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1954-09-09 第19回国会 衆議院 通商産業委員会 第65号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月九日(木曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長代理 中村 幸八君    理事 小川 平二君 理事 首藤 新八君    理事 福田  一君 理事 山手 滿男君    理事 永井勝次郎君       尾関 義一君    小峯 柳多君       始関 伊平君    土倉 宗明君       坪川 信三君    村上  勇君       吉武 惠市君    笹本 一雄君       長谷川四郎君    柳原 三郎君       加藤 清二君    齋木 重一君       帆足  計君    伊藤卯四郎君       中崎  敏君  出席国務大臣         通商産業大臣  愛知 揆一君  委員外出席者         厚生政務次官  淺香 忠雄君         厚生事務官         (国立公園部         長)      森本  潔君         通商産業政務次         官       加藤 宗平君         通商事務官         (通商局次長) 大堀  弘君         通商産業事務官         (重工業局長) 鈴木 義雄君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      平塚 保明君         日本専売公社塩         脳部需給課長  高村健一郎君         専  門  員 谷崎  明君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 八月二十四日  委員片島港君委員辞任につき、その補欠として  志村茂治君が議長指名委員選任された。 同日  委員志村茂治委員辞任につき、その補欠とし  て片島港君が議長指名委員選任された。 九月六日  委員片島港君委員辞任につき、その補欠として  永井勝次郎君が議長指名委員選任された。 同月九日  委員小平久雄君、田中龍夫君及び馬場元治君辞  任につき、その補欠として尾関義一君、小峯柳  多君及び吉武惠市君が議長指名委員選任  された。 同日  理事小平久雄君の補欠として小川平二君が理事  に当選した。 同日  永井勝次郎君が理事補欠当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  電気及びガス並びに化学工業振興に関する小委  員長報告  通商産業行政一般に関する件     —————————————
  2. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長欠席のため私が委員長の職務を行います。  まず理事補欠選任についてお諮りいたします。去る八月十三日理事永井勝次郎君が委員を辞任せられ、九月六日委員に再選せられましたのに伴い、同君を理事に再選し、また本日理事小平久雄君が委員を辞任せられましたので、小川平二君を理事補欠選任したいと存じまするが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 それではさよう決定いたします。     —————————————
  4. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次に電気及びガスに旧する小委員長より小委員会の審査の結果について報告を聴取したいと存じます。電気及びガスに関する小委員長谷川四郎君。
  5. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 電気及びガスに関する小委員会国政調査につきまして概略御報告を申し上げます。  まず審議経過を申し上げます。小委員会といたしましては、現下の最も重要なる問題の一つである電気料金改訂問題を取上げまして、去る九月六日及び七日の両日にわたりまして慎重なる審議をいたしたのであります。まず九月の六日当委員会の要請によりまして政府より発表されました電気料金改訂要綱について通商産業大臣及び政府委員より今回の改訂並びにそれに対する資料等につき逐一説明を聴取し、これに対し質疑を行い、翌七日本問題に関し、電気事業連合会代表井上五郎君及び各種消費者代表七名を参考人として招致いたしまして、それぞれ意見を聴取いたしました後、参考人並びに政府側に活発なる質疑行つたのであります。  次に質疑の詳細は速記録に譲りますが、おもなる論点を要約いたしますと、料金改訂申請より今日に至るまでの経過並びに今後の処理すなわち決定に、至るまでの手続き上の秘密と、聴聞会の開催と、さらに旧公共事業令第三十九条違反の有無、各事業に対する影響調整需給のバランス、追加調整金の点、燃料費調整の点、火力借款との関係、今後の金利税軽減企業努力程度電源開発公社性格及び電力行政あり方並びに企業形態あり方等でありますが、特に論議の焦点となつた点は、明年四月以降の料金が明記されていないこと、すなわち夏冬一本料金制をとることが基本方針に明記なく、単に電力会社企業努力及び金利、税の軽減処置に基き再検討を行うことのみ示され、夏冬一本化料金の可否につきましては明確を点く点並びに値上げ率が二十九年夏季だけにとどまつておるが、料金値上げ年間通算して初めて正確の値段が得られるのであつて、二十九年下期、三十年上期通算値上げ率がどうなるか等の点でありました。  この機会に念のために重ねてこれら質疑の多かつた点を明らかにしていただきたいと思いますので、二、三質問をいたします。九月六日発表料金改訂要綱基本方針によりますると、昭和三十年四月以降の料金につきましては、電力会社の一層の企業努力とまた金利軽減税制改革等処置により低物価政策趣旨に基いて再検討を行うことになつておりまするが、これだけでは不明確であつて、七月末閣議決定において、四月以降の料金については、本年下期料金を引継ぐべきも電力会社の一層の企業努力云々とあるのでありまして、二十九年各料金を三十年夏季に引継ぐことが明記されておるように聞いております。しかるに今回の政府発表はこれを削除しております。この点が不明確な点でございまして、この点につきましては明確なる御答弁をお願い申し上げるわけでございます。以上一点をまず伺います。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま長谷川委員長から御質疑のありました点でございますが、これは小委員会において御答弁あるいは御説明申し上げた通りなのでございますが、ただいま閣議決定のことについてお話がございましたが、閣議におきましては、本来この問題は通産省の処理事項になつておるのでありますが、事柄が現在の状況において非常に重大なものと思いましたので、基本的な考え方を諮りまして、その考え方を統一することにいたしたわけでございます。従つてただいまその文書等を御援用になりましたが、閣議決定におきましては、もし一層の会社側企業努力及び税と金利負担軽減がない場合においては、このままをもつてすれば各料金を引継ぐこととなるべきも、さようであつては低物価政策遂行上支障があるから、税、金利等軽減についてさらに努力をしよう、こういう趣旨をとりきめたわけでございます。従いまして昨日までるる御説明申し上げましたように、その気持は今回の改訂につきまして現われておるのでございまして、この三つの要件について何らの措置がなされなければ各料金が来年の夏季に入りましても引継ぐことになるのであろうが、そうはしたくないということで再検討いたすということにいたしておるわけであります。
  7. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 政府発表要綱によりますと、燃料費調整制度を当分の間停止することになつておるのであります。またこれにつきまして発効の時期はいつからであるか。また石炭価格は何年の何期を基準としておつたのであるか。またその当時の炭価は幾らを基準としてつくられたのか。この点を明らかにしていただきたいと思うのでございます。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いわゆるコールクローズの問題でございますが、これは料金制度合理的改正に伴いまして、十月一日から停止することにいたす考えでございます。それから石炭価格でございますが、二十八年度の実績から最近の状況を考慮いたしまして、トン当り四百五十円引下げることにいたしたのでありまして、全国平均炭価トン当りにいたしますと四千五百七十一円。これは五千四百八十カロリーであります。
  9. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 電気料金性格は上、下期だけの比較では不十分であろうと思うのでありまして、一年間通算比較で初めて正確を期し得ると思うのでございます。燃料費調整後の実質的値上りについて二十九年下期、三十年上期の年通算全国平均並びに各社別値上り率はどのくらいになつているか。なお資料として、この一箇年間需給計画九社別及び合計各社別一箇年の電燈電力キロワツト当りの単価及び値上り率等もまだ明らかになつていないようでございます。これらについて、これは事務的な点でございますので局長から御発表していただきたいと思います。大臣でもけつこうです。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまのお尋ねに対しましては私からまずお答えをし、さらに数字にわたりまして局長から御説明申し上げたいと思います。  ただいま御指摘通り私ももちろん電力料金等につきましては、改訂をする場合には長い期間においてきめるのが妥当であり、これか本則であると考えますが、先ほども申しましたように、来年四月以降におきまして、われわれのさらにやりたいという努力について決心を持つておりますので、今回の場合におきましては、そういう仮定のもとに未確定なものを取上げることはいかがかと思いましたために、その点は再検討ということにいたしたわけでございます。しかしながらそういう措置を全然しない、さつきも申しましたように、この三つの要素について何らの手を加えないで、このままに放置すれば、夏料金というものをやめて一体料金にせざるを得ないという場合が仮定のもとに考えられるわけでございます。そういうかりに四月以降において税、金利の面において何らの措置がとられない、今回の改訂料金がそのまま来年上期においてとられるということを仮定いたしますと、年間では全国平均で一割一分二厘という程度になるものと存じます。これは申すまでもございませんが、燃料費調整後の実質的な値上がりを今申しましたような仮定のもとに計算いたしますと、そういうことになるのでございます。
  11. 中島征帆

    中島説明員 各社別電燈電力変動率を申し上げます。これは年間を通じまして来年の上期、現在の下期の料金をそのまま変更なしというのと、それから現在のコールクローズを適用しておる実質的な現在の値上りを比べた数字でございます。  まず電燈から申し上げます。北海道から順次西に参りますが、北海道一〇九・〇、東北一一五・四、東京一一一・九、中部一一五・二、北陸一一五・〇、関西一〇一・〇、中国一〇四・四、四国一一一・〇、九州一〇五・八、合計が一〇八・九であります。  次に電力北海道一一五・六、東北一一七・三、東京一一一・一、中部一一九・八、北陸一一三・一、関西一〇五・五、中国一一一・二、四国一一七・四、九州一一五・七、合計が一一二・五であります。
  12. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 値上りによりまして関連産業影響度が非常に大きいものが現われて来るだろうと思うのであります。この点に関しまして政府質問を続けてはおりますけれども、あの程度ではまだはつきりしていないと思うのでございます。従いましてこれらの影響度というものは、もう一段と明らかにしなければわからないのではないかと思うのでございますが、これに対しておわかりになつておる点、また今日まで御研究になつた点を、御説明ができたらしていただきたい。もしできなければ、それに対しての資料をお出しを願いたいと思うのでございます。
  13. 愛知揆一

    愛知国務大臣 料金改訂に伴いまする関連産業への影響は実に重大な問題でございますが、先ほど来申しておりますように、的確にはじき出しまするものといたしましては、一応来年三月までの今回の改訂料金基礎にいたしましたものが全産業にわたりまして大体の見当かついておるわけでございます。この点につきましては、各場合にきましていろいろ御説明いたしわけでございますが、なお足らざる点は補足申し上げたいと存じます。  先ほど申し上げましたように、これは私どもとしては大きな仮定を前提にした場合でございますが、もし来年四月以降の夏料金制度というものはやらないということになりました場合を仮定して申しますと、一割一分二厘程度値上りになるということを申し上げたわけでございます。この場合はもちろん仮定ではございますが、その場合がどういうふうな影響になるかという点については、御必要であればさらに試算をいたしてごらんに入れたいと存じます。ただ全体といたしまして個々の需用側電力使用の事情によりまして、従来安い料金で多量に使用しておりました場合におきまして、今回の料金改訂によりましてどういう影響があるということについては、先ほど申しましたように、三月までの分については相当広範囲に資料を用意いたしておるのございますが、それ以降の分につきましては、あるいは御要望資料が間に合わないかもしれないと思いますが、これは仮定のものではございますけれども、つくることに至急努力をさせていただきたいと思います。
  14. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 最後に小委員会といたしまして政府に強く要望したい点を五点ばかりあげて申し上げます。  第一は四月以降の料金値上げ抑制のためのみならず、今後の開発五箇年計画遂行に伴い、料金急上昇防止のために、金利軽減税制措置等を強力に遂行されたい。第二は、今度発表政府要綱は不明確の点が多く、誤解を生じやすく、特に今年四月以降の料金においてまたしかりであるから、夏冬料金一本化等についてもう一段と親切なる対策の発表と、年通算したところの石炭上昇停止後の実質的値上り率発表をせられたいと思うのであります。第三には現行電気料金制度は複雑に過ぎるきらいがあるから、単純化について再検討を加えていただきたい。第四は今後の開発五箇年計画遂行に伴い、料金のコストが著しく上昇する傾向にかんがみ、企業形態及び電力行政につき抜本的な再検討を加えられたい。五といたしまして、今回の政府措置政策料金的色彩がすこぶる濃厚である。原価主義認可制度現行法令違反疑いを持つのではないか、これらの点につきましては慎重せられたい。以上五項目にわたりまして、小委員会経過また質疑要望とを申し上げまして、御報告とする次第でございます。
  15. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいま御要望のございました点につきましては、総括的にこの五項目につきまして、私どもとしてできるだけの努力をいたし、また御趣旨に沿うようにいたしたいと存じます。なおこれらの点につきまして、詳細にわたりまして検討を要すると思いますが、今伺いましただけでここでただちに申し上げ得ることも相当あると思いますので、その点だけ申し上げたいと思います。  また第一点の、明年四月以降の料金抑制につきましては、ひとり料金の観点というだけでなく、将来の電源開発必要性、進捗ということとあわせて、金利税制等について政府側においてあとう限りの努力をせよという仰せに対しましては、全幅的に政府といたしましては努力をし、立案をいたし、できるだけこれを実行に移し得るように配慮いたしたいと存じます。  それから第二点の、発表ぶりその他につきましていろいろと御批判をただきましたことはまことに恐縮でございますが、ただいま御指摘のような点十分考えまして、なお必要の解説その他の考慮を至急にいたしたいと考えます。  それから第三点の制度単純化でござていますが、これは今回の料金制度改正につきましましても、制度の単一化を念願いたしたのでありますが、なお十分でない点がございますから、この点につきましても御趣旨に沿うようにいたしたいと存じます。  それから第四点の、電力関係企業形態の問題、それから電力行政全般についての基本的な構想については、昨日、一昨日もいろいろの御意見を伺わしていただいたわけでございますが、政府といたしましても、もはやどういう結論が出ますかは別といたしまして、これを根本的にひとつまつ正面から取つ組みまして、よりよき将来の案を考えるべき時期に到達しておると存じますので、この点は至急に将来の態勢を考究いたしたいと存じます。  それから第五点の、今回の料金改正についてば政策的な色彩が強くて、場合によれば現行法令違反する疑いがあるのではないかという点について注意をせよということでございますが、この点は私どもといたしましては十分現行制度を尊重いたしましたつもりでございまするが、なお御注意のほどはとくと考えさせていただきたいと存じます。
  16. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 以上をもつて委員長報告を終りました。
  17. 永井勝次郎

    永井委員 議事進行について。ひとつ委員長から小委員長に明らかにしていただきたいと思いますが、ただいま小委員長から小委員会希望条項が述べられました。しかしこれは小委員会としてはまだこの問題については審議の過程であつて、小委員会としての結論はまだ何も出ておりませんし、要望事項というようなものもまとまつてはいないと思うのでありますが、ただいまの要望事項は小委員長の個人的な意見なのか、あるいは小委員会としてまとまつた意見を代表されての要望なのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。小委員会としてはこういう要望事項ははまだまとまつていないと、われわれは了解しております。それが議題にもなつていなかつたと思います。
  18. 長谷川四郎

    長谷川(四)委員 大体皆さんの御意見等が総括いたしまして、そういうふうになりますので、けさほど私の質問要旨をそこへ出しまして御検討を加えていただいたわけでございます。当日の結果といたしましては、大体そういうような方向に行くがそれでよろしいかということをお聞きいたしましたところが、そういういうふうにやつてもらいたいという御意見でしたから、私はそれが総合された意見としてこの要望報告したわけでございます。以上。
  19. 永井勝次郎

    永井委員 先ほど理事会でも相談したように、一応小委員長から午前中の会議では報告をして、これは不確実な点が多々あるので、そういう点を明らかにして、その上でこの問題についての委員会としての扱いを相談しようというのが理事会先ほど決定事項であると思いますので、私はそういう関係で、ただいまの要望事項も、小委員会としての結論ではなしに、委員長が小委員会に現れたいろいろなことをまとめて、現在の中間的な一つ要望としてなしたものである、こういうふうに了解して、その上であれを取扱つていただきたいと存じます。この問題についての扱い質疑行つたあとでこれを相談しようということに先ほどきめたわけであります。
  20. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 小委員長要望事項につきましては、大体小委員会の空気を察知して要望報告した、こういうことであります。従つてなお本件につきましては後刻理事会を開いて取扱いについて御相談したいと存じます。  なお本件につきまして、これに関連して御質問があるようでありますから、これを許します。  さらにただいま加藤通産政務次官が見えまして新任のごあいさつを申し上げたいと発言を求めておりますので、これを許します。加藤君。
  21. 加藤宗平

    加藤説明員 このたび通産政務次官に就任いたしました加藤宗平であります。きわめて微力な者ですが、皆さんとの接触面も多いことでありますので、お世話になることも多いと思います。何分よろしくお願いいたします。(拍手)
  22. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 永井君。
  23. 永井勝次郎

    永井委員 大臣にお尋ねいたしたいと存じます。一昨日の委員会同僚福田委員質問に対して、料金決定大臣責任であるということ、これは了承いたします。先ほど、これは雑談の中だつたわけですが、大臣決定事項に対して委員会がかれこれ干渉がましいことや深入つた審議をすることは、委員会法律違反であるというような話であつたのですが、決定する責任大臣にあれば大臣はどんなことをしてもいいのだと考えておるのか。われわれが委員会においてこの問題を審議いたしますことは、決定をしようとしておるのではなくて、決定内容がどうであるか、この影響がどうであるか、国政調査の全般的な視野に立つてこの問題を十分に審議することは委員会の当然の責任であると存じますが、これに対して大臣はどういうふうに考えておるか。従つておれの責任でやるのだからというような考え方からかもしれませんが、この委員会に対する料金基礎に対する資料最初提出というものは、まことに委員会をばかにしたようなものであります。これだけの資料で今度の料金値下げの全貌をわれわれが十分に理解し得ると当局は考えてこういう資料を出したのか。大臣決定事項なんだから、お前らにただ知らせておくだけなんだ、結果を知らせるだけだというような趣旨から、こういう最初資料の配付がなされたのか。その辺を明確にしていただきたい。
  24. 愛知揆一

    愛知国務大臣 資料の点につきましてはともかくでございますが、私といたしましては、去る六日に電力の小委員会をお開きになるという御決定でございましたから、そのときにわれわれとして考究いたしました結果は、できるだけ詳細に誠意を尽して御説明を申し上げようと考えまして、爾来微力ではございますが御説明に努めておるつもりでございます。国政調査権を尊重するということは申すまでもございませんが、私といたしましては、特にわれわれのこういうような考え方結論が出るということを——その結果につきましての御批判はいろいろございましようけれども、私ども考え方をできるだけ詳細に申し上げ、あわせて国政調査に十分の効果をお上げいただくように考えたつもりでございます。資料につきましては、用意が不十分でありましたが、十分な御納得を得るようなものがなかつたという仰せでございます。この点は遺憾に存じますが、それらの点は、他の問題につきましても、できるだけ誠心を尽したいと考えます。
  25. 永井勝次郎

    永井委員 こういう国民生活に重大な影響があり、しかも企業の性質が非常に公益性の強いものであるという以上は、この料金改訂についても、できるだけ一般に了知させる方法をとるのが当然の責任だと思いますが、委員会に対してさえ十分な資料を提供しないですべり込もうというようなやり方に対しては、われわれは了承しがたいのであります。なお局長の方にも一昨日資料提出を要求してあるのですが、その資料もまだ提出されておらないというようなことで、料金決定大臣責任けつこうでありますけれども、それがどういう基礎に基いて、どういう内容で、これがどういうふうに影響ある状態において決定されるかということは、うそ偽りなく、確明に正確な資料で公開すべきものであるとわれわれは了解するのであります。  次にお尋ねいたしたいのは、第一日に配付されました資料の中で、改訂料金率というのがございます。これによると、大体七灯以下の電灯料金は、下つても上らないというような資料が出ておるわけでありますが、現行制度のもとにおける七灯以下というものの需用家は全体の四五%から五〇%、大部分が七灯以下であるといつてもいい状況であると思います。しかし料金制度アンペア制になりますと、これは五アンペアの基準でここに計算したのでありますが、五アンぺアということになると、電気アイロンがあれば三百五十ワツトラジオがあれば三十ワツト、そういたしますと、電灯は百ワツト一つあとの残りがないという状況です。各家庭で、現在は電気ラジオもありましようし、あるいは電気アイロンもある。そうしますと、もうほとんど十アンペア以上の単位になつて、五アンペアというようなここに出してある基準は、現在の平均にはなりません。従つて現在のアンぺア制になりますと、五アンペアというものは全体の需用の五%もなくなる、大部分が十アンペアに繰上つてしまう。そういたしますと現在七灯使つておる。現行ならばこの七灯以下の料金で算定ができますけれども、アンペアになると全部現在の十アンペアに繰上つてしまう、こういう状況になると考えるのでありますが、この点については局長はどういうふうに考えておるか。アンペア制なつた後において、これらの現地における状況の変化をどういうふうに算定し、それを料金制度の中にどういうふうに組み入れてあるのか、その点を伺いたいと思います。
  26. 中島征帆

