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1954-05-12 第19回国会 衆議院 農林委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十二日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員   委員長 井出一太郎君    理事 小枝 一雄君 理事 綱島 正興君    理事 福田 喜東君 理事 金子與重郎君    理事 芳賀  貢君 理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    足立 篤郎君       遠藤 三郎君    佐藤善一郎君       寺島隆太郎君    松岡 俊三君       松山 義雄君    吉川 久衛君       足鹿  覺君    中澤 茂一君       中村 時雄君    安藤  覺君       河野 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      小倉 武一君         農林事務官         (農業改良局         長)      塩見友之助君         農林事務官         (畜産局長)  大坪 藤市君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部         長)      谷垣 專一君         農林事務官         (畜産局畜政課         長)      鵜川 益男君         農林事務官         (畜産局経済課         長)      昌谷  孝君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  酪農振興法案内閣提出第一五四号)  農民組合法案足鹿覺君外十二名提出衆法第  二五号)  農業委員会法の一部を改正する法律案小枝一  雄君外十六名提出衆法第二九号)  農業協同組合法の一部を改正する法律案金子  與重郎君外十六名提出衆法第三〇号)  暴風雪による農林被害調査のための委員派遣承  認申請に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  この際委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。昨日の委員会において取上げられた問題でありますが、北海道における暴風雪被害は、十勝沖地震以来の激甚なものであつた由でありますが、特に農林関係といたしましては、温冷床苗しろ等ほとんど全滅に近い状況であるとのことであります。つきましては、昨日の懇談会申合せ通り、これが対策を早急に樹立するため、議長承認を得て委員を現地に派遣して、その実情を調査せしめたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。  なお派遣委員の選定、派遣期間につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。  議長委員派遣承認申請書提出いたしたいと思いますのでこの点御了承を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めさよう決しました。     —————————————
  5. 井出一太郎

    井出委員長 引続きこれより酪農振興法案を議題といたし審査を進めます。昨日に引続き質疑を行います。綱島委員
  6. 綱島正興

    綱島委員 ただいま配付されました資料の事実について局長にお伺いいたします。集約酪農地域の御指定を願つておるようでありますが、これによりますと岡山に一箇所ありますが、そのほかはほとんど東北北海道に限られておる感があるのであります。大体従来から申しますと、酪農についてはどうも北の方に重点があるようでありますが、このたびの酪農振興法によつて特に急速に酪農の奨励をされるわけであります。一方南の方は草の生えない時期はわずかでありますから、南の方にも相当ウエートを置いてもらわねばならぬので、今後は九州四国等暖地酪農の施設を相当してもらわなければならぬと思うのであります。特に九州地方は、他の産業が非常にございますために、高原の草原はほとんどかえりみられずにまつたく放置されておる、こういう状態にあるわけでございますが、この点をどういうふうにお考えになりますか、御方針を一応伺つておきたいと思います。
  7. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま綱島委員より、九州地方に対してどういうふうな方針をとつておるか、特にジヤージー種輸入並びに草資源開発という問題について御指示があつたのでありますが、現在のところジヤージー種集約酪農地につきましては九州四国はまだ指定をいたしておりません。二十八年度におきましては初年度でありましたので、できるだけ東京近郊に近い所、と申しますのは、指導等に便利であるというような意味合いにおきまして、東京近郊を二箇所指定したのであります。二十九年度につきましてはできるだけ多く指定をいたしたいという希望のもとにいろいろ予算折衝行つたのでありますが、経費節約その他の関係で新しく四地区だけしか指定が認められなかつたのであります。すなわち二十九年度におきましては北海道一箇所、東北一箇所、関東一箇所、中国一箇所というふうに指定いたしたのでありますが、私どもといたしましては、指定の箇所をできるだけ多くいたしたい、かように考えておるのであります。特に九州並び関西地方におきましても、草資源の問題、特に乳牛による酪農振興九州地方農家の経営安定という点からもぜひ必要でありますので、今後草資源等開発につきまして大いに意を用いますと同時に、三十年度以降の問題といたしまして、ジヤージー種輸入による地域指定につきましても、予算その他の関係が許しますれば考慮いたしたい、かように考えておるわけであります。
  8. 綱島正興

    綱島委員 ただいま伺いますと、三十年度の指定については九州地域考慮なさるというお話でありますが、草資源関係から申しますと、暖地は最も長期間資源が得られるという関係から、ただいま考えておられるジヤージー種による集約酪農という点については、適格性を多分に持つておるという感が深いのであります。従つてただいままでほとんど閑却されておつた九州地域等について、特に御考慮を願わねばならないと考えるのであります。なるほど地方のことを先に申し上げるようでありますけれども、すべて政治は有効で妥当で普遍的な考えからそれに合うようなことをやつていただかなければならぬのでありまして、畜産に関する限り九州は大体閑却されておるというようなことは決してほめたことでございません。たとえば私どもの郷里の長崎のごときものでも、あるいは霧島のごときもの、阿蘇のごときものまたは大分県の山野にいたしましても、視察をしてみますと、数里にわたる草原地帯がそのまま閑却されておりますので、これらについても特に御考慮を願いたいと思うのであります。  なおもう少し伺つておきますが、集約酪農指導されるについて、農林省で特に意を用いられておられる指導機構については、どのようなことを考えておられるか、この点をひとつ伺いたい。
  9. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま御意見のありました通り九州地方は気温が暖かく、草の問題といたしましては、その成育期間が非常に長いという点では御指摘通りであります。私どもといたしまして、現在までいわゆる牧野改良につきましては、できるだけその速度等を早める意味合いにおきまして、いろいろと考究して参つたのでありまするが、二十九年度から新たに国の種畜牧場所要牧野改良機械を備えつけることにいたしたのであります。この対象牧場は全国で大体四箇所を考えておりますが、その四箇所のうち一箇所に九州宮崎種畜牧場指定いたしたい、かように考えておるのであります。宮崎牧場中心といたしまして、九州各県の牧野改良につきましての各般の技術的な指導、特にこれは機械と人間とを一緒にいたしまして、国自身でそういうような牧野改良をやつて参りたい。これにつきましては、九州地方を一つのブロツクといたしまして、各県の牧場中心となりまして計画を立てまして、各県間の調整をとつて参りたい、かように考えておるのであります。  指導機構の点につきましては、農業協同組合並びに府県という組織をできるだけ密接に結びつけまして、そして各地に応じましてその地域に適用するような酪農振興考えて参りたい、かように考えておるわけであります。
  10. 綱島正興

    綱島委員 大体妥当なお答えのように存じますが、具体的に伺いたいことは、二十九年度に所要経費がどのくらい予定されておるか。それから三十年度にどのくらいな予定をされておるか、そういう点も畜産局としての大体の希望計画等を伺えれば、この際伺つておきたい。
  11. 大坪藤市

    大坪政府委員 二十九年度におきまする酪農に関しまする総予算の問題でありますが、これははつきり分割できまする予算とそうでない予算とあるのであります。これを具体的に申しますると、たとえば外国からジヤージー輸入いたしまする経費は、はつきり酪農振興だけの経費でありまして、これは約二億六千万円であるのであります。そのほか草資源に使います一億三千万円も、その大部分はいわゆる酪農振興のための経費考えられるのであります。けれどもこれは各県々々の事情によりまして配付いたしますので、全部が全部酪農振興のための経費というわけには参りませんが、一億三千万円の草資源改良のための経費は、大部分酪農振興のためにまわる、かように考えるのであります。そのほかいわゆる家畜改良増畜、あるいは飼料関係経費、あるいは有畜営農確立のために、二十九年度予算に計上いたしておりまするものも、やつぱり二億六千万円ほどの経費でありますが、そのうちの約半数が酪農振興にまわるわけでございます。     〔委員長退席小枝委員長代理着席〕 先ほど申し上げましたジヤージーの二億六千万と有畜営農確立の二億六千万円の半分一億三千万円、そのほかいろいろな経費を合せますと、大体におきまして五億見当の金額が酪農振興の方の経費に充当されると考えていいのではないか、かように考えておるのであります。  なお三十年度以降の問題につきましては、酪農振興が朝野あげての大きな問題でありますので、できるだけこの経費——現在は五億程度の予算ですが、その増額方関係方面に要請いたしております。
  12. 綱島正興

    綱島委員 ジヤージーの買入れ価格は一頭およそどのくらいに当つておるでしようか。
  13. 大坪藤市

    大坪政府委員 ジヤージー価格の問題でありますが、二十九年度に千八百頭輸入いたすことにいたしております。その千八百頭は、濠州とニユージーランドアメリカでありますが、買入れ価格につきましては、ニユージーランドと濠州が約六万円見当であります。それからアメリカがその二割見当高いということになるかと思うのであります。これに輸送賃を加え、諸経費を加えるわけでありますが、内地の港の受入れ価格といたしまして、買入れ関係の諸経費並びに輸送賃保険料等を加えまして、濠州並びにニユージーランドのは、内地に持つて来ました場合の価格が約十一万円見当かと思うのであります。アメリカの場合におきましては、輸送賃が相当高くかかりますので十六万円見当になるのではなかろうか、かように考えておるわけであります。大体アメリカの方が、家畜購入費輸送賃と合せまして四割くらい高いのじやなかろうか、かように考えております。
  14. 綱島正興

    綱島委員 私もこれは研究しておりませんけれども、この間お会いを願いましたネーサン、ああいう方に交渉したら、こういうものの買入れは安くなりはせぬでしようか。過剰農産物資というわけには行かぬでしようか。ここでもひとつ研究願つたらどうか。
  15. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま御指摘がありましたネーサンといわれる方は、過剰農産物等に対しまする経験の非常に深い外国専門家でありますが、この方に家畜関係の問題をお願いしたらどうかという御意見だと思いますが、これにつきましては、今後よく研究してみる必要があると思うのであります。私どもの方で家畜を購入いたします場合に、購買官派遣するのでありますが、まず購買官派遣します場合に、内地商社指定します。その商社指定条件といたしまして、外国におきまする家畜商と密接なる経済的な関係があるということを条件にいたしておるのであります。そういうようなわけで去年も輸入をいたしましたし、本年もその方針通り継続いたすつもりであります。現在のところ、ネーサンはもちろん食料品につきまして非常な経験があり、またそれについての力を持つておられるということにつきましては伺つておりますが、家畜そのものにつきましてはどういう事情にあるかわかりませんので、今後研究をいたしたいと思います。
  16. 小枝一雄

  17. 川俣清音

    川俣委員 きのう私は質問の大体の要旨を申し上げておいたのでありますが、漸次お尋ねいたしたいと思います。  酪農振興法案提案説明によりますると、酪農振興の必要を非常に強調しておられるわけであります。しかも食糧の増産をはかり、その自給度の向上をはかることがわが国経済自立のための基本的な要件であつて、これがために食生活を合理化して、米食偏重から脱却させるとともに、現在の農業経営方式養畜特乳牛を取入れたいわゆる有畜農業経営改善することがきわめて有効適切な方策であると述べられておるのであります。私どももこの基本についてはまつたく同感でありますし、また一般農民酪農期待をいたしておりますのも、現在の農業経営方式を、乳牛を取入れたいわゆる有畜農業経営改善しようという意図で、非常にこの法案期待をいたしておるわけであります。従いまして最も時宜を得た形の命題で酪農振興法が出されておるのでありますが、これらのものを具現するに、この法律で現わされておるものと説明とでは、かなり開きがあるということが第一点質問いたしたいところなのであります。それは一体酪農振興方法として、日本酪農発展の上から集約酪農形式が最も妥当なのか、または有畜農家創設法のような、一般的な農家乳牛を入れるような形式酪農を振興させるのか、いずれをとるべきであるか、この点について必ずしも割切つた建前からこの法律が出ているのだとは思われないのであります。確かに山地酪農という面から見まして、集約酪農の必要もむげに排撃すべきじやないことはもちろんであります。また日本酪農発展の上から、山地酪農山地集約酪農に移行しなければならないことも十分観察せられるところなのであります。そこでそれでは酪農振興をこういう集約酪農地域指定だけによつて、はたして日本全体の農業経営方式改善になるかというと、必ずしも改善にならないと思われるのです。酪農振興建前から一歩一歩積み上げるにいたしましても、一体どちらを先にやつて行くことが日本酪農振興の上に最も寄与することができるのかという点について、畜産当局の御見解をまず第一に承りたいと思います。
  18. 大坪藤市

    大坪政府委員 酪農を振興いたしまする方途といたしまして、先般の国会におきまして有畜農家創設特別措置法の御制定を願つたのであります。これは牛馬、めん羊等につきまして、農家をしてできるだけ無家畜農家を解消するという意味合いから、政府におきまして資金のあつせんをいたしますと同時に、そのあつせんいたしました資金につきまして、五分の利子補給と同時に、府県を通ずる損失補償の契約を締結させる、こういうようなことに相なつておるのであります。従つてその有畜農家創設特別措置法本法との関係においてでありますが、本法におきましては、できるだけ草資源等に恵まれております地域を特定いたしまして、そこに乳牛中心といたしまして導入をするというシステムになつております。これはただいまお話のように、山地におきましてもそういうことをいたすのでありますが、必ずしも山地のみではなく、畑地並びに畑地以外の水田等におきましても、裏作等におきまして飼料自給が可能であり、かつそれが今後の農家経営といたしまして十分に織り込んで行かれるという地帯は、山地同様あるいは畑地同様、いわゆる自給飼料の基盤として適格の土地でありますので、本法の適用を受ける指定特別地域に相なるのであります。従つて決して山地酪農限定をいたしている趣旨ではないのでありまして、ただ実際の場合に、山地方面がそういうような適格条件を備えている場合が多かろうとは考えますが、必ずしも山地限定はいたしていないつもりなのであります。酪農につきましては、すでに御承知の通りに、経費が相当多額にかかりますし、また工場経営単位として、できるだけ一工場におきまして多くの牛乳を処理するという形態が、製造単価を切下げる意味合いにおいて必要でありますので、できるだけ集約化をはかつて参りたいというような趣旨であります。有畜農家創設特別措置法趣旨等考慮いたしまして、当該地域における乳牛導入におきましては、有畜農家創設特別措置法の精神によりまして、できるだけ無畜農家の解消をはかつて参りたいと考えておるのであります。従つて酪農振興法有畜農家創設特別措置法とは決して相反するような法律とは考えていないのでありまして、両方を有機的に関連させまして、両方運用することによりまして、初めて日本酪農振興、特に草資源等に恵まれております地域における酪農が地について発展し得る、かような期待をいたしておるわけであります。
  19. 川俣清音

    川俣委員 構想としては、この酪農振興法創設法と二本建で行こうという趣旨であるそうであります。いずれを先にするか、いずれをあとにするかということが今問題になりますが、基本として二本建であることは認めるものであります。問題は、十分な予算措置乳牛増殖が、はたしてこの二本建を可能ならしめるような状態に現在あるかないかということです。そこで私の前のような質問が出て来たわけです。当然二本建でなければならないということはよくわかるが、これを両方満たすというだけの乳牛条件がそろつておるかどうか。そろつていないとすれば、どちらかから先に始めなければならないという結果になりはせぬか。そういう場合に、山地酪農ではないと言つても、当然今計画されているような所は山地酪農になつて来る。それが最も条件のいい所だということになるわけであります。そういたしますと条件のいい所が発展をして、条件の悪い所がなかなか発展できないということになります。     〔小枝委員長代理退席委員長着席〕 きのうも資料の要求の際に申し上げておきましたように、条件のいい所に乳牛の移動が行われて行つて一般有畜農家創設というものの力をそぐ結果になりはせぬか。年々大量に乳牛を入れるとか、あるいは種牛を入れるというような計画が進んでおりますれば、これは二本建でけつこうであります。私はあえて反対じやないのです。そうあるべきだと思うのです。あるべき条件を満たすような裏づけ条件が欠けておるところから、やりやすい山地集約酪農になるのではないか、この点なんです。
  20. 大坪藤市

