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1954-10-08 第19回国会 衆議院 電気通信委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月八日(金曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 成田 知巳君   理事 塩原時三郎君 理事 橋本登美三郎君    理事 庄司 一郎君 理事 原   茂君    理事 小泉 純也君 理事 松井 政吉君       菊池 義郎君    片島  港君       齋藤 憲三君    松前 重義君       三宅 正一君    風見  章君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 塚田十一郎君  委員外出席者         郵政政務次官  松井 豊吉君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  行広 清美君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君         日本電信電話公         社総裁     梶井  剛君         日本電信電話公         社理事         (運用局長)  田辺  正君         専  門  員 吉田 弘苗君         専  門  員 中村 寅市君     ————————————— 六月二十六日  委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として  片島港君が議長指名委員に選任された。 八月十三日  委員片島港君辞任につき、その補欠として永井  勝次郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員廣瀬正雄君及び松井政吉辞任につき、そ  の補欠として荒木萬壽夫君及び日野吉夫君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員日野吉夫辞任につき、その補欠として松  井政吉君が議長指名委員に選任された。 九月二日  委員荒木萬壽夫辞任につき、その補欠として  廣瀬正雄君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  片島港君が議長指名委員に選任された。 同月十七日  委員玉置信一君及び中曽根康弘辞任につき、  その補欠として中山マサ君及び須磨吉郎君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員須磨吉郎辞任につき、その補欠として  中曽根康弘君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員齋藤憲三辞任につき、その補欠として岡  部得三君が議長指名委員に選任された。 十月六日  委員三宅正一辞任につき、その補欠として杉  山元治郎君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員岡部得三君及び杉山元治郎辞任につき、  その補欠として齋藤憲三君及び三宅正一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  理事甲斐政治君の補欠として松井政吉君が理事  に当選した。     ————————————— 六月三日  電気通信事業経営に関する件  有線電気通信規律に関する作  電波及び放送規律に関する件 の閉会審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員追加選任に関する件  派遣委員より調査報告聴取  電気通信事業に関する件  電波管理に関する件
  2. 成田知巳

    成田委員長 ただいまより開会いたします。  本日は閉会中にもかかわらず多数委員諸君の御出席を得ましたことを厚く御礼申し上げます。  お諮りいたします。昨七日甲斐政治君より理事辞任したいとの申出がありました。これを許可することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認め、許可することに決します。  甲斐政治君の理事辞任に伴う補欠選任をいたしたいと存じますが、先例により委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認めます。それでは松井政吉君を理事指名いたします。     —————————————
  5. 成田知巳

    成田委員長 なおお諮りいたしますが、電波法制調査に関する小委員は従来七名をもつて構成されておりましたが、小会派からの一名を加え、八名に増員いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認め、さように決します。  小委員追加選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 成田知巳

    成田委員長 御異議なきものと認め、小委員甲斐政治君を指名いたします。     —————————————
  8. 成田知巳

    成田委員長 会議に入ります前に、去る八月郵政政務次官が更迭されましたが、新政務次官松井豊吉君よりごあいさつを申し上げたいとのことでございますので、この際発言を許します。
  9. 松井豊吉

    松井説明員 一言あいさつをさせていただきます。私今回はからずも郵政政務次官を発令されました。ひとえに皆様の御後援のたまものであります。厚く御礼を申し上げる次第であります。もとより浅学非才で、郵政事務も未経験であります。委員各位のお力添えをいただきまして、わが国郵政行政のために全力を傾注し、職責遂行に必ず努力をいたします。委員長初め委員各位には、絶大なる御指導と御鞭撻を賜わらんことをお願いする次第であります。簡単でありますが、一言これをもつてあいさつにかえる次第でございます。(拍手)     —————————————
  10. 成田知巳

    成田委員長 本委員会は去る六月閉会審査の付託を受けまして以来、全国委員を派遣し、電気通信事業並びに電波管理の実情について実地調査を行つて参りましたが、このほど各班の調査の結果がまとまりましたので、本日はこの御報告を願うとともに、御報告に基いて種々問題も提起されると存じますので、これらにつきましても検討して参りたいと存じます。  まず派遣委員報告を聴取いたしたいと存じます。各班より順次報告を願います。東北北海道地区塩原時三郎君。
  11. 塩原時三郎

    塩原委員 それでは第一班の視察報告を申し上げます。  第一班の参りました地方北海道及び東北でありまして、仙台札幌両地における郵政省の地方電波監理局日本電信電話公社電気通信局NHK中央放送局のほか、公社函館電気通信部室蘭電報局及び電話局NHK室蘭函館放送局民間放送としては北海道放送株式会社及び同函館放送局東北放送株式会社の総計十四箇所を視察いたしたのであります。なおついでをもつてテレプリンターを製作している岩手県花巻の新興製作所を参観いたしました。  調査目的は、電気通信事業及び放送事業経営状況有線電気通信法実施状況電波管理行政状況調査にあることは例年とかわりませんが、今回は特に目下問題となつている放送法改正に関し、札幌及び仙台座談会を開催して地方側意見を聴取し、他日本委員会における法案審査の際の参考に資することを国政調査主要項目といたしましたので、私の報告もこの放送法改正座談会に関する報告を主にいたしまして、一般的な状況については、特に重要なものについて申し上げるにとどめたいと存じます。  座談会は六月二十九日札幌、七月三日仙台において、いずれも二時間程度にわたつて行つたのでありますが、地方側出席者はその地の電波監理局長NHK中央放送局長民間放送事業者新聞通信社商工会議所農業協同組合連合会関係者大学教授等、両地合せて十四名であります。座談会の内容につきましては、別途本委員会電波法制調査に関する小委員会報告としてお送りしておきましたから、詳細はそれについて御承知いただくこととし、ここには主要な問題点についての地方側意見概略を申し述べることといたします。  まず放送法根本的改正が必要であるかどうかにつきましては、民間放送関係者初め大多数の人々改正が必要であるという意見でありますが、NHK中央放送局長は、札幌仙台とも立法の精神をくんで運用よろしきを得るならば、現行法でも十分効果を上げて行くことができる。部分的改正は別として、全面的改正は必要ではないと言つております。農業協同組合代表者意見も、大体において現状をもつて満足するということでありました。  次に、わが国放送事業基本体制として、公共企業体民間放送との二本建がよいかどうかの問題に関しては、出席者のほとんど全員が現在の二本建制度を支持しておるのでありますが、唯一の例外として菊地北海タイムス社長は、NHK受信料を徴収することに反対し、むしろ第二放送商業放送に切りかえて、広告料をもつてNHK財源とする方がよいという意見でありまして、これは結局放送企業形態商業放送一本にするということと同じであると思われます。  放送事業公共性に関しましては、NHK側は、NHK公共福祉のためにあまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とし、かつ放送番組についても、公衆の要望を満たすとともに、文化水準向上に寄与するように最大努力を払う義務法律上負わされているから、きわめて高度の公共性を持つている。従つて周波数、電力の割当についても、その公共的使命が達成できるように優先的考慮が払われてしかるべきであると主張するのに対して、民間放送側は、NHK民間放送とはまつたく同等の立場で、わが放送文化を高めて行く公共的使命を有するものであるにかかわらず、現行法においては民間放送が刺身のつまのごとく取扱われていることを不満といたして、これを是正することを放送法改正主眼点としているようであります。特に牧野東北放送専務は、現行チヤンネル・プランにおいて、大都市ではNHKに最も伸びのよい周波数を与え、民間放送には少数の例外を除いて、すべて一千KC以上の悪い波が割当てられているという事実を指摘して、周波数割当を公正にすべきことを強調しておるのであります。  受信料制度については、NHK側が、国が受信料に相当するものを税として徴収し、これをNHKに交付するというやり方は、NHKに対する国の干渉を招くおそれがあるとして反対し、現行制度の維持を強く希望しているのに対し、その他の人々意見は、NHK主張を支持するもの、受信機設置税とした方がよいとするもの、NHKといえども広告放送財源を求めるべきであるとするもの等、まちまちでありますが、阿部北海道新聞社長は、たとい受信料を国が徴収する場合でも、これを財源として民間放送か何らか助成の意味の交付金を国から受けるということは、自由闊達であるべき民放の発展をかえつて阻害するおそれがあるという理由反対の意を表するとともに、NHK受信料をとる現行制度は、ラジオについてはその発達過程から見て自然であるが、テレビについては疑問である。ことにある地方民間テレビの方がNHKより先に実施されたような場合、あとからNHKテレビができたために、それまで無料であつたものが急に受信料を支払わねばならないことになるのは、明らかに制度的欠陥であると言つております。また東北放送牧野専務は、受信料受信機税またはこれにかわるべき性質のものとして国が取立てることを可とするという意見でありますが、その使途としては、NHK経費NHK研究機関を国営に移し、これを維持するに要する経費受信機の改良、普及のための経費電波行政費等のほか、民間放送に対する資金貸付の原資にも充てることを希望する。但し直接民放に対する助成金として交付することは、民放に対する国の規制を招くものとして反対するという意見を述べております。ただここに注意すべきことは、座談会出席がなかつたため、直接その意向を確かめることはできなかつたのでありますが、北海道放送東北放送のように黒字経営でない東北都市等民間放送会社にあつては、デフレの影響をこうむることが一層深刻であるためか、何らかの形における国の保護、助成を渇望する傾向にあるように聞いているのでありまして、このことは放送局免許方針の問題とも関連して、十分検討の要があると考えるのであります。  放送番組に関しては問題が二つありまして、その一つNHK民間放送とはそれぞれの性格の相違から、その放送番組にも異なつた特色を持つべきであるという議論と、これを否定する議論であります。この点に関しては、民間放送関係者を初め菊地北海タイムス社長藤崎仙台青年会議所理事長というような人々から、NHK放送は、娯楽番組などで民間放送と競争するような行き方をやめて、国民文化水準向上に役立つような番組商業放送が企図し得ないような長時間番組を組むべきであるとの主張があり、これに対してNHK側は、現在のNHK番組国民大衆の欲しているものを提供しているのであつて、決して単にアメリカを模倣したり、民間放送と競争したりしているのではない。かつNHKは最近ほとんど全国にわたつて張りめぐらされた第二放送網による学校放送や、高度の教養特殊番組によつてその公共的使命の達成に努めている。むしろ民間放送こそNHKと同じような番組を組むことをやめ、商業放送としての新生面を開拓して行くべきであると応酬しております。  放送番組に関する第二の問題は、番組に対する国の関与、すなわち国はNHKあるいは民間放送放送番組にどの程度介入し、これを規制する権限を持つべきかという問題であります。この番組規制の問題につきましては、札幌においても活発な論議がありましたが、特に仙台座談会では、ちようど当日の朝刊各紙に、塚田郵政大臣記者会見の席上、放送番組審議制度を設けるという言明をしたという新聞記事が大見出しで掲載され、またその少し前には靱電電公社総裁談として、NHK番組規制する意向であるという記事が報道され、これらの記事はいろいろと誤り伝えられた点が多かつたようでありますけれども、ともかく地方に対しては、あたかも政府が直接放送番組規制して、一種の言論統制に乗り出すような印象を与えていた直後であつたため、ほとんど座談会論議の焦点となつた感がありました。出席者発言の多くは、放送番組編集の自由は、あくまでこれを尊重しなければならない。番組審議会を設置することは、たといその中に民間の有識者を入れるとしても、言論統制になるおそれがある。放送番組公共福祉に反するものであるかいなかは、一般大衆の判断、すなわち輿論にまかせるのが正しいやり方である。放送事業公共性からいつて最小限度倫理綱領法律をもつて規定することは必要であろうが、これが実行は放送事業者の自律にまつべきであり、いかなる形態にせよ、番組審査する機関を設けることは好ましくないということにあつたようであります。ほかに一、二の意見として、NHK放送はその特殊な公共的使命からいつて民間放送より高度の番組規制を受けることは当然であるという見解NHK民間放送を問わず、もつと品位のある放送番組を編集するようにラジオ・コードを強化すべきであるという見解等がありました。  次に、民間放送のあり方として政党、宗教団体等自己宣伝機関としての放送局を持つことを容認すべきかどうかという質問に対して、出席者大多数の意見は、周波数がきわめて限定されている放送事業にあつては、放送不偏不党性はあくまで維持されなければならないという見地に立つて、ある団体機関放送局を持ち、あるいは放送局が政治的、宗教的その他あらゆる角度から見て、中立的立場を離れて自己主張を持つことに反対するという考え方が支配的でありました。さらに民間放送局の数は現在程度でほぼ飽和状態と見るべきか、電波の余裕があればもつとふやすべきであるかという質問に対しては、現に免許を受けている側では、これ以上民間放送企業単位を増すことは、競争を激化して、その結果放送の質を低下せしめるという理由反対であるという意向が多いように見受けたのであります。  その他電波行政機関としては、独立規正委員会形式が最も適当であるが、その復活が困難ならば、現在の電波監理審議会組織機能を強化して、電波行政に関する議決機関とすべきであるという意見立法形式としては、放送法と別個に日本放送協会法をつくるべきであるという意見NHK研究機関を独立させ、民間放送その他一般利用に開放すべきであるという意見等いろいろございますが、あまり細部にわたりますので、座談会に関する報告はこの程度にとどめておきます。  次に、北海道東北地方における電気通信事業及び放送事業経営状況有線電気通信法実施状況電波管理行政状況につきましては、細部にわたればいろいろ問題もありますけれども、きわめて概括的に申せば、いずれも大体順調な推移を示しておると認められますので、その詳細を御報告申し上げることを省略し、ここには北海道で特異の発達をしている有線放送事業状況と、これに関連する二、三の問題についてのみ申し述べたいと存じます。  有線放送事業は、御承知のごとく当初北海道に始まつたのでありますが、漸次九州、中国その他各地方に及び、本年七月末現在の全国施設数は五千五百を越え、そのうち共同聴取施設だけを見ましても、有線放送業務運用規正に関する法律が制定実施された昭和二十六年四月当時三百七十程度であつたものが、今日では千百六十八、すなわち三倍以上にも増加しているのであります。しかしながらここに注目されることは、共同聴取の発祥の地ともいうべき北海道におきましては、全国的な趨勢と逆に、その施設数は最近著しく減少する傾向を示しておることであります。これは北海道においては町村あるいは農漁業協同組合等によつて施設の統合が盛んに行われ、一村全戸加入というような大きな組織にかわりつつあるためで、むしろ有線放送事業の健全な発達を示すものでありまして、現在の共同聴取施設数は四百程度にすぎませんが、これによるラジオ聴取者の数は約八万五千、全道六十一万聴取者の一四%を占める状況であります。なお札幌における放送法改正座談会の席上、農協連木村専務の言によれば、この八方五千の共同聴取者は僻陬の地にある関係もあつて、ほとんどがNHK放送を中継しており、民間放送を置いている率はごく少いようであります。  有線放送に関する問題としては、第一に昭和二十七年八月の公職選挙法の一部改正で、新たに「何人も、この法律規定する場合を除く外、放送設備有線電気通信設備を含む。)を使用して、選挙運動のために放送をし又は放送をさせることができない。」という規定が設けられた結果、有線放送設備選挙運動のために用いることはできなくなつたのであります。しかしながら選挙運動最大眼目は、言うまでもなく候補者主義主張を広く選挙区に徹底せしめることにあるのでありまして、このためには、ラジオはもちろんでありますが、ラジオの普及していない地域にあつては、有線放送、なかんずく告知放送のごとき施設利用することが最も有効適切であります。ただ有線放送事業経営主体は、地方自治体、組合個人等きわめて区々であるために、これを候補者放送利用して、はたして選挙運動の公正が期し得られるかどうかという懸念があつたのでありますが、本委員会においてはこの点に着目して、さきに昭和二十六年、有線放送業務運用規正に関する法律議員立法によつて制定し、その第四条に、放送法第三条、第四条、第四十四条第三項及び第五十二条を有線放送業務に準用する規定を設けたのでありまして、すなわちこれによつて有線放送業務番組編集上、政治的公平を守る義務を負うこととなつたのであります。かかる法的措置が講ぜられている以上、選挙運動の能率を上げるため、有線放送施設選挙時における利用を可能ならしめるよう、公職選挙法改正を加えることを再考慮する必要があるのではないかと考えるものであります。  第二に、現在におきましては放送法規律対象無線放送に限られており、有線放送は、その施設有線電気通信法により、その業務は前に述べた有線放送業務運用規正に関する法律によつて規律されておるのであります。しかしながら放送法改正論議にあたつて多くの人が指摘しているごとく、電波法と別箇に放送法を設ける理由は、放送マス・コミユニケーシヨンの手段たる機能をとらえて、これを規律することにあるのでありますから、この趣旨からすれば同じくマス・コミユニケーシヨンの一態様である有線放送もまた放送法規律対象として、放送法中に包含せしめることが適当ではないかと思われるのであります。現に議員立法による単行法で、放送法規定有線放送に準用していること自体が法体系上の不備を表明しているものと見られるのであつて放送法根本的改正にあたつて一つの問題を提供するものであろうと思われます。  第三として、共同聴取施設において親受信機に連接して各戸を設備されている拡声器に対する受信料は、日本放送協会放送受信規約第三条の規定により、個々に独立した受信設備と同額、すなわち月額六十七円を支払うことになつているのでありますが、この受信規約第三条の規定放送法第三十二条第一項の規定とを対比してみると、放送法において受信契約単位となる受信設備とは、協会放送を受信することのできる受信設備を言うのであつて、親受信機と連接して初めて放送を受信することができる共同聴取拡声器個々受信契約単位とすることは、事の当否は別として、法律の字句上は疑問と言わざるを得ません。放送法改正に際しては、この点も検討の余地があると考えます。  最後に、地方における有線電気通信規律監督に関する事務は、地方電波監理局の所掌に属しておるのでありますが、現在はこれに対する人員経費配算が皆無にひとしく、この面における不備欠陥は著しいものがあるように見受けられるのであります。ことに現有の有線放送施設は技術的にはなはだ貧弱なものが多く、電電公社国鉄等の回線に対する妨害例も相当多数に上るのでありますが、これに対する技術基準有線電気通信設備令によつて昨年八月から実施され、在来の設備に対する適用の留保期限も本年七月末で切れた関係上、現地においては幾多の複雑な問題を生じておるのであります。幸いにして北海道においては電波監理局中心となつて電気通信局北海道庁、日本放送協会その他関係機関が一体となつて有線放送協議会組織し、設備の改善、運営向上努力をしておるのでありますが、政府においてもすみやかに必要な予算、人員を充実して、有線電気通信法令実施に遺憾なきを期せられたいと思うものであります。  これをもつて第一班の報告を終ります。
  12. 成田知巳

