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1954-03-19 第19回国会 衆議院 農林委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十九日(金曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 佐藤洋之助君 理事 綱島 正興君    理事 福田 喜東君 理事 吉川 久衛君    理事 芳賀  貢君 理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐々木盛雄君    佐藤善一郎君       松山 義雄君    今井  耕君       神戸  眞君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    井手 以誠君       中澤 茂一君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         林野庁長官   柴田  栄君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      新澤  寧君         農林事務官         (食糧庁総務部         検査課長)   松岡寅治郎君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ————————————— 三月十九日  委員三浦寅之助君辞任につき、その補欠として  佐々木盛雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農産物検査法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号)  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案及  び地方税法の一部を改正する法律案について、  それぞれ内閣委員会及び地方行政委員会に連合  審査会開会申入れの件     —————————————
  2. 井出一太郎

    ○井出委員長 これより会議を開きます。  農産物検査法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、昨日に引続き質疑を行います。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 この農産物検査法の一部改正の問題を、きわめて具体的な点だけお伺いしたいのであります。今度の改正案目的は、第一が改正することが受検者利便である、第二は検査済品に対する不正行為防止、第三は検査手数料収入の確保、第四が手数料取扱い上の不正防止、こういうようなことが主たる眼目になつておるようでありますが、この第一点の、今度の改正によつて検査印紙制度にすることが、受権者である農民の立場から見て、どのような点に利便の点があるかということを、まずお伺いしたいのであります。
  4. 新澤寧

    ○新澤説明員 従来は検査手数料収入印紙をもつて納付することといたしておつたのでありますが、今回はここに掲げております通り農産物検査印紙で納入することにいたしました。収入印紙原則といたしまして郵便局で販売しておるわけであります。従いまして検査料を払います場合には、あらかじめ郵便局収入印紙を買つて来て、それを張つて出さなければならぬということでございましたが、今回は農産物検査印紙を、私どものただいまの計画といたしましては、それぞれの受検地農業協同組合で売りさばくようにいたしたいと思つております。そういたしますれば検査を受ける場所で印紙を買うことができまして、遠くまで時間を費して買う必要がないということで、大分受検者の御便宜をはかることができるようになる、こういうふうに考えておるのでございます。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの総務部長お話は、原則としては受検者が一応収入印紙を買つて来てということになつておりますが、実際は、各地方食糧事務所における取扱いを見ると、食糧事務所受検料に相当する額を払う、そうして便宜的にその食糧事務所の方で収入印紙を貼付してくれたというようなことが、取扱い上からは行われておつたというふうに考えるわけでありますが、そういう点は結局、非常に繁忙な時期に検査を受ける農民にサービス的にやつてつたということになると思いますが、その辺に場合によつては、手数料取扱い上における的確性を欠いたような点があるいはあつたかもしれないと思います。今度の印紙制度なつた場合におきましては、先ほど御説明がありましたが、封緘をするような形になると思いますが、その場合には、封緘をしてから検査を受けなければならないのか、あるいは検査を受けた後においてそういう印紙を貼付することになるのか、これは受検をする場合には非常に問題が出て来ると思います。その点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  6. 新澤寧

    ○新澤説明員 あらかじめ印紙を買つておきまして、請求と同時にその印紙検査官の方へ提出していただきまして、検査が終りましたら検査済の証という意味において、これを巻符として貼付することになるわけであります。     〔委員長退席福田委員長代理着席
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、検査終つたものに対して巻符するということでありますが、検査を受けた場合にも、たとえば量目不足であるとか再調製をする必要があるとかいうような指導的な注意を受けて、それを持ち帰つたり回送するというような場合もあるわけですが、そういう場合においてはその検査官に預けた印紙を再び持ち帰ることになるのですか。
  8. 新澤寧

    ○新澤説明員 今の御質問の点は便宜の問題になろうかと思いますが、再調整をしなくちやならぬということになりますれば、事実上検査が終つておらないわけでありますので、印紙紛失等を防ぐ意味合いからいたしますれば受検者にお返しするのが一番至当だろうと思つております。しかし便宜農協等に一時保管を依頼することも考えられるのではないかと思いますが、原則としては受検者にお返しするのが建前だろうと考えております。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 非常に小さい問題に触れるようでありますが、しかし受検する農民にとつては大事な問題であります。結局検査終つた場合においては、受検者自身がその封緘をするのか、あるいは検査官の方で検査終つた品目に対して封緘をしてくれるのか、そういう点はどういうことになりますか。
  10. 新澤寧

    ○新澤説明員 これは当然検査官がすべきものでございます。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう場合に次のような問題が出て来ると思うわけです。供出の時期とか非常に多忙な時期、たとえば場合によつて食糧事務所取扱い数量が五千俵とか一万俵に達するようなことがあるかもしれませんが、それらのものに対して、全部検査官封緘をするというようなことが現在の末端事務所における労力の配分等、いろいろな面から見て可能であるかどうかという問題も出て来るわけでありますが、検査済に対する正確を期するという場合においては、当然検査官自身封緘をしてくれるということが一番正しいやり方であるし、安心が持てると思いまするけれども、ややもするとそれがまた非常に簡易化されてしまつて、自分で封緘をして農業倉庫へ持つて行くというようなことにならぬとも限らぬわけですが、そういう点の御考慮はいかようになつておりますか。
  12. 新澤寧

    ○新澤説明員 一番取扱い数量の大きいものは米でございますが、現在米につきましては全部政府買入れとなつておりますので、検査手数料はとらないことになつております。従いまして米以外のものについて、手数料の納入ということがあり、お問いのようなケースが起きて来るわけでありますが、米以外の点になりますと、概して局地的に、あるものにとつては、相当集中的な受検数量が出て来ることもございますが、大体におきまして、米以外のものにつきましては、比較的一日の取扱い数量は限られたものではないだろうか、従いまして検査官能力としても、十分やつて行けるものというふうに考えてもさしつかえないんじやないか、こういうふうに考えております。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 この問題は、特に北海道等においてはばれいしよ、澱粉の出荷とか、あるいは燕麦だとか、そういう季節的に非常に大量のものが、しかも冬季間出荷される場合が多いので、そういう点に対しては、今後実務上の配慮というものが十分必要ではないかというふうに考えるわけであります。それから俵であるとか、かますに俵装されたものは別として、袋で出て来る場合は、どういう形で封緘をするのですか。
  14. 新澤寧

    ○新澤説明員 俵の場合は縦なわにいたしますし、袋の場合には口縫いひものところに貼付するというふうにいたしたいと思つております。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 次に検査印紙の売りさばきの業務の問題でありますが、ただいま政令案省令案等が配付になつて、一応見たのでありますが、二十九年度の検査手数料収入は、この表によりますと、およそ四億程度が見積られておるわけです。そのうち売りさばき手数料というものは約一千二百万程度でありますから、これは百分の三程度に相当するものが売りさばき人の手数料として出されると考えますけれども、この手数料の算定の基準は、他に郵便切手の場合とか、収入印紙取扱いとかいうような規定があるわけでありますが、そういう分とどのような比較対象をして、このような決定をなされたか、その点お伺いいたします。
  16. 新澤寧

    ○新澤説明員 収入印紙の売りさばきの場合には、最高百分の三といたしまして、取扱い全額に応じまして漸次逓減して行く規定がされております。この場合もそれにならつたわけでございますが、検査印紙の場合には、一箇所当りの取扱い数量にいたしましても、そう大きなものにもなりませんし、また地域別にもそう不均衡もないというような考え方で、一応収入印紙の場合の最高率の百分の三を、全部画一的に適用をすることにいたしております。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま総務部長は、郵便切手の場合には最高料率が百分の三と言われましたが、これはそうではないのであります。参考までに申し上げますが、これは五千円までは百分の五ということになつており、四万五千円までが百分の三で、それ以上百万円までが百分の一、こういうことになつておるわけでありますが、そういたしますと、最高率を採用するという場合においては、当然百分の五というような適用を行うことも必要となつて来ると思うわけでありますが、この売りさばき人を農業協同組合に指定するようなことに実質的にはなると思いますけれども、これは決して利潤追求目的とした団体ではないのであつて、特に食糧農産物等取扱いに対して、公益的にも協力しておる団体に対しては、できるだけ取扱い上に対する犠牲のないように配慮するのが当然と考えておるわけでありますが、郵便切手等最高率適用するという場合においては、百分の五とする方が妥当であると思いますけれども、この点に対する御見解をお伺いします。
  18. 新澤寧

    ○新澤説明員 百分の三が最高率と申し上げましたが、今お話のございました通り収入印紙の場合には百分の五が最高でありまして、これは私の記憶誤りでありましたので訂正いたします。お話のように主として農協印紙の売りさばきを扱つていただくことになるわけでありますが、もちろん農協にこの売りさばきが過大な負担にならないように、この売りさばきによつて農協が人間的にも事務的にも非常に大きな負担にならないようにという点については、十分考慮しておるつもりでございます。お手元に配つております省令案は、まだ審議中でございまして、最終的にきまつたものではないわけでございますが、そのような農協負担をかけないという意味合いから、百分の三程度でありますならば、大体まかなつて行けるのではないかというような考えのもとに、今のところの案といたしましては、百分の三の売りさばき手数料を支払うということに考えておるわけでございます。これはまだ審議中でございますので、その点をお含み置きをお願いいたします。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、この点に対しては、さらに考慮の余地があるというふうに、私は総務部長の御答弁を解釈して行きたいと思うわけであります。  もう一点、たとえば取扱人であるところの協同組合検査印紙を用意する場合において、これは必要な五万円とか十万円を即納して印紙を用意しておかなければならぬのか、あるいはまた一箇月なら一箇月を限度として、売りさばきを行つた分に対して後納するというようなことが講じられるかどうか。そういう点も資金の運用上等において重要な問題になつて来ると思いますが、この点はどのように考えておられますか。
  20. 新澤寧

    ○新澤説明員 ただいまのところは、大蔵省とも折衝いたしました結果、どうも延納は困難なように存じます。今のところ代金は即納ということで考えております。ただ、あまり一回の払下げ数量が多額になりますと、確かに農協としての資金繰り上の困難を来しますので、その点は農協資金繰り、あるいは検査数量ともにらみ合せまして、適当に分割して売却をしていただくように考えております。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 次に改正点とまたちよつと異なりますけれども、関連の問題といたしまして、最近町村末端における食糧事務所のたとえば維持問題等に対して、いろいろな複雑な問題等が起きているわけでありまして、一応検査料を四億程度国が収受しておるわけでありますが、原則としては末端食糧事務所等における一切の経費というものは、当然政府において支弁すべきものであるというふうに考えるわけであります。しかし実情は、末端におけるところの、たとえば事務所の問題にいたしましても、これは今の段階においては、当然国の責任において固有の事務所を設置しておるというような実例はなかなかないのであります。そういう場合において、当然町村協同組合であるとかあるいは町村役場等のそういう機関の協力のもとに、事務所借上げ使用をやつておるというのが目下の実情でありますが、こうような、たとえば事務所維持問題でありますが、そういう点に対しては、食糧庁としても責任を持つてこれらの維持費等に対する支弁をどの程度つておるか、その内容についてお伺いしたいと思うのであります。
  22. 新澤寧