    大坪政府委員 有畜農家特別措置法酪農振興法との関連についてでありますが、ただいま御指摘通り、現在の予算並びに乳牛資源という点からいたしますれば、御意見通りに現在の予算有畜農家特別措置法を運営した上に、さらに集約酪農地域制度を設ける、かようなかつこうになつて参ります場合に、その相関関係におきまして予算等の不足あるいは乳牛資源自然的増加、こういう点に欠けるということにつきましては、御懸念の点はまさにその通りではないかと私どもは思うのでありますが、これは法律運用の問題じやなかろうかと思うのであります。その点につきまして、二十九年度におきましては、すでに予算等も成立いたしておりますので、その増額という点につきましては、これははなはだ困難ではないかと思いますが、予算等につきまして、予備金等予算修正等の適当な機会があるということになりますれば、私どもといたしましては努力いたしたいと思うのであります。いずれにいたしましても、予算面につきましては、三十年度以降につきましては、できるだけ努力いたしたい、かように考えるのであります。問題は地域指定の点に関連して参ると思うのでありますが、現在の予算運用について、酪農地域につきまして、非常な大きなカーブの切り方をするということになりますれば、ただいま御発言のような懸念も起きて来るかと思うのでありまして、この緩急の点が問題ではなかろうかと思うのであります。二十九年度におきましては、すでに総額予算も決定いたしておりますので、当初の方針をあまりかえない方法によりましての予算の運営をして参りたい、かように考えておるのであります。三十年度以降につきましては、幸いに本法が成立いたしますれば、集約酪農地域に対します特別の予算を編成してもらうことに努力いたしまして、その辺の点を調整して参りたい。なお乳牛資源の問題でありますが、これにつきましては、先般畜産局におきまして畜産振興十箇年計画を策定いたしました場合に、乳牛等増殖計画を策定いたしたのでありますが、一応乳牛の自然的な頭数増加、これはのみ込めるけれども、どういうような方法でこれを具体的に農業経営の中に織り込んで行くかという点につきましての施策が欠けているのじやないかということが、各方面から一致して論議されたのであります。私どもといたしましては、それに対しますに、有畜農家創設方法による利子補給あるいは損失補給法、並びに今回提出いたしております酪農振興法によりまして、下から積み上げて参りまして、農家に対します酪農植付をやつて行く。自然的な乳牛増加とテンポの合いますような具体的な施策をとつて参りたい、かようなことにいたしておるのであります。自然的な増加と申しますのは、結局自然的な増加を経済的な原因がはばむということに相なりますので、経済的な原因乳牛の自然的な増加の障害を来さないように、有畜農家特別措置法並びに酪農振興法の両制度運用いたしまして遺憾なきを期して参りたい、かように考えておるわけであります。
  21. 川俣清音

    川俣委員 大いに遺憾なきを期したいということでありますが、この裏づけがないとそこへなかなか持つて行きにくいのじやないかと思うのです。有畜農家創設がある、その上にさらに日本酪農発展形態として集約酪農をつくつて行く、これも一つ考える。また集約酪農発展から一般農家へと、こういうことも考えられます。これはケースはどちらであつてもいいと思いますが、ところが先に有畜農家創設法が出ておつて、この集約酪農法が出てプラスされればいいのです。要は、あなた方はさらに飛躍的な発展をはかるためにプラスしよう、こういう考え方であるようなのです。形式としてはまことにできておるのです。しかしながらさつきから御答弁にありました通り乳牛資源というものをしつかり把握しないで、この上にプラスするといつてもこれはプラスにならない。法案プラスすることになつておりますけれども資源がないとプラスにならないで、むしろどこからか国内の乳牛資源を移動させる結果になりはしないか。それではプラスになりはしないのじやないか。今日の経済状態においては、一番利益の上る方法であるところの集約酪農地域は当然な発展の傾向をたどるであろうと思うのです。各府県から集約酪農指定地を要望しておる点から申しましても、また日本経済状態から申しましても、大体そこへ行くであろうと思われる。そういたしますと発展ではなくして、ただ現にあります自然的に増加する乳牛を、配置転換するだけに終つてしまうのではないか。そこでこれらの両法案を二本建として生かされるには、乳牛資源というものについてもつと配慮して行かなければ、この法案というものは、むしろお互いに食い合うところの法案になりはしないか。どつちも両立せぬような結果になるのじやないか。せつかく二本建で酪農振興をはかろうとするのに、両方とも相食い合つて発展ができないのじやないか。そこで乳牛資源というものについて、現在だけの考え方では、これらの法案を十分生かすことにならない。そこで予算的措置の問題になると思うのですが、この予算的措置については、昭和二十九年度はまだ十分それらを達成できないということになる。では法案が出たら来年はいいかというと、法案が出てから予算をとるというのも一つの方法でありますけれども、これだけの予算がとれるというところから、それならばこのくらいの法案を出してもいいじやないかということもまた考えられると思うのですが、この点についてどのような見解を持つておりますか、もう一度お聞かせ願いたい。
  22. 大坪藤市

    大坪政府委員 酪農の振興の問題であるのでありますが、御承知の通りに、これはもちろん経済条件あるいは政府施策ということによりまして移動性のある問題であるのであります。乳牛は動物でありますので、御存じの通りに自然的な増加頭数というものがあるのであります。その自然的な増加頭数というものを、多くの場合に経済的な条件によりまして、自然的な増加頭数をはばむというのが一般的な例であるのであります。乳価が安く、あるいは乳牛そのものが非常に安い、その上えさが高いという場合におきましては自然的な増加頭数はおろか、乳牛そのものの現にあるものの絶対的な数字が減少して参るというような現象を起すのでありまして、私どもといたしましては、できるだけその乳牛の少くとも自然的な増加頭数というものは、結局農家に植えつけて参りたいというのが私どもの願いであるのであります。現在のところ幸い農家乳牛飼育に対しまする要望もきわめて強いのでありまするから、乳牛の自然的な増加頭数をはるかに上まわつたかつこうで現に年々の統計数字等も増加いたしておるのでありまするが、これにつきましては、政府といたしましてもできるだけ予算の面あるいはその他の面におきまして酪農の振興をはかりたいという、農家に対しましての手厚い保護をやつて行かなければならぬ、かように考えておるのであります。酪農につきましては、もうすでに御承知の通り、同じく乳牛を飼育するといたしますれば、できるだけ集約的に乳牛を飼育して参るということが、いろいろな点でまさつておりますので、そういうような構想のもとに本法を提案いたしておるのであります。     〔委員長退席綱島委員長代理着席〕 有畜農家創設趣旨本法との調整をとつて参りまして、その点の遺憾のなきよう期して参りたい、かように考えておるわけであります。
  23. 川俣清音

    川俣委員 同じ質問を二度も繰返すことは時間の節約上控えたいと思いますが、この点だけは一つ考慮に入れなければならぬと思うのです。経済条件から自然増加をはかるということになりますと、やや子牛の値段が高くなるような傾向のときには、むろん自然条件が満されて増殖になると思うのです。値下りのときになりますと、これは自然増殖がはばまれると思うのです。ですからあえて乳牛の値段が高くなることをおそれる必要はない。しかしこれは限度があります。限度があるけれども、高くなることはあえておそれることはないと思うのです。それは私は認めるのです。しかしながらこの高騰率が非常に高くなつて参りますと、今度は牛乳生産のコストが合わなくなつて来るということで、また衰微の方向をたどる、こういう結果になると思う。そこで暴騰するようなことを控えなければならないであろう。やや高目になつて来るということは自然増殖の上から望ましいことであるから、これは私は否定しないのですけれども、しかしながらあまりに暴騰して来るというようなことになつて参りますと、これはコストが合わないということになつて、また破綻を来すことになるおそれは十分ある。そこで集約酪農地域は、全国からおそらく百二、三十希望があるのじやないかと思うのです。私はこれを全部満してやらなければならないと思うのです。しかしながら、そうなつて参りますと非常な暴騰を来すことになりはせぬか、それではむしろコスト高を来すようなことになりはせぬか、こういう懸念を持つのでございまして、そういう点からいつて、また現在せつかく乳牛を持ちましてようやくなれて参りました、集約酪農地域以外のだんだん普遍化されて参ります地域乳牛を取入れた有畜農家の数を減らして参りますと、これは農業経営改善にはならない。牛乳の処理として、または食糧増産という面だけからいうと、あるいはその一面を満すけれども農業経営改善の方式としての酪農というものからは離れて行かなければならないと思うのです。そこでどうしても二本建で行こうという法案を用意されたからには、十分な予算をつけて行かなければむしろ混乱させることになりはせぬか。そこで来年を待つてというようなことでなしに、今後機会あるごとに、あるいは臨時国会等があつた場合において、これらの種牛の輸入について格段の約束をここでされない限りにおいて、この法案の意義がない、こういう意味でお尋ねをしておるのですが、それに対する御見解を伺いたい。
  24. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま御質疑の通りに、本法を制定いたしまして相当多くの集約酪農地域指定いたしました場合に、非常に乳牛に対しまする要望が強くなりまして、乳牛価格を騰貴せしめるというような点につきましては、私どもといたしましては、できるだけ集約酪農地域とそれの供給源との府県別の結びつきを密接にやりまして、価格が異常に騰貴するというような現象につきましては防止いたしたい、かように考えておるのであります。  なお予算の点につきましては、機会あるごとに、ただいま御意見通りできるだけ努力して参りたい、かように存じておるのであります。特に集約酪農地域ジヤージー種につきましては、これは政府が全面的に外国から資源を購入して参りますので、これは純増になるのでありまするから、これにつきましての予算につきましては、さらに機会あるごとに要望いたしまして、できるだけ多くの外国産の乳牛導入をはかつて参りたい、かように考えておるわけであります。
  25. 川俣清音

    川俣委員 ここでひとつ方向をかえて、改良局長がおいでになつておりますので、改良局長もお聞きの上で御答弁願いたいと思うのでありますが、これらの酪農経営についての指導方式を、今の畜産局の系統でおやりになろうとしておるのか、あるいは現に今ありまする一般農家の経営指導普及に当つておられまする普及員の指導方式を借りようとしておるのでありますか、この点について話合いがどの程度あつたかどうかという点について、両局長からお答え願います。
  26. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 現在の機構をもつてしますると、大体一昨年の秋に、農産、特産その他の課が、改良普及事業と一緒になつて改良局に来たわけですが、現在その前の農産、特産と同じような形になつておるわけであります。それで改良局の内部でも、農産課、特産課、防疫課というふうな課の方では補助助成、そういうふうな事業的な面を大体担当いたしております。それから普及部の方では、その普及員を動かしての技術的な改良普及、そういう部面を担当いたしておるような状態でございます。それで前に農政局と農業改良局というふうにその二つがわかれておりましたときと同じように、その総合連絡は必ずしも十分だとは言えないような状態でございまして、それで両方が一緒になつてからなおそこの横の連絡を十分にしながらやつて行くというふうな形で現在努力中でありまするが、やはり末端等においては、必ずしも県等の態勢とかその他については、それはその通りには動いていない部分もございまするので、できるだけそういう点のないように、横の連絡を十分にしながらやつて行きたい、こう思つております。それでいろいろ県等における実情から申しますると、やはり担当担当が別になると、えてして横の連絡がよく行きにくいという傾向がございますので、できるだけそういう点は相互の連絡をよくして、それでねらいとする事業の成果のあがるようにやつて行きたい、こういうふうに考えておりまするが、こういう具体的の問題については、細密にまだ打合せを了しておる状態ではございません。これは必要があれば本省の方から畜産局の方と十分連絡をとつて訓令を出すなり、あるいは県の方において問題があれば、そういうふうな点は円滑に行くように連絡をさせるなりというふうな形でやつて行くような形に現在の機構ではなると思います。
  27. 大坪藤市

    大坪政府委員 酪農事業に対しますいわゆる行政組織、特にただいま御質疑の点は、集約酪農地域に対します農家指導の問題ではなかろうか、かように存ずるのであります。現に集約酪農地として指定いたしております岩手並びに八ケ嶽の山麓等にジヤージー輸入いたしておりますが、これにつきましては、特に畜産関係指導につきましては、いろいろな衛生上の指導がきわめて大きな問題であるのでありまして、私どもの方といたしましても、これは特別に中央からも直接行つて指導をいたしておるのであります。県におきましてもその方面指導を強くやつておるのでありますが、集約酪農地域に対する指導といたしましては、農業経営指導畜産独自の指導というものが一緒になつて来るかつこうになつたのでありまして、この点につきましては、第一線の指導機関であります府県の行政指導というものを、改良関係畜産局関係と一緒に密接に結びつけまして、その指導の完璧をはかつて参りたい、かように考えておるのであります。なお指導の問題につきましては、農業関係系統機関の働いていただく分野も相当あるのでありまして、改良関係指導農業協同組合関係指導並びに畜産局の特殊な技術的な指導、この三者を密接不可分の形に組織いたしまして、農家指導には遺憾なきを期して参りたい、かように考えておるのであります。
  28. 川俣清音

    川俣委員 今私がお尋ねしたのは、現に摩擦があるからこれを円滑な運営に移さなければならないという意味の質同ではないのです。こういう画期的な方策を打出したからには、それらに対する当然な連絡なり相談なりができていなければならないのじやないかということが一つと、一体どのようにしてやることが酪農振興に寄与できるかという点なんです。もう一つは、説明にありましたように、今日の農業経営方式改善して行くのだという意味における有畜農家指導という面から見て、どのようなあり方が一番適切なのかという検討を、十分尽されたかどうかという点をお尋ねしておるのです。現に今摩擦があるから、その摩擦を解消した方がいいじやないかとか、円滑にやつたらいいじやないかというのではない。そういうことを非難する意味ではない。一体どちらの方式をとつて行くならば一番適切な指導ができるかということを、虚心担懐に研究されたかどうか、この問題を私は指摘している。そこで集約酪農地域については、露骨に申しますと、非農家も相当出て来るであろうことが想像せられます。従つて集約酪農地域については、あるいは中央の畜産局指導ということが直接入らなければならない面も多々出て来ると思うのです。それだからといつて、それでは一般農家農業経営方式にまで畜産局指導が及ぶかというと、現に及んでいない。現には、むしろ普及員が他の農業指導の面に当りながら、農業経営改善の方からいろいろ指導しておられるのが現実なんです。それが決して悪いとかいいということではない。どちらの方式をとつて行くことが、将来の有畜農家創設の意義をなし、農業経営改善のために寄与できるか、または酪農振興と結びついてどれだけの発展が期せられるのかということを、虚心坦懐に検討せられたのかどうか。これはおれの方の局だからといつてなわ張り争いをあえてしなさいというので、今お二人を並べているのじやないのです。けんかをしているから仲直りをせいという意味でもないのです。どういうことが一番いい方法であるかということを、虚心坦懐に検討せられたかどうか、この点をお尋ねしておるのです。両局長から御答弁願いたい。
  29. 大坪藤市

    大坪政府委員 有畜農家創設あるいは集約酪農地域指定等に関連いたしまして、その指導組織等の問題でありますが、講習会をどうしようとか、あるいはその他営農組織等につきまして、改良局の方と畜産局の方と指導方法につきましてあるいは指導の内容につきましていろいろ御相談申し上げたことはしばしばあるのであります。しかしながら両局が対立しているとかあるいは反対の方向にあるとかいうことは、現在まで全然ないわけであります。しかしながらやり方等につきましては、常時連絡いたしまして、指導に遺憾なきを期して参りたいと思つておるのであります。集約酪農地域に対する指導につきましては、特にジヤージー指導につきましては、ものが外国から参つておりますし、従つて特殊の家畜衛生的な指導が強く織り込まれて参りますので、この方面につきましての指導につきましては、府県指導はもちろんといたしまして、農林省畜産局自体が現実に相当指導にまわつているという点もあるわけでございます。今後もこの指導の問題につきましては、改良局と十分に連絡をとりまして——指導態勢はもちろん府県中心であるのでありまして、本省はそれに対しまする基本的な考え方と具体的な施策の基準をきめるわけでありますので、これらの点につきましては、今後とも十分に検討いたしまして遺憾なきを期して参りたい、かように考えておるわけであります。
  30. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 大体畜産局長の答弁と同じでございます。
  31. 川俣清音

