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1954-05-07 第19回国会 衆議院 農林委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月七日(金曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 小枝 一雄君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 金子與重郎君    理事 芳賀  貢君 理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    足立 篤郎君       遠藤 三郎君    佐藤善一郎君       寺島隆太郎君    松岡 俊三君       松山 義雄君    神戸  眞君       吉川 久衛君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    井手 以誠君       中澤 茂一君    中村 時雄君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   柏木 雄介君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  安田善一郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定  措置に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第一六七号)農林省関係法令整理に関  する法律案内閣提出第一七〇号)  凍霜による農作物の被害に関する件     —————————————
  2. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより会議を開きます。  農林省関係法令整理に関する法律案を議題といたし審査を進めます。川俣清音君。
  3. 川俣清音

    川俣委員 農林省関係法令整理に関する法律案に対する二、三の質疑を行いたいと思います。この提案理由によりますと、行政事務運営改善という観点に立つて法令整理しようとするのでありますが、一体行政事務運営改善というのはどういうことをねらつておるのか。おそらく行政簡素化に伴う運営改善であろうと思うのですが、問題になりますのは、農林省内の運営改善も必要であろうが、さらに他省との関連事項について、どのような改善をはかろうとせられたかどうか、この点についての今まで検討されました経過を、ひとつお示し願いたいと思うのです。特に通産省との関連事項における農機具行政または肥料行政等について、肥料法案あるいは農機具振興法等によりまして、関連事項が非常に多いのでありますが、どのような整理方向に向いておりますか、また向けなければならないと農林省考えておらるるか、この点を伺いたい。  また今度土地区画整理法建設省から提案になつておりますが、これに関連する土地問題に対する宅地、農地との管理状況から、どのような改善を加えて行かなければならないとお考えになつておりますか。また河川流域において、河川の上流は水源を持つております森林地帯になつて参りますし、また建設省が非常に熱をあげております砂防行政についても、森林地域内におけるいわゆる農林省所管事項内における行政となるのでありまして、これらの行政区分をどのように今後調整して行こうとするか。当然これらのことが基本的に打出されて、しかる後に法令整理というふうになつて来るのが最も妥当な方法ではないかと思うが、これらの点についての所見を伺いたいのであります。
  4. 渡部伍良

    渡部政府委員 行政事務簡素化、あるいは行政事務運営について、他省との関係事務の調整をどういうふうな方針でやるか、こういうお話でありますが、この問題は非常にむずかしいのでありまして、ある物資農機具なら農機具原材料から農家が使うまで、縦に一貫して所管はつきりするか、あるいは農機具原材料農機具製造農機具配給農機具の使用、こういうふうに横に割るか、いろいろな考え方があるのでありますが、いずれもはつきりとこれを区分することはなかなか困難なのであります。従いましてただいま例示にありましたように、農機具につきましても、肥料につきましても、生産の段階につきましては、製造工業というふうな観点から通産省所管に属し、配給消費の面は農林省所管に属する、こういう考え方で現在進んで行つておるのであります。それからまた貿易とか金融等、あるいはその他のものにつきましても、地帯によつて所管をわける、こういう考え方もあるのであります。たとえば協同組合関係金融農林省所管にする、個人企業関係のものは中小企業金融公庫、そのほかの金融機関によるというふうなわけ方もやつておるのであります。両方からせめて行きまして、はつきりした区分ができる中間の地帯において問題がしよつちゆう起つて、来ておるのであります。この点は結局それぞれの行政の対象になる事業実態はつきりつかんで、そうして虚心坦懐に相談し合つて行く以外にないのであります。今度の法令の整備のただいま提案しております法律案では、そういつた問題に直接は触れておりませんが、現在でも、たとえば貿易関係あるいは金融関係あるいは木材の利用合理化関係、あるいは先ほどお話がありました河川行政治山治水行政、そういうところでいろいろな問題があるのであります、これらは、先ほど申しましたように、双方ではつきり共通の基盤に立つて認識して、それぞれの行政官庁に最も都合のいい部面を分担するというふうにして行く以外に方法がない、こういうふうに考えております。
  5. 川俣清音

    川俣委員 一応説明は了承するのですが、行政事務運営改善ということになると、こういう基本問題を取上げて行かなければ、本質改善にはならないのではないか。こういう意味でお尋ねしておるのです。今までの行きがかりもあり、あるいは物によつてわけるか、生産工程によつてわけるか、おのおの使途等についてあるいは融資等について在来のやり方もありますので、これを一朝に改善することは相当至難なことであろうと思う。しかし至難なことはあとまわしで、最も安易なことから手をつけるということは一つやり方であろうけれども、行政事務運営改善という大見出しをもつてこれをやるには、あまりにも貧弱ではないか。これも必要であることは認めます。しかしながらこの大看板を掲げてやるのにはあまりにも貧弱じやないかというので、お尋ねしておるのでありますから、将来もしも改善の余地がありますならば、すみやかな検討にお入り願いたいと思うのであります。さらに、なお検討を要すべき事項についてここに一応の成案を得た、こうなつておりますが、農林省関係法律は、古くからかなり幾つもございますが、その中で、必要であろうけれども、法律自体形式または内容または文章等が非常に古式な形を持つてつて現代人の理解し得ないような法令がまだ多多あると思うのであります。しかしながらそれはやはり現実の生活と結びついておる法律でありますから、必要であろうから、将来もう少し近代化し、実情に合わせる必要があるのではないかと思いますが、それらの点については、どの程度一体検討せられたのか、今までいかなる事項についてどのような検討をせられたか、ひとつ説明願いたいと思うのであります。
  6. 渡部伍良

    渡部政府委員 お話のように、当初の行政簡素化並びに事務改善目標に比べまして、ただいま提案しております法律は非常に内容が貧弱であるのであります。またお話のように改善を要する法律は多々あります。それから形式もつと簡素にすべき法律もたくさんあるのであります。ここに掲げております法律のほかに、牧野法でありますとかあるいは農産物検査法でありますとか、あるいは漁港法狩猟法等、同時にいろいろ検討して来ておるのであります。たとえば牧野法の問題にいたしましても、牧野改良方法実態、すなわち牧草とかあるいは牧野土壤改良方法、それに対する財政投資なりあるいは金融措置等との関連におきまして、もつ研究を重ねる必要が出て来ておるのであります。今回それは間に合つておりません。法律形式のみならず、それらの法律がねらつておる実態効果をあげるような方向に、今後研究を重ねて行きたい、こういうふうに考えております。
  7. 川俣清音

    川俣委員 農林省所管の中にかなり重要な地位を占めております農林物資規格法というのがあつたと思うのであります。これなども相当整理の必要があると思うのであります。現代に合せるのにはかなりむりな、キロ立てがあり、立方立てがあり、実際の行政面とかなりかけ離れたような規格をあえてまだ堅持しておられる。法律は堅持するけれども、実行がかなり困難な状態のものもあるわけです。これは将来日本の農林物資規格を定める意味において——この根本的なものは私は必要だと思うのです。根本的なものについて必ずしも否定するものじやなくて、むしろ将来の農林物資の品質その他生産の向上に伴いまして当然な規格でなければならないと思うのです。ところが旧態依然として、これらについて何らの検討も加えておられない。この検討を加えておられないのは、農林省の各局にまたがる物資でありますために、総合的な検討が足りないためではないかと思うが、これらについてどの程度検討せられたか、御説明願いたいと思います。
  8. 渡部伍良

    渡部政府委員 農林物資規格法関係お話でありますが、お話のように規格でありますので、相当こまかく、相当しちめんどくさいのはやむを得ないと思うのです。しかし結局あんまりこまかくなり過ぎると、規格をきめた効果が保持できない点もありますので、これらにつきましては、各方面の専門家委員にあげまして、それぞれあらゆる機会におきまして検討を加えて来ております。毎年何回かやつておるのであります。さらにもつと実際の業界そのほか多方面の意見を聞いて、改善を進めて行きたいと思つております。
  9. 川俣清音

    川俣委員 なぜ今ここで農林物資規格法を問題にするかというと、こういう複雑多岐にわたる規格をやつてつて、はたして検査——規格を制定したからには当然検査というものが伴わなければならぬ。一方においては検査員の数はだんだん減らして行く、一方において規格いよいよ複雑にして行くというならば、行政簡素化とかそういう面から言うとはなはだ矛盾したような傾向になつておるのではないか。規格の必要なことは申し上げるまでもないのです。しかしながらだんだん複雑多岐にになつて参りますと、これは検査の基準になるのですから、検査員はそれだけの技術を持たなければならない、またそういう標準を持たなければならない。一方においていよいよ複雑にし、一方においては人員整理するということは矛盾じやないか。人員を減らすならば規格もやはり簡素化しなければならぬ。規格がいよいよ複雑化するならば、それに相応するような検査員の増員もまた考えて行かなければならないじやないか、この点についての見解を伺いたい。
  10. 渡部伍良

    渡部政府委員 規格の目的とするところは、一つは、その規格に合つているというレツテルを張りまして商品的価値を高めるのと、もう一つは、その規格に合つているかどうかということを常時検査をして消費者を保護する、こういう二つの目標があると思うのであります。お話の、検査が十分徹底するだけの陣容じやないじやないか、こういうふうな部面もあると思います。これらは政府直接あるいは都道府県あるいは団体それぞれの分野で、さらにこの規格に合つたものが実際の商品として流れるような方法を確保するやり方について、一層のくふうは必要であると思います。それらの点につきましても、ただ政府職員の問題だけじやなしに、せつかくきめた規格が世の中に行われるようなことを行つて行きたいと考えます。
  11. 川俣清音

    川俣委員 農林物資規格法によつて農林省農林物資規格調査会というものを設けて審査されておるようでありますが、これらも一体活用せられたことがあるのかどうか、寡聞にして了知いたしかねておるのでありますが、これは年に何回か開かれて、相当な検討をせられておるのかどうか、こういう調査会というものはあるけれども、有名無実になつておるかどうか、この点を承りたいと思います。
  12. 渡部伍良

    渡部政府委員 これは随時規格を設定し、あるいは改正する必要に応じて開いておるのであります。最近の問題となつておるのは、食料品関係並びに一切の利用合理化関係、あるいは最近起つて来ておる柑橘のジユースの規格関係等で開いております。これは大いに活用しておるのです。これが規格の決定の最終的な格付機関になつております。
  13. 川俣清音

    川俣委員 格付のために必要となる設備、機械、器具、格付に従事する者の資格及び人員格付を行う区域等というようなことで、この規格法の持つておりまする内容は、非常に広汎にわたるわけであります。そこで一体これらに対する行政簡素化に伴う整理の方途をどこに置いておりますか、この点を承つて私のこの規格法に対する分だけは終りたいと思いますが、率直に言うと、本来の規格法本質を私はよく理解しておる。かなり広汎な複雑なものになつておる。そこでそれに対応する人員を、いつもほかの面から強要されて定員を減ずる。ことに官房長も御承知ですけれども、米穀検査員という形のものは、人の財産を調べたりするところの強権的な検査権を持つておる。住宅に侵入することもできる。ところが定員外の、いわゆる法律上から言うと検査官でなければならないのが検査補助員となつている。しかも補助員というのは農林省だけの考え補助員であつて、一体政府機関であるかどうかということに疑問の存するような者が、人の穀物を何粒か損失させることになるんです。検査するたびに一粒や二粒は落ちて参ります。重大な結果を及ぼすことについて、一方行政整理だということでただ減らす。検査はさらに強化して行かなければならない。これは非常な矛盾じやないかと思うんです。今米穀検査員は一人一日当り最盛期になると、定員で割りますと七百俵くらい検査しなければならない。一日七百俵というものはできるものじやない。いわゆる法律で命ずるところの検査官という形において検査するならば、でき得る可能性のものじやないんです。一方においてそういう無理をしながら、一方において法律だけそのまま存するということは、いわゆる表題に出しているような事務運営改善だなどということとは、およそかけ離れているんじやないか。これについて十分な御検討を願いたいと思いますが、これに対する御答弁を願いたい。
  14. 渡部伍良

