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1954-09-10 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第66号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月十日(金曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 中村 幸八君    理事 小川 平二君 理事 首藤 新八君    理事 福田  一君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君       天野 公義君    田渕 光一君       土倉 宗明君    福井  勇君       三池  信君    村上  勇君       笹本 一雄君    柳原 三郎君       加藤 清二君    齋木 重一君       帆足  計君    伊藤卯四郎君       中崎  敏君  出席国務大臣         通商産業大臣  愛知 揆一君  委員外出席者         議     員 多賀谷真稔君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         二部輸入業務課         長)      長尾  正君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (石炭局長)  斎藤 正年君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      平塚 保明君         中小企業庁長官 記内 角一君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 九月十日  委員尾関義一君、小峯柳多君、始関伊平君及び  坪川信三君辞任につき、その補欠として天野公  義君、三池信君、福井勇君及び田渕光一君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  電気事業、貿易、中小企業及び鉱業等に関する  件     —————————————
  2. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は私が委員長の職務を行います。  まず昨日に引続き通商産業行政一般について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。齋木重一君。
  3. 齋木重一

    齋木委員 私は、大臣が来ませんので当局に一言御質問いたしたいと思います。それは福井県の敦賀市にありますところ不二越敦賀工場の問題でありまするが、煙害に関するところの重大な問題が起きて、昨年の本委員会におきましても、当局に対して強くその善処と何らかの処置をもつて指導されるようにということも要請いたし、それ以来大阪鉱山保安監督部におきましても最善の措置をしたようにも聞いておりまするが、八月三日にまたまた煙害が起きまして、付近農村等においては重大なる被害が起きておることを探知いたし、農民は大挙して会社に押しかけ、その操業停止を要求し、昨年以来の被害賠償に対するところ実行等を強く会社当局等に申し入れておるにもかかわりませず、言を左右にして、その善処方を考慮するようなことを何ら聞かないということも聞いておる。私も去る八月二十五日には直接同工場に参り、現場を視察いたしたのであります。幸いにも大阪橋爪鉱山保安監督部長並びに清水鉱務監督官等工場に居合せまして、その煙害のよつて来るところの排出に対する欠陥箇所その他を調査いたしておる現場に私ども立ち会つたのでありますが、会社首脳部がかわつたとは申しながら、いかに首脳部がかわつても一貫した会社の不誠意きわまる方針はかわらないように見受けられるのであります。これらに対しまして、当局はその善処につき今後の指導育成にいかなるお考えがあるか、まず一点承りたいと思うのであります。
  4. 川上為治

    川上説明員 不二越鉱業敦賀工場かこの前再び煙害を起したことにつきましては、私どもとしましてもまことに遺憾であり、また申訳ないことと考えております。煙害の原因なりあるいは予防措置、またこれに対しまする技術的ないろいろな問題につきましては、鉱山保安局長の方からあとで話があると思うのですが、私どもの方としましては、この工場は、昨年におきましても申し上げましたように、わが国におきまして磁硫鉄鉱という特別な鉱石を処理するきわめて近代的な技術を持つた工場考えますので、何とかしてこの工場がそういう煙害を起さないでこの磁硫鉄鉱完全利用ができるようになればということで、あらゆる援助なり努力をして参つたのでありますけれども資金面その他のいろいろな関係から現在のような状況になつておりますことは、私どもとしましてもはなはだ遺憾に考えておるわけでございます。私どもの方としましては、そういう煙害が出るということでありますれば、どうしても完全にそれを防止するまでは工場の休止なりそういうことをやらなければならぬと考えております。ただこの工場につきましては、先ほども申し上げましたように、何と申しましても磁硫鉄鉱完全処理というきわめて近代的な技術を持つた仕事をやつておりますので、何とかしてこの会社があの工場をうまく操業できるように今後におきましてもしたいというふうに考えております。
  5. 齋木重一

    齋木委員 ただいま鉱山局長から御答弁になり、この工場国家要請である磁硫鉄鉱生産を基本としておるということわれわれも聞いており、また御説明でありますが、現在私どもが見まするに、実際には磁硫鉄鉱があの工場内のどこに行つているか。山ほど積んであつて、まだその販売先がきまらず、野ざらしになつて、五〇%も包含されているところ磁硫鉄鉱がそのままになつておる。会社磁硫鉄鉱そのものを本旨として経営しているのではない形にある。ただその過程にある硫酸製造が主で、主客転倒操業と私ども考えている。それであの煙害が起きるのである。磁硫鉄鉱に対しては伝えるところによると、一千万円からの援助をしているということを私は聞いている。それから一千万円の補助金はもらつたけれども磁硫鉄鉱そのもの生産せずして、硫酸工場をやつて農村とか、その隣にあるところの国鉄の敦賀機関区等においては従業員マスクをかけなければ仕事ができないというような被害を受けておる。農民に対してもその通り硫酸製造のために援助をしておるのか、国家要請である磁硫鉄鉱に対してやつているのか、その指導方針と申しましようか、本質がわからない。だからああいうことを再三再四繰返して平気でやつておる。真の磁硫鉄鉱生産に対して寄与する、それを政府目的としておるならば、それを押し広めてやつて行くのがほんとうであるが、磁硫鉄鉱の方は放任しておいて硫酸製造ばかりに熱中させておるということは、私どもは納得が行かない。こういう問題に対しては、今後はどうお考えですか。
  6. 川上為治

    川上説明員 実は磁硫鉄鉱から硫酸をとりまして、それから残りましたいわゆるかす、この中に鉄分が相当入つておりまして、それから銅を抜き、鉄を抜く、この技術が非常にむずかしいのでありますが、現在のところ資金関係から硫酸工場だけができまして、そのあと残滓から銅を抜き、鉄をとるというところがまだ実はできていないわけであります。でありますから、私どもの方としましては、どこまでもあの工場につきましては硫酸というものは主目的ではないのでありまして、磁硫鉄鉱を完全に処理して、それから鉄分をとるというところに一番の眼目があるわけであります。そういう考え方につきましては、従来と全然かわつていないのであります。ただあの会社におきましては先生も御承知通り資金面において非常に困難な状況になつておりまして、硫酸工場までは試験的につくれるようになつたけれども、そのあとがまだ続いてないというところに一番の問題があるわけであります。それに一つ技術的な問題もありまして、脱銅問題がまだ企業化し得るところまでこの試験が済んででおりません。従つてその残滓は相当山のごとく積んであるのかもしれないと思うのですけれども磁硫鉄鉱完全利用ということにつきましては、終始考えはかわつておりませんし、またわれわれとしましては、硫酸をとるというだけが目的ではないのでありまして、どこまでも磁硫鉄鉱を完全に処理するように、いわゆる鉄分を十分とり得るというところに持つて行きたいというのがわれわれの考えでございまして、現在資金面技術の面から見まして、これが停頓の状態になつておるわけであります。その停頓の問題というのも、実は不二越鉱業株式会社がこの四月から会社更生法適用を受けまして、それによつて会社更生計画というのをこの月までに裁判所の方へ出して、その更生計画によりまして今後どうするかということに相なるわけであります。私どもはそういう更生計画とにらみ合せまして、その次の操業であります脱銅の問題とか、あるいはその鉄分を完全に回収する問題でありますとか、そういう問題を何とか解決して行きたいというふうに考えております。いずれにしましても、現在の硫酸工場というのは磁硫鉄鉱を完全に利用する、それの過渡的な設備でありまして、どうしても硫酸設備というのは必要でございますが、ただ問題は、硫酸をとる際においていろいろ機械の故障なり、あるいはその資材が非常に悪かつたというようなごとなり、あるいは技術的な問題で非常にまずい点があつたということで、煙害問題を起したわけなんですが、その点につきましては、私どもの方の監督もまことに不十分で、はなはだ申訳ないのでありますけれども、今後におきましては保安局長からお話があると思うのですが、何とかして予防措置を十分講じさせまして、そういう被害がないように持つて行きたいと考えております。
  7. 齋木重一

    齋木委員 ただいま鉱山局長会社更生法ということを申されたので私は一言聞きたいと思うですが、会社更生法によりまして四月一日からですかたな上げをいたしました。これに対する問題としては、非常にちつぽけな敦賀市内におきましても、昨年の十二月までに、煙害によつて損害を受けたところ農村の昨年の被害弁償その他に対しましても、当時委員会等も設けまして、市並びに地方事務所長等が入つて妥結いたしました。損害賠償額は、不承々々農村の方においても三百五十万円と決定をして、その実行は十二月末日をもつてこれを賠償するということのとりきめをなしたのにもかかわりませず、たつたの十万円しか会社はこれを支払つていない。あとの三百四十万円というものはびた一文も今日までやつていない。そうして会社更生法によつて今富山の裁判所にこれを提訴してあるのかなんか存じませんけれども、やつておりまして、裁判の結果をまたなければならぬというのでやつておる。農村に対する賠償金の三百四十万円はまだ未払い、そのほか会社の放漫なる建設によりまして、敦賀市内におきましては七十八軒の小売商店損害に対する最高は三十余万円、最低はたつた五百四十円というような少額な賠償金に対してもびた一文もこれを支払つていない。そうして会社更生法にひつかけてこれらをたな上げしようとやつておる。これは一に不二越敦賀工場の問題でなくして、今日のデフレ政策下において悪辣なる各会社首脳部が、どこに行つて建設はそういう名目のもとに政府から援助金をもらい、工場建設をする。当然その地方の者に大損害をかけて、自分らは損害をせずして一般の者に損害をかけて、また会社更生法によつてたな上げをするという悪例を残すところ一つの先例になるのではないかということを私どもは憂えるのであります。こういうことをしては地方民に大損害を与え、会社ができるとまたその付近農村並びに他の人々にも大損害を与えてこれを顧みない。賠償は決定してもまだそれを支払わないというようなことをして、再び三たびこういうような損害をかけつぱなしにしておくなんということは、私ども国家的に見ましても実に遺憾しごくであります。こういうことを放任しておいて、一方において政府はその工場本質をわきまえずして僅少でも一千万円からの援助をまだしておるなんということは、私どもはまことに当を得ていないと思う。私ども監督庁努力を十分要請しておつたにもかかわらず、まだまだやつておる。大体月に四回くらい煙害を放出しておる。また会社も四回くらいは休まなければならないというようなことを言つてつて、その誠意は認められない。私ども磁硫鉄鉱そのものに対しては大賛成であります。その磁硫鉄鉱生産せずして被害の多いところのものを放任して、硫酸だけを製造しておるというようななことは、私どもはまことに残念しごくであるとともに、当局の怠慢を私どもは追究しなければならぬ。だからこの会社に対しては今後どう処置をされるか、先ほど鉱山局長が言われた工場施設被害をこうむらせないところまで、機械設備その他を完全にするまでは製造を禁止し、工場を閉鎖する、それだけのものがなければ私どもは困ると思う。農村ばかりではありません。あのたくさんの鉄道従業員がたいへんな毎日被害をこうむつておる。マスクをかけて仕事をしなければならぬ。機関庫従業員諸君が言うところを聞きますと、たいへんなんです。これを平気でやられておる。また現在の新しい工場長工場を閉鎖することはでき得ないという横柄なことを言つておる。不誠意きわまる行動ではないかと私は思う。だからこの工場に対してはさつそく完全なる設備ができるまでは工場を閉鎖させる御決意があるかどうか、それをお問い申したいのであります。
  8. 川上為治

    川上説明員 煙害を依然として起しておりますということであれば、私どもの方としましては、今齋木先生から話がありましたように各方面に対しまして非常な迷惑をかけることになりますので、これは私の聞いておるところでは、その施設が悪かつた点はほんの一部の点であつて、これはきわめて簡単に直せるように聞いておりますから、これを完全に直して、今後絶対に被害が起らぬようにというところまで、もちろん私の方では製造を押えるように勧告をしたいと考えております。
  9. 齋木重一

    齋木委員 損害が微少だということであるが、機械設備欠点がわかつて、それの大体の予算としては百万や二百万ではできないということを橋爪部長が言うておる。そして五十万円の金もできぬようなあの貧乏な会社が、何百万と資金がいるような改善ができるか。だから資金調遠ができるまで、会社被害のないような機械設備が完全にできるまでは停止することは当然だと思う。そうするまではこの硫酸工場製造は禁止する。それと同時に会社更正法によるところのたな上げ——市内に対する六百万円の負債農村に対する三百四十万円の弁償をさせなければならないと思う。これらを放任しておいて、かつて気ままにやつておるというようなことは、人間的に考えても、この会社を発展させ、国家に寄与しようというところのものは、そういうようなだらしのないものでこういう経営はできるものではない。また本末転倒した操業を今日なお続けて行こうという意図が私どもは明らかに見受けられるのであります。あの磁硫鉄鉱残滓が山になつておるのを、鉱山局長会社に対して同情心援助心があるなら、それを始末さしたらどうか、買手がないなんて言つておる、五〇%も鉄分を含有しておる磁硫鉄鉱のあの残滓をどう始末するか、またどう指導してあれを採収するということを考えていらつしやるのか、まずこれを参考のためにお聞きいたしたいと思います。
  10. 川上為治

    川上説明員 昨年の煙害補償願はたしか私は三百五十万円と先生が今おつしやつたように聞いておりますが、これは最初は昨年の十二月までに払うという話合いになつてつたかもしれませんけれども、その後会社現地方々といろいろ相談をしました結果、今年の三月までに何か百万円払つてあとは月々払つて行くというようなふうに私は聞いておるのです。その後御承知通り会社経営が苦しくなりまして、会社首脳部もかわり、その首脳部の新しい人たちが、あらゆる努力払つて何とかこういう債務は早急に払いたいということで努力をしたのですが、不幸にして三月末までには払えなかつた。そして四月には会社更正法適用を受けたというわけで、現在に至るまでこの債務は支払つていないわけなんですが、これは現在会社更生法適用を受けますと、勢い裁判所の管轄になりまして、裁判所許可を受けなければ出さない。しかも更正計画が認可されてからということになつておりますので、私どもの方としましては従来の債務につきましては会社更生法適用を受けますその会社更正計画ということにつきまして、会社の方で何とかしてこういうような方面にはひとつ優先的に払うようにということを会社の方にも話をし、また同時に裁判所の方にもその点は十分話をしまして、過去の負債については極力早急に払うようにあつせんなり努力をしたいと考えております。  それから新しい今回の事件債務につきましては、これは実際問題としてどれくらいになるかわかりませんが、それにつきましては現在においても払つてもさしつかえないのですから——やはり裁判所許可はいるかもしれませんが、払えると思いますので、この点につきましても十分会社の方にも話をして、何とか早急に払うようにということを勧告したいと考えております。ただこれは現地に何かその損害賠償についての対策委員会がありますので、その方といろいろ相談をして善処したいというふうに考えております。  それから現在その残滓が相当ある、これがなかなかなか売れないという問題ですが、まさにその通りでありまして、なかなか銅分を抜く技術がまだ完成いたしておりませんので、このシンダーはたまるだけで、そんなに売れないというような状況になつておるのです。これは若干売れるものはありますけれども、そういうものは極力この際さばくように勧告をしますし、また需要者方面に対しましても何とか買つてくれないかということでわれわれあつせんもいたしますが、大部分の売れないものにつきましては、何と申しましても脱銅の処理施設なりそういうものができなければどうにもなりませんので、それまでは積んでおくよりほかないと思うのですが、私どもの方は先ほど申しましたように現在の新しい社長であります大谷氏がこの施設を有効に活用して、そして今たまつておるシンダー銅分を抜いて鉄が十分とれるように、そして売れるようにというふうに、ひとつ何とか持つて行きたいと考えております。
  11. 齋木重一

    齋木委員 社長の話が出たのだが、大谷何がしというのは社長じやない。これは裁判所関係管財人であつて社長そのもの斎藤何がしと聞いておる。鉱山局長はちよつと頭が狂つたのじやないか。私が狂つておるのかもしれませんが、私はそう聞いておる。本社は日本橋の室町三丁目三番地にあるそうでありますが、その斎藤何がしが誠意があるということで、私ども裁判所関係といたしましてこの救済の問題については非常な関心を持つております。この斎藤何がしが新発足の社長としてがんばる人だと私どもは信じておるのでありますが、その関係はどうか、これは別問題といたしまして、先ほど申し上げました通りそういつたでたらめな工場建設しては、始末におえぬと会社更正法にひつかけてはやつて行く、それでみんなに損害をかけたのを知らぬ顔してはやつているということは、ただ単に不ニ越工場だけじやなくして、全国至るところにそういう悪質なものがあつた場合には、当局は何とするのか、こういうことが繰返しどこにでもあるとするならば、被害をこうむるのはみな民衆であります。こういうことは法律には十分判定してありますから、それを適用することには私ども異議はないのです。また私は、会社更生法によつて大谷何がしが管財人となつて富山の裁判所に提出してある。それは会社みずからがこれをやつたものと思う、裁判所自身が自発的にやつたものではないと思うけれども、これは会社みずからがやつたのか、裁判所が自発的にやつたのか、どちらでありますか。
  12. 川上為治

    川上説明員 これは私は会社みずからやつたというふうに聞いております。裁判所が積極的にやつたようには聞いておりません。  それからさつき人を間違いましたが、実は斎藤氏がやはり社長でありまして、ただ大谷氏と斎藤氏の関係——もちろん斎藤氏は大谷氏の会社の人でありますので、その関係は大体私はうらはらで動いているというふうに考えております。もちろん管財人に対しましては、私は従来の救済の問題であつても、それから今後の賠償の問題であつても、十分に話をしたいと考えております。  それから今後こういう工場方々に設けて、こういう問題を起しては非常に困る、まことにその通りでありまして、私はこの会社がこういうことになろうとは考えていなかつたのであります、ただこういう技術的には非常に高いいい技術でありますので、私どもは何とかしてこれをやり上げたいというような気持から、この会社に対しましては従来いろいろとその援助もし、国としましても一千万円程度の研究助成金を出したいきさつもあるのでありますが、まあこういうような問題が起きましたことを十分肝に銘じまして、今後におきましてはこういうことがないように私どもの方では気をつけて行きたいと思つております。この点齋木先生の御注意に対しましては、私どもは今後十分気をつけて行くつもりであります。
  13. 齋木重一

    齋木委員 鉱山局長はえらいうまいことを言つてすべり込みをやろうとしているが、なかなかそうも行かないのです。これに対しては先般も橋爪大阪通産局鉱山保安部長並びに清水さんも現地において実地にその欠点を調査されたと思いますが、その名前を私ちよつと忘れましたけれども欠点があるということを指摘されたように、私ども工場においても実地にそれを聞いております。だからそれをなくする意味において、それに対するところ機械なら機械についてどういうことをやつて行けばいいのか。またそれには経費が幾らかかつて、こういうことになるとどうだということに対する技術的な点における欠点の面を詳細に局長からお聞きをいたしたいと思います。どういうような報告をしておるのか、私どもの見ていることと、また橋爪さんが上局に対して報告していることとに食い違いがあつては私どもまことに遺憾に思いますから、それを詳細にひとつ御答弁を願います。
  14. 平塚保明

    平塚説明員 ただいま齋木先生から御指摘がございましたように、現場におきましてすべてにわたり作業がたいへんうまく行きませんので、また再び若干のガスを出して御迷惑をかけたことを、たいへん恐縮に存じております。ただいま御指摘の点につきましては、現地におきまして私どもの出先の橋爪監督部長からお聞き及びくださつて、またなおいろいろ御指示をいただきまして、たいへんありがたく存じておる次第でありますが、詳細私どもの方にもその報告が来ております。鉱煙被害対策といたしましては現在ございまするマルチクロンダスト・チヤンバーが故障をいたしておりまして、一部ガスによる腐蝕によりまして穴が明いておる。従つてできればこれはなるたけやめて違うダスト・チヤンバーをつくるようにさせてあるのですが、とりあえずは現在明いておりますものを修理させるように命じております。またこのダスト・チヤンバ一ができますまではマルチクロンからのガスの漏洩を防ぐという意味で、万一炉をとめるような場合には必ずターボブロワーを動かして硫酸プラントの方にガスを出して行つて途中から漏洩することをやめさせる。それから炉をスタートいたします場合に、コンバーター温度が上つておりませんと亜硫酸ガス硫酸にかわりません。従つてかわらないSO2ガスが十分に転化せず、吸収塔から出て行くという危険がございます。そういうことのないように今後はスタートする場合にはあらかじめコンバーター温度を四百度以上に上げさせる。また今後は吸収するところ排棄ガス——一般工場の排気は人体亜硫酸ガスの濃度は〇・二%前後が普通でございますが、大体におきましてはこれは煙突から逃がして行つております。特に市街地その他郊外の煙害を起すような場所には、ただいま東北大学の教授の堀先生の考案されたアンモニアによるガス中和法があるわけであります。これに類するものを鉱山関係では住友の四阪島で一箇所やつております。そのほかではまだ全然やつてはおりませんが、そういう方法も今後の会社更正法に基く再建計画に取入れるようにという指示を与えております。なお排水の問題につきましては、今までの沈澱槽あるいは中和槽、これらが十分でございません。これらの沈澱槽の漏水を防止するとか、石灰乳を入れて空気攪拌をして中和させるとか、あるいは最後の沈澱物を一箇所にまとめて流れ出さないようにするとか、そういう指示を与えております。かような方法によりまして今後はただいままで起しましたような被害はおそらく防止することができるというふうに考えておる次第であります。
  15. 齋木重一

