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1954-03-25 第19回国会 衆議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十五日(木曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 稻村 順三君    理事 大村 清一君 理事 平井 義一君    理事 八木 一郎君 理事 山本 正一君    理事 高瀬  傳君 理事 下川儀太郎君    理事 鈴木 義男君       江藤 夏雄君    大久保武雄君       永田 良吉君    長野 長廣君       船田  中君    山崎  巖君       粟山  博君    飛鳥田一雄君       田中 稔男君    中村 高一君       辻  政信君  出席政府委員         行政管理庁次長 大野木克彦君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君         大蔵政務次官  植木庚子郎君         大蔵大臣官房長 石田  正君         国税庁長官   平田敬一郎君  委員外出席者         議     員 井上 良二君         専  門  員 龜卦川 浩君         専  門  員 小關 紹夫君     ————————————— 本日の会議に付した事件  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九一号)     —————————————
  2. 稻村順三

    稻村委員長 これより開会いたします。  本日は、昨日に引続き行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、まず大蔵省より説明を求めます。官房長石田正君。
  3. 石田正

    石田政府委員 ただいまから当委員会におきまして御審議を願つております行政機関職員定員法の一部を改正する法律案のうち、大蔵省関係内訳等につきまして、行政管理庁からすでに御説明がありました点を補足いたしまして、若干御説明いたしたいと存じます。資料といたしましては、行政管理庁からすでに御手元へ差上げてあるものといたしまして、定員法改正資料という標題をつけましたものが、総括表内訳表と二つございます。そのほかに大蔵省の方から作成いたしましたものとして、大蔵省職員定員増減内訳及び説明要旨と書いてございます一枚紙のものがございますので、便宜この三つの資料に基きまして説明をいたしたいと存じます。  まず行政管理庁の方から出ております総括表をごらん願いますと、その二ページに大蔵省定員改正前と改正後の姿が掲げてございます。番号といたしましては二ページ目の一番初めの四となつております。定員法上は本省と、外局といたしまして国税庁の二本の柱が定めてございます。ここに数字がございますが、その内訳につきましては、この定員範囲内におきまして大蔵省令で定めることに法律案としてはなつておるわけでございます。このたびの改正ではごらんのように本省では三千五十六人、国税庁で八百二人合計いたしまして三千八百五十八人の定員滅となるわけでございます。  次に内訳表の方でございますが、その三ページにただいま申しました定員減となります本省の三千五十六人と国税庁の八百二人とにつきまして、増減理由の欄に簡単な項目とその人数が掲げてあるわけでございます。内訳表の力はこれは番号は打つてございませんか、内訳表の三ページ目でございます。すなわち本省におきましては行政事務簡素化合理化に伴います減が千六百五十二人でございます。それから在外公館在勤要員の減が四人、税関特派職員第二条第二項に移しかえによる減といたしまして千四百人、その合計が三千五十六人という減になつております。この中で小さいことでございますが、在外公館在勤要員に関連いたします四人と申しますのは、別途外務省におきまして在外要員の増がございます。この増は、外務省といたしましては外務省事務のことでありますから、ほかの省から人をとるという関係になつておりまして、大蔵省の方から何人とるということはきまつておらぬわけでございますが、大蔵省といたしましては在外公館における大蔵省関係仕事をやりますために、この中から何人かの人を大蔵省からとつていただけるであろう、それに関連いたしましてその増がありました場合に、大蔵省の方といたしましては、国内の要員を減らすということを考えた方が適当であろうというふうに考えまして、とりあえず四人という数を減らしておるというわけなのでございます。それから管、それからいやい繊維品消費税新設に伴いますところの増といたしまして千百五十人ございますけれども、その反面行政事務簡素化合理化によるところの減が千九百五十二人でありまして、その差引が八百二人の減となる、こういうことになりまして、そこで大蔵省から出しましたところの一枚紙でございますが、こればただいま申し上げました前の資料増減理由欄をさらに細分いたしたものでございます。上の方の表にはただいま申し上げました増減理由区分ごと大蔵省内部の各機関定員減を示しておるのであります。増とありますのは先に申しました国税庁関係の千百五十人だけでございます。この増減理由につきましては、表の下の方に説明要旨を掲げたわけでございます。最初に政府全体の方針といたしまして、御承知のように行政改革の一環として行政整理が行われることに相なつた次第でありますが、大蔵省におきましてもその方針にのつとりまして所掌行政全般について事務処理簡素化合理化をはかつて、そして定員の減を意図したわけでございます。本省といたしましては千六百五十二人、国税庁が千九百五十二人、合計三千六百四人を整理減といたすことにいたしております。  それから二番目の在外公館在勤要員定員につきましては先ほど御説明申し上げました通りでございます。  それから三番目の税関特派職員と申しますのは、御承知のように保税倉庫であるとか保税工場特殊上屋というようなところに派出されるものでありまして、これは業者の方の申請に基きまして一定の手数料を徴収いたしまして、税関事務をその場所で処理するということでございます。この職員人数につきましては、申請がたて込んで参りますと非常に増加をさせる必要に差追らると同時に、また申請がなくなつて減るという場合もありまして増減一定しておりませんために、前にも定員外といたしました時期があつたわけでございますが、今回の改正におきましても今までの第二条第一項の表の定員として一定されておりましたものを、第二条第二項の規定によりまして政令定員を定めるということが適当かと考えまして、そういうふうな趣旨法律案ができておるわけでございます。従来のこの特派関係定員は、先ほど申しましたように千四百人であつたのでございますが、これを今申しました表から落しましたのであります。また政令をもつて定められる当該職員定員につきましては、先ほどの総括資料の四ページに掲げてございますように、これは一応千五百人以内と予定しておりますが、これは最近の貿易事情の推移にかんがみまして、今後保税倉庫等設置申請が一層ふえるであろうと見込まれますのと、別に今国会におきまして御審議をいただいております関税法改正案規定によりますと、保税倉庫等設置につきまして、税関長法定要件を欠くものに限つて設置の許可をしないことができるのでありますが、すなわち逆に申しますと一定要件を具備するものに対しましては許可せざるを得ないというようなぐあいに、出願者立場を尊重する規定改正を予定いたしておるのでありまして、相当程度弾力性と余裕をみておるわけであります。従来の定員に比較いたしまして、その限度を百人多くいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  最後に国税庁の千百五十人の増員についてでございますが、これは御承知通り入場税こしやし繊維品消費税との関係でございます。これまは関係法律案につきましては国会の御審議をいただいておるわけでございます。これらの新税の課税に必要な調査、検査、取締り、徴収等要員といたしまして、税務署におきまして千百九人、またそのために必要な限度におきまして、国税局と国税本庁におきまして四十一人、合計千百五十人の定員を増加しようとするものでございます。これはしかし計算上そうなるというだけでございまして、新たにこれだけの人を増加するということには必ずしもならないのでございまして、先ほど申しました整理のために限度といたします定員千九百五十二人と差引計算をいたしまして、その結果八百二人の定員を減すという結論になつたのでありまして、この間の差繰りにつきましては、適当措置いたしたいと考えておるわけでございます。大体私からこの程度説明にとどめさせていただきまして、あとはまた御質問に応じましてお答えすることにいたしたいと思う次第であります。
  4. 稻村順三

    稻村委員長 以上をもちまして大蔵省説明は終了いたしました。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。高瀬傳君。
  5. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいま石田官房長からいろいろ伺いましたが、大体この人員整理というものが、内閣政治的圧力か何か知りませんが、各省に天引きでこのくらい減らせというようなことを言つて来られた。それで事務当局首脳部では、それに従つてこれを比率的にカツトして行つたというようなことを聞いておるのですが、それはいかがですか。
  6. 石田正

    石田政府委員 これは行政管理庁の方から御説明があつたものと思うのでございますが、行政管理庁の方でいろいろとこれだけの定員は減員できるんじやないかというお話がありまして、それに対しまして、大蔵省もそうでありますが、各省それぞれ事務実情考慮いたしまして、提案されておりまするような数字なつたわけでございます。その過程におきまして、たとえばお前のところの定員はこれだけであるが、そのうち二割は全部減らせとか、一割減らせとかいうふうなことは私の方はないと思います。これは行政管理庁の方は各省事務をよく見まして、そしてこの事務についてはこのくらい減らして行けるのじやないか、こういう執務については、こういうふうにしたらいいじやないかという基準を定めまして、われわれの方に察しになりました。それに対しまして、われわれの方は事務実情を申し上げまして、多少考慮を願わなければならぬ点は御考慮を願いまして、その結果意見の一致したところで定員を算出いたした、かような次第でございます。
  7. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいまの説明でありますが、先般来行政管理庁塚田長官にいろいろ質問しているのでありますが、政府行政機構改革に対する方針というものは、非常に漠然として、いつやるんだかわからない。すなわち行政機構改革の方は棚上げにして、形式上の経費節減の目的で、一応国全体の予算とにらみ合せて、形式的に定員を減らすようなことをやつたということも、これは事実のようであります。従つて大蔵当局こしても、行政機構改革についてはいろいろ意見があるだろうと思うんです。この定員査定の際に、大体そういう点を慎重に事務当局として考慮されて、こういう案をつくられたかどうか、その点も伺つておきたい。
  8. 石田正

    石田政府委員 お話の御趣旨は、機構改正定員の減との関係はどうかということだろうと思うのでございますが、大蔵省といたしましては、これは予算を担当いたしまする関係から、できるだけ少い人数能率をあげて、そうして国政を運用して行くということで考えるという点につきましては、みずからも自粛なければならぬと思いまするし、またほかの省にもお願いする筋が多いわけでございまするが、しかしこの行政機構の問題といたしましては、大蔵省機構をこういうふうにすべきだとか、ああいうふうにすべきだということは、いささかどうかと思うのでございまして、行政管理庁があります限りは、行政管理庁の方でこの点お考え願う、かような筋かと考えまして、われわれとしては処置して参つたつもりであります。
  9. 高瀬傳

    高瀬委員 それではもう一つ伺いますが、こういうふうな定員査定を出す場合に、もちろん事務当局としては、いろいろ仕事の内要あるいは実情、そういつた点を十分お聞きになつたことと思います。調べられた結果こういう案ができたことは、私は想像するにかたくありませんが、実はこの定員法改正ができましてから、私どものところに労働組合諸君の陳情が非常に多いんです。私は率直に申し上げますが、改進党の私にすらあれだけ一生懸命に陳情して来るんだから、こちらにおられる社会党諸君にはもつといろいろなことを言つて来ていると思うんです。そこではつきり申し上げますと、たとえば私のところへ一番熱心にやつて来るのは全国財務職員組合協議会で、財務局財務定員に関する意見書というものを私のところに出して来ております。これによりますと、せんじ詰めて言いますと、仕事の分量が非常にふえたにもかかわらず、私のとこ6は非常に減つてしまつた、六千名も定員があつたのを、五百七十五名という、ふうに高率整理をやつて来られた、自分たら考えでは約三百十二名ふやさなければ、増加した定量の仕事に対して能率的にやれないと思つておるんだが、どういうものか当局では、六千四百六十二名のうち五百七十五名というおびただしい高率整理をやつて来た、これは実に実情に適しないから、ひとつ委員会において大いに事務当局にただしてくれ、改進党の方としてもそういう政策でぜひわれわれを支持してくれという実情なんです。そこで私もいろいろ説明を聞くと、もつともとも思いますが、大体大蔵当局の方でこれらの労働組合なんかの実情——もちろん経営者立場労働組合立場から、いろいろ意見が違うことは私も重々承知いたしますが主これらの労働組合意見などを大蔵省は民主的に取入れて、この問題をやつたのかどうか、また労働組合意見を率直に事務当局として聞かれたようなことがあるかどうか。また聞かれたとすれば、これらの問題を慎重に考慮して、この案の査定の際に、少しでも盛り込む努力をされたかどうか。こういう点をひとつ石田官房長に伺つておきたい。
  10. 石田正