    成田委員長 次に東海近畿地区小泉純也君にお願いいたします。
  13. 小泉純也

    小泉委員 第二班の調査結果につきまして、御報告申し上げたいと存じます。  調査東海近畿の両地方につきまして、所轄の電気通信局電波管理局及び名古屋大阪、京都の各地所在関係施設視察中心といたしまして、電気通信事業経営及び電波管理状況に対して進めて参つたのでありますが、あたかもこの地域は私どもの前回担当したところでありましたのと、今回はたまたま第三班及び第四班の日程が好都合に組まれ、これら両班が落ち合つて合流されましたため、調査に一段の深みを加え、その幅を広められましたことを仕合せとする次第であります。なお諸施設視察のほか、名古屋市及び大阪市におきましては、電波法制及び電気通信事業に対する公私団体、諸機関代表者その他一般利用者の声を聞くために会合を催しまして、両市を通じ約五十名の出席者から、それぞれに意見を聴取いたしたのであります。従いましてその収獲は相当広範多岐にわたるものと相なつたのでありますが、今日はなかんずく主要な点をとりまして、順次その概略を申し述べることといたします。  まず日本電信電話公社経営状況について申し上げます。日本電信電話公社事業経営に関する運営方策として、経営合理化経済化具体的対象事項別に指示し、各機関権限と責任に基く積極的、自主的な活動を促しました。かねての総裁達実施初年度においていかように具現されたか。その成果を見ることに深い関心を持つて臨んだのでありますが、これを近畿通信局の昭和二十八年度の総くくりに徴しますと、計画事項第十二項の再別七十七日について、成果良好と認められるもの三十四日、それに次いで成果を認むと判定されたもの二十八目を数え、概評八二%の成績を収めて、ほぼ所期の目的が達成されたものと見られたのでありまして、ここに各部門、各段階を通じまする協調的努力に敬意を払う次第であります。これにつきまして、試みに成果良好とする事例の二、三を拾つて見ますと、建設工事計画についての工事促進並びに関係部門との連絡の緊密化、過欠員の全面的整理、臨時作業員配置の合理化、通話完了率の目標設定、電報疏通速度の安定化と誤謬減少などの各目に該当するものがあるのでありますが、同通信局において、あるいは建設工程の完成率が七%上昇して既往四年間の最高を示したといわれ、あるいは収支差額が前年度の一・四七倍に上つたといわれる事実とも思い合せまして、運営各般に対するこの方策の浸透こそ、まことに事業の公社経営移行の本旨を体現するゆえんであると考えられるのであります。  公社の電信電話拡充五箇年計画の初年度に当りまする昭和二十八年度の建設費支出額は、東海五十七億円、近畿九十九億円でありますが、これによつて進められました建設の諸工程は、東海の支出構成率で見ますと、市内電話に五七%、市外電話に二三%、局舎に一八%、その他に二%と区分されるのでありまして、前年度に比べますと、一般工事が二・二倍、局舎工事が約三倍、その他の工事が約二倍、全体において二倍以上となるものであります。  かようにして行われました計画実施の成果といたしまして、まず市内電話工程に関連する加入電話の増加を見ますと、東海三万一千余、近畿四万二千五百余の年度内開通を遂げたのでありまして、この開通数は既設の加入電話数に対して、東海で一七%、近畿で一三・五%を増すものであります。なお未開通積滞数として、この増加分の二倍を上下するものがあとに取残されているのでありまして、これらを酌量いたしますと、年度内の成果としては、直面する電話需要の約三分の一を満足させたにすぎないことになるのであります。しかしながらこれを広く全国的に見て参りますと、両管内の状況は、年度内全国増加数に対して東海は一三・五%、近畿は一八・五%を占めるものであり、年度末全国現在数に対して東海一二・四%、近畿二〇・二%を示すものであります。この普及状況を人口百人当りにいたして見ますと、東海一・三加入、近畿二・八加入となるのでありますが、同年度の建設費の総額及び地方別の均衡等からいたしまして、初年度の実績としては、この程度において当局の努力の跡が高く評価されるものと存ずるのであります。  市外電話の建設工程にも関連いたしまする通話取扱数の増減を市外通話の発信度数に徴しますと、前年度に比較して東海一八・五%、近畿二〇・〇%と、いずれも相当の増加を示しておるのであります。また市外通話の待合せ時間は、市外回線の増設、ことに両管内を通じまする東京、名古屋大阪間のCLRの開始に伴いまして、その利用区間はもちろん、これによつて生じた余裕回線の利用可能区間の通話には相当大幅の短縮率をもたらしておりますが、その他の区間におきましては、概括いたしまして、この幅は短距離が比較的広く、中距離がこれに次ぎ、長距離区間ではきわめて狭いこととなつているのであります。市外通話の完了率につきましても、大体同様の傾向がうかがわれるのでありまして、東海管内では直轄局の即時式、待時式の平均において、前年度の八六%ないし九二%から八九%ないし九四・八%に推移している実況であります。  なおここで電話収入につきまして、市外通話料の増減を見ますと、前年度に比べて東海では四三%、近畿では二九%とそれぞれ増加しているのでありますが、この増加率を発信度数の増加率に照し合せますと、両管内の間には相異なつた趨勢が見出されるのでありまして、これにつきましては近畿の収入カーブの上昇が最近鈍化の傾向を示し、収入目標を下まわるに至つたといわれるものがあるのであります。  市外通話の疏通状況に対比されまする電報の取扱い状況につきまして、これを発信通数で見ますと、前年に比べて東海二%、近畿三・七%の増加であり、その料金収入では、東海一一%、近畿一五・六%の増加となつておるのであります。なお所要時間の短縮、誤謬率の低下等にも、漸次順調な歩みを示しておりますのが両管内の現況であります。  次に、国際電信電話株式会社の経営状況でありますが、視察地域におきまして、会社は送信所、受信所各一箇所を持ちますほか、営業施設としては大阪に国際電報局二箇所、その分室一箇所、国際電話局一箇所を持ち、なお国際電報局を神戸、名古屋の二箇所に持つているのであります。  大阪国際電報局及び大阪国際電話局は、ともに公社から引継がれたものでありますが、その他の営業施設四箇所は昨年度中新設にかかるものでありまして、ここに会社が直轄の受付配達機関の拡充をはかつて、国際通信業務公社委託範囲をできるだけ縮小しようとする方針がうかがわれるのであります。なお会社は、関門局の局舎の単独化を企てまして、大阪においてはすでにこれがため建設用地を決定している趣であります。現在関門局となつているのは、大阪国際電報局及び大阪国際電話局でありまして、電信では上海、台北、東南アジア、インド、近東、ヨーロッパ各国の十三局を相手とし、電話ではマニラ、バンドン、ボンベイ、バンコツク、コロンボ、那覇の六局を相手として、それぞれの方面に向う電報の送受、通話の交換に当つているのであります。  電報の速度及び正確度を高めることにつきまして、会社は国際五単位符号による送受線系の印刷化に努めて来たのでありますが、現在ではそれが大都市の主要利用者の托送回線にも及ぼされまして、大阪では托送の印刷化が十三回線となつておるのであります。  電報の取扱い状況につきまして、その数量は創立初年度において前年度実績の約六%を増し、伝送上の経過時間は平均して半減され、誤謬率も半年を期として逐次ほぼ半減して、一万字当り二・八字が最近の実績となつているのであります。  次は電波管理状況であります。電波管理行政の主要な対象となりまする無線設備の増加率は年次に高まつて参りまして、昭和二十八年度内の増加は、前年度末現在に対し東海管内は五四%、近畿管内は四三%を示すに至つておるのでありますが、ほかにこの増加率に伯仲する高周波設備有線電気通信設備の逐年増加があるのであります。免許、検査等の事務量及び電波測定、運用監査、不法電波の深査等にわたる電波監視の量、質両面の作業量が、これに従つてまた相当に増加して参るべきことは申すまでもないのであります。一方、この情勢に対応すべき行政機構につきまして、東海電波監理局は出張所一箇所を、近畿電波監理局は出張所一箇所、電波監視部一箇所、その附属の分室、方向探知所及び送信所各一箇所を、それぞれ本庁所在地以外の場所に設置しまして、所要の措置に充てているのでありますが、これらの施設に擁しまする各監理局の要員配置は、到底現状に即応するものとは認められないのであります。  しかしながら関係当事者の能率的施策に負うものと見られまする昭和二十八年度の実績といたしましては、検査件数におきまして東海一三%、近畿一三・五%の増加率を示しております。また近畿電波監視の成績は、電波の質の測定件数において四・五%、その事故件数において約五倍、運用監査件数において三・二%、その件数において約三倍と、それぞれの増加率を記録しているのであります。  電波管理事務、作業等の件数観察につきまして留意を要しまするは、漸次その内容の複雑化すること、措置に困難性を加えることであります。アマチユアの増加に伴いまして、電波監視作業にあるいは一人、一時間、十八波の追跡を要するという事実でもほうふつされますように、当事者の奔命に没頭する程度がとみに高まつたこと、超短波、極超短波等の利用増加に伴い、設置場所が離島、深山等にわたるため、検査所要の重量機器の運搬、旅行時間等について多大の不利をこうむるに至つたことなど、その一例としてあげられるものであります。  免許に関連いたしまして、両管内の放送局設置状況を一覧いたしますと、NHK施設は、両管内にそれぞれラジオ放送局十一、テレビジヨン放送局一つずつが置かれ、テレビジヨンは本年三月一日から本放送の段階に進んだのであります。受信契約者数はラジオについては、百世帯当り東海七九、近畿七三・七となつておりますが、テレビジヨンの受信契約者数は、現在東海一・八六六、近畿五・一三七でありまして、その受像機設備状況は、あたかも放送局からの通達距離に応ずるがごとき契約数の順位をもちまして、両管内の各府県にわたる実情であります。  民間放送施設は、東海に三社四局、近畿に四社四局を数えるのでありまして、そのうちNHK放送局の設置のない都市にあるものとして、津市のラジオ三重放送、神戸市の神戸放送があげられるのでありますが、なおラジオ放送につき予備免許を受け、目下工事進行中のものに岐阜市の岐阜放送があるのであります。その他現在免許申請中であつて、同様の関係にありますものが、両管内を通じ十件を越えるのであります。  テレビジヨン放送についても、すでに相当数の免許申請があり、特に大阪ではその競願関係が目立つのであります。名古屋において申請中の中部日本テレビジヨンは、最近名古屋テレビ塔株式会社の経営するテレビ塔の完成に伴いまして、かねての予定に従つてNHKとの間にその下部の使用区劃を決定いたしまして、アンテナ用の鉄塔共用計画の実現に備えているのでありますが、NHKはその区劃内で現に設備移転の工事中であつたのであります。  両管内における放送の混信関係につきましては、かねて名古屋中央放送局が、ラジオ三重放送の開始前後にわたりまして、防止対策を講じ、措置しました件数は実に七千百四十件に上るといわれますが、遂に名古屋第二放送の分離困難による若干の聴取不能地域を津市に残すこととなりました。ほかには各地とも防止措置が効を奏しまして、著しく改善され、ただいまでは朝鮮太田の八百八十KCに、静岡第一放送が同県下の広範囲で妨害され、支那方面からの電波が北但方面における大阪NHKの聴取を妨害するだけとなつているのであります。  次に放送番組関係といたしまして、NHK本年度の重要課題でありまする地域社会直結のローカル番組の拡充状況を見ますと、視察当時はなおその過渡期でありまして、部分的には実施されておりましたが、その全面的実施は九月以降に予定されていたのであります。計画としては、ローカル時間に一日四十分を増し、地元産業、農事、学生対象教養等に関する番組中心とし、従前のローカル種目の内容に同趣旨の改善を加えて編集することといたしまして、地方的特別行事等に随時第二放送によることとするも、原則としては第一放送によるというのであります。  民間放送番組につきまして、経営状態をもあわせ観察できるものとして、両管内八社の時間構成を通観しますと、商業番組の最高は朝日放送の十一時間、最低は静岡放送の三時間半となつているのであります。自主番組はこの逆となりまして、最高十三時間、最低七時間となるのでありますが、なおスポツト広告の一日平均放送回数では、朝日放送の三十九回を最高とし、京都、神戸両放送の三回が最低となつております。  以上各般の状況について申し上げましたが、これらの状況に関連し、派生して参る問題といたしまして、早急に改善を必要とするものがあるのであります。次に、そのおもなる点を簡単に申し述べまして、それぞれの対策樹立を促したいと存ずるものであります。  第一は、公社関係の事項でありまして、その一として職員の健康問題が取上げられるのでありますが、両管内の職員の健康状態は、要療養者が二・五%内外、要注意が五%を上下する最近の健康診断の結果によつてこれをトし得るのであります。この問題は公共福祉の見地からはもとよりのこと、事業の能率的、経済的の諸観点からもきわめて重視すべきでありまして、医療、厚生関係の諸施設は着々整備されるにいたしましても、根本的の主目標を未然防止策に置き、環境や個々の生活態度から、不衛生的、非健康的な要素の一掃をはかるよう努力する必要があると考えられるのであります。  その二は、公衆電気通信法の施行に伴う本番電話機の撤去問題でありまして、東海管内において要撤去電話機が六千個に上り、その半数は存置を要望するものといわれ、近畿管内では公共機関、商社等で、これによつて三十ないし五十個の加入電話を新たに設備する必要を生じ、一時に負担すべき費用の数十万円に上るものがあるといわれております。経過措置として段階的に撤去を猶予するような処理が希望されておるのであります。  その三は、インターフオーンを介する通話の取扱いでありますが、これを内線電話機として取扱うことは、有線電気通信法第二条、公衆電気通信法第二十六条等に照して、はたしていかなるものでありましようか。法律上、技術上、業務上の関係について熟慮すべきものと思われるのであります。  その四は、私設無線の公社吸収の問題であります。これは各地において論議、陳情されたものでありまして、論者がこれに利害関係を持つものではありましたが、これについては現に超短波の端局設備に二千万円を要するといわれ、全国的に推測される巨額の二重投資化を考え、公衆通信業務の独占保護との間の調整に、解決のかぎが発見されようと思われるものであります。とにかくこれに対する政府公社の明らかな態度の周知をはかり、無用の言説、憶測を掃蕩する必要があろうと考えられるのであります。  第二は電波管理関係の事項でありまして、その一は、放送局開設の免許方針であります。民間放送ラジオテレビジヨンの免許申請が放出、堆積の状態であり、ことに言論機関の申請に目立つものであります。一方、NHK放送局未設置の都市に民放の開設を許すことは、商業番組の聴取強制のそしりも伴うのであります。すなわち公共福祉を主眼とし、公平かつ能率的に、限られた電波割当てるべき根本方針に立脚して、放送局免許措置についてはきわめて慎重な考慮が望まれる次第であります。  その二は、私設無線局免許範囲の再検討の問題であります。前に触れたところではありますが、超短波、マイクロウエーブ等の実用範囲の拡大につれ、私設無線運用の大規模化して参る顕著な趨勢にかんがみまして、その免許の条件に、公共福祉理由とする公衆通信業務の独占を阻害しない限度というがごときものを加える必要があろうかと思われるのであります。  その三は、電波監視機能の強化、拡充であります。最近東海電波監理局電波監視施設の拡充をはかられたのでありますが、最小限度十名の配置を要するところへ、一名の増員もない状況であります。一般に監視業務の要員配置の欠陥は、ひいて条約上の義務履行関係において国際的不信を招くばかりでなく、国家の保安、秩序に累を及ぼす危険を感じさせるものであります。よろしくその重要性の認識を国政の関係部門、ことに財務方面に徹底させまして、急速に人件、物件の強化、拡充をはかる必要があると存ずるのであります。  その四は、電波行政機構の革新断行の急務でありまして、これは、前の三点にも関連するばかりでなく、この報告の随所から生れ、かつまた今日までに電波行政のもたらした百般の功罪に関連するものであります。電波管理行政は、急激な業務量の増進にかかわらず、所要の増員を抑制され、のみならず整理による累次の減員に耐え、ひたすらに業績の低下を防いでいるのが現状でありまして、あるいはこの現状はすでに業績維持の可能限界線を割つており、今や急角度にそれを下降させるものではないかとも憂うるのであります。これに対して、あるいは業務の一部民間委譲による救済策も案出されるのでありますが、電波行政に欠くべからざる統括性、またそれに伴う国際性等に照しましても、行政の対象といい、範囲といい、顕著な発展性を持ち、広大な拡播性を帯びることを考えましても、これを国家の掌裡に一括することが必要であると考えられるのであります。すなわち、電波省を設置して、現在各省に分散する関係事務をこれに集中統一し、真に拡充強化された機構をもつてこれに充てることの緊要性が痛感されるのであります。特に大臣の長計達観に基く一大英断を切望してやまない次第であります。  第三は放送事業関係でありまして、その一はNHKの予算の編成並びに実施上の問題であります。案件は名古屋放送会館の継続的建築費の本年度所要分の予算不計上に端を発するものでありまして、これがため進行中の同会館の建築工程は、幅を狭めて引き延ばすか、または中止のほかない状況に陥つている事実であります。NHKの予算が、国会両院の承認をもつて実施上の要件とするとはいえ、編成権のNHK自体に存することは申すまでもないのでありまして、事はその衝に当る者の責任と良識にかかるのであります。とまれこの事態につきましては、会館の敷地が名古屋市当局多大の好意によりまして、百メートル中央道路に面し、テレビ塔を中心とする文化センターの一面に、近く竣工する名古屋文化会館と隣り合せました目抜き景勝の場所に取得できた事情を特に重視すべきであり、また工事中止の場合、多額の違約金支払いの問題が伴うことも勘考すべきであります。よつてこの工程の全面的進捗については、予算上認められる流用限度、弾力条項等の活用によるか、予算の補正措置を講ずるか、いずれにせよ、工事の急速竣工を期して、関係当局の善処あらんことを切望するものであります。  その二は、民間放送による放送取材独占の問題であります。これは中部日本放送が一スポンサーのために、中日ドラコンズの名古屋地区における全シーズンの試合を独占することを契約いたしまして、NHKは、ために他地区への出中継を行う以外、名古屋中央放送局には、この放送取材を拒否された事実を指摘するものであります。地元で行われまする代表的スポーツの放送は、プロたるとノンプロたるとを問わず、一放送局がその取材を独占することの不合理は論をまたないことと存じますが、政府及びNHK当局のこれに関する検討と対策を期待するものであります。  その三は、民間放送助成の問題でありまして、賛否については、むしろ反対多数と認められるのでありますが、弱小民放対策は早晩考慮を要する段階に上つて参るものと思われるのであります。その場合、物質的助成策はとるべきでなく、あるいは曲折を経まして到達するであろう統合方策について、NHK放送局未設置の地にあつては、設備NHKへの転換、またはNHKを一方とする二重免許等の方式についても、あらかじめ検討の要があろうかと考えられるのであります。  最後に、名古屋及び大阪の会合において開陳されました各界代表者意見でありますが、これにつきましてはすでに報告文書も配付されておりますので、ここではただ放送法改正について、あらかじめ明らかにして臨みました問題点と、各題目に対する賛否の集約とを申し上げるにとどめたいと存じます。  すなわち第一問は、放送番組の編集基準及び審査機関法律で定めることとして、ある程度規正を加えることの要否というのでありまして、これに対しては、全面的に否とするものが十二名、条件付で可とするものが、構成メンバーの選定方によるもの、事後のアドバイスに限るもの、テレビジヨンに限るもの、それぞれ一名ずつであつたのであります。  第二問は、NHK民放との性格について、番組編成の関係からもそれが容易に理解できるように、法律の体制を一般放送法日本放送協会法というような二本建とするの可否でありまして、これに対して、現行のままでよいとするもの六名、二本建賛成は民放関係の五名であつたのであります。  第三問は、NHK受信料について、徴収の根拠を容易に納得できるものとし、かつまたその収納を確実にするためには、現行制度でよいか、これを税金化するがよいかというのでありまして、これについては、現行を可とするもの十名、税形式とするか、いずれにせよ民放も潤うようにとするものが民放関係の二名であつたのであります。  第四問は、放送が限りある電波による言論機関でもある関係に照し、民放の資本構成、主脳人事構成または他の事業兼営について、別の言論機関、ことに新聞と連携を持つことは、その程度によつて、言論の地域的独占化または一辺倒化を持ち来すおそれあるものではないか。これに対応する法的措置の要否というのでありましたが、これに言及する意見は聞かれなかつたのであります。  第五問は、将来予想される民放のネツトワークについて、広い地域にわたり、言論を統制し、広告を独占する危険はないか。これに備える法的措置の要否というのでありましたが、これには自然発生にまかせてよいとするもの一名だけであつたのであります。  これをもつて報告を終ります。
  14. 成田知巳

