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1954-03-11 第19回国会 衆議院 通商産業委員会木材利用に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十一日(木曜日)     午前十一時二十六分開議  出席小委員    小委員長 中崎  敏君       小平 久雄君    首藤 新八君       中村 幸八君    笹本 一雄君       山手 滿男君    永井勝次郎君  出席政府委員         通商産業事務官         (軽工業局長) 中村辰五郎君  小委員外出席者         議     員 田中 龍夫君         農 林 技 官         (林野庁林政部         林産課長)   田中 重五君         通商産業事務官         (軽工業局建材         課長)     前島 敏夫君         参  考  人         (森林資源総合         対策協議会常務         理事)     田中 申一君         専  門  員 谷崎  明君     ————————————— 本日の会議に付した事件  木材利用合理化対策に関する件     —————————————
  2. 中崎敏

    中崎委員長 これより会議を開きます。  まずこの際お諮りいたしますが、本小委員会定例日は一応木曜日の午後一時としていたのでありますが、これは本会議の時間と一致するところから、これを午前十時に変更したいと存じます。御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中崎敏

    中崎委員長 それではそのように決定いたします。  なお来週は定例日以外に、火曜日の午前十時より小委員会を開会したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中崎敏

    中崎委員長 それではそのように決定いたします。  本日は木材利用合理化に関する件について森林資源総合対策協議会常務理事田中申一君より、参考人として御意見を承りたいと思います。田中申一君。
  5. 田中重五