    石田政府委員 労働組合といいますか、そういう関係から申しますと、今お話がございましたように、大体一人も減らす余地はないのだ、むしろふやさなければならないという話は、始終われわれのところへして来ておるわけじございます。ことに政府方針といにしまして行政整理をするのだというようなことがあります場合におきましては、非常に強くそういう話があることは、私は始終折衝いたしまして経験いたしておるわけでございます。これは率直なことを申しますと、一体われわれと同じ省の中の仕事をしていてくださる人たちなのでございますから、われわれといたしましては、言つておられるところの趣旨はよくわかるわけでございます。しかしながら行政機関全体の人員整理というものにつきましては、これはやはり国の経費その他の関係から申しまして、やむを得ない点があるわけであります。従いまして大蔵省といたしましては、組合の方からいろいろ話がございますれども、しかし今の時勢からいいまして、人を減らすことはまかりならぬ、人はふやすべきであるという考え方に基いて話はできないと思うのであります。また仕事内容から申しまして、仕事というものと人数というものは、ある意味において不可分ではございますけれども、仕事の仕方というものも、これは何人いるかというときに、一つ考えなければならない要素になるわけでございます。従いましてわれわれ役人が考えておることは、できるだけ少い人間でできるだけその仕事をよく処理するということにあるのでございます、その点から申しますれば、努力をして、そしてまあ何とか仕事をやつて行けるという限度と、これまで行つてはやれないという限度をそろばんではじき出すわけには行きませんけれども、大体毎日仕事をいたしておりますれば、そこには勘もあるわけでございます。私たちそういう話を聞きますときに、各組合につきまして、——大蔵省関係はいろいろわかれておりますが、そういうところにおりますところの各部局の長というものも始終組合の方と接触しておりますが、組合の方の話も、それらの方々の話も聞いております。それらを両方考えまして、それから仕事実情考えまして、そこでわれわれの考えておるところに従つて行政管理庁と話合いをして、そうしてお手元に出ておりますような数字なつた、かような次第でございます。
  11. 高瀬傳

    高瀬委員 実はこの質問を申し上げたのは、組合側考えていることと事務当局考えの間に、内容などを見ましても非常な開きがありますので、一応伺つたのでありますが、おそらくこれについては、関連して社会党諸君もお聞きになることと思いますから、私はこの点に関する質問はこれだけでとどめます。  なお国税庁の問題について、この表によりますと千百五十名増加する、すなわち入場税国税移管及びしやし消費税新設に伴う増千百五十名というのがあります。しかしこれは本国会において通るか通らないかなかなか予断を許さぬと思う。従つてもしこれが通らない場合には、千百五十名という定員は浮いてしまう。非常にこれは危険だと思う。従つてそういう場合に千百五十名はどういうふうにお使いになるのか、その点のお見込みがあるのかどうかちよつと伺つておきたい。
  12. 石田正

    石田政府委員 入場税それからしやし消費税関係につきましては、これは法案が出ておりまして今御審議を願つておりまして、もしかりに通らなかつた場合にはどうするのだ、それに関連して定員をどうするのだという御質問だと思います。これにつきましては、われわれ予算の方をやつております大蔵省としては、ぜひあの法案通り通過さしていただきたいと思つておりまして、今努力をいたしておる次第でございます。しかしお話趣旨はそういうことではなくて、もしかりにあれが通らなかつたら一体どうなるのた、こういうお話と思いますが、これはこの定員法人数をはじきました関係上、予算措置その他から申しまして、もしそういうものが通らないということに相なりますならば、実行上そういう増員はしない、そのようなことに相なると思います。
  13. 稻村順三

  14. 辻政信

    ○辻(政)委員 この御説明資料によりまして私の感じたところを一、二お伺いします。  第一点は財務局の五百六十名の件であります。関東財務局内閣委員として視察をしました所見を申し上げますと、現場で働いておるあの人たち仕事の量が多くて手が足りないために、やらなければならぬ仕事がそのまま放置されておる。その一つの例を申しますと、海外引揚者のおそらく数十万だろうと思いますが、その人たちの血の出るような貯金帳が数年間整理をされないで、箱に入れて倉庫の中に山のように積まれておるのであります。なぜ整理しないか、こう聞きますと、人手がない、こういう話なんです。それから国有財産の処分、これもまた人手が足りないためにあの厖大な国家の施設をわずかに数名の者でもつて処理をしておる。その間に非常な不正、不経済の事実がありやせんかという、これは感じであります。そういう点から見ますと、この整理案は、財務局のような第一線でほんとうにまじめな仕事をしておるその人に対する整理の比率が重くて、机の上の仕事をしておる本省の内局の整理が少いような感じを受ける。その点が一点である。  第二点は印刷局、これは定員八千百二十一名のうちに二百五十五名の減となつております。この印刷局のごときは仕事のやりつぶりをかえるともつと整理余地があるのじやないか、お上の仕事ですから、官業官庁としてきわめて不経済な仕事の仕方をしております。もちろん直接やらなければならない仕事もあるでしようけれども、ものによつては地方の印刷業者にまかして請負わすという手も講ぜられるのであります。そうすれば経費の点においてもまた能力の点においても官業よりもかえつて能率を上げるのじやないか。これこそ仕事のやりつぶりをあなた方の方で検討されて、できるだけ最小限にして人間をはじき出して、国有財産処理であるとか、海外引揚者の跡始末というような点に、手不足によつて国民に迷惑をかけないようにお考え願いたいと思うのであります。この点についての御説明を承りたい。
  15. 石田正

    石田政府委員 御指摘財務局の問題につきましては、辻先生お話のような実情があると思います。財務局仕事というものにつきまして、私たち大蔵省の者として非常に遺憾に思つております一つの点は、大蔵省のいろいろな行政の上におきまして税を徴收するという関係は、これは国税庁の方で別になつております。それから印刷、造幣のような現業的な部門はこれは別になつておりますが、それら以外の大蔵省所管仕事現場仕事というものは、全部財務局でやつてもらつている、こういうわけなのであります。私たちといたしましては、大蔵省というものは、本省はむしろ企画官庁であつて、実務は財務局において行うということが大切なところだと思つておりますので、財務局のあり方につきましては、種々反省をいたすと同時に、また入方の御理解を得たいと思つて、日夜労力をいたしておる次第であります。ところが財務局というこの制度が戦後り機構であるということからいいまして、なかなか御理解が得がたい。従来り整理におきまして、いつもにらまれるところは財務局である。ああいう役所は昔はなかつたのだから、もうみんな切つてしまつていいんじやないかとか、減らしていいじやないかというようなお話が非常に多いわけでありまして、今度も率直に申しまして行政機構改革あるいは定員整理ということにつきましては、財務局が非常にきつく示されたわけであります。これに対しまして私たちといたしましては、財務向例年人を減して行く、しかも仕事を片づけて減らして行くのではなくて、仕事は減らしたらいいじやないかということで人を減らされるということは、これは大蔵省全体の仕事にも非常に支障がある。かようなことで内部の問題といたしましては、財務局の減員につきましては、当初示された案よりも相当減つたものになつておると私は思つておるわけであります。その点につきまして、私は関係当局の方にできるだけの説明をいたすつもりであります。ただ財務局につきましては、そういう面がありますと同時に、また財務川のやつておる仕事というものは、そりときどきで中身がかわつて来るわけでございまして、今御指摘がありました海外からお引揚げになりました人々が、税関等におきまして留置されましたところの証憑書類であるとか、あるいは戦後異例の措置として行われました物納財産処理とか、あるいは軍工似その他の管理ということをやつております。しかしこれは率直に申しまして、不正なことがあつたり、ほつたらかしておいてはいけないのでありますけれども、できるだけ早く処置を済ますべきものでありまして、それにつきましては、やはり職員として手を尽さなければならぬ点もあろうと思うのであります。全般的に人を減らそうという機運になつておりますときに、先ほどもちよつと申し上げたのでありますが、大蔵省関係、ことに財務局関係のものにつきましてこれはもう一人も減らせないのだ、むしろふやすべきであるということは——そういう面もありますけれども、しかしまたほかの一般的な面からも考えなければなりませんので、そこで従来欠員となつておりましたり、あるいは退職して行つたりする人もございますので、それらの関係等考えまして、この程度なら何とかやつて行けるのではないだろうかという意味におきまして、こういうことになつたわけでございます。なお行政管理庁一つ方針といたしまして、現業的な仕事というものは能率強化ということがなかなかできにくいことである。ああいう肉体的な関係の多い部分であるというので、そういうところの整理率は一般的に割合甘くなるという一般原則があるわけであります。現業の方が割合整理率が甘くて、企画面がきつい、こういうことでございますが、印刷局の問題につきましては、これは一番初めに示されました数字をそのまま受取りまして、その範囲でやりましようというような事情でございまして、私たちといたしまして、今先生から御指摘のありました点も考えました上で、いろいろ調整をとりました結論をそこに出しまして、そうして御審議を願つておる次第でございます。
  16. 辻政信

    ○辻(政)委員 大体私の質問趣旨をお認めになつておるように御答弁を承りましたが、そうすると趣旨を認めながら実際やられたことは逆であり、この表でごらんになつてもわかりますように、本省の机の上の仕事整理率よりも、現業の整理率が非常に重圧を受けておる。財務局におにて、私が指摘しましたようなことに遺憾のないように責仕を持つてお答えできるかどうかという点をお伺いいたします。
  17. 石田正

    石田政府委員 これはそこに現われました数字の上から申しまして、私は先生お話趣旨を認めておつて、実行面は一つもやつておらないのではないか、こういうことでありますが、数字からみますと、そういうふうにお考えになることはまことにごもつともたと思うのであります。ただそういう数字になりましたにつきましては、実は大蔵省本省でやつております仕事を、——これは先生から手前みそといつておしかりを受けるかもしれませんけれども、ほかの各省に比べまして仕事の分量と人員の点から申しまして、すでに相当きつくなつておるのだ、こういう事情行政管理庁によく御説明申し上げたのでございます。行政管理庁の方におきましてもその点はお認めになりまして、そして実はいろいろ調べてみた結果お前の方の本省はこれでも少しきつ過ぎるから、もう少しゆるくしようというようなお話もあつたくらいなのでございます。なおそういう事情もございまして、これは実は中でもつて差繰りをしたわけでございますが、ほかの省の本省分と比べまして、大蔵省本省仕事の中身を見てやつてくだすつた、こういう点があるわけでございます。その点は今申しました本省対現地の第一線の仕事関係、それから各省本省間の仕事関係両方ございますので、数字がそうなつておるから現地をいじめて本省はノホホンとしておる、そういう意味で私たち数字を出したのではないという点だけは、御了承願いたいと思うのであります。
  18. 辻政信

    ○辻(政)委員 その次に、この補足説明の特別待命発令者勤続年教一覧表を見ますと、五年から九年までの欄が二百二十七名というので圧倒的に多いのでございます。そして老朽者といいますか、二十年、三十年という人たちの率が割合に少いような感じを受けるのです。この表だけではもちろん断定はできませんが、この五年から九年までというのは、仕事がようやくわかつてあぶらの乗り切つた、第一線で活動する年数と思いますが、それに整理の重点を置いているという感じを受けるのですが、その点いかがですか。
  19. 石田正

