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1954-03-27 第19回国会 衆議院 内閣委員会農林委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十七日(土曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員  内閣委員会    委員長 稻村 順三君    理事 大村 清一君 理事 平井 義一君    理事 八木 一郎君 理事 山本 正一君    理事 高瀬  傳君 理事 下川儀太郎君       江藤 夏雄君    大久保武雄君       永田 良吉君    長野 長廣君       船田  中君    山崎  巖君       飛鳥田一雄君    田中 稔男君       中村 高一君    辻  政信君  農林委員会    理事 佐藤洋之助君 理事 綱島 正興君    理事 福田 喜東君 理事 吉川 久衛君    理事 芳賀  貢君 理事 川俣 清音君       秋山 利恭君    小枝 一雄君       佐藤善一郎君    足鹿  覺君       井谷 正吉君    井手 以誠君       中澤 茂一君    中村 時雄君  出席政府委員         行政管理庁次長 大野木克彦君         総理府事務官         (行政管理庁         管理部長)   岡部 史郎君         農林政務次官  平野 三郎君         林野庁長官   柴田  栄君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房文書         課長)     武田 誠三君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  安田善一郎君         農林事務官         (農地局総務課         長)      正井 保之君         農林事務官         (食糧庁総務部         総務課長)   村田 豊三君         内閣委員会専門         員       龜卦川 浩君         内閣委員会専門         員       小關 紹夫君         農林委員会専門         員       難波 理平君         農林委員会専門         員       岩隈  博君         農林委員会専門         員       藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九一号)     —————————————
  2. 稻村順三

    稻村委員長 これより内閣委員会農林委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして内閣委員長であります私が委員長の職務を行います。  それではこれより行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑に入ります。質疑の通告がありますから、順次これを許します。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 私は今回の定員法の一部改正法律案関連いたしまして、主として農林委員会の立場から若干の質疑を行いたいと思うわけであります。  まず最初行政管理庁長官がおいでになつておれば、順序としてお伺いしたいのでありますが、まだお見えになつておらぬようでありますから、お見えなつた場合にさらにその質問はいたしたいと思うわけであります。今回の定員法改正内容を見ますと、その主たる目的というものは、これは昭和二十九年度の予算内容と重大なる関連を持つておるように考えるわけでありますが、この提案理由趣旨説明によりましても、わが国の自立経済を達成するために、できるだけ国家財政の中における行政費を節減するというところにねらいがあると思うわけでありますが、もちろん行政費の中において占める人件費割合というものは、年々累増しておることは否定することができないわけでありますが、ただ単に各省人員整理するということだけで、この目的が達成されるということは考えられないわけであります。それで結局一面において定員削減するという場合においては、その削減された後において行政機構がいかに合理化され、簡素化され、しかも弾力を持つた効率化を期することができるというような二つの、いわゆる行政機構改革人員整理というものは、両々相まつて進まなければならぬというふうに考えるわけでありますが、今回の行革内容を見ますと、当初ば相当強力に機構改革をやるというようにうたわれておつたわけでありますが、現在の段階においては、かかる行政機構改革合理化という点に対してはいささかも見るべき点がないのであります。ただ単に定員を圧縮するというところに帰納しておるように考えるわけでありますが、これらの考えをもつて、現在の行政機構の中において担当せられておる諸般の任務というものを、遺憾なく遂行して行けるものであるかどうかという所信を、まずお伺いしたいのであります。     〔「農林省側説明を先に聞いてみ   なければわからない」と呼ぶ者あ   り〕
  4. 稻村順三

    稻村委員長 それでは農林省側定員整理に関する説明を求めます。農林省文書課長武田説明員
  5. 武田誠三

    武田説明員 私から今度の定員法改正に伴います定員整理関係につきまして、概略の御説明を申し述べます。  現在農林省定員総数は七万七千三百六十七名あるわけでございますが、これに対しまして、今度の定員整理総数が五千九百八十三名でございます。全体といたしまして約七・七%の整理率に相なるわけでございます。局別に申し上げますと、こまかくなりますが、特に整理率農林省の中でやや高めにきまりましたのは、統計調査部食糧庁本庁でございまして、これはいずれも九%余りの整理に相なつております。今度の定員整理に際しましては、行政管理庁の方からもいろいろお話があつたわけでございますが、大体現在の事務合理化いたしまして、でぎるだけ少数人員でまかなつて行きたいということの考えから、いろいろと算定をいたしたわけでありまして、現在の仕事をやつて参ります上に、この程度整理でありますれば、まず何とかやつて行けるのではあるまいかというような考え方でございます。大体そういうようなことでやつたのでありますが、特に統計調査部なり食糧庁につきましてはやや高めでありますが、現在の統計仕組み等につきましては、できるだけさらに合理化の線を進めまして、この程度整理であればまず何とかやつて行けるだろう、こういうように考えておる次第でございます。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま大略の御説明を受けたわけでありますが、平野農林次官見えておるのでお伺いしますが、今回の行政整理数字的なものを検討した場合においても、農林省関係定員削減が一番大きいのであります。全体を平均いたしますと、約四・四%程度がねらいでありますが、農林省関係は、今文書課長の御説明になつた通り最高率の四%程度、六千人以上に及んでおるわけでありますが、農林省機構の中においては、御承知通り地方に非常に広汎な組織を持つておるわけであります。たとえば食糧事務所にいたしましても、統計調査部にいたしましても、また現業庁の林野庁関係にいたしましても、これらは末端現地の住民との間における密接なる関係、また実際に現地現業面との関係、そういうような至大の関係を持つておるわけでありますが、特に食糧統計林野庁関係削減数字的においても非常に多いのであります。この三つを合しても五千人程度に及ぶわけでありますが、これらの削減によつてはたして農林行政が完全に行われるという自信の上に立つてこの行革案に御賛成になつたものであるかどうか、その点をお伺いいたします。
  7. 平野三郎

    平野政府委員 お話通り農林省は各地方に足場を持ちまして、そして国民としつくり結びついて仕事を進めて行く、こういう関係でございますので、できるだけ現陣容を確保して進めたいと念願しているわけであります。ただいま今回の整理程度農林省が一番多いというようなお話でございますが、必ずしもそうではないわけでございまして、今回の整理のほぼ平均をちよつと上まわつているという程度でありますので、この程度のことでは農林省としては、十分に責任を果し得ると考えている次第でございます。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの次官の御説明によると、必ずしも農林省だけが多いのではないと言われておりますけれども、それはどういうところからそういうような多くないという根拠が出ているわけでありますか。これは結局現在の各省定員から今後減員されるその整理人員を比較してみないとわからぬわけであります。ただ各省が何千人減員になるから多いとか少いとかいうことではなくて、現在の定員に比べてどの程度整理率が高いかという、かかる比較の上に立たぬければ、そのことは論ずるわけに行かないのであります。私の知る範囲においては、農林省最高率であるということを指摘したいわけでありますが、農林次官はそのことをまだ御承知ないですか。
  9. 岡部史郎

    岡部政府委員 お答え申し上げます。  先ほど芳賀さんからお尋ねのありました点につきましては、後ほど申し上げることにいたしまして、ただいまのお尋ねの点を先にお答え申し上げます。実は人員整理にあたりましては、各省一律に一定の率をかけるというようなことはいたしませんで、それぞれ各省には幾十幾百という職種があるわけでございますので、各省職員をその職種に区分いたしまして、そのそれぞれの職種に応じまして、各省ほぼ共通に同じような率をかけて行く、それによつて各省もまたがまんしていただくというようなことで、積み上げて計算して参つたのでありまして、各省を通じます職種につきましては同じような率、それも中央の本省で企画的な事務に従事いたします者につきましては、大体最高の率をかけることにいたしまして、これがほぼ二〇%以上になつております。それからいろいろな職種に応じまして、最低は二%というようなごく低い率をかけたものもあるわけでございます。それぞれそういうような職種構成によつて集計したものが、この率になつているわけであります。結局各省を通じますと、その率は一見して不公平なように見えるのでありますが、これはその省を構成しているその職種によつて、その率がきまつたのだというように御了承いただきたいのであります。農林省におきましては他の省より比較的高い結果に達したわけでありまして、全体として見ますれば、農林省の方が比較的高い率に達したということもございましようが、通産省も大体農林省と同じような構成の面があるというようなことで、通産省あたり割合に高くなつており、また建設省も大体同じような率になつておりますが、一方純粋に事務職員をもつて構成されておりまする官庁におきましては、さらに一割以上を越える高い率になつておるところがございます。また制度改正によりましてこのたび警察制度がかわるわけでありますが、この警察のごときはさらに高い率になつているというようなことでありまして、決して農林省が特別な理由によつて高くなつたというようなことはございません。  それから話は先にもどりますが、結局芳賀さんお尋ね通り行政整理にあたりましては、まず最初行政事務整理を行う、すなわち国家がどういう行政事務をどの程度までやつて行くか、これをやめるかやるかというようなことをきめまして、その仕事に応ずる機構合理化を行いまして、それによつて余剰人員を出して行くというのが、大臣も他の機会にたびたび申し上げているように、本筋であろうと思うのであります。ただこのたびの機構というものにつきましては、警察制度でありまするとか、公務員制度でありまするとか、それから農林省で申しまするならば国営競馬の廃止というような、その他若干のものしか今期国会には間に合いませんで、今後継続的に機構改革をやつて行く、また行政事務整理統廃合も、当然人員整理とあわせてやつて行くということになつておるのでありまして、またそれにあわせまして合理的な人員を算出すべきものであろうと存ずるのでありますが、一面この人員整理と申しますのは、単に事務整理機構の改廃だけで生み出すものではなくて、さらに行政事務内部手続簡素化であるとか、内部仕事やり方をかえるとか、一層能率を向上させるとか、それから事務処理方式合理化というようなやり方によつても、余剰人員を生み出すことができるわけであります。このたびは主としてこういうような事務整理、減少、それから執務の能率化事務処理方式合理化内部機構合理化という点からはじき出したのが、今度の数字でありまして、そういう点におきましては、もちろん今度の人員整理が不徹底だというようなそしりは甘受しなければならぬだろうと思うのでありますが、事情の許す限り現在の行政事務能率を阻害しないようにして、できるだけ人員を減らして、それによつて国費の節減をはかるというように、各省非常に熱心な御協力によりまして、このような数字をはじき出した次第であります。
  10. 中村高一

    中村(高)委員 ちよつと関連して。今の御説明によりますと、農林省通産省とは同じような率であつて、別に農林省は多くないと言うが、この閣議決定を見たものを見ると、八五一で農林省最高であつて通産省の方が七三四になつております。この数字から見ると、特別に農林省がこのパーセンテージに示されたものも多いのでありまするが、どういう理由か、あなたは通産省とも同じというようなことを言つておるし、またこの数字を否定されるわけでもない。今の答弁はどうも説明が十分でないようでありますが、もう一度このあなたの方から渡つておる資料でひとつ説明してもらいたい。
  11. 岡部史郎

    岡部政府委員 率につきましては先ほども申し上げました通り、それぞれその省の構成する職種によつてこの率が出て参つたわけでありますが、通産省はお示しの通り七%三五になつております。農林省におきましては、実はいろいろな数字が入つておるわけでございまして、国営競馬民間移管というような、職員が全部そのまま移つて行くというような数字も含んでおりますし、それからこれにはまた農林省におきます新規の増員百十六名も含んでないというようなことで、総体から見ますると決して農林省最高ではございません。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの行政管理部長の御説明でありますが、これは非常に抽象的であつて、具体的に了承し得る点が欠けておるのであります。申された通り、前段として行うべき行政機構改革というものは、所期の目的通り行われておらないということでありますが、そういたしますと、現在のような機構のままで、しかも現在のような政府職員に対する一つ仕事の賦課の現状の上において、どうして減員された後においてその仕事を遺憾なくやつて行くかということになると、一つは労働を加重させるというような点も出て来ると思いますし、もう一つは何かそこに大きな欠陥が出て来るということが察知されるわけであります。現在においても、定員が毎年のように圧縮されるという趨勢が進んだ場合においては、一面においてそれらの欠陥を補充するために、いわゆる非常勤職員とか常勤労務者というような、これを補強する状態というものが採用されておるわけでありまして、これらの関連の上に立つて現在の定員範囲においても、国家行政事務というものがようやく温存されておるというふうに考えるわけでありますが、これらの既往の欠陥を、ではいかにして是正して、この定員法改正を軌道に乗せるかというような自信のほどがあると思うわけでありますけれでも、その点はいかがでありますか。
  13. 岡部史郎

    岡部政府委員 お答え申し上げます。現在各省が世上一部に言われておりますような冗員をかかえているとは私ども考えておりません。しかし現在の定員の配置が、現在の行政事務を大幅に改廃し、機構を改廃いたさなくとも、それぞれ各省内部行政事務手続簡素化改善によりまして、過剰人員をある程度まで努力によつて生み出すことができるということは私ども確信いたしておる次第であります。今の行政事務手続がさらに改善の余地があることは、何人も否定できないだろうと思うのであります。そういう意味におきまして先般二月の十三日でございましたか、行政事務改善に関する閣議決定を行いまして、具体的な項目につきまして改善を行う、そういう目標のもとにそれぞれ着々実施に移しまして、これらの過剰人員整理しよう、こういうことに相なるのであります。もちろんこれらの過剰人員を生み出すにつきましては、各省その衝に当る当局及び職員全体の並々ならぬ熱意と努力を必要とすることは当然であります。これだけの整理を行うということは、ほんとうに血の出るような各省努力が、この裏づけになつておることを御了承いただきたいと思うのであります。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 時間の関係もありますので、それでは具体的事例をあげて、かかる減員が行われても、この業務というものはいささかも支障がないというような具体性の上に立つて質疑を進めて行きたいと思います。たとえばこの農林省関係で一番整理人員の多い食糧庁関係でありますが、これは二千五百人程度減員ということになつておるわけであります。食糧事務所機構は御承知通り全国市町村末端の農家と直接の関係を持つておるわけでありますが、これらの機構の上に立つて二千五百名もの人員削減するというような場合においては——市町村における末端食糧事務所においては、一名程度常勤者しかないところが非常に多いわけであります。現在でもそれが非常に不足しておりまして、食糧庁関係においては非常勤職員制度をとつておるわけでありますが、これを分類いたしますと、一つ農産物検査補助員という形で、約二千名程度が使われておるわけであります。その次は事務補佐員という名前で約五百名、さらに農産物検査臨時補助員という形で三千名であります。これらの非常勤職員臨時的にあるいは恒常的に用いることによつて、ようやく食糧検査等事務が持続されて行くわけでありますが、かかる実態というものをどのように考えて、しかも二千五百名以上の減員を行おうとするか。さらに食糧庁関係においても、機構改革あるいは負担の軽減というような機構上の変化というものは、何ら表面に現われて来ておらぬのであります。ただ最近食糧対策協議会というような機関を設けて、そうして将来食糧管理制度改正をやるというような意図が、政府においてあるようには聞いておるわけでありますが、かかる動きというものは、何ら現在の定員法改正する上における重大なる理由ということにはならぬと思うわけでありますが、そういたしますと、食糧検査事務等の上においても、国家食糧行政の面を担当する機構の上においても、当然重大なる影響が出て来るというふうに考えるわけでありますが、この点は管理部長におかれても、特に平野次官は、先ほど何らこの減員に対しては支障はないというような自信のほどを示されておるわけでありますが、具体的な事例の上に立つて、まず食糧庁関係の御説明を願いたいと思います。
  15. 岡部史郎