    田中参考人 森林資源総合対策協議会といたしまして、木材利用合理化問題をどういうふうに進めておるか、また今後どういうふうにこれを進めなければならないかということにつきまして、御説明申し上げます。  御承知のように、昭和二十八年におきます木材伐採母とその成長量を見ましても、逐年これが過伐になるという傾向を進めつつあるわけでありまして、数字をもつて申し上げますれば、たとえば用材関係におきましては伐採量丸太に換算いたしまして、一億二千万石というものに対しまして、成長量はわずかに七千万石、また薪炭林におきましては伐採量一億五十万石というものに対しまして、成長量はわずかに六千万石という数字なつております。一方は丸太でございますし、一方は立木でございますが、これを加えてみますと、木材総量におきまして伐採量二億七千万石というものに対して、成長量はわずかに一億三十万石ということになりまして、倍以上の過伐が年々行われておるという状況でございます。これに対しましてはもちろん森林生産増強という面を強力に推進し、また外材輸入ということもやつて行かなければなりませんけれどもこれだけではとうていこのアンバランスを補うわけには参りませんので、どうしてもここで消費面におきますところの合理化というものを進めて行かなくてはならないというふうに私たち考えております。もともとわが国におきましては、木材使用が非常に粗放的に行われておりまして、これに対してほとんど改善の余地がないという状態で現在に来ておるわけでありますが、われわれといたしましては、この合理化につきまして相当大きな期待をかけておるわけでございます。  お手元に配付いたしました木材利用合理化推進対策一覧表というのをごらんいただきたいと思いますが、現在私たちが特にこの合理化方策の中で効果があると思う問題を取上げて表にいたしましたのがこれでございます。  まずまくら木につきましては、われわれは現在使われておりますまくら木の約三分の一、本数にいたしまして二百五十万本というものをば、PSコンクリートに切りかえたいと思つております。もしもこれが切りかえられますならば、ここにございますように、約百万石の木材節約できると考えております。なお、この目的を速成いたしますためには、右に措置という欄がございますが、ここに書いてございますように、主として使います主体が国鉄でございますので、これに対して、これを促進するための予算措置をとつていただく必要があるのではないか。申すまでもなく、これは耐用年数につきましては非常に長いわけでございますけれども、やはりイニシアルコストが高いので、若干予算面に問題があるとわれわれは考えております。なおこれのコストを引下げるためには、量産をしなければならないと思うわけでございますが、そのためには、現在のようにまちまちな会社がまちまちの規格でもつてまくら木を使つておるということが、その目的が非常に阻害される原因なつておりますので、ここでまくら木規格をきめるということも必要であろうし、また今後増産をいたしますための工場設備資金に関しましては、特別な措置が必要ではなかろうか。たとえば開発銀行等融資というようなものも考えなければならないじやないかと考えております。  その次の、電柱でございますが、これもやはり目標といたしましては、現在立てられつつあります電柱の三分の二本数にいたしまして四十万本程度のものは、コンクリート・ポールなり鉄柱に切りかえ得るのではないかと考えております。これによりまして、六十万石程度木材節約になるであろう。これもやはり措置といたしましては、まくら木と同様でありまして、電電公社国鉄電力会社というような大きな需用者が使えるようにするために、若干の行政措置が必要である。この行政措置と申しますのは、やはり予算関係すると思いますが、少くともこういう目的でもつて極力木柱を使わないという考え方をこれら大手筋に認識してもらうことが必要であろう。また規格の統一はまくら木と同様でございます。また工場設備資金につきましても、やはり若干めんどうを見るということが、国としても必要ではなかろうかと思います。  その次は坑木でございます。坑木は戦後におきますいわゆる炭鉱合理化というものの一環といたしまして、鉄柱カツペ鋼枠の問題が相当いわれて参りました。これを使いますことによりまして、人件費節約し、出炭能率を上げる、従つて経費が節減できるという一連の合理化施策がはつきりしておるわけでございますが、これにつきましてもなかなかイニシャル・コストが高いという意味で、あまりまだ活発には進んでおりません。私たちといたしましては、まず目標といたしまして、坑道につきましては五十万メートル、切羽につきましては、これはカツペ関係になりますが、四万メートルというものを目標として、これを軟化するという考えを持つております。もしもこれが達成できますれば、坑木だけでもつて約四百万石という節約ができるとわれわれは考えておるわけであります。これに対しましても、やはりイニシアルコストが高いという意味から、若干この鉱化資金低利融資というものをば炭鉱に対して考えてやるということが、非常にこれが促進策になるのではあるまいかと考えております。  その次はくい丸太でございます。これもやはり現在使われております三分の一というものの切りかえを目標といたしまし五十万石、これは最近使われ出しておりますコンクリートパイルにくい丸太を置きかえるという構想でございまして、これにつきまして、やはりコンクリートパイルをつくります工場等について、若干の資金の手当というようなもののめんどうを見てやるということが必要であろうと思われるわけであります。  それから、その次の橋梁でございますが、橋梁につきましては、先般の風水害等のときにもいろいろ問題になりましたが、やはり現在のこわれやすい、ことに洪水におきまして非常に被害がふえます木橋を、極力コンクリートないしは鉄橋というようなものにかえるということが必要であるということは相田いわれて来つつあるわけでございますが、やはりこれにつきましては公共事業費その他の関係がありまして、なかなかそういう耐久橋梁をつくりますための資金が出ないということで、やむを得ずまた木橋をつくつて行くというような状況であります。これにつきましてはぜひとも財政措置が必要ではなかろうかというふうにわれわれは思うわけであります。この点だけ解決いたしますれば、この橋梁問題は相当耐久橋梁にかえ得るとわれわれは思つておるわけであります。これにおきましても、やはり現在新しくかけられます橋梁の約三分の一というものをば、こういう橋梁に切りかえるということで四十万石という節約目標をわれわれは考えておるわけであります。  その次にはコンクリートの仮わくでございます。次の足場丸太も同様でありますが、これはいわゆる建築におきます仮設材料でございます。耐久建築をつくります場合の補助材料でありますが、これにつきましては、現在使われております仮わくは、これはもちろん木でございますが、非常にこわれやすい。またそれをわくにいたしまして打ちました建物のあとの仕上が非常に見にくいというような、いろいろな点がございまして、これをぜひ鋼製パネル、いわゆる鉄板でありますが、鉄板にかえたいという構想であります。これはアメリカその他でも相当普及しておるようでありまして、現在私たちといたしましても、木材問題はもちろんのこと、今後の鉄鋼需給関係その他から見まして、ぜひこれはパネルに切りかえていただきたいと思つております。私たちの現在の構想といたしましてはパネル自体はやはり木わくと比べますと、使用度におきましては問題にならないほど何回も使えるわけでありますけれども、やはりイニシアルコストが高い、従つて土建業者がこれを使うのに躊躇しておるという状況でありまして、何とかこのパネルを貸す会社をつくりまして、その会社からこれを土建業者の方に貸しまして、それを使わせる。これは建物が建ちますればいらなくなりますので、これを回収して、また次の建築工事現場に持つて行くという形でこれを運営して行くならば、賃貸料というものによつて木製木わくを買いますよりもさらに安い価格でもつて使えるということになるのであります。そういうふうな貸与会社をつくりたいというふうに考えております。これはその次の足場丸太も同様な構想でございまして、これもやはり板をパイプにいたしますいわゆる鉄鋼管によりまして、足場丸太をやはり鉄化して行くというふうな構想であります。いずれも同様な構想でございますが、これにつきましては、やはり貸与会社をつくるという場合に、若干の金を国としてめんどうをみるということが必要ではなかろうかというふうに思つております。この二つ仮設材料によりまして私たちといたしましては、ここにございますように、二百万石と百五十万石、合計いたしまして三百五十万石の木材節約することができるというふうに考えております。  それから、その次は木造建築関係でございます。現在耐火建築促進法というような法律もございまして、一部の附火指定区域等に対しましては、強制的に耐火建築を建てるという形に若干進んでおりますが、まだ私たちからいいますれば、非常になまぬるい形でございまして、これを相当強力に進めるということが必要であろう、こういうふうに思うのであります。数字で申しますと、現在約百万坪というものが耐火建築として毎年建つておるわけでございますが、これを少くとも四倍の四百万坪程度に広めたい。そのためには現在の耐火建築促進法拡大強化をし、内容といたしましては、現在の一億程度補助金を四億程度にふやしていただきたい。または補助金が出なけれれば何らかの形の融資ということで、これを進めるというような国としての措置が必要であろうと思います。