    川俣委員 万全を期してということですが、方策なしで万全ということはできないのです。現在改良普及員というものがあつて、それを使つて行くのか。今畜産局長説明のように、ジヤージー種のような外来種であるから、よほどよく指導して行かなければならない点も多々ある。そこでこういう集約酪農地域ジヤージーを入れて、その発展をはかつて行くとすれば、その面からもつと指導を強化して行かなければならない。しかも今のように三箇所か四箇所であれば、それは中央から人を派遣することによつて十分できないとは言えないと思うのです。しかしながら将来百二十箇所も百三十箇所も集約酪農地域ができますと、当然それらを、この法律をつくつて指導して行かなければならない建前になるのでありまするから、そこにやはり指導員というものが当然必要になつて来るであろう。この指導員を一体別個につくるのか、つくらないのか。あなたの説明によりますと、つくるようにも見えるし、つくらないようにも見えるのです。万遺漏なきを期して行くと言うけれども、つくつて遺漏ないようにするのか、つくらないでも遺漏ないようにするのか。あるいは地方で二箇所の集約酪農地域ができますと、おそらく県でも何らかの指導員を置かなければならぬだろうと思うのです。その場合に一体どの程度補助をするのか、補助をしないのか。県自体でやらせるのか。また県でやる場合において、一体そこの地域というものは非農家も含まれておるから、別個の畜産あるいは酪農指導員というような形のものを置くつもりなのかどうか、これらを一体検討されたのかどうか、それから一般農家経営改善方式としてとられた有畜農家の方もやるのかやらないのか、これは改良普及員にまかせようとするのかどうか、こういうことはやはりはつきりした方策がなければならぬのじやないか。万遺漏なきを期していると言つても、どつちでやつて遺漏なきを期するのか。決して私はこういうことをおやりなさいという意図を持つて言つておるのではない。摩擦があるから、今摩擦を解消せいということを言つておるのじやない。やはりこういう法案を出されるからには、そういう指導しなければならぬ面が必ず起つて来る。その場合に県の方でやられても私は反対じやないのです、やられてもいいのです。それでは集約酪農地区は私の方で指導する、人員に対する補助の方は私の方でやるのだ、一般の方は改良普及員におまかせして、増員なら増員を願つて、それに対する補助は両方で協力してやるのだ。それでもいいのですよ。そういうふうにはつきりしておかなければ、ただ法律をつくりつぱなしで、申込みをとつて、これは適当な箇所でないからという条件をつけていろいろ制肘を加えたところで、一体あとの指導をどうするのかということがはつきりしていないで、お前の方はいけないとか、いいとかいうことを言つておるのでは、これはほんとうの法律を生かすゆえんじやないと思う。この点について改良局長研究されたのかどうか。これはおれの方の局で出した法案じやないのでわからぬと言われるのは無責任ではないかと思う。現にあなたの方で補助を出して指導しておられます改良普及員が熱心にやつておられるところもあるのです。そのままでいいのか。これは畜産局の方へまわして、そつちの方の指導員でやるのが適切なのか、県の方でやるのが適切なのか。あなたの方で人員を持つておるから、おれの方によこせと主張しなさい、こういう意味じやない。一体どつちが適切かということを、虚心坦懐に打合せされたかどうか、この点をお尋ねしておるのです。
  32. 大坪藤市

    大坪政府委員 集約酪農地域に対する指導の問題でありますが、これにつきましては、現在の農家の営農指導組織をさらに強くしてやつて参らなければならない、かように考えますが、組織自体といたしましては、農業経営指導という点が重点になりますので、現在の機構通りでいいのではないか、かように考えるわけであります。しかしながら集約酪農地域に対しまする特殊な技術的な指導につきましては、畜産局も直接これをやつて参らなければならぬ、かように考えておるわけであります。しかしながら一方集約酪農地域に対しまする指導といたしましては、農業協同組合と現地第一線の機関の指導組織というものを強く打出す必要があるのじやなかろうか、これにつきましては、二十九年度予算等におきましても、農協等に対しまして特殊な技術指導と申しますか、単位組合をひつぱつて行くような、特殊な指導組織とはつきり申し上げていいかどうかわかりませんが、農協のその方面におきます分野がより活発に働き得るような措置を考えまして、財政当局にいろいろと予算的な要求をいたしたのでありますが、法律等もまだ未制定であります等の関係でお流れになつたわけでありますが、今後第一線機関の農協等に対しまする指導と申しますか、あるいは働くことができますように予算的な措置等も考究して参りたい、かように思つておるわけであります。予算等提出の場合につきましては、改良局ともすでに打合せいたしまして、提出いたしたのでありますが、そういうような問題につきましては、今後改良局と一緒になりまして努力いたしたい、かように考えておるわけであります。
  33. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 大体畜産局長からのお答えのような状態であります。大体畜産の方に関係いたしましては、種畜場であるとか、あるいは家畜診療所であるとか、人工授精の関係であるとか、奨励関係の方の施設はかなりできておりますが、それは畜産局の方の担当に相なつておるわけなので、私の方では農業経営とマツチしまして、飼料作物であるとか、飼料管理面であるとか、家畜をどういう方へ使つて行くとか、経営上総合的に利用され得る方がいいような部門について、営農試験場を設けるとか、あるいはそういうような農業との関連においてそうした普及指導をして行くという部門を大体分担し合つて、横の連絡をよくしながらやつて行く、こういう形をとつておるわけであります。現在集約酪農地区におおいても、もちろんそういう形をとるわけですけれども、なおそのほかに、よりそこのところを強化するというふうな形をとる必要が起つて参りますれば、その地区の普及事務所の職員構成等において、できるだけ畜産に明るい人を配置がえするとか、あるいはスペシヤリスト、県の専門技術員等の活動もそういう地区に特に力を入れて指導をさせるとかいうふうな形で、現在のところは行くように考えておるわけであります。  なお、その点については、仕事を進める上でそれではなお弱体であるというふうな問題になつて来れば、畜産局の方と十分打合せをいたしまして強化をして参るということを考えたい、こう思います。
  34. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 関連して。ただいまの川俣委員質問の点は非常に大事な点だと思うのです。今両局長の答弁を聞いておりますと、どちらも遠慮し合つて言いたいことが言えないということはよくわかるわけであります。そこで私は、集約酪農地帯の指導について私どもの了解しておつた点を、ずばつとここで申し上げて、そういう考えでおつたかどうかということをお尋ねする、こういう形で私どもの了解といいますか考え方を申し上げてみたいと思う。  それは先ほど来川俣委員指摘しておられたように、集約酪農地帯が一箇所や二箇所の間は、畜産局が現地へ出張してごてごてやつてつてもそれで間に合うかもしれませんが、全国的な大きな組織になつてつて行く場合には、それができないと思います。だからといつて畜産局がそれを指導してはいかぬとかなんとかいうことではない。あくまでもそれは集約的にこれから指導しなければならぬことだろうと思うわけであります。けれども実際の今の農村の方の事情から言いますと、農業改良普及員というものが現地で指導しておるわけであります。ほかのいろいろな農業の技術面はありますけれども、そういう末端で農家に接着して技術の指導をしておるのが農業改良普及員であります。その普及員の活動がまだにぶいというならばこれは強化しなければならぬ。そのほかには何もないのであります。ですから私どもはこの集約酪農地帯の指導については、こういう考え方を持つておりまして、そういう了解でおつたのであります。それは畜産局畜産の技術上の指導をする。けれども、それは現地で実際仕事をしておる改良普及員をフルに使つて行くんだ。普及員が足らなければそれを充実したらいいのであります。普及員の技術が足らなければ畜産局がその普及員をうんと訓練をしたらいいのであります。そうして畜産局は現地へどんどん出て行くこともけつこうでありますけれども、常に改良普及員と連絡をとつて畜産局が普及員を使うようなつもりで改良局と畜産局が一体になつて行けばいいのであります。そういうような仕組みにならなければ、指導を受ける現地の方は非常に混乱をして参ります。私どもはそういう了解でおつた。従つて今後集約酪農地帯がどんどんふえて行く場合においては、あくまで農村の指導体系をくずさないように、改良普及員の活動を強く押して、しかもその中へ畜産局の技術をますます強く反映させて行く。そういう行き方でなければこの指導はうまく行かない。こういう考え方で私どもは実は了解しておつたわけでありますけれども、そういうふうに了解してさしつかえないかどうか、両局長にお尋ねいたします。
  35. 大坪藤市

    大坪政府委員 指導体制の根本的なやり方につきましては、ただいま御意見通りであります。その点につきましては、改良局と随時連絡いたしまして、畜産局といたしましても、そういう方針で、特に改良普及員等の技術的な指導面の強化をはかるという意味合いにおきまして、講習等も畜産関係の技術を大きく取入れ、畜産局自体が講習の中に入つて行くというシステムができ上つていると御了承願いたいと思います。
  36. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 大体今遠藤委員の御指摘なつたようなところは、集約酪農地区についてはまだ十分ではないかとも思います。私もざつくばらんに申し上げまして、改良局長になつてからいろいろ見ておりますが、従来から普及員の方に特技科研修というのをやつております。それはますます進めて行く必要があろうかと思います。当初改良普及事業をやりましたときには、専門技術員の数は、現在配置されておりますものの倍以上を予定していたわけです。それで普及員の数は、その後非常にふえまして、当初予定していたものの倍近くなつているのでございますが、専門技術員の数の方は、当初予定のまだ半分に行つているかいないかという状態でございます。農民の方は、やはり受ける場合には、学校出の技術者が畜産も病理も、土壌、肥料もできるというのは困難でございますので、やはり専門的に——ある程度常識的に農業全体は知つていなければならぬけれども、専門的に農家に十分に指導できるだけの技術は持たなければらぬ。現在非常に畜産が伸びて来ておりますし、日本の過去の農業経営畜産がきつちり結びついていないという欠陥を、この機会に相当改善して行くという点は非常に重点を置かなければならぬ。その場合に普及員の専門分野を調べてみましても、畜産の方が非常に欠けているという欠陥がございますが、こういう点はむしろ普及員自体を特技化するだけでは足りなくて、ある場合にそういう重点的にやる必要のある地区については、専門委術員の補助をやるくらいな特技を持つた者を幾らか数をふやして配置する必要が起るのじやないかと考えております。土壌等においても、土壌、肥料面でそういうふうな必要が起つて参りますと、現在の普及員では必ずしも土壌について——土壌の方がかなり進んで来ておりますし、農家のレベルも世界のレベルから見れば、土壌、肥料の関係の問題は、相当高いレベルの技術を持ちませんと、農家には普及しきれないという点等がございます。そういう点で、どちらかというと技術力の弱い部面に、畜産と土壌、肥料の面では現在の普及員ではあるのじやないか。それをどのように強化して行くかという点については、理想の形態を申しますれば、今の普及員の上に、もう少し広い地区を担当して、専門技術を持つて、普及員のわからないところはしつかり教えてやれるくらいな技術を持つて、それが農家に直接活動をしなくても、普及員を通じて活動できる。むずかしい問題ならば、その技術者が直接できるというふうな部面の強化が、さらに必要になつて来るのじやないかと考えております。あるいはそういうふうな部分の御指摘もあつたのかと思いますので、特技科研修だけでなくて、できるならばそういうふうなところも強化して参りたいと感じております。本年度の予算では、人員の問題は非常に困難であつたものですから、そういうふうな部分については、要求は差控えていたわけですけれども、この問題はもう少し仕事が進むに従つて畜産局の方と十分連絡して、そういう点も必要になろうかと考えている次第であります。
  37. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいまの両局長のお答えを私は了承いたします。そうなくてはならぬと私は思つておりました。ただこの際苦言を呈しておきたいのですけれども、それは畜産に対する考え方が、今までは農業の一部分であつた。だれが何といつて説明しようが、みな農業の一部という考え方以上ではなかつたのでありますけれども、これからは畜産が農業そのものになつて行く。農業そのものであるから、その指導も農業の総合的な指導指導員のあのルートをはずしてしまつたら、非常に変なものになつてしまう。今までの畜産を少しも飛躍をしないことになるのではないかということを私はおそれるものであります。でありますから、今後の指導に関する予算の審議をされる場合には、指導員は改良普及員の面で充実をして行く。もちろん畜産指導員の充実も必要でありましよう。それを否定しようというのではありません。畜産の純技術的な指導員の充実ももちろん必要でありますけれども農家に接着する酪農経営の直接の指導という面の指導員の充実は、改良普及員を充実して行くという考え方をきちつと持つてつていただかないと、ごたごたして、指導の効果も非常に減殺されて行くんじやなかろうかと思いますので、私の意見を申し上げておきまして、私の質問を終ります。
  38. 川俣清音

    川俣委員 今遠藤委員質問によつて、ようやくはつきりしたことが出て来たのです。しかしまだ足りない。大体改良局長によつて明らかになつたのですが、これでもまだ十分でないと思うのです。というのは、改良局の方は、普通の農業関係の試験場を持ち、その試験研究を普及徹底せしめているわけです。一方畜産局は、種畜場を持つて相当な研鑽を積んでおられる。同じ農業に関する研究両方でやつておられる。私は今両方でやつていることを決して非難する意味じやない。そこで今改良局長の言われたように、ここで育てられ、ここで研鑽を積んだ者が、専門技術員として派遣せられ、その指導監督で普及員が徹底せしめることが一番いい形態だと私は思うのです。あなた方がこの法案を出す以上、当然そういう研究を積んでいなければならないじやないか。これだけの重要な法案を出しながら、ここで指摘されて、これからそれでは研究してみましようでは、ほんとうは十分じやないと思うのです。今後のこれだけの集団酪農地域ができた場合において、今の試験場だけで十分か十分でないかということも、十分検討せられていなければならないはずなんです。その充実並びにせつかくできた試験研究をどうして普及せしめるかということについても、当然検討しておらなければならぬはずです。どつちかというと、種畜場は一般から見まして、相当農民の参観の多いほどに期待をかけられている。ところが、行つてみると、ずいぶん期待はずれになつている。期待はずれを起さしたのでは、普及徹底ができないことも一つでありますから、試験場の拡充はもちろんのこと、専門技術員等を地方に出されて、その形態は、先ほど塩見局長が言われたような、専門技術員を普及員の上に置かれて徹底させることが一番好ましい形態だと思うのです。こういうことも私は、この委員会に来てからそれらのことを教わつてそれからだというのではいかぬと思うのです。それを予算がないというようなことで——これは予算がなければ法案を出さないか、あるいは法案を出せばどうしても予算を獲得するか、そのどちらかの方法を明確にしなければいかぬと思うのです。微力で法案がなければ行政官として予算をとることができないというなら、この法案を出したからには必ずそういう方向に全力を注いで、予算裏づけいたします、これなら私はそれで了承する。あるいは予算を十分とる余地ができたからこの法案によつて形づけよう、このどちらかはつきりしてもらいたい。両局長からこの点をあわせて御答弁願いたいと思います。
  39. 大坪藤市

    大坪政府委員 予算等の面につきましては、ただいま御指摘通り本法成立のあかつきにおきましては、この法案を十分に運用し得る予算を要求いたしまして、全力をあげてその成立を期する所存でございます。
  40. 塩見友之助

    ○塩見政府委員 川俣、遠藤両委員からの御指摘の点は私もよくわかりました。そういう点についてはできるだけの努力はいたすべきものと存じますので、畜産局とも十分連絡をとつて、それぞれの分野において適切な措置を講じて参りたいと存じます。
  41. 川俣清音

    川俣委員 それで改良局長の方は了承いたしました。  あと小倉経済局長が見えておりますので、あわせてこの際お尋ねいたしたいと思います。今まで有畜農家の自主的な団体として、普通のいわゆる農業協同組合があつたり、あるいは畜産組合があつたりしておるわけですが、大体畜産局畜産組合を指導しておられ、経済局は農協を指導しておられるのですが、今度集約酪農地域が出て参りますと、これらの自主的な団体として畜産組合のようなものを農業団体として認められて行くつもりなのか、あるいは農業協同組合を組織してそこに基盤を求めようとするのか、この点もどちらかはつきりしておりません。在来からある農業協同組合で、いわゆる有畜農家を創設して農業経営改善に努力しておる農業協同組合もある。また農業協同組合と離れて畜産組合、酪農組合をつくつて、対立とは申しませんけれども、別個な活動をいたしておるところもあるわけであります。これらを将来どのように組織し、指導して行かれるという考えでおられるのか、この点を経済局長並びに畜産局長からお尋ねいたしたい。
  42. 大坪藤市

