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1954-03-24 第19回国会 衆議院 内閣委員会人事委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十四日(水曜日)     午後二時三十八分開議  出席委員  内閣委員会    委員長 稻村 順三君    理事 大村 清一君 理事 平井 義一君    理事 高瀬  傳君 理事 下川儀太郎君       江藤 夏雄君    大久保武雄君       木村 武雄君    永田 良吉君       山崎  巖君    粟山  博君       飛鳥田一雄君    田中 稔男君       中村 高一君    辻  政信君  人事委員会    委員長 川島正次郎君    理事 赤城 宗徳君 理事 田中  好君    理事 永田 亮一君 理事 山口 好一君    理事 櫻井 奎夫君       荒舩清十郎君    小山倉之助君       石山 權作君    加賀田 進君       森 三樹二君    池田 禎治君       受田 新吉君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (事務総局任         用局長)    大山  正君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君  委員外出席者         内閣委員会専門         員       亀卦川 浩君         内閣委員会専門         員       小関 紹夫君         人事委員会専門         員       安倍 三郎君         人事委員会専門         員       遠山信一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九一号)     ―――――――――――――     〔稻村内閣委員長委員長席に着く〕
  2. 稻村順三

    稻村委員長 これより内閣委員会人事委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして内閣委員長である私が委員長職務を行います。  これにより行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし質疑に入ります。質疑通告がありますから、順次これを許します。受田新吉君。     ―――――――――――――
  3. 受田新吉

    受田委員 定員法改正案につきまして、総体的に数字の上でお尋ね申し上げたいのでありますが、全体を通じて約六万減員で、警察庁の職員の差額三万を除いたあとの三万が実際の減員という形になると解してよろしうございますか。
  4. 岡部史郎

    岡部政府委員 お尋ね通りであります。
  5. 受田新吉

    受田委員 そういたしますると、実際の首切りの不安はない、この点においては行政官庁職員は安心してよろしいのだという前提のもとにこの改正案をお出しなつたと解してよろしゆうございますか。
  6. 岡部史郎

    岡部政府委員 実際の首切りがあるかないかということは別問題といたしまして、先ほどお尋ね通り政府職員全体といたしましては六万名を整理する予定になつております。そのうち警察職員につきましては、このたびの警察制度改正に伴いまして総数三万名を整理する計画になつております。これは相当大きな数のものでございますから、四年計画によりまして二十九年度においては一万名、三十年度、三十一年度においてはおのおの七千五百名ずつ、三十二年度におきまして五千名、計三万名を整理することになつております。それ以外の行政機関残り職員約三万名につきましては、これは各省、各庁に割当てまして、二十九年度においてできるだけ整理をする。現在のいろいろな社会経済情勢を見ますと、三万名と申しましてもこれが整理はなかなか困難な事情があろうと思いますので、各省、各庁の事情考えまして、二十九年度においてできるだけやる。そして三十年度において残りをやる、こういう建前でいろいろ数字をあんばいいたしまして、原則といたしましては二十九年度において少くともその六割、三十年度におきましては残りの四割をやる、但し仕事都合で二十九年度、三十年度に終らないものにつきましても、将来の事業見通しによつて特に整理するものがございます。たとえば国立学校職員につきましてはいろいろ教育計画ございましようから、これは三年計画でやる。それかり引揚援護庁調達庁におきましてはこれもいろいろ仕事都合がございます。引揚援護庁のごときは引揚げ援護事務の予想をしなければなりませんりで、これも三年計画、それから調達庁におきましても、事業の経過を見て二年でやることにいたしております。しからば全体の計画はどうであるかということにつきまして今度の整理の特徴として考えなければなりませんこは、従来欠員が相当ありました。この欠員も全部が全部でございませんが、定員から落せる欠員が相当ございます。これは最近の調べで六千九百十六名、約七千名ございます。それからもう一つ、四月一日から定員法が施行されるのを予定しておるわけでありますが、この施行を容易ならしめるため一昨年特別待命制度を施行いたしました。この特別待命制度は十一月一日から二月十五日までに発令したわけでありますが、その総数が九千百六十名に上つておるわけであります。これが四月一日から行います整理の内輪に入るわけであります。これを各省整理の数の中に割当ててみますと、二十九年度における整理はかなり楽ではなかろうか。たとえて申しますと、人事院の二十九年度における整理人員は八十八名でありますが、特別待命ではすでに六十名減員というような状態になつておりますので、欠員等をも勘案いたしますならば――それはいろいろ事情によつて違うと思いますけれども、各省ともかなり円滑に行く。これは各省の非常に熱心な御協力がある結果でありますが、円滑に行くのではなかろうかと考えております。
  7. 受田新吉

    受田委員 かなり円滑に行く見通しのもとにこの定員法改正案をお出しなつたという政府意図を伺つたわけであります。ところで実際の問題として、予算定員と実人員との間における差が政治的なかけ引によつて今まで要領よくこなされて来て、首切りはないのだという前提に用いられたのであります。この定員法改正が出るごとに政府は初め大なたを振うつもりで相当大規模な数字をあげて計画をしておるが、これに対するいろいろな輿論の反撃に会いまして漸次これを縮少し、最後にはほとんど出血を見ないようにするのだというような形に持ち運ばれ来たのは、これまた終戦後の事例に倒しましても歴史がこれを物語つておるところであります。従つてこの定員法に示される予算定員について、政府としては際の犠牲を払わせないようにという苦心をされたであろうということは想像できます。とともに問題となることは、各省の間において、各省ごとにやむを得ない事情があつて人員あるいは予算定員等の議論にかかわらず、とにかく定員法改正によつて精神的にも実際的にも打撃を受けぬようにしてもらいたいという強烈なる運動が展開されたことも御承知であろうと思います。しかし個々の最後案をお出しになるまでに政府がよほど苦心されたことは、各省要求をいかに押えて政府意図を浸透させるかという点で、省によつては非常に無理なところもできたでありましようし、あるいは省によつては強烈な阻止運動によつてそれが押えられておるところが、すなわちその整理が押えられておるところがあるというような、ある程度の不均衡がありはしないかと心配するのです。実際において今この数字を見ますと、現行定員法による数字の上で比較いたしましてふえておるところというのは、もちろん運輸省は海上保安庁の職員がこちらへ切りかえられましたので、全体の数の上ではふえておるのでありますが、現在の定員法とこれと比較してふえておるところ、やむを得ず増員したところ、あるいは新しい定員をつくるのにある程度の不均衡があつたかもしれないと憂慮されるような点こういう点について政府はいかなる苦心を払われたかの御発表と同時に、そうした点についてのいきさつもわれわれに示していただきたいと思います。
  8. 岡部史郎

    岡部政府委員 絶対数においてふえたところは、省におきましては外務省だけであります。絶対数において四名ふえております。実は外務省というのは御承知のような特殊事情がありまして、各省とは違いまして、終戦各省戦前の三倍ないし四倍にふえておるのに外務省だけは戦前よりも五割くらい減つておる。しかも講和条約発効在外公館新設をしなければならぬという事情がございますので、二十九年度におきましてこの在外公館新設、十一箇所ありますが、それから既設の公館の拡充も数箇所行う、このために五十六人の増員をいたしましたが、他面におきまして外務省自体職員の削れるものは削ることにいたしまして、これを五十二名削りまして、差引絶対数においては外務省だけが四名ふえる。その他の省におきましてはことごとく、具体的なパーセンテージをあげてよろしいのでありますが、パーセンテージにおいて相当減つております。それから受田委員の第二のお尋ねは、これを減らすことにつきまして各省均衡をどうとつたか、あるいは均衡のとれないものがあろうかということでありますがこれはまことにごもつともなお尋ねであります。実はこの人員整理と申しましても、非常に安易な整理に終るということはまつたくいけないことでありますので、各省ごとにそれぞれの職種を数十具体的にあげまして各省ごとに同じような仕事をしておる者については同じように減らして行く。実際のところ各省において同じような仕事をしておる者を、ある省におきましては、一割減らす、他の省においては五分しか減らさぬということでは、各省全体として治まるものではございませんから、そういう同じような職種につきましては、同じように減らしているわけであります。たとえば人事院公平手続に従事いたします職員海難警判庁海難審判に従事する職員、あるいは特許の審判に従事する職員、こういうものは横に見まして同じようなことでやつて行く。そうして一般的な事務職員につきましては、本省については大体二割見当は減らし得るだろうというようなことをやつておりますので、企画事務に従事するような一般行政事務の多いところは結果として重くなり、現業的な職員の多いところ、あるいは、今申し上げました審判というのも一例でございますが、機械的な事務に従事するようなところ、こういうところは低くなつておりますが、全体として各省を通じましてバランスをとることに最大の努力を払つたつもりであります。
  9. 受田新吉