    成田委員長 次に中国、四国地区の報告齋藤憲三君にお願いいたします。
  15. 齋藤憲三

    齋藤委員 それでは第三班として、私から中国、四国地方調査の結果につき御報告申し上げます。  第一は、日本電信電話公社の事業経営状況であります。中国及び四国電気通信局昭和二十八年度の事業収支は、前年度に比較しまして中国では収入三〇%、支出二〇%を増加、四国では収入三一%、支出三二%を増加しまして、いずれも若干の差益を出しております。この差益金額から見まして、両局の事業経営が前年度よりも好転したことは明らかであります。もつとも本社経費、借入金利子、減価償却費等の割掛を算入いたしますると、中国は一四%、四国は二四%の赤字となるのでありまして、これらの赤字は、近畿東海等の生み出す黒字で補填されることになるのは申すまでもない筋合いであります。各通信局は事業経営合理化に努めておりまして、四国では本年度初頭から一割増収、経費一割節約、物品の愛護節約などの諸運動を展開するとともに、要員の効率的配置によりまして、管理要員の減少をはかる等、努力の跡が見られるのであります。  次に、電信電話拡充五箇年計画の第一年度の実績及び第二年度における建設工事の概況について申し上げます。第一年度、すなわち昭和二十八年度におきましては、その進捗率は中国一〇六%、四国九九・六%の好成績を収め、引続き本年度に入りましても順調に推移しているようでありまして、そのうち主要なものは次の通りであります。  昭和二十八年度の加入電話増設数は、中国一万二千六百、四国七千八百でありまして、これは前年度末現在の加入数に対して、それぞれ一一%、一七%の増加と相なつているのであります。長距離ケーブルは小郡・船木間及び岡山・松江間並びに高松・高知間を完成、中国において岩国、柳井、四国において伊予三島、琴平、小松島の共電改式を行つたほか、松江の電報中継機械化を完成せしめたのであります。また昭和二十九年度の建設工事の年度計画額はただいまのところ、中国十六億円、四国十一億七千八百万円となつているのでありますが、これによつて進められようとする工程のうち、加入電話の増設数は中国八千七百、四国五千百となりまして、最近の積滞数に対し、それぞれ四九%及び四八%の消化率を予定しているのであります。二十九年度にはそのほかに鳥取・米子間、岡山・高松間の無装荷ケーブルの新設、岡山電話複合方局の新設、尾道、徳島、新居浜の自動改式、善通寺の共電改式、松山の電報中継機械化等をも予定しているのであります。  次に、マイクロウエーブによる大阪・福岡間の無線多重通信施設の建設工事は、着々としてその工程を進めておりまして、七箇所の中継所は局舎及び道路を今年内に完成の上、来年二月から機械のすえつけに着手、年度内に広島まで完成の予定でありまして、これに間に合せるため広島市外電話局の建設工事を急いでいるのであります。かくして来年度から広島まで開通の運びになりますと、東京、大阪方面に対する電話サービスの改善が大いに期待されるのであります。  このように二千八百億円を投じて行う電信電話拡充五箇年計画はすでに第二年目に入つているのでありますが、当初立てられました計画は、その後のマイクロウエーヴ等の無線通信設備の急激なる進歩発達あるいは市町村合併等の実情によりまして、その基本方針について何らかの改訂を加うべき時期が到来しているのではないかと考えるのであります。このことは全般的の問題として公社当局の御考慮を願うこととし、ここではその一つ例として四国に対するマイクロウエーブ通信網の導入について触れてみたいと思います。この設備は、重要通信を確保するための有線、無線通信施設の併用という面からも必要が認められるのでありますが、一面、専用市外電話線に対する熾烈な需要に即応するためにも、早急に施設する必要があるのではないかと存ずるのであります。公社はすでにこれに対する調査を進め、大阪‘徳島間を第一とし、次いで松山、高松、高知に及ぶルートを予定しているようでありますが、一方、四国電力は自営による十乃至二十三回線のマイクロウエーブ多重電話回線の施設を計画しておりまして、会社側の計画ルートは公社側の計画案とほぼ同一ルートとなるということであります。国家的見地から申しますと、マイクロウエーブや同軸ケーブルによる通信設備は、原則として公社施設させることが適当ではないかと存ずるのでありますが、公社としても公衆通信の需要にマッチするよう、迅速に施設を充足すべき責任を負つているのであります。この四国のマイクロウエーブ通信網の建設については、NHKテレビ中継用の需要も予測されることを考え合せまして、国家的に不経済な二重投資を避けるため、早急に繰上げ実施するよう公社当局の善処を要望するものであります。  次に、中国地方のケーブル施設でありますが、これは山陽に偏在し、山陰方面は地元多年の要望にもかかわらず、ケーブル化が実現されなかつたのでありますが、ようやく昨年度岡山・松江間、本年度米子・鳥取間の完成により、山陰貫通ルートもその緒についたことになるのでありまして、この上はさらに松江・太田・浜田間、太田・三次・広島間及び鳥取以東京都に至る区間のケーブル化の促進により、貫通ルートの完成をはかるよう、当局の善処を期待するものであります。  次に、市外電話の疏通について一言申し上げます。市外通話の待合せ時間は逐年短縮されておりまして、たとえば広島・東京間は昨年十月特急通話で二時間四十二分を要したものが現在二十四分に短縮され、高知・大阪間は最近のケーブルの増設によりまして、特急通話は五十分から四十分に、普通通話は八時間から二時間半に短縮されたのであります。しかしながら特別至急通話などによる通話は、いわば変則的のものでありまして、かようなサービスはすみやかに解消させなければなりません。すなわち普通通話において、待合せ時間三十分以内を目標とし、次いで即時通話に進むべきものと考えるのであります。  次に、職員の保健状態に移りまして、定期健康診断の結果による要療養者と要注意者との全職員に対する比率を見ますと、中国では八・五%、四国では七・七%でありまして、まず全国平均あるいは若干これにまさる数字を示しているのでありますが、これを一流紡績会社に比較いたしますと、まだ著しい遜色があるようであります。予防医学的の健康管理によつて、罹病原因の究明に努め、罹病率の低下をはからなければならないと考えるのであります。職場環境の改善は言うまでもありませんが、家庭における生活環境の補導もまた必要であります。定期健康診断の回数を増加し、職員だけでなく家族についても行うことが必要であると思われるのであります。  その他の事項といたしましては、インターホンをPBXのように使つている事例が最近増加し、通信局ではこれを法的に阻止できないので、適当な対策を講ぜられたいこと、労働基準法違反の局舎が多いので、これの改善に必要な予算について特別の措置を講ぜられたいこと、電話の基礎設備に対する受益者負担の債券発行額の拡大について考慮されたいこと、並びに中国電気通信局の独立庁舎の新築などがあるのであります。  次に電波管理行政について申し上げます。無線局は逐年増加の趨勢をたどりまして、過去三年間において、中国は陸上局は七倍となり、船舶局は八割を増加、四国は陸上局は三倍、船舶局は二倍余となつております。本年度初頭の無線局数は中国は一千三十七局、四国は五百五十七局、合計一千五百九十四局でありまして、その半ばが漁船によつて占められ、次いで二〇%が警察、九%がアマチユアとなつているのであります。無線局の検査件数も毎年増加しておりますが、中国においては管外船の検査が、昨年中に実施した検査一千四百件のうち、その半数を占めるという現象も見受けたのであります。  電波の重要性につきましては、私は機会あるごとにこれを強調して参つたのであります。しかるに電波管理定員は行政整理の都度、業務量逐年の増加にもかかわらず、減員を余儀なくされて来たのであります。これについて考えて見まするに、現在御承知の通り電波管理行政電波機器製造行政とが分離しておりまして、後者については通商産業省の一課において処理しているにすぎないありさまであります。こうしたことから電波利用発達が阻害され、外部から電波関係業務を軽視する風潮が醸生されたのではないかと存ずるのであります。  とにかく電波行政の一元化は、電波利用の進歩発展を推進するための根本的要件でありまして、これの実現をはかることが先決問題であります。現在は、周囲の情勢がまだでき上つていないので、電波管理要員の充足すら満足にできないものと私は判断しているのであります。定員不足を補う方法としては、法律によつて有線電気通信の監督業務の一部を電電公社に委托することにするとか、あるいは無線局の検査業務の一部を部外の社団法人などに委托するとかの消極策も考えられるのでありますが、電波行政の将来性に思いをいたしますと、すべて積極策の推進にまつべきものと信ずるのであります。  電波監視業務については、中国管内に米子に監視部があるほか、四国にはそれがないのであります。最近、監視部を持たない電波監理局には簡易監視設備を設ける手はずになつているそうでありますが、現地の意見としては、電波管理の完璧を期するためには、機械設備の検査とその機械から発射される電波の監視とをあわせ行う必要がある。しかして現在の監視部の配置は米軍占領下のなごりであるから、これにこだわることなく、各監理局に相当の監視機関を配置すべきであるというのであります。この監視機構の配置をいかにするかについては、研究を要する問題と存ずるのであります。なお電波監視によつて不法無線を摘発することはもちろん必要でありますが、罪人をつくることが本旨でなく、むしろ誤りを正すための指導を主とすべきではないかと考えるのであります。  次に、漁業無線関係といたしまして、日本海あるいは東支那海方面においてひんぴんとして起つておりました漁船の拿捕を防ぐための連絡通信用として短波設備の充実が要望せられ、あるいは南方洋上漁業に従事する漁船の長距離通信用として、高知県南岸の漁業無線局に短波設備の設置が要望されているのでありますが、前者についてはすでに下関漁業無線局及び関係船舶局に設置中であります。後者につきましては漁業区域の拡大に伴つて中短波通信の限界を越え、短波通信の範囲に属するものであつて、ぜひとも短波設備の実現が期待されるのであります。  そのほか現地の意見として、アマチユア無線局の簡易な変更を届出制とすること、有線電気通信の監督に対する要員及び経費を増加すること、及び過去三年間停止となつている新規採用を再開し、技術陣容の老朽化を防止されたい等の要望があるのであります。  次に、日本放送協会及び一般放送事業者業務の現況であります。まずラジオの標準放送局の数は中国にNHKが二十局、民間放送ラジオ中国、山陽放送ラジオ山陰の三局、四国にNHK十五局、民間放送が四国放送ラジオ高知、ラジオ南海及びラジオ香川の四社五局、合計四十三局となつているのであります。ラジオ利用聴取者の普及率から見ますと、中国で六六・四%、四国で五四・五%でありまして、いずれも全国平均七〇・六%より低く、四国は全国中の最下位を示しているのであります。しかしながら四国において昭和二十八年初頭の四四%を一年後に一挙に一〇%引上げ、全国第一の増加率を示したことは注目に値するものでありまして、関係者努力を多とするものであります。この普及率の低い原因は、四国の地勢が災いして各地に難聴区域が存在するためでありまして、たとえば愛媛県は県内に松山のほかに四つの放送局を置いても、なお南予に城辺地区の難聴地区を残しているのであります。中国においては中継局の増置によつて、難聴地区は漸次減少しまして、現在津和野及び岡山県北部を残すのみとなりましたが、前者については中継局設置の申請がなされているのであります。  次に、混信妨害につきましては、四国においては昨年七月、八月及び本年五月に周波数割当が変更され、これに伴つて混信妨害区域の縮小を示しているのでありますが、なおNHK高知の第一放送がVOAマニラと、宇和島、今治の第一放送がVOA沖繩と混信するなど、外来電波による混信妨害の顕著なものが認められるのであります。これらの混信及び難聴区域の解消策として、まず高松の五百ワツト増力がすでに着工せられ、使用開始も間近いのであります。そのほか実施を要望されているものに、高知の十キロワツト増力、中村、宇和島、新居浜の五百ワツト増力、愛媛県城辺地区、徳島県池田町外数箇所に小電力局の設置などがあげられるのであります。なお高松、徳島の第二放送新設、下関、岩国、福山に放送局設置等、それぞれ地方の事情に基く要望もあるのであります。なお民放関係でも南海放送が愛媛県北部において文化放送と混信し、岡山の山陽放送が同一周波数ラジオ福島の郡山放送局に妨害されているのであります。山陽放送の場合は六百二十キロメートルを隔てて混信妨害は夜間に起り、その区域は昼間可聴区域の三分の二に達するのであります。郡山の電力は五十ワツトでありまして、山陽放送の夜間電力の十分の一にすぎないのに、逆にかような混信を生ずるのは珍しい例であります。  中国及び四国の民間放送は、現在山口、島根を除きまして各県に一つずつありますが、大部分デフレの影響を受けて経営に苦慮している模様でありまして、これはタイム・セールの減少、コマーシヤル・プロの質的低下となつて現われているようであります。最近瀬戸内海沿いの中国、四国、九州の各民放が、番組の共同製作によるブロツク放送を行い、相当の成果を上げている例もありますが、将来の民放経営合理化策としては、この種方式の活用をはかることや、一歩進めてラジオ北陸連盟のようなブロツク的の経営を行うとか、あるいはカルテルをつくるとかの対策を講じる必要があるものと思われるのであります。ひるがえつて民放放送局免許申請の現状を見ますと、中国に十一局、四国に四局の多きを示しているのでありますが、免許後の経営はともかくといたしまして、周波数割当においてまず問題はむづかしいのではないかと思われるのであります。  次に、放送番組について一、二の点について申し上げます。NHK放送局には種々の番組委員会が設けられていますが、そのうち局長の諮問機関として、ローカル番組編成の最高方針を決定する放送番組審議会は年数回の開催にすぎず、その他の番組委員会も月一、二回開催はされますが、農事、学校放送のほかは具体的の審議が行われず、形式的のものになつているようであります。これはいわゆる宝の持ちぐされてありまして、これらの番組委員会を活用することが放送番組の編成の自主性を保つゆえんであることを、当事者は銘記していただきたいと考えます。NHKのローカル番組は、各放送局とも七月以降は一齊に三十分間の増加を実施しているのでありますが、これは先ごろの受信料値上げに際し、特に要望された事項でありまして、かくしてNHKのローカル放送地域社会生活に重点を置いて漸次拡充されることになる次第であります。  最後に、海上保安庁の無線施設について申し上げます。海上保安庁は運輸省に属しておりまして、その業務は警備救難、水路、灯台の三業務に大別されていますが、通信はこれらの業務に欠くべからざるものであり、特に海上を対象とする業務においては、無線通信なくして業務の完遂は不可能と言えるのであります。全国的には陸上に五十七の無線局、二十八の無線方位標識局及び二箇所のレーダー局を持ち、海上には二百十五隻の無線装置船艇を備え、そのうち七十五隻はレーダー装置を具備しているのであります。しかしながら諸外国のようなローラン、デツカ等の最新機器もなく、著しく立ち遅れておりますので、一日も早くその整備が望まれているのであります。今回視察いたしました第六管区海上保安本部は、瀬戸内海の警備に当るものでありまして、陸上通信所五箇所、大型巡視船一隻、中型巡視船三隻、補助巡視船四隻及び小形港内艇八隻を備えております。右のうちレーダー設備のあるものは二隻ありますが、二重通信可能の船は一隻もないという実情であります。通信関係人員の配置は本部に十八名、大型船に四、五名、中型船に三名、補助船に一名、港内艇は船長兼任となつておりまして、いずれもやや手薄のように見受けられたのであります。その他灯台業務における無線標識局及び無線誘導標識局、水路業務における連絡用無線電話設備等も整備の途上にありまして、その完備が望まれる次第であります。  以上をもつて私の報告を終ります。
  16. 成田知巳