    渡部政府委員 規格を決定しまするのに、こういう規格、こういうやり方がほしいといういろいろな考えがあります。しかし実際にはそれが物理的に、あるいは能力的にできないという問題もあります。ただいまのお話の米の検査等につきましても、ことに早期供出を奨励するとか、あるいは非常な無理を与えることがあります。これらの点はなかなかむずかしい問題でありますが、人員のやりくり、あるいはよりいい方法のくふうというようなことでやつて行く以外にはないのであります。しかしこれは御承知のように、いろいろ問題を包蔵しておるのであります。今後さらに研究を必要とする問題であるというふうに考えます。
  15. 川俣清音

    川俣委員 蚕糸業法中で国内用生糸強制検査制度を廃止するやに検討せられたようであります。しかしながら本案の中にこれらが加わつておりませんから、おそらく検討未了整理されないのではなかろうかと思いますが、何ゆえに国内用生糸強制検査制度を続けて行かなければならないと考えておられまするか。国内生糸強制検査制度の必要をどこに置いておられまするか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  16. 寺内祥一

    寺内政府委員 ただいま御質問の、国用生糸検査強制を廃止するやにうわさがあつたというお話ですが、私どもも一時そういう必要があろうと考えまして、検討いたしたのでございますけれども、一方におきましては輸出の方に強制検査をいたしておりまして、これは海外への信用保持のために検査を必要といたしておるのでありまするので、それとの均衡上、輸出に向くものまで国用の方に向いてしまうという実情もございますので、もうしばらく、糸価が安定いたしまして輸出振興するときまで、国用の方もひとつ検査をいたして行きたい、こう考えておる次第であります。
  17. 川俣清音

    川俣委員 今の局長説明によりますると、輸出向き生糸国用に向けられることは好ましくない、こういうことでなお検査制度を続けて行かれるそうでありますが、一体それだけ輸出するだけの国際的な開拓をなされておるのかどうか。むしろ国際的な市場開拓のために努力しなければならない面が多々あるにかかわらず、輸出難のために苦慮いたしておるような状態ではなかろうかと思いますが、こういうふうに輸出振興について、とかく行政上幾多の欠陥を現わしておるときに、国内用法律だけを存置するという考え方の根拠はどこにあるのです。それほどまでに輸出振興しておれば、問題はないと私は思いまするけれども、輸出の方は行き詰まるという状態のときに、国内用をあえて強制検査しなければならないという理由がどこにあるのか、どうも説明が十分じやないと思います。
  18. 寺内祥一

    寺内政府委員 輸出振興につきましては、たとえば昨年からは、海外宣伝費に対しまして政府が二千万円の補助をいたしまするし、民間で約一億の金を集めまして、ドルにいたしまして三十万ドルの宣伝費を使つて宣伝いたしておりまするし、なお最近の海外生糸需要が、化繊との混織によりまして、従つて繊度変差少い糸がほしいというようなところから、自動繰糸機の普及というようなこともありまして、生糸海外消費の増大には努力いたしておるのでございまするし、また本年度の予算におきましても、五千万円のそういう海外宣伝並びにニユーヨークにおきます市場調査の経費を計上いたしておるわけでありますが、何と申しましても、昨年の凍霜害及びそれに引続きました冷害等によりまして、産繭額が非常に減少いたしました。従いまして価格が高騰いたしまして、海外が買いつく値段よりも昨年の糸価が割合に高かつたというようないろいろ事情がございまして、輸出が伸びておりませんでしたけれども、海外潜在需要等を見ますならば、今後増産によりまして、あるいは製糸合理化によりましてコストを引下げますれば、相当程度輸出はあろうと考えておるわけであります。そういう観点からいたしまして、海外輸出がもう少し伸びる時期まで国内の方にも検査をいたしまして、国内検査をやめまして自由に国内に流れるということを、何とかしてここしばらくの間防いで行きたい、こう考えておりますし、またただいまの検査方法につきましては、これをもう少し検討いたさなければならぬ点もありますので、まず今回の諸法令改正の中からは、はずしてもらつたというような実情でございます。
  19. 川俣清音

    川俣委員 家畜商法という法律があるようでありますが、この法律都道府県知事による家畜商免許制度内容としておるようであります。本法によつて将来有畜農家あるいは酪農振興法等によつて家畜の移動が相当行われて来ると思うのであります。これらについてこの法律改正の必要が起つて来ているのじやないかと思いますが、それらに対する資料政府の手元にございましたならば、この免許を受けておる者の数、または基本的に家畜商法といいますか、家畜仲介人制度がこのままの制度でいいのかどうかというようなことについて、御検討なつたかどうか。
  20. 渡部伍良

    渡部政府委員 家畜取引改善につきましてはいろいろ問題がありまして、農林省の中でも検討を加えて来て、実は今度の国会に提案したいというので、いろいろ研究をして来ておるのでありますが、まだ成案を得るに至つておりません。できるだけ早い機会家畜取引改善法律を出したいという気持でおります。なおただいまお話資料は後刻出すことにいたします。
  21. 川俣清音

    川俣委員 最後一つお尋ねしたいのですが、今後外米の輸入等相当制約を受けて参りますし、予定以上の国内供出もできなかつたような状態でありりますので、配給確保のために相当困難を来しておるようであります。そこでいろいろやみ取引が行われるようであまりますが、こういう状態についても、政府はあえて法律発動を願うようなことをせずに、できるだけ注意を喚起いたしまして、やみ米等についての横行について注意を喚起いたしておるようであります。農林省としてそういう点について注意を喚起いたしまして、やみ米横行の起らないようなこと、または強権発動をあえて行わないでも、農民の良心に訴えて併出を促進するというような方法をとつておられるのを実は是認するのです。今日くらいやみ米横行はないと見てもいいので、それすら法律であえて摘発を行わないのは、これは他の行政部面で十分何とかして行こうという考えからであろうと思うのです。ところが二十九年三月三十一日の日付をもつて機械座繰及び普通座繰並びに玉糸がま整理についてあえて蚕糸局長の名前で法務省の刑事局長に、整理後における製糸業法並びに蚕糸業法に基く製糸業取締りについて格別の配慮を願いたいというような依頼的な取締りを要望するものを出しておられます。これらの面は当然行政的指導を行い、またはこういう法律ができたのであるからということで、注意を喚起し、指導するということが、農林省の当然な行政任務ではないかと私は思うのです。それを行政任務を怠つて、むしろ気力を欠いて法律に訴えなければならないというようなことをあえて農林省がやられようとする、その真意について官房長の御意見を伺いたい。
  22. 渡部伍良

    渡部政府委員 ただいまの問題は、現在蚕糸業振興あるいは生糸輸出を奨励する、こういうふうな、わが国の蚕糸業界に行き詰まつた状態が出ておりますので、その際混乱が生ずるということは、おもしろくないという見地からあらゆる手段を尽したい、こういう意図に出ておるものと御了承を願いたいのであります。
  23. 川俣清音

    川俣委員 もう一点で終りますが、このくらいやみ米横行しても、あえて取締り当局について特段の配慮を願うというようなことをやつておられないのです。ときにはやられたこともあるようですけれども、しかしながら現実にそういうものがないかといえば、お認めの通りあるのです。それすらも他の行政面でできるだけそういう法的発動をあえて願わないで、他の方法によつて、なるべく行政指導によつて緩和して行こうという態度をとつておられる。私はそれが妥当な方法だと思うのです。それにもかかわらずなぜこのくらいなことにこれだけの通牒を出して——これだけの努力を払うならば、もう少し親切な指導をされなければならぬ。最後まで指導して、なお犯す者があれば罰することもやむを得ないだろうと思う。その指導の面に欠けており、説明が欠けておりながら、すぐ罰則だというようなことをあえて通知することは、他に意図があつたのじやないかと思うのです。だれかの使嗾によるものではないかというような疑惑さえ持つのです。こういうことは行き過ぎだということで今やめられたそうですが、実に不見識な話です。一局が他局に対して、事務連絡なら別でありますが、取締りを要請するというようなことについて、官房長は留守であつたかもしれぬが、そんなことをやらせておいてあなたの任務が勤まりますか。これは当然官房長とか大臣がやるべき任務ですよ。農林省としてとるべき任務である。一局がやるべき任務じやないと思うのです。たとえばやみ米取締りをやるというような場合に、大臣意向農林省意向を聞かないで、食糧庁がやるというようなことは行き過ぎになると思うのです。一つの例で言えばその通りです。こういうことをほかの局がみなやつたらあなたはどうしますか。これに対する所見を伺いたい。
  24. 渡部伍良

    渡部政府委員 お話は一々ごもつともであります。今後十分気をつけてやつて行きたいと思います。
  25. 川俣清音

    川俣委員 これはただごもつともじや済まないと思う。当然これは責任者を出して、責任的な処置がとられることと了承して、この辺で質問を終りたいと思います。
  26. 井出一太郎

    ○井出委員長 他に御質疑はありませんか。なければ、討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 井出一太郎

    ○井出委員長 それでは農林省関係法令整理に関する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  28. 井出一太郎

    ○井出委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。     —————————————
  29. 井出一太郎

    ○井出委員長 引続き農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。足鹿覺君。
  30. 足鹿覺

    足鹿委員 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助を、県を通じて間接補助にするという立法趣旨には異論はないのでありますが、この際関連をして二、三伺いたいのであります。     〔委員長退席、小枝委員長代理着席〕  最初に過般来の風水害等による小規模災害の復旧費についてでありますが、最近農林省は、この適用地区を著しく圧縮しているように承つております。いかような実情であるか、承りたいのであります。
  31. 平川守

    ○平川政府委員 御承知の通り特別立法におきまして、昨年の風水害に対しましては、三万円程度までの小災害をも補助対象とする特定地域について、特別措置を講ずることになつております。農林省といたしましては、この査定がだんだん進んで参りましたに基きまして、大蔵省に対して——本年度の予算の面においては査定がまだ済みません状況でありましたために、特別に小災害に対する予算は掲げておりませんが、法律には明らかにこれに対して助成をすることになつているのであります。全体の災害の助成金の中からこれに流用いたして、小災害に対しても法律の定める助成をいたしたいと考えております。ただその金額につきまして、本年度どの程度の金額を小災害に向けるかということにつきまして、大蔵省との間に今折衝いたしているわけであります。大体四億円内外のものを本年度出したいというのが、農林省考えでございます。まだこの点につきましては、大蔵省と御相談中でございます。速急にこれをとりきめまして、金額を決定いたしたいと考えております。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 局長の御答弁によりますと、まだ最終的にはきまつていないという御趣旨のようでございますが、私どもが地方で聞くところによりますと、当初各農地局中心に農林省が指示をされたのは、災害総額の一〇%程度を小規模災害の復旧費に充てるつもりでやつてよろしい、こういう指示を与えたと聞いておりますが、その通りでありますか。
  33. 平川守

    ○平川政府委員 そういう指示をいたしているわけではございません。建前からいたしますと、これに該当するものに対しては助成をするというのが法律の建前でありますから、現実の地区につきまして査定をいたしまして、これに該当するものになつて出て参れば、それに対しては当然法律上助成をする必要があるわけであります。これをあらかじめ全体の一割とするというような査定をするわけには参らないのであります。ただ従来の災害の実績から見まして、およそ大災害と小災害の比率が大体その程度になつているというのが従来の実績である。そこでそういうことを一応推定いたしただけでありまして、各農地事務局から中央に申し出て参るものにつきましては、それぞれ調査をいたした上において、現実の数字を出して参ればよろしいわけであります。そういうことを指令をして一割以内にとどめるとか、そういうことを申しているわけではございません。
  34. 足鹿覺