    齋木委員 そのような設備をやるのに相当の資金その他がいると思う。それは会社の現状としては、私どもは至難じやないかというような懸念もあるのです。それらをどういうぐあいに——ただ皆さんが警告を発するだけで、貧乏寺の三つ具足のように日にちさえ経過すればいいというのでは意味をなさない。これはやはり橋爪さんから聞いたのですが、少くとも三、四百万円はこの排気ポンプの何を修理するにかかると言つておる。それから排水に対する問題なんかで、昨年私はやかましく鉱山局長現場を見て申しました。しかし今日までにおいてまだ淡水なんかではあゆの稚魚が死んで行くというので、敦賀の河川漁業組合も非常な損害を受けておる。これは結局排水設備の中和法とか、設備が不適当なのか、これらも十分な施設をやらなければ排水に対するところ設備が不十分ではないか、河川漁業に対しても甚大な被害を与えるのではないか、こういうことは資金面としても排気の経費だけで三、四百万円もかかるということを橋爪さんに聞いたのです。これはちよつと聞き違いかもしれませんけれども現場で聞いたのですけれども、これを早急にやらせるという考え方でいらつしやるのか、やらせなければもうだめなんだから、それができるまでは休業させる。これはあえて会社をつぶそうとかなんとかいう考え言つておるのじやない。他への被害を起さないということにおいて私どもはやかましく言つておるのです。保安局長さんはどういうような処置をおとりになるか。
  16. 平塚保明

    平塚説明員 ただいま齋木先生から御指摘がございました、橋爪鉱山監督部長が三、四百万かかると申したそうでございまするが、私どもの方にはさような報告が来ておりません。あるいは金のかかるということは、先ほど私がちよつと申しました最後のコンバーターの排ガス、これを無害にするために、アンモニアで中和する方法、私ども早速これを調べまして、製造家も呼びまして——この工場は御承知のように硫酸を一日五十トンずつつくつておるわけですが、それに対するアンモニア中和はどのくらいかかるかということを一応見積りをしてもらいましたが、三千五百万ほどかかるのじやないか、こういうことを申しております。さような金は、現在の会社としてはとうてい困難だ。従つて先ほど私が申し上げましたように、今度会社更生法のときに、ぜひそういうものもつけてほしいという希望を述べたわけであります。それ以外のものにつきましては、おそらくさような金額がかからずにできるのではないか。現場を御視察願い、またいろいろ御指示をいただいておるわけでございますが、橋爪といたしましても、実際できないようなことを要求いたしましても、これは現実に即さないわけですから、現在の場合において最小限度の被害でとどめるというところで、いろいろと検討して指示を与えておるというふうに私は了承いたしております。
  17. 齋木重一

    齋木委員 最小限度の被害ということになると、ちよつと聞き捨てならない。どこまでが最小限度の被害なんですか。いつも最小限度の被害言つておるが、その程度がわからない。それでも繰返し繰返し被害をやつておる。そのたびに問題が起きて来て、ああいうことが繰返される。だから最小限度の被害というのは、どういうのが最小限度の被害なんだ。
  18. 平塚保明

    平塚説明員 私が言葉の適正さを欠きまして、まことに申訳ない次第でございます。私の申し上げたかつたことは、被害がないようにいたしますが、これを扱うのは人間がやつております。従つて、人間がやつておる間に、操作の一部でうまく行かずに、万一ガスが出たようなことがあるかもしれません。そういうときにも、人間がやることでございますから、全然被害が起らないということは私も言い切れません。そういう意味で私は申し上げたのでありますから、その辺は御明察をいただきたいと思います。
  19. 齋木重一

    齋木委員 人間がやるというが、人造人間や獣がやるのではない、みな人間がやるのだ。だから監督官とか技術官というものは、大阪から行つて一箇月でも駐在していただいて、技術面の指導をおやりなさい。そして完璧を期するまでの指導、育成もおやりになつた方がいい。工場にいる従業員は、夜の夜中にも必ずやられる。私はちやんと知つておる。そういう面において指導をやられないで、起きたときにちよつと行つて注射だけやる。だからああいうことを繰返すのですよ。一度や二度ならば私はこうしつこく言わない。昨年からたびたびこれをやつておる。私は会社をつぶそうとかなんとかいうのではない。私は鉱山局長にも言うが、あの磁硫鉄鉱を専売特許のごとく言つて硫酸をこしらえるのに一千万円も国から補助金を出してやる必要はない。だからどこを指導しているのか、どこを援助しているのか、さつぱりその目的がわからない。そして事件だけ起している。単に被害だけ起している。これではさつぼり五里霧中だ。被害を起すのに政府当局援助しておるようなんだ。一千万円ばらまいて煙害を起しては、農民やら、漁民やら、鉄道従業員やらに被害を与えておるというふうに結論づけられる。五〇%の鉄分を包含しておる磁硫鉄鉱、あれをどういう工程においてやるか。製錬工場がないならばいざ知らず、あの工場において製錬ができなければ他の工場においてもやるところは全国にあると思う。それで私はもう少し親切心があるならば、どうしてやるかということを心配してやるとか、また会社自身も心配しなければなりませんが、そういうことくらいの指導育成はやらなければならぬ。今問題としていらつしやる磁硫鉄鉱が、まだ日本の国内に置かれておる資材とするならば、もつたいない話なんです。それを放任しておいて、硫酸だけをやつて被害をこうむらしておる。これは私はぐちなようですけれどもぐちじやない。農民鉄道従業員が、煙が出るたびにああいうことになるのだから、最小限度の被害とかなんとか言いましても、限度があると私は思うのです。完全無欠は神や仏じやないからできますまいけれども被害をかけないくらいの施設までは監督指導をやらなければならぬ。こういうことを私どもはやかましく言つておるのです。  それから物質的にも、先ほど申し上げましたように三百円や五百円のものも未払いにしておいて、そうして会社更生法にひつかけて六百万円の金を払わない。こういうようなばかげた工場援助をするなどは、実に気違いざたと当局も思わないか。そんな一千万円もあるなら、慈善事業にでもやつた方がましだろうと私は考える。ほんとうに国策上欠くべからざるところの事業ならば、もつと出して援助してやつたところで、だれも文句を言う者はないと思いますけれども被害だけを与えておるものに対しては私はびた一文も出す必要はないと思う。これらに対してはどうおやりになるか、念を押しておきます。この次に再びああいうような煙害を起すようなことがあつたならば、解決するまで断然として操業を停止させるという御決意があるかどうかということをお聞きいたしたいと思います。
  20. 川上為治

    川上説明員 実はこの脱銅関係技術というのは非常にむずかしいのでありまして、これはあそこの現在出ております残滓、すなわちシンダーをどこかへ持つて行つて、これを完全に脱銅し、鉄分をとるというのは方々でできるものではないのでありまして、全国的に見ましても同和鉱業が現在いろいろ研究をやつております。これは御承知通りアメリカのいわゆるフリユオ・ソリツド法ということでいろいろやつておるわけです。不二越のは若干違うのでありまして、ドイツの技術で現在やつておるわけなんですが、この二箇所しか現在やつておりません。しかも私どもの方としましては、このニ箇所に対しまして助成金を出しておるわけなんですが、どちらも技術が違いますし、また出たシンダーも若干違いますので、やはり敦賀工場のものについてはその系統のところで、その技術でやるよりほかないと考えるんですが、幸い日本鉱業がこれに対しまして非常な関心を持つておりまして、行く行くは将来河山鉱山、これはすばらしい山でありますが、河山鉱山の脱銅につきましてもこの不二越の方法をとるか、あるいは同和鉱業の方法をとるかという問題になつて来ると思うんですが、そういうふうな非常にむずかしい技術の問題でありますので、不二越のをどこかへ持つて行つてすぐそこへ頼めば脱銅がうまく行つて鉄分がとれるというのではありませんので、私どもの方としましてはやはり現在の不二越鉱業がドイツの技術を入れてその技術によつてやるということに力を入れるよりほかないというふうに考えております。問題はそういう設備を設ける資金的な問題と、その前に試験的に技術上成功するところまでまだ行つておりませんので、そういう過渡的な段階にありますので、従つて硫酸工場の方が非常に目について、通産省としては硫酸工場だけ一生懸命やつておるんじやないかというふうにお考えになるかもしれませんけれども、実はそうじやないのでありまして、そのあとの工程に対しまして、われわれはあらゆる努力払つて何とかして反省をさして、日本は非常な無限にあると言われております磁硫鉄鉱完全利用をはかりたいというふうに考えておるわけでございます。この問題につきましては今後におきましても日本鉱業等が現在非常な技術的な援助をやつておりますので、われわれとしましては何とか成功させて行きたいというふうに考えております。ただ今後またこういう煙害を起したら操業停止という問題につきましては、私どもももちろんそういう考えで何とかして御迷惑を方々にかけないように持つて行きたいというふうに考えております。
  21. 齋木重一

    齋木委員 もう一言でしまいたいと思いますが、磁硫鉄鉱製造に対しましては当局は楽にできるというようなお考えでやつたのですか、至難であるという前提に立つてこの磁硫鉄鉱を助成するという考えでおやりになつたのですか、どうですか。
  22. 川上為治

    川上説明員 私どもはこれは絶対に成功するというふうに現在も信じております。これは学者の方々技術者の方々にいろいろ聞きましても、ドイツの方法あるいはアメリカの方法につきましては、これは日本に適用しましても成功するものだということをはつきり言つております。ただこれは時間的な問題でありまして、時間的な余裕さえ与えたならば私は完全に解決するものというふうに考えております。
  23. 齋木重一

    齋木委員 時間的な問題だとか、実に至難な問題だ、至難な問題だと先ほど来こじつけるように私には聞えるんですが、至難な問題なら最初から緻密なる計画をもつてやるのが当然であつて、いまさらになつて至難なことがわかつて来たのじやないと思うのでさつきお尋ね申し上げたのです。至難なことはわかつているわけなんだ。あなたの今のお言葉なら至難なことをちやんと計画のうちに入れておいて会社を創立し、事業を開始するということが設計にあるはずだ。いまさら至難だということは実際は答弁の逃げ口上のように聞えることはまことに遺憾にたえないと存ずるのであります。だからあなたはるる至難々々と言つていたからわかつたが、今後再びああいうようなことを繰返さないかどうか。繰返した場合においてはある程度操業停止をやるという御覚悟があるかどうかということを伺いたい。再確認のためにお問い申すのであります。
  24. 川上為治

    川上説明員 非常にむずかしい技術でありますけれども、われわれは必ずあれは成功するというふうに考えておりますし、現に東大教授の小川先生が中心になりまして指導いたしておりますが、この技術につきましては世界的な技術でありますし、日本に適用しましても必ず成功するというふうにわれわれは聞いておりますので、将来は問題なく解決するものと私は考えております。ただ問題は硫酸工場設備計画そのものはいいのですが、それに使つた資材でありますとか、あるいは技術的に若干なれない点があるとか、そういう問題が煙害を起しておる問題でありまして、そういう点さえ十分解決して行きますれば、そしてそれに資金がつきさえすれば御迷惑かけるようなこともなく、必ず完成するものと考えております。ですから今お話がありましたように、私どもの方としましては非常にむずかしい問題ではあるけれども、これは必ず解決されるというふうに考えておりますし、それから今後におきましてもそういう煙害が再び起らぬようにあらゆる努力を払いますが、もし煙害を起すようなことがまたあれば、これは今おつしやつたようにそんなに方々に迷惑をかけまして操業する必要は毛頭ありませんので、操業を一定の期間抑えるとかいうようなことで、何とかしてわれわれの方はこの問題を解決して行きたいというふうに考えております。
  25. 齋木重一

    齋木委員 最後に資金面において、私の聞いたことを参考までに申しておきますが、敦賀工場生産過程における設備その他の資金において、前二口社長がああいうような不始末をやり、損害をかけつぱなしにしておくというようなことじやなくして、何か二、三の鉱山をやつて大失敗をやり、そのしわ寄せを敦賀工場に持つて来て一般に迷惑をかけておるということをわれわれはほのかに聞いておるのであります。それでそういつたような資金面が枯渇して来たので、敦賀工場そのものの設備その他においてはそういつたようなことはない。ほかの面において前社長がそういうふしだらなことをやるか、不見識なことをやつて財政的に窮迫して、そのしわ寄せを敦賀に持つて来たというように私どもは聞いておるのであります。これらに対しましては、当局において十分監督と指導をやつていただきたい。私は重ねて申し上げますが、再びああいうような被害を起したならば、そのときは私ども承知いたしません。これは農民の実力をもつてでも会社の一時休止をやるとかなんとかいう方法をとると同時に、私ども当局に対しても相当の覚悟を持つております。そういうことのないように御注意を願いたいと思います。これを強く要望いたしておきまして、一応私の質問はこれをもつて終ります。
  26. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次は帆足計君。
  27. 帆足計

    ○帆足委員 農林省の米穀担当の方にお願いしたいのですが、御承知のように通産委員会で数次これが問題になりました中国からの米の輸入のことでございますが、農林省当局の適切なおはからいで、すでに三万石からの米が芝浦の港に着きまして東京都内に配給されまして、新聞等の伝えるところによりますと非常な好評を博しておりますことはまことに御同慶の至りでございます。先般の通産委員会の速記録をもう一度ひもといて見ましたところが、今次輸入いたします三万トン内外の中国からの米の輸入に対しましては、通産省当局並びに農林省当局打合せの上、見返りの硫安を輸出する。これは十箇月の余裕期間があるわけでありますが、その期間内に輸出する。なお硫安が不足する等の困難がありました場合は、ポンドのストレートでその穴埋めをする考えである、こういうふうに承りまして、速記録にも明確に載つております。もしそういうことであれば、この問題をはつきりと中国側にも通達いたしまして、事務的に手落ちのないように固めておかねばならぬと存じますが、その後硫安の輸出にますます困難な事情ができておるやに承りまして、政府がお約束通り事が進んでいない点もあるのではないかと推察される点があるやに聞ましたので、重ねて問題の進行状況をお伺いいたしまして、そして政府だけの力で足らない点がありましたならば、委員会といたしましても、また中日貿易促進議員連盟といたしましても、適切な措置をとりまして、政府を鞭撻し協力したいと思つている次第でございます。先日も貿易促進議員連盟におきましてこの問題の相談会をいたしまして、柿手肥料部長さんにも来ていただきましてるる実情を説明いたしまして、なお硫安の輸出に困難があるとすれば、十七万五千トンの現在の調整用というものが少し多過ぎるようでございまして、あれは基準としてと書いてありまして、この国際収支の逼迫しておるときに、機械的に温存している意味ではないと思いますから、全体としての物価の趨勢やデフレーシヨンの動向や国際情勢や電力事情などを考えまして、硫安の国内の需給に不測の心配を与えるおそれがないような事情に持つて行くならば、十七万五千トンのうちの何万トンかは、私は輸出の回転用に一時的に使わしてもらうということは、これは当然農林委員の諸君といえど、良識のある方ならば了承する問題であるとも思いますので、貿易促進議員連盟の方では、農林委員の諸君と来週早々ゆつくり懇談するようになつております。今日も改進党の稻葉さんその他から井出農林委員長の方にもこのことを申し出まして懇談するようになつている次第でございます。こういう事情を背景といたしまして、現在農林省当局で事務取扱いはどういうふうになつておるか、またどういうふうに進行しつつあるか、支障の点があるとすればどういう点に支障があるか、またわれわれが協力せねばならぬ点があるとすればどういう点を今御困難と感じておられるか等について正確な御答弁を承りまして、一段の御努力をお願いするとともに、われわれも協力して参りたいと思つている次第でございます。よろしく御答弁を願います。
  28. 長尾正

    ○長尾説明員 中共米の輸入につきまして、帆足先生にいろいろ御苦労いただきました点は、われわれ非常に感謝しております。幸い輸入いたしまして配給いたしましたものは非常に評判がよろしくて、その点われわれも安堵しておるわけでございます。  ただいまお話のありました見返りの硫安の件でありますが、これにつきましては、中共米を入れますときにわれわれとしてはぜひ入れたい。しかしバーターでありますので、先方が要求しております硫安をぜひ出さなければならぬというので、通産御当局ともいろいろ連絡申し上げたわけであります。先ほどお話がありましたように逆トーマスの期間も非常に長くとつて十箇月というようなことで一応の話合いがつきまして、それで一部は入つておりますし、また近々その残りも入つて来ることになつております。  それでは見返りの御心配いただいております硫安がどうであるかということにつきまして、われわれは通産当局でその期間には必ず輸出させるというお話合いできめたものでございますので、ぜひそういうふうになるというので実は通産御当局の輸出がその間にできるものとしてわれわれは期待しております。まだ期間もあることですから今督促というようなことは農林省として別にいたしておりません。
  29. 帆足計

    ○帆足委員 実は肥料部長さんも問題の重要性はよく理解してくださつておりますが、しかし台湾向け、朝鮮向け、また国内の需給調整用などの逼迫した諸条件にはさまれて非常に御苦労しておるというような実情のようでありまして、どうも多少自信がないような御答弁もちよいちよい肥料部長さんからも承るのです。そこで私ども御苦心のほどもわかつておりますから、あまり無理なことは申されませんし、米の三万トン前後についてはすでに通産委員会において農林省当局とのお打合せの上硫安の見返りで輸入する、そして若干足らぬ分はポンドのストレートで準備もあるから、幸いよい米でもあるし、昨今不況の状況でもあるし、また黄変米で非常に困つている事態も考えて、将来の大事な市場でもあるから、またさらに通産省の腹としては、今次大蔵大臣また外務大臣等が、また場合によつては吉田総理がココム加盟の諸国と折衝して——世界情勢も水爆を中心として戦争を避けねばならぬという状況になつて来て、東西貿易の問題も緩和されつつある状況であるということはもはや明らかであるから、そういうことも十箇月内には期待して、その上で多少補うこともできようからという腹もありまして、今次の米の問題については心配がないということではつきりと速記録にあるわけなのです。ところが硫安がその後はかばかしくない事情にあるということも聞いております。そしてはなはだしきに至つては一トンもむずかしいのでないかということもときには聞くのです。でございますが、そのようなときには全部ポンドでやつていただけるのか、また中国側にポンドと硫安との割合をどの程度になるかもしれないというようなことも了解を得てあるのかどうか。これは民間の業者側の責任であると私は思いますけれども、あつせんの労に当つております農省林の当局では、そういうことについて知つておいていただいて御指導をしていただかねはならぬと思います。何分東西貿易のヨーロツパの金額というものは最近非常に大きくなりまして、東西貿易全体で十四億ドルにもなつておる状況の中で日本は割込んで行こうとしておる。日本の実績は昨年わずか四百五十万ドル。だれが見ても、経済学のいろはを知つておる者であるならば、偏見なしに中国の食糧と日本の化学工業及び機械工業製品を結ぶということは、もはやすべての人に喜んでもらえる課題になつておるわけです。これが小銃、機関銃の時代で、封建時代のようにまた戦争を繰返すというのであるならば、こういうことを考えても意味はなしませんけれども、水爆原爆の時代で、隣邦と事を構えるということは、どんなイデオロギーの相違があろうとも避けねばならぬし、避け得る状況がもう明らかに来ておる。明らかに平和の状況が来ておるならば、その間で貿易で生きて行くことが、保守陣営にとつても進歩陣営にとつても一番有利なことであると思う。今日ではもう常識になつておる。一年前にはこの程度のことすら理解されないような日本の低い教養とコモンセンスであつたと思うのですが、今は水爆の時代であり、平和が必要であり、貿易が必要であるということはみんなにわかつたのです。従いまして今米を入れるということは、今日の問題として重要であるばかりでなく、来年の問題を考えてわれわれは準備しておりますから、なるべく詳細にわたつて農林省当局は御指導を願います。その進行状況についてさらに御答弁を補つていただきますれば幸いであります。
  30. 長尾正

    ○長尾説明員 ただいま帆足先生からおつしやつた通りわれわれもしごく同感であります。御承知でもありましようが、これをきめますときに、硫安の点は輸出余力の点で非常に問題になつたのであります。しかし先方からの要望もありますし、品質からいいましても、われわれとして最も望ましい品質でありますので、ぜひやつていただきたいということで、通産当局に再三話しまして、御承知のような結果で十箇月というような期間をつけまして、決定いたしたわけでございます。従いまして、われわれとしましては、これは通産御当局に、実は絶大の御信頼を預けておるわけです。ぜひその線でひとつやつていただきたいということは、機会あるごとに申しております。やはり先ほどもおつしやつたように、本年一年の問題であるとは、われわれは考えておりません。今後の問題もありますので、当初日本側が約束しましたものは、ぜひ履行して行きたい。そういうことが今後の中共米の輸入に支障になつては、われわれとしては非常に困るわけであります。その点は機会あるたびに、いろいろ通産当局にお話をしております。通産御当局とされましても、当初その線で出されたのでありますから、いろいろ御苦心の点もありますが、ぜひこれは実行していただけるものと確信しております。
  31. 帆足計