    岡部政府委員 お答え申し上げます。具体的なことにつきましては、農林当局から御説明申し上げた方がよろしかろうと思うのでありますが、ただいま御例示として食糧事務所関係非常動職員をたくさん使つておるじやないかということをお述べになりました。この非常勤職員あるいは臨時労務者の問題は、ひとり農林省のみでなく各省を通ずる定員外にはみ出した職員の問題でありますので、これは時間がありまするならば、あらためて詳しく申し上げたいと思うのでありますが、この問題は将来の公務員制度にも影響する大きな問題でありますので、皆様の御協力を得て、将来これを解決しなければならぬ問題であると思つております。ただ農林省の今の問題に関します限りは、私どもの考えといたしましては、食糧事務所仕事につきましては、ある程度まで仕事に谷と山とがあるので、その山、ヒータの面におきまする業務を円滑に処理いたしまするために、適正な規模の職員構成の上に立ちましても、相当程度のこのような非常勤あるいは臨時職員というものは、当然いつも附加される性格のものであろうと考えております。
  16. 平野三郎

    平野政府委員 今回の行政整理は、率直に申し上げますと、先ほども御意見がございましたように、行政機構改革と相まつて行わるべきものであつて政府としても行政機構改革にいろいろ努力をいたして来たわけでありますが、結局これが今国会に御審議願うまで間に合わぬ、こういうことになりましたので、最後的にはごく事務的な改正になつたのであります。食糧庁において二千五百人は多過ぎるのではないかというお話でございますけれども、これは率直に申し上げますと、現在二万八千人、あるときは三万人以上の機構であつたわけでありますが、昔は農林省米穀課ということで一課でやつてつて、それがだんだん米穀部から米穀局となり、食糧管理局という厖大な機構になつておるわけであります。これはやはり根本的に考えなければならぬ、こういうことで今食糧対策協議会を設けて、食管制度改革を意図しておるわけでございますが、それが結論まで出ませんから、結局二千五百人ということで、私としては農林省行政を担当して参りまする上からいつて、今回のこの程度整理においては、仕事支障を来すことはないということを確信を持つております。実はこれも率直に申し上げますると、当初はもつと大きな整理計画であつたのでありますが、事務的にいろいろ折衝いたしましてこれにおちつける。さきに農林省が非常に多いというお話でございましたが、これは農林省建設省通産省ほぼ同じ率になつておるわけであります。率直に申し上げまして、これならば私は今日農林省として納得し得るところである、かように考えておるのであります。
  17. 田中稔男

    田中(稔)委員 関連して、行政管理庁岡部部長お尋ねいたしますが農林省だけでなく各省を通じて常動もしくは非常勤労務職員というものが、相当数働いておるという事実でありますが、この問題について行政管理庁として、ひとつお答えを願いたいのであります。実はこの問題は食糧庁統計調査部の方の事情を調べておりまして、非常に問題としなければならぬと考えるに至つたのでありますが、今まで何回か行政整理が行われ、その行われたあと常勤もしくは非常勤労務者で補充するというようなことが、ずつと行われて来たわけでございます。具体的に申しますと、食糧庁は二十四年に六千六百三十五人というものを整理いたしまして、それを補充するために常勤事務補佐員千六百九十七人、非常勤の者を二千五百人、こういう数字の補充をしておるのであります。それからまた統計調査部におきましても二十六年に三千名の整理をいたしまして、そのあと常勤調査員を千五十五名採用しておる、こういうふうに定員もしくは定員外の要員の数は実際にはあまり変化がない、そのことは仕事の量がかわらない、あるいは仕事の量は従来よりももつとふえておるという事情から、どうしてもそういう変態的な政策をとらなければならぬということになつておるわけでありますが、さらにつつ込んでいろいろ調べてみますと、食糧庁のごときは農産物検査補助員という、これらは常勤労務職員があり、その下に今度は農産物検査臨時補助員といつて二箇月ごとに切りかえられる労務職員がある。その下に最盛期にごく短期間を限つて採用される労務職員がある、こういうふうに三段になつておる。そうして予算面においては、二十八年度において常勤労務職員が二千七百五十三人で、非常勤労務者が千三百八十人でありまして、これで約四千名であります。この四千名分の予算はとにかく何らかの費目で計上されておりますが、実際にはその四千人分の予算をもつて、四千五百人あるいは五千人の人を使つておる。つまり単価を下げまして、そういうふうに人数をふやしておる。こういうふうな無理なことまでやつております。これは食糧庁だけではなく、私は各省あるいは各局においてあることだと思うのでありますが、こういうふうな人事制度といいますか、人事政策といいますか、これを国が採用するということは、私は非常に重大な問題だと思うのであります。今日民間におきましても本工の採用もできるだけ少くいたしまして、臨時工というようなことで、本工同様の仕事をさせる。その場合にもちろん臨時工でありますから、本工よりもずつと賃金も安い。あるいはいろいろな手当その他におきましても、ずつと条件が悪いわけでありますが、こういう民間における現象も、私はどうも日本の労働問題として非常に重要な問題だと思うのでありますが、政府がそのお手本を示すというようなかつこうになりますと、一般企業においてそういう変態的な人事政策が、公然とさらに大々的に行われるということになる。こういうことをさらに突き詰めて考えますと、何か日本の労働者全体が、自分の労働に対する正当な報酬を受けないで、あるいは八〇%、あるいは六〇%に切下げられた労働報酬しか受けない。これは私は日本が今日やはりアメリカに経済的に従属しておるような形で、いわゆる経済の植民地化というようなものが進行している。やはりそういうことの一つの現われじやないか、こう思うのですが、こういう場合にやはり政府としましては、そういう傾向に対してはむしろこれは闘うということが、私は必要だと思うのでありますが、これは吉田内閣の政策全般に通じる一つの問題として、非常に重要でありますが、人事行政を担当しておられる行政管理庁の責任者としまして、こういう問題についてどうお考えになつておるか、ひとつ伺つておきたいと思います。
  18. 岡部史郎

    岡部政府委員 お答え申し上げます。先ほども申し上げました通り、ただいま田中さんからのお尋ねがありました問題は、きわめて大きな問題であると存じておりますが、一応簡単に御説明申し上げておきますが、実はこれは定員法のそもそもの成立ちの際及び現在の公務員制度を規定しております公務員法とも関連がある問題であります。御承知通り公務員法というものは厳格なるメリット・システムに基いて公務員制度を築き上げようという大原則を持つておるわけであります。この場合におきまして、この職員の数を規制いたします定員法におきましては、このメリット・システムに基きまして、正当に適法に選定せられた職員だけを実は定員法の中に入れようというような気持もあるわけであります。そういうわけでありますから、定員法の第一条件におきましては、二箇月以内の期間を限つて雇用される職員は、これは定員法に規制がないという建前をとつておるわけであります。その当時定員法が予想いたしましたのは、要するに二箇月以内の臨時的な職員というようなものは規制の対象の範囲外にしよう、そういう職員は便宜措置のために、人事権者として幾らとつてもよろしいというようなこと、これはメリット・システムの範囲外に置いております。ところが実際のその後の動きは、この二箇月以内の期間を限つて雇用された資格のない職員が、これはどういう形になつたかと申しますと、その期間を切りかえかえ更新して行つたわけであります。そうして実際役所の方でも普通の職員と同じような仕事をさせて行つた。そうするとこれらの職員を保護し、優遇するために何らかの措置を講じて行かなければならぬ実情が生じて参つたわけであります。それで実は二十五年に人事院通牒を出しまして、二箇月以内の期間を限つて更新させて行くものが、一年間以上継続して、しかもそれがなおそういう仕事がその役所に将来残るという見込があるものについては、普通の一般職の職員と給与上同じ待遇をしてくれという通牒を出したわけであります。それに基きまして二十七年から予算上も常勤労務者給与というものができまして、ここに常勤労務者というような制度ができたわけでありますが、これが二箇月以内の期間を限つて、それが更新されて行くという形であります。従いまして常勤労務者というものは、実はメリットシステムの反逆児であります。これを裏からもぐつて行くものでありますから、実はそういうメリット・システムの原則の上から申しますならば、かりに二箇月の期間と限つて無資格で雇用される者、これは実は大学の卒業生であるとか、相当教育程度の高い者もあります。しかしこれは大体資格試験を通つていない者であります。これがまた裏から定員の中にもぐり込んでだんだん上つて行くということは、実はメリット・システムとも矛盾するものがあるわけであります。しかしその処遇に関しましては、できるだけ尊重しなければならぬということにいたしまして、ただいま田中さんのお話でございましたが、その経歴も尊重いたしまして、普通の一般職の職員と同じ級別を与え、できるだけその処遇は定員法上の職員と同じように扱う傾向に参つております。これらの者が各省を通じまして臨時職種ということに名をかりまして、だんだんその役所のパーマネントな、コンスタントな構成員になりつつあるという傾向なので、これは実に重大な問題だと思うのでありますが、これらの職員をただ定員法の中にはめ込むということによりまして、実は解決できないいろいろな問題があるわけであります。  最後に田中さんがお示しのように、民間で言えば臨時工、本工というような問題と似たような点もあるのでありますが、また違つた面もある。それからこれらの職員を今後どうして行くかということに、もう一つ関連をいたしまして、実は各役所を通じまして臨時非常勤仕事もある。そうして臨時非常勤仕事を処理するためにコンスタントな冗員を構成員としてかかえて行くということもできがたい事情にありますので、ほんとうの臨時仕事臨時職員をもつてやらせて、その役所の恒常的な業務上に相応する職員を、恒常的な定員として規定すべきものではなかろうかと考えておるのであります。これらにつきましてはいろいろ多くの問題がございますので、私ども真剣に研究しなければならぬ問題と思つております。なお先ほど申し上げました通り、内閣に公務員制度調査会が今度できましたので、これの一つの重要な議題であると考えております。
  19. 稻村順三

    稻村委員長 田中君、関連ですから、簡単に関連範囲にとどめてください。
  20. 田中稔男

    田中(稔)委員 食糧庁の場合でありますが、定員とそれから今の常勤非常勤労務者、それを合計した数字は二十四年が三万三千三百幾ら、二十五年も三百三千幾ら、二十六年は三万二千幾ら、二十七年三万二千三百幾ら、二十八年三万二千幾らと大体同じくらいの数字になつております、つまりこれは食糧庁仕事全体の量はかわつていないということ、そうして先ほど申し上げましたように予算に計上をしてある常勤非常勤労務者職員の給与の単価を下げることによつて、その何割かをまた採用数をふやしておるというのでありまして、しかもそれは今申し上げた数字にも入つていないのでありますが、これは予算数字でありますから、実際の数字はもつとふえていると思う。こういうようなことを見ますと、政府定員法改正をやろうという計画は、まつたく破綻するものだと私は思うのです。定員をただ予算上落すだけでありまして、実際においては必要な数の人間は使つておる、こういうことは各省、各局全般に通じて言えることでありますから、私は今度の定員法改正というのは、まつたくこれはインチキであり欺瞞的なものだと思うのでありまして、私は政府当局がほんとうに良心があるならば、むしろこういう改正案というものは、ひとつ撤回していただきたいと思うのであります。これについてどうお考えになつておりますかお尋ねしたいと思います。  もう一つは、今いろいろお聞きしましたが、私どもは労働に対しては正当な価値を支払うべきだと考えるのであります。つまり同一労働、同一賃金の原則を堅持しなければならぬと思いますが、今お聞きしますと、普通の職員と同じような仕事をやらしておつて、しかも単価が低い。これは公正の原則に私は反すると思う。だから今までもたびたびそういうことについて、行政管理庁からお達しがあつたそうでありますが、各省で決してこれをまじめに受け取つておらぬから、その点を私は励行するように、もつと監督を強化してもらいたいと思います。しかしそのことはあくまで変則的なことでありますから、やはり同じ仕事をやつているならば常勤非常勤労務職員定員の中に繰入れるということに、ひとつ積極的な御努力を願いたいと思う。その二点についてひとつ御所見をお聞きしたい。
  21. 岡部史郎

    岡部政府委員 お答え申し上げます。第一点につきましては、このたびの人員整理と申しますのは決して田中さんのおつしやるような点はないのでありまして、各省とも実に熱心に御協力くださいまして、実情の許す限り定員を減らすことによりまして、それによつて国民負担の軽減をはかる。先ほどお話も出たのでありまするが、ここ数年の行政整理によりまして、農林省を例にとつてみましても、実に定員の著しい減少——食糧庁関係あるいは農林調査関係でそれぞれ一万名近くの定員減があつたと思うのであります。そういうように農林省におきましても、業務量は減少しないにもかかわらず、職員努力によつてそういうような定員の減少をはかりつつあるわけであります。なおその次の常勤労務者非常勤職員につきましては、制度が各方面に影響するところもありますので、政府当局におきましても、前に申し上げました通り、慎重に研究いたしたいと思つております。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの部長の御説明によつて、結局今までの行政整理の跡を見ても、定員が圧縮された一面においては、定員外常勤非常勤職員がそれと逆比例にふえておるということは否定になつておらぬというように考えておるわけでありますが、今度の予算の中においても、二十九年度分の定員減の人件費の圧縮はあると思うわけでありますが、この定員が圧縮された一面において、仕事の分量を定員外職員に負課させるというようなことは、当然予算的な措置の上においても現われて来ておらなければならぬというように考えますが、この辺の配慮はいかになつておるかということと、さらに現在の段階において、定員の問題と定員外職員の問題と同時的に解決することは至難であるというようなお話がございましたけれども、この定員外職員の問題は非常に重要性を持つておりまして、たとえば身分の保障の問題であるとか、あるいは給与の問題であるとか、これらはここで一朝に論ずることはできないと思いますけれども、とにかく定員の圧縮と、そのはみ出たところの業務の分担を、定員以外の面において、いかなる予算的措置によつて処理せられるか、その点を伺いたい。
  23. 岡部史郎