また一方官公庁でありますとか、公共企業体でありますとか、住宅金融公庫、いやしくも国の息のかかつた建築につきましては、積極的にこれを不燃化するという気構えをひとつ持つていただくということが必要であろうかと思うのであります。申すまでもなく、この木造耐火建築にかえるということは、木材節約のみならず、火災防止という面におきましても非常に大きな効果がございますし、また燃料節約という面から行きましても、非常に大きな効果があるわけでありますので、ぜひそういう総合的な節約目標に向いまして推進して参りたい。われわれはこういうふうに思つております。  それから、その次の下見板木ずり関係でありますが、下見板と申しますのは一般の住宅の外側に木の板を若干重ねまして、ずつと張つてあるあの板でございます。木ずりと申しますのは、壁を塗ります前に、中に細い木をずつと張りまして、その上にしつくいその他を塗るあの木のことでございます。これにつきましても、実はばかにならない数学でございまして、ここに三百五十万石と書いてございますのは、実は上の三千六百万石という木造建築の中に入つております内数というわけでございますが、現在この程度下見板木ずりにこれが使われているだろう、こういうふうに解釈しておりますが、もしもここにございますように、石綿スレートメタルラスというようなものに切りかえることができますならば、全部はもちろんむづかしいと思いますけれども、五分の一切りかえ得たといたしましても七十万石という数字節約になるわけでございます。相当これも問題として取上げるべきだと思いますが、これを推進いたします方法といたしましては、私たち考えとしては、現在ございます建築基準法というものに、ある程度これを使わなければならない、一定の建築については、石綿スレートメタルラスというようなものを使なければならないというような規定を入れるということが一番効果的じやなかろうか、こういうふうに思つております。  それから、次の木製家具の問題でありますが、木製家具につきましては、ここにございますように、五百万石の木材を消費しておりますが、少くともわれわれは、これを半分程度鋼製家具に切りかえたいというふうに思つております。現在木製家具鋼製家具を比較いたしますと、鋼製家具の方が約五割くらい値段が高いということになつておりますが、もしもこれを本格的に推進するということにいたしますと、やはり方法といたしましは、まず現在二割の物品税がかかつておりますが、これを免除していただくということと、それから残りの三〇%につきましては、鋼製家具の製作に関する合理化の問題と、もう一つ鉄鋼メーカーからある程度の安い価格でもつて、こちらにその板を流してもらうというようなことで、五割の価格差というものを詰め得るというふうに実は考えております。鉄鋼メーカーの方も、これに対しては相当積極的に同調しておるようでございますので、物品税の免除というものの目鼻がつきますれば、これは今申し上げましたような目標で実行できるんじやないかというふうに思つております。これも耐火建築と同様、鋼製に切りかえるということによりまして、盗難予防その他という附帯的な利益が相当あるわけであります。そういう意味からも、私たちはこの問題を推進いたしたいというふうに思つております。  その次は、若干方向がかわりますが、パルプの問題でございます。パルプ原木は、年々化繊関係輸出増加内需増加、また紙の生産増というようなことからふえて参りまして、ここにございますように、現在二千三百万石程度を使つておるわけであります。これに対しまして、私たちといたしましてはここにございます二つ方法考えております。一つはセミ・ケミカル・パルプと書いてございますが、要するに広葉樹を利用することでございます。御承知のようにわが国森林の蓄積の半分は針葉樹であり、半分は広葉樹であるのでございますが、その使用率から見ますと、約九割近くが針葉樹でありまして、広葉樹はわずか一割そこそこしか使われておらないという状況であります。木材をほかの方に切りかえるということは、もちろんこれは基本でございますけれども、木材の中の転換ということを考えますならば、今申し上げましたように、非常に逼迫しております針葉樹というものから、若干供給が緩和されておるところの闊葉樹に切りかえるということが一つ目標になるわけであります。そういう意味から、極力今後のパルプの原料は針葉樹から広葉樹に切りかえるということにする。これはいろいろ問題があるわけでございますけれども、一番大きな問題は繊維の、長さが短かい。そのために紙にした場合にいろいろな問題があるわけでありますが、最近アメリカにおきましても広葉樹パルプ相当大きく転換をしつつある情勢であります。わが国といたしましても、昨年以来相当この問題を取上げまして、もうすでに企業化されておる会社もあり、現在十数社というものが広葉樹をねらつて切りかえつつあるというような状況でございます。なお広葉樹一つの利点といたしまして、今申し上げました原木需給の問題とは別にいたしまして、歩どまりが非常にいいという点でありまして、この点からコストの低下ということも考えられるわけであります。そこでこれに対します措置といたしましては、ここにございます設備資金特別措置として、広葉樹原木というものを確保するということであります。特に広葉樹奥地林にございまして、言いかえますれば、国有林相当あるということでございます。これはひとつそちらの方の資源関係官庁の御協力を願いたいというふうに思つておるわけであります。われわれといたしましては、現在約百五十万石程度すでにパルプ広葉樹を使つておりますが、これをさらに三百万石程度にふやして行きたいというふうに思つております、これによりまして、それだけの量の針葉樹が減るということになるわけであります。  その次は故紙回収の問題であります。現在国情は違いますと申しましても、欧州におきましては三〇%、アメリカにおきまして四〇%これは紙の生産量に対してでありますが、その程度故紙回収されまして、また紙になつておるわけであります。これに対してわが国におきましては二〇%程度回収率しかないわけであります。そういう意味から、まだまだ故紙回収強化いたしまして、これによつてそれに相当するパルプ、すなわち木材節約しようということであります。これに対しましては故紙業者に対する若干の金融措置めんどうを見てやる。たとえば故紙業者は現在倉庫を持つておらないということで、集荷に非常に不便を来しておるわけであります。また運転資金その他につきましてもいろいろ問題があるわけであります。これにつきましては、はたして国家でやつていただく措置になりますか、またこれは民間だけでやる措置になるかわりませんけれども、少くとも一つ措置といたしましては、金融措置が必要であるというふうに考えます。また使用強化に対する行政措置がまず必要であろうと思います。若干具体的な例を申しますと、現在専売公社が使つておられますタバコの紙にいたしましても、国鉄乗車券用紙にいたしましても、また一般官庁用紙にいたしましても、まだまだこれをいわゆるパルプから故紙にかえ得る、言いかえまればもつと故紙配合率を多くするという措置をやつていただけるのじやないかというふうに思つております。われわれの目標といたしましては、ここにございますように、この強化によりまして二百五十万石程度節約は、できるというふうに思つております。  それから、その次が包装木箱の問題であります。この包装木箱に使われます木材、これは現在二十万石程度数字なつておりますが、われわれといたしましてはこの半分程度ダンボール箱にかえたいというふうに思つております。ダンボール箱はもちろんこれは紙でつくりますので、若干の木材は使いますけれども、数字にいたしまして同一の容積の木箱に使います木材の十三分の一で足りるということになつておりますので、もしも現在の木箱の半分がダンボールにかわるということになりますれば、相当大きな数字、すなわち一千万石程度節約になるというふうにわれわれは考えおります。この運動はここ数年来われわれがやつて来たところでございまして、御承知のように、相当最近はダンボールが伸びてきておりますが、まだまだこの伸張を阻害している原因がいろいろあるわけでございまして、たとえば、ここに書いてありますように、輸送荷役設備改善、すなわち、やはりダンボール紙箱でありますので、この取扱いにそぐうような設備をば国鉄その他でやつてもらうということが必要であります。たとえば上屋のないところには上屋をつくつてもらう、またある程度機械設備荷形関係に取入れるというようなことは必要であると思いますが、ここには書いてございませんけれども、これと関連いたしまして、国鉄荷扱いの問題があるわけであります。と申しますのは、現在の国鉄荷扱いは、木箱につきましては一般にいわゆる保証付と申しますか、輸送中、もしもこわれましたときには損害賠償請求ができるということになつておるわけでありますが、ダンボールにつきましては、これは不良包装ということになつておりまして、損害賠償請求ができないということに現在なつておるわけであります。これは一つは終戦直後におきますダンボールが非常に質が悪かつたものが出ておりましたときの遺物だと思いますが、現在のように非常に品質のいいダンボールが出て来たという状況におきましては、ぜひこの不公平な荷扱いの取扱い方をやめてもらいたいというふうにわれわれは考えております。  なおその次に、ここにございます官公庁包袋物に対する強制使用の問題でございますが、これは実は私どもといたしましても、ぜひやつていただきたい問題であります。現在ダンボール相当切りかえておられるのはむしろ民間がおもでありまして、あまり官庁関係の大きなところ、たとえば専売公社電電公社その辺の方面においてはあまり積極的に使われておらぬように私は考えております。