協同組合中央会がここにできるとするならば、いわゆる主として組合の経営に対する育成、指導、監査というような仕事に対して、政府のかわりになつて仕事をするのだから、政府はこれを援助する、補助金を出す。ですからその補助金というものは、決して団体が食い下つて、卑屈な気持でもらう補助金じやない。当然政府のやるべき仕事を中央会がやるのだ。それに対して一部の分担金的な性格を持つ補助金を要求したい。これが提案者の気持であります。
  54. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、この事業の中の限られた業務に対して、しかも国が行成面において行わなければならない当然の仕事を中央会に代行してもらう。その代行した仕事の一つの業績に対して、補助金という形で経費を支出する。当然なこととして経費を出すということになると思いますが、しからばこの中央会は政府に対してどの程度の期待を、実際経済面の支出を期待しておるかという点でありますが、このことはこの法律の審議に入る前に資料の要求をいたしまして、この法案が通つたような場合においては、たとえば農業委員会、あるいは農協関係政府から支出される予算等に対する資料を求めておつたわけでありますが、今日までそれはまだ提示されておらぬわけであります。幸いにして次官がお見えになつておりますので、たとえばこの法律が成立した場合において、昭和二十九年度におきましては幾ばくの国の補助金をこの中央会にお出しになる予定でありますか。この点をお聞かせ願いたいと思います。
  55. 平野三郎

    ○平野政府委員 本法案の第七十三条の八に関する御質問でございまするが、ただいま提案者からもお話がございましたように、政府のまるがかえ式になることは好ましくない、こういうことでございますので、この御意見を尊重いたしまして、どの程度の補助金が最も適切であるかということを慎重に研究の上、いずれ予算を組みまして、またこれも予算案にして御審議を願うつもりでございますが、二十九年度につきましては、この法案が成立をいたさない前に予算を出しましたので、現在のところはないわけでございますが、本法案が成立いたしましたならば、何らか適当な方法をもつて善処いたしたいと考えておるわけであります。
  56. 井手以誠

    ○井手委員 関連してお尋ねいたします。政府が補正予算を組まないと何回も申しておるようでございますが、政務次官の御答弁によりますと、適当な方法というお言葉が出まして、これはいろいろ妙案があるものと考えておりますが、どういう妙案がありますか。この際ひとつ安心できるようにお教えをいただきたい。
  57. 平野三郎

    ○平野政府委員 現在のところでは、本法案が成立するのかしないのかということも未定のことでございますので、ここで的確に幾ばくをどういう方法でということは申し上げかねるのでございますけれども、これは昨年度政府提出いたしましたときにも実は相当の予算を計上いたしておつたのでございますが、法案が流れましたので、その予算は執行しないままで引継いでいるわけでございます。政府としては相当の金額を計上するという決意は持つておるわけでございますので、適当な方法をもつて処置するという点で御了承を願いたいと思います。
  58. 井手以誠

    ○井手委員 ありがたい妙案を、せつかくのお言葉でございますのでもう少しはつきり聞きたいと思うのですが、ほかに補正予算を要するものが多々ございますけれども、かりに法律では出さなければならないという義務規定があるにもかかわらず、政府は補正予算を組まないということを何回も申しておるようでございます。ところがただいま政府代表の平野政務次官は出す考えもあるということでございますので、そういたしますと吉田内閣は補正予算を組むというお考えがあるわけでございますか。政府はそういう方針でも農林省は出させるという確信がおありになるのでございますか。非常に大事な点でございますので、あとでまた大蔵省関係にもお尋ねいたしますけれども、この点をひとつ明確にお伺いいたしたいと思います。補正予算ということはきわめて重要なことでございますので、お出しになる御意思があれば御明示を願いたい。ただ個人的な希望的な意見では困りますので、政府の責任においてお答えを願いたいと存じます。
  59. 平野三郎

    ○平野政府委員 補正予算を組むということは今ここで申し上げかねるのでございますが、昨年度の予算におきましても、実は農業団体関係法案が成立するという前提で政府としては予算を組んでおつたのでありまして、従つて当然これは政府として支出するという用意と決意とを持つておるわけでございます。この点は大蔵省の方をお呼びにならなくてももうすでに私から政府を代表いたしまして、責任を持つて善処するということを申し上げますので、御了承を得たいと存じます。
  60. 井手以誠

    ○井手委員 責任を持つて出す確信があるという御確答がありましたので、一応安心いたしましたが、なお念のためにお尋ねをいたします。どの費目から、どういう何でお出しになるか、そこまで聞かなくちやほんとうに安心ができませんので、もう一応平野政務次官からお聞きした上で、その後に主計局の原次長から承りたいと存じます。
  61. 平野三郎

    ○平野政府委員 この点につきましては、私から政府を代表いたしまして責任を持つてお答え申し上げますから、そうこまかく事務当局に御質疑を願う必要はないかと存じます。ただここでどの費目からどうということはちよつと申し上げかねますが、提案者の御意見というものは十分尊重し得ることと思いますから、御了承を得たいと存じます。
  62. 井手以誠

    ○井手委員 主計局の方にお尋ねいたしますが、農業協同組合法の一部改正法案中、政府は予算の範囲内において毎年度補助金を交付するという項があるのであります。これはこの改正法律案においてきわめて重要な点でございまして、漏れ承るところによりますと、本年においては八千数百万円が予定されておるようでもありますし、ただいまは平野政務次官から、確信をもつて補助金を交付するという確言があつたのであります。きわめて重要な点でありますので、主計局の方においてはどういうお考えがあり、またどういう連絡があつて、どの費目から幾らの金額を、これにお出しになる御用意があるのか。政府代表として十分確信のある言葉だという、平野政務次官のお言葉ではありましたけれども、念のためにあなたからお伺いしたいと思います。
  63. 原純夫

    ○原政府委員 先般御議決願いました二十九年度予算には、お話の条文に対応する補助金は計上してありません。これは当時、なおこの法案提出するという議がまとまつておらなかつたということによるものと思います。従いましてこの要望に対しては、新たな問題として検討の上結論を得るということになると思います。もちろん二十八年度におきましてこれと同様な、類似な法案が用意され、動きました時分に、二十八年度予算においていかなる処置をとつたかということはもう皆さん御存じ通りでありますから、そういう経緯を過去の事実あつた事柄として考えながら、新しい問題としてこれを検討するということに相なると思います。すべて予備金で出せというお話が出るかもわかりませんが、こういう制度的な変革に伴う経費を、予備金で出すというのはおかしいと思います。従いまして後日何らかの機会に問題として提起せられるであろうという場合に、よく考えて妥当な結論を得て出すというふうにいたしたいと思います。
  64. 井手以誠

    ○井手委員 ただいま主計局の御答弁によりますと、制度的な問題であるからあらためて検討の上にきめたい、新たな問題として研究してみよう、こういうお話でありました。制度的な問題であるから、現在の予算では組んでない、従つて新たに予算を組まねばならないという意味の答弁でございました。そういたしますと補正予算を計上しなければならないという結果になると私は考えるのであります。そこでお尋ねしたいのは、平野政務次官が政府の責任ある答弁として、私は確信をもつてその用意があるし、支出する考えであるということをおつしやいましたが、そのお言葉とあなたが今おつしやいました新たな問題として提起されよう、そして今から何とか考えようという言葉とは大分開きがある——若干ではなくて大きな開きがある。この食い違いについては、私はもう少し徹底的に究明しなければならぬ非常に重要な点であると思う。われわれはそういうような期待をいたしておりますが、個人的希望意見ではこれは済まないと思う。これは実際問題になりますと、何千万円かしりませんけれども、この問題が一番大きい問題だと思う。その点について、片方では確信をもつて出す、片方では法律が成立いたしますと、新たな問題として研究いたしましよう、この間には非常な開きがある。この点はひとつ政府代表の責任ある答弁を願いたいと思います。
  65. 原純夫

    ○原政府委員 ただいまのお尋ね政府代表としてはつきり答弁せよということでございましたが、こういう相当額に上ります経費を出すか出さぬかということは、せつかくのお尋ねでございますけれども、私が軽々にはつきりとイエス、ノーということを申し上げられるものでもないということは、これは井手委員も御了解願えることかと思います。ただそのお話のうちに、二十八年度の経緯を申し述べましたのは、われわれとして一年度前の予算においてはこれと類似な法案に関して経費を盛ることを同意したという、はつきりした事実があることを申し上げたわけであります。なお今回の改正法案は、当時と若干の違いがあるようにも思いますが、達観してみまして、そう大きな違いはないというふうにわれわれ考えております。従いましてここではつきり出す出さぬと言うことは、初めに申し上げましたように申し上げるべきではないと思つて、私は申し上げないわけでありますが、既往のそういう経緯も十分承知しておるところでございますし、そういう経緯もあるということを心におきながら、十分検討するということを申しておるわけであります。
  66. 川俣清音

    ○川俣委員 私が要求いたしておりました原次長も見えましたので、関連の域を越えて質問することをお許し願いたいと思うのです。  第一に、今の答弁の中で、新たなる角度から支出をしなければならないという態度は、大蔵省として当然な態度だと思います。これは財政法の上から行きましても当然な態度だと思うのです。そういたしますれば、これは予備費から出すかあるいは補正予算を組んで出すかしなければならない。他に転用のできる道のあるものじやないことは、大蔵当局も十分御承知のことだと思う。そこで補正予算から出すのか予備金から出すのかという問題が出て来る。その場合、こういうような組織機構のものは予備金から出すべきじやないという御説明もまた、従来から堅持されておるところの態度でありますから、これまた了承できる点であります。しからば補正予算でお出しになるのか、こういう問題なのです。どういう支出項目でお出しになろうとするのか、一体補正予算でお出しになるのか、この点は一つよりないと思う。従つてあなたの説明を具体的に表現すると、補正予算で出すということになる。むろん補正予算の金額については、原次長の答弁する限りでないということは容易に了承できることで、これは政府が組むべき事柄であるからして、あなたの権限外のことだと思う。ですけれども事務当局として、一体財政法の上から何とかしなければ出せないということははつきりしているわけで、この点について明瞭な御答弁を願いたいと思う。
  67. 原純夫

    ○原政府委員 非常に困る御質問であります。予算をお願いしました時分にこの法案をお出しになるならば、あの節御意見があつてしかるべきであつたとわれわれ率直に思います。従いまして、一方この補正予算を組む組まぬという点につきましては、これは大臣以下政府の確固たる方針として補正予算は組みませんということを申しておるわけでありますから、ただいまの御質問に対してはその意味でお答えいたす次第であります。
  68. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、予備金では困難だし、補正予算は組まないという方針を立てておるとすると、あとは転用しなければならないということになる。私はこうい常設的な一つの機構を他の項目から転用するということは、財政法違反だと思いますけれども、その私の見解は誤りでありましようか、この点についての事務的な見解を伺いたい。
  69. 原純夫

    ○原政府委員 流用してやるということは、おつしやる通りおかしいことだと思います。
  70. 川俣清音

    ○川俣委員 流用はできない。補正予算はできない。予備費は出せないということになつたら、出ないということになるのじやないでしよう。ほかに何か手品みたいなものがあるのですか。政務次官は手品みたいなものがあるという。今の日本の財政法の建前からいつて、その他のことは考慮できない。ほかに道があるなら、事務的な見解を明らかにされたい。
  71. 原純夫

    ○原政府委員 補正予算を組まないという方針をくつがえすということを言わせよう——というと語弊がありますが、言わなければならぬことになるのは困るのであります。従いまして今の御質問に対して、結局出る道はなくなるとお答えせざるを得ないけれども、私おりませんでしたが、先ほどの農林政務次官の御答弁、また私が申しました言葉のあやというところで御了解いただくよりいたし方がないと私は思います。
  72. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、事務的には補正予算より道がない。しかし補正予算については、大臣がたびたび補正予算を組まないと声明しておりますから、政治的にはなかなか考慮しがたい、こういうことなんです。事務的には補正予算を組むよりほかない。ただそれは政治的な問題であるから、大臣あるいは政務次官が、政府は補正予算を組まないと言つている以上、それ以上は申し上げられない、こう理解すべきだと思うが、私の理解は誤りですか。明瞭に御答弁願いたい。これはこの法案ばかりじやないですよ。他への影響もあるからお尋ねしている。他にこういう問題が関連して幾多起つて来るであろうことを懸念してお尋ねしている。答弁を二にしてはいけません。事務的な見解を聞いているのです。
  73. 原純夫