    中島説明員 現在アンペア制を採用する設備というものはまだ普及いたしておりませんので、アンペア制を採用いたしますのはそれが全部徹底してから後のことでございますから、当分は灯数で行くわけであります。かりにアンペア制実施以後のことを考えました場合に、たとえば今御指摘のありました五アンペアでどうか。普通は五アンぺアでありましたら、お話のように電気アイロンを使うとすれば、そこに三百五十ワツト使いますから、あと残りの百五十ワツトというものを電灯や、ラジオで使うという余地があるわけであります。従つて昼間でありましたら全然問題がございませんし、夜でも電灯の一灯や二灯はもちろんつけられる。しかしさしあたりはアンペア制を採用する設備が整いませんので、大体灯数によりまして七灯以下という目途をつけるわけでございますが、これも実際上家の中を検査いたしまして、七灯あるかないかということを十分確認するというふうなことはいたしませんで、大体、その家が何灯という申出を受入れます。そこでただ実績を見ますと大体どのくらいのキロワツト・アワーを使つておるかということがわかりますから、これが非常識に多ければ——普通われわれの家庭でしたら冬におきましても四十キロワツトから五十キロワツトの間が普通でございますが、それが七灯以下と称しながら百キロワツトくらいあるということになると、これは常識的に考えられませんけれども、そういうことでない限りは、大体需用家の申出のままで七灯以下なり何なりの決定を下す、こういうことになつておりますから、さしあたりはそういう点につきましては別段の支障は起らない、また将来アンペア制を採用いたしましても、今のように五アンペアということで押えましたならば、通常の家庭でありますと別段の支障はなかろう。特に夜アイロンを使つたり何なり夜業しなければならぬという場合に、しかも方々で電燈をつけるということがありますと、それを超過するところもあるかもしれませんが、普通の家庭では大体その程度で行けるのではないかと思います。
  27. 永井勝次郎

    永井委員 それではアンペア制をいつから実施する予定なのか。そして現在の新料金の中では、五アンペアというものは大体全体の、需用のうちの何パーセントを計算の基礎にしておるのか、これを伺いたいと思います。
  28. 中島征帆

    中島説明員 アンペア制を採用しますのに、設備上りミツターというものを個々別のメーターにつけるわけでございますが、これの生産が間に合いませんから、結局これが全体に普及するまで少くとも一年くらいかかるのではないかと思います。それから七灯以下の家庭が、現在われわれの見るところでは全需用家の六〇%あるのではないかと考えております。
  29. 永井勝次郎

    永井委員 これは現在の新料金決定しても、実際入るのは一年くらいかかるだろう。しかも料金の方は半年であつて、半年過ぎれば再検討するというような、こういう実際に合わないような時間的なずれのある問題を、なぜこういう制度で現在急に意味のないようなきめ方をしなければならないのか、その理由がわからないのであります。このために聴聞会など当然しなければならない手続等も、実施の期間がないからといつて延ばしてやろうとしているのでありますが、一年後でなけれ実施できないだろうというような予想の上に立つて、こういう制度をしかれるのかどうか、その点を第一に大臣にお伺いしたい。  それから局長には六〇%以上は五アンペアだろうというお話ですが、それが現在の料金の計算基礎であるとするならば、これはいろいろ意見もありましようが、しかしこれは会社側の実際の料金契約の場面においていくらでも操作ができる。実際において電気会社の関係、いろいろの関係について見るのですが、あなたのところに電気アイロンがありますか、電気アイロンがあれば五アンぺンでは契約はできません。十アンペアでなければ夜たまたま使うことがあればヒユーズがとんでしまう、こういうふうに現地では電気アイロン一つあれば、五アンペアでは引受けられないということになる。しかも電熱器があればこれはもう十アンペアなり十五アンぺアなり、ずつと高くしなければ契約はしません。こういうことで実際において計算の上では六〇%とあつても、七灯以下が現在五〇%内外だと思うのですが、五アンペアというものを非常に高い率に見ておいて、実際の場面には五%以下になつてしまうだろう。大部分が十アンペアになる、こう見ているものをそういうふうな五%とか一〇%の違いなら別として、そういう大きな違いというものはどこから出て来るのか、とにかくアイロンがあれば三百五十、それからラジオがあれば三十、残り百二十よりない。しかも夜は百ワツト電灯一つより余裕がないというような、そういう条件の中で、当然これは現場で電気アイロンがあれば五アンペアでは引受けられない、こういうような操作が出て来ることは当然だと思いますが、そういう見通しはどういうふうに判断されておるか。もし実施の場面において——われわれはもしここで局長がよそに部署がかわろうと何しようと、少くも重要な電気料金の算定の基礎に五アンペアを六〇%見込んで算定した、こういうことになりますと、これは速記録に明確に残ります。大臣も出席され、そうして実際の実施の場面において、五アンペアが非常な違いをもつて出て来たということになれば、そういう理由によつて会社側に利益を特別に供与したということにおいて、私は責任は免れないと思うのですが、専門的な立場においてはたしてこの制度で実施に移した場合、六〇%への五アンペア基準需用家が確保できるという見通しがあるのかどうか、責任ある答弁を重ねて伺つておきたいと思います。
  30. 愛知揆一

    愛知国務大臣 総体的に私からまずお答えいたしますが、料金制度を合理的に改善いたしたいということは、私どもとしてかねがね、考えておつたところでございまして、アンペア制度のお尋ねがございましたが、これもまたその一環といたしまして早くからその方針をきめて、そうしてこれをできるだけ徹底しておきたい、こういう考え方からこの改正を企図いたしたわけでございます。具体的な点につきましては局長からお答えいたします。
  31. 中島征帆

    中島説明員 実際問題としてどういうことになるかという点でございますので、いささか恐縮でございますが私の実例をとりまして申し上げます。  私の家は大体二十五坪くらいの家でありまして、部屋が四つくらいございますが、灯数は十幾つございます。しかし実際に使つておりますキロワツト・アワーは大体冬で四十から四十五くらいじやないかと思つております。この場合にどうなるかということでございますが、もしアンペア制をとりますと、実際としまして夜電灯をつけておりますのは二箇所くらいで、両方合せてもおくらく百二、三十、あるいは百五十くらいだと思います。それから、それにもし電気アイロンを使うとしますと、ちようど一ぱい一ぱいになる。しかしアイロンを昼間使いましたらそのほかに相当余裕が出て来る。従つて電灯を三箇所以上つけましてそれでラジオを聞きながら、アイロンをかけるということをすれは五アンペアのヒユーズはとびますけれども、そうでない限りはアイロンはいつでも使えて、しかも灯数はまかなえる、こういうことになる。ところがアンペア制をとりますとリミツターが間に合いません。灯数をやるということになりますと、私の例でいいますと、十灯以上ございますから、七灯以下という意味の制限は有効措置がないわけです。これはわれわれとしては大体そういう程度の実であれば、少くとも今の日本では中流の上くらいじやないかと思いますから、どうしても負けてもなわなければならぬということをみずから主張する勇気はありません。しかし大体会社の方の気持としては、現在灯数いかんにかかわらず、普通が五アンペア以下に納まる程度の使い方をしておる。これは実績でわかりますから、しておれば七灯以下の扱いをする、こういうことを申しております。従つて少くとも七灯か八灯、十灯くらいありましても、その家が従来の実績におきまして六十も七十もというようなアワーを使つておらぬ限りは、これは当然に七灯以下の取扱いを受ける。その扱いにつきましては、これは前々から切りかえの際のトラブルを避けるように、十分に会社の方には注意をいたしておりますが、特にそういうことのないように、今のような点で屋内まで入りまして灯数の検査をするとか、あるいは需用家が七灯というのであくまで八灯以上あるということを主張いたしまして、高い料金をとるというようなことのないように、これは厳重に注意してございますので、私はいかにかわりましようとも絶対に心配ないということははつきり申し上げられると思います。
  32. 永井勝次郎

    永井委員 次に今までの二十七年五月の改訂現行法によりますと、東北北陸基準にとりますと、東京中部は大体従来より四%上り、関西が二〇%上り、北海道が二七、八パー七ントから三〇%、九州が三五%、中国が四〇%、こういう地域差であつたのが、今度の改訂によりますと、北陸東北東京中部関西、これが一本になつて、そして北海道が大体一五%から二五%の格差、四国が三〇%、中国九州が三五%、こういうふうな地域差が出て来たわけでありますが、現行法でずいぶんこの格差があつたものが、今度は北陸東北東京中部関西、これだけが一本になる、こういうような料金の圧縮というものが操作によつてちようどできるということがここに立証さたたわけですが、もしこういうことが操作によつてできるならば、もつとこういう地域差を圧縮して一本にするということが可能ではないか。この点について、現行制度のもとにおいて相当格差があつたものが、今度は一本の条件のところに圧縮された、圧縮したのはどういう無理があつたのか、計算の上からいつて当然是正されたのか、その点の計算の基礎を明らかにしていただきたい。
  33. 中島征帆

    中島説明員 いわゆる地域差が今度どうなつておるかという資料は手もとにございませんので、後ほど調べてお答えいたしますが、今度各社別に値上率が違う。しかも従来割合に低かつた東北北陸方面水力開発の結果かなり原価が上る、逆に従来高かつた西の方の九州中国方面は石炭の値下りによつて原価が比較的上らない。こういうことになつておりまして、傾向的には地域差が締まる傾向にございます。また従来その傾向を少し緩和するために設けておりました水火力調整金を今度半減いたしましたので、その関係においても両方の差が縮まりますが、しかしこれは若干縮まつたということで、ただいまのお話の程度まで縮まつたとはちよつと考えられないのでございます。それからことに今の四地区が全然同じだというのもちよつとおかしいじやないかと思うのですが、これはもう少し詳しく調べて申し上げます。
  34. 永井勝次郎

    永井委員 それからアンペア制なつた場合の値上り率を計算してみますと、北海道電力の場合十アンペアで五五%の値上り、二十アンペアで六〇%、この六〇%の値上りをピークとして、ずつとこれは十二、三パーセントの値上り、こういうふうに低い方に非常に高い値上りを持つて来て、多量に使うところにずつと低い率を持つて来ている。たくさん使う大口のところほど現行からの値上り率が非常に低い。たとえば東北電力の場合、十アンペアで七五%の値上り、二十アンペアで一一〇%の値上り、そうして百アンペアで八%内外の値上り、これは各社別にずつと計算した基礎がありますが、東北などは二十アンペアで一一〇%の値上りになる。こういうようなひどい計算基礎になつておるのですが、こういうことは意識的にやられたのか、これは電気という特性からこういう値上げを当然の結果としてなされたのか、下に重く上に軽くという算定基礎をとられたのか、この理由を伺いたい。
  35. 中島征帆

    中島説明員 これは私ども一番苦労したところでございまして、こういうふうな制度をとりますと、従来比較的安い電灯料金を払つていた家庭が削合に値上り率を大きくこうむりまして、それから従来は多量の電気を使つておりました家庭——つまりそういう場合にはこれはもういずれの場合におきましても、標準料金で使いますアンペアは二十なら二十というふうに一律にきまつておりますから、その場合に五十、六十、八十というふうによけいに電気を使いますと、非常に高い電気を従来は払つていたわけです。そういうことがこういうふうな一木化によりまして、大口の電灯使用者が今度は非常に有利になる。逆に小口の方が高くなるというような結果になりますので、それを緩和いたしますために、アンペア制のとり方にいたしましても、また制度全体といたしましても、いろいろくふうを加えまして、資料によつて説明いたしましたように、いわゆる中小以下の家庭に大きな影響がないようにいたしたわけであります。しかし根本的には制度の変更がそういつたような形になることを内蔵いたておりますので、中小以下を緩和いたしましても、それ以上のところにつきましてはただいまの御指摘なつ影響が現われて来るところもあると思います。これはもう制度上や心を得ない、つまり従来非常に高く。二十ワツト以上の場合には、たとえばキロワツト・アワー当り十円というようなものを払つておりましたそういうものが。比較的安い料金なつた。従つて率で見ますと。いかにも影響が少いように見えますけれども。一キロワツト・アワーに対します電力料金を比べた場合には非常に高過ぎる電気料金を払つておつた、それが音通に平均化されたということでございまいので。そういうふう制度の変更というものはむしろ合理的であつてやむを得ないんじやないか、それからアンペアが大きくなりますと、その段階において、たとえば東北北海道の場合には五アンペアごとに百円ずつ基本料金をとられますから、それだけがたんと上るわけです。しかしながら、基本料金はそこだけ上りますが、あとはいくら使いましてもキロワツト・アワー当り料金は同じ料金でありますから、よけい使えば上つた基本料金のものはならされてしまうということで、アンペアの大きいところで基本料金だけ使えば高い料金になるが、アンペアが大きければ当然使う電力量もふえるのが普通でありますから、その場合には必ずしも高い電気とはいえないということで、これはむしろ合理的な制度ではないかと思います。
  36. 永井勝次郎

    永井委員 少々の値上りなら何ですが、東北電力で一一〇%、中部電力で一一二%、北陸でも一〇三%、こういうものすごい値上りというものは、これは制度上やむを得ないということではなしに、制度そのものをそういうふうに下の方に重く上の力に軽くというようなことをねらつて、それの地ならしをするためにどういうふうにしたらばこういう基準が出るかという、そういう算定基礎あとから出したんではないか、こういうふうにわれわれ考えるのであります。大臣が言われたように、下に、大衆の生活にそう影響を与えないようにということならば、こういう算定基礎というものはないはずであります。これだけの大きな違いが出て来るならば、資料として最初からこういうものを当局から出して、現在の改訂によつてこういうふうになるんだということを説明するのが親切なやり方ではないかと思うわけです。五%とか六%の値上りでなくして、一一〇%とかあるいは、百十何パーセントというような、こういう倍以上も上るような条件のものについては、部分的にそういうものが出て来ることについては、特に摘記して、こういうことになるんだ、しかしこれが電気料金の合理性の上からいつてあたりまえなんだ、説明するならこういうようなことを明確にすべきではないか、こう思うのであります。  次に従量電灯の問題でありますが、従量電灯におきましても、今回の何は一番高いところはどこかと言えば四十のところであります。これが一番高くなる。そうして十のところは非常に安く、しかしこれは量的に言えばほんとうにどれだけのものもない。その十のところを非常に安くしておいて、そうして一番使用量の多い十のところにピークを持つてつて、それから大口のところはうんと引下げておる、こういうふうになつております。九州の場合で申しますと、四十のところが五十七、八パーセントの値上り四国では五六%の値上り関西が四七%の値上り、こういうことになつておるのでありますが、こういうふうに一番需用量の多いところにピークを持つて来て、そうして低い方の十のところは、これは見本のように安くしておる。それからこの従量電灯でも大口のところに行きますと、九州で大体二〇%、東京は一八%で、大口のところは各社間の地域差はほとんどないように、二〇%程度値上りに集中しておる。そうして四十のところの地域差はうんとつけておる。東北は五%ぐらいの値上り東京は八%ぐらい、それで九州とか何とかは六〇%以上の値上りで、ピークの地域差をぐつと四十のところに持つて来ておる。こういうようなところはやはり計算上の技術的な操作がなされているんじやないか、政治的な、あるいは社会政策的な一つの考慮がこういう料金計算の中になされておるのではないかと思うのでありますが、その点はいかがでありますか。
  37. 中島征帆

    中島説明員 御指摘数字がちよつと私にものみ込めないのでございますが、どういう例をお引きになつたのか。たとえば前に配付いたしました資料で、従量電灯影響調書というのがございますが、これで御説明申し上げます。たとえば北海道等で五割も十割も上るというお話でございますが、かりに北海道で、ここに上つておりますのはアンペア料金をとらない料金でありますが、かりに五アンペアの場合には百円、それから十アンペアの場合は二百円というものがこれに加算されるわけであります。十アンペアの場合にかりに十キロワツト・アワーを使つたといたしますと、この北海道改訂のところで百九十となつておりますが、百九十円が三百九十円ですから、これはなるほど二倍になります。しかし十アンペアの設備を持つてつて十キロワツト・アワーしか使わぬということはちよつと常識上考えられません。少くともこれは五十以上あるいは百以上ということになるのであります。かりに五十キロワツト・アワー使つたとすれば、五百五十円が七百五十円でありますから、三割足らずの値上、こういうことになりますが、当然十アンペアの場合には、五十やそこらでは済んでおりません。もしそれ以下であつたら何かの事情で使い方が少かつたということになります。もし五十以下の場合でしたら、当然五アンペア以下で済むわけです。従つて先ほどお話のような大きな影響は出ないわけであります。アンペア制をとるところにおきましてもそうでありますしし、それから西の方では九州四国等におきましてはアンペア制をとつておりませんが、それは結局あとはそれぞれの使つたアワーに対します十円あるいは十一円程度のアワー料金がこれに加算されるということになりまして、むしろ非常に四十あたりが高くなるというふうなことはないと思います。ここに出ております数字を見てみますと、九州の場合には四十キロワツト・アワー使うものが現在に比べて三円上る、こういう数字になつておりますが、これはそれ以上使いましても大体その程度値上りでずつと行くわけであります。九州の場合におきましては、この黒い線が二十のところにございますが、大体六〇%以上の需用家が二十キロワツト・アワー以下の使用量で済んでいるというわけでありまして、従つてかりに四十キロワツト・アワーを使う場合には、九州に関します限りではむしろ少数の部類に属する、こういうことになります。
  38. 永井勝次郎

    永井委員 いずれこの問題については、図表や計算に基いて、こういう場所でなく十分に話合いをしたいと思います。  次に大臣にお尋ねいたしますが、今度の料金は半年分の料金で、しかもあとの半年分のものは、税金であるとか、金利であるとか、あるいは企業努力であるとかいうようなものを仮定して、そうしてその仮定の上に立つて半年分をめきたのだ、こういうようなお話でありますが、その料金改訂の基本になつているのは夏冬料金一本に改訂するということでありますが、これは言葉で言えば夏冬一本料金ということはわかりやすくて非常に料金単純化されてけつこうなように思いますけれども夏冬料金といつてもこれはもうたいへんなものでありまして、北海道の場合は十は夏料金は六円十銭、冬料金円、東北の場合は夏料金が三円二十銭、冬料金が十円五十銭、東京の場合は夏料金が三円五十五銭、冬料金が十一円、中部の場合は夏が三円五十五銭、冬が十一円、北陸が三円二十銭の十円というふうに、もう非常な、三倍もの大きな違いがあるわけですが、これを単に夏冬料金一本というような表現で、これほどの価格差があり、あるいは会社の関係から言えば、北陸であるとか、あるいは中部であるとか東北というものは、全体の料金の負担を背負い込まされておる、こういうような状況になつておるわけでありますが、こういうものは一体たとえば企業努力を何パーセント見込んで現在の料金が算出されたとか、金利の値下げをどれけ見込んで算出されておるとか、あるいは税金をどれだけまけるということを仮定して現在の料金を算定したか、そういう基礎資料をこの間から求めておるのでありますが、そういう関係資料一つも出て参つておりません。従つてここでその点を大臣にお尋ねいたします。  もう一点は調整電力の問題でありますが、調整電力の四割はもうほとんど大口で使う。その大口で使う電力価格というものは原価の半分以下のように聞いておるのであります。中小企業のところはこの調整電力の恩典に浴することができません。従つて企業の犠性が中小企業一般家庭に全部なすりつけられておるのでありますが、こういう関係は、一つの計算の上に立つて全体の原価計算というものができて来れば、その中において操作で十分そういう犠牲を考えてやるということができるのではないか。それをそのままの状態に放任するということはどういう理由によるのか。この表面に出しておるのは、下の方に負担を軽く、上の方にこれを持つて行くということと逆なことではないか、この二つの点についてお尋ねをいたします。
  39. 愛知揆一