そういう官公庁が率先してひとつこの包装の切りかえをやつていただくようにしていただきたいというふうに思うわけであります。  その次は廃材利用の問題であります。日本の製材業におきます廃材というものは実にばかにならないものでございまして、普通の建築用材におきましても、四〇%程度しかとまりませんし、家具等につきましては三割五分、物によりましては三割程度歩どまりしかない。従つて半分以上の木材廃材なつて、すなわちのこぎりくずかんなくずというようなものになつて捨てられ、あるいは燃料その他に使われておるという状況でございます。また林地廃材と申しまして、林地におきます廃材もそのまま捨てられておるという状況であります。もちろんこれを全部利用するということは、一方におきます燃料問題、また林地におきます肥料その他の問題もありまして、できないといたしましても、その大部分はこれを利用するという必要があるというふうに私たち考えております。  そこで私たちといたしましては、これを利用して硬質繊維板というものをつくり、大いに推進して行きたいと思つております。硬質繊維板と申しますのは、これは廃材をさらに小さくいたしまして、これを接着剤その他で固めたものでありますが、これによつて車両造船関係木材の代替はもちろんのこと、家具におきましてもこれによつて優に代替し得るというふうに私たちは思つておるわけであります。これは木材利用という点から行きましても非常に大きな問題であると思うのであります。たといこれが廃材を利用しないで、原木使つたといたしましても今申しました三割ないし三割五分しかとまらない木材が、これによりますと九〇%以上とまるということにもなりますので、いずれにいたしましても、この繊維板工業というものは、われわれといたしましてはぜひ今後は真剣に進めて行かなければならぬ問題だと思います。ここにおきましてはあまり大きな野心的な数学を出すということはいたしませんで、一応十三万坪程度ということにしておりますが、これに対する措置におきましても、ここにございますようにやはります官公庁関係建築を中心にして、強制的にこれを使用するというような措置をとつていただきたいというふうに思うのであります。  以上申し上げました点だけの数字を拾つてみましても、節減目標は用材におきましても約三千六百万石程度になるわけであります。相当大きな数字になるわけであります。現在一億二千万石という数年を申し上げましたが、それからいたしましても約三分の一がこれによつて節約できるということになるわけであります。  それから、その次は燃料関係でございます。燃料関係は、これはすべて家庭燃料の問題でございますが、まず第一にガスの問題がございます。現在ガスは約十二億立方メートルという生産量なつておりますが、これを現在より十一億立米ふやすということにいたしますと、ここに二千万石という大きな薪炭が浮いて来るということになるわけであります。なおこの計画は先般資源調査会の勧告書にあります五箇年計画の数字をとつたわけでありまして、これに対しましては設備資金に関する特別な措置が当然必要になつて来ると思われます。  それから、その次の煉豆炭であります。煉豆炭は現在は百万トン程度の生産があるわけでありますが、これを約五割増の百五十万トンというところまで引上げることによりまして、百六十万トン程度の木炭用の木材節約になるという数字になるわけであります。これに対しましては、ホンゲイ、三陟というような輸入炭もなかなか確保できないと思いますけれども、国内炭でもいいわけでありますが、やはり原料炭の確保ということが必要であろうというふうに思います。  それから、その次が亜炭乾溜の問題でございます。亜炭につきましては埋蔵量は二十億トンというふうに言われておるわけでございますが、今までこれはどこまでも石炭の補助燃料といたしまして、炭価が高いとき、石炭の需給が逼迫したときに、思い出したようにこれが掘り出され、そして市場に流れておるというようなことでありました。一旦炭価が下り、また石炭の需用が緩和するということになりますと、その山は休まなくてはならないという状況で、大規模な経営はもちろんのこと、これに対して安定した投資というものがなかなかできないという状態で、ほつたらかしになつておるわけであります。私たちといたしましては、この一つの大きな国内資源に目をつけまして、何とかこの資源を活用することによつて、一方の木材資源を節約しようという言にいろいろ考えておるわけでございますが、現在考えて推進しておりますのは、この亜炭をば簡単な乾溜をいたしまして、そしてこれを木炭代用にする。そうすることによりまして、木炭用の木材節約するという方法で進んでおります。これにつきましては、いろいろ技術のもんだいもありますが、カロリーの点、それから手がよこれないという点等につきましても、むしろ亜炭でできました木炭代用品の方が優秀であるということも現在立証されております。また価格におきましても、現在の木炭価格に対して、四割くらい安い値段でこれができるという結論になつておりますので、ぜひこれを大きく進めたいと思いますが、何といたしましても、現在は非常に小さい企業でやつておりますので、資金関係が非常に苦しい状態であります。何とかこれを大きく取上げるという意味において、資金的な援助というものが、国としても必要ではなかろうかというふうに思つております。なお私たち目標といたしましては、現在木炭は、トン換算二百万トン程度のものが使われておりますが、これの一割、約二十万トン程度を亜炭で切りかえて行きたいというふうに思つております。そうしますれば、これによります四百万石程度木材節約できるというふうに考えております。  それから最後はいろり、かまどの改善でございます。これまた前のガスと同様に、先般の資源調査会の勧告の中にもあるものでございまして、現在農村におきますところの旧式のかまど、通称くどと言われております、あのかまどの熱効率は一七ないし一八%と言われておりますが、大部分の熱というものが空気中に全部逃げておる、非常に熱効率の低い燃焼器具であるわけであります。何とかこれをば熱効率のいい改良かまどに改善する。改良かまどの種類につきましては、いろいろ出ておりますが、これらは、これは地方地方によりましても、好みによりまして、いろいろなかまども必要と思いますけれども、いずれにいたしましても、少くとも二五%程度の熱効率のあるかまどに逐次切りかえて行くというふうにいたしたいと思つております。これにつきましては、一基つくりますのに、材料費だけでも七千円程度でできるわけであります。何とかわれわれといたしましても、農村対策の一環といたしまして、利子補給その他の方法も、ちよつとこれに水を向けてやるという程度のわずかな措置相当大きく転換できるのではないか。これは非常に全国的な問題でございますので、若干の予算措置、またある種皮の啓蒙宣伝というものをあわせ行いますならば、相当大きな期待ができるというふうに私たちは思つております。資源調査会の勧告の数字によりましても、優に三千万石以上の節約がこれでできるであろうという数字なつております。  以上申し上げましたところが一応私たちのおもな推進目標になるわけでございますが、数字はここにございますように、今申しました新炭材におきまして五千六百六十万石、従いまして用材と合せまして九千二百五十三万石というものがここで節約できるという一応の結論を持つておるわけでございます。なお註にございますように、このほかに単水性パルプ、いわゆる竹、わら等からパルプをつくりまして、それで木材節約するという方法でありますとか、それから単板木箱に普通の木箱を置きかえる、またのこぎりくずを利用してこれを固めて、まきのかわりにするとか、またパルプ廃液からアルコールをつくる、これは高度利用の問題であります。またのこぎりの刃を薄くいたしまして、おがくずを少くするという、いわゆる薄のこの使用を奨励するとか、製造技術を向上するとか、いろいろな問題があるわけでございます。今申しましたのが私たちのおもな対策というふうに御了解願いたいと思います。  なおもう一つの表に、しからば現在一体これらの合理化方策というものによつて、どの程度木材節約されつつあるかという実績を書いておきましたので、ごらん願いたいと思いますがただ御注意願いたいことは、今申しましたこり各項目は、現在私たちがやつております重点施策でございまして、もう一つの進捗状況、いわゆる実績の方は現在やられております実績そのままをとつたわけでございまして、若干重点的にやつてないものも数字に出ております。たとえば草本性パルプ廃材パルプというものが一方の方には入つておらないわけでございます。若干そこら辺の入れ違いがございます。それからもう一つは、実績の方の燃料の下に代燃車切りかえというところがございまして、これに相当大きな数字が載つております。二千二百万石というものが算出された数字なつております。これは御承知のように終戦直後におきます例の代燃車をガソリン車に切りかえたことによります木材節約量でございまして、現在のこの数字は全部集めてこちらに載つておりますのでその点、合計の数字を御比較願いますときに御調整を願いたい。要するに二十八年度におきまして、二十八年度見込みでございますが、われわれの計算、これは非常に推測が入つておる計算でございますが、代燃車切りかえ二千二百万石を入れまして約五千百万石というものが用材、薪炭全部で切りかえられておるという数字なつております。これを代燃車を引きますと約三千万石足らず、二十七年におきまして約二千二、三百万石というものが現在まで節約なつておるだろうというふうに考えておるのでございます。以上であります。
  6. 中崎敏