    ○新澤説明員 検査所施設、特に実際に検査に当ります出張所施設等の点でありますが、確かに本来ならば、すべての建物から内部施設一切が国の施設として整備せられるのは、これは当然の筋道であると考えるのでございますが、沿革的に申し上げまして、かつて都道府県に所属しておりました検査所食糧庁といたしまして吸収合併したわけでございますが、その当時におきまして、必ずしも各県におきまして十分県施設としてそういうような建物等を持つておりませんで、借上げが相当多かつたわけでございます。そのまま国に引継がれたわけでありますが、その後財政の許す限り国の建物として逐次整備をしておるのでございますが、なかなか一朝一夕に全部の完備を見るまでに至つておりません。従つてまだ借上げという形のものが相当多く残つておるわけであります。その借上げ料についても、できるだけ一般水準にならいまして支払いのできるようにということで、予算等の場合におきましても、その獲得に努力しておるのでございますが、なかなか財政的な能力の問題もございまして、必ずしも世間の一般水準に比べまして、非常に十分であるという金額は確かに行きわたつていないということは、率直に認めなければならないと存ずるわけでございます。しかしながらほかの官庁なり何なりと比較しまして、食糧庁といたしましては、十分その本来の検査機能を発揮いたしますようにという意味合いで、比較的いい方の予算上の待遇は受けておるのではないか、こう思つております。ただ実際なお十分とは行きかねる点がございますので、この点はなお今後予算実施にあたりまして、いろいろできる範囲内の努力はいたしまして、末端農協等にできるだけ御迷惑がかからないように努めて参りたい。その意味で各地の食糧事務所長にも、私ども今のところそう伝えておるわけでございます。そういうような事情でございますので、ひとつ御了解いただきたいと存ずるのであります。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は農産物検査一つの権威といいますか、主体性といいますか、そういうものを保持するためにも重要な問題であると思いますし、最近とかく——ひとり食糧庁関係だけではありませんけれども経費削減等によつて、そのしわ寄せが、末端町村あるいは関係団体の方に非常に負荷されておるというような実情があるので、この点は十分認識をせられて、是正する点は是正される必要があると思いますし、借上げ料等支払いの問題に対しても多分に不明確な点があるように私は聞いておるわけでありますが、これらの点はきようそれほど具体的に申し上げる必要もないと思いますので、注意というような意味で申し上げておく次第であります。その次に、検査を受ける場合の抽出品が出て来るわけでありますが、抽出品処理の場合においても、昨年は北海道等において若干の問題が出たような事例もあるわけであります。これは食糧庁方針としましては抽出品処理というものには一貫した方針があると思いますが、こういう方針が現地に徹底しておらない場合において、たまたま疑惑をかもすようなことになると思います。この機会に抽出品等処理はどういうような方針で行うべきかということを末端に指導しておるか、その点をお伺いしたいのであます。
  24. 新澤寧

    ○新澤説明員 この問題につきましては、私どもといたしましてはもうはつきり受検者にお返しするということで指導しておるのであります。たまたまお話のように、一部におきまして若干処理について不正のものが出ましたことも聞いております。今後そういうことのないよう十分注意して参りたいと思つております。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 この問題は先ほどの問題に関連するわけでありますが、結局末端事務所における諸経費が、客観的にみても、どうしても不足である、事務所の運営上そういうことが地方において認識された場合において、悪意ではないけれども、こういうものを処理して、それに充当したらどうかというような一つの協力的な雰囲気の中から処理されて問題を起すような場合もあるわけでありますが、結局問題は、末端における事務所に対して費用が行きわたつておらない、大きな欠陥があるというところに原因があると思うので、原則としてはこの抽出品受検者に返すということが建前になつておるという場合においては、事務所実務を行う上において、支障のない最小限度経費というものは、これはどうしても優先的に、末端に支出すべきであるということを考えるわけでありますが、この点に対して、今後はそういう点は是正せられる考えであるかどうかという点も、あわせて確認しておきたいと思うのであります。
  26. 新澤寧

    ○新澤説明員 実際末端におきます現在必要な諸経費といたしましては、これは、国から十分出さなければいけない筋合いのものと存じます。またそういうふうな建前でやつておるわけでございますが、現実の問題といたしまして、なかなか経費面に苦しいところもありまして、末端検査員も苦しんでやつておることは、私どももよく知つておりますが、しかしそのために受検者方々に迷惑のかかるようなことになつてはいけないというふうに考えておりまして、その点は十分注意いたして参りたいと思いますし、また特に特殊な事情によりまして、ほかの事務所と一律に論じてはいけないようなところに対しましては、これは食糧庁予算の中で彼此融通いたしまして、できるだけ重点的に、そういうようなところに対しての経費配分はいたしたいというふうに考えております。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 次に検査料の問題でありますが、表によりますと最高は一俵十円、それから最低は一個一円くらいのものもありますが、この検査料基準をきめる場合における何か特定のよりどころというものがおそらくあろうと思いますけれども、それは従価制によるものか、あるいは従量制によるか、あるいは容積等によるか、何かよりどころというものがあつてこのような差異が設けられておると思いますが、その点に対して伺います。
  28. 新澤寧

    ○新澤説明員 一番大きな要素といたしましては従価率でございます。それに加えまして、若干その検査品検査の難易ということも考慮に入れまして検査手数料を定めてございます。大きな要素を占めておりますのは従価率でございます。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 この点はきのう同僚委員川俣さんからもお話がありましたけれども食糧農産物と並んで工業原料となるような農産物検査対象になつておるわけでありますが、たとえば除虫菊であるとか亜麻、大麻、みつまた、こうぞというようなものも工業原料品ということになると思うわけであります。これらの農産物は、売り渡す対象はおおむね民間企業でございまして、これらの民間企業は場合によつては独占的に、あるいは半独的にこれらの原料を買いつけておるわけであります。その中において、たとえば生産費が正当に認められておる場合もあるし、またない場合もあるわけでありますが、さらにこれが検査等差によつて相当価格が出て来ておるわけであります。こういうような品目検査を行う場合においては、建前生産者利益を擁護して行かなければならぬわけでありますが、ある場合においては企業者側利益を擁護するがごとき検査規格をつくつたり、等差を設けるような場合がないとは言えないのであります。そういう場合において、食糧庁といたしましてこれらの工芸品あるいは工業原料農産物検査にあたつては、どういうふうな認識の上に立つてこれらの検査規格等を決定されるか。その場合において、たとえば検査官以外に、企業者側あるいは生産者側代表等もこれに加わつて、その基準になるような規格案を決定するものであるかどうか、そういう点に対する今までの方針をお伺いしたいのであります。
  30. 新澤寧

    ○新澤説明員 工芸作物の場合におきましては、検査実施食糧庁末端機関であります食糧事務所実施いたしておりますが、それの指揮監督はそれぞれの物資所管部局でやつておるわけでございます。従いまして、そういうものにつきましての検査規格の定め方等につきましては、私から御説明申し上げるのは適当でありませんので、その部局の者にお聞き願いたいと存じますが、食糧庁関係食糧類、雑穀、いも、澱粉等検査にあたりましては、検査標準品をきめます場合には、お話通り生産者代表を交えまして関係の人々が集まりまして、その年々の検査標準品を作成いたしまして、それに基いて検査をやつております。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 今部長の言われた工業原料農産物関係のものは重要な点があるわけであります。そういたしますと、これは関係部局において一応決定された規格食糧庁の方でただ委託されて、その規格によつて検査を行う、そういうようなことになつておるわけですか。
  32. 新澤寧

    ○新澤説明員 工業農産物の方は、農林物資規格法に基きまして、それぞれの物資ごと規格を定めるための委員会がございまして、この委員会にはそれぞれ関係生産者を含めた方々が集まつて、その規格委員会規格を定めるというふうになつているように私ども承知いたしております。そこできまりました規格日本農林規格として告示されるわけでございまして、その規格に基いて、またそれぞれの物資の主管の局の指揮監督を受けまして、食糧事務所職員検査に当つておる、こういう形をとつております。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は昨日川俣委員もこうぞ、みつまたの問題で論及されたわけでありますが、私たちの考え方からいいますと、検査を行う主体になつている食糧庁において、これらの認識を十分把握されておるということがまず先決であろうと思うのであります。たとえば検査等差があることによつて、あるいは一等、二等、三等と等級があることによつて、この一等級の差というものは売り渡すその品目価格の上に非常に大きな影響をもたらす。しかしそれははたして原料としてそれだけの価格差があるものかないものかということを、検査等級差対象してみて検討される必要があるのじやないかと思いますが、そういう点に対しては何ら御研究は及んでないのですか。
  34. 新澤寧

    ○新澤説明員 役所の仕組みというものが、物資別にそれぞれの所管部局がございまして、主としてその物資ごとにそれぞれの所管部局責任を持つてつておるわけでございます。食糧庁といたしましても、実際に食糧庁末端機関検査実務を担当いたしておるという実態からいたしまして、もちろん規格委員会等には食糧庁も参加いたしまして、十分の間の実情は頭に入れつつ規格を定めておるわけでございます。ただ一応参加はしておりますが、建前としましては、最終的な決定権と申しますか、あるいは政策的な見地に立つてのいろいろな指導面は、食糧庁よりはそれぞれの部局ということに役所の官制と申しますか、仕組上なつて参ります。頭の方が二つにわかれておりまして、末端実務一つ食糧事務所というところでやつておる、こういうことになつておるわけであります。従いまして食糧事務所職員は、食糧事務所の主管の事務に関しましては食糧庁長官の指揮監督を受け、食糧庁以外の物資検査につきましては、それぞれの物資所管の局長の指揮監督を受りる、こういう形になつております。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 私の申し上げたいのは、検査を行う検査官一つの主管をなすところの基本的な検査に当る態度というか、認識が確立されておらないと、自信のある的確な検査は行われないのじやないかと考えるわけです。現地に行つてみますと、たとえば亜麻茎等の問題にいたしましても、これは一つの独占的な企業でありますが、そういう場合には必ず会社の係がそこへ出張して来ておつて、これは別に圧力を加えるというわけではないかもしれませんけれども、ある程度の彰響を与えるということは否定できないわけなんです。そういう場合における検査官一つの確固たる自信はどうしても確立されておらなければならぬと思うわけでありますが、こういう点に対して上部機関は頭が二つにも三つにもなつている。しかし検査官自身の身柄は当然食糧庁職員であるいうことになつているので、主管庁である食糧庁当局においては、権限の問題からいつてももう少し明確に、こういう食糧以外の農産物検査にあたつても主体制を堅持される必要があるのではないかと考えるわけであります。特にかかる民間企業と非常に関係の深い農産物検査等にあたつては、一方においては会社側がそこに出張したりしているという場合において、一方においては農産協同組合等、生産者の立場に立つた機関代表等が立会することは当然であると考えるわけでありますが、こういう点に対しては、総務部長はいかにお考えになりますか。
  36. 新澤寧