    受田委員 各省によつてはやむを得ずして増員をしなければならないというような事情のところも相当ある、これは提案理由の説明を拝見しましてもはつきりわかります。お説の外務省職員在外公館新設に伴う増員のごとき、あるいは厚生省の癩療養所職員のごとき、これはそういう一例だろうと思うのでありますが、ここで問題が起りまするのは、この定員法の実施と関連して、今後四年間に整理をされるというこの構想に基いて附則の第十項に掲げてありまする特別待命制度であります。これは今あなたも申されましたように、現在の職員の中で、特殊の技術とか、あるいは特殊の職務上の知識というようなもので――たとえば引揚援護庁職員のごとき引揚業務に従事する者等におきまして、このたびこの本年かぎの特別待命制度の適用を受けることでははなはだ不公平なおそれの仕事を担当している人があります。従つて、四年間の整理期間中にこの特別待命制度がそれぞれ公平に適用されるような措置がとられないと、ことしだけこの特別待命制度恩典に浴するが、来年からは恩典に浴しない。業種によつてやむを得ず残留してもらわねばならぬ職員は、来年からこの特別待命制度恩典に浴しないということになつたら、はなはだ不公平だと思うのでありますが、この附則第十項はこのままの形でよろしいとされた政府意図を伺いたいのであります。
  10. 岡部史郎

    岡部政府委員 お答えいたしますが、実はこの特別待命については――臨時待命制度でございますが、臨時待命の問題につきましては、これをいつまでやるかというようなことは、仰せのような事情ごもつともな点があるのでありますが、ことしの一月十五日の人員整理閣議決定の場合におきましては、原則として二十九年度においてこの整理を行うという建前を一応表面上とつておりますので、従いまして、これを円滑に処理するための臨時待命制度も、二十九年度においてこれを行うということをうたつているわけであります。しかし、実際におきましては、それが、原則として六割が二十九年度で、あとの四割が三十年度で行われるということもございます。しかしこの三十年度に行われる分につきましても、二十九年度に繰上げて待命にしてしまうということもできるのでありますから、はたして三十年度において待命制度を行う必要があるかどうかということは、これは三十年度において検討しなければならぬ問題かと思うのでありますが、それを除きましても、実は先ほど申し上げました通り警察については四年間の計画、その他につきましても三年計画もございます。こういうのは、明らかに二十九年度だけで待命制度を打切るというのは困難な事情が起きはせぬかというので、来年度の定員法改正の際にこの点は検討するということにいたしました。事情によりましてはさらに三十年度において待命制度を実施することになるかもしれませんが、その点は、政府当局といたしましてはまだ方針を決定いたしておりませんで、三十年度に持ち越しております。今受田委員の御指摘のような事情は十分考慮しております。
  11. 受田新吉

    受田委員 来年度における定員法改正の際に考慮しようというような御意向で、ありますが、少くともここに掲げてある臨時待命制度は、この第十項の規定する限りにおいては二十九年度で打切られるわけだが、いろいろの仕事内容等でこのたびこの恩典に浴することができない人が含まれている。現在の定員の中で、今年だけこの制度を規定して、来年からそれを除外するということになると、来年から先にもこの制度恩典に浴しなければならぬ人がいるのがはつきりしているのに、また来年の改正に譲ろうなどというやり方は、立法技術の上でははなはだ不親切であり、まずいのではないかと思うが、いかがでございますか。
  12. 平井義一

    平井委員 議事進行について。もし塚田管理庁長官待命制度その他で質問があるならば人事委員会塚田大臣を呼んでもらいたい。きようの連合審査目的は、人事院人事委員会に移したがいいか悪いか、あるいは人事院においてこれだけの人間を減らしたら困る、そこで減らさぬようにしてくれということならわれわれは聞きますが、ただ、待命制度がどうだというようなことは、定員問題でわれわれは毎日やつている。そういうことになれば横道にそれますから、どうかその筋に乗つて人事院の問題で、こういうことを内閣委員会と一緒に開かねばどうしても解決できないという問題に限つてとつ質問を許してもらいたい。
  13. 受田新吉

    受田委員 今の平井君の御指摘の点は、この人事委員会内閣委員会合同審査をやる上において、定員法に関する問題で、待命制度その他人事委員だけでやれるものを人事委員会でやればいいのではないかということでありまするが、内閣委員会に付託されたこの定員法改正案が、人事委員会と同じ立場で、特に国家公務員定員の問題であり、人事委員会が関与する人事院規則関係等もあり、少くとも、行政機構の問題と同時に国家公務員身分問題等に関連するものでありまするから、われわれは、人事委員会との合同審査が実現されたことについては、そういう点で、幅の広い立場で、両委員会が一本になつて審査をするのが妥当であるという立場で開かれておると思います。ところが、今平井君の御指摘によると、人事委員会でやるべきものはやれということですが、われわれは付託を受けていないこの定員法改正案については、何ら関与することができないことになつている。従つて、この合同審査において、内閣委員会委員諸君の要望せられる点もわれわれの要望するところも大きくこれを取入れてこの定員法に万遺憾なき改正を行われることを期待するのがこの合同審査ではないかと思うのでありますが、いかがでありますか。
  14. 岡部史郎

    岡部政府委員 受田委員の先ほどのお尋ねにお答えいたしますが、実は、この臨時待命制度は今度実施することになりまするけれども、先ほど申し上げました特別待命が非常にいい成績をあげておりますので、各省を通じましてはたして三十年度において実施する必要があるかどうかということも事務的に一応検討する余地もあるわけであります、ただ、先ほど申し上げました警察外三つ長期計画のものにつきましては、事務的に見ましてもおそらく必要なんだろうと思います。この長期計画のものは別途考えるしかしあと各省を通じての四割につきまして、三十年度においても臨時待命制度をさらに継続する必要があるかどうかということは、そのときに十分考えてよろしかろうと思いますので、その点はひとつ十分考えさしていただきたいと思つております。
  15. 辻政信

    ○辻(政)委員 私は今の受田委員質問にはまつた同感であります。この待命制度を二十九年度だけに適用して三十年度以降に適用しないということははつきりいつて間違つておる。同じ法律のもとに立てられた臨時計画でありますから、第一年度だけに恩典を与えられて、第二年度以降はその都度きめるということは適当じやない。そういうことをあなたがおつしやるならば、この政府の原案は根本的にかえて、二十九年度のみの人員整理、それに伴う待命制度、こうおやりになつて、三十年度以降は別途にお立てになるのが筋道が通つております。これはこれから研究してきめるというのではなくして、数年度にわたつて人員整理をやろうとするなら出発点が同じなのです。同じ出発点に立つてやるものに対して違う制度を採用するというのは適当じやないと思う。
  16. 岡部史郎

    岡部政府委員 同じ整理を受ける職員につきまして、あとと先とでは非常に不利な取扱いをしたくないということは、政府当局といたしましても十分考えておることでございますが、ただこの待命というのは御承知通り臨時応急措置でございまするので、これを必要もないのに長期間置いておくのはどうかという考えもございますが、二十九年度においてはとにかく必要でありまするからこれをやりますが、三十年度におきましても必要ならばどうしてもやらなければならぬだろうと思つております。しかし場合によりましては四つの例外を除いては必要炉なくなる場合もあり得るわけでございまするので、そういう点も考えて一般的には二十九年度においてやる。これは先ほど申しました通り閣議決定方針炉、二十九年度において実質的にやるのだ、それを二十九年度において実際に整理を完遂するのはいろいろ職員配置転換転職等関係もあつて無理だろうから、実情に応じて延ばすという建前で、実はあくまで二十九年度においてやるという建前をとつておるものでありますから、そういう建前をとつたわけでありますが、その精神の存するところは私辻委員受田委員同感であります。
  17. 辻政信

    ○辻(政)委員 精神同感であつて制度が違うということは筋が通らない。精神が違うから制度が違うのなら筋が通ります。それでこれはよくお考えにならぬと、業務の関係によつては本人が今年やめたいのにやめさせないで、引延ばして一年間使う人もおるのです。自分の希望によらずして一年間使われる人もおるのですから、その人が取扱いにおいて先にやめた人よりも薄く国家から報いられるということは国家としてはとるべきじやない。りくつはどうあろうが、精神において同意ならば、その同意されたと同じような制度をおとりにならぬと首尾一貫いたしません。
  18. 受田新吉

    受田委員 今内閣委員会の方の平井君より意見が出されたのでありますが、これが一委員意見であつてもこの意見に耳を傾けるものがあればわれわれはこれを聞かなければならぬ。従つてこの委員会連合審査を進める上においてはなはだまずい気持でこれが進められてはわれわれ不愉快であります。この連合審査は結局今平井君が指摘したように、国家公務員法改正人事委員会で審査することに関する関連的なものならという言葉さえもあつたのでありますが、そういうようなはなはだ片寄つた考え方だけの連合審査であるならばこれは意味をなさぬと思います。この委員会取扱いについての平井君の発言に対して、委員長の適切なる措置を願いたいのであります。
  19. 稻村順三

    稻村委員長 委員長からお答えいたしますが、人事委員としては人事委員会として定員法の全般に関して質問したいことしあるだろうということは受円委員の申す通りでありますし、また人事院関係、たとえば国家公務員法改正あるいは人事院のいろいろな取扱いに関しまして内閣委員会より質問したいというのもこれもまた連合審査をやる当然の要求だろうと思います。従つていろいろな点もございますので、議事進行上まず人事委員から発言通告がありましたので、先に人事委員発言を許しますと、その次には内閣委員発言を許すことにいたしまして、交互に発言を許すことにおいてお互いの目的を達したい、かようにとりはからいたいと存じおてります。
  20. 高瀬傳

    高瀬委員 もし委員長がそういう趣旨で表れば、この際人事院総裁だけを呼んで連合審査をやつて意味がない、塚田長官を呼ばなければ意味がない、私はそう思います。
  21. 稻村順三