    中崎委員長 以上で参考人よりの意見開陳を終りました。次いで質疑に入ります。
  7. 永井勝次郎

    ○永井委員 本日はいろいろ貴重な資料に基づいて御説明をいただきまして、お礼を出し上げるわけであります。二、三お尋ねをいたしたいと思います。ただいま日本における森林資源が不足だ、消費がどんどん大きくなつて行く、そういうアンバランスの上に立つて、これを調整して行くには代替物をこれに置きかえなければいけないというお説はごもつともだと思います。ここの案にもありますように、これを代替えして行く方法としては、いろいろな国の財政投資が必要だということになるわけですが、これは根本的にいえば、現在の日本における木材価格が諸物価、他のいろいろなものに比べて価格が安過ぎるのじやないか、木材価格が安過ぎるために、たとえば鉄の代替にも木材が使われる、石炭の代替に薪炭が使われるというふうに、木材が手近なところにあるために、それがいろいろなものに利用されて行く。そのために需要が一層大きくなつて来るのではないか、こういうふうに考えるのであります。その意味からいつて木材の代替のものを、たとえば橋なら橋をコンクリートにして行く。電柱コンクリートにする。これは木材価格が高くなれば、コンクリート使つた方が安いということになれば、当然そういうふうな方向に向いて行くだろう、こう思うのであります。そこで価格の問題についてどういうふうにお考えなつておりますか。これが一点であります。林業も一つの企業でありますから、企業である以上は、木を植えて成長して、そうして採算のとれるものでなければならない。ところが現存は全然採算がとれない状態なんです。従つて造林の苗木をつくるにも、造林も全部補助をして、そうしてできた製品は時価に合わないような価格で出しておる。企業として成り立つておらない、林業として健全な姿じやない。こういうようなことでは、いかに口で造林を促進しなければいけないと、その重要性を説いても、経済的に不可能な条件に置かれているのであります。そういう意味において私は、日本は国有林が非常に多い、こういうような立場で、国の払下げ価格というものが日本の木材価格を左右する大きな役割を持つておるのではないか、こう思うのでありまして、林業を企業として成り立てることが必要ではないか、その上における木材価格というものを、どういうふうにお考えになるか、それから木材価格を左右するような大きな役割をしておる国有林の払下げ価格というものをどういうふうにお考えになるか、こういうことをひとつお伺いしたい。  次に廃材の利用ですが、非常に木材価格が安いものですから、これに対する処理が合理化されていない。たとえば立木にいたしましても、歩どまりは六分どまりだとか六分五厘だとかいうふうな歩どまりになる。さらにこれを製材にいたしますと、五分五厘だとか六分だとか、たとえば薄のこにいたしましても、歩どまりが非常に悪い。そうしてそれらの廃材は適当に利用されておらない。また木材の利用の面においても、ドイツあたりは一〇〇%の歩どまりです。木くずは木くずで、尿素を入れてそれをいろいろ使う。あるいは廃材はチップにしてパルプに送る。それからひいたものは単板にして、板一枚でこれを利用するというようなもつたいないことはしていない。そういうふうにもつと木材に対する価格政策というものが基本的に是正されて行く、そうして木を切つたあとで、これを還元して行くことが企業として採算的に成り立つというような条件を軌道に乗せて行く、これらがいろいろな廃材利用の問題とか、あるいは代替の問題、それから需給調整の問題等、一切の林業政策というものが軌道に乗つて来る条件ではないか。これが乗つて来ないのは、こういう木材利用者がほとんど国有林を食つている。国有林を食いつぶして、そのあとの補いにまた国費をつぎ込んで、補助金の形で両面から今食いつぶしているのが日本における林業の価格政策における基本的な誤謬じやないか、間違いを犯しているんじやないか、こういうふうに私は考えるのでありますが、これに対して参考人の御意見を承りたい。
  8. 田中重五

    田中参考人 まず木材価格が今まで非常に安かつたじやないかというお話でございます。確かに私といたしまして、現在までの各物資の価格のバランスからいたしまして、木材は非常に安過ぎたということは言えると思います。それが現在、すべてのものに木材が使われる、セメントの代用、鉄の代用という、代替品という名前までとつて木材が大きく使われて来たということだろうと思いますが、現在の価格構成から見ますと、決して木材は安過ぎるという状態ではないのじやないかと思います。私といたしましては、現在におきまする木材価格というものがほかの国内資源とのバランスにおきまして相当つて来ている。しかも違つて来ているにかかわらず、その使い方は依然としてもとの安かつた当時の使い方が行われるというところに一つの大きな問題があるのでありまして、これをどうしても切りかえなければならないと思うのであります。お尋ねのように鉄が安くなり、セメント製品が安くなるということになれば、必然的に安いものを使うということになるだろうと思いますが、何といたしましても国民の伝統と申しますか、翌慣というものは相当根強いものがあるのでありまして、これを現在のような急迫した木材需給情勢を緩和するという相当せつぱ詰まつた、テンポの早い切りかえ方をするためには、ある程度の推進力というものを国としてつけていただくということが必要ではなかろうかと思うわけでございます。  それから、日本の林業が企業になつておらないというのは、お説の通り、だと思います。現在われわれといたしましても、この林業というものが企業にあらずして財産であるというふうにも言つているわけでありまして、何とかしてこの林業が企業として採算の合うように、これを切りかえることが非常に必要なことだと思います。ただ、問題としては非常にむずかしいかもしれませんが、要するに現在山持ちが、ダイヤモンドを握つているような形で財産として持つているものを、何とかやはりこれを企業化するという形、こういうふうに国の施策が切りかえられるということが非常に望ましいのではなかろうかと思います。特にこの三分の一の面積を持つておられる国有林関係の政策というものが、今お話がありましたようなすべての問題も関連いたしまして、やはり一つの大きな推進になつて行くのじやなかろうかと思います。  それから廃材の問題でございますが、私たちといたしましても、ただ木材節約するという意味ばかりでなしに、やはりこの木材を中心とするもう少し総合的な経営、もつと高度の経営というものを、技術的にも経営的にも考えて行かなければならないと思うのであります。ただ製材は製材パルプパルプというような単独な形というものが、やはりそこに一つ木材使用面から見て相当むだがあるのじやないかと思うのであります。ここら辺はやはり計画的な、総合的な経営というものを今後は推進することによりまして、木材のいろいろなむだをなくし、また木材から出ますものによりまして副産物というものをそこにまた生産をして行くというような形をとるべきではなかろうか。現在の北欧、アメリカの一部に行われておりますような木材ケミカルの総合工場というような形にまで、この貴重な繊維素を中心とした国内資源というものを高揚して行くべきだというように思つております。
  9. 永井勝次郎

