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1954-03-18 第19回国会 衆議院 農林委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十八日(木曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 井出一太郎君    理事 足立 篤郎君 理事 佐藤洋之助君    理事 綱島 正興君 理事 福田 喜東君    理事 吉川 久衛君 理事 芳賀  貢君    理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐藤善一郎君    田子 一民君       松岡 俊三君    松山 義雄君       今井  耕君    神戸  眞君       足鹿  覺君    井谷 正吉君       井手 以誠君    中澤 茂一君       中村 時雄君    河野 一郎君  出席政府委員         農林政務次官  平野 三郎君         農林事務官         (農地局長)  平川  守君         食糧庁長官   前谷 重夫君         通商産業事務官         (通商局次長) 松尾泰一郎君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      新澤  寧君         農林事務官         (食糧庁総務部         検査課長)   松岡寅治郎君         農林事務官         (林野庁林政部         長)      幸田 午六君         専  門  員 難波 理平君         専  門  員 岩隈  博君         専  門  員 藤井  信君     ――――――――――――― 三月十七日  食糧増産対策費増額等に関する陳情書  (第一九三一号)  農業改良普及事業に対する補助金に関する陳情  書  (第一九三二号)  積寒法による団体営土地改良事業の予算に関す  る陳情書(第  一九三三号)  保温折衷苗代に対する国庫補助継続陳情書  (第一九三四  号)  耕地災害復旧事業国庫補助金に関する陳情書  (第一九三五  号)  土地改良事業推進等に関する陳情書  (第一九三六号)  木炭公営検査費の一部国庫負担陳情書  (第一九三七号)  農地法による土地買収に関する陳情書  (第一九三八号)  家畜保健衛生所廃止反対に関する陳情書  (第  一九三九号)  同(第一九四〇  号)  同(第一九四一  号)  同  (第一九四二号)  同  (第一九四三号)  同  (第一九四四号)  安野改修促進並びに支線計画取止めに関する  陳情書  (第一九七二号)  安野地区工事計画変更に関する陳情書  (第一九七三号)  獣医師法の一部改正反対等に関する陳情書  (第二〇一四号)  農業改良普及事業に関する陳情書外三件  (第二〇一  五号)  同外三件  (第二〇一六号)  食糧自給達成に関する陳情書  (第二〇一七号)  産米減収加算額追加払に関する陳情書  (第二〇一八号)  家畜保健衛生所廃止反対に関する陳情書  (第二〇一  九号)  同  (第二〇二〇号)  同  (第二〇二一号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  農産物検査法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号)  砂糖に関する件  農地取上問題に関する件     ―――――――――――――
  2. 井出一太郎

    井出委員長 これより会議を開きます。  農産物検査法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑の通告がありますから、順次これを許します。川俣清音君。
  3. 川俣清音

    川俣委員 今度農産物検査法の一部を改正する法律案を提出されておりますが、農産物検査と申しましても、これに関連する法律が非常に多いのでありまして、本法適用は大体食糧庁関係内の物資についての適用というふうに考えられると思いますが、他に農林物資規格法という法律があるようでありますし、また指定農林物資検査法という同じ検査に関する規定もあります。さらにこの農産物検査法というものがあつて、大体三つの体系をなしておるようでありますが、所管ごとにこういう検査法をつくつて、なお依然として改められないのはどこに根拠を持つておられますか。この点を明らかにしていただきたいと思います。
  4. 新澤寧

    ○新澤説明員 御承知通り検査関係法律三つあるわけでございますが、その沿革が多少ずつ違つておりまして、当初は御承知通り検査関係農産物検査法一本であつたわけでありますが、その後検査というものを重要な品目について広くやる、但しその場合においては、検査を受ける利害関係者の選択によつてやるような形にいたしますために、一応規格だけを日本農林物資規格というものを定めておいて、それにのつとつた生産なり流通が行われるようにということで、流通されます物資規格一定に保持するための意味合いでその後に農林物資規格法ができて来たわけであります。さらに指定農林物資検査法輸出を対象にいたしておりまして、輸出品の声価を維持するために特定の物資についてある程度の強制力を持つた検査をやりまして、その品位の維持をはかる、こういうことでできたわけでございまして、それぞれ検査目的とする意味合いが多少ずつかわつております。ただ物資検査をやります機関といたしましては、指定農林物資の方は輸出品でありますので、輸出品検査所が別に設けられております。農産物検査法規格法関係におきましては、大部分実施機関としては食糧事務所がやつておるわけであります。ただそれぞれの物資の主管の局によりまして、監督権の所在は食糧庁であり、あるいは農業改良局にありというふうに異なつておりますが、物資検査を実際に担当いたしておりますのは、国においては食糧事務所であり、あるいは一部については都道府県方にやらしておるものもございます。今申し上げたような意味合いで、三つ法律がそれぞれ多少ずつかわつた目的をもちまして運用せられておるわけでございます。
  5. 川俣清音

    川俣委員 三つあるのでありますからおのおのかわつた観点でできておることは当然だと思うのです。しかしながらこの三つを全然無関係だと言うことは言えないでしよう。当然これは整理統合せられなければならないのではないか。その一例として、指定農産物検査法というのは、輸出検査でありますからこれは別に置きましても、一方の農林物資規格法検査あるいは監督ということは一般会計で行われておるのです。なぜこれらの規格法については一般会計で行わなければならないか、農産物検査法の方はなぜ食管特別会計の中で行わなければならないかという根拠がありますか。根拠があるならその点を明確にしてください。
  6. 新澤寧

    ○新澤説明員 根拠と申しますか、実際に検査をやつております機関によりまして、実際上の区別として、農産物検査法に基きまして検査をやりました場合の収入支出関係食糧事務所がやつておるという意味合いにおいて、一応食管特別会計経理をしておるということなんでありまして、検査法検査の一元化という意味合いにおきましての問題は確かにあるのではないか。沿革的には農産物検査法ができ、その後に規格法ができというようなことで、時を異にしてできておりまして、いろいろ十分に整備のできていない点は確かにあると存じますので、私どもといたしましても、今後この検査の法制の統一と申しますかにつきましては、研究を重ねて行かなければならないと考えております。
  7. 川俣清音

    川俣委員 おのおの三つ法律がかなり輻湊いたしておりますので、将来これらの農産物と申しますか、農林物資と申しましようか、農林水産物資についての検査については、統合強化されるという方向が望ましいと思いますので、その点についてはこれ以上質問は省略いたします。  ただもう一点残つております問題は、規格法に基く検査一般会計で行つております。ところがこの一般会計で行うというのは、おそらく公共福祉のために、または目的を明らかにしておられまするように、合理的な規格を制定し、これを普及させることによつて農林物資の品質の改善、生産合理化、取引の単純公正化をしよう、あるいは消費合理化をはかり、あわせて公共福祉の増進に寄与するんだ、この建前をとつておる。農産物検査法も大体同じような趣旨でできておる。同じような趣旨でできながら、一方は特別会計の中で、しかもその経費はある程度米価の上に影響の来る経費、こう見なければならないと思う。重要な米麦一般会計検査をするというならまだ話がわかりますが、それ以下のもの、それ以下という比較はちよつとむずかしいと思いまするけれども、今日国民生活から考えまして、または公共福祉という大きな建前からとりますると、むしろ米麦が主であるということは何人も否定できないと思うが、この方はわざわざ米麦負担を負わせるような検査の仕方をする。一般の方は公共福祉である。同じように公共福祉のために計画されていながら一般会計でやる。これはどうもおかしい、こう考えられるのですが、矛盾はないというふうにお考えになりますか。
  8. 新澤寧

    ○新澤説明員 農林物資規格法は、今お話がありましたような目的のためにできておるわけでありますが、この農林物資規格法の方は、一応定められておりますのは、規格を統一するという意味合いで主として規格を定めることになつておるわけでございます。それでこれの規格合つた検査をやる機関といたしましては、この法律で定められたる条件に合致しました機関が行うわけでございますが、その機関はあるいは国の機関であることもあり、あるいは地方自治団体であることもあり、あるいは民間の一定の資格を持つた公益法人と申しますか、そういう団体がいろいろあるわけでございます。それでこの検査を実施するにつきましては、ある部分につきましては農産物検査法規定によつて実施される部面もあり、あるいは府県が行います場合には、それぞれの府県の条例によつて行われておるということになるわけでありますが、それで会計経理の面につきましては、食糧事務所がその検査を担当しております部分については、単に経理の面を特別会計という会計の中で処理しているというわけでありまして、その収支関係は、ほかの検査に関しましてははつきり経理を区分いたしまして、米価というものには影響を及ぼさない建前考えられておるわけであります。
  9. 川俣清音

    川俣委員 私がお尋ねしたい点は、それよりも一歩進んでおる。たとえば地方公共団体検査する場合に一般会計から補助をする、あるいは団体検査に対して補助をするというようなことがあり得るわけですし全部とは申しませんけれどもある。いわゆる一般会計から何らかの補助助成が行われておる。ところが農産物検査法食糧庁会計の中で行われておる。これが消費米価の上にコストとなつて現われて来ておる。これは全額消費者負担しておる。一方は全部とは申しませんけれども農産物検査法適用を受ける以外のものを地方公共団体がやる場合、あるいは地方団体がやる場合において補助を受けておる。米麦のような重要なものについては全部コストに乗らなければならないようになつておる。消費者負担しなければならないか、または生産者負担するか、これはどつちの負担にするかということには議論がありましようけれども、いずれにしても、米麦自体が背負つておる。一方はそれほど重要でないと言いながら国があえて補助助成をしておる、ここに矛盾があるのではないか。もしも一般規格法に基いた検査補助助成があるならば、この検査にも一般会計から補助助成方法が講ぜられてしかるべきではないか、こうお考えにならないかどうか、この点なんです。
  10. 新澤寧

    ○新澤説明員 ほかの検査の方まであまり実情をつまびらかにしておりませんが、私ども大蔵省と常に折衝している関係では、すでに検査関係につきましては検査に要する費用は、検査料収入をもつてまかなうという建前大蔵省は終始一貫しているわけであります。農林物資規格法に基く検査機関が何らかの補助を受けているかどうかということについては、詳しくは存じないのでありますが、おそらくは検査機関ができます出発当初においての、いろんな設備とか準備とかいう程度にとどまつておるのではないだろうかということを想像するわけであります。と申しますのは、私ども大蔵省と折衝している範囲内で、そういうふうに私ども聞くわけでありますが、検査実施そのものに伴う経費検査料収入でまかなつて行く建前になつておるのじやないだろうかというふうに考えるわけであります。もちろんほかの物資に比較しまして米麦は非常に重要な物資でありまして、ことに国民生活影響するところ多大でありますので、本来的に行政費としてまかなうべきものが米麦価格の中に入つて消費者に転嫁せられているということではたいへん策が違うと存じますので、私ども米麦検査関係あるいはさらに広くは食糧庁で扱つております検査関係によつて生じます費用が、米麦の方にしわ奇せにならないようにということは、十分念頭におきましてやつておるわけでございます。さらに一歩進んで、検査関係費用補助的なものの部面まで入つて来る支出をするようにするということに関しましては、私どもとしてはかねがねそういうような線で努力しておるわけでありますが、なかなか国の財政的な事情もございまして、常に検査に要する費用検査料でまかなうという建前大蔵省が堅持しておりますために、その実現がなかなかはばまれておるわけでございますが、今後ともそういう意味合いにおきまして、重要な物資検査につきましては、行政費と見られるものについてはこれは特別会計負担ではなしに、できるだけ一般会計の方でまかなつてもらうようにというこの努力は今後も続けたい、こう思つております。
  11. 川俣清音