    稻村委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止
  22. 稻村順三

    稻村委員長 それでは速記を始めてください、受田君。
  23. 受田新吉

    受田委員 ただいま辻委員からも私の意見に賛成の意見が述べられ、行政管理庁においても意見が述べられたのでありますが、私はこれをうやむやに葬むるわけに行きません。従つてここで人事院総裁に矢を向けかえることにして、最初にまず人事院総裁お尋ねいたします。  人事院総裁は、この特別待令制度を昨年秋実施されたことについて、この特別待命制度趣旨というものがどういうところにあつたと思われるか、それから今回のここに掲げられておる附則第十項については、人事院総裁はいかようにお考えになるか。ことに十一項に掲げてありますところのこの規定によりまして、職員の意思に反して臨時待命を命ぜられるような場合における、手続について、国家人事委員会規則をつくるようになつおりますが、この規則をつくる上においてどういう構想を持つておられるのか、こういうことについて、人事院総裁として御答弁を願いたいのであります。
  24. 淺井清

    淺井政委員 お答えを申し上げます。特別待命でも臨時待命でも、これは決して人事院意図したものではございまん。ただ人事院といたしましては、内閣へ協力する方針で来ておるわけであります。どういう構想でこれが出て来たかということは、塚田さんからでもお聞きいただきたいと思います。
  25. 受田新吉

    受田委員 人事院総裁は、この政府の政策として出された特別待命制度なるものについて、いろいろな手続上の規則をつくらなければならない。それは人事院総裁責任であります。その人事院総裁が、どういう意図でつくられておるかを了解しないで、規則だけをつくるようなことであれば、それははなはだ責任転移であると思うが、どうですか。
  26. 淺井清

    淺井政委員 責任内閣にあるのでございまして、人事院といたしましては、これに協力いたすのでありますが、われわれの了解いたしておりまするところでは、この制度は、特別待命でも臨時待命でも、行政整理を円滑にやるということ、そうして整理される者をなるべく優遇し得るということ、さように聞いておるのであります。
  27. 受田新吉

    受田委員 その精神を、人事院総裁は今お述べになつたように了解しておられるようであります。従つてこの特別待命制度行政職員身分の上に不安を与えるようなものであつたり、あるいは生活に脅威を与えるものであつてはたいへんなんでありますが、人事院総裁といたしましては、その手続上の規則をつくられる技術の上において道を誤るならば、待命制度精神とは逸脱するおそれのある手続もつくられるのであります。従つて大幅に手続人事院にまかせられている現状におきましては、その手続規則の上に表わすことははなはだ慎重を期さなければならない。従つて、現在は人事院規則としてつくられているものでありますが、今度この附則十一項に掲げられているように、国家人事委員会規則で定めるところによるというようになつているのであるから、前の特別待命制度規則と同じように、人事院総裁は十一項に対する構想――この法律が出たらこの規則はこうあるべきだというくらいのことはお考えになつておられると思うのです。もしこれをお考えになつておらぬとすれば、またそういう仮定のもとに立つ答弁はできぬと仰せられるならば、それは職務怠慢であると私は断定できる。
  28. 淺井清

    淺井政委員 お答えを申し上げます。そういう御懸念がございますから、人事院としてはなるべく人事院規則に多くを委譲されることを好まなかつたのであります。ここにこまごまと特別待命のことが書いてございますが、すなわちこれはできるだけ構想の大部分というものを法律の明文に表わし、国会の御審議にまとら、こういう考えでありますから、人事院規則にゆだねられております部分は、きわめてささやかなるものでありまして、どれはどのものしかあがつておらぬかということは、人事院の任用局長から申し上げさせてよろしいと思います。
  29. 大山正

    ○大山政府委員 ただいま御質問のありました附則十一項の関係国家人事委員会規則といたしましては、臨時待命を命じ、あるいは承認する場合の人事上の手続のみに関する件でありまして、ただいま考えております内容といたしましては、任命権者が臨時待命を命じます場合には、人事異動通知書を交付して行わなければならないという点が一点、それから職員から申出がありまして、これを承認した場合、並びに待命期間が満了いたしました場合には、やはり任命権者が人事異動通知書を交付するという点、さらにもう一つの点といたしまして、この臨時待命を命じ、または承認する任命権者というものには、併任の方の任命権者は含まない、その程度のことをただいま考えております。
  30. 受田新吉

    受田委員 昨年の十月に出されたところの人事院規則、すなわち特別待命に関する人事院規則でありますが、この規則には、その第八条におきまして、「この規則は、次の各号に掲げる職員には適用しない。」として非常勤職員、あるいは二箇月以内の期間を定めて雇用される職員、臨時的職員、停職または休職中の職員というようなものが掲げられているのであります。こういうものは法律で規定されないで、人事院規則で規定されているが、結局人事院がこれをきめることになりまますと、規則とはいいながらその適用の範囲をきめることになるのであつて、これは法律で定めるべきものだと私は思つている、大体法律で定めるべきものがここへあげられているが、こういうものに対して、今度の定員法改正案の十一項はどういうふうに考えておられますか。
  31. 大山正

    ○大山政府委員 ただいま御指摘になりました臨時待命を適用します範囲の問題は、附則十一項の問題でありませんで、附則十項の「政令で定めるところにより」、「命じ」、または「承認することができる」というその政令によつて害かれるものというように考えております。といいます意味は、附則十一項はまつたく人事上の手続のみに関しまして国家人事委員会規則にゆだねられているのでありまして、いかなる範囲のものについて、いかなる方法で、いかなる基準で臨時待命が適用されるかといいますことは附則十項の問題である、かように承知いたしております。
  32. 受田新吉

    受田委員 その附則十項により政令によつて定めるという政令の内容にはどういうものを考えているか、行政管理庁より御答弁願いたい。
  33. 岡部史郎

    岡部政府委員 今受田さんからのお尋ね臨時待命を適用することを不適当と認める職員の種類は、今度政令で定めることにいたします。
  34. 受田新吉

    受田委員 そうすると、今まで人事院規則で定めていた部分をこの政令で定めるというが、政令で定める事項は人事院規則の第八条全部にわたるのか、あるいはとれよりも範囲が狭いか、あるいはさらに拡大された範囲であるか、その内容を御答弁願いたい。
  35. 岡部史郎

    岡部政府委員 政令で定める範囲は、従来の人事院規則八条より若干広くなつております。と申しますのは、今のような臨時待命制度の適用のない職員の範囲でありますとか、それから臨時待命職員につきましても、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受けない、いわゆる現業関係職員がどういう給与を受けているかというようなことも政令で定めることになつておりまして、その分も含みます。それから勤続期間の計算というようなことも政令で定めることにいたしたいと考えております。
  36. 受田新吉

    受田委員 政令で定める範囲がはなはだしく厖大にわたりますが、こういうものを一々政令に規定を掲げて政府に委任することになると、われわれとしてはこうして立法機関で基本的なものを考えようとする原則に反すると思う。今指摘されたような点で、現業職員の問題のごとき、あるいは非常勤職員などについてもある程度の影響するところの大きい部分は、法律のこの条文の中に抜き書きすべき性質のものではないかと思うが、政令委任の危険性というものを私たちは強く感じまするので、政府としてはこういうところに対する心づかいをされたかどうか。それははなはだいいことだと思つたが、手続上あるいは今までの慣例によりこうしたものだということになるのか。御答弁いただきたいのであります。
  37. 岡部史郎

    岡部政府委員 法律と委任政令との関係というものは、純粋の立法技術に属するわけでありまして、結局ある程度まで職員の権利義務に関するようなものは、これは法律で定めるのが当然で、ただ手続を主としてこれは政令に譲つた方が簡明に行くであろうというような気持のものは、これは政令に譲る方が当然であろうと思うのであります。そういう意味からこの臨時待命に関しても先ほど浅井総裁も言われましたように、そのおもな事項についてはできるだけ詳細に法律で規定したつもりであります。ただごく例外的な、今申し上げましたのは、たとえば臨時待命の適用を受けない職員の種類というようなものは、これは一つ一つ考えてみますと、実は当然のことなんでありまして、いわば説明的な規定だ、単に解釈的な念のための規定であるからそういうものは、前の人事院規則の八条もそうでございますが、今度の政令においてもそういう意味においてこれは政令に譲つた方がよかろう。あるいはこれは人事院規則でもかまわぬ程度のものであります。  それからたとえて申しますと、定員法附則の十四項に、臨時待命職員には給与法に基く俸給、扶養手当、勤務地手当を支給する、こう書いているわけでありますが、ただ一般職の職員の給与に関する法律すなわちいわゆる給与法の適用を受けない職員、これはいわゆる現業関係職員、公労法の適用を受ける職員、この公労法の適用を受ける職員の給与は団体交渉できまつておりますので、直接に給与法の適用を受けない。しかしそれらのものが待命なつたときに支給されるものは、やはり給与法の適用を受ける一般職の職員と同じ給与でなければなるまい。そういうわけでその団体交渉に基く団体協約によつて給与の適用を受ける職員では、その団体協約に基く給与準則で一般職の給与法に基く俸給と扶養手当と勤務地手当に相当するものを支給する。これも手続だけであります。主として手続だけを政令に譲つているということでございます。
  38. 受田新吉