    成田委員長 次に九州地区橋本登美三郎君にお願いいたします。
  17. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 第四班といたしまして、九州地方調査結果を御報告申し上げます。  すでに他の各班のお話がありましたが、今回の調査は、これを要しまするに電気通信事業につきましては、昨年の第十六国会において、電信電話料金の値上げを伴う公衆電気通信法の議決の裏づけとなりました電信電話拡充五箇年計画の第一年度が、どんなぐあいに実施されたか、どの程度の成果が上つているか、またその実施成績から見て、さらに計画変更の必要があるかどうかという点に帰着するであろうと存じます。また電波管理関係につきましては、去る第十九国会における定員法の改正地方電波行政にいかように響いているか、NHKの料金値上げを伴う収支予算、事業計画の実施状況、ことに本委員会の附帯決議がいかように反映しているか、なお民間放送の増加に伴つて民間放送の育成状況及びNHK放送との関係がいかようになつて来たかを主眼として調査を進めたのであります。さらにまた放送法につきまして、立法当初から予想されました根本的改正について、かねて政府の言明があり、本委員会においてもさきに小委員会を設けて調査を続けて参つたのでありますが、調査の機会をもつて、各地方のこれに対する世論、動向を探ることがきわめて有用であると思われたのであります。  調査班といたしましては、九州電気通信局及びその所轄電気通信部、電話局、電報局並びに九州電波監理局及びその管内における日本放送協会放送局一般放送事業者放送局等十五箇所を視察し、それぞれに当事者の説明、意見、希望等を聴取いたしましたほかに、福岡市においては特に各界人士約三十名の会同を煩わして、電波法制及び電気通信事業に対する参会者の意見を聞き、また各地で行われました記者会見の機会をも同様に利用することに努めたのであります。以下、その概要を申し述べることといたします。  九州地方は、産業経済上から見れば相当開発されてはいるが、炭田地帯を除いては、それが高度には至らず、就業総人口の五九%を占める農林、水産業についても、温度、地方等に照し、科学的に運営されるならば、さらに幾割かの価値の増加ができようと思われるものがあるのであります。しかも九州地方は、大小の離島二千有余を擁して、常に台風の進路にさらされ、風水害の反復を余儀なくされる状況にあることは御承知の通りであります。従つてここに根本的、恒久的対策が打立てられまして、総合的、科学的の開発計画を積極的に推進することがきわめて肝要のこととなるのでありますが、申すまでもなくこれがためには、電気通信は最も緊要な基盤であり、ラジオ放送は主要な媒導体となるものであり、ともに先駆的な役割をになうものであります。  最初に電気通信事業より申し上げることといたします。公社の電信電話拡充五箇年計画の第一年度として、昭和二十八年度には建設費四十億円が九州管内に投入されたのでありまして、これは従来の年度割当額のほぼ倍額に当るものでありますが、たまたま同年度には、ほとんど九州全域にわたる風水害の応急復旧及び奄美大島の復帰に伴う保全、建設等の工程が加わることとなつたのであります。幸いに公社関係当局の努力により、これらの工程が完遂されました上に、拡充計画の実施が能率的に進捗されまして、第一年度の実績として相当の見るべき成果が上つたのであります。  これを一般市外回線について見ますと、二十八年度末においてその管内回線数は三千二百余りとなり、前年末現在数に約二五%を増すこととなつたのであります。すなわち管内外回線数の増加とも相まちまして、これによりサービス面において、市外通話の平均待合せ時間は、前年度とにらみ合せて長距離通話の二時間五分が五十六分となり、中距離の四十二分が三十七分に、近距離の四十分が二十四分にと、それぞれに五五%、一二%、四〇%の短縮を示すこととなり、従つて市外通話の完了率も九一・七%、すなわち前年度に比べて一・二%の上昇を見せているのであります。なおこのサービス面の改善によりまして、通話種別の構成率にも異動を生じまして、直轄局の平均における特別至急通話は二四%が二二・七%に下り、普通通話は五三%が五四%にわずかながら上つておるのであります。  電話の加入開通数についてみますと、年度内の増加は、前年度末現在数の二%弱に当る一万五千加入でありまして、年度末現在総数は十五万四千余となつております。この管内総加入数は、全国百七十六万余の加入総数に対して八・七%に当るのでありますが、ここに注目すべきは、この全国比率が九州について二十五年度の九・七%から九・二%、九・一%と逐年低下し、二十八年度にはその低下率が特に著しくなつていることであります。しかも、現に総需要約五万と推測せられ、積滞数として現われる顕在需要二万四千をかかえておるのに対し、二十九年度に予定し得る新規の開通数は一万三千にすぎないのであります。たまたま二十九年度の建設費は、前年度の一割減の三十六億円となつておるのでありまして、これについて地方においては、公社の拡充五箇年計画が中都市以下にきわめて薄いとする、いわゆる大都市重点主義に対し、とかくの批判が行われているのであります。接続完了率は、自動式平均において六九・九%、すなわち前年度より四二二%を増し、共電式平均においては引続き八〇%を維持する状況にあるのであります。また一方電報についても平均して、所要時間が短縮され、誤謬の減少を示しているのであります。  局舎の建築状況を概観いたしますと、昭和二十八年度においては建築費総額十三億七千万円をもつて、土地一万七千坪の買収、局舎の新築千七百坪、増築一千坪の工事が進められ、二十九年度においては新増築約四千八百坪の予定計画を実施中でありますが、いまだもつて老朽、狭隘局舎を一掃し得ないばかりでなく、郵政省との共同局舎はなお四十を数えるのであります。局舎の新築等について、地元市町村から敷地の斡旋、債券の引受等の協内をもつて、積極的な熱意の示されるものが少くないのでありますが、調査に際し、大分市の電通センタープランの実現促進、日田電報電話局の新築促進、久留米ではすでに敷地買収済みの電話局舎増築の陳情を受けたのであります。  電話の改式、加入区域の統合等について、雑餉隈電報電話局関係の五箇町村連合の直接陳情も受けたのでありますが、都市隣接町村及び合併町村関係のこの種要望には、まことに熾烈なものがあるのであります。  局舎の老朽、狭隘にかかわらず、機械設備等の現況持続を余儀なくされ、またはその増設計画を推進するために、職場環境の悪化など職員の能率増進要件を阻害することになるおそれはないか。この点については、局舎の保全実施面のくふうにおいて鋭意改善に努めておるようでありますが、この面からの間接的影響も考えられまする職員の健康状態について、二十八年度第一回定期健康診断の結果を見ますと、療養中の長期欠勤者三・七%、要療養者三・六%、要注意者五・八%が、管内総員に対する割合となつて現われているのであります。すなわちこれを合せますと、病弱職員数は実に総員数の一二・一%となるのでありまして、それだけ業務陣容に脆弱性を加えることになるのでありますが、申すまでもなくこれは職員福祉の面についてきわめて重大な問題であるとともに、要員の能率的配置、人件費の効率的使用等に関して、事業経営上はなはだ遺憾な事象と申すべきであります。  爾来医療施設、健康管理等の強化に必要の措置もとられまして、漸次この事態は改善の方向にあるようでありますが、さらに一層の努力を、いわゆる予防医学的見地における未然防止策に傾注すべきことが強く要請されるのであります。これに関連して福岡においては、交換室にも器械室同様に冷房を設備するとか、専属医の配置基準職員数を五百名に改めてほしいという要望もあり、また職員の住宅難救済も訴えられたのであります。  次に翻つて業務取扱いの状況を一瞥いたしますると、二十八年度は前年度に比較して、電話の市内通話呼数は五・四%を、市外通話度数は一四・五%をそれぞれ増加し、電報扱い数も四・四%を増加しているのであります。これを事業収入に照しますと、収益では電話収入の三六・九%の増加で目標額の一〇一%、電信収入の一五・五%の増加で目標額の九八・九%となり、総額において二六%の増加をもたらし、これに対する事業費支出額は二四%の増加でありまして、予算額に比べて二・九%の減少を来しているのであります。  以上の調査から見て、次のような意見を申し上げます。  一、九州地区を熊本通信局で管理しているわけであるが、交通上、経済上、電信電話施設状況より見て、北九州地区と南九州地区に二分すべきである。たとえば福岡通信部の一県地区だけで全九州の職員数で四五%、建設工事五〇%、電話加入四〇%、事業収入三五%を占め、経営規模の点では四国通信局に匹敵し、収入金額一倍半に当るのであります。このような組織上、機構上の無理があるため、通常工事のときですらも南地区より応援を受けており、緊急のときには台風災害等には定員配置のやむを得ざる不均衡から、大量の移動を行わざるを得ない状況であります。  この無理を補うため、請負量を相当に増加して、現状は直営と相半ばしているようであります。これは適当の措置であつて、事業量の十分でない地区に無理に直営工事を多くすれば、事業量に対して不必要な過員を当然に多くせざるを得ないのでありますから、積極的に請負制度を強化すべきであり、事業量の相当多量の地区は比較的に直営工事の多いのが当然であります。公社は官庁経営ではないのでありますから、その機動性は十分に発揮すべきであつて、常に経済的効率を考慮すべきであります。  二、九州地区の施設状況は標準より遅れているようであります。これは一つには北九州と南九州との産業上の全く相反する産業帯であるため、電話の全地区への発展が促進されず、局部的になつたこと、年々の台風による風水害のため建設費の相当量が復旧費に食われること、これは不当であるが従来直営工事主義の建前上、及び地区独立採算制をある程度つているためにやむを得なかつたのであるが、この機会に一掃すべきであつて、復旧と施設拡充とは全然切離して施策すべきであり、そのためには請負工事制を積極的に利用すべきであります。  特にこの地区は例外なしに台風を受ける、すなわち通過地区になつているのでありますから、建設方式を経済採算を度外視して、台風防禦の態勢としての施設を行うべきであります。裸線市外線のごときは、原則として一日も早く撤去すべきであつて、長い目で見ればこれが経済的であり、社会治安、防衛上にも欠くべからざる施設であるわけであります。無線の並用も考えられ、地下ケーブルを幹線の基本とし、山くずれ等を考慮に入れての地勢の使用等、幾多研究すべき点が多いようであります。  三、今日の行き詰まりの原因は、右二項の状況より極端に局舎建築費が繰延べられ、あるいは着手がおそすぎたため、ほとんど例外なく今日では電話局舎の増改築より始めねば、加入電話、市外電話の拡充が実施できない状態であつて、福岡電話局舎のごときその顕著な例であつて、近く完成を見るので多少の緩和を見ることができると思われますが、九州の主要都市の実態は福岡と同様の劣悪な状況にありと見てよいようであります。換言すれば電話局舎、市内外線の整備ができれば、収入の点で格別の向上を見るのではないか。現状ではお互いに制約し合つて、収入向上を阻んでいると見ることができるようであります。電話加入率が全国に比し、二十五年度の九・七%から、九・二%、九・一%と年々低下していることは、二項及び三項を原因としており、現存積滞数二方四千はおそらく潜在を含めての総需要数の三分ノ一以下ではないかと推測され、二十九年度に予定されている一万三千では、全需要の二割程度しか十分できないと見られるのであります。  接続完了率が比較的に良好の状態にあるのは、必要需要の状況を示しているのではなく、長い間の電話利用の困難さから習慣づけられ、利用性を極端に制約されていると見るべきであつて、いわゆる利用者が極端に加減して利用しているという理由にほかならないと思われます。従つてある程度電話施設状況がよくなつた場合、一加入当りの収入が減少するかのごとき結果を見ることが予想されるので、電話利用の宣伝普及について格別の措置が必要と思われるのであります。一般公社は電話利用宣誓ついてまだまだ不十分であります。たとえば東京・大阪のごとき画期的体制(準即時)が完成されているにもかかわらず、一般人の利用はあまり増加されていないようであつて、具体的な宣伝方法によつて一般人の利用を増加せしめることができるし、これはデフレ現下の増収対策の一つでもあるわけであります。  四、都市隣接町村の合併及び町村合併促進法の制度による町村合併の促進に伴う対策であります。今日では全国的に相当数に上つており、この必要施設費は莫大なものになると思います。これに対して明確な対策ができていない。目下方針を策定中といわれますが、一日も早く決定し、これは末端にまで通達しませんと、不必要な混乱を生ずる危険があります。すなわち無制限に数局を一箇所に吸収合併することは技術的にも不可能でありますから、基準を明らかにすべきであります。町村合併の理由一つ電話局の改式、統合ができるからであるという理由をつけてあるところもあるほどであつて、見当がつかないということであつては、混乱の原因となるわけであります。またこの施策を実行するためには、相当多額の費用を必要とするのでありますが、もしこれを従来の建設費より賄うものであれば、五箇年計画の遂行は不可能であるばかりでなく、公社としては独立採算制を強要され、国家の要請により緊急の費用をしかもただちには収入減ともなつて来る施策を実行するのであるから、この施設財源については当然一線を画すべきであつて政府当局とこの点について協定を行うべきものと考えるものであります。これに類似して従来ともにあいまいにされていた未開発地の電話拡充、不採算地区の電話施設について、公社政府当局とその財源について協議し、基本方針をきめるべきであると思います。現在の公社財源は、政府資金の投入を原則として打切られています。政府政府資金を原則として打切るためには、未開発地区(北海道及び東北地区のごとき)不採算地区の電話施設費について、政府はその財源を考慮すべきであります。たとえば採算には五箇年以上の時日を要する地区の施設には、政府資金をもつて施設を行うとか、ある基準によつて政府資金の投入を義務づけるべきものと思います。公社公共性ということは莫大なる損益を無視して施設すべき義務を負うというのではなく、独立採算性を前提として全国普及の義務、文化向上義務、産業効率向上義務を負うのであつて、これには限度があり、その限度は独立採算制であるが、これにも一定の限度があるわけであります。すなわち料金に課するのには限度があります。大都市利用者に極端な負担を加えることは、電話利用の順調な効率を害し、施設費と料金との極端なる不公平を来すのであります。その結果は都市中心の電話会社の設立を要望するものが現われないとは言えないのであります。この点については政府及び公社において慎重に研究すべきものと思います。  五、健康管理の問題であります。九州地区では長期欠勤者三・七%、要療養者三・六%、計七・三%となつており、要注意者は五・八%であります。この数字は他地区と比較して特に悪いというのではないが、全体的な問題として、約六%が就業不能の状態にあることは重大視すべきであります。公社としては約一万人の病人をかかえているということであります。これらを療養すべき病院、療養所等の施設を完備すべきはもちろんでありますが、この状態では病人をつくることと病院をつくることとが競争状態であります。病院をつくるよりはできれば病人をつくらない施策を講ずべきであります。たとえば年二回の定期健康診断の実施、専属医を五百人に一名とする。嘱託医制度の完備、健康医学的措置、すなわち健康管理、疲労度に応じてのビタミン等の注射臨床等によつて、要療養者の増加を防止すべきであります。この予防医学的施策に対してはより多くの予算を計上し、欠勤、要療養者を四%以下に食いとめ、要注意者を低下するよう積極的な方針を確立すべきものと思います。  