    ○原政府委員 補正予算は組まないのであります。
  74. 川俣清音

    ○川俣委員 事務的には補正予算を組むより道がないんだけれども政府が補正予算を組まないと言つているから、出す道がない。これならわかりますよ。事務的に補正予算で行けるということははつきり言えるのです。ただ政府が補正予算を組むか組まないかは別問題です。事務的に補正予算で行きますということは言えるはずなんです。但しこの内閣においては補正予算を組まぬはずだ。これは別です。事務的に補正予算でやることはあたりまえなんですよ。あたりまえのことがなぜ言えぬのですか。
  75. 原純夫

    ○原政府委員 おつしやる通りであります。事務的には、もしこの経費を今年度から出さなければならぬということになれば、補正予算で出すべきであると思います。しかし先ほど来申しておりますように、政府は補正予算を出さぬと申しているのでありますから、補正予算は出せないのであります。
  76. 川俣清音

    ○川俣委員 そこで大蔵当局にお尋ねいたしたいのですが、この国会が始まつてから、今年度予算の編成方針として、できるだけ予算を伴うような議員提案は大蔵省として困るという態度をとつておられたようである。また閣議でも同様な方針をとられたようであります。閣議の内容は秘密でありますから、仄聞でありますけれども、在来の大蔵省の態度を見ますと、それを裏づけるような答弁を他の委員会において多く行われております。緊縮予算を組んだ以上、この根本方針をくつがえすような議員提案は非常に困るという表現をたびたびお用いになつております。ところがこの法律だけはよろしいというふうにお考えになるのですか。だれが出せば議員提案でもよろしいということになるのですか。自由党でも予算を伴うような法案は出さないということに総務会においてきまつたと世間に発表しております。これはおそらく大蔵省の絶大な力があずかつて、自由党をしてかかる声明をなさしめたものだと思います。自由党自体の考えでは必ずしもないように思います。ところが突然として、今度は改進党と自由党の共同提案として予算を伴う立法が出て参つたのであります。私は本来から言つて、議員が提案する場合に、予算を伴うような議案を出すべきじやないというような見解に対しては反対です。そういう大蔵省の態度に対しては反対でありますけれども、今まで堅持されて来たことがここでくつがえつてもよろしいとお考えになつているのか、この点だけ聞けばいいのです。こういうことを大蔵省が容認できるといたしますならば、この国会が延長されれば、同様なことも決してまだ不可能ではないと思うのです。これと関連した再建整備の問題も出ておりますけれども、予算が云々ということで渋つておられる。これだけがいいという根拠がもしありとすれば、その点をお示し願いたい。
  77. 原純夫

    ○原政府委員 不当に歳出の膨脹を来すような提案は、議員提案でありましても、各省からの要求でありましても、われわれ望まないことは根本であり、当然のことであると思います。本件につきましては、議が進んでおりますことを農林省側から伺つたことがございます。その際にわれわれの態度を考えたわけであります。ただいま御指摘のような経費を伴う議員立法という線で不同意という意思を表明すべきかどうかということを考えたのでありますけれども、先ほど来申しますように、農業関係としては非常に大きな政策的な法案であり、しかもその法案について、つい前年度においてわれわれが同意し、かつ予算に組んだものであります。従いましてこれをただいま御指摘の財源云々、歳出云々をもつて反対するのはむしろ不穏当であろうという結論に立ちまして、反対はいたさなかつたのであります。
  78. 川俣清音

    ○川俣委員 反対をしなかつたということになりますと、本法案が通れば何らかの措置を講じなければならない義務をみずから確認する、こういうふうに了解してよろしいですか。これは予算が伴つているのですから、おそらく内容に反対でないということは、予算の裏づけに賛成したということになると思うのです。条文などについて大蔵省の見解を聞く必要はない。おそらく予算の点だけだろう。それに対して同意したことは、裏づけをしてやることを容認したと世間から理解されてもやむを得ないと思いますけれども、次長はいかような見解を持つているか。
  79. 原純夫

    ○原政府委員 御推察は自由でありますが、先ほど申しました通り、予算に組むか組まないかということは、その予算編成のときにおいてはつきりと態度をきめるべき問題であるということでございます。
  80. 川俣清音

    ○川俣委員 ちよつとよそへそれるようなことになりますが、農林省からこういう法案が出るということであらかじめ了承を求めたということですが、それはいつごろでありますか。
  81. 原純夫

    ○原政府委員 了承ということではございません。これは議員提案でお出しになつているものだと思いますから、農林省の責任において了承を求めて来られたということではございません。われわれいつも議員提案でどういう法案が生れようとしつつあるかという点については、関係各省にもよくわかり次第御連絡願うようにお願いしておりますので、そういう御連絡を受けたということでありますが、時期は私は記憶ありませんが、四月ごろだつたでしよう。
  82. 川俣清音

    ○川俣委員 ここで農林省にお尋ねしたいのです。本法案提出されましたのは四月二十八日です。これは議員提案です。すでに四月ごろから大蔵省に折衝いたしたといたしますれば、当然そのころから法案の用意がなければならぬはずだと思う。それ以前に了解を求めたといたしますれば、当然相当な準備が進行しておつたと思うのです。これは議員提案でありますから日にちの点は別です。大蔵省へあらかじめ折衝いたしたというからには、これに対して相当な了承を与えていなければならぬ。もしもそれだけ了承を与えるようなものでありますならば、昨日以来たびたびお尋ねしている通り、こういう予算の伴うものはなるべく政府が出すべきだという基本方針を立てておられるのだから、なぜそれに従わなかつたのか、これは自由党がかつてに出されるというようなことは非常に好ましいことだから、あえてこれを非難するわけじやありませんけれども、閣議でわざわざそういう予算の伴うようなものは政府提案するときめておりながら、こういう提案をされたことについて、事務当局はあらかじめ了解を求めたということはおかしいと思うのだが、閣議できめたようなことは、これは行政の末端のものとしては当然閣議の決定に従うべきだと思いますが、あえて従わないで大蔵省と折衝いたしたのは那辺にその真意があるか、この点を明らかにしていただきたい。
  83. 小倉武一

    ○小倉政府委員 折衝とおつしやることはどういう意味だか私全然わからないのでございますが、議員提案によつても農林省所管の法律でございますと、閣議に報告したりあるいは特殊な意見があれば持寄るということは慣例として行われておりますし、補助の規定もございますので、こういう議員提案が出そうだという技術上の連絡をしておりまして、これに伴う予算についての折衝ということではございません。
  84. 川俣清音

    ○川俣委員 そういたしますと、予算の折衝はしておらなかつた、世間でこの法律が通れば農林省も大蔵省も予算は裏づけるのだという宣伝が行われておることは、それは誤り伝えておるのだ、こういうふうに理解をいたして次に本論を進めて参ります。  次にお尋ねいたしたいのは、農業協同組合法の中央会というものは、前の政府提案とは非常に趣を異にすることは、原次長といえども大体わかると思うのです。それから農業委員会法に対する在来の補助は、法律規定によりまして、明らかに行政機構としての補助であることもこれまた明らかであります。今度の改正は行政機構の域を脱しまして、列な法人格を持たせようという規定であります。町村段階は別にいたしまして、その上の段階では別な法人格を持たせようといたすのであります。これが私法人でありますか公法人でありますかということについては、幾多の疑義がありましよう。私法人であるか公法人であるかという論争をここで繰返そうとは思いません。かつて行政裁判所がありました時代におきましては、公法人であるか、あるいは私法人であるかということは、非常な大きな相違がありましたから、これは問題になつたと思いますけれども、今日においてはそれほど重大な意義を持つておりませんから問題といたしませんけれども、今までの農業委員会法は明らかに行政機構として、他の法律にも農業委員会意見を聞かなければならぬ、農業委員会の決定に対しては知事が取消さなければならぬという一つの行政の末端を汚しますところの法律が所々に出ております。あるいは土地調整法に出て来、あるいは農地法に出て来るということで、方々に行政機関としての機能を十分持たせるような法律が明示されておりますから、これは行政機関と見るべき点が多いのであります。従いまして、そういう意味において当然行政機関でありますから、これは助成補助の対象となるべきものであることは申し上げるまでもない、ところが今度は、御承知でありましようが、今まで農業委員会に対する経費ということになつてつた、今度はわざわざ分類いたしまして、職員であるとかあるいは事務費であるとかと分類した経費を国が負担するということに相なつております。前の政府案には技術員が含まれておつたが、今度は技術員を除いておりますが、職員費も負担するというのが今度の改正案であります。従つて根本的にこれは組織がかわつた形のものであります。農民利益代表機関として別な自主的活動を行う一つの私法人的な性格のものであります。前は行政機関である、行政機関に対して国の予算の許す範囲内において支出をするというのが建前です。今度は新たなる法人格が生れるものに対して、予算の範囲内において補助をいたそうというのでありますから、在来の予算項目そのまま農業委員会法も予算をそれに振り向けることはこれも許しがたいと思うのですが、原次長はいかような見解を持つておられますか、事実とは違うのです。これもやはり違うものに対しては予算の流用は許されないと思うのですが、この点についての御見解を承りたい。
  85. 原純夫

    ○原政府委員 私不勉強でありまして、あまりこの法案の詳しい点まで勉強いたしておりませんし、事柄は非常に長年の経緯を持つ農業団体に関するものでありますから、よく今後研究いたして参りたいと思うのでありますが、ただいまの御質問は、今後予算の御要求があるであろう、その際にわれわれがどういう線でこれをまとめて参るかということについての御質問だといたしますれば、それはなお研究の上お答えいたしたいというふうに申し上げるよりほかないと思うのでありますが、おそらくただいま仰せのありましたのは、都道府県の農業委員会でございますが、そういうものができ、それに対する補助として、現在ある農業委員会関係の補助項目の中から差繰つて出すことができるかどうかというお尋ねだろうと思います。これもよく研究をいたしてみたいと思いますが、大体の結論はその程度のことは行けるのではなかろうかというふうに、われわれの部内においては考えております。
  86. 川俣清音

    ○川俣委員 第一の点は、原さんは大体内諾ということもありませんでしようが、出されることについての了承を与えた——予算の点についてはあまり了承を与えてないけれども、出されることに対しては聞き及んでおるらしいけれども、聞き及んでおるとすれば、最も予算の中心になつておる点について聞き及んでおるはずなんです。他の点は別問題です。専門的なことについて原次長の理解を求めることも困難であります。全般にわたつて理解しなければならないということも、これは困難な事情はよくわかる、しかしながら大蔵省は、非常に財政を引締めて、あらゆる点について補助金の削減あるいは実行予算の編成等で非常な努力を払つておられる、その政策がよいか、悪いかは別問題です。努力を払つておられることだけは明らかになつておる、そのときによくもわからないものであるけれども、こんなのはいいのだということになつてよろしいのか、どうも今までの態度とは違うのじやないか。補助金を減らしてはいかぬというと、あそこの面を少しも残してはいかぬというような、ずいぶんこまかい点まで目を通されております。まつたく目の行き届かないところまでほじくつて、あれは削減する、これは整理するということで、ずいぶん整理に力を入れておられます。私はそれはそれとしてよろしい、こういう点についてはどうでもいいというならば、私はそれでもいいのです。いいならいいときまつたのならいいのです。無関心というのはおかしい。しかも私は、出されることが実は望ましいと思うのです。だけれども財政法上どうかという疑義を持つてお尋ねしているのです。必ずしも出すなと言つているのではない。出すならば財政法規にのつとつた出し方をするのが、あなた方の義務じやないか。法人格が違つたものでありますならば、行政に対する補助と他の私法人に対する補助と同じだというお考えができるのですか。私は財政法上できないと思う。できるとすればどこからそういう解釈ができるか。その点を明らかにしてもらいたい。これは名前が似ておるからというものじやない。明らかに法人格を異にしているのです。行政に対する組織の変更でありますならば、当然転用してよろしいものであることは明瞭です。行政に出すところの補助を、他の法人格のもとに転用してもよろしいというようなことは私は財政法上どこを見ても出て来ないと思うのです。もしも出て来るとするならばそれをお示し願いたい。法規にあるならばそれでもけつこうですから、どこに根拠を置いてできますかということをお尋ねしたい。
  87. 原純夫