    愛知国務大臣 第一の点につきましては、しばしば申し上げておりまするように、夏冬料金料金一本化ということにならないようにこれから努力いたしたい。それからその努力内容が、一体税についてはどう考えるか、金利についてはどうかという点については、ただいままたその成案を持つていない、こういうことを先般来申し上げておるわけであります。  それから第二点につきましては、調整電力についても原価主義の建前をとつておるのでありまして、特にただいま御指摘のようなことを考えてやつておるわけではないと思います。この点については具体的に説明員の方から御説明申し上げさせます。
  40. 中島征帆

    中島説明員 先ほど夏冬料金に非常に違いがあるというお話でございましたが、御指摘数字は現在の標準料金と追加料金とをお話になつたように思うのであります。それはなるほ低ど、三円あるいは十一円というふうに大きく開いておりますが、実際には組合せによりまして、たとえば関東の場合には夏は三円の電気料を三十キロワツト・アワーまで使える、それ以上になると十一円払う。冬になりますと四十キロワツト・アワーを二十まで下げて、二十までは三円でよろしいが、それ以上は十一円である、こういうような組合せをしておりますので、これだけの開きがそのまま夏冬の開きにならない。それをよく御承知願いたいと思います。  調整電力につきましては、大臣の御答弁のように、特殊電力あるいは期間料金というようにそれぞれの区別を設けまして、それに対しまして割引いております。それはなぜかと申しますと、たとえば急に雨が降つて水がよけい出た、発電力が培した、という場合には、増しました電気をすぐに使えるという需用家はあまりないのであります。もし需用がついて来なけれだ、普通の使い方をされていると、せつかく出た水を流してしまわなければならぬ。いわゆるむだになる水でありますから、そういう電気を使つてもらう場合には非常に安い値段で売る。それから期間料金につきましても、夏の豊水期だけ使う電気につきましては、夏は当然に電力量がふえますから、それに対しましては若干割引いてもさしつかえない。これは原価上そういうことになるわけであります。すべて原価上の料金を出し、その組合せによつて需用家が適当な電力を使う、こういうことになるわけであります。普通の小口の場合、あるいは大口の場合でも、電力を常時的にしか使わぬ場合にはそういう特殊な霊気を使う余地はないのでありまして、そういう場合には電力料金事業上のコストの中に占める割合は少い。従つて若干高いけれども比較的安定した電力を使う方が事業上よろしいという事情のもとに常時それを使う、あるいは別の事情があれば他の電力と組合せたものを使うということになつております。
  41. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 山手滿男君。
  42. 山手滿男

    ○山手委員 私は大臣にお伺いをいたしますが、さつきからの小委員長に対する御答弁、あるいは先般の小委員会における大臣の御説明を聞きましても、どうも私は了解が行かないのであります。私は大臣からいただいたこの改訂要綱を読み直してみましても、基本方針のすべてがこれに明らかにされておるはずでありますが、どの点を見れば来年夏の夏料金を廃止をするということが書いてあるのか。私はこの基本方針の中にはどこにもそれが見当らないように思います。基本方針は二つにわかれておつて昭和三十年三月末日までこういうふうに合理的改正をするということが書いてある。三十年四月以降の料金については再検討をするとだけ書いてあつて夏料金をやらないというふうに、制度をかえるということは、この案文の中にはどこにも出て来ないように私は考えます。夏料金をやめるということがどこに書いてあるのか、一ぺんお示しを願いたいとます。
  43. 愛知揆一

    愛知国務大臣 どうも私の説明の仕方が悪いのか、その点について御理解を得られないのは非常に残念でございますが、基本方針として夏料金をやめて冬料金と一本にするということを基本方針できめたのではないのでございまして、先ほど長谷川委員長のお尋ねもございまして閣議決定のことについてもお触れになりましたが、その閣議決定の方も、このままで行けば夏料金をやめなければならないことになるであろうが、そうなつては困るから再検討をしよう、こういう趣旨にきめてございますので、夏料金をやめるということをきめたいわけではないのでございます。
  44. 山手滿男

    ○山手委員 いよいよ私どもはわからない。その基本方針では夏料金をやめるということはきめたわけじやないのだがというお話でありますが、そういたしますと、この基本方針というものと閣議決定の事項というものとは別々のことなんですか。どういうことなんですか。
  45. 愛知揆一

    愛知国務大臣 全然別ではございません。まつたく同じようなことでございます。
  46. 山手滿男

    ○山手委員 私は閣議決定事項というのも、その具体的な内容がどうなつておるのか承知しないし、資料としてここにも出されないしわからない。ただ政府が基本的に、六日にこの方針でやるのだという原則を出されたこの資料に基いてわれわれはいろいろ判断しておるわけでございますが、議論の過程において、もし夏料金を廃止をすればとか何とかいうようないろいろな御議論が出て来るものですから、私は宙に迷つてしまうわけであります。もう一ぺんお伺いしたいと思うのですが、そうすると夏料金というものは当然料金制度一つ制度として残るのですか、こういうことなんですか。
  47. 愛知揆一

    愛知国務大臣 夏料金という制度を残すかどうかということについて再検討討をする、こういう気特でおるのです。それでなおつけ加えて申し上げますが、昨日でありましたか一昨日でございましたか、料金改正について電力会社から出ます申請に対しては、明年四月以降についてはちようどここに掲げましたような趣旨をはつきり条件として認可をする、こういうことに考えております。
  48. 山手滿男

    ○山手委員 そういたしますと、世間にるる伝わつておる政府がやろうとする値上げ、ねらつておる意図と、今のあなたの説明とは相当食い違いがあることになる。なぜかと申しますと、電力会社の方で期待しておるところとは違うと思うのです。こういう方針で料金制度改訂されますと、今度の認可によつて電力会社の供給規程の内容がかわるのでございますか、それは四月から自動的にその供給規程というものは廃止になるものでありますか、どうでありますか。
  49. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、これは自動的には廃止にならないのであります。
  50. 山手滿男

    ○山手委員 そこに問題があると思う。自動的に廃止にならないような認可をされる、条件をつけるという今大臣のお話でありますが、条件をつけられて、これは三月末日までの供給規程の内容である。こういう認可をされて、それが自動的に廃止されなくて、どさくさのうちにずつと四月からもその供給規程のまま押して行こうというところに電力会社の期待がある、あるいはまた電力料金が非常に上るという世上のいろいろなうわさの根拠があるのであります。でその供給規程の内容が当然には廃止をされない、三月末でこれはもう一ぺん改訂をするという特別の措置をするということは、どういうことになつて来ますか。電力会社の方で今度は値下げを意味する供給規程の内容の変更をする申請をしなければいかぬことになるのですかどうですか。
  51. 愛知揆一

    愛知国務大臣 今申しました供給規程が当然には廃止されないということは、先般来るる申し上げておりまするように、ここにあげておりまするようなことについて何らの措置が講ぜられなければこのまま続けて行かなければならないであろうかと思われます。それと相共通したものの考え方なのであります。で私どもといたしましてはそうならないように、それまでの期間におきまして税と金利、それから企業努力に対しての要請、これをやりまして、そうしてそうなつた場合には、この三つの条件についていろいろの結論がそれまでに出ますれば、客観条件がかわつて来るわけでございますから、これは会社側として新たなる申請を出してもらつて、それを認可する、こういうことにいたしたいと思つております。
  52. 山手滿男

    ○山手委員 大臣の今の言明を私は信ずることにすれば、今度の電気料金引上げの問題は、来年の三月末までのことであつて、四月以降のことは全然ここでは問題にはされておらないというふうに了解するわけでありますが、そういうことになると、少し今回の電力料金改訂の問題は議論がかわつて来るように思います。今度の電力料金改訂のねらいは、私ども夏冬一本化をする、そうしてこの冬料金をずつと押して行くという一つの布石のもとにおやりになつたというふうに聞いておつたわけでありますが、来年の四月以降は一切これは御破算で行くんだ、やりかえるんだという話であれば、これは相当議論をしかえなきやいかぬと思いますが、そういうふうに御破算でもう一ぺん根本的に指示をしかえるんだというふうにこれは了承をしてよろしゆうございますか。
  53. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点はどうも私率直にいいまして、少し私が申し上げておりますことと食い違いがあるように思うのでありますが、せんじ詰めたところ、先般も申しました通り、ここに書きました通りなのでありまして、くどいようでまことに恐縮でありますが、三つの条件についてこれからできるだけ成案をすみやかに得たいという努力をいたしたいと思つております。それが実を結びますれば、今の料金よりもそれだけ安くすることができる、こういう努力を集中していたしたいと思うのでありまして、しかしこれからのことでございますから、もしこれらの点について電力料金軽減措置ができない場合においては、現在のままがそのまま続かざるを得ないであろう、こういうふうな気持で、これは何ら隠しだてのないざつくばらんの私どもの気持であります。
  54. 山手滿男

    ○山手委員 私はそういうことであるならばこの基本方針にそのことをはつきりうたわれなければならぬと思う。聞くところによると、閣議決定の中には、それがはつきりうたつてつて誤解のないようにしてあるという話をうわさで私は聞いております。新聞にもその当時、今度の電気料金改訂の技術的なねらいは、夏冬一本で通して行くんだ、こういうことにこのねらいがあつたと、こういうふうに私どもは新聞で伝え聞いておるのであります。ところが金利の負担あるいは税の負担、企業努力、この三つの点を云々されますが、私は企業努力というものは限界があると思う、来年の三月が来たら、企業努力料金をうんと引下げるということは、そう期待できてぬと思うのです。制度的に税や金利の問題で電気料金を引下げるということは今度は違うのであつて制度的には夏冬一本で持つて行こうとされておつて、ただ金利や何か電気料金の本筋のものとは違つたものを要素にして、大臣が少しいじつてみるというふうな程度のことでは、私は夏料金制度を停止しないというふうな本質的な再検討が来年の三月までにできるものとは考えない。従つてもつと正直に、この基本方針で実際には相当上るのだ、こういうふうになぜ閣議決定のときに明示をされたと同じような説明をされて来ないのか、私どもはその点で非常に誤解をしております。今のような御趣旨でありましたならば、条件をつけるとおつしやるのですから、来年の四日から以降は全然御破算にして、もう一ぺん電気料金を根本的に改訂し直すべしという決議案が出るかもわからぬ。これは当然のことになつて行くだろうと思いますが、その点をあとから御釈明があればもう一度伺つておきたいと思う。それからもう一つ、さつさ話題になりましたコールクローズの問題でありますが、この点についても、政府がわれわれに改訂要綱につけて出された資料は、私はどう考えてみても納得行かない。さつきの大臣説明で行きますと、燃料費の調整制度——コールクローズは十月一日から停止をする、こうおつしやる。停止をするということになると、この一番初めについておる現行及び改訂料金収入比較表の改訂収入は、こんなものじやない。これはコールクローズを織り込んでおるのかどうか。こういうふうなことを基礎にして全国平均をすれば、むしろ値下りになるような表を出して来ておられるが、これはごまかしだと思うのです。一昨日ですか、伊藤卯四郎君から、この表から行くとことしはこの下期において十億ばかり電力会社は赤字になる。赤字になつても一利二分の配当を継続する、それでどうして配当さすのだ、たこ配ではないかという質問があつた。大臣はそれに対しても、そんなことは仮定のことですからとかなんとか言つている。ところがさつきの御説明によると、コールクローズは十月から停止をする、こうおつしやつておられる。そうするとこの下期において、四、五十億円はどうしてもこの表よりも電力公社は増収になつて行くことは当然なんです。それを抑えておいて、この前の要綱にはそういうことを書いておきながら、附帯して出して来られたこの表でもその次の表でも、全部コールクローズ以前のものではないですか。これを御説明願いたい。
  55. 愛知揆一

    愛知国務大臣 前段のお尋ねでございますが、これはざつくばらんに申し上げている通りでございまして、ただいままでの説明でひとつ御了承願いたいと思うのであります。それから第二のコールクローズの問題は、十月一日から廃止することになるのでありまして、個々の表につきましてはその点が十分取入れられていなかつた点があるかと思いますけれども、その表の個々のものを言つておるのでありまして、コールクローズ調整した以後においてこうというような注釈を入れているものも、ごらんのようにあるわけでございます。
  56. 山手滿男

    ○山手委員 いや、これで十月一日から電力料金改訂すると、定額灯の影響の調書や何か、こういうふうなものには、コールクローズは考慮されておらない段階のものじやないか。特に電力会社の経理の内容がどういうふうになつて行くかということは、今後夏冬料金一本化の問題とともに、これは非常に重要な問題であつてコールクローズこそ夏冬料金一本化の問題とともに、今度の電力料金改訂一つの大きなねらいであるのです。原価主義を貫いて行くとか何とかいうこととともに、これは議論の焦点になる問題でありますが、その一番トツプに出して来た表の現行というのは、この十月以降、すなわち本年度の下期の収入はこうである、改訂すればこうである、改訂料金現行料金との差はこうである、そうすれば赤字が出る、こういうふうな資料は確実に、この前につけているところの、燃料費調整制度を当分停止する、こういうふうなこととにらみ合せて、国民はどれだけ今度の電力料金改訂によつて出費がかさむようになるかということで、この委員会に正直に出して来なければいかぬのに、そういう説明をされておつたのじや、この間からの伊藤君の質問つてほかの質問つて、みな何をやつていたかわからないという結論になると私は思う。コールクローズを停止したらどうなるのです。
  57. 愛知揆一

    愛知国務大臣 表のこまかい点につきましては、なお御説明申し上げたいと思いますが、私のさつきの説明がちよつと足りなかつたと思いますけれども、一番最初に差上げました資料の中の、この半ぺら紙のものは、これはコールクローズを全然入れてないのであります。これは先ほど申し上げた通りで、従つてAの現行収入欄も改訂収入欄も、コールクローズに触れていないわけであります。それから定額電灯等については、コールクローズ影響がございませんので、その次の一般影響調書等につきましては、註としてコールクローズ後に対するものというような註があるわけでございまして、不備な点やあるいは説明の不十分であつた点はあるかと思いますが、何か故意に作為をしたというようなことは全然ないわけであります。また各社別の収支等については、その後の資料ができるに従つて、御配付申し上げたいと考えております。
  58. 中島征帆

    中島説明員 今の数字の点を御説明申し上げますが、あとで配りました表の中の中ほどに、二十九下と三十上の収入比較という表がございます。三段にわかれておるものでございます。これで今の点がはつきり出されております。要綱のあとにあります小さな表には、二十九年の下のコールクローズをやめた場合の収入比較としてございますが、これは上も入れまして、コールクローズをやつたあとも出ております。
  59. 山手滿男

    ○山手委員 どの表ですか。
  60. 中島征帆

    中島説明員 一番上に租税軽減内容という表のあります、そのとじたものの中の八枚目ぐらいのところに、二十九年の下から三十年の上に至る収入比軽とある表でございます。これで見ますと、全国で見まして、コールクローズをやつております、つまり石炭を割引した後、すなわちコールクローズをそのまま実施した場合の下、上の、現在のままの料金で行きました場合の収入が一番上の額でありまして、全国で年間千八百十四億、これが今のままで行きました場合、しかもコールクローズをやめないで行つた場合、それからまん中の欄が、十月からコールクローズをやめた場合に、しかも現在のままの料金で行つた場合、それが二番目の額で、全国で二千三百八億、それから新しい料金で行つた場合がある。これで全部はつきりしておるわけであります。
  61. 山手滿男

    ○山手委員 この資料あとから出して来られたのですが、先般の伊藤君やわれわれが質問をしたときでも、こういう表のことについてコールクローズを適用すればこうなると、基本方針を出して来られた。この資料に基いてのこの議論は、それはこういうふうに自分たちの手落ちであつたということをはつきりされないものですから、だんだん議論が困難になつて来たものだと私は思います。今の資料は訂正してもらわなければいかぬと思うのですが、註釈をつけておいてもらわないとわからない。  それから料金制度の(3)の「各社について年間の豊水期の一定期間常時供給する期間常時電力を設定し常時料金に比し相当の割引をすること。」こういう条項が一つ設けられてあります。私は、この条項の運用をどういうふうにするかということで非常に問題が残つて来る、こういうふうに考えておりますが、これについて御説明を願います。
  62. 中島征帆

    中島説明員 これは期間常時という電力でありまして、需用家の方で、たとえば百キロなら百キロ、千キロなら千キロという電気契約をいたしますが、契約をいたしますと、毎月その契約電力に対して幾らといういわゆる設備料金あるいは基本料金をとられるわけであります。ところがある需用家は、内分のところは操業の都合で夏だけあるいは豊水期だけ電気を使えればよろしい、その以外の場合は休んでよろしいというような需用があるところがあるわけであります。そういう場合には、豊水期だけ使う電気ということで、使いません期間に対する基本料金を割引あるいは徴収しないということによりまして、その電気料金が安くなるようにするわけであります。これは先ほどもちよつと触れましたけれども、夏だけ使う、そういう需用家があれば、電気の供給側から見ますと、夏によけい出る電気を消費してもらいますので、非常に助かるわけであります。従つてそういう需用家に対しましては、原価上からいつても当然割引をしてさしつかえない、こういう性質の電気、それからそれがもう少し極端になりましたものがいわゆる特殊電力というものでありまして、これは、ちようど水が出たときに、あらかじめ通告をしてすぐ使つてもらう、これは最も安い電力、そういうふうな電気の質に応じまていろいろな電気料金の区別を設けております。特殊あるいは期間常時につきましては、あらかじめ大体これがどのくらいあるという見当がつきますので、契約をいたします場合にも、むやみにこういう契約をいたしまして、実際に供給する場合にそれに応じられないというようなことがないように配慮いたしますけれども、大体供給力も、それから需用家の方でも、どの程度需用家がこういうものを使えるかということは従来の経験からわかつておりますので、各社と需用家の話合いでいずれもこういう契約ができることになるわけであります。
  63. 山手滿男

    ○山手委員 電力のような夏冬によつて非常にコンデイシヨンの違う産業において原価主義を貫いて行くということになると、夏料金調整するということは当然だと私は思う。それを、今日夏冬を一本化しよう、そういうふうなねらいのもといろいろ新制度を進めて行かれようとしておりますから無理が出て来る。その無理をカバーして、夏でもうんと高い冬料金をとられたんではかなわない。それでダムの水を流すようなことになつてはいかぬということで、電力会社の方で、これを少し悪用すると言つてはおかしいけれども、特殊なものについては夏料金を復活する道がここを突破口にして開かれて行くのではないか。政府は大体無理を制度として取入れられようとするから、こういうことでこれが一種の夏料金制度の温存になつて行くのではないか、こういうふうな疑いが持たれる節があるのでありますが、これはどういうことなんですか。
  64. 中島征帆

    中島説明員 これはお説の通り考えてもいいわけです。つまり、夏は安い電気がたくさんありますから、そういう電気を使うものに対しては割引きましようという性質のもので、夏料金と言えば言つてさしつかえないものであります。こういう制度は前からありましたが、ただたまたま今までは供給力の不足等から考えまして、一時停止しておつたわけであります。こういう種類の電力を設けるということは、電気自体としては合理的な制度だと思います。
  65. 山手滿男