    岡部政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましては、田中さんからのお尋ねの際におきましても、常勤労務者非常勤職員について減らぬじやないかというお話がございましたが、事実これは減つていないと思います。ということは、そういう臨時非常勤関係職員の職務が減つていないということは、私どもも認めなければならぬだろうと思うのであります。さればといつて定員の中に含まれておる職員整理されたから、それが非常勤のところに逃げ込んでみなふえるというのじやなしに、そういう臨時非常動仕事というものはある——これもまた整理する必要があるかどうかということは検討しなければならぬことでありますが、これは別問題として、そういうものがある。しかし定員法の中における定員を減らしたから、それが逆比例になつてみな逃げ出して非常動の方にふえるというようなことは、田中さんもお認めにならなかつたので、私も触れなかつたわけであります。決して芳賀さんのお話のように、逆にこつちがふえて行くんだから差引き同じいというようなことではございませんから、御了承願いたいと思います。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 私はそのような減少というものは、実質的に必ず出て来るということを予見して申し上げておるわけであります。たとえば人件費の上に現われて来ない場合においても、業務員か何かの中で適当にやつて行くということが、これはいわゆるひとつの技術であるというように考えておるので、そういうことであつては、一番基本的なねらいであるところの行政費の節約ということは、それほど実際の効果があがらないのではないかというふうに考えるわけであります。  時間がありませんので次に進みますが、次に統計調査部関係であります。これも約千二百名くらいの減員になつております。統計調査部は御承知通り、毎回の行政機構改革においては一番大きな出血を受けておるわけでありますが、たとえば昨年の春以来農業関係の災害等につきましても、いかにして災害の実態を把握するかというような問題に対して、統計調査部の果した役割というものは非常に大きかつたわけであります。しかもこの行革最初の方針は、何か統計調査部食糧庁を一本の寄り合い世帯みたいなものにごしらえて、行政機構改革をやるというような、実に笑い話のような構想も一時あつたようでありますが、これがとりやめになつたということは当然なことでありますが、今度の場合においても、統計調査部減員が相当大きく出て来ておるわけであります。現有の定員に比べると非常にそのパーセントも多いと思いますけれども、今の統計調査部の役割というものは、決して食糧供出関係だけの仕事をやつておるということでないということは、わきまえておられると思いますけれども、これらの任務というものは、今後たとえば農業政策を強力に推進して行く場合においても、非常に基礎的な役割を果すということになると思いますし、国家経済全般の検討あるいは世界的な規模におけるところのわが国の農業の置かれた立場等を精密に分析する場合においても、統計調査部等の果すべき役割というものは、非常に大きなものがあるというふうに考えるわけでありますが、これらの機構というものは現在充実しているということは決して言えぬのであります。たとえば農村においては、調査補助員というような形の委任された人たちがおりまして多分一年に百八十円くらいずつもらつて、そうしてこの統計調査部仕事の補助をやつておるというような状態でありますが、これらはまつたくわれわれとしては理解できない現象なんであります。それを今回においてもこのように削減されるということは、この統計調査という仕事が、それほど現在の段階においては重要度が薄くなつて減員するのであるか、そういう点をわれわれが十分理解できるように御説明を願いたいのであります。
  25. 岡部史郎

    岡部政府委員 この統計の点は農林省からお答え申し上げた方がよろしいかと思いますが、私どもといたしましても、農林統計の重要性及び農林統計機構が中立的な正確な統計を確保する性質のものでなければならぬということは承知しております。それからまた現在の統計調査事務所の職員が非常な働きをしておる、また労働も相当過重な面も多いというのは、超過勤務手当の時間等を見ましても、非常に多いということも認めております。従いましてそれらの業務につきましては、これを尊重することは十分考えたいと思うのでございますが、それにもかかわらずなおいろいろな仕事の繁閑その他を考え合せまして、なおあるいは事務の手続の簡素化改善によりまして、この程度の人間は生み出し得るものというように考えているわけであります。  なおこの際全般的なことにつきまして申し上げますと、農林省職員整理はなかなか容易じやない、これは農林省当局においても非常な熱意にもかかわらず、なかなか容易じやないということは考えまするので、現在の六千の整理人員を二十九年、三十年の二年にわたりまして整理することにいたしました。二十九年度におきましては三千六十名ばかりでございまして、この三千六十名をどうして整理するかということにつきましては、これは簡単には言えないのでありますが、現在これが四月一日から整理いたしますのを円滑にやりますために、御承知の特別待命制度を実施いたしまして、その円滑化をはかつておるわけでありまして、この特別待命が現在二千九百余名出ております。この三千名の予定に対しまして、二千九百名の特別待命が出ている、また欠員が六百七十名農林省全体としてあるのでございます。これにこの欠員全部を当てはめるというわけには行かぬ事情がありますが、これもある。あるいはまた新規の定員増もあるというようなことを考え合せまして、農林省全体の御努力にまつならば、この程度整理は円滑に参るものと私は考えておりますので、あわせて御答弁申し上げます。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 今の部長の話はちよつと筋が違うと思う。これは臨時待命制度の志願者があれば、それか即定員削減を合理的に行う理由にはならぬと思う。こういうふうな制度がとられて、老齢職員であるとか、あるいは婚期に達した職員がかかる機会を把握するということは決してさしつかえないことであつて、こういうようなことになつておることから、スムーズに圧縮ができるということではないと私は考えておるわけであります。さらに二十九年度、三十年度の二箇年にわたつてこれが、実施されるということも承知しておるわけでありますが、要は二十九年度の予算の中に、はつきり現われて来ておるわけであります。今度の一兆円予算の中において、特に、農林省関係というよりも、食糧増産、あるいはこれに関連した公共事業費等の圧縮が非常に多いのであります。この多いということは、現在の吉田政府の持つておる一つ政策の中において、国内における食糧増産という、一番大きな自立経済の基本的な条件であるこの仕事を、やや閑却している、これが非常に後退しているということであります。たとえばMSAの関係等からもはつきり出ておるのです。だから二十九年度の予算が、農林関係において極端に圧縮されておるということから端を発して、この定員削減も大きく行われておるということは、これは非常に一貫性がないと思う。毎年の予算の編成と、それから政府定員の理論的の基礎との関係というものは、それほどないのではないかというふうに私は考えておるわけであります。今の御説明によつても、この統計調査部の果すべき任務というものは、今後ますます期待が増大して行くであろうというような御表明もあつたので、この削減ということには、部長自身もこれは無理があるということを御指摘になつているようであります。ただ平野次官はすべてこれで満足しているというようなことであるので、私は農林次官から別に期待する答弁を求めようとは思わぬわけでありますが、これは非常に遺憾であります。行政管理当局においても遺憾の意を表明しているのに、主管の農林省平野さんが満足している理由というものは、私はまつたく了承に苦しむわけであります。  さらにその次に問題を進めますが……。
  27. 川俣清音

    ○川俣委員 ちよつと関連して質問したいのです。行政管理庁ちよつとお尋ねしたいのですが、日本の面積、しかも食糧増産に必要な耕地あるいは山林原野、ともに正確な面積を把握いたしていないのです。今の農業統計調査部だけの人員では、抽出面積などを出しておりますけれども、これは正確なものでない。正確な日本の国土の面積までつかめないようなことをさしておつて、しかも人を減らして行くなんということでは、国の根本政策が立たないと思われなかつたかどうか、これが一点。しかも同じような収獲調査や面積調査を地方の税務署がこれまた行つています。今年の国税局の調べによりますと、今年度は農林省統計も当てにならないからと称して、徴税の上からであろうと思いますが、かなり精密な調査をなし遂げたと称しております。これもほんとうに調査したかどうかわかりませんが、したと称している。しかも相当の人員や経費をかけて調査したものであるから正確なものであると称している。農林省統計以上に正確なものだとしますれば、おそらく相当の人員と相当の経費をかけたことになると思うのです。一方で人員整理していながら、一方そういう不完備の調査をさした結果、他の省においてまた同様な経費をかけて行かなければならないというようなことについて、検討された上の人員整理であるかどうか、この二点をお尋ねいたします。
  28. 岡部史郎

    岡部政府委員 私からお答え申し上げるのは適当かどうか存じませんが、わが国の耕地面積についても、まだ確実な数字を把握できないというような事情、これにつきましては農政の権威である川俣さんが思い当るいろいろな事情があるだろうと思うのでありまして、私から申し上げるのはいかがかと思うのであります。これはひとり統計にのみ責を負わせるのは無理な点があろうかと思います。この点は川俣さんよく御存じのことだろうと思うのであります。  ただ私から第二点を、関連してお答え申し上、けたいと思うのでありますが、そういうお尋ねの趣旨におきまして、ひとり耕地面積あるいは米麦等主要食糧の収穫統計、その他そればかりではなく、すべてのわが国の重要な統計につきましては、簡素で強力な、しかも信頼度の高い統計をやり得るような統計機構が確立されなければならぬ。行政機構合理化の見地からは、そういう点におきまして改善の余地が非常に多いであろう。現在におきましては統計というものは、いろいろ各省におきましても、あるいは国と地方を通じましても、統計機構というものが非常に分立し、従いまして四万余に上る多くの職員をかかえておきましてなお川俣さんの御指摘のような不満があると認められますならば、この点におきまして将来考える余地が十分あるだろうということをお答え申し上げておきます。
  29. 川俣清音

    ○川俣委員 関連ですから、あまり長くはできませんが、答弁では十分じやございませんので、もう一ぺんお尋ねいたします。  統計の集中簡素化が必要であるという抽衆的な御答弁です。抽象的にはまことにその通り聞けるのです。しかし簡素化目的になつて参りますと、むしろ所期の目的が達成できないで、かえつて他の方面において多くの人員を必要とするような結果が生れたならば、これは簡素化が無意味になつて来る。要は、簡素化が必要じやなくして、いかにして正確なものを把握するかということに重点がなければならないと思う。行政管理庁は人を減らせば目的が達成するとなつたら、みな減らしてまつたらいい何もやらない方がいいということになる。どうしてこの目的を達成するかということに主力がなければ、経費というものはむだに使われた結果になると思う。もう一つ力を入れれば完備するのを、一人抜いたために全部使えなくなるというような結果になると思う。人を減らせばもつて目的が達成するというようなことは、本末転倒しているとお考えなつたことがないかどうか、この点をお尋ねいたします。
  30. 岡部史郎

    岡部政府委員 お答え申し上げますが、私単に簡素化と申し上げたのじやないのでありまして、正確度の高い統計がとれるような機構でなければならぬ。しかしそれが統計のための統計に堕してしまう。これは極端な言い方かもしれませんが(「極端だ」と呼ぶ者あり)統計を重視するあまり、国力にもふさわしくないような厖大な統計軍隊でもできてしまつてもまたたいへんだ。少し言い過ぎるかもしれませんが、そういうような批評も外国ではあるくらいなのでありまして、その批評が当つている当つていないは(「当つていない」と呼ぶ者あり)別問題といたしまして、統計というものが正確で、しかも中立性の高い、それでいて能率の高い機構でなければならぬ。それには単に人手が多いというようなことばかりではなしに、その権限、やり方、そういう点におきましても充実しなければならぬだろうと思うのであります。単に人を減らすことによつて統計事務目的をそこなうような点にまで至ろう、こういうことは決して考えておりませんから、御了承願いたいと思います。
  31. 川俣清音

    ○川俣委員 そこでもう一つ聞きたいのでございますが、日本でいわゆる気象観測をするようなところは、そこだけの統計はできております。ところが山の中の雨量や風速や降雪は全然つかみ得ない。そのために災害も起きており、あわててこれからまた調査をしようかということになる。これをずつと継続的にやつておられれば、もうすでにつかみ得たはずなんです。災害を防ぎ得たはずなんです。厖大な国費が濫費されないうちに、消極的な面に使われないで積極面に使われておると、相当な効果を現わして来たと思うのです。そういうようなことで、一番目立たない部分から人を削減して行くというような考え方は、これはやめるべきじやないか。もしも人を減らして行くならば、もう少し機械化して能率的なものにして行くということならまだ話はわかる。行革で人を減らす場合、自転車にかわるに自動車にするとか、あるいは飛行機にするとかいうことによつて能率を上げるのじやない。自動車も切つて自転車にする、人は減らしてみるということなら、能率は下つて行きはせぬか、こういうお尋ねをしている。もつと積極的に、人は減らしたが飛行機によつてその不足分を補うのだ、これなら話はわかるが、あなたのはただ人を減らすより考えがないのじやないか、その点を聞いているのです。
  32. 岡部史郎

    岡部政府委員 川俣先生の御趣旨に私は全面的に賛成でございます。ただ例の山間の雨量の調査というようなことも、これをできるだけくふうをこらし統一的にやるべきものであろう、それによつてもうとつくにそういうことも把握して災害の予防に尽すべきだろうと考えておりますが、これは私個人的な意見で申し上げますけれども、学者の説によりますと、そういう山間の雨量の調査についても、いろいろな方面から調査するということも、不十分にしか行われていないというような意見があることを承知しておりますが、そういうような点におきまして、それから人を減らすならばこれを機械化して能率の充実をはかるべきだというお説にも賛成でございまして、そういう心がけで人員整理をやりたい、こう思つておるのであります。
  33. 足鹿覺

    足鹿委員 関連して一点だけ。さつきの常勤の問題に関連してお伺いをしておきたいのでありますが、芳賀委員が質問しております趣旨を管理部長はよく御理解になつていないのじやないかと思うのです。問題は、実際的に非常勤職員なるものを置き、農業関係は非常に季節によつて仕事の繁閑が著しいために、そういう場合においては特に補助職員を置いてまかなつておる、こういう構えになつておるわけであります。従つて補助職員なるものと非常勤職員なるものとは、おのずから区別があるのでありまして、この非常勤職員なるものは、結局において業務を執行して行く場合において、季節の繁閑にかかわらず必要なものなのです。その証拠には、当初において非常勤職員に対しては、身分の保障の点についても、あるいは給与の点につきましても、著しく常勤職員と等差がついておつたが、漸次これが問題になるに従つて、たとえば共済組合の加入を認めるとか、いろいろな点で改善が加えられて来ている。そういつた面において、管理部長はこの点は重要であるからとくと考えたいと言われておりますけれども、考えの中心というものは、やはり非常勤職員を補助職員の区別を明確にして、非常勤職員は、その身分の保障の点なり、給与の実態については、定員と同様にして行く措置が事実においてとられておるのでありまするから、これは当然業務執行に必要欠くべからざる定員として、これを定員の中に入れるのが本来の趣旨であろうとわれわれは思う。その点についてどういうふうにお考えになつておるのか。事実この定員削減を強行されて行くと、実際においては非常勤職員なり補助職員に漸次まわつて行かざるを得ないのではないか、こういうことにさつきから芳賀委員が一番重点を置いて、ついておつたと思うのです。その点について管理部長はどういうふうにお考えになつておりますか、御所見をひとつ承りたい。
  34. 岡部史郎