    足鹿委員 実情に応じておやりになることはけつこうでありますが、今局長も言われますように、従来の比率がそういう比率になつている。そこで大体地方の方としては一〇%程度をまず目標にして、やつているようであります。ところが聞くところによると、これを二%程度に落すような方針を最近持たれているやに聞いている。これは非常に重要な問題である。当初において総額の一〇%程度を地方庁は計画をし、災害を受けた各町村地区においても、その程度でやつている。小災害でありますから、自由にあつせんし、進行している。ところがにわかにこれを圧縮するというふうに方針が切りかえられたので、地方では非常に心配している。今の局長お話を聞きますと、まだどうなるかわからぬというお話でありますが、事実はそうでない。これは地方の風評とかいうものではありません。はつきりしたことを聞いているのです。そういうことでは困ります。大蔵省お見えになつておりますが、大蔵省と折衝中ということは、どういうことを御折衝になつているのでありますか。従来総額の一〇%程度が実績であるから、もちろんその実被害に応じてやることは当然でありましようが、府県によつてはでこぼこもできるでしよう。しかしながらとにかく十のものを二程度にするということは——二を節減するというならともかく、八を節減するというようなことは、地方にとつてはたいへんな問題です。そういう点についてもつれているので、大蔵省と折衝しておられるのでありますか。もうすでにどんどん仕事は進んでいます。今になつてこの方針を切りかえるというようなことは、非常にたいへんなことになりますよ。それだつたら、従来の方針通りやるということの言明がここでいただけますか。これをかえようというので大蔵省との間に折衝が行われているふうにも私は聞けるのでありますが、この点大蔵省の御答弁を願いたい。
  35. 柏木雄介

    ○柏木説明員 一割程度のものを認めるという方針をやつていたものをなぜかえたかという御質問かと思いますが、一割という数字は、最初小災害の推定をする際に、今までに全然そういう例がないものですから、推定の基礎となる実績がない関係上、一応一割ということを農林省の方で言われたのでございますが、その後だんだん調べて行くと、一割はとてもない。査定の方もことしに入りましてから、だんだん進捗した関係で、だんだん判明している次第でございますが、とても一割にはならない。もつと少い数字になるであろう。われわれの方と、今どの程度のものが小災害の範囲になるかということを御相談しているわけですが、本年度の分としては、四億円程度のものを既定の予算の中からお出ししたいというふうに考えておりますので、その辺のことにつきましてただいま農林省の方とお打合せをしている最中です。
  36. 足鹿覺

    足鹿委員 それは今の農地局長お話と違うじやないですか。今柏木さんは、大体一割程度でやることになつておつたが、実際調べてみるとそれに当らないので四億程度にするという御答弁ですが、先ほどの局長の御答弁の方があいまいで、柏木さんの答弁の方がはつきりしている。そういうことでは困るんですよ。とにかく全体を通じて一割ということを一つの目途として、あなた方が各農地局でそういう話をしておられる。それは結局政府の責任においてそういう方針を授けておられるから、地方庁ではみなそれをやつているんです。それを今になつて八割も落すというような方針の転換をやつたらとんでもないことになる。これは一体どういうふうに始末つけますか。全国的に見れば最後に総額の一〇%になるが、地方的には一〇%に達しないところもあるし、あるいは一〇%越すところもあるというので、全体としての総わくというふうにあるいは逃げられるかもしれませんけれども、そうではない。各農地局中心に一つの方針を与えておるのです。これは大蔵省もよくお考えにならないと、すでにそういう方針で進んでおるんですよ。それを中途で切りかえることになつたら、政府を信用しなくなります。小災害も大災害も受けた者にとつては同じなんです。そういう点では当初の方針をぐるぐるかえる、そうして法律の精神すなわち九割補助という非常に好条件のものが十あつた地区をかりに二つに切られてごらんなさい。あとのやつはどうするんですか。これはものの道理ですよ。一体これをどうして今後処理いたしますか。もう少しはつきりと御答弁願いたい。
  37. 柏木雄介

    ○柏木説明員 ちよつと私の申したことにあいまいな点があつて誤解をされておるんじやないかと思いますが、農林省の方で一割を指示したということはないと思います。農林省の方で昨年の補正予算の際に推定する資料がないので、一応一割という数字を出した。計算してみればこうなるというので、一割という数字をお使いになつたことはございますが正式な予算要求として一割という数字を出したことはありません。そういう数字を各農地局の方にお出しになつていることはないと思います。
  38. 足鹿覺

    足鹿委員 違うんですよ。それじや平川さんの方から御答弁願いたいが、各農地局でこれははつきりしているんです。総額の一〇%を目標にしてやれ、その間に連絡の不十分があつたかは存じませんが、とにかくそれで地方庁は仕事をしているのです。これは何といつても事実ですよ。正式の文書ではないかもしれません。しかし農地所管において、府県の担当官を集めて、そういう方向を指示しておいでになる。それで府県当局なりあるいは町村は、それに準じて仕事をしておるんです。それを事もあろうに、二割を節減するならともかく、八割を節減するなどということは何事ですか。そういうことでは私どもは政治に対するところの信頼の問題もありましようし、問題が小災害だからといつてあまり軽く取扱つてもらつちや困る。なるほど柏木さんの言われるように、一つの推定であつて、そういうことを正式に指示した覚えはないと言われるかもしれないが、少くとも農地局を中心に一つの指示を与えておきながら、今になつてそれを二%にとどめるというようなことは言語道断です。これは少し血も涙もないやり方じやないかと思います。私は何もこれ以上申し上げることはないのです。それで従来の方針通り切りかえないということをおつしやるならば、私は何もこれ以上追究いたしません。この点言つていただけますか、どうですか。     〔小枝委員長代理退席、委員長着席〕
  39. 平川守

    ○平川政府委員 私どもの方から、農地事務局あるいは県に対して、一割程度でやるんだというようなことを申したことはない。これは私もあるいは係官等の間でそういうことがあつたのではないかと確かめておりますが、そういう指令的なことはやつておらない。ただ小災害のどういうものを補助するかということについては、一応法律の規定があるわけであります。従いまして調査の結果これが五%にとどまるか、あるいは一割になるか、あるいは三%にとどまるかということは、あらかじめわくをきめるべき問題ではなくして、むしろ実態にそういうものがどれくらいあるかを調べて、それがあれば、それに対しては補助することが筋である。そこで現在私どもの方で各地方からとりましたところでは、一%は出ておらないのであります。これは決してわくを縮めてそれ以上出してはいけないということを言つておるのではありませんで、現実に各地方から調査の結果出ておるものが、そういう一〇%というような額には上つておらないのであります。これは一応地方からの申出でありますから、さらに精密な査定をしなければならぬので、具体的な助成ということにはその段階が必要なわけでありますけれども、一応出ておるものもそこまでは出ておらない。大蔵省との折衝というのは、本年度の災害に対する補助金のうちから、小災害分として幾らを流用するかということを折衝しておるわけでありまして、今柏木主計官からお話がありましたように、大体四億円程度というものは、一応大蔵省の方としてもお考えがあるようであります。これも正式に速急にとりきめまして、そのきめました額を本年度分の復旧費として出したいと考えております。ただその総わくにつきましてどの程度になるか、一〇%にするか、五%にするかというようなことは、地方に対して何も言つておりません。ただ従来の実績から見ますと、大災害と小災害との間の比率は五%ないし一〇%くらいの割合で発生しておるのが一般の実例であるというような意味で、いろいろ数字を推定したとする場合に用いておりますけれども、これは現実補助をする場合の問題とは別であります。現実補助するのは、法律によつて定められた基準に当てはまるところの災害に対して助成をするということでありますから、今わくの問題について一〇%にするとか、あるいはそれを二%に下げるとかいうような問題は、全然ないとお考えくださつてけつこうであります。
  40. 足鹿覺

    足鹿委員 ないそうでありますから、ぜひそういう方針で従来の方針通りやつていただきたい。中途においてこれがもしかわるということになりますと、地方住民は非常に困ります。そこでこれに関するあなたの答弁を疑うわけではありませんが、一〇%くらいだというふうに当初推定して予算の目標をつけられたが、実情はそうないということであれば、それに関する各府県別の整備した資料をいただきたい。特に中国、四国地区は小災害の多いところでありますから、その地区のものをひとつ入念にいただきたい。ただ強く要望しておきますが、今平川局長の御答弁のように、実情に応じてやるということは建前でありますが、やはりそういう形が一応は出ておつたこともお認めにならなければならぬ。私は架空のことを言つておるのではないのですから、そういうことについて行き違いがあつたところに対しては、行き違いがあつたとしても、そういう地方住民がもうすでに工事をしてしまつておるものを再査定の形になるようなことでは困りますので、そういうことのないように善処願いたい、特に私はこの点要望しておきます。四億円ということでありますが、四億円の金額は総額に対する何%に当りますか。
  41. 平川守

    ○平川政府委員 四億円というのは約二%に該当するそうであります。これはしかしまだ大蔵省と話合いをしておる段階でありまして、はつきりときまつておるという数字ではございません。それからなおわれわれの方といたしましては、これは必ずしも本年度で全部解決する問題とは思つておりませんので、これで全体を四億円にするのだという意味とは考えておらないわけです。そこは大蔵省となおよく話合いをいたしまして、法律の定めるところに従つて実情に即した解決をいたしたい、かように考えておるのであります。
  42. 足鹿覺

    足鹿委員 今話を聞くと、四億円というものは、二%に当るということを局長は言われた。私が最初言つた通りじやないですか。一〇%を二%に圧縮しておるということは、一〇%がかりに推定に基いたものであつたにしたつて、事実四億円は二%にすぎないじやないですか。そういうことを法律に定められて、そうして下から上つて来たものを、大蔵省は法律の命ずるところに従つてやればそれでいいじやないですか。推定の根拠も何もないものに、四億円というものに大蔵省がかつてに圧縮する権限がどこにあるのです。わずかですよ。九割指定地区を当初において少くとも五%ないし一〇%を目標にして、法律の精神に従つて予算の編成をやつておるのを、なぜそういう四億円というわずか二%に当るものに圧縮しなければならぬのですか。大蔵省は一体どの権限に基いてそういうことをやられるのですか。法律をいくらつくつても、みんな予算面で押えて行くという方針ですか。災害復旧というような、農業生産力なり地方住民の福祉に重大な関係のある問題を、実施面で法律を殺して行くという権限が大蔵省にいつ与えられたのですか。その四億円の根拠は一体何ですか。もつはつきりしていただきたい。
  43. 柏木雄介

    ○柏木説明員 二%、四%という数字がどういう数字かちよつとわかりませんけれども、本年度の予算に計上いたしております災害復旧費は百億円余りでございますから、それに比較いたしますと約四%かと存じます。二%という数字は、あるいは農地災害の総額に対して二%、そうであるといたしますと、二十九年度だけの予算をとつて比較するのは当らないので、むしろ二十八年あるいは二十九年あるいは後年度予算の総額をとつて、それと災害復旧総額と比較すれば、それが二%になるかどうかはあらためて検討すべきじやないか。二十九年度だけから申せば四%は十分あると思います。
  44. 足鹿覺