    石田政府委員 今お話がございましたのは、今度この二月の十五日までにいたしました特別待命制度、それの関係数字だと思うのであります、この特別待命制度といいますのは、閣議決定によりまして、その当事者の当該職員の希望に基いて待命をする、こういうことになるわけでございます。そこでこれにつきましては、別にこういう標準でしなければいかぬということはないわけでございます。しかしながら、われわれの方といたしましては、実は今お話がございましたようなぐあいに事務に支障があるような承認はいたしたくない。しかしながら、片方からいいますと、これから行政整理もあることであるし、先の転職先も考えなければならないので、早くこれをやつていただきたいという希望が相当あるわけでございます。それに対しまして、われわれは今申しましたような基準はございませんけれども、大蔵省といたしましてはやはりだれでも申請があれば認めるというのは妥当でないのじやないか、そこで役所といたしまして、たとえば御婦人の方がこれからお嫁に行くから、そこで特別待命にしてほしいと言えば、これはどうしても配慮しなければならない。そこでこれは一つの標準がございますが、五年未満の人にはこの制度は適用がないようにいたしたい、こういう大蔵省といたしまして決定をいたしました。従いまして、五年から九年というのが一番多いのじやないかというお話なんでございますが、もしこれをそのままに希望通りということでやりましたならば、あるいは五年以下が非常に多かつたかもしれない、そういうことはわれわれとして認めない。ただ何と申しましても、五年以上勤めておる人は一応大蔵省については相当働いた人ということも言えるのでありますから、従いまして、事務に支障がないという部面につきましては、その点まで認めざるを得ないのではないか、かような趣旨で実行いたした次第でございます。なお今度定員法改正に伴う承認とか、あるいは強制とかいう待命ということがこれから予想されるわけですが、これはまた違つた観点に相なるのではないか、かように考えております。
  20. 稻村順三

  21. 下川儀太郎

    ○下川委員 先ほど高瀬君から、今度の整理は天引き整理の疑いが多いという話がありました。ところであなたの御答弁によると、どうも政府の指令で協力しなければならない、しかも減らされた員数でも十分努力すればできるというふうにお答えを聞いております。しかしきのうも建設省に対して私質問を申し上げたのですが、どうも今度の整理が下部組織の実情をよく調査しておらない、同時に下部組織の人々と十分相談しておらない、かように私考えるのです。たとえば今度の整理によつて大蔵省関係の、特にわれわれ地方に住む人間に関連のある税務署関係整理考えてみましても、これは非常にあなた方のずすんな調査である、非常に下部組織との相談がされておらないということは、中央においては実情がわからないかもしれませんけれども、現在でもいろいろな税の問題で非常に紛擾しておる。その紛擾する根本は、やはり机上において査定しておるということが非常に大きな支障になつて来ております。たとえば中小企業あるいは一般の方々に対する査定が、納得の行くように調査するということは、人間が十分足りておればできることであります。ところが机上でこれを査定する、そしてこれを天くだり的に押しつける、そこに紛擾の原因があるわけであります。そういうことを考えてみますと、あまりにも地方の実情に即さない、ただ単に天引き整理によつて政府がこういう指令を出して来たから、あるいは管理庁がこういう案を持つて来たからそれをうのみにしたという感が私は深いのであります。しかも聞くところによりますと、全官公労を通じて一番この税務関係労働組合諸君が結核患者が多い。一一%になつておる。普通の官公労の約三倍だと言われておる。こういう職員自身が犠牲をしておる一方においては、でたらめな査定によつて中小企業その他の納税者が非常に困つておる。そうすると、あなた方が単に天くだり的にこの整理案を受けただけで、今度は一一%の結核患者がより以上に増加するでしよう。過重労働をしいられてふえて行く。同時にまたより多くのでたらめな机上の査定が生れて来ると、課税される人間がより以上に困窮して来る。こういう被課税者とあるいはそれに課税する多くの職員、それらの犠牲を無視して、こういう整理案をうのみにしたというあなたのお考えをひとつお聞きしたいのであります。
  22. 石田正

    石田政府委員 便宜私から一応お答え申し上げまして、今ここに国税庁長官が来ておられますので、なお詳細は長官の方から御説明を願いたいと思うのでありますが、われわれ本省の者といたしましては、率直に申しまして、たとえば税務署の末端においてどういうような仕事が行われておるか、徴税状況がどういうふうになつておるかという点につきましては的確に捕捉しがたい面も多いわけでございます。そこで私たち行政整理の案そのものにつきましては本省だけの考え方でやるのではなくして、やはり全体を統轄しております国税庁、そこらとよく相談をしてやつておるわけであります。なお行政管理庁が天くだり的に押しつけて来た数字をそのままうのみにしておるのではないかという点につきましては、われわれといたしましては、私たちも一番初めこのくらい整理できるのではないかというふうなお話数字に対しましてはむずかしいということを説明いたしまして、なお国税庁からも直接行つて説明していただきまして、そしていろいろ説明いたしました結果そういう数字なつた次第でございまして、ただ単にうのみにするというような意味数字を出したというわけではございません。なお詳細の点につきましては、長官の方からまた御説明を願いたいと思う次第であります。
  23. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 お答え申し上げます。税務関係行政整理につきまして、先ほどから税務の困難な立場についていろいろ御理解ある御質問を受けたように感ずる次第でございますが、率直に申し上げまして、私どもこの税務だけの見地ばかりを考えますと、現在の状況から申しますとなかなか実は人減らしをするのに応じがたいような事実があるわけであります。納税者の数も相当多く、しかも滞納のものも相当多うございまして、その上に御指摘のように徴税にあたりましても、私どもよく調べまして、よく相手方に話して、納得ずくで円滑に納めてもらおう、こういうことをモツトーといたしぞいろいろ勉強しているわけでございます。そういう点から申しますと、なかなか人手も要する、訓練もしなければならないという事情がございまして、御指摘のような事情が確かにあると私どもは思うのでございます。ただ一面考えますと、やはり全般的に行政整理をやるということは、一つの輿論になつているような事情もございますし、私ども内部におきましてもできるだけさらに勉強いたしまして、事務につきましてもできるだけ簡素化をはかり、能率よく動くような面に今後一段とくふういたしまして、若干の程度は、やはりこの際でございますので、行政整理によつて定員を減少せしめられるのはやむを得なかろう、こういうことで、こういう案になつたような次第でございます。途中におきましても、先ほど官房長から話しましたように、行政管理庁などに対していろいろ資料を出しまして、実は末端の事情もできるだけよく反映するように伝えたつもりでございます。整理の率から行きましても、一線の税務署の方は大体三%ぐらいで、比較的低いところにおちついているのではないかと思つている次第でございますが、先ほど申し上げましたような事情でこういうことになつている次第でございます。こういうことになりました以上は、やはり先ほど申し上げましたように仕事の仕方等につきましてさらに一段とくふうを加えまして、納税者からも納得される、能率のいい行政をやることに努めたいと考える次第でございます。
  24. 下川儀太郎

    ○下川委員 行政整理後における事務の仕方について申されましたが、聞くところによりますと、超過勤務手当については十五時間支払つただけで、あとは支払つていないということを聞いておりますが、これはどうでしよう。
  25. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 超過勤務につきまして、なかなか忙しいので、超過勤務をしたのに対して、実は手当も十分出し切つていないところもあるようでございます。この辺の関係が、多年のいろいろな仕事の仕方とか、その他の関係からして、現在までのところまだ管理者から命令を出しまして、命令の出た者だけ超勤をしてそれで仕事を片つけて行くという状況にまで至つておりません。その結果事実の点におきましても若干不明確なところがございまして、はたして十分出しているか出していないか、問題の点があるのでございますが、大体の傾向といたしましては、十分な超勤を出していないことは確かにその通りでございます。そういう点につきましても、今後におきましてはなるべく事前に計画を立て、方向といたしましてはできるだけ事前に命令を出しまして、超過勤務の関係が秩序ある、きちつとした方向で行われるように行きたいと考えまして、目下その方向で、いろいろ具体案を検討中でございます。
  26. 下川儀太郎

    ○下川委員 どうも言葉だけの答弁で、はたしてそれが実行できるかどうか、疑い深いのであります。また国税庁が、ちようど所得税の申告時になりますと、約一箇月ぶつ通しで日曜もない。そのために多くの職員がへとへとになつていろいろ病気になるということが伝えられておりますが、この点はいかがですか。
  27. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 仕事関係を申しますと、係によつて少し違うようでございますが、御指摘のように申告所得税の係の方は毎年一月、三月、四月、ことに二月末から二月中ごろにおきましては、非常に繁忙をきわめるわけでございます。これに反しまして、四、五月を過ぎまして六、七、八月ごろは、比較的忙しくない。こういう所得税の仕事の性格上、季節的に繁閑があるのでございます。その結果といたしまして、二、三月ごろは御承知のように日曜日あたりにも出て来てもらつて仕事をするという状況でありまして、私も最近大分税務署をまわりましたが、十四日あたりも個人の所得税係は御指摘通り大部分出て来て、納税者と折衝しているような状態でございました。ただ私どもといたしましては、仕事としてあまりだらだらするというよりも、できますならば勤務時間内にわき目もふらず、能率を上げて仕事をして、勤務時間外はできるだけ勉強させるとか、休養させる、そういう方向に行くのが、今後は能率のいい行き方ではなかろうかというので、最近特にいろいろ反省いたしております。この面におきましてはただいま申しましたように、超過勤務の出し方等につきましても、仕事が比較的少いときには超過勤務をやらせない。忙しいときにはきちつとして超過勤務をしてもらう。そのときには必要な超過勤務手当を出す。こういう方向に今後とも持つて行きたいと思つて、目下いろいろその点につきましてくふうをいたしているのでございます。
  28. 下川儀太郎