    岡部政府委員 ただいま足鹿さんのお尋ねの点におきましては、言葉はちよつと違うかと思うのでありますが、今のお話非常勤でなくて常勤労務者の範疇の問題であります。農林省には常勤労務者常勤労務者以外の非常勤職員というのがございまして、常勤労務者は一般会計で二千五百人ばかりおると思つております。そのほかの会計において非常勤職員というのが三十一万七千人ばかりおるのであります。私率直に考えますと、この常勤労務者二千五百人、そのほかに特別会計にも若干いようかと思うのでありますが、この常勤労務者につきましては、お説の通りにこれに定員法なり一般職員と同じような待遇を与えるために給与法も適用いたし、級別も与えまして、職務の給も与えております。共済組合も大体これに適用になつておるはずであります。それから身分の保障も次第に与えているはずでありますが、これらのものがお説の通りその役所の恒常的な、コンスタントな構成員に相なりますならば、それが明らかでありまして、しかもそういう資格があるものであるならば、これを定員の中に繰入れて行くことが、大体適切なことではなかろうかと思うのであります。御承知通り定員法というものは、ただ定員をつかまえたというのではなくて、農林省なら農林省という役所を構成するのに、上は事務官から下は給仕、小使を想定いたしまして、そういう正しい役所の姿を考えまして、それを定員として組みまして、それ以外に臨時仕事に従事するものは定員外だ、こういう構成をとつております。従いまして各省の具体的な事情に応じまして、それが現在の常勤労務者の中で真に構成的なポジシヨンを占めるようになりますならば、これは定員の中に含まれるのが理論的には筋であります。ただ具体的にどの職員が入るのかということは、これはそれぞれの省の実情によるのでありまして、その省で欠員がある、欠員ができて参りまして、これを補充いたします場合には、非常勤労務者の中から繰上げて行くというのがその実情だろうと思うのであります。  それからもう一つの、足鹿さんが後に御指摘になりました非常勤の三十一万七千の中にも、これも年間五百円とか千円とかの手当をもらつて月に一回農地を見まわるというような純粋の非常勤のほかに、業務の形態として実はは常勤的なものが若干あるのではなかろうかと私どもは考えております。これらにつきましては、これをどうするかというようなことも、これは農林省が十分御配慮しておられることと存ずるのであります。そういうような問題を合せまして、この常勤労務者、非常勤労務者というものと定員法、公務員法の問題をどうするかということで、これからいろいろ解決すべき点の多い問題があるということを御説明申し上げた次第であります。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 私は先ほど常勤労務者と申しましたが、常勤労務者の間違いでありますから訂正しておきますが、ただいまの部長の御答弁やは、これは当然定員に準じた身分の保障なりあるいは給与の点についても考慮しておる、こういうことでありますが、第十六国会で改進党が主張されまして、例の行政費の一四%削減が起きました。そのときに四百七十九名という実際上の首切りが起きようとした。今部長が仰せられるように、そういうふうに措置はしてあつても、予算の点で実際上の首切りがたやすく行われうるよな不安定な点にあるということは、これはお認めになるでしよう。そういつた面からいつても、実際上定員内のわく内の職員と同じ仕事をしておりながら、実際上はそういう身分の安定上不十分な点がある。この点は当然改正してよろしい、こういう御意向でありましたから、農林省管理部長がそう言うのでありますから、その点については主管省として十分お取上げになる必要があると思いますが、さらに給与の点については出張旅費であるとか、宿直、日直をしたとかいうような場合においては、この諸君のものは実際給与の中には含まれておりません。従つて県によつて非常にアンバランスが出て来ておるということも事実だろうと思う。そういつた点についてもまだ定員内のものと外におけるものとの差は相当ついております。そういう点は十分にこの際やり直される、是正をされるということが私は必要だろうと思う。現に四年間も継続してその職にある者が相当ある。従つてこれはまつたくの定員内の人員だと考えてさしつかえないのでありまして、これは農林当局としては御善処なさらなければならないと思う。採用試験をして、そうして適格者を安定した身分に置き、そうして業務の円滑な運用に働かせ、かつ能率を向上せしめて、安心して職務に従事させるべきであろうというふうに私は思いますが、平野政務次官は今の管理部長の御答弁をお聞きになつて、この点についてただちに検討をせられ、是正をして行かれるところの御意思がありますかどうか、時間がありませんので、この点を農林当局お尋ねを申し上げるとともに、いま一つ行政管理部長に申し上げ御所見を承りたい点は、行政が先行するということはやむを得ないでしよう。しかしやはり技術官というものに対する点は特に行政事務官と違つてその受ける影響というものが、非常に大きいと私は思う。たとえば今度農業技術研究所、農業試験場等において、研究所の方で約四十人、試験場の方において百五人ということになつておりますが、これらの者は一朝一夕にその試験の成果、研究の成果というものは上るものではありませんが、平素の定員が少い関係上、その受ける影響というものは非常に大きいと私は思うのであります。一試験場でわずか二名か三名というような者でも、それは受ける影響が非常に大きい。事務ではなくして長期にわたるところの試験研究というものをやつておる仕事から来まして、普通の事務職員とは相当違うと私は思う。こういう点については私は技術優先の立場を常にとつて来てもらいたいというのが私の持論でありますが、行政のシステムとして行政が先行する。これに技術関係はくついて行くということはやむを得ないでありましようが、常にそういつた点については十分な配慮を加えられなければならないと思つておりますが、そういつた点についてもう少し基礎的な考え方を打出してもらいたい、かように存ずるのであります。  それから非常勤の問題で申し落しましたが、この提案理由を見ますとこういうことを言つておる。「行政事務簡素化及び昭和二十九年度における事業予定計画にかんがみ、」ということを言つておりますが、事実農地関係のように季節によつてあまり繁閑のない場合におきましても、事業分量は昭和二十五年と二十八年を比較してみますると、二十八年は事業分量は五倍以上になつておる。ところが逆にその人員配置は実際上において四割くらいも減つて来ておる。これはこの提案理由の点におきましても相当に矛盾があると私は思う。なるほど本年はいろいろな土地改良事業等についても相当新規事業を中止し、あるいは効率主義の立場から重点事業の実施というようにいろいろ制約は加えられておりますが、その事業分量そのものはそう大きく減つておらないと私は思う。それにもかかわらず事実上において食糧統計、農地というのが一番今度の農林省関係では整理の対象になつておりますが、事業予定計画との関係において、食糧庁の場合は先ほど申しましたその業務内容上季節によつて左右される点がありますが、この農地の場合においては、そういう事例は私はないと思う。提案の趣旨と実際とが非常に異なつておるのではないか、こういう疑念を強く持つものでありますが、その点を管理部長からお答えを願いたい。この二点をお尋ねいたします。
  36. 平野三郎

    平野政府委員 非常勤労務者定員法関係につきましては、先ほど行政管理庁政府委員からお答えいたしました通りに私も考えております。農林省の非常勤労務者は一万五千人くらいおるわけでありますが、大部分、約一万名は林野庁の関係でございます。これは直営生産事業に携わる、いわゆる運転手でありますとか、あるいは森林の調査をする検尺手であるとか、その他大体人夫に相当するものが多いのでありまして、これは私はやはり臨時職員というような形で定員法からはずして行くということの方が適当であると考えておりますが、しかし非常勤職員にはいろいろございまして、確かにお話のように定員法に入れて国家公務員として成規の手続をとるということがいいというものもあるように考えられるのでありまして、この点は足鹿委員の御指摘に従いまして、さつそく行政管理庁と協議いたしまして検討いたしたいと思います。
  37. 岡部史郎

    岡部政府委員 まず第一点にお答えいたしますが、足鹿さんのお尋ねの点は、私どもも全面的に考慮いたしました点で、ひとり農林省に限りませず、全省を通じまして、試験研究機関がそれぞれその各省におきまして一体となつて貴重な試験研究に従事しておるわけでありますから、今度の整理によりまして、その機能を阻害するというようなことが絶対にないようにまず配慮いたしました。従いましてこれには特別な定率をかけるという方針をとつております。ただ試験研究機関と申しましても、その構成を見ますると、実は試験研究部門のほかに庶務会計の管理部門というものがこのごろ相当なパーセンテージを占め、はなはだしきに至りましては、一つの試験研究所におきまして管理部門が四〇%、五〇%の人員を擁するというものがあるのであります。こういうものは、試験研究部門がリードするのか庶務部門がリードするのかわからぬというような事情があるのであります。そういう管理部門におきましてはこれは整理をかけたわけでありまして、決して試験プロパー、研究プロパーの方を阻害するようなことがないように、これはきわめて低い整理率をかけておりまして、実際におきましてその試験研究が阻害されるというようなことのないように、これは初めから根本方針として考えておりますので、その点は御心配ないように願いたい。われわれもそういうことがないように心がけておる次第でございますから、御了承いただきたいと思います。  なお第二点の提案理由説明にありました二十九年度の事業計画に基きましてと申します一つの意味は、減らす方は先ほど来申し上げましたような処置によつて減らすけれども、また二十九年度の事業計画に基きまして、仕事を充実し、あるいは新規の事業を行う、たとえば農林省で申しますならば、ただいま御審議いただいております保安林整備臨時措置法に基きまして保安林の整備を行うためには、これは新規の職員がいるだろう。そういう点におきましては、五万町歩なら五万町歩の計画でございますか、それに基きまして必要な職員百名を計上する。あるいは農林省におきまして新しい指導船ができる、それについての乗組員は認めようというような考え方でできているというのが、その趣旨でございます。また農地事務関係定員減と事業量におきましては、それぞれ内部でいろいろな部門にわけて考えまして、それぞれの部門におきまして、この程度人員では業務改善あるいは機械化その他によりまして、何とかがまんしてやつて行けるというような数を出して行く、この御了承いただきたいと思うのであります。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 次に林野庁関係についてお伺いしますが、林野庁関係は、今部長からもお話のあつたように、保安林整備臨時措置法によるところの新規の増員というものは百名程度見込まれておるわけでございますが、差引いたしましても一千二百六十名くらいの減員になるわけでございます、林野関係は公務員法の適用を受ける職員と、公労法の適用を受ける職員とに区分されておるわけでありますが、これは先ほど平野次官も言われたように、労務職員というような関係が一万三千名くらいに及んでおるように私は承知しておるわけであります。昨年の災害等を見ても、結局これは国内における林野の濫伐、過伐というものが相当重大な因をなしているということは否定できないわけでありますが、現在の国有林野の運営の実態を見ても、林野を伐採する方に対しては相当力を入れておるけれども、林野を育成する、いわゆる治山治水というような点に立脚した運営というものは、なかなか手が届かぬのであります。こういうことが非常に重大な問題でありますし、特に林野庁関係は特別会計を持つておりまして、相当の収益をあげて一般会計へ繰入れるような力を持つておるわけでありますが、それかといつてそういうような業務部門だけが十分に人員を擁していいということにはならぬわけでありますが、今後の林野の育成であるとか、保安林の整備であるとか、新しい観点の上に立つた治山事業等の分野の上について考えた場合においては、これは人員を減らすというよりも、むしろ所定の増員を行つて、そうして国家的な要請にこたえるような強力なる林野事業が、進展される必要があるのではないかと考えますが、この点は林野庁長官にお伺いいたします。
  39. 柴田栄

    ○柴田(栄)政府委員 お答え申し上げます。林野、特に国有林の管理、育成に関しまして、今回の整理の実情は御承知通り特別会計運営が主体でございますので、直接現場の運営をいたしておりまする関係上、絶対必要不可欠な数量は確保いたさなければならぬという観点から御相談をいたしまして、現状におきまして国有林野の事業実施に支障は来さない、運営が可能であると考えておりまするが、ただいま御指摘の従来国有林野事業が伐採事業を主体として人員整理しておるのではないかというお話でございますが、森林の育成あるいは国土保全の面に関しましても、現在不都合を感じておるということではないのでございますが、最近の災害等の情勢と林野の現状からいたしまして、急激に育成あるいは国土保全の仕事を強化いたさなければならないということは当然でございまして、この点に関しましてはすでに二十九年度におきましては、新しく保安林の整備を考えましてこれと同時に国有林への保安林の買い上げと、その対象にいたします治山事業の実施に関しましては整理の時期でございますが、必要人員の増加はお認めを願つて、二十九年度において百名の増員を見ております。今後におきましてさらに事業の増加に伴いましては必要な人員はぜひとも整備をいたして参るということで、積極的に御相談をいたして参る、かようにいたしまして、御指摘の林野の荒廃、国土保全、災害防除という面の万全を期するために、国有林野事業に関しましては、責任を十分に果し得るような人員整理を今後も強力に御相談をして参る、かような方針でおります。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 最後に一点申し上げますが、非常に制約された時間の範囲内で十分の検討はできないわけでありますが、現在までいろいろ御答弁を願つた諸般の事情を総合しても、十分これで農林省関係定員減に対して了承できるというところまでには遺憾ながら到達しておらぬわけでありますが、これらの問題はただいまの管理部長の御答弁の中においても、まだ再検討を要する点があるというようにも私は思われるわけでありますが。ただ問題は先ほども前提として申した通り、真の行政機構改革というものが先行されない限り、定員だけの縮減だけでは、実際の効果は期待することができないのではないかという点である。これを無理に強行した場合においては、どうしても業務が粗雑になるというおそれもあるわけであります。たとえば会計検査院からの報告によると、昭和二十七年度の農林省関係内容を検討いたしましても、主としてこれは農地等を中心とした災害の問題でございますが、この災害復旧の補助金等の支出に対しても、でき得るならば国の責任においてその災害の実態というものを十分に把握して、そうして遺憾のないような復旧に対する措置を講ずるのが至当であると思いますけれども、昭和二十七年度だけにおいても、この災害復旧関係の農地の復旧補助金が八百九十二件程度、その補助金の支出の適正妥当を欠いておるというような報告もここに出ておるわけでありますが、これらは昨年の災害においてもそうでありましたけれども、この職員の定数が非常に足らぬで手薄のために、真にその災害復旧等に対しても、現地の実情を的確に把握することができないというような欠陥がしからしめたものであるというふうに考えるのであります。行政整理に名をかりて定員削減して、そこから幾ばくかの経費は捻出できるかもしれませんけれども、他面において非常に公正妥当を欠くような国家財政の支出が大きく行われる場合においては、これは何にもならぬのであります。そういう点を十分加味されまして、この定員法改正の問題に対しては、十分なる再検討が必要であるというふうにわれわれは考えますし、特にわが国の農林行政食糧増産を中心としたこれに付随するところの農林省機構の内面におけるところの定員の縮減等の問題に対しては、定員外のいわゆる常勤非常勤等のこの不合理性を持つた、かかる職員をかかえておる現状を十分認識されて、さらにりつぱな結論が出るように善処してもらいたいということを、これは希望的な意見でありますが、この点に対して農林次官並びに管理部長の御所見を伺つて、私の質問を終りたいと思います。
  41. 平野三郎

    平野政府委員 農林省業務を進めて参りますためには、私は実際においては今回の行政整理によつて受ける打撃というものはないと考えておるのでございます。御意見にございましたように、人さえふやせばうまく行くというだけのものでもないようで、要は運用の問題でありますので、国民の尊い税金によつてつて行くわけでありますから、できるだけ少数の人間で最高能率を上げるということが趣旨でございまして、この人員をもつて十分に国民の負託にこたえるという自信を持つておるわけであります。なお行政整理につきましては、私どもとしてはやはり仕事を進める上においては、人が多ければいいということはありませんが、やはり日本の人口問題全体の立場と申しますか、ただ出血によつて失業者をつくるということがいけないというような面からも考えるわけでございます。しかし今回の整理は五千九百人になります。最初は実はもつと相当大きな整理があつたわけでありますが、われわれとしてできるだけ折衝してこういうところに持つて来たわけであります。今年度約三千六百人ぐらいになりますが、すでに特別待命の志願者が三千人くらいあります。しかも定員の欠員が六百名ありますから、実際においては首切りの出血と騒ぐ必要は全然ない実情になつております。この点御了承願いたいと思います。
  42. 岡部史郎

    岡部政府委員 御指摘の点は十分今後におきまして研究し、尊重したいと考えております。ただ今平野次官からも申されました通り、このたび農林省に関します限りは決して無理な整理ではない。それで御承知通り行政整理の難点はどういうところにあるかというと、二つあるわけであります。一つはなかなか事務量が減らないということ、もう一つは現在おります職員を実際に整理することが困難、この二つの面があるわけでありまして、このたびの数字は今平野次官から御説明いたしました通り、実際の職員整理するという難点におきましては解決している問題であります。この点はひとつ御安心いただきたいと思います。もう一つ事務量の整理、これを現在の実情に即してどういうようにして仕事簡素化し、改善し、能率を上げて行くかということは、これは今までも努力し、今後も行政管理、あるいは行政運営全体の問題として、これは政府が大きく取上げて研究して行かなければならぬ問題であります。こういう点の根本的な改善ということによりましては、ほんとうに正しい行政規模というものも確立されることだろうと思うのであります。これは一朝一夕に解決できる問題ではないので、私ども全力をあげて今後研究して行きたい、こう覚悟しておるのでございます。御了承いただきたいと思います。
  43. 稻村順三