    足鹿委員 二%だ、四%だということをここで論議しておるんじやないのですよ。一体何の権限に基いて——この二%がかりにあなたのおつしやるように四%であつたとしても、まだ下から突き上つて来てないものをなぜその程度に押えなければならないかという質問なんです、私のわからないのは……。もう少しこういうことについて真剣にやつていただかないと困る。どこに手落ちがあつたか、なかつたとかいうことは私は言いません。少くともそういう方向によつて現実にこの緊急を要する災害復旧をやつておるのです。しかも一割や二割の補助ではない。九割補助の指定地区ですよ。それは大体一〇%を想定しておつたものが、あなたの言われるように四%になつても、これは二%と五十歩百歩ですよ。半分以下になるんですからね。六割というものがどこか宙に浮いてしまうことになるのですから。そういうことを、とにかく大蔵省が財布のひもを持つておるからといつて、そういう方針で何でも法律を殺すということになりますれば、これは意味ないです。ですから何に基いて四%だと言われますか。四億円というものは、農林省から、下からずつと持ち上つて来たものでありますか。そうじやないでしよう。大蔵省が何かの考え方なり基準に基いてやつておられるにすぎない。そういう点で食い違いが出ておるから今あなた方と折衝して、二十八年度きりではなく、二十九年度にも、あるいは将来にわたるかもしれないと局長は言つておりますが、それじや困るんです。第一、九割の補助というものは、国会の権威にかけてできた法律の適用なんです。それを、九割補助というのは多過ぎる、これを削つてやれというような大蔵省に魂胆があつたかもしれないと地方民は誤解するでしよう。われわれだつてそういうふうにもとれぬではありませんよ。九割補助なんてべらぼうじやないかという考え方、そういうような大蔵省の考え方によつて法律の適用がことごとくゆがめられる。しかも行き違いがあつたとかなかつたとかは別として、文書によらなくても、一つ方向を国は授けておるのだ。そのものを大蔵省がかつてにこんなふうにやつてもつれができて来たから農林省に折衝する。一体何のことです、そんなばかな話があります。一体四億円というものはどういう根拠に立つたものですか。大蔵省に基礎資料があつたらいただきたいし、伺いたい。どういうことによつてこういうふうに圧縮されなければならないのか。今現に大体の想定は一〇%までは行かない、若干切れるだろうが、一〇%に近いものだということを農林省が言つておる。そういう実情をなぜ無視して行かなければならないのですか。私はどうもわかりません。国民はそういうことでは納得しないと私は思います。政府は、口では食糧の自給だ、増産だと題目ばかり並べておつて、こういう不信行為を政府がしていいのですか。あなたで御答弁ができなければ、また別に責任のある立場の人からはつきりとした言明をもらわなければ、私はこの問題は打切りません。どうですか。
  45. 柏木雄介

    ○柏木説明員 四億円をどうやつて査定したかというお話でございますが、小災害の全体の金額がどれだけになるかということにつきましては、農林省の方から一、二箇月前にいろいろお話を聞きまして、それから法律の解釈等によりまして、それが妥当かどうかということにつきましてただいま検討中でございます。従つて本年度出すべき金額が被害総額に対してどのくらいの割合いになるかということは、ただいまのところ何とも申し上げられない次第でございます。ただ二十九年度においてしからば幾ら金が出せるかということになりますと、逆に申しますと、本年度の予算に計上されております金額は、小災害の分をはずしたところで計算ができております関係上、本年度の予算より流用いたします金が大きくなればなるほど、大きい災害の復旧がそれだけ遅れるという関係がございましたので、大きい災害の復旧の度合い、小災害の緊急性等を勘案いたしまして、大体四億円という、全体から見れば四%程度のものをこの際流用することが至当ではないかということで、まだ金額は確定いたしておりませんが、大体の見当といたしましてそういうふうに判断いたしておるような次第でございます。四億円ということにつきまして、下から積み上げた、厳とした計算がないということは非常に遺憾でございますが、ただいまのところ全体の小災害の実態というものがはつきりいたしておりません関係上、やむを得ずやつておる次第でございます。
  46. 足鹿覺

    足鹿委員 この問題は、大蔵当局のもつと責任のある人に次会に来てもらいまして——この法案の審議に支障があつてはなりませんから……。私は法案そのものには別に異議を持つていませんが、ほかに私は予定があるので、この問題だけは質疑を留保しておきます。あと二点簡単に、りくつ抜きで聞いておきたいことがあります。地盤沈下の問題ですが、地盤沈下については、当初これの復旧に関する法律をつくつたらいいとか、いろいろの話のあつたことは私どもよく存じております。法律は結局できないで、現在厖大な予算を支出されておる。ところが、私どもよくわかりませんが、とんでもない所が入つて、事実大地震があつて被害を受けた所が、どういうわけか落ちておるというようなことがずいぶんあるようであります。そういう不均衡を是正して、今後やられる御意思がありますかどうか。たとえば兵庫県のごとく、丹後の大地震のあつた地帯も相当落ちておるということを聞いておる。鳥取の大震災があつたことは御存じでありましようが、その地帯もまつたく除外されておる。しかも震災のない所で、いろいろな作用によつて沈下した所もあるでしようが、こういうことは地震と一番大きな関係がある。ところがかんじんなそういうものが運動によらなければ入らないということは、私はもつてのほかじやないかと思う。これに対して現在の不均衡を早急に是正して行かれる御意思がありますかどうか、ひとつこの点をお伺いしたい。
  47. 平川守

    ○平川政府委員 地盤沈下につきましては、事柄自体がやや長期間に徐々に出て来るというような関係もあつたかと思いますが、当初対策の対象として考えられました地帯から、ここ二、三年の間にだんだん範囲が広くなつて来ているように考えられるのであります。そういう意味におきまして、従来取扱つておりました所が、お話のように必ずしも万全ではなかつたと思います。従いまして最近の機会において、地盤沈下地帯の再調査をいたしまして、これによつて対象となるべき地方をきめて参りたいということは考えております。現在その基準等につきまして、大蔵省と話合いをいたしております。近い機会に再調査、再査定の段取りになると思います。
  48. 足鹿覺

    足鹿委員 再調査をするという御言明でありますから、期待しておりますが、この基準等について打合せをするというお話でありますが、今まで査定をした基準と著しくかえなければならないような実情があるのですか。別にそう大したことはないと思います。大蔵省と事ごとに打合せする、すると言われますが、何か大蔵省がこれに対してもチエツクして来るようなことがあるのですか。どういうことなんですか。
  49. 平川守

    ○平川政府委員 主として問題になつておりますのは、近ごろ行政管理庁あるいは会計検査院等からいろいろやかましく言われております、災害復旧と改良工事との関係、つまり地盤沈下等の場合におきましては、必ずしも原形に復旧するというだけでなしに、若干そこに改良的な部分を追加するということが行われやすいのでありまして、これについていろいろ検査院その他に御意見があるわけであります。そういう純粋の原形復旧部分と改良部分については、どの程度までをどういう補助で認めるかというようなことが、主として問題になつております。
  50. 足鹿覺

    足鹿委員 これはぜひ早急に再調査を行われ、国の施策の均等化を講じていただきたいことを、私は強く要望いたしたい。少々のことではないのです。これはみな地方の犠牲において、地震等による被害を直しているのに、ある地帯は入つており、ある地帯は入つていない。聞くところによると、何か現在の地区指定を受けたところが既得権のように考えて、それで新しく広げると予算が減るというような動きもあるように聞いておりますが、もつてのほかのことであります。そういうものを私すべきじやない。既得権もくそもあつたものじやない。同時あるいはそれ以前に発生した地帯が放置されて、そしてとんでもない所が指定されている。そういう不公平は、これは見のがすことはできないと私は思う。これは早急に十分御検討願いまして、均等化されますように、ぜひおとりはからい願いたい。  最後に、統計調査部長がおいでになつているようでありますので、統計調査部長にひとつ資料をお願いしたい。麦もいよいよ収穫期を間近に控えまして、麦価の決定は早急に行われなければならない。しかも一方においては、MSA小麦の輸入の問題、あるいはその背景をなす国際的な農産物の過剰傾向、そういうような点から、ことしの麦価に対する農民の関心は非常に大きいと私は思います。つきましては、私ども例年いただいておるのでありますが、ことしはまだいただけないので、昭和二十八年産麦の生産費の調査資料を、早急に御提示を煩わしたいと思いますが、いただけますかどうか。それから昭和二十八年産米の価格につきまして、最近指数が相当上つているので、当然バツク・ペイがあるものと生産者は期待しておりますが、最近の指数その他の基礎資料をいただきたい。以上二点でありますが、いかがでうよう。
  51. 安田善一郎

    ○安田説明員 私どものやつております統計の結果は、まとまりましたら、広く行政官庁内部でも国会でもごらん願い、御利用いただくのがほんとうだと思つておりますので、まとまり次第、農林省大臣、政務次官、食糧庁長官その他が、お出しするようにということでございましたら、その通りすみやかに御提出したいと思います。
  52. 足鹿覺

    足鹿委員 平野政務次官いかがでございますか。今統計調査部長はそういうことを言つておりますが、いただけますか。
  53. 平野三郎

    ○平野政府委員 さようとりはからいたいと存じます。
  54. 足鹿覺

    足鹿委員 いつごろいただけますか。早い方がいいのです。
  55. 平野三郎

    ○平野政府委員 まとまり次第、できるだけすみやかに御要望に沿いたいと思います。
  56. 足鹿覺

    足鹿委員 まとまつていないのですか。さつき部長はできているが、あなた方の御指示に従つて出すと言つているのだから、あるものはあすでも出したらいいじやないですか。あすでもいただけますか。何もそんなに渋ることはない。
  57. 安田善一郎

    ○安田説明員 もちろん統計の読み方はいろいろございます。その並べ方とか平均値とか、どういう出し方をするという御指示をいただきましたら、原稿を整理してありましても、印刷その他の手続もございますから、あしたというわけにも行きませんが、なるべくすみやかに、御利用願うべきときに間に合うように努力をいたします。
  58. 足鹿覺

    足鹿委員 何か含みのあるような御答弁です。御利用願うときにはと言われるが、それは今です。だから早急に出してもらいたい。そんなことを渋ることはないじやないですか。印刷の都合もあるでしようから、明日と言つたことは少し無理だと思いますが、とにかくただちに印刷にかかつて、でき次第にいただきたい。いただけますね。——きようはこれで私は質問をやめておきます。
  59. 井出一太郎

    ○井出委員長 川俣清音君。
  60. 川俣清音

    川俣委員 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案については私ども大体賛成でありまして、むしろ促進方を農林省に要望しておつたのであります。ただ二点だけ疑問の点があるのであります。一つは、こういう法律を出すに至りましたのは、会計検査院の批難事項が非常に多いので、将来批難事項の起らないような責任性を確立すべきであるという点からこの立法措置をとられたことを私どもは了承するのでありますが、今までは責任の所在が明確でなかつたために、批難事項が起るような情勢を生んでおつた。そこでこれらの法律を出されて責任性を明確にするということは、一歩前進であると思うのであります。但しせつかくの法律案が出されたのに、一方において大蔵委員会へこれらの農林施設に対する補助取締り強化の法律案が出ておるのです。こういう責任性が明らかでない場合においては刑法上、司法上の処分を強化いたしまして、そして適正をはかるということも考えられるのであります。しかしながら、そういう批難事項に対する行政措置としてはこういう措置が最も好ましい形のものだと私は思うのです。そういう刑法上の処罰をするというようなことになれば、この法律はいらないのじやないかとも思われるのです。本質的に言うと、さつき官房長にも私言つておる通り、行政事務が司法処分を受けるというようなことは好ましくないのであつて、むしろ設計から指導監督並びに竣工に至るまでよくめんどうを見て、それらの違反事項の起らないことを期すべきであろう、そのためにこの法律を出された、それは了とする。それならば、これは政府提案だと思いますが、そんな厳罰に処するような法律をあえて出す必要はないのじやないかと思うのですが、これに対して政務次官あるいは官房長、当面の局長でもけつこうですから御答弁願いたいと思います。
  61. 渡部伍良

    渡部政府委員 補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律の罰則がきついじやないか、こういうお話と承つたのでありますが、そうでございますか。
  62. 川俣清音

    川俣委員 きついのじやないのです。こういう責任が明らかでないために、罰則というようなことで司法処分を求めて適正をはかるということも一つ方法であろうけれども、それによらないで、こういうことで責任性を明らかにして、そういう違反事項が起らないというふうに改正せられたのであるから、司法処分をあえて求められる必要はないのじやないか、こういう意味なんです。
  63. 渡部伍良

    渡部政府委員 法律がたくさん出てめんどくさくなるという意味においてはお話の通りだと思いますが、ただいま本委員会に提案になつておる法律案の方は農林関係の災害復旧の適正をはかるものでありまして、予算の執行の適正化に関する法律は、一般的にその補助金だけではなしに、ほかの補助金の分も含んでおるわけでありまして、一部はただいま提案になつておる法律案に関する限りはダブつておる分があるというふうにも考えられると思います。しかしもう一つの方の法律は、補助金の一般的な問題としてやつておるのであります。少々ダブる点がありましてもやむを得ぬ、こういうふうに考えております。
  64. 平野三郎