    大坪政府委員 集約酪農地域におきます農業協同組合等のあり方並びにこれに対する指導方針についてのお尋ねかと思いますが、現在のいわゆる畜産組合というのも農業協同組合法によりまして組織されておるところの農業協同組合であるのであります。ただその形態が総合的に農家全般のことをやるのか、あるいは特殊に畜産、特に酪農だけをやるか、こういう農業協同組合自体の目的によりまして、あるいは畜産組合という名前で呼ばれ、あるいは総合農協というような名前で呼ばれていることは、すでに御承知の通りであるのでありますが、大きくわけましてこの二つの形になります組合組織を、どちらに重点を置くべきであるかという点は、これはいろいろ問題があろうかと思うのであります。概括的に申し上げますと、非常に酪農の進歩いたしております地域におきましては、総合農協から離れまして特殊農協ができておるというような現象を起しておりますし、また反対に非常に不振な地帯におきましては、総合農協から離れまして相当広い地域を組合といたしまして酪農組合、畜産組合ができておるというかつこうのところもあるようであります。この二つの非常に進歩したところと、あまりそうでない地域におきまする酪農、これはおのおの特色があるようでありますが、今後の指導方針としてどちらに重点を置くべきであるかという点につきましては、これは一つは地方々々の事情によつても異なるかと思うのでありまして、要はその地域におきますいろいろな事情、これらに対します農民自身がどういうふうな組合をつくつて行くか、こういうふうなかつこうになつて来ると思うのでありますが、今後集約酪農地域が相当多く指定されるということになりまして、特にこの法律指定との関連におきまして、農業協同組合を総合農協で全般的にやらせた方がいいか、あるいはその地域を打つて一丸とした集約酪農に関します農協を特別につくつたらいいか、こういう点は今後検討すべき問題ではなかろうか。もちろんこれもいろいろ研究いたしますと、あるいは地方にいろいろの特殊的な事情もありますので、総合的な農協でやらした方がいいか、あるいは単協を上につくるべきかという点は、地方によつても違うと思いますが、これらの問題につきましては、各地に地域指定いたします場合に、経済局長とも連絡いたしまして今後の指導方針を打立てたいと考えております。
  43. 小倉武一

    ○小倉政府委員 集約酪農地帯におきます協同組合組織と申しますか、畜産関係酪農関係の振興のための協同組織につきまして、具体的に総合的な事業を営む組合として担当した方がいいか、あるいは酪農専門の特殊的な組合としてやつた方がいいか、これはただいま畜産局長からお話しましたように、その地方の具体的な事情によつてつて参ろうかと思います。従いまして、ただいま畜産局長からお話いたしましたような線で処理して行くほかなかろうかと存じます。ただ一般的に申しまして、実は酪農組合に限らないのでありまして、養蚕でありますとか、あるいは酪農あるいは開拓、こういうふうな特殊の協同組合につきましてはいろいろ問題がございます。この問題は実は協同組合制度の中にあるのもございますし、もう一つは蚕糸業あるいは畜産業、こういうものの政策が足りない部分から出て来るものもございまして、両々相まつて今後なお検討して行きたいと思います。
  44. 川俣清音

    川俣委員 こういう法案が出されるときに、どういう組織が妥当なものとして指導して行くかということの目安をやはりつけておられなければならないのじやないかと思うのです。だからといつて、目安をつけたからといつて強要することは、今日の時勢においてはなかなか不可能でありますし、また強要できないことでありますけれども、この法案を出すからには、どのような組織が望ましいかというような方針だけはやはり立てておられなければならぬのじやないか。組織のことはあとで研究してひとつやりますでは、私はほんとうの指導力はわいて来ないと思う。これは農民の組織が当然考えられなければならないものなのです。それでなければ動かないのです。またどういう方式がよろしいかという問題が出て来ますと、それらの組織の意見をどう反映させるかということが法案の中に出て来なければならぬということになつて来る。今後研究しますというようなことでは法文は成り立たない。一体総合農協にやらせる方が適切なのか、あるいは単独のものが好ましいのか、どつちかということを大よそ目安をつけた指導がなければならないと思う。この指導がなければ、許可を与え、あるいは取消すというような場合は、そこに問題が起つて来ます。法文じやできておりますから、一体どのような方向で組織を持たせるのかというようなことについて、十分な見当が当然ついておつたものと思う。なかつたとしますれば、今聞くことは無理かと思いますが、一体経済局長としては、どのような形態が好ましいとお考えになつておるかというだけは、ひとつお聞きいたしたいと思います。それでもしそういう形態が好ましいということになりますならば、それはやはり意見を聞いて総合計画を立てなければならない、こういうふうになつて来なければならないと思うのです。もしも総合農協をしてやらせることが適切だということになれば、その上部団体の県の農協の意見を徴しなければならない、こういうような方向にこの法文を直して行かなければならない点も出て来るわけであります。また特殊農協でよければ、特殊農協の組織を持つて行くというふうに、やはり法律をその方向へ持つて行かなければならないと思う。そこが非常にあいまいになつて来る。あいまいじや動かない。そこをお尋ねしたい。
  45. 大坪藤市

    大坪政府委員 集約酪農地域におきまする農協の問題でありますが、私どもといたしましては、特殊の地域におきまする特殊的な事情に基きまして発生いたしました農協につきましては別問題でありますが、原則といたしまして総合農協を通じて指導なりあるいは集荷なりをやつて参りたいという一般論を考えておりますので、集約酪農地域につきましては、その通り原則として総合農協を中心として指導し、なお農家の生産いたしました乳等の集荷形態につきましても、総合農協でやつていただきたいように考えておるのであります。特に新しくそういう地域に別途の組合をつくらせるということは、現在のところ全然考えていないわけであります。もちろん特殊の地方におきましては別問題かと思いますが、一般的な問題といたしましては、集約酪農地域につきましても、同様に総合農協中心で物事を運んで参りたいと考えます。
  46. 小倉武一

    ○小倉政府委員 畜産局長からお答えしたことで足りると思いますが、ちよつと私つけ加えて申しますと、酪農の農村に浸透しているぐあいによつて相当違うのではないかと思います。ごく初歩的な段階では総合農協は当然やるべきだと思います。それからある程度発展して分化して参りますと、そこに酪農だけ分化して参ることも地方によつては必要かと思います。さらにもう一歩進展して参りますと、また各農家が全部酪農農家になつてしまうという段階になると、これは総合農協でやつてしかるべき仕事にも将来発展するようになると思います。今度の集約酪農地帯が一挙にして、各農家につきましても集約的に酪農を取入れるという趣旨でございますれば、初めから総合農協が指導するというシステムで持つて行かれた方がいいんじやないかと思います。これは従いまして集約酪農というものをどの程度におやりになるかということとかかわるかと思います。
  47. 川俣清音

    川俣委員 今お聞きしていると、畜産局と農協を取扱つている経済局の間において、まだ十分な研究連絡がついていなかつたということになるんじやないかと思うんです。それは今大坪局長の言われるように、総合農協でやらしめるという考え方もあるやに強調されておりますが、あなた方のところで出された資料を見ますと、みんな総合農協からとつていないで、県の畜産課、県の酪連または畜産団体からとつておられます。私はこれを必ずしも否定するものではない。これがよいとか悪いとかいうようなことではない。将来どういう方向、組織で行くことが適切かということを、当然法案の中にある程度打出して行かなければならない。または省令の中に打出さなければならない問題だ。解決づけていなければならぬ問題だ。解決づけていなければならぬ問題を解決しないで、法案だけであとはひとつまかせてくれではならないと思う。こう解決したけれども、この解決では悪いなら悪いと私の方で修正するなり意見なりを言うのです、うまくやりますというだけでは、何もあなた方に対する批判もできない。両局長をここへ引出したのは、決してけんかをさせるつもりではない。先ほど申したような、何らかの打開を今のうちに講じておく必要があるので、これについて修正をするのであるならば、それらの点も加味してやりたい、こういうところから申し上げておるのであつて、ここで紛争を起させるという意味では毛頭ないのですから、気に入るような答弁をしたからといつてそれで満足するわけではない。そうではなくて、この法案を十分裏づけて行きたい、こういうところの熱願からお尋ねしておりますから、その点について打合せがないなら、きよう中に打合せを遂げるなら遂げるでけつこうですから、もう少しはつきりしたところを伺いたいと思います。
  48. 大坪藤市

    大坪政府委員 集約酪農地域に対する農協の問題でありますが、この問題につきましては、協同組合課あるいは経済局とすでに連絡をいたしておりまして、一般的な原則と別に、集約酪農地域において協同組合組織についての指導を別途にやるというような点については考慮いたしておりません。ただいま経済局長が申し上げましたのは、一般論の問題といたしまして、非常に高度に酪農が発達したところにおきましては、全部の農家乳牛を飼育するので、そういう場合には、当然総合農協になるであろうという発展的な点についての見解だと思います。組合の理論と申しますか、集約酪農地域における農家といたしまして、時期別には、ただいまの経済局長の理論的な話で行きますと、中間過程におきましては、ある農家乳牛を飼育し、ある農家乳牛を飼育しないというかつこうになつて参ると思いますが、最終の段階におきましては、われわれの方といたしましては、できるだけ乳牛を飼育し得る農家については乳牛を飼育してもらうというような考え方を持つておりますので、各農家こぞつて乳牛を飼育するという形態になつて来るのではなかろうか。経済局長の御意見は、非常に乳牛の飼育段階のまばらな場合、あるいはその中間的な過程にある場合、あるいは全農家こぞつて飼う場合における協同組合の大体の原則的なあり方についての御意見だと思うのでありまして、私どもといたしましては、農業協同組合につきましては、集約酪農地域指定地域内においても、一般的な問題といたしましては総合農協を中心考えたい。しかしながら地方によつて事情がありますので、特殊の地域におきましては、必ずしもそれに限定するというわけには参らぬじやないか、かように考えておるわけであります。
  49. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいま畜産局長から申し上げた通りだと私も思います。総合単協で指導していただくということが畜産局としても方針であられるのですが、私もその通り適当であろうと思うのであります。なぜかと申しますと、酪農だけで特殊にやつております組合は、実はこの協同組合の立場から申しましても、     〔金子委員長代理退席、芳賀委員長代理着席〕 なかなか実は指導がしにくいことになつておるわけです。あるいは監査がしにくいことになつておるわけです。従いまして国の政策として酪農を大いに振興させるという線に沿つて、できる地帯につきましては、総合単協でないと現在の制度の上から指導監督が十分に行かないという点が第一であります。それからもう一つは、酪農とか養蚕になりますと、他の資本の関係との利害が非常に複雑化して参りますから、単純養蚕、また酪農だけによりますと、往々にして、そこに、一時よく言われました非農民的な利益に左右されるおそれのあるものがだんだん出て参る。総合単協でありますとそういうおそれがむしろ少い。そういう意味からいいましても、立体的にも総合単協で指導していただく方が農民の利益になりはしないかという意味におきまして、方針としては私どもも総合単協でやつていただくことがいい、かように存ずるのであります。
  50. 金子與重郎

    金子委員 その点は今川俣氏も相当くたびれるほどに質問したようだが、まだ割切れぬようだが、もう少しはつきりしたらどうです。原則として酪農振興も、その契約指導その他すべてにおいて総合農協というものを基礎にして、それを基準にしてやるのだ、そうして現在あるところの特殊協同組合のような単一協同組合というものもその線に、緊密な連絡のもとにあるいは総合的な事業運営のもとにやらせるのだということをもつとはつきりしたらどうです。そうしてたとえば、一町村に総合協同組合がある。そこに三つなり四つの部落で乳牛を飼つている組合があつたら、それに団体加入もさせるというような形で持つて行くのが一つの例であります。基本としてはあくまで総合農協というものをその基本線に置くのだ、そうして単営の特殊協同組合というものがあつた場合には、その農協と何らかの緊密な連絡をとり得るような指導方向をとるのだというふうに、はつきりした方がよろしいんじやないかと私は思うのです。なぜかというと、もち屋はもち屋ということになりますから、あるいは畜産の盛んな地帯では、畜産組合とか酪農組合というものも現にたくさんあります。また養蚕の地帯においては養蚕組合というものがありますけれども、ただいま小倉局長が言われたように、それらの単位組合というものは総合的な事業経営をしていないから、経済的な基礎を持たない。経済的な基礎を持たないからして、その資材の購入等においては、結局他の資本の力を借りなければそれができない。そういうように他の資本に依存するからして、結論においては、ややもすると資本主義産業の隷属的立場に農民を知らず知らすのうちに追いやつてしまう。こういうことは養蚕においても畜産においても見られる例であります。ことに今問題になつている一つの例を見てもわかりましよう。大坪さんが去年から苦労されており、今でも大分問題になつておるところの飼料の価格の問題があるでしよう。飼料の価格安定法ができていながら、なぜ飼料の価格を押える上に困難があるかというと、かりに肥料と比べた場合に、肥料も全部が消費地帯を構成している人たちによつて消費がされていないけれども、一応全購連なら全購連というものの批判があるにしても、とにかくこれが半分以上の肥料の消費量を押えている。ところがえさに至つては、いろいろな農業団体自体でも、たくさんの鶏だ、豚だあるいは牛だというようなものが乱雑にできている。そのほかにいろいろなものがあるからして、そのえさの価格をどの線で押えて行けばどういうようなルートで流れるかということに対して、まつたく見当がつかない。同じ農業団体でも、あの組合この組合でえさの奪い合いをしておる、こういうのが例であります。そういう場合にやはり総合農協系統機関というものが、もし肥料の程度でもいいから確立しているならば、えさの価格統制はもつとやりいいのであります。それはやはりもち屋はもち屋だということによつて、鶏の飼料の協同組合、豚の飼料の協同組合、うさぎの飼料の協同組合という、最も端的にやりやすい方法をとるから、最後の仕上げに行つて、あすこにもここにも響きが行くんです。今の川俣委員考え方もきつと、将来の農村というものを考えたときにこういうふうにめちやくちやな形ができることを、重要な酪農地帯において、酪農というものに重点を置けば置くほど、さつきのもち屋はもち屋だという観点から、そういうふうな一つの産業だけを取上げた、独自な、総合性を欠いたものができることを憂えておるのだろうと思いますし、私個人もそういうことを非常に憂えておるのでありますが、この点は重要な問題でありますから、畜産局は、あくまで総合農協というものを基本に置いて、これを指導あるいは経営の中心に置くんだ、そうして単一農協あるいは特殊農協をその方向に近づかしめるべく指導なり方向づけて行くということを、この際はつきりと出す方がいいんじやないか、こう思うのでありますが、それに対する御意見を聞きます。
  51. 大坪藤市

    大坪政府委員 集約酪農指定地域内におきます問題であるのでありますが、現在すでに地域指定をいたしておりますのは、しかもその上に乳牛導入いたしておりますのは岩手県側と八ケ嶽山麓であります。八ケ嶽山麓としましては、農業協同組合中心としましてすべての物事を運んでおるのであります。今後指定関係が多くなつて参ります場合に、現に総合農協のほかに別途に酪農組合がある場合にその点が非常に問題かと思うのでありますが、ない場合におきましては、特にそういうような特別の組合をつくらせるようなことは絶対にいたしたくない、かように考えております。ただ問題は、すでにそういう組合が成立しております場合にどうするかという問題が起きて来るかと思いますが、この場合におきましても、多くの場合に乳牛導入でありますとかあるいは一般的な指導という点は、これは総合農協でやつてもらうことにはかわりないと思うのでありますが、集荷の面にいろいろな問題が起きて来るのではなかろうか。その場合にそれをただちに解消せしめることは行き過ぎではなかろうかとも思います。しかしながら原則的な方針といたしましては、総合農協にその方面に大いに力を入れていただくという趣旨で、総合農協を中心に物事を処理して参りたい。ただ現実に当該地域に別途に組合がありました場合に、これにつましての問題がいろいろ起きて来るかと思いますが、この点につきましては、一般的な方針方針でありますので、各県とも十分に連絡いたしまして、その間の調整をはかつて参りたい、かように考えております。
  52. 金子與重郎