    受田委員 手続だけということでありましたがところがここに問題になるのは臨時職員の問題なんです。定員法に掲げられていない数字ではあるが、実は常時勤務をしておつて、常勤の定員法に定める職員とほとんど同じような職務内容を持つている職員が多数おります。これは今ちよつと行政管理庁から数字を示してもらいたいのですが、常動的性格を有する非常勤職員の数が何名あるか。またこのいわゆる臨時職員と称せられる、ここに掲げてありまするところの人事院規則の第八条の三項にある者、あるいは二箇月以内の期間を定めて雇用される職員、こういうものの数がどのくらいあるか。これはやはりお聞きしておかぬと、その数が非常に大きな数になるならば、その職員を保護するのに、この十四項に掲げてあるような一時的な規定等でごまかされておつてもしようがないのであります。われわれはそうしたまつた定員法に基く職員と同じ立場で働いている人々を保護するところの規定が定められなければならぬとかねて思つてつたのですが、これに対する質問あとからおつかけてやりますので、その数字を示していただきたいと思います。
  39. 岡部史郎

    岡部政府委員 今受田委員お尋ねの点は、いわゆる常勤労務者に関する問題だろうと思います。この常動の労務者につきまして、かねがね問題が起つておりまして、これらの検討ということは定員法及び公務員制度を通じて一つの今後の問題であろうと思います。これまで常勤労務者の問題につきましては、いろいろ問題点があるのでありますが、大体今までいろいろの機会におきまして問題になつているところでありますから、その問題点は省略いたすといたしまして、その常勤労務者が現在どのくらいの数がいるかと申しますと、ただいまの調査では三万五千名でございます。これは御承知通り定員法の適用を受けないで、それぞれ各省各庁に事業量に応じて予算で統制されている職員であります。それではこの常勤労務者は定員のどこに現われてくるかと申しますと、定員法の二条一項の表に現われている職員以外のものもありまして、定員法の第一条におきまして二箇月以内の期間を定めて雇用される者という職員の範疇に属するものであります。純粋に申しますれば、二箇月以内の期間を定めて雇用されるものでありますから、当然二箇月以内の期間を定めて雇用される職員臨時待命制度が適用されるということは、理論的にいつておかしいのであります。今度の臨時待命制度というものは定員法の適用を受ける。職員についての制度でありますから、この二箇月の以内の期間を定めて雇用される職員という意味における常勤労務者は、その適用がないのが当然であると考えております。ただこの常勤労務者は、表面上は二箇月以内の期間を定めて雇用されるものでありますが、その雇用期間が更新されまして、長期間勤務していることは御承知通りであります。その勤務が継続して来るにつきまして、これらの職員の利益を保護するという建前から、二十五年に人事院では事務総長の通牒で、それらの職員で一年以上勤務してなおその職務が続くようなものについては、これは一般の常勤職員と同じように扱えという通牒を出したわけでありまして、それが縁となりまして二十七年度からは、今まで非常勤の職員の手当ということに含まれておりましたのが、常勤労務者の給与法ができて参りまして、次第次第にこの常勤労務者の処遇というものが改善されて参つていることは事実でありますが、しかしこれはあくまでも組織の面から申しますと、その役所の恒常的な職員ではない。臨時の二箇月以内の期間を定めて雇用される、そういう意味におきまして今度の待命制度の適用の範囲外にするのが適当なものと私ども考えております。
  40. 受田新吉

    受田委員 あなたの説に従うと、これは定員法のわく外であつて、適当にごまかしておけばいいんだ。ことに臨時的な性格を持つたものだから臨時待命制度などの恩典などというものは全然考慮する必要はない。事務的にその範囲をきめるときに十ぱ一からげにすればいいんだというような印象に聞える。私はここでこの問題を追究したいのは、定員法で押えておいて、一方において常勤的性格を有するところの臨時的職員がどんどんふえて行くというこの日本の現状です。公務員制度の上において、定員法の上において――定員法ではわくで縛つた、しかし仕事はちつとも減らぬから、結局臨時的に雇用するようになつて来た。その臨時的雇用者にほとんど定員法にきめているところの職員と同じような職務を押しつけて、そして朝から晩まで苦労に苦労を重ねているけれども、一方においてはその待遇の上において定員法において定める職員とは離れていて、まつたく冷遇されている。こういう現状が私ははなはだ解せないというのです。つまり定員法で六万三千人に押えた。押えたがその部分ははみ出て、臨時的性格を有する職員として厖大なる数に上つて来るという現状をあなたはいかがお考えかということであります。
  41. 岡部史郎

    岡部政府委員 常勤労務者制度については、これはその実質がなかなか重要なものでありますから、軽々しく考えるべき問題じやないということは、私は一番最初に申し上げた通りであります。これは今後研究して行かなければならない問題でありますが、ただ常勤労務者の性格につきましては、今申し上げた通りでありますが、この常勤労務者につきましては、これは予算でその数が統制されているということを申し上げたことが一点と、それから申し落しましたが、従いまして常勤労務者というものはそれぞれの事業量に応じて増減するものでございますから、このたびの行政整理におきましては常勤労務者には整理はかけなかつたのであります。従いまして整理を受けない種類の常勤労務者に臨時待命制度の適用はないことは当然であります。
  42. 受田新吉

    受田委員 臨時職員事業費の中に計画する職員という形になつておりはしませんか。実際はどうなつておりますか。
  43. 岡部史郎

    岡部政府委員 常勤労務者の項目の中から給与が出ることになつております。
  44. 受田新吉

    受田委員 結局給料として正規に出す職員定員法に定めるものだけで、そのほかのものは人件費のほかのわくでこれを出すというふうに原則としてなつておる。特に臨時職員の場合にはそういうことになつて来ると思います。(発言する者あり)。そうすると、ものによつて事業費、物件費の中から尊い人の働きに対する給料が出て来るようになると思いませんか。
  45. 岡部史郎

    岡部政府委員 常勤労務者につきましては常勤労務者給与という人件費の項目がございますが、それ以外に実は非常勤職員でそういう事業費の中から賃金その他の名目で支出されているものが相当あることは、これは私も認めます。
  46. 受田新吉

    受田委員 ここで騒々しいのが二、三ほどおるので、はなはだ議事進行に支障が起つてしようがないのですが、委員長としてはひとつよく鎮圧していただきたい。  私はここで真剣に考えたいのは、人間の基本的人権を尊重するという立場から、人間の尊い労働に対して正当の報酬を国家が負担するという建前から見ましても、この臨時職員の数をどんどんふやすというように、臨時的性格を有する職員、すなわち非常勤の職員と、二箇月以内の常勤労務者、あるいは臨時的職員、こういうようなものをだんだん減らして行く、そうしてその人たちにも一定の身分上の特典を与えて行く制度が必要だということを指摘したいのです。ところが政府意図しているところは逆に定員法ではだんだん減らして行く。そうして一方では臨時的な性格を有する職員増員するという結果になる。これに対して臨時的に雇用される職員身分上の特典、待遇上の特典にはなはだ不均衡が生じまして、その人の基本的人権を尊重することができなくなる。それに対して政府ははなだ冷淡である結果が起つて来るのです。これを私は憂えるのです。発言する者あり私は騒々しい人にも聞かしてやりたいのですが、少くとも委員会において、こいういう騒々しく委員会を混乱に陥れしめるような人々でさえも、臨時的性格を持つ職員の不幸な立場はよく御承知のはずなのです。この点において政府定員法に定められた定員の数を押える一方で、そういうところにはみ出るものに対する防止策とか、あるいは臨時的性格を有する職員に対して今後の優遇策、こういうものに対して何か期するところがあるかお伺いしたいと思います。
  47. 岡部史郎

    岡部政府委員 お答え申し上げますが、先ほど来申します通り、この臨時的な職員の処遇ということは、これは実質的にいつて非常に大きな問題だと思います。これはもう御指摘をまつまでもないことであります。それで今度政府におきましては、ここ数年かかつて、非常に怠慢ではなかろうかという御意見もあろうかと思うのでありますが、今度公務員制度調査会を発足させることにいたしましたので、そこにおいて根本的にこれを考えるべき問題である。簡単に定員法のわくの中だけでは解決できない問題であると考えます。
  48. 受田新吉

    受田委員 定員法のわくの中では簡単に処理できない。しかし定員は毎年毎年減らして行くようにしておるので、定員法改正、ごとに定員が減つて来る。一方臨時職員がふえて行く。こういう現象は政府としては傍観してはならぬと思うのです。結局国費が出される対象になる人員の数は結果的には多くなつて来る。しかし国家がその身分と俸給上の特典を付与している。その特典の大きい立場にある職員の数が減つて、そういう点で非常に不利な立場にある人がふえるということは、国策の上からいつても、人道的立場の上からいつてもけしからぬことであると思います。そこを追究しているのであります。
  49. 岡部史郎