    ○平野政府委員 この問題は実は率直に申し上げますと、私どもも同じ意見を当初持つておりましたので、閣議におきましても、農林省だけの同意を得ないがために今日まで提出が遅れておつたのであります。われわれとしては、今川俣委員の御指摘の通り、今回のこの法律を出せばこれで十分に目的を達成し得る、これをさらに懲役に処するというような厳罰規定を設けるということはいささか行き過ぎではないか、災害復旧については、決算委員会におきまして会計検査院の批難事項が今いろいろ論議の対象になつておりますが、しかしこれは動機は必ずしも不純とは言えないのであつて、やはり知事とか町村長、地方のものが地方のためによかれということでやつておる点もあるわけでありますので、従つて必ずしも動機不純で厳罰に処するということはどうか、ただ不当なものについてその補助金を返還させるということがこの法律でできることになつておるわけでありますから、それで事足りるではないか、こういう見解をもつて、われわれの方だけがこれに同意を与えなかつたので、非常に提案が遅れたわけであります。しかし今の補助金の適正化に関する法律案は農林関係以外の全体にわたつておりますし、またその内容も相当緩和をいたしまして、われわれの趣旨も相当ここに盛られるということになりましたので、提出をいたしたようなわけでありまして、その点はまつたく私どもも御趣旨と同感に感じておるわけでありますので、御了承を得たいと思います。
  65. 川俣清音

    川俣委員 農林省の批難事項の中で災害復旧に関するものが最も多いことは御承知の通りです。なぜこういう問題が起つて来るかというと、刑法上の処分が軽いから、または刑法処分を免れるような方法であえて行つているから起つて来るのではなくして、責任の所在が明らかでないというところから、とかく起りやすい弊害であるというふうに私どもは見ておる。従つてそういう弊害を除去する行政措置が必要であるというところから、こういう法律提案をあえて進めたわけであります。一般的な刑法上の処分は刑法に明らかなんです。それをあえて法律の綱の目をくぐつて免れるためにやつているかというと、そうじやないのです。どうも責任がはつきりしないために刑法上の処分も明確じやない、こういうようにのがれやすい面があるわけです。そこでむしろ刑法罰を加えて行く、あるいは別個に法律をつくつて、刑法の適用と同じようなものを受けるというような法律措置をとることよりも、いずれにしたつて災害復旧というものの本質行政なんですから、その責任を明らかにして、そういう不適正な補助の濫用とかあるいは転用とかいうものが起らないことが望ましいことは、何人も異存はないところなんです。国の出すところの補助を濫費せられたり、あるいは濫用せられたり、不当に使用せられたりすることは、何人も好まないところであると同時に、この点について厳格に規制をして行かなければならぬということは、何人も否定するものではないのです。それをどうしてそういうふうにせしめるかということが必要なことなんです。一体厳重な刑法上の処分を求めて是正をして行くのか、行政措置で行くのか、これは大きなわかれ道なんです。私どもはこういう問題は、行政的な指導と監督を設計指導から竣工指導に至るまでの行政面において十分やつて行かなければならぬ責任があると思うのです。それにはやはり責任の所在が明らかでないと、国がなかなか、見切れないというところにそういう不適正な処置が講ぜらるるのであるから、それを防がねばならぬ、こういう考え方なんです。そこでまず第一に、一番問題の多い災害復旧について法律を出されるようになつたと思うのです。その他についてもそういう刑法罰を加えることよりも、私はこういうふうに、他の農林省所管補助金についても同様な責任制を明らかにすることによつて末端機構の監督が行届くような措置を講ずべきじやないか。これは災害ばかりじやない、ほかの方にもあります。農林省がみなそういうふうに行政的に十分指導のできるような、監督のしやすいような、また末端にそういう不適正が行われないような行政的な法律をつくるべきじやないかと思うが、これについて政務次官はどうお考えですか。
  66. 平野三郎

    ○平野政府委員 まつたくお話の通りでございまして、特に災害復旧に関する不当事項が多い、ここでそれを防止するためにこういう法律を出しておるわけですが、その他県営あるいは国営等については今まで通りやるわけでありまして、従つて今までに大きな事業につきましても不当工事がありますから、これについて行政の適正化をすべきであるということはまつたくその通りでございます。これにつきましては、従来通りの方式でやるわけでございますから、今後は厳重に監督をいたしまして、そういうことの起らないように適正にやるようにいたす所存でございます。
  67. 金子與重郎

    ○金子委員 関連して伺います。今川俣委員から質問になつております問題は非常に重大な問題でありますので、この際大蔵省の責任のある方から、これに対する見解をお聞きしておきたいのであります。今主計官がおいでになつておりますから、一言考え方を聞いておきたいのは、農村関係の助成事業に対して、会計検査院の立場から非常に問題が多いということを伺つておるのであります。ことに災害復旧、土地改良等の助成に対して、会計検査院の検査によつて指摘される問題が非常に多いということを伺つておるのであります。それは自分たちが農村の指導者の立場におつて、そういう事業を実際にやつておつたときの経験からしてさもあらんと想像できるのでありますが、しかしそれについて、それだからというて今川俣委員の言われたように、刑法罰まで加えなければならぬか、刑法罰を加え、これが罰則を強くすることによつて解決できるとお考えになつておるか、その点をお聞きしたいのでございます。
  68. 柏木雄介

    ○柏木説明員 私は法律の方の担当でないので、あるいは直接の担当の責任者からお聞きになつた方が適切かと存じますけれども、今般大蔵省の方から提案いたしております法律が出た結果、すべてよくなるのだというふうには必ずしも考えてないわけでございまして、むしろ逆に実体の方が適正に運営されて、補助金の管理が適正に行われるように、行政指導なりあるいは関係者の御理解によつて、その方でむしろ適正化が行われて行くと思うのであります。ただ一方においていかにも刑罰を加えなければおかしいと思われるような非常に不当な例もままあります。しからばそういうものをほうつておいた方がいいのかという場合もありますので、その意味におきまして例外的に特に刑罰を加えなければならぬというような事例もあるのじやないか、今般の適正化の法律も、刑罰を科するだけが目的じやなくして、補助金の申請手続につきましてもう少し順序をつけて責任をはつきりする、あるいは返還の義務を課する場合にどうするかといういろいろ手続的な規定が多いのでありまして、総合的に補助金の適正化ということをこの際ねらつた、さように御承知願います。
  69. 金子與重郎

    ○金子委員 ただいま川俣君は農林次官並びに農林省等に対して、強くその点を指摘したのでありますが、私は農林省がこれを言うことよりも、柏木主計官はこの法律をつくるまん中に立つような非常にいい立場にあり、一方では予算を査定する立場におる。だからこれに対して特に認識を持つてもらいたい。ということは、まず第一に、この農林関係の助成をもらつて改良事業が行われ、あるいは災害復旧が行われるというときの、その刑罰の対象になる代表者の位置というものが、ほかの会社なりほかの事業団体と非常に性格が違うということであります。それはその助成金をもらうということについては、土地改良の組合長なりあるいは協同組合長なりというような、代表者自身はむしろいつも犠牲の立場に立つておるのである。それが事務の経理の間違いから、処分というふうな形になつて、それが行政罰ならともかく、司法罰を受けることになると、人の仕事を犠牲的に働いてあげて、最後の責任は自分が負つて懲役に行くのだという矛盾がある。ほかの会社の補助金なら、自分の会社の利益になる補助金をもらうのだから、その補助金の使い方について、法の指示したような使い方をしなかつたというので刑罰を受けるのは当然でありますけれども、農業関係の場合は、自分の持分の土地は百分の一か百分の二であるにもかかわらず、全体の改良事業などの全責任者になるわけで、純然たる一つの公共的な立場に立つておるのです。しかもその立場に立つたおかげで罪を科せられる、こういうことが大部分であります。そこが根本的に性格が違うということをあなたは想像がつきますか、また認められますか。そのことはあなたが今後この問題に対して——この問題は、断つておきますが、先日の農林委員会の理事会で大蔵委員会に対して、これは削除すべきだということを要求することになつておりますので、多分大蔵省としても問題になると思いますから、この点はあなたにはつきりした考えを持つていただきたいのであります。私が今申し上げることを認めるかどうか、ここのところで二、三問うておきたいのでありますが、その点はいかがですか。
  70. 柏木雄介

    ○柏木説明員 この法律案は別に刑罰を科することが目的なのじやなくて、そういうことは万々ないということをむしろ期待するわけでございますけれども、今お話のように、農業団体の理事者の性格が株式会社と違うのだという点は、確かに違うだろうと思います。これはよほど公共性が高いということだろうと思いますが、ただ適正化の法律の場合でも、公共団体の理事者も場合によつては罰するということも考えておりますので、その意味合いにおきまして、株式会社と同じだという意味じやなくて、地方公共団体の理事者の方の責任を追究すると同じ意味合いにおきして場合によつては追究することがある。われわれの方で一番問題にしておりますのは、災害復旧などの場合に、補助金を二重に申請して二重に受けておる。こういうことはあり得ないはずだと思いますが、そういうことがあるとするならば、それはちよつとただでは許せないのじやないか、一方で補助金をもらつたら一方は当然断るべきじやないか、それをだまつて両方もらつてしまうというのは、ただ行政指導の問題じやなくて、どこかそこに問題があるのじやないか、特に株式会社と一緒だという意味合いじやなくて、公共的な団体でもそういう場合があれば考える必要があるということであります。
  71. 金子與重郎

    ○金子委員 そういうことを聞いておるのじやないのです。たとえば会社の代表者の直接の利害に比べて、土地改良やあるいは災害復旧の代表者というものは、自分に対する特殊な利害関係が非常に薄い、いわゆる人のために働くという立場において代表者になつておる人が非常に多いのであります。その手続の怠慢から、あるいは間違いから補助金を二重にとつたから、それは行政罰として没収するということであればいいけれども、そういうことがもし詐欺のような形になつておれば、これはあの法律で書かなくたつて詐欺という行為はいかなる場合でも適用できるのですから、何も土地改良の助成金問題だけ詐欺の適用を重ねて書く必要はもちろんない。もし詐欺であれば全般的に詐欺です。私が今申し上げているのは、土地改良で何万という事態が起つておりますけれども、あれは大部分が、農地関係の開発等におきましては、特殊な純然たる名誉職のような立場においてやる人が非常に多い。現に、これははつきり申し上げますと、私ども昭和七、八年のころ、救農土木の時代、二回も正式に告発されております。なぜかというと、文書偽造で補助金をとつたということです。当時二分の一の助成で救農土木事業をやつた。二分の一の事業だけれども、あの一日七十銭で農民に土方をさせて救農土木をやつて農道をつくる、あるいは沼をつくつた、貯水池をつくつた当時に、その二分の一の残りの金を農民が負担できるくらいだつたら救農土木なんかする必要はないけれども、ああするよりほか法律としてはしかたがなかつたからやつた。従つて全国のほとんどの救農土木というものは、文書偽造でかろうじてやつていたのです。私ははつきりと司法的に訴えられたのだけれども、それでも当時の検察官は、それは確かに文書偽造に相違ないということを知つておりながら、これはこういう立場においてやつたものをあながち刑罰にすべきものでないということで不起訴にしておる。それと同じ意味です。それに近い関係農地の改良事業の代表者に非常に多い。さればといつて当時私個人が詐欺なりあるいは横領なりしておれば、これは当然罪にされべき問題であります。私はそんなにやかましいことを言われるのだつたらば、土地改良の代表者にはならない方がいい、こういう結果が来ることをおそれるのでありますが、それに対してあなたはどう考えられますか。
  72. 柏木雄介

    ○柏木説明員 農業団体の理事者というものが特殊なものである、私は確かにそうだと思います。その点先生と見解は同じだと考えます。従つて法の運用におきまして、過度にならないようになることを期待しております。ただそれだからと申しまして、刑罰を絶対に科することがないのかといわれますと、これは先ほど申されましたように、二重申請の場合などは、先生が言われた事由と別の事由があるのじやないか、そういうものを黙つてふところすることは法律的じやないと考えます。
  73. 金子與重郎