    ○下川委員 いくら当局がくふうされても、実際的に現在の仕事の量と職員の数とを比較しますと、あまりにも差がはなはだしいと思います。ということは、あなたの方で最近行政管理庁に提出された書類の中では、所得税事務の一人当り調査担当件数が約三百六十人となつております。これは実額の約二割程度だそうでございますが、そうなつて来ると、あとの八割がほとんど机上の調査によつて課税されて行くことになる。従いましていかほどあなたがいろいろなことをくふうをするとかあるいは努力をすると言つても、実際には一人で三百六十人当りの件数を分担している。残余はほとんど机上プランによつてなされているということになつて来ると、実際的にはすでに人数の大幅な不足をしていることはわかつている。しかも今度の入場税の問題あるいはしやし繊維税の問題等々が重なつて参りますと、一体税務署員はどうするか。より以上は被課税者はあなた方の机上プランによつてでたらめな査定をされなければならぬ。そういう国民からの税金を吸い上げる吸上げの仕方が、そういう操作によつて、あるいはまた政府の今度の行政整理のような天くだり的な行政整理方針によつてなされるとするならば、迷惑するのは国民であります。同時にまた職員でなければならぬ。そういうことを考えると、大蔵省は管理庁のこうした天くだり的な案に対して徹頭徹尾反対すべきじやないか。それを単に本省だけで問題を処理して行く。国民の迷惑を考えない。納税の義務を背負わされている国民の苦しさ、あるいはまたでたらめな申告によつて、どんなあがきをしているか、そんな実情考えない。職員は結核患者がふえて行く。あるいはまたあらゆる過重労働をしいられることが、実際的にはこの通り病気になつて現われて来ている。一人当り何百人受持つて、残余は人数が不足のために、ほんとうの机上プランでしかできない。そういう現実がわかつていて、どうして管理庁のこういう天くだり的な整理に対してあなた方は反対しなかつたか。私はもつと強い反対をすべきだと思う。この点はいかがですか。
  29. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 事実は今お話のような点につきまして、私どももいろいろな資料を集めまして、管理庁との間に大分折衝いたしたわけであります。その結果出ましたのが、ここに提案になつているような状態になつているのでありまして、最初に申し上げましたように、税金だけの見地から取上げますと、御指摘のような意見も、私どもといたしましてもむしろこちらからお願いしたいような点があるのではないかと思うくらいでございますが、ただ一面行政能率をできるだけ上げまして、少い人間でいい仕事をやつて行くことが、この際といたしましては一般に要望されておるところでもございますし、私どももそういう見地から仕事のやり方、あるいは今後の仕事につきまして反省を加えてやつて行かなければならぬのじやなかろうかということを考えまして、この程度でございますれば何とかできるだろう、こういう考え方でこの案がまとまつたような次第でございます。  なお、今御指摘の調査でございますが、これは御指摘通り大体一人当り三百数十人くらい受持つております。そのうち二割くらいは実額調査と申しまして帳面その他につきまして収支調査——その中には経費の調査ができないで収入だけしか調べられないものもありますが、比較的ていねいな調査をやつております。そのほかの納税者につきまして全然机上だけでやつているかと申しますと、必ずしもそうではなく、やはりある程度戸ごとの調査あるいは営業の状態の調査、雇い人の状況その他収支調査とまでは行きませんが、営業に関するいろいろな所得を推定するに必要な概括的な資料につきましては、できるだけ個別的に集めまして、それに基きまして正しい所得が出るように現在も努力しております。もちろんこの点につきましては、人手があればあるほどよりいい調査ができるということは御指摘通りでございますが、今申し上げたような事情もございまして、あまりそういうことばかりにとらわれて物事を判断するわけにも行くまいという趣旨からいたしまして、実はこういうことになつていることを御了承願いたいと思います。  それから結核患者の点、先ほどからたびたび御指摘をいただきましてまことに恐縮に存じますが、御指摘通り、他官庁に比べまして税務関係が患者が一番多いのであります。その原因につきましてもいろいろ調べておるわけでございますが、一つ仕事がやはりむずかしいのと、仕事の性質から来ていると思うのであります。もう一つは戦後に採用されました若い職員が比較的多くて、結核にかかる可能性も多い。この二つの点から来ていると思うのでありまして、結核の予防対策一あるいは結核になつた人の療養施策等につきまして、遅ればせながら、昨年も若干やりましたし、今後もやろうと目下いろいろ努めております。そういう点につきましては、私どもとしましても今後とも努力いたしたいと思つておるのでございます。御協力願えますれば非常に仕合せだと存じます。
  30. 下川儀太郎

    ○下川委員 税務職員の中に結核患者が多いということの原因を、戦後の若い人が多いからということに基因せしめておられるようでありますが、若い職員が多いのはひとり大蔵省あるいは税務関係だけではないのであります。全体的に若い人々は多いのであります。その中にあつてとりわけ税務関係職員が一一%ある。全官公労の約二倍を占めておるというようなことは、結局非常に過労な労働に従事しておる、すなわち精神的な労働、あらゆる業務に対処するそれらの人々の心労から来ることだと私は思います。そういう若い人ということでなくて、仕事が非常にたいへんなのだ、税務職員が少いのだ、私はそういうことに基因していると思う。それは一種の逃げ口上にすぎないと思います。ただ私はあなたの腹の中に、現実的にやはりこういう税務関係職員はふやしたいのだ、しかしどうしても政府の天くだり的強圧によつてこうしなければならない、今後一般大衆により以上に納得の行くような税務処理をして行きたい、あるいはまた職員の健康の問題その他を勘案して増員はどうしてもしたいのだけれども、管理庁の関係あるいは政府方針従つて、今度はやむを得ずこの整理に賛成しなければならなくなつたという腹かどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  31. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 結核の点につきましては、私は決して若いせいだけだということは先ほど申し上げなかつたつもりでございます。それも一つ理由になつておるということは私ども率直に考えております。もちろん仕事の量と性格が相当大きく影響しておるのではないかというふうに考えておりまして、そういうことについても今後対策よろしきを得るようにして行きたいと思つております。  なお人員につきましては、たびたび申し上げますが、税務だけの見地から行きますと、やはり定員はなるべく減らしてもらいたくない。ただ、一方におきましては、天くだりということではなくして、なるべく少い人間でいい仕事をするというのが行政の基本的な考え方だと思いますが、そういう要素はやはり税務の中にも考えなければならぬ点はあるので、そういう点に関しましては——私ども責任のがれという意味ではなくして、独自の判断におきまして、この程度のことはやむを得なかろう。また場合によりましては、そういうことによつて能率を上げて行く方法もいいことではなかろうか、こういう両天びんを考えまして原案になつておるような次第でありますので、御了承を願いたいと思います。
  32. 下川儀太郎

    ○下川委員 あなたの心中はわかりますが、あなたの大蔵関係の場合における整理ということは、政府方針にのつとつて行政整理に協力するということは、これは国民に協力することではないということになる。結局人数が減らされた結果、納得の行く政治——つまりあなた方の課税に国民が甘んじて納めるようにするためには、やはり納得を行かしめるところの職員が多く必要になつて来る。政府予算化したものを、あなた方がでたらめな、いわゆる机上プランで課税するということはなるべく少くしなければならぬ。そうしたことを少くすることが私はいい政治だと思う。従いまして、そういう見地から国民が喜んで納税するような課税方式を立てる、あるいは職員増員する、そういうことが私は政府に協力することであり、国民に協力することであると思う。従つて整理をするというあなた方の考え方は、むしろ国民を裏切り、政府に協力していない。私はほんとうにいい政治をするためには、やはり苛斂誅求にならないような仕方をあなた方自身が根本的にとらなければならぬと思う。この点に対するお考えを伺いたいと思います。
  33. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 整理に関する考え方は、私先ほど申し上げたことで大体尽きると思いますが、御指摘の、納得の行く線で行く、これはどこどこまでも私は今後ともより一層努めて行きたいと思つております。ただそれにつきましても、やはり最小の人員と最小の経費でいい仕事をする、この行政に関する指導原理は常にわれわれは頭に入れて勉強しなければならぬのではないかと思う次第でございますが、そういう点をいろいろ考えました結果、この程度ならやむを得なかろうということで原案ができたということで御了承を願いたいと思うのであります。
  34. 下川儀太郎

    ○下川委員 まるでこんにやく問答で、努力する、あるいはやむを得ないということの一点張りで答弁を避けておるようでありますが、おそらく根本的には増員してほしいという腹ぐあいだと思つて税務関係の方は、一応これで打切ります。
  35. 永田良吉

    ○永田(良)委員 ちよつと関連して。私は納税者に対する取扱いについてお尋ねしたいと思います。日本全国の中で、まず東京付近のことは私どもはいろいろ見聞きしておりますが、たいへん適当な処置になつておるようでありますけれども、皆さんの目の届かない東北とか九州の南方方面においては、ずいぶん非難になつておる問題がある。これは簡単な例ですけれども、納税方面においては多少の脱法行為とか違法行為がある。具体的に申しますと、私の大隅地方などにおいて、交通の不便な、汽車も自動車も通わぬような大隅の東海岸の辺には何里も距つて三十戸、五十戸と部落がございます。そういう部落では、悪いことですけれども、いもでこうじをつくつてどぶろくみたいなものをつくつたりすることがございます。そういう際に、いなかのことでございますから、すぐそれをねたんで密告する傾向がある。日本全国で統計をとつたら、私のところの大隅半島ほどそういう事件につして密告件数の多いところはない。これは平家の落ち武者のせいかもしれないが、人が何かちよつと悪いことでもすると、それをつつ込んでお互いに陥れようとする。これは悪いことなら摘発した方がいい。しかしああいういなかにおいては、生活の困窮の関係から、そう簡単に行かない事情がある。そういう点をすぐ密告して行くと、税務署が総動員して行つて、つるし上げみたいなふうにして、ねつからこつからいじめて行く。そのために奥さんが妊娠何箇月になるのが流産したり、首をくくつたりするのがある。いなかの人というものは、税務署の人が来る、検事さんが来るというものを非常にこわがるものです。こういつた例があります。私の調べた例では、大隅半島や日向のすみつこの方が、一番税務署の苛斂誅求はひどいようです。あなたは御承知かもしれないが、大隅半島では砂糖消費税の密告事件で三人命をとつております。命をとるということは、皆さんの扱いが人情味を離れた苛酷な取扱いをしたからです。ああいうところは、多少文化は遅れているかもしれないが、そういう地方に対しては相当丁重な取扱いをしていただきたい。実例を申し上げて、今後の処置について、人員でも整理される場合には、苛斂誅求をやめて、いいのを入れていただきたい。年をとつたから先のことも考えてお願いしておかないと、またそういうことで子孫が困るだろうから……。これは答弁はいりません。
  36. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 税務行政につきまして非常な御注意をいただきまして恐縮に存じた次第でございますが、密造の取締りは、実は間税行政にいろいろやつかいな問題の一つになつております。御承知通り昨年は原料米等の不足、それから税金が高いというような関係から、戦後非常に正規の酒が減りました関係で、実は全国的に密造がふえて来ましたことは皆さん御承知通りであります。ただ最近は、その後正規の酒の量もふえておる。値段も一時よりも下ずて来まして、この一、二年、よほど密造も減つて来ておるようであります。ただ御指摘のような非常に僻陬の地、あるいは日本人でない部落に相戸な密造がある、そういう点につきましては、やはり量を多くするのと値段を下げるということのほかに、取締りも同時にやらなければ、これが秩序が保てない。そういうわけで、最近も密造取締りにつきましては相当の力を尽しております。その際のやり方についての御注意だと思いますが、御指摘のように、非常に僻陬の地でどうかと思うようなところも、なるべく手心を加えてくれというお話かもしれませんが、そういうところにおきましても、これはやはりある程度やりませんと、なかなか直らない。特に最近ではそういうことにつきましては、正規の酒も、二十度焼酎といいまして、値段、税率を少し下げまして、特に安い値段で供給するという措置もあわせて講じまして、密造の習慣をできるだけなくしようということで、実はいろいろ苦心しておるわけであります。取締りのことについては、むろん人権蹂躙等のことのないように、格段の注意をして行かなければならぬと思う次第でございます。
  37. 永田良吉

    ○永田(良)委員 今の答弁で満足しましたけれども、われわれが中央と地方とを種々行き来して、公平な目で考えた場合、かえつてあなたたちの帝都のまん中のこういうところは、われわれのいなかよりずつと知能的な大きな犯罪を犯しておる者が多い。しかしわれわれのいなかというのは、違反といつても、わずかいもを一俵とか、たかが知れたものです。わずか百円か二百円くらいの麹をつくつても、米の三升か五升、こんなのが違反に上つている。焼酎にすれば、五升か八升くらいのものを小さい釜で密造するのですから、そう量は東京辺のように多くはない。それに対して罰金の場合、驚くなかれ、五万円も八万円もかける。東京辺は五万、八万円程度は何でもないが、いなかでは五万、八万円となると、牛の子一匹、生命線です。こういうことを考えて、東京辺の悪いことをする者は一千万円とかいう大きなやつが多い。こういうやつをただちにたたき込んでしまつて、いなかのああいう弱い者をいじめるというようなことは、たいへん調子が悪い。こういう点について、あまり密告があるからといつて、すぐ動くということはよくないと思う。あそこは全国的に密告が多いところです。そういう妙な根性がある。そういう小さいのをしらみつぶしにやるよりは、東京あたりの大きいのを徹底的にやつていただいて、あまり末端をいじめないようにしてもらいたい。だから秋は密造をやれというようなことを奨励はしません。そういうことは取締るべきだが、末端の小さい方ばかり取締らずして、大きいものに向つて、大目的に向つて英断をしていただかないと、やはりこういう汚職事件が起ると思います。
  38. 下川儀太郎