    稻村委員長 永田良吉君。
  44. 永田良吉

    ○永田(良)委員 農林の機構について二項目質問いたします。現場の制度についてですが、人員はあまり整理していないからけつこうですけれども、食糧の足らない際であるから、この点は積極的にいろいろ研究していただきたいと思います。それで現場の機構、いわゆる試験場等は全国で何箇所ぐらいあるか、何か具的体なものがあれば伺いたいと思います。
  45. 武田誠三

    武田説明員 今農業試験場関係は東京の西ケ原に技術研究所がございます。そのほか農業試験場といたしましては北海道と、それから東北、これは岩手県にございます。関東、東山の試験場といたしまして埼玉県にございます。それから北陸農業試験場が新潟にございます。東海近畿農業試験場が三重県、中国農業試験場が兵庫県、四国の農業試験場が香川県、九州の農業試験場が福岡県、都合八つ置いてあるのであります。
  46. 永田良吉

    ○永田(良)委員 今の試験場の配置状態から見て、農林省やり方は少しへんぱ的だと思うのです。沖繩は米軍の管轄下に入つたからまずしかたがないですけれども、大島が復帰して来た。それが九州でも北九州の福岡にあつて、一体亜熱帯的に関係のある南九州方面には何もないということは、これは少し片手落ちのやり方ではないかと思う。この点についてどう考えますか。
  47. 平野三郎

    平野政府委員 九州の農業試験場のことでありますが、詳細には存じませんが、しかし農事試験場が農業試験場になりますときに、畜産とかあるいはその他のいろいろな関係を統合いたしまして、農業試験場には各部ができておるわけです。その部は九州におきましては、福岡に本場がありますけれども、鹿児島あるいは熊本、宮崎その他の地域にそれぞれ部を配置しておりまして、九州全体として最も適切であるようにやつておるはずでございます。決してお話のようにへんぱな取扱いをしないようにいたしておるつもりでございます。しかしながらいろいろの御要望がありますれば、さらに適当に善処方をいたしたいと思います。
  48. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私は今後食糧の増産をはかつて行くについては、従来のやり方ではいかぬと思う。今外米とか麦などを外国から持つて来ているが、食糧の自給をはかるには、どうしても今後やり方をかえて行かなければならぬと思う。特に今までは水田ばかりに片寄つたが、それでは目的は達せられぬと思う。今後の問題は畑地の灌漑、耕作によつて食糧の増産をはかる、これは日本の将来の食糧増産の面から見て、確かに大事な点と思うのであります。こういう点に対しては畑地の多い地方に灌漑耕作の試験場を設ける、またそういう施設を奨励せぬければいかぬと思うのです。これに対する意見はいかがでしようか。
  49. 平野三郎

    平野政府委員 お話通り食糧増産のためには、畑地のさらに高度の利用を必要といたすわけでありまして、実は国会におかせられても昨年畑地農業改良促進法というのが議員提出で成立をいたしておるわけでございます。政府といたしましてはこの法律に基きまして、畑地農業改良審議会を今設けて畑地農業の高度利用について努力をいたしておるわけでございます。本年度の予算面におきましてもこの特別立法がございますので、できるだけ計上して畑地灌漑について特に努力をする、こういう次第でございます。
  50. 永田良吉

    ○永田(良)委員 畑地の灌漑耕作の場面から見て、まず関東では相模原が最も模範的だと思うのです。これは水力電気の電源の関係等もあつて、畑地全部に灌漑はできないと思う。九州方面、特に南九州の方面においては笠野原六千町歩とかいうような、自然に平野になつておる大平原がある、こういう地方にダムでもつくつて灌漑耕作をやればたいへんな食糧の増産になると思うのであります。こういう点等について研究せられたことがあるか、まずその点。  食糧の畑地灌漑はこの点でおくとして、その次に食糧増産の場面から見て、粉食とかいう点から見て、どうしてもかん上よがあるのであります。麦はまずおいて、かんしよの点についても相当考えなければならぬと思うのでありますが、ばれいしよのごときは研究所の方もよく行き届いておるけれども、かんしよの研究については農林省は少し手が届いていないような感じがするのであります。これに対するお考えを伺いたい。
  51. 平野三郎

    平野政府委員 畑地の点につきまして、九州におきましてももちろんいろいろ適当な土地がありますが、これはいろいろ各種の角度から技術的に研究いたしておるわけでございます。阿蘇でありますとかございますが、しかしながら阿蘇のところはやはり今回の災害にかんがみまして、畜産と畑地の利用並びに治山治水の観点からする面と競合してどういうふうに調節するかというようなことも研究いたしております。またお話のございました宮崎県なども適当なところがございますが、やはりあそこはシラスの地帯でありますので、そういう点も考えて行かなければならぬ、こういうようなところから研究いたしておるわけでございます。またかんしよのお話もございましたが、これもできるだけ農林省におきましては技術的に研究いたしております。永田(良)委員 従来農林省がやられる点から見て、何か災害が大きなことが起つた際には、その災害地には相当の考慮を払つて各種の積極的な場面も持つて行かれますけれども、災害があつたところばかりにこうやくを張るようなことをせずに、日本全体のあらゆる場面を考慮して、平生は災害のないときにおいても、この地方にかかる施設をすればかかる増産ができるという総合的な大きな目から見て、新しい計画を進められることが必要じやないかと思うのです。どうも災害の起らぬ前においての全般的な御研究について少しもの足りない気がするのです。これに対する当局の見解いかん。  また次には、この試験場の問題についても、まだこれから開発をせんけれはならぬ新しい場面があるのです。たとえて言えば工業試験場のごときもの、農村工業指導所というものがここにあつて、二十人の人がおります。こり農村の工業なんかの指導についても、もつともつと積極的にやる意思はないのか、かりに一例を申し上げますなりば、私は日本は竹林において世界一にと思うのです。こういう特殊なもうそうであるとか、各種の竹林の種類も多いし、これが加工品もまた海外輸出いたしておりドルのかせぎにもなる。こういう点から見て竹林の試験場等も今後研究をして、竹の加工によつて海外のドルでもかせぐような計画はいかがなものですか。
  52. 平野三郎

    平野政府委員 災害が起つてから対策をしておるわけではないか、こうやく張りではないかというお話でございますが、まつたお話通りでございまして、その災害の予防ということが大事でございますので、特に政府は最近におきまして内閣に治山治水審議会を設けまして、今後災害が起らないという体制を立てるために、非常に準備を進めておるわけであります。またその審議会の経過にもかんがみまして、ただいま国会に出しております本年度予算案におきましても、特に本年は治山治水に重点を置いたものを計上しておるわけでございます。この点御了承いただきたいと思います。  なお竹林のお話がございましたが、これは林業試験場におきましてやつておるわけでございます。いろいろ御意見のような林産加工によりますところの輸出等につきましても研究いたしておるわけであります。
  53. 川俣清音

    ○川俣委員 議事進行について。御承知通り農林委員会は自由党を含めまして満場一致で内閣委員会に合同審査を申し入れた。その趣旨はすでに私が説明するまでもなく、内閣委員会に農林事情について詳細を理解せしめて、この法案の適否を決定していただきたいために申し入れたことは先般御承知通りであります。しかるに農林委員会としては芳賀委員一人が質問しておるだけでありまして、まだ全体の意見を十分述べる時間がないわけであります。一時ごろで打切られるということになりますならば、農林委員会の意向を十分伝達したということにはならない。たとえて申しまするならば日本の大きな面積を占めておりまする林野の土壌調査等につきましても、農林省自体が十分把握をいたしておりません。これらに対する処置をどうするかというようなことが、人員整理にも非常な影響をもたらすことだと思います。一例をあげて申しましてもその通りであります。従いまして十分農林委員会の意向を本委員会にお伝えいたしたいのでありますが、時間もありませんので、もしも一時で打切られるということになりますならば、月曜日なり火曜日なり、さらに連合審査をお願いしなければならないということだけを、十分考慮に入れて進行願いたいと思います。
  54. 稻村順三

    稻村委員長 できるだけ御希望に沿うようにしたいと思いますけれども、実は委員長だけでなく、内閣委員全体の議事進行に関する打合せもありますので、一時ということでなくて、できるだけひとつ審議は進めてみたいと、かように考えております。
  55. 川俣清音

    ○川俣委員 これは委員長を通じて理事会にお諮り願いたいと思います。農林委員会としては、正式な満場一致の決定でございますので、単にこれは私だけの意見でございませんから、十分尊重していただきたいと思います。二時間ぐらい与えて連合審査だというようなことで打切られるということになると、農林委員会の権威にも関しますので、十分御配慮願いたい。
  56. 稻村順三

    稻村委員長 了承いたしました。
  57. 永田良吉

    ○永田(良)委員 私はごく簡単にあとを申し上げます。食糧の増産の点から見て、また食糧の自給という場面から見ても、私はもう少しそばづくりを奨励したらどうか、私どもの鹿児島地方では、昔農家においてそばを秋と春と二回つくつて、そのそばを粉にひいてそば粉をつくり、それをお湯で溶いて、いわゆるそばがきにして、一日のうち一食か二食それを食つて、米とかほかの方面を節約したものであります。日本の食糧の場面から見て、ことに南九州方面は畑地が広うございますから、そばづくりによつて米とか麦の消費を節して行くことは、たいへん適当でないかと思う。これに対して農林省で何か御指導賜わる御意思はないか。これで質問を打切ります。
  58. 平野三郎

    平野政府委員 食糧増産の上にそばをもつと奨励したらどうかということでありますが、まつたく御意見の通りでありまして、そばについてもいろいろやりたいと思います。ただこれは危険作物で耕作の安定しないという点もありますので、そういう点も考えております。御意見をよく尊重して善処いたします。
  59. 永田良吉

    ○永田(良)委員 今農林当局の話を聞くと、そばづくりに対してたいへん御心配を寄せておられるようでありますが、これはよけいな御心配でないかと思う。私どもは農業をして知つているが、鹿児島のごときは台風がたびたび来たりして、そばをやられて困つたこともある。しかし農業には、さいの河原と同じように、天災とか災害はつきものである。これをこわがつて何もやらないでいては、日本の食糧問題は解決しない。何べんやられてもこれを達成して、そうしてこの食糧問題を解決しなければならぬ。こういう場面から考えて、もう少し農林当局はこういう新しい場面の研究をして、食糧問題の解決に当られることを希望するわけであります。これで終ります。
  60. 稻村順三

  61. 中村時雄

    中村(時)委員 私は行政整理の問題に関して質問いたしますが、その前に一応既成的な事実についてとやかく言うことよりも、なぜこういう整理案を出さなければならないかという基本的な問題に関して、考え方の整理を進めて行く上から、一、二お尋ねしておきたいと思う。政府のおつしやるには、たとえば予算と非常に関連を持つて来ることですが、昨年の十一月の予算において一兆二百七十億円ということを言つてつたのが、とたんに一兆円以内としまして、九千九百九十五億円という線を打出して来た。この緊縮予算の線の言訳といたしまして、対外貿易がここ一年間非常に入超になつて来た、あるいはまた朝鮮事変におけるところの特需がなくなつたために、実は手持ちの十数億ドルの金がだんだん減つて来出したというようなこと、あるいは貿易が振わないとか、国民がぜいたくなために、生産費が非常に高い、またはインフレになる。そういうためにだんだん生産費が国際的にも高くなつて、貿易が振興しない。あるいはまたそれゆえにインフレーシヨンを押えなくてはならぬからという意味において、財政の面において一兆円以内という問題を起し、あるいはまた税制の改革とか資本の蓄積また今般の人員整理と、こういうような一連の動きをもつて、今般の人員整理の姿が現われて来たものであろうと、私はこのように想像するのですが、こういうように想像しておつていいものでしようかどうか。
  62. 岡部史郎

    岡部政府委員 お答え申し上げます。実は大きな問題で私からお答え申し上げるのは適当ではないかと存じますが、今般の行政整理と申しますのは、根本的に申しますならば、やはり戦後のわが国の経済を建て直すのに貢献するように、適正な規模の行政組織にする、またそれにふさわしい人員定員で規制するというのが趣旨でありますが、御承知通り二十九年度に関する限りは、これは整理される職員の処遇の面も十分考えなければなりませんので、ことにこのたびは従来と趣を異にいたしまして、一年間従来の給与を支給するというような特別待命制度も実施いたしました。また十割増しの退職金も支給するというようなことでありますので、二十九年度に関する限りにおいては、この行政整理によりまして行政費の節約を期するという面はないわけであります。ただ平年度におきましては、これが一般会計、特別会計合せまして約百五十一億円の節約になる、そういう意味におきまして、平年度におきましては相当程度行政規模の節約になる。従つて行政費の軽減を来し、国民負担の軽減にも役立つであろう、こういうような考えでございます。二十九年度に関する限りは、今申し上げましたような事情でございます。
  63. 中村時雄

    中村(時)委員 問題は、政府考えとして、一年間を限定するという意味ではないと思う。おそらくこの問題の関連性というものは、ここ数年間続くであろうということは当然のことです。そこで本年度におけるところの特別待命でも、あるいは十割の問題にいたしましても、本年度はそれでよくつても来年度は経営費がそれだけ浮くわけです。だから何も一年間と限定しているものではないということは当然のことです。そこで私の言つているのは、先ほど質問したことが基本的になるであろうと思う。また同時にそういう発表を政府はしている。そういう考え方の上に立つてこの問題を進めて行くかどうかということをお尋ねしているわけです。だから一年間と限定してやつている問題でないのです。その点をひとつお答えを願いたい。これは質問をして行くのに非常に基本的な問題で、平行になるかあるいは妥協の線が出るかという大きな問題を含んでいるからお尋ねしているのです。
  64. 岡部史郎

    岡部政府委員 今般の行政改革が、先ほども申しました通り、わが国の行政規模を縮小する、それによりまして広く財政経済の再建に寄与するという趣旨を持つものであることは、御説の通りであります。
  65. 中村時雄

    中村(時)委員 行政規模という現象に名をかつて今言つた基本線を認めたわけですが、事実は私はそうは思わない。これは遺憾ながらそう思わない。ということは、すなわち日本の現状から行きまして、アメリカに対する関係が非常に大きな問題になつて来る。すなわちここ数年間の自主性のない、こういう追随的な一つの外交政策なり経済政策というもののしわ寄せが、当然ここに初めて現われて来たと私は考える。すなわちその実証として、アメリカにおいて一つのことがある。一月の七日にアイぜンハウアーが年頭教書において、こういうことを言つておる。それは原子兵器の生産拡大に伴つての対外政策の観点から出て来ている問題だ。その一つには朝鮮事変以来膨脹したところの軍事費を削ること、第二点といたしましては、対外経済援助を削減すること、こういうことが考えられておる。少くとも皆様方は、お前の言う考えには追随できないぞとお考えになつているでしよう。しかし一つの、どういいますかイメージだけはとれる。それはどういうところから来るかといいますと、たとえば米国のノーランドあるいはニクソンだとかドールが来止したときの要人との会談の結果、あるいはまた池田、ドツジの会談の結果、そういう一連の動きから、こういうふうな日本の施策ができるであろうという関連が出て来る。しかもその結果から少くともMSAというものを受入れることに期待ができるという、その中から結論が出たはずです。そこにおいてこの問題が大きな問題となつて現われて来た。アメリカにいたしましても、税金を出しているのです。だからそれによつて実際に日本のような状態の危険なところへ持つて来て融資をするとか、あるいは援助をするとかいうことは、おそらく不可能に近い。そのために一兆円においてこれを打切りたい、インフレをとめたい、放漫な資本の投資をやりたくない、そういう結果からこういう行政整理もその一連として私は出て来たと思うのですが、それに対して、これは非常に大きな問題ですから、ひとつ政務次官にお聞きしたい。
  66. 平野三郎