    ○帆足委員 そういうことでございますなら安心いたしましたが、どうも肥料部の方の態度が、最近また非常にあいまいでございます。そうすると、ストレートで買う分と硫安で買う分の比率とか、または硫安を輸出しまする十箇月間の手順というものについて、中国側にも多少希望があると思いますから、それが齟齬が起つて、輸入の円滑を欠くということになりますれば、ほかの点から支障が出ますから、私の方からも両者の方に警告を発しておりますので、両者の方で連絡役があなたの方に参上しまして、緊密な連絡をやつて、齟齬が起らないように協調しながら進みますから、一段とひとつその点御協力をお願いいたします。  なお、この問題に関連いたしまして、昨日、あなたはお見えになりませんでしたが、通産省当局には了解を得たのですが、中国の方は公社が一社であつて、こつちはたくさんの業者が争つておりまして、特に貿易業は不況のために、商売にもならぬために、小さなものを争い合つているようなありさまである。これでは貿易商社は相次いで倒れるのみか、商業道徳は低下し、そうして中国から買うものは、もつと高く買おうというようなことを、かつてに言う商社もある。また売るものは、自分の利潤を捨てるのみか、損をして、またはダンピングをして売ろうとするものが、続出というような現況になつております。ところが日本の現状と中国との交渉の経過からしまして、今中国貿易公団をつくることは、客観的に見て不可能であると私は観察しております。この問題は将来に残る問題でありますが、当面それが不可能であり、そしてなお、群小商社が、一つの公団に詰めかけるということが不合理であるとすれば貿易に完全に公平ということはありませんので、次善の策として、ある程度指定商社または——指定商社を機械的に取扱いますと、やはりこれは弊害ができると思いますが、原則としては指定商社、または指定商社類似のグループを尊重いたしまして、適時貿易量が大きくなり、貿易が活発になるにつれて、多少これを補つて行く。もちろん中国貿易の問題は、過去の貿易実績のみではかるべきでなくて、中国貿易に対する実績と、その専門の知識をも考慮してあげることが、私は実情に即したことだと思うのです。従来の中日貿易に携わつておる商社、生産業者は非常な犠牲を払つて来ておりますから、それも私は考慮に加えていただきたいのですが、原則としてはグループをつくりまして、それを尊重して行き、適時に議員連盟や促進会やまたは政府行政当局で多少ここは不公平である、無理があるというところは無理のないように直して行く、また現在のれんをもらつてない業者でも、ある実績ができたならばのれんを一定の条件のもとに与えるというふうに公正合理的に修正して行くことが必要でありますが、やはり一種の指定商社あるいは指定商社に準ずるようなグループを認めて行くという今日のやり方は妥当である、こういうふうになると考えております。一つの取引の数量が商事取引としての数量に達しないときに、次々と拡大するということも行き過ぎでありますから、その点は緩急よろしきを得るように内面御指導のほどをお願いしたいということを通産大臣に申しましたところが、その考え方は非常に現在の実情に即しておるというような通産省当局のお答えでありましたので、私も安心しております。最近促進会の鈴木事務局長が多分北京に参るかまたは香港に参りまして、香港で中国の公団の人と会う機会ができるであろうと思います。また社会党は自由党の皆さんと一緒に北京に行く機会があろうと思いますが、そのときにもこういう問題についても話合いをしてもらおうと思いまして、原則を皆さんと相談して大体そういう方向に行きたいというのが一般の輿論のようでございます。先日塩の輸入について一、二の商社が抜けがけをして、非常な迷感を中国側にも与え、両国の貿易に支障を来しました。従いまして大量物資の取引におきましては、そういう不必要な抜けがけのないようにして参りたいと思つておりますが、その点も私どもの申しますことが妥当でありましたならば、それに近い原則をお心に置いて行政御指導のほどをお願いしたいと思います。
  32. 長尾正

    ○長尾説明員 ただいま御指摘いただきました点も実はわれわれも内々考慮しておるところであります。従来はほんとうの見本輸入というような考えで入れておりましたけれども、今後のことを考えますと、おつしやるように、非常に群小の商社が相手の進出口公司一本で参りました結果、かえつてまずくなるので、この点今後いかに進むべきかということを、実は通産事務当局とも内々御相談申し上げておるところであります。われわれの方から勝手なことを申し上げますと、御承知のように米の取扱いも、これからは黄変米その他の関係で、品質、規格等をなおこまかく厳重にやつて行かなければ消費者の御満足は得られないという観点からしまして、相当米の取扱いになれておるといいますか、そういう経験の深い方を選ぶいうことがわれわれとしてはまず要件ではないかと考えておりますが、御指摘のように中国貿易につきましては、先方といろいろ従来からの交渉の経緯等もありまして、その点で通産御当局ともいろいろ連絡してやつて行かなければならぬ面も出て来るかと思います。しかしおつしやつた御趣旨の点は実はわれわれも同感であります。その点で今後の行き方を具体的に進めて行きたいと考えております。
  33. 帆足計

    ○帆足委員 私どももたいへんけつここうだと思いますが、先日塩の問題でしくじりましたときに、私は北京政府の方も悪いのだ、日本側に競争させて、そして抜けがけをするところがあれば、中国側にも何か利益がありはしないか、このような気持があるから、そういうことにひつかかつて、結局は天津の波止場に品物がたまつてクレームを要求するようになるのだから、中国側もやはり自由と統制の調整、協同組合的な多少の考えを入れて、公正な協力を要望するというような気持であつてもらいたいということを私どもの方からも中国の方に礼儀を失しないように実は希望もいたしておる次第でございます。従いましてどうかそのような方向にしていただきたい。ただ業界の各界にわたつてよく常に聞きますことは、せつかく貿易ができるようになると、今まで中国貿易で実績のなかつた、そして中国貿易に対して何ら寄与しなかつた商社が専門の品物を取扱う能力があるということだけのために入つて来て、それを独占するということはもうたえられないことである。というのは中国貿易の問題は、もう五箇年にわたつてみな苦労して来て、水爆の時代であるから、戦争経済へ依存する率よりも正常な貿易に依存する率の方が大きいに違いない。その日が来たならば、東西貿易について、イデオロギーの問題で多少の遠慮はあるけれども、日本の国民生活の安定と自立に寄与するから、あえて迫害を押してまで多額の費用をかけて、中日貿易のけわしい道を乗り越えるために協力した十数箇の商社があるわけであります。そういうような商社はおおむね中小商社でございます。財閥関係の大商社は台湾に気がねし、アメリカから特需の利潤の多い貿易をもらつて満喫しておりましたために、そういう人たちは片手で将来のことを考えて犠牲を払うという気持があればよいのに、そういう気持は一向になくて、今になつて殺到して来ているというようなことが業界の中に多少の声もあるわけでございます。こういうことは、今後の指定商なり指定グループの裁定にあたりまして、やはり業界の徳義の問題として多少の考慮は置きつつ、御指導のほどをお願いしたいと思います。あとの問題につきましては、業界の連絡グループの幹事の人たちが密接な連絡をとりまして、もはや与党、野党の区別なく、このことは円滑に行こうという政治的雰囲気でもございますから、緊密な御連絡をしまして、これが支障なくやつて行けるよう努力いたしますように私どもの方もとりはからいますから、お忙しいところたいへんですが、ひとつ今後ともよろしく御協力のほどお願いしまして、米の問題の質問は終ります。
  34. 齋木重一

    齋木委員 今農林省の人が来ているそうで、同僚の帆足先生が御質問になつたようですが、中共米の問題として、農林省、通産省、食糧庁の三者の決定について確認をいたしたいと思います。本年七月十六日に中共米が六千五百トン、七月二十三日には六千トン、同じく四千トン、八月六日に四千トンと五千トン、これが既契約、入札済みとのことであります。これに対する見返り物資として、三十年の一、二、三月に硫安を一万五千トン、同じく三十年四月に一万四千トン、五月に九千トン、六月に九千トン、七月に一万二千トン、これだけの硫安を輸出するということが通産省、農林省、食糧庁三者間において決定済みと聞いているのですが、これは実際決定済みになつているのですか、確認をいたしたいと思う次第でございます。
  35. 長尾正

    ○長尾説明員 ただいまおつしやいました米の方の数量でありますが、現在まで中共米で買つておりますのは、北支米が一万二千トン、中支米が一万九千トン、合計三万一千トンでございます。ただいまおつしやいました数字とちよつと違つていると思いますが、現在買いつけておりますのはその三万一千トンでございます。それにつきましての別の硫安につきましては、まだこまかく決定はいたしておりませんが、逆トーマス方式で十箇月のユーザンスの期間を持つて、その間に硫安を出して行くことになつております。一番初めの北支米一万二千トンのうちの五十四百トンに相当する硫安につきましては、八月にすでに輸出の手配ができております。残りにつきましては、今おつしやいましたように月別に幾らというようなことにはなつておりませんが、期間を切つて、その間に出していただくようにとりきめております。
  36. 永井勝次郎

    ○永井委員 中小企業庁長官にお尋ねします。これは午後から大臣と同席のところでいろいろお聞きしたいのですが、簡単に二、三お尋ねします。中小企業金融公庫の運営について、この公庫の出発にあたつての最初の予定よりは原資が少い。この金を最高限度一口一千万円というような貸出しをすれば、どれだけの人にも行き渡らないというので、原資が相当額ふえるまでは最高限度一口三百万円程度にして、できるだけ普遍的に、地域的にこれを均霑するように運営するようにという附帯決議で法案は通したのでありますが、最近長官が新任されてから一口最高一千万円まで貸すと、こういう示達をされたようでありますが、それはどういう趣旨によつたのか。どういうところの意見を入れてなしたのか。あるいは近い将来に原資が相当額ふえるという見通しの上にされたのか。その後の中小企業金融公庫運営についての基本的な態度をお示し願いたい。
  37. 記内角一

    ○記内説明員 従来から中小企業金融公庫の貸出し方針は、設備資金につきましては一千万円、運転資金につきましては三百万円を限度とするということにいたしておつたのであります。ところが運転資金は当初相当出るんじやないかということでその程度に押えて参つておりましたが、その後の一年間の経過を見ますと、設備資金は相当出ているのでございますけれども、運転資金はなかなか判断のむずかしいというふうな点もあるかと思うのでありますが、あまり活発に出ておりません。従いまして三百万円の限度で抑えるということも、目下の状態では必要なかろうということで、これを運転資金につきましても設備資金同様に一千万円に引上げて参つたということでございます。従いまして今までの貸出しの事情から考えまして、これによつて資金量に大幅の不足を来すようなことはないと見ている次第でございます。
  38. 永井勝次郎

    ○永井委員 そういたしますと、長官は、現在の中小企業の金融事情は資金にはそう困つていない、小口の方の金融はそう困つていない。従つて借り手がよけいないからひとつ一千万円まで大口のところでこれを消化するようにしよう、こういうようなことで変更になつたと了解してよろしいのですか。
  39. 記内角一

    ○記内説明員 現在中小企業の方も相当資金を要求して来ているのでございますが、だんだん調べてみますと、いわゆる短期の資金が相当要求されております。もちろんこれを長期化したいという考えのもとにやつている向きも相当あるわけでございますが、実は金融機関も御承知通り長期運転資金を、昔は担保金融という形で、不動産担保で設備資金に使うか、あるいは運転資金に使うかを問わず金融をいたしておつたのでございますが、戦争以来長期資金設備資金、運転資金は手形の割引もしくは手形の貸付ということで、短期の資金という形で出て参りました。自然借りる方も貸す方も、長期運転資金を貸借することにはなれておらないという関係があるのじやないかと思われるのでございます。金融機関自身もこの長期運転資金の取扱いを喜ばないと申しますか、どうも出が悪いわけでございます。従いましてこれは金高いかんで出るあるいは出ないという問題でもございませんが、もちろん三百万円以下のような小額の分についても、今後とも従来あるいはそれ以上に長期運転資金の方に切りかえて参りたいと考えておりますが、さらにそれ以上の大口のものについても、その道を開いておいてさしつかえないんじやないか、当初予想されておつたようにここに殺到するおそれもないんじやないかと考えた次第でございまして、今の需要が減つているというふうには見ていないのであります。
  40. 永井勝次郎

    ○永井委員 中小企業庁の長官として赴任されて、そういうような中小企業の実態を把握されて、そういう認識で今後行政をやられるということについて私は唖然とせざるを得ないのであります。金融公庫の過去の運営から見ましても、最初は運転資金は、設備資金を貸すというのが中心であつた。そうして最近運転資金の方も相当考えなければいけない、設備が二重投資になつておるというようなことで手を触れて来ただけであつて、その実績に照らして運転資金の需要がないからというような、こういうことは実績ということにはならぬと思う。それからまたそう資金が殺到しないというけれども、要望はうんとある。しかし第一線の代理貸し窓口で押えてなかなか取次がないという運営面の現在の不円滑な状態、金庫を設けました趣旨によつて動いていないという、こういう実態がもう第一線で要望をけ飛ばしておる。こういうことのために現在資金が殺到して来ないというだけであつて、その必要な需要の状況というものは非常にうん醸しておる。そういうものがないならば何も今日中小企業の危機とかなんとか騒ぐ必要はないと思うのです。ことに中小企業金融公庫を設けたという趣旨は一般金融から見放されておる。特に中小企業というものは危険率も高いだろうし、それから一般金融機関からの貸出しの対象としては取扱いが手薄になつておるから、そういう手薄になつておる部分に対して、特にこの金庫を設けて、その部分に円滑な金を流して行こう、こういう趣旨であつたと思うのです。ところが一千万円までということになつてみますれば、ここに地方銀行その他の金融のいろいろな統計がありますけれども、都市銀行においても貸出しの一件、貸出しの単価というものはそう大きな金額ではありません。地方銀行などでは、一般銀行だつてたいてい二、三百万程度が一口平均であります。そういうような小口金融が非常に需要があつて、それが十分に行き渡らないというときに、現在の金庫の運営の上から資金の需要がない。従つて大口の方へ引上げてそうして一千万円までふやして行く、金庫を設けたときの趣旨と、われわれの期待している運営と、またそれの実態の把握の仕方とがこんなにも時代離れした距離を持つておることを私は初めて知つたわけでありますが、長官は今のような一千万円の最高に持つて行つて、そうして現在原資が幾らあるかというと、どれだけもありません。千人か千五百人貸せばもうそれでなくなつてしまう、そういうような貸出方、あるいは組合の方にはもつと高額な金が行きますから、少くとも千口ぐらい貸せば原資が皆なくなつてしまう。そういう貸出方か中小企業金融公庫を設けた趣旨に合うような運営であると考えておりますか。またそれが中小企業金融公庫が中小企業危機の現在の実態に即して、どういうところにどういう道を開いて、そうしてこれを解決して行かなければならぬものという努力目標をどこに置いておるのか、これを明確に伺いたい。
  41. 記内角一

    ○記内説明員 われわれももちろん必要な方面に必要な資金を出さなければならぬ、今の中小企業の実態から申しまして、そう大きな運転資金の大口の需要というものはない。結局百万から百万前後、せいぜい二、三百万どまりのところが多いじやないか。現在までの貸出しの実績を見ましても、設備資金が中心ではありますが、それにいたしましてもやはり三百万か四百万前後になつておるわけでありまして、従いまして運転資金となりますれば、それ以下の面にとどまるというのは当然でございます。しかしながら今までの実績は御指摘通り運転資金についてはあまり芳しい成績を示しておりません。従いましてわれわれとしましては、さらに金融機関の方面を督励いたしまして、この方面にいわゆる啓蒙運動をいたしまして、長期の運転資金を貸すような態勢に持つて参りたいというふうに考えておるわけであります。ただそれにいたしましても、三百万円に限度を置くほどのこともない、もう少し拡張しておいてもよいではないかというふうな観点のもとに一千万円まで引上げたわけでございます。従いましてわれわれの見通しとしましては、一千万円に近い金額が多分に出て来るというふうなことは、おそらくないだろう。それは例外的にはございましようが、それは少数の問題であつて、基本の大多数のものは三百万円以下に依然としてとどまつて来るのではないか、従いまして、一千万円にわくを広げましても、ただわくを広げたことによつて、幾分でもそれの余裕を持たせるという観点でありまして、重点はやはり運転資金でありますれば百万円ないし二百万円前後を中心に考えて行くべきである、またそういう面で長期運転資金の貸出し自体について、金融機関を督励して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  42. 永井勝次郎

    ○永井委員 私非常に忙しくて時間がありませんからまた何しますが、一体資金を貸すのに啓蒙するというのはどこを対象に啓蒙するのか、借手がないからもつと借手がないかといつて啓蒙する考えなのか、それからまた長官は現在のところで借手がないから一千万円まで広げておいてもよいじやないかと言うが、それはとんでもない間違いであつて中小企業金融公庫を設立した趣旨と、そのときの附帯決議等を一体読んでおられるのかどうか、原資が足りない現在においては、できるだけ地域的に行き渡るように、そうして中小企業が、一般金融機関、銀行なり何なりそういうところからめんどうをみてもらえないような層に開拓して行こうと、こういうのか設立の趣旨であると思うし、運営のねらいであると思うのですが、今のような長官の話ですと、まつたくわれわれの附帯決議をした趣旨とはかけ離れた認識を持つておる。それからまたこの附帯決議を付したときの中小企業のいろいろな条件と、それから金融の条件というものと今日とを比べると、さらにその条件というものは深刻化して悪化しておる、こう思うのでありますが、長官はそれと逆行しておる考え方を持つておるのであります。それで今までの実績を見ましても、これは中小企業といえば御承知のように資本金一千万円まで、こういうのでありますが、昨年あたりは一億の資本のところに貸しておる。なぜ貸しておるかというと、一億の資本であるけれども、しかし従業員は三百人以下である、人数の上で中小企業であるというのであります。そういうような抑え方をしてまで一億というような資本構成のところに金を貸しておる。だんだんこれは大口を入れてそうして大口からの金融の要望にこたえようとする、まつたく資本家擁護である、そうでなくても一般の金融が独占資本に集中融資をしておるときに、そういうような看板だけは中小企業金融公庫という看板をつくつて、その中で中小企業をさらに搾取して、そうして大口融資へ奉仕するというような——中小企業庁は長官がかわつたとたんにそういう運営の内容まで、ものの考え方まで、中小企業対策の本質的な考え方まで狂つて来るということは、われわれは重大な転換だと考えるのでありますが、私どもは今言つたように、啓蒙するというのはどこをねらつて何を啓蒙しようとするのか、それから資金需要がそんなに一般中小企業からないと考えておるのか、従つて需要がないからこれから鐘たいこで探して金の借手はないかと、こういう宣伝をなさるお考えなのか、その点をちよつと簡単に伺つておきます。
  43. 記内角一

    ○記内説明員 啓蒙と申しますのは金融機関を啓蒙したいという点でございます。先ほど申し上げましたように、金融機関は長期運転資金の貸出しにはなれておりません。運転資金の貸出しといいますと、手形の割引をせいぜい六十日か九十日ぐらいの約手の貸出しというようなことを中心にいたしております。何か取引をやつた場合の取引の支払いの金を出すというふうなかつこうになつておりますから、従いまして長期に停滞するような運転資金はどれが長期運転資金だ。あるいはその範囲はどれだけだ、その金高はどういうふうなものを抑えて行くんだということが金融機関自身もまだ十分になれておらないというふうな事情ででございます。従いましてわれわれこういう場合の資金であれば、長期運転資金であるということで貸してもいいというふうなことを漸次定めて参りまして、金融機関の方面に知らせる。それによつて金融機関もまあそれくらいならば貸して行こうという気持を漸次勧誘してもらいたいというふうに考えて参りたいと思います。
  44. 柳原三郎

    ○柳原委員 関連して一つだけ質問いたします。長期運転資金なんですが、この前も中野さんにいろいろただしてみたのですが、運転資金のいわゆる定義というものが中小企業庁でも今聞いておつてもできておらないで、各銀行の窓口では長期運転資金の解釈には非常に苦しむわけです。あなたの方から、公庫ができてから一年になんなんとするのに、長期運転資金の定義というものを示してやつて、この限界までは長期運転資金と解釈してよろしいということを示してやらなければ、運転資金の借りようがいなわけなんですよ。その辺は順次これから指導して行くというお話ですが、そんな生ぬるい運転資金の利用なんというものはありつこないのです。窓口で受付けてくれやしませんから、それで定義というものについては、それぞれ話し合つて一つの線というものが出ておるのか、出ておるならそれを教示してもらいたい。どういう話ですかその辺は……。
  45. 記内角一

    ○記内説明員 運転資金というのは原材料の支払い、買入れの支払い、あるいは賃金の支払い、それはやがて製品を販売することによつて回収できるようなものというのが運転資金の根本でございます。従いまして大体は先買契約によつて品物を渡した、それによつて手形で代金を受取つた、その手形を銀行に持つて行つて割引いてもらつてこれで賃金の支払資金に充てる、あるいは原料の購入代金の支払いに充てる。その間に原料の購入もまた手形で支払つておりますから、その手形を落して行くというふうなかつこうになつて参るわけでございます。従いまして仕事をやつて順調に行つている間はその短期手形の決済の方法によりまして、運転資金は特に長期の運転資金を借りなくても経営ができて行くというのが今までの常識でございます。従つて戦争以来いわゆる長期資金という形で金を借りながら、これを経済活動に使わないでいろいろな消費活動等に使つて行くおそれがある。また不急不要の設備に投下するようなおそれがあるというふうなことで、長期資金設備資金に限る。運転資金は短期資金に限るという原則ができまして、現在までそのような方式で進んで参つておるわけであります。しかしながら経済の実態は、今日の状態におきましては、そういうふうな手形の割引という形だけではなかなか乗り切れない事情になつております。従いましてそのうちで特に取引が増大したものとか、あるいは値上りによつたもの、あるいは過去に設備資金に投下して、そこに運転資金が不足して参つた結果、あるいは不渡り手形をつかまされた結果、相当な負担過重になつて来たというふうな場合に、これを長期運転資金に借りかえて参るというふうなことがさしあたり考えられることでございます。またしよつちゆう短期資金を借りかえ借りかえやつておりますれば、一定の限度までは形式的には手形の借入れでありますけれども、常時百万なり二百万なりというものを借入れて行かなければやつて行けないという実態もございます。従いましてその辺をつかみまして長期の低利資金という名のもとに運転資金を供給して参るというかつこうになつております。従つて見ようによりますれば短期資金を順調にうまく割引いて行けば、手形の割引だけで一応決済はつくはずになつておるわけでありますが、それではまわりかねるのが実情でございます。従いましてそういう意味で長期運転資金というものをわれわれ取上げておるのであります。ただそういう今までの金融機関の実際がそういうことになれておらない。従いましてどの辺が長期運転資金である。またその範囲のうち、どれだけ金を貸せばいいんだというふうな点がなかなか判断がつきかねておるという実情でございます。従いましてお互いにある程度までは概念的にはわかつても、いざ貸し付けようというときには長期運転資金でなくて、手形の割引でいいんじやないかということでなかなか長期化したがらない。長期化するとやはり危険率が多い。また担保その他もむずかしくなつて来るということで、長期の資金より金融機関でも短期の資金に簡便に走られるものですから、その方にせつかく方法があるのにかかわらず、長期運転資金を貸し出さないで、短期の資金でまかなつて行こうとする傾向が強いわけであります。従いまして一挙にそこまではなかなかむずかしい問題でございますが、金融機関を督励し、啓蒙して、漸次そういう資金を出させるようにして参りたいというふうに考えております。
  46. 柳原三郎