    川俣委員 大体大蔵省建前が、検査そのものについての補助は概して少いようであります。一、二件あると思いますが、直接のものはほとんどなは。私が先ほどから補助助成と申し上げたのは、検査に関する地方に対する補助助成検査員に対する補助助成という形で一般会計から出ておる。これは結局行政費として出ておるはずです。金額はもちろん小さいでありましようけれども取扱い件数が少いし、検査員も少いので、必要であるから行政費から出ておるという点もありましよう。それは金額が少いから行政費で出す。こつちの方取扱い件数が大きいから、全部米麦で負わなければならないというのは、法律趣旨からいつて矛盾ではないか。目的公共福祉のために検査をするという建前である以上、そういう重要度から言うと米麦の方が大きい。ただ国負担の方が、金額としては少い、だから補助をする、助成をする、大きいから自分だけでまかなえということに唯々諾々としておられるとすれば、大きな矛盾ではないか、この指摘しておる。ことに今度の検査法規定は、その点を明らかにしたわけです。それ自体で負わなければならないということが一層明確になつ来たということになります。そうなつて参りますと、ただいま申し上げたように、主として米については、国民生活と最も関係の深い、緊密な関係にあるものであつて、しかもどんな国民といえども、一箇月に一回はどうしても買い求めなければならない。食生活の上において最も重要度の高い米に、一般行政費が及ばないということは不均衡ではないか、こうお考えになりませんか。従つてこれらの検査については一般行政費負担をする、あるいは検査自体について負担をしないでも、検査員等についての負担があつてしかるべきではないか。検査そのもの補助ということよりも、やはり規格法に基く以上、検査員補助というようなことがあつてしかるべきじやないか、こうお考えになりませんか。
  12. 新澤寧

    ○新澤説明員 御指摘のような重要物資国民生活に非常に関係のございます物資検査について、これが全部消費者負担になるということは、ほかの物資関係と比べて均衡を失しているという見解でございますが、その御見解に対しましては、私どもも御同感の意を表さなければならないと思うのでありますが、いろいろ財政上の能力の限度がございますために、私ども常にその点努力して参つておるわけでありますが、遂に実現を見ないでおるのでございまして、これははなはだ私どもの力のないことを暴露するようなもので、はずかしいことと存じておるのでありますが、今回の改正は、しかしこれによりまして検査関係についての一般会計からの繰入れの道を全部ふさいでしまつたことにはならないのではないかと思つておるわけであります。と申しますのは、法律案提案理由を御説明申し上げました際に、その中で触れておりますように、この検査印紙によりまして検査料手数料をとることにさしておりますのは、もつぱら技術上の問題でありまして、検査を受ける人、言いかえますれば、検査料を払う方々の便宜ということと、それから検査済みであるということをはつきり表示することができるようにという意味合いで、従来の収入印紙で納付さしておりましたのを、今度の農産物検査印紙にかえたわけでございます。これは単に手数料収納方法をかえたという点だけでございまして、これによつて農産物検査関係の財源は手数料収入に限られてしまつたんだというところまで、今回の改正は強い意味を持つたものではないというふうに、私ども考えておるのでございます。
  13. 川俣清音

    川俣委員 総務部長の答弁のように、考えるならば、そう考えられないこともないのですが、ただ収支計算から言えば、以前通りだ。これはその通りです。それを別に否定はしていないが、この方向というものは、いよいよもつて行政費でまかなわないような方向に行つているのじやないか。この点を言つているのです。その懸念はないのか。逆行しているのではないかという点を指摘しているだけなんです。収支計算が前と違うということは考えていない。ただ私の申し上げたような方向に逆行しているのではないか、その懸念はないかということなんです。  次にお尋ねいたします。今までと同じだと思うのですが、これらの手数料といいますか、証紙印紙の売りさばきに対する手数料が払われている。これが農協であるとか、農業団体が取扱う場合には、同じく内輪のことでありますから、右から出て左に入つたということになるから問題はないのですが、これが一般の商店で売られることになりますと、農家手数料払つた分だけ農家以外の収入となつて来る。こういうことになつて、ますますどうも検査というものの考え方が、証紙の販売に便利なという点のみに重きを置かれている。こういう点を考えるとすれば、一般会計から幾分見なければならぬのじやないか。先ほど言つたよう検査員補助は、全部ならばなおけつこうですが、少くとも一部は一般会計で見て行かなければならぬと思う。  もう一つ時間がないからついでにお尋ねしておきますが、米麦以外に指定物資として本法適用が受けられるものは除虫菊大麻亜麻苧麻みつまた、こうぞ、わら工品というぐあいに、必ずしも米麦が背負わなければならないものでない。こういう検査というものはそれ自体がむしろ背負うべきものであり、あるいは規格法に基くように、一般会計から一部負担をしなければならないものを含んでいるのではないか。もちろん米の検査あるいは麦の検査の余暇をもつてこういうものを検査するんだ、これは本質が違うんですね。米麦検査員は、米麦については相当の堪能者であるかもしれぬけれども除虫菊とか大麻亜麻苧麻ということになると、まつたく性質の違つたものです。除虫菊とか、大麻亜麻苧麻みつまた、こうぞ、わら工品ということになりますと、食糧庁がこういう検査を持つていること自体がおかしいのじやないですか。これは食糧とはあまり関係がないじやないですか。こうなつて参りますと、まつた特質検査員ということになる。その経費食糧庁がまかなわなければならないという根拠がどうしても出て来ないのじやないですが。この点どうですか。
  14. 新澤寧

    ○新澤説明員 第一点の検査料収納方法がかわつたことは逆行じやないかということでございますが、私どもはかねてこういうことを考えていたのでございます。検査を受ける人の便宜の点と、検査済みであるかどうかということを確保する意味合いで、この制度を数年来考えておりましたが、なかなか実現の運びに至りませんで、ようやく今日こういうことが実現できるようになつたのでございます。それでそういう技術的な見地から収入印紙よりこういう方がいいということでとつたわけでございまして、必ずしも逆行的な効果、一般会計からの繰入れの道をふさいだことになるとは考えておりませんことは、先ほど申し上げた通りでございます。今後も検査部面についての行政費とみなされる部分については、できるだけ一般会計負担してもらうような方向に努力して参りたいと存じております。  それから雑多な検査品目の問題でございますが、これは沿革的に申し上げますと、昭和二十二年でございましたか、当時国の負担ではありましたが、都道府県に所属しておりました農産物検査所と、それから食糧事務所が合併したわけでございます。県にございました当時の産物検査所は、いろいろな品目について検査を行つていたわけでございます、またそれぞれその部門の担当の専門家を包含しておつたのであります。それが二十二年に食糧事務所と合体したわけでございます。その際、お話通り本来ならば主要食糧関係する部面だけ吸収合併すればよかつたわけでありますが、しかしそのほかのいろいろな品目については、季節的に出て参りますものでありますし、あるいは地域的に限られたものでありますために、それだけの部門を県に残しますことは、非常に負担が過大になり過ぎるということで、ほかの検査繁閑相補つて検査をすることが、全体としては検査経費を低減させるゆえあるんでという意味合いで、一括して食糧庁が県の機構、人員、あるいはそのやつている仕事の内容をもあわせて吸収したわけでございます。ただこのほかの品目によるいろいろな費用関係が、当該物資検査手数料収入でまかない得ないで米麦価格影響を及ぼして来ることがありませんように、それぞれの品目について十分コストを償い得るような手数料の統制をいたしているわけでございまして、これは全然米麦の方に影響がないと私ども考えております。
  15. 川俣清音

    川俣委員 それは非常におかしいと思います。地方にありました検査所を統合することが、あなたの説明通り経費の節減である。それ自体検査ではとうていまかない切れないので、これを統合することが必要だと考えて統合された。大体その出発からあやまちなんです。それは別にして、それ自体がまかなえないものを主食の方が背負つたことになる。これは何としてもいなめない。主食検査官がこれらのものをやり得るのではない。食糧に近いようなものでありまして、わずかの訓練あるいは経験の力によつて、今日の検査員は相当優秀であるから類似のものであれば十分能達できると思うが、全然特質なものについて繁閑を利用してやられるなんということをお考にえなつていますが、それがそういうことをやれるなら、われわれでもやれることになる。あなた方はわれわれでもやれるような検査員を持つているとは思わない。おそらく米麦については相当な訓練を経た相当能達な人だと思う。そういうことに能達だからこうぞ、みつまたまで能達だということは言い切れないと思う。大体総務部長つて食糧のことについては相当詳しいけれども、こうぞ、みつまたまで詳しいとは私は思えない。そこに検査課長もおられますけれども、こうぞ、みつまたまで詳しいかどうか。おそらくそういうことは言えないと思う。その点では、林政部長がここにおられますけれども、その方がずつと詳しい。ここで質問してごらんなさい。林政部長検査部長とは、検査部長の方がこれからいうと詳しくなければならぬはずですけれども、そんなことを質問したらおそらくたいへんでしよう。結局問題の要点は、こういうものが今後さらに整理されるなら別問題ですが、かぶさつていないという主張にはならない。こういうことを考えるから、統計調査部と食糧事務所を一緒にしようというような混淆が起つて来る。こういう悪法をそのままにしてのんでおるから、今後またそれ以上の問題が再び起る危険性が出て来る。そうお考えになりませんか。
  16. 新澤寧

    ○新澤説明員 ただいまの御指摘は、はなはだ身にこたえるのでございまして、確かに米に堪能な者がその他の品目に堪能であるということは、はなはだ困難であろうと思います。ただしかし食糧事務所の仕事は、検査以外にも広く仕事をやつております関係上、大麻とか、こうぞ、みつまた検査を主とした線をやつております人たちも、それらの検査のひまな期間におきましては、食糧事務所のほかの業務面あるいは調査面については十分の仕事をやつてつてもらえるわけでございます。よけいなものを引き取つたというようなことに、あるいはそういう御見解をお持ちのようでありますが、仕事の実態からいいまして、それほどこれまで米麦関係の方に負担面ばかりを及ぼしておるということも言えないのではないか。やはりこれらの検査を主とする人たちの食糧関係の仕事については、十分大きな部面を担当してやつておるというふうに私ども見ておるわけでありまして、これだけを切離すということもなかなかむづかしい事情にありましたので、一緒に食糧庁が吸収したのでございます。
  17. 足鹿覺

    足鹿委員 関連して。いろいろな点でお尋ねしたいことがありますが、二点だけお尋ねをしたいと思います。改正の第二点でありますが、農産物検査印紙の売りさばき人を選定して、その売りさばきの業務を委託すると言つておりますが、その委託せんとする者はどういう者でありますか。またその手数料を委託者に支払うようにすると言つておりますが、その額なり方法はどういうふうになるのでありますか。省令の準備がありますならば、それをお示し願いたいと思います。
  18. 新澤寧