    平野政府委員 今回の行政整理は多分いろいろお話のありましたようなことももちろんございますが、基本的にはこれは自由党内閣の公約であり、基本政策としてやることでございまして、特に本年はお話のような効果が多い、かように思うわけでございます。
  67. 中村時雄

    中村(時)委員 自由党の公約というものはさつぱりわからない公約なんですよ。それでは具体的に少し話を進めて行きたい。そういう考え方に基いて行きますと、先ほど政務次官は非常に当初は厖大な人員整理であつたが、努力によつてここまで持つて来た、こうおつしやつた。ところが行政整理の根拠というものは、そういう数の多い少いではない。少くともその職種によつて仕事能率をどう持つて行くかによるところの人員整理でなくちやならない、私はこう思つておる。人員整理をやつた結果によつて職種をどうしようとか、あるいはこうしようとかいう予算の面ではないはずだ。それに対してどうお考えを持つておられるか。
  68. 平野三郎

    平野政府委員 お話通りでございまして、従つて政府としては行政機構改革とあわせてこれをやりたい、こういうことで準備を進めたわけでございますが、なかなか行政機構改革の方が、政府部内の意見が統一いたしませんというようなこともございまして、結局現在事務的に大体現行の機構において、この程度ならばやれるじやないか、こういう線を打出したのであります。
  69. 中村時雄

    中村(時)委員 事務的にという御発言がありましたが、私は事務的の観点から人間が首を切られたんじやとてもたまらぬと思うのです。そこで事務的とおつしやるから、事務的の面に一、二関連を持つてお尋ねしたいと思う。たとえば今度の昭和二十九年度に世界の農業センサスを実行するごとになつておる。これは政務次官よく御存じだろうと思う。そこで前回においてはほとんど全戸調査をやつたわけです。ところが今般だけはそれを五分の一の抽出調査をやろうとしている。これはどういう観点からこの相違が出ているかをお聞きしたい。
  70. 平野三郎

    平野政府委員 各種の部門がそれぞれみな必要性を持つていることは、申すまでもないところでございます。従つてそういうことがあるわけで、各部門部門において必要性を強調いたしますならば、どれもこれもみな拡大強化しなければならぬ、こういうことになるりくつも出て参るわけでありますが、日本の現状において、どの程度が国力に応じた適当なものであるか、こういうことで制約を受けて参ります。お話の農業センサスの調査にいたしましても、できるだけ広範囲に正確にやりたいということはもちろんでありますけれども、ただいま申し上げたような事情によつて、理想的にはやれない、こういうことになるだろうと思うのでありまして、統計事務の必要なことについては、政府として痛感しておりますが、国力に応じた機構によつて事務をやる、こういう意味だろうと思います。
  71. 中村時雄

    中村(時)委員 どうも答弁が骨子とはずれてしまう、これは政務次官のいつもの手です。それではもう一つお聞きしたい。それは現在でも日本は食糧を毎年輸入しなければならぬ、こう言つておる。それはいいです。すると農家の生産能力を調査して、次にその欠陥に対しては政府として助成しなければならぬ。またそのほかに、食糧の確保をはかるとともに、日本の農業の実態を確実につかんでいないという欠陥農林省にある。これは先ほど川俣委員からも指摘のあつた通り、また国際的にも日本農業の地位、今後における農業政策というものは国際的な農業と日本の農業の立場、あるいは日本の経済の一環として日本の農業の立場、そういう観点からの分析が必要とされて来ておる。そういう観点に立つて、この国際的な友誼関係から来たところの今般の農業センサスに対して、あくまでも私たちは実質的な把握の必要に迫られておるのではないか、それほど重大な問題ではないかと思つておりますが、農林政務次官においてはどういうお考えを持つておりますか。
  72. 平野三郎

    平野政府委員 結局程度の問題でございまして、完全ということになりますならば、どれだけ厖大な機構を持ち、どれほど厖大な経費を使つても、絶対的に完全なことは期し得られないわけであります。結局程度の問題だろうと思いますが、ただお話通り農業センサスその他農業に関する統計というものは、農業政策を樹立するための基本的要件であるという信念を持つております。そういう点から統計調査部の縮小は相当強い考え方もあつたのでございますが、私どもの意見によりまして各省とおつき合い程度整理でとどめるということになつたのもそのためであります。
  73. 川俣清音

    ○川俣委員 今の政務次官の答弁によりますと、精密な調査は、完璧というようなことになりますと限度がある、こういう御答弁です。しかし今年の作況について、いや、凶作ブームだというようなことを言われると、農林省はあわてて、ただ弁解しておるだけじやないですか、あるいはそういうことがあるかもしれぬというので、わざわざ食糧管理制度について再検討するということを言つておる。どれだけ収量があつたか、世間からの非難に対して十分対抗するだけの資料を持つていないから、動揺してるんじやないですか。動揺しないだけの、基礎資料を持たなければならない。資料の把握が不安定だ。世間の批判に対して十分対抗できるような資料を持つておりますならか。その自信がない。自信がないから、もう一ぺん検討してみようというようなことをやつてるようでは、正確な、少くとも農林省としての自信のある調査ではないという非難を免れないと思う。私は機構人員を減すことが悪いとは必ずしも言わない。しかし目的達成のために農林省自信をもつて対抗でなるだけのことをなし遂げなければならぬ責任がまず第一にあるのじやないか。そのことが必要じやないか。先決じやないか。問題を逆に考えていやしないか。たとえば今治山治水対策が重要だと言つてるでしよう。一番重要なこととして掲げていますよ。しかし山くずれが一体どのくらいの面積があるか、今崩壊に瀕してるところはどのくらいあるか、おおよそこのくらいあるだろうということだけじやないですか、正確なものを持つていないではないですか。世間を納得させるだけの、他省あるいは行政管理庁を納得させるだけの資料を持つていないじやないですか。持つていないから人員整理にも応じなければならぬようなだらしのない結果が生れて来るんだと政務次官は思わないかどうか、この点どうですか。
  74. 平野三郎

    平野政府委員 私が先ほども申し上げましたように、絶対的に完璧を期するということは不可能であります。さらに言えば、国民全部が調査に当つても完全ということは言えないわけでありますから、従つて現在の国力に応じてまず相当の力を持つことが適当であるという考え方、また、ただ人員を増加したからといつて、それによつて完全を期し得るわけのものでもないのであります。現在統計調査部には約一万二千人おるのでございますが、これによつて私ども一応信頼し得る数字を作成いたしまして、行政上の基本といたしておるわけでございます。
  75. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたの言つていることは詭弁と称する、一つの問題から逃げて行こうとする考え方である。たとえば、あなたは先ほど程度の問題とおつしやつたけれども、程度の問題であるなれば、以前はちやんと農家経済調査をやつておるのです。ところが今度はそれができないので、五分の一の抽出調査になつておる。問題の考え方が違うのです。そういう完璧を期する方向に努力をするということでなくちやならぬにかかわらず、あなたのとつている行動は、遠のいて行つて、言い訳をしようとしている。実際にそうじやないですか。もう一回明確にそういうことを考えてもらいたい。そうして御答弁願いたいと思う。
  76. 平野三郎

    平野政府委員 できるだけ完璧を期するために努力するということが必要であると考えております。しかしそれは、ただいたずらに人さえふやせばいいというわけのものではないのでございまして、運用によつて目的を達成し得るわけでありますから、政府としては最小限度の人員をもつて最高能率を上げるために、全力を尽して参りたいと考えております。
  77. 中村時雄

    中村(時)委員 もう少しあとからお聞きしようと思つたが、それではひとつ具体的にはつきりお聞きしたい。たとえば、今農林省で経済調査並びに生産費調査あるいは経営調査、この三調査を主体においてやつておる。もちろんこの調査項目にはいろいろ疑義があるが、それにいたしましても、これらの個々に対して一体どのくらいの人員をもつて配慮するのが適当なのか、ひとつ調査の上から割出してもらいたい。
  78. 安田善一郎

    ○安田説明員 中村さんの御質問にお答え申し上げます。事務的なお答えしか申し上げられないのは遺憾でありますが、農家経済調査、生産費調査、その他物価、賃金調査等いろいろありますが、国として必要な統計といたしまして、統計法に基いて、行政管理庁統計基準部の審査を経まして公的にやらねばならぬ、言いかえますと、それは指定統計と申しておりますが、二十四年以降やることになつておるものは、最近の経験からいたしまして、今回の整理によつても、若干の常勤労務者を加えれば、能率増進でやつて参れると思つております。しかし農家経済調査の対象をさらに広げまして、よりよく農家経済を把握したり、農業資材、農業収入——農産物販売収入、兼業収入、あるいは米価、麦価その他農産物の価格決定に対して、現状以上のつばな資料となる農産物の生産費調査、それなどをさらに強化してやる要があるということは事実である。その程度でございます。
  79. 足鹿覺

    足鹿委員 統計調査部長がおいでになりましたから伺います。今度の人員整理によりまして、末端の方へ下りて参りますと、人員の多いところと少いところでは、少い方のこの削減率が相当高度なものになつて来ると思うが、そうした各地方におけるアンバラスを実際面でどういうふうにして調整して行かれようとしておるか。いま一つは、今度の人員整理の結果、今まで農民なり農業協同組合の人たちに委嘱しておられます調査員に非常に荷がかかつて来ると思うのです。その手当はきわめて少額で、年百八十円くらいだというふうに聞いておりますが、多くてもそう大したことではないと思います。結局そういうような点から、人員の少いところほど大きな影響をこうむるではないか。従いまして、その調整の方策と、農民なりその他農業団体の人たちに委嘱しておる調査員へのウエートが重くなつて来れば、これに対する措置もとられなければならないと思いますが、そういう点一体どうする御所存でありますか。さらに第三としまして、本年度の農業関係予算は軒並に切られておりますが、統計調査関係の被害地調査予算だけが若干ふえております。これは農業災害補償制度の損害評価の適正化の問題と関連いたしまして非常に大きな問題であり、その持つ意味は相当大きいと思うのでありますが、実際上においてそういうふうに仕事がふえているにもかかわらず定員削減して、能率の向上だけではたしてまかない得るかどうかという点であります。第四点は、農林政務次官にこの際お尋ねしておきたい。第十六国会から継続審議になつております臨時硫安需給安定法案に関連いたしまして、硫安の生産費調査の陣容はどの程度のものにお考えになつておりますか。これは小さい問題のようでありますけれども大きな問題であろうと思う。この四点のうち、最初の三点は統計調査部長、最後の一点は平野政務次官にお伺いいたします。
  80. 安田善一郎

    ○安田説明員 足鹿委員の私に対しまする三点の御質問について、私として可能な範囲のお答えを申し上げます。第一点は、定員法上に盛られました、特に定員法上の職員千三百六十八名を、かりに整理いたすようになる場合におきまして、地域的あるいは事務所別とか県別とか、その中の出張所別とか部別とかいうものと、調査事項別に調査に従事いたしますものとの影響が違うのを、どう調整するかという御質問と思いましたが、違うでしようか。
  81. 足鹿覺

    足鹿委員 そうです。
  82. 安田善一郎

    ○安田説明員 もしそうだといたしますと、定員法改正国会で審議されますれば、私どもはこれに従つて対応しなくてはならぬことになるわけであります。他方定員法改正関連し、またそれと必ずしも同じでなしに、特別待命制度で自発的なる退職者が出つつあるのでありますが、この場合定員の決定内容と、今後の継続性ということが私ども事務当局にもはつきりいたしましたならば、地域調査事項に応じてアンバランスがないように定員の再配置をしたいと思います。しかし定員の再配置には職員の生活事情、住宅あるいは適否の性能等もございまして、そう容易でもないかと思つて、非常に心配をいたしております。その実現した場合にはほぼ現状ないしは現状以上経験を重ね、能率とくふうを重ねて同程度の調査の目的を達成いたします、あるいは延ばすべきものは延ばす。しかし反面調査事項を簡素化しても、同程度ないしはそれ以上の目的を達し得るような業務簡素化もいると思つております。しかし単なる行政機関定員法による定員だけでは私どもの仕事は完遂できません。これは現実においてもそうでありますし、性質上もそうだと思います。なぜかと申しますと、広い対象の地域と広汎な複雑な農林業漁業を対象に調べました上に、定員ないしは定員に準ずる専門職員をもつて、少くとも適例あるいは全部の調査をこちらから出向いてやらなければならぬ仕事だからであります。簡単に申しますれば、職員が役所から外へ出向いて現場でする仕事です。そこで事務当局としては政府の方針、特に国会の方針、これには従います。しかしその許される範囲内においては無理なところは統計の使命を極力高度に達成いたしますように、定員外の労力、言いかえますれば常勤労務者と言つておりますが、常勤調査員あるいは非常勤の調査員、それから予算では人夫と言つておりますが、あまり名前は適当と思いませんが、そういうものはかなり数が多くありますから、それの活用の仕方を考えて、また地域的、事項別の定員整理上の配置の偏在ということを修正して参りたいと思つております。  従つて御質問の第二点の調査員の数、配置、待遇の問題になるかと思います。これは私どもの乏はいろいろの調査員、種類は待遇、謝金、名称、勤務内容、いろいろ差があるものがありますが、御指摘のものは主として農作物調査に従事をいたします。また耕地作付面積等に従事いたします作物調査員、今その予算定員は二十一万であります、小字の部落等に一人であります、それが単価百八十円になつておると思う。それから林業調査員十六万、これは定員でありませんが、やはり百八十円になつております。一昨年は百五十円だつたのを、昨年二百円に上げてもらいまして、国会修正で一割減りまして、百八十円になつたという中途半結丈少兵う)、二〇)ます。:しよ衣こもかねてせめて千円程度以上というところに置いて、よく働いてもらえるように定員整理がありましても、その補完として調査をさらに延ばして行ける程度までできるようにというのが、私どもの念願でありますが、それは本年度予算において一事項を除いては不可能であります。御指摘の点の分には不可能でありましたが、第三の点に関係がありますが、被害調査を拡充するにあたりまして、その総計約一億の予算になりましたが、前は二千三百万円であります市町村に二名ずつの年間千五百円の被害報告員という名前で、一応予算はとつてありますが、百八十円の作物調査員に比しましては、かなりの調査能力を持たせてお願いできる、これもいばつてはお願いできませんで、懇願してお願いしなくちやならぬ程度でありますが、そういうものをひとつ目安にいたしまして、私としては部落に全部必ずしも配置しないで、もう少し単価の安い調査員も集中的にいたしまして、むしろ市町村の単位おにいてかなりの待遇を受けた人、せめて被害報告員の千五百円くらいの待遇が、それに近い待遇を受けるように、実行上当該の事項の総予算範囲内において大蔵省当局とも−会計法が許せばそこへ集中強化いたしまして、市町村ごとには農林統計調査員が千五百円前後の謝礼金を受取りながら、本職員による調査を補完していただくような、そういうもので市町村統計が、今一よりは一歩進まないかということを研究中でございます。
  83. 平野三郎