    ○柳原委員 簡単に申し上げますが、その具体的な長期運転資金の解釈というか、定義というものを一日も早く窓口に指令するというか、通牒するというか、そういうことをやつてもらいたいと思うのです。窓口では迷いますから。  こういうことは中小企業庁長官は知つておられるか、ちよつと聞きたいのですが、今運転資金の解釈の中に、生産もふえて販売もふえて仕入れもふえておる。ここに何かと運転資金の増加が見込まれておる。こういうのが一つの長期運転資金の要素の重大な問題である。こういう説明があつたのですが、七月、八月ごろのいわゆるデフレの波が中小企業に深刻に押し寄せて来たときに、中小企業が銀行へ行きまして、売上げが減つて来るという会社は銀行には信用がいいのです。要するに戦後いろいろの要素のもとに、オーバー・プロダクシヨンの傾向になりまして、全体とは申しません。中小企業のかなりの部面に、六、七、八などの傾向としては堅実な会社というものは生産も減り、売上げも減り、従つて仕入れも減る。こういう傾向のものが現実である。こういうふうに銀行が解釈しておつたということは知つておいでになりますか。
  47. 記内角一

    ○記内説明員 よく存じております。むしろわれわれそういう方向に指導をして来たわけであります。ただ先ほど申し上げましたように、長期運転資金とは何ぞやという際に、抽象的に申しますと今までずつと仕事をやつて来ておる。それならばそれで資金はもう必要ないはずだ、そこへ新たに長期運転資金を借りなければならぬ理由は何かといえば、増産になつた、値上りがあつたとか、そのためによけいに金がいるという場合、あるいは手形がだんだん長期化して来て支払う手形よりも受取る手形の方が長くなつて来た。従つて金が足りなくなつたというふうな、なぜ長期運転資金がいるかという説明とすれば、今言つたようなことがいろいろ考えられる。そのうちの具体的に今の現実として長期運転資金はどの分がいいのかといえば、よけいに増産したとか、値上りだということは理由にならない。逆に不渡り手形を受取つたとか、あるいは手形の期間が違つて来た。あるいは昔運転資金を手持ちしておつたの設備に投下して、どうやらやりくりしておつたが、今は苦しくなつたというのが今の問題になつて来ると思います。
  48. 柳原三郎

    ○柳原委員 そうしますと銀行が貸してもいい、担保能力もある、信用度もこれならよろしい、こういう公庫の融資の対象となる中小企業では、運転資金はもはや必要ない。たとえば申請書の書きようもないというような実態では運転資金の申請なんということはあり得ないということになつて来やしないですか。
  49. 記内角一

    ○記内説明員 そこで、そういう関係もあるので、金融機関が長期運転資金を貸したがらない、貸しにくいんじやないか。それで結局それを短期資金の手形の割引あるいはごく短期の単名手形の貸付というふうなことでしのいで来ている、それが最近の金詰まりの金融引締めによりまして、今まであつた金融のわくすら締め上げられて来ているという実態になつておるというふうに承知しております。
  50. 齋木重一

    齋木委員 企業庁長官がかわつたので、新しい長官にお問いするのですが、先般、前岡田長官よりは、中小企業金融引締めに関する救済策の一環として、国税を手形において納入すればよろしいということの御説明があつたと思うのですが、あなたもそういつたようなことをお聞きになつてつて、それを踏襲されるのかどうか、一言だけ……。
  51. 記内角一

    ○記内説明員 これは国税庁の方と打合せを終りまして、すでに実施になつております。
  52. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 午前の会議はこの程度とし、午後二時半まで休憩いたします。     午後一時二十二分休憩      ————◇—————     午後三時十九分開議
  53. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 それでは休憩前に引続き会議を開きます。電気料金改訂に関する件につき調査を進めます。本件について発言を求められておりますので、これを許します。山手滿男君。
  54. 山手滿男

    ○山手委員 先般政府よりこの委員会において発表をされましたところの電力料金改訂に関する政府の発表に対しまして、この委員会を通じていろいろわれわれも政府の意のあるところを調査をし、お聞きをいたしました。党においても種々政策委員会そのほかにおいて、成規の機関に諮つてこれを審議いたしましたので、この際私は改進党を代表いたしまして、今度の電力料金改訂に対する改進党の結論をここで申し上げたいと思います。  結論は今度の政府の電力料金改訂に対しては改進党は反対である。こういうことでありますが、以下五項目にわたつて私はその理由を御説明申し上げまして、大臣の、政府の反省を求める次第であります。  第一、電力料金の改訂よりも、占領下に強制されたわが国の国情や、電力需給状況に適合せず、経済上、技術上きわめてロスの多い現行電力制度や経営機構を根本的に改正することが現下の急務であつて、目先の電力会社の経理に左右されて料金改訂だけを問題とすることは本末転倒である。これが改進党の反対の第一の理由であります。  この反対の第一理由はどういうことかと申しますと、占領下において突如としてポツダム政令をもつて日本の電力が九分割されて今日に至つておるのでありまするが、この不合理な九分割か向うから押しつけられたことによつて、地域差はますます増大したと思います。経営の不合理な面が順次表に出て参つておるという状況であつて、こういうことが根本的に是正をされて、国民にも納得されるような機構、状態ができ上つて、その上で電力料金を是正して行くという態度でなければ、こういう根本問題を、根本的な機構をそのままにしておいて、ただいたずらに資本費が高騰するというようなことだけで、目先の電力会社の経理内容などにとらわれて電力料金をいじるということにはわれわれは同調するわけには行かないというのが第一の理由であります。  反対の第二を申し上げます。わが国は今や低物価政策へ移行の第一年を迎え、全産業がコストの低下に努め、輸出を伸ばし、国際収支を改善せねばならない時期であるのに、基幹産業等に重大な原価引上げの要因をつくる料金改訂を行うようなことは、自由党内閣の無定見を暴露するものである。これはこの一月、第十九国会の再開劈頭において、吉田内閣は御承知のように財政経済政策の大転換を声明されておる。あの経済財政政策の転換によつて現内閣はデフレ政策に移行し、物価を引下げることによつて、コストの引下げによつて、今日非常に困難な状態に置かれておるところの日本の輸出の不振を、何とかそこを突破口にして打開して行こうというのが吉田内閣の今日行つておる政策の基本をなしておる、その基本的な政策とは完全に矛盾をするような部分的なこういう電力料金の引上げを行うことは、われわれとしてはとうてい現内閣の施策とは考えられないのであつて、われわれはどうしもこういう電力料金の値上げには同調することができないというのがわれわれの第二の理由であります。  反対の第三を申し上げます。政府当局は今回の改訂によつて各種産業の電力料金は大体すえ置きか値下げとなり、このため本年下期の電力会社の収入減は十億円に上ると説くのでありますけれども、これは大なる欺瞞であつて、事実は石灰条項の停止等により電力会社は本年下期数十億円の増収となり、大口電力の実質料金は現行に比べて数十パーセントの値上げとなる向きが多く、輸出採算を失う重要産業未の続出する見込みでありまして、農業用電力などとともに、われわれはこういうふうな不合理な結論を出すような電力料金の改訂には反対せざるを得ない。たとえて言いますと、先般来この委員会で種々御質問を申し上げたのでありますが、政府の方ではまだ数字がはつきりしておらないとか、いろいろなことで答弁もまだ保留されておる向きが多いのであります。しかしながらこれが順次各業界において、自分たちの会社の電力料金を、新しい、発表された改訂料金によつて計算をされてみますると、驚くべき実数が出ておる、そういう現実が目の前に明らかになつて来た。その一例を申し上げます。その一例は八幡製鉄の例である。八幡製鉄の本年一月から六月までの支払い電力料をピツク・アツプいたしてみますと、大体二億九千百万円ばかりの電力料金を払つておる、毎月約五千万円から四千万円程度の電力料金を払つておる。ところが改訂をされた新電力料金によつてはじき出しますと、大体六千万円から七千万円、上期だけで約四億八百万円支払わなければいかぬということになる。そうすると上期だけで約一億二千万円電力料金を多く支払わなければならないような新事態になる、年間約二億数千万円の電力料金によつて八幡製鉄は経営面が非常に暗くなる。今日日本の輸出の不振の根本をなすものの一つには高鉄価問題があります。そこで鉄価を引下げて何とか機械工業の輸出を増進さすようにてこ入れをしなければならぬということが大目標であり、大国策の一つであります。ところがその高鉄価の是正をしなければいかぬ至上命令を受けておる八幡製鉄のような重要基幹産業に対して、年間二億数千万円電力料金だけでも引上げるというふうな結果を招来さすような新電力料金の改訂は、これはさきにも言いましたように、吉田内閣の輸出第一主義に徹しようとするところの政策の大なる矛盾であるといわなければならぬ。われわれはこういうふうな事態に対しては断固として反対せざるを得ないのであります。  反対の第四を申し上げます。ことに今度の改訂にあたつて関係各省や通産省内部部局との連絡も押えられておつて、あまつさえ聴聞会開催も封じて主要各界の要望を一蹴し、一日を争つて実行する態度は、多分に政治的な疑惑を与え、首相外遊に際して電力借款に関する世界銀行の性急な約款実行のみやげとするにおいが濃いとさえ見られておる。火力借款問題はあの当時においても国内にいろいろ疑惑を持たれ、反響を与えておつたのでありますが、いかにもそれと関連があるかごとき誤解を受けるようなこういう性急な、突如として行われるところの電力料金引上げに対しては改進党は反対をせざるを得ない。  反対の第五を申し上げます。改進党は以上指摘したような根本問題をすみやかに解決するために電力審議会制度のごときものを設け、各界の権威によつて独立日本にふさわしい電力制度、経営機構等を作業し、ただちにこれを実行することによつて電力行政を根本的に解決をし、その上に立つて国民も納得の上で電力料金を処理をして行くべしという基本的な考え方を持つておる。そういう見地から私ども政府が突然この委員会に提出をされました電力料金の改訂には反対せざるを得ないのであります。この委員会においてしばしば議論になりましたような、例の電源開発の小坂総裁が電源開発会社を一種の今とは性格の異なつたものに編成がえをしようというふうな議論さえ出ておる。重要な日本の動力資源の一つであるところの電力をどうするかという根本的な施策が民主的に国民の総意で確立されないで、いたずらに現在のような料金いじりをすることは国民に非常な不安を与え、日本の輸出産業に対しても——大臣は必ずしも良心的に満足をしておられないであろうと私は思うのでありますけれども、いい影響を与えるものじやない。たとい電力会社が金融的には少し事態が緩和されたといたしましても、決して電力会社自体にもいい影響を与えるものではないと私ども考えておるのであります。特に私は先般もこの委員会で申し上げましたように、今日では世界一日本の金利は高い。高金利のために電源開発をやればやるほど豊富にして低廉な電力ではなくて、豊富ではあるけれども高価な電力を国民に押しつけなければならぬような、いわば産業が金融に奉仕をしておるような、そういう金融第一主義の機構を残しておいて、電力のような日本に残されておる唯一の資源を開発することには十分ではないのでありますから、電力審議会のような国民の総意を盛り上げるような機関をつくつて、まず根本的にこの際電力を編成し直すというところから出発をして、その結論を合理的に出した上で、国民も納得をさして電力料金をいじるべきである、こういうのが改進党の考え方であります。  以上五点を申し上げまして、私どもは残念ながら政府の今日の電力料金改訂の態度に対しては反対せざるを得ないわけでありまして、この委員会を利用いたしまして改進党の態度を明らかにいたしておきます。
  55. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次は帆足計君。
  56. 帆足計

    ○帆足委員 日本社会党を代表いたしまして、今次の電力料金改訂に対して絶対反対の意を表明するものであります。この内容につきましてはすでに同僚永井委員、加藤委員齋木委員から完膚なきまで分析し、批判し、粉砕し尽したところでございますから、簡略に国民各層各界にわが党の要望並びに今後の対策、意見を申し述べます意味におきまして、反対の内容につきましてしばらく申し述べたいと思います。  第一にこの改定案は、その提案までの手続、発表方式等がきわめて民主的でないのみか、表面上十億円も電力料金を引下げるというような印象を与えて、実際はその後に来るべきものを予想しており、今次の電力料金の、内容的には引上げになつておりますこの案は氷山の一角として、やがては石炭条項その他の条項の援用並びに改訂並びに夏冬料金の一本化等の措置によりまして、大幅の電力値上げを前提として出されておりますことは何人の目にも明らかでありまして、かくのごとき明朗性を欠いた、いわば欺瞞的な方法をもつて資料の提出が行われておるということを私はきわめて遺憾に存ずるものでございます。すでにその証拠には、各重要産業の代表並びに主婦、消費産業、中小企業の代表の意見を先般当委員会において聴取いたしましたところが、各代表から出ます意見は、各産業の別なく、保守急進の別なく、一様に今次の政府の案の出し方は不明朗である、その内容が理解しがたい、かりに常識をもつて判断するならば、われらの産業はそれぞれかくのごとく大幅の電気料金の値上げとなつて、今日すでに不況の中にあえいでおるところの日本の基幹産業のみならず、輸出産業、中小企業、国民生活等全面的危機を招来するものであるという痛切な叫びが速記録に載せられたのでございます。これらのことを考えましただけでも、政府当局は民意に徴して、この問題を全面的に再検討し、従いまして今次その氷山の一角が現われましたところの改訂案をも含めて再検討することが私は至当であつたと思うのでございます。  第二は事ここに至る原因としては、占領軍の占領下において、現象的に日本は国土が小さくなつたではないか、しかるに電力の設備は戦前に比べて大きい、ゆえに火力電気の補修も水力電気の開発も別に急ぐ必要がないのみか、これを開発するごときはもつてのほかであるという占領軍の日本基幹産業弱体化方針に抵抗せず、これに追随しておりました結果が、私は電源開発の立ち遅れを来した第一のゆえんであると思う。これはアメリカ占領軍当局も責めらるべきであると同時に、それと行をともにしたところの保守政府に重大な責任があると思うのでございます。同時にこの占領下の政策に便乗し、十八世紀的な自由主義の時代錯誤の原則に便乗して、すでに一つに統一され、民主化の方向に進むべきであつたところの日本の電力事業を、そして日本の民族にとつて最高にして唯一の重要資源の経営形態を九分割してばらばらに小刻みにしてしまい、さらにその上にこの公共性を必要とする企業を原則としては利潤追求の私企業的形態に還元したということが、電力事業の公益的性格と私益的性格との矛盾の十字架に立たしめた今日の原因の一つであると思うのでございます。しかるがゆえにこの時代錯誤と無定見に対しては、私は今日の自由党政権がよろしく責任を負うて、今日の十八世紀的自由主義の理念を信じておるこの政党、そして経済の計画化という言葉すらが総理のお気に召さぬような政党、この政党にとつては、すでに今日の電源開発並びに水力電気の問題を審査する資格がもはやないと言われても返すべき言葉がないというのが、遺憾ながら今日の実情である。かくのごとき政策のそのなれのはてが今日の混乱を惹起した原因であることを思うときに、私は大いに政府当局においては反省していただかねばならぬと思います。  第三には、この電力事業というものかすでに各界各層から指摘されましたように、日本民族の共同の財産であつて、一産業の利益、一資本の利益に偏重すべきものでないのみか、ただ一つの国際的に有利なる民族エネルギーの根源でありますから、それらのことを勘案いたしますと、日本における電力事業というものは、他の諸外国と比較にならぬくらい、国民的あるいは民族的あるいは公共的、社会的性格を名実ともに明確にして運営しなければならぬ性質のものであります。かくのごとき性格のものであるならば、政策のこれに対する支援も、国家資本その他国家諸政策の便宜も、迅速にしてかつ十分納得の上に行われ得るのでございますけれども、利潤追求の私的経営形態に分断されております今日、これらの諸条件を整備することとの間に、適応しない種々なる要素がありますことが、事態を一層困難ならしめておることをわれわれは認識しなければならぬと思うのでございます。  第四に、もとより公共的色彩があるといつても、今日の資本主義の組織下においてのみならず社会主義のもとにおいても、独立採算ということは重要な問題であつて、いたずらに損をして、赤字を出して経営しろなどということは、今日の成熟したるわが左右社会党は、決してそういうことを言うものではありません。しかしてまた、今日の状況のもとで電力会社経営者に非常なる困難がありますことも承知いたしておりますが、この矛盾を解決する方法は、十八世紀的な、ドン・キホーテ的な政策にもどつてこの矛盾が解決し得るものでもなく……(「町の演説だ」と呼ぶ者あり)まして諸君が演説されるように、ただ自由経済々々々々、なすがまま、あるがままにすれば、やがては公益の結論を見出すというような大道的演説の原則は、すでに通用しなくなつてしまいました。従つてただ経営が行き詰まれば電気料金を上げればよいというような単純な原則では、遺憾ながら問題の解決ができないところに問題があるのでございます。従つてこの際電力政策並びに電力事業経営形態の根幹に触れたところの再検討をすることが必要であるということは、すでに保守陣営においても、改進党の山手さんからただいまきわめて詳細に指摘された通りであります。もはやこれは国民の圧倒的輿論といつてもさしつかえないと思います。これは単にイデオロギーの問題でなくして、日本の客観的現実がそれを要求しておると見なくてはならぬと思います。従いましてこの際、電気事業者も明朗に経営し、安んじて電源開発に邁進し、労使の関係を筋道を立て、合理的協力をかち得、民族的なその任務を担当し得るような諸環境をつくることこそが政治の役割であると思うのでございます。従いまして結論といたしまして、私どもは今日このとき、このような状況に置かれております電力産業の矛盾を解きますために、電気料金値上げの方法による方式には絶対反対であることを明確にいたします。しかしてこれが代案といたしましては、われわれは電力政策並びに電気企業の全面にわたつて、これが日本民族エネルギーの根源であるという見地と、開発を必要としておるという事実と、さらにまたその公益的性格に即して検討を加えまして、各界具眼の士の協力を得まして、電力政策並びに電力機構の再検討を要望したいのでございます。わが党は各界各派のこれら合理的輿論と相呼応いたしまして、いずれ具体的代案を国民の前並びに政府に提出いたしますが、おそらく来年の春までには自由党内閣は当然退場し、そして国民の手によつて新しい情勢ができることと思いますので、それとも相呼応いたしまして、また保守陣営の中でも具眼の士がありましたしならば、私は、当然この問題は取上げらるべき性質の問題であろうと思いますが、国民の輿論と呼応して再検討いたしまして、すつきりした形態で電力政策が遂行され、需源開発が行われ得るような形態に持つて参りたいと存ずるのでございます。  最後に、私どもがこう申しますと、それではその形態はどういう形であるかと言われるでございましよう。十八世紀の初頭にアダム・スミスが富国論を書きましたときは、彼は、株式会社などというものは人様の資本を預かつて経営するものであるから、放漫経営に陥り、結局今日の英国市民の道徳と教養の水準のもとでは、それは非能率経営になるであろう。経営というものは、よろしく個人の私欲、物欲と結合したものでなければ、真の能率を発揮できないであろうということを、先駆者アダム・スミスですら当時申しました。そして、現にアダム・スミスの生きていた時代には、株式会社というがごとき武士道とそろばんをあわせて必要とするような近代経営形態は、さすがの大英帝国の市民もこれを採用することができず、公益に名をかり、多くの人の資本を集めるという株式会社は、その第一期においては、おおむね泡沫会社となつて、そして個人会社のみが栄えたという時代は確かにあつたのでございます。諸君は過去の中国の家族主義的、利己主義に眠つていた時代の中国で、株式会社ですらが経営できなかつたことをよく御承知でございましよう。しかしアダム・スミスなきあとに、やがて英国市民の教養が高くなり——今日の自由党の教養の水準は、私はちようど英国のアダム・スミスの出た当時のものであると思います。それを読むと実によく理解できます、しかし今日の保守党——私は必ずしも保守が悪いのでなくして、その上に意味と反動という名前がついている保守だけが悪いのであつて、健全なる保守なら、ある程度の経営はできると思います。英国もそれを遂に突破いたしました。アダム・スミスなきあと十数年後には、遂に株式会社の組織が、国の産業の根幹になるに至りました。そのときは英国市民の道徳性並びに英国市民の教養というものは非常に高くなつた。それがコモンセンスある民族になつたのであります。今日のわが国の現状において、真に能率を上げようとするならば、私益と私欲と結びつかなければ、真の能率経営はできないと説くところのこの自由党内閣の意見は、まさにアダム・スミス以前のものであるといわなければならない。もはや単なる利潤の唱道、個人的利益の唱道のみにあらずして、理性と祖国に対する友愛と国民に対する奉仕の高い観念を持つて、それに適応した経営形態を探し求めるということが、すでにでき得る状況が今や成熟しつつあるのであつて、そういうような観点のもとで、私たちは新しい形の公益形態はどういうものであるかということを、諸君とともに語り合い、われわれもそれを提示せねばならぬところに参つていると思います。今日私は演説をしようとしているのでなくして、日本の国民の目前にある課題がいかに重安な問題であるかということを、保守の諸君に説いて聞かせ、訴えようとしているのであります。諸君が罵声と潮笑の声をもつてこれを迎えるとすれば、諸君の教養の水準かそれを示しておる以外の何ものでもないと思います。中国に参りまして私は驚きました。新しい形態の企業が生れておつて、そこには労使両利、公私兼顧、そういう形の企業形態が生れておりました。私たちはそれをすぐそのままの形で日本に持つて来ようなどとは思いません。日本には日本に適した形があるのですけれども、この民族全体の運命をになつておる企業の経営形態が、過去の利潤追求本位の私的経営であつてよいでしようか。国民が何千億の資本をそれに投下し、そして国民の命運がそれによつてきまるような産業の形態が、過去の私欲追求の企業形態ではたして日本の青年たち、壮年たちが満足するかどうか、それに満足するのはおそらくただ自由党の一部の諸君ではないかと私は思います。従つて問題がこういう点にもあるということを申し述べまして、わが党はかかる観点から今次の改訂案に賛成し得ないのみか、絶対に反対の意思を表明する次第でございます。
  57. 中村幸八