    ○新澤説明員 売りさばき人は、私ども現在大体単位農協を考えております。ただ郵政省からの希望といたしまして、従来収入印紙検査料の納付を行わせておりましたので、その切手の売りさばき人の仕事の部面がそれだけ減りますので、そういう人々についても、ある程度考えてほしいというような希望がありました。これは実態に対応して考えて行かなければならないと思いますが、農村における実態を考えると、農協において検査印紙の売りさばきをすることが適当だと考えますので、私どもは大体において農協を売りさばき人にするというように考えております。手数料につきましては、収入印紙に関しまして郵政省関係規定があるわけでございますが、最高を百分の三といたしまして、取扱い額に応じまして少しずつ逓減しております。私どもも大体その規定をならいましてつくつて参りたいと思つております。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 その省令がありましたら……。
  20. 新澤寧

    ○新澤説明員 後刻印刷してお届けいたします。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 先般来重要な消費県に米穀検定協会なるものが設けられておりますが、どの県にどういう組織なり構成でもつて設けられ、その任務はどういうもので、またその経費等はどういうふうにしてまかなわれておるか、この点について伺います。
  22. 新澤寧

    ○新澤説明員 穀物検定協会が現在ありますところは、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡、長崎でございます。なお大阪の支部といたしまして京都支部がございます。愛知の支部として静岡支部、兵庫の支部として広島支部がございます。検定協会の仕事の内容は二つあります。それは内地米の部面についての検定業務と輸入食糧に関する検定業務でございますが、内地米につきましては、従来の公団が廃止せられまして、民間企業になりましたのに伴いましてとつた措置でございまして、食糧庁が卸業者に米を売るのでございます。これは検査の当時はそれぞれ一俵六十キロということで検査をしておるわけでございますが、輸送中あるい保管中にいろいろな理由で内容の量目、品質等に異動ができて参ります。俵々についての若干の異動ができて来るわけであります。それで卸業者といたしましては、やはり六十キロとして払下げを受けたものは、六十キロないと営業上困るわけでありますし、また小売業者も困ります。それでその関係の量目の増減等について一定期間十分検査して、資料をとりまして、その検定結果に基いて、卸業者は食糧庁に対してその数量の補填を請求することができ、また小売業者に対しましては卸業者から欠減部分を補填するような措置を講ずるわけでございます。そういうような実際の個々の俵々に当りまして、一切の量目等をこの検定機関が検定いたしまして、そういうような政府と卸売業者と小売業者との間におきますクレームの場合における第三者の証明機関というような任務を負わせておるわけでございます。それからもう一つ輸入食糧につきましては、食糧庁が輸入業者から港で食糧を買入れます際に、量目等を実際に看貫させまして、その数量とBLの数量を対照いたしまして、食糧庁が受けとる所定の欠減率よりも落ちておるときは賠償を求めるというようなことになつておるわけであります。そういうような実際食糧の受入れにあたつての検量事務というか、それを担当させておるわけであります。従来は内地米につきましては検定料を卸業者から支払わせております。それから輸入食糧の場合は国が検定料を払つておる、これはちよつと違つておるかもしれませんが、私記憶しておりますのは、輸入食糧は国が手数料という形で検定協会に支払つておるということであります。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 そうするとこれは当然国がやる仕事じやないですか。どうしてこういう検定協会というようなものをつくるのですか。一方においては、農民に対する検査は、検査料の確保なりあるいは不便を緩和するためにという理由でもつて、むしろ検査が厳重に行われているという形になる。今話を聞いてみますと、別に第三者機関をつくらなければならないような理由は少しも見当らないのでありますが、一体これはどういう趣旨のものですか。これは中央にやはり連絡機関というものがあるのですか、それから検査料は卸業者からとつておるというが、それは幾らとつておるのですか。何か政府も、これは米の消費者価格の中に含ませて相当額を出しておるということでありますが、幾ら出しておるのですか。何だかこういうものがあることはどうもおかしいじやないかと思います。この検査法改正趣旨からは、今聞いておるのでは大分逸脱しておるように思うのです。どういうわけですか。
  24. 新澤寧

    ○新澤説明員 中央には連絡機関という意味においての会議体というか、そういうもので常時連絡はいたしておりますが、常設的なものとしては中央にはございません。いろいろ連絡するためにときどき集まるという意味の会議体というものがありますが、常設機関ではありません。それから検査料につきましては、お話通り卸の経費の中に織り込んであります。
  25. 足鹿覺

    足鹿委員 何ぼですか。
  26. 新澤寧

    ○新澤説明員 一俵三円だと思います。
  27. 足鹿覺

    足鹿委員 検査料のほかですか。
  28. 新澤寧

    ○新澤説明員 検査料意味合いが違いますので、三円ということになつております。それからこれの設けられました理由でございますが、農産物検査法に基きます検査は、実際に国が買います場合の品質、等級を格づけするための検査をやつておるわけであります。それから検定協会は、国が売却する場合あるいは国が輸入食糧を受入れる場合に、実際の数量の量目の看貫をさせますので、その看貫料ということでやつておるのでございます。国がこういう仕事をやるべきかどうかという問題でございますが、これは見方でございますが、一応政府は売人であり卸業者は買人である、その間に量目の受渡しがいかがであつたかということを検定いたしますのには、一応その売人、買人に関係のない第三者が検定すべきであるという建前をとつておるわけでありまして、輸入食糧の買入れにおいては立場が逆になりまして、輸入業者は売人であり政府は買人である、その間に両者に関係のないものが立つて量目の検定をする、こういうことであります。これは内地米の面につきましては、かつて自由時代にも卸業者と小売の間にもやはり、同じようなクレームに対する証明機関といいますか、こういうような機関が存在していたそうでございます。また輸入関係におきましては、国際的にいろいろ検量関係を担当しておる機関というものは、これはあらゆる品目についてあるわけであります。米につきましてもやはり受入れに際しての第三者的な機関がありますことは、これは決して不自然でもないし、それによつて数量の欠減関係がはつきりして参りますので、政府といたしましても、卸の場合には、売却によります想定欠減量を実績において年々切下げて参つておりますし、また輸入食糧の場合におきましても、免責率と申しますか、一定の範囲の欠減は契約上やむを得ないものとして認めておるわけでありますが、そういうものも実績に応じて順次幅を縮めて行くことをやつておるわけでありまして、国の収支関係においても貢献している部面が、実績として現れておるわけでございます。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 かんじんなことを答えてください。政府はこれに幾ら出しておるのですか。
  30. 新澤寧

    ○新澤説明員 総額をちよつと記憶しておりませんが、国内食糧の場合におきましては、先ほど申し上げました検定協会の設けられております地区に対しましては、一俵三円の割合で計上しております。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 国が三円出しているのですか。
  32. 新澤寧

    ○新澤説明員 三円を国が直接出しておりませんが、当然卸業者がそういうものを支払うということのもとに、卸業者のマージン計算の部面においてそれを計上しております。
  33. 足鹿覺

    足鹿委員 仄聞すると、これは相当な金額を政府が日通方面に払つておるというようなことも聞いておりますが、そういう事実はないですか。
  34. 新澤寧

    ○新澤説明員 これは日通には払つておらないと思います。日通には払つていないと思いますが、卸業者のマージンの中に認めておるわけでございます。それから輸入食糧については、直接国が払つておるわけであります。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 卸売関係に三円を含ましておる、輸入食糧の分は国が直接負担していると言うが、それは幾らですか。
  36. 新澤寧

    ○新澤説明員 ちよつと記憶しておりませんので、調べましてお答えいたします。
  37. 足鹿覺

    足鹿委員 これはどうもますます納得しがたくなつて来たのですが、関連でありますから、また別に少し時間をいただいて質疑を継続したいと思います。  いま一点伺いますが、このごろ余ますとも言うし、私どもの方では込み米とも言うし、全国的に名称は違いますが、減量しないように、三合くらいのところもあるし、一合くらいのところもあるし、その県々によつて違いますが、相当余ますがあるのです。そういうふうに厳重に行われておるのに欠減があるというようなことは、ちよつと想像がつかない。農民の方では大きな問題になつているのですが、相当余ますをとつておる東北方面にこの前行つたときも、そういう陳情をずいぶん聞いたのです。その上にさらにこういうものを設けて行くという、その理由が私は至つて薄弱だと思いますが、そういう紛争の起きた件数というものは具体的に調べておりますが、どういうふうに紛争が起きておりますか、これをやらなければならないようなその資料を出してもらいたい。それからだれが検査しますか、これは検査員がやるのですか、また別に何かそういう人間を置いてやつておるのですか、それをひとつ資料をもらいたい。それからさつきの経費の明確な金額またその支弁の今日までの状況というもの、それから総務部長の答弁は、今の日通に支払つておるかどうかということについて、払つていないということでありますが、もつとはつきりしていただきたい。どうも御存じないような点もあるように思いますから、もつとしつかり調べて御答弁願いたい。それでこの問題については、あとでまた質疑を継続したいと思いますが、今は関連でありますから、この程度で一応打切つておきます。
  38. 新澤寧

    ○新澤説明員 先ほど御答弁申し上げましたことは、記憶が不正確でございまして、明確な御答弁ができませんでしたので、今御要求のありました資料を十分調査の上、整えましてあらためて提出いたします。
  39. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 ちよつと今の足鹿委員、川俣委員の質疑に関連して、私も一言お尋ねいたしますが、「検査手数料収入の確保上にも制度的に多少の欠陥のあることが認められる」ということは、提案理由で政府委員が述べられております。その先の方に行きまして、「検査済み品に対する不正行為及び空包装の不正使用が行われるという現象が生じ、公正な取引が若干阻害される事態を見るのであります。」とあり、その前に、「検査済み品に対して封緘としての措置について何らの規定がない」ということもありますが、一体どういう不正行為が行われ、どういう不正使用が行われているか、これは足鹿委員の質問と非常に関連が深いと思いますが、その件数とかその実態はどういう状態ですか。それからこういうものは、一体この法律改正に伴いまして印紙法の改正というものがあるのですか。
  40. 松岡寅治郎

    松岡説明員 お答え申し上げます。最初の包装の不正使用と申しますのは、俵の縦縄の結び目に、戦前は巻符を使つたのでありますが、それを戦後そういう巻符をやめまして、一般収入印紙手数料をとるようにしておりますが、それでその収入印紙検査の請求書に張つて手数料を納付せしめたのでありますが、それでは、その空俵を使つて、他の別の米なり麦なりを詰めて、それを流通するという事例が多多ありまして、せつかく生産者が丹精してつくつた米を、そういうようなかつこうで流通するということは、農家としても非常に困りますし、われわれ検査の立場からいたしましても、非常に困つた事例がたくさんありましたものですから、この際戦前にやつておりましたような巻符によつて、それで検査済み品であるということのはつきりした証明をしたい、こういう考えでございます。事例は多々ありますが、件数としてどれくらいありましたか、統計をとつておりませんですが、各県に相当数あります。
  41. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それは巻符に印紙を使うのですか。
  42. 松岡寅治郎