    岡部政府委員 まことにごもつともな御意見だと思いますので、十分研究課題として研究いたしたいと思います。
  50. 受田新吉

    受田委員 この附則第十項でありますが、この規定は今辻さんも、私も指摘したのでありますが、この規定は二十九年六月三十日までという、ここだけは法律できめ、そのほかの規定は政令に譲つたということになるわけですが、法律できめたところは、これは一度きめられると融通がつかなくなるのです。また法律改正しなければ変更できません。従つて法律できめるということは重大な問題なんです。手続上の問題とは違うのです。軽々しく政令などできめるのとは違う。従つて二十九年というこの規定があるゆえに救われない人々ができるということは、これは国策の見地からいつても重大なる問題なのであります。私はその意味におきまして、政府がいいかげんに来年また改正する機会もあるだろうから、そのときに来年から先の適用者は改正によつて恩典に浴してもよかろうというような軽い気持でお逃げになつておりますが、いやしくも法文の中に書かれる規定は慎重審議をして、そうして全国民の納得が行くような形でなければならぬ。国会にその責任を転嫁させるのでなく、政府自身が慎重な御計画と慎重な調査に基いて最後の決定をなされて国会に出されなければならぬ。政府出した案に対して私たちの申し上げる点でなるほどと納得される点があるならば、政府自身が反省をされなければならぬ。反省の意図なくしてこれを強硬に押し進められようということがあるならば、政府としては権力的な性格を強く出すものであつて、民主主義国家としてははなはだ遺憾だと思うのであります。従つて先ほど来申し上げましたように政令に定める事項、あるいは人事院規則で定める事項等は、それゆえ一たびここに文章となつ、現われたこの年月日というものは動かすことができなくなるのです。もし途中で解散ということになつて法律ができなかつた場合には、来年やめる人は救われなくなる。経過的に見てわかり切つた現象があることがわかつているのに、あえてこれからのがれようという政府は、はたしていかなる意図があるのか、この点も最後に伺いたいと思います。
  51. 岡部史郎

    岡部政府委員 特別な意図はございません。先ほど辻委員からも御指摘がございましたが、十分傾聴すべき御意見と存じます。ただ私どもの立場は先ほど申し上げました通りで、これ以上つけ加えることはございませんので、両委員意見を十分尊重いたしまして、上司にも報告いたしたいと思います。
  52. 受田新吉

    受田委員 質問を保留して一応私の質問を終ります。
  53. 稻村順三

  54. 平井義一

    平井委員 ただいまの受田君の熱心なる誠意のこもる質問を拝聴いたしましたが、実は内閣委員会で目下定員法を審議中であります。しかして受田君がもし党内事情が許すならば、内閣委員会に来てもらつて朝からひとつ御議論をしてくださるならば、慎重に拝聴いたしたいと考えるわけであります。本日は合同委員会で、ここで両方でどうしても委員会にかけて解決をしなければならぬという問題が実はできたんだろう、そうして合同委員会が開催されたと考えて先ほどああいう議事進行発言をいたしたのでありますが、ただいま赤城委員から聞けば、われわれが呼んでもなかなか人事委員会に来ないから、内閣委員会とやるのだということで、よくわかりましたから、その点は受田君その他の方にも十分質問をしていただきます。ただ私がちよつとお尋ねしたいのは、元来人事院であつたものが、このたび国家人事委員会に移行して行く。この点でこれが人事委員会になつてもさしつかえないものか、あるいはこういうところで不自由だから反対するというようなことは人事院にないのか、この点をひとつ総裁にお尋ねをいたしたいのであります。
  55. 淺井清

    淺井政委員 お答えを申し上げます。御承省のごとく、ただいまの人事院制度に関しましては、賛否いろいろの論議があろうかと考えております。しかしながらこれはその起りから見ましても、運営から見ましても、一方において団体交渉権あるいは政治活動の自由等を制限もしくは禁止いたしましたそのかわりとして、こういう制度ができたということはこれは疑うべからざることでございます。そのためにこの機関は、いろいろ論議もございましようが、相当の独立性を持つたものでなければならないように考えております。独立性を持つということは決して常に内閣と相抗争するという意味ではなくして、その使命が公正な立場からやられなければならぬことだろうと思つております。  そこでただいま提案されておりまするところの国家公務員法改正案によりますれば、内閣に所属しておりましたところの人事院が、総理府の外局になるということでございます。この場合普通の外局と同じものであるといたしますならば、これは独立性がなくなるわけでございます。従つてこれから人事院のやつて行く仕事に支障があろうかと考えております。そこでわれわれといたしましては、さようなことのないように種々考慮いたしまして、あの案ができておるわけでございます。ただ今回の改正人事院として希望したものでないということは御承知置き願いたいと思います。
  56. 平井義一

    平井委員 実は昨年塚田管理庁長官が機構改革に伴う行政整理ということをわれわれに示して、その後諸般の事情各省とも機構改革はやらぬということを私に言うておる。しかるに人事院のみは、国家人事委員会に移す。ただいま総裁の話を聞けば非常に不自由な点もあり、力が弱くなり、独立性が非常に薄くなるという。こういう問題をなぜ人事委員の諸君がついてくれないかと私は思う。それならば私は今日の連合審査会が非常に有意義に生きて来ると思う。  そこで私どもとしては、今日国家公務員法の一部を改正する法律案を検討中でありますが、今の総裁の言葉を参考にして、今後審議を進めるのでありますから、本日の連合審査会は意味があるのであります。定員法については、われわれは毎日慎重に審議しております。ただいまの総裁の御意見で、また私どもとしては塚田長官に十分総裁の意見なり、あるいは今日人事院に働いておりますところのの職員意見を伝えて、皆さんの御希望に沿いたい、私はかように考える次第であります。
  57. 稻村順三

    稻村委員長 石山權作君。
  58. 石山權作

    ○石山委員 私は定員法というものとは給与法というものとは非常に関係があるというのであります。ということは普通民間においてはたとえば企業整備、あるいはコストの問題などに関しますると、どうして人員整理して、利得を得ようとする考え方、これは民そういうような考え方になるのだろうと思うのですが、年々歳々、たとえば人員整理をするなどと発表されれば、国家の公僕である官吏諸君に与える人心の影響というものは、莫大なものだと思う。吉田首相がこの人員整理をすす払いの程度だというようなお言葉を用いておるところを見ますと、最近は衛生思想が高まつておるのかどうか知らぬが、日本としては、年二回の衛生掃除をやる。そうしますと、どうも年次計画としては、四年くらい立てて警察官をたとえば二十九年度から、あるいは三十年度に整理をすると言われまず、がすす払いを毎年やられておるのでは、人員整裡が追打ちにされて、この計画が実施されるのではないか。たとば四年計画でやられるとするならば、一般職は二十九年度に大むねやるというようなお話でありますが、それはどうなるでしようか。あとやらないという見通しのもとにこの年次計画を立てたかどうか伺いたい。
  59. 岡部史郎

    岡部政府委員 これはこの前の内閣委員会におきましても塚田長官からお答え申し上げました通り、この人員計画に組まれておる範囲内におきましては、これでやらぬということは当然のことであります。ことに警察については四年計画引揚援護庁についても四年計画というような場合においては、それは四年間安定すべくその計画従つて実施することになるのは当然であります。また人員整理と申しますものも、これは御承知通り公務員の身にとつてみましても非常につらい、やり切れないことなのであります。こういうことかしよつちゆう起るということは、能率の増進の上におきましても、志気の高揚の上におきましても好ましくないことであります。できるだけやるものは徹底的にやつてあとは適当な正常な構成員をもつて職務に従事せしめると、いうのは、これは当然のことであろうと思つております。
  60. 石山權作

    ○石山委員 提案理由の説明書の中に、「行政機構を合理化し、行政事務を簡素化し、」という言葉が二つございます。これはまことに重要なことだと思う。これはわれわれの担当する人事院に直接に影響のある言葉だというふうに了解しておる。私は人事委員の一員だから、人事院の性格そのものを擁護するとか、機構とか権威を擁護するという建前だけでなく、国家全般の一つの政治上の、あるいは経済上の段階から見た場合において、機構を整理してそうして冗費を省く、こういう御意見ならば、私はやはり全般的な構想の上に立つてこれを実施しなければならない。しかるに結果的に見てみますと、どうもわれわれの担当する人事院にしわ寄せをされておる。しかもこの人事院は、何も私が今るる説明するまでもなく、官公吏の方々が最も力にしておる一つの機関であり権限を持つた役所である。それをば、どういう理由か知らないけれども、よそはあまり手をつけなかつた。しかるに六十何万の官公吏の方々が一番力にしておる機関だけに特に手をつけなければならなかつた理由を私はあえて問いたいと思う。どういう理由でやつたか、その結果においてどういうふうな利益が生れるのか、政府自体としての考え方そのものがどういう利益を目途としてこういうふうな大きな機構改革をやろうとするか、あえて私どもの方の担当する人事院だけをなぜ特に目ざされたかという点を御説明願いたい。
  61. 岡部史郎

    岡部政府委員 私からお答え申し上げるのもいかがかと思うのでありますが、行政機構の全般的な改革ということを目ざしたことも、これは事実でございます。ただ先日塚田長官からも御説明申し上げましたが、行政機構の改革につきましては、全般的に調整をとつて改革しなければならぬところがあるし、それから個別的に改革しなければならぬところもある。それで全般的に調整をとつて改革するという点はどういうところか申しますと、各省を通じまして外局の数を減らして大臣の責任体制を明確にするとか、各省を通じて局部の数を減らすとかいうような点でありますが、これは一つの省だけをやつたつてどうも全体としての調整がとりにくい、そういう点は今後なおその実施に努力するが、今期国会には間に合わないだろうというような意見でございます。そのほか個別的にやれるものといたしまして大きなものは、警察制度の改革であります。この警察制度の改革につきましては、今般国警、自警を統合いたしまして都道府県警察一本にするという案によりまして、先ほど御説明申し上げました通り三万名を減らすということにいたしたわけであります。そのほか人事院につきましても、長い間の懸案の問題でございまして、第十三回国会におきまして審議未了となつたいきさつもありまするので、人事院国家人事委員会にし、総理府の外局にしながら、しかも総裁の言われたように、本来の職務の独立性を保陣するような制度をとる方が、行政機構としては適当ではなかろうかとうい線で、この人事院の改組を取上げたわけであります。その他個別的にやれるものといたしましては、事務の簡素化の面から、あるいは国家事務整理という面から参りまする国営競馬の廃止に伴う農林省競馬部の廃止であるとか、あるいは政府の輿論調査の実施を民間にゆだねてもよかつたではないかという世論調査所の廃止等若干あるわけであります。決して人事院だけの改組というような考えはない次第でございます。
  62. 石山權作