    金子委員 局長は単位組合の状況がよくわからないのだ。ことに今の話によると、集荷の面において困りやせぬかというようなことを言う。それは逆なんです。酪農組合なら酪農組合が、単一の組合として乳代の支払いや集荷を一手にやろうとしたときに、非常な煩鎖と非能率が出て来るんですよ。なぜならば、総合協同組合であるならば、かりに千戸の組合員のうち五百戸の人が牛を飼つてつても、五百戸の貯金台帳はみな持つておるから、乳代が入つたつて、それを帳簿の上に振りかえすれば一時間で終るんです。それを単一なものがやれば、単一な人間と単一の台帳でもつて処理しなければできない。乳を集めるといつても、総合組合でやるならば、総合組合の運搬機関があるだろう。それが酪農組合だけでやるならばまた別なものを持たなくちやならぬ。そういうことが実例として出て来るんだ。だから単一組合がその総合組合の中に入つて行く、たとえば経済的にも組織的にもまつたく特殊組合が総合組合の中に入つて、そして運営を一緒にやつて行くという方向に持つて行くならば、非常に困難だとかなんとかいうことはありません。そういうふうな工作をあなた方の方で指導しようとしなければ、これは単位組合はどんどん単位組合としてやつて行きますよ。そして養蚕組合のような形になつたら手も足もつきはしないのですから、それを私は憂えるのです。ですから畜産というものは、農家個々に考えてみれば農業経営の一環でしかないし、しかもこれ自体が農業なんだから、それを農業が違うために一つの産業が起ると、やれ豚の組合、牛の組合、うさぎの組合というような形にして、それをなるべく総合と一緒に行こうという程度の考え方では、これは総合的には行きません。これはプライドからいつても必ず一つ一つ組合を持つという方向に農民自体がなつているのが現況なんだ。いわんやその点においては、指導者がよほどしつかりしなければならぬと思います。その点をもう少しはつきりお考えになりませんか。
  53. 大坪藤市

    大坪政府委員 集約酪農地域指定いたしました場合に、すでに存在している特殊農協がありました場合の問題であるのでありまして、それはその地方地方によつて解決して行かなければしようがないのじやないか、かように考えるわけであります。
  54. 金子與重郎

    金子委員 いやそれは違うのです。集約酪農地域指定した所にたくさんの酪農組合がもうできておりますよ。そこはしかたがないのだという考え方はいけない。それと総合組合とどういうふうに総合的にもつて行けるかということを、総合組合中心に今後の指導方針は行くのだということをあなたは考えないかというのです。そういうことでなければこれはできているのだからしかたがないということになつて来ると、総合組合の中から畜産の盛んな地帯において畜産を除いてしまい、養蚕の盛んな地帯において養蚕を抜く、そうしたら一体総合組合というのはどこに力が出て来るのです。そうして天災があつたとかなんとかいうような場合には、結局総合組合の経済力というものがその村の産業を救うかどうかということに関係して来るのですから、それをとかく畜産だとか養蚕だとかというような人たちは、農村全体の経済を無視して、自分の係というかセクシヨンの中で一つの団体指導をする傾向が非常に強い。だから今あるのはきまつているのです。これからホルスタイン地区なんか指定すれば、どこだつて酪農組合はあります。その酪農組合の運営というものは、一つの農業の部門ごとに行われている今の矛盾をとり去るような方向に、あなた方は指導するという考え方を持たないかというのです。あるところはしかたがないということでは意味をなさないのです。その点はどうです。     〔芳賀委員長代理退席、委員長着席
  55. 大坪藤市

    大坪政府委員 原則的な考え方につきましてはただいまの御意見通りだと思うのであります。これはすでに存在しているところにつきまして、それのやり方の問題につきましては、総合農協並びに現在ある単協を結びつけるような方途も暫定的には考えて行かなければならぬじやないかと思いますが、根本的な最終的な方向といたしましては、ただいま御意見のような基本的な線につきましては、そういうふうな御意見通りつて参りたい、かように考えますが、すでに存在しているものにつきまして、それが困るというものにつきましては、実際問題としてこれは現地々々として解決すべき問題じやないか、かように考えます。しかしながらできるだけそういうような方向で進んで参りたいとは考えております。
  56. 遠藤三郎

    ○遠藤委員 ただいま集約酪農地帯の農業協同組合の問題についての議論が闘わされておつたわけであります。ただいまの金子委員意見もよくわかるつもりであります。総合的な協合組合でなければ将来の日本の農村はだめだ、これはその通りでありまして、まつたく賛成であります。ただしかし現実の問題としましては、酪農なら酪農組合あるいはその他の畜産組合ができておる。この酪農振興法がそういう団体の整備をする法律であるような形になると、これはたいへんであります。なぜかというと、それを指定したがために、各地に団体の争いの問題が起きてしまう、そしてその争いに終始するような結果になつて来る。それには触れないようにしてもらいたいというのが私の考え方であります。私は理想論としては、総合的な協同組合でやるということは当然なことである。けれどもそれをこの酪農振興法で団体の整備をするというような機能を持たせるというような考え方になつて参りますと、非常な争いが出て参ります。それでもつてこの法律はーつも動かなくなつてしまうのであります。でありますから現実の事情をよく見て、そうして総合的な組合へもつて行くという指導精神を持つことはけつこうでありますから、それは大いにやつていただきたいと思いますが、現実の事情を誤りないように見ていただきたい。そうしないと、酪農界というものは混乱をしてしまうのであります。そのことを私は心配するものであります。そういう見地から現実の実際の組合の動きというものを見て、それにマツチするような指定の仕方をする、そういうふうに私どもは了解をするものでありますけれども、その点について畜産局長の御意見を伺つておきたい。
  57. 小倉武一

    ○小倉政府委員 畜産局長からもお話があると思いますが、私どもの先ほど申しました点をもう少し敷衍して申し上げますと、理想論として総合農協を中心にやつて行くことがよかろうということは、実は組織といたしましても、総合農協だけで万事解決するというつもりはございません。総合農協だけで行けるのではなくて、場合によつては総合農協で行ける場合もありましようが、場合によつてはむしろ総合農協の下に畜産の小さな協同組合ができましたり、あるいは総合農協を基礎として、上に郡単協の酪農連合会ができ、県の経済連で酪農協同組合でもできまして、これで大いにやれば郡の連合会もいらぬと思いますけれども、過渡的にと申しますか、地方によりましては郡の単協を中心とした連合会といつたようなものが、酪農中心でできる、あるいは部落によりましては、酪農中心とした部落の協同組合ができまして、それが総合農協に入つて来る。こういう意味におきまして、総合農協が一役買つてやる、あるいはそれが中心になつて活躍して行く、こういう意味合いで私どもはやつて参りたいと思つております。
  58. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ただいま集約酪農地域のことが問題となつておるようでありますが、これに対し、私は討論会でも何でもありませんから、ちよつと当局にお尋ねいたしたいと思います。酪農振興集約酪農地域酪農事業施設を設置することのみによつて全うされるものではなくて、全国的な問題であると思うのであります。そこで当該地域外におけるところの酪農の振興策というものは、集約酪農地域に関連して当局の案を示していただきたいのが第一の重要な点であります。この点をお示し願いたいと思います。
  59. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいまの金子委員の御質問並びに遠藤委員の御質問の点についてでありますが、私どもといたしまして、酪農の問題、特に集約酪農地域に対します農業協同組合のあり方につきましては、あくまで各般の指導並びに集荷というような点につきましては、総合農協中心主義でことを運んで参りたいと考えておりますが、ただ総合農協と単協との結びつきにつきましては、ただいま経済局長から御答弁申し上げました通り、現地々々の実情に即応いたしまして、総合農協と単協のあり方につきまして指導して参りたいと考えておりますが、組合そのものの全般的な問題と申しますか、中心的にはあくまで総合農協中心でやつて参りたい、かように考えておるわけであります。  次にただいまの福田委員の御意見の点でありますが、集約酪農地域指定しない地域につきましても、特に市乳等と関連いたしまして、従来通りの振興方針をとつて参りたい、かように考えておるわけであります。
  60. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 私の今の質問に対する返事では、酪農の振興策というのは、従来通りならば話になりません。酪農の振興は集約酪農地域及び当該地域における酪農事業施設の設置のみによつて全うされるものではない。全国的の問題である。当該地域外における酪農の振興策はどうなつておるか。これは従来通りということだつたら答弁にはなりませんから、もう少し詳しく示していただきたいと思います。
  61. 大坪藤市

    大坪政府委員 酪農振興につきまして、集約酪農地域外の地域につきましては、草資源の増産の問題、あるいは乳牛導入につきます営農資金等の問題につきましては、すでに成立いたしております予算につきまして、従来通り方法によつて指導して参りたい、必ずしも現在ありますすべての資金につきまして、これを集約酪農地域に集中するというような考え方は持つていないのでありまして、各種の予算あるいは指導組織等につきましては、地域外の地点についても遺憾のなきように措置して参りたい、かように考えておるのであります。
  62. 井出一太郎

    井出委員長 残余の質疑は午後にこれを譲り、暫時休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後二時四十一分開議
  63. 井出一太郎

    井出委員長 休憩前に引続き、会議を開きます。  酪農振興法案の質疑を継続いたします。足鹿覺君。
  64. 足鹿覺

    足鹿委員 大体芳賀委員から、わが党としては詳細各論あるいは総論にわたつて御質疑があつたと思いますので、私はきわめて重点的に若干の質問をいたしたいと思います。  そこでまず第一でありますが、酪農の振興計画を定める手続につきまして省令に依存をしておるのでありますが、過般いただきました資料によつて見ますると、第三条第三項の「政令で定める基準」なるものがきわめて半ぺら紙同様なものが配られておるにすぎません。この重要な、しかも酪農地帯が非常に関心を持ち、いろいろこの指定については、熱心にそれぞれ当局にも今までも要請しておると思いますが、それがもとの建設要領は相当詳細なものがございましたが、今度いただいた第三条第三項の「政令で定める基準」なるものは、これはあまりにも抽象的であつて、私ども全然よくわからない。こういうものを資料だとしてお出しになつて事が済むようなら、私はああいう資料の要求をしないはずです。もう少し親切に願いたいのは、少くともここまで来ておるものであれば、政令案そのものをお示し願うことが私は妥当じやないかと思う。第一、一号の基準について見てもまことに漠然としておりまして、どういう所が集約酪農地域としての指定地域になるのか、これではまつたく判断もつかない。これでは私ども、この法案の全般の一番重要な部分について検討するすべもないと思いますが、その点については当局はどういうふうにお考えになりますか。あなた方は非常に御研究になつておるかもしれませんが、私にはこの基準ではさつぱりわからない。その点もう少し他に政令案の内容があれば、それを示してもらいたいし、これをどういうふうに解釈して、この基準によれば、どういう地帯が、どういうふうな条件を持つておる所がその指定地域になるのか、具体的に説明を願いたい。
  65. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま御要求になりました資料の点につきましておしかりを受けたのでありまするが、もちろん私どもといたしまして、政令等はつきりいたしましたものをお示し申し上げるのが当然かと思うのでありますが、実は基準の書き方につきましては、これを政令として書きまする場合には非常にむずかしい点があるわけでありまして、これらの点につきましては、政令にいたしまする場合にはその書き方等につきまして十分検討を要する点がありまするので、政令そのものをお出しするほどに至らなかつたことをここにおわびを申し上げておきたいと思うのであります。集約酪農地帯に指定いたしまする地域につきましては、この法律の本文におきましてその精神をうたつておるのでありまするが、その集約酪農地域として将来酪農を経営し得る農家が集団的に存在しておる地帯を取上げる、こういうことが根本になつておりまして、できるだけ自家労働力で乳牛を飼育する農家が集団的におり、かつまた自給飼料をもつてその大部分をまかない得るような農家が集中的に存在しておる地帯指定する、こういうような構想のもとに第一号の基準を定めておるのであります。ただ書き方が非常に煩雑になつておりまして、これを政令等に引直しました場合には、いろいろ書き方の点について問題が起きて来るんじやなかろうか、かように考えたわけであります。
  66. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは私は困ると言うのです。もう少しわかりやすく——すでに今まで御指定なつた所もあるのです。この基準から行きますと、ほとんど水田酪農地帯は入らない。今度の趣旨がまつたく草資源に恵まれた、そうして自家労働力との関係を見ても十分に間に合う、そういうようなところからこの基準がつくられておるように思いますが、しかし必ずしもそういうところにのみ限定しなくても、熱心に地帯指定希望を持つておる所は全国に相当あろうと思います。これの基準で行きますと、ほとんど草資源に恵まれた地帯だけに限られるような結果が出て来はしないか、こういう点も案じられるのであります。しかも全体を通じて、この法律は政令または省令に譲つておる面が非常に多いのであります。どうもかんじんなところになりますとみな政令、省令ということになつておる。一種の総動員立法のような感じも、読んでみて受けるわけでありますが、これをしかも行政的にあなた方が、府県知事の出したものを何者の意見も聞かないで、知事の意見畜産局が検討されて指定地区をきめて行くということは、あなた方を別に信用しないわけではありませんが、結果から見て非常に独善的だとのそしりを受けられる場合も出て来ましようし、また全体から見て不適当だという批評も出て来る憂いもあろうかと思います。従つて何人が見ても公正適正な地域指定が行われておるということが、この法の運用上私はきわめて重要な一面ではないかと思うのであります。その点について午前中も御意見がございましたが、必ずしも集団酪農地帯だけが酪農地帯でないことは言うまでもないのでありまして、全国にはこの指定は受けないが、有数な酪農地帯も今後もできるであろうし、現存もしておるでありましよう。そういつたような点等をにらみ合せまして、特に今後海外の乳製品等の国内輸入の機運も非常に強くなつてもおりますし、内地酪農を全面的に振興し、かつこれを合理化して行くというような点につきまして、基本的な振興計画について適当な機関を設けてこれにはかる、あるいは紛議が府県段階であつせんが成立しない場合には、さらにその機関等にも諮つて行くという点、もちろん地域指定の点についても諮るというふうな場合に、あなた方の判断だけでこの重大な問題が決定づけられるということは、少し適当でないように私思うのであります。でき得べくんば酪農審議会とでもいいますか、そういうものをつくつて、そして集約酪農地域指定、あるいは乳価の安定を含んだ全面的な酪農振興基本方針を検討して行く、その一環として、酪農振興計画に基いた地域指定を行うためにその機関の意見を徴するというふうに当然相なるべき性質のものではなかろうかと私は思うのです。従来いろいろ批判はありましたが、当委員会が相当の特殊立法をやつた従来の経緯から見まして、きわめてわずかな予算の特殊立法にもかかわらず、相当権威ある審議会をつくつておることは御存じの通りであります。いわんやこの酪農振興法のごとき、非常に地方住民の注意が集中し、しかも今までの指定の経過から見ても、われわれは純粋に事務的にあなた方が指定しておられるとは考えがたい節がある。この指定の問題をめぐつて、相当政治的にやられておるという印象を強く持つ点もあります。すでにそういう結果も現われておる。いわんや今後大量の指定を、ある年間に百箇所と伝えられ、あるいは五十箇所と伝えられておりますが、その全貌も明らかにできるならば、何年計画で何箇所つくるということも承りたいのでありますが、そういうことが従来の指定の実績から見ましても、私は、ただ知事の申入れたものをあなた方がこの基準に当てはめてきめて行くということでは、納得の行かない場合が相当出て来るのではないか。それは酪農振興の上から見て、必ずしも喜ぶべきことではないと思いますが、この点については、審議会をつくれば国会議員を入れなければならぬというような考え方を必ずしも持つておりません。何もかにもみな国会議員を入れなければならぬというのではありませんが、知事がきめた計画を、あなた方だけでその適否をきめて、はたして万全を期し得られるかどうか、私は期し得られないと思う。従来の実績を一つとつて考えてみても、少し無理がある。新たにこれにかわるべき何らかの公正妥当な地域指定が行われ、あるいは全面的な酪農業の振興について、権威ある方針が樹立されて行く何か別の対策をお考えになつておるのでありますか。なつておるならば、それを承りたいし、ないならば今後どうしてこの適正なる指定、あるいは酪農一般の振興の基盤を樹立されて行くか。今後予算がいろいろとむずかしくなつて来る。そういう場合には、予算裏づけも行政力だけではなかなか無理な場合も出て来ましようし、相当問題はあると思います。そういう点が、この法案全体を通じて一番欠けておりはしないかと思う点であります。この点をお伺いいたしたいのであります。
  67. 大坪藤市

    大坪政府委員 地域指定の問題につきまして、さらに専門的な学識経験者等の意見を聞き入れまして、できるだけ公平に指定をするために委員会等を設けるような意思はないかという御意見だと思うのでありますが、私どもといたしましても、ただいま御発言通り、そういうふうなシステムをもちましてやつて行つた方がより公平であり、かつみなが納得でき得る妥当な制度ではないかと考えるのでありますが、行政機構簡素化等の点もありまして、法律案自体の中にそういう委員会を設けるという点につきましては、さしひかえたような次第であります。しかしながらただいまの御意見は私どもといたしましても、何らかの形でそういうシステムをつくつて行つた方がいいのじやなかろうかという御意見につきましては、そういうふうな点も十分に考慮いたしまして、今後予算も伴う問題でありますから、そういうような場合に、ただいまの御発言が可能になりますように努力いたしたい、かように考えておるのでありますが、法案自体の中に委員会を設けるという点につきましては、差控えているような次第であるのであります。
  68. 足鹿覺