    松岡説明員 戦前は白紙を用いて巻符にして、それに検査員が検印をしておりますが、今度は簡便な方法を講ずるというので、巻符すなわち印紙というので、長い印紙をつくりまして、それで検印をさせたいと思つております。
  43. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 それは印紙法と関連があるのですかないのですか。
  44. 松岡寅治郎

    松岡説明員 従来印紙の発行権限は大蔵大臣にありまして、それの売りさばきの権限は郵政大臣が持つておりました。それでこのたびの改正によりまして、印紙をもつてする検査手数料納付に関する法律と農林省設置法とを改正いたしまして、その大蔵大臣の発行の権限と、郵政大臣の売りさばきの権限を、農林大臣に移すということになつております。
  45. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 印紙法というのがあるのですが、それとは関係がないのですか。
  46. 松岡寅治郎

    松岡説明員 印紙法の方は税金の関係になりまして、こちらの今度つくるところの農産物検査印紙は、日雇労働者の健康保険とかあるいは失業保険の印紙と類似のものでして、そつちの方とは関係ないと思います。
  47. 川俣清音

    川俣委員 関連質問が大分出て参りましたので本論から離れて参りましたが、ちようど私のお尋ねしたい問題を足鹿委員から質問がありましたので、この点をなお確めて、あらためてまたこの問題についてはお尋ねしなければならなと思いますが、第一は検定協会の沿革であります。かつて米が自由販売時代に、米質の向上を目的にしてできたのがその始まりだと思うのです。従いましていまだにその沿革を持つておるという性質のものではないと思う。たまたま総務部長は、国からら卸に渡すときに売人、買人の関係だという表現を使われましたが、これは非常に不穏当な言葉なんです。食糧庁の法規の中から見まして売人、買人の関係だというようなことは一つも出て来ないはずなんです。これは消費者に渡るまでは卸業者も小売業者も国の委託機関と見るべきです。所有権が移るのだという考え方が出て来ないと思うのですけれども、所有権が移るという法律上の根拠がありますか。たまたま売人、買人だという表現を使いましたならこれは問題ないと思いますけれども、所有権が移るのだということになりますと、これは重要なことだと思いますので、この点をお尋ねしておきます。
  48. 新澤寧

    ○新澤説明員 食管法上では売り渡すという言葉を使つております。法律上からいえば、政府から卸売業者に一応売り渡されまして、所有権が移るのだというふうに考えます。ただ売り渡された販売業者は、食管法の規定に基きまして厳重な制約を受けて、所定の経路、農林大臣、さらにはそれの指示を受けた都道府県知事の配給計画によらなければ、かつてに販売はできない。またもう一つは購入通帳の記載に従つて売らなければならないというような、実際に販売を行うにあたつてのいろいろな制約を受けまして、ほかのの自由品のように所有権が移つたからそれがかつてに処分を許されるという関係にはございませんけれども、一応関係といたしましては、政府は卸業者に米を売り渡す、一応所有権は販売業者に移るという関係になると思います。
  49. 川俣清音

    川俣委員 そこで非常に問題が重要になつて来ました。もしも売り渡したということになりますと、火事で焼けた場合、そのものの損失になりますか。これは損失だけでは済まされないでしよう。だから単なる表現のことは別にいたしまして、やはり委託という観念でなければならない。もしもこれを自己消費いたしました場合は横領になる性質のものじやないですか。国に対して損害の分さえ出せばよろしいということになりますか、これは重要だと思うのです。私は単なる所有権の移転じやない、そういう解釈をすべきじやないと思いますが、あなたは所有権の移転だというふうに簡単に考えて御答弁になつておるようですから、あらためてお尋ねいたします。
  50. 新澤寧

    ○新澤説明員 一応所有関係は売渡しということで販売業者に移ると思います。ただその売渡しを受けた販売業者が食管法に定められた通りの処分を行わなかつた場合には、食管法違反ということで食管法に基くいろいろな処罰を受けるのであろうと思います。刑法関係の横領にはならないのじやないかと私は思います。それから火事で焼けた場合には、その所有者である販売業者が損害を受けるということになります。ただ配給に支障を起さないようにするために、もう一度配給が確保されるように政府が重ねてその業者に必要量を販売するということは行われますが、その場合にはやはりあらためて代金をとつて売り渡すということにならざるを得ないと思います。
  51. 川俣清音

    川俣委員 これはいろいろ地方で問題になつておりますのは、これを横流ししたような場合に、あるいは自己消費したような場合に、横領というようなことで法的制裁を受けたようなことがあるようです。私もさらにこれを詳しく調べますが、そうなつて参りますと売渡しということが非常に重要になつて参りますので、この点を御研究願いたい。  それから前にもどりまして、検査協会というものをどうしても認めなければならないという根拠は、今までの説明では十分じやないのじやないか。一体検定協会を構成しておるメンバーはどういう人々が主となつておられますか、この点をひとつ資料でお出しを願いたいと思います。  検査の方にもどりまして、検査課長からお聞きしたいのですが、検査の基準あるいは品質、水分、重量というようなものの検査基準が年々かわつて来ておる歴史を持つておると思うのですが、その変遷について、御答弁できる範囲において御答弁願いたいと思います。
  52. 松岡寅治郎

    松岡説明員 検査規格でありますが、米につきましては最近三箇年間、米価との関係が非常にむづかしく、全然米の規格はかえておりません。もつともこれは戦時中御承知のような食糧事情で非常にゆるくなりましたが、戦後次第に戦前の規格に復帰して参りまして、最近三箇年間は米につきましてはずつと規格をかえておりません。
  53. 川俣清音

    川俣委員 私はその検査基準の沿革をお聞きしておるので、戦前のもの、戦時中のもの、戦後に至りましても非常に米の需給の困難な時代と今日の時代と、これらを御説明願いたいと思います。基準の沿革を御説明願いたいと思います。
  54. 松岡寅治郎

    松岡説明員 規格は水分とか整粒歩合、一升重量等非常に詳しいこまかい数字になるので、あとから資料で提出いたします。
  55. 川俣清音

    川俣委員 今足鹿委員からもちよつとお尋ねがあつたのですが、東北地方では規則に違反をいたしました検査方法が行われておる。これらの検査規則によりますと、検査当日に規格に合えばよろしいのですが、検査当日以後のいわゆる倉庫保管中における損耗をあえて検査当日なければならないというような検査の仕方をいたしておりますが、これは違法とお考えになりませんかどうか。
  56. 新澤寧

    ○新澤説明員 ただいまのお話は余ますの問題だと存じますが、これはこの委員会におきましても数回御注意を受けましたので、私どもといたしましては、検査員に対しましては、検査当日、検査を受けるときに、一俵所定の六十キロあればいいということで指導いたしておるのであります。それ以上の条件は私ども求めておらないわけであります。それは一応指導は徹底しておるつもりでおるのであります。
  57. 川俣清音

    川俣委員 実際はそうじやないとなつて参りますと、この責任はどこで負わなければならないですか。あなた方の検査員に対する修練と申しますか、研修というものが至らないためか、あるいは検査員が故意にやつておるものかどうか、今ではあなた方の方でも相当研修を積んでおられまして、そういう検査員がないはずだというふうに理解すべきだと思うのです。ところが理解すべきだと思いながらも、現にそういうことが起つておるということについて、あなた方は将来どういう態度をとられますか。
  58. 新澤寧

    ○新澤説明員 私の方といたしましては、先ほど申し上げました通り検査に対しましては、そういう問題がしばしば起りますので、十分徹底をいたしておるつもりでございますし、今後も重ねてそういう注意をいたして参りたいと思つております。ただ実際上の問題といたしまして、私どももときどき耳にするのでありますが、たまたま一両年前から米の統制撤廃というような声が起りましたために、それの準備というような気持でありましようか、かつて各県にありました産米改良協会というようなものが、やはりそれぞれの県におきます産米の声価を維持するために、ほかの県よりも自由時代においてよりよい価格なり何なりで取引せられるようにということを求めて、民間の運動としてそういうものが若干の県に起りつつあるようなことは聞いておるわけでございますが、食糧庁の方針といたしましては、これは決して余ますを求めておりませんので、検査時に所定の数量があればこれはどんどん検査を受付けるということでやつておるわけであります。そういうふうに検査員には話しておるわけであります。今後ともさらにその点を十分徹底させたいと思います。
  59. 川俣清音

    川俣委員 そうして厳重な検査をせられ、しかも現に余ますを入れておりまして、これが問題になつておることは十分御承知通りだと思うのです。これがわからぬということはないと思うのです。この徹底を将来どうするかということについては、御研究になると同時に、通牒等を出されまして、徹底せられることとは思いますが、そうなつて参りますと、検定協会などの手を煩わさないでも、あなた方自体において、十分これは把握されていなければならぬはずだと思う。把握があればこそこういう行き過ぎと申しますか、こういうようなことも検査を厳重にし過ぎるというような弊害もあえて起つて来るのじやないかと思うのです。それにもかかわらずなお検定協会の検定をまたなければならないほど信頼がないものだとは考えられない。これが検定協会の検査をあえてまたないでも、もう相当長い期間国が管理せられまして、米の行方から重量から品質から、もう多くの経験を持つておられるはずなんです。あえて検査協会の検査をまたないでも、これだけの厖大な機構を持つておるのですから、国自体において十分把握できていなければならぬはずだと思うのですが、いまだ十分把握できないでおるのですか、やはり検定協会の検査を持たなければ十分把握できない状態に現在なおあるのですか。
  60. 新澤寧

    ○新澤説明員 これは結局全体の平均の問題と個々の問題の差でございまして、全体の欠減量というものは、御承知通り多年の取扱いの経験によりまして、大体わかつておるわけでございます。かつて公団とかあるいは営団というような時代でありますと、全国なりあるいは県単位なりで、個々の量目の過不足につきましては全部で総平均プールができますので、特に政府として何らかのことを考えるほどの大きな事態もなかつたのでございますが、今日はそうでございませんで、民営になりますと、個々の卸業者さらにそれからたくさんの小売り業者へ荷がこまかくわかれて行くわけでございます。そういたしますと、大数的にはたとえば二%なり三%の欠減ということで、政府の売却価格を算定いたしましても、個々の場合に参りますと、その値よりも大きな数字が出て来ることがあるわけでございます。そういう場合にはその不利益な、容量の少いものを受けた小売り業者なり卸業者なりというものに対して、そのまま何らの補償もしないで過すということは、今日の民間企業という建前ではやはり酷に失しますので、個々の場合における実際の量目の検定をいたしまして、それもそのときどきではありませんで、やはり何箇月か長期にわたりましての数字を集計いたしまして、それで締めて、その間に一定数量以上の増減と申しますか、欠減が予定よりも多い場合には、その多い数に対してはその数量を有償で補填するということを小売人は荷主から補填させるという処置を講じませんと、個々の業者間においてのアンバランスがどうしても出て来ますので、その救済措置としては、私はやはりこういう機関が必要ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  61. 川俣清音