    ○下川委員 次いでこの整理の対象になつておる財務局の五百六十名でございます。非常にこれは厖大な数字でありますので、財務局の方に、財務局の現在の仕事についての内容を、ひとつ詳細御説明願いたいと思います。
  39. 石田正

    石田政府委員 大体先ほど辻先生の御質問に対しましてお答えいたしましたが、財務局で今やつておりますところの仕事は、大蔵省の所管の事務の中で税関係を除きました仕事、それの現地的な仕事、この部分を財務局が担当いたしておるわけでございます。その内容のをもなものとして、どういうものがあるかというお尋ねでございますが、これにつきましては国有財産の管理の関係から申しますと、財産の管理処分という問題がございます。それから金融関係仕事といたしましては、特定な金融機関の検査というような仕事、それからまた資金運用部資金を地方に融資いたします関係からいたしまして、その融資の現場的な仕事をやる。大体大きく申しましてそういうふりな仕事、そのほか、なお各局の仕事につきまして、臨時的に処理する仕事もたくさんあるわけであります。  それからもう一つ、主計局関係におきましては、予算の執行の実地監査をする、これも一つの大きな仕事になる次第でございます。
  40. 下川儀太郎

    ○下川委員 これも税務関係同様、非常に過労なために、同時にまた、超勤が多い。しかもその超勤手当が、たとえば昨年の十月などは五六%しか支払われてないということは、これは実際でしようか。
  41. 石田正

    石田政府委員 財務局仕事が相当現在におきましてもきついということにつきましては、先ほど辻先生の御質問に対しましてお答えいたしたような次第であります。  なお超勤につきまして今お話がありました。五六%という数字をお示しになりましたが、この点、私手元に資料がございませんので、そういう数字になつておるかどうかということは、これは的確には申し上げられませんけれども、そういう非常に多くの超勤に対して超勤手当をやつてないかどうかという問題はありますけれども、ある部分につきましては超勤が足らないというふうなことはあり得るのではないかと考えておる次第であります。
  42. 下川儀太郎

    ○下川委員 私の聞くところによりますと、昨年財務局に調査に行きましたけれども、非常に事務が多忙で現在の人員では不足しておるということを口口に言つておりました。そうしてみると五百六十名減らされると、その後に至つては、より以上多忙になつて来る。過重労働が加わつて来る。そういう場合、はたして現在以上の能率が上げられるかどうか、現在の能率状態はどの程度か、その点をひとつお聞きしたい。
  43. 石田正

    石田政府委員 現在これだけの仕事に対して、これだけしか処理していないというような、なかなか的確な数字がございません。はつきりした数字は遺憾ながら申し上げかねると思います。なお現在もなかなか人手が足りないところへもつて来て、今度また減員があつたならば、とうてい事務処理はできないではないか、こういうお話と存ずるのでございます。この点につきましては、そういう部面もあると思います。ただ多少税関係につきましても、そういう点はございますが、事務的の分量を減らし得るところの面もあるのではないだろうかと思つております。  財務局仕事につきまして、端的に申し上げますれば、金融の検査とか、あるいは予算の実地監査という点につきましては、なお留意しなければならないところが多いと思います。それから国有財産管理の問題につきましては、これは国有財産の管理という点につきまして、ずつとこれから国として持つて行かなければならないところの財産ばかりではございますので、適宜に処分して行かなければならぬものも多いわけであります。そういうふうなものにつきましては、これは大体財産の処分が進みますれば、それだけまた人手もなくて済むのではないかという面もあるわけであります。ただそういう処分が行われまするところのテンポ、それから人を減らしますところのテンポというものが、一体合つているのかどうかということにつきましては、行政管理庁とわれわれとは所見を異にしておるところがございまして、その点から申しまして、これは税の場合と同じようなぐあいに、行政管理庁といろいろ折衝いたしまして、減員の数を減らしまして、許しを得た結果、そういう数字になつておることを御了承願いたいと思います。
  44. 下川儀太郎

    ○下川委員 あなたのおつしやることを聞いていると、非常に楽観的でありまするが、しかしたとえばわれわれが調査に行つた場合、物納財産が約四万件ある。それが半分くらいしか処分されておらない、そういうことを見ると、やはり明らかに人員が不足しておる結果だということがわかるのです。四万件の中で半分しか処理されていない。これに対して今度減員されると、より以上に能率が低下して来る。そういうふうな現実的な面をとらえてみても、やはり人間が不足しているから能率が上らないのだ。にもかかわらず、やはりさきの税務関係のこんにやく問答みたいに、いろいろとどうもそういう現実の面をとらえた御返答がない。むしろ私は、そういう一つ一つの税目をあげて、ここには一つのものが、これだけ停滞して困つておる。四万件のこの物納財産処理ができない。あるいはここもこうだというように、そういうことがもうすでに明らかにされているものなら、これは当然増員を要求すべきじやないか。それを要求ということもしないで、やはり整理に甘んじているという考え方が非常にいけないと私は思う。これは国の財産なんだから、一刻も早くこれを処分して、そうして国の利益に充てるべきなんだ。処分が遅れれば遅れるほど、国はプラスにならない。そういうことを考えれば、先ほどの税の問題と同じように、減員されて処分が遅れるということは、それだけ国に対するマイナスをしていることなんだ。そういうことをわれわれは考えるので、こういう煩瑣な、あるいはたくさん物納がある場合は、増員するようにしたらどうかということを、むしろあなた方自身の方から政府に進言すべきだと思うが、そういう増員等に対しての進言をしたことはないでしようか。
  45. 石田正

    石田政府委員 財務局人員につきましては、発足以来の過程といたしましては、ずつとふえて行つたわけでありますが、それがまたあるところからだんだん減るという傾向を今とつて来ておるわけでございます。この物納財産その他の処理がなかなか思うにまかせないということは、ほんとうに御指摘通りでございまして、われわれといたしましては、できるだけ早くそういうものを処理いたしたいと考えておるのでございます。ただそのために増員をするびどうかということてつぎましては、一般的な情勢から考えまして、増員というふうなことをするのが適当であろうかどうかという問題が一方にございます。それならば減員はやめて、しばらくこのままで推移したらどうかという点につきましても、これはまた行政整理一般の問題と関連するわけであります。物納財産その他の国有財産の問題につきまして、要するに処分は遅れておりますけれども、処理しなければならない対象がどんどんふえて来るという状況のもとにおきましては、当然われわれとしては増員を要求してしかるべきものだと考えておるのであります。ただ処理が遅れておるということにつきましては遺憾の点が多いのでございますが、だんだん処理をいたして行き、なるべく少い人数で、その関係仕事をやつて行くということは考えなければならぬところであろう。従いまして問題は、具体的にどのくらいの数字がよろしいかということになるわけであります。これはいろいろの考えがございまして、もうそうたくさんの人はいらぬのだという御議論も一方にはありますが、われわれとしては、そうたくさんの人が減つては困るというふうな実情にも照しまして、今お手元にありますような数字におちついておる次第でございます。
  46. 下川儀太郎

    ○下川委員 実際的な実情を知らない考え方から、これ以上人はいらないというような議論も成り立つかもしれません。しかし実際的にその仕事に携わつておる人々、あるいはそういう下部組織の輿論を参酌するならば、そういう意見は出ないはすだと思う。一日われわれが調査に行つただけでも、これはどうも人をふやさなければならないという結論がすぐ出て来る。いわんや政府は、毎日のように行き来しておる、そういうところでは、一目瞭然わかるわけなんだ。こういう質疑の場合においても、そういうことはあなた自身がはつきりとわかつておるはずだと思う。たとえば昨年の暮れ、私は行政管理庁長官に、終戦後あの駐留軍の住宅が引継がれたが、その引継がれた住宅はどのくらいか、またどのように処分されておるのかということを質問したところが、人数が不足でまだその見通しがつかないと言う。これは全国調べたら駐留軍のあの住宅は厖大なものだ、日本の財産としても大きなものだと私は思つておる。その駐留軍の財産を一刻も早く引継いで、そうしてこれを日本それ自身の手によつて処分する。それだけでも相当の金額が生れて来る。緊縮財政とかいろいろ言われております折から、この引継がれた財産を処分することによつて、より以上にいろいろな効果が上つて来ると思う。そういうことができないじやないか。これもやはり人員不足の結果だと私は思う。ほんとうに現在、国の財政を考えると、あるいは昨年はああいう大きな災害があつた。それに対する予算を生み出さなければならないという場合においても、そういう駐留軍が置いて行つた財産を処分することによつても何億かの数字が生み出されて来る。一刻も早くそれを処理して国にプラスすることが、ぼくはほんとうの能吏の仕事だと思う。それができない原因はどこにあるか。結局これは人員が不足なんだということは、もう目に見えている。先ほどの四万件のあの物納物件こしたところで、あるいはこの駐留軍の住宅の処理にしたところで、人間が不足だから急速に処分ができない。いつになつたら処分されるのか。いつになつたらこれが国のほんとうに使える財産として生れて来るのが。あるいはまたこれが一般的な庶民住宅ないしいろいろな形においていつ使用されるか、そういうめどが何もないじやないか。何一つそういう処分が急速にできないということは、結局人員が不足なんだ。その人員の不足を明らかに知つていながら、なおかつ政府の言うままにこの人員整理に甘んじているという態度、これははなはだよくないと私は思う。現実的にこういう事実をあなた方は把握しており、現実的にこういう事実を知つておりながら、なぜこういう減員に甘んじておるのか。なぜ増員を要求しないのか。あまりにも奴隷的な根性だと私は思う。もつと私は勇気を出して、ほんとうに国を愛するという考え方ならば、緊縮財政のこの苦しい財政の中から、そういうところから、ほんとうに日本のプラスになる仕事が生れて来る。財源が生れて来ると思う。そういう見地からでも私はむしろ減員して、わずかばかりの予算が減らされるよりも、そういう財産を処分するごとによつて、国家のより多くの財産が生れて来ると思う。そういうことに対してどういう御見解を持つておりますか。
  47. 石田正

    石田政府委員 この大蔵省関係仕事につきまして、私たちそういうことを担当しておる者といたしましては、全般的に申しまして、相当みんなが働いており、かつそれによつてなお処理し切れないところの仕事が残つておるという点はあるのでございます。ただ、しかしそういう仕事の面だけから、すべてのものを考え処理すべきかどうかというとこにつきましては、また別の要請もある次第でございますので、その点から申しまして、お手元にありますような数字に相なつて来ているわであります。ただわれわれの仕事としては、人が減らされてしまつたならば、非常に困難なことはありますけれども、しかし能率その他の点について改善を加えて、そして与えられた人員範囲内において、処分その他につきましても迅速にいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  48. 下川儀太郎