    ○石山委員 これは来年に引延ばされて、全般の機構改革をやれるという御意見だろうと思うが、来年まで持てるかどうかというような疑問をわれわれは持つているので、一番大切なところに一番先にしわ寄せしたということに対して、私は六十万の公務員の諸君はこのごろの政府のやり方、あるいは塚山さん、あなたを初め、構想の持ち方に対しては非常に不満があるのではないかと思う。一番大切なものはなるべく慎重審議をされて一番あとまで残すのが納得の行く手段だと思うのです。一番大切なことを一番先に粗忽にやつてしまつて、そうして、何でもかでもいいような、というわけではないだろうが、ほかの方は来年度に慎重に持ち越すという、こういう態度はどこか間が抜けているのではないかと思うのですが、こういう問題はやはり何回もお考えなつた結果一番最初に人事院の機構を改正するのがよろしいとお考えなつたのか。
  63. 岡部史郎

    岡部政府委員 一番最初にやるという意向はないのでありますが、結果として警察制度と並んで、公務員制度の若干の改正にとりかかるという形に相なるのであります。実は人事院という制度の組織の面から申しましての安定性というものが、いろいろ問題になるだろうと思うわけであります。現在人事院がどういう地位にあるかと申しますると、先ほど総裁から申されました通り内閣の所轄のもとにあるということは、内閣法十二条にいう補佐機関というような地位にもあるわけでありまして、何と申しましても国全体の行政組織の面におきまして、安定を欠くような組織の面を持つておるのでありますから、こういう点を今の国家行政組織法の面から合理化しようというにとどまるのでありまして、人事院自体の有します中央人事行政機関としての独立的な職権、職能というものには全然手を触れておりません。
  64. 石山權作

    ○石山委員 権限の問題には手を触れてないというふうに答弁されておりますけれども、人事院に関する限りは、もう性格がほとんど一変されたというふうに私どもは解釈している。しかしこれは定員法に直接今のところ触れないので、私たちの担当した部門で質疑応答をかわしたいと思います。この定員法の問題と機能の問題とわれわれが担任したところの公務員法の一部改正というものは切り離してはいかぬ、切り離されない問題だと思う。きようたまたまお隣にいられる内閣委員の方々がいろいろなことを言われるけれども、はなはだ心外だと思う。こういう点で私は不即不離に、この問題は同一に審理されて、常に合同委員会が討議されて、われわれの意図する機構改革というものをよく内閣委員の方々に御承知願わなければ、この定員法――われわれも困るわけであります。ただ私の申し上げたいところは、機構整理の問題が大まかに取上げられていながらも、これがついついなくなつた。そうして実質的には一〇%の減員なつた。しかしこの一〇%も、去年度において一般職員においては九千です。九千の実質的に退職を見た。あとは二万そこそこを今年度において、おおむね特別退職制度によつて整理するというふうになつているのですが、たとえば長期に休んでいる人、あるいは成績不良と目される人、これらを除いて実質的に今整理をしなければならない人員はどのくらいおるのでしようか、これはおわかりになりませんか。
  65. 岡部史郎

    岡部政府委員 詳細は人事院からお聞きいただきたいのでありますが、人事院の調査によりますと、現在休職になつております人員は、一万一千名ございます。
  66. 石山權作

    ○石山委員 私この定員法の問題をきめる場合の態度と申しますか、こういう点をお聞きしたいのでごいますが、政府はいろいろな経済政策その他に関しましては、その都度的な政策をするのが一番よろしいというふうな意見を持つておるようでございます。特に計画経済などを立てる国は赤の国であつて、自由諸国家には一つもないといよううな御意見を、吉田さんが言つておられるようであります。たとえば春になつたら春のよそおいをすればいい、夏になつたら夏の着物を着ればいいというようなことを言つておりますが、今日本の経済状態は、保守派と目される人の中からも、一応計画経済的なことが必要である、これを傾向経済と呼んでおるようですが、そうした場合、たとえば大蔵省の関係、通産省の関係、審議庁の関係、これは私はどうしても民間に手をゆだねることができなくて、どう言葉をかえようとも、終局的に、官僚的の計画経済、官僚的の統制経済に移行せざるを得ない、それについて職員はどうしても私は必要だろうと思う、これらを見通しされて、たとえば通産省の減員、経済審議庁の減員ということをやられたかどうか。
  67. 岡部史郎

    岡部政府委員 この二年計画による整理というのは、実質は一年度でありまして、二十九年度におきましては、今石山さんがお述べになりましたように、各省におきましても、二十九年度においては、この程度の職員でやれるという見通しのもとで、私どもと各省と十分に協議してやつたわけでありまして、それぞれの省におきまして、一応二十九年度におきまして、今から確実に見通しされる業務量に伴う増員につきましては、それぞれ認めておるわけであります。二十九年度におきまして今の業務量を遂行するにはこれで足りるというように考えております。
  68. 石山權作

    ○石山委員 先ほど同僚議員の方からも、常勤、非常動の問題がございましたが、要するに高給の人、これが実質的に高給であつたかどうか知らぬけれども、高給な人を残すような今回の人員整理になりはしないか。たとえば機構改革をしないために、課長さんたちが残りはしないか、頭でつかちになるというような懸念がなかつたか、そういう点を考慮された結果、こういうような人員整理をされるのであるか、これは内容を調べないとわかりませんけれども、そういう点をひとつ
  69. 岡部史郎

    岡部政府委員 この点につきましては、実は行政整理人員各省と協議いたします場合におきましても、現場の第一線、出先機関におきまして現業をやる、あるいは工場におきまして機械にくついて仕事をしておる職員であるとか、試験研究所で一体となつて試験研究に従事しておる職員というような者、それから病院、療養所におきまして仕事をしておられる職員、こういう職員につきましてはきわめて低率をかけることにいたそう、二%ないし四%というごくわずかな数をかけることにいたしました。それから中央の各省――中央の各省と申しましても、それはほんとうに現場事務をやつておる部門もあるのでありますから、そういう部門を除きまして、いわゆる行政事務に従事している者につきましては、原則として二割前後の数字整理するというように各省と打合せをしておりますので、それが各部局に配分されましてその各部局に配分されました中におきまして、その局の中で雇いが整理されるのか、一番古い事務官が整理されるのか、あるいはもう年配の来た課長が整理されるのか、あるいは局長がこの際勇退するのかということは、これは各省の人繰りの都合から、それは各省におまかせしておりますが、大ざつぱに申しますとそういうように、現場の第一線に働いている者へのしわ寄せによつて、中央が整理を免れるというようなことのないように処置してございます。
  70. 石山權作

    ○石山委員 これはどこでも事務量の問題あるいは企業の内容を充実するためには、人間の新陳代謝というものはしよつちゆうはがられているわけですが、今回相当の量が出される、しかし全然新採用をしないというわけではないと思う。新採用の予定数、それから現在任用局で把握している、国家公務員試験によつて資格をとつている人数はどれくらいあるか。
  71. 大山正

    ○大山政府委員 御質問趣旨は、本年やりました六級職の試験に合格した者の数という御質問であろうかと思います。ただいま正確な数字等を持つておりませんが、大学等を卒業いたしまして、六級職の試験に合格した者は概数二千名でございます。
  72. 石山權作

    ○石山委員 これで終りますが、いろいろ説明を聞いてやや納得したような点もございますけれども、今回の行政整理は、機構改革はたとえば人事院警察というようなところにしわ寄せされてしまつて、新期の目的を達しなかつたのではないかと思います。それから所期の目的を達しなかつたということが、結局吉田首相の言われたようなすす払いの程度だ。たとえば総員の一〇%というものはすす払い、すす払いというやつははたきで払うのですから、ちつとも傷つけない。傷つけないということは事業量あるいは事務量、企業の内容、そういうものを一〇%程度で傷つけないで、いつも官僚の方々が保有するように努めているということになりますか、あるいはそういう傾向が今まであつたために、こういうことを一〇%程度で二、三年前もやつた、また今回もやるというふうな実情なんですか。
  73. 岡部史郎

    岡部政府委員 行政整理国家財政の見地からどうしてもやるというような場合におきましては、これは何と申しましても、順序といたしましては、国家がその際やらなくても済む事務を廃止する、そうしてそれに伴つて機構も改める、それによつて出て来る余剰人員整理するというのが、本格的な筋だろうと思うのであります。私どもも整理のあり方といたしましてはそうありたい、こう考えておるわけであります。今回の整理等もそういう見地から、機構の点は不十分ではありますが、仕事をやめるというようなこと、あるいは仕事事務手続を改めるというようなことによつて、すなわち内部事務仕事のやり方の簡素化によつて、現在の能率を落さないで、しかもあまりオーバー・ロードにもならないでやるのには、どの程度の余剰人員をひねり出せるかという見地からいろいろ計算いたして、各省と折衝いたしましてやりましたのがこの数でありまして、その結果制度改正によりまして、たとえば警察では今までにない三万という数字が出ました。それから各省におきましては、そういう大規模な事務整理というようなことが行われなかつた関係で、各省を通じましてこれもわずかに三万ということでございまして、結局一割になつたとか、一割五分になつたとかいうことではないのでありまして、現在の規模の事務の簡素化によりまして、この程度の職員整理できるという見地からやつたものでございます。
  74. 石山權作