    ○永井委員 もう一つ伺いますのは、日本の林業をどういうように再建するかということを考えて行きます場合、その基礎となるのは、やはり現在の姿がどうであるかという現実の把握が正確でなければならぬ。ところが、たとえば蓄積が六十億ある、こう申しましても、これは漠然とした仮説みたいなものであつて、その実数は把握されていない。また成長率が四%だというような一つの計算基礎にいたしましても、一体どういう林層に対して四%の成長率をがけるのかというようなことについても、これはいろいろな林層よつて違うのであつて、老熟した蓄積に対しては成長率はとまつて、マイナスになつて行くでありましようし、植えたばかりの木に対する成長率の計算では資源として計算に入らないというようなこともありましようし、実際現在のこの蓄積及びそれに対する成長率というような計算の基礎にいたしましても、もつと科学的な実体に立つたデータというものが出て来なければならぬ。そういうものなしに、漠然とした計算を現在やつているのではないか。従つてこの際やはり林業の再出発に際しましては、単に水害があつたから、治山治水をどうする、流域計画に対して保安林を創設するのだというような、現象的な面だけを追うものでなくして、長期にわたる、目先のかわつた新しい政策というものが林業の上に出て来るということは、おかしな話であつて、林業というものはすべて長期にわたるものであつて、そう国際経済に対するいろいろな貿易の関係のようなものではなしに、国土に立つた長期計画でありますから、新しい目先のかわつた政策というものは生れて来るわけがない。もし生れるとするならば、今までの政策そのものがなつてなかつたんだということが言えると思います。今まで積み上げて来た基礎の上に立つてやるというのは、これはずつと何十年、何百年と積み上げて行く、こういう努力が必要であろうと思う。その積み上げて行く土台になる実体というものは、流域別の計画を樹立するとかなんとかもつと板についた計画というものを、掘り下げたところから出発しなければならぬのではないか、たとえば林野の整備にいたしましても、単にでこぼこを調整するのだ、地方財政にどうだというような、そんなものではなしに、もつと基礎的に土地利用区分の調査の上に立つた一つの土地計画というものが考えられて行かなければならないのではないか。そういうことを考えて参ります場合に、一面消費面からする毎年々々の需給の計画を基礎に上せるとともに、基本的には、やはり日本の国土計画的な林業政策というものを、もつと根をはやしたところから出発して、どつしりとした、腰をおちつけた政策樹立をしなければならぬところへ来ているのではないか。それを林業当事者にいたしましても、水害があればすぐ治山治水だというふうに、場当りの政策を出して、それがいかにも林業政策の当面重要な政策であるようにやつて来ることは、技術者として良心のないやり方ではないか、こういうふうにも考えるわけでありますが、林総協が林政に対する総合的な研究をやつておるという面からいたしまして、日本の今後における林業政策に対して、基本的な出発をどこに置いたらいいとお考えになるか。それから現在の林業政策における欠陥はどこにあるのか。当面一番心配される点は何であるかというようなことについて、率直なひとつ御意見があつたら承りたい。  それからまた、消費者としての大きなパルプ関係におきましては、単に採算を合せる、会社の利益を上げるという点だけに一つの焦点を置かないで、日本の資源をいかに最高度に上げて、いい製品をつくつて行くかというような点にも研究の方向を向けて、たとえば山における天然更新というようなところから出て来る原資外の利用というようなものは、もつと積極的にとつ組んで行かなければならないものではないか。そういうものはけ飛ばしてしまうということでは、資源が非常にそまつになつて来るわけであります。ただ出て来たものを処理するというだけではなしに、そういう一つの資源の増進という面から、大きくそこから出て来るいろいろな資源というものを最大度に、効果的に使つて行くという面に、積極的にとつ組んで行くべきものではないか、こういうふうに考えるのですが、その二点について率直な御意見を承りたいと思います。
  10. 田中重五

    田中参考人 今お話の資源蓄積の六十億にいたしましても、成長率の数年にいたしましても、私たちも今お話のように感じております。ただこれはいろいろ林野庁の方でも骨を折つて精査をしておられるようでありますが、現在のところ、まだ今の数字を使つておるという状況であります。なるべく早く私たちといたしましても、すつきりした数字をつくつていただきたいと思つております。  なお、林業政策の問題でありますが、私たちといたしましても、非常にむずかしい問題だと思いますが、要するに林業政策の今後の考え方につきまして、私といたしましては、こういうふうに考えております。すなわち、この森林自体は、一方におきまして治山治水というふうな問題として取上げておりますが、また一方におきまして、これは国の非常に貴重な経済資源である。その二つの要請というものが常にぶつかり合つておる。そこにやはり林野行政のむずかしさもあるんじやないかと思うわけであります。ことに過大におきますこの関係と、現在におきますこの関係をずつと見て参りますと特に最近におきます日本の産業構造と申しますか、木材を使う産業、各産業の日本に占める地位というものが、相当かわつて来つつあるというふうに思うわけであります。たとえばパルプというものを一つとりましても、戦前におきますパルプは、相当の部分が、樺太という地域の資源をもつて、あそこで生産されていたものでありますが、今や小さくなりました日本の資源でそれが全部生産されております。しかも紙におきましては、すでに十二年の当時のピークをさらに上まわつた大きな増産をしつつあり、化繊におきましても相当の量産を回復し、さらに今後は輸入繊維との関係におきまして、国産繊維の需要増加というものも考えられておるという形にもなつて来ております。また製材関係その他につきましても、いろいろと構造形態が変わつて来ておるとわれわれは考えるわけであります。そういうふうな木材を需要する産業の関係に、はたして林業政策がフォローしておるかどうかということにつきましては、実は私としても非常に疑問な点があるわけであります。やはり現在置かれております、また将来置かれるであろう木材需要各産業の日本におきます産業構造を見合いながら、それに即応した林業政策を一方においては打立てる。さらに一方においては治山治水というものをばまたやつて行くという考え方が必要ではないかと実は考えておるわけでございます。  なお、最後にお話がございました木材の高度利用につきましては、前にもちよつと触れましたけれども、確かにこれは必要なことでございまして、やはりこう木材価格が高くなつて、言いかえますならば、木材資源が非常に貴重化された現在におきましては、もつともつとこの使い方につきまして、高度的な、総合的な使い方をどうしてもやつて行かなければならない。今までのように、ただ廃物を燃やす、廃物をただ適当に使うというような粗放的な考え方は、とうてい今後許されないことだと私は考えております。
  11. 山手滿男