    ○下川委員 別の要請とはどういうことなのか、ひとつ明確にしていただきたいと思います。
  49. 石田正

    石田政府委員 この行政機関に属しますところの人員整理をしよう、定数を減らそう、私が要請と申しましたのはその意味でございまして、政府全体の仕事のやりくりというものをもう少し、少い人間でもつて処理しようというのが、全体の考え方のもとになつておるようでございます。そのもとの中におきまして、ほかのところはとにかく、大蔵省だけは人は減らしません。あるいは人はもつとふやすのでございますというようなわけにも参らないだろう、かように思つておる次第でございます。
  50. 下川儀太郎

    ○下川委員 別の要請などと言わなくとも、はつきりそう言つた方がいいと思います。従つて私はそういう要請があつても現実的には、たとえば私が先ほど例を引いたことだけでも、人間が不足している結果がこういうことになつておるのだ。あるいはまた地方財務局の出張所に行つても、いろいろな人員の不足から生ずる問題点かある。従つて現実的には不定しているのだ。現実的にはどうしても増員して国の財産の処分をする、あるいは払下げの問題に対しても人間を増加して、より以上に円滑な一つの運営をして行くというようなことが、各地方々々でこれは行われなければならぬ。またあなた方がそれを集約して、そしてこれをやはり人員の増加に持つて行つて国の財産をゆたかにするという立場に置きかえなければならない。それが一方からそういう要請が来た。しかしそういう要請に甘んずるということは、ほんとうにぼくは有能な官吏のやり方でないと思う。もう一歩強くこれを飛躍しなければならぬと思う。政府のもとにおかれてやむを得ないかもしれませんが、内面的にはおそらく私は税務関係の人と同じように、これを一刻も早く増員してこういう処理をしたい。そうして国にプラスしたい。しかし強権が上にあるから、やむを得ず人員整理をやらなければならなかつたというお考えが、おそらく腹の中に私はあると思う。ですから、こういう点についても。多少の抗議をするかもしれないが、まあ唯々諾々として、おそらく一律にいろいろな形で天引き整理をされる、それに承服して行くという態度を置きかえて、もつとあなた方は自分の立場を固持して、ほんとうの仕事の面、日本の財政の面あるいはまた国家にプラスになるという面から強く押し出してほしいと思う。大蔵省関係にしろ、ほかの省にしろ、いろいろ問題があると思います。農林省関係にしろ、運輸省関係にしろ、あらゆるあなた方と同じような立場、回しような問題点が幾つも残されておるのでありますから、私は共通の一つの自分たちの利益を守るのじやなくして、国の利益を守るのだという建前から、強いレジスタンスをやつてほしいと思う。たくさん例はありますけれども、大体のあなた方の腹ぐあいはわかつたので、財務局関係はこれで打切つて印刷関係に入ります。
  51. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 下川委員の御質問に関連してお尋ねしたいと思いますが、現在大蔵省事務が非常にふえまして、財務局関係仕事等も非常に重要性が加わつておることは十分これを認識するものであります。しかしながら財務局関係と申しましても、下部組織としては各府県に財務部があり、機構が非常に複雑に相なつております。事務内容から見まして、一つの例をとつて申しますと、地方公共団体の起債の認可でありますが、こういう問題についても、府県の財務部が私は大蔵省立場以上に干渉をするような感じがするのであります。この点につきましては、過日塚田長官、青木政務次官にお尋ねいたしましたところが、現在起債の認可の許可制については、両方の政務次官の間で実際的にお話合いができつつあるような話を伺つたのであります。ただ一点、起債の認可の最高額と申しますか、その点についての話合いが、まだできていないが、他は大体円満な相談ができておるというような話を伺つたのであります。そういう点から見ましても、私は財務部の仕事の中で相当整理をし得る点があるような感じがいたすのでありますが、そういう点について、ただ人員を天引き的に整理するというだけでなくして、実質的に仕事を減らすというような点に御考慮が払われておつたかどうかという点を伺いたいと思います。  なお、ついででありますから、直接関連はございませんが、大蔵省の全体の整理の組み方を見ますと、実質的に整理を要する人員が九百九十三人にすぎないような結論に相なつております。これは大体各省並の平均で御整理になつたのでありますか、あるいは大蔵省の特殊事情考慮してこういう数字が出たのだありましようか、この点を御発表していただきたいと思います。もとより入場税、あるいはしやし繊維品消費税の実施、こういう新しい事務もふえるわけでありましようが、一つの税を設けるのに一つ一つ増員する、ほかの方は減員は一つ考えないということがあれば、税がふえるごとに相当の増員をしなければならぬということにも相なるわけであります。現在の人員を繰合せて、新税を設ける場合にもそれに当るというぐらいの覚悟がなければならないと思うのでありますが、そういう点についても、どういう考慮を払われたのでありましようか、この二点をお伺いします。
  52. 石田正

    石田政府委員 財務部の地方の起債に関するところの仕事、これを大いに減らし、よけいなことをしないで人員整理したらどうかというような第一点の御趣旨だと思います。この点につきましては、大蔵省としては、地方債につきまして許可をする。これだけ地方団体として、許可しかるべしということと同時に、今度は現実的に金を貸すという面もあるのであります。金を貸すという点につきましては、金融機関的な仕事をするわけであります。その金融機関的な仕事というものは、大蔵省の方におきまして、やはり見て行かなければならぬ点であります。もちろん許可の問題につきましては、許可とそれから資金が実際に出て行くということをうまくミートさせないで、許可は許可でさせつぱなし、金を出す方は出す方で、かつてに行くのだというようなことでは、ぐあいが悪いと思います。この点は大蔵省とそれから自治庁との間におきまして、事態を改善すべきものは改善して行くべきであろうと考えまして、先ほどお話がございましたように、これはいろいろと打合せもいたし、そうして私は一時よりも大分このごろは円滑に行つておるのではないかと考えておる次第でございます。  それから第二の国税庁の問題でございますが、要するに入場税やしやし繊維消費税について増員をする、新しい税を設けるたびに人をふやして行くというのはおかしいのであつて、むしろ現員が足りないのではないかという御質問でございますが、これは立て方の問題でございまして、その現員を調べて、減らすものは減らす、ふやすものはふやす、こういう建前をとりましたわけでございまして、あるいは私趣旨を取違えているかもしれないと思いますが、今の人員範囲内でもつて、繊維消費税なりあるいは入場税をやるということになりますれば、減員率がなくして済むが、実際は片方が減り、片方がふえるというかつこうになりますが、結局八百人ほど減らさざるを得ない、こういうふうな実情になつておるのでございます。
  53. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 お答えいたしますが、大蔵省の減員率につきまして、何か大蔵省の特殊事情考慮したかということでございますが、これは各省整理人員を、各省と協力いたしましてつくり上げます場合におきましては、決して一律に天引きというような形といたしませんで、それぞれその省の特殊事情に応じまして、特別の現業機関はこれを低くするとか、その職種に応じまして、各省を通じまして、同じような職種は大体同じような率で減らすというような事情考慮いたしましたので、大蔵省におきましては、たとえば税務行政の第一線に従事している職員につきましては、これは本省の企画事務に従事している職員より格段低くするとか、印刷局、造幣局に勤務しておる職員につきましては、また特別の低い率をかけるとかいうことでありまするので、結局それぞれ各省の業務の性質に応じます職員の構成によりまして、それぞれ査定して参つたものでありますので、各省でかなり整理の率は、結果的に見ますと違うのであります。それはどの省が高い、どの省が低いということは、その省の職員構成の種類によるものと御了承いただきたいのであります。なお念のために申し上げますと、警察は、今度は特別警察制度の改正によりまして、高い率になつておりますが、警察部門を除きますと、各省通じまして四%五六の縮減率に相なつております。全体とは関係がないのでありますが、大蔵省全体といたして見ますると、四・八%の整理率になつておりまして、大体結果において、偶然全体の平均率に似たもの、あるいはそれより上まるような形に相なつておます。ただこの率は、私どもその整理をいたします場合におきましては、現在の仕事の状態に応じましてこれを整理して行く。それから二十九年度におきまする事業量に基きまして、新しい事業の増加、たとえば今お話がありました繊維脱であるとか入場税の移管によつて特別にふえるもの、これは別個に計算されております。新しい事業によつてふえますものは、各省とはまた別にしております。御了承を願います。
  54. 山本正一

    ○山本(正)委員 財務局関係で、下川委員質問に関連してお伺いをいたしたいと思います。下川委員の申される趣旨は、事務の渋滞をよそにして、ただ政府の要請する人員整理に応ずるということは、ほんとうの立場から見て不適当ではないかという趣旨なんであります。これは私どもも原則的には同感なんであります。しかしただ伺つておりますと、少し釈然としない点がある。たとえば下川委員が御指摘なつた数万件に及ぶ物納財産の処分が非常に渋滞しておる、この渋滞ということが、はたして人員が不足なためであるのか、あるいは人員は不足ではないけれども、処分の対象たる物件の性質から、いかほどに人員を充実しても、買手がないとは、事務の性質が、人の過不足にかかわらず、自然に渋滞すべき性質を持つておるものであるのかどうか、そういう点について、あなたのお答えが、聞いておつて十分でないと思う。言いかえるならば、例として指摘された物納財産の処分のケースにつきましても、人をふやせばただちにこれは渋滞なくして、円滑に処理される性質のものであるかどうか。もしそういうことであるとするならば、今、下川委員の申されるごとく、その実情政府当該者に十分理解をさせて、これをすみやかに処理して、国の財政構成に寄与するような道を考えてもらわなければならないと私は思う。しかし私思うに、どうも業務の内容が、ただ人をふやすことだけによつて、ただちに円滑な処理が行われない意味もあるのではないかと思われるので、この間の事情を責任者から一応伺つておきたい。
  55. 石田正

    石田政府委員 私、不川先生からお話がありました点につきましては、人手が足りない実情にかかわらず、なぜ人をふやさぬのか、また減らしたのはもつてのほかではないかという御趣旨でありまして、これは人手も足りないという部面も私はあると思うのであります。そう言うと語弊がありますけれども、相当あると思います。ただ私個人として根本的に考えますると、財産税を物納でとるということは、戦後の非常に特別な措置であつたと思うのであります。税金というものは大体お金でとるというのが建前でありますが、戦後の特別な例といたしまして、税金を物でとつた。その処理をすることは大蔵省といたしましては経験のない仕事でございます。どこでやりましても、たいへんな仕事であると思われるのであります。  こういう経験のな、仕事大蔵省の者がやる、税金の金の方は国税庁関係でやるけれども、しかし物でとつたものはどうするかということは、財務局でやるよりほかしようがないということがまず発端であつたのであります。これはたいへんな仕事でありまして、その間処理が渋滞するということもありますし、物によつてその評価がどうも適当でないというふうなことでいろいろ問題が加わりまして、いろいろとおしかりを受けたこともあるというのが事実でございます。従いまして、この仕事というものは、なれた人間がやらなければだめでありまして、やつとこのごろ習熟して来たという状態なのであります。  第二点といたしまして、これはただ物を納めてしまうということではないのでありまして、処分ということは、物を売るということもございます。従いまして、買う人がなければならない。これは買う人の資力の問題、値ごろの問題もあろうと思います。もし人がついて来なければ、人がふえたからといつても、売れるものではない。これは常識だと思うのであります。ただ処理が渋滞いたしました原因は、今申しましたように、どんなことに起因しているかということは、われわれとしては正確に申せない仕事の性質ではないかと思うのであります。そこで御指摘のような点も、われわれとして考えておりますけれども、しかしどれだけということがはつきり言えないものにつきまして申し上げることもいかがかと思いますので、下川先生の御質問に対しましては、仕事の渋滞という面だけからお答えを申し上げました次第であります。
  56. 山本正一