    ○原政府委員 補助の対象である各種法人等が、年度の途中において性格をかえるということは、この場合でなくてもあろうと思います。川俣委員のおつしやいますのは、行政機関的なものから法人格を持つようになるというようなお話でございますが、一般にそういう法人格がかわるというような場合におきまして、これを財政法上いかぬと言いますのは、少しきゆうくつに過ぎるのではないかと思います。財政法におきましては、項をもつて支出の拘束のわくといたしております。そして項の間の流用は認めない。そして目というものがありまして、目間の流用につきましては、御存じ通り原則として大蔵大臣の承認を得てやるということでございます。ただいまお話の農業委員会関係の補助は、たしか目の中の節であつたと私は記憶いたします。そうしてそういう場合におきましては、目の目的と申しますか、諸経費の目的に照しまして、被補助自体の性格変更ということは、もちろん考慮すべきことであろうと思いますが、一方でやはり大きく全体的に、この補助を要する事態と申しますか、環境と申しますか、そういうような関係が前と比べてどうかという総合判断の上に立つことになると思います。そういうような観点におきまして、新たに節を立てまして使うことはさしつかえないのじやなかろうかという感じを持つております。
  88. 川俣清音

    ○川俣委員 かつて財政法を提案されたときの速記録を見ますと、法人格を異にする場合は転用できないことを明らかに説明いたしております。この点は明らかです。ただ私は、先ほどのあなたの説明は、単位の町村農業委員会が職制をかえた場合においては、これは行政機構としての機能は残つているので、そのうちの職員の名前の変更とか、そういうことは問題じやありません。それが職員であろうと職員でなかろうと、これは行政機構としての機能を持つ内部の機構改革でございますので、問題はないと私は思う。その上の段階です。県段階以上は法人格をかえる。しかも全国の農業団体は行政機構じやなかつた。県段階以下が行政機構に入つてつた。従いまして予算の項目としては県段階以下である。もしも出たといたしましても、他の形式にならなければならぬ。従いまして新たに法人格を持たせるという提案理由になつておる。これほど明らかに法人格を持たせるということは内容的にもかわつて来るわけです。これがかわりますために、農地調整法その他の法律もかえなければならぬ点が出て来ておるが、これが投げやりになつておる。これは私は農林省が少し不勉強ではないかと思つております。これは非常なあやまちとして二、三指摘される点があると思います。それは原さんの問題とは別ですが、それほどに同じ公法人の形がかわつてつた、公法人ではあるけれども、組織が変更になつていたならば問題ありません。また同じ行政機構の中に、名目が職員となつたり、技術員となつたり、書記となつたりすることは問題ありません。今まで行政機構であつたものが別の法人格を取得して、さらに項目で転用できるということがどうも私は納得行かない、そんなことは財政法にないはずである。法人格がかわると同時に予算上の効力は失効すると思う。今度町村合併が行われて、町村がなくなつた場合は補助の対象にならぬことは明らかである。行政機構といえども非常に大きな変革を与えた場合には、その変革さえ予算上行われ得るのです。そのように行政機構の内部の統合であるとかなどということは、これは転用とか別項支出ということも考えられますけれども、法人格が異つた場合にはできないのではないか。しかしこれはできないからほうつておけという問題じやない、やはり合法的に支出面を考え出してやるのが財政当局としては当然の考え方じやないかと聞いておるのです。もしも必要だとするならば、必要に応じた予算を編成いたしまして支出をすべきじやなかろうか。これに対して賛成か反対かということを聞いておるのじやない。農林省はどうしても必要だ、国会で議決をしたというのならば、それに即応した予算の組みかえをしなければならないであろう。これだけ聞いておるのにおわかりになりませんか。あなたにわからぬはずはない。それは農林省に遠慮しておるからできないのだ、そういう遠慮があるなら、ほかの場合にもときどき遠慮してもらいたい。
  89. 原純夫

    ○原政府委員 先ほど来申しましたように、目で立つております農業委員会の補助の中の一節であります都道府県の農業委員会の補助とありますものを、その対象の性格がかわつた場合に出せないのじやないかという御質問でありますが、もちろんおつしやる通り目の中におきまして節を起しまして——今までの節は同じように立てるといいますか、そつちは使わないことにして、別に農業会議補助という節を起しまして、それで使うということは、財政法上禁ぜられておらないと私は考えます。これは府県等におきまして、ほかの例を想像いたしますれば、いろいろ公企業というようなものをやつておる場合がございます。これを府県の行政機関として、府県自体の組織としてやつておるという場合も相当ございます。場合によつてこれを国における公社というように、独立の法人格を持たせるという場合もございます。そういうような場合、当該公共企業に対して補助が出ておつたというような場合に、性格がかわつたというだけで、同じ目の中の節の設置でできるという場合においても、それは性格がかわつたからいかぬということは、いささかきゆうくつに過ぎるのではないかと私は考えるわけでございます。
  90. 川俣清音

    ○川俣委員 私は、あえてできることをできないと主張するものではございません。ただ会計検査院に、電話でございますけれども問い合せた場合に、私の問い合せ方が悪かつたかどうかは別にして、ほんとうに法人格がかわるならば、節を立ててやるということは財政法上申訳がないという見解であります。但し、一体ほんとうに性格がかわるものですかどうですか、その点についてもう少し御説明を聞かないとわからないと、こういう弁解はありましたけれども、どうも原さんの意見と違うようです。そこで、もしもそういう節を起したとき、会計検査院から指摘があつた場合の責任はどなたがお負いになるのですか。これは農林省が責任を負うのですか、大蔵省が責任を負うのですか。
  91. 小倉武一

    ○小倉政府委員 今の目の中で節を立てる場合、直す場合にはたしか大蔵大臣と協議することになつてつたと思います。そういう意味において、そういう手続を経てやつた場合においては、両大臣の責任ということになると思います。
  92. 川俣清音

    ○川俣委員 大臣の責任ということになると、会計検査院が大臣を糾明するということになつてよろしいものですか。私は予算の立て方からいつて、財政法上違反を起した場合の指摘が大蔵省へ行くべきか農林省に行くべきか、一体どこに行くべきか、この点がまだ疑問なんです。節を立てられてけつこうです。私はあえて立てるなと言うのじやないのです。必要だという見解を持つておられるならば、それもけつこうです。しかしながら私は、必要があつてするならば、この部分については新しく予算を別に起して行くべきであろう、こういう見解を明らかにしたいのでありますが、これについて原次長からもう一度御見解を伺いたい。これだけ注意して違反を起せば問題ですからね。
  93. 原純夫

    ○原政府委員 先ほど申しました通り農業委員会関係の目の中におきまして、今までの委員会補助は使わないということにいたしまして、別に農業委員会の補助という節を起して、そちらにまわして使う、これはただいま経済局長からお話の通り、たしか大蔵省に協議があつて、両者の意見のまとまつたところで実行するということになるわけであります。
  94. 川俣清音

    ○川俣委員 責任はだれが負うのですか、大臣ですか、事務当局ですか。
  95. 小倉武一

    ○小倉政府委員 別にこの問題に限りませんけれども、いろいろの問題は最高責任者は大臣です。しかし具体的な問題といたしまして、それぞれ事務当局で処理している場合も多うございますので、実質上の責任はもちろん事務当局だと思います。
  96. 川俣清音

    ○川俣委員 それでは原次長に対する分はそれだけの警告で終りますが、もしもこの法案が、私どもは反対でありますけれども、通つた場合におきましては、何らかの処置をしなければならぬことは明瞭です。そこで今まで都道府県の農業委員会が非常な活動をいたしておりましたし、他の法規の上にも同様な、都道府県農業委員会意見を聞かなければならないというような点もあるのでありますが、それらの点について、これは附則にもその点が出ていないようにも思うのです。私はまだ全部当つておりませんので、あやまちがあるかもしれませんが、この点の振りかえの分について十分じやないと思います。これは原次長がお帰りになつてからでもなお続けて行いたいと思いますが、要は行政機関として他の法律——農地法施行法、土地改良法、農地調整法というのがあるのですが、農地調整法についてはこの規定がないようです。そういう点について意見はありますけれども、ただ財政的な裏づけをするといたしますれば、当然別箇な項を立ててやるべきだという点を警告いたしまして私の原次長に対する質疑は終つておこうと思います。
  97. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの同僚井手委員及び川俣委員の御発言によつて、中央会に対する国の補助金の関係が大分質疑されたわけでありますが、それを聞いておりますと、提案者におかれましても、国から一部の補助金が出るということに対する確固たる見通しというものは、あまりなかつたように考えるわけでありますが、この改正点は、ある意味においては、協同組合の自主性に対しても一つの変貌を来すような事態も出て来るにもかかわらず、相当の危険を冒して、ある意味における代償を払つてまでもこの国の経費を期待するということなのでありますか、提案者におかれましては、この中央会に対する予算獲得の本年度の問題並びに将来にわたる問題に対しては、どの程度確固たる自信と目的を持つておられたか、その点に対して御説明をお伺いいたします。
  98. 金子與重郎

    金子委員 この法律の中に、政府は予算の範囲内において助成することができる、こういう条項をうたつて、しからば今年度どれだけ金がとれるのだというと、これは今年度予算がきまつた以上は、補正予算をするかしないかはわかりませんし、今の段階においては、できるだけ政府に善処しろという範囲以上には、言うこと自体が無理でありますので、私はそれ以上期待しておりません。さればといつて、ここにこの法律をつくるのに、来年度予算の編成をまぎわになつてから、政府は予算の範囲内において助成することを得る、こういうことをつけ足すことも、これも無理だと思いますので、この法律の成立当時にこれを入れておくことが妥当だ、こういうわけで入れたのであります。それから補助金をもらうことがすぐ自主性を欠く、こういうことに対して提案者自体は、補助金をもらいさえすれば自主性がないのだというふうには考えておらないのであります。ただこの団体を生かして行くために、政府にあわれみを請うような形における助成はいけないと私は思つております。それは先ほど申し上げたように、政府が当然やるべきことをこの団体がやるのだという形において、たとえば農業委員会に補助金ないしは分担金を政府が出しておるけれども、あれは決して卑屈な意味考える必要はない、政府の行政事務として当然やるべきものを、政府自体が手が届かぬからやつておるのだ、それと同じように協同組合の監査監督ということも政府自体がやるべき仕事に対する補助的な機関という、別な面から見ると自主的であると同時に、結果においてはそういう面もあります。そこへ助成させるということであれば、政府が金を出したからといつてすぐ自主性を欠いたということにはならぬ、こういうふうに考えております。
  99. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私のお尋ねしておる点は、あくまでも中央会が協同組合のわく内にある組織であるという場合においては、その主体性というものはやはり協同組合の組織形態から逸脱するような性格のものであつてはならぬ、そういうふうに信ずるわけであります。もちろん今の提案者の御説明によりましても、これは単なる補助団体として国の下請機関のような形で中央会が持たれるのではなくて、当然の要求として、当然の業務の代償として国の支出が行われるというような明確な表明をしておられるけれども政府当局におかれましては、中央会の行う事業のうち、どの面に対して重点的に助成を行わんとしておるか、その点に対しましては小倉経済局長から御答弁を願います。
  100. 小倉武一

    ○小倉政府委員 中央会に対する助成でございますが、この法案の助成という意味と、それから一般に、中央会に、この法案関係なく助成する意味と両方あると思います。国がいろいろの助成をいたしまする場合には、特定の仕事を選ぶとか、あるいは特定の仕事をやつてもらうために補助をする、こういつた場合には法律基礎がなくてもやれる場合が多うございます。それからおそらくこの法案の御趣旨がそういう特定の仕事を委託するということのほかに、もちろんそれもできるという趣旨も入つておるかと思いますが、一般的に中央会の活動を促進するあるいはそれを支持するという意味の、一般的な助成の意味だろうと思つております。
  101. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの小倉局長の御答弁は、提案者の御説明と若干の食い違いがあるように思います。先ほど金子委員は、中央会の事業全体に対しての助成という形でなくて、特に国の責任においてやらなければならない業務の代行という意味において、その事業面に対しての補助を支出させるのだということを限定して説明されておつたわけでありまして、そういう場合においては、しからばどのような事業面に主として補助の対象を置くかということを局長にお伺いしたわけであります。
  102. 小倉武一