    ○山手委員 私はさつきからいろいろ御説明を聞いておつて、どうも十分納得が行きません。というのは、政府側から基本方針で示されたような三十年四月以降の問題については、問題を先に追いやつたような形で再検討を根本的にしかえるんだ。しかえるんだから、今度の電気料全いじりというものは一応来年の三月末日までだというふうに考え、今度は十月から実施するとか何とかいうふうなことになつておりまするし、そういう考え方に基いて一応私はここで質問を打切つておきます。
  66. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 加藤清二君
  67. 加藤清二

    加藤(清)委員 簡単にお尋ねしますから、簡単にお答え願いたいのですが、今度の改訂の骨子は、冬料金一本化と割当制の廃止とアンペア制の採用、石炭条項の廃止である、こう考えてよろしゆうございます。
  68. 愛知揆一

    愛知国務大臣 簡単にということでございますから、簡単にお答えいたしますが、第一の点については先ほどからるる申し上げておるのでございます。その他の点につきましては、大体その通りと理解いたします。
  69. 加藤清二

    加藤(清)委員 そこで先ほど来問題になつておることは、この骨子は、政府側は向う半年の間だと言う、消費者やわれわれ側から見ると、これが四月以降にも適用されるのではないかというおそれから生じて来ているようでございます。それを大臣は、四月以降は決してこのままを適用しないんだ、操作を加えるんだ、こう言つておられまするが、その操作は、企業努力と税の軽減と融資、金利その他でもつて、なるべく来年上期にまず持ち越さないようにする、このような御答弁のようでございますが、そう解釈してよろしゆうございますか。
  70. 愛知揆一

    愛知国務大臣 大体その通りでございます。
  71. 加藤清二

    加藤(清)委員 それではお尋ねいたしますが、政府がいくら何と言つてみたつて電力会社の方からは、ただいまの状況では困ります、上げてもらいたい、こういう要望があつたはずであります。そこでこの企業努力と税の軽減と融資及び金利その他を見ることによつて年間のこの努力で一体料金がどの程度安くなりますか。数字にして出してください。
  72. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点はこの三つの要素につきましての見通しがまだついておりませんし、確たる成案を得ておりませんから、数字の上で的確に申し上げることはできないのであります。
  73. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは計画がないと言わざるを得ない。半年の後に実行しなければならない、いや実行するだろう、いやしません、こういう問題をここで論議しているときに、半年前のきようその計画がまだ数字の上に現われていない、こういうことになりますると、あなたのおつしやいまする三つのこの努力によつて改訂の骨子であるところの四つ、これを全部相殺することが半年間にできるかできないかということです。これはできないといわざるを得ない。六箇月先にもう出発しなければならぬことなのです。それを今まだ数字的にできないということでありますると、これはあなたのおつしやることは半年先に行くとぐらついてしまうといわざるを得ないのでございまするが、それについて大臣は上げないというその言葉をいかに数字の上へ表わそうとしていらつしやいますか。
  74. 愛知揆一

    愛知国務大臣 六箇月の間にできないというような今お話でございましたが、私はその間にできるだけの努力をたしたいと考えます。従つて検討を行うということをきめておきたいと思うのであります。
  75. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは過去において政府は長い間企業努力会社側に要求したはずでございます。その企業努力によつて一体電気料金は何パーセント安くなりましたですか、
  76. 中島征帆

    中島説明員 企業努力の面だけでの原価の軽減というものは、われわれの方の計算にはつきりわかつておりませんが、しかし数字的に申しますと、ロス率あるいは石炭消費率といつたようなものの改善というものにそれが現われて来ているわけであります。
  77. 加藤清二

    加藤(清)委員 次に税の軽減では一体過去においてどれだけ軽減され、それが電気料金にどれだけ影響しておるか。
  78. 中島征帆

    中島説明員 これは昨日の資料の一番初めにございますが、租税軽減内容といたしまして合計三十九億、これがことしの春の国会で改正になりました結果、これだけ年間軽減になる、こういうことであります。
  79. 加藤清二

    加藤(清)委員 一キロワツトに対してどれだけ……。
  80. 中島征帆

    中島説明員 年間の原価が別にあります通り約二千億でございますから、三十九億が大体二%であります。その程度のものであります。
  81. 加藤清二

    加藤(清)委員 金利その他はどうです。
  82. 中島征帆

    中島説明員 金利は開銀の金利を七分五厘から六分五厘まで一%下げまして、その合計年間に十三億と出ております。従つてさらに一%下ればさらに十三億下る……。
  83. 加藤清二

    加藤(清)委員 それは総計で幾らになりますか。
  84. 中島征帆

    中島説明員 今度の場合におきましてはことしの下期と来年の上期を加えまして両方で五十二億余りになります。
  85. 加藤清二

    加藤(清)委員 何パーセントになりますか。
  86. 中島征帆

    中島説明員 二・六%くらいであります。
  87. 加藤清二

    加藤(清)委員 わかりました。次に改訂の骨子によつてこれだけ行われるわけでございますが、過去数年間にわたつての御努力でもつて、それは一割にも満たないということなんです。ところが要望は一割以上を上げてもらいたいということなんです。半年間にそれができますか、大臣……。
  88. 愛知揆一

    愛知国務大臣 それでありまするから、今後非常な努力によりまして再検討をやりたいと申しておるのでございます。
  89. 加藤清二

    加藤(清)委員 再検討をやられることはけつこうでございまするが、上げないとおつしやることを——上げない上げないとお答えになつておきながらなぜ上げることをおやりになりますかと、私は三日前の最初質問にお尋ねしたわけです。そうしたらやつぱり大臣はきようも上げないとお答えになつた。ところが、上げないという言葉を額面通りに受取ります。一番信頼しておる大臣さんのことでございますから額面通りに受取りまするが、それが数字の面に表われて来ないと、この手形は不渡りになるかもしれない。不渡りをもらつて年間あつためておいて六箇月先に不渡りにさせられちやたまつたものではない。そこで不渡りになるかならないかを今ここでわれわれとしては検討しなければならない任務を持つておるわけであります。それで先ほどからお尋ねしておりまするが、今過去の経験に徴してみますると、とうていこれは行い得ないという結論が出て来ますが、なおそれでもこの三つ努力によつて、大口なり小口なりあるいは家庭なりの消費者に対して電気料金は上げずに済む、つまりこの改訂の骨子を四月以降に適用せずに済む、こういう確たる見通しというものが大臣の頭の中についておりますか。
  90. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは何度も申し上げるようでありますが、せんじ詰めるところ、簡単に申しますと、この基本方針に書いた通り、再検討をする、こういうことに帰するわけでございます。
  91. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは再検討の結果、努力の集積と要望の量とが見合わなかつた場合においては、四月以降においては上げるかもしれない、こういうことでございますか。その折にいずれの希望を是とし、いずれの努力を是として、いずれの努力を是として、いずれをとられますか、上げる方をとられますか、上げない方をとられますか。
  92. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これらの三つの要素に対して具体的な成果が上らなかつた場合においては、夏料金を冬料金程度のものにすえ置かなければ原価主義は貫かれないであろうということは、累次申し上げております通りでありますから、その幅をできるだけ狭めるように、この三つの点で努力をいたしたい、こういうわけでございます。
  93. 加藤清二

    加藤(清)委員 大体今の答弁でわかりました。やはり消費者が心配をし、この委員会が心配をしておることが的中するようでございます。ただ大臣政府側の御努力によつてそれがどの程度少量に行われるかをいうところに希望がつなげるだけの問題のようでございます。やがてこの問題は再び繰返して審議をしなければならない結果が生ずるではないかと思うわけであります。ここに国民の心配があり、新聞、輿論がこの問題に注目を集めておる点があるわけでございます。そこでもう一つどうしてとこの点でお尋ねしなければならぬ問題は、この原価主義の問題でございまするが、私この間五分の時間しかございませんでしたので、あのコールクローズの問題についてしお尋ねたところ、満足な答弁が得られませんでした。そこであらためてお尋ねいたしまするが、私がお尋ねしたい点は、過去の石炭条項、これが原価に及ぼす問題は、昭和二十七年の一番石炭の最高時を原価にとられたはずでございます。そこでその後石炭が安くなつたので、このコールクローズによつて調節をし、消費者に返却をしておられたはずでございまするが、今度これが廃止されるということでございます。そうすると廃止のときは——大臣さんが、これはあなたの答弁ですが、廃止した、それで新しい原価計算の場合のその石炭価格はいつにとられますかと言いましたら、現在である、それは四千五百七十一円で見積るのだ、従つて原価計算には誤りはないという御答弁でございけした。ところが私はここに妙な問題が起ると思うのでございまして、やはり私の懸念は的中するではないかと思いまするが、かりに昭和二十九年十月一日の石炭価格を四千五百七十一円、あるいはこれを安くなると見積つて、かりに十二月の先物をとつて値段となさつたといたしましても、なお不合理が生じて来るではないかと思われる節がございます。それはなぜかと申しまするならば、石炭は、大臣の別の委員会答弁によりまして、五箇年計画、縦坑を七十四本掘るということによつて、だんだん安くなつて行くはずなんだ、安くなつて行くということが政府の言明なんです。すると今年の十月一日付の原価をもつて先ほどあなたのお話のように、これを来年の上期に押し及ぼしたといたしまして、来年の下期、八月とか七月一日の折の電気料金は、あなたの原価主義で行きますと、その場その場の電気料金をかえてつくるか、ないしは石炭は安くなつても去年の十月にさかのぼつて十月一日付の高い石炭価格で買いつけるか、そうしないと、この原価は上る、こういうことになるわけでございます。この点一体いずれをおとりになりますか、お尋ねするわけでございます。
  94. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申しましたように、二十八年度の実績から最近の状況を考慮いたしまして、四百五十円引きとトン当りに考えたわけでございます。もちろん現在のある時点の炭価ではなくて、今後の一年間の見通しということを基礎にして勘定すべきものと考えます。
  95. 加藤清二

    加藤(清)委員 そうすると、あなたのおつしやいました原価尊重主義というものは、コールクローズの廃止によつて原価尊重主義も廃止しなければならない、こういうことに相なると思いますが、それはあなたの御努力によつてどうするとその原価尊重主義がなお継続できましようか。
  96. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまのお話は、コールクローズを停止すると原価主義が実行できなくなるのではないかというような御趣旨のように思いますけれども、必ずしも私はそう考えないでありまして、ただ単に石炭の値下りだけがものさしになつておりますことは、料金を広く各需用面に対しましてきめる場合にはかえつていかがかと思う場合もあると思いますので、そういつた大体今後一年間炭価の見通しをつけまして、そしてそれを十分原価に織り込むという程度が最もいいやり方ではなかろうか、私はこう考えます。
  97. 加藤清二

    加藤(清)委員 それは大臣さんのおつしやる通り何も石炭だけを原価計算の主体に置いておるというわけではございませんよ。ただ時間の関係上一例をあげただけである。ところが機械設備とかその他は、これは減価償却によつてある程度の操作は可能であると思います。しかしながらせつなせつなかわつて行くものが消費財なんです。原価計算をとるときに一番大事なのは、あなたのよく御存じの、あなたの専門の畑なんですが、せつなせつなによつてかわつて行くのは購入するところの消費財です。この消費財をやつなの価格と見ずに、過去のものを見なければならない運命にあるこの電気料金、つまりせつなせつなに料金改訂することのできないものはすべてそれなんです。それを是正するために石炭条項なるものが置かれていたはずです。あれがあればかえて行くのですから、安くなればあとで余分にとるのですからこれはいい。ところが高くなるかもしれないと予想のできたときには、この条項を置いておいて政府みずからの手によつて安くいたしすると、当然安くなります。こういう時期に至つてからこれを廃止するということは、これはあまりにも矛盾したやり方ではないか、消費者を踏んだりけつたりしたやり方ではないかと考えられます。従つて原価尊重主義はここからくずれて来るといわなければならないのであります。これだけは数字がはつきりして来ることですから、抽象論では論議が片づかぬと思います。石炭が安くなつたということははつきりしておるのですから、原価尊重正義がこわれるか、あるいは電気料金をせつなせつな切りかえて行くか、あるいは先ほど申し上げましたように、石炭を過去の設定したときの高い値段で買うかいずれかなんです。その三つ以外にはないのです。それでなかつたら原価尊重主義ということは言えないわけです。そうでしよう。それ以外に言いようがございますか。
  98. 愛知揆一

    愛知国務大臣 数字的にお答えをいたしますのは局長からお答えいたしますが、先ほど申しましたように、私は炭価について今後適正に見通され得るものが、適正に反映するようなきめ方ができれば、私は一番よろしいのだと思うのであります。いわゆる機械的にコールクローズだけでもつて原価をきめるということは、かえつて全体としていかがかと思いましたので停止することにいたしたのでありまして、先ほどもお尋ねがございましたがたとえば石炭の消費率の向上をはかるとというような点において十分原価を計算いたします場合には、企業努力の一環としてずいぶんたたいて計算をいたしておるようなわけでございますから、これは総体的にごらんをいただきたいと思うのであります。
  99. 加藤清二

    加藤(清)委員 大臣のおつしやるように総体的にながめてみるならば——渇水のための準備金やら、あるいは減価償却の面やら、あるいは外資導入の面やら、いろいろ検討しろとおつしやるなら、材料を持つて来ておりますからそれはやりますけれども、ただ時間がないのでそこまでは言いませんが、かりに渇水期の準備金が余つたとしても、これは天のなせるわざなんです。だからあきらめがつくのです。ところが石炭価格が安くなる見通しが当然つく、これは人のなせるわざなんです。政府の手みずからでやれることなんです。しかも上期の石炭の余りだけで聞くところによると六十億の上なんです。これを会社にそのまま留保さしてしまつて、当然この原価尊重主義で行けば消費者に返されるべき性質のものを社内のものを社内留保してしまうということは、これは明らかに消費者を踏みにじつたやり方といわざをる得ません。またあなたのおつしやるところのいわゆる低コスト、輸出振興という道にその基礎となるべき一つの材料を、ここで完全に葬つてしまう、こういうことなんです。私は政府の方針から行きましても、この点だけは納得ができない。政府の方針を一層推進さして、輸出振興をするという立場に立つても、なおこれは納得のできないことである、こう思うわけでございます。
  100. 愛知揆一

    愛知国務大臣 御意見はごもつともの点も多いのでございますが、私どものとりました態度は、ただいままで御説明いたしましたような趣旨でございましてたとえば石炭にいたしましても、これは低コスト低炭価ということも、一方また政策的に見ました場合には、そんなにこれからひどく下るということはまた困るということも考えなければならぬと思います。
  101. 加藤清二

    加藤(清)委員 もうこれでやめますが、そんなことを言つちやいけませんよ。大臣石炭は下げると答弁していらつしやるのだし、小笠原大臣も下げると答弁していらつしやる、またそれなるがゆえに七十四の縦坑をただで掘つてやるのだと言われておるのだ。だからこの委員会では縦坑に対する援助資金に賛成しておるのだから、それを今になつてから、今度は石炭条項廃止の場合には、そんなに下りませんなんて、そんなこと言つてもらつては困りますよ。やつぱり石炭は下げるべきである。下げるべきことをするには、政府はそれに見合うだけの援助をしてやる、こういうことなんです。当然の任務なんです。ただ石灰だけを石炭業者の犠牲において下げろというわけではない。下げなければすべての物価に及ぼす影響が大きいので、この石炭の値は、国をあげて下げるように努力しよう、そのための援助を惜しまないようにしましようということで七十四本の審議が、——あなたの大臣におなりなさる前です。これは小笠原さんの時代ですが、その折に一体五箇年計画でどれだけ下るかとお尋ねしたら、少くとも一割から一割五分までは下げまするという答弁をしていらつしやるのです。うそじやないのです。そこでそういう前の引継ぎがあつたでございましようから、うその答弁をなさらぬようにお願いいたしたい。  そこでお尋ねしたい点は、今度は石炭ではなくて電気の方ですが、これもまた妙な答弁になつてはいけませんので、ここで念を押しておきますが、大臣はなるべく値上げをしないように努力をするとおつしやつている。これは今もちよつとその話が出たのですが、電力会社の方では、伊藤委員からの冬料金で九億値下りがある、ほんとうにこんな調子でいいのか、値上げせぬでもいいのかという質問に対しては、それでは困りまするという御答弁があつた。そこで私は隣りにいらつしやる局長さん、電力の五箇年計画をおやりになる金利が高いという話だが、その金利その他を見積つて行つたならば一体どういうぐあいになりますかとお尋ねしましたところ、二割七分四厘ばかりの値上りを予想しなければならない、こういうお話でございました。局長はこのように答弁をしていらつしやるわけでございますが、大臣はなるべく上げないように努力したい、こうおつしやつておられます。そうするとこれはなるべく上げないが、二割七分四厘くらいは——なるべくというその抽象論を数字にすると二割七分四厘というのがその数字でございますか。それともそれはそうでなく、別な考え方があるとおつしやるのでございますか。
  102. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申しましたのはちよつと言葉が足りなかつたと思いますが、今後一箇年間石炭価格の値下りというものを適正に見通して、それを計算の中に入れておるのでありまして、石炭価格が私の俗な言葉で言えばそうとんでもなく下るようなことがあつてはまた困るのであります。漸次下る適正なところに見通して、石炭政策の方もこれにマツチするようにいたしたい。そこを両々含んで考え、計算をして参りたい、こういうふうな意味で申し上げたわけでございます。それから五箇年先の問題につきましては、実は半年先の状態につきましても御議論がこれだけ沸騰するような状態でございますから、一応の見通しとしては、現行のままで参りますれば、二割七分五厘というような数字が出て来るのでございますが、これに対しまして私はそういうふうな程度まで行つては諸般の状況からいつうまくない、これはそこまで行かないようにできるだけの努力をしたいものである、こういうふうに考えております。
  103. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは最後に要望をしておきます。二割七分四厘に行かないように努力をするという言葉は額面通り受世取らせていただきますが、政府の総合燃料対策なるものは、ほんとうに朝令暮改、行き当りばつたりで、きようは電気、きようは石炭、きように重油、きようはその重油をやめてまた石炭に切りかえる、こういうことが過去八年間に四回も繰返されて来ている。そこで電気の方をながめて見ますと、これが電気の増産計画はイコール値上げの計画になつている。今後五箇年計画によつて物がたくさんできるようになつた。物がたくさんあるときに需用が少ければ値段が安くなる、だから夏料金は安い、こういうことを先ほどおつしやつておきながら、電気の総体はなお五箇年計画で増産すると、これは二割七分四厘が御努力によつて二割五分くらいになるかもしれませんけれども、これはとにかく上るということです。上るということは国民生活に及ぼす影響が大きいということ、国民を恐怖させる量がふえるということなのです。それで先ほど申し上げましたように、その結果は輸出振興の阻害にもなるのじやないかと憂慮される。これは政府の望まれぬところであり、国民の期待せざるところである。そこでせつかく計画を立てておやりになるものならば、半年ぽつきりの値段なんかをきめずに、先を見通してもう少し明るい発表、明るい見通しができるように、ごまかしだの、聞違いだのということを言われるようなデータや答弁によらず、ほんとうにあなたの明晰なすつきりした頭をここで遺憾なく発揮していただくようなデータとそういう計画によつてもう一度審議し直されんことを要望いたしまして、私の質問を終ります。
  104. 中島茂喜