    平野政府委員 臨時硫安需給安定法による肥料の生産費調査につきましては定員を増加せず、部内忙おける配置転換によつてつてもらうつもりであります。
  84. 足鹿覺

    足鹿委員 配置転換でやるということでありますが、配置転換によつて行わんとするその機構陣容はいかがでありますか。それからさつき行政管理部長の御答弁で常勤労務者の点について、政務次官はあなた方ともよく相談をして、これが定員のわく内に入れるように早急に善処するということでありますが、これはただ単に林野庁のみではないのです。食糧庁におきましても農産物検査補助員がいわゆる常勤労務者として二千六十一名ある、実際これは検査員と何ら異るところのない業務を担当して第一線で働いております。これに類するものはただ単に農林関係のみならず、また農林関係内部の各一部局にとどまらず、全部にこういうケースがある。今の統計調査部長の御答弁によりますと、再配置をやるそれは今検討中である。業務簡素化をやる、そして先ほど私が説明しました定員外常勤労務者非常勤労務一考、人夫をもつてやるというふうに、これの活用によつて円滑なる事務の執一行に当りたい、こういうことでござい一ますが、ちようど風船みたいなもので上をしぼれば必ず下へふくらんで行く、こういうことはままごとのようなものでありまして、やはり無理な定員整理をやろうとすれば、必ずこういうことになる。業務自体が減つて来るなり、あるいは機構を根本的に改正して行くその結果として簡素化されて、定員が減つて来るなら自然でありますが、そうではなくて、一律に定員を削つて行かれようとするから、こういうゾ7口Fノましたように、現業あるいはこれに類する仕事を、一番たくさん持つておるのは農林省であります。そういう点に一ついては、非常勤労務者の問題は、平野政務次官はただ単に林野関係に一番多いとおつしやいました。それは私も認めますが、食糧庁にだつてある。今また統計調査部関係でも今言われたような事態が起きて来る。こういう点についてこの際ひとつ十分に御検討になつて、彌縫策ではなしに、非常勤の、定員外の、実際上定員と同じ仕事をしている者に対しては、名称のいかんにこだわらずにこれを定員の中に入れて、けじめをつけて、事、ことにこういう不安動揺のないように、事務の渋滞がないようにしていただきたいと思います。この点を、さつきの硫安生産費の調査人員とあわせて、政務次官からさらに御答弁を願いたい。
  85. 平野三郎

    平野政府委員 生産費調査の職員が現在十六名おるわけでございますが、今回これを四名増加いたしまして、二十名の陣容をもつて完全を期するように努力いたしたいと考えておるわけでございます。  なお今の常勤労務者の点でございますが、先ほど申し上げましたように、確かに一万五千名のうち九千名が林野庁で、残り六千名が食糧統計その他各般にわかれておる、こういうことになつておるわけでございますが、この中一には、お話のような定員に入れて考えることが適当であるという者もあろうかと存ずるわけでございまして、その点につきましては十分部内で検討いたしたいと思います。
  86. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して二点だけお尋ね  ノー、コ寸 一一 、  一つ平野政務次官お尋ねしておきますが、一体耕地というようなものは不動なんですよ。動かないのですよ。その動かないものすら農林省統計もあれば、各府県の統計もある、税務署の統計もある、調査部の統計もある。どつちかといえば信頼度は統計調査部の方が高いと言うけれども、これも抽出調査ですよ。大体統計調査事務所は平面の測量器すら十分持つていないのですよ。測量器も持つていないで、面積を正確に把握して出しております。人員整理しても大丈夫ですなんて、未端に行つてごらんなさい。計算器一つつていない。人を減らしたから計算器を持つたというなら別ですが、みんなそろばんです。そろばんだということになれば、人の腕を動かすほかに出て来ません。そういうようなやり方をしておつて、これでやりますと言うことは、とうていできないと思うのです。土壌の調査すらできていない。そういうことをやることが先決じやないかということが一点。もう一つは、これは行政管理庁お尋ねするのですが、一体あなた方は少し法規を侵していやせぬかと思う。これは林野庁でも食糧庁でも同じなんです。正式な資格のある定員内における検査員でなければ検査することができない、これは検査規則にあります。常勤労務者とか、非常勤労務者というのは資格者ではない。定員でなければいわゆる法律上の資格者じやないですよ。現在半分以上はあなたが言う非常勤労務者、農民から言えば普通の役人と言つておるのはあなた方の方から言えば定員外の非常勤労務者、無資格者ですよ。無資格者に検査をさせるなんということを、平気でやつておるじやないですか。こんなことをやらしておいて、人を減らせばいいなんと言うのは、みずから法律を無視していることだ。林野庁もこれはそうなんです。会計の担当者は資格者でなければならぬ。ところが未端では、足りないものだから、非常勤労務者も普通山の役人と称して、金銭出納をやらしている。これは代理だと言うけれども、ほんとうは代理ということはいかぬことだ。予算執行上の責任は定員でやらなければならぬはずであります。ところが実際判を押しているのを見てごらんなさい。非常勤労務者が判を押して、認めて、賃金を払つておる。林野庁がやつておられるんですよ。世間では定員内のいわゆる資格者と認めているから、通つている。これは会計法上十分考慮しなければならぬと思う。林野庁長官は首を振つておられますがやつておりますよ。あなた方は、法制上は非常勤労務者、実際の仕事は山の担当者というようなことで、ちやんとやらしている。担当区の人は定員でしようが、担当区の一人ではとてもまわり切れないから、代理にやらしているじやないか。会計には代理行為はない、法規上はないはずですよ。やらしているじやないか。そういう矛盾があることを何も検討しないで、単に何名減らせばいいだろうということで、一体法律を無視した執行をやらせ得る力があるのか、どうですか。
  87. 平野三郎

    平野政府委員 国の行政をするためには、国土調査が先決であるということにつきましては、まつたく同感でございます。いつでありましたか、国土調査に関する決議案というものを、私自身が提出したことがあるくらいでありまして、これが基本であるということは、まつたく同感でございます。しかしながらそのためには人さえふやせばいいというわけではないので、優秀な調査員を育成いたしまして、できるだけ能率を発揮して、少しでも早く片づけるようにいたしたいと思います。
  88. 岡部史郎

    岡部政府委員 川俣さんのお尋ねの点は私からお答え申すのが適当かどうか存じませんが、実はこういう問題があるのでございます。すなわち一定の行政行為——検査とか立入りとか、あるいは一定の行政事務の執行につきましては、法律で一定の資格を持つている者、ことに官吏の身分を持つているものにやらせる、こういうような形の場合があるわけであります。そういう場合におきましては、その当該官吏がその資格においてこれを執行するというのが、当然の建前でございます。ただそれは定員法とは関係ないのであります。御承知通り定員法というのは、先ほども申しました通り、その役所を構成いたします人員として、雇員、用人まで含んでいるわけでありまして、いわゆる一定の官吏の資格を持つてやる、たとえば労働基準監督官が工場を監督するというような場合におきましては、それは労働基準監督官の資格においてやるのでありまして、定員法の中に入つております雇員、用人がやることはできないわけであります。そういう場合におきましては、雇員、用人はその基準監督官なら基準監督官の補助としてついて行つているということであります。でありますから、川俣さんのお尋ねの点は直接には定員法の問題ではない。だれにやらせるかということを規定するそれぞれの当該法規の問題であります。  ただ率直に申し上げますと、これは農林省ばかりではございません。各省を通じまして、実は現場の事務所におきまして、かかる調査に相当はかま人夫を使つておる、その下に事務官を置いておる、あるいはまたはかま人夫に相当な仕事をやらしておるというような点もあろうかと思いますが、それはいろいろ各省事務の実情においてやつていることでありまして、ある程度不自然な面もあろうかと思います。それからまた御指摘の点は、たいていそのようなことは少いかと思いますが、もしもあるといたしますならば、それは補助なり代理なりという形でやつているものと思つておりますが、なお詳細はひとつ農林省当局からお聞き願いたいと思います。
  89. 川俣清音

    ○川俣委員 私は一例をあげて申し上げておる。検査規則によれば検査の資格者でなければならない。この資格者というものは常勤労務者、非常勤労務者は入らない。ところが実際はこれを使わなければ検査ができないし 供出促進もできないのでやつておるのです。現にやつておりますよ。もしも拒否されたらどうします、拒否できるのです。ところが農民からいえば、それらも常勤労務者か、非常勤労務者か、あるいは資格者であるかということがわからない。検査員と称せられておるから認めておりますけれども、法律の執行から行けば、これは違法であり、拒否できるといわねばならぬ。確かに警察署の中にもこれは雇員も用人もおるでしよう。しかし雇員、用人だからといつて巡査の資格はない。おそらく署長の代理を警部補や巡査部長がやるというのは、これは資格者であるから代理行為はできるでしよう。しかし本来から行けば、巡査が今いないから小使が巡査の代理ができるということはない。ところが検査員の場合は、いわゆる非常勤労務者常勤労務者が検査員と対等の資格において行つておるのです。これが拒否したら一番困るのは農林省です。供米はできやしません。あるいは山の中の営林署にたくさんの常勤労務者がおります。普通ちやんとしたいわゆる山役人と言われております。これらの資格がほんとうは常勤労務者であるか、定員内の資格者であるかなどということは、山の人はよく知りません。これは山のいわゆる人夫などは別ですよ。査定の基準になる判はだれがやつているというのです。一々担当区の人が行つたり、事務所の人が行つてつてはおりません。いわゆる常勤労務者に値するような人、時には資格者も行きますけれども、これは代理権がないのですよ。そういう人にやらしておるのが実情なんです。この実情に合して問題を解決しなければならぬのじやないかと言つておる。食糧庁長官、林野庁長官、もしこれに対して不服があるなら、実際の例をあげて申し上げてもいいのです。
  90. 稻村順三

    稻村委員長 川俣君の関連質問は非常に重要な問題でありますので、食糧庁の方からそういう実例に関する御答弁を願いたい。
  91. 武田誠三

    武田説明員 食糧庁の検査の問題でございますが、さしを入れて実際に検査をいたしておりますのは、全部定員内の検査官であると承知をいたしております。ただ非常に忙しいときその他になりますと、例の等級証印を押しましたり、それからだれそれが何俵何斗というような記帳をいたさなければなりませんが、そういうような事務を非常勤労務者ないし常勤労務者にやらしておるというふうに私は承知しております。
  92. 川俣清音

    ○川俣委員 そういうことが法律の建前であることはまことに明瞭です。しかし実際はそうじやない。ことしの秋になつて、あなたの言う通りつたならば、もしも資格者じやないということで拒否されたらどうします。一番困つて、供米が遅れて来るということで手を上げなければならないのは農林省だと思うのです。規則通りにほんとうにやらしてよろしいということになつたらたいへんですよ。そういう便法をもあえて供米のためにはやむを得ないとして実行されておるのが現状なんです。供米促進のためにはそのこともやむを得ないとして客認はされておる。客認されておることと、法規と今度の定員とは非常に関係が深いのです。規則通りやらなければならない。政府の方針だといつてあまり大きなことを言うと、たいへんな事態が起きるということが憂慮されます。
  93. 平野三郎

    平野政府委員 ただいま文書課長から申し上げました通り、法律に基いて検査の権限を執行するのは検査員であつて、その代理は認められないわけでありますが、川俣委員の御指摘になる点は、つまり検査の権限を執行するのじやなくて、それに対して手伝いをする、こういうことでありますから、何らさしつかえはないと思います。
  94. 川俣清音

    ○川俣委員 手伝いじやないのですよ。ちやんとさしを入れて検査して判をおしておるのですよ。だからそれは拒否できる、これが拒否されたら供米の最盛期において半分はできませんよ。大体できる能力はないじやないですか。一年間を通じては確かに能力はあるけれども、供米時期になりますと、今の定員ではとても押し切れるものじやないですよ。定員で割つてごらんなさい、能力の限度を越えておるか越えていないかということはすぐわかります。一定の期間において一定の定員で割つてごらんなさい、人間の能力において可能であるかどうか、数学的に出て来ます。それを実行しておるというのは、いわゆる定員外の人を使つておるからですよ。
  95. 稻村順三

    稻村委員長 平野政務次官に御注意申しますが、今の川俣委員の質問は、そういう事実に基いて検査を拒否することが当然だと解釈するかどうかということを、農林省の責任ある地位にある者として答弁願いたい、こういうことであろうと思うので、御答弁願います。
  96. 平野三郎

    平野政府委員 お話通り、法律上から申しますならば、検査の権限を執行するのはもちろん検査員に限るわけであります。ただ御了解を得たいことは、供米というものは時期的に最盛期のときは、非常に厖大な人員を要するわけで、ふだんからその人員を擁しておくということは、国家経済上不適当でありますために、やむなく——最盛期においては検査員によつては手に豆ができて血が出るといつたような者が出て参るわけです。それほど最盛期においては多忙をきわめますために、そのときに臨時職員を委嘱することになるわけで、その場合に権限の問題が起るわけでございますが、これはあくまでも手伝いをする、こういう趣旨でやるわけでございますから、その点はどうぞ御了承をいただきたいと思います。
  97. 川俣清音

    ○川俣委員 これは規則上手伝いとか補助ではできない、これは明らかなんですよ。ただ供米促進のためにあえてそういうことをいたしてもやむを得ないということで認容されておるだけなんです。しかしこれを定員で厳格にやらなければならないということになると、問題が新たに発生して来る。それをあえて法律を侵してまで、なぜ定員減をしなければならないかということなんです。これは問題ですよ。一人で大体何俵くらい検査できると思うのですか。動かないでおつてですよ。一分間に何俵できるというのですか。これではとても検査なんかできるものではないのですよ。それから今平野政務次官が言つたように、最盛期になると補助を使うとかなんとかしておるというのですが、それは代理行為ではできない。検査というものは代理行為ではできないのですよ。どうですか。
  98. 平野三郎

    平野政府委員 検査員はやはり相当経験を積んだ、能力の高い者でなければできないわけで、臨時に人をとりましてもすぐは間に合わない。従つて現在の機構といえども、ふだんはそれほど忙しくないが、やはりあれだけの陣容を最盛期に備えるために用意いたしておるわけでありますから、あくまでもその臨時職員は補助機関でありまして、御心配のような点はないと思います。しかしいわゆる最盛期においては、ある程度代理権に誤解を受けるようなおそれのあることまでやるということもありますが、これはやはり農民各位か政府に御協力をしていたいて、当面の供米を促進することが必要で、認容されておるわけでありますから、各位におかれましても御協力を得たいと思います。
  99. 稻村順三

    稻村委員長 そういう事実を拒否されることがあつても、農林省としてはそれは正当なものとして認めるかどうかという質問なのですから、それに対して拒否することはいけない、あるいは拒否してもちつともさしつかえない、こういうことをお答え願いたい。
  100. 平野三郎