    足鹿委員 この審議会ということについては、別に反対ではない。何らかの機関を必要と思つたが、行政整理等の関係もあつて、新しくこういうものを条文の中へ入れることは遠慮をした、こういう趣旨の御答弁であつたように思いますが、別にこの審議会をつくつたからといつて、それが大きな経費を食うものでもありません。わずかな経費であつても十分な効果をあげて行くならば、決して行政簡素化の趣旨にもとるものではないと私は考えております。そういう点についてより法案を完全なものにし、またその結果から見て、こういう地域指定というようなことは、非常に問題の起りがちなところでありまして、従来いろいろな特殊立法の際にも、私どもが立案をいたした際におきましても、もつと明確に指定基本条件というのを全部掲げております。それがこの法律に書けないという趣旨は、私どもは理解することができないのであります。この点について私どもはもう少し完璧を期したい。今の御答弁で、基本的には意見が一致しておるようでありますから、あとでよく検討を加えまして、ただいま述べたような趣旨が実現するように努力いたしたいが、あなた方としては、別に基本的には意見を異にするものではないということを御確認されますか。
  69. 大坪藤市

    大坪政府委員 私どもといたしましても、そういうような基本的な考え方につきましては、ただいまの御意見通り意見を持つておるわけであります。
  70. 足鹿覺

    足鹿委員 これは青森県で起きている事例だそうでありますが、生産者団体が加工施設を持つ集団酪農地域中心施設になるということについて、農林省は喜ばないのであるかどうか。加工施設は会社システムで行くことを指導方針としておるのかどうか。これは現に集団酪農地域指定になつておる青森県で問題が発生しておるように聞いておりますが、ああいう場合には、他には商業資本的なものはないように聞いておる。ところが実際においては、生産者の加工施設等もひつくるめて相互会社をつくれというようにあなた方は指導しておられるように聞いておりますが、今後できる指定地域には、すべてそういう指導方針で臨んで行かれるのでありますか。もし一歩この方針法律の運営を誤りますと、酪農資本の生産者に対する収奪を促進するような遺憾な結果が出ないとも限らない。そこに私ども非常に関心を持つておるのでありますが、その点について御所見を承つておきたいのであります。
  71. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいまの青森県の集約酪農地域に対するお尋ねの点でございますが、結論的に申し上げますと、ただいまの御発言とまつたく逆な指導方針をわれわれといたしましてはとつておるのであります。農業協同組合系統機関におきまして、資本的に見ましても技術的に見ましても十分にやつて行けます場合には、できるだけ系統機関の酪農工場というものを動かして参りたい、かように考えております。ただ具体的に青森県の場合におきましては、すでに地元の方からそういうような案が出ておりまして、われわれの方に、こういうことではどうかというような御意見があるのであります。これにつきましては、現に青森県に系統機関の工場がありまして、それに反するようなことにもなりますので、もう少し地元の方で、その点についてはよく意見をまとめて来てもらいたい——これははつきり地方全部のまとまつた意見ではないようでありますが、そういうような事案が出ておるのは事実であります。これは私どもの原則的な指導方針とは異なりますので、これらの点については、協同組合系統機関あるいは地元の酪農農家、こういうような全体を打つて一丸といたしまして、もう少し相談をして、できることならば権威ある系統機関の全面的な利用というようなことで行けないかということを、目下協議をいたしておりまして、地元にも、そういうことで行かないかということを、こちらの方から実は申し上げているような次第でありますので、御了承願いたいと思うのであります。
  72. 足鹿覺

    足鹿委員 私もまだよく調査が徹底しておりませんので、これ以上青森県の部分的な問題については申し上げませんが、少くとも私の聞いておるのとは、今の御答弁は少し違つておるようであります。とにもかくにも集団酪農地帯指定した場合に、そこに中心施設ができる、そういつたときに、生産者団体の行う加工施設を優先的に促進する具体的な対策は、どういう対策を持つておいでになりますか。従来からこの審議を通じて見られることは、これは酪農振興ではなくて乳業振興ではないかという痛烈な御批判も出ておつたようであります。農民が酪農をやり、できた乳を生産者の団体が中心となつて加工施設を行う、これが理想の体系であろうと思います。しかし日本の現状としては、必ずしもそうは行かないが、具体的に農業資本に基く加工施設をどういうふうにして促進をして行かれるのでありますか。その基本方針はいかにお考えになつておりますか。これは地帯指定と、その後に来る問題と、両者一体にならなければ終局の目的が達成できませんので、非常に重要な点であろうと思います。また現に乳業資本と乳生産者、農民との間に、いろいろ紛議が起きておる、問題が出ておる。これに対して抜本的な対策を講じなければならないことはもちろんでありますが、今の政府の現段階においては、言うべくしてなかなか困難なことだと思う。だからといつてこれを放置しておくのでは、この酪農振興法趣旨は実現できないと思います。逆に乳価の下落によつて、しかも生ものがどんどん生産されることによつて、むしろ生産農家酪農資本の犠牲になるような結果が出ないとも限らない。これに対する対策というものは、あくまでも生産者が共同して行う加工施設を促進をして行く、ここに基本が置かれなければならないかと思うのであります。もちろん加工施設の合理化なり、合理化を通ずるコストの引下げなりということも必要ではありますが、やはり基本はそういうところになければならない。北海道の形が必ずしも完璧とは思われませんが、少くとも内地北海道形態は相当開いております。ああいう事態に近いものが内地にも敷衍されて行くのが一応の方針の対象になるものであると思いますが、それに進むための具体的な措置は、この法律の内容にはほとんどございません。行政指導として行われるならば、たとえば生産者が団結して行わんとする場合の融資の条件の問題であるとか、いろいろ問題があろうと思います。これに対するところの基本方針がなければ、私はこの法案はかたわの法案にならざるを得ないと思いますが、いかがでありましようか。
  73. 大坪藤市

    大坪政府委員 酪農に対しまして、青森県におきます具体的な問題につきましては、その事情等の詳細な点につきましては、別途の席におきまして具体的に詳細に御説明を申し上げたいと思うのであります。その点につきましての御答弁はこれで省略させていただきたいと思います。  農業協同組合の系統機関による酪農施設、工場施設等の設置の問題につきましては、まずわれわれといたしましては、農林漁業金融公庫から施設資金を貸し出すということによりまして、その方の施設のための資金につきましては十分まかない得るのじやなかろうかと思うのであります。同時に運転資金等につきましては、農業協同組合系統機関におきましては、系統金融機関から借り得るというような条件になつておるのでありまして、この二つの金融的な措置によりまして、すでに各地に農業協同組合系統機関の酪農工場を設置いたした事例も多々あるのであります。今後もこの系統機関関係の融資につきましては十分利用させていただきたい、かように思いますので、集約酪農地域につきましても、そういうような方針によりまして、できるだけ組合系統機関によりまして、できることならば工場の設置等につきましても指導して参りたい、かように存ずるのであります。ただ技術的な問題等が残るのでありますが、これは適当な、北海道関係の協同組合に結びついております技術の導入等によりまして、それらの点もできるだけ系統組合機関によりまして仕事をやつて行けるものであれば、そういうような精神のもとに指導して参りたい、かように考えておるわけであります。
  74. 足鹿覺

    足鹿委員 振興計画に関連して先刻ちよつと申しましたが、あるいは他の委員によつてすでに御発表になつておるかもしれませんが、指定場所は年度計画によつて何箇所つくりますか。
  75. 大坪藤市

    大坪政府委員 この点につきましては、すでに御答弁申し上げました通り、現に各地から申請書と申しますか、申込みがあつておるのであります。また今後も相当申込みがあると思うのでありまして、たとえて申し上げますれば、具体的には北海道からは十八箇所でありましたか、十七箇所の申出があつておるのでありまして、これは第一次的な申出であるので、今後も引続いて申出をする、こういうような条件がついての申出になつておるのであります。従いまして、どのくらいの箇所数が酪農地域指定をしてもらいたいという要求になつて参りますか、目下のところそれにつきましての結論を得ておりませんので、はつきりここで何箇所指定するかという点につきましては結論を得ていない、こういうことになるのでありますが、私どもといたしましては、酪農振興に適する地帯でありまして、かつ地元の要望が、ぜひ酪農によりまして農業振興をして参りたいというような所がありますれば、予算等とのにらみ合いにもなつて来ると思うのでありますが、できるだけ地元の希望にも応じて参りたい、かように存ずるのであります。なおジヤージー種につきましては、外国から乳牛を持つて参りますので、これにつきましては、当該年度におきます予算がどれだけに編成されるかによつてきまると思うのでありまして、ただいまから何箇所指定するということは、遺憾ながら申し上げかねる、こういうことに相なると思うのであります。
  76. 足鹿覺

    足鹿委員 もしこの法案が通つた場合に、次の地域指定をされる見通しはいつごろになりますか。またその具体的なことは発表できぬと言われますが、何年か後には何箇所くらいのものをつくる方針か、それがないようなことは私はないと思います。昭和二十九年度において行わんとするものは大体この程度で、三十年度において行うものがどの程度だという最小限度のことは、別に御発表になつてもそう大きな支障にはならないと思います。これは農民がこの法律をよく知らないで申し込むこともあるし、あるいは知つて一生懸命やる人もあるでしようが、相当その期待があるとしなければならぬ。その場合に、実際の指定は、ふたをあけてみたところがこの程度であつたというようなことでは、まことに遺憾に思います。すでに政令事項等もできておるわけでありますから、ある程度は公表されて、そしてあとは予算や牛の輸入その他の点で必ずしもその通りに行かない場合もあることは何人も肯定するわけですから、ある程度は関連して公表されるべき責任があると私は思います。そうしないと、あとでどこの地区といえども実現しないようなひよろひよろ腰ではないでしよう、本気でみなやるでしようから、それが殺到した場合に、その何百分の一か、何十分の一かにすぎないで、大きな失望を与えるというようなことでは、羊頭狗肉になると思うのです。それはどうしても承ることはできませんか。
  77. 大坪藤市

    大坪政府委員 指定の箇所数の問題でありますが、ジヤージーにつきましては予算等関係もあり、また外国乳牛導入いたします関係で、各農家に準備を早急にやらせなければならない関係上、すでに四地区指定をいたしたのであります。本法が成立いたしましたあかつきにおける指定の問題でありますが、二十九年度におきましては、私ども当初の構想におきましては大体五十箇所見当のものを指定いたしたい、こういう構想のもとに、自給飼料等についての予算を編成いたしておるのであります。二十九年度におきましては、その方針のもとに、大体五十箇所くらいのわくの中におきまして、具体的には三十箇所か四十箇所見当になると思いますが、一々各地の準備の状況、あるいはその地域の客観性を審査いたす関係がありますので、五十箇所以内の見当におきまして地域指定いたしたい、かように考えておるのであります。三十年度におきましては、さらにそれ以上になると思います。本地区の指定におきましては、一応の見当といたしましては、二箇年くらいで一応作業を終りたいと思いますが、本法は御承知のように恒久立法でありますので、常時指定ができるというようなかつこうに相なつて参るかと思うのであります。一応のめどとしての地域指定は、われわれとして二年くらいというように見当をつけたいと思つておりますが、当該地域の農業の形態から考えまして、酪農によつてその地域の農業を振興したいというような所で、客観的に妥当性のある地帯から申請が参りますならば、その後におきましても、予算等の関連ももちろんあると思いますが、地域指定して参りたい、かように存じておるわけであります。
  78. 足鹿覺

    足鹿委員 私は局長に御注意申し上げておきますが、一般ではもう大体箇所は想像して知つておるのです。委員会になると、あなた方は言を左右にして発表されない。これは委員会に対する不信的な行為でありまして、私は非常に遺憾に思うのです。一般では知つておりますよ。ややもすればわれわれが聞いても、いろいろ追究して初めて全貌を明らかにされる、そういうようなことであつてはならないと思う。少くとも農林委員会は農民の総意を体して、農林委員会を通じていろいろと発表をされるのがよろしい。あなた方が正式に発表されたことではないでしようが、熱心のゆえをもつて、いろいろな手づるで知つておるのですよ。それをわれわれがいよいよ正式に聞こうとすると、言を左右にされる。今後こういうことのないように私はお願いをしたいと思います。堂々と発表すべきことは発表する。それでなくても官僚独善的な傾向がこの指定をめぐつて相当行われる。またいろいろな人たちの縁によつて、事務的な純粋な立場ではなくして、ややもすればゆがめられがちであります。そういうことのないように、ほんとうに真摯な立場から、純粋に適地を選定して行くならば、この程度になるというぐらいのことは一応言つてもらいたい。これは将来もあることでありますので、よく御留意を願いたいと思います。  あまり長くなつてもどうかと思いますから、次に第二点の牛乳取引の紛争解決のための措置がこの法案では不十分だと思う。これはお認めになつておると思います。県段階における紛争解決の方法が一応うたわれておりますが、現在日本の乳業資本の分布は、ほとんど明治、森永あるいはその他の若干の資本によつて、全国的に系統組織を持つておる。その工場々々によつて独立採算を一応建前としてはおりますが、それは会社の能率を上げる経営上の一つの手段であつて、あくまでもその会社は一つの会社として全国的に採算を見て行くのであります。そうした場合ある県に紛争が起きた場合に、あるいはある地方に紛争が起きた場合といえども、それはその工場独自の判断においては解決のつかない場合が多いと思います。従つて県段階におけるあつせん調停等はしばしば困難な面に遭遇をし、何らかの形で中央における一つのあつせんないしは調整の必要を生じて来ることは火を見るよりも明らかであります。にもかかわらず中央における実情に即応したあつせん、調整の方途が講じられておらないということはどういう理由に基くものでありましようか、私これは非常に遺憾に思います。もし一歩誤りますと、これは養蚕組合と製糸業者との関係のように、午前中も問題になりました乳業資本と酪農組合が特殊の一つの契約を結ぶ、そして実際上においては製糸資本に制覇された養蚕組合の実情にもなりかねないと思うのです。しかも繭の場合は、乾繭措置を伴いますならば相当保存もききますが、この牛乳の場合は生鮮食料品であつて、一日たりといえどもこれを放置することはできません。従つてこの力関係においては、養蚕の場合よりもむしろ乳業資本が酪農家に加えるいろいろな圧力というものは非常に大きいものだと思う。そういう現状におきながら、府県段階のあつせんのみにとどめて、中央においては何らこれの措置を講じないということは、法律の大きな欠陥ではないか、私はこういうふうに思いますが、府県段階においても、強制力のない知事のあつせんが片がつかない場合は泣き寝入つてしまうのでありますから、そういうことでは乳価の安定、取引の公正化の問題はやみからやみに葬られて、結局においては牛は飼つたが、安い乳価でたたかれて、最後にはせつかく入れた牛を手放して行かなければならぬ、そういうような事態が必ず起きるでありましよう。そういうことでは本法の目的達成上きわめて遺憾に私は思うのでありますが、何ゆえこの乳業資本の全国的な経営形態に即応して、府県のあつせん行為が成功しなかつた場合には、中央において適切な措置を講ずる方途を講じられなかつたか、その理由なり今後の対策いかんということであります。
  79. 大坪藤市

    大坪政府委員 生乳の取引等につきまして、ただいまの御意見通り、本法案におきましては地方のあつせんにこれをとどめておりますが、これはただいまも御指摘のありました通りに、乾繭等と異なりまして、きわめて敏速にその地方々々の実情によりまして処理をするということが多かろうと思うのであります。実は中央でこの問題を全国的に取上げて行くということにつきましては、われわれといたしましては、まず第一段階といたしまして、地方によりましてこういう問題を処理して行つて、その後中央一本というような線に持つて参りたい。従つて第一段階といたしましてはまず地方々々でこれをこなしてみよう、そういつたような地方段階におきまする自信が実は私どもになかつたということをはつきり申し上げておいた方がよかろうと思いますが、まず地方の段階において処理してもらいまして、そうしてその動きというものを全国的にながめて行つて、その結果によつてわれわれといたしましてはやつて行きたい、かように段階的に考えておるのであります。もちろん地方の生乳取引の問題について紛争が起きまして、地方があつせんをされます場合に、中央といたしましては、ここに係官を出すなりその他の方法によりまして、できるだけその行政的な指導という点につきましてはやつて参りたい、かように考えますが、中央におきましてのあつせんという点につきましては、この法律におきましては、第一段階として地方でやつて参る、こういうような建前のもとにその制度は設けていない、かように御了承を願いたいと思います。
  80. 足鹿覺