    ○金子委員 そこで最後に申し上げます。私は罰するなというのではないのです。行政罰でいいじやないかというのです。その代表者が行政罰の上にまた罰する必要があるような詐欺や横領があつたときは、この法律でなくても、一般の詐欺行為であり、一般の横領行為として完全に司法的に罰せられる今の制度があるのでありますから、特にこれを書く必要はないのじやないかというのが、この間の理事会の考え方なんです。それに対してあなたはどう思いますか。
  74. 柏木雄介

    ○柏木説明員 これは刑法と今度の法律との関係の問題でありますので、実は法務省ともよく御相談してできた法律でございますので、まつたくダブつているようには聞いていないのでございます。やはり法律を出す理由があるように聞いております。あるいはその方の責任者から説明した方が適切かと思いますが、現在の刑法では十分カバーし得ないようなそういう悪い事例がある。それを処理するためにやはり刑罰規定がいるように聞いております。
  75. 金子與重郎

    ○金子委員 これは柏木主計官にお願いすることはちよつと無理かと思いますけれども、時間の節約の意味において、何ゆえにこの法律にそういつたものを載せなくてはならないか、その理由はつきりと納得の行のような説明を聞いて、文書回答でも何でもよろしゆうございますから、あとで回答してもらいたいと思います。私の方としては、どうしてもそれが納得つくまでは、委員長を通して大蔵委員会にこれは削除すべきだという申入れを、せんだつて理事会で概略申し合せておりますから、それだけを御承知願いたいと思います。
  76. 川俣清音

    川俣委員 金子委員から大分私の問わんとするところを言い尽されましたので、私は簡略にいたしたいと思いますが、現に会計検査院が批難事項として指摘しておりますにもかかわらず、地方の警察あるいは司法当局がなぜこれを処分しなかつたかといいますと、もちろん個人の横領、詐欺的行為、または文書偽造等がありました場合は、これは仮借なくやつておると思うのです。そういう点について手抜かりはないと思う。むしろ今金子委員の指摘されたような、実際個人的な横領、詐欺または個人的利害のために費消したような場合には、これは同じ関係組合員または関係農民から強く指摘せられますので、そういう弊害は司法処分で十分できると思うのです。ただ全体にわたるような場合において、一般の農民からあるいは関係者から指摘がないために、会計検査院の指摘に終るような状態だと思うのです。これらのことは、特に災害復旧事業についてなぜ多いかということを、大蔵当局は一応反省してみる必要があるのではないかと思う。これは柏木さんひとつ反省願いたいのです。というのは、ほかの事業にもあるけれども、なぜ災害復旧事業に多いかというと、これは災害復旧というものについての復旧事業が施行されます場合に、大体前よりももつと災害に対応できるようなものにしたいというのが一つ、それにもかかわらず、予算の面から原状回復までにも至らないような無理な査定が行われ、無理な補助金減額が行われるというところから、むしろ問題が起きて来る面が非常に多い。こういうふうに見て行かなければならないと思うのです。従つて一方において刑法罰を強要して行くならば、一方において大蔵当局に対しても、法律に従わないで査定をしたものは、やはり同様な処分を受けるというような、並行的な規定が必要になつて来るのではないかと思うのです。これは極論かもしれません。補助金を受けて事業を守るのも、法律に従わなければ同様な処分を受けるとするならば、やはり時の政府の都合によつて法律に従わないで予算的処置をとるものも、同様な処分を受けなければならないと思うのです。これは極論だといえば、柏木さん御不服であつて、極論になるかもしれませんが、まあ突き詰めて行けばそこまで言えないことはないと思うのです。そこでできるだけ個人的な利益のために詐欺的なことあるいは横領的なこと、あるいはむだな運動費を使つて行くことは、これは当然刑法上の処分を求むべきであつて、これはそういう違反行為の起らない手続的な行政的な法律にして、行政面ではできるだけそういう処罰を起さないように、いわゆる手続法または処理的な面について、そういう違反が起らないように、法律を処理的な法律にして行くべきじやないかと思うのですが、柏木さん、この点一点だけ御答弁願いたい。
  77. 柏木雄介

    ○柏木説明員 法律通りに予算をつけないから問題だというお話でありますけれども、憲法の規定もありまして、公務員というものが法律に従つて事務を処理する。われわれの方としては毛頭法律に違反することはないというふうに確信いたしております。それから事務処理的な法律としたらどうかというお話でございまするが、法律の大部分というものは、事務処理の適正化というか、規律をつけたり、あるいはいろいろ手続的な規定を置いておるのでございます。むしろ例外的に非常に悪い事例があつた場合には、刑罰をもつて臨むというふうになつておるのでございまして、その点はおつしやるように事務処理ということに重点があるように考えております。
  78. 川俣清音

    川俣委員 私はあえて柏木さんと論争しようとは思いません。憲法に命ぜられた通り、行政官が法律に従つて執行することは当然なことでありまして、またこの補助金を受けるものが、補助金を適正に使うということは当然なことであります。当然なことが行われないということによつて、こういう罰則を設けようということなんでしよう。当然に行われておればいらないわけです。従つて当然だからいらないということになりますると、これもやはりいらないのじやないか。これはへりくつになりますから申し上げませんけれども、とにかく行政官というものは一応上にあるので、法律解釈もなかなか巧みに解釈して、おれは法律に触れていないのだということは言えるかもしれませんけれども、やはり立法府として、立法した趣旨通りに予算が組まれておるかどうかということについては、多くの議論の存するところであります。私はあえてそれを今ここで問題にして紛争を起そうというのではありませんから、なるべくならばそういう刑法罰を避けて、いわゆる手続法をもう少し明確にし、責任性を明確にして、その後においてなおも不適正なことが行われるとすれば、これはもうやむを得ない処置をとらなければならない。むしろ刑法を根本的にかえるべきだと思うんです。根本的な道徳の基準としての刑法を改正して行くべきであろうと思うんです。柏木さんの言うようなことが一般的に行われるとすれば、むしろ刑法の改正をなすべきだと思うんです。従つてこういう行政面から来る刑罰というものは避くべきである。むしろそれならば刑法を改正して行くべきだと思うのです。  この点はその程度にいたしまして、あとは農林当局にお伺いいたしたいのですが、これは災害復旧ということになつておりますが、冷害の場合、多く災害と言つております。しかしながら冷害の場合は復旧ではないんです。いわゆる災害をこうむつた者に対する救済施設ということになるんです。農業施設にいたしましても、農道施設にいたしましても、その他の漁港施設にいたしましても、これは災害復旧事業じやないんです。災害のために起つて来る救済施設ということになるんです。この場合も往々批難事項が多いのであります。この場合は災害復旧だけにとどめておられますが、そういうふうに拡大されて、やはり責任を明確にする必要があるのじやないかと思いますので、この点をどのようにお考えになり、また別にこれを追加されまするか、この範囲でやれるのかどうか。どうも災害復旧ということになると、含まれないように思うんです。やはり同一な立場にある小規模な農業施設に対してのものについて、同様な考え方をすべきじやないかと思うんですが、この点についての見解をひとつお示し願いたいと思います。
  79. 平川守

    ○平川政府委員 これは、現在の施設の災害に対する復旧事業というものが直接補助にすべてなつておるということが不合理であるというので、改正案を出しておるわけでありまして、冷害の場合に、冷害対策として土木事業を行うというものは、これは当然改良工事として行つておるわけであります。従いまして県営の場合もあり、あるいは団体営の場合もありますけれども、当然これはいわゆる間接補助といいますか、事業主体に対する補助ということになつております。現在の施設災害のように十万円の事業でありましても、農林省が直接に補助するのだという形にはなつておらないわけであります。従つて冷害対策として土木事業を行います場合は、現在のような施設災害に対するような制度に初めからなつておりませんから、問題はない、かように考えております。
  80. 川俣清音

    川俣委員 その点了承いたしました。農地についてはおそらくそうだと思う。林道については幾分疑問がありますけれども、根本的に反対でありませんので、時間を省略する意味において、これは残しておきます。  もう一つお尋ねしておきたいのですが、災害復旧ばかりでなくして、間接補助にいたしましても、今後農林省の出先機関でありまする地方の農地事務局の活動は、主として建設に主力を置きまして、これらの指導監督については非常に欠ける面があるのではないかと思うのですが、これらの機構を充実するということになりますると、また行政簡素化とぶつかつて来る。これらがどうも建設に主力を置きまして、こういう小規模のものについての設計、指導、監督が行き渡つていない。これは今の定員から行きまして、行き渡る由もないわけです。従つて私は強要しようとは決して思いませんけれども、特に大蔵当局に御理解を得たいのは、こういう点についての設計、指導、監督についての検査等も、会計検査院がやる前に、これはやはり一応農地事務局が検査をする義務があるんじやないか。指摘される前に、すでにみずから大蔵省と折衝した補助の行方がどうなつているかということについて、県が責任を持つのだから県がやるべきだというふうにならないで、やはり直筆検査でもやるというくらいになつて行かなければ、ほんとうの指導ができないのじやないか。そういうことが行われると、刑法罰はいらないのじやないか。私はそういう点から言うのです。決していたずらに人員をふやすというような意味で言うのじやないのです。人を刑罰にしましたからといつて、決してその農業施設事業がうまく行くのじやないのですよ。むしろ人を処罰して刑務所へ入れた結果、事業が何も当初の目的を達成できなかつたとなると、国の非常な痛手となると思う。人は刑務所に入れたわ、事業は遂行できなかつたわということになつたら、それこそ予算措置が適正を欠くことになると思う。問題はそこなんです。私どもは予算の処置が適正に行われるということが、人を刑罰にしたことによつて適正に行われるのでなくして、刑罰にする以上にこの目的が達せられ、予算の適正化が達成できることにならなければならないと思う。その点から言うのです。いずれ現在の機構では十分それを達成できないと思うが、将来行政面からこの適正をはかるためにどのような方法を講ぜられようといたしておりますか。こういう法律で責任をのがれるだけでは無責任だと思う。これも一つ方法であることは認めますよ。しかしこれだけで責任が軽くなつたというような気持でおつたのではならないと思うのですが、どうですか。
  81. 平川守

    ○平川政府委員 これはまつたく御指摘の通りでありまして、われわれもこの法律ができただけで、本省がそれで手を抜いてよろしいということには考えておらないわけであります。ただ第一次的に県に責任を持たせるということによつて、よほど初めからよくなるのじやないかということを期待しておるわけであります。しかし一面、県に対する設計あるいは事業指導とか、あるいは検査その他の監督とかは十分にやつて行かなければならない。それについては、結局人員等の問題にもなるわけでありますけれども、先般も御売問にお答えいたしましたように、やはり質の問題が相当重要じやないか。こういうことも、数多い事務局の中でも、実質的に能力を持つた技術官が非常に少いということが、一つの欠点であると思いますので、さしあたり人員の増加が非常にむずかしいという現状におきましては、まず質の向上をはかるという意味で、いろいろ研修とかいうようなこともやつておりまして、そういう能力のある人を、与えられた定員の中でできるだけ数多くそろえるということに努めて参りたい。同時に定員の問題につきましても、年々大蔵省と折衝いたしているようなわけでありまして、最小限度の必要数は満たすように努力もして参りたい。かように両両相まつて、監督の面もこれによつて決して軽くするということでなしに、その面も重点を置いてやつて行きたい、かように考えております。
  82. 井出一太郎

    ○井出委員長 残余の質疑はこれを午後に繰越し、暫時休憩いたします。     午後一時一分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  83. 井出一太郎

    ○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑を継続いたします。井手以誠君。
  84. 井手以誠