    ○山本(正)委員 大体今例にされたケースについての事情はほぼ了解したのでありますが、なお一つ心得のために伺つておきたいと思うのは、これはひとり大蔵省財務局だけでなくして、すべてのケースに一様に書いてあると思うのですが、人を大なり小なり減すことによつて仕事が渋滞しやすくなるということが、この場合非常こ気づかわれるわけであります。すべての質問の根底はそこから生れておるのであります。そこで資料を見、もしくは説明を伺つてつて、すべてに共通することは何であるかというと、行政事務簡素化する、それから事務能率を上げる、こういうようなくふうによつて、増大する事務を減らされた人員で消化することに努力いたします、こういうことを伺つておるわけであります。私どももそれを熱望し、その成果の上ることを非常に期待するのであります。ただそこで伺いたいと思うのは、一つとして行政簡素化の具体的事例を伺つておらない。それから事務能率を、このようなくふうにおいて上げるのだというふうな具体的事例を伺つておらない。従つて画一的に、どの省もどの部局も一様に申される行政事務簡素化能率の強化、向上ということの実体が、われわれにはよく理解されない、理解されないから、そういうようなかけ声ではあろうけれども、現実にはたしてどの程度簡素化され、その結果がどの程度能率が上るものであるか、ちよつとはかることができない。そこに、減らされて行くこの人員で、はたしてこの仕事が十分に処理されて行かれるかどうかという不安が強い。一切の質問はそこから生れておるということをお含みいただいて、すべてにわたるということは、これは容易ならぬことでありますが、どのケースでもよろしいが、一つの例示を、たとえばその行政簡素化ということはこういうことであるとか、能率の向上ということはこういうことであるとか、どこか片鱗でもお示し願えれば、非常に安心できるものがあると思う。
  57. 石田正

    石田政府委員 私たち率直に申しまして、今の行政官庁のあり方といたしまして、たとえてみますれば、大蔵省なら大蔵省税関なら税関、それから国税局とかいろいろわかれております。しかしわかれておりますところにおきまして、ただ一つだけの仕事をしておるかといいますと、非常にはつきりやつていますところと、それからそうでないところとあるわけであります。仕事をやつて行きます場合、たとえば財務局なら財務局の例をあげましても、いろいろな仕事をやつおるわけであります。そこでどの仕事に現実に何人が適当であるかということは、なかなか実際問題としては言いにくい点があるわけであります。そのときどきの情勢で、全般的な仕事の中で、忙しくなつて来る部面もありますし、それから仕事が片づいて参りまして、楽になるというような部面もあるのであります。そういうふうなところにつきまして、ここのところで何人減らせる、こういう仕事で何人減らせるというような見通しは、なかなか立ちにくいのであります。われわれはできるだけ配置等につきましては、仕事の繁閑を見まして、うまい配置でやつて行く、こういうことを考えておるわけでありますが、それではそういうことがほんとうに百パーセントできているか、こういうことになりますと、私は率直に申して、できていない点があると思うのであります。それから、たとえば一例でありますが、人事笹別なら人事管理という点を見ましても、人事院規則その他におきまして、非常にこまかいところの要求をとられる、一例を申し上げますと、私どもにおきましては、毎日毎日勤惰をはつきりさせなければならぬ。そういたしますと、ある役所でもつて二人か三人しかおらぬところもあるわけであります。そういう人たちの監督者が、二人か三人いるところで一々勤惰を書いて行くということは、あまり意味がないというような仕事もあつたわけであります。そういう人事管理の面におきましても十分考えていただければ、これは大蔵省ばかりでなく、全体として減らせることもあるであろうと思います。それから大蔵省といたしましても、これは三人でやつているところの仕事を二人でやる、あるいは五人のところを四人でやるというようなことをしたら、全然できないところもあるというようなことにつきましても、これはやり方次第によつては、あるいはできるところもあるのではないかというふうに考えまして、先ほどもいろいろしかられましたけれども、全体として人間を減らして、そうして能率よくやつて行くという点におきまして、そういう方針がありますれば、その方針のもとにおいてやつて行ける部面があるのではないかと考えます。その点がどの程度であろうかということにつきましては、見るところが違いますから、行政管理庁からお示しになりましたような数字では、われわれとしてはできないということで、いろいろ苦心して来た点も多々あつたわけであります。
  58. 山本正一

    ○山本(正)委員 どうも実に御丁重なお答えではありましたが、内容が何もないのであります。私が伺わんとして求めておるものに対しては、内容的に何もない。行政整理によつ人を減らす、その減すことに急の余り、行政事務の渋滞を来してはならぬということは、これは国民の共通した希望でありますが、さればとて、この行政事務を消化するために、野放図に人をふやせばいいという考え方も、きわめて危険な考え方であります。こういう危険な考え方が、従来大なり小なり行われて来たところに、今日行政機構というものが非常に複雑化し、厖大化して、そこに国費の浪費、濫費ということが国民の注目を集めて、何とかこの機会にこれを是正、刷新して行こうというのが、今審議されておる定員法趣旨でもあり、行政機構改革のこの仕事の中心になつておるわけであります。そこで、今私が申したようなこと、たとえば具体的には行政簡素化ということはこういうことであるとか、あるいは能率の強化、向上ということはこういうことであるとか、私はもう少しあなた方には具体的な何らかのものを持つておいでだと思つて伺つたのです。それを今伺つたような内容では、まつた内容なしということを申し上げざるを得ない。これは抽象的の観念論であつて、少しも具体性を持つておらぬお考えである。そういうことになりますと、必然にわれわれが最もおそれるごとく、この行政事務の渋滞は、人員の不足にあるという言い分が非常に強くなる。これを避けるためには、野放図に人をふやさなければならぬという議論が、非常に世間に強く響いて来るのであります。それではこの定員法をどのようにわれわれが審議しても、これはとても求めるような結論というものは得られぬのじやないか、私はもう少し行政事務の扱いを簡素にするということについても、従つて能率を上げるということについても、もう少し具体的な何らかの案というものがおありでなければならぬと思う。私はその点については非常に失望いたしました。その具体的な案がありまするならば、願わくは簡潔に、その点だけについて伺いたいと思うのです。全般はいりません。たとえばどのダースでもよろしい、片鱗でもよろしいけれども、もう少し簡素化能率化についての具体性というものを、もしありまするならば、われわれに聞かせていただきたいと思います。
  59. 石田正

    石田政府委員 私ども、要するに、行政整理の問題が起つて参りましたときに、二つのことがあると思うのであります。一つは、いらない事務をやめてしまつて人間を減らしたらどうか、これが一つの点だと思います。それからもう一つの点は、要するに役所はお役所仕事である、そうして民間の会社その他に比して、非常に煩瑣なことをやつておるのではないか、能率が上つていないのじやないか、こういう面と二つあると思うのであります。今までの御議論は、どういう事務をなくすのだ、どうするんだという点で、具体的に考えるという点が空疎ではないか、こういう御議論だと思います。私どもから申しますと、事務の点につきましては、そうそう省けないものが多いし、あるいは、もつとやらせなければならないものが多い。ところが今まで国民全体からいつて、役人の数が多過ぎるのではないかというふうな考え方があるわけであります。そこでわれわれの中におきまして、これから限られた定員の中でやるわけでございますが、これはよく言われるわけでありまますけれども、役所というものは、判ばかりを押しておるところである。たくさんの判が全部終らなければ、一つのことは終らない。そのために能率も上らぬし、ぐあいも悪い、こういうふうなお話もあるわけであります。こういう点についも、われわれも考えて、大蔵省の中におきましても、各部局におきましても、やはりそれぞれ責任体制というものをはつきりさせる。そして判この数を減らすことによつて、要するに、少しでも関係があれば必ずそこにまわさなければならないというようにやつておるのではないかという点も、私たち大蔵省の中におきましては、できるだけ簡素化いたしまして、そういう仕事をやる上においても簡素化をする。それから一人々々がある事案を処理する場合、なるべく早く片づけようということにする。これも実際に申しまして、相当私はこれが仕事に影響すると思います。これらの点についても、相当考慮する点があるのではないか。それをやつてもどうしてもできない場合には、定員をふやしていただかなければならぬ。まず努力すべきであるということを感じております。議題外になるのでございますが、私どもの希望としては、そういうことになるわけであります。
  60. 稻村順三

    稻村委員長 大蔵委員会より、大蔵省出先機関定員確保に関する申入れがありましたので、下川君の質疑を続ける前に、大蔵委員会理事井上良二君の発言を許します。なお本申入れに対する質疑は、一般質疑と一緒にしたいと思います。大蔵委員会理事、井上良二君。
  61. 井上良二

    ○井上良二君 ただいま委員長より御紹介を願いましたが、大蔵委員会は、去る三月二十三日、今回議題となつて審議を願つております大蔵省の出先機関定員確保に関する件に関して、次の申入れを内閣委員会にいたすことに満場一致決定をいたしました。案文を朗読いたします。  大蔵省出先機関中国税局、税務署並びに財務局財務部はそれぞれ関税を除く税務行政の執行又は予算の執行監査、資金運用部資金の運用管理、国有財産の管理処分、金融機関の検査監督等大蔵省所管事項の殆んど全般にわたる第一線の実施機関であつて、これが運用の適正、執務の迅速如何は、国政の根幹に重大なる影響を及ぼすものであるにかかわらず、従来再二の行政整理によつて逐次定員を削限され、現在の定員をもつてしては、今後ますます複雑増加を予想されるこれら事務処理に万全を期することが困難な現状である。よつて、今回の行政整理に当つては、特にこれら機関の重要性を認識、少くとも現在定員を確保せられるよう格別の配慮あらんことを要望する。右のような案文を決定いたしまして、本委員会に申入れするということになつたのであります。大蔵省所管に関しまするこれらの各機関機構等につきましては、各委員から熱心なる御質疑が行われておりまして、もうすでにこの申入れの趣旨に沿つたいろいろな見解が御開陳されておることを、大蔵委員会といたしましても非常に多とするところであるが、御存じの通り、この国税局の税務行政を、われわれが大蔵委員会でいろいろの角度から現地その国民の声等をあわせて検討いたしておるのですが、何分にも厖大な国税徴集を扱います関係から、非常にすぐれたよき税務官吏を多数必要といたしますが、いろいろな実態を見ますと、現在の国税局の定員はわずか五万そこそこしか確保されておりません。これは戦前の昭和九年、十一年等の状態から考えますと、いずれにしても少い定員でありましたために、いろいろの事件を至るところに起しておるわけであります。
  62. 稻村順三

    稻村委員長 質疑中ですから、ごく簡単に願います。
  63. 井上良二

    ○井上良二君 なお財務部のいろいろな事務行政にいたしましても、非常に問題がございまして、この結果がたびたび会計検査院の行政事務に対する監査の不仕末として摘発をされておるのが非常に多い事実から考えて、これらの機関定員が非常に少い結果から巻き起つた事案であるということを考えまして、以上のような申入れをいたした次第でありますから、何とぞひとつ十分御考慮を願いますようにお願いをいたす次第であります。
  64. 稻村順三