    足鹿委員 非常に理由が薄弱だと思います。これは明らかに地方段階では処理しがたい事態が必ず起きるであろうということはもう予想にかたくないのです。起きたときに行政指導でやるんだということではなしに、当然こういう経済的な利害の対立を伴うものは——しかもそのあつせんにかかわる義務規定があるならばともかくでありますが、何ら義務規定もない。しかも法によれば、その経緯等は公表するに及ばないというようなことでは、ほとんど公にならないでそのまま済んでしまう。そういうことでは真に酪農家の経営の安定も困難でありましようし、非常に困るのであります。そういう事態が必ず起きることが今からすでに予見されておるにもかかわらず、何かそこに遠慮をしておられる。それは大体想像がつきますが、これ以上私は申し上げません。私どもとしては、別途にこの点については妥当と思われる対策を講ずべきである、そのためには建設的な立場から、この法案審議の結論的にある措置を講ずべきことを考えてみたいというふうに思つておりますが、あなた方は根本的に反対でありますか。それともそういう趣旨については大体において賛成でありますか。その態度だけをひとつ聞かしておいていただきたい。
  81. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいまの中央段階におきまする調停と申しますか、あつせんの点につきましては、もちろんそういうような考え方、いわゆる行き方につきましては、私どもといたしましても御意見通り賛成であるのであります。ただその形式が非常に強い形式になりますと、現段階におきましてはあるいは行き過ぎであるかとも思うのでございまして、考え方あるいはそのやり方によりましては、ただいまの御意見通り、私どもといたしましてもその点は同じような意見を持つておる、かようにはつきり申し上げたいと思うのであります。
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 了承いたしました。それではその点はあまりこれ以上申し上げますまい。  乳価の安定並びに消費の促進対策についてでありますが、この法案が生れるよほど以前から、関係団体なり私どもの間でいろいろ議論があつた点は、消費の増大ということが伴わないで今のままで行きますと、すでに夏場になつて東京近郊では二百石くらいも生乳がだぶついているという話も耳にしておりますが、そういう事態が各地に、この成果が上つて来るに連れて出て来ると思います。それは、乳業資本のかつこうの好餌になつて来ることは言わずとも明らかであります。また私はいつか芳賀委員質問中関連して申し上げましたように、六円で買つた乳が、消費者には十七円、私どもが宿舎で一本飲みますと十七円なんです。その間に実に十何円かの中間経費がかかつておる。これは他の事例に比べて、常識的に考えまして、あまりにも大きな中間経費ではないか。資料をいただいたけれども、あの資料ではなるほどと私ども合点が参りません。これらの点については、生産者が集団飲用と直結する。たとえば学校給食なら学校給食につながつて行く、あるいは大工場なら大工場に集団飲用の道を開いて、中間経費をうんと少くして、栄養の改善をはかるというふうな、積極的な消費の促進対策並びに中間経費の合理化の対策というものが——この法律ではそこまでは行けないことはもちろんでありましようが、行政措置としてはあまり目に見えておらないのではないか。これは前から金子委員が厚生委員会で取上げられ、私どももよほど前にこの委員会で取上げたことがあるが、例の衛生関係法律に阻害されまして、なかなかうまく行かないというような事例も過去においてあつたのです。そういつたことが、よほどの時間がたつておるのに一歩も進んでおらない。そこで現在大量消費のところは、業者と話合いをして、一本十七円の市乳を十円程度あるいは十円を割つても飲んでおるところがある。あなた方が真に指導を行われ、これに適切な対策を講じられて行くならば、みるみるうちに集団消費というものはよほど促進するに相違ないと思う。にもかかわらずこれが一向見るべき成果が上らないのは、あなた方に熱意がないのか、あるいはあつてもなまぬるくて、それが成果をあげないのか、そのいずれかであろうと思う。現に努力すれば、大量消費の団体や、あるいは工場、学校ではそういう対策をやつておる。ところが、私どもこれは地方で聞くのでありますが、学校ではつまらぬキヤラメルなんかを共同買入れをして、それをおやつに子供に食わしておる。そんなばかなことはない、十円のキヤラメルがかりに八円で食べられたとしても、牛乳一本にはとても及びません。もつと文部省あたりあるいは厚生省あたりと積極的に手をつないで、学校の給食であるとかあるいは工場等に、もつと集団飲用の措置を講ずべきではないですか。そういう事績が遅々として上らない。そこに消費の促進ということにも大きな隘路があるのではないか。これは、あなた方だけの責任だと申し上げることは困難と思います。厚生省なり文部省なりと共同でやらなければならぬことでありますが、そういう点について食品衛生法の特例を講ずる、あるいは文部省関係の学校給食との関連において、もつと集団消費を促進するいろいろ積極的な施策が、そこに講じられる性質のものであろうと思う。それを生産者が共同で、そこと直結して行くというふうに全国が動いて行きますならば、期して見るべきものがあるし、学童あるいは勤労者の栄養改善にも大きく資することができるし、生乳の消費を大きく促進することもできるであろうと思います。これは多くを申し上げるまでもないのでありますが、そういつた措置を伴つてこそ、この酪農振興というものは最終の目的が達成されるのではないかと思う。これに対するところの政府を代表された一貫した大きな御所信がありますならば、この機会にお聞かせをいただきたい。
  83. 平野三郎

    ○平野政府委員 お話通り本法の活用によりまして、酪農の生産が増大いたしましても、消費の方がこれに伴つて増進しなければ、かえつて乳価の暴落を来し、逆に農村に酪農地獄を起すようなことになるわけであります。従つて本法と並行いたしまして、酪農の消費の増進政策をとらなければならぬわけでございます。これにつきましては、政府としては一大決意をもちまして進む考えを持つておるわけでございますが、これは何としても国民の食生活改善そのものに基盤があるわけでありますので、この点に留意をしなければならないわけでございます。お話通り、ただいま文部省並びに厚生省と密接なる連絡をとりまして、食生活改善の一大運動を展開いたすべく、諸般の準備を進めておる次第でございます。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に、政務次官にもう一つ伺いたいのでありますが、一大国民運動を起すということでありますけれども、これはいつもポスターや映画やいろいろな宣伝行為に終つて、なかなか実際の成果というものが上らない場合が多い。そこで問題は、食品衛生法の実施に関する特例をまず設けるということ、牛乳給食の設備等には積極的な助成をしてやるとか、そこにいろいろ対策が具体的に講じられなければならぬと思うのです。私の聞いているのは、そういう一大宣伝活動、国民運動もけつこうでありますが、それを内容的に裏づけること、私が今指摘したような具体的なことに、政府が特に熱意を持つて、どのように予算支出をやるかということ、そのことが結局は最終的にはものを言うのです。そういつた点を、私は政務次官に聞いているのであります。これは大事なことでありますので、今申しました厚生省、文部省とは具体的にどういう御折衝をなさつておりますか。たとえば私が申し上げました牛乳を給食する、これには若干の設備がいる。その設備をお前のところでみなやれということでは、国民運動国民運動といつてもなかなか実が実らない。やはりそれには冷蔵庫の一つも必要になつて来るでありましようし、しかも現在の食品衛生法上にも問題が出て来る、それが隘路になつていると思うのです。そういうことについて具体的にどういう措置を現在講じているのか、また講じられんとしているのか、そういう点をもう少し詳細に御答弁願いたい。
  85. 平野三郎

    ○平野政府委員 具体的にどうかということでありますが、これは、主としては今後に属することであります。ただ一例を申し上げますならば、これは農林省のことでありますが、農家の生活改善の普及をはかるということが必要でありまして、政府としてはただいま行政の簡素化ということで人員の縮小をはかつて、それに関する法案も御審議を願つたわけでありますが、そういうさなかにかかわらず、この生活改善につきましては特に、全国で約六百名を増員いたしまして、農家の生活改善普及に努めている。こういう点をごらんいただきましても、これはごくわずかなことでありますが、こういう客観情勢の中で、この点についてはさように力を入れているということで、御了承いただけると思うのであります。  なおまた、今食品衛生法のお話がございましたが、これにつきましても、農家においてはこれをできるだけ緩和するように措置をいたしておるわけでございますし、そのほか文部省の学校給食また厚生省における幾多の食生活改善に関する点については、政府として相当計画もございましたが、本年は緊縮予算関係であまり多く実現はいたしておりませんけれども、来年度におきましては、これらの関係予算も大々的に獲得いたしまして、猛然と立ち上る考えでございます。
  86. 足鹿覺

    足鹿委員 最後に要望を兼ねて申し上げて終りたいと思います。来年度においては猛然とやるという政務次官の御答弁、期待しておりましよう。しかしそういう言葉の上でのやりとりではなしに、実際にやつていただかないと、最後の実が農家のためにもなりませず、またその結果が酪農資本をいたずらに肥やすことにのみ終りはしないか。そういう点がありますから、この乳価安定並びに消費の促進対策としては、総合的な施策が講ぜられないといかぬ。もつとも今入れたからといつてその牛がすぐ乳を出すわけでもありますまいから、来年度ごろからでも本気におやりになりますならば、あえてとやかく申しませんが、ほんとうにこれは真剣に考えていただきたい。五円ないし六円のものが十七、八円もする。しかもホモ牛乳とかいつて若干ビタミンを入れたものは二十五円もする。話を聞けばホモ牛乳というものは、一応攪拌して、若干ビタミンを加えたくらいなもので、上に脂肪が上らないだけに措置がしてあるだけだというようなことも聞いております。そんなことで実に中間搾取が多くて、農民には乳価を安く、消費者には相当高いものを飲ましている。一軒の牛乳屋が一日に五百本か六百本始末をすれば、相当産をなして安楽に食つて行ける。そういうようなことで、ほんとうの酪農振興なんということは私はできないと思う。もつと消費の面とあわせたしつかりした対策が立てられない限りは、結果として酪農地獄を現出する結果に陥らざるを得ない。ぜひこの点はひとつ、来年から猛然とおやりになるそうですから、元気を出してやつていただきたい。そこで現在政府が入れようとしているジヤージー種は、外国から買うのでありますから、政府みずからがおやりになることでありましよう。また商社をお使いになつても、政府の手を通じて入つて来るのでありますが、この酪農ブームといいますか、とにかくこういう法律通り、新たなる施策が講ぜられて参りますと、各地における乳牛の、不当な値上り、たとえば畜産振興の措置が講ぜられて来ると、政府計画を発表しただけで、黒牛その他の牛が非常に値段が上つて行く。そうして各県がばらばらに産地に殺到する。そしてお互いが買い上げて行く。これは産地の人たちにはいいことでありましようが、全体から見れば農家のとも食いであり、結局これはコストを高めて行くことである。農家の経営を非常に危殆に瀕せしめる結果になる。しかも苦労して入れた牛が乳を出すようになると、市況の変動によつて採算が割れて来て、せつかくはらみ牛になつたようなものも売り飛ばしてしまう。そういうことを繰返した過去の経験から考えて見まして、導入牛を適正価格農家に買わせるためには、そこに何らかの対策と措置がなければならないと思うのです。各県がおのおの県の自主性においてやつて行くことをとやかく言うわけではございませんが、その結果として産地並びにその間に介在する人々に不当に甘い汁を吸われてしまう。これでは実際問題として農村のためによろしくないと思うのでありますが、この法案通りますと、少くとも三十ないし四十箇所、あるいは五十箇所の設置ができる。そのためジヤージーによらず、他のホルスタインの場合もあるでありましよう、そうした場合には、勢い一つの景気が出て参りまして、非常な乳牛の値上り等が必ず発生して来ると思いますが、これに対する酪農経営の合理化、牛乳生産費の低減をはかつて行く基本的な問題として、どういう対策を講じて行かれる御所存でありますか。これを最後にお伺いして、私は質問を打切りたいと思います。
  87. 大坪藤市

    大坪政府委員 これは乳牛に限らないと思うのでありますが、政府資金なりあるいは系統機関の資金なりが多く導入されるということになりますと、ただいまお話通り乳牛価格が高騰するというような経済現象を来すのはあり得ることであります。私どもとしては、その弊害をできるだけ少くいたしますために、昨年以来有畜農家創設特別措置法に基く家畜導入につきましては、受入れ県と供給県とをまず第一段階としては、何々県から何々県に対して何ぼの数字を導入する、こういう数字をきめまして、しかもその具体的な実行については、農業協同組合系統機関等を主といたしまして、その系統機関による取引、もちろんこれについては中金の資金が介在をなすのでありますから、中金と農業協同組合系統機関とを結びつけまして、一地点に、あるいは一県に各方面から家畜の購入に殺到いたしまして、その地域における価格を不当につり上げることのないような措置をとつてつたのでありますが、今後集約酪農地域指定する場合におきましても、その点については、従来通り導入すべき県と供給する県とを具体的に連繋して、そして方々の県から統制なく殺到いたしまして、その乳牛価格を不当につり上げるということがないような措置とつて参りたい、かように存じているわけであります。
  88. 川俣清音

    川俣委員 今委員長からの御注意もありましたので、私の質問はできるだけ集約して、三点ほどお尋ねいたします。今足鹿委員からるる述べられましたように、集約酪農業をやつて参りますと、牛の値段が高騰いたします。高騰することも、発展途上においてむしろ好ましいことでもあると一面考えられるのであります。その対策としては、単にこれを適正に配分するということでその対策ができたことにはならないと思うのです。そこで乳牛改良増殖方法が、当然この法案の中にも盛られて来なければならない。従つて種畜場の施設等についても、万遺漏のないような補助態勢が生れて来なければならないのではないかと思うのです。馬産の場合と乳牛とは同じだという考え方をされますと、私は非常な誤りが来ると思うのです。乳牛は、私が説明するまでもなく、子牛をとることによつて乳量をふやして行くのと両方相まつわけであります。従つてその改良増殖方法が最も適当でなければならないし、また画期的に普及させるにはどうしても量の確保が必要であります。同時に品質の確保と相またねばならないことは私が申し上げるまでもない。そこで徐々に輸入量をふやして行くというようなやり方でなくして、急激にここにまとまつた種牛の輸入考えなければならないと思うのですが、それと相まつて種畜場の施設を完備して行かなければならないと思うのですが、法律にこれらを盛ることについてどのような見解を持つておられますか、この点一点、それから廃牛に対する対策がこの法案の中にないのです。廃牛は老廃牛とそれからもう一つは小牛の処分があるのです。老廃牛についてはあるいは償却ができておるのであるから、どんなに処分したつてさしつかえないじやないかという議論も成り立たないことはないが、この廃牛の処分がやはり農家経済に相当な大きな影響を与えて参るのであります。ことに乳量と相まつてこの小牛の処分が大きな収入になるわけであります。これが雌であります場合には非常に回収率がよくなつて来る、むしろこういう盛んなときになりますると、乳代よりもさらに上まわることであろうと思います。そこでただ雄小牛が生れた場合の処分なんですが、この処分もいつ処分したらいいか、あるいは育ててから、適当な肉量ができてから処分した方がいいか、即時処分した方がいいかというようなことも出て参るのであります。従つてこれらの処分の時期方法等は、それらの処分施設——畜産局では屠殺場を設けるなどということによつて処分施設を考えておられますが、その肉をカン詰にするというような態勢がとられて来なければならないと思う。どうもこの法案を見ると、牛乳だけのことは考えていますけれども、これに当然伴つてつて来るところの肉に対しては何ら考えていない、この点は落ちていやせぬかと思う。これらの点についてはやはり法文に盛る必要はないか、これが二点、三点は、目的がどうも明瞭じやない、あるいは提案理由にあるようなことが目的のうちに出ておりますけれども、私はこういうようにかえて行くべきではないかと思いますから申し上げますが、これに対する御意見を伺いたい。酪農の急速なる普及発達並びに酪農経営の健全合理化をはかるとともに、その合理的な条件を整備するための集約酪農制度及びその生産品等の公正取引をはかる等の措置を定め、もつて酪農振興の基盤を確立すべきである、こういうふうにすべきだろうと思うのです。酪農振興の基盤なんといつても、牛乳の取引だけが酪農振興の基盤だなんということはおこがましいことだと思いますので、もちろん集約酪農もその基盤の一つであると同時に、酪農の急速なる普及発達並びに酪農経営の健全合理化、これが酪農振興の基盤だ、こうならなければならないと思うので、三点をあげて御意見を伺つておきたい。
  89. 大坪藤市