    川俣委員 国が管理しておる物資でなければ問題はない、生産から配給の末端まで国自体が責任を負う形になつておるのが今日の食糧管理法だと思う。従いまして、それらの管理の行き届かない点については、国自体が責任を負わなければならぬ、その検査協会の検査をまたなければそれらに対する手当ができないとというほど拙劣な貧弱な統制をやつておるとは考えられない。もしも必要でありまするならば、これらの取扱い業者の立会いのものに国自体がやつてもいいはずです。それだけの能力を十分持つておられるはずだ、立会いを求めなければならないということは言えると思う。しかしながらあえて検定協会を持たねばならないという理由にはどうしてもならないと思う。あなたの説明を聞きましても、それは卸業者の団体もありましよう。それらの団体の人々に立会いを求める、国自体の立会いを求めてやることによつても、それらの弊害を除くことができないはずはない。やはり生産から末端までの責任をあなた方はどこかにのがれておるから、こういう問題が起きて来る、回避しておるからこういう問題が起きて来ると思います。これは一つの回避の方法です。方法というよりも回避の具体的な例だと見なければならない。もしもそういう責任を回避するというとこになりますならば、これは根本的に食管法というものを改正して行かなければならないじやないか、一体法規にまたないで、こういうものができるというとこについて、十分だというふうにお考えになつておりますか。むしろそれならば食糧管理法を改正せられ、法文上明らかにせられてしかるべきじやないか、こうお思いになりませんか。
  62. 新澤寧

    ○新澤説明員 私の説明が悪いのでございますか、ちよつと御理解いただけないようでございますが、国といたしまして、確かにこれは末端の消費者に至るまでの米については責任を持たなければならぬ、これはおつしやる通りでございまして、私どもその通り考えております。ただ実際に政府が米を払い下げて参ります際におきましては、最終的に見ますと一年間の全数量を平均いたしますれば、これは年々大体同じような欠減量というものが出て来るわけでございますが、個々の俵々というとこになつて参りますと、それぞれの俵が置かれました保管の状況により、あるいは輸送の状況により、平均値とは違つた相当のでこぼこが出て来るわけでございます。それの実態をつかみまして、その実態に応じての補填の措置をいたしませんと、その買受者に不測の損害を与えることになりますので、売却の場合におきます個々の俵につきましての量目の実際を把握するということが、何らかの手段はよつて必要になつて来るわけであります。その個々の量目に確定いたします機関として、国自身がやるかあるいはほかの機関にやらせるかということでございますが、いずれにしてもたれかにやらせなければならない。だれかにやらさた場合には、単に立会つて見ているというだけでありませんで、やはり人夫を使つて実際に目方を個々の俵についてはかるのでございますから、それ相当の費用がかかるわけでございます。また現実に人手もいるわけでございます。今の食糧事務所の体制といたしましては、やはりそれだけの仕事をやりますためには、今の陣容では足りませんので、もし食糧庁自身がやるといたしますれば、それに対する人をふやさなければならないと思います。しかし食糧庁自身がやるのがいいのか。先ほど申し上げましたが、やはり売買の両当事者以外の者がそういう量目を検定する仕事をやるかという選択の場合におきまして、後者をとつた方がいいのではないか。また実際の人員の運用につきましても、公務員の勤務体系とは相当違つた体系をとらざるを得ないような点もありまして、公益法人というか、利潤をかせがない団体としまして、この団体食糧庁としても設立を認めたわけでございます。その実際の費用関係は、年々の収支によりまして現実に監査をいたしまして、過大な負担米価に及ばないようにということについては、十分気を配つて参りたいというように考えております。実際の仕事といたしまして、そういう個々の俵について目方をはかるという仕事がありますために、何らかの機関が必要であるということにどうしてもなると思います。
  63. 川俣清音

    川俣委員 ただ私のお尋ねし、また意見として述べている点は、生産から末端まで一つの厳格な規則の上に打立てられておる今日において、それらのものがもしも食糧庁自体としてやれないという場合でありますれば、それは法律の欠陥なんです。やれるような仕組になつてつてやれないというのは法規の欠陥なんです。それならばやはり法律改正を必要とするのじやないか。あなた方自体がやれないというならばやれる法律が必要なのじやないか。法的根拠を持たないでおることは無責任じやないか、この点を指摘しておる。おわかり願えませんか。そういう機関が必要だとするならば、法的根拠を持つておやりになつたらどうだ。少くともそうすべきじやないですか。あなた方それをやるのが不適当だというならば、法律の欠陥だから当然法的根拠を持つべきじやないか。今までの検査にいたしましても、これは不便だからというのでずいぶんいろいろな規則改正をせられておる。今日も一部改正が行われておる。そういう欠陥を認めたならば、当然法律根拠に基いて処置をとらるべきではないか。一体法律をつくることが好きなほどにたくさんつくつておる。もし欠陥だということを認められるならば、やはり法律根拠に基いてとるべきではないか、この点いかがですか。この点だけでよろしいのです。
  64. 新澤寧

    ○新澤説明員 検定業務を法律根拠をおいてやるべきかどうかということでございますが、普通的な制度としてやるという場合には法律ということも必要と存じますが、現在におきましては、非常に他県からの米の搬入の多い都道府県、言いかえますと非常に動きのはげしい、米の輸送なり保管中に非常に条件のかわつて参ります米を扱わざるを得ない特定の府県につきまして、そういう可能性のあるところにおきまして、利害関係者の希望に応じてやつておるというのが実態でございます。従つてすべての米について強制的に法律規定をもつてつて行くのがいいかどうかということになりますと、これはそこまで必要がないのじやないだろうか、やはりそういう必要のあるごく限られた部面について、必要最小限度の規模においてやつて行くのがいいのじやないかという意味合いにおきまして、あえて法律規定によりませんで、特に必要と認められる部分についてこういうことを食糧庁の指導のもとにやらせておるのでございます。それが全国画一にやるということになりますと、法律規定があつて、しつかりした基準のもとに制度化する必要も生じて参りましようが、現状としては、ただいま申し上げたような段階にとどまつておりますので、実際上の行政上の指導としてやつておるというのであります。
  65. 川俣清音

    川俣委員 時間がありませんので食糧庁に対する質問は保留しておきまして、ちよつと同じ検査の中で、木炭検査のことについて一言触れておきたいと思います。木炭の日本農林規格というのがあるはずであります。これは今でも農林省の告示として生きておりますかどうか、この点をお尋ねしたい。もう一点は、農産物検査法の中に、みつまた、こうぞというような種類のものが入つておることを、おそらく今まで林野庁は御存じなかつたと思うのです。なかつたと思うというのは、どんな規則であるか、どんな検査をするかというとこをお聞きすれば、御承知であつたかどうかということはすぐわかると思う。いろいろな木材、用材関係についてはここでお聞きしても大体御答弁できると思うのですが、こうぞ、みつまた等についてはどんな検査をするのかということをお聞きしても、おそらく御答弁できない。答弁されないところを見ますと、これはおそらく農産物検査法の中に入つておるということを理解してなかつたと思うのですが、将来のこれらについての御見解をお聞きしておきたい、木炭の日本農林規格ということによりますと、農林大臣の指定する検査規則になつておりますので、これらを監督するといたしますれば、当然国営検査でなければこの趣旨が生きて来ないと思うのです。これを説明員の林政部長にお尋ねするのは無理だと思いますから、これらの質問のあつたことをお伝え願つて、国営木炭検査についてはこの農産物検査法の仕上げと同時に、農林当局の意向を明らかにしていただきたいと思うのです。私の質問はこれで終りますが、御答弁をいただきたいと思います。あとは保留しておきます。
  66. 幸田午六

    ○幸田説明員 今御質問がありました木炭の規格農林物資検査法で指定せられて現に生きているかという御質問は、その通りでございます。それからこうぞ、みつまた検査は、先ほど説明がありましたように、従来県に置きました当時から農産物検査所がこれを扱つてつたというような歴史的な沿革がございまして、ただいま御指摘がありましたような点の趣旨もございますし、今後いろいろ研究すべき問題でありましようが、その点御了承願いたいと思います。それから先ほどこれに関連しての木炭の国営検査の問題について、適当な機会における政府委員からの御答弁を求めたいという御趣旨につきましては、その旨お伝えをしておきます。     —————————————
  67. 井出一太郎

    井出委員長 なおこの際農地の取上げ問題について井谷委員より質疑をいたしたいとの申出があります。これを許すに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 井出一太郎

    井出委員長 御異議なしと認めます。井谷君簡潔に願います。
  69. 井谷正吉

    ○井谷委員 最近世潮の逆コースに伴いまして、農村関係においても、あらゆる面に復古調と言いますか、封建的な時代に逆行しようという傾向が察せられる。農村におけるこれらの動きを検討してみますと、最近なかんずく特異な現象として起きておるのは、旧地主諸君の失地回復といいますか、その土地を自分のものに返す、こういうような動きが濃厚であるように思うのであります。伝え聞くところによりますと、降旗さんあたりが中心になられて、農林専門員の方においてもそういうような農地法改正に対しまするいろいろな研究がしばしばなされているというようなことも承つておるのでありますが、こういうような傾向が全国的に盛り上つておるようであります。たとえば四国におきましても、香川県は御承知のように、昔なかなか農民運動の盛んなところでありましたが、今日地主諸君のこうした運動というものは、過去の農民運動以上の熱が盛り上つておるようであります。旧地主諸君から一反歩につき何百円という金を集めまして、それを資金として動いておるというようなことを聞いておるのでありますが、こういうようなことがやはり関係があるのではないかと思いますが、私は先般福島県に参りまして、そうしてここの農業委員会の諸君のやられましたことを調べて帰つたのでありますが、これは実に農業委員会の仕事を逸脱した、しかも委員長初め数名の幹部の諸君がぐるになつて、土地ブローカーのようなことをやつておる。すでに委員長と一部の者とは検挙されておるのでありますが、非常に悪質であります。  たとえばその一例を申し上げますと、昨年の二月でありますが、郡山市に伊野三次郎という人がある。この人の家に農地委員の佐藤金次郎という者がしばしば参りまして、法務局の建設用地として、君の土地がいるから離してもらいたい、こういう交渉をしたのです。この伊野という人の土地は四畝五歩でありますが、この人の持つておる土地で、ここはただ一つの苗しろ田であります。これがなくては米作がやつて行けないというほど大切なものでありますけれども、法務局というお役所が建つのなら、かえ地をもらえるならば譲つてもいい、こういう回答をしたわけであります。そこで今度はかえ地でありますが、長者町に遠藤亭一という人の土地が四畝歩あります。これをかえ地としてやるというので、遠藤という人も伊野にその土地が行くのだと思うておりましたところが、この苗しろ田へ日東紡績がガラやごみをどんどんトラツクで運んで入れておるというようなことから、意外に感じて調べてみましたところ、農地委員の佐藤という人が伊野の名前を自分の名前に書きかえて日東紡績へ売つておるのであります。これが一つの例であります。  また第二の例といたしましては、農地委員の門沢喜輔という者が、伊野三次郎と同じくやはり法務局建設に必要な土地であると称しまして、阿部市蔵という者の土地を同様な手段において取上げた。そうしてそのかわりには、やはり郡山市の永井貞という人の土地の畑一反歩、水田一反二畝二十四歩を阿部市蔵にやる、こういうようなことで永井という人が土地代として二十二万五千円をもらつておりますが、この払い方もはなはだふしぎな払い方であつて、四回にわけた。最初五万円、次が二万円、次が一万円という、自分のへそくりを払うような払い方をしておる。これは県の農業委員会も何も知りません。また法律できめてあります手続は一切してないわけです。  さらにまたこの農業委員会は、同町に五十嵐善一郎という人の土地があるのでありますが、大体この土地は日蓮宗の妙満寺の土地であつたが、不在地主であるからというので檀家総代の五十嵐さんの土地になつていたが、これもまた同様な考えのもとに、一応は五十嵐の土地になつておりましたものを、今度また五十嵐から他へ譲るというようなことで、これは借主である渡辺東作という者から謝礼として十万円とつておる。五十嵐からもお礼として十万円とつておる。星荘吉という人からも十万円とつておる。合計三十万円を着服しておりまして、これは今事件になつておる。私は署長にも会つたのでありますが、こういうことはこの委員会で十以上は出るだろうというふうに申しておるのであります。私はつらつらこれらの関係考えてみまする場合に、やはり失地回復の全国的に今蠢動しておる動きに力を得て、これらの諸君がこういうことをやりたいような気分を起したのではないか、こういうようなことも考えられるわけでありますが、かような問題に対して政府は、あるいは大臣は——大臣はきようはおられませんが、局長は、地方においてこういうことが行われて、すでにこれは事件になつておる、こういうような信用のない、そしてまた農民のために非常な迷惑をかけておるような団体に対しましては、どういう考えでおられるか。この点承りたいと思うのであります。
  70. 平川守