    平野政府委員 検査員にあらざる者が検査の権限を執行するのはもちろんこれを拒否することができるわけでありますが、しかし最盛期におきましてはいろいろまぎらわしいような場合もあるわけでありますから、この点は常識に訴えて御協力をいただきたいと思います。
  101. 中村時雄

    中村(時)委員 さつきから聞いておると、これは平野政務次官の性格か、政府委員としての性格でそういうことを言つておるのかどうか知らぬが、実にポイントが違うのです。供米をそういうふうに調査に来たときに、拒否してもよいかどうかを聞いておるのです。法的根拠に照らして、検査員でない者がそういうふうに出て来た場合に、拒否してもよいかと聞いておるのです。そのときにあなたはよいと思うのですか、悪いと思うのですか、法的に照らしてはつきり答えていただきたい。ただ一点です。
  102. 平野三郎

    平野政府委員 それはただいま申し上げましたように、法的に厳格に申し上げますならば、検査員でない者が検査をすることはできないわけでありまして、もちろんその場合拒否し得ることは当然であります。
  103. 中村時雄

    中村(時)委員 散漫になると思いますから、一つの実態をとらえてお話してみたい。たとえば農家の実態を見ますと、私たちの愛媛県で農家の保有耕地面積が二十五年は五反未満であつた。それが五四%であつたのが、二十八年は四四%になつておるわけです。そうして農家の離脱あるいは都市集中化の傾向は非常に強くなつておる。これはその通りだと思う。三年にしてこのような変動があるわけです。従つて零細農業に対する対策としての最も的確な、しかも整備された基礎調査が必要であるということが、当然ここから出て来るわけです。要するにそうなつて来ますと農家の調査の結果から来る農事カードであるとか、あるいは基礎台帳であるとか、そういうようなものの整備が必要になつて来るし、政府はもちろん、地方行政機関においても、農村の行政に大いに役立つような、そういう調査機構が絶対に必要であると思う。なぜならば政務次官お尋ねするのですが、その基礎が明確でないために、いろいろずさんな供出制度がここに起つておる。実際に供出はあなた方は二千百万石と立てておる。ところがやみ米はたくさん出ておる。しかも今になつても千九百五十万石しか集まつていない。そういたしますと、必然的に今度は一般大衆の配給の量にまで影響が出て来る。たとえば現在十五日の食糧配給をやつておる。その中で内地米が十日です。ところがその十日の確保ができないから、今度は五日分の外米を六日間とか、七日間にするとか、こういう状態がまず起る。あなたはこの行政欠陥から、大いに一般大衆の上にまでしわ寄せが来て、この食糧行政、配給行政の方向に大きな問題が起つて来るということをお認めになつているかどうか、あるいはまた十五日間のうち予定されました十日間の内地米の配給予定が確保できるという決心を持つておいでになるか、どうですか。
  104. 平野三郎

    平野政府委員 国土調査の必要なことは先ほど来たびたび申し上げましたように、政府としてはその必要を痛感しておるわけであります。従つてそれがために統計機構の整備拡充に努力をいたしておるわけでございます。  また配給の米食率維持の問題でございますが、これはただいま二千百万石の本年度目標の供出確保に努力いたしておりますし、また場合によりましては特別早場米奨励金制度を設けたいということも目下検討いたし、需給推算に努力しておる次第であります。
  105. 中村時雄

    中村(時)委員 早場米とおつしやいますが、早場米とおつしやいますと二十九年度産米です。この計画では二十八年度産米のことを言つておるわけです。そこにおいてあなたは今言つたように、私の質問にポイントを合せてもらいたいのです。こういう基礎台帳がはつきりしていないから、結局供出の制度においてもあなたはほんとうに的確なる二千百万石がとれると思つてつても実際はとれない。そこで配給に対するところの問題で、今十五日分の配給に変動を来すのではないかということも言つておる。そうしたら初めの御答弁は早場米を云々するとこうおつしやる。早場米を云々するということは来年度分です。本年度分は的確に供出ができ得ないという結論になつて来る。それをみずから認めていらつしやる、そういうふうに解釈してよいですか。
  106. 平野三郎

    平野政府委員 米食率は維持すべく、二千百万石の供出は確保すべく努力いたしておるわけであります。
  107. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは二千百万石集まらなかつた場合に、政府としての責任をどうとられますか。たとえば供出される者には強権発動をするとか、そういう義務を政府は負わしておる。ところが集まらなかつた場合に、政府は集まらなかつたで事を済まそうとするのか、集まらなかつた場合の責任をどうとろうとしておるのか、こういう点を明確に答えていただきたい。
  108. 平野三郎

    平野政府委員 ただいまは二千百万石集め得るという確信のもとに努力いたしておりますが、万一集まらなかつたような場合におきましては、先ほど申し上げましたような特別早場米奨励金制度を設けまして、端境期の円滑を期する、あるいは繰越米の調整をはかつて行くということで、その場合にどうしても需給推算上米食率の切下げ等のないように、諸般の準備を進めておる次第であります。
  109. 中村時雄

    中村(時)委員 私が言つておるのは集まらなかつた場合です。あなたは集まるとおつしやるが、集まらなかつた場合にどう責任をとるかという一点をお伺いしておるのです。片一方には強権発動でつかまえてひつぱたいて牢屋に飛び込ませる、こういう状態をつくりながら、政府の方だけはその責任をのがれようとするから、その一点を私は言つておるのです。それに対してどう考えておられるのですか。
  110. 平野三郎

    平野政府委員 二千百万石は達成し得ると考えておりますが、万一の場合におきましても遺憾のないように準備をいたしておるわけであります。
  111. 中村時雄

    中村(時)委員 時間がないので集約してお尋ねしますが、そういうふうに基礎調査においても、あるいは先ほどの検査員の法的根拠におきましても、これのもつと大きな原因は、先ほど私の質問から来た御答弁であつたと思いますが、たとえばアメリカの追随外交から来るこういう問題をあなたは認めたわけですが、そういう基本的な問題をよく考えていただきたいということです。そしていよいよ本論に入るわけですが、たとえば先ほど芳賀委員も言われるように、各省において四四%の人員整理をやつておる。ところが農林省においては九・九五%の非常に強い線を出しておる。ところが、散漫になりますから統計に集約してみましよう。昭和二十四年度におきまして、統計で一万九千人の人間という実体があつた。ところが昭和二十八年の現在におきましては一万二千七百二十五名となつておる。実際わずか二、三割の減員にしかなつていないにかかわらず、これを今度は今言つた一番重大な第一線の各出張所に持つてつている。ところが各出張所の方はどうかというと、昭和二十四年度において二十名くらいのところが十名くらい、ほとんど半分くらい減つている。十名くらいのところは四名ないし五名くらいに減つている。すなわち実際二、三割くらいしか減つていないのが、そういう一番大事な実体を把握せなければならぬところにすべてがしわ寄せされている。また今般の待命の問題にいたしましても、その大半が婦女子になつている、そういう実態をあなたはどういうふうにお考えになつているか。
  112. 平野三郎

    平野政府委員 農林省が九・九というお話でありましたけれども、農林省の今御審議をいただいております率は、農林省全体を通じまするならば、七・三でございます。これは通産の七・三、建設の七・二とほぼ同様の数字でありまして、大体各省平均並のおつき合い、こういうことでございます。ただ九・九というのは、統計調査部の方はそういうふうになつておるわけでございますが、この程度整理は現在全体の立場からいたしましてやむを得ない、妥当であると考えておるわけであります。
  113. 中村時雄

    中村(時)委員 今申しましたように、現在の人員ですら現状維持がやつとこどつこいなんです。それはあなたも認めていらつしやるし、局長も認めていらつしやるにもかかわらず、たとえばここで統計なら統計を九一九%から切るということになるど、——あなたはその方向に努力をして行くと言う。言うことはだれでも言えるのです。問題はその行為なんです。その行為が伴わないことは詭弁なんです。そこであなたはこのくらいのものはやむを得ぬとおつしやいますが、それであるならば、今言つたような実態を全部根底から認めないという結果が行為の上において出て来る。それに対してあなたは自分の良識において正しく御答弁を願いたい。
  114. 平野三郎

    平野政府委員 人さえふやせばいいというような機械的な考え方はいたしておらぬわけでありまして、質の向上によつて目的を達成いたしたいと考えております。
  115. 中村時雄

    中村(時)委員 統計というものは、あなたのおつしやる通りですが、ただ人さえふやせばいいというのではない。それだけの経験と調査マンとしての一つの学識と、そういうものが基礎になつて行くので、おいそれとでき上るものではないのです。しかも今言つたように、地域において第一線になるところにしわ寄せされておる実態がここで現われておるのです。官庁で皆様方上の方の局長や部長あたりはどうでもいいでしようけれども、下の方になつて来ると、あるいは日本全体のわくの上から見れば、非常に重夫な問題が起つているのです。それに対して簡単に人をふやせばいいとか悪いとかいうことを言つているのではないのです。長年これだけ継続して一生懸命やつて来て、やつとものになるかならぬころに、こういう実態なんです。私の言つているのは、何もこの人たちが無能であるとは思つてないのです。それだけの経験とそれだけの実態を把握して一生懸命やつているのです。それに対してたとえば地方におけるしわ寄せの問題、あるいは今言つたように、この現状でさえも実際の実績の現状維持しかできない状態にあるにかかわらず、こういうふうな大量首切りをやるというところに、実際こういう調査が必要であると言つていながら、あなたの考えていることと逆行している行為を言つているわけです。それに対してひとつ最後に御質問いたします。
  116. 平野三郎

    平野政府委員 御意見はよく拝聴いたしますが、政府といたしましては、国民のとうとい税金によつてつて参るわけでありますから、できるだけ少い陣容をもつて高度の能率を期する、こういうことが必要であると考えておるわけでありまして、従つて行政整理ということもやむを得ないと考えるわけであります。その中におきまして特に重要なもの、あるいはその重要性にもいろいろあるわけでありますが、この程度のところが大体妥当ではないかという結論に達したわけであります。
  117. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたのおつしやるこの程度の首を切られれば、下部においては、おそらく出張所は二名、三名ということになるでしよう。その場合において何を意味しているかといえば、労働過重よりほかにないのです。あなた方はうまいものを食つて、たとえば待合政治をやつて中川に行けるかもしれないけれども、下の方はそうは行かない。そうして二名、三名になつたときの労働過重というものは当然考えなければならぬと思います。これは統計調査部長にお尋ねしたい。必ずそういつた実態が私は出て来ると思う。今の統計事務所において九・九%からの首切りが行われた場合、必ずや労働過重という線が各地域における第一線としては現われて来るであろうということが推察されるわけであります。それに対して部長にお伺いしたい。  それから最後に、もう時間がないので、これはもしも月曜日にやるならば、継続質疑にしていただきたいことをお願いしておきます。
  118. 安田善一郎

    ○安田説明員 お答えいたします。定員法で提案をされておりますのは、私ども統計調査部の本省と事務所、出帳所の総計の整理を、二年間でやれという案でありますけれども、二年間分を現定員と比較いたしますと九・九%であります。その内訳の私の基準といたしておりますものは、本省では一四%以上、事務所の本所の県庁所在地あたりになりますと、本所の段階において  一三%強、出張所では八%強であります。
  119. 田中稔男

    田中(稔)委員 統計調査部の部長にちよつとお尋ねしたい。今中村君からもお話がありましたように、整理をやりますと、どうしても下の方に労働強化が行われて来るというのでありますが、私どもいろいろ調べてみますと、まさにその通りであります。整理をするたびごとに上の方の課とかなんとかいうようなものは減らない。そういうところにすわつている人も減らない。その上に何か統計指導官室なんというものがあつて、そういうところに課長あたりであぶれたような人が入り込む。下の方がずつと人数が整理されて、仕事が多くなる。ところがこれはただ人員の上でそうなるだけでなく、たとえば少しけちな話になるかもしれませんが、旅費などという問題にいたしましても、非常に顧著な傾向が現われている。たとえば一人当り月額二千円ぐらいの旅費の予算が計上してあります。ところがそういうものがずつと上の方に吸収されまして、末端で働く人はせいぜい月八百円かそこらしかまわつて来ないというふうなことになる。一方また調査用の器具、器材というようなもの、たとえば具体的には自転車というようなものもぼろぼろになつてきわめて不備である。そこへ仕事がふえるというわけで、末端においては職員の諸君が困つて非鳴をあげているのが実情であります。部長はそういうことは十分御存じだろうと思いますが、そういうことで一体いいものかどうか、ひとつ部長として責任ある御答弁を承りたい。
  120. 安田善一郎

    ○安田説明員 お答え申し上げます。私どものやれと仰せつけられております調査業務と、このやることになつております行政機構及びこれに従事しております職員及びこれが使います機動力、調査用具、計算器具などにつきましては、能率——特にある意味の能率と申しましてもいいのですが、二十二年統計調査局が発足いたしましてその陣容、態勢ができたわけでありますが、日なお浅くて、林野庁の場合、食糧庁の場合、農事試験場の場合に比しまして、非常に不備であることを痛感いたしておりまして、これが真実私どもの悩みであるわけであります。私どもの悩みであれば、私の悩みでもありますれば、同時に実際実務を担当して、器材、器具、機動力を使いまして努力しなくてはならぬ出張所の諸君は、特にその悩みがあることはお話通りであります。せつかく毎年の予算ないしは行政機構または行政人員整理の際には、ここ数年間国会の御理解ある方々のお力を借りまして、これが確保に努力をいたしておりますが、私どもの希望を遠ざかることはまだ相当なものでございます。ただその事態を何とか逐次改善をして行くことについて認識しておる度合いにおきまして、私はあまり卑下をいたしません。部内外の方に比してむしろ非常によく存じておると思います。従いまして旅費の配分というのは人の動き方に対する報酬のわけでありますが、その他物的施設におきましても、総予算範囲内では第一線業務の上に重点を置いておるようにいたしております。下の方が出張所の数も当初より半分になりまして、そこにおります職員の数もおのずから、二十四年度に比べて五千人の整理をしつつありますので、人は減つておりますが、他方行政上あるいは政治社会上の要請によります統計調査事務はますますふえております。そこでこの両者を調整いたしますために、企画設計の部面において、統計結果が同じ程度の信頼度が出るものを、必要な調査事項を数多く総合的に利用できるようにして、現場の実務は簡素化できるように考えておりますので、あるいは統計指導宮室だとか課といつたようなある部分の上位機関における課の数がふえるということについては、この四年間その事実が幾らかありますが、それだからといつて上の方の人をふやしたことはございません。絶えず整理があるときは、上の段階の方は先ほど申し上げましたように、率は多く、下の段階は率を少くするように配慮いたします。ただ任意希望をとります際に、反対の現象が起りますので、先ほど足鹿委員にお答え申し上げましたように、あとで可能な範囲で、職員のことも考えて調整するように配意いたしておる次第でございます。
  121. 稻村順三

    稻村委員長 中村委員を初め、まだ通告者の質疑が大部分終了いたしておりません上に、農林委員会からの申出がありますので、本連合審査会の次回開会につきましては、内閣委員会においてあらためて協議いたすこととし、大分時間も経過しておりますので、本日はこの程度にいたしたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時十五分散会