    稻村委員長 なお下川君の質疑を続けます。
  65. 下川儀太郎

    ○下川委員 先ほど山本委員から、私の質問に関する関連した御意見がありましたが、まつたく山本委員の言う通りでありまして、これは大蔵省あるいは各省全般にわたりますけれども、人間だけを減らして、行政機構の何らの変革がない、ケースが改められておらない。要するに簡素化ということは、これをそのまま押し進めて行くと、人間を減らして、残されセ少人数でこれをより多く働かして、事務処理するという、まことに人間を奴隷にした簡素化の方式であると私は考えております。従つて、先ほどの山本委員のおつしやる通り、やはり簡素化には簡素化一つのケースがつくられなければならぬ。ケースを無視して、ただ人間を減らし、残された人聞だけを酷使することによつて簡素化しようとする、そういう考え方がこの中に現われて来ておる。また先ほどの財務局の問題でありますが、この財務局の問題もあまり現実的に見ておらない。たとえば関東財務局行つてみると、この無数の、四万件の中の約過半数であると思いまするが、それを十人ぐらいの人間が小さな部屋でやつておる。なお未処理の財産が約四割ある。そういう状態をわれわれは見て来おる。だから現在までの状態をあなたが見て来ておるならば、これだけの人数で四万幾つのの案件を処理する、あるいはまた未処理の財産が約四割ある。これを処理するには、どうしてもこれだけの人数がいるのだ、単なる行政簡素化をするとか、いろいろなことを口では言つて、実際的には配置転換などして来るけれども、いわば人間を持つて来て、実際的にいろいろなケースはそのままにして、いろいろな操作をして処理しなければ、実際に急速にはいかぬということの現実はわかると思う。それを見ずして、そういうことをうのみにするから、こんにやく問答が現われて来るわけであります。まつたく山本委員の言う通りであります。そういう点を私は今後十分考慮していただきたいと思う。ただいまも大蔵委員会から要望がありました通り大蔵省関係は重要なる部門として、この定員法に対する批判的な立場で、要望を持つて来られた。それはおそらく全員が賛成だつたと思いまするが、そういう点も十分あなたも考慮してもらいたい。実際今度の定員法は片ちんばの定員法で、行政機構改革といつているけれども、人間だけを減して、何ら機構改革が伴つておらない。そういう片ちんばの定員法を持つて、天くだり的にわれわれに押しつけようとしたつて、そうはいかない。むしろあなた方自身の方から、それに似通つた意見を出され、大蔵委員会においても、大蔵委員会諸君も、あるいはまた大蔵当局としてはそういう意思がにじみ出たからああいう一致した意見が要望されて来たと私は思う。われわれに示されたあなたの意見というものは、実際ただいま山本要員指摘された通り、曖昧模糊としている。ほんとうの行政簡素化とか、能率の増進とか、あるいはまた財源を生き出すとかいうことになつておらないと私は思うこの点を留意されたい。答弁はいりません。  印刷局の問題について少々伺いたいと思います。御承知通り印刷局は、一種の企業体といつてもいい。それがこの表を見ると、相当数削られて、二百五十五名も減員されておる。この印刷局もほんとうに政府機関的な一つ印刷局でありまするが、これがもつと政府が、あるいはまた大蔵当局が手を入れて——あの滝野川の印刷局にわれわれ行つたのでありますが、その実情を見て参りますると、古い機械を使つておる。そうしてあの印刷局仕事の何パーセントかが外へ出されておるのです。現実的に政府が持つておる印刷機関がありながら、その仕事がよそに出されているという原因はどこにあるか。それを考えてみると、非常に技術的に、あるいはまた印刷機が古いというよう点が数多く指摘される。あそこは印紙とか、証券とか、いろいろな公債とか、そういうものがやられておる。あるいは一般的な、いわゆる政府が使う一切の書類等々が印刷されておるのですが、その幾分かが外へ散つておる。その原因はやはり印刷が不鮮明だとか、あるいは印刷技術の悪い結果が指摘される。あるいは高いとか、いろいろ言われておりますけれども、その根本原因は、やはり政府がその機関をよく注意し、監督し、そうしてもつと技術の向上とか、あるいは職員自身の技術的な研究ということに目を注がないで、他の大きな印刷所と比べてみると、日本の政府が持つている印刷機関と、私物の印刷所と比較すると、非常に低下するところが多い。たとえば戦時中のあの印刷機をつくり直して使つているのももある。そのように日本の政府機関であるところの印刷局は、きわめて劣等な機械を使つておる。そうして普通の印刷所の職工と、現在の印刷局職員との賃金を比較すると、一割から二割くらい低い。賃金は低い、機械は悪い、そういう関係で、勢い政府の急を要する書類とか、いろいろなものが外へ流れて行く。これはやはり印刷局自身に問題はなくて、政府の指導とか、補償とか、それに対する監督とかいうものがきわめて薄いからだと私は思う。従つていわゆる企業体的な立場にある印刷局が、より以上に発展するということは、どんどん仕事が発展して行けば、勢い黒字になり、政府にプラスする。それができないというところに欠陥があると私は思う。従つてこれから印刷局を発展させるためには、やはりいい機械を入れ、職員の待遇をよくする。そうして外の商人たちよりもいいものが、当然政府機関としてつくらなければならぬ。それをわれわれは今後十分見きわめなければならぬと思うのです。そこでこの二百五十五名の減員についてでありまするが、これも今日非常に印刷物が多い。そのときに二百五十五名というものが減員されておる。しかしこれは先ほど申し上げた通り、企業体でございますから、より以上にいい品物をつくるということによつて相当注文が来る、発注される。そういうときには、この人人が、当然黒字をかせぐ一つの大きな柱になつて来る。従つてみずからが反省がない。技術面において、待遇において、あるいはまた機械において、政府自身が印刷局に対するみずからの反省なくして、ただ単に、いろいろな条件づきで首を切るということはもつてのほかだ。こういう企業的な立場にあるものは、一歩飛躍し、もう少し政府自身が考えて、利益があつてもうかるような、黒字になるような、そういう立場に置くのが私は当然だと思う。この点に対してどのようなお考えを持つておられますか。
  66. 石田正

    石田政府委員 印刷局の問題でありますが、この整理の問題につきましては、先ほど辻先生からも、もう少し能率的にやつて人を減らしたらどうかというようなお話もございました。今下川先生からのお話もありまして、結論を申しますると、われわれの出しますところの数字、あるいは行政管理庁の方でいろいろの考え方というものがありまして、それによつてこのくらい整理できないかというのに対して、まあ私らの方も、実情をいろいろと説明いたしました結果できたものでございます。その大体の考え方は、機械に伴いまして人が必要である分は、なかなか人を減らしてやるということもできがたいであろうということで、縮減率といいますか、定員を減らしますか、定員を減らしますところの率というものは、割合に少くなつておるわけであります。それから機械その他が非常にだめであるから、そういうものについてもう少し改善をすべきじやないか。これは私率直に申しますけれども、そういう点はしろうとでありましてよくわかりませんが、いわゆる民間の印刷企業体に対して、非常に印刷局の機械が悪くて話にならぬというふうな点につきましては、今後よく留意いたしまして、仕事をやつておる限りにおきましては、能率のいい機械でなるべくやるかと思うのであります。ただ印刷局のやりまするところの仕事は、やはりおのずから限度があるので、ございまして、いい機械ができ、能率が上つているから、従つてまあ民間の印刷会社のやつておる仕事まで、その結果として印刷局がとつてまわるというふうなことをすることは、これはよほど考えなければならぬのではないかと考える次第でございます。
  67. 永田良吉

    ○永田(良)委員 議事進行について。この時間の励行をしつかりやらぬといかぬ。われわれはあなたが公報で、十時にこの委員会を開くと言われたから、その通り確実に来ておる。それなのに委員諸君の大部分は、時間を励行しないで……(発言する者多し)時間は一分一秒を争う。そうしてしかも十二時がもうまわつて、一時が近いじやないか。それにくだらぬ質問ばつかりしやがつて。時間を励行してあとでやればいい。委員長も、この点について、時間を確実に励行するように処置されんことを望む。
  68. 稻村順三

    稻村委員長 時間は励行するつもりでありますが、多くの委員の人が来ておらないので、それは委員長一人の問題ではなくて、すべての委員の人の自粛を願いたいと思います。  なお時間が遅れておりましても、審議委員全体の責任でありますので、できるだけ時間の余裕をさいて審議を続けたいと考えて無理をやつておるのであります。その点、むしろ審議を促進させる努力を、委員長はしておるということを御了承願いたいと思います。
  69. 永田良吉

    ○永田(良)委員 最初から時間を励行しないでおつて、そう行き当りばつたりのことをすると、議事の進行が遅れる。私の言うのは真理で、第一歩をあやまつたら、次々に問題をあやまるじやないか。正論に向つて委員長もその通り励行なさい。
  70. 平井義一

    ○平井委員 せつかく植木政務次官が来ておるから、質問をしなければさびしかろうと思つて質問するのですが、実は大蔵省本省でございますが、これは予算期になれば非常に忙しい、ひまなときと忙しいときとの差がはげしいと思います。従つて予算に携わつて勤務するところの本省の役人は、時間外に勤務することが多い。そのときは超勤手当をおそらく出しておるだろうと思う。しかしながら朝は十一時ごろまで来ておらぬ。夕べおそかつたからという。それは給料から引いておりますかどうか、まず伺いたい。
  71. 植木庚子郎

    ○植木政府委員 お答え申し上げます。前の晩におそくまで超過勤務をしたその翌日に出勤が遅れたために、その場合に適当な措置をとつておるかというお話でございますが、私の信じておりますところでは、仰せの通り予算関係の者は、時期的に非常に多忙で夜おそくまで、あるいは徹夜までして勤務しておることは申すまでもありません。そうした場合に、翌日どんな程度におそくなるかということにつきましては、これは職員の自粛にまちまして、中にはときに遅れる者もありましようが、おおむねの者はやはり定刻には出て、そうして翌日の勤務に従事している、かように私は確信いたしておる次第であります。
  72. 平井義一

    ○平井委員 大体了といたしますが、実は大蔵省は金を握つておる。金を握つたものは日本では一番強いことになつておる。実は私も経験があるのであります。だれだれがどうということはありませんが、特に予算に携わつておる係長くらいのところで、毎日午前中には来ておらぬ。しからば委員会に呼ばれたかといえば、そうでもない。これは私が三べん尋ねても、やはり来ておらぬ。来るのは大体十一時ごろですというようなことを言つておる。ひまだから、それでよかろうけれども、仕事が済んでひまだから、それでいいというわけには、国家公務員は行かぬと思う。そこで政務次官にお伺いするが、だれをどうしようというわけではないが、本省のみならず、出先機関にも目を通して、そういう人間は、今度の行政整理の対象の第一番にあげるというふうにしていただきたい。毎日出て来ておる者は首を切られて、ゆつくり重役みたいに昼ごろ出て来るような係長は、重宝がつて大事にしているというようなことでは片手になります。少し出勤がおそい。これをひとつ総合して、こういう者はまじめな大蔵省には置けぬという者から片づけて行かなければ、まじめに働いておるけれども、能率が上らぬからやめろと言われても気の毒だから、その点をひとつ十分気をつけてもらいたい。大蔵省は特にそうです。金を持つておるところだから、変なこと言こと予算を減らされるので言えないのでありますが、その点は、政務次官の政治的手腕にまつて、今度の整理に当るようお願い申し上げて、質問を打切つておきます。
  73. 稻村順三

    稻村委員長 大分時間も経過いたしましたので、本日はこの程度にいたし、午後二時に電通、郵政委員会との連合審査会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十五分散会