    ○小倉政府委員 もちろん立法趣旨から行けば、先ほど金子委員からお話がありましたように、中央会というものの仕事、中央会全体が半ば国がやるべきもの、あるいは地方がやるべきものをやれといつたような趣旨から助成というような問題も当然出て来るだろうと思います。また現実の問題としても、そういう個々の具体的な事業を、あるいは県庁がやつた方がいい、あるいは国でやる方がいいというような今まで考えられたものを今後中央会にやつていただくという場合が多かろう。そういう実際問題として、特に私と金子委員のお話は食い違つていないように思います。なお具体的にどういうことかと申しますと、この法案でやりますたとえば組合の経営指導でありますとか、あるいは組合の監査、こういうことがさしあたり具体的に考えられることではないかと思います。
  103. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この中央会の場合と、もう一つ農業委員会の場合におきましては、農業委員会に対する国の補助金の支出の形は、委員会が持つておる主として農地関係、国の農地行政の代行的な機関としての農業委員会に対する経費の支出が行われておるわけであります。それと関連して考えた場合において、先ほどの金子委員の御説明は、やはり中央会の行う事業のうち特定の事業に対して、それが国の行うべき業務の代行であるという形において支出されるのだということを、私は説明の中で受取つてつたわけでありますが、その点は再確認する意味ではありませんけれども提案者の先ほどの御説明はそのような趣旨であつた考えてさしつかえありませんか。
  104. 金子與重郎

    金子委員 実際問題といたしまして、それ以外には一銭も出さぬというふうな厳格な意味ではないけれども提案者がこの法律を出すにあたつて、助成の問題を考えたときに、委員会としては、そういうふうな形において政府に助成を求むべきであり、また私どももそうさせることを今後考えておるわけです。なぜならば団体そのものに漫然と補助金を出すということになると、団体自体の自主性を欠く、だから団体を維持して行くために、ただ道楽むすこが金をもらうような形において補助を受けることは好ましくない。やはりその線は筋を通して補助すべきである、また補助さるべきであるというふうな形において今後この補助というもののあり方を進めて行きたい、これが提案者の意思であります。
  105. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの金子委員の御発言は、今後の中央会の性格の上においても非常に重要な点として残ると思います。小倉局長にお尋ねしますが、今金子委員の発言された点は、まつたくその通りと了承されますか。
  106. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいまの金子委員の御答弁にありました通りでございます。
  107. 芳賀貢

    ○芳賀委員 では次にお尋ねしたい点は、金子委員の御説明のごとく、この中央会の自主性というものが堅持されて行くということになりますと、結局これが協同組合のわく内における組織形態であるとするならば、後段に出て来ますけれども、都道府県の中央会の場合においては、この会員の組織構成というものは任意加入であります。加入団体の自由を認めておるのでありますが、全国中央会の場合におきましては、都道府県中央会並びに都道府県中央会の正会員となつ組合は、当然全国中央会の会員とならなければならぬという明確な規定があるわけであります。これはいわゆる強制加入であります。そういうことになりますと都道府県段階においては、協同組合の加入団体の任意性を尊重しておきながら、全国段階においてはそのケースを異にした強制加入にさせるということに、一つの矛盾を感ずるわけでありますが、このような形態をとらなければならなかつたその原因というものを私がそんたくする場合においては、先ほどの金子委員の御説明と違つた中央会に対する国の、ただ抽象的な弱い所在に対する補助育成というような形で補助金が出される場合には、一定の国の条件を付した要求に応ずる場合において、その補助金が支出されるというような隷属的な立場においての形に変化せざるを得なかつたのでないかというふうに考えておつたわけでありますが、あくまでも協同組合としての一つの自主性が、将来とも尊重される、確立されるという場合においては、なぜ中央段階における会員の加入の任意性というものを尊重しなかつたか、その点について御説明を願います。
  108. 金子與重郎

    金子委員 この問題に対して任意加入でなく当然加入にしたという理由でありますが、理論的に自主性ということだけで行くならば、すべてのものが加入脱退が自由であり、設立解散の自由、こういうことであるのでありますけれども、当初に申し上げた通り、本来ならば協同組合法の外へ出してこの中央会法を置いてもいいような、純然たる協同組合の今の本則から見ると若干はずれている点があるというのは、指示権とか、そういうものまで持つ、あるいは監査権を持つというところがそこにあるわけであります。そこでこの加入脱退の自由ということにすることによつてどういう弊害が起り、どうして強制加入、要するに当然加入ということを求めたかと申しますと、これは設立の当初の状態に対する農林省なり、あるいは中央機関自体の意見を私が相当重く考えたのでありますが、それは現在の中央会、全国段階の指導連というものが非常に無力だ。従つてこれを加入脱退の自由の原則の通りつておきますと、中央機関——それからこれは途中において話が横に移りますが、全国中央会と県中というものの二つでなつておるが、本来ならばその指導の体系というものは、中央会、支会というような形であるべきものが途中においてこういうふうな形に変化して参つた、そういう関係上、当然加入の形にしないと、設立当初今の中央機関というものは非常に無力だ。そこで無力だということは、全体の上に一つの血筋を太く通すわけに行かないということから、当然加入をしてほしい、こういうことが意見でありまして、そこに当然加入ということが、自主性という理論的には矛盾があるけれども、現実の姿を見たときに、一応それももつともだ、こういうことを考えたことが一つと、もう一つには、さいぜん申し上げたように、協同組合法の中で中央会法をやつておるけれども、本来ならば外へ出してもいいような一面もある。この二つのことを考えた結果、当然加入にすべきだ、こういう考え方を持つたわけであります。
  109. 芳賀貢

    ○芳賀委員 都道府県においては任意加入にする、中央段階においては当然加入にする。それならば、都道府県段階において任意制を尊重して、都道府県中央会に加入しない協同組合があるということも予想されるわけです。そういうことになりますと、当然の結果加入した協同組合だけが中央においては当然加入をさせられ、都道府県段階において加入をしなかつた単位協同組合というものは、全国の中央会に何ら加入する必要は出て来ないということになつて来るわけでありますが、そこに何か割切れない、一貫性を欠いたものがあるわけでありますが、その点に対しては提案者はお気づきになつておりませんか。
  110. 金子與重郎

    金子委員 これは確かに一面あなたの御指摘するにおいが多分にあるのであります。というのは、都道府県の方は、今の段階において強制でなくとも必ず入り得るということを、自治的にも今やろうとしておるというような程度でありますので、これは問題がない。しかしながら、私当初にこれらの問題を考えましたときには、都道府県中央会に県段階の組織しているものがみな入る、そうして全国中央会は都道府県の連合会の形で入るべきだ、これが私の当初に考えた案であります。しかしながらこれを現実に進める方法として、中央機関政府自体の意見を聞きましたところ、府県が入つた場合に、その町村単位協と両方に全国中央会の指示なり連絡がとれるような形の方が運用上やりいい、またそうしないと、今の全指連というものが非常に弱いような形になつたのでは、次の全国中央会というものの意義が薄い、こういう意見がありましたので、その方を用いたわけであります。
  111. 芳賀貢

    ○芳賀委員 金子委員の御答弁を聞いていると、金子さん自身がこの案に対して不本意のようなことを内心思つておられると私は察しているわけです。しかもこの案は、昨年の政府原案がこの通りであります。それで私はむしろ金子さんが良心的に考えた場合においては、なかなかこの点割り切つた御答弁はできないと思いますので、これは小倉局長から、どうしてこういうような一貫性のないような加入形式をとらなければならぬか、その原因がどこにあるかということをお伺いいたします。
  112. 小倉武一

    ○小倉政府委員 これは先ほどから金子さんがるる御説明があつた通りでございまして、私から別段同じことを繰返して御説明することはないと思いますが、県の中央会と全国中央会とはまつたく別のものでなくて、それぞれ別の自主的な団体ということでなくて、いわば一体のものである。従いまして、それを徹底すれば中央会、支会ということである方がよいかもしれません。しかし支会というのは、単に全国中央会の出店、支所になつてしまう。それではやはり地方的な自主性を尊重することでないということで、地方の自治を重んずるということと、中央、地方が一体となつて活動するという両方の趣旨を生かすために、地方と中央との加入関係を同一にしたのであります。地方は自由だけれども、中央は強制ということでなくて、入るときは両方入る、こういうことでもつて、一方に入れば当然全国中央会に入るという法律上の効果を持つ、かようにいたしたのであります。それによつて県の中央会も全国中央会も健全に発達し、また協同組合全体の運動、指導のために十分活躍ができはしないか、かようなつもりであつたのであります。
  113. 芳賀貢

    ○芳賀委員 小倉局長の考え金子委員と同じであると言われましたけれども金子委員自身はこの点に対しては釈然としておらぬのであります。そうすると、あなたもやはり釈然としない気持で御答弁をなさつているとはまさか思えないわけでありますが、地方に加入脱退の任意性を持たしているということは、すなわち中央に対してもそれと同じであるという場合においては、中央も地方も同じように加入脱退の自主性は尊重するという明確な表現をされた方がよかつたのではないかと思うわけであります。その点はどうですか。
  114. 小倉武一

    ○小倉政府委員 村々の協同組合あるいは県の協同組合が県の中央会に入ることと、全国中央会に入ることと、それぞれ別々に任意選択できるということでございますと、中央会の組織がやはり、支離滅裂ということは言い過ぎでございますが、脈絡一貫しないということになろうかと思うのであります。特に全国中央会に入る県の協同組合が県の中央会に入ります。今度は県の中央会だけが全国中央会に入るといつたようなことになつて、それでよいということも考えられますけれども、それでは村のじかの協同組合の意向なり利益なりが、必ずしも全国中央会の仕事なり運営に反映しないというおそれがございますから、どうしてもやはり県の中央会に入ると同時に全国中央会に入るということが必要でないかと思うのであります。それからそれを自由にするということになりますと、場合によつて全国中央会だけがいたずらに強大になる。県は入らないで全国だけ入る、あるいは逆なことになれば、さつき言つたように、県の中央会は強くなるけれども全国の中央会は弱くなるとか、あるいは全国中央会が強くなつて、県の中央会が弱くなるというような関係が生ずるのではないかというふうにおそれているのでありますが、現在県の指導連、全信連の活動が必ずしも十分所期の成果を上げていないということも、そういう組織上の問題がやはり一つの原因になつておる、こういうふうにわれわれ見ておつたのでございます。そういう欠陥を是正する意味合いにおきましても、今申しましたようなことをする方が、ちよつと二重加入といつた印象を受けて、はなはだまずいのでありますけれども、それは二つ別のものというふうに考えずに、府県の中央会と全国中央会とが合さつて、全体の一つの中央会だというふうに理解すれば、その辺は納得が行くのではないか、かように存ずるのであります。
  115. 井手以誠

    ○井手委員 芳賀委員の質問されておる当然加入の矛盾、疑義について私も同様な感を抱くのであります。そこでお尋ねいたしますが、先刻金子提案者は、当然加入については当局の意向を尊重しておるというお言葉を漏らされたのであります。本意ではないが、農林省がそういう意向であるからというふうに私は受取つたのであります。そこで農林省の方にお尋ねいたしますが、当然加入をしなければならないという考え方には、そうしなくては補助金が出しにくいということがありはせぬかと思うのであります。その点についてひとつ小倉局長のお考えを承つておきたいと思う次第であります。私先刻来の質疑応答を聞いておりますと、強制加入でなくては補助金が出せないというような意味に受取れたのであります。任意加入でも出せるものであるか、その点の方針を承つておきたいと思います。
  116. 小倉武一