  58. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 今回の電気料金改訂反対と今後の改訂に対する意見を申し述べて、わが党の態度を明らかにしておきたいと思うのでございます。  わが国の現下の電気事業は全国国民の九九%に達する普及率を示し、公益事業中最大の普及性を有する事業であり、その料金の改訂は民生の安定並びに全産業に重大な影響を及ぼすをもつて、その取扱いは法令に従い公明正大かつ慎重に行わなければならないことは申すまでもありません。しかるに今回の電気事業者の料金改訂申請に対する政府処置は、法令は従わず、秘密裡にしかも独善的に決定を行い、実質的にははなはだしく高率の値上げを決定しながら、外見上はほとんど値上げなきがごとき羊頭狗肉の発表を行つて国民を欺瞞しようとしていることは実に許しがたい行為であるといわなければなりません。すなわち原価主義認可制の現行法に違反し、政治的妥協に終始した政策料金を決定し、電力会社申請とはまつたく異なるがごとく表面をごまかし、石炭条項の廃止、夏冬一本化の料金を決定し、採用しながら、さらに聴聞会も開かず、需用家に政府の決定を押しつけようとして、しかも料金改訂の基本方針発表にあたつて、夏冬料金の一本化については一言半句も明らかにせず、単に明年三月までの冬料金を明示したにとどまり、夏料金となる明年四月以降の料金については、会社側の企業努力、税及び金利負担軽減等の処置により再検討を行うことを発表するのみで、七月末閣議決定の冬料金を夏に引継ぐことを削除して発表したがごときは、政府の意図していることと反対のことを——これは自由党吉田内閣が選挙対策のためにそのような処置をとつたという批判をされておるのでございます。また電気料金の原価計算上はその性格上、上下期に区別して算出することは困難で、一箇年通算で初めて算出されるものであるにもかかわらず、ことさらに明年三月までの半年分の値上げ率だけを発表し、しかも石炭条項が十月以降停止する予定となつているにもかかわらず、停止せざる前の値上げ率僅少のものを発表するに至つてはごまかしもはなはだしいといわなければなりません。  以上は要するに今回の政府決定は、全国平均一一・二%という大幅の値上げを、これは政府の低物価政策と矛盾していることをおそれて欺瞞に欺瞞を重ねて外見上寡少の値上げのごとく発表したので、これは氷山の一角を暴露したものであるといわなければなりません。頭隠してしり隠さずでございまして、われわれは絶対に承服できません。今回の料金改訂決定は、絶対に反対をとなえざるを得ない点は以上のような点でございます。  なおこの際今後のために政府に対し、明年四月以降の料金改訂について強く意見を主張しておきたい点は、一は、明年四月以降の料金抑制のために行う会社側の企業合理化、政府側の税及び金利負担の軽減等の措置は徹底的に強力に推進することによつて現在の料金は絶対に値上げすべきでないということでございます。  二は、明年四月以降の料金は、再検討にあたつて遅滞なく当通産委員会報告して、その意思を尊重するとともに、聴聞会を開催して、需用家の意見を十分取れて決定すべきだということであります。  その三は、明年四月以降の料金決定発表するにあたつては、資料不足、不明確にして、誤解を生ずるがごときことなきよう、全貌を知り得るものを明快に懇切に発表すべきであるということでございます。  第四は、料金改訂は供給者なる電力会社の申請により通産大臣の認可するところとなつているが、買手側の需用家の意見は聴聞会を通じてわずかに参酌されるにすぎない。しかもこれは聞きおく程度以上の何ものでもなかつたのでございます。従つて電力事業者側に常に有利の決定となつていたのであります。公益事業としての国家的使命の上から、需用者側の公正な意見をさらに重視する法律制度のために検討すべきであることを強く主張して、今回発表されました電気料金改訂に絶対反対し、今後の方針についてわれわれの意見をここに強く主張しておく次第でございます。
  59. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 通商産業大臣より発言を求められております。これを許します。愛知通産大臣
  60. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 電力料金の問題につきましては、去る十九国会から引続きまして国会閉会後におきましても、国政調査として当委員会におきましてきわめて御熱心に御審議いただきましたことは、厚く感謝申し上げる次第でございます。特に去る六日以来連日酷暑の折にもかかわりませず、国政調査の一環といたしまして御熱心に御審議いただきましたことを感謝申し上げます。  私といたしまして最後に一言だけ申し上げておきたいのでありますが、それは明年上期以降の電気料金につきましては、さきにも申し述べました通り、電力会社の一層の企業努力要請いたしますことはもちろん、政府におきましても、金利の引下げ、国税及び地方税の軽減の措置を実現することによりまして、料金の改訂を行いたい所存でございます。
  61. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 これにて電気料金改訂に関する件については、一応終了いたしました。     —————————————
  62. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次に通商産業行政一般について調査を進めます。帆足計君。
  63. 帆足計

    ○帆足委員 午前中米の問題を農林当局にお尋ねしましたが、通産大臣に一言だけお尋ねしたい。そして確めておきたいと思います。  先般の通産委員会で米三万トン前後の輸入につきましては硫安の輸出、硫安で足りませんときはポンド・ストレート払いをするという御了解を得ましたが、その後肥料の問題で多少これか行き詰まつておるように聞いております。それで私どもの方では農林委員会の方と懇談することにいたしましたが、とにかく硫安の国内十七万五千トンという調整量は、今日の状態で機械的にそのまま生かしておくことはちよつと無理だと私は思います。あれは基準だということになつておりますから、ぜひともその一部分は輸出の方に向けていただきたい、または適切な方法でこの問題を解決していただきたい。先日速記録に正確に書かれました点、すなわち政府当局から正式に御答弁のありましたその線をくずさないようにしていただきたい。それから塩が御承知のように緊急に十万トン入ることになつておりますが、夏場で、今天津の波止場に積まれておりまして、非常に困難をきわめております。多少の硫安をそれに先に与えるならば、硫安わずか四千トンで塩五万トン入れ得るわけですが、塩、米、硫安いずれも非常に重要な問題でございますので、大臣のお耳に入れておきまして、この問題の事務折衝が単に事務折衝だけに終らずに、大臣の大局的判断が迅速果敢にかつ合理的にこれに加わりますように、ひとつ御裁量のほどをお願いいたします。
  64. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま御指摘になりました点につきましては、かねがね私も非常に留意しておる点でございますから、ただいま御要望のありましたように、なお今後とも関係方面と十分に連絡をとりまして、迅速に結論が出、具体的に実行ができるように、せいぜい考えさせていただきたいと思つております。
  65. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次は中崎敏君。
  66. 中崎敏

    ○中崎委員 現下の経済界の実情に即しまして、通産行政の面から相当検討を要する問題があるのでありますが、そのうちで二、三の問題に限つて通産大臣に質疑を試みたいと思うのです。  まず第一に、デフレ政策を強行するにあたつて常に言われることでありますが、金融にのみ重い負担を持たせて、そのほかの面が相当に軽視されておるといいますか跛行的に非常に重い負担を金融にかけるために、相当無理が行く。これによつて経済界並びに国民生活への圧力が相当生じて来るというふうに感じておるのでありますが、これに対して金融と他の一般の総合的な計画経済の上に立つところの諸般の政策は、一面政府の側において、あるいは民間の側においてもその方針従つて進めて行くということが最も調和のとれた円滑な運営の方法として、健全なる国民経済運営の上に役立つものだと思うのです。そういうふうなことについて、愛知通産大臣としては最近においては一歩進めた構想を持つておられるように感じておるのでありますが、それらの点についての方針を、ざつとでいいですからお示し願いたい。
  67. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まことにごもつともな御質疑と考えるのでございまして、かいつまんで申し上げますと、一つの新しい転機に入つたわが国といたしまして、今後の経済政策を運営いたして参ります場合に、私としては輸出計画を具体的に推進するということが第一に必要なことだと考え、輸出のある程度の長期計画というものをまず一つ描きまして、それに照応した国内の産業政策というものを計画的に打出して参りたい。それにつきましては金融がそれに応じて流れるようにすることが理想的であると考えます。そこで金融の問題でございますが、いわゆる質的調整を多少加味して行かなければならないというふうに考えるわけでございますが、しかしその方法論として融資準則あるいは戦時中までの資金調整法といつたようなものは、あの当時の経験に徴しましても現在とるべき方策ではあるまいと考えるわけでございまして、それよりももつと大局的に押えて行けるような方法が必要ではなかろうか、たとえば具体的な一例といたしましては、開発銀行の資金源を豊富にする、輸出入銀行の資金源を豊富にする、さらに中小金融関係の特殊機関の資金源を豊富にするというようなことをこの際推進いたしますことによりまして、通常のコマーシヤル・ベースだけでは金融が思うように政府の線に沿うように出ておらない場合をこういう制度によつて補完して行くことにいたしたならばよかろうかとひそかに考えまして、関係の向きと現在協議を進めておるような状態でございます。
  68. 中崎敏

    ○中崎委員 ただいまの意見によりますと、輸出第一主義に重点を置いて諸般の金融政策をこれにマツチさせるようにして行く、そういう考え方については私たちも一応了承するものであります。そこで輸出に重点を置くにいたしましても、相当困難な問題があるのは言うまでもないのでありますが、まず当面の問題といたしまして、最近の情勢から見ますと、相当に輸出を急ぐの余りに、業者が無用な競争をする。言いかえれば悪かろう、安かろう、場合によれば必要以上に値段をつり下げる競争をやつておる。いわゆるダンピングまでやつて、そして国際的な信用を低下する。一面において正当な外貨の獲得というものの上にも相当大きな国家的損失を来しておる。こうした問題について大臣はどういうような対策を立てておられるのか。
  69. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この点は実は私どもも非常に頭を痛めておる問題でございまして、前々から申しておりますような貿易商社の統合強化問題も、そういう観点からも必要であると考えます。従つて海外に出張員、支店等を設置いたします場合も、現状は率直に申しますとある地点に集中して大勢のものが出ておつて、ともすると日本人同士でその市場の奪い合いになり、あるいはまた逆に競争を非常に激化する余り、不当に安くしたり悪いものを売つたりするということになりますので、これは一つはさような場合の一種の規制措置をとる必要がある。その規制措置は、具体的に言えば為替管理法の運営よろしきを得るというようなこともありましようし、また渡航に対してのいろいろな制約をいたすことも必要でございましよう。これらについてはさらにそういう趣旨に沿つたような行政ができるようにいたしたいと思います。ところが逆に当然こちらとして出ていなければならないような場所に人も出ておらぬ、代理店もないというようなところが多いのであしまして、これは一方において縮小統合すると同時に、他方においては相当拡大強化して行く必要があると思うのであります。そういつた面について特に努力をいたしたい。それから輸出検査制度あるいは組合制度の改善といつたようなこともまたその方面に効果のあることと考えるわけであります。なおまたこういう事例もございます。最近特にポンド、スターリング地域向けの繊維商品につきまして非常にクレームが多いのでありまして、こういう点については先方の業者と十分こちらの業者が話合いをいたしながら、対外的な不正競争呼ばわりをされるようなことがないように、これは国際的にも大いに手を打つて行かなければならない、大体こういうように考えておるわけであります。
  70. 中崎敏

    ○中崎委員 まずこの検査制度でありますが、これは業者が自発的に検査の方法を決定して、そうして有効にやつておる向きもあると思うのでありますが、業種、業態によつては、そうでなく、やはり検査がそこまで徹底していないというような面もあると思うのであります。そこでまずこうしたような問題は、国家的に見て大きな問題でございますから、検査制度についてはこれは国家が相当に一歩つつ込んだ制度で監督して行く、いわゆる国家的な事務の一つとして扱う、場合によれば優良な検査を行つている組合に対しては検査委託というような形でやるのだが、そうでないような組合に対しても国家が法の根拠に基いて国家的な事務としてこれをやるのだという、そこまで行つたらどうか。それからもう一つは、どうしても輸出組合、ただ品質のいかんというよりも、さらに価格等の諸般の条件等にも関係しますから、主たる輸出産業等については輸出組合というふうなものを強力に推進するということによつて、場合によれば国家が組合をつくるということをむしろ命令するというところまで行つて、そうして統一のある一つの輸出活動ができるような、そういう道を開くべきじやないかとも考えておるのでありますが、これらの点についてはどういうようにお考えになつておりますか。
  71. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これはまた非常に適切な御意見と思います。この検査制度の問題については、実は手広くやろうと思つても、とうてい役所だけでできないこともあります。優良なところ等については検査を委託する、あるいは組合等についてはアウトサイダーの規制もできるというような点について、従来の法制的な関係において改善を加える点もございますが、行政上の措置ででき得る限りそういう御趣旨に沿い得るように今後運営に努めてみたいと思つております。
  72. 中崎敏

    ○中崎委員 次に今度は繊維の問題についてちよつとお聞きしてみたいと思うのでありますが、本年の春以来繊維産業に、非常に大きな打撃を受けまして、大きな混乱があつたのは言うまでもないことであります。これがまだ十二分に立ち直つておるとは考えておりませんが、一歩立ち直りの方向になりつつあると一応想像するのであります。ところで最近におきまする実情から見ましても、絹、人絹等に対する、あるいは綿織物に対するようなものについても、中小企業の安定法による二十九条の発動を要請しておる向きがあるようにも考えておるのでありますが、これは一体どういうふうになるのか、この点についてひとつ御説明願いたいと思います。
  73. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 繊維につきましては、御案内のように今回の物価の引下げの状況を見てみましても、非常に急激に下落をいたしまして、むしろ率直に申しますと、安定工作の必要な時期にすでに入つておると思うのでありますが、そういう観点から通産省といたしましても業界と始終緊密に連絡をとりまして、かつこれも大、中、小、それぞれの業界の立場のいずれに偏しても困ることでございますから、十分に配意をしながら対処策を講じつつあるわけでございますが、ただいまお尋ねの二十九条の発動につきましては、大体これを発効することは適当と認めまして、具体的な事務的手続を進めておるはずでございます。
  74. 中崎敏

    ○中崎委員 次に羊毛とか原綿とかいうふうな相当数量のものが、依然として国民生活の上に輸入されておるようでありますが、こういうようなものについては、ある程度輸入を減らすというような考え方も、あるいは国産原料をもつてまかなうというか、他の化学繊維、こういう類をもつて代替し得る範疇もまだ相当残つておるのじやないか。これを有効にやるためには、混綿といいますか、それを法的にある程度決定して行くといいますか、国家的に一つのそういう方向に指導して行くべき法的の裏づけをもつて行くというふうにすれば、もちろんこれは有効にやれると思うのでありますか、これらについては一体どういうふうにお考えになつておりますか。
  75. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 原毛、原綿の輸入の制限の問題は、国内の操業度をどの程度に維持するかという問題、それから輸出についてどういうふうな関係になるかという点等を考慮しなければならないのでありますが、大体ただいま繊維局におきましては混綿、混紡、これのまた製品の表示の問題等につきましていろいろと具体策を練つております。そのきわめて最近における研究の道程につきましては、私のはつきり知らないところでございますから、繊維局長を呼びしましてお答えいたさせたいと思います。
  76. 中崎敏

    ○中崎委員 これに関連しておるのでありますが、たとえば今言われますような繊維の強靭度、強度といいますか何といいますか、そういうふうなものにつきましても、たとえば最近相当高度に進んだいわゆる油などがあるのでありますが、そういうようなものについての研究なども、日本の繊維工業は進んでおるとはいいながらまだ十分に研究が至つておらないような面があるので、そうした面についてもさらに一段と配慮を願つて、そうしたあらゆる総合的な面においての施策を強力に推進していただきたいということを希望しておきます。  次に燃料政策の一環としての石油政策についてお尋ねしたいと思いますが、まず第一に石油についてのいわゆる石油化学というふうなものが相当にやかましく言われておるのでありますが、日本ではまだこの面についてあまり進んでいない。ところで最近においてはややそういうふうな機運といいますか、動きもあるやに感ぜられるのでありますが、これがどの程度に推進し、今後の見通しは一体どういうふうなのか、政府としてはどういう方針をもつて行こうとするのか、これをひとつお聞きしたい。
  77. 川上為治

    川上説明員 石油化学の問題につきましては、軽工業局長から答弁した方がけつこうだと思うのですが、実はわれわれの方と大体一体をなしてやつておりますので、簡単にお話申し上げますと、本格的な石油化学というようなことをやりますと、相当精製設備の大きな設備を持つたものでないと、採算上から言いましてもなかなかうまく行かないというふうになつておりますので、現在精製設備を増強するという問題につきましてはいろいろ問題がありまして、その増強設備による石油化学というようなことになりますと問題がありますので、この点は今後の石油の需給関係等をにらんで検討して行かなければならないというふうに考えます。  それから既設の石油精製設備を利用しての石油化学という点につきましては、現在いろいろ検討をやつておりしまして、現にこれはこの委員会の小委員会におきましても、この問題につきまして現在いろいろ検討をやつておりますので、この問題は私どもの方と歩調を合せまして研究して行きたいというふうに考えております。通産省におきまして石油化学というのをこういうようなやり方で行くというようなところまではまだ来ておりませんが、ただ石油化学の非常に重要でありますことはわれわれ非常に認識しておりますので、何とか早く結論を得たいというふうに考えております。
  78. 中崎敏

    ○中崎委員 次に石油の価格と数量の問題についてでありますが、日本はほとんど外国からの輸入によつてこの石油をまかなつているという現状においては、勢いその価格も、その数量も、ときには石油という国際的カルテルのもとにおいてその値段が一方的に決定されて、また諸般の政治的背景の上に、あるいは経済的力の上に幾多の圧迫といいますか、圧力を受けながら石油価格をきめられておるという面に相当の困難性があると思うのでありますが、こうした問題についてまず石油の価格を適正に引下げて、そうして政府が全般的に考えておる価格の引下げ政策の一環としての役割を果すためには、こうした国際カルテルの上に立てられておるところの力というものを何らかの形においてある程度これを牽制するということが絶対必要だろうと思います。言いかえれば独占的な価格で一方的に値段をつけられて、そうして必要量はもとより遠慮をしなければならぬということになつてつたのでは、いつまでたつても独立日本の真の国家的な経済的、自主的な立場というものはあり得ないのだから、政府においてもこうした面については相当に強力な決意を持つて考え、この力に対する一つの手を打たなければならないと思う。それについては最近からことに問題となつておりますイランからの石油の輸入問題、これは国際的に大きな圧力を受けないイランの政府によつて日本の商社との間に、ことに日本の政府が介在しておるということも、向うに行つておる人の最近の参議院議員あたりの報告によつても明らかなんでありますが、今そういうふうな実情にあつて、いわば絶好のチヤンスといいますか、そういう機会でありますが、何か新聞などに出ておるところを見ますと、割当てられた数量がもうすでに限界に来ておる。ところがまたイランからの引取りの約束が、イラン政府と日本政府の介在の上ででき上つておるその約束の数量がまだ残つておる。それは年内にどうしても引取らなければならないということになつておるが、これがまたいろいろな圧力があつたり諸般の運動なりがあつたりして、まだ十分に明らかになつておらないということが伝えられておりますが、この点についての実情と、それから政府の腹構えをひとつお聞きしたい。
  79. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 石油につきまして、国際的な独占資本形態の企業である関係から、日本の立場といたしましても、非常にこれに対処する方策は微妙であります。それからまたいろいろと考えなければならない点があると思います。ただちにもつて全部の対策とは言えませんが、たとえば国内原油の採掘というようなことについても、相当の努力をして新たにやろうというのもその一つの現われでありましようし、またイランの石油の問題に対するわれわれの努力もその一つの現われと思うのであります。ただいま御指摘のイランの問題につきましては、実はよく事情を御存じと存じまするが、私は対内的な関係でいろいろの面から運動があつたりなんかして、これに対してどうこう考えておるわけでは決してないのでありますが、他の国際上の関係等におきまして、もうちよつとだめを押しておきたいと思う点がありまして、関係会社その他につきましては、私どもといたしましても非常に同情に値すると申しますか、私ども同様の気持で国策的に努力している面が非常に多いのでありまして、何とかしてこの筋を生かそうと思いまして、目下できるだけの努力をいたしておるような次第でございます。
  80. 中崎敏

    ○中崎委員 私たちことに重視しておるのは、一面において石油に対する政策であると同時に、最も国民が大きな関心を持つておるところのいわゆる輸出増加、これと関連したところの輸出か最も円滑に行われるのだ。いわゆるバーターが最も円滑に行われるのだという、新しい販路の開拓による国家的な利益が上げられれば莫大なものである。しかるに一面においてこの問題は、政府が介在してとりきめられておるというのでありますから、国際信義の上から言つてもこれは解約するというようなことになれば、日本政府の国際的な信用というものに大きな影響力があるとも考えられておるのでありまして、まずそうしたような角度からと、先ほど申しますように石油というものがあまりに一方的に一つの力によつてあやつられるというようなことになつていて、国家国民の大きなる利益の上にも相当大きな影響があるので、そうした間柄ともにらみ合せて考えたときに、いわゆる一石三鳥の方策であると考えているのでありますから、少々の摩擦があろうと——何をしても摩擦があることは当然のことであるから、大局的に見てかくあるべきものだという場合においては大いに決意を新たにして、勇猛果敢に所信に向つて邁進せられんことを要望しておきたいのであります。重ねて通産大臣としてはそういう面に沿うて最善の努力を払われるかどうかということをもう一度お聞かせ願いたい。
  81. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まことにごもつともであります。私の先ほど申し上げましたのは、このことに関する限りは絶対的勇猛心を持つて処理をいたしたい。ただ何分イランも、こう言つては角が立つかと思いますが、少くとも強大な国ではございませんので、この石油の問題についてこちらが一大勇猛心を発揮したことによつて他のところで大きなマイナスを食らいはしないだろうかという、その点について率直に申しまして、もうちよつとだめを押しておきたいと考えますので、歯切れのいい結論が今まで出なかつたのでありますが、十分その御趣旨は私どももわかるつもりでございますし、この点も早急にひとつ善処いたしたいと思います。
  82. 中崎敏