    ○山手委員 ぼくも田中さんに一、二お伺いをしてみたいと思うのですが、合理化促進のための貴重なお話をいただいたわけでありまして、非常に同感の意を表するものでありますが、この措置そのほかについて、いろいろ会社をつくるとか、あるいは予算措置をしなければいかぬとか、こういうことがいろいろ註につけてございます。それを並行していろいろやつて行くところは、現在の国家財政そのほかの面では非常に困難の伴つて来る問題なんでありますが、私が承りたいことは、どうしてもこれはやらなければいかぬし、われわれのすぐ座右にある問題であつて、あまりにもなれなれしくなつているために忘れておる問題でありますから、ちよつと目を見開いたら、気づく点も多かろうと思うのでありますが、それにつけても北欧とか、アメリカとか、ドイツとかいうふうなところで、日本とは違つて、この木材なんかをむだ使いしないということについて、政治的にこういうふうな措置をしておる、あるいはこういうふうな政策が展開をされておる、そういうふうな点についてお気づきのことがあれば、この際お話を願つておきたいと思うのです。
  12. 田中重五

    田中参考人 私、勉強が足りませんので、あまり十分には存じておりませんけれど、知つております範囲のことでお答え申し上げますが、北欧にいたしましても、北米にいたしましても、相当森林資源を持つた国ではございますが、日本のように粗放的な、いわゆる木材をむだ使いをしておる国柄ではないと思つております。たとえて申し上げますと、日本におきます薪炭の消費と申しますのは、総伐採量の半分以上という数字なつておりますが、北欧等におきましては、これが二十数%、また北米におきましても、三割足らずというふうに実は聞いております。一般に、北欧、北米諸国におきます木材の硬い方というのは、むしろ現在木材の高度利用という点に相当重点が置かれておるのではなかろうか。たとえばパルプ工業を一つとりましても、日本における近代的なパルプ産業にふれきましても、ただパルプをつくるということ、だけでありまして、アルコールの原料になります廃液その他も、今流しつぱなしにしておるという状況でございますが、国外のパルブ会社では、あの廃液を回収してアルコールをつくつておる。あるいはまたリグニンその他を利用していろいろ副産物をつくつておるということでございまして、一般木材の使い方、たとえば製材におきまして、製材所で製材をとりましたあと、すぐパルプ工場へ持つてつてすぐパルプにするとか、いろいろそこら辺の総合的な、計画的なやり方を進めておるのではないか。ただこれらをやつております上に、国家的な助成、補助というものをどの程度つておるかということにつきましては、実は私知りませんが、ただ一つ言えますことは日本ほど独禁法的なものが強くなくてある程度業者間のまとまり、共同行為というような上に立つてコストの引下げとか、設備の拡張とかいうようなものの推進がある程度行われているのではないかというようなことも聞いております。率直に申し上げて、どうかとは思いますけれども、私の方できよう出しました措置のように、相当国家に期待するというような大きな措置がはたしてほかの国でとられておるかどうかということは、むしろないのではないかというふうに思つております。なお問題は、木材を貴重化するということ自体の考えの問題でありまして、私といたしましては、いろいろな措置もぜひ必要であると思いますけれども官庁その他大きな需要者が、木材を貴重化して、こういうふうにやろうという気持だけ、ここで盛り立てただけで相当大きく展開するというふうに私は思います。
  13. 山手滿男

    ○山手委員 私はこの際、政府側の方でも出席をしておられますから、軽工業局長にひとつ懸案の問題をお尋ねしておきたいと思います。それはこの間同僚の永井委員から質問がございました日米石綿の問題であります。私はその後いろいろ話を聞いて参りますと、反対者にも疑義にも、いろいろ理由もあることであろう、こういうことを一応考えますが、きようも御説明をいただきました下見板なんかでも、ああいう問題を技術的にも解決して行けば、相当効果のあることであるように思うのでありますが、どうしてもやはり政府が積極的にこういう方法に対しては、手を打つて行かなければいけない。この委員会で今御説明を聞いた合理化の推進をいたしますにいたしましても、行政当局が、積極的に解決して行こうという考えがなくては、とうていこの合理化促進はできない、こういうふうに考えております。そこでいろいろ反対の理由も私は聞いて、反対側のお話も承つたのでありますが、その反対の理由は、第一点は、日米石綿という会社ができるんだそうでありますが、この会社の資本構成がどうであろうか、五五%以上を外国資ホンにゆだねるという結果になるんじやないか、その点について、こういう会社が長く日本のこういう住宅問題にまで入つて行くということは好ましくないという疑義が一点あります。私も、こういうことであるならば、これはよほど考えなければいかぬと思うのでありますが、新しい会社の資本構成はどういうふうになつておるのか、政府側において御調査になつておるようでありまするから、この際お聞きをしたいことが一点。それから反対の理由の第二点は中小企業の問題としまして、こういう外資につらなる事業が起きますというと、今日の日本の中小企業は全般的に崩壊をするんではあるまいか、全部つぶれてしまうであろう、こういう危惧が反対の重要な第二点であります。私は、中小企業の現状から見ましても、同感の意を表せざるを得ないのであつて、この中小企業を押しつぶしてまで、極端なやり方をすることには、決して賛成をすることはできないのでありますが、この中小企業とこういう新しい高度の技術を日本に入れるということとを、数量的に質的に調和をして入れることができるかどうか。そういうふうな点について政府側の御見解をこの際承つておきたいと思います。
  14. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの御質問でありますが、第一点の資本構成の問題でありますが、これは先般のこの委員会におきましても申し上げました通り、最終段階におきましては、ジヨンスマンビルの投資が二五%に相なるのであります。問題になつております点は、このジヨンスマンビルの石綿その他の輸入関係等におきまして、関係の深い東京興業貿易という会社が、この日米石綿の会社に出資いたすのでありますが、これを加えますと、御指摘のように五〇%以上を越えるのでなかろうかというぐあいに考えられるわけであります。この東京興業貿易の会社の性格の分析に相なりますが、これは日本側の出資からできておる会社でありまして、法律的に申しますれば、ジヨンスマンビルの出資と同一視し得られるかどうか、この点につきましてはむしろ疑義があるのであります。ただ実質問題といたしましては、そこに支配関係が過半数以上に達するのではなかろうか、こういう問題点があると思います。この技術導入、あるいは外資導入を認めるか認めないかの問題を離れて、純粋に資本構成を考えるとすれば、もしそういつたような実質的にいろいろ問題があるというこてであれば、その点についての資本構成を別途考えるということで、問題の点を解決するという道はあり得ると思います。  それから第二点の中小企業に対する問題でございますが、この点につきましては、どの程度の技術導入あるいは製品がどの程度の範囲に及ぶものかということにおいて広狭の差は出て参ります。ただ私の方で本問題を解決いたします重要な一つの。ポイントにしておりますことは、この外国の技術が、すでに国内で生産の進行中でございます製品との性能上の問題につきまして、積極的に技術を入れるべきものかどうかということについて、技術的な判定と申しますか、これをして参りたいというのが私の方の考え方であります。外資導入あるいは技術導入ということが、わが国合理化、あるいは近代化ということにおいて促進しておるものではございますが、具体的な問題として、性能上の可否という点は、やはり相手が中小企業であります場合、あるいは中小企業でない場合におきましても、私の方としては他のケースについても、これらの技術的な問題ということは検討した上で採否をきめるというくらいな方針で参つておるのであります。たまたま本件の中小業との影響、関係ということが顕著な点が特に問題にされるという意味ではないと思うのでありますが、外資、外国技術の導入につきましては、ただいま申しましたような国産技術との優劣ということを、一つの判定基準として検討を加えることが、すでに国内にあります産業の育成という見地からも必要ではなかろうか、こういうぐあいに考えまして、目下検討を加えておるという状況でございます。
  15. 山手滿男

