○中島
政府委員 電気料金の値上げにつきましては、一月の二十日に申請が出まして、現在なお
検討を続けておるわけでございますが、この電源開発の進捗に伴いまして、逐次電力の原価が高騰しつつある、
従つて早晩この料金の引上げは免れまいということは、すでに昨年以来われわれも予想しておりました。昨年の夏ごろから、できるだけこの引上げを抑制いたしますために、いろいろ
努力をして来ております。それは
お話の
通りに、この原価の増高ということは、主として資本費の値上りということになります。
従つて金利あるいは諸税といつたようなものが、新しい水力発電費につきましては全体のコストの九〇%以上を占めているという現状にかんがみまして、
金利を
引下げ、また税金を減免するという方向につきまして、いろいろ折衝をいたして参つたのであります。なかなかいずれも容易に進行いたしませんでしたが、最近予算の編成前後におきまして、ようやくある
程度の数字が出ておりますが、それだけではまだ十分ではございません。ただいま出ておりますのは法人税、
事業税、固定資産税この三つの税制につきまして、ある
程度の減税の
措置をいたし、それから
金利につきましては、開銀の
貸付金の七分五厘という
金利を二月一日から六分五厘に一分
引下げております。これはすでに決定いたしております。この減税
措置等も法案が
通りました場合におきまして、この
金利とあわせまして、全体でいわゆる一割四分四厘という値上率から二分六厘
程度がその面だけで
引下げられる、こういうところまで来ております。
従つてその残りのものはこれはもし今のような
考え方がさらに一層進められるか、あるいはまたもう少し違つた税種につきましても
考えられるということであればいいわけでありますが、現在のわれわれの
努力によ
つて、今のところはその
程度で、これ以上は今すぐ急速に何らかの
方法が実現できるというふうには、遺憾ながらわれわれは期待できないわけであります。しかしほ
つておきますと、将来もだんだんに電力の原価が上
つて参りますので、今後の問題としては、むろん税金につきましても、さらに一層の減免
措置を講ずるようにいたしたいと思
つております。
それから税金あるいは
金利を除きましたその他のいわゆるコストの問題でございますが、それが、実際に業者の申請しておりますものがどの
程度まで認められるかということは、目下
検討の段階でございます。いわゆる低物価政策あるいは石炭に対します炭価の
引下げの政策というふうなものを
考えます場合に、ある
程度経費の面におきましても将来
引下げを期得できるものがある、これはできるだけ考慮いたしまして、たとえば石炭費等は、現在でも申請の根拠にな
つております昨年の上期の実際の炭価に比べて、すでにかなり低落いたしております。この傾向が将来ずつと続くとすれば、
相当大幅に発電費においては原価が下るということにな
つております。それやこれやほかの点につきましても十分
検討を加えまして、最終的に結論を得たいと思
つております。もちろんわれわれといたしましても、できるだけ値上げを抑制いたしたいという
考えでありますので、やはり電源開発というものは将来もなお続けて行かなければなりませんし、それにつきましては、自己資本というものを調達しなければならないという見地から、もし何らかの方策を講じないで、しかもある
程度認めらるべき値上げが認められぬということになりますと、これは電気
事業にと
つては、将来の発展政策のために非常に憂うべきことでありますので、そういうことがないように、しかもできるだけ値上の幅を抑制するようにというつもりで
努力しておるわけであります。
それから特に各
事業者に対します影響をそれぞれ調べておりますが、御
指摘になりましたような
肥料あるいは農事用電力というものにつきまして、現在申請されておりますままの制度で行きますと、かなり大幅な値上りになります。その理由は特に
肥料につきましては、従来割当制でも
つて比較的他のものに比べまして、安い電力が割合に多く割当てられておつた
関係上、従来はほかのものに比べて比較的に電気が安かつた、それが今度は一律の方式によ
つて料金が計算されます結果、非常に値上りが大きくなるということになるわけでありますが、これでは非常に困りますので、特に電気炉については、いわゆる負荷調整をするということにしまして、できるだけ安い電気を使
つてもらう、料金の特約と申しておりますが、
工場別にそういう特約をいたしまして、大幅な値上りにならないようにということを各社では
考えております。またわれわれの方でも、もし
実施する場合にはそういうふうにということを指示しております。従いまして、それはむろん現在のところは、各電力会社と折衝いたしておりますのは、今申請されております制度及び料金をベースにしていろいろ相談をいたしておるわけでありますが、これはかりに認可されるにいたしましても、
内容的には
相当の修正が行われますので、最終的に特約の結果どの
程度の料金になるかということはまだ出ておるわけではございませんが、現在の申請の制度を基礎にいたしまして、その点について一応そういうふうなことを
考えておるわけであります。
それから農事用につましても、これは特に地方によ
つても違いますけれ
ども、三割から五割、あるいは八割以上の値上りになるというふうな
意見も出ておる、なるほど
相当高くなるところもあるようであります。これは特殊な使い方をいたしまして、いわばどちらかといいますと、比較的水の多い豊水期に農事用電力というものは一番多く使われるわけであります。そういう
意味からいたしまして、現在電力業者が申請いたしておりますものも、ある
程度の割引きはいたしておりますけれ
ども、それをもう少しその点で大幅に
考える必要があるのではないか、まだ結論は出ておりませんが、
考え方といたしまして、そういうふうなことを
考えております。