    ○小倉政府委員 当然加入ということと助成ということとは、直接の関連があるというふうには考えませんけれども、先ほども補助金のときにいろいろ議論がございましたように、今回の中央会の補助金というものが、なぜ法律基礎をもつて交付されることになつておるかと申しますと、中央会が協同組合全般のための公共的な仕事をするということに、やはり基礎があろうかと思うのであります。そうしますと、普通の協同組合、事業をやる協同組合ももちろん公益的なものでございますけれども、今回考えられる中央会のような公共的な色彩よりは薄いということになろうかと思うのでありますが、その公共性の現われが御指摘の当然加入ということになつておるというふうに私ども考えておるのであります。ただ当然加入と申しましても、いわゆる当然加入は、この中央会では大分違つておるのじやないかと思うのであります。府県の中央会に入るということは任意でございますので、その任意に入つた法律上の効果として、全国中央会に当然入るということでございまして、やはりそこに自由意思が相当尊重されておるのでございます。これまで言われた当然加入と自由加入のちようど中間みたいなかつこうになつておりまして、その辺も単協の意思を尊重すると同時に、中央会の公共的な色彩をそこに出しておる、こういう関係になつておると思うのであります。
  117. 井手以誠

    ○井手委員 金子提案者にお尋ねいたしますが、ただいまの小倉局長の御答弁によりますと、はつきりしたことではないけれども、当然加入でなくては補助金が出しにくいということでございます。いろいろそのあとであやのあることはありましたけれども、結局筋を申しますと、補助金を出すには当然加入でなくてはぐあいが悪いということでございます。提案者も心ならずも補助金をもらうために、補助金を払う規定を入れるために、当然加入の文句を挿入した、こういうことでございますか。
  118. 金子與重郎

    金子委員 当然加入でなければ補助金をもらえないとか、あるいはもらえるとかいう割切つた考え方、それを百パーセント割切ることは不可能でありますけれども、しかしながらこの中央会というものの仕事が、国全体に機会均等に及ぼせるのだという形態の方が、国費を要求する上の当然の考え方だ。かりにこの法律ができましても、全国のまだ半分なり三分の一しか加入していないということになりますと、その中央会に出しました助成というものは、すなわち仕事に対する助成と私は考えておりますので、その仕事というものは三分の一なり半分しか及ばないということであると、組合全体の助成をするにふさわしくないという見方がそこに出て来る。そこに若干割切れない疑問があつても、当然加入というものが、その組合なり、その組合の利害に対して非常な大きな束縛なり、支障を与える場合であればこれは別といたしまして、この中央会のような場合にはそれほどの問題はない。その組合の形には根本的に経済上影響のあるような程度の問題でない。負担金が多くて、組合に加入せしめるためにその組合がつぶれる。そういう程度のものでないとすれば、当然加入に対する弊というものは他の場合よりも少いのじやないか。そんなら助成を要求する上にも、また全体的にこの中央会の事業を徹底させるという上からいつても、これは当然加入にすることも一つ考え方である。こういうことを考えたわけであります。
  119. 井手以誠

    ○井手委員 当然加入の規定を設けられた趣旨については了解いたします。しかし私が申すまでもなく、自由の原則に農協が立つておることは御承知通りであります。自由の原則のもとに立つておる農協に、強制加入をしてまで補助金をもらうということの解釈については、私は検討すべき必要がありはせぬかと思うのであります。この補助金を提案者はどのくらい将来予定しておるか。むし先刻おつしやつたように、当然政府が見なければならぬという事業でありますならば、私は、補助金については、もちろんこれこれの額はすべきであるという義務規定を設くべきである、そういう立場であればもう一歩進むべきであるという考えを持つておるのであります。そのことは別にいたしまして、補助金を交付することができるということであれば、その金額は官僚に支配される。こういうことになりますれば、将来補助金を通じて、よく言われる官僚支配ということが予想される。運用にもよりましようが、一応その点を考えておかなければならぬということと、自由の原則を破棄してまで強制加入しなければならないという特殊事情について、やはり提案者は、それでも当然加入がよろしいというお考えでありますか。その点を承りたい。
  120. 金子與重郎

    金子委員 自由の原則というものに対して、私は協同組合の現段階の法規と将来の理想といたしまして、この協同組合の加入脱退の自由、ひいては設立、解散の自由、これは私は大切なことであると思うことは、あなたと同感であります。しかしながら一面から見ると、この自由の原則だけにとらわれておることは、今後の協同組合の運営の上に非常な問題が出て来るのではないか。と申しますのは、今協同組合が長期の資金を獲得するために、あるいは農村経済の自主化のために、共済事業というものを相当な圧力の中でもこれをなし遂げようとする。しかもこれは十数年前に私どもがやろうとしたとき、あるいは大蔵省なり、あるいは保険業界から一はたきはたかれて、そうして今の共栄火災のようなものを、営利会社の形においてやらなければならないというみじめな姿になつたのであります。そういう問題になつたときに、協同組合のイデオロギーから行くと、あくまで自由の原則の上に立ちたい。しかしながら加入脱退も自由である。解散も設立も自由であるということで、いつ解散になるかわからぬというような経済団体が、三十年、五十年、長期にわたるところの保険に類似の仕事をするということに対しては、相当の疑問も出て来る。これは一例でございますが、そういうような形からいつて、私は今ここで答弁の立場に立ちしても、決して欺瞞は申し上げません。それは理論的に、人によつていろいろな考え方があります。しかしながら私は、私としてここで信念的に考えておることを申し上げ、もし今後において間違いがあるならば、いつでも御指摘つて研究して行きたい、こう考えておりますが、協同組合の自由の立場における原則というものに対して、ただいま御質問趣旨と原則的にはまつたく私ども同感であります。しかしながら、それをあらゆる場合にその一点張りでやりましたときに、どういう結果が来るか、こういうことを考えましたときに、これは単なるイデオロギーだけでなしに、現実とにらみ合した一つの線を持たなければならぬじやないだろうかという疑問も、今持つておるわけであります。
  121. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農協の持つ固有の自主性というものは、ただ単に観念論だけで自分たちもこれを取上げておるわけではないのであります。先ほど小倉局長も言われた通り、この法案一つの強制的な加入の形をとらしているけれども、実質的にはこれはやはり任意性を認めておるわけなんです。ですから有権的にしばりつけるということはできぬのです。だからそういう場合においては、府県段階で自由に入つたり、脱退したりするということは、すなわち全国の段階においてもその通りなんでありまして、だから地方の段階においても加入、脱退の任意なる意思を尊重するということで行けば、それはそのまま全国の段階まですなおに伸ばしておいても、結果的には何らかわりがないと思うのです。しかも客観情勢は、こういうような法律ができなくても、政府の助成等を仰がなくとも、協同組合全国、地方におけるところの指導組織というものは改変して、やはり自主的に機能が発揮できるような組織形態にしなければならぬという、そういう機運までも強く盛り上つておる場合において、この法律において中央における加入の強制を何か間違つて感じさせるような形というものは、これは避けられた方がいいのではないかというふうに考えられるわけであります。自然的に都道府県における中央会あるいは全国段階の中央会の存立が必要であるということを感じた場合においてのみ加入するのであつて、そういう協同組合の自主的な意思を尊重する場合においては、都道府県の中央会に加入する協同組合というものは、かかる法律規定がなくても、当然すなおなる気持で中央段階のこの組織に加入することが可能であると思いますし、かかる状態に持つて行くところに、初めてこの中央会をつくる本来的な意義と目的があるというふうに感ぜられるわけでありますが、そのような点は、これは具体的な今後の効果的な問題とか運用の面から考えても、もう一考される必要が多分にあるのではないかと思いますが、提案者におかれては、やはりかかる形態の方があくまでも正しい、現実的であるというような考えを一貫されておるかどうかであります。
  122. 金子與重郎

    金子委員 その問題につきましては、今弱体な指導連というものが実際は解散して、新しい中央会ができるということになるようなものの、実際は焼き直しという形になつて行くとすれば、今の弱い全国段階のものを比較的短期間に全国統一ある一つの指導組織の体系をつくるということから参りますと、一応その方が現実的だ、こう考えております。またこれに対しては、全国段階においても県段階においても、自主的に今これをやろうという意図、盛上りが起つておることは事実であります。しかしながらその盛上り自体も、その内面においては、いつかはこういうものが法的にできるだろう、そのできることを予測しての自主性を持つた今の立上りであつて法律ができるかできないか、全然期待しないでの問題ではない、こう私は考えております。そういう意味におきまして、この問題につきましては、理想は別といたしまして、現実的にはその方が効果的である。また国家から一つの制度に近い形としてもつて行くのにも、何箇年計画で、全国加入というような形でない方が、的確に手取り早くこの問題の目的に突入できる、こういうふうに考えております。
  123. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して。金子提案者にお尋ねしたいのですが、私どもが聞くというと、君の方はイデオロギー的で、おれの方は現実的だということで、答弁をのがれるわけではありませんが、そういう信念を持つておられると思います。ところが私の方から言うと、逆にむしろとらわれた現実であつて、むしろ現実を見ない面があるのではないかという感じがいたすのであります。というのは、一つの例ですが、いや例でなく現実の問題ですが、たとえば中央会から脱退すると、すぐ全国団体に強制加入しなければならぬ、だから脱退する理由もないではないか、これは現実にあると思う。だから中央会の加入自由を認め、脱退自由を認めておくということになれば、すぐ全国団体に強制加入させられるということになりますれば、何も現実的には中央会に入らない。中央に加入させられるやつは別に脱退することも何もいらない。また地方も強制加入であつてもいいはずだ。現実はそうだと思う。こつちから県段階の中央会から脱けたら全国的の方に入らなければならぬということでしよう。結局脱ければ入らなければならぬから、脱ける必要がなくなつて来る。その点どうも現実的現実的と言われますけれども、地方団体はイデオロギーで自由加入だ、この方は強制加入だ。むしろとらわれてるんじやないかという感じがする。決してつつつく意味じやないが、現実的というのはかえつておかしいんじやないかと思いますが、どうですか。
  124. 金子與重郎

    金子委員 その点は見解ですから、私は今の法律でいいと思います。それから二重加入の問題は、これは今始まつた問題でなしに、過去においても中央金庫に対する加入、あるいは全購連に対する加入ということも、あながち一本加入だけでなしに、あれもほんとうからいえば、系統機関である以上は、全購連に直接加入せぬでも、県段階のものに加入し、その連合会自体に加入することによつて足りるのでありますけれども、そういうような二重加入の例もあるのであります。それでそのことにつきましては、これ以上申し上げても、これは見解の相違でありますから御判断にまつよりほかないと思います。
  125. 川俣清音

    ○川俣委員 私はイデオロギーとか意見を述べてるんじやないのです。加入、脱退が自由だということと、脱退すれば中央会に強制加入しなければならないとすれば、現実的にそういうことは起らないのじやないか。現実に起る起ると言われますが、起らないんじやないか。一体そういう事態が千に一つ、万に一つあるということ、起り得るという仮想はできると思います。けれども、実際は起らないんじやないか、こつちから出たら片つ方に強制加入されるのだつたら、あえて脱退する必要がないんじやないかという問題が出て来る。現実はそうじやないかと私は聞いてるんです。現実をよく知つておられる金子さんにお聞きしてるんです。決してイデオロギーを争うわけではない。意見は別に述べる機会がありますから言いませんが、そういう事態がないんじやないかとお尋ねしてるんです。
  126. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ちよつと川俣議員の御質問中に、法案趣旨とちよつと違つてる点があるのじやないかと思うのでありますが、この法案は、全国中央会に強制加入させるという趣旨ではないのです。これは前の政府提案と同じですから申し上げるのですが、県の中央会に入るということは自由なんです。入れば全国中央会に当然加入になるということでありまして、県の中央会を脱退すれば全国中央会も脱退することになる。そこで単協の意思はまつたく問わないで、全国中央会へ加入させるということではないのでございます。法律上の効果として、県の中央会に入る入らぬは自由であるけれども、入れば全国中央会に当然加入になる。そういう意味で当然加入、こういうようにおつしやつてつたのでございまして、その点だけ申し上げておきます。
  127. 川俣清音

    ○川俣委員 ちよつと私は誤解を受けるような質問をいたしたのですが、中央会に脱退自由ということは、一つの方に自由という原則を必ずしも言うわけじやなくて、もしもそういう原則があることになると、一つは抜けるけれども、もう一つは抜けたくないということに制限を受けることは、やはり抜けさせるという結果になる、そういうことを認めるということになりはせぬか、こういう意味で申し上げたのであります。
  128. 金子與重郎