    ○新澤説明員 工業生産品の検査でございますが、たしかに所管がいろいろ違うことから、指導上むずかしい問題が出て参るのでございます。もちろん私どもといたしましては、実務を私どもの所属職員がやつておりますので、その検査員が十分その任務を遂行できますようにという意味合いから、私どももこれらの検査に関しましては十分関心を持つて事に当つているわけでございまして、検査官が現地においていろいろ有形、無形の圧迫を受ける。検査が十分に行われないということではいけないと存じます。私どもといたしましても食糧検査と同じように、とにかく検査をやるべき任務を持つて検査を行つているすべての品目に厳正な検査ができますよう、十分順練もいたして参りますし、また現地のそれぞれの直属の監督者に対しましても十分の注意を与えまして、厳正的確な検査ができるように努力して参りたいと思つおります。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 私のお伺いしている点は、もう少し具体的に、たとえば特定の検査品目に対して計画的な検査を行つて、特定の期日を指定してその日に検査を受けるという場合においては、おおむね会社側が出張して来ているわけです。これは直接検査官に影響を与えるということはないと思いますが、やはり会社側の係がその検査の場に出席しているということは、これは地面においてはやはり生産者側の代表が同じその場に立ち会つても当然であろうという見解なんですが、かかる見解に対して総務部長はどのように判断されているかという点です。
  38. 新澤寧

    ○新澤説明員 検査法ではたしか受験者は必ず検査に立ち会う建前になつているように記憶いたします受験者は言つかえれば生産者でありますから、当立然ち会つていいばかりではなくて、立ち会うのがほんとうであろらと考えます。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじやなくて、受験者というのは生産した個々の農民なんです。そういう生産物を買い取る相手方の会社が、会社の利益の立場から当然そこへ来ている。そういう場合、個々の農民検査に対する異論とか疑義等を申し立てるだけの力がない人たちが非常に多い。ところが協同組合とか特定の農産物の耕作組合の代表とか、そういう生産者側を代表した機関の代表が検査場所に立会するという問題なんです。
  40. 新澤寧

    ○新澤説明員 検査法の第十四条を見ますと検査の請求をした者は「みずから検査実施に立ち会い、又はその代理人をしてこれに立ち合わせなければならない。」という規定がございますので、それぞれの代理人として生産者団体のしかるべき方を選んで立ち会わせるということは、法律上有効にできるわけでございますし、またそういうことが力関係における均衡を保つ上において必要であるということであれば、そういうことをして一向さしかえないものと考えます。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 次に食管法による米麦の問題でありますが、政府が買上げを行つた米穀に対して輸送上の問題は、日通との間における一つの元請契約でこれを行つているわけでありますが、現在における輸送を扱う機関は、ひとり日通だけに限つているわけではないのであります。過渡的には日通と特約する時代もあつたか、と思いますけれども、現在においては相当形態がかわつて来ておりますので、今後の国が買入れを行つた食糧農産物等に対する輸送の契約は、従前通り日通との間はおける特約だけで今後も継続してやつて行くお考えであるか。また現在の実情に照して再検討する余地があるかどうか、そういう点に対してどのようなお考えを持つておられますか。
  42. 新澤寧

    ○新澤説明員 食糧輸送の日通え請の問題に関しましては、かねてからいろいろ御論議のあるところでございまして、私どもとしても研究を進めているわけでございますが、建前といたしましては、中間経費をできるだけ安く上げなくちやならないということで、輸送についても、経費節減という建前からどういう方法を選ぶかということを考えて参らなければならないと思います。もう一つ食糧庁としては、事務上の問題もあわせて考えて行かなければならないと思つております。あえて日通の元請でなければないとまで言い切ることはいかがと存じますが、しかしいろいろ便宜の点がありましたために、従来元請をやつているわけであります。今後これをいかにいたしますかという問題につきましては、研究を要する点が多々ございまして、今日までこの輸送の委託の方式をいかに切りかえるかという結論が出ておりませんが、近く二十九年度の契約を締結しなければならない時期が参りますので、これも内部で急速に研究をいたしまして、二十九年度の輸送の形態をいかにして行くか、できるだけ早く結論を出したいと思つております。     〔福田委員長代理退席、委員長着席〕 今日まだはつきり申し上げられるほどの結論を得ておりませんので、その点御了承を願いたいと思います。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 全国的に見ても、運送業務を行う形態が、たとえば全国の農業協同組合等が出資者になつている運送機関が相当確立されておりますし、かなりの実績をあげていると考えられるわけありますでが、これらの情勢も十分勘案されて、特に協同組合等が出資者である場合においては、当面この食糧問題を担当しておるという任務も非常に多いわけであります。でありますからそういう点も十分勘案されて——これは今後の問題になるわけでありますが、今総務部長の言われたような観点に立つて、十分検討される必要があると思います。  なお付随して、たとえば甜菜糖の輸送等の契約の問題等も付随しておると思いますが、この点に対しては特に日をあらためてまた審議したいと思いますので、きようはこの程度にとどめております。
  44. 井出一太郎

    ○井出委員長 川俣清音君
  45. 川俣清音

    川俣委員 私は昨日に引続きまして総務部長に二、三点お尋ねしてあとは林野庁長官にお尋ねいたしたいと思います。  きのう問題として残しておきました中に、検定協会に対して、これは卸売業者からの負担であつて、消費者が直接負担をするようなことはないという御答弁でありましたが、本日配付になりました資料にかりますと、日通より内地米としてキロ当り四十円の支出をいたしておる。これはおそらく日通の利益の中から出したものでなくして、但書にあるように、但し政府は御業者、日通に対しまして売渡しの経費の一部として所要経費の中に考慮してあるということでありますから、当然これはコストの中に入つておると見なければなりません。卸売業者の分は卸売業者のコストの中に入つておりますから問題はないと思うのでありますけれども、日通の分については、これは輸送機関に対して政府が特にこれだけの四十円を加算しておると見なければならないと思う。そうするとこれは当然消費者の負担である。現在の政府のようにコスト主義をとろうとし、またとつておられる現状においては、これは当然消費者の負担である、そういうふうにお考えになりませんか。
  46. 新澤寧

    ○新澤説明員 私がきのうお答え申しましたことが消費者の負担にならないというふうにおとりになれるような答弁をいたしましたといたしますならば、私の言い方が悪かつたのでございますので、もしそういうふうに解釈される点がありましたら、それは取消しをいたします。支払いの方法としては、検定料は卸あるいは輸入商社より支払われておるということを申し上げたわけでございまして、もちろん卸売業者から支払われた分につきましても、日通から支払われた分につきましても、あるいは輸入商社から支払われた分につきましても、すべていわゆる中間経費としてそれぞれ計算される要素となつて参りますので、その点におきましては、それは当然消費者米価に影響のある要素である、これは否定できないところでございます。もし誤解の起りますようなことをお答え申したといたしましたら収消しいたします。
  47. 川俣清音

    川俣委員 それは私は誤解じやないと思うのです。大体これは消費者に対して必要な経費であるからこれを加算するというのがコスト主義の建前でしよう。これには消費者に何らかの利益をもたらすべきものは一つも含まれていない。この検定協会があることによつて消費者が何らかの利益を受けることはないでしよう。これは卸売業者とか中間業者が受けるべき利益を確保してやろうという考え方であつて、消費者自体は利益というか、恩恵を何ら受けるものではない。恩恵を受けないのに消費者負担になる支出をするということは、好ましくないばかりではなくて、いわゆるコストの中に入れるべきものではない、こうお考えになるのが常識だと思いますが、この常識をはずれたことをあえて行われる理由を御説明願いたい。
  48. 新澤寧

    ○新澤説明員 昨日川俣先生からお話がありました通り食糧庁といたしましては、米の配給に関しての全責任を負つておるわけでございますから、消費者に対して、定められた量を的確に配給しなければならない責任があるわけであります。ところが米は生産地から買い入れて消費者に渡ります間に、いろいろたくさんの輸送機関も経、あるいは多数の日数の間倉庫に保管されておるというようなことで、大数的に見ますときには、食糧として予定しております欠減量という中に納まつて来るわけでありますが、個々の卸売業者、さらにそれがこまかくわかれまして、小売業者に荷がわかれて参りますと、その個々の荷物については相当の異動があるわけでございます。従いまして消費者に対しまして正確に定められた量が行き渡り、しかもそれが、配給を担当しておる業者の責任でなくて生じた分についての負担を、それらの配給担当者にかけることなく、すべての配給業務が円滑に行きますためには、輸送なり庭出しのそれぞれ必要なところにおいて、個々の俵について量目、内容の検査をして荷を渡しませんと、部分的にいろいろな不都合が起つて来るわけでございます。従いまして、それぞれの必要な部面におきます量目、品質等を検定いたします仕事がどうしても必要になつて参ります。その仕事をだれにやらせるかということにつきましては、国みずからやるということも一つ考えでございますし、国以外の第三者に委託してやるということも一つ考えでありましようし、双方が立会いましてその検定をするということも一つの方法でありましよう。いろいろの方法があると思いますが、いずれにしても、ある段階ごとに区切りまして精細な検定をする必要があるわけでございます。そしてまたそれにはやはり人がいり、費用もかかるわけでございますので、現在特に内地米の他県から搬入いたします率が五〇%を越えている県、言いかえますれば非常に動きのはげしい米を扱つておりますところにおきましては、検定協会を設けましてその検定事務を委託しておるわけでございます。直接目に見えて消費者に対する利益関係は生じませんが、正確に配給をやつて行きますためには、どうしてもそういう仕事が必要なわけでありまして、そういう意味合いで、必要な仕事をやらせるものとしてこの機関があり、それに対して必要な経費が支払われておる。そしてそれが中間的経費に織り込まれる、こういうことになつておるわけでございます。直接目に見えての消費者の利益ということではありませんけれども、必要な業務であろうということは否定し得ないと存じあおります。
  49. 川俣清音