なお鉱業特設電話であります。これは有線電気通信法及び公衆電気通信法の実施に伴つて、その性格がかわり、共同業務用の通信または相互緊密関係を有する業務用の通信のために設置した私設電話設備となつたのであります。従つてその通信目的は限定されることになり、またこれに加入回線を収容した従前設備の私設交換機があるときは、その交換設備と内線電話機は、公衆電気通信設備の構内交換電話、すなわちPBXということになりまして、原則としてそれらの設備場所は加入者の占有に属する構内に限られ、その使用も加入者に限られるに至つたことは御承知の通りであります。今回たまたま大牟田において知つた事実であつて、もとより実査までのいとまはなかつたのでありますが、設置者を異にする多数の設備を相互に接続できるほか、加入回線を収容する交換設備によつて、約三千に上る各設置者所属の従業員の住宅内設備をも接続できるような、従前の状態をそのまま放任してあるやに察せられるものがあつたのであります。九州管内で他にも同様事例があろうかと思われますが、とにかく大牟田としては、かような電話設備が数において電話加入数を上まわるのでありまして、公社経営保護の見地からはなはだ憂慮されるのであります。もとより公社設備の収容力にも関係はありましようが、等閑に付すべきでないことは明らかであります。  電気通信事業関係は以上にとどめまして、続いて電波管理関係について申し上げます。まず電波管理行政を展望いたしますと、管内現在の無線局設備は、公社の公衆通信用の定点設備四十二局、NHKの二十三放送局民間放送の九局等を含め千八百近くに上り、全国総数の一三%を占めており、高周波利用設備は七百余りで、全国総数の二一・五%、有線放送業務施設は千二百余で、全国総数の一二・五%に当るのでありまして、最近一年間の増加率は無線局が三九%、有線放送施設が二〇%となつているのであります。  これらの設備数から見ると、九州は無線局については関東に次ぐ第二位、有線放送では北海道をしのぐ第一位となるのであります。  かような情勢が行政措置の種別、件数に反映するであろうことは想像にかたくないのでありますが、管内無線局設備の五一%は船舶局として六十数箇所の停泊港にわかれるものでありまして、検査措置等をそれに適応させる必要上、戸畑、長崎、油津の三箇所に出張所が設けてあり、また国際的ないし全国的にますます重要性を加えて来る電波監視部が福岡及び都城に置かれてある関係上、業務の運行は相当複雑であり、要員の配置も従つて多岐となることを避けられないのであります。  電波管理要員について、全国の定員三千四十五人の約四・三%を本年度内に整理し、終局的に約七%の整理を目標とする行政職員定員法の一部を改正する法律は御承知の通り、遂に第十九国会を通過し、去る六月七日公布、即日施行されたのでありまして、視察当時はまだこれによる臨時待命締切以前であつたのでありますが、たまたまそれに伴う部課長以上の一部異動に遭遇したのであります。九州管内の要員整理につきましては、管理対象の量における増加の現実と、質について予見される拡充の必要とに直面して、対策の具体化に至大の困難を感じ、管理要員の減員はほとんど不可能に近いものとして、この間における当局の苦慮が察知されたのであります。  電話監視の状況から見ますと、本年五月中の不法容疑電波捕捉件数は九百十一でありまして、これは実に最近全国の年間捕捉数の、一箇月当り千三百余件の六九%に当るものであります。一方同様の見方で、電波測定の発見事故件数は三五%、運用監査の事故件数は一二%となるのでありまして、これがもし規正、指導等の成果であればはなはだけつこうでありますが、むしろその真相は、不法電波監視を厳重にする必要上、この面の作業が余儀なく手薄にされた結果ではないかとも推察されるのであります。  視察に際して、九州電波従業員組合の求めに応じて、その代表数名に面接したのでありますが、それは行政改革問題に関連して、電波行政の拡充、要員増強の必要性につき、本委員会の尽力を謝するとともに、今回の定員法改正が、業務増進を無視する整理に帰着した不合理について、実情に基いてつぶさに陳情するものであつたのであります。  要員の整理に伴う事務の簡素化、作業の能率化等については、本委員会の席上でしばしば政府の抽象的説明は聞いたのであります。この点につきましてあるいは無線従事者の検定、船舶無線の検査等に研究の余地もあろうかと思われるのでありますが、今回の調査において、具体案の一つとして周波数バンドの広いアマチユア無線につき、電波法規制に段階を設け、少くともその設計変更検査は省略できるものとしたいという希望意見が聞かれたのであります。  管内無線局開設の現状を一覧いたしますと、設備者の業務別は三十を越え、局種別は約二十にわたるのでありまして、それぞれに大小多少の問題を伴うのでありますが、そのうち主要なものの概略を次に申上げることといたします。  その第一は公社に関連する事柄であります。九州管内における公社の無線通信設備は、短波、超短波の回線をすべて、これを幹線、支線の系統数から見ますと現在四十系統を越え、全国比率で約一五%に当るのでありますが、なお離島開発その他産業振興関係について、予想される通信需要の増加に応じて、無線通信系拡大の必要が前途に横たわつているのであります。  かような事情から当然のことでありますが、公社は現に公衆通信業務用として、ある範囲の未使用周波数を保有しているのであります。この未使用波長をめぐつて、あるいは建設省の洪水予防業務用に超短波の希望周波数が拒否されたとか、あるいは電力会社の開設免許申請を公社の超短波政策が妨げているとか、喧伝されるものがあるのでありますが、およそ公共福祉のためにする電波の開放が、公衆通信業務の独占、保護はもちろん、広く国民経済の擁護と矛盾すべきでないことはもちろんでありまして、この間の調整には行政当局の良識にまつべきものが多いのであります。  要するに無線利用は非常に拡大されていますが、乱雑の観があります。電波国民のものであるという観念は、個人の営利企業の利益追求のためにのみ電波利用されてはいけないということであります。すなわち公共の利益に奉仕し、文化の向上に役立つことが前提であります。従つて通信に利用される場合は公衆通信が優先であるべきであつて政府公社ともにこの起点より公衆無線通信の根本方針を策定して、無線利用の混乱を防止すべきであります。  第二は、主として日本放送協会関係の事柄であります、NHK全国放送設備について、その約一五%が九州に置かれているのでありまして、その受信契約者数は全国総数の約一〇%に当り、普及率においては、全国最低の四国をわずかにしのぐ程度にあるのであります。あるいは離島など無電灯地区の多いこともその原因の一つにあげられるのでありますが、市部においてすら放送局開設の根本基準以下の電界強度にあるものが十数箇所を数える実況でありまして、これから推しますと難聴地区の少くないことがその主因をなすものと思われるのであります。  これにつきまして、日田市外三箇所の中継放送局の復活及び大分、佐世保の増力、佐伯の第二放送実施が地元の要望となつているのでありますが、視察の途次、日田市では市長及び市議会議長から、特に熱烈な直接陳情も受けたのであります。  この間の対策につきましては、協会地域放送の充実計画その他本年度の収支予算及び事業計画の承認に附帯して行われた本委員会の決議の趣旨に照しても、すみやかに具体化をはかるべきであると存ずるのであります。  なお北九州地区においては、モスコー放送その他外来電波の電界強度が強く、各地で混信妨害を受ける現況でありまして、これを救済するため福岡の五十キロワツト増力のすみやかな実現が強く希望されているのであります。  混信の具体的対策として、NHKは昨年中、ラジオ大分外四つの民間放送の開設にあたり、あらかじめ三百三十余の地点について予備調査を行い、それら各局の放送開始後には、約九十箇所に臨時相談所を設けて、二千三百有余名の聴取者指導を実施したのでありまして、その結果、目下民間放送に起因する混信妨害はほとんど問題となつておりませんが、外来電波については前申しました北九州地区以外で、人吉局の千百六十KCが、現に沖繩のVOAから電界強度十四・五ミリボルトの強力な妨害を受けている事実があるのであります。  混信対策と並んで、絶えず懸案と取組んでありますものは、受信障害防止対策であります。九州における受信障害状況は漸次変遷して参りまして、現在障害原因の最高率を示すものは螢光灯の五三%であり、小型電気機械の二一%がこれに次ぎ、送配電線は最低の七・五%となつているのであります。  これについてNHKとしては、受信妨害対策協議会の育成、指導に努める一方、年三回の障害一掃運動月間を実施するなど、相当の努力を注いでおるのでありまして、視察当時、八代市においてはそのモデル運動が展開されていたのであります。個々の受信障害を除去する措置として、実効を収める道の大部分は、申にまでもなく巡回相談であり、ひいては、受信機修理業務でありますが、この修理業務については御承知の通り放送法第九条によつてNHKには郵政大臣の指定した場所に限ることに制約が加えられているのであります。現在九州におけるNHK修理業務の指定町村数は五百三十一でありまして、これは約千三百の市町村全数に対して三五%にとどまるものでありますが、巡回相談によるその最近の実績は、年間開設回数八百回、修理台数一万二千台となつているのであります。NHKの巡回相談はこのほかに、後援の名のもとに当業者に協力して行われるものがあるのでありまして、その年間千二百一回、一万六千台の記録が前の成績に加えられることになるのであります。かような実情は、NHKに対する一般信頼度の点から首肯できるものがあるのでありまして、協会に対する制限緩和の必要を感じさせるものでありますが、たまたま福岡において同地ラジオ商工組合長が、業者の全国意向であるとして、この制限撤廃を主張された事実があるのであります。  受信機に関する技術指導その他ラジオの普及策に関連して、九州の持つ特異性の一つとして、共同聴取施設の顕著な発展を指摘することができるのであります。これは前にも申しましたが、その発祥地として当初急激な発達を遂げた北海道の現在施設数四百九十八に比べて、約四%を凌駕する五百五十一となつており、なおますます増加の趨勢を示しているものであります。この共同聴取施設を通じた現在の受信契約者は、全九州において七万九千を超え、契約者総数百三十三万七千余の約六%に当るのでありますが、各県中の最高は、全国普及率では宮崎県と並んで最低位にある鹿児島県の四百二十七施設五万六千三百二十五加入であつて、全県契約数十九万四千余に対し、実に二九%に当るものであり、真に注目に値するものであります。この鹿児島の場合は、無電灯地域をその存立の基礎とする北海道とは事情を異にしているのでありまして、受信機の個人設備を困難とする経済事情と、戦災者、引揚者等の生活難に促されて勃興した此の種施設の小企業化とが両々相まつて、ここに至つたものであります。なおこの種の共同聴取は、今後離島の普及開発対策について、主要の地位を占めることになろうと思われるのでありまして、これに対する指導方策の確立とともに、あるいはその施設者に委託集金の道を開き、それを通じて加入者の受信契約上の負担の実質的軽減をはかるなど、特別の助長策も必要であろうと考えられるのであります。  次に番組編成の問題になりますが、地域的社会生活に直結する放送番組を拡充することが、実に本年度協会事業計画実施上の一つの重要課題でありまして、特に教育、産業、文化の向上に適する番組編集がその重点となつているのであります。  九州管内のローカル放送の実況について、これを見て参りますと、編成方針としては、全国番組との表裏即応、管内各局間の出入中継、隣接他管内との番組交換の三点を骨格とし、パネル調査の結果を基本に、投書、モニター、その他収集される各方面の批判を参酌することとしておりまして、編集の細目については、聴取層の業態構成などに照して、各種別放送の時間、回数、内容を定めているのであります。  その実施面を放送時間から見ますと、従前の一日平均三時間程度の編成量は、年度初頭から十五分、二十分と漸次増加され、現在では大体三時間半程度に延びまして、主として農事、社会、教養等の部門に増加の割振りがなされている状況であります。  第三は、民間放送事業の状況であります。九州の民間放送は現に八社九局によつて営まれておりますが、目下免許申請中のものとして、現在経営の三社による増設局三局、新規経営もくろみの四社による七局があるのであります。これらはもちろん標準放送でありますが、さらにテレビジヨンについても二社による四局の免許申請が出ているのであります。  既設局のうち六局は、いずれも昨年十月以降の放送実施にかかるものでありまして、今回視察といたしましたのはラジオ大分、ラジオ熊本、久留米の九州朝日、福岡のラジオ九州の四局でありますが、そのうち三局はいずれもこの開局後、日の浅い方に属し、しかもたまたまその開設者、資本構成または運営の実体が、またいずれも新聞社と密接なつながりを持つものであつたのであります。  視察各局の経営状況につきまして、収支をとんとんと明言されたのは二局で、他の二局には黒字または赤字が推察されたのでありますが、それらを時間売りの状況から見ると、最低三時間、最高九時間半であり、収入の割合から見ると、広告主の区分では、地元五〇%ないし六五%、東京、大阪その他が三五%ないし五〇%となり、放送形式の区分では、時間売りが五〇%ないし八〇%、スポツトが二〇%ないし五〇%となるのでありまして、比較的広い開きを示すのであります。  番組の編成または放送実施につきましては、各社それぞれに特色の発揮をきそつているようでありまして、ラジオ九州では、マルチ・ステージ・サンプリング方式の聴取状況調査ラジオ大分では、標準語護持などを自負しておりましたが、一面、自主番組の編成では、共同製作を目的として、ラジオ九州以外の各社が五社会なるものを結成し、共通の九州番組を編集しており、ラジオ大分では、そのほかに南海、中国の両社との共同製作によつて、瀬戸内番組放送しております。もつとも、これら共通番組放送実施については、必ずしもネツトワーク方式をとつてはいないのであります。  ネツトワーク関係について、ラジオ熊本では専用線を得られないことを遺憾とし、ラジオ九州では提供される中継線の音質不良を訴えられたのでありますが、民間放送経営状態について、すでに一部から助成要望の声も聞かれる情勢から見通しまして、経営の統合に至らぬまでも、運営のネツトワーク化が遠からず醸成されるものと思われるのであります。従つて公社の計画に対して、この場合に適応する相当の措置が要請されることになるのでありますが、現にNHKの専用中継線についても、大分第二放送用の如き、質の改善を要求されるものがあるのであります。  民間放送の現状につきまして、あるいは乱設の批判が聞かれ、あるいはNHK周波数娯楽番組等の制約が要求され、あるいは民放相互に放送区域外宣伝の行過ぎ牽制の必要を力説されるなど、各種の問題が提供されたのであります。その多くは論者の利害に密接するものであろうかと思われるのでありますが、その中で聴取者の利益保護の見地からして放置できない問題としては、混信について九州朝日放送が雑餉隈所在のVOA及び福岡のラジオ九州に妨害され、一方長岡付近において新潟放送を妨害すること、並びにラジオ熊本のゴールデンアワーが京都放送に妨害されることであり、また放送電力について村落の電界強度を〇・二五ミリボルトとする現行根本基準は、経験に照して不適実であるということであります。いずれも当局の参考に供し、善処を促したいと存ずるものであります。  最後に、福岡において催しました各界人士の会同の席上、開陳されました放送法改正等に関する意見でありますが、これは大阪名古屋の場合について、第二班から報告されたところと重複する点も多く、かつまた別途配付されました報告書及び速記によつて御承知いただけることと存じますので、省略のことといたしまして、以上で私の報告を終ります。     —————————————
  18. 成田知巳