    ○石山委員 あと塚田国務大臣にもう少し聞きたい点もありますけれども、まだ質問者があると思いますので、この程度で打切りたいと思います。
  75. 大久保武雄

    ○大久保委員 淺井総裁が見えておられますから、簡単にお尋ね申し上げたいと思います。それは公務員の本質についての淺井総裁のお考えを拝聴いたしたいのであります。公務員、特に官吏の身分、現在の公務員法並びに今後に対する淺井総裁の御所見を承りたいと思いますけれども、官吏は労働者であるものか、この点をまず承りたいと思います。
  76. 淺井清

    淺井政委員 その勤労に対し対価を得てるということでございますれば、これは一つの労務者でございましよう。しかし普通の世間一般の労務者と違いますことは、これは全体の奉仕者として公務を行つておるという点が違うように思つております。
  77. 大久保武雄

    ○大久保委員 私も官吏が労務者という立場のほかに、公に奉仕する、この点が非常に重大な点であうと考えております。そこで私はこの点について、今後、浅井総裁が公務員の中心となつて指導される立場上、明確に一般を率いられることを希望しますと同時に、最近できました会社の職員、これは労働者でございますか、あるいは官吏といかなる点で違うのでございましようか。
  78. 淺井清

    淺井政委員 これは非常にむずかしい問題でございますが、一般の国家行政機関と公社とどこが違うかという問題と結局表裏一体の問題だろうと考えております。このように相接触しております二つの概念は、双方の概念の要素を一部分ずつ含んでおりますために、非常に規定することがむずかしいと思いまするが、この公社もそれみずからの名前が示すごとく、公の性質を持つておる一面があろうと考えております。
  79. 大久保武雄

    ○大久保委員 官吏に対しましては、労務者であると同時に公に奉仕する、これはいろいろな面においてかなり官吏に対しましては強く強制され、また官吏も多分にこの点を考慮しつつ進んでみるということを私も認めるにやぶさかではないのでありますが、従来官吏であつたものが一旦公社の形態に移されますと、非常にそれが野放図になつて、一つの私企業とかわらない観念に立つ、また一般の公社に対する運営の指導というものが弱くなつて、官吏との間にきわめて不均衡な状態が起つて来る。同一の労務条件であり、同一の勤労に服しておつで、そこに非常に不公平が起つておるこの点お認めになりますか、浅井総裁の明快なる御答弁を承りたいと思います。
  80. 淺井清

    淺井政委員 実はその点は人事院といたしましても、給与の面におきまして非常に違いができて参ります一方には団交権があり他方には団交権がないものが多い、こういう点わら非常に苦しむところでございます。
  81. 大久保武雄

    ○大久保委員 私はこの点について今後浅井総裁の非常な叡知によつて、こういう公に奉仕して労務に服する者、それがその本日の考え方において公を認識するということを強調されると同時に、同じ労働条件に服しておる国家的な職員が、不公平のない待遇において、勤務条件において勤労する、こういう面において、なお一段と努力されんことを希望しまして私の質問を終る次第であります。
  82. 稻村順三

    稻村委員長 加賀田進君。
  83. 加賀田進

    ○加賀田委員 行政管理庁部長に質問いたします。今石山委員に対する答弁ですが、行政機構の根本的な改革にまつて、作業量の減退に伴つて人員整理を行う、これが妥当である、その一部も含まれておるということでありますけれども、人事院としても公務員の労働条件等に対して、特にわれわれは国家公務員法を十分生かすために検討しなければならないのですが、これは単に給与面あるいは地域給の面、そういう面だけではなくして、業務量と申しますか、執務量と賃金というものは密接な関連性があるわけです。従つて今次定員法に基いて相当の人員は削減されますけれども、そういう意味上で個人当りの執務量が増大するという懸念はないかどうか、一応御説明願いたいと思います。
  84. 岡部史郎

    岡部政府委員 実は根本的に申しますと、現在の定員法定員は、個々の職員の適正な業務処理量と結びついて積み上げられておつて従つてそれが現在最も合理的なものかと申しますと、私もそういう自信はございまもん。実はごの定員法ができます昭和二十四年におきましては、戦後非常に厖大にふくれておりました職員――その当時で幾らございましたか、百万を越えていたと思いますが、それを現業職員は二割、非現業職員は三割というような、いわば天引きの基準を入れまして、それによつて一応組織法に基く定員法をつくつて、それがその際における職員数と業務量とマツチした合理的な定員だという仮定に基いたわけなんであります。この仮定と申しましても、実際にその当時それでやられるというような数のものでありますから、一応の根拠はあつたと存ずるのでありますが、そういう仮定に基きまして、一旦定員法をつくりまして、その後毎年毎年増減を加えまして、すなわちできたときの定員法を一応合理的なものと考えまして、その後の増減によつて積み重ねて参りましたのが現在の定員法の姿でありす。従いましてこれを内容につきまして分折して行きますならば、ある部門におきましては、現在においても非常に苦しいところもございます。またある部門におきましては、まだまだ余裕のあるというところもあろうかと思うのでありますが、一応概括いたしまして、現在の定員法というものが、現在の職員事務量と一応はマッチしているものという建前に立つているわけであります、それをこのたびさらに減らすということはどういうことかと申しますと、それを今度は現在の機構の改正あるいは事務手続の簡素化によりまして、さらにこれだけは大体職員の業務量をそう加重することなしにもやつて行けるのではなかろうかという見地に立つわけでありまして、各省におきまして、それぞれその具体案を考えるわけでありますが、その根本の考え方と申しまするのは、結局事務処置の簡素化をどういうふうにしてはかるか、あるいは権限の委任をやるとか、専決代行を活用するとか、あるいは地方支分部局に対しましては、現地即決を原則として権限の委任を行うとか、あるいは人事、会計事務の簡素化に努めて管理要員の節約に努め、あるいは間接的な管理事務についても即決的に取扱うというようないろいろな手続をひつくるめまして、それらの手続等の改善により、あるいは一部分におきしては、事務量の減少をはかることによりまして、このような定員で現在量をまかない得るというような考え方でございます。
  85. 加賀田進

    ○加賀田委員 そういたしますと、個個の面では業務量の個人当りの増減はあるとしても、一応相当改善を加えられて、現在約適正であるという見地の上は立つて、業務量の簡素化あるいは改廃等に基いて、今度の定員法に基いては、従来と同じように、いわゆる業務量の増大を来さないという見地でやられたと確認してよろしゆうございますか。
  86. 岡部史郎

    岡部政府委員 その点につきましては各省とも十分に打合しておりますので、各省ともこの新定員によりまして現在の事務量を処理できるということになつております。
  87. 加賀田進

    ○加賀田委員 そういたしますと、この定員法各省の了解の上に立つて、もちろん行政管理庁として各省に交渉されて、そして各省がこれに大体了解をして出たのがこの案であると確認してよろしいのであります。
  88. 岡部史郎

    岡部政府委員 お尋ね通りでありまして、これは行政管理庁が中心にはなりましたが、まつた各省と協力いたしまして、各省納得の上に、または各省の十分の御協力の上にでき上つたものでございます。
  89. 加賀田進

    ○加賀田委員 そういたしますと、私たちが新聞紙上で見ていろいろ知つている点は、まず管理庁の方で原案をつくつて、それに基いて各省と交渉されて、いろいろ無理の点もあつただろうけれども、各省の了解を得て現在に至つているというように承つているのですが、そういう経路をたどつてこの原案が出たのでございますか。
  90. 岡部史郎

    岡部政府委員 大体お尋ね通りであります。
  91. 加賀田進

    ○加賀田委員 大体管理庁としての原案をつくつてそれは基いて各省との交渉の結果出されたということが明確になりました。  そこで人事院の問題にもどります。私たちの知つている範囲では、この管理庁の原案というものは、人事院に対しては六割程度の人員整理という原案が出ているのです。この六割整理に基いて今後人事院の機構をどうするかということを具体的に、皆さんは頭の中であるいは案ができていると思うのです。現在の八百八十二名の人員の六割も整理を行つて人事院機構の改革を当然政府としては考えているだろうと思うが、将来どういう人事院を残そうとしているのか、その点をお伺いしたい。
  92. 岡部史郎

    岡部政府委員 この人事院定員整理の経過につきましてはいろいろな考え方がございましたが、結局結論におきましては、ただいまお示しを申しあげております二年間にわたつて百四十六名の整理ということに相なつております。さよう御了承願います。
  93. 加賀田進

    ○加賀田委員 それは人事院との折衝の結果において現われて来たものだと思いますが、国家の行政の根本的な問題を検討する管理庁として、人事院に対して原案六割の人員整理、削減をまず要求されたということは、ゆゆしき問題ではなかろうかと思います。このことは政府自体の人事院に対する考え方として、われわれは十分知つておかなくちやならない点だと思います。もちろん国家公務員法改正に基いてもわれわれは今後人事委員会との関連性を持つて審議しなければならない。従つてまず、妥協案として出されたのは二年間に百四十六名の人員整理でありますけれども、先般出されたいわゆる六割削減の根本的な人事院改革の案をここにお示し願いたいと思います。
  94. 岡部史郎