    大坪政府委員 第一点の種畜牧場等に関しまする問題でありますが、本件につきましては、現在国の種畜牧場十五のうち五つの牧場乳牛関係の仕事をやつているのであります。この五つの牧場は終戦以来急速に始めました牧場でありまして、乳牛を飼育しておると申しましても、その飼育いたしておりまする乳牛の品質なり素質なりというものは、必ずしも十分とは言えないのでありますので、特に二十九年度におきましては、アメリカ等から優秀な種畜を輸入いたしまするために、牡犢は各牧場に一頭ずつ、基礎牛としての牝牛を各三頭ずつ、合計牡犢は四頭、牝牛は十頭、計十四頭を特別に輸入いたしたい、かように考えておるのであります。これはあくまで基礎牛でありますので、この基礎牛の生産に全力を注ぎたい、かように考えておるわけであります。  次に第二点の廃牛の問題でありますが、これはただいま御指摘通り、廃牛には二つある、まず乳をしぼりまして老廃した廃牛につきましては、これは先般改正を見ました屠畜場法の法律運用、つまり簡易屠畜場をできるだけ農村に増加させまして、かつその簡易屠畜場に見合うような肉の確保施設、こういうものを協同組合系統機関等を通じまして、農林中金、金融公庫等の資金運用いたしまして、これらの施設の拡充につきましては遺憾なきを期して参りたい、かように存じておるのであります。  なお小牛の問題でありますが、これにつきましては、従来畜産局におきまして、雄の小牛の飼育を奨励いたした経験もあるようでありますが、どうもその点につきましては、農家の食いつきが悪いようなふうでありまして、この点につきましては十分な成果を現在まで収めておりません。従つて現在のところ牡の小牛の方はほとんど大部分は特別に種牡として飼育する場合以外は全部殺処分にいたしておるようでありますが、これらの点につきましても、でき得るなれば肉資源等に間に合せるように飼育を奨励をいたして参りたい、常にそういうような心構えでおるのでありますが、その点につきましては十分なる成果を発揮いたしておりませんのを遺憾といたす次第であります。  次に第三点の目的の点でありますが、第一条の規定の形式そのものは、いろいろ私どもの方で論議をいたしたのでありますが、なお十分意を尽していないきらいがあるようであると思うのであります。従いまして、ただいまの御発言の点につきましては、第一条の規定が私ども考えております目的を十二分に表現しておるというように考えていないのでありまして、その点につきましては、御意見の点は私どもといたしましても、十分そういうふうに考えておるわけであります。
  90. 川俣清音

    川俣委員 先の二点は私は法文にそういうことを具体化したいという考え方で御意見はどうか、こういうふうに聞いておるので、これに対する質問をいたしたのではないので、こういう点を修正法文化したい、こういう意図であるけれども、御意見はいかがであるか、こう聞いておるのです。
  91. 平野三郎

    ○平野政府委員 お話は一々ごもつともで同感でございますが、政府としてはこれを今法文に盛るということは適当でなく、行政運用の妙を発揮することによつて解決して参りたいと考えておるのであります。
  92. 川俣清音

    川俣委員 それであつたら牛乳だつて行政の運用で今でもやつておられることですから、必要ないじやないかという議論になりますが、どうですか。あまりここでやりとりをしたくないと思いますが、まあ適当に御修正願いたいということであれば、私の方ではこうしたいと思いますが、いかがでしようか。
  93. 平野三郎

    ○平野政府委員 これはあまりこまかいことまで一々ここで規定するということもいかがかと存ずるわけで、現在のところではこの程度をもつて足りるのではないか、かように考えておるのであります。
  94. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 今まで大分議論が出尽しておるようでありますから、私法律上ちよつと問題になる点を一、二お聞きしてみたいと思います。第一は、集約酪農地域に関する規定は、これは法律の規定を要するものではなく、行政運用によつて行つて十分であると私は考えます。こういう考えのもとにこの法案を検討してみますと、問題となつて来るのは第十条第三項の規定であろうと思う。これとてもどうしても必要な規定とは私には思われない。第十一条も単に届出を命じただけだから、これも必要不可欠かと申しますと、さようではない。そうしますとこの規定はしいて置く必要はないように思われますが、この点はいかがですか、まずお伺いいたします。
  95. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、法律的に当該規定がなければ行政措置でやれないかという点につきましては、この点は絶対にやれないということを申し上げる程度には至らないと思うのであります。大体が本法は、御承知の通り、全体がきわめて産業立法に近い法でありますので、しかくどれどれの条項が純法律事項で、どれどれが行政指導的な法律であるという点は、これだけはどうしても必要で、これだけはいらないというふうに割切るわけにもなかなか行かないのじやないか。ただ私どもといたしましては、特に集約酪農地帯を指定いたしまして、その地域におきます乳牛導入の点、あるいは施設の点、あるいは草資源その他自給飼料増産の点などを全般的に処理して参りたいと思いますので、一連の事項を法律の条文として規定をいたした、かように御了承を願いたいのであります。
  96. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 今大坪さんの言つたあとの部分について問題があるわけであります。集約酪農地域のみの酪農事業施設の新設をただ承認するのみで、当該地域外の酪農事業施設は放任しておいては、私はおよそ承認制の意味はないと思いますが、この点について当局の御意向はどうですか。
  97. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいまの御意見ですが、多分にそういう点があるのであります。しかしながら法律事項で規定いたしますので、その地域を一歩はずれたならばそれは承認を経ないでいいというふうになつて参るのでありますが、これは法律で規定いたします以上はいたし方がない。しかしながらその点につきましては、行政指導と申しますか、いずれ地域指定いたしまして、その地方酪農振興をはかつて参りますので、そういうような抜けの点につきましては、行政指導その他の点で調整をとつて行く以外には方法はない、かように考えておるわけであります。
  98. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 今の点は私は本法施行後において非常に重要な意味を持つて来ると思うのであります。集約酪農地域内の酪農事業施設の新設を承認するということになつて当該地域外の集約酪農事業施設は放任するとなると、この承任制の意味が逆コースと申しますか、非常に論議されることになりますが、この点に十分なる御注意をお願いしたいのであります。  それからもう一つ次に問題となるのは、十二条の問題であります。この十二条につきましては、憲法上の問題があるわけでございまして、酪農事業施設の新設の承認ということは、施設の自由競争による乳価の高騰を抑制し生産者に不利な点も多々あると思われます。そこでこれは営業の自由の侵害であるわけでありまして、第十二条第二項第一号、第二号、第三号、第四号の要件だけ満たしたならば当然承認することになつておりますが、要件が抽象的で、行政庁によりましては必ずしもすらすらと行くとは思われないのであります。行政庁によつて不当に承認を拒否される場合が私はあるだろうと思います。その点におきまして、憲法の保障しておる営業の自由はいかなることになりますか、この点についての御答弁を承りたい。
  99. 大坪藤市

    大坪政府委員 第十二条が憲法の営業の自由の原則に背反しないか、こういうような御意見でございますが、私どもとしましては、本法におきまして集約酪農地域においてこういうふうな要件に該当しておる場合には酪農事業施設を承認する、こういうふうに規定をいたしておるのでありまして、他の立法例等におきましても、こうこうこういうような場合には施設の承認をするのだというふうな——実はその点も考慮いたしまして積極的な書き方をいたしておるのであります。従つてこの程度の制限ならば、憲法上のいわゆる営業の自由の原則には背反しないのではなかろうか、かように存じておるわけであります。
  100. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 局長の答弁は、正面から行くとわれわれもまことにその通りに思うわけでございますが、つまり第一号ないし第四号に掲げる要件を満たしたならば当然承認することにはなつておるが、要件が非常に抽象的に書いてあつて、行政庁の扱い方いかんによつては、不当に承認を拒否されるおそれがあるから、その点につきまして憲法において保障されておる営業の自由という点に抵触しないように、運用についてよく御留意を願いたいのであります。  最後に私は一つ、実施上はたしてどういうことになるかと思われる点が一つあるわけでございます。それは第十六条の牛乳の取引の契約の文書化及び届出でございまして、これは自由経済の今日、いたずらに手続の煩雑化を来すのみで、第十六条第三項の都道府県知事の勧告のごときは、何ら実効なく、しかも都道府県知事に妥当な乳価を取引価格と無関係に認定させるがごときことは、実際上不可能ではなかろうか。しかも他の同種の製品はこういうふうな規定はなく、牛乳のみがかかる手続を要することは、不必要にして実効なきものと思われますが、どうでございましようか、この点について御答弁を願いたい。
  101. 大坪藤市

    大坪政府委員 牛乳の取引につきましての文書化の問題でございますが、牛乳は毎日々々供給いたすにもかかわらず、その取引の内容等につきましては非常に不明確な点が多いのでありまして、この点につきましてのそういう不明確、不明朗な点を是正して参りたいと思いまして、文書契約を締結することにいたしたのでありますが、大体において農業協同組合と組合員との関係におきましては、文書の関係は全然ないのであります。多くの場合に農業協同組合が共同出荷をいたします場合におきましては、協同組合と製造業者と申しますか、それとの取引として文書契約になる場合が大多数だと思うのでございます。従つて個々の農家の方に非常な迷惑をかけるというような点は少かろうかと存ずるのでありまして、今後は私どもといたしましては、できるだけ協同組合による共同出荷を奨励して参りたいと思いますので、個個の農家が直接文書契約を締結するというようなことは、できるだけ少くして参りたい、かように考えておるわけであります。
  102. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 今局長のおつしやつたようなことだつたらいいと思いますが、これは労働協約形式に、生産者の組合とプラントとの間の協約で定めるのはいいのかもしれませんが、この書き方で行くと個々の農家でやるようになつておりますが、そのことはどうなんですか。
  103. 大坪藤市

    大坪政府委員 この書き方といたしましては、但書ということになつておりますが、実際の場合におきましては、但書が原則になつていると考えておるのでございます。ただ書き方の形式の問題でこういうかつこうになつておるわけでありますが、これは一般的に書きます場合には、こういうふうな書き方になるということで御了承願いたい。実際問題といたしましては、農業協同組合の共同出荷という問題になつて参りますので、工場等の場合におきましては、協同組合が農民を代表して工場と文書契約をとりかわすことになるのです。
  104. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 文書で知事がチエツクするのが非常に合理的だと思うのですか、一頭、二頭につきまして個々の原価計算を知事がやるのは不可能だと思うのです。そういう趣旨じやないんですね。
  105. 大坪藤市

    大坪政府委員 その通りであります。
  106. 井出一太郎

    井出委員長 お諮りいたします。本案に対する質疑は、この程度において終局いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  108. 井出一太郎

    井出委員長 引続き、これより農民組合法案農業委員会法の一部を改正する法律案、及び農業協同組合法の一部を改正する法律案、以上三案を逐次議題といたし、審査を進めます。  これらの法律案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますが、この際各案の内容について、補足説明を求めることにいたします。提案者金子與重郎君。
  109. 金子與重郎

    金子委員 農業協同組合法の一部改正に対しては、先日、提案理由説明を印刷にいたしまして、印刷の範囲で御説明申し上げたのでありますが、なおこの協同組合法の一部改正に対しまして、提案者として考えております重点を法文から離れて、一応補足の説明をいたしたいと思うのであります。  御承知のように、今の協同組合法は、戦後におきまして農業会の解体、それから農業協同組合法の制定と、非常にあわただしく、しかも日本農業の実態というものに対する検討を相当おろそかにされた形で、占領下においてつくられたものでありますので、日本農村の実態とこの現行の農業協同組合法との間に、私どもの理想から行くならば矛盾が多々あるのであります。それらの法律改訂を根本的にいたしますことは、日本農村の将来の問題として、どうしてもやらなければならない問題だと考えております。しかしながらこの農業協同組合法の抜本改正につきましては、相当各方面に影響するところも多いので、時間的にも検討する時間を要しますので、さしあたりこの際協同組合法の一部改正といたしまして、どうしてもこの国会においてやらなければならない、またやるべきであるという二、三の点だけを取上げたのであります。法案の印刷が相当厖大なものになつておりますので、その印刷から見ますと、相当大きな改正が行われているように感じられますけれども、実はその内容の大部分は、中央会を打建てて行くという問題に相当な活字と紙数をとつておりますが、そのほかの改正条項は主として事務的なもの、またすでに当然改正をしなければならないような事務的なものに近い問題が大部分でありまして、この前提案理由の説明の際にも申し上げましたが、事業上の大きな問題といたしましては、中央会の問題が新たに出たこと、役員の責任の問題を明確にしたこと、監督官庁の監督権限を少し強めて参りましたこと、もう一つ、大蔵省との間にここ一年ほど問題になつております農業協同組合行つております共済事業に対してまつたく手放しの状態で、これに対して何らの監督規定もありませんので、従つてこれが今問題になつております農業協同組合行つております共済事業が保険であるとか、あるいは保険でないとか、保険であるとすれば保険業法の中に入れるべきであるとか、いろいろありますけれども、とにもかくにもこの際農業協同組合が共済事業を相当分量行つておりますがゆえに、この際どうしてもその共済事業を行いますのに、安全に行い得るような最小限度の取締りというか、あるいは監督規定がどうしてもなければならないということが、もうあと会期の残り少いこの国会の間においても、なおどうしても法律改正をしたいという考えを持つた一番の大きな問題であります。それ以外は事務的な問題が非常に多いのでありまして、後ほどできるだけ多くの資料も整えさせまして御研究願いたいと思いますが、何分にも会期がわずかしか残つておりませんので、思うにまかせるだけの準備が整わないと思います点は、御容赦願いたいと思う次第であります。  一言、この前に申し上げなかつた範囲のことを補足して御説明申し上げた次第であります。
  110. 川俣清音

    川俣委員 質問は明日ということに決定いたしておりますので、その約束のもとにきようは質問いたしませんが、資料の要求をいたします。農業委員会資料をひとつお願いいたしたいのですが、これは政府からお取寄せになつてけつこうであります。今までの農業委員会は、御承知の通り政府の行政の末端機構を受持つておりますが、この改正せられることによつて末端機構の分担から離れて来るように見受けられます。そこで今後の経費はどのようにして委員会自体捻出するのか、政府の補助に仰ぐのかわかりませんが、今までどれくらいな費用を使つておられたか、また職員の数等を明確にお示し願いたいと思うのであります。従つて行政の末端機構から離れて行くことによつて経費が減ぜられるであろうことも想像されますが、どのような変化を示すかということの資料をあわせて御提出願いたいと思います。  それから、農民組合法について資料を願いたいのですが、現在の農民組合の組織人員を各県別にお出し願いたいと思うのであります。それから農業委員会の方の問題ですが、今度農業委員会の都道府県会議または全国農業会議所というものを設けられるのでありますが、これらは自治的団体の会議所であるために、補助等についてあまり期待されていないのかもしれませんが、どの程度補助を予定せられておるのか、この点であります。  次に農業協同組合ですが、農業協同組合の中央会を新たにつくられるわけですが、これは経済団体でありますので、補助を相当当てにしておられるようでありますが、どの程度予定しておられますか。また現に協同組合が相当赤字で悩んでおるところもあるようでありますので、全国の各府県別の単位農協も入れた事務職員の数並びに府県段階における職員の数、今度中央会ができることによつて増額するところの費用の概略等を資料でお出し願いたい。
  111. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私も明日からの審議に対して必要な資料をお願いしたいと思います。農協法と農業委員会法の一部改正案は、第十六国会に出された政府提案の改正案とほとんど類似の点が多い。特にこの背後にあるところの思想的な含みはまつたく同じであるというように考えておりますので、提案者側からかかる資料を出されることは時間の関係上御無理があるかもしれませんが、これは政府当局で作成が可能と思うので要求したいと思います。それはこの農業協同組合の一部改正と農業委員会の改正案に対する現行法と新条文との対照、もう一つお願いしたいのは、これに十六国会に出された政府の改正案の案文、この三つを対照して検討できるような形の対照表であります。それからこの関係法律案に必要とする参照になる法文等に対しては、これもとりそろえていただきたいと思います。それからこの法の改正等に伴つて当然予算的な面がこれに追随するわけでありますが、これらの関連のある面に対する予算的なものを明確に出していただきたい。以上三つの資料を明日の審議に間に合うようにぜひ願います。
  112. 井出一太郎

    井出委員長 他に御発言はありませんか。——御発言もないようでありますから、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十七分散会