    ○井手委員 災害復旧費については先般いろいろお尋ねいたしましたが、どうも最近災害について、せつかく法律があるのに予算を計上しないというような状態で、行政機関に捨てられたようなかつこうでありますので、重複する点があるかもしれませんが一応承つて納得してから採決に臨みたいと思います。  この改正の中心をなすものは、直接補助ばかりであつたのを間接補助と直接補助にわけるということになつておるようでありますが、その大小に応じて国の地方との権限を分配するというのはどの程度で分配されるものか、小規模のものと大規模のものとはどの限界でわけられるものか、まずその点を承つておきたいと思います。
  85. 平川守

    ○平川政府委員 ただいま基準として、金額的にどの程度ということまでは考えておりませんが、要するに県営で行う程度のものと、団体営と申しますか、地元で行う程度のもの、これは必ずしも金額の大小によらず、技術的にむずかしいといつたような問題も加味されることと思いますが、現在県営でやつておりますものは比較的数が少く、かなり大きいものに限られております。県の事情によりましても多少相違が出るかと思います。そういうことで数字的な限界を今はつきりと考えておりませんが、おおよその見当を申し上げれば、たとえば現在県営事業と団体営事業というのは、公共施設であると三百町歩くらいの程度を一つの境目にいたしまして考えられております。それから耕地災害等になりますと三十町歩くらいの程度から県営というようなことに考えられるのではなかろうか。もつともこれは一応の見当でありまして、必ずしも厳格にこれによるというわけのものではありません。     〔委員長退席、神戸委員長代理着席〕
  86. 井手以誠

    ○井手委員 この限界が非常に大事だろうと私は思つております。地方の災害地にとりましては非常に関心の深い点であろうと考えておりますし、また法案を出される場合には、そういう大体の根拠がなくしてはお出しにならぬだろうと思つております。もう少しこの点を明確にしていただきたいと考えます。ただいまおつしやつたような程度では、ほとんど間接補助になるのではないかという感がいたすのであります。農業用施設その他各施設の復旧について当局が考えておられる限界を、いま少しく詳しくお示しを願いたい。それと同時に、ここにいろいろと理由は書いてありますが、承りますと査定や指導に非常に手が足りない、地方の農地局では困つて、災害の場合にはほかの係の方まで動員してやつてもなお机上査定が多いという今日、行政整理によつてさらに圧縮される、こういうようなふうにも聞いておるのでありますが、私はあとでお聞きはしますけれども、人員整理がこういう結果になしたのではないかという気もいたしますので、行政整理との関係も、あわせてこの際お尋ねいたしておきたいと思います。
  87. 平川守

    ○平川政府委員 ただいま申し上げましたように、この限界点については、特に厳密に考えておるわけではございません。と申しますことは、補助を受ける方の立場も考えますと、面接補助でありましても間接補助でありましても、補助の率なり金額というものに差はないわけであります。ただ県の事業に対する監督、指導の能力、農林省及び農地事務局の直接に扱い得る能力というものによつて、その都度相談をいたしてきめて参るというようなことにいたしたいと考えております。ただ大体のけじめとしてはどんなことを考えておるかということでありますれば、先ほど申しましたようなところを考えております。なおたとえば熊本農地事務局で昨年の風水害を査定するにあたりまして、二百万円程度以上の災害地に対しては直接に事務局が必ず見る、それ以下のものについては、場合によつて机上査定もあるといつたような運用をいたしました。これ等も一つの基準として考えられるのじやなかろうかと思います。県の方で希望がありますれば、本省の方の手の足りる限りはなるべく直接補助にしてけつこうなのであります。ただこの境目のところが、何か補助率とかそういうことに関係がありますと、非常に厳密なことを要することになります。そこのところは何もかわりはありません。大体そういう基準でいいんじやなかろうかと一応考えております。
  88. 井手以誠

    ○井手委員 補助率に関係はありませんけれども、法案の改正の中心がそこにありますれば、やはりどの程度以上にするということは、一定の基準をお示しになることが当局の立場ではないかと考えるのであります。これ以上追究はいたしません。  そこでただいまお話のように、二百万円以上くらいということもありましたので、それ以下のものは都道府県に委任することになりますが、それでは都道府県に委任しておつて、これは補助率は同じようなものでありますけれども、今でさえ都道府県のやつておることに信用が置けない。農林省の査定についても、ほかの会計検査院とか大蔵省方面では信用が置けないという今日の事態において、ほとんどの、三十町歩以上とかいう大規模のもの以外の数の多い一般の災害について、府県が申請したものについて、はたして農林省あるいはほかの官庁がこれを信用し得るのであるかどうかということについて、私は非常に疑問を持つております。私はこの点がこの際一番重要な点ではなかろうかと考えております。この前二十八年災の場合において、三万以上の小災害についても国庫補助をやる。その場合には都道府県がその責任者になる。都道府県の支出したものについて政府補助をすることになつておりますが、それについてはまだ農林省の調査が進まない。こういう理由で大蔵省では現在のところはゼロになつておる。先般のお話では、大体四億円を予定しておるということではありますが、今日になつての予算上の差繰りであつて、当初は予定してなかつたものであります。そういうことを考えますると、三十町歩未満の災害復旧がこれだけあつたという都道府県の申請を、どのように信用なさるのか、その点を私は具体的にこの際承つておきたい。一々また出向かなくては信用できないのか、あるいは一々また調査し直さなくては金が出せないということであれば、結局また同じことになると思います。あとでまた検査の点、監督の点をお尋ねしますけれども、現在の査定に対する状況から見ますると、府県から申請したものに、はたして当局が信用なさるかどうか。信用がなくてまた調査するようであるならば、私は同じことだと思うのです。この点を承つておきたい。
  89. 平川守

    ○平川政府委員 査定の点になりますと、補助を出すわけでありますから、農林省としても、県の申し出た通りというわけには参らないと思います。これはやはり一定の方法によつて査定するが、それはもちろん現在やつております以上のことはできないと思います。場合によつて、現在やつておるような机上査定をやらざるを得ぬと思いますけれども、補助金を交付いたします以上は、やはりその県の申請する災害に対して査定はやるわけであります。それでは同じではないかということでございますけれども、そこにやはり従来は、全部地方の地元に対する補助金の交付は直接国から交付しておる。県は、権限があるようなないような、非常にあいまいな立場にある。そこに県というものが責任をもつて補助金を交付する。もちろん本省の監督は受けるけれども、県も今度ははつきりした責任者になるというところに、県自体が自粛すると申しますか、責任を持つたものを出して来る。従つて本省の査定もありますけれども、従来の県で出しておるよりはよほど信用度が高いということになるというふうに思うのであります。会計検査院等が近ごろいろいろさらに厳密に農林省の査定を見てまわるというようなことをやつておりますが、会計検査院とも相談いたしまして、検査院としても、こういうやり方の方が非常によいのではないか、つまり信用が置けることになつて来るのではないかという意見であります。決算報告等の非常に不当事項が多いので、そういう不当事項の起らないようにする一つ方法として、検査院からも、こういう改正の話があつたくらいでありまして、そういう意味におきまして、これによつて非常に画期的に県の信用だけで行えるということにはならぬと思いますけれども、従来よりはよほどよくなるのではないかというように考えております。
  90. 井手以誠

    ○井手委員 その点はどうも意見を異にするようであります。現在でも、なるほど府県は権限は持ちませんけれども、相当責任をもつて査定の場合にはこれに立ち会つてつておると信じております。私も農村におりまして関係しておりますから、この点はよく承知いたしております。現在でも信用の置けるように県が厳重にやつておるにもかかわらず、何回も査定をやり直さなくてはならぬ。今日でもなおほんとうの査定ができておらぬのが非常に多いのであります。そういう実情にあるにもかかわらず、今回多くの災害復旧を府県にまかせてしまうということであれば、結局同じことになる。あなたはかえつていいとおつしやいましたけれども、机上査定ということになりますれば、今でさえ机上査定で、労力奉仕の分は二割削減であるとかいうふうに一律に天引きされておる実情考えますと、今の状態であれば若干——若干というよりも現地に行つて実情がわかつておりますので、実際に近いものが査定できるのでありますけれども、机上ということになりますれば、先般も申しましたように、その財務局や会計検査院のような査定と申しますか、ああいうやり方がさらにひどくなつて来る、災害の実態からむしろ遠ざかつて行くという心配を持つております。府県を信用しないということであれば、どうかと思う。むしろ現在の行き方の方が農林省としても、それに熱意と責任を持つて査定ができる。地方から出したものに対して全面的に信用ができないということになれば、机上査定ということになる。机上査定であれば実情に遠ざかる。そういうことであれば改正の趣旨に反しはしないかと思います。この点もう少し、府県の申請があつた場合にどういうふうにするかということを、明確に、責任者である農林省としての立場をはつきりさせていただきたいと思う次第であります。
  91. 平川守

    ○平川政府委員 もちろん現在におきましても、県の活動は期待をいたしておるわけでありますし、これに対して全然信用しないというわけではございません。ただこれは程度問題であると思いますが、要するに形式的に県が全面的な責任を持つてその仕事をするという態勢になつておらないところ、やはり何か不十分なところがあるのじやないかということを、関係検査院にいたしましても、大蔵省にいたしましても、みなそういう感じを持つておるわけでありまして、検査院が農林省をも信用しないというのは、これはまあ検査院の立場としてやむを得ないかと思うのでありますが、最近特に検査院のやり方について問題が起つておりますけれども、これはこの制度改正によつて検査院の信用の程度というものが、少くとも現在より悪くはならない。むしろ現在より相当信用を置かれるようになるというふうに考えております。と申しますのは、農林省が県の出しておるものに対して査定をするということは、少くとも現在よりも落ちるわけではないわけであります。でき得る範囲のところについて農林省が全責任を持つて査定をいたすわけであります。これは間接補助の場合といえども査定はいたすわけであります。ただその場合に、今までは農林省が実際はよく見られないにもかかわらず、全面的に農林省だけが責任を持つているような関係になつている。それを県が第一次の責任を負つて、それに対して農林省は監督の責任を負う、査定の責任は負わぬということになるわけでありますから、査定については従来よりも県が責任者になるということだけがやはりプラスになると思うのです。そういう意味において会計検査院の方も、こういうふうにすれば今の不当事項がよほど緩和されて来るのじやないかということを言つておるわけでありますから、検査院の信用というものも、当然これによつて満点とは思いませんけれども、今よりはよほどよくなるというふうに思つておるわけであります。
  92. 井手以誠

    ○井手委員 その点は見方の相違で、現在の査定の実情からいたしますれば、かえつて逆になるような心配を私は持ちますので、特に申し上げておる次第であります。  続いてお尋ねいたしますが、都道府県補助する費用に対して国が補助するという間接補助、こういうことになりますと、都道府県の財政状態によつて工事の進行にむらができはしないか、府県間に不均衡を生じはしないかというおそれが出て参るのであります。そういう点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  93. 平川守

    ○平川政府委員 これは県が自分で負担しなければならぬという部分はないわけでありまして、災害の大きさによつて県が責任を持つて、これだけの災害復旧を要するということを申出ました場合に、それに対する復旧費というものは、査定はいたしますけれども、必要と認められたものは全額国庫から行くわけであります。従つて県自体の負担がありませんから、御心配の点はなかろうかと思つております。
  94. 井手以誠

    ○井手委員 その点は府県が支出したものに対してやるというのではなくて、予算に計上したものについて補助を出すというわけでございますか。
  95. 平川守

    ○平川政府委員 予算補助でいたします。
  96. 井手以誠

    ○井手委員 もう一点お尋ねしておきたいと思います。第六条の監督の点でございますが、各委員から言われておりますように、責任者は農林大臣であるにかかわらず、各方面から査定に行かれておる。名称はどうであろうと、実質的には査定のような状況になつておりますが、従来の指導を改めて新たに監督にされるということについて、今後査定についてはどういう方針を農林省は持つておられるのか、同時に査定するという方針で行かれるのか、この際ひとつはつきりした対策をお示し願いたいと存じます。
  97. 平川守