    ○中崎委員 この問題は非常に重要な問題でありますから、商社のどうこうとそんな個々の問題でございませんので、国家的の見地から見て国家の全般的政策から見て、たとえばあまりに弱腰であつて、外国に気がねばかりしているということになると、言いかえますると相当そのほかの国から、あれだけの石油をたくさん買つてつているのだから年に八十万キロくらいのものは目こぼししても当然いいと思つているのであります。またそのほかの面においてもこれだけ日本の外貨がだんだん追い詰められて行く、その状態において困つている。それについて積極的に、何をよけいに買つてやるのだ、そういう協力でもあつて交換条件でもより以上恵まれるというのならばまだいいが、ただ日本が買おうとすれば、よせというが、それでは輸出ができなくなつてしまうではないか、こういう一方的な利己的な考え方の上に立つたものについていつまでもぼくは遠慮する必要はないじやないか。私たちはもう少し政府は真相を発表していただきたい、国民とともにこういう問題は政府はこうして行くべきである、こうされたいのであるという点を、あらゆる言論機関を通じて高揚されて、その点それでもなおかつ理不尽に言うことがあるならば、国民とともに輿論の力によつて打開して行くだけの決意があつてほしい、そういうことで、日本の外交は非常に退嬰的であり、あまりに屈辱的であると考えるのでありますが、こいねがわくは通産大臣としては、そうでなしに、通産大臣は違うのだということを見せてもらいたいということを特に要望しておきたいと思います。大体私はこの程度で終ります。
  83. 中村幸八

  84. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 最初に帝国石油の問題についてお尋ねいたしたいのであります。これはもうかなり繰返された問題でございます。私がお尋ねしようとするのは、さきの国会において帝国石油は国策会社的性格を持つておるものであるし、さらに探鉱開発五箇年計画というものを推進して行くためには、その代表者社長はこれを忠実に遂行し得る者でなければならぬ。それについては従来までやつていた田代社長を中心にしてやることが一番いいのだということを、愛知通産大臣はこの委員会においても参議院の委員会においても繰返し繰返し、これはとらの子を抱えているようにわれわれに発表されたのですが、ところがまた日幾日もせざる今日これをやめさせてしまつて、そうして参議院議員の鮎川君を今度社長に持つて来ておるようですが、何かこのわずかの休会中にやめさせなければならぬミスがあつたのですか。なおまた何か外界からの圧迫でもあつたのですか。あるいは何かまた通産大臣に新たな考えが起つて来たのか。その辺のいきさつについて、それこそざつくばらんにお聞かせ願いたい。
  85. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 帝国石油の問題については十九国会中にもたびたび御論議があり、ただいま御指摘のように私といたしましては前社長を中心とする運営が最も適当と思いまして、私が申し上げました通り私及び通産省といたしましてはできるだけのバツク・アツプをやつてつたつもりでございます。ただ、ただいま伊藤さんのお話にもございましたなぜやめさせたかということでございますが、これはいわゆる法に基く特殊会社でもございませんし御案内の通り人事権が政府にあるわけでもございませんで、政府は資本金のうち財閥解体その他特殊会社の整理に伴つて売りに出した株の残りを現在のところ二割余り持つておるわけでございます。そこで、それはそれといたしまして、田代社長によつてこの帝国石油に期待される日本の国内石油資源の開発が効果を上げるようにと考えまして、できるだけの応援をして参つたのでありますが、今回御承知通り任期が満了するに際しまして、とうてい自分としてはこれ以上やれない、いろいろの事情がある、また現在入院をしておられるようでありますが、健康にも自信がないということで辞意を表明され、それが重役会その他で承認をされたということになつておりますので、どうしてもかわりの人を選出しなければならなくなつたわけであります。それからそれについて外部からの何らかの圧迫云々というお話がございましたが、それは全然ございません。それのみならず、今回新たに社長に就任せんとしておる鮎川氏を社長にしようとすることについても、政府といたしましてはいかなる意味においても外部からの圧迫というようなことはなかつたのであります。大部分の株主その他からの推薦を得て内交渉を鮎川氏が受けたときに意見を求めに参りまして、私も面会をいたしましたが、その際私の強調いたしましたことは、帝国石油に対するわれわれとしての期待であり、また前国会において本件に関して二つの法律が成立いたしておる、それから一億三千万円の本件に関する補助金も予算として承認を受けておる、その経緯はすなわち政府の本件に対する期待なのであるから、もしあなたが就任されるのならば、こういう政府としての期待というものを十分に体得し、その上に立つておやりいただきたいということを申し述べたわけであります。  それからなおそのほかに、私どもの見るところとして、帝国石油自体に対しての従来いろいろ世評がありました点、私は私なりに見るところ等を開陳いたしまして参考に資したわけでございますが、その後聞くところによりますれば、任期の来ない重役のほとんど全部がこの際退任をいたしまして、全然新たなる陣容によつて再編成をするということにだんだん話が固まつて来ておるように承知いたしております。
  86. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私は田代社長でなければならぬということで質問しているのではありませんからひとつ隠し立てなく言つてください。本人が任期が来たからやめる、健康上やめるというのはそれは表の話であつて、裏の方ではちやんとそれぞれ人を政府から介して、呼んで辞意を表明させるようにやらしたことは間違いありません。これは何なら私が話してもよいが、これはあまり深入りするから言わぬが、さらに田代社長から任期の来た者に対して再選の推薦方をあなたのところ相談行つております。本人がやめるくらいならそんなことを相談に行かないでしよう。やはり自分が熱意を込めてやりたい、大臣も自分を中心にという非常に重責を期待されておる。そういう点からやはりやりたいというわけで、任期が来たけれどもその再選方を名簿を持つてあなたのところ行つて——やめるくらいなら持つて行きはしません。だからやはりやりたいという意欲があつた。それで本人がやめるというのは、それは政府がある人を介してやめさすようにしたからこれに反抗してはいけないというので、本人がいやいやながら辞意を表明したことは間違いない。それはもつと詳しく言えといえば私は言いますが、そんなことは言いませんけれども、私が聞こうとしていることはそういう形式上のことを聞こうとしているのではない。政府はいつも何かぐあいが悪くなると、人事権は政府にありませんから、政府にありませんからということをよく言いますが、人事権のないものが今度は人事権に干渉していることは間違いない。これは私はここでいいとか悪いとかいうのではありません。悪いときは人事権に関与することはできませんという。自分の方で好都合だと思えば関与してやつている。そういう御都合主義でなくて、もつと信念を持つておやりになる方がいいと思う。だから鮎川君をほれ込んでいいと言われるなら鮎川君を社長にすることが田代君よりはるかにこの国策会社的性格を持つ帝国石油の開発に対しては非常に期待することが大きいのだ、こういう信念に立つてやられたのかどうか、その辺のいきさつを、これは非常に大事なことですから大臣の信じておるところをおつしやつていただきたい。
  87. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私の信じておるところを申し上げますが、その前に事実を申し上げたいと思います。ただいまも私明確にいたしましたように、政府が鮎川氏にほれ込んでぜひ就任を求めたとか、あるいは就任させるべく圧力を用いたということは全然ございません。これはどこからお聞きくださいましても、どこからお調べいただきましても、私はその点は明白であることを信じます。先ほど申しましたように鮎川氏は株主その他から推薦を受けて、外国から旅行して帰つて来たところが、そういう話を受けた。ところがこれは特殊会社ではない。人事権も政府にない。しかし補助金をもらつているし、石油国策ということは大事であるから、また従来一体どういうふうにあなた方はこの会社の業績を見ておつたかということを政府側からもとくと聞いてみなければ、自分も決心が固まらないというので、私を来訪せられたことは事実でございますが、私がぜひともと就任をお願いしたことはございません。
  88. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 どうもそういうしらを切つたことをよく言われるのですけれども、田代君をやめさせるのもやはり黒幕があり、鮎川君を推薦したのも黒幕があり、そういうことはあなたが全然知らないということは私は言えないと思う。ちようどあやつり人形みたいに、黒幕をかぶつた人間がやつておるのであつて、私はそれをいいとか悪いとか言つておるのではない、いいことは大いに干渉してやつてもらつてけつこうだと思う。ただその辺については、自分の推薦してやるものについてはあれよりさらに信頼するところが大きいのだ、さらに通産省が石油開発に対して計画していることをよりよく期待してやることができるのだ、そういう意味でやつたのだ、こういうことをあつさり言つてもらえば、私は何も黒幕問題をここでああだこうだと論じ立てようとするものではない。従来から非常にごたごたして、帝石自体の信用も非常になくなつて来ている。それから労働組合なども、よけいなことであるけれども、ずいぶんこれには心配しておつたことは明らかである。そのために株の問題なり、さらに今度政府助成に対する会社の自己資金——社債を起そうとしても、なかなか困難な事情にあることは御存じの通りです。そこで今度政府が鮎川なら鮎川を推してやることはこういう点に非常に期待する大きいものを持つているのだ、だからこれならば政府もさらに五箇年開発というものについてもつと積極的に協力をしてやれる、おそらくそういう期待に立つてやられたものとするならば、私は、そういう点に愛知通産大臣が十分なる信頼を置いて期待してやれるという上に立つてやられたのかどうか、それを私は聞いている。それを、いや、おれの方じやない、あれは株主が集まつてつたんだとか何とか言われるけれども、しかし政府の意向が少なからず反映していることだけは論ずる余地がない。私はそれを今掘り下げて攻撃しようと言つているのではない。自分は主管大臣として国内石油開発に対して非常に神経過敏なんだ、これはこうした方がいいんだということなら、そういうことについてのあなたの信念を私は聞きたい、こう言つている。
  89. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 信念について申し上げます。帝国石油は世の非常な期待を受けてあらためて大きな使命達成に邁進しようとしておるのでありますから、いやしくも内紛などしておる時期ではないと思うのであります。御承知のように、最近の状況を見ますると、率直に申しますると、現場技術陣営その他あるいは従業員諸君等は非常に一生懸命この国策に沿うて邁進しようとしておりまするが、本社の経営陣その他につきましては、まつたく内紛でどうにもしようがない。私ざつくばらんに申しますが、こういうふうに見ておつたのでありますが、内部の人たちも、これでは困る、そこで先ほども申しました通り、今回任期の来るところの約五名でしたかの役員だけでなく、その他の任期の来ないところの大部分の常勤重役その他も全部この際身を引こう、そうして心機一転して何とかこの会社をうまく動かして行こう、こういう大きな反省といいますか、胎動が現われて来たように思うのであります。その空気の中から新社長候補者が現われて来たように私は思います。そこで新社長候補者から相談を受けましたから、私もそういつた信念について十分吐露いたしまして、おやりになるならばそういう線でおやりになつていただきたい、こういうことを申した、こういうわけでございます。
  90. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それでは大臣は鮎川君と会われて、帝石の持つ使命につき政府考え方について十分懇談をされて、志を同じくすることができるという帰着点に達せられたかどうか。私が聞こうとするのは、あの会社は、御承知のように、労働組合が相当協力して来たことは、川上局長も長年やつておられて認めておられると思うのであるが、組合等の中にも鮎川氏がなるという問題についてとかくの話が起つておる。鮎川君は、あの厖大な侵略戦をやつてつたときにそれと一緒になつて、つまり南方石油開発というか、満州開発というか、そういうことをやられた非常に帝国主義的な、侵略主義的な点が全身ににじみ出ている存在である。そういうような人が帝石だけのことに全身を打込んでやれるだろうか、それから昔の夢恋しというようなことを帝石をバツクとしてやられるというようなことがありはせぬか、そういう点等が労働組合などの間においてもやはり一抹の不安というか、そういう点がある。だからそういう点を明らかにして、従業員、労働組合などにその誤解があるなら誤解を解いて、信頼、協力してもらえるならもらい得るような方途を講ぜられる必要がある。そういう点についてあなたはどのように話合いながら期待されているのであるか、そういう点を説明願いたい。
  91. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その点まことにごもつともと存じます。従いまして私は帝国石油会社の性格、それから先ほども申しました通り、第十九国会において特に両院の通産委員会において論議せられた事項、ことにあの法律案は全会一致の御決議をいただいている関係もありますから、私といたしましてはその審議の経過をもあわせまして、自分の抱懐する信念を申したつもりでございます。その結果、あなたの主張はよくわかりました、それをひとつ頭に入れて自分は態度をきめることができます、あなたと会つている今すぐ自分は引受けられるかどうかということは保留して、さらにただいま聞いたことを十分考えた上で、自分がこの会社を引受けられるかどうかということを研究いたしましよう、ということで、さらに後日私の申しましたことを完全に理解し、その線に沿うてやれると思うから、自分が引受けることにして、しかるべき筋に返事をいたしたい、こういう申出があつたわけでございます。従つて私の理解しておりまするところでは、少くとも私の口を通じて、帝国石油というものに皆さんが期待を持つておられるその内容については十分に理解をされたことと私は信じております。
  92. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 あなたが全幅信頼して、今後帝石の国家的使命を果させようとする点については、今後の経緯を見なければわかりません。そこで私はこれは政府が推薦——実質的に政府が推薦されているのでありますから、お尋ねしたいのは、あなたも御承知通り、鮎川氏は国会議員であるのだが、今の国会は半年以上も開かれている。そして国会議員は国政審議に全身を打込んでやるために、それぞれ待遇を受けている。それで精一ぱい打込んでもなお足らざることは経験するところである。そこで帝石の社長ということになれば、ああいう複雑な、また国家的な大きな使命を負わされる会社であるだけに、私は日勤というか、常勤の形でやられるのでなければならぬだろうと思う。そこでその使命の使いわけというか、これをどうさばくかということ、また待遇の問題についても、あそこの社長は相当厖大な給与を受けておることは御存じの通りである。そこで国会議員としての待遇を受ける、社長としてのそういう待遇を受ける、そして両方にということになれば、これはは私は専念ができないと思う。あるいは会長とかいうことになれば、そういうことも考えられるが、社長ということになつて来ると、その日の情勢に応じた処置を一体どういうふうにやらせようとしておられるのか。こういう点について、ひとつはつきりしていただきたい。
  93. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまの伊藤さんの御質疑でありますが、今お述べになりましたことも私は全然同感でございます。従いまして、これは弁解を言うとおつしやるかもしれませんが、先ほど来申しておりますように、政府の任命ではございませんし、政府に人事権があるものではございませんから、私がここではつきりこういつたことを申し上げることはいかがかと思いますが、実は私も、国会議員でおられますし、また内紛等で最近非常にごたごたしておつたところでもありますから、日勤して十分の時間を注ぎ込む人が社長にほしいと考えております。たまたま鮎川氏もまたそういう考え方を持つておられるように私は見受けておるのでありまして、たとえば新聞等にもちよつと記事が出ておつたようでありますが、十一月までにはしかるべき人を社長として探したいということを記者にも語つておられるようでございます。そういうことになれば、ただいま伊藤さんも御懸念になり、私も御同感と申し上げましたような点においてよき社長を選ぶことができれば、そのわれわれの懸念が解消し、よい結果になるのじやなかろうか。実は私も、これは非常にざつくばらんに申し上げたつもりであります。
  94. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 委員長にちよつとお尋ねしますが、大臣が五時から改進党の幹部の人々と会見される予定だということでありますが、大臣は改進党の諸君とお会いになつてまたここへもどつて来られますか。
  95. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 ちよつと速記をやめて……。     〔速記中止〕
  96. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 速記を始めて……。
  97. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それでは五時からというのであるが、実は私の質問もまだいろいろ重要な問題があり、それから先ほど炭鉱の問題等も組合代表が陳情しておりましたが、その問題もあり、さらにまた委員外として炭鉱労働組合出身の多賀谷真稔君も重要な質問をしたいということであるのであります。これはいずれも大臣がおられぬと困るのであります。だからそれでは私の質問並びに多賀谷君等の質問は、大臣が改進党の幹部とお会いになつてお帰りになつて、その上ですることにいたしまして、その間、委員長の方では休まれるかもしくは大臣以外の方に対する質問を続けるようにされるか、その辺の扱い方を委員長にちよつと伺います。
  98. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 ちよつと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  99. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 速記を始めて。伊藤卯四郎君。
  100. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 川上局長にひとつお尋ねしますが、さつきからお聞きのように、帝石の従来の幹部いわゆる田代社長を筆頭として任期の来た者あるいは任期の来ない者、そういう者についてどの程度、まあけんか両成敗というか、責任をとる意味でこの帝石を去つて、新たなる人事構成は鮎川社長を筆頭として、どのような人事の入れかえが行われるのか。たとえば椎名君はさきに通産省の推薦者として帝石に入つていたと言われているのであるが、そういう諸君とも合せてどのくらい今度会社をして新しい人事構成をさせるのか。そういう点についてひとつ具体的にお知らせを願いたい。
  101. 川上為治

    川上説明員 新しい人事につきましては、新しい社長の方から通産省にあらかじめ相談に参ることになつておりますが、まだ正式には参つておりません。ただわれわれいろいろ聞きますところによりますと、この前の重役会におきまして、今度任期が来ませんたとえば南さん、菊池さんというような方も自発的にやめるというその辞任の意思表示がなされたようにこれは聞いております。それからまた任期の参りますたとえば通産省から出ました椎名さんあるいは重信さんというような方々も今回を機としてやめるように聞いております。これはきのうの新聞ですか、けさの新聞ですか、出ていると思うのですが、この際全体の空気を一新して新らしい社長のもとに新らしい陣容のもとにやろうというような空気になつているようでありますので、私はおそらくその通り実現されて行くのじやないかというふうに考えます。
  102. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 もちろん新らしい重役陣の構成については新らしい社長が多分見えるのであろうから、それまでは具体的には政府の方でも答弁ができないだろう、こう思うのですが、椎名君の、これは任期が来ているのだから当然やめるのだろうと思うのですが、この点は通産省推薦になつているが、その点はどうかという点と、それから鮎川君を南君らが自分らの名代として社長に入れたので非常に信頼ができるというようなことで、株界は何かかなりそういう方面に動きつつあるというような話も聞くが、そういうことになれば政府の意図することは全然逆な結果になるのであるが、そういう点に対して鮎川社長を入れた、あるいは南、菊池、そういう株屋の大株主連中がバツクした、そのために単に散らばつている株までまとめてしまうということになつて来れば、およそ政府の意図しているところと全然反対な資本構成ということになつて、帝石の国策目的というものとおよそ反対な利潤追求会社にならざるを得ないということになるが、そういう点に対する政府の方での見通しは大体だういうふうに持つておられるのか。
  103. 川上為治

    川上説明員 個人の問題につきましてあまり私もとやかく申し上げたくありませんが、椎名さんはもちろん通産省から当時推薦いたしたのでありますが、今回は岡田前中小企業庁長官が通産省の代表として入ります結果、別に椎名さんがこの際おやめになりましても、通産省の意思は、十分岡田前中小企業庁長官を通しまして、うまく反映して行くのではないかというふうに考えております。  それから鮎川さんと南、菊池さんの関係、これもまたどういう関係にあるか私もよく存じません。ただ鮎川さんの推薦につきましては、先ほども大臣からお話がありましたように、大株主の方々がみな集まりまして、これに賛成をして持つてつたわけでありまして、その中には日本石油あるいは昭和石油というような方面も入りまして、満場一致で鮎川さんを推して参つたのでありまして、これは南さんあるいは菊池さんがこれをどこまでも推した代表であるというふうには私どもの方ではとつていないわけでございます。従いまして要するに帝石の人事につきましては、一人の人を中心として内部が全体的にまとまつて行けば、それで私はまことにけつこうじやないかというふうに考えるのでありまして、今まで紛争が起つておりましたのは、結局十分まとまらなかつたという点にありますので、私はこの鮎川氏を中心としてみながまとまつてつたならばまことにうまく行くのじやないかというふうに考えるわけでありまして、鮎川さんの今後のいろいろなやり方なり、そういう問題につきましては、先ほども大臣からお話がありましたように、大臣と鮎川さんと会見の際に十分通産省の意図も話をし、それに沿つてやるということをおつしやつておるのですから、その点はわれわれ信頼してもいいのじやないかというふうに考えております。
  104. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 鮎川さんが社長になるについて、政府の方では一切を一任するということを言うほど信頼をしておられるということであるが、それは間違いないかどうか。  それからごたごたするということは結局過去においても田代対南、菊池というかそういう争いじや私はなかつたと思う。問題のもつと重大な点は、国策会社的性格を帯びて、帝石が探鉱なり運営なりをして行くということに反対か賛成か。いわゆる従来から田代中心、田代中心と言われたことは、通産省の意図するところを田代前社長を中心にやつておる、また信頼できるということから私は出て来たことだと思うのです。ところがごたごたは、政府からの目くされた金の助成や援助で、なまじつか株の配当や何かを干渉されるぐらいならそんなことはやめてしまえというようなことで、もつと帝石を資本主義というか、利潤追求というか、株屋らしい株の値上げと配当、そういう利潤追求と国策的ということ、この二つの衝突であつたと思つておる。そうすれば、やはり今後新しい鮎川社長政府が信頼しようとするなら、従来田代氏でやれなかつた国家目的を鮎川氏は完全にやり切れるのか。ついては株主にそういう利潤追求的なごたごたをやらせないように十分監視、監督がやれるのか。あるいは政府行政力のバツクによつて鮎川社長を中心にこれをやらせ得るのかどうか、そういう点に対する自身、見通しについて説明願いたいと思う。
  105. 川上為治