    川俣委員 大分答弁が苦しいようです。苦しいのは当然です。なぜかと申しますと、一方においては損耗というものを見ておる。これはおそらくロスという意味だろうと思う。それならばロスとして当然計算すべきだと思う。あなたの説明によりますれば、これは検査費用と見るのか、ロスと見るのか、おそらくあなたの説明つて、これはロスだ、損耗だと正確に把握することが必要だ、こういうことなんでしよう。これがロスならロスということになれば、いわゆる損耗として別に計上すべきものなんです。われわれは日通を通じなくとも、卸売業者を通じなくとも、それだけの損粍があるというならば、やはり損粍の歩合いとして当然出すべきものと私は思う。一歩譲歩してもそうだ。また本来に返りますならば、これだけの厖大な機関をもつて国がやつて、行政上の失態から起つて来る、あるいは行政の末端まで十分行き渡らないために起つて来るものだとしますれば、これはやはり行政費で見るべきものではないか、こうなると思うのです。これだけの大きな機関をもつて調査研究をされて検査をした上で、しかもやかまして規則をもつて俵まで一々検査を受けなければならない。しかもその俵装はどうだ、こうだという十分な規格がある。しかもそれが検査を受けて、しかも倉庫から出るたびごどに検査をされて出しておられるのに、なお損粍があるとすればこれは行政上の失態だ、保管の失態だと思うのです。これらの行政上の失態を消費者が負担しなければならないということは、妥当を欠くのじやないかと思うのです。この点についてはつきりした御見解を承りたいのです。次に一歩譲歩いたしまして、それでは検定協会をあえてなぜつくらなければならないかということは、どうしても疑問です。一方においてそれほど重要でないと見らるべき農産物資についても聴聞会、あるいは調査会等を置き、専門部会をつくりまして、農林物資規格に合致するかどうかというようなことをわざわざ調査会を開いて、先ほど説明にありましたように委員五十名以内で、しかも「委員は、実質的に利害関係がある各方面を代表する者でなければならない。」という条項まで入れておるのです。しかもこれには公聴会という制度まで設けておる。その公聴会の意見によつて農林大臣は適切な処置を講じなければならないという義務まで負わしておるのです。これで十分やれるはずじやないですか。むしろ農林物資規格法よりも、特別法として農産物検査法があるくらいですから、規格法にのつとつて十分やり得るのです。一方においては農林物資規格法は、ちやんと法律に基いて聴聞会があり、専門委員会があり、調査会がある。それなのにこのように法規に基かないあいまいな団体をつくつて、そこに消費者の負担をかけることは好ましくないということは、だれでも明らかに看取できると思うのです。もしも必要だというならば、一定の政令なりあるいは告示なりそういうものによつて、当然国の経費にかかわるもの、または消費者の経費にかかわるものでありましても、そういう点を明瞭にすることが必要だと思う。国の経費において法律によらない支出はあり得ないはずなんです。一体法律によらない経費というものはあり得ますか、ないはずです。それにもかかわらず法律によらないで任意の検定協会をつくつて、しかもそれに対して厖大な補助をする。これは補助と見るべきものかロスと見るべきものか疑問でありましようが、そうした特権を与えることは好ましくない、そういうふうにお考えになりませんか。
  50. 新澤寧

    ○新澤説明員 検定協会の仕事の内容をお話し申し上げるのが御理解に便利かと思いますので、ごく簡単に申し上げますが、検定協会はお手元の資料に書いてございますような都道府県にございますが、これは内地米については、他県からの搬入量がその都道府県内の需要量の五〇%以上を越えるところを考えております。それからもう一つは、輸入食糧を扱う港の所在する府県に検定協会を設けております。内地米につきましては、ほかから搬入されて参りました米が着きまして、倉庫に入る前にまず検定をいたします。検定というのは倉庫保管責任者であります倉庫業者、そこまで荷物を運んで参りました日通、それと検定協会の者と三者が立合いまして、その目方をはかるわけでございます。そして記録しておきまして倉庫に入れておきます。次に政府が卸業者に売ります場合、言いかえれば倉庫から出る場合にもう一度検定を行います。そうすることによりまして政府が売つてから配給業者に至るまで、欠減量は予算上は一律に〇・六%という率を認めておりますが、この〇・六%は全数量を平均した場合にこれになるわけでありまして、個々の卸売業者に行く荷物につきましては、必ずしも〇・六%で収まらない場合が出て来るわけであります。その場合におきましては、その欠減がどこで生じたか、輸送途中で生じたか、保管中に生じたか、あるいはそういう業者に属しないもつと遠い原因によつて生じたかということがわかるわけでございます。もちろん発地におきましても、検定ではございませんが、抜き取りましても部分的に目方をはかつて出ておりますので、その間の関係がわかるわけであります。そうしてその責任の所在によつて保管業者に食糧庁は賠償を請求し、あるいは輸送担当の日通に賠償を請求するということの資料に一つはなるとともに、また〇・六%以上の欠減量に対しましては、卸売業者に対しましてはその部分は代金の支払いはさせますが、量的には補充してやるわけであります。そうすることによつて小売業者を通じ消費者に行く場合において、正規の配給数量維持ができるわけであります。そういう仕事をやらせておるわけであります。〇・六%という全体の平均数値が、どの部分についても同じように現われて来ればいいのでありますけれども、やはり遠い所から運ばれたもの、あるいは保管期間の長かつたものは、平均値よりは欠減量が多く出て来ることは当然あるわけでありまして、その部分を全然補填しないでおくことは、最終の配給の場合において支障を生じますので、これは十分事態を調べまして補填の措置を講じなければならないわけであります。同時にまた、そういう欠減量を予定いたしております以上の欠減量が出た場合においては、その責任を追究しなければならない場合も出て来るわけであります。それらの資料はやはり倉から出すとき、倉に入れるときにつかまえておかなければいけないという意味合いで、こういう仕事をさせておるわけであります。輸入食糧につきましても、同じく政府が買い入れます場合に、そういう看貫と申しますか、検定あるいは品質の実際の区わけをさせておるわけであります。輸入食糧につきましては、従来そういう部面の仕事は輸入商社がやつておりましたが、昨年の十月以降検定協会にその一部の機能を移したわけであります。輸入食糧に関しましては、費用関係は検定協会ができましたために従来よりふえたという面はございません。むしろこれによつて若干の経費が節減になつております。国内食糧の面につきましては、確かに新たにこういう検定という仕事をやりましたために、若干の費用が加わつてつておりますけれども、しかしお手元に配付いたしました表に見られます通り、東京で、二十八年度の一年だけをとりましても、このような千三百二十四件というクレームが出ておるわけであります。それぞれの一件々々をとりますと大して大きな欠減があつたり何かするわけではないのでありますが、小さい配給業者になりますと、わずかの欠減というものがその営業自体に大きな影響を及ぼしますので、その関係を明らかにしておきまして、責任の所在を明らかにしなければいけないわけでありまして、若干の費用は増したわけでございますが、従来の公団、営団というように全国的あるいは府県別にある程度のそういうようなクレームのプールができましたときはよろしゆうございますが、今の民営の配給業者になりますと、担当する配給業者が非電に零細でありますので、そういうわずかな欠減等も、全然これを無視してしまつて、それに犠牲をしているということもできませんので、こういう制度を、民営の米屋ということになりましたのに伴いまして、新たに実施しておるわけでございます。  それで検査との関係でございますが、農林物資規格法によつて検査規格を設け、あるいはその指定機関検査をやつておりますが、検定協会はいわゆるそういう検査とは関係がありませんで、意味合いが少し違うのでありまして、検査は御承知の通り食糧庁職員が現地で検査をやつております。これは検査法に基きまして規格をつけ、一等、二等等の等級をつけておるわけでありますが、検定協会はその規格にまで立入らないのでございます。規格一等、二等というものをつけたり、あるいは一度検査員のつけました規格を変更するというようなことはいたしておりません。ただ検査にいたしましても、やはり抽出検査あるいは平均的な価で出ておりますので、個々のケースになつて参りますと、ロスにいたしましても若干の上下は出て参りますので、それをできるだけ全部の業者に公平に行きわたるようにということのために、消費地においてそういうような機能を果すために検査協会がやつておるというのでございます。
  51. 川俣清音

    川俣委員 よくわかりました。非常によくわかつて来たのですが、それで説明によりますと、検定協会というものがいかに重要な役割を果しておるか、並びに検定員というものが相当重要な役割を果しておるかという説明です。非常によく明瞭になつたのです。しかしそれほど重要なものに、法律的根拠なしにそういう重要使命を与える根拠がどこにあるかというのです。重要であればあるほど、何かの法律に根拠がなければならぬはずです。政府米を監督するといいますか、そのロスを検査する、そういう権限は一体法律に基かないでやれるのか。政府米を管理したりあるいはロスを検定するというようなことは、法律に基かない根拠ではできはいはずだと思うのです。それほど重要な使命を与えておればおるほどに、そういう検定の必要がありますならば、その法律をつくつて、それに基いて検定さすべきだと思うのです。一体検査員でありましてもずいぶん資格などもやかましく論じておるじやありませんか。検査員を採用する場合にはなかなかやかましい資格をつけて、しかも行政上の監督を相当はつきりされておる。これは法律に基いてです。そうしてこれらの規格に合うものを検査したかということも一定の基準を与えておる。生産検査については非常な厳格な規格を定めて、その規格通り検査しておるかどうかということを十分監督しておられるのですよ。それと同じような、それ以上の権限を持つような検定員が一体五百三十名もいるんですよ。検査員ですら定員によつて縛られておつて、十分な検査ができないというときに、それよりももつと重要な使命を持つものが五百三十人もおるということはおかしいじやないですか。そのために厖大な費用を出しておる。こういうものが法律に基いてやられるならやむを得ませんよ。法律で消費者の負担で当然負担しなければならないと規定されておりますならば、これは別です。農林省にいろいろな外郭団体がありますけれども、それはおもに行政の協力団体としてあるでしようけれども政府のやつた仕事を監督させるような外郭団体一つもないはずです。あなた方がその指示に従うとか——これは消極的でしようけれども、そういう検定があつた場合において、大体それを尊重しておられる。もつと露骨に申しますと、食糧事務所等級をつけると、あそこの食糧事務所等級のつけ方は少し甘いとか辛いとかということまで検定協会が批評しておる。そういう行政に対する発言権を持つたようなものを、一体法律に基かないでつくるという根拠はどこにあるのです。政務次官の御答弁を願いたい。
  52. 平野三郎