    ○中島委員 政府の方では今回の料金改訂は来年の四月までということですが、今回の改訂の要旨は制度改訂でもありますけれども、同時に料金の値上げを目標とした業者の要求にかかるものとも言えるわけです。そこで実際においては冬料金に関する限り、四月までの間料金は上らない。そうすると制度改訂だけにすぎないということになります。そうしてみれば少くとも六箇月間において制度をかえてまで、一般の大きな混乱といえばおかしいのですが、無用な心配と摩擦を産業界、国民大衆に与えぬでもいいじやないかというふうに考えるわけです。そうして来年の四月以後において根本的に電力問題——たとえば電力国営とか、こういうようなことは別にして当然現在の形態においてかえて行かなければならぬというような問題ととつ組む場合には大臣の言われますように、かりに三つの要素があるとすれば、その三つの要素についてもう一段とそこまで最善の努力をしてみて——その間に国会も開かれるでしようから、国会においてさらに金利の引下げ等の問題をやり、あるいは税金の問題を論議しつつ政府の方においても最善の努力をされて、そうしてこれだけしかでできぬのだ、だからその事態に処して根本的に制度なり、あるいは料金の問題ととつ組んで産業界全体の安定をここに求めるんだというふうな準備期間を置かれたらどうか。そうして業者においても実際的には今料金を値上げしなければどうにもやれないというのではない、来年の四月まで泣き寝入りでやると言つておるのでありますから、制度だけの改訂の問題であるとすれば、それほど逼迫した問題じやないとわれわれは考えるので、むしろ四月まで延期されて、その際において全体の見通しをつけられてはつきりと制度の問題、料金の問題ととつ組んでやられたらどうか、こういうふうに考えるのでありますが、その点についてお答え願いたい。
  105. 愛知揆一

    愛知国務大臣 実はその点につきましてはもとよりわれわれといたしましても非常に検討を重ねたのでございまして、まず第一に先ほどおしかりを受けましたけれどもコールクローズの点は現行収入の方も改訂収入の方もこの表には書いてございませんが、これでもちよつとごらんいただけますように、全体として十億の減収ということでございますが、実は九会社に分割されておりますために、九会社のそれぞれの経理内容は過去における電源開発事業の促進等に大いに関係があるのでありますが、各社別に申しますと、この料金制度の改善ということによりまして、相当程度経理上楽になる点があるわけであります。こういう点から申しましてもただいま電力業者は今値上げせぬでもやつて行けるのじやないかというお話もございましたが、各社別によりまして非常に事情が違うのであります。実はこの程度料金制度の改善によつて反射的に収入が増すのでありますからその程度のものでありましても、これはまさに何としてもやつてもらわなければはならないという熾烈な要望でもあり、また事情まことに無理からぬ点もあるわけであります。これがこの際制度改正をやらしていただきたいということを考えましたところの一つの理由にも相なつているわけであります。それからいま一つ先ほどアンペア制度の問題のところで申しましたが、かねがねこの料金制度を合理的に改正したいということは現行制度の建前におきましてもその処理を迫られていることでもあり、またできるだけ早い機会に制度改正ということを浸透させておかなければならない、こうも考えましたので、これも聴聞会を経ましてこの法案改正はぜひ早急にやれというのが聴聞会での圧倒的な御意見でもありましたので、彼此勘考いたしまして、ちようど二社については十月一日から各料金に入りますし、それから他の七社については十一月から冬料金に入るのでありますが、この機会におきまして、これだけの改正をいたさせていただきたい、こういうふうに考えたわけでございます。
  106. 中崎敏

    ○中崎委員 たとえばアンペア制度にしましても、これは料金をたとえば五アンペア、十アンペア、どういうふうにきざむかというような問題もいろいろあると思いますが、そうしたような問題を含めて、そしてむしろもう一度そうした案に基いて公聴会にかけて慎重にやり、この間に一般大衆にもそういう点を知らせる。業者としてもそれだけの準備が整うかもしれません。あるいは一年たたなければ完成しないと言われるかもしれないが、半年もその心構えで進めば相当に現在やられているよりもいいんじやないか。これはただ一つアンペア制度だけですが、たとえば一例から一言えば、そういうこともあると思います。それからまたいま一つは、各九会社の中における個々の事情も違う、金融事情も違う、それはその通り。ところが私たちは個々のものについて一々注意をして、それがどうなるかというようなことはこれまで考えておらない。個々のものを考えたら、みなそうなるわけなんです。けれども電力行政全体として全体的にみなどうするのかという問題であるから、個々の問題がどうだとか、中には相当余裕もあるとか、そうしたような問題よりもよ、り大きな国家の産業行政、経済生活をどうするかということに関係するのですから、私の希望としては、半年ぐらい猶予期間を置いて——今回の案なんかも相当に秘密にやられたが、これはむしろ公開して、こういう事情でここまでは努力したんだけれども、ここからはどうしても実際電力を保つ上においてやむを得ないんだということを、ほんとうの実情を国民に知らして、国民とともに行くんだというふうな考え方であるならば、比較的これは問題がやすやすと解決するのではないかと思うのですが、そういう意味合いにおいて、もう少しガラス張りの感じを持てるようなやり方の方がいいのではないか、こう思うので私は申し上げるわけです。  もう一つはかりに諸般の情勢を見てやるんだというようなお考えであるとして、それでさて来年の四月に三つ努力目標の上に立つて改訂を具体的に進めて行くんだということでありますが、私の目で見ればどれもこれもそうやすやすと行けそうでないじやないかという気がする。そうしてまた一つには大体これは私たちの予測でありますが、大臣の方でもすべり込む場合もあり得るということを考えての今日の行き方じやないかというようにも考えているのでありますが、そうすると、大臣がしばしばここで言われるようにとにかく四月には改訂を目途として行くんだという考え方から言えば、それじや現実にどの程度まで下げるか、現実にそこまで行くんだという場合において業者が今度はどうにも承知しない、これから下げるということはごめんこうむる。閣議決定されて、このままであるならば、ずつと冬料金で現在の一本化した料金のままで進むより方法はないんだ、こう観念をしておられるように、結局そういうふうなことになるんじやないかという心配を私しているわけです。だからそうじやないんだということを証明するならば、たとえば法律をかえて政府の方で料金改訂についてのイニシアをとるんだ、言えかえれば政府はこういう方向へ料金をかえるんだという一つ政府が指導力を持たなければならぬ。業者から申請を受けて、そして受身に立つて料金改訂をやるんだということになると今までのような心配があるから、政府が積極性を持つて電力行政というものは大きいものであるから公共的な角度に立つて、ひとつ政府が独自の立場から料金改訂どもやり得るというような法律の改正でもやるだけの用意があるか、それをひとつお聞きしたい。
  107. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず最初のお尋ねでございますが、これはごもつともと思われる点も多いのでりますが、政府といたしましては各社の原価の実情やそれから開発の実績その他を勘考いたしまして、この料金制度改正に伴つてある程度の経理を改善してやろうという反射的な結果をねらつたことが一つと、それから会社によりましてはこの制度改正をいたしますとかえつて余裕を生ずるという場合には、その余裕を若干の部分でありましても料金を低廉にするようにという配慮をいたす、そういう考えて着実なやり方としてできるところからやつて参りたいというような結論に達したわをであります。それから第二の点でございますが、これは政府といたしましては、実は第十九国会に電気事業法の法律案を御審議願いたく準備いたしておりましたが、間に合いませんでした。この次の通常国会にはぜひひとつ成案をつくりまして御審議を願いたいと思います。その際に、と申しましてこの電力料金制度について政府がイニシアチーヴをとれるような考え方をその中に入れるかどうかということについては、まだ十分研究を要する問題じやないか、今そういう意図があるわけではございませんけれども、しかし一面におきましては、他の公共料金等につきましても何かこれを審議決定する機関がいるのじやないか、というような意見もあるような次第でもございますから、これらの点につきましてもあわせて研究はいたしたいと思います。
  108. 永井勝次郎

    永井委員 先ほど大臣は、今回の料金は三月末までだ、四月以降はさらに再検討するのだ、こういうお話でありますが、そういたしますと料金決定は三月末だけで四月以降の分についてはさらに会社から再申請させて、さらに今回のような手続方法によつて四月以降の分の料金決定される、こういうのか。このままの状態で単に行政的な措置でこのまま四月以降にすべり込む、こういう手続関係になるのか、その点をひとつこの際明確にしておいていただきたい。
  109. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど来申しておりまする三つの改善案につきまして今後できるだけの努力をいたして参りたいと考えております。従いましてこの三つの条件等につきまして改善ができれば、これで現在の会社側の申請の根拠となる条件が違つて参りますから、この際におきましては会社側からあらためて申請をしてもらつて認可をいたしたい、こういうように考えておりす。
  110. 永井勝次郎

    永井委員 その場合に、やはり今回のように委員会にも相談する、こういう関係になりますか。ただ単に行政的な措置の中でそのまますべり込むという手続関係になるのか、その関係を伺いたい。
  111. 愛知揆一

    愛知国務大臣 現在の法制のもとにおきしましては、行政上の措置の問題でございますが、しかし十分御意見を伺い、御審議を願つて——事実上願つておるようなわけでありますから、この次の場合におきましても当委員会に対しましては十分御連絡を緊密にし、また御要望に沿うようにいたしたいと考えております。
  112. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 午前の会議はこの程度といたしまして、午後は化学工業に関する件その他一般の時間に入りたいと思います。二時半まで休憩いたします。     午後一時三十分休憩      ————◇—————    午後三時二分間議
  113. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  まず化学工業振興に関する小委員長より小委員会の調査の結果について報告を聴取いたします。山手滿男君。
  114. 山手滿男

    ○山手委員 化学小委員会において、先般来原料塩に関しまして種々調査をいたしました。特に昨日は専売公社三井塩脳部長以下の御出席を願い、さらに日本ソーダ工業会の会長以下の御出席を願つて、それぞれその意見を聴取いたしました。日本の化学工業の振興にとつて原料塩がいかに重大な問題であるかが明らかになつたわけでありますが、わが国に輸入せられる原料塩は、大体八ドルないし九ドルで購入せられておるのでありますが、現在の制度が専売制のもとにありますために、専売公社によつて、国内塩そのほかの操作の関係もあつて、これが非常に割高に化学工業諸会社に販売をされておる実情にあります。特に染料そのほかの、工業塩は、ソーダ工業に使う原料塩に比べて倍以上の価格で販売されておる実情であります。全般的に見ますと、日本の工業塩は、世界各国の購入をしている工業塩の価格に比べて数倍の高価なものを入手をして、それによつて作業をしておるという実情が明らかになつたわけであります。  委員会質疑の過程において各委員より種々意見がかわされたのでありますが、その意見のおもなるものを申し上げますと、第一には、日本の輸入塩はその大部分が地中海方面より買いつけられておりますために、非常に高価なものについておる。従つて今後は主として近海塩——中共関係あるいはそのほか東南アジア地方の塩を中心に買いつけてもらいたいという議論が圧倒的に出ました。さらにまた、それら外国の塩を買いつける場合には、できるだけ商機をうまくとらえて割安に買えるような仕組みでやつてもらいたい、専売制度のもとにあつてとかく官僚的な予算で割高なものでもかまわずに、とにかく数量を買いつけて入れさえすればよろしいというふうな買付をしてはいけないという意見が出ました。さらに、もう少し合理的にそういう商機を見つけてうまく買いつけて行くためには、将来は工業原料である塩の買付は、業者の自己買付、自己輸入によつて自由にまかなわれるようにすることが好ましい、こういう意見提出をされました、またさらに、同じ工業原料でありながら、ソーダ工業塩と染料そのほかの特殊な工業塩との払下げの値開きがあまりにもひど過ぎる、ソーダ工業塩は非常に数量が大きいのでありますが、染料そのほかの特殊工業塩はわずか二、三万トンであるからということで差別待遇をされておることはけしからぬじやないか。染料そのほかの工業製品はわが国の工業振興あるいは輸出貿易にも至大な関係があるわけでございますから、ソーダ工業塩並に安く払下げをするようにしなければならないという意見が開陳をされました。さらにまた専売公社の方の帳じりは非常に増収になつてつて、昨年度だけで九十数億の増収が実績になつて現われている。塩の勘定だけから言いましても五、六億円の黒字を出しておるという状態でありますし、またその取扱う機構の中においていろいろむだがあることも指摘をされておりますので、そういう関係をできるだけ合理化して、払下げ価格を安くするように配慮されたい、こういう意見もるる開陳をされました。この意見に基いて本日決議案を提出することに話合いがなつたわけでございます。  簡単でございますが、以上小委員会の話合いの概略を申し上げまして御報告にかえます。
  115. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 以上で小委員長報告は終りました。何かこれに関連して御発言はありませんか。
  116. 帆足計

    ○帆足委員 ただいま小委員長からるる御説明のありました要旨に対しては、われわれも全面的に同感でございます。以上の諸点について行政当局の迅速にして適切なる措置要望する次第ですが、ここに関連しまして一、二お尋ねし、要望しておきたいことがございます。それは今日一六〇の生産を、わずか戦前の三五の輸出で支えているような非常事態であるにかかわらず、まだまだ通産省当局の貿易に対する認識と努力が十分であると言えないと思うのです。この問題は明日も通産大臣に申し上げますが、為替の危機、貿易の危機がいかに深刻であるかということを深くお考えくださつて、各省の政策の末端に至るまで、また政府の施策の末端に至るまでこのことを自覚されるように御措置願いたいと思います。右につきまして、すでにお耳に入つていることと思いますが、まず近くの中国から米を入れまして硫安を出すという問題が懸案になつております。これは単に米、硫安の問題でなくて、やはり貿易全体の振興政策の一環であり、為替節約の一環であり、同時に日本のコスト引下げ並びに経済自立の一環でございますから、先日の御答弁では約三万トンの米の輸入に対しては硫安を十箇月以内に適切な分量を出す、もし足らないときはストレートのポンドで払うということも考える。さらにその後は国際情勢の好転に伴うて各種の機械製品がだんだん緩和されて来る傾向があるから、それも多少明るい見通しであるという御答弁を得まして、このことは正確に速記録にとどめられている次第でございます。従いましてこの問題についての今後の具体的措置につきまして、各同僚議員と共同で超党派的に随時適切な御連絡をいたしますから、お約束通り実施をしていただきたい。この問題につきましては、何分にも相手のあることでございますから、相手にこちらの真意を十分に納得させて、相談ができるような措置をいたさなければなりません。この点をお含みの上ひとつ御指導また御協力を願いたい。  さらにこの問題と関連をいたしまして、塩の輸入がその後引続いて行われる情勢になつておりますことは御承知の通りでございまして、一、二の商社が多少事を急ぎまして、十分なる準備なしに先方と折衝いたしております。ちようど今日塩の一番とれる盛りでありますし、積荷も一番都合のいい状況でありますので、中国側も時を急いで、これに賛成いたしましたために、双方の間に行き違いがありまして、現在厖大なる塩をこちらに急いで運ばねばならないような事態が迫つております。この問題について事務連絡の円滑を欠いた点がありますことは、私は商社に対しても苦言を呈し、また政府当局においても、今後の輸入統制方式において、こういうことが二度とないように十分な内面指導をお願いしたいのですが、できたことはしかたがありませんので、この際中国側にも不当な打撃を与えることなく、われわれの側も打撃をこうむることがないように十万トンの塩の輸入のために早急な見通しを立てねばならないような状況に迫られているのでございます。ただいま決議されるであろうところのこの決議案に従いましても、近海塩の輸入によつて、ただでさえ不合理な、そして割高な状況に置かれている日本のソーダ工業に少しでも稗益するように、同時に為替が詰つて参りますと、原料そのものに対する不測の事態が起り得るような昨今のきびしい国際貿易の状況でございますので、少しでも近い、回転率のいい塩の源を確保しておきますためにも、私は政府当局としてこれに対し懇切迅速、そして実情に即した措置について御指導、御協力のほどをお願いしたいと思います。何分にも塩は値段も安いものでありまして、硫安は値段の高いものであり、純国産でありますから、かりに一トンの硫安を出すと十二トン八分の大量の塩を輸入し得るわけでございます。何らかの形において、今日硫安の一部を臨時的にも塩の輸入にさいていただきますと、八千トンの硫安を出せば十万トンの塩が確保されますし、四千トンの硫安を出せば五万トンの塩が確保されるわけでございますから、臨時的にでもひとつ緊急の手を打つていただきますよう、今日御即答不可能でございますれば、事柄の性質がきわめて合理的な、かつ実際的な要請でございますので、ひとつ格段の迅速なる御研究をお願いしたいのでございます。  第三に中国との輸出入につきましては、相手が一社でございまして、こちらは多数の商社がございますために、これを自由にまかしておきましたのでは、今日の日本の商社の教養の水準と貿易競争の苛烈さを考え合せますと、国に対していろいろ不利な条件が起るのでございます。今日の事態で中国貿易を一社の公団にまとめることは、また他の方面におていろいろ弊害もありますし、不可能なことであると思いますので、当面としては一種の指定商制度のようなものがおのずからできつつあるから、これらの輸入グループ、輸出グループを保護育成いたしまして、一社の取扱いの額が商業的に見て大体引き合う限度になりますものはそれを育成いたし、さらに取引数量が非常に多くなりましたときはそれを修正するというふうに、内面指導しながら進むことが適切でなかろうかと思います。もちろん独占の弊に陥りますことを防ぐことが必要でありますから、貿易促進会等の同業団体がこれを監視いたしますほか、貿易連盟もこれを監視し、行政当局もこれを内面指導するというようなことで、不当に買いますものの値段をつり上げることのないように、また不当に売りますものの値段をくずすことのないような形の行政方式と申しますか御指導を得たいと思うのでございます。と申しますのは、かりに硫安一トンを輸出いたします場合も、わずかの硫安のわくを政府が許可いたしますと、二、三の生産会社に貿易業者が殺到いたしまして、場合によりましては、中国に対しまして六十一ドルを割つて輸出するというようなことも起りますし、貿易商社はのれんをとりたいばかりに身ぜにを切つても輸出するというようなことが起ります。今日貿易企業というものは非常な苦境に置かれております。苦境に置かれれば置かれるほど道義は頽廃し、貿易業者はきんちやく切りではあるまいかと言われるほど、今はゆつたりした気分がなくなつて参りました、昔ならば土曜日の昼にでもなれば、テニスコートにでも出て、悠然として浩然の気を養うはずの貿易業者が、今日では非常なる苦境に置かれ、激烈なる競争の中に置かれ、そのために値をくずすというようなことがやむなく起つて来る、決して貿易業者の道義が低いのではなくて、置かれた環境が悪いために、こういうことになつている。それらの環境を正常な状況にするために内面的に指導するのは、やはり公共的立場に立つ行政当局の一つの職能であると存じますので、これらの点についてもひとつ御考慮のほどを願いたいと思います。なお詳細につきましては、議員連盟においてもこのような意見がありますし、それぞれ専門家も意見を持つておりますから、さらに引続いて意見を交換をいたしまして、不当濫発また不当な購入に陥らないようにお願いしたいと思います。そうでありませんと、今後やがて機械類に及ぶ場合にも、発注をとりたいばかりに、特殊の関係をとりつけようとして、激烈なる不当な競争が行われることが予想されますから、輸出方式、輸入方式につきまして実情に即した漸進的方法をとつていただきたいと思います。  それから最後にただいま山手委員から指摘されましたように、自己輸入の問題がございます、自己輸入と申しますと、生産業者に自分の手で輸入させようという意味の話ではございませんけれども、一極の加工貿易のような形が当然考えられるわけでございます、せつかく近い近海塩を輸入いたしまして、これに加工して製品にして輸出する、その方式はいろいろな方式がとり得られますけれども、輸出振興の一環としてそういう観念を導入することは適切なことではあるまいか。専売公社といたしましても、国の利益のためにあるわけでございますから、貿易第一主義というときには専売公社のあり方自身を貿易第一主義に適応せしむることが得策であつて、賢明なる策であろうと思います。古い行き方を踏襲して世の批判を浴び、いやいやながらこの問題を研究するというよりも、一トン一厘でも今かせがねばならぬときであるし、また一トン一厘でも輸入を円滑にしなければならないときでありますから、ひとつ公社と政府当局と御相談くださつて、いささかでも輸出増進に役に立ち、輸入節減に役に立つことでありましたならば、果敢にそういう方式をおとりになることが肝要であろうと存じますので、その点も御研究のほどを願いたいと思います。明日通産大臣が参りましたときに、重ねてその大綱について大臣責任ある御答弁をお願いしまして——この問題は作業を伴うことでございますから、引続き迅速なる作業をお願いいたしますけれども、せつかく塩の輸入の円滑化につきまして各党委員の御協力を得、また山手小委員長の御努力によりまして、こうして共通の化学工業の基礎を強化するための共同の決議案ができたわけでございますから、この機会にこの数項目をお願いいたしまして、実施に御協力のほどお願いしたいと思います。要点だけでけつこうでございますから御答弁を願えますれば幸いでございます。
  117. 吉岡千代三