    ○山手委員 東京興業貿易の性格の問題をもう少し承りたいと思うのですが、この会社の性格は、現在の株主はどういうことになつておるか、この支配力はアメリカから直接及ぶようなお話がありましたが、現実には、先般私は二、三参考意見を聞いてみたのですが、全株主が日本側にあつて、ただ向うの代理店——このジヨンスマンビルというのは、世界的な会社であつて、各国に一代理店だけを認めておつて、その代理店を引受けておる会社である。こういうふうに聞いておりますが、株式の構成はどういうふうになつておるのか、そういう性格の問題をもう少し承りたいことが一つ。それから今の技術的な面については、私自身も実は渡米をした際に、この方面の関係のことをたまたま調べてみた経験もあるのでありますが、とにかく日本の建築は、海外のアメリカあたりの建築と、価格そのいろいろな点おいて非常に遅れておる。その遅れをとつておる原因一つは、こういうふうな技術が導入をされておらない。大工だとか左官だとかいうような非常に封建的な技術に塗りつぶされた現在の日本の建築界というものが、木材利用や何かともからんで、非常に住宅を高価なものにしておるし、不健なものにしておる。それがこういう下見板あたりが簡単にばんばんと打ちつけられ、穴もあけずにくぎを持つて来てどんどん打ちつけられるというふうな、非常にしろうとでもできるような製品が大量にできて行くところに、向うの住宅の合理性があるのだ。私はこういう言うに考えておつて、これは確かに日本にも取入れた方がいい、私はこういうことを考えて帰つて来たものでありますが、この技術の制定については、いろいろ困難もあるのじやないかと私は思います。それはぜひこれをはつきりと技術自体として研究をしていただくことが必要だと思いますが、その技術的な断定というものは下されるものかどうか、あるいは下されるということになると、昨年からこの問題は懸案になつておつたのですが、いつごろ断定を下されるものであるか、これを承つておきたい。  それから、これも大量に入れるということは必ずしも賛成できないという反対の立場の人々の気持もよくわかります。しかしこれを日本の全生産の一割か一割五分程度のものを入れるというふうなことであるならば、むしろ国内のこういう方面の業界に刺激を与えることであつて、私は何も鎖国的に出る必要はないと考えますが、この一割程度以内で制限をして許可をするという方法がとれるものかどうか、この点について、政府側の方から御見解を承つておきたいと思います。
  16. 中村辰五郎

    中村(辰)政府委員 ただいまの第一の東京興業貿易の性格の問題でございますが、ただいまの御質問にございましたように、ジヨンスマンビルの日本における代理店というような形になつております。私の聞く範囲で、正確に取調べたのじやないのでございますが、前にこのジヨンスマンビルに勤めておつた者が、東京興業貿易におるというようなことで、反対者側の方では、この点を非常に心配しておるというようなことを私は聞いております。先ほどもお管えいたしましたように、この資本構成から、日本側に支配権がないのじやないか、なくなるのじやないか、こういうような問題につきましては、本問題の根本問題が片づきますれば、その憂いがないようするとにいう方法考えられますので、その点についての問題は、私はむしろ本問題解決の他の問題と関連して考えますときには本質的でない、こう申すとおかしいのでありますが、ややその問題についての考え方は他にあり得る、こういうぐあいな気持を持つております。もちろんこれは私見でありまして、本問題は、ただいま申しましたように技術的な問題につきまして、根本的な点を検討しておりますので、私どもの私見が、あるいは実現するかしないかというようなことについては、何ら確信あるものではありません。ただそういう思いつきという点を申し上げたにとどまります。  第二点の問題でございますが、この技術が非常に世界的に有名であるということは、御指摘の通りだと私も思います。まだ今日までの国内の耐火建築あるいはその他の点におきまして、非常に遅れておる、封建的な点が非常に多過ぎるということもその通りだと思います。もとよりそういうことが小委員会で検討されております重要問題の解決すべき点であることは、私もその通りであると存ずるのであります。それともう一つは、技術導入、資本導入を制限付というような意味合いのようにお聞き取り、できるのでございますが、国内産業との調整をはかりつつ導入できないかどうかという問題でございますが、この点につきましては、ただいままでの国産企業というものの伸びが、これらの用途を受入れる利用者側の知識、あるいはこれに対応する態度、あるいはその他のことからいたしまして、今日までは、国産も相当努力しても伸びていなかつたというような点もあるかと思います。ただ問題点は、今後の趨勢といたしまして、こういつたものが相当伸びるのじやないかということも一応考えるのであります。今日の石綿スレートの年生産額から申しますと約六百万枚、二十九年度におきましては七百二十万枚程度考えたい。日米石綿の生産計画は七十万枚を予定しておるというように承つております。ただ問題点としまして国産の同一品種の問題に関連しましては、私は先ほど申し上げました国産の技術の伸びというものもやはりある程度考えられるということからいたしまして、この技術をやはり入れた方がいいかどうか、あるいは入れなくとも国産の技術がやはり伸びて行けば、国内の新しい需要に対応して行けるかどうかというような点も実は私として知りたいということから、通産省内で技術的にこの問題を研究いたしておるのであります。その研究の結論は、やつてみませんと申し上げられない事項でありまして、私としても今から予知し得ないものでありますから、どういう結論が出ますか、やはりその結論を見た上で、総合的にただいま御指摘のような調整をしつつ入れる余地があるかどうか、こういうことも慎重に検討をして行きたいというような気持でおります。従いましてこの技術の問題につきましては、できるだけ急いでやりたいのでありますが、先般工業技術院が技術的な研究の関係もございまして、ここが中心に良製品の見本を取入れて、実地試験をいたすという段階でございまして、この試験がどのくらいの期間かかりますか、私としては技術的な問題の関係もございまして、早期にこれをやつてほしいという希望は申しておりますが、これを何日間でやれということが可能かどうか、目下のところ予定はつきません。しかしできるだけ早くこの結論を得たいということで試験の方を急がしております。試験以外のノーハウの問題等につきましては、当事者の意見をすでに聴取いたしておる状況でございますので、この点をお含みの上御了承を願います。
  17. 中崎敏

    中崎委員長 他に発言はありませんか。——参考人の方には御多忙のところ御出席まことにありがとうございました。  次会の予定は一応十六日の午前十時半より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十四分散会