    成田委員長 以上で調査報告を終了いたします。
  19. 成田知巳

    成田委員長 引続いて電気通信事業並びに電波管理に関し調査を進めます。質疑は通告順にこれを許します。片島港君。
  20. 片島港

    片島委員 大臣にちよつとお尋ねしたい。昨年末の本委員会においてずいぶん問題になつたことでありますが、マイクロウエーブの設備計画が一部民間から非常に強力に推し進められておるということが問題になりました。本委員会においては、このような重大なる問題が、一部の営利的な利権的な民間会社によつて進められるということは、反対であるというような意見が圧倒的であつたと思うのであります。ところがきわめて最近、八月の二十八日に正力松太郎氏が池田自由党幹事長と会談をし、その後塚田大臣と池田幹事長、木村防衛庁長官、それから正力松太郎の四氏が、東京会館で会談をいたしております。その会談の席上だと思うのでありますが、申入書が郵政大臣あてに出ておるのであります。このいきさつについては私たち詳しくは知りませんで、新聞等によつて概略は存じておるのでありますが、まずその後の経過などについて大臣からお伺いをしたい。この問題は電波法第四条第二項に対する郵政大臣の解釈の態度がきわめてあいまいであるというような点から、私たちはこれらの問題が、政治的に大臣としては非常に行き詰まるような状態になるのではないかという懸念も持つておるのでありますが、まず経過を御報告つて、次に質問を続けたいと思います。
  21. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 御指摘の問題につきましては、先般当委員会におきましていろいろお取上げになり、当時私もいろいろお答えを申し上げたわけであります。その後私といたしましては、当委員会の皆さん方の意向、それから電波法放送法、それらの法の考え方、それからさらに日本の通信政策としてこういうものがどうあるべきかというしこともよく考えまして、おそらく適当でないというようにいろいろと回答いたしておつたわけであります。従つて、その計画は途中においてとりやめになつて、私も一応頭からその問題は抜いておつたのでありますが、きわめて最近、と申しましてももう二箇月ぐらいになりますが、二箇月ぐらい前ごろから、全然別の計画として、また考えられたものが出て参つたわけであります。もちろんこの当初の計画も、この前のときも申し上げましたように、正式な許可申請という形では全然郵政省には出て参つておりませんので、ただこういう考え方があるがどうだろうかということで、意見を聞いて来るという形であつたわけであります。今度の考え方ももちろんその程度のものなのであります。第一の考え方のものは、もう皆さん方もよく御存じでいらつしやいますし、問題がもう一応企画者も断念をされたという形になつておりますので、この機会にあらためて申し上げる必要はないかと考えますので、ただいま具体的に問題になつておる計画を、私が非公式に承知をいたしております範囲において、お答え申し上げたいと思うわけであります。  ただいま計画になつておりますのは、防衛庁に防衛の必要からしてマイクロの施設を持ちたいという考え方があるわけであります。防衛庁自体がそういうものを持ちたいという考え方は、これは十分検討してみる必要があるし、またその価値があると私ども考えておるわけであります。その防衛庁の計画に今度付随して、その施設をひとつやらしてもらいたい。自分の方は外資を導入してこれをするから、その対価ということになりますか、やらしてもらいたい。所有権をどちらが持つかというようなことは、あまりはつきりしておらぬようでありますが、とにかく企画者の主たるねらいは、防衛庁の使用するマイクロウエーブの一部分を、自分の方のテレビの連絡に使いたいという構想であるわけであります。そこで今申し上げましたように、私どもは、防衛庁がマイクロの施設を持つということは十分検討する必要があると考えますけれども、それをさらに、今申し上げるような民間の特殊な用途に共用して行くということにつきましては、いろいろな意味から非常な問題点がある、こういうように考えておるわけでありまして、どんな点が一番問題になるかということを、いろいろ部内でも検討いたしておるわけでありますが、一番困りますことは、実は企画者の計画が詳細には何も知られておらぬのであります。たとえば外資が入る、その外資は一千万ドル程度ということのようであります。そうしてなお知り得る範囲では、一千万ドルというと三十六億でありますが、それと約同額の国内資金を入れまして、約七十億程度札幌からずつと福岡までマイクロの施設をつくるという考え方を持つておりまして、その金は輸出入銀行から導入できる、まあこういう構想のようであります。その場合にどういう条件がそういうものに付随しておるかというような部分も全然わかりませんし、それからしていろいろと考えてみますと、今日の日本の技術というものの進みぐあいを見まするに、これは公社側の意向を聞きましても、また私どもの方の電波監理局の技術当局の意向を聞きましても、今新しくアメリカからそういう技術を入れなければならないという段階ではないのじやないだろうかということ、それから防衛庁が持つという計画がかりに実現するといたしましても、技術は日本の技術でいいのじやないだろうかという考え方、さらにその上に、防衛庁の目的に合致するだけの施設ならば、私どもの考え方では、そんな大がかりなものでなくとも、特に公社が今までにすでに完成をしておるもの、また今後ここ一両年に完成する計画になつているものを頭に置いて、それらの施設と共用できる部分は共用して行くというようにいたしますと、はるかにわずかな経費でできるのではないかというような見通しがある。さらに防衛庁が全然別な計画としてそういうものを持たれておるときの、防衛庁がそういうものを自分の用途に使われる場合の便宜というような立場から考えても、これを公社施設と一本にしておく方が、はるかに便益ではないだろうかとか、また国の防衛施設に使われるそういう系統が、民間の特殊の用途のものと一緒になつておるということの適、不適というようないろいろの観点から考えまして、どうも今私どもが承知し得る範囲の計画では、適当ではないのではないだろうかということで、非公式にはそのような意思の表明をしているわけであります。繰返して申し上げますが、もちろん公に正式に申請になつているものではありませんから、非公式に——ただ問題が専門の問題でありますから、私としては独自の判断によることなく、その都度々々に公社側及び私の方の電波監理局のその道の専門の者の意見を十分聞いて、それらの意見を表明しておるわけであります。ただ一昨日の参議院の電通委員会におきましてもいろいろ質疑があつたのでありますが、郵政大臣がそういうものの判断をしておること自体、もうすでに誤りなのじやないか。日本の電波法規定、それから公衆電気通信法の規定からしても、そういうものを民間にやらせるということ自体が、これは法の上で全然許されていないのではないだろうかということの、いろいろの御質問があつたのでありますが、この点は実は私が先般当委員会においてもお答え申し上げましたように、自分としては今の法律の解釈は一応こういうように解釈をしておるので、これは法的に全然不可能であるという考え方ではない。しかし事実判断をしてみて、これが日本の電波法及び公衆電気通信法の条文もしくは法の趣旨としておるところ、さらに日本の通信政策全般の観点から総合して判断をすべき問題であると自分は考えておる、こういうようにお答え申し上げたのです。その解釈自体に対しては参議院の電通委員会におきましても、いろいろ御議論があつたようであります。なお政府がそういう考え方をしておるならば、その考え方を書面の形でまとめて当委員会に出してもらいたいということを、参議院の電通委員会でも御要求を受けましたので、それらの点につきましてはなお十分検討してお答え申し上げるつもりでおりますが、ただいまの段階ではそのように考え、そして今までの経過は今申し上げるような経過であります。
  22. 片島港