    ○吉岡説明員 近海塩の輸入の増進並びに中共塩の見返りといたしましての硫安の輸出につきましてのお尋ねにお答えいたします。近海塩の買付を増大すべきであるという御趣旨につきましては、私どもといたしましては従来からその方針で努力をして参つて来ておるわけでございまして、現在承知しておる限りにおきましては、昨年度におきましての近海塩の輸入状況は中共塩約二十三万トン、台湾塩八万三千トン、合計三十一万三千トンでございますが、今年度の見込みといたしましては、中共塩約三十万トン、台湾塩約二十万トン、合口計五十万トンというように計画されておるように承知いたしております。そこでただいまお尋ねの見返りとしての硫安の輸出でございますが、私どもといたしましても、現在輸出振興が非常に叫ばれ、しかしながらまた現実の問題としてはなかなか思うように参らないという現状におきまして、硫安の約五十万トンの輸出によりまして三千ドルの輸出が可能であり、さらに現状は御承知のように、むしろ輸出の引合いを断つておるというような状況でございまして、これは何といたしましても、今後一層増産に努めますと同時に、輸出の増大について努力をいたしたいと思つております。ただ現状は前々から申し上げておりますように、先般政府の諮問によります肥料審議会において御審議願いました今肥料年度の計画におきましては、年内の輸出余力は約十五万八千トンでございまして、そのうちすでに台湾、中共、韓国等向けに決定を見ましたものが約十四万トンでございまして、年内の輸出余力はきわめて残りが少いというのが実情でございます。ただ先般もお答えいたしましたように、中共向け輸出につきましては、契約の条項以上に時期を促進するというような努力も一部やつておるような次第でございまして、今後の重要な市場として、また見返品としての中共米の重要性にかんがみまして、極力努力をいたしておりますが、何分にも需給関係が以上のような関係でございまして、さしあたりはこの中共米の見返りとしての硫安をどうするかというような点に苦慮いたしておるような実情でございますので、新たな硫安見返りの契約につきましては、その時期、数量等につきまして慎重に研究いたす必要があるかと思います。先般も商社の方々にもお話を申し上げたのでございますが、もちろん硫安の輸出についてはわれわれも努力するけれども、同時に商社の関係者としては、ただ相手が硫安と言われるから硫安を政府に要求する、そういうような消極的な態度だけでなくして、たとえば、過燐酸石灰であるとか、石灰窒素というようなものも、これらは御承知のように国内的にも余裕があり、また過燐酸石灰等につきましては原料の燐鉱石とリンクの制度をとつておりますから、そういうものも極力織込んで貿易規模の拡大に努力をお願いしたいというようなお話も申し上げておるような実情でございます。しかしながらこれらの点につきましてはなお今後内需の関係等もにらみ合せまして、極力御趣旨の線に沿いまして努力いたしたいと考えております。
  118. 大堀弘

    ○大堀説明員 ただいま塩の輸入の問題につきましては軽工業局長からお答弁ございましたので、私から最近商社の中で現在中共塩の輸入につきましては、な五社程度でかなり統制のとれた輸入をやつてつたのでございますが、最近抜けがけをいたしまして持つて参つたものがあるのであります。その点は私ども非常に遺憾に思つておりまして商社につきましては厳重なる注意を発しておりますが、今お話の通り、すでに入れてしまつたものをそのまま放つておきますことは、将来のこともありマイナスの面もございますので、その点につきましては、専売公社の方と十分相談いたしまして、しかるべく処置いたしたいと考えておる次第でございます。ただ今お話もございましたように、先般入れました十万トンの塩につきましては、その見返りといたしまして、ソーダあるいは人絹等を輸出するというバーターの約束で輸入いたしたのでございますが、その後中共側の方でその約束を取消しまして、さらに硫安をよこせというようなお話があるのであります。これは貿易政策の面から見ますると、今お話のように硫安の輸出が非常に困難でありますだけに、塩の輸入につきましても日本側といたしまして輸出可能な物資でできるだけとつてもらうようにわれわれの方といたしましては努力いたしたいと思います。そういう面についても実行いたしております。商社等につきまして、私どもといたしましてはできるだけそういう趣旨で先方と折衝するようにお話をいたしておる次第であります。  硫安の問題につきましては、ただいま御答弁がございましたから省略いたします。実情はそういうことでございまして、現存すでに入つてしまいましたものについては、これはやむを得ませんので、専売公社の方とも十分相談をいたしまして措置いたしたいと思つております。  第二の問題といたしまして、商社の不当な競争の問題でございますが、現在輸出につきましても、また輸入につきましても、そういう傾向が全体の貿易について見られるのでございます。特に中共の場合には先方が一社でやつておりますだけに、わが方としましては多数の会社が競争いたしますことは非常に不利な事情でございます。お話の御趣旨はごもつともと存じておりますが、これをどういう形で統制して参ることがよろしいかということについて、なお目下検討中でございますが、当面の塩等につきましては、指定商社でかなり今後も円滑にやつて行けるのではないかと考えております。  なお近海塩の輸入のお話がありましたが、御趣旨はごもつともで私どももかねてからそういう主張をいたしておるような次第であります。専売公社の関係もございますが、さしあたつての輸入の問題ないし買付機構等の問題について、若干検討を要する事項がございますが、御趣旨の点は十分考慮いたしまして善処いたしたいと思つております。
  119. 帆足計

    ○帆足委員 大体筋道におきましてまことに御理解ある御答弁で満足でございますが、何しろ事柄はやはり時間の問題でございまするし、それから実行に移さねばならぬ問題でございますから、ひとつ迅速にこの問題の御処理についてさらに御努力のほどをお願いいたします。  民間の貿易商社並びに議員連盟関係の同業団体等としましては、米と塩の問題は多少競合する問題もございますので、ひとつ連絡の懇談会をこちらでもつくりまして、責任ある連絡者をきめまして、継続的にひとつ政府当局の御支援を得るような形にして御連絡を緊密にして参るようにわれわれの方もとりあえずはからいますから、どうかそのようによろしくお願いいたします。  なお硫安の問題につきましては、先般も申しましたが、農業委員の諸君にもう少し今の国際情勢がどうかということを知つてもらう必要があると思いますので、貿易促進議員連盟と農業委員の諸君と一度ざつくばらんに懇談会を近く開きたいと存じております。こういうふうにしまして、十分な理解の上に、一トンの硫安でも有効適切に使うことが必要じやないかと思います。  なお塩の問題は非常に緊急を要する事態になつておりまして、荏苒日を送りますと、中国側の方からは取引お断り、またクレームを請求されるような事態に直面いたしておりますので、私の考えではポンドをある程度回転資金にお使いになるというふうにして——将来の見通しはついているのでございますから、こういうときこそ回転資金としてポンドをお使いになつて、やがて特免条項の許可される見通しもありますし、また吉田総理、小笠原さん等が外遊なさつて、多少東西貿易の緩和について成算もおありになるようなふうに伝えられておりますから、昨今の国際情勢では当然問題がもう少し広がつて来ると思いますから、年間なり半期なりを通じて、結局バーターになればよいのでありますから、多少はポンドを回転資金にお使いになつて、そうして中国側を安心させて、そのかわりにこれは回転資金であるからポンド払いで済むものでなくて、向うから適切なものを将来買つてもらうというふうに交渉すればしやすいのではないかと思います。なお過燐酸石灰その他の点につきましては、今の交渉係をきめまして、そういう問題を共同でひとつお口添えして北京政府とも広汎な品目にわたつて了解を得るように一段と務カいたしますように、私どもも御鞭撻いたしておきます。  何分にも緊急の措置を要するということと、中国との関係を相互理解のもとに進めねばならぬということ、米の問題にしろ話を切らないように持つて行かなければなりませんので、政府当局としてはやはり貿易促進の立場から多少思い切つた措置をいたしていただきたい。特にどうしてもしかたのないときは回転資金を一時的にお使いになるというようなことも御研究を願いたいと思います。最終的なお話を本日ただちに承ることは困難でありまするし、これは官民の工作によつて共同で突破すべき問題でありますから、ひとつ格段の力を入れていただきたい。と申しますのは、何分にも中国市場は大きな市場で、台湾の三、四百万の人口と中国五億の人口の市場とは格段の開きがあつて、そうして西ヨーロツパ諸国一斉に今東西貿易が一応拡大しようとするという傾向にあるわけでございますから、官庁当局も目前の事態に、木を見て森を見失うことなくお願いいたしたいと思います。
  120. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 ただいま委員長の手元に山手滿男提出の決議案が提出されておりますので同君の趣旨弁明を求めます。山手滿男君。
  121. 山手滿男

    ○山手委員 先般小委員会経過報告をいたしましたが、小委員会で議論をし、その後各党で相談をいたしました結果、自由党、改進党、両派社会党、各党共同でこの決議案を提出することに相なりましたので、私からその趣旨の弁明をいたします。まず決議案の原文を読み上げます。   原料塩に関する決議案  原料塩の取得価格が、列国に較べて著しく高いため、関係各種工業の発展特に輸出の振興上致命的打撃を被つて居る。  政府は国際収支の現状に鑑み、此際、原料塩価格の引下げに関する左記各項に就て適切敏速なる措置を講ずる可きである。  一、近海塩の買付量を極力増大すること  二、買付けの合理化をはかると共に業者の自己輸入に就ても考慮すること  三、国内塩の生産原価を引下げるため技術的改善に一層努力すること  四、曹達工業塩と染料其他の工業塩との払下価格を一本化し且つ引下げること  右決議する。  以上であります。  さつきも申し上げましたようにこの原料塩の問題は、わが国化学工業の振興にとつては見のがすことのできない重要な問題であります。先般これを扱つておられる専売公社の幹部の皆さん方のお話を聞きましても、単に戦前の専売制度のもとでこれを運用しておるという惰性で今日来ておるにすぎないようなふうが見受けられるのでありまして、この際国際収支を改善し、このデフレ経済下において抜本的に日本を救つて行くものは、何といつても貿易の振興にまたなければならないわけでございますから、要するにこの決議の趣旨は、化学工業の原料であるところの原料塩の価格を引下げるということでございますから、大蔵省あるいは専売公社あるいは通産省においては、即時に抜本的な手を加えていただきまして、所期の目的を達成をし、化学工業を振興し、ひいてはわが国の輸出貿易が決定的に切り開かれて行きますように特に御配慮をお願いしたいと思う次第でございます。  以上簡単でございますが、各党を代表いたしまして決議案を提出した趣旨を申し上げた次第でございます。
  122. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 以上で趣旨弁明は終りました。  引続いて採決いたします。
  123. 齋木重一

    ○齋木委員 ただいま山手委員より提出になりました決議案に対しては全面的に賛成でありますが、一応付言して私どもの希望を申し述べたいのは、われわれの趣旨はどこにあるかというと、原料塩の価格を安くするというのが根本なんです。安くするについては塩を入れるところの先が問題なんです。輸入の先はどこが安いかといえば中共塩であります。御承知の通り七ドル幾らでありまして、ほかから来るのは十ドル何セントという高い塩を入れておるから原料が高くなるのであつて、この趣旨に沿うならば安いところの中共塩を即刻に多量に入れることが私どもは原則であり実際でなければならぬと思うのであります。だからこれを私どもは強く要求いたしまして、本決議案に対しましては全面的に賛成をいたす次第であります。
  124. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 それでは採決いたします。本決議案に賛成の諸君の御起立を願います。     [総員起立]
  125. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 起立総員。よつて本決議案は可決せられました。この際関係当局より発言を求められておりますのでこれを許します。吉岡軽工業局長
  126. 吉岡千代三

    ○吉岡説明員 原料塩の価格の高いことが、ソーダ工業並びにこれに関連いたします一般化学工業のコスト高の最も大きな原因であることは、御指摘通りでございます。この点は従来から一般指摘されておりながら、私ども努力も不十分でございまして、他の基礎原料のコスト低下の問題と同程度には取上げられていなかつたように考えます。このたび当委員会におきましてこの点につきましてただいまの御趣旨の御決議をいただきまして、私どもとしましてはまつたく同感に存ずる次第でございますので、今後関係当局と緊密に連絡をとりまして、御決議の趣旨に従いまして善処いたしたいと考えます。
  127. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 以上で政府当局の発言は終りました。本決議案はこれを大蔵大臣、通産大臣及び専売公社総裁にそれぞれ送付いたしたいと存じます。     —————————————
  128. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次に通商産業行政一般について調査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許します。柳原三郎君
  129. 柳原三郎

    ○柳原委員 私は不二ドロマイト工業株式会社と磐城セメント株式会社の関連性について、二、三重工業局長軽工業局長質問をいたします。終戦後一時製造を中止しておりましたドロマイト・クリンカーが、わが国の製鋼業の飛躍的発展とともに、必要不可欠なものとなつて昭和二十六年十二月に至りまして資本金が一億円で不二ドロマイト工業株式会社というものが設立されたのであります。その資本構成は磐城セメントが七千万円、それから製鉄会社数社によつて三千万円、すなわち七対三という比率で設立されたのであります。鉄鋼の合理化の一環といたしまして、政府でも大いにこれに力を注ぎまして、閣議でも決定して、鉄鋼融資のわくからこれに融資を行うやら、また市中銀行に命令しまして協調融資をしてやるやら、その金額で申しますと、開発銀行を通じましては二億五千万円、市中銀行の協力融資その他若干のものを入れまして大体二億円、計四億五千万円というものを国策産業の一環として政府がめんどうを見たわけであります。そうして先ほど言つたように、昭和二十六年の十二月に設立になつた。その後この会社は時勢の進運とともに優秀なる成績を上げまして、昭和二十八年から今年の三月までの営業成績を見ましても、資本金に対して収益率が九割なんなんとするいう優秀な成績を上げたのであります。こういう際に突然として今回磐城セメントが従来の行きがかりを無視いたしまして、吸収合併するという動きが起りまして、八月二十九日には役員会におきまして吸収合併が決議されたということを聞いておりますが、重工業局長は、どの程度これを認識されておりますか。
  130. 鈴木義雄

    ○鈴木説明員 大体ただいまおつしいました通りの事実は聞いております。
  131. 柳原三郎

    ○柳原委員 そうなりますと、先ほど言いましたように鉄鋼のいわゆる合理化の一環として国家資金が莫大に注ぎ込まれておる。自己資本に対して開銀の融資、市中銀行の協調融資を見ますと、一対五のような比率になつておる、こういういうわけでありますが、これは国策会社の性格を多分に持つた会社であります。それが非常な優秀なる成績を収める昨今、急遽磐城セメントが吸収合併いたして、その表看板に経営の合理化ということになつておりますが、従来の政府の方針とは狂つて来ておりはせないか、こういう行き方が許されるものかどうか。商法上ではあるいはこれは許されるかもわかりませんが、この磐城セメントの態度について政府は傍観される態度をとられるのか、そこら辺の御意見が承りたい。
  132. 鈴木義雄

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘がありました通り、このドロマイト・クリンカーは製鉄用原料としまして非常に重要な原料の一つでございます。そこでお話あります通り昭和二十六年十二月に不二ドロマイトが、鉄鋼関係と磐城セメントの両社の合体によつてできたわけでありますが、当時の資本構成は、磐城側の積極策によりまして七〇%を磐城七メントが持ち、それから残りを鉄鋼関係メーカー四社及び日鉄鉱業が持つておつたという実情でありますが、お話がありました通り、これに対して開銀の融資、その他市中銀行の融資がついております。そこで合併問題につきまして磐城側の主張は、合併による経費の節減もう一つは資金調達の容易化、こういう点にあるようでございます。ところが鉄鋼側の考え方は、合併の後においてはたして将来鉄鋼原料の供給に不安がないかどうか、はたして価格に不安がないかどうかという点が主たる心配のようでございます。そこでわれわれといたしましは、鉄鋼原料の重要性から考えましていドロマイト・クリンカーの今後の供給に支障がないか、あるいは価格に不安がないか、こういう観点からこの問題を処理いたしたい、従いましてこの両者、鉄鋼側と磐城セメントの間の関係について円満な解決がつくように目下努力中でございます。
  133. 柳原三郎

    ○柳原委員 円満な解決をあつせんされるわけですか。
  134. 鈴木義雄

    ○鈴木説明員 ただいま申し上げました通り、円満な解決について努力中でございます。
  135. 柳原三郎

    ○柳原委員 そこで鉄鋼業者の今までの言い分を聞いておりますと、磐城セメントの態度に反対である。私たちから見ておりますと、まつたく相対立しておるように見えるわけです。そこで政府としては、こういう国家資金の莫大に導入されたいわゆる国策的性格を持つた会社に対して、磐城セメント——鉄鋼業界は株主約七対三で少いのではありますが、そういうものをあくまで無視してしまつた場合、やはり商法に認められた権利を利用いたしまして、磐城セメントの言う通り吸収合併というものは強行できると思うのですが、そういう場合はいたし方ないという建前ですか。
  136. 鈴木義雄

    ○鈴木説明員 ただいま初めに申し上げました通り、この問題は将来の鉄鋼原料の供給を確保する、あるいは価格に不安がないという観点からわれわれとしては処理して行きたいと思います。そこでこの供給者である不二ドロマイトの主流を握つております磐城セメントと使用者である鉄鋼業界は、生産者及び使用者の立場でありますから、この関係を円満に解決したいという努力を目下しておるところでございます。
  137. 柳原三郎

    ○柳原委員 くどいようですが、もう一つつておきます。重工業局長は円満なる解決に努力すると言われますが、最悪の事態になつて、両者では話合いがつかないというときに、役員会で決議した吸収合併を株主総会で決定してしまつた場合に、重工業局なり政府としては、これに制肘を加える権限がありますか。
  138. 吉岡千代三

    ○吉岡説明員 この問題につきましては、重工業局と常時打合せをいたしまして、ただいま重工業局長からお答えいたしましたような趣旨のもとに解決をする考えで進んでおるのでございます。法律的に申しますと、あるいは御指摘のようなことも言えるかと思うのでございますが、通産省といたしましては、一般的に関係の工業につきましては、行政上の指導と申しますか、こういう実際上の力も持つておるわけでございます。また最近におきましては両者間においても大体円満に解決の見通しが立つて来ておる、こういうように承知しております。先ほど重工業局長からお答え申しましたような形におきまして、円満に解決を見るものと確信をしておるような次第でございます。
  139. 柳原三郎

    ○柳原委員 私たちが聞いておるのと、今軽工業局長が、言われるのとは相当開いておりまして、あなたの考え方は甘過ぎるのじやないかと思うのです。過去は重工業局長が——当時葦沢さんでありましたが、磐城セメントに意見提出せよということをやりましても、磐城セメントは横着と申しますか必要ないと認めたのか、回答もよこさない。いろいろ紛糾を重ねて今日に至つておるのでありまして、円満な解決ができればけつこうでありますが、私は、磐城セメントが株主総会において一方的に吸収合併を強行突破して行くという危険性があると思うのですが、そのときに政府としてはどうするかということを質問しておるのです。
  140. 吉岡千代三