    ○平川政府委員 地主の一部において、お話のような考えを持つて動いておる者があることは存じております。しかしながら私どもといたしましては、もとより現在の農地法の精神、自作農を維持して参るというこの精神は、あくまでも貫くつもりでおるわけであります。ただいまお話のような場合は、農地法違反であることは明瞭であります。ただ末端に起りまするそういう事案につきまして、実は私どもも一々承知はいたしておりませんけれども、そういうことがときたまあることは聞いております。これに対しましては厳重に取締りをいたすよう、各地方の農地関係の方たちに指導をいたしておるわけであります。お話の事例につきましても、なおよく調査いたしまして、しかるべく措置したいと思いまするし、なお一般的にさようなことの起らないように、今後とも厳重注意をいたしたい、かように考えております。
  71. 井谷正吉

    ○井谷委員 冒頭に申し上げました農地法の改悪であるとか、続いてまた小作料の値上げであるとか、こういうことについては、農村では非常に敏感に心配をいたしておるわけであります。どこまでも農地法を守つて行くという立場でお進みを願いたいと思いまするとともに、福島県の県の農業地委員会においても、県庁においても、何ら手を打つておりません。こういう面に対しましても、強く何かの御指示を願いたい。地元におきましては、委員長を初め幹部諸公がみな検挙されておりますから、農業委員会の解散という要望が相当強いので、穏やかでない空気をかもしておるということを、御記憶願いたいと思うのであります。
  72. 平川守

    ○平川政府委員 まことにその通りと存じます。農地法の精神をどこまでも貫いて行くということは、先ほども申し上げました通り、その通り考えておりまするし、また今の具体的事案につきましても、早急調査いたしまして善処いたしたいと思つております。
  73. 井出一太郎

    井出委員長 午前中の会議はこの程度をもつて打切り、暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後三時九分開議
  74. 綱島正興

    ○綱島委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  砂糖の問題について、前会に引続き質疑を行います。質疑の通告がございます。これを許します。中村委員。
  75. 中村時雄

    ○中村(時)委員 この問題に入る前に、この前の回答を求めておきたいがそれは通産省の次長が来られてからその問題を取上げたい。  続いて政務次官にお尋ねしたいのは、政務次官は、あくまでも事務当局におけるこの計画の蹉跌並びにそういう計画のずさんさが糖価のこういう高騰を行つたということに対しての、責任はないと考えているかどうか。もう一度最後にお聞きしておきたい。
  76. 平野三郎

    ○平野政府委員 その点のお話でございますが、昨年の十一月ごろ御指摘の通り相当量のものを繰上げ輸入をするという考えがありまして、その通り実施をいたしますならば、かような高騰を来さなかつたじやないかということは考えられます。従つて政府の見通しについて、若干甘かつた点があるということは反省いたしておる次第でございます。今後こういうことのないように十分注意をいたしまして善処いたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  77. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そのように政府が、いけないものはいけないと率直に認めて、ともに協力してやつて行くなら、私は決してあげ足をとつたようなことはしはしない。あくまでもそれを、おのれの方は責任がないのだと逃げるから問題を起して行く。だからそれをはつきり認められて、今後対処して行くということになれば、次の問題に進んで行きたいと思います。  次は国内的な問題ではなくして、リンクの問題に対して一、二食管の長官にお聞きしたい。一昨々年ですか、肥料会社がインドに肥料を輸出して、それによつて発注証明をとつて、それに基いて砂糖を国内に持つて帰り、砂糖業者にそれを売つたということになつたのか、そこの関係が私にははつきりしておりませんが、とにもかくにもそういう事件があつた。そのときに大体肥料の方の赤字が幾らあつて、砂糖の方に幾ら転嫁されて、その出血を補つたか。その数をお聞きしたい。
  78. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 たしかお話のように、一昨年だつたと思いますか、インドにおいて肥料の国際入札がございました。その国際入札に日本側も参加いたしまして、硫安につきまして国際入札がわが国にも落ちたという点は、私ども承知いたしておるのでございます。そうしてそれでもつて砂糖のリンクをいたしたという言うに承知いたしております。ただ一昨年でございますので、現在そのときの金額、数量の点については、今ちよつと記憶しておらないのであります。
  79. 中村時雄

    ○中村(時)委員 そうすると、たとえば出血の問題もわからないし、ただその当時のうわさに最近乗つてつたのは、出血の半分をカバーするというようなことで、その方向が進められたと思つてつた。ところが実際は全額ほとんど砂糖によつてカバーされているような状態なんです。その意味において私はそれをお聞きしたかつた。ところが、そういうふうに政府側としても的確にこれをつかんでいらつしやらないようですし、そのことでは、この問題は将来にまで移行されて来ると思う。というのは、たとえばそういうふうに一つの硫安なら硫安というものを出す。その出血を砂糖に持つて来るとすれば、そういうことを砂糖輸出入業者が直接の取引をせずして、かりに片一方の肥料なら肥料だけに代替をさせて行つて、それの幅によつて自分たちがもうけて行こうという安易な考え方、そこには一つの競争もない。まつたくそういうふうな一方的な行動をどういう理由で認めて行つたか。その原因をひとつお聞きしたい。
  80. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これは私記憶が薄いのですが、たしか一昨年であつたと思います。アメリカにおきまして、インドの硫安の国際入札があつた。その際の問題かと思いますが、従来輸出につきまして、国際入札をいたします場合におきまして、やはり輸出の奨励という意味からいたしまして、これは砂糖に限りませんで、リンク制度をとつておるのであります。その際そのリンクの対象として砂糖がなつたように私承知しておるわけでございますが、ただこれは調べればわかるのですが、今ただちにその場合の硫安の数量、価格、それに基いて輸入いたしました砂糖の価格ということは、今資料を持つておりませんので、申し上げかねるということで御了承願いたいと思います。
  81. 中村時雄

    ○中村(時)委員 資料を持つておらないということですけれども、資料をつくつていただく場合には、こういうふうに資料をつくつていただきたいと思います。たとえば出血輸出に対する砂糖が課せられたところの損失、それから硫安工場なら硫安工場が契約して入札する場合に、砂糖の発注証明書を持つて来れば、そういう事柄を認めておつたかどうか。それを認めるのは、いかなる法的根拠、たとえば政令でもいい、そういうことで許可しておつたかどうか。これはわかつておるでしよう。その当時かつてに硫安工場が自由取引で損をしておるにかかわらず、砂糖のそういう発注証明書を持つて来れば、転換ができるという事柄を政府は認めておつたかどうか。これはあとで原油の問題なり、あるいは生糸の問題に関連する問題ですから、その点をよく調査願つて、この次までに提出していただきたい。それからもう一つ、そういうふうになつて来ると、ここに一つの問題として、損をしたとか、得をしたとかいうことになると、適正価格的な問題が出て来なければならない。その問題に対して当局としては、この価格構成を考えておられるかどうか。
  82. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 ただいまの数量等の点につきましては、調査して御報告申し上げたいと思います。法的根拠ということになりますと、御承知のように一般的にリンク制度というものは、為替の許可というものと関連いたしまして、そういう制度をとつておるわけでございまして、直接の法的根拠というふうなものはないわけでございまするが、為替の許可と関連して、こういうリンク制度を生糸についてもとつたと同様な措置というふうに考えておるわけでございます。
  83. 中村時雄

    ○中村(時)委員 もう一点考えてもらいたい。当時そういうふうな行動が非常に不本意であるということを農林省当局は言明していらつしやるはずです。そこでそういう許可制というようなものは、そういう問題にからんで、発注証明書を持つておる輸出業者に対しては、今後砂糖と代替をするということを発表されたことがあるかどうか。
  84. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 実は私その当時おらなかつたものですから、記憶がはつきりいたしませんから、その点につきましては調べて御報告いたしたいと思います。これはたしか一昨年のことではなかつたかと存じます。硫安の国際入札の場合ではないかと思つております。
  85. 河野一郎