    ○平野政府委員 検定協会につきましては、実はあまりよく承知いたしておりませんが、これはもちろん法律に基くものではないと思いますが、業務の運営の円滑を期するためにいろいろ方法を講ずる必要があるわけであります。その一部として適当にこういうことをやつておると思いますが、これの運営につきましては十分監督をいたしまして、適正を期したいと思つております。
  53. 川俣清音

    川俣委員 法律上つくつたものならば行政上の監督をすることも必要でしよう。しかし逆なんです。あなた方がこれに監督を受けておるのです。食糧庁がこれの監督を受けておる。検査がよかつたとか悪かつたとか、こんな悪い俵に入れたからこんなロスがふえたんだとか言う。逆に監督を受けている機関です。農林省を会計上監督する機関として会計検査院もあります。また大蔵省だつてこれは監督すべき地位にあるでしよう。そうでなく、民間の会社に監督を受けなければならぬという根拠は一体どこにあるのです。しかも厖大なる費用を負担しておるんですよ。費用を負担していなければ好意的な協力であるということも言えるでしようけれども、日通あたり四十円も負担させている。日通が自分で負担するわけはない。この中で見ると、政府は卸業者、日通等の売売渡し経費の中の一部として所要経費を四十円みておる。あなた方が支出しておいて、出した金で監督を受けるなんて、そんなべらぼうなことがどこにあるのですか。これに対して何らかの処置をとるということが明らかになりますれば、これ以上私は追究しません。政務次官御答弁願います。
  54. 平野三郎

    ○平野政府委員 先ほど申し上げましたように、これは法律は基ものでないのでありまして(「ないからいかぬ」と呼ぶ者あり)ないけれども、やはり行政の運用上必要なるものについては適当な処置をとるということはあり得るわけでございまして、そういう趣旨でやつておると存じまするが、お話の点は十分研究いたしまして、監督の適正を期したいと思います。
  55. 川俣清音

    川俣委員 補助、助成でありましても、法律に基いた補助助成ですら、補給金等の整理というようなことで削減しておるのですよ。補助金や助成金を削減しておるときに、わざわざ政府が四十円も負担しなければならないという、あるいは六十三円も負担しなければならないという規定かどこにあるか。これは法律の根拡に基いてやるのが当然のことでしよう。よく勉強して御答弁願いたい。
  56. 新澤寧

    ○新澤説明員 説明になるかもしれませんが、検査員と検定員との相違でございますが、検査員の方は確かに規格に入りまして一等とか二等とか、生産者に非常に至大な影響を及ぼす仕事をやつております。検定員の方は、ただ個々の目方をはかります場合に目盛りを読んで、これは政府も立ち合い、卸も立ち合つてその引渡し荷物について、これは正確に何貫あつたかという目盛りを読む単純な仕事をやつておるわけで、別にそれによつて新たなる規格をつけるとか何とか、とにかく新たな価値をつけ加えるというものではございませんので、これは事実上目方が幾らあつたということを認定する仕事だけでございますので、これは法律によらなくても技術上の仕事でありますのでできるのではないかと思います。意味においては重要ではあります。確かに非常に重要な機能を持たしてはおりますが、しかし新たに何らかの価値を加えるとか、価値を変更するというような権利義務の関係に影響のある仕事はやつておりませんので、ただ正確にその目方があつたかなかつたか、その目方が足りなかつたら何グラム足りなかつたか、その目盛りを読み、それを記録し、それによつて後日クレームが起きた場合にその責任はどこにあるか、それは政府が補填すべきものか、補填すべからざるものかということを認定する場合の資料を提供するということなんでございます。別に役所の仕事を批判的な立場で仕事をしているというのではありませんで、仕事をやります上においての資料を提供するというだけのものでございます。
  57. 川俣清音

    川俣委員 そういう軽い意味であれば別ですが、先ほどは莫大な経費をかけておるじやないかと言つたら、それは重要な役割を果しておるからこのくらいの経費は出て来る、こういう説明つた。今度は逆にそれほどの重要な使命を果してないと言つたり、そんな、やつてもやらないでもいいというほどはないにしても、卸売業者等の権利義務に大した関係のないものであるということになると、こんなに負担しないでもいいんじやないですか。どうもさつきは経費がかかる、これは非常にかけ過ぎるんじやないかと言つたら、今まで長い時間にわたつて重要な使命を果しておるということをるる説明された。その説明によると、確かにこれだけの経費をかけただけの重要な役割を果しておられるようだ。それなら検査員ですらなかなかやかましくて、現在ある定員すらふやさないでおるのであるから、五百三十人もつけることは好ましくないんじやないかということになつた。ところが今度はあまり重要な役割を果していない、必ずしも政府が制肘を受けるんじやない。制肘を受けるほどのものではないもの、消費者にとつてもあるいは販売業者にとりましても権利義務にあまり関係がないというならば、関係がないものに頭をはねてとるということは不必要じやないか、こう常識で判断しまするけれども、私の常識の判断が誤りだと政務次官はお考えになるがどうか、その点御答弁願いたい。
  58. 平野三郎

    ○平野政府委員 これはやはり食糧の輸送の途上におきまして取引の適正を期するために、この種の方法をとるということも一方法かと存ずるわけでありますが、お話の点によりますれば、これの必要度がどの程度であるかということにあると思いますが、十分検討いたしまして善処いたします。
  59. 川俣清音

    川俣委員 これは政次官は常識的に判断していいと思う。これだけの経費をかけ、必要だと言われるならば、やはり法的根拠に基くべきものだと思う。それをそれほど必要でないというならば、これほどの経費をかけない方がいいんじやないか。これは常識的に判断できるんじやないですか。政務次官はやはり政治的に常識的に判断することが最も好ましい判断だと思う。私の常識が誤つておるかどうか、その点をひとつ。
  60. 平野三郎

    ○平野政府委員 これは私ども常識で判断いたしますれば、真に必要があれば当然法的根拠に基いてやるべきものでありますが、それほど必要だと言えない点もあると思います。しかしながらそれほど必要はなくても必要という意味において、この程度のことをやつておる、そういうわけで十分ひとつ常識的に検討いたしまして善処いたします。
  61. 川俣清音

    川俣委員 それはそれじやその程度にしておきます。  次に林野庁長官にお尋ねしたいのですが、農産物検査法の中に、こうぞ、みつまた食糧庁の監督下に検査を受けることになつておる。このこうぞ、みつまたは日本の特産物です。特産物として地方的に重要であることはこれは何人もいなめない。こうぞ、みつまた特産物として重要でありますけれども、しかしそれ以上に林産物としては木炭が重要でありますことは、この川俣説明を要しない点だと思う。ところがこうぞ、みつまたというのは所管は——おそらくこれはいろいろの問題があるだろうと思いますけれども、当然これは林野庁の所管であると思うのです。特産物として見るかどうかという問題も出て来ると思いますが、大体こうぞ、みつまたは林野庁の所管に属するものだと思います。この点どうですか。  さらにもう一点は、農林物資規格法に基いてこうぞ、みつまたもまた規格品として取扱われておるのです。 二重の取扱いを受けております。それからわら工品も同様に食糧庁検査を受けますけれども、同様な規定農林物資規格法に定めておる。農林物資規格法の中にはわら工品のことについては相当詳細に規格を定めております。また農産物検査法の中にも同様な規格を定めておる。これは実際同じ農林省が出された法律の中で、一方は農林物資規格法、一方は検査法ということになりましてずいぶんややこしいと思いますが、この点は別にいたしまして、あらためて農林大臣等にお聞きしなければならなぬと思いますけれども、問題はこうぞ、みつまた食糧庁検査をすることが妥当だというふうにお考えになつておりますか。これは以前特産物でありましたために、県の検査をやつておりましたのを、食糧庁検査所を吸収、合併いたしましたために起つて来た残物だと思いますけれども、残物をそのままにしておいてもさしつかえないとお考えになつておるかどうか、この点をお尋ねいたしたいと思います。
  62. 柴田栄

    ○柴田政府委員 第一点のこうぞ、みつまた所管関係でございますが、御承知の通り林産物として扱つておる部面もございます。と申しますのは、林野といたしましては傾斜地におきますこうぞ、みつまたの栽培に関しましては育林面の担当をいたしておる。ただ平地の畦畔その他の利用につきましては改良局の特産課所管実施いたしておりまして、全部を私ども所管しておるというかつこうにはなつておりません。今申し上げました通り、育林を主体として担当いたしておりますのを取引の双方の便宜のために、あるいはわが国の特産品ということで輸出対象等々の考え方も入つておると存じますが、従来も県の農産物検査所で扱つてつたということで、農産物検査所が食糧の行政を主体といたしまして食糧庁所管に移ります際に、便宜それらのものをひつくるめて食糧庁所管なつたという歴史的経過であると、私ども考えておる次第であります。  なお今日、特にこれは全国的に見ますと非常に片寄つて、強力に生産される所と、ほとんど関係のない所等がございまして、現在におきましては、希望による検査という形になつておりまして、県条例によりまして、農林物資規格法に定められた規格によつて検査しない場合には、取引させないということが規定されておる場合において、食糧庁検査を受けるということで条例を定められておる場合において、検査をしておるということでございまして、必ずしも、全部を食糧庁検査に委託しておるという形にもなつておらないようでございまして、これを現在の性格から申して、食糧庁検査に委託すべきかどうかという問題に関しましては、いろいろ議論もあることと存じますが、現在従来の歴史的経過からいたしまして、便宜食糧庁において、これをお扱い願つておる、かように承知いたしておる次第であります。
  63. 川俣清音