    片島委員 この九月六日の申入れの文書に対しては、また文書をもつて回答せられたものでありますか。それから今大臣のお話を聞いてみますと、法律の解釈上はできる、不可能ではない。また電波タイムスの記者団との一問一答において、これは法律改正の必要はない、省令を改正すればよいのであつて、郵政大臣の腹一つであるというような答弁をされておるのでありますが、これに対する大臣のお考えを伺いたい。
  23. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは文書といいましても、正式の文書でないメモでありまして、あて名があるものでも何でもない。ただ口頭でするものをタイプで打つて来たものでありますから、私としてはこれに対しては何ら正式の文書回答はしておりません。それからこの問題をどう考えるか、つまり法をどう考えるかということでありますが、法の考え方は先ほど申し上げましたように、どういう形のものになるか。それは具体的におそらく実現の困難なものであろうけれども、抽象的に申し上げますならば、電波法の趣旨にも公衆電気通信法の趣旨にも違反しないで、また日本の通信政策の上からも、その程度の考え方ならばできるであろうというような構想があり得るかもしれないということは、自分としては考えております。
  24. 片島港

    片島委員 昨年の末の本委員会におけるいろいろな議論と、今度はまつたく別な形の企画において話が持ち上つて来た、こういうお話でありますが、前の委員会における論議は、民間がこういう設備会社をつくつて、これを電電公社等にも共用させようというような考え方です。このたびは防衛庁の方にこれを使わせよう、これが主になつて出ておるのでありますが、その場合には構想がどうして違うのでありますか。防衛庁の方に使わせる場合ならば考えようがある。公社の場合にはこれはもう問題にならぬ、こういうふうにお考えなのでありますか。
  25. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これはそうではないのでありまして、法律的にどうこうということは、公社が使う場合も、防衛庁が使う場合も、同じ考え方だと思うのであります。ただ公社がこれをやります場合には、私は問題はどこまでも郵政大臣の所管の問題である。公社自体が郵政大臣の監督になつておりますし、また公社が使うということは日本の一般通信の用に使うということでありますが、しかし防衛庁がこれを使うということになりますと、郵政大臣の立場としては、防衛庁がそういう独自のマイクロの施設を持つことの可否という判断が第一段であります。そこで防衛庁が持つてもよろしいということの判断が出ました場合に、それをどういう形で防衛庁が持つか。防衛庁が自分でつくつて自分で持つという形もありましようし、まただれかにつくらせたものをまた使うという形もありましよう。その防衛庁の判断に対して郵政大臣が、通信行政全般を預かつておる立場から、どういうぐあいに考えるかという問題があるというふうに考えるわけであります。
  26. 片島港

    片島委員 防衛庁が、自分のところで設備をやつて、自分の方で使おうという場合には考えがある。しかし防衛庁の方では、電波行政というものに対してはまつたくのしろうとであります。木村防衛庁長官もしろうとであります。従つてマイクロウエーブの設備をやる場合に、うまく話を持つてつて、私の方の民間会社でつくらせれば安くでき上りますから、あなたの方も使わせられますよ、こういう話を持つて行けば、だまされる危険性が多分にあるのであります。また自分のところでつくらなくても、人のところでつくつて安くでき上ればよいのであります。しかし電波行政という大きな立場から行つて、防衛庁長官が自分の方でつくろうとか、民間から借りようということではなく、国家百年の電波行政から見た場合に、どうするかということを考えて行かなければならぬ重大な問題であります。もし木村防衛庁長官は正力さんの方とうまく話か合つて、両方から郵政大臣に強く要求をせられるならば、法律上はそれは不可能なことではないからということで、大臣の腹はきまらないと思うのでありますが、その点はいかがでありましよう。
  27. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは当然事柄の性質上、防衛庁がお持ちになるにしても、どういう形でお持ちになるかということは、これは郵政大臣に相談があるはずであり、また現に非公式ではあるが相談されておるわけであるし、私の今考えられるところでは適当でない、こういうようにはつきり申し上げておるわけです。
  28. 成田知巳

    成田委員長 松前重義君。
  29. 松前重義

    ○松前委員 ちよつと簡単にお尋ねいたします。この問題はきよう私は聞いて非常にびつくりしておりますが、一つお尋ねいたしたいのは、電電公社側からでもよいのでありますけれども、米軍が日本の施設を現在ある程度使つておるだろうと思います。これは日本の施設を信頼して使つておるだろうとは思うのでありますけれども、どの程度に使つておるかを簡単にお答え願いたいと思います。
  30. 梶井剛

    ○梶井説明員 駐留軍が公社施設を使つております範囲は、現在におきまして有線が大部分であります。またそのほかにはVSF、つまり六十メガあるいは二百メガというような周波数のものを使つておるのもあります。また駐留軍それ自身が自分で持つている施設もございますが、しかしこれらの施設に対しては、ほとんど全部公社に建設並びに保守を委託しておるのでありまして、駐留軍は公社施設に対しては全幅の信頼を置いておるものとわれわれは考えております。
  31. 松前重義

    ○松前委員 駐留軍が公社施設並びにその運営に対して、非常な信頼を持つておるということであります。これは木村防衛庁長官に聞くのが一番よいと思いますけれども、こういう無線局の設置に関して、許可の権限をお持ちになつておられる郵政大臣に御所見を承りたい。それは大体外国から外資導入という形において入れて、しかも防衛という——今まで国会の御説明によれば、日本の民族を守るものであるという御説明でありますが、そういうところに使うということが、独立国としては非常に不合理で納得しかねるのが第一の問題、第二の問題はそうしなければ一体電電公社の技術並びに運営を国家としては信頼できないのであるかどうか。それほど電電公社の技術や運営は劣等であるか。まだ全然技術母体もない。あることはあるかもしれませんが、どこにあるか知りません。世間の常識としては一応存在していない、架空なようなものに対しまして、少くともそれらの信頼をつなぐのがむしろ先である。すなわち新しい今度の出願と申しますか、何か申入れがある。そこはむしろ電電公社よりも信頼を得られるものであるかどうか、こういう常識論の立場から見て、大臣はどういう考えをお持ちであるか。
  32. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その点は先ほどもちよつと申しましたように、私はその程度の考え方ならば、もう技術としても日本の技術で十分であるし、また現に駐留軍が自分で必要なものを公社施設を依頼、委託し、なおそのあとの保守、管理も委託しておるというくらいであるから、かりに防衛庁がお用いになりたいとしても、それは公社に委託されて建設をし、また保守その他も委託される方が適当でないかという意見は申してあります。
  33. 松前重義

    ○松前委員 機密保持の問題でありますけれども、電電公社の回線の提供ということによつて、機密が漏洩するというような懸念があるかどうかということが第一、それから第二の問題は、この第三のテレビ中継の会社においてやつた場合に、その機密保持はどういう関係になるか、おそらく民間会社には安心して、機密の点までも保持しろという具体的な要求もできないのじやないだろうか。それらに対して安心感の持てるだけの一応の体系はできないのじやないか、こういうような感じがいたしますが、大臣の御見解を承りたい。
  34. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは考えられる構想がどういうぐあいになるのか、いろいろなことが言われておるのでありまして、軍が管理して貸してもらつてもいい、またわれわれの方が管理して軍に必要なものをお貸ししてもいい、いろいろなことがあるようであります。しかし想定いたしますと、軍が独自の管理をするということであれば、おそらく機密保持では一番完全じやないかと思います。しかしそうでなくて、民間のものが管理をして行くということであるならば、それはもう公社がやるよりは格段機密保持の困難さが出て来ると思います。それから公社自体の機密保持の観点でありますが、私は公社自体が法の建前からも、当然機密保持というものが行われなければならぬ。また現在の公社運営が機密保持の点において欠けておるとは少しも思つておりません。
  35. 松前重義

    ○松前委員 大臣の御答弁に対しましては、大体ある程度まで了解いたします。最後に一言簡単に御見解を伺いたいと思います。こういうものがまだ具体的に出願はされておりませんけれども、大体想像し得る体系はわかつております。大臣は大体これに対しては、今までのところ公社の技術は信頼すべきである。また機密保持に対しても十分の信頼性がある。またその他の実力においても公社は絶対に新しいこういう事業体に劣るものではない、こういう三つの見方のほかに、まだいろいろ外国との関係もお考えになつてのことであろうと思うのでありますが、これらの点について大体このようなことが得られるとすれば、公社がやるのは妥当であるというようなお考えであると私は思うが、あるいは独自のものを持つかどちらかでなければならない、独自のものを民間にやらすべきではない、こういうようなお考えではないかと伺うのですが、いかがでございましよう。
  36. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 大体今伝えられておるような構想のものである限りにおいては、そういうものが許可せられて、郵政大臣として賛成できる性質のものであるとは私は思いません。しかしそれ以外に何か考えられるかということでありますが、これはいろいろに考えてみて、最初に申し上げましたように、何かそういう構想のものが考えられるかどうか。考えられる構想のものがありとすれば、私は最初に申し上げましたように、法律の解釈が私どもの考え方で間違つていないとすれば、郵政大臣としてはその新しく提案された民間側の創意に対して、公正な自由な立場で判断をして行くというだけの立場は郵政大臣としてはとつてさしつかえない、こういう考え方をいたしております。
  37. 松前重義

    ○松前委員 大体今の御答弁で満足いたします。ただ問題は非常に重要な問題でありますので、私はこの前も小委員会においでになりましたときに御質問をいたしまして、また御答弁を承つたのであります。そのときの私どもの心配は、もし防衛通信の施設会社というものができるようなことになり、しかもそれがアメリカの資本によつてできるようなことになるとすれば、もうこれこそ抜き差しならない植民地であると思います。由来電気通信というものを海外に握られた国で、滅びなかつた国はない。あらゆる国の例がそうであります。私ども二、三の例を知つておりますけれども、かつての清朝時代において、中国がアメリカにある程度握られてみたり、あるいはまたフィリピンが全部通信をアメリカに今でも握られております。独立ができないのはそこにある。いわゆる国の一番大事な神経網を握られておる。こういうところに大臣は十分の思いをいたしておられると思いますけれども、この上ともひとつ大いにがんばつて、いわゆる経済的な侵略の姿をした政治侵略に対しては防衛していただきたい。これこそほんとうの防衛であると思うのでありまして、木村防衛庁長官はそれを主張すべきである、こういうことを考えております。ぜひひとつ大いにがんばつていただきたいと思います。
  38. 成田知巳

    成田委員長 大臣に申し上げますが、今松前委員質問に対する御答弁の中に、今回の正力構想として、マイクロウエーブ設備をつくりまして、電電公社の管理下においてテレビ中継に使用するのか、あるいは軍の管理下において中継放送に使用するのか、その点は不明確だと思います。今軍という御答弁がありましたが、これは防衛隊のことだと思います。これは大臣が何か軍隊をお認めになつておるようなことで、これは速記録に残るといけないと思いますので、訂正なすつたらいかがかと思いますが……。
  39. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 訂正いたします。
  40. 松井政吉

    松井(政)委員 本委員会でずつと議論して来ておる問題でありますから、今日は簡潔にお尋ねいたします。同僚各委員と大臣との問の質疑応答でまことに明確になつてけつこうだと思いますが、これは前回も当委員会で問題になりました点ですが、要するに法解釈の統一というのが、私はこの際において一番大事じやないかと思うのです。もし統一のないような用語が使われておつたり、法体系であるなら、やはり政府とわれわれ国会においてこれは改正をして行かなければならぬ、そこが私は一番問題だと思うのです。この前の委員会において大臣の御答弁は、きようと同じ言葉であつたかどうか記憶はございませんけれども、同じような考え方で御答弁なさつておつた。ところが事務当局の法解釈は、大臣のこの前の答弁と違つておりました。おそらく同僚齋藤委員だと記憶しておりますが、違うじやないかとの再質問が行われ、議論なつたことがありますが、そこで本日明らかにしておいていただきたいのでありますが、電波法第四条と公衆電気通信法第八条と第九条と郵政省令という大臣が常におつしやる省令との関係、この関係においてやはり現在の法律から言えばやれないのだ。というのは、事務当局に明確な解釈、この前から続いておる明確な解釈——大臣の場合は仮定を構想しながらケースによつてはという言葉を常に使つておる、ここに問題がある。だからしてきようはやはりこの三つの関係を、どういうケースが出て来ようとも、現在法律民間でやることはできないのだという解釈をおとりになるのか、それともやはり仮定の上のケースを考えて、別のケースがあるなら現在法律でも特別に扱う方法があるとおつしやるのか、この点をひとつ明確にしていただきたいと思います。これを第一点に御質問いたします。
  41. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 その点は私は今も、この前の当委員会においてお聞きのときもお答え申し上げたと同じ考え方で、どんな構想のものになるかは、これはなかなか考えにくいと思うのでありますが、しかし抽象的に申し上げますならば、両法の精神にもまた規定にも違背しない形のものが、私は少くとも施設をつくるというだけのものならばできる、こういう考え方をしておるわけであります。ただ先ほども申し上げましたように、参議院の委員会におきましてもいろいろ問題になつて、法の制定当時の御意見等もいろいろ伺いましたし、もう一度よく検討をして、政府の解釈を出せというように御要求を受けておりますので、なお十分検討して、あわせてひとつ当委員会にも御提出をして御審議を願いたい。そうしてもし考え方に誤りがあるというのであれば、直すべきものは直す、そういうようにいたしたいと存じます。
  42. 松井政吉