    金子委員 その点は再三お答えした通りでありまして、本来ならばこの中央会の性格というものは、協同組合法の外へ出してもいいということを、個人的に私は考えておる問題であります。しかしながらこれが原案としてここまで突き上げられて来ておる。だからこの際協同組合の中でやるとするならば、そういう無理があるということを率直に申し上げておるわけでございます。
  129. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この当然加入の問題は、率直に申しまして、一つ何か暗い影が伴つておるように考えるのです。その影に何か全体主義的な考えはないとしても、そういうものが看取されるというようなことは、これはマイナスになるのじやないかというように考えるわけです。金子委員も言われたように、当然地方段階における加入脱退は自由ですから、そこで会員の加入脱退はいずれにせよ選択できるわけであります。ただ問題は、地方の中央会へ入ろうとする場合において、やはり加入したいという意欲があつて初めて加入するのでありますし、協同組合というものは、有権的に拘束するということよりも、利害の共通したものたちが、一つの約束の上において物事をやるということの方が、重要だと考えるわけであります。だから地方の段階において中央会に加入しなければならぬという意思が決定された場合においては、かかる強制加入の規定を設けなくても、地方に入ることは、すなわち全国中央会にも入らなければ完全な運営までこの機構が伸びて行かないということになりますので、当然私はかかる規定がなくても加入すると思うのであります。このことは、産業組合時代から、中央金庫とかあるいは全国の連合会等に対しても、やはり複数加入のような形で、単位協同組合は加入しておる既存の例があるわけであります。だからことさらにここに誤解を招くような規定を設けなくても、結果的にはそれほどこの条項は重要なものでないということを指摘したいのと、もう一つは、こういうことにしておくと、とかく中央会の運営の衝に当つておる人たちが、非常に安易な気持に堕しやすいと思うのであります。やはり一つ批判を与える機会を持つた場合においては、緊張して——全指連とか、あるいは地方における指導連の自信と信頼を失つた経緯もありますので、相当今度は緊張してやらなければならぬわけでありますが、全国中央会の場合においては、のんびりしておつても、都道府県の中央会に入つた協同組合は、当然この傘下に入つて来るのだからという安易感はどうしても持ちやすいと私は考えるのであります。だからそういう場合において、正会員が組織に対する痛烈な批判を行うということも、これは形はかわつておりますけれども、協力の姿であるというように私は考えるのであります。そういう具体的な問題を考えた場合においては、かかる規定というものは、それほどの重要性とプラスになる面というものは、案外やつてみると少いのじやないかというふうに考えて、この点を繰返し繰返しただしておるわけでありますが、これはやはりすなおに加入脱退の任意性というものを認めながら、全国にも地方の中央会にも当然のこととして加入できるような機運を醸成さるべきじやないかというふうに考えるわけであります。提案者自身の御意思は理解されるわけでありますが、昨年の原案をつくつた政府当局においては、やはりこれに対する責任のある答弁を願つておきたいのでありますし、特に補助金を交付させるための一つの便法としてかかる形態をつくらしておるのでないということを言われましたが、ほんとうにそうであれば、その点をさらに確認さしていただきたいのであります。あくまでも協同組合の自由なる姿が尊重されて、たとえば中央会ができても、都道府県中央会に加入する単位協同組合が五〇%しかないという場合においても、全国中央会に対しては当然これは補助をしなければならぬという一つの代行的な機関と見なして、そのような取扱いをするのか、あまりにやせ衰えた、期待に沿わぬ中央会であるから、考え方を新たにするというようなことであるか、それらの点を重ねてお伺いしておきたいのであります。
  130. 小倉武一

    ○小倉政府委員 補助をしておるために半分強制加入させるということではないのであります。中央会の仕事が中央、地方一体になつて円滑に推進し得られるようにという趣旨で、かような規定を設けておるのでございます。それからどの程度のものが加入するかというような御質問もございましたが、これは私ども法案が成立いたしますれば、全国のほとんど全部の有力な協同組合は中央会に加入するものだ、こういうふうに期待をいたしておるわけでございます。
  131. 中澤茂一

    ○中澤委員 これは当初この案が出たときに、二重加入の問題はどこの県でも問題になつた点ですが、これは小倉さんに聞いておくのですが、目途は一体どこにあるのかということです。どういうことでこういうふうにやつたか。この案が最初に出たときに、全国で問題の一番中心点はこれだつた。一体何の目的で、目途がどこにあつて、こうやらなければいけなかつたかということを、あなたから聞いておきたいのです。
  132. 小倉武一

    ○小倉政府委員 中央会というこの構想と申しますか、あるいは相互指導組織と申しますか、これは中央会という言葉で現わされているもの、あるいは相互指導組織という言葉で現わされておるものは、これは法律上の形式は別といたしまして、全国一体というような形で、強い観念を内蔵しておつたものだと私は思うのであります。もしそれを法律制度として現わせば、全国一つ団体従つて一つの法人ということになるのであります。しかしそれでは全国の事務所が東京にありまして、各府県には支所、出張所ということになりまして、各府県の協同組合の要望を十分に反映するには非常に遠いことになりまして、やはり地方は地方なりにある程度独立した形が必要である。それを法律に現わせば、やはり独立の法人にするということになります。そういたしますと、全国の中央会と府県の中央会とが全然別の法人になる。法制の上では全然別でありますので、これは特別の指揮命令といつたようなことを考えれば別でございますけれども、そうでなければ、ただ会員としてそこに関係を持つというだけでございまして、全国中央会と県の中央会が一体となつて活動をするというところは出て来ないのであります。現在指導連の系統組織において活動がうまく行かないという点も、実はそういう組織上の問題があつたのではないかというように反省されておるのでありまして、そこを考えまして、全国一体の活動全国一体の組織という実感を表わすと同時に、また地方は地方で自主性を持つておるのだということを表わす、こういうことのためにこういう法律のかつこうになつたということであります。
  133. 中澤茂一

    ○中澤委員 いま一点。こういうことは逆な場合は考えられないのですか。たとえば中央会が今度監査なり経営の指導をやる。人員がうんとふえて来ると、国の補助が思うように来なくなる。そういう場合に、単協に中央会、全国中央会が分担金をかけるという場合も将来あり得るかもしれない。そうなつて来ると、県のものさえ負担するのがなかなかたいへんなのに、今度中央会で会費の負担をさせる、たとえ一年に五千円でも一万円でも負担させる。そうすると中央会をのけんがためにあるいはそういう手が出て来る危険性があると思うのですが、その点についての見通しはどうですか。絶対単協から全国中央会が予算を立つて分担金をもろうとすることはあり得ないのですか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  134. 小倉武一

    ○小倉政府委員 その点は法案には全然触れておりませんようであります。政府案におきましても、その点は触れておらなかつたのであります。それは私ども政府案のときの考え方で申しますと、府県は府県、全国全国、それでもつてそれぞれ中央会が別途に会員たる単協に分担金を課するという考え方はいたしておりませんでした。組織上は法人として別個でありますが、加入関係でもつて一体となつておりますので、分担金も県中央会が中心になりまして、県の中央会から全国中央会に分担すべきものを一緒に単協が県の中央会に出して、それから全国中央会に出す、こういつた考え方をしておつたのであります。これはもちろん中央会の運営自体の問題でございまして、法律の問題でございませんけれどもどもはできれば、そういうふうに中央会ができたあかつきに運用されたならばどうか、こういうような考え方をいたしておるのであります。
  135. 井出一太郎

    ○井出委員長 この際委員長から申し上げます。芳賀委員の御質問は、あと一、二問で終るそうであります。そこでもうしばらくごしんぼう願いまして、芳賀委員の質問が終りましてから約一時間夕食のために休憩をいたしまして、そのあと続行したいと考えます。
  136. 芳賀貢

    ○芳賀委員 委員長に申し上げますが、私の一、二問と言つたのは、加入脱退の問題に対しては、いま一、二問お尋ねすれば切りがつくというように申し上げたので、絶対に質問はいつ果てるともわからぬわけであります。それでただいま小倉局長が申されましたが、全国中央会に対する当然加入の問題は、それほど補助金を支出する場合の一つ条件として重要視しておらぬと言われましたが、そういうことになりますとたとえばかかる条文がなくて、かかる形態をとらなくても、当然国は中央会等に対して補助金を出すのだということとこれは通じておると思いますが、そのように解釈してさしつかえありませんか。
  137. 小倉武一

    ○小倉政府委員 これはもちろん法律制度の関係でございますので、直接補助金を出す、出さぬということは関係ございませんが、要するに国が中央会をして公益的にやつていただくために補助金を出すという場合には、やはり有力なものができなくては困るわけであります。有力なものができるということであればそれでけつこうでございますが、法律の制度の上からも有力なものができそうでということが何人にもわかる方がよりいいということだけのことであります。
  138. 芳賀貢

    ○芳賀委員 どうもあいまいに考えるわけですが、この規定がもしなくても、全然こういうことが打出されておらなくても今までの小倉局長の御答弁によると、当然国は補助金を出すのだということを裏づけされたようでありますが、今の御答弁によるとやはりそれでは困るというようなことになつて来るわけですが、その点はどうなんですか。今まではそれほど重要なものではない、ただ問題は強大なものになることを期待するという点にかかつておると思いますが、これは一つの方法論の問題であつて、当然加入の制度をとる場合においても、ある場合には形の上においては期待が出て来るかもしれませんし、もう一つは実質的に自主性の中からそれ以上の期待が生れて来ないということも断言することはできぬと思う。だからこういうような当然加入をさせるという規定がなくなつた場合においても、やはり既定の方針通り補助金等は出さるべきだと思いますが、その点をお尋ねしておきます。
  139. 小倉武一

    ○小倉政府委員 補助金の関係と直接に中央会の特別の加入関係規定を結びつけて考えるということは、私どもいたしておりません。ただ補助金が出せるということになるためには、中央会が全国協同組合の大方のもののために経営指導をし、事業の指導をし、あるいは教育するということでなくてはならぬわけでありますから、それは実体がそうであるとともにまた法律制度がそういう公益的な公共的な仕事をやるということと、またそれにふさわしい組織を持つておるということがやはり必要だろうと思うのであります。それが具体的に申しましてどういう点に現われておるか、この点目下一箇条、一箇条やつて行くのはむずかしい問題だと思いますが、一つ一つの条文の問題ではなくて、全体の規定またその規定に基いてでき上ります中央会の全体の運営がほぼそういつたようなことにでき上りますれば、十分資格がございます。一つ規定がどうかということではないかと思います。
  140. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私のお尋ねしているのは、本来このような組織形態というものは、別に国から補助とか助成をもらわなくてもやらなければならぬ組織なのです。それが出さなければならぬというところに弱さというものがあるわけです。出すためには一つの適格条件をつくらなければいかぬだろうという考え方で、提案者におかれても、これは不本意ながらこういうような条項をことさら加えられておるというように考えるわけです。そういう心配がないのだということになれば、何も協同組合一つの原則的なものをゆがめておるのではないかというような誤つた考え方を受けるような、こういう条文は必要がなくなる、安心が持てるというふうに考えお尋ねしておるわけでありますが、この点は平野さんいかがですか。こういうような条項がなくても、やはりあなたは尊重してやられますか。あなたは、絶えず提案者の意思を尊重してやるということを繰返し繰返し表明されておる。金子委員もここに何か自分自身割切れぬものを持つている。その割切れない心配というものは、そこに当然加入のようなことを規定しておかなければ国が補助金を出さぬだろうという杞憂からそれが出発するのであつて、何もそういうことは心配ないのだということを政府当局がはつきりすれば、この問題はそれほどここはこだわることはないということになると思うので、むしろこれは農林大臣から聞きたいのでありますが、農林大臣はこの法案が審議に入ると同時にこの委員会に姿を現わしておらぬのであります。こういうことは委員長から再三注意されておると思いますけれども、われわれも保利農林大臣に対して、それほどここへ出席してもらわなければならぬような期待は現在持つておらないのでありまして、重要視しておりませんけれども、次官の御所見を伺います。
  141. 平野三郎

    ○平野政府委員 当然加入の問題におきまする芳賀委員の御意見は十分敬意を払つて承る次第でございます。しかしながら政府としては提案者の御意見にまつたく同感でございまして、この理由につきましてはしばしば小倉政府委員よりお答えを申し上げた通りであります。
  142. 芳賀貢