    川俣委員 これは昭和二十七年の六月法律改正をいたしておるわけであります。従いましてこのときにさかのぼつて今議論をしようとは思いませんけれども、亜麻、苧麻、こうぞ、みつまたというようなものが、農産物検査法の中に、特産物でありながら入れられるという考え方をもつてしますれば、今日日本の国民の生計状態からみまして、木炭は何といいましても必需品であるということはいなめないと思う。この必需品であります木炭の検査につきまして、府県でまちまちな検査をいたします。これは特産物でありませんために、むしろ全国的な規格が非常に必要になつて来ると思うのであります。そこで農林物資規格法におきまして一つ規格を定めておりますが、これらの規格についての検査がまちまちであることは、生産地が諸所にあり、消費地というものは大体特定地域になつて来る。もちろんこれは全国的でありますけれども、大消費地ということになりますと、大量な国民の集団地が大消費地であります。そうなりますと、生産地は、各府県ごとであり、消費地は一定の所に集つて参るものでありますから、当然国営検査ということが必要になつて来るのではないか、この点が一点です。もう一つは、林産資源保護の上から申しまして、これは指導監督が必要であろうと思うのです。これらの木炭が急に値上りして参りますと、しろうとがやりまして、林材をむだに使用するというようなことも出て参りましようし、そのために改良木炭等の奨励等もあなたの方でいたしておるわけでありますが、そういう結果から見まして、やはり規格があります以上、また生産の面から見ましても、特に日本のいわゆる林産物の成長が将来需要に及ばないというような状況にありますときに、この高度利用ということからも検査を画一的にするということが必要であろう。厳重な規格を持つておりますので、これらの規格を国全体として公益的に検査をするということが、必要になつて来るというふうに考えますが、これらに対する御見解を承りたい。
  64. 柴田栄

    ○柴田政府委員 こうぞ、みつまたその他の非常に少量な、しかも特殊の地方における特産物が一応国営検査の形において、これは委託の形でございますが、あるというのに、生活必需物資でありまして、しかも全国的に、大きな影響のあります木炭をばらばらに検査さしておくのは、妥当ではないというお説、実はその点私どももその必要性は十分認めておる次第でありますが、現在の建前といたしましては、農林物資規格法に統一規格規定いたしまして、これまた地方の必要に応じまして県の条例で県営検査をお進め願つておる、こういうような建前であります。これは建前からいたしますと、現在配給の統制をしておりません立場からいたしますと、生産者の取引上の便宜利益のため、消費者の取引上の便宜利益のため、こういうことが一応、検査だけを考えますと主体ということに考えざるを得ないのではないかと考えております。しかしながら間接に、統一検査をいたしますことによりまして薪炭林の集約利用、あるいは技術の改良普及等に相当大なき寄与、貢献することも考えられるわけでありますが、私どもといたしましては、一応県営検査をいたします場合と、全然検査をいたさない場合におきましては、生産者自体も統一された、しかも優秀な規格によりまして、取引の便宜とただちにこれが経済的な利益の報酬がある。消費者におきましても、県営検査いたし、安心して買える規格内容を持つということによりまして、非常に取引を信用して安定化する、こういう利益が当然出て参りまして、現在その必要性から県営検査をいたしております。現在奈良県のごときは主として自給自足の県ということになつておりますので、県外へ出さぬという意味で、検査料負担が容易でないというようなことから、県条例をはずしてしまわれたというような例があるのでありますが、その結果はただちに木炭の販売価格に影響いたしまして、非常に価格の下落を来しておる。これらを考えますと、当然検査することによつて検査料以上の経済的な利益生産者が得る、こういう場合に、生産者自体も検査に関しては負担して、県営検査を施行するということが可能ではないかという気がいたします。私どもの立場といたしましては、検査はもちろん、なお統一検査ができれば非常にけつこうだとは思つておりますが、国の立場からいたしますと、今日薪炭林の非常に枯渇しております場合に、これを集約的に取扱いまして、蓄積の高度利用あるいは治山治水の面におきます林野取扱いの改善という面に寄与することが、国家としては最も大きなねらいでなければならない、さように考えますと、先般も申し上げましたが、直接製炭者に対しまして技術指導を行う機関があるのでございますが、これが非常に手薄である。毎年これが増強をお願いしておりますが、これが実際にはなかなか満足するように実現いたさない。これをまず強力にお願いしまして、この面から直接に林政上に寄与し、ひいては将来の薪炭林の確保、薪炭の供給確保、こういう方面に強力に持つて行くべきであつて、統一検査の必要はありましても、順序といたしまして、この際は、まず主として経済上の立場から、県において県営検査を推し進め願うということによつて地方産業を保護していただき、ひいては消費者の利益にも寄与していただく、こういうことにお願いいたしたい、こういうふうに実は考えておる次第でございます。
  65. 川俣清音

    川俣委員 薪炭材の改良という面から見まして、また林野の高度利用という面から見まして、製炭業の改良という面から見まして、国の指導と検査というものが一貫しておることが、製炭の上から申しますと最も成績をあげ得るゆえんだと思うのです。現在薪炭材が相当枯渇いたしておりますので、地方的な利害だけにとらわれますと、薪炭材がだんだん荒廃して来るということも考えなければならない。そこでやはり検査と、製炭の改良、薪炭材の改良、林野の高度利用という面から一貫した指導が必要ではないか、このことが薪炭材の培養となるばかりでなくして、林野の復旧ともなりましようし、それを通じまして製炭業の改良ということに突き進んで来る効果は非常に大きいと思うのです。それが需要者にどれだけの悪影響を与えるか、国営検査によりましてどれくらいな負担が増されるかという懸念が出て参りますが、私は基本において薪炭材が改良せられ、製炭業が改良せられて来ることが、一時的には不便でありましても、将来性を確保できるということによつて少しの不便は忍ばれるのじやないかと思います。また直接の利益から見ましても、今日のように木炭の時による窮迫あるいは値上りのような状態のときになりますと、やはり一層統一的な規格検査が望ましいということが需要者側に起つて来るのではないか。これが非常に品物が豊富であります場合においては、需要者が自分の判断において選択いたして買い取りますから、問題は漸次改良されて来ると思うのです。需要者の方で改良を強要するということになると思うのです。不足になつて参りますと、改良を熱望することよりも、少しくらいな目減りがあろうとも、あるいは少しくらいの欠陥があろうとも、手早く買わなければならないという状態になりまして、改良は遅々として進まない結果に相なると思うのです。そういう点から、やはり国営検査が望ましいとお考えにならないかどうか、もう一ぺんお伺いしておきたい。
  66. 柴田栄

    ○柴田政府委員 統一的な国営検査を否定するものでは決してないわけでございますが、今日一応生産される木炭に関しまして、配給の統制をいたしてないということで、その面の流通過程におきます国家的な施策ということとしては指導面が主体になる。指導面を主体とするとすれば、まず私どもといたしましては、ただいまの並行して参ることが理想であるというお話は実は私らもよくわかるわけでありますが、順序からいたしまして指導を強化するということを先行しないで、できたものだけを検査することによつて目的を達する。ということは、木炭の場合は御承知だと思いますが、実際は検査するということになりますと、炭山に直接検査員が入りまして、製炭技術の直接指導を主体として進めておるわけでございます。そうなるとどうしても現在の段階では端的に指導、改良を主体としてまず進むべきではないか、こういうふうに考えておりますが、それとあわせて非常に弱小な製炭者を保護する、あるいは経済的な条件をよくするというためには、検査によりまして経済的に利益を得させるということがいいのか、ただいまもお話がありましたが、実際に取引において時期を調整するために貯蔵の施設であるとか、あるいは時期的な手持ちその他のための金融措置であるとか、それらをもつと強力に施設し、あるいは指導すべきじやないかと考えておりますので、必要は今十分認めておりますが、まず手を打つべき順序を経てでないと、現実の問題として、われわれがただちに検査を国の施設として実施するという順序にはなかなか参らない。実はこういうふうに考えている次第でございます。
  67. 川俣清音

    川俣委員 何といいましても製炭の改良が薪炭材の高度利用の上から、また荒廃している薪炭材を確保する上から必要であることは言うまでもないのです。問題はこの製炭の改良、あるいは金融措置、あるいはこれらのかまを築くための指導が先行しなければならぬ。これが現実の姿だと思うのです。しかしこれらのことは、言うことはやさしいけれども、なかなか予算措置が十分とり得ない。むしろ逆に、検査をすることによつて検査費用というものが幾分かさまつても、これらの指導と検査が相まつて行くことで、経費の上からもむしろ合理的な指導ができるのではないか。むしろ私は長官の言うとは逆に考えている。国営検査をするほどの費用があれば、製炭の改良に使つた方がいい。予算がきまつてしまつてわくがこれだけということになると、これは先にやるべきだということはよくわかると思う。そうじやなくて、むしろ国家全体の上から見て、一貫して予算のわくがふえることが国として必要だという考え方にならせることの方が、先じやないか。ところが予算がないから、これだけでは検査に使うよりも改良の方に使つた方がいい。これはあなたが現実に行政を受持つておられるからそう思うのです。国の政策としては、一貫した経費がとられて、その経費の中で改良の方にできるだけ向ける、こういう考え方が必要じやないか。こういう意味で申し上げたのであります。今御答弁はいりませんから、次の臨時国会までに御研究になつて、それらの点を準備せられて、成案を得られるよう要望いたします。  先ほどからるる申し述べたように、こうぞ、みつまたは特産物なんです。その地方なり、県なりで最も力を入れるべき問題だ。それをわざわざ国の検査員が国の負担でやるということでありますから、それ以上重要な木炭については、長官がもつと関心を深められてもよろしいのじやないか、こういう点を指摘いたしまして、ひとつ御研究願いたいと思うのです。
  68. 柴田栄

    ○柴田政府委員 御趣旨はよく理解しているつもりでございます。十分検討させていただきます。
  69. 川俣清音

    川俣委員 それでは前にもどつてお尋ねいたします。農産物検査法の中のこうぞ、みつまたというようなものを地方の行政にまかせるお考えはないかどうか。これは特産物でありまして、国としてやるよりも、地方の産業として大いに奨励しなければならぬことは認めますけれども、     〔委員長退席、佐藤委員長代理着席〕 国が検査をすることによつて奨励にはならないと思うのです。むしろこういう保護助成は別個の方法でやることが必要じやないか。国の検査によつて利益は少いのじやないかと考えますので、これらのものを除かれる考えはないかどうか。またわら工品と稲は切離すことのできない密接なものでありますので、これは同じ工業品といえども必要であろうと思いますが、農林規格方々には食糧と最も関係の深い油脂が含まれているわけです。植物性の油が含まれている。除虫菊も特産物です。亜麻、苧麻というようなものも特産物です。従いましてこういうものを除いて、食糧関係の深いものに整理して行かれて、それに全力が注がれることが望ましいと私は考えますけれども食糧庁の見解を承つておきたい。
  70. 新澤寧

    ○新澤説明員 私ども食糧庁の者も、ただいまおつしやつた御見解にまつたく御同感でございます。ただいろいろ費用等の関係で、県がそれだけの検査部面を抜き出してやつて行くのは、なかなかむずかしい事情にもあるように見受けられますので、実際上の問題として、そういう検査をやりたいと希望している県はまだ私耳にしていないのでありますが、県の方から自分の方でやるんだというお申出があれば、私の方はいつでもかまわないのでございます。そのつもりでいるのでございます。
  71. 川俣清音