    ○河野(一)委員 関連して……。私の時間が参りました際に、砂糖問題について根本的なお尋ねをいたしたいと思いますが、今ここで早急に政府にお尋ねをし、また明確にいたしたいと思いますことは、先般政府が全国の菓子商組合連合会に二千トン近くの砂糖の払下げをなさつたことであるのでありますが、具体的に申しますと、その際に地方の菓子屋が参りまして、個々に聞きますと、一軒について運動費として十円ずつ集めました、こう言うております。これは私自身が具体的に菓子屋から聞いたのでございます。だからこれは絶対に間違いがないと私は確信いたします。これを全部数字をまとめてみますと金額総計四千万円くらいになります。四千万円全部集めたか集めぬか私は知りませんが、とにかく神奈川県下の個々の菓子屋に聞きますと、運動費として十円出した、こう言つております。ところが中央で巻間伝えるところによりますと、四千万円の金を菓子屋は集めて、二千トンの砂糖の払下げの運動費としてこの四千万円を使うのだ。これはうわさでありますから責任は待ちませんが、うわさがありましたことも私は聞いております。そこで、現下政治に対していろいろ疑惑のありまする際に、こういうことのありますることははなはだ遺憾であります。絶対に農林省にそういう間違いがあろうと私は想像いたしません。いたしませんが、何にいたしましても、砂糖が高くなつたからというので菓子屋に砂糖の払下げをしたことは事実でありますから、長官もこれはその通りでありますとお答えになるだろうと思う。それから菓子屋が十円ずつ金を出したという人も個人ではあるのでありますから、どの範囲に金を出したか、しかもそれは何のために出したのかというと、運動費として集めました、こう言つておりますから、そういう事実も間違いないと私は思う。これははなはだ遺憾なことでございますから、この際農林省で調べがつくならば、食糧庁長官自身の責任においてお調べになることは一番けつこうであります。しかし事情はそういうことでありまして、食糧庁長官にこれを調べろということは不適当だと私は思います。またできないだろうと思う。できなければただちに検事局に移牒してこの間の事情を明確にしていただきたい。よろしゆうございますか、今私が申し上げたことは、神奈川県下の菓子屋が、先般あなた方が払い下げられた二千トンの砂糖をもらう運動費として十円ずつ出しましたと言つておる人がおる。けさも現に私の弟のところに来て、そういうことを言つてつた菓子屋がある、私のところへ来て言うて行つた菓子屋がある。ですからこれは絶対に間違いない。これを巷間伝えておりまするところでは、全国で四千万円菓子屋は金を集めて、それを運動費に使おうとしておつたが、世間がやかましくなつたから、その金を出さずにどこかへしまつてあるといううわさがあります。これははなはだ遺憾なことであります。しかしこういう時局柄のことでありますから、こういう点は明瞭にいたしませんと、出した菓子屋はなるほどあれでは政治はくさるのはあたりまえだと、もらつた砂糖は砂糖で、出した金のことは巷間やかましく伝えますから、その金の行方を明瞭に調べて、善処されることが食糧庁長官の立場上一番いいと思う。しかしそれは自分ではおできにならぬでしようから、河野から国会でこういう発言があつた、こういうことでけつこうでありますから、速記録を根拠にして検事局へ告発なさつたらよろしいと思う。そうして明瞭にしていただきたい。その他の点につきましてもいろいろありますが、具体的に私が考えるのは今申し上げた点でありまして、こういうことははつきりなさるがよろしい。それからその他ドルを使つて、そうして砂糖の輸入をして、これを各製糖会社に割当てる経費につきまして、すでに参議院においても大分問題になつておるようでありますし、衆議院におきましても当委員会におきましていろいろな御意見があつたと思いますが、これらについてすみやかに調査なさる必要があると思うのであります。というのは、先般あれだけ砂糖価格が高くなつて、最近下り始めた。一体何のために上り、何のために下るのかということが納得できません。およそ経済の現象は、前に想像で上るだろう下るだろうということはともかくといたしまして、結果から見てなるほどああいうわけで上つたのだな、なるほどこういうわけで下つたのだなということが了解できない事項はないのであります。ところが現在の砂糖の価格のように、何のために上り——上つたことは思惑で上つたという想像はつきます。しかし最近の下つたのは一体何のために下つたのだろうということは了承ができません。少し国会でうるさくなつたから下げておけというので下つたのだという人もあります。しかしそういうことであれば、これはとんでもないことであります。そういうことで一時を糊塗して、この国会が済んだらまた砂糖がかつてになるというようなことは非常に遺憾なことでありまして、そういうことが思惑の材料になつて、一部に不当な利益をむさぼる者があるということは、大衆消費者としては非常に迷惑であります。ですから現在の程度でなしに、農林省におかれましては、すみやかにこの砂糖の問題についてはどうするのだ、どこまでどう持つて行くのだということを——先般来新聞を見ておりますと、いろいろむし返してああでもない、こうでもないということでやつておるようでありますが、これははなはだ遺憾なことでありますから、この際大臣が御出席になれば一番けつこうだつたのでありますけれども、政務次官から、大体いつまでにこの砂糖については政府部内の意見をとりまとめて、具体的な方策を講じて、こういうふうにして政府の責任をとつて行きたいということの御答弁を、お願い申し上げる次第であります。
  86. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 第一点について、お話のような点がございましたら、これは非常な問題でございますので、われわれ再調査いたしたいと思いますが、お断りいたしておきたいと思いますのは、政府の手持ちは、御承知のように、従来の公団で統制をいたしまして、その公団解散後の肩がわりのものを持つておるのであります。昨年の五月だつたと私は思うのですが、五月までの間にこれを処分をいたしたつもりであります。従つて一度に二千トンというふうな払下げをした、こういうお話になつたような点は、私記憶を持つておらないのであります。このほかにてん菜糖について所有いたしておりますが、これは一般入札で現在まで行つて参りまして、特に随意契約でやつたということはないわけであります。その四月、五月、たしか六月かと思いますが、その時分までの間に売却したものがありますれば、それはさつそく調べますが、時期的にいつごろでございましようか。実は私の記憶では、政府手持ちといたしましてこういう大量のものを処分いたしたという記憶はないのであります。なおよくその点は調査いたしたいと思います。
  87. 平野三郎

    ○平野政府委員 砂糖の対策の緊急でありますことは、河野委員の御指摘の通りであると考えておる次第であります。従いましてただいまできる限りすみやかに政府の措置を明らかにするために努力をいたしておるわけでございます。
  88. 河野一郎

    ○河野(一)委員 できるだけすみやかにという御努力はけつこうでありますが、こういうことは大体目標を置きませんと、お忙しいことでありましようから、順にあとまわしになる。役所の都合でつい遅れがちらものでありますが、そこは今申し上げますように、相場の変動等で、思惑の対象となつて一般大衆が迷惑することでございますから、参議院でも日取りを切つていろいろ言つておいでになるようでありますから、こちらの方で日取りが切れぬことはなかろうと思う。あなた方に私の方から、決して幾日と注文はいたしませんが、せめて参議院で日取りを切つたら、衆議院の方でも日取りぐらい切つて、これはいつまでに御返事いたしましよう、いつまでに役所の方針をきめておきましようということは言えるのじやないかと思います。これは今は無理は申しませんから、ひとつ後刻御相談なすつて、そうしてなるべく早い機会に、いつまでにということを委員長を通じてわれわれにお示しを願いたい。そのときまで最後案をつくつて、これは同僚のおられるところではなはだ申しにくいことでありますけれども、自由党の政務調査会がまとまらないからとか、もしくは池田君が同意をしないとかいうようなことで遅れることをはなはだ遺憾に思うのであります。そういうことでは困ります。でありますから、私の方で無理に日を切つてもらいたいと申し上げるのでありまして、農林省の内部だけならばこれは簡単にまとまりがつくと思うのだが、そういうふうに政党内部のものでございますから当然のことと思いますが、とかく砂糖と池田君という名前がくつつくものですから、そこでそういう関係で遅れることはよろしくないと思いますから、無理は申しませんから、日をきめていつまでにまとめて持つて来るということにしていただきたい。どうかひとつ政務次官において、その点を善処していただきたい。
  89. 平野三郎

    ○平野政府委員 実は参議院の農林委員会におかれましては、三月十八日までに政府は回答すべきであるという御決議による御申入れがございまして、ちようどきようになるわけで、きようは少くとも何らかの意思表示をしなければならぬと思つておりましたが、本日は参議院におかれては農林委員会はお開きにならないようで後刻申し上げたいと思います。ただこの前その御決議なさいますときに、十八日という日にちを切られることは、責任を持つては実は困るので、多少そこに弾力性を持たしていただきたいということをお願い申し上げた。これは速記録に明らかになつておりますが、一応十八日を目途として政府は努力すべきである、多少遅れることもやむを得ぬ、こういう実は了解があつての御決議であつたわけでございます。従つて本日はまだここで具体的に申し上げる段階に至らないので御了承を得るというつもりで実はおつたようなわけでございますが、いずれにいたしましても、砂糖の問題は本年度の外貨の縮減されるという見通しの上から申しましても、何とかしなければならぬ、こういうことでございまして、四月には来年の外貨に対する方針が明らかになるわけでありますから、少くとも今月中には政府の意のあるところを決定しなければならぬ。かように考えております。
  90. 河野一郎

    ○河野(一)委員 今の砂糖は、これは油脂その他食糧部門におきます外貨割当の見通しが非常にきゆうくつであるという見通しにおいて、場合によつて法律措置も必要が起つて来るかもしれぬと実はわれわれ憂慮していることであります。従つて今政務次官のお話のように、外貨割当だけで考えて、外貨割当のできるのを——やるのは今月中にやられるけれども、外貨割当ができるのは遅れることがある。そういうことでは事が片づかない問題だと私は思う。これははなはだ申し上げにくいことでありますけれども、外米の輸入の資金さえ先般も申し上げましたように、時には考えなければならぬほど外貨資金はきゆうくつになつているということ等を考え合せますと、砂糖であるとか油脂等については、資金の見通しも総括的におつけになる必要があるのでございましようし、その見通しを基礎にして、従来通りでは行かぬことは当然わかつておりますから、これをどういうふうに変更しなければいかぬか、これは食管法の改正案をやらなければならぬのと同様に、非常に追い詰められている問題だと私は思う。してみれば一刻を争う問題であります。そうしてわれわれ全体の協力のもとに、新らしい砂糖の政策、これらの食糧の政策を考えて行かなければならぬ事態に、為替の見通しからいつてつているのじやないかと私は思う。ですから今のお話のようなことでは、一部の業者にむちやくちやな暴利をむさぼらせ、そうして思惑の対象となり、相場の対象となるというようなことでは大衆がいかに迷惑するか。こういうことを考えますれば、軽々にこれは置くことのできない問題だと思う。この点は私が申し上げませんでもよくおわかりのことだと思います。それにしても今の御答弁は、あまりわれわれとしては満足できない御答弁でありますから、今月中には云々というようなことでなしに、少くとも来週の土曜までには返事をいたしますとか何とかいうことでなくてはなるまいと思うのであります。どうかそういう点を、われわれが一応期待しているのは、二十五日ごろまでにはどんなことがあつても最終決定をしていただいて、その最終決定に対して委員の意見をまとめて、そうして為替にしても農林委員会としては、砂糖についてはこれくらいのものをもらわなくちやならぬということを、予算をもらうときに全員が寄つて大蔵省の金をとる。円はあとからどうでもなる。為替の決定がどうなつたということで、すぐ砂糖の相場の上げ下げに関係して来る。だからわれわれとしてはこれは重大なことなんだ。だからわれわれがここで、あなた方が為替の割当について一応おきめになつたことについて不服であるとか、これではいかぬとか、これ以上やむを得なければこういう法律処置が必要であるとかいうようなことを考えなければならぬから、こういう意味合いにおいて、ぜひ遅くも二十五日までには政府の腹はこうだ、それに対してわれわれ同意ができるとかできぬとかいうことを考えなければなりませんから、ひとつ大臣とも十分御相談の上、通産当局とも御協議の上で、政府の砂糖、油脂、これは同じだと思う。これらに対する具体案を決定して、ここにお示しを願いたいということをお願い申し上げる次第であります。
  91. 平野三郎

    ○平野政府委員 できる限り御意見を尊重いたしまして、努力をいたしたいと思います。
  92. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 関連して……。ただいまの河野委員の御質問に対して平野政務次官は、十八日に参議院の方へ返事をすることになつていたが、まだ用意ができないから了解を得るつもりでおりますということでしたが、このごろ新聞に発表されたのかあるいはどうして出たのか知りませんが、大体ああいつた方向でございますか。こういつた考え方とこういつた考え方とがあるんだが、こううふうにしたいとか、大体の何かお考え方がああいうふうに出たのではないかと思いますが、その辺は伺うわけには参りませんでしようか。
  93. 平野三郎

    ○平野政府委員 ただいま政府部内で検討いたしているわけでありまして、まだ何ら結論が出ていないわけでありまして、従つて新聞は発表するというようなことはやつたことはございません。どういう記事が出ておりましたか存じませんが、政府の関知せざるところでございます。
  94. 川俣清音