    ○吉岡説明員 私どもといたしましては、合併そのものがどうであるかということよりも、合併の結果先ほど指摘のような不安がないかどうかという点を中心に考えておるわけでございまして、その点につきましては、実は昨日付で磐城セメントの社長から重工業局長並びに私あてに、合併後における生産の遂行、すなわち生産数量、品質等の点については、軽工業局はもちろんであるけれども、重工業局並びに静要者側の御要望を十分尊重の上経営をする決心であるという念書を出して来ております。それに付属書類として、合併の必要性なり合併後の経営方針、生産、品質、価格等の点につきまして、詳細な資料をつけて提出をいたして来ております。ただいまこの内容につきまして、重工業と私ども双方で検討を加えておるわけでございまして、その点につきまして関係者間に十分不安がないということになれば、それによつてそういう方針のもとに処置いたしたい、こういう状況でございます。
  141. 柳原三郎

    ○柳原委員 私から見ると見通しが甘いようでありますが、両者間が話合いがついて、円満にこの会社が行くならばけつこうでありますが、せつかく努力をしていただきたいと思います。私から考えると、先ほどから言いますように、開銀の融資とか市中銀行の協調融資等が莫大に行われておる会社でありますから、磐城セメントの、いわゆる一営利会社、これの運営に一方的にまかしておくことは危険ではないか、政府最初の方針にもどるのではないかと考えまして、現状維持でこれを指導育成して行く方がよいと考えておるのでありますが、参考に申し上げておぎます。
  142. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 次は始関伊平君。
  143. 始関伊平

    始関委員 私は石灰窒素工業の問題、具体的には電気化学の九州大牟田工場の問題でありますが、この問題につきましてお尋ねをいたします。  八月上旬に通産委員会の一行が大牟田工場の現地調査をいたしたのでありますが、最初に私は吉岡局長にこういう点をお尋ねしたいのであります。石灰窒素工業は福井県を境にいたしましてあれから大体東の方にある。北陸から東北地方にある。関西から九州にかけてはこの大牟田の電化工場を除いては、ほかに工場はまつたくないのでありますが、石灰窒素の需給がきゆうくつである時代においてはもとよりといたしまして、今日のように多少だぶつきぎみの時分におきましても、石灰窒素の需要者が全国の農民であるという点から考えますと、この石灰窒素の地域的な需給を円滑にやるという点から申しまして、九州にせつかくあるこの工場というものは、これは日本の肥料の需給という点から申しましてもぜひ残しておかなければならないものであるというふうに考えられるか、あるいは今のような需給関係であるならば、あつた方がいいけれども、なくても困らぬものであるとお考えになるか、この点を最初に伺いたいと思うのであります。きよう実は時間がたいへんきゆうくつになつておりますので、ただいまの質問に対するお答えは、おそらく、どうでもいいのだということではないと思いますので、そういう点から第二の質問に入ります。  第二の質問は、これは吉岡局長と中島局長に伺うのでありますが、一体原則としては九州方面は電力事情からいたしまして、こういつたような工業には不適当である。しかしながらあそこにあの工業が起りましたのは、これは自家発電というものが根拠になつておつたことはもちろんであります。ところが昭和十六年の十月からあの自家発電が発送電に強制的に出資されたのでありますが、それにもかかわらず今日までどうやらやつて来ることができたというのは、これは当時日発による全国一本化料金という制度があつた。また料金につきましても、いわゆる政策料金という意味合いが多分に加味されておつたので、あれがとにかく今日まで成り立つて来た。このように考えるのでございます。ところがいわゆる電力再編成が行われまして、だんだん地域差の調整というようなものもなくなり、政策料金は原則的にやらない、こういつたような情勢になりますと、会社当局の意見では何か抜本的に電力問題を解決してもらうか、そうでなければあの工場は閉鎖のやむなきに至るであろうということを申しておるのであります。これは大体価格が二万円ぐらいの中で、普通の石灰窒素系の場合はコストの電力費が三千円ぐらいである。大牟田の場合は七千円以上であるというような点から考えまして、私はまことに急迫した事情にあるものと考えるのでありますが、この点につきましては、いわゆる特約料金というようなものでやつたらいいじやないかというお考えもあるかと思いますか、一昨日でありましたか、当委員会におきまして福田君の質問に対して中島局長はかなり明確に答えておられます。特約料金というのは、質的に本来安い電気に対して特約料金というものが適用されるのであつて従つてたとえば他の石灰窒素工業と比べてこちらの電力費が高くならないようにとか、あるいは大牟田工場がぜひ成り立つようにとか、いわゆる完全な意味の政策料金というものは、これは当局としても認めざるところである、そのようにはつきり申しているのでございます。そこで私もいわゆる特約料金というやり方ではおのずから制限がありまして、この大牟田工場の操業に支障がないということにはならないと思うのでございますが、この点につきましての会社側意見は単なるおどしと申しますか、そういつたようなものであるとか、あるいは今日の実情からいつて電気化学会社としてはそのいずれかの立場をきめざるを得ないような関頭に立つておるというふうに考えられるか、その点についての判断をこれも吉岡局長に伺います。  また特約料金というものでは、私が申し上げた意味合いにおきまして抜本的な解決にはならないのだ、そう解釈してよろしいかどうかという問題について中島局長からの御答弁を要求いたします。
  144. 吉岡千代三

    ○吉岡説明員 第一に、石灰窒素並びに電気化学大牟田工場の重要性についてのお尋ねでございますが、この点につきましてはあらためて申すまでもなく、石灰窒素は、国産肥料といたして農林省におかれましても耕土培養によつて奨励されております。また電気化学はそのうち約一割の生産額を示しております。現在の市場の状況は、メーカーとしては必ずしも有利でないということは御指摘通りでございます。ただいまお話もありましたように、ある程度地域的に分布されておるということもいろいろな意味において必要があるわけであります。私といたしましてはきわめて重要なる工場の一つと考えております。  第二の電気料金の問題でございますが、これにつきましては公益事業局におきましても、特に硫安を初め肥料関係電力料金につきましては、特別のはからいをしていただくということになつております。硫安とまつたく同程度ということは、価格形成の関係等も違いますので、そこまでは困難かと思いますが、硫安に準じて特別の考慮をするということに御了解を願つておりまして、そういう建前のもとにただいま具体的の検討をお願いしておるような状況でございます。  なお根本的な問題といたしましては、自家発設備の復元というような問題にも及んで来るかと思いますが、これにつきましては、やはり復元問題に関する一般的の御方針もあると思われますので、現在のところでは行政上可能な限度において、できるだけ電力料金の値上げによる影響を最小限度にとどめていただくように御協力を願つておるような状況でございます。
  145. 中島征帆

    中島説明員 電化の大牟田工場が自家発を統合されまして以来、特に九分割以後におきまして、比較的地域差の高い九州におきまして、非常に困難な経営を続けておることは私も十分承知しております。従来までも特約制度は十分運用いたしております。今般電気料金改訂に伴いまして、さらにまた影響を受けることになるわけであります。特約に対しましては、お話の通り電気の質に応じた料金を組み合せるということが原則であります。従つて地区別にその他の特殊の事情を考慮して割引をするというふうなことは、料金制度上からは許されないことになつております。ただ特約制度の運用上——これにはやはり運用上の幅というものがあります。その幅の許す範囲におきまして、硫安等における影響を考えるということを地域別に考慮いたしているわけであります。そういう趣旨におきまして、この工場につきましては特別の事情も十分頭に入れながらできるだけ御趣旨に沿うようにやつて行きたい、こういうように考えております。
  146. 始関伊平

    始関委員 ただいまの特約料金というものは、さしあたり運用でできるだけの考慮をしようというお話はけつこうでありますが、これは電力再編成以来の懸案でございます。ああいつたような日発の一元的な管理の態勢をやめまして、従つて全国一本の料金をやめまして、地域別の会社でスタートすることになりました場合には、最小限度のところでいわゆる自家発というものを返してやることが当初からの懸案として残つておつたと思うのであります。この問題につきましては、いわゆる公共団体の復元の問題がございますが、私をして言わしめれば、公共団体の復元の問題とは切り離して、こちらの力がもつと痛切に必要がありますので、この問題を何らかの形でひとつ適当に善処してもらいたい。この場合におきましては発電所が二つございますが、その二つ同時は困るならば、大きい方を一つとかいろいろ考え方があろうと思います。今日九州方面でも水力発電の建設も大分進みまして、ここに問題となつておりまする発電所の一つくらいを返してやつても、九州地区全体の需給のバランスが破れるとか、あるいは全体のコストが非常に高くつくとかそういつたような問題は私は今日あまりないと思うのであります。日発解体に伴つてどうしてもやらなければならない跡始末が残つておるのでありますから、これをできるだけ早い機会に何とか善処をしてもらいたい。法律の運用でできるかどうか存じませんが、これはほかにあまり例がないようでありますから、新たな立法ということは困難かと思いますが、法律の運用でできれば法律の運用によつて、またそうでなければ行政当局の指導によつてこの問題を善処していただく必要があると思うのでありますが、その点について中島局長答弁を願います。
  147. 中島征帆

    中島説明員 法律上から言いまして現在の設備を譲渡するということは、認可を得れば不可能ではございません。ただこの場合におきましては、私の気持としては、なるほど統合によりまして一番打撃を受けておる工場であります、そういう意味におきましては、一部の発電所をそこへまたもどしてやるということは、できればやつてやりたい気持は持つております。しかしこれはその他の公共団体もあわせての大きな復元問題というものの一環でありまして、一つだけ取出して片づけるというわけにはとても参らぬかと思います。従つて全体の復元問題とともに考えるべきだ、でありますから今の段階におきましては、やはりそれと別個の方法で、できる限りのことを、もし制度上におきましてもできれば考えるだけの話であります。  それから少し話はそれますが、先の問題を考えました場合には、今度の場合もそうでありますけれども、いわゆる地域差というものはだんだん狭まりつつありします。つまり従来は水力が非常に安くて火力が非常に高かつたのが、最近では水力発電のコストが従来と比べて非常に高くなつております。ところが逆に火力発電の方は設備も能率も非常によくなつております。また石炭の値段も下つております関係上、火力地域というものが比較的安くなつております、従つて従来と比べましての地域差というものは、どちらかというと傾向としてはだんだん狭まりつつある状況であります。こういう点もあわせて考えなければならぬと思つております。
  148. 始関伊平

    始関委員 この問題がむずかしい問題であることは十分了承いたしますが、ほかには自家発の工場はあまりないようであります。しかもこれは国家的に重要な工場でありますので、復元という言葉はいいかどうかわかりませんが、私は公共団体の場合と切り離しまして、この問題をひとつ善処していただくように希望申し上げておきます。そこで、次に淺香政務次官にお尋ねをいたしたいのでございますが、私は国立公園というものが一般産業あるいは地下資源の開発というものに関係する問題につきまして二、三お尋ねをいたしたいのでございます。御承知の通り、ただいままでに厚生省の指定いたしました国立公園は十七、そのほかに国定公園というものが三つあるようでございますが、今回さらに十九の候補地を国立公園審議会の方では国立公園なり、あるいは国定公園に指定しろ、こういう答申を厚生大臣になされたようでございます。この候補地がかりに全部そのまま国立公園なり、あるいは国定公園に編入せられたといたしますと、これは国土の総面積の六%、国民一人当りにいたしまして八十坪の国立公園ができる、公園面積はそういう広さになるということでございまして、外国にも例のないくらいりつぱな大きい公園がたくさんできるわけでございますが、この問題につきまして、一体国立公園を指定いたします趣旨は、単に景観を保存するというようなことだけではなしに、積極的な施設な整えまして、それによつて公園のいろいろな意味での利用価値を高めるということであろうと思うのでございますが、一体このような見地から申しますと、ただ国立公園の数をふやすということがよろしいのではなくして、従来からあります国立公園の内容を整備し、充実する。外国から外人の観光客が参りましても、一応の満足を与える。国立公園としての名にはずかしくないような内容を整えるということが先決問題だと思うのでございまてして、その辺に国立公園運用の基本的な御方針があろうと思うのでございますが、一体ただいま申し上げましたような意味合いにおきまして、今日まで国立公園というものは、どの程度の予算をもつて、また予定の施設というものはどの程度進んでおるのかというその辺の実情を伺いたいと存じます。  それから今回かりに指定いたしますとしますと、これが予算の裏づけもなしに、ただ国立公園の地域指定をいたしまして、それによつて一切の形状の変化については厳重な制限を加えるということになりますならば、これは極端に言えば、国立公園の名においていたずらに産業の妨害あるいは資源開発の妨害をやられるという非難を受けてもしかたがないような面があると私は思うのでございますが、そういつたような国立公園の指定の問題を中心にいたしまして、国立公園の基本的な指導方針につきまして簡単にお話いただければたいへん仕合せと存じます。
  149. 淺香忠雄

    ○淺香説明員 今度厚生の政務次官に就任をいたしました淺香でございます。よろしくお願い申し上げます。  ただいまの御質問の点でございますが、今御質問の中にありました御意見通りでありまして、問題は数をふやすだけか能ではない、内容の充実をはからなければならぬということは、お説の通りであろうと思います。しかして御承知の通り国立公園なりあるいは国定公園なりを指定いたしますのには、公園に関する審議会が設けてございまして、この審議会がいわゆる結論をつけますまで過去四箇年の日数を費しまして、それぞれの資料、あるいは実地見聞等をいたしまして、今度の答申が出て参つたのでございます。そこで出ましたその答申に対しまして、もちろん通産省とか、あるいはその他の関係の役所の方へも十分連絡をいたしまして、そうして他の役所の方にもこれに対する支障がないかどうかということを協議をいたしますと同時に、また厚生省といたしましては独自の見解もあわせ考えまして、大臣の最後的な決定に入ることだろうと思うのでございます。つきましては今度お答申して参りましたこれらの公園に対しましては、いろいろ世論が出ております。御承知かもわかりませんが、鉱山資源の開発に対して支障があるのではないか、すなわちその公開の指定を受けることによつていろいろな点において束縛をされる。今日国民としてのこういつた景観を保存することの必要ということもわかるけれども、国の今日のあり方を見た場合に、はたして経済の発展を優先にすべきか、こうした公園を数をふやすべきかどうかというような世論も相当あるかのように聞いておるのでありまして、私どもといたしましてはまだまだ決定の段階に至つておりませんが、十分これらの世論を聞きまして、また関係の役所とも相談をいたしまして最後的な決定に入りたい、こんなふうに考えているような次第でございます。
  150. 始関伊平

    始関委員 ただいま国立公園審議会で四箇年間審議されたというお話でございますが、国立公園審議会の委員は、私も若干承知をいたしておりますが、非常なエキスパートの方々ばかりでございますが、同時に非常に片寄つた一方的なメンバーで上あるという非難と申しますか、批評を避け得ないのでございます。国立公国の選定につきましては、どうしても他の一面として、ただいま政務次官のお述べになりましたように、産業との調整あるいは地下資源開発との調整というような点がございますので、国立公園の委員のメンバンは相当に再検討する余地があるのではなかろうか。私も役所にいるときには、あそこに呼び出されてたいへんやられたことがありますが、われわれの側を弁護してくれる人は一人もおらぬのが実情であろうと思うのでありまして、そういつた点をひとつ新政務次官に御考慮願いたいと思います。  それからただいまのお話でたいへんけつこうなんでございますが、今回の審議会の答申は四箇年聞の日子を費したというお話でございますが、はなはだ粗漏な面があるのではなかろうか。一例を申しますと、四国の世界的な銅山でございます別子銅山というものは、いわゆる石鎚山国立公園の地域内に含まれております。私は国立公園の定義をよく存じませんが、国立公園というのは、指定をいたしましたならば、なるべくそれをこわさないでそのまま保存するということが、本来の大事なねらいであると思うのでありますが、これが鉱山になつてしまつている。自然の景観の方から言えば完全にこわれているはずである。また鉱山が現に稼行されているのでありますから、始終状況が動く。こういつたものを一体国立公園に入れるというのは、私は国立公園の観念から申しましてまつたく矛盾ではなかろうかと存じます、なお長崎の方の有名な北松炭田につきましても同じような問題があるようでございますが、私はただいまの政務次官の御答弁でたいへんけつこうなんでありますが、審議会の答申を今のような見地から十分に御検討を願いまして、地域を縮めるなりある国立公園は指定をとりやめるなり、十分な御検討を願いたいと思います。これをひとつ御希望申し上げまたお尋ねをいたします。  それから国立公園に指定してからあとの問題でございますが、たとえば現在動いております鉱山につきましては、私は初めからこれを入れることは間違いだと思いますが、まだ地下に眠つておる資源のありそうな場所があります。これも私は日本のただいま当面いたしておりしまする経済情勢からいたしまして、まだ稼行はいたしておらないけれども、ここはありそうだというようなものは私は入れない方がよいのじやなかろうかと思いますが、その辺のことを伺います。  それに関連をいたしまして、一旦国立公園になりました地域について探鉱をやるとかあるいは試掘をやるとかいつたような場合におきまして、何か伺いますと国立公園にいろいろなことを制限いたします。その制限の程度には一種、二種というような区別があるようでございますが、状況に応じてその制限を緩和していただく、あるいはこの国立公園の地域を縮めていただくといつたような、国立公園指定後の問題につきましてもいろいろ御相談願う点が多いと思うのでございますが、それらの点につきまして、もう一ぺん政務次官の御答弁を煩わしたいと存じます。
  151. 淺香忠雄

    ○淺香説明員 御指摘のメンバーの選定の問題でありますが、御承知の通り私もこちらへ参りまして日が浅いものでありまして、お顔ぶれは一通り見ましたが、はたして過去におけるどういう履歴の方であり、どういう性格の方であるかもまだ研究いたしておりませんので、よくその点を研究いたしまして御説の通り必要ありましたら再検討を十分することにいたします。  第二点の粗漏な面があるのではないか、四国の別子銅山等の例を引かれ、また長崎の問題といいますと、今度国立に入りました九十九島の問題をおさしになつてであろうと思いますが、あるいは粗漏であつたかどうかということは、私どもの現在の立場ではただちに即答しかねる問題でありますが、この点は先ほど申しましたように、まだ本式に指定をいたしておりませんので、相当の日時があるかと思われますので、その間粗漏であつたかないかという点をよく研究さしていただくことにいたします。  それから指定後の問題でございますが、公園になることによつていろいろな制限を受ける、またこの緩和ということについてもどう考えているかというお尋ねでございますが、先ほどお尋ねの中にもありましたように、かつまた私が御答弁を申し上げました中にもありますように、やはり今日日本の国の財源あるいはその他鉱山の開発とかいつたような問題も十分にらみ合さなければならぬことは言うまでもないのであります。そういう場合には、これはこちらの方だけできめる問題でございませず、通産省ともよく協議し相談をいたしまして、それで意見がまとまりましたら、こちらの方でこちらの方の担当の仕事を進める、こういうことでございますので、制限とか緩和の点は十分心得まして今後進めることにさせていただきます。
  152. 始関伊平

    始関委員 ただいまの政務次官のお話でたいへん満足でございますが、念のために鉱山保安局長に伺います。通産省としては国立公園の問題についての厚生省との連絡につきましては、現在遺憾のない状態であるかどうか、何か不満の点があるかどうかという点をお伺いいたします。
  153. 平塚保明