    川上説明員 先ほども大臣からお話がありましたように、通産省の考えておることを十分鮎川さんにもお話申し上げ、また鮎川さんの方も通産省が考えておることを十分了承しておつたように私は拝聴いたしております。また実は私も鮎川さんとは約二時間にわたりまして、いろいろ帝石の従来のいきさつあるいはこれに対しまする国家考え方、あるいは国会の特に関心を持つておること、こういう点につきましてお話申し上げまして、そうしてどうしてもこういう考え方でやつてもらわなければならぬということを話しましたところが、自分も実はそういう考えでおるんだ、そうしてこの際空気を一新してやつて行きたいというようなことをおつしやられました。われわれが実際考えておることと鮎川さんが考えておることとはほとんど一致しておると考えておりますので、おそらく鮎川さんを中心としたスタツフで今後におきましては問題の紛糾なんか起さないで、また伊藤先生が今おつしやいましたような方針に沿つて行くものと私は考えております。
  106. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 問題は、さつきから私が意見を述べておるように、政府の持株は四分の一弱である。四分の三以上が民間、しかもその大部分が南君を中心とした株屋さんの手に握られておる、こういう点から通産省が国際的に帝石を運営させようとする点がなかなかうまく行かなかつたわけである。そこで鮎川氏という人間個人だけへの期待ということより、やはりかてて加えてこれをバツクしてやる資本力というか、そういうものも必要であることは、川上局長などが苦い経験をなめて来たところだと思う。というのは、つまり株主総会を開けば政府は四分の一ですから負けるのですよ。そういう点でいわゆる資本力にものを言わすということになつて来ればこれは問題にならぬのです。そうすると株式会社である以上当然株主総会等は株の多数がものを言うという形になるのであるから、やはり鮎川氏自身に信頼と期待をすることができるなら、かてて加えて、行政上やり得ない点はやはり資本力でこれをバツクしてやらなければならぬということも起つて来る。そうすれば政府の四分の一弱の特殊を将来過半数にして、資本の実力においてもそういう態勢をつくるというような考えがあるかどうか。さらには探鉱促進の臨時処置法程度ではなまぬるいわけで、やはり政府がねらつておる石油の五箇年計画を完全に実施するためには、やはり助成金の問題も明年度ぐらいから必ずあの計画通りにやらなければ事業は着手されて行かないと思う。従つて国家資金をそのように投入して行く以上はやはりもつと国策会社的な性格、いわゆる特殊会社の性格というようなものを持つてつて行くというようにならなければ、完全なものとしてはやつて行けないんじやないかと思う。やはり人間の問題は、甲を乙にかえたところで、その人の力だけをあまりに過大評価すると、またぞろ従来と同じようなごたごたを繰返す危険性がある思うが、こういう計画についてそのような考え方を進められつつあるかどうかをひとつこの際伺いたい。
  107. 川上為治

    川上説明員 政府の持株をふやすかどうかという問題につきましては、現在のところふやす考えは持つておりませんけれども、帝石が従来とそうかわらなくて、いつまでも人事問題でごたごたしたり、あるいは五箇年計画の遂行に非常にじやまになる場合におきましては、私どもの方としまして、そういう問題も将来において考え、あるいは機構の改正をしなくちやならぬこともあるかと考えられますけれども、現在のところは別に持株をふやすとか、純然たる国策会社にするとかいうことは考えておりません。私どもは今回の人事刷新によりまして新しい帝石内閣のもとに、われわれが企図するように石油の開発が進められることを期待しているのでありましてそれが依然として人事の問題とかいろいろな問題からうまく行かないということになれば、そしてそれがわれわれが考えている国策の線と非常に離れるということになれば、今伊藤先生からお話がありましたような措置もとらなければならないような事態になるかと思うのでありますけれども、われわれとしては極力そういうことがないように、現在の機構のもとに、現在のこの新しい人事で何とか石油五箇年計画を遂行して行きたいと考えております。
  108. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 あまりこの問題だけで時間をとつてつても気の毒だと思うから……。いつまで川上局長鉱山局長をやつておられるかわからぬけれども、お手並を拝見することにしましよう。なるべく再び私が顔に筋を立ててやらぬでもいいように、ひとつりつぱにやつてください。  そこでこの間帝石の労働組合代表が大臣に会つたとき、やはり田代中心ということを大臣は回答しておられる。その後どうもおかしいから私に一緒に会つてくれないかということになつて組合の諸君と一緒に大臣に会つた。そのときはまだ海のものとも山のものともつかぬようなことを言つておられた。つまり自分が鮎川氏と会つた上のことで、やつてもらうことになるか、本人がやらぬと言うか、その辺はまだ何ともわからぬというようなことで、労働組合にも相当希望を持たせておられたような気もしたのです。そこで今川上鉱山局長が言われたように、田代社長並びに従来の重役陣は総退陣して、鮎川氏を中心に新たなる重役陣を構成して、国策会社的な性格を持たす運営として自分らも期待しているということを言われたのであるが、従来からこの帝石の開発については、労働組合は協力的な態度を持つて臨んで来ていた。そこで労働組合に対する大臣の回答というものも非常にかわつて来てしまつている。大臣何を言つているんだ、きのうはこういうことを言つて、きようはこういうことを言つているというような疑惑もあると思う。そういう点もあるから、今後この五箇年計画を達成しようとするなら、労働組合に一層の協力をさせなければならないのであつて、新しい人事構成ができたといつても、労働組合がこれに協力しないで、重大な決意をするということでストライキなどに入つた場合、妙な行きがかりが出て来ると思う。せつかくやつたけれども労働組合の協力を得られないでがたがたしてしまうことは、重役陣のごたごた以上に重大な問題だと思う。労働組合に対しても、従来の行きがかりから、実はこういう人的構成で、こういうように信頼することもできる。だから組合が従来協力しておつたより以上——国策会社としての性格を持たせる目的に合致させるつもりだから安心して協力してくれというようなことを、意見を聞きながら進めて置かれる方がいいと思う。こういう点について大臣はどういうように考えておられるか。
  109. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まことにごもつともな御意見だと思います。私も従来からこの問題については非常に関心を持ちまして、何とかして国策的に——先ほども申しましたが、内紛などをしている時期じやない。労使一体で大いにやつてもらいたいと考えておりますが、組合の方々に対しましてもぜひひとつ御協力を願いたいと考えます。従つて鮎川氏がどうしたものだろうかというような趣旨で見えましたときに、組合のことにも私はもちろん言及いたしまして、組合の方の会社再建に対する熱意のほどを十分くみとつて、しかるべき方法によつて、よく意見を聞いてうまく運営にあたつてもらいたい、こういうことを私としては申したわけでございます。この際すでに新首脳部が確定しているのでありますから、積極的に私が組合の代表者を呼んでそういうお話をすることがよろしいかどうか、その方法論等についてはとくと考えさせていただきたいと思いますが、組合の全面的な応援と支援によつて、この会社をよくするということについては、私は全然御同感に存じます。
  110. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 最後に希望しておきますが、帝石問題については、労働組合側に十分な理解協力のできるように大臣みずから積極的にひとつ御方針をとつてもらうように希望しておきたいと思います。  それから石灰の問題については、あとでわれわれの同僚の炭鉱労働組合出身の多賀谷真稔君から重大な点を質問されると思いますから、私はこの点を簡単に一、二点だけ伺つておきますが、先ほど大臣が労働組合代表の陳情に対して近くこの貯炭処置というのか、あるいはそれに対する金融融資というのか、あるいはそういうことについて何か具体的に解決を進めたようなことを言われて、私は実は少し明るい気持を今持たされたのでありますが、それはどういう内容のものであるかをひとつお聞かせ願いたい。それを先に伺つておきます。
  111. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほどもちよつと御陳情があつたのに対しまして、申したのでありますが、実はこれは大蔵省と運輸省、国鉄等に関連する問題でございまして、通産省だけで一切の事務処理ができない案でありまするから、その間の話合いが十分できておりませんただいま、いたずらに私どもの提案だけを申し上げることは過大なる御期待を持たれることにもなるかと思いますので、その細部はただいま申し上げることを差控えさしていただきたいと思います。私の考え方はこうなんであります。こういう点を今協力を求めておりますのは、一番大きな需要者であるたとえば国鉄に対しまして、最近における一番大きな貯炭を持つていた時期、たとえば昨年なり一昨年なり、その時期までの貯炭の量をこの際できれば中小炭鉱から買つてもらいたい。つまり今四十万トンなら四十万トンの貯炭がある、しかし最近一、二年の間で一番多いときは六十万トンの貯炭を持つていた時期があるといたします。その六十万トンのところまで貯炭を需要者の側にふやしてもらう、そのかわりその分の金繰りは大蔵省が責任を持つてつけてもらう、これは石炭局長と寄り寄り相談をいたしまして、一つのいい手と思いましたので、今から十日ほど前に私が大蔵大臣ところに出向きまして、その構想を説明して、その後原則的に大蔵大臣から、できるならこういう方式で通産省を助けてやつてほしい、通産省を通して中小炭鉱を助けてやりたいということで細部にわたりまして、今いろいろの状況を調べ、あるいは金の出し方等を検討いたしております。そういう線を一つの緊急の対策として考えております。これは先ほど申しましたように、早ければ数日中、おそくも二週間くらいのうちには具体的に、ここはこうやるというふうな措置として手を打ちたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  112. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それでは大いにがんばつて解決のできるようにひとつ要望いたしまして、大臣がひとつやられることを私は非常に期待して待つております。  それからこの前先月でございますが、労働大臣にここへ来てもらつたときに、炭鉱失業者を救済する、職を与える意味で鉱害復旧事業を繰上げてやりたい、こういうことを言われた、これは私は一石二鳥、三鳥のよい方法であるということを言つたのですが、ただ問題は大臣もお聞きになつていたように、炭鉱経営者が炭界不況のために特別負担を出すことについて困難性があるのではないか、その場合に大蔵省は特別負担者の負担額が納入されなければ、国庫負担分を繰上げ工事費に対する特別出資は困難だということは、過去の例から当然予期されるので、その問題をひとつ解決してもらいたい。もし鉱業権者が炭界不況のために今特別負担ができないなら、これを大蔵省の運用部資金から立てかえて貸してやる、そういうことが大蔵省で了解がつくならば鉱害工事の復旧はきわめて容易にやれる。そうすれば相当の額の炭鉱失業者に職を与えることができるので、非常に喜ばしいことであるからぜひやつてもらいたい。但し大蔵省の運用部資金を鉱業権者に融通するかどうか、この点が政治的解決面に相当困難性があるように思うから、通産大臣は労働大臣と大蔵大臣とよろしくひとつこの政治解決をしてもらいたいということを重ね重ね要望していたのですが、その後この問題の三大臣の政治折衝の解決ができたかどうか、どのように進行しつつあるか、この点をひとつ伺いたい。
  113. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまお尋ねの問題につきましては、あの当時お約束の通り私といたしましてはさつそく大蔵大臣に交渉をいたしました。そうしてできるだけ御趣旨に沿うようにしようという回答を得ましたので、ただいま三省事務当局間で数字の整理をいたしております。そのうち一部につきましては本日事務的にも数字の話合いがついたものがあるようでございます。  それから前段のお尋ねの鉱害復旧事業の繰上げ施行につきましては、技術的に、御承知の予算の中で実行予算を編成いたしましたときに節約をいたしました額がございます。その節約額を復活する必要がある、その節約の復活については当時閣議の申合せがございまして、復活する場合、解除する場合には閣議決定を要するということになつておりますので、その復活、解除の閣議決定をなすべくこれまた手配中でございます。
  114. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それではひとつ馬力をかけて、ぜひ労働大臣等の協力も得て、大蔵大臣との間にできるだけ多くの繰上げ工事がやられるように、ひとつまたできるだけ早くそれが解決するように努力していただくよう、これは私非常に期待をいたしております。  それからこの前石炭局長に私御相談をして、この三十年度から四千八百万トン日本の国内炭を使うということについての計画書を出してくれということを御相談しましたところ、ここに三十三年と書いたやつをもらつたのでございますが、どうもちよつとこれだけでは何だから、からすが屋根の上の雲を目当てにして物を置いて行つたような気がしてどうも不安なのです。これをひとつ正確ならしめる意味において、もし計画されるものならば三十年から三十三年にわたつて年次別に日本の国内炭をどれだけ消費するのか、あるいはガス発生等の原料炭に外国炭をどれだけ入れるのか、それから重油をどの程度に抑制してこの四千八百万トンから以上に漸次国内炭を使うようにするのかということを、総合燃料対策の見地から、国内炭の消費量の年次別計画書というものをつくつて一応お見せを願いたい。その上に幾らかずれが出て来るということもあり得ましよう。それを私は別に証文にとつてどうこうということはありませんから、私もその点はきわめて理解ある態度でこれを勉強して行きたいと思うから、そのつもりで出していただけるかどうかを局長からひとつ伺いたい。そのかわりに他には見せぬように私も良心に誓つていたしますから、その辺を伺いたい。  なぜ私がそうお尋ねするかということは、この間愛知通産大臣からも伺つたのであるし、ほかからも聞いて私心配しておるのであるが、あるいは中国、ソ連との貿易の問題が必ず盛んになるようになつて参りましよう。そうするとこれはいずれもバーター制のものであるということは間違いないのですから、そうなればやはり中共の開らん炭あるいはソ連の樺太炭というものが、いろいろな意味で相当迫つて来ることは明らかなのです。それからまた油の問題もやはりいろいろ迫つて来ることも明らかなのです。この中にあつてやはり日本の国内炭をどのように計画を立ててそれを実行して行くのかということは、並々ならぬ石炭局の苦労も、また通産大臣もその中にはさまつていろいろ苦労されるであろうことは私も想像ができる。そういう意味からもひとつそういうものを見せていただきたいということが一つでございます。  最後に大臣に一言伺つておきたいのは、今申し上げるような外国炭の問題、油の問題も迫つて参りますから、そこで年次別計画とともにやはりこれを守るものがなければならぬ、そのためには来るべき臨時国会にでも石炭の生産消費の需給調整法のようなものでもつくつて国内炭を守るということ等のお考えがあるかどうか。自由党も大分自由放任ではいかぬというので、鉄、石炭に何かそういう法的調整というか、あるいは計画というようなものをやらなければならぬというようなことが新聞でしばしば見ておるのですが、今日はその石炭に関する部面についてのみ、来るべき臨時国会のときにそういうものでも出そうとお考えになつておるかどうか。これは自由党が最近やろうとしておられるそれとあまり相反するものでもなかろうと思うが、そういうことについてのお考えはどうであるかということを伺いたいのでございます。それはもちろん、私は数量を守るということは低物価政策の目的を達する意味において生産と消費の需給調整をはかるのだという意味でございます。つまり炭鉱とか石炭を法律で保護するという意味でなくて、一定の数量を出さすということは、国の炭鉱と国の石炭を守ると同時に、これは低物価政策の目的を達成するためにそれをつくるのだ、私はこういう筋の通つたものでなければならぬと思うのであるが、そういうようなものについてのお考えがあるかどうかという問題。  それから、これはどこから出た話か知らぬが、今度油に関税をとる。大体から行けば、関税は三年間停止しておつたのですから、この二十九年の四月一日から一〇%の関税をとるようになつてつたのを、政府は来年の三月三十一日までまたこれを停止したのですが、これは御存じのように一〇%決定通りにとると、去年の数量から見ると五十七億とれるということが明らかにされておる。今度政府はとるのだというようなことが言われておるところから、重油を使つておる方面から、関税をとつたら重油は高くなるぞというようなことで陳情運動が起りかけておることを私は聞いておるのであるが、これは私はいろいろの意図があると思う。私は油に対して一〇%くらいな輸入関税をとつても販売価格を上げる必要はないと思う。というのは諸外国は御存じのような輸入関税をとつておる。ところが運賃の関係もあろうけれども、日本より一キロリツター二千五百円から四千円くらい安いという数字を私どもは見ておる。だから関税を一〇%ぐらいとつても油を上げる必要はない。日本の物価が高いから、油会社は本国にカルテルをつくつてつて日本に高く売つておるのだから、関税をとつた分ぐらいは安くさせることができるのだ。だから関税をとつても油が高くなるようなことはないということを、もしそういう陳情等が起つて来た場合には、大臣ははつきりと言い切つてもらいたい。またおそらく言い切る自信がおありだろうと思うのです。そういう問題が起つて来ておるのですから、そういう点に対して大臣の油の問題に対する信念等をこの際あわせて伺つておきたいと思う。
  115. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず石炭の問題でありますが、ただいま伊藤さんから非常に御同情のあるお言葉をいただいてまことに感謝するわけでありますが、実は最近におきまして東西貿易その他の関係から、従来のいわゆる共産地区からの石炭の輸入につきまして、進歩政党方面からも具体的な事例につきまして非常な御要望がございます。これに対しまして、私は他からの輸入炭の強粘結炭が急速に代替されるものであるならば別といたしまして、非常に多くをそういうところから入れるということについては、それこそさなきだに急迫を告げる国内の石炭界のために憂うべきことでございまして、私はこれに対しては相当しつかりした態度をとつておるつもりでございますが、この上ともひとつ御支援をお願いいたしたいのであります。  これに関連いたしまして石炭の需給安定法というようなものをつくる意図があるかどうかというお話でありますが、石炭については何らかひとつ、この次の通常国会までに、あるいは法制によりましての措置をとつた方がいいのではないかという考え方をまとめてみたいと思つておりますが、また今日のところはその成案を得るに至つておりません。  それから第二の重油の関税の問題でございますが、これは十九国会中にも当委員会でも私はたしか申し上げたつもりでございますが、私はこの次あの期限が来たときにさらに延長するというがごときは、私個人の考えであるが、とるべきではない。関税はとるべきであるという意見を持つております。今でもかわりません。そうしてそれがどういうふうな価格への影響になるか。これは価格を上げてはいけないという仰せでございますが、できればそういうふうにしたいと思いますが、そのときの需給の状態、その他あるいは輸入の規制等の関係から、あるいはそれが全部吸収されるかどうかは問題がありますけれども、だんだんにそういうふうなかつこうにいたしたいものだと考えております。
  116. 斎藤正年