    岡部政府委員 今お示しの六割ということは、これは最終的な案ではないのでありまして、いろいろ折衝の過程におきまして相当高いパーセンテージを出すことはひとり人事院にとどまりませず、いろいろ各省にもあることでございます。たとえば機構の改革を前提といたしまして、農林省において、食糧事務所であるとか調査統計事務所の統廃合というようなことを考えます場合におきましては、これは相当高いパーセント、五、六割以上のパーセントに上つたこともあるのでございます。それでいろいろ人事院の現在の業務量を考えます場合に、あるいは政府といたしまして現在の職階制を根本的に改正する、あるいは現在の試験制度をかえるというようなことになりまするならば、非常に大きな数字も出て参ろうかと思うのであります。そういうようにいろいろな考え方によりましてはじき出された数字もあるわけでありますが、現在の人事院あるいは人事委員会を人事行政の中央実施機関として維持いたします場合におきましては、現在程度の職員量が必要だということは明らかになるだろうと思います。
  95. 加賀田進

    ○加賀田委員 どうも説明のポイントを故意にかはずしているように思います。もちろん現在出されている提案を中心として審議するわけなんですが、しかしこれと関連して特に人事委員会連合審査を申し入れたのは、やはり国家公務員法改正に関連性があるからです。これを審議するために、政府としては将来人事院をどういう機構にするのが妥当であると考えているかということを聞くことがわれわれは必要なんです。そこで今申し上げたような六割削減ということにすれば、人事院の機能というものがまつたく発揮できないような形になるのではないか。そういう根本的な意図を持つて、一つの中間的な案といえども国家公務員法改正案が出ているわけですから、従つてわれわれは、人事院の将来のあり方に対して政府がどう考えているかということと関連してこの法案を審議したいので、六割の削減を行つてもらいたいという人事院に対する交渉原案に対して、政府としては根本的に人事院の将来に対しての何かのめどがあるだろうと思うから、さらにその点を説明してもらいたい。と同時に淺井総裁にお尋ねしたいのですが、もちろんそのことに対しては交渉があつたと思うのです。従つてそれに基いて残る四割で人事院を運営してもらいたいということで、それに基く機構改革はこうするのだという案も具体的にあつたと思う。その経過について詳細に御説明願いたいと思います。
  96. 淺井清

    淺井政委員 最初に示されました六割案というのは、人事院は全然関係しておりません。これはまつたく突如として行政管理庁からわれわれに提示されたものでありまして、この六割案の作成にはわれわれは何も関係しておりません、それから、いかなる事由によつて六割減になるかという、その機構とか将来の問題については、全然説明は受けておりません。
  97. 加賀田進

    ○加賀田委員 淺井総裁が説明を受けてないという御答弁でありますから、岡部局長にさらに御答弁を願いたいと思います。
  98. 岡部史郎

    岡部政府委員 先ほども申し上げました通り、今の人事行政機関事務のやり方を、従来通りに職階制を作成し、維持し、その改訂をはかつて行くために要する職員といたしましては、本庁に約百人、それから地方におきましても地方の事務所に約二百人おります。これは一例でございますが、その半数を職階制に従事する職員考えますならば、これも百人は浮く。現在の国家公務員の試験制度というものは非常に必要な試験制度だと思つておりますが、やり方によりましては、現在の司法試験制度のようなやり方でやりますならば、これまたたちどころに百人も浮く。これは一例として申し上げておるわけでありますが、そういうような考え方も考えられるわけでありまして、そういうような考え方によりまして立てますならば、現在の人事院が約八百八十名で非常に大きいと申しましても、実はそう大きくない機構でございますが、そういうような人数をすぐ加算して行く。ことに地方事務所も不要ではなかろうというような意見のもとに立てば、ただちに四割、五割、六割という数字も立ち得るということは言えようと思うのであります。ただそれが適切であるかどうかということは、これはまた別の問題であります。
  99. 淺井清

    淺井政委員 私から補足いたしたいと思いますが、おそらく内閣といたしましては、職階制をどうするかとか、試験制度はどうするかということは、きまつていないだろうと思うのです。ですから今度新たに公務員制度調査会なるものを設けてやろうというのであつて六割減の原案を出されるときにそういうことがきまつているはずがないように思います。
  100. 加賀田進

    ○加賀田委員 これは行政機構を管理する庁としてゆゆしき問題だと思うのです。こういう板本的な原案なくして、しかも六割も人事院人員を削減するということを申し入れていることは、政治的に何か意図しているのじやないかとわれわれは考えざるを得ない。(でたらめだ」と呼ぶ者あり)今説明の中でも、一つの仮定とかいろいろ答弁の案として出されておりますけれども、われわれとしてはそういうように人員を何割以上減らすということに対しては、人事行政その他人事院の将来に対しても確固たる立案をしていなくてはならないと思うが、各省の間における交渉も私はそういうずさんなものじやないかと思う。従つて私はこの国家公務員法改正に対しては、今説明のあつたような漠然としたことで審議することは私たちとしてはできないので、六割を要求されたときの人事院の将来の機構の構想をあらためて岡部部長から文書をもつて出していただきたいと思います。  なおこれと関連いたしまして、人事院と管理庁との交渉の結果百四十六名の人員削減になりましたが、現在の人事院といたしまして、地域給の勧告、あるいはその他の給与の問題にいたしましても、資料の調査とかいろいろの業務量によつて、人事員の職員は相当努力しているにもかかわらず、いういろいろ資料の提出等が遅れるわけであります。従つて人事院として最も適切に機能を発揮するにはさらに職員が必要じやないかと思うにもかかわらず、総裁と行政管理庁との間で現在よりなお百四十六名の人員を減らすというような結果がここに現われておりますけれども、今後人事院として機能を十分発揮できる自信があるかないか、総裁にお伺いしたいと思います。
  101. 淺井清

    淺井政委員 人事院といたしましては、特に人事院に対する何かの意図でもつて定員を六割減らすというような不合理な案は、われわれはとうてい了承できなかつたのであります。しかし行政整理ということは、われわれ公務員の給与が国民全体の負担になつております以上、なるべくその負担を軽くする意味におきまして、できるだけ少い人数で能率をあげたいと考えることは、これは人事院の使命でもございます。従いましてただいま加賀田さんからだんだんお話がございましたが、それは欲を言えば人間は幾らでもほしいのでございまして、現在の人員が決してだぶついているわけでもございませんけれども、各省と同じ率の整理人事院として受けたいというので、結局われわれの方から六割減の案に対し交渉いたしまして、この百数十名の案におちついたわけでありまして、この案に関しましては人事院としては了解でを与えたことは事実でございます。
  102. 加賀田進

    ○加賀田委員 岡部部長にお尋ねいたしますけれども、今申されたように、できるだけ国民の貞担を軽減するという意味で出されたということをおつしやつておりますが、これは今人事委員会に提出されております国家公務員法の一部を改正するという人事院機構の改正といいますか、権限の縮少といいますか、そういう案との関連性の上に立つて定員法人事院に対するものがきまつたのかどうか。
  103. 岡部史郎

    岡部政府委員 お答えいたします。現在の人事院国家人事委員会に改組することによつて直接出て参ります職員は、せいぜい二名程度のものであります。それはすでに百四十六名の中に含まれているものと解釈してもさしつかえないと思つておりまするので、従つて直接にこの機構改革によつて百四十六名が生み出されたものではなくて、むしろ淺井総裁が言われたような見地からはじき出したものがこの数字だと考えていただいてよろしいと思います。  なお先ほどから六割々々と申されますが、これは今度の機構改革、定員整理につきましての単に内部の経過でございまして、御審議の際特に取上げて御心配を。……(「それは重要なんだ」と呼ぶ者あり)これはまつたく内部交渉の問題で、たとえて申しますと、予算の算定の場合におきましていろいろ予算の要求もし、それを復活するというような一つの過程であると考えていただきたいと思います。
  104. 加賀田進

    ○加賀田委員 もちろん私は定員法改正そのものと直接関係がないと了解いたします。しかしこの連合審査を申し出たのは、先ほど申しました通り国家公務員法の一部を改正するというこの問題との関連性も十分含んでいると私は考える。人事委員会において今後審議される場合、政府の今提出された人事院の機構の改革を政府は根本的にどう考えているかということが、今申し上げた六割の人員削減という根本的な改正と関連するわけなのです。政府は将来の人事院に対してどう機構改革するとかあるいは人事院の存在を認めているかということと関連性をもつて、われわれは国家公務員法の一部改正を審議しなければならない。そういう意味で、私は当初考えていた人事院のあり方に対して、その審議に必要として資料を提出することを要求しているだけであつて人事委員が何のために今次内閣委員会連合審査を申し上げたか、冒頭にもそういう意味が各委員から説明されたわけであります。従つてこの法案そのものの審議ではなくして、人事委員の審議の対象としてぜひ必要だから資料の提出を私は要求したのであります。以上私の質問にこれで終ります。
  105. 稻村順三

    稻村委員長 他に御質疑はありませんか。――他に御質疑がなければ内閣委員会人事委員会連合審査会はこれにて散会いたします。     午後四時三十三分散会