    ○平川政府委員 これは従来から農林省が査定をいたす権限を持つておるわけでありまして、制度的には検査院あるいは大蔵省というようなものか査定をするということにはなつておらないのであります。ただ実際問題としてあとから検査をいたす場合に、不当事項ができるだけ出て来ないようにという意味で、事前に検査院も見て注意を与えてくれるという建前になるわけであります。この第六条自身は、農林省はつきりと従来から法規なしにやつておることでありますけれども、はつきりと法律的根拠をもつて監督をするということによつて、ただいまのような不信用な状態を、ある程度緩和もできるのではなかろうかということを考えましたわけであります。その点については、現在といえども制度的には違つておるわけではないのであります。
  98. 井手以誠

    ○井手委員 この一点だけで私は質問を終りますが、せつかく新しく監督の条文を入れられた機会に、事業の主体性と申しますか、農林省の主体性と申しますか、そういうことを明確になさる必要があると思う。責任者である農林省の査定が、あとから次々にくつがえされるということでは、何の責任者かわからなくなります。そういう現在の状態に対して、せつかく監省の条文を入れられますので、各方面の人に連絡して会つておられましようから、今後はこうするという方針、これば非常に重要な点でありますので、明確にしていただきたい。これはもし今局長から御答弁ができなければ、後日大臣からでもけつこうでありますが、この点だけは法律案の審議中にひとつ明確にしていただきたい。あなたでできますればけつこうでございます。     〔神戸委員長代理退席、委員長着席〕
  99. 平川守

    ○平川政府委員 ただいま申し上げましたように、制度的な問題でありませんで、実際の運用として、便宜上検査院が事前に注意を与えるといつたような意味でのことをやつておりますので、これにつきましては検査院ともよく相談をいたし、また大蔵省ともよく相談をいたしまして、農林省はつきりとした責任を持つて、せつかく査定したものをまたひつくり返すというようなことのないように、よく話合いをいたしたいと思います。ただこれは制度的な問題でありませんので、今ただちに検査院で今後そういうことをやらないといつたような言質をとるわけにも参らないような状態でございます。しかしそういうことのないように、農林省もしつかりとした査定なり監督なりをいたし、そこで検査院あるいは大蔵省が、さらにそれを途中においてくつがえすということのないように、これはよく話合いをいたして参りたいと思います。
  100. 井手以誠

    ○井手委員 局長からは最大級の責任ある言葉のようでありましたけれども、この法律案を出される以上は、農林省でも非常に問題になつておることでございますので、明確な方針を立てておかねばならない問題だと思うのであります。制度上はこうとおつしやいますが、問題は実際の影響であります。現地における経過の問題でございます。平野次官もお見えになりましたので、次官にこの一点だけはお伺いしておきたいと思います。せつかく農林災害について責任者である農林省が査定されたものを、後日に至つてほかの官庁からの勧告によつて変更されるということは、非常におもしろくないことであります。非常に迷惑を感じております。どちらのが災害復旧の責任者であるかわからない状態であり、むしろそれよりも農林省の査定は露払いであつて、財務局や会計検査院の検査の方がほんとうのものであるような印象を受けております。せつかくこの改正案において「監督」という条文を入れられた以上は、こういう非難に対して主体性が明確でない、こういうものの査定について、農林省は明確にその方針を示されることが一番必要であると考えております。そういう意味から、今後はこういう査定をやる、一旦農林省が査定をしたものについては変更しない。こういう責任ある態度なり、あるいは補助の方針なり、その点についてひとつ確固たる方針を承つておきたいと存じます。
  101. 平野三郎

    ○平野政府委員 この査定につきましては、従来といえども農林大臣に査定権があるわけでありまして、ことに会計検査院などは、会計の検査はもちろんせられるわけでありまするけれども、事業に対する査定権というものは全然ないわけであり、またそういう意図ももちろんなかろうと存ずるわけでございまするが、しかし事実におきましては、御指摘のような誤解を受けるようなことも従来ままあつたわけでありまして、政府といたしましては、そういう点ははなはだ遺憾であると思うのでございます。井出委員の御指摘の通り、その点は責任を明らかにする必要があると存ずるわけでございまするので、今後につきましては、そういう誤解を招くようなことのないように、農林大臣の査定を最終的なものとし、またそれだけに権威を持つような査定をするように、関係方面とも一分連絡をとりまして、善処いたしたいと存じます。
  102. 井手以誠

    ○井手委員 私実はその程度では了解しかねるのであります。しかし今急にというのも何でございますので、これ以上は申し上げません。すみやかに関係官庁と連絡をとられて、次官がおつしやつたように責任を持つた査定をやる。一旦きめたものは動かさない、こういう確固たる方針をきめられて、これを天下に声明されて、農林省の信用を高められるように、特に私は切望いたしまして、私の質問を終ります。
  103. 井出一太郎

    ○井出委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ討論を省略して、ただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認めます。  それでは農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  105. 井出一太郎

    ○井出委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なおお諮りいたします。本日議決いたしました二法律案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長の御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認め、さようとりはからいます。     —————————————
  107. 井出一太郎

    ○井出委員長 次に先般の降霜による農作物被害に関しまして調査を進めます。昨日に引続き質疑を行います。中澤茂一君。
  108. 中澤茂一

    ○中澤委員 概況の降霜害の報告について安田さんにちよつと先に伺つておきます。この四月二十一日による被害と、それから四月二十八日による被害、これがいずれも五月六日までの調査の報告となつていますが、四月二十八日の分は累計したものか、二十一日のものと別なものですか。
  109. 安田善一郎

    ○安田説明員 中澤委員の御質問にお答え申し上げますが、別のものであります。従いましてただいま未報告のものもありますものをそろえまして、私の方には大体重複はございませんつもりで調査してありますけれども、ある時期に最終的に全部でどうだという場合には、これがおおむね合計されるものであります。
  110. 中澤茂一

    ○中澤委員 これが別々のものといたしますと、二十一日と二十八日のものを合計いたしますと、何といつても桑と茶が多いわけなんですが、桑にいたしますれば、二万二千四百九十四町歩のものと二十一日の一万九千二百二十九町歩というと、約四万町歩の被害があるわけであります。お茶についても、六千十町歩と三千七百九十町歩、合計すれば約百五十万貫の被害になつておるのでありますが、これは昨年の凍霜害に劣らない大きな被害なのでありますが、これに対して一体政府はどういう対策をお持ちですかお伺いいたします。
  111. 平野三郎

    ○平野政府委員 今回の凍霜害につきましては、まだ全般にわたりまする報告が集計されておりませんので、ただいま鋭意これをとりまとめておるわけでありますが、これがまとまりました上で適当なる対策を立てる、こう思つておるわけでございます。
  112. 中澤茂一

    ○中澤委員 実は政務次官も御承知のように昨年の凍霜害においては早急に手を打たなければいけないので、昨年の凍霜害においても芽出しとして硫安の補助をやつたわけです。硫安ばかりじやない。昨年は実に不満足であるといいながら、芽出しの硫安の助成を二貫五百匁、薬剤もやりましたし、蚕種代もやりましたし、それから養蚕技術員の超勤手当も出しましたし、それから養蚕団体の活動助成費も出し、なお融資をいたしたのでありますが、大体昨年並にはやつてもらえるでしようか。政府としては何らかの対策はお考えだと思うのでありますが、昨年並にやつてもらえるかどうか、ひとつ明確にしておいていただきたい。
  113. 平野三郎

    ○平野政府委員 本年の凍霜害の状況は、昨年と規模におきましてもその性質におきましても、相当違つておるのではないかと思う次第でございます。すなわち地域々々によりまして、非常な不均衡と申しますか、被害の箇所がばらばらになつておるというような状況でございますので、本年は別の観点から対策を考究すべきじやないか、かように考え、目下取調べを急いでおる次第でございます。
  114. 中澤茂一

    ○中澤委員 昨年の助成措置というものは、これは最小の助成措置でありまして、蚕種代とか超勤とか団体活動助成、こういうものはあとでもいいですが、早急に手を打つてもらわなければならないのは、要するに芽出しの硫安助成なんです。とにかくすぐやらなければ、これは芽出しが遅れればそれだけ春蚕に間に合わなくなつてしまうのですから、芽出しの硫安助成ぐらいは、政府はすぐやるという対策はまだ立つていないのですか、その辺はいかがです。
  115. 平野三郎

    ○平野政府委員 ただいま鋭意実情の調査中でございまして、とりまとめ次第善処いたすつもりでございます。
  116. 中澤茂一

    ○中澤委員 実はこの被害統計は五月六日までのもので、まだ非常に少いのでありますが、私の方の長野県は、御承知のように桑は作付においても全国一であり、養蚕県なんですが、作報事務所並びに養連を招集いたしまして、被害の統計をおとといまとめて来たのでありますが、被害の一番甚大であつた下伊那の資料が抜けております。それから西筑摩、南佐久、北佐久、この四郡は調査に出張中でまだ帰つておりませんもので、それだけのものを抜きまして、総被害面積がどれだけあるかといいますと、四郡を除いてかつ一万百四町歩という被害面積が出ておるのであります。これは被害の程度に応じてそれをいろいろ区わけしてありますが、この区わけを総計いたしまして収穫皆無に換算すればどれだけになるかというならば、二千四百六十九町五反というものが収穫皆無地域として換算できるのであります。このほか最も被害の甚大である下伊那郡、西筑摩、南北佐久、この四郡が抜かれておるわけでありますが、これが出ますとおそらく三千五百町歩くらいになるのではないかという目標は大体立つのでありますが、これに対して、もちろん統計事務所の方で集計されればわかることですが、さつきゆうにやつてもらわなければならいのは芽出しの硫安対策です。それに対して目下鋭意調査中じやなくして、現実にきよう出した被害調査書だけでも、これは何とかすぐやらなければいかぬとだれしも考えておるのでありますが、目下鋭意調査中もけつこうですが、何かこれに対して、いかなる方策でやろうかというような会議をなさつて、その対策についてお話合いがあつたのですかどうですか。
  117. 平野三郎

    ○平野政府委員 もちろん昨年度の例もございまするし、これらの被害につきましては、早急に適切な手を打つ必要があるわけでございますので、農林省の内部におきましては、いろいろ打合せをいたしておりますし、またその他関係方面とも折衝いたしているわけでございますが、先ほど来申し上げますように、確たる実情を今続々集計中というところでございますので、その結果をまちまして善処いたす考えでいるわけでございます。
  118. 中澤茂一

    ○中澤委員 蚕糸局長にお伺いしておきますが、いろいろな方策をとられても、いつも言うように、輸出にしろ何にしろ繭の増産ということが大前提になるのです。そこでこの凍霜害に対して、蚕糸局長としてはもう一つの案がお立ちになつていると思うのでありますが、いかがでしようか。
  119. 寺内祥一

    寺内政府委員 本年の凍霜害は昨年の凍霜害と多少違いまして、全般的でなくて、局部的には非常にひどい所もございますが、大体その村なり郡なりで助かつた桑がございますので、それを輸送し、稚蚕飼育に間に合うようにし、そのほか技術的な指導をやりまして、繭の減産を極力防止するという方策をさしあたりとつておりますが、ただいまお話の昨年やりましたような対策につきましては、目下検討中でございますけれども、何しろことしは相当の緊縮予算でございますので、大蔵省と内々の折衝はいたしておりますが、まだはつきりとどうという対策までは行つておりません。
  120. 中澤茂一

    ○中澤委員 本会議が開かれているそうですからこれでやめますが、明日蚕糸小委員をやつて、この問題の具体案を、議会としてもわれわれとしても立てなければならぬと思うのでありますが、本日はこれで終りまして、明日大蔵省にも出ていただきまして、真剣にこの問題を検討いたしたいと思います。     —————————————
  121. 井出一太郎

    ○井出委員長 この際蚕糸に関する小委員補欠選任についてお諮りいたします。ただいま小委員が一名欠員になつておりますので、その補欠を委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認め、従前通り井谷正吉君を蚕糸に関する小委員に指名いたします。  なお、ただいま中澤委員御発言の通り、明日午前十時より蚕糸に関する小委員会を開きまして、凍霜害対策の具体化をはかりたい、かように考えます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時十八分散会