    ○芳賀委員 提案者にお伺いいたしますが、平野政務次官は提案者の意見とまつたく同じであるという考えでありますが、金子委員は理想としては、質問をしておるわれわれの気持ちとまつたく同じだということを始終言われておるわけであります。政府当局においても、提案者の意思に無条件で同感するということが確認された場合においては、かかる誤解を生じやすいようなこの条項に対しては、それほどこだわらなくてもさしつかえないのではないかと私は思いますが……。
  143. 金子與重郎

    金子委員 これは何べんも申し上げておりますので、くどいようでありますが、これはかりに自覚によつて百パーセントの加入ができた、ないし百パーセントに近いものができたという場合は別といたしまして、自由な形にしてつくつてみたが、一年たつて半分しか加入ができなかつたとか、あるいは六割しかできなかつたというような場合が仮定としてできた場合には、その機関が国全体に及ぼす利害関係がないとすれば、助成の要求は当然やりにくくなるということは、私は当然だと思つております。それが国として、一部の人たちの利益に値する機関であるという場合には助成の要求がやりにくくなる、こういうふうに私たちは考えていることと、もう一つにはこの中央会の性格が、他の協同組合とまた別な性格もあり得るということ、この二つを考えたときに、政府が当初考え意見、あるいは全国の指導連、将来中央会になろうとする人たちの考え方を取入れることも、これは妥当である、こういうふうな結論になりまして原案のような形にしたわけであります。
  144. 芳賀貢

    ○芳賀委員 さらに、あと一問にとどめておきますが、先ほどから繰返して申し上げる通り、中央会の今後の存在価値というものは、結局この会員に与えるよりよき影響力と、会員の中央会に対する信頼感によつて消長が決せられると思うのであります。その場合においては、ことさらに権力的な形の中において、姿だけを、表面の形態だけを充実させようという考え方は、これはむだだと思うのです。離れようとすれば、何もわずかな補助金というものは、末端の協同組合まで流れて来るのではないかと思います。その場合において、経済行為を行う協同組合に対してどれだけプラスになるか、ならぬかということは、これは会員自身の判断によることと思うのであつて、そういうことを考えた場合においては、やはり会員であるその人格の自主性というものを貫いて尊重するという形の中から、中央会の今後の強大なる発展というものを期待する形の方が、一つの純粋性を保つことにもなるし、その方が将来性が非常に多いのではないかということを考えに入れて、私はこの問題をただしておつたわけでありますが、この程度で終ります。
  145. 井出一太郎

    ○井出委員長 暫時休憩いたします。     午後六時三十四分休憩      ————◇—————     午後八時三分開議
  146. 井出一太郎

    ○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  芳賀貢君の質疑を続行いたします。芳賀君。
  147. 芳賀貢

    ○芳賀委員 会議が夜間に及んでおりまして、特に提案者であるところの金子委員におかれては、病後でまだ十分でありませんので、非常にお疲れのように察せられるので、努めて問題点を要約して残余の質問を進めたいと思いますが、特に委員長におかれましては、私は問題を協同組合法の改正点だけに区切つて農業委員会法質疑はまだ相当の時間を要しますので、これは明日行わしていただきたいことを御了承願つておきたいと思うのであります。  先ほどは中央会に対する加入脱退の問題に対しまして質問をしたわけでありますが、一応この問題は、大体提案者の御意思のほどは了承できたわけでありますが、残された問題は中央会の負担の区分の問題であります。これは全国中央会におきましては、政府の補助金、さらに当然のこととして会員から経費の徴収を行うようなことになると思うわけでありますが、その場合において、単位協同組合は原則として都道府県中央会に加入し、さらに当然加入として全国中央会に加入するわけでありますが、かかる単位協同組合は地方と中央の両方の中央会に同じような責任を持つて負担に応じなければならぬかということが問題になつて来るわけでありますが、かかる点に対しましては、提案者はいかようにお考えになりますか。
  148. 金子與重郎

    金子委員 この単位協同組合が県中と国の中央会に二重加入の結果になるので、そこで当然起つて来る問題として、経費を課することができるということ以上この法律に書いてありませんので、この運営上、二重加入が二重負担をするようになりはせぬかという杞憂はあるのでございますが、これは今後定款その他運営上の問題になると思いますが、提案者の考え方といたしましては、この二重に加入するというのが、一つは、こういうふうな事業機関というよりか、むしろ指導機関というような立場にありますので、たとえば県の中央会なら中央会というものが、ある単位組合の経理の問題に対して問題が起つたときに、国の中央会の職員が各県に駐在の形をとることもあるかもしれない。またそれらのものと県中とが合わさつて、単位組合の指導なり監査に入る場合もあるだろう、そういう点からいつても、やはり二重加入の形にはなるが、その方が会員の指導、監査をするという点から行くと筋が通る、こういう別な面もあるのであります。しかしながら、だからといつて経費の負担というものを、一番とりやすい、数の多い組合にかけるということは、これは弊害があると私は思いますので、経費負担のやり方につきましては、単位組合は県連にのみ負担する、そうして県連は単位組合の代表として県連自体が一本にして、そうして県連が中央会の経費として徴収した中から、その一部を全国中央会に負担金として納める、こういう二段経理に行きたい、こういう考え方を持つております。
  149. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと、単位協同組合は、都道府県中央会と同じように、全国中央会に対しては会員の資格は平等に持つておるけれども、経費の分担等に対しては、直接は負担しなくてもよい。そういたしますと、もしかりに全中が経営上の不手ぎわ等によつて損失等が生ずるということもあり得ると思いますが、そういう場合においては、当然これは会員のことごとくが、生じた損失等に対しては責任を負うというのが建前であるというふうにも考えておりますが、そのような事態が生じた場合においても、今言われたような建前の上において処理されることになるのですか。
  150. 金子與重郎

    金子委員 建前としてはそういうふうに考えております。
  151. 芳賀貢

    ○芳賀委員 提案者も御承知と思いますが、現在における全国の単位協同組合の系統機関に対する負担というものは、相当重圧化されていると考えるのであります。信連にいたしましても、経済連にいたしましても、毎年のごとく出資の増口等を行わなければ、一定条件の資格が具備しないという名のもとに、系統機関の高度の利用というものはほとんどできないということになつておりますし、さらに系統外団体等に対する負担というものも決して少くはないのであります。そういうような情勢の中におきましても、単位協同組合はあくまでも協同組合として、しかも協同組合を形成する農民利益を守る経済的な団体という基礎的な意識の上に立つてがんばつているというのが実情であると思うわけでありますが、あまりに系統機関、あるいはこの中央会のごとき団体等に対する経費が非常に重加するということは、その反面において、構成員であるところの農家に対しては奉仕する面が少くなるような事態がないとは限らぬわけでありまして、もとより中央会の行う事業というものは、単位協同組合あるいは個人の組合員等に対して、直接的に経済的な利益を提供するということにはならないといたしましても、間接的に、有機的にその効果をもたらすという実証があがつて来なければならぬというふうに考えるわけであります。そういう点に対しましては、これらの中央会の運営というものは、あくまでも確固たる指針のもとに行われなければならぬと思いますが、基本的な性格を中央会の中に確立することの重要性は、具体的にどのような形において打立てて行かれる所存であるか、その点をお伺いします。
  152. 金子與重郎

    金子委員 前段のお話にありました、最近の農業団体——ひとり協同組合ばかりではありませんが、協同組合においても、各種連合会の濫立と自己の非能率的な運営に対して反省を行わないで、結局は常にその負担のしわ寄せを末端の組合に持つて行つてしまう、そういう状態にあることに対しましては、提案者もまつたく同感であります。従つてこの中央会が運営されたときに、はたしてどうなるかということでありますが、かりにこの法律が通つたとして、その後におけるこの中央会の運営の一つの構想として私が考えておる点を、参考までに次に申し上げたいと思います。  この構想につきましては、およそ県の場合をとつてみたときに、県の中央会において、国の中央会から金なりあるいは人間なりの形において援助を受けるものと、県自体の自治体から補助をもらうものと、もう一つはその県にある連合会の負担金、大体においてこれだけを内需にまわしますと、十ないし十五くらいの組合を単位とするいわゆる一郡に一人くらいの駐在員は監査のために置ける。そこでかりにその十五の組合に対して一人の指導員というものが置けたとする。そうしますとその指導員の経費というものは、さいぜん申し上げたように、国の関係から来るものと、その県自体の自治体から受ける補助金と、もう一つは県の連合体が納める負担金と、これだけでそのくらいの態勢はとれるだろう、これならば何も無謀な計画ではない、最小限度そのくらいのものはとれるということを予想しております。そうなりますと、それに対する指導補助員というような形において、昔の言葉で言うならば郡部会に、そういう者が一人ずつ上から駐在する。そうすると、その指導員としての職員がかりに十五の単位組合の区域に一人あつたとし、それに三人の補助員を入れたとするならば、それで合計四人の指導者ができる。そうすると、その一人は町村分担をしないで、かりに三人としても、一人が五つの組合を受持てる。五つの組合を受持てば、最小限度一週間に一日はその組合の経理状況を見ることができる。また経営の相談にも来ることができる。そういう場合に、今度は負担の方はどうするかというと、十五の組合で三人ですから五つの組合で一人分の俸給を出す。そうしますと、かりに一人の人件費の五分の一を単位組合が郡部会の経費として出すというようなことだけで大体足りるじやないか。そうしてもし今の単位組合の経営の中に、そうした指導者なりあるいは援助してくれる機関が、一週間に一日ずつ必ず責任をもつて来てくれるということになれば、指導というかむしろお手伝いというような形になるのではないか。これはむしろ単位組合から喜ばれる。一人の人件費の五分の一を出して、一週間に一ぺんずつ帳簿の手伝いに来てくれる人があれば、組合長は喜んで負担する。また経済的にも引合う。こういうふうな実利的な面からも、私は一つの想像のもとにそういう程度の構想を持つておるわけであります。
  153. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの御答弁に関連するわけでありますが、今度のこの組織の形態は、全国、都道府県段階までありますが、現在全国的には、内地府県においては郡連といいますか、北海道等においては地区生産連のごとき形態があるわけであります。この法律の中においては、そのような郡段階、地区段階において、事業を行う連合会等に対していかにするかということの明確さを欠いておるわけであります。先刻の提案者の御発言の中にも、截然たる系統立つたものにするためには、中央会、交会、部会というような組織形態を整えることが最も効果的であるということを言われましたけれども、今の御構想のようなことを実際に現実化する場合においては、必然的にこの地区段階における事業体をどうするかという問題にぶつかつて来るわけであります。またそれらの既存の形態を最高度に活用するところに、初めてこの中央会の運営の妙が発揮されると思うわけでありますが、これらの運営上の問題に対しては、いかなるお考えを持つておりますか。
  154. 金子與重郎

    金子委員 この法案は、さいぜんも申し上げた通り、四囲のいろいろの状況や時間的な制約がありまして、一応去年の政府原案というものの最大公約数をのんでかかつておりますが、この中央会の姿をまつたく新しく起草するとするならば、提案者としては、ただいま芳賀委員のおつしやるように、この全中なりあるいは県中というものが、ほんとうに単位組合の経営上実効をあげて感謝されるような中央会になるか、あるいは経費のむだ食いというそしりを受けるような中央会になるか、このわかれ目は、最末端にいかにしてつながるかということが一番重要なかぎだと思うのであります。その点は芳賀委員のおつしやることと私まつたく同感であります。従つて北海道におけるいわゆる地区であるとか、内地にすると郡ブロツクであるとかいうものと、それからその先につながる組合との関連性をしつかり持つことが、先ほど申し上げるように、中央会が無用の長物視されるか、まつたく感謝される機関になるかという重要なかぎでありますので、この問題は法律にできておりませんけれども、さいぜん申し上げるような構想のもとに、この規約なり今後の運営なりを政府にやらしたい、こういう考え方でおるわけであります。
  155. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお伺いしたい点は、昨年の団体再編成の場合においては、農業委員会の改正の中で、現在の町村の農業委員会における二名の書記のうち、一名は技術員の資格を与えて、これを農業協同組合に駐在させるというような形がとられておつたのが、今度の改正案の中においては、農業委員会法の中でもこれをうたつておらぬわけであります。それで、この町村協同組合の生産面における事業というものは、今日の現状では、協同組合自身でこれを十分やり得るという力はないのであります。そういう場合において欠除しておる点は、町村農協の生産面に対する活動の積極化というような点に対しましては、今度の法律の改正の中にも、一つの公益的な食糧増産と申しますか、そういう面等に対しても、国家的に何らかの考慮が払われる必要があるというふうにも考えられますし、協同組合の健全なる基礎の確立ということは、末端農協の基礎が確立されるというところから出発して行くことが一番賢明であると思いますので、昨年の改正案と比較いたしまして、今回はそれらのものが全然見受けることができないという点に対しまして、提案者はどのようなお考えを持つておられますか。
  156. 金子與重郎