    川俣委員 これは特産県についてお尋ねをされれば、すぐ回答があると思うのです。特産県としての希望は私ども十分存じませんけれども、一部のこれらをつくつている生産者に聞いてみますと、検査そのものよりもむしろ保護助成が望ましいという考え方なんです。検査を受ける対象になることによつて、保護助成があるという期待なんです。検査自体を望んでいるんじやない。国で検査をするような重要なものであるから、当然保護助成があるべきだという期待が、この規定を受けようとするだけのことで、問題は検査でなくて保護助成だと思う。従いましてあなたの所管からむしろ特産課の方にまわして——別になわ張り争いをするつもりはございませんが、特産課の方へまわして、保護助成することの方がむしろ望ましい状態ではないか。特産物というのはそういう性質のものじやないか。従いましてむしろこういうものよりも、もつと食糧関係の深い菜種を入れ、あるいはとうもろこしを入れ、大豆を入れたりしておりますから、むしろ植物性油脂の方を重要に考える必要が出て来たんじやないか。最近菜種が相当出て参りまして、これから搾られる油が非常に品質の高低があることは、私が説明を要しないところだと思います。むしろそういう食糧と密接な関係のある方面に重要度を加えて行くことが至当だというふうにお考えになりましたならば、この際一部改正と同時にそれらのことをお考えになるべきじやないかと思いますが、この点についての御見解を承りたい。
  72. 新澤寧

    ○新澤説明員 私といたしましては、今の御見解とまつたく同感でございます。ただ所管が改良局でございますので、今後十分打合せまして処理して参りたいと思います。
  73. 足鹿覺

    足鹿委員 昨日留保しておきました穀物検定協会の点につきまして質疑を行いたいと思います。  要求いたしました資料をいただいたわけでありますが、この資料によりますと、検定員が合計で五百三十人ということになつておりますが、この検定員の資格また身分等について御説明を願いたい。
  74. 新澤寧

    ○新澤説明員 これは先ほど川俣委員からもお話があつたのでございますが、現在検定協会の仕事に関しましての法的な根拠はございません。従いまして法的に検定員の資格を明確に定めたものはございませんが、検定の仕事の内容の主たるものは検量と、それから輸入食糧につきましては穀さしをいたしまして荷の仕訳けをするということでございますので、食糧庁検査員と仕事の内容が非常に似ております。従いまして検定員として採用いたします場合には、大体そういうような方面の経験、技能を持つた者を採用するように指導いたしております。
  75. 足鹿覺

    足鹿委員 これは食糧庁検査員とは全然別個なものでありますか。何かこれとの関連がありますか。
  76. 新澤寧

    ○新澤説明員 全然別個のものでございます。検査員食糧庁職員であり、この検定員は検定協会の職員でございます。ただ先ほど申し上げました仕事の類似点から行まして、かつて食糧庁検査員であつた者が退職いたしまして検定員になつている者の数は相当ございます。
  77. 足鹿覺

    足鹿委員 思うにこれは食糧庁の外廓機関であろうと思う。それならそれではつきりおつしやればよいのであつて、ことさらにこういう屋上屋を架するような協会をおつくりになる——行政機構の改革に伴つて定員法が問題になる、そういう段階にあつて、常にこういう別働機関をつくつてはそれに逃げて行く、こういうような印象をややもすれば受けがちだと思うのです。川俣委員の御説もあつたように、これは国家的な仕事である、だからこれは当然一つの法的根拠に基いておやりになつてよろしいことであつて、何もこういう社団法人というようなややこしい機構を別につくつて、そして世の疑惑を受けるような方向へ持つて行かれる必要はないと私は思う。政務次官、こういう機構についてはもう少し御検討になる必要があると私は思う。それで要求しました資料につきましても、経費の点について昨日要求いたしましたが、この支弁の単価等は一応出ておりますが、但し政府は卸売業者、日通、輸入商社に対して受渡し経費の一部として所要経費の中に考慮してあるという程度で、われわれが要求いたしました資料の点については答えておられない。きのうは新澤部長は、日通に支払つておるじやないかと言つたら、どうも記憶がはつきりしないというような非常に悠長な御答弁になつてつたが、先ほども開会前に申しましたように、あなたと日通の早川社長との間に昭和二十八年六月三十日の輸送契約書というものはちやんとある。それを忘れたとか記憶が遠のいたとかいうことは、私は別にあなたをことさらに追究していじめようとは思いませんが、もう少し御注意を願いたいと思います。  そこで私は、この問題の中心は日通の元請関係にあると思う。この日通の元請問題については、数年前に当委員会でも相当議論したことがあります。また民間方面よりも政府に対して、その不合理性を訴えて、これが根本的な改訂を要求した事実があるのです。元来この日通の元請契約なるものは、戦争中に輸送機関が非常に逼迫をした。そこでこの日通に対して輸送の適正というような趣旨から、当時の独占機関である日通に依嘱をされた。ところが今日は、石油が不足するくらいトラツクの発展が目ざましくて、何らこういう元請契約を存続しなければならないような原因なり条件は大体ないと思う。にもかかわらず、戦時中の契約を毎年更新されて行かれるところに、私は根本的に検討されなければならない段階が、もうすでにとつくから来ておるのに、ことさらにこれを継続されて行くというような問題と関連してこの検定協会の問題もお尋ねしたかつたのであります。この点について、政務次官どうでありますか、あくまでも日通の元請制度を存続さして行かなければならない根本的な理由がありますか。あるならばひとつ承りたい。ないならば、この際政務次官は、こういう不合理千万な制度に対して、根本的に改正を加えると御言明がいただけますか。いずれかをひとつ政務次官から御答弁を願いたい。
  78. 平野三郎

    ○平野政府委員 日通の元請契約というものは、お話通り独占的な弊害を生むものであるという点につきましては、私もその通り考えておる次第でございます。これは戦時中の輸送上の必要から日通が非常に発展したわけでございますが、その後自由を原則といたします立場におきまして、政府におきましても運送業法の改正をいたし、また国会におきましても、そういう方向に向つて、漸次複数制になりつつあるという状態でございます。従いまして、でき得る限り御趣旨のように、こうした元請契約制度を改訂いたしたいというふうに考えておるわけでございますが、現在のところ、主要食糧につきましては、これは全国的な規模において行うということになつておりまして、また日通以外に、こうした全国的の系統機関というところまでは他の営業者が発展いたしておりませんので、現在のところはやむなく契約を続けておる次第でございますが、できる限りすみやかに御意見の通りにこれを改訂いたしたいということで、検討をいたしておる次第でございます。
  79. 足鹿覺

    足鹿委員 改訂のために検討するというお話でございますが、政務次官は、私が特に申し上げるまでもなくよく御存じでありますから、申し上げまいと思つてつたのでありますが、政府は過般の国会において私的独占禁止法の緩和であるとか、また今回は生糸の輸出確保の臨時措置のために、繭の生産業者と製糸業者との間における協約の問題をめぐつて、独占禁止法緩和から、除外する特例の道を開こうという態度に出ておられる。これが相手が農民である場合は常にそういう態度に出ておられますが、相手が独占資本である場合は遅々として問題が解決しておりません。これは非常に遺憾に思います。第一農民がつくつた米を、農民の組織である農業協同組合みずからが運搬する能力を十分に持つておる。現在は日通の輸送能力よりも、トラツクの面から言うならば、優にこれを凌駕しておる今日、なぜこれを日通にだけ独占的に与えておかなければならない理論的根拠がありますか。農民がみずからつくつた米を、みずからのトラツクで輸送するという建前が一番現状に即したものでもあり、当然であると思う。これを今日まで躊躇されるその根拠については、私非常に疑問を持つものであります。一方相手が弱い農民である場合は、繭糸価格の問題にいたしましても、今度独占禁法の適用除外を現在農林省として要綱において認めておられますが、対等の立場でやるからこれは別に弊害はない、こういう御見解のようでありますが、相手は独占資本、そして農民は団結力の薄いものであります。それは一応は社会の常識としては対等でありますけれども、いざ契約を結び、あるいは団体協約を話合う場合には、必ず弱者と強者との立場になつて来ることは当然ではありませんか。一面においてはそういつた施策がとられ、一面においてはこういう独占的なことが今もつて存続するということは、私ども了解に苦しむのであります。従つてこの際政府は早急にこれをおやりにならなければならないと思うし、また政務次官は早急に検討するということでありますから、私はこれ以上申し上げることは、本日は一応差控えたいと思いますが、検定料にしましても、昭和二十八年においては五千万円近くのものが日通に支払れておる。また不可解千万なことは、食管特別会計が食いつぶし経理をやつて、現在においてはもうすでに赤字が見えつつあるというようなときにあつて、中間経費をなるべく圧縮し、食管特別会計の損失を防止し、消費者への米の配給価額を一銭でも安くして行かなければならないときに、われわれは米価審議会でもしばしば中間経費の圧縮問題で、満場一致の答申をしておるけれども、まだこの点について政府は一向手を打たれておらない。しかるにこの契約の付属書第十三項を見れば、事務の処理費として一箇当り都道府県間の輸送の場合には二円九十六銭、県内の運送の場合には二円九十九銭という経費が支払われ、総額一億円近い金額が払われておるではありませんか。こういう具体的な事例を見たときに、一体農民は何と考えるか、消費者は一体何と考えるでありましよう。真剣に考えていただきたい。国の管理する食糧であります。当然国がこういう事務をおやりになつてしかるべきではありませんか。今の日通は公的性格はありません。戦争中の日通でありますならば、これは当時の国策会社的な内容、性格を持つておりましたから、あるいはそういう面も恕すべき点はあつたでありましようが、今は純然たる一箇の営利機関ではありませんか。資本主義下における企業体ではありませんか。そのものに運送事務処理費として一億円の大金がおしげもなく投げ出され、しかもこれが全部消費者に負担を投げかけられるということがあつてはならないと思います。しかもこういう重大な契約を結んでおつて、新澤さんは昨日私の質問に対しては、契約を結んだこともはつきりおつしやらない。金額も何ぼであつたということもおつしやらない、まことに不可解千万な態度といわねばなりません。あえて個人的に私は追究を申し上げるわけではありませんが、こういう重大な問題を、主管部長として記憶になかつたというようなことは許されることではないと思います。もう少し真剣に考えていただきたいと思う。以上の点を特に私は指摘いたして、政務次官が急速にこれの根本的改正について検討するということでありますから、本日はこれで質問を打切つておきますが、この問題につきましては、現在生産者米価、消費者米価をめぐつて非常に深刻な段階に至つておる。米価の問題はただちに諸物価に影響するというので、生産者米価は常に押えようとし、消費者米価もコスト主義によつて常に経費の増高を消費者にかけておられるのが現状ではありませんか。そういつた面からも、現存の政府考えておるように自由主義経済で行くならば、競争の原理に立つてこの元請契約をやめて、輸送業者間あるいは農協その他の系統組織間における競争によつて能率を向上し、少しでも消費者への負担、中間経費を軽減して行くことこそが、政府としてとるべき措置ではないかと思う。米価審議会においても常に中間経費の圧縮の問題については述べておる。特に日通に支払つておる運送費はおそらく年間五、六十億に達すると思う。厖大な金額であります。これは中間経費圧縮の一つのいい課題であります。まだほかにもたくさんあります。従つて私がただいま申し上げた点は、米の消費者米価の場合、コスト主義を政府が貫いて行く場合には、そのコストをいかにして引下げて行くかという点からも、食糧庁としては真剣に考えられてしかるべき問題であろうと思います。この米の中間経費との関連において、政務次官はいかようにお考えになりますか。契約期間は一年更新でありますが、今ただちにこれを契約の中途においてかえるということも困難でありましよう。来年の四月一日をもつて更新されるのか、ことしの四月一日更新されるのか。ことしの四月というならばもういくらもございませんが、いつからこの新たなる方針を打出される考えでありますか。ことしの四月一日からおやりなさいといつても無理でしよう。しかし今指摘されたから政務次官は検討するということであるが、従来から気づいておつて、本年四月一日から契約を更新して、今私どもが指摘したような公正な、そして中間経費を引下げて行くような施策の一環として取上げられるのか。もう少し具体的に政務次官の御所見を承つて、私はこの問題については質問を打切つておきたいと思います。
  80. 平野三郎