    川俣委員 ちよつと関連して……。先ほど河野委員からの質問に対しまして、二十八年度における政府手持糖、いわゆる輸入その他公団等から手持ちいたしました政府所有の砂糖の売払い実績、随契を見ますると、非常に不可思議な状態が現われていると思うのです。長官が就任された以後における二十八年の五月ころは、売却価格が六〇キロ当りで三千七百円。当時当月における東京取引所の相場が三千七百八十円。入札日における当限東京取引額が三千八百八十円。大体五月ころにはそうなつておりますが、九月五日に至りまして、それよりも安く三千四百八十七円で売却いたしておるようであります。しかもその売却、日月における当限東京取引相場は三千八百六十円となつて、かえつて当限相場は上つておるはずです。上つておるにかかわらず安く払い下げておる。しかも入札日における当限東京取引所の相場は四千十円となつております。しかもそのうち菓子協同組合などは約百トンですが、殿木商店というのに対して六百四十八トンというような割当をいたしておる。非常に安い価格で株式会社殿木商店に六百四十八トンも出さなければならないというのはどういう理由であつたのですか。これは相当大きな数字であります。全国菓子協同組合に対して百トン、全国パン協同組合に対して百トン、そういう状態であるにかかわらず、いずれも少いにかかわらず、株式会社殿木商店だけは六百四十八トンというように大量に、しかも相場よりも特に安く、五月よりも九月には大体相場が上つているのにかかわらず、特に安く払い下げなければならなかつた理由はどこにあつたか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  95. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 御承知のように政府の手持ち砂糖は、公団が解散いたしました後におきまして政府が肩がわりしたものでございまして、昭和二十七年以前のものでございますので、われわれがこれを売却する価格といたしましては、この入札の価格の仲値に対しまして、入札日から契約日までの間におきます価格の変動、それまでの間に価格が高騰いたしました場合にはその割合をかけますし、そのときに下つております場合におきましてはその割合を引く、こういう形でやつてつておるわけであります。これが全部同じ売却日の場合におきましては全部同じ価格ということにいたしておるわけでございます。なぜそういうふうにするかと申しますと、政府の所有いたしておりますものは公団の残量でございますので、規格がいろいろあるわけでございます。従いまして入札いたしましたものの仲値をその品物に対します普通の価格というふうにいたしまして、その後におきまする砂糖の価格の契約日までの変動の率をかけて売却いたす、こういう方針を一つのルールとしてきめまして、それによつてつてつたのでございます。
  96. 川俣清音

    川俣委員 それでは説明になりませんよ、この随契分の内訳表によりますと、二十八年五月八日までは、やや上等でありましようが、これが三千七百円、八月二十日においてはちようど九月五日と同種類のものを三千五百四十九円で売つております。ところが九月五日になつて同種類のものを、しかも相場が上つておるにかかわらず三十四百八十七円という相場に引下げて売却された理由の説明にはあなたの説明はなりません。また逆に上げて行かなければならない。
  97. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 それは入札から契約日までの前後の関係がございますので、この具体的な計算につきましては計算方式なりその他について、金額をお渡ししてよろしゆうございますが、そういう形におきまして入札日から以降のものをやるわけでございますが、これは御承知のように契約日その日をとるわけに参りませんので、その場合におきましてはいつも大体前日二日ないし三日というふうな形で契約の決済を進めるわけでございます。その前後の関係は多少あるかと思います。当時におきましては毎日の平均額をとつてさようにいたしておるわけでございます。
  98. 川俣清音

    川俣委員 それも説明になりません。五月八日のものでありまするならば、幾らか違うとかいうことはいえるでしよう。ところが八月の二十日でもうあと十五日です。当時の相場は漸次高騰しておることはあなたの方で説明しておる、この表に明らかに出ておる。それをなぜ下げなければならぬか、相場は上つておる、入札日における当限東京取引所の相場は八月の二十日も九月の五日もかわりないようですが、当限の相場はむしろ上つておるのです。それにかかわらず売却値段だけが下つておるというのはどういうわけか。
  99. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 この点につきましては私はただいま申し上げたようなことでやつておりますが、具体的数字につきまして御報告申し上げたいと思います。その当時にとりました価格ということにして、入札日の価格はこういうふうになつておりまして、これは毎日の価格をとつておりまするので、そのデータを後刻出したいと思います。
  100. 川俣清音

    川俣委員 何のために殿木商店というのに売却しなければならぬのか。
  101. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 御承知通りわれわれといたしましては入札と同時に、この随契につきましては範囲を限定いたしております。その時分には一つの価格でもちまして、入札価格の仲値から、その後の変動を織り込むという形におきまして、相手を特に限定いたしておりませんで、申請がございまするとそういうふうにやつてつた。     〔綱島委員長代理退席吉川委員長代理着席〕
  102. 川俣清音

    川俣委員 そうするとその売却の相手は申請があつたものに全部割当てたのですか、そうじやないでしよう。これは全国菓子協同組合または全国パン協同組合でももつと多くの希望をしておつたにかかわらず、百トンより割当ててないのです。どうもあなたの説明とちつと違う。
  103. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 御承知のように九月五日はおそらく政府所有手持の最後だと思つております。最後でございまするので今までの申請のものを全部とりまとめて、たしか私は基礎があり按分か何かで数量をきめたと思います。従来たまつておるものをそこで全部やつた。これは最終の政府所有手持ちの処分でございますので、申請がありますものについてのものをやつた、こういうふうに私考えておりますが、なおそれぞれの基礎につきましては同時に御報告いたしたいと思います。
  104. 川俣清音

    川俣委員 これは協同組合というような一つの法人組織でありまするならば、競争については按分比例でやるとか適当な配慮を加えるということがありましようが、株式会社殿木商店だけに六百四十八トンも特に多く割当てなければならないという根拠がどこにあつたのか、大体今まで全国団体等に対して、あるいは協同組合等の団体に対しては、優先的にやるというふうな建前をとつておられることは了承しておるが、その方の要望は押えて、単に個人会社——個人と同じです、その個人に対して特に大きな割当をしなければならぬという理由がどこにあるか。しかも最後の割当です。あなたの説明するのは、最後の割当ですから最も公平な割当、最も適当な割当をしなければならなかつたのではないか。しかも相場が、当時の相場より非常に低い相場で割当てているのでありますから、特に公平を期しなければならぬ。だれでも申請した者にやるというのでなく——もしもだれでも申請する者にやるということであつたならば、こういう安い価格でやるならば、むしろこれは公示をして入札すべきものであると思う。
  105. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これはたしか八月二十日だつたと思いますが、政府手持ち全量について入札をいたしまして、その残りましたものにつきましての最後の処分でございます。入札は毎月やつてつたわけであります。この最後のときにいたしたわけであります。この額、九月五日にそれぞれのものにつきまして契約をいたしました価格の問題、同時にその数量の問題については、今手元に資料を持つておりませんので、調べて御報告いたします。
  106. 川俣清音

    川俣委員 入札の問題を私は問題にしているのじやない。随契でありながら、個人に対してこれだけ出ているという根拠はないじやないか。入札でありますならば、個人であろうと何であろうと参加して、一定の保証金を積むとか、一定の資格があるならば問題はない。随契だから問題にしている。あらためて資料をもつて御答弁願いたいと思います。
  107. 前谷重夫

    ○前谷政府委員 これは先ほど言いましたように、入札した残量につきまして最後の処分をいたしたわけであります。資料によりましてさらに御報告いたします。
  108. 中村時雄

    ○中村(時)委員 通産省の次長に一言言つておきたいのは、先般あなたに、外貨割当に対する砂糖の計画的なずれがこういう結果を招いたということに対して質問いたしましたところが、あなたは、その当時はそう考えておつたか、農林官僚の一部がそういう必要はないと言つたのでやめたということを発表された。そうしてその名前を言え、言わぬということで、ここで問題になつた。ところがきよう政務次官がそれを率直に認めてあやまつておる。そこで一応けりがついたのですが、その後においてあなたがこういうことを発表しておる。ある人に対し、中村時雄というやつは実にうるさいやつだ、この砂糖の問題について小うるさく云云したということをあなたが発表された。もしもそれが、あなたが発表していないというならば、そういう証人を連れて来る。しかし連れて来た以上、あなたは責任をとつてもらわなくちやならぬ。あなたが私に対して、心の中でどう思おうとそれはかつてです。しかし言動に出した場合においては、当然これは影響が出て来る。ということは、あなた方自身が真剣にこの砂糖の問題に関して考えていないか、でなかつたら自分のちやちな頭をりこうだと思うか、あるいは人をさげすんだ気持なのか、自分のうぬぼれなのか、そういうことになる。それに対してあなたはそういうことは絶対に言つたことはないというのか、あるいはあなたにかりにもそれに類似した行為があつたかどうか、これをお聞きしたい。
  109. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 この前中村先生からいろいろご質問がありました後に、たしか製糖協会の幹部だつたかと思いますが、繰上げ輸入の問題、あるいは今後の台湾糖の輸入の問題で相談に見えたことがあります。そのときにたまたま、農林委員会でいろいろ砂糖の問題が議論されてこういうふうなことであつたというようなことを申しましたら、かれらもまた新聞等で知つておりますので、その内容をいろいろ私に聞いたことがあります。私は中村さんの言われたことを非難をしたりした覚えは全然ございません。具体的に、私が申したことが、どういう非難めいたことを申しておつたかわかりますれば、私もその人に、言うたかどうかはつきり調べてみますが、国会ではあらゆる場合において、いろいろの議論や意見なりをお伺いいたしますが、それに対して、感情的に気分が悪くなるというような場合もありますけれども、別段それを業者の前で、具体的にどういう表現で私が申し上げたか覚えておりませんが、私自身といたしましては、中村先生の言われたことを、別段非難をしてそれを伝えた覚えは全然ございません。ありますれば、具体的にどういうことを言いましたかお示しを願えれば、あるいは思い出すかもしれませんが、そういう記憶は全然ございません。
  110. 中村時雄

    ○中村(時)委員 あなたの言を信用して、非難的でないということならば一応私も了承しますが、ただ問題は、中村のやつは小うるさいやつでこうこうだと、そう自分で思うことはいいのですけれども、発表するときにはよほど注意してやつてもらいたい。特に私たちがやつていることは、そういうおもしろがつた行為で言つているのじやない。この砂糖の問題を取上げても、事実これをある程度の安定をさせたいというふうにほんとうに考えているから、一生懸命やつているのだ。何も時間をつぶしてまで、こんなことする必要はないことを言うのじやないのです。だからそういう意味において真剣にやつているのだから、そういうような茶化したような行き方でなくして、あなた方も真剣に取組んでもらいたい。そういう意味において御注意をしておきます。
  111. 松尾泰一郎

    ○松尾政府委員 決して茶化したように言われておるとも思いませんし、また私らもこれは真剣に考えておるわけであります。これは何かの誤解じやなかろうか。決してそういうつもりで言つた覚えもございませんし、そういうつもりでこの問題に対処しているわけでもございませんから、ひとつあしからず御了承願います。
  112. 吉川久衛

    ○吉川委員長代理 政府委員の都合等もございまして、本日はこれにて散会いたします。     午後四時一分散会