    金子委員 昨年の農業委員会の改正案の中に、書記二名のうち一名を技術員というように銘打つて、そうしてその技術員を協同組合に駐在させるというようなこと、これは法律にはありません、ただ説明としてあつたのでありますが、そういうような不明確な、よそから給金をもらつてお手伝いをするというような者が、一体どういうふうな働きができるかということに対して、全然これは私としては自信がありませんので、そういうやり方に対してははつきりと反対すると同時に、農業委員会が新しく技術員の指導機関としての体系を整える、こういうことに対しては、提案者としては当時反対したのであります。なぜならば、今農村の技術指導体系というものが、改良普及事業をやる普及員を主体にしておる。しかしながらこの普及員のあり方についても、まだまだ農民立場から見たときに、いろいろの非難や要望もあるのでありまして、軌道に乗つておらない。今御指摘のような協同組合の技術員も、今の協同組合経済行為の中から、生産指導という直接の経済というか、間接の利潤をもたらすような、そういう職員を置くだけの経済的なゆとりがなかなか困難である。一方養蚕とかあるいは特殊産業においては、また別個な技術員が出ておる。そういうふうにまちまちであり、しかもどれもが軌道に安定して乗つていない上に、また農業委員会に技術員を置いて、これがまた全国に一気に何万という技術員を持つたならば、その体系を直そうと思つても、一旦つくつてしまうと、農民のために必要でなくて、それらの人たちの生活権擁護のためにどうにもならなくなる。そのときには農民のために制度を直すのではなくて、その人を生かすための人権問題としてどうにも動かせない。こういうものはあだおろそかにつくるべき問題ではない。でありますからして、去年の農業委員会が技術指導体系を持つということに対しては、私ははつきり反対しております。ことしの提案にそれを抜きまして、そうして職員という字があるために、職員というのは技術員だつて職員だということになることを私は相当おそれております。将来いつの間にか政府がそういう焼き直しをやりはせぬかということを、率直に私はおそれております。しかしながら、これは監視して行くつもりです。もし職員という名前をつけたから、それで技術訓練して、また昔の系統農会のような考え方を持つとするならば、これは絶対に農村団体濫立であつて何ら効果がない。この問題は提案者といたしましても苦い経験を過去において——皆様方もそうだと思いますけれども、少し農村問題に長く携わつた人であるならば、指導と経済というようなものは別別だ、経済経済、技術指導は技術指導だというのがよく言われていることでありますけれども、実際問題として技術指導人というものが最後に何をやるか、必ず経済行為に手を出して来る。経済行為に手を出さなければいられないのであります。これはどの場合にもそうであります。だから経済行為を、単なる経済的な土台を持たない、出資であるとかあるいは貯金というような経済的な力を持たない指導団体経済行為をやるときには、当然これは資本力を持つておるところの資本主義的なものの出先的な商行為に移つて行く、こういう事実はいまさら説明申し上げるまでもなく、過去の苦い経験であります。従つて再びこういうことだけは繰返したくない。そういう点から行きますと、私の個人的な理想といたしましては、一応エージエントというものがあり、その下に協同組合——これは先ほど足鹿君が何かの機会にお話になつたようですが、メツセンジヤー・ボーイ的な形でもいいから、協同組合一つの技術員を置いて、そうして技術をやる者とそれから経済をやる者が、全然別な人格において行われたときに、必ず農村自体に相剋摩擦が来る、そういう相剋摩擦が農村発展のために何にも役に立たぬ、こういうことを強く考えますがゆえに、ことしは入れなかつたのであります。そうしてこの技術員問題については、技術員の問題として別な機会に、今のエージエントのあり方をどうするか、農業協同組合の技術員をどうするか、特殊産業における各種の技術員問題をどう統一して行くか、そういうどういう配置制度にするかということは、別な問題として考えたいというのが、提案者の意見であります。
  157. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの提案者の御発言によつて、今日行われようとする農業委員会の改正の中において、去年と異つた姿になつておりますけれども、今金子委員の指摘されたような、たとえば名称は職員というような擬装の陰に隠された実態というものは、農業委員会農政活動の広汎な領域を握る一面においては、農業生産の技術面の仕事までもやるというようなことに対する提案者の警戒心といいますか、深慮といいますか、そういうことを十分意識されておられるということに対しては、私は一応了承して行きたいと思うわけであります。  次にお伺いしたい点は、中央会の会議の成立の条件といいますか、会議を形成する場合の形態が、今度の法律によりますと、代議員制をひとしく全国においても都道府県段階においてもとつておるということでありますが、もちろん全国中央会の総会等をやる場合においては、都道府県中央会並びに中央会の正会員である協同組合が、同一の場所に参加して総会等を開くということは、これは至難であります。この点は了といたしますが、都道府県段階における中央会の総会を行う場合において、原則として代議員制をとらなければならぬという理由としては、その根拠を理解するに苦しむものでありますが、その点に対しまして御説明を伺いたいのであります。
  158. 金子與重郎

    金子委員 府県段階における中央会は原則として議員制にするということが、この原案に載つておるのでありますが、これも率直に申し上げますと、私の方の検討というものが、提案者として非常にそこつな話でありますけれども、この問題に対しては、もう少し弾力を持つべきだという考え方で率直に考えております。従つてこれは前に中澤委員からこの問題に対して、この討議に入る前にどうかというようなお話がありましたとき、私もそう思う、県段階においては総会をもつて原則とするというところまでは言つていませんでしたが、その県によつて自分の県ではそう大きい県ではないのだから、総会を原則にするという県は総会を原則にしたらいい、それから自分の県は総代会で行くよりほかないというようなところは総代会で行く、そのように修正することは私は賛成だ。それでその修正の案分も実は研究したわけであります。
  159. 芳賀貢

    ○芳賀委員 このことは単に中央会だけの問題ではなく、都道府県にあるところの各連合会の総会等にも影響を及ぼすものであると考えるわけであります。現在の都道府県の連合会等ては、必ず全体の組合が集まつて総会をやつておる。その総会を行うということにそれほどの支障はないというふうに考えておるわけでありますし、特に中央会の持つておる一つの本質的なものは、この中央会の行う事業内容等に対して、全体の組合員にあらゆる機会を通じて認識を深めさして行くということが必要になつて来ると思いますし、他の事業体の連合会等と違つて、端的な利害関係というものは、この中からそれほど出て来ないというふうに考えておるわけであります。一例といたしましては、北海道等においても、北海道一円を単位とするところの農業協同組合会議というような一つの形を持ちまして、そうして協同組合の運営を中心とする諸般の問題等、あらゆる意味における農政活動等もこの協同組合会議等を持つて処理して行くというのが実例であります。そういうことになりますと、あくまでも都道府県段階においては、各連合会と同じような形の、会員がことごとく出席できる総会ということが原則として守られることが妥当であるというふうに私は考えましたので、この点をただしたわけであります。  以上で主要なる点にわたるところの問題点は質疑を終るところまで来たわけでありますが、これ以上の質問等はむしろ提案された問題に対する私たちの意見の開陳、あるいは討論にわたるようなおそれもあるわけでありますから、その点は差控えたいと思います。  最後に申し上げたい点は、この協同組合法の改正をやる場合において、相当幅の広い改正でございますが、中には緊急を要する事態といたしまして、共済規程等を明確にして、連合会の段階においても明確に共済事業のみを行う連合会とするというようなことを規定いたしまして、これによつて、消極的ではあるけれども、大蔵省あたりから圧迫を受けておるところの、協同組合の行う共済事業というものは保険類似の事業であるということで、その圧迫に対する一つの抵抗としてのものであるというふうにも考えておるわけであります。これらの点に対しては、われわれとしてもかかる措置は当然必要であるというふうに考えておるわけでありますが、ただこの協同組合基礎的なものを確立する場合においては、質問の当初に申し上げた通り、町村における協同組合の部落協同体的な形を確立するということは、何としても先決であるというふうに私ども考えておるわけであります。この点に対しましては、提案者といたしましてもその必要性は痛切に感じておられるわけでありますが、かかる解明を行うことによつて、一層この法律改正が充実することになると思うわけであります。提案者におかれましては、その部落組織等の明確なる法制化等の問題に対しましては、時間的にどの程度の将来において、それらの残された問題に手を染められようとしておるかという点について、これは参考になる程度でありますが、お聞かせ願いたいと思います。
  160. 金子與重郎

    金子委員 ただいまの芳賀委員のお話につきましては、さいぜんも申し上げた通り提案者もまつたく同感であります。従つて協同組合の現行法というものが、何か人に押しつけられたような形の協同組合法であり、そうしてことに日本の農業の形態というものが外国の事情と大分違いまして、日本の農業者というもの自体が、ある地域においてその職業を選択したのではなくて、むしろ運命的にそこに自然発生しておる。そういうものが一つ地域の中で自然発生的にできておる農業経営状態になつておりまして、しかもその農業経営というものが商品生産としての企業価値を持たないものが多い。こういうような農村形態においては、どうしてもその地域的な協同体という性格を協同組合は持たなくてはいけない。組合員のための組合というだけよりも、むしろその地域農村地域経済機関だとこういうふうな性格も一緒に出て来べきものだ。そういう場合にこそ一つ経済役場のような形にも考えられる。そういつた場合に今度は部落という地域一つの協同体を末端の活動組織にすることでなければならない。そうしてそれらの法的な整備を提案者はどういうふうに考えるかということでありますが、これはひとり私だけの問題でなしに、おそらく日本農村問題を真剣に考えられる方々におきまして、現行の協同組合法が日本農村にぴつたりとしておるというふうな考え方を持たれる人は非常に少いと思います。従つて今後遅くも来年の通常国会ごろまでには、同志の皆様方と相談して、協同組合法の抜本的な改正をいたしまして、日本農村実情に適合するような協同組合制度をつくりたい、こういう希望を持つておる次第であります。
  161. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいま金子委員から、近い将来に抜本的な協同組合法の改正を行いたいということを述べられたわけでありますが、それは当然のことであるというふうに考えるわけであります。特に部落協同体の問題等にいたしましても、それは単に部落における組織形態の問題だけでなくて、最も重大な点は、農業協同組合のあり方をいかにするかというところに出発点があると考えるのであります。これは最近における協同組合の不振から発した問題でありますが、とかく協同組合の経営というものが経営主義に陥りやすいのであります。何か企業体的な感じから出て、そのような企業体としてこれを運営することが——たとえば役員になつても非常に手腕が卓越しておるというような間違つた評価をされる場合が多いわけであります。そういうことはまず農業協同組合があつてという前提の上に立つて協同組合の経営、協同組合の運営をいかにするかというところからそれは出発した観念でありまして、協同組合のあり方、協同組合を築き上げておるところの個々の組合員をどうするかという問題を没却しやすいと思うのであります。ここにこの法律の改正の中においても非常に重要な点が残されておるというふうに私どもは感じておるわけであります。でありますから質疑の当初から私が指摘したような点、たとえば総会における役員の選任制の問題にいたしましても、あるいは都道府県段階における代議員の制度にいたしましても、これはやはり端的な表現ではあるかもしれませんけれども、ある意味における経営主義を中心とした物の考え方に立つておるのではないか、そういう感じも受けやすいのでありますし、この点におきましては提案者御自身におかれましても、十分なる一つの自己反省をもつて、当面の改正をいかにするかという、物事を急ぐということの上に立つた処理のように考えられておりますので、この程度に私の質問はとどめておきたいと思います。
  162. 井出一太郎

    ○井出委員長 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  163. 井出一太郎

    ○井出委員長 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。     午後八時五十四分散会