    斎藤説明員 石炭需給につきまして長期計画を示せというお話がございましたが、これは石炭のような貯蔵のきかない、また生産調整の困難な商品につきましては、すべて合理化計画、生産計画というものを立てまする場合に需給というものが基本になるわけでございます。従つてお話のような長期の年次計画をつくるということは確かに必要でございますが、前々からお話申し上げておりますように、これは油の需給について長期の見通しが立つということが一つの大きな前提でございます。それからもう一つは国内全体の経済の活動状況につきましてある程度の見通しが立つということが、石炭のようにあらゆる物資に使われる商品につきましては、またぜひ必要な条件でございます。その二つの条件が充足されない現在の段階におきましては、非常に仮定的な条件でせざるを得ない。従つてこの前伊藤先生の御要求で差上げましたのも、正式に委員会に石炭局としてお出しするものではなしに、われわれが現在のところのわれわれの部内での研究ではこの程度の見通しだという意味で差上げたわけでございます。そういう意味でこれはそういつた要素を非常に多分に、何と申しますか、かなり大胆に仮定いたしました計画でございますので、従つて昭和三十三年というかなり先の、いろいろ条件が全部片づいた上でわれわれの希望通りになるとすればという条件で考えたわけであります。具体的に、たとえば本年度でありますとか来年度ということになりますれば、その方針実行の具体的な速度というようなところまできまりませんと計画の立てようがございませんので、現在ではお話のように年次別の計画をはつきり見通しをつけるところまで行きにくいのではないか、こういうことが来年度の計画を立てる上に必要であることはよく私も存じておりますが、現存の段階ではちよつと規制しにくいように考えております。
  117. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 これは何も石炭局長、そう心配される必要はありません。四千八百万トン国内炭を使い、油はこれに見合う程度、外国炭を見合う程度に制限すべしということは委員会の決定なんだ。これは国会決議に政府が忠実ならんとするなら、それをやられることはちつとも大胆でも何でもないじやないですか。あたりまえの話です。それから愛知通産大臣も、四千八百万トンは無理だけれども四千五百五十万トンというか四千六百万トン近くまでは何とか国内炭を使うようにしますということも現大臣が言われたことなんです。だから国会が四千八百万トン議決をしておつても、実際上、処置上通産大臣が言われるように四千五百五十万トン、四千六百万トンであるなら私はその案をつくつてもらいたい。何もそれが国会の議決に二百万トン、二百五十万トン足らぬじやないかということで私は無理に今それを責め上げようとは思つておらぬのです。だから二十九年は四千五百五十万トンなら四千五百五十万トンをひとつつくつてもらう。明年は四千八百万トンなら四千八百万トンというものをつくつてもらう。そうして三十三年まではこのような計画で油を制限し、外国炭は強粘結原料炭だけにする。一般炭、弱粘結炭は入れない。そうして国内炭だけを持つようにして消費するということを一応計画をつくられることは、通産省石炭局が五箇年計画という案を縦坑開発の上からつくられるとするならば、当然これはやらなければならぬことだ。何もあなたがこれをやられるからといつて別にえらい心配される必要はありません。これはわれわれに対して通産省側が義務と責任を負う意味においても、五箇年計画に対して年次計画をつくつてわれわれに理解を与え、協力を求められるようにするということは当然の行政措置上のことなんです。そういう点から、むしろお前よくやつたというので私はおほめにあずかるだろうと思う。ひとつ、何も私は一日、二日のことは言いませんから、二十九年は四千五百五十万トンなら五十万トン、明年は四千八百万トン、それから年次計画をどういうようにしてやつて行くか、そういうものをつくつてください。これは当然つくるべき責任がある。だから、何もそれを表へ出したり、私は後日責め道具にするようなことは絶対ありませんから、ただ自分が勉強する意味においてのみそれを見、一層行政措置上苦労しておられる点を政治的に私は理解と協力をする意味においてこれを求めておるのである。これは委員長の方からも——委員長もこれは当然お聞きになつておる。ひとつ政府側が年次別計画を公に出されるなら、書面でけつこうですからこれを出していただくことを私は要請します。もし大臣がこれに反対なら反対と言つてください。おそらく反対じやなかろうと私は思うから、そうしたら斎藤局長、つくつて出してください。これを要請しておきます。
  118. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 議員多賀谷真稔君から委員外の発言を求められておりますので、これを許可するに御異議ありませんか     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 それでは多賀谷真稔君。ただ時間も大分経過しておりますので、ごく簡略にお願いしたいと存じます。
  120. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 私が所属しております労働委員会におきましては休会中しばしば委員会を開きしまして、石炭鉱業に従事する労務者の生活の窮迫の打開につきまして審議したわけであります。ところが不幸にして大臣の出席を得ることができなかつたのでありまして、事務当局局長答弁しか得られなかつたのでございます。ところがこの問題は単に局長の行政の範囲内を越えた大きな政策の問題がありますので、私この席で大臣に対して二、三の質問を試みんとするものであります。具体的な個々の山の救済、なかんずく高倉鉱業とか日満鉱業の問題に対しまして本省の局長、課長並びに九州通産局の部長並びに各課長には非常に御努力をいただいて、これは非常に敬意を表する次第でありますけれども、与えられたる条件の中での行政の努力というものは限度がございまして、努力していただきましたけれども、残念にも今申しました日満鉱業にいたしましても、あるいは高倉鉱業にいたしましても、その他群小の炭鉱にいたしましても、ことごとく崩壊をいたしました。そういう状態でありますので私は大臣に質問をいたしたいのですが、この現在の段階の見通しというのがきわめて困難なのでありまして、非常に暗い気持を、持つておるのでございます。大臣は予算委員会において四千八百万トンという数字を言われた。ところが二、三箇月いたしますと、また佐久前局長から四千八百万トンの旗はおろして四千六百万トン確保したい、こういうお話でありました。われわれは四千六百万トンは確保できると期待しておりましたところが、今の状態では四千三百万トン、それどころか最近の石灰協会が発表しておりますところによりますと、四千百五十万トン、こういう数字さえ言われておるのでございます。そういう状態になりますと、ますますわれわれは将来の見通しについて暗い気持を持つものでありますが、一体政府においては本年度どういう見通しがあるのか、まずそれをお聞きいたしたいと思います。
  121. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、私も諸般の観点から総合いたしまして日本の経済自立計画の上では石炭の出炭適正規模というものは四千八百万トンに置きたいということは、かねがね考えておつたところでありまして、当二十九年度においても当初予算成立前におきましては私もまつたくこれは何とかしてこのペースというものを当年度におけるペースにいたしたいと思いまして、その当時の考え方を率直に申し上げたわけであります。ところがただいま御指摘のように、その後の実情はしかく容易なものではないどころか、きわめて深刻な状態がありまして、ただいまのところでは的確に申し上げることはいかがかと思うのでありますけれども、ただいま御指摘の石灰協会の推算よりか私はどんなことがあつても多いのではないかと思いますが、しかし同時に御承知のように先ほどもお答えいたしておりましたように、かかる状態にもかんがみまして、今後多少長い目で見た経済自立計画というものをもう少し分析して計画をつくり直してみたいと思つております。その計画の中で、三十年度以降の大よその石炭の規模というものをぜひ策定いたしまして、一つの目標として打出して参りたいと思つております。その際におきましては、やはり先ほども申しましたような四千八百万トンというようなところに近い目標というものをできるだけ設定するようにいたしたい、それを一つの基準にして、他のたとえば石油類の需給等を勘考するというようなことにいたしたいと思いまするし、なおそれを中心にして炭価のコストの合理的な引下げというようなこともあわせて計画をいたしたいものであると考えております。
  122. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 日本の炭鉱の最も大きな課題は、やはり高炭価問題の解決であると思うのですが、現在の状態ではむしろ高炭価問題の解決になつていない。なるほどコストは下らなくても——若干下りましたが、あるいは下らなくても安く売らなければならない、こういう事情に来ております。九州ではカロリー三十銭というような状態を呈しております。こういうのもあるわけでありまして、そういう状態になりますと、ますます堀りいいところだけ掘つて、そうしてあとは何とかなるだろう、こういうことであります。あるいは縦坑開発のできるような大手の炭鉱はその資金が出れば合理化の方向に進むかもしれませんが、そういう縦坑開発というような資金が出ない程度の中炭鉱、これは私はますます高炭価問題の解決から遠ざかつて行く、かように考えております。そういう大きな問題もありますけれども、当面の問題といたしまして、中小炭鉱の労働組合が先ほど申しましたように非常に窮迫しております。私はここ二、三箇月ほどほとんど炭鉱ばかり全国的にまわつて参りましたが、北海道におきましては業者は投げてしまつた。そうして保安要員を組合が出す、組合が給料をよそから借りて払つておる、保坑費は全部組合が負担しておる、こういうところさえあるのであります。そこで現在は経営参加どころかもう組合の責任において保安を維持しなけばならぬ、こういう山すら出て来ております。そこで今非常に問題になつておりますのは、現在解雇を見んとしておる炭鉱、また解雇されたところは、業者はそのうちに冬場が来ると何とかなるだろうと解雇した、失業保険で食つてくれ、こういうことで六箇月待つたが、冬場が来んとしたけれども再開の見通しがない、こういう状態でございます。ところが今大臣は、国鉄その他に話して何とか先買いをしてもらう方法を講じておる、こういうことであります。それも非常にけつこうでございます。ところがこういう話は、これはもう二箇月ほど前から聞いておつたのであります。もうされるであろうか、こういう期待をしておりました。国鉄だけではございません、あるいは鉄鋼あるいは電力、こういうところ政府としてはそういう要請をした、こういうことをもう二箇月も前から聞いておつたのですけれども、話によると現在やりつつある、こういうようなことで非常に情ないと考えておるわけですが、国鉄だけではなく、電力その他の関係はどういうようになつておるか、これは局長でもけつこうですが、そういうこともお聞かせ願いたいと思うのです。  それから次に重油規制の問題ですが、この点も実際はどういうふうになつておるか、これも的確にお聞かせ願いたい。聞くところによりますと、三月閣議において、暖厨房重油使用禁止を十月一日からやる、こういうことを決定されたやに聞いておるのですが、ところがその後与党の政調会から横やりが入つて、むしろ行政措置で重油規制だけをして行きたい、こういうことでそれが無期延期になつたとも聞いております。こういつた点において、重油の状態がどういうようになつたかお聞かせ願いたいと思うのであります。その他いろいろありますけれども、この点だけまず……。
  123. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 石炭の買上げの問題につきましては、ただいま二箇月ほど前から話があるというお話でございましたが、これは実は電力会社その他の現場の大手の需要者側に対しましては、政府からも要請いたしまして、金繰りのつく限りにおいてできるだけの措置はとりつつあるわけでございます。そうして政府の方の関係は、予算措置その他が非常にむずかしいために、実は率直に申しますと、初めはなかなかできない相談と思つてつたのでありますが、いよいよこれは手をつけた方がよろしいと考えましたので、この国鉄関係政府関係につきましては、実は二箇月ほど前から考えたのではございませんで、数日前から手をつけることに考え直しているわけでございます。  それから重油の規制の問題は、この重油の規制に関する部分についても当通産委員会のかねがねの御決議等の趣旨も十分尊重いたしまして、引続き相当強烈な行政上の規制をやつて今日に至つておるのであります。数字的にはあと鉱山局長から御説明いたしますが、常識的に申しますと、その後行政措置が相当の効果を上げておるように見受けますので、場合によれば十月一日から法的規制をやることあるべしという、まあ伝家の宝刀を閣議の決定を受けてあるのでありますけれども、ごく最近の事情から申しますと、いま一箇月くらいはできれば、法規規制はやらないでも目的が達成されればいいのでありますから、もう少し様子を見ようということになつておるのでありまして、これをやめることにしたというのではありません。  なお自由党政調会から云々というお話がございましたが、数日前に発表されております自由党の政策等におきましても、所要の物資について必要な場合は特殊の措置をとることあるべきことを示唆しておるくらいでありますので、その食い違いからこれを延期しておるのではないのでございます。これは石炭に対する総合的対策から申しまして、今後とも相当強度の重油の消費規正は徹底して続けて参りたいと考えております。
  124. 川上為治

    川上説明員 重油規正の効果の問題でありますが、この六月の計画によりますれば、大体三十九万程度ということになつたのですが、実績を見ますと大体その点と合うような数字になつております。それから七月におきましても大体三十四万幾らということになつたのですが、これもある程度上まわつておりますけれども、三十八万程度ということになつておりまして、これは若干上まわつておりますが、特に中小企業関係で重油を必要としておるものの転換が実は若干遅れております関係から、この需要の方も少し多くなつておると思うのですが、八月の実績がまだわかつておりませんけれども、これまた非常に上まわつておるというような状況ではないのであります。おそらくそうだろうと思うのですが、最近までの行政指導は、私どもの方としましては相当効果が上つておるものと考えております。現にセメント会社とか、あるいはその他の方面におきまして転換の計画を立て、また現実に転換を行つておるものも相当あるように、私の方はある程度調査もできておるわけでありまして、私どもの方としましては、今後におきましても、この強力な行政指導につきましては、もちろんその通り進めて行きたいというふうに考えておるわけでございます。ただ先ほども申し上げましたように、特に一般中小企業関係におきましては、重油の方から石炭に再転換する施設について、金融の問題とか、いろいろな点から少し遅れておりますので、そのずれにつきましては、われわれとしましては、その程度めんどうを見てやらなければいかぬのじやないかといふうに考えておるわけでございまして、大体放置いたしておきますと、四十七、八万になり五十万くらいおそらく違うだろう。重油が月に三十数万という状態になつておりますので、私は相当効果が上つておるのじやないかというふうに考える次第であります。
  125. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 重油の関係は効果が上つておるということになりますと、どうして数字が狂つて来たのか、またお先まつ暗という状態を呈しつつあるのか、そういう点の説明をお願いしたいと思います。
  126. 斎藤正年

    斎藤説明員 今のお話、石炭の需給関係がどうして狂つて来たかというその石炭関係のお話だろうと承知いたしますが、実は先ほど大臣からもお話申し上げましたように、今年当初の予定よりも大きく狂つたわけでございますが、この大きく狂つた原因が三つ、四つあるように思います。  実は第一は、だれに責任を持つて行きようもないお天気の問題でございます。御存じのように、今年の電力用炭の需要は、最初九百万トンの計画でございましたが、むしろわれわれの方で、あまり多過ぎるのではないかというので、八百万トンに削つてもらつたような関係があつたわけでありますが、それが八百万トンのベースに比べますと、はるかに落ちております。今までずつと上期中一一〇%を越えるような出水率でありまして、従つて石炭の消費量も非常に減つておる。月当り二十五、六万ということで、かなり大きく穴が明いたというのが一つであります。  それからもう一つ、これも石炭の方から言えば、また国民経済的に見ましても、むしろ慶賀すべきことだと思うのでありますが、石炭の品位が非常に向上いたしまして、これは現在でも平均カロリーで六千二百カロリーということになつておりますが、実際に荷渡しされる品位は、平均カロリーよりもかなり上まわつておるのではないか、われわれの推測では二、三百カロリー上まわつておるのではないかと思います。それから石灰不足の時代には、欠斤問題が非常にやかましかつたのでありますが、こういうふうに石炭が過剰になりますと、お得意さんへのサービスというような意味で、むしろ数量の超過したものを荷渡ししておるのじやないか。従つてこれは統計面には全然現われて来ない問題でありますが、そういう形で数量なり、品質なりについてのサービスの面と、それから同時に石炭消費産業におきまして、デフレに対応いたしまして、使用の合理化、節約が非常に進んだことの両面によりまして、原単位が非常に下つております。一番いい例は鉄鋼でございますが、今年の上期に、昨年度の五〇対五〇の比率を、国内五五、輸入四五と五%切り下げまして、その際に従来一・三ないし一・三二程度のレーシヨーでありましたものを、国内低品位のものを使うのだからというので、一・三五を計画したのであります。ところが、これが現実の実績はどうかと申しますと、一・二五とか一・二六とかいうので、一〇%も違つておる。毎月五十万トンも消費いたします原料炭で一〇%も違うとういことは、たいへん大きな食い違いがそこに出て来ておるわけであります。  それからいま一つは、今の重油の問題に関連いたしますが、これは鉱山局長答弁いたしました通りに、重油の配給計画を立てて消費規正をやることにきまりまして以後は、大体計画に近い数字で行つておるわけでありますが、これは当時、需要家の分も配給業者の分も、ストツクの計算についてなかなかしつかりした資料が得られなかつたということがあつたのだろうと思いますが、重油の消費規正の効果の石炭に対する現われ方が非常に遅れて、やつと最近になりまして、重油からの再転換の問題がわれわれの耳にもぼちぼち入つて来るようになつておりまして、その時期が、当初われわれが考えていたよりもかなりずれたというような点があります。なお、全般的に鉄鋼にいたしましても、そういうような石炭の消費をいたします産業が、デフレの影響で生産計画が縮小して来るというような面もございまして、今のところそれが大きく狂つておるということでございます。ただわれわれの方といたしましては、先ほど四千百五十万トンというふうな数字のお話がありましたが、もうちよつと行けるのじやないか、特に今後の天候と申しますか、すなわち火力用炭の消費がもう少しふえるのじやないかと思いますので、そういうような点は若干好転するのではないかと考えております。
  127. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 時間がないようでありますので、ごく簡単に質問をいたしたいと思いますが、今電力あるいは鉄鋼あるいは国鉄等に頼む、こういう処置くらいでは実はとうていこの困難を打開することは不可能であろうと思うのであります。そこで政府も、需給調整の法案をいろいろ検討中である、これも私は賛成でございますが、その前にもう少し強力な手を打つていただきたい。抜本的な手を打つていただかなければ、もうすでにそういう法律によつて救うときには、ほとんど崩壊しておる。小さな群小の炭鉱、特に景気のいい時代に発生いたしました炭鉱が、また景気が悪くなつてあわのように消えて行く、このことを言つておるのではない。今度の炭鉱は、御承知のように中堅炭鉱がほとんど閉山または休止のうき目にあつているわけであります。これはどうしても必要な炭鉱であります。そこで私はこの急場を政府としてどうしてしのがすつもりか、この点について再度お伺いいたしたいと思うのであります。現在開発銀行等の金利の返還につきましても、非常に困難を来しております。ある炭鉱のごときは、六千万円の資金を借りましたところが、三千万円天引きされて、三千万円で別に借入れをしながらやつておるというようなことが、現在の遅払いの原因になつておるということも、実はあるわけであります。また倒れました新屋敷、岩屋等におきましても開発銀行の設備資金を借りて、そうしてやつと合理化の方向に行つたとたん倒れた、こういう状態になつておるわけであります。こういう点につきましても、政府はどういうお考えであるか。ことに本年度は三十億開発銀行から融資を受ける予定になつておりますが、返す金は六十三億と聞いておるわけであります。現在の炭鉱ではたして三十三億返す能力があるか、もちろん個々の炭鉱では返すものともらうものとは対象は違うでしようけれども、炭界の状態としてはやはり同じような状態が言い得るのではないかと思うのであります。こういうような一連の金融措置をどういうふうにお立てになるつもりでおるか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  128. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これも要するにその出炭したものが売れる見込みがあるかどうかということに実はかかつておる点が多いわけでございまして、そういう点から申しまして、ただいま石炭局長が御説明いたしましたように、やはり天候のかげんその他いろいろございましようけれども、今後ちようど需要期にも入ることでございますから、先ほど申しました国鉄の関係などでも誘い水としては相当の効果があると思うのであります。まだ細部を申し上げところまで行つておりませんが、金額もそんなに小さいものではないと私は思いますので、それらを組み合せまして、何とか金融の方にもはねかえつていい結果が出るようにいたしたいと思います。これは、多少ずつでも貯炭が減る、出炭が売れるようになるということになれば、金融の方に私どもがあつせんをいたしまして、たとえばせつかく借りた金を旧債の返済にみんな持つて行かれるというような度合いを少くすることもできますし、さらに期限の延長なども頼みやすくなる。そこで私どもの最大の努力の重点は、やはり貯炭を減らすことであるというように考えまして、今言つたような手を打つて参りたいと考えておるわけでございます。
  129. 多賀谷真稔

    ○多賀谷真稔君 貯炭を減らすということでありますけれども、それは当然でございます。実際政府がそういう処置をやつてつたのではもう倒れてしまう、こういう状態なんです。そこで私はやはり強力な金融処置を講じてもらいたい、かように考えるわけであります。これはあとからも御相談いたしますが、何とかして抜本的な解決をしてもらわなければ、現在の状態で冬場は見通しがつかない、こういうことになりますとますます銀行の方は引締めると思うのであります。そうするとやつと自転車操業をやつております炭鉱が、続いて倒れて行く、また倒れた炭鉱が旧債務をたな上げして再開しようといたしましても、どうしてもできない、こういう状態に追いやられておりますので、ひとつ強力なる手を打つていただきたいことを要望いたしまして終りたいと思いますが、最後に実は九州で聞いた話ですが、駐留軍の暖房の石炭百五十万トン程度が今度重油に切りかえられる、こういう話であります。これは駐留軍労務者から聞いたわけであります。駐留軍労務者はそれによつて失業者を出す、こういう状態であるから何とかしてもらいたい、こういうことを聞きました。それは現在の需給の状態から行きまして非常に重大な問題でありますので、この点だけひとつ明確な答弁をお願いいたしたいと思います。
  130. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいま貯炭のお話もございましたが、御案内のように七、八月になりましてからある程度これは減少しておりますので、この勢いでと実は考えているような次第でございます。それから金融について強力な金融というお話でありますが、これは結局特殊金融機関でないとぐあいが悪いわけであります。ただいま金額をはつきり記憶いたしておりませんが、中小企業金融公庫に対しましては、かねてから、これは政府機関でもございますので、特に九州の中小の炭鉱関係について重点的に配意するように、かねがね配意をいたしておるような次第でございます。  それから最後の駐留軍の関係でございますが、これは私も耳にいたしておりますので、関係の大使館等に対しまする交渉をいたしまして、まず大丈夫になつたというように聞いておりますが、これは石炭局長の方が詳しく情報を知つているかと思いますので、石炭局長からお答えいたします。
  131. 斎藤正年

    斎藤説明員 これは実は重油転換問題が、今お話のようにあまり正確と申しますか、責任あるところからこうだというふうな公式の話にはなつておりませんでしたが、しかし寄り寄りそういうふうな計画があるということは承知いたしておりましたので、正式に外交的なチヤネルを通じて話をしておつた次第でございまして、今までのところでは、これは最近までの石炭の入札が非常に高かつた、それでそういうことならというふうなことがかなりこういう内部の計画の動機になつていたようでありますが、最近の入札の結果は、御存じのように非常に下つておる。現状のような程度ならば今すぐ転換ということをやらないで、もうしばらく日本側の様子を見ようということになつているように承知いたしております。現についこの間も入札がございましたが、また最近のうちに入札をやるようなふうに私は聞いておりますので御心配のような点は一応片づいたんじやないかと考えております。
  132. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 大臣がお急ぎのようでありますから、今質問されつつあり、また大臣がお骨折りつつある問題に関連いたしますから、大臣に扱い上の問題についてお耳に入れておいた方がよいのではないかと思いますので質問いたしますが、国鉄等に中小炭鉱の貯炭を相当買取るというか、貯炭のまま融資するというか、いずれそういう形になるのでしようが、それは実は非常に喜ばしいと思つているわけです。ついてはこの扱い方の問題ですが、国鉄に納炭をしているところはそのままの形でいつても、信用の点からいつても、また貯炭をそのまま融資してもらつて漸次納炭をするということであれば、従来からの取引の関係でスムーズに行くと思う。ところが国鉄に納炭しておらない炭鉱、こういうところの方にむしろ相当困つているところがあると思うので、こういうところの貯炭をやはり国鉄等に、通産大臣努力されて、ひとつ買い取つてもらわなければならぬ。そこで個々の炭鉱から押すな押すなの陳情でも困ろうと思うから、そこで幸い北海道なり、常盤なり、山口なり、北九州なり、佐賀、長崎——この佐賀と長崎は一緒ですが、そういう中小炭鉱の連合会とか、そういう組織機関がありますから、そういう組織機関の代表等を、政治的に話が進んだら石炭局長ところへ呼ばれて、そういうところで国鉄に納炭しておらぬところの石炭をどのようにして国鉄に納めさせるようにするか、貯炭の買取りをやらせるようにするか。そういう点をひとつ中小炭鉱の連合会の責任の上において、石炭局長ところで話合いをされて、そうして不公平にならぬように、せつかくの融資であるからその辺の解決がうまく行くように、そういう機関の代表との話合いを十分されて、ひとつよく解決するようにしてもらいたいということをこの機会に一言御注意を申上げておきたいと思います。
  133. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これもまことにごもつともな御提案でありますが、実はこれは国鉄の買上げを繰上げるというかつこうで参りますものでありますから、この扱い方が非常にむずかしいのではなかろうかと思のであります。なおこれは現に数日前から石炭局長が国鉄の方へ申入れをいたしまして、大蔵省と国鉄との交渉にもまた私どもは中へ入つてつておるわけでありますが、その御趣旨のほどは伝えまして善処いたしたいと存じます。
  134. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 本日はこれをもつて散会いたします。     午後六時四十一分散会