    松井(政)委員 今その法解釈についての資料と、それから部内等の結論も出して提出してくださるということですから、それはまあその後でよろしいと思います。これはわれわれもやはり時間をかけて慎重に研究したい問題でありますから、それは後日でよろしいと思います。それがはつきりしないと、こういうことになると思うのです。なぜ私がこの点を質問するかといえば、今構想になつております無線局設備の提供、民間会社をつくるというようなことについては、今話題となつておる——これはもちろんあくまで仮定でございましようが、公然とやはり公に見る新聞に載つておるから、各議員とも心配して、その仮定のものであるか仮空のものであるか知りませんけれども、話題にばらまかれたものだから非常に心配をして質問をしておるのです。これは別といたしましても、たとえば民間における無線局の設備提供株式会社ですか、そういつたものについてはもうこれはできぬ、これは大臣もただいままでの答弁ではつきりしておる。防衛庁が独自のものを持つ場合に、大臣の構想に描いた特別ケースというものを考えているのじやないかと思うのです。そこでわれわれは、たとえば政府部内において、防衛庁が特別のケースを考えても現在法規ではできない、それが省令に当てはまるかどうか、それが電波法第四条、郵政省令並びに公衆電気通信法八条、九条との関係になつて来る。そういうところを明確にしないと、これは民間だけのものじやなくて、マイクロウエーブの問題についての一貫した行政部門と業務運営と技術の統一というところに具体的な支障が出て参りますから、そういう点について法解釈を明らかにしてほしい、こういうのでありますから、そういう点も、提出される資料の中には明確にひとつ御意見を統一しておいていただきたい、これは私の希望であります。  それからこれは電電公社の総裁にお伺いいたしたいのでございますが、四班にわかれた調査報告の中にも、電電公社の建設計画に基く建設の進捗状況については、結果がいい調査報告がなされております。これは喜ぶべきことと思いますが、マイクロウエーブについての現在の電電公社の建設進捗状況、この点が第一点。それから第二点といたしましては、公社業務運営の場合に、現在の法律に基いてマイクロウエーブの運営をする場合、それと伴う技術との関連についての見解があるならば、これを明らかにしていただきたい。この二つの問題を御報告願いたいのでありますが、ただその場合に御注意申し上げておきたいのは、その公社の現在やつておる進捗状況業務運営と技術の点だけの説明にしていただきたい。ただいまわれわれが議論して参りましたのは、正力さんの提案に基きますマイクロウエーブの問題でありますから、公社側はこれに対する御意見、この問題に対する直接の発言等は必要ないものと私は考えますので、公社側がただいま建設しております進捗状況の説明を願えば、われわれの方では、たとえば公社の進捗状況に信頼することができるとかできないとか、いろいろな参考になると思いますので、そういう一点についての御説明をお願いしたいと思います。
  43. 梶井剛

    ○梶井説明員 公社が五箇年計画において計画し、また実施しておりますマイクロウエーヴは、第一には札幌から福岡までの四千メガサイクルによるマイクロウエーブであります。これは現在東京・大阪間はすでに開通しておりまして、ワン・ルートは電話回線に使い、ワン・ルートはNHKテレビジヨン中継に使つております。さらにこの東京・大阪間は七ルートまでふやし得るのでありまして、必要に応じてあとの分を附加して行くという計画でおります。また大阪・福岡間につきましては、すでに機械を発注してあり、この年末ぐらいにはこの機械類が到着すると考えております。従つてその建設に必要でありますところの局舎等についてはすでに着工しておるのでありまして、二十九年度工事としてすでに進捗しておるのでありますが、その開通は三十年度にまたがるものと考えております。また東京から札幌に対しましては、これは三十年度計画としてすでに実地の踏査も済んでおり、目下工事着手にかかつております。冬季間は北の方は温度の関係上、建築工事がなかなか困難でありますから、一応東京・仙台間の局舎の建築をまずやり、そうして来年度におきまして札幌の方へ局舎の増設をして行く。そして三十年度工事としてこれを実行するのでありますが、今回英国から買いました機械の特徴を十分研究いたしまして、そして東京から札幌までの分は国産で実行するつもりであります。改良を加えてやつて行きたいという考えでありますので、三十年度工事でありますが、一部分は三十一年度にまたがるかもしれないという感じを持つております。
  44. 松井政吉

    松井(政)委員 大体けつこうでございます。なお公社側にお願いしておぎますが、われわれ今後も本問題と関連をする電波行政全般の問題、それから公衆電気通信全般の問題について、閉会中といえども調査を続けたいと思いますので、資料等の要求をすることがあるかもしれませんが、その場合はわれわれの要求に応じて、建設上、技術上、運用上の資料を提出していただきたいと思います。  それから塚田郵政大臣に資料提出のことでもう一つ御注意を忘れましたが、これは新聞に出ているのでありますから、どうにもしようがないのであります。先ほどから私がついております、別のケースならば省令で行けるような説明を大臣がなさるものですから、正力さんの方もそう解釈したのではないかと思いますけれども、省令でできないことはないはずだ、郵政大臣だつて省令でできると言つているじやないかという意味のことが新聞に発表になつておる。これはやはり大きな問題で、電波法並びに郵政省令、公衆電気通信法の関連になつて生れて来る。これが新聞に堂々と出ているのでありますから、この点についての見解をお伺いするとともに、この点について法解釈の資料等を出す場合に、御注意をしていただかなければならぬと考えているわけであります。これは非常に重要な箇所でありますから、今日答弁ができるならばしていただきたい。意見をまとめて資料で答弁なさるのなら、そのときでもけつこうであります。
  45. 塚田十一郎

    ○塚田国務大臣 これは私の表現をどうしてそのように正力さんが受取られたのか存じませんが、私はそういうふうに言つた覚えはありません。そしてまた私は問題をそういうふうに考えておらぬのでありまして、私のできるという考え方は、当委員会に申し上げておるように、何らかの形ならば考えられるものがあるかもしれないということで、私は省令にどんなことが書いてあるのかよく承知しないのでありますが、私の考え方ではもしできるとするならば、それは省令を何もいじらなくとも、また新しくつくらなくとも、要するに今の法の建前にこれが違背しないかという判断によるのであるから、具体的な事案に対しての判断でできると思つております。省令に関係があるとは別に思つておりません。従つて私はそういう表現はおそらくしておらないだろうと自分でも考えております。
  46. 松井政吉

    松井(政)委員 この際これはマイクロウエーブと全然関係がございませんが、われわれ放送法改正委員会を持つて研究を続けていますが、ちようど長谷さんがおいでになりますから、お伺いします。第十九国会開会中の委員会において、放送法改正に対する調査会があなたの方にできているはずでありますが、それによる研究、それから調査状況、そういう点をこの際お聞かせ願えれば非常にけつこうだと思います。結論が出た分があるならば、その結論も御報告願いたい。結論も何も出ていないでまだヒヤリング程度ならば、その程度でけつこうでありますがお聞かせを願いたい。
  47. 長谷慎一

    ○長谷説明員 お答え申し上げます。ただいまお話にありましたように、この放送法の全般的な調査をする目的で、郵政省の中に放送関係法令調査委員会というものが設けられまして、かねて御報告申し上げましたように、鋭意放送法並びに電波法その他の法令にわたつて調査を進める一方、内外の資料等もつぶさに調査し、必要に応じていろいろ各方面の方の御意見も伺つて来ておるわけであります。ただいまのところではまだ結論を得たところまで行つておりませんで、論点の整理及び利害関係のある方面、その他有識者の方々の御意見を伺いまして、それをまとめております。なおこの間におきまして相当深く検討すべき問題がたくさんございますので、内部的な話でございますが、分科会にわけまして非常にこまかく問題を検討し、それぞれの分科会におきましては斯界の適当な方々の御意見もいただきまして、分科会の報告書というものはまとまつております。しかしまだ分科会の報告書におきましても結論というようなことでなしに、こういう問題がある、あるいはこういう点についての方針を十分検討すべきだ、こういうようないわゆる結論と申し上げますよりは、論点を深くつつ込んだ程度報告書でございますので、まだお目にかけるところまでは行つていない状態でございますが、実はほとんど毎週のように委員会等もやつて、準備は進めておる状態でございます。
  48. 齋藤憲三

    齋藤委員 本日問題になりましたマイクロウエーブの問題は、私もただいま伺つたので、まだそういう問題が残つておるとすれば、これはやはり電波行政、通信行政というものの確立をこの際急いだ方がいい、このように考えるのであります。あらためて私も勉強して御質問申し上げようと思うのですが、その準備として、はなはだ幼稚な質問でございますが、伺つておきたい二、三点がございます。  それは防衛庁と郵政省の間に、防衛庁が将来使うべき通信網というものに対して何らか法的な御考慮があるのであるか、防衛庁の使う通信は防衛庁独自の権限において将来やるのであるか、それとも一般の郵政省管轄における法令に準拠してこの通信電波をやるのであるか、それはどうなつておりますか。
  49. 長谷慎一

    ○長谷説明員 ただいまお手元に関係法令がございませんので、的確な条文等を引用してお答えができませんが、防衛庁設置法におきまして、防衛関係電波利用も郵政大臣の承認を得て電波の使用ができることになつております。言葉をかえますと、防衛関係を含めまして、電波管理の全般の仕事が郵政大臣下に統一されております。ただ防衛庁の設置法にもその点明らかになつておりますか、個々の防衛庁か使います無線機械の検査、監督と申しますか、そういうものについてはある程度防衛庁の長官の責任において行われることになつておりますが、その細目等は郵政省と協議の上できめることになつておる次第でございます。
  50. 齋藤憲三

    齋藤委員 関係法令はひとつ参考書類として御提出を願いたいと思います。  それから今問題になつております駐留軍使用の——よく知りませんが、駐留軍もマイクロウエーブを使つていると思うのでありますが、これは周波数はどの程度のものを使つておりますか。
  51. 長谷慎一

    ○長谷説明員 駐留軍の使用しております電波につきましては、行政協定の線に基きまして日本政府との協定に基いて電波を使うことになつております。従いまして、個々周波数について特に行政協定に基く合同委員会の中に、周波数分科委員会という特別委員会をつくりまして、個々検討を加えて、日本側として支障のないものには、駐留軍の使う周波数に同意を与えているような状態でありまして、大体現在マイクロウエーブ関係といたしましては、周波数の割合高い六千メガ、七千メガ及び二千メガ程度のところを使用しておりまして、現在電電公社がおもに使用されている四千メガ程度のところは、一、二の例外は別といたしまして、ほとんど使つておらない状態でございます。
  52. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうしますと、今正力さんが駐留軍関係のと思いますが、新たな周波数によつてマイクロウエーブを完成して、それによつてテレビをやろうというのは、やはり六千メガ、七千メガをねらつてつているということに考えてよろしいのですか。
  53. 長谷慎一

    ○長谷説明員 先ほど大臣からもお話がございましたように、今いろいろ巷間伝えられておりますマイクロウエーブの計画につきましては、はつきりした計画が私どもの方にも提出もされておりませんので、はたしてどの辺の周波数をもつて計画をされるのか、承知いたしておりません。ただ約一年か二年前にいろいろその当時の構想として伝えられましたのでは、ただいま電電公社の方で実施せられておりますマイクロウエーブの方式とは大分違いまして、いわゆる通信回線数もあまり多くないPM方式のものでございまして、それは大体二千メガ及び六千メガ範囲のところを使つてやろう、こういう計画でございましたが、現在そういう計画を依然として持つておられるのかどうか、詳細は存じておらないのでございます。
  54. 齋藤憲三

    齋藤委員 こういうことを御質問申し上げるのは、科学技術の進歩によつて電波通信というものを全部最高の科学技術に統制される傾向にあると私は考える、それでお伺いするのでございますが、結局私の聞くところによりますと、マイクロウエーブはだんだん周波数の高いところをねらつて行くのが性能がよろしい。ですから二千メガよりも六千メガ、七千メガ、そういうようにねらうのがいいと思いますが、そういう構想じやないかと考えられるのであります。そうしますと、たとえて申しますれば今電電公社が四千メガを使つている、これは仮定でございますが、もう一つ六千メガのマイクロウエーブも完成するということになりますと、ここに眼前に見えますところの鉄塔三本、ああいうような一本の鉄塔で四千メガもやり六千メガもやるということは技術的にできるのでありますか、できないのでありますか。四千メガを今やつている、それと同じ鉄塔を使用して六千メガの発信ができるかできないか。
  55. 長谷慎一

    ○長谷説明員 お答え申し上げます。二千メガと四千メガとはいろいろな点で事実上差異がございますので、ある特定の場合には空中線等も共用できることもあるかと思いますが、一般的には共用できないものではないかと思つております。
  56. 齋藤憲三

    齋藤委員 そうしますと周波数、たとえば四千メガと六千メガという違つた周波数でもつてマイクロウエーブを二通りやるということになりますと、同じような二つの設備を持つて行くということになるので、その点も非常に考えられる点だと思うのでありますが、もう一つ伺いたいのは、今日テレビは六メガで許可されている。その六メガを四千メガのマイクロウエーブに乗せるのと、六千メガ、七千メガのマイクロウエーブに乗せるのと、結果は同じなのでありますか、違うのでありますか。
  57. 長谷慎一

    ○長谷説明員 お答え申し上げます。結果的にはほとんど差異がないと申し上げてよろしいと思います。ただ同じ伝送と申しますか、送るべき周波数体系を持つたものを周波数のいわゆる高い搬送で送つた方が、より低い搬送波を使つて送る場合よりは、技術的に容易になると考えてよろしいと思いますけれども、四千メガと六千メガの程度では、その問題は起つては来ないと申し上げてよろしいのではないかと思います。
  58. 成田知巳

    成田委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は十一日午前十時の予定でございますが、追つて公報をもつて正式に通知いたします。     午後一時十七分散会