    ○平野政府委員 中間経費の縮減ということは、食糧管理制度をめぐる問題の中で、最も重点であると考えておるわけでございます。従つてできるだけ中間マージンを減らして、生産者のためにも消費者のためにも尽さなければならぬということは、政府といたしましては以前から検討を続けておるわけでございます。すなわち御承知の通り、内閣に食糧対策協議会というものを設けまして、鋭意努力を傾けておるわけでありまして、できる限りすみやかに結論を出し、少くとも来米穀年度から何らかの食管制度の根本的改革をはかりたい、こういうことで進めておる次第でございます。私どもこの点につきましては、食管制度全般の関連におきまして重点を置いておるわけでありまして、日通との独占的契約を排除するという趣旨で考えを進めておるわけであります。     〔佐藤委員長代理退席、委員長着席〕 ただ話の検定協会につきましては、これは御指摘の通り何ら法的根拠がないわけであつて、必要がないといえばそういう観測も成り立つかもしれませんが、しかしなが一面におきましては、取引の際におきましていろいろクレームなどの出るという場合もあるわけでございまして、これを第三者が検定するという必要性もあるわけでございます。こういう趣旨で行政運用の面からかような制度が今日あるわけでございますが、これに関しましても、先ほどから申し上げますような食管政策全般と関連いたしまして、この制度の必要があるかどうかという点につきましては検討を加え、改訂をいたすように努力をいたす所存であります。
  81. 足鹿覺

    足鹿委員 ひとつかんじんなところを答えていただきたいのです。あなたが無理ならば、この契約の当事者に新澤さんになつておるから、新澤さんから、政務次官が御答弁になつた根本的方針に基いて、いつから契約の更新をやるかということについての、大体の事務当局としての考え方があるならば、この際明確にしていただきたいのです。あなたが契約の当事者ですから……。
  82. 新澤寧

    ○新澤説明員 契約の当事者は確かに私でございます。しかし実務面にわたるところが多岐でありますので、いろいろそれぞれ係の者がこまかく検討いたしております。先ほどお話がありましたように、元請制度というものは長くやつておりまして、いろいろ元請制度としての契約の仕方、また契約の内容につきましてはたくさんの実績を積みまして、内容が固まつておりますが、これをくずして行きます場合におきましては、いろいろ中の要素がかわつて参ります。一ぺんに元請制度を全部くずすということは、すぐ四月一日からの契約にはあるいは困難かと思つておりますが、しかしだんだん農協関係の態勢もできて参りましたので、この面から逐次順を追うてやつて行きたい、こういう気持は持つておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、事務的にもいろいろ検討はいたしておるわけであります。重ねて申し上げますが、一時に抜本的に、この改正をすぐ来年度から実施するということは、率直に申し上げて困難でありますが、できる部面から逐次広めて行きたい、こういう方針でおります。
  83. 足鹿覺

    足鹿委員 やめようと思つておりましたが、また答弁を少し逃げられるようだから、しつこいようですが申し上げるのですが、でき得る分からということは、生産者が貨物積み込み輸送駅まで送るという場面あたりは、私はただちにできると思うのです。各農協は日通のまた下請をやつておる。日通の車が全部やつておるわけではありません。現在みんな農協のトラツクが倉庫へ入れ、あるいは発駅まで乗せる。もし日通の間に必要性があるとするならば、鉄道輸送に関連を持つた全国操作の場合がこれは大きな問題でありましよう。そこまで私は一挙に否定しようなんという暴論は申しません。少くとも生産農民が、自分がつくつた米を自分たちの農業協同組合で流通過程に渡して行く段階程度は、ただちにできてよろしい、私はそう思つております。この議論に私は間違いないと思う。何ら躊躇されるわけはないじやありませんか。可能な部分だとかなんとかいう抽象的なことでなしに、そういう気持でやるのだ、こういうふうな御言明があつてしかるべきものだと思う。これは何年も何年も持ち上げましたけれども事今日に至れば、トラツク輸送の面においては何ら日通に遜色がない。むろん日通の代行によつて下請をされて搾取されておる。農民がつくつた米を農協の車で運般してどこが悪いのですか。私はちよつともさしつかえないと思う。その能力があり、それが農民のためにもなる。何らさしつかえないことが戦時中の惰力によつて拘束をされておるこの事実は、一点否認することはできないと思う。可能な面とは、今私が申し上げている面から速急にやるということですか。この点新澤さんをあまり追い詰めるようですが、もう少し腹をきめてやつていただきたい。その点について御所見があれば承つておきたいと思います。
  84. 新澤寧

    ○新澤説明員 日通の元請契約の大部分につきましては、先ほどお話でございましたようにブール運賃でできております。従いましてこのブール運賃をくずしまして、個々の県なり何なりの輸送体制に切りかえて参ります部面につきまして、非常に短時日では行かないわけでございます、ブール運賃に関係なしに行い得る部面、短距離輸送と申しますか、そういう部面につきましては比較的早く体制が切りかえられると思います。今足鹿委員お話でございました点、私どもかねてからよく承知しておる点でございまして、そういうような精神に基いて今後処理をして参りたいと思つております。
  85. 足鹿覺

    足鹿委員 大体関連質問でありますから、今の御答弁できようのところはやめておきますが、私どもは、この問題については別に本格的な審議をいたす機会を持ちたいと思いますので、委員長において日をあらため検討の機会をおとりはからい願いたいということをお願いいたしておきます。
  86. 井出一太郎

    ○井出委員長 了承いたしました。     —————————————
  87. 井出一太郎

    ○井出委員長 他に質疑もないようでありますから、この際連合審査会開会要求の件についてはお諮りいたします。ただいま内閣委員会において行政機関職員定員法改正案を審査中であります。御承知の通り本案は、行政機関職員の定員を約六万人削減するとともに、退職者に対しては一定期間の臨時待命制度を設けようとするものであります。農林省関係といたしましては、保安林整備対策に伴う百名の増員を含めて、総体として約六千人の減員を行うことに相なつております。申すまでもなく行政機関の定員は、その事業計画に即応すべきものでありまして、農林省の定員の減少が農林行政の遂行に万遺憾なきを期し得るかどうかは、慎重なる検討が必要なことは多言を要しないところでありますので、この際内閣委員会に対して連合審査を申し入れたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認めます。なお連合審査会開会の日時は、所管委員長と協議の上、追つて公報をもつてお知らせいたします。  次に、地方行政委員会において審査中の地方税法の改正案に関しましては、土地改良区の施設及び土地に関する固定資産税の課税の問題と、また不動産取得税の新設に伴う課税範囲その他につきまして種々問題点がありますので、本案につきましても地方行政委員会に対して連合審査会の申し入れをいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
  89. 綱島正興

    ○綱島委員 その場合に農舎、畜舎はは免税してもらわぬとやつて行けないと思いますので、その条項も一つ加えていただきたい、こういうことを申し上げて賛成いたします。
  90. 井出一太郎

    ○井出委員長 ただいまの綱島委員の御発言を採用することを含めて、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。連合審査会の日時等につきましては、所管委員長と協議の上決定いたし、追つて公報をもつて御通知申し上げます。     —————————————
  92. 井出一太郎

    ○井出委員長 速記をやめて。     〔速記中止〕
  93. 井出一太郎

    ○井出委員長 速記を始めて。  先ほどの法律案の審査に入ります。別に御質疑もないようでありますから、この際討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認めます。それでは農産物検査法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  95. 井出一太郎

    ○井出委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお諮りいたします。この際本案に対して芳賀貢君より附帯決議を付したいとの提案がなされておりますので発言を許します。芳賀貢君。
  96. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま可決されました農産物検査法の一部を改正する法律案に関しまして附帯決議を付するの動議を提出したいと思います。まず案文を朗読いたします。    農産物検査法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  一、農産物検査印紙の売捌手数料は、省令案によれば、その売渡月額の百分の三とあるも、農業協同組合等の取扱上の負担考慮し、収入印紙の売捌手数料との均衡を失せざるよう、その最高率を引上げること。  二、穀物検定協会の構成、検定員の職務権限等について、必要に応じ法的措置を講ずると共に、所要経費の額及び支払方法等について、政府より実費の直接払いを行う等、これを明確ならしむるよう再検討を加えること。 以上であります。  提案理由の趣旨につきましては、両日にわたる本委員会審議の中において十分尽されたと存じますのでこれを省略いたします。
  97. 井出一太郎

    ○井出委員長 ただいまの件について御意見があれば発言を許します。——別に御発言もなければ採決いたします。  本附帯決議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認め、本案に附帯決議を付するに決しました。  本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 井出一太郎

    ○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十九分散会