    ○平塚説明員 国立公園あるいは国定公園の指定につきましては、実は法律の上では通産省と協議するということにはなつておりませんが、昭和二十四年の十二月二十三日に両方の事務次官の覚書がございまして、指定をする場合、あるいはまた採掘ついての許可をする場合、制限する場合、そういう場合におきましては通産省と協議をするということに相なつておるわけでございまして、従来におきましてはたとえば阿寒の問題でありますとか、あるいははその他若干の問題があつたわけでございますが、今回の問題は一ぺんに非常にたくさんのものを指定するという審議会の答申になつておるようてありますので、勢いその指定につきましても、非常に迅速にやるというようなことになりますと、私はその一々について十分な検討ができないままに指定されるおそれがありはしないだろうかと考えますので、その点は、厚生省の方とも私どもは十分相談をいたしまして、ずさんに指定が行われないようにしたいと考えております。ただ私は今回出ておりますものを見ますと、先ほど話がありましたように、別子銅山というような世界的な鉱山、これはおそらくもつとあの辺を探しますと非常に有望な鉱脈を発見するのじやないかというふうにも考えますし、現にこれは福島県の住友鉱山の八総鉱山のごときは最近探鉱しましたところが、これまた非常に有望な鉱床を発見したというような例が方々にありますので、探鉱なりそういうことが十分できるように、私どもの方はどうしてもしていただきたいというふうに考えますので、国定公園なりあるいは国立公園の指定にあたりましては、十分通産省の方と厚生省とよく相談をして、私が希望するところは、ちようどあの文化財保護委員会関係で先般の国会におきまして法律を改正して、通産省と協議しなければならぬというようなことにもなりましたし、また土地調整委員会あたりが中に入るというようなことになりましたので、何かああいう仕組みをはつきり法律なり法令なりでしてもらつた方が、これの運営については一番よく行くんじやないかというふうに私は考えております。それから、さつきの審議会のメンバーの問題でありますが、実は始関先生からお話がありましたように、業界の代表というような人も入つておりませんし、またわれわれの方からも入つておりませんので、やはりこの審議会バのメンバーにつきましては産業界方面から相当入れて、そうして十分審議会において調査していただくあるいは検討していただくしていうことにしていただくことが一番けつこうではないだろうかというふうに私は考えております。
  154. 首藤新八

    ○首藤委員 私も関連質問をいたします。きようはちようど公園部長も見えておるので、非常に幸いと思うので、公園部長にお尋ねいたします。今同僚始関委員質問を私は聞いて、厚生省はまださような愚を繰返しているのかという感じを深くいたしております。これは先年阿寒における硫黄の開発の当時にいやというほどわれわれはこの厚生省の愚論に悩まされて、幸いにして硫黄の開発だけはやることになつたのでありますが、少くとも今日までこの審議会の審議の対象がただ公園という本質問題だけを中心として、その他の経済的問題その他一切を無視して、その線に公園を指定しているという一方的な決定の仕方をしていることにはうらみが多分にあるだろうと思うのでありまして、私たちはこの点についてはきわめて遺憾の意を実は表して参つたのであります。特に現在この日本の置かれた立場、だれが考えて経済的の危機に直面しておる。われわれ国民が最も夏慮するのは経済である。どうしてもこの際万難を排して経済の打開をやらなければならぬ。この際に、せつかく地下資源があり、あるいはその他経済的の価値があるにもかかわらず、単に景観という点のみに重点を置いて、そしてそれらの地下資源の開発に支障を与えるようなところに施設をいたして、そして支障を来すというようなことは、断じて厚生省としてはやめなければならぬと私は思うのであります。しかも今回の指定を見て私たちも非常に遺憾とするのに、ただいま申し上げたように、ただその指定の公開が経済的にどうあろうとも、あるいはまた地理的に観賞者があろうとなかろろうと一切関知しない、ただその山そのものが国立公園としての景観の点において資格ありということだけで決定しておりはせぬかという点に、非常な不満を持つものであります。特に私は一例を申し上ぐれば、六甲山の例、少くとも日本の大都市で六甲山ほど景観がよく、しかも地理的に恵まれたところはないのであります。何ら指定しなくても、外人は日本に一たび足を入れた以上は、どうしても六甲山に一度は行くという過去の事実が雄弁にそれを立証いたしておるのでありまして、もしそれに何らかの設備を加えますならば、おそらく今日まで各地に指定しておる国立公園の中でも、六甲山ほど経済的に価値を持つている国立公園は私はないと思う。従つて今回の指定にいたしましても、当然瀬戸内海の国立公園の一環として六甲山は指定になるべきだ。これは陳情しなくても、ほつておいても、厚生省は六甲山を取上ぐるだろうという期待から、私は公園部長にも一度も話をしなかつた。話をしなくても、当然良識のある責任者は採用するだろうという安心を持つてつたのであります。ところが結果においては六甲山は指定されていない。漏れておる。しからば何がゆえに六甲山は指定しなかつたか。ただいま申し上げるごとく、都市から二十分、三十分で登山できる。しかも非常な景観を持つておる。いわんや御承知の通り、外国人にまず神戸に入るのが一番多いのでありますが、入つたときに、あの六甲山の表の方が全部はげ山になつておる。私たちはどうしても国辱的な六甲山を一日も早く緑地帯にしなければならぬ。この春五月に陛下の行幸を仰いで兵庫県で緑樹祭をやりましたが、これは発端は、昨年の八月に水害調査に私ども行つたとき、たまたま参議院の河井議長も一諸に行かれて、帰りに別府から神戸行の船で一諸になつたそのときに神戸のある六甲山がはげ山に放任されておる。そしてこれは国辱的であり、また同時に治水の上からも非常な不安をかもしておるのだということをたまたま話したところ、それではひとつ帰つて陛下にお願いして神戸に行幸を仰いで、これを動機に緑地帯の拡大をやりましようかということがそもそも陛下の行幸を仰いだ一番の発端の動機であります。従つて私に少くともこの機会に六甲山を指定いたして、そして今民間の所有をかつてに伐採しておるものを、ある程度制限いたして、そうして治水の面からも、あるいはまたはげ山に放任されておる国辱的な面からも、はやく免れたい。同時にまた新しくこれに植林いたして、一日も早く緑地帯にいたしたい。そうすれば同時にこれがために観光客はますますふえる。どの点から考えても、当然六甲山は取上げなければならない。実はかような安心を持つてつたのでありまするが、それが日本海の僻陬の地であるとか、あるいは私たちが見た場合はたして観光客が行くであろうかどうかと疑わざるを得ないような、いなかの方の、しかも地理的に考えても容易に行けないようなところが、好んで国立公園に指定されておる。この点から見て、一体厚生省はどういう考えで国立公園を指定しておるのか。御承知の通り財政が非常に困難でありますから、現在の国立公園の予算というものは四千何百円、たくさんの指定公図に分配する予算というものはきわめて僅少であつて、ただいま始関委員も言われたが、そういうところをたくさん指定して、少い予算を無価値にひとしいような配分をするよりも、なるべく数を狭めて重点的に施設を完備するという方向に持つて行くべきじやないか。いわんやただいま申し上げたように、地下資源のような経済的に非常な重要性があるにもかかわらず、それらを無視して、ただ景観そのものに重点を置いて指定するというのは、まつたく私は方針を誤つた指定の仕方だと思いますが、公園部長はどういう考え方を持つているか、この点を、ひとつ所見を承りたい。
  155. 森本潔

    ○森本説明員 いろいろお話がございましたが、最初産業との調整の問題でございますが、これはただいま御指摘がありましたように、あるいは先刻から政務次官、政府委員との質疑応答がでございましたように、関係方面と十分打合せをいたしまして、支障のないようにいい調整点を見つけ出して、公園の区域等決定いたし参りたい。ことに今回指定いたしますところにつきましては、先ほどからるるお話が出ましたように、今後さらに通産省とも打合せをいたしまして、あとに問題が残らぬように、迷惑がかからないように、十分の措置を講じて、しかる後に指定をいたしたい、かように考えます。  それから今回答申のありました公園の答申された方針と申しますか、どういう考えかというお話でございますが、これにつきましては、一つの選定の方針というものが一応きまつておりまして、そのものさしによつて選定が進められたわけでございます。いろいろ要件がございますが、第一はやはり景観がよくなければならぬ。これが根本だと思います。それから土地が国有地が多いこと、なるべく私有地は避けたい。その次に産業関係に支障のないようにしなければならぬ。それから利用ができないようなところは考慮することはできない。今申したような三、四の点を中心に検討したわけでございます。審議会としましては、やはり今度答申になりました場所については、いずれも景観についてはいいところばかりだつたというように考えます。その中で国立と国定のふるいわけでございます。そこで結果的に景観の一番いいところが選び出されたという印象を持つております。それで現実の問題としましては、伊豆のような利用の多いところは別でございますが、その他のところは現在では利用が少いという難点は免れないだろうと考えております。しかしこれも将来どういうことになるかというような点もございますので、なお十分この辺の点も検討しなければならぬと考えております。  それからその方針とからみまして、具体的な問題についてお話がございましたが、これはお話の通り瀬戸内海と申すところは、景観から見ましても、世界的に珍しい。それから利用からいいましても、人口稠密地帯にあります関係上、非常に多いのでございまして、公園価値が非常に高いということは、万人の認めるところでございます。最初指定になりましたこの区域は、そういう目で見ますと、必ずしも十分な区域でない。むしろもう少し広めると申しますか、修正という言葉は語弊があると思いますが、若干広めて指定した方がいいのじやないかというのが、一般考え方でございます。その中に今の神戸の六甲とかその他のところが入つております。この問題につきましては、審議会の経過、また役所の考えとしましても、この問題があるということは、十分頭に入つておるわけでございます。ただ審議の順序といたしまして十九というものを最初選び出してこれをともかく片づけて、それから次に瀬戸内海の区域修正と申しますか、区域拡張と申しますか、そういう扱いにしないと、事務的あるいは審議の都合上むずかしいという事情で遅れております。しかしこれはいずれも役所といたしましても審議会としも、この問題は早く結論を出さなければいかぬという考えであります。そういう意味で国立公園としましては、場所によりましはやや不便なところもございます。あるいは景観についてはすぐれてはおるけれども利用上非常に高いものというように各所のものが出て来ようと思うのでございます。今二十の国立公園あるいは国定公園がございますが、いずれも特徴がございまして、都会地に近い便利なところばかりというのでもなし、また僻遠であつて利用困難いうところでもなし、いろいろなものがその中に含まれていて、二十のものが成り立つている、こういうような考え方に立つております。それで今回答申を得ましたほかに、なお区域拡張でありますとか、あるいは若干今後検討を考慮しなければならぬものがあるだろうという点もあると考えております。
  156. 首藤新八

    ○首藤委員 今公園部長のお話を承つて、ある程度私は是認せざるを得ないと思うが、しかし言われることと相当食い逢いがある。今回指定した十何箇所を見ましても、かようなところに国費を投ずることに対して私は非常な疑問を持つ点があるのであります。私が主張するのは要するに乏しいところの財政資金をさいて、わざわざ国立公園に指定するということは、地元だけでは設備の完璧を期しがたい、そこで国が多少の援助をして一層設備を完璧にして行く。そうして観覧者を一人でも多く招致しよう。経済的の面においても、国として利益を得たいということを私たちは目的として予算に賛成して参つておるのであります。しかるに今日までの指定の結果から見ると、そういうことは一切抜きにして、ただ学者が学者的に国立公園とはという点に重点を置いた審議、そうしてそれの決定を見ておる。ここに大きな遺憾な点がある。それで私はここで申し上げる次第であります。この上くどくどは申しませんが、要するに現在の日本の立場は経済的に危機に直面しておる。どんな犠牲を払つても、経済的の積極的なプラスになるベきものならば他のものは順序を変更して、そうして重点的に経済的にいずれに利益があるか、まずその点に判定を置いて、そうして地下資源の開発の方がはるかに利益があるという判定がつくならば、こういうところはすべからく国立公園の指定を中止して、地下資源の開発にこれを優先するというような方向にはつきり厚生省は方針を決めてもらいたいということが一点、同時に国立公園の支出を見るに、国が四千万円の支出をすれば結果においてそれが何億という収入を得るのに該当するようなところを指定する。景観だけよくても、地理的に利用できないところは一応あとまわしにする。経済的に利用価値の多いところは優先してそれらが完璧を期せられてから後にそれらの方に順次手を伸ばすという方向が私は今の日本の国情に相応して行くことだと確信いたしますから、今後はそういう方向に持つてつてもらいたい。特に六甲山は先ほど申し上げたようにいずれの条件から見ましても、私は本年の指定に当然入る資格あり、また指定されなければならぬものだというふうな確信を持つておつたものがはずれておる。しかしながら今の部長の御説明によつて近くそれが解決するということでありますならば、しばらく私はその時期を待つてもいいと思うが、今後は少くともこういう方面に細心の注意を払つて遺憾のない手当をしていただきたいということをこの際希望しておきます。
  157. 淺香忠雄

    ○淺香説明員 ただいまの御意見十分ひとつ研究いたします。
  158. 齋木重一

    ○齋木委員 公園部長なり政務次官に御質問申し上げます。国立公園と国定公園と二つあるのですが、国立公園と国定公園とは、助成の予算面において、どういうような懸隔があるのか御説明願いたい。
  159. 森本潔

    ○森本説明員 国立公園と国定公園の差でございますが、法律の上ではつきり出ておりますのは国立公園という名前だけでございます。国定公園という名前は国立公園法の一部の規定を準用する公園という意味から、便宜国定公園という名前を使つておるのであります。法律上の差がございまして、それから管理の面から申しますと国立公園は厚生大臣が直接管理したり維持したりするものであります。それから国定公園は都道府県が管理するという建前であります。それから費用の点では、国立公園は原則として国が費用を負担するということでございますが、実際は府県に対する補助という形になつております。それから国定公園の方の費用の問題は、これは現在法律上も実際の上におきましても国庫補助ということはやつておりません。大体そういうわけでございます。それから両者の差がつきますのは、やはり国立公園という名にふさわしいか、あるいはそれに準ずるものであるかどうかというような素質の問題の差異が本質的にございます。それ以外の差異は今申したような管理上の差異、費用負担の差異がおもなものでございます。
  160. 齋木重一

    ○齋木委員 そうすると国立公園は国において先ほど先輩の首藤委員の言われた、僅少な予算をもつてこれを完成しようとする意図のもとに指定された。国定公園は都道府県の維持管理において少い予算においてやろう、今日の日本の自治体の財政的な観点からいたしまして、きめるのは国の委員会とか審議会がかつて気ままにきめて、あひるの卵じやないけれども、生み落しただけで、それを育てるのはお前らかつてにせいというようなばかげたことをやつて地域的にも資源回収、すなわち地下資源の面等に対しても、規則で国定でも国立でもこれを縛つて行こうというようなことは、まことに画龍点睛を欠くのじやないかというように考えるのですが、これはどうお考えになつていらつしやいますか。それから国定そのものに対しては、ちようど私の県においてもあると思いますが、地元といたしましては、県自体もまことにやつかいなものを——国立公園として希望し申請をし、熱願をしておいたけれども、これの裏づけはやはり予算の面であろうと私は思うのであります。それをかつて審議会において国定公園とやつた。こういうことは私はまことに独断専行じやないかと考える。公園そのものの趣旨からいいましても、育てる上からいたしましても、まことに遺憾な点があると思うのですが、将来国定などということは法の運用の一部であるというようなことを申されましたが、国立なら国立でそんなへんてこな育てもしないようなものを国定というようなことにせずして、一本で国立公園なら国立公園として指定するのが当然じやないか。きめることはきめて取締りだけはする、あとの育てることはお前らかつてにやれ、これではまことに捨子同然なことをやる、迷惑千万だ。これは再考をしていただきたいと私は思います。審議会に対しましても、先ほど来先輩各位が言つておる通り、いろいろな面におきまして、国内の資源開発その他の点におきましても、あまりにも一方的じやないかという御意見もあつたが、私はもつともだと思つております。同時に公園そのもの自体といたしましても、全部の国民が、健康保全のために厚生省の主管としてやつておる観点からいたしまして育て上げ、国立公園でも国定公園でも、利用価値のあるように調整しなければならない、またこれを完成しなければならぬと思う。こんな捨子同然な、あひるの卵のようなことをやつては、意に反すると私は考えます。これらに対して、厚生省としてはどのようなお考えを持つておりますか。一言お聞かせ願いたいと思う次第であります。
  161. 淺香忠雄

    ○淺香説明員 お説の通り地方自体におきましては財政の困窮を来しておりますことは、私どももよくわかります。また今度の公園指定にあたりまして、国立にはずれて国定にきまつた——国定にきまつたということは、とりもなおさずそれが維持をはかります予算等が府県の負担になる。そうであれば、国立に希望しておつたのに国定になつたがために、非常に迷惑だ。今るるお話がございましたが、一つ一つごもつともございます。私はまだなれませんので、内容はよくわかりませんけれども、私が感じておりましたことは、どの府県も今度国定に指定されました府県は、それぞれ御希望が大半あつたのではないかと考えておつたのでございますが、そういつた点も、あるいは私どもの不勉強の結果逆の結果が生れておらぬとは限りませんので、後ほど国定に指定されましたその府県の審議会へ持ち込まれました経緯等十分調査いたしまして、お説の通り生みつぱなしで各府県に御迷惑がかかるようなことはなるべくないように注意をいたします。
  162. 齋木重一

    ○齋木委員 ただいま誠意ある御答弁を拝聴いたしまして心強く感じましたが、国定公園を国立公園として再指定する意思ありやいなや、またやるとするならばいつごろそれをやるか、こういうような心構えがおありになるかどうかを御明答願いたいと思います。
  163. 淺香忠雄

    ○淺香説明員 先ほど質問にお答えをいたしておりましたように、審議会はこうして答申は出されましたけれども産業開発等に関係の深いところで問題のあるところも若干あるかのように聞いておりますし、関係の役所とも相談しなければなりませんし、また同時にこれが政治的な決定大臣がいたすのでありますが、そう急に、たとえばこの月中に終るとかいうようなことは万々なかろうと思いますので、その日時等を大体勘案いたしまして、その間に十分研究の余裕があると思いますので、御意思の点をもう一度研究させていただきたいと思います。
  164. 齋木重一

    ○齋木委員 まことに親切な御答弁だが、私は納得が行かない。国定公園は、国立公園を前提として国定公園として指定したものか。ただ単なる国定公園として、生みつぱなしにする考えで国定公園にしたのか。将来は国立公園として国家が維持管理をやるという前提に立つてこれをやつたのかどうかということをお聞かせ願いたい。
  165. 淺香忠雄

    ○淺香説明員 昨年度の予算におきましては四千万円程度だと記憶しておりますが、本年度公園に関します予算の要求は、大蔵省へ二億円ほどするつもりでおるのであります。しかしながら国定公園に関する維持費というようなものの各府県の配分等は、遺憾でありますが、ただいまそれの中には入つておらないそうでございますから、きよう突如としてそうした御意見が出ましたことを、私からよく大臣に伝えまして相談をいたしたいと思います。
  166. 齋木重一

    ○齋木委員 私は政務次官に、通産大臣のように御親切な御答弁を願いたいと思うのだが、食い下るのじやありません。私の問うておるのは、今度国定公園として指定した幾つかの公園を生みつぱなしにせずに——予算その他においてはこれは別だ。四千万円やそこらでは一つの国立公園へやつても問題にならない。だが近き将来に、国定公園を国立公園として指定し直すかどうか、これを申しておるのであります。
  167. 淺香忠雄

    ○淺香説明員 まことに残念でありますが、私の今の立場で、ただいまその問題を簡明に即答申し上げられぬ立場でございまして、御承知のように大臣意見も聞かなければなりませんし、また審議会の意見等も出ており、予算等ともにらみ合せなければなりませんので、よければ次回の委員会に参りまして、ただいまの御質問に確たる御答弁かできると思ますので、きようはこの程度でひとつ御了承願いたいと思います。
  168. 齋木重一

    ○齋木委員 それではその期待を持つて保留しておきます。
  169. 中村幸八

    中村(幸)委員長代理 本日はこの程度にいたしておきまして、明日は午前十一時から開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十七分散会